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ゲート 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えりフィクション(Novel)読書感想

小説「ゲート外伝4.白銀の晶姫編〈上〉」感想・ネタバレ

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ゲート外伝4上  自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり  白銀の晶姫編の表紙画像(レビュー記事導入用) ゲート 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり
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  1. 物語の概要
    1. ■ 作品概要
    2. ■ 主要キャラクター
    3. ■物語の特徴
  2. 書籍情報
  3. あらすじ・内容
  4. 感想
  5. 考察・解説
    1. 石油精製施設の失敗
    2. 伊丹の処分と弁護
    3. 門の再建計画
    4. レディの帝位奪還
    5. 職人のストライキ
  6. 登場キャラクター
    1. 自衛隊
      1. 伊丹耀司
      2. 江田島
      3. 狭間
      4. 健軍
      5. 用賀
      6. 柘植
      7. 瑞原
      8. 神子田
      9. 久里浜
      10. 倉田
    2. アルヌス協同生活組合・ロゥリィ神殿
      1. レレイ・ラ・レレーナ
      2. スマンソン・ホ・イール
      3. フォルテ・ラ・メルル
      4. キノ
      5. ドーラ
      6. カトー・エル・アルテスタン
      7. ヤオ・ロゥ・デュッシ
      8. メイア
      9. ロゥリィ
      10. テュカ
      11. リュドー
      12. ベルライン
      13. ウォルフ
    3. 職工・行商人・その他街の住人
      1. ドム・ダン・ケルシュ
      2. ツム
      3. アイヒバウム
      4. アインベッカー
      5. ケーニヒ
      6. ホッファ
      7. ピルスナー・ハー・ウルケル
      8. カールスバーグ
      9. サク
      10. ミタル
      11. 職工達
      12. 宮石工
      13. 石工
      14. ガラス職人
      15. 宝石細工師
      16. ジャルグ
      17. コムノーコ
    4. 帝国(皇族・貴族・関係者)
      1. レディ・フレ・カエサル(レディ・フレ・ランドール)
      2. ブレンデッド・ソル・ランドール
      3. モルト
      4. ピニャ・コ・ラーダ
      5. ボーゼス・コ・トミタ
      6. パレスティー侯爵
      7. エベレス王太子
      8. マスミ
      9. ラフロイグ(リーガー男爵)
      10. アン・ルナ・リーガー
      11. ヴェスパー・キナ・リレ男爵
      12. ブザム・フレ・カレッサー勲爵士
      13. ボルス
      14. アイナ
      15. ボニー
      16. クリール
      17. ハンス
      18. ピノ
      19. ヘンリー
      20. ヴィフィータ
      21. アウレア
      22. ミュイ
      23. アイリ
      24. ルイ
      25. ローバッハ
      26. ガルフ・ス・トリーム
      27. ラム・エム・カイネ
    5. その他(特地の人々・亜神・飛竜など)
      1. メイベル
      2. イフリー
      3. エフリー
  7. 展開まとめ
    1. 01
    2. 02
    3. 03
    4. 04
    5. 05
    6. 06
    7. 07
    8. 08
    9. 09
    10. 10
    11. 11
  8. ゲート 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり 一覧
    1. ゲート外伝 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり
    2. ゲート0 -zero- 自衛隊 銀座にて、斯く戦えり
  9. 本編
    1. その他フィクション

物語の概要

■ 作品概要

『ゲート外伝4.白銀の晶姫編〈上〉』は、現代の自衛隊が異世界(特地)で活躍する姿を描いた『ゲート』シリーズの外伝第四弾・前編である。 本作は、伊丹耀司が持ち帰ったガラス製法の情報を契機に、魔導師レレイの主導で日本とを繋ぐ『門(ゲート)』の再建計画が始動する物語である。一方で帝都では、皇帝一族の令嬢レディが、自身が先代皇帝直系であるカティの遺児という出生の秘密を知る。養父や恋人を失い全てを奪われた彼女は、帝位奪還と復讐を誓い、モルト皇帝の退位を遅らせるために日本軍の弱体化を企図した。レディの配下によるアルヌスでのストライキ扇動といった妨害工作や、イタリカ政変による物流の停止など、数々の困難が立ちはだかる中、レレイと自衛隊が知恵と奇策を駆使して前代未聞の大工事に挑む姿が描かれている。

■ 主要キャラクター

  • 伊丹耀司:自衛隊の二等陸尉。特地でガラスの製法を発見し、『門』再建のきっかけを作った。専門知識がないため直接の作業はできないが、レレイを側で支え、滑走路を巨大なヤスリに見立てて大理石を削るという奇策を実行する。
  • レレイ・ラ・レレーナ:銀髪の美少女魔導師で、アルヌス協同生活組合の幹部。『門』再建計画の主導者である。常に合理的で感情を顔に出さないが、この事業には並々ならぬ情熱を燃やし、資金難やストライキにも屈することなく強硬に計画を推し進める。
  • レディ・フレ・カエサル(ランドール):モルト皇帝の姪として優雅に育つが、実は先代皇帝直系の遺児である。養父の死、屋敷の焼失、恋人ディタの戦死という悲劇が重なって白髪となり、帝位奪還を果たすため日本側の弱体化と『門』再建の妨害を指示する。
  • 江田島:海上自衛隊二等海佐。特地派遣部隊の幹部として、伊丹の独断行動の弁護や事態の収拾に暗躍する。妨害工作の存在を察知し、『門』再建とレレイの護衛を戦略的な観点から支援している。
  • ブザム・フレ・カレッサー:帝都の衛士隊警部にしてレディの配下。出世欲が強く手段を選ばない性格である。偽名を使ってアルヌスに潜入し、職工の家族を人質に取って同盟罷業を扇動するなど、陰湿な妨害工作を行う。
  • ドム・ダン・ケルシュ:宮石工の棟梁を務める誇り高いドワーフ。『門柱』建造の現場監督を引き受けるが、ブザムに妻ら家族を人質に取られたため、やむなく法外な賃上げを要求するストライキを起こす。

■物語の特徴

本作の最大の魅力は、異世界ファンタジーでありながら、「巨大土木プロジェクトの運営」や「労働争議」という現実的かつ泥臭いテーマを主軸に据えている点である。魔法や武力による一発解決ではなく、資金繰り、材料調達、職工たちのストライキといったプロジェクト管理におけるリアルな問題に直面する。そしてそれを、自衛隊の重機や「滑走路をヤスリにする」といった規格外かつ合理的なアイデアで突破していく展開が、他作品にはない差別化要素となっている。

また、全てを失い復讐鬼として覚醒するレディのダークで劇的なドラマと、アルヌスでドタバタしながらも前を向いて進むレレイたちのコミカルな群像劇が同時並行で進行する。様々な登場人物の陰謀とエゴが複雑に絡み合う緻密なストーリー構成が、読者を深く引き込む特徴である。

書籍情報

ゲート外伝 4<上>自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり<白銀の晶姫編>
著者:柳内たくみ 氏
イラスト:黒獅子
出版社:アルファポリス
発売日:2015年12月23日

(PR)よろしければ上のサイトから購入して頂けると幸いです。

あらすじ・内容

超人気の自衛隊×異世界ファンタジー、外伝文庫化第四弾・前編! オタク自衛官・伊丹耀司が特地産ガラスを発見したことにより、自衛隊アルヌス駐屯地ではついに『門』の再建計画が動き出した。その大工事を主導するのは美少女魔導師のレレイ。しかし『門』の復活、すなわち日本の影響力増大を快く思わない者達が、帝都や交易中継地イタリカなど各地で暗躍を始める。帝国の権力争いも絡み、『門』を巡る激しい謀略戦が始まった――!

ゲート外伝4<上>自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり<白銀の晶姫編>

感想

本巻を読んでまず感じたのは、本作が単なる異世界ファンタジーではないということである。

魔法や戦争だけでなく、大規模な土木工事や物流の問題、さらには権力争いや労働問題まで描かれており、非常に泥臭い人間ドラマが展開されている。その現実味のある描写が本作の大きな魅力だと感じた。

特に印象に残ったのは、レディの運命である。

養父を失い、居場所も未来も奪われた彼女が、自らに皇位継承権があることを知り、復讐と帝位奪還を誓うまでの過程には強く引き込まれた。

境遇だけを見れば同情せずにはいられない人物だが、その目的を果たすために日本側の計画を妨害しようと暗躍する姿には複雑な感情を抱かされた。

ブザムたちをアルヌスへ送り込み、『門』の再接続計画を妨害しようとする展開は緊張感があり、物語に新たな不安要素を生み出していたように思う。

また、イタリカで起きた政変も印象深かった。

ミュイが権力を奪われ、街の空気が急速に悪化していく様子は読んでいて胸が痛くなる。

特に興味深かったのは、派手な戦争ではなく、石材の流通停止や意味不明な新税の導入によって街が衰退していく描写である。

人々の暮らしを支える仕組みが壊れるだけで、これほど簡単に街の活気が失われてしまう。その様子からは政治の恐ろしさを感じさせられた。

一方で、アルヌスではレレイを中心に『門』の再建計画が進められていく。

しかし、その道のりは決して順調ではない。

物流の停滞や資金不足、人員不足に加え、ついには職工たちのストライキまで発生する。

読んでいて驚いたのは、このあたりの展開がまるで現実の大規模工事のように描かれていることだった。

異世界ファンタジーでありながら、魔法だけで問題が解決するわけではない。むしろ資材や労働力といった現実的な問題に苦しむ姿が丁寧に描かれている。

そんな状況の中でも諦めずに計画を進めようとするレレイの姿は非常に印象的だった。

そして本巻で最も面白かったのは、自衛隊側の工夫である。

不足する材料を補うために窓ガラスを転用したり、滑走路を巨大なヤスリ代わりに使ったりと、発想があまりにも豪快で思わず笑ってしまった。

派手な戦闘で問題を解決するのではなく、知恵と工夫で困難を乗り越えていく姿には、本作らしい面白さが詰まっているように感じる。

読んでいて感じたのは、本巻の主役は戦争や魔法ではなく「ものづくり」だったということである。

特地の権力争いや陰謀が複雑に絡み合う中、日本との繋がりを取り戻すための前代未聞の工事が少しずつ進んでいく過程は非常に読み応えがあった。

次々と問題が発生する状況の中で、彼らがどのように『門』を完成へ導くのか。下巻への期待が大きく膨らむ一冊だった。

最後までお読み頂きありがとうございます。

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考察・解説

石油精製施設の失敗

アルヌスに建設された石油精製施設の稼働実験の失敗について、その目的や原因、そして自衛隊が取った対策を解説する。

1. 石油精製施設の目的
自衛隊は、特地で入手可能な原油からガソリンや軽油、重油などを精製し、枯渇寸前となっているヘリコプターや車両の燃料を安定的に確保するために石油精製プラントを建設した。小さな蒸留器を用いた精製は成功していたが、小規模な設備では精製に使う燃料の消費割合が多く、効率が悪すぎた。そのため、手元に残る燃料油の量を増やす、すなわち効率化する目的で施設を大型化する必要があった。

2. 稼働実験の失敗と技術的限界
第五次石油精製施設稼働実験が行われたが、冷却水の供給異常から始まり、圧力釜の耐久限界超過、パイプの破損、燃料への引火が連鎖して大爆発を起こし、失敗に終わった。実は、第一次から第四次の実験でも爆発炎上を繰り返していた。この連続する失敗の根本的な原因は、現地の職人の工作技術の不足にあった。具体的には以下のような問題が挙げられる。

・部品加工の精度の低さ
・材料品質の不均等
・計測装置の精度不足

例えば、特地には中が空洞の硬い鉄パイプを作る技術がなく、柔らかい銅や鉛の板をハンダ付けする水道管の製法を分厚い鉄に無理に適用していたため、強度が不足し縦に亀裂が入ってしまっていたのである。レレイが指摘したように、日本側の知識と現地で形にする技術の間には深い溝があった。

3. 妨害工作の痕跡
しかし、失敗の原因は単なる技術不足だけではなかった。江田島二佐の調査により、縦に裂けたのではなく、斧か何かで殴打されたように横に亀裂が入った鉄パイプが発見された。これは何者かによる意図的な破壊工作の痕跡であった。ただ、破壊の対象が石油精製施設のみに留まっていたことから、狭間陸将らはこれを石油精製施設を稼働させたら壊すという敵からの警告、あるいは意思表示であると分析した。

4. 失敗を受けた対策と影響
この事態を打開するため、自衛隊は以下のような対策を決定した。

・「火縄銃方式」の技術提供
強度の高い鉄パイプを作るため、戦国時代の日本で用いられていた火縄銃の製造方式(真金に細い鉄を巻きつけて鍛造し、後で真金を引き抜く方法)を地元の鍛冶職人に提供することになった。ただしこれは、特地に銃身の製造技術を拡散させ、将来的に帝国軍の近代化を招きかねない諸刃の剣の決断でもあった。

・門再建計画の公表
妨害工作を行っている敵の正体と意図をあぶり出すための囮として、また、日本に帰れず士気が低下している隊員たちに希望を与えるため、これまで水面下で進めていたレレイ主導の門再建計画を公表することが決まった。

このように、石油精製施設の失敗は特地の技術的限界を浮き彫りにすると同時に、背後でうごめく敵の存在を自衛隊に認識させ、門の再建に向けた動きを加速させる重要な出来事となった。

伊丹の処分と弁護

『ゲート外伝4』の序盤において、特地で重大な命令違反を犯した伊丹に対する処分の検討と、江田島二佐による機転の利いた弁護の経緯について解説する。

1. 処分の発端となった伊丹の独断専行
ホドリューを探す北方の旅において、伊丹は現職の自衛官でありながら他国(ヤルン・ヴィエット王国)の内戦に介入し、一方の陣営に加担して戦闘行動に参加してしまった。自らの判断で勝手に敵味方を選んで行動することは、日本政府のコントロールを逸脱した非常に厄介で重大な問題である。
狭間陸将ら幹部たちは侃々諤々の議論の末、伊丹に厳しい結果(免職)が下されることを示唆し、その前に自ら辞表を提出するよう促した。しかし伊丹自身は覚悟を決めており、以下の理由から自らの行動を後悔してはいなかった。

