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フィクション(Novel)マンガ薬屋のひとりごと読書感想

漫画「薬屋のひとりごと猫猫の後宮謎解き手帳(17)66~70話」感想・ネタバレ

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薬屋のひとりごと~猫猫の後宮謎解き手帳~ 17巻の表紙画像(レビュー記事導入用) フィクション(Novel)

薬屋のひとりごと~猫猫の後宮謎解き手帳~ 16レビュー
薬屋のひとりごと~猫猫の後宮謎解き手帳~ まとめ
薬屋のひとりごと~猫猫の後宮謎解き手帳~ 18レビュー

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どんな本?

薬屋のひとりごと』は、日向夏 氏による日本のライトノベル作品。
中世の後宮を舞台に、薬学の専門知識で事件の謎を解く少女・猫猫(マオマオ)の物語。
小説家になろうで連載されているほか、ヒーロー文庫からライトノベル版が刊行されている。
また、月刊ビッグガンガン月刊サンデーGXでコミカライズ版が連載されており、2023年にはテレビアニメ化も決定している。

月刊サンデーGXの方が、中華の雰囲気が強く、文化の小さい部分にも気をつけているように感じている。

読んだ本のタイトル

#薬屋のひとりごと ~猫猫の後宮謎解き手帳~17
(英語: The Apothecary Diaries、中国語: 药屋少女的呢喃)
著者:倉田三ノ路  氏
原作:日向夏  氏
キャラクター原案:しのとうこ  氏

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あらすじ・内容

シリーズ累計2400万部突破!!

謎の女・翠苓と(スイレイ)、下女仲間・子翠(シスイ)は
裏で繋がっている姉妹だった──!!
北方にある二人の故郷の里へと連れ去られ、
猫猫(マオマオ)は軟禁状態。
そんな折、薬の実験が行われていそうな気配を感じ
里の外の倉庫へ潜入した猫猫、しかしそこは
最新型飛発(鉄砲)の部品が大量にある、
まるで兵器工房で…!?
一方、高官・子昌(シショウ)が
よからぬ企てをしている情報を知った壬氏(ジンシ)は、
「本来の立場」に戻ることを迫られて!?

超絶ヒットノベル、コミカライズ第十七弾!!

薬屋のひとりごと~猫猫の後宮謎解き手帳~ 17

前巻からのあらすじ

猫猫がいなくなったが、彼女は攫った連中のスキを突いて羅門が探し当てる事を期待してメッセージを残す。

しかもパッと見ではわからない。

猫猫は玉葉妃のために医局から持ち出した酒を使って、火で炙ったら焦げ目でメッセージが出るように紙を細工する。

そのメッセージは「祠」と「翠」。
翠は急いで書いたせいで文字が崩れてしまい、最初は読めなかったが。
玉葉妃の侍女達に見せると、、

猫猫がいつも連んでいる宮女に子翠と名乗る者がいるとわかる。

彼女を探そうと壬氏の命令で高順が探るが、、

そんな宮女は存在しないと判る。

子翠と翠苓に攫われて隠れ里に連れて来られた猫猫は、、
里の祭りに参加していた。
子翠が常に側にいるせいか良い待遇な猫猫、、

そんな状態だとは知らずに必死に猫猫の形跡を追う壬氏。

桜蘭妃が居なくなってる事を知り、父親である子昌の行方もわからなくなっていた。
何もかもが謎で、キーマンだと思われた人物も行方不明。
手詰まりと思った壬氏の前に、変人軍師の跡取り羅半が現れた。

彼が言うには子昌は反乱を起こすために何処かに戦力を集結させていると言う。

鉄の流れを見ると何処に子昌が戦力を集めているか判ると言われて壬氏は、羅半に捜査を命じる。

感想

原作小説4巻の中盤くらい。

後々に猫猫の家に転がり込むクソガキが色々と引っ掻き回す17巻。

翠苓に誘拐された猫猫は子翠と共に集落の祭りに参加する。

その後、猫猫は先代の薬師が遺した書籍を与えられたら没頭してしまい。

子翠に世話されていた。

それを見たクソガキがポロっと言った”神美様”という人物が出てくる。

神美は子翠の母。

翠苓は父親が同じだが子翠とは母が違う姉だった。

でも母の地位が低かったため翠苓は令嬢としては扱って貰えなかった。

そんな彼女を家族として懐いたのが子翠こと楼蘭だった。

虫大好きっ子で猫猫と大浴場で中級、下級妃にマッサージしていた彼女が桜蘭妃だった。

猫猫は上級妃の桜蘭に甲斐甲斐しく世話されいたって事?

そんな楼蘭=子翠だと判明したのが、猫猫が生育がおかしくなったエリアの畑に興味を持ち。

畑を見ていたら、クソガキが声を掛けて来て、生育をおかしくしている原因がある建物について聞いたら、元倉庫だったがネズミが増えて高床式の物にしたから空き家だとクソガキは言う。

その場に行きたいと言う猫猫に、クソガキは勉強を逃げる時に使う抜け道を教えてくれ。

元倉庫に行ったら、建物の影になって生育が阻害された?

