どんな本?
『薬屋のひとりごと』は、日向夏 氏による日本のライトノベル作品。
中世の後宮を舞台に、薬学の専門知識で事件の謎を解く少女・猫猫(マオマオ)の物語。
小説家になろうで連載されているほか、ヒーロー文庫からライトノベル版が刊行されている。
また、月刊ビッグガンガンと月刊サンデーGXでコミカライズ版が連載されており、2023年にはテレビアニメ化も決定している。
月刊サンデーGXの方が、中華の雰囲気が強く、文化の小さい部分にも気をつけているように感じている。
概要
西都の別邸から本邸へと拠点を移した猫猫は、玉鶯の急死によって混迷を極めるお家騒動に否応なく巻き込まれていった。後継者の地位や莫大な遺産を巡り、玉鶯の三人の息子たちの間で激しい対立が勃発した。
猫猫は何者かに毒矢で襲撃された長男・鴟梟の命を救う処置を施した。その後、裏切り者の脅威から逃れるため、雀の手によって本邸から連れ出された。小紅とともに独眼竜の率いる凶悪な盗賊が支配する村へと囚われたが、雀の指示を受け、馬鈴薯の皮や芽に宿る毒を用いた罠で盗賊たちを制圧した。
救出の際には瀕死の重傷を負った雀を自らの外科技術で見事に救い出した。最終的に鴟梟を傀儡の長に据える折衷案がまとまり、西都の動乱は無事に終息を迎えた。21歳へと成長した彼女は、壬氏とともに中央への帰航船に乗って西都を旅立った。
主要登場人物
猫猫
- 立場・所属:茘の宮廷に所属する、医局付の官女。
- 主人公との関係:本人。
- この巻での主な役割:怪我人や病人を治療し、数々の難事件を薬学知識で解決する役割を担う。
- この巻で起きた重要な変化や行動:
- 茘の宮廷に所属する、医局付の官女。
- 玉鶯の孫娘の抜糸や、理人国の王族のむし歯治療を手際よく行った。
- さらに、盗賊村において馬鈴薯の芽を用いた毒を調合し、賊を無力化する。
- 重傷を負った雀の外科手術を行い、彼女の命を救った。
- 西都での長期任務を終え、帰路の船上で21歳へと成長する。
- 壬氏との間を不器用に探り合いながら、静かに接吻を交わした。
壬氏
- 立場・所属:茘の宮廷に所属する、若き皇弟。
- 主人公との関係:猫猫を深く信頼し、彼女の身の安全を常に心配する立場。
- この巻での主な役割:玉鶯の死後、西都の管理や理人国との交渉を主導する。
- この巻で起きた重要な変化や行動:
- 茘の宮廷に所属する、若き皇弟。
- 理人国との困難な交渉を解決に導き、他国への軍事侵攻の危機を未然に防いだ。
- 猫猫を救出するため、羅漢たちと協力して迅速に行動する。
- 西都の未来を見据え、鴟梟を名目上の長に据える折衷案を承認した。
- 西都の混乱の収拾後、猫猫たちを伴って中央への帰還を果たす。
- 船上の見張り台において、猫猫と手をつなぎ、静かな夜を過ごした。
雀
- 立場・所属:皇弟に仕える侍女。同時に、巳の一族の諜報員。
- 主人公との関係:猫猫の護衛であり、彼女を深く案じる友人。
- この巻での主な役割:明るく振る舞いながら、陰で猫猫の安全を守るために極めて迅速行動する。
- この巻で起きた重要な変化や行動:
- 皇弟に仕える侍女。同時に、巳の一族の諜報員。
- 鴟梟の毒殺未遂事件の際、猫猫を連れて隠密に本邸から脱出した。
- 女鏢師に変装し、敵の熊男から自らの身を犠牲にして猫猫を守り抜く。
- その激しい戦闘により、右腕の機能不全を伴う深刻な重傷を負った。
- 自身の過酷な生い立ちを、不遇な「不要の子」として静かに語る。
- 夫である馬良との強い絆を再確認し、彼と共に生きる決意を新たにした。
鴟梟
- 立場・所属:玉鶯の長男。同時に、鏢局の経営者。
- 主人公との関係:猫猫の治療により命を救われた、かつての放蕩者。
- この巻での主な役割:武術に長け、実戦的な能力を発揮して盗賊村からの救出を主導する。
- この巻で起きた重要な変化や行動:
- 玉鶯の長男。同時に、鏢局の経営者。
- 何者かによる毒矢で深手を負ったが、猫猫の手当てにより一命を取り留めた。
- 盗賊の支配する村に突入し、猫猫や小紅を無事に救出する。
- 熊男との緊迫した戦闘において、雀と見事な連携を見せて敵を退治した。
- 西都を統治するための、新たなあやつり人形としての役割を受け入れる。
- 身なりを綺麗に整え、玉鶯の再来として民衆から大きな支持を得た。
虎狼
- 立場・所属:玉鶯の三男。同時に、実務の補佐官。
- 主人公との関係:猫猫を丁重に扱いながら、事件に彼女を巻き込んだ不穏な青年。
- この巻での主な役割:西都の発展を願いつつ、裏で長兄の排除を企てる。
- この巻で起きた重要な変化や行動:
- 玉鶯 of 三男。同時に、実務の補佐官。
- 長兄の鴟梟を後継者から除外するため、裏で毒矢での襲撃を企てた。
- 壬氏に西都の指導を懇願し、自らの首を差し出す政治的な交渉に臨む。
- 自身の企てた陰謀が羅漢に暴かれ、身を焼く覚悟で火に飛び込んだ。
- 救出された後は、罪を認めて長兄を支える道を選択する。
- 中央への帰航船に乗り込み、壬氏の忠実な部下として雑務に励んだ。
馬良
- 立場・所属:宮廷の文書管理。進士。
- 主人公との関係:雀の夫であり、猫猫とも事件の解決を通じて協力する。
- この巻での主な役割:事務能力に秀で、理人国の情勢を冷静に分析する。
- この巻で起きた重要な変化や行動:
- 宮廷の文書管理。進士。
- 雀が負った傷の看病を献身的に行い、彼女を温かく包み込んだ。
- 彼女が巳の一族である真実を受け入れ、今後も寄り添う決意をする。
- 雀が右手を失った後も、共に支え合って生きる未来を選択した。
- 西都の実務を裏から完璧にこなし、壬氏の多忙を大いに救っている。
- 妻の本当の顔を知り、夫婦の絆をさらに強固なものとした。
小紅
- 立場・所属:玉鶯の孫娘。
- 主人公との関係:かつて猫猫の手術を受けた少女。
- この巻での主な役割:鴟梟の危機を猫猫に知らせ、逃亡の旅路を共にする。
- この巻で起きた重要な変化や行動:
- 玉鶯の孫娘。
- 鴟梟が毒矢で瀕死となった際、隠し通路を通って猫猫に助けを求めた。
- 連れ去られた南の宿場町や、盗賊の支配する村でも猫猫に従って行動する。
- 盗賊村では、猫猫の指示を受け、毒見の芝居を完璧にこなした。
- 一連の過酷な体験を経て、精神的に大きな成長を遂げる。
- 物語の終盤では、自分をいじめていた玉隼に対して立ち向かった。
羅半兄
- 立場・所属:西都の開拓農地の責任者。
- 主人公との関係:猫猫の親戚。
- この巻での主な役割:西都の食糧問題を解決するために、各地で農業指導を行う。
- この巻で起きた重要な変化や行動:
- 西都の開拓農地の責任者。
- 本邸の庭に作った畑において、特別な小麦の収穫量を計算した。
- 自らの名前を「羅半兄」としか呼んでもらえず、強い哀愁を漂わせる。
- 虎狼が羅漢の怒りから火に飛び込んだ際、命がけで彼を救出した。
