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フィクション(Novel)薬屋のひとりごと読書感想

小説「薬屋のひとりごと 5巻 宮廷編」毛毛退場! ネタバレあり

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薬屋のひとりごと5巻の表紙画像(レビュー記事導入用) フィクション(Novel)

薬屋 4巻レビュー
薬屋 全巻まとめ
薬屋 6巻レビュー

Table of Contents

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  1. どんな本?
    1. 概要
    2. 主要登場人物
      1. 猫猫
      2. 壬氏
      3. 趙迂
      4. 阿多
      5. 馬閃
      6. 翠苓
      7. 羅半
  2. 読んだ本のタイトル
  3. あらすじ・内容
    1. アニメ化のお知らせ(2023年10月から放送)
  4. 感想
  5. 考察
    1. 西都への旅路と蝗害の予兆・血縁証明の全貌
    2. 趙迂の正体
      1. 趙迂の真の正体
      2. 死の淵からの蘇生と後遺症
      3. 花街でのたくましい生活
      4. まとめ
    3. 蝗害の予兆
      1. 発端となった趙迂の言葉
      2. 図録の行方と飛蝗の確認
      3. 宮廷の危機感と皇帝の憂慮
      4. 図録の解読と猫猫の奇策
      5. 異国の動向と迫り来る北の災い
      6. まとめ
    4. 壬氏の西都行
      1. 西都行の目的と背景
      2. 道中のトラブルと護衛
      3. 西都への到着と正体の開示
      4. 西都での宴と事件
      5. 壬氏の猫猫へのアプローチ
      6. まとめ
    5. 里樹妃の出生
      1. 実の父親に関する深い疑念
      2. 猫猫の観察と歯による血縁の証明
      3. まとめ
  6. キャラクター紹介
      1. 猫猫
      2. 趙迂
      3. 李白
      4. 右叫
      5. 壬氏
      6. 高順
      7. 馬閃
      8. 翠苓
      9. 羅半
      10. 陸孫
      11. 主上
      12. 阿多
      13. 里樹妃
      14. 卯柳
      15. 異母姉
      16. 女特使
  7. 備忘録
    1. 序  話
    2. 一話  蝗
    3. 二話  右叫
    4. 三話  眠り
    5. 四話  火鼠の皮衣
    6. 五話  麺麭がなければ
    7. 六話  最後の一冊
    8. 七話  白蛇仙女
    9. 八話  向き不向き
    10. 九話  紙の村
    11. 十話  麻と民間信仰
    12. 十一話  盗賊
    13. 十二話  積み重なる問題
    14. 十三話  西都  初日
    15. 十四話  西都  二日目
    16. 十五話  宴  前編
    17. 十六話  宴  後編
    18. 終  話
  8. 薬屋のひとりごと 一覧
    1. 小説
    2. 漫画
  9. 類似作品
    1. 虚構推理
    2. 後宮の烏
    3. 准教授・高槻彰良の推察
    4. 全裸刑事チャーリー
  10. その他フィクション

どんな本?

薬屋のひとりごと』は、日向夏 氏による日本のライトノベル作品。
中世の後宮を舞台に、薬学の専門知識で事件の謎を解く少女・猫猫(マオマオ)の物語。
小説家になろうで連載されているほか、ヒーロー文庫からライトノベル版が刊行されている。
また、月刊ビッグガンガン月刊サンデーGXでコミカライズ版が連載されており、2023年にはテレビアニメ化も決定している。

月刊サンデーGXの方が、中華の雰囲気が強く、文化の小さい部分にも気をつけているように感じている。

概要

花街の薬屋に戻っていた少女の猫猫は、族滅された子の一族の生き残りである少年・趙迂を引き取り、共に生活していた。趙迂の言葉から彼女は蝗害の予兆を察知したのである。それを機に、彼女は再び大きな動乱へと巻き込まれていくこととなった。

さらに彼女は、変装した皇弟の壬氏や医官らとともにお忍びの西都行へ出発した。西都で開かれた大規模な宴において、里樹妃が香水をかけられ暴走した獅子に襲われる事件が発生したのである。猫猫は里樹妃を身を挺して庇い、護衛の馬閃が獅子を退治したことで辛うじて難を逃れた。

その後、彼女は関係者の歯の欠損を観察し、里樹妃が皇帝の隠し子ではなく卯柳の実の娘である事実を証明したのである。

最終的に旅を終えた猫猫は、庭の長椅子で壬氏から簪を贈られ、突然の口づけを受けた。彼女は驚きつつも抵抗を試み、これからの二人の関係に複雑な余韻を残しながら物語は収束へと向かったのである。

主要登場人物

猫猫

  • 立場・所属:
    花街の薬屋
  • この巻での主な役割:
    趙迂の言葉から、蝗害の兆候に気づき、不審な図録の回収を壬氏に依頼する。また、お忍びの西都行に同行し、里樹妃の出生鑑定や宴での危機に対応した。
  • この巻で起きた重要な変化や行動:
    左膳に調薬を教えて薬屋の助手に育成する。西都の宴では、羅の一族の姫君として装った。里樹妃を襲った獅子の騒動に巻き込まれつつ、卯柳らの歯の特徴を調べて血縁を証明した。

壬氏

  • 立場・所属:
    茘の皇弟、お忍び of 旅では火傷のメイクを施した従者の姿
  • 主人公との関係:
    猫猫の雇用主であり、彼女に執着を見せる高貴な青年
  • この巻での主な役割:
    猫猫の要請を受け、不審な図録を回収する。その後、皇帝の命を受けて西戌州の蝗害対策や外交任務のため、西都への旅を主催した。
  • この巻で起きた重要な変化や行動:
    過労から緑青館の最上階で猫猫の看病を受け、束の間の休息を得る。西都では皇弟としての身分を明かした。宴の混乱を収拾したのち、終話で猫猫に簪を贈り、突然口づけを交わした。

里樹妃

  • 立場・所属:
    茘の後宮の妃、西戌州の会談に同行する女性
  • 主人公との関係:
    猫猫がかつて毒見で救い、今回は出生の鑑定を依頼される関係
  • この巻での主な役割:
    自らの出生に強い疑念を抱き、猫猫に調査を依頼する。西都の宴で異母姉から嫌がらせを受けた。香水をかけられたことが原因で、檻から暴走した獅子に襲われる。
  • この巻で起きた重要な変化や行動:
    恐怖により腰を抜かしたが、馬に救出される。彼に対して顔を赤らめる変化を見せた。猫猫による歯の調査により、卯柳と血の繋がった実の娘である事実が証明された。

趙迂

  • 立場・所属:
    猫猫の家で暮らす記憶喪失の少年、元子の一族の生き残り(当時は響迂)
  • 主人公との関係:
    猫猫の同居人であり、彼女から労働や生活の指導を受ける
  • この巻での主な役割:
    朝食の蝗の煮付けを平然と食べる。曖昧な記憶から蝗害の予兆を示す言葉を口にした。市では似顔絵を描いて稼ぐ特技を披露する。
  • この巻で起きた重要な変化や行動:
    不審な図録を売りに来た元見張りの盗人に遭遇した。その際、「坊っちゃん」と呼ばれそうになったが、本人は過去の記憶を思い出さず、無邪気に暮らし続けている。

阿多

  • 立場・所属:
    西都への旅に同行する女性、元上級妃(淑妃)
  • 主人公との関係:
    猫猫とは過去に城壁で酒を酌み交わした関係
  • この巻での主な役割:
    里樹妃の母親の友人として、彼女を優しく保護し、同行させる。道中で盗賊の襲撃に遭った際には、果敢に対処して里樹妃を守った。
  • この巻で起きた重要な変化や行動:
    宴の後は壬氏と里樹妃の立場を考慮し、巧みにサポートを行う。終話では、冷えた庭で酒を飲みながら「月」の決断や二つの約束を静かに回想した。

馬閃

  • 立場・所属:
    高順の息子、実直な武官(馬閃)
  • 主人公との関係:
    猫猫を壬氏の護衛や旅の同行者として認める関係
  • この巻での主な役割:
    猫猫に一部が欠損した不審な図録を届ける。変装した壬氏の護衛として、西都への過酷な旅に同行した。
  • この巻で起きた重要な変化や行動:
    阿多らの馬車が盗賊に襲われた際、即座に駆けつけて賊たちを制圧する。西都の宴で暴走した獅子から鉄格子を用いて里樹妃と猫猫を守り、里樹妃と意識し合う関係となった。

翠苓

  • 立場・所属:
    阿多のもとで暮らす男装の女性、薬学や植物の知識を持つ
  • 主人公との関係:
    かつて敵対した存在であり、現在は薬の議論を交わす関係
  • この巻での主な役割:
    阿多の護衛や医療担当として西都への旅に同行する。道中での怪我人の手当を猫猫と共同で行った。
  • この巻で起きた重要な変化や行動:
    仮死薬の実験で生存し、記憶を失って温泉郷の寝たきり老人となった師(元医官)の現状を猫猫に語った。

羅半

  • 立場・所属:
    変人軍師の甥であり、羅家の交渉担当
  • 主人公との関係:
    猫猫の親族(従兄)であり、彼女の知識を利用する
  • この巻での主な役割:
    都で仙女の公演に猫猫を誘う。見世物のトリックを見破るよう仕向けた。西都の宴では、穀物取引の交渉と亡命を望む女特使との窓口となった。
  • この巻で起きた重要な変化や行動:
    猫猫に「月と花芥子の簪」を用意した。宴で羅の一族の姫君として振る舞うよう強いる。また、壬氏の子を猫猫に産ませて引き取るという突飛な提案をした。

読んだ本のタイトル

薬屋のひとりごと 5
(英語: The Apothecary Diaries、中国語: 药屋少女的呢喃)
著者: #日向夏 氏 
イラスト: #しのとうこ

(PR)よろしければ上のサイトから購入して頂けると幸いです。

あらすじ・内容

読後満足度絶好調の大人気シリーズは新章突入。難事件の謎解きは勿論、猫猫と壬氏の関係から目が離せない!