・テュカを見捨てなかったこと
・パルミアの女子供を見捨てなかったこと

2. 江田島による門再建のための行動という弁護
伊丹が辞表を出そうとした絶体絶命の状況で、江田島二佐が会議室に押し入り、伊丹の行動は門再開通に不可欠な物資を調達するためだったと主張して弁護を始めた。レレイの証言によれば、門を開くためにはガラスが必要だが、日本側には知識があっても現地の設備でガラスを製造する技術がなかった。
そこで江田島は、伊丹の行動目的を以下のように幹部たちに説明した。

・旅先でガラスブロックで造られた宮殿(ラァスィ)を発見したため、その国家機密である製法技術を提供してもらう必要があったこと
・そのためには、現地部族と極めて好意的な関係を築く必要があったこと

3. シルヴィアからの手紙と処分保留
その決定打となったのが、旧ヤルン・ヴィエットの三部族長会議長となったシルヴィアから届いた一通の書簡である。手紙には、伊丹に対するラブレターのような美辞麗句と絶賛の言葉が並べられており、伊丹の願いならばと国家機密であるガラス製法の提供を取りつけたと記されていた。
この朗報を受け、幹部たちは伊丹の逸脱行動が門を開いて日本との連絡を再開するためには必要な措置だったとして江田島の提案を受け入れた。ただしこれは、あくまで門が無事に開いたならばという条件付きの、処分保留(問題の先送り)という形での決着であった。

4. 江田島の真意と伊丹への個人的な評価
会議の後、江田島は伊丹に対し、門が開けば今回の行動も華々しい成功の文脈内のささやかな逸脱として受け止められるはずだと語り、いざという時は全力で弁護すると約束した。さらに江田島は、自分が伊丹と同じ状況に置かれたらどうしたかについて以下のように語った。

・自衛官としての建前を守って介入を避けたはずである
・しかし同時に、非戦闘員を見殺しにした自分を許せず、自衛隊を辞めていただろう

だからこそ江田島は、伊丹の選択は自衛官としては間違っているかも知れないが、人として尊いことだったと高く評価し、ほんの少しばかり庇ってみたかったという個人的な真意を明かしたのである。

まとめ
このように、伊丹の重大な命令違反は江田島の巧みな弁護とシルヴィアからの手紙によって一時的に処分保留とされることとなった。自衛官としての建前と人としての尊さの間で揺れる隊員たちの人間らしい葛藤が描かれており、門再建という大事業の行方とともに伊丹の処遇が今後どうなるのかが注目される重要な出来事である。

門の再建計画

『ゲート外伝4.白銀の晶姫編〈上〉』における、日本と特地を再び繋ぐための「門(ゲート)」再建計画について解説する。

1. 計画の発端と目的
門再建計画は、アルヌス協同生活組合の幹部であり魔導師のレレイ・ラ・レレーナの主導によって始動した。計画の最大の契機となったのは、伊丹耀司が北方のヤルン・ヴィエット王国でガラスブロックを用いた宮殿(ラァスィ)を発見し、現地部族(シルヴィア)から国家機密であるガラス製法の提供を取り付けたことである。
この計画の目的は以下の通りである。

・日本との交易を復活させて組合に莫大な利益をもたらすこと
・日本との繋がりを断たれて孤立し、航空機の部品や燃料の枯渇に苦しむ自衛隊の補給線を回復させること

自衛隊幹部たちも、この計画を妨害者をあぶり出す囮として、また隊員たちの士気回復の希望として全面的に支援することを決定した。

2. 魔法装置「門柱」の構造と仕組み
レレイが設計した新たな門は、神の気まぐれではなく人間の手で任意のタイミングで開閉や接続先をコントロールできる巨大な魔法装置である。その主な特徴は以下の通りだ。

・ハマン効果の利用
無数の異世界から日本のある世界を特定するため、長年一つの個体であった物質が分離しても情報振動の同調が続くハマン効果を利用する。日本と特地の両方に存在する金剛石(ダイヤモンド)の断片が目印として用いられる。

・巨大な構造
横幅22メートル、高さ20メートル、奥行き20メートルの規模を誇る。

・素材
高貴な白と呼ばれる純白の大理石約2万6千個に呪紋を彫り込み、黒曜石や黄水晶、菫青石といった宝石を基板の部品のように嵌め込む。さらに外側を厚さ10センチの無色透明なガラスブロックで覆うという途方もない仕様である。

3. 立ち塞がる困難と妨害工作
しかし、帝位奪還を狙う皇姪レディが日本軍の弱体化を企て、配下のブザムらをアルヌスへ潜入させたことで、計画は数々の妨害と困難に見舞われる。

・イタリカ政変と材料不足
イタリカの領主ミュイが姉たちとローバッハに乗っ取られ、理不尽な新税(賦課金)が多数導入されたことで大理石の流通がストップした。さらに、ガラスの原料である砂を運んでくるはずだったレレイの姉アルペジオまでもがイタリカで不当に拘束されてしまった。

・職工たちのストライキ(同盟罷業)
宮石工の棟梁ドム・ダン・ケルシュをはじめとする職工たちが、突如として法外な賃上げを要求して作業を拒否した。実はこれは、暗躍するブザムによって職工たちの家族が人質に取られて脅迫されていたためであり、賃上げは理由を隠すための口実に過ぎなかった。

4. 自衛隊とレレイの奇策
様々な困難に直面し、組合の重役たちからは計画の一時中止が提案されたが、レレイは蔵書を売り払い、組合の留保資金を切り崩してでも計画を強行しようとする異常なまでの執念を見せた(伊丹のために頑張っているのではないかとロゥリィたちは推測している)。伊丹と自衛隊側もこれに応え、前代未聞の奇策で支援した。

・既存ガラスの転用
砂が届かない問題に対しては、自衛隊施設で使われていない建物の窓ガラスや、ゴミ捨て場の廃棄ガラスを再利用することでガラスブロックの製作を進めることに成功した。

・滑走路を巨大なヤスリにする
手作業では困難だった大理石を真っ平らに削る工程を解決するため、伊丹と倉田は高機動車で三百キロ超の大理石を引きずり、自衛隊の滑走路を巨大なヤスリに見立てて石を削るという強引な手段に出た。

まとめ
滑走路を荒らされた空自隊員たちは激怒したが、これも門を再建して再び日本と繋がるためという目的のもと、泥臭くも着実に大工事が進められていくことになる。特地の権力争いや様々な陰謀が渦巻く中、日本との繋がりを取り戻すための前代未聞の大工事が、知恵と奇策によって泥臭く進められていくのである。

レディの帝位奪還

『ゲート外伝4.白銀の晶姫編〈上〉』における、レディ・フレ・ランドール(レディ・フレ・カエサル)の帝位奪還に向けた暗躍と、その背景にある悲劇について解説する。

1. 帝位奪還の動機と出生の真実
レディはこれまでモルト皇帝の弟・ブレンデッドの娘として何不自由なく育ってきた。しかし、養父ブレンデッドの死をきっかけに、以下の真実を知らされる。

・自身が先代皇帝グレーンの直系であるカティの遺児であり、正統な皇位継承権を持つ「レディ・フレ・カエサル」であること
・モルト皇帝がカティの死に関与したという疑惑があること
・モルト皇帝が彼女の存在を脅威と見なして排除しようとしていたこと
・養父ブレンデッドがその秘密を盾に彼女を守り続けていたこと

これらを知り、レディはカティの血を引く者として帝位奪還を決意する。

2. 絶望からの覚醒と復讐の誓い
養父を失った直後、レディをさらなる悲劇が襲う。

・モルトの差し金と疑われる賊徒によるランドール公爵邸の焼き討ち
・忠実だったはずの使用人達からの裏切り
・秘密裏に交際していた恋人・エファン伯爵公子ディタの戦死

立て続けの悲報によって彼女の心は完全に崩壊してしまう。あまりのショックから髪や睫毛までが真っ白になってしまったが、十日間の昏睡から目覚めた彼女は、悲しみや不安を捨て去り、冷酷な復讐鬼として覚醒を果たしたのである。

3. 帝位奪還の戦略(自衛隊の弱体化)
レディは、亡き養父が残したヴェスパー(枢密院書記局の分析官)とブザム(衛士隊警部)を配下とし、帝位奪還へ向けて動き出す。ヴェスパーの進言により、すぐに名乗りを上げるのではなく、まずは元老院の支持基盤を固めるまでディタの死に対する復讐に狂ったふりをして皇帝を油断させる方針をとる。
さらに、モルトがピニャへ譲位するのを先延ばしにさせるため、日本軍(自衛隊)の弱体化を企てる。日本軍が帝国からの賠償金に依存している弱点を突き、その支払いを凍結させることで補給や給与を絶ち、アルヌスの治安悪化と戦力低下を狙うという老獪な策に出たのである。

4. 門再建の妨害とレレイへの標的化
日本との繋がりを回復させないため、レディは配下のブザムをアルヌスへ派遣し、自衛隊とアルヌス協同生活組合が進める門の再建計画の妨害を命じる。さらに、再建の中心人物である魔導師レレイに目をつけ、命を狙えば手痛い反撃を受けると理解しつつも、以下のような冷徹な策謀を巡らせる。

・家族や交友関係、趣味に至るまで身辺を徹底的に調査する
・相手が嫌がることを全てやるよう配下に指示する

このようにして、手段を選ばずレレイを標的として追い詰めていく。

5. 狂気の復讐の実行
レディはディタの死に関わった者たちを絶対に許さず、私怨からスコーネ総督を動かして北方ヤルン・ヴィエットを滅ぼすという残酷な復讐を実行する。罪のない民まで巻き込んで家や田畑を焼き払い、奴隷として売り払ったという惨状を笑顔で淡々と語るその姿は、側近の執事をも恐怖させるほどであり、彼女がいかに非情な性格へと変貌したかを物語っている。

まとめ
以上のように、レディの帝位奪還に向けた暗躍は、全てを失った絶望と復讐心から始まった。彼女の冷酷な策略によって、自衛隊やレレイたちは門再建という大事業において、背後から大きな妨害を受けることになるのである。

職人のストライキ

『ゲート外伝4.白銀の晶姫編〈上〉』において、門の再建工事を停滞させることになった職人たちのストライキ(同盟罷業)について、その背景と真の理由を解説する。

1. ストライキの発生と表向きの理由
材料である大理石の入荷問題が解決に向かい、いよいよ工事が本格化すると思われた矢先、宮石工の棟梁ドム・ダン・ケルシュを中心とする百人以上の職工たちが突如として作業を拒否し、ストライキを起こした。彼らが表向きに主張した理由は賃金の引き上げである。具体的には以下のような主張と反論が行われた。

・アルヌスの街の繁栄ぶりを見て自分たちの工賃が安すぎると不満を抱いたと主張した
・テュカが契約後の条件変更は卑怯だと非難した
・ドムたちは契約時には分からなかった事情があると反論して罷業を正当化しようとした

2. レレイの全譲歩と伊丹の介入
門再建に並々ならぬ執念を燃やすレレイは、自らの蔵書を売ってでも資金を捻出すると宣言し、職工側の賃上げ要求を即座に受け入れた。ホッファが通常では考えられない一日五デナリ、さらに十デナリという法外な賃金を要求しても、レレイは躊躇なく承諾したのである。
しかし、要求を全て飲まれたはずの職工たちは喜ぶどころか動揺し、次第に金額すら口にしなくなった。この不自然なやり取りを見ていた伊丹は、彼らの真の目的は賃上げではないと直感し、強引に交渉を中断させた。ドムがその中断に安堵の表情を見せたことで、伊丹は自らの疑念を確信に変えた。組合の幹部たちも、理不尽な賃上げ要求は本当の理由を隠すための口実に過ぎないと結論づけた。

3. ストライキの真の理由と黒幕の脅迫
職工たちがストライキを起こした真の理由は、帝都から潜入していたレディの配下であるブザムに、家族を人質に取られて脅迫されていたためであった。ブザムはドムに妻サンドラの手作りの櫛を見せつけ、家族の命を盾にして門の再建工事を妨害するよう命じていたのである。ホッファも娘シレイの命が懸かっており、彼らは家族を守るために悪役を演じて理不尽なストライキを続けるしかなかった。
ホッファはアルヌスの傭兵を使って家族を救出する案も考えたが、ドムは以下の理由から苦渋の決断を下した。

・家族はすでに故郷のケルンから別の場所へ移されている可能性が高いこと
・自分たちが動けばブザムに知られて家族が危ないこと

そのため、レレイからの譲歩(十年間優先的に仕事を発注するなど)も全て拒絶するしかなかったのである。

4. 職工集団の分裂
ストライキが長引く中、職工たちに対する周囲の非難は強まり、彼らは宿舎に閉じこもるようになった。そして、ケルンに家族を残していないヒト種や巨人族などの職工たちは、これ以上付き合えば職人としての信用を失い自分たちの生活が破滅すると考え、ドムたちのもとを離れる決断を下した。ドムは彼らを行かせたが、最終的に六十人もの職工が離脱したことで、残されたドワーフの職工たちはさらに孤立を深めることとなってしまった。

まとめ
このように、門の再建工事を停滞させた職人たちのストライキは、単なる賃上げ要求ではなく、背後に潜む黒幕による家族への脅迫が真の理由であった。家族を守るために悪役を演じ孤立を深めていく職工たちと、それを解決しようとする伊丹やレレイたちの動きが、背後で渦巻く陰謀の深さを物語っている。

