簡単な感想
㊗シリーズ累計1800万部突破!!
確かに9巻から読み返したくなった12巻。
西都編終わり!
羅半兄!!!!
何で!?
何でそこまで不遇な扱いなんだよ!!www
飛蝗による災害で混乱する中で起きた玉鶯の死亡。
そして勃発する玉一族の後継者争い。
グレてしまった長男にしっかり者だが頭が硬い次男。
そして何を考えてるのかわからない三男。
そんな彼等を取り巻く騒動に皇帝の弟という鬼札が居るので三男がトチ狂った事を仕出かした。
それに巻き込まれる猫猫と子供達。
それを影から守る雀。
最後の方では雀の過去も明らかになり、なかなかの過酷具合に、、
さらに彼女が猫猫を守るために戦闘をするのだが、、
でも、1番不幸なのは羅半兄だと思う。
羅半兄の本名って羅、、、
何だろう?
どんな本?
『薬屋のひとりごと』は、日向夏 氏による日本のライトノベル作品。
中世の後宮を舞台に、薬学の専門知識で事件の謎を解く少女・猫猫(マオマオ)の物語。
小説家になろうで連載されているほか、ヒーロー文庫からライトノベル版が刊行されている。
また、月刊ビッグガンガンと月刊サンデーGXでコミカライズ版が連載されており、2023年にはテレビアニメ化も決定している。
月刊サンデーGXの方が、中華の雰囲気が強く、文化の小さい部分にも気をつけているように感じている。
読んだ本のタイトル
(英語: The Apothecary Diaries、中国語: 药屋少女的呢喃)
著者: #日向夏 氏
イラスト: #しのとうこ 氏
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あらすじ・内容
玉鶯は、蝗害は異民族のせいで起きたと憤る民を鎮める名目で、
薬屋のひとりごと 11
砂欧に戦争を仕掛けようとしていた。
壬氏は戦を避けようと頭を悩ませていたが、
玉鶯の暗殺という思わぬ形で戦を回避することになる。
しかし、領主代行を失った西都の舵を取る者がいない。
壬氏は、いやいやながら西都の政務を執ることになった。
猫猫は、心身ともに疲弊する壬氏を気遣いながら、
怪我人や病人を診る日々を送っていた。
そんなある日、壬氏は、領主代行だった玉鶯の息子たちを、
西都のために後継者として政治を教え、育成してほしいと頼まれる。
しかし、玉鶯の長男・鴟梟はどうしようもない無頼漢であった。
他の二人も後継者教育を受けたことなどないことがわかり、
猫猫は頭を抱えてしまう。
だが、猫猫たちは否応なしに西都のお家騒動に巻き込まれてしまう。
玉鶯の三人の息子たちを後継者として育成してほしいと頼まれたうえ、
鴟梟の息子・玉隼は中央から来た猫猫たちを目の敵として邪魔をしてくる。
誰が西都を継ぐのか……多くの思いが交錯する中、猫猫の元に事件が舞い込む。
玉鶯の孫たちの不仲。
醸造所で起きた食中毒。
謎の病を訴える異国の娘。
そしていつも以上に不可解な行動をする雀。
彼女の本当の目的とは一体何なのだろうか。
そして、雀の本当の顔も明かされることになるのだが—。
猫猫は無事、中央へと帰ることができるのだろうか。
そして、壬氏との関係をはっきりさせる時が来るのだろうか。
前巻からのあらすじ(11巻)
昔、玉鶯が産まれによるコンプレックスを拗らせて戌の一族を襲い。
戌の一族が保存していた戸籍をたまたま将棋の名手の林大人が借り受けたいた。
それを永年林大人が保管していたが、玉鶯の乳兄弟の兄が林小人となり戸籍を奪取。
その林小人と玉鶯が密会して林小人が戸籍を脅迫に使い、戦争を止めろと言ったら。
玉鶯が林小人を殺す。
その騒動を聞きつけて駆け付けた陸遜だったが、、、
陸遜は玉鶯を殺して、周りには玉鶯は林小人に殺されており陸遜は林小人を斬った事にした。
実は陸遜は戌の一族で、玉鶯が襲撃した時の生き残りで目の前で母と姉を殺されていた。
蝗害の時に猫猫に語った修羅場はその時のシーンだった。
最後は怒涛の展開でついて行くのがやっと。
蝗害によって乱れた治安を戻すために他国侵攻を目論む玉鶯。
何故、犬の一族が粛正されたのか?
その原因がまさか、、
中央に居る玉袁も罪作りだな、、
最後は後味が悪いが最悪ではない展開。
うん、全く予想していなかった展開だった。
12巻感想
異国への私怨で戦争を企ていた玉鶯。
それを猫猫の実父の羅漢の部下で、実は玉鶯に族滅された戌の一族の生き残りの陸遜が一族の仇討ちも兼ねた暗殺で戦争は回避。
だがしかし!!
玉鶯の政務を任氏と陸遜が肩代わりして政務を回すのだが、、
本来、玉鶯の跡を継ぐ長男の鴟梟がグレてしまっており政務に就かないで色々と悪さをしている始末。
そんなグレた親を持つ玉鶯の直系の孫の玉隼が、政務を行っている任氏を家を乗っ取ろうとしている悪人だと思い、その中でも一番弱そうなヤブ医者の足を木刀で打ち付ける。
そのせいでヤブ医者は歩行が困難になり、外に出る診療は猫猫がする事となってしまう。
そして、外国人の娘の治療をする時に何故か雀の旦那、馬良が付いてきた時から徐々に怪しくなる。
そして、猫猫が腸閉塞を治療した小紅が急患がいると猫猫を連れて吹き矢で毒を盛られた鴟梟を治療をしたら雀が介入してきて、何故が猫猫は囚われの身になってしまう。
「前にもこんな事があったな」と何気に暢気な猫猫は鴟梟、小紅、クソガキ(玉隼)と共に幽閉されていたが。
鴟梟の傷が癒えると鴟梟は何処かに行ってしまい、猫猫と小紅、クソガキ(玉隼)で数人の護衛と共に僻地に行ったら、、
盗賊に襲われてしまい、護衛達に見捨てられて猫猫と小紅は盗賊に捕まってしまう。
ちなみにクソガキ(玉隼)は男で地位が高い者の子供なので護衛達が連れて行ってくれた、、
そして盗賊が支配している村で飯炊きをしながら救援が来るのを待っていたら、、
いつも話しかけてくれる女性が、、
ここから先はネタバレになるので本書を読んで欲しい。
最後までお読み頂きありがとうございます。
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考察
玉鶯一家の相関
西都の仮の領主であった玉鶯(ギョクオウ)の直系家族である妻、息子、娘、孫の相関関係と、彼を取り巻く一族内の複雑な状況について解説する。玉鶯の死後、莫大な遺産と西都の後継者問題を巡り、子どもたちの性格の違いや家庭内の軋轢が浮き彫りとなった。
玉鶯の三人の息子たち
玉鶯には四人の子どもがいるが、息子たちは野心家で強引だった父親の玉鶯とは似ていない。
・長男:放蕩ぶりが問題視されており、玉鶯の後継者としては不適切と見なされている。遺産の受け取りを拒否する姿勢を見せており、息子の玉隼が引き起こした問題に対して不器用ながらも謝罪を行うなど、父親としての責任を果たそうとはしているが、その方法は疑問視されている。
・次男(飛龍):父親に似ず、文官のような振る舞いをしており、主に公所に勤めている。遺産問題では三男と意見を異にしている。
