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アラフォー賢者の異世界生活日記フィクション(Novel)読書感想

「アラフォー賢者の異世界生活日記 6 巻」子供達は狩りへ旅立つ ネタバレ

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アラフォー賢者の異世界生活日記

アラフォー賢者5巻レビュー
アラフォー賢者まとめ
アラフォー賢者7巻レビュー

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  1. どんなラノベ?
    1. ■ 主要キャラクター
    2. ■物語の特徴
  2. 前巻からのあらすじ
  3. 読んだ本のタイトル
  4. あらすじ・内容
  5. 感想
  6. 考察・解説
    1. ホムンクルス培養の開始
    2. サムトロールの自滅
    3. 悪魔の錠剤の脅威
    4. 勇者の苦悩と不信
    5. 小国家同盟と回復魔法
    6. 子供たちの初狩猟体験
  7. 登場キャラクター
    1. 転生者・地球の人物
      1. ゼロス・マーリン(大迫聡)
      2. イリス
      3. 榎村樹(エロムラ / オルフェウス十三世 / ラインハルト十三世)
      4. アンズ(桃忍)
      5. アド(安藤俊之)
      6. リサ
      7. シャクティ
      8. 姫島佳乃
      9. 岩田定満
      10. 笹木
      11. 田辺勝彦
      12. 一条渚
      13. 風間卓実
      14. ボッチ・モン(ハイスピード・ジョナサン)
      15. 携帯ゲーム機を操作する少年
      16. 少年を訪ねてきた女性
      17. 勇者達
    2. ソリステア大公爵家
      1. デルサシス・ヴァン・ソリステア
      2. ツヴェイト・ヴァン・ソリステア
      3. セレスティーナ・ヴァン・ソリステア
      4. クロイサス・ヴァン・ソリステア
      5. ミスカ
    3. イストール魔法学院
      1. ディーオ
      2. サムトロール
      3. ウルナ
      4. イー・リン
    4. 教会・養護院
      1. ルーセリス
      2. メルラーサ
      3. ジョニー
      4. アンジェ
      5. ラディ
      6. カイ
      7. カエデ
    5. 傭兵ギルド・傭兵・商人・村人
      1. ジャーネ
      2. レナ
      3. ベラドンナ
      4. クーティー
      5. 武器屋のオヤジ
      6. モブ村の宿のおばちゃん
      7. 傭兵ギルドの受付嬢
      8. 女性傭兵
      9. バーテンダー
      10. 解体作業をしている職員
      11. 青年傭兵
      12. ケイン
    6. メーティス聖法神国・四神教
      1. ミハロウフ・ウェルサピオ・マクリエル法皇七世
    7. 諸国の大使・関係者
      1. ザザ
    8. 裏組織・犯罪者
      1. 血統主義派の者達
    9. 魔物・聖獣・その他
      1. コッコ達(ウーケイ、ザンケイ、センケイ、ブラック・コッコ、クロオビ・コッコ、ケンドー・コッコ)
      2. スレイプニール
      3. スケルトン・フォー
      4. ドドン・トード
      5. マダラオーク
      6. ビッグ・ボア
      7. ロック・シェル
      8. ホーンビートル
      9. フォレストラビット
      10. スライム
      11. ゴブリン
  8. 展開まとめ
    1. プロローグ おっさん、ホムンクルス培養を始める
    2. 第一話 逆恨み的復讐者
    3. 第二話 サムトロールの異常
    4. 第三話 異界の扉はたまに開く
    5. 第四話 勇者への勅命
    6. 第五話 おっさん、余計な一言を言ってしまう
    7. 第六話 おっさん、子供達の装備に悩む
    8. 第七話 おっさん、子供達と狩りへ行く
    9. 第八話 おっさん、子供達に驚愕す
    10. 第九話 おっさんの災難
    11. 第十話 おっさん、一般傭兵の現実を知る
    12. 第十一話 おっさん、意外な人物と再会す
    13. 第十二話 おっさん、クーティーの悪行を知る
    14. 第十三話 おっさん、見守る
    15. 第十四話 おっさん、勇者と出会う
    16. 第十五話 おっさん、四神教の神官にマジギレす
    17. 第十六話 おっさん、勇者の様子をこっそり覗き見る
  9. 同シリーズ
    1. アラフォー賢者の異世界生活日記シリーズ
    2. 小説
  10. その他フィクション

どんなラノベ?

■ 作品概要

『アラフォー賢者の異世界生活日記 6』は、成り上がりファンタジーおよびスローライフを描いた作品である。 本作の世界は、剣と魔法が存在する一方で、四神教の総本山である「メーティス聖法神国」が勇者召喚や神聖魔法の独占を背景に他国へ圧力をかけ、各国の政治的思惑が交錯するファンタジー世界である。 第6巻では、養護院の子供達がいよいよ自立を目指し、初狩猟に出るエピソードが中心となる。ゼロスと見習い神官のルーセリスは保護者として同行するが、子供達は独自の特訓の成果を発揮し、ビッグ・ボアやドドン・トードといった大物魔物を次々と討伐していく。一方で、狩り場での野営中、ゼロス達はメーティス聖法神国に召喚された勇者一行と遭遇する。ゼロスは、勇者達が広めた改変漫画(オタク文化の破壊)に本気で怒り狂い、四神教の嘘や勇者召喚のブラックな真実(元の世界には帰れない可能性など)を吹き込んで彼らの常識を根底から揺さぶる展開が描かれる。

■ 主要キャラクター

大迫聡(ゼロス・マーリン): 平穏を望むアラフォーの魔導士。圧倒的な魔法と知識を持つ。子供達の保護者として狩りに同行するが、勇者一行が広めた原作リスペクトのない漫画にマジギレし、勇者達に世界の残酷な真実を突きつける。

ルーセリス: 養護院を運営する見習い神官。心配性でゼロスと共に子供達の引率を務めるが、いざ戦闘となるとカイトシールドとモーニングスターで魔物を容赦なく粉砕し、跳び膝蹴りまで繰り出す過激な一面を持つ。

養護院の子供達(ジョニー、アンジェ、ラディ、カイ、カエデ): ゼロスやコッコ達の訓練を経て、大人顔負けの戦闘力や連携術、狡猾な情報収集能力を身につけた逞しい孤児達。自堕落に生きるため、そして美味しい肉を食べるために大物魔物の狩りに挑む。

田辺勝彦・一条渚(勇者達): 四神によって地球から召喚された学生達。破格の待遇で増長していたが、魔族(アルトム皇国)との過酷な戦争で仲間を失い、さらにゼロスから「勇者は使い捨てであり、元の世界には帰れない」という推測を突きつけられ、激しく動揺する。

ボッチ・モン(ハイスピード・ジョナサン): 傭兵ギルドの運搬馬車の御者。普段は動物好きの気弱な青年だが、手綱を握ると人格が豹変し、聖獣スレイプニールを暴走させる危険人物。ゼロスを撥ね飛ばし、子供達にトラウマを植え付ける。

デルサシス・ヴァン・ソリステア: ソリステア公爵家の当主。メーティス聖法神国の横暴に対抗するため、周辺の小国家の大使を集めて多国籍同盟の結成を働きかけ、魔導士による回復魔法の普及と地下交易路の確立を目論む辣腕の政治家である。

■物語の特徴

本作の特徴は、主人公がチート能力を持ちながらも英雄的な行動をとらず、オタク文化の改変に怒り狂ったり、敵対者に対して容赦なくダークな言葉で精神的に追い詰めたりする大人気ないユーモアにある。 特に、か弱い存在として描かれがちな孤児達が、異常な戦闘力と腹黒い交渉術を駆使して大物魔物を次々と蹂躙していく姿は、他作品にはないコミカルで爽快な魅力となっている。また、一般的なファンタジー作品では正義とされがちな「勇者召喚」や「神聖国家」を、使い捨てのブラックなシステムや腐敗した宗教組織として描き、それに政治的な駆け引きで対抗していくリアルで奥深い世界観も、読者にとって非常に興味深いポイントである。

前巻からのあらすじ

ツヴェイト暗殺計画に転生者3人が関わっていた。
首犯はシャランラ。
エロムラは奴隷にされており強制参加。
空腹で倒れていたアンズは一宿一飯の恩義で、、

そんな連中がツヴェイトに襲いかかるが、、、
アンズは子泣き爺のようにツヴェイトにしがみ付くだけ。
でも、体重が軽いので殆ど意味がない。

シャランラから後ろから首を掻き切れと言われるが、アンズは何も武器を持ってないと言う。

エロムラはアンズに引っ付かれて羨ましいとツヴェイトを襲う。

それがシャランラからツヴェイトを護る事になり時間稼ぎも出来た。
時間稼ぎをした結果、、

魔改造したバイクで轢き逃げアタックを炸裂。
轢いた理由が姉に似ているから、、
いや彼女、実のお姉さんですよ?

