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とある魔術の禁書目録フィクション(Novel)読書感想

小説「とある魔術の禁書目録(19)」感想・ネタバレ

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とある魔術の禁書目録 19の表紙画像(レビュー記事導入用) とある魔術の禁書目録

とある魔術の禁書目録(18)レビュー
【とある魔術の禁書目録】あらすじ・ネタバレ・まとめ
とある魔術の禁書目録(20)レビュー

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  1. 物語の概要
    1. ■ 作品概要
    2. ■ 主要キャラクター
    3. ■物語の特徴
  2. 書籍情報
  3. あらすじ・内容
  4. 感想
  5. 考察・解説
    1. 一方通行とエイワス
    2. 粒子加速装置のテロ
    3. 浜面仕上とアイテム
    4. ドラゴンの正体
    5. ロシアへの旅立ち
  6. 登場キャラクター
    1. グループ
      1. 一方通行(アクセラレータ)
      2. 土御門元春
      3. 結標淡希
      4. 海原光貴(エツァリ)
    2. アイテム
      1. 浜面仕上
      2. 絹旗最愛
      3. 滝壺理后
      4. 麦野沈利
    3. 迎電部隊(スパークシグナル)
      1. リーダー格の男
      2. 迎電部隊のテロリストたち
    4. 統括理事会
      1. 潮岸
      2. 親船最中
      3. トマス=プラチナバーグ
      4. アレイスター=クロウリー
    5. 統括理事会の関係者・私兵
      1. 杉谷
      2. 親船最中の秘書
    6. アステカの魔術組織
      1. ショチトル
      2. テクパトル
      3. トチトリ
    7. 傭兵
      1. ステファニー=ゴージャスパレス
      2. 砂皿緻密
    8. 新チーム
      1. 心理定規(メジャーハート)
    9. その他学園都市の住人・関係者・集団
      1. 雑貨稼業の男
      2. 吊るされた少女
      3. 土御門舞夏
      4. 月詠小萌
      5. 打ち止め(ラストオーダー)
      6. 人質の少年
      7. 高校生の少年
      8. 妊婦
      9. 救急隊員
      10. 清掃車の運転手
      11. 女性パイロット
      12. 黄泉川愛穂
      13. 上条当麻
    10. 人智を超えた存在
      1. エイワス(ドラゴン)
  7. 展開まとめ
    1. 序 章 悪党の退屈なやりとり Key_Shop.
    2. 第一章 善意ぐらい信じている Dark_Hero.
    3. 行間 一
    4. 第二章 単純かつ複雑な問題点 V.S._Calamity.
    5. 行間 二
    6. 第三章 破滅はさらに道を開く Battle_to_Die.
    7. 第四章 地獄へ誘う二つの怪物 Dragon(≠Angel).
    8. 終章悲劇では終わらせない Brave_in_Hand.
  8. 同シリーズ
    1. とある魔術の禁書目録
    2. 外伝
    3. とある暗部の少女共棲
    4. 同著者シリーズ
    5. ヘヴィーオブジェクトシリーズ
  9. その他フィクション

物語の概要

■ 作品概要

『とある魔術の禁書目録(19)』は、超能力開発がカリキュラム化された巨大な「学園都市」の裏社会(暗部)を舞台とした、SFファンタジーおよび学園異能バトルアクション作品である。

物語は、学園都市の暗部組織『グループ』(一方通行、土御門元春、結標淡希、海原光貴)が、現状を打破する唯一の手がかりである謎のキーワード『ドラゴン』を追うところから始まる。彼らは統括理事会の潮岸からの任務でテロリストを鎮圧しつつ真相に迫ろうとするが、秘密を隠蔽しようとする潮岸の差し金により命を狙われることになる。 一方、元暗部組織『アイテム』の無能力者の少年・浜面仕上は、退院したばかりの少女・滝壺理后を守るため、暗部の追手や復活した第四位の超能力者・麦野沈利との死闘を繰り広げる。圧倒的な力を持つ謎の怪物『エイワス』の出現を経て、主人公達はそれぞれの想いと決意を胸に、次なる戦いの舞台であるロシアへと向かう。

■ 主要キャラクター

一方通行(アクセラレータ):学園都市第一位の超能力者。暗部組織『グループ』に所属する。大切な少女「打ち止め(ラストオーダー)」を守るため、自らを「悪党」と称し血みどろの戦いに身を投じる。本作では学園都市の最高機密である『エイワス』と対峙し、己の無力さを痛感させられることとなる。

浜面仕上(はまづらしあげ):元・武装無能力者集団『スキルアウト』に所属していた無能力者の少年。特別な力は一切持たないが、愛する少女・滝壺理后を守るためなら、絶対的な力を持つ超能力者や学園都市という巨大な組織にも命懸けで立ち向かう熱い心を持つ。

滝壺理后(たきつぼりこう):元・暗部組織『アイテム』の能力者。能力を強制的に引き出す『体晶』の副作用で体を深く蝕まれている。自身を守るために戦う浜面と深い絆で結ばれ、共に学園都市からの脱出を図る。

麦野沈利(むぎのしずり):学園都市第四位の超能力者(原子崩し)。かつて浜面に敗れて右目と左腕を失ったが、サイボーグ化して復活を果たす。復讐心から浜面を執拗に追跡し、再び彼の前に立ち塞がる怪物として描かれる。

土御門元春(つちみかどもとはる):『グループ』の一員であり、魔術師かつ超能力者。飄々とした態度を取りながら、グループのまとめ役や参謀的な立ち位置を担う。

海原光貴(うなばらみつき) / エツァリ:『グループ』の一員であるアステカの魔術師。本作ではかつての組織の仲間であるテクパトルやトチトリと対峙し、強大な魔道書の『原典』を巡る死闘を繰り広げる。

結標淡希(むすじめあわき):『グループ』の一員である強大な空間移動能力者。過去の事件で捕らえられた仲間たちを解放するという目的のために、暗部で働き続けている。

親船最中(おやふねもなか):学園都市を統べる統括理事会の一人。平和主義者として闇から距離を置いていたが、自らの過ちを正し、大切なものを守るために一方通行らと共闘して軍需推進派の潮岸に立ち向かう。

エイワス:学園都市の最高機密『ドラゴン』の正体であり、統括理事長アレイスターの計画の中核をなす存在。AIM拡散力場を介して現出し、最強の一方通行の力さえも赤子のように捻り潰すほどの人智を超えた力を持つ。

■物語の特徴

本作の最大の特徴は、シリーズのメイン主人公である上条当麻がほとんど登場せず、第一位の超能力者「一方通行」と、無能力者の「浜面仕上」という二人の主人公の視点で物語が進行する点である。 圧倒的な暴力で敵をねじ伏せながらも、未知の怪物『エイワス』の前に完全なる敗北と挫折を味わう一方通行。それに対し、何の力も持たない弱者でありながら、知恵と勇気と覚悟だけで怪物・麦野沈利から愛する少女を守り抜く浜面仕上。この対極に位置する二人の主人公の対比と、己の信念を貫く姿が、物語に深いカタルシスを生み出している。

また、学園都市の「暗部」の抗争を描いたシビアで血生臭い世界観や、統括理事会内部の政治的な駆け引きなど、ダークな魅力に溢れているのも特徴である。さらに、学園都市の最大の秘密である『エイワス』の登場によって物語のスケールが一気に拡大し、次なる大規模な戦いの舞台である「ロシア編」へと繋がる非常に重要な転換点となっている。

書籍情報

とある魔術の禁書目録 19
(A Certain Magical Index)
著者:鎌池 和馬 氏
イラスト:はいむらきよたか 氏
出版社:株式会社KADOKAWA電撃文庫
発売日:2009年11月10日
ISBN:9784048681377

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あらすじ・内容

(15)巻、SSシリーズに続き描かれる、『学園都市の暗部』編!
学園都市の暗部で起きる事件を処理する『グループ』。最強の超能力者(レベル5)・一方通行(アクセラレータ)、魔術師でもあり能力者でもある土御門元春らで構成されたそのチームは、謎のキーワード『ドラゴン』について探っていた。それが、いまの“クソったれ”な現状を打破する唯一の手がかりであると信じて。一方、上層部に無断で行っていたその活動を煩わしく思う者がいた。その人物は、学園都市で最高の権力を持つ統括理事会メンバーの一人。彼の強大な勢力が、『グループ』に牙をむく。同じ時。元『アイテム』構成員の浜面と絹旗は、滝壺の見舞いにやってきていた。そこで突然巻き起こる、浜面の「バニーガール超好き疑惑」。どん引きする絹旗と滝壺を他所に、浜面は決死の釈明をするが……!?

とある魔術の禁書目録(19)

感想

読んでまず感じたのは、一方通行と浜面仕上という対照的な二人の主人公の魅力である。

最強の超能力者である一方通行と、無能力者である浜面。立場も能力もまったく異なる二人だが、それぞれが大切な少女を守るために戦っているという点では共通していた。その泥臭くも切実な姿が非常に印象的だった。

物語前半では、一方通行たち「グループ」が学園都市の暗部に隠された「ドラゴン」の正体を追っていった。任務をこなしたにもかかわらず、真実に近づいたことで命を狙われる展開には、改めて学園都市の暗部の恐ろしさを実感した。正義や悪ではなく、都合の悪い人間が切り捨てられていく世界の理不尽さがよく伝わってくる。

特に印象に残ったのは、一方通行とエイワスの対決であった。これまで圧倒的な力を見せてきた一方通行が、まったく歯が立たない相手と遭遇する展開には驚かされた。最強の超能力者であるはずの彼が一方的に追い詰められる姿からは、これまでとは違う次元の脅威を感じた。

読んでいて感じたのは、この戦いは勝敗以上に一方通行の覚悟を描くためのものだったということである。打ち止めの命が危険な状態にあり、その解決の糸口がロシアにあると知った彼は、全てを敵に回してでも救おうと決意した。普段は乱暴で他人を寄せ付けない彼だからこそ、その不器用な優しさがより強く心に残った。

一方で、本巻では浜面仕上の活躍も非常に印象深かった。超能力も特別な力も持たない彼だが、滝壺を守るためなら命を張ることをためらわない。

特に驚かされたのは、ボロボロの状態で復活した麦野沈利との攻防であった。一度は決着がついたと思っていた相手が再び現れ、執拗に追い詰めてくる展開には思わず息を呑んだ。それでも浜面は諦めず、知恵と覚悟だけを武器に、怪物のような相手から大切な人を守ろうとする姿は非常に格好良かった。超音速旅客機を奪ってロシアへの脱出を図る場面も、本作らしい勢いがあって楽しめた。

また、本巻ではシリアスな展開ばかりではなく、浜面や絹旗、滝壺たちの日常的なやり取りも描かれていた。特に「バニーガール超好き疑惑」のくだりには思わず笑ってしまった。こうした穏やかな時間があるからこそ、彼らが守ろうとしている日常の大切さも伝わってくる。

総じて本巻は、ロシア編へ向けた大きな転換点となる物語であった。一方通行も浜面も、それぞれの理由を胸にロシアへ向かう決意を固める。絶望的な状況の中でも、大切な人を守るために前へ進み続ける姿が胸を打った。

学園都市という舞台を飛び出し、物語はいよいよ世界規模へと広がっていった。この先ロシアでどのような戦いが待ち受けているのか、続きが気になって仕方がない一冊だった。

最後までお読み頂きありがとうございます。

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とある魔術の禁書目録(18)レビュー
【とある魔術の禁書目録】あらすじ・ネタバレ・まとめ
とある魔術の禁書目録(20)レビュー

考察・解説

一方通行とエイワス

『とある魔術の禁書目録』の19巻における、一方通行(アクセラレータ)と謎の存在「エイワス」の対峙は、物語が第三次世界大戦の舞台となるロシアへと大きく動く決定的な転換点となる。二人の激突とやり取りについて解説する。

学園都市の暗部組織に所属する一方通行が、現状を打破する手がかりを追う中で発生したこの戦闘は、科学の枠組みを超えた異次元の戦いとなった。

1. ドラゴンの正体エイワスとの遭遇

・一方通行は、現状を打破する手がかりである謎の機密コード「ドラゴン」の正体を追跡し、ついに統括理事会の潮岸を追い詰めた。
・しかしそこに、金色の長髪と白い装束をまとった人型の存在が出現する。
・この存在こそがドラゴンの正体であり、かつてアレイスター=クロウリーに必要な知識を授けたとされるエイワスであった。
・エイワスは、学園都市中に広がるAIM拡散力場を利用して現出しており、ヒューズ=カザキリは自身を形成するための製造ラインに過ぎないと語った。

2. 圧倒的な敗北と黒い翼の分断

・一方通行は、エイワスが打ち止め(ラストオーダー)にウィルスを打ち込んで現出の制御に利用していることを知り、彼女を害する存在として戦いを挑んだ。
・しかし、学園都市最強の力であるベクトル操作の反射すらもエイワスの謎の攻撃には通じず、一刀両断されたかのような致命傷を負ってしまう。
・さらに一方通行は怒りから黒い翼を覚醒させたが、エイワスはそれをオシリスの時代の力に過ぎないと切り捨てた。
・ホルスの時代を生きるエイワスの放つ青ざめたプラチナの翼の前に、黒い翼は容易く分断され、一方通行は手も足も出ない完全な敗北を喫した。

3. 決死の反撃とエイワスからの助言

・血だまりに沈んだ一方通行は、エイワスの現出メカニズムを推測し、最後の力を振り絞って拳銃でエイワスの頭部にある三角柱の中枢を撃ち抜いた。
・これによりエイワスは一時的に崩壊しかけたが、アレイスターの強力な防壁に守られていたため完全な撃破には至らなかった。
・しかし、エイワスはとどめを刺す前に、一方通行に重要な事実と助言を与えた。
・エイワス出現の影響により、ミサカネットワークの中枢である打ち止めは脳に多大な負荷を受け、命の危機に瀕している事実を告げる。
・そして彼女を救うには学園都市の技術では不可能であり、ロシアにあるエリザリーナ独立国同盟へ行け、禁書目録という言葉を覚えておけと言い残した。

4. ロシアへの旅立ち

・この人智を超えた存在との戦闘による絶望的な敗北と、エイワスからの助言により、一方通行の運命は大きく動き出した。
・彼は学園都市の技術による治療を諦め、意識を失った打ち止めを抱える。
・第三次世界大戦の戦火が広がる極寒のロシアへと特効薬を求めて足を踏み入れる決意を固めることになった。

まとめ

一方通行とエイワスの対峙は、これまで最強の名を欲しいままにしてきた一方通行に完全な敗北を知らしめる事件であった。しかし、この絶望的な戦いとエイワスの言葉が引き金となり、一方通行は打ち止めを救うための新たなアプローチを模索し、物語の主舞台となるロシアへと導かれていくのである。

