どんな本?
『薬屋のひとりごと』は、日向夏 氏による日本のライトノベル作品。
中世の後宮を舞台に、薬学の専門知識で事件の謎を解く少女・猫猫(マオマオ)の物語。
小説家になろうで連載されているほか、ヒーロー文庫からライトノベル版が刊行されている。
また、月刊ビッグガンガンと月刊サンデーGXでコミカライズ版が連載されており、2023年にはテレビアニメ化も決定している。
月刊サンデーGXの方が、中華の雰囲気が強く、文化の小さい部分にも気をつけているように感じている。
概要
西都に滞在中の猫猫、壬氏、馬閃らは、現地の有力者との会談や夜宴を通じ、西欧諸国との複雑な外交問題と一族間の権力闘争に深く関与することとなる。
物語の転換点は、夜宴で発生した「獅子の騒乱」と、戌の一族の旧邸における婚姻の儀で起きた「浮かぶ花嫁」事件である。
これらの事件の背後には共通して「占い師」の影が介在しており、単なる事故や自殺ではなく、物理的トリックと心理的教唆に基づいた構造的な策謀であることが猫猫の検分によって露呈する。
西都からの帰路、猫猫は羅半に帯同し、羅の一族の本拠地へ立ち寄る。
そこでは、妓女・鳳仙の死を契機に心神喪失状態に陥り、家督継承を画策する実母らによって幽閉されていた軍師・羅漢の救出が、碁盤を介した「過去の再現」によって成し遂げられる。
また、飢饉対策の構造的解決策となる「甘藷(サツマイモ)」の有用性が特定され、政治的交渉材料としての価値が確定する。
中央帰還後、猫猫は絵師の食中毒事件を契機に、西方の民俗信仰を悪用した「水面を歩く女」の物理的トリックを解明し、各地に伏せられた「占い師」の連鎖を再認識するに至る。
主要登場人物
羅半兄: 農作業に従事する善良な観測者。実家の異変を察知し、外部(陸孫ら)への情報伝達の起点となる。
猫猫: 薬師。西都および羅の一族の邸宅にて、複数の事件を構造的に解体。壬氏からの口づけを「蚊に刺された程度(軽微な外傷)」と定義し、意図的な回避行動をとる。
壬氏: 皇弟。西都での統治・交渉を担う。猫猫に対する「勝てない相手」としての敗北感を抱く。馬閃との模擬戦(壁ドン)中に阿多と遭遇し、性的嗜好の誤解を招く。
馬閃: 壬氏の乳兄弟。里樹妃を狙った獅子を拳打で制圧し、右手を負傷(骨折)。里樹妃への過度な保護意識と、自身の武人としての未熟さの自覚が行動の動機となる。
羅半: 壬氏の随行員。実家の家督紛争において、甘藷(サツマイモ)の収穫量(米の4倍)という物理的優位性を見抜き、対外交渉・飢饉対策の材料として画策する。
羅漢: 羅の一族当主。猫猫の父。鳳仙の死による絶望で廃人化し幽閉されていたが、猫猫との棋譜再現により自己意識を回復。
阿多: 元妃。西都での監視役。壬氏と馬閃の場面に遭遇し誤解を深める。里樹妃に対し、自立心(壬氏との婚姻拒絶)を促す戦略的助言を与える。
里樹妃: 西都での夜宴にて異母姉による「香水を用いた獅子挑発」の被害に遭う。帰還後、阿多の示唆を受け、暫定的な後宮外居住(事実上の保護的隔離)を選択する。
陸孫: 羅漢の部下。実務能力が高く、羅の一族邸宅での紛争を軍事的・事務的に制圧する。
羅半の父: 羅漢の弟。羅門を崇拝。農業に特化し、甘藷栽培の技術的基盤を構築。一族内の政治闘争には無関心を貫く。
羅漢の父: 羅漢の実父であり、羅半たちの祖父である。家督の象徴(家宝の所在)を聞き出そうと心神喪失状態の羅漢を幽閉していたが、猫猫や羅半父、陸孫らに制圧された。
克用: 疱瘡の痕を持つ医師。羅門の旧知(老医師)の助手。高い専門性を持ち、船着き場での邂逅後、医官の補助的役割を担う。
読んだ本のタイトル
#薬屋のひとりごと 6
(英語: The Apothecary Diaries、中国語: 药屋少女的呢喃)
著者: #日向夏 氏
イラスト: #しのとうこ 氏
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あらすじ・内容
猫猫は壬氏からのプロポーズを受けるのか? 花嫁の自殺、人気画家の食中毒、湖の上を歩いて渡る仙女……第六弾も大注目!
西都にて、壬氏に求婚された猫猫。
今まであやふやだった関係が大きく変わろうとしていた。
今までと変わりなく接したい猫猫に壬氏は焦る。
皇弟として、政に関わる者に恋という自由はない。
猫猫もまた、壬氏の心を知りつつも、己の立場を考えると
首を縦に振ることはできない。
軍師羅漢の縁者、それが西都で用意された猫猫の肩書だった。
猫猫は重い気持ちのまま、ある決断をくだすのだが────。
アニメ化のお知らせ(2023年10月から放送)
感想
6巻を読み終えて一番残ったのは、
里樹妃、何でこんなに酷い目に遭うんだ……。
ということだった。
先帝の妃にされ、現帝の後宮へ入り、侍女からもまともに扱われず、今度は不義まで疑われる。
さすがに気の毒すぎる。
だからこそ最後、馬閃が本当に身体を張って助けたところは良かった。
代償として本人は、
両足骨折。
爪も剥がれる。
肩も脱臼。
……痛そう。
でも最後の皇帝の差配まで含めて、馬閃にはちゃんと報われてほしいと思った。
その一方、巻頭では壬氏と馬閃が妙なことを始める。
何だこれ?
BLに行ったのか?
から始まり、
最後は馬閃が白馬の王子様。
馬閃、美味しいところ全部持っていってないか?w
初っ端から壬氏と馬閃が何してるんだ。どっちがどっちになるんだ?w
前巻の西都で、猫猫にやり返された壬氏。
本人はかなり引きずっている。
猫猫の方は何事もなかったように去っていったのに、壬氏だけが敗北感でいっぱい。
そこで馬閃へ、
「どうしても勝ちたい相手ができた」
と相談する。
相手が猫猫だとは分かっていない馬閃。
何を勘違いしたのか、
「私では何かの役に立ちませんか?」
と言い出す。
そこから壬氏が馬閃を壁際へ追い詰め、顎を掴み、唇へ指を……。
おい。
何が始まった?
しかもそこへ阿多が入ってくる。
壬氏と馬閃を見て、
「花を選ぶとは限らなかったな」
みたいな反応をして帰ってしまう。
完全に誤解されてるじゃないか。
壬氏と馬閃も叫ぶ。
そりゃ叫ぶわ。
この場面だけ切り取ったら、
どっちがどっちになるんだ?
としか思えないw
そして猫猫本人は、夜中に叫び声が聞こえた気がする程度。
原因、お前でもあるんだけどな。
毛毛が帰ってきたと思ったら、画家の毒茸から白い仙女まで。裏でまだ何か動いている
長かった西都編から都へ帰る途中では、疱瘡の痕がある医者・克用とも出会う。
そして羅半の実家では、鳳仙を失って放心状態になった羅漢まで出てくる。
猫猫と碁を打ったことで少し戻ってくるのだから、
やっぱりパピーに一番効く薬は猫猫なのかもしれない。
さらに羅半の父親が育てていた甘藷。
荒れた土地でも育ち、収量も多い。
前巻から続く蝗害と食糧不足への対策として、こういう作物が出てくるのも面白かった。
そして都へ戻った猫猫を待っていたのが、
毛毛。
おお!
帰ってきた!
