とある魔術の禁書目録(20)レビュー
【とある魔術の禁書目録】あらすじ・ネタバレ・まとめ
とある魔術の禁書目録(22)レビュー
物語の概要
■ 作品概要
『とある魔術の禁書目録21』は、電撃文庫から刊行されているライトノベルである。科学技術が極度に発達した「学園都市」と、宗教を背景とする「魔術サイド」が交差する世界を舞台としたファンタジー・バトルアクション作品である。 本作の舞台は、第三次世界大戦が開戦して11日が経過した極寒のロシアである。学園都市の高校生・上条当麻は昏睡状態のインデックスを救うべく黒幕のフィアンマを追い、学園都市最強の超能力者・一方通行は衰弱した打ち止めを救う手掛かりとなる謎の羊皮紙を求めて動き、無能力者の浜面仕上は滝壺理后の治療法を探して奔走する。科学と魔術の大規模な軍事力が衝突する中、三人の少年たちがそれぞれの「守るべき少女」のために苛烈な戦場を駆け抜ける物語が描かれている。
■ 主要キャラクター
- 上条当麻:学園都市の高校生であり、あらゆる異能を打ち消す「幻想殺し」を右手に宿す少年である。インデックスを救うため、戦争の黒幕である右方のフィアンマを追って巨大要塞「ベツレヘムの星」へ乗り込む。
- 一方通行(アクセラレータ):学園都市第一位の超能力者である。瀕死の打ち止めを救済する鍵となる「羊皮紙」の解読を目指し、かつての敵である「番外個体」と共闘して大天使の脅威にも立ち向かう。
- 浜面仕上:学園都市の無能力者である。滝壺理后を治療するためエリザリーナ独立国同盟を目指し、道中ではロシア軍の細菌兵器から集落の人々を守るために奮闘する。
- 御坂美琴:学園都市第三位の超能力者である。上条を追って超音速爆撃機を乗っ取り単身でロシアへと向かい、地球全土を汚染しかねない核攻撃計画を阻止するために動く。
- 右方のフィアンマ:ローマ正教「神の右席」の最後の一人であり、第三次世界大戦を引き起こした黒幕である。天空の要塞「ベツレヘムの星」を浮上させ、大天使「神の力(ガブリエル)」を使役して自らの計画を成就させようと暗躍する。
- 後方のアックア:元「神の右席」の聖人である。傭兵として浜面たちを強大な軍事力から救い、大天使の力を削ぐために自身の命を削って立ち向かう英雄的な姿を見せる。
■物語の特徴
本作の特徴は、科学陣営と魔術陣営が激突する「第三次世界大戦」という桁外れのスケール感である。超音速爆撃機や無人機からなる最新鋭の兵器と、空飛ぶ巨大要塞「ベツレヘムの星」や大天使「神の力」といった魔術側の超常的な力が正面からぶつかり合う描写は、他作品にはない圧倒的な迫力と絶望感を生み出している。 また、全く異なる立場と能力を持つ三人の主人公(上条、一方通行、浜面)が、それぞれ「ただ一人の少女を救う」という純粋な目的のために別々に行動し、一つの戦場でその運命を交差させていく群像劇としての構成も本作の大きな魅力である。絶望的な状況を前にしても決して諦めず、己の信念を貫いて巨大な力に抗う少年たちの泥臭くも熱い姿が、読者の心を強く惹きつけるポイントとなっている。
書籍情報
とある魔術の禁書目録 21
(A Certain Magical Index)
著者:鎌池 和馬 氏
イラスト:はいむらきよたか 氏
出版社:株式会社KADOKAWA(電撃文庫)
発売日:2010年8月10日
ISBN:9784048687621
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あらすじ・内容
一〇月三〇日。第三次世界大戦が開戦して、一一日が経った。三人の少年たちは、それぞれの想いを秘め、炎上するロシアを駆けていた。元『アイテム』小間使い・浜面仕上は、滝壺理后の治療に奔走するも、糸口は見つからない。キーとなるのは、元『神の右席』の聖人アックアとの出会い。最強の超能力者・一方通行(アクセラレータ)は、最弱の好敵手との交戦を経て、エリザリーナ独立国同盟に移送された。未だ打ち止め(ラストオーダー)を救う手だては見えない。キーとなるのは、魔術が記述された謎の羊皮紙。そして上条当麻は、ついにフィアンマと邂逅するも、手加減された上に逃亡を許してしまう。インデックスを元に戻すことは、未だ叶わない。キーとなるのは、“天使”と呼ばれる別次元の住人。三者三様の想いを秘め、科学と魔術が交差するとき、物語は始まる──!
感想
読んでまず感じたのは、第三次世界大戦という巨大な戦争の中でありながら、物語の中心にあるのは「大切な誰かを守りたい」という少年たちの想いだということである。
世界の命運を左右する戦いが繰り広げられている一方で、上条当麻はインデックスのために、一方通行は打ち止めのために、浜面仕上は滝壺理后のために戦っている。そのシンプルな動機が非常に印象的だった。
特に印象に残ったのは、浜面の活躍である。
エリザリーナの診察によって滝壺の容体が改善へ向かった時には、読んでいて素直にほっとした。しかし浜面はそこで立ち止まらず、細菌兵器による被害から集落の人々を守るために再び危険な戦いへ飛び込んでいく。
能力も特別な力も持たない彼が、それでも誰かを守るために戦う姿は非常に格好良かった。
また、後方のアックアとの共闘も印象深い。
かつて敵として立ちはだかった人物と共に戦う展開には熱いものがあり、戦争という極限状況だからこそ生まれる関係性の変化が面白かった。
ただ、その活躍の直後に麦野沈利が再び現れる場面には思わず苦笑してしまった。
あれだけの死線を越えた後なのに、まだ追いかけてくるのかという恐怖はもはやホラー映画のようである。
一方通行の物語も非常に印象的だった。
打ち止めを救う方法が見つからず、絶望的な状況に追い込まれながらも諦めずに進み続ける姿には強く惹きつけられる。
特に興味深かったのは、番外個体との関係である。
以前なら考えられなかった組み合わせだが、少しずつ信頼とも呼べる関係を築いていく様子には感慨深いものがあった。
乱暴で不器用な一方通行だからこそ、その変化がより印象的に感じられる。
そして上条のパートでは、インデックスが遠隔操作される展開が非常に衝撃的だった。
味方であるはずのインデックスが、自我を失ったまま暴走する姿には強い絶望感がある。
さらに上条自身も、フィアンマを追って「ベツレヘムの星」へ向かうことになる。
読んでいて感じたのは、上条は常に誰かを助けようと行動しているにもかかわらず、そのたびにより大きな問題へ巻き込まれていく主人公だということである。
そして終盤では、ついにフィアンマが本格的に動き出し、大天使「神の力」が召喚される。
圧倒的なスケールの戦いだったが、個人的に印象に残ったのは三人の主人公たちの関わり方だった。
彼らは同じ場所に集まって協力するわけではない。
それぞれが別々の場所で、自分の信念に従って行動している。
しかし、その行動の積み重ねが結果として一つの大きな流れとなり、世界を救うことへ繋がっていく。
その構成が非常に見事だと感じた。
読んでいて感じたのは、本巻は世界を救う英雄譚でありながら、同時に大切な人を守ろうとする少年たちの物語だったということである。
上条、一方通行、浜面。
三人の主人公がそれぞれの戦場でもがき続ける姿が非常に印象に残った。
戦争はまだ終わっておらず、フィアンマとの決着もこれからである。
この壮大な物語がどのような結末を迎えるのか、続きを読むのが楽しみになる一冊だった。
最後までお読み頂きありがとうございます。
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とある魔術の禁書目録(20)レビュー
【とある魔術の禁書目録】あらすじ・ネタバレ・まとめ
とある魔術の禁書目録(22)レビュー
考察・解説
第三次世界大戦
『とある魔術の禁書目録』の物語における最大規模の衝突であり、科学サイドと魔術サイドが全世界を巻き込んで激突した「第三次世界大戦」について解説する。
世界規模の戦火が広がる中、超常的なテクノロジーや魔術、神の領域の力が激突し、物語は最大のクライマックスを迎えた。
1. 開戦の表向きの理由と真の黒幕
・10月19日、ロシア連邦大統領の声明により第三次世界大戦が開戦した。
・ロシア側は、地球規模の温暖化や異常気象などの原因が学園都市の科学技術にあると主張し、プロジェクトの全面凍結と技術の開示を要求する。
・要求が拒否されたため、弾道ミサイルの使用も含めた侵攻作戦を宣言した。
・しかし、この世界規模の戦争の背後で糸を引いていた真の黒幕は、ローマ正教の暗部「神の右席」のリーダーである右方のフィアンマであった。
・彼は自らの目的である「プロジェクト=ベツレヘム」を成就させるために、世界的な混乱と戦争を意図的に引き起こした。
2. 学園都市の常識を覆す軍事力
・軍事大国ロシアが数の力で優位に立つと思われていたが、学園都市は時代を数十年先取りした異常なテクノロジーでロシア軍を圧倒した。
・日本海上空では、時速7000キロを超える超音速戦闘機「HsF-00」を投入する。
・パイロットの肉体をマイナス70度で凍結して生命維持装置に管理させるという非人道的な手法で限界を超えた機動を実現し、制空権を掌握した。
・ロシア内陸部では、超音速爆撃機でパラシュート投下した資材を駆動鎧(パワードスーツ)を使って一瞬にして基地へと組み上げ、ロシア軍の補給路や退路を次々と断つという規格外の戦術を展開した。
3. 魔術サイドの激突(ドーヴァー海峡の戦い)
戦火はロシアと学園都市の衝突にとどまらず、イギリスとフランスの間でも大規模な魔術戦が勃発した。
・ドーヴァー海峡では、神裂火織らイギリス清教派や騎士派が、海面を塩で固化させて進軍してくるフランスの魔術師たちと激突した。
・イギリスの第二王女キャーリサは、強引にイギリス領を拡張する「移動要塞グラストンベリ」を投入してカーテナの力を引き出し、フランス軍へ反攻を開始する。
・対するフランスも、幽閉から解き放たれた軍師「傾国の女」が聖剣デュランダルを振るってキャーリサと直接剣を交えるという、熾烈な死闘が繰り広げられた。
4. 暴走する戦争と民間人への大量虐殺の危機
戦争の混乱は、前線の兵士だけでなく罪のない民間人にも多大な犠牲と危機を強いた。
・ロシア軍上層部は、自国の核発射施設を学園都市から防衛するため、周辺住民に避難勧告も出さずに殺人細菌兵器「細菌の壁」を散布しようとする「クレムリン・レポート」という非道な作戦を立案・実行に移そうとした。
・さらにロシア軍の独立部隊(ニコライ=トルストイの派閥)は、旧ソ連製の戦略核弾頭の核物質を移し替えた「交換弾頭」を空飛ぶ要塞「ベツレヘムの星」へ向けて発射した。
・高高度での核爆発によって地球全体を死の灰で汚染しかねない暴挙に出ようとした。
5. 天空の要塞と大天使の降臨
フィアンマは計画の最終段階として、世界各地の教会や修道院の建築物を強引にかき集めて融合させた、巨大な天空の城「ベツレヘムの星」をロシア上空に浮上させた。
・さらってきたサーシャ=クロイツェフを媒体として、大天使「神の力(ミーシャ=クロイツェフ/ガブリエル)」を不完全ながらも召喚する。
・ミーシャは学園都市の航空部隊や地上の機甲部隊に対し、数十センチから100メートルを超える無数の「氷の翼」を振るった。
・地形ごと抉り取る「一掃」の術式を投下するなど、文字通り人智を超えた無差別な破壊の嵐を浴びせた。
6. 戦火に集う三人の少年たち
この理不尽で強大な戦争の中心地であるロシアの雪原へ、全く異なる事情を抱えた三人の少年が集結した。
・上条当麻:昏睡状態のインデックスを救うためにフィアンマを追う。
・一方通行(アクセラレータ):打ち止めを救済する鍵となる羊皮紙を求めて学園都市の暗部や天使と死闘を繰り広げる。
・浜面仕上:滝壺理后の治療法を探しながら、集落の民間人を守るために無能力者でありながら強大な軍事力に立ち向かう。
まとめ
第三次世界大戦は、右方のフィアンマの個人的な野望によって引き起こされた世界規模の悲劇であったが、同時に科学と魔術の粋を集めた戦いでもあった。破滅へと向かう世界の中で、上条当麻、一方通行、浜面仕上の三人の少年たちがそれぞれの守るべき存在のために命を懸けて戦った。彼らの想いが交差したことで、この絶望的な世界大戦を終結へと導く奇跡がもたらされたのである。
右方のフィアンマ
『とある魔術の禁書目録』において、世界規模の争いとなった「第三次世界大戦」を引き起こした真の黒幕である右方のフィアンマについて解説する。
神の右席のリーダーとして君臨し、人智を超えた異能と冷酷な謀略で世界を破滅の危機に陥れた男の目的と、その圧倒的な力について紐解いていく。
1. 神の右席の最後の一人と戦争の引き金
・右方のフィアンマは、ローマ正教の暗部組織「神の右席」の実質的なトップであり、自らの計画であるプロジェクト=ベツレヘムを成就させるため、ロシア成教やロシア軍を背後で操り第三次世界大戦を引き起こした。
・彼は自らの行動が絶対的な善の到来を意味していると確信しており、目的のためには手段を選ばず、世界中を混乱と戦火に巻き込んだ。
2. 圧倒的な能力である第三の腕
・彼が保有しているのは、右腕そのものではなく、右腕に備わっているべき十字教の力を具現化した異形の「第三の腕」である。
・この力は「神の如き者(ミカエル)」に由来し、敵を倒すために、振れば当たるため速度は不要、触れれば終わるため破壊力は不要、という常識を無視した反則的な強さを誇る。
・しかし、この右腕には使用制限(ストック)があり、力を使いすぎると空中分解を起こして崩壊してしまうという弱点を抱えていた。
3. インデックスの知識の悪用と大天使の召喚
・フィアンマは自身の力の制限をなくし、計画を完全なものにするため、イギリスからインデックスの持つ10万3000冊の魔道書の知識を自由に引き出す「遠隔制御霊装」を強奪した。これによりインデックスは意識不明の重体となる。
・さらに、かつて大天使の媒体となったロシア成教のシスター、サーシャ=クロイツェフを誘拐した。
・大天使「神の力(ガブリエル / ミーシャ=クロイツェフ)」を不完全ながらも召喚・使役し、学園都市の軍勢や上条たちを圧倒する戦力として投入した。
4. 巨大要塞であるベツレヘムの星と真の目的
・彼の計画の最終段階は、世界各地の教会や修道院の建築物をかき集めて融合させた巨大な天空の城「ベツレヘムの星」を、ロシア上空に浮上させることであった。
・彼は大天使の力で夜空の星を消し、ベツレヘムの星だけを天空に浮かべることで、世界全体の四大属性の配置を再設定する大規模な儀式を実行する。
・これによって世界の属性の歪みを正し、自らの正しい力を万全に発揮できる状態を作り出そうとした。
5. 上条当麻との対峙
・フィアンマの計画を完成させるための最後のピースは、あらゆる異能を打ち消す上条当麻の右腕(幻想殺し)であった。そのため、彼はあえて上条をベツレヘムの星へと招き入れる。
・上条は、自らの目的のために世界中を戦火に巻き込み、インデックスを苦しめ続けるフィアンマのやり方に激しい怒りを抱いた。
・インデックスを救うため、そして理不尽な戦争を終わらせるために彼に真っ向から立ち向かっていく。
まとめ
右方のフィアンマは、自らの歪んだ正義感と絶対的な力を背景に、全世界を巻き込む大戦を引き起こした。大天使の召喚や要塞の浮上によって世界の再構築を目論んだ彼であったが、その傲慢な計画は、守るべき者のために立ち上がった上条当麻との宿命的な決戦へと引き継がれ、物語の結末を左右する最大の山場を迎えることになる。
上条当麻
『とある魔術の禁書目録』において、上条当麻は物語の中心となる主人公であり、あらゆる異能の力を打ち消す「幻想殺し(イマジンブレイカー)」を右手に宿す学園都市の高校生である。第三次世界大戦が勃発する中、彼のロシアでの過酷な戦いと人々との関わりについて解説する。
インデックスを救うという強い目的を胸に、極寒の地で目の前の理不尽に立ち向かう彼の足跡を追う。
1. ロシアへの潜入と目の前の人々への救済
・上条のロシアでの目的は、遠隔制御霊装によってインデックスを意識不明に陥らせた元凶である右方のフィアンマを追い、インデックスを救い出すことである。
・イギリスの結社予備軍「新たなる光」の少女・レッサーと合流した上条は、彼女のサポートを受けながら広大なロシア雪原を進む。
・彼は世界規模の戦争の最中であっても、目の前で苦しむ人々を見過ごすことはない。
・ロシア成教の魔術師たちによって強制収容所へ連行される集落の住民たちを目撃した上条は、レッサーの霊装「鋼の手袋」を使って上空の超音速爆撃機を掴み、猛烈な空気摩擦で大地を削り取ることで空爆に偽装するという機転を利かせた。
・これにより魔術師たちを追い払い、住民たちを解放した。
2. 一方通行との激突と彼が示すヒーロー像
ロシアの雪原で、上条は暴走する学園都市第一位の超能力者・一方通行と対峙した。
・打ち止め(ラストオーダー)を救えず絶望し、ヒーローへの理不尽な怒りを向けてくる一方通行に対し、上条はヒーローなんか必要ないと真っ向から言い放つ。
