物語の概要
■ 作品概要
本作は、仮想現実空間を舞台としたフルダイブ型VRMMOファンタジーを描くライトノベルである。 死のデスゲーム《ソードアート・オンライン》(SAO)をクリアし、現実世界へ帰還した主人公の桐ヶ谷和人(キリト)であったが、愛するアスナを含む約300人のプレイヤーは目を覚まさず、依然として仮想世界に囚われたままであった。ある日、新たなVRMMO《アルヴヘイム・オンライン》(ALO)の中心にそびえる「世界樹」の高所に、アスナに似た少女が幽閉されているという情報を得る。キリトはアスナを自らの手で救い出すため、妖精たちが自由に空を飛翔する未知の仮想世界《ALO》へとダイブする。
■ 主要キャラクター
キリト(桐ヶ谷和人):SAOをクリアに導いたかつての英雄である。現実世界では衰弱した身体のリハビリに励みつつ、愛するアスナを救うためにスプリガンの剣士としてALOへ飛び込む。
リーファ(桐ヶ谷直葉):和人の従妹であり、現実世界では剣道に打ち込む少女である。兄の世界を理解するためにALOを始め、シルフ族の魔法剣士として活躍している。偶然キリトと出会い、彼を世界樹へ案内するパートナーとなる。
アスナ(結城明日奈):キリトが深く愛する少女である。現実世界では昏睡状態のままであり、ALO内では妖精王の妃《ティターニア》として世界樹の鳥籠に幽閉されている。
ユイ:SAOのシステムから生まれ、キリトとアスナを親として慕うAIの少女である。ALOでは小妖精のナビゲーション・ピクシーとして復活し、キリトの探索をサポートする。
オベイロン(須郷伸之):総合電子機器メーカー「レクト」の研究主任である。アスナの父の腹心として結城家への入り込みを企むと同時に、ALOを利用して未帰還者たちを対象とした違法な人体実験を行っている冷酷な野心家である。
レコン(長田慎一):直葉の同級生であり、彼女にALOを勧めたシルフの少年プレイヤーである。直葉に好意を寄せており、シルフ領内での陰謀を察知して彼女に警告を送る。
■ 物語の特徴
本作の最大の魅力は、自らの翼で空を自由に飛翔するという《アルヴヘイム・オンライン》ならではの開放感と、それを活かした立体的な空中戦闘アクションである。前作の「ゲーム内での死が現実の死に直結する」というデスゲームの緊迫感から一転し、期限の迫る中で愛する者を奪還するというサスペンスと救出劇が物語の主軸となっている。 また、現実世界における兄(従兄)の和人への複雑な思慕と、仮想世界で出会った少年キリト(その正体が和人であるとは知らない)への惹かれる気持ちの間で引き裂かれる、直葉(リーファ)の痛ましくも繊細な心理葛藤が深いドラマ性を生み出している。
書籍情報
ソードアート・オンライン3 フェアリィ・ダンス
著者:川原 礫 氏
イラスト:abec 氏
出版社:KADOKAWA(電撃文庫)
発売日:2009年12月10日
ISBN:9784048681933
(PR)よろしければ上のサイトから購入して頂けると幸いです。
あらすじ・内容
禁断のデスバトルMMO『ソードアート・オンライン』から現実世界に戻ってきたキリト。彼は攻略パートナーであり、想い人でもあるアスナのもとに向かう。 しかし、結城明日奈は、あの悪夢のゲームからまだ帰還していなかった。 困惑と絶望に包まれるキリト。唯一の手がかりは、鳥籠の中に佇む≪妖精姿≫のアスナという謎の画像データのみ。どうやら彼女は、高スペックVRMMO≪アルヴヘイム・オンライン≫に囚われているらしい。 キリトはアスナを救うため、飛翔する妖精プレイヤーたちが交錯する≪ALO≫に飛び込んでいく……!! WEB上でも屈指の人気を誇った『フェアリィ・ダンス』編、スタート!!
感想
本巻を読んで最初に感じたのは、『ソードアート・オンライン』が今から十年以上前に発表された作品だという驚きである。
私はアニメで物語の流れをある程度知っていたが、原作を読むことで、登場人物の心情や細かな設定を改めて理解できた。
特に感慨深かったのは、ウェブ版から作品を追いかけていた友人が、昔熱心に語っていた会話の意味が今になって分かったことである。
当時は何の話をしているのか十分に理解できなかった。
しかし実際に原作を読むと、「なるほど、この場面のことだったのか」と腑に落ちる部分が多かった。
長く続いている作品を後から読むからこそ、昔の記憶と現在の読書体験がつながる。
そんな不思議な面白さも感じられた一冊だった。
死のゲームから妖精の国へ
本巻では、物語の舞台が浮遊城アインクラッドから《アルヴヘイム・オンライン》へ移る。
ALOは、妖精となったプレイヤーたちが大空を飛び回るVRMMOである。
前巻までのSAOでは、ゲーム内で死亡するとナーヴギアによって現実の脳も破壊される。
ログアウトもできず、一度の敗北が本当の死へ直結する極限状態だった。
その緊張感は作品の大きな魅力だったが、読んでいる側も常に登場人物の死を意識させられる。
一方、ALOではHPが尽きても現実で命を失うことはない。
ログアウトすることもできる。
キリト自身も森へ落下した直後、メニューの中にログアウトボタンがあることを確認して安堵している。
この違いは非常に大きかった。
戦闘で負けても、復活して再挑戦できる。
デスゲームではなく、普通のオンラインゲームとして冒険を楽しめる。
前巻までの重苦しさから少し解放され、純粋なファンタジー世界として安心して読めるようになった。
ただし、キリトがALOへ入った目的は遊びではない。
現実世界へ帰還できなかったアスナを救うためである。
ゲームのルールは軽くなったが、キリトが背負っているものは決して軽くなっていなかった。
現実へ戻っても終わらなかった戦い
キリトはSAOをクリアし、現実世界へ戻ることができた。
二年間眠り続けた肉体は弱っているものの、家族と再会し、普通の生活を取り戻し始めている。
本来なら、これで物語は幸福な結末を迎えてもよかったはずである。
しかし、アスナを含む約三百人のプレイヤーは目を覚まさなかった。
キリトは現実へ戻ってきたのに、最も大切な人だけが仮想世界に取り残されている。
第二十二層の森の家でアスナと暮らす夢から目覚め、彼女がいない現実に涙を流すキリトの姿が印象に残った。
SAOでは、多くの敵やボスへ立ち向かう力があった。
剣を握れば、目の前の問題を自分で切り開くことができた。
しかし現実のキリトは、眠り続けるアスナの手を握り、呼びかけることしかできない。
どれほど強い剣士でも、現実世界では無力である。
キリトが「何もできない」と泣く場面からは、力を持っていた世界から突然放り出された苦しさが伝わってきた。
アスナの昏睡を利用する須郷伸之
アスナが眠る病室で、キリトは須郷伸之と出会う。
須郷はアスナの父親から信頼され、レクトのフルダイブ技術研究部門を任されている人物だった。
表面上は礼儀正しく、人当たりのよい青年に見える。
しかし、アスナの父親が病室から去った途端、その本性を現す。
須郷は、眠っているアスナとの結婚を進めていた。
アスナ本人が意思を示せない状況を都合がよいと考え、彼女の生命を維持している立場を自分の権利のように語る。
さらにキリトへ、今後アスナや結城家へ近づかないよう命令する。
眠っている人間を、自分の立場や欲望のために利用する。
その卑劣さには強い嫌悪を覚えた。
キリトが剣を欲しいと思うのも無理はない。
SAOの中であれば、須郷へ剣を向けることができたかもしれない。
しかし現実では、キリトは未成年の少年であり、須郷は大企業で責任ある立場にいる大人である。
社会的な力の差を前に、何もできず立ち尽くすしかない。
ゲームでは最強クラスだったキリトが、現実の権力に押しつぶされる姿は苦しかった。
弱さを見せたキリトと、それを支えた直葉
須郷の言葉に打ちのめされたキリトを支えたのが、妹の直葉だった。
正確には、和人と直葉は実の兄妹ではなく従兄妹である。
直葉はSAO事件の後にその事実を知らされ、和人との関係をどのように受け止めればよいのか迷っている。
幼い頃は仲のよい兄妹だった。
しかし和人が剣道を辞めてコンピュータへ没頭するようになると、二人の距離は少しずつ離れていった。
和人がSAOに囚われてから、直葉はもっと話しておけばよかったと後悔する。
そして和人が帰還すると、失われた時間を取り戻すように、二人は再び会話を交わすようになる。
和人が直葉と剣道の試合をする場面も印象的だった。
現実の剣道経験はほとんど残っていないはずなのに、SAOで身につけた剣の動きによって、直葉の攻撃を次々とかわしていく。
最後は本格的に剣道を続けてきた直葉に敗れるものの、仮想世界で過ごした二年間が和人の身体感覚に残っていることが伝わる場面だった。
その後、アスナを失う恐怖に耐えられなくなった和人は、直葉の前で涙を流す。
直葉は、好きになった人を簡単に諦めてはいけないと励ます。
しかしその言葉は、和人だけではなく直葉自身の心にも刺さってしまう。
直葉もまた、和人への想いを自覚していたからである。
好きな人に、別の人を諦めるなと伝える。
直葉にとっては、非常に苦しい励ましだったと思う。
それでも和人が立ち直ることを優先する姿には、強く胸を打たれた。
鳥籠の少女が与えた希望
絶望していたキリトのもとへ、エギルから一枚の写真が送られてくる。
そこには、黄金の鳥籠の中で白いドレスを着た女性が写っていた。
顔は不鮮明だが、その姿はアスナによく似ている。
写真が撮影された場所は、ALOの中心にそびえる世界樹の上だった。
ALOの運営会社がレクトの子会社であることも判明する。
アスナの生命維持とSAOサーバーを管理しているのは、須郷の部署である。
その須郷と関係する企業が運営する仮想世界で、アスナに似た少女が目撃された。
偶然だと考えるには、あまりにも不自然だった。
確かな証拠はない。
警察へ相談しても、すぐに動いてもらえるような情報ではない。
だからキリトは、自分の目で確かめることを選ぶ。
死のゲームから生還したばかりなのに、再びナーヴギアを装着する。
