どんな本?
『薬屋のひとりごと』は、日向夏 氏による日本のライトノベル作品。
中世の後宮を舞台に、薬学の専門知識で事件の謎を解く少女・猫猫(マオマオ)の物語。
小説家になろうで連載されているほか、ヒーロー文庫からライトノベル版が刊行されている。
また、月刊ビッグガンガンと月刊サンデーGXでコミカライズ版が連載されており、2023年にはテレビアニメ化も決定している。
月刊サンデーGXの方が、中華の雰囲気が強く、文化の小さい部分にも気をつけているように感じている。
シリーズ累計3300万部!!
一気に900万部も増えた。。
薬屋のひとりごと15発売中です。
— 日向夏🐗 (@NaMelanza) March 29, 2024
よろしくお願いいたします。 pic.twitter.com/wSSms8lT3V
コミック担当の”ねこクラゲ”氏が脱税ともあるが・・・
一部で報道されていることにつきまして pic.twitter.com/tZKBXyIJpC
— ねこクラゲ✽薬屋⑬発売 (@nekokurage_) April 1, 2024
追徴課税を払えば良くね?
“納税しません”と言ってるわけでもないし?
言い訳してる政治家よりマシじゃ?
概要
宮廷医局で働く医官付官女の猫猫は、新薬の投薬実験や都の郊外にある診療所の活動に奔走した。その診療所で投薬を受ける患者たちの病状を通じ、現皇帝が盲腸炎の再発に苦しんでいる事実が明らかとなった。
事態を打開すべく、猫猫は華佗の残した書や翠苓の知識を借りて手術の準備を整えた。高官たちによる激しい反対や直前での帝の拒絶を乗り越え、決死の開腹手術が決行された。
術中に執刀医が負傷する不測の事態に見舞われながらも、羅門や天祐の卓越した技術によって手術は無事に成功を収めた。こうして猫猫が激務で疲弊した壬氏を労わり、共に静かな日常の再開を喜ぶ場面まで状況が進んだ。
主要登場人物
猫猫
- 立場・所属:宮廷の医局に所属する、見習いの医官付官女。
- 主人公との関係:主人公。
- この巻での主な役割:投薬実験で患者たちの盲腸炎を観察し、皇帝の病気の再発を見抜いた。
- この巻で起きた重要な変化や行動:帝の痛みの消失が虫垂の破裂を意味することに気づく。彼女は、劉医官に急報して手術を繰り上げた。羅門の体力が限界に達した際、自ら腹部の縫合を行おうとした。
壬氏(華瑞月)
- 立場・所属:茘の宮廷に所属する、皇弟(月の君)。
- 主人公との関係:猫猫を深く信頼し、生涯の伴侶として愛している。
- この巻での主な役割:復元された「華佗の書」を確保し、医療チームの結成を強力に支援した。
- この巻で起きた重要な変化や行動:帝の病の再発は、自らの行動による心的負荷が原因であった。これに気づいた彼は深く反省する。帝からの譲位の打診を固辞し、東宮の臣下であり続ける決意を新たにした。
皇帝(陽 / 僥陽)
- 立場・所属:茘の国を統治する、絶対的な権力を持つ皇帝。
- 主人公との関係:壬氏の実の父親であり、猫猫の能力を静かに認めている。
- この巻での主な役割:長年の心的負荷により、腹部の重い盲腸炎を再発させていた。
- この巻で起きた重要な変化や行動:手術前に阿多や壬氏を呼び出し、王位継承の意思を確認する。帝は一度手術を拒絶した。しかし阿多の説得を受け入れ、無事に完治した。
羅門(おやじ)
- 立場・所属:宮廷 of 医局に所属する、優れた知恵を持つ老医官。
- 立場・所属:宮廷の医局に所属する、優れた知恵を持つ老医官。
- 主人公との関係:猫猫の養父であり、医術の師匠。
- この巻での主な役割:特別に結成された医療班の監査として、調合と手術を指導した。
- この巻で起きた重要な変化や行動:不測の事態で執刀医の劉医官が離脱した際、自ら代わりの執刀医として立った。体力の限界まで動き、大腸に癒着した虫垂をはがす手術を成功させた。
阿多
- 立場・所属:離宮で暮らす、聡明な元上級妃。
- 主人公との関係:壬氏の実の母親であり、猫猫の良き理解者。
- この巻での主な役割:皇帝の求めに応じて手術前の非公式な会合に出席し、説得を試みた。
- この巻で起きた重要な変化や行動:陽(皇帝)が月(壬氏)を縛り付けるのを防ぐため、自ら古い約束を破る。陽が月を守り自由にさせるための、不退転の約束を新たに交わした。
天祐
- 立場・所属:宮廷の医局に所属する、腑分けが大好きな若い医官。
- 主人公との関係:猫猫の同僚であり、手術のライバル。
- この巻での主な役割:手術班の助手として、天性のメスさばきを披露した。
- この巻で起きた重要な変化や行動:主上の体が普通の人間と同じである事実に彼はがっかりして執刀を拒否する。しかし羅門から珍しい病状の診察権を提示された。それにより、美しい縫合を完成させて主上を救った。
高順
- 立場・所属:皇帝直属の護衛官であり、主上の乳兄弟。
- 主人公との関係:猫猫を「小猫」と呼び、彼女の優れた見識を頼りにしている。
- この巻での主な役割:主上の病の再発を猫猫に明かし、多方面からの意見を求めた。
- この巻で起きた重要な変化や行動:皇帝の部屋へ強引に侵入してきた、欲深い豪を剣を向けて威嚇した。主上の乳兄弟として、その身の安全と秘密を誰よりも手厚く守り抜いた。
読んだ本のタイトル
薬屋のひとりごと 15
(英語: The Apothecary Diaries、中国語: 药屋少女的呢喃)
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あらすじ・内容
TVアニメも大ヒット! シリーズ累計3300万部突破の原作最新刊は投薬実験と外科手術がカギに? 禁書に記された名前とは?
翡翠牌の持ち主である皇族の末裔を追う中で、猫猫たちは禁書でありながら優れた医学書でもある『華佗の書』を手に入れた。 傷んだその書が復元されるのを待つうち、医官たちは抜き打ち試験を受けさせられる。 猫猫は試験に合格して養父である羅門の下で投薬実験を行うことになり、羅門から医術について学べることを喜ぶが、その実験は大掛かりであり、市井の病人たちを使うというものだった。薬が効かぬ者は、場所を移されて外科手術が行われるという。医官たちを集めて大掛かりな投薬実験が繰り返されるが、一体何のために? そして誰のために? 猫猫の疑問は、口に出すことは許されない。 他の医官たちも実験の目的に薄々気づきつつも、誰も答えをはっきり言おうとしない。やんごとなき身分のかたが病に臥されたと気づいても、それを公にすることは国を揺るがすことになると、皆が皆わかっている? そして、猫猫は復元された『華佗の書』を壬氏に見せてもらうことになるが、そこには、決して忘れられぬ名前が書かれてあるのだった。 『曼陀羅華』。朝顔に似たその植物は、とある秘薬の材料だったのである。
薬屋のひとりごと 15
感想
15巻には、これまでの『薬屋のひとりごと』とはひと味違う緊張感があった。
毒殺でも陰謀でもなく、
皇帝の病気をどう治すのか。
前半では突然の選抜試験と配属変更。何のために集められたのか分からないまま、猫猫たちは市井の患者を使った投薬実験へ参加する。
そして後半、その理由が判明する。
病人は皇帝。
しかも薬では改善せず、腹を切らなければならない。
失敗したら患者が死ぬだけでは済まない。
執刀した医官たちの首が、文字どおり飛びかねない。
まさに宮廷版ERといった趣だ。
そこから手術終了までが怒涛の展開で、あっという間に読み終わってしまった。
突然の選抜試験。その裏で皇帝の病気を治す準備が進んでいた
物語は、猫猫たち医官に課された突然の試験から始まる。
筆記試験だけでなく、患者の状態を想定した調薬まで行われる。
二十歳の女性が胃炎と不眠を訴えている。
普通なら胃や睡眠の薬を出すところだが、
妊娠している可能性は?