・上条は、黒い翼の猛攻を掻いくぐりながら、特別なポジションや理由がなくても盾になるように立ち塞がって構わないと叫び、一方通行の顔面に拳を叩き込んだ。
・善悪に関係なく、自分の人生や守りたいものは自分自身で選べと説教し、一方通行が抱えていた幻想や迷いを打ち砕いた。
・戦闘後、気絶した一方通行の傍らにいた打ち止めの額に右手を当てて彼女の容体を一時的に安定させ、救済の手がかりとなる「禁書目録(Index-Librorum-Prohibitorum)」のメモを残して去っていった。
3. フィアンマとの対峙と天空の要塞であるベツレヘムの星
エリザリーナ独立国同盟で、上条はついに右方のフィアンマと遭遇した。
・地形を切り裂くほど巨大な大剣の一撃を右手で受け止めたが、フィアンマの真の狙いが上条の右腕と天使の媒体であるサーシャ=クロイツェフであることを知らされる。
・その後、フィアンマが世界中の教会建築などをかき集めてロシア上空に浮上させた巨大要塞「ベツレヘムの星」に、上条は地盤ごと取り込まれてしまう。
・要塞内で大天使「神の力(ガブリエル / ミーシャ=クロイツェフ)」の理不尽な破壊の嵐を目の当たりにしながらも、上条はインデックスを解放するために要塞の奥へと歩みを進めた。
4. 理不尽な善との決戦
・フィアンマは自らの計画を絶対的な善の到来と信じ、そのために戦争を引き起こし、インデックスや多くの人々が苦しむことすら当然と考えていた。
・上条は、インデックスが苦しんでいるのに立ち上がりたいと思うことはそんなにおかしい事かと強く反発する。
・記憶を失ってから自分がインデックスのためについてきた嘘が本当に彼女の救いになっていたのかと苦悩することもあったが、ただ助けたいから助けるという自身の根源的な想いを再確認し、迷いを振り払った。
・上条当麻は、インデックスの遠隔制御霊装を破壊し、世界を歪めるフィアンマの正しい力を打ち砕くため、右拳を強く握り締めて最後の決戦へと挑んでいく。
まとめ
上条当麻のロシアでの戦いは、大国や組織の思惑を越え、ただ目の前の一人を救うという純粋な意志によって駆動している。絶望に狂う一方通行を拳で救い、世界規模の儀式を目論むフィアンマの理不尽な正義に立ち向かうその姿は、大戦の行方をも変える大きな力となり、天空の要塞ベツレヘムの星における最終決戦へと繋がっていくのである。
一方通行
『とある魔術の禁書目録』における、学園都市第一位の超能力者「一方通行(アクセラレータ)」について解説する。
彼は物語の中で、かつての過ちに対する贖罪と、たった一人の少女を守るための過酷な戦いを通じて、自らの在り方を大きく変化させていく極めて重要なキャラクターである。
1. 学園都市の暗部での活動と悪党としての矜持
学園都市で最強の超能力者である彼は、過去の事件で脳に損傷を負い、ミサカネットワークを介したチョーカー型電極の補助なしには能力を使えない体となっている。
・彼は学園都市の暗部組織「グループ」に所属し、街の裏側で汚れ仕事を引き受けている。
・世界最大の粒子加速装置「フラフープ」がテロリストに占拠された事件では、圧倒的な力で敵を鎮圧した。
・自らをクソッたれの悪党と称し、冷酷に敵を排除する一方で民間人や人質を巻き込まないように配慮する姿が描かれている。
2. 打ち止め(ラストオーダー)の救済とロシアへの過酷な旅
彼の最大の行動理念は、かつて実験で殺害し続けた「妹達(シスターズ)」の統括個体である打ち止めの命を守り抜くことである。
・謎の存在「エイワス」の出現により脳に多大な負荷を受け、命の危機に瀕した打ち止めを救うため、彼は学園都市を脱出した。
・世界規模の戦争が勃発している極寒のロシアへと足を踏み入れる。
・ロシアの雪原で軍用兵器やロシア成教の魔術師たちと交戦しながら、治療の鍵となる「羊皮紙」を入手し、彼女を救うためのわずかな希望にすがりつく。
3. 番外個体(ミサカワースト)の襲撃と精神崩壊
ロシアでの逃亡中、学園都市が彼を抹殺し精神を完全にへし折るためだけに送り込んだ刺客「番外個体」と遭遇する。
・彼女は第三次製造計画で生み出された妹達と同じ顔を持つクローンであり、一方通行の「二度と妹達を殺さない」というトラウマを徹底的に刺激した。
・打ち止めを守るためには番外個体を殺さなければならないという絶望的な二択を突きつけられる。
・苦悩の末に番外個体を惨殺しかけた一方通行は、己の無力さと学園都市の悪意に絶望し、精神を崩壊させて「黒い翼」を暴走させてしまった。
4. 上条当麻との激突と善悪の呪縛からの解放
暴走状態のまま理不尽な世界への憎悪を撒き散らす一方通行は、偶然通りかかった上条当麻と激突した。
・一方通行は、なぜヒーローであるお前が打ち止めを助けてくれないんだ、と八つ当たりに近い怒りをぶつける。
・上条はそれを真っ向から否定し、ヒーローなんか必要ない、目の前で泣いている人を助けたいと思うだけで立ち上がっていい、と言い放った。
・善人や悪人などのポジションは関係なく、自分が胸を張れるものを自分で選べと説教され、拳を叩き込まれる。
・この戦いを通じて、一方通行は自身が善や悪といった枠組みに囚われていたことに気づき、迷いを断ち切られた。
5. 天使との激闘と真の守護者への覚醒
迷いを払拭した一方通行は、倒れていた番外個体とも和解し、共に打ち止めを救うための行動を再開した。
・右方のフィアンマによって召喚された大天使「神の力(ガブリエル / ミーシャ=クロイツェフ)」がロシア上空で暴れ回る中、彼は「科学の天使」である風斬氷華と共闘して大天使に挑む。
・大天使が自爆的な大爆発(純白の閃光)を引き起こした際、一方通行は風斬から託された莫大な力をベクトル操作で制御し、透明な壁を作り出した。
・爆発を球状に封じ込めて被害を防ぐという離れ業を成し遂げる。
・これにより、単なる悪党としての自己嫌悪から脱し、どんな理不尽な現実であっても自らの手で大切なものを守り抜くという強固な意志を持つ存在へと成長を遂げた。
まとめ
一方通行のロシアでの戦いは、己を悪と規定して苦悩する日々からの脱却の物語である。上条当麻との再戦によって善悪の固定観念から解放された彼は、番外個体を受け入れ、科学と魔術の天使たちが激突する戦場で人々を守るために力を振るった。一人の少女の命を救うための旅路は、彼をただの破壊者から、自らの意志で大切なものを守り抜く真の守護者へと覚醒させることとなった。
浜面仕上
『とある魔術の禁書目録』の物語において、無能力者(レベル0)でありながら、たった一人の愛する少女を守るために世界規模の戦火へ身を投じ、「第三の主人公」として活躍する浜面仕上(はまづらしあげ)について解説する。
超能力も魔術も持たない一人の少年が、極限の戦場でいかにして大切な存在を守り抜き、計画の枠組みを越えた存在へと至ったのか、その軌跡を追う。
1. 無能力者の不良からイレギュラーな存在へ
浜面は元々、学園都市の不良集団「スキルアウト」のリーダーであり、その後は暗部組織「アイテム」の雑用係としてこき使われるちっぽけな存在であった。
・アイテムが崩壊の危機に陥った際、能力促進剤「体晶」の副作用で崩壊寸前だった少女・滝壺理后を守るため、学園都市第四位の超能力者である麦野沈利と死闘を演じ、見事に打ち倒した。
・アレイスターの計画において「本来死ぬはずだった因子」である彼は、この勝利によって予測不能なイレギュラーとして学園都市から命を狙われるようになる。
2. ロシアでの泥臭い戦いと集落の防衛
学園都市の追手から逃れ、滝壺を治療するための交渉材料を手に入れるべく、浜面は極寒のロシアへと逃亡した。
・その逃走中、立ち寄った集落がロシアの外国人傭兵部隊「プライベーティア」に襲撃されるが、彼は自分たちだけが助かればいいとは考えず、民間人を見捨てずに戦うことを選ぶ。
・特別な力を持たない彼は、廃棄された対戦車地雷を手榴弾のように使ったり、瓦礫に埋もれた壊れかけの高射砲を掘り起こしたりと、己の命を懸けて泥臭く強大な軍事力に立ち向かっていった。
3. 英雄の叱咤と細菌兵器の阻止
絶体絶命の危機を、元「神の右席」である後方のアックアに救われた浜面であるが、直後にアックアは力を使い果たし、自らの死を受け入れようとする。
・浜面は瀕死の英雄の襟首を掴み、アンタを待つ人達の泣き顔を見て笑みを作るようなくだらねえモンなのか、と激しく叱咤し、彼を再び立ち上がらせた。
・さらに浜面は、ロシア軍が核施設を防衛するために周辺一帯へ殺人ウィルスをばら撒く計画(クレムリン・レポート)を知ると、集落の人々を救うため、工作部隊が設置した細菌散布装置の破壊へと単身で向かった。
4. 麦野沈利との再戦と己の自覚
ロシアの地で、浜面は執念深く追跡してきた麦野沈利と再び対峙することになる。
・浜面は、かつて第四位の超能力者を撃破したことが単なる偶然と奇跡の産物であり、自分が劇的に成長したわけではない「三流のチンピラ」のままであると痛いほど自覚している。
・しかし、それでも彼は絶望することなく、ただの浜面仕上として、この少女の笑顔を守れる男になりたいという純粋な想いだけを胸に、圧倒的な怪物へと何度でも立ち向かっていく。
5. エイワスが認めた第三のヒーロー
人智を超えた存在であるエイワスは、上条当麻や一方通行と並べて、浜面仕上のことを高く評価している。
・誰にも選ばれず、資質らしいものを何一つ持っていなくても、たった一人の大切な者のためにヒーローになれる者、と位置づけられた。
・彼は、異能を打ち消す力も、世界最強の超能力も持っていない。
・しかし、己の弱さを知った上で、大切な者を守るために絶対に諦めずに立ち上がる、最も人間臭く熱い信念を持った主人公である。
まとめ
浜面仕上の戦いは、特別な才能や使命を持たない凡人が、ただ大切な人を守りたいという一心で世界の理不尽に抗う物語である。ロシアの地で強大な軍隊や超能力者に生身で立ち向かい、さらには絶望した英雄すら動かした彼の泥臭い奮闘は、力なき者が示す真の強さであり、大戦の裏側で世界を救うもう一つの大きな力となったのである。
上条・一方通行・浜面の共闘
『とある魔術の禁書目録21』において、上条当麻、一方通行(アクセラレータ)、浜面仕上の三人の主人公が直接顔を合わせて手を組み、共に戦う共闘の場面は描かれていない。上条と一方通行が激突したり、浜面と一方通行が誤解から交戦したりと運命が交差することはあっても、彼らはそれぞれ別々の場所で自身の戦いを繰り広げている。
しかし、彼らがそれぞれ「自分にとって最も大切な一人の少女(インデックス、打ち止め、滝壺理后)を救う」という純粋な目的のために足掻いた結果、三人の行動が間接的に繋がり、世界を滅ぼしかねない大天使「神の力(ミーシャ=クロイツェフ)」を撃破するという結果的な共闘を果たしている。
その一連の流れは以下の通りである。
1. 浜面仕上と後方のアックアによる土台作り
右方のフィアンマによって召喚された大天使の理不尽な破壊 of 嵐に対し、後方のアックアは自らの肉体を媒体として強引に天使の力の半分を吸収し、大天使の力を削ぎ落とした。
・力を使い果たして死を受け入れようとしたアックアであったが、そこに駆けつけた浜面が、アンタを待つ人達の泣き顔を見て笑みを作るようなくだらねえモンなのか、と激しく叱咤する。
・この浜面の言葉によってアックアは再び立ち上がり、英雄として反撃のための土台を維持した。
2. 上条当麻による大天使の維持装置の破壊
天空の巨大要塞ベツレヘムの星の内部にいた上条は、大天使が要塞浮上後にしか出現しなかったことから、要塞内に大天使を維持するための何かがあることに気づく。
・彼は儀式場へ向かい、外部から力を呼び込むための「白と黒の液体が流れる柱」を幻想殺し(イマジンブレイカー)で次々と破壊した。
・これにより、大天使の存在の根幹を崩壊させた。
3. 一方通行による大天使の自爆の封じ込め
アックアに力を削られ、上条に存在の基盤を破壊された大天使は、莫大な力の塊に戻って自爆(純白の閃光)を引き起こそうとした。
・打ち止めを守り抜く決意を固めた一方通行は、共に戦っていた「科学の天使」である風斬氷華の莫大な力を受け取る。
・自身のベクトル操作によって透明な壁を作り出した。
・大天使の自爆を球状の空間内に完全に封じ込め、被害を外へ出すことなく大天使を霧散させた。
まとめ
三人の少年は互いの戦いを知る由もなかったが、目の前の大切な少女を救いたいという三者三様の強き想いが戦場でリレーのように繋がり、結果として強大な大天使を退けるという奇跡的な共闘を成し遂げた。直接言葉を交わさずとも、それぞれの信念に基づいた行動が世界の危機を救う決定打となるという、本作の象徴的な群像劇の極みがここにある。
ベツレヘムの星の浮上
『とある魔術の禁書目録』の物語における最大の転換点であり、右方のフィアンマが引き起こした巨大要塞「ベツレヘムの星」の浮上について解説する。
第三次世界大戦の背後に隠されたフィアンマの計画が最終段階に入り、地上の戦火を置き去りにするほどの圧倒的な異能の要塞がロシアの上空へ姿を現した。
1. ベツレヘムの星の形成
ベツレヘムの星は、右方のフィアンマが自身の計画であるプロジェクト=ベツレヘムを成就させるために構築した巨大な天空の要塞である。
・フィアンマは、イタリアの聖マリア教会、フランスのモン=サン=ミシェル修道院、インドの聖ヨセフ教会など、世界中にあるローマ正教の教会や修道院から重要な建築物や物品を強引に引き剥がし、ロシアの軍事基地へと飛来させた。
・それらが複雑に絡み合い、自己膨張するサイクルを完成させる。
・補給なしに拡張を続ける一辺10キロ以上にも及ぶ規格外の巨大構造物へと変貌した。
2. 大地を抉る浮上とロシア成教の裏切り
・ロシア成教のニコライ=トルストイ司教は、要塞建造用の術式にトラップを仕込んで要塞を人質にとり、フィアンマを従属させようと目論んでいた。
・しかしフィアンマは、インデックスの遠隔制御霊装を通じて得た10万3000冊の知識を活用し、そのトラップを難なく無効化してニコライを切り捨てる。
・フィアンマの合図とともに、上条当麻が立っていたロシアの大地(地下鉄の路線なども含む)ごと巨大な地盤が崩れるように持ち上がった。
・雲を突き抜けて上空数千メートルへと浮上した。
3. 浮上の真の目的
フィアンマにとってベツレヘムの星を浮かべることは、最終目的を達成するための「お膳立て」に過ぎなかった。
・彼は大天使「神の力(ガブリエル / ミーシャ=クロイツェフ)」を呼び出して夜空からすべての星を消した。
・不完全な天空にベツレヘムの星だけを浮かべるという大規模な儀式を計画していた。
・これにより、世界全体の四大属性の配置を再設定して世界の歪みを正し、自らの正しい力を万全に発揮できる状態を作り出すことが真の目的であった。
4. 浮上に対する各陣営の反応
・上条当麻:要塞の浮上に巻き込まれ、大空へ閉じ込められてしまう。インデックスを救うため、そしてフィアンマの野望を阻止するために要塞の奥深くへと進んでいく。
・御坂美琴:ハイジャックした学園都市の超音速爆撃機に乗っていた際、雲の中から街一つが浮上したような要塞の出現を目撃した。その先端に上条らしき姿を発見し、ニコライ率いるロシア軍の独立部隊が要塞に向けて核弾頭を撃ち込もうとしていることを知ると、彼を救うために行動を開始する。
・ニコライ=トルストイ:フィアンマに利用された挙句に裏切られたことに激怒し、ロシアの国土が死の灰で汚染される危険も顧みず、旧ソ連製の戦略核弾頭を使ってベツレヘムの星を撃墜しようと暴走した。
まとめ
ベツレヘムの星の浮上は、世界中の聖なる建築物を融合させて物理法則を書き換えるという、魔術サイドの歴史上でも類を見ない規模の儀式である。この天空の要塞の出現により、世界の命運を懸けた戦いは地上から空中へと舞台を移し、囚われたインデックスを救うべく挑む上条当麻と、絶対的な善を標榜する右方のフィアンマによる最終決戦の幕が切って落とされることとなった。
大天使ミーシャの降臨
『とある魔術の禁書目録』において、第三次世界大戦の戦局を根底から覆し、全人類に絶望を与えた大天使「神の力(ミーシャ=クロイツェフ / ガブリエル)」の降臨と、その圧倒的な脅威について解説する。
科学と魔術の粋を集めた近代兵器すら子供の玩具のように一蹴する絶対的な存在の出現により、戦場は人間同士の戦争から神の災厄への抵抗へと変貌を遂げた。
1. 大天使の降臨と異形の姿
右方のフィアンマは、自身のプロジェクト=ベツレヘムを成就させるため、さらってきたサーシャ=クロイツェフを媒体とし、天空の要塞「ベツレヘムの星」を儀式場として大天使ミーシャ=クロイツェフを呼び出した。
・顕現したミーシャは、身長2メートル前後の女性的なシルエットを持ちながらも、肌と装束の区別がないスベスベした白い布のような体表をしていた。
・顔には目・鼻・口の器官がなく、凹凸だけでそれらが表現されていた。
