- 物語の概要
- 書籍情報
- あらすじ・内容
- 感想
- 考察・解説
- 登場キャラクター]
- 展開まとめ
- 第一章 札束とバトルを求める者達 一月、第三金曜日
- 第二章 北欧神話圏の戦士と踊り子 二月、第一金曜日
- 第三章 父親の願いは接点と交流を二月、第四金曜日
- 第四章 七人の内の七番目の実力は 三月、第三金曜日
- 第五章 世界に足りないものは何か 四月、第一金曜日
- 第六章 美容院にて世間話と核心を四月、第四金曜日
- 第七章 ある黒幕の下準備と後始末 五月、第二金曜日
- 第八章 くノ一は突然出現するもの 五月、第四金曜日
- 第九章 電子に現世の関係性は不要 六月、第二金曜日
- 第一〇章 一夜の誘いは乗るか蹴るか七月、第一金曜日
- 第一一章 例外はどんな分野にでもある七月、第二金曜日
- 第一二章 狙撃手と爆弾魔による討論七月、第四金曜日
- 第一三章彼女達の集団的占いの精度 八月、第四金曜日
- 第一四章門番と侵入者は踊り踊られ九月、第三金曜日
- 第一五章 芸術は天才と変人を分ける 一〇月、第一金曜日
- 第一六章 母に見えないのには訳がある 一〇月、第一金曜日
- 第一七章 B級の映画と未研磨の原石 一〇月、第一金曜日
- 第一八章 その名を継ぐにふさわしき 一〇月、第一金曜日
- 第一九章 輝く原石と血みどろの利権 一〇月、第二金曜日
- 第二〇章 複数同時悲劇への対応とは 一〇月、第二金曜日
- 第二一章 正体など判断できない者達 一〇月、第二金曜日
- 第二二章 個人にその結末は掴めない 一〇月、第二金曜日
- 同シリーズ
- その他フィクション
物語の概要
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■ 作品概要
『とある魔術の禁書目録 SS2』は、科学と魔術が交錯する世界観を舞台にした、本編の裏側や合間の出来事を補完する短編集(SSシリーズ)の第二弾である。 物語は、学園都市の不良少年・浜面仕上の騒動や、イギリス清教の聖人・神裂火織の戦い、上条当麻の父・刀夜の海外出張など、魔術サイドと科学サイドの多様なキャラクターたちの視点で描かれる群像劇となっている。一見バラバラに見える彼らの日常や事件は、やがて人工的ではない天然の能力者「原石」を巡る世界規模の争奪戦という、一つの大きなうねりへと繋がっていく。
■ 主要キャラクター
- 削板軍覇(そぎいたぐんは):学園都市第七位の超能力者にして、最大の「原石」である少年。理屈よりも愛と根性を重んじる熱い性格で、学園都市へ侵入した強敵オッレルスと激突する。
- オッレルス:「魔神になるはずだった男」と呼ばれるほど強大な力を持つ魔術師。「原石」を研究材料にしようとする学園都市を牽制するため、削板軍覇を圧倒的な力でねじ伏せる。
- 雲川芹亜(くもかわせりあ):学園都市統括理事会のブレインを務める天才少女。世界中で同時多発的に進行する「原石」捕獲作戦を阻止するため、クローン兵器「妹達」を利用した大規模な保護作戦を立案・指揮する。
- 御坂旅掛(みさかたびがけ):「世界に足りないものを示す」ことを仕事とし、世界各地を巡る謎多き男。学園都市の統括理事長アレイスターとも因縁があり、妻子を守るために彼へ牽制を行う。
- 妹達(シスターズ):とある超能力者の体細胞を利用して作られた軍用量産クローン。雲川の作戦に従い、世界各地の研究機関へ同時突入して「原石」の保護任務を遂行する。
- 浜面仕上(はまづらしあげ):学園都市の武装無能力者集団「スキルアウト」の元メンバーであり、暗部組織「アイテム」の下働き。ATM強盗で黄泉川愛穂に追い回されたり、絹旗最愛のB級映画鑑賞に付き合わされたりと、小市民的な視点から物語を彩る。
- 神裂火織(かんざきかおり):イギリス清教に所属する聖人。ロンドンで露出度の高い「ヴァルキリー」と戦ったり、女子寮で大好物の鯛茶漬けを死守しようとしたりと、本編とは異なるコミカルな一面を見せる。
■物語の特徴
本作の最大の特徴は、独立したオムニバス形式の短編集でありながら、全編を通して「原石(天然の能力者)」という共通のキーワードが散りばめられ、最終的に一つの壮大な事件へと収束していく構成の妙にある。
本編では語られきれないサブキャラクターたちの日常や活躍を深く掘り下げるだけでなく、世界各地で進行する暗闘や、超能力開発のルーツに関わる「原石」の存在など、作品の根幹に関わる重要な設定が明かされる点が非常に魅力的である。また、科学サイドと魔術サイドの垣根を超えたキャラクター同士の予期せぬ交錯や、次なる本編の戦乱へと繋がる伏線が随所に張り巡らされており、物語の世界観の広がりを強く感じさせる一冊となっている。
書籍情報
とある魔術の禁書目録 SS(2)
(A Certain Magical Index)
著者:鎌池 和馬 氏
イラスト:はいむらきよたか 氏
出版社:株式会社KADOKAWA(電撃文庫)
発売日:2008年11月10日
ISBN:9784048673426
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あらすじ・内容
本編を補完するSSシリーズ第二弾!
ジーンズ切り裂き魔を追う神裂、ヘンテコ魔草売り少女と出会う上条刀夜(かみじょうとうや)、微妙な強さの超能力者(レベル5)・ナンバーセブン、殺人を決意した少女の前に立ちはだかる『御坂(みさか)』と名乗る男性、サボり美容師にキレる白井、『魔神』になれなかった優しい男、半蔵に恋する少女・郭(くるわ)ちゃん、初春に挑戦するハッカー少年、長身美女から慕われる砂皿緻密(すなざらちみつ)、血液型占いに夢中なミサカシスターズ、何かに目覚めたシェリー、絹旗と映画デート(!?)の浜面……もう一度見たかったあのキャラたち&新キャラが大活躍!
感想
科学と魔術が交差する世界を舞台に、様々な登場人物たちの日常と戦いを描く群像劇として非常に読み応えのある一冊であった。
多彩なキャラクターたちのエピソードが交錯し、広い世界の思惑と次なる事件への伏線が見事に描かれている。
学園都市の内部では、浜面仕上ら不良少年たちの騒動や、初春飾利とハッカーによる息詰まる電脳戦などが繰り広げられ、日常とサスペンスのバランスが絶妙だ。
一方の魔術サイドでは、神裂火織が北欧魔術を操るヴァルキリーと対峙するコミカルかつ迫力ある戦闘が展開される。
さらに、上条当麻の父である刀夜が息子の不幸を案じるあまり、図らずもローマ正教の思惑に巻き込まれていく姿には、親としての愛情と滑稽さが入り混じり、読んでいて面白く感じた。
そして、本作を読んで最も強烈な印象を残したのは、御坂美琴の父親である御坂旅掛の存在感である。「世界に足りないものを示す」という彼の仕事は、上条以上に得体が知れず、とにかく胡散臭い。
物語の最後に、彼が学園都市の統括理事長である「逆さまな人(アレイスター)」と知り合いであり、直接忠告を与える場面には物凄く胡散臭さを感じると同時に、ただの父親ではない底知れなさに驚かされた。
また、物語を貫く最大の焦点となっている、天然の能力者「原石」を巡る世界規模の争奪戦からは目が離せない
。外部機関が各国の原石の捕獲を目論む中、学園都市のブレインである雲川芹亜が、クローン兵器「妹達(シスターズ)」を世界各地へ同時派遣し、武力による保護作戦を決行するスケールの大きさには圧倒されるばかりだ。
その作戦の裏で、学園都市を牽制すべく侵入した「魔神になるはずだった男」オッレルスと、第七位の超能力者・削板軍覇が激突するバトルシーンも胸を熱くさせる。
圧倒的な力の前に削板は敗北を喫するものの、さらなる強者の存在を知って新たな決意を胸に立ち上がる姿は、王道の熱血キャラクターらしく非常に魅力的であった。
表舞台では語られない裏側の戦いや人間関係が多角的に掘り下げられており、次なる展開への期待がどこまでも膨らむ傑作である。
最後までお読み頂きありがとうございます。
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とある魔術の禁書目録(16)レビュー
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考察・解説
原石と能力開発
『とある魔術の禁書目録 SS2』において、「原石」と学園都市の「能力開発」は、本作の根幹に関わる重要なテーマである。人為的な能力開発と、天然の能力者である「原石」との違い、そして彼らを巡る世界規模の争奪戦と才能についての考察を以下にまとめる。
能力開発と「原石」の定義
学園都市の「能力開発」は、電極や薬物を使って脳に刺激を与え、催眠暗示まで用いて人為的に能力を発現・研磨させるものである。冷戦時代にはアメリカやソビエトも莫大な予算を投じて超能力研究(スターゲート計画など)を行ったが失敗に終わり、実用段階の超能力研究に成功しているのは学園都市のみである。
対して「原石」とは、学園都市のような人工的なカリキュラムを受けず、自然界で何らかの要因が重なり偶然に能力を獲得した「天然の能力者」を指す。作中における両者の違いと原石の特徴は以下の通りである。
・学園都市の能力者を「人工のダイヤ」や「スタンガン」とするなら、原石は「天然のダイヤ」や「落雷」に例えられる
・原石の特徴は必ずしも強大な力を持っていることではなく、世界で50人前後しか存在しないという極端な「稀少性」にある
・学園都市第七位の超能力者である削板軍覇や、「吸血殺し(ディープブラッド)」なども原石のカテゴリに含まれる
・ただし、上条当麻の「幻想殺し(イマジンブレイカー)」については、単なる原石という枠組みには収まらないと雲川芹亜は考えている
外部機関による原石争奪戦
世界各地の学術機関や科学思想団体、人身売買組織などは、独自の能力開発機関を稼働させるため、各国の「原石」を研究サンプルとして狙い始めた。しかし彼らは、祈りによって発動する力を科学研究の成果として扱うなど、科学とそれ以外の区別すらついていない状態であった。雲川芹亜は、外部機関が原石を集めたところでそのデータの意味を理解できず、学園都市の技術には到底追いつけないと分析していた。
しかし、統括理事会の見積継敏は、能力開発の知識を持たない彼らが思い込みで研究を始めれば、才能を持つだけの子供たち(原石)が解剖やホルマリン漬けにされ、ただ消費されてしまうという危険性を危惧した。
「妹達」による原石保護作戦
子供たちを無傷で保護するため、雲川芹亜の立案により、学園都市のクローン兵器「妹達(シスターズ)」を利用した大規模な作戦が実行された。作戦の経緯と結果は以下の通りである。
・妹達は世界各地にある50以上の研究機関へ同時に突入した
・武装警備員や研究設備を排除しながら、原石の安全を確保した
・この作戦によって世界中の研究機関は壊滅し、各地に散らばっていた「超能力開発成功へのヒント」は全て学園都市に回収・独占される結果となった
才能と可能性としての「原石」
作中では、「原石」という存在を通して、人間が本来持っている「才能」や「可能性」についての考察も描かれている。
・御坂美琴の母である御坂美鈴は、超能力の素質が何で決まるのか疑問を抱き、「勘が優れている」「実年齢より若く見える」といった日常のちょっとした「ふしぎ」にも何らかの法則があるのではないかと考えた。そして、「自分の才能に気づかないまま平凡な主婦で終わる人もいるかもしれないが、その方が夢がある」と語っている。
・浜面仕上はB級映画を鑑賞する中で、世の中には才能を発揮する場を与えられずに埋もれていく「不出の才能」が数多くいるのではないかと考えた。学園都市には7人の超能力者がいるが、広い世界には自分の才能を知らないだけで、8人目、9人目となる資質を持った人間(原石)が道端で花を売っているかもしれないと思いを馳せている。
まとめ
「原石」は単なる特殊能力者というだけでなく、学園都市の科学技術の独占を象徴する要素であり、同時に「誰もが内に秘めているかもしれない未知の可能性」を読者に提示する重要なテーマとして描かれている。
スキルアウトの活動
『とある魔術の禁書目録 SS2』におけるスキルアウトの活動は、学園都市の不良少年たちが生き残るために行う無軌道な資金稼ぎと、それを巡る警備員(アンチスキル)とのドタバタ劇として描かれている。作中に登場する駒場利徳、半蔵、浜面仕上の三人を中心とした活動の実態について考察する。
スキルアウトの概要とメンバーの信条
スキルアウトとは、学園都市に存在する一種の不良集団である。本作で主に描かれるグループは、以下の三人で構成されている。
・屈強な大男であるリーダーの駒場利徳
・お調子者の半蔵
・建設重機の操縦や車の運転、鍵開けなどを得意とする浜面仕上
無法者の集まりに見えるが、リーダーの駒場は「か弱い女子供には手を出さない」というポリシーを持っており、小学校に侵入しようとしたボウガン男を撃退して少女から懐かれたりするなど、彼なりの義理堅さや人間味が垣間見える。
大胆な資金調達とATM強奪作戦
彼らの主な活動目的は当面の資金確保であり、その手段は鉄板の窃盗などから、徐々にエスカレートしている。作中における彼らの犯行の手口は以下の通りである。
・重機を動かせる浜面の技術を利用して、ATMの耐震補強具を強引に毟り取る
・盗難車であるステーションワゴンの後部座席にATMごと突っ込んで逃走する
・浜面は中身の札束を使い物にならなくする蛍光塗料カプセルの解除手順も熟知しており、無軌道ながらも計画的に行動している
警備員(アンチスキル)とのカーチェイスと大爆発
しかし、盗み出したATM内部からGPS発信器が発見されたことで、彼らは黄泉川愛穂ら警備員の追跡を受けることとなる。逃走劇から結末までの流れは以下の通りである。
・浜面の運転で展開されたバリケードロボットを強引に突破する
・黄泉川が運転する大型特殊車両による執拗な体当たりを受け、無人の倉庫へと追い込まれる