というところまで考えなければならない。
いかにも羅門らしい試験だ。
患者の言葉をそのまま信じず、その裏まで考える。
猫猫たちの中から合格者が選ばれ、今度は宮廷最大の薬の保管庫へ異動。さらに郊外の診療所で投薬実験を始める。
面白いのが、本物の薬を飲む患者と、薬に似せた偽薬を飲む患者に分けている点だ。
食事や生活環境を同じにして、
本当に薬が効いているのか。
「薬を飲んだから治る」という心理的な影響ではないのか。
そこまで調べている。
そして対象となる病気は虫垂炎。
一方、天祐たちは外科手術の経験を積まされている。
薬の効果を調べる班。
手術を練習する班。
さらに麻酔まで研究している。
ここまで大掛かりなら、
誰か相当偉い人が病気なんじゃないか?
猫猫が気づくのも当然だった。
その答えが、
皇帝。
しかも十年以上前にも同じ症状があり、今回再発している。
おい。
国家の一大事じゃないか。
華佗の書から麻沸散へ。猫猫たちが本気で「皇帝の腹を切る」準備を始める
ここで前巻から続く《華佗の書》が効いてくる。
猫猫が待ち望んでいた復元版だ。
本人は当然、
ふぉおおおおおお!!
状態。
壬氏に落ち着けと言われても無理であるw
復元された書には疱瘡だけでなく、人体の腑分けや虫垂炎の症例まで残されていた。
さらに出てきたのが、
《麻沸散》。
伝説的な麻酔薬である。
原料の一つは曼陀羅華。
猛毒じゃないか。
そこで猫猫が思い出すのが翠苓。
仮死状態を作る《蘇りの薬》にも曼陀羅華を使っていた。
翠苓本人は、
尊い人に自分の毒を使いたくない。
と嫌がる。
そりゃそうだ。
失敗したら阿多まで巻き込まれる。
そこで猫猫は、かつて翠苓に利用されて降格した医官・泰然へ知識だけ渡す方法を考える。
こうして投薬、外科、麻酔、そして華佗の書。
使える知識を全部集めて皇帝の手術へ備えていく。
猫猫一人が全部やるのではなく、
得意な人間に任せる。
これも今回かなり印象に残った。
医療は結局、一人の天才だけで成り立つものではないのだと感じた。
もし皇帝が死んだら次は誰だ?壬氏だけが自分の出生を知らないのが何とも微妙
そして医療だけでは済まないのが、
患者が皇帝であること。
もし手術に失敗したら、
次の皇帝をどうする?
東宮はまだ幼い。
梨花妃の皇子もいる。
そして成人した皇弟・壬氏もいる。
そこで皇帝、阿多、壬氏、猫猫が集まる。
この四人、
空気が非常にややこしい。
皇帝は知っている。
阿多も知っている。
猫猫も知っている。
壬氏だけ、
自分が皇帝と阿多の実子だと知らない。
何とも言いがたい空気が漂う。
しかも壬氏は、自分が皇位を継ぐことを拒否。
身体の秘密を共有している猫猫以外とは関係を持たないという意思まで示す。
猫猫と結ばれる。
それだけなら恋愛話なのだが、
壬氏の場合は子どもが生まれれば皇位継承争いの火種になる。
相変わらず重い。
阿多も皇帝が壬氏を縛ろうとしていることを見抜き、昔の約束を破ってまで止める。
ここまで来ると、
猫猫と壬氏が普通に夫婦になるだけで何巻必要なんだ?
と思ってしまう。
まだまだ先は長そうだ。
虫垂炎手術開始。羅門を猫猫が支え、最後は天祐が持っていった
そして後半。
ここからは、まさにERさながらの展開だった。
皇帝の腹痛が突然消える。
良くなった?
ではない。
猫猫は華佗の書を思い出す。
虫垂が破裂すると、一時的に痛みが引くことがある。
むしろ危険。
予定を繰り上げて緊急手術となる。
ところが手術中、皇帝が動いたことで助手が手元を誤り、執刀していた劉医官の右手を傷つけてしまう。
執刀医離脱。
空気が凍る。
そこで出てくるのが羅門。
かつて皇族の医療で責任を負わされ、膝の骨を抜かれたせいで、自力では長時間立てない。
そんな養父の身体を、
猫猫が横から支える。
羅門が手術する。
猫猫が羅門を支える。
この親子の形が良かった。
羅門は癒着した虫垂を処置するところまでやり切るものの、ついに体力が尽きる。
猫猫が縫合するしかない。
そう覚悟したところで、
天祐。
こいつ、一度は皇帝の身体を見て、
普通の人間と同じで面白くない。
みたいな理由でやる気を失っている。
お前なぁ……。
でも羅門から珍しい症例をちらつかされれば戻ってくる。
そして最後の縫合を見事に仕上げる。
腹立つけど腕はいい。
本当に腕はいい。
結果、皇帝は無事回復。
医官たちも、どうにか首がつながった。
良かった。
本当に良かった。
そして全部終わったあと、今度は皇帝の仕事を肩代わりしていた壬氏が干からびている。
猫猫が砂糖水を飲ませ、一緒に食事をする。
国家の命運をかけた手術のあとに待っていたのが、
二人で飯を食う時間。
この静けさが妙に良かった。
関係が劇的に進んだわけではない。
でも猫猫は壬氏のところへ行き、壬氏も猫猫の前では力を抜く。
15巻は皇帝の腹を切るというシリーズ屈指の緊迫した巻だったのに、最後はいつもの二人へ戻って終わる。
猫猫と壬氏。
進んでいる。
確実に進んではいる。
でも、
夫婦になるまでには、まだまだ時間がかかりそうだw
最後までお読み頂きありがとうございます。
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考察
皇帝の虫垂炎手術と宮廷の暗闘を巡る全貌
西都から帰還した猫猫は、選抜試験を経て都の郊外にある診療所での投薬実験に配属された。
そこで行われていた実験を通じて現皇帝の盲腸炎再発を見抜き、失われた医学書「華佗の書」の知見や翠苓の麻酔薬の配合を基に、決死の開腹手術へと臨むこととなった。
物語全体の流れ・プロット、主要な転換点、人物関係の推移、自己認識と周囲の評価、クライマックスの手術劇、そして巻末の状況に至るまでのその全体像を解説する。
物語全体の流れ・プロット
選抜試験から始まり、皇帝の病の発覚、特別班の結成、手術前夜の会合、そして不測の事態を乗り越えた開腹手術の成功に至るまでの物語は、以下のように展開する。
- 第1幕(選抜試験と配属異動):猫猫は羅門が監督する選抜試験に合格し、宮廷最大の薬保管庫へと配属された。
都の郊外の診療所において、大黄牡丹皮湯と偽薬を用いた盲腸炎の比較投薬実験に参加し、高貴な人物の治療のための実験であると確信した。 - 第2幕(皇帝の病と華佗の書の発見):復元された「華佗の書」の腑分け図を確認した直後、高順から現皇帝が重い盲腸炎を再発させている事実を打ち明けられた。
猫猫は阿多の離宮を訪れ、隠れ住む翠苓を説得して麻酔薬の記述を預かった。 - 第3幕(特別班の結成と反対勢力):皇帝を救うための特別班が結成され、翠苓の資料を託された泰然が麻酔担当として復帰した。外戚による不敬な介入や高官たちの反対に対し、猫猫は玉葉后へ手術の必要性を説明して支持を取り付けた。
- 第4幕(手術前の会合と古い約束):手術を前に帝が阿多、壬氏、猫猫を離宮に招いた。
壬氏が帝位継承を固辞する中、阿多は帝が壬氏を縛り付けるのを防ぐため古い約束を破棄し、生涯愚痴を聞き続ける新たな誓いを立てて帝に手術を決意させた。 - 第5幕(虫垂炎手術と不測の事態):帝の痛みの急激な消失から虫垂破裂の危険を察知し、手術を前倒しした。
術中に執刀医の劉医官が負傷する事故が発生したが、羅門が癒着した虫垂を切除し、最後は天祐が見事な縫合を行って手術を完遂した。 - 第6幕(主上の完治と平穏な日常):帝は順調に回復して公務に復帰し、特別班は解散となった。
代理公務の激務で疲弊した壬氏を猫猫が労わり、二人は静かに食事を共にして日常への帰還を喜び合った。
物語を動かした主要な転換点
投薬実験の看破から麻酔薬の確保、帝の覚悟の確立、そして術前の緊急判断に至るまでの重要局面が展開された。
- 都の郊外の診療所における投薬実験の開始:比較実験の観察を通じて現皇帝が重い盲腸炎に侵されている事実を見抜き、猫猫が自ら治療法の解明と資料収集へ動き出す契機となった。