・背中からは数十センチから100メートル以上にも及ぶ不揃いな「氷の翼」が100本前後生えているという、神々しくも不気味な異形であった。
2. ロシアの空と大地での圧倒的な蹂躙
・フィアンマの命令を受けたミーシャは、人間の言葉ではなく機械的な音声を呟きながら、学園都市軍とロシア軍を敵味方の区別なく無差別に蹂躙し始めた。
・大空では、学園都市の誇る全長80メートル超の超音速爆撃機(HsB-02)や無人戦闘機を巨大な翼の一振りで真っ二つに両断した。
・地上へ降下しては巨大なスタンプを押すように機甲部隊を粉砕していった。
・それはもはや人間同士の戦争という概念を無意味にする、本物の災厄であった。
3. 人類の最高戦力との激突
この圧倒的な存在に対し、各陣営の最強クラスの戦力が立ち向かった。
・キャーリサと傾国の女の共闘:地上の兵士たちを守るため、イギリスの第二王女キャーリサとフランスの聖女「傾国の女」が正面から大天使に突撃した。カーテナとデュランダルで氷の翼を斬り飛ばすが、ミーシャの掌には傷一つつけられなかった。ミーシャは予兆を操作するデコイ攻撃などを駆使し、キャーリサのカーテナの欠片を破砕するほどの重圧を与えるが、キャーリサは地対空ミサイルでベツレヘムの星本体を狙うことでミーシャの標的を強引に逸らし、兵士たちの撤退の時間を稼いだ。
・科学の天使である風斬氷華との天空戦:ミーシャの暴走を止めるため、学園都市のAIM拡散力場の集合体である風斬氷華が友達を守るために飛来した。同じ天使に似た者同士として空中で激突し、巨大な衝撃波を撒き散らしながら拮抗する。戦闘の中、風斬はミーシャの内部に水と油のような異なるフォーマットの力が強引に混ざっていることを見抜いた。
・一方通行(アクセラレータ)への一掃:フィアンマの計画の最後のピースである羊皮紙の匂いを察知したミーシャは、一方通行の乗る車へ急降下した。一方通行は反射を用いて戦いに割って入るが、ミーシャは半径2キロの領域に数千万の破壊の礫を降らせる「一掃」の術式を投下し、学園都市第一位に回避も防御も許さず重傷を負わせた。
4. 大天使の崩壊と結果的な共闘
単独の力では誰も止められないかに見えた大天使であるが、三人の少年と一人の英雄による結果的な共闘によって打倒される。
・後方のアックアが自らの肉体を引き裂きながら天使の力を強引に吸収して総量を削った。
・上条当麻が要塞の儀式場にあった大天使の維持装置(白と黒の液体が流れる柱)を破壊した。
・力の供給と基盤を失い、単なる莫大な力の塊に戻って純白の閃光(爆発)を引き起こそうとしたミーシャを、風斬から力を託された一方通行がベクトル操作の透明な壁で球状に封じ込めた。
・これにより、ついに大天使ミーシャは完全に霧散し、その脅威は去った。
まとめ
大天使ミーシャの降臨は、人間の技術や魔術の限界を突きつける絶望的な事件であった。しかし、その理不尽な神の力に対し、イギリスやフランスの最高戦力が時間を稼ぎ、風斬氷華が拮抗し、最終的には浜面が動かしたアックア、上条当麻、一方通行の三人の少年たちの意志が間接的に繋がったことで撃破に成功した。この大天使との死闘とその決着は、個々の小さな輝きが連鎖して神の奇跡を打ち破るという、第三次世界大戦における最大のハイライトである。
とある魔術の禁書目録(20)レビュー
【とある魔術の禁書目録】あらすじ・ネタバレ・まとめ
とある魔術の禁書目録(22)レビュー
登場キャラクター
学園都市
上条当麻
インデックスを救うため、右方のフィアンマを追ってロシアを走る少年。あらゆる異能の力を打ち消す「幻想殺し」の右手を宿す。
・所属組織、地位や役職
学園都市の高校生。
・物語内での具体的な行動や成果
レッサーと共にフィアンマの基地へ向かい、浮上する要塞『ベツレヘムの星』に取り込まれる。大天使の維持装置である柱を破壊した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
儀式場へ辿り着き、遠隔制御霊装を破壊するためフィアンマと対峙する。
浜面仕上
滝壺理后を救うための交渉材料を探し、戦場を奔走する無能力者の少年。理不尽な暴力に憤り、集落を守るため自らを犠牲にする覚悟を持つ。
・所属組織、地位や役職
学園都市の無能力者。
・物語内での具体的な行動や成果
ロシア軍の細菌兵器散布計画を知り、装置を破壊するため行動を起こした。後方のアックアを激しく叱咤し、再び立ち上がらせる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
細菌兵器の散布を学園都市軍の爆撃によって免れるが、滝壺に偽装した麦野沈利に襲撃される。
滝壺理后
浜面と行動を共にする少女。能力の使用による副作用で身体を蝕まれているが、浜面や集落の人々を守るために戦う意思を示す。
・所属組織、地位や役職
学園都市の能力者。
・物語内での具体的な行動や成果
エリザリーナの治療によって体内の毒素を取り除かれ、危機を脱した。軍事資料を読み解き、細菌兵器による攻撃計画を発見する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
症状が改善し、自力で行動できるまでに回復している。
一方通行(アクセラレータ)
打ち止めを救うための鍵を求め、ロシアへやってきた超能力者。かつて敵対した番外個体と共闘し、学園都市への反抗を試みる。
・所属組織、地位や役職
学園都市第一位の超能力者。
・物語内での具体的な行動や成果
スパイから情報を引き出し、羊皮紙を求めてロシア軍の前線基地を襲撃する方針を固めた。風斬氷華と共に大天使ミーシャと激突する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
大天使の爆発を封じ込め、被害を防ぐ役割を果たす。
打ち止め(ラストオーダー)
一方通行に保護されている少女。過酷な状況下で意識を失っており、自力での行動ができない状態にある。
・所属組織、地位や役職
『妹達』の統括個体。
・物語内での具体的な行動や成果
ミサカネットワークにかかる莫大な負荷の影響で衰弱している。エリザリーナ独立国同盟の野戦病院に預けられた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
彼女の救済が、一方通行の戦う最大の動機となっている。
番外個体(ミサカワースト)
一方通行を狙って送り込まれた体細胞クローン。戦闘で負傷し、一方通行から協力を持ちかけられて行動を共にする。
・所属組織、地位や役職
第三次製造計画によって作られた個体。
・物語内での具体的な行動や成果
スパイの尋問に立ち会い、ロシア軍の行動の不自然さを指摘した。一方通行と共に大天使の攻撃へ直面し、車の運転などを担当する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
学園都市の思惑から外れ、一方通行と握手を交わして和解に至る。
麦野沈利
浜面仕上を執念深く追いかける超能力者の少女。片腕と片目を失った状態でも、圧倒的な戦闘能力を保ち続けている。
・所属組織、地位や役職
学園都市第四位の超能力者。
・物語内での具体的な行動や成果
超音速爆撃機に乗ってロシアへ飛来した。雪煙の中で滝壺理后の姿に偽装し、油断した浜面を急襲する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
『原子崩し』による強烈な一撃を放ち、上空の戦闘機をかすめるほどの脅威となる。
御坂美琴
上条当麻を追ってロシアへ向かった超能力者。人々を助けるための戦いに迷いを持たず、核攻撃の危機に立ち向かう。
・所属組織、地位や役職
学園都市第三位の超能力者。
・物語内での具体的な行動や成果
超音速爆撃機を乗っ取り、ロシア上空でベツレヘムの星を発見した。機体が破壊された後は磁力を利用して雪原へ無事に降下する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
妹達から核弾頭発射の計画を知らされ、それを阻止するため発射地点へ向かう。
御坂一〇七七七号
ロシアの戦場で御坂美琴と遭遇したクローン兵士。任務を終え、自由な時間を過ごしていると語る。
・所属組織、地位や役職
学園都市の兵士(妹達の一人)。
・物語内での具体的な行動や成果
ロシアの学園都市協力機関からの撤退戦を終えた後、美琴の背後に現れた。私的な理由で行動する美琴に問いかけを行う。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
アサルトライフルを装備しているが、戦闘の意思は見せていない。
風斬氷華(ヒューズ=カザキリ)
友達を守るために戦地に現れた、科学側の天使。紫電を散らす無数の翼を背に生やし、人としての輝きを瞳に宿す。
・所属組織、地位や役職
AIM拡散力場の集合体。
・物語内での具体的な行動や成果
大天使ミーシャと互角の戦いを繰り広げ、モノレールに乗る上条を救った。一方通行と共闘し、莫大な力を彼へ託す。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
かつて他者に操られていた状態とは異なり、自身の意思で戦場に立っている。
亀山琉太
日本海上空でロシア軍と交戦する兵士。敵機を撃墜する際、相手に対して語りかける余裕を見せる。
・所属組織、地位や役職
学園都市のパイロット。
・物語内での具体的な行動や成果
通信を通じて、レーザーによる攻撃で敵機を撃墜することを宣言した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
圧倒的な兵器の性能を背景に、ロシア軍を制圧する役割を担う。
妹達(シスターズ)
御坂美琴と通信を行い、情報収集や作戦の提案を行うクローンたち。感情を交えずに的確な報告を実施する。
・所属組織、地位や役職
ミサカネットワークを構築する個体群。
・物語内での具体的な行動や成果
ロシア軍の通信を傍受し、独立部隊による核弾頭の発射計画を美琴へ報告した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ネットワークを通じて広範な情報を取得し、美琴の行動を支援している。
学園都市の部隊
ロシア軍を圧倒する技術力を持つ軍事組織。無人機や駆動鎧、超大型戦闘機など多彩な兵器を運用する。
・所属組織、地位や役職
学園都市の正規軍および暗部部隊。
・物語内での具体的な行動や成果
ロシア軍の基地を攻撃し、各地で戦線を押し上げている。細菌兵器を散布しようとする工作部隊を空爆によって壊滅させた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
大天使ミーシャの攻撃を受けた際は対抗できず、部隊は壊滅的な被害を受けた。
イギリス清教
インデックス
膨大な魔道書の知識を記憶する少女。遠隔制御霊装によって意識を奪われ、防衛装置として起動させられている。
・所属組織、地位や役職
イギリス清教の魔道書図書館。
・物語内での具体的な行動や成果
聖ジョージ大聖堂でステイルたちを敵と見なし、圧倒的な魔術による攻撃を展開した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
フィアンマによって知識を引き出され、彼の計画に利用され続けている。
ステイル=マグヌス
インデックスを止めるため、自身の限界を超えた魔術を行使する魔術師。彼女に負荷をかけない方法を模索しながら戦う。
・所属組織、地位や役職
イギリス清教の魔術師。
・物語内での具体的な行動や成果
聖ジョージ大聖堂の地下通路へ逃げ込み、霊装を用いて三体の『魔女狩りの王』を出現させて反撃を試みた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
インデックスの強大な力に追い詰められながらも、致命傷を避けて戦闘を継続している。
ローラ=スチュアート
イギリス清教のトップとして、状況を冷徹に判断する女性。インデックスの霊装を所持し、ステイルの行動を促す。
・所属組織、地位や役職
イギリス清教・最大主教。
・物語内での具体的な行動や成果
天井の崩落跡に姿を現し、遠隔制御霊装を使う意思を無言でステイルに示した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
彼女の介入がステイルに決断を迫り、戦場を移動させる要因となった。
シスター達
聖ジョージ大聖堂に滞在する通信や連絡を担う要員。ステイルの危機に際して援護を試みる。
・所属組織、地位や役職
イギリス清教の構成員。
・物語内での具体的な行動や成果
地下霊装保管庫へ突入するが、インデックスの魔力感知による衝撃波でまとめて薙ぎ払われた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
インデックスの圧倒的な力の前になすすべもなく無力化される。
イギリス
キャーリサ
イギリスの第二王女。自国の資源や軍事力を冷静に計算しながら、大天使の脅威から民衆を守るために戦場に立つ。
・所属組織、地位や役職
イギリス王室・第二王女。
・物語内での具体的な行動や成果
大天使ミーシャへ突撃し、カーテナを用いて攻撃を防ぎ続けた。ミサイル部隊へベツレヘムの星への攻撃を命じる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
全身に深刻なダメージを負いながらも、撤退する兵士たちのための時間稼ぎを完遂する。
騎士団長(ナイトリーダー)
キャーリサの傍らで状況を分析する騎士。戦況を把握し、冷静な意見を述べる。
・所属組織、地位や役職
イギリスの騎士団長。
・物語内での具体的な行動や成果
イギリス清教の部隊が戦闘よりも負傷者の救出を優先している現状を報告した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
キャーリサと『傾国の女』の戦いを支援する立場として行動する。
新たなる光
レッサー
上条当麻をサポートしながらロシアを潜入する少女。軽い口調で深刻な状況を語り、柔軟な発想で戦局を乗り切ろうとする。
・所属組織、地位や役職
魔術結社予備軍『新たなる光』のメンバー。
・物語内での具体的な行動や成果
『鋼の手袋』を利用して移動し、学園都市の駆動鎧を奪う作戦を提案した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
上条が浮上する要塞に取り込まれた際、地上へ取り残されてしまう。
ローマ正教
右方のフィアンマ
第三次世界大戦を引き起こし、自らの目的を達成しようとする黒幕。他者を駒として扱い、世界を正しい形へ作り変えようと目論む。
・所属組織、地位や役職
ローマ正教最暗部『神の右席』の最後の一人。
・物語内での具体的な行動や成果
巨大要塞『ベツレヘムの星』を浮上させ、大天使ミーシャを召喚した。ニコライを切り捨て、星空を異様に変える儀式を実行する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
四大属性の配置を再設定し、正しい力を発揮するための準備を完了させた。
後方のアックア(ウィリアム=オルウェル)
傭兵として戦場に現れ、人々を救うために己の身を削る男。かつてはフィアンマと同じ組織に属していた。
・所属組織、地位や役職
元『神の右席』の一員。
・物語内での具体的な行動や成果
プライベーティアの基地を一人で壊滅させた。自らの肉体へ大天使の力を強引に吸収し、敵の戦力を弱体化させる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
魔術師としての力を失い倒れるが、浜面仕上の叱咤を受けて再び立ち上がる。
マタイ=リース
ローマ教皇としての地位を捨て、一人の信徒として平和のために行動する老人。暴力ではなく対話で人々を導く力を持つ。
・所属組織、地位や役職
前ローマ教皇。
・物語内での具体的な行動や成果
バチカンへ帰還し、暴動を起こした民衆を鎮静化させた。教皇の座を狙うペテロ=ヨグディスを許し、大書庫へ向かう。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
彼の深い慈愛と指導力は、暗殺者や暴徒たちをも平伏させるほどの影響力を持つ。
ペテロ=ヨグディス
教皇の座を狙い、混乱に乗じて権力を手に入れようとする男。自分の野心のために他者を犠牲にすることを厭わない。
・所属組織、地位や役職
ローマ正教の枢機卿。
・物語内での具体的な行動や成果
暴動を利用して自らの立場を固めようとしたが、帰還したマタイ=リースに圧倒される。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
マタイ=リースの寛大な態度に打ちのめされ、自らの過ちを悟り涙を流した。