西都へ向かう途中でヤブ医者の実家に引き取られたので、もう登場が減るのかと思っていた。
癒やし枠を失うには惜しい。
一方で事件は全然癒やされない。
人気画家が毒茸入りの餡餅で倒れる。
さらに画家が過去に見たという、
「水面を歩く白い仙女」
が出てくる。
水の上を歩く方法自体は猫猫が仕掛けを見抜くのだが、その周辺では鳩を使った情報網まで見つかる。
西都の占い師。
白い仙女。
阿片などの不穏な動き。
どうも全部の裏に、まだ何かいる。
小さな事件を解いているようで、少しずつ大きな陰謀へ近づいている感じがする。
里樹妃、今度は不義を疑われて塔へ。どこまで不幸が続くんだ
そして後半。
また里樹妃である。
先帝の幼い妃にされる。
一度出家。
その後、現帝の妃として後宮へ戻される。
でも現帝からすれば恋愛対象というより娘に近い。
里樹妃自身も帝を「ヒゲのおじさん」くらいの感覚で見ている。
阿多のことは母親のように慕っている。
それなのに今度は、
不義の恋文を書いた。
妊娠しているのでは。
という疑いまでかけられる。
実際には恋文ではなく、悲恋物語を書き写しただけ。
ロミオとジュリエットみたいな話である。
そしてその恋物語を読んだ猫猫と壬氏の反応が、
薄い。
普通なら、
悲しい恋だ。
切ない。
となりそうなのに、
この二人は妙に現実的。
やっぱりこの二人、
普通じゃねぇww
ただ、里樹妃本人にとっては笑えない。
無実なのに塔へ隔離され、そこで《素貞》と名乗る女性に近づかれる。
しかもその正体が、これまで裏で動いていた白娘々。
幻覚作用のある香まで使われ、里樹妃は精神的に追い詰められてしまう。
いやもう、
この子をそろそろ普通に幸せにしてやってくれ。
と思ってしまった。
塔から落ちた里樹妃を馬閃が空中で救出。最後は本当に白馬の王子様だった
ついに里樹妃は塔の最上階へ追い詰められる。
猫猫と壬氏も急行。
馬閃は下で大量の布団を準備する。
そして猫猫が説得しようとしたところで白娘々が現れ、
里樹妃が落下。
高さは十メートル以上。
普通なら助からない。
そこで馬閃が、
自分も飛ぶ。
落下途中の里樹妃を抱え、自分が下になるようにして布団へ落ちる。
里樹妃は無傷。
馬閃は重傷。
両足骨折。
爪も剥がれる。
肩も外れる。
……文章だけでも痛い。
でも、ここまでやった馬閃は格好良かった。
女性が苦手。
自分の力で傷つけることを恐れている。
だから結婚にも消極的。
そんな馬閃が、里樹妃を助ける時だけは迷わず飛び出す。
最初は獅子を殴り倒し、
今度は塔から落ちる里樹妃を身体で受け止める。
完全に白馬の王子様じゃないか。
そして皇帝の差配も良い。
里樹妃は一年間出家したあと実家へ戻る。
馬閃には褒賞について一年の猶予が与えられる。
今すぐどうこうではない。
でも一年後なら、
もしかして。
と思わせてくれる。
里樹妃はずっと周囲の都合で人生を決められてきた。
だから最後くらい、
自分で相手を選べればいいな。
と思う。
そして馬閃。
獅子を殴り、
塔から飛び、
全身ボロボロ。
そこまでやったんだから、
報われてくれ。
巻頭では壬氏相手に妙なBL誤解を生み、
巻末では里樹妃の白馬の王子様。
6巻、
馬閃の巻だったんじゃないか?w
最後までお読み頂きありがとうございます。
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考察
ストーリー・プロット
第1幕:西都の夜宴と獅子の騒乱の余波
壬氏と猫猫の間で発生した夜間の接触に対し、猫猫が「生理的異変」としての認識を拒絶し平然と振る舞ったことで、壬氏は致命的な敗北感を抱く。この焦燥感の解消を目的とした馬閃への「駆け引き(壁ドン)」の訓練中、阿多が遭遇。これにより壬氏の性的嗜好に関する重大な誤解が固定化される。一方、夜宴では「獅子の騒乱」が発生。馬閃の武力介入により鎮圧されるが、猫猫の検分により、里樹妃が浴びた「獣を興奮させる香水」が原因であると特定。この香水が街の「占い師」から異母姉に供与されていた事実は、単なる悪戯を超えた政治的教唆の存在を示唆している。
馬閃が持参した香水売りの人相書きを改めた猫猫は、足元が極端に小さく描かれている点に着目し、相手が西都では稀な「纏足」の女性であると見抜いた。これにより、犯人が北方から移住してきた家柄に絞り込まれ、翌日の婚姻宴への潜入調査へとつながった。
第2幕:西都・婚姻の席での「空飛ぶ花嫁」事件
戌の一族の旧邸において、西都有力者の娘と砂欧特使の婚姻が執り行われる。宴の最中、塔の最上階で「浮かぶ花嫁」が目撃され、直後に切断された紐とともに焼死体が落下する。現場に残された「揃えられた履物」と遺書は自殺を強調していた。壬氏が自身の言動による精神的圧迫を疑い自責する中、猫猫は物理的検証を開始。塔の多重屋根の構造上、垂直落下した遺体が屋根を避け、あらかじめ設定された発火位置(灯籠)に正確に落ちる確率は著しく低いという物理的矛盾を抽出する。
第3幕:花嫁消失の真相と一族の隠蔽
猫猫は「死体は十日前に自殺した従姉妹の流用」であり、花嫁本人は生存しているという仮説を提示する。塔にいたのは紙細工の身代わりであり、花火の煙と音を利用した視覚的攪乱、および紙を好む池の鯉を利用した「物理的消失(証拠の摂食)」というトリックを解明する。動機は、砂欧への過酷な婚姻条件(奴隷的待遇)から娘を守るための一族ぐるみの逃亡計画であった。この計画にも「占い師」が関与し、檻の細工や香水の知識を授けていた。壬氏はこの事実を把握し、一族の悲劇的背景を踏まえつつも、国益と人道の間で構造的な事後処理を遂行する。
第4幕:西都からの帰路と謎の医師・克用との邂逅
西都での任務完了後、一行は船路にて中央へ向かう。中継地点の船着き場にて、疱瘡の痕を持つ眼帯の男・克用と遭遇。彼は羅門の旧知である老医師の「使い走り」として機能しており、その医療知識と軟膏の精製精度は猫猫に「専門職としての高い実力」を認めさせる。羅半は、自らの実父が経営する農園に「価値ある資源」が存在することを予見し、猫猫を帯同して地方の羅の一族邸宅へと経路を変更。これは飢饉対策という国家レベルの課題に対する羅半の投資的行動である。
第5幕:羅の一族の邸宅と羅漢の幽閉
羅の一族邸に到着した猫猫たちは、曾祖父(羅漢の父)と祖母が、心神喪失状態の羅漢を幽閉している現実に直面する。羅漢は鳳仙の死という情緒的欠損により、外界との情報入出力を遮断した機能不全に陥っていた。一族の長老層は家督継承の承認(家宝の所在確認)を強要していたが、羅漢はこれを拒絶。羅門を追放し一族の凋落を招いた曾祖父らと、その現状を冷徹に見限る羅半・羅半父という、一族内の深刻な世代間対立と構造的機能不全が浮き彫りになる。
第6幕:碁盤を介した対話と甘藷の発見
猫猫は羅漢の意識を現実に回帰させるため、彼が鳳仙と打った「未完の棋譜」を再現する。この棋譜という共通言語を通じた対話により、羅漢の精神的機能が復旧し、覚醒を果たす。同時に、羅半の父が試験栽培していた「甘藷(サツマイモ)」を、猫猫は将来の蝗害・飢饉を回避する物理的解決策として特定。痩せた土地での高収穫量(米の4倍)というデータに基づき、羅半は砂欧との食糧交渉の材料としての価値を確定させる。紛争は陸孫の介入により鎮圧され、羅漢の中央復帰が決定する。
第7幕:中央帰還と「踊る水精」の謎
猫猫は緑青館に帰還。趙迂が関与した絵師の食中毒(毒茸・加熱しても毒性が失われない種)の調査中、西方の村で目撃された「水面を歩く女」の噂に遭遇する。猫猫は、これが「泥地の物理的性質」と「隠された足場」を利用した視覚的トリックであることを看破。さらに、かつての巫女が儀式の安全を担保するために「香煙(煙草)を浸した液体(ニコチン)」を蛇避けとして散布していた民俗学的・化学的防護策を特定。一連の「神秘性の物理的解体」により、各地で巫女の技法を悪用し暗躍する「占い師」の構造的連鎖を特定する。
