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フィクション(Novel)日向夏薬屋のひとりごと

小説「薬屋のひとりごと 10巻 西都編」感想・ネタバレ

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薬屋のひとりごと10巻の表紙画像(レビュー記事導入用) フィクション(Novel)

薬屋 9巻レビュー
西都編まとめ
全巻まとめ
薬屋 11巻レビュー

Table of Contents

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  1. どんな本?
    1. ■ 作品概要
    2. ■ 主要キャラクター
  2. 書籍情報
  3. あらすじ・内容
  4. 感想
  5. 考察
        1. ストーリー・プロット
        2. 主要な転換点
        3. 主人公を中心とした人物関係の変化
        4. 主人公の認識と周囲の評価
        5. クライマックス(盗賊襲撃と村の違和感)
        6. 巻末の状況
    1. 西都への再訪
      1. 西都への到着と拠点
      2. 農村視察と迫り来る蝗害
      3. 怪異飛頭蛮と風読みの民の謎
      4. 複雑な政治状況とそれぞれの思惑
      5. まとめ
    2. 飛蝗の襲来
      1. 迫り来る脅威と緊急の収穫作業
      2. 飛蝗の襲来と激闘
      3. 天の恵み「雹」と事態の収束
      4. 西都への帰還と背後の思惑
      5. まとめ
    3. 農業指導と対策
      1. 羅半兄による農業指導と秋耕の徹底
      2. 馬閃と里樹妃による家鴨の飼育
      3. 甘藷の普及と罪人の労働力活用
      4. 蝗害襲来時の緊急対策
      5. まとめ
    4. 風読みの民
      1. 風読みの民の定義と50年前の悲劇
      2. 禁忌を破った代償と蝗害
      3. 現代における風読みの民の末裔の発見
      4. 受け継がれた鳥を操る技術と暗躍の可能性
      5. まとめ
    5. 里樹と馬閃
      1. 出会いと最初の救出劇
      2. 塔からの落下事故と決死の救出
      3. 紅梅館での再会と新たな絆
      4. 互いの成長を誓う未来への約束
      5. まとめ
  6. キャラクター紹介
      1. 猫猫
      2. 壬氏
      3. 陸孫
      4. 馬閃
      5. 里樹
      6. 羅漢
      7. 羅半兄
      8. 念真
      9. 庫魯木
      10. 玉葉
  7. 備忘録
    1. 序話
    2. 一話 二度目の西都
    3. 二話 上司と元上司
    4. 三話 別邸と忘れられた男
    5. 四話 馬閃青春記 前編
    6. 五話 馬閃青春記 後編
    7. 六話 農村視察 前編
    8. 七話 農村視察後編
    9. 八話 老人の昔話
    10. 九話 祀と祭
    11. 十話 結果報告
    12. 十一話 飛頭蛮 前編
    13. 十二話 飛頭蛮 後編
    14. 十三話 風読みの民
    15. 十四話 おさらいと可能性
    16. 十五話 貧乏籤
    17. 十六話 つかの間の平穏
    18. 十七話 災禍 前編
    19. 十八話 災禍後編
    20. 十九話 爪痕
    21. 二十話 確認
    22. 終話
  8. 薬屋のひとりごと 一覧
    1. 小説
    2. 漫画
  9. 類似作品
    1. 虚構推理
    2. 後宮の烏
    3. 准教授・高槻彰良の推察
    4. 全裸刑事チャーリー
  10. その他フィクション

どんな本?

薬屋のひとりごと』は、日向夏 氏による日本のライトノベル作品。
中世の後宮を舞台に、薬学の専門知識で事件の謎を解く少女・猫猫(マオマオ)の物語。
小説家になろうで連載されているほか、ヒーロー文庫からライトノベル版が刊行されている。
また、月刊ビッグガンガン月刊サンデーGXでコミカライズ版が連載されており、2023年にはテレビアニメ化も決定している。

月刊サンデーGXの方が、中華の雰囲気が強く、文化の小さい部分にも気をつけているように感じている。

■ 作品概要

本巻は、茘王朝の重要拠点である西都(戊西州)を舞台に、政治的緊張と食糧安全保障問題が交錯する過程を記録したものである。西都は領主代行・玉鶯の統治下にあり、本邸・別邸・公所の三拠点体制で運用されている。主人公・猫猫は医官手伝いとして、外科技術に長けた医官・天祐と「調薬と外科的補完」を目的としたチームを組み、皇弟・壬氏が滞在する別邸へ配属される。西都では、中央から派遣された農業指導員・羅半兄による新種(甘藷・馬鈴薯)の導入や、里樹(元妃)が確立した家鴨の孵化システムによる蝗害対策が進行する。しかし、現地農村の視察において、猫猫たちは「農業技術の意図的な放棄」という不自然な経済停滞を確認する。これは、西都の統治体制と中央への情報報告(行政データの不整合)に対する重大な疑惑を浮き彫りにする前兆である。

■ 主要キャラクター

猫猫

  • 立場:医官手伝い。立場:医官手伝い。楊医官の指示により、天祐や建前上の担当医官であるやぶ医者と共に別邸へ配属され、壬氏の随行や調薬、医療補助を担当した。
  • 行動原理:薬・毒物に対する異常な執着を原動力とし、自身を効率的な「実務の道具」として定義する。

壬氏(月の君)

  • 立場:皇弟。西都における食糧問題および政治・軍事的安定化の最高責任者。
  • 行動:自身の火傷の痕を猫猫にのみ晒し、情報の隠匿と信頼関係の維持を図る。

馬閃

  • 立場:壬氏の近衛武官。
  • 役割:護衛任務に加え、家鴨(舒鳧)の飼育・普及という密命を遂行。
  • 特記事項:嘴に黒い点のある個体に執着され、家鴨を「対飛蝗の戦力」として評価する。

里樹

  • 立場:卯の一族の姫。二度の入内と追放を経て、紅梅館で出家した身。
  • 行動:家鴨の人工孵化技術を確立。温泉の湯を引いた「人肌より高い温度管理」と「湿度維持」、および「転卵(てんらん)」のシステムを構築し、馬閃に指導した。

  • 立場:猫猫の同行者兼、壬氏配下の隠密。
  • 役割:後発隊(囮)の編成、および情報の属性操作による敵対勢力の誘導。

陸孫

  • 立場:玉鶯の部下。
  • 行動:農村を先行視察し、肥沃な黒土(灌水された畑)の調査を行う。行政データと現地の乖離を把握している形跡がある。

羅半兄

  • 立場:農業指導員。
  • 役割:収量補完を目的とした馬鈴薯の導入。作物の「北限調査」という専門的知見を持つ実務家。

書籍情報

薬屋のひとりごと 10
(英語: The Apothecary Diaries、中国語: 药屋少女的呢喃)
著者: #日向夏 氏 
イラスト: #しのとうこ

(PR)よろしければ上のサイトから購入して頂けると幸いです。

あらすじ・内容

シリーズ累計1200万部突破! 妖怪! 蝗害! 災害! 西都に呼ばれた謎!
最新10巻はドキドキとワクワクの波状攻撃が止まらない!

無事に西都に到着した猫猫。
環境は変化しても仕事は相変わらずで、
薬屋として、また医官手伝いとして働いていた。
どこに行っても呑気なやぶ医者に、
何を考えているかわからない新人医官・天祐。
猫猫は、壬氏の火傷が二人にばれないようにとひやひやしながら
西都での日々を過ごしていた。
壬氏もまた皇弟として政務をこなす毎日だが、
西都側は壬氏を名前だけの権力者として扱っていた。
そんな中、猫猫は農村部を視察するために連れて来られた
羅半兄とともに農村へ行くことに。
視察するにあたって、かつての羅漢の部下・陸孫が動いていることに気付く。
彼は、中央とは異なる農村部のやり方に疑問を持っていた。
一方、かつて起こった大蝗害の生き残りの老人と出会う。
また、西都の滞在先では妖怪である「飛頭蛮」が出るとの噂がはびこっていた。
猫猫は飛頭蛮の正体を探るために動き出します。
さらに、猫猫は、さまざまな問題にぶつかりながら、
かつて西都を治めていた戌の一族が滅びた理由についても考えていた。
戌の一族、風読みの民、祭祀。
五十年前の蝗害と、十七年前の戌の一族の族滅。
新たな謎が生まれるとともに、予言された災害の足音はだんだんと近づいて来る。
そして、壬氏を西都へと呼んだ領主代理・玉鶯の狙いが明らかに?