ローマ正教の魔術師
ローマ教皇不在の中で行動する構成員たち。暴動の鎮圧などを命じられる。
・所属組織、地位や役職
ローマ正教の魔術師や僧兵。
・物語内での具体的な行動や成果
枢機卿からの命令に反発し、帰還したローマ教皇の指示に従う姿勢を見せた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
指導者の真の意思に触れ、武力を収めて付き従うようになる。
ロシア成教
サーシャ=クロイツェフ
フィアンマにさらわれ、大天使の媒体として利用された修道女。奇妙な拘束具のような衣装を身にまとっている。
・所属組織、地位や役職
ロシア成教の修道女。
・物語内での具体的な行動や成果
要塞内で上条当麻を襲撃するが、誤解が解けた後に儀式場での出来事や霊装に関する情報を提供した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
彼女の証言が、上条に大天使を維持する仕組みを解明する手掛かりを与える。
ニコライ=トルストイ
ロシア軍を動かし、フィアンマと協力関係にあった司教。自分の利益を優先し、他者を利用することに長けている。
・所属組織、地位や役職
ロシア成教の司教。
・物語内での具体的な行動や成果
魔術的な罠を仕掛けてフィアンマを脅迫するが、逆に対策されて手駒を失う。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
フィアンマに裏切られた報復として、独立部隊へ核弾頭の発射を命じる。
ワシリーサ
マタイ=リースと通信を交わす人物。ローマ教皇の意思を確認し、協力の可能性を探る。
・所属組織、地位や役職
ロシア成教の魔術師。
・物語内での具体的な行動や成果
病院で目覚めたマタイ=リースと連絡を取り合い、彼の利用価値について言及した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
直接的な戦闘描写はないが、上層部の情報伝達に関与している。
ロシア成教の魔術師
ニコライの手駒として要塞建造に協力させられていた術者たち。フィアンマの儀式場に配置されていた。
・所属組織、地位や役職
ロシア成教の構成員。
・物語内での具体的な行動や成果
要塞の建造に不可欠な術式を担当していたが、フィアンマによって役割を終えたとされる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
フィアンマの裏切りにより、一方的に処分される運命をたどる。
エリザリーナ独立国同盟
エリザリーナ
独立国同盟を率い、傷ついた人々を助ける女性。魔術に関する深い知識を持ち、冷静な判断を下す。
・所属組織、地位や役職
エリザリーナ独立国同盟の代表。
・物語内での具体的な行動や成果
重傷を負いながらも滝壺理后の体内の毒素を取り除く治療を施した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
一方通行へ羊皮紙の解読が可能であることを示し、フィアンマの危険性について警告する。
エリザリーナ独立国同盟の兵士
同盟を守るために施設で働く人員たち。野戦病院の警護や設備の管理を担当している。
・所属組織、地位や役職
エリザリーナ独立国同盟の軍人。
・物語内での具体的な行動や成果
一方通行へエリザリーナの能力について説明し、スパイの尋問を行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
組織内にスパイが潜入していたため、情報漏洩の危機にさらされている。
ロシア
ディグルヴ
国境近くの集落で生活し、浜面と共に戦う男性。自らを助けてくれた者への恩を重んじる。
・所属組織、地位や役職
ロシアの集落の住民。
・物語内での具体的な行動や成果
高射砲の車両に乗り込み、襲撃してきたプライベーティアと交戦した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
逃亡を提案する浜面に対し、見捨てることに反発しながらも彼の決断を受け入れる。
グリッキン
空軍基地での内勤経験を持つ兵士。学園都市に対する恐怖を抱えながらも、集落の人々を守ろうとする。
・所属組織、地位や役職
ロシア軍の兵士。
・物語内での具体的な行動や成果
行方不明の女の子を探す途中で工作部隊に襲われるが、浜面に救出される。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
浜面から携帯電話と捕虜を託され、集落の人々を避難させる役割を担う。
セリック=G=キールノフ
ロシアの機密任務を帯びて潜入した工作員。拷問の訓練を受けているが、未知の力には対応できない。
・所属組織、地位や役職
ロシア側のスパイ。
・物語内での具体的な行動や成果
一方通行と番外個体によって拘束され、ハッタリを用いた心理的圧力によって情報を吐かされた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
彼の証言から、ロシア軍が羊皮紙の回収を目論んでいることが判明する。
ロシア軍の女性パイロット
日本海上空で学園都市の兵器と戦う搭乗員。圧倒的な火力差に苛立ちを隠せない。
・所属組織、地位や役職
ロシア空軍のパイロット。
・物語内での具体的な行動や成果
学園都市の攻撃規模が防衛の範囲を超えていることに恐怖と怒りを感じながら交戦する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
大天使の広範囲な攻撃に巻き込まれる危機に直面する。
ロシア側のスパイ
エリザリーナ独立国同盟の施設内に潜伏していた工作員たち。情報の盗聴や誘導を行う。
・所属組織、地位や役職
ロシアの情報機関。
・物語内での具体的な行動や成果
負傷兵を装って通信機器を隠し持っていたが、一方通行に見破られて足を撃ち抜かれた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
彼らの存在により、ロシア軍の目的が軍事施設の内部情報にあることが発覚する。
プライベーティア(外国人傭兵部隊)
ディグルヴたちの集落を強襲した武装集団。高い軍事力を持ち、情け容赦ない攻撃を行う。
・所属組織、地位や役職
ロシア軍に雇われた傭兵部隊。
・物語内での具体的な行動や成果
攻撃ヘリや装甲車で集落を襲撃したが、後方のアックアによって基地ごと壊滅させられた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
彼らの脅威は取り除かれたものの、集落は別の危機に直面することになる。
ロシア軍の工作部隊
核発射施設を防衛するため、非公式の破壊工作や暗殺を専門に行う部隊。冷酷な判断で任務を遂行する。
・所属組織、地位や役職
ロシア軍の特殊部隊。
・物語内での具体的な行動や成果
細菌兵器を散布するため、スチームディスペンサーの設置作業を進めていた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
浜面を襲撃しようとするが、学園都市の爆撃によって設備ごと焼き払われる。
ロシア軍の歩兵
学園都市の部隊と最前線で戦う兵士たち。人知を超えた現象の前に戦意を喪失する。
・所属組織、地位や役職
ロシア軍の兵士。
・物語内での具体的な行動や成果
大天使ミーシャの無差別攻撃を受け、敵である学園都市の戦車兵と共に恐怖にすくんだ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
戦争という枠組みを破壊され、ただ死を待つだけの状況に追い込まれる。
集落の人々
戦争の被害を受け、エリザリーナ独立国同盟への加入を望んでいた住民たち。
・所属組織、地位や役職
国境付近のロシア民間人。
・物語内での具体的な行動や成果
プライベーティアの襲撃から逃れ、浜面や学園都市の部隊に保護された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ロシア軍による細菌兵器散布計画の標的となり、グリッキンの誘導で避難を急ぐことになる。
女の子
集落で生活する小さな子供。危険な雪の森へ一人で入り込んでしまう。
・所属組織、地位や役職
集落の住民。
・物語内での具体的な行動や成果
工作部隊の銃声を聞いて森の奥へ向かい、グリッキンに発見されて保護された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
彼女の存在が、グリッキンに逃走ではなく戦う覚悟を決めさせる一因となる。
女の子の母親
集落で子供を守りながら避難生活を送る女性。浜面と滝壺を気遣う。
・所属組織、地位や役職
集落の住民。
・物語内での具体的な行動や成果
浜面が集落に戻った際、ぐったりとした滝壺を抱えて出迎えた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
学園都市の部隊から逃れる浜面たちを見送る。
フランス
傾国の女
フランスの国益を守るため、大天使という強大な敵にも果敢に立ち向かう聖女。予兆を読み取る洞察力を持つ。
・所属組織、地位や役職
フランスの聖女。
・物語内での具体的な行動や成果
聖剣デュランダルを振るい、キャーリサと協力して大天使ミーシャの攻撃を凌ぎ続けた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ミーシャの攻撃が予兆を偽装していることを見抜き、戦術の修正を提案する。
天使・超常的存在
ガブリエル(神の力 / ミーシャ=クロイツェフ)
フィアンマによって呼び出された巨大な氷の翼を持つ大天使。人間の概念を理解せず、命令に従って圧倒的な破壊をもたらす。
・所属組織、地位や役職
四大天使の一角。
・物語内での具体的な行動や成果
学園都市の部隊を蹂躙し、範囲攻撃『一掃』を投下した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
アックアに力を奪われ、上条に基盤を破壊された後、一方通行の壁によって爆発を封じ込まれて消滅する。
エイワス
一方通行の回想に登場する、物理法則を超越した超自然的存在。
・所属組織、地位や役職
謎の存在。
・物語内での具体的な行動や成果
直接姿は見せないが、彼が一方通行へ与えた言葉がロシアへ向かうきっかけとなっている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ミサカネットワークへ莫大な負荷を与え、打ち止めが衰弱する原因を作った。
その他
フィレンツェの市民団体の男性
歴史遺産の保護活動を行っていた一般人。常識を超えた現象に遭遇する。
・所属組織、地位や役職
イタリアの市民団体。
・物語内での具体的な行動や成果
古い教会の尖塔が空へ引き抜かれ、ロシアの方向へ飛来していく光景を目撃した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
世界中で発生した異常現象の最初の目撃者の一人となる。
ローマの市民
バチカン市国周辺で生活し、戦争や情勢不安に不満を募らせている人々。
・所属組織、地位や役職
イタリアの一般市民。
・物語内での具体的な行動や成果
大規模な暴動を起こしてバチカンへ向かったが、マタイ=リースの説得によって武器を下ろした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
教皇の歩みに付き従い、平和を願う集団へと変化する。
暗殺者
混乱に乗じて教皇を排除しようとするプロの工作員。群衆の中に紛れ込んでいる。
・所属組織、地位や役職
ローマ正教などのエージェント。
・物語内での具体的な行動や成果
銃声でパニックを誘発しようとしたが、マタイ=リースの放つ重圧によって引き金を引けなかった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
教皇の強靭な意志の前に敗北し、任務を放棄せざるを得なくなる。
とある魔術の禁書目録(20)レビュー
【とある魔術の禁書目録】あらすじ・ネタバレ・まとめ
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展開まとめ
戦況報告
第三次世界大戦の拡大
第三次世界大戦の開戦
第三次世界大戦は開戦から十一日目を迎えていた。エリザリーナ独立国同盟の国境付近では戦火が続いており、日本海上空では学園都市とロシア軍による激しい戦闘が繰り広げられていた。
フィアンマ追跡への決意
ロシアの雪原を進む上条当麻とレッサーは、今回の戦争もフィアンマが背後で引き起こしたものだと考えていた。さらにフィアンマが禁書目録の知識と遠隔制御霊装を手に入れた時期と重なっていることを警戒しながらも、上条はフィアンマを倒してインデックスを救い出す決意を固めていた。
戦局を左右する交渉材料探し
浜面仕上と滝壺理后は盗難車で戦場を移動していた。二人は学園都市そのものを敵とするのではなく、戦争の中で戦局を左右できる交渉材料を探し出そうとしていた。
打ち止め救出への手掛かり
一方通行は意識を失いかけた打ち止めを抱えながら貨物列車に乗っていた。エイワスの出現によってミサカネットワークへ莫大な負荷が発生し、その影響が打ち止めにも及んでいた。一方通行は襲撃者から回収したトランクの中身を確認しながら、羊皮紙が打ち止めを救う突破口になるかもしれないと考えていた。
サーシャの奪取
上条とレッサーはフィアンマの計画を阻止するためサーシャ=クロイツェフを保護しようとしていた。しかしフィアンマはエリザリーナと前方のヴェントを撃破してサーシャを奪い去り、一〇万三〇〇〇冊の知識が上条を罰することになると告げて立ち去った。
集落への襲撃
容態が悪化した滝壺を治療するため、浜面はディグルヴに案内されて国境近くの集落の診療所へ向かった。しかしその集落は外国人傭兵部隊プライベーティアの襲撃を受けた。住民たちは空からの攻撃に追い詰められたが、高射砲を使って反撃する方法を模索していた。
番外個体の襲撃
羊皮紙の輸送先を追っていた一方通行と打ち止めは、学園都市側から襲撃を受けた。現れたのは第三次製造計画によって生み出された番外個体であり、旧シリーズを排除してネットワークを更新すると語っていた。
後方のアックアの参戦
高射砲の車両に乗る浜面は、攻撃ヘリが巨大な剣によって貫かれる光景を目撃した。炎上するヘリの残骸から現れた屈強な男は後方のアックアと名乗り、浜面たちへの助力を申し出た。
上条と一方通行の激闘
上条当麻と一方通行の戦いでは、一方通行の黒い翼が無数に分裂して襲い掛かった。上条はそれを右手で掴み、強引にねじ曲げて対抗した。その戦いを見ていたレッサーは、その現象が単純な説明だけでは片付けられないものだと感じていた。
禁書目録の手掛かり
戦いの後、一方通行が目を覚ますと打ち止めの近くにメモが残されていた。そこには禁書目録という言葉が記されており、新たな手掛かりとなっていた。
クレムリン・レポートの発覚
日本海上空では、ロシア軍の核施設防衛計画であるクレムリン・レポートの存在が語られていた。それは殺人ウイルスで人間だけを排除し、施設を守るための計画であり、住民への避難勧告すら行われない危険な内容だった。
ローマ教皇の復帰
イタリアの病院で眠り続けていたローマ教皇は目を覚ました。ワシリーサとの通信の中で、自らの権威が失われたことを認めながらも、戦争を止めるために行動する意思を示した。
学園都市の出撃準備
学園都市第二三学区では二機の超音速爆撃機が出撃しようとしていた。一機には麦野沈利が乗り込み、浜面との再会を楽しみにしていた。もう一機には御坂美琴が乗り込み、本来搭乗予定だった上条討伐部隊を制圧したうえでロシアへ向かわせていた。
フィアンマの切り札
フィアンマはニコライ=トルストイとの通信で、大天使『神の力』を切り札として示した。ニコライが学園都市の圧倒的戦力に危機感を示す中、フィアンマはなお余裕を崩さず別の思惑を抱いていた。
風斬氷華の決意
風斬氷華は翼を広げ、日本海上空を高速で飛行していた。彼女は友達を守るために行動しており、もし友人に危害が及ぶなら敵対も辞さない覚悟を固めていた。
インデックスの異変
聖ジョージ大聖堂では、ステイル=マグヌスの前でインデックスが不自然な動きで起き上がった。インデックスは敵性を確認したと告げ、使用術式の解析と対応魔術の構築を開始した。
上条当麻の覚悟
フィアンマの居城へ向かう上条当麻は、自分がインデックスを騙してきた人間かもしれないと認めていた。しかし、それでも頭を下げるべき相手はフィアンマではないと語り、前へ進む決意を新たにしていた。
第五章 戦場という複雑な盤 Enter_Project.