猫猫はさらに、現地の鳩小屋にいた鳩の足から暗号文が刺繍された紐を発見し、白娘々の一味が遠く離れた都と西都の間で「伝書鳩」を用いて迅速に情報をやり取りしていた事実を突き止めた。この通信網の露呈が、その後の白娘々の迅速な捕縛へと直結した。
第8幕:里樹妃の不義疑惑と塔の転落
都に戻った里樹妃は、親しくなった下女のために小説(西洋悲恋劇)を模写した文章を恋文と偽装され、不義密通の嫌疑で塔に軟禁された。猫猫は原典の翻訳本を探し出して潔白の証明に奔走するが、塔の上階に潜伏していた白娘々(素貞)の幻覚香と言葉巧みな教唆により、精神的に追い詰められた里樹妃は最上階の手すりから転落してしまう。
終幕:決死の救出と新たな契約
落下する里樹妃を救うため、馬閃は塔から飛び降りて空中で彼女を抱きかかえ、敷き詰めた布団の上へ落下して両足骨折などの重傷を負いながらも命を救い出した。里樹妃の無実が証明されて一年間の出家が命じられる一方、馬閃には望む褒賞を選ぶ猶予が与えられた。事件の収束後、猫猫は緑青館で壬氏と穏やかながらも駆け引きに満ちたひとときを過ごした。
主人公を中心とした人物関係の変化
- 猫猫 ⇔ 壬氏: 西都での口づけ以降、壬氏は猫猫への執着を強め焦燥を深めるが、猫猫はこれを身体的異変(蚊の毒)と定義し、意図的に情緒的接触を遮断している。
- 猫猫 ⇔ 羅漢: 羅漢の精神的覚醒に寄与したことで、猫猫は「一度だけ頭を下げる」という限定的な歩み寄りを見せる。ただし、親子としての情緒的結合は依然として拒絶している。
- 里樹妃 ⇔ 阿多: 阿多は里樹妃に対し、壬氏との婚姻を拒絶する「自立」を促す。これにより、里樹妃は後宮外居住という形式的な処分(事実上の自由)を獲得し、依存からの脱却を開始する。
主人公の認識と周囲の評価
- 猫猫自身の認識: 壬氏との接触を「不快な物理現象」として処理。自身の血筋(羅の一族)に関しては「他所の子」という認識を崩さず、知識の提供という事務的関与に留まる。
- 周囲からの評価: 壬氏は猫猫を「決して掌握できない、構造的に勝てない相手」と再定義。羅半の父は、猫猫を「羅門の正統な後継者」として絶大な信頼を寄せる。
浮かぶ花嫁事件の解決
西都で起きた「浮かぶ花嫁」の事件とその解決について解説する。
事件の発生
西都での滞在の終盤、壬氏や猫猫たちは北方出身の家の婚姻宴に招かれた。その宴の中で、以下のような騒動が発生した。
・宴の最中に突然花嫁の姿が消える
・その後、花嫁が塔からぶら下がっているのが発見される
・人々が塔へ駆けつけるとそこには焼け焦げた遺体があり、花嫁は遠い異国の地へ嫁ぐ不安から自殺したのだとされた
猫猫の疑念と調査
悲しみに包まれる葬儀の場にあっても、猫猫はこの自殺劇に疑問を抱き、独自の調査を行った。
・焼け焦げた遺体の状況や塔の構造を冷静に分析する
・花嫁の自殺が偽装されたものであることを突き止める
事件の真相と解決
事件の真相は、花嫁の父親や叔父を含む一族が共謀し、異国の婿から花嫁を逃がすために企てた狂言自殺であった。具体的な手口と結末は以下の通りである。
・遺体を用意して花嫁が死んだと見せかける
・本物の花嫁を葬儀の泣き女に紛れさせて逃がそうと計画していた
・猫猫は偽装に使われた手段や一族の意図を解明し、花嫁が生きていることを証明して計画を暴いた
まとめ
この事件の収束を通じて、猫猫は家族の絆や、困難な状況下における選択肢の重要性について考えを深めることになった。
里樹妃の不義疑惑
里樹妃(徳妃)の不義疑惑から軟禁、そして落下事件に至るまでの一連の騒動について解説する。
疑惑の発端と軟禁
市の噂で皇帝が粛清を始めると囁かれる中、16歳の上級妃である里樹妃が不義の嫌疑をかけられ、軟禁状態に置かれる事態が発生した。
・かつて不治の病になった有力者や先帝の兄たちが連れてこられた隔離用の塔に軟禁された
・そばには唯一の侍女である河南だけが付き従っていた
不義の証拠とされた恋文の真相
不義の証拠とされたのは、里樹妃が書いたとされる恋文であった。しかし、その手紙の正体と事件の真相は以下の通りである。
・実際には西洋の悲恋劇(敵対する家の男女が愛し合い悲劇的な結末を迎える物語)を翻訳した小説の模写であった
・里樹妃は親しくなった女官のためにこの小説を書き写していただけであった
・元の本が検閲を逃れて後宮に持ち込まれたものであり、後宮内に同じ文章が存在しなかったため、本物の恋文であると誤解(あるいは悪用)されてしまった
・恋文の相手とされた使用人の息子とも、幼少期に面倒を見てもらっただけの関係に過ぎなかった
・猫猫が市の書店でこの劇の翻訳本を発見し、真相を突き止めるに至る
疑惑の裏に隠された陰謀と皇帝の真意
この不義疑惑の騒動は、複数の思惑が絡み合った結果であった。
・元侍女頭の陰謀:里樹妃の元侍女頭が、恋文(小説の模写)を利用して彼女を陥れ、自身の仕える主を乗り換えようと企んでいた
・皇帝の配慮の裏目:皇帝は里樹妃の亡き母と古い知り合いであり、里樹妃を娘のように大切に思っていた
・皇帝は異母姉や侍女たちからの凄惨ないじめや暗殺の危機から彼女を守るため、一時的に出家させようと配慮していたが、その行動が結果的に周囲の陰謀を招き、事態を悪化させてしまった
塔での孤立と落下事件
塔に軟禁された里樹妃は、孤独と不安の中で侍女の河南に対する不信感を募らせていく。さらに、謎の人物による介入が彼女を精神的に追い詰めることとなる。
・姿の見えない素貞という女性と管越しに会話するようになり、彼女に誘われるまま塔の最上階へと逃げ出してしまう
・この背後には白娘々(白い仙女)が関与しており、彼女が使用した香による幻覚作用も里樹妃を追い詰める原因となっていた
・塔の最上階に追い詰められた里樹妃の前に謎の女性である白娘々が突如姿を現し、恐怖し動揺した里樹妃は手すりから落下してしまう
まとめ
この絶体絶命の危機を救ったのが、壬氏の側近である馬閃(バセン)であった。以前、西都の宴で巨大獅子が暴れた際にも里樹妃を救っていた彼は、今回も危険を顧みずに塔から飛び降り、あらかじめ敷き詰めておいた布団の上に彼女を抱きかかえて落下した。馬閃自身は大きな怪我を負うが、この勇敢な行動によって里樹妃の命は救われることとなる。
事件後、里樹妃の潔白は無事に証明された。皇帝の命により彼女は1年間の出家を経た後に実家へ戻ることとなり、後宮の複雑な権力闘争から解放されることになったのである。また、命懸けで彼女を救った馬閃には、皇帝から任意の褒賞が与えられることとなった。
塔の落下事故
里樹妃(徳妃)を巡る塔の落下事故の背景から結末までを解説する。この事件は、後宮の複雑な人間関係や陰謀、そして馬閃(バセン)の身を呈した救出劇が交差する重大なエピソードである。
塔への軟禁と孤立
事の発端は、里樹妃が使用人の息子へ宛てた不義の恋文を書いたという嫌疑をかけられ、不治の病の者などが送られる塔へ軟禁状態にされたことであった。その経緯と状況は以下の通りである。
・不義の恋文とされたものは、実際には西洋の悲恋劇の翻訳本を模写したものに過ぎなかった
・塔の中で孤独と絶望を深めた里樹妃は、唯一の侍女である河南(カナン)に対する不信感を強める
・結果として部屋を荒らし、自ら塔の最上階へと逃げ出してしまう
塔の最上階での危機と白い仙女の出現
塔の最上階に逃げ込んだ里樹妃に対し、周囲は救出を試みるが事態はさらに悪化する。
・塔での異変の知らせを受けた猫猫と壬氏は、急いで現場へと向かう
・危険な状態にある里樹妃に対し、壬氏が説得と救出を試みるが、恐怖に駆られた彼女は反応できなかった