登場キャラクター

自衛隊

伊丹耀司

自衛隊の隊員である。特地でガラスの製法を発見した。門の再建工事において、柔軟な発想で奇策を講じる。

・所属組織、地位や役職
 陸上自衛隊・二等陸尉。
・物語内での具体的な行動や成果
 北方のヤルン・ヴィエット王国でガラスブロックを用いた宮殿を発見した。シルヴィアから製法の提供を取り付けた。滑走路をヤスリに見立てて大理石を削る手段で工事を支援した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 命令違反で免職の危機に陥った。ガラス製法の確保が評価されて処分保留となった。

江田島

海上自衛隊の幹部である。情報収集や分析に長けている。伊丹の弁護や妨害工作の調査を担う。

・所属組織、地位や役職
 海上自衛隊・二等海佐。
・物語内での具体的な行動や成果
 伊丹の独断行動を門再建のための必要な措置であると幹部会議で弁護した。石油精製施設の事故原因を調査した。アルヌスの街で密偵のコムノーコと接触した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

狭間

特地方面派遣部隊の指揮官である。冷静な判断力で部隊を率いる。伊丹の処遇や門再建計画を決定する。

・所属組織、地位や役職
 陸上自衛隊・陸将。特地方面派遣部隊指揮官。
・物語内での具体的な行動や成果
 伊丹の重大な命令違反に対し、処分保留を決定した。燃料生産委員会で石油精製施設の失敗原因を議論した。江田島の提案を受け入れ、門再建計画の公表を許可した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特地における自衛隊の最高責任者として、部隊の士気維持に配慮している。

健軍

第四戦闘団長を務める幹部自衛官である。

・所属組織、地位や役職
 陸上自衛隊・一等陸佐。第四戦闘団長。
・物語内での具体的な行動や成果
 石油精製施設の稼働実験で現場の指揮を執った。伊丹の処分を検討する幹部会議に出席し、シルヴィアから届いた手紙を読み上げた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

用賀

幹部自衛官である。

・所属組織、地位や役職
 陸上自衛隊・二等陸佐。
・物語内での具体的な行動や成果
 石油精製施設の稼働実験に立ち会った。燃料生産委員会で実験の失敗原因を報告した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

柘植

幹部自衛官である。

・所属組織、地位や役職
 陸上自衛隊・二等陸佐。
・物語内での具体的な行動や成果
 燃料生産委員会に出席した。小型の蒸留器を用いた精製方法を提案した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

瑞原

航空自衛隊のパイロットである。

・所属組織、地位や役職
 航空自衛隊・三等空佐。タックネームはウォーター。
・物語内での具体的な行動や成果
 飛竜イフリーに騎乗して哨戒飛行を行った。接近するヤオたちを発見し、アルヌスへと誘導した。滑走路で暴走する高機動車に飛び乗り、ブレーキを踏んで停止させた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

神子田

航空自衛隊の幹部である。

・所属組織、地位や役職
 航空自衛隊・二等空佐。
・物語内での具体的な行動や成果
 伊丹の処分会議に同席し、健軍の発言を揶揄した。滑走路を傷つけた伊丹たちに対し、激怒して取り押さえた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 年齢によりパイロットとしての現場勤務から離れる時期が近づいている。

久里浜

航空自衛隊の幹部である。

・所属組織、地位や役職
 航空自衛隊・二等空佐。
・物語内での具体的な行動や成果
 伊丹の逸脱行動について意見を述べた。激怒する神子田を止め、門再建に協力すべきだと説得した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 神子田と同様に、パイロットを引退する時期が迫っている。

倉田

伊丹の部下である。

・所属組織、地位や役職
 陸上自衛隊・三等陸曹。
・物語内での具体的な行動や成果
 伊丹と共に差し入れの餅栗を運んだ。高機動車を運転し、滑走路で大理石を削る作業を実行した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

アルヌス協同生活組合・ロゥリィ神殿

レレイ・ラ・レレーナ

銀髪の魔導師である。門再建計画の主導者として、目的達成のためには手段を選ばない執念を持つ。

・所属組織、地位や役職
 アルヌス協同生活組合・幹部。リンドン派魔導師。
・物語内での具体的な行動や成果
 蔵書を売り払ってでもストライキを起こした職工の法外な賃上げ要求を飲もうとした。夜遅くまで作業場に残り、大理石に呪紋を描き続けた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 門再建の中心人物として、レディから妨害の標的とされている。

スマンソン・ホ・イール

レレイの弟子である。レレイに好意を抱いている。伊丹に対して嫉妬心を見せる。

・所属組織、地位や役職
 学徒。
・物語内での具体的な行動や成果
 レレイに対して門の仕組みについて質問した。作業場で眠り込んだレレイを起こそうとした。レレイの着替えを目撃して鼻血を流した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

フォルテ・ラ・メルル

レレイの弟子である。空気を読み、周囲をたしなめる役割を担う。

・所属組織、地位や役職
 学徒。
・物語内での具体的な行動や成果
 レレイに対して神の意図について質問した。着替え中のレレイを見た男子学徒たちを追い出した。夜遅くまで作業するレレイを心配して忠告した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

キノ

レレイの弟子である。

・所属組織、地位や役職
 学徒。
・物語内での具体的な行動や成果
 レレイに対して門柱の構造について質問した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

ドーラ

狐耳を持つ人物である。

・所属組織、地位や役職
 アルヌス協同生活組合。
・物語内での具体的な行動や成果
 レレイから二枚の回路図を渡され、ドムに届けるよう指示された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

カトー・エル・アルテスタン

レレイの師匠である老魔導師。

・所属組織、地位や役職
 魔導師。
・物語内での具体的な行動や成果
 集中しているレレイには何をしても無駄だとスマンソンに語った。スマンソンに大理石への下描き作業を命じた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

ヤオ・ロゥ・デュッシ

ダークエルフの女性である。伊丹の眷属を名乗る。

・所属組織、地位や役職
 ダークエルフ。
・物語内での具体的な行動や成果
 北方のガラス職人たちを引率し、アルヌスのガラス工房へ案内した。ポンコツ商人が暴れた際、抜刀して傭兵たちと共に制圧した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

メイア

猫耳を持つ人物である。

・所属組織、地位や役職
 アルヌス協同生活組合。
・物語内での具体的な行動や成果
 到着した職工たちに宿舎や乗合馬車の案内を行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

ロゥリィ

エムロイの使徒である。伊丹と行動を共にする。

・所属組織、地位や役職
 亜神。エムロイの使徒。
・物語内での具体的な行動や成果
 組合の緊急会議に出席した。レレイが伊丹に求めていることについて、テュカと共に伊丹へ助言した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

テュカ

金髪のエルフである。伊丹と行動を共にする。

・所属組織、地位や役職
 エルフ。
・物語内での具体的な行動や成果
 ストライキを起こしたドムたちに対して、契約後の条件変更は卑怯だと非難した。ロゥリィと共に、伊丹へレレイの気持ちを説いた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

リュドー

組合の重鎮である。

・所属組織、地位や役職
 アルヌス協同生活組合・地域支配人。
・物語内での具体的な行動や成果
 組合の会議でイタリカの政変について報告した。レレイに門再建計画の一時中止を提案した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

ベルライン

組合の地域支配人である。

・所属組織、地位や役職
 アルヌス協同生活組合・地域支配人。
・物語内での具体的な行動や成果
 組合の会議に出席し、門再建計画の中止を主張した。帝国内の店舗を整理して資金を捻出する方針を提示した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

ウォルフ

犬耳を持つ傭兵である。

・所属組織、地位や役職
 アルヌス協同生活組合・傭兵。
・物語内での具体的な行動や成果
 ポンコツ商人が暴れた際、武器を捨てるよう促して制圧した。伊丹の指示で彼らを街から追い出した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

職工・行商人・その他街の住人

ドム・ダン・ケルシュ

誇り高いドワーフの宮石工棟梁である。家族を人質に取られ、苦渋の決断を下す。

・所属組織、地位や役職
 宮石工・棟梁。
・物語内での具体的な行動や成果
 ブザムに妻の櫛を見せつけられ、ストライキを扇動した。レレイの法外な賃上げ要求に応じず、交渉を長引かせた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ストライキが長引いたことで他種族の職工たちが離反し、孤立を深めた。

ツム

ドワーフの少年である。

・所属組織、地位や役職
 宮石工・弟子。
・物語内での具体的な行動や成果
 図書館で同人誌に興味を持ち、伊丹からイラストを描き写してもらった。大理石が届かず仕事が止まっていることを伊丹に伝えた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

アイヒバウム

ドワーフの宮石工である。

・所属組織、地位や役職
 宮石工。
・物語内での具体的な行動や成果
 アルヌスに到着し、ドムらと会話した。賃上げの要求を口にしてドムからハンマーを投げつけられた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

アインベッカー

ドワーフの宮石工である。

・所属組織、地位や役職
 宮石工。
・物語内での具体的な行動や成果
 ドムの指揮下でアルヌスへ到着した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

ケーニヒ

ドワーフの宮石工である。

・所属組織、地位や役職
 宮石工。
・物語内での具体的な行動や成果
 自衛隊の基礎工事を見て、流し込まれるセメントに疑問を持った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

ホッファ

石工の親方であるドワーフ。ドムの腹心である。

・所属組織、地位や役職
 石工・親方。
・物語内での具体的な行動や成果
 娘シレイを人質に取られ、法外な賃上げを要求してストライキに加担した。レレイに真実を明かすよう提案したが、ドムに止められた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

ピルスナー・ハー・ウルケル

ヤルン・ヴィエットから派遣されたガラス職人である。

・所属組織、地位や役職
 ガラス職人。
・物語内での具体的な行動や成果
 アルヌスのガラス工房に到着し、レレイと交渉した。レレイから提供された既存のガラスを用いて作業を開始した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

カールスバーグ

若手のガラス職人である。

・所属組織、地位や役職
 ガラス職人。
・物語内での具体的な行動や成果
 ヤオに引率されてアルヌスへ到着した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

サク

無口なガラス職人である。

・所属組織、地位や役職
 ガラス職人。
・物語内での具体的な行動や成果
 ヤオに引率されてアルヌスへ到着した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

ミタル

ベル商会の行商人である。枢密院書記局の密偵として活動する。

・所属組織、地位や役職
 ベル商会。枢密院書記局密偵。
・物語内での具体的な行動や成果
 ハルマ亭でブザムに接触し、アルヌスの情報を提供した。レレイの身辺を探るため、恨みを持つ人物をブザムに紹介すると約束した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

職工達

門再建のために集められた労働者たちである。

・所属組織、地位や役職
 アルヌスの労働者。
・物語内での具体的な行動や成果
 ドムに同調してストライキを起こした。しかし、信用を失うことを恐れた他種族の者たちはドムのもとを離反した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

宮石工

高度な技術を持つ石工の集団である。

・所属組織、地位や役職
 職工。
・物語内での具体的な行動や成果
 ドムの指示でストライキを実行した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

石工

一般的な石工である。

・所属組織、地位や役職
 職工。
・物語内での具体的な行動や成果
 アルヌスで作業に従事する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

ガラス職人

北方のヤルン・ヴィエットから派遣された職人である。

・所属組織、地位や役職
 ガラス職人。
・物語内での具体的な行動や成果
 ヤオに引率されてアルヌスへ到着した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

宝石細工師

宝石の加工を行う職人である。

・所属組織、地位や役職
 職工。
・物語内での具体的な行動や成果
 門柱に宝石を嵌め込む作業を担う。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

ジャルグ

小人種の御者である。

・所属組織、地位や役職
 アルヌス協同生活組合・御者。
・物語内での具体的な行動や成果
 乗合馬車の手綱を操作した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

コムノーコ

小人族の一種である。

・所属組織、地位や役職
 情報屋。
・物語内での具体的な行動や成果
 江田島にアルヌス内の情報を提供し、報酬を受け取った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

帝国(皇族・貴族・関係者)

レディ・フレ・カエサル(レディ・フレ・ランドール)

帝位奪還と復讐を誓う女性である。養父や恋人を失い、冷酷な復讐鬼として覚醒する。

・所属組織、地位や役職
 帝国・先代皇帝の直系。皇姪。
・物語内での具体的な行動や成果
 自衛隊の弱体化を狙い、門再建の妨害をブザムに指示した。スコーネ総督を動かしてヤルン・ヴィエットを滅ぼした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 自身の出生の秘密を知り、帝位を奪還する決意を固めた。

ブレンデッド・ソル・ランドール

モルトの弟である。レディの養父として彼女を守り育てた。

・所属組織、地位や役職
 帝国・皇族。
・物語内での具体的な行動や成果
 レディの出生の真実を隠し通した。発作に倒れ、レディに真実をほのめかして息を引き取った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 物語序盤で死亡する。

モルト

帝国の現皇帝である。権力への執着が強い。

・所属組織、地位や役職
 帝国・皇帝。
・物語内での具体的な行動や成果
 ブレンデッドの葬儀に参列し、レディに外国へ嫁ぐよう提案した。カティの死に関与し、レディの命を狙った疑いを持たれている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

ピニャ・コ・ラーダ

帝国の皇女である。講和を推進する次期皇帝として実権を握りつつある。

・所属組織、地位や役職
 帝国・皇女。次期皇帝。
・物語内での具体的な行動や成果
 ブレンデッドの葬儀に参列した。モルトの性急な提案からレディを庇った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

ボーゼス・コ・トミタ

ピニャの側近である。

・所属組織、地位や役職
 帝国・騎士。
・物語内での具体的な行動や成果
 エベレス王太子の祝賀会に入場し、周囲の注目を集めた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

パレスティー侯爵

ボーゼスの父親である。

・所属組織、地位や役職
 帝国・侯爵。
・物語内での具体的な行動や成果
 エベレス王太子の祝賀会にボーゼスと共に入場した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