それを知ったオッサンは姉を嬉々として殺しに行く。

読んだ本のタイトル

アラフォー賢者の異世界生活日記 6
著者:寿安清 氏
イラスト:ジョンディー  氏
出版社:KADOKAWAMFブックス
発売日:2018年4月25日
ISBN:9784040698670

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あらすじ・内容

おっさん、一狩り行きたい子供達の保護者になる(独身)
ツヴェイトの護衛任務を完遂し、そこから少々の寄り道をして自宅へと帰ってきたゼロス。
一方、フェアリー・ロゼとの戦闘で自分の弱さを痛感していたイリスは、何を思ったのかコッコに教えを請い、格闘術の訓練に励むのだった。魔導士だというのに……。
同じく養護院の子供達もコッコから様々な戦闘訓練を受けて、そろそろ実戦を体験してもよさそうなくらいには、腕前を成長させつつあった。
「そろそろそれがし達も実戦を経験したいのだ。アンジェ達も狩りに行く気満々だぞ?」「ルーセリスさんと相談してからじゃないと駄目だね」
そんなやり取りも虚しく、結局子供達は狩りへ行ってしまう。必然的にゼロスとルーセリスは保護者として引率することになり……。

アラフォー賢者の異世界生活日記 6

感想

読んでまず感じたのは、養護院の子供たちの成長が強く印象に残る一冊だったということである。

これまでも子供たちの活躍は描かれてきたが、本巻ではついに冒険者として本格的な第一歩を踏み出すことになる。その姿を見ていると、いつの間にか彼らが随分たくましくなったのだと実感させられた。

特に印象に残ったのは、初めての狩りへ向かうための騒動である。

当然ながらルーセリスは危険を理由に反対するのだが、子供たちも簡単には引き下がらない。

その説得方法が、シスターを縛り上げてコッコの羽でくすぐるという無茶苦茶なものだったのには思わず笑ってしまった。

今まで散々鍛えられてきた子供たちらしい強引さだが、解放後にルーセリスが修羅のような形相になっていたのも無理はない。

それでも最終的には条件付きながら狩りへの参加を認めさせるのだから、彼らの行動力には驚かされる。

そして実際に始まった狩りでは、子供たちの成長ぶりが存分に描かれていた。

戦闘だけではなく、酒場での情報収集や森での行動判断など、冒険者として必要な技術をしっかり身につけている。

読んでいて感じたのは、彼らはすでに保護されるだけの存在ではなく、自分たちで考えて行動できるようになっているということだった。

一方で、経験不足による危うさも残されている。

特にカイがドドン・トードに丸呑みされる場面には驚かされた。

幸い命に別状はなかったものの、一歩間違えれば取り返しのつかない事故になっていたかもしれない。

しかし印象的だったのは、その出来事を通じて子供たちが現実の厳しさを学んでいくことである。

仲間が突然命を落とすかもしれないという冒険者の現実を知り、それでも前へ進もうとする姿には胸を打たれた。

本巻は成長物語としての魅力が非常に強かったように思う。

そして、そんな真面目な成長物語を吹き飛ばす勢いで暴れ回るのがハイスピード・ジョナサンである。

正直なところ、本巻で最も印象に残ったキャラクターは彼だったかもしれない。

普段は普通の人物なのに、馬車の手綱を握った瞬間に別人のようになる。

猛烈な速度で街道を爆走し、障害物も魔物も構わず突破していく姿はあまりにも強烈だった。

本来なら一泊かかる道のりを半日で走り切るという時点で異常なのだが、本人は至って真面目に仕事をしているのだから余計に面白い。

読んでいて何度も笑ってしまった。

さらに印象的だったのは、ゼロスがジョナサンに轢かれる場面である。

この作品では珍しくもない理不尽な被害者なのだが、無傷で済むとはいえ気絶したまま放置される姿は不憫としか言いようがない。

その後、子供たちがなぜか「エィィメィィメェェン」と祈りを捧げる流れも含めて、本作らしいシュールなギャグが炸裂していた。

終盤では、子供たち自身もジョナサンの馬車に乗る羽目になり、絶叫しながら連行されていく。

最後まで勢いのあるオチだった。

読んでいて感じたのは、本巻は子供たちの成長と、本作らしいドタバタコメディが見事に両立した巻だったということである。

冒険者としての厳しい現実に触れながらも、彼らは着実に前へ進んでいる。

その一方で、ジョナサンをはじめとする濃すぎるキャラクターたちが物語を盛り上げており、終始楽しく読み進めることができた。

笑える場面も多いが、その裏では子供たちが確実に成長している。

そんな温かさと賑やかさが詰まった、非常に満足度の高い一冊だった。

最後までお読み頂きありがとうございます。

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アラフォー賢者5巻レビュー
アラフォー賢者まとめ
アラフォー賢者7巻レビュー

考察・解説

ホムンクルス培養の開始

『アラフォー賢者の異世界生活日記 6』における、主人公ゼロスによる「ホムンクルス培養の開始」のエピソードについて解説する。

本作においてこのエピソードは、ゼロスが自身のインベントリにあった邪神魂魄を用い、自宅の地下倉庫などで邪神を復活させるために行った一連の危険な実験プロセスである。その詳細な工程と発生したアクシデントの全容は以下の通りである。

1. 因子の抽出と邪神石の異常な情報量

ゼロスはホムンクルスを生み出すため、生命の設計図ともいえる霊質的な因子の抽出作業を行っていた。

・ベースとなるのはカエデの髪から抽出した、他の因子と結合しやすい精霊因子である。
・そこに組み合わせるのが、強烈な瘴気を放つ邪神石から抽出した因子であった。
・しかし、伝承によれば邪神は多くの生物を喰らって能力を取り込んでいたため、抽出された因子は無数の光の粒となって密集しており、どれが邪神本来の因子なのか全く分からない状態であった。
・ハズレを引けばキメラが誕生してしまう危険な賭けであったが、ゼロスは運任せで小さめの因子をスポイトで選び、精霊因子に注入した。

2. 結合時の閃光と目潰し

精霊因子に他の因子が混ざると通常は銀色に輝くはずであったが、変化が起きなかった。

・ゼロスが不思議に思い試験管を覗き込んだ瞬間、閃光弾のような激しい光が発生した。
・ゼロスは完全に不意打ちの目潰しを食らって床を転げ回ることとなったが、結果として因子の結合自体には成功した。

3. 変魔種への処置と主従の呪縛

視覚が回復したゼロスは、厳重なロックが施された地下倉庫の培養槽へ向かった。

・素体となるのは、完全に種になる前の変魔種(マンイーター・ビーストコピーから採取できる種)である。
・ゼロスはこれに合成した因子と、やがて魔石へと成長する精霊結晶の欠片を植え付けた。
・さらに、自分の血液を塗りつけて主従の呪縛という魔法式を組み込んだ。
・これは製作者に歯向かえなくするための処置であるが、相手が邪神だった場合にどこまで効果があるかは未知数であった。

4. 邪神魂魄の投入と想定外の成長速度

変魔種を培養槽に入れて培養を開始した後、ゼロスは予定を変更し、完成後に入れるつもりだった邪神魂魄を今の段階で投入した。

・後から魂魄を入れると出来上がった体への憑依状態になってしまうのではないかと考え、早い段階で入れれば体との適合が早まると推測したためである。
・邪神魂魄は光を放って溶け出し、精霊結晶の欠片に吸収されていった。
・その後、ゼロスはイリスの装備強化の作業をするために地下倉庫から出て行った。
・しかし、誰もいなくなった培養槽の中では、変魔種がすでに胎児の形へと変化し、埋め込まれた精霊結晶が金色に輝き始めていた。
・ゼロスは成長速度を確認しなかったため、ホムンクルスが予想を遥かに超える早さで急成長していることに気づかないまま、放置してしまうこととなった。

まとめ

このように、ゼロスによるホムンクルス培養の開始は、元トッププレイヤーとしての知識と好奇心、そして行き当たりばったりの運任せな判断が組み合わさった、極めて危険な実験として描かれている。試験管を覗き込んで目潰しを食らうコミカルなハプニングがありながらも、構築されたシステムは確実に機能していた。しかし、ゼロスが自身の常識で成長速度を測り、その後の観察を怠ったことで、地下では創造主の想定を遥かに超えるスピードで邪神の肉体が形成されるという、のちの波乱を予感させる不穏な幕開けとなっている。

サムトロールの自滅

『アラフォー賢者の異世界生活日記』における、ウィースラー侯爵家次男サムトロールの自滅とその最期について解説する。

サムトロールの転落は、自身の傲慢さと現実逃避、そして危険な魔法薬である悪魔の錠剤の過剰摂取が招いた悲惨な末路である。その具体的な経緯と最期の全容は以下の通りである。

1. 孤立と転落の背景

サムトロールはウィースラー侯爵家の次男であり、王族の血を引くことを鼻にかけて派閥を牛耳ろうとしていた。

・彼はブレマイトの洗脳魔法を利用して周囲の学院生を操っていたが、ツヴェイトによる現実的な戦術論で論破される。
・さらに実戦訓練の場でイリスの圧倒的な魔法を見せつけられたことで、取り巻きたちの洗脳が解けて完全に孤立してしまった。
・その上、自分が次期国王になるという不敬な野望を広言していたことが実家に露見する。
・これにより、ウィースラー侯爵家から絶縁状を突きつけられ、王位継承権すら剥奪されることとなった。

2. 魔法薬への依存と凶行

地位も味方もすべて失ったサムトロールは、自身の無能さを顧みず、その原因をツヴェイトのせいにして深い逆恨みを募らせる。

・現実を否定し続けた彼は、路地裏で出会った怪しげな男から、力を得られるという魔法薬を入手した。
・薬を服用して理性を失ったサムトロールは、手始めに自分を利用しようとしていた血統主義派の者たちを惨殺する。
・こうして、力と血の愉悦に溺れる狂人と化してしまった。

3. 魔物化と自己破壊による最期

血に染まった姿でツヴェイトとエロムラ君の前に現れたサムトロールは、襲いかかろうとするもエロムラ君の盾にあっさりと弾き返され、圧倒的な実力差を突きつけられる。

・しかし、己の弱さという現実を受け入れられない彼は、持っていた薬瓶の錠剤を大量に噛み砕き、一気に飲み込んでしまった。
・その結果、彼の肉体は異様に膨張し、皮膚が変色して鱗や突起が現れるなど、人間からかけ離れた魔物へと変貌を遂げる。
・魔物化したサムトロールは執拗にツヴェイトたちへ襲いかかったが、薬によって限界を超えて強化された力に彼自身の肉体が耐えきれなかった。
・エロムラ君の盾に防がれるたびに筋肉が断裂し、骨が砕け散る事態に陥る。
・異常な再生能力によって傷は蠢きながら塞がろうとするものの、破壊の速度に再生が追いつかず、自らを壊し続ける狂気の自爆攻撃となった。
・最終的に、度重なる肉体の破壊と再生によって体内のカロリーと栄養素を一気に消費し尽くしたサムトロールは、急激に筋肉が萎んでミイラ化し、骨と皮だけのような姿となって無残な最期を遂げた。