・その緊迫した状況の中、突然白い仙女(白娘々)と称される謎の女性が現れ、里樹妃をさらに激しく動揺させる
・のちに、この時の幻覚や混乱は、白娘々に関係する香が原因であったことが判明している
落下と馬閃の決死の救出
動揺した結果、里樹妃はついに手すりから落下してしまう。猫猫も手を伸ばして救おうとするが間に合わなかった。しかし、その後の地上での救出劇は以下の通りである。
・地上では壬氏の側近である馬閃が、緊急の準備として地面に大量の布団を敷き詰めていた
・落下してくる里樹妃を見た馬閃は、以前の西都での宴から彼女に恩義を感じており、自身の危険を顧みずに飛び降りて彼女を抱きかかえ、敷かれた布団の上へと落下した
・この決死の行動によって里樹妃の命は救われたが、馬閃自身は大きな怪我を負うことになった
・里樹妃は自らの命を救ってくれた馬閃に深く感謝し、彼に対する認識を大きく改めた
まとめ
事件後、この一連の騒動の裏にあった真実が明らかになる。里樹妃が嫌疑をかけられ塔へ送られたのは、実は皇帝(主上)自身の命によるものであった。
皇帝は里樹妃の母と古い知り合いであり、里樹妃を娘のように大切に思っていたのである。異母姉や侍女たちからのいじめ、そして命を狙われる危険から彼女を保護するために行った隔離措置であったが、結果的にそれが裏目に出てしまい、今回の悲劇的な事故を引き起こすこととなった。また、この騒動に乗じて元侍女頭が仕える主を乗り換えようと画策していたことも明らかになっている。
最終的に、里樹妃は帝の決定により、1年間の出家を経た後に実家へと戻ることになった。そして、彼女の命を救った馬閃の勇敢な行動は皇帝からも高く評価され、任意の褒賞が与えられることとなったのである。
二つのマオマオの復帰の全貌
作中における復帰劇には、三毛猫の毛毛と主人公である猫猫という二つの存在の帰還が描かれている。三毛猫の毛毛が予期せぬ経緯で花街へ戻り居場所を得た過程から、猫猫自身が西都から花街の実家へ帰還し、さらに里樹妃の嫌疑を晴らすため宮廷実務へ一時復帰するに至るまでの全容について解説する。
三毛猫の毛毛の花街への復帰
やぶ医者の故郷に預けられていたはずの三毛猫が、独自の経緯で緑青館へ舞い戻った。
・米の荷物に紛れた帰還:やぶ医者の村から送られてきた米の荷物に紛れ込み、緑青館へと帰還を果たした。
・緑青館での受容:やり手婆は、蔵の鼠退治になるという実利と、愛想が良く客受けが良いという理由から居座ることを容認した。ただし菜を盗み食いする癖を抱えている。
・周囲の人々との関わり:留守番で疲弊していた弟子の左膳は頭の上に毛毛を乗せられつつ毛並みを堪能し、居候の趙迂は毛毛をモデルにした扇の絵を描いて妓女向けに販売するなど活用した。
主人公・猫猫の花街帰還と宮廷への一時復帰
西都出張を終えた猫猫は、実家での生活を再開させた後、要請を受けて再び宮廷での調査業務へと足を踏み入れた。
・花街の実家への帰宅:西都での事件を解決した猫猫は、名産品や珍しい薬草、甘藷を携えて都の実家へ帰還し、荒れていた薬屋の清掃や調薬業務を再開した。
・宮廷医局への一時復帰:里樹妃に不義密通および妊娠の嫌疑が持ち上がった際、護衛武官の馬閃から潔白証明の懇願を受け、養父・羅門の承諾も得て宮廷へ呼び出された。白い上着を身にまとい、調査役として宮廷実務へ一時復帰した。
まとめ
作中における二つの復帰を巡る一連の全貌は、米の荷物から現れて緑青館の日常に溶け込んだ三毛猫の毛毛の帰還から始まり、西都から戻り実家の薬屋を立て直した猫猫の帰宅、そして里樹妃の無実を証明するために再び宮廷医局へと足を踏み入れた猫猫の調査復帰に至るまで、その歩みを明瞭に示している。
平穏な花街の日常を取り戻しながらも、他者の危機に応じて再び卓越した知恵を発揮していく過程を記録した重要な局面である。
キャラクター紹介
皇族・宮廷
壬氏(華瑞月)
容姿が極めて整った、後宮を管理する青年である。彼は真面目で勤勉な性格をしていた。猫猫の薬学の能力を非常に高く評価している。
・所属組織、地位や役職 茘の宮廷。皇弟。
・物語内での具体的な行動や成果 西都における「浮かぶ花嫁」事件の調査を猫猫に依頼した。さらに、里樹妃の不義疑惑を解明させるため、彼女を後宮に再派遣する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 猫猫の背中の弱点(くすぐりに弱い)を趙迂から買い取った。楽しそうに彼女をからかう、お茶目な一面を見せている。
阿多
男装の人物のような雰囲気を持つ、さばさばとした性格である。かつて後宮の上級妃であったが、現在は離宮で静かに生活していた。猫猫に対して深い信頼を寄せている。
・所属組織、地位や役職 南の離宮。元上級妃(淑妃)。
・物語内での具体的な行動や成果 離宮において、子の一族の生き残りである翠苓を密かに保護した。彼女を自らの身の回りの世話係として生活を共にさせる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 宮廷の激しい政治的対立からは一線を画した。現在は離宮の穏やかな日常を楽しんでいるらしい。
陸孫
西都の政庁で働く、非常に有能な文官である。かつて太尉である羅漢の元部下として活動していた。猫猫に対して好意的な態度を示す傾向にある。
・所属組織、地位や役職 西都の政庁。補佐の文官。
・物語内での具体的な行動や成果 西都の宴において、砂欧の商人に変装した不審な男が紛れ込んでいる事実を猫猫に伝えた。郭の娘の失踪事件に際して、捜索の情報を彼女に提供する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 その類稀なる実務能力を羅漢から高く評価されていた。今後は茘の中央と西都を繋ぐ、重要な連絡役を担うらしい。
里樹(徳妃)
金剛宮の主であり、最年少の上級妃である。非常に純粋で、周囲から誤解されやすい性格をしていた。実の父親である卯柳から、冷遇されていたらしい。
・所属組織、地位や役職 茘の後宮。四夫人(徳妃)。
・物語内での具体的な行動や成果 不義の恋文を書いたという誤解から隔離用の塔に軟禁された。そこで、白娘々が送り込んだ幻覚香により精神的に追い詰められる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 塔から転落した際、馬閃によって奇跡的に命を救われた。その後、皇帝から無実を認められ、後宮内での安全を確保している。
水蓮
皇弟である壬氏の乳母であり、彼の世話を長年担当している。温和な人柄だが、周囲に対する強い発言力を持っていた。猫猫の活発な行動を、温かく見守る立場にある。
・所属組織、地位や役職 皇弟の邸。侍女頭兼乳母。
・物語内での具体的な行動や成果 過労により体調を崩した壬氏の健康を深く案じた。彼の休養を最優先させるため、仕事量を厳しく制限する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 宮廷の奥深くで、壬氏の個人的な秘密を厳重に守り抜いた。彼女の乳母としての影響力は、後宮内でも無視できないらしい。
のっぽの医官
背の高さが特徴的な、宮廷に勤務する医官である。彼は猫猫たちを実務面で指導していた。里樹妃の体調不良に際し、処方箋の作成にあたる。
・所属組織、地位や役職 宮廷の医局。上級医官。
・物語内での具体的な行動や成果 里樹妃の脈診を担当し、彼女の健康状態を詳しく調べた。彼女が幻覚に苦しむ状況を、極めて冷静に観察する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 現在の役職に大きな変化はないようだ。しかし、後宮内における医療活動の中心として活躍した。
太っちょの医官
