どんな本?
『薬屋のひとりごと』は、日向夏 氏による日本のライトノベル作品。
中世の後宮を舞台に、薬学の専門知識で事件の謎を解く少女・猫猫(マオマオ)の物語。
小説家になろうで連載されているほか、ヒーロー文庫からライトノベル版が刊行されている。
また、月刊ビッグガンガンと月刊サンデーGXでコミカライズ版が連載されており、2023年にはテレビアニメ化も決定している。
月刊サンデーGXの方が、中華の雰囲気が強く、文化の小さい部分にも気をつけているように感じている。
■ 作品概要
本巻は、毒見業務による重症から回復した医官手伝い・姚の復帰と、変人軍師・羅漢による特定の棋譜(かつての妓女の記録)を再現した「碁の本」の流通から開始される。猫猫は市井で蔓延する有毒な「軽粉・鉛白」を含む白粉を調査し、成分分析と店主の臨床観察から健康被害を特定する。
一方、国政では西方からの「蝗害(こうがい)」が報告され、食糧危機への対応が急務となる。
皇弟・壬氏は軍部との稟議却下や過重な事務処理に直面するが、馬良・麻美の登用による行政権限の適正化を通じて体制を構築する。物語は、羅漢が主催する大規模な碁大会、および園遊会で発生した玉葉后の「銀の簪紛失事件」を経て、最終的に壬氏が皇帝と玉葉后の御前で自らの脇腹に焼き印を押し当てて皇籍離脱の不退転の覚悟を示すとともに、玉葉后の兄・玉鶯による実家からの政治的圧力と孤立が露呈する状況へと到達した。
物語は、羅漢が主催する大規模な碁大会、および園遊会で発生した玉葉后の「銀の簪紛失事件」を経て、最終的に簪の化学的変質プロセスの解明から、玉葉后の兄・玉鶯による実家(西都)からの政治的圧力と孤立が露呈する状況へと到達する。
■ 主要キャラクター
玉葉后: 皇后。兄・玉鶯からの書状に含まれる野心を警戒。園遊会での簪紛失を通じ、自身の置かれた政治的危うさを再認識する。
猫猫: 医官手伝い。毒白粉の中毒調査、雷鳴の物理現象(音速の差)を利用した三つ子の不祥事調査補助、および玉葉后の簪紛失事件における論理的解明を担う。
壬氏: 皇弟、太保。蝗害対策を主導するが、軍事強化の稟議を軍部に却下される。馬良・麻美を登用して事務処理体制を強化し、蝗害被災地の視察を敢行した。巻末では皇帝と玉葉后の前で自らの脇腹に焼き印を押し当て、東宮を脅かさない誓いと皇籍離脱の決意を物理的に証明した。
羅漢: 太尉(軍師)。特定の棋譜(元妓女の記録)の普及を目的とした碁本の出版および碁大会を主催した。軍部の三つ子の調査を叔父である漢羅門へ直接依頼した。
羅半: 羅漢の養子。碁大会の運営管理、および新食材(甘藷)の普及による経済・物資流通の調整を行う。
姚: 医官手伝い。内臓疾患から回復し職務復帰。猫猫の自傷的実験を危惧し、同僚を超えた「友人」としての認識を持つ。
燕燕: 姚の侍女兼同僚。高度な料理技術を有し、姚の健康管理を徹底する。
読んだ本のタイトル
薬屋のひとりごと 8
(英語: The Apothecary Diaries、中国語: 药屋少女的呢喃)
著者: #日向夏 氏
イラスト: #しのとうこ 氏
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あらすじ・内容
シリーズ累計130万部突破! オーディオドラマ化決定! コミック2冊もほぼ同時発売。猫猫の推理が冴えわたる待望の第8弾!
毒で体調を崩した姚が医局勤めに戻れるようになった頃、
猫猫のもとに大量の書物が届いた。
送り主は、変人軍師こと羅漢。
碁の教本を大量に作ったからと、猫猫に押し付けてきたらしい。
興味がないので売り飛ばそうかと考える猫猫の考えとは裏腹に、
羅漢の本によって、宮中では碁の流行が広がっていくことになる。
一方、壬氏はただでさえ忙しい身の上に加えて、
砂欧の巫女の毒殺騒ぎや蝗害の報告も重なり、多忙を極めていた。
そんな中、宮廷内で碁の大会が企画されていることを知った壬氏は、
羅漢のもとに直接交渉をしかけに行く。
開催場所を壬氏の名前で提供する代わりに、
さぼっている仕事をこなすように説得するのだが――。
薬屋のひとりごと8
感想
今回は、姚の療養明けから始まる。
前巻で毒見をして毒に当たった姚は無事に復帰するものの、顔にはまだ黄疸が残っている。
猫猫と燕燕は食事や化粧で少しでも目立たなくしようとするのだが、この三人の空気がもう普通に友人なんだよな。
猫猫本人は認めたがらなそうだけど。
その一方で、変人軍師こと羅漢が出した碁の本が大流行。
宮中でも碁。
街でも碁。
そして最後には、
壬氏VS羅漢。
ただの碁勝負かと思ったら、その先にとんでもない覚悟が待っていた。
猫猫。
これ、いよいよ年貢の納め時じゃないか?
幸せになれよ!!!
……問題は自称父親の変人軍師だけど。
毒から復帰した姚。猫猫と燕燕に囲まれて、もう完全にいい職場じゃないか
姚は仕事へ復帰できるまで回復したものの、まだ黄疸が残っている。
肝臓や腎臓への負担も大きかったようで、今後は酒や塩分を控えた生活。
そこで猫猫が食事を考え、燕燕が全力で世話をする。
燕燕、
相変わらず姚への愛が重い。
でもこの三人のやり取りはかなり好きだ。
猫猫が燕燕から「友人」と認定され、それを聞いた姚が、
「私は?」
となるところも良い。
猫猫、ちゃんと友達増えてるじゃないか。
さらに化粧品を買いに行けば、また事件に首を突っ込む。
安全な白粉を選ぶはずが、店主の爪の異常から以前使っていた白粉に毒物が混ざっていた可能性まで見抜く。
白粉を調べる方法が、
食べて薄餅にする。
なのは猫猫らしいけど。
化粧品だぞ、それ。
そして蝗害も現実になってしまう。
大量の飛蝗が発生し、壬氏は現地まで視察。
死骸を解剖して腹の中に卵が残っていると知り、
「蝗害はまだ終わっていない」
と判断する。
前巻からずっと嫌な予兆として出ていたものが、ついに本格化した。
宮廷の陰謀だけでも面倒なのに、
今度は自然災害まで相手か。
変人軍師、実は人気者だった。碁の強さが普通に化け物級
今回かなり意外だったのが、
羅漢の人気。
猫猫からすると、
変人。
迷惑。
近寄ってほしくない自称父親。
という扱い。
でも世間では全然違う。
羅漢が出版した棋譜本は大人気。
真面目な文官ですら発売日に買いに行きたがる。
その理由も単純で、
めちゃくちゃ碁が強い。
この国で羅漢より強いとされるのは、皇帝の指南役である棋聖くらい。
しかも棋聖相手でも一方的に負けるわけではない。
将棋に至っては誰も勝てない。
……変人軍師、
本当に変人なだけじゃなかった。
いや、軍師なんだから当然なんだけど。
普段の猫猫への絡み方が酷すぎて忘れる。
さらに碁大会まで開催。
表向きは娯楽だが、亡くなった鳳仙との棋譜を残した本からつながっているところを見ると、羅漢なりの供養でもあるのだろう。
猫猫の母親との思い出。
そう考えると、単なる思いつきの大会ではない。
だからこそ羅漢も珍しく本気で楽しんでいたのかもしれない。
壬氏VS羅漢。酒に弱い変人軍師を酔わせれば勝てる……と思ったのに
そしてついに、
壬氏VS羅漢。
壬氏は事前に棋聖から指南まで受けている。
それでも普通に戦えば勝てない。
だから策を使う。
酒に弱い羅漢へ、
酒精入りの菓子を食べさせる。
少しずつ酔わせて思考力を落とし、その隙に勝つ。
皇弟がやる作戦か?w
でも相手は変人軍師。
正攻法では無理。
策としてはかなり壬氏らしい。
しかもちゃんと効いている。
羅漢の手が遅くなり、
壬氏にも勝機が見えてくる。
ところが途中で、
三つ子事件の父親が乱入。
息子が消えた。
指まで送られてきた。
と大騒ぎ。
そのせいで対局は中断。
羅漢はそのまま碁盤へ突っ伏して寝る。
おい。
せっかく酔わせたのに。
壬氏、計画台無しじゃないか。
最終的には改めて対局し、
結局、
壬氏の負け。
ただし羅漢は珍しく感想戦までしている。
壬氏の碁を全否定するわけでもなく、ちゃんと相手として認めている。
羅漢からすれば、
娘に近づく嫌な男。
それでも碁盤を挟めば実力は見る。
変人だけど、この辺はやっぱり軍師なんだなと思った。
皇帝と玉葉后の前で焼き印。猫猫、これもう逃げられないんじゃないか?