子の一族の反乱がおさまり、宮廷では皇子が生まれたことで玉葉妃が正室になった。
壬氏もまた、宦官ではなく皇弟として政を行うこととなる。
一見、何事もなく平和におさまったかに見えたが、都にはすでに不穏な空気が漂っていた。
猫猫はといえば、謎の毒菓子事件、蝗害への不安、紙の村の所有権問題……いつものごとく巻き込まれ、首を突っ込むことになる。
また、壬氏からの命令で、玉葉后の故郷、西都へと向かうことになった。
色とりどりの花たちが咲く舞踏会で何者かの陰謀が渦巻いていく。
猫猫はその思惑を暴くことができるだろうか! ?

薬屋のひとりごと5

イマジカインフォス
イマジカインフォス

アニメ化のお知らせ(2023年10月から放送)

TOHO animation チャンネル
TOHO animation チャンネル

感想

子の一族の事件が終わり、猫猫は後宮から花街へ戻ってきた。

これで少し落ち着くのかと思ったら、

全然そんなことはなかった。

今度は飛蝗である。

趙迂が朝食に出てきた蝗を食べながら、

「すかすかしてる」

「今年はもう作物はだめだな」

と言い出したことから、猫猫が蝗害の可能性に気づく。

ところが本人は肝心なところを覚えていない。

そこ思い出してくれよ。

しかも西都へ向かえば、盗賊や阿片の問題、里樹妃を狙ったような騒動まで起きる。

壬氏周辺も相変わらず危ない。

さらに最後には、

やっぱり壬氏って現皇帝の息子だったのか!

という事実までかなりはっきりする。

いや、阿多と顔が似すぎていたから怪しかったけどさ。

本当に取り替えてたのかよ。

糞餓鬼との生活が妙に微笑ましい。でも飢饉の予言は笑えない

花街へ戻った猫猫は、記憶を失った趙迂と一緒に暮らしている。

この二人の生活が良い。

猫猫は保護者らしく、

勝手に遠くへ行くな。

働け。

片付けろ。

と躾ける。

趙迂は趙迂で、

買ってくれ。

肉を増やせ。

紙が欲しい。

と好き放題。

糞餓鬼具合が凄い。

でも泣き喚く子供とは違って、口が回る上に自分で稼ぐ知恵まである。

似顔絵を描いて普通に商売を始めるのだから、

これ、泣いて駄々をこねる子供より厄介じゃないか?ww

しかも絵が上手い。

その能力が蝗害の話にもつながってくる。

記憶は失っているのに、二種類の飛蝗の姿をかなり正確に描く。

調べてみると、昨年増えた飛蝗が大規模な蝗害の前兆である可能性が出てくる。

さらに、猫猫が4巻で監禁されていた部屋にあった図録が市中へ流出。

それを追ったら、

あの時の見張りが釣れた。

お前、生きてたのか。

しかも事情を聞けば、あの砦にいた薬師は以前から蝗害について研究していたらしい。

最後の一冊まで探し出し、飛蝗が条件によって姿を変え、大量発生することまで分かってくる。

ただし特効薬があるわけではない。

幼虫の段階で殺虫剤を使う。

鳥を減らさない。

地道に潰していく。

結局、人海戦術。

国を滅ぼしかねない災害なのに対策が地味である。

だからこそ怖い。

毛毛がヤブ医者の実家へ。唯一の癒やし枠がいなくなった……

蝗害対策もあり、壬氏たちは西都へ向かう。

猫猫も同行。

途中でヤブ医者の故郷へ立ち寄るのだが、

ここで毛毛が引き取られてしまう。

毛毛ーーー!!

今回の貴重な癒やし枠が……。

しかもヤブ医者の実家では別の揉め事が起きている。

紙作りをする家と地主側が対立しており、その裏にはヤブ医者の妹の長男と地主側の娘の関係まである。

ロミオとジュリエットか。

猫猫はこの争いを、

蒸留酒の飲み比べ。

で解決しようとする。

薬師ですよね?

酒豪なのは以前から分かっていたけど、交渉まで酒で突破するとは思わなかった。

さらに旅を続ければ阿多と里樹妃が合流。

今度は盗賊に襲われる。

でもこちらは馬閃たちがいるので、かなりあっさり撃退。

問題は、その盗賊たちに阿片が絡んでいること。

都で姿を消した白娘々の影もちらつく。

蝗害だけでも大変なのに、

また別の連中が裏で何かやってないか?

という嫌な感じが残る。

自然災害と人間の陰謀が同時に近づいてくるのが怖い。

里樹妃が獅子に襲われたら馬閃が登場。ここで春が来るのかww

西都の宴では、今度は里樹妃が酷い目に遭う。

親族から嫌がらせを受け、

さらに強烈な匂いをつけられたことで獅子に狙われる。

獅子!?

後宮の嫌がらせの規模じゃないだろ。

里樹妃は腰を抜かして動けない。

猫猫も逃げられず、一緒に卓の下へ。

そこへ飛び込んできたのが馬閃。

鉄格子を使って、

獅子を殴り倒す。

強っ。

盗賊相手にも強かったけど、この男も大概おかしい。

そして助けられた里樹妃と馬閃が見つめ合う。

顔が赤くなる。

……あれ?

馬閃。

ここで春が来るの?ww

今まで女性相手だと白鈴に触られただけで逃げ出していた男なのに。

里樹妃もずっと政治に振り回され、前帝の妃になったり、現帝の後宮へ入れられたりと散々だった。

だから馬閃との関係はちょっと応援したくなる。

そして一方では壬氏も猫猫へ猛アタック。

簪まで渡し、

最後には強引に距離を詰める。

皇弟も馬閃も、

皆んな発情期だねw

猫猫、ウンザリ。

やっぱり壬氏は現皇帝の息子。阿多は全部覚えていたのか

そして今回、一番大きかったのが壬氏の出生。

1巻の時点で猫猫は、

阿多と壬氏って似てないか?

赤子を取り替えたんじゃないか?

と推測していた。

でも本人が、

さすがに飛躍しすぎだ。

と打ち消していた。

ところが5巻では阿多自身の記憶として、

本当に取り替えていたことが描かれる。

現皇帝と阿多の子。

そして当時の皇太后・安氏が産んだ皇弟。

ほぼ同時期に生まれた二人の赤子を、阿多と安氏が入れ替えた。

しかも事故ではない。

二人とも分かった上でやっている。

その後、阿多が育てることになった本来の皇弟が死亡。

一方、阿多の実子は皇弟として生き残った。

それが壬氏である。

やっぱり現帝の息子だったか。

そりゃ似てるわ。

ということは、表向きは皇弟。

実際には皇子。

しかも現状を考えると、皇位継承にもかなり面倒な位置にいる。

阿多が「自分が国母になりたいから」動いている、とまではこの巻からは感じなかった。

むしろ、自分の息子が生きていることを知りながら、その秘密を抱え続けている状態に見える。

でも壬氏本人は皇位から離れたがっているように見える。

現帝側はどう考えているのか。

玉葉后の東宮もいる。

壬氏の本当の血筋が表に出たらどうなるのか。

かなり複雑になってきた。

さらに飛蝗による大飢饉の危機。

阿片をばら撒いているらしい謎の勢力。

西都周辺の不穏な動き。

そして壬氏と猫猫。

馬閃と里樹妃。

政治も恋愛も災害も、一気に動き始めた。

最初は後宮で毒見をしていただけだった猫猫なのに、

気がつけば国家規模の飢饉対策までしている。

本当にどこまで巻き込まれるんだ、この薬師。

そして壬氏。

表向きは皇弟だけど、実際は皇帝の息子。

この事実がいつ表へ出るのか。

飛蝗よりこっちも相当ヤバい気がする。

最後までお読み頂きありがとうございます。

小説「薬屋のひとりごと 6巻 市井編 」毛毛復帰!感想・ネタバレ
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薬屋 4巻レビュー
薬屋 全巻まとめ
薬屋 6巻レビュー