- その実作への真面目な取り組みが、西都の民から高く評価されている。
- 中央への帰航船の出発時に、ただ一人現地に置き去りにされた。
読んだ本のタイトル
(英語: The Apothecary Diaries、中国語: 药屋少女的呢喃)
著者: #日向夏 氏
イラスト: #しのとうこ 氏
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あらすじ・内容
玉鶯は、蝗害は異民族のせいで起きたと憤る民を鎮める名目で、
薬屋のひとりごと 11
砂欧に戦争を仕掛けようとしていた。
壬氏は戦を避けようと頭を悩ませていたが、
玉鶯の暗殺という思わぬ形で戦を回避することになる。
しかし、領主代行を失った西都の舵を取る者がいない。
壬氏は、いやいやながら西都の政務を執ることになった。
猫猫は、心身ともに疲弊する壬氏を気遣いながら、
怪我人や病人を診る日々を送っていた。
そんなある日、壬氏は、領主代行だった玉鶯の息子たちを、
西都のために後継者として政治を教え、育成してほしいと頼まれる。
しかし、玉鶯の長男・鴟梟はどうしようもない無頼漢であった。
他の二人も後継者教育を受けたことなどないことがわかり、
猫猫は頭を抱えてしまう。
だが、猫猫たちは否応なしに西都のお家騒動に巻き込まれてしまう。
玉鶯の三人の息子たちを後継者として育成してほしいと頼まれたうえ、
鴟梟の息子・玉隼は中央から来た猫猫たちを目の敵として邪魔をしてくる。
誰が西都を継ぐのか……多くの思いが交錯する中、猫猫の元に事件が舞い込む。
玉鶯の孫たちの不仲。
醸造所で起きた食中毒。
謎の病を訴える異国の娘。
そしていつも以上に不可解な行動をする雀。
彼女の本当の目的とは一体何なのだろうか。
そして、雀の本当の顔も明かされることになるのだが—。
猫猫は無事、中央へと帰ることができるのだろうか。
そして、壬氏との関係をはっきりさせる時が来るのだろうか。
感想
西都編、ついに完結。
前巻で玉鶯が死亡し、砂欧との戦争は回避された。
ちなみに玉鶯を直接殺したのは陸孫ではなく、恨みを持っていた農民である。陸孫が戌の一族の生き残りだったことで、仇討ちのようにも見える展開だったのが印象に残っていた。
ただ、領主代行が突然いなくなったので、
誰が西都を治めるんだ?
という問題が残る。
そこで出てくる玉鶯の子どもたち。
グレた長男・鴟梟。
しっかり者だが頭の硬い次男・飛龍。
腰が低くて何を考えているのか分からない三男・虎狼。
しかも西都には皇弟・壬氏という鬼札までいる。
そりゃ話がややこしくなるわ。
そして猫猫はまたしても誘拐に近い状況へ。
前にもこんなことあったな。
本人が妙に慣れているのが笑える。
ただ今回、一番印象に残った人物を挙げろと言われたら、
羅半兄!!!!
何で!?
何でそこまで不遇なんだよ!!www
玉鶯の死後は後継者争い。なのに長男はグレていて、孫はクソガキだった
本来なら玉鶯の跡を継ぐのは長男の鴟梟。
ところがこの長男、成人して妻子までいるのにグレて家を飛び出している。
密造酒。
親族との決闘。
盗賊との関係。
政治にもまともに関わっていない。
その息子の玉隼も、祖父の権威をそのまま自分の力だと思っているクソガキである。
壬氏たちが西都を乗っ取ろうとしていると思い込み、
一番弱そうなヤブ医者を木剣で殴る。
おい。
そこ狙うのかよ。
おかげでヤブ医者は歩行困難となり、猫猫が代わりに往診することになる。
ただ、実際に鴟梟が登場すると意外だった。
見た目は完全に無頼漢。
息子への土産は鹿の生首。
でも玉隼がヤブ医者へ暴力を振るったと知れば、息子を庇わず謝罪する。
グレてはいるけど、単純な駄目親父でもない。
一方、三男の虎狼は礼儀正しくて実務能力もある。
壬氏を尊敬し、素直に働いているように見える。
……見えるんだよな。
この「良い人すぎる感じ」が後になって効いてくる。
猫猫、また囚われる。でも盗賊村でも飯を作って毒を仕込むあたり通常運転
ある日、小紅が猫猫を呼びに来る。
連れていかれた先では鴟梟が毒矢を受けて瀕死。
猫猫が治療すると、今度は雀が介入。
事情も分からないまま猫猫、小紅、玉隼たちは本邸から離される。
猫猫の感想は、
前にもこんなことあったな。
……慣れるなよ。
その後、移動中に盗賊の襲撃を受け、玉隼は護衛に連れていかれるものの、猫猫と小紅は取り残される。
そして盗賊が支配する村へ。
猫猫はそこで飯炊きや治療をしながら機会を待つ。
普通なら絶望的なのに、
毒になる材料はないか。
どう使えるか。
を考えているのが猫猫である。
馬鈴薯の芽や皮も使える。
食糧不足対策で散々育ててきた馬鈴薯が、今度は盗賊を倒す側へ回るとは思わなかった。
さらに雀が残した暗号を読み取り、夕食で盗賊たちを無力化。
鴟梟たちも突入して救出へ。
猫猫、
囚われても結局やることやってるな。
薬師を閉じ込めるなら毒になる物を置いてはいけない。
4巻から全く学習されてないぞw
ただの面白い侍女じゃなかった雀。猫猫を守るために身体を張りすぎだろ
今回大きく印象が変わったのが雀だった。
これまでも、
この人、普通の侍女じゃないよな?
とは思っていた。
情報を持ちすぎ。
動きもおかしい。
何か裏の仕事をしている。
でも今回、その正体がかなり見えてくる。
雀は《巳の一族》に属する人間。
幼少期からの人生もなかなか過酷で、母親から「価値があるかどうか」で見られながら育ってきた。
普段の、
「猫猫さーん」
とお菓子を食べている姿からは想像しづらい。
そして盗賊から猫猫を守る場面。
ここは普通に怖かった。
雀は自分の身体を使って猫猫を守り、重傷を負う。
折れた肋骨が内臓を傷つけている可能性まである。
そこで今度は猫猫が雀を助ける。
天祐の手術を横で見ていた経験も含め、自分で腹を開いて処置する。
猫猫が医官付官女になって経験を積んできたことが、ここで雀の命を救うのにつながったのは良かった。
雀は助かった。
ただし右腕には大きな後遺症が残る。
それでも馬良は離れない。
雀自身も、夫のところへ戻れる。
代償は大きかったけれど、
生きて帰れた。
そこは本当に良かったと思う。
西都編完結……と思ったら羅半兄を置いて帰るな!!本名すら誰も知らないのかよww
事件の裏で動いていたのは虎狼。
鴟梟を後継者から外し、壬氏を西都に残そうとした。
あれだけ腰が低くて真面目だった男が、
そっちかよ。
最終的には鴟梟を表向きの長にすることで決着。
身なりを整えると父・玉鶯によく似ており、民衆にも受けが良い。
中身を次男や三男たちが支える。
意外と現実的な落としどころだった。
そして長かった西都生活も終了。
猫猫たちは船で中央へ帰る。
ここで綺麗に終わる。
……はずだった。
猫猫が船上で気づく。
「あれ?羅半兄は?」
農業関係者も船に乗ることになっている。
でも羅半兄は数日前から農村へ行っている。
名簿を確認すればいい。
そう思った壬氏が聞く。
羅半兄の名前は?