普通なら、二度と仮想世界へ入りたくないと思ってもおかしくない。
しかしアスナがそこにいる可能性が少しでもあるなら、キリトは迷わない。
恐怖がないのではなく、恐怖よりもアスナを助けたい気持ちの方が強い。
その決断に、キリトの愛情と執念を感じた。
再びキリトとして剣を握る
ALOへ入った和人は、再び《キリト》という名前を選ぶ。
種族は、黒い装備を持つスプリガンである。
ゲーム開始直後に異常が起き、本来の開始地点ではない森へ落下するが、そこで驚くべき事実が判明する。
キリトのステータスには、SAO時代に鍛えたスキル熟練度が残されていた。
片手剣や体術、武器防御などが非常に高い数値になっている。
ALOがSAOの基幹システムを流用していたため、キリトの旧データが誤って引き継がれたのである。
ゲームを始めたばかりなのに、剣士としての技量は最高水準に近い。
少し都合がよすぎるようにも見えるが、キリトが二年間を生き延びた証でもある。
SAOで積み重ねた経験が消えず、新しい世界でも力になる。
苦しみながら生き抜いた時間が無駄ではなかったと感じられる展開だった。
ユイとの再会
キリトの所持品欄には、文字化けしたSAO時代のアイテムも残っていた。
その中から見つけたのが、《MHCP001》というデータである。
キリトがそれを実体化すると、光の中からユイが現れる。
ユイはSAOでキリトとアスナが出会い、娘として迎えた少女だった。
姿の変わったキリトを見ても、すぐに父親だと認識する。
「また、会えましたね、パパ」と語り、キリトへ抱きつく場面には胸が熱くなった。
キリトがアスナを失ったままなのは変わらない。
それでもユイとの再会によって、失ったと思っていた家族の一人を取り戻すことができた。
奇跡は本当に起きる。
ならばアスナとも、もう一度会えるかもしれない。
キリトが初めて確かな希望を持つ場面でもあった。
ユイはALOのシステムを分析し、ナビゲーション・ピクシーとしてキリトを支える。
戦闘能力を持つ仲間ではないが、地図やプレイヤー情報を確認し、危険を察知する。
キリトが再び一人で戦うのではなく、娘と一緒に母親を助けに向かう構図がよかった。
大空を飛ぶALOの魅力
ALO最大の特徴は、妖精の羽根を使って空を飛べることである。
プレイヤーは補助コントローラを使うこともできるが、慣れれば自分の意思だけで羽根を動かせる。
リーファはこの《随意飛行》を身につけており、自由に空を飛ぶ感覚を心から愛している。
空へ飛び出した瞬間の解放感。
風が頬を叩く感覚。
広い世界を上空から見下ろす喜び。
死と隣り合わせだったアインクラッドとは異なる、新しい仮想世界の魅力が伝わってきた。
現実では人間に羽根はない。
どれだけ努力しても、自分の身体だけで空を飛ぶことはできない。
しかし仮想世界なら、人類が長く憧れてきた夢を体験できる。
VRゲームだからこそ実現できる遊びとして、非常に分かりやすく魅力的だった。
キリトも最初は飛行に苦戦する。
操作を誤って空中を暴走し、着陸にも失敗する。
それでも感覚をつかむと、短時間でリーファについていけるほど上達する。
剣だけではなく、身体感覚そのものを使いこなす能力の高さに驚かされた。
二人が並んで大空を飛ぶ場面には、前巻までとは違う爽やかさがあった。
正体を知らずに出会うキリトとリーファ
森へ落下したキリトは、サラマンダーに襲われていたリーファを助ける。
キリトは圧倒的な反応速度と剣技で敵を倒し、リーファを救う。
その後、リーファはキリトへ飛び方を教え、世界樹まで案内することになる。
しかしリーファの正体は、現実世界の直葉である。
キリトもリーファも、互いが兄妹であることを知らない。
読者だけが真実を知っているため、二人が距離を縮めるほど複雑な気持ちになる。
直葉は現実世界で和人への想いに悩んでいる。
その気持ちを諦めようとして、仮想世界へ逃げるように入る。
ところがそこで出会ったキリトにも、次第に強く惹かれていく。
兄とは別の相手だと思っているが、実際には同一人物である。
逃げたはずの感情が、別の姿を通して再び自分へ戻ってくる。
非常にもどかしく、切ない関係だった。
兄の世界を知ろうとした直葉
直葉がALOを始めたきっかけには、和人の存在がある。
幼い頃からコンピュータやネットゲームを好んでいた和人を、直葉は十分に理解できなかった。
仮想世界で別の姿を使い、知らない人と交流することにも違和感を持っていた。
しかし和人がSAOに囚われたことで、彼が何を見ていたのか知りたいと思うようになる。
その結果、直葉自身もALOの空に魅了されていく。
最初は兄を理解するために始めたものが、いつの間にか自分にとって大切な居場所になる。
これは趣味を始める時にもよくあることだと感じた。
誰かの影響で触れたものでも、続けるうちに自分だけの楽しさを見つけることがある。
直葉にとってALOは、現実の剣道とは異なるもう一つの世界だった。
飛ぶことが好きで、仲間と冒険することも楽しい。
だからこそ、シグルドから所有物のように扱われることへ強い反発を覚える。
仮想世界であっても、誰と行動するかは自分で決めたい。
リーファがキリトを新しいパートナーだと宣言し、シルフ領を離れる決断をする場面には、彼女の成長を感じた。
鳥籠に囚われても諦めないアスナ
世界樹の上では、アスナが黄金の鳥籠に閉じ込められている。
ALOの中で彼女は《ティターニア》と呼ばれ、須郷は《妖精王オベイロン》を名乗っている。
須郷はアスナを自分の伴侶にしようとするだけではない。
SAOから解放されるはずだった約三百人をALOへ拉致し、記憶や感情を操作する人体実験に利用している。
成果を海外企業へ売り、結城家とレクトまで手に入れようとしている。
想像していた以上に大きく、悪質な計画だった。
しかしアスナは、ただ救出を待っているだけではない。
須郷が鳥籠へ入るために入力した暗証番号を、鏡の反射から読み取る。
悲しみに沈んだふりをしながら相手を観察し、脱出の機会を探している。
キリトが生きていると知ったことで、希望を取り戻す。
そして自分も動かなければならないと決意する。
助けられるだけのヒロインではなく、自分の力で状況を変えようとするところがアスナらしかった。
巻末では鳥籠の扉を開き、自ら外へ踏み出す。
キリトが世界樹を目指している一方で、アスナもキリトのもとへ帰ろうとしている。
二人が互いに近づいていく構成に、次巻への期待が高まった。
ゲームでも守るべきものは変わらない
世界樹へ向かう途中、リーファはシルフ領主サクヤとケットシー領主アリシャ・ルーの会談が、サラマンダー軍に襲われようとしていることを知る。
シグルドが敵と内通し、領主を売ろうとしていたのである。
リーファはキリトとの旅を中断し、仲間を助けようとする。
それに対してキリトは、仮想世界であっても守るべき信頼や絆は現実と変わらないと語る。
この言葉が印象に残った。
SAOの経験から、キリトは仮想世界で交わした約束を偽物だとは考えていない。
ゲームの中であっても、人が感じる喜びや悲しみは本物である。
助けられたことも、裏切られたことも、すべて現実の記憶として残る。
だから、仲間が危険なら助けに行く。
キリトにとって仮想世界は、単なる作り物ではない。
そこへいる人間の心が本物である限り、世界もまた本物なのだと思う。
サラマンダーの猛将ユージーン
会談を襲おうとするサラマンダー軍の前へ、キリトは一人で飛び出す。
そして自分をスプリガンとウンディーネの同盟大使だと偽り、会談を襲えば全面戦争になると宣言する。
あまりにも大胆なはったりである。
しかし堂々と言い切ることで、サラマンダー軍の動きを止める。
その真偽を確かめるために前へ出たのが、サラマンダー最強の戦士ユージーンだった。
ユージーンは《魔剣グラム》を持っている。
グラムは相手の武器による防御をすり抜け、本体へ攻撃を届かせる特殊能力を持つ。
剣技では互角でも、武器性能の差によってキリトは追い詰められる。
これまでSAO時代の経験によって多くの敵を圧倒してきたキリトが、真正面から苦戦する。
だからこそ、一騎打ちには緊張感があった。
ALOで蘇る二刀流
追い詰められたキリトは、幻惑魔法で姿を消す。
そしてリーファの長刀を借り、上空から二本の剣を構えて急降下する。
黒い大剣とリーファの長刀。
SAOでキリトを象徴していた二刀流が、新しい世界でも再び現れる。
ALOにはSAOのようなソードスキルは存在しない。
二刀流スキルも引き継がれていない。
それでもキリトの身体には、二本の剣を扱ってきた経験が残っている。
システムに与えられた技ではなく、自分の意思と技量によって二刀流を再現する。
その展開が非常に熱かった。
高速の連続攻撃によってユージーンを圧倒し、魔剣グラムの能力を破る。
戦いを見ていたシルフやケットシーだけでなく、敵であるサラマンダー軍まで歓声を上げる。
倒されたユージーンもキリトの強さを認め、軍を撤退させる。
敵味方を超えて、強者同士が互いを認め合う。
本巻の中でも、特に爽快感のある場面だった。
安心して読める冒険の中にある切なさ
『ソードアート・オンライン3 フェアリィ・ダンス』は、前巻までとは違う魅力を持つ一冊だった。
ゲーム内の死が現実の死につながらないため、戦闘そのものは以前より安心して読める。
空を飛び、魔法を使い、異なる妖精種族が争う世界には、純粋なファンタジー冒険としての楽しさがある。
キリトが飛行を覚え、リーファと並んで空を駆ける場面も爽快だった。
しかし物語の根底には、アスナを救えないキリトの苦しみと、和人を好きになってしまった直葉の葛藤がある。
キリトはアスナだけを見ている。
直葉はそれを知りながら、和人を支えようとする。
さらにALOでは、正体を知らないままキリトへ惹かれていく。
仮想世界では新しい出会いのように見えるのに、現実では逃げられない感情が重なっている。
楽しい冒険の裏側にある切なさが、本巻の大きな魅力だった。
アスナを取り戻すための新しい旅
本巻のキリトは、SAO時代のように世界全体を救おうとしているわけではない。
目的は一つだけである。
