とある魔術の禁書目録(5)レビュー
【とある魔術の禁書目録】あらすじ・ネタバレ・まとめ
とある魔術の禁書目録(7)レビュー
物語の概要
■ 作品概要
『とある魔術の禁書目録(6)』は、超能力をカリキュラムとする「科学」の街・学園都市を舞台に、オカルトの技術を振るう「魔術」の勢力との衝突を描いた学園アクションファンタジー小説である。 新学期を迎えた学園都市に、イギリス清教の魔術師シェリー=クロムウェルが不法侵入したことで物語は動き出す。彼女の目的は、科学側と魔術側の間に決定的な戦争を引き起こすことであった。科学と魔術が本来交わるはずのない学園都市の地下街を舞台に、平和な日常の裏で進む陰謀と、それに巻き込まれる少年少女たちの葛藤や戦いが緊張感たっぷりに描かれる。
■ 主要キャラクター
- 上条当麻: 学園都市の底辺に位置する無能力者(レベル0)の高校生。あらゆる異能の力を右手の接触によって打ち消す「幻想殺し(イマジンブレイカー)」の持ち主である。夏休みが明け、新学期の初日から補習に追われるという相変わらずの不幸体質を発揮する。学園都市へ侵入したシェリーの標的とされ、街の崩壊と友人の危機を防ぐために戦いへと身を投じる。
- インデックス: イギリス清教に所属し、脳内に一〇万三〇〇〇冊の魔道書を記憶している「禁書目録」の少女。上条の学生寮に居候しており、食欲旺盛で天真爛漫な性格。地下街で偶然出会った風斬氷華と意気投合し、初めての「友達」として深い絆を結ぶ。シェリーが操る巨大な岩石のゴーレムに襲われた際、魔道書の知識を応用した「強制詠唱(スペルインターセプト)」を用いて対抗を試みる。
- 風斬氷華: 学園都市の名門・霧ヶ丘女学院の生徒であり、テストで常にトップを維持するほどの才女。「正体不明(カウンターストップ)」と噂される謎多き少女で、非常に引っ込み思案で臆病な性格をしている。地下街で上条やインデックスと出会い、インデックスの優しさに触れて初めての友情を知る。しかし、彼女の存在自体が、学園都市の根幹に関わる重大な秘密(虚数学区・五行機関の鍵)と直結している。
- シェリー=クロムウェル: イギリス清教『必要悪の教会(ネセサリウス)』に所属する魔術師。独自の暗号技術や寓意画の解読に長け、オイルパステルで地面に術式を描くことで、巨大な岩石のゴーレム「エリス」を召喚・制御する能力を持つ。過去の悲劇的な経験から科学と魔術の融和を激しく拒絶しており、学園都市内でテロ行為を働き、両陣営を戦争状態へ突入させようと画策する。
■ あらすじ
夏休みが明け、記憶喪失を隠したまま新学期を迎えた上条当麻は、謎の少女・風斬氷華と出会う。彼女はインデックスと親しくなるが、そこへイギリス清教の魔術師シェリー=クロムウェルが襲来した。科学と魔術の接近による悲劇を恐れるシェリーの真の目的は、両勢力間に戦争の火種を作り、完全に分断させることである。
地下街に追い詰められた上条たちを巨大な石像のゴーレムが襲う中、風斬はインデックスを守るために自らの正体を晒して立ちはだかった。彼女の正体は、学園都市の能力者たちが放つAIM拡散力場によって形成された、実体を持たない人工的な存在だった。異形の姿に絶望する風斬に対し、上条は彼女を人間として肯定し、右手の「幻想殺し」でゴーレムを粉砕する。シェリーの悲しい過去から生じた孤独な戦いに終止符を打ち、事態は収束に向かった。
事件後、インデックスもまた変わらぬ友情を示し、風斬は姿を保てなくなりながらも再会を誓う。だがその裏で、統括理事長アレイスターは彼女を鍵とし、魔術世界を崩壊させる「人工天界」の構築を密かに進めている。
書籍情報
とある魔術の禁書目録 6
(A Certain Magical Index)
著者:鎌池 和馬 氏
イラスト:はいむらきよたか 氏
出版社:株式会社KADOKAWA(電撃文庫)
発売日:2005年7月10日
ISBN:9784048667708
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あらすじ・内容
謎の転校生、ともだち、とある魔術師の襲来―― 新学期も波乱の予感!
科学と魔術の学園アクション第6弾!新学期初日。 当麻が通う学校に “謎の転校生” が現れる。インデックスに初めて “ともだち” ができ、初対面の御坂美琴とインデックスの板挟みになってしまう不幸な上条当麻……。その一部始終を目撃した白井黒子が嫉妬の炎に身を焦がしているところへ、とある魔術師が襲来して大騒ぎに!?
感想
夏休みが明け、波乱に満ちた新学期の幕開けを描く本作は、科学と魔術の対立がさらに深刻さを増していく過程をスリリングに描き出している。日常の楽しさと裏に潜む陰謀の対比が鮮やかであり、シリーズの大きな転換点として非常に深く印象に残る一冊であった。
物語は、主人公の上条当麻が記憶喪失という重大な秘密を隠したまま、新学期を迎えるところから動き出す。毎回激しい戦闘を繰り広げている彼だが、今回は珍しく最初から入院していない状態であり、無事に日常へ戻れている姿にはどこか安心感を覚えた。しかし、それも束の間のこと。インデックスを学園都市へ置いておくことへの政治的リスクや、彼女が本質的に「不法滞在者」であるという冷徹な現実を改めて痛感させられる展開が待ち受けている。そんな中、謎の少女・風斬氷華と出会い、インデックスに初めての「ともだち」ができたという微笑ましい人間関係の広がりには、読んでいて心が温められた。
しかし、その穏やかな日常を切り裂くように襲来するイギリス清教の魔術師、シェリー=クロムウェルの存在が物語の緊張感を一気に跳ね上げる。科学と魔術が接近することによる過去の悲劇を恐れる彼女は、両勢力に決定的な戦争の火種を植え付け、完全に分断することを目論んでいた。地下街へと追い詰められた上条たちに対し、シェリーが操る巨大な石像のゴーレムが牙をむく戦闘シーンは、圧倒的な迫力に満ちている。
クライマックスにおいて最も胸を打たれたのは、インデックスを守るために自らの正体を晒して立ちはだかった風斬氷華の覚悟だ。彼女の真の姿は、学園都市の能力者たちが無意識に放つAIM拡散力場によって形成された、実体を持たない人工的な存在であった。自らの異形さに絶望し、悲鳴を上げる風斬。そんな彼女に対し、上条が「お前は人間だ」と叫び、その存在を真っ向から肯定してみせる場面には激しく胸を揺さぶられた。理不尽な現実を、右手の「幻想殺し」でゴーレムごと粉砕する上条の姿は最高に格好良い。シェリーの悲しい過去に由来する孤独な戦いにも終止符が打たれ、事件が収束していく流れには確かな救いを感じた。
事件が終わり、インデックスが変わらぬ友情を示したことで、風斬は姿を保てなくなりながらも笑顔で再会を誓う。その美しい絆に感動を覚える一方で、読後に残る複雑な余韻も本作の大きな魅力である。なぜなら、彼らの知らない裏舞台では、統括理事長アレイスターが風斬を鍵とし、魔術世界を崩壊させるための「人工天界」の構築を着実に進めているからだ。少年少女たちの切実な願いや友情の裏で、巨大な大人たちの思惑が不気味に蠢く、この世界の二層構造に強烈な魅力を感じずにはいられない。
最後までお読み頂きありがとうございます。
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とある魔術の禁書目録(5)レビュー
【とある魔術の禁書目録】あらすじ・ネタバレ・まとめ
とある魔術の禁書目録(7)レビュー
考察・解説
学園都市の構造
学園都市の構造について、物理的な施設や防衛体制、治安維持の仕組み、そして裏に隠されたオカルト的な側面の大きく4つの観点から解説する。
1. 物理的・地理的な隔離構造
学園都市は東京都の三分の一を独占する広大な敷地を持ち、二三〇万もの学生を抱えている。
- 街の周囲はぐるりと壁で覆われており、出入り口となる「門」や外壁は警備隊によって厳重にガードされ、許可証なしに無断で外に出ることは許されない。
- 街の風景としては、そこかしこに風力発電のプロペラが立っているのが特徴である。
- 土地不足と地震国である日本における世界最高レベルの地下建設技術の実地テストを兼ねて、発達した「地下街」が存在する。地下街は駅を中心として各デパートの地下を繋ぎ、迷路のように展開されており、騒音対策を兼ねているのかゲームセンターなどが多く配置されている。
- 加えて、校舎の屋上がプールになっていたり、体育館の地下が大倉庫になっていたりするなど、変則的な造りをした学校施設も珍しくない。
2. 中枢機関「窓のないビル」
学園都市の中心的な施設として、「窓のないビル」が存在する。
- このビルにはドアも窓も廊下も階段もなく、大能力の一つである「空間移動(テレポート)」を使わない限り出入りができない完全な密室となっている。
- 火力だけなら核ミサイルの爆風を受けても倒れないほどの強度を誇り、生活に必要な大気すら施設内で生成しているため通気口すら存在しない。
- この広大な部屋の中央にある巨大な強化ガラスの円筒の中には、学園都市の統括理事長であるアレイスターが生命活動の全てを機械に預けた状態で、逆さに浮かんでいる。
3. 治安維持の相互監視体制
学園都市の治安は、「警備員(アンチスキル)」と「風紀委員(ジャッジメント)」という二系統の部隊によって維持されている。
- 「風紀委員」は能力者である学生によって構成される対能力者用の部隊である。
- 「警備員」は次世代兵器で武装した教職員のボランティアによって構成されている。
このように治安部隊が二系統に分かれている理由は、部隊の内部腐敗や、教職員が己の立場を悪用する事態を防ぐため、互いに監視し合う仕組みになっているからである。
4. 裏の構造「虚数学区・五行機関」
物理的な都市構造とは別に、学園都市には「虚数学区・五行機関」と呼ばれる裏の構造が隠されている。
- これは当初「始まりの研究所」と呼ばれ、どこにあるのかも分からない幻の存在とされていた。
- その正体は、学園都市に住む二三〇万人もの能力者たちが無意識に放つ微弱な力「AIM拡散力場」の集合体によって形作られた、見えざる「陽炎の街」である。
- この「陽炎の街」は、学園都市とまったく同じ座標に重なるように存在しているが、物理的な影や重さを持たず、通常の人間とは別位相にあるため、五感で捉えることはできない。