唯一、窓の光が当たる箇所だけ普通に生育していた。

ただ、猫猫は蘇りの薬の実験をするのにネズミが欲しく。

元倉庫の中にいるネズミを捕まえるために中に入りたいと言うと、、

クソガキが入れてくれた。

チョロイぞ!!w

だが、元倉庫の中は鉄砲の製造所のようだった。

毒薬の実験もしているらしく、ネズミが居たが管理されていた。

“ヤバい”と思った猫猫はすぐ出ようとしたら、そこに噂の神美様が外国の特使を連れて小屋に入って来た。

そして、見付かってしまった。

サディスティックな神美は、猫猫を鞭打ちにしようとしたが、楼蘭が猫猫は神美が探していた薬師だと言い。

猫猫は若く見えるが三十歳以上の年齢なのに、この肌を維持していると猫猫を薬師として推薦。

そして、猫猫は子の一族と共に砦へと送られてしまう。

そこが、謀反の拠点になるとは知らずに、、

その護送中に、翠苓と話をしていた猫猫は宦官が後宮に入る検査方法を聞くが、、

壬氏がカエルをぶら下げた状態で後宮に入る事が不可能だと知る。

それでも宦官”壬氏”はいた。

そうなると、後宮に出入り出来るのは皇帝か、その縁者のみとなる。

そこまで考えた猫猫は、、

これ以上考えるのを止めた。

さらに、翠苓に戦争をするのかと聞くが、、

その決定権は彼女には無いと言う。

一方、帝都の壬氏は、羅半から子の一族が謀反を企ている証拠の報告を受ける。

そんな場所に、預けていた愛娘(本人主観)を誘拐され苛立っている変人軍師、羅漢が現れる。

冷静に話をしようとしていた羅漢は、壬氏がいまだに宦官でいようとしている事にイラつき壬氏を”半端者”と怒鳴りつける。

「宦官野郎のままで何ができると言うんです⁉︎」と怒鳴ったら羅半に呼ばれた羅門が「悪かったね、、」と言いながら現れた。

自身が壬氏に言ってた事が、尊敬している叔父を思いっきり腐していた事に気が付いた羅漢は思い切り冷や水を浴びせられ冷静になり。

高順は爆笑を堪えてるのを横目に。。

羅漢は壬氏に、、

皇帝の弟、月の君に逆賊、子昌を討伐するため軍を動かして欲しいと奏上する。

そして、壬氏は子一族討伐軍の総指揮官となり。

軍師に羅漢を侍らせて北上する。

一方、砦に監禁されている猫猫は神美の若返りの薬を作るために薬の研究をさせれていた。

だが、そこにクソガキ響迂が猫猫を逃がそうと子供ながらに頑張ったが、、

アッサリと発覚。

猫猫が共謀していなかったとは言え、この一件は大事になる。

下手をするとクソガキ響迂に悪影響がと心配していたら。

神美が現れサディスティックに、響迂か見張りの男を罰すると言い出した。

それを庇うために猫猫は神美を“くそばばあ”とボソッと罵倒する。

全ての罰を被るために猫猫は、、

猫猫の美食ハッスルタイムは次巻か、、、

待ち遠しい。

最後までお読み頂きありがとうございます。

薬屋のひとりごと~猫猫の後宮謎解き手帳~ 16レビュー
薬屋のひとりごと~猫猫の後宮謎解き手帳~ まとめ
薬屋のひとりごと~猫猫の後宮謎解き手帳~ 18レビュー

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考察・解説

祭りと奉納

作中の「隠れ里の祭礼」における「奉納」の儀式について、資料で描かれている詳細は以下の通りである。

村の社へ願いを届けるための独自の信仰や、燃え残る面にまつわる伝承、そして儀式に参加した猫猫、響迂、子翠たちのそれぞれの対照的な様子と意味深な言葉の全容は以下の通りである。

狐の面に書いた願いを煙に変えて空へ届ける奉納の目的と流れ

人々は自らの狐の面に願い事を書き、それが天に届くことを信じて村の社へ奉納する。

・奉納された面は櫓(やぐら)に集められて火が放たれる。

・その炎が一気に広がることで、狐神への願いが煙となって空へ昇っていくと信じられている。

水面に落ちて伝承を紡ぐすべてが燃え尽きない面の性質

すべての面が燃え尽きるわけではなく、中には燃え尽きずに水面に落ちる面もある。

・村では、そうした面は恵みの糧になると語り継がれている。

淡々とした猫猫と期待する響迂および子翠が呟いた叶わぬ願いの言葉

儀式に参加する者たちの様子は、それぞれの立場や心情を映し出していた。

・猫猫:自らの面に特別な願い事を書くことはせず、あくまで祭りの形式的な儀式として淡々と参加していた。

・響迂:里の少年である響迂は、燃え尽きる面を真剣に見つめながら、自らの願いが叶うことを強く期待していた。

・子翠の意味深な言葉:燃え盛る炎を見つめながら、子翠は、叶わぬ願いは土に還る、と静かに呟いた。当時の猫猫にはその真意を理解できなかったが、彼女の言葉には深い意味が込められており、祭りの夜の神秘的な雰囲気を一層深めるものとして描かれている。

