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フィクション(Novel)日向夏薬屋のひとりごと読書感想

小説「薬屋のひとりごと 11巻 西都編」感想・ネタバレ

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薬屋のひとりごと11巻の表紙画像(レビュー記事導入用) フィクション(Novel)

薬屋 10巻レビュー
西都編まとめ
全巻まとめ
薬屋 12巻レビュー

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  1. どんな本?
    1. ■ 作品概要
    2. ■ 主要キャラクター
  2. 書籍情報
  3. あらすじ・内容
  4. 感想
  5. 考察
        1. ストーリー・プロット
          1. 第1幕:蝗害後の西都と地政学的背景
          2. 第2幕:玉鸞の孫娘の開腹手術
          3. 第3幕:羅漢の介入と地図の解読
          4. 第4幕:林小人の正体と戦略的損失
          5. 第5幕:内政案の提示と開戦の虚構
        2. 主要な転換点
        3. 主人公を中心とした人物関係の変化
        4. 主人公の認識と周囲の評価
        5. クライマックス
        6. 巻末時点の状況
    1. 西都の蝗害対策
      1. 羅半兄による抜本的な農業指導
      2. 馬閃と里樹妃による家鴨の導入
      3. 風読みの民の祭事の復活
      4. 飛蝗襲来時の緊急対応
      5. 玉鶯による政治利用
      6. まとめ
    2. 玉鶯の政治的野心
      1. 中央への権力拡大と娘の入内計画
      2. 蝗害と暴動を利用した支持獲得
      3. 砂欧への開戦計画と利権の掌握
      4. 兄弟会議での孤立と皇弟への疑惑提示
      5. 過去の因縁と破滅的な結末
      6. まとめ
    3. 戌の一族の因縁
      1. 十七年前の粛清と滅亡
      2. 玉鶯の暴動と陸孫の保護
      3. 風読みの民との過去の関わり
      4. 過去の清算と陸孫の決意
      5. まとめ
    4. 石炭を巡る陰謀
      1. 羅半からの暗号と石炭隠蔽の過去
      2. 玉鶯の戦争計画と石炭鉱山の利権
      3. 中央政府と玉一族の政治的駆け引き
      4. まとめ
    5. 陸孫の過去と役割
      1. 出生と過酷な過去:戌の一族の生き残り
      2. 中央での経歴と西都での表向きの役割
      3. 隠された真の役割と監視
      4. 過去の清算と新たな決意
      5. まとめ
  6. キャラクター紹介
    1. 皇族・宮廷
      1. 壬氏(華瑞月)
      2. 玉葉后(玉葉)
      3. 水蓮
      4. 高順
      5. 雅琴
      6. 主上
      7. 先帝
      8. 女帝
    2. 羅の一族
      1. 猫猫
      2. 漢羅門(羅門)
      3. 羅半
      4. 漢羅漢(羅漢)
      5. 羅半兄
      6. 羅半父
      7. 羅半母
      8. 羅半祖父
    3. 馬の一族
      1. 雀
      2. 馬良
      3. 馬閃
      4. 桃美
    4. 外廷・宮廷・西都関係者
      1. 陸孫
      2. 玉鶯
      3. 大海
      4. 音操
      5. 天祐
      6. やぶ医者(虞淵)
      7. 劉医官
      8. 楊医官
      9. 李医官
      10. 拓跋
      11. 林大人(将棋の棋聖)
      12. 林小人
      13. 李白
      14. 玉袁
      15. 礼部の侍郎(姚の叔父)
    5. 市井・その他の人物
      1. 姚(ヨウ)
      2. 燕燕(エンエン)
      3. 玉鶯の孫娘
      4. 玉鶯の孫娘の母親
      5. 西母
    6. 集団
      1. 暴徒たち(民衆)
      2. 異国の商団(異民族の盗賊)
      3. 風読みの民(風読みの部族)
      4. 戌の一族(犬の一族)
  7. 備忘録
    1. 序話
  8. 薬屋のひとりごと 一覧
    1. 小説
    2. 漫画
  9. 類似作品
    1. 虚構推理
    2. 後宮の烏
    3. 准教授・高槻彰良の推察
    4. 全裸刑事チャーリー
  10. その他フィクション
  11. アニメ
    1. PV
      1. 二期【2025年放送決定!】
    2. OP
    3. ED

どんな本?

『薬屋のひとりごと』は、日向夏 氏による日本のライトノベル作品。
中世の後宮を舞台に、薬学の専門知識で事件の謎を解く少女・猫猫(マオマオ)の物語。
小説家になろうで連載されているほか、ヒーロー文庫からライトノベル版が刊行されている。
また、月刊ビッグガンガンと月刊サンデーGXでコミカライズ版が連載されており、2023年にはテレビアニメ化も決定している。

月刊サンデーGXの方が、中華の雰囲気が強く、文化の小さい部分にも気をつけているように感じている。

■ 作品概要

蝗害の第一波が通過した直後の西都を舞台とする。食糧不足、治安悪化、および「石炭(地質資源)」を巡る中央との交渉が水面下で進行する状況下、物語は二つの軸で展開する。第第一の軸は、領主代行・玉鶯の孫娘の急病(腸閉塞)に対する緊急外科手術である。第二の軸は、変人軍師(羅漢)が帯同した老棋士「林大人」の記憶に隠された、十七年前の「戌の一族」に関連する歴史資料の捜索である。最終的に、農村から帰還した羅半兄が新種の小麦(低丈・脱粒耐性)という長期的な内政的解決策を提示する一方で、玉鶯は「砂欧(シャオウ)の巫女殺害」を口実とした軍事侵攻を宣言する。 

■ 主要キャラクター

林大人(および林小人) :大人は歴史編纂者。小人は介護者を完璧に演じて周囲を欺き、歴史資料の隠滅を図った間諜(敵対勢力のエージェント)。

猫猫 :医官の助手。薬学的知見および症例知識に基づき、孫娘の術前診断と林大人の棋譜暗号解読を行う。

壬氏 :皇弟。西都で軟禁に近い「客分」として扱われつつ、中央への物資支援要請と「砂欧の巫女生存」という情報の秘匿、および石炭資源の価値査定を行う。

玉鸞 :西都の領主代行。極端な異国人嫌悪を有し、飢餓対策としての「略奪戦争」を画策。情報の非対称性を利用し、砂欧への開戦正当性を主張する。

羅漢 :軍師。他者の虚偽を「演劇」として知覚する特異な感性を持ち、林小人の正体を見抜きながらも「演劇的興味」を優先して放置し、情報の流出を招く。

天祐 :新人医官。家畜解体技術を応用した外科技術を持ち、猫猫の想定の半分以下の切開範囲(約4センチ強)で開腹手術を完遂する実務能力を示す。

羅半兄 :農学者。蝗害に耐えうる新種小麦(低丈・脱粒耐性)を持ち帰り、玉鸞の戦争案に対する「内政的代替案」の根拠を提示する。

書籍情報

薬屋のひとりごと 11
(英語: The Apothecary Diaries、中国語: 药屋少女的呢喃)
著者: #日向夏 氏 
イラスト: #しのとうこ 氏

Bookliveで購入

(PR)よろしければ上のサイトから購入して頂けると幸いです。

あらすじ・内容

シリーズ累計1250万部!! 謎が一気に明らかになる最新巻最速リリース。 
面白さ絶対保証。怒涛のクライマックスに刮目せよ! 

戌西州を襲った大蝗害。 
過去の蝗害を知る者は少なく、人々は混乱する。 
西都や国境近くでも、食糧の強奪や暴動が頻繁に起きていた。 
猫猫は何もできない自分を歯がゆく思いつつも、 
できる限りのことをやっていた。 
それは中央からの客人である壬氏も同様で、身の安全のためという 
名目の軟禁生活を強いられながらも、蝗害を予見していたことで、 
中央からの支援物資を早く受け取ることができた。 
だが、その手柄は壬氏ではなく 
西都の領主代行・玉鶯のものとして扱われてしまう。 
手柄の横取りに猫猫は腹を立てるが、当の壬氏はどこ吹く風で、 
皇弟という立場を最大限に利用して 
戌西州への支援要請を行う。 
また、物資が不足する中、 
猫猫にさまざまな問題が火の粉となって降りかかる。 
謎の腹痛に苦しむ玉鶯の孫娘。 
変人軍師・羅漢が連れてきた棋聖と呼ばれる老人。 
同僚の医官・天祐の奇行。 
そして、消息不明だったあの人が帰ってくる⁉ 
一方、西都では皇弟に対する不満が高まっていく。 
蝗害による飢えや病に苦しむ民衆は、 
とうとう皇族である壬氏へ怒りの矛先を向けることに。
守り支えていたはずの民衆に恨まれてしまった壬氏の決断は? 
不審な動きを続ける領主代行・玉鶯の狙いとは? 
そして、猫猫は無事、危機を脱することができるのか? 

薬屋のひとりごと 11
イマジカインフォス
イマジカインフォス

感想

蝗害が終われば少し落ち着くと思っていた。

全然そんなことはなかった。

食糧不足、治安悪化、物資不足。そして西都を仕切る玉鶯は、その混乱すら自分の権力を強めるために利用していく。

さらに出てくる石炭、17年前に滅ぼされた戌の一族、玉鶯の出生、陸孫の過去。

最後は情報量が一気に増えて、

ちょっと待て。

そういうことだったのか!?