アスナを取り戻すこと。
眠り続けるアスナを奪おうとする須郷への怒り。
現実では何もできなかった無力感。
それでも可能性を見つけた瞬間、再び仮想世界へ飛び込む強さ。
その一途な姿が印象に残った。
同時に、アスナも鳥籠から脱出しようとしている。
キリトだけが一方的に助けに向かっているのではない。
二人とも互いに再会するため、自分にできることを始めている。
キリトはリーファやユイという新しい仲間と共に世界樹を目指す。
リーファはキリトの正体を知らない。
キリトもまた、彼女が直葉だとは気づいていない。
この事実が明らかになった時、二人の関係がどう変化するのか。
鳥籠から出たアスナは、須郷の実験施設から逃げられるのか。
キリトは世界樹のガーディアンを突破し、アスナへたどり着けるのか。
死の恐怖から解放された新しい世界で、それでも命より大切なものを取り戻すための戦いが始まる。
空を飛ぶ爽快な冒険と、登場人物たちの切ない想いが重なった、フェアリィ・ダンス編の幕開けにふさわしい一冊だった。
最後までお読み頂きありがとうございます。
(PR)よろしければ上のサイトから購入して頂けると幸いです。
考察・解説
桐ヶ谷和人の帰還
桐ヶ谷和人の現実世界への帰還と新たな戦いの幕開け
『ソードアート・オンライン』において、デスゲームをクリアした桐ヶ谷和人(キリト)の現実世界への「帰還」は、物語の終わりではなく、彼自身の肉体的・精神的な葛藤と、愛する者を取り戻すための新たな戦いの幕開けとして描かれている。目覚めた直後の衰弱した肉体、現実でのリハビリと仮想世界の残滓、妹である直葉との関係変化、アスナの未帰還がもたらした絶望、そして新たな仮想世界への旅立ちについての解説は以下の通りである。
二年間の昏睡による病的痩せ細りと、アスナを捜し出すための病室からの歩み
SAOをクリアした和人は、現実世界の病室で目を覚まし、過酷な現実の重みと対峙することとなった。
・そこには消毒薬や花の匂いといった圧倒的な現実感があり、仮想世界との違いを肌で実感した。
・二年間の昏睡によって彼の肉体は病的に痩せ細り、筋肉は完全に衰えきっていた。
・それでも彼は、ゲーム内で愛し合ったアスナ(結城明日奈)を探し出すため、立ち上がることを決意した。
・点滴の支柱を杖代わりにして、弱り切った足で病室の扉へ向けて歩き出した。
生身の肉体とのギャップと、妹直葉との剣道試合で見せた独自の型破りな構え
退院後、和人はジムでのリハビリに励み、かつての体格をほぼ取り戻しつつあったが、特異な感覚のズレに悩まされていた。
・仮想世界での超人的な動きに慣れきっていたため、生身の肉体とのギャップを強く感じていた。
・妹の直葉との剣道の試合では、極端に腰を落として剣を床すれすれに構えるSAO独自の型破りな構えを見せた。
・システムアシストなしでのソードスキルの再現を試みるなど、かつての戦闘経験が現実の身体にも深く刻み込まれていた。
・これにより、彼がいかに長い時間を仮想世界で過ごし、その感覚に支配されていたかが描写された。
コンピュータ没頭から明るく優しい少年への変化と、妹の恋心および届かぬ想い
帰還後の和人は、かつてコンピュータに没頭して家族を避けていた頃とは見違えるように明るく優しい少年に変化していた。
・直葉との間にあった距離を自然に縮め、妹を思いやる様子を見せるようになった。
・直葉はそんな和人の変化に強く惹かれていくこととなった。
・しかし同時に、彼が仮想世界で愛したアスナのためだけに心を砕き、人知れず涙を流す姿を目撃した。
・和人の心が自分には向いていないことを痛感し、兄妹の関係性に新たな切なさが加わることとなった。
約300人のプレイヤーの昏睡状態と、須郷伸之による結婚脅迫がもたらした涙の崩壊
和人の最大の苦悩は、自分が帰還した後もアスナを含む約300人のプレイヤーが目を覚まさないという冷酷な現実であった。
・アスナは未だに仮想世界に囚われたままになっており、和人は彼女が眠る病院へ頻繁に通い、目覚めを祈り続けた。
・しかし、アスナの父が経営する企業レクトの社員・須郷伸之から、最悪の事実を告げられる。
・アスナの昏睡状態を利用して彼女と結婚し、自らの目的のために命を掌握していると脅迫された。
・愛する人を前に何もできない現実世界での己の無力さと理不尽さに、和人は激しい絶望を覚え、直葉の前で涙を流して崩れ落ちた。
好きな人を諦めない言葉による救いと、アルヴヘイム・オンラインへの再ダイブ決意
絶望に沈む和人であったが、周囲の支えと新たな手がかりによって再び立ち上がる活力を得る。
・直葉の「好きな人のことを簡単に諦めないで」という言葉に救われ、アスナを助け出す意思を再び固めた。
・旧友エギルから、新たなVRMMOであるアルヴヘイム・オンライン(ALO)の世界樹にアスナに似た少女が囚われている画像を見せられた。
・和人はアスナを自らの手で取り戻すため、立ち止まることを拒絶した。
・かつて自分を縛り付けたナーヴギアを再び被り、新たな仮想世界へとダイブする決断を下した。
まとめ
桐ヶ谷和人の現実世界への帰還を巡る一連の顛末は、デスゲームをクリアした英雄としての栄光ではなく、衰弱した肉体の克服や仮想世界の戦闘残滓とのギャップに悩み、さらにアスナの未帰還と須郷伸之による理不尽な結婚脅迫という現実の壁に突き当たって絶望しながらも、直葉の励ましとエギルがもたらした手がかりによって再起し、アスナを救出するためにナーヴギアを再び被ってアルヴヘイム・オンラインの新たな戦場へと赴くことで、理不尽な運命の鎖を打ち破り、自分たちの尊厳と愛する者の平穏な生の主権を完璧に奪還するに至る、仮想と現実を越えた不屈の実存的闘争の記録である。過酷な目覚めから、肉体の再適応、現実の無力さ、そして新たなる仮想世界への跳躍へと繋げたプロセスは、どれほど苛烈な不条理や環境の激変によって生の自由が脅かされようとも、本質を突いた人間の意志と確固たる愛によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。
直葉の葛藤
桐ヶ谷直葉の現実と仮想世界における葛藤
『ソードアート・オンライン』において、桐ヶ谷直葉(リーファ)の葛藤は、現実世界における兄・和人への複雑な思慕と、仮想世界『アルヴヘイム・オンライン(ALO)』で出会った少年・キリトへの惹かれる気持ちの間で引き裂かれる、痛ましくも切実な心理として描かれている。疎遠になった後悔と出生の秘密、現実での感情の芽生えと諦めの決意、和人の世界を知るための仮想世界への旅立ち、そして仮想世界での出会いと揺れ動く心についての解説は以下の通りである。
幼少期のすれ違いに対する激しい悔恨と、従兄妹という血縁の事実による戸惑い
幼い頃の直葉と和人は仲の良い兄妹であったが、和人が剣道を辞めてコンピュータに没頭するようになってからは、二人の間に深い溝ができていた。
・和人がSAO事件に巻き込まれ、意識不明の状態で横たわる姿を見た直葉は、なぜもっと和人の世界を理解し、距離を縮める努力をしなかったのかと激しい悔恨に苛まれた。
・さらに事件からしばらくして、両親から「和人は実の兄ではなく、母の姉の子供(従兄)である」という事実を告げられた。
・直葉は自分だけが真実を知らなかったという疎外感や、兄妹から従兄妹になったことで生じる距離感に深く戸惑うこととなった。
・それでも和人の生存を心から祈る気持ちに変わりはないと思い至り、自らの感情と向き合い続けた。
帰還した和人への淡い恋心の抱擁と、アスナへの執着を前にした想いの封印
SAOから現実世界へ帰還した和人は、以前とは見違えるほど明るく優しくなり、二人は自然に言葉を交わすようになる。
・その変化に触れるうち、直葉の胸の奥には「兄(従兄)のことを好きになってもいいのかもしれない」という新たな感情が芽生え始めた。
・しかし、和人の心はSAOで深く愛し合い、いまだ昏睡状態にあるアスナだけに向いていた。
・アスナを救えない己の無力さに絶望し、直葉の前で涙を流す和人の姿を見て、彼女は和人の心が自分には向いていないことを痛感した。
・直葉は和人を励ましながらも、自分の和人に対する想いを深いところに埋めてしまわなければならないと、苦しい諦めを自らに課した。
長田慎一の勧めによるプレイ開始と、剣道の反射神経を活かしたリーファとしての飛翔
現実世界で募る和人への複雑な想いを抱えながら、直葉は「和人がそれほどまでに愛した仮想世界を自分の目で見てみたい」という動機を抱く。
・同級生である長田慎一(レコン)の勧めで、アルヴヘイム・オンライン(ALO)をプレイし始めた。
・剣道で培った圧倒的な反射神経と、現実の重力から解放されて空を自由に飛翔するシステムに強く魅了された。
・リーファとしてALOの世界を深く愛するようになり、仮想世界での独自の居場所を確立した。
・それは本来、和人との距離を縮め、彼の抱える辛さや楽しさを共有するための切実な手段であった。
スプリガンの少年キリトとの遭遇と、隠しきれない現実の面影への恋心の再燃
そんなALOの世界において、リーファは正体不明のスプリガンの少年「キリト」と運命的な出会いを果たす。
・彼の圧倒的な強さに驚かされるだけでなく、仮想世界の絆や関係性をもう一つの現実として重んじるキリトの真っ直ぐな言葉に触れ、彼女は次第に彼に惹かれていった。
・しかし、キリトへの高鳴る想いは、胸の奥底に隠したはずの和人への思慕と酷く似通ったものであった。
・現実の和人に対する気持ちを抑え込もうとすればするほど、仮想世界でのキリトへの感情が急速に育っていった。
・直葉は、これ以上自分に嘘はつけないという思いと、新しい冒険への期待との間で激しく心が揺れ動くこととなった。
まとめ