薬屋のひとりごと 10
イマジカインフォス
イマジカインフォス

感想

10巻を読んで、

ああ、だからこの表情なのか。

と納得した。

猫猫たちは再び西都へ向かう。

目的の一つは、前巻から警戒していた蝗害への対策。実際に農村を調べ、飛蝗が増える原因を探し、被害を少しでも減らそうと動いていく。

ところが西都は完全にアウェー。

現地で実権を握る玉鶯は、蝗害という国難すら自分の権力を強める材料として利用しようとしている。

猫猫たちが必死に虫と戦っている横で、

政治では別の戦いが進んでいる。

そりゃこんな顔にもなるわ。

ただ、思うようにいかなくても猫猫たちはやることをやる。

全部解決するわけでもない。

それが逆に面白い。

爆発して全部メチャクチャになったら、それはそれで面白そうだけどw

蝗害を防ぐため西都へ。でも最初から完全に相手のホームだった

猫猫にとっては二度目の西都。

今回は医官たちも同行し、壬氏の健康管理をしながら蝗害対策にも関わる。

そこへ羅漢まで来る。

さらに羅半兄は甘藷や馬鈴薯を持ち込み、農村で栽培指導。

羅の一族、

何気に自分たちの特産品を思いっきり売り込んでないか?

羅半は数字。

羅半兄は農業。

羅半父も作物の研究。

意外と食糧危機への相性が良すぎる。

ただし猫猫と羅漢は同じ西都にいるのに、親子そろって政治の中心から微妙に蚊帳の外。

羅漢は羅漢で饅頭の話をしている。

猫猫は薬と虫。

通常運転だなww

一方、壬氏はそうはいかない。

西都を仕切る玉鶯の縄張りへ入っている以上、自分が前に出すぎれば中央が西都の手柄を奪った形になってしまう。

だから蝗害対策をしていても、あえて功績を玉鶯側へ譲る。

助けに来たのに手柄まで相手へ渡す。

面倒くさいな、政治。

しかも玉鶯側が何を考えているのか分からないまま、西都の人間を使って動かなければならない。

猫猫がどれだけ有能でも、ここでは自由に動けない。

このアウェー感がずっと続く巻だった。

昔は蝗害を防ぐ仕組みがあった。それを壊したのも人間だった

農村へ出た猫猫たちは、50年前の大蝗害を知る念真という老人から昔の話を聞く。

ここがかなり興味深かった。

かつてこの土地には、風を読み、飛蝗の発生を予測していた一族がいた。

その一族では女性が中心となる独特の仕組みを持っていた。

ところが周囲の部族に襲われ、男たちは殺され、女性は連れ去られ、子どもたちは売られてしまう。

滅ぼした側も、その後に蝗害で困窮。

略奪へ走った結果、今度は中央から討伐される。

そして生き残った者たちは農奴とされ、かつて風読みの民がやっていた作業を続けさせられた。

その作業が、

秋に土地を耕す《秋耕》。

表面上は祭事のようになっているが、実際には土の中にある飛蝗の卵を掘り返し、寒さや鳥にさらして減らすための農業技術だった。

なるほど。

昔の人たちはちゃんと対策を知っていたのか。

ところが世代交代によって意味が分からなくなる。

農奴たちも散り散りになる。

儀式だけが断片的に残る。

結果、

蝗害を抑えていた仕組みそのものが消えてしまう。

誰か一人の悪人が原因ではない。

昔の虐殺。

奴隷制度。

技術の断絶。

人口や農地の変化。

それらが積み重なって、何十年後かの大災害につながっている。

こういうところ、

『薬屋のひとりごと』は上手いな。

本当に飛蝗が来た。猫猫たちは全力で動くが、それでも全部は守れない

そして、

本当に来る。

羅半兄から送られてきた急報。

黒く塗り潰された地平線。

猫猫はすぐ飛蝗の大群だと察する。

ところが村人たちは信じない。

目の前には収穫直前の麦。

今まで大きな被害もない。

急に全部刈れと言われても、

何言ってるんだ?

となる。

そこで過去を知る念真が怒鳴り、陸孫が、

今刈れば麦を倍値で買う。

と金まで使って動かす。

こういう時、

正しいことを説明するだけでは人は動かないんだよな。

結果として二日間でかなりの麦を収穫できた。

それでも飛蝗が襲来すると地獄。

空を黒く覆うほどの大群。

作物だけでなく、服や建物までかじる。

馬閃は網を振り回して潰す。

陸孫は村人を落ち着かせる。

猫猫は手がただれても殺虫剤を作り続ける。

最後は雹まで降ってきて何とか抑え込む。

猫猫自身は頭に雹を食らって気絶。

目覚めたら、

「毒のねえちゃん」

になっていた。

頑張った。

確実に被害も減らした。

でも完全勝利ではない。

殺虫剤は土地への影響も心配されるし、別の地域まで全部救えるわけでもない。

それでも、その場でできることをやる。

この辺が猫猫たちらしい。

蝗害すら権力強化に使う玉鶯。玉葉后との暗闘もいよいよ本格化か?

問題は、

自然災害だけではなかった。

西都を実質的に仕切っている玉鶯。

彼は蝗害をただの災害として見ていない。

食糧不足。

民衆の不安。

異民族や隣国への反感。

軍事力を強める理由。

全部、政治的に使える。

むしろ蝗害によって西都の危機感が高まれば、自分へ権力を集めやすくなる。

猫猫たちが必死に被害を減らそうとしている横で、

それを利用して次の争いへ進もうとしている人間がいる。

何とも嫌な構図である。

壬氏も当然そこには気づいている。

だからこそ下手に前へ出ず、蝗害対策の手柄まで玉鶯へ譲る。

それでも裏では準備を続ける。

そして都では、

玉葉后も動き始める。

玉鶯は実の兄。

でも玉葉后が兄の言いなりになる気配はない。

むしろ彼女も、自分の子どもや国を守るためなら普通に対抗してきそうである。

兄妹で何やってるんだ。

猫猫としては、

政治なんて知りません。

薬を作っていたいです。

という立場だろう。

でも完全に中心へ巻き込まれている。

しかも西都ではホーム側の玉鶯が圧倒的に有利。

ここまで色々と布石を置いて、

全部不発で終わる可能性だってある。

それもまた良いと思う。

人の世なんて、

仕込んだ策が全部きれいに決まる方がおかしい。

だから続きをWeb版で確認する気はない。

『小説家になろう』には続きがある。

でも俺は敢えて読まない!

この、

どうなるんだ?

という時間が楽しいんじゃ!

1巻から伏線を探し直すのも面白い。

西都。

蝗害。

風読みの民。

玉鶯。

玉葉后。

壬氏。

そして何となくまだ全部を見せていない陸孫。

材料はかなり揃ってきた。

面白くなって参りました!!

11巻はよ!!

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薬屋 9巻レビュー
西都編まとめ
全巻まとめ
薬屋 11巻レビュー

