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ゲート 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり

【ゲート〈外伝〉自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり】あらすじ・ネタバレ・まとめ 一覧&考察

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ゲート外伝まとめの表紙画像(レビュー記事導入用) ゲート 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり

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対象範囲全体の概要

本対象範囲は、本編第5巻上巻における**『門(ゲート)』の一時閉鎖**に伴い、特地に孤立した自衛隊のサバイバル期と自立支援、そして最終的な『門』の再建から開通までを描いた外伝シリーズ全4巻(上下構成の全8冊分)を統括している。

主人公・伊丹耀司二等陸尉は、日本との接続が絶たれ食糧や燃料などの基礎物資が不足し、いつ瓦解してもおかしくない状況下の特地において、周囲の美少女たち(テュカ、レレイ、ロゥリィ、ヤオ)の個人的事情や、現地の地域的トラブルを解決する日常調査任務から活動を開始する。
伊丹の活動範囲や立場が変化する契機は、彼が極めてパッシブ(受動的)でありながらも、「自身の眼の前にある危機」や「身内の女性・同僚の窮地」に際して発揮される類まれな機転とサバイバル能力である。

巻ごとの主要展開

1巻〈南海漂流編〉(上下)

  • 開始時点: 『門』封鎖から五ヶ月が経過。特地に孤立した自衛隊がアルヌス周辺で食糧・燃料不足の対応に追われるなか、伊丹は偵察隊として民情把握に努めていた。
  • 主要事件: 帝国の国力低下に伴う辺境紛争の仲裁のため、帝国皇太女ピニャと自衛隊の合同使節団が結成される。航行中にヒューゴ号が座礁し、伊丹とピニャを乗せた短艇(ライフボート)が激流によって母船から引き離され、東南海岸(グラス半島)へと漂流する。
  • 転換点: 強烈な直射日光と水不足(所持しているのが脱水を促す業務用ウイスキーのみ)という極限状態での三日間の漂流を経て、現地の亜人種「アクアス(人魚)」に救われる。しかし、ピニャが帝国の皇族であることを見抜いた現地勢力や、伊丹を海賊と誤認する現地の偏見によって捕らえられ、政治的陰謀に巻き込まれる。
  • 巻末時点: 伊丹の遭難報を受けたテュカ、レレイ、ロゥリィ、ヤオが自衛隊のチヌークヘリで急行。特殊作戦群の出雲二佐の指揮下で大規模な捜索救出作戦が始動し、ロゥリィらの圧倒的武力介入によって二人を無事に奪還する。

2巻〈黒神の大祭典編〉(上下)

  • 開始時点: 『門』封鎖から十ヶ月。アルヌス駐屯地において、自衛官の富田二曹と帝国の伝統貴族ボーゼス・コ・パレスティとの間に娘「舞」が誕生。
  • 主要事件: 舞の誕生を祝う伝統祭事「ナッシダ(名付け式)」と、二人の内縁関係を清算するための結婚式の準備が開始される。ロゥリィが式を盛大に行うため、現存する「亜神全員(グランハム、モーター、ワレハルン、ジゼル)」を招待した結果、数十万人の見物客や信者がアルヌスに殺到。さらに、神官たちの「恐怖心の反転(反抗期)」による混乱や、ロゥリィがかつてベルティを強制結婚から救った際に受けた「ズフムートの呪い」が結婚式を阻止せんとする。
  • 転換点: ズフムートの使徒メイベル・フォーンが、伝説の「法剣ディーヴァ」を携えて結婚式破壊に乱入。流血沙汰を避けるため、江田島二等海佐の提案により、神殿前での「棒倒し」の競技決闘によって決着をつけることに合図が下される。伊丹は、メイベルが信じる「ズフムート神殿に都合よく歪められた歴史(ロゥリィがベルティの結婚を嫉妬から邪魔したという誤解)」を対話によって論理的に解きほぐす。
  • 巻末時点: 「棒倒し」は黒軍(自衛隊・ピニャ軍・ロゥリィ連合)の勝利に終わり、ロゥリィは無事に祭司を務めきって呪いを払拭。富田とボーゼスは夫婦となり、舞のナッシダも亜神全員の祝福を受けて大成功のうちに閉幕。