桐ヶ谷直葉の葛藤を巡る一連の顛末は、現実の和人への届かぬ想いに区切りをつけようと彼の愛した仮想世界へ旅立ち、リーファとしての自由な飛翔を得ながらも、そこで出会ったキリトという少年に再び惹かれ、現実の和人と仮想のキリトが同一人物であるとは知らぬまま二つの愛情の狭間で自らの本心に苦悩し、しかし不条理な宿命の檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を完璧に奪還するための人間ドラマとして展開される、一人の少女の繊細な心情の記録である。過去の後悔から、現実の絶望、仮想世界への挑戦、そして新たな恋心の交錯へと繋げたプロセスは、どれほど過酷な環境の激変や心理的な障壁によって生の自由が脅かされようとも、本質を突いた人間の意志と確固たる愛によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。
眠り続けるアスナ
仮想世界に囚われ続けるアスナの現状と不屈の精神
『ソードアート・オンライン』において、デスゲームをクリアしたにもかかわらず「眠り続けるアスナ」の状況は、SAOの延長線上で起きた新たな陰謀と、それに抗い自ら運命を切り拓こうとするアスナの不屈の精神を描き出している。SAOクリア後の未帰還、須郷伸之による人体実験の陰謀、世界樹の鳥籠への幽閉、キリトの生存確認、そしてアスナの自力脱出に向けた行動についての解説は以下の通りである。
デスゲームクリア後の意識不明と、ナーヴギアを装着したままの病院での昏睡
キリトがデスゲームをクリアし、現実世界へ帰還したにもかかわらず、アスナたちの戦いは終わっていなかった。
・アスナを含む約300人のプレイヤーは目を覚まさず、ナーヴギアを装着したままの状態で眠り続けている。
・キリトは頻繁に彼女が眠る所沢の病院を訪れ、手を握って目覚めを祈り続けている。
・しかし、現実世界での己の無力さに深い絶望を感じる日々を余儀なくされている。
レクト主任・須郷伸之の拉致と、アルヴヘイム・オンラインでの違法な思考操作実験
アスナが目覚めない真の原因は、自然な昏睡ではなく、人間の悪意によって仕組まれたものであった。
・SAOサーバーの維持を委託された総合電子機器メーカー「レクト」の主任である須郷伸之による陰謀が関わっている。
・須郷はSAOから解放されるはずだった約300人のプレイヤーの意識を、レクトの子会社が運営する新たなVRMMOであるアルヴヘイム・オンライン(ALO)へ拉致した。
・拉致したプレイヤーたちを、思考・感情・記憶を操作する違法な人体実験の被験者にしている。
妖精王オベイロンによるティターニア幽閉と、現実世界での強引な養子縁組企図
ALOの世界において、アスナは人格を踏みにじるような過酷な扱いに耐え忍んでいた。
・妖精王オベイロンを名乗る須郷によって、世界樹の遥か高所から吊るされた金色の鳥籠に幽閉されている。
・須郷は彼女をティターニアと呼び、自らの伴侶になるよう迫りながら、恐怖と孤独を与え続けている。
・さらに現実世界でも、須郷はアスナの父親からの信頼を利用し、彼女の昏睡状態を都合が良いものとして扱っている。
・意識のないアスナとの結婚および結城家との養子縁組を強引に進めようと企てている。
オベイロンの嘲笑から得たキリト生存の事実と、必ず助けに来るという希望の奪還
鳥籠の中で孤独に耐えていたアスナであったが、敵の慢心がもたらした一言によって戦う意志を取り戻す。
・オベイロンが現実世界でキリトに会い、結婚を宣言して彼を絶望させたことを得意げに語ったことで、事態は思わぬ方向へ動いた。
・アスナはオベイロンの悪意ある嘲笑から、キリトが現実世界で生きているという事実を知った。
・最愛の人が生きているという確信を得たことで、彼が必ず助けに来ると信じて絶望から立ち上がった。
部屋の鏡を利用した暗証番号の盗み見と、ログアウトに向けた世界樹への踏み出し
キリトの生存を知ったアスナは、ただ救出を待つのではなく、自らも行動を起こす決意を固める。
・オベイロンがVRMMOのシステムに無知であることを利用し、悲嘆に暮れるふりをして隙を伺った。
・部屋の鏡が高解像度で描画される仮想オブジェクトであることを利用し、鏡越しに彼が鳥籠の扉を開ける際に入力した暗証番号を盗み見ることに成功した。
・彼が立ち去った後、記憶した番号を入力して自らの手で鳥籠の扉を開けた。
・ログアウトのためのシステムコンソールを探すべく、危険を顧みず世界樹の枝へと一歩を踏み出した。
まとめ
アスナの未帰還と幽閉を巡る一連の顛末は、デスゲームから解放されず須郷伸之による違法な人体実験の被験者としてアルヴヘイム・オンラインの世界樹に囚われ、現実世界でも強引な婚姻の危機に瀕するという絶望的な状況にありながらも、敵の慢心からキリトの生存を知って希望を取り戻し、システムオブジェクトの特性を利用した暗証番号の盗み見によって自力で鳥籠を脱出してログアウトへの道を模索することで、理不尽な幽閉の檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を完璧に奪還するに至る、不屈の精神と知的な生存闘争の記録である。非道な人体実験から、鳥籠での孤独、敵の失言、そして自力での脱出作戦へと繋げたプロセスは、どれほど苛烈な不条理や仮想世界のシステムによって生の自由が脅かされようとも、本質を突いた人間の意志と確固たる愛によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。
須郷伸之の野心
須郷伸之の野心と他者支配の策略
『ソードアート・オンライン』シリーズにおいて、総合電子機器メーカー「レクト」の主任である須郷伸之の野心は、表向きの企業人としての顔の裏に隠された、他者の精神の支配と富・権力の獲得という自己中心的な欲望に満ちている。結城家および企業の乗っ取り、禁断の人体実験による魂の操作、莫大な富の獲得とアスナの感情改変についての解説は以下の通りである。
結城明日奈の昏睡状態の利用と、レクト後継者の座を狙う強引な養子縁組
須郷は、SAOサーバーの維持を委託されたレクトの主任であり、アスナの父である結城彰三からの厚い信頼を得ている腹心である。
・SAOクリア後も昏睡状態にあるアスナの状況を利用し、結城家の養子となることを企てている。
・意識のないアスナと結婚することにより、結城家との強固な血縁関係を構築しようとしている。
・名実ともにレクトの後継者の座を手に入れることが、企業人としての彼の明確な目標である。
約300人のプレイヤーの拉致と、アルヴヘイム・オンラインでの思考感情記憶の制御
彼の野望は企業の乗っ取りにとどまらず、フルダイブ技術を悪用したマインドコントロール技術の確立にまで及んでいる。
・SAOから解放されるはずだった約300人のプレイヤーを、レクトの子会社が運営する新たなVRMMOであるアルヴヘイム・オンライン(ALO)へと拉致した。
・拉致したプレイヤーたちを被験者として、脳の感覚処理機能だけでなく、思考、感情、記憶をも制御・操作する違法な人体実験を行っている。
・この技術を、人間の記憶に新規オブジェクトを埋め込みそれに対する情動を誘導する技術、と呼んでいる。
・人間の尊厳を冒涜するこの研究を、魂の操作であると称して狂喜している。
米国企業への研究成果高値売却と、幽閉したアスナの脳の書き換え宣言
須郷は、極少数のチームで秘密裏に進めているこの研究成果を、自らの私利私欲のために利用しようとしている。
・研究成果を待ち望んでいるアメリカの企業へ高値で売りつけることで、巨万の富を得ようとしている。
・最終的にはレクトという大企業ごと売却することすら示唆している。
・ALOの世界では自らを妖精王オベイロンと名乗り、絶対的な支配者として振る舞っている。
・現実世界で自分を嫌っていたアスナを世界樹の鳥籠に幽閉し、恐怖と孤独を与え続けている。
・いずれは彼女の脳も実験対象として、自分を盲目的に愛し服従するように心を改変するつもりだと宣言している。
まとめ
須郷伸之の野心を巡る一連の顛末は、アスナの昏睡を利用したレクトの乗っ取りや、約300人のプレイヤーを拉致してアルヴヘイム・オンラインで行った違法な人体実験、そして研究成果の米国売却による巨万の富の獲得とアスナの心を強制改変して服従させようとする最悪の執念に満ちているが、理不尽な精神支配の檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を完璧に奪還しようとするキリトらの闘争を引き起こすこととなる。企業の横領から、拉致監禁、魂の操作、そして絶対的支配への妄執へと繋げたプロセスは、茅場晶彦が抱いていたような仮想世界への純粋な夢想とは対極にある、現実世界での権力欲や他者の尊厳を踏みにじってでも己の欲望を満たそうとする冷酷で俗悪な本質を示している。最終的に、自らの優位性を信じる非道なシステムや須郷が仕掛けた冷酷な人体実験のルールを、残された者たちの打算なき怒りと確固たる愛の意志によって打破し、自らの未来と愛する者の価値を完璧にプロテクトしようとする結末は、どれほど不条理な宿命や過酷な環境の激変によって生の自由が脅かされようとも、本質を突いた人間の意志と確固たる歩みによって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。
ALOへのダイブ
桐ヶ谷和人のアルヴヘイム・オンラインへの再ダイブとユイとの再会
『ソードアート・オンライン』において、キリトにとってアルヴヘイム・オンライン(ALO)へのダイブは、純粋なゲームのプレイではなく、未だ仮想世界に囚われている愛するアスナを自らの手で奪還するための、決死の救出劇の始まりとして描かれている。エギルからの情報と決意、ナーヴギアの再装着、スプリガンとしての誕生、異常な落下とデータの引き継ぎ、そしてユイとの再会についての解説は以下の通りである。
世界樹の鳥籠に幽閉されたアスナの写真と、レクト子会社への不信がもたらした決意
絶望に沈んでいた和人を突き動かしたのは、旧友エギルがもたらした一枚の写真であった。
・新たなVRMMOであるアルヴヘイム・オンライン(ALO)内で撮影された不鮮明な写真に、アスナらしき少女が写っていた。
・少女は、ALOの中心にそびえる世界樹の高所に吊るされた鳥籠に幽閉されていた。
