とある魔術の禁書目録 SS2 レビュー
【とある魔術の禁書目録】あらすじ・ネタバレ・まとめ
とある魔術の禁書目録(18)レビュー
物語の概要
■ 作品概要
『とある魔術の禁書目録(17)』は、科学と魔術が交差する世界を舞台にした学園異能バトル・ファンタジーである。本作では、魔術サイドの総本山の一つであるイギリスが舞台となる。 物語は、イギリス清教の最大主教ローラ=スチュアートから「禁書目録召集令状」が布告され、イギリスとフランスを結ぶユーロトンネル爆破事件の調査のために、上条当麻とインデックスがイギリスへ向かうところから始まる。空の旅の途中でのハイジャック事件を解決した上条たちだったが、イギリス国内では魔術結社「新たなる光」が暗躍し、さらには第二王女キャーリサが強大な霊装「カーテナ=オリジナル」を用いて「騎士派」と共に国家規模のクーデターを引き起こす。イギリスの完全な独立を目指すキャーリサによって三派閥(王室派・騎士派・清教派)の均衡は崩れ去り、上条は未曾有の混乱に巻き込まれていく。
■ 主要キャラクター
上条当麻:異能の力を打ち消す「幻想殺し(イマジンブレイカー)」を右手に宿す高校生。インデックスの保護者役としてイギリスへ召集され、ハイジャック事件やクーデターの混乱に立ち向かう。
インデックス:イギリス清教に所属するシスター。十万三千冊の魔道書を完全記憶しており、ユーロトンネル爆破の魔術的痕跡を解析するため王室から召集される。
キャーリサ:英国第二王女であり、軍事を司る。平和主義の女王に代わり、イギリスをローマ正教やロシア成教、学園都市の干渉から完全に独立させるため、カーテナ=オリジナルを手にして反乱を主導する。
騎士団長:英国三派閥の一つ「騎士派」のトップ。キャーリサのクーデターに同調し、国内の天使と同質の力を得て、聖人である神裂火織を圧倒する強さを見せる。
ヴィリアン:英国第三王女。人徳に特化しているが軍事力は持たない。キャーリサのクーデターによって処刑の危機に陥る。
ウィリアム=オルウェル(後方のアックア):かつて傭兵として英国のために戦った男。処刑寸前のヴィリアンを救うため、聖剣アスカロンを手にして戦場へ駆けつける。
オリアナ=トムソン:魔術系の運び屋。かつては敵として上条の前に立ち塞がったが、本作ではイギリス側と取引し、上条と共闘して魔術結社「新たなる光」を追跡する。
■物語の特徴
本作の最大の魅力は、一国のクーデターという壮大なスケールで展開される群像劇である。イギリスの歴史や「四文化(イングランド、スコットランド、ウェールズ、北部アイルランド)」「三派閥(王室派、騎士派、清教派)」といった複雑な統治体制に、「国王を天使長とし、騎士を天使とする」といった独自の魔術的設定(カーテナのシステム)が緻密に絡み合い、説得力のある重厚な世界観を構築している点が見事である。
また、ハイジャック犯との旅客機内での緊迫した攻防から始まり、魔術結社の暗躍、そして国家転覆のクーデターへの突入と、息もつかせぬスピーディな展開が読者を引き込む。さらに、かつて上条と死闘を繰り広げたオリアナ=トムソンや後方のアックア(ウィリアム)が、思わぬ形で味方として再登場し共闘するという、王道の熱い展開が盛り込まれている点も、読者にとって非常に興奮させられるポイントとなっている。
書籍情報
とある魔術の禁書目録 17
(A Certain Magical Index)
著者:鎌池 和馬 氏
イラスト:はいむらきよたか 氏
出版社:株式会社KADOKAWA(電撃文庫)
発売日:2009年3月10日
ISBN:9784048675918
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あらすじ・内容
謎の魔術結社が暗躍するイギリスを上条当麻が駆ける!
イギリス清教『必要悪の教会(ネセサリウス)』最大主教(アークビショップ)・ローラによって『禁書目録召集令状』が布告された。フランスとイギリスを結ぶユーロトンネルで起きた爆破事件を英国『王室』と共に調査せよ、という任務だった。その命を受けたインデックスと彼女の保護者・上条当麻は、ロンドン行きの飛行機に搭乗する。和気藹々と空の旅を楽しもうとする二人だったが、機内では謎の人物がハイジャック計画を進めていた……!銀髪シスターさんの空腹をなだめつつ、事態解決を図る上条の運命は如何に!? 今度の“不幸”は、英国にて開幕!
感想
イギリスという国家全体を巻き込む壮大なクーデターが描かれ、息つく暇もない展開の連続に圧倒される一冊である。
物語の序盤から、主人公である上条当麻の不幸体質はいかんなく発揮されている。かつてインデックスの食事を背後に吹っ飛ばした時速7000キロオーバーの飛行機を嫌がり、三毛猫を生贄にしてまで普通の飛行機を選んだのに、なんとその便がテロリストに脅迫されていたのだからたまらない。そうとも知らず、腹ペコで暴れるシスターさんの噛みつきを避けるべく「ビーフ or フィッシュ」をお願いしに行った結果、機長に監禁されてしまうくだりには、思わず笑ってしまった。やはり彼の不幸は筋金入りだ。それでも最終的にはテロリストと格闘し、己の奮闘でハイジャック事件を解決に導く姿は、頼もしさを感じさせる。
イギリス到着後には、さらに桁外れの事態が待ち受けていた。魔術結社「新たなる光」が暗躍し、歴史上失われたはずの王族専用の霊装「カーテナ=オリジナル」がロンドンへ持ち込まれてしまう。かつて敵対した運び屋のオリアナと上条が協力して彼女たちを追跡する展開は非常に胸が熱くなったものの、剣はすでに第二王女キャーリサの手に渡る結果となった。ローマ・ロシア勢力からの干渉を断ち切り、イギリスを完全な独立国家にするという彼女の信念と、「騎士派」を率いてまたたく間に英国全土を制圧する圧倒的な手腕には、ただ驚かされるばかりだ。
後半にかけては、絶望感と興奮が入り交じる怒涛の展開が続く。「清教派」が撤退を余儀なくされ、あの最強クラスの聖人である神裂火織でさえ、圧倒的な力を持つ騎士団長に敗北を喫してしまうシーンは衝撃を隠せない。さらに第三王女ヴィリアンが処刑の危機に陥る場面は、読んでいて手に汗を握る。誰もが彼女を見捨てたかと思われた絶体絶命の瞬間、かつての傭兵ウィリアム=オルウェルが聖剣アスカロンを携えて救出に現れたシーンは、最高に格好良く、読者の心を鷲掴みにする名場面だと言えよう。
未曾有の混乱の中、女王エリザードらが反撃の機会をうかがう姿も頼もしい。連れ去られたインデックスを救うため、決戦の地フォークストーンへ向かう上条の運命がどうなるのか。日常のコミカルなやり取りから国家転覆のシリアスな死闘まで、作品の魅力が存分に詰まった本書は、続きが気になって仕方がない傑作である。
最後までお読み頂きありがとうございます。
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とある魔術の禁書目録 SS2 レビュー
とある魔術の禁書目録(18)レビュー
考察・解説
ユーロトンネル爆破事件
イギリスとフランスを繋ぐ唯一の陸路である「ユーロトンネル」の三本すべてが何者かによって爆破された事件である。これにより人員や物資の輸送が滞り、島国であるイギリスの経済に多大な打撃を与えた。イギリス側は海路や空路の増便で対応しているものの、輸送コストの増大や物流の飽和による限界が懸念されている。
実行犯と魔術的背景
インデックスによる爆破跡地の現場調査により、ローマ正教系の「ロレートの家」の伝承を応用した術式が使われていたことが判明した。その詳細は以下の通りである。
・建物の一部を移動させる効果によってトンネルに亀裂を生じさせる
・過去のフランス王(ルイ九世)が分析した術式理論を利用している
このことから、単なる事故ではなく、フランスの現政権を操るブレインや、その背後にいるローマ正教が関与していることが確定的となった。
ハイジャック事件への波及
この爆破事件は、さらなるテロの引き金にもなった。事の経緯は以下の通りである。
・反イギリスを掲げるフランス系のテロリスト組織が、ユーロトンネル爆破はイギリスによる自作自演の謀略であると思い込む
・フランスは一方的に被害を受けたと解釈する
・その報復としてイギリスの空路をも封鎖すべく、旅客機スカイバス365のハイジャック事件を引き起こす
英国クーデターへの引き金と世界情勢への影響
女王エリザードは証拠が集まり次第、フランスへ対応する方針を固めていた。しかし、事態は以下のように進展していく。
・第一王女リメエアはこれが単なる英仏の対立ではなく、ローマ・ロシア勢力とイギリスの対立であると分析する
・第二王女キャーリサはこの危機的状況を利用してクーデターを起こす
・キャーリサはインデックスの調査結果を正当な証拠として利用し、フランスへ最後通牒を突きつけるとともに、軍事行動の準備を進める
キャーリサの真の狙いは、ローマ正教や学園都市のどちらが勝ってもイギリスが従属国になってしまう世界規模の戦争において、他国からの干渉を断ち切り、イギリスを完全な独立国家として勝ち残らせることにあった。
まとめ
このように、ユーロトンネル爆破事件は単なるインフラ破壊にとどまらず、イギリス国内のクーデターと、ヨーロッパ全土を巻き込む世界的な戦争の引き金となる極めて重要な事件として描かれている。
上条当麻のイギリス行
上条当麻のイギリス行きの経緯と、その道中での出来事について解説する。
強制的な召集と出発
上条当麻のイギリス行きは、全く予期せぬ形で始まった。その経緯は以下の通りである。
・学園都市の学生寮でインデックスとコタツに入り平和な時間を過ごしていた上条は、突然土御門元春からの電話を受ける
・その後、隣の部屋から投げ込まれた吸引性昏倒ガスによって強制的に眠らされ、気づいた時には空港のロビーに置き去りにされていた
・彼がイギリスへ行くことになった理由は、インデックスに「禁書目録召集令状」が下されたためである
・イギリスとフランスを結ぶユーロトンネル爆破事件に魔術が関与している可能性が浮上したため、魔道書の知識を持つ彼女が英国王室から調査に召集され、上条はその保護者役として同行を余儀なくされた
トラウマによる便の変更とハイジャックへの遭遇
当初、土御門が手配していたのは、時速7000キロを超える学園都市製の「超音速旅客機」であった。しかし、彼らは別の選択をする。
・以前のフライトでインデックスが機内食を嘔吐するなどの悲惨な経験をしていた二人はこれへの搭乗を避けた
・直行便が満席だったため、スコットランドのエジンバラを経由する通常の大型旅客機スカイバス365に搭乗することを選択する
・しかし、この選択が上条の不幸を引き寄せる
・彼らが乗ったスカイバス365には、イギリスの航空網に打撃を与えようと企むフランス系の反イギリス・テロリストが潜伏していた
機内での死闘と事件の解決
機内で偶然血痕を発見してしまった上条は、機内のパニックを防ごうとする機長の判断により、小部屋に隔離されてしまう。しかし、事態は以下の通り展開していく。
・テロリストがインデックスに危害を加えているのを目撃すると、上条は機長の制止を振り切って自らドアを破って脱出し、単身で犯人に立ち向かう
・貨物室に潜伏していたもう一人のテロリスト、エーカー=ルゴーニとの戦闘では、上条は熱膨張の原理を利用する
・ダクトから熱湯の紅茶を流し込んで奇襲をかけ、さらに熱いコーヒーの中に相手の拳銃を落とさせることで部品を歪ませ、発砲を阻止するという機転を利かせて彼を打ち倒した
・最終的には、外部からのステイル=マグヌスの援護(炎剣による外壁への穴あけ)もあり、テロリストを完全に無力化することに成功する
エジンバラ到着とその後
ハイジャック事件を無事に解決し、スカイバス365は予定通りエジンバラ空港に着陸する。しかし、安息の時間はなかった。
・空港で食事を求めていた上条とインデックスの前に神裂火織が現れる
・彼らはロンドンのバッキンガム宮殿へとヘリコプターで急遽連行されていくことになる
まとめ
このように、上条当麻のイギリス行きは、理不尽な拉致から始まり、高度1万メートルでのハイジャック事件の解決を経て、イギリス全土を揺るがす巨大なクーデターへと巻き込まれていく波乱万丈な幕開けとして描かれている。
五和の恋心と葛藤
『とある魔術の禁書目録(17)』における、五和の上条当麻に対する恋心と、それに伴う彼女の激しい葛藤について解説する。
上条当麻への恋心と空回り
天草式十字凄教に所属する少女・五和は、上条当麻に密かな恋心を抱いている。彼女の空回りの経緯は以下の通りである。
・上条が超音速旅客機でロンドンへやってくると聞き、案内役として大慌てで準備を整える
・しかし、実際に空港に届いたのは手違いで上条のペットの三毛猫だけだった
・彼女は激しく落胆し、昼間から「イモ男爵」という芋焼酎をあおり、スルメをかじりながらヤケ酒を飲むほど荒れてしまう
・その後、同僚から上条がロンドンに来ているという情報が入り、一気に元気を取り戻す
・しかし同時に、酒臭くスルメをくわえた現在の惨状を上条に見られるのではないかと極限のパニックに陥り、必死に体裁を取り繕おうとする
・だが結局、足音を立てて部屋へやってきたのは上条ではなく、彼女をからかうための建宮斎字の悪ふざけであった
・乙女心を弄ばれた五和は激怒し、片手でちゃぶ台を掴んで建宮を容赦なく殴り飛ばした
神裂火織に対する強烈な劣等感
五和の恋路において最大のトラウマとなっているのが、上司であり聖人でもある神裂火織の存在である。
・以前、五和は上条を護衛する際に距離を縮めようと努力した
・しかし、途中で神裂が「堕天使エロメイド」という強烈な衣装で現れ、上条の思い出をすべて持っていかれてしまったと感じている
・自身のシックで無難な私服と、神裂の巨乳を活かしたエロメイド姿を比較し、これが凡人と天才の差なのかと深く苦悩する
・神裂に勝つ術はないのではないかと絶望している
大精霊チラメイドを巡る葛藤
そんな中、五和はネットのニュースサイトで「大精霊チラメイド」という破壊力抜群の新商品が発売されることを知る。
・これを千載一遇のチャンスと捉え、これなら聖人である神裂に追いつけるかもしれないと本気で考え込む
・しかし、最終的には私にはこんなの着れないと羞恥心が勝ってしまう
・大胆に踏み込めないまともな自分を嫌悪してめそめそと泣き崩れてしまう
・なお、天井裏では建宮ら天草式の仲間たちが五和の後押しをしようと盛り上がっており、勝手に大精霊チラメイドを購入して与えようと画策しているが、五和自身はそのことに全く気付いていない
まとめ
このように、五和の恋心は非常に健気である一方で、強力なライバルである神裂への劣等感や、自身の恥じらいとの間で常に激しい葛藤と空回りを引き起こすものとしてコミカルに描かれている。
聖人神裂火織の悩み
『とある魔術の禁書目録(17)』における、聖人・神裂火織の抱える悩みや葛藤について解説する。
「堕天使エロメイド」の噂の蔓延とトラウマ
神裂にとって現在最大の悩みの種となっているのが、かつて上条当麻への恩返し(あるいは護衛)のために着てしまった「堕天使エロメイド」の衣装に関する一件である。その詳細は以下の通りである。
・この噂はなぜか『騎士派』のトップである騎士団長の耳にまで届いており、神裂が「貴婦人としての生き方を模索し始めている」と勘違いされる事態を引き起こした
・神裂は激しく動揺し、「アレは極めてイレギュラーな現象であり、自分の進路希望はやけにエロいメイドではない」と必死に弁明する羽目になっている
・さらに、エジンバラ空港で上条と再会した際にも、顔を見るなり第一声で「何故、堕天使エロメイドがこんな所に」と呼ばれ、呼吸困難になるほどむせ返りながら「今の私はいかがわしい存在ではない」と強く否定している
・この一件は彼女にとって深いトラウマとなっているようだ
社交界への苦手意識と騎士団長の対応
神裂は騎士団長から、ウィンザー城での夜会やバッキンガム宮殿での仮面舞踏会など、貴族の社交界へ頻繁に誘われている。しかし彼女は以下のような葛藤を抱えている。
・それらの催しが出会い系のような意味合いを含んでいると考えており、「イギリス清教の傘下部隊を率いる身としては避けるべきだ」と強い苦手意識を持っている
・騎士団長からは「英国での立ち振る舞いを教えてほしいと頼んできたのは貴女のはずだ」と指摘される
・神裂としては単に天草式の術式の関係でイギリスの礼儀作法や風土を学びたかっただけであり、貴族の世界で生きたいわけではないと葛藤している
『騎士派』への勧誘と天草式への思い
騎士団長は神裂の実力と剣技を高く評価しており、伝統的に女人禁制である騎士の世界であっても特例として彼女を受け入れ、『騎士派』へ勧誘しようとしている。しかし神裂は以下の理由から断っている。
・「私の芯は信仰にある」「剣技は術式群の一環であって、本質としての剣の道を歩んでいる訳ではない」として、この誘いを明確に断っている
・彼女にとって、今の自分は天草式十字凄教と共にいることで本領を発揮するものである
