小説【魔法科】魔法科高校の劣等生(13) スティープルチェース編 感想・ネタバレ

小説【魔法科】魔法科高校の劣等生(13) スティープルチェース編 感想・ネタバレ

どんな本?

魔法科高校の劣等生』は、佐島勤 氏による日本のライトノベル。
略称は「魔法科」。

物語は西暦2097年、3月。
魔法が現実の技術として確立し、魔法師の育成が国策となった時代を舞台にしている。

主人公は、国立魔法大学付属第一高校(通称「魔法科高校」)に通う兄妹、司波達也と司波深雪。

この作品は、原作小説の累計が1,400万部、シリーズ累計が2,500万部を突破し、大人気のスクールマギクスとなっている。
また、2024年には3期目のTVアニメが放送されることが決定している。

さらに、この作品は様々なメディアで展開されており、ライトノベルだけでなく、漫画やアニメでも楽しむことができる。

読んだ本のタイトル

魔法科高校の劣等生 (13) スティープルチェース編
著者:佐島勤 氏
イラスト: 石田可奈 氏

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あらすじ・内容

二学年度の部――《九校戦編》登場!

 二〇九六年、七月。今年も、魔法科高校生にとって夏最大のイベントである全国魔法科高校親善魔法競技大会、通称『九校戦』が開催される。
 しかし今年の『九校戦』はひと味違っていた。競技種目及びルール改定。本番まで残すところ一ヶ月の段階でもたらされた何の前触れもない大幅変更に、魔法科高校各校は慌ただしい対応を迫られる。
 そんなある日、九校戦の作戦立案に当たっていた達也の許へ、匿名のメッセージが届けられる。それは、九校戦を舞台とした新たな陰謀の存在を示唆するもので――。
 華やかな競技の裏で繰り広げられる暗闘。昼なお暗い富士の人工樹海を駆け抜ける達也が、背信の陰謀に挑む!

魔法科高校の劣等生(13) スティープルチェース編

感想

全国魔法科高校親善魔法競技大会、通称『九校戦』が開催される。
本年度の大会は、競技種目及びルールの大幅な改定が本番直前に告げられるという異例の事態が発生し、各校は対応に追われる。
その中、達也のもとには匿名のメッセージが届けられ、それは九校戦を舞台とした新たな陰謀の存在を示唆していた。

達也とその仲間たちは、この陰謀を解明するために動き出す。陰謀の背後には、大亜連合侵攻派の暗躍があり、彼らは九島烈が封印したパラサイトドールを九校戦に投入する。この危険な動きに対し、達也たちは軍部の一部、九島家と周公瑾の計画を阻止しようと奔走する。

クライマックスでは、達也、亜夜子、文弥がパラサイトドールの脅威を粉砕し、陰謀を挫く。結果として、第一高校は九校戦で再び優勝を果たし、大会は無事に終了する。九島閣下の根底にある想いは、人間の尊厳を守ることにあったが、その実験方法が問題視される。

二年生となった達也たちにとって、九校戦はただの競技大会ではなく、魔法師としての尊厳、特に深雪の安全を守るための戦いの場となる。深雪が絡む問題でなければ、積極的に動かない達也の姿勢も見られ、彼らの成長や人間関係の深化が描かれる。

『スティープルチェース編』は、ただの魔法競技大会を超えた、陰謀と戦い、仲間との絆を描いた物語であり、魔法科高校の劣等生シリーズの中でも重要な位置を占める作品であった。

最後までお読み頂きありがとうございます。

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備忘録

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全国に設置された魔法師開発研究所は、それぞれ異なる研究テーマを持っていた。例えば、第一研究所は魔法を兵器として利用するための生体直接干渉魔法の実用化を目指していた。第四研究所は精神干渉魔法を用いて魔法師の魔法演算領域を強化することに注力していた。第七研究所は集団戦闘用の魔法開発に取り組み、その成果として群体制御魔法が生み出された。奈良に設立された第九研究所では、現代魔法に古式魔法を組み込むことがテーマだったが、古式魔法師は自らの秘術が利用されるだけで終わったことに対し納得がいかなかった。このような経緯から、古式魔法師と第九研出身の魔法師の間には敵意が生まれた。この対立は西暦2096年現在も続いている。

2096年6月25日、九島烈とその長男・真言は閉鎖された第九研究所を訪れた。この研究所は現在、九島家などの共同出資による民間研究所として運営されており、知覚系統の魔法研究を行っているとされるが、実際は女性型ロボット「ガイノイド」の開発が主なテーマだった。このロボットは、魔法と組み合わされた「パラサイト」により制御されており、性能テストが可能な状態にあった。しかし、九島烈は外部への漏洩や、実験の安全性に懸念を抱いていた。

