小説【魔法科】「魔法科高校の劣等生(20) 南海騒擾編」感想・ネタバレ

小説【魔法科】「魔法科高校の劣等生(20) 南海騒擾編」感想・ネタバレ

どんな本?

魔法科高校の劣等生』は、佐島勤 氏による日本のライトノベル。
略称は「魔法科」。

物語は西暦2097年、3月。
魔法が現実の技術として確立し、魔法師の育成が国策となった時代を舞台にしている。

主人公は、国立魔法大学付属第一高校(通称「魔法科高校」)に通う兄妹、司波達也と司波深雪。

この作品は、原作小説の累計が1,400万部、シリーズ累計が2,500万部を突破し、大人気のスクールマギクスとなっている。
また、2024年には3期目のTVアニメが放送されることが決定している。

さらに、この作品は様々なメディアで展開されており、ライトノベルだけでなく、漫画やアニメでも楽しむことができる。

読んだ本のタイトル

魔法科高校の劣等生  (20) 南海騒擾編
著者:佐島勤 氏
イラスト: 石田可奈 氏

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あらすじ・内容

沖縄での旅行中、予想外の『宿敵』魔法師と共闘することになった達也は……

 二〇九七年、三月。あずさ、五十里、花音、服部、桐原、紗耶香という魔法科高校卒業生組メンバーが卒業旅行を企画していた。
 場所は、沖縄。折しも、雫とほのかが深雪と達也を誘った旅先――久米島沖の人工島『西果新島』竣工記念パーティーと同じだった。
 そして、達也と深雪も、彼らと旅先を共にする『ミッション』を課されていた。
 大亜連合軍を脱走した秘密工作魔法師のテロ活動の阻止。達也はこの作戦を未然に防ごうと、独立魔装大隊と合流するが……そこには、かつて敵対していた『予想外の魔法師』が同席していた。
 魔法科高校の卒業旅行、そして春休みのバカンスは、一筋縄ではいかない波乱の旅!

魔法科高校の劣等生(20) 南海騒擾編

感想

本の印象は全体としてスッキリ爽快ながらも、次なる波乱の伏線がちりばめられていることで次巻への期待出来た。

話の中で、ほのかに対しては、彼女の報われなさには哀しみを覚える。

ストーリーの中身に関しては、卒業生たちに焦点を当てることで、今回の巻では盛り上がりに欠けると感じたが、達也たちのさらなる進化、ゲートキーパー等の強さには期待が寄せられる。

沖縄を舞台にした物語は、大亜連合やUSNAだけでなく、イギリスやオーストラリアも絡む複雑な世界情勢を描きつつ、達也の強さをさらに推し進める内容でもあった。

達也たちが沖縄で慰霊祭へ出席し、雫、ほのかは新規に開発した久米島沖の人工島の完成記念パーティーに出席する。
卒業生達が卒業旅行を楽しんでいる中、大亜連合軍を脱走した秘密工作魔法師のテロ活動を阻止するミッションを担っていた。
その過程で、かつて敵対していた予想外の魔法師と共闘することになり、この出会いが物語に新たな展開をもたらす。
この旅行はただのバカンスではなく、波乱に満ちた冒険であることを示している。
特に、達也と深雪が四葉家の公務として、さまざまな者と共に行動する様子は、彼らの関係性や物語の深さをより一層引き立てている。

この巻では、新たな魔法師が登場するものの、その存在感はやや薄い。
しかし、物語の最後には続編への期待を高める展開があり、達也と深雪が婚約者としてさらに成長していく様子に注目が集まる。
登場人物が多く、それぞれの所属や思惑が複雑に絡み合っているため、今後の物語展開に向けて人間関係の整理が望まれる。
達也の圧倒的な能力は依然として物語の中心であり、彼の戦略や魔法の使い方は大きな魅力を感じさせてくれる。

最後までお読み頂きありがとうございます。

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備忘録

1

オーストラリアは世界群発戦争後に国際線の民間空港が閉鎖され、鎖国状態に近い形で外国との限定的な交流を続けている。ダーウィン基地にはイギリスの支援で魔法師研究施設が設立され、オーストラリアは自給自足の状態を維持しつつ、軍事魔法技術を含む軍事力強化を目指している。その一環として、戦略級魔法師であるウィリアム・マクロードがイギリスから極超音速輸送機でダーウィン基地に到着した。マクロードはオーストラリア軍に魔法師製造の指導を行い、戦後の軍魔法師部隊の育成に大きな役割を果たしている。彼は地下シェルターの研究所でジャスミン・ウィリアムズ大尉とジョンソン大尉と再会し、日本に対する作戦の詳細を伝える。作戦の目的は、日本が建設した海底資源採掘用の人工島を攻撃することである。