戦時下の移動と潜入計画
上条当麻はレッサーと共にトラックの中で食事を取りながら、フィアンマのいるロシア軍基地への潜入方法を確認していた。レッサーは車両での移動は限界だと説明し、以前とは別の地下資材搬入路を利用して基地へ侵入する計画を語った。
また、ここまで同行していた人々は密入国ブローカーを装うための協力者に過ぎず、役目を終えた後はエリザリーナ独立国同盟へ戻る予定であることも明かした。
戦争に翻弄される人々
上条は密入国ブローカーの話題から、戦争によって国境を越える人々の現状を知った。レッサーは、敗戦国の国民になることを恐れた人々が国から国へ移動し続けていると語り、その行動の根底に不安と恐怖があることを示した。
上条は、本来捨てる必要のなかった故郷や生活を人々が手放している現状に戦争の残酷さを感じていた。
フィアンマ打倒への決意
レッサーは戦争の裏で糸を引いているフィアンマを倒せば戦争を終わらせられると語った。上条もその考えに同意し、自分のやるべきことは変わらないとして、フィアンマを倒してインデックスを救い出す決意を改めて固めていた。
その後も二人は軽口を交わしながら食事を続けた。
アックアによる基地壊滅
一方、浜面仕上はプライベーティアの駐留基地が壊滅していく様子を目撃していた。基地を破壊していたのは後方のアックアであり、巨大な剣と常識外れの力を用いて戦車や装甲車、要塞までも一方的に破壊していた。
その圧倒的な戦闘力に浜面やディグルヴは驚愕し、浜面は学園都市の超能力とも異なる未知の力の存在を意識するようになった。
学園都市軍の接近
戦闘が終結した直後、無線が新たな軍勢の接近を捉えた。浜面が確認すると、それはプライベーティアではなく学園都市の正規軍だった。
戦車や駆動鎧、無人偵察機を組み合わせた大規模部隊を前に、浜面は正面から戦っても勝ち目はないと判断した。
集落を守るための選択
アックアは学園都市軍を蹴散らすかと問いかけたが、浜面は反対した。学園都市軍にこの地域を占拠させれば、プライベーティアの再襲撃を防ぐ盾になると考えたためである。
浜面は自分たちが学園都市から追われる立場であっても、集落を守るためにはその方が現実的だと判断した。
別れと感謝
ディグルヴは浜面を見捨てることに反発したが、浜面は生き延びるためには逃げ続けるしかないと説得した。そして、簡単に諦めず生き抜くことを約束した。
その後、浜面はアックアに感謝を伝えた。アックアの助力によって、自分も集落の人々も滝壺理后も命を落とさずに済んだからである。
新たな逃亡先の決定
浜面は集落近くの林へ向かい、避難していた住民たちと再会した。滝壺の無事を確認した後、今後の方針について話し合った。
滝壺はロシア国内が学園都市に制圧されつつある現状を踏まえ、エリザリーナ独立国同盟へ脱出するべきだと提案した。国境の外へ出れば学園都市も自由には動けなくなるためである。
住民たちの支援
浜面が出発しようとすると、集落の老人が四輪駆動車の鍵を差し出した。浜面は住民たちに迷惑がかかることを心配したが、老人は盗まれたことにすれば良いと笑った。
住民たちの厚意を受けながら、浜面は滝壺を背負って集落を後にした。
未来へ向けた逃走
浜面は集落を守り切れなかったことを情けなく感じていた。しかし滝壺は、自分を守るために戦い続けている浜面は情けなくないと伝えた。
その言葉に背中を押されながら、浜面はエリザリーナ独立国同盟を目指して走り出した。まずは四輪駆動車を確保し、学園都市の追跡から逃れるための新たな行動を開始したのであった。
一方通行と羊皮紙の解析
エリザリーナ独立国同盟の急造軍事施設に運び込まれた一方通行は、充電によって戦闘能力を回復させていた。そして貨物列車から回収した羊皮紙を広げ、その内容の解読を試みていた。
羊皮紙を見た兵士は、それがローマ正教式の術式をロシア成教式に変換するための条件を記した資料だと説明した。しかし具体的な術式までは分からず、一方通行は魔術という未知の体系の存在に戸惑いながらも、打ち止めを救う手掛かりになる可能性を感じていた。
エリザリーナへの期待
一方通行は羊皮紙を解読できる人物について尋ねた。兵士は、同盟の宗教基盤を整備し魔術師育成を成功させたエリザリーナなら解読できるだろうと答えた。
しかしエリザリーナは負傷して野戦病院で療養中だったため、一方通行は彼女の回復を待たなければならなくなった。
打ち止めの容態
兵士は打ち止めを病院に預けるべきだと提案した。打ち止めは意識を失ったまま動かず、一方通行もその深刻な状態を認識していた。
一方通行は早期解決を望みながらも、打ち止めを連れ回せる状況ではないと理解し、エリザリーナの目覚めを待つしかないと判断していた。
スパイの摘発
一方通行は突然拳銃を取り出し、施設内にいた複数の兵士の足を撃ち抜いた。そして彼らがロシア側へ情報を流しているスパイであることを見抜いていたと明かした。
調べた結果、負傷兵たちは通信機器を隠し持っており、一方通行の指摘が正しかったことが判明した。
害虫駆除への出発
一方通行は通信兵が施設の外にも存在すると推測し、自ら排除に向かうと宣言した。
学園都市の闇の中で生きてきた経験から、周囲から浮いている人間を見分けられると語りながら、一方通行は施設を去っていった。
インデックスの起動
ロンドンの聖ジョージ大聖堂では、インデックスが遠隔閲覧を妨害する敵対者の排除を開始していた。
彼女の背中から赤い翼が現れ、禁書目録としての防衛機構が本格的に起動した。
ステイルの反撃
ステイル=マグヌスはインデックスを止めるため、『魔女狩りの王』を召喚した。
しかしインデックスは赤い翼を振るっただけで巨大な炎の巨神を粉砕し、その余波でステイル自身にも大きな被害を与えた。
禁書目録の圧倒的戦力
インデックスは敵対因子の排除を最優先と判断し、さらに攻撃を強化した。
巨大化した翼による攻撃は聖ジョージ大聖堂の床を破壊し、ステイルを地下の霊装保管庫まで叩き落とした。ステイルは改めて禁書目録が戦争に匹敵する脅威であることを痛感していた。
国境への逃走
一方その頃、浜面仕上は滝壺理后を乗せた四輪駆動車でエリザリーナ独立国同盟を目指していた。
しかし学園都市製の駆動鎧部隊が追跡を続けており、浜面は雪原や森林を突っ切りながら必死に逃走していた。
国境突破
浜面は車両を横滑りさせながら国境のフェンスへ突入し、そのままエリザリーナ独立国同盟側へ飛び込んだ。
四輪駆動車は大破したものの、浜面たちは国境を越えることに成功した。
駆動鎧の追撃
国境を越えたことで追跡は終わると思われたが、駆動鎧は構わず接近を続けた。
巨大な銃を構えた駆動鎧を前に、浜面は死を覚悟するしかなかった。
炎の壁と救援者
その瞬間、国境線上に巨大な炎の壁が出現し、駆動鎧部隊の進路を遮った。
さらに空から現れた人物が駆動鎧を撤退させ、浜面たちの窮地を救った。
一方通行との再会
救援者は四輪駆動車の屋根を破壊して姿を現した。
その正体は一方通行だった。一方通行は鬱陶しそうに状況を確認すると、浜面たちに事情を全て話すよう要求したのであった。
エリザリーナの診断
エリザリーナ独立国同盟の野戦病院で、負傷したエリザリーナは滝壺理后と打ち止めの状態を診察していた。自身も重傷を負っていたが、浜面仕上たちの相談に応じていた。
診断の結果、滝壺は改善の見込みがある一方で、打ち止めの症状は極めて困難だと告げた。
魔術による治療法の説明
戸惑う浜面に対し、エリザリーナは魔術の考え方を説明した。古来の儀式では毒や薬草が用いられており、それに伴って毒への耐性をつける方法や体内の毒を除去する解毒法も発達してきたのだと語った。
そして滝壺の体内に蓄積された体晶は除去できる可能性があるが、打ち止めは原因が継続的に補充されている状態であるため、同じ方法では救えないと説明した。
滝壺に見えた希望
エリザリーナの説明を聞いた浜面は、滝壺の症状改善の可能性に大きな希望を見出した。
浜面は滝壺を抱き締めて喜び、滝壺も苦しみながら微かに表情を緩めて応じた。
一方通行の決意
打ち止めの救命につながる答えが得られなかった一方通行は、焦りに流されるのではなく冷静に行動することを選んでいた。
彼は羊皮紙の解読についてエリザリーナへ確認し、解読可能であることだけを確認すると、彼女には治療へ専念するよう告げた。
新たな情報源の捜索
病室を出た一方通行は、先に摘発したスパイたちの尋問状況を確認した。しかし有益な情報は得られていなかった。
そこで一方通行は別の情報源を当たるため、ある人物の病室へ向かった。
番外個体との再会
一方通行が訪れた先には番外個体がいた。戦闘で負傷した彼女は治療を受けていたが、一方通行に対して敵意と皮肉を向け続けていた。
一方通行は回収した盗聴情報の分析を依頼し、ロシア側の情報と番外個体の知識を照合することで手掛かりを得ようとしていた。
学園都市への反抗の提案
協力を拒む番外個体に対し、一方通行は第三次製造計画の未来を語った。
学園都市が進める計画の先には、番外個体たちが使い捨てにされる未来しかないと指摘し、自分たちは学園都市に用意された悪意のレールの上を走らされていただけだと語った。
そして学園都市へ反撃するため、自分と共に行動するよう持ち掛けた。
和解への第一歩
一方通行は過去に番外個体を傷つけたことについて、自分が利用された結果だったと認めて謝罪した。
予想外の言葉を受けた番外個体は大笑いしながらも、その変化を受け入れていた。
敵同士の握手
一方通行は学園都市への反抗と打ち止めを救うための行動を改めて宣言し、番外個体へ協力を求めて手を差し伸べた。
番外個体は笑いながらもその手を強く握り返した。かつて命を奪い合った敵同士は、この瞬間に利害を一致させ、新たな目的のため共闘することを決めたのであった。
第六章 展開される本物の闇 Up_the_Castle.