エベレス王太子

シゴリス王国の王太子である。

・所属組織、地位や役職
 シゴリス王国・王太子。
・物語内での具体的な行動や成果
 自身の婚約披露祝賀会でボーゼスと歓談した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

マスミ

エベレス王太子の婚約者である。

・所属組織、地位や役職
 令嬢。
・物語内での具体的な行動や成果
 クラ男爵の愛人でありながら、エベレス王太子の婚約者として振る舞う。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

ラフロイグ(リーガー男爵)

レディの後見人である。ブレンデッドの親友として秘密を共有していた。

・所属組織、地位や役職
 帝国・男爵。
・物語内での具体的な行動や成果
 倒れたレディを自宅で保護した。レディの出生の真実を語り、帝位奪還への協力を誓った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

アン・ルナ・リーガー

レディの腹心の友である。

・所属組織、地位や役職
 帝国・リーガー男爵家令嬢。
・物語内での具体的な行動や成果
 レディにディタの戦死を伝えた。目覚めたレディを励まし、忠誠を誓った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

ヴェスパー・キナ・リレ男爵

枢密院の分析官である。レディを皇帝に押し上げようと画策する。

・所属組織、地位や役職
 帝国・枢密院書記局分析官。
・物語内での具体的な行動や成果
 レディに帝位奪還の策を進言した。日本軍の弱体化を狙い、賠償金の支払い凍結を提案した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

ブザム・フレ・カレッサー勲爵士

衛士隊の警部である。出世欲が強く、汚れ仕事を引き受ける。

・所属組織、地位や役職
 帝国・衛士隊警部。
・物語内での具体的な行動や成果
 行商人を殺害して身分を奪い、アルヌスへ潜入した。ドムの家族を人質に取り、ストライキを扇動した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

ボルス

行商人である。

・所属組織、地位や役職
 行商人。
・物語内での具体的な行動や成果
 ブザムによって殺害され、身分証明書を奪われた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 物語内で死亡する。

アイナ

ボルスの妻である。

・所属組織、地位や役職
 行商人。
・物語内での具体的な行動や成果
 夫と共にブザムに殺害された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 物語内で死亡する。

ボニー

泥棒の少女である。

・所属組織、地位や役職
 泥棒。
・物語内での具体的な行動や成果
 アイナを名乗り、ブザムの妻を演じてアルヌスへ潜入した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

クリール

ボニーの弟である。

・所属組織、地位や役職
 泥棒。
・物語内での具体的な行動や成果
 ブザムの手下として荷馬車の荷台に乗り、アルヌスへ同行した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

ハンス

リーガー男爵家の執事である。

・所属組織、地位や役職
 リーガー男爵家・執事。
・物語内での具体的な行動や成果
 駅逓使からの手紙をレディに届けた。レディの残虐な発言に恐怖し、逃げるように退室した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

ピノ

ランドール公爵家のメイド長である。

・所属組織、地位や役職
 ランドール公爵家・メイド長。
・物語内での具体的な行動や成果
 帰宅したレディをブレンデッドの寝室へ急いで案内した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 物語内で死亡し、葬儀が行われた。

ヘンリー

ランドール公爵家の執事である。

・所属組織、地位や役職
 ランドール公爵家・執事。
・物語内での具体的な行動や成果
 屋敷の襲撃に巻き込まれ、レディを守れなかったことを詫びて息を引き取った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 物語内で死亡する。

ヴィフィータ

ピニャの部下である女性騎士。

・所属組織、地位や役職
 帝国・白薔薇隊長。
・物語内での具体的な行動や成果
 ブレンデッドの葬儀において、親衛隊儀仗兵を率いて紋章旗を畳んだ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

アウレア

メデュサ種のメイドである。

・所属組織、地位や役職
 フォルマル家・メイド。
・物語内での具体的な行動や成果
 モルトの世話役としてブレンデッドの葬儀に参列した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

ミュイ

フォルマル家の幼い当主である。

・所属組織、地位や役職
 フォルマル家・当主。
・物語内での具体的な行動や成果
 姉達からローバッハとの結婚を強要された。領地の統治権を実質的に奪われてしまった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

アイリ

ミュイの姉である。

・所属組織、地位や役職
 ローエン伯家・夫人。
・物語内での具体的な行動や成果
 私兵を率いてイタリカに侵攻した。ミュイにローバッハとの結婚を強要し、領地を乗っ取った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

ルイ

ミュイの姉である。

・所属組織、地位や役職
 ミズーナ伯家・夫人。
・物語内での具体的な行動や成果
 アイリと共にイタリカに侵攻した。ミュイの身辺を自らのメイド達で固めた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

ローバッハ

ローエン伯家三男である。

・所属組織、地位や役職
 ローエン伯家・三男。
・物語内での具体的な行動や成果
 ミュイの婚約者を名乗り、イタリカを制圧した。理不尽な賦課金を新設し、商人たちから搾取した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

ガルフ・ス・トリーム

イタリカの代官である。

・所属組織、地位や役職
 帝国・代官。
・物語内での具体的な行動や成果
 ローバッハの乗っ取りに対して抗議した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 全ての権限を取り上げられ、帝都へ送還された。

ラム・エム・カイネ

フォルマル家のメイド長である。

・所属組織、地位や役職
 フォルマル家・メイド長。
・物語内での具体的な行動や成果
 姉達の強要に苦しむミュイを庇おうと意見を述べた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 下働きに降格させられた。

その他(特地の人々・亜神・飛竜など)

メイベル

蒼い髪を持つ亜神である。

・所属組織、地位や役職
 亜神。
・物語内での具体的な行動や成果
 ニカブ姿でアルヌスの街を歩いていたところを江田島に目撃された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

イフリー

飛竜である。

・所属組織、地位や役職
 航空自衛隊(備品扱い)。
・物語内での具体的な行動や成果
 瑞原を乗せてアルヌス周辺の哨戒飛行を行った。滑走路を暴走する伊丹たちを追跡した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

エフリー

飛竜である。

・所属組織、地位や役職
 航空自衛隊(備品扱い)。
・物語内での具体的な行動や成果
 久里浜を乗せて滑走路を暴走する伊丹たちを追跡した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

展開まとめ

01

特地・アルヌス州・アルヌス

石油精製施設の実験が失敗した

アルヌスの丘に建てられた巨大な施設は、住民から日本人の神殿と誤解されていたが、実際には原油を精製するための石油精製プラントであった。健軍一等陸佐の号令で第五次稼働実験が始まり、一時は成功したかに見えた。しかし冷却水の異常、圧力釜の限界超過、パイプ破損、燃料引火が連鎖し、施設は爆発して炎に包まれた。

レレイが日本人の技術と現実の隔たりを説明した

爆発を見たアルヌスの住民達は、また実験が失敗したと悟っていた。レレイ・ラ・レレーナは学徒達と街を歩きながら、彼らが研究ではなく効率化を求めているのだと説明した。小さな蒸留器では燃料油を作るために燃料油を消費してしまうため、大型施設で手元に残る量を増やそうとしているのである。さらにレレイは、知っていることと実際にできることの間には深い溝があり、今の日本人達は自分達と同じ立場にあると見ていた。

伊丹が施設跡で江田島に呼び出された

伊丹耀司は爆発後の石油精製施設跡に入り、油と煤にまみれた惨状を目にした。隊員との映画ネタのやり取りで軽率な発言をしてしまい、故郷に帰れない隊員達の気持ちを逆なでしたことに気付いてすぐ謝罪した。その後、伊丹は現場検証をしていた江田島二等海佐を見つけ、江田島から手伝ってほしいことがあると告げられた。

伊丹の行動が問題視された

ホドリュー・レイ・マルソーを探す旅から戻った伊丹の報告は、狭間陸将ら幹部達を悩ませた。伊丹が他国の内戦に介入し、一方に荷担して戦闘行動に参加したためである。自衛官である伊丹が独断で敵味方を選んで行動したことは問題であり、狭間は正式な処分が厳しいものになると示唆した。伊丹自身も処分を覚悟していたが、テュカやパルミアの人々を助けたことを後悔しないと決めていた。

江田島が伊丹を弁護した

幹部達が伊丹に辞表を出すよう促す中、江田島が会議室に現れて異議を唱えた。江田島は、伊丹の行動が門の再開通に不可欠な物資を調達するためだったと説明した。レレイも、門を開くためにはガラスが必要だが、日本人にはこの世界で実際にガラスを作る技術がないと語った。そして伊丹が旅先でガラス製造技術を持つ部族を見つけたことが明かされた。

ガラス職人招聘の返事が届いた

江田島は、伊丹がラァスィと呼ばれるガラスブロックの宮殿を発見し、ガラス製法を得るために現地との好意的な関係を築く必要があったと論じた。さらにレレイが、旧ヤルン・ヴィエットの三部族長会議長から届いた書簡を示した。そこにはシルヴィアが伊丹を大きく称え、伊丹の願いなら全力で助力し、国家機密であるガラス製法の提供を取りつけたことが記されていた。

伊丹の処分は保留された

狭間達はガラス製法の提供によって門再開の材料が揃ったことに安堵した。その結果、江田島の弁護は説得力を増し、伊丹の独断行動は門を開いて日本との連絡を再開するために必要だったという形で扱われることになった。ただし、それは門が無事に開いた場合に限る条件付きの判断であり、伊丹の処分は保留されたのである。

特地・アルヌス州・アルヌス

江田島が伊丹の行動を評価した

江田島は、門が再開通すれば伊丹の行動も成功に貢献したものとして評価されるだろうと説明し、自身も可能な限り弁護すると約束した。伊丹は感謝を述べ、その恩義に報いるため江田島の依頼を引き受けることにした。

江田島が自衛官としての考えを語った

移動中、江田島は伊丹の置かれた状況について自ら考えた結論を語った。自衛官としては国家の意思を独断で決めるべきではなく、問題への介入を避けるべきだったと述べた。一方で、非戦闘員が傷つけられるのを見過ごした自分を許せないとも考えており、その場合は自衛隊を辞めていただろうと明かした。そして伊丹の行動は自衛官としては問題があったかもしれないが、人として尊い選択だったと評価した。

石油精製施設の事故原因を調査した

江田島は伊丹を業務用テントへ案内し、事故調査に協力させた。そこで焼け焦げた鉄パイプを示し、地元鍛冶職人の未熟な製法によって内部に亀裂が生じていたことを説明した。しかしそれだけでなく、斧で叩いたような横方向の亀裂が入ったパイプも見つかっており、単純な製造不良だけでは説明できない状況であることが明らかになった。

燃料生産委員会で失敗原因が議論された

狭間ら幹部達は燃料生産委員会を開き、五度にわたり石油精製施設が爆発炎上した事実を確認した。用賀二等陸佐は、部品加工精度や材料品質、工作技術、計測装置の精度不足が失敗の原因だと説明した。知識だけでは化学工業設備は成立せず、高度な加工技術が不可欠であることが改めて認識された。

鉄パイプ製造技術の導入が決定された

現状を打開するため、鍛造技術を利用した火縄銃方式の鉄パイプ製造法を地元職人へ伝える案が検討された。この方法なら十分な強度の鉄パイプを製造できる見込みがあった。しかし同時に銃身製造技術が特地へ広まる危険もあり、技術拡散によって将来的に帝国軍が銃砲を装備する可能性も議論された。その結果、技術提供は許可されたものの、ギルドを設立するなどして拡散防止策を講じる方針が決まった。

門再建まで燃料確保が必要と確認された

小型蒸留器を大量運用する案も出されたが、燃料消費効率の悪さから根本的な解決にはならないと説明された。門再建の目処が立ち始めていたものの、完成時期が不明である以上、石油精製施設による燃料自給手段は維持しなければならないとの結論に至った。

妨害工作の存在が確認された

会議後、江田島と伊丹は狭間に調査結果を報告した。江田島は今回の事故にも妨害工作の痕跡があったと述べた。ただし妨害がなくても施設は失敗した可能性が高いとも分析した。敵の目的は不明だったが、石油精製施設だけを狙っていることから何らかの意思表示である可能性が示された。そして施設の成功が近づけば、より本格的な妨害が行われる恐れがあると判断された。

門再建計画を公表する方針が決まった

江田島は敵をあぶり出し、低下している隊員達の士気を回復するため、門再建計画を公表することを提案した。狭間は危険性を懸念したが、建設予定地がアルヌス駐屯地内であることから実施を了承した。そしてレレイを呼び出して正式に門再建を進める準備を整えることとなった。

門再建計画が公表された

狭間はレレイに負担をかけることを懸念したが、江田島は彼女が状況を理解して協力すると見込んでいた。また狭間は、伊丹の件について幹部達が完全に納得しているわけではなく、表面上受け入れているだけだと指摘し、今後の後始末は江田島の責任だと念を押した。その数日後、門の再建計画はアルヌス協同生活組合によって正式に公表されたのである。

02

レディ・フレ・ランドールの生い立ち

恵まれた環境で育ったレディ

レディ・フレ・ランドールは皇帝一族の一員として生まれ、不自由のない環境で育った。欲しいものはすぐに与えられ、多くの大人や使用人に囲まれて暮らしていたため、我慢や忍耐を必要としない人生を送っていた。

教師達を操る才能を発揮した

父ブレンデッド・ソル・ランドール公爵は、娘に教養と品格を身につけさせようと優秀な教師達を集めた。しかしレディは教師達の欲望を見抜き、贈り物や巧みな働きかけによって次々と取り込んでいった。その結果、本来の努力とは異なる方法で高い評価を得るようになり、多くの教師達は責任を問われて職を失うこととなった。

社交界で勢力を築いた

幼い頃から他人を操る才能を見せていたレディは、社交界に出るとさらに影響力を拡大した。自分に逆らう者を徹底的に排除し、権力や弁舌を駆使して周囲を従わせた。父もその生き方を止めることはなく、レディは同世代の女性貴族達の間で強固な地位を築いていった。