と、ついていくので精一杯だった。

しかも玉鶯を止めたことで戦争は回避できたものの、西都の領主代行が死亡。蝗害からの復興中なのに、今度は政治の中心まで消えてしまう。

後味は悪い。

でも最悪ではない。

何より、全く予想していなかった方向へ話が転がっていくのが面白かった。

玉鶯の孫が腸閉塞。髪の色を嫌う大人の都合で子どもが病むのは気の毒すぎる

蝗害から五日。

猫猫たちは相変わらず薬を作り、怪我人や病人への対応に追われている。

そんな中で急患となったのが玉鶯の八歳の孫娘。

腹痛と嘔吐を繰り返し、猫猫と天祐が診察した結果は腸閉塞。

開腹すると出てきたのが、

干し柿などの繊維。

そして大量の髪の毛。

うわぁ……。

少女には自分の髪を抜いて食べる癖があり、そこへ干し柿まで重なって腸を塞いでしまった。手術は外科技術の高い天祐が担当し、猫猫は麻酔と補助へ回る。ここで自分より上手い相手に素直に任せる猫猫も良かった。

問題は、その少女がなぜ髪を食べていたのか。

少女の本来の髪は淡い色だった。

ところが玉鶯は異国の血を嫌い、黒髪を重視する。そのため母親は娘の髪を黒く染め続けていた。

西都なんて交易の街で異国の血が混じるのも珍しくないだろうに。

本人が望んでその髪色になったわけでもない。

それを周囲の大人が気にして、子どもへ負担をかけ続ける。

玉鶯本人の問題なのか、それを恐れて娘へ強いる母親の問題なのか。

どちらにしても孫娘が気の毒だった。

そして、この異国の血への異常なこだわりが、最後の玉鶯自身の出生へつながってくるのだから上手い。

蝗害で国が大変なのに戦争を始める気か。しかも壬氏を旗頭にするとか面倒くさい

蝗害から十日、二十日と経っても混乱は収まらない。

食糧の買い占め。

商家への襲撃。

異民族による略奪。

皇弟である壬氏へ不満をぶつける民衆まで現れる。

その一方で支援物資も少しずつ届き、羅半兄は栄養不足対策としてもやしまで作り始める。

羅の一族、

相変わらず地味に仕事してるな。

さらに猫猫には姚、燕燕、羅半から手紙が届く。

内容だけなら近況報告。

特に燕燕。

姚成分が足りないのか、相変わらず病み具合が一人だけ違うww

ところが猫猫たちは、この三通の手紙そのものがおかしいと気づく。

そこから浮かび上がったのが、

「石炭さがせ」

という暗号。

17年前まで西都の西では石炭が採掘されていた。しかし戌の一族が滅ぼされた後、その記録まで表から消えていた。

石炭?

何に使うんだ?

と思ったら、その先に玉鶯の計画がある。

隣国・砂欧へ侵攻する。

港を手に入れる。

交易と資源を押さえて、西都をさらに強くする。

しかも民衆には、

蝗害も盗賊も西から来た災厄だ。

と不満の矛先を外へ向けさせる。

さらに砂欧の巫女の騒動に関わった壬氏を旗頭に使えば大義名分まで作れる。

それに変人軍師まで付いてきたら……。

怖いわ。

あのおっさん、本物の戦争でも盤上遊戯みたいに考えかねない。

なぜ戌の一族は滅ぼされたのか。玉鶯の出生までつながるとは思わなかった

終盤で一気に明らかになるのが、17年前の戌の一族の粛清である。

ここまで何度も出てきた事件なのに、真相がなかなか見えなかった。

そして玉鶯の乳兄弟・拓跋が持ち出した古い戸籍から、玉鶯自身が玉袁の実子ではないことまで明らかになる。

さらに凄いのが玉袁。

玉袁自身には実子を作れない事情があり、妻たちが連れていた子どもを自分の子として育てていた。

つまり玉鶯だけではない。

玉袁の子どもたちは、そもそも血ではなく契約と養育によって作られた「家族」だった。

中央にいる玉袁、

色々と罪作りだな……。

しかも玉鶯は、自分が実子ではないと気づいていた。

そこへ過去の誤解や劣等感が絡む。

玉袁が戌の一族の子どもを褒めた何気ない言葉まで、玉鶯には自分の立場を奪う話に見えてしまった。戌の一族が滅ぼされた背景には、風読みの民の復讐や戸籍の抹消に加え、そんな玉鶯の誤解まで絡んでいた。

私怨まで入ってるのかよ。

そして戦争を止めようとする拓跋。

出生の秘密を突きつけられた玉鶯は、

乳兄弟を自分で殺してしまう。

ここで完全に引き返せなくなった感じがした。

陸孫、お前が戌の一族だったのか。しかも主筋の生き残りって……そういうことかよ

そして最後に全部持っていったのが陸孫。

陸孫の正体は、

滅ぼされた戌の一族。

しかも主筋につながる生き残りだった。

そういうことかよ。

一度見た顔を絶対忘れない能力。

西都へ来てからの妙な立ち位置。

玉鶯の下で働きながら、ずっと冷静に周囲を見ていた理由。

ここまで来て一気につながった。

玉鶯が家族の仇なら、

陸孫が殺すのか?

と思った。

だが、実際に玉鶯を刺したのは陸孫ではない。玉鶯の施しに恨みを持っていた地元の農民だった。しかも場所は、かつて戌の一族の屋敷だった公所。17年前に多くの血が流れた場所で、今度は玉鶯自身が血だまりに沈む。

因果というには出来すぎている。

陸孫は仇を直接討たなかった。

でも結果として玉鶯は死に、砂欧への戦争も止まった。

だからめでたしめでたし。

……とはならない。

領主代行が突然死亡。

蝗害からの復興はまだ途中。

食糧不足も治安問題も残っている。

結果、

壬氏と陸孫が忙殺される。

締まらないなww

あれだけ怒涛の陰謀と因縁を片付けた最後が、

仕事が増えました。

なのが妙に『薬屋のひとりごと』らしい。

それでも戦争は回避できた。

陸孫も過去に一区切りをつけ、西都は次へ進む。

これにて長かった西都編も一段落。

10巻では、

この布石、本当に全部つながるのか?

と思っていた。

11巻では予想していなかったところまで一気につながった。

うん。

面白かった。

さて、次はどんな話になるのかな。

西都から離れた猫猫たちが今度は何に巻き込まれるのか、楽しみである。

最後までお読み頂きありがとうございます。

小説「薬屋のひとりごと 12巻 西都編完結」 感想・ネタバレ
薬屋 11巻レビュー西都編まとめ全巻まとめ薬屋 13巻レビューどんな本?『薬屋のひとりごと』は、日向夏 氏による日本のライトノベル作品。中世の後宮を舞台に、薬学の専門知識で事件の謎を解く少女・猫猫(マオマオ)の物語。小説家になろうで連載され…

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薬屋 10巻レビュー
西都編まとめ
全巻まとめ
薬屋 12巻レビュー

考察

ストーリー・プロット
第1幕:蝗害後の西都と地政学的背景

蝗害第一波通過後の資源枯渇状態。猫猫は防疫・調剤に従事し、壬氏は中央へ物資支援を要請。中央では羅半や侍郎(姚の叔父)が、西都の石炭資源の地政学的価値を精査しており、これが玉鸞の港湾確保(砂欧侵攻)の経済的動機と密接に関係していることが示唆される。

第2幕:玉鸞の孫娘の開腹手術

玉鸞の孫娘が「3つの干し柿」の摂取による胃石と、蓄積された毛髪(食毛症)が絡まったことによる腸閉塞を発症。天祐が執刀し、猫猫が助手として介入。手術を通じて、孫娘の淡い髪を「黒」に染めさせていた事実が判明し、玉鸞の異常な異国人嫌悪と純血主義のリスクが露呈する。

第3幕:羅漢の介入と地図の解読

羅漢が林大人と林小人を伴い現れる。林大人が無意識に指す将棋の駒配置(棋譜)を、猫猫が「十七年前の古い店名や施設名(龍のつく店等)」を含む西都の古地図と照合。これにより、現存する廟(書庫)に「戌の一族」に関連する未焼失資料が隠されていることを特定する。

第4幕:林小人の正体と戦略的損失

羅漢は林小人を「演じる悪人」と見抜いていたが放置した。その間に林小人(後に玉鶯の乳兄弟・拓跋と判明)は包囲網を脱し、廟に先回りして放火した上で、隠されていた重要書類(古い戸籍表)を回収して逃亡した。

第5幕:内政案の提示と開戦の虚構

第九話において玉鶯は砂欧への軍事侵攻を壬氏と羅漢に提案するが、壬氏らに拒絶された。その後、第十話で農村から帰還した羅半兄が新種小麦を提示した。第十九話以降、玉鶯は乳兄弟の拓跋から自身の出生の秘密(玉袁の実子ではない事実)を突きつけられて拓跋を刺殺するが、直後に恨みを持つ農民によって刺殺された。陸孫は羅漢の証言で疑いを晴らし、雀の手を借りて因縁の戸籍を処分し、西都の再建を引き受ける決意を固めた。