二〇九七年三月十日、一高からの転校生、一条将輝の金沢への帰還を見送った達也と深雪は、魔法協会関東支部の応接室で四葉家当主である叔母、四葉真夜と再会した。真夜は達也と深雪に沖縄への訪問を依頼する。表向きは五年前の大亜連合による沖縄侵攻事件の慰霊祭の打ち合わせと犠牲者の遺族の意見を尊重する政府のアピールのためであるが、実際にはそれ以外にも達也に頼みたい仕事があることが示唆される。真夜は達也と深雪にその任務の詳細を含む書類を渡し、完遂を要求する。後日、深雪は学校で友人の雫に沖縄への旅行への同行を誘われるが、既に四葉家としての予定があるため断る。しかし、深雪は雫と沖縄で偶然会える可能性を残しており、もし時間が許せば一緒に遊ぶことを約束する。

三月十五日、魔法科高校九校の卒業式が一斉に行われた日、第一高校では卒業生送別パーティーが終わり、校内は喜びと寂しさが混在する雰囲気に包まれていた。達也は今年、生徒会役員として裏方で忙しく動いており、パーティーの後片付けを終えて生徒会室に戻った。そこで彼は、深雪と共にコーヒーを飲みながら、卒業生たちの会話に耳を傾けていた。卒業生たち、特に中条先輩たちは卒業旅行で沖縄に行くことが話題になった。その話題は、達也と深雪が真夜から受けた秘密任務と時期が重なるが、達也は秘密を守るため警告することはなかった。三月十七日、達也は国防軍の特務士官として独立魔装大隊の本部を訪れ、久米島沖人工島竣工記念パーティーに合わせた破壊工作を阻止する命令を受けた。風間中佐との打ち合わせで、達也は二十四日の彼岸供養式典で風間の部隊に合流することとなる。敵の戦術目的は人工島の破壊や要人殺害だが、戦略目標は日本人の敵意を煽り講和条約を破棄させることにあるため、大規模な兵力展開は避ける必要があった。

日本と大亜連合の間に休戦協定が結ばれたのは2095年12月で、その後、2096年3月に講和条約が締結された。日本は『灼熱のハロウィン』で大亜連合の海軍拠点と艦艇を破壊し、総力戦の構えで出撃したが、戦闘は発生せず、東南アジア同盟を仲介として休戦が成立した。しかし、講和に反対する勢力が両国に存在し、講和を破壊し戦争状態に戻そうとする動きがあった。その一例として、沖縄の那覇空港で、脱走兵ブラッドリー・チャンと呂剛虎の間で戦闘が発生したが、呂剛虎が優勢であった。しかし、未知の第三者の介入により、呂剛虎は撤退を命じられ、チャンはその場を去った。この出来事は、休戦後もなお緊張が続いていることを示している。

ブラッドリー・チャンの同伴者であるジェームズ・ジャクソンは、表向きオーストラリアからの観光客としている。オーストラリアは第三次世界大戦後、国外との交流を極端に制限している。出入国審査や税関審査が厳しく、外国人犯罪に対する姿勢も厳格であるため、オーストラリア人が国外で見られる機会は稀である。風間はジャクソンの背後を調査するよう命じる。その後、呂剛虎が空港の会議室に戻り、大亜連合軍特務部隊上校・陳祥山と合流する。陳祥山と呂剛虎は横浜事変で捕らえられたが、日本と大亜連合の講和成立により釈放されていた。彼らは日本に潜入した破壊工作員を捕縛するために、日本国防軍と協力することになる。風間は、今回の任務では陳祥山の部隊を友軍として扱うことを決めるが、この協調関係が長続きするとは考えていない。

三月二十三日、終業式の後、達也は深雪、水波と共に沖縄へ向けて出発した。翌日、彼岸供養式典に参加した後、彼らは特定のステーキハウスに向かい、そこで風間、真田、陳祥山と会合を持った。この会合では、沖縄に潜入した工作員の現状や、達也たちの今後の行動について話し合われた。風間は達也たちに現在の状況を説明し、沖縄本島に侵入した工作員の構成や、標的が久米島西沖合いの人工島であることを伝えた。また、ジャーナリストと称するジェームズ・ジャクソンと彼の「娘」の存在についても触れられた。この会合では、陳祥山が味方であることが強調され、達也と深雪は陳祥山と協力することを了解した。達也は風間に質問をしなかったが、式典で疲れているふりをして早めに会合を離れることを提案し、風間と真田はその提案に理解を示した。達也は、藤林中尉に会う機会がなかったことを残念に思いつつ、会合を終えた。

達也が風間と会っていた同じ頃、那覇のショッピングモールで、卒業旅行に来ていた一行が話していた。彼らは国立魔法大学付属第一高校のOB、OGで、卒業旅行の一環として沖縄侵攻事件の犠牲者彼岸供養式典を見学していた。このグループには、沢木を含む七名がおり、偶然彼らはジャズと名乗る少女が男性に襲われそうになる場面に遭遇した。彼らはジャズを助けるために介入し、襲ってきた男性たちと戦った。その後、ジャズの父親と名乗るジェームズ・ジャクソンが現れ、彼女を連れて帰った。ジャズが連れ去られそうになった男性たちは中国語を話していたことから、桐原たちは大亜連合による何らかの企みを疑ったが、その場で警察に通報することはなかった。彼らは事件後、ショッピングモールのファーストフード店で状況を振り返り、再び大亜連合による事件の可能性を危惧した。