・ALOの運営会社が、須郷伸之が所属するレクトの子会社であるレクト・プログレスであることを知った。
・これにより須郷の陰謀を確信し、外部機関に頼るのではなく、自らの眼で真実を確かめるためにダイブを決意した。
後継機アミュスフィアではなく、2年間自分を捕縛した枷であるナーヴギアの再選択
キリトは、安全性が謳われている後継機であるアミュスフィアを用意するのではなく、かつてのデバイスを手に取った。
・かつて2年間自分を捕縛した枷であり、同時に故障一つせずに動き続けた戦友でもあるナーヴギアを自室のラックから取り出した。
・深い恐怖と興奮を抑え込みながら、もう一度俺に力を貸してくれ、と祈りを込めて頭部に装着した。
・再びリンクスタートの音声コマンドを発し、かつてのデスゲームの舞台と地続きの領域へと足を踏み入れた。
正体発覚のリスクを越えた名前の選択と、黒を基調としたスプリガン種族の決定
アカウント作成ステージにおいて、キリトは自らのプレイヤーとしてのアイデンティティを保つ決断を下す。
・自身の正体が知られるリスク、特に須郷に気づかれる危険性を逡巡しながらも、あえてSAO時代と同じキリトという名を選択した。
・種族については、9つの妖精種族の中から、黒を基調とした初期装備が気に入ったという理由でスプリガンを選択した。
・これにより、新たな仮想世界へとその身を投じることとなった。
ダイブ中の映像フリーズによる深い森への墜落と、熟練度スキルの奇跡的な持ち越し
通常であれば種族のホームタウンからスタートするはずであったが、ログインのプロセスで異常事態が発生した。
・ダイブの途中で突如映像がフリーズしてモザイク状に崩壊し、正規のルートから外れてどこか得体の知れない深い森の暗闇へと墜落した。
・無事にログアウト機能が存在することを確認して安堵したが、ステータス画面を開いて驚愕することとなった。
・HPやMPは初期値であるものの、SAO時代に途方手順を踏んで鍛え上げた片手剣や体術などのスキル群とその熟練度が、ほぼそのまま引き継がれていた。
文字化けしたアイテム欄からのデータ実体化と、ナビゲーションピクシーとしての復活
アイテム欄はSAO時代の残滓によって激しく文字化けしていたが、キリトはその中から希望の光を見出す。
・文字列の中から、MHCP001というコードのアイテムを発見した。
・それを実体化させると、SAOの崩壊前にキリトのローカルメモリに保存されていたAIの少女であるユイが光の中から復活を果たした。
・ALOがSAOのサーバーのコピーシステムを利用して稼働していたため、データが持ち越されていた。
・ユイはALOのシステム上でナビゲーション・ピクシーとしての役割を得て、小さな妖精の姿となってキリトの肩に降り立った。
まとめ
キリトのALOへのダイブを巡る一連の顛末は、エギルから渡された世界樹の写真によってアスナの生存を確信し、かつての枷であるナーヴギアを再び被るという恐怖を乗り越え、スプリガン種族のキリトとして新たな世界へ降り立つものの、エラーによる墜落という不条理に見舞われながらもSAO時代の片手剣スキル熟練度や最愛の娘であるユイのデータを奇跡的に引き継ぎ、幽閉されたアスナを救い出すための新たな戦いへと赴くことで、理不尽な環境の檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を完璧に奪還するに至る、不屈の意志と過去の遺産が交錯した実存的サバイバルの記録である。情報の入手から、禁断のデバイス装着、アカウント作成、データの引き継ぎ、そしてユイとの再会へと繋げたプロセスは、どれほど不条理な宿命や未知のシステムによって生の自由が脅かされようとも、本質を突いた人間の意志と確固たる愛によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。
世界樹攻略の戦い
アルヴヘイム・オンラインにおける世界樹攻略の戦い
『アルヴヘイム・オンライン(ALO)』において、ゲームの最終目標である世界樹の攻略は、いまだどのプレイヤーも成し遂げていない難攻不落の試練である。囚われのアスナの奪還を目指すキリトの執念と、種族の垣根を越えた一大作戦の背景について、グランド・クエストの概要、ガーディアンの脅威、サラマンダー軍の動向、そしてキリトによる同盟支援の4つの観点から解説する。
高位種族アルフへの転生と、無限の滞空制限解除を巡る一年間の未達成
ALOのプレイヤーにとって、世界樹の頂上にある空中都市への到達は、ゲームの最終目標(グランド・クエスト)として位置づけられている。
・世界樹の頂上に到達し、妖精王オベイロンに謁見することがクリアの条件とされている。
・最初に到達した種族だけが高位種族「アルフ」に生まれ変わることができるとされている。
・アルフになれば滞空制限が完全に解除され、無限の空の支配者になれるという恩恵が与えられる。
・しかし、この破格の報酬を目指して多くのプレイヤーが挑んだものの、ゲーム開始から一年が経過してもいまだにどの種族も達成できていない。
単一種族での突破を拒むNPC軍団と、キークエスト見落としを疑う理不尽な難易度
世界樹の頂上へ向かうルートは極めて限定されており、そこには圧倒的な戦力が配置されている。
・頂上へ登るには、樹の根元にある巨大なドームの頂上入り口から内部へ突入する必要がある。
・ドーム内部には、凄まじい強さを誇るNPCのガーディアン軍団が無限に近い規模で配置されている。
・最大勢力であるサラマンダーを含め、過去に挑戦した種族はすべてあっけなく全滅に追い込まれた。
・そのあまりの理不尽な難易度から、プレイヤーの間では単一の種族だけでは絶対に攻略できないのではないか、あるいは何らかのキークエストを見落としているのではないかと疑われている。
古代武具級装備のための莫大な資金調達と、シルフおよびケットシー領主会談の襲撃計画
最大勢力であるサラマンダーは、ガーディアンに対抗するために軍備の増強と他種族の排斥を画策していた。
・全軍に古代武具(エンシェントウエポン)級の装備を整えるべく、莫大な資金を貯め込んでいた。
・資金獲得と他種族の同盟阻止を狙い、シルフの有力プレイヤーであるシグルドをサラマンダーへの転生を条件に内通させた。
・シルフ領主サクヤとケットシー領主アリシャ・ルーの会談情報を掴み、大部隊での襲撃を企てた。
・両領主を討ち取ることで、領主館の資金の三割を強奪し、自軍の軍資金に充てようとする野心を持っていた。
アスナ救出のためのユージーン将軍撃破と、十万ユルドのミスリル貨による攻略同行の約束
キリトが不可能とされる世界樹の上を目指す真の理由は、現実世界で昏睡状態のまま、世界樹の上の鳥籠に囚われているアスナを救出することである。
・領主会談へのサラマンダーの襲撃に単身で乱入し、敵の指揮官であるユージーン将軍を死闘の末に打ち破ってサクヤたちを救出した。
・襲撃を阻止した後、キリトは自らが持つ莫大な資金である十万ユルドのミスリル貨を両領主に提供した。
・この資金援助と引き換えに、シルフとケットシーの同盟軍による世界樹攻略に自身を同行させてほしいと依頼した。
・二人の領主はキリトの強さと誠意を受け入れ、大至急装備を整えて世界樹攻略に挑むことを約束した。
まとめ
世界樹攻略を巡る一連の前提状況は、高位種族アルフへの転生というゲームの最終目標でありながら、強力なガーディアン軍団の配置によって一年間誰も突破できない理不尽な難関に対し、最大勢力サラマンダーが他種族の資金を奪う襲撃の陰謀を巡らせる中、鳥籠のアスナを救おうとするキリトが単身乱入してユージーン将軍を撃破し、莫大な資金を提供することでシルフとケットシーの同盟軍を動かして大規模な攻略行動の準備を整えるという、理不尽なシステムと陰謀の檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を完璧に奪還するための新たなる共闘の幕開けの記録である。クエストの概要から、難易度の検証、サラマンダーの策略、そして同盟の結成へと繋げたプロセスは、どれほど不条理なゲームの壁や勢力の対立によって生の自由が脅かされようとも、本質を突いた人間の意志と確固たる愛によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。
登場キャラクター
スプリガン
キリト(桐ヶ谷和人)
現実世界に帰還した少年である。愛するアスナを救うため、新たな仮想世界へ飛び込む決意を固めた。ユイを実の娘のように大切にしている。
・所属組織、地位や役職
スプリガン。
・物語内での具体的な行動や成果
エギルから提供された写真とソフトをもとに、アルヴヘイム・オンラインにダイブした。ユイと再会し、リーファと共に世界樹を目指す。サラマンダーの部隊を撃退し、ユージーンとの一騎打ちに勝利した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
SAO時代の高いスキル熟練度を保持している。戦闘中に幻属性魔法を発動させ、巨大な悪魔に変貌した。
シルフ
リーファ(桐ヶ谷直葉)
和人の従妹であり、長年剣道を続けている少女である。兄の世界を理解するためにゲームを始めた。ALOの空を飛ぶことに強い魅力を感じている。
・所属組織、地位や役職
シルフ。
・物語内での具体的な行動や成果
サラマンダーに襲われていたところをキリトに助けられた。彼を世界樹へ案内するため、同行を申し出る。シグルドと決別し、ルグルー回廊を抜けて領主会談の場へ駆けつけた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
シルフ五傑の一人と呼ばれる実力を持つ。随意飛行をマスターしている。
レコン(長田慎一)
直葉の同級生である。ゲームの知識が豊富で、直葉にALOを勧めた。
・所属組織、地位や役職
シルフ。短剣使い。
・物語内での具体的な行動や成果