・倉庫内での抗戦において、半蔵は威力を重視して使い勝手を無視した「三点バースト付きマグナム」で発砲し、浜面は警備員の車両の燃料タンクへ集中砲火を浴びせる
・倉庫には大量の打ち上げ花火が保管されており、破壊された燃料タンクからの引火によって巨大な爆発が引き起こされる
結果としてATMの札束も燃え尽き、三人は煤だらけになって黄泉川に捕縛され、留置場へぶち込まれるという情けない結末を迎えた。
まとめ
その後、とある事情によりスキルアウトを辞めた浜面仕上は、学園都市の暗部組織「アイテム」の下働きとなっている。「一時的とはいえ一〇〇人以上のスキルアウトを束ねていた」と過去の栄光を自称する彼だが、現在は組織の少女である絹旗最愛の指示で年齢を偽るための学生証を偽造させられたり、誰も客がいないような映画館でR15指定のマイナーなB級映画の鑑賞に付き合わされたりと、小市民的で振り回される日常を送っている。スキルアウトとしての無軌道な活動は、そんな彼の原点とも言える必死で泥臭い日々を読者に強く印象づけている。
警備員の追跡
『とある魔術の禁書目録 SS2』における警備員(アンチスキル)の追跡劇は、ATM強奪を図ったスキルアウトの少年たち(浜面仕上、駒場利徳、半蔵)と、彼らを追う警備員・黄泉川愛穂による、破天荒でコミカルなカーチェイスとして描かれている。
追跡の発端とバリケードの突破
盗難車のステーションワゴンにATMを積み込んで逃走していたスキルアウトたちだったが、駒場がATM内部に隠されていたGPS発信器を発見した途端、後方からサイレンを鳴らす警備員の高速車両が迫る。さらに前方を阻む状況は以下の通りであった。
・分厚い緩衝材を備えた円筒形の特殊なバリケードロボットが展開される
・その向こうに数台の高速車両が壁を作って退路を完全に塞ぐ
しかし、運転を担う浜面は、バリケードの緩衝材が子供を安全に捕獲するためのものであり、即死するほどの強度はないと判断してアクセルを底まで踏み込んで突撃する。ステーションワゴンは横向きに停められた高速車両の鼻先へ激突し、その隙間をこじ開けるという力技で見事にバリケードを突破してみせた。
黄泉川愛穂の乱入と執拗な体当たり
追跡を振り切ったかに見えた直後、横の道から装甲を備えたような大型特殊車両(タンクローリー風)が飛び出し、ステーションワゴンに激突する。運転席にいたのは、手帳を見せて強引に車両を借り受けた黄泉川愛穂であった。彼女の猛追の様子は以下の通りである。
・拡声器で「盗難と器物損壊と殺人未遂と公務執行妨害その他もろもろで地獄送りだ」と私怨混じりの宣言を放つ
・巨大なハンドルを操ってタンク部分の尻を振り、ステーションワゴンの側面に執拗に車体をぶつけていく
最終的に、大型特殊車両とガードレールに挟まれたステーションワゴンは制御を失い、無人の倉庫へと突っ込むこととなった。
倉庫内での攻防と予期せぬ大爆発
倉庫に突っ込んだステーションワゴンと大型特殊車両はそれぞれ停止し、黄泉川は作動したエアバッグの直撃を受ける。車外へ転がり出た彼女に対し、スキルアウトの二人は以下の反撃に出る。
・半蔵が「三点バースト付きマグナム」で発砲する
・浜面が大型特殊車両の燃料タンクへ集中砲火を浴びせる
燃料への引火を危惧した黄泉川は一時退避するが、彼らが逃げ込んだ倉庫には大量の打ち上げ花火が保管されていた。銃撃で破壊された燃料タンクから漏れ出したガソリンに、千切れた電気コードの火花が引火し、夜空に巨大な花火を打ち上げる大爆発が引き起こされてしまう。
まとめ
大爆発の結果、ATMの中身の札束は全て燃え尽き、煤だらけになって空を舞ったスキルアウトの三人は、戻ってきた黄泉川にあっさりと捕縛され、留置場へぶち込まれた。浜面と駒場が「か弱い女子供の範囲じゃねえ」と破天荒な黄泉川への文句を垂れる中、半蔵だけは彼女の圧倒的な力強さに惚れ込み「恋したかも」と衝撃の告白をするという、オチのついた情けない結末を迎えている。
魔術師の対決
『とある魔術の禁書目録 SS2』における魔術師同士の対決として、第二章で描かれる神裂火織と「ヴァルキリー」を自称する女性魔術師の戦いが挙げられる。本作の群像劇の中でも、とりわけコミカルでシュールな展開を見せるこの対決について考察する。
対決の背景と切り裂き魔の正体
イギリス清教の聖人である神裂火織は、ロンドンで道行く人のジーンズだけをすれ違いざまに切断する怪人「ジーンズちょきちょき切り裂き魔」を追っていた。彼女がジーンズショップの店主と共に警戒していると、ハサミのような金属音を響かせて襲撃者が現れる。その正体は以下の特徴を持つ女性魔術師であった。
・白と黒の牛柄のビキニ甲冑という異様な露出度の鎧を纏った銀髪の女性
・自らを北欧神話の戦乙女「ヴァルキリー」と名乗り、人為的にその座を目指す魔術体系を歩む存在
ヴァルキリーの異端な思想と目的
彼女は、戦士の魂を神の住むヴァルハラへ運ぶという本来の役割を独自に解釈していた。その目的と犯行理由は以下の通りである。
・ヴァルハラへ招待した男たちに酒を振る舞い、踊りで魅了し、自身の部下にして魔術結社級の力を蓄えること
・「エロい鎧の踊り子さん」として男たちを魅了すること
・「羞恥プレイ(攻め)」を得意分野としているがゆえに、男たちのジーンズを切断するというハタ迷惑な犯行を繰り返していた
魔術的攻防と九人祝い
神裂がその呆れた理由と格好にツッコミを入れつつ戦闘が始まると、ヴァルキリーは戦士を魔術的に応援する術式「九人祝い(ナインサポート)」を発動する。この術式の性質は以下の通りである。
・足元の影が九つに分かれる
・ヴァルキリーの肉体に欲情した男を九人の乙女が強引に操り、自らの手駒に変えてしまう
店主の陥落と怒りの決着
この術式のターゲットとなったのは、神裂と同行していたジーンズショップの店主であった。店主は「オトコの意地で魔術の支配を打ち破ってやる」と見得を切ったものの、ヴァルキリーが中腰になって胸を強調し、ウインクを放つと、あっさりと陥落してしまう。
まとめ
その情けない裏切りに対し、神裂は一切の迷いなく店主を峰打ちで吹き飛ばして粛清した。そして、男性のジーンズばかりを切る理由が単なる羞恥プレイの押し付けであると最終確認した神裂は、ハタ迷惑なヴァルキリーを二割増しの力でぶん殴り、この不真面目極まりない魔術師同士の戦いに幕を下ろした。
妹達の世界展開
『とある魔術の禁書目録 SS2』における「妹達(シスターズ)」の世界展開は、世界規模で狙われた天然の能力者「原石」を保護するために決行された、前代未聞の同時多発的な軍事作戦である。その背景、実行の様子、および結果について考察する。
作戦の背景と目的
冷戦時代の超能力研究(スターゲート計画など)の夢を捨てきれないアメリカやロシアを中心とした外部機関が、世界各地で「原石」を研究サンプルとして捕獲し始めたことが事の発端である。しかし、彼らには学園都市のような高度な能力開発技術はなく、思い込みや偏見によって「原石」である子供たちを解剖やホルマリン漬けにして消費してしまう危険性が高かった。
学園都市統括理事会のブレインである雲川芹亜は、この悲劇を防ぎ子供たちを無傷で保護するためには、世界中で同時に事を起こす必要があると判断した。作戦の立案経緯は以下の通りである。
・日本から通常の部隊を派遣するだけでは間に合わないと判断する
・カエル顔の医者に協力を仰ぐ
・クローン兵器である「妹達」を利用した大規模な世界展開作戦を立案する
世界50ヶ所以上への同時突入と制圧
作戦が開始されると、妹達は世界各地にある50以上の研究機関へ一斉に侵入した。その展開範囲は、イギリス、スイス、メキシコ、アルゼンチン、フィリピン、インド、中国、カナダ、南極、タイ、ポーランド、イタリア、スペイン、韓国、フランス、ブラジル、グアテマラ、ドイツ、スロベニア、ノルウェー、フィンランド、オーストラリア、ポルトガルなど、地球全土に及んだ。
妹達の圧倒的な制圧力の詳細は以下の通りである。
・武装警備員の排除、セキュリティの掌握、非常用電源の切断、研究設備の破壊などを同時進行で遂行した
・施設側からは軍人崩れの暗殺者、攻撃ヘリ、さらには戦車までもが反撃として投入されたが、妹達はそれらをことごとく叩き潰し、主要研究員や首謀者を拘束した
・最終的に、施設内部で標的となっていた「原石」たちを発見し、身の安全を確保しながら脱出に成功した
ミサカネットワークを介した報告
この作戦中、妹達は「ミサカネットワーク」を通じて世界中から状況報告を行っていた。その内容は、「戦車がいっぱいで面倒ですとミサカはげんなりします」「攻撃ヘリが出てきましたとミサカは適当なため息をつきます」など、緊迫した戦場でありながらも個々のミサカが独自の人間らしい感情や個性を交えて淡々と報告する、非常に特異なものであった。
まとめ
この妹達による同時多発的な襲撃により、スターゲート計画の実質的指導者であるジョージ=キングダムの原石強奪計画は完全に粉砕された。彼は全く同じ顔をした少女たちが世界中で同時に襲撃を行ったという報告に愕然とし、「量産化」という学園都市の禁忌に触れてしまったことを悟りながら、雲川の指示で動いていた絹旗最愛によって始末された。
この世界展開作戦の結果、世界中に散らばっていた「原石」という超能力開発成功へのヒントは全て学園都市に回収され、外部機関の野望は完全に断ち切られることとなった。妹達の世界展開は、彼女たちの軍用クローンとしての圧倒的な武力とネットワークの有用性を証明すると同時に、世界規模の事態を一瞬で制圧する学園都市の底知れぬ力を示すエピソードとなった。
オッレルスの介入
『とある魔術の禁書目録 SS2』における「オッレルスの介入」は、世界中の「原石」を回収した学園都市に対する牽制と、それに立ち向かう第七位の超能力者・削板軍覇との激突を描いた重要なエピソードである。彼の正体と目的、そして圧倒的な力を見せつけた対決について考察する。
「魔神になるはずだった男」の過去と人柄
オッレルスは、魔術を極めた結果として神の領域にまで足を突っ込んだ人間である。彼の過去と人柄は以下の通りである。
・一万年に一度あるかないかの魔神になるチャンスを得ていたが、傷ついた子猫を助けるために街を駆け回るという理由でその機会を逃してしまった過去を持つ
・ミラノでは人身売買組織を一人で壊滅させて100人近い子供たちを保護するなど、お人好しで情に厚い一面を見せている
・シルビアからは「馬鹿野郎」と呆れられながらも支えられている
学園都市への介入と牽制の目的
そんな彼が学園都市へ侵入し、第一一学区のコンテナ地帯で9人の妹達(シスターズ)を無力化したのには理由があった。彼の目的と危惧は以下の通りである。
・学園都市が世界中にいる50人前後の原石たちを保護・回収すること自体は容認していた
・しかし、彼らが学園都市で得体の知れない研究の素体にされてしまうリスクを危惧していた
・そのため、学園都市最大の原石である第七位の削板軍覇をねじ伏せることで、原石を使い潰せばどうなるかという学園都市暗部への強烈な牽制・警告を与えようとした
説明のできない力と削板軍覇との激突
妹達を守るために立ち上がった削板軍覇に対し、オッレルスは北欧王座(フリズスキャルヴ)の力を強引に利用した術式で迎え撃つ。この「説明のできない力」の特徴は以下の通りである。
・打点や衝撃の広がりといった物理法則を無視して対象の全体へダメージを浸透させる
・剣や銃のように理解できる攻撃であれば対処のしようもあるが、条件や定義すら曖昧なまま振るわれる
・そのため、削板は対策を立てることもできずに圧倒されてしまう
まとめ
満身創痍となりながらも根性で立ち上がる削板であったが、オッレルスとの実力差は歴然であり、最終的に敗北を喫する。オッレルスは削板の命を取ることなく、牽制という目的を果たして立ち去った。
しかし、圧倒的な力で遊びのようにあしらわれた削板軍覇の心は折れていなかった。彼は敗北を正しく理解した上で、世の中には自分の知らない強者がまだまだ存在することに純粋な感動と希望を抱き、「根性入れ替えて、鍛え直す」と新たな決意を胸に立ち上がった。オッレルスの介入は、原石の保護を巡る学園都市への楔となると同時に、削板をさらなる高みへ導く契機として機能している。
とある魔術の禁書目録(16)レビュー
【とある魔術の禁書目録】あらすじ・ネタバレ・まとめ
とある魔術の禁書目録(17)レビュー
登場キャラクター]
学園都市
駒場利徳
スキルアウトのリーダーを務める大男である。か弱い女子供には手を出さないという信条を持っている。
・所属組織、地位や役職
スキルアウト・リーダー。
・物語内での具体的な行動や成果
仲間と共にATMを強奪して逃走する。車両の内部でGPS発信器を発見した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
黄泉川愛穂の追跡を受けて逮捕され、留置場へ収監される。
半蔵
スキルアウトのメンバーである。忍びの末裔として行動している。
・所属組織、地位や役職
スキルアウト所属。
・物語内での具体的な行動や成果
ATM強奪後の逃走で拳銃を用いて応戦する。郭からの追跡を受け、戦闘で彼女を気絶させた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
逮捕後の留置場で黄泉川へ恋をしたかもしれないと告白した。郭が持っていた原石のリストを入手する。
浜面仕上
スキルアウトのメンバーである。重機の操縦や車の運転を得意とする。
・所属組織、地位や役職
スキルアウト所属。後に暗部組織アイテムの下働きとなる。
・物語内での具体的な行動や成果
ATM強奪時に車の運転を担当し、バリケードを突破する。後に絹旗最愛の映画鑑賞に同行した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
黄泉川に逮捕された後、スキルアウトを辞めている。
黄泉川愛穂