恰幅の良い、おっとりとした宮廷の医官である。のっぽの医官とともに、猫猫の上司として勤務していた。真面目だが、少し慌てやすい性質を持つ。
・所属組織、地位や役職 宮廷の医局。上級医官。
・物語内での具体的な行動や成果 里樹妃が幽閉された塔において、彼女の診察を丁寧に行った。のっぽの医官と協力し、彼女の健康状態を厳格に管理する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 現在も同じ地位を維持しているらしい。後宮内の病人の治療にあたり、実直に医療業務をこなした。
元侍女頭
かつて里樹妃に仕えていた、気の強い女性である。里樹妃を激しく妬んでおり、彼女を陥れようと画策していた。今回の不義疑惑の事件において、邪悪な主導権を握る。
・所属組織、地位や役職 金剛宮の元侍女集団。元侍女頭。
・物語内での具体的な行動や成果 西洋悲恋小説の模写を用いて、里樹妃が不義の恋文を書いたという偽の疑惑を捏造した。検閲を逃れた元の劇本を、不法に後宮内へ持ち込ませる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 その陰謀は猫猫によって完全に暴かれた。彼女は後宮の厳しい規則に則り、速やかに処分されることとなる。
河南
里樹妃に仕える、極めて実直な侍女である。里樹妃に対して、高い忠誠心と親愛の情を抱いていた。常に主の身の安全を最優先に考える性質を持つ。
・所属組織、地位や役職 金剛宮。専属の侍女。
・物語内での具体的な行動や成果 里樹妃が塔に幽閉された際、彼女の食事や衣服の用意を甲斐甲斐しく手伝った。主の体調の悪化に気づき、すぐに医官へ報告する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 里樹妃が無実を証明された後も、彼女の側近として仕え続けた。主からの信頼は、以前よりも深まっているようだ。
皇帝
茘の国を統治する、絶対的な権力を持つ君主である。彼は国の安全と、後宮の秩序を重んじていた。信頼する壬氏や羅漢に対し、非常に大きな裁量を与える。
・所属組織、地位や役職 茘の宮廷。皇帝。
・物語内での具体的な行動や成果 里樹妃の不義疑惑について、壬氏に直接調査を命じた。彼女が無実であることを、最終的に承認する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 宮廷の内部対立を抑制することに成功した。後宮の改革を裏から支える、強力な影響力を保持している。
羅の一族
猫猫
花街で薬師をしていた、薬学と毒に対する強い好奇心を持つ少女である。合理的で冷めた性格をしており、面倒事を嫌う性質があった。その優れた洞察力を用いて、数々の難事件を解決に導く。
・所属組織、地位や役職 市井の薬屋。のちに官女試験の受験生。
・物語内での具体的な行動や成果 「浮かぶ花嫁」事件や画家の食中毒、そして里樹妃の不義疑惑を解決した。白娘々が用いた幻覚香のトリックや、水面歩行のからくりを見破る。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 後宮から解雇されたが、壬氏の個人的な側仕えとして再雇用された。さらに、難難とされる官女試験への勉強を開始している。
羅半
羅漢の養子であり、極めて高い実務能力を持つ文官である。彼は数字に強く、常に損得勘定を優先させて行動していた。猫猫とはいとこ(親戚)の関係に当たる。
・所属組織、地位や役職 宮廷の戸部。文官。
・物語内での具体的な行動や成果 西都での実務交渉や、中央へ戻るための商談を精力的にこなした。白娘々の一座が関わる、興行の帳簿の不審点を調査する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 羅の一族の実質的な差配役として、その影響力をより高めた。彼の実務能力は、軍部や政庁でも非常に頼りにされているらしい。
羅漢
軍部を統率する太尉であり、風変わりな行動が多い軍師である。他人の顔が将棋の駒や碁石に見える顔盲の症状を持っていた。猫猫の実父であり、彼女に対して異様な執着を示す。
・所属組織、地位や役職 茘の軍部。太尉。
・物語内での具体的な行動や成果 鳳仙を身請けした後は、実家において放心状態で過ごした。羅半父や羅半兄を相手に、将棋や囲碁を静かに指す。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 一時的に腑抜けの状態となっていたらしい。しかし、娘の猫猫を気にかける熱心な姿勢は衰えていなかった。
羅半兄(俊杰)
羅半の実の兄であり、本名を俊杰という地方の青年である。彼は農業に対して、並外れた情熱と実直な性格を持っていた。西都での過酷な開墾作業を無事に完遂する。
・所属組織、地位や役職 羅家。地方の開拓農民。
・物語内での具体的な行動や成果 実家に戻った際、さつまいも(甘藷)の優れた栽培方法を父親から学んだ。荒れ地の開墾や、飢饉対策の計画について弟と議論する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 過酷な開墾作業を乗り越えた。それにより、たくましい身体と強い精神力を獲得している。
羅半父
羅漢の実の弟であり、羅半と羅半兄の実父である。農業の研究に没頭し、新しい作物の栽培方法を常に模索していた。一族の中では、比較的穏やかで常識的な気質を持つ。
・所属組織、地位や役職 羅家。地方の小地主兼農業研究者。
・物語内での具体的な行動や成果 甘藷(さつまいも)の試験栽培を行い、見事に成功させた。さつまいもの優れた栽培方法を、帰省した俊杰に伝授する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 さつまいもが飢饉対策の切り札となる可能性を確信した。今後の一族の農業事業において、重要な役割を担うこととなる。
羅半母
羅半と羅半兄(俊杰)の実母である女性である。羅一族の個性的な男性たちを、陰から支える優しい性質を持っていた。家事を手際よく切り盛りする、非常に働き者な母親である。
・所属組織、地位や役職 羅家。主婦。
・物語内での具体的な行動や成果 西都からの長い旅路を経て、無事に帰省した息子たちを温かく出迎えた。一族のために、豪華な手料理を振る舞って労う。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 家族の平和な日常を維持することに専念した。彼女の家庭内での献身的な働きは、一族の安らぎとなっているらしい。
羅半祖父
羅半たちの祖父であり、羅漢と羅半父の実父。かつて不正を暴かれて羅漢に当主の座を奪われた過去を持ち、失意の羅漢を幽閉して家宝を奪還しようと画策したが、猫猫に不正と無能さを痛烈に批判され、乗り込んできた陸孫らに鎮圧された。
・所属組織、地位や役職 羅家。長老。
・物語内での具体的な行動や成果 帰省した猫猫を温かく迎え、羅門の若い頃の出来事を語った。一族の古い歴史や、かつての思い出を彼女に伝授する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 一族の長老としての静かな役割を全うした。彼の持つ古い知識は、猫猫にとっても非常に貴重なものらしい。
羅門
猫猫の養父であり、彼女に医学と薬学を教えた師匠である。かつて宮廷の優秀な医官であったが、肉刑に処されて追送されていた。温和で謙虚な性格をしており、現在は宮廷に復帰している。
・所属組織、地位や役職 宮廷の医局。復帰した医官。
