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ソードアート・オンライン川原礫未分類

小説「【SAO】ソードアート・オンライン 5 ファントム·バレット」感想・ネタバレ

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ソードアート・オンライン 5の表紙画像(レビュー記事導入用) ソードアート・オンライン

SAO4レビュー
まとめ
SAO6レビュー

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物語の概要

■ 作品概要

本書は、主人公のキリト(桐ヶ谷和人)と女子高校生のシノン(朝田詩乃)を中心人物とした物語であった。

物語開始時、和人は総務省の菊岡誠二郎から、VRゲーム《GGO》内における不審なプレイヤー死亡事件の調査を依頼された。

一方の詩乃は、幼少期の銃器にまつわる心的外傷を克服するため、GGO内で冷酷な狙撃手シノンとして活動していたのである。

和人がGGOへキャラクターをコンバートしたことを契機に、二人は首都で出会って協力関係を結んだ。

和人は自身の強さを示して犯人《死銃(デス・ガン)》をおびき出すべく、最強者決定戦《BoB》へエントリーした。

やがて彼は、予選待機所で遭遇した灰色マントの男が、かつてSAO内で対峙した殺人ギルド《ラフィン・コフィン》の生存者であると気づくに至る。

過去の殺人の記憶に直面した和人は激しく動揺したものの、シノンの存在に救われて予選決勝へ臨んだ。

最終的に二人は、互いの抱える闇を自覚しながらも至近距離での決闘を終え、翌日の本大会での再戦を誓い合った。

■ 主要キャラクター

キリト(桐ヶ谷和人)

  • 立場・所属:元SAOの攻略組プレイヤー。現在はALOのスプリガン。
  • 主人公との関係:主人公自身。
  • この巻での主な役割:菊岡からの依頼を受け、アミュスフィアの監視体制下でGGOに潜入して《死銃》を調査する。
  • この巻で起きた重要な変化や行動:コンバートによって女性のようなアバターとなった。GGOの初心者としてシノンからサポートを受ける。一回戦突破後に待機所で灰色マントの男と遭遇し、彼がラフィン・コフィンの生存者であることに気づいて強い恐怖と動揺に襲われる。

シノン(朝田詩乃)

  • 立場・所属:GGOの対物狙撃銃《ヘカートII》を使用する狙撃手。都立高校の女子生徒。
  • 主人公との関係:GGOに潜入したキリトを案内する協力者であり、のちのライバル。
  • この巻での主な役割:和人を女の子と誤解して武器選びやエントリーを助ける。現実世界では、遠藤らによる金銭要求や銃へのトラップ発作と闘っている。
  • この巻で起きた重要な変化や行動:キリトが男であることを知って一度は怒るが、彼の弱さと強さの両面を知り、深い関心を持つ。予選決勝でキリトの無気力な歩みに怒り、決闘ののちに降参して本大会での再戦を求めた。

新川恭二(シュピーゲル)

  • 立場・所属:GGOのAGI型アバター《シュピーゲル》のプレイヤー。詩乃のクラスメートで不登校。
  • 主人公との関係:詩乃にGGOを教えた友人。
  • この巻での主な役割:現実世界で詩乃を助け、GGOの魅力を彼女に伝えた。
  • この巻で起きた重要な変化や行動:GGO内では自身の能力限界に悩んでいる。待機ドームに現れてキリトと同行するシノンを目撃し、キリトに対して明確な警戒と敵意を示した。

死銃(デス・ガン) / 灰色マントの男

  • 立場・所属:GGO内でプレイヤーを狙撃する謎の人物。
  • 主人公との関係:キリトが調査すべき対象であり、SAO時代の宿敵。
  • この巻での主な役割:テレビ番組中のゼクシードや街中の薄塩たらこを撃ち、現実の彼らを急性心不全で死亡させた。
  • この巻で起きた重要な変化や行動:待機所でキリトに接触する。キリトという名前と剣技が本物であるかを問いただし、腕に刻まれたラフィン・コフィンの紋章を見せて姿を消した。

菊岡誠二郎

この巻で起きた重要な変化や行動:GGOのトッププレイヤー並みの報酬を提示し、和人をGGOに送り込んだ。

立場・所属:総務省総合通信基盤局高度通信網振興課第二別室(仮想課)の官僚。

主人公との関係:和人を情報提供者(モニター)として利用する関係。

この巻での主な役割:和人に高額なケーキを奢りながら、GGOで起きた連続不審死事件を説明して潜入調査を依頼する。

■ 物語の特徴

本作の最大の魅力は、絶対に不可能とされた《世界樹》攻略に向けた激しい共闘とバトルアクションである。無限に湧き出すガーディアンの群れに対し、仲間たちとの連携やキリトの二刀流による圧倒的な突破劇が描かれ、読者に手に汗握る高揚感を与える。 また、キリトとリーファがお互いの正体(和人と直葉)を知った際の切実な感情のぶつかり合いや、現実世界での兄妹の繊細な人間ドラマも物語の深みを大きく増している。単なるゲームの攻略にとどまらず、茅場晶彦が残した《ザ・シード》によってVRMMOというジャンルそのものが生まれ変わり、かつての仲間たちと共に新たなアインクラッドへ挑むという壮大で希望に満ちた結末も、本作ならではの際立った特徴である。

書籍情報

ソードアート・オンライン 5 ファントム·バレット
著者:川原 礫 氏
イラスト:abec 氏
出版社:KADOKAWA電撃文庫
発売日:2010年4月10日
ISBN:9784048684521

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あらすじ・内容

SAOから未だ帰還しないアスナを救うため、疑惑のVRMMO≪アルヴヘイム・オンライン≫にログインしたキリト。
 その次世代飛行系ゲーム≪ALO≫は、≪魔法≫という概念、プレイヤーの反応力と判断力が勝敗を決めるアクション要素、そして≪妖精≫となって空を駆け巡る≪飛翔システム≫と、≪SAO≫に勝るとも劣らない高スペックで数多のプレイヤーを魅了していた。≪妖精≫スプリガンとなったキリトは、アスナの幽閉先 ── 全プレイヤーの最終目的地≪世界樹≫目指し突き進む……!
 道中、妖精種族≪サラマンダー≫のプレイヤーたちの策略により、絶体絶命の危機に陥るキリトだったが、≪シルフ≫の少女・リーファの助力、ナビゲートピクシー・ユイのバックアップを受け、どうにか九死に一生を得る。
 そしてついにキリトは≪世界樹≫の根元までたどり着く。しかしそのとき、リーファとキリトは互いの≪秘密≫を知ってしまい……。