考察

西都への旅路と蝗害の予兆・血縁証明の全貌

花街の薬屋に戻っていた猫猫は、引き取った少年・趙迂の言葉から蝗害の予兆を察知し、その対策を契機に変装した壬氏らと共にお忍びの西都行へ赴くこととなった。道中での不正暴きから西都の宴における獅子の暴走事故、里樹妃の出生の証明、そして壬氏からの突然のアプローチに至るまでの全容について解説する。

物語を動かした主要な転換点

自然災害の予兆察知から始まり、知略による不正の糾弾、そして宴での騒動解決に至るまでの重要局面が展開された。

・趙迂の言葉と蝗害の予兆察知:朝食の蝗の煮付けを口にした趙迂の呟きから、猫猫は大規模な不作と蝗害の危機を察知した。これが研究図録の探索や壬氏への予防策提案へと繋がった。
・最後の一冊の回収と群生相の解明:診療所に隠されていた最後の図録を回収し、飛蝗が特定の過密環境下で茶色の群生相へ変異して大災害を引き起こす生態を特定した。これにより西都への蝗害対策行が決定づけられた。
・紙の村における飲み比べの勝利:紙職人の村を苦しめる悪徳地主に対し、高濃度酒精を用いた飲み比べの賭けで勝利した。地主の二重税逃れの不正を暴き、契約遵守の5年間の猶予を勝ち取った。
・盗賊の背後に潜むアヘンと白娘々の影:馬車を襲撃した盗賊の身体的特徴や刺青から、彼らがアヘン中毒者であり都の白娘々と結びついている事実を看破し、西都での警戒を強める契機となった。

主人公を中心とした人物関係の推移

長い旅路と命懸けの事件を通じて、周囲の人物との関係性はより立体的かつ複雑なものへと変化した。

・壬氏:変装して旅路を共にし、幾多の困難を協力して乗り越えた。宴の後の庭で簪を贈られ突然の口づけを受けたことで、彼が一人の男性として自身を妃候補と見なしている現実に直面し、強い動揺を抱くこととなった。
・里樹妃:出生の疑惑に怯える妃に対し、宴で身を挺して獅子から庇い、歯の欠損という解剖学的知見から卯柳の実子であることを証明した。長年の不安を解消させたことで、絶大な信頼と感謝を寄せられる関係となった。
・馬閃:不器用で女性に不慣れな武官であったが、折れた鉄格子で暴走した獅子を撲殺し、里樹妃と猫猫を守り抜いた。里樹妃との間に甘い空気が芽生えたことで、猫猫にとっては居心地の悪さを感じる対象となった。

主人公の認識と周囲の評価

実利と知的好奇心を優先する猫猫の自己認識と、彼女を特異な才覚を持つ存在として扱う周囲の評価との間には明確な落差が存在した。

・主人公自身の認識:平凡な薬師兼毒見役に過ぎないと自認し、宮廷の政治闘争や壬氏の婚姻問題は自身と無関係な他人事であると認識していた。
・周囲からの評価:壬氏や陸孫らからは比類なき洞察力を持つ頭脳として重用され、羅半ら一族からは羅の血筋を引く高貴な姫君としての政治的価値を見出された。一方で事情を知らない官女らからは成り下がりの下女として侮蔑された。
・認識の差が現れた場面:西都の宴で華美な西方衣装を着せられた際、猫猫自身は精神的苦痛を感じて食事に逃避していたが、陸孫からは羅の一族の血が持つ影響力と自身の真の価値を自覚するよう忠告を受けた。また、敵対的な異母姉は猫猫の頭に輝く壬氏の貴重な簪を目にして激しい焦燥を露わにした。

クライマックスにおける獅子暴走と血縁証明

西都の宴席で発生した陰謀と獣の暴走に対し、武力と医学的知見による迅速な決着が下された。

・香水による罠と獅子の暴走:里樹妃を妬む異母姉が強い獣臭を含む香水を浴びせ、興奮した見世物の獅子が脆い檻を破壊して会場へ乱入した。
・猫猫の庇護と馬閃の撃退:腰を抜かした里樹妃を庇って猫猫が卓の下へ転がり込む中、馬閃が現場へ突入し、折れた鉄格子を眉間に叩きつけて獅子を一撃で殴り倒した。
・歯の欠損による血縁の証明:騒ぎ立てる卯柳に対し、猫猫は卯柳、異母姉、里樹妃の口内をこじ開けて共通する歯の先天的欠損を確認した。里樹妃が皇帝の落胤ではなく卯柳の実の娘であることを白日の下に晒し、長年の疑惑に終止符を打った。

巻末時点の状況と今後の展望

西都での役目を終えた猫猫の前に、逃れられない新たな関係性と国際的動乱の兆しが示された。

・解決した問題:蝗害の変異生態と予防策の解明、紙職人の村の不正地主の糾弾、および里樹妃の出生を巡る血縁の証明が完了した。
・主人公の所在と立場:西都の屋敷の庭で普段の薬師の姿に戻りつつも、壬氏から簪を贈られ口づけを受けたことで、自身の立場が大きく揺らぐ現実を突きつけられた。
・継続している問題と布石:白娘々の失踪とアヘン密売組織の暗躍、周辺国で発生している北の災い、そして砂欧の女特使から持ちかけられた穀物取引と亡命の要請が、次なる国家規模の動乱を予見させている。

まとめ

西都への旅路と蝗害の予兆・血縁証明を巡る一連の全貌は、少年の呟きから始まった蝗害の生態解明から始まり、紙の村での不正の粉砕、西都の宴における暴走獅子からの救出、歯の観察による里樹妃の出自証明、そして壬氏からの決死のアプローチに至るまで、その歩みを明瞭に示している。卓越した観察眼と薬理の知識で幾多の危機を退けながら、国家を揺るがす災厄と自らの運命の変容に直面していく猫猫の足跡を刻んだ記録である。

趙迂の正体

「趙迂(チョウウ)」の正体と、彼にまつわる背景について解説する。

趙迂の真の正体

花街で猫猫(マオマオ)と同居している少年である趙迂の正体は、国家に対する反乱を企て崩壊した子(シ)の一族の生き残りの少年である。その背景は以下の通りである。

・砦にいた当時の彼の名前は響迂(キョウウ)であった
・生意気ながらも翠苓(スイレイ)や子翠(楼蘭妃)を慕い、残酷な神美(シェンメイ)を非常に恐れていた
・後に猫猫が市で捕らえた元子の一族の砦の見張り(盗人)が、彼を見て思わず坊っちゃんと呼びかけそうになったことから、一族の中でも身分の高い血筋(子昌や神美に近い存在)であったことが示唆されている

死の淵からの蘇生と後遺症

討伐軍によって子の一族の砦が陥落した際、反乱の末路として一族の子どもたちは毒(仮死薬)を飲まされ、命を失ったと思われて安置されていた。そこからの経緯は以下の通りである。

・かすかに息をしていることに気づいた猫猫が、楼蘭が事前に残していた知識と壬氏(ジンシ)の手助けを得て必死に蘇生を試み、彼らを死の淵から救い出した
・強烈な仮死薬による蘇生の代償として、彼は記憶喪失と身体の軽い麻痺という後遺症を負うことになる
・他の生き残りの子どもたちが元上級妃である阿多(アードゥオ)のもとに引き取られる中、彼だけは猫猫の元に残され、趙迂として花街で新たな生活を送ることになった

花街でのたくましい生活

記憶を失った趙迂は、自身が子の一族の坊っちゃんである過去を全く覚えておらず、無邪気に振る舞っている。花街での生活ぶりは以下の通りである。

・花街の生活への順応性は非常に高く、緑青館の朝餉で他の妓女たちが嫌悪した蝗(イナゴ)の煮付けを平然と食べて猫猫を驚かせた
・絵の才能に秀でており、市で似顔絵を描いて小銭を稼ぐなど、麻痺を抱えながらもたくましく生き抜いている

まとめ

記憶喪失でありながらも、趙迂の中には過去の知識が断片的に残っている。朝餉で蝗を食べた際、彼が何気なく蝗がすかすかだと不作になると語ったことが、猫猫に蝗害(こうがい)の兆候が迫っていることを気づかせる決定的なヒントとなった。この彼の曖昧な記憶がきっかけとなり、猫猫は蝗害の予防策を探るための本格的な調査を開始することになるのである。

蝗害の予兆

物語における蝗害(こうがい)の予兆は、日常の何気ない出来事から発見され、やがて国家全体を揺るがす重大な危機として表面化していく。その発端と背景、そして迫り来る脅威について解説する。

発端となった趙迂の言葉

花街の緑青館での朝餉に出された蝗(イナゴ)の煮付けを妓女たちが嫌悪する中、子の一族の生き残りである少年の趙迂だけが平然と食べたことがすべての始まりであった。

・彼が記憶の片隅から蝗がすかすかだと不作になると語ったことで、猫猫はそれが重要な情報であると直感する
・彼が描いた蝗の絵をきっかけに、猫猫はかつて子の一族の砦で見た虫の図録の存在を思い出し、独自の調査を開始した