・物語内での具体的な行動や成果 猫猫に対し、自らの経験に基づく薬草の調合法について指導した。宮廷の医官たちからの信頼も厚く、医療上の重要な助言を与える。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 不遇の時代を経て、宮廷の医療の要として再評価された。彼の実力と人格は、後宮の多くの女官たちからも深く尊敬されている。
馬の一族
馬閃
高順の息子であり、生真面目で融通が利かない武官である。女性に対して極端に奥手な性格をしていた。里樹妃に対して、密かに深い好意を寄せている。
・所属組織、地位や役職 宮廷の衛兵隊。壬氏直属の護衛武官。
・物語内での具体的な行動や成果 塔から飛び降りた里樹妃を救うため、自らも飛び降りて彼女を受け止めた。その衝撃により、両足を骨折し、肩を脱臼する重傷を負う。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 自らの命を顧みず、里樹妃を守り抜くことに成功した。その比類なき忠義と武勇は、皇帝や壬氏からも高く称賛されている。
離宮関係者
翠苓
子の一族の生き残りであり、かつて宮廷内で暗躍していた女性である。阿多の元に匿われており、現在は離宮でひっそりと生活していた。猫猫とは過去に激しく対立した、複雑な因縁を持つ。
・所属組織、地位や役職 南の離宮。専属の侍女。
・物語内での具体的な行動や成果 離宮での日常を送りつつ、阿多の身の回りの世話を甲斐甲斐しく手伝った。猫猫と再会した際、かつての敵意を捨てて穏やかに言葉を交わす。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 かつての謀反の計画から、完全に手を引いたようだ。静かな生活を受け入れ、離宮の平穏を守るために尽力した。
花街(緑青館)
左膳
猫猫の優秀な弟子であり、緑青館の薬屋で働く実直な青年である。薬学の知識を非常に熱心に学んでいた。猫猫の不在時には、薬屋の実質的な切り盛りを担当する。
・所属組織、地位や役職 緑青館の薬屋。薬師の弟子。
・物語内での具体的な行動や成果 猫猫の代わりに患者たちの治療を行い、調薬の作業を忠実に手伝った。風邪薬や応急用の湿布薬などを、的確に処方して販売する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 調薬の技術が順調に向上しているらしい。猫猫や花街の人々からの信頼も、より一層深まった。
やり手婆
高級妓楼である緑青館を取り仕切る、強欲な老女である。猫猫に対して、高額な家賃や、借金の返済を激しく督促していた。しかし、彼女を実の娘のように心配する温かい一面を持つ。
・所属組織、地位や役職 緑青館。最高経営者(やり手婆)。
・物語内での具体的な行動や成果 身請けが決まった梅梅の門出を祝うため、豪華な祝宴を緑青館で主催した。妓楼の経営を安定させるため、新規 of 客引きを精力的に行う。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 梅梅の身請け金として、多額の銀貨を獲得した。満足そうな様子で、今日も花街で大きな存在感を示している。
梅梅
緑青館の三姫と称される、教養に溢れた人気妓女である。猫猫を実の妹のように深く愛していた。その優れた詩歌や音楽の才能により、多くの高官から慕われている。
・所属組織、地位や役職 緑青館。最上級の妓女(三姫)。
・物語内での具体的な行動や成果 長年懇意にしていた高官への身請けが、ついに正式決定した。緑青館の仲間たちに対し、涙ながらに感謝の挨拶を行う。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 長年勤め上げた緑青館を円満に去ることとなった。今後は、高官の妻として新しい人生を踏み出すらしい。
右叫
緑青館の男衆頭を務める、屈強な体格の男性である。寡黙で実直な性格をしており、裏方仕事を完璧にこなしていた。緑青館の治安維持を一手に引き受ける役割を果たす。
・所属組織、地位や役職 緑青館。男衆頭。
・物語内での具体的な行動や成果 祝宴の席において、酔っ払った客たちの激しい喧嘩を迅速に仲裁した。妓楼の戸締まりや、警備の任務を毎日欠かさずに実行する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 職務に大きな変化はなく、日々実直に勤務した。その確かな実力により、やり手婆からも厚く信頼されているらしい。
趙迂
猫猫の実家である薬屋に居候している、元気な少年である。勉強は少し苦手だが、周囲を観察する能力に長けていた。猫猫を姉のように慕い、いつも背後を追いかける性質を持つ。
・所属組織、地位や役職 猫猫の実家(薬屋)。居候の少年。
・物語内での具体的な行動や成果 猫猫の背中の弱点(くすぐりに非常に弱い)を、壬氏にこっそり教えた。その対価として、壬氏から小遣いを手際よく手に入れる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 周囲の大人たちから可愛がられながら、健やかに成長した。花街の元気な居候として、賑やかな日々を過ごしているようだ。
梓琳
緑青館で働く、素直で可愛らしい少女である。猫猫を「姉ちゃん」と呼び、深く信頼していた。上級妓女たちの身の回りの世話を、熱心にこなす性質を持つ。
・所属組織、地位や役職 緑青館。遊女見習いの禿(かむろ)。
・物語内での具体的な行動や成果 梅梅の身請けの祝宴において、客たちへの酒の給仕を懸命に手伝った。宴席の後片付けを、他の禿たちと協力して速やかに実行する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 妓女としてのマナーや作法を、順調に習得していた。周囲の先輩たちから愛され、将来を有望視されているらしい。
西都(郭家)
郭
西都で活動する、北方出身の一族の当主である男性。砂欧の豪商との婚姻による関係維持を重んじていたが、過去に姪が自殺し、娘も過酷な婚姻から逃れるために一族ぐるみで偽装自殺を企てた。
・所属組織、地位や役職 西都の郭家。当主。
・物語内での具体的な行動や成果 娘が川に身を投げて自殺したという噂を聞き、激しく動揺した。現場に駆けつけ、壬氏や猫猫たちに徹底的な調査を許可する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 娘の狂言自殺の真相を、猫猫によって白日の下に晒された。破談を認めざるを得なくなり、面目を大きく失ったらしい。
郭の娘
郭家の令嬢であり、意思が極めて強い少女である。砂欧の富商との望まない政略結婚に、激しく反発していた。足に纏足(てんそく)を施されており、特徴的な歩き方をする。
・所属組織、地位や役職 西都の郭家。令嬢。
・物語内での具体的な行動や成果 「浮かぶ花嫁」と称される、大掛かりな狂言自殺を敢行した。川の上流に自身の花嫁衣装を流し、自らは泣き女に変装して逃亡を試みる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 纏足による独特の歩き方を、猫猫によって見抜かれた。計画は失敗したが、政略結婚を完全に阻止することに成功する。
花嫁の叔父
郭の娘の叔父にあたる、理知的で親切な男性である。姪の望まない政略結婚に、強く同情していた。彼女の逃亡計画を、裏から支援する協力を買って出る。
・所属組織、地位や役職 西都 of 郭家。親族の男性。
・物語内での具体的な行動や成果 郭の娘と綿密に共謀し、狂言自殺のための衣装や、逃亡用の馬車を手配した。捜索を混乱させるため、嘘の目撃情報を周囲に流す。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 姪の自由を願うあまり、狂言に手を貸す決意を固めた。しかし、猫猫の優れた観察眼により、その偽装工作を見破られてしまう。