まとめ

サムトロールの自滅劇は、自らの分不相応な野心と歪んだプライドが引き起こした必然的な結末と言える。ツヴェイトやイリスといった本物の実力者に敗北してもなお、自身の無能さを認めず魔法薬の力に溺れた結果、人間性を失い魔物へと成り下がった。限界を超えた肉体の破壊と超速再生の自爆サイクルにより、最後は自身の生命力を完全に絞り尽くしてミイラ化するという最期は、禁忌の薬物に手を出した者の因果応報を物語っている。

悪魔の錠剤の脅威

『アラフォー賢者の異世界生活日記』に登場する「悪魔の錠剤」の脅威と、その背景にある陰謀について解説する。

悪魔の錠剤とは、ソリステア公爵家のクロイサスがサムトロールの死因となった魔法薬を分析し、その危険性から名付けた仮称である。この薬は単なる強化薬の域を超え、国家や社会を崩壊させかねないほどの深刻な脅威を秘めており、その全容は以下の通りである。

1. 異常な肉体強化と超速再生

この薬を服用すると、精神が激しく高揚すると同時に、肉体が限界を超えて強化される。

・体内に蓄えられた栄養素を強制的に引き出すことで、常軌を逸した驚異的な再生能力を付与する。
・しかし、強化された力に肉体そのものが耐えきれず、動くたびに筋肉が断裂し骨が砕け、それを瞬時に再生するという異常なサイクルを繰り返すこととなる。

2. 人間をやめ魔物化する副作用

薬の成分には、かつて世界を滅ぼしかけた邪神の欠片である「邪神石」が用いられている。

・そのため、使用者は理性を失い、際限のない異常な空腹感(飢え)に襲われる。
・最終的には人間としての姿を保てなくなり、異形の魔物へと変貌を遂げてしまう。
・実際にこの薬(または同成分のアミュレット)を与えられた4人の傭兵は、飢えから魔物を生きたまま食らい尽くした後に獣へと変貌した。
・その後、近くの村を襲撃して200人近くの村人を食い殺すという大惨事を引き起こしている。

3. 確実な死と自滅

この薬には強い依存性や麻薬成分が含まれており、一度手を出せば元には戻れない。

・前述した肉体の破壊と再生を繰り返すことで体内のカロリー(栄養素)を一気に消費し尽くすため、最後は急激にミイラ化・白骨化して確実に絶命する。
・サムトロールもこの薬を大量に摂取した結果、無残な最期を迎えた。

4. 兵器利用と社会への流出リスク

クロイサスは、この薬が軍事用に開発されたものであると的確に推測している。

・もし死刑囚などに投与して最前線に送り込めば、痛みを感じず自滅するまで敵を殺し続ける最悪の兵器となり、敵対国にとって非常に恐ろしい脅威となる。
・さらに恐ろしいのは、これが市井に流通してしまうことである。
・一般人がこの薬に手を出せば、街のあちこちで人間が突然魔物化し、同胞を食い殺し始めるという地獄絵図が引き起こされるとクロイサスは危惧している。

5. 脅威を生み出した黒幕

この悪魔의 錠剤を生み出したのは、ゼロスのかつてのゲーム仲間である転生者・アドである。

・彼が身を寄せる弱小国・イサラス王国が、戦争の切り札として「邪神石」を用いた戦力増強の実験を行った結果、この薬が誕生した。
・アド達でさえ人間が魔物化する副作用の酷さに驚愕し、自国での軍事利用は危険だと判断する。
・しかし、自国を救うための敵国(ソリステア魔法王国など)への妨害工作として、あえて裏組織にこの薬を流した。
・不良分子たちにばら撒いて社会を内側から自滅・混乱させるという非道な手段を取ったのである。

まとめ

このように悪魔の錠剤は、使用した個人の命を奪うだけでなく、意図的なテロや戦争の道具として社会全体を崩壊の危機に陥れる、文字通りの悪魔の薬として描かれている。邪神の力をプログラミング的な技術で抽出した転生者アドの歪んだ生存戦略と、それを他国へのテロ兵器として利用する冷徹な判断は、異世界における戦争の形態をより凄惨なものへと変貌させていく。

勇者の苦悩と不信

『アラフォー賢者の異世界生活日記』に登場する、異世界から召喚された「勇者」たちの過酷な運命と、信仰していた四神教への不信感の変遷について解説する。

当初は物語の主人公のような特権を享受していた勇者たちであったが、過酷な現実と直面し、自らを召喚したメーティス聖法神国および四神に対して深い苦悩と不信感を抱くようになっていく。その経緯の全容は以下の通りである。

1. 勇者の召喚と増長

勇者たちは、地球の日本からクラスごと召喚された中学生たちであった。

・メーティス聖法神国に迎えられた彼らは、金銭的援助や異教徒を奴隷にして好き勝手できるといった破格の待遇を与えられる。
・この、自分たちは選ばれた最強の存在であるという思い込みから大半の生徒は増長し、現状に甘んじて思考を放棄していた。
・唯一、魔導士であった風間卓実だけが四神教を胡散臭いと疑い警告していたが、他の生徒たちは誰も耳を貸さなかった。

2. アルトム皇国での大敗と死の恐怖

召喚から約2年後、勇者たちは神託に従い、邪教の魔族と教えられた有翼人種の国であるアルトム皇国へと侵攻する。

・しかし、アルトム皇国の戦士たちは一騎当千の強さを誇り、さらに砦の包囲中に邪神の爪痕と呼ばれる渓谷の森から凶悪な魔物の群れが強襲した。
・この戦いで、前線指揮を任されていた岩田定満は無謀な突撃の末に仲間を盾にして逃亡する。
・風間卓実が囮となって最後まで戦い抜いたおかげで半数は生き延びたものの、風間は生死不明となってしまった。
・この凄惨な敗北により、勇者たちは初めて死の恐怖を知り、戦争の悲惨な現実に直面することとなった。

3. 姫島佳乃の憎悪と四神教への不信

風間や友人を失った姫島佳乃は、岩田に対して激しい憎悪と軽蔑を向けるようになる。

・生き残った勇者たちに、復活した邪神を探し出して討伐せよという新たな神命が下されるが、大国を消し飛ばす邪神に勝てるはずがないと彼らは絶望した。
・佳乃は四神教が語る邪教討伐も神託もすべて嘘であり、自分たちは四神の権威を上げるための都合のいい捨て駒に過ぎないと悟る。
・彼女は邪神討伐の任務を放棄し、風間を斬った黒い翼の女性戦士への復讐だけを胸に最前線へと向かった。

4. ゼロスによって突きつけられた残酷な真実

一方、別動隊として動いていた田辺勝彦と一条渚のパーティーは、偶然ゼロスたちが野営で作っていたカレーの匂いに引き寄せられる。

・ゼロスはカレーを振る舞いながら、勇者たちの甘さを指摘し、いくつかの残酷な真実(ゼロスの推測とブラフを含む)を突きつけた。
・帰還の不可能:時空に穴を開けるには莫大な魔力が必要であり、四神教に勇者を元の世界へ送還する力も意思もなく、過去の勇者は誰一人帰還していない。
・勇者召喚の危険性:異世界に何度も穴を開ける勇者召喚は、世界同士の衝突や連鎖崩壊(ラグナロク)を引き起こす可能性がある。
・神聖魔法の嘘:神官が独占している神聖魔法は、魔導士が使う光魔法と全く同じものであり、神の奇跡ではない。

5. 黙秘の合意と孤立する勇者たち

ゼロスが放った無詠唱魔法や圧倒的な威圧感を前に、勇者たちは彼を伝説の賢者ではないかと疑う。

・そして、自分たちが何の偉業も成し遂げておらず、ただ利用されてきただけの存在であったことを痛感した。
・同行していた神官たちも、神聖魔法の優位性が嘘だと知った以上、本国に帰れば口封じのために異端審問にかけられ殺されると恐れる。
・結果として、勇者と神官たちは自己保身のために、この場で誰にも会わなかったし、何も聞かなかったことにして黙秘する道を選んだ。

まとめ

このように勇者たちは、心の拠り所であった四神教への信仰と信頼を完全に打ち砕かれ、帰る場所も目的も見失ったまま、疑心暗鬼の中で過酷な世界を生き抜くことを強いられることとなった。チート能力を授かった英雄としての華やかな表舞台から、宗教国家の政治的な駒、さらには世界の破滅を招くリスク要因としての現実に引きずり下ろされた彼らの姿は、異世界召喚が持つ欺瞞と残酷さを生々しく象徴している。

小国家同盟と回復魔法

『アラフォー賢者の異世界生活日記』において、ゼロスが発案した「回復魔法の普及」と、デルサシス公爵が主導した「小国家同盟(多国籍同盟)」の結成について解説する。

本展開は、宗教国家の独占を打破し、世界の勢力図を大きく塗り替える重要な政治的イベントである。その全容は以下の通りである。

1. メーティス聖法神国の横暴と小国家の苦境

メーティス聖法神国は、怪我を癒やす回復魔法(神聖魔法)は神官にしか使えない、という前提を盾に取っていた。

・各国に神官を派遣して不条理な交易条件や法外な治療費(お布施という名の賄賂)を要求していた。
・さらに、異世界から召喚した勇者の圧倒的な武力を背景にして周辺の小国家に軍事的な圧力をかける。
・これにより、近隣諸国を生殺しの状態に置いて搾取を続けていた。