主要な転換点
  • 転換点1:孫娘の手術と髪色の暴露  手術中の毛根確認により、玉鸞の思想が私生活(孫への虐待的染色)にまで及んでいることが判明。領主の統治理念が狂気に基づいていることが確定する。
  • 転換点2:将棋盤の駒配置の解読  過去と現在の情報の重ね合わせにより、公的記録から抹消された隠し書庫の座標を特定。歴史的資産の回収機会が生じる。
  • 転換点3:林小人の逃亡と廟の放火  羅漢の管理不備により間諜を出し抜き、資料が焼失。敵対勢力による情報の先行取得と情報封鎖が成功し、西都の暗部を解明する機会が戦略的に失われる。
  • 転換点4:羅半兄による新種小麦の持ち込み  「低丈・脱粒耐性」という具体的な生存戦略が提示され、飢餓脱却の論理的根拠が内政面から確立される。
  • 転換点5:玉鸞による砂欧侵攻の提案  壬氏が知る「巫女の生存」という事実を無視した、開戦口実の破綻した(偽装された)宣戦布告。物語のフェーズが危機管理から対外紛争へと強制移行する。
  • 転換点6:玉鶯の暴走と刺殺・陸孫の統治就任 玉鶯は出生の真実を隠蔽するために乳兄弟の拓跋を刺殺したが、直後に自らも農民に刺殺されて死亡した。これにより砂欧侵攻計画は破綻し、一族の因縁を清算した陸孫が西都の新たな統治を引き受けることとなった。 
主人公を中心とした人物関係の変化
  • 猫猫 ⇔ 壬氏 :陸孫の求婚(冗談)に対する壬氏の過剰な独占欲を猫猫は「業務上の支障」として認識しつつ、壬氏の多忙(中央への文作成)に対し、実務家としての湿布準備等の配慮を行う。
  • 猫猫 ⇔ 天祐 :手術を通じ、天祐の「3寸(9センチ)を要する切開を4センチ強で済ませる」異常な技量を認め、自尊心を捨てて実力者に頼るべきという実務的判断を下す。同時に猫猫の内面に「薬師としての向上心」という執着が生じる。
  • 猫猫 ⇔ 羅漢 :西都でも羅漢の「他者の本性を演劇的に見抜く」能力を再確認。しかし、その能力が「悪人を放置して楽しむ」という組織管理上の致命的欠陥に繋がっていることに憤慨する。
主人公の認識と周囲の評価
  • 主人公自身の認識 :自らを「手伝いの官女」と再定義し、執刀権を天祐に譲るなど責任の最小化を図る。一方で、天祐の技術差に対しては「腹が立つ」「道具を揃えたい」と実務家としての向上心を抱く。
  • 周囲からの評価 :天祐は猫猫の症例知識と診断力を認め、壬氏や羅漢は事象解明のキーマンとして依存。水蓮は壬氏の精神的暴走を抑制する「唯一の資産」として評価を固定している。
  • 認識の差が現れた場面 :手術の執刀判断を天祐に委ねた際の「自尊心よりも確実性」という冷徹な実務判断、および林小人の件で羅漢に「なぜ黙っていたのか」と詰め寄る際の倫理性。
クライマックス

玉鶯による拓跋殺害と、玉鶯自身の刺殺事件

  1. 発生原因:玉鶯の暴走を止めるため、乳兄弟の拓跋が林大人から回収した古い戸籍表(玉鶯が玉袁の実子ではない証拠)を突きつけて開戦の断念を迫ったこと。
  2. 行動:逆上した玉鶯が拓跋を小刀で刺殺して隠蔽を図ったが、直後に公所内において、施しによる負債で恨みを募らせていた地元の農民によって刺殺された。
  3. 決着:居合わせた陸孫に殺人の疑いがかかるも、羅漢の公正な証言によって容疑が晴れ、拓跋が残した戸籍表は雀によって暖炉で焼却処分された。
  4. 結果:玉鶯の独断による戦争の危機が回避され、十七年前の戌の一族滅亡の因縁が清算されるとともに、陸孫が西都の復興と統治を担うこととなった。
巻末時点の状況
  • 主人公の居場所:西都・玉袁の別邸。
  • 解決した問題:玉鶯の横死に伴う砂欧侵攻計画の阻止、孫娘の手術完遂、十七年にわたる戌の一族の因縁の清算。
  • 継続している問題(リスク):蝗害による食糧不足と治安悪化、領主を失った西都の再建体制の構築。
  • 今後につながる要素:陸孫を中心とする西都の新体制の始動と、中央からの支援物資および新種小麦による復興作業。

西都の蝗害対策

二度目の西都(戌西州)遠征において実施された蝗害(こうがい・飛蝗の大量発生)対策の全容について、事前予防から緊急時の対応、そして政治的な利用までを解説する。

羅半兄による抜本的な農業指導

蝗害から農作物を守り、その後の飢饉を防ぐため、壬氏(ジンシ)は農業の専門家である羅半兄(ラハンあに)に過酷な任務を命じた。

・わずか2ヶ月の間に戌西州の全農村地区を回り、秋耕(あきがえし)を教え、その後、甘藷(さつまいも)の栽培を開始させた
・秋耕は、地中に産み付けられた飛蝗の卵を掘り起こして死滅させるために不可欠な作業であった

・羅半兄は自ら畑の土の状態を確認し、麦踏みの重要性を農民たちに力説するなど、実践的な指導に奔走した
・栄養不足対策として、苜蓿(うまごやし)のもやしを育てるなどの工夫も実施された

馬閃と里樹妃による家鴨の導入

自然の力を用いた害虫駆除策として、家鴨(舒鳧・じょふ)の導入が行われた。

・馬閃(バセン)は壬氏からの密命を受け、紅梅館にて元妃の里樹(リーシュ)から家鴨の孵化や飼育方法を学んだ
・育てられた家鴨は農村に配布され、飛蝗などの害虫を食べる益鳥として蝗害対策に貢献した
・家鴨による駆除は農薬を使わない持続的な手段として機能した

風読みの民の祭事の復活

農村視察中、猫猫(マオマオ)たちは念真(ネンシン)という老人から、かつてこの地で行われていた風読みの民の祭事の話を聞く。

・猫猫たちは、この祭事が単なる信仰ではなく、実は秋耕や害虫駆除のための重要な農業の知恵であったことを見抜いた
・この祭事を現代の村で再現することで、村人たちに農業と害虫駆除の重要性を再認識させることに成功した

飛蝗襲来時の緊急対応

事前の対策を進める中、ついに飛蝗の大群が農村に襲来した。この絶望的な状況下で、同行者たちの決死の対応が村を救うこととなった。

・陸孫(リクソン)の機転:飛蝗が接近する中、村人たちに相場の倍の価格で麦を買い取るという金銭的な報酬を提示し、虫に食い尽くされる前に猛スピードで麦の収穫を終わらせた
・猫猫の殺虫剤と天の恵み:襲撃の最中、空から大量の雹(ひょう)が降り、急激な冷え込みによって飛蝗の動きが鈍化した

・猫猫は不眠不休で強力な虫殺しの薬(殺虫剤)を作り続け、この機に乗じて飛蝗を徹底的に駆除した
・この功績により、彼女は村人から毒のねえちゃんと畏敬を込めて呼ばれるようになった

玉鶯による政治利用

一方、西都の街では蝗害への恐怖が広がり、食糧不足から暴動が発生する事態となった。西都の仮の領主である玉鶯(ギョクオウ)は、この状況を以下のように利用した。

・不足する食糧を周辺の町へ送り込み、炊き出しを行うなど地元密着型の対応で民衆の支持を集めた
・祭祀の日に焼き印を入れた芋を配るなどして、自らの人気と正当性を高めた
・蝗害の原因を西から来た災厄として他国や異民族のせいにし、民衆の怒りの矛先を戦争へと向けるための大義名分にすり替えた
・壬氏はこうした玉鶯の動きを警戒しつつも、複雑な政治状況の中で苦悩することとなった

まとめ

二度目の西都遠征における蝗害対策は、羅半兄や猫猫らによる科学的・実践的なアプローチと、玉鶯による政治的な民衆扇動という二面性を持って展開された。事前予防としての秋耕や家鴨の導入、緊急時の殺虫剤製造と早期収穫、そしてそれらを自らの野心のために利用する権力者の思惑が交錯し、西都の地は未曾有の危機と動乱の渦中に置かれることになったのである。

玉鶯の政治的野心

西都の仮の領主である玉鶯(ギョクオウ)の政治的野心と、その野心がもたらした一連の行動や結末について解説する。

中央への権力拡大と娘の入内計画

玉袁(ギョクエン)の長男である玉鶯は、西都を発展させようとする強い野心と気概を持つ人物である。彼の野心は西都のみにとどまらず、中央の権力構造への介入も視野に入れていた。

・皇后となった異母妹である玉葉后(ギョクヨウコウ)の地位を利用し、自身の娘を後宮に入内させようと目論んでいた
・その娘は玉葉后と同じ赤い髪と緑色の目を持っており、その希少な容姿と現在の権力を政治的に利用しようとする意図があった
・壬氏(ジンシ)が二度目の西都遠征に赴いた背景の一つにも、娘を皇室に入れようとする玉鶯の政治的な思惑が絡んでいた