- 翠苓からの麻酔薬「麻沸散」の資料回収:離宮の翠苓から麻酔薬の製法を受け取ったことで失意の泰然が現場へ復帰し、安全な開腹手術に不可欠な麻酔技術が完成した。
- 手術前夜における阿多と陽の「古い約束」の破棄:阿多が壬氏の自由を守るために過去の約束を破棄して帝を精神的に支える誓いを立て、帝が手術を受ける決意を固める決定打となった。
- 帝の痛みの消失の発見と手術時間の手繰り上げ:痛みの消失が虫垂破裂の兆候であると見抜き、手術を即座に前倒ししたことで腹膜炎による致死的な事態を未然に防いだ。
主人公を中心とした人物関係の推移
国家の最高機密である手術の準備と実行を通じ、周囲の重要人物との関係はより深まっていった。
- 壬氏:夜伽の件による気まずさを抱えつつも、皇帝の病を通じて互いの覚悟を再確認した。
術後の激務で倒れかけた彼を介抱し、気兼ねなく支え合える関係を回復した。 - 天祐:執刀を巡る衝突を経て彼に厳しく接しつつも、卓越した縫合技術を認めた。
減給処分を課すことで手綱を引き締め、医療のライバルとしての関係を確立した。 - 皇帝(陽):雲の上の存在から直接言葉を交わす患者となった。
手術前夜の会合への同席や術中の暴言の記憶を経て、軽口を交わし天祐の処分を直談判できる間柄となった。
主人公の認識と周囲の評価
自身の立場を弁える猫猫の自己認識と、唯一無二の医療人材として全幅の信頼を寄せる周囲との間には大きな隔たりがあった。
- 主人公自身の認識:薬や毒への好奇心を持つ平凡な見習い官女に過ぎないと自認し、皇位継承や宮廷の権力闘争からは一貫して距離を置きたがっていた。
- 周囲からの評価:壬氏や高順からは些細な兆候から真実を導き出す不可欠な知性と評価され、劉医官や羅門からは正確な調合技術と誠実さを信頼された。
阿多や雀からも危機に動じない賢女として認められていた。 - 認識の差が現れた場面:帝の痛みが引いた現象に対し、他の医官が麻酔の効果と楽観視する中、猫猫は「華佗の書」の記述から虫垂破裂の危機と直感して手術を急がせた。
周囲が驚愕する中、猫猫自身は患者を救うための当然の判断と捉えていた。
クライマックスにおける開腹手術と執刀の継承
緊迫した手術室内での事故と、医官たちの技術を結集した連携が描かれた。
- 劉医官の負傷と混乱:帝の腕の不意な動きに動揺した助手が誤って劉医官の右手を小刀で刺し、執刀不能のパニックに陥った。
- 羅門の執刀と限界:不自由な足をおして立ち上がった羅門が、見事な技量で癒着した虫垂を剥離切除したものの、極度の疲労で、縫合を前にその場へ座り込んでしまった。
- 天祐の乱入と縫合完遂:猫猫が代わりの縫合を決意した場へ、羅門に諭された天祐が駆けつけ、迅速かつ精密なメス捌きで帝の腹部を縫合した。
- 手術の成功:猫猫が器具の片付けと化膿止めの処置を施し、前代未聞の開腹手術は無事に完了を迎えた。
巻末時点の状況と今後の展望
帝の病気は完治したものの、後宮と宮廷の政治情勢には新たな動きが生じた。
- 解決した問題:皇帝の虫垂炎手術の成功と公務復帰、麻酔薬「麻沸散」の実用化、および天祐への半年間の減給処分の執行が完了した。
- 主人公の所在と立場:都の女子宿舎に戻り医局での日常業務を再開しつつ、皇帝の外科手術を成功させた特別班の一員としての信頼を確立した。
- 継続している問題と布石:皇太后派と皇后派の政治的対立は続いており、両派閥から入内した新たな上級妃の存在や後宮での懐妊の噂を巡る駆け引きが今後の重要な焦点となっている。
プロット構造の整理
物語の因果関係は、次のように整理できる。
- 開始地点:都へ帰還した猫猫の平穏な日常と医局での掃除。
- 発端:羅門が監督する選抜試験の合格と、郊外の診療所への配属異動。
- 展開:投薬実験を通じた皇帝の盲腸炎の看破、および「華佗の書」の腑分け図の確認。
- 中盤の転換:阿多の離宮での翠苓からの麻酔資料回収、および特別班の正式結成。
- クライマックスへの導線:離宮での非公式会合における帝の覚悟の確立、および術前の痛み消失の察知。
- クライマックス:劉医官の負傷、羅門による虫垂切除、天祐による腹部縫合の完遂。
- 到達地点:皇帝の公務復帰、日常業務への帰還、および疲弊した壬氏との穏やかな食事。
まとめ
皇帝の虫垂炎手術と宮廷の暗闘を巡る一連の全貌は、選抜試験と投薬実験から始まり、皇帝の病状看破、麻沸散の調達、手術前夜の会合、執刀医負傷の危機を乗り越えた開腹手術、そして日常への帰還に至るまで、一連の出来事を鮮やかに描き出している。
国家を揺るがす重大な局面において、医学の知見と強い覚悟を結集して難局を打開した記録である。
医官の選抜試験
宮廷で行われた医官選抜試験の概要と、合格者に課された特別な任務について解説する。この試験には表向きの目的とは別に、国家最高機密に関わる重大な狙いがあった。
選抜試験の真の目的
この選抜試験は、一見すると通常の配置換えのように見えた。しかし本当の目的は、新たに開発される薬の効果を検証する投薬実験に携わる、優秀な人材を選ぶことだった。
・背景には、虫垂炎(盲腸炎)を患う皇帝の手術と術後治療に向けた、極秘の特別医療プロジェクトがあった。
・国家の最重要課題である皇帝の治療に備え、適性のある人材を見極める必要があった。そのため、医療知識だけでなく、極秘任務を遂行できる口の堅さや洞察力も重視された。
試験の内容と結果
試験は、猫猫(マオマオ)の養父であり、卓越した知見を持つ医官・羅門(ルォメン)の監督のもとで実施された。
・試験は筆記試験と、薬を調合する実技試験で構成されていた。調合試験では、患者が妊娠している可能性も踏まえた治療法と薬の選択が問われた。知識の深さだけでなく、患者の状況に応じて柔軟に考える力と、細やかな注意力も求められた。結果として、猫猫や外科の技術に長けた天祐(テンユウ)らが正解を導き出し、合格を果たした。一方、高度な専門知識を持つ泰然(タイゼン)医官は、過去の経緯による降格の影響もあり、不合格となった。
合格後の任務:投薬実験の実態
合格者には辞令が下され、猫猫たちは宮廷最大の薬の保管庫へ配属された。そこで彼らに与えられたのは、都の郊外にある診療所で実施される極秘の投薬実験だった。
・診療所には、盲腸炎に似た症状を持つ患者たちが集められていた。そこで、実際に効果のある薬と、蕎麦粉などを混ぜた効果のない偽薬(プラセボ)を、見た目や生薬の配合がほぼ同じになるように作った。
・薬そのものの効果と、患者の心理的な影響による効果を比較する実験が行われた。猫猫たちは二人一組で交代しながら、患者への投薬、容態の綿密な記録、看病に従事した。
まとめ
合格者たちは当初、この実験の最終目的が皇帝の治療であることを知らされていなかった。しかし猫猫たちは、与えられた役割を着実に果たすなかで、宮廷内で進む重大な医療計画の核心へと徐々に近づいていくことになった。
投薬実験と麻酔
物語の根幹をなす投薬実験と麻酔の開発、そしてそれらがつながる極秘の国家プロジェクトについて解説する。
謎の投薬実験と偽薬(プラセボ)の導入
猫猫(マオマオ)や天祐(テンユウ)をはじめとする、選抜された優秀な医官・官女たちは、郊外の屋敷に設けられた診療所で極秘の投薬実験に参加することになった。
- 診療所には盲腸炎に似た症状を抱える患者が集められ、容態の記録と看病が行われた。実際に効く薬と、蕎麦粉を混ぜただけの偽薬(プラセボ)の双方を投与し、薬そのものの効果と心理的な影響を比較・検証した。
- この実験の最終目的は、帝(皇帝)の盲腸炎(虫垂炎)の手術と術後治療を成功させるための、データ収集と事前準備だった。
華佗の書と伝説の麻酔薬「麻沸散」の発見
外科手術において、最大の課題となるのは患者の痛みをどう管理するかだった。