考察

ストーリー・プロット
  • 西都到着と医務体制の構築  楊医官の戦略的判断により、医務チームは三分割される。天祐の「外科的技術」と猫猫の「調薬知識」を相互補完させる目的で、両者は別邸(壬氏担当)に配属。これは現場の臨機応変な対応力を最大化するための技術的配置である。
  • 西都での再会と情報収集  猫猫は、泥に汚れた陸孫と再会。彼が農村の土壌実態を詳細に調査していることを把握する。同時に、羅半の策で連行された羅半兄と合流。食糧難への備えとして、寒冷地・痩せ地でも育つ馬鈴薯等の種芋輸送任務が進行する。
  • 【回想】家鴨(舒鳧)任務と紅梅館の再会  馬閃は紅梅館にて里樹と再会。里樹は「人肌以上の温度維持」「一定間隔の転卵」「温泉利用による湿度管理」という実務工程を確立。馬閃はこの孵化技術を習得し、家鴨の大量生産体制の端緒を開く。
  • 農村視察への旅立ち  蝗害対策(殺虫剤の効果確認および家鴨の投入状況の視察)のため、猫猫、馬閃、雀、羅半兄が農村へ向かう。これは、中央から持ち込まれた技術が西都の環境で機能しているかを検証する実地データ収集である。
  • 道中の襲撃と属性操作による囮作戦  案内役の裏切りを予測した雀は、あえて「少人数・無防備・豪華な衣装(属性操作)」の後発隊を編成。猫猫を「高価値目標」として賊に誤認させ、先行する種芋輸送隊(羅半兄ら)への被害を回避。襲撃に対し、馬閃が金属片入りの特殊籠手を用い、素手で賊を鎮圧。案内役を黒幕として特定・連行した。
  • 風読みの民の伝承と秋耕の再発見:農村で出会った元農奴の老人・念真から、50年前に風読みの民を滅ぼしたことで大蝗害を招いた過去を聞き出し、彼らの祭事が飛蝗の卵を駆除する「秋耕」であったことを突き止めた。猫猫たちは村人たちを巻き込んで祭事を再現し、卵の掘り起こしと焼却を実施した。
  • 飛頭蛮の正体と風読みの民の生存:西都の別邸周辺に出没していた怪異「飛頭蛮」の正体が面梟であることを解明し、飼い主の少女・庫魯木を捕らえたことで、風読みの民の鳥を使った情報伝達技術が今も受け継がれている事実を把握した。
  • 飛蝗の襲来と決死の駆除:羅半兄からの急報を受けて農村に飛蝗の大群が襲来した。陸孫による麦の緊急買い取りで収穫を急がせ、猫猫は手を負傷しながらも自作の殺虫剤を調合し続け、突如降り注いだ雹の助けもあって村を壊滅から救った。
  • 西都帰還と玉葉后の決意:西都へ戻った猫猫は、玉鶯の手柄に甘んじざるを得ない壬氏の苦境を目の当たりにし、支え続ける決意を固めた。一方、都の玉葉后は西都の蝗害を知り、鳩を使って「御心のままに」と記した手紙を送り、自ら事態へ介入する覚悟を決めた。
主要な転換点
  • 転換点1:家鴨の人工孵化システムの確立  里樹の技術指導により、伝承(家鴨が飛蝗を食べる)を具体的かつ定量的な対抗策へと昇華させた。
  • 転換点2:馬鈴薯(種芋)の導入  既存作物の維持に固執せず、北限調査に基づいた「新種による収量補完」という食糧安全保障戦略が西都に持ち込まれた。
  • 転換点3:雀による高価値目標の属性操作  猫猫に豪華な外套を着せ、あえて襲撃地点へ誘導。内部の不穏分子(案内役)を特定すると同時に、雀の隠密としての高度な戦術的判断能力が証明された。
主人公を中心とした人物関係の変化

関係性,開始時の状態,終了時の状態

猫猫 ⇔ 雀,軽妙な会話を交わす協力者。,猫猫は雀の計算高さや底知れなさを鋭く見抜きつつも、気兼ねなく会話を交わせる稀有な道中案内・協力者として受け入れた。

猫猫 ⇔ 馬閃,護衛武官と、守護対象である医官手伝い。,地方視察を通じ、戦闘と実務(防疫・農業調査)で補完し合う協力関係へ移行。

猫猫 ⇔ 壬氏:開始時は自傷行為(焼き印)に対する怒りと職務上の距離感を保っていたが、西都の重圧や玉鶯との政治的駆け引きの中で孤立し疲弊する壬氏を目の当たりにし、医療と知恵で彼を支える覚悟を新たにした。

主人公の認識と周囲の評価
  • 猫猫自身の認識  自身の価値を「薬・毒の専門知見」に限定。壬氏との距離感はあくまで業務上のものであり、自身を権力構造に組み込まれる「交換可能な道具」と定義している。
  • 周囲からの評価
  • 天祐:  壬氏との「縁故採用」を疑いつつも、その調薬技術の特異性を無視できない実力者として注視。
  • 雀:  「図太い心臓(精神的強度)と脆い体(物理的脆弱性)」と分析。囮としての利用価値を高く評価。
  • 壬氏:  自身の肉体的損傷(火傷)を晒し、医療技術および秘匿性を全面的に信頼。
クライマックス(盗賊襲撃と村の違和感)
  • 発生原因と戦術誘導  案内役の裏切りを逆手に取った雀が、猫猫に華美な外套を着用させ「富裕層の少人数旅行者」を装う属性操作を実行。賊の標的を自身らへ分散・誘導した。
  • 物理的制圧  馬閃が金属片を仕込んだ特殊な籠手により、抜剣することなく素手で賊を即座に無力化。
  • 情報工作の摘発  案内役が賊への情報提供者であることを確定し、拘束。背後の情報漏洩ルートを遮断。
  • 「技術的意図の放棄」の発見  目的地到着後、羅半兄が農村の異常性を指摘。麦畑において「分げつの少なさ」「直播きの不均一さ」「麦踏みの不実施」を確認。農民が農業技術を把握していながら「あえて行使していない」実態と、子どもによる「育てずとも金が出る」という経済的矛盾の証言を得る。
巻末の状況
  • 猫猫一行は西都近郊の農村に滞在。農業形態の調査を継続中。
  • 「不労所得」が農民に供給されている疑いがあり、西都の統治者・玉鶯による意図的な生産活動の停滞、あるいは不正な資金還流の可能性が示唆される。
  • 茘の西部で蝗害が確認されているにもかかわらず、西都(戊西州)のみが「被害報告なし」とされている行政データの不整合を特定。西都の政治的・行政的不透明性が最大の問題点として浮上している。
  • 猫猫一行は農村での飛蝗襲来を乗り越えて西都の別邸へ帰還した。現地では玉鶯が混乱収拾の手柄を独占する中、壬氏は次なる事態を見据えて疲弊しながらも対策を継続している。一方、都では玉葉后が西都の蝗害発生を知り、事態に介入する決意を固めて西都へ密書を放った。 

西都への再訪

猫猫(マオマオ)や壬氏(ジンシ)たちによる二度目の西都への再訪における主な出来事と、直面した課題について解説する。

西都への到着と拠点

過酷な船旅を終え、猫猫たちは二度目の西都に到着した。
・前回訪れた時よりも暑さが厳しく、同行者たちはその気候に苦しむこととなった
・一行は西都の有力者である玉袁(ギョクエン)の別邸を拠点として活動を開始した
・別邸は乾燥した戌西州にありながら緑豊かで水分に恵まれた居心地の良い場所であった
・猫猫とやぶ医者は壬氏の専属として注意を払いながら任務に務めることになった

農村視察と迫り来る蝗害

壬氏の命により、西都の農村部への視察と蝗害(飛蝗の大量発生)対策が本格化した。
・羅半(ラハン)兄の奮闘:農業指導のため同行していた羅半兄は、二か月以内に全地区で秋耕を教え、甘藷(芋)の栽培を開始するという重責を担い奔走した
・風読みの民と過去の蝗害:視察中に出会った老人の念真(ネンシン)から、50年前に風読みの民を滅ぼした結果として大規模な蝗害に見舞われた過去を聞かされることとなった
・飛蝗の襲来と猫猫の活躍:麦の収穫中に飛蝗の大群が襲来したが、猫猫は強力な殺虫剤を作り出して駆除に貢献した
・村人から毒のねえちゃんと呼ばれるようになり、陸孫(リクソン)も麦の早期収穫を主導して被害を最小限に抑えることに成功した

怪異飛頭蛮と風読みの民の謎

西都の屋敷周辺では、夜空に白い面や女の首が浮かぶ飛頭蛮(ひとうばん)という怪異の噂が広がっていた。
・猫猫と天祐(テンユウ)が調査した結果、正体は夜行性の鳥である面梟(メンフクロウ)であることが判明した
・梟を回収しようとしていた不審な少女の庫魯木(クルム)を捕らえたことで、彼女の曽祖父が風読みの民であることが発覚した
・猫猫は風読みの民の技術が現在も生き残り、一部の勢力によって情報伝達に利用されていると推測して事件の謎に迫った