そして最後。
ここが全部持っていった。
猫猫は夜中に呼び出される。
そこにいたのが、
壬氏。
皇帝。
玉葉后。
……家族紹介?
いや、
顔ぶれが重すぎる。
表向きなら壬氏は皇帝の弟だから、
皇帝は兄。
玉葉后は兄嫁。
でも実際には壬氏は皇帝と阿多の息子。
だから血縁だけ見れば、
皇帝は父親。
ものすごくややこしい。
その二人を前にして壬氏がやったのが、
自分の脇腹へ焼き印を押す。
玉葉后の敵にはならない。
皇位を望まない。
皇族という立場から離れ、
一人の人間として扱ってほしい。
そう示すための行動だった。
いやいやいや。
やることが極端すぎる。
猫猫もそりゃ混乱する。
でも壬氏が何をしたいのかはかなり分かりやすくなった。
皇位継承から離れたい。
玉葉后とその子どもの敵にはなりたくない。
そして、
猫猫を選びたい。
以前から猫猫は、
玉葉后の敵にはなりたくない。
という趣旨のことを言っていた。
なら自分が皇位から降りる。
そうすれば猫猫を巻き込む障害を一つ減らせる。
壬氏、
本気じゃないか。
猫猫。
もう年貢の納め時では?
ここまでされて、
「私は関係ありません」
で逃げ続けるのはさすがに難しくなってきた。
幸せになれよ!!!
ただし問題が一人いる。
変人軍師。
猫猫を溺愛。
壬氏を嫌っている。
しかも今回、その壬氏がわざわざ碁で挑んでいる。
これ、
次巻は修羅場じゃないか?
皇帝と玉葉后への話は通した。
残る最大の壁が、
猫猫パピー。
壬氏。
碁では負けたけど、
本当の勝負はここからだろ。
最後までお読み頂きありがとうございます。
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考察
ストーリー・プロット
- 導入と日常の変容:
- 原因:羅漢による棋譜教本の大量流通。
- 行動:猫猫が姚の買い物に同行し、市井の白粉を調査。店主の爪に現れた「鉛の縞(鉛毒の兆候)」を観察し、成分分析を行う。
- 結果:禁止された「軽粉・鉛白」混入による健康被害を特定し、販売規制の論理的根拠を補強する。
- 国難の予兆:
- 原因:西方での飛蝗による穀倉地帯の壊滅。
- 行動:壬氏が軍事強化を提案するが、皇太后の影響下にある軍部(大司馬・羅漢)が稟議を却下。
- 結果:壬氏は事務効率化と権限分配のため、馬良と麻美を側近として登用する。
- 論理的解決の提示:
- 原因:女性問題で告発された軍部の三つ子の真犯人特定。
- 行動:羅門(おやじ)が聞き取り調査を実施。光(瞬時)と音(秒速約340m)の到達時間の差、および「夕刻の鐘」という固定的な空間参照点を利用し、各人の証言の矛盾を算出する。
- 結果:次男が現場にいたことを物理的に証明し、権力層の不祥事を暴く。
- 地方視察と実態把握:
- 原因:蝗害被害の実地確認。
- 行動:壬氏が被災村を視察し、飛蝗の死骸を解体。腹部から次世代の卵を発見する。
- 結果:春の孵化を阻止するため、卵が産み付けられた地を焼くという予防的措置を決定する。
- 宮廷の暗流:
- 原因:市井で流行する「渡来物の甘い葡萄酒」の存在を主上から知らされたこと。 行動:かつて猫猫から教わった鉛と葡萄酒の性質を思い出した壬氏に対し、主上が「禁止された毒白粉の鉛を甘味料に転用したのではないか」と指摘し、壬氏が調査に着手した。
- 碁大会の狂騒:
- 原因:羅漢による大規模大会の開催。
- 行動:壬氏が会場として閉鎖中の「白鈴劇場」を提供し、交換条件として羅漢に山積した事務処理の代行を要求する。
- 内廷の危機(簪事件):
- 原因:園遊会での玉葉后の銀の簪紛失。
- 行動:後日、簪が腐食し黒ずんだ状態で戻る。
- 結果:外部からの侵入または身内による脅迫の嫌疑が浮上し、内廷に緊張が走る。
- 碁大会の決着と三兄弟の悲劇:
- 原因:碁大会決勝での壬氏と羅漢の対局、および刑部高官・博文の乱入。
- 行動:猫猫とおやじが持ち込まれた指の爪の変色(鉛中毒)を看破し、三つ子の長男が毒葡萄酒による鉛中毒で錯乱死し、次男と三男が狂言誘拐を企てて指を切断した真相を暴いた。
- 結果:事件解決後、羅漢は壬氏との対局を高く評価し、軍略碁盤を贈って間接的な協力を示した。
- 終幕・不退転の焼き印:
- 原因:帝位継承を巡る周囲の圧力と、玉葉后との対立を回避するための決断。
- 行動:壬氏が深夜に猫猫、主上、玉葉后を呼び出し、二人の御前で自らの脇腹に玉葉后の家紋の焼き印を押し当てた。
- 結果:皇籍離脱の覚悟を物理的に刻み込むとともに、負傷を理由に猫猫を唯一の治療者兼将来の妻として引き寄せる既成事実を作った。
主要な転換点
- 転換点:馬良・麻美の登用と行政体制の構築
- それ以前の状況: 壬氏が名誉職(太保)としての制約により、膨大な雑務に忙殺され政治判断が停滞していた。
- 出来事: 実務能力に長けた馬良と折衝能力の高い麻美が、他部署の仕事を本来の管轄へ突き返す「行政権限の再分配」を断行。
- 変化: 壬氏が実質的な行政権を行使するための体制が構築された。
- 次への影響: 羅漢との劇場提供交渉や、蝗害への迅速な対応が可能となった。
- 転換点:飛蝗の解体と「地を焼く」決断
- それ以前の状況: 蝗害は一時的な天災として処理されていた。
- 出来事: 壬氏が死骸から卵を確認し、被害の継続性を科学的に特定した。
- 変化: 単なる事後処理から、春の孵化を未然に防ぐ予防的措置への目的変更。
- 次への影響: 抜本的な農地改良と食糧備蓄政策への移行。
- 転換点:三つ子のアリバイ崩しと分析能力の提示
- それ以前の状況: 酷似した容姿を持つ権力者の息子たちにより、真犯人の特定が困難を極めていた。
- 出来事: 音速の差を用いた論理的分析により、証言の矛盾を立証。
- 変化: 科学的分析が、権力闘争(高官への牽制)における有効な武器であることを示した。
- 次への影響: 医局の調査能力が軍部・法務関係者に再認識された。
- 転換点:玉葉后の簪紛失事件の解明
- それ以前の状況: 黒ずんだ銀により「后の身辺への侵入」という脅迫が疑われていた。
- 出来事: 硫化反応と物理的溶解現象という科学的事実による真相の提示。
- 変化: 物理的脅迫から、実家(西都)との情報の非対称性が生んだ心理的圧力への認識の変容。
- 次への影響: 西都の兄・玉鶯への不信感と、后の孤立無援な立場の自覚。
主人公を中心とした人物関係の変化
- 猫猫 ⇔ 姚・燕燕: 共同生活、食事、および事件調査を通じて「仕事仲間」から「友人」への認識の変容。燕燕は姚の安全を守る協力者として猫猫への信頼を固める。
- 猫猫 ⇔ 玉葉后: 皇后昇格後も不変の信頼関係を維持。西方の実家(兄・玉鶯)に対する警戒感を共有し、心理的距離が短縮。
- 壬氏 ⇔ 馬良・麻美: 適切な権限委譲による政治的基盤の強化。馬良の事務処理と麻美の政治的折衝により、壬氏の外部交渉能力が向上した。
主人公の認識と周囲の評価
- 猫猫の自己認識: 自身の指や腕の傷を、薬効や毒性を確認するための「必要なデータ収集工程」と極めて客観的に捉えている。
- 周囲の評価: 姚はそれを「自傷行為」として情緒的に危惧するが、壬氏や羅漢はそれを「代替不可能な専門能力」として評価している。
- 具体場面: 自ら腕に傷をつけ軟膏の試作を行う猫猫に対し姚が激昂する場面、および羅漢がおやじ(羅門)を介して難解な物理的アリバイ崩しを依頼する場面。
クライマックス:玉葉后の銀の簪事件
- 発生原因: 園遊会におけるお色直しの際、后が髪を木の枝に引っかけ、特注の銀の簪を紛失した。
- 当初の状況: 紛失した簪が後日、后への貢物の中に紛れて戻ったが、銀は黒ずみ、装飾の石(塩の結晶)が消失。これが不吉な呪詛、あるいは后への身体的脅迫と受け取られた。
- 調査のプロセス: 猫猫は、紛失現場近くにあった園遊会用の大きな鍋(ゆで卵入り)に着目。銀が卵の硫黄成分と反応する「硫化反応」と、塩の結晶が汁の中の水分で消失する「物理的溶解現象」を特定した。