街の治安を守る警備員である。破天荒な性格をしている。
・所属組織、地位や役職
警備員(アンチスキル)第七三支部所属。
・物語内での具体的な行動や成果
大型特殊車両を借り受け、逃走するスキルアウトに体当たりを仕掛けて追跡する。倉庫へ追い込み、彼らを捕縛した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項は記載されていない。
削板軍覇
学園都市最大の原石である。愛と根性を重んじる少年である。
・所属組織、地位や役職
学園都市第七位の超能力者(ナンバーセブン)。
・物語内での具体的な行動や成果
不良少年たちに襲われていた原谷矢文を助け、横須賀を倒す。学園都市へ侵入したオッレルスと激突した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
オッレルスに敗北した後、自分を鍛え直す決意を固めた。
原谷矢文
繁華街を歩いていた一般の少年である。
・所属組織、地位や役職
特になし。
・物語内での具体的な行動や成果
不良少年たちに裏路地へ連れ込まれ、金品を奪われる。削板軍覇に救出された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項は記載されていない。
横須賀
対能力者戦闘の専門家を自称する巨漢の男である。
・所属組織、地位や役職
不明。
・物語内での具体的な行動や成果
不良少年たちを倒した削板軍覇の前に現れ、戦闘を仕掛ける。削板の攻撃を受けて敗北した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項は記載されていない。
絹旗最愛
学園都市の暗部に属する一二歳ほどの少女である。マイナーな映画の鑑賞を趣味としている。
・所属組織、地位や役職
暗部組織アイテムの構成員。
・物語内での具体的な行動や成果
年齢をごまかすために浜面に身分証を用意させ、R15指定の映画を鑑賞する。ジョージ=キングダムを始末した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項は記載されていない。
工山規範
電子情報を操作するハッカーである。利益を求めず自身の技術を証明することを目的とする。
・所属組織、地位や役職
不明。
・物語内での具体的な行動や成果
オープンカフェから守護神のシステムへ侵入を試みる。数々の罠を突破するが、接続を切断された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
居場所を特定され、警備員に逮捕された。
白井黒子
常盤台中学に通うお嬢様である。茶色の髪をツインテールにしている。
・所属組織、地位や役職
常盤台中学の生徒。風紀委員(ジャッジメント)。
・物語内での具体的な行動や成果
美容室を訪れ、店主の坂島道端と能力開発や原石について会話する。後日、支部で初春飾利に説教を宣告した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項は記載されていない。
初春飾利
頭に多くの花飾りをつけている少女である。高いハッキング技術を持つ。
・所属組織、地位や役職
風紀委員活動第一七七支部所属。
・物語内での具体的な行動や成果
書庫への不正アクセスを検知し、防壁を利用して侵入者を撃退する。携帯ゲーム機を使って外部から対応を行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項は記載されていない。
御坂美琴
学園都市に七人しかいない超能力者の一人である。
・所属組織、地位や役職
常盤台中学の生徒。学園都市第三位の超能力者(超電磁砲)。
・物語内での具体的な行動や成果
携帯端末と自身の能力を利用して書庫へハッキングを行う。乱数暗号による反撃を受け、撤退を選択した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項は記載されていない。
上条当麻
ツンツンとした黒髪の少年である。不幸な体質を持っている。
・所属組織、地位や役職
学園都市の高校生。
・物語内での具体的な行動や成果
放課後にスプリンクラーの誤作動でずぶ濡れになる。雲川芹亜から声をかけられた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項は記載されていない。
雲川芹亜
天才と呼ばれる少女である。寝転がったまま連絡を取るなど、マイペースな行動をとる。
・所属組織、地位や役職
学園都市統括理事会のブレイン。
・物語内での具体的な行動や成果
貝積継敏と通信し、世界各地の原石捕獲作戦について意見を交わす。妹達を利用した原石保護作戦を立案した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項は記載されていない。
貝積継敏
礼服を着た老人である。才能を持つだけの子供たちが消費されることを危惧している。
・所属組織、地位や役職
学園都市統括理事会のメンバー。
・物語内での具体的な行動や成果
雲川芹亜に原石を保護するための対策を求める。ホームシアターでCIAの暗躍に関する情報を確認した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項は記載されていない。
坂島道端
美容室を経営する若い男である。顎ヒゲを生やしている。
・所属組織、地位や役職
美容室の店主。
・物語内での具体的な行動や成果
白井黒子の髪を整えながら、冷戦時代の超能力開発や原石に関する持論を語る。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項は記載されていない。
カエル顔の医者
病院で妹達の調整を担当する人物である。
・所属組織、地位や役職
病院の医師。
・物語内での具体的な行動や成果
妹達が言い争う様子を観察する。同一の巨大な意志から生じる行動傾向の違いを解説した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項は記載されていない。
アレイスター
学園都市を管理する人物である。
・所属組織、地位や役職
学園都市統括理事長。
・物語内での具体的な行動や成果
御坂旅掛からの通信に応じる。家族に手を出さないよう忠告を受けた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項は記載されていない。
妹達(シスターズ)
ミサカ一〇〇三二号
とある超能力者の体細胞を利用して作られた少女である。ツンツン頭の少年から御坂妹と呼ばれている。
・所属組織、地位や役職
軍用量産クローン。妹達の一員。
・物語内での具体的な行動や成果
病院で星座占いや血液型占いの内容について他の個体と議論する。緊急通信で侵入者の存在を報告した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項は記載されていない。
ミサカ一〇〇三九号
他の個体と全く同じ容姿を持つ少女である。
・所属組織、地位や役職
軍用量産クローン。妹達の一員。
・物語内での具体的な行動や成果
誕生日の定義について他の個体と意見を交わす。血液型占いの結果を巡って争いに参加した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項は記載されていない。
ミサカ一三五七七号
他の個体と全く同じ容姿を持つ少女である。
・所属組織、地位や役職
軍用量産クローン。妹達の一員。
・物語内での具体的な行動や成果
待合所で雑誌の占いコーナーを読み、他の個体と議論を行う。血液型占いの話題に加わった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項は記載されていない。
ミサカ一九〇九〇号
他の個体と全く同じ容姿を持つ少女である。
・所属組織、地位や役職
軍用量産クローン。妹達の一員。
・物語内での具体的な行動や成果
恋愛運の占い結果に不満を漏らす。誕生日の定義について疑問を口にした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項は記載されていない。
ミサカ一七〇〇〇号
他の個体と全く同じ容姿を持つ少女である。
・所属組織、地位や役職
軍用量産クローン。妹達の一員。
・物語内での具体的な行動や成果
イギリスの高次コンタクト協会へ侵入する。複数のドームの制圧を報告した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項は記載されていない。
ミサカ一八〇二三号
他の個体と全く同じ容姿を持つ少女である。
・所属組織、地位や役職
軍用量産クローン。妹達の一員。
・物語内での具体的な行動や成果
スイスの世界知的倶楽部へ突入する。武装警備員の排除を確認した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項は記載されていない。
ミサカ一四三三三号
他の個体と全く同じ容姿を持つ少女である。
・所属組織、地位や役職
軍用量産クローン。妹達の一員。
・物語内での具体的な行動や成果
メキシコの第六の感覚本社へ侵入する。研究棟の正面扉を爆破した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項は記載されていない。
ミサカ一五一一〇号
他の個体と全く同じ容姿を持つ少女である。
・所属組織、地位や役職
軍用量産クローン。妹達の一員。
・物語内での具体的な行動や成果
アルゼンチンの人体スポーツ解析センターへ突入する。電子ロックの掌握を完了した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項は記載されていない。
ミサカ一〇〇九〇号
他の個体と全く同じ容姿を持つ少女である。
・所属組織、地位や役職
軍用量産クローン。妹達の一員。
・物語内での具体的な行動や成果
フィリピンの人類の英知総本山へ侵入する。脱出艇を確認して攻撃に移った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項は記載されていない。
ミサカ一二〇五三号
他の個体と全く同じ容姿を持つ少女である。
・所属組織、地位や役職
軍用量産クローン。妹達の一員。
・物語内での具体的な行動や成果
インドの神々の設計図本部へ突入する。複数のブロックの破壊を完了した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項は記載されていない。
ミサカ一九〇〇九号
他の個体と全く同じ容姿を持つ少女である。
・所属組織、地位や役職
軍用量産クローン。妹達の一員。
・物語内での具体的な行動や成果
中国の人類進化委員会へ侵入する。攻撃ヘリの出現に対応した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項は記載されていない。
ミサカ一一八九九号
他の個体と全く同じ容姿を持つ少女である。
・所属組織、地位や役職
軍用量産クローン。妹達の一員。
・物語内での具体的な行動や成果
ベネズエラの特殊エネルギー研究所へ突入する。研究設備の破壊に成功した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項は記載されていない。
ミサカ一六八三六号
他の個体と全く同じ容姿を持つ少女である。
・所属組織、地位や役職
軍用量産クローン。妹達の一員。
・物語内での具体的な行動や成果
カナダの心の宇宙調査室へ侵入する。非常用を含む全電源の切断を完了した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項は記載されていない。
ミサカ一〇五〇一号
他の個体と全く同じ容姿を持つ少女である。
・所属組織、地位や役職
軍用量産クローン。妹達の一員。
・物語内での具体的な行動や成果
オーストリアの国際優良遺伝子バンクへ突入する。施設内で白い猫を発見した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項は記載されていない。
ミサカ一九九〇〇号
他の個体と全く同じ容姿を持つ少女である。
・所属組織、地位や役職
軍用量産クローン。妹達の一員。
・物語内での具体的な行動や成果
南極の地球外カオス観測所へ侵入する。敵からの反撃に応戦した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項は記載されていない。
ミサカ一二〇八三号
他の個体と全く同じ容姿を持つ少女である。
・所属組織、地位や役職
軍用量産クローン。妹達の一員。
・物語内での具体的な行動や成果
タイのオーパーツ歴史資料館へ突入する。単独で施設を制圧した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項は記載されていない。
ミサカ一〇八五五号
他の個体と全く同じ容姿を持つ少女である。
・所属組織、地位や役職
軍用量産クローン。妹達の一員。
・物語内での具体的な行動や成果
ポーランドの抗電波救済委員会へ侵入する。最後の抵抗勢力に対処した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項は記載されていない。
ミサカ一七二〇三号
他の個体と全く同じ容姿を持つ少女である。
・所属組織、地位や役職
軍用量産クローン。妹達の一員。
・物語内での具体的な行動や成果
イタリアの未来への翼中心核へ突入する。多数の戦車との交戦を報告した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項は記載されていない。