- 復元が進められていた禁書の医学書『華佗の書』から、伝説の麻酔薬・麻沸散(まふつさん)に関する記述が見つかった。その原料の一つには、かつて猫猫が翠苓(スイレイ)の残した道具から推測していた曼陀羅華(まんだらげ)が含まれていた。
- 当時の宮廷では、医官たちの間でも麻酔技術はまだ確立されていなかった。
翠苓の知識と泰然医官の技術の融合
未完成だった麻酔技術を確立するため、猫猫は元上級妃・阿多(アードゥオ)のもとに匿われている翠苓へ協力を求めた。
- 翠苓はかつて、麻酔に精通した泰然(タイゼン)医官に近づいて知識を吸収し、人を仮死状態にする薬を作り上げた経験があった。さらに麻酔薬に関する知識を書き付けとして提供し、重視すべきは手術そのものだけでなく術後の治療だという重要な助言を与えた。
帝の手術における実践
羅門(ルォメン)や劉医官を中心とする特別班での会議を経て、薬の有用性や麻酔薬の選定、術後の処置などが緻密に決定された。
- 帝の手術当日、完成した麻酔薬が投与され、帝は手術台に横たわった。ところが術直前に痛みが急に消えたため、猫猫は虫垂が破裂した可能性と腹膜炎の危険を指摘。
手術は急きょ前倒しで行われることになった。 - 天祐の鮮やかな執刀と縫合技術、そして麻酔による確実な疼痛管理によって、帝の手術は無事に成功した。
まとめ
投薬実験と麻酔の開発は、皇帝の命を救うという前例のない外科手術を成功へ導くための、医学的・科学的な試みの集大成だった。
これらの取り組みは単なる治療にとどまらず、帝国の医療技術を大きく前進させる転換点となった。
華佗の書復元
発見された禁忌の医学書である華佗(カダ)の書の復元と、その内容がもたらした影響について解説する。華佗の書は単なる歴史的な秘宝にとどまらず、帝の命を救うための外科手術と麻酔技術を大きく前進させる決定的な鍵となった。
発見時の状態と復元の依頼
華佗の書は、天祐(テンユウ)の曾祖母が残した暗号を頼りに、大木の根元の地中から粘土で固められた壺に入った状態で発見された。
・長年地中にあったため本は湿気で頁同士が密着しており、無理に触れば破損するほど劣化していた
・壬氏(ジンシ)はこの本を口の堅い技術者に復元させると猫猫(マオマオ)に約束した
・専門家による慎重な復元作業が進められ、歴史から抹消されていた知識が現代に蘇ることとなった
復元の完了と解明された病の知識
復元作業を終えた華佗の書について、復元室で猫猫や天祐らを交えた会議が行われた。
・復元された資料を閲覧した猫猫は、特に疱瘡に関する記述や、盲腸炎(虫垂炎)に関する精密な記述に強い関心を示した
・盲腸炎に関する研究内容は、現在の皇帝が患っている慢性的な腹痛の治療と直結する極めて重要な情報であった
・書物には内臓の構造や病変に関する高度な知見が記されており、当時の医学水準を遥かに凌駕する内容であった
追加復元による伝説の麻酔薬の発見
追加の復元が完了した際、復元室には養父の羅門(ルォメン)や劉医官、壬氏らも集まり、新たな記述の確認が行われた。
・復元された書の中に、伝説の麻酔薬と呼ばれる麻沸散(まふつさん)の記述が発見された
・原材料の一つとして毒草である曼陀羅華(まんだらげ)が挙げられていた
・宮廷において麻酔技術が未完成であった中、この発見は外科手術の実現可能性を飛躍的に高めることとなった
帝の手術への応用
復元された華佗の書は、帝の盲腸炎を治療するための特別班において重要な参考資料として提供された。
・書物に記された内臓系の病気や手術方法の知識は、外科手術の計画策定に大きく貢献した
・猫猫は麻酔に関する記述を足がかりとして、翠苓(スイレイ)に接触し、麻沸散の改良と情報提供を求めた
・過去の知恵と現代の技術を融合させることで、前代未聞の外科手術を成功させるための準備が整えられた
まとめ
復元された華佗の書は、長きにわたり禁忌として封印されていた医学の結晶であった。
この書物が発見され、精密な復元が行われたことは、帝の病を治癒させるだけでなく、茘(リー)の国における医療の在り方を根本から変える歴史的な転換点となったのである。
帝の盲腸炎手術
帝の盲腸炎(虫垂炎)手術に至る経緯と、予想外のトラブルが相次いだ手術当日の一部始終を振り返る。
物語の大きな山場であり、医学的・政治的な障壁を乗り越えた記録でもある。
手術への障壁と玉葉后への事前説明
慢性的な痛みに苦しむ帝の病状は極秘にされていた。しかし、外科手術を実施するには、数々の障害を乗り越える必要があった。
・外科手術には身内からの激しい反対や政治的な干渉があり、大きな障壁となった。
・手術が失敗した際の連座のリスクを考え、劉医官は猫猫や自身の親族らでチームを固め、被害を最小限に抑えるための策を講じた。
・猫猫は玉葉后に手術の必要性とリスクを率直に説明し、後宮側の理解と同意を得ることに成功した。
手術直前の秘密の会談
手術日が決まった直後、帝は不安から難色を示した。そこで、壬氏、阿多、猫猫を交えた秘密の会談が開かれることになった。
・会談は、壬氏が自ら焼き印を押した因縁の場所で行われた。
・帝位継承に関する話し合いや遺言の執筆を通じ、万が一の事態に備える覚悟が示された。
・この会談を経て、帝は手術を受ける最終的な決意を固めた。
虫垂破裂の危機と手術の前倒し
手術当日、予定時刻を前にして、帝の痛みが突然消えるという異変が起きた。
・猫猫は過去の知見から、この痛みの消失が虫垂破裂による腹膜炎の進行を示す可能性があると見抜いた。
・一刻を争う状況となり、手術は急きょ予定を前倒しして開始された。
執刀医の交代と天祐の活躍
手術開始直後、予想外の事態によって執刀医の交代を余儀なくされた。
・執刀予定だった劉医官が負傷し、代役の羅門も万全の体調ではないという絶体絶命の状況に陥った。
・そこで、伝説の医官・華佗の末裔である新人医官の天祐が執刀を引き受けることになった。
・猫猫が助手を務めるなか、天祐は猟師としての経験に裏打ちされた、神業ともいえる外科技術を発揮した。
手術の成功と結末
天祐の卓越した技術により、帝の手術は無事に成功した。
・傷口は見事に縫合され、術後の経過も良好だった。
・帝は特別室で厳重な管理のもと安静に過ごし、順調に公務へ復帰した。
・一方で、手術中の不遜な態度などが影響したのか、天祐には減給処分が下されるという結末となった。
まとめ
帝の盲腸炎手術は、羅門の知識、猫猫の洞察、そして天祐の技術が結実した、前例のない成果だった。この成功は一人の命を救っただけでなく、茘の国における外科医学の可能性を大きく切り開く、歴史的な転換点となった。
壬氏の帝位継承
壬氏(ジンシ)の帝位継承をめぐる問題と、彼が下した決断について解説する。
物語の大きな転機となるこの問題の背景には、壬氏の出生の秘密と、宮廷内で長く続く複雑な派閥争いがある。
壬氏の真の身分と派閥抗争の背景
壬氏は表向き、皇帝の弟にあたる皇弟とされている。しかし実際には、現皇帝と元上級妃・阿多(アードゥオ)の間に生まれた実子である。
本来の皇弟と取り替えられたという出生の秘密こそが、帝位継承問題の根底にある。
・皇帝の正室である玉葉后(ギョクヨウヒ)の息子が東宮(皇太子)となっている一方、宮廷では激しい派閥争いが続いている。玉袁(ギョクエン)を中心とする皇后派は東宮を支持しているが、古い家柄の者が多い皇太后派は、西方の血を濃く引く東宮を快く思っていない。
皇太后派は、長年にわたり東宮に近い地位にあった壬氏を次期皇帝に担ぎ上げようとしており、その動きが若手武官の暴走や政情不安を招いていた。
皇帝の真意と継承の打診
皇帝自身も壬氏の真の身分を知っており、その資質を高く評価していた。自身の健康が悪化し、重い手術を受けることになった皇帝は、国の将来を見据えて動き出す。
・手術を前に、皇帝は壬氏、阿多、そして猫猫(マオマオ)を交えた極秘の会談を開いた。
万が一に備え、玉葉后側との衝突も覚悟したうえで、壬氏を正式な後継者に指名する案を検討したのである。