ソードアート・オンライン4 フェアリィ・ダンス

感想

本作は、前巻から続いていたアスナ救出編の完結巻である。

世界樹の上に囚われているアスナを救うため、キリトはリーファとともにアルヴヘイムの中心を目指す。

物語の前半では、ヨツンヘイムでの冒険や、和人と直葉の複雑な人間関係が描かれる。一方、後半では世界樹攻略、アスナとの再会、須郷との決着が一気に進んでいく。

前巻以上に感情の動きが激しく、兄妹関係の切なさと、アスナを救うために突き進むキリトの執念が印象に残る一冊だった。

トンキーとの冒険から始まる物語

本巻の序盤では、キリト、リーファ、ユイが地下世界《ヨツンヘイム》へ落とされてしまう。

飛行が使えないうえに、周囲には通常のプレイヤーでは簡単に倒せない邪神級モンスターが徘徊している。

世界樹を目指す本筋から少し離れた寄り道のようにも見えるが、このヨツンヘイムでの冒険が思いのほか面白かった。

特に印象に残ったのは、象とクラゲを組み合わせたような邪神を助ける展開である。

リーファは、別の邪神に襲われている姿を見て、相手がモンスターであるにもかかわらず助けたいと願う。

ゲームとして考えれば、邪神は経験値やアイテムを得るために倒す対象でしかない。

しかし、リーファとキリトは、効率や利益よりも自分たちの感情を優先する。

助けた邪神を《トンキー》と名づけ、背中に乗って地下世界を旅する場面には、仮想世界だからこそ味わえる純粋な冒険の楽しさがあった。

キリトが仮想世界で感じたことも現実と同じく本物だと認める場面も印象的だった。

SAOでは命を懸けて戦っていたキリトだが、ALOをどこか普通のゲームとして扱っていた部分もあったのだと思う。

しかしリーファにとって、キリトと過ごした時間や、冒険の中で感じた喜びは紛れもない現実だった。

現実か仮想かにかかわらず、そこで抱いた感情まで偽物になるわけではない。

この考え方は、シリーズ全体に通じるテーマでもあると感じた。

友達を守るために勝ち目のない戦いへ挑む

トンキーを狙うウンディーネの精鋭部隊が現れた場面も強く印象に残った。

彼らはゲームのルールに従い、邪神を倒して報酬を得ようとしているだけである。

横取りをしているわけでも、悪意を持ってトンキーを苦しめているわけでもない。

むしろ、モンスターを狩るというゲーム本来の遊び方をしている。

そのため、リーファたちには彼らを非難する正当な理由がない。

それでも、名前をつけ、一緒に旅をしたトンキーを見殺しにはできない。

キリトはトンキーを友達だと説明し、攻撃しないでほしいと頭を下げる。

その願いが受け入れられないと分かると、リーファとともに二十四人の精鋭部隊へ挑んでいく。

勝てる可能性などほとんどない。

トンキーを助けたところで、特別な報酬が約束されているわけでもない。

それでも、自分たちが大切だと思った存在を見捨てない。

この無謀さは、目の前の誰かを救うためなら損得を考えずに動くキリトらしいものだった。

結果としてトンキーは翼を持つ姿へ変化し、ウンディーネ部隊を退ける。

やや都合のよい展開にも見えるが、友達を守ろうとした行動が報われる場面として素直に楽しめた。

さらに、世界樹の根に封印された《聖剣エクスキャリバー》まで登場する。

キリトたちは目の前の伝説級武器へ飛びつかず、仲間を連れて再び来ようと決める。

強力な武器を見ればすぐ欲しがるキリトの反応も含めて、本筋とは違う冒険らしい楽しさが詰まった場面だった。

囚われながらも戦い続けるアスナ

本作では、救出される側であるアスナ自身も決して何もせず待っているわけではない。

黄金の鳥籠から脱出したアスナは、世界樹内部にある研究施設へ侵入する。

そこで目にするのは、須郷に囚われた約三百人の旧SAOプレイヤーたちだった。

彼らは本来ならSAOクリアと同時に解放されるはずだった。

しかし須郷は、その意識をALO内へ拉致し、記憶や感情を操作する実験に利用していた。

人間の脳を実験材料として扱い、苦痛や恐怖を与えながら研究を進める。

その光景は、ゲーム世界の出来事というより、人間の尊厳そのものを踏みにじる行為として描かれている。

アスナは剣も装備も持っていない。

それでも、キリトなら立ち止まらないと自分を奮い立たせ、研究施設の奥へ進んでいく。

研究員に見つかり、再び鳥籠へ戻されてしまうが、その直前にシステム用のカードキーを持ち帰ることに成功する。

後にキリトが世界樹の上層へ到達できるのは、このカードがあったからである。

キリトが一方的にアスナを救ったわけではない。

アスナもまた、自分と囚われた人々を救うために戦い、その行動がキリトの道を開いている。

二人が別々の場所で諦めずに動いた結果、再会へつながっていく構成がよかった。

和人を好きになってしまった直葉の苦しさ

本作で最も切なかったのは、直葉の恋心を巡る展開である。

直葉は、兄だと思って育ってきた和人が、実際には従兄であることを知っている。

その事実を意識するうちに、兄妹としての感情とは異なる想いを抱くようになってしまう。

しかし和人には、仮想世界で命を預け合ったアスナがいる。

直葉は、眠り続けるアスナを病院で初めて目にし、和人が彼女へ向ける表情を見る。

そこで自分の想いが届かないことを理解する。

和人を忘れるために入り込んだALOで、直葉はキリトと出会う。

ゲーム内で行動をともにし、危険な戦いを乗り越えるうちに、彼へ惹かれていく。

ところが、そのキリトの正体も和人だった。

忘れようとした相手を、別人だと思ってもう一度好きになってしまう。

これは、直葉にとってあまりにも残酷な展開である。

キリトが探している女性の名前をアスナと呼んだことで、リーファは彼の正体へ気づく。

和人もまた、リーファが直葉であると知る。

直葉は、自分の気持ちから逃げるために選んだ仮想世界で、再び同じ相手へたどり着いてしまった。

この時の混乱や絶望は、読んでいて胸が苦しくなった。

兄妹として関係を作り直す二人

現実世界で直葉は、和人を一人の男性として好きだと告白する。

和人が幼い頃から自分を遠ざけていたこと。

SAOから帰還した後、急に優しくされたことで期待してしまったこと。

キリトにも惹かれたのに、その正体まで和人だったこと。

直葉は、自分の中に溜め込んでいた苦しさを和人へぶつける。

一方の和人も、直葉の想いにまったく気づいていなかった。

自分が養子であると知ってから家族との距離が分からなくなり、人との関係を避けるようになった。

SAOから帰還して家族を大切にしようとしたものの、その変化が直葉へどのような影響を与えるのかまでは考えられていなかった。

二人はALOの中で、以前の剣道の続きのような決闘を行う。

直葉は、自分の気持ちを終わらせるように剣を捨て、キリトの一撃を受けようとする。

しかしキリトも同時に剣を手放す。

互いに相手の剣を受けようとしていた二人が、空中で抱き合う場面が印象的だった。

すべての問題がきれいに解決したわけではない。

和人は、アスナが目覚めるまで自分の現実は始まらないと語る。

直葉も、自分の恋心をすぐに消せるわけではない。

それでも、互いに逃げずに向き合い、もう一度兄妹として関係を作ろうとする。

無理に恋愛感情を否定するのではなく、時間をかけて受け止めていこうとする描き方に救いを感じた。

絶対に攻略できない世界樹への挑戦

物語後半の大きな見どころは、《世界樹》の攻略戦である。

世界樹の上へ到達するには、内部にあるグランドクエストを突破しなければならない。

しかし実際には、無数の守護騎士が出現し続けるため、通常のプレイヤーが攻略できるようには作られていなかった。

キリトは、最初に単独で突入する。

SAOで培った剣技を使い、次々と守護騎士を倒していくが、どれほど倒しても敵は増え続ける。

最後には無数の剣で体を貫かれ、一度敗北してしまう。

それでも、キリトは諦めない。

アスナが世界樹の上にいると分かった以上、何度倒されても挑むつもりだった。

この執念には、SAO時代のキリトらしさが戻ってきたように感じた。

二度目の攻略では、サクヤ率いるシルフ部隊や、アリシャ・ルーのケットシー部隊も加わる。

多くの仲間が守護騎士を引きつけ、キリトとリーファのために道を作る。

最後の突破口で、リーファは自分の長刀をキリトへ投げ渡す。

キリトは二本の剣を手にし、SAO時代の二刀流を再現する。

無数の守護騎士を切り裂きながら、天井のゲートへ突き進む場面は、本巻でも特に熱い場面だった。

前巻では、ALOに二刀流のスキルは存在しないとされていた。

それでもキリトは、二本の剣を同時に扱う技術そのものを失っていない。

システムに用意された能力ではなく、自分が二年間の戦いで身につけた経験によって道を切り開く。

SAOの黒の剣士が戻ってきたような興奮があった。

最初から達成できないように作られたクエスト

守護騎士を突破した先で、キリトは世界樹上層へのゲートが管理者権限によって閉ざされていると知る。

つまり、世界樹攻略は最初から成功できないように作られていた。

ALOのプレイヤーたちは、空を自由に飛ぶため世界樹の上を目指していた。

しかし運営側は、達成できる可能性のない目標を提示し、プレイヤーを遊ばせ続けていたのである。

ゲームとして考えると、かなり悪質な仕組みである。

努力すればいつか到達できると信じていた場所が、最初から存在しない。

プレイヤーの挑戦や積み重ねを、運営側の都合で無意味なものにしてしまう。

キリトが怒るのも当然だと思った。

しかし、アスナが研究施設から持ち出して落としたカードキーによって、キリトは封鎖されたゲートを突破する。

アスナの抵抗がなければ、どれほどキリトが強くても世界樹の上へは進めなかった。

力だけでは越えられない壁を、二人の行動がつながることで突破する。

この展開には、離れていても互いを支えている二人の関係が表れていた。

ようやく実現したアスナとの再会

世界樹の上へ到達したキリトは、黄金の鳥籠にいるアスナと再会する。

ALOでは姿も名前も変わっている。

それでもアスナは、目の前に現れたスプリガンがキリトであるとすぐに気づく。