リーファと共にサラマンダーから逃走するが、魔法攻撃を受けて消滅した。透明化の魔法でシグルドを尾行し、裏切りを突き止めた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
地下水道で敵に捕縛され、現実世界から直葉へ警告の電話をかけた。
サクヤ
シルフの領主を務める女性プレイヤーである。公正な人柄で多くの支持を集めている。
・所属組織、地位や役職
シルフ・領主。
・物語内での具体的な行動や成果
アリシャ・ルーと同盟調印のための会談を行った。月光鏡の魔法を利用してシグルドの裏切りを確認した。キリトから資金の提供を受け、世界樹攻略を約束した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
大太刀を扱う剣の達人である。シグルドをシルフ領から追放する処分を下した。
シグルド
シルフの有力プレイヤーである。権力への執着が強く、独善的な一面を持つ。
・所属組織、地位や役職
シルフ・執政部。
・物語内での具体的な行動や成果
風の塔でリーファを引き留めようと口論になった。他種族に通行証を発行し、領主会談を襲撃させる手引きをした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
サラマンダーへの転生を望んで裏切った。サクヤによって領地を追放され、レネゲイドとなった。
シグルドのパーティーメンバー
シグルドと行動を共にするプレイヤーたちである。
・所属組織、地位や役職
シルフ。
・物語内での具体的な行動や成果
風の塔でシグルドとリーファのやり取りに立ち会った。キリトを攻撃しようとするシグルドをいさめた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
シグルドと共に風の塔の出口へ向かい、走り去った。
サクヤの側近たち
サクヤに従うシルフのプレイヤーたちである。
・所属組織、地位や役職
シルフ・執政部の幹部。
・物語内での具体的な行動や成果
同盟調印の会談に六人で参加した。キリトとユージーンの戦闘を観戦した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
戦闘終了後、キリトの戦いぶりに歓声を送った。
サラマンダー
ユージーン
サラマンダーの軍を率いる指揮官である。領主モーティマーの弟にあたる。
・所属組織、地位や役職
サラマンダー・将軍。
・物語内での具体的な行動や成果
シルフとケットシーの会談を襲撃するため、部隊を率いてアルン高原へ出撃した。同盟大使を名乗るキリトの言葉を確かめるため、一騎打ちを行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
キリトに敗北後、彼を最強のプレイヤーと認めた。軍を撤退させ、再戦を約束した。
カゲムネ
サラマンダーの部隊を率いるプレイヤーである。
・所属組織、地位や役職
サラマンダー・ランス隊の隊長。
・物語内での具体的な行動や成果
古森でリーファたちを襲撃したが、キリトによって撃退された。会談の襲撃時、キリトが昨日自分たちを全滅させた相手だとユージーンに報告した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
撤退する際、リーファに向かって不器用にウィンクをした。
ジータクス
サラマンダーの魔法使いをまとめるプレイヤーである。
・所属組織、地位や役職
サラマンダー・メイジ隊のリーダー。
・物語内での具体的な行動や成果
部下を招集し、中立域でリーファたちを狩る作戦を指揮した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
直接の登場描写はなく、部下の口から名前が語られた。
サラマンダーの部隊
サラマンダーに所属する重戦士や魔法使いたちである。
・所属組織、地位や役職
サラマンダー。
・物語内での具体的な行動や成果
ルグルー回廊でリーファたちを包囲し、多重魔法攻撃を仕掛けた。悪魔に変貌したキリトに敗北した。六十八人で会談場への強襲部隊として出撃した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
キリトとユージーンの戦いを見届け、拍手と歓声を送った。
ケットシー
アリシャ・ルー
ケットシーの領主を務める女性プレイヤーである。愛嬌のある外見を持つ。
・所属組織、地位や役職
ケットシー・領主。
・物語内での具体的な行動や成果
サクヤと同盟調印の会談を行った。闇属性魔法で月光鏡を展開し、シグルドの様子を映し出した。キリトから資金提供を受け、世界樹攻略の準備を進めることを約束した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
サクヤと同様に圧倒的な人気を集め、長期政権を維持している。
アリシャ・ルーの側近たち
アリシャ・ルーに従うケットシーのプレイヤーたちである。
・所属組織、地位や役職
ケットシー。
・物語内での具体的な行動や成果
同盟調印の会談に六人で参加した。キリトとユージーンの戦闘を観戦した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
キリトの勝利に対し、歓声を上げた。
妖精王・囚われの妃(世界樹)
オベイロン(須郷伸之)
レクトの研究主任であり、結城彰三の腹心である。アスナの昏睡状態を利用して結城家を乗っ取ろうと企む。
・所属組織、地位や役職
レクト(現実)、ALO(妖精王)。
・物語内での具体的な行動や成果
SAOプレイヤーの一部をALOへ拉致し、人体実験を行った。現実世界で和人にアスナとの結婚を宣告する。ALO内でアスナを世界樹の鳥籠に幽閉し、服従を迫った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
人間の記憶や感情を操作する技術を研究し、海外企業へ売却しようとしている。
ティターニア(結城明日奈)
和人が愛する少女である。鳥籠の中で孤独に耐えながら、キリトの救出を待ち続けている。
・所属組織、地位や役職
無所属。
・物語内での具体的な行動や成果
オベイロンの言葉からキリトが生きていると知り、希望を取り戻した。鏡越しに暗証番号を記憶し、自ら鳥籠の扉を開けて脱出した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
背中に透明な羽根が生えているが、武器もメニューも使用できない状態である。
ナビゲーション・ピクシー
ユイ
SAOのプログラムから生まれた存在である。キリトとアスナを親として慕っている。
・所属組織、地位や役職
ナビゲーション・ピクシー。
・物語内での具体的な行動や成果
キリトの所持アイテムから復活し、小さな妖精の姿となった。ALOのシステムを解説し、プレイヤーの接近を感知してキリトを支援した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
主データベースにはアクセスできないが、マップや接触したプレイヤーの情報を確認できる。
現実世界
桐ヶ谷翠
和人を引き取った母親であり、直葉の実母である。情報誌の編集者として働いている。
・所属組織、地位や役職
現実世界・桐ヶ谷家。
・物語内での具体的な行動や成果
和人の病室を訪れ、直葉とともに入院中の彼を見守った。和人がネットゲームに没頭したのは自分の血が精神的に遺伝したからだと直葉に語った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
SAO事件後、和人の生存を信じて彼への真実の告知を早めた。
結城彰三
総合電子機器メーカー「レクト」のCEOである。アスナの実父にあたる。
・所属組織、地位や役職
レクト・CEO。
・物語内での具体的な行動や成果
病室で眠るアスナを見舞った。須郷を信頼しており、アスナとの結婚を許可する意向を示した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
須郷の企みや人体実験の事実については何も把握していない。
エギル(アンドリュー・ギルバート・ミルズ)
キリトのSAO時代の仲間である。現実世界で喫茶店兼バーを経営している。
・所属組織、地位や役職
Dicey Cafe・店主。
・物語内での具体的な行動や成果
ALOのゲーム内で撮影された、アスナに似た少女の写真を入手した。キリトにメールで連絡し、ALOのゲームソフトを提供した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
アフリカ系アメリカ人であるが、江戸っ子としての気質を持つ。
SAO事件対策チームの役人
総務省に所属する人物である。黒縁眼鏡の上に長めの前髪を垂らしている。
・所属組織、地位や役職
総務省・SAO事件対策チーム。
・物語内での具体的な行動や成果
直葉に対し、和人がSAOの最前線で戦う攻略プレイヤーであることを教えた。和人が覚醒した際、病室を訪れて事情を聞き出そうとした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
和人の要求に応じ、アスナがまだ覚醒していない事実と彼女の所在を伝えた。
展開まとめ
眠り続ける和人と直葉の祈り
病室の青い光
桐ヶ谷直葉は病室を訪れ、ナーヴギアを装着したまま眠り続ける桐ヶ谷和人を見守っていた。事件から二年が経ち、痩せ衰えた兄の姿に不安を抱きながらも、最前線で戦う攻略プレイヤーだと知ってからは涙をこらえ、手を握って無事を祈り続けていた。
十六歳の誕生日
和人の誕生日に、母の翠も病室を訪れた。二人は眠る和人を眺めながら、彼が十歳の時に自ら出生の秘密を突き止め、本当の両親について問いただした出来事を振り返った。
和人の出生
和人は翠の姉夫婦の子であり、幼い頃に両親を事故で亡くして桐ヶ谷家へ引き取られていた。直葉がその事実を知らされたのは、和人がSAOに囚われた後であった。当初は強い疎外感を抱いたが、両親が和人の死を覚悟し、後悔を残さないために真実を伝えたのだと理解するようになった。