会談の場で皇帝は、壬氏に帝位を継ぐ意思があるのかを直接問いかけた。
壬氏の固辞と人としての決意
壬氏は皇帝からの打診をきっぱりと拒み、帝位継承を辞退する道を選んだ。彼が優先したのは権力ではなく、一人の人間として自分らしく生きることだった。
・壬氏はかつて、玉葉后と東宮にとって脅威ではないことを示すため、自らの脇腹に一生消えない焼き印を押していた。
それは、皇族としての身分を捨て、一人の人間として生きるという彼の過酷な覚悟の象徴だった。会談でも壬氏は、ただ一人の女性だけを愛したいという強い個人的な願いを語る。
皇帝は後宮を持たなくてもよいという妥協案を示したが、壬氏はそれすら受け入れず、あくまで臣下として生きる道を選んだ。
阿多の親心と最終的な合意
実の母である阿多も、一人の親として壬氏の決断を全面的に支持した。彼女が望んでいたのは、権力者としての成功よりも、息子が心穏やかに幸せに生きることだった。
・阿多は壬氏に賢君としての資質があると認めながらも、彼の優しさゆえに、皇帝という立場は彼自身を追い詰めかねないと危惧していた。
皇帝に対しては、壬氏を国家のための「天」としてではなく、一人の人間として扱ってほしいと強く訴える。
最終的に皇帝は、壬氏の揺るぎない決意と阿多の願いを受け入れ、帝位継承を強いる方針を撤回した。
そして、万が一に備えた遺言も壬氏の意思を尊重する内容へと書き換え、会談は幕を閉じた。
まとめ
壬氏の帝位継承問題は、愛する人と共に一人の人間として生きたいという彼の強い覚悟と、息子を思う母・阿多の深い愛情によって、「継承を拒む」という明確な結末を迎えた。
この決断は、今後の宮廷における壬氏の立場を定めると同時に、猫猫との関係をより対等な人間同士のものへ近づける重要な一歩となった。
キャラクター紹介
皇族・宮廷
皇帝(僥陽 / 陽)
茘の国を治める、絶対的な権力を持つ君主である。
彼は、過度な精神的ストレスから盲腸炎を再発した。
阿多との間で、お互いの覚悟を確かめ合っている。
・所属組織、地位や役職 茘の宮廷に所属し、最高権力者である皇帝の地位を務めた。
・物語内での具体的な行動や成果 阿多の説得を受け入れ、決死の開腹手術を受けることを最終的に承諾している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 手術は無事に成功し、半月後には公務へ復職した。
壬氏(華瑞月)
美しい容姿を持つ、皇帝の実子である若き指導者である。
彼は、主上の病を心配し、手術特別班を全面的に支援した。
猫猫に対して、深い愛情と信頼を寄せている。
・所属組織、地位や役職 茘の宮廷に所属し、皇弟の立場を務めた。
・物語内での具体的な行動や成果 皇帝からの譲位の打診を辞退し、東宮の臣下であり続ける決意を新たにしている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 手術の静養中、すべての膨大な公務を一人で処理した。
阿多
離宮で静かに暮らす、壬氏の実の母親である。
彼女は、主上の不安や迷いを敏感に察知した。
主上との間で、新たな覚悟の約束を交わしている。
・所属組織、地位や役職 茘の離宮に所属し、元四夫人の立場を務めた。
・物語内での具体的な行動や成果 主上が月を縛り付けるのを防ぐため、古い約束を自ら反故にしている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 代わりに、陽の愚痴を骨を埋めるまで聞き続ける決意を示した。
翠苓
阿多の離宮に隠れ住む、優れた薬学知識を持つ女性である。
彼女は、かつて死を偽装して後宮から脱出した。
猫猫に対して、医療に関する有益な知識を提供している。
・所属組織、地位や役職 阿多の離宮に所属し、元後宮の官女を務めた。
・物語内での具体的な行動や成果 猫猫の説得に応じ、麻沸散の実験データをまとめた書き付けを手渡している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 この資料の提供により、麻酔薬の実用化に多大な貢献を果たした。
玉葉后(玉葉)
茘の国における、確固たる地位を築く美しき皇后である。
彼女は、主上の突然の病状に強い懸念を示した。
猫猫の率直な解説を、真剣な態度で聞き入れている。
・所属組織、地位や役職 茘の後宮に所属し、皇后の地位を務めた。
・物語内での具体的な行動や成果 猫猫から手術のリスクについて丁寧な説明を受け、その必要性を理解している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 西都の玉袁派閥を説得することを、猫猫たちに対して約束した。
羅の一族
猫猫
花街で育った、薬学と毒に異常な執着を持つ少女である。
彼女は、現皇帝の盲腸炎の再発を鋭く見抜いた。
不自由な体を押して、手術班の調整と看護に尽力している。
・所属組織、地位や役職 宮廷の医局に所属し、見習いの医官付官女を務めた。
・物語内での具体的な行動や成果 痛みの消失が虫垂の破裂を意味することに気づき、手術を前倒しにさせている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 手術後に、無責任な行動を取った天祐への減給を直談判した。
羅門
猫猫の養父であり、比類なき知恵と医術を誇る老宦官である。
彼は、手術を指導する監督役として特別班を支えた。
猫猫に対して、常に優しい指導と教育を施している。
・所属組織、地位や役職 宮廷の医局に所属し、上級医官を務めた。
・物語内での具体的な行動や成果 執刀医が負傷した不測の事態において、自ら執刀を引き受けている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 体力の限界まで動き、大腸に癒着した虫垂の切除を見事に成功させた。
馬の一族
高順
皇帝直属の護衛官であり、主上の乳兄弟でもある実直な武官である。
彼は、帝の病状の機密を守るため、猫猫に助言を求めた。
無礼な外戚に対して、強い怒りを示している。
・所属組織、地位や役職 茘の宮廷に所属し、皇帝直属の護衛官を務めた。
・物語内での具体的な行動や成果 病床の帝の部屋に侵入してきた豪に対し、抜刀して威嚇している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 主上の安全と秘密を、生涯を懸けて徹底的に守り抜いた。
雀(チュエ)
馬良の妻であり、阿多の密偵を務める優秀な女性である。
彼女は、右腕の機能不全を抱えつつも、持ち前の明るさを失わなかった。
猫猫に対して、秘密裏に伝言や手紙を仲介している。
・所属組織、地位や役職 皇弟の邸に所属し、侍女を務めた。
・物語内での具体的な行動や成果 猫猫と天祐を、壬氏の執務室の近くにある復元室へと案内している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 陰ながら、宮廷の重大な出来事を的確に監視し続けた。
馬良
高順の息子であり、雀の最愛の夫である真面目な文官である。
彼は、妻の怪我を深く心配し、彼女を温かく支えた。
周囲の不穏な動きに対して、冷静な観察眼を維持している。
・所属組織、地位や役職 宮廷の文書管理。進士の役職を務めた。
・物語内での具体的な行動や成果 西都から戻った後も、雀の体調を常に労わっている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 宮廷の公務において、堅実な役割を果たした。
馬閃
高順の息子であり、壬氏の信頼を得る実直な若手武官である。
彼は、里樹妃に対して密かに特別な好意を寄せていた。
姉の麻美から、恋愛の不器用さを厳しく叱責されている。
・所属組織、地位や役職 宮廷の衛兵隊に所属し、護衛の武官を務めた。