粒子加速装置のテロ

『とある魔術の禁書目録』において、学園都市の裏社会で活動する組織「グループ」が対処した、世界最大の粒子加速装置「フラフープ」占拠テロ事件について解説する。

学園都市の治安を揺るがすこの事件は、最新鋭の科学施設を人質に取った大規模な犯罪であり、暗部組織による迅速な処理によって終結を迎えた。

1. 事件の概要と首謀者

・事件を起こしたのは、学園都市から外部への不正な通信を取り締まる任務を担っていた「迎電部隊(スパークシグナル)」の元隊員たちである。
・彼らは暴走してテロリストと化し、学園都市の外周をなぞるように地下200メートルに建造された世界最大の粒子加速装置「フラフープ」の制御施設を占拠した。
・さらに彼らは、課外授業で天体観測を行う予定だった小学生約30名と引率の教師、バスの運転手を拉致し、交渉を有利に進めるための人質としていた。

2. テロリストの脅威と手口

・「フラフープ」は、最大で陽子を光速の99.22パーセントまで加速させ、300秒間維持できる施設である。
・テロリストたちは加速装置のリミッターを外し、陽子を光速の30パーセント(後に50パーセントで固定)まで加速させて稼働状態にした。
・要求が呑まれない場合は出力を臨界オーバーまで引き上げ、円形加速装置のトンネルを破壊し、施設もろとも学園都市の三分の一に甚大な放射線(ガンマ線)被害をもたらすと脅迫した。
・彼らは交渉成立後にも意図的に施設を低規模で爆破し、放射線が吹き荒れる中で耐放射線装備の重装甲駆動鎧を着て逃走する計画を立てていた。

3. 「グループ」による突入と圧倒的な鎮圧

地下200メートルにある「フラフープ」制御施設は、放射線漏れを防ぐために核シェルター並の防御壁や隔壁を備えており、通常の突入は不可能であった。

・暗部組織「グループ」は、結標淡希の「座標移動(ムーブポイント)」能力を活用し、三次元的な制約を無視して学園都市第一位の超能力者である一方通行(アクセラレータ)を施設内へ直接送り込む作戦をとった。
・施設に侵入した一方通行は、人質の少年を処刑して脅迫映像を流そうとしていたリーダー格の腕を撃ち抜き、自らを悪党と名乗って戦闘を開始した。
・元迎電部隊は能力者対策の経験を積んだプロの戦闘集団であったが、あらゆるベクトルを操作する一方通行の前には銃弾も爆薬も通用せず、手も足も出なかった。
・一方通行は一切の油断や慢心を見せることなく敵を追い詰め、わずか300秒でテロリストたちを完全に鎮圧し、事件を終結させた。

4. テロの真の目的と皮肉な結末

・「グループ」のメンバーには、統括理事会の上層部からテロリストの要求内容が伝えられておらず、刃向かう者を皆殺しにしろという命令だけが下されていた。
・しかし、戦闘中にテロリストの叫びを聞いていた一方通行によって、彼らのたった一つの要求が学園都市の最重要機密「ドラゴン」の情報を速やかに開示せよというものであったと判明する。
・奇しくも「グループ」の面々もまた、学園都市の闇に対抗する突破口として「ドラゴン」の正体を追っていた。
・彼らは上層部の口車に乗せられ、テロリストを全滅させたことで、自分たち自身の手で「ドラゴン」へ繋がる貴重な手がかりを潰してしまった事実に気づかされるという皮肉な結末を迎えた。

まとめ

この「フラフープ」占拠テロ事件は、学園都市の科学技術の危うさと、それを裏から支配する統括理事会の冷徹さを象徴する出来事であった。「グループ」はテロを阻止することに成功したものの、上層部の巧妙な情報操作によって真の目的を阻まれ、学園都市の闇の深さを改めて思い知る結果となったのである。

浜面仕上とアイテム

『とある魔術の禁書目録』における、浜面仕上(はまづらしあげ)と彼が所属することになった学園都市の暗部組織「アイテム」との関係、そして組織の崩壊と彼の決死の反逆について解説する。

学園都市の光の当たらない世界で発生したこの暗部抗争は、無能力者の少年が自らの意志で立ち上がり、大切な人を守るための壮絶な戦いへと発展していった。

1. 無能力者から「アイテム」の下働きへ

・浜面仕上は、元々は学園都市の路地裏で活動する無能力者(レベル0)の武装集団「スキルアウト」に所属し、一時はリーダーを任されていた少年である。
・しかし、組織が壊滅的なダメージを受けたことでその立場を失い、学園都市の上層部や極秘集団の暴走を防ぐ非公式組織「アイテム」に下働きとして拾われることになった。
・「アイテム」の正規メンバーは、第四位の超能力者(レベル5)である麦野沈利を筆頭に、絹旗最愛、フレンダ、滝壺理后の4人の少女たちであった。
・浜面は彼女たちの雑用や車の運転手、ファミレスでのドリンクバーの往復係などを押し付けられており、女ばかりの組織の中で居心地の悪さを感じながら日々を過ごしていた。

2. 暗部組織「スクール」との激突と組織の崩壊

・学園都市の暗部組織同士の抗争が激化し、「アイテム」は第二位の超能力者・垣根帝督が率いる「スクール」と衝突した。
・この過酷な戦いの中で、「アイテム」は事実上の壊滅状態に陥る。
・垣根の圧倒的な力の前に絹旗は倒れ、敵の脅威に怯えたフレンダは組織を裏切って逃亡を図ったため、冷酷な麦野によって粛清(殺害)されてしまった。

3. 滝壺理后の自己犠牲と浜面の離反

・「アイテム」の索敵の要である滝壺理后は、能力を強制的に暴走させる薬物「体晶」の乱用によって、あと数回能力を使えば肉体が崩壊してしまうという限界状態にあった。
・しかし麦野は、「スクール」への反撃のために滝壺に「体晶」を無理やり使わせようとした。
・滝壺は、下っ端であるはずの浜面の命を守るために自らを犠牲にして垣根の前に立ち塞がろうとする。
・無能力者である自分を気遣い、命を懸けてくれた滝壺の優しさに触れた浜面は、このような優しい存在が幸せにならなければならないと決意した。
・彼は「アイテム」の命令に背き、滝壺を連れて組織から逃亡を図る。

4. 怪物・麦野沈利との死闘

滝壺を安全な場所へと逃がした浜面は、単身で追ってきた麦野沈利と対峙した。

・絶対的な力を持つ第四位の超能力者に対し、浜面は植物性エタノール燃料工場や戦闘機の耐久試験室といった地の利を活かした。
・麦野の能力「原子崩し(メルトダウナー)」の特性や、彼女の自分を見下し完璧を求めるという性格的な隙を徹底的に突いた。
・最後は、隠し持っていたレディース用の小型拳銃や、捨て身の格闘戦によって、理不尽な怪物と化していた麦野を見事に打ち倒した。

まとめ

無能力者の不良少年に過ぎなかった浜面仕上は、「アイテム」という恐るべき暗部組織の軛(かせ)を自らの手で断ち切った。たった一人の愛する少女・滝壺理后を守り抜くための道を歩み始めることになったのである。

ドラゴンの正体

『とある魔術の禁書目録』における学園都市の最重要機密コード「ドラゴン」の正体について解説する。

学園都市の深い闇の底に眠るこの機密は、多くの暗部組織が命懸けで追い求めた謎であり、物語を世界規模の大戦へと導く重要な鍵となった。

1. 暗部組織が追跡していた謎のキーワード

・ドラゴンは、学園都市の裏社会で活動する暗部組織「グループ」(一方通行、土御門元春、結標淡希、海原光貴)や「スクール」、さらには巨大粒子加速装置「フラフープ」でテロを起こした元「迎電部隊」などが、現状を打破する唯一の手がかりとして追っていた極秘の情報である。
・海原光貴は魔術サイドの視点から、ドラゴンという言葉が宗教的な暗喩であり、天使などを意味しているのではないかと推測していた。

2. 真の正体は「エイワス」

・「グループ」が統括理事会の潮岸を最深部まで追い詰め、ドラゴンの正体を開示しろと要求した際、潮岸は「ドラゴンはどこにでもいる。今は君の後ろにいるだろう」と告げた。
・その言葉の直後、土御門たちを瞬時に気絶させて一方通行の前に姿を現した金髪の存在こそが、ドラゴンの真の正体であった。
・その存在は自らを、かつてアレイスター=クロウリーに必要な知識を授けた者、エイワスであると名乗る。

3. 「ヒューズ=カザキリ」との関係

・九月三〇日の事件で出現した人工天使「ヒューズ=カザキリ」こそがドラゴンの正体ではないかという予測もあったが、潮岸やエイワス自身はそれを否定した。
・エイワスによれば、AIM拡散力場を高濃度の塩水に例えた場合、ヒューズ=カザキリは結晶化を促すために投入された不純物(核)のようなものである。
・エイワスという存在を現出させるための、単なる製造ラインに過ぎないと語られた。

まとめ

最重要機密コードであるドラゴンの正体は、科学の街の根底を支えるAIM拡散力場によって現出した人智を超えた存在、エイワスであった。この圧倒的な力を見せつける存在の出現と、一方通行との激突が、その後の第三次世界大戦へと向かう物語の大きな転換点となっていったのである。

ロシアへの旅立ち

『とある魔術の禁書目録』の19巻終盤において、三人の主人公である上条当麻、一方通行、浜面仕上が、それぞれ全く異なる背景と目的を持ちながら、次なる決戦の地となるロシアへ向けて旅立つ経緯について解説する。

学園都市やイギリスを巻き込んだ数々の激突を経て、少年たちはそれぞれの守るべき存在のために動き出し、物語の舞台は世界規模の大戦へと移行していった。

1. 上条当麻:インデックスの救済と元凶の追跡

真の黒幕である右方のフィアンマは、インデックスの自動書記の外部制御霊装を起動し、彼女に深刻なダメージを与えた。そして彼は、自身の計画に必要な素材であるサーシャ=クロイツェフを回収するため、ロシアへ向かうと言い残して姿を消した。

・かつて上条がインデックスの安全装置である首輪を破壊していたため、この状態で外部制御霊装が使用されると彼女の身体には重大な負荷がかかってしまう。
・傷つき倒れたインデックスを救い、フィアンマの企みを阻止するため、上条はステイルにインデックスを託した。
・自らの手で足を確保して単身でロシアへと向かう決意を固める。
・また彼は、フィアンマの第三の腕と自身の右手の関係についての疑問も確かめようとしていた。

2. 一方通行(アクセラレータ):打ち止めの救命とエイワスからの助言

謎の存在「エイワス」が出現した影響により、ミサカネットワークの中枢である打ち止め(ラストオーダー)は多大な負荷を受け、命の危機に瀕するほど衰弱してしまった。

・エイワスの圧倒的な力の前に敗北した一方通行であったが、エイワスからロシアにあるエリザリーナ独立国同盟へ行け、禁書目録という言葉を覚えておけという助言を受けた。
・学園都市の医療技術では彼女を救えないと悟った一方通行は、黄泉川や芳川との繋がりであった携帯電話を自らの手で握り潰した。
・意識を失った打ち止めを抱えてロシアへと旅立った。

3. 浜面仕上:滝壺理后の保護と学園都市からの逃亡

無能力者の浜面仕上は、体晶の副作用で崩壊の危機にある滝壺理后を守るため、第四位の超能力者・麦野沈利との死闘を繰り広げて彼女を撃破した。

・直後に、学園都市の別動隊が浜面の身柄を拘束するために接近している事実を知る。
・学園都市から完全に逃亡することを決意した。
・浜面は地下格納庫にあった学園都市製の超音速旅客機に乗り込み、電磁カタパルトを使って空へ飛び立った。
・彼の真の目的は、単に逃げることではなく、滝壺の身の安全を確保した状態で学園都市と交渉し降伏することであった。
・ロシアのエリザリーナ独立国同盟付近の空域で旅客機を爆破した二人は、パラシュートを背負い、手を繋いだまま極寒の地へと降り立った。

まとめ

全く異なる道を歩んでいた三人の少年たちは、守るべき少女を救うという共通の切実な思いを胸に、戦火の広がるロシアへと足を踏み入れた。この極寒の地で彼らの運命が交差することで、物語は苛烈な戦場を舞台とした最大のクライマックスへと向かっていくのである。

とある魔術の禁書目録(18)レビュー
【とある魔術の禁書目録】あらすじ・ネタバレ・まとめ
とある魔術の禁書目録(20)レビュー

登場キャラクター

グループ

一方通行(アクセラレータ)

学園都市で第一位の能力を持つ超能力者である。大切な少女を守るために自らを悪党と称し、血みどろの戦いへ身を投じている。学園都市の闇の世界に身を置きながらも、一般人を巻き込まないよう配慮する一面を持つ。
・所属組織、地位や役職
 グループ。学園都市第一位の超能力者。
・物語内での具体的な行動や成果
 テロ事件を単独で鎮圧し、潮岸の拠点を強襲してエイワスと対峙する。圧倒的な力を持つエイワスの前に敗北を喫した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 過去の負傷によって能力の使用に制限がかかっている。治療の手がかりを求めてロシアへ向かう。

土御門元春

金髪にサングラスという外見で、飄々とした態度を取る少年である。妹の舞夏を大切に思っており、彼女の生活を守るために暗躍している。義理の妹に対する愛情は非常に強い。
・所属組織、地位や役職
 グループ。イギリス清教と学園都市の多重スパイ。
・物語内での具体的な行動や成果
 グループの作戦立案や情報収集を担当し、他メンバーのサポートを行う。戦闘時には魔術を用いて敵の拠点を破壊する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 能力者でありながら魔術を使用するため、発動のたびに肉体に深刻な拒絶反応を引き起こす。

結標淡希

座標移動という強力な空間移動能力を持つ少女である。過去に能力を暴走させた事故の記憶から、自身の肉体を移動させることに強い恐怖を抱いている。仲間を救うという目的のため、学園都市の指示に従って活動を続ける。
・所属組織、地位や役職
 グループ。大能力者。
・物語内での具体的な行動や成果
 少年院に収容されている仲間を救出するため、施設へ潜入する。手塩との戦闘ではトラウマを乗り越えて勝利を収めた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 仲間を守るための行動を通じて、リーダーとしての責任感を持つようになる。

海原光貴(エツァリ)

他人の容姿を模倣する術式を扱う魔術師である。温和な態度を崩さないが、目的のためには危険な手段も厭わない。好意を寄せる少女の周囲の世界を守りたいと考えている。
・所属組織、地位や役職
 グループ。元アステカの魔術組織メンバー。
・物語内での具体的な行動や成果
 ブロックへの潜入工作を行い、情報収集と破壊活動を実行する。かつての仲間であるショチトルを救うために行動した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 本来の組織を裏切った身であり、新たに二冊目の原典の所有者となる。