この研究所での活動は、魔法師を兵器として開発する現代魔法の歪みを象徴していた。九島烈は、このような活動を止めさせなければならないと決意を固めていた。

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六月最後の週、放課後の国立魔法大学付属第一高校生徒会室は、定期試験を控えたにも関わらず活気に満ちていた。達也は自治委員会と風紀委員会からの報告および提言を整理し、会長のあずさに確認を依頼した後、早退した。あずさは達也の高い処理能力により、他の役員が経験を積む機会が失われることを懸念し、彼に早退を推奨していた。達也はこの時間を魔法研究や訓練に充てていた。

その後、達也は学校裏の演習林で行われている山岳部の活動に参加し、部長の県謙四郎や部員たちと交流した。部では熱湯を使って疲れた部員を元気づけるなどのユニークな方法が取り入れられていた。達也は名誉部員として部活動に参加し、部員たちの訓練を手伝った。

水波は山岳部に加えて料理部にも所属しており、達也たちと帰りの時間を合わせるために活動している。彼女の参加は、時間潰しや達也たちとの時間調整だけでなく、個人的な思いもあるようだが、その詳細は語られていない。

実技を重視する魔法科高校において、九校戦は非常に重要な行事である。進路に直結する可能性があるため、生徒は定期試験以上にこの競技大会に力を入れる。第一高校の生徒会長、中条あずさは例年より一ヶ月も早く九校戦の準備を開始し、試験前の混乱を避けていたが、予期せぬ要項変更の報せが届く。

今年の九校戦では競技種目の半数が変更され、新たにロアー・アンド・ガンナー、シールド・ダウン、スティープルチェース・クロスカントリーが追加された。これにより、選手選考から戦略まで一から見直さなければならなくなった。さらに、掛け持ちでエントリーできるのはスティープルチェース・クロスカントリーのみであり、他の競技はソロとペアで分かれているため、準備してきたことがほぼ無駄になってしまった。

生徒会はこの変更に対応するため、再び選手の選考を含めた準備を始める必要がある。この状況は生徒会室の重い雰囲気として達也と深雪にも伝わり、二人は生徒会の仕事に取り組むことになった。

九校戦の競技種目変更は、特にシールド・ダウンとスティープルチェース・クロスカントリーに関心が集まる。達也はこれらの競技が高校生に適したものではないと考え、特にスティープルチェース・クロスカントリーの危険性を指摘する。競技大会の変更は軍事色の強い教育方針の変化を反映しており、国際情勢の焦りを示している可能性がある。この事態に対し、達也とその友人たちは忙しい時期を迎えることになりそうだと感じている。

九校戦の競技種目変更に対する不満は、第一高校の生徒だけでなく、十師族一条家においても同様であった。第三高校の生徒が、急な大幅な変更に対して愚痴をこぼしている様子が描かれている。変更された競技は実戦的な色彩が強く、第一高校よりも第三高校が有利だという見解が示されている。一高は国際評価基準のランクアップに重点を置き、魔法技能の直接的な向上に寄与しない戦闘技術を重視していないが、三高は実戦的な魔法を得意としており、九校戦の選手団においても優位に立てるとされている。

しかし、九校戦の勝敗は各競技の順位に応じた得点の合計で決まり、今回のルールでは一競技に一人、ペアだと一組しかエントリーできないため、選手選考が重要な鍵を握ることになる。競技種目の変更によって、選手選考からやり直さなければならない状況にあり、これが将輝と吉祥寺の間での議論の主題となっている。

さらに、一条家では将輝の妹、茜が彼らの会話を盗み聞きし、ダンスのパートナーに関する誤解から、吉祥寺に対して非難する場面がある。これに対して吉祥寺は熱心に弁明を行い、将輝はその場でフリーズしてしまう。このやり取りは一条家の日常の一コマとして描かれており、競技の変更がもたらす影響や、それに伴う生徒たちの心理的な動揺が繊細に表現されている。

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魔法科高校の競技種目変更が発表された翌日、国防陸軍第一〇一旅団の司令官である佐伯広海少将は、独立魔装大隊隊長の風間玄信少佐を呼び出し、九校戦の変更について話し合っていた。佐伯少将は、魔法師に依存しない魔法戦力の確立を目指しており、十師族に批判的な立場を取っている。彼女は、今年の九校戦の競技種目変更が昨年の横浜事変の影響であり、国防軍が魔法師の有効性を再認識し、その才能を伸ばす方向に働きかけた結果だと説明する。