ミサカ一九四八八号
他の個体と全く同じ容姿を持つ少女である。
・所属組織、地位や役職
軍用量産クローン。妹達の一員。
・物語内での具体的な行動や成果
スペインの精密ミクロ信仰会へ侵入する。現れた暗殺者を撃破した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項は記載されていない。
ミサカ一五三二七号
他の個体と全く同じ容姿を持つ少女である。
・所属組織、地位や役職
軍用量産クローン。妹達の一員。
・物語内での具体的な行動や成果
韓国の先端科学研究所へ突入する。主要な研究員をすべて拘束した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項は記載されていない。
ミサカ一三〇七二号
他の個体と全く同じ容姿を持つ少女である。
・所属組織、地位や役職
軍用量産クローン。妹達の一員。
・物語内での具体的な行動や成果
フランスの国立夢占い解析所へ侵入する。敵対する人物を吹き飛ばした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項は記載されていない。
ミサカ一七四〇三号
他の個体と全く同じ容姿を持つ少女である。
・所属組織、地位や役職
軍用量産クローン。妹達の一員。
・物語内での具体的な行動や成果
ブラジルの全世界覚醒連合へ突入する。首謀者を拘束して最深部へ向かった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項は記載されていない。
ミサカ一〇〇五〇号
他の個体と全く同じ容姿を持つ少女である。
・所属組織、地位や役職
軍用量産クローン。妹達の一員。
・物語内での具体的な行動や成果
グアテマラの脳分布解明センターへ侵入する。原石の保護を開始した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項は記載されていない。
ミサカ一〇八四〇号
他の個体と全く同じ容姿を持つ少女である。
・所属組織、地位や役職
軍用量産クローン。妹達の一員。
・物語内での具体的な行動や成果
ドイツの超常紹介事典へ突入する。施設内で隠し扉を発見した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項は記載されていない。
ミサカ一二四八一号
他の個体と全く同じ容姿を持つ少女である。
・所属組織、地位や役職
軍用量産クローン。妹達の一員。
・物語内での具体的な行動や成果
スロベニアの新エネルギー採掘機関へ侵入する。標的である原石を発見した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項は記載されていない。
ミサカ一八〇七二号
他の個体と全く同じ容姿を持つ少女である。
・所属組織、地位や役職
軍用量産クローン。妹達の一員。
・物語内での具体的な行動や成果
ノルウェーの霊長の証へ突入する。標的である原石を発見した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項は記載されていない。
ミサカ一九三四八号
他の個体と全く同じ容姿を持つ少女である。
・所属組織、地位や役職
軍用量産クローン。妹達の一員。
・物語内での具体的な行動や成果
フィンランドの黄道アクセスライン普及委員会へ侵入する。原石の保護に着手した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項は記載されていない。
ミサカ一七〇〇九号
他の個体と全く同じ容姿を持つ少女である。
・所属組織、地位や役職
軍用量産クローン。妹達の一員。
・物語内での具体的な行動や成果
オーストラリアのUMA生態解明倶楽部へ突入する。原石を連れて逃走ルートへ移動した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項は記載されていない。
ミサカ一五一一三号
他の個体と全く同じ容姿を持つ少女である。
・所属組織、地位や役職
軍用量産クローン。妹達の一員。
・物語内での具体的な行動や成果
ポルトガルの第七世代兵器研究所へ侵入する。原石の安全を確保して脱出した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項は記載されていない。
ミサカ一四〇一四号
他の個体と全く同じ容姿を持つ少女である。
・所属組織、地位や役職
軍用量産クローン。妹達の一員。
・物語内での具体的な行動や成果
ミサカ一〇〇三二号からの緊急報告を受け、通信を通じて質問を行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項は記載されていない。
ミサカ一八八二九号
他の個体と全く同じ容姿を持つ少女である。
・所属組織、地位や役職
軍用量産クローン。妹達の一員。
・物語内での具体的な行動や成果
ミサカ一〇〇三二号からの緊急報告に対し、事態の説明を求めた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項は記載されていない。
イギリス清教
神裂火織
長い黒髪をポニーテールにした女性である。ロンドンでジーンズ切り裂き魔を追跡している。
・所属組織、地位や役職
イギリス清教所属。聖人。
・物語内での具体的な行動や成果
ヴァルキリーと名乗る女性魔術師と戦闘になる。後に女子寮で好物の鯛茶漬けを作った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項は記載されていない。
アンジェレネ
小柄で金髪を三つ編みにしたシスターである。食べ物への執着が強い。
・所属組織、地位や役職
イギリス清教所属。シスター。
・物語内での具体的な行動や成果
神裂の鯛茶漬けの匂いを嗅ぎつけ、台所へ乗り込む。チョココロネとフォークを用いて怒りを表現した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項は記載されていない。
ルチア
背が高く猫目をしたシスターである。
・所属組織、地位や役職
イギリス清教所属。シスター。
・物語内での具体的な行動や成果
台所で騒ぐアンジェレネのもとへ現れる。食べ物を粗末にしたことに呆れた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項は記載されていない。
シェリー=クロムウェル
ライオンのような金髪と褐色の肌を持つ女性である。ゴスロリ風の服装をしている。
・所属組織、地位や役職
王立芸術院の管理者。魔術師。
・物語内での具体的な行動や成果
台所に現れ、アンジェレネの作ったパンとフォークの造形を芸術として高く評価する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項は記載されていない。
ローマ正教
リドヴィア=ロレンツェッティ
色褪せた修道服を着た女性である。困難な状況を好む性格をしている。
・所属組織、地位や役職
ローマ正教の宣教師。
・物語内での具体的な行動や成果
逃げたバルビナを追ってイタリアの街に現れる。上条刀夜の境遇に感銘を受け、魔術的な品を提供した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項は記載されていない。
バルビナ
そばかすのある金髪碧眼の少女である。説教を抜け出して小遣い稼ぎをしている。
・所属組織、地位や役職
ローマ正教所属。魔草調合師。
・物語内での具体的な行動や成果
露店で上条刀夜に土産物を勧める。リドヴィアの指示により、刀夜へ霊装を提供した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項は記載されていない。
その他魔術師・外部組織
ヴァルキリー
牛柄のビキニ甲冑を着た銀髪の女性である。北欧神話の戦乙女を目指している。
・所属組織、地位や役職
魔術師。
・物語内での具体的な行動や成果
男性を魅了して部下にするため、ロンドンでジーンズを切断する事件を起こす。神裂火織と交戦した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項は記載されていない。
オッレルス
お人好しで情に厚い男である。魔術を極めて神の領域に迫った過去を持つ。
・所属組織、地位や役職
魔神になるはずだった男。魔術師。
・物語内での具体的な行動や成果
ミラノで人身売買組織を壊滅させて子供たちを保護する。学園都市を牽制するため、削板軍覇を圧倒した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項は記載されていない。
シルビア
背の高い女性である。オッレルスの行動に呆れながらも彼を支え続けている。
・所属組織、地位や役職
不明。
・物語内での具体的な行動や成果
オッレルスが連れてきた子供たちをアパートメントへ受け入れる。オッレルスの帰りを待ち続けた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項は記載されていない。
郭
全身に鎖を巻いた少女である。派手で高潔な忍術集団の結成を目指している。
・所属組織、地位や役職
忍び。
・物語内での具体的な行動や成果
服部家と伊賀の再興を掲げ、半蔵を追いかけて戦闘を仕掛ける。半蔵の反撃を受けて敗北した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項は記載されていない。
オリアナ=トムソン
爆乳の女性である。リドヴィアと行動を共にしている。
・所属組織、地位や役職
運び屋。
・物語内での具体的な行動や成果
路上でアイスを食べていたところ、リドヴィアから強烈なタックルを受ける。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項は記載されていない。
砂皿緻密
ガッチリとした体格の男である。狙撃の確実性を何よりも重んじている。
・所属組織、地位や役職
雇われの狙撃手。
・物語内での具体的な行動や成果
ステファニーの暗殺失敗を厳しく非難する。標的を確実に始末するため、無報酬で後始末へ向かった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項は記載されていない。
ステファニー=ゴージャスパレス
長身の美女である。狙撃は時代遅れだと主張する。
・所属組織、地位や役職
暗殺者。
・物語内での具体的な行動や成果
ミサイルランチャーを用いて標的の暗殺を試みる。対象の生存を許し、砂皿から叱責された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項は記載されていない。
ジョージ=キングダム
冷戦時代の超能力開発プロジェクトを指揮した男である。
・所属組織、地位や役職
スターゲート計画の実質的指導者。
・物語内での具体的な行動や成果
世界規模での原石強奪計画を企てる。妹達による同時襲撃を受けて計画を粉砕された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
学園都市の暗部に踏み込んだ結果、絹旗最愛によって始末された。
一般人・家族
上条刀夜
しょぼくれた中年男性である。息子の不幸を案じている。
・所属組織、地位や役職
外資系企業の証券取引対策室所属。
・物語内での具体的な行動や成果
イタリア出張中にリドヴィアから魔術的な品を受け取る。ロンドンの酒場では騒動に巻き込まれて逃走した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項は記載されていない。
田中
上条刀夜の部下である。軽薄な言動が目立つ。
・所属組織、地位や役職
外資系企業の新入社員。
・物語内での具体的な行動や成果
ロンドンで刀夜と酒場を訪れる。女性を娼婦と勘違いして声をかけ、殴り倒された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項は記載されていない。
上条詩菜
白い水着が似合う女性である。高校生の息子がいるとは思えない若々しさを持つ。
・所属組織、地位や役職
主婦。
・物語内での具体的な行動や成果
スポーツジムのプールで御坂美鈴と会話する。海外出張が多い夫の話題などを共有した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項は記載されていない。
御坂美鈴
大学生に見間違われるほど若々しい女性である。能力開発の法則について疑問を抱く。
・所属組織、地位や役職
主婦。
・物語内での具体的な行動や成果
スポーツジムで泳いだ後、上条詩菜と会話する。超能力の素質に関する推論を語った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項は記載されていない。
御坂旅掛
黒塗りの高級車が似合う紳士である。世界に足りないものを提示して問題を解決へ導く。
・所属組織、地位や役職
統合コンサルタント。
・物語内での具体的な行動や成果
ブラジルの貧困層の少女に事業のヒントを与える。アレイスターへ通信し、家族に手を出さないよう忠告した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項は記載されていない。
イネス
ブラジルの貧困地域に住む少女である。
・所属組織、地位や役職
レアメタル回収事業の経営者。
・物語内での具体的な行動や成果