まとめ

隠れ里の祭礼における奉納の儀式は、狐の面に託した願いを炎と煙によって天の狐神へと届ける、里の信仰が凝縮された神秘的な行事である。全ての面が灰にならずとも水面に落ちて恵みの糧となる伝承や、ただ形式的に参加する猫猫、純粋に願いの成就を信じる里の少年・響迂の姿が描かれた。その中で放たれた、叶わぬ願いは土に還る、という子翠の静かな呟きは、その場では猫猫に理解されずとも、里の夜に潜む暗合や今後の展開を予感させる重みを持っており、一過性のお祭り騒ぎを超えた深い余韻を物語に残している。

薬草と飛発

作中において、薬草や植物に関する猫猫の深い知識と観察眼は、一見すると無関係に思える最新の火薬兵器「飛発(ひはつ)」の秘密や、その背後にある陰謀を暴くための重要な鍵として結びついている。

植物の異常な生育から飛発の部品を発見した経緯や、薬師としての化学的知識によって火薬製造の現場や兵器の存在を看破したエピソードの全容は以下の通りである。

一部の稲の生育不良から兵器密造の糸口を掴んだ観察眼

猫猫は薬師として日頃から薬草を探すなど植物に対する鋭い目を持っているが、それが国家を揺るがす兵器の隠し場所を見つけるきっかけとなった。

・誘拐された先の隠れ里において、猫猫は田んぼを眺めていた際、一部の稲だけが異常に育ちが遅いことに気が付く。

・その原因を調べるために里の少年である響迂の助けを借りて倉庫に潜入した。

・調査の結果、そこには鼠を使った実験の痕跡とともに飛発の部品が隠されていた。

・稲の生育不良は、火薬の成分である硫黄などが土壌や環境に漏れ出していた影響であると推測される。

・このように、猫猫の植物に対する些細な違和感を見逃さない観察眼が、兵器密造の動かぬ証拠を掴むことに繋がった。

硫黄の匂いによる瞬時の危険察知と家畜の糞から見抜いた火薬製造現場

飛発は西方からもたらされた最新式の火薬兵器であり、過去には東宮暗殺にも使われ、子一族の謀反の要となる危険な武器である。猫猫の薬や毒に関する化学的な知識は、この近代兵器の正体や仕組みを素早く理解する上で大きな役割を果たした。

・硫黄の匂いからの危険察知:子北州の森で壬氏と共に襲撃を受けた際、地面がえぐれて硫黄の匂いが漂ったことから、火薬を使った武器(飛発)による攻撃だと即座に察知した。この的確な判断が、身を守るために滝壺へ飛び込むという瞬時の生存対応に繋がっている。

・家畜の糞と火薬製造:その後、連行された砦の地下において、猫猫は硫黄や家畜の糞を使って火薬を製造している劣悪な現場を発見する。家畜の糞は火薬の原料となる硝石を取り出すために不可欠なものであり、薬草や成分の配合に精通する薬師だからこそ、その現場が何のために存在しているのかを正確に理解することができた。

まとめ

ただの薬屋の娘である猫猫が、国家の転覆を狙う飛発という強大な兵器の陰謀に迫ることができたのは、彼女が持つ薬草の知識や植物の異変、匂い、化学物質の性質を論理的に分析できる卓越した能力があるからである。稲のわずかな発育不良から土壌への硫黄の漏出を疑い、襲撃時の匂いから即座に火薬兵器と見抜いて難を逃れ、砦の地下に広がる火薬の精製プラントの全容を解き明かした。薬草と兵器という一見遠い領域の事象を、彼女の持つ化学的リテラシーによって一本の線で結びつけた展開は、陰謀を暴く探偵役としての彼女の魅力をより一層際立たせている。

神美の正体

作中において、神美(シェンメイ)は子一族の謀反や後宮の陰謀に深く関わる中心人物の一人であり、その正体は子一族の当主・子昌の妻、かつ楼蘭妃(子翠)の母親である。

圧倒的な威圧感を伴う冷酷な性格や、実の娘たちとの間に生じた深い確執、謀反の裏で享楽にふけり一族を衰退させた実態、そして自業自得とも言える最期の全容は以下の通りである。

圧倒的な威圧感と蟇盆へ送る処刑を命じる冷酷な性格

神美は、隠れ里の倉庫に潜入した猫猫と響迂の前に突如として姿を現した。

・彼女はその微笑みに圧倒的な威圧感を漂わせており、猫猫を本気で震え上がらせるほどの恐ろしい存在感を放っている。

・性格は非常に苛烈かつ残酷であり、自分の意に沿わない者に対しては容赦をしない。

・里の少年である響迂を厳しく叱責して過剰な折檻を仄めかしたり、彼らを庇おうとした翠苓に対して平然と暴力を振るったりした。

・さらに、自分の非道さに耐えかねて侮辱の言葉を漏らした猫猫に対しては、毒蛇や毒虫が放たれた古代の処刑場である蟇盆(ひきぼん)へ送るという残忍な処罰を下した。

楼蘭妃の名前剥奪と先帝の孫である翠苓への嫉妬と虐待

神美は母親という立場でありながら、実の娘たちから激しい憎悪を抱かれている。

・楼蘭妃(子翠)との関係:神美が子翠を楼蘭と呼んだことで、子翠の正体が後宮の楼蘭妃であることが発覚する。神美は楼蘭妃の本来の名前を奪い、自らの娘の幼名として利用していた。楼蘭は母親の非道な行いに深い憎悪を抱いており、神美に縛られることを激しく拒絶していた。