・自分を慕ってくれる仲間を捨ててまで新たな地位を築くつもりはないという確固たる信念を持っている
まとめ
このように、神裂火織は強大な力を持つ聖人でありながら、過去のイレギュラーな衣装の噂、社交界への苦手意識、そして現在の仲間たちへの強い思いとの間で、様々な悩みや葛藤を抱えていることが描かれている。
第二王女のクーデター
『とある魔術の禁書目録(17)』において、イギリス全土を揺るがした第二王女キャーリサによる国家規模のクーデターについて解説する。
クーデターの背景と目的
軍事を司る第二王女キャーリサは、イギリスを取り巻く世界情勢に対して強い危機感を抱いていた。その背景と目的は以下の通りである。
・ローマ正教とロシア成教が手を結び、学園都市との対立が深まる世界規模の戦争において、平和主義を掲げる現在の女王エリザードのままでは、イギリスがどちらの陣営が勝利しても属国になってしまうと判断したためである。
・真の目的は、ローマ正教や学園都市などあらゆる外部勢力からの干渉を断ち切り、イギリスを完全な独立国家として生き残らせることである。
クーデターの勃発とカーテナ=オリジナル
キャーリサは歴史上失われたはずの王族専用の霊装であるカーテナ=オリジナルを手に入れた。その力とクーデター勃発の経緯は以下の通りである。
・カーテナ=オリジナルはイギリス国内において、国王を天使長、騎士を天使と同質の力を持たせるという絶大な恩恵をもたらす剣である。
・インデックスの調査により、ユーロトンネル爆破事件にフランス系ローマ正教の術式が使われていたという証拠を得たキャーリサは、これを口実にしてフランスへ最後通牒を突きつけた。
・カーテナ=オリジナルを手中に収めた彼女は騎士派に対して一斉侵攻を命じ、自らが新たな国家元首となることを宣言した。
騎士派の侵攻と各派閥の動向
日付の変更と共に騎士派は動き出し、イングランド、スコットランド、ウェールズ、北部アイルランドの主要施設をまたたく間に占拠および制圧した。これに対し、他の派閥は次のような状況に追い込まれた。
・清教派:騎士派がカーテナの恩恵により強大な力を得ているため、正面からの全面衝突を避けた。重要な書物や霊装を回収しつつ、戦力を温存するための戦略的撤退を余儀なくされた。
・王室派:女王エリザードはウィンザー城で拘束された。人徳の第三王女ヴィリアンは逃亡を試みるも捕らえられ、処刑寸前まで追い詰められるが、かつての傭兵ウィリアム=オルウェルに救出された。第一王女リメエアは人間不信の性格から危機を察知し、所在不明となっている。
キャーリサの強硬策と独立国家構想
支配権を確立したキャーリサは、さらに以下のような強硬策と構想を練っていた。
・フランスをねじ伏せるために駆逐艦を配備し、禁止条約を破棄してバンカークラスターと呼ばれる特殊なミサイルで攻撃する準備を進めた。
・EUとの関係見直し、学園都市との協力関係の断絶、アメリカからの支援拒否など、国際的な孤立を辞さない姿勢をとった。
・孤立による食糧や物資の枯渇対策として、イギリス周辺の海底施設を改修し、海洋資源の採掘によって国を維持する構想を練っていた。
まとめ
このように、このクーデターは単なる権力争いではなく、キャーリサなりのイギリスを救うための極端かつ苛烈な決断として描かれている。
聖人神裂の敗北
『とある魔術の禁書目録(17)』において、世界で20人といない聖人である神裂火織が、騎士派のトップである騎士団長に完全なる敗北を喫した戦闘について解説する。
戦闘の勃発
第三王女ヴィリアンを追跡する第二王女キャーリサと騎士団長らの前に、神裂は強襲を仕掛けた。その経緯は以下の通りである。
・ステルス水上輸送機から飛び降りる形で現れた
・クーデターの首謀者であるキャーリサの拘束を試みた
・しかし、キャーリサをかばうように騎士団長が彼女の前に立ちはだかった
聖人を凌駕する騎士団長の力
神裂は聖人としての力を解放して警戒するが、騎士団長の力は彼女を凌駕していた。戦闘の経過は以下の通りである。
・騎士団長は神裂の視界から消えるほどの凄まじい速度で背後に回り込んだ
・蹴りと拳で彼女の体を護衛用の馬車まで吹き飛ばした
・追い詰められた神裂は中遠距離用の格闘術である七閃のワイヤーを放った
・騎士団長はそれを素手で掴み取って強引に引き千切り、その塊を銃弾のように投げ返して大ダメージを与えた
・さらに、神裂はとっさに必殺の一撃である真説・唯閃を放つが、騎士団長はこれも素手で刀身を掴み止めた
敗北の理由
なぜ聖人である神裂の必殺技が全く通じなかったのか。その理由は、イギリス国内におけるカーテナ=オリジナルの恩恵によるものである。
・イギリスという特殊なルールに縛られた領土においては、国王は天使長、それに従う騎士は天使として扱われる
・そのため、騎士団長は天使と同質の圧倒的な力を得ていた
・一方で清教派の神裂は、このシステムにおいては天使に対応しておらず、ただの魔術師扱いでカーテナの恩恵を受けられない
・結果として、両者の間には単純な力の総量に絶望的な差があった
まとめ
騎士団長は神裂に対し、まだ剣を抜いてもいないと告げながら、サッカーボールを蹴るような無造作な一撃で彼女を戦闘不能に追い込んだ。そして、気を失った神裂を静かに見下ろし、聖人と言ってもこんなものかと冷酷に言い放ち、完全なる敗北を喫する結果として描かれている。
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とある魔術の禁書目録 SS2 レビュー
とある魔術の禁書目録(18)レビュー
登場キャラクター
学園都市
上条当麻
右手に異能の力を打ち消す幻想殺しを宿す高校生である。インデックスの保護者役を務めている。
・所属組織、地位や役職
学園都市の高校生。インデックスの保護者役。
・物語内での具体的な行動や成果
土御門の策略でイギリスへ強制的に送られた。道中のスカイバス365で発生したハイジャック事件に巻き込まれ、テロリストを撃退する。ロンドンではオリアナと協力してレッサーを追跡し、行動を阻止した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記憶喪失であることを美琴に打ち明けた。
吹寄制理
黒髪で額が広く巨乳の女子生徒である。実行委員としての役割に熱心に取り組んでいる。
・所属組織、地位や役職
学園都市の高校生。
・物語内での具体的な行動や成果
一端覧祭に向けて浮かれる青髪ピアスや土御門たちに説教をした。上条を頭突きで吹き飛ばした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
姫神秋沙
黒くて長い髪を持つ女子生徒である。自身の個性に悩み、本を読んで解決策を探している。
・所属組織、地位や役職
学園都市の高校生。
・物語内での具体的な行動や成果
上条から料理が個性であると助言を受けて納得しかけた。しかし、月詠小萌の強烈な個性を目の当たりにして絶望した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
月詠小萌
外見は一二歳前後だが、喫煙と飲酒を好む女教師である。専攻は発火能力で、様々な学問に通じている。
・所属組織、地位や役職
学園都市の教師。上条たちのクラスの担任。
・物語内での具体的な行動や成果
ホームルームで一端覧祭の役割分担を決めるため教室に入ってきた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
青髪ピアス
上条のクラスメイトである。
・所属組織、地位や役職
学園都市の高校生。
・物語内での具体的な行動や成果
土御門と共に一端覧祭の予算や出し物について話し合っていた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
土御門元春
上条のクラスメイトであり隣人である。
・所属組織、地位や役職
学園都市の高校生。
・物語内での具体的な行動や成果
上条に電話をかけ、吸引性昏倒ガスを使って彼を強制的に眠らせた。イギリス行きの飛行機や荷物を手配した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
御坂美琴
上条に想いを寄せる少女である。
・所属組織、地位や役職
学園都市の学生。
・物語内での具体的な行動や成果
繁華街で上条と遭遇し、言葉を交わした。上条から記憶喪失であることを打ち明けられた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
上条に服装を指摘され、動揺して電撃を放った。
イギリス清教
インデックス
十万三千冊の魔道書を記憶する銀髪碧眼の少女である。上条と同居している。
・所属組織、地位や役職
イギリス清教所属。魔道書図書館。
・物語内での具体的な行動や成果
英国王室から禁書目録召集令状を受け、上条と共にイギリスへ向かった。ユーロトンネル爆破現場で術式を解析した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
キャーリサに利用価値があると判断され、気絶させられて拘束された。
ローラ=スチュアート
イギリス清教の最大主教であり、必要悪の教会のトップである。
・所属組織、地位や役職
イギリス清教・最大主教。必要悪の教会のトップ。
・物語内での具体的な行動や成果
聖ジョージ大聖堂で騎士団長と共に作戦会議を行う。ウィンザー城でエリザード女王と共に騎士派に拘束された。自身の髪を利用した魔術で馬車を爆破して脱出した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ステイル=マグヌス
炎を操る魔術師である。
・所属組織、地位や役職
イギリス清教所属。
・物語内での具体的な行動や成果
ステルス輸送機から炎剣を放った。スカイバス365の貨物室の外壁に穴を開けてテロリストを無力化した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
シェリー=クロムウェル
ライオンのような金髪と小麦色の肌を持つ女性魔術師である。ゴーレムや暗号解読の専門家である。
・所属組織、地位や役職
イギリス清教・必要悪の教会所属。
・物語内での具体的な行動や成果
地下鉄駅の遺失物保管庫で四角い鞄の解析を行った。その後、過去の因縁から騎士派に対してゴーレムであるエリスを操って攻撃を仕掛けた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
オルソラ=アクィナス
魔道書の暗号解読を得意とするシスターである。
・所属組織、地位や役職
イギリス清教所属。
・物語内での具体的な行動や成果
イギリス清教の女子寮に残り、しんがりを務める修道女たちと共にいた。上条が連れてきたレッサーの応急手当を引き受けた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
神裂火織
世界で二十人といない聖人の一人であり、長い黒髪を持つ女性である。
・所属組織、地位や役職
天草式十字凄教の女教皇。イギリス清教所属。
・物語内での具体的な行動や成果
エジンバラ空港で上条とインデックスを迎え、バッキンガム宮殿へ案内した。その後、ステルス水上機から飛び降りてキャーリサを拘束しようとしたが、騎士団長に敗北した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
五和
天草式十字凄教に所属する少女である。上条に想いを寄せており、神裂に対して劣等感を抱いている。
・所属組織、地位や役職
天草式十字凄教所属。
・物語内での具体的な行動や成果
地下鉄駅付近でベイロープを捕捉し、戦闘を行った。ベイロープを試験迷宮へ誘導して撃破した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
建宮斎字
天草式十字凄教に所属する黒髪の男である。
・所属組織、地位や役職
天草式十字凄教所属。
・物語内での具体的な行動や成果
上条のふりをして五和をからかい、五和にちゃぶ台で殴り飛ばされた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
諫早
初老の男性である。
・所属組織、地位や役職
天草式十字凄教所属。
・物語内での具体的な行動や成果
五和に上条がロンドンへ向かっていることを伝えた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
香焼
小柄な人物である。
・所属組織、地位や役職
天草式十字凄教所属。
・物語内での具体的な行動や成果
五和が荒れている様子を心配していた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
対馬
女性の人物である。
・所属組織、地位や役職
天草式十字凄教所属。
・物語内での具体的な行動や成果
五和が芋焼酎をこぼした際、絶叫する牛深の首に手刀を放って黙らせた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
牛深
大柄な男性である。
・所属組織、地位や役職
天草式十字凄教所属。
・物語内での具体的な行動や成果
自身が隠していた芋焼酎を五和に飲まれ、こぼされたことに衝撃を受けた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
野母崎
既婚者の男性である。
・所属組織、地位や役職
天草式十字凄教所属。
・物語内での具体的な行動や成果
芋焼酎を飲まれて暴れそうになった牛深を羽交い締めにし、五和に愛想笑いを向けた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
アニェーゼ=サンクティス
元ローマ正教の部隊を率いていた少女である。
・所属組織、地位や役職
イギリス清教所属。
・物語内での具体的な行動や成果
スコットランドで新たなる光の調査を行った。エジンバラのヨットハーバーで騎士派に包囲されたが、閃光を放って部隊を海中へ逃がした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ルチア
修道女である。
・所属組織、地位や役職
イギリス清教所属。
・物語内での具体的な行動や成果
エジンバラのヨットハーバーで騎士派に包囲された際、木製の車輪を構えて応戦体制をとった。海中へ逃走した後、捕らえられた仲間の救出を提案した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
アンジェレネ
猫背の修道女である。
・所属組織、地位や役職
イギリス清教所属。
・物語内での具体的な行動や成果
エジンバラのヨットハーバーで騎士派に包囲された際、四つの金貨袋を浮かべて応戦体制をとった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
カテリナ
修道女である。
・所属組織、地位や役職
イギリス清教所属。
・物語内での具体的な行動や成果
エジンバラのクルーザー内で発見した情報をアニェーゼに報告した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
アガター
メガネをかけた修道女である。
・所属組織、地位や役職
イギリス清教所属。
・物語内での具体的な行動や成果
エジンバラのクルーザー内でスキーズブラズニルの試作品を発見した。その効果を解析してアニェーゼに報告した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
英国王室(王室派)
エリザード
イギリスの国家元首である女王である。
・所属組織、地位や役職
英国王室・女王。王室派のトップ。
・物語内での具体的な行動や成果
バッキンガム宮殿で作戦会議を主催した。ウィンザー城で騎士派に拘束されたが、ローラが馬車を爆破したことで脱出した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
騎士派の反乱により、実質的な権力をキャーリサに奪われた。
リメエア
人間不信の傾向を持つ第一王女である。
・所属組織、地位や役職
英国王室・第一王女。
・物語内での具体的な行動や成果
バッキンガム宮殿での作戦会議に参加した。占い雑誌を読みながら、事態がローマ・ロシア勢力との対立であると分析した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
騎士派のクーデター発生後、所在不明となった。
キャーリサ
軍事を司る第二王女である。イギリスの完全な独立を目的として行動している。
・所属組織、地位や役職
英国王室・第二王女。
・物語内での具体的な行動や成果