・三男(虎狼):非常に謙虚で礼儀正しく、仕事も丁寧な青年である。しかし、悪役向きの名前が示すように裏では後継者争いに深く関与していた。従兄弟である鴟梟を後継者にふさわしくないと考えて暗殺を企てたり、西都の未来のために壬氏に自らの首を差し出して指導を乞うなど、過激で計算高い一面を持っている。
玉鶯の妻と長女
・妻(奥方):かつては商売上手な女性であったが、ある事件をきっかけに異国に滞在し、帰国後は本邸を離れて目立たない存在となっている。孫の玉隼が問題を起こしても軽く叱るにとどめるなど、家庭内の軋轢に介入しきれていない。
・長女(虎姉):現在は母親と共に滞在している。玉鶯の遺産を欲しがっているという一面が語られており、甥である玉隼の悪態に対して母親に抗議するなど、家族内の問題に意見を述べている。
孫世代の軋轢
・孫(玉隼):長男の息子であり、祖父の権威を笠に着た傲慢な性格である。やぶ医者に怪我をさせたり、異国の血を引く親戚の少女をいじめたりと問題行動を繰り返していた。後に事件に巻き込まれ、猫猫(マオマオ)たちと共に過酷な逃避行と盗賊村での生活を強いられることになる。
親族との断絶と対立
玉鶯は自身の一家以外の親族とも深い対立を抱えていた。
・兄弟たちとの対立:玉袁の息子たち(大海など)は、玉鶯が企てた砂欧への戦争計画に強く反対していた。玉鶯は会議の場で壬氏に関する疑惑を持ち出して兄弟たちを試すなど、身内内でも孤立を深めていた。
・異母妹(玉葉后)への偏見:玉鶯は玉葉后を異民族の妾の娘として蔑み、激しく嫌悪していた。しかし彼女が皇后になると、自身の娘を入内させようと身勝手な手紙を送り、玉葉后に明確に拒絶されている。
まとめ
玉鶯一家は強大な権力を持っていたものの、玉鶯自身の野心や独断専行が周囲との軋轢を生んでいた。彼の死後は残された家族たちの間に、遺産や後継者を巡る複雑な問題が残されることになったのである。
雀の過去と正体
雀(チュエ)の過酷な過去、その真の正体、および彼女が担う役割について解説する。雀は物語において飄々とした明るい侍女として振る舞っているが、その裏には深い悲しみと冷徹な実力が隠されている。
雀の真の正体:巳の一族の諜報員
雀は表向き、壬氏(ジンシ)の側近である馬良(バリョウ)の妻として生活している。しかし、その実態は以下の通りである。
・真の正体は、裏から皇族を守る諜報活動を専門とする巳(ミ)の一族の優秀な一員である
・夫の馬良は表の護衛を担う馬の一族であり、二人の結婚は政略的な側面を持っていた
・雀は馬良の好みに合わせた饅頭を作るなど、生活の細部にわたって献身的に尽くしており、二人の間には確かな愛情と深い絆が築かれている
過酷な生い立ちと母親からの拒絶
雀の明るい性格の背景には、凄惨な過去が存在する。
・幼少期に母が失踪し、父も母を探しに行ったまま帰らぬ人となり、財産を奪われ孤児となった
・生き残るために教会へ身を寄せ、異国での過酷な生活を経験した
・12歳の時に実の母親を探し出すが、不要な存在であると非情に突き放された
・その場にいた礼部の次官である魯侍郎に能力を見出され、巳の一族へと引き込まれた経緯を持つ
西都での暗躍と女鏢師としての活躍
二度目の西都遠征において、雀はその卓越した諜報能力と戦闘能力を遺憾なく発揮した。
・西都で複雑な陰謀が渦巻く中、猫猫や子どもたちを安全な場所へ避難させるため、女鏢師(ひょうし・用心棒)に変装して護衛を完遂した
・盗賊に支配された村に潜入した際には、猫猫と協力して毒を用いた巧妙な計画を立案し、盗賊たちを制圧して村を解放した
命懸けの護衛と深い傷
盗賊村からの脱出後、岩砂漠での野営中に猫猫が襲撃される事件が発生した。
・雀は間一髪で猫猫を救い出したが、激しい戦闘の代償として右腕がほとんど機能しなくなるほどの重傷を負った
・右腕の神経や筋肉に深刻な損傷を受けたが、彼女は猫猫を守り抜いたことが正しい選択だったと確信している
・月の君(壬氏)を幸せにすることという自身に課せられた命令を最優先し、後悔の念は見せていない
まとめ
雀が巳の一族として働き続ける動機の一つには、自分を捨てた母親への復讐心が含まれている。自分が母親よりも価値の高い存在であることを証明しようとする彼女の姿勢は、冷徹な実力を支える源泉となっている。
重傷によって右手が不自由になる可能性があっても、彼女の高い通訳能力や諜報スキルは魯侍郎から引き続き高く評価されている。また、夫である馬良は彼女の正体や怪我の事実を知りながらも、その存在を尊重し共に生きていくことを選んでいる。過酷な運命に翻弄されながらも、周囲の人々を守り抜く雀は、物語における極めて重要な存在であるといえる。
盗賊村の蜂起
猫猫(マオマオ)たちが巻き込まれた盗賊村の蜂起、すなわち盗賊に支配された町での反乱と制圧の経緯、およびその結末について解説する。
盗賊村(信仰の町)の悲惨な状況
猫猫と小紅(シャオホン)は移動中、護衛とはぐれて追手から逃れる過程である信仰の町に辿り着いた。しかし、その地は独眼竜と呼ばれる頭領が率いる盗賊たちの根城と化していた。
・町では女や子どもたちが集会所に集められ、人質同然の状態で強制労働に従事させられていた
・独眼竜は異教徒と見なした者を容赦なく処分し、逆らう者には厳しい虐待を加えるなど過酷な支配を強いていた
・猫猫は自身が薬師であることを明かし、集会所での炊事や怪我人の治療を手伝いながら、生き延びる機会を窺うこととなった
隠されたメッセージと反撃の準備
ある時、猫猫は自分たちに返された服の袖に、雀(チュエ)の刺繍と異国語による隠しメッセージを発見した。
・メッセージの内容は、夕食時の酌を利用して独眼竜に行動を起こす機会を窺えという指示であった
・これにより、外部あるいは内部に協力者が存在し、盗賊制圧の計画が進行していることが示唆された
・猫猫は指示を受け、独眼竜への具体的な対抗策を講じるための準備を開始した
夕餉の酌を利用した毒の罠
作戦の決行日、猫猫は盗賊たちの夕餉(夕食)として、馬鈴薯(じゃがいも)を主材料にした料理を提案し調理を行った。
・盗賊たちに悟られないよう、馬鈴薯の皮や芽に加えて特別に用意した食材を用い、微量の毒を混入させた
・夕餉が進む中、料理を食べた盗賊たちは次々と食中毒のような症状を起こして倒れ、会場内は混乱に陥った
・標的である独眼竜には、蛇毒を混入させた馬乳酒を提供した
・独眼竜は口内に傷を負っていたため、そこから直接毒が体内に回り、致命的な重症を負わせることに成功した
外部部隊の突入と村の解放
盗賊たちが毒によって無力化される中、小紅の叔父である鴟梟(シキョウ)が率いる鏢師(用心棒)たちが教会へ突入した。
・外部部隊の攻撃によって残存する盗賊たちは一掃された
・猫猫と小紅は無事に救出され、町は長きにわたる盗賊の支配から解放されることとなった
まとめ
事件後、猫猫はこの制圧劇の真相を知ることとなった。道中を護衛していた女鏢師の正体は、壬氏(ジンシ)の侍女である雀であり、彼女が裏で毒を用いた緻密な制圧計画を立案していたのである。鴟梟と雀の連携、そして猫猫の機転と薬師としての専門知識が組み合わさったことで、凶悪な盗賊集団を壊滅させるに至ったのである。