アイテム

浜面仕上

特別な能力を持たない無能力者の少年である。小心者であるが、大切な少女を守る状況では自らの命を懸けて強敵に立ち向かう。かつては不良集団のリーダーを務めていた。
・所属組織、地位や役職
 アイテムの下働き。元スキルアウトのリーダー。
・物語内での具体的な行動や成果
 麦野沈利との死闘を繰り広げ、知恵と機転を用いて彼女を撃破する。学園都市の追手から逃れるため、超音速旅客機を奪取した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 無能力者でありながら第四位の超能力者を倒したことで、学園都市の暗部から危険視される存在となる。

絹旗最愛

B級映画の鑑賞を趣味とする少女である。空気中の窒素を操る能力を持ち、自動車を持ち上げるほどの怪力を発揮する。好戦的な性格であり、戦闘においては容赦がない。
・所属組織、地位や役職
 アイテム。大能力者。
・物語内での具体的な行動や成果
 ステファニーとの戦闘において、液体窒素を利用して相手の戦術を打ち破る。アイテム崩壊後も新チームの召集を拒否して独自に行動した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 組織の事実上の崩壊後も生存し、学園都市の裏社会で活動を継続する。

滝壺理后

常に眠たげな表情を浮かべる少女である。他者のAIM拡散力場を記憶し、特定の能力者の位置を検索する能力を持つ。浜面に対して深い愛情を抱いている。
・所属組織、地位や役職
 アイテム。大能力者。
・物語内での具体的な行動や成果
 体晶の副作用で体が崩壊しかけながらも、浜面を守るために能力を使用しようとする。浜面とともに学園都市からの脱出を図った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 体晶の乱用によって能力の使用が極めて危険な状態になっている。

麦野沈利

学園都市で第四位に位置する超能力者である。電子を操る能力を持ち、絶大な破壊力を誇る。目的のためには手段を選ばず、自らのプライドを傷つける者を執拗に追跡する。
・所属組織、地位や役職
 アイテムのリーダー。第四位の超能力者。
・物語内での具体的な行動や成果
 組織を裏切ろうとしたフレンダを粛清し、滝壺を狙って浜面と死闘を繰り広げる。浜面との戦いで右目と左腕を失った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 失った腕を能力で補い、復讐のために再び浜面の前に現れる。

迎電部隊(スパークシグナル)

リーダー格の男

部隊を統率し、目的を達成するためには手段を選ばない男である。人質を利用して交渉を有利に進めようとする。学園都市の暗部に関する情報を求めている。
・所属組織、地位や役職
 迎電部隊(スパークシグナル)のリーダー。
・物語内での具体的な行動や成果
 フラフープ制御施設を占拠して立てこもり、人質を取って統括理事会へ要求を突きつける。一方通行の急襲を受けて制圧された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 事件を引き起こしたことで組織ごと鎮圧され、計画は失敗に終わる。

迎電部隊のテロリストたち

学園都市の裏社会で活動していた元隊員の集団である。能力者対策の経験を積んでおり、プロの戦闘技術を持つ。統括理事会に対して反旗を翻した。
・所属組織、地位や役職
 迎電部隊(スパークシグナル)の構成員。
・物語内での具体的な行動や成果
 巨大な粒子加速装置フラフープを占拠し、ドラゴンの情報開示を要求する。グループの突入によって短時間で全滅状態に追い込まれた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 テロ事件の首謀者として討伐対象となり、組織としての機能を失う。

統括理事会

潮岸

学園都市の最高権力者の一人である。自身の安全を最優先とし、常に特殊な駆動鎧を着用している。冷酷な判断を下し、自身の目的を阻む者を排除しようとする。
・所属組織、地位や役職
 統括理事会。正式メンバー。
・物語内での具体的な行動や成果
 ドラゴンの情報を隠蔽するため、グループを暗殺対象として追跡部隊を差し向ける。親船との交渉が決裂した後、護衛に扮したテクパトルらに刺された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 学園都市の運営に関わる重要な権限を持つが、部下の裏切りによって重傷を負う。

親船最中

学園都市の生徒たちに選挙権を与えることを目標とする老女である。平和主義者であり、暴力による解決を好まない。自身の信念を貫くためなら自己犠牲も辞さない。
・所属組織、地位や役職
 統括理事会。正式メンバー。
・物語内での具体的な行動や成果
 潮岸の計画を阻止するため、自らの皮膚を提供して海原の潜入工作へ協力する。一方通行たちと共闘し、潮岸と正面から対峙した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 学園都市の平和を守るため、自ら前線に立って権力闘争に関与するようになる。

トマス=プラチナバーグ

統括理事会に名を連ねる権力者である。他者を見下す傾向があり、自身の利益のために暗躍する。豪奢な部屋に身を置き、護衛を極力遠ざけている。
・所属組織、地位や役職
 統括理事会。正式メンバー。
・物語内での具体的な行動や成果
 ステファニーを個人的に雇い入れ、自身の計画のために利用しようと試みる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 統括理事会の一員としての地位を保ち続けている。

アレイスター=クロウリー

学園都市の統括理事長を務める人物である。窓のないビルの中で生命維持装置に接続され、都市の全権を掌握している。独自の大規模な計画を水面下で進行させている。
・所属組織、地位や役職
 学園都市統括理事長。
・物語内での具体的な行動や成果
 エイワスの現出や虚数学区・五行機関の展開など、世界規模の事象を引き起こす計画を指揮する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 学園都市の絶対的な支配者として君臨し、すべての出来事を計画の一部として利用する。

統括理事会の関係者・私兵

杉谷

潮岸に仕える私兵の男である。卑怯な手段を用いてでも自らの信じる善を達成しようとする。戦闘技術に優れ、超能力者の弱点をつく戦術を用いる。
・所属組織、地位や役職
 甲賀の末裔。潮岸の私兵。
・物語内での具体的な行動や成果
 遠隔操作で一方通行の電極を無効化し、拳銃で彼を追い詰める。しかし一方通行の対抗策によって敗北し、銃撃を受けた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 潮岸の護衛として行動していたが、戦闘に敗れて意識を失う。

親船最中の秘書

親船最中の安全を深く気遣う小男である。彼女を守るためなら、普段の態度とは裏腹に強硬な手段に出ることもある。親船の理想を理解し、彼女を支えようとする。
・所属組織、地位や役職
 親船最中の秘書。
・物語内での具体的な行動や成果
 潮岸との交渉へ向かう親船に同行する。防弾車の中で一方通行に銃を向け、親船の護衛を厳命した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 親船のサポート役として彼女と常に行動を共にする。

アステカの魔術組織

ショチトル

中米の魔術組織に所属する褐色の少女である。戦闘を好まない性格だったが、肉体を改造されて組織の兵器となる。裏切り者である海原を抹殺するため、学園都市へ潜入する。
・所属組織、地位や役職
 アステカの魔術組織。メンバー。
・物語内での具体的な行動や成果
 原典の知識を利用して海原を攻撃するが、代償として身体の崩壊が始まる。海原が原典を引き継いだことで一命を取り留めた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 組織の任務に失敗し、海原によって命を救われる。

テクパトル

組織の作戦立案などを担当する男である。目的を達成するためには仲間の命すら使い捨てる冷酷さを持つ。原典の知識を独占し、それを兵器として利用する。
・所属組織、地位や役職
 アステカの魔術組織。作戦指揮官。
・物語内での具体的な行動や成果
 トチトリの骨を消費して魔術を行使し、海原と交戦する。しかし知識を広めない行動が原典の怒りを買い、原典自身の反撃を受けて敗北した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 戦闘に敗北し、命を落とす。

トチトリ

ショチトルの戦友である少女である。正常な精神を失っており、ただ命令のままに動く状態にされている。自らの骨を魔術の素材として奪われ続けている。
・所属組織、地位や役職
 アステカの魔術組織。メンバー。
・物語内での具体的な行動や成果
 テクパトルの攻撃の素材として自身の骨を消費させられる。骨を抜かれた箇所は黒曜石で埋め合わせられた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 海原が彼女を救うための条件として原典と契約を結ぶ。

傭兵

ステファニー=ゴージャスパレス

傭兵として活動する長身の女性である。師と仰ぐ砂皿緻密への復讐を果たすため、絹旗最愛を執拗に付け狙う。警備員の基礎に基づいた無駄のない戦い方をする。
・所属組織、地位や役職
 傭兵。
・物語内での具体的な行動や成果
 軽機関散弾銃を使用し、局地的な真空状態を作り出して絹旗を追い詰める。しかし絹旗の液体窒素を用いた反撃の前に敗北した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 学園都市での戦闘に敗れ、復讐は失敗に終わる。

砂皿緻密

ステファニーが師と仰ぐスナイパーの男である。過去の戦闘において重傷を負っている。ステファニーの行動の動機となっている存在である。
・所属組織、地位や役職
 傭兵。スナイパー。
・物語内での具体的な行動や成果
 学園都市の暗部組織同士の抗争に参加し、意識不明の重体となる。現在は学園都市の生命維持装置に繋がれている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 直接的な活動は行っていないが、彼に対する復讐心が事件を引き起こす。

新チーム

心理定規(メジャーハート)

派手なドレスを着た少女である。人の心の距離を自在に調節する能力を持ち、相手の敵対心を奪うことができる。学園都市の思惑に従って行動する。
・所属組織、地位や役職
 新チーム。元スクールのメンバー。
・物語内での具体的な行動や成果
 浜面仕上の前に現れ、能力を使って彼の行動を制限する。絹旗に対して学園都市が浜面を危険視していることを告げた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 組織再編に伴い、新チームのメンバーとして活動を開始する。

その他学園都市の住人・関係者・集団

雑貨稼業の男

裏社会で非合法な仕事を行っている男である。少女を鎖で吊るして監禁するなどの犯罪行為に手を染めている。詳細な人物像は語られていない。
・所属組織、地位や役職
 裏稼業。
・物語内での具体的な行動や成果
 少女を監禁していた拠点に一方通行の襲撃を受ける。反撃の暇もなく制圧され、血だるまとなって倒れた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 一方通行の日常的な活動の犠牲者として描かれる。

吊るされた少女

雑貨稼業の男によって監禁されていた被害者である。一方通行によって鎖を切断され、救出された。感情を表に出す描写は少ない。
・所属組織、地位や役職
 不明。
・物語内での具体的な行動や成果
 鎖で吊るされていたところを一方通行によって助け出される。立ち去る彼に対し、何者なのかを尋ねた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 自由の身となり、自らの人生を決めるよう一方通行から言い渡される。

土御門舞夏

土御門元春の義理の妹である。メイドのあり方に対して強いこだわりと独自の哲学を持っている。義兄に対しては厳しい態度をとることも多い。
・所属組織、地位や役職
 不明(学生)。
・物語内での具体的な行動や成果
 不適切なメイド服でチラシ配りをする少女たちに不満を抱く。清掃ロボットに乗りながら義兄に正拳突きを見舞った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆すべき地位の変化はない。

月詠小萌

子供のような外見を持つ学校教師である。生徒たちを気にかけており、日常生活の指導まで熱心に行っている。結標の更生を気にかけている。
・所属組織、地位や役職
 学校教師。
・物語内での具体的な行動や成果
 結標淡希に電話をかけ、野菜炒めの作り方を教える約束をする。料理を通じて経験を積むことの大切さを語った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆すべき地位の変化はない。

打ち止め(ラストオーダー)

御坂美琴のクローンである妹達の統括個体である。一方通行に対して強い信頼と好意を寄せている。無邪気で明るい性格をしている。
・所属組織、地位や役職
 妹達(シスターズ)。検体番号二〇〇〇一号。
・物語内での具体的な行動や成果
 エイワスの出現に伴う影響で脳に多大な負荷を受け、命の危機に瀕する。意識を失ったまま一方通行に抱きかかえられた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 治療の手がかりを求めるため、一方通行によってロシアへと連れ出される。

人質の少年

フラフープ事件で人質となっていた小学生の少年である。正義感が強く、困っている人を助けたいという真っ直ぐな思いを持っている。
・所属組織、地位や役職
 不明(小学生)。
・物語内での具体的な行動や成果
 フラフープ事件で一方通行に助けられる。後に親船最中のもとで彼と再会し、共に戦うことを申し出た。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 一方通行から戦いに関わるべきではないと諭され、遠ざけられる。

高校生の少年

第三学区で妊婦を助けてもらった恩を感じている少年である。義理堅い性格で、恩返しのためには危険も顧みない。裏稼業の下っ端として活動している。
・所属組織、地位や役職
 裏稼業の下っ端。
・物語内での具体的な行動や成果
 恩を返すため、スポーツカーを運転して一方通行の逃走を支援する。天文台まで彼を送り届けた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 一方通行からこれ以上の深入りを禁じられ、日常へ戻るよう指示された。

妊婦

第三学区での事件に巻き込まれた女性である。詳細な人物像は語られていない。
・所属組織、地位や役職
 不明。
・物語内での具体的な行動や成果
 爆発現場で負傷し、高校生の少年と一方通行によって助けられる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆すべき地位の変化はない。

救急隊員

事件現場で負傷者の対応にあたる人物である。詳細な人物像は語られていない。
・所属組織、地位や役職
 救急隊。
・物語内での具体的な行動や成果
 事件現場に駆けつけ、負傷者の対応などを速やかに行う。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆すべき地位の変化はない。

清掃車の運転手

清掃員を装って活動する裏稼業の人間である。予期せぬ事態には弱く、脅迫されるとあっさりと要求に応じる。
・所属組織、地位や役職
 裏稼業の下っ端。
・物語内での具体的な行動や成果
 個室サロンの近くで待機していたところを浜面仕上に脅される。要求に従って拳銃と弾倉を手渡した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆すべき地位の変化はない。

女性パイロット

学園都市のヘリコプターを操縦する女性である。脅迫に対しても冷静さを失わず、密かに反撃の準備を整える。
・所属組織、地位や役職
 ヘリのパイロット。元防空部隊所属。
・物語内での具体的な行動や成果
 ヘリポートで浜面に銃を向けられ、飛行を要求される。カッターナイフを密かに手にして彼を牽制した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆すべき地位の変化はない。

黄泉川愛穂

学園都市の警備員を務める体育教師である。子供には武器を向けないという強い信条を持っている。不良生徒の更生を心から願っている。
・所属組織、地位や役職
 警備員(アンチスキル)。学校教師。
・物語内での具体的な行動や成果
 何者かに襲撃されて意識不明となっていたところを芳川に発見される。その後、一方通行の前に立ち塞がり、垣根の攻撃を受けた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 垣根の未元物質による攻撃を受け、重傷を負って倒れる。

上条当麻

学園都市に住む高校生である。右手に異能の力を打ち消す幻想殺しを宿している。誰かが苦しんでいるのを見過ごせない性格である。
・所属組織、地位や役職
 高校生。
・物語内での具体的な行動や成果
 浜面と激突し、無能力者としての生き方を諭しながら拳を交える。フィアンマによる攻撃で苦しむインデックスを救うため、ロシアへと旅立った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 魔術サイドとの抗争に深く関わるようになり、第三次世界大戦の中心地へと向かう。

人智を超えた存在

エイワス(ドラゴン)

ドラゴンの正体とされる人智を超えた存在である。ヒューズ=カザキリを製造ラインとして利用し、AIM拡散力場を介して現出する。人間の感情や思考には関心を示さない。
・所属組織、地位や役職
 なし。
・物語内での具体的な行動や成果
 一方通行の攻撃を容易く無効化し、圧倒的な力を見せつける。一方通行に対してロシアへ向かうよう助言を与えた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆すべき地位の変化はない。

とある魔術の禁書目録(18)レビュー
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展開まとめ

序 章 悪党の退屈なやりとり Key_Shop.