借金取りへの復讐を考えていたが、御坂旅掛の助言を受けて事業を立ち上げる。不法投棄問題の解決に貢献した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
事業の成功により、会社を企業規模まで成長させた。
身元不明の人物
警備員達
学園都市の治安を維持する集団である。
・所属組織、地位や役職
警備員(アンチスキル)。
・物語内での具体的な行動や成果
バリケードロボットを展開し、逃走するステーションワゴンを阻止しようとする。オープンカフェでは工山規範を拘束した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項は記載されていない。
バンダナ男
拳銃を持った男である。
・所属組織、地位や役職
不明。
・物語内での具体的な行動や成果
逃走するステーションワゴンの窓から身を乗り出し、黄泉川を攻撃しようとした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項は記載されていない。
ジーンズショップの店主
ロンドンで店を営む男である。ヴィンテージジーンズに強いこだわりを持つ。
・所属組織、地位や役職
ジーンズショップの店主。
・物語内での具体的な行動や成果
切り裂き魔の捜査に協力する。ヴァルキリーの術式にはまって操られ、神裂に峰打ちされた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項は記載されていない。
不良少年達
繁華街の裏路地にたむろする少年たちである。
・所属組織、地位や役職
不良集団。
・物語内での具体的な行動や成果
原谷矢文を連れ込んで金品を奪う。現れた削板軍覇に攻撃を仕掛けるが、吹き飛ばされた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項は記載されていない。
ガラの悪い兄ちゃん達
繁華街をうろつく少年たちである。
・所属組織、地位や役職
不明。
・物語内での具体的な行動や成果
原谷矢文の襟首を掴んで裏路地へ引きずり込んだ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項は記載されていない。
借金取り
ブラジルの裏通りで活動する男たちである。
・所属組織、地位や役職
マフィアまがいの集団。
・物語内での具体的な行動や成果
イネスから借金を取り立てようとする。復讐のために命を狙われていた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項は記載されていない。
とある魔術の禁書目録(16)レビュー
【とある魔術の禁書目録】あらすじ・ネタバレ・まとめ
とある魔術の禁書目録(17)レビュー
展開まとめ
第一章 札束とバトルを求める者達 一月、第三金曜日
ATM強奪と逃走
駒場利徳、半蔵、浜面仕上の三人は、盗難車のステーションワゴンにATMを積み込み、学園都市内を走っていた。半蔵はATMに大金が入っていることを喜び、浜面も当面の資金確保に安堵していた。一方の駒場は、小学校で助けた少女からサンタクロースの話をされたことを気にしており、サンタ衣装を見ながら羞恥に悶えていた。
GPS発信器の発見
浜面はATMの分解を自分が担当すると説明し、勝手に触らないよう注意した。しかし駒場がATMの内部から細長い装置を発見し、それがGPS発信器だと指摘した。その直後、警備員の高速車両がサイレンを鳴らして追跡を開始した。
バリケード突破
前方にはバリケードロボットと警備員の車両が展開され、逃げ道は塞がれた。しかし浜面は迷わず加速を選び、ステーションワゴンでバリケードへ突撃した。緩衝材と車両の隙間を強引にこじ開ける形で突破し、三人は追跡を振り切ることに成功した。
黄泉川愛穂との追跡戦
追跡を振り切ったと思われた直後、大型特殊車両が現れ、ステーションワゴンへ体当たりを仕掛けた。その車両を運転していたのは警備員の黄泉川愛穂であった。黄泉川は大型特殊車両の巨体を利用して執拗に追跡し、ステーションワゴンを無人倉庫へ追い込んだ。
倉庫内での銃撃
倉庫内で停止した三人は拳銃で応戦した。半蔵の改造した三点バースト付きマグナムは扱いづらかったものの、威力自体は十分であった。黄泉川は大型特殊車両を遮蔽物にして応戦しようとしたが、浜面が燃料タンク付近へ集中砲火を浴びせたため、危険を察知して退避した。
花火倉庫の大爆発
三人が周囲を確認すると、倉庫には大量の打ち上げ花火が保管されていた。さらに撃ち抜かれた燃料タンク付近では、切れた電気コードの火花が漏れ出したガソリンへ落下した。その結果、巨大な爆発が発生し、三人の悲鳴は空に咲く花火の轟音に飲み込まれた。
留置場での後悔と告白
爆発によって吹き飛ばされた三人は黄泉川に捕縛され、留置場へ送られた。ATMの金も失い、浜面と駒場は黄泉川への不満を口にしていた。しかし半蔵だけは終始沈黙していた。
やがて半蔵は二人へ謝罪すると、黄泉川愛穂に恋をしたかもしれないと打ち明けた。その告白に浜面と駒場は強い衝撃を受けていた。
第二章 北欧神話圏の戦士と踊り子 二月、第一金曜日
ジーンズ切り裂き魔
神裂火織はロンドンのジーンズショップを訪れ、店主に協力を求めていた。しかし神裂が貴重なヴィンテージジーンズを切り刻んで着用していたため、店主は激怒して協力を拒否した。ところが神裂が、巷で噂になっているジーンズ切り裂き魔を追っていると説明すると、店主は態度を一変させた。
切り裂き魔の調査
神裂は犯人が北欧神話に関係する存在である可能性を説明した。二人が話している最中にも、ジーンズを切断された被害者が現れ、その被害の異常さを目の当たりにした。その直後、神裂はハサミのような金属音を察知し、とっさに攻撃を防いだ。
ヴァルキリーの正体
襲撃者の正体は、ビキニ甲冑を身に着けた銀髪の女性であった。その露出度の高い格好に神裂と店主は困惑したが、女性は自らをヴァルキリーと名乗った。そして、人間がヴァルキリーを目指す魔術体系の存在を示しながら、自身もその道を歩んでいることを明かした。
歪んだ理想の追求
ヴァルキリーは、本来の戦乙女の役割を独自に解釈し、色香で優秀な男性を惹きつけ支配することを目的としていた。そのために露出度の高い鎧を選び、自らの美貌を武器として利用していると豪語した。神裂は呆れながらも説得を試みたが、戦闘は避けられなかった。
九人祝いの術式
戦闘中、ヴァルキリーは九人祝いと呼ばれる術式を発動した。足元の影が九つに分かれた後、倒れていた店主の身体を九人の乙女が操るように動かし始めた。ヴァルキリーは、美しさに魅了された男性ほど術中にはまりやすくなり、自分の手駒になるのだと説明した。
店主の陥落
術式の仕組みを理解した神裂は、店主が誘惑に屈して操られていることを知った。店主は抵抗しようとしたものの、ヴァルキリーの誘惑によって完全に心を揺さぶられていた。神裂は容赦なく峰打ちで店主を吹き飛ばし、戦闘を継続した。
犯行の理由
神裂が男性のジーンズばかりを切断していた理由を尋ねると、ヴァルキリーは自分の得意分野が羞恥心を利用した接待であると明かした。男性を羞恥状態に追い込みながら支配することが目的であり、ジーンズ切り裂き事件もその一環であった。神裂はその身勝手な理由に呆れながら、ヴァルキリーへの対応を続けていた。
第三章 父親の願いは接点と交流を二月、第四金曜日
父親の願いとイタリアの露店商
上条刀夜はイタリアのカーニバルを眺めながら土産物を探していた。そこで露店を開いていた少女から、カーニバルや仮面の由来について聞かされた。刀夜は自身が外資系企業の証券取引対策室に所属し、商談を終えた帰りであることを語り、商売に対する考え方を少女へ説明した。
幸運のお守り探し
刀夜はイタリアらしく、さらに開運効果も期待できる土産物を探していた。しかし少女は適当な商品ばかり勧めていた。そんな中、少女は何者かの接近に気づき、慌てて店を畳んで逃走した。そして親と先生と宣教師が嫌いだと言い残して立ち去った。
宣教師リドヴィアとの出会い
直後に現れた修道女リドヴィア=ロレンツェッティは、逃げた少女バルビナを探していた。刀夜はバルビナの居場所を明かさず応対し、自身は土産物を探しているだけだと説明した。リドヴィアはローマ正教の宣教師であり、説教を抜け出して小遣い稼ぎをするバルビナを追っていることを明かした。
息子への想い
その後も刀夜は何度もリドヴィアと遭遇した。会話の中で刀夜は、一人息子が理不尽な不幸に巻き込まれ続けていること、自分は父親でありながら何もしてやれないことへの苦悩を打ち明けた。そして開運グッズに頼る行為すら自己満足かもしれないと自嘲しながらも、息子を助けたいという本心を語った。
リドヴィアの決意
刀夜の話を聞いたリドヴィアは、不可能で困難な状況だからこそやりがいがあると興奮した。そして即座にバルビナを捕まえて連れ戻し、息子の不幸を取り除くための協力を始めた。バルビナも事情を知ると態度を変え、役立ちそうな品々を次々と取り出して刀夜へ渡した。
魔術的な土産の提供
バルビナとリドヴィアは、儀式や詠唱を必要とせず置くだけで効果を発揮する品を選び、刀夜へ渡した。それらは魔術的な品でありながら、普通の土産物として扱える程度に調整されたものであった。さらにリドヴィアは聖書を刀夜へ渡し、どうしても困った時は教会を頼るよう勧めた。
刀夜の感謝
刀夜は神を信じているわけではないと正直に語った。しかしリドヴィアやバルビナのような親切な人々が信じているものなら、自分も信じられるかもしれないと感謝の言葉を伝えた。
リドヴィアの心境の変化
その後、リドヴィアはオリアナ=トムソンと合流すると、刀夜との出会いによって日本人への認識が変わったことを興奮気味に語った。学園都市の人間を敵視していた考えを改め、より穏便で平和的な方法を模索する必要があると主張した。
新たな行動への意欲
リドヴィアは困難を解決することへの意欲をさらに高め、息子の不幸を取り除くための霊装準備や現地調査を進めようとした。過剰な熱意を見せるリドヴィアから逃げ出そうとするバルビナやオリアナであったが、リドヴィアは二人を捕まえ、新たな行動へと引き連れていった。
第四章 七人の内の七番目の実力は 三月、第三金曜日
削板軍覇の乱入
原谷矢文は繁華街を歩いていたところ、不良少年達に襲われて裏路地へ連れ込まれた。財布や携帯電話を奪われた上、縛って時間を稼ごうとする相談まで始まり、追い詰められていた。
そんな中、突然現れた人影が不良達を叱責した。しかし不良の一人は即座に拳銃を発砲し、人影は倒れたものの、すぐに立ち上がった。銃弾を受けても倒れないその人物は、自らを学園都市第七位の超能力者・削板軍覇だと名乗り、根性こそ重要だと熱弁した。
不良達との戦闘
不良達は削板を無視して攻撃を続けた。銃撃や暴行を受けても削板は倒れず、不良達の方が不気味さを感じ始めた。
やがて削板が怒りを爆発させると、彼を中心に大きな衝撃が発生し、不良達はまとめて吹き飛ばされた。削板は本物の根性を見せると宣言したが、その時点で不良達はすでに戦闘不能状態になっていた。
内臓潰しの横須賀の登場
そこへ新たな敵として、内臓潰しの横須賀を名乗る巨漢の男が現れた。横須賀は対能力者戦闘の専門家を自称し、削板へ挑発的な言葉を投げかけた。
しかし削板は横須賀の話をほとんど聞かず、突如放った攻撃によって横須賀を吹き飛ばした。削板は念動力の壁を自らの拳で破壊し、その余波を飛ばす念動砲弾という必殺技だと説明したが、原谷から理論的におかしいと指摘され、自身も仕組みを理解していないことを明かした。
横須賀の敗北
削板は再び同じ技を放ち、横須賀をさらに吹き飛ばした。横須賀は深刻なダメージを受けて立ち上がれなくなり、自らの敗北を悟った。
そして最後に、せめて意義を感じられるような渾身の一撃で決着をつけてほしいと頼んだ。削板は静かに頷いたものの、結局は再びすごいパーンチと叫びながら攻撃を放ち、横須賀はその一撃によって吹き飛ばされたのであった。
第五章 世界に足りないものは何か 四月、第一金曜日
世界に足りないもの
御坂旅掛とイネスの出会い
ブラジルの貧困地域で、東洋人の男・御坂旅掛は拳銃を隠し持った少女イネスに声をかけた。御坂は彼女が借金取りへの復讐と心中を考えていることを見抜き、話を持ちかけた。
イネスは貧困によって未来を奪われた現実を語り、チャンスなど存在しないと訴えた。しかし御坂は、世界に足りないものを示すのが自分の仕事であり、チャンスは見えないだけで身近に転がっていると語った。
不法投棄問題への着目
御坂は、ブラジル国内の不法投棄問題を解決する依頼を受けていると明かした。イネスは、貧しい人々にはゴミ処理に金を払う余裕がないため、不法投棄はなくならないと反論した。
しかし御坂は、不法投棄と貧困を取り巻く環境に足りないものは金だと指摘した。そして、ゴミの山そのものに価値を見出そうとした。
レアメタル回収事業の立ち上げ
その後、高級ホテルのラウンジで行われた取材の中で、イネスは御坂との出会いを振り返った。
彼女は家電ゴミに含まれる集積回路から純金やレアメタルを回収する事業を立ち上げた。当初は設備もなく、手作業で微量の純金を集めるところから始まったが、それを元手に工作機械を開発し、回収効率を高めながら事業を拡大していった。
さらに、集積回路の大きさを超音波で測定し、自動的に分解するアームマシンを開発したことで事業は急成長し、一年も経たないうちに企業へと発展した。
貧困と不法投棄の改善
イネスの事業によって、ブラジル全域の不法投棄は七割以上減少した。人々は道徳心によってではなく、ゴミが金になると知ったことで積極的に回収へ参加するようになったのである。
イネスは、追い詰められた人々にモラルを説いても意味はなく、稼ぐ手段を示すことこそが問題解決につながると語った。
御坂旅掛の残した影響