バッキンガム宮殿での作戦会議に参加した。カーテナ=オリジナルを入手し、国家元首となることを宣言して騎士派にクーデターを命じた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
クーデターを起こし、イギリス全土の支配権を確立した。
ヴィリアン
人徳に特化した第三王女である。
・所属組織、地位や役職
英国王室・第三王女。
・物語内での具体的な行動や成果
エジンバラ空港の責任者に流動食の迅速な配布を指示した。キャーリサのクーデター発生後、馬車で逃亡を図るも捕らえられ、処刑されそうになったところをウィリアムに救出された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
騎士派
騎士団長
騎士派のトップを務める金髪の男である。第二王女キャーリサに付き従っている。
・所属組織、地位や役職
騎士派・長。
・物語内での具体的な行動や成果
神裂を騎士派に勧誘する。クーデター発生後、神裂を圧倒的な力で撃破した。ヴィリアンの処刑を実行しようとしたが、ウィリアムの登場により阻止された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
騎士たち
銀色の鎧を身につけた集団である。
・所属組織、地位や役職
騎士派所属。
・物語内での具体的な行動や成果
キャーリサの命を受け、イギリス全土の主要施設を占拠した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
新たなる光
レッサー
小柄な体格の少女である。
・所属組織、地位や役職
新たなる光所属。
・物語内での具体的な行動や成果
ロンドンの酒場で四角い鞄を取り違えそうになり騒動を起こした。上条とオリアナに追跡されて追い詰められ、狙撃を受けて重傷を負った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ベイロープ
銀髪の少女である。
・所属組織、地位や役職
新たなる光所属。
・物語内での具体的な行動や成果
地下鉄駅周辺で五和と交戦した。鋼の手袋を使って五和を圧倒したが、試験迷宮へと誘導された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
フロリス
金髪の少女である。
・所属組織、地位や役職
新たなる光所属。
・物語内での具体的な行動や成果
レンタカーを運転してロンドンへ向かった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ランシス
茶色い髪の少女である。
・所属組織、地位や役職
新たなる光所属。
・物語内での具体的な行動や成果
自身の作った魔力に当てられてくすぐったがっていた。ロンドンから北へ三十キロ離れた地点で待機し、中継役として鞄を受け取った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
フランス系反イギリステロリスト
エーカー=ルゴーニ
拳銃や爆薬で武装した男である。
・所属組織、地位や役職
フランス系反イギリステロリスト組織所属。
・物語内での具体的な行動や成果
スカイバス365の貨物室に潜伏し、機体の破壊を企てた。上条の奇襲を受けて交戦し、手榴弾で自爆しようとしたが、ステイルの魔術によって無力化された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
スーツの男
色白でスーツを着た男である。
・所属組織、地位や役職
フランス系反イギリステロリスト組織所属。
・物語内での具体的な行動や成果
スカイバス365に搭乗し、不時着安定装置への干渉を試みたが失敗した。インデックスを人質に取ったが、上条によって撃退された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
魔女
スマートヴェリー
カヴン=コンパスに搭乗する魔女である。
・所属組織、地位や役職
魔女。
・物語内での具体的な行動や成果
低空飛行で海面を移動し、騎士派の迎撃に向かった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
スカイバス365乗務員
スカイバス365機長
白い軍服を着た大男である。
・所属組織、地位や役職
スカイバス365の機長。
・物語内での具体的な行動や成果
機内の混乱を防ぐため上条を隔離した。上条から暴行を受けた後、副操縦士に武器のアーチェリーを持ってこさせた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
金髪のフライトアテンダント
金髪でスタイルの良い女性である。
・所属組織、地位や役職
スカイバス365のフライトアテンダント。
・物語内での具体的な行動や成果
機内で血痕を発見した上条を取り押さえた。テロリストの存在を明かした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ワッシュ
副操縦士である。
・所属組織、地位や役職
スカイバス365の副操縦士。
・物語内での具体的な行動や成果
機長からボックスの鍵を開けてアーチェリーを持ってくるよう指示を受けた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
フライトアテンダント達
スカイバス365の乗務員である。
・所属組織、地位や役職
スカイバス365のフライトアテンダント。
・物語内での具体的な行動や成果
上条がカートでドアを破った轟音を聞きつけて集まった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
その他
オリアナ=トムソン
金髪碧眼の女性魔術師である。運び屋として活動している。
・所属組織、地位や役職
運び屋。
・物語内での具体的な行動や成果
上条と共にレッサーを追跡した。橋で騎士派の足止めを引き受けた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ウィリアム=オルウェル
かつてイギリスのために戦った大男である。
・所属組織、地位や役職
傭兵。
・物語内での具体的な行動や成果
聖剣アスカロンを携え、処刑寸前だったヴィリアンを救出した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
元占星施術旅団の男
占星施術旅団の元メンバーである。
・所属組織、地位や役職
元占星施術旅団所属。
・物語内での具体的な行動や成果
かつて助けられた恩返しとして、アスカロンをウィリアムに提供した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
酒場の店長
筋肉質な男性である。
・所属組織、地位や役職
酒場の店長。
・物語内での具体的な行動や成果
レッサーに魚のフライをサービスした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
黒人の大男
酒場の客である。
・所属組織、地位や役職
酒場の客。
・物語内での具体的な行動や成果
自分の四角い鞄を持って店を出ようとした際、レッサーに止められた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ゴーレム=エリス
シェリーが操る巨大なゴーレムである。
・所属組織、地位や役職
シェリーのゴーレム。
・物語内での具体的な行動や成果
シェリーの指示で騎士派の集団に突撃し、大きな被害を与えた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
三毛猫
上条とインデックスに飼われている小さな猫である。
・所属組織、地位や役職
上条のペット。
・物語内での具体的な行動や成果
コタツを満喫していた。上条たちと共に強制的に眠らされた後、五和のもとに届けられた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
とある魔術の禁書目録 SS2 レビュー
とある魔術の禁書目録(18)レビュー
展開まとめ
第一章 何気ないやり取りの違和 Irregular_Spark.
ロンドンの日本人街と五和の悩み
遠距離恋愛の記事に動揺する五和
一〇月一七日の朝、ロンドンの日本人街は通勤や通学の人々で賑わっていた。五和はアパートメント一階の弁当屋の休憩室で、遠距離恋愛に関する日本語のホームページを見ていた。
記事を読んだ五和は、後方のアックアとの戦いの際に上条当麻を護衛していた出来事を思い出した。上条との距離を縮めようと努力したものの、神裂火織が現れたことで印象をすべて持っていかれたと感じていた。
神裂火織への劣等感
五和は神裂火織の堕天使エロメイド姿を思い出し、その強烈な印象に圧倒されていた。
自分の無難な服装を見ながら、聖人である神裂との違いを痛感し、逆転する機会はないのではないかと落ち込んでいた。
大精霊チラメイドへの葛藤
ニュースサイトを見ていた五和は、大精霊チラメイドという新商品の記事を発見した。
神裂を超える機会かもしれないと一瞬考えたものの、結局は自分にはそんな格好はできないと結論づけた。凡人と非凡の差を感じながら、五和は深く落ち込んだ。
一方で天井裏では天草式の面々が五和を後押ししようと盛り上がっていたが、五和はその存在に気づいていなかった。
騎士団長と神裂火織の会話
社交界への勧誘
バッキンガム宮殿近郊を歩いていた神裂火織は、騎士派のトップである騎士団長と遭遇した。
騎士団長は神裂に夜会や舞踏会への参加を勧め、社交界での振る舞いを教えようとしていた。しかし神裂は、そのような場が出会いの場としての意味合いを持つことを理由に消極的な態度を示した。
堕天使エロメイドの噂
騎士団長は神裂が貴婦人としての生き方を模索しているのではないかと語り、その根拠として堕天使エロメイドの噂を口にした。
神裂は激しく動揺し、あれは特殊な状況だったと必死に弁明した。騎士団長は気にする様子もなく話を続けたが、神裂は自分の進路希望はそのようなものではないと強く否定した。
騎士派への勧誘と神裂の決意
騎士団長は神裂の実力を評価し、騎士派への参加を改めて示唆した。
しかし神裂は、自身の力は天草式と共にあることで発揮されるものであり、仲間を捨てて地位を得るつもりはないと明言した。
ユーロトンネル事件と英国の危機
神裂は内務省から入手した資料を示し、ユーロトンネルの状況について尋ねた。
騎士団長は救助活動はほぼ終了したものの、事件の原因究明はこれからだと説明した。魔術か科学か、あるいはどの組織が関与しているかによっては騎士派が宣戦布告する可能性もあると語った。
さらにフランスとの緊張や国内の反政府組織の動きについても話し合われ、英国が内外双方の脅威に直面していることが確認された。
学園都市の文化祭準備
一端覧祭を前に盛り上がる生徒達
場面は学園都市へ移り、上条当麻はホームルーム前の休み時間を過ごしていた。
文化祭である一端覧祭が近づいていたこともあり、教室では生徒達が浮かれた雰囲気を見せていた。青髪ピアスや土御門元春は文化祭の予算や企画について話し合い、吹寄制理は文化祭を有意義に活用するべきだと熱弁していた。
姫神秋沙の個性探し
吹寄に頭突きで吹き飛ばされた上条は、姫神秋沙が個性について書かれた本を真剣に読んでいることに気づいた。
上条は姫神に相談を持ちかけ、自分で弁当を作る能力は十分な個性だと指摘した。姫神はその言葉を聞き、自分が求めていたものはすでに持っていたのかもしれないと考え始めた。
ホームルーム開始と姫神の挫折
その後、担任の月詠小萌が教室に入り、一端覧祭の役割分担を決めるホームルームを開始した。
姫神は小萌の数々の特異な特徴を改めて認識し、自分との差を痛感した結果、大きな衝撃を受けてその場で絶望してしまった。上条が慌てて呼びかけたものの、姫神は反応を返さなかった。
ロンドンへの召集
上条との再会に戸惑う御坂美琴
夕暮れの繁華街で、御坂美琴は第二三学区で上条当麻に対して思わず本心をぶつけてしまった出来事を思い出し、一人で動揺していた。
上条と顔を合わせることを避けていたものの、偶然本人と遭遇してしまう。しかし実際に会話を交わしてみると、美琴は予想していたほど気まずさを感じず、むしろ再会に安堵している自分に気づいた。
記憶喪失の告白と美琴の混乱
美琴が怪我の具合を尋ねると、上条は自身の記憶喪失について他人には黙っていてほしいと頼んだ。普段通り接してほしいという言葉を聞いた美琴は戸惑いながらも受け入れた。
その後、上条に服装について指摘された美琴は反論できず、自分の感情を制御できなくなって全身から放電してしまった。上条は突然の事態に慌てふためき、美琴は混乱の末に力を暴走させてしまった。
コタツ初体験のインデックス
学生寮へ戻った上条は、インデックスがいつも通りの様子で過ごしていることに安心した。
肌寒さを感じた上条はコタツを出し、インデックスに体験させた。インデックスはすぐにコタツの心地よさを気に入り、三毛猫と共に温かい空間を満喫した。
さらに、インデックスは自分の柿の種を上条へ分け与えた。予想外の行動に上条は驚きながらも喜んでいた。
コタツ騒動と土御門からの電話
コタツでくつろいでいた最中、上条の失敗が原因でインデックスが激怒し、コタツを持ち上げて振り下ろそうとした。
そこへ家の電話が鳴り、上条は難を逃れる。電話の相手は土御門元春であり、彼は上条へ今からイギリスへ行けと告げた。
上条が説明を求める中、土御門は吸引性昏倒ガスを送り込み、上条とインデックス、三毛猫を強制的に眠らせた。
空港で知らされた任務
目を覚ました上条は学園都市の空港ロビーにいた。土御門が残したメモを確認した後、インデックスと共に第三受付へ向かい、パスポートや航空券、資金などが入ったスーツケースを受け取った。
指令書を読んだ上条は、イギリスで大規模な魔術的事件が発生し、禁書目録であるインデックスが正式に召集されたことを知った。そして保護者役として自分も同行しなければならないことを理解した。
イギリス行きを前にした不安
搭乗手続きを進める中、上条は最近のユーロトンネル爆発事故を思い出し、嫌な予感を抱いていた。
一方のインデックスは、生まれ故郷であるイギリスに向かうことになっても特別な感慨はなく、自分には一年前以前の記憶がないと語った。
その言葉を聞いた上条は複雑な思いを抱いた。
超音速旅客機との再会
やがて二人は搭乗予定の飛行機を確認した。しかしそれは、日本とヨーロッパを二時間ほどで結ぶ超音速旅客機だった。
以前その飛行機で苦しい体験をした記憶が蘇った上条とインデックスは、普通の飛行機に乗りたいと意見を一致させる。そして超音速旅客機を見送りながら、静かに握手を交わした。
行間 一
欧州情勢の悪化
ユーロトンネル爆破による英仏対立の激化
語り手は、フランスがローマ正教に後押しされながらも迅速に動き出したことに触れた。そしてイギリスとフランスを結ぶ唯一の陸路であるユーロトンネルが三本とも爆破されたことで、フランスにも大きな被害が出ていると指摘した。
しかし島国であるイギリスへの打撃はさらに深刻であり、海路や空路の増便によって当面の物流は維持しているものの、輸送コストの増大によって経済的負担が膨らみ続けていると分析した。
経済圏同士の対立構造
ユーロトンネル開通後に多くの港湾機能が縮小されたため、海上輸送だけでは代替できず、物流の飽和は避けられない状況となっていた。
さらにフランスの背後にはローマ・ロシア勢力が存在し、イギリスは学園都市やアメリカへ支援を求めていた。その結果、英仏間の対立は単なる国家間問題ではなく、ユーロ圏とドル圏の経済対立の側面も帯びるようになっていた。
フィアンマによる欧州混乱の拡大
語り手は、フィアンマが欧州全体を混乱へ導こうとしていると語った。ローマ・ロシア勢力はすでにフィアンマの支配下にあり、かつて権限を持っていた者たちの命令は通用しなくなっていた。
これから起こるのは単なる国家間戦争ではなく、欧州全体を巻き込む大規模な混乱であると語り、その危険性を強調した。
異なる道を選ぶ決意
語り手は相手が戦いに赴くことを止めなかったが、自身は同行しない意思を示した。それは恐怖によるものではなく、天罰術式を失ったことで通常の魔術や霊装が使えなくなったためであり、その代わりに別の準備を進める考えであった。
また、自分なりの方法の方がフィアンマへ打撃を与えられると考えており、相手が自分の道を進むように、自身も自分の道を進むと告げた。
自らの信条を語る
相手から以前の口癖との違いを指摘されると、語り手は気分によって言葉を変えているだけだと答えた。
自分自身を言葉で縛るような人間ではないと語り、自らの自由な生き方を示していた。
第二章 雲の上に浮かぶ鋼の戦場 Sky_Bus_365.