……。
誰も知らない。
いや待て待て待てww
この巻の途中でも、俊杰という小姓から名前を聞かれた羅半兄が、何とも言えない顔をした末に、
自分の名前は羅半兄だ!
と名乗ってしまっている。
ずっと、
「羅半兄じゃねえ!」
と怒ってたじゃないか!!
そして最後。
船はすでに出港。
羅半兄が乗っていないことが判明。
しかもこの時になって、ようやく本名まで分かる。
でも本人はまだ、
自分が置いていかれたことすら知らない。
羅半兄!!!!
何で!?
飛蝗の中を走り回った。
農村を回った。
甘藷や馬鈴薯を育てた。
食糧不足対策にも貢献した。
虎狼が危険な状況になれば助けにも入った。
西都編でメチャクチャ働いた人だぞ!?
なのに最後の扱いが、
置き去り。
あまりにも酷いww
西都の後継者争い。
猫猫の誘拐。
雀の過去。
盗賊との戦い。
虎狼の企み。
色々あった12巻なのに、
最後は全部、
羅半兄!!!!
に持っていかれた。
これにて西都編完結。
……羅半兄だけ西都編、まだ終わってないけどなw
最後までお読み頂きありがとうございます。
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考察
西都の後継者争いと盗賊村での死闘の全貌
玉鶯の急死に伴い、猫猫たちは別邸から本邸へと拠点を移した。
そこで発生した後継者争いや集団悪酔い事件、毒矢による襲撃、そして盗賊村への連行と脱出劇に至るまで、西都編の幕引きを飾る動乱が描かれた。
全体のストーリープロット、主要な転換点、人物関係の推移、自己認識と周囲の評価、クライマックスの展開、そして巻末の状況について解説する。
全体のストーリープロット
本邸への移動から始まり、醸造所での調査、逃亡劇、盗賊村での毒を用いた反撃、そして中央への帰還に至るまでの物語の流れは以下の通りである。
・第1幕(本邸への引っ越しと玉鶯の子息たちの現状):猫猫は本邸の広い医務室へと拠点を移した。
玉鶯の死に伴い、放蕩者で相続を拒む長男の鴟梟、腰が低く壬氏への師事を望む三男の虎狼、実務に長けた次男の飛龍の間で後継者争いが燻っていた。
・第2幕(葡萄酒醸造所での悪酔い事件と遺産相続問題):葡萄酒醸造所で職人たちが集団で悪酔いに苦しむ事件が発生した。
猫猫は人を下戸にする茸が原因であると突き止め、毒殺の疑いを晴らした。
一方、本邸では長男の遺産放棄を巡る対立が激化し、壬氏が仲介を担うこととなった。
・第3幕(異国のお嬢様の診察と鴟梟の襲撃):気性が荒い異国のお嬢様(後に理人国の第四王子と判明)のむし歯を抜く治療を行った。
その後、小紅が駆け込んできて、叔父である鴟梟が毒矢で射られて瀕死である事実を告げた。
・第4幕(南の宿場町への逃亡と変装の旅):猫猫は隠し通路を通って鴟梟を救命した。
本邸の内通者の危険を避けるため、雀の手引きで母子に変装し、小紅と共に南の宿場町へと脱出した。
・第5幕(盗賊村への潜入と人質生活):道中で馬車が襲撃され、猫猫と小紅は独眼竜が率いる盗賊たちの根城である信仰の町へ囚われた。
人質として強制労働を強いられる中、猫猫は服の袖に残された雀の暗号を見出し、夕餉での反撃計画を練った。
・第6幕(雀の真実と熊男との死闘):猫猫は馬鈴薯の皮や芽の毒、さらに蛇毒を混入した酒で盗賊たちを無力化し、突入した鴟梟たちと共に町を制圧した。
しかし逃亡した熊男との戦いで雀が瀕死の重傷を負い、猫猫はその場で緊急開腹手術を執刀して命を救った。
・第7幕(後継者問題の決着と中央への船旅):鴟梟襲撃の黒幕が三男の虎狼であった事実が露呈した。
雀の提案により、玉鶯に容姿が酷似した鴟梟を傀儡の長に据える折衷案が成立した。騒動を収束させた猫猫たちは、中央へ戻る帰航船に乗り込んだ。
物語を動かした主要な転換点
怪事件の真相究明から奇襲、人質生活での反撃、そして後継体制の樹立に至る重要局面が展開された。
・葡萄酒醸造所での悪酔い事件の解明:職人たちの集団不調の原因が茸による下戸化作用であると実証し、疫病や毒殺の流言を完全に払拭した。
・鴟梟への毒矢襲撃と猫猫の連れ出し:毒矢で倒れた鴟梟を治療した直後、本邸の裏切り者から逃れるために雀が猫猫を南の宿場町へ連れ出した。
・盗賊村への潜入と雀からの秘密メッセージ:囚われの身となった猫猫が服の刺繍から雀の指示を読み解き、薬師の知見を活かした能動的な毒殺無力化作戦へと舵を切った。
・熊男との死闘と雀の右腕の負傷:救出後に襲いかかった熊男から猫猫を庇い、雀が右腕の機能を失う重傷を負いながらも敵を退けた。
・鴟梟を傀儡の長に据える折衷案の決定:虎狼の陰謀を暴いた後、民衆受けの良い鴟梟を形式上の領主に据えることで西都の統治基盤を安定させた。
主人公を中心とした人物関係の推移
数々の危機と過酷な脱出劇を経て、周囲の人物との結びつきは一層深まった。
・壬氏:多忙と心労に苛まれる彼を精神的に支え続けた。帰航船の見張り台において手をつなぎ、静かな接吻を交わす関係へと進展した。
・雀:凄腕の諜報員としての素顔を知り、命がけで守られた恩に報いるため執刀した。右腕の機能不全を支え合う、かけがえのない友人となった。
・虎狼:当初は謙虚な実務家と見ていたが、兄の暗殺を企てた冷酷な本性を知り、壬氏に狂信的な忠誠を誓う姿に強い警戒感を抱いた。
・小紅:逃亡生活や盗賊村での過酷な日々を共に生き抜いた。自らの意見を堂々と主張するまでに成長した彼女を温かく見守った。
主人公の認識と周囲の評価
自身を平凡な薬師とみなす猫猫の自己評価と、類稀な才女として全幅の信頼を寄せる周囲との間には落差が存在した。
・主人公自身の認識:薬や毒への好奇心に突き動かされるだけの平凡な薬師と捉え、権力争いには関わらない立場を貫こうとしていた。
・周囲からの評価:壬氏や高順からは卓越した洞察力を持つ不可欠な存在と信頼され、小紅からは命の恩人として慕われた。羅漢や虎狼からも非凡な才覚を持つ人物として一目置かれた。
・認識の差が現れた場面:茸による悪酔いを立証するため、自ら茸を口にして酒を飲む実験を敢行した際、周囲がその異様な執着に驚愕する一方、猫猫自身は当然の医学的検証に過ぎないと平然としていた。
クライマックスにおける毒の罠と緊急手術
極限状態における機転と医療技術の行使により、危機的状況が打開された。
・夕餉での毒殺工作:猫猫は馬鈴薯のソラニンや蛇毒を料理と酒に仕込み、独眼竜率いる盗賊たちを集団食中毒に陥れて無力化した。
・外部部隊の突入:機を逃さず鴟梟率いる部隊が教会へ突入し、盗賊村の制圧に成功した。
・熊男の急襲と雀の重傷:逃亡を図る熊男が猫猫に襲いかかり、盾となった雀が肋骨骨折と内臓損傷の重傷を負った。