・翠苓への嫉妬と虐待:翠苓は実は先帝の孫であり、父である子昌が密かに匿っていた存在であったが、名ばかりの妾の子として扱われていた。神美はそんな高貴な血を引く翠苓に対して激しい嫉妬を覚え、執拗ないじめや虐待を行っていた。

異国の贅沢品に囲まれた享楽と一族を崩壊に導いた責任

砦の中で戦の準備や謀反が着々と進行し、夫である子昌が重い苦悩を抱えている中でも、彼女の行動が変わることはなかった。

・神美は異国の贅沢品が並ぶ豪奢な部屋に籠もり、侍女たちと享楽にふけっており、家庭は完全に崩壊状態にあった。

・楼蘭からは、裏での賄賂や横領を行う一族の者たちを黙認してきた、一族を衰退させた張本人、であると厳しく追及されている。

隠し部屋での実娘への発砲と兵器の暴発による惨めな結末

砦の陥落が刻一刻と迫る中、神美は隠し部屋において壬氏や楼蘭と対峙することとなる。

・楼蘭からこれまでの身勝手な行いや、一族を破滅に導いた責任を真っ向から非難された神美は激高した。

・逆上した神美は、実の娘である楼蘭に向けて最新の火薬兵器である飛発を発砲しようとする。

・しかし、その武器が手元で激しく暴発したことによって自らが致命的な傷を負うという、自業自得の悲惨な結末を迎えた。

まとめ

神美は、子一族の栄華の裏で権力を笠に着て暴虐の限りを尽くし、家庭と一族の双方を内側から崩壊させた元凶たる女性である。猫猫を毒虫の巣へ送ろうとした冷酷さや、翠苓への嫉妬による虐待、そして実の娘である楼蘭の名前を奪うといった非道な振る舞いは、娘たちの中に消えない憎悪を植え付けた。夫や一族が謀反の重圧に喘ぐ中でも贅沢に溺れ、最期はこれまでの身勝手さを実娘に糾弾されて逆上し、放とうとした火薬兵器の暴発によって自滅した。彼女の生き様と無惨な最期は、因果応報の理を体現するとともに、歪んだ権力欲がもたらす悲劇の象徴として描かれている。

砦の謀反

作中における「砦の謀反」は、子昌を当主とする子一族が中心となって企てた国家規模の反逆事件であり、物語の大きな山場となるエピソードである。

放棄された砦での兵器製造から、物流の不自然さによる謀反の発覚、内部からの組織崩壊、禁軍による奇襲作戦、そして首謀者たちの最期と隠された真実にいたる全容は以下の通りである。