- 真相と決着: 園遊会の鍋に落ちて変質した簪を拾った侍女の黒羽が、西都の異母兄・玉鶯の野心を警戒させるための警告として、あえて脅迫に見える形で玉葉后の貢物の中に忍ばせて返却したことが判明した。
- 直後の結果: 簪の変質自体は偶発的な物理現象であったが、玉葉后はこれにより「身内(兄・玉鶯)からの牽制」と「自身の孤立」を再認識し、猫猫への帰還要請をより切実なものとする。
巻末時点の状況
- 猫猫: 医局での立場を維持。玉葉后からの帰還要請に対し、現在の研鑽環境を優先し保留。
- 壬氏: 継続的な蝗害対応を指揮。羅漢との交渉を成立させつつ、西都(玉鶯)の徴兵等の独自行動に対する警戒を強化。
- 解決した問題: 三つ子の不祥事、簪の腐食の謎、毒白粉による健康被害の特定。
- 継続している問題: 蝗害の再発(地中の卵の孵化)への懸念、西都(玉鶯)と中央(壬氏・主上)間の政治的緊張の増大。
壬氏の皇籍離脱
壬氏(ジンシ)の皇籍離脱への決定的な決断は、彼の強い覚悟を示す劇的な行動によって描かれている。
深夜の密室での衝撃的な行動
ある深夜、猫猫(マオマオ)は壬氏の文によって呼び出され、主上(皇帝)と玉葉后がいる部屋へと案内された。その厳重な場において、壬氏は彼らの目の前で自らの脇腹に自ら焼き印を押すという衝撃的な行動に出る。
焼き印の意味と皇籍離脱の意思
この痛々しい行動は、壬氏が玉葉后に決して逆らうことがなく、彼女の敵にはならないことを決定的に証明するものであった。この行動に込められた意図は以下の通りである。
・壬氏が皇族を離れる(皇籍離脱する)という不退転の決意を物理的に刻み込んだものである
・主上に対し、自分を皇族としてではなく、ただの一人の人間として扱ってほしいと強く申し出た
・自らの身を削ることで、玉葉后に対する忠誠と、将来的な権力闘争への不干渉を証明した
周囲の反応
この予期せぬ過激な決断に対し、主上や周囲の者たちは以下のような反応を見せた。
・主上:驚きつつも壬氏の想いに理解を示した
・猫猫:壬氏の突飛な行動に混乱しながらも、急いで火傷の手当てにあたることになった
・玉葉后:弟のように思ってきた壬氏が自らの身を削ってまで示した証明について、複雑な感情を抱きながら思いを巡らせた
まとめ
このように、壬氏の焼き印という行為は、自らの血筋や立場という縛りから逃れ、一人の人間としての意思を通すための凄絶な覚悟の表れであった。この決断は、宮廷の勢力図や彼自身の運命を大きく変える重要な転換点となったのである。
羅漢の囲碁大会
羅漢(漢太尉・変人軍師)が主催した囲碁大会の目的、背景、当日の様子と結末について解説する。
囲碁大会開催の背景と真の目的
事の発端は、羅漢が作成した碁教本が宮廷内で大流行したことであった。羅漢による大会開催には以下の背景と目的が存在していた。
・表向きの目的は民への娯楽の提供と社会不満の緩和であった
・真の動機は亡き妻である鳳仙との思い出を形にすることにあり、彼女のような鋭い碁を打つ人間の出現を期待していた
・壬氏(ジンシ)も執務室で働く麻美の提案を受けて、政治的影響力を行使するために介入した
・開催場所は当初予定されていた宮中の演習場から、閉鎖されていた白鐘劇院(劇場)へと変更された
大会当日の熱気と猫猫の役割
大会は羅漢の養子である羅半(ラハン)の商才によって運営され、大規模なイベントとして成功を収めた。
・囲碁の対局だけでなく菓子販売などの様々な遊戯が行われた
・猫猫(マオマオ)は麻美の提案による安全管理の一環として、医療の手伝いに駆り出された
・姚(ヤオ)や燕燕(エンエン)と共に裏方として参加者への飲み物作りを担わされたが、猫猫自身はその役割に不満を抱いていた
覆面の男の正体と快進撃
大会の目玉は、勝ち上がった参加者が舞台上で羅漢と対決できることであった。
・ひと際注目を集めていた覆面の男が圧倒的な腕前で勝ち進んだ
・途中で男が覆面を外すとその正体は壬氏であり、会場は驚きに包まれた
・壬氏が大会に執着したのは純粋に羅漢と碁を打つためであった
・この日のために壬氏は、帝から借りた棋聖による厳しい指南を受けていた
決勝戦と予期せぬ事件による中断
最終戦として壬氏と羅漢の対局が始まったが、事態は思わぬ方向へ進んだ。
・羅漢の打つ手が遅いことに気づいた猫猫は、彼が差し入れの酒入りの菓子を食べて酔っていると推測した
・対局の最中に博文という男が息子の失踪と切り落とされた指を持ち込んで乱入し、試合は中断された
・酔いの回った羅漢がそのまま眠り、大会の頂上決戦はうやむやな形で幕を閉じた
まとめ
最終的に、失踪と指の切断にまつわる事件は猫猫や羅門(ルオメン)たちによって解決された。囲碁大会自体は明確な決着を見なかったものの、その後の感想戦において羅漢は壬氏の打ち方を高く評価した。この出来事は、二人の関係性に新たな変化をもたらす重要なきっかけとなったのである。
蝗害の調査対策
物語における蝗害(こうがい・飛蝗の大量発生)の調査と、国家規模で講じられた対策の経緯について解説する。
兆候の発見と初期調査
蝗害調査の発端は、花街の朝餉に出された蝗(イナゴ)を食べた少年である趙迂の言葉であった。
・趙迂が「蝗がすかすかだと不作になる」と語った曖昧な記憶をきっかけに、猫猫は飛蝗の大量発生の兆候に気づいた
・李白の協力を得て、かつて子の一族の砦から虫の図録を持ち出した盗人を捕らえた
・盗人から飛蝗(群生相)と通常の蝗の違いや、砦で蝗害を防ぐ研究が行われていたことを聞き出し、事態の深刻さを確信した
宮廷への警告と図録の解読
猫猫は壬氏に図録を見せ、飛蝗の大量発生を警告した。壬氏や皇帝(主上)もすでに北部農村での被害を把握しており、西風に乗って飛蝗が襲来し、飢饉や暴動によって国が荒れることを深く憂慮していた。
・馬閃を通じて図録が回収されたが、一部が欠けていた
・記録には飛蝗の変化や殺虫剤の調合法、幼虫の駆除策などが記されていたが、抜本的な解決策は見当たらなかった
猫猫の奇策とデータ収集
有効な対策が見つからない中、猫猫は独自の視点から対策を模索した。
・飛蝗を食糧として活用するため、飛蝗料理を宮廷料理として取り入れるという奇策を提案した
・猫猫のもとに飛蝗の死骸が送りつけられる事件が発生したが、これを逆手に取り、劉医官の指示のもとで姚(ヤオ)や燕燕(エンエン)と共にデータ収集に励んだ
・羅半が飛蝗の発生原因や被害の範囲が特定の風の流れに影響されていることを分析し、調査を前進させた
壬氏の現地視察と抜本的対策の決定
図録や机上の調査だけでなく、壬氏自らも蝗害が起こった村へ遠征し、直接現場の視察を行った。
・村長からの報告を受け、飛蝗の大量死骸を調査した壬氏は、死骸の胴体にまだ大量の卵が残っていることを発見した
・これにより、壬氏は蝗害がまだ終わっていないと結論づけた
・春の収穫を守るための予防策として、蝗の卵が産み付けられた地面を広範囲にわたって焼き払い、次世代の飛蝗を徹底的に駆除するという決断を下した
まとめ
一人の少年の記憶から始まった調査は、猫猫たちの地道なデータ収集と奇策、そして壬氏の現場での発見と決断によって、国を救うための具体的な対策へと結びついていったのである。
玉葉后の親族問題
玉葉后(ギョクヨウコウ)が抱える親族問題、特に異母兄である玉鶯(ギョクオウ)との複雑な確執について解説する。
后としての立場と一族の背景
玉葉が正室(皇后)として選ばれた理由の一つには、彼女の父親である西都の有力者・玉袁(ギョクエン)の一族が、他国との良好な関係を築いているという政治的な背景があった。
・玉葉后自身は非常に優れた人柄であるが、親族の動向や腹の内は周囲から警戒される要因となっている
・医官手伝いの姚(ヤオ)などが親族の性質を疑問視するなど、一族への視線は一筋縄ではいかない
・彼女自身も玉袁の娘として後宮に送り込まれたという事実を強く自覚している
異母兄・玉鶯からの差別と確執
玉葉后の親族問題の中心にあるのが、異母兄である玉鶯との対立である。
・玉鶯は、玉葉后が異民族の妾の娘であることを理由に彼女を蔑み、意図的に距離を置いてきた
・玉鶯は玉葉后のことを悪と見なすほどの偏見と嫌悪を持っており、二人の間には深い溝が存在する