・命がけの開腹手術:猫猫は器具と酒精を確保し、現場で迅速な切開止血手術を完遂して雀の命を繋ぎ止めた。
巻末時点の状況と今後の展望
西都の動乱は収束を迎え、一行は中央への帰途についた。
・解決した問題:玉鶯亡き後の後継者争いが鴟梟の擁立で決着し、治安を脅かしていた独眼竜の盗賊団も完全に壊滅した。
・主人公の所在と立場:西都での長期任務を終えて中央へ向かう帰航船上にあり、医療と調査の双方で確固たる信頼を確立した。
・継続している問題と布石:西都の復興課題や食糧問題は残されており、傀儡となった鴟梟を支える体制の維持が今後の焦点となる。壬氏からの求婚に対する猫猫自身の葛藤も抱えたまま、物語は中央の舞台へと引き継がれる。
プロット構造の整理
全体の因果関係は以下のように整理される。
・開始地点:西都本邸への移転と、後継者を巡る子息たちの暗闘。
・発端:葡萄酒醸造所での集団悪酔い事件の調査と解決。
・展開:理人国第四王子の治療、および毒矢を受けた鴟梟の救命。
・中盤の転換:内通者の脅威を避けるための宿場町への脱出と、母子への変装。
・クライマックスへの導線:馬車襲撃による盗賊村への連行、および雀の暗号発見。
・クライマックス:馬鈴薯毒を用いた盗賊の無力化、熊男との戦闘、および雀への緊急開腹手術。
・到達地点:鴟梟の傀儡擁立による政情安定、および中央への帰航。
まとめ
西都の後継者争いと盗賊村での死闘を巡る一連の全貌は、本邸での医療活動から始まり、茸中毒の解明、毒矢を受けた長男の救命、南の宿場町への逃避行、盗賊村での毒を用いた反撃、雀の命を救った緊急開腹手術、そして鴟梟を擁立した政情の安定に至るまで、その歩みを明瞭に示している。
血族間の陰謀と暴力の渦中に巻き込まれながらも、確かな薬学知識と覚悟を持って局面を切り開いた記録である。
玉鶯一家の相関
西都の仮の領主であった玉鶯(ギョクオウ)の直系家族である妻、息子、娘、孫の相関関係と、彼を取り巻く一族内の複雑な状況について解説する。玉鶯の死後、莫大な遺産と西都の後継者問題を巡り、子どもたちの性格の違いや家庭内の軋轢が浮き彫りとなった。
玉鶯の三人の息子たち
玉鶯には四人の子どもがいるが、息子たちは野心家で強引だった父親の玉鶯とは似ていない。
・長男:放蕩ぶりが問題視されており、玉鶯の後継者としては不適切と見なされている。遺産の受け取りを拒否する姿勢を見せており、息子の玉隼が引き起こした問題に対して不器用ながらも謝罪を行うなど、父親としての責任を果たそうとはしているが、その方法は疑問視されている。
・次男(飛龍):父親に似ず、文官のような振る舞いをしており、主に公所に勤めている。遺産問題では三男と意見を異にしている。
・三男(虎狼):非常に謙虚で礼儀正しく、仕事も丁寧な青年である。しかし、悪役向きの名前が示すように裏では後継者争いに深く関与していた。従兄弟である鴟梟を後継者にふさわしくないと考えて暗殺を企てたり、西都の未来のために壬氏に自らの首を差し出して指導を乞うなど、過激で計算高い一面を持っている。
玉鶯の妻と長女
・妻(奥方):かつては商売上手な女性であったが、ある事件をきっかけに異国に滞在し、帰国後は本邸を離れて目立たない存在となっている。孫の玉隼が問題を起こしても軽く叱るにとどめるなど、家庭内の軋轢に介入しきれていない。
・長女(虎姉):現在は母親と共に滞在している。玉鶯の遺産を欲しがっているという一面が語られており、甥である玉隼の悪態に対して母親に抗議するなど、家族内の問題に意見を述べている。
孫世代の軋轢
・孫(玉隼):長男の息子であり、祖父の権威を笠に着た傲慢な性格である。やぶ医者に怪我をさせたり、異国の血を引く親戚の少女をいじめたりと問題行動を繰り返していた。後に事件に巻き込まれ、猫猫(マオマオ)たちと共に過酷な逃避行と盗賊村での生活を強いられることになる。
親族との断絶と対立
玉鶯は自身の一家以外の親族とも深い対立を抱えていた。
・兄弟たちとの対立:玉袁の息子たち(大海など)は、玉鶯が企てた砂欧への戦争計画に強く反対していた。玉鶯は会議の場で壬氏に関する疑惑を持ち出して兄弟たちを試すなど、身内内でも孤立を深めていた。
・異母妹(玉葉后)への偏見:玉鶯は玉葉后を異民族の妾の娘として蔑み、激しく嫌悪していた。しかし彼女が皇后になると、自身の娘を入内させようと身勝手な手紙を送り、玉葉后に明確に拒絶されている。
まとめ
玉鶯一家は強大な権力を持っていたものの、玉鶯自身の野心や独断専行が周囲との軋轢を生んでいた。彼の死後は残された家族たちの間に、遺産や後継者を巡る複雑な問題が残されることになったのである。
雀の過去と正体
雀(チュエ)の過酷な過去、その真の正体、および彼女が担う役割について解説する。雀は物語において飄々とした明るい侍女として振る舞っているが、その裏には深い悲しみと冷徹な実力が隠されている。
雀の真の正体:巳の一族の諜報員
雀は表向き、壬氏(ジンシ)の側近である馬良(バリョウ)の妻として生活している。しかし、その実態は以下の通りである。
・真の正体は、裏から皇族を守る諜報活動を専門とする巳(ミ)の一族の優秀な一員である
・夫の馬良は表の護衛を担う馬の一族であり、二人の結婚は政略的な側面を持っていた
・雀は馬良の好みに合わせた饅頭を作るなど、生活の細部にわたって献身的に尽くしており、二人の間には確かな愛情と深い絆が築かれている
過酷な生い立ちと母親からの拒絶
雀の明るい性格の背景には、凄惨な過去が存在する。
・幼少期に母が失踪し、父も母を探しに行ったまま帰らぬ人となり、財産を奪われ孤児となった
・生き残るために教会へ身を寄せ、異国での過酷な生活を経験した
・12歳の時に実の母親を探し出すが、不要な存在であると非情に突き放された
・その場にいた礼部の次官である魯侍郎に能力を見出され、巳の一族へと引き込まれた経緯を持つ
西都での暗躍と女鏢師としての活躍
二度目の西都遠征において、雀はその卓越した諜報能力と戦闘能力を遺憾なく発揮した。
・西都で複雑な陰謀が渦巻く中、猫猫や子どもたちを安全な場所へ避難させるため、女鏢師(ひょうし・用心棒)に変装して護衛を完遂した
・盗賊に支配された村に潜入した際には、猫猫と協力して毒を用いた巧妙な計画を立案し、盗賊たちを制圧して村を解放した
命懸けの護衛と深い傷
盗賊村からの脱出後、岩砂漠での野営中に猫猫が襲撃される事件が発生した。
・雀は間一髪で猫猫を救い出したが、激しい戦闘の代償として右腕がほとんど機能しなくなるほどの重傷を負った