ジェームズ・ジョンソン大尉とジャスミン・ウィリアムズ大尉は、実はオーストラリア軍魔法師部隊の隊員で、ジャスミンは調整体魔法師として特殊な能力を持つが、身体が成熟しない遺伝子異常を抱えている。彼女のこの特性を活かし、オーストラリア軍は彼女を潜入工作任務の専門家として利用している。彼らは「親子」の設定で様々な任務に従事してきたが、この度、大亜連合の工作部隊に狙われてしまう。彼らが狙われた背景には、大亜連合軍と日本軍の非公式な協力関係があることが示唆されている。この協力関係は、新ソ連やUSNAに対する共通の防衛策として、また、反講和派の破壊工作を許さないためのものである。二人は、現在の状況を踏まえて迅速に行動を起こす必要があることを理解し、荷造りをしながら次の手を考えていた。

達也が受けた使命は、人工島竣工パーティーを標的としたテロの阻止である。破壊工作員の捜索は対象外とされており、その任務は一〇一旅団が担当している。達也と深雪は、破壊工作員の所在を突き止めたら連絡するという結論に至った。通信網の一部が応答しない事態が発生したが、これは破壊工作員によるものと推測される。しかし、通信網の破壊は一時的な追跡の妨害に過ぎず、敵は既に逃亡済みの可能性が高い。現時点では、達也にできることは限られており、真田や藤林が手掛かりを見つけることに期待している。達也、深雪、水波は無人タクシーでホテルに戻ることにした。

達也の予測は部分的に当たっており、オーストラリア人工作員を追跡していた捕獲部隊は全員行動不能となったが、死者は出ていない。この事態は、捕獲対象の魔法攻撃、具体的には「オゾンサークル」と思われる高濃度のオゾンガスによる急性中毒が原因である。オーストラリア軍の魔法師がオゾンサークルを使えることに驚きはあるものの、旧欧州連合諸国との情報共有協定により、オーストラリア軍がこの魔法の情報を持っている可能性が指摘されている。捕獲部隊を倒した魔法使いは、ジャスミン・ジャクソンと推定されており、彼女は見た目どおりの年齢ではない可能性がある。一方で、大亜連合の部隊を妨害したのは国立魔法大学付属第一高校の卒業生であり、彼らの行動は偶然またはお節介によるものと思われる。藤林と真田は、それぞれ工作員の身許調査と敵本隊の捜索を続けることになった。

3

ジャスミン・ウィリアムズ大尉(偽名ジャスミン・ジャクソン)とジェームズ・J・ジョンソン大尉(偽名ジェームズ・ジャクソン)が、大亜連合脱走部隊の幹部とイギリス系のシーサイドホテルで密会していた。その際、四葉家次期当主とその婚約者が沖縄にいること、及び彼らが慰霊祭に参加していた情報を知る。大亜連合脱走部隊のリーダー、ダニエル・劉少校は、四葉の魔法師の存在を作戦にとっての大きな障碍と考え、高校生であっても侮れないと強調した。達也と深雪の実力や危険性について、彼らは完全には理解していなかった。

2097年3月25日、達也と深雪は敵から要注意人物と認定されているが、実際にはホテルでゆったりとした時間を過ごしていた。この日は沖縄侵攻事件の犠牲者供養式典と夏の慰霊祭の打ち合わせのため沖縄に来ており、スイートルームで豪華な朝食を楽しんでいた。水波はその豪華さに落ち着かず、達也と深雪には彼女が護衛役として必要だと説得されていた。この日、達也は深雪と水波に船に乗るための準備をするよう言い、三人は遠出の準備を始めた。

達也は深雪と水波を連れて、外洋航行可能なクルーザーに乗り込み、石垣島へ向かった。船の機関部と情報機器は軍用快速艇のものが使われていたが、外観は一般的なクルーザーと変わらなかった。彼らを待っていたのは、桧垣ジョセフ軍曹であり、彼がこの日の護衛兼観光案内を務めることになっていた。達也のリクエストにより石垣島を訪れ、レンタカーで有名な観光地を巡り、最終的に達也は深雪と水波を連れて有名な真珠専門宝飾店へ行った。そこで達也は深雪にマルチカラーの真珠ネックレスをプレゼントし、彼女の誕生日を祝った。深雪は感激し、達也に感謝の言葉を述べた。

達也たちはジョセフ軍曹に見送られホテルに戻り、その際達也は向かいのビルを注視した。深雪と水波は達也の態度に疑問を抱くが、達也は向かいのビルにいたのが金で雇われた情報屋であると見抜いていた。彼らはホテルに入り、ジョセフ軍曹は達也たちの背中を見送った。ジェームズ・J・ジョンソン大尉として、ジェームズは達也の視線に気付き、彼自身が恐怖を感じていたことを認めざるを得なかった。オーストラリア軍の百戦錬磨の戦闘魔法師であるジェームズは、四葉の力を侮れないと改めて認識し、四葉家に手を出せば破滅するという警告を心に刻んだ。