3巻〈黄昏の竜騎士伝説編〉(上下)

  • 開始時点: 炎龍の脅威から解放されたテュカのもとに、死んだとされていた父ホドリュー・レイ・マルソーが北の辺境パルミア地方で生きているという目撃情報がもたらされる。
  • 主要事件: テュカは父探しの旅を決意するが、同行する伊丹は極度の高所恐怖症であったため、飛竜に騎乗することができなかった。ホドリューら魔導師が施した「恐怖抑制の精霊魔法」の副作用により、伊丹は「英雄病」を発症。通常時の逃げ腰な性格とは真逆の、恐怖を知らず好戦的で傲慢な「英雄」の人格へと変貌し、部族間(パルミア、ヤルン・ヴィエット、アカバ・ケンタウロス)の領土紛争や誘拐事件に自ら進んで介入し始める。
  • 転換点: 密輸業者スマグラーに囚われたテュカや、パルミアの預言者ゼノビアの窮地に対し、伊丹は飛竜エフリーを完璧に乗りこなす「伝説の竜騎士」として単身敵陣へ突撃。
  • 巻末時点: 伊丹は「英雄病」の精神力と家畜のスタンピードを利用した奇策により敵軍を圧倒、部族紛争を解決に導く。テュカは父親との再会(彼の複数の愛人問題に激怒しつつも)を果たし、正気に戻った伊丹は名槍(モーター作)をスマグラーに託してパルミアを去る。この活躍はホドリューにより『黄昏の竜騎士伝説』として記録される。

4巻〈白銀の晶姫編〉(上下)

  • 開始時点: 伊丹が北方のパルミアから持ち帰った「特地産ガラス」の発見により、自衛隊アルヌス駐屯地にて、日本への再接続を目的とした『門』の再建計画(レレイ主導)が立ち上がる。
  • 主要事件: 『門』の復活による日本の影響力増大を拒む帝国の皇姪レディ・フレ・ランドール(レディ・フレ・カエサル)が、衛士隊のブザムやスマンソン(レレイへの個人的な嫉妬と我執)と共謀し、工事を様々な手段で妨害。宮石工(ドム、ホッファ)の家族を人質にしたストライキ扇動や、開通の鍵となる「金剛石」の破壊(メイベルを騙して利用)を行う。
  • 転換点: 石工のストライキにより門枠用大理石の加工が停止するが、伊丹はアルヌスに降った雪と氷が「魔導の良導体」であることに気づき、雪と氷を削って門柱(氷柱)を作る奇策を提案、自衛隊の雪像彫刻技術を用いてこれを完成させる。さらに、破壊された金剛石の破片を回収し、レレイが伊丹の脳内にある「同人誌(めい☆コン)の鮮明な記憶」を情報キーとして世界線特定に用いる。
  • 巻末時点: 雪と氷の門柱にレレイが魔法を通し、『門』はついに日本の同人誌即売会会場(コミケット)の搬入口へと再開通。伊丹は元妻の葵梨紗と再会し、日本との再接続を達成。


シリーズ全体の時系列プロット

辺境への流出と極限サバイバル

  • 該当巻:外伝第1巻(
  • 内容: 孤立状態の特地自衛隊において、帝国との辺境紛争仲裁の途上、座礁事故が発生。 ↓ 伊丹とピニャがボートで遭難し、グラス半島に漂流。 ↓ 現地の「アクアス」などの異文化と接触するも、海賊としての誤認や政治的利用を狙う周辺勢力に捕らえられる。 ↓ ロゥリィ、テュカ、レレイ、ヤオが自衛隊機動部隊と共に出撃し、圧倒的武力をもって伊丹らを救出。