地下通路への侵入
上条当麻とレッサーは、フィアンマの基地周辺に存在する地下通路へ侵入した。通路の先には貨物列車用の発着駅があったが、人影も列車もなく、すでに輸送任務は完了している様子だった。
基地まで約四十キロの距離が残されていることを知った二人は、徒歩で進むしかない状況に直面した。
レッサーの提案と移動手段
長距離移動に頭を悩ませる上条に対し、レッサーはおんぶを提案してからかい、その後『鋼の手袋』を魔女の箒のように利用して移動していることを見せた。
上条は驚きながらも徒歩で進む覚悟を決めたが、その直後に事態が急変した。
地下通路の崩落
突如として通路の天井が爆音と共に崩落し始めた。魔術的に支えられていた雪の天井は次々と落下し、地下ルートは完全に封鎖された。
上条はレッサーを連れて出口へ向かい、間一髪で崩落から逃れた。
学園都市軍の砲撃開始
地上へ脱出した直後、無数の落下砲が基地周辺へ降り注いだ。圧倒的な爆撃によって上条とレッサーは吹き飛ばされ、周囲は戦場へと変貌した。
やがて学園都市軍の機甲部隊や駆動鎧、戦車部隊が現れ、フィアンマの基地への大規模攻撃を開始した。
混乱を利用した侵入計画
ロシア軍も反撃を始めたが、学園都市軍が優勢だった。レッサーはこの混乱を利用し、基地へ潜入する好機だと判断した。
地下ルートが封鎖された以上、地上から接近するしかないと考えた彼女は、学園都市の駆動鎧を奪って侵入する計画を提案した。
フィアンマの狙いの発覚
上条はフィアンマが基地内にいる魔術師たちを投入していない理由に疑問を抱いていた。
その時、服の中に仕込まれていた小麦粉の人形からフィアンマの声が聞こえた。フィアンマは上条の右腕を必要としており、回収しやすいよう意図的に隙を作っていたことを明かした。
上条は自分が監視され、誘導されていた事実に気づいた。
一方通行による尋問
場面は変わり、セリック=G=キールノフは暗い部屋で拘束されていた。目の前には一方通行と番外個体がおり、一方通行は番外個体の能力を利用して記憶を探ると告げた。
さらに周囲には有刺鉄線に吊るされた肉塊が並び、仲間たちが惨殺されたかのような光景が作り出されていた。恐怖に追い込まれたセリックは精神的に追い詰められていった。
尋問の種明かし
実際には、その場所は食肉保存用の倉庫であり、吊るされていた肉塊は牛肉だった。一方通行は能力者への恐怖と偽の惨状を利用してセリックの精神を揺さぶり、情報を引き出していたのである。
番外個体はその手法を面白がり、一方通行も効率を優先した結果だと説明した。
ロシア軍の不可解な行動
得られた情報から、一方通行と番外個体はロシア軍の動きに不自然な点があると分析した。
本来なら撤退させるはずのスパイを残し、さらに追加投入していたことから、何者かが羊皮紙を回収するために動いている可能性が浮上した。
羊皮紙を巡る新たな目標
スパイたちは軍事施設から機密文書を持ち出し、指定地点へ運ぶ任務を受けていた。その話を聞いた一方通行は、ロシア軍が求めている文書が自分の持つ羊皮紙である可能性に思い至った。
羊皮紙の解読法や使用法を知る者に辿り着けるかもしれないと考えた一方通行は、打ち止めを救う手掛かりを得るため、国境近くのロシア軍前線基地を襲撃する決意を固めた。
その方針に番外個体も賛同し、より血の流れる場所へ同行すると告げた。
異変の兆し
前線基地襲撃の話を進めていた最中、一方通行は突然視界の異変を感じ取った。
それは自身の視界ではなく、別の何かを通して伝わってくる異常であり、新たな事態の発生を予感させるものであった。
ロシア成教との通信
右方のフィアンマは国境近くの軍事基地の奥で、本の形をした霊装を用いてニコライ=トルストイ司教と通信していた。
フィアンマはロシア側の戦果を評価せず、自ら戦況を調整すると告げた。ニコライはロシア軍の劣勢を訴え、サーシャ=クロイツェフを確保したなら例の兵器を投入するよう要求した。フィアンマは出撃準備は完了していると答え、その兵器によって戦況は再び見えなくなると語った。
やがてニコライはフィアンマの現在地を問い質したが、フィアンマはすぐに分かるとだけ返した。
世界中の教会から集められる部材
その頃、世界各地のローマ正教の教会や修道院では異変が発生していた。
フィレンツェでは教会の尖塔が折れて宙に浮かび、モン=サン=ミシェル修道院では巨大な尖塔が引き抜かれ、聖マリア教会では柱が、聖ヨセフ教会ではパイプオルガンが飛び出した。
世界中の教会から重要な建築物や物品が引き寄せられるようにロシアへ向かい、フィアンマの待つ基地へ集結した。それらは互いに組み合わされ、新たな巨大構造物へと変貌していった。
基地の浮上と上条の孤立
フィアンマの基地が変化を始めると、上条当麻の足元の大地も激しく隆起した。
地面は崖のように切り立ち、レッサーや学園都市の部隊を地上へ取り残したまま、上条のいる地盤ごと空中へ浮上した。周囲の施設や兵器を振り落としながら上昇した結果、上条は雲の上へ到達した。
目の前には巨大な城塞が姿を現していた。無数の教会建築や近代設備が融合した空飛ぶ要塞であり、今なお膨張を続けていた。
ベツレヘムの星の正体
要塞内部へ取り込まれた上条に対し、フィアンマは通信を通じて説明を行った。
フィアンマは巨大な霊装そのものを準備していたのではなく、それを構築するための空間を整えていたと語った。世界中から集めた部材によって自己膨張する構造を完成させた結果、要塞は補給なしに拡張を続ける存在となっていた。
そしてフィアンマは、この空飛ぶ城の名がベツレヘムの星であることを明かし、上条を歓迎した。
要塞の調査と破壊の決意
上条は巨大な要塞に圧倒されながらも冷静さを取り戻した。
インデックスを救うためにはフィアンマを倒し、遠隔制御霊装を破壊するしかないと考えた上条は、要塞内部を調査することを決意した。
試しに壁へ右手を押し当てると周囲が破壊されたが、砕けた破片は再び元の位置へ戻ろうとした。その様子から、要塞には全体を支える核のような存在があると推測し、フィアンマを探しながら破壊できる箇所を壊していく方針を固めた。
フィアンマによる最終準備の宣言
その時、学園都市の戦闘機部隊が要塞へ接近した。
フィアンマは、天使の媒体であるサーシャ=クロイツェフ、一〇万三〇〇〇冊を管理する遠隔制御霊装、儀式場であるベツレヘムの星、そして上条の右腕という必要な要素がすべて揃ったと語った。
そして不要となった脇役を排除すると宣言し、大天使「神の力」の出撃を命じた。
天使の降臨と戦局の逆転
フィアンマの命令と同時に、世界は一瞬で夜へと変わった。
上条はその現象が天使の術式によるものだと理解し、戦慄した。さらにフィアンマは、その存在をミーシャ=クロイツェフと呼んだ。
やがて夜空に青い光点が現れ、巨大な翼を広げた。その一撃によって学園都市の無人戦闘機編隊は多数が撃墜され、有人機も主翼を切断されて墜落した。
さらに翼の一部は遠方へ飛び、山を丸ごと吹き飛ばすほどの破壊をもたらした。
フィアンマの勝利への確信
圧倒的な力を見せつけたフィアンマは、これで戦局は覆ったと確信していた。
しかし彼にとって計画はまだ完成していなかった。インデックスへ接続する霊装だけでは不足しており、天使や神の右席に関する知識を補完するための羊皮紙が必要だった。
フィアンマはベツレヘムの星を完成させるため、その羊皮紙を回収するようミーシャ=クロイツェフへ命じたのであった。
行間 四
御坂美琴の決意
御坂美琴は学園都市の超音速爆撃機HsB-02を乗っ取り、上条当麻を捜すためロシアへ向かっていた。
本来搭乗するはずだった暗部部隊を格納庫に残し、美琴はニュース映像に映った上条の姿を手掛かりに現地へ向かうようパイロットへ命じていた。危険を指摘されても、美琴は高校生を殺すために全力を尽くすのと助けるために全力を尽くすのとではどちらが胸を張れるかと問い返した。
美琴は学園都市の闇を知りながらも、人の中には光も存在すると信じていた。そして上条を見つけたら殴ると決意しながら捜索を続けていた。
空飛ぶ巨大構造物の出現
その最中、雲の中から巨大な構造物が姿を現した。
それは街一つが浮上したような規模を持ち、時代や文化の異なる石造りの建築物が無理やり組み合わされた異様な塊だった。しかも構造物は生き物のように形を変え続けていた。
美琴はその巨大さに驚きながらも、構造物の先端に上条らしき姿を見つけた。しかし確認しようとした直後、爆撃機は構造物の近くを通過してしまった。
夜空への変貌と天使の出現
構造物との接触を避けるため機体が急旋回した直後、青空は突然真夜中へと変わった。
闇の中には空中に浮かぶ人影が存在していた。その背中からは、水晶や孔雀を思わせる巨大な翼が何本も伸びていた。
人影が翼を振るうと、はるか離れた場所を飛行していた超音速爆撃機HsB-02は一撃で真っ二つに切断された。
空中投げ出しと生還
爆撃機の破壊により、美琴は高度三〇〇〇メートルの空中へ投げ出された。
落下しながらも冷静さを失わず、美琴は地上付近を飛行していた攻撃ヘリへ目を付けた。直接接触せず、磁力で自分とヘリの間に力を発生させることで減速し、衝撃を調整しながら安全に降下した。
その結果、美琴は墜落を回避し、雪原への着地に成功した。
戦場での再会
地上へ降り立った美琴は、学園都市軍とロシア軍が交戦する戦場の只中にいた。
雲の上へ向かう方法を考えていたところ、背後に人の気配を感じて振り返った。そこにいたのはライフルを持った妹達の一人、御坂一〇七七七号だった。
一〇七七七号は、学園都市協力機関からの撤退が完了したため自由時間にしたと説明した。そして上空を指差しながら、美琴も仕事ではなく私的な理由で行動しているのではないかと問いかけた。
美琴はそれを否定せず、自分も仕事ではないと認めたのであった。
第七章 天空に皆殺しの天使 MISHA_the_Angel_”GABRIEL”.
滝壺理后の治療完了
エリザリーナ独立国同盟の野戦病院で、浜面仕上はエリザリーナが滝壺理后の治療を行う様子を見守っていた。
その最中に激しい震動が発生し、滝壺はストレッチャーから床へ落下した。しかしエリザリーナは処置は完了したと告げ、体内に蓄積していた体晶の毒素は取り除かれたと説明した。ただし、すでに受けた身体への損傷までは治療できず、後遺症については別の方法を探す必要があるとも語った。
浜面と滝壺の再会
浜面は滝壺を抱き起こそうとして、彼女の身体に以前のような重さがなくなっていることに気づいた。
滝壺の身体には意思が戻っており、浜面はその変化に安堵した。体晶による症状の悪化や命の危険は去ったと伝え、今後は自分たちから行動する番だと語った。
滝壺も自力で起き上がれるまで回復しており、浜面がロシアへ戻って学園都市との交渉材料を探す考えを話すと、自分も同行する意思を示した。
ディグルヴ達の集落の事情
出発の準備を進める中で、浜面は軍事資料の中にディグルヴ達の集落に関する報告書を見つけた。
報告書によれば、その集落はエリザリーナ独立国同盟への加盟を希望していたが、近くに冷戦時代の核ミサイル発射サイロが存在していたため受け入れられていなかった。
サイロは廃棄された施設だったが、その土地を独立国同盟へ編入すると、核関連施設の技術取得を狙っているとロシア側に疑われる危険があったのである。
細菌兵器計画の発覚
さらに滝壺はクレムリン・レポートと呼ばれる資料を発見した。
そこには、核発射施設が占拠された場合に細菌兵器を散布して奪還する軍事計画が記されていた。対象となる施設はディグルヴ達の集落近くにある核発射サイロであり、学園都市部隊が駐留している状況から実行される可能性があった。
浜面は、自国民を巻き込む危険な計画に強い怒りを覚えた。
集落を救う決意
浜面は学園都市との交渉材料探しよりも、ディグルヴ達を救うことを優先すると決めた。
理不尽な理由で集落の人々が危険にさらされている現状を許せず、自分たちに不利益しかなくても見捨てることはできないと訴えた。
滝壺も集落の人々への恩を忘れておらず、自分も戦うと告げた。二人は危険を承知の上で、共に病室を後にした。
ガブリエルの猛攻
その頃、夜の戦場では大天使ガブリエルが暴れ続けていた。
青白く輝く人型の存在は巨大な氷の翼を振るい、学園都市の戦闘機や爆撃機を次々と破壊した。翼の破片は地上へ降り注ぎ、機甲部隊にも甚大な被害を与えていた。
ベツレヘムの星からその光景を見ていた上条当麻は、フィアンマがサーシャを利用してガブリエルを戦力化したのだと理解した。
上条の行動開始
上条はガブリエルを止める方法を探すため、ベツレヘムの星の内部を走り始めた。
要塞の浮上とガブリエルの出現には関係があると考え、重要そうな設備を見つけては幻想殺しで破壊する方針を固めた。
石橋を渡り、巨大な機構のある部屋へ入った上条は、そこで突然何者かに襲撃された。
サーシャとの遭遇
襲撃者ともみ合いになった上条は、相手を押さえ込んだ瞬間にその顔を確認した。
それは金髪の少女であり、上条は彼女をサーシャ=クロイツェフだと認識した。
エリザリーナの危機感
野戦病院の窓から外を見たエリザリーナは、空に浮かぶベツレヘムの星とガブリエルの姿を目撃した。
天使そのものが現れた事態を極めて深刻な危機と捉え、フィアンマの計画は世界規模の災厄を招く可能性があると判断した。
一方通行と羊皮紙の価値
一方通行は、エイワスから示された羊皮紙と天使の出現との関連を考えていた。
エリザリーナは、フィアンマがまだ羊皮紙を手に入れていないことから、ベツレヘムの星は未完成であり、その羊皮紙こそが計画を完成させる最後の欠片だと説明した。
また、フィアンマは羊皮紙を回収するために全力で追跡してくるはずだと警告した。
逃亡と反撃の決意
エリザリーナは一方通行へ逃亡を勧めたが、一方通行は羊皮紙を手放すつもりはなかった。
それが打ち止めを天使に関わる問題から解放する鍵になるかもしれないと考えていたためである。
番外個体は打ち止めの回収を引き受けると同時に、一方通行が羊皮紙を持って敵を引きつけ、独立国同盟から脅威を遠ざけようと考えていることを見抜いた。
その指摘を受けた一方通行は不満を漏らしながらも、それをサービスだと認めるように呟いた。
ベツレヘムの星と大天使の脅威
ウィリアム=オルウェルは雪原から、夜空に浮かぶベツレヘムの星と不完全な大天使を見据えていた。
フィアンマが天使の力を利用すること自体は珍しくないものの、その規模は常識を超えていた。大天使は戦争そのものを終わらせられるほどの力を持ち、人類の総力を結集しても対抗できるか分からない存在であった。
それでもウィリアムは決意を揺るがせず、自らが神の右席で何を司っていたのかを思い返していた。
ペテロ=ヨグディスの野望
バチカンでは、ペテロ=ヨグディス枢機卿が大天使ガブリエルの莫大な力を感じ取っていた。
周囲の聖職者達が敬虔な感動を覚える中、ペテロ=ヨグディスは別の思惑を抱いていた。フィアンマの行動によって自らが教皇の座を得られると考え、その機会を喜んでいたのである。