キリトもアスナも、現実世界ではまだ一度も言葉を交わせていない。

SAOから生還したキリトが、二か月間探し続けてきた相手である。

ようやく二人が抱き合う場面には、長い救出劇が終わる安心感があった。

ユイも加わり、仮想世界で家族として過ごした三人が再びそろう。

SAOの世界では別れざるを得なかった三人が、異なる世界で再会する場面は素直に感動した。

しかし、再会の喜びは長く続かない。

アスナを現実へ戻す前に、須郷が管理者権限を使って介入する。

ユイは排除され、キリトとアスナは自由を奪われる。

ここからの須郷の行動は、読んでいて不快になるほど卑劣だった。

システムの力に依存する須郷

須郷は、ALO内で自分を《妖精王オベイロン》と名乗る。

管理者権限によって空間を支配し、キリトの動きを封じ、痛覚まで現実に近い状態へ引き上げる。

しかし、須郷自身が戦闘技術を持っているわけではない。

圧倒的な権限を使い、相手が反抗できない状況を作ったうえで優位に立っているだけである。

SAOの中で命を懸けて戦ってきたキリトとは、根本的に違う。

それでもキリトは、システムの重圧によって地面へ押さえつけられ、何もできなくなる。

ここで現れるのが、茅場晶彦の意識の残滓である。

茅場の声によって、キリトは須郷もただシステムへ接続している一人の人間にすぎないと気づく。

そして須郷より上位の管理者権限を使い、状況を逆転する。

この展開は非常に熱い。

一方で、正直に言えば少し御都合主義的にも感じた。

キリトの力だけではどうにもならない場面で、かつての最大の敵である茅場が突然助けに入る。

しかも茅場が残した権限によって、須郷を圧倒する。

あまりにも都合よく助けが入ったようにも見える。

ただ、ここでキリトが敗れ、アスナが救われない結末を迎えるよりは、エンターテインメントとしてこの展開でよかったとも思う。

苦しい物語が続いたからこそ、最後は明確な逆転と勝利が欲しくなる。

ライトノベルらしい熱さを優先した展開として、素直に受け入れることができた。

茅場晶彦は美味しいところを持っていきすぎる

それにしても、茅場晶彦は最後に少し美味しいところを持っていきすぎではないかと思う。

SAO事件を引き起こし、多くの人間を死なせた張本人である。

キリトやアスナが二年間も命懸けの戦いを続ける原因を作った人物でもある。

その茅場が、今度はキリトを救う導き手のような立場で現れる。

さらに須郷との決着後には、《世界の種子》までキリトへ託す。

物語上では重要な役割を果たしているが、これだけを見ると、まるで世界の未来をキリトへ託した偉大な先人のようにも見える。

茅場の行為が許されたわけではない。

本人も英雄として扱われることを望んでいるわけではないのだろう。

それでも、事件の元凶である人物が最後に希望の種を残す構成には、複雑な気持ちになった。

一方で、茅場が作った技術や世界そのものまで、すべて悪として消してよいのかという問いも残る。

SAOは多くの犠牲者を出した。

しかし、キリトとアスナが出会い、ユイと家族になり、多くの仲間との絆を築いた場所でもある。

茅場が残したものを消すのか、別の形で未来へつなぐのか。

その判断をキリトへ委ねる展開は、単純な勧善懲悪では終わらない面白さがあった。

現実世界で待っていた最後の恐怖

ALO内で須郷を倒しても、戦いはまだ終わらない。

アスナが現実世界へ戻ったと知った和人は、雪の中を自転車で病院へ向かう。

そこで待っていたのは、ナイフを持った現実の須郷だった。

仮想世界では、キリトは剣士として圧倒的な強さを持っている。

しかし現実の和人は、細身の高校生にすぎない。

ナイフで腕を切られ、地面へ倒され、現実の死への恐怖で動けなくなる。

ゲームではなく、実際に命を奪われるかもしれない。

この場面には、世界樹での戦いとは異なる恐ろしさがあった。

須郷を追い詰めた和人は、相手を殺すこともできる状況になる。

しかし、剣によってすべてを決める世界は終わったのだと思い直し、須郷を殺さない。

SAOでは、生き残るために敵を斬らなければならなかった。

だが現実世界では、憎い相手であっても自分の手で命を奪うべきではない。

キリトが剣士としての自分と決別し、和人として現実へ戻る場面だったように感じた。

現実世界で再会したキリトとアスナ

須郷を拘束した和人は、傷を負ったままアスナの病室へ向かう。

仮想世界では何度も抱き合い、言葉を交わしてきた二人である。

しかし現実世界では、SAOから帰還してからまだ一度も会えていない。

眠り続けていたアスナが本当に目覚めているのか。

再び自分の名前を呼んでくれるのか。

和人が不安を抱えながら病室へ向かう場面には、戦闘以上の緊張感があった。

その後、物語は数か月後へ進む。

アスナは厳しいリハビリを乗り越え、帰還者用の学校へ通えるまで回復している。

和人とアスナが現実世界で昼食を食べ、穏やかに話している。

当たり前の学生生活を送る二人の姿を見て、ようやく長い戦いが終わったのだと実感できた。

SAOでは食事も触れ合いも仮想の感覚だった。

しかし二人にとって、そこで過ごした時間は決して偽物ではない。

現実世界でも同じ関係を続けていこうとする姿に、安心感があった。

《ザ・シード》によって広がる仮想世界

茅場がキリトへ託した《世界の種子》の正体は、誰でも比較的小規模な設備で仮想世界を作れる開発パッケージ《ザ・シード》だった。

キリトは、それを独占しない。

エギルに検証を頼み、危険がないと確認したうえで、世界中へ無償で公開する。

その結果、企業だけでなく個人までもが新しいVR空間を作れるようになる。

ゲーム、教育、観光、交流。

仮想世界は、一つの企業が支配する閉じた空間ではなく、多くの人が自由に作り、行き来できる場所へ変わっていく。

SAO事件や須郷の人体実験によって、VR技術への信頼は大きく失われた。

それでもキリトは、仮想世界そのものを否定しなかった。

危険な使い方をした人間がいたからといって、技術や世界すべてが悪いわけではない。

キリトにとって仮想世界は、苦しみを与えた場所であると同時に、アスナや仲間たちと出会った大切な場所でもある。

その可能性を未来へ残すという選択には、SAO事件を経験したキリトだからこその重みがあった。

仲間の中へ入れないと感じる直葉

事件解決後、旧SAOプレイヤーたちは現実世界で再会し、キリトの帰還を祝う。

アスナ、リズベット、シリカ、クライン、エギル。

彼らの間には、アインクラッドで命を預け合った強い絆がある。

直葉もその場へ参加するが、自分だけが彼らと同じ記憶を持っていない。

ALOではキリトと冒険をした。

しかし、和人たちが二年間過ごしたアインクラッドの世界を直葉は知らない。

自分は、本当の意味では彼らの仲間になれないのではないか。

直葉が孤独を感じる場面が切なかった。

和人への恋心を整理し、兄妹として関係を作り直そうとしても、今度は和人が持つ過去との距離を感じてしまう。

その直葉を、キリトは雲海の上で受け止める。

行こうと思えば、どこへでも行ける。

知らない世界なら、これから一緒に進めばよい。

過去を共有できなくても、未来の冒険には参加できる。

この言葉が、直葉を新しい仲間の輪へ導いていく。

浮遊城アインクラッドの復活

物語の最後、ALOの空へ巨大な浮遊城アインクラッドが現れる。

SAOでは、キリトが第七十五層で茅場を倒したため、百層までの攻略は実現しなかった。

多くの仲間を失い、途中で終わった世界である。

そのアインクラッドが、新しい仮想世界の攻略対象として復活する。

今度は、ゲーム内で死んでも現実の命を失わない。

キリトもアスナも、直葉も、クラインも、リズベットも、シリカもいる。

ALOで出会ったサクヤやアリシャ・ルー、ユージーンたちも加わる。

以前は生き残るために登った城へ、今度は仲間たちと純粋な冒険として挑む。

この対比がとてもよかった。

アインクラッドは、多くの命を奪った悪夢の舞台である。

しかし同時に、キリトたちが大切な人と出会った場所でもある。

過去を消すのではなく、新しい意味を与えて乗り越えていく。

キリトが今度こそ第一層から第百層まで攻略すると宣言する場面には、強い希望を感じた。

終わった物語がもう一度始まる

『ソードアート・オンライン4 フェアリィ・ダンス』は、アスナ救出編の完結巻である。

しかし読後に残るのは、物語が終わったという感覚より、新しい世界が始まったという感覚だった。

アスナは現実世界へ戻る。

和人と直葉は、兄妹として新たな関係を築き始める。

須郷に囚われていた人々も解放される。

《ザ・シード》によって、多くの仮想世界が生まれる。

そして、途中で崩壊したアインクラッドが、新しい冒険の舞台として空へ戻ってくる。

本作には、茅場の助力など御都合主義的に感じる部分もある。

須郷の悪役としての描写もかなり露骨である。

それでも、長く苦しい救出劇の最後としては、これくらい分かりやすく希望に満ちた結末がよいと思えた。

アスナが目覚め、キリトと現実世界で再会する。

直葉も新しい仲間として空を飛ぶ。

かつての仲間たちが、今度は命を奪われる恐怖のないアインクラッドへ向かう。

悲惨な記憶を抱えたままでも、同じ場所から新しい物語を始めることはできる。

終わりきらなかった冒険を、今度は大切な仲間たちと最後まで続けていく。

その未来を感じさせるラストシーンは非常に爽快で、フェアリィ・ダンス編の締めくくりとして満足できるものだった。

最後までお読み頂きありがとうございます。

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SAO4レビュー
まとめ
SAO6レビュー

考察・解説

銃器と鋼鉄の世界《ガンゲイル・オンライン》(GGO)を舞台に、仮想世界から現実世界の人間を殺害する謎の存在《死銃(デス・ガン)》を追うキリトと、過去のトラウマを克服するため戦い続ける少女シノンの軌跡を整理する。虚構と現実が交錯する戦場で繰り広げられた対峙と覚悟の全容を以下にまとめる。