また、佐伯少将は、九校戦に対する協力を国防陸軍総司令部から打診されていたが、これを受け入れることにし、風間の部隊には待機を命じる。九島烈や藤林家が九校戦の競技変更に関与していることも示唆されており、特にスティープルチェース・クロスカントリーの競技に強い関心を示していることが明かされる。佐伯少将は、風間に藤林響子の動向に注意を払うよう指示する一方で、大黒竜也特尉(達也)については触れず、風間は達也や彼の妹が参加する競技について知らせるべきか悩むシーンで締めくくられる。

九校戦の競技種目の大幅な変更が一高に大混乱をもたらし、特に生徒会が影響を強く受けた。選手選考のやり直し、新競技に必要な器具の手配などが追加の仕事として発生し、生徒会役員は疲労困憊した状態で帰宅した。深雪は帰宅後も達也への気遣いを見せ、コーヒーを淹れて疲れを癒やそうとした。その夜、達也のもとに差出人不明のメールが届く。このメールは、九校戦の種目変更が国防軍の圧力によるものであり、九島家が開発した新兵器の性能試験を企てていることを示唆していた。達也はこの情報を師匠である八雲に相談することにし、深雪は達也を支え続ける決意を新たにする。達也はそのメールを葉山に転送し、暗号強度を最高に設定するよう指示した。

世界には面倒事を避けたい人と、面倒事を起こそうとする人がいる。後者の一人である周公瑾の主は、日本で行われる九校戦において日本軍が新兵器の秘密実験を行う計画を知り、その介入を計画していた。この新兵器「P兵器」は、妖精ではなく妖怪の核となる精を人形に封じ込める技術に関連しているとされ、高度な制御技術が要求される。周はこの計画に介入し、狂化の術式を用いて日本軍の弱体化を図ることに同意する。

一方、達也と深雀は八雲に相談するため彼の許を訪れた。達也は八雲に九校戦の新兵器実験についての情報を求め、八雲はこの問題に対する調査を提案する。彼らはこの問題の調査のために奈良にある旧第九研究所を訪れる必要があると結論付ける。達也と八雲は、この問題に対処するための計画を進めることになる。

七月五日、九校戦の新しい競技要領の通知から三日が経過した昼休み、達也は生徒会室で一高生のデータを確認していた。非常事態にも関わらず、彼は九校戦への表の準備に注力している。生徒会役員と部活連会頭の服部は、選手選考用に実技成績を纏めた資料を見ており、変更された種目にも対応できるようにデータを整理していた。放課後、達也は第二小体育館で実技の準備を進めた。達也はエリカにシールド・ダウンの練習相手としての参加を依頼し、彼女はこれを受け入れた。

一方、九島家では、九島真言が横浜中華街の周公瑾からの来客を受け入れた。周公瑾は、大亜連合から亡命してきた方術士の受け入れを九島家に依頼し、これが九島家の方針と合致することを期待していた。真言はこの依頼を前向きに検討することを約束し、周から方術士のプロフィールが記載されたデータを受け取った。周の提案は、パラサイドールの開発に役立つ可能性がある人材の提供を含んでおり、真言はその情報を基に裏付け調査を行うことを決定した。周の来訪に関しては、九島烈には知らせないようにと指示が出された。

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週末になり、第一高校は九校戦の競技種目変更による混乱から立ち直りつつあり、7月7日には新しい代表選手での練習が再開された。特に新種目であるロアー・アンド・ガンナーとシールド・ダウンの練習が行われ、模擬戦を通じて競技のイメージを掴むことになった。ロアー・アンド・ガンナーはバトル・ボードの水路を利用し、シールド・ダウンは急ごしらえのリングで行われた。女子ソロ代表の千倉朝子とエリカの間で行われたシールド・ダウンの模擬戦では、エリカがその機動力を活かし朝子を圧倒した。また、男子ペア代表の練習も同時に進行しており、新たな戦術や技術が試されていた。

アイス・ピラーズ・ブレイクの練習では、深雪が中心となって準備を進め、効率よく設営された。練習では深雪が連勝し、その実力を示した。達也はチームの連携と個々の技術について指導し、特に花音と雫のペアには連携の改善を促した。練習を通じて、選手たちは互いの技術を高め、九校戦に向けての準備を着実に進めていた。