ライターとの対話を通じて、イネスは御坂旅掛の言葉を思い返した。世界は変えようという意思を持つ者によって変えられること、そして人々に動き出すための力や可能性を示すことが御坂の仕事だったのだと理解した。
イネスは次の目標として、プラスチックや鉄、銅などの再利用技術を確立し、家電ゴミをほぼ完全に資源化することを目指していた。そして御坂もまた、今なお世界と向き合い続けているのだろうと思いを馳せていた。
第六章 美容院にて世間話と核心を四月、第四金曜日
美容室での会話
白井黒子の来店
白井黒子は美容室を訪れたが、店主の坂島道端は携帯ゲーム機に夢中で接客する様子を見せなかった。代わりに新人スタッフ達が慌てて対応し、白井は呆れながらも施術席へ案内された。
坂島は白井の髪を整えながら、縦ロールやアフロなど冗談を交えた提案をしたが、白井は毛先を整えてストレートパーマをかけるよう要求した。
常盤台中学と個人情報管理
坂島は、常盤台中学では美容室を選ぶにも学校の許可が必要だと話した。白井は、髪や血液は遺伝子情報の塊であり、無断で回収されて解析される危険を防ぐためだと説明した。
店内には常盤台中学による多数の監視カメラが設置されており、坂島はその状況を見ながら能力開発研究の話題へ移った。
空間移動能力と能力開発の話題
坂島は空間移動系能力の研究に新たな助成金が投入されるという噂を口にした。白井は、空間移動系能力者そのものが少ないため、研究側が危機感を抱いているだけだと説明した。
さらに、全員が同じ教育課程を受けているにもかかわらず能力が多様に分かれる現象について話し合い、坂島は超能力開発そのものに疑問を呈した。
冷戦時代の超能力研究
坂島は、冷戦時代にアメリカとソビエトが莫大な予算を投じて超能力研究を行った歴史を語った。白井は、それが成果基準すら曖昧なまま進められた失敗計画だったと授業で学んでいた。
しかし坂島は、当時の研究の裏には軍事利用だけでなく、特別な人間や選ばれた人間への憧れがあったのではないかと推測した。
原石という存在への言及
坂島はさらに、冷戦時代の超能力研究が何を手本にしていたのか疑問を呈し、学園都市外にも超能力者の原型となる存在がいた可能性を示唆した。
そこで坂島は、人為的な能力開発によって生まれた能力者とは別に、自然条件の偶然によって能力を獲得した存在である原石の話を持ち出した。白井はその存在を仮説に過ぎないと切り捨て、仮に実在しても極めて稀少な例でしかないと述べた。
それに対して坂島は、落雷のような自然現象は意外と頻繁に起きているのではないかと意味深な言葉を残した。白井は、自分の頭上に雷が落ちるような事例は極めて珍しいと応じたのであった。
第七章 ある黒幕の下準備と後始末 五月、第二金曜日
魔神になれなかった男
人身売買組織の壊滅と子供たちの保護
オッレルスはミラノで人身売買組織を壊滅させたが、その際に保護された約一〇〇人の子供たちを連れて帰ってきた。突然の事態にシルビアは呆れながらも激怒し、子供たちを養う方法も考えずに連れてきたオッレルスを叱責した。
それでも子供たちを放置できなかったため、シルビアは彼らをアパートへ迎え入れた。
少女の恩返しの申し出
保護された少女の一人は、オッレルスへ恩返しがしたいと申し出た。しかしオッレルスは、人助けに見返りを求めてはいないと答えた。
さらに、自分に従ったり働いたりすることを求めれば人身売買組織と変わらないと語り、本当に恩返しをしたいなら自力で幸福を手に入れてほしいと伝えた。自分が望むのは助けた相手が幸せになることだけだと語ったのである。
シルビアが語るオッレルスの過去
少女はオッレルスについて知るため、シルビアへ話を聞いた。シルビアは、オッレルスが本来なら魔神になるはずだった男だと説明した。
オッレルスは神の領域に迫る魔術師だったが、その力は極めて特殊であり、様々な工夫によってようやく扱えるものだったという。誰もが憧れるような地位に手を届かせる寸前まで進んでいた人物だった。
魔神への道を捨てた選択
少女がなぜ魔神にならなかったのか尋ねると、シルビアはその理由を語った。
オッレルスは一万年に一度あるかないかの貴重な機会を目前にしながら、傷ついた子猫を助けるために奔走した結果、その機会を失ったのである。その失敗によって以後も様々な厄介事へ巻き込まれるようになった。
シルビアは、オッレルスが今でもその時の選択を後悔していること、しかし同時に当時はそれが最も正しい行動だと本気で信じていたことを明かした。その愚直さに影響され、自分もまた彼を支えるためにここへ留まっているのだと語った。
新たな証明と旅立ち
子供たちが眠りについた後も、シルビアは疲労を抱えながらオッレルスと会話を続けた。
二人は人身売買組織が取り扱っていた子供たちの一部が「リスト」と一致していたことを確認し、その事実によってある仮説が証明されたと認識した。オッレルスはそれを受けて、再び忙しくなりそうだと呟いた。
恩返しをしたいと願った少女の思いとは裏腹に、オッレルスはその日のうちに街を去った。そして、それ以降戻ってくることはなかった。
第八章 くノ一は突然出現するもの 五月、第四金曜日
半蔵を追う郭の来訪
浜面仕上はスポーツカーの鍵を針金で開けようとしていた最中、突然自分を呼ぶ女性の声を聞いた。声の主はスポーツカーの下から現れた郭という少女だった。
郭は派手に改造された浴衣姿をしており、半蔵の居場所を探していた。浜面は以前から半蔵を追い回している郭のことを知っていたが、その素性についてはほとんど知らなかった。
忍者の末裔という秘密
会話の中で浜面は、郭の格好や半蔵との関係から忍者を連想した。何気なく服部半蔵の名前を口にすると、郭は激しく動揺した。
その反応から、半蔵が忍者の末裔であり、郭も同じ関係者であることが露見した。浜面は忍者同士の陰謀や争いを勝手に想像して盛り上がったが、郭は秘密を知られた以上生かして帰せないと本気で焦り始めた。
忍者らしくない武器への失望
郭は袖の中から拳銃を取り出し、浜面へ向けた。しかし浜面は危機感を抱くよりも、忍者が拳銃を使うという現実に強い失望を覚えた。
郭は忍者は常に最新装備を取り入れてきたと説明し、拳銃の使用も問題ないと力説したが、浜面は分身や煙玉のような忍術を期待していたため納得できなかった。
忍法披露と浜面の敗北
失望した浜面が立ち去ろうとすると、郭は本物の忍法を見せると引き止めた。興味を持った浜面は郭に誘われて路地裏へ向かった。
郭は恥ずかしがりながら忍法を披露しようとしたが、その内容は浜面の想像とは大きく異なるものだった。浜面が動揺している隙を突き、郭は見事に不意を突いて攻撃した。
鈍い音とともに浜面は地面へ倒れ、郭の作戦は成功したのであった。
第九章 電子に現世の関係性は不要 六月、第二金曜日
守護神への挑戦
工山規範はネット犯罪者として活動するハッカーであり、幼少期に偶然パスワードロックを突破したことをきっかけにシステムの脆弱性へ興味を持った。高校生になる頃には高い技術を持つ存在となり、オープンカフェでノートパソコンを使いながらある目的のために行動を開始した。
工山が狙っていたのは、学園都市の治安関係者の間で都市伝説のように語られる凄腕ハッカー『守護神』のシステムだった。知人のハッカーたちが次々と逮捕された事実から、その噂が単なる作り話ではないと確信し、自らの技術を証明するため侵入を決意していた。
侵入準備とハッカーとしての信念
工山はまずショートカットキーに多数のハッキング用プログラムを割り当て、効率的に行動できるよう準備を整えた。彼にとって重要なのは利益ではなく、自らのマスターキーがあらゆる扉を開けられることだった。
周囲では緑色のジャージ姿の女性が無線LANを利用して報告書を書こうとしていたが、工山は無線通信の危険性も理解していない素人だと見下し、自身の作業へ集中した。
守護神との攻防
工山は警備員や風紀委員の情報交換窓口を足掛かりにして守護神のシステムへ侵入した。侵入直後からリンク飛ばしや無限ループ、強制エラーなど数多くの罠が現れたが、工山は危険なコードを見抜きながら次々と回避していった。
それらの罠は守るためというより攻撃者向けの発想で作られており、工山はシステムの構造から守護神の性質を読み取りながら攻略を進めた。同時に、近くの席では花飾りを付けた少女が携帯ゲーム機で通信対戦を行っていた。
突然の切断と違和感
数々の罠を突破した工山は勝利を確信しかけた。しかし突然システムとの接続が切断された。守護神側が侵入を察知し、強制的に電源を落としたのである。
工山は身元までは特定されていないと判断し、自らの技術的優位を確信した。しかし接続が切断された時刻が守護神側にも記録されていることに気づき、その瞬間に発信元を絞り込まれる危険性を悟った。
守護神の正体を垣間見る
工山が異変に気づいた時には既に遅く、防犯カメラや警備ロボットが彼を監視しており、警備員も現場へ到着していた。工山は拘束されながら、わずか数分で自分の居場所が特定された事実に衝撃を受けた。
その時、花飾りを付けた少女が風紀委員の初春飾利であることを名乗り、領収書を受け取っていた。さらに工山は、彼女が通信機能付きの携帯ゲーム機を使用していたことを思い出し、自分との戦いにその端末が利用されていた可能性へ気づいた。
守護神が初春本人である確証はなかった。しかし工山は、実体を掴ませず影だけを見せるその存在に本物のハッカーの姿を見た。手錠を掛けられながら、彼は守護神こそが本物のハッカーであると認めたのであった。
第一〇章 一夜の誘いは乗るか蹴るか七月、第一金曜日
ロンドンの夜と酔っ払いの議論
ロンドンの蒸し暑い夜、上条刀夜は新入社員の田中と仕事終わりの飲み屋を探していた。田中は女性のいる店を求めたが、既婚者である刀夜はそれを拒み続けた。ようやく入った酒場で地ビールと小魚のフライを楽しんでいると、酔った御坂旅掛が同席し、環境問題やアマゾン開発について持論をまくし立て始めた。
御坂は、環境保護を訴えるだけでは問題は解決せず、人々が生活を維持できる仕組みを作る必要があると主張した。刀夜と田中は戸惑いながら話を聞いていた。
金髪女性への誤解
店内の奥には金髪碧眼の女性が一人で酒を飲んでいた。彼女を見た田中は声をかけようとするが、御坂は彼女を娼婦だと断言した。
その言葉を信じた田中は勢いよく女性のもとへ向かい、挨拶もなく料金を尋ねた。しかし女性はただの会社員であり、田中は強烈な拳を股間に受けて撃沈した。御坂の勘違いだったことが判明し、刀夜は女性に謝罪する羽目になった。
平凡な人生への持論
刀夜は、自分たちのような普通の会社員は危険な冒険に手を出すべきではないと語った。ロンドンの酒場で見知らぬ女性に声をかけるような行動は、トラブルを招くだけだと田中を諭した。
一方で御坂は『原石』について話題を振ったが、刀夜は深く取り合わず、自分の息子のようなトラブル体質にはなりたくないと考えていた。
手錠の少女と黒服たちの襲来
そんな中、以前駅で見かけた薄着の少女が刀夜の前に現れた。刀夜は彼女を思い出したが、すぐに少女の手首に繋がれた手錠と、もう片方が固定されたアタッシュケースに目を奪われた。
御坂は少女を見て原石だと口にした。その直後、店の扉が蹴破られ、黒服の集団が乱入した。しかし少女は圧倒的な力で彼らを一撃で薙ぎ払い、刀夜に危険はないと告げた。
逃走する刀夜と田中
危険を察知した刀夜は即座に裏口から逃走し、田中も一緒に店を飛び出した。刀夜は、自分の言った通り普通ではない出来事に関わった結果だと嘆いたが、田中はそもそもトラブルを連れてきたのは刀夜だと反論した。
さらに後ろを振り返ると、手錠とアタッシュケースを付けた少女まで追いかけてきていた。刀夜は自分が元凶であることを認めざるを得なくなった。
刺激的なロンドンの夜の始まり
刀夜は力を合わせれば何とかなると前向きな言葉を口にしたが、田中は具体的な勝算が見えないと即座に否定した。それでも刀夜は妻との過去の経験を引き合いに出し、田中を呆れさせた。
こうして刀夜、田中、そして謎の少女を中心とした騒動が始まり、ロンドンの刺激的な夜はさらに深まっていったのであった。
第一一章 例外はどんな分野にでもある七月、第二金曜日
雲川芹亜と『原石』の議論
昼休み後の食堂で、雲川芹亜は椅子を並べて昼寝をしていた。教師に注意されても気にせず、教師が急用の電話で慌ただしく立ち去ると、携帯端末を手に取り見積継敏との会話を始めた。
話題は近頃騒がれている『原石』だった。見積は世界各国が独自に原石のリスト作成を進めている現状を懸念していたが、雲川は放っておいて構わないと断言した。
学園都市と外部機関の差
雲川は、アメリカやロシアが原石を集めたとしても、そのデータの意味を理解できない以上、学園都市に追いつくことはできないと説明した。
例としてロシアの超能力研究を挙げ、祈りによって力を発動する能力者を科学研究の成果として扱っている時点で、科学とそれ以外の区別すら曖昧になっていると指摘した。研究の方向性そのものを見失っている以上、学園都市には到達できないと判断していた。
原石への対処方針
雲川は、原石の総数は世界でも五十人程度しか存在しない希少なものであり、自称研究機関や学者たちの方が圧倒的に数が多いと語った。
そのため、原石そのものよりも、それを利用しようとする組織や研究者への対処を優先すべきだと結論づけた。見積は完全には納得していなかったが、雲川は自ら確証を集めればよいと突き放した。
原石の正体への考察
見積は原石とは何なのかを改めて問いかけた。学園都市の能力開発が人工のダイヤモンドなら、原石は自然界で同じ条件が偶然成立した天然のダイヤモンドのような存在であることは理解していたが、その本質に疑問を抱いていた。
雲川は、学園都市第七位や吸血殺し、幻想殺しのような存在を例に挙げ、原石の特徴は強力さではなく極端な希少性にあると説明した。その上で、幻想殺しについては単純に原石という枠組みに収めるべきではなく、自分たちの想像以上に興味深い存在だと語った。
考えること自体が仕事であり楽しみでもあると述べた雲川に対し、見積はその様子を楽しそうだと評した。