機内食を待つ空の旅
五和の落胆と誤解による騒動
五和は、上条当麻がロンドンへ来ると聞いて空港まで迎えに向かったものの、受け取ったのは三毛猫のケージだけだったため大きく落胆していた。失意のまま日本人街へ戻った彼女は酒を飲みながら荒れており、同僚たちはその様子を心配していた。
そこへ諫早が上条がロンドンへ来ているという情報を持ち込み、五和は一気に元気を取り戻した。しかし自分が酒に酔い、酒臭さとスルメ臭さを漂わせている惨状に気づくと、慌てて身なりを整えようとした。
上条来訪と思い込んだ五和の暴走
諫早から上条がこちらへ向かっていると聞かされた五和は、三毛猫を預かっているため上条が訪ねて来るのだと気づき、さらに動揺した。
やがて足音が近づき、障子越しにツンツン頭の影が見えたことで五和は極限まで緊張した。しかし現れたのは建宮斎字であり、肩透かしを食らった五和は怒りのまま建宮を殴り飛ばした。
ロンドン行きが取れず経由便へ変更
一方の上条とインデックスは、超音速旅客機を避けて大型旅客機スカイバス365へ乗り込んでいた。しかしロンドン行きの便は満席だったため、スコットランドのエジンバラを経由してロンドンへ向かう予定となっていた。
上条は後に請求される料金を心配していたが、インデックスは機内設備に夢中で、座席のテレビや各種ボタンを次々に触って騒動を起こしていた。
空腹に苦しむ上条とインデックス
インデックスは機内食を楽しみにしていたが、次の食事まで九時間ほど待たなければならないと知り衝撃を受けた。上条自身も空腹だったため、フリードリンクコーナーへ向かった。
そこで無料の飲み物は見つけたものの、空腹を満たせそうなクラッカーは有料であり、結局手を出せなかった。
ユーロトンネル事故による輸送支援
旅客機は出発前にフランスで追加の荷物を積み込んでいた。アナウンスでは、ユーロトンネル爆破事故の影響により、フランスとイギリス間の物資輸送へ協力していると説明された。
上条が事情を尋ねると、フライトアテンダントは魚介類や特殊な食品など、イギリス国内で確保できない物資を航空輸送していると説明した。上条は、積み込まれている荷物の一つ一つが必要とされているものだと実感した。
機内食を待つインデックスの限界
食べ物の話を聞いたことで、インデックスの空腹はさらに深刻になった。上条はなだめ続けたが、インデックスは限界に達し、フライトアテンダントからもらった笛のおもちゃで気を紛らわせていた。
やがて追加荷物の搬入が完了し、旅客機は離陸準備へ入った。しかし機内食はまだ配られず、我慢を強いられたインデックスは獣のような唸り声を漏らし始めた。上条は身の危険を感じながら、機内食が一刻も早く運ばれてくることを願っていた。
機内で動き始める不穏な影
空席を利用された計画の狂い
スカイバス365が安定飛行に入り、機内が落ち着きを取り戻す中、一人の男が上条たちを遠くから観察していた。
男は本来ビジネスクラスの乗客だったが、機内トイレを経由してエコノミークラスへ移動していた。手帳で座席番号を確認した結果、本来は仲間が偽名で確保していたはずの座席に上条が座っていることを知り、キャンセル待ちによって予定外の乗客が入り込んだのだと判断した。
男は計画の実行に必要な座席が使えなくなったことに焦りながらも、有効な対策を思いつけずにいた。
機内食を待つ上条の行動
機内食がなかなか運ばれてこないため、上条は先に対応してくれたフライトアテンダントを心配し、自ら様子を見に行くことにした。
インデックスは機内食への執着を強めていたが、上条は彼女を席に残し、エコノミークラスとビジネスクラスの間にある設備区画へ向かった。
しかし目的のフライトアテンダントは見当たらず、機内食準備室らしき小部屋にも人の気配はなかったため、上条は席へ戻ろうとした。
不審な書類を抱えるフライトアテンダント
引き返そうとした上条は、慌てて走ってきたフライトアテンダントと衝突した。
彼女は抱えていた大量の書類を床に散らしたが、上条が内容を確認する前に素早く回収した。そして何を見たのかと問いかけたものの、上条は意味を理解できなかった。
フライトアテンダントは機内食をすぐに持ってくるとだけ告げ、慌ただしく立ち去った。上条の記憶に残ったのは、書類の中に飛行機の便名らしきものが見えたことだけだった。
コックピットで共有された脅迫情報
その頃、コックピットではフライトアテンダントが管制から届いた報告書を機長へ渡していた。
そこには航空会社へ送られた脅迫メールの内容が記されており、反イギリスを掲げるフランス系組織が関与していると説明された。彼らはユーロトンネル爆破をイギリスの自作自演と考え、イギリスの空路にも打撃を与えようとしていた。
脅迫犯本人は逮捕されたものの、実行犯は別に存在するとみられており、スカイバス365にも潜伏している可能性が高かった。機長は乗客に知らせれば機内が混乱すると判断し、秘密裏に対応するしかない状況に追い込まれていた。
負傷者発生の報告
機長と航空警備員が対応を協議している最中、機内から緊急連絡が入った。
報告によれば、乗客一名が背後から襲われて負傷しており、犯人の姿は確認できていなかった。機長はついに機内でテロリストが動き始めた可能性を認識した。
空腹に追い詰められるインデックス
一方でインデックスの空腹は限界に達していた。近くの乗客が有料クラッカーを食べている姿を見たことで苛立ちはさらに増していた。
上条はイギリスの通貨が機内でも使えることに気づき、クラッカーを購入するため再び設備区画へ向かった。
血痕の発見と拘束
クラッカーを購入した上条は、機内食準備室のドアが半開きになっていることに気づいた。
不審に思って近づくと、部屋の中には電子レンジが並び、その壁には赤黒い汚れが広がっていた。上条はそれが負傷した人物の血痕ではないかと考えた。
その瞬間、背後からフライトアテンダントに声をかけられた。彼女は上条が血痕を見たことを確認すると、自分が武器を持てない機内での格闘訓練を受けていることを告げながら、上条を床へ押さえつけた。
そして無線で機長へ連絡し、乗客の一人に血痕を発見され、機内で進行中の事件を知られてしまったと報告したのであった。
テロ情報を知らされた上条
機内テロの実態を聞かされる上条
上条を取り押さえたフライトアテンダントは、機内に潜伏するテロリストの存在を説明した。要求が受け入れられなければ、犯人はスカイバス365の構造的欠陥を利用して着陸を失敗させ、機体を墜落炎上させるつもりだと語った。
さらに、先ほど見た血痕は同僚の添乗員が襲撃された際に残ったものであり、その犯行もテロリストによるものと考えられていると説明した。上条は犯人扱いされているのかと疑ったが、フライトアテンダントは否定し、機内の混乱を避けるため情報を外へ漏らせない事情を打ち明けた。
機長による隔離の決断
やがて機長が現れ、上条を他の乗客から隔離するべきだと判断した。
上条は犯人捜しに協力すると申し出たが、機長は五〇〇人以上の命を預かる責任を理由に拒否した。素人が自由に動けば状況を悪化させるだけだと告げ、自分には全乗客の命を守る義務があると断言した。
その結果、上条は機内食加熱スペースの小部屋へ閉じ込められた。
脅迫内容と構造的欠陥の説明
隔離される直前、フライトアテンダントは脅迫メールの内容を上条へ説明した。
テロリストはイギリスの航空会社が保有するマスターレコーダーを破壊しなければ、スカイバス365の構造的欠陥を利用して機体を墜落させると脅迫していた。マスターレコーダーの破壊には特殊なコンピュータウイルスが用いられるとされていた。
また、同型機では過去に三件、飛行中に約十五秒間エンジン停止が発生しており、捜査当局はそれらを今回の犯行に向けた予行演習と考えていた。
孤立した上条の思案
小部屋に残された上条は、テロリストの目的がイギリスの航空網へ打撃を与えることにあると考えた。
要求を受け入れても航空業務は停止し、拒否しても旅客機は墜落する。どちらに転んでもイギリス側に大きな被害が生じる構図だった。
しかし情報不足を自覚した上条は、それ以上の推測をやめ、機長の判断にも一定の理解を示しながら状況の好転を待つことにした。
計画変更を迫られるテロリスト
一方、テロリストの男は貨物室へ通じる防火ハッチの前で立ち尽くしていた。
襲撃したフライトアテンダントから奪ったカードキーではハッチを開けられず、計画の変更を余儀なくされていた。本来は上条が座るはずではなかった空席からプログラムを流す予定だったが、その座席を上条に使われたためである。
男は貨物室を利用する予備計画へ移行しようとしたが、必要な権限を持つカードキーを手に入れられず苛立っていた。
上条不在の座席を狙う男
その時、男は上条の座席が空いていることに気づいた。
上条は隔離され、インデックスも席を離れていたためである。男は最後の機会と考え、上条の座席へ近づいた。
一方のインデックスは、戻らない上条を探して通路を歩いていたが発見できず、自分の席へ戻ってきた。
インデックスとテロリストの遭遇
席へ戻ったインデックスは、上条の席に見知らぬ男が座っていることに気づいた。
男はフランス語の新聞を広げていたが、片手には携帯電話と工具類を隠し持っていた。インデックスが席の持ち主を指摘すると、男は骨を削って作ったナイフを彼女の脇腹へ押し当て、騒がないよう脅迫した。
そして、自分は携帯電話を使って不時着安定装置へ干渉するプログラムを流そうとしているのだと語った。
失敗したプログラム投入
男は壁の内部にあるメンテナンス用ケーブルへ接続しようとしたが、コネクタに亀裂が入っており接続に失敗した。
何度試してもプログラムを流せず、構造的欠陥を利用した計画は継続不能となった。インデックスはそれが上条の行動によるものだと気づいていたが、男はその言葉を聞いていなかった。
追い詰められた男は貨物室を利用する別の計画に頼るしかないと判断した。
インデックスを人質にする決意
男は計画の破綻が近づいていることを理解していた。
しかしインデックスを解放すれば騒ぎになるため、彼女を黙らせる必要があった。男は工具と携帯電話を片付けると、ナイフを隠しながらインデックスへ立つよう命じた。
こうして計画は崩壊へ向かいながらも、男はなお実行を続けようとしていた。
機内食スペースから聞こえた異変
インデックスの接近を察知する上条
機内食の加熱スペースに閉じ込められていた上条は、ドアの向こうから複数の足音を聞き取った。さらに笛のような音も聞こえ、それがインデックスへ渡された玩具の音ではないかと思い至った。
しかし、自分がテロ事件のために隔離されている現状を思い返した上条は、楽観視をやめた。やがて足音が止まり、男の声が聞こえたことで、危険な状況が起きていると確信した。
隔離部屋からの脱出
上条は助けに向かうため、機内食運搬用のアルミ製カートをドアへ突進させた。
激突によってカートは大破したが、ドアのロックも破壊され、上条は通路へ飛び出した。そして唯一閉じられていた小部屋を開けると、掃除用具入れの中でインデックスが男に押さえつけられ、ゴムホースで首を絞められている光景を目撃した。
テロリストとの直接対決
上条は即座に男の襟を掴み、遠心力を利用して壁へ叩きつけた。そのまま追撃を仕掛けたが、男は回避し、骨製のナイフで上条の足に傷を負わせた。
上条は壊れたカートからアルミ製のバーを引き抜いて武器とし、男へ迫った。そこへ乗務員たちの足音が近づくと、男は不利を悟って階段から別の階層へ逃走した。
不時着安定装置の情報
上条は意識のあるインデックスを介抱した。首には絞められた痕が残っていたが命に別状はなかった。
到着した機長たちに対し、上条はインデックスが聞いた不時着安定装置という言葉について質問した。
機長は、不時着安定装置とは胴体着陸時の衝撃を検知し、全エンジンを自動停止させて火災や燃料タンクへの引火を防ぐ装置だと説明した。
その説明を聞いた上条は、もし飛行中にその装置が誤作動した場合の危険性に思い至った。
機長との決裂
事情を聞いた機長は、それでも機内の混乱を防ぐため、上条とインデックスを再び隔離すると告げた。
その言葉に上条は激怒した。乗客の命を守ると言いながら実際には被害者を出したことを非難し、アルミ製のバーで機長を殴りつけた。
上条は自分の知人が傷つけられた以上、自分のやり方で犯人を追うと宣言し、テロリストを追跡するため階段へ向かった。
機長の強硬な判断
機長もまた怒りを露わにした。
彼は上条を危険人物と判断し、副操縦士へ命じてアーチェリーと呼ばれる武器を持ってこさせた。それは窒素ガスで金属製の矢を射出する、実質的には銃に近い装備だった。
機長は上条をテロリスト同然と見なし、自由に行動させるつもりはないと決断した。
上条による犯人捜索
別の階層へ移動した上条は、ビジネスクラスとエコノミークラスを見回して犯人を探した。
しかし乗客たちはそれぞれ普段通りに過ごしており、犯人を見分けることはできなかった。
そこで上条は、犯人がイギリス側との交渉結果が出る前に機体を墜落させる訳にはいかないはずだと考え、相手を揺さぶる方法を思いついた。
偽の緊急事態による動揺
その頃、犯人の男はビジネスクラスの自席で身を潜めていた。
突然、機内に警報が鳴り響き、全座席から酸素マスクが展開された。乗客たちは大混乱に陥り、男もまた動揺した。
まだ計画を実行していないにもかかわらず機体に異常が起きたと思い込み、このまま事故が起きればテロ組織の目的そのものが失敗すると焦り始めた。
男は事態を確認するため席を立った。
機長を襲う新たな危機
一方、機長も警報に苛立っていた。
しかし副操縦士から連絡が入り、警報は手動で鳴らされたものであり、さらに燃料メーターが異常な速度で減少しているとの報告を受けた。
副操縦士は燃料タンクに穴が開いているような状態だと訴え、このままでは空港まで飛行できず、不時着の準備が必要になる可能性を示した。
機長は上条やテロリストの追跡を断念し、アーチェリーを持ったままコックピットへ急行した。
ロンドンで進められる対策
ロンドンの聖ジョージ大聖堂では、ローラ=スチュアートと騎士団長が状況を監視していた。
学園都市の協力による機材が並ぶ中、ローラは幻術によってスカイバス365の燃料計へ偽の情報を見せ、機長たちに燃料漏れが起きていると思い込ませたことを明かした。
その目的は旅客機を空港ではなく人の少ない幹線道路へ不時着させることだった。