蝗害と暴動を利用した支持獲得

西都周辺が未曾有の蝗害(飛蝗の大量発生)と食糧不足に見舞われ、異民族の襲撃や民衆の暴動が発生した際、玉鶯は巧みな政治的手腕を見せた。

・暴動を起こした民衆に対し、玉鶯は壬氏の功績を称えつつも事態の責任を自らが負う姿勢を示した
・実際には壬氏が主導した治療や支援の功績を、自らの手柄として横取りする形で民衆の心を掴んだ
・祭祀の場で民衆に配る芋に自らの焼き印を入れるなど、徹底して自己の存在感をアピールし、支持を高める工夫を行っていた

砂欧への開戦計画と利権の掌握

玉鶯の最大の野心は、隣国である砂欧(シャオウ)との戦争を引き起こすことであった。彼は国内の不満を外に向けるため、意図的な情報操作を行った。

・蝗害の原因を西から来た災厄として他国へ転嫁し、民衆の怒りの矛先を砂欧へと向けさせた
・戦争の真の目的は、砂欧の港の管理権掌握と、戌西州の西端にある石炭鉱山の利権を利用することであった
・過去の砂欧の巫女にまつわる事件を大義名分とし、蝗害で職を失った難民を戦争の駒として利用する非情な計画を立てていた

兄弟会議での孤立と皇弟への疑惑提示

この身勝手な戦争計画は、三男の大海(ターハイ)をはじめとする他の兄弟たちから強い反対を受けた。兄弟たちが戦争を解決策とは考えていない現状に直面した玉鶯は、さらに過激な手段に出る。

・自らの意見を押し通し、一族の忠誠心を試すために衝撃的な発言を行った
・皇弟である壬氏は実は今上皇帝の子ではないかという疑惑を会議の場で持ち出し、一族内に大きな不安と困惑を広げた
・この発言は、中央の権力基盤を揺るがしかねない極めて危険な挑発であった

過去の因縁と破滅的な結末

玉鶯の苛烈な野心の裏には、自身の出生にまつわる秘密や過去の因縁が存在していた。しかし、その野望が叶うことはなかった。

・乳兄弟であった拓跋(タクバツ)から、自分たちが同じ父親を持つ兄弟であるという事実を突きつけられた
・身分を揺るがす事実に直面してもなお戦争への道を諦めず、証拠を隠蔽するために拓跋を殺害した
・最終的に、かつて自身が暴動を引き起こして滅ぼそうとした戌の一族の元屋敷において、地元の農民によって刺殺された
・刺殺した農民は、玉鶯による実質的な高利貸しのような施しによって恨みを募らせていた者であった

まとめ

自らの野心のために他者を犠牲にし、情報を操作して民衆を扇動し続けた玉鶯は、その因果応報とも言える形で唐突な最期を迎えることとなった。一国の領主としての器を持ちながらも、私欲と過去の呪縛に囚われた彼の行動は、西都に大きな混乱をもたらした末に自らの破滅を招いたのである。

戌の一族の因縁

戌(イヌ)の一族にまつわる因縁と、それに翻弄された人々の歴史について解説する。物語の背景に深く関わるこの一族の軌跡は、西都の過去と現在を繋ぐ重要な鍵となっている。

十七年前の粛清と滅亡

女帝の代であった十七年前、西の地である戌西州を治めていた戌の一族は、謀反の疑いをかけられて粛清され、部族として滅亡に追いやられた。

・粛清のきっかけは、羊皮紙の紙紐を用いた巧妙な暗号による密告であったとされる
・一族の滅亡に伴い、戌西州の西端で行われていた石炭採掘の記録も歴史から姿を消し、隠蔽されることとなった
・かつて西都の役人であった林大人もこの事件に巻き込まれて多くを失い、記憶障害を抱えることとなった

玉鶯の暴動と陸孫の保護

戌の一族滅亡の裏には、西都の有力者である玉袁(ギョクエン)の長男、玉鶯(ギョクオウ)の暗躍が存在していた。

・戌の一族を恨んでいた玉鶯は、暴動を引き起こして彼らを滅ぼそうと画策した
・父である玉袁は戌の一族を守ろうとし、一族の生き残りである少年の陸孫(リクソン)を連れて中央(都)へと向かい、名誉を守るための抗議行動を計画した
・結果として一族は滅亡し玉袁が西都を治めることになったが、生き延びた陸孫は一族の使命を背負って中央で育つこととなった

風読みの民との過去の関わり

さらに時代を遡る五十年前、ある盗賊部族が祭祀を司る風読みの民を滅ぼし、その報いで大規模な蝗害(飛蝗の襲来)に遭う事件が発生した。

・当時、戌の一族は生き残った盗賊たちを農奴として使役し、風読みの民が行っていた祭事を不完全な形で代行させていた
・この祭事は、実際には害虫駆除や土壌改良を行うための農業の知恵であった
・猫猫の推測によれば、戌の一族は風読みの民の生き残りが持つ鳥を操る技術を密かに保護し、諜報活動に利用していた可能性が高い

過去の清算と陸孫の決意

二度目の西都遠征の際、玉鶯は自身の出生の秘密や野心から暴走し、他国との戦争を引き起こそうとしたが、最終的に農民に刺されて命を落とした。

・玉鶯が息絶えた場所は、奇しくも十七年前に彼自身が暴動を引き起こして奪い取った元・戌の一族の屋敷(公所)であった
・因果応報とも言える結末を見届けた陸孫は、玉鶯の裏工作の証拠を処分して義理を果たした
・陸孫は自身の凄惨な過去や一族の因縁を背負いながらも、玉袁との約束を果たし、西都の再建のために働き続けるという強い決意を固めた

まとめ

戌の一族にまつわる因縁は、十七年前の粛清から現代の権力闘争に至るまで、西都の歴史に深く刻まれている。玉鶯の死によって一つの時代が終わりを告げたが、生き残った陸孫が一族の意志を継ぎ、西都の平和と活気を取り戻すために尽力する姿は、過去の悲劇を乗り越え未来へと繋ぐ希望となっているのである。

石炭を巡る陰謀

西都(戌西州)における石炭を巡る隠蔽と、それが絡んだ玉鶯(ギョクオウ)の戦争計画などの陰謀について解説する。石炭という資源は、西都の発展を支える動力源であると同時に、中央への隠蔽や他国への侵略の火種となるなど、政治的思惑が複雑に絡み合う巨大な陰謀の中心となっていた。

羅半からの暗号と石炭隠蔽の過去

都にいる羅半(ラハン)から、西都にいる羅半兄宛てに送られた手紙が事態を動かすきっかけとなった。その手紙の寸法がいつもの黄金比ではないことに気づいた猫猫(マオマオ)たちは、そこに隠された「石炭さがせ」というメッセージを発見する。

・戌西州では過去に石炭が採掘されていたが、十七年前の戌(イヌ)の一族の粛清を機にその記録が消失していた
・中央政府に対して石炭の採掘が長年隠蔽されていたことが推測される
・西都では実際に石炭が燃料として利用されていたが、その供給は有力者である玉袁(ギョクエン)と深く関わっていた

玉鶯の戦争計画と石炭鉱山の利権

玉袁の長男で仮の領主である玉鶯は、隣国である砂欧(シャオウ)に対して戦争を仕掛ける計画を企てていた。彼は蝗害(こうがい)で職を失った人々を兵として利用し、異民族による暴動を利用して民衆の敵意を砂欧へと向けさせた。

・戦争の真の目的は、単なる領土拡大ではなく砂欧の港を掌握することであった
・隠蔽されている石炭鉱山は戌西州の西端、つまり砂欧に面した場所に位置している
・採掘された石炭を砂欧側から掘り出して輸送・利用するためには、その港の管理権が不可欠であった

中央政府と玉一族の政治的駆け引き

この事態を受け、壬氏(ジンシ)は石炭の価値を再確認し、中央と西都の間での隠蔽問題や、港の管理権を交渉材料とした監査の影響について検討を開始した。

・玉袁の三男である大海(ターハイ)などは壬氏に協力的な姿勢を見せた
・しかし彼らも西都の利益を守るため、石炭利用の秘密をこれ官に知られないための方策を模索していた
・中央政府の介入を最小限に抑えつつ、資源の利権を維持しようとする地方勢力の思惑が浮き彫りとなった

まとめ

石炭という資源を巡る一連の動きは、西都の自立を支える経済的基盤であるとともに、それが国家を揺るがす軍事行動や他国との紛争を招く危険性を孕んでいることを示している。玉鶯の死後も、この資源を誰がどのように管理し、中央政府とどのような関係を築くのかが、今後の西都の安定を左右する極めて重要な課題となるのである。

陸孫の過去と役割

陸孫(リクソン)の過酷な過去、西都における表向きの活躍、そしてその裏に隠された真の役割と結末について解説する。

出生と過酷な過去:戌の一族の生き残り

陸孫は、かつて西の地を守る使命を受けていた戌(イヌ)の一族の出身である。本来は商人としての道を歩むことを考えていたが、17年前に一族を揺るがす悲劇に見舞われた。

・西都の有力者である玉袁(ギョクエン)の長男、玉鶯(ギョクオウ)が戌の一族を恨み、暴動を引き起こして彼らを滅ぼした
・家族と一族を失った陸孫であったが、玉袁は一族を守ろうとしており、彼を中央(都)へと連れて行った
・陸孫は自らと一族の運命を背負い、中央で新たな人生を歩み始めることになった