このように、学園都市は高度な技術によって外界から物理的に要塞化されているだけでなく、内部の治安維持の仕組みや、能力者の力が生み出したもう一つの不可視の都市が重なり合うという、非常に複雑で多層的な構造を持っている。
虚数学区・五行機関
虚数学区・五行機関について、その都市伝説としての噂、真の正体、制御のための「鍵」、そしてアレイスターの真の目的という観点から解説する。
1. 学園都市の暗部としてのウワサ
虚数学区・五行機関は、学園都市ができた当初は「始まりの研究所」と呼ばれ、現在ではどこにあるのか、あるいは本当に存在するのかも分からない幻の存在とされている。
- 現在の工学でも再現不可能な『架空技術』を抱えており、学園都市の運営を裏から掌握しているとさえ噂されている。
- 外部の教会や魔術師たちは、アレイスターのいる「窓のないビル」がそれだと考えているようだが、実際は異なる。
2. 真の正体「AIM拡散力場の集合体」
その正体は、物理的な建造物や組織ではない。
- 学園都市に住む二三〇万人もの能力者(学生)たちが、無意識のうちに周囲へ放っている微弱な力「AIM拡散力場」の集合体によって作られた見えざる世界である。
- この力は普段は機械で計測しなければ分からないほど微弱だが、一定の衝撃を加えることで爆発的に力が増すという、減圧下における0度の水のような非常に不安定な性質を持っている。
3. 虚数学区を制御する「鍵」
学園都市統括理事長であるアレイスターは、この不安定な虚数学区を制御する方法をすでに掴んでいたが、それを実行するための「キー(鍵)」を必要としていた。
- その鍵こそが「風斬氷華」である。
- 彼女は虚数学区(AIM拡散力場の集合体)の一部であり、アレイスターは虚数学区を掌握するために、本来は心を持たない彼女に人為的に自我を植え付け、実体化させた。
- 霧ヶ丘女学院に用意されていた風斬専用の研究室も、実は虚数学区の正体を探るためのものだったと噂されている。
4. アレイスターの真の目的「人工天界」
アレイスターの最終的な目的は、この虚数学区を完全に制御し、科学的な力のみで人工的な「天界」(まったく新しい『界』)を作り上げることである。
- 虚数学区の住人である風斬氷華が「天使」であるならば、彼女たちの住む街は「天界」となる。
- この新たな『界』が完成して既存のルールがかき乱されると、世界中のあらゆる魔術師は、魔術を使おうとしただけで体が爆発するなど自滅してしまうようになる。
まとめ
かつて一方通行(アクセラレータ)が行っていた絶対能力進化実験の真の狙いも、この「人工天界」を構築することにある。実験を中止させて「妹達(シスターズ)」を治療目的で世界中へ送り出したのは、能力者を世界中に配置することでAIM拡散力場を蔓延させ、虚数学区で地球全土を覆い尽くすための布石だったのである。
インデックスの日常
インデックスの日常について、彼女の同居生活の様子、学園都市の常識とのギャップ、そして平和な日常への思いという観点から解説する。
上条当麻との同居生活
インデックスは上条当麻の学生寮で同居しており、特徴的で騒がしい日々を送っている。
- 部屋ではアニメを見て騒いだり、借りてきた漫画を散らかしたりして過ごしている。
- 夏休みの宿題に追われる上条の横で、桃太郎を題材にしたオカルト解説を始めて作業を妨害することもある。
- 就寝時にはワイシャツ一枚の無防備な姿で丸くなって眠っており、寝ぼけてドアの鍵を開けてしまうこともあるため、上条は気が抜けず、夜はユニットバスに閉じこもって眠る生活を送っている。
- 怒ると上条の頭に噛みつくという凶悪な癖があり、彼を度々悲鳴を上げさせている。
- 食欲が非常に旺盛であり、上条が朝食を作ると、三毛猫のスフィンクスと一緒にガラステーブルへ駆け寄る。
- 上条が昼食を用意せずに登校してしまった際には「未曾有の大ピンチ」と危機感を抱き、彼を追って始業式中の学校へ乱入するほどであった。
- 地下街の学食レストランを訪れた際には、40000円もする「常盤台中学給食セット」を躊躇なく頼もうとして上条にツッコミを入れられている。
学園都市の常識とのギャップ
魔術世界で生きてきたインデックスには、学園都市の科学的な「常識」が皆無である。
- 食堂の食券販売機がタッチパネル式であることに気づかず、物理的なボタンを探して途方に暮れてしまう。
- テレビの料理番組を見るたびにスフィンクスが画面に猫パンチをしている姿を見ているため、「画面を触ると何かが起きる」という発想を持てない。
- 一〇万三〇〇〇冊の魔道書を記憶している頭の中には、最近になって少年マンガの知識が混ざり始めており、未知の機械を漫画の知識で解釈しようとする姿も見られる。
- 地下街のゲームセンターを訪れた際には、音と光の洪水に目を輝かせて大はしゃぎし、アニメ「超機動少女カナミン」の衣装の試着や、写真シールでの撮影を無邪気に楽しんでいた。
平和な日常への思い
インデックスにとって、学園都市での何気ない生活は新鮮な驚きに満ちている。
- 上条が「退屈な授業や地獄みたいなテストがあって大変だ」と学校生活の愚痴をこぼした際にも、彼女は「それを退屈だと言えるのが、きっとすでに幸せなんだと思う」と語っている。
まとめ
過酷な運命を背負ってきたインデックスにとって、争いのない平和な世界や、退屈と呼べるような温かい時間は、決して手の届かない宝物のように眩しく映っているのである。科学と魔術のギャップからくる日常の騒動もまた、彼女にとっては新鮮でかけがえのない平和な時間の一部となっている。
シェリーの強行侵入
シェリー=クロムウェルの学園都市への強行侵入について、侵入の状況、彼女の真の目的、学園都市上層部の思惑、そして上条当麻との対決という観点から解説する。
1. 侵入の状況と街の混乱
イギリス清教『必要悪の教会(ネセサリウス)』に所属する魔術師シェリー=クロムウェルは、朝7時前に学園都市の「門」を真正面から攻撃し、重傷者3名を含む15名の負傷者を出しながら強行突破した。
- この事態を受け、学園都市では対テロ用の警戒レベル『特別警戒宣言(コードレッド)』が発令され、街の出入りが完全に封鎖された。
- 彼女は土でできたゴーレム「エリス」を操り、地下街で警備員(アンチスキル)の部隊を単機で圧倒するほどの戦闘力を見せつけた。
2. 侵入の真の目的
彼女が学園都市で騒動を起こした真の目的は、イギリス清教を名乗って事件を起こすことで「科学側と魔術側の戦争の火種」を作ることである。
- その背景には、彼女の悲しい過去がある。
- かつて科学と魔術が協力しようとした組織に所属していた彼女は、魔術側(イギリス清教の騎士)の襲撃を受け、友人の超能力者「エリス」を目の前で殺されてしまった。
- この経験から、科学と魔術が不用意に歩み寄れば摩擦が生じて悲劇を生むと考え、両者が決定的に対立し、完全に住み分けを行うべきだと信じるようになったのである。
3. アレイスターの思惑
この強行侵入は、実は学園都市統括理事長アレイスターによって意図的に黙認されたものであった。
- スパイである土御門元春は、イギリス清教の暗号専門家であるシェリーを倒せば、科学と魔術の全面戦争に発展しかねないと危惧していたが、アレイスターはそれを意に介さなかった。
- アレイスターは、上条当麻と魔術師を衝突させることで、虚数学区・五行機関の制御に関する「プラン二〇八二から二三七七までを短縮できる」という自身の計画を優先し、意図的に彼女の侵入を許していたのである。
4. 上条当麻との対決
シェリーは「禁書目録」「幻想殺し」「虚数学区の鍵」のいずれかを標的に定め、警備員に守られていないインデックスを狙うために地下鉄構内を丸ごと崩落させようとした。
- しかし、上条当麻は彼女の「戦争を起こしたい」という主張の裏にある、「大切な友達を失いたくなかった」というたった一つの悲しい本音を看破した。
- 上条は、住み分けなどしなくてもインデックスと共に生きていけると彼女の信念を真っ向から否定し、彼女の張った罠を打ち破って強烈な拳を叩き込み、彼女の暴走を止めるに至った。
まとめ
シェリーの強行侵入は、魔術と科学の衝突を恐れる彼女の過去の悲劇に起因していた。しかし、その行動すらも学園都市上層部の計算の範疇にあり、彼女は知らずのうちに計画の歯車として利用されていたのである。最終的に上条当麻の力と強い信念によって彼女の暴走は食い止められ、事件は収束へと向かったのである。
ゴーレム・エリス
ゴーレム・エリスについて、その基本構造と材質、名前の由来とシェリーの過去、魔術的な特性、そして暴走と結末という4つの観点から解説する。
1. 基本構造と材質
エリスは、イギリス清教の魔術師シェリー=クロムウェルが操る、高さ4メートルにも及ぶ巨大な石像の化け物である。
- シェリーが白いオイルパステルで命令文を書き殴ることで、コンクリートや鉄パイプ、椅子、自動販売機、街路樹など、その場にあるあらゆる物質を粘土のように丸めて強引に形を整えて作られる。
- シェリーはエリスを二体同時に作り出すことはできず、新しいものを作るには古いものを壊す必要がある。
2. 名前の由来と悲しい過去
「エリス」という名前は元々このゴーレムのものではなく、20年前に亡くなったシェリーの親友である、超能力者の少女の名前から付けられている。
- かつて科学と魔術が協力しようとした施設に所属していたエリスは、施設を潰そうと襲撃してきたイギリス清教の騎士たちからシェリーを逃がすために命を落とした。
- この悲劇が、シェリーが科学と魔術の決定的な住み分けを求めて「戦争の火種」を作ろうとする動機となっている。
3. カバラ術式と自己修復機能
この石像は、神が土から人を作ったとされるカバラの術式をベースにアレンジされ、イギリス清教の術式が混合されたものである。
- 頭部や両手足を十字架の先端に見立て、それぞれに四大天使の力を配することで戦闘に特化させている。
- 銃弾などで体を破壊されても、磁石のように周囲の瓦礫や建材を取り込んで即座に修復してしまうという、極めて厄介な自己修復機能を持っている。
4. 戦闘での特性と暴走