複雑な政治状況とそれぞれの思惑

西都は現在、玉袁の息子である玉鶯(ギョクオウ)が仮の領主として実権を握り、西都を発展させる野心を抱いている。
・壬氏の苦悩:飛蝗襲撃後、壬氏は西都の事態に対して自ら動けず、玉鶯の手柄になる状況に甘んじて疲弊していた
・猫猫の決意:猫猫は疲弊する壬氏を心配し、彼を支える決意を新たにした
・玉葉后の暗躍:都に残る玉葉后は、父である玉袁の利益のために西都の混乱へ介入する準備を開始した
・彼女は鳩を使って『御心のままに』とだけ記した手紙を送り、西の地のために行動を起こす強い覚悟を見せた。

まとめ

二度目の西都行は、目前に迫る自然災害である蝗害との戦いと、風読みの民の残影、そして西都の支配権を巡る権力闘争が複雑に絡み合う過酷な遠征となっているのである。

飛蝗の襲来

西都の農村部を襲った飛蝗の襲来(蝗害)と、猫猫(マオマオ)や陸孫たちによる決死の対応について解説する。

迫り来る脅威と緊急の収穫作業

猫猫と陸孫が農村の視察に訪れていた際、農業指導に出ていた羅半兄から手紙が届いた。それは線と乱雑に塗りつぶされた部分だけで構成されており、猫猫はこれが飛蝗の大群(蝗害)の接近を意味する警告であると直感した。

・当初、村人たちは猫猫の警告を真剣に受け止めていなかった
・過去の蝗害の恐ろしさを知る老人である念真の怒りと、陸孫による麦を相場の倍で買い取るという機転の利いた提案により、村人たちは一斉に収穫を開始した
・この迅速な対応により、わずか二日間で大部分の麦の刈り取りと避難を終えることができた

飛蝗の襲来と激闘

収穫が進む中、ついに飛蝗の大群が村に襲来した。一部の村人はパニックに陥ったが、人々は松明を灯し、家を閉ざして虫の侵入を防いだ。

・馬閃は網で飛蝗を捕殺し、雀は村人を支援した
・陸孫は恐怖に駆られる村人たちを励まし続けた
・猫猫は自身の手を傷つけながらも、飛蝗を駆除するための虫殺しの薬(強力な毒薬)をひたすらに作り続けた

天の恵み「雹」と事態の収束

飛蝗の襲撃が最も激しさを増した時、空から突如として雹(ひょう)が降り始めた。この雹と急激な冷え込みによって飛蝗の動きは劇的に鈍化し、被害の拡大を食い止める決定的な要因となった。

・猫猫はこれを天の恵みと捉えて雹乞いをしていたが、自らの頭に雹を受けて気絶した
・丸一日経って目覚めた猫猫は、自分が気絶している間に、作った殺虫剤で飛蝗が駆除され村が守られたことを知った
・この活躍により、彼女は村人たちから親しみと畏敬を込めて毒のねえちゃんと呼ばれるようになった

西都への帰還と背後の思惑

その後、猫猫たちは西都へと帰還したが、農村での結束した対応とは異なり、西都の街は飛蝗に対する恐怖に支配されていた。

・未曾有の危機に対し、壬氏はあえて自らは動かず西都の有力者である玉鶯の手柄になるように立ち回るなど、複雑な政治的駆け引きが展開された
・都にいる玉葉后も西での蝗害発生の知らせを受け取り、西の地のために自分ができる行動を起こす決意を新たにした

まとめ

このように、一人の少年の記憶から始まった調査は、猫猫たちの地道なデータ収集と奇策、そして壬氏の現場での発見と決断によって、国を救うための具体的な対策へと結びついていったのである。

農業指導と対策

西都およびその周辺地域に迫る蝗害(飛蝗の大量発生)の危機に対し、壬氏(ジンシ)たちは事前予防と事後対策、さらには抜本的な食糧問題の解決に向けた多角的な農業指導と対策を実行した。その一連の取り組みと経緯について解説する。

羅半兄による農業指導と秋耕の徹底

蝗害から農作物を守り被害を最小限に抑えるため、農業に深い知識を持つ羅半兄が西都へ派遣された。

・壬氏は羅半兄に対し、2ヶ月の間に全農村地区を回り、秋耕と芋の栽培を開始させる任務を命じた
・秋耕によって地中に産み付けられた飛蝗の卵を掘り起こし、次世代の発生を抑制する施策を徹底した

・現場では土の状態を確認し、麦踏みの重要性などを力説する実践的な指導を行った
・かつての祭事が害虫駆除の知恵であったことを再発見し、村人に農業の重要性と害虫駆除の必要性を再認識させた

馬閃と里樹妃による家鴨の飼育

害虫駆除の自然な手段として、家鴨(舒鳧)の導入が行われた。

・馬閃は家鴨の飼育という密命を受け、紅梅館にて里樹から孵化や飼育の技術を学んだ
・育成された家鴨は農村へ配布され、飛蝗を食べる益鳥として蝗害対策に大きく貢献した

甘藷の普及と罪人の労働力活用

蝗害による飢饉への抜本的な対策として、痩せた土地でも栽培可能な甘藷(芋)の導入が進められた。

・羅半の実父が北の地で成功させた栽培実績を基に、食糧危機の切り札として位置づけた
・大規模な栽培を迅速に進めるため、壬氏は罪人を労働力として動員する現実的な計画を実行に移した

蝗害襲来時の緊急対策

実際に飛蝗の大群が襲来した際、被害を最小限に抑えるための即応的な対策が展開された。

・文官の陸孫は麦を相場の倍で買い取る報酬を提示し、飛蝗に食い尽くされる前に早期収穫を完遂させた
・猫猫は不眠不休で強力な殺虫剤(毒薬)を製造し、飛蝗の徹底的な駆除に当たった

・急激な冷え込みを伴う雹(ひょう)が降った好機を逃さず、製造した殺虫剤を用いて被害の拡大を食い止めた
・猫猫は去り際に殺虫剤の作り方を村へ伝授し、継続的な対策を可能にした

まとめ

一連の活動は、単なる軍事的な討伐ではなく、土壌改良から新手法の導入、家畜による駆除、そして化学的な薬剤製造に至るまで、現場の知恵と科学的な知識を総動員したものであった。これらの多層的な農業対策が、結果として西都の地を壊滅的な危機から救うことになったのである。

風読みの民

風読みの民の歴史的な悲劇、彼らが保持していた特殊な技術、そして現在に及ぼす影響について解説する。風読みの民は過去に滅んだ悲劇の部族であると同時に、彼らが残した技術が現在の政治状況や国家間の陰謀に深く関わっている。

風読みの民の定義と50年前の悲劇

風読みの民とは、かつて草原の祭祀を任されていた特別な部族であり、本来は他者が手を出してはならない不可侵の存在であった。

・50年前に略奪を副業とする武闘派の盗賊部族が、族長の息子の身勝手な欲望を満たすために襲撃を行った
・この襲撃によって風読みの民の成人男性は全員殺害され、部族としては滅亡したとされていた
・生き残った女性や子どもたちは奴隷として売り払われるという凄惨な結末を迎えた

禁忌を破った代償と蝗害

風読みの民を滅ぼした盗賊部族は、その暴挙の報いを受けることになった。

・襲撃の後、彼らは数え切れないほどの飛蝗の大群である蝗害に襲われ、食糧を食い尽くされた
・飢えに苦しんだ部族は分裂し、生き残った者たちは戌(イヌ)の一族の農奴となった
・彼らは風読みの民が行っていた祭事を不完全な形で代行させられたが、その祭事は本来、農地を豊かに保ち害虫を駆除するための農業の知恵であった

現代における風読みの民の末裔の発見

完全に滅んだと思われていた風読みの民であったが、西都で起きた飛頭蛮(ひとうばん)という怪異騒動をきっかけに、その血と技術が受け継がれていることが判明した。

・夜空に白い面が浮かぶという怪異の正体は、長年飼育されていた面梟(メンフクロウ)であった

・この面梟を回収しようとして捕らえられた庫魯木(クルム)という少女により、彼女の曽祖父が風読みの民であったことが語られた

受け継がれた鳥を操る技術と暗躍の可能性

風読みの民には、鳥を育ててそれを使った連絡手段を持つという高度な技術があった。庫魯木の家族は現在もその技術を継承し、鳥を育てて権力者に売ることを生業としていた。この事実から、以下の推測が導き出される。