達也は深雪の誕生日を祝って、高級レストランでのフルコースディナーと展望ラウンジでの時間を準備していた。ディナー後、二人はアルコールを含まないカクテルを楽しんだ。深雪は達也に寄り添いながら、甘えた目で見上げる。部屋に戻ると、水波は留守番をしており、達也は深雪に先に入浴するよう促した。その後、達也はホテルに戻った際に監視していた敵工作員の情報を調べ上げ、「ジェームズ・ジェフリー・ジョンソン」という名前のオーストラリア軍所属の魔法師がその人物であることを突き止めた。達也はその情報を風間に送信した。夜、深雪は達也の隣のベッドに座り、いつもと違う口調で話し、達也は深雪がアルコールを摂取していないにも関わらず、何かに酔っているように見えることに気付いた。深雪は達也にベッドに入るよう促し、自らは隣のベッドで寝た。夜中、水波が部屋を静かに出て行く気配を達也は感じ取ったが、気づかないふりをした。

4

翌朝、達也は深雪と水波に、予定通り久米島へ行くことを告げた。この日の予定は任務と直接関係なく、主に観光を目的としていた。任務の成否は人工島竣工記念パーティーが無事に終わるかどうかにかかっており、敵の捜索は国防軍の責務であるため、達也の出番はまだない。そのため、達也は空いた時間をバカンスとして利用することに決めた。飛行機の出発時間は八時半で、CADは機内への持ち込みが可能である。水波は準備を整え、達也と深雪は朝食を取るためにレストランへ向かった。

空港の出発ロビーで、達也はほのかと雫に声をかけられた。彼女たちとは偶然同じ便で久米島に行くことになっていた。ほのかたちは達也たちと一緒に行動することを提案し、達也はこれを受け入れた。久米島に到着後、雫が手配したグラスボートで島を一周する計画が立てられ、ほのかは達也に積極的にアピールし始めた。ほのかの大胆な水着姿は、他の観光客の注目を集めた。ほのかのアプローチは、スバルとエイミィによる助言に基づくもので、達也へのアピールを強化するためのイメージチェンジを図っていた。深雪は、ほのかの行動に対して達也を責めることはなく、むしろ彼女を気遣う様子を見せた。達也とほのかのやりとりを見ていた中年男性が、何かを端末で操作している場面も描かれている。

ほのかの積極的なアピールが続く中、達也は海底に潜水艦の影を探知し、不審な潜水艦から発射された魚雷を察知する。水波が対物障壁を展開し、魚雷の爆発を阻止するが、その後も敵の攻撃は続く。達也と乗組員たちは、魚雷型有人艇からの攻撃に対処し、敵を退ける。達也は倒された敵を海に投げ捨て、追撃を避けるために逃走を促す。船長は達也の指示に従い、船の進路を変更して逃げる準備をする。この一連の行動を通じて、達也の冷静かつ迅速な判断と行動力が示される。

達也とその仲間たちは、大亜連合脱走兵とオーストラリア軍工作員から成る合同部隊による潜水艦攻撃を回避し、彼らを撃退する。達也は潜水艦がこのような行動を取る背景を理解しており、それが公にできない事実であることを踏まえ、潜水艦の動きを予測していた。潜水艦内では、ダニエル・劉少校とジェームズ・J・ジョンソン大尉が作戦の失敗を受け、今後の対応を協議していた。彼らは達也たちが自分たちの存在をいかにして探知したのか、特にその精度について疑問を持っている。ジョンソンは四葉の魔法の可能性を恐れている様子を見せ、リウは少し満足感を得ていた。

潜水艦による襲撃を事前に察知したのは四葉の魔法ではなく、達也の魔法によるものであった。達也は、オーストラリア軍の魔法師、ジェームズ・J・ジョンソン大尉に未知の技術を使ってマーカーを撃ち込み、彼の動向を掌握していた。ジョンソン大尉は達也と深雪を監視していたが、達也が放ったマーカーの存在には気づいていない。このことから、達也が大亜連合脱走部隊ではなくオーストラリア軍工作部隊の動きを把握していたことが明らかになる。達也の行動は、好奇心によるものではなく、任務の一環として彼らを見張っていた結果である。

潜水艦による襲撃を事前に察知したのは、四葉の魔法ではなく達也の魔法によるものであった。ジェームズ・J・ジョンソン大尉の推理は部分的に正解であったが、達也が使用したのはエレメンタル・サイトによる監視技術で、ジョンソン大尉はこの技術に気づいていなかった。達也は、オーストラリア軍工作部隊の動向を掌握しており、ジョンソン大尉が任務で達也と深雪を監視していたことを知りつつも、彼の行動を先読みしていた。この事実により、オーストラリア軍工作部隊が達也の手によって監視されていたことが明らかになる。