・右腕の神経や筋肉に深刻な損傷を受けたが、彼女は猫猫を守り抜いたことが正しい選択だったと確信している
・月の君(壬氏)を幸せにすることという自身に課せられた命令を最優先し、後悔の念は見せていない
まとめ
雀が巳の一族として働き続ける動機の一つには、自分を捨てた母親への復讐心が含まれている。自分が母親よりも価値の高い存在であることを証明しようとする彼女の姿勢は、冷徹な実力を支える源泉となっている。
重傷によって右手が不自由になる可能性があっても、彼女の高い通訳能力や諜報スキルは魯侍郎から引き続き高く評価されている。また、夫である馬良は彼女の正体や怪我の事実を知りながらも、その存在を尊重し共に生きていくことを選んでいる。過酷な運命に翻弄されながらも、周囲の人々を守り抜く雀は、物語における極めて重要な存在であるといえる。
盗賊村の蜂起
猫猫(マオマオ)たちが巻き込まれた盗賊村の蜂起、すなわち盗賊に支配された町での反乱と制圧の経緯、およびその結末について解説する。
盗賊村(信仰の町)の悲惨な状況
猫猫と小紅(シャオホン)は移動中、護衛とはぐれて追手から逃れる過程である信仰の町に辿り着いた。しかし、その地は独眼竜と呼ばれる頭領が率いる盗賊たちの根城と化していた。
・町では女や子どもたちが集会所に集められ、人質同然の状態で強制労働に従事させられていた
・独眼竜は異教徒と見なした者を容赦なく処分し、逆らう者には厳しい虐待を加えるなど過酷な支配を強いていた
・猫猫は自身が薬師であることを明かし、集会所での炊事や怪我人の治療を手伝いながら、生き延びる機会を窺うこととなった
隠されたメッセージと反撃の準備
ある時、猫猫は自分たちに返された服の袖に、雀(チュエ)の刺繍と異国語による隠しメッセージを発見した。
・メッセージの内容は、夕食時の酌を利用して独眼竜に行動を起こす機会を窺えという指示であった
・これにより、外部あるいは内部に協力者が存在し、盗賊制圧の計画が進行していることが示唆された
・猫猫は指示を受け、独眼竜への具体的な対抗策を講じるための準備を開始した
夕餉の酌を利用した毒の罠
作戦の決行日、猫猫は盗賊たちの夕餉(夕食)として、馬鈴薯(じゃがいも)を主材料にした料理を提案し調理を行った。
・盗賊たちに悟られないよう、馬鈴薯の皮や芽に加えて特別に用意した食材を用い、微量の毒を混入させた
・夕餉が進む中、料理を食べた盗賊たちは次々と食中毒のような症状を起こして倒れ、会場内は混乱に陥った
・標的である独眼竜には、蛇毒を混入させた馬乳酒を提供した
・独眼竜は口内に傷を負っていたため、そこから直接毒が体内に回り、致命的な重症を負わせることに成功した
外部部隊の突入と村の解放
盗賊たちが毒によって無力化される中、小紅の叔父である鴟梟(シキョウ)が率いる鏢師(用心棒)たちが教会へ突入した。
・外部部隊の攻撃によって残存する盗賊たちは一掃された
・猫猫と小紅は無事に救出され、町は長きにわたる盗賊の支配から解放されることとなった
まとめ
事件後、猫猫はこの制圧劇の真相を知ることとなった。道中を護衛していた女鏢師の正体は、壬氏(ジンシ)の侍女である雀であり、彼女が裏で毒を用いた緻密な制圧計画を立案していたのである。鴟梟と雀の連携、そして猫猫の機転と薬師としての専門知識が組み合わさったことで、凶悪な盗賊集団を壊滅させるに至ったのである。
壬氏と猫猫の絆
猫猫(マオマオ)と壬氏(ジンシ)の出会いから、数々の困難を経て深まっていく二人の絆の軌跡について解説する。
出会いと有能な駒としての始まり
二人の関係は、後宮の下女であった猫猫が、帝の御子の連続死の原因が毒おしろいであることを匿名で警告したことから始まった。その知識と聡明さに気づいた壬氏は、彼女を玉葉妃(ギョクヨウヒ)の侍女および毒見役として引き抜いた。
・当初、猫猫にとって壬氏は美貌を鼻にかける面倒な雇い主であり、壬氏も猫猫を事件調査に便利な有能な駒として扱っていた
・他の女性と違い、壬氏の美貌に全く興味を示さない猫猫に対し、壬氏は次第に強い関心を抱くようになった
命懸けの救出と秘密の共有
数々の事件を解決していく中で、二人の間には強い信頼関係が芽生えていった。
・中祀(祭事)の際、猫猫は祭壇が落下する事故から壬氏を身を挺して守り、足に怪我を負った
・壬氏はこの一件で猫猫を深く心配し、彼女が渇望していた高価な秘薬である牛黄(ごおう)を贈った
・避暑地での狩りの最中、壬氏は猫猫を抱えて滝壺へと飛び込み、洞窟で避難する中で互いに暗黙の秘密を共有する関係となった
・猫猫は壬氏が本物の宦官ではないという重大な事実に気づいたが、あえて核心には触れず、主従を超えた信頼を築いていった
焼き印と猫猫の医療への決意
二人の関係において最大の転機となったのは、壬氏が自らの脇腹に焼き印を押した事件である。これは彼が皇籍を離れ、玉葉后の敵にならないことを証明するための苛烈な決断であった。
・猫猫はこの重度な火傷の治療を任されたが、自身の外科技術の未熟さを痛感することとなった
・この経験が大きな動機となり、彼女は壬氏を救う技術を身につけるため、羅門(ルォメン)に教えを請い、医学書である華佗の書を探し求めるなど、医官として成長する決意を固めた
プロポーズと立場の葛藤
壬氏は猫猫に対し、明確な恋愛感情と執着を抱くようになり、直接の求婚に至った。
・猫猫は壬氏の真の身分である皇弟という立場の重さや、周囲への影響を懸念して提案に激しく戸惑った
・自分の感情と社会的な立場の間で葛藤し、二人の関係は一時的に曖昧なものとなった
西都での過酷な日々がもたらした安らぎ
二度目の西都(戌西州)遠征において、二人の絆は単なる主従や恋愛感情を超えたものへと昇華した。
・長期の船旅や西都での滞在中、猫猫は専属で壬氏の火傷の治療を続け、物理的および精神的な距離を縮めた
・複雑な政治状況に疲弊する壬氏に対し、猫猫は頬を叩いて活を入れるなど、対等に意見をぶつけ合える深い関係を築いた
・過酷な事件が重なり疲労の絶頂に達した猫猫は、無意識のうちに壬氏の執務室へと足を運び、彼の傍らで深い安らぎを得た
・互いが精神的に寄り添い、不可欠な存在となっていることが改めて示された
まとめ
西都から中央へ戻る帰路の船上で、二人は手をつなぎ軽い接吻を交わした。互いの立場や心情を不器用に探り合いながらも、その絆は確実な前進を見せているのである。二人の歩みは、今後も国家の動乱や個人の成長と共に、より強固なものへと変化していくことが期待される。
キャラクター紹介
猫猫
薬草や毒に精通した官女である。鋭い観察眼と知識を用いて病や事件の原因を特定する。周囲の人間を医療技術で支えながら、西都の諸問題に対処する立場にある。