日常の回復とアルヌス大祭典の企画

  • 該当巻:外伝第2巻〈
  • 内容: アルヌスでの富田二曹とボーゼスの娘・舞の誕生(ナッシダ)と結婚式の計画が持ち上がる。 ↓ 伊丹は「大祭典」の実行委員として、特地のドワーフにガリ版(謄写版)印刷を委託して資料を作成するなど、駐屯地開放イベントを企画。 ↓ ロゥリィが式典の神官役として他の4柱の亜神を全員招待。 ↓ ディアボや各国の貴族、物見高い信者たち数十万人がアルヌスへ殺到し、インフラと治安の維持が極めて深刻な課題となる。

神話の呪いと「棒倒し」決戦

  • 該当巻:外伝第2巻〈
  • 内容: ロゥリィにかかった「ズフムートの呪い」の体現者として、新使徒メイベルが法剣ディーヴァを携えて乱入。

    式典の平和的解決のため、江田島の提案で「結婚式賛成派(黒軍)」と「反対派(蒼軍)」による「棒倒し(ポールトプリング)」による代理決闘が決定。

    肉弾戦と、伊丹によるメイベルの誤解(歴史の歪み)の説得により、メイベルが矛を収める。

    富田らの結婚式とナッシダは無事に執り行われ、ロゥリィの呪いも払拭される。

北方の探索と「英雄病」の竜騎士

  • 該当巻:外伝第3巻(
  • 内容: テュカの父ホドリューの消息を求め、北方のパルミアへ出発。

    伊丹は高所恐怖症を抑えるために魔霊の恐怖抑制魔法をかけられ、副作用で「英雄病(恐怖心がなく好戦的で尊大な人格)」を発症。

    パルミア地方におけるヤルン・ヴィエットやケンタウロス、密輸業者スマグラーとの土地・生存紛争に伊丹自身が積極的に介入。

    飛竜エフリーに跨がり「伝説の竜騎士」として突撃を敢行、家畜の暴走を利用した奇策で紛争を圧倒的に解決。

    テュカは父と再会し、伊丹は名槍をスマグラーに預けて正気に戻り帰還。

『門』再建計画の始動と複合的妨害

  • 該当巻:外伝第4巻〈
  • 内容: 伊丹が持ち帰った特地産ガラスから、レレイ主導の『門』再建(物理的な石造門柱の魔法装置化)が計画。

    日本の影響力増大や講和派(ピニャ)の台頭を拒む皇姪レディ・フレ・ランドールが、衛士隊のブザムや、レレイへの我執に囚われた学徒スマンソンを仲間に引き入れ、妨害工作を開始。

    宮石工の棟梁ドムやホッファの家族を人質に取り、法外な賃上げを要求させてストライキを扇動。

氷柱の奇策と『門』の再開通

  • 該当巻:外伝第4巻〈
  • 内容: ストライキにより大理石の調達・加工が不可能な中、伊丹は雪と氷が魔導の優良導体であることを発見。

    自衛隊の雪像彫刻技術を用いて雪と氷の門柱(氷柱)を突貫工事で完成させる。

    レディに騙されたメイベルが「金剛石(開通の触媒)」を破壊するが、伊丹が破片を拾い集め、レレイが伊丹の脳内にある「同人誌の鮮明な画像記憶」をキーにして地球の世界線を特定。

    雪と氷の門に魔法が通り、『門』は日本のコミケット会場の搬入口へと再開通。伊丹は元妻の梨紗と出会い、再接続を確認。

伊丹の立場の変化

社会的立場

  • 開始時: 『門』封鎖により特地に孤立した陸上自衛隊の二等陸尉。深部情報偵察隊の隊長。
  • 途中の変化: 外伝2巻での大祭典実行委員、外伝3巻でのパルミア紛争を調停した「伝説の竜騎士(現地での評価)」としての名声獲得、外伝4巻での『門』再建のアイデアマン(雪と氷の門柱)としての貢献、および命令逸脱(他国の内戦介入)による免職危機の発生。
  • 終了時: 日本との接続完了に伴い、数々の功績(『門』再建への決定的寄与)と問題行動(パルミア内戦介入)の天秤の結果、免職を免れる。しかし退職願は却下され、最大の罰とも言える一等陸尉への昇進と過酷な任務を統合幕僚長から言い渡される。