グループの闇掃除

学園都市第一五学区にある高級総合ビルの最上階で、一方通行は『雑貨稼業』の男と対面していた。

『雑貨稼業』は逃走用の車や隠れ家、資金洗浄など裏社会向けの商品を扱っており、一方通行に必要な品を尋ねていた。しかし一方通行は商品には興味を示さず、部屋の奥に吊るされた少女へ視線を向けていた。

吊るされた少女への関心

部屋の隅には、下着姿の少女が鎖で吊り下げられていた。

少女は痣だらけで意識も薄く、生気を失ったような状態だった。『雑貨稼業』は彼女を自分の趣味で所有しているだけだと説明し、壊された場合の金額まで口にした。

一方通行は少女の扱いを確認すると、百万単位の札束を机へ放り投げた。『雑貨稼業』は少女への興味だと勘違いしたが、一方通行はそれを否定した。

一方通行による制裁

一方通行は、自分が買ったのは少女ではなく『雑貨稼業』本人だと告げた。

その直後、一方通行が投げた鞄によって『雑貨稼業』の鼻は砕かれた。激痛に苦しむ男は拳銃を取り出したが、一方通行は全く動じなかった。

人間一人の価値を七〇〇万円程度と語っていた男に対し、一方通行はその価値で自分自身が買われたことを示した。そして恐怖に震えながら発砲する男を相手に、一方通行は容赦なく襲い掛かった。

悪党への報復の完了

数分後、『雑貨稼業』は血だるまとなって倒れていた。

無傷のまま立つ一方通行は電話をかけ、回収班の手配を行った。そして少女を吊るしていた鎖を能力で切断し、女性用の着替えや女性職員の派遣を指示した。

その後、一方通行は机の上の札束を少女へ放り投げた。

少女との別れ

床へ崩れ落ちた少女に対し、一方通行は後の人生は自分で決めろとだけ告げ、出口へ向かった。

それまでほとんど反応を示さなかった少女は、一方通行の背中を見つめながら何者なのかを尋ねた。

一方通行は、自分は悪党でありクソッたれの悪党だと答え、その場を去っていった。

グループの日常

それが一方通行達の日常であった。

一方通行、土御門元春、海原光貴、結標淡希の四人で構成される『グループ』は、今日も学園都市の闇を駆逐していた。

第一章 善意ぐらい信じている Dark_Hero.

グループの招集

一〇月一七日の夕方、一方通行は隠れ家のホテルで自作の杖を改造していた。

打ち止めと電話で他愛のない会話を交わしながら、重量感知センサーや伸縮機構を備えた杖の性能を確認していた。一方通行は改造の成果に一定の満足を得るが、能力使用時には不要であり、武器としても実用性に欠けると判断していた。

その最中、ホテルの電話が決められた回数だけ鳴り、仕事開始の合図が届いた。打ち止めから危険なことをしないよう頼まれると、一方通行は軽く受け流し、携帯電話を切って部屋を後にした。

土御門兄妹のやり取り

土御門元春は第七学区の繁華街を歩いていた。

街中でチラシ配りをするメイド姿の少女達を見て感慨に浸っていたが、妹の土御門舞夏から強烈な正拳突きを受けた。舞夏はチラシ配りのメイド達を本物のメイドではないと批判し、メイド文化への誤解に不満を示した。

一方で土御門はメイドに対する持論を展開し、舞夏から容赦なく制裁を受けた。その途中でキャンピングカーが合図を送り、土御門はコンビニへ向かうと見せかけて仲間との合流地点へ向かった。

キャンピングカーでの合流

土御門がキャンピングカーへ乗り込むと、車内には一方通行がいた。

土御門は自然な調子で今日の任務について尋ね、グループの活動が始まった。

結標淡希の決意

結標淡希は第一〇学区を歩きながら、収容された仲間達のことを考えていた。

かつての計画は失敗し、多くの仲間達が少年院へ送られた一方、自分だけが自由の身となった。その代償として、結標は学園都市の闇と戦うため能力を利用することを求められていた。

結標は学園都市の思惑に利用されることを承知しながらも、いつか仲間達を自由にするという目的だけを胸に抱き続けていた。

月詠小萌からの電話

結標の携帯電話に、同居人である月詠小萌から連絡が入った。

小萌は野菜炒め作りを教える約束を思い出させながら、料理だけでなく様々な経験を積むことの大切さを語った。その言葉を聞いた結標は、自分を気遣い導いてくれる存在がいることに気づき、心の重圧が和らぐのを感じた。

その直後に仕事の合図が届き、結標は野菜炒め作りを断念してキャンピングカーへ向かうことになった。

グループへの合流

結標がキャンピングカーへ乗り込むと、一方通行と土御門が待っていた。

さらに車内ではゲームで遊ぶ様子も見られ、結標は仲間達に呆れながらも合流した。

海原とショチトルの再会

海原光貴は病院を訪れ、入院中のショチトルを見舞っていた。

海原は彼女のために民族衣装を持参し、会話の中でショチトルの体に埋め込まれていた魔道書の原典を自分が保管していることを明かした。

ショチトルは学芸都市との戦いの終盤で命令違反を犯し、その罰として肉体を改造され、原典の器にされた過去を語った。そして海原が学園都市側へ協力している現状を、かつての仲間への裏切りだと指摘した。

兄妹発言による騒動

ショチトルは海原をエツァリお兄ちゃんと呼んだ。

その直後、病室へ飛び込んできた土御門が妹の存在を理由に海原を追及し始めた。ショチトルも海原が女子中学生へ心を奪われた結果として組織を裏切ったのではないかと疑い、海原は激しく動揺した。

病室の外で待っていた結標は、その騒動を冷ややかに見つめていた。

ショタコン疑惑と出発

結標は仲間達の言動を見て変態ばかりだと評した。

しかしその発言を受けると、一方通行、土御門、海原の三人は揃って結標のショタコン趣味を指摘した。結標は慌てふためいたが、三人は以前から気づいていた様子だった。

そんな騒動を経て病院を後にした一行に対し、土御門は今回の任務内容を説明した。

それは人質を取って立てこもるテロリスト達を殲滅するという、いつも通りの危険な仕事であった。

病院での見舞い

浜面仕上と絹旗最愛は病院の売店を訪れ、滝壺理后への見舞いの花を購入していた。

絹旗は浜面が花を用意していなかったことをからかいながら花束を選び、その運搬は浜面に任せた。二人は軽口を叩き合いながら病室へ向かった。

滝壺理后の退院報告

病室を訪れた二人は、滝壺理后がすでに回復し、その日のうちに退院する予定であることを知った。

浜面は退院を事前に知らされていなかったことに驚き、絹旗も見舞いが無駄になったと冗談を口にした。滝壺は二人の見舞いを素直に受け取り、退院できるほど回復したことを伝えた。

見舞い品を巡る騒動

絹旗は滝壺の回復を喜びながら、体晶の副作用から無事に回復したことに安堵していた。

浜面は暇潰し用のジグソーパズルを贈り、絹旗は大きなウサギのぬいぐるみを取り出した。滝壺はそのぬいぐるみを気に入り、浜面は予想外の反応に驚いていた。

その後も浜面と絹旗はいつものように言い争いを続け、滝壺は穏やかにその様子を見守っていた。

バニー談義と浜面の敗北

絹旗はウサギのぬいぐるみを利用して滝壺をバニー風に見せる遊びを始めた。

その姿を見た浜面は鼻血を流してしまい、絹旗と滝壺から呆れられた。浜面は必死に否定したが、滝壺からもバニーで鼻血を出したと認識され、さらに追い詰められることになった。

グループへの任務説明

一方通行、土御門元春、結標淡希、海原光貴はキャンピングカーの中で任務内容を聞いていた。

土御門は、事件を起こしたのが迎電部隊という組織であり、本来は学園都市から外部への不正通信を取り締まる部隊だったと説明した。その迎電部隊が暴走し、世界最大級の粒子加速装置フラフープの制御施設を占拠したのである。

粒子加速装置占拠事件

土御門は、テロリスト達が加速装置のリミッターを解除し、危険な状態で運転していると説明した。

さらに装置を暴走させれば、加速装置のトンネルが破壊され、学園都市の広範囲に放射線被害をもたらす可能性があった。海原は送電を遮断する方法を提案したが、自家発電設備が存在するため効果はないと説明された。

結標は犯人達の要求について尋ねたが、その情報はグループには伝えられていなかった。

隠された危機

土御門は加速装置の運用状況についてさらに説明した。

現在使われている第三段階の加速装置は、本来なら光速の七〇パーセント以上の実験に使用される設備であり、報告されている三〇パーセントという数値には不自然な点があった。そのため、実際の状況はさらに深刻である可能性が示された。

人質の存在

土御門は最後に、事件現場には小学生約三十人と教師、運転手が人質として連れ去られていることを明かした。

犯人達は要求が受け入れられない場合、人質を順番に殺害するための交渉材料として利用するつもりだった。一方通行は人質への同情を見せることなく、目障りな事件は早く終わらせるべきだと冷淡に言い放った。

退院祝いの準備

その頃、浜面と絹旗は滝壺の退院祝いの準備のため繁華街を歩いていた。

第三学区の個室サロンを会場として確保し、パーティ用品を買い集めていた。会話の中で絹旗は、組織アイテムが事実上壊滅した今後について浜面へ尋ねた。

浜面の決意

浜面はスキルアウトへ戻るつもりはないと答えた。

滝壺はもう体晶を使えず、裏社会で生きていくことも難しいため、自分が何かをしなければならないと考えていた。具体的な答えは持っていなかったが、滝壺を表の世界で生かしていくために行動する決意を語った。

その言葉には、かつて麦野沈利との死闘で最後まで立ち向かった時と同じ強い意志が込められていた。

繁華街での追いかけっこ

真面目な話の後も、絹旗は浜面をバニー趣味でからかい続けた。

浜面も応戦したが、絹旗はスカートを使ったフェイントで翻弄する。最後には偶然スカートが本当にめくれてしまい、浜面は再び鼻血を噴き出して敗北した。

激怒した絹旗は浜面を追い回し、二人の騒がしい追いかけっこが夜の繁華街に響き渡っていた。

フラフープ制御施設への接近

一方通行、土御門元春、結標淡希、海原光貴を乗せたキャンピングカーは、テロリストに占拠された粒子加速装置フラフープの制御施設が存在する第二三学区へ向かっていた。

移動中、一方通行は連絡役の電話が来ないことを疑問に思い、結標と軽口を交わした。一方で海原は警備員の状況について尋ね、土御門はフラフープが強固な防御設備で守られているため、警備員の介入も困難な状況であると説明した。

突入作戦の立案

施設内部の詳細な状況が把握できない中、土御門は結標の座標移動能力を利用した突入案を提示した。

結標は二〇〇メートル先の見えない場所への直接転移は危険だと指摘したが、土御門は第二三学区地下施設を経由して接近し、そこから一方通行を送り込む作戦を説明した。

やがて一行は地下施設へ到着し、職員用エレベーターで地下深くまで降下した。

作戦開始前の準備

地下施設の壁際まで移動した一行は、フラフープ制御施設への最短地点に到達した。

結標が転移準備を進める中、土御門は一方通行の電極チョーカーの受信状態悪化を見抜き、作戦決行を一五分延期することを提案した。土御門は即席アンテナの作成に向かい、海原には統括理事会との連絡役を任せた。

その間、一方通行には装備の最終確認が命じられた。

人質となった少年たち

一方、フラフープ制御施設では、人質として連れ去られた少年たちが拘束されていた。

テロリスト達はフラフープを交渉材料として利用しながら、自らの逃走計画について話し合っていた。彼らは加速装置を利用した破壊工作と放射線被害を前提に行動しており、人質の安全など考慮していなかった。

やがてリーダー格の男は、統括理事会への脅迫映像を送信するため、一人の少年を選び出した。

交渉開始と少年の抵抗

目隠しされた少年は銃口を後頭部へ突き付けられた状態で、脅迫映像の撮影に利用されることになった。

リーダー格の男は人質殺害によって統括理事会へ圧力をかけると宣言した。しかし少年は恐怖に震えながらも屈せず、自分たちを助けてくれる者が必ず現れると信じていると訴えた。

それに対しリーダー格の男は、たとえヒーローが存在しても間に合わないと告げ、引き金を引いた。

一方通行の介入

発砲音が響いた直後、流れた血は少年のものではなく、拳銃を持っていたリーダー格の男のものだった。

横合いから撃たれた男は腕を破壊され、続けて放たれた銃弾によって吹き飛ばされた。さらに撮影役の男も撃たれ、中継用の携帯電話は破壊された。

震える少年がヒーローなのかと尋ねると、現れた一方通行は自分を悪党だと答え、携帯電話を踏み潰した。

フラフープ制御施設の制圧

一方通行は制御施設内で迎電部隊のテロリスト達を圧倒した。

テロリスト達は能力者対策の経験を持ち、銃撃や人質利用、爆薬などあらゆる手段で抵抗した。しかし弾丸は反射され、人質を利用しようとした者は腕を折られ、爆薬を使おうとした者も行動を封じられた。

一方通行は能力だけに頼らず、拳銃も併用しながら最小限の動きで最大の戦果を上げていった。

迎電部隊の敗北

迎電部隊の隊員達は、これまで綿密に準備してきた計画が一方通行によって次々と崩壊していく様子を目の当たりにした。

一方通行は油断も慢心も見せず、逃げ場を与えないまま確実に敵を排除していった。その姿は人間同士の戦いというより、逃げる標的を追い詰める追尾ミサイルのようであった。

抵抗は意味を失い、テロリスト達は次々と無力化された。

事件の終結

戦闘開始からわずか三〇〇秒後、世界最大の粒子加速装置フラフープには再び静寂が戻った。

迎電部隊による占拠事件は、一方通行の介入によって短時間で制圧されたのであった。

テロ事件の終結

少年は目隠しをされたまま周囲の空気の変化を感じ取っていた。先ほどまで支配していた絶望的な緊張感は消え去り、人質達の間には戸惑い混じりの空気が広がっていた。

少年は必死に拘束を解き、目隠しを外した。そして周囲を見回した先で、倒れたテロリストと向き合う白髪の人物を見つけた。しかし次の瞬間、その人物は何の前触れもなく姿を消していた。