待ち時間は長かったが、独立魔装大隊の幹部や陳祥山、呂剛虎が集まっていたため、その理由が明らかになった。達也は以前、呂剛虎と特殊鑑別所で対面しており、横浜事変時にも彼との間に直接的な因縁は少ないが、一年半前に陳祥山と呂剛虎は達也に対して工作を仕掛けていた。しかし現在、達也は敵意も好意もなく彼らと対峙している。会議では、敵工作員の潜水艦を沈める作戦が話し合われ、その潜水艦に大亜連合の脱走兵とオーストラリア軍魔法師が搭乗していることが確認された。潜水艦は公海上におり、遠距離魔法攻撃で沈める案が提案された。風間は、敵艦が補給中であることを突き止め、海賊に偽装して襲撃する計画を立てた。陳祥山は、脱走兵の引き渡しを求め、風間は条件付きで同意した。作戦は時間との勝負であり、直ちに出撃準備が整えられた。達也も作戦に同行することになった。

大亜連合軍反講和派が使用している潜水艦は通常型で、原子力潜水艦の調達はできなかった。原子力機関の使用は国際条約により制限されており、国際魔法協会が監視に当たっているが、完全な監視は難しい現状がある。にもかかわらず、核兵器の使用阻止を目的として、国際魔法協会憲章は広く支持されている。このため、有力国家も原子力潜水艦を公然とは所有できず、隠密性を求めざるを得ない。脱走部隊が使用する潜水艦は燃料電池を電力源とする非大気依存推進機関を備えているが、燃料の補給が必要であり、物資の補給も頻繁に必要となる。昨日の作戦後、予定外の補給を行うため、敵地近くで浮上するリスクを冒している。ジョンソン大尉はこの状況に苛立ちを感じており、脱走部隊との間にも気まずい雰囲気が漂っている。ジョンソンは連絡艇の到着を待ち、タンカー内部の係船ドックで小型潜水艇に移動する準備をしている。

達也は、オーストラリア軍工作員の移動を気づいたが、それを風間に伝えなかった。彼らが乗る空挺部隊輸送機は、工作員の潜水艦が隠された移動式偽装ドックに向かっていた。降下時、達也を含む日本・大亜連合混合部隊は、大亜連合軍脱走部隊に対応されずに甲板に降り立った。彼らの戦術は既に実用化されているが、その速度に対処するのは難しい。柳と呂剛虎は敵を迅速に制圧し、達也は船内の迎撃システムを魔法で無力化した。リウ少校は潜水艦内におらず、風間と達也は指令室に向かい、敵の幹部を一瞬で無力化した。この作戦では、風間が『隠れ蓑』という認識阻害魔法を使い、達也を含めた数人を敵から隠した。達也は風間の魔法の助けを借り、敵の偵察兵に気づかれずに進んだ。

潜水艦と偽装ドックの制圧が完了した時、ジョンソン大尉は海中にいた。昼前にランデブーポイントに到着し、海中から浮上して、予定通りに民間クルーザーに偽装された工作船に乗り込んだ。そこにはパートナーのジャスミン・ウィリアムズ大尉が待っており、予定の変更に驚くジョンソンに、明日の作戦の主力部隊が日本軍に捕まったことを伝えた。ジョンソンとジャスミンは、さらに大亜連合脱走部隊の幹部、ブラッドリー・チャンと合流して、状況の打ち合わせを行った。ジャスミンは、作戦の失敗と捕捉部隊の参加をジョンソンに知らせ、チャンは作戦続行を主張した。ジャスミンとジョンソンは、オーストラリア本国に照会して意向を確認する必要があるとし、チャンは承諾した。

ジョンソン大尉がイギリスの軍事用通信衛星を利用して本国と連絡を取ったが、その通信は日本軍によって傍受されていた。藤林中尉、「電子の魔女」として知られる魔法師は、電気・電波信号に干渉する魔法を駆使して通信を捕捉した。その内容は、明日の作戦の続行可否に関するもので、オーストラリア軍は作戦続行を許可する旨の返答を送ってきた。風間隊長は、オーストラリア軍の決断について、彼らが失敗を前提にしている可能性を指摘し、これが破壊工作の工作員にとっては使い捨てられる可能性を示唆していると分析した。この分析は、オーストラリア軍が工作員を単独で危険な任務に送り込むことのリスクを理解しつつも、失っても大きな損失ではないと判断していることを示唆している。

6

三月二十八日になり、深雪と達也は表向きは友人のパーティーに出席する予定だったが、実際にはテロ工作を阻止する任務が本番であった。白川執事がサポートする中、達也は敵の攻撃対象が明確であるため、対応が楽だと感じていた。彼らが乗るクルーザーは、見た目はレジャー用だが、実際には戦闘用の快速艇であり、白川が舵を取り、出港を開始した。この快速艇は魔法的なギミックが組み込まれており、乗り心地が良いことが強調されている。