・物語内での具体的な行動や成果 里樹妃との縁談話が、周囲の手回しによって具体的に動き始めている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 武官として、宮廷の警備任務を誠実にこなした。
麻美
高順の娘であり、馬閃の姉に当たる行動力のある女性である。
彼女は、一族の繁栄と弟の幸せのために、鋭く目を光らせていた。
卯の当主に対し、有利な婚姻の交渉を持ちかけている。
・所属組織、地位や役職 皇弟の邸に所属し、上級侍女を務めた。
・物語内での具体的な行動や成果 里樹妃が一度もお手付きになっていない事実を、説得の材料として提示している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 その卓越した行動力で、周囲を強力に支援した。
桃美
高順の妻であり、麻美や馬閃の母親である隻眼の女性である。
彼女は、一族の秩序を厳しく維持する知恵を持っていた。
勝手な行動を取る若者たちを、厳しく諭している。
・所属組織、地位や役職 皇弟の邸に所属し、上級侍女を務めた。
・物語内での具体的な行動や成果 壬氏と猫猫の夕食として、豪華な麺や饅頭を用意している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 家族の健康と安全を、長年にわたり静かに守り抜いた。
馬なんとかさん(麻美の夫)
麻美の配偶者であり、馬の一族の義理の息子である実直な男性である。
彼は、個性的な一族の女性たちに振り回されながらも健気に暮らしていた。
一族の日常において、素朴なやり取りを見せている。
・所属組織、地位や役職 馬の屋敷に所属し、居候の立場を務めた。
・物語内での具体的な行動や成果 妻の麻美の勢いに気圧されつつも、素直に従っている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 一族の平和な調和に、静かに貢献した。
外廷・宮廷・医局関係者
天祐
宮廷の医局に所属する、腑分け作業を愛する若い医官である。
彼は、主上の体が一般人と同様であることに落胆した。
羅門から執刀権を提示され、驚異的な縫合技術を披露している。
・所属組織、地位や役職 宮廷の医局に所属し、下級医官を務めた。
・物語内での具体的な行動や成果 手術中にわがままを言った罰として、半年間の減給処分を受けている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 執刀医の負傷時、迅速な縫合を完成させて帝を救った。
劉医官
宮廷の医局を取り仕切る、非常に厳格な上級医官である。
彼は、羅門の持つ優れた医学的知見を深く尊敬していた。
手術の執刀医として、重大な責任を背負っている。
・所属組織、地位や役職 宮廷の医局に所属し、医官長を務めた。
・物語内での具体的な行動や成果 手術の際、焦った助手の小刀によって右手を刺されて負傷している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 負傷後、速やかに指揮権を羅門に託した。
豪(皇太后の異母兄)
皇太后の異母兄であり、権力を執拗に狙う傲慢な外戚である。
彼は、病床の主上に不敬な暴言を吐いた。
高順から剣を突きつけられ、激しい動揺を示している。
・所属組織、地位や役職 朝廷の外戚派閥に所属し、高官の地位を務めた。
・物語内での具体的な行動や成果 東宮の血筋を侮辱し、自らの大姪を貴妃に就けるように強要している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 高順の毅然とした威嚇の前に、引き下がることを余儀なくされた。
泰然
宮廷の医局に所属する、かつて降格されて腑抜けになっていた医官である。
彼は、翠苓の書き付けを受け取り、職人魂を燃え上がらせた。
特別班の麻酔担当として、執念の調合を行っている。
・所属組織、地位や役職 宮廷の医局に所属し、中級医官を務めた。
・物語内での具体的な行動や成果 伝説の麻酔薬である麻沸散の、安全な配合比率を検証し完成させている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 その優れた調合により、帝の手術を麻酔面から強力に支えた。
李医官
宮廷の医局に所属する、生真面目な中級医官である。
彼は、猫猫と共に仮眠室の掃除をしていた。
選抜試験に合格し、猫猫たちと共に投薬実験の担当者に抜擢されている。
・所属組織、地位や役職 宮廷の医局に所属し、中級医官を務めた。
・物語内での具体的な行動や成果 大黄牡丹皮湯を用いた、投薬実験の実施に尽力している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 実直な実務により、医療チームの信頼を勝ち取った。
暁東(第一助手 / シャチョン)
劉医官の第一助手であり、手術に不慣れな若い医官である。
彼は、不測の事態に直面し、激しく腰を抜かした。
手術室のパニックに、多大な影響を与えている。
・所属組織、地位や役職 宮廷の医局に所属し、下級医官を務めた。
・物語内での具体的な行動や成果 主上の突然の動きに動揺し、劉医官の右手を誤って刺している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 その不手際により、手術室を一時的な混乱に陥れた。
雪松(第二助手 / シェンソン)
劉医官の第二助手であり、手術の現場に同行した気弱な医官である。
彼は、第一助手の失態に恐怖し、その場に立ちすくんだ。
パニックが広がる中、自らの職務を維持できずに怯えている。
・所属組織、地位や役職 宮廷の医局に所属し、下級医官を務めた。
・物語内での具体的な行動や成果 執刀医が負傷した際、怖気づいて体を震わせている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 羅門や猫猫が引き継ぐまで、なす術なくその場で見守った。
王旺(長先輩 / わんわん先輩)
宮廷の大きな薬庫を取り仕切る、実務経験の豊富な年長の医官である。
彼は、新たに配属された猫猫を歓迎した。
薬の在庫管理や整理について、的確な指示を与えている。
・所属組織、地位や役職 宮廷の薬庫に所属し、上級倉庫管理医官を務めた。
・物語内での具体的な行動や成果 不慣れな猫猫に対し、貴重な生薬の場所を親切に教えている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 その温厚な人柄により、倉庫の平穏な調和を維持した。
短先輩
宮廷の医局に所属する、小柄で真面目な先輩医官である。
彼は、都の郊外にある診療所で猫猫と共に活動した。
投薬実験の患者たちの看病に、献身的に取り組んでいる。
・所属組織、地位や役職 宮廷の医局に所属し、見習い指導医官を務めた。
・物語内での具体的な行動や成果 患者の脈拍や熱の数値を、記録簿に正確に記入している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 猫猫の熱心な看病に、感心しながら協力した。
中同輩
猫猫とほぼ同時期に医局に入った、普通の体格を持つ同僚の医官である。
彼は、羅門が監督する最初の選抜試験に参加した。
難解な設問に対し、必死に答えを導き出そうとしている。
・所属組織、地位や役職 宮廷の医局に所属し、見習い医官を務めた。
・物語内での具体的な行動や成果 妊娠中の治療を考慮する引っかけ問題に苦戦している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 試験を通じて、自らの知識不足を痛感した。
老医官