変わらない兄妹
直葉は、和人が実の兄でなくても何も失われないと考えるに至った。真実を知る前も後も、和人の生存と帰還を願う気持ちは変わらなかった。
桐ヶ谷家の強さ
翠は、和人がネットゲームへ没頭したことと出生の秘密は無関係だと語った。幼い頃から機械に強かった和人は、直葉と同じ粘り強さと覚悟を持っているため、今も戦い続けているのだと信じていた。
兄への励まし
翠が帰った後も、直葉は和人の手を握り続けた。現実の感触は届かなくても、励ましは伝わると信じ、和人の魂から生きて帰ろうとする強い意思を感じ取っていた。
帰還の知らせ
直葉が夕暮れまで病室に残った一か月後、二〇二四年十一月七日、和人が目覚めたという病院からの急報が届いた。
1
妖精の国への再出発
失われた森の家
現実世界へ帰還した桐ヶ谷和人は、第二十二層の森の家でアスナと暮らす夢を見た。しかし彼女は突然消え、家も闇の中へ崩れ去った。目覚めた和人は自室に戻って二か月が経った今も、アスナを失った悲しみから涙を流していた。
直葉の迷い
桐ヶ谷直葉は剣道の朝稽古を続けながら、和人との距離について考えていた。幼い頃は仲の良い兄妹だったが、剣道を辞めてコンピュータへ没頭した和人とは次第に疎遠になっていた。SAO事件をきっかけにそのことを悔やみ、帰還後こそ関係を取り戻したいと願ったものの、和人が実兄ではなく従兄だと知り、以前とは異なる感情を意識し始めていた。
現実の剣道
縁側から直葉の稽古を見ていた和人は、久しぶりに剣道の試合を申し出た。独特の構えとSAOで培った動きで直葉の攻撃を次々とかわしたが、最後は鍔迫り合いからの引き面を受けて敗れた。和人は剣道を再開したいと語り、直葉は再び一緒に稽古できることを心から喜んだ。
眠り続けるアスナ
和人は自転車で所沢の病院へ向かった。SAOをクリアして帰還した一方、アスナを含む約三百人は覚醒せず、今もナーヴギアを装着したまま眠り続けていた。和人は定期的に病室を訪れ、彼女の手を握って目覚めを願っていた。
須郷伸之の宣告
病室でアスナの父・結城彰三と研究主任の須郷伸之に会った和人は、須郷がアスナとの結婚を進めていると知らされた。須郷はアスナが眠っている状況を都合がいいと語り、SAOサーバーと未帰還者の生命維持を管理する立場を利用していた。さらに和人へ、今後アスナや結城家に近づくなと命じた。
絶望する和人
帰宅した和人は、仮想世界で交わしたアスナとの約束が現実の前で失われていくように感じ、自分には何もできないと泣いた。様子を見に来た直葉は、アスナが遠くへ行くと訴える和人を抱きしめ、好きな人を簡単に諦めてはいけないと励ました。その言葉を口にしたことで、直葉は自分が和人を好きなのだと強く自覚した。
直葉の決意
直葉は和人の心がアスナだけに向いていると理解し、自分の想いを諦めなければならないと考えた。和人が眠るまで寄り添いながら、胸の奥の気持ちを深く埋めようとした。
再び立ち上がる和人
翌朝、和人は隣で眠る直葉に驚いたが、彼女の励ましによって絶望が和らいでいることに気づいた。アインクラッドでの思い出も約束も真実であり、自分にはまだできることがあると考え、アスナを必ず助け出すと決意した。
鳥籠の少女
エギルから届いた写真には、仮想世界の黄金の鳥籠の中で白いドレスを着た、アスナによく似た少女が写っていた。写真は新たなVRMMO《アルヴヘイム・オンライン》で撮影され、世界樹の高所に吊るされた鳥籠を偶然写したものだった。
レクトとの繋がり
《アルヴヘイム・オンライン》の運営会社がレクトの子会社であると知り、和人は須郷との関係を疑った。確かな証拠はなかったが、ただ待ち続けることをやめ、自らゲーム内へ入って真相を確かめることにした。
ナーヴギアの再装着
和人はエギルからゲームソフトを受け取り、再びナーヴギアを装着した。《キリト》の名を使い、黒い装備を持つ《スプリガン》を選択して《アルヴヘイム・オンライン》へ接続した。しかしゲーム世界へ降り立つ途中で映像が崩壊し、キリトは正体不明の暗闇へと落下していった。
2
リーファとレコンの撤退
シルフのリーファは、仲間のレコンとともにサラマンダーの追撃から逃れていた。飛行を愛するリーファは随意飛行を自在に操ったが、飛行酔いするレコンに合わせながらシルフ領を目指していた。二人は狩りの帰路で八人のサラマンダーに襲われ、仲間を失いながらも逃走を続けていた。
空中での再戦
追手に発見されたリーファは、重装備と長槍を使うサラマンダーたちへ正面から挑んだ。敵の旋回の遅さを突いて陣形を崩し、一人を倒したものの、地上に残った魔法使いの攻撃によってレコンが撃破された。リーファは一人となっても諦めず、最後まで敵を道連れにする覚悟で戦い続けた。
森に落ちたキリト
一方、キリトはゲーム開始直後の異常によって、スプリガンの街ではなく見知らぬ森へ落下した。ログアウト機能が存在することを確認して安堵したが、ステータスにはSAO時代の高い熟練度がそのまま残され、所持品欄には文字化けした旧アイテムが並んでいた。
ユイの復活
キリトは所持品の中から《MHCP001》を発見し、クリスタルを実体化させた。光の中から現れたユイは、姿の変わったキリトをすぐに父親だと認識し、二人は涙ながらに再会した。キリトはユイの復活によって、アスナとも再び会えるという確信を初めて抱いた。
SAOの複製世界
ユイは《アルヴヘイム・オンライン》が、SAOと同じ基幹システムやグラフィック形式を用いた複製環境だと分析した。そのため、キリトのSAO時代のデータが誤って上書きされ、共通するスキルだけが引き継がれていた。キリトは破損した旧アイテムを削除したが、高い熟練度はそのまま利用することにした。
ナビゲーション・ピクシー
ユイはALO内で《ナビゲーション・ピクシー》として扱われ、小さな妖精の姿へ変化した。主データベースへのアクセス権はなかったが、地図や接触したプレイヤーの情報は確認できた。キリトはアスナが世界樹にいる可能性を伝え、ユイとともに捜索へ向かうことを決めた。
サラマンダーの包囲
飛行力を失ったリーファは森へ降り、隠行魔法で追手をやり過ごそうとした。しかし看破魔法によって発見され、三人のサラマンダーに包囲された。金やアイテムを要求されても屈せず、一人だけでも倒す覚悟で長刀を構えた。
黒衣の乱入者
そこへ飛行に失敗したキリトが墜落し、リーファを襲うサラマンダーたちを非難した。キリトは槍の突進を片手で受け止め、二人をまとめて投げ飛ばすと、驚異的な反応速度と剣技で一撃ずつ撃破した。残ったリーダーは勝てないと判断して退却し、リーファは窮地を脱した。
リーファとの出会い
助けられたリーファは、冗談を交えるキリトに呆れながらも感謝を伝えた。ユイはキリトに抱きつけるのは自分と母親だけだと主張し、キリトは彼女を特別なピクシーだとごまかした。リーファは謎の多いキリトに興味を抱き、礼として街で飲食を振る舞うことにした。
随意飛行の特訓
リーファはキリトに、背中の仮想的な骨と筋肉を意識する随意飛行の方法を教えた。最初は制御できず夜空を暴走したが、短時間で自由に飛べるようになった。二人は高速で並んで飛び、リーファは自分についてこられるキリトの能力に驚きながら、久しぶりに心から笑った。
スイルベーンへの到着
二人はシルフ領の首都スイルベーンへ向かったが、着陸方法を知らないキリトは風の塔へ激突した。リーファの回復魔法で立ち直ったキリトは、翡翠色に輝く街並みに感嘆した。レコンも合流したが、リーファはキリトとの約束を優先し、狩りの収益を仲間たちへ譲った。
世界樹の難関
酒場でリーファは、世界樹の頂上へ到達して妖精王オベイロンに謁見すれば、滞空制限のない《アルフ》になれると説明した。しかし世界樹内部を守るガーディアンは一年間誰にも突破されておらず、攻略方法も見つかっていなかった。キリトはそれでも急いで頂上へ行かなければならないと強く訴えた。
世界樹への同行
キリトが世界樹で人を探していると知ったリーファは、深い絶望を宿した彼を放っておけず、自分が案内すると申し出た。二人は翌日の再会を約束し、リーファは動揺を抱えたままログアウトした。
直葉の高鳴り
現実へ戻った直葉は、出会ったばかりのキリトに自分から同行を申し出たことを恥ずかしがった。一方で、圧倒的な強さと掴み所のない性格を持つ彼への興味も抑えられなかった。直葉は、兄の世界を知るために始めたALOを今では心から愛していたが、和人への想いとアスナの存在の間で苦しんでいた。
三人の家への願い
リーファが去ったあと、ユイはキリトに浮気をしないよう念を押した。キリトは宿屋でログアウトする準備を整え、ユイと同じベッドで横になった。二人はアスナを助け出した後、再び三人で家を持って暮らすと約束し、キリトはその願いを必ず現実にすると誓いながら眠りについた。
3
樹上の鳥籠
アスナは世界樹の枝から吊るされた金色の鳥籠に閉じ込められ、孤独と焦燥に耐えながらキリトの救出を待っていた。アインクラッド崩壊後、何者かに意識を奪われてこの仮想世界へ運ばれ、武器もメニューもないまま約六十日を過ごしていた。
妖精王オベイロン
須郷伸之は《妖精王オベイロン》の姿で現れ、アスナを《ティターニア》と呼んで伴侶になるよう迫った。アスナは軽蔑と嫌悪を隠さず拒絶したが、須郷は力ずくで彼女を従わせることさえ楽しもうとしていた。
三百人の被験者
須郷は、SAOから解放されるはずだった約三百人をALOへ拉致し、思考や感情、記憶を操作する人体実験に利用していると明かした。研究成果を海外企業へ売却し、結城家の養子となってレクトを継承したうえで、アスナの感情まで改変するつもりであった。
脱出への執念
須郷が去った後、アスナは彼の愚かさを利用して脱出を図ろうとした。鏡の中では遠距離の動作も鮮明に見えることを利用し、彼が鳥籠の扉を開けるために押した暗証番号を記憶した。キリトが現実で生きていることも須郷の言葉から知り、自分も行動しなければならないと決意した。