ローラは着陸地点となる道路の封鎖と周辺道路の遮断、さらにテロリスト制圧の準備を騎士団長へ提案した。騎士団長は危険性を指摘したが、ローラは旅客機を都市部で墜落させるより被害が少ないと説明した。
さらに、万一空中で爆発した場合でも禁書目録だけは回収可能だと語り、その冷徹な発言に騎士団長は強い嫌悪を示した。
テロリストとの再戦
不時着が回避されて機体の高度が再び上昇すると、男は安堵した。計画は追い詰められていたものの、貨物室へのハッチを開けられれば挽回できると考えていた。しかしその直後、上条が現れた。上条は機内に混乱を起こして犯人の反応を探る中で、マイクを使ってコックピットへ脅迫を続ける男を発見していた。
男が骨製のナイフを抜こうとしたため、上条は先手を打って動きを封じた。頭突きと膝蹴りで追い詰められた男はナイフを抜こうとしたが、骨製ナイフは膝蹴りで根元から折れていた。武器を失った男に対し、上条は容赦なく拳を叩き込み、ついに制圧した。
残された違和感
男は拘束され、旅客機は当初の予定通りエジンバラへ向かうことになった。インデックスも命に別条はなく、機内食を楽しみにするほど元気を取り戻していた。
しかし上条は事件が終わったとは思えなかった。犯人は不時着や交渉打ち切りを極端に恐れており、長時間の飛行の末にわざわざ終盤で行動を開始していた。その不自然さから、計画には別の目的があるのではないかと考え続けた。
貨物室に潜む第二の脅威
上条は飛行中にパリで追加の貨物が積み込まれたことを思い出した。そして犯人がその時刻を待って行動を開始した理由は、貨物に紛れて仲間が機内へ侵入するのを待っていたためだと推理した。
貨物室に潜む仲間は通常の保安検査を受けていないため、銃や爆弾を所持している可能性が高かった。さらに計画失敗を悟れば、乗客を道連れに機体を破壊する危険もあると判断した上条は、貨物室への侵入方法を探り始めた。
フライトアテンダントから、貨物室へ続くハッチは副操縦士以上のカードキーが必要であり、パリで積み込まれた貨物は中央区画に集中していると聞かされた。正面突破が危険であることを踏まえた上条は、通気ダクトの利用を考え、熱いコーヒーと紅茶を用意するよう頼んだ。
貨物室のテロリスト
貨物室ではエーカー=ルゴーニが待機していた。彼は拳銃や手榴弾、爆薬を携行しており、不時着安定装置を利用した計画の失敗を悟りつつあった。
仲間のミュッセから連絡がない中、エーカーは最悪の場合には貨物室の外壁を破壊し、機体そのものを墜落させる覚悟を固めていた。その矢先、頭上のダクトから異音が響き始めたため、彼は拳銃でダクトを撃ち抜いた。
熱湯を利用した奇襲
ダクトから漏れ出したのは人ではなく、熱湯状態の紅茶だった。上条は熱膨張を利用して金属板を歪ませ、エーカーの注意を引いていたのである。
銃声で物音がかき消された隙に貨物室へ突入した上条は、続けて熱いコーヒーをエーカーに浴びせた。激しい火傷を負ったエーカーは拳銃を手放したものの、怪力で上条を床へ叩きつけ、大型ナイフで反撃した。
上条は折れた刃を利用してエーカーの太腿を刺し、距離を取ろうとした。しかしエーカーは熱湯に沈んでいた拳銃を握り直し、なおも戦いを続けた。
激突する信念
エーカーはユーロトンネル爆破の責任はイギリスにあると信じ、陸路に続いて空路も封鎖すると語った。これに対し上条は、イギリスが自ら陸路を破壊する理由はなく、貨物として積まれている流動食がフランスからイギリスへ届けられる事実こそ両国の関係を示していると反論した。
それでもエーカーは信念を曲げず、熱湯に浸かった拳銃を構えて引き金を引いた。しかし拳銃は作動しなかった。上条は熱膨張によって内部の部品が歪んだためだと説明し、そのまま拳を叩き込んでエーカーを打ち倒した。
最後の悪あがき
上条が危機は去ったと考えた直後、倒れたはずのエーカーが再び起き上がった。彼は足元のバッグから手榴弾を取り出し、笑みを浮かべながら起爆しようとした。
逃げ場のない貨物室で旅客機ごと破壊される危機が迫る中、突然どこからか上条の知る男の声が響いた。その声は、上条が相変わらず敵を殺せず周囲を危険に巻き込んでいると告げるものだった。
スカイバス365救出作戦
スカイバス365の近くには、学園都市の技術を利用した巨大なステルス輸送機が接近していた。機長は異様に近い距離を飛行する輸送機を発見して驚愕した。機内ではフライトアテンダントが輸送機から大量に撒かれる紙片を眺めていたが、インデックスはそれがルーンカードであることを見抜いて愕然とした。
炎剣による貨物室への介入
貨物室では突然、旅客機の外壁を貫いて炎でできた剣が突き刺さった。炎剣はエーカーの服を焼いただけで引き抜かれたが、その直後に外壁へ穴が開いたことで貨物室内の空気が一斉に外へ流れ出した。
穴の近くにいたエーカーは壁へ叩きつけられ、腹部が穴へ吸い込まれる状態となった。スカイバス365はエーカーの身体が穴を塞いだことで崩壊を免れたが、エーカー自身は激痛に絶叫し続けた。
ステイルからの通信
貨物室に響いた炎の魔術師の声は、エジンバラ空港まであと十分であり、それまでならエーカーの命も持つだろうと告げた。そしてインデックスの管理を任されている以上、それくらいの覚悟は見せてほしいと言い残して通信を終えた。
呆然としていた上条は、なおも手榴弾のピンを抜こうとするエーカーに気づき、手榴弾を払い落とした。抵抗手段を失ったエーカーを押さえ込みながら、上条は頑張れと声をかけた。
事件の終結
スカイバス365はエジンバラ空港へ無事着陸し、一時は危険な状況に陥ったものの、乗員乗客の協力によって事件は解決された。ニュースではその顛末が報じられていた。
黒幕の失望と決意
事件の報道を見ていた黒幕は、救出作戦にイギリス空軍のステルス輸送機が投入されたことに注目した。そして、この程度の問題を解決するためにも学園都市の技術を借りなければならない現状に失望した。
黒幕は、他者の力に頼るような体制では強い国にはなれず、イギリス清教とローマ正教の戦争など夢物語に過ぎないと考えた。その上で、もはや自分たちが動くしかないと静かに決意した。
行間 二
聖剣アスカロンとの再会
ロシア成教の支配地域から逃れた後も、ローマ正教とロシア成教の協力によって追跡を受け続けていた元占星施術旅団の人物は、再び助けてくれた相手に感謝を述べた。そして、今度こそ礼をさせてほしいと申し出た。
相手が武器を必要としていると知ると、世界各地で集めた様々な武器を紹介し、怪物級の武器まで揃えていると説明した。さらに最高の一品を見せるため、保管場所へ案内した。
怪物兵器の紹介
案内された先で披露されたのは、聖剣アスカロンと呼ばれる巨大な武器であった。
それは実在の伝承ではなく、一六世紀末に創作された聖剣の物語をもとに、本物の魔術師が製作した霊装であった。作中に登場する全長五〇フィートの悪竜を実在の存在として想定し、それを討つために必要な性能を理論的に計算し尽くして作られた武器であった。
全長三・五メートル、総重量二〇〇キロに及ぶ鋼鉄の塊であり、本来は片手で扱われるとされた剣を理論的に再現した結果、この巨大な姿になったと説明された。そして、その武器は相手に託された。
託された盾の存在
元占星施術旅団の人物は、武器を求めている時点で相手が急いで戦いの準備を進めていることを察していた。しかし戦いを止めることはせず、出発前にもう一つ渡すべき物があると語った。
それはイギリスに住む職人から預かっていた品であった。かつて図面を破棄するよう依頼されていたにもかかわらず、その職人は密かに完成させていたのである。
そして差し出されたのは、かつて依頼されて作られた盾であった。その盾にはエスカッシャンの紋章が刻まれていた。
第三章 イギリス迷路の魔術結社 N.L..
エジンバラ空港での空腹騒動
エジンバラ空港へ到着した上条当麻とインデックスは、ロンドン行きの国内線へ乗り換える必要があった。上条が時差の調整をしながら空港内を見回していると、空腹に耐えかねたインデックスが食事を求めて騒ぎ始めた。
二人は空港内の軽食コーナーを探し始め、案内板や匂いを頼りに喫茶店を発見した。ようやく食事にありつけると期待した上条とインデックスは、店へ向かおうとした。
神裂火織との再会
喫茶店へ向かう途中、上条は背後から声を掛けられた。振り返ると、七天七刀を携えた神裂火織が立っていた。
神裂は英国王室の要請により、上条とインデックスをロンドンのバッキンガム宮殿へ案内するため迎えに来たと説明した。上条は神裂をからかいながら応じ、二人は騒がしく言い争った。
その最中もインデックスは空腹を訴え続けていたが、神裂はテロ事件の影響で航空便が欠航しており、すでに予定を大幅に超過しているため、一刻も早くロンドンへ向かう必要があると告げた。
英国王女ヴィリアンの思い
一方、英国第三王女ヴィリアンは私室でエジンバラ空港の責任者と連絡を取り、旅客機で運ばれた流動食を必要とする人々へ迅速に届けるよう依頼していた。
電話を終えたヴィリアンは、イギリスの複雑な統治体制と自らの立場について思いを巡らせた。王室派に属する彼女は人望こそあるものの、国を動かすほどの権限や切り札を持たず、公務や政略結婚の駒としての役割を担わされている現実に複雑な思いを抱いていた。
やがて使用人から、騎士派と清教派の代表者、そして学園都市から訪れた客人たちが到着したとの報告を受け、ヴィリアンは謁見の準備へ向かった。
欠番となった騎士の紋章
バッキンガム宮殿の廊下を歩くヴィリアンは、歴代騎士たちの紋章が並ぶ中で、一か所だけ空白になっている場所へ目を向けた。
そこは本来なら英国のために戦った一人の男の紋章が飾られるはずの場所であった。その男は騎士となることなく傭兵のまま国を去ったが、騎士派の長が敬意を示し、その場所は今も欠番のまま残されていた。
ヴィリアンはその空白を見つめながら、静かにウィリアムの名を口にした。
バッキンガム宮殿への到着
上条たちはヘリコプターでロンドンへ移動し、バッキンガム宮殿の敷地へ到着した。しかしインデックスの空腹は限界に達しており、上条に噛みつくほどの勢いで食事を要求していた。
神裂は予定の遅れを詫びつつ上条たちを宮殿へ案内した。上条は幻想殺しによって宮殿の魔術的設備を壊してしまわないか心配したが、神裂は外交上の理由からバッキンガム宮殿にはその種の魔術的防衛機構が存在しないと説明した。
騎士団長との対面
宮殿内部へ入った上条たちは、騎士団長と対面した。騎士団長はインデックスを管理している上条に興味を示し、その姿を観察した。
一方で空腹に苦しむ上条とインデックスを見た騎士団長は、メイドが運んでいたスコーンを二人へ与えた。上条とインデックスは夢中になってスコーンを食べ始め、その様子に騎士団長は呆れた。
騒ぎを収めるため、神裂は上条を殴り、インデックスを羽交い締めにして強引に連行した。こうしてスコーンを巡る騒動はひとまず終息したのであった。
バッキンガム宮殿での説明
バッキンガム宮殿の廊下を歩きながら、上条当麻は自分たちが呼ばれた理由を尋ねた。神裂火織は土御門元春から説明を受けていなかったことに驚き、騎士団長はこれから王室派・騎士派・清教派の代表者が集まる作戦会議が行われると説明した。
さらに騎士団長は、イギリスとフランスを結ぶユーロトンネルが何者かによって爆破され、その事件に魔術が関与している可能性があるため、国家規模の問題として対処していると語った。
女王との謁見前の騒動
騎士団長が会議室の扉を開こうとした際、中から女王エリザードの砕けた言動が聞こえてきた。騎士団長は慌てて室内へ入り、女王に公務に相応しい振る舞いを求めた。
しばらくして騎士団長は問題が解決したと告げ、上条たちは会議室へ案内された。
女王エリザードとの対面
会議室の中央には、英国女王エリザードが立っていた。上条は彼女の威厳に圧倒される一方で、抜き身のまま持たれている剣に目を留めた。
その剣はカーテナと呼ばれる王族専用の儀礼剣であり、王を選ぶ者の証であると説明された。刃も切っ先も存在しない特殊な剣であったが、英国王室にとって重要な象徴であった。
カーテナと英国の仕組み
神裂はカーテナの所有者が擬似的に天使長と同質の力を得ることを説明した。エリザードと騎士団長は、イギリスが四文化と三派閥によって成り立っていること、そしてカーテナがその体制を支える重要な役割を担っていることを語った。
ヘンリー八世は外部勢力からの干渉を排除するため、国王を天使長、騎士団を天使軍に対応させる独自の仕組みを構築した。その結果、カーテナを持つ英国女王は国内に限り天使長に匹敵する力を得るようになったのである。
また、神裂は清教派にはその恩恵が及ばず、カーテナは王室派と騎士派に莫大な力を与えるものであると補足した。
第一王女リメエアの登場
カーテナの説明が続く中、第一王女リメエアが会議室へ姿を現した。彼女は豪奢な装いながらも冷静な雰囲気をまとい、現在では製法すら失われたカーテナ=セカンドの価値について指摘した。
騎士団長は彼女が護衛も伴わず単独で現れたことに驚いたが、リメエアは他人を信用していないと語った。
第二王女キャーリサと第三王女ヴィリアン
続いて第二王女キャーリサが騎士を従えて現れた。彼女は人間不信のリメエアを辛辣に評し、さらに部屋の隅にいた第三王女ヴィリアンにも冷淡な言葉を投げかけた。
ヴィリアンは目立たないよう振る舞いながらもその言葉を受け入れ、静かに距離を取った。
少人数による作戦会議の決定
出席者が揃うと、エリザードは大規模な会議を避け、自分たちだけで話を進める方針を示した。大人数の会議では責任を負わない者たちの意見によって時間が浪費されるため、少人数で迅速に決定する方が有効だと考えていたのである。
騎士団長や神裂もその方針を受け入れ、王室派・騎士派・清教派の代表による会議が始まることになった。
上条の参加資格
第二王女キャーリサは上条当麻が会議に参加する資格を問い質した。するとエリザードは、上条が旅客機を乗っ取ろうとしたフランス系テロリストの排除に尽力し、イギリスの国益と国民の命を救った功労者であると説明した。
その功績を認めたキャーリサも異論を挟まず、こうして上条を交えた作戦会議が正式に開始されることとなった。
王族たちとの記念撮影騒動
女王や王女たち、騎士団長らと共に応接用の簡素なスペースへ移動した上条当麻は、自分だけが場違いな存在であるように感じていた。時間を確認しようと携帯電話を取り出した際、第二王女キャーリサが突然隣まで近づき、撮影するなら自分も写ると当然のようにポーズを取った。