玉鶯の野心と身勝手な入内提案
玉葉が皇后という最高位に就くと、玉鶯は手のひらを返すように身勝手な入内の提案を行ってきた。
・自らの娘を後宮に入内させたいという文を送り、自身の影響力を拡大しようと企んでいる
・その娘は玉葉后と同じ赤い髪と緑色の目を持っており、玉鶯は玉葉后の希少な容姿や権力を政治的に利用しようとする野心を抱いている
玉葉后の決断と強い覚悟
玉葉后は兄の底浅い野心を即座に感じ取り、送られてきた娘の絵を破ることでその提案を明確に拒絶した。
・宮廷生活を伏魔殿と捉え、自分の意にそぐわない事態にも立ち向かう冷静さを備えている
・異母兄から悪と見なされていることに対し、自分が悪であるならばそれでいいと割り切る強さを持っている
・兄からの手紙を履で踏みつぶすという、皇后としての苛烈で強い覚悟を見せた
まとめ
猫猫(マオマオ)も、こうした玉鶯と異母兄弟の間の微妙な立場関係に気付いており、玉葉后が身内との間に抱える困難な状況を密かに憂慮している。
このように、玉葉后は華やかな地位を手にする一方で、実家の親族からの差別や政治利用の思惑に晒されている。それらに対して毅然とした態度で立ち向かう彼女の姿勢は、後宮における彼女の強固な地位を象徴しているのである。
キャラクター紹介
皇族・宮廷
玉葉后
東宮と公主の生母であり、宮廷で確固たる地位を築く后である。 彼女は美しく聡明な気質を備えていた。 異母兄である玉鶯の野心的な行動を強く警戒する。
・所属組織、地位や役職 茘の後宮。皇后。
・物語内での具体的な行動や成果 園遊会で自ら意匠設計した塩の簪を着用した。 簪が黒ずんで戻った事件のからくりを猫猫に調査させる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 兄からの強引な入内要請の書状を踏みつぶした。 壬氏が目の前で自傷する姿を目撃して衝撃を受ける。
壬氏(華瑞月)
美しい容姿を持つ宮廷の若き指導者である。 彼は皇弟としての重責を担う立場にあった。 仕事の過多を解消するために、高順の長女の麻美らを側近に迎える。
・所属組織、地位や役職 茘の宮廷。皇弟(華瑞月)。
・物語内での具体的な行動や成果 蝗害が発生した地方の村へ直接遠征を敢行した。 そこで飛蝗の卵を発見し、地を焼く方針を速やかに決定する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 自らの脇腹に玉葉后 of 所有を示す焼き印を押し当てた。 皇族を離脱する覚悟を示し、猫猫に求婚する。
主上
茘の国を統治する、絶対的な力を持つ皇帝である。 彼は国の安定と、東宮の安全を常に最優先に考えていた。 壬氏の並々ならぬ覚悟を間近で観察する立場にある。
・所属組織、地位や役職 茘の宮廷。皇帝。
・物語内での具体的な行動や成果 秘密の部屋で壬氏の衝撃的な決断に立ち会った。 壬氏が脇腹に焼き印を押し当てる姿を見届ける。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 壬氏の尋常ではない覚悟に衝撃を受けた。 彼の皇族離脱の意図を静かに承認する。
水蓮
皇弟である壬氏の乳母であり、彼の世話を長年担当している。 彼女は実務能力が非常に高い麻美を高く評価していた。 壬氏の身の回りの安全を、常に陰から守り続ける。
・所属組織、地位や役職 皇弟の邸。侍女頭兼乳母。
・物語内での具体的な行動や成果 過労で倒れそうな壬氏の体調を深く気遣った。 有能な麻美を自分の後継の侍女にスカウトする。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 麻美からは家庭の事情を理由に断られた。 現在も壬氏を支える, 最も信頼の厚い侍女として活動する。
高順
壬氏を長年にわたり陰から支える、忠実な宦官である。 彼は生真面目で実直な性格をしていた。 今回の視察遠征でも、壬氏の身辺警護を担当する。
・所属組織、地位や役職 皇弟の邸。副官。
・物語内での具体的な行動や成果 西部の穀倉地帯への遠征に護衛として同行した。 猫猫の官女試験の受験を、推薦状を用いて後押しする。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 壬氏の様々な個人的な行動に頭を悩ませた。 実直な補佐役として、宮廷内で厚い信頼を維持している。
鈴麗公主
皇帝と玉葉后との間に生まれた、幼い皇女である。 彼女は周囲の愛情を一身に受けて育った。 後宮内の穏やかな日常の象徴として皆に愛されている。
・所属組織、地位や役職 茘の後宮。公主(皇女)。
・物語内での具体的な行動や成果 園遊会の席でお色直しの衣装を着用した。 母である玉葉后の傍らで元気に過ごす。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 周囲から温かく見守られながら健康に成長した。 玉葉后の精神的な支えとして、大きな存在感を持つ。
東宮
皇帝と玉葉后との間に誕生した、幼い皇太子である。 彼は将来の皇位継承者として誕生した。 周囲の政治的な思惑から、その身の安全を厳重に守られている。
・所属組織、地位や役職 茘の後宮。東宮(皇太子)。
・物語内での具体的な行動や成果 玉葉后の自宮で乳母たちに抱かれて静かに過ごした。 彼を狙う政治的野心から、陰で見守られている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 壬氏の焼き印の決断により、将来の立場が守られた。 現在も後宮の最奥で、徹底した安全管理のもとで成長する。
羅の一族
猫猫
花街で育った、薬学と毒に対する強い好奇心を持つ少女である。 彼女は宮廷の厄介な政治闘争を嫌う性質を持っていた。 しかし、その優れた洞察力を用いて、数々の難事件を解き明かす。
・所属組織、地位や役職 市井の薬屋。のちに宮廷の医局で勤務する医官付官女。
・物語内での具体的な行動や成果 おやじと協力して雷鳴の時差から三つ子の嘘を暴いた。 さらに、博文が持ってきた指の爪の黒ずみから鉛中毒を見抜く。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 壬氏から明確な言葉で生涯の伴侶として求婚された。 お妃候補としての退路を絶たれ、強い動揺と葛藤を抱く。
漢羅漢
軍部を統率する太尉であり、奇行の多さから変人軍師と呼ばれる。 彼は他人の顔が将棋の駒や碁石に見える顔盲の症状を持っていた。 実の娘である猫猫に対して、異様なまでの執着を示す。
・所属組織、地位や役職 茘の軍部。太尉。
・物語内での具体的な行動や成果 亡き妻との思い出のために大規模な碁大会を主催した。 大会の決勝戦で、覆面をつけた壬氏と真剣に対局する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 大会後は放心状態で実家にて過ごした。 壬氏の強さを高く認め、軍略碁盤を贈って協力を示す。
羅半
羅漢の養子であり、極めて高い実務能力を持つ文官である。 彼は数字に強く、常に損得勘定を優先させて行動していた。 猫猫とはいとこ(親戚)の関係に当たる。
・所属組織、地位や役職 宮廷の戸部。文官。
・物語内での具体的な行動や成果 変人羅漢の代わりに、碁大会の会場手配や事務処理に奔走した。 猫猫の飛蝗調査の成果を認め、高級な薬用人参を報酬として渡す。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 羅漢の浪費や奇行のしりぬぐいで銭の工面に苦労した。 羅一族の実質的な差配役として、高い事務能力を発揮する。
漢羅門
猫猫の養父であり、優れた医術と深い知恵を持つ老宦官である。 彼は温和で、他者への深い同情心を抱いていた。 羅漢から個人的な依頼を受け、事件の調停にあたる。
・所属組織、地位や役職 宮廷の医局。上級医官。