豊富な資源を用いた拠点の拡張と最新型火薬兵器の大量製造

子の一族は、放棄されていた砦を密かに拡張し、そこを謀反の拠点としていた。

・この砦は高地に位置しており、火薬の材料となる硫黄や硝石を豊富に産出できる土地柄であった。

・砦の地下では劣悪な環境のもと、最新型の火薬兵器である飛発(ひはつ)が大量に製造されていた。

・誘拐され、ここに幽閉された猫猫もその製造現場を発見している。

不自然な物流からの発覚と皇族としての姿を現した壬氏の決断

羅漢の養子である羅半が、不自然な物流と金の動きから砦の存在を割り出した。

・新型の飛発の生産や反逆行為の証拠を壬氏に報告する。

・軍師である羅漢は、逆賊である子昌を討つために禁軍を動かすよう要請し、膿を早めに出し切るべき、と主張した。

・この要請は、仮初の宦官を演じてきた壬氏(華瑞月)に対し、本来の皇族としての姿を現して決断を下すよう迫るものであり、壬氏はこの覚悟を決めるにいたった。

神美の享楽による家庭の崩壊と楼蘭による火薬庫の爆破

砦の内部は、主である子昌が重い苦悩を抱える一方で、妻の神美は異国の贅沢品に囲まれて享楽にふけっており、家庭および組織として完全に崩壊状態にあった。

・そんな中、娘の楼蘭(子翠)は、自ら砦の東側にある火薬庫に火を放って爆破するという行動に出る。

・これにより武器庫が爆発し、雪崩が発生して砦の一部が埋没した。

・楼蘭は父親に対して、勝てない相手には潔く降るべき、と諭し、事実上の幕引きを図った。

雪崩の混乱に乗じた夜間奇襲と猫猫の救出最優先の進軍

羅半の提案により、砦の火薬庫を狙う経済的かつ迅速な奇襲作戦が実行された。

・李白率いる軍勢が夜間に奇襲を仕掛け、雪崩による混乱に乗じて敵陣を次々と制圧していく。

・この作戦には、紫紺の鎧を纏い柳葉刀を手にした壬氏も自ら指揮を執って参加した。

・壬氏は砦内に囚われていた猫猫の救出を最優先に掲げて動いた。

広間での抵抗と兵器の暴発および後宮拡張の衝撃的な真実

戦いの果てに、謀反の中心にいた首謀者たちはそれぞれの最期を迎えることとなった。

・子昌:広間に現れ、飛発を手にして最後の抵抗を試みたが、最終的に部下たちによって倒された。

・神美:隠し部屋で壬氏たちと対峙した際、楼蘭から一族を衰退させた責任を追及されて逆上する。楼蘭に向けて飛発を放とうとしたが、武器の暴発により自ら傷つく結果となった。

・楼蘭の最期と隠された真実:楼蘭は壬氏に対し、かつて子昌が行った後宮拡張の真実を語った。それは単なる欲望のためではなく、奴隷として売られるはずだった人々を一時的に保護するための施設であり、子昌がその計画の中心にいたという衝撃の事実であった。すべてを語り終えた後、楼蘭は傷を負いながらも雪の中で舞うように砦の屋上へと向かい、そこから身を投げて壮れたる最期を遂げた。

まとめ

砦の謀反は、最新兵器の密造による国家への反逆という激しい動乱でありながら、その本質には子一族の内部崩壊と哀しき真実が隠された事件であった。羅半の機知と羅漢の進言によって禁軍が動き、壬氏が皇族としての覚悟を持って挑んだ奇襲作戦は、雪崩による混乱も加わり砦の制圧へと繋がった。子昌や神美が自滅に近い形で最期を迎える中、楼蘭が明かした後宮拡張の真実は、悪逆とされた子昌の行動が実は人々を保護するための義挙であったという、歴史の裏に埋もれた切なき実態を浮き彫りにした。すべてを巻き込んで雪の中に散った楼蘭の最期とともに、この謀反劇は国家の在り方と一族の宿命を深く揺るがす大きな爪痕を残した。

壬氏の決断

『薬屋のひとりごと』の作中における「壬氏の決断」は、子一族による国家規模の謀反に対処するため、彼が長年演じてきた「宦官」という仮面を捨て、本来の「皇族」としての姿を現して軍を動かすという、物語の重大な転換点となるエピソードである。

不自然な物流から発覚した謀反の全容と羅漢からの進言、仮初の立場を捨てる覚悟、猫猫救出を最優先に掲げた奇襲作戦、そして堂々たる出陣とその後の歩みにいたる詳細は以下の通りである。

不自然な物流から露見した謀反と羅漢による禁軍動員の要請

羅漢の養子である羅半が壬氏の執務室を訪れ、子の一族が放棄された砦を密かに拡張しているという証拠を提示した。

・砦の地下で新型の火薬兵器である飛発(ひはつ)を大量製造し、大規模な謀反を企てている実態を報告する。
・それを受けた軍師の羅漢は、逆賊と断定した子昌を討つために禁軍を動かしてほしいと壬氏に要請した。
・国を揺るがす危機に対し、膿を早めに出し切るべき、と強く訴え、迅速な軍事行動を促した。

仮初の宦官から皇族の華瑞月へ立ち戻る重き覚悟

羅漢からの要請は、単に軍の動員を求めるだけのものではありませんでした。

・それは壬氏、すなわち本来は皇族(皇弟)である本名、華瑞月(か・ずいげつ)、に対し、仮初の宦官としての立場を捨てることを意味していた。
・本来の姿を明らかにし、国を揺るがす危機に対して最高権力者として決断を下すよう促すものであった。
・壬氏はこの要請の重さを受け止め、ついに長年演じてきた偽りの身分を捨て、覚悟を決めるべき時が来たことを痛感する。

火薬庫を狙う迅速な奇襲と囚われの猫猫を救うための意志

壬氏たちは緊迫した作戦会議を行い、羅半の提案をもとにした具体的な進軍計画を策定した。

・砦の東側にある火薬庫を狙うことで、経済的かつ迅速に敵の戦力を削ぎ落とす奇襲作戦を行うことを決定する。
・壬氏にとってこの作戦の成功は、砦の内部に囚われている猫猫の救出に直結するものであった。
・大切な存在を無事に連れ戻すという強い意志が、過酷な軍事決断を下す最大の原動力となった。

紫紺の鎧を纏った出陣と敵の士気を削ぎ落とした堂々たる進軍

決断を下した壬氏は、これまでの宮廷での姿とは打って変わり、一人の武官として戦場に赴く。

・紫紺の鎧を纏い、柳葉刀を手にして自ら奇襲部隊の指揮を執った。
・かつて美しい宦官として裏から後宮や宮廷を動かしていた頃とは別人のように、自身の正体を明らかにして堂々と進軍を率いる。
・その威風堂々とした姿は場を圧倒し、対峙した敵兵の士気を大きく削ぎ落とす結果をもたらした。