飛行機で沖縄本島から久米島まで約30分かかるが、快速艇での移動は2時間を要した。これは乗り心地を重視した航行のためである。久米島の真泊港に到着後、深雪と達也は雫とほのかと合流し、共に車海老バーガーを楽しんだ。その後、パーティーに向けての準備が話題になり、雫の提案で美容室を利用することになった。深雪と水波は雫の案内で美容室での準備をし、達也はその間に任務に関連する打ち合わせや偵察を行った。午後4時に達也は深雪と水波を迎えに行き、快速艇でパーティー会場の人工島『西果新島』へ向かった。この間、達也はひとときの休息を取り、深雪は達也の無防備な寝顔から幸福感を感じていた。深雪は達也に接近し、キスを試みるが、最終的には実行することなくキャビンを後にした。

西果新島は海底資源採掘施設を基盤にし、その上に正八角形の人工地盤を設置した半潜水型メガフロートである。この島には来島者用の高級ホテルがあり、今日のパーティーはそのホテル宴会場で開催される。宴会場の前のロビーでは、招待客が集まっている中、紗耶香は自分が場違いではないかと不安を感じているが、友人たちに励まされる。ロビーには様々な年齢層の参加者が見られ、若い世代の出席も多いことが分かる。雫とほのかは、雫の両親と共に参加しているが、北山潮・紅音夫妻は政治家から挨拶を受けるなど、高い社会的地位を持つ人物も多く参加している様子が描かれる。五十里は、花音と共に北山家と政治家に挨拶をするために進む。一方、ほのかは達也と深雪の到着を待ちわびている。

ほのかが心配していたが、達也たちを乗せた快速艇は既に人工島の港に到着していた。深雪は、人々の興味を引くことを避けてロビーに姿を現さなかった。達也は、ショッピングモールに向かい、ジェームズ・J・ジョンソンとその連れの少女、ジャスミン・ウィリアムズ大尉を発見した。ジョンソンは変装していたが、達也の「精霊の眼」には隠れられなかった。達也は彼らに軽く頭を下げて謝罪し、ジョンソンとジャスミンは達也から離れようとするが、達也は彼らを立ち去らせず、特にジャスミンに対して堅苦しい謝罪を行った。ジョンソンとジャスミンはその後、達也が見えなくなるまで足早に去り、監視カメラの死角で一息ついた。ジョンソンは任務の放棄を示唆するが、ジャスミンはそれを受け入れず、二人はパーティーに戻ることを決める。ジャスミンは内心、任務を放棄したいという気持ちが強くなっていることを感じていた。

達也はコンビニエンスストアでミネラルウォーターを購入し、深雪たちが待つ快速艇に戻った。何も購入しないで店を出るのが不自然だと考えたためである。深雪は達也にパーティー会場への移動を提案するが、達也は少しの時間を求める。達也は自分のキャビンに戻り、ドアをロックして、ジャスミン・ウィリアムズとジェームズ・J・ジョンソンに撃ち込んだ想子弾を使って、彼らの情報にアクセスした。ジャスミンが遺伝子異常を抱えた調整体魔法師であることを確認し、ジョンソンのマーカーも問題なく追跡できることを確認した。準備を終えた達也は深雪と共にパーティー会場に向かった。

西果新島竣工記念パーティーが開始され、達也たちは最後の方で入場した。深雪の美貌は会場の注目を集め、主役のような登場となった。達也たちはまず、パーティーに招待された形で出席している北山潮の許を訪れ、挨拶を交わした。その後、会場の人々は徐々に通常の会話に戻り、達也たちは雫たちのいるグループに挨拶をしに行った。潮は会場での挨拶を行い、雫は少し居心地が悪そうにしていた。

久米島西約六十キロを北西に進む大きめの漁船の形をした船は、経済速度で母港へ戻る途中に見えた。ブラッドリー・チャン中尉は、大亜連合脱走部隊のリーダーとして、自ら魚雷型カプセルに乗り込み、人工島『西果新島』への破壊工作のために出撃した。五本のカプセルには九人が乗り込み、彼らは海中を進んでいった。

一方、人工島地下第一層のホテル宴会場ではパーティーが始まり、挨拶が終わってフリートークの時間に入っていた。深雪を盗み見る視線が少なくなり、参加者たちは料理に手を伸ばし始めた。五十里は達也から話し掛けられるが、彼は自分の話が人々を喜ばせないと考え、壇上に上がるのを断っていた。その後、達也は五十里に少しの時間を求め、二人は隣の部屋へと移動した。深雪と水波、そして花音は宴会場で待つことになった。

五十里啓は達也司波に、このパーティーが大亜連合の脱走兵に狙われていることを聞かされる。達也は、破壊工作員が海中から人工島に接近し、爆弾を仕掛ける計画を持っているが、人工島には防御システムがあり、破壊工作員は近づけないと説明する。五十里は自身も狙われている可能性に気づき、達也は五十里の護衛として国防軍の南風原曹長を紹介する。その後、達也は藤林と話し、破壊工作員が約五分で防衛ラインに接触することを知る。藤林は達也が過去の失った人への感情に惑わされないことに感心するが、達也は深雪一人を守ることに集中する姿勢を示す。