7月7日の夜、七草家本邸は静かであった。家族はそれぞれの場所で過ごしており、当主の弘一は書斎で仕事に励んでいた。彼の部下である名倉から、周公瑾が九島家当主に大亜連合からの亡命者の受け入れを依頼し、パラサイドールの性能試験に干渉して九校戦の選手を害する計画を立てていることが報告される。しかし、弘一はこれを特に問題視せず、自身の身内に被害が及ばなければ放置する構えを見せた。

翌日、達也はFLT開発第三課を訪れ、完全思考操作型CADの最終テストが行われている様子を見学する。この新しいCADは、使用者の思考だけで操作が可能な革新的なデバイスであり、テスターたちは指を使わずに魔法を発動していた。達也もテストに参加し、この新技術を体験する。

達也と深雪は新型CADのテストが順調に終わった後、深雪の気分転換のため副都心へ出かけた。ファッションビルでのショッピング中、試着室で小さな騒ぎが起こる。その後、七草香澄、泉美、真由美と喫茶店で話すことになった。

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月曜日、周公瑾は約束通り九島真言を訪れ、亡命方術士の受け入れについて話し合った。この密談はすぐに九島烈の耳に入り、九鬼鎮と烈は計画の修正を話し合った。九島烈は、パラサイドールの性能試験に際して、大亜連合の方術士を使った細工を通じて、九校戦の選手に怪我を負わせることで世論を操作しようとした黒幕が強硬派であり、その工作は伝統派に使嗾された周公瑾によるものだと結論づけた。彼らはパラサイドールに非戦闘員に対する攻撃を禁じるリミッターを設定し、風間の部下を攻撃対象にする計画を立てた。

その後、達也は九校戦の準備が進み、新ルールにも適応していく中で、八雲と共に旧第九研の調査を計画する。達也は深雪と水波を伴い、リニア列車で奈良へ向かった。奈良駅で八雲と別れた達也たちはホテルにチェックインした後、達也は単独で調査に出かける準備をする。深雪は達也に同行を願い出るが、達也は危険を避けるため断り、水波に深雪の世話を頼んで出発した。

東京でレンタルバイクを手配し、達也は旧第九研へ向かった。研究所の前でエレメンタル・サイトを使い、研究所内を観察する。旧第九研は現在、知覚系魔法の開発に焦点を当てており、達也は魔法式を保存する物質を使った兵器か、パラサイトと人型機械を融合させた戦闘用ロボットを想定して調査を行った。彼は特に想子の濃度が高い一角を見つけ、パラサイトを宿した女性型ロボットの存在を確認した。

一方、深雪たちはホテルで黒羽貢とその娘、亜夜子からの面会を受けた。彼らは、九校戦で行われる予定のP兵器、パラサイドールの性能試験について議論した。黒羽家は、パラサイドールがパラサイトを利用した兵器であること、そしてその調査結果を深雪に提供した。深雪は、亜夜子が提供したデータカードを手に、達也が単独でその正体を調査していると知り、彼女自身が達也の役に立てないことに落胆した。黒羽親子はその後、達也への伝言を残し、席を立った。

旧第九研にて、達也はピクシーと同様の物、すなわちガイノイドに憑依したパラサイトを発見した。これらにはルナ・ストライクに似た術式が仕込まれており、達也はこれがパラサイトを暴走させるためのものではないかと考えた。その時、緊急メールが届き、「今すぐこの場を離れなさい」との警告を受け、直後に魔法攻撃を察知。達也は術式解体を使い、想子の圧力で攻撃を阻止し、バイクで逃走した。

翌朝、東京へ帰る車中で、深雪は黒羽貢と亜夜子から受け取ったパラサイドールに関するデータカードを達也に渡した。達也と八雲はそのデータを確認し、パラサイドールがパラサイトを利用した兵器であること、そして大亜連合から亡命してきた方術士がその実験に関与している可能性を知った。達也は、兵器を暴走させる意味を見出せず、複雑な謀略の可能性を考える。その後、東京に到着する直前、水波が想子シールドと遮音フィールドを解除し、彼らは東京駅に到着した。

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今年の九校戦は、開会から閉会までのスケジュールが定められ、選手団の移動や宿泊の手配がなされている。選手団の構成員は、競技ルールの変更により前年度より増加しており、技術スタッフや作戦スタッフの配置にも変更がある。香澄は達也に対する不満を口にし、その態度は泉美によって諭されるが、香澄の達也への悪感情は根強い。一方、達也は前夜祭パーティーで他校の生徒や上級生と交流を深め、九校戦に関する様々な意見や情報を交換する。特に、スティープルチェース・クロスカントリー競技の異質さや九校戦の目的について、将輝や吉祥寺からの指摘がある。達也はまた、四高から来た新入生である黒羽文弥と亜夜子に紹介され、彼らと技術について話す機会を持つ。来賓の挨拶では九島烈の欠席が注目され、雫は九島烈の体調不良を理由として挙げる。