ゾルザルの台頭によって立場が揺らいだ

やがてレディは帝都社交界の中心人物となったが、ゾルザルの暴力的な行動によって状況が一変した。その混乱の後には、ピニャ・コ・ラーダを中心とする薔薇騎士団の勢力が大きく伸長していた。かつてレディに従わなかった女性達が新たな勢力として台頭し、彼女の影響力は相対的に低下していた。

ボーゼスへの嫉妬を抱いた

シゴリス王国で開かれたエベレス王太子の婚約披露祝賀会では、ピニャの側近であるボーゼス・コ・トミタが大きな注目を集めていた。出産や結婚、神々の祝福を経た彼女は以前にも増して輝いており、多くの貴族達が競って挨拶に向かった。かつてならボーゼスを貶めようとしたであろうレディも、すでに勝敗が決していることを理解しており、嫉妬を抱えながらも壁際へ退くしかなかった。

皇位継承を巡る噂を耳にした

会場でレディは、ヴェスパー・キナ・リレ男爵とブザム・フレ・カレッサー勲爵士の会話を耳にした。二人はピニャの皇位継承について議論しており、ヴェスパーはピニャには正統性がなく、本来は前皇帝グレーンの血筋が皇位を継ぐべきだと主張した。

モルト皇帝とカティの過去が語られた

二人の会話では、現皇帝モルトが本来は幼かったカティが成人するまでの中継ぎとして即位したこと、そのための法まで制定されていたことが語られた。しかしカティが夭折したことで皇位継承はモルトの系統へ移り、一部ではモルトが権力維持のためにカティを謀殺したという噂まで存在していた。

カティの遺児の噂に衝撃を受けた

さらにヴェスパーは、カティに遺児が存在したという噂を口にした。その子は女児であるとされたが、女性であるピニャの皇位継承が認められるなら、その娘にも継承権を主張する余地が生まれることになる。レディはその話を聞き、もし噂が真実ならピニャやモルトの立場を揺るがしかねないと理解した。

レディが自身の境遇を思った

ヴェスパーはピニャの功績よりもグレーン直系の血統こそが重要だと主張し、日本との講和や改革政策を批判した。レディは彼の過激な発言に危うさを感じながらも、ピニャが帝位を継ぐべきではないという考えには強く共感した。そして、自分がもしカティの遺児であれば皇位継承を主張できたのにと空想した。

変えられない現実を受け入れた

しかしレディは、その考えが叶わない願望に過ぎないことも理解していた。父から繰り返し教えられてきた、変えられないものを受け入れる勇気と、変えられるものを見極める知恵を思い出し、自分がカティの血筋ではないという現実を受け入れようとしたのであった。

03

養父との別れ

夜会から帰宅したレディは、屋敷内の異変に気付いた。迎えに来るはずのメイド達がおらず、メイド長のピノに急かされて父ブレンデッドの寝室へ向かった。

寝室では、ブレンデッドが重い発作に苦しみながら横たわっていた。レディは突然の事態に動揺し、医師を責めようとしたが、ブレンデッドはそれを制した。そして自らの死を受け入れていることを告げ、レディと出会ったことで人生に意味を見出せたと感謝を伝えた。

出生の真実の告白

ブレンデッドは、ヴェスパーとブザム、そしてリーガー男爵を頼るようレディに言い残した。その後、レディがカティの子であることを見抜いていたと明かし、自らの望むように生きるよう背中を押した。

そしてコロナとの約束を果たしたと呟きながら、ブレンデッドは息を引き取った。レディは養父を失う悲しみと、自身の立場が大きく変わろうとしている現実を同時に突き付けられた。

ブレンデッドの葬儀

ブレンデッドの葬儀は皇族の廟堂で執り行われた。神官達の祈りの中、棺は墓所へ納められ、レディは花束を手向けて別れを告げた。

葬儀が終わると、レディは墓碑に刻まれた養父の姿を見つめ続けた。一方でモルトは、今後の身の振り方について尋ね、列国の王室へ嫁がせる考えを示した。

将来への迷いとピニャの助け舟

レディは養父を失ったばかりで将来を考える余裕がなく、返答に窮した。カティの娘として生きるべきだという考えにも実感を持てず、自分はブレンデッドの娘だという思いの方が強かった。

モルトが決断を迫る中、ピニャが性急すぎると進言したことで話は保留となった。レディは窮地を救われたことに安堵し、ピニャへ感謝の意を示した。

ヴェスパーとブザムの期待

葬儀後、ヴェスパーとブザムはレディを支えながら、正統な皇位継承権を取り戻してほしいと訴えた。ヴェスパーは帝国の現状を憂い、ブザムは立身出世の望みを抱きながらもレディを案じていた。

しかしレディは、自分がブレンデッドの娘として育てられてきたことを強調し、突然その立場を否定されたことへの苦しみを吐露した。ヴェスパーとブザムはその思いを理解できずにいたが、レディの懇願を受けて一旦身を引いた。

炎上するランドール家の屋敷

ベルナーゴ神殿で祈りを捧げた後、レディが屋敷へ戻ると、ランドール家の屋敷は炎に包まれていた。賊徒が押し入り、財貨を奪ったうえで火を放ったのである。

レディは執事ヘンリーのもとへ駆け寄った。重傷を負ったヘンリーは、レディを守れなかったことを詫びながら息を引き取った。

全てを失ったレディ

屋敷が焼け落ちる中、使用人や兵達は次々と去っていった。中には家財を持ち去る者もおり、公爵家の崩壊を口にしながらレディから離れていった。

養父を失い、屋敷を失い、忠実だったはずの使用人達にも見捨てられたレディは、雨の中で独り取り残された。

モルトへの疑惑

焼け跡に現れたヴェスパーとブザムは、屋敷襲撃の黒幕がモルトである可能性を語った。葬儀の際にモルトが遺言や遺言状を気にしていたことから、公爵の残した秘密を隠そうとしているのではないかと推測したのである。

さらに二人は、モルトが以前からレディの存在を脅威と見なしていたと説明した。ブレンデッドはカティの死の真相に関する証拠を握り、それを盾にレディを守っていたのだという。

崩れ去る世界

レディは、父と思っていた人物が養父であり、優しい伯父だと思っていたモルトが敵かもしれないという話を聞き、これまで信じていた世界が崩れていくのを感じた。

忠実だと思っていた使用人達も屋敷を失うと去っていき、自分の周囲にあったもの全てが別の姿に見え始めていた。

ディタ戦死の報せ

そこへ腹心の友アン・ルナ・リーガーが現れた。アンは言いにくそうにしながらも、北方ヤルン・ヴィエットから届いた報せを伝えた。

それは、エファン伯爵公子ディタの戦死であった。

心の崩壊

養父を失い、屋敷を失い、従者達を失った直後に、愛するディタの死まで知らされたレディの心は完全に砕け散った。

悲鳴を上げたレディは髪が真っ白になり、痙攣を起こした。周囲の人々の声は遠ざかり、世界は灰白色に染まっていった。

こうしてレディは、世界との繋がりが引き剥がされるような絶望の中へ沈んでいったのであった。

04

レディの目覚め

ディタの死を嘆く悪夢の中で叫びながら、レディは目を覚ました。目の前にはアンがおり、レディの意識が戻ったことを喜んだ。

レディは自分がリーガー家の屋敷に運び込まれていたことを知った。そして父ブレンデッドの死、屋敷の焼失、従者達との別れ、さらにディタの戦死という悲劇が重なった末に倒れたことを思い出した。

十日間の昏睡と忠臣たちの弔い

レディはヘンリーとピノを弔わなければならないと考えたが、アンから既にリーガー男爵の手配で葬儀が済まされていることを聞かされた。

さらに自分が十日間も昏睡状態にあり、高熱によって命も危ぶまれていたと知る。レディは二人が神官によって丁重に弔われたことに安堵した。

ディタへの想いと秘密の交際

アンはディタの訃報を伝えたことを謝罪したが、レディは真実を伝えてくれたことに感謝した。

二人はディタとの秘密の交際について語った。レディは皇帝の姪という立場から政治的な問題を避けるため、ディタとの関係を秘匿していた。その結果、ディタが反逆者と見なされた際にも、レディが関係者として疑われる事態を避けられていたのであった。

白く変わった髪と現実の受容

アンが窓を開けると、レディは自分の髪が真っ白になっていることに気付いた。鏡を見ると髪だけでなく眉や睫毛まで白く変わっており、以前とは別人のような姿になっていた。

アンは変わらぬ友情を示し続けたが、レディは幸せだった頃の自分はもういないと受け止めていた。それでもアンという心から信頼できる友の存在を改めて実感し、そのことに感謝した。

新たな決意

アンの励ましを受ける中で、レディは自分の内面が変化していることを自覚した。不安や恐怖に囚われることなく、既に進むべき道を決めていたのである。

そのためアンに頼み、ヴェスパー、ブザム、そしてリーガー男爵を呼ぶよう依頼した。

リーガー男爵が語る過去

リーガー男爵はレディに謝罪した後、カティとモルトの過去について語り始めた。

モルトはカティに統治者としての完璧さを求め続けたため、カティは追い詰められていった。その後、ブレンデッドの助けによって身分を隠して街へ出るようになり、そこでクーと出会ったのであった。

また、レディがコロナの娘として扱われていたのは、その身を守るための偽装であり、クーこそが実の母親であることも明かされた。

カティの死とレディ誕生の真相

リーガー男爵は、カティが突然死したこと、公的には病死とされていることを説明した。ブレンデッドはその死について調べていたが、真相は誰にも語らなかった。

その後、クーは生まれたばかりのレディを守るため、ブレンデッドの説得を受けて帝都を離れた。レディは母が自分を手放したのではなく、自分の命を守るために別れを受け入れたことを知った。

帝位継承への意思表明

話を終えたリーガー男爵は、皇帝に従って外国へ嫁ぐ道もあると伝えた。しかしレディは、自らをレディ・フレ・カエサルと名乗り、平穏な人生は望まないと宣言した。

それは帝位を目指す意思表示でもあった。リーガー男爵はその決意の重さを理解しながらも、支援を約束した。

忠誠を誓う仲間たち

レディの呼びかけに応じて、ヴェスパーとブザムが姿を現した。二人はレディに忠誠を誓い、正統な皇帝として即位できるよう尽力すると約束した。

さらにリーガー男爵とアンも協力を誓い、レディを中心とした新たな陣営が形作られた。

復讐と帝位奪還への第一歩

レディは皇位を取り戻すために何をすべきか尋ねた。ヴェスパーは、すぐに名乗りを上げるのではなく、まず元老院議員達への支持工作を進めるべきだと進言した。

そのうえで、表向きにはディタの死に対する復讐に突き動かされているよう振る舞うことで皇帝を油断させる策を示した。レディはその提案を受け入れ、ディタの死に責任のある者達への復讐を開始すると宣言した。

レレイの歩んだ人生

場面はレレイへ移った。レレイは豊富な知識や才能を持ちながらも、それらの多くを努力によって手に入れてきた人物であった。

幼少期から大人として扱われ、感情を抑えて生きてきたため、師カトーは冗談や悪ふざけによって感情表現を学ばせようとした。しかしレレイは冷静な態度を崩さずに成長した。

弟子達との門の研究

レレイは弟子達から門について質問を受けた。彼女は門には二種類あり、世界線同士が接触して生じる空間隙と、異なる世界を結ぶ架け橋が存在すると説明した。

さらに世界線を箒の繊維に例えながら、日本の存在する世界を探すためには情報を利用する必要があり、そのために長年一体だった金剛石の断片を活用する計画を語った。

神々の監視と禁断の研究

弟子達は門の理論や神々の意図について質問を重ねた。レレイは神の意図を推測することは神学者の領分としながらも、世界の成り立ちに関する秘密が重要だと考えていることを明かした。

アルヌスには四柱の亜神が集まっており、世界の秘密に迫ろうとする研究者達は常に神々の監視下に置かれていた。それでも弟子達はレレイならば真実へ辿り着けると信じていた。

新たな門の建設開始

レレイは弟子達と共にアルヌスの丘へ向かった。そこでは旧門の跡地が整地され、自衛隊による新たな門の基礎工事が進められていた。

準備された作業用天幕や施設を確認したレレイは満足し、弟子達に道具や資材を運び込むよう指示した。こうして新たな門を支える門柱の建設が本格的に始まったのであった。

05

アルヌスの変貌に驚く職人たち

宮石工の棟梁ドム・ダン・ケルシュと配下の職人たちは、アルヌスに到着すると大きく発展した街並みに驚いた。かつて帝国の仕事で訪れた時には何もない丘だったため、その変化に感慨を覚えた。

職人たちは過去の帝国での過酷な労働を振り返りながら、現在のアルヌスの繁栄ぶりに感心した。ドムは祭りや祝い事には興味を示さず、自分たちは依頼された仕事をこなす職人に過ぎないと語った。

神殿モタへの参拝

街の案内板を見たドムは、鍛冶神ダンカンを祀る神殿モタの存在を知った。敬虔なダンカン信者であるドムと職人たちは、まず神殿を訪れてモーター・マブチスへ挨拶を済ませた。

その後、一行はアルヌス協同生活組合へ向かった。

組合での職人たちの合流

組合事務所でドムは石工と呼ばれたことに不満を示し、自分たちは宮石工であり、一般的な石工とは異なる専門職であると説明した。

会議室には既に多くの職人が集まっていた。そこでドムは旧知の石工ホッファと再会し、互いの近況を語り合った。ホッファは妻を亡くした後も娘を育てながら働いており、今回の仕事への参加を喜んでいた。