壬氏と猫猫の絆
猫猫(マオマオ)と壬氏(ジンシ)の出会いから、数々の困難を経て深まっていく二人の絆の軌跡について解説する。
出会いと有能な駒としての始まり
二人の関係は、後宮の下女であった猫猫が、帝の御子の連続死の原因が毒おしろいであることを匿名で警告したことから始まった。その知識と聡明さに気づいた壬氏は、彼女を玉葉妃(ギョクヨウヒ)の侍女および毒見役として引き抜いた。
・当初、猫猫にとって壬氏は美貌を鼻にかける面倒な雇い主であり、壬氏も猫猫を事件調査に便利な有能な駒として扱っていた
・他の女性と違い、壬氏の美貌に全く興味を示さない猫猫に対し、壬氏は次第に強い関心を抱くようになった
命懸けの救出と秘密の共有
数々の事件を解決していく中で、二人の間には強い信頼関係が芽生えていった。
・中祀(祭事)の際、猫猫は祭壇が落下する事故から壬氏を身を挺して守り、足に怪我を負った
・壬氏はこの一件で猫猫を深く心配し、彼女が渇望していた高価な秘薬である牛黄(ごおう)を贈った
・避暑地での狩りの最中、壬氏は猫猫を抱えて滝壺へと飛び込み、洞窟で避難する中で互いに暗黙の秘密を共有する関係となった
・猫猫は壬氏が本物の宦官ではないという重大な事実に気づいたが、あえて核心には触れず、主従を超えた信頼を築いていった
焼き印と猫猫の医療への決意
二人の関係において最大の転機となったのは、壬氏が自らの脇腹に焼き印を押した事件である。これは彼が皇籍を離れ、玉葉后の敵にならないことを証明するための苛烈な決断であった。
・猫猫はこの重度な火傷の治療を任されたが、自身の外科技術の未熟さを痛感することとなった
・この経験が大きな動機となり、彼女は壬氏を救う技術を身につけるため、羅門(ルォメン)に教えを請い、医学書である華佗の書を探し求めるなど、医官として成長する決意を固めた
プロポーズと立場の葛藤
壬氏は猫猫に対し、明確な恋愛感情と執着を抱くようになり、直接の求婚に至った。
・猫猫は壬氏の真の身分である皇弟という立場の重さや、周囲への影響を懸念して提案に激しく戸惑った
・自分の感情と社会的な立場の間で葛藤し、二人の関係は一時的に曖昧なものとなった
西都での過酷な日々がもたらした安らぎ
二度目の西都(戌西州)遠征において、二人の絆は単なる主従や恋愛感情を超えたものへと昇華した。
・長期の船旅や西都での滞在中、猫猫は専属で壬氏の火傷の治療を続け、物理的および精神的な距離を縮めた
・複雑な政治状況に疲弊する壬氏に対し、猫猫は頬を叩いて活を入れるなど、対等に意見をぶつけ合える深い関係を築いた
・過酷な事件が重なり疲労の絶頂に達した猫猫は、無意識のうちに壬氏の執務室へと足を運び、彼の傍らで深い安らぎを得た
・互いが精神的に寄り添い、不可欠な存在となっていることが改めて示された
まとめ
西都から中央へ戻る帰路の船上で、二人は手をつなぎ軽い接吻を交わした。互いの立場や心情を不器用に探り合いながらも、その絆は確実な前進を見せているのである。二人の歩みは、今後も国家の動乱や個人の成長と共に、より強固なものへと変化していくことが期待される。
キャラクター紹介
猫猫
薬草や毒に精通した官女である。鋭い観察眼と知識を用いて病や事件の原因を特定する。周囲の人間を医療技術で支えながら、西都の諸問題に対処する立場にある。
・所属組織、地位や役職
医官付官女。
・物語内での具体的な行動や成果
玉鶯の孫娘に対し、腸閉塞を取り除く手術を行い成功させた。葡萄酒醸造所での不調が特定の茸によるものであると解明した。盗賊に支配された村で馬鈴薯の芽を用いた毒を使い、賊を無力化する。重傷を負った雀の応急処置を行い、彼女の命を救った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
物語の終盤で21歳へと成長する。西都での長期任務を終え、壬氏らと共に中央へと帰還した。
壬氏
皇族の地位にあり、西都の統治や事後処理を担う青年である。過労により衰弱しながらも、領民や国家のために公務をこなす。猫猫に対して深い信頼を寄せ、彼女の安全を常に案じている。
・所属組織、地位や役職
皇弟。
・物語内での具体的な行動や成果
玉鶯の死後、西都の管理や理人国との外交交渉を主導した。行方不明になった猫猫を救出するために羅漢らと協力して行動する。西都の未来を見据え、鴟梟を象徴的な指導者に据える折衷案を検討した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
西都での滞在を終えて中央への帰還を果たす。猫猫との距離が近づき、船上では彼女と静かな時間を過ごした。
雀
壬氏に仕える侍女であり、隠密や諜報を担う「巳の一族」の者である。明るく振る舞う裏で、極めて高い戦闘能力と冷徹な判断力を備えている。猫猫を「ムスメさん」と呼び、護衛や指南役として行動を共にする。
・所属組織、地位や役職
壬氏付の侍女、巳の一族の諜報員。
・物語内での具体的な行動や成果
猫猫を伴い南の宿場町や盗賊の根城へと潜入する。女鏢師に変装して猫猫と子供たちを護衛した。逃亡した熊男との戦いで、自身の右腕を犠牲にしながらも猫猫を守り抜く。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
戦いによる負傷で右腕が機能不全となる。自身の過去を「不要な存在」と自嘲しながらも、夫である馬良との絆を深めた。
虎狼
玉鶯の三男であり、一族の中では謙虚で礼儀正しい態度を示す。西都の発展を第一に考え、自らの命を懸けた政治的な立ち回りを行う。猫猫や医官たちを丁重に扱い、実務面での支援を行う。
・所属組織、地位や役職
玉鶯の三男。
・物語内での具体的な行動や成果
鴟梟が襲撃された際、小紅に命じて猫猫を呼びに行かせた。理人国の使者と壬氏との会談を仲介する。西都に壬氏を留めるため、自らの首を差し出す覚悟で交渉に臨んだ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
後継者争いにおける自身の役割を自覚し、長兄の鴟梟を立てる選択をする。壬氏の中央帰還後は、事務方として船に乗り込んだ。
鴟梟
玉鶯の長男であり、かつては放蕩息子と見なされていた。武術に長け、鏢局を経営して実戦的な能力を発揮する。外見が亡き父の玉鶯に酷似しており、民衆を惹きつける資質を持つ。
・所属組織、地位や役職
玉鶯の長男、鏢局の経営者。
・物語内での具体的な行動や成果
毒矢による重傷を負いながらも、猫猫の治療を受けて回復した。盗賊に支配された村へ駆けつけ、猫猫と小紅を救出した。熊男との戦いでは雀と連携して敵を討ち取る。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