・所属組織、地位や役職
医官付官女。
・物語内での具体的な行動や成果
玉鶯の孫娘に対し、腸閉塞を取り除く手術を行い成功させた。葡萄酒醸造所での不調が特定の茸によるものであると解明した。盗賊に支配された村で馬鈴薯の芽を用いた毒を使い、賊を無力化する。重傷を負った雀の応急処置を行い、彼女の命を救った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
物語の終盤で21歳へと成長する。西都での長期任務を終え、壬氏らと共に中央へと帰還した。
壬氏
皇族の地位にあり、西都の統治や事後処理を担う青年である。過労により衰弱しながらも、領民や国家のために公務をこなす。猫猫に対して深い信頼を寄せ、彼女の安全を常に案じている。
・所属組織、地位や役職
皇弟。
・物語内での具体的な行動や成果
玉鶯の死後、西都の管理や理人国との外交交渉を主導した。行方不明になった猫猫を救出するために羅漢らと協力して行動する。西都の未来を見据え、鴟梟を象徴的な指導者に据える折衷案を検討した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
西都での滞在を終えて中央への帰還を果たす。猫猫との距離が近づき、船上では彼女と静かな時間を過ごした。
雀
壬氏に仕える侍女であり、隠密や諜報を担う「巳の一族」の者である。明るく振る舞う裏で、極めて高い戦闘能力と冷徹な判断力を備えている。猫猫を「ムスメさん」と呼び、護衛や指南役として行動を共にする。
・所属組織、地位や役職
壬氏付の侍女、巳の一族の諜報員。
・物語内での具体的な行動や成果
猫猫を伴い南の宿場町や盗賊の根城へと潜入する。女鏢師に変装して猫猫と子供たちを護衛した。逃亡した熊男との戦いで、自身の右腕を犠牲にしながらも猫猫を守り抜く。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
戦いによる負傷で右腕が機能不全となる。自身の過去を「不要な存在」と自嘲しながらも、夫である馬良との絆を深めた。
虎狼
玉鶯の三男であり、一族の中では謙虚で礼儀正しい態度を示す。西都の発展を第一に考え、自らの命を懸けた政治的な立ち回りを行う。猫猫や医官たちを丁重に扱い、実務面での支援を行う。
・所属組織、地位や役職
玉鶯の三男。
・物語内での具体的な行動や成果
鴟梟が襲撃された際、小紅に命じて猫猫を呼びに行かせた。理人国の使者と壬氏との会談を仲介する。西都に壬氏を留めるため、自らの首を差し出す覚悟で交渉に臨んだ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
後継者争いにおける自身の役割を自覚し、長兄の鴟梟を立てる選択をする。壬氏の中央帰還後は、事務方として船に乗り込んだ。
鴟梟
玉鶯の長男であり、かつては放蕩息子と見なされていた。武術に長け、鏢局を経営して実戦的な能力を発揮する。外見が亡き父の玉鶯に酷似しており、民衆を惹きつける資質を持つ。
・所属組織、地位や役職
玉鶯の長男、鏢局の経営者。
・物語内での具体的な行動や成果
毒矢による重傷を負いながらも、猫猫の治療を受けて回復した。盗賊に支配された村へ駆けつけ、猫猫と小紅を救出した。熊男との戦いでは雀と連携して敵を討ち取る。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
西都を統治するための「象徴」としての役割を受け入れる。身なりを整えたことで、玉鶯の再来として民衆の支持を得ることに成功する。
馬良
雀の夫であり、事務能力に長けた文官である。極度の対人恐怖症だが、妻である雀に対しては深い愛情と理解を示している。
・所属組織、地位や役職
文官。
・物語内での具体的な行動や成果
執務室で壬氏の書類仕事を支え、理人国の情勢を分析した。重傷を負った雀を献身的に看病し、彼女が「巳の一族」であることを受け入れる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
雀の右腕が使えなくなった後も、彼女と共に生きる決意を新たにした。
羅半兄
農業の知識に秀でた青年である。西都の食糧問題を解決するために、各地で畑の指導や作物の研究を行っている。
・所属組織、地位や役職
農業指導員。
・物語内での具体的な行動や成果
収穫量の多い特別な小麦の種を持ち帰った。物置を改造して苜蓿(もやし)を育て、新たな栄養源を確保する。火事の際に虎狼を救出した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
農業面での多大な貢献が認められている。中央への帰還が話題となるが、実際に行動を共にしたかは不明瞭である。
天祐
猫猫と共に働く若き医官である。解剖や手術に異常な興味を示し、高い外科技術を持っている。
・所属組織、地位や役職
医官。
・物語内での具体的な行動や成果
猫猫の助手として玉鶯の孫娘の手術を支えた。勉強のために事故で切断された腕を持ち帰るなどの奇行を見せる。
飛龍
玉鶯の次男であり、文官としての振る舞いを得意とする。公所において実務を担当し、理人国の使者との連絡役を務めた。
・所属組織、地位や役職
玉鶯の次男。
玉隼
玉鶯の長男(鴟梟)の息子である。従妹の小紅に対していじめを行うなどの問題行動が目立つ。
・所属組織、地位や役職
玉鶯の曾孫。
・物語内での具体的な行動や成果
小紅を「取り替え子」と呼び、泥団子を投げつけるなどの嫌がらせを繰り返した。猫猫と共に南の宿場町へ連れ去られるが、最終的に小紅から反撃を受ける。
小紅
玉鶯の孫娘であり、以前猫猫に手術を受けた少女である。周囲からの偏見やいじめに耐えながら、強く成長していく。
・所属組織、地位や役職
玉鶯の孫娘。
・物語内での具体的な行動や成果
危篤となった叔父の鴟梟を助けるため、隠し通路を通って猫猫に助けを求めた。盗賊の村では猫猫の指示に従い、毅然と振る舞う。物語の終盤では、自分をいじめていた玉隼に立ち向かった。
魯侍郎
礼部の次官であり、雀を「巳の一族」へと導いた人物である。
・所属組織、地位や役職
礼部次官。
・物語内での具体的な行動や成果
負傷した雀を見舞い、彼女の今後の役割について話し合った。雀の通訳能力を高く評価し、引き続き任務に就くことを望んでいる。
備忘録
序話
失われた居場所