宮廷の医局に長年勤務する、保守的で頑固な高齢の医官である。
彼は、開腹手術という未知の治療法に、激しく反対した。
伝統的な薬物治療を重んじる思想を持っている。
・所属組織、地位や役職 宮廷の医局に所属し、上級顧問医官を務めた。
・物語内での具体的な行動や成果 帝の体に刃を入れる暴挙であるとして、激しい抗議の声を上げている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 最終的に、羅門や劉医官の決意に気圧されて沈黙した。
劉小母さん(劉医官の妹)
劉医官の実の妹であり、診療所で猫猫たちを助ける温和な女性である。
彼女は、実験の患者たちに配る食糧や、粥の用意を補佐した。
医術を志す若い官女たちを、温かく労っている。
・所属組織、地位や役職 都の郊外の診療所に所属し、炊き出しの助手をした。
・物語内での具体的な行動や成果 病気で苦しむ貧しい民衆に対して、丁寧に食べ物を配っている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 診療所の和和とした雰囲気作りに、大いに貢献した。
紅娘(ホンニャン)
玉葉后の宮を厳格に仕切る、非常に有能な侍女頭である。
彼女は、皇后の身の安全と、宮廷の調和を誰よりも案じていた。
猫猫に対して、手術に関する事前の説明を求めている。
・所属組織、地位や役職 皇后の宮に所属し、侍女頭を務めた。
・物語内での具体的な行動や成果 皇后の宮に猫猫を呼び、手術のリスクを詳しく聞き出している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 その優れた統率力により、皇后の周囲の安全を完璧に維持した。
桜花(インファ)
玉葉后に仕える、非常に明るく元気な上級侍女である。
彼女は、久しぶりに宮を訪れた猫猫を、笑顔で大いに歓迎した。
猫猫の体の調子を、優しく気遣っている。
・所属組織、地位や役職 皇后の宮に所属し、上級侍女を務めた。
・物語内での具体的な行動や成果 猫猫に対して、温かいお茶とお菓子を親切に提供している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 宮の中の明るい雰囲気作りに、常に貢献した。
貴園(キエン)
玉葉后に仕える、非常におっとりとした教養のある上級侍女である。
彼女は、猫猫が説明する手術の術式に、深い関心を示した。
生生しい解説に、驚きを隠せずにいる。
・所属組織、地位や役職 皇后の宮に所属し、上級侍女を務めた。
・物語内での具体的な行動や成果 針や糸を用いた縫合の話を聞き、息を呑んで耳を傾けている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 皇后を陰から支え、淑やかな態度を常に維持した。
愛藍(アイラン)
玉葉后に仕える、非常に活発で流行に敏感な上級侍女である。
彼女は、猫猫の顔色を観察し、長旅の疲れを深く心配した。
宮の中の不穏な噂に対して、冷静な態度を崩さずにいる。
・所属組織、地位や役職 皇后の宮に所属し、上級侍女を務めた。
・物語内での具体的な行動や成果 猫猫の無事な帰還を、手を取り合って祝福している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 皇后の身の回りの世話を、誠実な実務でこなした。
玉葉后の異母姉
玉葉后の実家である、西都の有力者から送られた美しい女性である。
彼女は、皇后の政治的な地盤をさらに強化するために宮廷に入った。
猫猫の行う手術の解説を、静かな様子で観察している。
・所属組織、地位や役職 皇后の宮に所属し、お妃候補を務めた。
・物語内での具体的な行動や成果 茶会の場において、皇后の側に淑やかに控えている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 その高貴な佇まいにより、一族の強い存在感を示した。
市井・その他の人物
妤(ヨウ)
宮廷に入内したばかりの、非常に若く美しい新しい妃である。
彼女は、皇帝が自らの部屋を訪問した事実を、誇らしく思っていた。
後宮の新しい噂の種として、周囲から大いに注目されている。
・所属組織、地位や役職 茘の後宮に所属し、新人妃の立場を務めた。
・物語内での具体的な行動や成果 皇帝から一夜の訪問を受け、懐妊の兆候を噂されている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 今後の宮廷の勢力争いに、重大な影響を与える立場となった。
長紗
宮廷の医局に配属された、顔に疱瘡の痘痕を残す新しい見習い官女である。
彼女は、猫猫から薬草の過酷な整理作業を教わった。
過去の悲しい村の記憶を、静かに受け入れている。
・所属組織、地位や役職 宮廷の医局に所属し、見習い官女を務めた。
・物語内での具体的な行動や成果 猫猫に協力し、薬草の天日干しや薬棚の在庫整理に励んでいる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 医療を志す健気な官女として、真面目に成長を始めた。
集団
特別班(手術特別班)
現皇帝の盲腸炎を治療するため、極秘裏に結成された優秀な医療班である。
彼らは、羅門や劉医官の指揮のもと、厳しい訓練を重ねた。
不測の事態においても、自らの技術を結集している。
・所属組織、地位や役職 宮廷の医局に所属し、手術のための特命チームを務めた。
・物語内での具体的な行動や成果 伝説の麻沸散を用いた、帝の開腹手術を見事に成功させている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 歴史上初となる本格的な外科学の実証により、今後の医療の扉を開いた。
皇帝の護衛たち
皇帝の身の安全を二十四時間監視し、完璧な警備を行う屈強な衛兵たちである。
彼らは、高順の命令に従い、帝の部屋の入り口に立ちはだかった。
不審者や不敬な人物を、厳しく威嚇している。
・所属組織、地位や役職 茘の宮廷に所属し、皇帝直属の衛兵部隊を務めた。
・物語内での具体的な行動や成果 無断で侵入してきた豪の護衛たちと、一触即発の睨み合いを展開している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 手術の極秘機密を守るため、病室の厳重な封鎖を完了させた。
豪の護衛たち
外戚である豪に付き従う、非常に傲慢で血気盛んな武官の集団である。
彼らは、主君の威光をかざし、皇帝の病室へ強引に立ち入ろうとした。
高順の抜刀の前に、激しい恐怖を示している。
・所属組織、地位や役職 外戚の派閥に所属し、私設の護衛部隊を務めた。
・物語内での具体的な行動や成果 皇帝の護衛官たちと対峙し、不穏な空気をまき散らしている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 主君の豪が退却を余儀なくされた際、素直に付き従って撤退した。
子の一族の子供たち
かつて反乱によって滅亡した、子の一族の幼い生き残りたちである。
彼らは、阿多の慈愛によって、離宮の奥深くで密かに保護されていた。
現在も、過酷な政治闘争から隔離されて静かに暮らしている。
・所属組織、地位や役職 阿多の離宮に所属し、隠密な居候の立場を務めた。
・物語内での具体的な行動や成果 世間の厳しい目から逃れ、離育の安全な環境で日々を過ごしている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 一族の悲劇的な血脈を残す、貴重な存在として温かく見守られた。
備忘録
一話 選抜試験
投薬実験の選抜