中央での経歴と西都での表向きの役割

中央に渡った陸孫は、変人軍師(羅漢)の下で働いていた時期があり、彼の特異な性格や無茶な要求にも対応できる高い実務能力を身につけていた。その後、二度目の西都遠征において文官として現地へ派遣される。

・表向きは西都の仮の領主である玉鶯から命じられる膨大な陳情や書類処理に従事していた
・蝗害(飛蝗の大量発生)の危機が迫る農村部では、麦を相場の倍の価格で買い取るという報酬を提示して村人を動かした
・飛蝗に食い尽くされる前に収穫を終わらせるという機転を見せ、被害を最小限に食い止める大きな功績を挙げた

隠された真の役割と監視

陸孫が西都に派遣された真の目的は、単なる文官としての業務にとどまらなかった。彼は複雑な情勢の中で特別な役割を担っていた。

・玉袁からの要請を受け、野心を暴走させる玉鶯の監視役として西都に留まる決意をしていた
・玉袁の娘である玉葉后(ギョクヨウコウ)とも深い関わりを持っており、彼女から御心のままにという言葉を受け取っていた
・一族を滅ぼした仇とも言える玉鶯の下で働きながら、復讐心に囚われることなく西都の未来を見据えていた

過去の清算と新たな決意

17年前に暴動が起きた場所において、玉鶯は農民によって刺殺されるという因果応報の最期を遂げた。この混乱の最中、陸孫は自らの過去に区切りをつけることとなる。

・玉鶯に盗まれていた重要な戸籍を雀(チュエ)に依頼して処分し、一族の因縁を清算した
・自らに向けられた疑いも、かつての上司である羅漢の証言によって晴らすことができた
・玉鶯の死後、西都の新たな統治者として推挙されるが、当初は燃え尽き症候群のような状態に陥り難色を示していた
・自然の中で風と鳥の声を聞くうちに、再び西都のために働くべきだという思いを新たにした

まとめ

最終的に陸孫は、戌の一族の血を引きながらも、過去の呪縛ではなく自らの意志で道を切り拓くことを選んだ。西都に活気が戻り人々が笑って行き交う日まで、西都の統治という困難な仕事を続ける決意を固めたのである。彼の歩みは、悲劇を乗り越えた新たな守護者の誕生を象徴している。る。

薬屋 10巻レビュー
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キャラクター紹介

皇族・宮廷

壬氏(華瑞月)

美しい容姿を持つ宮廷の若き指導者である。 彼は、大蝗害によって荒廃した西都の食糧支援を中央に要請した。 砂欧との開戦を企む玉鶯に対して、非常に慎重な姿勢を貫く。

・所属組織、地位や役職  茘の宮廷に所属し、皇弟の地位にあった。

・物語内での具体的な行動や成果  西都への遠征に猫猫を同行させるため、医官の増員を劉医官に依頼する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  船旅でやぶ医者を羅門の身代わりに立てる囮計画を裏で実行した。

玉葉后(玉葉)

皇帝の后であり、西都出身の有力者の娘である。 彼女は常に笑顔を絶やさず、政治的な影響力を冷静に行使した。 自身の一族の動向を注視し、西都の安定を願っている。

・所属組織、地位や役職  茘の後宮に所属し、皇后の地位にあった。

・物語内での具体的な行動や成果  姪の雅琴を都に迎え入れ、西都の現状を正確に把握する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  西都での大蝗害の発生を受け、壬氏に激励の手紙を送った。

水蓮

皇弟である壬氏の乳母として、彼の生活を長年担当する。 彼女は、多忙を極める壬氏の体調をいつも深く案じた。 彼の健康を第一に考え、梨を剥いて提供する。

・所属組織、地位や役職  皇弟の邸に所属し、侍女頭兼乳母の地位にあった。

・物語内での具体的な行動や成果  多忙な壬氏に果物を提供して癒やしを与える。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  壬氏に対し、後悔のない人生を歩むように優しく助言した。

高順

壬氏を長年にわたり陰から支える、忠実な宦官である。 彼は、生真面目で実直な性格をしていた。 今回の西都遠征でも、壬氏の身辺警護を厳重に担当する。

・所属組織、地位や役職  皇弟の邸に所属し、副官の地位にあった。

・物語内での具体的な行動や成果  羅漢が連れてきた棋聖や林小人の不審な行動を警戒する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  息子の妻である雀の奔放な言動には、いつも頭を悩ませていた。

雅琴

玉葉后の姪にあたる、西都出身のうら若い少女である。 彼女は、叔母である玉葉后を深く慕っていた。 西都の治安悪化を心配し、都へと送られてくる。

・所属組織、地位や役職  玉葉后の親族であり、お妃候補の立場にあった。

・物語内での具体的な行動や成果  玉葉后の茶会に参加し、穏やかな時間を過ごす。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  玉袁や玉葉后から、後宮に入内しないよう指示された。

主上

茘の国を治める、絶対的な権力を持つ皇帝である。 彼は、東宮たちの身の安全を常に最優先に考えていた。 かつて女帝と共に、西都の戌の一族への粛清を命じる。

・所属組織、地位や役職  茘の宮廷に所属し、皇帝の地位にあった。

・物語内での具体的な行動や成果  17年前に、皇族を騙る逆賊を討てとの勅命を下す。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  壬氏の働きを正当に評価し、西都の再建を静かに見守っていた。

先帝

今の主上の前に、茘の国を治めていた先代の君主である。 彼は、女帝の強い影響力の下で政治を行っていた。 崩御する前に、西都への対処を色々と検討する。

・所属組織、地位や役職  茘の宮廷に所属し、先代皇帝の地位にあった。

・物語内での具体的な行動や成果  女帝の傀儡政治の下で、自身の意志を示せない時期を過ごす。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  彼が崩御したことで、現在の主上への代替わりが正式に行われた。

女帝

かつて茘の宮廷において、凄絶な権力を握っていた前皇太后である。 彼女は、一族の謀反を厳しく警戒していた。 17年前に、戌の一族の族滅を命じる。

・所属組織、地位や役職  茘の宮廷に所属し、前皇太后の地位にあった。

・物語内での具体的な行動や成果  戌の一族が帝の血を引く男児を擁しているというでっち上げを信じる。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  石炭採掘の権利を西都に黙認する代わりに、一族の粛清を命じた。

羅の一族

猫猫

花街で育った、薬学と毒に対する強い好奇心を持つ少女である。 彼女は、優れた観察眼で様々な事件の謎を解き明かした。 壬氏の側近として、西都の多くの問題に対処する。

・所属組織、地位や役職  宮廷の医局に所属し、医官付官女の立場にあった。

・物語内での具体的な行動や成果  天祐と協力し、玉鶯の孫娘の腸閉塞の手術を成功させる。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  羅半からの不自然な手紙から、石炭を捜す暗号を読み解いた。

漢羅門(羅門)

猫猫の養父であり、優れた医術と深い知恵を持つ老宦官である。 彼は、温和で他者への深い同情心を抱いていた。 現在は、宮廷の医局で医官として活動する。

・所属組織、地位や役職  宮廷の医局に所属し、上級医官の地位にあった。

・物語内での具体的な行動や成果  やぶ医者に自身の身代わりを頼み、自身は後宮に隠れ潜む。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  過去の留学中に石炭を扱い、その毒性と薬効を猫猫に教えた。

羅半

羅漢の養子であり、極めて高い実務能力を持つ文官である。 彼は、数字に強く常に損得勘定を優先して行動した。 猫猫とは、いとこ(親戚)の関係に当たる。

・所属組織、地位や役職  宮廷の戸部に所属し、文官の地位にあった。

・物語内での具体的な行動や成果  姚と燕燕の宿泊を許可し、西都の石炭の採掘情報を引き出す。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  西都へ救援物資を手配し、同時に猫猫へ暗号の手紙を送った。

漢羅漢(羅漢)

軍部を統率する太尉であり、奇行の多さから変人軍師と呼ばれる。 彼は、他人の顔が将棋の駒や碁石に見える顔盲の症状を持っていた。 娘の猫猫を気遣い、西都への同行を決定する。

・所属組織、地位や役職  茘の軍部に所属し、太尉の地位にあった。

・物語内での具体的な行動や成果  碁大会で出会った林大人を、西都の別邸へと連れていく。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  陸孫に向けられた殺人の疑いを、公正な証言によって晴らした。

羅半兄

羅半の実の兄であり、本名を俊杰という地方の青年である。 彼は、農業に対して並外れた情熱と知識を持っていた。 飢饉を救うため、特別な小麦の種を抱えて帰還する。

・所属組織、地位や役職  西都の開拓地で活動し、農業指導員の立場にあった。

・物語内での具体的な行動や成果  背の低い収量の多い小麦や、苜蓿のもやしの栽培に成功する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  地図の作成や作物の選定を行い、壬氏から高く評価された。

羅半父

羅漢の実の兄であり、羅一族の変わり者の一人である。 彼は、農業の研究に没頭していつもさつまいもを育てていた。 一族の中では、比較的穏やかで常識的な気質を持つ。

・所属組織、地位や役職  羅家の一員であり、地方の小地主の立場にあった。

・物語内での具体的な行動や成果  さつまいも(甘藷)の優れた栽培方法を羅半兄に伝授する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  今回の大蝗害においても、自身が育てた大量の芋で西都を救った。