キリトへの同行
現実の直葉は、学校でレコンこと長田慎一から次の狩りへ誘われたが、キリトを世界樹まで案内すると告げて断った。レコンは不満と心配を示したが、直葉は単なる道案内だと自分に言い聞かせながら、キリトとの旅を楽しみにしていた。
旅支度と大剣
リーファはキリトとの待ち合わせ前に必要な道具を揃え、彼の装備を新調した。キリトは何度も重い剣を求め、最後には自分の身長に迫る黒い大剣を選んだ。ユイも加わり、三人は世界樹を目指す準備を整えた。
シグルドとの決別
風の塔へ向かう途中、リーファは以前の仲間シグルドに呼び止められた。シグルドは彼女を自分の名声を支える所有物のように扱い、パーティーを抜けることを許そうとしなかった。キリトは仲間はアイテムではないと言い、リーファも彼を新しいパートナーだと宣言した。
シルフ領からの離脱
シグルドがキリトへ剣を向けようとすると、リーファは領地を捨てると決断した。周囲の目を気にしたシグルドは戦闘を断念したが、後悔すると脅して去った。リーファは束縛から逃れたいという思いを認め、キリトとともに新たな旅へ進むことにした。
レコンの残留
出発直前、レコンが追いつき、自分もシグルドのパーティーを抜けたいと語った。しかし気になることを調べるため、しばらく残ると決めた。リーファの身をキリトに託し、自分の好意を口にしかけたところをリーファに止められた。
スイルベーンとの別れ
リーファは一年を過ごした翡翠の都を振り返り、寂しさを抱きながらも未知の旅への期待を強めた。キリトとユイにレコンへの気持ちを尋ねられて動揺しつつ、遠く輝く湖を目指して飛び立った。
キリトの戦い方
旅の途中、キリトは巨大な大剣を振るい、複数の強敵を防御も顧みず次々と倒した。リーファは解呪や遠距離魔法で援護しながら、その無謀な戦い方に呆れつつも圧倒的な実力を認めた。魔法に不慣れなキリトへ、今後の戦闘では敵の構成を見極める必要があると助言した。
山脈の難所
二人は古森を抜け、世界樹へ続く山岳地帯へ到達した。山は飛行限界高度を超えているため、内部の長い洞窟を通らなければならなかった。途中には中立の鉱山都市があるものの、リーファにとっても未知の道であった。
旅への高揚
休憩のため現実へ戻った直葉は、急いで食事と入浴を済ませた。長時間の同行を苦手としていたはずなのに、今回は気詰まりを感じず、むしろキリトとの旅に胸を高鳴らせている自分を認めていた。
鳥籠のアスナ
アスナは世界樹の枝から吊るされた金色の鳥籠に囚われ、孤独と焦燥に耐えながらキリトの救出を待っていた。須郷伸之は《妖精王オベイロン》として現れ、アスナを《ティターニア》と呼び、力ずくで従わせようとした。
須郷の人体実験
須郷は、SAOから解放されるはずだった約三百人をALOへ拉致し、思考や感情、記憶を操作する研究の被験者にしていると明かした。成果を海外企業へ売却し、結城家の後継者となったうえで、アスナの心まで自分へ向けさせるつもりであった。
暗証番号の記憶
須郷の言葉からキリトが現実世界で生きていると知ったアスナは、希望を取り戻した。悲しみに沈んだふりをしながら鏡を利用し、須郷が鳥籠の扉を開けるために押した暗証番号を読み取り、脱出の機会を待つことにした。
直葉の揺れる心
現実へ戻った直葉は、キリトへの気持ちは恋ではなく、新しい冒険への期待なのだと自分に言い聞かせた。しかしユイから好きという感情について問われ、和人への想いとキリトへの高鳴りが重なっていることに気づき、激しく動揺した。
洞窟への出発
休憩を終えたリーファとキリトは、山脈を越えるため《ルグルー回廊》へ向かった。キリトは誰かに見られている気配を感じたが、ユイは周囲にプレイヤーを感知できなかった。リーファは追跡魔法の可能性を考えつつ、三人で洞窟へ入った。
不慣れな魔法
洞窟内でキリトは、ユイとリーファに教えられながら暗視魔法やスペルワードを練習した。剣技には優れていたものの魔法には不慣れで、長い呪文に苦戦しながらも、二人は順調に鉱山都市ルグルーへ近づいていった。
レコンの警告
道中、レコンから思ったとおりだった、気をつけてという不完全なメッセージが届いた。直後、ユイが十二人のプレイヤーの接近を感知したため、リーファは隠蔽魔法でキリトと身を隠した。
追跡の使い魔
接近してきたのは、高位の火属性魔法で生み出された赤い追跡用の使い魔であった。リーファはそれを撃破したが、相手に居場所を知られたため、キリトとともにルグルーへ向かって逃走した。追手がサラマンダーの大部隊であることも判明した。
橋上の包囲
地底湖の橋まで到達した二人は、都市の門を目前にして土魔法の岩壁に行く手を塞がれた。湖には強力な水竜が棲んでおり、逃げ道はなかった。リーファとキリトは十二人のサラマンダーを相手に戦うことになった。
対キリト包囲陣
敵は三人の重戦士が巨大な盾でキリトの攻撃を防ぎ、後方の魔法使いたちが回復と火炎攻撃を繰り返す陣形を組んでいた。キリトの大剣による攻撃は回復され、彼は集中砲火を受けてHPを削られ続けた。
仲間を守る執念
リーファは撤退を勧めたが、キリトは自分が生きている限り仲間を殺させないと言い、戦いをやめなかった。その姿にリーファは、ゲーム上の敗北を受け入れず、本気で生き残ろうとする強烈な意志を感じた。
悪魔への変貌
ユイの指示でリーファが全ての魔力を防御に注ぐ間、キリトは幻影魔法を発動した。彼は巨大な黒い悪魔へ変化し、恐怖で陣形を崩したサラマンダーたちを圧倒的な力で次々と倒した。
生き残ったサラマンダー
リーファは最後の一人を生かし、襲撃の目的を問いただした。キリトは戦利品を渡す条件で情報を引き出し、上層部の命令により二人が何らかの作戦の邪魔になるとして狙われたことを知った。また、サラマンダーの大軍が北へ移動していることも判明した。
謎の北進
生き残った男は、サラマンダー軍が世界樹攻略を行うわけではないものの、大規模な作戦を進めていると語った。リーファはレコンの警告と結びつけ、シルフ領内部に敵の協力者がいる可能性を疑った。
悪魔の余韻
戦闘後、キリトは悪魔の姿で暴れた記憶を曖昧に語り、敵を手づかみで倒した感触まで面白がった。呆れるリーファの指を冗談で咥えたため、地底湖には彼女の悲鳴と平手打ちの音が響いた。
ルグルーでの緊急連絡
ルグルーへ到着したリーファは、レコンから届いた不完全な警告を確かめるため現実世界へ戻った。長田慎一からの度重なる着信に応じると、シグルドがサラマンダーと内通し、シルフ領主サクヤとケットシー領主アリシャ・ルーの会談を襲わせようとしていると知らされた。
シグルドの裏切り
レコンは透明化してシグルドを尾行し、彼が通行証を与えたサラマンダーと密会している場面を突き止めていた。シグルドはリーファへ追跡魔法を仕掛けさせる一方、両領主の同盟調印を大部隊に襲わせようとしていた。レコン自身は正体を知られて麻痺させられ、地下水道で拘束されていた。
救援への同行
ALOへ戻ったリーファは、会談場へ向かうためキリトとの旅を中断しようとした。しかしキリトは事情を聞くと同行を選び、仮想世界でも守るべき信頼や絆は現実と変わらないと語った。リーファはその言葉によって、相手の心を疑い続けていた自分から解放され、キリトを友人として信じた。
洞窟の疾走
時間を惜しんだキリトはリーファの手を取り、ルグルー回廊を猛烈な速度で駆け抜けた。立ちはだかるモンスターの群れも足を止めずに突破し、山脈の出口からそのまま空中へ飛び出した。二人は世界樹を望む高原へ到達し、会談場を目指して飛行を続けた。
迫るサラマンダー軍
ユイは、六十八人のサラマンダー強襲部隊と十四人の会談参加者を感知した。接触まで残りわずかであり、リーファは領主たちを守って討ち死にする覚悟を決めた。しかしキリトは退かず、単身で両軍の間へ飛び込み、戦闘を止めるよう大声で命じた。
大使の虚言
キリトは自らをスプリガンとウンディーネの同盟大使と偽り、会談を襲えば四種族との全面戦争になるとサラマンダー軍を威圧した。指揮官ユージーン将軍は、その言葉を信じる条件として自分の攻撃に耐えるよう要求し、両者は一騎打ちを始めた。
魔剣グラム
ユージーンは攻撃を防御の上から透過させる《魔剣グラム》を操り、キリトへ大きな損傷を与えた。技量は互角であったが武器性能の差は大きく、キリトは防御不能の斬撃に追い詰められた。
二刀流の剣舞
キリトは幻惑魔法で姿を隠し、リーファの長刀を借りて上空へ回り込んだ。太陽を背に急降下すると、黒い大剣と長刀を同時に操る二刀流でグラムの透過攻撃を打ち破った。高速の連続攻撃でユージーンを圧倒し、最後はその体を斬り裂いて勝利した。
戦士たちの歓声
キリトとユージーンの戦いに、シルフとケットシーだけでなくサラマンダー軍も盛大な拍手を送った。蘇生されたユージーンはキリトを最強の相手と認め、彼の虚言を承知しながらも軍を撤退させた。二人は再戦を約束し、拳を打ち合わせた。
シグルドの追放
リーファから事情を聞いたサクヤは、シグルドがサラマンダーへの転生を望み、領主を売ったのだと推測した。月光鏡で領主館にいる彼へ接触し、シルフ領から追放して中立域へ転送した。サクヤは自身の判断を次の選挙に委ねる覚悟を示した。
世界樹攻略への支援
リーファは、キリトが世界樹の上にいる人物を捜していることを明かし、両種族の攻略隊への同行を求めた。キリトは所持していた莫大な資金を提供し、サクヤとアリシャは装備を整え次第、世界樹攻略を行うと約束した。
旅の再開
領主たちと別れたリーファは、キリトへの親しさを強めて寄り添った。ユイにたしなめられ、キリトから女の子らしくないと言われて腹を立てながらも、二人は再び世界樹を目指して飛び立った。
鳥籠からの脱出
一方、アスナは須郷が去って十分な時間が経ったと判断し、鏡越しに記憶した暗証番号を入力した。金の鳥籠の扉は開き、アスナはキリトとの再会を誓って外へ踏み出した。巨大な枝を進みながら、現実世界へ帰るための手段を探し始めた。
同シリーズ





























その他フィクション

Share this content:

コメント