2. ゼロスの提案と回復魔法のスクロール

ハサム村でタチの悪い妖精被害を神の御使いとして擁護する四神教の姿勢に腹を立てたゼロスは、嫌がらせとして魔導士でも使える回復魔法のスクロールを売り出すことをデルサシス公爵に提案する。

・神聖魔法と呼ばれているものは単なる光魔法であり、魔導士でも使えるという真実が存在した。
・この事実は、メーティス聖法神国の強みを根本から覆すものであった。

3. デルサシス公爵による対メーティス包囲網の提案

デルサシス公爵は、近隣の小国家の大使たちを極秘に集め、この回復魔法のスクロールを各国へ無償提供する策を提示する。

・各国で独自の医療魔導士を育成し、国同士で提携して開発したと偽って同時期に公表する戦略を取った。
・これにより、メーティス聖法神国に難癖をつけられることなく、神官たちの権威と資金源を完全に奪うことが可能となる。

4. 地下都市を利用した安全な交易路の確保

しかし、回復魔法の提供だけでは小国家同盟は成立しなかった。アルトム皇国と戦争中であり、オーラス大河の交易路を塞がれて経済的に追い詰められているイサラス王国などにとっては、大国であるメーティス聖法神国を敵に回すのは危険すぎたためである。

・そこでデルサシスは、旧時代のドワーフ達が築いた地下都市の大街道を、新たに普及し始めた土木魔法を利用して急速に修復中であることを明かす。
・これにより、オーラス大河を経由せずに物資を運べる安全な陸路の交易ルートが確保される見込みが立った。

5. 小国家同盟の始動

回復魔法の普及によって神官への依存から脱却し、地下交易路によって経済的・物理的な孤立を免れるという二つの問題が解消された。

・これを受けて、小国家の大使たちはついに団結を決意する。
・各国の軍事力を結集すれば大国メーティス聖法神国にも対抗できると判断した。
・こうして、宗教国家の独善的な横暴に対する多国籍同盟および対メーティス包囲網が、水面下で本格的に始動することになった。

まとめ

このように、ゼロスの個人的な嫌がらせから始まった回復魔法の提供は、デルサシス公爵の卓越した政治手腕によって国際的な大同盟へと昇華された。回復魔法という技術の民主化と、地下大街道という物流の確保を同時に提示することで、大国の脅迫外交に怯えていた小国家群を一つにまとめることに成功したのである。武力だけでなく経済と技術の流通をコントロールすることで、絶対的と思われたメーティス聖法神国の支配体制を裏から切り崩していく、極めて知的で戦略的な謀略戦が描かれている。

子供たちの初狩猟体験

『アラフォー賢者の異世界生活日記 6』における、養護院で暮らす孤児達(ジョニー、アンジェ、ラディ、カイ、カエデ)の初狩猟体験について解説する。

本作においてこのエピソードは、子供達が傭兵としての自立と一攫千金を目指すための重要な第一歩として描かれている。子供とは思えない逞しさと、独自のドタバタ劇に満ちたその過程の全容は以下の通りである。

1. 初狩猟のきっかけと準備

子供達は将来ダンジョンを攻略し、自堕落な生活を送るという俗物的な夢を抱き、実戦経験を求めていた。

・彼らは保護者である見習い神官ルーセリスから許可を得るため、彼女を縛り上げてコッコの羽で足の裏をくすぐるという過激な強硬手段に出る。
・折れたルーセリスとゼロスが引率することになり、ゼロスが作成した安全重視の実用的な専用装備を身にまとって出発した。

2. モブの村での大人顔負けの情報収集

一行はレンタル馬車を利用して狩り場であるモブの村へ向かうが、御者であるハイスピード・ジョナサンの常軌を逸した暴走により、ゼロス達が気絶している間に到着してしまう。

・現地の傭兵ギルドを訪れた子供達は、魔物の情報を集めるようゼロスに指示される。
・すると彼らは、酒を奢って傭兵から話を聞き出したり、狩りに失敗した者を励まして反省点を探ったり、解体場で直接情報を得たりした。
・ストリートチルドレン時代に培った狡猾な交渉術を遺憾なく発揮し、大人達を驚愕させることとなった。

3. 驚異的な戦闘力と連携

森での狩りが始まると、子供達はハンドサインを使って無言で連携を取り、ウサギに食らいつこうとした蛇(ヴァイパー)ごと同時に射抜く二頭狩りをあっさりと成功させる。

・初日だけでスライム31匹、ウサギ6羽、蛇7匹を狩り、手際よく解体までこなしてのけた。
・さらに彼らは単なる小動物狩りに留まらず、アンジェとカエデは格闘技で硬い甲殻を持つロック・シェルを次々と粉砕する。
・ジョニーはブラック・コッコと共に暗殺者のような手口でオークの群れを背後から仕留めた。
・窮地に陥っていた傭兵達を救出するなど、圧倒的な戦闘能力を見せつけた。

4. 大物ドドン・トードとの死闘

狩りの3日目、子供達は森の奥で巨大なカエル型魔物であるドドン・トードに遭遇する。

・魔物の分厚い皮膚と強酸液の反撃、および地属性魔法に苦戦を強いられるが、肉への凄まじい執念を燃やしたカイが頭部へ猛ラッシュを浴びせた。
・しかし、魔力切れを起こしたカイがドドン・トードに丸呑みされそうになるという絶体絶命の危機に陥る。
・仲間達の一斉攻撃で間一髪カイを救出すると、彼らは冷静に弱点が頭部であることを見抜いた。
・四方から魔力を込めた槍を頭骨に突き刺して、見事に大物を討伐した。

5. 初狩猟の結末

強大な魔物を倒したことで子供達のレベルは急上昇したが、その反動である格上げ症による激しい倦怠感に襲われ、全員が動けなくなってしまう。

・帰路では再びハイスピード・ジョナサンの暴走馬車に乗せられ、絶叫を上げながら村へ戻ることとなった。

まとめ

孤児達の初狩猟体験は、コミカルなドタバタ劇の体裁を取りながらも、彼らの卓越したサバイバル能力と高い戦闘センスを証明するエピソードとなった。元ストリートチルドレンとしての抜け目のない情報収集能力や、実戦での冷静な連携は見事の一言に尽きる。この初狩猟を通じて、彼らは魔物を相手にする際の油断の恐ろしさや、強いだけでは生き残れない過酷な現実を身をもって学び、傭兵として確かな成長を遂げる重要な契機となった。

アラフォー賢者5巻レビュー
アラフォー賢者まとめ
アラフォー賢者7巻レビュー

登場キャラクター

転生者・地球の人物

ゼロス・マーリン(大迫聡)

無職のおっさん魔導士であり、ゲームのアバターの姿と能力で異世界に転生した存在である。平穏な暮らしを望んでいる。

・所属組織、地位や役職
 無職。大賢者。
・物語内での具体的な行動や成果
 ツヴェイトやセレスティーナの家庭教師を務めた。勇者達に四神教の嘘や勇者召喚の真実を教えた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 スティーラの傭兵ギルドでSランク傭兵として登録された。

イリス

駆け出しの傭兵であり、ゼロスに憧れを抱く転生者の少女である。魔法の多重展開を無詠唱でこなす。

・所属組織、地位や役職
 傭兵。
・物語内での具体的な行動や成果
 ゼロス達と共に護衛任務や魔物討伐に参加した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

榎村樹(エロムラ / オルフェウス十三世 / ラインハルト十三世)

合法奴隷に手を出して犯罪奴隷になった転生者の少年である。

・所属組織、地位や役職
 裏組織ヒュドラの奴隷。
・物語内での具体的な行動や成果
 シャランラと共にツヴェイトの暗殺に向かったが、監視の駒を奪い返して裏切った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 恩赦で奴隷から解放され、ツヴェイトの専属護衛になる予定である。

アンズ(桃忍)

桃色の忍び装束を着た転生者の少女である。

・所属組織、地位や役職
 裏組織ヒュドラに拾われた少女。
・物語内での具体的な行動や成果
 シャランラを裏切ってツヴェイトの背中に張り付いた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 一宿一飯の恩義でツヴェイトの部屋に居座り、護衛として給料をもらう予定となる。

アド(安藤俊之)

イサラス王国で行動する転生者の青年であり、四神への復讐を目指している。

・所属組織、地位や役職
 イサラス王国の重鎮。
・物語内での具体的な行動や成果
 イサラス王国で兵器開発を手伝った。裏組織に危険な魔法薬を横流しした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 大図書館で世界の摂理について調査を行った。

リサ

ポニーテールの転生者の少女である。

・所属組織、地位や役職
 イサラス王国の重鎮。
・物語内での具体的な行動や成果
 アド達と共に大図書館で四神に関する調査を行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

シャクティ

弁護士を目指していた転生者の女性である。

・所属組織、地位や役職
 イサラス王国の重鎮。
・物語内での具体的な行動や成果
 アド達と共に大図書館で歴史について調べた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 危険物の流通を黙認する立場になり葛藤を抱えた。

姫島佳乃

異世界から召喚された勇者の一人であり、仲間を失ったことで復讐を誓っている。

・所属組織、地位や役職
 メーティス聖法神国の勇者。前線指揮官。
・物語内での具体的な行動や成果
 岩田定満に憎悪と軽蔑を向けた。最前線へと向かった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

岩田定満

異世界から召喚された勇者の一人であり、ピアスをした少年である。

・所属組織、地位や役職
 メーティス聖法神国の勇者。元前線指揮官。
・物語内での具体的な行動や成果
 無謀な突撃を行い仲間を盾にして逃亡した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 前線指揮官から降ろされ、仲間から完全に孤立した。