羅半母

羅半と羅半兄の実母である、非常に気立ての良い女性である。 彼女は、実家において風変わりな一族の男性たちを支えた。 日常の家事を完璧に切り盛りする主婦である。

・所属組織、地位や役職  羅家を陰から支え、主婦の立場にあった。

・物語内での具体的な行動や成果  田舎での不便な生活に、少し愚痴をこぼす。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  今回の芋の販売益により、一族が莫大な資産を得たことを喜んだ。

羅半祖父

羅半たちの祖父であり、羅門の実の兄に当たる人物である。 彼は、実家においてのんびりと隠居生活を送っていた。 高齢ではあるが、その頭脳は非常に明晰である。

・所属組織、地位や役職  羅家の長老であり、隠居の立場にあった。

・物語内での具体的な行動や成果  羅門の若い頃の出来事や、一族の古い歴史を語る。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  羅半母らと共に、田舎暮らしへの不満を漏らしながら生活していた。

馬の一族

雀

壬氏に仕える侍女であり、馬良の妻である女性である。 彼女は、明るく飄々とした性格をしていた。隠密能力に長けており、猫猫を「猫猫さん」と呼ぶ。  

・所属組織、地位や役職  皇弟の邸に所属し、専属侍女の地位にあった。

・物語内での具体的な行動や成果  玉鶯が盗み持っていた重要な戸籍表を、陸孫に代わって処分する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  石炭採掘の事実や、17年前の戌の一族の族滅の因縁を暴いた。

馬良

高順の息子であり、馬閃の年子の兄に当たる青年である。 彼は、極度の対人恐怖症で人混みを激しく嫌っていた。 帳の奥に身を隠しながら、書類仕事を黙々とこなす。

・所属組織、地位や役職  宮廷の文書管理部門に所属し、進士の立場にあった。

・物語内での具体的な行動や成果  林大人が残した将棋の駒の配置から、17年前の地図の場所を解析する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  弟の馬閃が預かる家鴨の世話を、陰から手伝っていた。

馬閃

高順の息子であり、生真面目で融通が利かない武官である。 彼は、女性に対して極めて奥手な性格をしていた。 皇弟の代理として、様々な公務を手際よくこなす。

・所属組織、地位や役職  宮廷の衛兵隊に所属し、護衛武官の地位にあった。

・物語内での具体的な行動や成果  壬氏の代わりに診療所を訪問し、患者たちへ労いの言葉を掛ける。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  紅梅館で里樹妃から家鴨の孵化方法を学び、親密さを深めていた。

桃美

高順の妻であり、麻美や馬良たちの母である隻眼の女性である。 彼女は、非常に気が強く実直な気質を備えていた。 壬氏の西都遠征に同行し、厳しい態度で息子たちを叱る。

・所属組織、地位や役職  皇弟の邸に所属し、侍女の地位にあった。

・物語内での具体的な行動や成果  壬氏の手柄を玉鶯に横取りされた不満を、馬閃と共に話し合う。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  高順の妻として、宮廷内での信頼関係を確固たるものにしていた。

外廷・宮廷・西都関係者

陸孫

西都で実務を担う、非常に優秀な文官である。 彼は、かつて戌の一族の主上筋の生き残りとして過酷な過去を抱えていた。 玉鶯の補佐を務めながら、西都の未来を深く案じている。

・所属組織、地位や役職  西都の政庁に所属し、補佐の文官の立場にあった。

・物語内での具体的な行動や成果  暴走する玉鶯の監視役を務め、最終的に一族の因縁を清算する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  玉鶯の死後、西都の新たな統治を引き受ける決意を固めた。

玉鶯

西都を実質的に統治する、非常に野心的な有力者である。 彼は、民衆からの人気が高く他国への軍事侵攻を目論んでいた。 壬氏や羅漢を自らの計画に利用しようと画策する。

・所属組織、地位や役職  西都の政庁に所属し、領主代行の地位にあった。

・物語内での具体的な行動や成果  自身の出生の秘密を隠蔽するため、乳兄弟の拓跋を殺害する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  かつて自分が暴動で奪った屋敷において、地元の農民に刺殺された。

大海

西都の有力者である玉袁の三男で、港を仕切る男性である。 彼は、玉鶯の好戦的な姿勢に対して否定的な立場を取っていた。 兄弟会議において、玉鶯の戦争の提案に強く反対する。

・所属組織、地位や役職  西都の港湾管理部門を統括し、管理者の地位にあった。

・物語内での具体的な行動や成果  壬氏に協力し、西都の石炭の秘密を中央から守る約束を交わす。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  長兄である玉鶯を孤立させ、西都の平和維持のために動いた。

音操

変人軍師である羅漢を実務面で支える、優秀な武官である。 彼は、羅漢の度重なる奇行にいつも振り回されていた。 羅漢が引き起こす様々な問題の処理を完璧にこなす。

・所属組織、地位や役職  茘の軍部に所属し、羅漢の副官の地位にあった。

・物語内での具体的な行動や成果  林大人の過去や、17年前の戌の一族の族滅事件の経緯を語る。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  今回の西都への遠征においても、羅漢の身の回りの世話をこなしていた。

天祐

猫猫と共に宮廷の医局で働く、非常に優秀な若き医官である。 彼は、天真爛漫な性格だが医療や人体解剖に強い執着を持っていた。 罪人の腑分けや、切断された腕の観察に興奮する。

・所属組織、地位や役職  宮廷の医局に所属し、下級医官の立場にあった。

・物語内での具体的な行動や成果  猫猫と協力し、玉鶯の孫娘の腸閉塞の手術を成功させる。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  猟師の生まれであり、名医「華佗」の子孫を自称していた。

やぶ医者(虞淵)

かつて後宮の医療を任されていた、極めて気の弱い宦官である。 彼は、自身のことを「可愛いおじさん」枠と呼んでいた。 今回の西都の船旅では、羅門の影武者(囮)に仕立て上げられる。

・所属組織、地位や役職  宮廷の医局に所属し、上級医官の地位にあった。

・物語内での具体的な行動や成果  羅半兄の持ってきたもやしの栄養価を認め、炊き出しを提案する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  西都での治安悪化を恐れ、猫猫が用意した荷車に乗って移動した。

劉医官

宮廷の医局に勤務する、経験豊富なベテランの医官である。 彼は、天祐の持つ非凡な才能と危険性を見抜いていた。 彼を猟師の生活から医局へと引き入れて教育を施す。

・所属組織、地位や役職  宮廷の医局に所属し、上級医官の地位にあった。

・物語内での具体的な行動や成果  天祐の猟奇的な解剖への執着を、正しい医療技術へと導く。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  今回の西都の遠征にあたり、優秀な医官の派遣を統率した。

楊医官

宮廷の医局に所属する、西都出身の上級医官である。 彼は、破落戸にも動じない強い精神力を備えていた。 猫猫やおやじの調薬技術を高く評価している。

・所属組織、地位や役職  宮廷の医局に所属し、上級医官の地位にあった。

・物語内での具体的な行動や成果  西都の簡易診療所において、多くの患者の治療を指揮する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  自分が玉鶯の親族ではないことを、患者に対して謙遜して話した。

李医官

宮廷の医局に所属する、非常に生真面目な中堅の医官である。 彼は、天祐が勝手に持ち帰った人間の腕を見て激怒した。 規則を重んじ、天祐の奇行を厳しく監視する立場にある。

・所属組織、地位や役職  宮廷の医局に所属し、中級医官の地位にあった。

・物語内での具体的な行動や成果  天祐に人間の腕を速やかに埋めるように強く指示する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  西都の診療所において、連日の過酷な労働に身をやつしていた。

拓跋

玉鶯の乳兄弟であり、かつて一族のために尽力した男性である。 彼は、玉鶯の母親の奴隷時代の秘密を握る存在であった。 玉鶯に対し、無益な戦争を止めるよう強く訴える。

・所属組織、地位や役職  西都の有力者の邸に仕え、乳兄弟の立場にあった。

・物語内での具体的な行動や成果  玉鶯が玉袁の本当の実子ではない事実を、古い戸籍表で突きつける。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  出生の秘密の隠蔽を企てた玉鶯によって、冷酷に殺害された。

林大人(将棋の棋聖)

17年前の戌の一族の族滅事件に関わった、元役人の老人である。 彼は、かつて西都の歴史書の編纂を任されていた。 現在は記憶を失い、時折過去を思い出す状態にある。

・所属組織、地位や役職  西都の元役人であり、歴史編纂の立場にあった。

・物語内での具体的な行動や成果  呟いた将棋の駒の配置から、17年前の地図の秘密を猫猫に示す。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  変人軍師である羅漢との真剣な対局を楽しみにしていた。

林小人

林大人の介護人を騙り、不敵な計画を企てていた詐欺師である。 彼は、林大人が隠した古い棋譜の捜索を装っていた。 羅漢の懐に入り込み、重要書類の盗み出しを狙う。

・所属組織、地位や役職  特定の組織に属さず、詐欺師の立場にあった。

・物語内での具体的な行動や成果  西の廟に不審火を起こし、古い地図の資料を盗んで逃亡する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  彼の身元偽装は、最初から羅漢によって看破されていた。