主要な転換点

  • ゼクシードへのテレビ番組中の銃撃 ゼクシードはGGO最強者としてテレビ番組に出演し、自説を語っていた。《死銃》と名乗る男が酒場のホロパネルの映像に向けて黒い自動拳銃を発砲した。テレビの中のゼクシードは胸を押さえて凍りつき、そのままアバターが消滅した。現実世界では、茂村保が心不全で急死していた。総務省の菊岡がこの事件と別の有力プレイヤーの死亡事件の因果関係を疑い、キリトへGGOでの潜入調査を依頼する引き金となった。
  • キリトの性別明示 シノンはキリトを同性のプレイヤーと誤解し、好意的に武器ショップや総督府を案内していた。待機所のロッカールームで着替えを始めたシノンに対し、キリトがネームカードを提示して自分が男性であることを明かした。シノンは激怒してキリトを平手打ちし、彼に対して強い怒りと恥じらい、そして二度と近づかないという拒絶の態度を示した。シノンに「決勝でキリトを自らの手で撃破し、本当の強さを証明する」という強い対抗心と執念を抱かせ、予選決勝での対峙へと繋がった。
  • 待機所での死銃(灰色マントの男)との遭遇 和人は、仮想世界からの殺人という《死銃》の能力を九割方デマや偶然の産物であると考えていた。一回戦突破後の待機所で、灰色マントの男から「お前は本物か」と問われ、男の腕に《ラフィン・コフィン》のタトゥーを目撃した。死銃がSAOの殺人ギルドの生存者であること、および自身が過去に命を奪った事実が鮮明に蘇り、激しい恐怖とパニックに襲われた。死銃が現実の命を奪う能力を持っている可能性が急激に現実味を帯び、キリトの戦う気力を失わせ、予選決勝での無防備な勝負放棄を引き起こした。
  • シノンの怒りの糾弾と、決闘での光剣の一閃キリトは死銃への恐怖から戦う気力を失い、シノンとの予選決勝でわざと負けようと無防備に歩いていた。シノンが涙を流してキリトの勝負放棄を激しく糾弾した。それを受けてキリトは自身の過ちを認め、十メートルの至近距離からの決闘でシノンの五十口径弾を光剣で切断した。キリトはゲームの一勝負であっても全力を尽くす剣士としての覚悟を取り戻した。シノンは、ゲームの枠を超えたキリトの圧倒的な強さを実感した。シノンがキリトを対等な戦友、あるいは乗り越えるべき強敵として認め、明日の本大会で必ず再戦するという誓いへと発展した。

主人公を中心とした人物関係の変化

  • キリトとシノン 開始時:キリトはシノンを「親切に道を案内してくれた少女」として、シノンはキリトを「自分と同じ女の子のコンバートプレイヤー」として認識していた。 主な出来事:和人の性別が男性であると判明したことで、シノンは激しい怒りと恥じらいを抱いて距離を置いた。しかし、キリトが待機所でパニックに陥った際、シノンの叱咤と温もりが彼を救った。予選決勝では、キリトの勝負放棄に激怒したシノンが涙を流して彼を責め、改めて至近距離の決闘を行った。 巻末時:シノンはキリトを「自分と同種の暗闇(恐怖)を抱えながら、それを圧倒的な技術でねじ伏せる強敵」と認めた。キリトもシノンとの全力の戦いを誓い、二人は本大会での再戦を約束する強固なライバル関係となった。
  • キリトとシュピーゲル(新川恭二) 開始時:二人は全く面識がない状態であった。 主な出来事:待機所でシノンに会いに来たシュピーゲルに対し、キリトはシノンとの親しさをからかうように表現した。 巻末時:シュピーゲルはキリトに対し、シノンを巡る強い警戒心と、言葉に表せない明確な敵意の視線を向ける関係となった。

主人公の認識と周囲の評価

  • 主人公自身の認識キリト(桐ヶ谷和人)は、自身を「SAO時代から変わらない、ただゲームの技術が高いだけのプレイヤー」と捉えている。彼はSAOの討伐戦において、自分の剣でラフィン・コフィンのメンバーを殺害した事実に強い負い目と罪悪感を抱いている。自分は本当に殺さなければならない極限状態でしか引き金を引けない、弱い存在であると自己を定義している。そのため、自分が持つ強さを「ただのテクニック」に過ぎないと否定している。
  • 周囲からの評価 シノンは、キリトを「信じられない反射神経と、アサルトライフルの銃弾をも光剣で弾く鬼神のような回避技術を持つプレイヤー」と評価している。さらに、彼が待機所で見せた深い震えから、自分と同じように「心の奥底に計り知れない暗闇を抱えている人間」であると見抜いている。シュピーゲルからは、シノンと親しく接する「警戒すべき、不快な闖入者」として敵意を向けられている。死銃からは、SAOの最前線で二刀流を操った「黒の剣士キリト」本人であるのか、その真贋を確かめるべき標的として凝視されている。
  • 認識の差が現れた場面 予選一回戦において、キリト自身は銃弾相手の戦いに困惑し必死に回避しているつもりであったが、観客や対戦相手からは、まるで弾道予測線を予測しているかのように光剣で銃弾を弾き返す異次元の怪物剣士として映っていた。また、予選決勝後の対話において、シノンがキリトのヘカートII弾切断に「ゲームの枠を超えた本当の強さ」を見出し、どうすればその強さが得られるのかと問いかけた際、キリトは「こんなのはただの技術だ。俺は過去に目を閉じて忘れようとしてきただけだ。強くなんかない」と答え、強さに対する自己評価と他者評価に決定的な乖離が示された。

クライマックスにおける死闘

  • 発生原因と当初の状況死銃との遭遇によるパニックからキリトは戦う気力を失い、予選決勝で無防備に歩いてシノンの銃撃による敗北を望んだ。シノンは、全力を尽くさずに勝負を放棄するキリトの姿勢に激しい怒りを覚え、引き金を引き切れずに周囲へ六発すべてを外して詰め寄った。シノンは観光バスから路上へ降り立ち、キリトの前で涙を流しながら、勝負を放棄する価値観に自分を巻き込むなと糾弾した。キリトは自身の過ちを認め、謝罪した。
  • 登場人物それぞれの行動キリトは、シノンに自分の非を償うため、十メートルの距離で一弾と一刃の決闘を行うことを提案した。シノンは、その距離からのヘカートIIの射撃はシステム的に必中であり、回避は不可能だと告げた。しかし、キリトの不敵な笑みに「本気で勝つつもりだ」と直感した彼女は、提案を受け入れた。キリトはファイブセブンから抜いた一発の弾丸を左手で空へ投げた。
  • 危機と対応弾丸が落下してアスファルトに触れた瞬間、シノンは極限まで高まった時間感覚の中で引き金を引いた。彼女はキリトの中心線ではなく、インパクト・ダメージでの即死を狙って彼の左脚を照準していた。必殺の五十口径弾が音速を超えてキリトを捉えようとした際、キリトは予測線のアシストを一切見ず、スコープ越しにシノンの「眼」の視線を読み取り、弾道を予測した。キリトは光剣《カゲミツG4》を鋭く振り上げ、大口径弾を空中で真っ二つに切断した。切断された弾丸は、火花を散らしてキリトの両脇を通過した。
  • 決着とその直後の結果キリトはそのまま十メートルの距離を電光石火のダッシュで詰め、シノンの目の前に肉薄した。キリトはシノンの喉元に光剣を突きつけ、背中を支えながら降参(リザイン)を促した。シノンは、自分たちの密着した姿がグロッケン中の酒場に中継されていることに気づき、激しい羞恥に顔を染めた。彼女は「明日の本大会で私に遭遇するまで、絶対に生き残るのよ」と言い残し、大声で降参を宣言した。予選決勝は終了し、キリトがFブロックの勝者となった。

巻末時点の状況

  • 主人公の所在および立場 アミュスフィアの切断を経て、現実世界の都立病院の個室ベッドの上にいる。GGOの《BoB予選Fブロック》を光剣のみで突破した異端の剣士として、GGOプレイヤーに衝撃を与えた存在である。また、死銃がかつてのSAOの殺人ギルド《ラフィン・コフィン》の生存者であることを確信し、冷厳な真実の調査に身を投じる当事者となった。
  • 主要人物との関係
  • アスナには死銃の危険性について一切伏せたまま、コンバートしたことを心配させ、早くALOに戻ることを約束している。
  • シノンとは、予選決勝での凄まじい大決闘を経て、互いの「闇(恐怖)」を自覚し合いながらも、明日の本大会での命懸けの再戦を固く誓い合っている。
  • シュピーゲルからは、シノンとの関係に過剰な警戒心と明確な敵意を向けられたままである。
  • 解決した問題
  • GGOへの潜入、および《死銃》との直接接触を通じて、その正体がSAO生還者(ラフィン・コフィンの生存者)であるという決定的な事実が判明した。
  • 最強者決定戦《BoB》への本戦出場権を獲得し、死銃をおびき出す舞台を整えることに成功した。
  • 継続している課題と今後の展望
  • 死銃が仮想世界から現実世界のプレイヤーを実際に心停止させて殺害する「謎の力」の手口は依然として不明であり、その恐怖が和人の心に重く居座っている。
  • キリト自身がSAO時代に命を奪ったという過去の記憶が、鮮明に蘇って彼を苦しめ続けている。
  • 翌日の夜に開催される三十人によるBoB本大会(バトルロイヤル)における、シノンとの再戦、および死銃との直接対決が今後の最大の焦点となる。