普段はシェリーの遠隔操作で動いており、インデックスの「強制詠唱」によって命令に割り込まれ妨害を受けたが、自動制御に切り替わることでそれを無効化した。
- その後、風斬氷華の強烈な飛び蹴りによって内部構造に致命的なダメージを受けた際、治らない傷を無理やり治そうとした結果、再生機能が暴走してしまった。
- 周囲のあらゆる物質を際限なく吸い寄せて肥大化し、周囲の建物すら崩壊させるほどの脅威となった。
まとめ
暴走により周囲のあらゆる物質を吸い寄せ肥大化してしまったエリスであったが、最後は風斬を守るために立ち塞がった上条当麻の「幻想殺し(イマジンブレイカー)」の拳を受け、全身に亀裂が走って粉々に崩壊した。悲しい過去の象徴として生み出された強大なゴーレムは、少年の拳によって完全に打ち砕かれる結末を迎えたのである。
風斬氷華の正体
風斬氷華の正体について、霧ヶ丘女学院での噂、その真の構造、そして彼女が作られた目的という観点から解説する。
1. 霧ヶ丘女学院における「正体不明(カウンターストップ)」
風斬氷華は、能力開発の名門である霧ヶ丘女学院において、常にテストの上位に名前が掲示されながらも、実際にその姿を見た者は誰もいないという謎に包まれた生徒であった。
- 一部の教師の間では「正体不明(カウンターストップ)」と呼ばれていた。
- 彼女個人の能力を調べるための専用の研究室まで用意されていた。
- どこにあるのかも分からない学園都市の暗部「虚数学区・五行機関」の正体を知るための鍵であるとも噂されていた。
2. 真の正体「AIM拡散力場の集合体」
彼女の真の正体は人間ではなく、学園都市に住む二三〇万人もの能力者たちが無意識に放つ微弱な力「AIM拡散力場」が重なり合って生み出された、物理現象の一つである。
- 体内には肉も骨も脳髄も存在せず、傷ついても一滴の血も流れない。
- 頭部が吹き飛ばされた際、傷口の奥は空っぽの空洞になっており、その中心には無数のキーがついた小さな三角柱が浮かんでいた。
- そのキーが高速で動くことによって彼女の表情や仕草が作られ、致命傷を受けても瞬時に修復されるという、人間からかけ離れた異質な構造を持っている。
3. アレイスターの目的と自我の付与
もともとの風斬氷華は、五感で捉えられない幽霊のような曖昧な存在であったが、学園都市の統括理事長アレイスターによって人為的に自我を植え付けられ、実体化させられた。
- 本来は心を持たない力場に自我を芽生えさせるため、あらゆる異能を打ち消す上条当麻の「幻想殺し(イマジンブレイカー)」という「死の脅威」が利用された。
- アレイスターの真の目的は、不安定な「虚数学区・五行機関」を完全に制御するための「鍵」として彼女を完成させることであった。
- 最終的には魔術師の力を封じる新たな法則の世界「人工天界」を作り上げるための計画であった。
4. 風斬氷華自身の認識
彼女自身は、自分が人間ではないことに全く気づいていなかった。
- 学校に行くのも、給食を食べるのも、自販機でジュースを買うのも、すべてが「今日が初めて」の経験であった。
- 過去の記憶や人生そのものが存在しない幻のような存在だった。
- 自分が空っぽの化け物であるという残酷な真実を突きつけられた時、彼女は大切な友達であるインデックスから拒絶されることを恐れ、深い絶望に突き落とされた。
まとめ
自分が人間ではないという残酷な真実を知り絶望に突き落とされた風斬氷華であったが、最終的に彼女は、人間ではない「化け物」である自分の力を使ってでも、大切な友達を守るために強大な敵に立ち向かうという悲壮な決断を下した。彼女は作られた存在でありながらも、大切なものを守るための確かな意志を示すに至ったのである。
上条当麻の介入
『とある魔術の禁書目録6』(シェリー=クロムウェルによる地下街襲撃事件)における上条当麻の介入について、事件への巻き込まれと決意、シェリーの目的の看破、風斬氷華への救済、そして事件の結末という観点から解説する。
1. 事件への巻き込まれと戦う決意
九月一日の始業式後、上条当麻はインデックスや風斬氷華と共に地下街を訪れていたが、シェリー=クロムウェルの強行侵入事件に巻き込まれ、地下街に閉じ込められてしまう。
- 上条は、傷つきながらも子供たち(民間人)を守るために決して退かずに戦う警備員(アンチスキル)たちの姿を目の当たりにする。
- さらに、シェリーの標的が自分や風斬、そして無防備なインデックスであることを察知した彼は、逃げるのではなく自ら敵の元へ討って出る決意を固めたのである。
2. シェリーの目的と上条の看破
シェリーの目的は、イギリス清教を名乗って事件を起こし、「科学側と魔術側の戦争の火種」を作ることである。
- 彼女はかつて科学と魔術の協力機関に所属していた際、友人の超能力者「エリス」を失っており、両者が歩み寄れば悲劇を生むため、決定的な住み分けをするべきだと考えていた。
- しかし上条は、相反する考えに苦しむ彼女の絶叫の裏にある「大切な友達を失いたくなかっただけ」という、たった一つの悲しい本音を看破する。
- そして、住み分けなどしなくてもインデックスたちと共に生きていけると、彼女の信念に真っ向から反論したのである。
3. 風斬氷華への救済
事件の中で、風斬氷華は自らが人間ではなく、体の中が空洞の「化け物」であるという残酷な真実を知り、深い絶望に突き落とされる。
- それでも彼女は、大切な友達であるインデックスを守るため、自らの体を盾にして巨大な石像・エリスの凶悪な拳を受け止めようとした。
- 破滅の瞬間、駆けつけた上条は彼女を化け物ではなく「風斬」と呼び、自らの右拳「幻想殺し(イマジンブレイカー)」でエリスの拳を真っ向から受け止め、粉砕することで彼女を救い出したのである。
まとめ
圧倒的な力と質量を持つエリスに対し、上条は決して諦めず、エリスが大振りの攻撃を放って体勢を崩した一瞬の隙を突き、その懐へと飛び込んだ。そして、石像を失って戦う術を持たないシェリーを強烈な拳で殴り飛ばし、事件を終結させた。戦いの後、自らが化け物であることに絶望し、インデックスから拒絶されることを恐れて泣き崩れる風斬に対し、上条は「お前は人間だよ」と力強く保証する。そして彼女とインデックスを引き合わせることで、風斬の居場所がそう簡単には壊れないことを証明してみせたのである。
とある魔術の禁書目録(5)レビュー
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とある魔術の禁書目録(7)レビュー
登場キャラクター
学園都市
アレイスター=クロウリー
学園都市の統括理事長を務める人物である。窓のないビルの内部で、巨大なガラス円筒の中の赤い液体に逆さで浮かんでいる。男にも女にも大人にも子供にも見える容姿を持つ。生命活動を機械に預けることで、計算上は一七〇〇年の寿命を得ている。
・所属組織、地位や役職
学園都市。統括理事長。
・物語内での具体的な行動や成果
空間移動能力者に案内された土御門元春と対話を行った。シェリーの侵入を利用して自身の計画の手順を短縮できると語った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
虚数学区・五行機関の制御を目論んでいる。上条当麻をその手順の中心に組み込もうと画策している。
土御門元春
金髪にサングラスをかけ、アロハシャツを着た少年である。上条当麻のクラスメイトとして振る舞っている。その裏ではイギリス清教からの逆スパイとして学園都市に潜入している。
・所属組織、地位や役職
学園都市。スパイ。上条当麻のクラスメイト。
・物語内での具体的な行動や成果
窓のないビルを訪れ、シェリーの侵入に関する情報を統括理事長へ報告した。魔術側と科学側の戦争が起こる危険性を強く警告した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
統括理事長の真の目的が天界の人工的な構築にある可能性に気づいた。その事実に強い戦慄を覚えている。
上条当麻
学園都市に住む高校生の少年である。あらゆる異能の力を打ち消す右手を備えている。記憶喪失であることを隠して日常を送っている。
・所属組織、地位や役職
学園都市。学生。
・物語内での具体的な行動や成果
石像から少女たちを守るため、地下街や地下鉄構内で戦闘を行った。敵の魔術師を打倒し、事態を収束に導いた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
正体を知って絶望する少女に対し、彼女が人間であると保証した。自らの手で大切な居場所を守り抜いた。
御坂美琴
常盤台中学に通う少女である。茶色の髪を持ち、電撃を操る超能力者として知られる。顔見知りの少年に好意らしきものを見せつつも、素直になれない態度をとる。
・所属組織、地位や役職
学園都市。常盤台中学の生徒。超能力者。
・物語内での具体的な行動や成果
少年の通学時に並走して会話を交わした。地下街で後輩の危機を救い、石像の腕を超電磁砲で粉砕している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
事件後は民間人を地上へ逃がし、警備員が来る前に現場から立ち去った。
白井黒子
常盤台中学に通う少女である。空間移動能力を持つ大能力者として活動している。先輩の少女を慕い、強い執着を見せることがある。
・所属組織、地位や役職
学園都市。常盤台中学の生徒。風紀委員。
・物語内での具体的な行動や成果
不法侵入者を追跡して駅前で交戦したが、石像の攻撃により足を挟まれた。救助された後、地下街で閉じ込められた人々の避難誘導を担当した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
空間移動の力を用いて、複数の人物を安全な地上へ避難させた。
姫神秋沙
長い黒髪を持つ少女である。上条当麻のクラスに転入してきた生徒として登場する。無表情で淡々とした口調で話す特徴がある。
・所属組織、地位や役職
学園都市。上条当麻のクラスメイト。吸血殺し(ディープブラッド)の能力者。
・物語内での具体的な行動や成果