しかし集まった職人たちは、肝心の仕事の内容をまだ知らされていなかった。

メイアによる受け入れ

メイアは職人たちを宿へ案内し、発注者との面会は翌日になると説明した。

ドムは自分たちより重要な客がいることに不満を示したが、周囲の職人たちはそれをいつものこととして受け流した。

空自による飛行哨戒

一方、航空自衛隊の瑞原は飛竜イフリーに騎乗し、アルヌス周辺の哨戒飛行を行っていた。

日本との連絡が絶たれた後、航空機の運用は大きく制限されていたが、飛竜を導入したことで限定的ながら航空警戒体制が構築されていた。

その哨戒中、瑞原はアルヌスへ向かう四騎の翼竜を発見したため接近した。

ヤオとガラス職人の到着

瑞原は接近の結果、先頭を飛ぶのがヤオであることを確認した。同行していた三人は北方から招かれたガラス職人たちであった。

瑞原は彼らをアルヌスへ誘導した。

その頃ヤオは、自分がいつも不遇な立場に甘んじていることを反省し、少しは自分の意思を通してみようと考えていた。そして飛竜を指定された場所ではなく目的地の工房へ直接着陸させたことで、小さな達成感を覚えていた。

ガラス工房とレレイの出迎え

ヤオたちは新設されたガラス工房へ到着した。工房は職場と住居を兼ねた大規模な施設であり、職人たちはその充実した設備に感嘆した。

そこでレレイがガラス職人たちを迎えた。職人たちは透明度の高いガラス製造技術の提供を求め、レレイは不純物除去技術や魔法による精製方法について説明した。

レレイの知識を確認した職人たちは協力に前向きな姿勢を示した。

ヤオの自己主張

職人たちとレレイの会話が盛り上がる中、ヤオは何度も自己紹介や説明を試みたが、そのたびに話を遮られた。

それでも最後には職人たちを紹介する役目を果たし、自分なりの達成感を得て満足した。

職人たちの現場入り

翌朝、宮石工や石工、ガラス職人、宝石細工師、学徒たちが集合し、アルヌスの丘へ向かうための乗合馬車に乗り込んだ。

丘の上にある自衛隊駐屯地では厳重な入場管理が行われており、職人たちは許可証の確認を受けながら現場へ向かった。

基礎工事と図書館での出会い

職人たちは『門』跡地で進む基礎工事を見学し、その高度な建設技術に興味を示した。

その一方で、若い弟子たちは図書館を訪れた。ツムは同人誌に興味を持ち、そこで偶然伊丹と出会った。

伊丹は絵に興味を示すツムにイラストを描いて見せた後、模写にも挑戦させた。上手く描けなかったツムを励まし、自ら描いたイラストを贈った。

ツムはその贈り物を大切にしまい、仲間たちの元へ戻った。

門柱計画の公開

職人たちは作業用テントへ集められ、そこでレレイと対面した。

レレイは白布を取り払い、『門柱』の模型を公開した。それは高さ二十メートルを超える巨大な魔法装置であり、大量の大理石や宝石、透明ガラスを用いて建造される計画であった。

職人たちはその壮大さに驚きながらも強い興味を抱いた。

人の手で門を操る計画

レレイは今回の目的が、神任せではなく人間の手で『門』を開閉できるようにすることであると説明した。

そのためには複雑な構造と膨大な作業が必要になると語ったが、ドムは神の領域に踏み込む計画に畏れを抱きつつも強く心を惹かれた。

そして、この大事業に携われることを誇りに思い、引き受けることを決断した。

門柱建設の開始

ドムは棟梁として全体を指揮することを宣言し、石工、ガラス職人、宝石職人たちの役割を確認した。

全ての条件に納得した職人たちは一斉に作業開始を宣言し、人の手による『門』再建という前例のない大工事が始まったのであった。

06

復讐計画の進展

リーガー男爵家では、レディの客間が大量の書類や情報で埋め尽くされていた。執事ハンスが届けた駅逓使からの急報は、レディが以前便宜を図ったスコーネ総督からのものであった。

レディは総督人事の見返りとして贈り物ではなく軍事行動を求めていた。そして届いた報告には、ヤルン・ヴィエットが滅びたことが記されていた。レディはその報せを喜んだが、ハンスは罪のない民まで巻き込まれた結果に強い衝撃を受けた。

復讐への執着を明かすレディ

ヴェスパーとアンが現れると、ハンスは一般の民にとっては災難だったのではないかと口にした。しかしレディは、その土地に生まれた以上は罪を背負っているのだから罰を受けるのは当然だと語った。

さらにレディは、ディの死に関わった者たちを決して許さず、全員を苦しめるか殺すつもりだと平然と告げた。その冷静な口調にハンスは恐怖を覚えた。

アンは話題を変えてハンスを退室させた後、レディにやり過ぎだと苦言を呈した。しかしレディは、自分が復讐に狂ったように見せることで皇帝を油断させる狙いがあると説明した。

反モルト派結集の課題

ハンスが去った後、レディはヴェスパーに工作の進捗を尋ねた。

ヴェスパーは反モルト派を集めるには時間が必要だと報告した。レディはモルトの退位を遅らせたいと望み、ピニャへの譲位が実現する前に行動する必要性を訴えた。

ヴェスパーは、権力への執着が強いモルトならば少しの工作で譲位を先延ばしにできると考えていた。

日本軍を利用した妨害策

ヴェスパーは、日本軍を利用してモルトの退位を遅らせる策を説明した。

彼は、日本軍が帝国からの賠償金に依存していることに着目し、その支払いを凍結させることで補給や給与支払いを困難にできると語った。日本軍は制度上、独自に徴税や略奪を行えないため、その弱点を突くことが可能だと考えていた。

レディはその説明を聞き、日本軍が弱体化すれば元老院の対日融和姿勢も変化し、モルトの退位も遅らせられると理解した。

門再建妨害の計画

レディはさらに、『門』再建事業そのものを妨害する案を思いついた。

材料の流通を妨げ、職人たちの意欲を削ぎ、工事を停滞させることで日本側に打撃を与えようと考えたのである。ヴェスパーもその案を評価し、帝都のならず者集団を利用する方法を提案した。

しかし信用できない者を使うことに懸念を示したレディに対し、ヴェスパーはブザムを現地工作の責任者に据えるべきだと進言した。

レレイへの関心

その後レディは、『門』再建の中心人物として名の挙がっているレレイに注目した。

アンは、炎龍退治で名高いレレイに手を出すべきではないと忠告した。しかしレディは、命を狙うのではなく別の方法で追い詰めることができると考えていた。

レディはレレイ本人だけでなく、その家族や交友関係、趣味や身辺に至るまで徹底的に調査し、相手が嫌がることを全て行いたいと命じた。ヴェスパーたちはその指示を受け、新たな工作の準備を進めることになったのであった。

門再建工事の進展

アルヌス丘の頂上では、『門』再建のための工事が急ピッチで進められていた。石工たちは運び込まれた岩を加工していたが、荷下ろしには陸上自衛隊施設科部隊のトラッククレーンが活躍していた。

その便利さに感心するホッファに対し、ドムは機械の発展によって職人の仕事が奪われる危険性を指摘した。ホッファは否定したものの、スマンソンから日本では機械による石材加工が行われていると聞かされ、自分たちが『門』再建によって将来自らの仕事を失うかもしれない現実を突きつけられた。

呪紋刻印作業とレレイの集中力

作業用テントでは、魔導師たちや学徒が大理石に呪紋を描いていた。完成した石は二万六千個積み上げられ、『門柱』を形成する重要な部材となるのであった。

石を運び込んだスマンソンは、設計図に没頭するレレイへ何度呼びかけても反応が返らないことに驚いた。そこへ現れたカトー老師は、集中したレレイには何をしても無駄だと語り、スマンソンへ作業を命じた。

才能を理由に弱音を吐くスマンソンに対し、カトーは努力を怠る言い訳だと諭し、スマンソンは不満を漏らしながらも作業へ戻った。

役割のない伊丹

工事現場では多くの者が忙しく働いていたが、伊丹だけは手伝える仕事がなかった。魔法も石工技術も持たないため、現場を見回りながら職人たちと言葉を交わしていたのである。

その様子を見たスマンソンは嫌味を言ったが、伊丹は気にすることなく自分の将来を不安視する冗談を口にした。さらに、自身の仕事は『門』再建を見守ることだと明かしたため、スマンソンから月給泥棒だと言われてしまった。

伊丹は自衛隊が目立たない方が国民にとって幸せなのだと弁明したものの周囲の笑いを誘い、居場所のなさを感じてレレイへ話しかけた。

レレイが認めた伊丹の存在

伊丹が自分にも何か役割はないのかと尋ねると、それまで誰の呼びかけにも反応しなかったレレイが顔を上げた。

レレイは、伊丹はここにいてくれるだけで良いと告げた。その言葉に伊丹は驚き、スマンソンは自分との扱いの違いに衝撃を受けた。

その後、レレイはドーラへ図面の運搬を依頼し、伊丹にも同じくここにいてほしいと伝えた。伊丹は役立たずだと落ち込みながらも、その場に残ることになった。

終業後も続くレレイの作業

夕方になり作業終了のラッパが鳴ると、職人たちは仕事を終えて丘を下りた。伊丹は現場の見回りを済ませた後、作業用テントを訪れた。

そこではレレイが一人残り、黙々と呪紋の設計と下描きを続けていた。『門』再建が始まって以来、レレイは毎日のように時間を忘れて作業へ没頭しており、弟子たちも付き合いきれず先に帰るようになっていた。

伊丹は健康を心配して帰宅を促したが、レレイは切りの良いところまで進めたいと答え、作業を続けた。

眠り込んだレレイとスマンソン

消灯ラッパが鳴った後、伊丹はレレイを連れ帰るため自転車を借りて戻ってきた。

しかしテントでは、レレイが大理石に抱きつくように眠っており、その傍らにはスマンソンがいた。スマンソンはレレイを起こそうとしていたが、どこか起こしたくない様子も見せていた。

その様子を見た伊丹が声を掛けると、スマンソンは慌てて言い訳を始めた。伊丹は自分が不在だったことを反省しつつも、厳重な警備体制の中だから大丈夫だと思っていたと説明した。

レレイを運ぶ伊丹

スマンソンはレレイを迎えに来たと話し、自分なら馬で連れて帰れると説明した。しかし伊丹は無理に起こす必要はないと言い、自分が部屋まで運ぶと告げた。

さらに伊丹はレレイの部屋の鍵を預かっていることを明かしたため、スマンソンは強い衝撃を受けた。伊丹が以前から同じようにレレイを運んでいたことも知り、ますます動揺した。

その後、伊丹は慣れた様子で眠るレレイを抱き上げた。スマンソンはその光景を妬ましそうに見つめていたのであった。

レレイの目覚めと伊丹の発見

目を覚ましたレレイは、自室のベッドに寝かされていることに気付いた。しかし寝心地に違和感を覚え、自分が寝間着に着替えていないことや、ローブが椅子に掛けられていることから、誰かに介抱されたのだと推測した。

部屋の鍵を持ち、自分を親切だが大雑把に扱う人物として伊丹を思い浮かべたレレイは安堵した。その直後、部屋の中に別の気配を感じ取り、床で眠る伊丹を発見した。

伊丹をベッドへ運ぶレレイ

床で寒そうに眠る伊丹を見たレレイは、その行動を非合理的だと判断した。そして快適な睡眠を取らせるため、伊丹をベッドへ移動させることにした。

体格差が大きいため苦労したものの、掛布を利用して動滑車の原理を応用し、半分の力で伊丹をベッドへ引き上げた。作業を終えたレレイは汗だくになり、風邪を防ぐため身体を清めようとした。

朝の来訪者たち

ちょうどその時、フォルテと学徒たちが迎えにやって来た。いつもの習慣通りフォルテが扉を開けた結果、身支度の途中だったレレイの裸を学徒たちが目撃してしまった。

スマンソンは鼻血を流し、フォルテは慌てて男子学徒たちを追い出した。レレイは特に取り乱すことなく清拭と着替えを続け、合理性を優先して行動した。

フォルテの謝罪とレレイの反応

着替えを終えた後、フォルテは男子学徒たちの記憶を消すとまで言って謝罪した。しかしレレイは記憶操作の危険性を説明し、そこまでする必要はないと答えた。

その後レレイは眠っている伊丹を起こし、皆と共に外へ出た。

伊丹への追及

移動中、レレイは伊丹にどうしてベッドで寝なかったのかと尋ねた。伊丹は警務隊に自転車の二人乗りを咎められたことや疲労を理由に説明したが、レレイが求めていた答えとは噛み合っていなかった。

そこへスマンソンが割り込み、若い女性の部屋に泊まり、同じベッドで眠ったことを責め立てた。伊丹は否定したものの、自身に記憶がないこともあり説得力を欠いていた。

三日夜の儀の告白

スマンソンが昨夜の記憶についてレレイに尋ねると、レレイは伊丹の体温を覚えていると答えた。その発言は学徒たちを大いに動揺させた。

さらにスマンソンはレレイの無防備さを責め、自分にも部屋の鍵を預けるべきだと主張した。しかしレレイは、伊丹と何かあってはいけないのかと問い返した。

そして三日夜の儀は既に終えていると告げながら、伊丹の袖を握った。その仕草によって相手が伊丹であることが明確になり、学徒たちは大きな衝撃を受けた。特にレレイに好意を抱いていたスマンソンは深く打ちのめされた。

学徒たちの反応

男子学徒たちは落ち込むスマンソンを慰めた一方、女子学徒たちは伊丹とレレイの関係について噂話を始めた。さらにテュカやロゥリィとの関係まで話題にし、様々な憶測を語り合った。