・物語内での具体的な行動や成果 武官三つ子の個別の事情聴取を丁寧に行った。 雷鳴の光と音が届く時間差から、次男の嘘を見事に特定する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 博文が持ってきた指が、本物の次男のものでないことを見抜いた。 一族の不和と崩壊を目の当たりにし、悲しむ表情を浮かべる。
馬の一族
馬閃
高順の息子であり、生真面目で融通が利かない武官である。 彼は女性に対して極めて奥手な性格をしていた。 里樹妃に対して、密かに深い思いを寄せている。
・所属組織、地位や役職 宮廷の衛兵隊。壬氏直属の護衛武官。
・物語内での具体的な行動や成果 壬氏の地方視察に、警護の責任者として同行した。 事件現場や移動時の安全確保のために、実直に職務をこなす。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 里樹妃の身を案じ、猫猫に彼女の調査を個人的に頼み込んだ。 不器用ながらも、主への忠義と守護の姿勢を維持し続ける。
馬良
高順の息子であり、馬閃の年子の兄に当たる青年である。 彼は武官の一族の中で、文官としての高い才能を持っていた。 極度の人間嫌いであり、人前に出ることを極端に嫌う。
・所属組織、地位や役職 宮廷の文書管理。進士。
・物語内での具体的な行動や成果 衝立の陰に身を隠しながら、書類仕事を黙々と片付けた。 羅漢が間違えた書類の不備を、鋭く見つけて指摘する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 以前の職場では上司との不和により、上司の机の上に大量に吐血して医局へ運ばれ退職した経緯を持っていた。現在は姉の麻美の統制のもと、衝立の陰で自らの優れた事務処理能力を遺憾なく発揮した。
麻美
高順の長女であり、二児の母でもある目つきの鋭い美女である。 彼女は非常に気が強く、ずば抜けた実務能力を誇っていた。 弟たちや父親に対して、強力な発言権を持っている。
・所属組織、地位や役職 皇弟の邸。実務の補佐官。
・物語内での具体的な行動や成果 人見知りの馬良を補佐し、壬氏の仕事を驚異的な速度で処理した。 碁大会の会場として、閉鎖中の白鈴劇場を提案して交渉を進める。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 有能さを見込まれ、水蓮から侍女へ熱心に誘われた。 しかし、家庭の事情を理由に、その申し出を丁重に断る。
外廷・宮廷関係者
静
壬氏の邸に仕える、有能な侍女の一人である。 彼女は邸内の日常雑務を円滑に処理していた。 主君である壬氏の健康状態を、常に気遣う立場にある。
・所属組織、地位や役職 皇弟の邸。侍女。
・物語内での具体的な行動や成果 壬氏の遠征準備を他の侍女たちと手際よく整えた。 帰還した壬氏のために、温かい飲み物や食事を迅速に用意する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 壬氏の過労を心配し、水蓮の指示に従って行動した。 現在も邸内の平和を維持するため、忠実に仕事をこなす。
羅漢の副官
変人軍師である羅漢を、実務面で支える苦労人の武官である。 彼は羅漢の度重なる奇行にいつも振り回されていた。 羅漢が引き起こす様々な問題の後始末を担当する。
・所属組織、地位や役職 茘の軍部。副官。
・物語内での具体的な行動や成果 大規模な碁大会の開催事務を羅半と共に手際よく進めた。 大会当日も、参加者の案内や劇場の警備指示を不備なく行う。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 羅漢の不規則な行動により、常に過度な心労を抱えた。 しかし、一族への忠義から、黙々と職務を全うし続ける。
劉医官
宮廷の医局に勤務する、経験豊富なベテランの医官である。 彼は羅門の優れた医術と知恵を深く尊敬していた。 今回の三つ子の尋問においても、同席して記録を確認する。
・所属組織、地位や役職 宮廷の医局。上級医官。
・物語内での具体的な行動や成果 三つ子の個別の尋問におやじと共に立ち会った。 おやじが解き明かした雷鳴のトリックの正確さに、深く感嘆する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 羅門の実力と誠実さを周囲に説いて回った。 医局内における羅門の立場を、陰から手厚く支援する。
若い医官
宮廷の医局に所属する、熱心で真面目な若手の医官である。 彼は猫猫やおやじの調薬技術を熱心に学んでいた。 宮廷内の日常的な医療業務を忠実にこなす立場にある。
・所属組織、地位や役職 宮廷 of 医局。下級医官。
・物語内での具体的な行動や成果 尋問室の準備や、筆記用具の用意を迅速に行った。 博文が持ってきた指の件で、周囲の混乱を手際よく鎮める。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 先輩医官たちの優れた技術に深い感銘を受けた。 自身の医療知識を高めるため、日々実直に訓練を重ねる。
三つ子の長男
武官三つ子の長男であり、放蕩な生活を送っていた青年である。 彼は甘口の味にするため、鉛を混ぜた毒葡萄酒を愛飲していた。 その有毒白粉が混ざった酒により、重度の鉛中毒に冒される。
・所属組織、地位や役職 宮廷の軍部。下級武官。
・物語内での具体的な行動や成果 十四歳の少女へ手を出した容疑で告訴されていた。 しかし、裁判の前に重度の鉛中毒による錯乱状態の末に死亡する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 彼の突然の死は、弟たちによって密かに隠蔽された。 指を切り落とされ、森 of 奥深くへ死体を遺棄される最期を遂げる。
三つ子の次男
武官三つ子の次男であり、非常に欲深い性格をしていた。 彼は長男の死を利用し、自らが成り代わることを計画する。 今までの借金や罪を帳消しにしようと企んでいた。
・所属組織、地位や役職 宮廷の軍部。下級武官。
・物語内での具体的な行動や成果 長男の遺体から指を二本切断し、狂言誘拐を自演した。 しかし、猫猫の手によって、手の甲の引っかき傷を指摘される。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 おやじが解き明かした雷鳴の矛盾から、嘘が完全に露呈した。 一族ぐるみの陰謀が暴かれ、衛兵に厳しく捕縛される。
三つ子の三男
武官三つ子の三男であり、気の弱い性格をしていた。 彼は次男の恐ろしい成り代わり計画に脅されて協力する。 父親である博文の妾と密通している重大な秘密を抱えていた。
・所属組織、地位や役職 宮廷の軍部。下級武官。
・物語内での具体的な行動や成果 長男の指を切り落とす、凄惨な隠蔽工作を手伝った。 博文が溺愛する三歳の娘が、実は自分の子供である事実を隠そうとする。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 次男との言い争いの末に、身内の恥部をすべて暴露した。 その裏切りの自白により、犯行への加担罪で衛兵に連行される。
尋問室の書記官
宮廷の尋問室において、証言の記録を担当する真面目な文官である。 彼は私情を挟まず、客観的な事実のみを紙に書き写していた。 おやじが武官たちを個別に問いただす尋問に同席する。
・所属組織、地位や役職 宮廷の法廷。書記官。
・物語内での具体的な行動や成果 三つ子のそれぞれの証言を、一言半句も漏らさず正確に記録した。 おやじの指示に従い、作成した調書を猫猫に手渡す。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 おやじの優れた洞察力と時差計算に深く感動した。 現在も職務を実直にこなし、宮廷の法秩序を陰から支える。
李白
若くして頭角を現している、非常に気風の良い武官である。 彼は緑青館の高級妓女である白鈴を深く愛していた。 今回の壬氏の地方視察にも、護衛の責任者として同行する。