図録の行方と飛蝗の確認

猫猫は李白の協力を得て、砦から図録を持ち出した盗人(かつて砦で見張りをしていた元農民)を市で捕らえた。彼から聞き出した情報は以下の通りである。

・飛蝗(ひこう / 群生相となり凶暴化したバッタ)と通常の蝗の違い
・農民が虫の分別を行っていること
・砦で蝗害を防ぐための研究が行われていたこと

これらの情報から、猫猫は蝗害の兆候がすでに現れていることを確信した。

宮廷の危機感と皇帝の憂慮

猫猫が壬氏に図録を見せて飛蝗の大量発生について警告すると、壬氏もすでに北部農村での蝗害被害を把握していた。

・昨年の不作分には対応したものの、今年の被害が続く可能性に強い憂慮を示す
・皇帝(主上)も、西からの風に乗って飛蝗が襲来し、それが引き起こす飢饉や暴動によって国が荒れる危険性を深く懸念しており、その対策を壬氏に託していた

図録の解読と猫猫の奇策

馬閃が回収した図録には、飛蝗の変化や殺虫剤の調合法、幼虫の駆除策などが詳細に記されていたが、抜本的な解決策は見当たらなかった。そこで猫猫は以下の行動に出る。

・大量発生する飛蝗を少しでも減らすため、飛蝗料理を宮廷料理として取り入れるという奇策を提案する
・嫌がる壬氏に無理やり試食させるなど、なりふり構わぬ対策を模索した

異国の動向と迫り来る北の災い

蝗害の脅威は国内にとどまらない。その動向は以下の出来事から明らかとなる。

・壬氏や猫猫たちが訪れた西都での宴において、異国の女特使が羅半に対して穀物取引と自身の亡命を持ちかける
・彼女が口にした北の災いという言葉を聞き、猫猫は砂欧や北亜連といった周辺の異国でもすでに蝗害が発生していることを示唆していると気付き、さらなる不穏な空気を感じ取った

まとめ

このように、一人の少年の曖昧な記憶から始まった蝗害の予兆は、国内の食糧危機にとどまらず、周辺国をも巻き込む巨大な災害と政治的混乱の足音として、物語の重要な展開を牽引しているのである。

壬氏の西都行

壬氏の西都行は、国家の危機管理から外交、さらには彼自身の婚姻問題までが絡む非常に重要な任務を帯びた旅である。同行した猫猫(マオマオ)の視点から、その経緯と西都での出来事について解説する。

西都行の目的と背景

皇帝(主上)が壬氏を西都へ派遣した最大の目的は、西から迫る蝗害(こうがい・飛蝗の大量発生)への対策である。

・蝗害を放置すれば飢饉や暴動が起き、国が荒れる危険性があるためである
・西戌州の統治者が不在であるという背景もあり、外交的な要素も含まれた重大な任務であった
・元上級妃の阿多(アードゥオ)の口から、この西都行には皇弟(壬氏)の婚姻(里樹妃との婚約話)を進めるという裏の目的も含まれていることが明かされている

道中のトラブルと護衛

猫猫は毒防止という名目で護衛の一環としてこの旅に同行した。

・道中、壬氏は表向き変装した姿で旅を続けていた
・麻の栽培が盛んな宿場町を抜けた後、一行は阿片中毒者の集団である特異な盗賊(義賊を装った者たち)の襲撃に遭遇するなど、危険な旅路となった

西都への到着と正体の開示

砂地と礫の広がる乾燥地帯を抜け、一行は砂漠の中の都市である西都に到着する。

・西都は乳白色の壁と赤褐色の瓦が特徴的で、香辛料の香りが漂う異国情緒あふれる街であった
・地元の有力者である楊玉袁(ヨウギョクエン)の屋敷に迎え入れられた際、壬氏は同行者たちの前でついに自身の身分(皇族としての正体)を明かし、周囲を驚愕させた

西都での宴と事件

西都では大規模な宴が開かれ、様々な政治的駆け引きや事件が発生する。

・女特使との取引:宴の場では、かつて都を訪れた異国の女特使が羅半(ラハン)に穀物取引を持ちかけ、北の災い(蝗害)を示唆しつつ、自身の亡命を要求するという緊迫した交渉が行われた
・巨大獅子の暴走:宴の見世物として巨大な獅子が運び込まれるが、里樹妃が浴びてしまった香水の強い香りに刺激され、檻を壊して暴れ出す。この絶体絶命の危機に、壬氏の側近である馬閃(バセン)が鉄格子を武器にして獅子を撃退し、里樹妃を救出した
・里樹妃の家族問題:宴には里樹妃の父である卯柳(ボウリュウ)と異母姉も参加していたが、卯柳の粗野な振る舞いや家族間の確執が露呈する。猫猫は彼らの歯の欠損の共通点から親子関係の証拠を見出し、里樹妃を暗に庇った

壬氏の猫猫へのアプローチ

この西都での滞在中、壬氏と猫猫の個人的な関係にも動きがある。

・夜の庭で壬氏は、猫猫が身につけていた簪(かんざし)に触れ、それが自分からの贈り物であることを示唆し、彼女に対して執拗な視線を向けた
・壬氏は、他の妃候補たちと同じく猫猫も自身の相手の選択肢の一つであると暗に告げる
・猫猫はその意図を理解しつつも冷静にかわし続け、壬氏の抱える内なる空虚さを浮き彫りにしている

まとめ

このように、壬氏の西都行は単なる地方視察ではなく、国家の危機(蝗害)を食い止めるための激しい政治交渉と、彼自身の皇位継承や婚姻にまつわる思惑、そして猫猫との関係性の変化が入り交じる重要なエピソードとなっているのである。

里樹妃の出生

里樹妃(徳妃)の出生にまつわる疑念と、猫猫(マオマオ)による血縁関係の証明について解説する。

実の父親に関する深い疑念

西都へ向かう道中、里樹妃は猫猫のもとを訪れ、自分の父(卯柳)が本当に実父であるかどうかの鑑定を依頼した。彼女がそのような疑いを抱くに至った背景には、以下の要因が存在していた。

・里樹妃の母親は元上級妃である阿多(アードゥオ)の友人であったため、自分は皇帝と関係がある(血が繋がっている)のではないかという疑いを抱いていた
・父である卯柳(ウリュウ)は短慮で使用人にも粗野な振る舞いをする人物であった
・同行していた異母姉から日常的に暴力を伴う酷い嫌がらせや侮辱を受けていた

このような愛情の欠如した劣悪な家庭環境が、自身の出生に対する不安と疑念を強めていたと思われる。当初、猫猫は皇帝との血縁の可能性を完全には否定しきれなかったものの、明確に親子関係を証明する方法がないため、調査には慎重な姿勢を見せていた。

猫猫の観察と歯による血縁の証明

出生の疑惑が決着したのは、西都で行われた宴での出来事であった。猫猫は以下のプロセスを経て真実を突き止める。

・宴の最中、父親の卯柳が粗野な行動をとり怪我を負う事件が発生する
・猫猫は彼の怪我を診察するふりをして、意図的に卯柳の口内(歯)を観察する
・その結果、卯柳、異母姉、そして里樹妃の三人に共通して同じ歯の欠損があるという事実を発見した

まとめ

猫猫は、この特異な歯の欠損の共有が、彼らが間違いなく血の繋がった親子であることの決定的な証拠であると指摘した。里樹妃は皇帝の娘などではなく、卯柳の実の娘だったのである。

猫猫はこの事実を突きつけることで、家庭内で虐げられてきた里樹妃が父親からもっと愛されるべき存在であると暗に訴えかけ、里樹妃が長年抱えていた出生の不安に一つの答えをもたらしたのである。

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薬屋 6巻レビュー

キャラクター紹介

猫猫

薬屋として働く少女である。知識に基づいた観察眼を持つ。周囲の事件や問題に対処していく。

・所属組織、地位や役職
 薬屋。

・物語内での具体的な行動や成果
 蝗害の兆候に気づき調査を始める。不審な図録の行方を追った。毒に苦しむ病気の子どもを治療する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 壬氏の依頼により西都への旅に同行する。宴では羅半の要請で羅の姫君として振る舞った。各所で起きる事象の謎を観察する立場にある。

趙迂

猫猫の家で暮らす少年である。無邪気な振る舞いを見せる。日々の遊びに強い関心を示す。

・所属組織、地位や役職
 猫猫の同居人。

・物語内での具体的な行動や成果
 朝食で蝗を平然と食べる。市で似顔絵を描いて稼いだ。毒草を間違えて摘んでくる。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 過去の記憶が曖昧である。盗人からは「坊っちゃん」と呼ばれそうになった。特異な出自を持つことが示唆されている。

李白

武官として働く男性である。緑青館の妓女である白鈴に好意を抱く。自ら進んで行動する性質を持つ。

・所属組織、地位や役職
 武官。

・物語内での具体的な行動や成果
 猫猫の依頼で図録の行方を追う。自ら見張りを行った。火事場泥棒を捕まえることに成功する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 猫猫の調査に協力する立場である。実務面で彼女を支援する役割を果たした。