さらに第一王女リメエアもフレームに収まろうと上条へ接近し、第三王女ヴィリアンも静かに撮影に加わった。そこへ女王エリザードが、自分を差し置いて撮影するとは何事かと抗議したが、騎士団長に阻止される間に上条は写真を撮影した。王女たちは満足して席へ戻り、エリザードだけが取り残される結果となった。
ユーロトンネル爆破事件の説明
騒動が落ち着くと、エリザードは本題としてフランス問題について語り始めた。五日前、イギリスとフランスを結ぶ唯一の陸路であるユーロトンネルが三本まとめて爆破されたことを説明し、自身はフランス政府による破壊工作だと判断していると述べた。
しかし証拠はまだ存在せず、その調査のために禁書目録であるインデックスを召集したと明かした。魔術が使われていれば、インデックスが正しく解析できると考えていたのである。
フランスとの対立とハイジャック事件
エリザードは、証拠が揃えば対応を取る方針であることを説明した。穏健派との対話による解決の可能性にも触れたが、実現性は高くないと認めた。
上条が旅客機のハイジャック事件との関連を尋ねると、エリザードは政府の関与は考えにくいと答えた。一方で、フランス政府が犯人の引き渡しを求めていることには不審な点があると指摘した。また、ハイジャック事件の影響で航空輸送にも大きな損失が生じていると説明した。
ローマ・ロシア勢力の脅威
リメエアは、今回の問題は単なるイギリスとフランスの対立ではなく、その背後にいるローマ正教とロシア成教の勢力との対立として捉えるべきだと述べた。
騎士団長もこれに同意し、ヨーロッパの多くの国々がローマ・ロシア勢力の影響下にあり、イギリスが孤立しつつある現状を説明した。フランスを退けても別の国が代わりに動く可能性が高いと分析した。
旅客機事件で発覚した新たな存在
エリザードはさらに、旅客機事件の最中に気になる事実が判明したと語った。本来は清教派の幻術によって旅客機を計画通り不時着させる予定だったが、何者かが遠距離から幻術を妨害したため作戦が失敗したのである。
資料を見たインデックスは、それが北欧系のセイズ魔術を応用した術式であると即座に看破した。これにより、事件の背後に魔術師が関与していることが判明した。
国内に潜む新たな脅威
リメエアとキャーリサは、妨害を行った魔術師の正体について議論した。エリザードは、その魔術師がテロリストの成功を望んでいたわけではないと推測した。もし本気で協力していたなら、旅客機を撃墜するなど最後まで介入したはずだからである。
むしろ魔術師の目的は、不時着のために封鎖される予定だった幹線道路を通常通り利用できるようにすることだった可能性が高いと説明した。そのため魔術師はスコットランドからイングランドへ向かう途中であり、国を敵に回してでも優先したい目的を持っていると考えられた。
ヴィリアンの提案と姉たちの反応
第三王女ヴィリアンは、フランスやテロリストたちにも何らかの主張があり、それに耳を傾けて武力以外の方法で解決できないかと提案した。
しかしキャーリサは、会話だけでは問題は解決しないと否定し、リメエアも速やかな決着を優先する考えを示した。ヴィリアンは反論したそうにしていたが、それ以上は口を開かなかった。
二つの課題と役割分担
エリザードは現在の課題を二つに整理した。一つはユーロトンネル爆破の真相を調べ、外敵であるフランスへ対応すること。もう一つは国内に潜む魔術師の所属と目的を突き止め、必要であれば排除することであった。
キャーリサはフランス問題を優先すべきだと主張したが、エリザードはこれから起こる事件を防ぐ方が重要だとして、国内の魔術師への対応を優先すると決定した。
その上で、対フランスの調査は騎士派、国内魔術勢力の調査は清教派に任せることを命じた。さらにインデックスは通常の捜索とは別行動で調査に当たることとなり、各組織への指示が正式に下された。
スコットランドの魔術勢力調査
神裂火織はアニェーゼ=サンクティスと連絡を取り、スコットランドの魔術勢力について報告を受けていた。アニェーゼによれば、現地では魔術に興味を持つ者たちによる小規模な集団である「結社予備軍」が主流であり、その多くは占いや瞑想程度の活動しか行わず自然消滅していた。
しかし今回の件では、その中に極めて洗練された集団が存在していた。アニェーゼたちは人海戦術とイギリス清教の権限を用いて調査を進め、その組織が「新たなる光」という四人組であることを突き止めたのであった。
ロンドンを狙う『新たなる光』
アニェーゼは「新たなる光」の本拠地を調査したものの、踏み込んだ時にはすでに手遅れだったと報告した。しかし現場には北欧系の霊装を製作できる設備や、ロンドン市内の防犯カメラ配置まで記された詳細な地図が残されていた。
その情報から、神裂は相手がロンドンで何らかの行動を起こすつもりであると判断した。検問による阻止も検討されたが、北欧系の霊装による隠密行動の可能性があり、完全な封鎖は現実的ではなかったため、市外での迎撃を目指しつつ、市内での交戦も視野に入れることとなった。
発掘された霊装の存在
神裂がロンドンでの具体的な目的を尋ねると、アニェーゼは「新たなる光」が以前からスコットランド各地の城塞跡で発掘作業を行っていた痕跡があると報告した。
購入機材の内容から、彼女たちが現代では再現困難な霊装を発掘した可能性が高いと推測された。さらに残されていたメモには、今日、イギリスを変えるという言葉が記されており、神裂は平和的な目的ではないと判断した。
そのため神裂はアニェーゼに対し、発掘した霊装の正体とロンドンでの目的を引き続き調査するよう指示した。
各自の任務の決定
通信終了後、神裂は自身が天草式と共にロンドン市内の警戒に当たることを上条当麻とインデックスへ伝えた。一方、インデックスはユーロトンネル爆破現場の調査のため、フォークストーンへ向かうことになっていた。
しかし第二王女キャーリサは、幻想殺しを持つ上条が現場に近づけば魔術的に保存された証拠へ影響を及ぼす可能性があるとして同行を認めなかった。その代わり、三王女とインデックスが騎士派の護衛を伴ってフォークストーンへ向かうことが決定した。
上条への新たな役割
インデックスは上条に危険な現場へ行かず待機するよう勧めたが、人手不足の現状もあり意見は分かれた。そこへ現れた女王エリザードは、民間人である上条に無理な協力は求めないと告げた。
しかし滞在費は自己負担になると説明されると、上条は態度を一変させ、イギリスの平和のために協力すると即座に表明したのであった。
ロンドンへ向かう『新たなる光』
一方その頃、小型車には「新たなる光」の四人の少女たちが乗り込み、ロンドンへ向かっていた。彼女たちは発掘した霊装の調整を進めながら移動しており、「翼」「尻尾」「爪」「ハサミ」と呼ばれる装備の準備状況を確認し合っていた。
やがてロンドンまで三十キロの標識が見えると、フロリスはこれから英国という枠組みそのものを壊すのだと仲間たちへ告げた。
オリアナとの追跡調査
その頃、上条は赤いオープンカーの助手席に乗り、魔術師オリアナ=トムソンと共にロンドン市内を移動していた。オリアナは現在イギリス側へ協力しており、運び屋としての経験を活かして調査に参加していた。
彼女は検問が無意味に終わったことを説明し、ロンドン北部の防犯カメラ映像を上条へ見せた。
防犯カメラの死角を利用した侵入
映像には特別な異常は見えなかったが、オリアナは問題の車両が数十万台の防犯カメラの死角だけを利用して移動していた事実を指摘した。
そのような行動は偶然では不可能であり、相手が事前にカメラ配置を把握していた可能性が高かった。オリアナは、それが「新たなる光」であるかどうかは断定できないものの、痕跡を追えばいずれ追いつけるとして、調査を続行したのであった。
新たなる光の配置と作戦開始
「新たなる光」の四人は、それぞれロンドン市内の異なる場所に配置されていた。ベイロープは地下鉄駅付近で鞄を傍らに待機し、ランシスは鞄の上に腰掛けながら仲間と連絡を取っていた。フロリスは路地を歩きながら、結界による人払いは避けつつ、速やかに作戦を終わらせようと語った。
彼女たちは勝利すれば現政権を崩壊させられると考えており、ロンドンを舞台に行動を開始していた。
酒場で食事をするレッサー
レッサーはロンドン北部の酒場で魚のフライを食べながら待機していた。通信霊装を通じてベイロープと会話し、食事の匂いを送りつけてからかうなど、緊張感のないやり取りを続けていた。
通信が切れた後、レッサーは食事を終えたら鞄を指定場所へ運ぶだけだと考え、イギリスが変わることへの期待を抱いていた。
鞄の取り違え騒動
その最中、レッサーは自分の足元にあるはずの四角い鞄とよく似た鞄が隣に存在することに気付いた。隣席の黒人男性も同じような鞄を持っており、どちらが自分の物なのか判別できなくなったのである。
霊装を使って確認することもできたが、魔術を使えば発見される危険があったため、それもできなかった。男性が帰ろうとした瞬間、レッサーは慌てて手を掴み、自分の鞄と相手の鞄を区別して事なきを得た。
しかし安心した直後、さらに別の四角い鞄を発見したことで再び混乱し、ついには店中の人間へ向かって全員動くなと叫んでしまった。その騒動を知ったベイロープは頭を抱えることとなった。
レッサーの失態を察知する追跡者たち
一方、防犯カメラの死角に停められていた車を追っていた上条当麻とオリアナ=トムソンは、新たな連絡を受けた。ロンドン市警から、近くの酒場で騒ぎを起こした人物がいるとの報告が届いたのである。
オリアナは直ちに車の進路を変更し、問題の現場へ向かった。
レッサーとの遭遇
現場付近で上条は、三つの鞄を抱えながら走るレッサーを発見した。彼女は不要な二つの鞄を投げ捨て、本来の鞄だけを持って逃走していた。
さらにレッサーは特殊な四本刃の槍を携行しており、その異様な装備からオリアナは彼女が「新たなる光」の一員であると判断した。
オリアナの奇襲とレッサーの反撃
オリアナは人払いの魔術を発動したうえで、「Fire Symbol」の術式を用いて爆炎を発生させた。しかしレッサーは爆発を察知して回避し、一瞬でオープンカーの側まで接近した。
彼女は槍で助手席のドアを貫通し、その先にいた上条を攻撃しようとした。上条は間一髪で車外へ飛び出して回避したが、レッサーはさらにドアを引き剥がし、燃料タンクを破壊して車を爆発させた。
そして槍の四本刃で爆炎を掴み取り、巨大な炎の塊として操りながら上条へ攻撃を仕掛けた。
オリアナによる救援
上条へ炎の槍が振り下ろされる直前、オリアナの魔術がレッサーを横から吹き飛ばした。レッサーは持っていた四角い鞄を盾代わりにして攻撃を防いだが、その結果、自分たちにとって最重要の鞄を防御に使ってしまったことに気付いて動揺した。
その様子から、上条とオリアナは四角い鞄こそが重要な対象であると見抜いた。
レッサーの撤退と追跡開始
上条とオリアナが鞄を狙う方針を口にすると、レッサーは危険を察知した。彼女はベイロープに叱責されることを恐れ、戦略的撤退を宣言した。
尻尾型の霊装を利用して高く跳躍し、ビルの窓を突き破って建物内へ逃走した。上条は追跡が困難だと感じたが、オリアナは建物伝いの移動にも限界があり、大通りが障害になると説明した。
さらに尻尾の霊装は高所移動を補助するためのものであり、レッサー自身も万能ではないと分析した。二人はその説明を聞き、逃走したレッサーを追って夜のロンドンを駆け出したのであった。
地下鉄駅での包囲
ベイロープは地下鉄駅の出入口付近で、レッサーが起こした騒動に頭を抱えながら待機していた。ランシスからの連絡を待ちつつ、最低でも一つの鞄を起動させる必要があると考えていた。
そんな中、周囲にいた日本人たちがいつの間にかベイロープを取り囲み、その中から五和が現れた。五和はイギリス清教「必要悪の教会」の者であると名乗り、ベイロープに同行を求めた。
ベイロープの逃走開始
ベイロープは捕まるつもりはないと宣言し、特殊な補聴器型の霊装を装着したうえで四角い鞄を持ち上げた。
同時に五和が槍で攻撃を仕掛けたが、ベイロープは肩に担いでいた包みから四本刃の武器を出現させて迎撃した。周囲の天草式の仲間たちも武器を抜いたが、ベイロープは彼らを攻撃せず、地下鉄入口を囲むコンクリート壁を破壊して逃走経路を確保した。
瓦礫とともに地下鉄駅へ飛び込み、地下へ逃走した。
五和による民間人の退避
五和は即座に追跡を開始し、地下鉄構内へ飛び込んだ。途中で拳銃の空砲を連続して発射し、駅利用者たちに危険を察知させて避難を促した。
その結果、地下鉄駅から一般人が退避し、民間人を巻き込む危険を排除したうえで戦闘に集中できる状況を整えた。
地下ホームでの再戦
ホームへ到達した五和は、線路へ降りようとしていたベイロープと対峙した。
ベイロープは四本刃の武器で巨大な看板を投げつけたが、五和は七本のワイヤーによる斬撃で粉砕した。五和は武器の性質を分析し、その霊装が北欧神話の雷神トールに関係するものだと推測した。
するとベイロープは、自らの武器がトールの逸話をもとに作られた霊装「鋼の手袋」であり、ミョルニルではなく女巨人から借りた武器や装備を再現したものであると説明した。
鋼の手袋の能力
ベイロープは鋼の手袋の力について語りながら、床を削って大量の破片を飛ばし、五和へ攻撃を仕掛けた。
さらに鋼の手袋は物体を掴むだけでなく、空気中の粉塵までも掌握できた。ベイロープは圧縮した粉塵を一気に膨張させることで爆発のような衝撃を発生させ、五和を吹き飛ばした。
続けざまに空中から襲い掛かり、粉塵を利用した攻撃を連発した結果、五和の槍は破壊され、五和自身も大きなダメージを受けた。
ベイロープの勝利宣言
戦闘不能となった五和を前に、ベイロープは勝負が決したと告げた。
彼女は鋼の手袋に加え、「知の角杯」と呼ばれる霊装によって知力と雷の力を補えることを明かし、イギリスの歴史そのものを変える計画について語った。
そして四角い鞄を守りながら、鋼の手袋にまたがって線路上を高速移動し、トンネルの奥へと姿を消した。
試験迷宮への誘導
ベイロープは高速で移動していたが、途中で線路が不自然に曲がっていることに気付いた。
その直後、トンネル内のスピーカーから五和の声が流れた。五和は「必要悪の教会」が新人の実力を試すために用意した魔術的訓練施設がロンドン各地に存在すると説明した。
ベイロープが進んでいた線路は、その危険な試験迷宮へと接続されていたのである。五和は死者が続出して現在は立入禁止となっている迷宮であることを告げ、ベイロープをその内部へ閉じ込めた。