能力に対する認識

  • 本人の認識: 自分は「趣味(オタク活動)に生きるためだけに自衛官として給料を貰っている怠け者」であり、特別な能力や正義感など毛頭なく、ただ身内の危険に対処しているだけ、という極めて低い自己評価を維持している。
  • 周囲の評価
    • 自衛隊幹部(狭間、江田島ら):問題行動や規則逸脱は極めて多いが、物事を成し遂げる断固とした「意志力」(道理の積み重ねによって不可能を突破する執念)を持つ極めて優秀な人材であり、特地の人々や亜神から絶対の信頼を勝ち得ている「交渉の要」。
    • 特地の住民・亜神(テュカ、ロゥリィら):炎龍を斃し、数々の紛争を収めて、さらに神話の呪いや世界の再接続すらもたらした「英雄(卿)」。
  • その差が変化した出来事: 外伝3巻における「英雄病」発症。普段は臆病なはずの伊丹が、恐怖心を物理的に失ったことで「周囲が自分を評価している通りの無敵の英雄」としてエフリーを駆り、軍勢を蹂躙したことで、本人の認識を完全に越えた伝説が現地に固定化された。

主要人物と伊丹の関係の推移

ロゥリィ・マーキュリー

  • 開始時: ロゥリィは伊丹を自身の「お気に入りの眷属」として溺愛しつつ、伊丹のパッシブな態度をからかっていた。
  • 関係を変えた主な出来事: 外伝2巻における「ズフムートの呪い」を巡る戦いと、伊丹によるメイベルの説得。
  • 途中の変化: ロゥリィが「愛」を司る亜神として立つために、伊丹は江田島の説得を受けて大祭典での結婚式・棒倒しに全面協力。ロゥリィは伊丹が「自分自身を本当に見て、想って行動してくれている」ことに深く感動し、精神的な結びつきがより強固になる。
  • 対象範囲終了時: 神的な使命や呪いから解放された後も、伊丹の最も忠実な「盾」であり「伴侶(使徒・眷属関係)」として、日本に再接続されたコミケット会場へも同行する。
  • 該当巻:外伝第2巻、外伝第4巻

テュカ・ルナ・マルソー

  • 開始時: 伊丹を「お父さん」と重ね合わせて甘え、強く依存している庇護対象。
  • 関係を変えた主な出来事: 外伝3巻におけるパルミアへの旅と、父ホドリューとの再会。
  • 途中の変化: ホドリューと再会し、彼の浮気癖や不誠実さに激怒する中で、テュカは自分のために命を懸けてくれた伊丹こそが「唯一無二の、最も大切な男性」であることを深く自覚する。ゼノビアから伊丹を戦へ引き込もうとする要求に対し、伊丹の命の重さをパルミア全体より重いと断言して彼を強く庇うなど、ただ甘えるだけの存在から、伊丹を能動的に守ろうとする自立した女性へと変化する。
  • 対象範囲終了時: 父との決別(また来るという誓いは残しつつ)を経て、伊丹の庇護下かつパートナーとしての立場を確立し、共に日本(コミケット)へと向かう。
  • 該当巻:外伝第3巻、外伝第4巻

江田島二等海佐

  • 開始時: 伊丹にとっては「一度窮地を救ってくれた恩のある、他部隊(海自)の奇妙な幹部」。
  • 関係を変えた主な出来事: 外伝2巻での「大祭典・棒倒し」の共同企画、および江田島のオタクの部屋(帆船模型)の訪問。
  • 途中の変化: 江田島が「帆船模型」を自作する偏執狂的なオタク(艦を愛する偏執狂的意志)であることを知り、伊丹は深い敬意を抱く。二人はオタク精神を媒介に「互いを認め合う同志(伊丹をイタミ卿と呼ぶ)」となる。江田島は、伊丹が起こしたパルミアでの規則違反(免職危機)に対し、最高幹部会議に乗り込んで「『門』再建への必要物資の調達行動であった」と、道理を積み重ねた論理的な弁護を展開して伊丹を全力で救う。
  • 対象範囲終了時: 『門』の再開通という最大目標を、伊丹の「同人誌の記憶」という奇策を支援することで共に成し遂げた、陸海自衛隊の枠を超えた無二の信頼関係を確立。
  • 該当巻:外伝第2巻、外伝第4巻