・鳥を使った情報伝達技術の有用性から、戌の一族などの権力者によって密かに保護・利用されている可能性が高い
・事件の裏で暗躍していた白娘々(白い仙女)が鳩を使った伝達を行っていたことも、この技術の流出と繋がっている可能性がある
・西都の農村視察中に起きた陸孫たちの襲撃事件も、この特殊な伝達手段が利用された結果であると考えられる

まとめ

風読みの民は、歴史の表舞台からは消え去った悲劇の部族である。しかし、彼らが独自に発展させた鳥を操る諜報技術は、今なお国家間の権力闘争や陰謀の道具として生き続けている。猫猫がこの技術の生存を突き止めたことは、事件の背後にある大きな謎を解明する上で極めて重要な意味を持っているのである。

里樹と馬閃

里樹(リーシュ)と馬閃(バセン)の関係性の発展と、未来への約束に至るまでの軌跡を解説する。

出会いと最初の救出劇

二人の間に特別な繋がりが生まれる最初の大きな契機となったのは、一度目の西都遠征で行われた宴での出来事である。

・宴の最中、香水の強い香りに引き寄せられた巨大獅子が暴走し、里樹に迫る絶体絶命の危機が発生した
・馬閃が鉄格子を武器にして獅子を撃退し、里樹を見事に救い出した
・この出来事を通じて、里樹と馬閃は一瞬、特別な感情を交わしたような雰囲気に包まれた

塔からの落下事故と決死の救出

その後、都に戻った後宮で、里樹は不義の嫌疑をかけられ塔に軟禁されてしまう。幻覚に苛まれ、ついに塔の最上階から落下してしまった彼女を救ったのも馬閃であった。

・西都の宴の一件から里樹に恩義や特別な思いを抱いていた馬閃は、自身の危険を顧みずに飛び降り、彼女を抱きかかえて救出した
・馬閃自身は大きな怪我を負いながらも里樹の命を救い、この勇敢な行動により里樹は彼に対する認識を大きく改めることとなった
・馬閃はこの功績によって帝から任意の褒賞を与えられるに至った

紅梅館での再会と新たな絆

塔の事件後、里樹は帝の命により出家し、後宮を去ることとなった。

・二度目の西都遠征に向けた準備が進む中、馬閃は家鴨(舒鳧)の飼育を学ぶため紅梅館を訪れ、そこで里樹と再会した
・後宮の重圧から解放された里樹は、自分の居場所を見つけて精神的に成長しており、馬閃に家鴨の孵化方法を教える立場となっていた
・家鴨の飼育という共同作業を通じて、二人はこれまでにない新たな絆を築いていくこととなった

互いの成長を誓う未来への約束

紅梅館での日々を経て、馬閃は里樹に対し共に西都へ行こうと提案した。しかし、二人のやり取りは以下のような結末を迎える。

・里樹は、自身がまだ成長途中であることや馬閃の任務を考慮し、同行の提案を断った
・その代わり、彼女は次に馬閃が紅梅館に来る時にはもっと自信を持っている自分でいたいと語り、彼を待つことを希望した
・馬閃も、任務から戻る時には彼女が頼りにできるような男になることを固く誓い、二人は再会を約束した

まとめ

里樹の自立した願いを受け、馬閃もまた彼女を支えるに相応しい人間になることを決意した。姉の麻美からも想いを伝える重要性を諭された馬閃は、任務への決意を新たにするとともに、里樹との未来に強い希望を抱いて西都へと出立したのである。

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キャラクター紹介

猫猫

薬草や生薬に強い関心を持つ少女である。鋭い洞察力を持ち、周囲で起きる事件や怪異の正体を冷静に分析する。壬氏の専属的な治療担当として、二度目の西都訪問に同行した。

・所属組織、地位や役職
 医官付官女(医局所属)。

・物語内での具体的な行動や成果
 農村を視察し、祭事が農業上の知恵であることを突き止めた。屋敷に出没した「飛頭蛮」の正体が面梟であることを推理した。蝗害の兆しを察知し、村人と共に殺虫剤を製造した。飛蝗の襲撃時には、自作の毒薬を用いて駆除にあたった。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 殺虫剤製造の際に、手に深い傷痕が残った。村人からは「毒のねえちゃん」と呼称されている。

壬氏

皇弟の地位にあり、西都の情勢を調査するために遠征を行っている。猫猫を深く信頼しており、彼女に医療面や調査面での協力を仰ぐ。自身の立場による政治的な重圧を感じつつも、民のための施策を講じる。

・所属組織、地位や役職
 皇弟(月の君)。

・物語内での具体的な行動や成果
 脇腹に負った火傷の治療を猫猫に任せた。馬閃に対し、蝗害対策としての家鴨飼育を命じる。羅半兄を抜擢し、広範囲な農業指導と秋耕を指示した。西都の混乱に対し、政治的な影響力を考慮して慎重に行動した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 猫猫の助言を受け、権力者としての自覚を新たにする。玉鶯との関係を考慮し、手柄を譲る形を取りつつ事態の収拾を図った。

陸孫

西都の実務を取り仕切る有能な文官である。かつては羅漢の部下であった経歴を持つ。領主の玉鶯からの信頼も厚いが、自身の過去に対して複雑な感情を抱えている。

・所属組織、地位や役職
 西都の文官。

・物語内での具体的な行動や成果
 農村地区の状況を直接確認するために現地調査を行う。蝗害の警告を受け、麦を倍値で買い取ることで迅速な収穫を促した。飛蝗の襲来時には、パニックに陥る村人たちを励まし続けた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 過去に家族を失った悲しい背景が明かされた。猫猫に対して冗談交じりの求婚の言葉をかけた。

壬氏に仕える侍女であり、馬良の妻である。明るく飄々とした性格だが、高い隠密能力と計算高い一面を併せ持つ。猫猫を「猫猫さん」と呼び、行動を共にする。

・所属組織、地位や役職
 壬氏付の侍女、連絡員。

・物語内での具体的な行動や成果
 盗賊を誘い出すための囮として猫猫を利用し、事態を解決した。農村視察の際に交渉を有利に進めるための工作を行った。飛蝗の襲撃時には村人の避難や支援を迅速に提供した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 西都において各所との連絡係を担う。猫猫に対し、西都の裏側について口を閉ざすよう釘を刺した。

馬閃

壬氏の護衛を務める武官である。実直な性格で、壬氏の命令には忠実である。身体能力が非常に高く、荒事の解決において力を発揮する。

・所属組織、地位や役職
 武官。壬氏の護衛。

・物語内での具体的な行動や成果
 蝗害対策のために家鴨の舒鳧(じょふ)を飼育する任務を遂行した。農村視察中に襲撃してきた盗賊を素手で制圧した。飛蝗の群れを網で捕獲し、直接的な駆除に貢献した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 紅梅館にて元妃の里樹と再会した。里樹に対し、自身が頼れる男になって戻ることを誓った。

里樹

後宮を去り、現在は紅梅館で生活している。家鴨の世話を通じて自身の役割を見出し、精神的な成長を遂げている。過去の経験から臆病な面もあったが、自立への道を歩んでいる。

・所属組織、地位や役職
 元妃。紅梅館の住人。

・物語内での具体的な行動や成果
 馬閃に対し、家鴨の孵化や飼育の方法を教えた。西都への同行の誘いを断り、自身の居場所で努力することを決めた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 後宮の権力争いから離れ、平穏な生活を送っている。

羅漢

軍部を統べる高官であり、猫猫の実父である。特異な性格と高い知能を持ち、周囲を翻弄することが多い。かつての部下である陸孫と再会し、変わらぬ振る舞いを見せた。

・所属組織、地位や役職
 軍部高官(太尉)。

・物語内での具体的な行動や成果
 公所において陸孫と再会した。特定の揚げ饅頭を欲しがり、陸孫を困惑させた。西都への訪問の際、壬氏より先に現地へ到着していた。

羅半兄

羅半の実兄であり、農業に関する深い知識と技術を持っている。真面目な性格だが、壬氏や羅半からの過酷な要求に常に振り回されている。

・所属組織、地位や役職
 農業指導員(正式な官職は不明)。

・物語内での具体的な行動や成果
 西都の農村において秋耕や麦踏みの重要性を指導した。各地を巡回し、土壌の状態や作物の生育を確認した。飛蝗の発生を察知し、乱雑な記述の書状で緊急事態を知らせた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 壬氏の命令により、二か月という短期間で広範囲の農業指導を任された。