・所属組織、地位や役職 宮廷の軍部。武官。
・物語内での具体的な行動や成果 蝗害に遭った地方の村で、壬氏の身辺警護を厳重に行った。 飛蝗の大群を前に、護衛たちに迅速な指示を出し、安全を確保する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 現地での勇敢な働きぶりが、壬氏から高く評価された。 現在も自身の出世を望みながら、実直に任務に励み続ける。
桜花
翡翠宮に仕える、非常に働き者で明るい侍女である。 彼女は玉葉后への絶対的な忠誠を誓っていた。 園遊会の準備において、お色直しの手配を迅速にこなす。
・所属組織、地位や役職 後宮・翡翠宮。侍女。
・物語内での具体的な行動や成果 玉葉后が簪を紛失した際、宮内を懸命に捜索した。 簪が黒ずんで戻った異様な事態に、強い不安と危機感を抱く。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 猫猫の推理による真相解明を聞き、深く安堵した。 現在も翡翠宮の日常業務を仕切り、局を優しく支え続ける。
紅娘
翡翠宮を取り仕切る、実務能力が極めて高い侍女頭である。 彼女は冷静沈着であり、部下の指導を厳しく行っていた。 玉葉后の身の回りの安全を、常に最優先に考えて行動する。
・所属組織、地位や役職 後宮・翡翠宮。侍女頭。
・物語内での具体的な行動や成果 園遊会における玉葉后のお色直しの段取りを完璧に統率した。 戻ってきた簪の有毒性の有無を確認するため、猫猫を迅速に呼び出す。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 黒羽による警告の真意を理解し、后の判断を支持した。 翡翠宮の司令塔として、現在も変わらぬ厚い信頼を得ている。
黒羽
翡翠宮に仕える、控えめだが非常に観察力の鋭い侍女である。 彼女は皇后の実家である玉鶯の野心を深く危惧していた。 玉葉后に対して、自発的に重大な政治的警告を行う立場にある。
・所属組織、地位や役職 後宮・翡翠宮。侍女。
・物語内での具体的な行動や成果 園遊会で后が落とした塩の簪をこっそり回収した。 警告の意を込め、ゆで卵の硫黄で簪を黒ずませて后の荷物へ忍び込ませる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 猫猫によって、その周到な意図と犯行を見破られた。 しかし、后を思う忠義からの行動であることを、后から深く納得される。
天祐
宮廷の医局で働く、非常に器用で少しお調子者の若い医官である。 彼は猫猫に対して、おしゃべりな態度で接することが多かった。 医局内の様々な雑用や、薬草の整理業務を担当している。
・所属組織、地位や役職 宮廷の医局。下級医官。
・物語内での具体的な行動や成果 博文が土足で乱入してきた際、おびえながらも様子を観察した。 調薬用の生薬の在庫確認を、猫猫たちと協力して迅速に行う。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 先輩であるおやじの推理を、興奮気味に聞いて驚嘆した。 お調子者ながらも、その確かな医療技術で、日々の仕事をこなす。
白羽
翡翠宮に仕える、生真面目で少し気が弱いところがある侍女である。 彼女は黒羽や赤羽とともに日常の業務に励んでいた。 玉葉后の身の回りの安全管理を、手際よく補佐する立場にある。
・所属組織、地位や役職 後宮・翡翠宮。侍女。
・物語内での具体的な行動や成果 園遊会の席において、后の身の回りの世話を丁寧に行った。 簪紛失の知らせを受け、自宮の引き出しやクローゼットを捜索する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 黒羽の行いを知り、その強い忠義心に深い衝撃を受けた。 現在も翡翠宮の一員として、后の生活を陰から手厚く守る。
赤羽
翡翠宮に仕える、活発で少し口数の多い若い侍女である。 彼女は他の侍女たちと協力し、后の世話をこなしていた。 園遊会での華やかな席に、非常に強い期待感を抱いている。
・所属組織、地位や役職 後宮・翡翠宮。侍女。
・物語内での具体的な行動や成果 お色直しの衣装の準備を、桜花たちと手際よく進めた。 紛失した簪が戻ってきた際、毒の危険性がないかを猫猫に尋ねる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 事件のからくりが科学的な反応によるものと知り、深く納得した。 現在も翡翠宮の明るい雰囲気作りに、大いに貢献している。
貴園
翡翠宮に仕える、おっとりとした穏やかな性格の侍女である。 彼女は猫猫を妹のように労わり、いつも優しく接していた。 園遊会での華やかな装いを楽しみにしている。
・所属組織、地位や役職 後宮・翡翠宮。侍女。
・物語内での具体的な行動や成果 后の失くした美しい簪を、廊下の隅まで懸命に探した。 猫猫が簪の変色トリックを証明する実験を、横で興味深く見守る。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 事件が無事に解決し、嬉しそうな笑顔を浮かべた。 后への変わらぬ忠誠を胸に、毎日の宮廷仕事を忠実にこなす。
愛藍
翡翠宮に仕える、長身で気立ての良い働き者の侍女である。 彼女は宮廷内の噂話に非常に詳しい性質を持っていた。 猫猫が持ってきた最新の飛蝗データを、一緒に眺めて驚く。
・所属組織、地位や役職 後宮・翡翠宮。侍女。
・物語内での具体的な行動や成果 后の落とした塩の簪の捜索に、桜花らと協力して当たった。 簪が黒ずんだ状態で戻った不気味な知らせを、猫猫にすぐに伝える。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 事件のからくりがただの硫黄の化学反応と聞いて安心した。 現在も翡翠宮の日常業務において、大きな役割を担っている。
棋聖
茘の国内で最も高い囲碁の実力を持つ、伝説的な棋士である。 彼は囲碁の勝負において、常に厳格なルールを重んじていた。 羅漢が主催した大規模な碁大会の、名誉ある審査員を務める。
・所属組織、地位や役職 茘の囲碁ギルド。棋聖(最高権威)。
・物語内での具体的な行動や成果 決勝戦での壬氏と羅漢の卓越した対局を、真剣な眼差しで見守った。 博文が指の包みを持って乱入した際、騒ぎの調停を静かに見届ける。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 騒動による決勝の中断を、非常に残念そうに惜しんだ。 現在も囲碁の発展に尽力し、最高権威としての絶対的な影響力を持つ。
博文
刑部の高官を務める、非常に厳格な父親である。 彼は放蕩息子たちの不始末を、常に金と権威でもみ消してきた。 子どもたちの実態を把握しておらず、我が子の見分けすらできない性質を持つ。
・所属組織、地位や役職 茘の司法。刑部の高官。
・物語内での具体的な行動や成果 次男の指が入った布包みを持って、大会会場へ土足で乱入した。 おやじに対し、自分のせいで息子がラ致されたと理不尽に激怒する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 猫猫の指摘により、我が子の狂言誘拐と殺人の自演を見せつけられた。 三歳の娘が実は三男の子であるという、泥沼の身内事情を突きつけられ、絶望する。
市井・その他の人物
宿舎を管理している小母さん
猫猫たちが暮らす宮廷の宿舎を取り仕切る、実直な小母さんである。 彼女は厳格ながらも、若い官女たちを温かく見守っていた。 宿舎内の規律を厳しく維持する、重要な責任者である。
・所属組織、地位や役職 宮廷の女子宿舎。管理人。
・物語内での具体的な行動や成果 変人羅漢から届いた大量の碁教本を、猫猫の部屋へ手際よく運ばせた。 山積みの本が廊下の通行の邪魔にならないよう、猫猫に迅速に警告する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 猫猫の謝罪を受け入れ、荷物の速やかな整理を許可した。 現在も宿舎の秩序を完璧に守り、働き者として頼りにされている。