一高女子選手団の部屋割りについて、二年生と三年生がペアを組むことになり、深雪は三年生の花音と同室になる。技術スタッフの部屋割りも同様に行われ、達也は五十里と同室になる。前夜祭パーティから戻った達也の前には五十里ではなく深雪がおり、二人は九島烈の欠席について話し合う。達也は、九島烈の欠席の理由が病気ではなく、他にあると推測する。

深雪は達也と一緒に夜を過ごすことになり、達也はそれが妹の評判を損なわないように気を配る。達也はステルススーツがないため、スティープルチェース・クロスカントリーのコース調査には行けなかったが、亜夜子と文弥が試みていたことを知り、共に調査を検討する。しかし、八雲が現れ、今夜は引き揚げるべきだと助言する。八雲によると、コースにはまだ特に何も仕掛けられておらず、パラサイドールの配置についても特定できなかった。

達也たちは夜間にスティープルチェース・クロスカントリーのコース調査を行ったが、特に成果はなかった。その一方で、国防陸軍第一〇一旅団長・佐伯少将は、深夜に四葉の葉山からの映像通話を受け、四葉真夜から国防軍内の陰謀についての情報を得る。真夜は、自作自演のテロがスティープルチェース・クロスカントリーで計画されており、国防軍総司令部の酒井大佐を中心とする対大亜連合強硬派が首謀者であると伝える。さらに、この計画には大黒特尉が巻き込まれる可能性があると指摘し、国防軍に対する十師族の干渉を弱めることを条件に佐伯の協力を求める。

佐伯と真夜は交渉を終え、葉山は真夜に計画の是非を問うが、真夜は計画の正当性を強調する。二人は、この計画が達也や国防軍にとって有利な方向に進むことを期待し、特に達也の行動が今後も影響力を持つことを認識している。

前夜祭パーティの翌日、達也はランチのためにほのか、雫、深雪とホテルに戻る。そこで、彼はエリカ、レオ、美月に声をかけられ、一緒にランチを取ることになる。彼らはホテルのカフェのテラス席でランチを楽しむが、幹比古が美月からのメールの話題でエリカにからかわれる。エリカは美月とのメールアドレスの交換をめぐって幹比古をいじり、幹比古は動揺を隠せない。

この間、エリカとレオは、応援のバスが基地の入り口でデモ隊と鉢合わせしたことを話す。デモは「人間主義」を掲げる者たちによるもので、魔法科高生の軍への進路に対する抗議だった。エリカはこのデモに対して腹を立てており、その非論理性を批判する。達也はデモの効果について冷静に分析し、軍人としての自身の立場を認識している。

6

西暦2096年8月5日に開幕した九校戦では、競技種目の変更と運営要領の変更があった。アイス・ピラーズ・ブレイクやシールド・ダウンなどの競技では予選リーグ戦が導入され、決勝リーグで勝ち進む形式に変更された。また、ミラージ・バットでは飛行魔法の使用が1分に制限された。モノリス・コードは総当たりリーグ戦に変更され、選手には肉体的・精神的な負担が増大した。達也はアイス・ピラーズ・ブレイクとロアー・アンド・ガンナーで技術スタッフを担当し、スケジュールの重複を心配していたが、問題なく対応できることが分かり安堵した。

大会初日は成功裏に進み、達也たちのグループは良い成績を収めるが、七高の強さには驚かされた。特に、ロアー・アンド・ガンナー・ソロに対する自信のなさが話題に上がり、花音は達也による担当変更を提案するが、現実的ではないと結論付けられた。

その後、達也たちは作業車を使って夜間の集まりを開き、選手たちはリラックスした時間を過ごした。ピクシーは達也の指示でパラサイドールの存在を探るが、休眠状態のため感知できなかった。夜が更けてから達也は深雪と水波と共にホテルに戻り、集まりは終了した。

八月六日、大会二日目の未明、深雪は達也の寝顔を見ていた。達也は眠りが深いが、寝起きが良い。深雪は達也がどれほど自分を近づけてくれるのか知りたかった。深夜、彼女は寒さを感じ、達也にも寒さを感じさせてしまうのではないかと心配になり、彼の隣にそっと潜り込んだ。達也はその行動に気づいていたが、深雪を起こさないように静かにベッドを抜け出した。