西都を統治するための「象徴」としての役割を受け入れる。身なりを整えたことで、玉鶯の再来として民衆の支持を得ることに成功する。
馬良
雀の夫であり、事務能力に長けた文官である。極度の対人恐怖症だが、妻である雀に対しては深い愛情と理解を示している。
・所属組織、地位や役職
文官。
・物語内での具体的な行動や成果
執務室で壬氏の書類仕事を支え、理人国の情勢を分析した。重傷を負った雀を献身的に看病し、彼女が「巳の一族」であることを受け入れる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
雀の右腕が使えなくなった後も、彼女と共に生きる決意を新たにした。
羅半兄
農業の知識に秀でた青年である。西都の食糧問題を解決するために、各地で畑の指導や作物の研究を行っている。
・所属組織、地位や役職
農業指導員。
・物語内での具体的な行動や成果
収穫量の多い特別な小麦の種を持ち帰った。物置を改造して苜蓿(もやし)を育て、新たな栄養源を確保する。火事の際に虎狼を救出した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
農業面での多大な貢献が認められている。中央への帰還が話題となるが、実際に行動を共にしたかは不明瞭である。
天祐
猫猫と共に働く若き医官である。解剖や手術に異常な興味を示し、高い外科技術を持っている。
・所属組織、地位や役職
医官。
・物語内での具体的な行動や成果
猫猫の助手として玉鶯の孫娘の手術を支えた。勉強のために事故で切断された腕を持ち帰るなどの奇行を見せる。
飛龍
玉鶯の次男であり、文官としての振る舞いを得意とする。公所において実務を担当し、理人国の使者との連絡役を務めた。
・所属組織、地位や役職
玉鶯の次男。
玉隼
玉鶯の長男(鴟梟)の息子である。従妹の小紅に対していじめを行うなどの問題行動が目立つ。
・所属組織、地位や役職
玉鶯の曾孫。
・物語内での具体的な行動や成果
小紅を「取り替え子」と呼び、泥団子を投げつけるなどの嫌がらせを繰り返した。猫猫と共に南の宿場町へ連れ去られるが、最終的に小紅から反撃を受ける。
小紅
玉鶯の孫娘であり、以前猫猫に手術を受けた少女である。周囲からの偏見やいじめに耐えながら、強く成長していく。
・所属組織、地位や役職
玉鶯の孫娘。
・物語内での具体的な行動や成果
危篤となった叔父の鴟梟を助けるため、隠し通路を通って猫猫に助けを求めた。盗賊の村では猫猫の指示に従い、毅然と振る舞う。物語の終盤では、自分をいじめていた玉隼に立ち向かった。
魯侍郎
礼部の次官であり、雀を「巳の一族」へと導いた人物である。
・所属組織、地位や役職
礼部次官。
・物語内での具体的な行動や成果
負傷した雀を見舞い、彼女の今後の役割について話し合った。雀の通訳能力を高く評価し、引き続き任務に就くことを望んでいる。
備忘録
序話
誰かの大切な存在になりたいと願っていた人物がいる。その人物は、父にとっても自分が最高の宝物であったように、特別でかけがえのない存在になりたかったと考えていた。しかし、母が消えたことで、かつての幸せは幻想に過ぎなかったことを悟る。母にとって自分たちはただの道具であり、その母を信じた父もまた失われた。父の消失により、自分には価値がないと感じ、存在意義に悩む。何の役にも立たず、自分の居場所を見失いながら、それでもなお母を求め、価値を証明しようとする姿勢を見せる。自分にはどんな価値があるのか、どのようにして役立つのかを模索しながら、自分の居場所を探し続けている。
一話 本邸の我が儘坊
玉鶯の死後、日常業務に変わりはないが、壬氏は過労で衰弱していた。西都では、玉鶯の後継者を巡り、陸孫や壬氏の名も上がる中、玉鶯の長男には放蕩ぶりが問題視されていた。玉鶯の長男の息子、玉隼がやぶ医者を襲い、謝罪に訪れたが、反省の色は見えなかった。雀によると、玉鶯の長男は後継者として不適切で、玉鶯の兄弟や子どもたちが中心となって治めることが期待されている。玉隼の母親は息子が医官に怪我をさせたことで焦っていたが、長男が廃嫡される可能性があるため、家族は不安定な立場にある。猫猫は、本邸に移動し、玉鶯のどうしようもない長男やその家族と遭遇する可能性があることに警戒している。
二話 温室と礼拝堂
猫猫は本邸に引っ越し、温室に興奮しながら向かった。そこで庭師と胡瓜の取り扱いを巡って意見が衝突するが、最終的には温室の三分の一を使用することで合意した。その後、猫猫は雀と一緒に礼拝堂を訪れ、雀から異教の祈り方を教わるが、その意義を疑問視する。食事の時間になり、やぶ医者の状態を気遣いながら、彼らは戻ることにした。やぶ医者の身の回りの世話は李白がしており、尿瓶の使用についても触れられる。
三話 玉鶯の子どもたち
猫猫たちは医務室に戻り、やぶ医者が若い青年と話しているのを見つける。青年は楊虎狼と名乗り、玉鶯の三男であること、そして月の君の下で働くことになったと説明する。虎狼は謝罪のために訪れており、甥がやぶ医者に怪我をさせたことについて謝罪し、お菓子と葡萄酒を手土産として持参していた。虎狼は父親とは異なり、謙虚で礼儀正しい態度を見せる。やぶ医者からは、玉鶯には四人の子どもがおり、虎狼は末っ子であると説明される。また、玉鶯の奥方についての話も出て、彼女が商売上手であったが、ある事件で異国に滞在することになり、帰国後は目立たない存在になったという。医務室では、手土産の饅頭が点心として食され、玉鶯の孫娘の手術後の経過も話題に上がる。
四話 深窓の奥方
猫猫は玉鶯の孫娘の診察のために訪問し、玉鶯の三男である虎狼とその母親、姉が同行する。虎狼は仕事と母親への相談を兼ねて訪れ、彼らは母親が本邸を離れ、姉の元に滞在していることを明かす。診察中、玉鶯の曾孫である玉隼が小紅の髪を引っ張り、泥団子を髪につける嫌がらせを行う。この行動は、玉隼が小紅を異国人の取り替え子と非難し、彼女をいじめる一因となっている。
虎姉はこの嫌がらせに対して母親である虎に抗議するが、虎は孫の行動を軽く叱るに留め、玉隼の母親が彼を守り切れない状況を理由に挙げる。虎狼はこの家庭内の軋轢に介入せず、母親に従う。小紅は猫猫に、祖父玉鶯の悪口を言わないよう頼み、猫猫はその要求を受け入れて謝罪する。
この出来事は、家族内の複雑な関係性、特に先代の行動が現代の子孫にどのように影響を与えるかを示している。また、権力と血筋に対する若い世代の認識と、それに対する年長者の対応の違いが浮き彫りにされている。
五話 三男次男 長男