担任教師に頼まれた本を職員室へ届けた。風斬氷華の名前や霧ヶ丘女学院での噂について忠告を行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記録上クラスへの転入生は自分一人だけだと明かした。これにより風斬の正体に疑問を抱かせるきっかけを作った。
青髪ピアス
身長一八〇センチメートルに届く体格を持つ少年である。エセ関西弁を話す特徴がある。上条当麻のクラスメイトとして日常を過ごしている。
・所属組織、地位や役職
学園都市。上条当麻のクラスメイト。
・物語内での具体的な行動や成果
始業式の日に宿題を忘れた同級生をからかった。自身もわざと宿題を忘れてきたと語り、教室を騒がせた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
頼まれて机の中からノートを取ってきた。その行動が、記憶喪失の友人を自席へ誘導する助けとなった。
月詠小萌
身長一三五センチメートルで小学生のような外見を持つ女性である。上条当麻のクラスの担任を務めている。生徒思いで優しい性格の持ち主として描かれる。
・所属組織、地位や役職
学園都市。高校教師。
・物語内での具体的な行動や成果
大学時代の友人の手伝いで能力者が無意識に放つ微弱な力について調べていた。電話越しの会話から風斬氷華の正体に関する仮説を導き出した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
新発見の対象を研究機関へ売り渡すつもりはないと断言した。生徒の友達を守るという教師としての信念を示している。
黄泉川愛穂
長い黒髪を後ろで縛った女性である。常に緑色のジャージを着用している。快活な性格で、大声で笑う描写が多い。
・所属組織、地位や役職
学園都市。体育教師。警備員。
・物語内での具体的な行動や成果
放課後の職員室で同僚の教師と雑谈を交わした。その後、地下街での捕り物へ向かうために部屋を出た。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
部外者の侵入を楽しむような余裕を見せていた。治安維持部隊の一員として最前線で活動している。
空間移動能力者の少女
小柄な体格を持つ少女である。厳重に閉鎖されたビルへ他者を案内する役目を負っている。
・所属組織、地位や役職
学園都市。空間移動能力者。
・物語内での具体的な行動や成果
スパイの少年をエスコートして窓のないビルに出現した。無言で会釈をした後に虚空へ姿を消した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
外部との物理的な出入りが不可能な施設において、唯一の移動手段として機能している。
念話能力の風紀委員の少女
高校生らしき外見を持つ少女である。声を出さずに他者の頭の中へ直接言葉を届ける能力を持つ。
・所属組織、地位や役職
学園都市。風紀委員。
・物語内での具体的な行動や成果
地下街にテロリストが紛れ込んでいることを警告した。周囲の人々に自然な形での避難を促した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
異能の力を打ち消す右手を持つ少年には念話が通じなかった。そのため彼らには口頭で隔壁閉鎖について説明した。
カエル顔の医者
カエルのような顔つきをした男性である。患者を見捨てないという強い信念を持っている。
・所属組織、地位や役職
学園都市の病院。医師。
・物語内での具体的な行動や成果
戦闘で右手を負傷した少年の治療を行った。人間の拳が衝撃に弱いことを指摘し、注意を促した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
いかなる怪我や病気にも打ち勝つ手腕を持つ。複雑骨折の危険性について医学的な観点から警告を与えた。
イギリス清教
インデックス
純白の修道服を着た銀髪の少女である。異国の組織に属しており、食欲旺盛な一面を見せる。同居人に懐いており、怒ると頭に噛み付く癖がある。
・所属組織、地位や役職
イギリス清教第零聖堂区「必要悪の教会」。魔道書図書館。
・物語内での具体的な行動や成果
地下街で巨大な石像に襲われた際、記憶している知識を用いて敵の制御を妨害した。安全ピンを関節に投げ込み、動きを阻害することに成功した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
友達の正体が人間ではないと知った後も態度を変えなかった。彼女を大切な存在として受け入れている。
シェリー=クロムウェル
色黒の肌と金髪を持つ二〇代後半の女性である。古いドレスを着ており、科学と魔術の協力によって友人を失った過去を抱える。両勢力の住み分けを求めている。
・所属組織、地位や役職
イギリス清教第零聖堂区「必要悪の教会」。魔術師。
・物語内での具体的な行動や成果
学園都市に侵入して巨大な石像を操り、地下街で警備員たちと交戦した。地下鉄構内全体を崩落させる罠を仕掛けた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
少年に殴り倒されて気絶した。科学と魔術の戦争を引き起こす目論見は阻止された。
虚数学区・五行機関
風斬氷華
眼鏡をかけた大人しい少女である。自身の正体を知らず、普通の人間だと思い込んでいた。地下街で出会った修道女と親しくなる。
・所属組織、地位や役職
虚数学区・五行機関。能力者が無意識に放つ力の集合体。
・物語内での具体的な行動や成果
地下街で攻撃を受け、自身の体が空洞であることを知って絶望した。その後、友達を守るために石像の拳を身を挺して受け止めた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
少年と修道女から友達として認められた。消滅することなく日常に留まる結果となった。
その他
ゴーレム=エリス
魔術師によって操られる巨大な石像である。コンクリートや鉄パイプなど周囲の物質を寄り集めて作られている。
・所属組織、地位や役職
魔術の産物。
・物語内での具体的な行動や成果
地下街で警備員や民間人を襲撃し、圧倒的な力と自己修復機能で追い詰めた。再生機能が暴走し、周囲の建材を取り込んで肥大化した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
少年の右手によって防御を無効化され、粉砕された。その後、魔術師が二体目を作ることはなかった。
スフィンクス(三毛猫)
学生寮で飼われている三毛猫である。修道女に抱えられていることが多い。
・所属組織、地位や役職
上条当麻のペット。
・物語内での具体的な行動や成果
地下街で修道女の腕から逃げ出し、廃ビル区画へ向かった。それがきっかけで魔術師と遭遇する事態を招いた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
異常な気配を察知して逃げ出す行動を見せた。最後は友人として受け入れられた少女の場に同席していた。
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展開まとめ
序章 舞台裏の表側
窓のないビル
密室に存在するアレイスター
学園都市には、窓も扉も廊下も階段もないビルが存在した。そこは空間移動を使わなければ出入りできない密室であり、その中心には赤い液体で満たされた巨大な強化ガラスの円筒が置かれていた。
円筒の中には、学園都市統括理事長アレイスターが逆さに浮かんでいた。彼は生命活動を機械に預け、計算上は一七〇〇年もの寿命を得ていた。
土御門元春の来訪
アレイスターが時期を見計らったように考えた瞬間、空間移動能力者の少女に連れられて土御門元春が現れた。
土御門は警備が甘すぎると苛立ちを隠さずに言った。彼は学園都市に侵入したシェリー=クロムウェルの写真を提示し、彼女が流れの魔術師ではなく、イギリス清教『必要悪の教会』の人間であると告げた。
イギリス清教内部の複雑さ
土御門は、イギリス清教は一枚岩ではなく、さまざまな派閥と思惑を抱えていると説明した。
学園都市との協定を疑う者もおり、インデックスが学園都市内部にいることを情報漏洩の危険と見る勢力も存在した。そのため、シェリーの侵入は単なる個人行動では済まない可能性があった。
シェリーを倒すことの危険
土御門は、シェリーが寓意画の組み立てと解読に優れた専門家であり、捕獲されればイギリス清教の暗号技術が学園都市側へ漏れると見なされかねないと説明した。
学園都市が彼女を倒せば、科学側が魔術側の独占技術へ手を出したと疑われ、イギリス清教との亀裂が広がる可能性があった。最悪の場合、科学世界と教会世界の戦争へ発展しかねないと土御門は警戒していた。
土御門の提案とアレイスターの拒否
土御門は、魔術師の問題は魔術師が処理すべきだとして、自分がシェリーを討つと告げた。
しかしアレイスターは、土御門が手を出す必要はないと遮った。土御門は戦争の危険を訴えたが、アレイスターは上条当麻と魔術師を衝突させることで、プラン二〇八二から二三七七までを短縮できると答えた。
虚数学区・五行機関への言及
土御門は、アレイスターの目的が虚数学区・五行機関の制御法に関わるものだと察した。
虚数学区・五行機関は学園都市の始まりに関わる幻の研究所とされ、実在や場所すら不明な存在だった。アレイスターはその制御に必要な手順を進めるため、上条当麻を中心に事件を利用していると土御門は理解した。
閉じ込められた土御門
土御門はアレイスターの命令を無視してでも動きたいと考えたが、窓も扉もないビルから自力で出ることはできなかった。
外部と連絡を取る手段もなく、アレイスターに空間移動能力者を呼ぶよう求めたが、アレイスターは応じなかった。土御門は部屋の機械類がダミーであることにも気づき、手詰まりの状況を悟った。
舞台裏を任される土御門
土御門は、アレイスターに戦争を未然に防ぐ自信があるのかと問いただした。
アレイスターは、その自信は土御門が持つべきだと返し、舞台裏を飛び回るのが土御門の役割だと告げた。土御門は結局、水面下で犠牲を出さないよう動くしかなく、いつものように厄介な仕事を背負わされることになった。
第一章 始業式 Baby_Queen.