少年は、自らを悪党と名乗った存在のことを考えながら、その場に立ち尽くしていた。

撤退後の情報共有

一方通行は結標淡希の座標移動によって地下施設へ帰還していた。

迎電部隊の排除によって事件は解決し、人質の救出は施設職員へ委ねられることになった。一方通行達は突入前に待機していた地下施設へ集まり、作戦後の状況を確認した。

そこで一方通行は、テロリスト達が統括理事会へ何を要求していたのかが気になると切り出した。

要求内容への疑問

土御門元春は調査を試みたものの、統括理事会側の情報統制が厳しく、要求内容までは把握できなかったと説明した。

しかし一方通行は戦闘中にテロリスト達の会話を聞いていた。彼らは目的を達成できなくなったことを嘆いており、その内容から要求の一端を知ることができたのである。

海原光貴に促された一方通行は、その言葉を口にした。

ドラゴンというキーワード

一方通行が告げた単語はドラゴンだった。

その言葉を聞いた瞬間、その場の空気は張り詰めた。ドラゴンは滞空回線の機密情報の中にも名前だけが登場していた存在であり、一方通行達がその正体を追っていた重要な手掛かりだった。

彼らはそれぞれ異なる目的を持ちながらも、ドラゴンの正体を探るため共闘関係を築いていたのである。

失われた手掛かり

一方通行は、迎電部隊のテロリスト達もまたドラゴンを追っていたことを指摘した。

そして彼らの要求は、ドラゴンに関する情報を速やかに開示せよというものだけだったと明かした。

その結果、一方通行達は統括理事会の意図に従ってテロリスト達を排除したことで、ドラゴンへ繋がる手掛かりを自ら断ってしまったのだと結論づけた。

行間 一

統括理事トマスの密会

学園都市第一学区にある統括理事会の豪奢な事務所で、統括理事のトマス=プラチナバーグは外部から呼び寄せた傭兵スナイパー、ステファニー=ゴージャスパレスと面会していた。

トマスは、かつて暗部組織同士の戦いで重傷を負った砂皿緻密を秘密裏に回収し、生命維持装置ごとステファニーの元へ送り届けていた。それは善意ではなく、恩を売って利用するための行動だった。

砂皿の容体が安定していることを確認した後、トマスは本題として、一方通行の暗殺依頼を持ちかけた。それは以前に一方通行から襲撃を受けたことへの個人的な報復でもあった。

隠された発信器の発覚

トマスは暗殺の報酬として、砂皿を負傷させた元アイテムの絹旗最愛達を巻き込んでも構わないと告げた。

しかしステファニーは、学園都市の医療技術を称賛しながら、砂皿の体内に小型発信器が仕込まれていたことを指摘した。さらに、その発信器には遠隔操作で内臓を停止させる機能まで備わっているのではないかと問い詰めた。

トマスはそれを安全対策だと弁明したが、その時にはすでに遅かった。

トマスへの報復

ステファニーは瞬時にトマスへ接近し、羽根ペンで腹部を刺して体内に埋め込まれていた発信器を取り出した。

恐怖に駆られたトマスは協力を申し出て命乞いをしたが、ステファニーは復讐の対象は一方通行ではなく学園都市そのものだと告げた。

そして無線機のスイッチを押し、トマスの体内に埋め込まれた発信器を作動させた。特殊な電気刺激によって複数の内臓が停止し、トマスは絶叫の末に死亡した。

学園都市への復讐開始

トマスの悲鳴を聞きつけた護衛達が部屋へ向かう中、ステファニーは巨大なバッグを開いた。

そこから取り出したのはスナイパーライフルではなく、自ら改造した軽機関散弾銃だった。ステファニーは砂皿のように遠距離から狙撃するよりも、標的に近づいて一気に撃ち込む方が簡単だと語った。

直後に扉が開かれると同時に、軽機関散弾銃が火を吹いた。災厄のような銃撃が放たれ、ステファニーによる学園都市への復讐が始まったのであった。

第二章 単純かつ複雑な問題点 V.S._Calamity.

潮岸からの新たな依頼

一方通行達が乗るキャンピングカーのスクリーンに、統括理事会の一人である潮岸の映像が映し出された。潮岸は『フラフープ』事件の解決を評価しつつ、自身が常に駆動鎧を装着している理由を語った。

潮岸は人間は予期せぬ理由で容易に死ぬものであり、自らの立場では常に危険と隣り合わせだと説明した。そのため居場所を知られないよう映像越しに接触していることや、親船最中の融和的な姿勢も一種の防御手段であると語った。

事件の連鎖と残党討伐命令

土御門が本題を尋ねると、潮岸は学園都市では複数の事件が同時進行していることを示唆した。そして『フラフープ』を襲撃した元迎電部隊の残党が学園都市内に潜伏しているため、その討伐を依頼した。

残党は『ドラゴン』の情報を求める者達であり、放置すれば新たな計画を実行する危険があった。潮岸は標的の詳細を転送し、準備期間を与えない限り容易に対処できる相手だと説明した。

『ドラゴン』への追及と打ち切られた会話

一方通行は潮岸に『ドラゴン』という言葉に聞き覚えがあるか尋ねた。

潮岸は有名な単語だと軽く受け流し、それ以上の情報は与えなかった。一方通行は追及の機会を失い、不満を抱きながらも会話は終了した。

浜面と絹旗の映画鑑賞

滝壺理后の退院祝いの準備中、浜面仕上と絹旗最愛は繁華街にあるショートフィルム専門の映画館を訪れた。

上映された作品は当初こそ低予算の駄作に見えたが、浜面は途中で物語の仕掛けに気づいた。舞台は地球ではなく発展した火星であり、それまで不自然に見えた要素が全て伏線だったのである。

短時間で巧妙に構成された作品に浜面は感嘆したが、その瞬間に席を外していた絹旗は傑作を見逃したことに気づき、大きな衝撃を受けた。

新チームへの召集と拒否

映画館を出た後、絹旗の元に連絡が入った。内容は元迎電部隊討伐のため、新たなチームを結成するので集合せよという命令だった。

しかし集合場所へ向かった絹旗は、かつて敵対していた複数の暗部組織の残存勢力を集めて新チームを作るという計画を知った。絹旗はそれを受け入れられず、その場を離れて浜面の元へ戻った。

独自に残党を追う決意

浜面は命令を無視して問題ないのかと尋ねたが、絹旗は問題になるだろうと認めながらも、自分一人で元迎電部隊の残党を始末すれば文句は出ないと考えた。

絹旗は浜面に車の調達を命じ、残党を追跡して速やかに片付けた後で滝壺の退院祝いを行うつもりだと説明した。浜面は不満を漏らしながらも協力することになった。

地下街での迎撃作戦

一方通行達は第三学区へ到着し、潮岸から送られた情報を確認した。標的は二十人の元迎電部隊残党であり、駅地下の閉鎖された地下街を移動していた。

土御門は彼らの逃走車両を先に確保し、その上で地下街に突入する作戦を立案した。結標の能力で混乱を起こし、自分と海原で敵を排除するという内容であった。

一方通行は『ドラゴン』の手掛かりを逃したことに不満を抱いていたが、土御門はテロリストを野放しにするべきではないと主張した。一方通行もそれ以上は反論せず、四人は元迎電部隊残党との戦闘へ向かうことになった。

第三学区地下街での奇襲作戦

第三学区駅前の地下街で、土御門元春と海原光貴は元迎電部隊の隊員達を発見した。二人は結標淡希と連携し、結標の『座標移動』によってコルク抜きを標的へ転送して攻撃を開始した。

突如として仲間達が次々と倒れたことで元迎電部隊は混乱し、その隙を突いて土御門と海原も銃撃を加えた。さらに結標の攻撃が続き、敵の数は急速に減少していった。

グレネードによる反撃と逃走

追い詰められた元迎電部隊は、一斉にグレネードを発射して反撃した。土御門は店舗へ飛び込み、海原は防火シャッターを下ろして爆発を防いだ。

しかしその対応によってわずかな時間が生じたため、元迎電部隊はグレネードで地下街の天井を爆破し、地上へ続く脱出路を作り上げた。土御門達が現場へ戻った時には、敵はすでに姿を消していた。

地上で被害を目撃する一方通行

地上で待機していた一方通行は、地下街からの爆発によって発生した被害を目の当たりにした。吹き飛ばされた道路や破壊された建物、負傷者達の姿を見て、元迎電部隊への怒りを募らせた。

土御門から追撃を命じられたものの、一方通行は素直に従う気になれず、その場で被害者達の様子を見回していた。

妊婦を救うための決断

そこで一方通行は、重傷を負った女性を巡って救急隊員と高校生が言い争う場面に遭遇した。女性は妊娠しており、高校生は胎児への影響を恐れて強壮剤の投与に反対していた。

救急隊員は母体を救うため投与を主張したが、高校生は女性も胎児も失いたくないと訴え続けた。一方通行は二人の間に割って入り、妊婦の体に触れて胎児の状態を解析した。

母子双方の救出

解析を終えた一方通行は、強壮剤の投与量と投与方法を正確に指示した。救急隊員がその通りに処置を行うと、意識を失っていた女性は目を覚ました。

さらに一方通行は胎児への悪影響もないことを確認し、適切な病院への搬送先まで指示した。母子の命が救われたことで、高校生は深く感謝した。

感謝を拒む一方通行

高校生は一方通行に礼を述べ、自分の人生で最も大切な存在を救ってくれたことを忘れないと伝えた。

しかし一方通行は拳銃を突き付けながら失せろと告げ、高校生を追い払った。それでも高校生は深く頭を下げ、救急車へ向かって走っていった。

怒りを抱えて追撃へ向かう

救急車が去った後、一方通行は再び電極のスイッチへ手を伸ばした。直後に爆音が響き、現場には巨大な亀裂が残された。

元迎電部隊による被害をこれ以上繰り返させないため、一方通行は行動を開始した。

『六枚羽』による追撃

一方その頃、浜面仕上と絹旗最愛はファミリーカーで元迎電部隊を追跡していた。しかし突然、学園都市の無人戦闘攻撃ヘリ『六枚羽』に追われることになった。

短距離ミサイルが発射されたが、絹旗は発煙筒を投げて熱源を誘導し、攻撃を回避した。しかし爆風だけでも車は大きく揺さぶられ、危険な状況に追い込まれた。

絹旗による撃墜

絹旗は車を高層ビル街へ誘導し、『六枚羽』を低空飛行させた。そして助手席の窓から身を乗り出し、拳銃でヘリの吸気口を狙撃した。

粉砕式弾頭は砕けた粒子となって金網を通過し、エンジン内部へ侵入した。その結果、『六枚羽』は機能不全に陥り、爆発しながら墜落した。

事故と新たな脅威

撃墜の衝撃波によってファミリーカーは制御を失い、高架道路の側壁へ激突した。浜面は辛うじて助かったが、絹旗の姿は見当たらなかった。

今後の行動を考えていた浜面のもとへ、『心理定規』から電話が入った。彼女は元迎電部隊が第三学区の個室サロンを占拠したと告げた。

その個室サロンには、退院したばかりの滝壺理后が待機していたため、浜面は事態の深刻さを悟った。

個室サロンへの決意

浜面仕上は、滝壺理后が待機していた個室サロンがテロリストに占拠されたという情報を受け、第三学区を駆けていた。現場は警備員によって封鎖されており、さらに上層階から銃声が響いたことで、滝壺が内部に取り残されている可能性を確信した。

事件に関わりたくないという思いを抱きながらも、浜面は滝壺を助けるために行動を決意した。

武器の確保と侵入方法の模索

浜面は周囲で待機していた清掃車に目を付け、その運転手から拳銃と予備弾倉を手に入れた。自分が無能力者であり、強大な力を持つ者ではないことを理解しながらも、知人が危険な状況に置かれている以上、行かないという選択肢はないと考えた。

地上からの侵入は不可能と判断した浜面は、空中から個室サロンへ接近する方法を選び、近くの高層ホテルのヘリポートへ向かった。

パイロットとの対峙

ヘリポートでヘリコプターに乗り込んだ浜面は、女性パイロットへ拳銃を向けて個室サロンへの飛行を要求した。

しかし女性は元防空部隊所属であり、いつの間にかカッターナイフを手にして浜面を牽制した。浜面が対応に苦慮していた時、滝壺から電話が入った。

滝壺との通話

滝壺は個室サロン内部から浜面へ連絡し、自身はまだ無事で物陰に隠れていると伝えた。しかし声は弱々しく、体調が悪化している様子だった。

浜面は助けに行くと約束したが、滝壺は武装したテロリストを相手に浜面では危険すぎると判断し、来ないよう懇願した。

それでも浜面は諦めず、どんな手段を使ってでも助け出すと伝えた。その直後、個室サロン内の通信設備が破壊されたのか、通話は途絶えた。

女性パイロットの協力

通話を終えた浜面は、涙ながらに女性パイロットへ協力を求めた。どんな罪を負っても構わないから滝壺を助けたいという言葉を聞いた女性は態度を変えた。

彼女は飛行記録を残す装置を意図的に破損させたうえで、自らがハイジャックされたという虚偽の緊急連絡を管制へ送り、浜面を守るための工作を行った。

その後、ヘリコプターは個室サロンのビルへ向かった。

ヘリポートへの強行降下

個室サロンのヘリポートには武装した元迎電部隊の隊員達が待機していた。女性パイロットは着陸できないと説明したが、浜面はヘリポートに設置された大型の装飾用ツリーに目を付けた。

そして躊躇なくヘリコプターから飛び降り、布製の装飾物で衝撃を吸収しながら屋上へ着地した。

驚いているテロリスト達へ拳銃を連射し、彼らが反応する前に制圧した。

一方通行の突入

一方、個室サロン内部では元迎電部隊の残党達が屋上の異変について警戒していた。しかし彼らが対応を協議している最中、窓を突き破って一方通行が突入した。

二十八階という高所にもかかわらず侵入してきた一方通行は、元迎電部隊の隊員を別の隊員へ投げつけるなど圧倒的な力で攻撃し、複数の敵を一瞬で戦闘不能にした。

杉谷の介入

さらにフロア入口側からも銃声が響き、元迎電部隊の隊員達は次々と射殺された。

銃撃していたのは杉谷と名乗るスーツ姿の男だった。彼は負傷者の生存確認まで徹底して行い、本気で街を守りたいならその程度は必要だと一方通行へ告げた。

用件を終えた杉谷はそのまま立ち去り、一方通行も追及せずに見送った。

人質の確認

一方通行は土御門元春へ連絡し、個室サロン内の元迎電部隊を全滅させたことを伝えた。その後、人質が集められていた大広間を確認した。

内部には三百人以上の民間人が集められていたが、死人が出ている様子はなかった。

滝壺との遭遇

大広間を離れた一方通行は、廊下で倒れているジャージ姿の少女を発見した。少女には銃創は見当たらず、体調不良によって動けなくなっているようだった。

一方通行が救護のために近づこうとした時、通路の奥から男の声が響いた。

そこにいたのは浜面仕上だった。浜面は倒れている滝壺理后と一方通行を見て強く警戒し、滝壺に何をしたのかと問い詰めた。

浜面の誤解と対決

浜面仕上は非常階段を使って個室サロン内部を進んでいたが、二十八階で一方通行が意識を失った滝壺理后の傍らにいる姿を目撃した。

かつて駒場利徳を射殺し、スキルアウトを壊滅寸前まで追い込んだ相手である一方通行を見た浜面は冷静さを失った。さらに直前に学園都市の攻撃ヘリに襲撃されていたことも重なり、一方通行が今回の事件にも関与していると考えた。