猫猫は李医官と休眠室を掃除していたところ、天祐に連れられて羅門が監督する試験へ参加することになった。試験では筆記と薬の調合が行われ、妊娠の可能性まで考慮した治療法が問われた。
合格者の選定
猫猫を含む数人が正解とされ、この試験が新薬の効果を調べる投薬実験の参加者を選ぶためのものだったと明らかになった。試験後、猫猫は翠苓を好いていた医官から居場所を尋ねられたが、知らないと答えた。
二話 疱瘡と水疱瘡
妤の疱瘡痕
薬の在庫管理中、猫猫は妤から疱瘡の痕を見せてもらった。妤は克用から受けた処置について語り、猫猫はその内容に関心を持った。
疱瘡の知識
後日、猫猫は老医官や李医官と疱瘡について話し、自身にも痕がある老医官から、疱瘡と水疱瘡の違いや医官としての経験を聞いた。その後、猫猫には新たな辞令が渡された。
三話 辞令
薬の保管庫への異動
猫猫は宮廷最大の薬の保管庫へ異動となり、投薬実験に合格した仲間たちと連日薬を作ることになった。
本物と偽薬
羅門に連れられて郊外の屋敷へ向かうと、そこでは患者に本物の薬と蕎麦粉を使った偽薬を与え、治療効果と心理的な影響を比較する実験が行われていた。猫猫たちは薬の補充と患者の容態記録を担当した。
四話 投薬実験
診療所での記録
猫猫たちは二人ずつ交替で郊外の診療所へ通い、患者の看病と容態記録、宮廷での薬作りを分担した。
短先輩との協力
猫猫は短先輩と組み、本物の薬と偽薬を使った治療の経過を観察した。短先輩は血が苦手で、猫猫は蕎麦に弱いため、互いの不得手を補いながら仕事を進めた。
五話 復元書
華佗の書
猫猫と天祐は壬氏に呼ばれ、復元された華佗の書を見せられた。猫猫は特に疱瘡に関する記述へ強い関心を示した。
天祐の手術経験
猫猫は、天祐が生きた人間への手術経験を急速に積んでいることを知り、それが盲腸炎に関係しているのではないかと疑問を抱いた。
六話 病の主
帝の盲腸炎
華佗の書を調べた猫猫は、盲腸炎を患っているのが皇族ではないかと考えた。その後、高順から病人が帝であり、症状が再発している可能性を知らされた。
壬氏への指摘
帝の健康と今後について壬氏、高順、猫猫が話し合う中、猫猫は壬氏の行動も帝に負担を与えている可能性があると指摘し、反省を促した。
七話 男の浪漫
薬作りの会話
猫猫は長先輩と薬を作りながら、栄養状態や戦の失敗、後宮の話などを交わした。
泰然と翠苓
長先輩は、翠苓が泰然医官へ近づいたのは麻酔に関する知識を得る目的もあったのではないかと語った。泰然の麻酔知識は高く評価されていたが、過去の事情から降格され、今回の選抜試験にも落ちていた。
八話 麻酔
麻沸散
華佗の書の追加復元を知った猫猫は、非番にもかかわらず復元室へ向かった。そこで麻沸散という麻酔薬の記述を見つけ、材料の一つに曼陀羅華が使われていることを知った。
麻酔の手掛かり
猫猫は麻沸散について詳しい人物に心当たりがあると申し出た。未完成だった麻酔技術を進めるため、その知識を利用しようと考えた。
九話 適材適所
翠苓への依頼
猫猫は阿多の離宮を訪れ、そこに匿われている翠苓へ麻酔薬について尋ねた。翠苓は当初協力に消極的だった。
麻酔の書き付け
猫猫が泰然の知識について触れると、翠苓は麻酔に関する書き付けを提供した。さらに、麻酔だけでなく手術後の治療を重視すべきだと助言した。
十話 僥陽
外戚の豪
僥陽の食事中、伯父の豪が無断で訪れ、自らの外戚としての立場を振りかざした。護衛の高順は剣を突き付けてその態度を改めさせた。
僥陽の拒絶
豪は自らの野心を隠しながら僥陽へ近づこうとしたが、僥陽はその意図に乗らず退室させた。高順は忠実な護衛として僥陽を支え続けた。
十一話 特別班
帝の手術班
猫猫は書記として、劉医官、羅門、長先輩、短先輩、泰然らが集まる会議へ参加した。議題は帝の病を治すための薬、手術、麻酔、術後処置だった。
華佗の書の活用
華佗の書を参考に虫垂の手術法や麻酔を検討し、猫猫も術後に使う生薬の準備へ関わることになった。しかし高官からの反対もあり、計画には障害が生じていた。
十二話 説明と同意
手術への反対
帝の手術計画が漏れ、周囲から反対意見が出始めた。失敗すれば医官だけでなく家族まで処罰される可能性があったため、劉医官は関係者の身内を採用して被害を抑えようとしていた。
玉葉后への説明
猫猫は玉葉后に帝の病状、手術の必要性、成功の可能性と失敗時の危険を率直に説明した。玉葉后は内容を受け入れ、猫猫は治療に必要な正確な情報を伝えることに徹した。
十三話 種まき
壬氏への干渉
壬氏は帝の手術を巡る質問や確認に追われ、疲弊していた。麻美や馬閃らが支えながら、政治的な動きにも対応していた。
新たな上級妃
麻美からは皇太后派と皇后派それぞれから上級妃候補が出ているとの報告があり、壬氏は帝の健康問題と後宮を巡る政治的な思惑を考えていた。
十四話 患者の意思
手術日の決定
医官たちの説得によって帝の手術日が決まり、手術班と術後班は準備を進めた。
帝からの要望
しかし帝は手術前に特定の人物との会談を求めた。その場には猫猫も参加するよう命じられ、猫猫は応じることになった。
十五話 告白 表
三人の会談
猫猫はかつて壬氏が焼き印を押した場所へ連れて行かれ、皇帝、阿多、壬氏の会談に同席した。
帝位継承の拒絶
帝は壬氏に帝位継承について問い、一人の女性だけを愛することも認める姿勢を見せた。しかし壬氏は帝位を望まず、皇帝の臣下として生きたいと明言した。阿多は涙を見せながらも、自らの立場から壬氏の選択を受け止めた。
十六話 告白 裹
阿多と陽
阿多は、陽が壬氏を正式な後継者として手元に残そうとしている意図を察した。しかし、それは玉葉后やその一族にも大きな影響を与える選択だった。
月を人として扱う願い
阿多は月を自分の息子であり一人の人間として扱ってほしいと求め、皇族として特別扱いすることを拒んだ。賢君になれる資質があっても、その優しさゆえに壊れる可能性を案じていた。
遺言の作成
陽は阿多との話し合いを経て遺言を書くことを決め、二人は壬氏の未来を考えながらともに内容を整えた。
十七話 不安
手術への決意
会談を終え、帝が手術を受けることが確認された。阿多は帝のもとに残り、猫猫と壬氏は今後について話しながら帰宅の準備をした。
壬氏の不安
猫猫は手術の成功を信じていたが、壬氏は帝の遺言や自らの継承問題、猫猫の安全を気にかけていた。二人は不安を抱えたまま宮を後にした。
十八話 手術前
突然消えた痛み
手術当日、帝には麻酔が施され準備が整えられていた。しかし猫猫は、帝の痛みが急に消えたことを不審に思った。
手術の繰り上げ
猫猫は過去の記録から、虫垂が破裂すると一時的に痛みが引く可能性を思い出し、劉医官たちへ報告した。危険な状態と判断され、予定より早く手術を始めることになった。
十九話 手術中
執刀医の交代
手術は劉医官が執刀したが、途中で負傷したため羅門が代わった。しかし羅門も万全ではなく、手術は困難な状況に陥った。
天祐の執刀
羅門と劉医官に説得された天祐が手術を引き継いだ。猫猫は助手として加わり、天祐の冷静で高い手術技術を間近で見ることになった。
二十話 手術後
帝の回復
手術は成功し、天祐の縫合によって傷も丁寧に処置された。帝は特別室で厳重に管理され、合併症もなく順調に回復した。
術後のやり取り
猫猫は水蓮とともに部屋を整え、回復中の帝と水蓮のやり取りを聞いた。帝は猫猫へ以前渡した後宮の指南書を持ってくるよう頼み、天祐については減給することを了承した。
終話
術後班の解散
帝が公務へ復帰して半月が経ち、傷の抜糸も終わった。合併症もなく経過は良好で、長期間看病を続けていた術後班はようやく解散することになった。
猫猫と壬氏の時間
猫猫は水蓮とともに壬氏の世話をし、壬氏も徐々に回復していった。二人は食事を共にしながら、慌ただしい日々の後に静かで穏やかな時間を過ごしていた。
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