イタリア全土で暴動の兆しが現れていても、自らの権力基盤を固めることしか考えていなかった。
暴動の拡大と教皇帰還の報告
暴動がバチカンへ向かう中、僧兵が教皇選挙の中断と避難を求めた。
しかしペテロ=ヨグディスは選挙の続行を命じ、ローマ正教の部隊で鎮圧するよう指示した。ところが僧兵達は命令に従えないと告げた。
その理由は、ローマ教皇が暴走しかけた市民を沈静化させ、バチカンへ向かっているためだった。
ローマ教皇による民衆の鎮静化
ローマ教皇は市民一人ひとりに声をかけ、話を聞きながら混乱を鎮めていた。
魔術や扇動ではなく、ただ人々と向き合うことで、暴徒化しかけた群衆は次第に冷静さを取り戻した。混乱を再燃させようとした者達ですら行動できず、暗殺者達も教皇を攻撃することができなかった。
やがて人々は武器を下ろし、教皇の後ろに静かに付き従うようになった。
マタイ=リースとペテロ=ヨグディスの対面
聖堂へ入ったマタイ=リースを前に、ペテロ=ヨグディスは恐怖と焦りを露わにした。
彼は僧兵達に教皇の殺害を命じたが、誰も従わなかった。マタイ=リースは教皇選挙を妨害する意思はないと語り、自分は戦争を止めるために来たのだと説明した。
さらにフィアンマに対抗する手段を探すため、聖ピエトロ大聖堂地下の大書庫を閲覧したいと申し出た。
マタイ=リースの赦し
追い詰められたペテロ=ヨグディスは、自分が殺されると覚悟した。
しかしマタイ=リースは彼の肩に手を置き、この困難な時代に二〇億人の信徒をまとめ続けた功績を称えた。そして教皇選挙では自分も彼に投票すると語り、その働きを心から認めた。
その言葉を受けたペテロ=ヨグディスは、自分が求めていたものを体現するマタイ=リースの姿に打ちのめされ、涙を流した。
サーシャとの再会
ベツレヘムの星の内部では、上条当麻が襲撃者の正体をサーシャ=クロイツェフだと見抜いていた。
一方のサーシャは上条を敵対者と警戒し、拘束のために武器を取り出した。上条はミーシャ=クロイツェフとサーシャの関係を説明しようとしたが、サーシャは半信半疑のままだった。
それでも上条が自身の体質について知っている様子を見せたため、サーシャは話を聞く姿勢を見せ始めた。
フィアンマの儀式に関する証言
上条はフィアンマと大天使出現の関係を調べるため、サーシャに儀式について尋ねた。
サーシャによれば、目覚めた時には儀式はすでに終了しており、多数のロシア成教の魔術師とフィアンマがその場にいたという。
儀式場は火の属性に極端に偏った十字教様式で構成されており、その異質さが強く印象に残っていた。
幻想殺しによる検証
上条はサーシャと大天使が繋がっている可能性を考え、幻想殺しで接触すればミーシャへ影響を与えられるのではないかと試みた。
しかし身体の各所に触れても変化は起きず、方法は失敗に終わった。
激怒したサーシャは釘抜きで上条を殴り飛ばし、不審人物への警戒を強めた。
遠隔制御霊装の手掛かり
その後もサーシャは儀式で見た内容を説明した。
フィアンマが使用していた霊装自体は一般的なものだったが、一つだけ見慣れない円筒形の装置が杖の先端に取り付けられていたという。
その特徴を聞いた上条は、それがインデックスを遠隔操作する霊装ではないかと考えた。そしてフィアンマは、その霊装の遠隔操作能力を応用し、ミーシャ=クロイツェフを制御している可能性に思い至った。
フィアンマとニコライの決裂
モスクワの宮殿でニコライ=トルストイは、通信用霊装を通じてフィアンマと連絡を取っていた。
ニコライは顕現したミーシャ=クロイツェフを学園都市への攻撃に利用しようと提案し、指令所や航空部隊の排除を求めた。しかしフィアンマはその発想を嘲笑し、ロシアのために自らの資産を使うつもりはないと断言した。
さらにニコライを時間稼ぎの駒に過ぎなかったと切り捨て、後はロシアが勝手に学園都市と戦い滅びればよいと告げた。
ニコライの切り札
激昂したニコライは、ベツレヘムの星にロシア成教の術式が組み込まれていることを明かした。
彼は派遣した二〇〇人の魔術師全員が自分の手駒であり、自らの命令一つで要塞を分解できると脅した。ベツレヘムの星はフィアンマの計画に不可欠な存在であるため、この脅迫によって主導権を握ったと確信したのである。
ロシアの利益を優先するなら要塞を維持すると提案し、フィアンマへ従属を迫った。
フィアンマによる逆転
しかしフィアンマは余裕を崩さなかった。
彼はイギリスで入手した一〇万三〇〇〇冊の遠隔制御霊装によって、一般的な魔術を扱うための知識と技術を補っていた。さらにロシア成教へ協力を求めた本当の目的は、必要な技術情報の収集とロシア側を油断させることだったと明かした。
その直後、ニコライが仕掛けた魔術的な制御系統は切断され、二〇〇人の魔術師も処分すると告げられた。フィアンマはニコライの役割は終わったと宣言し、一方的に通信を切った。
ニコライの報復決意
完全に利用されたことを悟ったニコライは怒りを爆発させた。
彼は政府高官用の暗号通信回線を使い、部下へ蓄えを出すよう命令した。そしてロシアが窮地に陥る危険も顧みず、ベツレヘムの星を破壊すると叫んだ。
ステイルの苦戦
聖ジョージ大聖堂では、ステイルとインデックスの戦いが続いていた。
一〇万三〇〇〇冊の魔道書を操るインデックスは圧倒的な力を発揮し、背中の赤い翼から放った光でステイルを追い詰めた。地下の霊装保管庫へ落下したことで霊装を利用した防御はできたものの、インデックスの猛攻を完全には防ぎ切れなかった。
ステイルは遠隔制御霊装ではなくインデックス自身の肉体が動作していることを見抜き、意識を失わせて精神的に拘束する方針を固めた。
シスター達の介入と被害拡大
その最中、複数のシスター達が援護のため地下保管庫へ突入した。
しかしインデックスは魔力を感知すると即座に敵と判断し、広範囲の衝撃波でシスター達をまとめて吹き飛ばした。さらに壁や天井の向こうにいる者達の存在も察知し、聖ジョージ大聖堂の魔術的設備を次々と破壊していった。
ステイルはこのままでは大規模霊装にも影響が及ぶと危機感を抱いた。
ローラの脅迫とステイルの決断
崩れた天井の縁にはローラ=スチュアートが姿を現した。
彼女はインデックスの遠隔制御霊装を掲げ、必要なら使用するという意思を無言で示した。遠隔制御霊装を重ねて使えば、ただでさえ負荷を受けているインデックスにさらなる負担がかかることは明白だった。
ステイルはそれを阻止するため、ルーンカードから炎の剣を生み出し、自らを最優先標的にさせた上で地下保管庫から走り出した。被害の拡大を防ぐため、インデックスを別の場所へ誘導しようとしたのである。
しかしインデックスは危険度の再計算を終え、攻撃を実行すると告げながらステイルを追撃した。
行間 五
御坂美琴と妹達の作戦会議
御坂美琴は雪原から、高度を上げ続けるベツレヘムの星を見上げていた。
上条当麻が乗っている要塞へ近づく方法が見つからず焦りを募らせていたが、妹達との会話の中で話題は上条の持ち物へ移った。妹達はゲコ太のストラップや一〇〇三二号のネックレスに触れながら、学園都市組が有利だと冗談めかした反応を見せた。
その後、美琴と妹達は上条を支援する方法について考え始めた。
要塞への接近方法の模索
妹達は空中に中継点を作りながら高度を上げる案を提案した。
しかし、その手段として半壊したミサイルランチャーのミサイルを利用する案を出したため、美琴は即座に却下した。
美琴は軍用ヘリコプターでは高度が足りず、要塞へ到達するには飛行機が必要だと考えていた。一方で妹達は、絶望的な状況で劇的に現れれば大きな効果があるかもしれないと妄想を巡らせていた。
ロシア軍通信の傍受
その時、妹達はロシア側の通信を傍受した。
通信内容にはニコライ=トルストイの名前が繰り返し登場しており、妹達は独立した部隊による通信だと推測した。
さらに、その部隊が上空のベツレヘムの星に対して大規模な攻撃を準備していることを突き止めた。
核攻撃計画の発覚
美琴は要塞そのものには興味がなかったが、上条が巻き込まれる危険を察知した。
そこで攻撃に使用される兵器について尋ねると、妹達は通信内容を解析し、アメリカでは西暦一九六七年と呼ばれ、ロシアではアパースナスチと呼ばれている兵器だと説明した。
そしてその正体が旧ソ連製の戦略核弾頭であることを報告した。
第八章彼らの多角的な反撃 Combination.
大天使ミーシャの蹂躙
ミーシャ=クロイツェフは人型の姿をしていたが、布で構成された身体や顔、氷でできた百前後の翼など、人間とはかけ離れた異様な姿をしていた。
学園都市の部隊はその美しさに見惚れることなく、その圧倒的な力に蹂躙されていた。ミーシャは戦車や駆動鎧が密集する地点へ降下し、巨大な翼を振るうだけで部隊を壊滅させていった。戦車の砲撃すら巨大な翼で容易く撃ち落とされ、ミーシャは各地へ飛び回りながら無差別に破壊を繰り返した。
学園都市軍とロシア軍の兵士達は、敵味方を超えて本物の災厄を前に呆然とし、人間同士の戦争そのものが意味を失っていた。
キャーリサと傾国の女の参戦
ミーシャが兵士達へ止めを刺そうとした瞬間、赤いドレスの女が空中で激突し、その軌道を逸らした。
現れたのはイギリス第二王女キャーリサであり、その後にはフランスの聖女『傾国の女』や騎士団長らも姿を見せた。
キャーリサと『傾国の女』はミーシャへ正面から突撃し、カーテナとデュランダルによって氷の翼を次々と切断した。しかしミーシャは両手で二人の剣を受け止め、かすり傷一つ負わなかった。
さらにミーシャは掌から不可視の攻撃を放ち、二人を圧倒した。『傾国の女』はそれが予兆や勘といった情報を操作する能力によるものだと見抜き、五感のみを頼るようキャーリサへ助言した。
大天使との消耗戦
ミーシャは百を超える氷の翼で二人へ猛攻を仕掛けた。
キャーリサと『傾国の女』は攻撃を防ぎ続けたものの、予兆に混じる偽情報によって反撃の機会を得られず、一方的な防戦を強いられていた。
キャーリサはカーテナの力を用いて戦ったが、天使としての技術や知識の差は埋められず、『傾国の女』もデュランダルだけでは力不足であると認めた。
戦いは徐々に二人の消耗を進めていった。
民衆を守るための防衛
やがてミーシャは二人ではなく、学園都市軍やロシア軍へ翼を向けた。
キャーリサは兵士達を守るため、無理矢理にミーシャと人々の間へ割り込んだ。ミーシャはその隙を突き、百の翼を一斉に叩きつけた。
キャーリサはカーテナの力で受け止めたものの、全身に深刻な負荷を受け、閃光の剣を生み出していたカーテナの欠片も破砕された。
ミーシャは効果を確認すると、同じ攻撃を再び繰り返そうとした。
キャーリサの反撃と時間稼ぎ
剣を失ったかに見えたキャーリサだったが、別のカーテナの欠片を用いて再び複数の閃光の剣を生み出した。
重傷を負いながらも戦意を失わず、『本命』の作戦が完了するまで時間を稼ぐ覚悟を示した。
その間にイギリス軍とフランス軍は学園都市軍やロシア軍の撤退を進め、負傷者の救出を行っていた。
ベツレヘムの星へのミサイル攻撃
キャーリサは次善策として、待機していた『ペレットクロスボウ』部隊へ地対空ミサイルの発射を命じた。
三十台以上の車両から千発を超えるミサイルが発射され、その標的はミーシャではなくベツレヘムの星だった。
当初ミーシャは無関心だったが、ミサイルが自らの本拠地へ向かっていると理解すると激しく反応した。
キャーリサは、ミーシャが儀式を守るために動かざるを得ないと見抜いていた。挑発を受けたミーシャは戦闘を中断し、ベツレヘムの星へ向かうミサイル群を迎撃するため上空へ飛び去った。
時間稼ぎの成功とキャーリサの懸念
ミーシャの離脱によって兵士達の撤退は継続された。
しかしキャーリサは、自らが持つ莫大な力をもってしても大天使を倒す糸口が見えなかったことを痛感していた。
負傷と消耗に耐えながらも、キャーリサは人の力と本物の大天使との決定的な差を改めて認識していたのであった。
ベツレヘムの星への移動
天空に浮かぶベツレヘムの星はなおも高度を上げ続けており、その揺れは内部にいる上条にも伝わっていた。上条はフィアンマがいると思われる儀式場を目指していたが、その距離は徒歩で移動できるものではなかった。
サーシャは要塞内の移動手段としてモノレールを案内し、二人はそれに乗り込んだ。モノレールはやがて要塞外へ出て、暗黒の空と炎に染まる地上の光景を見下ろしながら進んでいった。
地対空ミサイルの襲来
移動中の上条達は、地上から大量の地対空ミサイルが発射される様子を目撃した。
ミサイルの一部はモノレールの進路へ向かっていたため、上条は直撃を覚悟した。しかし爆発は起きたものの車両は破壊されておらず、ミサイルは何者かによって迎撃されていた。
その正体は大天使ミーシャ=クロイツェフであった。ミーシャはモノレールに並走しながら次々とミサイルを撃ち落としていた。
ミーシャの襲撃と風斬の介入
上条は間近でミーシャの異形の姿を目にした。そしてミーシャが右手を持つ上条へ視線を向けた直後、その翼が攻撃態勢へ移った。
上条達へ攻撃が放たれようとした瞬間、別の存在が横から飛び込み、強烈な蹴りでミーシャを吹き飛ばした。
現れたのは風斬氷華であった。紫電を帯びた翼を背に生やした風斬は、上条を一瞥した後、強い闘志を宿したままミーシャへ向き直った。
モノレールはそのまま進み、上条は二人の戦いの結末を見届けられなかったが、風斬が友人達を守るために戦っていることを理解し、ミーシャを止める決意を新たにした。
風斬とミーシャの激突
風斬は初めて天空を飛翔していたが、その翼は彼女の意思に応じて自在に浮力を生み出していた。
風斬はミーシャの姿に自分との共通点を見出した。巨大な翼や輪を持ち、人間とは異なる存在でありながら莫大な力を宿している点で、両者はよく似ていた。
やがて二人は空中で激突した。風斬は翼と同じ材質でできた剣を握り、ミーシャは氷の剣を生み出した。衝突によって巨大な衝撃波が発生し、ベツレヘムの星すら揺らした。
互いの翼と剣が激しくぶつかり合い、光の粒子が周囲へ舞い散る中でも勝負は決着しなかった。両者とも相手の攻撃を受け止めるだけの力を持っていたためである。
ミーシャの正体への気付き
戦闘中、風斬はミーシャの発する言葉を断片的に理解した。
ミーシャは元の場所へ帰ることやフィアンマの計画への協力について語っていた。さらに風斬は、ミーシャの内部に異なる二つの力が混在していることを見抜いた。
本来混ざるべきではない二種類の力が一つの存在として無理やり結合されており、その不自然さを風斬は感じ取った。
ミーシャは帰還と計画遂行を最優先事項とし、その障害となる存在は全て排除すると判断していた。風斬は友人達を守るため、その考えに抗う意思を示した。
一方通行の出発
一方通行は打ち止めを抱えたまま、番外個体の運転する車で戦場へ向かっていた。