姚
最優秀の成績で官女試験に合格した、プライドの高い少女である。 彼女は毒見の重症から無事に回復し、仕事復帰を強く望んでいた。 猫猫に対して、不器用ながらも深い友情と信頼を寄せている。
・所属組織、地位や役職 宮廷の医局。医官付官女。
・物語内での具体的な行動や成果 黄疸の痕を隠すために、猫猫たちと高級白粉の店へ買い物に出かけた。 猫猫が自傷行為で実験を行う姿を見て、涙を流して厳しく引き留める。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 猫猫との間により深い信頼と、かけがえのない友情を築いた。 おやじの雷鳴尋問にも同席し、自らの観察力を大いに磨いている。
燕燕
姚に絶対的な忠誠を誓う、非常に気の利く有能な官女である。 彼女は姚の健康と安全を、常に最優先に考えていた。 羅漢が送ってきた碁教本に、非常に高い興味を示す。
・所属組織、地位や役職 宮廷の医局。医官付官女。
・物語内での具体的な行動や成果 碁の教本代として、猫猫に銀一枚を手際よく支払った。 三つ子の尋問の際、過去に記憶した雷の光と音の順番を正確に証言する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 猫猫の優れた調薬能力に、一定 of 敬意を払うようになった。 姚の護衛役を自負し、現在もその高い実務能力で活躍する。
食堂の小母さん
宮廷の官女食堂を取り仕切る、非常に気前の良いふくよかな女性である。 彼女は毎日、美味しい食事を若い官女たちに提供していた。 猫猫たちの健康状態を、食事を通じて温かく気遣う。
・所属組織、地位や役職 宮廷の官女食堂。料理頭。
・物語内での具体的な行動や成果 久しぶりに食堂を訪れた猫猫に、大盛りのスープを優しく手渡した。 仕事復帰を目指して元気に食事を摂る姚たちを、笑顔で温かく労う。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 心のこもった料理で、官女たちの健康維持に大いに貢献した。 現在も食堂のリーダーとして、賑やかな毎日を元気に過ごす。
化粧品店の店主
都の往来で化粧品店を経営する、少し気が短い商人である。 彼は自分の商品の品質に、強いこだわりを持っていた。 鉛を含まない、安全なおしろいを売り出そうと計画している。
・所属組織、地位や役職 都の商業地区。店主。
・物語内での具体的な行動や成果 米粉のおしろいの配合を巡り、卸業者と激しい口論を展開した。 猫猫の提案した、白粉の薄餅を焼く実験を自分の店舗で許可する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 自らの爪の白い縞模様から、かつて使用していた白粉の毒性を指摘された。 その結果に深く納得し、有毒な白粉の仕入れを完全に中止する。
化粧品店の店主の娘
化粧品店で働き、父親の店を親身に手伝う若い娘である。 彼女は穏やかで、客への細やかな対応を得意としていた。 店内の化粧品や香水、そして白粉の在庫管理を担当している。
・所属組織、地位や役職 都の商業地区。化粧品店の売り子。
・物語内での具体的な行動や成果 来店した猫猫たちに、良質な滑石のおしろいを丁寧に案内した。 父親と業者の激しい言い争いに、ハラハラしながら仲裁を試みる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 おしろいの薄餅作りを、裏の台所で手際よく手伝った。 白粉の安全性についての正確な知識を得て、商売に自信を深める。
米粉の業者の小父さん
化粧品店に良質な米粉の原料を納入する、頑固な商人である。 彼は自らの商品の手触りと品質に、絶対的な自信を持っていた。 店主から米粉の品質についてクレームをつけられ、激怒する。
・所属組織、地位や役職 都の問屋街。粉卸業者。
・物語内での具体的な行動や成果 自らの商品の無実を証明するため、店主と激しく口論した。 猫猫の提案した「白粉を焼いて薄餅にする実験」を真剣な表情で見守る。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 焼き上がった薄餅の品質から、米粉が純粋で安全であることを証明された。 誤解が完全に解けたため、店主と笑顔で和解の握手を交わす。
視察先の村長
西部の穀倉地帯にある、蝗害の被害を受けた村を率いる老人である。 彼は村人たちの飢饉の心配に、深く胸を痛めていた。 遠征してきた壬氏の視察を、丁重に受け入れる立場にある。
・所属組織、地位や役職 西部の穀倉地帯。村長。
・物語内での具体的な行動や成果 飛蝗の大群が襲来し、稲を食い荒らした惨状を壬氏に報告した。 村の裏手に集められた、大量の飛蝗の死骸の場所へ壬氏を案内する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 壬氏が地を焼いて卵を処分する方針を下したことに、深く同意した。 国の迅速な食糧援助と、復興計画に大きな希望を見出す。
碁盤を並べる人々
大規模な碁大会の会場において、碁石や碁盤を綺麗に並べる下役の人々である。 彼らは羅漢の厳しい指示に従い、円滑な試合環境を整えていた。 劇場の舞台の上から客席まで、手際よく会場設営を行う。
・所属組織、地位や役職 碁大会の運営スタッフ。下官たち。
・物語内での具体的な行動や成果 白鈴劇場の客席に、数百台の木製碁盤を等間隔で配置した。 対局の進行に合わせて、使用された碁石の洗浄や回収を迅速に行う。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 大会の大きな混乱の中でも、自らの役割を黙々とこなした。 この大会の驚異的な熱気と成功を、陰から支える存在として活躍する。
壬氏の対戦相手
碁大会の予選において、覆面をつけた壬氏と真剣に対局した棋士たちである。 彼らは対戦相手の意外な実力の高さに、驚きを隠せなかった。 劇場の予選の卓において、激しい思考戦を展開する。
・所属組織、地位や役職 碁大会の参加者。棋士たち。
・物語内での具体的な行動や成果 壬氏の鋭い一手に、冷や汗を流しながら必死に応戦した。 善戦の末に壬氏に敗北し、彼の並外れた碁の才能に深く感銘を受ける。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 覆面の高貴な青年の正体に、深い疑問を抱いた。 敗北後は、観客席から壬氏の卓越した決勝戦を熱心に応援する。
備忘録
序話
笑顔を絶やさない娘
母から常に笑顔でいるよう教えられた娘は、高齢の父から特別に愛される一方、腹違いの兄やその子どもたちからいじめられていた。それでも笑顔で耐え続けたことで父に認められ、国の一番にすると約束された。
伏魔殿への挑戦
特別な価値を持つ存在だと意識するようになった娘は、父から絶望せず目を輝かせて生きるよう教えられた。どのような環境でも楽しみを見つけてきた彼女は、女たちの伏魔殿へ送られることになっても、笑顔で立ち向かおうとしていた。
一話 碁教本
羅漢の碁教本
猫猫の宿舎へ、変人軍師から大量の碁教本が届けられた。著者は漢羅漢であり、療養から復帰間近の姚や燕燕も興味を示した。燕燕は一冊を銀一枚で買い取り、他の碁打ちにも広めようとした。
姚のやきもち
燕燕が猫猫を友人として扱う姿に姚は不機嫌になった。その後、猫猫は姚たちと薬や化粧品を買いに行く約束をし、偽のそばかすについて問われると信仰上の理由だと誤魔化した。
二話 街歩き
白粉の安全性
猫猫は姚、燕燕と街へ出かけ、碁教本を売るため三冊持参した。化粧品店では米粉の白粉を巡る業者との揉め事に遭遇し、安全性を確かめるため水で溶いて薄餅にして食べてみることを提案した。
店主の爪