疲労困憊の帰還
九月一日の早朝、上条当麻は闇咲逢魔と共に学園都市の外での戦いを終え、疲労と睡眠不足に苦しみながら帰還していた。始業式の日だったため休むこともできず、記憶喪失を周囲へ隠したまま学校生活を続けようと考えていた。
縛られたインデックスとの再会
部屋へ戻った上条は、闇咲の縄縛術によって拘束されたまま放置されていたインデックスと再会した。危険な戦いへ同行しようとして縛られたことを忘れていた上条は驚きながらも、幻想殺しでロープを解いた。
しかし解放された直後、インデックスは上条へ噛みつき、一人で危険な戦いへ向かったことを責めた。その怒りは上条を心配していた気持ちの表れでもあり、彼女は不安な一夜を過ごしていたことを打ち明けた。上条はその思いを受け止め、素直に謝罪した。
秘められた記憶喪失
上条は自らの記憶喪失について、インデックスへ伝えずにいた。真実を知れば彼女が傷つくと考えていたためであり、その秘密を抱えたまま日常を続けていた。
朝食と登校準備
始業式の朝、上条は簡単な朝食を用意しながら登校準備を進めた。インデックスは長時間の留守番に不満を抱いていたが、上条は帰宅後に一緒に遊ぶことを約束した。
その笑顔を見ながらも、インデックスの人間関係が自分中心になっている現状に複雑な思いを抱き、上条は学校へ向かった。
退屈な留守番と昼食問題
見送られたインデックスは、すぐに退屈を感じ始めた。上条の後を追いたい気持ちを抑えながら時間を潰していたが、やがて昼食の準備が何もないことに気づく。
料理もできず、お菓子も残っていない状況に青ざめたインデックスは、大きな危機に直面したと感じながら外の世界へ思いを巡らせた。
通学中の御坂美琴との遭遇
上条は電車の運行停止に巻き込まれ、学校まで走ることになった。その途中で御坂美琴と遭遇し、二人は並走しながら会話を交わした。
美琴は前夜に放置されたことへの不満をぶつけたが、上条の疲労が別件によるものだと知って安心した。一方で、恋人ごっこの件を持ち出されると美琴は激しく動揺し、二人は騒がしく言い争いながら学校へ向かった。
学校到着とAIM拡散力場の話
学校へ到着した上条は、記憶喪失を隠しながら校内を歩いていた。途中で月詠小萌と遭遇し、彼女からAIM拡散力場について説明を受けた。
能力者が無意識に発する力のフィールドであり、その解析によって能力の種類や強さを判別できる可能性があることを知った上条は、そのまま教室へ向かった。
記憶喪失を隠した学校生活
教室へ入った上条は、自分の席が分からない問題に直面した。しかし青髪ピアスとの会話を利用して座席を特定し、自然に席へ着くことに成功した。
日常的な会話を交わしながら、上条は新しい学校生活へ少しずつ溶け込んでいることを実感した。しかしその一方で、自分だけが失ってしまったインデックスとの思い出について複雑な感情を抱いていた。
転入生騒動の勃発
ホームルームで転入生の存在が発表されると、教室は大いに盛り上がった。しかし扉の向こうから現れたのは、三毛猫を抱えたインデックスだった。
教室は混乱に包まれ、小萌は慌ててインデックスを外へ連れ出した。その後、本当の転入生として姫神秋沙が現れ、上条は騒動がこれ以上大きくならなかったことに安堵した。
食堂での風斬との出会い
学校を追い出されたインデックスは、空腹に耐えられず食堂へ向かった。そこで食券販売機の使い方が分からず困っていたところを、風斬氷華に助けられた。
二人は食堂で会話を交わし、インデックスは上条への不満を打ち明けた。風斬はそれを諭しながらも親身に話を聞き、やがて体操服へ着替えて学校に残るという案を提案した。
保健室での大騒動
その頃、インデックスを探していた上条は保健室へ辿り着いた。勢いよく扉を開けると、そこには着替えの途中だったインデックスと風斬の姿があった。
三人は同時に硬直し、その直後に激しい悲鳴と轟音が保健室へ響き渡った。
食堂で深まる交流
騒動の後、上条、インデックス、風斬は食堂で昼食を取った。風斬は緊張しながら自己紹介を行い、三毛猫を通じて少しずつ打ち解けていった。
一方で、昼食を用意しなかったことを巡り、上条とインデックスは再び口論を始めた。風斬は何度も仲裁に入ろうとしたが、二人の言い争いは続いた。
小萌先生の説教
上条の姿が見当たらないことに気づいた小萌は校内を捜索し、食堂で三人を発見した。心配していた反動から怒りを爆発させ、上条へ激しい説教を始めた。
その最中、風斬は静かに席を立ち、誰にも気づかれないまま姿を消していた。
校門前での友情の確認
学校の外へ出されたインデックスは、校門前で風斬と話をしていた。インデックスは上条とのケンカに不安を抱いていたが、風斬は本音をぶつけ合える関係こそ本当の友達なのだと励ました。
その言葉を受け、インデックスは少しずつ不安を和らげていった。
上条との再会と姫神の警告
説教から解放された上条は二人と再会し、約束通り一緒に遊びに行くことを提案した。インデックスはその言葉に喜び、風斬も同行することになった。
その直後、姫神秋沙が現れ、風斬氷華について忠告した。風斬は霧ヶ丘女学院で正体不明の存在として知られ、虚数学区・五行機関の鍵を握る存在だと噂されていたのである。
さらに学校の記録上、転入生は姫神一人しか存在せず、風斬がどのように学校へ入ったのかも不明だった。
上条はその話に驚いたが、インデックスと笑い合う風斬の姿を見ている限り、そこに異変の気配を感じることはできなかった。
行間一
風紀委員による侵入者追跡
始業式の日の昼、駅前には大勢の学生が集まっていた。その中で風紀委員の白井黒子は、人混みを嫌いながらも一人の女を追跡していた。
その女は朝方に学園都市へ強行侵入した人物であり、門への攻撃によって多数の負傷者を出していた。学園都市は特別警戒宣言を発令し、白井も始業式を欠席して捜索任務に当たっていた。
避難誘導と単独確保の決断
白井は標的を発見すると、応援を待たずに行動を開始した。信号弾を発射して周囲の人々へ避難を促し、駅前から一般人を退避させた。
現場に残ったのは白井と侵入者だけとなった。白井は名乗りを上げて拘束を要求したが、女は意に介さず行動を続けようとした。
空間移動による制圧
白井は大能力「空間移動」を使い、一瞬で女の目前へ移動した。そして接触した瞬間に女を地面へ転移させ、さらに金属矢を瞬間移動させて衣服ごと地面へ縫い付けた。
強力な攻撃によって行動不能にしたはずだったが、女はなお不気味な笑みを浮かべていた。
謎の巨大な腕による反撃
直後、白井の背後で地面が爆発し、アスファルトや周囲の物体で構成された巨大な腕が出現した。
白井は足首を地面に挟まれ、身動きが取れなくなった。侵入者の手には白いチョークのような物が握られており、地面には魔法の文字のような記号が描かれていた。
激痛と緊張によって思考力を乱された白井は、本来なら脱出可能な空間移動を使うことができず、迫る巨大な腕を前に追い詰められていった。
御坂美琴の救援
巨大な腕が白井を押し潰そうとした瞬間、何者かの攻撃によって腕の手首部分が切断された。
現れたのは御坂美琴であった。彼女は磁力で操った大量の砂鉄によって巨大な腕を切断し、白井を拘束から解放した。
さらに美琴はコインを弾き、超電磁砲を発射した。音速の三倍で加速されたコインは巨大な構造物を粉砕し、侵入者の攻撃を破壊した。
侵入者の逃走
しかし超電磁砲の直撃を受ける前に、侵入者は煙幕のような混乱を利用して姿を消していた。
現場にはドレスの切れ端だけが残されており、白井は侵入者の取り逃がしを確認した。
白井への助言と本音
戦闘後、白井は恐怖と緊張から力が抜け、美琴へしがみついた。
美琴は、危険な相手を一人で抱え込まず、自分をもっと頼るべきだと諭した。絶望的な状況ほど頼ってほしいと語り、それは信頼の証だと伝えた。
白井は震えながらその言葉を聞いていたが、やがて本性を現し、美琴へ抱きついたまま胸元へ頬ずりを始めた。
真剣に慰めていた美琴は顔を真っ赤にして抗議したが、白井は愛するお姉様との接触を満喫していた。
第二章 放課後 Break_Time.