浜面は滝壺を守るため、一方通行へ拳銃を突き付けて戦いを挑んだ。

一方通行の評価と開戦

一方通行は事情を察しながらも誤解を否定せず、浜面を良い悪党だと評価した。

直後に電極を起動した一方通行は一気に距離を詰め、浜面へ攻撃を仕掛けた。浜面は超能力者も人間である以上、確実に銃弾を当てられる状況を作れば倒せると考え、一方通行の弱点を探ろうとした。

磁石による反撃の失敗

浜面は警備ロボットを破壊し、内部の大型モーターから永久磁石を取り出した。かつて駒場利徳が一方通行の電極を妨害したことを思い出し、強力な磁力で誤作動を起こそうと考えたのである。

しかし投げ付けた永久磁石は一方通行の能力によって弾き飛ばされ、作戦は失敗した。

そのまま浜面は襟首を掴まれ、圧倒的な力で投げ飛ばされた。全身に深刻なダメージを負い、起き上がることも困難な状態へ追い込まれた。

滝壺の介入

一方通行は拳銃を向けながら、立ち上がるなら射殺すると浜面へ告げた。

それでも浜面は抵抗を諦めなかったが、一方通行は病人の少女が浜面を守るために立ち上がろうとしていると指摘した。

浜面が振り向くと、意識が朦朧としながらも滝壺理后が壁に手を付き、必死に二人のもとへ近づいていた。

その姿を見た一方通行は、滝壺を巻き込んで戦うか、それとも仕切り直すかを浜面へ問い掛けた。

誤解への気付き

滝壺を危険に晒したくなかった浜面は拳銃から力を抜いた。

そして、一方通行が滝壺を傷つけようとしているのではなく、むしろ戦闘への巻き込みを避けようとしていた事実に気付き始めた。

その直後、一方通行は高速移動で姿を消し、フロアの奥へ去っていった。

浜面の後悔と決意

滝壺は傷だらけの体で浜面を抱き起こし、一人で個室サロンへ突入して助けに来てくれたことを感謝した。

しかし浜面は、自分が滝壺の命の恩人かもしれない相手へ牙を剥いたことを悔やんだ。

さらに、自分は超能力者を倒した男などではなく、結局は何も変わっていない無能力者のままだと痛感した。麦野沈利との戦いに勝利した経験も、自分自身を劇的に変えたわけではなかったと理解した。

それでも浜面は、特別な力を持たなくても、滝壺の笑顔を守れる男になりたいと強く願った。

絹旗の遅れた到着

その頃、絹旗最愛は個室サロンの外から状況を確認していた。

元迎電部隊はすでに壊滅していたが、浜面と滝壺は裏稼業から離れているため、武器を持ったまま警備員に発見されることを危惧していた。

絹旗は脱出支援を行おうと考えていたが、その直前に襲撃を受けた。

ステファニーの襲撃

突然ショットガンによる攻撃を受けた絹旗は大きく吹き飛ばされた。しかし窒素装甲によって致命傷は避けた。

絹旗は攻撃の威力を分析し、自動車を盾にして反撃の機会を探ったが、相手はフルオート射撃可能な特殊な散弾銃を使用していた。自動車の車体は瞬く間に破壊され、窒素装甲さえ突破されて頬に傷を負った。

ステファニーの正体

襲撃者は巨大な軽機関散弾銃を携えた金髪の長身女性だった。

彼女は、自分はステファニー=ゴージャスパレスであり、絹旗が爆殺した砂皿緻密の仇討ちに来たと名乗った。

さらに、元迎電部隊を囮として利用し、その隙に絹旗を襲撃したことを明かしたうえで、覚悟を決めるよう告げた。

行間 二

ステファニーの過去

ステファニー=ゴージャスパレスは、平和で不自由のない環境で育ったことで、逆に社会の歪みや苦しむ人々への関心を抱くようになった。そして自らの力で何かを変えたいという幼い理想を抱き、傭兵として戦場へ向かう決意をした。

しかし初めて参加したコスタリカ内戦で、彼女は戦場の現実を思い知らされた。事前情報には存在しなかった装備を持つ攻撃ヘリによって傭兵部隊は壊滅し、仲間たちは痕跡すら残さず死亡した。

砂皿緻密との出会い

絶望的な状況の中、遠方から放たれた対戦車ライフルの一撃が攻撃ヘリを撃墜したことで、ステファニーは命を救われた。

その狙撃手こそ砂皿緻密だった。砂皿は単独行動を好む珍しい傭兵であり、傷ついたステファニーを保護しただけでなく、戦場で生き残るための知識や技術を一から教えた。

ステファニーは砂皿への憧れと、生き残るための打算もあって、コスタリカ内戦後も彼に同行するようになった。

砂皿の内面への理解

戦場を共にするうちに、ステファニーは砂皿が自分を連れている理由について考えるようになった。

砂皿は長距離狙撃を専門とするため、結果的に相手を確実に死へ追いやる戦い方しかできなかった。一方でステファニーは至近距離戦を得意とし、状況によっては敵を殺さずに制圧することも可能だった。

その違いから、砂皿は自分にはない選択肢や柔軟性に価値を見出していたのではないかとステファニーは考えた。そして砂皿自身が無意識に望んでいるかもしれない救いを、自分が与えたいと思うようになった。

叶わなかった救済

しかし、その願いは実現しなかった。

砂皿は学園都市の暗部組織同士の抗争へ傭兵として参加し、その戦いで返り討ちに遭って意識不明の重体となった。

それは皮肉にも、砂皿自身が最悪の場合に備えていた最低限の救いとも言える結末だった。

復讐の誓い

砂皿が倒れたことで、ステファニーは復讐を決意した。

そして彼女は、自分が救いたいと願っていた砂皿の道を、死と暴力という単純な形で終わらせてしまった存在として、絹旗最愛への復讐心を抱くようになったのであった。

第三章 破滅はさらに道を開く Battle_to_Die.

ドラゴンの謎と行き詰まり

一方通行たちはキャンピングカーへ戻ったが、車内には重苦しい空気が漂っていた。一方通行は、潮岸の思惑通りにドラゴンの情報を追う者たちが消されていると指摘し、『フラフープ』で捕らえた者たちも既に生きていないだろうと語った。

結標がドラゴンの正体について疑問を口にすると、海原は魔術サイドの視点から、ドラゴンは天使など宗教的な暗喩を連想させると説明した。その言葉を聞いた一方通行は、過去に目撃した光の翼やANGELという名のウイルス、打ち止めとの関係を思い出した。そして打ち止めや妹達、さらには絶対能力進化実験そのものにも隠された意図があったのではないかと疑念を深めた。

潮岸への強硬策の断念

海原は一連の事件の終結による解散を提案したが、一方通行は何も掴めないまま終われないと反発した。

潮岸の拠点への突入案も話題になったが、土御門は重鎮である潮岸の警戒態勢は極めて厳重だと説明した。結標も、仮に侵入手段があっても穏便な突入は不可能であり、『フラフープ』級のテロリストになる覚悟が必要だと指摘した。

それぞれに守るべき存在を抱える四人は、無理な強行策を取れない状況にあった。

キャンピングカーへの襲撃

今後の方針を考えていた最中、一方通行は小窓の外を見て異変を察知した。その直後、キャンピングカーは携行型対戦車ミサイルによって爆破された。

四人はそれぞれ別の方法で脱出し、協力することなく独自に逃走した。一方通行は、ドラゴンの情報を知り過ぎたことで潮岸に狙われたのだと推測し、敵の布陣を見極めて反撃するため行動を開始した。

電極の機能停止と拉致

敵の背後を取ろうとしていた一方通行だったが、突然電極が遠隔操作によって停止させられた。

能力を失った一方通行は思考力や判断力まで奪われ、まともに行動できなくなった。その隙を突かれ、近づいてきた集団によってスポーツカーへ連れ去られた。

やがて敵から距離が離れたことで機能が回復し、一方通行は運転手の正体を確認した。

恩を返す高校生

運転していたのは、第三学区の爆発現場で妊婦を救った際に出会った高校生だった。

高校生は、一方通行が自分にとって命より大切な存在を救ってくれた恩人であり、その恩を返すために助けに来たのだと語った。

一方通行は最初こそ罠を疑ったものの、高校生の真意を聞いて拳銃を下ろした。そして潮岸を倒しに行くと告げた。

打ち止めを守る決意

一方通行は、潮岸が次の手として打ち止めを狙う可能性を予測した。

打ち止めだけを連れて逃げる選択肢も考えたが、それでは彼女の周囲にいる人々を守れないと判断した。守るべきものは打ち止め一人ではなく、彼女が大切にしている世界そのものであると考えた一方通行は、先手を打って潮岸を倒す決意を固めた。

絹旗とステファニーの激戦

一方その頃、絹旗最愛はステファニーの軽機関散弾銃による猛攻を受けていた。地下街へ逃げ込んだ絹旗だったが、ステファニーは地面ごと破壊する圧倒的な火力で追撃し、絹旗を吹き飛ばした。

絹旗は落下してきた乗用車を武器として利用し、ステファニーへ投げつけようとした。しかしステファニーは燃料タンクを正確に撃ち抜き、爆発によって攻撃を無力化した。

その戦いぶりを見た絹旗は、ステファニーが能力者との戦闘に異常なほど慣れていることに気づいた。

学園都市出身の傭兵

ステファニーは、自分が元々学園都市の住人だったことを明かした。

かつて警備員の捕縛術を学び、それを殺傷技術へ応用していたことから、能力者の戦い方や弱点を熟知していたのである。

そして絹旗の窒素装甲を崩すため、地下街に設置された大量のプロパンガスボンベへ銃口を向けた。ステファニーは窒素環境そのものを乱すことで、絹旗を追い詰めようとしていた。

親船最中との接触

一方通行は高校生の運転するスポーツカーで移動しながら土御門と連絡を取った。潮岸を倒すには政治的な後ろ盾が必要であり、その協力者として統括理事会の親船最中を頼るよう指示された。

親船最中は『フラフープ』で救出された子供たちと天体観測会を開いており、一方通行は第二一学区の天文台へ向かった。

高校生との別れ

天文台に到着した一方通行は、高校生にこれ以上深入りすれば危険だと告げた。妊婦を人質に利用される可能性まで考慮し、高校生を戦いから遠ざけようとしたのである。

高校生は最後まで協力を申し出たが、一方通行は必要になれば連絡すると伝えた。その後、二人は携帯電話番号を交換したように見せかけたが、一方通行は実際にはダミーの番号を渡し、高校生との繋がりを断った。

親船最中への面会拒否

一方通行が天文台へ向かうと、親船最中の秘書が立ちはだかり、帰るよう求めた。

秘書は親船最中が既に闇の世界から距離を置いており、平穏な生活を守ろうとしていることを説明した。一方通行は土御門の見込み違いを内心で嘆きながらも、無理に食い下がることなく引き下がろうとした。

親船最中が退いた理由

一方通行が最後に事情を尋ねると、秘書は親船最中の娘を利用した脅迫について語った。

かつて軍需反対の立場を取っていた親船最中の元へ、娘の写真と未使用のマグナム拳銃が送られてきたという。秘書は、その脅迫の背後に潮岸がいたと疑っていた。

その出来事をきっかけに親船最中は第一線から退き、闇を刺激せず、それでいて牽制できる立場を維持していたのだった。

一方通行の決意

親船最中本人が現れたものの、一方通行は過去に命を救った事実を明かさず、道を尋ねていただけだと告げた。

さらに秘書から自身の事情を問われると、一方通行は潮岸との問題を他人に背負わせるつもりはないと答えた。そして、たとえ支援を失い打ち止めや仲間たちと離れることになっても、自分のやるべきことは変わらないと改めて決意した。

少年の訴え

立ち去ろうとした一方通行の前に、『フラフープ』で救った少年が現れた。

少年は一方通行が再び誰かを助けるために戦おうとしていることを察し、自分も一緒に戦いたいと訴えた。親船最中たちが見捨てようとしているように見えたことにも反発し、自分も困っている人を助けたいと語った。

しかし一方通行は、迷わず人を殺せる者は善人ではなく、自分のような悪党になる必要はないと諭した。そして戦いは自分一人の領分であり、少年が踏み込む世界ではないと告げた。

親船最中の覚醒

少年の言葉と一方通行の姿を見た親船最中は、自らの生き方を見つめ直した。

そして防弾車を拳で叩きつけることで迷いを振り払い、自分の人生は自分で決めると宣言した。娘を守るために牙を折る道を選んだが、それでは悪の根を断てないことにようやく気づいたのである。

親船最中は、潮岸と戦うため自らも行動すると決意した。

潮岸討伐への協力

親船最中は、自身が統括理事会の一員として持つ権限を利用すれば、潮岸の政治的な防壁を崩せると説明した。

秘書は当初反対したものの、親船最中の決意が揺るがないことを理解した。そして防弾車から拳銃を取り出し、一方通行に親船最中を必ず守れと要求した。

一方通行、親船最中、そして秘書は黒塗りの防弾車へ乗り込んだ。こうして学園都市最強の超能力者と統括理事会の交渉役は、潮岸の本拠地へ向けて共に動き始めたのであった。

絹旗最愛の異変

個室サロンのビルから脱出した浜面仕上と滝壺理后は、絹旗最愛からの連絡が途絶えていることに気づいた。

滝壺の携帯電話には、脱出を手引きするので待っていてほしいという絹旗からのメールが残されていたが、その後は何の連絡もなかった。浜面は絹旗なら簡単にはやられないだろうと考え、連絡を待つべきだと話していた。