主要人物の変化

メイベル・フォーン

  • 開始時: 光神ズフムートの新たな(地上で6柱目の)亜神。かつてロゥリィに救出されたベルティ・エム・フォーンの末裔。
  • 転機: 外伝2巻で、ズフムート神殿に都合よく「改ざんされた偽りの歴史(ロゥリィが嫉妬から祖先ベルティの結婚を邪魔した)」を養親から教え込まれ、ロゥリィへの逆恨みと呪いの成就のために結婚式へ乱入。しかし、伊丹から「歴史の矛盾点(フォーン家の娘が結婚できなかったのは呪いではなく、体内にあるディーヴァの魔力を狙う他者の強欲から身を隠すため髪を染めていたため)」を暴かれ、さらにジゼルによって冥府にいる本物の先祖ベルティの魂と対面させられ、真実を悟る。
  • その後: 己の我執と誤解を自覚し、自らの意志で真実を見極めるために旅に出る。外伝4巻では皇姪レディに騙されて(真実を伝える約束と引き換えに)金剛石を破壊してしまうが、レレイらの『門』再建を完全には敵視せず、神々の身勝手な意図に流されない強さを持つ。
  • 終了時: 自分の誤り(他人に与えられた知識の欺瞞)を認め、一人の人間として、また亜神として、真実を見極めながら己の意志で特地を歩む自立した存在となる。

ピニャ・コ・ラーダ

  • 開始時: 『門』封鎖に伴い、自衛隊との講和を主導しつつも、帝国の国力低下による辺境の治安悪化と内乱の火種に苦悩する帝国皇太女。
  • 転機: 外伝1巻での海難・漂流サバイバル。伊丹の怠け者でありながら要所で的確に動く合理的なサバイバル術と、「真面目すぎて空回りする」自分を肯定してくれた伊丹の言葉に救われ、精神的に深く自立する。
  • その後: 外伝2巻の大祭典では、伝統貴族たちの反感を買いながらも、ボーゼスと富田の結婚に元老院勲章を授与して後押しする強かさを見せる。外伝4巻の『門』再建を巡るレディの陰謀に対しては、自ら動き、帝国を台無しにするレディを「国賊」と断じて対峙する。
  • 終了時: かつての「自衛隊への恐怖と過度な卑屈さ」を完全に克服し、帝国の存続と自衛隊との対等な講和を自らの意思で切り拓く、名実ともに帝国の次代を担う強力な最高指導者へと成長する。

勢力・組織・対立構造の変化

帝国正統政府(講和派/ピニャ派)

  • 主な人物:ピニャ、ハミルトン、ボーゼス、パレスティ侯爵
  • 当初の立場: 孤立した自衛隊との講和を維持し、帝国の完全崩壊を防ごうとするが、帝国中央の貴族や主戦派残党の不満、辺境の国力低下による紛争多発に悩まされる極めて脆弱な勢力。
  • 主人公との関係: 伊丹を「和平の仲介役であり英雄」として絶対的に信頼。ピニャやボーゼスは伊丹や自衛隊と個人的にも深い交友関係を持つ。
  • 途中で起きた変化
    • 外伝2巻で富田(自衛官)とボーゼス(伝統貴族)の結婚を実現し、これを「元老院勲章の授与」という形式で公式に認めることで、伝統貴族と日本側との公式な血縁・政治同盟の足がかりとする。
    • 外伝4巻では、『門』の再接続が日本の影響力を増大させ自衛隊の補給を回復させるため、最優先課題として全面的に支持・協力。
  • 対象範囲終了時の状況: 皇姪レディら強硬派・簒奪派の陰謀を自衛隊と共に阻止。ピニャが次代の皇帝となる規定路線を不動のものとし、日本との接続復旧により、極めて強固な軍事的・外交的後ろ盾(補給が再開された自衛隊)を確保。