笹木

異世界から召喚された勇者の一人である。

・所属組織、地位や役職
 メーティス聖法神国の勇者。
・物語内での具体的な行動や成果
 岩田定満の無謀な行動を批判した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

田辺勝彦

異世界から召喚された勇者の一人である。

・所属組織、地位や役職
 メーティス聖法神国の勇者。
・物語内での具体的な行動や成果
 ゼロスから勇者召喚の真実や四神教の嘘を聞かされた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

一条渚

異世界から召喚された勇者の一人である。

・所属組織、地位や役職
 メーティス聖法神国の勇者。
・物語内での具体的な行動や成果
 ゼロスの話を聞き、神官達が動揺する様子を目の当たりにした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

風間卓実

異世界から召喚された勇者の一人であり、四神教を疑っていた魔導士の少年である。

・所属組織、地位や役職
 メーティス聖法神国の勇者。
・物語内での具体的な行動や成果
 アルトム皇国との戦いで仲間を逃がすために囮となって戦い抜いた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 生死不明となった。

ボッチ・モン(ハイスピード・ジョナサン)

傭兵ギルドの運搬馬車の御者であり、普段は気弱な青年だが手綱を握ると性格が豹変する。

・所属組織、地位や役職
 傭兵ギルド所属の御者。
・物語内での具体的な行動や成果
 スレイプニールを暴走させてゼロスや傭兵達を轢き飛ばした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

携帯ゲーム機を操作する少年

地球の日本のアパートの一室にいる謎の少年である。

・所属組織、地位や役職
 特になし。
・物語内での具体的な行動や成果
 女性と次元バランスの崩れについて会話した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ゼロスの行動に期待している。

少年を訪ねてきた女性

地球の日本のアパートの一室に現れた謎の女性である。

・所属組織、地位や役職
 特になし。
・物語内での具体的な行動や成果
 次元バランスの崩れについて少年に報告した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 監視役を引き受けた。

勇者達

異世界から召喚された地球の学生達である。

・所属組織、地位や役職
 メーティス聖法神国の戦力。
・物語内での具体的な行動や成果
 アルトム皇国へ侵攻したが大敗した。ゼロスに四神教の嘘を吹き込まれた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 神命により邪神探索の任務を受けた。

ソリステア大公爵家

デルサシス・ヴァン・ソリステア

ソリステア公爵領の領主であり、辣腕の政治家で商売も行う男性である。

・所属組織、地位や役職
 ソリステア公爵領領主。ソリステア商会会長。
・物語内での具体的な行動や成果
 小国家の大使達を集め、対メーティス聖法神国の包囲網を提案した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 裏社会から沈黙の獅子と恐れられている。

ツヴェイト・ヴァン・ソリステア

ソリステア公爵家の長男であり、次期当主の自覚を持ち始めた青年である。

・所属組織、地位や役職
 イストール魔法学院生徒。
・物語内での具体的な行動や成果
 実戦訓練でシャランラの襲撃を受けた。エロムラと奇妙な友情を結んだ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

セレスティーナ・ヴァン・ソリステア

ソリステア公爵家の娘であり、ゼロスの弟子となった少女である。

・所属組織、地位や役職
 イストール魔法学院生徒。
・物語内での具体的な行動や成果
 大図書館で魔法式の最適化に取り組んだ。ウルナやキャロスティーと共に実戦訓練へ参加した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 下級生から魔導天使と呼ばれている。

クロイサス・ヴァン・ソリステア

ソリステア公爵家の次男であり、魔法研究に没頭する天才魔導士である。

・所属組織、地位や役職
 イストール魔法学院主席。
・物語内での具体的な行動や成果
 ゼロスの護衛用魔導具を受け取った。短時間性別変換薬を作成して騒動を起こした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

ミスカ

セレスティーナの世話係であり、クールな性格のメイドである。

・所属組織、地位や役職
 ソリステア公爵家のメイド。
・物語内での具体的な行動や成果
 クロイサスを荒縄で縛り宿へと連行した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

イストール魔法学院

ディーオ

ツヴェイトの友人であり、戦闘系魔導士の青年である。

・所属組織、地位や役職
 イストール魔法学院生徒。
・物語内での具体的な行動や成果
 セレスティーナに思いを寄せているが、名前を覚えられていない。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

サムトロール

ウィースラー侯爵家の次男であり、権力志向が強い青年である。

・所属組織、地位や役職
 イストール魔法学院生徒。
・物語内での具体的な行動や成果
 裏組織にツヴェイトの暗殺を依頼した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 実家から勘当された。

ウルナ

獣人の少女であり、セレスティーナの友人である。

・所属組織、地位や役職
 イストール魔法学院生徒。魔導士サーガス・セフォンの養女。
・物語内での具体的な行動や成果
 セレスティーナ達と実戦訓練に参加した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

イー・リン

犬耳を持つ獣人の少女であり、クロイサスの同期である。

・所属組織、地位や役職
 イストール魔法学院生徒。
・物語内での具体的な行動や成果
 クロイサスの部屋を掃除した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

教会・養護院

ルーセリス

養護院を運営する見習い神官であり、心優しい女性である。

・所属組織、地位や役職
 養護院の見習い神官。
・物語内での具体的な行動や成果
 子供達の狩猟体験に引率として同行した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

メルラーサ

酒と博打が好きな初老の女性司祭である。

・所属組織、地位や役職
 四神教の司祭長。
・物語内での具体的な行動や成果
 ルーセリスの休暇申請を受理した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

ジョニー

顔にすり傷のある少年であり、孤児達のリーダー格である。

・所属組織、地位や役職
 養護院の子供。
・物語内での具体的な行動や成果
 初狩猟でオークを背後から暗殺者のように仕留めた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

アンジェ

赤毛の元気な少女である。

・所属組織、地位や役職
 養護院の子供。
・物語内での具体的な行動や成果
 初狩猟でオークの両目を矢で射貫いた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

ラディ

角刈りの少年である。

・所属組織、地位や役職
 養護院の子供。
・物語内での具体的な行動や成果
 初狩猟でドドン・トードに向けて矢を放った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

カイ

ぽっちゃり体型の少年であり、肉への執着が強い。

・所属組織、地位や役職
 養護院の子供。
・物語内での具体的な行動や成果
 初狩猟でドドン・トードに頭部への猛ラッシュを浴びせた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

カエデ

東方出身のハイ・エルフの少女であり、剣士を志している。

・所属組織、地位や役職
 養護院に預けられた少女。
・物語内での具体的な行動や成果
 初狩猟でオークを居合抜きで仕留めた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

傭兵ギルド・傭兵・商人・村人

ジャーネ

赤髪の女性傭兵である。

・所属組織、地位や役職
 傭兵。
・物語内での具体的な行動や成果
 子供達の初狩猟について酒場で情報を提供した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

レナ

甘栗色の髪の女性傭兵であり、少年に目がない。

・所属組織、地位や役職
 傭兵。
・物語内での具体的な行動や成果
 少年傭兵達と宿で逢瀬を楽しんだ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

ベラドンナ

魔導具専門の店を営む、赤いドレスの女店長である。

・所属組織、地位や役職
 魔導具専門の店の店長。
・物語内での具体的な行動や成果
 ゼロスが作った冷蔵庫の部品製作を手伝った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

クーティー

魔導具店の店員であり、メガネをかけたメイドである。

・所属組織、地位や役職
 魔導具専門の店の店員。
・物語内での具体的な行動や成果
 宿でエール酒を浴びるように飲んでいた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

武器屋のオヤジ

武器屋を営むオヤジである。

・所属組織、地位や役職
 武器屋の店主。
・物語内での具体的な行動や成果
 ゼロスに対して最近の傭兵事情を語った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

モブ村の宿のおばちゃん

宿の受付にいるおばちゃんである。

・所属組織、地位や役職
 モブ村の宿の受付。
・物語内での具体的な行動や成果
 子供達に信号弾を販売した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

傭兵ギルドの受付嬢

モブ村傭兵ギルド支部の受付嬢である。

・所属組織、地位や役職
 傭兵ギルドの受付嬢。
・物語内での具体的な行動や成果
 ゼロス達に森の魔物情報や注意事項を説明した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

女性傭兵

訛りのある女性傭兵である。

・所属組織、地位や役職
 傭兵。
・物語内での具体的な行動や成果
 アンジェに魔物の情報を教えた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

バーテンダー

傭兵ギルド内のバーテンダーである。

・所属組織、地位や役職
 バーテンダー。
・物語内での具体的な行動や成果
 ジョニーから注文を受けた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

解体作業をしている職員

解体場で働く職員である。

・所属組織、地位や役職
 解体場の職員。
・物語内での具体的な行動や成果
 カイにチョロハチドリの捕まえ方を教えた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

青年傭兵

若手の傭兵である。

・所属組織、地位や役職
 傭兵。
・物語内での具体的な行動や成果
 オークに囲まれていたところをジョニーに助けられた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

ケイン

馬車にはねられた傭兵の一人である。

・所属組織、地位や役職
 傭兵。
・物語内での具体的な行動や成果
 ハイスピード・ジョナサンの馬車にはねられて重傷を負った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

メーティス聖法神国・四神教

ミハロウフ・ウェルサピオ・マクリエル法皇七世

メーティス聖法神国の指導者である。

・所属組織、地位や役職
 メーティス聖法神国法皇。
・物語内での具体的な行動や成果
 勇者達に対して邪神討伐の神命を下した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

諸国の大使・関係者

ザザ

イサラス王国諜報部所属の騎士である。

・所属組織、地位や役職
 イサラス王国諜報部所属の騎士。
・物語内での具体的な行動や成果
 アド達の案内役と監視役を務めた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 リサに一目惚れした。