右叫

猫猫に協力する男性である。飴と鞭を使い分ける交渉術に長ける。裏方の仕事を担う。

・所属組織、地位や役職
 不明。

・物語内での具体的な行動や成果
 捕らえられた盗人を落ち着かせる。盗人の信頼を得て情報を引き出した。病気の子どもの移動に協力する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 猫猫の依頼に柔軟に応じる。彼女の活動を支える存在として機能した。

壬氏

顔に傷のある青年である。立場上多くの責任を負う。疲労を抱えながら任務にあたる。

・所属組織、地位や役職
 不明(主上からは「月」と呼ばれる)。

・物語内での具体的な行動や成果
 猫猫の薬屋を訪れ蝗害への懸念を語る。変装して西都への旅に出発した。道中で盗賊事件の対処に関わる。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 皇帝の命を受けて西戌州の蝗害対策や外交任務を担う。里樹妃との婚約話が浮上している。猫猫に対して執着を見せた。

高順

皇帝を支える男性である。主上の信頼が厚い。馬閃の父親にあたる。

・所属組織、地位や役職
 馬の一族。

・物語内での具体的な行動や成果
 月夜に主上と語り合う。壬氏の任務や西方の情勢について意見を交わした。息子の馬閃に壬氏の護衛を託す。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 主上の側近として行動する。物語の背景にある政治的な動きを把握する立場にある。

馬閃

高順の息子である。実直な性格を持つ。護衛としての任務に強い責任感を抱く。

・所属組織、地位や役職
 壬氏の護衛。

・物語内での具体的な行動や成果
 猫猫の元へ図録を持参する。西都への旅で壬氏の護衛を務めた。宴の会場で暴走した獅子から里樹妃を守り抜く。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 壬氏と里樹妃の婚約話に政治的疑念を抱く。若い女性に対する免疫のなさが描写されている。

翠苓

阿多のもとで暮らす女性である。薬学や植物に関する知識を持つ。冷静な態度で行動する。

・所属組織、地位や役職
 阿多の同行者。

・物語内での具体的な行動や成果
 猫猫と図録の欠損について情報を共有する。西都への旅に同行した。道中で怪我人の手当てを手伝う。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 過去に蘇りの薬の研究に関わった医官を師に持つ。庭で猫猫と仙人掌について語り合った。

羅半

猫猫の親族にあたる男性である。交渉事に長ける。計算高い一面を持つ。

・所属組織、地位や役職
 羅の家系。

・物語内での具体的な行動や成果
 猫猫を仙女の公演や西都の宴に誘う。猫猫に簪を渡して羅の姫君として振る舞うよう求めた。女特使と穀物取引の商談を行う。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 女特使からの亡命の打診を一蹴する。西都における政治的および経済的な駆け引きの中心に立つ。

陸孫

羅半の護衛を務める男性である。紳士的な振る舞いを見せる。状況を冷静に分析する。

・所属組織、地位や役職
 羅半の護衛。

・物語内での具体的な行動や成果
 仙女の公演に同行する。西都の宴では猫猫の世話を焼いた。猫猫を舞踏に誘う。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 猫猫の価値や背景を指摘する。彼女の簪の象徴的意味を言及した。的確に見抜く洞察力を示す。

主上

国を統べる皇帝である。国の安寧を常に考える。自然災害の脅威について深く憂慮する。

・所属組織、地位や役職
 皇帝。

・物語内での具体的な行動や成果
 月夜に高順と語り合う。壬氏に西方の蝗害対策を託した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 物語の背景で国全体の行く末を決定づける最高権力者として存在する。

阿多

西都への旅に同行する女性である。里樹妃の母親の友人にあたる。複雑な過去を抱える。

・所属組織、地位や役職
 不明。

・物語内での具体的な行動や成果
 盗賊襲撃の際に乱闘を引き起こす。旅の道中で里樹妃を保護した。過去の約束について回想する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 過去の出来事に対する後悔と愛情を胸に秘める。「月」の決断を見守る立場を取る。

里樹妃

西都への旅に同行する女性である。自身の出生に強い疑念を抱く。精神的に不安定な面を見せる。

・所属組織、地位や役職
 妃。

・物語内での具体的な行動や成果
 猫猫に自身の血縁関係の調査を依頼する。宴の会場で異母姉から嫌がらせを受けた。暴走した獅子に襲われそうになる。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 父親である卯柳や異母姉との複雑な関係に苦しむ。壬氏との婚約話が浮上している。

卯柳

里樹妃の父親である。短慮な性格を持つ。周囲への配慮に欠ける振る舞いを見せる。

・所属組織、地位や役職
 里樹妃の父。

・物語内での具体的な行動や成果
 宴の席で壬氏との接触を試みる。女中に対して皿を弾き飛ばした。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 粗野な行動で場の雰囲気を悪化させる。歯の欠損という特徴から里樹妃と血縁関係にあることが推測された。

異母姉

里樹妃の姉にあたる女性である。里樹妃を見下す。嫌がらせを直接的に行う。

・所属組織、地位や役職
 卯柳の娘。

・物語内での具体的な行動や成果
 宴の席で壬氏に興味を示す。猫猫の部屋を訪れて視察を行った。猫猫の簪の価値を探ろうとする。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 里樹妃に対して敵対的な態度をとり続ける。卯柳と同様に歯の欠損を持つことが明らかになる。

女特使

西方から訪れた女性である。政治的な駆け引きを行う。自らの保身を図る。

・所属組織、地位や役職
 特使。

・物語内での具体的な行動や成果
 宴の場で羅半に穀物取引を持ちかける。取引が不成立の場合は自身の亡命を助けるよう依頼した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 「北の災い」と呼ばれる蝗害の情報を持つ。国家間の問題に関与する立場にある。

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備忘録

序  話

林檎をめぐる会話

追手をかわしている状況下で、少年が林檎をかじりながら登場した。塀の上から軽口を叩く彼に対し、苛立ちながらも反論を試みるが、追い詰められた状況に反論は不発に終わった。

小姓の少年との対話

少年は塀を降り、頭を撫でながら侍女たちの嘆きを引き合いに出し、戻るよう促した。その態度に反発しつつも、彼から差し出された食べかけの林檎を受け取り、一口かじった。少年の態度には軽薄さと優しさが入り混じっていた。

立場と葛藤

会話の中で、侍女たちや与えられた役割について触れられた。少年は「すべてにおいて最上級のものを与えられる立場」という言葉で相手を諭すが、本人の葛藤は解消されなかった。自分の若さと割り切れない感情が交錯していた。

相手を選ぶ宣言

少年の助言に対し、「大人になれ」という言葉を皮肉と捉えつつ、指を向けて「今晩の相手はおまえだ」と宣言した。その言葉には照れ隠しの皮肉が含まれており、二人の間に独特な空気が流れていた。

一話  蝗

朝の花街と猫猫の生活

花街の朝はけだるく、妓女たちは明け方までの疲れを癒して眠っていた。猫猫は寒さに震えながらあばら屋を出て、緑青館へ向かい湯浴みをしようとしていた。そこで、姐御分の梅梅と出会い、やり手婆に呼ばれたことを思い出した。

やり手婆とお館さんのやり取り

緑青館では、お館さんがやり手婆に怒られていた。お館さんが持ち込んだ話に対し、婆は拳骨を落としながらも緑青館の朝餉を準備した。その豪華な朝食には蝗の煮付けが並んでおり、妓女たちは驚きと嫌悪感を隠せなかった。趙迂だけがそれを平然と食べ、猫猫はその順応性に驚かされた。

趙迂の記憶と蝗害の兆し

朝餉の席で趙迂が「蝗がすかすかだと不作になる」と語ったことが猫猫の興味を引いた。彼の曖昧な記憶が重要な情報を示している可能性に気づき、猫猫は調査を始める決意をした。

市での買い物と趙迂の特技

猫猫は市で香を購入し、趙迂は似顔絵を描いて稼いでいた。その才能に周囲が驚きつつも、妓楼での彼の行動に警戒する者もいた。猫猫は趙迂に注意を促し、花街の外での活動を控えるよう忠告した。

不思議な書物との再会

趙迂が描いた蝗の絵をきっかけに、猫猫は過去に見た書物を思い出した。書店を訪れると偶然にもその書物と再会し、かつて監禁された部屋にあった本と同じものであることに気づいた。その内容が不老不死の薬の研究に関連するものだと分かり、猫猫の関心は一層深まった。

二話  右叫

盗品の発見と李白の協力

猫猫は市で不審な品物を見つけ、砦から流出した可能性が高いと判断した。知り合いの武官李白に協力を依頼し、書庫から盗まれた図録の行方を追うよう頼んだ。李白は白鈴に良い印象を与えたいがために自ら見張りを行い、結果として盗人を捕まえることに成功した。

捕らえられた盗人との対峙

盗人は痩せた男で、猫猫を見て驚き「蛇娘」と叫んだ。彼は以前、砦で猫猫の見張りをしていた人物であり、火事場泥棒として図録を持ち出した経緯が明らかになった。猫猫は脅しも交えながら情報を引き出し、まだ手元に図録があることを確認した。