まとめ

壬氏の決断は、子一族の謀反という国家の危機を終息させただけでなく、彼自身の生き方を根本から変える歴史的な一歩となった。羅漢の過酷な進言を受け入れ、愛する猫猫の救出のために奇襲作戦を敢行した彼は、紫紺の鎧を身に帯びて戦場を統率する真の指導者としての器を示した。この作戦によって砦は無事に制圧され、目的であった猫猫の救出も果たされたが、同時にそれは、仮初の宦官としての平穏な日々に別れを告げることを意味している。一人の宦官から、本来の権威と重い責任を背負う皇族としての歩みを本格的に始めた壬氏の選択は、今後の帝国の情勢を大きく動かす契機となっている。

登場キャラクター

宮廷・調査関係者

猫猫

本来は薬師としての知識を持つ後宮の下女である。不運を受け入れつつも好奇心と正義感から問題に目を逸らせない性格を持つ。毒や薬に対して異常なまでの執着と探求心を示す。壬氏や高順らと協力して事件を解決する立場にあり、羅門を養父として尊敬している。

・所属組織、地位や役職
 後宮の下女、洗濯係。のちに玉葉妃の侍女、毒見役。その後、外廷の官女として勤務し、再び翡翠宮の侍女に復帰する。

・物語内での具体的な行動や成果
 乳幼児の連続死の原因がおしろいの毒であることを指摘した。園遊会で毒見を行い、料理に毒が入っていることを見抜いた。幽霊騒動や毒茸による食中毒、飛発を使った襲撃事件など様々な事件の真相を解明する。隠れ里に誘拐されるが、連行先の砦で火薬の製造現場を発見した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 下女から玉葉妃の侍女へ昇格した。一度解雇されるが、壬氏の力で外廷勤務となり、再び後宮へ戻る。事件の解決に貢献し、壬氏や妃たちから強い信頼を得ている。

羅半

羅漢の養子である。冷静な判断力を持ち、義父の羅漢をたしなめることもある。壬氏に事件に関する重要な情報を報告する立場を担う。

・所属組織、地位や役職
 所属組織や正式な役職の詳細は文書内に明記されていない。

・物語内での具体的な行動や成果
 壬氏の執務室を訪れ、金属や穀物の値上がりといった物流や金の動きから、子の一族が砦を拡張し謀反を企てている可能性を報告した。砦の火薬庫を狙う経済的かつ迅速な奇襲作戦を提案する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 彼が提供した情報により、壬氏や羅漢は子一族の討伐作戦を決定した。

壬氏(華瑞月)

美貌の青年であり、無欠の宦官を演じている。本来の正体は現皇帝の弟であり、華瑞月という名を持つ。猫猫を高く評価し、彼女の推理力や知識に頼ることが多い。羅漢を警戒する様子を見せる。

・所属組織、地位や役職
 宦官。のちに本来の姿である皇族として行動する。

・物語内での具体的な行動や成果
 猫猫を玉葉妃の侍女として抜擢した。猫猫からの報告や調査を元に、宮廷内の不正や陰謀に対処する。砦の攻略では紫紺の鎧を纏い、柳葉刀を手にして自ら奇襲部隊の指揮を執り、猫猫を救出した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 宦官としての立場を捨てて、皇族としての姿を明らかにし、禁軍を動かす決断を下す。

羅漢

狐のような目をした男であり、片眼鏡をかけている。碁と将棋、噂話を好む変人である。猫猫の実の父親であり、彼女に強い執着を持っている。壬氏に対して苛立ちを隠さず辛辣な言葉を投げかける。人の顔を区別できない特性を持つ。

・所属組織、地位や役職
 軍師。名門出身の官僚。

・物語内での具体的な行動や成果
 壬氏に彫金細工師の遺言の謎解きを依頼した。中庭での茶席で、馬閃や子昌に対し最新式の飛発の設計図を取り出し出所を探るよう求めた。壬氏に対して子昌を討つための禁軍動員を要請する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 宮中において他を圧倒する独特な才覚を持ち、皇帝の弟である壬氏にも軍の動員を強く進言する影響力を有する。

羅門

姿勢が悪い老人であり、猫猫の養父である。穏やかな口調で話し、激昂する羅漢をたしなめるなど落ち着いた人物として描かれる。過去の事件で肉刑に処され後宮を追放された過去を持つ。

・所属組織、地位や役職
 元宦官の医官。のちに再び後宮に招かれ、臨時に診療を開始する。

・物語内での具体的な行動や成果
 猫猫の提案で逆子の玉葉妃を診るために後宮へ招致された。妊婦全員を平等に扱い、後宮の医療体制の問題点を整理する。猫猫が残した木の実とあぶり出しの紙を調べ、彼女の行方を示す手がかりを見つけ出した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 過去に追放された罪人であったが、猫猫の提案と玉葉妃の信頼により特例として後宮へ復帰した。

子の一族・砦関係者

子翠(楼蘭妃)