回収された鞄の解析開始
その後、五和は遺失物保管庫で回収された四角い鞄を調べていた。
そこへシェリー=クロムウェルが現れ、鞄の解析を開始した。シェリーは鞄が複雑に組まれた木材で構成されており、本来は別の形状の物体を折り畳んで鞄に変形させたものだと見抜いた。
鞄の正体判明
解析中、壊れかけていた鍵が外れたことで鞄が突然膨張した。
鞄は巨大な木製の船へと変形し、保管庫の棚を次々となぎ倒した。シェリーはその姿から、北欧神話に登場する折り畳み可能な船スキーズブラズニルを模した霊装だと推測した。
五和は、この船自体が目的ではなく、運搬されるべき別の重要物品こそが計画の核心ではないかと考えた。
新たな手掛かりと戦況報告
シェリーは引き続き船の解析を進める一方、五和には残る敵を追うよう促した。
五和はアニェーゼへ連絡し、スキーズブラズニルという情報を共有した。アニェーゼも今後はその線で調査を進めると答えた。
その直後、五和の目の前に少女が吹き飛ばされてきた。翼状の霊装を破壊されたその少女は完全に気絶しており、神裂火織が長刀の鞘で打ち倒した結果だった。
五和は新たな四角い鞄を回収し、これで敵は残り二人になったと報告した。神裂は鞄の中に本命が入っている保証はないため、全員を止めるまでは安心できないと判断し、引き続き追跡を続けることとなった。
英国王女たちの移動とユーロトンネル調査
英国王室専用の長距離護送馬車「移動鉄壁」に乗り、キャーリサ、ヴィリアン、インデックスはフォークストーンへ向かっていた。馬車は数多くの霊装や魔法陣によって守られ、護衛の馬車や騎兵を伴いながら高速で移動していた。
移動中、キャーリサとヴィリアンは女王について語り合った後、ユーロトンネル爆破事件へ話題を移した。キャーリサは、ユーロトンネル爆破や旅客機テロ未遂が英国国民を大きく動揺させたと分析し、その背後にフランスやローマ正教が存在する可能性を踏まえつつも、将来的にはフランスを抑える必要があると考えていた。
一方のヴィリアンは軍事以外の解決策を模索するべきではないかと提案した。キャーリサはそれを否定せず、ヴィリアンなら別の道を見つけられるかもしれないと認めたうえで、その判断材料を得るためにもユーロトンネル爆破の真相解明が重要だと語った。
レッサーの追跡
上条当麻はロンドン市内を走りながら、『新たなる光』のレッサーを追跡していた。
レッサーは建物の窓から窓へ飛び移りながら移動しており、そのたびに防犯ベルが鳴り響いていた。上条が追跡を続ける中、小さなカボチャ型の霊装が現れ、日本語で話しかけてきた。
レッサーの思想
カボチャを通して話していたレッサーは、自分たちはイギリスに住む魔術師の代表として行動しており、イギリスをより良い方向へ導くために今回の計画を実行しているのだと語った。
さらに、戦争によって敗北へ向かうイギリスを方向転換させることが目的だと明かし、イギリス人ではない上条にはこの問題の切迫感を理解できないと告げた。
上条はスコットランドで発掘された霊装をロンドンへ持ち込んでいることを非難したが、レッサーはそれを否定せず、自分たちの計画を理解しなくてよいと返した後、カボチャの霊装を消滅させた。
大通りでの追い詰め
追跡を続けた上条は、大通りに面した建物の三階で立ち往生しているレッサーを発見した。
レッサーは高所から飛び降りることを苦手としており、広い道路を一気に飛び越えることもできなかった。そこへ追いついたオリアナが背後からドロップキックを放ち、レッサーを窓ごと外へ吹き飛ばした。
オリアナは上条に地上で受け止める役を任せていたが、上条は落下してくる大量のガラス片を見て恐怖する。レッサーも必死に回避しようとし、鋼の手袋を使って建物の壁を叩き、その反動で水平に飛び出した。
そのままハロウィン用の装飾へ突っ込んで衝撃を和らげることに成功し、再び逃走を開始した。上条はオリアナに叱責されながらも、改めて追跡を続けた。
アニェーゼによる拠点捜索
一方、アニェーゼはスコットランドのエジンバラにあるヨットハーバーで、『新たなる光』の隠れ家を捜索していた。
老朽化したクルーザーを利用した拠点には、過去に発見したものと共通する防犯設備が残されており、『新たなる光』が本格的な魔術結社であることを裏付けていた。
しかし、拠点内の情報は遠隔操作で消去されており、計画の詳細は容易に判明しなかった。
スキーズブラズニルの解析結果
アガターは拠点内からスキーズブラズニルの試作品を発見し、その機能を解析していた。
解析の結果、スキーズブラズニルは複数の同型霊装同士で物品を転送できる能力を持つことが判明した。半径十キロ圏内であれば、『鞄A』に入れた物を『鞄B』『鞄C』『鞄D』へ自由に移動させることができるという。
アニェーゼは、四人の『新たなる光』が重要物品を互いに受け渡しながらロンドンへ運び込もうとしていたのだと理解した。そして、その中身こそが危険な計画の核心だと考えた。
衝撃の発見
アニェーゼたちは、スコットランドで発掘された物品こそが問題の重要物品だと推測していた。
その時、別の調査を行っていたカテリナが緊急の報告を持って現れた。彼女から投げ渡された羊皮紙の内容を見たアニェーゼは大きな衝撃を受け、思わず嘘でしょうと漏らした。
調査は重大な局面を迎えていた。
王女暗殺計画の判明
上条当麻はレッサーを追跡しながらアニェーゼから連絡を受けた。アニェーゼは、『新たなる光』の最終目標がユーロトンネル調査のためフォークストーンへ向かった英国王女たちであると伝えた。
さらに、英国王室には王族の死を発動条件とする大規模術式の噂があり、それが発動すればヨーロッパ全域を破壊しかねない規模になると説明した。王族が通常の死を迎えた場合は終油の秘蹟によって回避されるが、暗殺や戦死のような突発的な死では発動する可能性があるという。
上条は王女たちの身を案じたが、アニェーゼは馬車に取り付けられた発信機によって襲撃の機会が狙われている可能性を指摘した。そして、『新たなる光』の残る二人を拘束しなければ事態は止められないと警告した。
レッサーの追い詰め
通話を終えた上条はレッサーの後を追い続けた。レッサーは非常階段を駆け上がったが、追跡を阻止するため『鋼の手袋』で階段の接続部を破壊した。
しかし上条は崩壊する階段を利用して一気に跳躍し、レッサーへ迫った。レッサーは『鋼の手袋』で迎撃しようとしたが、上条の右手が武器に直撃し、四本の刃は粉砕された。
武器を失ったレッサーは建物内へ逃げ込んだが、上条とオリアナに挟まれて逃げ場を失った。
ランシスの正体と中継作戦
追い詰められたレッサーは、ランシスがロンドンにはおらず、北へ三十キロ離れた場所で待機していると明かした。
さらに、自分たち三人は中継役であり、王室専用馬車の位置に合わせて行動することで計画を成立させていたと説明した。誰を経由しても作戦が成功する仕組みだったのである。
オリアナは中継役という言葉に反応し、スキーズブラズニルが量産されている意味に気づいた。その直後、レッサーは五つ目の『大船の鞄』の存在を明かした。
五つ目の鞄への転送
レッサーは四角い鞄を掲げた。すると青い光線のようなものが鞄へ突き刺さり、そこから別の地点へ向けて放たれた。
上条は誰に『中身』を転送したのか問い詰めたが、レッサーは目的は達成したと告げ、自らの敗北を認めながらも詳細を語ろうとしなかった。
口封じの狙撃
レッサーが口封じの好機だと口にした直後、窓の外から飛来した攻撃が彼女を直撃した。
肩口を貫かれたレッサーは大量出血し、その場に倒れ込んだ。上条は慌てて応急処置を施し、オリアナに救急車や治療手段の有無を尋ねた。
その時、オリアナは机に突き刺さった飛翔体を見て驚いた。それは『騎士派』が使用する遠距離狙撃用霊装『ロビンフッド』だった。
オリアナは、この霊装が第二王女キャーリサ直属部隊の開発品であり、『新たなる光』の口封じに騎士派が関与している可能性に気づいて愕然とした。
カーテナ=オリジナルの正体
重傷を負ったレッサーは、それでも笑みを浮かべながら真相を語った。
『新たなる光』が輸送していたのは、かつて失われた戴冠用の儀礼剣カーテナ=オリジナルだった。これは王家の者しか扱えない剣であり、現女王が保有するカーテナ=セカンドを遥かに上回る、英国最大級の霊装であった。
レッサーは、それこそがイギリスを変えるに相応しい剣だと告げた。
フォークストーンでの受け渡し
一方、フォークストーンのユーロトンネルターミナルでは、王室専用馬車と騎士団が待機していた。
騎士団長は手元の四角い鞄の重量変化を確認すると、第二王女キャーリサへ『届きました』と報告した。
騎士団長は、清教派が『新たなる光』の目的を王女暗殺と大規模術式の発動だと誤認していたことを伝えた。キャーリサは、そのような伝説は存在しないと笑い飛ばした。
そしてカーテナ=オリジナルを手に入れたことを確認したキャーリサは、イギリス全土に潜む騎士派へ命令を下した。
キャーリサの宣戦布告
キャーリサは、カーテナ=オリジナルは自分の手中にあり、これより英国の国家元首は自分が務めると宣言した。
さらに、平和主義の前女王によって腐敗したイギリスを変えるため、自らの意志で立ち上がる者たちへ侵攻開始を命じた。
新たな英国を築くために必要な破壊と地均しを行えという命令が、全国の騎士派へ向けて発せられたのであった。
第四章 その剣は戦と災厄を招く Sword_of_Mercy.
英国全土への侵攻開始
午前零時を迎えると同時に、第二王女キャーリサ率いる『騎士派』による一斉行動が始まった。
北部アイルランドでは病院や警察署などの主要施設が封鎖され、スコットランドでは造幣局やホリールード宮殿が占拠された。ウェールズでも各地の城塞や地方議会、裁判所が次々と制圧され、イングランドでは宗教施設や政治拠点へ『騎士派』が進軍した。
こうして英国全土で『騎士派』による反乱が広がっていった。
追われる修道女たち
ウェールズの城塞では、『清教派』から派遣されていた修道女たちが突然窮地へ追い込まれた。
修道女の一人は他の仲間との合流を目指して逃走したが、『騎士派』の追っ手に発見された。方位磁石を利用する術式で応戦しようとしたものの、磁力そのものが妨害されていたため術式は発動せず、追撃を受けることとなった。
魔女部隊の迎撃準備
アイレイ島近海の移動要塞『カヴン=コンパス』では、多数の魔女たちが迎撃態勢を整えていた。
スマートヴェリーは他の魔女たちと共に海面すれすれを高速移動しながら、『騎士派』の追撃を引きつけて要塞を国外へ退避させる作戦を検討していた。
魔女たちは十字教圏に存在する撃墜術式を避けるため、空高く飛ばず低空飛行を維持していた。
海上での魔女と騎士の激突
魔女たちが海上を進む中、海面から大量の『騎士派』の騎士が出現した。
騎士たちは槍を構え、魔女たちも箒を武器として応戦した。百人規模の魔女と百人規模の騎士が互いに光線を放ち合い、大規模な戦闘が開始された。
アニェーゼ部隊の撤退
エジンバラでは、『新たなる光』の調査を続けていた元アニェーゼ部隊が七百人以上の『騎士派』に包囲されていた。
降伏勧告を受けたアニェーゼは応じるふりを見せながら、『蓮の杖』による閃光を発動した。その隙に二百五十人の修道女たちは一斉に姿を消し、包囲網から脱出した。
海中への潜伏
閃光で逃走したアニェーゼたちは、実際には海へ飛び込み身を隠していた。
『騎士派』が捜索のため去った後、アニェーゼ、ルチア、アンジェレネは海から這い上がった。アニェーゼはエジンバラがすでに陥落したと判断し、部隊の半数以上が捕らえられるだろうと見積もった。
しかし捕虜たちはキャーリサのいるイングランドへ移送されるはずだと考え、輸送中に救出する方針を示した。三人は仲間を救うため行動を開始する決意を固めた。
清教派の戦略的撤退
『騎士派』の反乱が全国へ拡大する中、『清教派』は正面からの全面戦争を選ばなかった。
英国国内では『騎士派』が天使の力を受けており、正面衝突すれば壊滅的な損害を受ける可能性が高かった。そのため『清教派』は重要物資のみを回収しながら各地で局地的な抵抗を行い、全体としては撤退して戦力温存を図った。
女王と最大主教の孤立
ロンドン郊外のウィンザー城では、女王エリザードと最大主教ローラ=スチュアートが孤立していた。
城内の騎士たちの大半が反乱側へ寝返っており、二人は魔術的な鍵で部屋を封鎖していたものの、時間稼ぎにしかならない状況だった。
ローラはキャーリサの行動を分析し、エリザードは娘の迅速な戦略を評価した。
カーテナの力の逆転
エリザードはカーテナ=セカンドの力が大幅に失われていることを明かした。
本来の力はカーテナ=オリジナルに属しており、セカンドはその代用品に過ぎなかった。失われたオリジナルが発掘されたことで、力は本来あるべき場所へ戻ったのである。
エリザードは剣同士をぶつけても勝ち目はないと認めた。
騎士派による女王拘束
やがて武装した騎士たちが部屋へ突入した。
騎士は『騎士派』がイングランド、スコットランド、ウェールズ、北部アイルランドの主要施設を掌握し、『王室派』と『清教派』の機能をほぼ封じたと報告した。そしてエリザードに降伏とカーテナ=セカンドの引き渡しを要求し、ローラにも監視下へ入るよう命じた。
エリザードはその言葉がキャーリサ本来の命令より穏当であることを指摘し、従わなければ即座に斬れと命じているはずだと語った。
騎士はカーテナ=セカンドの提出と拘束を改めて要求し、ローラに対してはその場で斬り捨てても構わないと告げた。
それでもローラは余裕を崩さず、エリザードへどうするのかと問いかけた。
ユーロトンネル爆破の調査
インデックスはフォークストーンにあるユーロトンネルの爆破跡地を調査していた。
海水によって遮断されたトンネルを分析した結果、ローマ正教系の『ロレートの家』の伝承を応用した術式が使われていると見抜いた。一部分だけを移動させる効果によってトンネルに亀裂を生じさせたものであり、さらにフランスで分析された術式理論が利用されていることも指摘した。
その報告を受けたキャーリサは、フランス勢力の関与が確認できたことに満足し、もし異なる結論を出していればインデックスを斬っていたと告げた。
カーテナ=オリジナルの受領
騎士団長は『大船の鞄』を開放し、その中からカーテナ=オリジナルを取り出した。
キャーリサは剣を受け取ると、英国全土の支配権確立が完了したことを前提に行動を開始した。インデックスの証言を利用してフランスへ最後通牒を送り、必要であれば軍事行動に移るよう騎士団長へ命じた。