達也は、四葉家の用事を理由にパーティーから一時的に離れることを伝える。四葉家の名を使うことで、余計な詮索を避けることができる便利さを感じている。深雪は達也の不在を受け入れ、達也は北山潮にも中座を告げる。深雪は、達也様と呼ぶことについて、あずさから話しかけられるが、周りは深雪の答えを受け入れる。達也は戦闘準備のために離れ、藤林と協力して破壊工作員の動きを監視する。一方、人工島の西にわずか一キロの地点で、呂剛虎が破壊工作員の接近を待っている。彼は海中で魔法を使い、破壊工作員が乗る魚雷型カプセルを攻撃し、彼らを海面に放り出す。この行動は、パーティー会場から離れた場所で行われ、達也と深雪による戦闘準備と並行して進められている。

達也が水上バイクを走らせ、桧垣ジョセフと柳が小型ボートで並行している最中、敵工作員が海から浮上し始める。柳が敵を海上で迎撃し、桧垣が拘束する。呂剛虎とブラッドリー・チャン中尉の戦いがクライマックスに達し、沢木や桐原、服部も戦闘に加わる。沢木は海上で敵と格闘し、桐原は水上で敵を撃退する。服部は巧みな魔法制御で戦況を支援する。呂剛虎は水龍形の攻撃を受けながらも、チャンを圧倒し、最終的にはチャンを海に沈める。チャンの最後の攻撃は達也を狙ったものだったが、達也は簡単に避ける。この戦いでは、桐原、沢木、服部がそれぞれ特技を活かし、戦闘に貢献した。達也は敵の攻撃を軽々とかわし、戦闘を有利に進める。

五十里や深雪、水波は達也からの警告を受けて警戒していたが、別行動に出る時もあり、その一例として花音がお花を摘みに行くとき、紗耶香とあずさが同行する場面がある。この間、ジャスミンとジョンソンのオーストラリア軍魔法師コンビは、大亜連合脱走部隊の作戦が失敗することを知りつつ、独自の行動を計画していた。彼らは警戒が厳しい中、独立魔装大隊隊長・風間玄信中佐(外国からは『大天狗』や『ハル・カザマ』と呼ばれる)の存在を重く見て、直接の制圧を諦める。代わりに、ジャスミンがトイレに向かう花音、紗耶香、あずさを人質に取る計画を立てる。ジョンソンは隠れた場所から彼女たちを監視し、ジャスミンが行動を起こすことになる。

紗耶香がパウダールームから出てきた際、ジャズと名乗る少女が彼女たちを見ていた。ジャズは以前、紗耶香たちが誘拐されそうになった際に助けた少女である。髪色と瞳の色を変えていたが、紗耶香たちは彼女を認識した。ジャズは花音を突然人質に取り、ケイ・イソリを連れてくるよう要求する。ジョンソンと共にいるジャズは、五十里が現れると彼にも要求を伝える。しかし、あずさが情動干渉魔法『梓弓』を用いてジャズの注意を逸らし、紗耶香がジャズを攻撃しようとする。この隙にジョンソンはジャズを抱えて逃走し、花音は五十里に慰められる。二人の間の深い絆が感じられる一幕であった。

ジャスミンとジョンソンは、逃げ切ったと思ったが、あずさの精神干渉系魔法により計画が失敗したことを知る。彼らはパーティー会場にジャスミンの魔法『オゾンサークル』を使用する計画を立てるが、これは毒ガス攻撃に等しいため、世界からの非難を浴びるリスクがある。しかし、他に手段がないため、脱出準備を整えながら実行に移ろうとする。だが、ジャスミンが魔法を発動させようとすると、なぜか失敗する。

この時、第三者の声が聞こえ、深雪と水波、陳祥山上校が現れる。深雪は、四葉家の秘術『ゲートキーパー』によりジャスミンとジョンソンの魔法が封じられていることを説明する。『ゲートキーパー』は魔法師の魔法式を破壊する技で、これが解除されない限り、彼らは魔法を使えなくなる。ジャスミンとジョンソンは、計画が四葉家に完全に看破されていたことを知り、絶望する。

軍人が二人を拘束するために入ってきて、ジャスミンはこの場がパーティー会場のすぐ横であることに気づく。深雪は、彼らが鬼門遁甲の技によって実際には目的地に到達していなかったことを明かす。ジャスミンとジョンソンは、最初から四葉家の計画に完全にはまっていたことを悟り、打ちのめされる。

7

達也がパーティー会場に戻ると、深雪もすでに復帰していた。二人はパーティーがほぼ予定通りに進んだことを確認し合う。その後、卒業生たちは一時的に会場から姿を消していたが、その理由は達也と深雪以外には明かされなかった。

一方、あずさと紗耶香は港で服部、桐原、沢木を出迎えており、海水で濡れた彼らの服と靴をあずさの魔法で乾かし、キレイにする。この一幕が軍人たちの注目を集めたが、あずさはそれに気づかない。