店主の爪の異常から、以前使っていた白粉に問題があったと猫猫は見抜いた。やがて雨と雷が激しくなったため、碁教本を売るのは諦め、三人は急いで帰路についた。
三話 流行
碁の流行
砂欧の巫女を巡る事件後も壬氏は大量の書類仕事に追われていた。その中で変人軍師が作った碁教本が官僚たちの間に広まり、宮廷では囲碁が流行し始めた。
馬良の推薦
仕事を他者へ分配する必要に迫られた壬氏に、馬閃は兄の馬良を推薦した。馬良は科挙に合格した進士で、官職には就いていなかったものの、書類仕事に適した人物だった。
四話 馬姉弟
馬良と麻美
馬良は武人の多い馬の一族で文才に秀で、壬氏の書類仕事を効率よく処理した。対人関係が苦手な彼を姉の麻美が補佐し、壬氏の負担も減っていった。
囲碁大会の提案
軍事強化案が通らず悩む壬氏に、麻美は変人軍師の囲碁大会を利用する案を示した。大会を宮中で開くため壬氏の力を使うことで、政治的な働きかけにもつなげようとしていた。
五話 札
白鐘劇院
壬氏は囲碁大会の会場について羅漢と交渉し、宮廷の演習場ではなく、閉鎖されていた白鐘劇院を使うよう提案した。麻美も医官の配置などを提案し、羅漢は最終的に受け入れた。
亡き妻との思い出
羅漢には囲碁を民の娯楽として広め、不満を和らげたい意図があった一方、亡き妻との思い出を形にしたい気持ちもあった。壬氏たちは大会実現へ向けて協力することになった。
六話 雷鳴
三兄弟の証言
羅門は変人軍師から武官三兄弟について調査を頼まれ、猫猫とともに証言を検討した。三人はそれぞれ別の場所にいたと主張していたが、次男の話には不自然な点があった。
雷と鐘の時刻
羅門は雷鳴と夕刻の鐘が聞こえた時間を照合し、次男が自宅にいたという証言には矛盾があると見抜いた。その推理力に猫猫たちは改めて感心した。
七話 遠征
蝗害の村
壬氏は蝗害を受けた村へ赴き、村長から被害状況を聞いた。大量の飛蝗の死骸を調べる中で、腹部に卵が残っていることを発見した。
地面を焼く対策
蝗害はまだ終息していないと考えた壬氏は、地中に残された卵を駆除するため土地を焼く方針を決めた。春の収穫を守るため、次の発生を防ぐ必要があった。
八話 嫌がらせ
飛蝗の贈り物
猫猫のもとへ大量の飛蝗の死骸が送りつけられた。劉医官の指示で姚や燕燕と調査し、飛蝗の状態について記録を取ることになった。
薬用人参
訪れた羅半は飛蝗の発生地域や風向きとの関係を考察した。調査への報酬として猫猫に薬用人参を贈ると、猫猫は珍しい薬材に歓喜し、人前で舞ってしまった。
九話 壬氏の思惑
仕事の分配
麻美は壬氏に、権力を使って仕事を他部署へ振り分けるよう勧めた。壬氏は直接的な権力行使を好まなかったものの、仕事を抱え込みすぎないため助言を受け入れた。
飛蝗の反省
麻美から、後宮へ飛蝗の死骸を送る行為は嫌がらせにしか見えないと指摘され、壬氏は自分の行動を反省した。
十話 白湯
猫猫の軟膏
猫猫は傷口を守る薬草と体を活性化させる薬草を混ぜた軟膏を作り、自分の体で試していた。姚は止めようとしたが、燕燕は研究自体には意味があると理解していた。
玉袁の園遊会
三人は医官が配置される園遊会について話した。燕燕は、表向きは園遊会でも本当の目的は新たな名持ちとなった玉袁を紹介することだと指摘した。
十一話 戯れと恐れ
玉葉后の装い
園遊会を控えた玉葉后は侍女たちと衣装や装飾品を選び、透明な結晶を使った簪を希望した。また、紅娘たちへ仕事を任せ、将来について考える余裕を持たせようとしていた。
玉鶯の娘
玉葉后の異母兄から、自分の娘を後宮へ入れたいという文が届いた。その娘は玉葉后と同じ赤髪と緑の目を持っており、玉葉后は兄の野心を察して絵を破り捨てた。
十二話 不味い料理
園遊会の料理
雪が降る園遊会の日、猫猫と姚は通常の医局業務を続けていた。武官たちからは料理が不味いという不満が相次ぎ、とりわけ汁物の異常な塩辛さが問題となった。
三人の夕食
仕事後、猫猫、姚、燕燕は自分たちの夕食を用意することになった。猫猫は豚肉を望んだが姚が鶏肉を選び、猫猫は野菜を買いに行かされた。
十三話 簪泥棒
消えた水晶
猫猫は玉葉后に呼ばれ、園遊会で使った簪を調べた。大きな水晶は消え、銀の簪は黒く変色していたが、猫猫は盗難ではなく園遊会で落とされたものだと考えた。
塩の結晶
簪の水晶に見えたものは塩の結晶で、黒ずみは硫黄による銀の腐食だった。猫猫は簪が料理の鍋に落ちた可能性を見抜き、玉葉后の近くにいる黒羽の関与を示唆した。
玉葉后の誘い
玉葉后は騒動を自分への警告と受け止め、より厳しく周囲を見る必要を感じた。猫猫には再び側で働くよう求めたが、猫猫は明確な返事を避けた。
十四話 囲碁 勝負 前編
囲碁大会の会場
猫猫は劉医官の使いで大規模な囲碁大会へ向かった。会場では羅半が囲碁だけでなく遊戯や商品販売まで展開し、多くの人を集めていた。
変人軍師への挑戦
姚と燕燕も医療要員として参加し、燕燕は変人軍師から囲碁を教わる機会を期待していた。猫猫は大会の規模から、単なる娯楽だけではない羅半たちの意図を感じていた。
十五話 囲碁 勝負 幕間
麻美と馬良
麻美と馬良は壬氏の執務室で仕事を終え、紛れ込んでいた漢太尉の書類を見つけた。二人は、将棋を好む漢太尉がなぜ囲碁大会を開いたのか不思議に思っていた。
水蓮の焼き菓子
麻美は壬氏の宮で水蓮から焼き菓子をもらい、子どもたちへの土産にした。侍女として働くことも勧められたが、家庭を理由に断り、大会の成功を願って帰宅した。
十六話 囲碁 勝負 後編
覆面の壬氏
猫猫は休日にもかかわらず大会で飲み物作りを任されていた。勝者たちは変人軍師への挑戦権を争い、その中で覆面をつけた男が次々と相手を破って注目を集めた。
正体の露見
覆面の男は壬氏であり、覆面を外すと会場はその美貌に騒然となった。勝ち進んだ壬氏は変人軍師との対局へ進み、猫猫は彼がそこまで勝負に執着する理由を考えた。
十七話 変人対変態
壬氏と羅漢の対局
壬氏と変人軍師の対局が始まり、多くの観客が見守った。猫猫は片付けをしながら試合を眺め、麻美が届けた菓子を味見したが、その菓子を変人軍師が食べてしまった。
乱入した父親
猫猫は、壬氏が酒に弱い変人軍師を菓子で酔わせようとした可能性を考えた。その最中、初老の男が息子の指が入った布包みを持って現れ、失踪した息子を探すよう羅門へ迫った。
十八話 指の持ち主
三つ子の秘密
乱入した博文は失踪した息子の指だと訴えたが、実際には長男が行方不明で、次男と三男がその事実を隠していた。長男の指には鉛中毒の兆候があり、安価な葡萄酒が原因と考えられた。
長男の死
猫猫は、長男が鉛中毒で錯乱して暴れた末に卓の角で頭を打って死亡し、次男と三男がその死を隠蔽するために指を切断して狂言誘拐を仕組んだ真相を暴いた。
十九話 棋聖
棋聖の指南
壬氏は変人軍師に勝つため、帝から借りた棋聖に教えを受けた。棋聖は壬氏を基本はできているが発想は凡庸だと評し、勝つための考え方を教えた。
羅漢の探し人
対局では壬氏が敗れたものの、変人軍師は珍しく感想戦を行い、その打ち方を認めた。羅半は、大会の目的の一つが、羅漢が亡き女性と打った棋譜に似た碁を打つ人物を探すことだったと明かした。
二十話 王手
深夜の集まり
猫猫は壬氏の文で呼び出され、身体検査を受けた後、壬氏、皇帝、玉葉后がいる部屋へ通された。そこで壬氏は、二人の前で自らの脇腹へ焼き印を押した。
皇族を離れる覚悟
壬氏は焼き印によって玉葉后の敵にはならないと示し、皇族ではなく一人の人間として扱ってほしいと皇帝へ願い出た。猫猫は驚きながらも、負傷した壬氏の手当てをすることになった。
終 話
壬氏の印
玉葉は壬氏が焼き印を押した夜の出来事に疲れ切っていた。弟のように思う壬氏が、自分へ逆らわない証として残した傷を思い、彼の決意について複雑な感情を抱いた。
玉葉の選択
玉葉は父によって後宮へ送り込まれた自分の人生を振り返りながら、宮廷には苦しさだけでなく楽しさもあると考えた。異母兄の玉鶯から悪と見なされていることも受け入れ、自分が悪であるならそれでも構わないと、兄から届いた文を踏みつけた。
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