簒奪・強硬派(レディ派)

  • 主な人物:レディ・フレ・ランドール(レディ・フレ・カエサル)、衛士隊警部ブザム、学徒スマンソン、ズフムート信徒
  • 当初の立場: ピニャの講和路線に反発し、自衛隊への賠償金支払い凍結や『門』再建の永久妨害を画策。レディは自身の出生(先代皇帝の直系カティの娘)を根拠に、帝位の正統な継承権を主張し、ピニャ失脚と帝位簒奪を狙う。
  • 主人公との関係: 自衛隊を「帝国を蹂躙した侵略者」として敵視し、伊丹やレレイの動向を常に監視・妨害の標的とする。
  • 途中で起きた変化
    • 外伝2巻では、大祭典に集まる貴族や信者のツアーを手配して資金(寄付)を集めようとするディアボの野心を利用し、裏でメイベルを式典妨害へ送り込む。
    • 外伝4巻では、石油プラント事故で孤立を深める自衛隊の弱みに乗じ、ドムらの家族を誘拐して「石工ストライキ」を主導。さらにスマンソン(レレイへの個人的な嫉妬と恋慕の我執に狂った学徒)を使い、開通に必要な「金剛石」の保管場所を特定し、メイベルを唆して破壊させる。
  • 対象範囲終了時の状況: 金剛石の破壊には成功するが、伊丹の奇策(雪と氷の門柱、同人誌の記憶による世界線特定)により『門』は再接続され、計画は完全破綻。
    ブザムやスマンソンは警務隊に逮捕され、レディは敗北を認めつつも「次は帝都で皇帝になる」と宣言して姿を消す。

長期的に継続した問題・事件

日本との連絡途絶(『門』の一時閉鎖による孤立)

  • 発生: 本編第5巻上巻における閉門(外伝開始時点では、閉鎖から数ヶ月が経過)。
  • 途中経過
    • 孤立した自衛隊は、燃料確保のために「石油精製プラント」の稼働実験を繰り返すが、技術・部品強度の限界から爆発事故(外伝4巻上巻)を何度も起こし、深刻な燃料・食糧・物資の不足に直面。
    • 特地方面派遣部隊は「このままでは組織として70日以内に瓦解する」という柘植らの厳しい予測を突きつけられる。
  • 大きな転換:外伝第4巻 伊丹が持ち帰った特地産ガラス(原料調達が課題だったが、自衛隊の既存窓ガラス提供で解決)と、大理石ストライキに対する「雪と氷の門柱(氷柱)」の考案。そして、メイベルに破壊された金剛石の破片を回収し、伊丹の鮮明な「同人誌の記憶」によって世界線を特定する。
  • 現在の状況: 解決(再接続完了)。 『門』は日本のコミケット会場の搬入口へと再接続され、日本の政府・防衛省との直接の連絡および人員・物資の往来が完全に回復した。

各巻をつなぐ因果関係

外伝第1巻での伊丹の遭難救助作戦(ロゥリィ、テュカ、レレイ、ヤオがヘリで出撃)

伊丹はテュカを救うために多大な恩義を重ねていたため、テュカは伊丹の遭難に激しく狼狽し、彼の命の重さをパルミア全体より重いと自覚(外伝3巻への伏線)

外伝2巻における「富田とボーゼスの結婚式(大祭典)」。ロゥリィが式を挙行するために、かつて救ったベルティの「ズフムートの呪い」を打破する意志を固める。

呪いの打破の過程で、新使徒メイベルの誤解(歴史の改ざん)を伊丹が解き明かし、メイベルは「真実を見極めるための旅」に出る。

外伝3巻で伊丹がテュカの父親ホドリューを捜すため「英雄病」を発症しながらパルミアで大暴れし、その恩人であるシルヴィアから「特地産ガラスの製法(国家機密)」を感謝の証として提供される。