裏組織・犯罪者

血統主義派の者達

サムトロールに付き従う学院生達である。

・所属組織、地位や役職
 イストール魔法学院生徒。血統主義派。
・物語内での具体的な行動や成果
 サムトロールと共に暗殺者と合流したが、シャランラの過激な性格に怯えた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

魔物・聖獣・その他

コッコ達(ウーケイ、ザンケイ、センケイ、ブラック・コッコ、クロオビ・コッコ、ケンドー・コッコ)

異常進化を遂げたワイルド・コッコ達である。

・所属組織、地位や役職
 ゼロスの護衛。
・物語内での具体的な行動や成果
 子供達の初狩猟に護衛として同行し、邪魔な魔物を排除した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

スレイプニール

地上で最高速度を誇る聖獣である。

・所属組織、地位や役職
 聖獣。
・物語内での具体的な行動や成果
 ハイスピード・ジョナサンの馬車を引いて暴走した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 変化スキルを使用して普通の馬に擬態していた。

スケルトン・フォー

クロイサスの部屋に出現した謎の存在である。

・所属組織、地位や役職
 不明。
・物語内での具体的な行動や成果
 イー・リンが掃除中に助けられたと発言した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

ドドン・トード

巨大なおデブのカエル型魔物である。

・所属組織、地位や役職
 魔物。
・物語内での具体的な行動や成果
 子供達の初狩猟で遭遇し、強酸性の体液を吹き出して攻撃した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

マダラオーク

ジョニーが倒した魔物である。

・所属組織、地位や役職
 魔物。
・物語内での具体的な行動や成果
 特になし。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

ビッグ・ボア

猪型の魔物である。

・所属組織、地位や役職
 魔物。
・物語内での具体的な行動や成果
 ラディとカイが狩りの標的として定めた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

ロック・シェル

石や岩に擬態した甲殻種の魔物である。

・所属組織、地位や役職
 魔物。
・物語内での具体的な行動や成果
 アンジェとカエデが遭遇し、クロオビ・コッコが内側から破壊した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

ホーンビートル

甲殻を持つ魔物である。

・所属組織、地位や役職
 魔物。
・物語内での具体的な行動や成果
 ルーセリスがモーニングスターで粉砕した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

フォレストラビット

緑色で丸い糞をするウサギの魔物である。

・所属組織、地位や役職
 魔物。
・物語内での具体的な行動や成果
 子供達が森で痕跡を発見した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

スライム

弱い魔物である。

・所属組織、地位や役職
 魔物。
・物語内での具体的な行動や成果
 特になし。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

ゴブリン

雑食性の弱い魔物である。

・所属組織、地位や役職
 魔物。
・物語内での具体的な行動や成果
 子供達が倒し、ゼロス達がその死骸を処分した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

アラフォー賢者5巻レビュー
アラフォー賢者まとめ
アラフォー賢者7巻レビュー

展開まとめ

プロローグ おっさん、ホムンクルス培養を始める

邪神石の因子抽出とホムンクルス培養

新聞コラムの違和感

ゼロスはサントール新聞のコラムを読み、邪神戦争期の話から次代の若者への称賛へ話題が飛ぶ内容に呆れていた。科学文明や勇者召喚魔法陣など興味深い記述はあったが、文章全体の脈絡は薄かった。彼は、コラムの筆者が自分と同じ転生者ではないかと疑いながらも、時間つぶし程度の内容だと判断した。

邪神戦争の記録

コラムには、旧時代の文明が邪神に滅ぼされ、四神が異世界から英雄を召喚する魔法陣を授けたことが書かれていた。召喚魔法陣は複数作られたが、成功したのは一つだけで、多くの異世界人が何も知らないまま殲滅されたとされていた。ゼロスは、勇者召喚や旧時代の科学文明に関する記述には多少の価値を見出していた。

因子抽出の作業

ゼロスは自宅の作業部屋で、ホムンクルスを作るための因子抽出を行っていた。カエデの髪から抽出した精霊因子は問題なかったが、【邪神石】から抽出した因子は色とりどりの光の粒が密集しており、どれを選べばよいか分からなかった。選択を誤れば、理想の姿ではなく怪物が生まれる危険があった。

邪神石の異常

【邪神石】は強烈な瘴気を放っており、ゼロスは浄化に四日もかけていた。伝承通りなら、邪神は多くの生物を食らい、その能力を取り込んでいたため、因子の数が異常に多いことも納得できた。だが、どの因子が邪神本来のものか分からず、ゼロスは運任せで小さめの因子を選ぶことにした。

精霊因子との結合

ゼロスは選んだ邪神石の因子を精霊因子へ注入した。しかし本来なら銀色へ変化するはずの精霊因子に反応がなく、彼は不審に思って試験管を覗き込んだ。その瞬間、激しい閃光が発生し、ゼロスは目潰しを受けたように床を転げ回った。因子の結合は成功したが、思わぬ反撃を受ける形となった。

地下倉庫の培養槽

視覚が戻ったゼロスは、地下倉庫へ向かった。扉はからくり箱のような複雑な仕組みで封鎖されており、彼は手順を踏んでロックを解除した。地下の奥には鋼鉄製の培養槽があり、すでに培養液が満たされていた。

変魔種への処理

ゼロスは【変魔種】に合成因子と【精霊結晶】の欠片を植え付け、自分の血を付けて【主従の呪縛】を組み込んだ。ホムンクルスが邪神であった場合、その呪縛がどこまで効くかは未知だった。それでも、生み出してみなければ分からないとして作業を進めた。

邪神魂魄の投入

ゼロスは【変魔種】を培養槽へ入れた後、予定を変えて【邪神魂魄】も早めに投入した。完成後に魂魄を入れると憑依に近くなる可能性があると考えたためである。【邪神魂魄】は光を放って溶け、【精霊結晶】の欠片へ吸収されていった。ゼロスは体との適合が早まることを期待した。

イリス装備の強化

ゼロスは並行して、イリスの【鋼蝶のマジックドレス】や手袋などの装備強化も行っていた。金属繊維系の装備は溶かして鍛え直せないため、魔物の体液などを混ぜた装甲染液に浸して防御力を上げる必要があった。作業は染め物のようで、液体はひどい刺激臭を放っていた。

繊維装備の限界

ゼロスは、ローブ系の装備が斬撃や打撃をどこまで防げるのか疑問を抱いていた。ゲームなら布装備でも防御力が成立するが、現実では衝撃を完全には防げないはずだった。イリスが近接戦闘に取り組み始めた以上、装備の防御面にはさらに注意が必要だと考えた。

早すぎる培養

ゼロスはイリスの装備を干すため、地下倉庫を出ていった。その後、培養槽の中では【変魔種】がすでに胎児の形へ変化し、埋め込まれた精霊結晶が金色に輝き始めていた。ゼロスはその成長速度を確認しなかったため、通常より早く培養が進んでいることに気付くまで、しばらく時間を要することになった。

第一話 逆恨み的復讐者

血統主義派の訓練とサムトロールの暴走

美容薬の騒動

ディーオは、サンジェルマン派の研究棟に女子達が押しかけている噂をツヴェイトに尋ねた。原因はクロイサスが作った【女性ホルモン増強剤】と【超強力豊胸薬】であり、女子限定で実験販売されていた。豊胸薬は薄めると一時的な効果に変わるものの、美容に執着する女性達には強い需要があり、サンジェルマン派の新たな収益源になりそうだった。

性別変換薬の扱い

ディーオは性別を変える魔法薬の用途を疑問に思ったが、ツヴェイトは潜入や情報収集に使えると考えた。ただし、完全に戻れなくなる危険もあり、ゼロスが危険物として大部分を回収していた。クロイサスが下手に改良すれば何を作るか分からないため、放置できなかったのである。

戦略訓練の盤上

ツヴェイト達は、地図と駒とダイスを使った戦略訓練を行っていた。部隊を動かし、偵察や迎撃、陣地確保を判断する訓練であり、二つの班に分かれて作戦を競っていた。彼らは偵察の重要性や部隊配置を話し合いながら、実戦を想定した判断力を鍛えていた。

サムトロールへの悪評

訓練中、サムトロールの姿が見えないことが話題になった。彼は実家から縁を切られ、洗脳が解けた学院生達からも血筋だけの無能として見られていた。かつて彼を担いでいた者達も、彼自身を求めていたわけではなく、利用価値だけを見ていたことが明らかになっていた。

敗北したA班

戦略訓練では、ツヴェイト達のA班が相手班に兵力配置を読まれ、大きな損害を受けた。負ければ相手に食事を奢る約束があり、相手側には大食いの学院生がいたため、彼らは財布を守るために必死で作戦を練った。しかし最終的には相手部隊を半分しか倒せず、彼らの懐は大きな打撃を受けることになった。

セレスティーナの魔法指導

セレスティーナは、下級生達に【灯火】の魔法を使った魔力制御を教えていた。ゼロスから学んだ魔法式の扱いを見せたことで、彼女は天才や才女として憧れを集め、慕う下級生の数は二十人規模に増えていた。今では学院中に名が知られ、男子からの告白まで届くようになっていた。

婚約話を潰す祖父

夏季休暇後、セレスティーナの評価は一変し、貴族子息達から政略結婚の対象として見られるようになっていた。だが、以前に彼女を馬鹿にしていた者達は、クレストン元公爵に過去の言動を突きつけられて追い返されていた。ミスカも関わり、セレスティーナに群がる者達は当人の知らないところでことごとく潰されていた。

ミスカの帰還

セレスティーナの背後には、いつの間にかミスカが現れ、年の差の恋も愛があれば問題ないとからかった。ミスカは四日ほど前に戻ってきており、相変わらずセレスティーナを驚かせて楽しんでいた。下級生からは、かつての二つ名【氷結の女王】ではないかと疑われ、セレスティーナは彼女の意外な過去を知ることになった。