無邪気で普通の娘に見えるが、正体は高貴な生まれの楼蘭妃である。神美に幼名を奪われ、母親に対して深い憎悪を抱いている。猫猫と親しく交流し、虫捕りを好む一面がある。姉の翠苓が虐待されていることに憤りを感じる。

・所属組織、地位や役職
 後宮の下女。正体は後宮の妃。

・物語内での具体的な行動や成果
 診療所で翠苓の人質となり、猫猫と共に砦へ連れ去られた。砦の武器庫に火薬で灯を投げ込み、爆発させて施設の一部を破壊する。父の子昌に降伏を促し、母の神美を追い詰めた後、砦の屋上から身を投げた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 妃としての立場を捨てて一族の謀反の幕引きを図り、砦の崩壊に決定的な役割を果たした。

翠苓

子昌の娘であり、先帝の孫という秘密の出自を持つ。楼蘭の姉にあたるが、名ばかりの妾の子として扱われ、神美から虐待を受けていた。猫猫や響迂を神美の暴力から庇うなど、責任感のある行動をとる。

・所属組織、地位や役職
 外廷の官女。

・物語内での具体的な行動や成果
 薬を使用して一度死を偽装した。男装して診療所に現れ、子翠を人質にとって猫猫を連れ去り、砦へ移動する。神美に暴力を振るわれながらも響迂と猫猫をかばった。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 一族の反乱後、監視付きながら命を許され新しい環境へと移された。

響迂

隠れ里で猫猫が出会った少年である。翠苓や子翠を慕っている。猫猫を逃がそうとするなど素直で勇敢な一面を見せるが、神美を極度に恐れる。

・所属組織、地位や役職
 所属組織や役職の詳細は文書内に明記されていない。

・物語内での具体的な行動や成果
 猫猫とともに隠れ里の倉庫に潜入し、飛発の部品などを発見した。猫猫を逃がそうと計画したが、見張りに捕まり正座させられる。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 地位の変化や影響力に関する記載はない。

神美

子昌の妻であり、楼蘭と翠苓の母親にあたる。冷ややかで威圧感を持つ。娘の翠苓を虐待し、楼蘭からは一族を衰退させた張本人として激しく憎まれている。

・所属組織、地位や役職
 子の一族の当主の妻。

・物語内での具体的な行動や成果
 隠れ里の倉庫で猫猫たちを発見し、砦へ連行させた。砦内では女たちと享楽にふけっていた。猫猫を処罰するために蟇盆へ送るよう命じる。楼蘭に飛発を向けて攻撃しようとしたが、暴発により自ら傷ついた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 賄賂や横領を黙認し、一族を衰退に導いたことで娘から非難され、破滅を迎えた。

見張り

神美や砦の管理者の指示に従う立場である。猫猫や響迂の行動を監視している。

・所属組織、地位や役職
 砦の警備要員。

・物語内での具体的な行動や成果
 猫猫を日に一度だけ神美の部屋へ連れて行った。逃亡を企てた響迂を捕まえた。拷問部屋で猫猫の様子を確認し、驚愕する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 地位の変化や影響力に関する記載はない。

展開まとめ

六十六話 祭り

社での奉納と願い

社に着くと、人々は面を奉納し、願いを天に届けると信じていた。猫猫は自らの面に特に願い事を書くことはせず、祭りの形式的な儀式に参加した。奉納された面は櫓で燃やされ、その煙が天へと昇るとされていた。

祭りの象徴・櫓の火

櫓に火が放たれると、一気に炎が広がり、狐神への願いが煙となって空に昇っていった。中には燃え尽きず水面に落ちる面もあり、それらは「恵みの糧」となると語られた。響迂は燃え尽きる面を見つめながら、自らの願いが叶うことを期待していた。

子翠の思索

子翠は炎を見つめ、「叶わぬ願いは土に還る」と呟いた。その言葉に深い意味が込められていたが、猫猫にはその本意がまだ理解できなかった。祭りの静寂とともに、村の神秘が深まる夜であった。

六十七話 秘密の工房

宿での再会と問いかけ

宿に戻ると、翠苓が待っていた。卓子の上に本を並べ、静かに読んでいた。猫猫が蘇りの薬について問いかけると、翠苓はその副作用や調合について答えた。猫猫はさらなる情報を求めて詰め寄ったが、翠苓は慎重な態度を崩さなかった。

薬と簪の会話

朝、猫猫は卓子の上に置かれた薬草図鑑を読み漁りながら、子翠に髪を結ってもらった。簪の話題になると、子翠はその簪が高価な品であることを指摘したが、猫猫は慎重に扱うべきだと感じていた。

田んぼの謎と倉庫の調査

猫猫は里の田んぼを眺め、一部の稲だけが異常に育ちが遅いことに気付いた。その原因を調べるため、響迂の助けを借りて倉庫に潜入した。中には鼠を使った実験の痕跡と、飛発の部品が見つかった。猫猫はその関連性に疑念を抱いた。

六十八話 神美

予期せぬ遭遇

倉庫内で物音が聞こえ、猫猫と響迂は隠れたが、そこに現れたのは神美という女だった。神美の存在に響迂は震え上がり、猫猫も緊張を隠せなかった。神美は冷ややかな態度で二人を見下ろし、翠苓に管理不足を叱責した。