自らの過去の罪と向き合いながら仮想世界へ降り立ったキリトと、トラウマを克服するため強さを渇望するシノン。互いの弱さと暗闇をさらけ出した二人の出会いは、不可解な連続殺人の真相を暴き、それぞれの宿命を乗り越えるための新たな戦いへと繋がっている。

ヨツンヘイムの冒険

ヨツンヘイムの冒険の全貌

『ソードアート・オンライン』の「フェアリィ・ダンス」編における「ヨツンヘイムの冒険」について、地底世界ヨツンヘイムへの転落、邪神トンキーの救出と育まれた絆、ウンディーネ精鋭部隊との遭遇とトンキーの羽化、および聖剣エクスキャリバーの発見とアルンへの脱出の各点から解説する。

地底世界《ヨツンヘイム》への転落

央都アルンを目指して飛行していたキリトとリーファは、アルン高原の手前で近道のために立ち寄った村が、実は巨大なミミズ型モンスターの擬態(トラップ)であることに気付かなかった。

・村ごと丸呑みされた二人は、約三分間にわたる消化器官の移動を経て、アルヴヘイムの地下に広がる氷と闇の世界ヨツンヘイムへと排出されてしまう。
・ヨツンヘイムは、頭上を分厚い岩の天蓋に覆われており、飛行能力の源となる日光や月光が届かないため、妖精の翅を用いた飛行が一切不可能な環境であった。
・さらに、周囲には通常のパーティー持ちでは太刀打ちできない超高難度の邪神級モンスターが徘徊する、極めて危険なフィールドであった。

邪神《トンキー》の救出と育まれた絆

一時避難した小さな祠の近くで、二人は三面四腕の巨人型邪神と、象の頭部とクラゲのような扁平な胴体(二十本の肢)を持つ邪神が死闘を繰り広げている場面に遭遇する。

・劣勢に追い込まれ、無残にいたぶられる象頭の邪神を助けたいというリーファの強い願いを受け、キリトは戦闘への介入を決意した。
・キリトは、自身の高い投剣スキルを駆使して巨人の眉間に鉄針(ピック)を命中させ、ターゲットを自身へと引きつける。
・そして、積雪に覆われていた広大な氷結湖へと巨人を巧みに誘導した。
・巨人がその重さで氷を踏み抜いて水中に落下した瞬間、水中で自由を得た象頭の邪神が二十本の肢を巨人に巻き付け、強力な放電攻撃(雷撃)で見事に巨人を撃破した。
・救出された二人は、象頭の邪神の長い鼻によって持ち上げられてその背中に乗せられ、キリトが幼少期に読んだ絵本の象にちなんで、その邪神をトンキーと名付けた。
・トンキーの背中で移動するなか、和人と直葉は仮想世界における感情や絆が現実世界と同様に本物であるという認識を共有し、お互いのわだかまりを氷解させていく。

ウンディーネ精鋭部隊との遭遇とトンキーの羽化

トンキーの案内により、世界樹の根が垂れ下がる底なしの大穴の縁に到達したとき、邪神狩りを目的とする24名のウンディーネ族の精鋭部隊が姿を現す。

・彼らはトンキーを獲物として要求したが、キリトはこいつは俺たちの友達だと主張し、命を助けてほしいと頭を下げた。
・しかし、正当な狩りを行う部隊がこれを聞き入れるはずもなく、攻撃が開始される。
・キリトとリーファは死を覚悟して彼らに立ち向かい、後衛の魔法使いを数人倒したものの、数の暴力と卓越した連携を前に絶体絶命の窮地に陥る。
・そのとき、HPが残り一割まで削られていたトンキーの体から眩い純白の光が放たれ、外殻が割れるとともに、四対八枚の翼を持つ飛行型へと羽化を遂げた。
・完全回復したトンキーは、一切の魔法を無効化する強力な範囲解呪能力と、絶大な威力を誇る雷撃を繰り出し、ウンディーネの部隊を一瞬にして撤退へと追い込んだ。

聖剣エクスキャリバーの発見とアルンへの脱出

強大な飛翔能力を得たトンキーは、リーファたちを乗せて世界樹の根が抱える巨大な氷柱に沿って上昇を始める。

・その途中、氷柱の最深部に封印されている、アルヴヘイム最強の伝説武器聖剣エクスキャリバーを二人は発見した。
・挑戦すれば地上への脱出手段を失うという状況であったため、キリトはいつか仲間を連れて戻ってきて、この最難関ダンジョンを突破すると誓い、聖剣の入手を後日の楽しみに残す決断を下す。
・やがてトンキーは、天蓋を貫いて地上へと伸びる、階段の刻まれた木の根の先端へと二人の足場を送り届けた。
・感謝と再会の約束を交わしてトンキーと別れた二人は、長い螺旋階段を駆け上がり、ついに世界樹の真下に広がる大都市央都アルンへと帰還を果たしたのである。

まとめ

ヨツンヘイムの冒険を巡る一連の全貌は、ミミズ型モンスターによる地底世界ヨツンヘイムへの誤落から始まり、象頭の邪神トンキーの救出と種族を超えた絆の獲得、ウンディーネ精鋭部隊との死闘に際するトンキーの羽化と迎撃、そして聖剣エクスキャリバーの発見を経て央都アルンへの帰還に至るまで、その歩みを明瞭に示している。
過酷な環境や予期せぬトラブルという不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を自らの選択と確固たる意志によって完璧に確立するに至る、仮想世界における真実の友情と逆境突破の記録である。
事故による転落から、邪神の救出、強敵との対峙、奇跡の進化、そして地上への脱出へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。

アスナの救出劇

アスナ救出劇の全貌と決着

『ソードアート・オンライン』の「フェアリィ・ダンス」編におけるアスナ(結城明日奈)の救出劇について、鳥籠への囚われと須郷の野心、アスナ自身の脱出行動、キリトの猛進と世界樹の突破、および仮想世界での決戦と現実世界での帰還の各点から解説する。

鳥籠への囚われと須郷の野心

SAOがクリアされた後もアスナは現実世界で目覚めず、レクトの須郷伸之(ALO内では妖精王オベイロン)によって、ALOの中心にそびえる世界樹の頂上の金の鳥籠に幽閉されていた。

・須郷の目的は、彼女をティターニアと呼んで幽閉し、現実世界で意識のない彼女と強引に結婚してレクトを乗っ取ること(会社支配)であった。
・さらに、拉致した約300人の旧SAOプレイヤーの脳を用いて、思考や感情、記憶を操作する非人道的な人体実験を行っていた。

アスナ自身の脱出行動

鳥籠の中で孤独に耐えていたアスナであったが、須郷が現実の和人(キリト)を嘲笑したことで、キリトが現実世界で生きていることを知って希望を取り戻した。

・彼女は悲嘆に暮れるふりを装いつつ、高解像度の描画特性を持つ鏡を利用して、須郷が鳥籠を開閉する際に入力した暗証番号を盗み見た。
・自力で脱出したアスナは世界樹の内部に侵入し、そこで約300人のSAOプレイヤーの脳髄が実験体として並ぶ異様な実験体格納室を発見した。
・彼女はシステムコンソールから現実世界へのログアウトを試みるが、ナメクジの姿をした研究員に捕縛された。
・しかし、捕まる直前にコンソールからシステム管理用のシルバーカードキーを足先で盗み出し、隠し持つことに成功した。

キリトの猛進と世界樹の突破

エギルから提供された写真でアスナの生存を知ったキリトは、スプリガンとしてALOにダイブした。

・リーファやユイの協力を得て央都アルンに到達するが、世界樹上空の不可視の障壁に阻まれてしまう。
・しかし、ユイの声に気づいたアスナが鳥籠からカードキーを投下したことで、キリトは突破口の鍵を手に入れた。
・キリトは一人で世界樹根元のドームに突入し、突破不可能とされる無数の守護騎士の軍勢に挑んだ。
・初戦は全滅してリメインライト化するが、リーファに救出され、和人と直葉としての互いの正体を知る葛藤を乗り越えて再挑戦を決意した。
・二度目の挑戦では、シルフとケットシーの同盟軍の支援と、リーファから投げ渡された長刀を用いた二刀流によって守護騎士の防壁を破り、カードキーを使用して封鎖されたゲートを強行突破した。