地下街での昼食探し
上条当麻はインデックスと風斬氷華を連れて地下街を歩いていた。インデックスは地下街の光景に興味津々だったが、上条は寝不足のまま相手をしていた。
昼食の希望を尋ねられたインデックスは、安くて美味しく量が多く、さらにあまり知られていない店を求めたため、上条は困惑した。そこで風斬へ意見を求めたが、風斬は上条に話しかけられるたびに緊張し、インデックスの陰へ隠れてしまった。
風斬を巡る言い争い
風斬の態度に戸惑う上条に対し、インデックスは上条の目つきが怖いからだと非難した。上条は反発し、二人はいつものように口論を始めた。
その最中、風斬が小さな声で昼食の話を切り出したことで言い争いは止まり、三人は彼女の指差したレストランへ向かった。
学食レストランでの食事
三人は学園都市の学校給食や学食のメニューを集めた学食レストランへ入った。インデックスは学食という概念を知らず、限定商品として興味を示していた。
料理を選ぶ際、インデックスは四万円もする常盤台中学給食セットを選ぼうとし、上条に止められた。一方の風斬はコッペパンと牛乳を中心とした質素な給食を選んだ。
食事中、風斬はこうした場所で食事をするのが初めてだと明かした。上条は給食のない学校に通っていたのだろうと推測し、風斬もそれを認めた。
シェリーによる捜索開始
その頃、シェリー=クロムウェルは街中を歩きながら術式を展開していた。聖別された塩と聖油で作ったオイルパステルを使い、自動販売機や街路樹などへ次々と印を刻み込んでいった。
術式が発動すると、刻まれた場所から眼球型の使い魔が現れた。シェリーは風斬氷華の名を書いた紙を使い魔たちへ与え、無数の眼球を街中へ放って風斬の捜索を開始した。
ゲームセンターでの大はしゃぎ
食事を終えた三人は地下街を散策し、最新技術を導入した大型ゲームセンターへ入った。
インデックスは大量のゲーム機に目を輝かせ、全て遊びたいと宣言した。上条は財布への負担を心配しながらも付き合うことになり、風斬はその様子を苦笑しながら見守っていた。
職員室で語られる風斬の存在
放課後の職員室では、黄泉川愛穂と月詠小萌が上条や学校へ現れた少女たちについて話していた。
その後、姫神秋沙が訪れ、小萌とAIM拡散力場について会話を交わした。さらに姫神は風斬氷華について尋ね、風斬が学校に在籍しているかどうかを確認しようとしていた。
ゲームセンターでの散財
上条たちはゲームセンターを一通り遊んだだけで八千円を使い切っていた。インデックスはさらに遊びたがったが、上条は破産すると悲鳴を上げて拒否した。
その最中、上条の携帯電話へ姫神から連絡が入った。しかし騒音のせいで内容はほとんど聞き取れず、風斬氷華や大変なことという単語だけが断片的に耳へ入った。
風斬とインデックスの交流
自動販売機の前で、インデックスは風斬へ上条は怖い人ではないと話していた。
風斬は上条を恐れているわけではなく、静電気を帯びた物に触れるような不思議な感覚を抱いていると語った。また、男性とまともに話した経験がほとんどないことも打ち明けた。
さらに風斬はジュースを飲むのも今日が初めてだと明かし、インデックスを驚かせた。
試着室での事故
上条は戻ってこない二人を探し回り、試着室の前で声を聞きつけた。中ではインデックスと風斬が衣装の試着をしていたため、上条はすぐに離れようとした。
しかし老朽化したカーテンレールが突然外れ、試着室の中が露わになった。着替え途中だった二人の姿が見えてしまい、三人は同時に凍りついた。
上条は事故だと弁明したが受け入れられず、インデックスと風斬から制裁を受けることになった。
写真シールと思い出作り
その後、インデックスは風斬を連れて写真シール機で撮影を楽しんだ。風斬は恥ずかしさを感じながらも、友人との思い出として写真を大切にしたいと思っていた。
三人は地下街を歩きながら学校や日常について語り合った。インデックスは退屈だと言える平和な日常こそ幸せなのだと話し、上条はその言葉を静かに受け止めていた。
地下街への避難命令
そこへ風紀委員が現れ、地下街へテロリストが侵入したため避難するよう警告した。まもなく封鎖作戦が始まり、銃撃戦に発展する可能性もあると説明された。
上条たちは脱出を試みたが、出口には重武装した警備員が配置されていた。インデックスは正式な住民ではないため、検問を受ければ素性が露見する危険を抱えていた。
泥の眼球の出現
その時、壁に張り付いた泥の塊から女の声が響いた。中央には眼球が埋め込まれており、不気味に周囲を見回していた。
インデックスはそれがゴーレムを応用した探索用の魔術だと見抜いた。泥の眼球はインデックスや上条、そして虚数学区の鍵について言及し、標的を認識していることを示した。
上条は地下街を騒がせている犯人が魔術師であると悟った。
地下街封鎖と混乱
泥の眼球が消えると同時に地下街全体が激しく揺れた。照明が消え、人々は出口へ殺到した。
しかし警備員たちは隔壁を降下させ、巨大な鋼鉄の壁によって地下街は完全に封鎖された。逃げ場を失った人々はパニックに陥り、地下街全体が混乱に包まれた。
さらに泥の眼球から再び女の声が響き、地下街を墓穴になぞらえながら戦いの開始を宣言した。
閉じ込められた上条たち
上条は脱出経路を探したが、全ての出口は封鎖されていた。敵がすでに自分たちの位置を把握していると判断した上条は、インデックスや風斬が狙われる前に敵を迎え撃つ決意を固めた。
しかしインデックスは魔術師の相手は自分の役目だと反論し、二人は互いを危険から遠ざけようとして対立した。
御坂美琴と白井黒子の合流
そこへ御坂美琴と白井黒子が現れた。地下街の異変を受けて現場へ来ていたのである。
事情を聞いた白井は、学園都市へ侵入した二人の不審者について触れた。上条はそのうち一人が自分であることを説明し、昨夜学園都市の外へ出ていた事実を明かしたため、その場の全員を呆れさせた。
避難作戦の開始
白井は空間移動能力を使って住民を地上へ避難させる計画を説明した。議論の末、まずインデックスと美琴を地上へ送ることになり、白井は二人を連れて空間移動で姿を消した。
残された上条と風斬は地上への到着を願ったが、その直後にさらに大きな震動が地下街を襲った。銃声や怒号も聞こえ始め、避難できなかった人々の混乱は一層激しくなっていた。
上条の決意
上条はこのままでは多くの犠牲者が出ると判断した。風斬へその場で白井を待つよう伝え、自分は敵を止めに行くと告げた。
風斬の命を含め、誰も傷つけさせないために、上条は右手を握り締めながら地下街の闇へ向かって走り出した。
第三章 閉鎖化 Battle_Cry.