念真

農村に住む老人である。かつては略奪を行う部族の一員であったが、現在は農奴として土地を守っている。

・所属組織、地位や役職
 村の老人。

・物語内での具体的な行動や成果
 過去に風読みの民を襲撃したことで招いた蝗害の恐怖を語った。猫猫たちに対し、古くからの祭事の意味を伝えた。蝗害の警告を信じない村人たちに対し、自身の経験をもとに激しく叱責した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 風読みの民の祭事を代行する「生贄」のような立場を自認している。

庫魯木

西都の屋敷の周囲に潜んでいた少女である。面梟(めんふくろう)を飼育し、操る技術を持っている。

・所属組織、地位や役職
 風読みの民の末裔。

・物語内での具体的な行動や成果
 逃げ出した面梟を捕まえるために仮面をつけて屋敷を徘徊した。猫猫に対し、風読みの民の技術や歴史について語った。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 鳥を使った連絡手段や鷹狩りの伝統を継承している。

玉葉

帝の后であり、現在は二児の母として後宮の権力を握っている。常に笑顔を絶やさず、政治的な立ち回りに優れている。

・所属組織、地位や役職
 后(皇后に近い立場)。

・物語内での具体的な行動や成果
 姪の雅琴を迎え、彼女が後宮の争いに巻き込まれないよう配慮した。西都での蝗害の報を受け、壬氏へ「御心のままに」との手紙を送った。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 父親である玉袁の期待と、自身の役割の狭間で決意を新たにしている。

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備忘録

序話

鈴の音と共に馬車から降りてきたのは、玉葉と同じ赤毛を持つ娘、雅琴である。彼女は玉葉の姪で、紗を頭にかけ、絹の衣を纏っていた。玉葉に仕える侍女の一人、黒羽が後ろから心配そうに声をかける。玉葉は后として特別に外出許可を得て姪を迎えた。
雅琴は玉葉に敬意を表し、玉葉は彼女を優しく迎え、食事の好みを尋ねる。雅琴の来意は不明だが、玉葉にとっては重要ではない。雅琴が警戒している様子を見せたが、玉葉は保湿剤を用いて彼女の不安を和らげようとする。玉葉の仕事は常に笑顔を絶やさないことであり、たとえ相手にどのような意図があろうとも、彼女は温かく迎え入れる決意を固めている。

一話 二度目の西都

猫猫は馬車の外を見ながら西都への二度目の訪問を振り返る。前回訪れたときよりも暑く、同行者も暑さに苦しんでいる。雀から柑橘類の皮を入れた水をもらい、渇きを癒やす。雀は猫猫に西都の案内をすると約束し、猫猫は地元の生薬や植生に興味があるが、壬氏に注意を払う必要があると感じている。馬車は大きな屋敷に到着し、公所であることが明らかになる。楊医官と他の医官たちが待っており、分担が決められる。猫猫とやぶ医者は特に注意を払うべき壬氏の担当となる。街並みを進む中、陸孫という人物と遭遇し、短い会話を交わす。陸孫は遠出からの帰りで、西都の農村から来たと推測される。最終的に、猫猫は自分の仕事に集中することを決意する。

二話 上司と元上司

陸孫は公所にある自室に戻り、砂と泥で汚れた服を脱ぎながら、元上司との再会について考える。以前、農村の見回りをしたいと提案しており、玉鶯から許可を得たばかりであった。しかし、都からの客人たちの来訪が予定より早まり、羅漢とその娘である猫猫との予期せぬ再会があった。羅漢が来ることを知り、陸孫は若干の面白みを感じつつも、その再会に驚く。羅漢の下で働いていた頃の記憶が蘇り、羅漢の特異な性格に改めて苦笑いする。
身体を拭く間もなく、練り香で汗の臭いをごまかし、広間へと向かう陸孫は、羅漢と音操という過去の同僚に遭遇する。羅漢は変わらぬ様子で食事を楽しんでおり、音操はそのわがままに対応している。陸孫は羅漢から六六飯店の揚げ饅頭を求められ、その特定に苦労しつつも、羅漢の記憶を頼りに答えを出す。一方で、音操とのやり取りの中で、西都に馴染んだ陸孫の変化に気付かれるが、玉鶯がそれを軽く受け流す。
陸孫はこの不意な再会と、羅漢の性格の変わらないことに内心で複雑な感情を抱きつつも、周囲には平静を保とうと努める。羅漢の要求する揚げ饅頭に関する会話は、陸孫にとって苦い思い出となり、この状況をどう乗り越えるかを考えさせられる出来事となる。

三話 別邸と忘れられた男

玉袁の別邸は緑豊かで居心地が良い場所であり、西都が位置する戌西州にもかかわらず草本類が生えるほど水分がある。猫猫、やぶ医者、天祐、李白の一行は別邸に到着し、医務室に案内される。そこは礼拝堂のような離れで、以前は信心深い人が住んでいた可能性がある。荷物の整理を優先することにし、外の探索は後回しになる。羅半兄が間違って持ち込んだ甘藷の荷物と遭遇し、彼との再会がある。羅半兄は農業指導のため西都に来ており、羅半の実父が北の地で甘藷の栽培実験をしていることが明かされる。猫猫は羅半兄と共に農村部へ出向くことを計画し、壬氏から許可を得る。
猫猫は壬氏の脇腹の具合を診ることになり、新たに作った軟膏を使用することに。壬氏は馬閃が到着次第、猫猫の護衛として農村部へ同行することを提案し、高順はそれまでの準備期間を提案する。戌西州では蝗害の報告がなく、壬氏と高順は飛蝗の駆除に関する対策を検討している。猫猫は農村部での調査と蝗害の有無の確認に向けて準備を進めることになる。

四話 馬閃青春記 前編

馬閃は月の君から家鴨の飼育を密命として受け、その任務に就く。当初は疑問に思いながらも、家鴨の飼育が国の憂いを減らすための施策であることを知り、紅梅館での飼育方法を学ぶことになる。紅梅館では、家畜の飼育を通じて不老長寿を目指す道士たちが活動しており、馬閃はここで家鴨の飼育について学ぶことに。意外にも、紅梅館で馬閃はかつての妃であった里樹と再会する。里樹は後宮から追放された後、紅梅館で家鴨の世話をしており、馬閃に家鴨の孵化方法を教えることになる。
里樹は現在の状況に満足しており、自分の居場所を見つけている様子を見せる。馬閃は里樹の変化に戸惑いつつも、彼女が選んだ生き方を尊重することに。家鴨の飼育を通じて、馬閃は里樹との間に新たな絆を築くことになる。

五話 馬閃青春記 後編

馬閃は、家鴨の飼育と配布を通じて農村の蝗害対策に貢献する任務を続けてきた。その過程で、かつての妃であった里樹と再会し、彼女が紅梅館で家鴨の世話をしていることを知る。里樹は後宮から追放された後、自分を取り巻く状況と自分自身について深く考え、紅梅館での生活を通じて成長していく。馬閃は里樹に対し、共に西都へ行くことを提案するが、里樹は自身がまだ成長途中であること、そして馬閃が月の君の護衛としての任務を最優先すべきだと考え、その提案を断る。
しかし、里樹は馬閃が次に紅梅館に来る時には、もっと自信を持っている自分でいたいと願い、その時まで待つことを希望する。馬閃は、自分が任務から戻る時には、里樹が頼りにできるような男になることを誓い、二人は再会を約束する。
馬閃の姉、麻美からは、自分で相手を選び、想いを伝えることの重要性を諭される。馬閃は、里樹の成長を待ち、自身も成長することを決意し、西都への出発を前にして里樹との未来に希望を抱く。

六話 農村視察 前編

馬閃が西都に到着したのは、猫猫たちの到着から三日遅れで、肩には家鴨の舒鳧が乗っていた。
猫猫と雀は農村視察に向かうが、途中で盗賊に襲われる。馬閃は盗賊を素手で倒し、猫猫は盗賊が襲ってきた理由を雀が仕組んだと推理する。雀は、盗賊を誘い出すために猫猫たちを囮に使ったことを認め、猫猫は雀の計画に気づいていた。
農村に到着後、彼らは村長からの案内で定住用の天幕に宿泊する。
雀は村長との交渉で案内役の一人が盗賊とつながっていたことを暴き、猫猫と雀は盗賊に襲われた経緯とその対応について話し合う。夜、雀は山羊を交渉材料として使うために塩を準備し、猫猫に休むように言い残して天幕を出る。この物語は、馬閃、猫猫、雀の三人が農村視察という任務の中で直面するトラブルと、彼らがそれにどう対処するかを描いている。
馬閃の力強さ、猫猫の機転、雀の策略が物語の進行に大きく貢献している。