仮想世界での決戦と現実世界での帰還

世界樹の頂上でアスナと再会したキリトであったが、そこに介入した須郷の管理者権限の重力と痛覚の操作(ペイン・アブソーバレベル8)によって絶体絶命の危機に陥った。

・しかし、キリトの意識内に現れた茅場晶彦の残像が管理者権限を貸与したことで形勢が逆転した。
・キリトは須郷の痛覚を現実同等に引き上げ、彼の体を斬り裂き、右眼を貫いて完全にアバターを消滅させ、アスナを解放して現実世界へとログアウトさせた。
・現実世界に戻った和人はアスナ(明日奈)が眠る病院へと急ぐが、雪の降る駐車場で待ち伏せていた現実の須郷にナイフで襲撃された。
・現実の死の恐怖に直面するものの、須郷の狂気の奥にある脆弱さを見抜いた和人は反撃に転じ、ナイフを奪って彼をネクタイで拘束した。
・和人は現実世界での殺人を拒否し、ついにアスナの病室へ到達した。
・こうして結城明日奈は二年に及ぶ過酷な眠りから目覚め、現実世界での二人の真の再会が果たされたのである。

まとめ

アスナ救出劇を巡る一連の全貌は、須郷による世界樹の鳥籠への幽閉と人体実験から始まり、アスナ自らの智略によるカードキー奪取、キリトによる守護騎士軍勢の突破、そして仮想世界と現実世界の双方で須郷の野望を打ち砕き果たされた真の再会に至るまで、その歩みを明瞭に示している。
幽閉や人知を超えた支配という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を自らの選択と確固たる意志によって完璧に確立するに至る、愛と信念が生んだ救済の記録である。
囚われの絶望から、カードキーの獲得、破天荒な突破、狂気の打倒、そして現実での目覚めへと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。

兄妹の葛藤と和解

桐ヶ谷和人と桐ヶ谷直葉の兄妹の葛藤と和解の全貌

『ソードアート・オンライン』の「フェアリィ・ダンス」編において描かれる桐ヶ谷和人(キリト)と桐ヶ谷直葉(リーファ)の兄妹の葛藤と和解について、葛藤の背景である出生の秘密やすれ違い、帰還後の新たな葛藤、葛藤の爆発と残酷な真実の発覚、剣を通じた対話による和解のプロセス、および和解後の新生と新たな冒険の各点から解説する。

葛藤の背景:出生の秘密やすれ違い

幼い頃は仲の良かった二人であったが、和人が十歳の時に自分が桐ヶ谷家の実子ではなく従兄であるという出生の秘密を住基ネットの抹消記録から自ら突き止めたことで、関係に歪みが生じた。

・和人は他者への違和感から無意識に直葉と距離を置くようになり、コンピュータの世界へと逃避していった。
・一方の直葉は、和人を追いかけるように、また厳格だった祖父の期待に応えるために剣道に打ち込むが、二人の間の溝は深まるばかりであった。
・和人がSAO事件に巻き込まれて眠り続けた二年間、直葉はなぜもっとお兄ちゃんの側の世界を理解し、距離を縮めようとしなかったのかと激しい悔恨と疎外感に苛まれ続けた。

帰還後の新たな葛藤:秘めた想いと罪悪感

和人がSAOから奇跡的に生還した後、以前とは見違えるほど優しくなった彼に触れるうちに、直葉は兄への淡い恋心を抱くようになった。

・しかし、和人の心は昏睡状態のまま囚われているアスナの救出にのみ向けられており、和人がアスナを思って涙を流す姿を見た直葉は、自らの想いを深いところに埋めて諦める決意をした。
・直葉は、和人の愛した世界を少しでも理解するためにリーファとしてALOをプレイし始め、和人もまたアスナを救うためにキリトとしてダイブした。
・しかし、二人はお互いの正体が現実の兄妹であるとは知らぬまま仮想世界で出会い、冒険を通じて強く惹かれ合っていくという皮肉な運命をたどることとなった。

葛藤の爆発:残酷な真実の発覚

世界樹の障壁の目前で、ついに二人はキリトが和人であり、リーファが直葉であるという残酷な真実に直面した。

・直葉は、和人への叶わぬ想いを忘れるためにキリトを好きになろうとしたのに、それが同一人物であったという現実に激しく打ちのめされた。
・現実世界へログアウトした直葉は、追いかけてきた和人に向かってあたし自分の心を裏切った、お兄ちゃんを好きな気持ちを裏切ったと泣き叫び、なぜ今更優しくするのかと、行き場のない怒りと悲しみをぶつけた。
・和人もまた、直葉が自分のために仮想世界へ入り、長い間自分を助けてくれていたことに気づき、彼女の苦悩を見落としていた己の盲目さと独りよがりな態度を激しく悔やみ、自己嫌悪に押し潰された。

和解へのプロセス:剣を通じた対話

言葉だけでは埋められない決定的な傷を負った二人であったが、和人はアルンの北側のテラスで待っていると告げ、直葉も再びアミュスフィアを被ってリーファとしてその場所へ向かった。

・リーファはキリトに対し、お兄ちゃん、試合、しよ、あの日の続きと、かつて現実の道場で行ったお遊びではない、互いのすべてを懸けた決闘を申し込んだ。
・剣を交え、キリトの圧倒的かつ正確な剣技に触れる中で、リーファは彼がSAOで過ごした過酷な二年間と、そこに宿る本物の意思を感じ取った。
・そして、最後の一撃。リーファは謝罪を求めるためではなく、自らの愚かさの罰として彼の剣を受けようと、無防備に両腕を広げて長刀を放り投げた。
・しかし、キリトもまた同時に自らの大剣を投げ捨てており、二人は空中で激しく衝突し、抱き合った。
・和人が自分のことばかり必死になって、お前の言葉を聞こうとしなかったと心から謝罪し、直葉もお兄ちゃんが本当に帰ってくるまで待っている、アスナさんを救うためにあたしも協力すると誓ったことで、二人の間にあった長く深いわだかまりは、涙とともに洗い流された。

和解後の新生:共に翔ける新たな冒険

和解を果たした二人の絆は、これまでのどのような関係よりも強固なものとなった。

・リーファはシルフやケットシーの同盟軍を率いる一員として、キリトが世界樹のゲートに到達できるよう命がけでサポートし、アスナの救出に決定的な貢献をした。
・そして、アスナが無事に現実世界へと帰還した後、ALOの夜空に旧SAOの開発データから再生された浮遊城アインクラッドが姿を現した際、キリトとリーファは手を取り合って雲海の上を踊った。
・リーファは、和人たちSAO帰還者の強い絆の間に自分は入れないのではないかという一瞬の孤独を抱いていたが、キリトは行こうと思えば、どこにだって行けるとその手を固く握り、今度こそ第百層まで完全にクリアして城を征服しようと約束した。
・直葉はどこまでも一緒に行くと答え、アスナやユイ、そして新たに集まった大切な仲間たちとともに、希望に満ちた新しい冒険の空へと力強く飛び立っていった。

まとめ

桐ヶ谷和人と桐ヶ谷直葉の兄妹の葛藤と和解を巡る一連の全貌は、出生の秘密に伴う絶望的なすれ違いから始まり、仮想世界における無自覚な再会と惹き合い、真実の発覚による感情の爆発、そして仮想世界での剣を通じた対話と和解、さらに世界樹攻略や浮遊城アインクラッドへの新生の飛翔に至るまで、その歩みを明瞭に示している。
血脈や運命の皮肉という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を自らの選択と確固たる意志によって完璧に確立するに至る、真実の家族愛と相互理解の記録である。
偽りの距離感から、苦悩の吐露、真剣な交剣、心からの謝罪、そして新たな未来への跳躍へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。

妖精王との決着

須郷伸之(オベイロン)との決着と野望の崩壊

『ソードアート・オンライン』の「フェアリィ・ダンス」編における妖精王オベイロン(須郷伸之)との決着について、仮想世界ALOにおける対峙と暴虐、管理者権限の奪還とオベイロンの消滅、現実世界での最終決着、および須郷の逮捕と野望の完全崩壊の各点から解説する。

仮想世界《ALO》における対峙と暴虐

世界樹の頂上にある黄金の鳥籠でキリトとアスナが再会を果たした直後、須郷(妖精王オベイロン)が管理者権限を用いて強引に介入した。

・須郷はシステム権限でユイを排除し、キリトとアスナを暗闇の中に拘束した。
・彼は自らを妖精王オベイロンと称し、旧SAOプレイヤーを対象とした非人道的な人体実験が完成間近であることを語った。
・そして、アスナを鎖に繋ぎ、キリトを剣で貫いて痛覚を強めるという暴虐の限りを尽くした。