虎狼は、猫猫たちの周りで仕事をしており、非常に丁寧な態度で知られている。彼は玉鶯の息子であるが、その態度や行動は玉鶯に似ていない。玉鶯の次男、飛龍もまた、父親に似ていない。彼は文官のような振る舞いをしており、主に公所に勤めている。一方、長男は息子の玉隼と中庭で対面し、父親としての責任を果たそうとするが、その方法は疑問が残るものであった。長男は、李白との間で緊張したやり取りを展開し、息子の非礼を詫びる形で鹿の頭を土産として持参する。この一連の出来事を通じて、玉鶯の三男子それぞれが異なる性格を持ち、玉鶯に似ていないことが明らかになる。虎狼は、兄が引き起こした問題に対して謝罪し、今後の改善を約束する。最終的に、玉隼の行動に対する父親の対応が、彼の今後の行動に影響を与えることが示唆される。
六話 葡萄酒醸造所
本邸に移動してから十日が経過し、猫猫に外出許可が出そうだと雀が報告に来た。理由は壬氏による「久しぶりの事件」とのこと。案内人として現れた虎狼と共に、猫猫と李白は葡萄酒の醸造所に向かった。そこで猫猫は、酒造りの職人たちが悪酔いしている状況を目の当たりにする。症状の原因を探るため、猫猫は職人たちに食事や飲酒の状況を聞き出し、一人の体調不良を隠していた職人から重要な情報を得た。最終的に、猫猫は職人たちの症状が、汁物に含まれていた特定の茸によるものであると結論づける。この茸は人を下戸にする成分を持ち、酒を飲むと悪酔いを引き起こす。猫猫は自ら実験台となり、その効果を実証した。結論として、職人たちの症状は感染症でも毒でもなく、単なる悪酔いであることが明らかにされた。
七話 遺産問題
猫猫は葡萄酒の醸造所で発生した悪酔いの原因調査を終え、体調不良を感じつつもその経験に新鮮さを感じていた。悪酔いの原因は特定の茸であり、猫猫はその効果を自ら体験することで確認した。その後、本邸に戻り、壬氏に報告を行うこととなる。しかし、その前に玉鶯さまの遺産問題の話が持ち上がる。壬氏の執務室で、水蓮から玉鶯さまの遺産問題についての話を聞き、遺産の受け取りを拒否する長男、貰いたがる長女、意見の異なる次男と三男の複雑な家族関係が明らかにされる。遺産相続の話は終わり、猫猫は壬氏と共に夕餉をとることになるが、その過程で猫猫の酒好きが問題視される場面もあった。
八話 俊杰
西都での生活が半年を過ぎたころ、猫猫たちには使用人が固定され、その中にはまだ元服前の俊杰という名の小姓もいた。俊杰は控え目で真面目な性格で、猫猫たちからの信頼も厚い。ある日、羅半兄が畑の収穫物を持って医務室にやってきたが、収穫した芋が小ぶりであることに不満を示す。その芋が緑色をしている部分は毒であるため、注意が必要であるという話が出る。その後、俊杰が自己紹介をして、自分と同じ姓を持つ人がいないか心配する場面がある。羅半兄はその話に動揺するが、結局は自分の名前を「羅半兄」と改めて確認する。このエピソードは、羅半兄の複雑な心境や俊杰の責任感といった人物の性格を浮かび上がらせるものであり、西都での彼らの生活が深く描かれている。
九話 異国娘
玉鶯の遺産問題は解決していない。ある日、猫猫に女性の患者を診てほしいという依頼が虎狼からある。西都では女性の医療従事者が少なく、猫猫が訪ねられる。患者は頭痛が治らない良家の娘で、一般的な治療法では効果がなかったため、猫猫が往診することになる。しかし、患者のお嬢さまは身体を触れさせず、距離を保ちながらの診察を要求する。猫猫はお嬢さまの状態を慎重に聞き取り、むし歯が原因であることを見抜く。患者は治療に抵抗し、周囲ともみ合いになるが、猫猫はうまくむし歯を抜き、治療を完了させる。
その後、猫猫と同行した雀は、患者の身元について馬良(雀の旦那様)と話し合う。患者は白金の髪に青い目を持つ十二、三歳くらいのお嬢さまで、異国の言葉を片言で話す。馬良は、そのお嬢さまが北亜連に属する理人国の王族の四男である可能性を指摘する。理人国の王族がなぜ西都に滞在しているのか、その理由は不明である。
この物語は、異国からの患者との遭遇、医療を通じた文化や言語の違いの橋渡し、そして猫猫の医療技術と洞察力を示すものである。また、西都での異国人の存在とその背景には、より大きな政治的または社会的な物語が隠されていることを暗示している。
十話 急患と緊急事態
秋深く、作物の収穫期には多くの種が残される。ある日、雀は猫猫に収穫量の計算を依頼し、これが猫猫にとっては想定外の仕事だった。忙しい中、小紅という少女が猫猫に助けを求めてきた。彼女の叔父である鴟梟が危篤状態にあるという。猫猫は小紅に案内され、隠し通路を通って鴟梟の元へ向かう。鴟梟は自身で毒矢の傷をえぐり出しており、猫猫はその傷を処置する。鴟梟の傷は毒矢によるもので、猫猫は痛みを感じる前に処置されたことから、毒の種類について推測する。鴟梟がなぜ自分から医者に診てもらわなかったのか、小紅がなぜ猫猫を呼びにきたのか、その理由は不明だが、内輪の争いが疑われる。治療後、猫猫は自分の立場や行動について悩むが、雀が現れて事態は一変する。雀は猫猫に対して、いつも通りの態度を見せつつも、何かを隠しているような様子を見せる。猫猫が鴟梟の行方について問うと、雀の反応は曖昧であり、猫猫の疑念は深まる。
十一話 南の宿場町
猫猫は、雀によって未知の場所に連れてこられ、そこで蝋燭の火を見つめながら過ごしていた。隣の部屋には鴟梟と玉隼がおり、隣の寝台には小紅が眠っている。外には見張りがおり、猫猫には食事や着替えが提供されていた。猫猫はこの状況に困惑しつつも、逃げる気は失せており、鴟梟の治療を促されていることを感じていた。
猫猫は、隣の部屋で熱を持ってうなされる鴟梟の治療を考えつつ、自分がここに連れてこられた理由を推理する。窓のない部屋から外の雑踏と話し声が聞こえ、異国の言葉と潮の香りから、自分たちが南の宿場町にいることを推測する。この町は異国人が多く残っている場所であり、以前猫猫が異国のお嬢様の治療を行ったことがある。
鴟梟が目を覚ますと、猫猫に自分たちが南の宿場町にいることを確認する。鴟梟と雀が何らかの利害関係で結ばれており、その目的は戌西州の平和に関連していると話す。猫猫は自分がなぜ連れてこられたのか、そして雀と鴟梟がどのような関係にあるのかについて疑問を持つ。鴟梟は雀から直接聞くようにと言い、猫猫にはまだ雀の帰りを待つよう促す。
猫猫は、自分の立場や今後の行動について深く考え込むが、鴟梟と雀が共犯であること、そして自分がこの町に連れてこられた理由についての真相はまだ掴めていない。雀の動きや意図、そしてこの状況が戌西州の利益とどのように関連しているのかが、猫猫の中で大きな謎となっている。
十二話 理人国
時間を遡り、壬氏の執務室に陸孫と飛龍が訪れ、異国の使者が月の君に面会を求めていることを伝える。その使者は理人国から来た者で、北亜連に属する理人国は戌西州の北側に位置し、茘にとって友好国とは言い難いが、完全に国交がないわけではない。使者が壬氏に会いたがっている理由は直接話したいことがあるためで、その話は飛龍を介して伝えられることになった。飛龍によると、理人国の使者は玉袁の次男を介して連絡が来たとのこと。壬氏は理人国の現状と使者の目的について馬良に尋ねる。馬良は理人国が食糧危機に直面している可能性と、後継者争いがあることを指摘する。さらに、理人国の第四王子が茘にいることと関連づけ、猫猫がその第四王子らしき者の診察に行ったことが関係していると推測される。会談の場所は西都の高級飯店で、理人国の特使たちと壬氏が対面する。特使たちは壬氏を値踏みするが、壬氏の容姿が外交に役立つことも示唆される。特使たちは茘に行方不明になっている自国の貴族(第四王子)について尋ね、その捜索協力を求める。しかし、その後、鴟梟が本邸に無理やり入ろうとして争いになり、逃げた後に猫猫が治療したとの報告が壬氏に届く。壬氏は鴟梟の行動に困惑し、面倒事が起こるタイミングの悪さに呆れると共に、これからの対応を悩むことになる。