花嫁の侍女
郭の娘に仕える、忠実で口の硬い侍女である。主人の自由を強く願い、彼女のために行動していた。郭の娘からの信頼が、最も厚い性質を持つ。
・所属組織、地位や役職 郭家。令嬢の専属侍女。
・物語内での具体的な行動や成果 令嬢が川に落下したという虚偽の報告を行い、捜索を意図的に遅らせた。令嬢の身代わりとなる服を、川の上流に流す準備を手伝う。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 主人への忠義から、必死の偽装工作を敢行した。しかし、猫猫の鋭い追求を受け、最後には真実を告白する。
玉袁
西都の全域を統治する、非常に大きな権力を持つ領主である。皇后である玉葉后の実父であり、新派閥の中心人物であった。威厳と高い統率力を備えた、実力主義の人物である。
・所属組織、地位や役職 西都の政庁。領主。
・物語内での具体的な行動や成果 西都に到着した壬氏の一行を、自らの邸において温かく迎え入れた。現地の治安状況や、砂欧との貿易問題について壬氏と密談を交わす。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 西都における実権を、現在も確実に掌握していた。中央政界に対しても、強大な発言力を維持し続けている。
黄湖村
老人
黄湖村に住む、村の歴史をよく知る年配の住民である。昔、西都の周辺で目撃されたという奇妙な噂を記憶していた。穏やかな人柄で、尋ねてきた猫猫たちを温かく迎える。
・所属組織、地位や役職 黄湖村。村人。
・物語内での具体的な行動や成果 猫猫からの質問に対し、川の減水期にのみ歩ける「踏み台」の存在を教えた。昔の生贄の儀式や、水面を歩く白い仙女の伝説を詳しく語る。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 長年の村の謎を、若い猫猫に語り継ぐ役割を果たした。彼の提供した話が、水面歩行トリック解明の決定的な手がかりとなる。
砂欧
花婿
砂欧の極めて裕福な商人であり、茘との独占貿易を狙う男性である。政略結婚を通じて、西都での大きな権益の確保を狙っていた。非常に計算高い性格をしており、実利を追求する性質を持つ。
・所属組織、地位や役職 砂欧の商業ギルド。豪商。
・物語内での具体的な行動や成果 郭の娘が自殺したという噂を聞き、郭家に対して激しい抗議を行った。契約の不履行を理由とし、多額の賠償金を強く要求する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 娘の狂言自殺の事実が、猫猫の調査により発覚した。茘側との関係が悪化し、婚姻計画は完全に白紙に戻ることとなる。
愛凛
砂欧から派遣された、美しく知的な女特使である。政敵からの迫害を恐れ、茘への亡命の機会を密かに窺っていた。外交交渉の技術に非常に長けている、油ない女性である。
・所属組織、地位や役職 砂欧の使節団。女特使。
・物語内での具体的な行動や成果 茘の宮廷に対し、周辺国の深刻な蝗害事情について情報を提供した。貿易関税の優遇を求め、商談を有利に進める交渉を行う。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 亡命を望み、茘の後宮に中級妃として入内することを自ら提案した。
市井・その他の人物
克用
顔にあばたの痕を持つ、若い民間の医者である。彼は非常に明るく、誰とでも気さくに話す性格をしていた。過去に種痘の実験を受けたことがあり、疱瘡に強い免疫を持つ。
・所属組織、地位や役職 市井の診療所。民間の医師。
・物語内での具体的な行動や成果 西都からの帰り道において、猫猫と再会して疱瘡の予防法について熱心に語り合った。自らの貴重な臨床経験を、彼女の学習のために惜しみなく提供する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 民間での医療活動を、現在も精力的に続けていた。その豊富な知識と実力は、のちに宮廷の医療関係者からも高く評価される。
画家
都の絵師であり、自然の美しい風景を描くことに執念を燃やす男性である。水面を歩く白い仙女の姿を描くため、西都への過酷な旅を計画していた。芸術に対する情熱が、極めて高い性質を持つ。
・所属組織、地位や役職 都の芸術家ギルド。絵師。
・物語内での具体的な行動や成果 毒おしろいや、食事に混入されたツキヨタケによる食中毒で重症を負った。そのため、計画していた西都への出発が大幅に遅れることとなる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 猫猫の手厚い治療を受け、無事に健康を回復した。体調の快復後、仙女の幻影をキャンバスに描く情熱を再び燃やしている。
画家の仕事仲間
画家の同僚であり、彼の優れた絵の才能を深く妬んでいた男性である。画家が西都への旅に出発することを、何としても阻止したいと考えた。卑屈でベースに嫉妬心の強い気質を持っている。
・所属組織、地位や役職 都の芸術家ギルド。絵師(同僚)。
・物語内での具体的な行動や成果 画家の食事に対し、毒性の強いツキヨタケ(毒茸)を意図的に混入させた。それにより、画家に重い食中毒を引き起こす。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 その卑劣な犯行は、猫猫の鋭い調査により完全に暴かれた。彼はすべての罪を認め、衛兵の手によって厳格に処分される。
白娘々の一味
白娘々(素貞)
白娘々の一座を率いる首領であり、白い髪と赤い瞳を持つ怪しい女性である。幻覚作用のある香や、奇術による他人の心理誘導を得意としていた。その美貌を武器にし、多くの熱狂的な信者を集める。
・所属組織、地位や役職 白娘々の一座。教祖(素貞)。
・物語内での具体的な行動や成果 里樹妃が幽閉された塔の隣室から、通話管を通じて言葉を投げかけた。幻覚を誘発する香を送り込み、彼女の精神を破壊して投身自殺へ追い詰める。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 その邪悪な陰謀は、猫猫と馬閃の命がけの行動によって完全に阻止された。彼女は狂信的な信者たちとともに、その場で衛兵に厳しく捕縛される。
備忘録
序話
火鉢を囲む夜
冷え込む夜、壬氏は火鉢を囲みながら薬屋の娘との出来事を思い返していた。自分の期待を外して心を動かした猫猫に対し、反撃の機会をうかがっていたものの、本人はすでに去っていた。
馬閃の申し出
壬氏を心配した馬閃は、自分が練習相手になろうと申し出た。壬氏が戸惑う中、阿多が突然部屋へ入り、二人の様子を目撃したことで、その場は思わぬ騒ぎとなった。
一話 西都 四日目
悪臭の香水
西都四日目の朝、猫猫のもとを馬閃が訪れ、異母姉の侍女が持っていた強烈な香水について話した。それは前夜に里樹妃へ使われたもので、獣を興奮させる作用がある可能性があった。異母姉は悪戯だったと説明し、獅子をけしかける意図は否定した。
纏足の手掛かり
馬閃が持参した人相書きには履の装飾が細かく描かれており、犯人が纏足をしている可能性が浮かんだ。猫猫は西都では珍しい風習であることから北部出身者を疑った。その後、異母姉自身も纏足をしていたと判明したが、事件の全容は分からないままだった。
二話 浮かぶ花嫁 前編
婚姻宴への同行
夕方に起きた猫猫は、壬氏に命じられて北方出身者の家の婚姻宴へ同行した。そこは戌の一族の遺産を引き継いだ家であり、宴の途中で花嫁が姿を消した。