放課後の上条当麻との遭遇
場面は放課後へ移り、多くの生徒が帰宅や部活動へ向かう中、ツンツン頭の少年が歩いていた。しかし突然、彼の頭上のスプリンクラーだけが誤作動し、一人だけずぶ濡れになってしまった。
そこへ現れた雲川は、その光景を見て笑いながら相変わらず意味不明な状況になっていると声をかけた。少年は自分が不幸だからだと返したが、雲川はその不幸の仕組みを調べれば面白い法則が見つかるかもしれないと興味を示した。
そして、自分は今の生活を愛していると語り、この学校には様々な刺激が溢れているからだと笑いながら締めくくった。
第一二章 狙撃手と爆弾魔による討論七月、第四金曜日
狙撃とミサイルを巡る論争
三日前、狙撃手として生計を立てる砂皿緻密は、同業者のステファニー=ゴージャスパレスから狙撃は無駄が多く時代遅れだと批判されていた。
二人は超能力開発機関を名乗る詐欺で資金を集めていた標的の暗殺について話し合っていたが、砂皿が狙撃による確実な始末を想定していたのに対し、ステファニーはミサイルランチャーを使えば爆風で簡単に仕留められると主張した。砂皿は邪道だと評したが、ステファニーは標的さえ確実に殺せれば問題ないとして、新型の携帯式ミサイルランチャーを用いる方針を貫いた。
暗殺失敗と報酬問題
現在、ステファニーは標的の暗殺に失敗したことで落ち込んでいた。テレビでは標的が奇跡の生還を果たしたと報道されており、彼女はミサイルで護衛ごと吹き飛ばしたにもかかわらず、相手側が死亡の事実を隠しているのだと訴えた。
しかし砂皿は、標的だけでなく周囲もまとめて吹き飛ばしたため死体の確認ができず、生死をごまかされる余地を与えたのだと指摘した。依頼人にとって重要なのは標的が物理的に死んでいることではなく、社会的に生きている状態を消し去ることであり、そのためには言い逃れのできない形で確実に殺害する必要があると説明した。
狙撃の有効性の説明
砂皿は、自分たちが厳重な警備の中でも標的の頭部を狙撃するのは、誰の目にも明白な死を示し、言い訳を不可能にするためだと語った。
古典的な狙撃が現代でも用いられているのは、それが依然として有効な手段だからであり、派手な爆破よりも確実性に優れていると断じた。そしてステファニーの失敗を、間抜けを通り越して馬鹿だと厳しく非難した。
標的の再暗殺を決意
砂皿は、この失敗によって依頼人から逆恨みされる危険が生じた以上、生き残るためには標的を改めて殺すしかないと告げた。
さらにテレビに映る標的の姿を見て、本人の個性や振る舞いに違和感がなく、生存している可能性が高いと判断した。もし本当に爆死していたなら影武者である可能性もあるが、標的は死亡したように見せかけることで追跡を避けようとしているのだろうと推測した。
後始末への出発
標的が表舞台に姿を見せたことで再び狙撃できる機会が生まれたと考えた砂皿は、ステファニーの未熟な腕前が結果的に生き残る機会を与えたのだと皮肉を口にした。
そして、自分の殺しに確信を持てない殺し屋は低俗だと辛辣に言い放ちながら、報酬も得られないまま、ステファニーが撃ち漏らした標的の後始末をするため狙撃へ向かう決意を固めたのであった。
第一三章彼女達の集団的占いの精度 八月、第四金曜日
妹達の占い談義
病院の臨床研究エリアにある待合所で、ミサカ一〇〇三二号、一〇〇三九号、一三五七七号、一九〇九〇号の四人は、雑誌の星座占いを眺めていた。
転職運や恋愛運、ラッキーアイテムなどの内容を確認しながら、それらが本当に役立つのか疑問を口にした。だが話はやがて、そもそも自分たちの誕生日をいつと定義するべきなのかという問題へ発展した。
誕生日の定義を巡る議論
妹達は製造年月日を基準にするべきか、それとも培養期間を考慮するべきかについて議論を始めた。
培養機材から取り出された日を誕生日とする考えや、製造計画が承認された日を基準とする考え、人間の受精や精子形成になぞらえる意見まで飛び出し、話はさらに複雑になっていった。
その後も量産能力者計画と絶対能力進化計画のどちらを起点とするべきか、天井亜雄製〇〇〇〇〇号の存在などにも話題が及び、結論はまとまらなかった。
血液型占いによる新たな騒動
星座占いでは答えが出ないと判断しかけた一〇〇三二号は、新たに血液型占いの記事を発見した。
全員がAB型であることから、自分こそが最も恋愛運に恵まれていると主張し始め、雑誌を奪い合い、髪や服を引っ張り合う騒ぎへ発展した。
同じ顔を持つ少女達は、互いに張り合いながら大騒ぎを続けていた。
看護師と医者の観察
少し離れた場所でその様子を見ていた若い看護師は、ミサカネットワークで結ばれているはずの妹達がなぜ口論しているのか疑問を抱いた。
カエル顔の医者は、普通の人間は複数の選択肢を一つに絞って行動する必要があるが、妹達は一つの巨大な意志を共有しながらも複数の肉体を持つため、異なる選択を同時に実行できるのだと説明した。
その結果、同じミサカでありながら個々に異なる行動傾向を持ち、会話や喧嘩まで行うようになっているのだと語った。
個性への期待
看護師が騒ぐ妹達を見つめる中、カエル顔の医者は彼女達が同じ存在でありながら、それぞれ異なる行動を取るようになった現状を肯定的に捉えていた。
そして、その変化がさらに成長し、やがて個性と呼べるものになることを願うのであった。
第一四章門番と侵入者は踊り踊られ九月、第三金曜日
初春飾利と『書庫』への侵入者
放課後、風紀委員活動第一七七支部でクッキーを食べていた初春飾利は、学園都市の『書庫』へ不正アクセスを試みるデータの存在に気づいた。
現在の『書庫』は、風紀委員の大型サーバーを経由する仕組みに変更されていたが、その侵入者は回り道を無視して直接アクセスしていた。しかも単純なセキュリティの穴を突く方法ではなく、初春が塞いだはずの防壁を別の手段で突破していたため、初春は能力者による高度なハッキングだと判断した。
御坂美琴による侵入作業
一方、駅のベンチに座る御坂美琴は、自身の電子制御能力とコンピュータ技術を組み合わせて『書庫』への侵入を進めていた。
能力だけに頼るのではなく、通常のハッキング技術と使い分けることで次々と防壁を突破していく。美琴は目的のデータを探すため、最後のセキュリティ解除に成功した。
初春による侵入者の分析
初春は侵入データの流れを観察し、相手の能力の正体を探ろうとした。
思考を読み取られているわけでもなく、情報そのものを直接操作されているわけでもないことから、電子を操る能力者である可能性にたどり着く。しかし学園都市には同系統の能力者が多く存在するため、そこから先の特定には至らなかった。
初春はわずかな情報から侵入者のシステム全体を推測しようと試みたが、相手の高度な手法により能力の仕組みまでは読み切れず、対策を立てられずに苦戦した。
『オメガシークレット』による反撃
目的のデータを探していた美琴は、『書庫』内のデータが突如として猛烈な勢いで暗号化され始めたことに気づいた。
使用されていたのは極めて解読困難な乱数暗号『オメガシークレット』であった。一度暗号化されると、どんな小さなファイルでも解読に二百年を要する特殊な暗号であり、『書庫』全体が対象となったことで事実上データの取得が不可能になった。
さらに、膨大なデータを丸ごと持ち出そうとしても現実的ではなく、管理用ファイルまで暗号化される徹底ぶりに、美琴は相手の異常な手段に驚愕した。
美琴の撤退と初春の勝利
相手がバックアップデータすら躊躇なく利用する危険な存在だと判断した美琴は、これ以上の深入りを避けて撤退を決意した。
一方の初春は侵入者が退いたことを確認し、得られた攻撃パターンを今後の防壁強化に活用しようと考えた。能力者による侵入であっても、その例外部分を突き止めて塞げば防御は可能だと確信し、自らの成長の糧にしようとしていた。
白井黒子の説教宣言
初春が作業を終えて再びクッキーに手を伸ばそうとした時、同僚の白井黒子が支部へ現れた。
俯いたままの白井は初春を呼び、やり過ぎだから説教すると静かに告げたのであった。
第一五章 芸術は天才と変人を分ける 一〇月、第一金曜日
神裂火織の誘惑と葛藤
ロンドンの女子寮の食堂で、神裂火織は刀の鞘を装飾する広告チラシを前に心を揺らしていた。
黒鞘に物足りなさを感じていた神裂は、美しい装飾見本に惹かれながらも、天草式十字凄教の考え方との兼ね合いに悩んでいた。さらに甲冑を宣伝する別のチラシまで目に入り、普段着への導入まで考え始めたが、そこで我に返り、本来の目的へ意識を戻した。
密かな鯛茶漬け作り
神裂は食堂から業務用設備の並ぶ台所へ移動し、冷蔵庫に保管していた鯛のアラを取り出した。
食事当番の際に確保しておいた鯛の身を使い、残りご飯の上へ乗せると、鯛の骨や頭から取った出汁を注ぎ、自分だけの鯛茶漬けを完成させた。神裂にとってそれは特別な好物であり、完成した鯛茶漬けを前に一人で喜びを噛み締めていた。
深夜の鯛茶漬け防衛戦
神裂が食べ始めようとした瞬間、美味しそうな匂いに反応したシスター達の声が上階から響いた。
鯛茶漬けは一人分しかなく、分け与えることもできなかったため、神裂は奪い合いを避けるべく熱い鯛茶漬けを一気に食べ切った。さらに証拠を隠すために食器を片付け、出汁を処分し、消臭スプレーまで使用した。
直後にアンジェレネを先頭とするシスター達が台所へ押しかけたが、神裂は何も知らないふりを貫いた。一方で、自身の口元に残っていたご飯粒を慌てて処理していた。
アンジェレネの芸術作品
匂いの正体を探していたアンジェレネは、チョココロネへ六本のフォークを突き刺した奇妙な作品を披露した。
アンジェレネは、それが空腹による怒りと、その怒りがさらなる空腹を生む感情を表現した芸術作品だと説明した。ルチアは食べ物を粗末にしたことに呆れながらも話を聞いていた。
シェリーの芸術評価
そこへシェリー=クロムウェルが現れ、アンジェレネの作品を見るなり芸術作品として高く評価した。
シェリーは作品を様々な角度から観察したいと申し出て受け取り、翼のように配置されたフォークの意味を考察しながら感心していた。ルチアは呆れつつもそれを見守り、周囲のシスター達も芸術談義に巻き込まれていった。
神裂の疑問
騒ぎが収まり、シスター達が台所を後にした後、神裂も一緒に廊下を歩きながらその場を離れた。
しかし神裂は、いつの間にか鯛茶漬けの話から芸術の話題へ移っていたことに気づき、なぜその流れになったのか不思議に思うのであった。
第一六章 母に見えないのには訳がある 一〇月、第一金曜日
御坂美鈴と上条詩菜のプール談義
スポーツジムで泳ぐ御坂美鈴
神奈川県の会員制スポーツジムにある室内プールで、御坂美鈴は日課として泳いでいた。
大学の講義後に運動を続けている美鈴は、周囲の利用者を圧倒する速度で泳いでいたが、自身が着用している高性能水着が水の抵抗を減らしすぎていることに不満を抱いていた。本来は運動のために泳いでいるにもかかわらず、水着の性能によって運動効果が薄れていると感じていたのである。
上条詩菜との再会
プールサイドから声をかけてきたのは上条詩菜だった。
パラグライダーを趣味とする詩菜は肺活量を鍛えるためにプールへ通っており、美鈴は会話の最中も詩菜の若々しい体つきを見て密かに羨望を抱いていた。自分も十分若々しい外見を保っているものの、詩菜は特別な努力をしているように見えないにもかかわらず瑞々しさを保っており、その差を実感していた。
夫たちの不在を語る母親同士
泳ぎ終えた二人はプールサイドで談笑した。
美鈴は所在の分からない状態になっている夫について語り、詩菜も海外出張を繰り返し奇妙な土産を持ち帰る夫について話した。二人は夫たちの行動を冗談交じりに語りながら笑い合っていたが、実際に彼らが世界各地で様々な騒動へ巻き込まれていることは知らなかった。
子供たちの学校生活の話題
会話はやがて子供たちの学校生活へ移った。
中間試験が廃止されたことや、御坂美琴や上条当麻の成績について語り合った二人は、こうした話題になると自然と母親らしい会話になることを改めて実感していた。
超能力の才能への疑問
美鈴はふと、超能力の素質は何によって決まるのかと疑問を口にした。
遺伝によるものだとすれば、自分も美琴と同じ能力開発を受ければ電気を操る力を得られるのではないかと考えたのである。そして世の中には本人も気づかないまま優れた才能や特殊な能力を持っている人が数多くいるのではないかと思いを巡らせた。
それは派手な超能力だけではなく、勘の良さや文字の美しさ、若々しい外見といった日常的な特徴にも何らかの法則があるのかもしれないと考えていた。
夢のある結論
詩菜から学園都市の大学へ編入してみてはどうかと提案された美鈴だったが、自分の年齢では能力開発用の時間割には参加できないと笑った。
結局、超能力の素質が何によって決まるのかという真相は分からなかった。しかし美鈴は、世の中にはまだ知られていない才能や可能性が数多く眠っているのかもしれないと考え、その方が夢があると感じていたのであった。
第一七章 B級の映画と未研磨の原石 一〇月、第一金曜日
絹旗最愛の映画鑑賞作戦
R15映画を見るための依頼
『アイテム』で下働きをしていた浜面仕上は、絹旗最愛から年齢を偽るための身分証を用意してほしいと頼まれた。
理由を尋ねた浜面に対し、絹旗はR15指定映画を鑑賞するためだと明かした。こうして浜面は、絹旗の映画鑑賞に付き合うことになった。
秘密の映画館への潜入
映画好きの絹旗は、表通りから何度も裏道へ入り込んだ先にある単館上映専門の映画館へ浜面を連れて行った。
そこは一般人がまず訪れないような場所で、上映作品も極めてマイナーなものばかりだった。絹旗は浜面を同行させることで年齢確認をごまかそうと考えており、二人は無事に館内へ入ることに成功した。
公開初日の特別感
上映室に入った二人だったが、公開初日にもかかわらず観客は誰もいなかった。
その事実に絹旗は大喜びし、自分だけが作品の価値を理解しているかのような気分に浸った。一方の浜面はその熱狂ぶりに呆れながらも、ポップコーンや飲み物を買って上映開始を待っていた。