その人物は、父にとって宝物だったように、誰かにとって特別な存在になりたいと願っていた。しかし母が消え、母にとって家族は道具に過ぎなかったと知り、さらに父も失ったことで自分の価値を見失った。それでも母を求め、自分に何ができるのかを探しながら、居場所と存在意義を証明しようとしていた。
一話 本邸の我が儘坊
玉鶯亡き後の本邸
玉鶯の死後も業務は続いていたが、壬氏は過労で衰弱していた。後継者候補として陸孫や壬氏の名も挙がる一方、玉鶯の長男は放蕩ぶりから不適格と見られていた。
玉隼の謝罪
長男の息子である玉隼はやぶ医者を襲い、謝罪に訪れたものの反省していなかった。長男の廃嫡もあり得る中、その家族は不安定な立場に置かれ、猫猫も本邸で彼らと関わることを警戒した。
二話 温室と礼拝堂
温室の確保
本邸へ移った猫猫は温室を見つけて喜び、庭師と胡瓜の扱いを巡って衝突した。話し合いの末、温室の三分の一を使わせてもらうことになった。
異教の礼拝堂
猫猫は雀と礼拝堂を訪れ、異教の祈り方を教えられた。やぶ医者の療養生活も続いており、李白が身の回りの世話をしていた。
三話 玉鶯の子どもたち
虎狼の謝罪
医務室に玉鶯の三男・楊虎狼が現れ、月の君の下で働くことになったと告げた。虎狼は甥がやぶ医者を傷つけたことを礼儀正しく謝罪し、菓子と葡萄酒を差し出した。
玉鶯の家族
やぶ医者から、玉鶯には四人の子がおり、虎狼が末子であると聞かされた。また、玉鶯の妻はかつて商才を発揮していたものの、異国での出来事を境に目立たなくなっていた。
四話 深窓の奥方
小紅への嫌がらせ
猫猫は玉鶯の孫娘を診察するため、虎狼やその家族のもとを訪れた。そこで玉隼が小紅の髪を引っ張り、泥をつけ、異国人の取り替え子だと罵っていた。
玉鶯を慕う小紅
周囲が玉隼への対応を巡って揉める中、小紅は猫猫に祖父である玉鶯の悪口を言わないでほしいと頼んだ。猫猫はその願いを受け入れ、謝罪した。
五話 三男次男 長男
三兄弟の違い
三男の虎狼は丁寧で慎重な人物で、次男の飛龍も文官然としており、いずれも父の玉鶯とは印象が異なっていた。
長男と玉隼
長男は玉隼の非礼を詫びるため、鹿の頭を土産に李白のもとへ現れた。父親として息子を正そうとしていたものの、そのやり方には問題が残っていた。
六話 葡萄酒醸造所
職人たちの悪酔い
猫猫は外出許可を得て、虎狼と李白とともに葡萄酒醸造所へ向かった。そこで複数の職人が激しく悪酔いしており、猫猫は食事や飲酒内容を調べた。
下戸にする茸
原因は汁物に入っていた茸であり、それを食べて酒を飲むと強い悪酔いを起こすことが分かった。猫猫は自ら試して作用を確かめ、感染症や通常の毒ではないと結論づけた。
七話 遺産問題
玉鶯の遺産
猫猫が本邸へ戻ると、玉鶯の遺産を巡って家族が揉めていた。長男は受け取りを拒み、長女は欲しがり、次男と三男もそれぞれ異なる意見を持っていた。
壬氏との夕餉
遺産の話を聞いた後、猫猫は壬氏と夕餉を取った。その席では猫猫の酒好きも問題にされ、壬氏とのやり取りが続いた。
八話 俊杰
小姓の俊杰
西都滞在が半年を越え、猫猫たちには決まった使用人がつくようになった。その中には元服前の小姓・俊杰がおり、控えめで真面目な働きぶりから信頼されていた。
小さな芋
羅半兄は畑で収穫した芋を持ち込み、小ぶりな出来に不満を漏らした。緑色になった部分には毒があるため注意が必要だと話す一方、俊杰の名を巡る会話から羅半兄の複雑な反応も見られた。
九話 異国娘
治らない頭痛
虎狼から頼まれた猫猫は、頭痛に苦しむ良家の娘を往診した。患者は身体に触れさせなかったが、猫猫は聞き取りから原因がむし歯だと見抜き、抵抗する娘から歯を抜いて治療した。
理人国の王族
白金の髪と青い目を持つ少女について、馬良は理人国の第四王子である可能性を指摘した。なぜ理人国の王族が西都にいるのかは分からなかった。
十話 急患と緊急事態
鴟梟の毒矢
小紅が猫猫のもとへ駆け込み、叔父の鴟梟を助けてほしいと頼んだ。猫猫は隠し通路を通って鴟梟のもとへ行き、自らえぐり取っていた毒矢の傷を処置した。
雀への疑念
鴟梟が正式に医者へかからなかった理由や、小紅だけが猫猫を呼んだ事情には不自然さが残った。さらに雀の曖昧な反応から、猫猫は内輪で何かが起きていると疑った。
十一話 南の宿場町
突然の連行
猫猫は小紅、玉隼、負傷した鴟梟とともに見知らぬ場所へ連れてこられていた。異国語の話し声と潮の匂いから、南の宿場町にいると推測した。
雀と鴟梟の関係
鴟梟は雀と利害関係で結ばれており、その行動は戌西州の平和に関係していると話した。しかし猫猫が連れてこられた理由については、雀から直接聞くよう求めた。
十二話 理人国
第四王子の捜索
少し前、理人国の使者が壬氏との面会を求めていた。理人国では食糧危機や後継者争いが疑われ、行方不明となった第四王子の捜索協力を茘に求めていた。
鴟梟の侵入
会談の後、鴟梟が本邸へ強引に入ろうとして争いとなり、逃走後に猫猫が治療したとの報告が壬氏へ届いた。壬氏は理人国の問題と鴟梟の行動が重なったことに頭を抱えた。
十三話 鏢師
鴟梟との生活
猫猫は鴟梟の看病をしながら、小紅の世話と玉隼の相手をしていた。鴟梟は二人の子どもに優しく接し、とりわけ小紅から懐かれていた。
女鏢師との移動
解放されるはずだった猫猫たちは、女鏢師によって別の場所へ移されることになった。上質な服に着替えさせられた猫猫は、曲刀を携える女鏢師に命を預け、未知の道へ進んだ。
十四話 変装
母子への変装
猫猫、小紅、玉隼は次の村を通るため、女鏢師の化粧で母子に見えるよう変装した。玉隼は反発したが、女鏢師に押し切られた。
虎狼の指示
小紅は、隠し通路を教え、鴟梟を救うため猫猫を呼ばせたのが虎狼だったと明かした。猫猫は虎狼が事件に深く関与していたと知った。
十五話 優先順位
西へ続く逃避行
猫猫たちは女鏢師と西へ移動し、食料や防寒具、生薬を集めながら危険な交易路を避けた。西都へ戻すにはまだ危険があるとして、女鏢師は護衛を続けた。
命を優先する指示
女鏢師は猫猫に神経毒と針を渡し、危機の際には自分の命を最優先するよう命じた。猫猫は子どもたちを守りつつ、自身も生き残る必要に迫られた。
十六話 嘘つき
虎狼の裏切り
猫猫が鴟梟と接触してから十日が過ぎ、壬氏は理人国の第四王子との関係を疑いながら猫猫の安全を案じていた。調査の末、虎狼が鴟梟を後継者から排除しようとしていたことが判明した。
猫猫救出への決断
羅漢に追及された虎狼は鴟梟を陥れようとしたことを認め、火へ飛び込んだが羅半兄に救われた。壬氏は猫猫を取り戻すため、鴟梟と協力して第四王子を探す方針を決め、羅漢にも同行を求めた。
十七話 信仰の町
森での襲撃