氷結の女王

ミスカは、かつてイストール魔法学院で氷系統の魔法を得意とした超越魔導士だった。デルサシスと同期であり、恋人関係だったという噂もあったが、実際は殴り合う仲だった。欲望まみれで近付く男子を氷漬けにしたり、背後から脅したりする性質は、今も大きく変わっていなかった。

豊胸薬の夢と虚しさ

セレスティーナは、クロイサスの豊胸薬を実際に試していた。効果は一時的で、胸が大きくなった時は喜んだが、時間が経てば元に戻った。彼女は、薬で得た夢は幻想でしかなく、残ったのは虚しさだけだったと語り、下級生達は笑うことも慰めることもできなかった。

血統主義派の実態

スティーラから少し離れた街の酒場では、サムトロールが血統主義派の者達を襲っていた。血統主義派は、血統魔法を誇りながら鍛錬を怠り、裏社会とつながって犯罪組織化した者達であった。彼らはサムトロールを利用し、その先にツヴェイトを操ることを狙っていた。

暴走するサムトロール

サムトロールは、利用されたことへの怒りと逆恨みで血統主義派の者達を殺していた。彼の体は異様に筋肉質となり、力も尋常ではなく、首を捻り、頭蓋を叩き潰し、魔法で焼き殺すほどに暴走していた。力と血に酔った彼は、次はツヴェイトや裏切った者達を皆殺しにすると笑っていた。

アド達の観察

アド達は、サムトロールに流した薬の効果を遠くから確認していた。彼らは目的のために多少の犠牲を覚悟していたが、実際に惨状を見ることは別問題だった。薬の効果を確認したことで、ソリステア魔法王国での用は済んだと判断した。

イサラス王国の進路

アド達は、イサラス王国がソリステア魔法王国へ攻め込むより、同盟を結ぶべきだと考えていた。両国の間にはアルトム皇国があり、そこはメーティス聖法神国と戦争中だった。勇者達は投入されていたが、アルトム皇国の戦士達は強く、地形も味方につけて勇者に手痛い打撃を与えていた。

獣人達への使者

アド達の次の仕事は、イサラス王国と獣人達の同盟を結ぶための使者になることだった。彼らはメーティス聖法神国を経由し、獣人達が暮らす大平原を目指すことになった。勇者とは戦いたくないが、敵対すれば厄介な相手になるとアドは考えていた。

自由になったエロムラ君

衛兵の詰め所に拘留されていたエロムラ君は、ようやく奴隷から解放された。彼は自由を喜んで騒ぎ、衛兵に公共施設の前で騒ぐなと怒られた。今後の生活を考えた彼は、安定収入を得るためにツヴェイトの護衛になることを勝手に決め、街へ繰り出した。

懲りないエロムラ君

エロムラ君は、奴隷ハーレムを作る夢をまだ諦めていなかった。金を稼ぐには安定した仕事が必要だと考え、ツヴェイトの護衛なら都合がよいと思い込んだ。就職できるかどうかも考えずに動き出す彼は、相変わらず前向きで懲りない人物であった。

第二話 サムトロールの異常

エロムラ君の就職嘆願とサムトロールの最期

仕事を求める土下座

ツヴェイトが大図書館へ向かう途中、エロムラ君は突然土下座して仕事を求めた。彼は無職のままでは夢の奴隷ハーレムを作れないと訴え、ツヴェイトを困惑させた。ツヴェイトは奴隷制度の現実や税金、生活費の問題を指摘し、奴隷ハーレムが簡単に成立するものではないと諭した。

騎士に向かない性格

エロムラ君は公爵家の護衛騎士なら給料が良いと考えていたが、騎士には事務仕事や兵站、戦略知識も必要だった。彼は勉強や事務が苦手で、戦闘以外の仕事には向かないと認めた。ツヴェイトは、騎士ではなく護衛としてなら雇えないかと考え、しばらく自分の稼ぎから給料を払うことにした。

榎村樹の過去

エロムラ君こと榎村樹は、もともと車やバイクに関わる仕事を望んでいたが、両親の見栄で私立高校へ進まされた。環境に合わず学校をサボり、修理工場に入り浸ったことで親と対立して家出した。仲間と技術者として腕を磨き、レース出場を夢見ていたが、異世界転生でその夢を断たれていた。

アンズへの誤解

宿泊場所の話になると、ツヴェイトは空き部屋をアンズが使っていると説明した。エロムラ君は少女と同棲していると勘違いし、ツヴェイトをリア充扱いして責めた。さらに危険な妄想を口にしたが、ツヴェイトはアンズに手を出せば物理的に死ぬと警告した。

桃忍の正体

エロムラ君は、アンズが【影六人】の一人である【桃忍】だと気付いた。【影六人】は【殲滅者】に近い危険性を持つ高レベル忍者パーティーであり、アンズも上位プレイヤーとして知られていた。エロムラ君は、彼女に手を出せば勝てないと理解したが、危険な妄想そのものは捨てなかった。

血まみれのサムトロール

そこへ、血で赤黒く染まったサムトロールが現れた。彼は正気を失ったように笑いながらツヴェイトを殺そうとし、明らかに薬物で高揚していた。ツヴェイトとエロムラ君は即座に臨戦態勢を取り、戦闘になると判断した。

弾かれた拳

サムトロールはツヴェイトに殴りかかったが、エロムラ君の盾に阻まれた。エロムラ君はそのまま蹴りを叩き込み、サムトロールを十メートルほど吹き飛ばした。薬で強くなったと思っていたサムトロールにとって、格上のエロムラ君との差は圧倒的だった。

認められない現実

サムトロールは、自分が王族の血を引く高貴な存在であり、弱いはずがないと現実を否定した。ツヴェイトは、血筋だけを誇り努力を怠ったから今の無様な姿があると突きつけた。だがサムトロールは、全てをツヴェイトのせいにし、逆恨みを募らせるばかりだった。

薬の過剰摂取

サムトロールは、力が足りないのは薬の量が足りないからだと思い込み、大量の錠剤を一気に飲み込んだ。すると肉体が異様に膨れ上がり、皮膚が変色し、鱗や突起が現れて人間からかけ離れた姿へ変わっていった。薬は身体能力を増強するだけでなく、人間を魔物化させる危険な代物だった。

自壊する肉体

魔物化したサムトロールはツヴェイトを狙って襲い続けたが、エロムラ君の盾に防がれるたびに筋肉が裂け、骨が砕けた。強化された力に肉体が耐えられず、攻撃するたびに自分自身を壊していた。それでも痛みを感じないように執拗に襲いかかり、傷口は不気味に再生していた。

急速なミイラ化

やがてサムトロールの筋肉は急激に萎み、体は骨と皮だけのように痩せ細っていった。強化と破壊と再生を繰り返したことで、体内の栄養と体力を一気に消費し尽くしたのである。ツヴェイトとエロムラ君は、そのあまりに嫌な死に方を前に言葉を失った。

危険な魔法薬

ツヴェイトは地面に落ちていた錠剤を拾い、人間を魔物化させる危険な薬が出回っている可能性に警戒した。これは試作品かもしれないが、広まれば犯罪や戦争に利用されかねない代物だった。二人は国の機関に任せるしかないと判断し、事情聴取を受けることになった。

学院生寮への帰還

翌日、事情聴取を終えたツヴェイトとエロムラ君は学院生寮へ戻った。エロムラ君は元行政施設を改修した豪華な寮に驚いた。ツヴェイトは自室を案内し、エロムラ君はソファーで寝ることになった。

空腹のアンズ

部屋に入ると、アンズが空腹を訴えて現れた。朝に弱く、食堂の時間を逃していたのである。彼女は護衛の前金を使い、女性用下着を作っていた。アンズは【裁縫帝】のスキルを持つ匠だったが、二人はそれを知らなかった。

逆鱗の下着

ツヴェイトとエロムラ君は、アンズが作った下着のサイズについて余計なことを口にした。アンズは小柄な体格に反して胸があることを気にしており、その一言で逆鱗に触れた。彼女は一瞬で背後に回り、影分身まで使って二人に噛みつき、顔が腫れ上がるほど制裁した。

神出鬼没の下着売り

この一件により、ツヴェイトとエロムラ君はアンズの恐ろしさを身をもって知った。後にアンズはイストール魔法学院で、神出鬼没の下着売りとして有名になっていった。

第三話 異界の扉はたまに開く

悪魔の錠剤と異界に繋がる部屋

特殊研究棟の危険薬

イストール魔法学院の魔法学特殊研究棟では、クロイサスがサムトロールの死因となった魔法薬を分析していた。薬を投与されたラモットは激しく暴れながら肉体が壊れ始めており、クロイサスはその危険性を見て、存在を許してよいものではないと判断した。

悪魔の錠剤

クロイサスは、その魔法薬を【悪魔の錠剤】と呼ぶことにした。薬は精神を高揚させ、肉体を強化し、体内の栄養を強制的に引き出して異常な再生能力を与えるものだった。しかし依存性が強く、限界まで強化された肉体は攻撃のたびに壊れ、さらに凶暴化と魔物化を招く危険な麻薬でもあった。

軍用薬の疑い

クロイサスは、【悪魔の錠剤】が軍用目的で開発された可能性を考えた。死刑囚に投与して前線へ送り込めば、自滅するまで敵を攻撃し続ける兵器になり得るからである。市井に出回っているなら国を揺るがす災厄になりかねず、彼はツヴェイトとデルサシスへ情報を伝えるべきだと判断した。

セリナへの報告依頼

クロイサスはセリナに、分析結果を教員室へ提出するよう頼んだ。研究棟の者達が勝手に【悪魔の錠剤】を再現しようとすれば危険だからである。セリナも、研究者達に常識の欠けた者が多いことを理解し、報告を引き受けた。