シェリーとエリスの進軍
シェリー=クロムウェルは銃声と硝煙に満ちた地下街を悠然と進んでいた。彼女の前には地下街の建材を取り込んで作られた巨大な石像エリスが立ちはだかり、盾となって攻撃を受け止めていた。
シェリーはオイルパステルで命令を与えながらエリスを操り、自らはその後方を進んでいた。警備員たちは連携しながらライフル射撃を続けたが、エリスは損傷するたびに周囲の建材を取り込み、自動的に修復されていた。
警備員部隊の崩壊
警備員の一人は手榴弾でシェリーを直接狙おうとした。しかしシェリーの命令でエリスが地面を踏み鳴らし、地下街が激しく揺れたため、手榴弾は足元へ落下して爆発した。
爆発によって警備員たちは大きな被害を受け、生き残った者たちもバリケードから飛び出さざるを得なくなった。その隙を突き、エリスは巨大な腕を振り下ろして警備員たちを追い詰めていった。
負傷した警備員たちとの遭遇
上条当麻は戦場の奥へ進み、重傷を負った警備員たちが集まる場所へ辿り着いた。そこには二十人近い警備員が倒れていたが、誰も逃げようとはせず、子供たちを守るため戦い続けようとしていた。
女性警備員は上条へ退避を命じたが、上条は制止を振り切った。傷つきながらも使命を果たそうとする警備員たちの姿を見た上条は、強い怒りと決意を抱いて戦場へ向かった。
シェリーとの対峙
上条はシェリーと巨大な石像エリスに遭遇した。周囲には破壊されたバリケードや倒れた警備員たちが散乱していた。
シェリーは風斬氷華や幻想殺しを狙っていることを明かし、目的のためなら犠牲をいとわないと語った。そしてエリスによる震動で上条を地面へ叩き伏せ、自らがイギリス清教の人間であり、戦争の火種を作ることを目的としていると告げた。
風斬氷華の異変
銃撃によってエリスの動きが止められていた時、風斬氷華が暗闇の中から姿を現した。上条は退避を叫んだが、その直後に跳弾が風斬の顔面へ命中した。
頭部の右半分を吹き飛ばされた風斬だったが、内部には肉や骨は存在せず、空洞の奥に三角柱状の奇妙な物体が浮かんでいた。風斬自身も初めて自分の異常な姿を目の当たりにし、恐怖に陥った。
逃走する風斬
混乱した風斬は逃げ出した。しかしエリスの攻撃を受けて腕や脇腹を大きく損傷しながらも倒れなかった。
自分の身体が人間ではないことを知った風斬は恐怖のまま逃走し、シェリーはその異様な存在に興味を示して追跡を開始した。上条は衝撃的な光景を前に立ち尽くすしかなかった。
風斬の正体を探る上条
上条は警備員たちを救出した後、風斬を追いながら月詠小萌へ連絡した。
小萌は風斬が防犯記録や衛星写真に映らない存在であることを説明し、さらに風斬は二百三十万人の能力者が放出するAIM拡散力場によって生み出された存在だという仮説を語った。
風斬は人間ではなく現象に近い存在かもしれないが、それでも笑い、悩み、自ら考えて行動してきた事実は変わらないと小萌は強調した。
小萌の思いと上条の決意
上条は風斬が人間ではない可能性に衝撃を受けた。しかし小萌は、人間かどうかという理由だけで風斬を否定してはならないと諭した。
さらに、風斬を研究対象として扱うつもりはなく、教師として守りたいと語った。上条はその言葉を受け、恐怖に苦しむ風斬を救う決意を新たにした。
絶望する風斬
その頃、風斬は傷が人間離れした速度で修復される様子を目の当たりにし、自分が普通の存在ではないことを受け入れざるを得なくなっていた。
そこへ追いついたシェリーは、風斬を化け物だと嘲笑し、何度も攻撃を加えた。さらに受け入れてくれる場所など存在しないと告げ、風斬の心を追い詰めた。
風斬は、自分には本当の過去がなく、今日経験した出来事の全てが初めてだったことに気づいた。そして自分は幻のような存在なのではないかと思い込み、希望を失っていった。
上条の救援
風斬が死を受け入れようとした瞬間、上条当麻が現れた。
上条は右手でエリスの拳を受け止めた。幻想殺しに触れたエリスは亀裂を生じ、全身が崩壊していった。シェリーは慌てて新たな石像を作り出したが、上条は風斬を守るように立ち塞がった。
仲間たちの集結
さらに周囲には傷だらけの警備員たちが集結した。三十人以上の警備員が負傷しながらも退かず、風斬を守るために駆けつけていた。
風斬は、自分の正体を見たはずの彼らがなぜ助けようとするのか理解できなかった。
風斬へ向けられた言葉
上条は特別な理由などないと語った。ただ友達を助けてほしいと頼んだだけだと伝えた。
さらに涙を拭いて前を向くよう促し、この場の誰もが風斬に死んでほしくないと思っていると告げた。そして風斬の居場所は簡単には失われないと断言した。
その言葉と、光を掲げて集まる人々の姿を見た風斬は、自分が受け入れられていることを知った。
エリスへの総攻撃
シェリーは怒りながらエリスへ命令を下し、警備員たちは一斉射撃を開始した。
エリスは建材や弾丸まで取り込みながら修復を続けたが、激しい弾幕によって足止めされていた。上条はその隙を利用して接近する作戦を決意した。
風斬との約束
作戦直前、上条は風斬へ自分の右手が異能を打ち消す力であり、風斬が無意識に自分を避けていた理由もそこにあるのだろうと語った。
それでも友達であることは変わらないと告げ、死を諦めるな、自分は必ず戻ると約束した。そしてインデックスも含めて三人でまた遊びに行こうと笑いかけた。
シェリーへの反撃
射撃が止まった瞬間、上条は一気に駆け出した。エリスは攻撃を仕掛けたが体勢を崩し、自ら地面を破壊する結果となった。
上条は宙へ投げ出されながらも、エリスの両足の間を潜り抜けて背後へ回り込むことに成功した。
その直後、警備員たちは再び銃撃を開始し、エリスを拘束した。上条はエリスではなくシェリーへ向き直った。
シェリーの敗北
エリスを動かせば自らが銃撃を受ける状況に追い込まれたシェリーは、完全に手詰まりとなった。
上条は迷うことなくシェリーへ近づき、逃げる必要はないと告げた。そして黙って眠っていろと言い放ち、渾身の拳でシェリーを殴り飛ばした。
こうして地下街での戦いは決着した。
シェリーの逃走
しかし倒れたシェリーはなおもオイルパステルを握り続けていた。彼女は新たな石像を作るのではなく、床へ術式を書き込んで地面を崩落させた。
足元ごと地下へ落下したシェリーは、そのまま地下鉄へ通じる空洞へ姿を消した。
新たな脅威への気付き
シェリーが消えるとエリスも崩壊を始めた。上条はその様子を見ながら違和感を覚えていた。
シェリーは風斬に執着しているようでいて、その名前すら曖昧にしか認識していなかった。風斬は目的ではなく手段に過ぎなかったのである。
上条はシェリーの発言を思い返し、彼女には別の本命がいると気づいた。
インデックスへの危機
上条は、上条自身と風斬は警備員たちに守られていることを思い出した。
その結果、現在もっとも無防備な存在がインデックスであると悟った。そしてシェリーの次なる標的がインデックスであると判断し、新たな危機を察知したのであった。
行間二
地下鉄構内への逃走
シェリーの移動
シェリー=クロムウェルは、地下鉄構内を移動していた。彼女はゴーレム・エリスの腕に抱えられながら、オイルパステルで術式を操り、エリスの両足を動かしていた。
目的地は既に定まっていた。彼女は事前に無数の泥の眼球を使って標的の居場所を把握しており、二体目のエリスを作る妨げになるため、その眼球はすでに破壊していた。
上条との戦闘の影響
シェリーの頬には、上条当麻に殴られた痛みが残っていた。
本来の彼女は浮遊の術式によって地面からわずかに浮かび、エリスが生み出す震動の影響を避けていた。しかし、上条の一撃の衝撃を受け流した際に術式が崩壊したため、現在はエリスに抱えられたまま移動していた。
学園都市への憎悪
シェリーは周囲を見回しながら、この街への嫌悪を募らせていた。
地下のコンクリート空間や淀んだ臭い、粉っぽい空気、そしてそれらを作り上げた人間たちまでも忌々しく感じていた。彼女は学園都市そのものを嫌悪しており、水も風も土も火も、街を構成するあらゆるものを憎んでいた。
さらに、この街を地図や歴史、人々の記憶、そして世界そのものから消し去りたいとまで考えていた。
エリスという名前の由来
超能力者の少年に殴られた頬の痛みを感じながら、シェリーはエリスへ呼びかけた。
エリスという名は、もともとゴーレムの名前ではなかった。その名は二十年前に死亡した、一人の超能力者の名前だったのである。
第四章 終止符 Beast_Body, Human_Heart.