地下街で発生した大爆発

その時、第三学区の地下から大規模な爆発が発生した。

地面が裂けて炎が噴き上がり、路上駐車された車が飲み込まれていった。滝壺は地下街で何かが起きていると指摘し、二人は煙の上がる地下街の入口へ向かった。

地下街の内部は炎に包まれ、強烈な熱気が充満していた。浜面は進むべきか迷ったが、炎の向こうに小柄な人影を見つける。それは絹旗だった。

絹旗からの警告と謎の敵

浜面が絹旗の名を呼ぶと、絹旗は安堵するどころか伏せるよう叫んだ。

炎の向こうには絹旗だけでなく長身の女もおり、巨大な銃器を構えていた。直後に激しい掃射が行われ、ガラスやコンクリートの柱まで抉り取られた。

女は絹旗の窒素能力を封じるため空気や爆発を利用していることを語り、浜面は相手が能力の仕組みを熟知していることを察した。

絹旗への致命的な攻撃

浜面が敵への接近方法を考えている最中、長身の女は局地的な真空状態を作り出せば絹旗の防御を突破できると説明した。

直後に複数の爆発が絹旗の周囲で同時に発生し、激しい衝撃波と熱風が地下街を襲った。浜面は滝壺を守りながらやり過ごしたが、爆発後には敵が絹旗へ銃口を向けていた。

そして女は理論通りに防御の穴を突き、絹旗へ向けて機関銃を連続発射した。

潮岸の本拠地への接近

一方その頃、一方通行たちは第二学区に集結していた。

親船最中の情報により、潮岸の本拠地が試験用シェルター群の中に隠されていることが判明していた。親船も協力者として同行し、土御門元春や結標淡希らと共に作戦を開始した。

親船最中の仕掛けに追い詰められる潮岸

潮岸は本拠地で同権限者視察制度の執行通知を受けていた。

本来は形骸化した制度だったが、親船最中が長年締結してきた多数の条約が複雑に組み込まれており、制度の発動を拒否できない状態になっていた。

潮岸は親船最中の周到な仕掛けに驚きながらも、迎撃を決断した。追跡部隊や人質回収部隊を集結させ、親船と『グループ』を挟撃して殲滅する方針を固めた。

潮岸軍との全面対決

一方通行たちがシェルター群へ到着すると、潮岸の私兵たちが周囲に展開していた。

さらに巨大な駆動鎧や遠隔操縦装甲車も現れたが、一方通行は潮岸が能力者対策を施していることを見抜いた。結標の座標移動も妨害装置によって狙いを逸らされる状態だった。

それでも一方通行は正面突破を選択した。

一方通行によるシェルター破壊

一方通行は近くの乗用車を掴み、能力で強化した投擲によってシェルターへ叩き込んだ。

その一撃で巨大なドームの前面三分の一が粉砕され、発生した衝撃波によって兵士たちは意識を失い、装甲車や駆動鎧も機能停止した。

一方通行、結標、親船は破壊された施設内部へ侵入し、潮岸の元へ向かった。

親船最中との分断

施設内部を進む途中、突然隔壁が降下し、一方通行と結標が親船最中から引き離された。

結標の能力でも親船の位置は確認できず、一方通行が苛立つ中、新たな敵が現れた。

杉谷との対峙

現れたのは、以前個室サロンで元迎電部隊を皆殺しにした潮岸の私兵・杉谷だった。

杉谷は煙草に火を点けるような動作を見せた直後、ライターに仕込まれた麻酔弾を発射し、結標を一撃で昏倒させた。

そして戦闘は総力戦になる前に終わらせるものだと語り、潮岸が最優先で排除を命じていたのは結標だったと明かした。

親船最中抹殺計画の宣告

杉谷は自らを甲賀の末裔と名乗り、一方通行へ親船最中は終わりだと告げた。

潮岸は駆動鎧を装備しており、親船が持ち込める程度の武装では対抗できないという。親船を排除できれば政治的な障害はなくなり、その後は打ち止めを含む切り札を確保して一方通行たちを排除できると説明した。

一方通行は、親船が潮岸と対峙している状況を知りながら、杉谷との戦いに向き合うことになったのであった。

統括理事会の対話

学園都市の統括理事会に属する親船最中と潮岸は、テーブルを挟んで向かい合っていた。

親船は潮岸に対し、今後立案・実行する全ての計画から、自分以外の人命を勝手に組み込み消費する行為を永久にやめるよう要求した。さらに『ドラゴン』についても説明を求めたが、潮岸はそれを人の目に触れてはならない危険な存在だと語り、詳細を明かすことを拒否した。

両者は守ろうとしている学園都市そのものが異なると認識し、交渉は決裂した。

潮岸の攻撃と海原光貴の正体

交渉決裂直後、潮岸は駆動鎧の拳で親船を攻撃した。

しかし攻撃は届かず、駆動鎧は突然機能を失った。親船の姿をしていた人物は顔の皮膚を剥がし、その正体が海原光貴であることを明かした。

海原が持つ黒曜石の霊装の力によって駆動鎧は分解され、潮岸は防御を失った。海原は親船が自らの皮膚を護符の材料として差し出し、この作戦に協力したことも明かした。

潮岸の警備網と裏切り

追い詰められた潮岸は美濃部と呼ばれる警備要員を呼び出した。

潮岸は杉谷班と美濃部班という二重の警備体制を構築しており、互いを監視させる仕組みを作っていた。しかし逃走しようとした潮岸は、自分以外の警備員が全滅していることに気づく。

その直後、美濃部と呼ばれていた男が黒曜石のナイフを投げつけ、潮岸を刺した。

テクパトルとトチトリの潜入工作

美濃部たちは変装を解き、その正体がテクパトルとトチトリであることを明かした。

二人は海原と同じアステカ魔術を用いて学園都市の暗部へ潜入しており、本来は潮岸と入れ替わる計画を進めていた。しかし潮岸が常に駆動鎧を装着していたため実行できずにいた。

さらに彼らは、学園都市中枢への潜入目的が海原を発見して殺害するためだったと語り、海原の首さえ手に入れば目的は達成されると明かした。

杉谷と一方通行の激突

一方通行と杉谷は正面から戦闘を開始した。

杉谷はライターと煙草を利用して爆炎の壁を作り、一方通行の死角へ回り込んだ。そして木原数多や垣根帝督の戦法を研究していたことを示し、一方通行の反射を突破する攻撃を繰り出した。

一方通行は杉谷の技量を認めつつも、潮岸に従うだけの存在だと批判した。

善悪を巡る思想の衝突

戦いの最中、一方通行と杉谷は善悪について激しく言葉を交わした。

杉谷は、善が完全ではないからといって全てを悪に委ねることはできないと主張し、自分たちは多くの悲劇と向き合い続けていると語った。

それに対し一方通行は、残飯のように扱われる弱者を卑しいと考える時点で、その善は本物ではないと切り返した。そして自分は本当の善人を知っていると告げた。

一方通行の能力停止

杉谷は遠隔操作によって一方通行の電極を停止させた。

その結果、一方通行は能力を維持できなくなり、その場に崩れ落ちた。杉谷は、一方通行の戦力は電極を失えばゼロになると語り、大型拳銃を向けた。

そして自分の行為こそ、卑怯な世界の中でも善であり続けようとするやり方だと主張し、発砲した。

絹旗最愛への猛攻

地下街ではステファニー=ゴージャスパレスが軽機関散弾銃を用い、絹旗最愛へ猛攻を加えていた。

ステファニーは爆発によって局所的な真空空間を作り出し、絹旗の窒素装甲を無効化して大量の散弾を浴びせ続けた。炎と煙に包まれた先から浜面の悲鳴が聞こえたことで、ステファニーは絹旗が死亡したと思い込んだ。

しかし彼女は砂皿緻密への復讐があまりにもあっさり終わったことに怒りを募らせ、さらに絹旗を苦しめたかったと叫んだ。

液体窒素による逆転

黒煙が晴れると、絹旗は重傷を負いながらも生存していた。

絹旗は拳銃で反撃し、ステファニーの腹と腕を撃ち抜いた。驚くステファニーに対し、絹旗は液体窒素を収納した特殊な容器を利用し、真空空間が発生した瞬間に窒素を補給していたことを明かした。

自分は窒素を操る能力者であり、その弱点への対策を用意していないはずがないと語った。

絹旗の反撃開始

絹旗は、能力者の弱点を突く戦い方に長けていたステファニーを評価しつつも、自分が生き残るために足掻き続ける人間であることを理解していなかったと指摘した。

さらに、自分にとって本当に脅威だったのは遠距離から正確に狙撃する砂皿緻密のような相手であり、ステファニーではなかったと告げた。

そして絹旗は能力による最後の一撃を放つため、ステファニーへ向かって動き出したのであった。

原典を巡る対決

アステカの『組織』を動かしていたテクパトルは、トチトリを伴って海原の前に現れた。海原は黒曜石の槍を手にしていたが、かつての仲間へ使うことに躊躇していた。

そんな海原に対し、テクパトルは学生鞄のような装置から石板を取り出した。その石板は『原典』であり、海原はそれを目にした瞬間、知識の流入による激痛に襲われた。

テクパトルの原典の力

テクパトルは自身も『原典』を所有していることを明かし、海原にも原典を出すよう求めた。

海原はその石板が『暦石』から派生したものであり、『月のウサギ』の神話を応用した力だと見抜いた。直後、テクパトルは原典の力で強力な砲撃を放ち、シェルターの壁を破壊して外の私兵たちを巻き込んだ。

トチトリの悲惨な状態

海原は攻撃よりも、傍らにいるトチトリの異変に気づいた。

テクパトルは攻撃の材料としてトチトリの骨を利用していた。さらにトチトリはすでに正常な精神を失っており、人の言葉すら話せない状態になっていた。

テクパトルはトチトリの骨の多くを消費していることを平然と語り、その欠損部分を黒曜石で補っていた。

海原の怒りと原典の解放

トチトリの惨状を知った海原は激怒した。

海原は変装を剥がして素顔を晒し、自身の持つ原典を取り出した。ショチトルに埋め込まれていた原典を受け継いだ海原は、武具を持つ者への反撃を司る力を発動させる。

テクパトルもまた原典を掲げ、二人は原典同士の戦いを開始した。

原典同士の激突

二人の原典は激しく衝突し、シェルター全体を揺るがした。

海原は原典から流れ込む知識と激痛に苦しみながらも戦い続けた。原典は所有者のためだけに存在するものではなく、より知識を広める者へ乗り換える性質を持っていたため、海原自身も常に試されていた。

それでも海原は、トチトリを利用したテクパトルを倒すことだけを考えて戦い続けた。

テクパトルの過去と絶望

戦いの中で、テクパトルは自らの過去を語った。

大きな戦争が終われば平穏な生活が訪れると信じていたが、現実は何も変わらなかったという。自分たちを扇動していた老人たちを粛清しても状況は変わらず、自分たちは進むべき道を失ったのだと明かした。

その言葉とともに、テクパトルは海原へ必殺の一撃を放った。

原典の反逆とテクパトルの最期

しかし放たれた攻撃は海原ではなく、テクパトル自身を貫いた。

海原は戦いの最中、自らの血でテクパトルの原典の内容を書き写していた。原典の知識を広めようとする行為を妨害したことで、原典自身が所有者であるテクパトルへ反撃したのであった。

海原は、知識を広めようとしない者を原典は許さないと語った。

やがてテクパトルは力尽き、床へ崩れ落ちた。

二冊目の原典との契約

テクパトルが倒れた後、その原典は海原へ受け継がれることを求めた。

海原は原典による汚染がさらに進むことを理解しながらも受け入れる決断をした。ただし、その前にトチトリを救うため協力することを条件とした。

こうして海原は二冊目の原典を手にし、さらに深い闇へ踏み込むことになった。

一方通行の逆転

一方通行との戦いで優位に立っていた杉谷は、なぜか自らが重傷を負っていた。

倒れていたはずの一方通行は立ち上がり、杖の本当の機能を明かした。その杖は歩行補助装置ではなく、特定周波数の遠隔操作電波を妨害する装置だった。

一方通行は潮岸たちが以前使用した電波を分析し、その周波数だけを妨害する仕組みを完成させていたため、杉谷による電極停止は無効化されていた。

杉谷との決着

一方通行は杉谷へ拳銃を向け、自分も杉谷も善人ではなく悪党だと告げた。

その直後、二人は同時に発砲した。一方通行の弾丸は杉谷に命中し、杉谷の弾丸は反射によって無効化された。

杉谷は倒れ、一方通行はその場を後にした。

絹旗とステファニーの会話

地下街では絹旗最愛がステファニーを倒していた。

絹旗は攻撃ヘリ『六枚羽』を誰が差し向けたのか問いただしたが、ステファニーは関与を否定した。その返答から、絹旗は自分たち以外にも強大な権限を持つ第三者が動いている可能性に気づいた。

特殊部隊の襲撃

その直後、壁を破壊して黒い特殊部隊が突入してきた。

彼らはステファニーではなく絹旗を拘束し、さらに浜面を追うことを目的としていた。絹旗は彼らの真の標的が浜面であると察し、炎の向こうへ向かって逃げるよう叫んだ。

滝壺に連れられた浜面はその場から離脱した。

浜面が狙われる理由

拘束された絹旗の前に、心理定規が現れた。

心理定規はアレイスターの『プラン』について語り、上条当麻や一方通行は計画内の想定された存在だと説明した。一方で浜面仕上だけは本来死ぬはずだった存在でありながら生き残り、麦野沈利を倒したことで予測不能な存在になったと語った。

そのため学園都市は浜面を危険視し、抹殺しようとしているのだと明かした。

浜面と滝壺の逃走

浜面と滝壺は追手から逃れるため、貨物列車や地下通路を利用して逃走を続けた。

しかし退院直後だった滝壺の体調は悪化し、ついには立てなくなってしまう。滝壺は自分を置いて逃げるよう勧めたが、浜面はそれを拒否し、彼女を担いで進もうとした。

それでも体力は限界に達し、二人は追手に追い詰められた。

絶望の中の救援

銃口を向けられ絶体絶命となった瞬間、無数の閃光が飛来した。

追手たちは一瞬で惨殺され、浜面たちは命を救われた。安堵した浜面だったが、その直後に聞こえた声によって状況を理解した。

麦野沈利の再登場

現れたのは麦野沈利だった。

右目と左腕を失いながらも、『原子崩し』による光の義肢を形成した麦野は生存していた。

麦野は浜面を助けるためではなく、自分の手で殺すために現れたのだと告げた。

浜面は再び絶望に包まれたのであった。

ドラゴンの正体

潮岸への追及

一方通行、土御門元春、結標淡希、海原光貴は、最深部で打ち倒された潮岸を取り囲んでいた。

一方通行は、自分たちの仲間を守るためには『ドラゴン』の情報を吐かせることと、拒否するなら潮岸を痛めつけることの二つしかないと告げた。潮岸は『ドラゴン』について知っていることを認めながらも、本来は知らない方が良い存在だったと語った。

それでも一方通行は問いを止めず、『ドラゴン』とは何であり、どこにいるのかを尋ねた。

潮岸の答え

一方通行は、これまでの情報から『ドラゴン』を天使のような存在だと推測していた。

しかし潮岸は、その考えを笑い飛ばした。そして『ドラゴン』はどこにでもいると告げ、今は一方通行の後ろにいると口にした。

その言葉は冗談のように聞こえたが、直後に異変が起きた。

仲間たちの崩壊

突然、土御門、結標、海原が次々と倒れた。

三人とも目立った外傷はなかったが、完全に意識を失っていた。『グループ』の主力メンバーである彼らが、反撃する間もなく無力化されたのである。

一方通行は、その原因となった存在を目にした。

謎の存在の出現

そこに現れたのは、金色の長髪と白い装束をまとった人型の存在だった。

潮岸は、それがヒューズ=カザキリではなく、『ドラゴン』を作るための製造ラインに過ぎなかったと語った。その言葉を残した潮岸は、失血によって意識を失った。

一方通行は目の前の存在から視線を離せず、その場に立ち尽くした。

エイワスの名乗り

現れた存在は、自らを『ドラゴン』と呼ぶことも間違いではなく、天使という呼称にも対応すると説明した。

しかし、自身は聖書に記された天使とは異なる概念の存在であり、より正確な呼び名があると語った。

そして、自分を追い求め続けた一方通行たちへ、その正体を明かした。

それは、かつてクロウリーという魔術師に必要な知識を授けた存在であり、自らを『エイワス』と名乗ったのであった。

第四章 地獄へ誘う二つの怪物 Dragon(≠Angel).