李白

若くして頭角を現している、非常に気前の良い屈強な武官である。 彼は、西都の別邸において、壬氏の身辺警護を厳重に行った。 暴動の発生に際し、松明を用意して不測の事態に備える。

・所属組織、地位や役職  宮廷の軍部に所属し、武官の地位にあった。

・物語内での具体的な行動や成果  民衆が別邸に押し寄せてきた際、壬氏の護衛として身構える。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  今回の大蝗害を政治的に利用する玉鶯の態度に、強い違和感を抱いていた。

玉袁

西都の全域をかつて統治していた、非常に大きな影響力を持つ領主である。 彼は、一族の将来を考え、数々の優秀な女性を妻に迎えていた。 17年前に、生き残りの陸孫を保護して中央へ送る。

・所属組織、地位や役職  西都の政庁を統括し、領主の地位にあった。

・物語内での具体的な行動や成果  陸孫に対し、西都の未来の発展を託すための契約を交わす。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  自身が子を作れない体質であることを、陸孫に静かに明かした。

礼部の侍郎(姚の叔父)

礼部で二番目に偉い高官であり、姚の叔父に当たる男性である。 彼は、かつて西都で石炭採掘について秘密裏に調べていた。 祭事を取り仕切るため、西都を訪れて壬氏と会談する。

・所属組織、地位や役職  茘の宮廷に所属し、礼部の侍郎の地位にあった。

・物語内での具体的な行動や成果  姚が寝静まった後に、西都 of 石炭の真実について独り言を漏らす。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  この石炭の採掘隠蔽の事実が、姚から羅半を経て猫猫に伝わった。

市井・その他の人物

姚(ヨウ)

最優秀の成績で官女試験に合格した、プライドの高い官女である。 彼女は、叔父の結婚の圧力を避けるため、羅半の邸に滞在した。 羅半の離れにおいて、猫猫と共に人体解剖図の学習を深める。

・所属組織、地位や役職  宮廷の医局に所属し、医官付官女の立場にあった。

・物語内での具体的な行動や成果  叔父の独り言から知った西都の「石炭」の採掘情報を、羅半邸への宿泊を認めさせるための交渉材料として提示した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  自作の写本を猫猫に手渡し、彼女の西都での活躍を応援した。

燕燕(エンエン)

姚に絶対的な忠誠を誓う、非常に有能で気が利く官女である。 彼女は、羅半の離れで姚の好物を作り、羅半を胃袋で掴んでいた。 姚に近づく天祐に対して、極めて冷ややかな態度を示す。

・所属組織、地位や役職  宮廷の医局に所属し、医官付官女の立場にあった。

・物語内での具体的な行動や成果  姚が「華佗の書」の解剖図にショックを受けた際、本を預かる。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  姚の健康と安全を守るため、日々の料理や家事に全力を尽くした。

玉鶯の孫娘

西都の領主代行である玉鶯の、まだ8歳になる幼い孫娘である。 彼女は、極度の心的負荷から、食事をとらなくなっていた。 腹痛と嘔吐を繰り返し、深刻な腸閉塞を引き起こす。

・所属組織、地位や役職  西都の領主の親族であり、令嬢の立場にあった。

・物語内での具体的な行動や成果  自ら引き抜いた大量の毛髪と、干し柿の繊維を胃に詰まらせる。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  猫猫と天祐の手術によって救われ、術後は順調に快復した。

玉鶯の孫娘の母親

玉鶯の娘であり、我が子の命を誰よりも深く案じる母親である。 彼女は、最初は娘の腹を切り開く手術に強く反対した。 しかし、猫猫たちの真剣な説得を受け、執刀を承諾する。

・所属組織、地位や役職  西都の領主の親族であり、当主の娘の立場にあった。

・物語内での具体的な行動や成果  孫の淡い髪(異国の血)を、父親の玉鶯から隠すために染め続ける。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  大蝗害で染め粉が切れたことで、髪色の違いが露呈した事実を嘆いた。

西母

玉袁の最初の妻であり、かつて一族の命運を共にした女性である。 彼女は、非常に賢く、玉袁の商売を強力に支えていた。 元々は異国の部族の奴隷として、辛い日々を過ごす。

・所属組織、地位や役職  西都の有力者の家に嫁ぎ、正妻の立場にあった。

・物語内での具体的な行動や成果  玉鶯を身ごもりながらも、玉袁からの求婚を最初は断る。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  最終的に玉袁と結婚し、玉鶯を彼の実子として育てることに合意した。

集団

暴徒たち(民衆)

大蝗害による飢えや、病気の流行によって暴徒化した民衆である。 彼らは、食糧庫を襲撃し、別邸に詰めかけて皇弟を呼べと騒いだ。 玉鶯の巧みな言葉に扇動され、砂欧への敵意を激しく募らせる。

・所属組織、地位や役職  西都に居住し、飢えた一般の民衆の集まりであった。

・物語内での具体的な行動や成果  炊き出しの芋や、追加の物資を求めて大広間に集まる。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  戦争を支持する大きな流れを形成し、治安の急激な悪化を招いた。

異国の商団(異民族の盗賊)

大蝗害をきっかけにして、西都の周辺で略奪を行う盗賊の一団である。 彼らは、国境近くの食糧庫を襲い、多くの物資を強奪した。 玉鶯によって、今回の大蝗害をもたらした諸悪の根源とみなされる。

・所属組織、地位や役職  国境の周辺に潜伏し、略賊を働く武装集団であった。

・物語内での具体的な行動や成果  戌西州の西側を中心に、小規模な襲撃事件を頻繁に起こす。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  砂欧との関係悪化や、民衆の怒りを煽るための大義名分として利用された。

風読みの民(風読みの部族)

五十年前、ある盗賊部族によって滅ぼされたとされる祭祀の一族である。 彼らは、かつて高度な鳥を操る技術(伝書鳩)を保持していた。 地中を耕す祭事を代行し、蝗害を未然に防ぐ知恵を持つ。

・所属組織、地位や役職  戌西州の各地に散らばり、祭祀を司る部族であった。

・物語内での具体的な行動や成果  生き残りである人々が、戌西州の西端の炭鉱で過酷な労働を強いられる。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  その末裔である庫魯木の生存が確認され、面梟の調教を続けていた。

戌の一族(犬の一族)

17年前に、謀反の疑いをかけられて粛清された西都の元守護一族である。 彼らは、優れた石炭採掘の技術を、歴史の影に隠蔽していた。 表向きは皇族を名乗る逆賊として、非情な討伐を受ける。

・所属組織、地位や役職  戌西州を代々支配していた、元守護部族であった。

・物語内での具体的な行動や成果  玉鶯が引き起こした暴動により、一族のほぼ全員が凄惨に殺害される。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  生き残りである陸孫が、一族の因縁を清算して西都の再建に立ち上がった。

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備忘録

序話

西都への願い

少年は母から、乾いた貧しい土地でも人々が強く生きる姿の素晴らしさを教えられた。鳥を操りながら広い世界を見る母は、少年にもいつか同じことができるようになると語り、父を目標に街を守り育てるよう願った。少年は母の優しさと父の強さを受け継ぎ、不作や外敵に負けない豊かな西都を作ろうと望んだ。

一 話 乾燥 果実

玉鶯の食糧支援

蝗害から五日が過ぎ、猫猫は医務室で薬作りを続けていた。飛蝗はほぼ駆除されたものの、人々の不安から治安は不安定になっていた。玉鶯は不足する食糧を西都や周辺の町へ送り、炊き出しを行っており、猫猫はその政治的な手腕を評価した。

少女の腸閉塞

玉鶯の孫娘が腹痛と嘔吐を繰り返して重篤となり、猫猫と天祐は手術を行った。原因は干し柿と飲み込んだ髪が腸に詰まったことであり、二人は異物を取り除いて少女を救った。母親が娘の異国の血を隠すため髪を染め続けていた事情も明らかになった。

二話 軍師 襲来

変人軍師の来訪

手術を終えた猫猫は夜遅く壬氏の別邸へ呼ばれ、玉鶯の孫娘について報告した。その後、馬閃が変人軍師の到着を知らせ、猫猫は親しげに近づく羅漢から距離を取った。

林大人との対局

変人軍師は、西都に将棋の名手が滞在していると説明し、本物かどうか確かめるため対局したいと求めた。壬氏は渋りながらも翌日の対局を許可した。

三話 林 大人

老いた将棋の名手

猫猫は変人軍師と林大人の将棋対局を見学した。林大人はかつて西都で名を知られた役人だったが、十七年前の戌の一族の事件で多くを失い、現在は記憶にも障害を抱えていた。

将棋盤に残された地図

林大人が口にした駒の配置を調べた結果、それが十七年前の西都の地図と対応している可能性が浮かんだ。介護役の林小人は古い地図を探しに行き、猫猫たちは配置が示す場所の意味を調べることになった。

四話 林小人

偽りの親族

林小人について調べるうち、彼が林大人の親族ではなく、林大人を利用して変人軍師へ接近しようとした詐欺師だったと判明した。変人軍師は早くから相手を怪しんでいたものの、猫猫たちは完全に騙されていた。