塔の花嫁
花火が上がった直後、花嫁が塔からぶら下がっている姿が見つかった。一行が塔へ駆けつけたものの花嫁は消えており、代わりに焼け焦げた遺体が発見されたことで、祝宴は一転して騒然となった。
三話 浮かぶ花嫁 後編
偽装された自殺
猫猫は花嫁が異国へ嫁ぐことを悲観して自殺したという説明に疑問を持った。塔や遺体の状況を調べた結果、自殺そのものが偽装であると見抜いた。
泣き女に紛れた花嫁
花嫁の一族は彼女を異国の婿から逃がすため、別の遺体を利用して死を装い、本人を泣き女に紛れ込ませていた。猫猫はその仕掛けを暴いて花嫁が生きていることを明らかにし、壬氏は事態の収拾にあたった。
四話 帰路
克用との出会い
西都を離れた猫猫たちは船で帰路につき、その途中で疱瘡の痕が残る青年、克用と出会った。克用は医者を名乗って都へ行くことを望み、病気ではないと猫猫が説明したことで、羅半の計らいにより同行することになった。
羅半の寄り道
克用は船上で医者としての知識を見せ、羅半に酔い止めを渡した。羅半は次の船着き場で阿多たちと別れ、父親のいる場所へ向かうつもりだと猫猫に告げた。
五話 西都の後始末
玉袁の上京
壬氏は西都の後始末として玉袁に都へ来るよう求めた。玉袁は西都を離れることを懸念したため、息子に中央事情へ通じた補佐役をつける条件を提示し、壬氏も受け入れた。
馬閃の将来
玉袁は馬閃の護衛としての能力を高く評価した。帰京について話す壬氏と馬閃の間では結婚の話題も出たが、馬閃は女性に奥手であり、壬氏はその将来を案じていた。
六話 羅の一族 前編
幽閉された羅漢
羅半と猫猫は羅半の実家を訪れ、そこで都を追われた羅漢が幽閉されていることを知った。家族内には複雑な確執があり、羅漢の精神状態も不安定になっていた。
碁による対話
羅半と猫猫は羅漢を正気に戻すため、碁を使って意思疎通を図った。さらに羅半の父や兄も現れ、それぞれ異なる生き方をする羅の一族の複雑な関係が浮かび上がった。
七話 羅の一族 後編
羅家の農作業
陸孫も加わり、羅半父、羅半、猫猫、羅漢らが集まった。羅半父は田舎で農作業を楽しみ、甘藷の栽培にも成功していた。羅半はその販売や栽培について父と話し合った。
羅漢の事情
不衛生だった羅漢は猫猫に風呂へ入れられ、その後、酒精によって意識を失った。羅漢が祖父を都へ呼んだ背景には、購入した妓女との関係を認めてもらいたい思いがあったが、家族との溝は埋まらないままだった。
八話 里樹妃の旅の終わり
後宮への不安
旅を終えようとしていた里樹妃は、自分の体つきや後宮へ戻った後の夜伽について思い悩んでいた。侍女たちとの関係は以前より良くなっていたものの、帝や阿多との関係を考えると複雑な気持ちは消えなかった。
予定外の滞在
里樹妃は西都で助けてくれた従者への感謝や過去の自分を振り返りながら都へ戻った。しかし宮廷へ入る前に、後宮の外で一か月暮らすよう告げられ、思わぬ変更に不安を抱いた。
九話 帰宅
緑青館への帰還
猫猫は長旅を終えて緑青館へ戻り、西都から持ち帰った衣類や薬、大量の芋などを降ろした。やり手婆からは、先に送っていた米まで含めて蔵がいっぱいだと告げられた。
薬屋の留守中
薬屋では左膳が留守を守っていたが、風邪の流行で薬がなくなっていた。猫猫は在庫を確かめながら片付けを始め、趙迂が新進の画家から絵を習っていることも知った。その後、右叫から趙迂の知人が死にかけていると知らされた。
十話 傷んだ餡餅
画家の茸中毒
猫猫は古びた家で倒れている画家を診察した。食中毒と思われた症状の原因は、餡餅に混ぜられた毒茸であり、猫猫は塩と砂糖を溶かした水を飲ませて処置した。
西方への執着
毒茸を入れたのは画家の仕事仲間で、画家の西方行きを遅らせることが目的だった。画家が再び西を目指していた背景には、かつて西方で見た仙女のような女性をもう一度見たいという思いがあった。
十一話 踊る水精
薬草採りの村
猫猫は趙迂とともに薬草を求めて川沿いの村へ向かった。村では蛇や鳥を殺さない風習が残され、森には水の上を踊る白髪赤目の美女の伝説もあった。
巫女の村
森の奥で猫猫は旧知の老人と再会し、そのもとで克用が働いていることを知った。老人からは、かつて巫女が蟒蛇さまの神事に関わり、生贄として沼へ沈められることもあったという村の歴史を聞いた。
鳩の情報網
猫猫は巫女やその後継者が起こした神事に自然現象や仕掛けが使われていたと考えた。さらに鳩を利用して西都と都の間で情報がやり取りされていたことを突き止め、老人に協力を求めた。
十二話 里樹妃の受難
西方との交渉
壬氏は砂欧の使者である愛凛らと、食糧輸出や亡命受け入れについて話し合っていた。羅半も関わり、甘藷の栽培を広げて食糧問題へ対応する案が進められた。
里樹妃の妊娠疑惑
白娘々が捕らえられた後、猫猫は馬閃から里樹妃の妊娠疑惑を聞き、宮廷で診察した。猫猫は妊娠していないことを確認したが、元侍女頭が恋文を証拠として持ち出し、里樹妃を陥れようとした。
十三話 醜聞 前編
里樹妃の軟禁
市では里樹妃の不義を理由に帝が粛清を始めるという噂が流れていた。猫猫は阿多と相談し、証拠とされた恋文が実際には小説を書き写したものだと確かめた。
塔での面会
猫猫は馬閃に連れられて里樹妃が軟禁されている塔へ向かった。里樹妃は恋文の相手とされた男とは幼少期からの知人に過ぎないと説明し、猫猫に元の小説を探してほしいと頼んだ。塔では里樹妃が奇妙な物音を聞いており、別の誰かの存在を感じていた。
十四話 醜聞 中編
恋文の原典
猫猫は市の書店を回り、里樹妃が模写した文章のもとになった西洋劇の翻訳本を見つけた。ただし内容には翻訳者による変更が加えられており、里樹妃の文章とも細部が異なっていた。
素貞との会話
塔にいる里樹妃は、管を通じて隣室の素貞という女と話すようになった。孤独な里樹妃にとってその会話は慰めとなり、素貞は最上階から都を眺めようと誘った。
十五話 醜聞 後編
異国の悲恋物語
猫猫は購入した書物を読み、敵対する家の男女が愛し合った末に悲劇を迎える内容を知ったが、その魅力を理解できなかった。一方、妓女たちは物語に強く惹かれていた。
里樹妃の逃走
塔では里樹妃が侍女の河南への不信を募らせ、絶望から部屋を荒らした。やがて素貞の誘いに応じて部屋を抜け出し、最上階へ向かった。
十六話 馬閃と里樹
塔からの転落
猫猫と壬氏が塔へ駆けつけると、里樹妃は最上階で危険な状態にあった。壬氏が説得を試みる間、馬閃は地上に布団を敷かせて落下へ備えた。
馬閃の救出
白い仙女のような女が現れたことで里樹妃は動揺し、塔から落下した。馬閃は迷わず飛び降りて里樹妃を抱きかかえ、布団の上へ落ちた。里樹妃は助かったが、馬閃は大きな怪我を負い、その行動によって里樹妃の見る目も変わった。
終話
里樹の出家
里樹は再び出家することになった。帝は里樹の母と旧知で、里樹を娘のように思っていたが、守ろうとした措置が侍女たちのいじめや命を狙われる事態につながっていた。
醜聞の裏側
元侍女頭は西方の使者から得た情報を利用して新たな主へ乗り換えようとしていた。また、里樹を襲った白娘々や、香による幻覚にも白娘々が関わっていたことが判明した。
馬閃への褒賞
里樹を命懸けで救った馬閃は帝から高く評価され、望む褒賞を与えられることになった。里樹は一年間出家した後、実家へ戻る予定となった。
愛凛の亡命
西方の女特使は白娘々の保護を求め、子の一族とのつながりも示された。さらに自らは亡命を選び、中級妃の地位を望む提案を行った。
壬氏と猫猫
猫猫は異国の悲恋物語について壬氏と話した。二人の間には未解決の問題が残っていたものの、関係は以前より進んでいた。
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