十三話 鏢師
猫猫は鴟梟の看病、小紅の世話、玉隼の躾けに追われる日々を送っていた。玉隼は食事に文句をつけ、猫猫に反抗的な態度を取るが、鴟梟は彼に対しても小紅に対しても、優しく接していた。特に小紅は鴟梟に懐いており、二人の関係は良好だった。一方で、猫猫は鴟梟から何かを隠している様子を感じ取りつつも、具体的な質問をすることは避けていた。
翌日、鴟梟は早朝に出発する予定であり、猫猫は夕方に解放されることになっていた。しかし、実際には猫猫と子どもたちは、女鏢師によって別の場所へ移動させられることになる。この女鏢師は彼らを守ると約束し、西都への帰路につく予定だったが、途中で計画が変更され、鴟梟とは別行動を取ることになる。
移動の際には、猫猫と子どもたちは上質な服に着替えさせられ、幌馬車に乗せられる。女鏢師は自身の役割を果たすため、曲刀を手放さず、猫猫たちの安全を守る姿勢を見せる。猫猫は、この女鏢師に命を預けざるを得ない状況にあり、未知の道へと進んでいく。
十四話 変装
馬車は約二時間走行し続けた後、一度馬を休ませるために停止する。女鏢師は猫猫と子どもたちに、次の村で母子として変装し、村に入るよう指示する。玉隼は反発するが、女鏢師の厳しい態度に従うしかなかった。猫猫は子どもたちと自分が母子に見えるか疑問に思うが、女鏢師は化粧で年齢を誤魔化し、子どもたちと似せる技術を駆使する。
猫猫が西都へ戻ることの影響を心配するが、女鏢師はその理由が壬氏のためであることをほのめかす。その後、馬車は村で馬を交換し、新しい御者が加わる。村での買い物には玉隼も同行することになる。
小紅は猫猫に、隠し通路の存在を教えたのは「ふーらんおじさん」、つまり虎狼だと明かす。虎狼は鴟梟が危険にさらされていると知り、小紅に猫猫を呼びに行かせたのだった。これにより、虎狼が鴟梟襲撃の事件に深く関わっていることが暗示される。
十五話 優先順位
猫猫は、西都に戻った際に虎狼を殴ることを心に決める。彼らは女鏢師と共に幌馬車で移動を続け、途中で寺院参りをしたり、服を購入するなどしていた。移動は西を目指しており、草原が多く、中央とは異なる風景に猫猫は新鮮さを感じていた。しかし、蝗害の影響で店が少ないことには残念に思う。玉隼の扱いに苦労しながらも、猫猫は小紅とは比較的平和に過ごす。
女鏢師は彼らに母子として変装させ、戌西州第二の都市に向かうことを目的とする設定を説明する。途中で食料や防寒具、生薬を買い込みながら、盗賊が多い交易路を避けて進む。女鏢師は猫猫たちを西都に戻すタイミングがまだ来ていないと判断し、危険性がなくなるまで彼らを守ると誓う。また、神経毒や針を渡し、自身の命を最優先にするよう猫猫に告げる。
この旅は、猫猫と子どもたちが未知の環境に適応しながら、さまざまな経験を積む過程を描いている。女鏢師の指示に従いつつ、猫猫は自らの安全と子どもたちの保護を最優先に考えることを強いられている。
十六話 嘘つき
壬氏は、猫猫が鴟梟に接触したことを知って以来、気が気でなくなる。十日が経過し、壬氏は鴟梟と理人国の第四王子の関わりについて思案する。第四王子の存在は、理人国と茘双方にとって大きな問題である。鴟梟が理人国の特使との食事会の日に本邸に現れ、猫猫が彼の治療をしたことで、共犯と見られる可能性が高まる。壬氏は、鴟梟を尻尾切りする場合、猫猫をどう守るか悩む。
一方、内部の裏切り者を探す壬氏は、虎狼が鴟梟に対して持っていた敵意を知る。虎狼は、鴟梟が後継者にふさわしくないと考え、彼を排除しようとしていた。羅漢は、虎狼が猫猫について知っていることを疑い、直接問い詰める。虎狼は、鴟梟を陥れようとしたことを認め、自ら火に飛び込む。羅半兄が虎狼を救出するが、壬氏は鴟梟と協力して第四王子を探す方が得策であると判断する。
壬氏は即座に行動を起こし、羅漢に同行を依頼する。羅漢は、鴟梟の意図を疑うが、壬氏は娘を救出するためには彼の協力が必要であると説得する。裏切り者の存在が明らかになり、壬氏は猫猫を取り戻すための策を講じる。
十七話 信仰の町
猫猫たちは、女鏢師の案内で次の町へ向かう途中、森林地帯を通る。この地域は盗賊が多く、緑豊かで森が生い茂っており、水源に恵まれているため人々が定住しているが、建築に適した木材は少ない。次の町には教会があり、宗教的な場所であることが示される。猫猫は宗教に対して懐疑的であるが、他人が信仰を持つことを否定はしない。町に近づくと、女鏢師は先に町の様子を見に行くと言い残し、猫猫たちは馬車で待機する。しかし、女鏢師の代わりに別の使いが来たことから、何か問題が起きていることを察知する。護衛はその使いを斬り、猫猫たちは森の中へ逃走する。護衛は追手の数が多く、猫猫たちを守り切れないと判断し、猫猫たちを置いていくことを決意する。猫猫は玉隼を護衛に託し、自分と小紅は森に残ることになる。猫猫と小紅は、追手から隠れながら逃げるが、絶望的な状況に陥る。しかし、ある男が近づいてきて、猫猫は異国の教典の一節を引用し、その男を説得する。男は猫猫たちを異教徒とみなして殺さずに済むことを示唆し、猫猫たちは一命を取り留める。男は宗教的な首飾りを持っており、猫猫が以前に目を通した教典の紋様があったことから、この町が教典に基づく信仰を持つ場所であることが示される。
十八話 盗賊の根城
信仰の町は盗賊たちに支配され、その中で猫猫と小紅は一人の中年男に連れられていた。この町は盗賊たちの根城と化しており、生産性はなく、盗賊たちは町を食い潰していく運命にある。猫猫はこの状況を冷静に観察し、自分たちを連れて行った中年の男が交渉相手として悪くないと判断する。男は信者であることが首飾りの紋様からわかり、またある程度の地位があることも装備から読み取れた。猫猫たちは町の中心にある教会へと案内され、そこで教会を占拠している盗賊の頭領、独眼竜に会う。独眼竜は、小紅が手配書に載っている異国のお嬢さまに似ていると疑うが、小紅が女の子であることが確認されると興味を失う。独眼竜は鴟梟に一泡吹かせたいと考えていたが、猫猫たちがその目的ではないとわかると、彼らの処遇を中年の男に任せる。中年の男は猫猫たちを、同教の信者であることを理由に見逃すと決め、一人の女性に猫猫たちを案内させる。この女性は中年男に対して敬意を持っている様子で、猫猫たちは彼女について行くことになる。この一連の出来事を通じて、猫猫は自分たちを盗賊の頭領の前に連れて行った中年の男が実際には盗賊たちの中である程度の地位を持っていること、そして独眼竜が鴟梟に対して何かしらの恨みを持っていることを理解する。