その後、五十里と花音はショックを受けた後の状態で他の人がいない部屋にいるところを、紗耶香とあずさに見つかる。彼らは先に起こった人質事件についての説明を受けながら、パーティーの終了時刻が来てしまう。

陳祥山と呂剛虎は、脱走兵を乗せた高速艇で帰国の途につき、任務の成功を祝った。二人は将来的に日本軍との対決が必要であると考え、特に司波達也と司波深雪を脅威と見なしている。一方、達也はパーティー終了後、真夜に任務の成功を報告し、東京に戻ったら直接報告に来るよう指示されたが、四月まで待つよう言われる。その後、深雪と二人きりの時間を過ごし、次回は任務抜きで旅行に行きたいと話す。深雪は「お兄様」と呼ぶか「達也様」と呼ぶか迷いながらも、二人の時間を大切に思う。

エピローグ

空港の出発ロビーには、見送る者と見送られる者、それに疲れ切った顔で帰途につく者がいる。紗耶香は久米島でのパーティー翌日、那覇空港で疲れを感じながらも、一行と共に帰京の途につく。桐原は昨夜の興奮を引きずっており、沢木も全力を出せたことに満足している。しかし、紗耶香とあずさは疲れを感じている。五十里は変なことに巻き込んだことを謝罪するが、紗耶香は楽しかったと応える。一行は夏にまた集まることを提案するが、桐原と紗耶香は防衛大学校への進学のため夏休みの自由がないことを残念がる。服部は、リスクと同様にチャンスも常に存在すると哲学的に語り、次はもっと上手くやることを期待する気持ちを示す。

一高卒業生組が東京行きの飛行機に乗った翌日、在校生組は久米島でのんびりと時間を過ごしていた。彼らは潜水艦の襲撃によって中断した久米島遊覧を再び楽しんでいるのだった。深雪と達也は、今回の旅行が「仕事ではない旅行」としてカウントされるかどうかについて苦笑交じりで話をしていた。ほのかと雫もこの会話に加わり、深雪は明日か明後日に東京に戻る予定だと言った。彼女は入学式の準備のために早めに帰京する必要があると説明した。今年の新入生総代は三矢家の末のお嬢さんである三矢詩奈さんであり、深雪はまだ彼女に会っていないが、入学式の打ち合わせをしなければならない。ほのかと雫は、深雪が帰京すると自分たちも帰る予定の便を繰り上げるかもしれないと考えていた。それでもほのかは、残りの時間をのんびり過ごすことを提案し、ホテルのプールで泳ぐことを提案する。

ジャスミン・ウィリアムズとジェームズ・J・ジョンソンが日本軍に捕らえられたことは、イギリスのウィリアム・マクロードにも知らされた。今回の久米島沖人工島破壊工作未遂事件は、大亜連合脱走部隊をオーストラリア軍が支援したものだが、背後にはイギリスがいた。この事実が明るみに出れば、イギリス軍が非難されることは避けられない。イギリス軍情報部はこの事態に緊張していたが、大きな騒ぎにはなっていなかった。マクロードは、自身が批判の対象となっていることを自覚していたが、彼は公認戦略級魔法師としての地位に自信を持っており、イギリス政府が自分を疎かに扱うとは考えていなかった。

マクロードはDIS本部ビルを出た後、政府通信本部の分室がある古いビルに入り、自分のオフィスで最新式通信機を使用して、USNA国家科学局所属のエドワード・クラークと通信を行った。彼らは「木馬」作戦の失敗と、ジャスミンが司波達也に捕らえられていることについて話し合った。マクロードとクラークは、ジャスミンとジェームズの精神感応を利用して、四葉の秘密を探り出すことを望んでいた。クラークは、情報が世界を制するために最も重要であると述べ、マクロードはブリテンの繁栄のために今後も協力を続けることを約束した。通信を終えた後、マクロードはオフィスを念入りにロックして去った。

久米島沖人工島襲撃未遂事件の翌々日、真夜は東京の高級住宅街にある東道青波の家を訪れた。この家は、最新式の警備装置と古式魔法によって守られた要塞のような場所である。東道青波は日本の政財界に影響力を持つ人物であり、四葉家のスポンサーでもある。四葉家と東道家は互いに支え合う関係にあり、東道老人が真夜を呼び出すのは重要な案件がある場合のみである。

今回、真夜が達也に久米島での破壊工作を阻止するよう命じたのは、東道老人の依頼によるものだった。事件ではオーストラリア軍の魔法師が捕虜にされており、その中には特に興味深いサンプルがいるという。東道老人は、この人物を四葉家に近づけてはならないと忠告し、真夜に早急に処分するよう指示した。老人はこの人物を「耳」と表現し、諜報系の特殊能力者であることを示唆した。真夜はこの指示を疑わず、佐伯にその者を処分するよう伝えることにした。このやり取りから、四葉家と東道家が深いつながりを持ち、互いに影響を与え合っていることが明らかになる。

アニメ

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こも

いつクビになるかビクビクと怯えている会社員(営業)。 自身が無能だと自覚しおり、最近の不安定な情勢でウツ状態になりました。

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