翌朝、達也と深雪が本部テントに入ると、深雪の様子がおかしく、あずさが何があったのかと尋ねる。しかし、達也は何もないと反問し、あずさはそれ以上追及できなかった。

大会二日目は、深雪がアイス・ピラーズ・ブレイクで予選を圧倒的に突破し、男子も予選を勝ち上がった。しかし、ロアー・アンド・ガンナーのソロでは、男女ともに四位で得点ゼロという結果に終わり、一高は総合成績で三高に抜かれて二位に転落した。七高は引き続きトップを守り、三高は有利な展開を迎えた。

三高では、ロアー・アンド・ガンナー・ソロで二位に終わった吉祥寺が、作戦負けを悔やんでいた。彼の悔しさは、単に負けたからではなく、戦略で負けたことに大きなダメージを受けていた。周囲は彼を慰めようとするが、彼は七高の予想外の戦法に打ちのめされていた。

一方で、将輝は達也に、九校戦の裏で対大亜連合強硬派が暗躍していると伝える。達也はその情報をもとにさらなる対策を考えるが、将輝の話からは、その強硬派が九校戦後に動き出す可能性が示唆されていた。

大会三日目、シールド・ダウン男子ペアの決勝リーグでは一高が優勝。桐原と十三束のペアが見事な連携で勝利を収め、一高にとって良い展開となった。勝利の瞬間、桐原が十三束の手を天に突き上げ、スタッフ席で千秋も喜びを爆発させる一幕があった。

三日目の競技結果では、一高がアイス・ピラーズ・ブレイク男子ペアで三位、女子ペアで一位、シールド・ダウン男子ペアで一位を獲得したが、女子ペアは予選落ちとなった。特にシールド・ダウンの女子ペアの予選落ちは、三高との激戦の結果であった。この日の結果により、三高と一高の点差は一〇〇点に開いた。

夜のお茶会では、雫の優勝を祝う声が飛び交い、次の日に控える深雪へのエールが交わされた。参加者は増え、賑やかな雰囲気の中で、英美の機嫌が直ったことなどが話題に上がった。

達也は、ピクシーからパラサイドールの反応をキャッチしたと連絡を受け、確認に向かうことにした。しかし、深雪は達也が九島家の実験を阻止しようとする動きに強く反対し、達也を止める決意を示した。深雪は、達也が自分だけを守ればよいと訴え、達也が守るべき相手は深雪だけだという結論に至り、達也もその考えを受け入れることにした。

大会四日目の午前に、深雪はアイス・ピラーズ・ブレイク女子ソロで圧勝し、優勝を果たした。午後には達也がシールド・ダウン男子ソロを担当し、彼の調子の良さが周囲にも伝わった。その日、一高の成績はアイス・ピラーズ・ブレイク男子ソロで三位、女子ソロで一位、シールド・ダウン男子ソロで一位を獲得し、三高との点差を縮めた。新人戦では、一高がロアー・アンド・ガンナーとシールド・ダウンで好成績を収め、追い上げを見せた。

新人戦最終日、モノリス・コードでは一高が苦戦しながらも二位を確保し、総合優勝を飾った。結果として、新人戦終了時点で一高が三高との差を五点に縮めた。

九校戦九日目、ミラージ・バット決勝ではほのかが優勝し、スバルが二位に入り、一高が三高を逆転してトップに立った。達也の指導のもと、一高の選手たちは緊張感を持ちながらも自信を持って競技に臨み、優れた成績を収めた。

九校戦十日目、一高はモノリス・コードで優勝し、三高との点差を95点リードに広げた。一時は100点差まで開いていたが、完全に逆転した。達也はエンジニアとして大活躍し、チームの勝利に貢献した。夕食の席では、安堵の雰囲気が漂っていたが、達也は明日のスティープルチェース・クロスカントリーに向け、内心、準備を進めていた。達也はパラサイドールの暴走を阻止するため、藤林から協力を要請され、彼女から提供されたムーバル・スーツで準備を整えた。

藤林は達也にパラサイドールの暴走を止める協力を要請し、達也はその提案を受け入れた。達也はピクシーと共にパラサイドールの位置を特定し、水波に作業車での待機を命じた。達也はムーバル・スーツを着用し、パラサイドールの掃討に向かった。達也の行動は、パラサイドールの暴走を防ぐため、また、パラサイドールの運用者に自分の行動が把握されている可能性を考慮した上でのものだった。達也は作業車を降り、スティープルチェース・クロスカントリーの会場となる演習林に向かった。