管理者権限の奪還とオベイロンの消滅

重力と痛覚の操作によってキリトが絶体絶命の無力感に沈みかけた瞬間、彼の意識に茅場晶彦の声が響き渡った。

・これによってキリトは、須郷がシステム権限に依存しているだけの脆弱な存在であることを見抜いた。
・キリトは自ら管理者権限を奪い返して重圧を解除した。
・さらに須郷の痛覚を現実世界と同等にまで引き上げ、彼から奪い取った剣でその腕と体を斬り裂き、最後は頭部を貫いてアバターを完全に消滅させた。
・その後、アスナを縛っていた鎖を断ち切り、彼女を現実世界へとログアウトさせた。

現実世界での最終決着

現実世界で目覚めた明日奈に会うため、和人が病院の駐車場に到着したとき、狂気に陥った生身の須郷がナイフを手にして待ち伏せていた。

・和人は不意を突かれて腕を斬られ、地面に倒されて何度も蹴られたことで、現実の死への恐怖から一度は身動きが取れなくなった。
・しかし、須郷自身もまた特別な力を持たず、ただ恐怖から逃げ回っているだけの弱い人間にすぎないと見抜いた和人は、反撃に転じて須郷の手首を押さえ、ナイフを奪って彼を追い詰めた。
・和人は須郷を殺せる状況にまで持ち込むが、剣によって全てを決める世界は終わったと思い直し、彼を殺すことはせず、ネクタイで拘束して病院へ向かった。

須郷の逮捕と野望の完全崩壊

その後、須郷は病院で警察に逮捕された。

・彼の部下の自白・証言によって、レクトプログレス社において旧SAOプレイヤー三百人を拉致し、非人道的な人体実験を行っていた全容が白日の下にさらされた。
・これにより、レクトプログレスは解散に追い込まれ、人間の思考や記憶、感情を支配しようとした須郷伸之の歪んだ野望は完全に崩壊した。

まとめ

須郷伸之(オベイロン)との決着と野望の崩壊を巡る一連の全貌は、仮想世界での権力乱用と非人道的人体実験の露見から始まり、茅場の助力と権限奪還によるアバターの打倒、現実世界駐車場での生身の襲撃の奪刀・制圧、そして警察の逮捕とレクトプログレス解散に伴う野望の瓦解に至るまで、その歩みを明瞭に示している。
システム依存や他者支配という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を自らの選択と確確たる意志によって完璧に確立するに至る、悪の終焉と現実の正義立証の記録である。
仮想世界での暴虐から、権限の奪還、現実での恐怖克服、不殺の選択、そして法的・社会的な完全崩壊へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。

ザ・シードの解放

ザ・シードの解放とVR世界の新生の全貌

『ソードアート・オンライン』の「フェアリィ・ダンス」編の結末において描かれるザ・シード(世界の種子)の解放について、茅場晶彦から託された世界の種子、和人の葛藤と解放への決断、エギルによる検証と無償の世界的解放、ザ・シードの正体とVR世界の新生、および新たな世界の創生と繋がりの各点から解説する。

茅場晶彦から託された「世界の種子(ザ・シード)」

仮想世界ALOの深奥で、須郷伸之を打ち倒してアスナを救出したキリトの前に、かつて現実世界で死亡したはずの茅場晶彦の意識の残像が現れた。

・茅場はアインクラッド崩壊の際、長野県の山荘にて自らの大脳に超高出力のスキャニングを行い、脳を焼き切って死亡していた。
・しかし、自らの記憶と思考をデジタルコードとしてネットワーク上に残すことに成功していた。
・彼はゲームをクリアしたキリトを祝福し、微弱な光が瞬く卵型のプログラム結晶ザ・シードを手渡しながら、憎しみ以外の感情を残しているのなら、どうするかは君に託すと言い残してネットワークの奥へと旅立っていった。

和人の葛藤と解放への決断

現実世界へ戻った和人は、茅場の開発助手でありかつて彼を殺そうとして果たせなかった神代凜子と東京駅近くの喫茶店で会い、茅場の壮絶な最期について詳しく聞いた。

・和人にとって、SAOは多くの仲間を殺した憎むべき世界であった。
・しかし同時に、生と死が存在したあの世界を深く愛し、そこで過ごした時間や絆を本物の現実だと信じる想いが、自らの心の奥底に眠っていることも否定できなかった。
・和人は、茅場の狂気的な夢想の果てに生まれたその種子から何が芽吹くのかを自らの眼で確かめてみたいと考え、ザ・シードを解放する決意を固めた。

エギルによる検証と無償の世界的解放

和人は、自室のナーヴギアのローカルメモリに保存されていたザ・シードの巨大なファイルを、現実世界で喫茶店ダイシー・カフェを経営するかつての戦友エギル(アンドリュー・ギルバート・ミルズ)の元に持ち込んだ。

・エギルは自身の持つネットワークのコネクションを駆使してこのプログラムに危険性がないかを徹底的に検証した。
・そしていかなる危険も存在しないことを確認したうえで、全世界のサーバーにアップロードし、個人や企業を問わず誰もが無償でダウンロードできるよう完全に解放した。

「ザ・シード」の正体とVR世界の新生

ザ・シードの正体は、SAO世界を自律制御していたカーディナル・システムを、小規模なサーバーでも稼動できるようにダウンサイジングした、VRワールド開発・制御用の無料プログラム・パッケージ(エンジン)であった。

・当時、フルダイブ型ゲームの開発には巨額のライセンス料や莫大な開発費用がかかるため、大手企業以外の参入は困難であった。
・さらに須郷が引き起こした非人道的な人体実験事件(旧SAOプレイヤー300人の拉致監禁)の影響で、レクトプログレス社は解散に追い込まれ、VRMMOというジャンル全体が強烈な社会的批判にさらされて衰退・消滅の危機に瀕していた。
・しかし、この完全フリーのザ・シードが解き放たれたことで状況は一変する。
・ライセンス料を支払う資金力のない小規模な企業や個人が次々と名乗りを上げ、数百におよぶ新たなVRサーバーが次々と誕生・稼動し始めた。

新たな世界の創生と繋がり

ザ・シードの解放は、単に数多くの仮想世界を生み出しただけではなかった。

・異なるVR世界同士が相互に接続され、あるゲームで育てたキャラクターデータを別の世界へコンバートして行き来できる仕組みすら構築されていった。
・さらに、VR技術の用途はゲームの枠を超え、教育、観光、コミュニケーションなど多様な分野へと広がりを見せるようになる。
・このザ・シードの恩恵によって、消滅するはずだったALOも新たな運営会社に引き継がれてデータごと再生を果たし、シルフやケットシーをはじめとする全妖精の翅に無限の飛翔能力が与えられた。
・そして何より、この再生したALOの夜空には、旧SAOの開発データから再生された浮遊城アインクラッドがふたたび姿を現す。
・キリト、アスナ、リーファをはじめ、アインクラッドやアルヴヘイムで出会ったかけがえのない仲間たちが再び集い、今度こそ第一層から第百層までの完全攻略を目指して、希望に満ちた新しい冒険へと旅立つのであった。

まとめ

ザ・シードの解放とVR世界の新生を巡る一連の全貌は、茅場晶彦からのプログラム託与から始まり、和人の葛藤と解放への意思決定、エギルによる危険性検証と世界的フリー配布、技術の民主化によるVR界隈の衰退回避、そしてアインクラッドの再生と新たな冒険への旅立ちに至るまで、その歩みを明瞭に示している。
業界の停滞や負の遺産という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を自らの選択と確固たる意志によって完璧に確立するに至る、仮想世界の新生と人類の選択の記録である。
狂気の遺産から、葛藤の昇華、技術の解放、世界の爆発的拡大、そして真の希望の獲得へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。

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登場キャラクター

総務省総合通信基盤局高度通信網振興課第二別室(仮想課)

菊岡誠二郎

国家公務員のキャリア組である。彼は国側のエージェントを務めている。キリトにVR世界の情報提供を求めた。
・所属組織、地位や役職
 総務省総合通信基盤局高度通信網振興課第二別室。
・物語内での具体的な行動や成果
 銀座の喫茶店でキリトに会い、GGO内の変死事件の調査を依頼した。和人にALOのプレイ用ソフトを提供した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ALO内ではメイジのアバターを使用する。

SAO生還者(サバイバー)

キリト(桐ヶ谷和人)

SAOをクリアに導いた生還者である。彼はアスナを深く愛している。菊岡の依頼を受け、現実世界へ干渉する事件の調査を決意した。
・所属組織、地位や役職
 SAO生還者。
・物語内での具体的な行動や成果
 調査のためにGGOへダイブした。ゲーム内では少女のような容姿のアバターとなった。BoB予選で死銃に遭遇し、自身の過去のトラウマに直面した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 かつての討伐戦で2人のプレイヤーを斬り殺した。

アスナ(結城明日奈)