移動中、二人はベツレヘムの星と、その周囲で戦う二体の天使を目撃した。一方通行は打ち止めを救うためには、自分もあの異質な世界へ踏み込まなければならないと考えていた。
その時、戦闘中だった風斬とミーシャが急降下し、一方通行達の車へ向かってきた。ミーシャは一方通行が持つ羊皮紙を狙っていた。
一方通行はそれを察すると、打ち止めを番外個体に託し、自ら戦うことを決意した。
一方通行の参戦
一方通行は車の窓から身を乗り出し、電極のスイッチを切り替えた。
背中に四本の竜巻の翼を展開した彼は、そのまま空へ飛び出した。ロケットのような速度で戦場へ突入し、風斬とミーシャの戦いの中へ自ら飛び込んでいったのであった。
集落の子供の捜索
日蝕のような暗闇と不自然な星空が広がる中、グリッキンは雪の森を歩いていた。学園都市の支援によって集落は救われていたが、元ロシア軍人である彼は学園都市への恐怖を拭い切れずにいた。
彼が森を歩いていたのは集落を離れるためではなく、行方不明になった少女を探すためであった。戦闘の緊張から解放された子供達が遊び回る中、一人の少女が姿を消していた。厳しい寒さや肉食獣、地雷などの危険があるため、グリッキンは捜索に参加していた。
工作部隊との遭遇
少女の捜索中、グリッキンは吹雪の向こうに人影を発見した。
それはロシア軍の非公式工作部隊であり、暗殺や破壊工作を専門とする恐るべき部隊の兵士だった。グリッキンは集落への危険を察して立ち去ろうとしたが、相手に発見されてしまう。
工作部隊の兵士は容赦なく銃口を向けて発砲し、グリッキンは雪の森を必死に逃走した。追跡を受けながら逃げ続ける中、彼は偶然にも行方不明だった少女と遭遇した。
少女を守る決断
少女を発見したグリッキンは、自分一人でも逃げ切れる保証がない状況でありながら、彼女を置き去りにせず抱き上げた。
しかし深い雪に足を取られ転倒してしまい、工作部隊の兵士が迫る。兵士は引き金を引こうとしたが、その直前に第三者の銃撃によって近くの木に積もった雪が落下し、兵士を押し潰した。
さらに別の銃撃で兵士は制圧され、グリッキンは危機を脱した。
浜面の救援
グリッキンを助けたのは浜面仕上だった。
浜面は工作部隊の兵士を拘束しながら、集落を狙う重大な計画について語った。ロシア軍上層部は、近くにある核発射サイロを学園都市に奪われる可能性を考慮し、周辺地域へ細菌兵器を散布する計画を立てていたのである。
そのため工作部隊は事前準備として保温性ジェルを散布し、気温や湿度を調整して感染を拡大しやすい環境を作ろうとしていた。
細菌兵器計画への対抗策
浜面は、保温性ジェルを散布するための装置スチームディスペンサーを破壊できれば、細菌兵器の拡散を防げる可能性があると説明した。
しかし工作部隊が先に行動を始めれば間に合わなくなるため、大規模な支援を呼ぶ余裕はなかった。そこで浜面は自ら装置の捜索と破壊を行う決意を固める。
グリッキンは集落の避難を優先するよう命じられ、工作部隊の捕虜と少女を連れて集落へ戻る役目を引き受けた。
互いの役割を託す
浜面とグリッキンは携帯電話の番号を交換した。
浜面はスチームディスペンサーを発見したら連絡すると伝え、その時は学園都市の兵士を説得して集落全体を避難させるよう頼んだ。また、三十分以内に連絡がなかった場合も危険を想定して行動するよう指示した。
グリッキンは集落の人々を守ることを約束し、浜面に生きて戻るよう告げた。二人は互いの決意を確認し合った後、それぞれの役割を果たすために別行動を取った。
浜面と滝壺の出発
グリッキンが少女と捕虜を連れて去った後、浜面は滝壺理后と共に北の山へ向かった。
滝壺は地形や風向きの情報から、スチームディスペンサーが設置される可能性の高い場所を推測した。浜面は拘束した兵士から奪ったアサルトライフルを手に取り、滝壺と共に装置の捜索へ向かった。
二人は戦争を終わらせたいという思いを胸に、不気味な空の下を進んでいった。
大天使への乱入
一方通行は雪原を吹き飛ばしながら二体の天使へ突撃した。どちらにも与するつもりはなく、両者の間へ割り込む形で攻撃を仕掛けた。
その結果、水の天使の翼には反射が完全には通用しなかったが、もう一体の科学の天使の力は操作できたため、その攻撃を利用して水の天使へ叩き込んだ。水の天使は大きく吹き飛ばされ、一方通行はより危険な相手を先に排除しようと判断した。
科学の天使との接触
科学の天使は一方通行の能力に驚き、日本語で言葉を交わした。
一方通行は羊皮紙を見せながら、その天使も同じ目的で現れたのかを問いかけた。しかし会話の最中、水の天使が起き上がり、周囲の雪を大量の水へ変えて自身へ集め始めたため、状況は再び緊迫した。
一方通行は打ち止めを救う鍵が水の天使にあると考え、科学の天使を後回しにして水の天使へ向き直った。
『一掃』の発動
水の天使は不思議な言語で呟いた後、天空へ向けて命令を送った。
直後、半径二キロの範囲へ膨大な破壊の礫が降り注ぎ、一方通行は回避も防御も間に合わないまま攻撃を受けた。吹き飛ばされ、血を吐きながらも、一方通行は立ち上がる。
打ち止めを救うためには倒れるわけにはいかないと決意し、水の天使へ再び突撃した。しかし水の天使は三十秒後に第二波を投下すると宣言した。
フィアンマの余裕
『ベツレヘムの星』にいた右方のフィアンマは、『一掃』による被害を受けながらも余裕を崩さなかった。
自己修復機能を持つ『ベツレヘムの星』には致命傷にならず、学園都市の天使と一方通行も『一掃』によって徐々に追い詰められていると判断していた。
フィアンマは、このまま攻撃を重ねれば敵は確実に排除できると考え、自らの勝利を疑っていなかった。
後方のアックアの介入
その時、後方のアックアがフィアンマへ語りかけた。
フィアンマは武力による抵抗は無意味だと断言したが、アックアは武力を使わない方法を示すと告げる。そして直後、ミーシャ=クロイツェフを構成する力が大きく減少した。
アックアは自らの肉体を媒体として、『神の力』に属する膨大な天使の力を強引に吸収し始めていたのである。
命を削る天使の力の吸収
アックアはロシアとエリザリーナ独立国同盟の国境付近で、大剣を支えに立ちながら天使の力を受け止めていた。
膨大な力は肉体を内側から破壊し、血管や神経を傷つけ、『聖人』と『神の右席』としての力までも失わせていった。しかしアックアは、人々を救うために敵の力を弱めることを選び、苦痛に耐えながら吸収を続けた。
反撃の成功
アックアによってミーシャ=クロイツェフの力が弱まった結果、一方通行の攻撃がついにまともに通用した。
降り注ぐはずだった『一掃』も制御を失い、一方通行と科学の天使は追撃のために動き出した。
しかしフィアンマは、アックアが吸収できたのは全体の半分程度に過ぎず、依然として勝利は揺るがないと判断していた。
フィアンマの不安
フィアンマはアックアが全てを失いながらも勝利に届かなかったと断じ、ミーシャへ敵の殲滅を命じた。
ところが命令を受けたミーシャ=クロイツェフは動かなかった。
優勢であるはずなのに状況がわずかに傾き始めたことを感じ取ったフィアンマは、この戦場に存在するもう一人の予想外の存在へ思い至り、不快そうにあの野郎と呟いた。
儀式場の破壊
上条当麻は『ベツレヘムの星』最右部の儀式場で、ミーシャ=クロイツェフを維持するためには『ベツレヘムの星』そのものが必要だと推測した。
そこでサーシャの説明を頼りに、外部から力を呼び込むための白黒の液体が流れる柱を次々と破壊した。柱が砕かれると、目には見えない何かの根幹が揺らぐ感覚が生じた。
大天使の崩壊と一方通行の決断
後方のアックアによって力の総量を削られ、さらに上条によって存在を支える基盤を破壊されたミーシャ=クロイツェフは、夜空に絶叫を響かせながらその姿を崩し始めた。
大天使が莫大な力の塊へ戻ろうとする中、一方通行はその危険性を察知した。打ち止めを守るという強い意志を胸に、一方通行は爆発しようとする力へ向かって突進した。
爆発の封じ込め
ミーシャ=クロイツェフは純白の閃光となって爆発した。
本来なら広範囲を破壊していたはずの力だったが、科学の天使が持つ莫大な力を一方通行へ託し、一方通行はベクトル操作によって透明な壁を形成した。二人は協力して爆発を球状に閉じ込め、外への被害を防いだ。
その結果、『天使の力』は霧散した。
倒れたアックア
大天使の消滅を確認した後方のアックアは、血まみれの体で雪の上へ崩れ落ちた。
神経や血管は破壊され、魔術師としての基盤も失われていた。アックアは自らの死を受け入れ、人々がフィアンマへ近づくための土台を作れたことに満足していた。
浜面の叱咤
そこへ浜面仕上と滝壺理后が駆けつけた。
アックアは自分は助からないと告げて治療を拒否したが、浜面は激しく反発した。これまで救ってきた多くの人々や、自分を待つ者たちを置き去りにして死ぬことを認めず、アックアへ生きるよう訴えた。
浜面の言葉によって、アックアは自分を待つ人々の存在を思い浮かべた。
アックアの再起
浜面に襟首を掴まれながら叱咤されたアックアは、再び立ち上がった。
『聖人』としての力も『神の右席』としての力も失われていたが、それでも魔力を精製し、身体を動かすために残された力を振り絞った。
本物の英雄とは何度でも立ち上がる者だと示すように、アックアは再び前を向いた。
フィアンマの計画の進行
一方その頃、右方のフィアンマは『神の力』を通じて羊皮紙の情報を取得し終えていた。
もはやインデックスの遠隔制御霊装は不要となり、フィアンマはそれを杖から取り外した。そして杖をへし折ると、掌から放った光で『ベツレヘムの星』内部を貫き、儀式場へ向かった。
儀式場での対峙
フィアンマが到着した儀式場では、上条当麻が待ち構えていた。
上条はミーシャ=クロイツェフが消滅し、人間が大天使に勝利したことで状況は自分たちに有利だと主張した。しかしフィアンマは、大天使の役目はすでに終わっていると告げた。
夜空が変わらないことこそが、その証拠であった。
天空を利用した大規模術式
フィアンマは、『神の力』を利用して夜空から星々を消し、『ベツレヘムの星』を中心とした天空そのものを巨大な術式へ変えていた。
それは四大属性の配置を再設定し、世界全体の力の流れを正しい状態へ戻すための儀式であった。さらに地上の教会や聖堂の破壊によって、天空と地上の双方へ手を加えていた。
『ベツレヘムの星』や第三次世界大戦、一〇万三〇〇〇冊の知識は全てそのための準備に過ぎなかった。
正しい力の発現
フィアンマの合図と共に、黄・赤・青・緑の異様な星々が夜空へ広がった。
四属性が本来の位置へ戻ったことで、フィアンマが操る『火』は他の全属性をも支配する条件を満たした。世界全体の歪みが正されたことで、フィアンマは本来の力を完全に発揮できるようになった。
圧倒的な重圧が周囲へ広がる中、上条当麻はインデックスの遠隔制御霊装を破壊するため、右拳を握り締めてフィアンマを見据えた。
そしてフィアンマは、正しい力の意味を教えると宣言した。
戦況報告
美琴と妹達による核攻撃の危機の把握
ロシアの雪原で休んでいた御坂美琴は、妹達から旧ソ連製戦略核弾頭Nu-AD1967の発射準備が進められていると知らされた。
妹達は、ロシア政府の正式な命令ではなく、ニコライ=トルストイ率いる独立部隊による行動だと説明した。さらに、認証コードなしでは起爆できないはずの核兵器も、核物質を新たな外殻へ移し替えた「交換弾頭」であれば使用可能であると明かした。
交換弾頭による世界規模の危機
妹達は、独立部隊が交換弾頭を車両発射型ランチャーに搭載し、空中の要塞へ撃ち込もうとしていると説明した。
美琴は要塞への核攻撃が成功した場合、高高度で発生した大量の死の灰が大気中へ拡散し、地球全体を汚染する危険性に気づいた。妹達も、放射性物質による被害だけでなく、日光の遮断による環境悪化や食糧危機が発生する可能性を報告した。
事態の深刻さを理解した美琴は、発射地点へ向かう決意を固めた。
ステイルを追い詰めるインデックス
聖ジョージ大聖堂の地下通路を逃走していたステイル=マグヌスは、追跡してくるインデックスから逃れ続けていた。
インデックスは魔道書の知識を利用し、豊穣神フレイの剣を再現して攻撃を仕掛けた。さらに『神よ、何故私を見捨てたのですか』を発動し、『魔女狩りの王』を破壊するなど、圧倒的な力でステイルを追い詰めた。
三体の『魔女狩りの王』
追い詰められながらも、ステイルは切り札を発動した。
聖ジョージ大聖堂の霊装を利用して術式を強化し、三体の『魔女狩りの王』を同時に出現させたのである。これまで逃げ続けていたのは、そのための準備を整えるためだった。
しかしインデックスは即座に三体が一体の役割を担い、魔力を循環させる構造であることを見抜いた。そして一体を集中攻撃して構造を崩す方針を導き出した。
スチームディスペンサーの発見
一方、浜面仕上と滝壺理后は、雪原の山麓でスチームディスペンサーの設置現場を発見した。
大型タンクローリーや多数のポールが配置され、工作部隊が細菌兵器散布の準備を進めていた。浜面は正面から戦えば勝ち目がないと判断するが、滝壺は工作部隊自身も細菌兵器から逃れる必要があるため、散布前に現場を離れるはずだと指摘した。
二人は工作部隊の撤収後、装置を破壊する方針を立てた。
装置の弱点の特定
浜面は観察を続けた結果、装置全体へ電力を供給している電源車両の存在に気づいた。
発電機の排気パイプを塞げば装置全体を停止できると考え、工作部隊が立ち去るのを待つことにした。しかし作戦実行直前、銃撃を受けて存在を察知されてしまった。
工作部隊が戦闘態勢に入る中、浜面は滝壺だけでも逃がそうと決意した。
学園都市の超大型戦闘機による介入
絶体絶命の状況で、学園都市の超大型戦闘機が上空へ現れた。
戦闘機は磁力で加速した砲弾や爆弾を投下し、スチームディスペンサーと関連車両をまとめて破壊した。工作部隊も爆風によって戦闘不能となり、細菌兵器の散布計画は阻止された。
無線から聞こえた声によって、攻撃を行ったのが学園都市側の正規部隊であることが示された。浜面はようやく危機から救われる可能性を感じ、安堵した。
細菌兵器の完全破壊
さらに戦闘機は白燐系爆弾による爆撃を行い、スチームディスペンサー一帯を徹底的に焼き払った。
細菌兵器を含む設備は完全に破壊され、工作部隊も無力化された。浜面と滝壺は爆発による雪煙に包まれ、互いの姿も見えなくなってしまった。
麦野沈利の襲来
雪煙の中で浜面はようやく一人の人物を見つけ、滝壺だと思って抱き寄せた。
しかしその人物は滝壺ではなかった。偽装を剥がしたその正体は麦野沈利だった。
麦野は再会を告げると同時に『原子崩し』を放ち、浜面へ攻撃を仕掛けた。その光線は上空の超大型戦闘機の主翼をかすめるほどの威力を見せた。
滝壺の行方も分からないまま、浜面は麦野との決着をつけるしかないと覚悟を固めた。
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