午前9時30分、スティープルチェース・クロスカントリーが開始された。八高の生徒が先頭に立ち、三高からも一人が飛び出したが、罠にかかった。達也は識別信号を切り、ステルス機能を最大にして、コース後半に配置されたパラサイドールへ向かった。彼は自分が誰かの意図に沿って動いていると感じつつも、それを利用してパラサイドールを無力化することに決めた。

スティープルチェースのルールは、他の選手を妨害しないこと、コースから逸脱しないこと、木の高さより上に飛び上がらないことの三つがある。三高の選手がネットに引っ掛かる場面が中継され、観客には笑いを提供した。その一方で、軍人たちは未確認の魔法師の侵入に注目しており、その人物が新型のムーバル・スーツを着用していることに気づいた。

国防軍内には、九校戦を利用してパラサイドールのテストを行う非公式の秘密実験が行われていた。この実験に対して、佐伯少将が工作員を投入して邪魔をするという情報が流れていた。軍人たちは、国益を守るためには平和的な手段を取るべきだと考えており、同胞に対する強硬な対応は避けるべきだという信念を持っていた。

九島家当主は、ドールの攻撃目標を侵入者に変更し、捕獲を最終目的とするよう命じた。また、達也が協力者であるピクシーの存在も探知していたため、彼女の確保も命じられた。この指示は、パラサイドールの開発主任から私兵に伝えられ、実行されることとなった。

達也はパラサイドールに攻撃を仕掛けるが、その反応速度に驚かされ、衝撃で吹き飛ばされる。分析の結果、このガイノイドは非常に高速で反応し、加速系統の魔法、すなわち念動力を使っていることが明らかになる。達也はこの情報を基に戦術を変更し、パラサイドールの攻撃を回避しつつ、特化した魔法「術式解散」を用いてパラサイドールの魔法攻撃を無力化する。最終的に、達也はパラサイドールの制御権を奪い、その機能を一時的に停止させることに成功する。

一方、水波とピクシーが乗る作業車に対して九島の私兵が攻撃を仕掛けるが、水波の作った強力な魔法障壁によって全ての攻撃が無効化される。水波の魔法障壁は、彼女が四葉本家で受けた訓練の結果であり、十師族直系に匹敵するほどの高い性能を示す。私兵団は警備兵の到着により撤退を余儀なくされる。この一件は、水波の高度な魔法技術と戦闘訓練の成果を証明する出来事となった。

達也はパラサイドールを完全な休眠状態にした後、その位置と状態を確認する。彼は九島の術式を利用するアイデアを得て、パラサイトとガイノイドをつなぐ術式を複写し、パラサイトを無力化することに成功した。これは彼が盗み聞きした八雲と風間、藤林の会話からヒントを得たものである。達也はその場の情報体認識能力を利用して、言葉を情報体として捉え、必要な情報を得た。このプロセスは推測に基づいたものであり、彼はその推測が正しいことを確認する。

一方、スティープルチェース・クロスカントリーの競技では、選手たちが学校ごとのグループに分かれて進んでおり、コース上で様々な障害に直面している。花音は一高グループをリードしていたが、泥沼にはまり、そこから自力で脱出するために「エクスプロージョン」という加速系魔法を使用する。この魔法により泥を吹き飛ばし、清潔な状態で再びレースに戻る。しかし、彼女はこの状況に対して激しく抗議し、競技の意義を問うている。その後、深雪とスバルはレースを続けることになる。

申し訳ありませんでした。指示に従い、文書を「で・ある調」で要約し直します。

パラサイドール開発主任は、自身の作品が魔法師によって無力化される場面に直面した。このドールは、高速で振動波を放出する能力を有しており、「音」の妖力を利用して敵の平衡感覚を乱したり、聴覚を破壊することが可能である。しかし、魔法師はこの攻撃にも動じず、直接攻撃でドールを行動不能に陥れた。この魔法師は、通常の攻撃ではダメージを受けない特異な身体構造を持っており、不死身を思わせる耐久力を示した。

一方、九校戦と呼ばれる競技会に参加している学生たちは、競技コースを攻略していた。彼らは、障碍物を乗り越えたり、魔法を使用して障害を避けながら進行している。この過程で、機能を停止した戦闘用ガイノイドを発見するが、これには大きな注意を払わず、競技を続行する。

達也はパラサイドールの集団に囲まれ、彼らを機能停止に追い込むことが今回の事件の解決につながると考えていた。彼は超能力の攻撃を受けながらも、重要な部分を守りつつ戦い、パラサイドールを一体ずつ休眠状態にしていった。達也の能力「再成」は、受けた傷を癒すものだが、使用すると痛みが伴い、魔法発動にタイムラグが生じる可能性がある。それにもかかわらず、達也は自身の技術と魔法を駆使してパラサイドールに立ち向かい、残り四体を倒すことを目指す。