和人が深く愛する少女である。彼女はSAOの生還者だ。和人の精神的な支えとなっている。
・所属組織、地位や役職
 SAO生還者。
・物語内での具体的な行動や成果
 現実世界の皇居の近くで和人と会った。和人がALOからコンバートすることを聞いて驚いた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 和人は彼女を危険に巻き込まないよう、調査目的を秘密にしていた。

攻略組・討伐部隊

SAOの最前線で戦ったプレイヤーたちである。彼らはデスゲームの攻略を目指していた。
・所属組織、地位や役職
 SAO攻略組、討伐部隊。
・物語内での具体的な行動や成果
 殺人ギルドである《笑う棺桶》のアジトを特定して急襲した。激しい殺し合いを繰り広げた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 討伐戦において11名の死者を出した。

殺人ギルド《笑う棺桶(ラフィン・コフィン)》

死銃(デス・ガン)

GGO内でトッププレイヤーを狙撃する謎のアバターである。彼はボロボロのマントを羽織っている。強者のみを狙うことにこだわっている。
・所属組織、地位や役職
 《笑う棺桶》の生存者。
・物語内での具体的な行動や成果
 ゲーム内でゼクシードや薄塩たらこを狙撃した。BoB予選後にキリトへ接触した。彼が本物のキリトであるか問い詰めた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 現実世界に暗殺行為を分担する共犯者が存在する。

殺人ギルド《笑う棺桶(ラフィン・コフィン)》

SAOにおいてプレイヤーを殺害していた犯罪者ギルドである。首領のPOHがメンバーを生存者へと導いた。
・所属組織、地位や役職
 SAO犯罪者ギルド。
・物語内での具体的な行動や成果
 システム上の死が現実の死を意味する設定を利用してプレイヤーを殺害した。討伐隊の急襲に遭い、21名が死亡した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 生存者の12名は黒鉄宮の牢獄へ送られた。メンバーの肌にはタトゥーが刻まれている。

ガンゲイル・オンライン(GGO)

シノン(朝田詩乃)

GGO内で孤高のスナイパーとして活動する少女である。彼女はトラウマを抱えている。自身の強さを確かめるためにGGOへダイブする。
・所属組織、地位や役職
 GGOプレイヤー。
・物語内での具体的な行動や成果
 不慣れなGGO内を彷徨うキリトに手を差し伸べた。長大な対物狙撃銃である《ヘカートII》を愛用する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 現実では強盗殺傷事件の恐怖から銃器に対して発作を起こす。

ゼクシード(茂村保)

GGOのトッププレイヤーである。
・所属組織、地位や役職
 GGO最強者決定イベント優勝者。
・物語内での具体的な行動や成果
 ネット番組に出演中、死銃に銃撃された。その後、現実世界において急性心不全で死亡した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ステータスはSTRとVITのバランスタイプである。

闇風

GGOの有力プレイヤーである。
・所属組織、地位や役職
 前回のBoBの2位。
・物語内での具体的な行動や成果
 前回の大会で準優勝を果たした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ステータスはAGI一極型に該当する。

餓丸

GGOのプレイヤーである。
・所属組織、地位や役職
 GGOプレイヤー。
・物語内での具体的な行動や成果
 BoB予選の2回戦でキリトと対戦した。彼に敗北した。

スティンガー

GGOのプレイヤーである。
・所属組織、地位や役職
 GGOプレイヤー。
・物語内での具体的な行動や成果
 BoB予選でシノンと対戦した。4輪の装甲車両に乗り込み突撃した。シノンの狙撃によって撃破された。

シュピーゲル(新川恭二)

朝田詩乃の唯一の理解者である。彼は現実世界で詩乃をGGOへ誘った。キリトに対して強い警戒心を抱く。
・所属組織、地位や役職
 GGOプレイヤー。
・物語内での具体的な行動や成果
 BoB予選の待機所でシノンの隣に腰掛けた。シノンと親しく話すキリトを睨みつけた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ゲーム内ではAGI型のアバターを使用する。現実世界ではサッカー部でのいじめに遭っていた。

ダインのスコードロン

ダイン

対人スコードロンのリーダーである。彼は大柄な体躯を持つ。安全に勝てる相手だけを狙う戦術を好む。
・所属組織、地位や役職
 ダインのスコードロン・リーダー。
・物語内での具体的な行動や成果
 荒野でMob狩りパーティーを待ち伏せする作戦を立案した。不利になると自暴自棄になり、ログアウトを提案した。シノンに襟首を掴まれて叱咤された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 前回のBoBで18位に入った実績を持つ。

ギンロウ

ダインのスコードロンに所属する前衛プレイヤーである。
・所属組織、地位や役職
 ダインのスコードロン・メンバー。
・物語内での具体的な行動や成果
 シノンに対して親しげに話しかけた。彼女から現実世界の個人情報を聞き出そうとした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 アバターはAGI型である。

ダインのスコードロン

対人メインを自称するGGOのプレイヤー集団である。
・所属組織、地位や役職
 スコードロン。
・物語内での具体的な行動や成果
 確実に勝てる相手だけを待ち伏せする戦法をとっていた。ミニガン使いのベヒモスたちに急襲され、壊滅的な損害を出した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 安全第一な集団と称される。

標的のスコードロン(ベヒモス護衛対象)

ベヒモス

集団戦で無敵と称された強力なプレイヤーである。
・所属組織、地位や役職
 標的のスコードロン。
・物語内での具体的な行動や成果
 実弾系軽機関銃《FN・MINIMI》を使用する。シノンの狙撃によってゴーグルを破壊された。不敵な笑みを浮かべて反撃した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 どのような窮地でも冷静さを保つ精神の強さを持つ。

標的のスコードロン

GGOで活動するスコードロンである。
・所属組織、地位や役職
 スコードロン。
・物語内での具体的な行動や成果
 ベヒモスを護衛対象として擁していた。荒野を移動中にダインのスコードロンを急襲した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 メンバーは光学銃や支援火器を装備している。

都立病院

安岐

和人のリハビリを担当した女性看護師である。
・所属組織、地位や役職
 都立病院・看護師。
・物語内での具体的な行動や成果
 和人がダイブする間のモニターチェックを担当した。病室で彼の安全措置を行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ナースキャップの下の長い髪を三つ編みにしている。

都立高校

遠藤

朝田詩乃と同じ都立高校に通う女子生徒である。
・所属組織、地位や役職
 都立高校・生徒。
・物語内での具体的な行動や成果
 詩乃に対して陰湿な嫌がらせを仕掛けた。

遠藤たちのグループ

朝田詩乃を孤立させていた女子生徒の集団である。
・所属組織、地位や役職
 都立高校。
・物語内での具体的な行動や成果
 詩乃の強盗殺傷事件のトラウマを刺激する嫌がらせを行った。彼女に対して指で銃の形を作り嘲笑した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 詩乃を「殺人者」として扱っていた。

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展開まとめ

(タイムライン)

プロローグ:【死銃】

  • 【酒場でのゼクシードの語りとブーイング】 / 【デス・ガンの出現とテレビ画面への銃撃】
  • 【ゼクシードの回線切断と死銃の宣言】

第1章:【菊岡誠二郎の依頼】

  • 【銀座の喫茶店でのキリトと菊岡の密会】 / 【VRMMO関連犯罪の増加と心理的影響】
  • 【ゼクシードと薄塩たらこの変死事件】 / 【アミュスフィアの仕様と死銃の謎】
  • 【GGOへのダイブと死銃調査の依頼受諾】

第2章:【皇居デートとコンバートの告白】

  • 【皇居東御苑での和人と明日奈の散策】 / 【現実と仮想世界の境界と情報量の多寡】
  • 【ユイとの未来への願いとアインクラッドの記憶】 / 【和人からの他ゲームへのコンバートの予告】

第3章:【荒野の狙撃手】

  • 【シノンたちのスコードロンによる待ち伏せ】 / 【対物狙撃銃ヘカートIIの入手経緯】
  • 【ミニガンを装備した用心棒ベヒモスの出現】 / 【全滅の危機とシノンの決死の突撃】
  • 【空中からの至近距離射撃とベヒモスの撃破】

第4章:【朝田詩乃のトラウマ】

  • 【放課後の路地裏での女子生徒たちによる脅迫】 / 【新川恭二による救出と喫茶店での会話】
  • 【5年前の郵便局強盗事件と消えない傷】 / 【モデルガンへの恐怖とGGOへのダイブ】

第5章:【死銃の執着】

  • 【死銃情報まとめサイトの監視と世間の反応】 / 【第三回BoB本大会での犯行計画】
  • 【ターゲットリストとシノンへの歪んだ執着】

第6章:【SBCグロッケンと予選開幕】

  • 【更衣室での性別発覚とシノンの激怒】 / 【予選1回戦の転送と光剣による銃弾防御】
  • 【都立病院からのダイブと女性風アバターの出現】 / 【SBCグロッケンでのシノンとの出会い】
  • 【弾避けゲームのクリアと光剣・銃の購入】 / 【レンタバギーでの激走とBoB予選エントリー】

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