悪意のない噂話であったが、伊丹にとってはスマンソンの非難以上に堪えるものとなった。

フォルテの忠告とレレイの変化

フォルテは昨夜遅くまで作業していたレレイを心配し、今後は夜更かしを控えるよう忠告した。レレイは素直に頷き、以後気を付けると約束した。

また、夜間作業に備えて現場へ焚き火を用意する話になり、伊丹が手配を引き受けた。

その後もレレイは伊丹の袖を握ったまま歩き続けた。途中で気付いたものの、伊丹が特に気にしていない様子だったため、そのまま袖を握り続けたのであった。

07

作業現場の警戒任務

伊丹は作業現場を歩き回りながら職工たちに声を掛け続けていたが、そのたびに作業が止まるため、総責任者のドムから叱責を受けていた。

その後、江田島と合流した伊丹は警戒状況を報告した。伊丹は出入りする作業員の顔と名前を覚え、見慣れない人物を見分けるための警備を続けていた。江田島は、好かれることではなく『門』の完成を守ることが重要だと語り、今後も警戒を継続する方針を確認した。

江田島の情報収集

伊丹と別れた江田島はアルヌスの街へ向かい、食堂で情報屋のコムノーコと接触した。

石油精製施設について組合内部を調査させていたが、施設を妨害しそうな人物は見つからず、そもそも街の住民たちは施設の目的を理解していないことが判明した。江田島は情報提供への報酬を渡し、今後も情報収集を続けるよう依頼した。

メイベルの目撃

街を歩いていた江田島は、新しく開店する店舗を眺めていた際、ニカブ姿の少女を見かけた。

目元と蒼い髪から、その人物がロゥリィと戦った亜神メイベルであると気付いた江田島は、石油精製施設への妨害工作の可能性を考え後を追った。しかし人混みに阻まれ、メイベルを見失ってしまった。

大理石納入のトラブル

『門』再建工事が始まって二週間が経過し、工事は順調に進んでいた。そんな中、組合の犬耳娘が慌てた様子で作業現場へ駆け込み、レレイとの面会を求めた。

レレイと伊丹が組合の倉庫へ向かうと、納品された大理石に問題が発生していた。運び込まれた石の多くは、レレイが指定していた純白の『高貴な白』ではなく、模様の入った別種の大理石だったのである。

調査の結果、行商人が別の注文と混同していたことが判明した。

レレイと行商人の対立

レレイは規格に適合した石のみを買い取ると告げたが、行商人は全て引き取るよう要求した。

さらに自分たちの苦労や生活を理由に泣き落としを試みたが、レレイは必要な物以外に価値はないと断言した。商品の価値は必要性によって決まるのであり、苦労そのものには価値がないと説明したのである。

その冷静な対応に激昂した行商人は、差別的な暴言を吐きながら拳を振り上げた。

伊丹の介入と商人の排除

レレイへ拳が振り下ろされる寸前、伊丹が彼女を抱きかかえて庇い、代わりに攻撃を受けた。

さらに行商人たちが剣を抜いて威嚇すると、ヤオ率いる武装した傭兵たちが現れて彼らを包囲した。形勢が逆転すると行商人たちは武器を捨てて降伏した。

ウォルフは警務隊へ引き渡す提案をしたが、伊丹はそれを断り、商人たちを街から追放するよう命じた。行商人たちは悪態をつきながらも代金と領収書の処理を済まされ、街を追い出された。

レレイの不機嫌とヤオの指摘

騒動が終わると、伊丹は自分がまだレレイを抱きしめていたことに気付き、慌てて彼女を離した。

伊丹はレレイの身を案じて無理をしないよう忠告したが、レレイは淡々と返事をした後、不機嫌そうな様子を見せてトラックに乗り込み、その場を去った。

理由が分からず戸惑う伊丹に対し、ヤオはレレイが求めているものに応えていないため拗ねているのだと指摘した。しかし伊丹にはその意味が理解できなかった。

ヤオとのやり取り

その後、ヤオは愛情を求めるように伊丹へ飛びついた。

いつもなら避ける伊丹だったが、この日は自然に受け止めていた。さらにヤオの頭を撫でたことで、ヤオは真っ赤になって慌てて離れた。

伊丹はそれを冗談めかして『ナデポ』ではないかと語ったが、ヤオは以前から好意を抱いていたのであって、撫でられたから好きになったわけではないと反論した。

ヤオは、自分の気持ちを理解しない伊丹に呆れながらも、この男が非常に難しい人物であることを改めて実感したのであった。

08

作業終了後のすれ違い

課業終了のラッパが鳴ると、職工たちは食券を手に街へ戻り、夕食を楽しみにしながら作業場を後にした。学徒たちも後片付けを始め、レレイも長時間の作業で強張った身体をほぐしていた。

伊丹はいつものようにレレイへ声を掛けたが、レレイは顔を見るなり視線を逸らし、不機嫌な態度を示した。その様子を見ていたスマンソンは、すかさずレレイを食事へ誘った。レレイは野菜不足を理由に誘いを受け入れ、学徒たちと共に去っていった。

伊丹は既に幹部食堂へ二人分の食事を頼んでいたが、それが無駄になったことを悟り、一人で見送りながら作業場の見回りへ向かった。

警備任務の完了

伊丹は作業場を巡回し、誰も残っていないことを確認した後、出入り口の哨所へ向かった。

哨戒中の陸士長と入退場人数を確認し、自身が最後の退場者であることを確認すると、退場記録が更新された。これにより記録上も作業場には誰も残っていない状態となった。

ロゥリィとテュカへの相談

その後、伊丹は酒場でロゥリィとテュカに会い、レレイが不機嫌になっている理由について相談した。

ヤオから自分に原因があると言われたことや、最近のレレイの様子を説明すると、二人はその理由が分からない伊丹に呆れながらも助言を始めた。

ロゥリィは、レレイは大人びて見えても対人関係では未熟で不器用な人物だと説明した。

レレイの不器用な性格

テュカは、レレイが誰かに情に訴えて頼み事をしたり、甘えたりする姿を見たことがないかと尋ねた。

伊丹は思い返したが、そのような場面は一度もなかった。レレイは欲しいものがあっても実力行使や論理によって手に入れようとし、お願いという形で相手に頼ることをしないのである。

ロゥリィとテュカは、そんなレレイが何かを望んだ時には、自分から要求する代わりに相手のために尽くし、その見返りとして欲しいものが与えられることを待つのだと説明した。

レレイが望んでいるもの

二人は、『門』再建にレレイが並々ならぬ情熱を注いでいる理由について問い掛けた。

伊丹は日本との交易再開や組合の安定のためだと答えたが、二人は落胆した様子を見せた。そしてレレイが最も強く望んでいるのは伊丹のためであり、伊丹にして欲しいことがあるからこそ必死に頑張っているのだと語った。

さらに、感謝の言葉や優しい接触がレレイの求めるものに近いかもしれないと示唆したが、伊丹はまだ十分には理解できずにいた。

伊丹の新たな決意

相談を終えた伊丹は、レレイが何かを望んでいること、その願いに自分が応えられていないことを強く意識するようになった。

そこで伊丹は、職工や学徒たちへ差し入れをしながら雑談を重ね、その中でレレイの望みを探ろうと考えた。

工事中断の異変

『門』再建工事開始から二十日が経過した日、伊丹は倉田と共に餅栗を差し入れとして作業場へ運んだ。

しかし、いつも響いているはずの槌音が聞こえず、職工たちは仕事をせずに集まって話し込んでいた。見習いのツムに事情を聞くと、大理石が届かず作業ができない状態だという。

伊丹は差し入れを倉田に任せ、急いで組合事務所へ向かった。

緊急会議の開催

組合事務所では、レレイやロゥリィ、テュカをはじめとする関係者たちが集まり会議を開いていた。

レレイは大理石の搬入が止まったことに加え、砂を運んでくるはずの姉アルペジオも到着していないと説明した。そしてロンデルへ問い合わせた結果、アルペジオは十五日前に出発していたことが判明していた。

到着していて当然の時期を過ぎても現れないことから、何らかの異常事態が発生していることが明らかになった。

イタリカ政変の報告

地域支配人のリュドーは、物資輸送が止まった原因を説明した。

途中で道が通れなくなっており、その理由はイタリカで政変が発生したためだったのである。

イタリカは代官ガルフの公正な統治と、ミュイを中心とした安定した統治によって平穏を保っていたため、出席者たちは誰もその話を信じられなかった。

しかしリュドーは、ローエン伯家へ嫁いだアイリと、ミズーナ伯家へ嫁いだルイが、それぞれ私兵を率いてイタリカへ侵攻し、ミュイの婿にすると称してローエン家三男ローバッハを連れて現れた結果、フォルマル家が乗っ取られたのだと明かした。

その衝撃的な報告に、ロゥリィとテュカは思わず立ち上がったのであった。

免税特権がもたらした繁栄

アルヌス協同生活組合はフォルマル伯爵家から免税特権を与えられていた。当初は翼竜の鱗取引への謝礼程度の意味しか持たなかったが、この特権によって組合は大陸有数の企業体へと成長した。

組合の商品はアルヌスへ集積された後に各地へ流通し、帝国向けの商品は主にイタリカを経由したため、フォルマル領には多くの商人が集まった。その結果、イタリカは物流の拠点として発展し、フォルマル家もかつての穀物輸出を上回る税収を得るようになっていた。

アイリとルイによる結婚の強要

そんな繁栄の中、かつてフォルマル家を混乱に陥れたアイリとルイがイタリカへ現れた。二人はミュイに対し、ローエン伯爵家三男のローバッハと結婚するよう迫った。

ミュイは年齢や未熟さを理由に断ろうとしたが、姉たちは結婚後も学べると主張したうえ、内務省からの書簡を示した。そこには代官ガルフを帝都へ戻し、将来的にはミュイ自身が領地を統治するよう求める内容が記されていた。

ミュイを追い詰める姉たち

アイリとルイは、ガルフが去ればミュイには領地経営ができないと指摘し、代官を雇うよりもローバッハと結婚して実務を任せるべきだと説得した。

メイド長は姉たちの真意がフォルマル家の乗っ取りにあると察したが、それを口にすることはできなかった。ミュイも姉たちに逆らうだけの決断力を持てず、追い詰められていった。

その場でローバッハは自らミュイの夫になると宣言し、領地運営は自分に任せればよいと語った。ミュイは愛想笑いを返すことしかできなかった。

ローバッハによるイタリカ掌握

リュドーは、問題はローバッハにあると説明した。

ローバッハは婚約者を名乗り、ローエン家の私兵を率いてフォルマル伯爵家とイタリカを制圧した。代官ガルフは権限を奪われて帝都へ送還され、フォルマル家の私兵も解散させられた。

さらに使用人やメイドたちは下働きへ降格され、ミュイの周囲もミズーナ伯家の者たちで固められたため、これまで支えてきた人々は遠ざけられてしまった。

理不尽な賦課金の導入

ローバッハは領地経営の合理化を名目に、道路使用料や倉庫使用手数料、入国管理手数料、武器管理登録料など数多くの賦課金を新設した。

さらに猫観察料まで導入し、野良猫を見ただけで料金を徴収しようとした。協定違反だという抗議に対しても、税ではなく私有財産の利用料だと主張し、従わない者を拘束していた。

リュドーは、レレイの姉アルペジオもその取り立てに巻き込まれた可能性が高いと説明した。

交易路の崩壊と組合の危機

ローバッハの政策により商人たちはイタリカを避けるようになり、交易路としての価値は急速に失われた。

テュカはイタリカが発展した理由は余計な負担がなかったからだと指摘し、リュドーもローバッハが悪意を持ってフォルマル家を衰退させようとしている可能性を危惧した。

そのため組合は帝都方面への隊商をイタリカ経由から国境直通へ切り替える方針を決定した。しかし関所を複数通過する必要があり、経費増加による価格上昇と利益悪化は避けられない状況となった。

門再建を巡る議論

大理石の流通も滞り、『門』再建工事にも影響が出始めていた。

レレイは大理石価格の高騰を受け入れ、留保資金を投入してでも工事を続けるべきだと主張した。しかしリュドーやベルライン、部門長たちは資金不足を理由に反対し、一時中断を提案した。

それでもレレイは、待っていても状況が改善する保証はなく、今のうちに『門』を完成させて日本との交易を再開するべきだと譲らなかった。

利益への期待による方針決定

なぜそこまで『門』再建に拘るのかと問われたレレイは、一瞬伊丹へ視線を向けたが、本心を語らなかった。

代わりに、『門』が開けば莫大な利益が得られると説明した。その言葉は、日本との交易による利益を知る商人たちに強く響いた。

最終的に支配人たちはレレイの方針を受け入れ、資金不足への対策として店舗整理や事業規模縮小を進めながら『門』再建を継続することを決定した。

作業現場での対応

一方、作業現場では大理石不足による遅れが発生していた。

しかしツムは、レレイが大理石の買い取り価格を大幅に引き上げたことで、まもなく石の供給が再開される見込みだと報告した。その破格の価格設定に職工たちは驚き、『門』完成へのレレイの執念を感じ取った。

工事の停滞を防ぐため、ドムは工程を変更し、後回しの予定だった畳石敷設作業を先行して進めるよう指示した。職工たちはその指示に従い、できる作業から工事を進め始めたのであった。

09

『門』再建とイタリカ政変の報告

伊丹は狭間陸将と江田島に、『門』再建工事の進捗とイタリカで発生した政変について報告した。

工事については、レレイが組合の運転資金を削ってでも完成を目指しているため大きな支障はないと説明した。狭間は彼女の尽力に感謝を示し、必要な労働力や機械力は惜しまず提供すると伝えるよう伊丹に命じた。

政変と妨害工作の関連性の検討

狭間はイタリカ政変と石油精製施設への妨害工作との関連を尋ねた。

江田島は、石油精製施設への妨害には明確な警告の意図が感じられる一方で、イタリカ政変は標的や目的が判然としないと説明した。実際に被害を受けているのは組合だけでなく、イタリカの住民や交易商人たち全体であり、お家騒動の延長とも見られるため、現時点では別件と考える方が自然だと分析した。