エイワスとの対話

ドラゴンとの遭遇

エイワスと名乗った『ドラゴン』は、一方通行の前に姿を現した。

『グループ』は『ドラゴン』の情報を手に入れて上層部と交渉するつもりだったが、その正体そのものが現れたことで、一方通行は次の行動を決められずにいた。

エイワスは、一方通行に価値と興味を見出したため姿を現したと語った。

情報収集を優先する一方通行

一方通行は、土御門元春、結標淡希、海原光貴を倒したエイワスを前にしながらも、即座に戦うことを選ばなかった。

まずは情報を引き出し、その後に敵対するか判断する方針を固めた。そしてエイワスに、自身の正体と『ドラゴン』と呼ばれる理由を問いかけた。

エイワスの正体

エイワスは、自身を説明しようとしたが、この世界の言語では完全に表現できないと語った。

その上でヒューズ=カザキリについて触れ、それが人工的な『天使』と呼ばれる存在であり、自分を形成するための製造ラインのようなものだと説明した。

さらにAIM拡散力場を高濃度の塩水に例え、ヒューズ=カザキリを結晶化の核として利用することで、自分が現出したのだと語った。

一方通行は、エイワスがAIM拡散力場から生じた人間ではない存在だと理解した。

アレイスターへの見解

エイワスは、一方通行にアレイスターの計画を打ち砕いてみるかと問いかけた。

一方通行は、計画の中核にいるエイワスを失えば、エイワス自身も消滅するはずだと指摘した。

しかしエイワスは、自分の存在はアレイスターの計画に依存していないと答えた。たとえ計画が失敗しても、長い年月を経て再び現出するだけであり、自身にとって大きな問題ではないと語った。

そして、一方通行の全力で自分を殺してみるのも面白いかもしれないと告げた。

計画の綻び

一方通行が動かないままでいると、エイワスはアレイスターの計画が完全ではないと語り始めた。

アレイスターは発生した異常事態を計画へ取り込みながら修正しているつもりでいるが、実際には小さな亀裂が広がり続けているという。

その結果、やがてアレイスター自身も予測しない事態が起こると告げた。

打ち止めの危機

エイワスは、計画の要である打ち止めがいずれ必ず崩壊すると明かした。

たとえ代替個体を作れば済む話だとしても、その言葉は一方通行にとって十分だった。

打ち止めに関する危機を知ったことで、一方通行の行動方針は決定されたのであった。

浜面の逃走

一方その頃、浜面仕上は暗い通路を一人で逃げ続けていた。

滝壺理后は麦野沈利によって引き離されており、浜面は圧倒的な恐怖に追われながら逃走していた。

麦野の声が迫る中、浜面は攻撃を避けるため飛び退き、その結果、高所の通路から落下した。

落ちた先は第二三学区の巨大な航空機試験施設だった。

麦野の執拗な追跡

浜面は遮蔽物に身を隠したが、麦野は滝壺を人質にして挑発を続けた。

さらに自分が生き延びた理由として、『冥土帰し』の医療技術を応用した再生技術が使われたと語り、浜面を嘲笑した。

浜面は拳銃の残弾を確認しながらも、正面から戦えば勝てないことを理解していた。

滝壺への残酷な選択

麦野は滝壺の前に『体晶』のケースを投げた。

滝壺が『能力追跡』を最大限に使えば麦野の能力を奪える可能性があったが、その代償として自身の崩壊が確実だった。

それでも浜面を救うため、滝壺は『体晶』を使う決意を固め、中身を口にしようとした。

浜面の決断

その瞬間、浜面は絶叫した。

続いて戦闘機整備用クレーンを動かし、振り回したフックを滝壺へ直撃させた。

滝壺は『体晶』のケースを手放し、そのまま下層へ落下していった。

麦野は浜面が自ら滝壺を傷つけたように見えたため大笑いした。

しかしすぐに、浜面の本当の狙いに気づいた。

浜面は滝壺に『体晶』を使わせず、さらに麦野の手元から遠ざけるためにあえて彼女を吹き飛ばしたのである。

再び立ち上がる浜面

麦野は、クレーンに吊られていたのが航空爆弾用の作業用駆動鎧だったことを思い出した。

浜面は滝壺の生存率を少しでも上げるため、その場所へ送り出したのである。

そして浜面は、一度殺しただけでは足りなかったと麦野へ告げた。

かつて麦野沈利を倒した無能力者は、再び滝壺理后を守るために立ち上がったのであった。

エイワスとの激突

打ち止めを守るための決断

エイワスから、このままアレイスターの計画が進めば打ち止めが崩壊すると告げられた一方通行は、電極を起動して能力を解放した。

打ち止めに害を及ぼす存在であるなら容赦しないと決意し、エイワスへ向かって突撃した。

圧倒的な力の差

一方通行はエイワスの懐へ飛び込み攻撃を仕掛けたが、直後に原因不明の攻撃を受けて吹き飛ばされた。

上半身は大きく裂かれ、大量の血を流して倒れ込んだ。一方でエイワスは背中から青白く輝く翼を現し、その力によって一方通行を傷つけたことを示した。

エイワスは、自身を守るための仕組みが打ち止めを介して組み込まれているらしいと語った。

黒い翼の覚醒

致命傷を負った一方通行は、瞳を赤く染めながら立ち上がった。

背中から漆黒の翼が出現し、全身を血に染めたままエイワスへ向かう。

しかしエイワスは、その力では自分には届かないと告げた。

翼同士の衝突

一方通行の黒い翼とエイワスの青白い翼が正面から激突した。

だが力の差は圧倒的であり、一方通行の翼は次々と破壊され、全身を切り裂かれて血だまりの中へ沈んだ。

一方通行は能力によって辛うじて血液循環を維持していたものの、反撃できる状態ではなかった。

AIM拡散力場への干渉

エイワスは打ち止めを利用して一方通行を誘い出したことを語り、その場を立ち去ろうとした。

しかし突然、エイワスの身体に異変が生じた。存在を維持するAIM拡散力場の結合に異常が発生し、身体が崩れ始めたのである。

瀕死の一方通行は、エイワスが学園都市中のAIM拡散力場を利用して現出していること、そして打ち止めやヒューズ=カザキリがその制御に関わっていることを理解していた。

その仕組みを利用して、エイワスの存在そのものへ干渉したのであった。

エイワスの消滅

身体を分解させながらも、エイワスは一方通行の選択を認めるように言葉を残した。

一方通行は打ち止めを守るため、自らの意志に従って引き金を引いた。

銃声が響き、水晶が砕けるような音と共にエイワスは消滅した。

再び始まる浜面と麦野の戦い

一方、麦野沈利は下層へ降り立ち、浜面仕上と再び対峙した。

浜面は拳銃で消火器を撃ち抜き、大量の白い粉を発生させて煙幕を作った。その隙に段ボール箱を囮として利用し、自らは最下層へ逃走した。

麦野は騙されたことに苛立ちながら後を追った。

爆弾を利用した反撃

浜面は無線機やファイバースコープを利用して麦野を誘導した。

麦野は罠に気付かないまま攻撃を放ち、近くに置かれていた二〇〇キロ爆弾を爆発させた。

その爆発は周囲の爆弾やミサイル、燃料を巻き込んで大規模な誘爆となった。

浜面も爆風に巻き込まれたが、滝壺の無事を案じながら状況を見守った。

生還した麦野

浜面は爆発で麦野を倒したと思ったが、煙の中から無傷ではない麦野が現れた。

麦野は能力をロケットエンジンのように利用して爆発を回避していたのである。

反撃を試みた浜面は蹴り飛ばされ、爆発でできた地下空間へ落とされた。

耐久試験室での攻防

地下空間は空気摩擦耐久試験室だった。

浜面は周囲を観察しながら脱出方法を探したが、出口までたどり着く前に撃ち抜かれる状況だった。

追い詰められる中で、彼は試験室の構造と設備に活路を見出した。

麦野の本音

浜面を追い詰めた麦野は、なぜ自分がここまでひどい怪物になってしまったのかと漏らした。

その言葉を聞いた浜面は、麦野が怪物であると同時に一人の少女でもあることを改めて意識した。

それでも彼は滝壺を守るため、迷いを振り払って行動を続けた。

耐久試験装置の起動

麦野の攻撃によってコックピット模型へ追い込まれた浜面は、拳銃で強化ガラスを破壊した。

崩れたガラスが操作室のパネルを押し、耐久試験装置が起動する。

浜面はコックピット内部へ潜り込み、風防を閉じて密閉状態を作った。

麦野の敗北

起動した耐久試験装置は、大量の砂鉄を含む超高温の烈風を発生させた。

空間全体が数百度の摩擦熱に包まれ、逃げ場を失った麦野は吹き飛ばされた。

浜面はコックピットに守られながら、その地獄のような光景を見届けた。

現象が収まった後、浜面は外へ出たが、麦野の状態を確認する余裕はなかった。

滝壺との再会

破壊された天井の裂け目から滝壺理后の声が聞こえた。

浜面は無事な姿を見せ、大丈夫だと伝えた。

滝壺を守るために麦野を切り捨てた選択を胸に抱えながらも、再び前へ進むことを決意した。

学園都市からの脱出計画

その直後、絹旗最愛から連絡が入った。

学園都市の別動隊が浜面の身柄を拘束するため接近していると知らされ、浜面と滝壺は即座に逃走を決意した。

浜面は学園都市から完全に逃げるため、格納庫にあった超音速旅客機を利用する計画を立てた。

超音速旅客機での離脱

二人は旅客機へ乗り込み、絹旗の指示を受けながら起動準備を進めた。

その最中に追っ手が現れ、カタパルトを封じようとしたが、発射は止められなかった。

旅客機は地下格納庫から射出され、夜空へと飛び立った。

離陸直前、追っ手を薙ぎ払う閃光が見えたが、その正体を確かめることはできなかった。

新たな旅立ち

自動操縦に任せた旅客機のコックピットで、浜面は滝壺を抱き寄せた。

一つの戦いは終わり、二人は学園都市を離れて新たな道へ進み始めたのであった。

エイワスの再出現

敗北を悟る一方通行

一方通行は血まみれの床に倒れ、まともに手足を動かせない状態となっていた。エイワスへ放った最後の弾丸は、半透明になった頭部内部の三角柱のようなものへ命中していたため、戦いは終わったのではないかと考えていた。

絶望的な現実

しかし、一方通行の前には再びエイワスが立っていた。

一方通行は、エイワスがいつ現れたのか、どのように回復したのか、自身の攻撃が有効だったのかさえ理解できなかった。死闘を繰り広げたにもかかわらず、状況を把握するための情報は何一つ得られなかった。

攻撃の効果と防壁の存在

エイワスは、本来であれば一方通行の攻撃によってヒューズ=カザキリと同様に行動不能となり、数年は表に出られなかった可能性があると語った。

その場合、アレイスターの計画は大幅な修正を迫られ、一方通行には打ち止めを助け出す機会もあったかもしれないと認めた。

しかし同時に、アレイスターが想定以上に慎重な防御機構を構築していたため、自身の防壁は非常に堅牢だったと説明した。

最後の宣告

一方通行は悪態をつきながら起き上がろうとしたが、出血が激しすぎて身体は動かなかった。

そんな一方通行に対し、エイワスはここまで精一杯戦ったことを認めながらも、頭上に白い芯を秘めた青白いプラチナの天使の輪を出現させた。

そして、自分には変形機能があるらしいと告げた。

希望の断絶

直後、凄まじい爆音が炸裂した。

その一撃によって一方通行の意識は容赦なく断ち切られた。

打ち止めを守るための最後の希望は、その瞬間に失われたのであった。

終章悲劇では終わらせない Brave_in_Hand.

エイワスと三人の行方

エイワスがアレイスターと会話する

エイワスは建設中のビルの鉄骨の上を歩きながら、携帯電話でアレイスターと会話していた。エイワスは、一方通行の精神が想定以上に幼く、自らを悪と蔑む姿勢は善への渇望の裏返しであると語った。

エイワスが三種類のヒーローを語る

エイワスは、誰に教えられずとも進む者、過ちに苦しみながら正しい道を歩もうとする者、何も持たずとも大切な者のために立ち上がる者について語った。そして、それらはアレイスターが持たないものであり、彼が憧れるのも無理はないと告げた。

黄泉川が打ち止めの失踪に気づく

黄泉川愛穂は夜明け前に目を覚まし、リビングの窓が開いていることに気づいた。部屋を調べると、打ち止めが姿を消しており、窓から彼女の部屋まで血が残されていた。さらに血で書かれたメモを見つけ、そこにはこのガキの命は必ず助けてみせると記されていた。

一方通行が打ち止めを連れてロシアへ向かう

一方通行は貨物列車のコンテナの中で、意識を失った打ち止めを抱えていた。エイワスから、打ち止めを救うためにはロシア、正確にはエリザリーナ独立国同盟へ向かい、禁書目録に関わる重要な品を探すよう告げられていた。一方通行は黄泉川や芳川との繋がりである携帯電話を握り潰し、ロシアへ向かう決意を固めた。

浜面と滝壺が学園都市との交渉を考える

浜面仕上と滝壺理后を乗せた超音速旅客機は、自動操縦で飛行していた。浜面は、学園都市から逃げ切ることではなく、滝壺の安全を確保する形で学園都市に降伏することが勝利条件だと考えた。

浜面と滝壺が共に生きる決意をする

滝壺は浜面に離れないでと告げ、浜面も絶対に離れないと答えた。二人はロシアのエリザリーナ独立国同盟近くで旅客機を爆破し、パラシュートを背負って手を繋いだまま空へ投げ出された。

三つの道がロシアへ向かう

浜面と滝壺がロシアへ向かった一方で、ツンツン頭の少年もまた、禁書目録を救うためにロシアへ足を向けていた。それぞれの想いを抱えた者達の道が交差し、世界で最も苛烈な戦場を舞台にした物語が始まろうとしていた。

とある魔術の禁書目録(18)レビュー
【とある魔術の禁書目録】あらすじ・ネタバレ・まとめ
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