神美の提案と猫猫の困惑

神美は、猫猫たちを連れて行くことを提案した。彼女の微笑みには圧倒的な威圧感があり、猫猫はその場の空気に飲まれた。
猫猫はその場で、神美が子翠を楼蘭と呼んだことで、彼女が楼蘭妃であることを確信した。

楼蘭妃の正体と過去

楼蘭妃は以前、後宮の授業で猫猫が出会った妃の一人であった。普段は無邪気で普通の娘に見えるが、猫猫は彼女の言動や立場から高貴な生まれであると推測していた。さらに、神美が子翠の名前を奪い、自らの娘の幼名として利用した経緯が明らかになった。

六十九話  砦

砦への到着と神美の支配

猫猫は温泉郷を出た後、半日の馬車の旅で砦のような場所に連れてこられた。翠苓の浮かない顔色と腫れた頬から、神美との間にあった出来事がうかがえた。

神美の支配と猫猫の危機

倉庫での侵入を咎められた猫猫に、神美は鞭打ちの罰を提案した。楼蘭妃が機転を利かせて薬師として猫猫を提案し、罰を免れたものの、猫猫は砦に連れて行かれることとなった。そこで猫猫は、戦の準備を示唆する証拠と砦の存在意義に疑念を抱いた。

砦の生活と猫猫の考察

砦の部屋に幽閉された猫猫は、大量の書籍や薬棚を調べつつ、自身の置かれた状況を考えた。砦が戦の拠点である可能性や、飛発の存在がその裏付けになることを推測した。

羅半の報告と砦の謀反

羅半は壬氏の執務室を訪れ、子の一族が放棄された砦を密かに拡張し、謀反を企てている可能性を報告した。彼が地図で示した場所は、不自然な物流と金の動きから推測されたものだった。壬氏は報告の重さを受け止めつつ、事態の収拾を図る必要性を感じていた。

羅漢の来訪と批判

そこに現れたのは片眼鏡をかけた軍師、羅漢であった。彼は壬氏に辛辣な言葉を投げかけ、猫猫の失踪についても責任を追及した。羅漢の苛立ちは壬氏の立場や行動への不満によるものであり、その激しい口調に執務室の空気はさらに緊張感を増した。

羅門の登場と場の収拾

緊張が高まる中、姿勢の悪い老人、羅門が現れた。彼は穏やかな口調で羅漢をたしなめ、壬氏への攻撃的な態度を改めるよう促した。羅門の存在は場を和らげ、羅漢は最終的に壬氏に対し正式な礼を尽くして本題を切り出した。

軍の動員要請と反逆の証拠

羅漢は壬氏に対し、逆賊と断定した子昌を討つため、禁軍を動かしてほしいと要請した。羅半が提出した資料には、新型の飛発の生産や反逆行為の証拠が明確に記されていた。羅漢は「膿を早めに出し切るべき」と強調し、反乱の根絶を訴えた。

壬氏への決断の促し

羅漢の要請は単なる軍の動員だけではなかった。それは壬氏、すなわち華瑞月に対し、仮初の宦官としての立場を捨て、本来の姿を明らかにし決断を下すよう促すものだった。瑞月は覚悟を決めるべき時が来たことを痛感し、その場で次の行動を模索した。

七十話  砦の女たち

神美の部屋での対話と異様な空気

猫猫は日に一度だけ見張りに連れられ、神美の部屋を訪れていた。そこは異国の贅沢品が並ぶ豪奢な空間であり、淫靡な香りが漂っていた。神美は侍女たちに囲まれ優雅に過ごしていたが、その背後には楼蘭が控え、髪を梳かれていた。猫猫が薬の進捗を報告すると、神美は無関心な態度で部屋から退出させた。

響迂との会話と母親への思い

部屋を出た猫猫は響迂に声をかけられた。響迂は母親について尋ねたが、猫猫は部屋の雰囲気を思い出し、詳細を伝えられなかった。響迂は母親が忙しいと自分を納得させつつも、少し寂しげな様子であった。

日常の実験と異臭の正体

猫猫は薬師としての仕事に没頭していた。前任の薬師が残した資料や鼠を使った実験に取り組んでいたが、砦内には腐敗臭や不穏な気配が漂っていた。特に階下からは異様な臭いがすることに気づき、爆発などの危険性を危惧していた。

響迂の失敗と神美の介入

響迂は猫猫を逃がそうと計画したが、見張りに捕まり正座させられた。翠苓は事態を穏便に収めようと努力したが、その場に神美が現れた。響迂を叱責する神美は、過剰な折檻を仄めかし、場の空気を一層緊迫させた。

翠苓の忠誠と神美の苛烈な態度

翠苓は響迂や猫猫をかばおうとしたが、神美の非道さに怒りを抑えきれず、小さな声で侮辱的な言葉を漏らしてしまった。それを聞き逃さなかった神美は、猫猫を処罰するため蟇盆へ送るよう命じた。

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