アルペジオ拘束とガラス問題の解決策

伊丹は、ガラス製作に必要な砂を運んでいたアルペジオがイタリカで拘束されたことを報告した。

罪状はフォルマル家所有施設の利用料未払いによる窃盗扱いであり、商人なら通常は荷物没収で済むが、アルペジオの場合は砂の価値が不足していたため拘束されたという。

しかし江田島は、ガラスの原料が届かなくても問題ないと説明した。必要なガラスは自衛隊施設の窓ガラスを流用できるため、『門』再建自体は継続可能であると明かした。狭間は必要枚数の確認を命じ、同時にレレイへの警戒強化も伊丹へ指示した。

ブザムの経歴と任務

場面は帝国へ移り、衛士隊警部ブザム・フレ・カレッサーが描かれた。

平民出身のブザムは犯罪捜査で功績を上げて爵位を得たが、功績の横取りや拷問、証拠捏造、犯罪組織との癒着などの悪評が絶えなかった。それでも出世のためには手段を選ばず、ヴェスパーの誘いに応じてレディの指令を受けることとなった。

ブザムは二人の部下を伴い、行商人夫婦を殺害して身分証明書と荷物を奪い、その身分を利用してアルヌスへの潜入を開始した。

アルヌスへの潜入と街への驚き

アルヌスへ到着したブザムは、街の発展ぶりに驚いた。

さらに巡邏を担当する多種族の傭兵たちが秩序を維持している様子を見て感心した。巡邏の犬人族に賄賂を渡そうとしたが、相手は恐怖した様子で拒絶し、その場から逃げ去った。

賄賂が通用しない街の様子から、ブザムはこの街での活動が容易ではないと判断した。

情報収集と密偵との接触

石材を納品したブザムは、高騰した大理石価格による莫大な利益を知った後、喫茶店で新聞を読み始めた。

そこでベル商会のミタルと接触する。ミタルはヴェスパー配下の密偵であり、二人は暗号めいた会話で互いの身元を確認した。

ミタルは、新聞や噂話からでも十分な情報収集が可能だと語り、丘の上の工事についても新聞で把握できると説明した。さらにレレイの助手となっている人物を利用できる可能性があることを明かし、ブザムは組合内部に不満や恨みを持つ人物を探すよう依頼した。

ドムへの接触

その後、ブザムは職工たちの宿舎を訪れた。

そこでドムたちが石材不足について語る様子を観察し、給金よりも職人としての誇りを重視するドムに目を付けた。

ブザムはドムの前へ進み出ると、ケルンの話があると切り出した。そしてドムの妻サンドラの櫛を差し出し、それが自分の手元にある理由を説明すると告げた。

さらに、その話を聞けば再び妻に会えるかもしれないと意味深に語り、不気味な笑みを浮かべたのであった。

職工不在の作業現場

翌日、伊丹は江田島との打ち合わせを終えた後、作業場へ向かった。

狭間からレレイの警護を命じられていたため対応策を相談したが、江田島は目立つ警護は避けるべきだと否定的であった。そのため伊丹は、ロゥリィやテュカ、ヤオなど身近な者に警護を頼むことを考えながら現場へ向かった。

しかし作業場は異様な静けさに包まれており、前回の石材不足の時と違って職工たちの姿が一人も見当たらなかった。フォルテに尋ねても事情は分からず、レレイもガラス工房へ向かっていて現状を知らないことが判明したため、伊丹は職工たちの様子を確認しに街へ向かった。

職工たちの賃上げ要求

伊丹が職工たちの宿泊施設へ到着すると、テュカが集まった職工たちに作業へ戻るよう怒鳴っていた。

しかし百人以上の職工たちは誰も従わず、雑談を続けていた。テュカがドムに理由を問い詰めると、ドムは働かないことに決めたと告げた。

理由を尋ねられたドムは、アルヌスの発展ぶりを見て、自分たちの賃金が安いのではないかと思うようになったと説明した。ホッファも賃金の増額を求め、他の職工たちも同調したため、テュカは言葉を失った。

ブザムの工作成功

宿泊施設で起きた騒動を見届けたブザムは、自らの工作が成果を上げたことを喜んだ。

その後、ブザムはアルヌスに設置された鸚鵡鳩通信局へ向かい、帝都のレディへ宛てた通信文を作成した。通信料金の高さに不満を漏らしながらも銀貨を支払い、受付係に通信文を託した。

受付係は通信文を筒に収めて鸚鵡鳩の脚に取り付け、大空へ放った。ブザムは帝都へ向かう鸚鵡鳩を見送りながら、これでよしと満足げに呟いたのであった。

10

ストライキと賃上げ要求

岩の入荷が再開されて『門』の再建作業が進むと思われた矢先、職工たちは同盟罷業を起こした。テュカは契約後の賃上げ要求は卑怯だと非難したが、ドムは契約時には分からなかった事情が見えた以上、条件変更を求めるのは当然だと反論した。

双方の主張は平行線をたどり、話し合いは罵り合いへと発展していった。

レレイの譲歩と職工たちの動揺

騒動の場に現れたレレイは、職工たちの賃上げ要求を即座に受け入れると宣言した。

組合幹部や学徒たちは驚き、資金の問題を指摘したが、レレイは蔵書を売ってでも資金を捻出すると断言した。その覚悟にドムたちは気圧された。

ホッファが一日五デナリ、さらに十デナリという法外な賃金を要求しても、レレイは躊躇なく承諾した。しかし職工たちは喜ぶどころか動揺し始めた。レレイが『門』の再建は必要だと繰り返す一方で、ドムも家族と生活のために引き下がれないと主張し、対立は解消されなかった。

伊丹による交渉中断

やり取りを見ていた伊丹は、職工たちの真意が賃上げではないと感じた。

レレイが要求を受け入れるたびに職工側が条件を変えていく様子から、別の目的が隠されていると判断した伊丹は、交渉を一旦中断させた。ドムはその提案を素直に受け入れ、安堵した表情を見せたため、伊丹は自身の疑念を確信した。

職工たちの真意の分析

伊丹はレレイを連れて組合事務所へ戻り、ロゥリィやテュカ、リュドーらと状況を整理した。

伊丹が職工たちの本当の目的について尋ねると、誰一人として賃金が理由だとは考えていなかった。ロゥリィは別の理由を隠すための口実だと指摘し、テュカも賃金交渉そのものが目的ではなくなっていたと語った。

リュドーも、職工たちは理不尽な要求で本当の理由を隠しているだけだと結論づけた。レレイはそこでようやく、自分が状況を正しく見られていなかったことを理解したのであった。

家族を人質に取られた職工たち

一方その頃、職工たちも宿舎で重苦しい空気の中、今後について話し合っていた。

他種族の職工たちは、この騒動によって信用を失い仕事がなくなることを恐れ、不満をぶつけた。するとホッファは、娘シレイの命がかかっているのだと明かした。

さらにドムは、知人の親方たちに頼んで職工たちの生活は守ると約束したが、不安の声は収まらなかった。

ブザムの脅迫とドムの決断

ホッファは事情をレレイに話し、傭兵をケルンへ派遣して家族を救出してもらう案を提案した。ドワーフたちは希望を見出したが、ドムはそれを否定した。

ドムは、家族はケルンから連れ去られており、既に別の場所へ移されているはずだと説明した。もし救出を試みればブザムに知られ、家族が危険にさらされる可能性があるとも語った。

そのためドムは、家族を守るためにはブザムの命令に従い、ここで罷業を続けるしかないと結論づけた。悔しさを滲ませながら語るドムの手には、妻へ贈ったはずの手作りの櫛が握られていた。

11

職工不足と組合内部の対立

職工たちの同盟罷業により、『門』再建は深刻な危機に陥った。組合の関係者たちは徹夜で対応策を協議したが、職工たちの真意が分からないため有効な解決策は見つからなかった。

代替となる職工の確保も検討されたが、熟練工をすぐに集めることは難しかった。自衛隊による石材加工も検討されたものの、粗削りまでは可能でも職人のような精密加工はできないことが判明した。

その結果、ベルラインやリュドーら重役たちは『門』再建計画そのものの見直しを主張した。しかしレレイは断固として反対し、ロゥリィとテュカもレレイを支持したため、組合内部の対立が表面化した。

アルペジオ保釈問題とガラス材料の確保

会議の最中、アルペジオの保釈金が一千シンクと提示されたことが報告された。さらに保釈後も裁判終了までイタリカから出られない状況であることが判明した。

レレイは姉なら牢に入れられた程度では問題ないと判断し、代言人だけを手配するよう指示した。

また、アルペジオ不在によるガラス原料不足を重役たちが問題視したが、伊丹は既存のガラスを再利用する方法で対応可能だと説明した。試作品も廃棄されたガラスを利用して製作されていたことが明かされた。

レレイと伊丹の行動開始

会議に見切りをつけたレレイは、直接ドムたちと交渉するため会議室を後にした。

伊丹も協力を申し出るとともに、ヤオへレレイの護衛を命じた。伊丹は危険が起こる可能性を考慮し、レレイを一時も一人にしないよう依頼した。

一方で狭間は『門』再建の重要性を重く見て、施設科部隊による全面支援を決定した。大量の大理石がトラックで運び込まれ、再建作業を支える体制が整えられた。

レレイと職工たちの再交渉

レレイはドムたちに対し、今後十年間の工事を優先的に発注することまで提案した。

職工たちは長期の仕事保証に動揺したが、それでも受け入れようとはしなかった。ドムは事情を打ち明けかけたものの、ホッファの視線によって口を閉ざした。

レレイは彼らを説得できず、一度引き下がることにした。その後、街の住民や職人たちから職工たちへの非難は強まり、職工たちは宿舎に閉じこもるようになった。

職工集団の分裂

職工たちの中でも不満は限界に達していた。

ケルンに家族のいないヒト種や巨人族の職工たちは、自分たちまで信用を失うことを恐れ、ドムたちのもとを離れる決断を下した。

ホッファは引き留めようとしたが、ドムは彼らを行かせた。最終的に六十人もの職工が離脱し、残された者たちはさらに孤立することとなった。

江田島とレレイの対話

ガラスを運ぶため江田島と行動することになったレレイは、移動中に江田島から助けを求めることの重要性について諭された。

江田島は、ヤオの懇願が多くの自衛官の心を動かし部隊派遣へと繋がった例を挙げ、人は実利だけでなく情にも動かされると語った。

しかしレレイは、人を動かすのは利益であり、伊丹は例外的な存在だと考えていた。

ガラス工房との約束継続

ガラス工房へ到着したレレイたちは、大量の板ガラスを引き渡した。

職人たちは透明ガラス製造法の伝授が先送りになったことへ不満を示したが、江田島が事情を説明し、『門』完成後に必ず約束を果たすと保証した。

レレイもその約束を認めたため、職人たちは作業再開を決意した。

伊丹の奇策と滑走路加工

工房を出たレレイたちは、高機動車で大理石を引きずりながら滑走路を走る伊丹たちを目撃した。

伊丹は施設科では難しかった石材の平面加工を実現するため、巨大で平坦な滑走路を巨大なヤスリとして利用していたのである。

空自隊員たちは激怒して追跡し、最終的に伊丹と倉田は警務隊に拘束された。しかしレレイが確認すると、大理石の接地面は見事に平らに削られていた。

江田島はその発想を高く評価し、均等な力で石を削る合理的な方法だと説明した。

『門』再建を巡る空自隊員たちの葛藤

それでも空自隊員たちは滑走路を傷付けたことに反発した。

しかし久里浜は、『門』が再建されなければ部品不足で航空機も飛べなくなると指摘し、『門』再建への協力を訴えた。

その言葉の裏には、日本との連絡再開によって自身が現場を離れなければならなくなるという葛藤もあった。神子田はそれを理解しながらも、長年使ってきた滑走路が傷付けられたことを受け入れられず苦悩した。

そんな神子田に対し、レレイは『門』は不要なのかと問いかけた。神子田は答えられず、苦悩を抱えたままその場に座り込んだのであった。

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ゲート外伝 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり

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ゲート―自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり〈1〉接触編〈下〉の表紙。
あらすじと考察は本文で詳しく解説。
ゲート2上 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり 炎龍編の表紙画像(レビュー記事導入用)
ゲート―自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり〈2〉炎龍編〈上〉の表紙。
あらすじと考察は本文で詳しく解説。
ゲート2下 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり 炎龍編の表紙画像(レビュー記事導入用)
ゲート―自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり〈2〉炎龍編〈下〉の表紙。
あらすじと考察は本文で詳しく解説。
ゲート3上 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり 動乱編の表紙画像(レビュー記事導入用)
ゲート―自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり〈3〉動乱編〈上〉の表紙。
あらすじと考察は本文で詳しく解説。
ゲート3下 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり 動乱編の表紙画像(レビュー記事導入用)
ゲート―自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり〈3〉動乱編〈下〉の表紙。
あらすじと考察は本文で詳しく解説。
ゲート4上 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり 総撃編の表紙画像(レビュー記事導入用)
ゲート―自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり〈4〉総撃編〈上〉の表紙。
あらすじと考察は本文で詳しく解説。
ゲート4下 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり 総撃編の表紙画像(レビュー記事導入用)
ゲート―自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり〈4〉総撃編〈下〉の表紙。
あらすじと考察は本文で詳しく解説。
ゲート5上 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり 冥門編の表紙画像(レビュー記事導入用)
ゲート―自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり〈5〉冥門編〈上〉の表紙。
あらすじと考察は本文で詳しく解説。
ゲート5下 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり 冥門編の表紙画像(レビュー記事導入用)
ゲート―自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり〈5〉冥門編〈下〉の表紙。
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