持ち帰ったガラス技術をきっかけに、外伝4巻でレレイが『門』再建工事を始動。

妨害工作に走るレディが、アルヌスに潜伏していたメイベルを騙して「金剛石(『門』の核)」を破壊させる。

しかし、かつて外伝2巻で伊丹から「真実を誠実に受け止め、正面から向かい合え」と諭されていたメイベルは、完全に自衛隊の敵にはならず。伊丹が金剛石の破片を回収し、レレイが伊丹の脳内にある「同人誌(めい☆コン)」の鮮明な記憶をキーに世界線を特定し、『門』は無事に再開通を果たす。


大きな転換点

漂流サバイバルと「真面目さ」の肯定

  • 該当巻:外伝第1巻
  • それ以前: ピニャ皇女は、孤立した特地の中で帝国を維持するため、自衛隊との講和責任を一人で背負い、精神的に余裕を失い空回りしていた。
  • 出来事: ヒューゴ号の座礁事故で伊丹と二人きりで短艇で遭難。三日間の極限状態でのサバイバルを共に生き延びる。伊丹は、ピニャの「真面目さゆえに空回りする性格」を肯定し、愚かではないと断言する。
  • 変化: ピニャは自分を客観視する余裕を取り戻し、伊丹に対して深い個人的な信頼と、精神的な自立を遂げる。
  • その後への影響: 以後の大祭典(外伝2巻)や『門』再建(外伝4巻)において、ピニャは伝統貴族の猛反発やレディの陰謀に対し、感情に流されず「帝国を存続させるための強靭な外交指導者」として毅然と立ち回るようになる。

江田島とのオタク精神的共鳴と「意志力」の定義

  • 該当巻:外伝第2巻
  • それ以前: 伊丹にとって江田島二等海佐は単なる他部隊の知人であり、富田の結婚式の中止に対しても「本人がそう言うならまあいいか」と薄情な傍観を決め込んでいた。
  • 出来事: 江田島が伊丹を自身の執務室(海上地区の廃墟の一角)へ連れて行き、自作の精巧な帆船模型(魔窟のオタク部屋)を見せる。江田島は「道理の積み重ねによって不可能を突破するしつこさ、粘り強さこそが意志力であり、オタクがゆりかもめ運休でも会場に向かう執念と同じである」と語り、伊丹に「意志力」を発揮するよう諭す。
  • 変化: 二人は互いを「イタミ卿」「エダジマ」と認め合う同志(オタクの共鳴)となり、伊丹は富田のプロポーズと結婚式(大祭典)の実現に向けて能動的に立ち上がる。
  • その後への影響: 外伝4巻において、伊丹が他国(パルミア)の内戦介入で完全免職の危機に陥った際、江田島は最高幹部会議に乗り込んで「伊丹の行動は『門』再建に不可欠な特地産ガラス(ガラス職人)を調達するためであった」と論理的に弁護し、伊丹の免職を阻止して『門』再建への説得力を幹部たちに与えた。

雪と氷の門枠(氷柱)の発見

  • 該当巻:外伝第4巻
  • それ以前: 『門』の再建には、約2万6千個の大理石ブロックに彫呪を施す必要があったが、レディ派のストライキ扇動により職人(ドム、ホッファ)が稼働を停止し、再建は物理的に完全なデッドロック(膠着状態)に陥っていた。
  • 出来事: 大祭典の雪像づくりの経験から、伊丹が雪のブロックに呪紋を描き、レレイが魔法を通したところ、雪や天然の氷が大理石を越える「魔導の優良導体」であることが判明する。
  • 変化: レレイは大理石での建設を完全に諦め、雪と氷を材料にした「氷の門柱」の建設を決断。自衛隊の雪像彫刻技術を用いて突貫工事で門柱を完成させた。
  • その後への影響: 大理石職人のストライキによる工期の長期化や人質問題を無力化し、レディの「『門』永久封鎖」の目論見を物理的に粉砕。世界の再開通への道を最短で切り拓いた。

その他フィクション

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