猫猫たちは信仰の町を目指したが、先行した女鏢師の代わりに怪しい使者が現れた。護衛が使者を斬ったことで危険を察し、一行は森へ逃げた。
異教の教典
追手が多いため、玉隼は護衛と離脱し、猫猫と小紅は森に残された。追い詰められた猫猫は異国の教典の一節を使って男を説得し、その信仰を利用して殺されることを免れた。
十八話 盗賊の根城
独眼竜との対面
信仰の町は盗賊の根城となっていた。猫猫と小紅は信者である中年男に教会へ連れて行かれ、盗賊の頭領である独眼竜と対面した。
信者としての保護
独眼竜は小紅を手配中の異国人と疑ったが、目的の人物ではないと分かると興味を失った。中年男は同じ信仰を持つ者として猫猫たちを見逃し、女性に預けた。
十九話 盜賊村前編
集会所の女たち
猫猫と小紅は女性や子どもが集められた場所へ送られ、炊事を手伝うことになった。猫猫は薬師だと明かし、持っていた薬草を手元に残すことを許された。
盗賊に支配された町
町では独眼竜の支配に逆らえず、異教徒とされた者が処分されていた。猫猫は生き残るため周囲を観察しながら、女鏢師たちの行方も気にかけていた。
二十話 盜賊村後編
傷ついた少年
猫猫は独眼竜から虐待を受けた少年を治療した。薬草と応急処置で容態を安定させたものの、栄養不足や環境の悪さから十分な治療には限界があった。
袖の隠し文
返された衣服の袖に、雀の刺繍と異国語の指示が隠されているのを猫猫は発見した。夕餉の酌を利用して独眼竜に対抗する機会を作るよう示されており、猫猫は準備を始めた。
二十一話 酌
馬鈴薯の罠
猫猫は馬鈴薯を使った料理を用意し、盗賊たちに振る舞った。皮や芽などを利用して微量の毒を仕込み、食中毒のような症状を起こさせる計画だった。
独眼竜の失墜
盗賊たちが次々と体調を崩す中、独眼竜には蛇毒を仕込んだ馬乳酒も作用した。混乱が広がったところへ鴟梟と鏢師たちが突入し、猫猫と小紅は救出された。
二十二話 事の顛末
鴟梟の事情
盗賊が制圧された後、鴟梟は鏢局を継いだことや、盗賊との関係が誤解だったことを猫猫へ説明した。異国の要人を護送する任務が、今回の騒動につながっていた。
女鏢師の正体
猫猫たちを護衛していた女鏢師は雀だった。雀は二人を安全な場所へ逃がしながら盗賊を無力化する計画を進めており、鴟梟と協力して任務と救出を成功させていた。
二十三話 帰路
四兄弟への疑問
西都へ戻る途中、猫猫は玉鶯の息子たちについて考えた。とりわけ虎狼の行動が今回の混乱を招いたことから、西都へ戻ったら殴ろうと決めた。
残る危険
雀は猫猫の護衛を続け、道を変更した理由やまだ不安要素が残っていることを説明した。一行は山脈沿いを進み、野営しながら西都を目指した。
二十四話 手負いの獣
熊男の襲撃
岩砂漠で野営中に火事が起こり、その混乱に乗じて熊男が逃げ、猫猫へ襲いかかった。雀が割って入り、鴟梟と協力して熊男を倒した。
雀の重傷
戦いで雀は右腕と腹部に重傷を負った。猫猫は過去の傷跡が残る雀の身体を見ながら、右腕が使えなくなる可能性を知りつつも、命を救うため治療に全力を注いだ。
二十五話 醜い雀の子
母を求めた少女
雀は幸せな家庭で育ったが、母が姿を消し、母を探した父も戻らず、財産まで奪われた。生きるため教会へ入り、異国を経て十二歳で西都へ向かった。
不要な存在
雀は母を探し当てたものの、自分が母に必要とされていないと知った。しかしその場にいた男へ能力を示したことで評価され、後継者となる機会を得た。
二十六話 夫婦
巳の一族との縁
馬良は十六歳の頃、母の桃美から、皇族を表から守る馬の一族と、裏で諜報を担う巳の一族について聞かされた。その後、明るい性格の雀と見合いをして結婚した。
雀との生活
雀は馬良の勉強を助け、好物を作るなど自然に生活へ溶け込んだ。任務で重傷を負い右手が使えなくなる可能性が生じても、馬良は巳の一族である雀を受け入れ、共にいることを選んだ。
二十七話 師弟
魯侍郎との対話
雀のもとへ、彼女を巳の一族へ引き入れた魯侍郎が訪れた。右手が使えなくなる可能性があっても、高い通訳能力を持つ雀を今後も活用する意向を示した。
雀の価値
雀は母より価値のある存在になり、自分の価値を証明したいと願っていた。それは父を忘れないための復讐でもあった。また、月の君を幸せにするという命令の意味を考えながら、猫猫を守った選択は間違っていなかったと感じていた。
二十八話 安眠
壬氏の傍ら
雀の治療で疲れ果てた猫猫は、なぜか壬氏の執務室へ向かった。二人は疲労や心配事を話した末、そのまま床へ横になった。
久しぶりの眠り
猫猫は壬氏の体温に安心し、頬へ触れながら何日ぶりかの深い眠りについた。壬氏もそのまま猫猫とともに眠った。
二十九話 折衷案
虎狼の覚悟
壬氏が休息を取って回復した後、虎狼は西都の将来について、自分の命を差し出すことも辞さない覚悟で意見を述べた。鴟梟が統治者に適していると認めながらも、壬氏が西都に残ることを望んでいた。
西都の象徴
雀は壬氏を西都へ縛りつける案には反対し、折衷案として鴟梟を西都の象徴となる存在に据えることを提案した。壬氏は眠る猫猫の傍らで、その案を検討した。
三十話 成長
二十一歳の猫猫
西都での生活は落ち着きを取り戻し、猫猫は二十一歳になった。医務室や温室での日常を続ける中、鴟梟は本邸で政治に関わり始め、玉鶯に似た容姿もあって民衆から受け入れられつつあった。
帰還の目途
雀も徐々に回復し、西都の食糧問題にも一定の目途が立ったことで、壬氏たちは中央へ戻れることになった。猫猫は安堵し、畑で働く羅半兄にも知らせようとした。
小紅の成長
小紅は玉隼に自ら立ち向かうようになっていた。その姿を見た羅半兄は猫猫が何を教えたのか尋ねたが、猫猫は何もしていないと答えた。
終話
中央への船旅
猫猫たちは戌西州を離れ、中央へ向かう船に乗っていた。西都では鴟梟が政治に加わって支持を得ており、壬氏も中央へ帰還することになった。
船上の人々
変人軍師は船酔いに苦しみ、虎狼は雑務をこなしながら猫猫へ過剰な忠誠を示していた。猫猫はその態度に困惑しつつ、それぞれの変化を見守った。
壬氏と猫猫
見張り台にいた壬氏のもとへ猫猫が上がり、二人は手をつないで静かな時間を過ごした。壬氏は猫猫へ軽く口づけし、互いの気持ちを探るようなやり取りを交わしながら中央への航海を続けた。
薬屋のひとりごと 一覧
小説

あらすじと考察は本文で詳しく解説。

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漫画

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