B級映画論
映画が始まると、浜面は安っぽい特殊メイクのゾンビだらけの映像に戸惑った。
しかし絹旗は、B級映画は見た目の豪華さではなく、限られた予算や人員の中で作り手が工夫した部分に価値があると語った。大作映画とは違う魅力があり、時にはそちらの方が心に残ることもあるのだと説明した。
才能について考える浜面
絹旗の話を聞きながら、浜面は自分たちにも通じるものがあると考えた。
世の中には才能を発揮する機会を得られない人々が数多く存在し、本来なら大きな可能性を持ちながら埋もれてしまう者もいるかもしれないと思いを巡らせた。無能力者と判定された自分や、絹旗のような存在もまた別の環境なら違う未来があったのではないかと考え、映画の中の刑事の姿に重ね合わせていた。
絹旗の辛辣な評価
浜面が映画への理解を深めかけたその時、絹旗は突然、この映画は超つまらないと切り捨てた。
映画の魅力を熱弁していた当人の言葉に浜面は衝撃を受けた。絹旗はパンフレットの段階では面白そうだったが、実際に観ると期待外れだったと平然と語り、映画は実際に観なければ分からないものだと結論づけた。
ヒロインの運命と賭け
さらに絹旗は、作品のヒロインが近いうちに死ぬと予想した。
浜面は反発し、ヒロインは生き残ると主張して賭けに応じたが、その直後にヒロインはゾンビに襲われて致命傷を負った。予想を的中させた絹旗はガムを獲得し、浜面は頭を抱えることになった。
こうして二人の映画鑑賞は、絹旗の冷静すぎる分析と浜面の落胆によって締めくくられたのであった。
第一八章 その名を継ぐにふさわしき 一〇月、第一金曜日
半蔵と郭の対立
郭の追跡と再興への執念
第二二学区の風力発電施設群の中で、郭は半年近く追い続けた半蔵をついに見つけ出した。
郭は服部家と伊賀の再興を目的として半蔵を追っていたが、半蔵はその考えを否定した。忍びの本質は高潔な家柄ではなく、雑草や害虫、脇役のように風景へ溶け込みながら生きることにあると説き、目立つ存在になろうとする郭の思想を危険視した。
決裂と戦闘開始
互いに理解し合えないと悟った郭は、半蔵を力で従わせると宣言した。
拳銃を捨て、より単純な武器を選んだ郭は鎖鎌を構えた。一方の半蔵は打ち根を手にして一気に間合いを詰め、遠距離戦を得意とする鎖鎌の長所を封じながら攻撃を続けた。
郭の策と半蔵の対応
防戦を強いられた郭は風力発電施設の鉄柱を利用して距離を取った。
さらに浴衣を脱ぎ捨てて囮に使い、鎖鎌を振り回して反撃の機会を作り出した。郭は口真似で鎖を放つ音を再現し、半蔵の重心を崩すことに成功する。そして本命の鎖を放ち、半蔵の腕を捕らえたと確信した。
半蔵の逆転
しかし郭が捕らえたのは半蔵の腕ではなく、腕を抜いて空になった袖だった。
半蔵は服の中へ右腕を隠して郭の狙いを外させ、その隙に一気に踏み込んだ。郭は防御しようとしたが間に合わず、決定的な距離まで接近を許した。
眼前に迫る半蔵を見た郭は笑みを浮かべ、その実力を称賛した。半蔵は最後の瞬間に打ち根ではなく拳を使い、郭を気絶させて戦いを終わらせた。
半蔵の複雑な思い
倒れた郭を見下ろしながら、半蔵は忍びとは異なる彼女の生き方を思った。
一つの目的のためなら死も厭わない郭の姿勢は武士道に近いものであり、雑草や脇役として生きる忍びの在り方とは相容れなかった。半蔵は忍びとしての生き方を理解していながらも、どこか後味の悪さを感じていた。
原石のリストの発見
郭の身体に浴衣を掛けようとした半蔵は、袖の中から一枚のレポートを見つけた。
そこには学園都市で噂される天然の能力者である原石のリストが記されていた。郭は原石を集めて新たな忍術集団を作ろうとしていた可能性があった。
しかし半蔵が疑問を抱いたのは別の点だった。広範囲の情報収集を得意としない郭が、なぜ学園都市の機密文書を持っているのか理解できなかったのである。
誰かが郭を利用して何らかの目的を果たそうとしていたのではないかと考えた半蔵だったが、その正体も狙いも分からなかった。学園都市で何が起きているのかという疑問だけが残り、半蔵は手の中のレポートを握り締めた。
第一九章 輝く原石と血みどろの利権 一〇月、第二金曜日
原石を巡る脅威
貝積邸での情報交換
雲川芹亜は、学園都市統括理事会の一員である貝積継敏の豪華なホームシアターで、通信越しの男から話を聞いていた。
男は、世界各地で原石が研究対象として狙われ始めている件について、自分たちは関与していないと主張した。貝積と雲川は、インドやオーストリア、タイ、アルゼンチンなどで活動する組織群について調査していたが、それらの組織同士に直接の繋がりは確認できなかった。
CIAの暗躍の発覚
しかし雲川は、各組織へCIAの工作員が二名ずつ潜入している事実を突きつけた。
独立しているように見える組織群は、工作員を介して密かにネットワーク化されていたのである。男が反論を試みたものの、雲川は聞くことなく通信を切断した。
原石研究の危険性
通信終了後、貝積は今後の危険性について雲川へ意見を求めた。
雲川は、それぞれの組織が独自に能力開発技術を完成させる可能性は極めて低いと判断していた。しかし、スターゲート側が各組織の失敗データを収集し統合すれば、そこから成果を得ようとする可能性があると指摘した。
それでも成功の可能性は極めて低く、最終的には失敗するだろうと予測した。しかし失敗に至るまでの過程で、原石達が消費され続ける危険性は残ると警告した。
子供達を守るための議論
貝積は問題の本質が原石ではなく、才能を持つだけの子供達の命であると語った。
能力開発の知識を持たない組織が研究を始めれば、思い込みや偏見から原石達に深刻な危害を加える恐れがあった。過去に雲川は、原石達を学園都市へ保護する案を提案していたが、貝積はそれぞれの生活を尊重して実行しなかった経緯があった。
その結果、今や世界各地で原石の捕獲作戦が始まろうとしていた。
世界規模での対抗策
貝積は、世界同時に進行する捕獲作戦を阻止する方法を雲川へ尋ねた。
雲川は、日本から人員を派遣するだけでは間に合わないと認めつつも、世界各地に存在する学園都市協力機関を活用すれば同時対応は可能だと説明した。
しかし貝積は、協力機関の多くは企業や資源提供団体であり、即座に武力行動を取れる組織は少ないため、五十人前後の原石を短期間で保護するのは難しいと指摘した。
妹達の投入提案
その懸念に対し、雲川は別の切り札を提示した。
借りを作ることになるが、カエル顔の医者へ協力を求めるべきだと語った。そして、同じ顔をした少女達に戦ってもらうだけだと告げ、原石保護のための新たな対策を示した。
第二〇章 複数同時悲劇への対応とは 一〇月、第二金曜日
世界各地で進行する妹達の制圧作戦
各国研究機関への同時突入
妹達は世界各地へ展開し、原石を研究対象としていた組織への同時制圧作戦を実行していた。
イギリス、スイス、メキシコ、アルゼンチン、フィリピン、インド、中国、ベネズエラ、カナダなどの施設に侵入し、武装警備員の排除や研究設備の破壊、電源の切断、重要区画への突入を進めていた。反撃や攻撃ヘリ、戦車などによる抵抗も発生していたが、妹達は各地で作戦を継続していた。
抵抗勢力の排除と施設制圧
タイ、ポーランド、イタリア、スペイン、韓国、フランス、ブラジルなどでも作戦は続行されていた。
妹達は抵抗勢力や暗殺者、研究員や首謀者達を制圧しながら施設の深部へ進み、研究活動そのものを停止へ追い込んでいた。各個体は淡々と報告を行いながら、それぞれの任務を遂行していた。
原石の発見と保護開始
グアテマラ、スロベニア、ノルウェー、フィンランド、オーストラリア、ポルトガルでは、妹達が原石達の発見に成功した。
研究施設内部で保護対象を確保し、安全な場所への移送や施設からの脱出を実施した。原石達の身の安全を確保した個体も現れ、世界各地で保護作戦は着実に成果を上げていた。
学園都市からの緊急報告
各地の妹達が作戦成功を報告する中、学園都市にいるミサカ一〇〇三二号から緊急報告が入った。
他の妹達が理由を尋ねると、一〇〇三二号は侵入者の存在を報告した。侵入者は一人であり、その目的は学園都市最大の原石であり第七位の超能力者を狙うことだと伝えた。
その報告によって、世界規模の原石保護作戦の最中に、学園都市でも新たな脅威が発生していることが明らかになった。
第二一章 正体など判断できない者達 一〇月、第二金曜日
オッレルスと削板軍覇の激突
妹達を倒したオッレルスの目的
第一一学区のコンテナ地帯では、妹達九人が倒されていた。その中心には、無傷のまま立つオッレルスの姿があった。
そこへ学園都市第七位の超能力者である削板軍覇が現れた。削板は妹達を容赦なく倒したオッレルスを非難したが、オッレルスは自分なりの理由があると語った。
彼は、学園都市が世界中の原石達を回収すること自体は止めないものの、原石達が研究材料として利用される危険性を危惧していた。そのため学園都市への牽制として、第七位であり最大の原石でもある削板を倒し、自らの意思を示そうとしていた。
削板軍覇の怒りと先制攻撃
オッレルスの話を聞いた削板は、その覚悟自体は認めながらも、妹達が自分を守るために命懸けで戦った可能性を口にした。
命を懸けるほどの義理はないが、自分も根性を見せると決意した削板は、一気にオッレルスへ踏み込み、その顔を掴んでコンテナへ叩きつけた。
音速の二倍にも達する攻撃によってコンテナ群は崩壊したが、オッレルスは無傷のまま立ち上がった。
説明不能の力による反撃
削板が再び接近を試みると、オッレルスは正体不明の力を発動した。
削板は何が起きたのか理解できないまま吹き飛ばされ、全身へ均等なダメージを受けた。さらに起き上がろうとした瞬間も、原因不明の現象によって再び吹き飛ばされた。
オッレルスは、最も恐ろしい攻撃とは説明のできない力であると語った。剣や銃のように理解できる攻撃なら対処できるが、仕組みも条件も分からない力には対応できないと説明した。
そして、不完全ながらも北欧王座の力を用いた攻撃によって、削板を戦闘不能にしたと判断した。
立ち上がる根性
オッレルスは、自分と削板の違いは説明のできない力を自覚しているかどうかだけだと語り、目的を果たしたとして立ち去ろうとした。
しかしその時、満身創痍の削板が再び立ち上がった。
削板は勝手に根性無し扱いするなと怒りを露わにし、根性は強弱や優劣で失われるものではないと叫んだ。そして傷つけられた少女達のために戦うと宣言し、再び前へ進んだ。
怪物同士の再激突
得体の知れない力に包まれた削板は、その勢いのままオッレルスへ突進した。
一方のオッレルスは笑みを浮かべながら、再び北欧王座の力を発動した。
説明不能の力を操るオッレルスと、第七位の超能力を持つ削板軍覇が正面から激突した。
第二二章 個人にその結末は掴めない 一〇月、第二金曜日
ジョージ=キングダムの敗北
原石強奪計画の崩壊
スターゲート計画の実質的指導者であるジョージ=キングダムは追い詰められていた。
彼が極秘裏に進めていた原石強奪計画では、世界各地の五〇以上の研究機関が原石の確保を目指していた。しかし、それらの施設は成果を上げる前に何者かによって同時に壊滅させられ、計画は完全に崩壊した。
上院議会からの処罰や自身の身の危険を感じながらも、ジョージの頭を占めていたのは、世界中の施設を襲撃した存在の正体だった。
量産された少女達の正体
ジョージは各地の報告を統合した結果、全く同じ顔をした少女達が世界中で同時に襲撃を行っていた事実に困惑していた。
その時、無線を通じて雲川芹亜から連絡が入った。ジョージは同じ顔の少女達を見て量産化を察したが、雲川は体細胞を使った人間の製造が国際条約で禁じられていることや、軍事行動を行った少女達への配慮について語った。
ジョージは、自分が決して踏み込んではならない領域へ足を踏み入れてしまったことを悟った。
ジョージ=キングダムの最期
やがて少女の声が響いた。
絹旗最愛は、久しぶりの現場復帰にもかかわらずジョージの相手をさせられたことに不満を漏らしながらも、仕事が終われば映画を観に行こうと語った。
ジョージは振り返ることすらできず、その場で決着を迎えた。
削板軍覇の敗北と決意
一方、削板軍覇は激戦の跡が残る第一一学区で倒れていた。
コンテナ群は崩壊し、地面も大きく破壊されていたが、それほどの戦いを経ても削板はオッレルスに勝てなかった。
オッレルスは削板より圧倒的に強く、さらに手加減すらしていた。削板はその事実を正しく理解しながらも、世界には自分の知らない強者がまだ数多く存在することに純粋な感動を覚えていた。
そしてゆっくりと立ち上がった削板は、根性を入れ替えて鍛え直そうと決意した。
御坂旅掛とアレイスターの会話
アリゾナの砂漠では、御坂旅掛がアレイスターと電話で会話していた。
旅掛は今回の騒動について、世界中に散らばっていた可能性が学園都市へ集められた結果、超能力開発成功への手掛かりが断たれたと指摘した。
さらに、世界各地で同じ顔の少女達が目撃されていることや、その少女達が自分の娘に酷似しているという情報について問い質した。
アレイスターは明確な回答を避けたが、旅掛はもし妻や娘に手を出していた場合は敵に回ると警告した。アレイスターは一介の人間が自分にどう立ち向かうのかと問い返したが、旅掛は世界に足りないものを示すのが自分の仕事だと語り、その忠告を残した。
シルビアの待ち人
その頃、シルビアはアパートメントで掃除をしていた。
保護された子供達の多くは新たな生活を始めていたが、数人は自らの意思でアパートメントに残り、ある人物の帰りを待っていた。
シルビア自身も帰国命令を受けながら、なぜかその場所を離れる気になれずにいた。
そんな中、窓の外に何かを見つけた彼女は掃除機を置いて玄関へ向かい、扉を開けると、いつものように帰ってきた相手へ向かって、お帰りと声をかけた。
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