七話 農村視察後編

羅半兄が農村の畑で土の状態を確かめている場面から物語は始まる。農家の朝は早く、羅半兄はすでに畑で土を触り、その質を確認していた。畑では麦が芽吹いており、羅半兄は土の状態が悪くないと評価する。雀が加わり、朝食について話をする中、羅半兄は種芋を食べることを阻止する。農作業の話をしつつ、彼らは畑の視察を続ける。その後、馬閃、羅半兄、猫猫は朝食を取り、農作業の方法について話し合う。特に麦踏みの重要性について羅半兄は力説するが、馬閃は農業に対しての理解が乏しい。食事の後、猫猫たちは村内を散策し、農作業の状況や村人の生活について観察する。
物語の後半では、念真という老人が登場する。彼は陸孫によって耕された畑の話をするが、詳細は曖昧に留める。念真の家を訪れた猫猫たちは、彼が何者であるかを推理し、最終的に猫猫は彼を「生贄」と呼ぶ。この呼称に対して念真はある程度の納得を示し、過去の話を始めることに同意する。

八話 老人の昔話

五十年前、遊牧民の一人であった老人は、武闘派で盗賊の部族に生まれた。彼らは略奪や人身売買を副業としていた。老人は若い頃から強奪に加わり、部族全体に傲慢が蔓延していた。ある日、族長の息子が風読みの民の娘を欲しいと言い出し、部族は風読みの民を襲う。この民は草原の祭祀を任される存在で、普通は手を出してはならないが、老人たちの部族はこれを破った。
襲撃の結果、風読みの民の成人男性は全員殺され、女性は一部が残され、子どもたちは奴隷として売り払われた。この暴挙により、老人の部族は災厄を招く。ある時、数え切れないほどの大量の飛蝗が彼らを襲い、食糧を食い尽くした。飢えに苦しむ中、部族は分裂し、老人は農奴として生きることになる。
老人は戌の一族によって農奴にされ、風読みの民の祭事を代行するが、不完全な形でしか行うことができなかった。その後、戌の一族がいなくなり、農奴たちは解放されたが、老人は二度と飛蝗に襲われたくないという理由で村に残った。

九話 祀と祭

念真という人物が主人公の物語は、過去に遡ること五十年前、彼らの部族が風読みの民を滅ぼし、それによって大規模な蝗害が起きたという出来事を背景に持つ。
念真自身も風読みの民の代わりに農奴となり、生涯を通じて祭事を行う羽目になった。ある日、猫猫と馬閃、羅半兄が念真の話を聞くことになり、秋耕と害虫駆除の重要性について議論する場面が描かれる。
物語は、念真と他の登場人物たちが、過去の行いの結果として起きた蝗害とどう向き合うか、そして土地を豊かに保つためにどのような行動を取るべきかを模索する過程を描いている。
特に、農地の耕作や害虫の駆除が重要なテーマとなり、昔の祭事が実は農業の知恵であったことが明らかにされる。
猫猫たちは、念真の助けを借りて祭事を現代の村で再現することになり、祭事を通じて地域社会に農業の重要性を再認識させる。
この過程で、村の人々は祭事の意味を理解し、自らの行動を見直すことになる。しかし、物語は念真の過去の行いや、現代の村人たちが直面する問題といった、重いテーマも含んでいる。
最終的に、猫猫たちの取り組みは、祭事と農業の知識を通じて地域社会を一つにまとめ、過去の過ちを乗り越える一歩となる。
物語は、人々が互いに協力し合い、より良い未来を目指すことの大切さを示して終わる。

十話 結果報告

宦官であるやぶ医者が開く茶会と、そこに集まる異色の参加者たちを描いている。主人公の猫猫は医務室に帰ってきたばかりで、そこで天祐や李白と共に茶を飲みながら近況を報告し合う。猫猫の部屋はやぶ医者によって少女向けの装飾が施されており、彼女はその変化に戸惑う。後に、猫猫は壬氏の治療を行い、農村訪問の報告と感想を共有する。壬氏と猫猫は風読みの民や戌の一族について話し合い、西都での生活や政治的な動きについても触れる。物語の最後には、猫猫と雀が夜の屋敷で謎の白い面、飛頭蛮を目撃するという怪異の要素も盛り込まれている。

十一話 飛頭蛮 前編

飛頭蛮の出現は約二か月前から報告されていた。最初に目撃したのは仕事を終えた下男で、月明かりの中で白い面が浮かんでいるのを見た。その後も、屋敷の周囲で奇妙な面や女の首が飛んでいるとの報告が相次いだ。猫猫はこの話を医務室で他の者たちと共有し、李白も飛ぶ顔の話について相談されていたことを明かす。翌日、猫猫は天祐と共に飛頭蛮が出た場所を調査し始める。調査の結果、不気味な顔をした梟を捕獲することに成功する。梟は白く丸い顔をしており、暗がりでは白い面が浮かんでいるように見えた。しかし、そのサイズは予想よりも小さかった。
壬氏はこの騒動に気づき、猫猫たちに事情を聞く。猫猫は飛頭蛮の正体が梟であると説明し、壬氏はより詳しい話を聞くことを望んだ。天祐は猫猫の医学的知識を尊重し、一緒に調査に加わったことを説明するが、壬氏の反応は冷ややかだった。結局、飛頭蛮の正体は特定の梟であり、その不気味な外見が怪異の原因とされたが、全ての謎が解明されたわけではない。

十二話 飛頭蛮 後編

壬氏たちが捕獲した鳥、すなわち「飛頭蛮」の正体を調査するために壬氏の部屋で話し合いが行われた。猫猫は、この鳥が怪異の正体だと思った理由を説明し、夜行性の肉食鳥であることから「面梟」と推測した。面梟は、黒っぽい羽毛を持ち、夜の闇に紛れやすい特徴がある。また、人の目は点が並んでいると顔に見える傾向があり、夜に浮かぶ「面」の正体はこの面梟であると結論付けた。
天祐は、面梟のサイズが小さすぎると指摘するが、猫猫は人間の目の錯覚を説明し、さらに、面梟が慣れ親しんだ人間から鶏肉を食べる様子から、長年飼育されていたことを示唆した。猫猫は、面梟を育てた人物が変なお面をつけていた不審者である可能性が高いと考え、その人物が梟の育て手であると結論づけた。
猫猫の推理によると、この梟は都への献上品として用意されていたが、何らかの理由で逃がされた可能性がある。その後、梟を再び捕獲しようとした人物が不審者であり、梟の育て手であることが示唆された。この不審者の捕獲に成功し、猫猫たちはその人物に会うことになった。

十三話 風読みの民

猫猫は雀に案内され、捕らえられた不審者、庫魯木と対面する。庫魯木は十歳前後の女児であり、西都ではなく華央州の人種の特徴を持つ。彼女は、逃げた鳥、面梟を捕まえようとしており、そのために変装していた。猫猫たちは庫魯木から、彼女が鳥を育てていた経緯や、鳥が売られた事情を聞き出す。庫魯木は、鳥を野生に返すつもりで育てていたが、父親によって売られてしまったと説明する。
猫猫は庫魯木に、風読みの民について尋ね、庫魯木は自分の曽祖父が風読みの民であったこと、彼らが滅ぼされた後も鳥を育てる伝統が残っていたことを話す。庫魯木はまた、彼らが鳥を使った連絡手段を持っていたこと、鷹狩りをしていたことも明かす。彼女の家族は現在は鳥を育てて金持ちに売ることを生業としており、庫魯木自身も鳥の扱いに長けている。
庫魯木の話から、猫猫は風読みの民が完全には滅びておらず、その一部が現代にも生き残っている可能性があることを推測する。また、風読みの民の伝統や技術が今もなお何らかの形で継承されていることを示唆する。
最終的に、猫猫は庫魯木に鳥を返し、彼女の父親や玉鶯さまの母上との関係、風読みの民の存在についてのさらなる情報を得ることに成功する。庫魯木の話は、猫猫が持っていた疑問や憶測に対して重要な手がかりを提供し、風読みの民に関する猫猫の調査を一歩前進させる。