右叫の対応と盗人の告白

右叫は飴と鞭を使い分けて盗人を落ち着かせ、彼の信頼を得ることに成功した。盗人は、飛蝗と蝗の違いや、農民が虫の分別を行っていることを説明しつつ、蝗害の兆候を示唆した。また、砦で研究を行っていた人物が蝗害を防ぐ方法を模索していたことも明らかにした。

趙迂の登場と緊迫した空気

趙迂が現れたことで、盗人は彼を「坊っちゃん」と呼びかけそうになり、猫猫はとっさに盗人の口を薬草で塞いだ。趙迂はその発言を覚えておらず、無邪気に振る舞っていたが、その存在が盗人にとって重要な意味を持つことが暗示された。

飛蝗と蝗害の問題への意識

猫猫は飛蝗と蝗に関する情報を基に、蝗害の兆候が現れている可能性を確信した。砦での研究の成果が国にとって重要な意味を持つことに気づきつつも、趙迂の正体にまつわる不穏な状況をどう処理すべきか悩む場面で物語は展開した。

三話  眠り

壬氏の来訪と図録の提示

猫猫の薬屋に壬氏が訪れた。彼の顔には傷が残っており、その美貌に不似合いな痛々しさがあった。猫猫は本屋で手に入れた図録を見せ、飛蝗の大量発生について話した。壬氏も北部農村での蝗害被害を把握しており、昨年の不作分には対応済みであると述べたが、今年の被害が続く可能性に憂慮していた。

図録の回収依頼

猫猫は壬氏に、砦に残ると思われる虫の図録の回収を依頼した。その図録には飛蝗に関する詳細な記録が含まれている可能性が高く、蝗害の予防策を探るための重要な手がかりになると説明した。壬氏はその要請を受け入れ、高順を通じて対応を進めることとなった。

壬氏の疲労と休息の勧め

猫猫は壬氏の疲労を察し、緑青館での休息を提案した。やり手婆の協力で準備された最上階の部屋に案内され、壬氏はそこで湯浴みを提案されたが、環境に慣れないため遠慮した。猫猫は滋養強壮の茶を差し出し、壬氏を励ましつつ、彼の疲れを癒す手助けを行った。

妓女たちの登場と壬氏の反応

猫猫は壬氏のために妓女たちを用意したが、壬氏は戸惑いと拒絶の態度を見せた。彼の意図を理解しない妓女たちは自らをアピールしたが、壬氏はただ眠りたいとだけ伝えた。猫猫は妓女たちを下がらせ、壬氏に静かな環境を提供した。

壬氏の眠りと別れ

壬氏は猫猫に子守唄を頼み、猫猫の歌声で深い眠りについた。目覚めた後、彼は元気を取り戻し、粥を三杯も平らげて薬屋を後にした。猫猫は壬氏を見送りながら、彼の体調と仕事量を案じたが、ひとまず安心してその姿を見送った。

四話  火鼠の皮衣

緑青館からの帰宅と寒さへの対応

猫猫は緑青館で店を閉め、売上金をやり手婆に預けた後、趙迂と共にあばらやへ戻った。隙間風の寒い家で、火をおこして汁物を温め、簡素な夕食をとった。趙迂は不満を漏らしたが、猫猫は堅実な生活態度を崩さず、翌日に着物を買いに行く計画を伝えた。

市での買い物と衣装との出会い

翌日、猫猫と趙迂は市に出向き、庶民向けの服屋で綿入れを探した。その際、店内で白い長襖裙が目に留まった。その衣装は店主によると「天女が織った衣」とされ、異国の物語と共に語られた。興味津々の趙迂に反し、猫猫は現実的な見地から冷静に衣装を観察した。

天女の衣の秘密と交渉

猫猫は店主の話を聞きつつ、衣装の素材が石綿であることを見抜いた。石綿製の布は燃えない特性を持つため、店主が語る伝説を裏付けるものだった。猫猫は試しに炭で布を焼こうとしたが、全く焦げることがなく、その特性を証明した。この結果、店主を納得させ、衣装を実質無料で手に入れた。

伝説と現実の解釈

猫猫は衣装の刺繍や素材から、伝説に潜む現実を読み取った。衣装の紋様は異国の文字に由来し、娘が自身の窮状を記録した可能性が高いと考えた。また、石綿と濡れた衣装の組み合わせで火災から身を守り、逃亡したと推測した。猫猫は伝説の浪漫を壊さないよう店主には詳細を語らず、穏やかにその場を後にした。

帰宅とさらなる推測

帰り道、猫猫は衣装を作った娘が異国の間者である可能性を考えた。高い知識と技術を持つ娘が地方の村で見つかった経緯には、謎が多いと感じた。猫猫はくだらない妄想だと自分に言い聞かせながらも、笑みを浮かべて家路についた。

五話  麺麭がなければ

助けを求める中年男の訪問

深夜、中年の男が猫猫の家を訪れ、病気の子どもを診てほしいと懇願した。猫猫は初め相手にしなかったが、男が血判を押した証文を差し出したため、診察を受けることを渋々承諾した。

路地裏の劣悪な環境

男が猫猫を連れて行ったのは、路地裏のあばら家であった。そこには病気で衰弱した子どもと、その姉がいた。家の中は不衛生で悪臭が漂い、子どもは栄養失調に加えて毒による中毒症状を起こしていた。

原因究明と毒の影響

猫猫は子どもに与えられた焼き菓子が毒の原因であると見抜いた。この焼き菓子は中毒を引き起こす粗悪な麦が使用されており、それを食べたことで体調が悪化していた。母親も同じ焼き菓子を食べており、流産の末に亡くなったことが判明した。

子どもの救出と治療

猫猫は劣悪な環境では回復が望めないと判断し、子どもを自身の家に連れて帰った。右叫の協力で、子どもを安全に移動させ、適切な治療と栄養補給を施したことで徐々に回復へ向かった。

姉の覚悟と決意

後日、姉が訪れ、妹を救うために自分を妓楼に売るよう猫猫に懇願した。彼女は現状を脱し、妹を守るための決意を示し、自らの意思で進む道を選んだ。猫猫は彼女の決意を認め、準備を促した。

新たな一歩への支援

猫猫は姉に衣服を与え、身なりを整えるよう助言した。姉は自らの選択した未来へ進む準備を整え、妹と共に新しい生活を目指すこととなった。猫猫は冷静に彼女たちを見送り、自己責任を伴う選択の重要性を心に留めた。

六話  最後の一冊

馬閃の訪問と薬学の依頼

高順の息子である馬閃が薬屋を訪れ、猫猫に図録を持参した。猫猫は虫や植物に関する記録を確認するが、蝗害に関する重要な情報は見当たらなかった。馬閃の説明では、図録の一部が欠けている可能性が示唆され、猫猫は原因を探る必要に迫られた。

白鈴の介入と薬屋での騒動

緑青館の妓女である白鈴が馬閃に近づき、彼の反応を楽しむような振る舞いを見せた。白鈴の行動は、客として訪れた馬閃を困惑させたが、猫猫は茶菓子を楽しみながら事態を傍観した。最終的に馬閃は図録を置いて退散し、白鈴は初物の機会を逃したと不満を漏らした。

翠苓との対話と図録の謎

阿多のもとで暮らす翠苓に会うため、猫猫は迎えの馬車で移動した。翠苓は図録の一部が欠けていることを認め、さらに師である医官が蘇りの薬を自ら試して生存している可能性を語った。しかし、医官は記憶を失い、研究の多くが失われていることが明らかとなった。

蝗害に関する記録と対応策

図録には蝗害に関する詳細が記されており、飛蝗の変化や駆除方法について触れられていた。殺虫剤の調合法や幼虫の駆除策が記されていたが、抜本的な解決策はなく、猫猫はさらに対応策を考える必要があると結論づけた。

猫猫の提案と壬氏の苦悩

猫猫は飛蝗料理を宮廷料理として取り入れることを提案したが、壬氏はそのアイデアに動揺した。壬氏は飛蝗を試食し、嫌々ながらも食べる姿を見せたが、周囲の人々はその光景に衝撃を受けた。

緑青館での夜の一幕

夜、猫猫は妓女たちと語らいながら、好みの男性像について話を振られるが、描かれた人物が後宮の医官に酷似していたため、場は一気に冷めた。女華は猫猫に現実を見据えるよう諭し、妓女としての生き方と信頼の難しさを語った。猫猫はその言葉に深く考えさせられたが、自らの進む道を見据えていた。

七話  白蛇仙女

猫猫と仙女の噂

梅梅小姐と女華小姐は珍しい「仙女」について話し合い、その特徴や噂を議論していた。白い髪と赤い瞳を持つ仙女は、人の心を読む力や金を生み出す術を持つと言われ、都の高級劇場で見世物を行っていた。その奇異な存在に興味を持った猫猫は、仙女の実態に疑念を抱きつつも話に耳を傾けた。