残された謎

林小人が探していた古い文書の目的や、焼失した廟との関係は不明のままだった。林大人は本当の親族に引き取られ、猫猫たちは自分たちの失態を壬氏に謝罪した。

五話兄帰る

蝗害の第二波

二度目の飛蝗が襲来したが、被害は大きくならず別邸も守られた。しかし食糧不足、不審火、略奪、医者不足などによって西都の状況は悪化していった。

羅半兄の小麦

そこへ羅半兄がぼろぼろの姿で戻り、背が低く実を落としにくい小麦の種を持ち帰った。猫猫は将来の収穫を考えて行動した羅半兄を迎え、ご馳走を用意しようとした。

六話都より

中央の支援

都では羅半が西都への支援物資の配分に追われていた。蝗害の深刻さを受け、必要な物資の確保と輸送を進めていた。

姚と燕燕の訪問

羅半のもとへ姚と燕燕が現れ、西都について情報を求めた。姚は叔父に関する話から西都の石炭採掘について触れ、その情報は羅半に新たな着想を与えた。羅半は二人を泊めることになった。

七話届いた文

苜蓿のもやし

西都では盗賊が増える一方、中央から支援物資が届き始めた。しかし栄養不足による病が増えており、羅半兄は苜蓿のもやしを育て、新たな栄養源として利用しようとしていた。

羅半からの手紙

猫猫は薬不足のため代用品を使いながら診療を続けた。羅半から届いた文には、都にいる姚と燕燕への対応に困っている様子が記されていたが、猫猫には何もできなかった。

八話 届かない文

陸孫の苦悩

陸孫は蝗害の被害報告や食糧支援の要請を処理し、限られた物資をどこへ回すべきか判断していた。羅半から返事が届かないことを気にしつつ、猫猫とは距離を置くべきだと考えていた。

玉鶯への願い

民衆から支持される玉鶯の姿を見ながら、陸孫は蝗害後の社会が大きく動き始めていると感じた。それでも心の底では、玉鶯が良い領主であってほしいと願っていた。

九話 会合

砂欧との戦争案

行動を制限されていた壬氏は、中央へ食糧支援を求めながら西都の対応にあたった。玉鶯は武官の提供を求め、その名分として砂欧との戦争を提案した。

壬氏の拒絶

壬氏は戦争によって生じる弊害を指摘し、慎重な姿勢を崩さなかった。羅漢も戦には興味を示さず退出し、玉鶯の提案は進展しなかった。

十話 黄金比

農地の再建計画

羅半兄は蝗害時に作った地図をもとに、土地ごとに適した作物や種子の配置を考えていた。猫猫は疲れながら働く羅半兄の功績を壬氏に認めてもらいたいと考えた。

石炭さがせ

猫猫と羅半兄は羅半から届いた文の紙が、普段使う黄金比の寸法と違うことに気づいた。そこから仕掛けを読み解き、石炭さがせという隠された文を発見したため、猫猫は報告することにした。

十一話 炭鉱

消された石炭の記録

雀は猫猫に、戌西州ではかつて石炭が採掘されていたものの、十七年前の戌の一族の粛清以降、記録が見当たらなくなっていると説明した。

港と戦争

玉鶯が砂欧との戦争を望む背景には、砂欧の港と国境付近にある石炭鉱山が関係している可能性があった。蝗害で困窮した民を兵として利用することも考えられたが、猫猫は壬氏なら利益だけを理由に戦争を選ばないだろうと考え、わずかに安心した。

十二話 親子喧嘩

壬氏の評判

馬閃は、西都で壬氏の功績まで玉鶯のものとして語られていることに不満をぶつけた。壬氏自身は、自分が直接姿を見せれば別の問題が生じると考え、表立って動くことを避けていた。

馬閃の代理

雀は壬氏が働いていることを民に示すため、馬閃を代理として表に出す案を提案した。馬閃は戸惑いながらも、その役目を引き受けることになった。

十三話 慰問

診療所への訪問

猫猫は診療所で治療と薬の調合を続け、馬閃は壬氏の代理として患者たちを慰問した。楊医官や天祐も加わり、多くの患者を診療した。

壬氏の功績

楊医官との会話で、壬氏の支援によって診療所が運営されているにもかかわらず、功績が玉鶯のものとして伝わっていることが問題となった。楊医官は壬氏の指示による活動だと正しく伝える必要性を理解した。

十四話 天祐

持ち帰った腕

診療後、天祐の布包みから人間の切断された腕が転がり出た。事故で失われた腕を持ち主から譲り受け、勉強のために持ち帰ったものだった。

華佗の子孫

楊医官は猫猫に、天祐が猟師の家に生まれ、華佗の子孫を名乗って医官を志した経緯を語った。才能を持つ一方で危うい性質もあり、猫猫は天祐と自分自身のあり方について考えた。

西都の偏見

帰路で猫猫は子どもから泥団子を投げられた。猫猫は蝗害の原因を外から来た者に求める人々の誤解や偏見を感じ取った。

十五話 暴動

食糧庫への襲撃

物資不足が続く中、西の砦から異民族が食糧庫を襲ったという知らせが届いた。民衆は暴動を起こし、皇弟を出せと叫んだ。

玉鶯の扇動

玉鶯は民衆の前に出て壬氏の功績を称え、自ら責任を負う姿勢を見せた。その一方で蝗害を西から来た災厄と位置づけ、異民族や砂欧へ民衆の怒りを向けた。猫猫と雀は、その先に大きな計画があると察した。

十六話玉袁の子どもたち

玉鶯への対抗策

壬氏は玉鶯の策略にはまったことに苦悩し、高順や馬閃たちと対応を話し合った。石炭の採掘と隠蔽、港の管理権などが政治的な交渉材料として浮かび上がった。

玉袁の兄弟たち

玉鶯の弟である大海は壬氏に協力的であり、石炭利用の秘密が中央に知られることを避けながら西都を守る方法を探っていた。猫猫と雀は玉袁の子どもたちを巡る政治的な駆け引きを見守った。

十七話祭祀の陰に

西都の祭祀

壬氏による祭祀が中央広場で行われることになり、李白たちは警備を整えた。猫猫たちは別邸から祭祀を見守り、玉鶯の動向にも警戒した。

配られる芋

祭祀の日には追加の物資として芋が民衆へ配られ、玉鶯への支持を高める材料となった。猫猫は不安を抱きながらも、何事も起きないことを願った。

十八話 兄弟会議

戦争への反対

玉袁の八人の息子たちは西都の将来について話し合った。玉鶯は戦争による利益を訴えたが、大海をはじめ多くの兄弟は反対し、戦争を困窮から抜け出す手段とは考えなかった。

皇弟の出生

玉鶯は壬氏が今上の子ではないかという疑惑を持ち出した。その発言に兄弟たちは動揺し、玉鶯の主張への賛同は広がらなかった。結論が出ないまま会議は終わった。

十九話風は泣く 前編

拓跋の戸籍

玉鶯のもとへ乳兄弟の拓跋が現れ、戸籍を示した。それによって二人が同じ父を持つ兄弟であることが明らかになり、玉鶯の出生への認識が揺らいだ。

拓跋の死

拓跋は戦争をやめるよう説得したが、玉鶯は決意を変えなかった。やがて玉鶯は拓跋を殺害し、その事実を隠そうとした。そこへ陸孫が現れ、玉鶯の運命は大きく動いた。

二十話風は泣く 後編

戌の一族の滅亡

陸孫は戌の一族の一員として、西の地を守る使命を背負って育った。十七年前、玉鶯が戌の一族への反感から暴動を引き起こす一方、玉袁は一族を守ろうとし、陸孫を中央へ送り出した。

玉袁との約束

戌の一族は最終的に滅び、西都は玉袁が治めることになった。陸孫は一族の血と過去を背負いながら、玉袁との約束を胸に自らの道を歩み始めた。

二十一話 軍師の采配

玉鶯の死

陸孫は、かつて戌の一族の屋敷だった場所で玉鶯が刺されて死亡した事実を受け止めていた。十七年前の暴動と同じ場所での死に、過去との因縁を感じた。

消された戸籍

羅漢の証言によって陸孫への疑いは晴れた。その後、侍女姿の雀から、玉鶯が林小人を殺した際に戸籍を奪っていたことを知らされた。陸孫は関係者への義理を果たすため、その戸籍を処分するよう雀に頼んだ。

二十二話 皇弟の愚痴

玉鶯亡き後

猫猫は雀から、玉鶯が金を求めた農民に殺されたと聞いた。玉鶯の施しは実質的に貸付に近く、それが事件につながったとされたが、猫猫は完全には信じていなかった。

西都を治める者

玉鶯亡き後の統治者として陸孫が候補となったが、本人は中央からの委託に過ぎないとして拒んだ。壬氏が引き受けるよう求めても、陸孫は壬氏自身が担うべきだと返した。疲れた壬氏に猫猫は食事を出し、壬氏は礼を言っておかわりを求めた。

終話

玉鶯の監視役

陸孫は玉袁に呼ばれて西都へ戻り、玉鶯を監視する役目を引き受けていた。玉袁の末子である葉は後に玉葉后となり、御心のままにという言葉を陸孫へ伝えていた。

西都に残る決意

役目を果たした後、陸孫は気力を失い、自分自身を卑怯で汚い人間だと感じながら静かに過ごしていた。それでも風や鳥の声を感じる中で、西都に人々の笑顔と活気が戻るまで働き続けようと決意した。

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