十四話 おさらいと可能性

猫猫は壬氏の部屋でお茶会のような形式で、風読みの民についての意見を述べる。猫猫は風読みの民が花嫁狩りや奴隷狩りに遭って滅んだとされるが、実際にはその技術を持つ子孫が生き残っていると推測する。特に、鳥を使った伝達手段が風読みの民の強みであり、諜報活動に利用されていた可能性が高いと述べる。また、生き残った風読みの民は、戌の一族または別の勢力に保護されていたと考えられる。
猫猫はさらに、風読みの民の技術が砂欧に伝わり、そこから白娘々が鳩を使った伝達手段を得た可能性を指摘する。この技術の伝達は、風読みの民が滅びる前、つまり裏切りによるものだったと推測する。
さらに、猫猫は陸孫が農村視察中に賊に襲われた件に言及し、その背後には何らかの意図があったと推測する。雀からは、その賊が陸孫を標的にしたのは、案内人が関与していたことが明らかになる。
最後に、猫猫は天祐という新人医官に対してどのように対応すべきか壬氏に尋ねる。水蓮は猫猫が壬氏とは「行儀見習い」として以前から顔見知りであったと説明して、猫猫の立ち位置に関する問題を解決する。
この議論を通じて、猫猫は風読みの民に関するさまざまな推測を壬氏に提供し、さらに陸孫が関わる事件についても触れ、現状の理解を深めると共に、風読みの民の技術や歴史の影響を探る

十五話 貧乏籤

羅半兄は農業実習から別邸へと帰還し、疲労感を抱えつつ荷物を片付けていた。その時、壬氏が現れ、羅半兄に対して農業に関する深い知識と技術を持っていると褒め、彼に戌西州の農村地区で秋耕や芋の栽培を指導してもらいたいと依頼する。
壬氏はこの仕事をできるだけ早く、特に二か月以内に全ての地区で秋耕を教え、その後芋の栽培を開始することを希望していた。
この依頼は蝗害対策の一環として提案されたものであり、壬氏は使える資源を最大限に活用する意図があった。
羅半兄にとっては非常に困難な任務であったが、壬氏の圧倒的な存在感と要請に対して断ることができず、受け入れるしかなかった。猫猫は羅半兄がこの大仕事をこなすために栄養剤を用意し、サポートを惜しまない様子を見せる。
この出来事は、為政者が国のために前もって対策を講じる重要性と、その過程で生じる犠牲についての複雑な感情を示している。

十六話 つかの間の平穏

猫猫にとって一時的な平穏な日々が続いた。その間、西都で採れる材料で医薬品を作り直し、医療器具を集めるなどの日常業務に加え、変人軍師の訪問や家鴨の卵の出来事などがあった。しかし、この平穏は羅半兄が農業実習のために旅立ってから一月以上が経過し、彼からの手紙を通じて農地の状況が報告される中で、猫猫は壬氏の火傷の治療にも携わっていた。手紙には羅半兄の苦労が伺え、壬氏は鳩を使った情報伝達の便利さを認めていた。
猫猫は麦の収穫時期に蝗害の有無を確認するため、陸孫と共に農村へ向かう。陸孫は蝗害調査の他にも、文官としての雑務や食料備蓄の調査などを理由に現地調査を行っていた。猫猫は、陸孫が農村の状況を直接見る重要性についても質問し、蝗害対策の知識を得たいという彼の意図を理解する。
農村に到着し、麦の収穫と薬草の採取を前にしていたが、その平穏は急報を持ってきた武官によって中断される。武官が渡した羅半兄からの手紙は、線と乱雑に塗りつぶされた部分だけで構成されており、猫猫はそれが蝗害を意味すると直感する。猫猫には以前にも似たような警告があったことを思い出させ、蝗害の兆しを予感させる内容だった。

十七話 災禍 前編

蝗害の警告にもかかわらず、村人たちは猫猫の警告を真剣に受け止めていなかった。しかし、過去の経験から蝗害の恐ろしさを知る念真さんの怒りと、陸孫による麦を相場の倍で買い取るという提案により、村人たちは急いで収穫を始めた。猫猫は炊き出しの準備と殺虫剤の製造を行い、陸孫は麦の収穫を金銭的なインセンティブで加速させた。作業は効率よく進み、大部分の麦が二日で刈り取られた。しかし、その平穏は短命で、飛蝗が近づいていることが明らかになり、猫猫と雀は村中を走り回り、村人たちに警告した。

十八話 災禍後編

収穫が進む中、飛蝗の大群が村に襲来した。村人たちは松明を灯し、家を閉ざして虫の侵入を防ぎ、収穫物を安全な場所に避難させた。馬閃は飛蝗を網で捕まえて殺し、雀は村人に支援を提供した。虫に襲われる中、狂気が広がり、一部の村人はパニックに陥った。陸孫は村人を励まし続けたが、猫猫は虫殺しの薬を作り続けて手を傷つけた。飛蝗の襲撃が最も激しい時、空から雹が降り始め、飛蝗の動きが鈍くなった。猫猫はこの雹を天の恵みと捉え、雹乞いをするが、頭に雹を受けて気絶した。

十九話 爪痕

飛蝗の襲撃後、猫猫は気絶から一日後に目覚め、李白や雀と再会する。村は飛蝗による被害を受けたが、降った雹と冷え込みにより、飛蝗の動きが鈍化。猫猫は気絶中に作った強力な殺虫剤(毒薬)で飛蝗を駆除し、村人たちからは「毒のねえちゃん」と呼ばれるようになる。李白は西都への帰還を提案し、猫猫は残った殺虫剤の作り方を村人に伝授し、準備を整える。
陸孫は飛蝗対策で大きな役割を果たし、彼の過去と家族を失った悲しい背景が明かされる。彼は猫猫に求婚の冗談を言い、雀とのやり取りも軽妙だった。最終的に、猫猫と李白は西都へ帰ることにし、猫猫は殺虫剤作りでできた手の傷痕を残したまま村を後にする。

二十話 確認

猫猫が西都に戻った際、飛蝗の襲撃による混乱の跡を目の当たりにする。西都では飛蝗に対する対応が農村とは異なり、恐怖が支配していた。猫猫は李白と共に壬氏の別邸に到着し、やぶ医者や天祐と再会する。壬氏の別邸では、飛蝗駆除に役立った猫猫の作った殺虫剤(毒薬)について話し合いが行われる。
壬氏は西都の事態に対して何もせず、玉鶯の手柄になるような行動を取っていた。猫猫は、壬氏がまだ行動できる余地があると指摘し、壬氏自身も疲れている様子が見え隠れする。猫猫は壬氏に無理をしないようにと助言するが、壬氏は自分なりの方法で猫猫の心配を払拭しようとする。
最終的に猫猫は、西都での滞在を続けながら、できる限りのサポートを提供することを決意する。壬氏とのやり取りは、彼の人間性や猫猫との関係の深さを示すものであった。

終話

玉葉后は、重鎮の妻たちを招いて茶会を開催していた。茶会の目的は、政治的なつながりを強化することではなく、むしろ穏やかで野心のない妻たちとの親交を深めることにあった。会話の内容は、流行の香りや新しい化粧品についての軽い話題で、政治的な話題は避けられていた。雅琴、玉葉の姪も参加しており、玉葉は彼女を西都から遠く離れた自分の姪として紹介した。雅琴はまだ後宮に入内しておらず、玉葉だけでなく、玉袁からも入内しないように言われていた。玉葉は自分の価値を高め、玉袁の利益になるよう努めている。茶会後、雅琴との会話の中で、玉葉は彼女の心配事に耳を傾け、雅琴が戌西州の現状について尋ねた際には、すぐに情報を提供することを約束した。
茶会の後、玉葉は白羽から戌西州で蝗害が起きたことを知らされる。玉葉は、西都がまだ混乱している中で情報を伝えるために鳩を使うことを決め、『御心のままに』とだけ書かれた手紙を送る。玉葉は自分の役割と父の期待を再確認し、西の地のために何ができるかを考えて行動を起こす決意を新たにする。

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