仙女との邂逅

羅半とその護衛陸孫に誘われ、猫猫は仙女の公演を観に行くことになった。劇場内では、高級な雰囲気と怪しげな演出が施され、仙女と称される白娘々が登場した。彼女は猫猫に舞台上で数字を書かせ、その内容を見事に言い当てた。また、銅を銀や金に変える術など、驚異的な技を披露し観客を魅了した。

演出の裏側を探る猫猫

猫猫は仙女の「術」が錬金術や奇術の一環であると見抜いた。銅が銀や金に変わったように見えるのは鍍金であり、また、数字を当てる方法は墨に塩を混ぜた特別な仕掛けや音響技術を用いたものだと推測した。舞台の構造や観客の心理を利用した巧妙な演出により、仙女は不思議な力を持つ存在として認識されていた。

危険な液体と最後の幕

白娘々が最後に飲んだ銀色の液体は水銀であり、毒性が高いものだった。猫猫はその危険性を警告し、羅半に高官たちへの説明を求めた。その後、仙女の一座は都を去り、商人たちの食中毒事件が発生した。仙女の目的や真意は不明のまま、猫猫はその謎に思いを馳せた。

猫猫の思索と教訓

不老不死を求める権力者たちの歴史を思い返しながら、猫猫は毒と薬の使い方次第で結果が異なることを再認識した。仙女が残した謎を抱えながら、猫猫は丹砂を薬棚にしまい、日常へと戻っていった。

八話  向き不向き

壬氏の依頼と猫猫の対応

壬氏から届いた文には、猫猫にとって断りにくい依頼が記されていた。猫猫はその内容に頭を悩ませつつも準備を始めた。そんな折、趙迂と梓琳が毒草を間違えて摘んできたため、猫猫は彼らに毒草の危険性を説き、左膳にも薬草の知識を教え込む必要性を感じて行動に移した。

左膳の指導と新たな役割

左膳が薬草や調薬の知識を持っていることを知った猫猫は、彼を薬屋の助手として育成することを決めた。左膳の習得力は高く、猫猫は薬草の見分け方や調薬を教えながらも、毒草の使用方法については慎重に扱った。また、趙迂には教育の機会を与えるが、彼は遊びに興味を示し、学びには積極的でなかった。

やぶ医者との再会と同行者の出現

猫猫は久しぶりにやぶ医者と再会し、彼の実家に帰る理由を聞いた。実家の紙作りに関連する問題を調査するために帰郷するというやぶ医者に同行を求める人物がいると告げられた。後にその人物が現れると、変装した壬氏と馬閃であり、猫猫もその旅に同行するよう求められることとなった。

出発の準備と疑念

壬氏の依頼は急であり、猫猫は準備不足に戸惑いながらも同行を承諾した。壬氏の変装やお忍びの旅の目的について、猫猫は何か重大な計画があると察しつつも、詳細は明かされなかった。壬氏の役割や皇室の動向について思いを巡らせながら、猫猫は新たな旅路に向けた準備を進めていった。

九話  紙の村

地主との対立と交渉の場

話し合いは地主の村にある酒場で行われた。地主側は十五人以上の屈強な男たちを引き連れ、紙職人たちとの交渉に臨んでいた。やぶや猫猫、壬氏、馬閃たちも同席したが、交渉の主導権は地主側に握られており、紙職人たちは不利な状況に追い込まれていた。地主は「契約書は無効だ」と主張し、職人たちに技術を教えさせた後に追い出すという非道な提案を繰り返していた。

猫猫の飲み比べ挑戦

交渉が膠着状態に陥る中、猫猫は地主に「飲み比べ」の賭けを提案した。自らを担保にする大胆な行動に場は騒然としたが、猫猫は次々と地主の手下を打ち負かした。酒に混ぜたのは消毒用の高濃度酒精であり、これが地主とその手下たちを次々と倒れさせた。猫猫は勝負に勝ち、地主に書かせた証文を紙職人たちに渡した。

地主の不正と税逃れの疑惑

猫猫は地主の不正を暴いた。地主が紙職人たちを追い出そうとする背景には、自分たちが酒造の原料を得るための二重の税逃れが関係していた。地主は役人に通報されることを恐れ、結局、紙職人たちとの契約を認める形で妥協した。猫猫は状況を利用して紙職人たちに有利な条件を引き出すことに成功した。

茶番の結末と村の未来

交渉の場では、地主の娘とやぶの甥の関係も浮き彫りになった。この茶番劇が村の混乱を引き起こした原因の一つであったが、最終的には紙職人たちの村は五年間の返済猶予を得ることで決着した。また、地主は緑青館への米の供給を約束し、猫猫への支払いも肩代わりする形となった。猫猫はすべてを茶化すように終え、今回の事件を冷静に振り返ることなく、再び酒を楽しんだ。

十話  麻と民間信仰

主上と高順の語らい

主上は月夜を眺めながら高順に言葉をかけた。話題は「月」と呼ばれる壬氏のことであり、彼の役割や近況についてだった。高順は馬の一族として主上を幼少期から支え、壬氏の護衛任務を自らの息子、馬閃に託した。壬氏の西都行きには猫猫も同行しており、毒防止の名目で護衛の一環を担っていた。

蝗害対策と西方の情勢

主上は蝗害について憂慮し、その対策を壬氏に託した。蝗害は西からの風に乗って飛蝗がやってくる自然災害であり、放置すれば国全体に影響を与える可能性がある。また、蝗害が引き起こす飢饉や暴動により国が荒れる危険性も懸念された。西戌州の統治者不在の背景も語られ、壬氏の任務には外交的要素が含まれていることが示唆された。

猫猫と壬氏の道中の風景

猫猫たちは紙職人の村を後にし、西都へ向けて旅を続けていた。途中の宿場町では麻の栽培が盛んな様子が見られ、猫猫は地元特産の麻花を購入した。壬氏は表向き変装した姿を続けながら、旅の道中でも独特な興味を示し、猫猫と買い物を楽しんだ。

盗賊の脅威と宿場での準備

宿場の住民から、近隣の街道で盗賊が出没しているとの情報を得た。盗賊は商人や旅人から通行料を要求する程度の存在であり、直接の危害を避ける方法もあるとされた。馬閃は馬の手配を整え、壬氏と猫猫は旅の準備を進めつつ、盗賊への備えを心に留めた。猫猫は状況を冷静に観察し、出会わないことを願いながら旅を続ける覚悟を決めていた。

十一話  盗賊

義賊の脅威と馬閃の怒り

馬借が地図を指しながら、盗賊の頻度や被害の状況を説明した。義賊と呼ばれる者たちは通行料として荷の半分を要求するだけで殺生は避けるらしく、馬閃はそれを不機嫌そうに聞いていた。壬氏は馬乗りになり、猫猫は馬車で旅を続けたが、途中で盗賊に襲われた別の馬車の一団が助けを求めてきた。その者が差し出した木の札を見て、壬氏と馬閃の表情が変わり、馬閃は即座に駆け出した。

襲撃現場の惨状と盗賊の末路

馬閃が駆けつけた先では、盗賊たちが縛られ、護衛たちは傷だらけで倒れていた。猫猫は現場に残された護衛たちの手当てを始めたが、切断された腕は再接続できない状態であり、可能な限りの応急処置を施した。阿多は冷静に盗賊への対応を語り、女を売り払うという要求に反発した結果、乱闘が起きたことを明かした。

翠苓との再会と里樹妃の同行理由

治療中、翠苓が現れ、猫猫を手伝った。彼女もまた、阿多の護衛として同行していた。さらに、天幕では里樹妃が震えながら阿多に縋りついていた。里樹妃の西行の理由を問うと、阿多は今回の会談が皇弟の婚姻を含む目的であることを明かした。阿多の含みある言葉と態度は、猫猫に新たな疑問を抱かせるものであった。

十二話  積み重なる問題

里樹妃の抱える疑念と皇帝の謎

里樹妃は猫猫を訪ね、自分の父が本当に実父であるかどうかの鑑定を依頼した。彼女の母親は阿多の友人であり、里樹妃が皇帝と関係があるのではないかという暗示を匂わせた。猫猫はその可能性を否定しきれなかったが、親子関係を証明する方法がなく、調査には慎重な姿勢を見せた。

阿片の発見と馬借の供述

馬借が猫猫に差し出した薬が阿片であることが判明した。これは旅芸人と共に移動していた商人から入手したもので、無知な馬借はその危険性を理解していなかった。さらに、馬借が語った白髪の少女の目撃談は、猫猫にとって思い当たる節が多く、過去の出来事と関連する可能性を示唆していた。

盗賊の背景と阿片中毒

猫猫たちが捕えた盗賊の一人には蛇の刺青があり、手首の紐は蛇の交尾を模したものだった。彼らは阿片中毒者であり、普通の義賊とは異なる集団であることが明らかになった。猫猫は阿片と盗賊集団の関係を疑いながらも、これがさらなる混乱を招く問題であると直感していた。