十九話 盜賊村前編
猫猫と小紅は盗賊に支配された町で、女や子どもが集まる集会所へ案内された。この場所では、女性と子どもたちが集団で生活しており、人質のような状態にあることが推測される。彼らは盗賊たちに協力するか、強制される形で日々を過ごしている。猫猫はそこで、自身が薬師であることを明かし、持参していた薬草類を保持する許可を得る。彼女たちは、粗末ながらも丈夫な衣類に着替え、炊事の手伝いをすることになった。
町の住民は、盗賊たちによる支配下にありながらも、日々の生活をなんとか維持している。盗賊の頭領「独眼竜」は、過去に鴟梟とのいざこざがあった人物で、その恨みから町を制圧している。独眼竜は、異教徒と見なされた者たちを処分する方針を持ち、その選別を町の住人に任せている。この処置により、住民の中には異教徒であるかどうかにかかわらず、多くの犠牲者が出ている。
猫猫は、集会所で他の女性や子どもたちと共に働きながら、町の厳しい現実を目の当たりにする。彼女は、異教徒と誤認された場合の危険性を理解し、生き残るために必死になる。また、猫猫は、以前自分たちを護衛していた女鏢師の行方や、町に来る前に彼女たちを助けた羅半兄の存在についても気にかけている。
二十話 盜賊村後編
猫猫は、炊事場を取り仕切る中年女から薬師としての手腕を求められ、重傷を負った少年の治療に当たることになった。少年は盗賊の頭領「独眼竜」の手によって、厳しい「指導」の名の下に虐待された結果だった。猫猫は、彼女の薬草知識と応急処置で少年の状態を安定させるが、栄養状態の悪さと安静の必要性に直面し、限界を感じる。独眼竜による残虐な行為と、彼に抵抗した者が厳しい報復に遭う現実が浮き彫りになる。
一方、猫猫と小紅は、彼女たちの身元を隠しながら盗賊に支配された村での生活を続ける。彼女たちが着ていた服が返された際、猫猫は袖に隠された雀の刺繍と異国語でのメッセージを発見し、夕食時の酌を利用して独眼竜に何らかの行動を起こす機会を窺う指示を受けることとなる。このメッセージは、村内のある人物が猫猫たちの状況を理解し、何らかの形で支援を試みていることを示唆していた。
猫猫は、少年の治療を通じて村の厳しい現実と住民たちの苦悩をより深く理解し、彼女たちが置かれている状況に対処するための具体的な行動を模索する。そして、中年女からの隠されたメッセージを受け取り、独眼竜への対抗策を講じるべく準備を始める。この物語は、猫猫が盗賊に支配された村の住人たちと協力し、彼らの抑圧された状況に立ち向かおうとする決意を描いている。
二十一話 酌
猫猫は、盗賊たちの夕餉の献立として、馬鈴薯を主材料にした料理を提案し、調理する。この料理は盗賊たちに好評で、夕餉が進む中で、猫猫と小紅は独眼竜の隣で酌を務めることになる。しかし、この夕餉は単なる食事ではなく、猫猫が盗賊たちを制するための罠だった。猫猫は馬鈴薯の皮と芽、そして特別に調理した食材に、微量の毒を混入させていた。この計画は盗賊たちが食中毒のような症状を示し、混乱に陥ることを目的としていた。
猫猫と小紅は、毒見をするふりをしながら、実際には毒の影響を受けないよう計算された行動をとっていた。計画通り、盗賊たちは次々と体調を崩し始め、教会の中は混乱に包まれる。この隙をついて、猫猫は独眼竜とその部下たちを一掃するために動き出す。その最中、独眼竜は蛇毒が混入された馬乳酒によって、さらに重い症状を示す。彼の体調不良は、以前口内を噛んだことによる傷口から毒が体内に回ったためである。
最終的に、猫猫が教会の扉を大きく蹴破って現れるのは、鴟梟とその鏢師たちであった。彼らの到着によって、猫猫と小紅は救出されることになる。この一連の出来事は、猫猫が独眼竜とその盗賊たちを倒し、村を解放するために仕組んだ巧妙な計画の結末であった。
二十二話 事の顛末
盗賊たちは一掃され、盗賊たちによる阿鼻叫喚の状況が発生するも、詳細は割愛される。猫猫は鴟梟と対面し、互いの素性について率直に話し合う。鴟梟は猫猫に対して、自身が鏢局を継いだこと、盗賊との関わりが誤解であることを説明する。猫猫は、鴟梟との会話を通じて、自分と小紅がなぜ西都を離れなければならなかったのかの真相を探る。
鴟梟は異国の要人の護送任務に関わっており、その要人が理人国の者であったことを明かす。この任務がきっかけで、猫猫と小紅が巻き込まれることとなった。また、猫猫と小紅を助けた女鏢師が実は雀であったことが判明する。雀は、猫猫と小紅を安全な場所へ避難させるために、盗賊たちを毒で制圧する計画を立てた。この計画は成功し、盗賊たちは無力化される。
事態の顛末として、猫猫と小紅は無事であり、要人も安全に理人国へ引き渡された。雀(女鏢師)は、この一連の出来事を通じて、猫猫たちの身の安全を確保し、さらには盗賊たちに対する処置も適切に行った。鴟梟と雀の間には、互いに尊敬と信頼の念があり、彼らの努力によって多くの問題が解決された。最終的に、猫猫は雀と鴟梟の真意を理解し、互いに新たな理解を深めることとなる。
二十三話 帰路
虎狼の後継者争いが表面的な理由であることに猫猫は引っ掛かりを感じつつ、西都への帰路につく。馬車の中で猫猫は、西都の四兄弟について考えを巡らせる。鴟梟は鏢局を経営し、やる気さえあれば後継者争いは起きなかったと思われるが、同時にどこか抜けている。銀星、飛龍、そして虎狼についても考察を深める。特に虎狼に関しては、彼の行動が今回の厄介ごとの原因であることが浮き彫りになり、彼の名前が悪役向きであることや、奥方が付けたという事実について猫猫は疑問を抱く。
雀は猫猫の質問に答えつつ、途中で道を変えた理由を説明する。これは、鴟梟と同年代の叔父に出くわすのを避けるためである。また、雀は猫猫の護衛を自称し、不安要素についても言及するが、その具体的な内容には踏み込まない。馬車は草原ではなく山脈沿いを進み、野営をすることになる。野営中に猫猫と小紅は食事を楽しむが、雀は不安要素があることを示唆する。
雀の直感は的中し、虎狼が後継者争いに関わっていることや、熊男が猫猫に恨みを持っている可能性が示唆されるが、具体的な展開は描かれない。猫猫と小紅は西都に戻る道中で、家族や後継者争いについて深く考えることになる。
二十四話 手負いの獣
その夜、岩砂漠での野営中に、火事が発生し、猫猫は寒さに震えながら眠れずにいた。火事の混乱を利用して、熊男が逃げ出し、猫猫を襲撃する。熊男は自身の手足についた縄を歯で切り、折られた腕には武器としての金属棒を装着していた。猫猫は熊男に殺されかけるが、雀が間一髪で熊男を倒す。しかし、雀はその戦いで重傷を負ってしまう。熊男は雀と鴟梟の連携によって最終的に討ち取られるが、雀の右腕はほとんど機能しなくなり、腹部にも深刻な傷を負っていた。猫猫は雀の治療を優先するが、雀は自身の右腕が使えなくなることを悟りながらも、猫猫への感謝と好意を伝える。猫猫は雀の治療に専念し、彼女が生き延びることを願う。雀の体には過去の戦いの傷跡が無数にあり、彼女の過去の苦難が窺える。猫猫は雀の治療を始め、彼女の命を救うために全力を尽くす。