地上で待機するインデックスと御坂美琴
地下からの帰還を待つインデックスと御坂美琴は、白井黒子が救助活動を続ける中、地上で待機していた。共通の話題も少なく、二人の間には気まずい沈黙が流れていた。
暑さで三毛猫が暴れ出したことをきっかけに会話が始まり、美琴はインデックスの服装について尋ねたが、インデックスは古傷が理由だとして詳しく語らなかった。その後、話題は地下に残る上条当麻たちへ移った。
上条への信頼と異変の兆候
インデックスは上条なら必ず帰ってくると断言し、その言葉を聞いた美琴は二人の強い信頼関係を実感していた。
やがて三毛猫が突然逃げ出し、インデックスは美琴へ礼を述べて追いかけていった。残された美琴は、周囲のマンホールや自販機が不自然に揺れていることに気づいた。それは地震とは異なる奇妙な振動であり、美琴は三毛猫がその異変を察知していたのかもしれないと考えた。
風斬氷華の決意
地下街では、上条が封鎖解除を求めて警備員と議論していた。シェリー=クロムウェルが逃走したことで、上条は次の標的がインデックスであると判断していた。
上条は、学園都市の住人ではないインデックスが十分な保護を受けられない危険な立場にいることを説明した。それを聞いた風斬氷華は、自分が囮になってシェリーと戦うと申し出た。
上条の否定と風斬の覚悟
風斬は、自分が化け物だからこそ攻撃に耐えられると語った。しかし上条は激しく反発し、自分たちが必死に助けた相手を見捨てられるはずがないと訴えた。
それでも風斬は、自分が化け物だったからこそ大切な人を守る力を得られたと受け入れ、その力でインデックスを守る決意を示した。そして穏やかな笑みを浮かべながら、シェリーが開けた大穴へ飛び込んでいった。
陽炎の街の記憶
地下鉄構内へ降りた風斬は、自身の正体に関する記憶を取り戻していった。
風斬は十年前、能力者たちのAIM拡散力場によって形成された陽炎の街で目覚めていた。その街の住人たちは役割に応じて人格や姿を変化させる存在であり、風斬自身もその一部だった。
やがて風斬は、自分が街を動かすための存在であると理解しながらも、その環境から抜け出したいと願うようになった。
学園都市への憧れと友達との出会い
風斬は学園都市へ憧れを抱き続けていた。誰にも認識されない中で何度も人々へ声をかけ続け、その中で初めて自分へ触れたのがインデックスだった。
その後、上条やインデックスと過ごした時間は何よりも大切な宝物となっていた。風斬はその日常を守るため、恐怖を押し殺して走り続けた。
インデックスとゴーレムの遭遇
一方、三毛猫を追っていたインデックスは取り壊し予定の廃墟へ辿り着いた。
その直後、地面が爆発し、巨大な石像ゴーレムが出現した。インデックスは禁書目録としての知識を駆使して術式を解析し、強制詠唱によって遠隔操作へ干渉した。
強制詠唱による抵抗
インデックスは命令系統へ割り込みを行い、ゴーレムの動きを乱した。さらに自己修復機能を逆利用して関節を妨害するなど、知識を活用して善戦した。
しかしゴーレムは自動制御へ移行し、強制詠唱が通用しなくなった。インデックスは回避を続けたが、巨大な拳が迫っていた。
シェリーとの最終対決
その頃、上条は地下鉄構内でシェリーと再会した。
シェリーは、かつて超能力者の少女エリスを失った経験から、魔術と科学が交わることを危険視し、戦争の火種を作ろうとしていたことを明かした。
さらに地下鉄全体へ仕掛けた崩落用の術式を発動させたが、上条は安全地帯を作る術式を見抜き、それを幻想殺しで破壊したことで崩落を止めた。
シェリーの本心
上条は、風斬やインデックスが何をしたのかと問いかけた。
シェリーは、友達を失いたくないという思いと、それを否定する思いの間で苦しみ続けていることを吐露した。上条は、その根底には友達を失いたくないという一つの願いしかないと指摘し、自分たちは共に歩めると訴えた。
それでもシェリーは戦おうとしたが、上条はオイルパステルを砕き、そのまま拳でシェリーを打ち倒した。
ゴーレムとの激突
インデックスへゴーレムの拳が迫った瞬間、風斬が飛び込み、強烈な飛び蹴りでゴーレムを吹き飛ばした。
しかしその代償として脚は粉砕され、断面には人間とは異なる空洞が露わになった。それでも風斬の身体は瞬く間に再生した。
暴走するゴーレム
致命傷を受けたゴーレムは正常な修復ができなくなり、周囲の瓦礫や建材を無差別に取り込み始めた。
巨大化を続けるゴーレムを前に、インデックスは逃げるよう訴えた。しかし風斬は、自分が止めなければならないと答え、人間ではないことを謝罪しながらもその場に残った。
命懸けの防衛
風斬はインデックスを守るため、ゴーレムの巨大な拳を正面から受け止めた。
身体は押し潰され、変形を繰り返したが、それでも退かなかった。居場所を失うことになっても、友達だけは守りたいという思いが風斬を支えていた。
上条の到着とゴーレム崩壊
ゴーレムが最後の一撃を放とうとした時、上条が駆けつけた。
上条は風斬を化け物ではなく風斬と呼び、その前へ飛び出した。そして右拳でゴーレムの攻撃を受け止めた。
幻想殺しによってゴーレムは崩壊し、巨大な身体は粉塵となって消滅した。
風斬の孤独な決断
戦いが終わった後、風斬は自分の正体が知られた以上、これまでの日常は戻らないと思い込んでいた。
インデックスとの時間も終わったのだと考え、誰にも見つからないうちにその場を去った。
風斬との再会
上条は風斬を探し続け、取り壊し途中のビルの屋上で彼女を見つけた。
風斬は写真シールを握りしめながら涙を流していた。友達を守れたことは嬉しかったが、自分が人間ではないという理由で全てを失うことが苦しかったのである。
やがて風斬は上条へ胸の内を吐き出し、友達を守りたかっただけなのに、なぜ怖がられなければならないのかと涙ながらに訴えた。
上条の答え
上条は風斬の言葉を受け止め、苦しみや悲しみを感じられるなら風斬は化け物ではないと告げた。
そして話はまだ終わっていないと伝えた時、屋上へ近づく足音が響いた。
友達としての再会
屋上へ現れたのはインデックスだった。
インデックスは風斬を見ると迷うことなく駆け寄り、その表情には恐怖も嫌悪もなかった。上条は、風斬は他の人と少し違うだけであり、それでも友達であることに変わりはないと告げた。
その言葉を聞いた風斬は涙を流しながら崩れ落ちた。インデックスは風斬へ飛び込み、風斬も恐る恐る抱き締め返した。
二人が再び友達として結ばれた姿を見ながら、上条は静かに微笑んでいた。
終章 表舞台の裏側
診察室での騒動
上条当麻は病院の診察室で、自分が入院せずに済んだことを喜んでいた。しかし月詠小萌と姫神秋沙からは、今回の騒動について厳しく叱責された。
カエル顔の医者は、上条の拳が複雑骨折していてもおかしくなかったと説明し、人間の拳は衝撃に弱いことを指摘した。上条はその話に驚き、右手を包帯で巻かれることになった。
小萌先生が抱く疑問
落ち着きを取り戻した小萌は、今回の出来事について三つの疑問を口にした。
一つ目は、風斬氷華がなぜ上条の近くに出現し続けたのかという点であった。
二つ目は、姫神が語っていた風斬が虚数学区・五行機関の鍵を握るという言葉の意味であった。
三つ目は、テロリストがなぜ出現したばかりの風斬を正確に狙えたのかという点であった。
小萌は、それぞれ単独なら偶然で説明できるとしても、全てが重なっていることに不自然さを感じていた。
土御門とアレイスターの会話
一方、窓のないビルの内部では土御門元春がアレイスターと対話していた。
土御門は、風斬氷華が虚数学区・五行機関を制御するための鍵として作られた存在であることを指摘した。虚数学区・五行機関は学園都市中の能力者が発するAIM拡散力場によって形成される存在であり、風斬はその一部に自我と実体を与えられた存在だった。
アレイスターは、自我を持たないままでは制御できないため、幻想殺しという死の概念を与えることで風斬に心を芽生えさせたと語った。
虚数学区計画の全貌
土御門はさらに、アレイスターの狙いが虚数学区を新たな「界」として完成させることにあるのではないかと推測した。
その新たな界が完成すれば、既存の魔術体系は根底から崩壊し、魔術師たちは魔術を正常に行使できなくなる可能性があった。
また、世界各地へ送られた妹達も、その計画を支えるための布石だった可能性が示された。能力者を世界中へ配置することで、AIM拡散力場を全世界へ広げる準備が進められていたのである。
土御門は、この計画が実現すれば魔術世界は壊滅すると考え、アレイスターへ警告した。
幻想殺しへの警戒
土御門は、幻想殺しを利用するなら覚悟しておくべきだと告げた。
どれほど綿密な計画であっても、上条当麻の右手はその世界そのものを食い破る可能性があると警告したのである。
しかしアレイスターは、自分の信じる世界などとっくに壊れているとだけ答えた。
病院で語られる風斬の真実
病院の待合室では、インデックスと風斬氷華が並んで座っていた。
インデックスは戦闘で外れた安全ピンをそのままにしており、風斬はその服装を心配していた。そんな何気ない会話の最中、インデックスは風斬の輪郭が不自然に揺らいでいることに気付いた。
風斬は、自分が超能力の塊のような存在であり、本質的に不安定な存在であると説明した。自分の存在は永遠ではないが、すぐに消滅するわけではないとも語った。
幻想殺しの正体への示唆
風斬はさらに、上条当麻の右手について語った。
彼の力は超能力ではなく、もし能力者であったなら風斬の体は接触した時点で分解されていたはずだと説明した。
インデックスは魔術にも該当しないその力の正体に困惑した。上条の力は超能力でも魔術でもない、別種の力である可能性が示された。
別れを予感させる会話
やがて風斬は帰ると告げて立ち上がった。
その言葉にインデックスは強い不安を覚えた。風斬は、たとえ自分の体が消えたとしても死ぬわけではなく、姿が見えなくなるだけで、これからもずっと側にいると優しく語った。
しかしその言葉は、インデックスに別れを予感させるものでもあった。
明日への約束
風斬が立ち去ろうとすると、インデックスは思わず呼び止めた。
そして明日も一緒に遊んでくれるのかと尋ねた。
風斬氷華は笑顔を浮かべながら、もちろんだと答えた。
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