独立国家構想の宣言
キャーリサはドーバー海峡へ駆逐艦を配備し、フランスへの攻撃準備を進めるよう命じた。
さらにEUとの関係見直しや、学園都市との協力関係の断絶も表明した。ローマ正教や学園都市のどちらが勝利してもイギリスは従属するだけだと考え、三つ巴の戦争へ持ち込むことでイギリスの独立を維持しようとしていた。
キャーリサは世界規模の戦争の勝者となり、イギリス中心の秩序を築くことで将来的な問題も解決できると主張した。
インデックスの拘束
騎士団長はインデックスの処遇について確認した。
キャーリサは、フランスへの最後通牒の正当性を証明するためにインデックスの完全記憶能力が必要だと判断し、生かして利用する方針を示した。その後、短期的な処置として眠らせるよう命じ、騎士団長は拳をインデックスのみぞおちへ叩き込み、彼女を気絶させた。
ロンドンの陥落
レッサーが狙撃された頃、ロンドンでは『騎士派』による支配が進行していた。
街中では騎士と『清教派』の戦闘が続き、市民は警察によって現場から遠ざけられていた。オリアナは、隠蔽工作の限界を超えるほど大規模な事態となっており、『騎士派』によるクーデターがほぼ完遂したと判断した。
上条とオリアナの行動方針
上条は重傷を負ったレッサーを救うため、『必要悪の教会』との合流を目指した。
オリアナは大半の『清教派』が重要な書物や霊装を持って撤退していると説明し、ランベス区の女子寮に残っている後衛要員を頼るべきだと提案した。
さらに、レッサーを女子寮へ運んだ後はウォータールー駅からフォークストーンへ向かい、インデックス救出を目指すよう助言した。
橋を塞ぐ騎士派との対峙
女子寮へ向かう途中、橋の入り口を『騎士派』の騎士たちが封鎖していた。
長居はできないと判断したオリアナは、自ら騎士たちを排除すると宣言した。本来は逃走や攪乱を得意とする立場でありながら、上条とレッサーを先へ進ませるため危険を承知で立ち向かおうとしていた。
上条もインデックス救出とレッサーの治療を両立させなければならない状況を理解し、それでも前へ進む決意を固めた。
王族抹殺の方針
一方、ユーロトンネルから地上へ戻ったキャーリサは、王族の使用権を独占するため母エリザードと姉妹たちを殺害する必要があると語った。
第一王女リメエアは所在不明となっており、第三王女ヴィリアンも馬車で逃亡していたことが判明する。キャーリサはヴィリアンが人徳によって周囲の者に助けられたのだと分析した。
使用人たちへの処断と騎士団長の制止
ヴィリアンを逃がした使用人たちは騎士たちに包囲されていた。
キャーリサは事情聴取を行うつもりもなく、慈悲の剣と呼ばれるカーテナ=オリジナルを抜いて処刑しようとした。しかし騎士団長が使用人たちの前に立ちはだかり、自らごと斬るよう進言した。
キャーリサは騎士団長の打算を見抜きながらも、現状では彼を失うわけにはいかないと判断し、使用人たちの処刑を取りやめた。
ただし、エリザードや王女たちの処刑を妨害した場合は容赦なく斬ると警告した。
使用人たちの解放
キャーリサが去った後、騎士団長は使用人たちの包囲を解かせた。
使用人たちはヴィリアンの無事を願いながら礼を述べたが、騎士団長は強く退去を命じた。使用人たちが森へ消えた後、騎士団長はただ一人残り、自分を止めたければあの男を連れて来いと呟いた。
ゴーレム=エリスの乱入
上条当麻とオリアナ=トムソンが橋の手前で目にしたのは、コンクリートやアスファルトで構成された巨大なゴーレム、エリスだった。
それを操っていたのはシェリー=クロムウェルであり、彼女は怒りに任せて『騎士派』へ攻撃を仕掛けていた。エリスは騎士たちを次々となぎ倒し、トラックを破壊しながら猛攻を続けた。
上条は、かつてシェリーの親友エリスを『騎士派』が政治的理由で殺害したことを思い出し、再び同じような横暴を目の当たりにした彼女が激怒していることを理解した。
オリアナの判断と上条の決断
シェリーの暴走を見た上条は加勢を考えたが、オリアナはそれを制止した。
シェリーは敵を殺すことしか考えておらず、このままでは街まで破壊しかねない状況だった。オリアナは自らがシェリーと『騎士派』の双方へ介入し、上条にはレッサーを連れて女子寮へ向かうよう指示した。
レッサーを救う必要がある以上、上条はその提案を受け入れ、二人は役割を分担することになった。
橋の突破と鉄道網の破壊
エリスとオリアナの援護によって騎士たちの注意が逸れ、その隙に上条はレッサーを抱えて橋を渡った。
しかし戦闘の最中、エリスによって破壊された騎士の槍の中にあった霊装『ブリューナク』が暴走し、強烈な光線がランベス区各地へ放たれた。
市街地の大規模破壊こそ免れたものの、フォークストーンへ続くユーロスターの鉄道用陸橋が崩壊し、電線も切断されていた。インデックス救出のために利用するはずだった交通手段を失い、上条は焦りを募らせた。
ヴィリアン追跡の開始
一方、キャーリサたちは逃亡した第三王女ヴィリアンの追跡を開始した。
騎士団長は馬車に備わる探知機能を利用して痕跡を追跡し、ヴィリアンがドーバー経由でカンタベリーへ向かっていると突き止めた。
キャーリサはヴィリアンが『清教派』へ逃げ込もうとしていると判断し、ただちに追撃を決定した。
謎の航空機の出現
出発しようとした矢先、騎士団長は航空機の接近を察知した。
空港はすでに『騎士派』によって掌握されていたため、キャーリサたちは不審に思う。双眼鏡で確認した結果、それは地表すれすれを飛行する水上機だった。
騎士団長が撃墜を提案した直後、その機体は高速で接近し、側面から一人の人物を飛び降りさせた。
神裂火織の襲来
飛行機から飛び降りたのは神裂火織だった。
神裂は『騎士派』の包囲の中心へ着地し、クーデターの首謀者であるキャーリサの拘束を宣言した。キャーリサは騎士団長へ対応を任せ、自らはヴィリアン追跡のためその場を離れた。
神裂は騎士団長が以前から自分を勧誘していたことに触れながら対峙し、反乱を収拾するためキャーリサを捕らえる決意を固めた。
騎士団長の圧倒的な力
戦闘が始まると、騎士団長は神裂を圧倒した。
聖人である神裂ですら反応できない速度で移動し、蹴りや拳だけで彼女を吹き飛ばした。護衛用の馬車を粉砕するほどの威力を前に、神裂は一方的に追い詰められていった。
神裂は七閃によるワイヤー攻撃を仕掛けたが、騎士団長は素手で全てを掴み取り、引き千切った上で投げ返した。その一撃だけで神裂は大きなダメージを受けた。
唯閃の失敗と騎士派の優位
追い詰められた神裂は、咄嗟に七天七刀を抜き放ち、必殺の唯閃を放った。
しかし騎士団長は素手で刀身を受け止め、その攻撃すら無効化した。そして英国国内では王が天使長、騎士が天使として扱われる特殊なルールが成立しており、『騎士派』は圧倒的な力を得ているのだと説明した。
さらに『清教派』が正面から抵抗せず撤退を選んだのも、この力の差を理解していたためだと語った。
神裂の敗北
神裂はなおも立ち上がろうとしたが、騎士団長との実力差は埋まらなかった。
騎士団長は聖人である神裂を役不足と断じ、自分はまだ剣すら抜いていないと告げる。そして最後に神裂を蹴り飛ばして戦闘不能に追い込んだ。
気絶した神裂を見下ろしながら、騎士団長は聖人と言ってもこんなものかと冷たく言い放った。
第三王女ヴィリアンの逃走
第三王女ヴィリアンは護衛用の自動操縦馬車に乗り込み、カンタベリー大聖堂を目指していた。
王室専用馬車ではなかったものの、高度な魔術的機能を備えた馬車であり、ヴィリアンはそこへ逃げ込めば『清教派』の助力を得られるかもしれないと考えていた。また、自分を逃がしてくれた使用人たちだけでも助けたいと願っていた。
逃走の失敗とキャーリサの追撃
しかし道中で馬たちが突然暴走し、馬車は横転した。
目を覚ましたヴィリアンは、通信用霊装から聞こえてくるキャーリサの声を耳にする。キャーリサはヴィリアンに死を宣告し、降伏しても籠城しても結果は変わらないと告げた。
ヴィリアンは馬車から脱出する決断を下した直後、馬車そのものが防御用霊装ごと破壊された。間一髪で生き延びたヴィリアンの前には、軍馬に乗ったキャーリサが現れていた。
孤立を突き付けられるヴィリアン
キャーリサは、馬車の自動操縦が狂ったのは『騎士派』の工作ではなく、目的地であるカンタベリー側が座標情報を妨害したためだと説明した。
その上で、『王室派』も『騎士派』も自分の支配下にあり、『清教派』もヴィリアンを守るつもりはないと告げた。ヴィリアンは全ての味方を失った現実を突き付けられ、深く動揺した。
やがて騎士たちが集結し、ヴィリアンは完全に包囲された。
騎士団長への最後の期待
神裂火織を退けた騎士団長が到着すると、キャーリサは以前の約束通り第三王女の処刑を命じた。
ヴィリアンは騎士団長との長い関係を思い返し、彼ならば自分を救ってくれるのではないかと期待した。夜会での護衛や数々の支援を思い出し、処刑が演技である可能性にすがろうとした。
しかし騎士団長は処刑用の斧を用意させ、王族に相応しい形で首を落とすための準備を進めた。その様子を見たヴィリアンは、希望を完全に打ち砕かれた。
処刑直前の絶望
騎士団長は周囲を見回しながら何かを待つような素振りを見せたが、やがて処刑開始を宣言した。
ヴィリアンは恐怖のあまり叫び声を上げるしかなかった。キャーリサは、助けを求めても誰も応じないと告げ、ヴィリアンの孤独をさらに強調した。
涙を流すヴィリアンに対し、騎士団長は首を切り落とした後も美しい姿のまま民に見せると約束し、迷いなく処刑用の斧を振り下ろした。
ウィリアム=オルウェルの登場
その瞬間、凄まじい衝撃が周囲を襲った。
騎士たちは吹き飛ばされ、処刑用の斧は粉々に砕け散った。騎士たち、キャーリサ、騎士団長は現れた人物を見て同時に戻ったかと口にした。
その人物の名はウィリアム=オルウェルだった。
ヴィリアンの救出
ヴィリアンが気づくと、自分はウィリアムの腕に抱えられていた。
彼は三メートルを超える大剣アスカロンを軽々と携え、その根元には傭兵を示す紋章が取り付けられていた。
ウィリアムは王の国の姫君よ、ご無事ですかと簡潔に問いかけた。その言葉を受けて、ヴィリアンはようやく自分が救われたことを理解した。
『王室派』にも『騎士派』にも『清教派』にも見捨てられた状況の中で、ただ一人、傭兵であるウィリアムだけが駆けつけてくれたのである。
安堵の涙
ヴィリアンは込み上げる感情を抑えきれず、大粒の涙を流した。
それまでの恐怖や絶望による涙とは異なり、救われたことへの安堵から溢れた涙だった。
そしてヴィリアンは遅いんですよ、この傭兵崩れのごろつきがぁと叫びながら、その救援を受け入れた。
本文は、姫君が絶望の中で放浪の騎士に救われる聖ジョージの物語になぞらえながら締めくくられた。
終章 それぞれの思惑と胸の内 War_in_Britain.
女王エリザードとローラの脱出
クーデターによって捕虜となったエリザードとローラは、ロンドンへ護送される馬車の中で拘束されていた。
二人は互いの陣営から救援が現れない状況を嘆きながらも軽口を交わしていた。そんな中、ローラは拘束具の解除を宣言し、自らの長い金髪を使った術を発動した。
ローラの強引な拘束解除
ローラの髪は強烈な黄金色の光を放ち始め、やがて馬車そのものを内側から爆発させた。
馬車は大破し、護送していた騎士や御者も吹き飛ばされたが、ローラだけは平然と立っていた。拘束を解かれたローラに対し、エリザードは呆れながらも脱出手段としては成功だったと認めた。
エリザードの解放と再出発の準備
爆発の影響でエリザードを固定していた椅子と拘束具も破損し、彼女は自由の身となった。
エリザードは馬車の残骸の中からカーテナ=セカンドを回収し、その力に驚くローラをからかいながらも剣を収めた。そして、ロンドンへ向かうには新たな移動手段が必要だと判断した。
ローラは近づいてくる車のヘッドライトを指し示し、新たな足として利用しようと考えたが、エリザードはその様子から自分が置き去りにされかねないことを察して慌てていた。
上条当麻の女子寮到着
一方、上条当麻は負傷したレッサーを連れてイギリス清教の女子寮へ到着した。
女子寮には撤退を支援するための少数の戦闘要員だけが残っており、その中で上条はオルソラ=アクィナスと再会した。オルソラはレッサーの治療を引き受け、上条はその代わりに脱出支援へ協力することを約束した。
女子寮脱出作戦
上条は残留していた修道女から現状の説明を受けた。
『騎士派』は女子寮の周囲を包囲しつつあり、修道女たちは遠距離攻撃で敵を混乱させた後、各自が別方向へ逃走する作戦を立てていた。誰が追撃を受けるか分からない危険な方法だったが、それしか突破手段はなかった。
キャーリサの狙う独立国家構想
修道女は『騎士派』の目的について、キャーリサが海洋資源の利用によって孤立した国家を維持しようとしているらしいと語った。
食糧や資源の問題を軍事力で抑え込みながら、海底施設の開発によって不足分を補う構想が進められていると説明された。しかし修道女自身も、その計画が本当に成功するかについては疑問を抱いていた。
フォークストーンへの道筋
修道女は上条に、包囲網突破後はウォータールー駅へ向かうよう勧めた。
ユーロスター路線は戦闘で損傷していたが、『騎士派』はフォークストーンとの連絡維持のため、ディーゼル車両やクレーンを使って列車の運行を再開するはずだと予測していた。上条はその輸送手段へ潜り込むことで、インデックスの待つフォークストーンへ向かう可能性を見出した。
目的が明確になったことで、上条は修道女と共に脱出と戦闘の準備を始めた。
ウィリアム=オルウェルを見たキャーリサの判断
フォークストーンでは、ヴィリアンを救出したウィリアム=オルウェルを前にしても、キャーリサは冷静さを失わなかった。
彼女はウィリアムが本来得意とする水の力を使わず、アスカロンという霊装を使用していることに注目した。そして、学園都市との戦いで受けた傷により、本来の力を十分に使えなくなっているのではないかと分析した。
神裂火織を圧倒した騎士団長の実力も踏まえた上で、キャーリサは現在のウィリアムなら討ち取れると結論づけた。
そして彼女は、長年イギリスのために行動してきた傭兵を、今こそ自分たちの手で排除できると確信したのであった。
とある魔術の禁書目録 SS2 レビュー
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