二十五話 醜い雀の子
雀は幸せな家庭で生まれ育ちましたが、幼い頃に母が突然いなくなり、その後父も母を探しに行って帰らず、父の死後、財産を奪われてしまいます。雀は生き残るために教会へ行き、異国での厳しい生活を経験します。十二歳の時、茘を経て西都へと向かい、母と似た人物を探し出しますが、母は雀を必要としていませんでした。
雀は屋敷に忍び込み、自分が母にとって「不要な存在」であることを知らされます。しかし、その場にいた男に自分の能力を見せ、彼から評価されます。雀はその男の後継者としてのチャンスを得ることになります。
二十六話 夫婦
馬良は十六歳のとき、母・桃美から『馬の一族』と『巳の一族』について教えられました。馬の一族は皇族の護衛を担い、巳の一族は裏で皇族を守る諜報活動を得意とします。数日後、馬良は雀と名乗る女性と見合いし、彼女は馬良とは正反対の明るい性格でした。結婚後、雀は馬良の勉強を手伝ったり、彼の好みに合わせた饅頭を作るなど、彼の生活に溶け込みました。
しかし、雀は巳の一族の一員であり、ある時任務中に重傷を負いました。馬良は雀が巳の一族であることを知りつつも、彼女に対する愛情を再確認します。雀が右手を使えなくなる可能性があると知りながらも、馬良は彼女の器用さや彼らの関係性を信じて、一緒にいることを選びます。雀は馬良のもとで回復し、彼らの絆はさらに深まりました。
二十七話 師弟
馬良は雀が食事を終えるのを見届けてから部屋を出ていきました。訪問者として現れたのは魯侍郎で、彼は礼部の次官であり、雀を『巳の一族』に引き込んだ人物です。雀と魯侍郎は、雀の今後の役割について話し合いました。雀は重傷を負っており、右手がもう使えない可能性があるにも関わらず、彼女の通訳能力は依然として高く評価されています。魯侍郎は、雀の後継者を探すよりも彼女の能力を引き続き利用することを望んでいます。
雀は自分が巳の一族としてどの程度の序列に位置するか、そしてその価値が母親よりも高いことを望んでいます。彼女は自分の存在が母親にとってどの程度の価値があるのかを証明しようとしており、これは雀にとって父親を忘れないための一種の復讐でもあります。また、雀は「月の君を幸せにすること」という不明瞭な命令を受けており、その意味を完全には理解していませんが、猫猫を守ることが正しい選択だったと感じています。
二十八話 安眠
猫猫は疲れ果てて雀の寝室から医務室に戻ろうとしていましたが、疲労の絶頂に達していたため、なぜか壬氏の執務室へ向かってしまいます。壬氏との間で猫猫の疲労と心配事について話があり、二人は結局執務室の床に横たわります。猫猫は壬氏の体温と安心感に包まれ、何日ぶりかの安眠を得ます。この間、猫猫は壬氏の顔を触り、互いの息が重なる中で眠りにつきます。壬氏の寝息と猫猫の息が混じり合い、猫猫は壬氏に何も返せるものがないと感じながらも、ぬるま湯のような温度で彼の頬を撫でます。最終的に、二人は安心して眠りに落ちます。
二十九話 折衷案
数日ぶりに深い睡眠を取った壬氏は、気力が回復しました。猫猫は壬氏に抱き上げられて寝台に運ばれ、深く眠っています。壬氏は、猫猫をもっと早く柔らかい布団に包んでやればよかったと反省します。執務室での議論では、玉鶯の三男である虎狼が、西都の発展のために壬氏に自分の首を差し出すことすら厭わないほどの提案をします。虎狼は、鴟梟が西都を治めるのに最適な人物だと認めつつも、自分の考える西都の未来のためには、壬氏が西都に残り指導することが最良だと考えています。
鴟梟と虎狼は壬氏に対して深い敬意を示し、虎狼は西都のために自らの命も惜しまない姿勢を見せます。一方で、雀は虎狼の提案に対して、もし壬氏が指令として受け入れられなければ、自分が何としても阻止すると宣言し、折衷案を提示します。その提案には、鴟梟が西都を象徴する「あやつり人形」として機能することが含まれていました。この会話を通じて、巳の一族の複雑な内部関係や、各登場人物の西都に対する想いが浮かび上がります。壬氏は、猫猫の傍らでのさらなる補充を後悔しつつ、提案された折衷案について考えを巡らせます。
三十話 成長
西都に戻ってからの日常は、特に何もなかったかのように過ぎ去り、猫猫は21歳になった。日常は変わらず、医務室での仕事や温室での生薬の育成、時折壬氏の診察を行う程度だ。しかし、鴟梟が西都の本邸におり、ちゃんとした服装をしていると、玉鶯に非常に似ていることから民衆の支持を得られるかもしれないという変化があった。猫猫はこの心変わりがどうして起こったのか詳細はわからないが、壬氏たちの間で何らかの話し合いがあったと推測する。
雀の怪我はひどかったが、徐々に回復し、医務室に住みつくようになった。やぶ医者と雀の間では、料理技術が向上していることが話題になる。西都では食糧問題など不安要素があるものの、多少の目途が立った様子だ。そして、壬氏が中央に帰ることができるようになり、猫猫は安堵の息を吐く。鴟梟は西都を治める上での武生としての役割を果たすことになり、その周りは固められる計画があるようだ。羅半兄は畑で作業をしており、猫猫は中央に帰れることを彼に伝える予定だったが、玉隼と小紅のやり取りに気を取られてしまう。小紅は玉隼に立ち向かい、自分の強さを見せつける。この様子を羅半兄に見られ、猫猫は小紅に何を教えたのかと問われるが、猫猫は何も教えていないと弁明する。
終話
猫猫は戌西州を後にし、中央へと戻る船旅の途中にあった。航海はのんびりとしており、船は大型で交易船が同行している。西都では鴟梟が政治に加わり、一時の陰謀論が払拭され、彼の人気も上昇していた。皇弟である壬氏は中央へ戻ることとなり、支援の出し渋りをする者たちに対する対応も考えられていた。船上では、猫猫を含めた様々な人物が乗り合わせていた。変人軍師は船酔いで苦しんでおり、虎狼は荷物整理などの雑務をこなしていた。虎狼は猫猫に対して異様な忠誠心を見せていたが、猫猫はその姿勢に困惑していた。一方、壬氏は見張り台におり、猫猫もそこへ上がってきた。二人は手をつなぎながら、中央へ戻る船旅の静かな時を過ごしていた。壬氏は猫猫に対して軽い接吻を交わし、その間のやり取りではお互いの心情が微妙に探られていた。また、羅半兄が中央へ帰ることになっていたが、彼が実際に船に乗っているかどうかについて疑問が持ち上がる。船旅はさまざまな感情や人間関係が交錯する中で進んでいき、猫猫と壬氏はそれぞれの立場や感情について考えを巡らせていた。最終的には、二人が中央へ戻ることへの期待と不安が描かれている。
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