パラサイドール試験チームの主任研究員は、達也が十六体全てのパラサイドールを倒すとプロジェクトが失敗すると危惧していた。しかし、達也はパラサイドールとの戦いで、人間の宿主を持つパラサイトとは異なり、パラサイドールの宿主はガイノイドであるため、壊れても死ぬことはなく、達也にとって有利な状況であった。

戦闘は激しさを増し、達也はパラサイドール四体の存在を感知し、彼らの攻撃を巧みに回避しつつ反撃を試みる。四体は連携して攻撃を仕掛け、達也はそれぞれの攻撃に対処しながらも、四体のパラサイドールが協力することで形成される強力な組み合わせに苦戦を強いられる。しかし、達也は彼らの連携を分析し、戦いを有利に進める方法を模索していた。

能動テレパシーを利用してパラサイドールの攻撃を避ける達也は、ピクシーから敵の会話を聞けることを知り、敵の動きを先読みする。パラサイドール、プライム・フォーの連携攻撃が通用しなくなると、研究主任と部下たちは動揺する。達也は敵の攻撃を次々と無効化し、砲撃タイプのパラサイドールを機能停止に追い込む。プライム・フォーの完璧な連携も、一体が機能停止すると残りは脆くなる。達也は残るパラサイドールに対しても優位に立ち、彼らを休眠状態にする。

一方、水波は警備兵に囲まれた車内で魔法障壁を維持している。彼女は文弥から連絡を受け、警備兵を気絶させる計画を知る。文弥はナックルダスター形態のCADを使用して警備兵を気絶させ、達也が戻る際には警備兵はすでに転がっていた。達也はムーバル・スーツを棺に納め、ピクシーと水波と共に現場を去る。怪我人は出なかった。

スティープルチェース・クロスカントリーは、通常の陸上競技やクロスカントリーと異なり、他の選手の位置や状況がほとんど分からない競技である。この競技では、コースが明確ではなく、視界も遮られているため、他のグループの選手の位置を把握することが困難である。しかし、メガネ型ゴーグルの情報端末機能を通じて、ゴールした選手の有無と人数は知ることができる。深雪は自分たちがトップに立っていることを確信し、ゴールラインまでの距離が二百メートルであることを知る。レースの最終段階で、花音とスバルはトラップに引っかかり、深雪は彼らを置いて先に進む決断をする。最終的に、深雪はトップでゴールし、花音が二位、スバルが八位となった。他の一高の選手であるほのかと雫は五位と六位に入った。

8

酒井大佐グループは、パラサイドール実験を支持した立場であるため、飛行戦闘服の魔法師「摩醯首羅」の標的になる可能性を恐れ、司令部・分棟を急いで後にした。彼らは黒い霧の魔法に覆われ、その場で意識を失った。一方、スティープルチェース・クロスカントリーは女子が深雪、男子が将輝の優勝で終わり、総合優勝は一高が飾った。最終的に、九島烈は九鬼家、九頭見家の前当主らと共に、パラサイドール実験について話し合っていた。

その場に風間と佐伯が登場し、酒井大佐が自律魔法兵器の実験を推進したことの告白と懺悔の音声を流す。この音声データは、酒井グループ、対大亜連合強硬派の粛清と、音声データを公開しない条件で四葉家から佐伯に譲渡された。佐伯は九島に対し、魔法師が自分の意志に反して戦場に駆り立てられることがないようにすると約束する。最終的に、烈は佐伯の提案に納得し、魔法師の権利を現役の彼らに任せることに同意した。

西暦2096年8月16日の夜、横浜中華街で、黒羽貢率いる実行部隊は「周公瑾」というターゲットを追跡していた。貢の部隊は、周公瑾が通常の魔法とは異なる方術を使うことを認識しており、その手強さに苦戦していた。貢は、司波達也の到着を待たずに周公瑾を捕らえようと決意するが、周公瑾によって片腕を食い千切られる重傷を負ってしまう。達也が到着し、重傷を負った貢の腕を再成魔法で治療する。貢は周公瑾が使用した「哮天犬」という技について理解できていないことを達也に伝える。達也は、この厄介な相手を突き止める必要があることを認識しながら、

アニメ

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こも

いつクビになるかビクビクと怯えている会社員(営業)。 自身が無能だと自覚しおり、最近の不安定な情勢でウツ状態になりました。

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