十三話  西都  初日

目的地への到着と旅路の困難

旅の途中、猫猫たちは砂地と礫の広がる乾燥地帯を抜け、目的地である西都に到着した。旅の環境は過酷であり、日中の強い日差しと夜の冷え込みが特徴的であった。猫猫は翠苓とともに薬の調合について議論しながら時間を過ごし、一方で里樹妃は立場上、侍女に囲まれて身動きが取れない日々を送っていた。猫猫はこの旅路での出来事や里樹妃の状況について観察を続けた。

西都の賑わいと壬氏の登場

西都は砂漠の中の都市らしい独特の雰囲気を持ち、乳白色の壁と赤褐色の瓦、そして香辛料の香りが漂う市の賑わいが広がっていた。一行は地元の有力者である楊玉袁の屋敷に迎え入れられ、壬氏がその場で身分を明かすと、同行者たちは驚きを隠せなかった。猫猫は豪華な部屋に案内され、異国情緒あふれる環境を楽しみつつも、次の動きについて考えていた。

里樹妃と異母姉の対立

里樹妃の部屋から異母姉による侮辱の声が聞こえ、猫猫はその後、里樹妃を訪ねて叩かれた頬の手当を行った。異母姉の存在と嫌がらせの背景には、里樹妃の出生にまつわる複雑な事情が絡んでいる可能性が示唆された。猫猫は阿多を誘い、里樹妃との夕食を計画することで彼女を元気づけようとした。

壬氏と里樹妃の婚約話

馬閃は壬氏と里樹妃の婚約話について猫猫に相談した。壬氏の側近である馬閃は、この婚約が持つ政治的意味合いに疑念を抱いていた。猫猫は壬氏と里樹妃の関係については前向きに考える一方、馬閃の焦燥感や疑念にも一定の理解を示した。

深夜の接触と壬氏の追及

夜、猫猫と馬閃は廊下で会話をしていたが、壬氏たち一行に見つかりそうになる場面があった。馬閃の焦りと壬氏の捜索が交差する中、猫猫は馬閃の未熟な隠密行動に呆れながらも、壬氏が事態をどう収拾するのか注視していた。

十四話  西都  二日目

羅半の要請と人相書きの話題

羅半は猫猫を屋敷の四阿に呼び出し、彼女に宴への参加を求めた。羅半が見せた人相書きには、白娘々を思わせる特徴的な女性と、謎の男性が描かれていた。陸孫の証言によれば、男性は数日前に砂欧の商人に混ざっていたという。この情報から、白娘々との関連性や他国との政治的問題が懸念された。

宴への準備と猫猫の対応

猫猫は羅半の説得に応じ、宴の準備を始めた。羅半は彼女に簪を渡し、羅の姫君として振る舞うよう求めたが、猫猫はそれを不本意ながら受け入れた。簪には芥子の意匠があり、猫猫はそれを意味深に感じつつも頭に飾った。

里樹妃の父、卯柳の登場

宴では、里樹妃の父である卯柳が参加し、壬氏との接触を試みた。彼の隣には里樹妃の異母姉が座り、壬氏に興味を示していた。卯柳は場違いな行動で周囲を困惑させ、使用人への態度の悪さが露見した。この出来事から、卯柳の短慮さと家族内の問題が浮き彫りになった。

宴の中での猫猫と陸孫の交流

宴の中、陸孫は猫猫の世話を焼きながら、料理の取り分けや簪への言及をするなど紳士的に振る舞った。猫猫は彼の対応に感心しつつも、簪の価値を密かに計算する自分に苦笑していた。

卯柳の粗野な行動と玉袁の対応

宴の終盤、卯柳は女中に対して皿を弾き飛ばし、料理を無駄にするという粗野な行動を見せた。この行為は場の雰囲気を一時険悪にし、使用人たちの間にも緊張を生んだ。玉袁はその場を取り繕うため、迅速に対応する姿勢を見せたが、卯柳への不満が漂っていた。

十五話  宴  前編

異母姉との対峙

猫猫の部屋に訪れたのは、里樹妃の異母姉であった。異母姉は猫猫を見下す態度を隠さず、「名前持ち」として挨拶をしてきたが、実際は視察の意図が強かった。異母姉は猫猫の簪に目をつけ、その価値を探ろうとしている様子であった。

庭での植物観察

猫猫は庭で珍しい植物「仙人掌」を観察した。そこには翠苓もおり、二人は仙人掌の特徴や利用法について語り合った。仙人掌は乾燥地帯で育つ植物で、実や茎が食用になるとされる。翠苓との会話を通じて、里樹妃の体調を気遣う場面もあった。

宴の準備と異国風の衣装

宴に向けて猫猫は羅半の用意した西方風の衣装を身につけた。派手な衣装と銀簪が猫猫を引き立てていたが、本人はその装飾を煩わしく感じていた。宴では立食形式が採用され、毒の混入や監視が困難であることを猫猫は危惧していた。

宴会場での出会い

宴会場では、多くの客が壬氏や阿多との接触を試みていた。猫猫は羅半に同行し、周囲の人々や風景を観察していた。西方からの来客の中には、かつて王都を訪れた女特使の一人が含まれており、彼女は羅半との交渉を始めた。

女特使との交渉

女特使は羅半に穀物取引の提案を持ちかけた。彼女の話には砂欧と北亜連に関連する不穏な内容が含まれており、「北の災い」という言葉が猫猫の興味を引いた。さらに、女特使は取引が不成立の場合、自身の亡命を助けるよう依頼した。この申し出に猫猫は新たな問題の予感を抱いた。

十六話  宴  後編

商談と亡命の駆け引き

羅半は、女特使からの「亡命」という申し出を一蹴し、穀物取引に関する商談に意識を集中していた。一方で猫猫は、女特使の発言が砂欧と北亜連の蝗害を示唆していることに気付き、不穏な空気を感じていた。猫猫は特使の駆け引きを好まず、場内の状況を確認しようと戻ることにした。

舞踏と壬氏の登場

会場では西方式の舞踏が始まっており、男女がペアを組んで踊っていた。壬氏は天上の笑みを浮かべ、多くの人々に囲まれていたが、隣の馬閃は緊張し、若い女性たちにたじろいでいた。猫猫は阿多が男役を務めたことで壬氏や馬閃が余った状況を観察していた。

陸孫との舞踏

猫猫は陸孫に果実酒を勧められた後、彼に無理やり舞踏に誘われた。不本意ながら踊る中で、陸孫は猫猫の価値とその背景を指摘した。さらに彼は猫猫の頭の簪に言及し、その象徴的な意味を思い出させた。

里樹妃の窮地

里樹妃は香水瓶の事故により強い香りをまとい、動けなくなっていた。猫猫が彼女を助けようとする中、会場には見世物として巨大な獅子が運び込まれた。その威圧感に里樹妃は怯えていたが、獅子が檻を壊して暴れ始めたことで事態は急変した。

獅子の暴走と馬閃の活躍

暴れ出した獅子が猫猫と里樹妃に迫る中、馬閃が鉄格子を武器に獅子を撃退した。里樹妃と馬閃は一瞬、特別な感情を交わしたようだったが、猫猫はその場の空気に疎外感を抱いていた。

歯が示す親子の証拠

その後、猫猫は卯柳の怪我を診るふりをして歯を観察し、卯柳、異母姉、里樹妃が同じ歯の欠損を持つことに気付いた。この共通点が親子関係を示す手がかりであると指摘し、里樹妃が父親からもっと愛されるべきだと暗に訴えた。

終  話

壬氏との語らい

猫猫は寒さに震えながら庭の長椅子に座っていた。そこに壬氏が現れ、脆い鉄格子の話題から獅子が里樹妃を襲った理由について話し合った。猫猫は香水の強い香りが獅子を引き寄せた可能性に気づいていたが、壬氏との会話で核心には触れなかった。壬氏は猫猫の反応を伺いながらも、彼女をからかうような態度を崩さなかった。

簪の意味と壬氏の想い

壬氏は猫猫の簪に触れ、それが自分からの贈り物であることを示唆した。猫猫はその意味を軽く流そうとしたが、壬氏の執拗な視線と行動に困惑しつつも、冷静に対応していた。壬氏は彼女の頭を弄びながら、簪の象徴するものを口にはしなかったが、その態度から何かを求めていることが明らかであった。

壬氏の感情と猫猫の拒絶

壬氏は猫猫に対し、他の候補者と同じく彼女も選択肢の一つであることを示唆した。猫猫はその意図を理解しつつも、彼の行動を冷静にかわし続けた。壬氏の求める感情に応じない彼女の態度が、彼の内なる空虚をさらに刺激していた。

阿多の回想と二つの約束

一方、阿多は冷えた庭で酒を飲みながら、過去に交わした二つの約束を思い返していた。子どもを取り替えた出来事や、友人への不適切な行動を後悔しつつも、自身が抱いた母性と吾子への愛情を胸に秘めていた。また、阿多は「月」との戯れのような約束を思い出しながら、その行方を見守る覚悟を固めていた。

結末への期待

阿多は「月」がどんな花を選ぶのかを見守る立場を取った。それが西戌州の大花であれ、他の誰であれ、彼の決断が次の物語を動かす鍵となることを確信していた。

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