ツヴェイト探しの空振り

片付けを終えたクロイサスは、ツヴェイトを探して戦術研究棟や大図書館へ向かった。しかしツヴェイトは見つからず、体力のないクロイサスは【ポーション】で足腰の疲れを癒すほど消耗した。結局、寮の前で待っていたツヴェイトとエロムラ君に出会い、完全に行き違っていたことを知った。

鍵の壊れた部屋

三人はクロイサスの部屋へ入ろうとしたが、壊れているはずの鍵がなぜか掛かっていた。中からはイー・リンが掃除をしている歌声が聞こえたが、歌詞は青酸や硫酸をまき散らすような不穏なものだった。直後、獣の咆哮とイー・リンの悲鳴が響き、扉はまるで鋼鉄のように開かなくなった。

スケルトン・フォー

扉の奥からは重いものが落ちる音や液体が飛び散るような音が続き、最後にイー・リンがスケルトン・フォーに礼を言う声が聞こえた。三人は何が起きているのか理解できず、部屋の前で呆然としたまま時間を失った。夕暮れになってようやく意識を取り戻すと、扉は静かに開き、イー・リンが何事もなかったように出てきた。

記憶の抜け落ち

イー・リンは部屋を片付けていただけだと語り、スケルトン・フォーのことを覚えていなかった。三人は、部屋の中では別の摂理が働いているのではないかと疑った。部屋は綺麗に掃除されていたが、何が起きたのかは分からず、クロイサスの部屋は不思議な空間として疑念を深めることになった。

薬の報告会

その後、クロイサスとツヴェイトは【悪魔の錠剤】について話し合い、薬の危険性や製造者の意図、今後起こり得る事態を紙に書き出した。あくまで推測だったが、学院側へ伝えれば予防策になると考えた。しかし三人は、部屋が異界に繋がる危険な場所であることを忘れていた。

異界への巻き込み

クロイサスの部屋は再び異界へ繋がり、三人は奇妙な世界へ巻き込まれたらしい。扉の向こうからは、巨大な存在との戦闘音や叫び声が聞こえ、廊下を通る学院生達は青ざめて逃げていった。誰も中を覗こうとはせず、クロイサスの部屋は踏み込んではいけない場所として学院内に認識されていった。

生まれ変わった朝

翌日、三人は部屋の中央で倒れていた。なぜか清々しい朝を迎え、生まれ変わったような気分になっていたうえ、若干格も上がっていた。だが、自分達に何が起きたのかは忘れており、クロイサスの部屋がなぜ異界と繋がるのかは結局分からなかった。

日本のアパート

一方、地球の日本では、ひきこもりの少年がゲーム機に囲まれた部屋でオンラインプレイをしていた。そこへ二十代ほどの女性がいつの間にか現れ、例の世界の次元バランスが崩れていると伝えた。勇者召喚による歪みに加え、特異点が頻繁に発生し、別世界へ繋がっているという深刻な状況だった。

観測者の必要

女性は、このままでは百年ほどで次元融合が起きる可能性が高いと告げた。少年は、今は干渉できず、彼女が復活するのを待つしかないと答えた。彼は性格に難のあるプレイヤーを送り込んでおり、その人物が近いうちに彼女を復活させるだろうと見ていた。

ゼロスへの期待

女性は監視を引き受けつつ、個人的な用事として地球で遊んでいくことにした。彼女が消えた後、少年は虚空を見上げ、全てはゼロスにかかっていると呟いた。そして再び携帯ゲーム機を操作し、静かな部屋にはボタン音だけが響いていた。

第四話 勇者への勅命

聖都マハ・ルタートと姫島佳乃の憎悪

白い聖都の歪み

メーティス聖法神国の聖都【マハ・ルタート】は、古き創生神教の時代から残る美しい都だった。白で統一された街並みは神聖さを印象付けていたが、実際には貧富の差が激しく、神官達の権威が異常に高かった。重税と妖精擁護、他国への侵攻によって民の不満は広がり、まともな神官達も現状を変えられずにいた。

勇者達の軋轢

四神聖殿の回廊を、白い鎧をまとった十代半ばの勇者達が歩いていた。岩田定満は姫島佳乃に言い寄ったが、佳乃は侮蔑と憎悪を向けて拒絶した。岩田はかつて戦場で無謀な突撃を行い、仲間を盾にして逃げたため、佳乃だけでなく他の勇者達からも軽蔑されていた。

失われた仲間達

三年前、勇者達はクラスごと召喚され、戦争へ投入された。彼らは敵を邪教の魔族と教えられていたが、実際には宗教的主義が異なる小国家との戦争だった。岩田の無謀な指揮によって前線は崩壊し、佳乃は友人と初恋相手の幼馴染を失った。最後まで仲間を逃がすために戦った風間卓実と、逃げ出した岩田の差はあまりに大きかった。

邪神討伐の神命

勇者達は法皇の間へ通され、ミハロウフ・ウェルサピオ・マクリエル法皇七世から神託を告げられた。邪神が復活したため、魔族討伐の任を解き、邪神を探し出して討伐せよという神命だった。勇者達は、大国を一撃で消し飛ばすような存在に勝てるはずがないと内心で絶望した。

窮屈な洗礼

勇者達には拒否権がなく、邪神探索の任を受けるしかなかった。その後、長い洗礼の儀が行われ、彼らは三時間以上も窮屈な儀式に付き合わされた。儀式の後、特殊任務についている者以外の勇者達は、三日後に各地へ探索へ向かうことになった。

佳乃の疑念

一条は佳乃に今後の行動を尋ねたが、佳乃は邪神などどうでもよく、前線へ向かうと答えた。彼女は、勝手に召喚して戦争をさせるこの世界を滅びればよいとまで考えていた。四神教の言葉も神託も胡散臭く、帰還の約束も都合よく勇者を使うための嘘ではないかと疑っていた。

風間卓実の警戒

佳乃は、召喚時から風間卓実がこの国を胡散臭いと言っていたことを思い出した。邪神が復活する前から勇者を召喚していた理由や、邪教討伐という名の宗教戦争、異種族迫害の構図を考えれば、彼女達は四神教の権威を高めるための捨て駒にされた可能性が高かった。四神が邪神を倒せないから勇者を使うのだという考えは、佳乃の中で確信に近づいていた。

前線への決意

一条は、復讐しても風間卓実は喜ばないと止めたが、佳乃はそれしか考えられないと答えた。彼女の脳裏には、黒い翼を持つ女性戦士に卓実を斬られた記憶と、最後まで逃げろと叫び続けた彼の声が焼き付いていた。佳乃の中には、憎悪と無力感、焦燥、想いを伝えられなかった後悔だけが残っていた。

第五話 おっさん、余計な一言を言ってしまう

小国家同盟の策謀とワイヴァーンカレー

小国家大使の集会

ソリステア魔法王国に滞在する各小国家の大使達は、デルサシス公爵に呼び出されて集まっていた。彼らの国はメーティス聖法神国の軍事圧力や経済圧力に悩まされており、特にイサラス王国は鉱物資源を安く買い叩かれ、食料支援にも依存していた。隣国アルトム皇国との戦争継続もあり、各国は大国の横暴に疲弊していた。

イサラス王国の苦境

イサラス王国の大使ヴェイスは、メーティス聖法神国から同盟を迫られていることに苦悩していた。アルトム皇国とは友好関係にあり、敵対したくはなかったが、食料事情や神官派遣を盾に取られ、断りにくい状況だった。アルトム皇国のルオウも、神の名を騙る侵略者だとメーティス聖法神国を忌々しく思っていた。

デルサシス公爵への警戒

大使達は、デルサシス公爵を恐ろしい交渉相手と見ていた。敵対すれば経済的に潰されかねず、味方にすれば大きな利益をもたらす危険な人物だった。特にイサラス王国は、過去にソリステアへの侵攻を仮定した調査を行っていたため、ヴェイスはその失態が交渉に響くことを恐れていた。

回復魔法の切り札

デルサシスは、大使達にメーティス聖法神国の侵攻ルートや交易支配の資料を示し、神官達が回復魔法を独占しているため各国が不利な条件を飲まされていると指摘した。そのうえで、魔導士も回復魔法を使えるなら前提が崩れると告げた。各国の大使達は、神官だけが使えるはずの神聖魔法という常識を揺さぶられ、動揺した。

医療魔導士の可能性

デルサシスは、医者でもある錬金術師に回復魔法を覚えさせたところ、固定職が【医療魔導士】に変わったと説明した。回復魔法を有効に扱えるのは神官だけではなく、魔導士でも可能だと証明されたのである。彼は各国へ回復魔法のスクロールを提供し、国同士で共同開発したことにして公表する策を示した。

多国籍同盟の構想

回復魔法の流通は、メーティス聖法神国の優位性を奪い、神官達の横暴を抑える切り札になり得た。さらに各小国家が連携すれば、軍事力でもメーティス聖法神国に対抗できる可能性があった。ただしイサラス王国とアルトム皇国は、現在の交易路と戦争継続の問題が解決しなければ策が成立しないと見ていた。

地下都市経由の交易路

デルサシスは、旧時代のドワーフ達が築いた地下都市を経由する交易路を用意していると明かした。地下の大街道はイサラス王国とアルトム皇国を挟んでソリステアまで続いており、すでに修復工事も進んでいた。これにより、オーラス大河を経由せずに物資を運べるようになり、メーティス聖法神国による略奪を避けられる見込みが立った。

対メーティス包囲網

大使達は、デルサシスが以前からメーティス聖法神国の包囲網を構想していたのだと悟った。神官の回復魔法独占と交易路の問題が解消されれば、小国家はこれ以上搾取されずに済む。アルトム皇国も勇者を警戒しつつ、既に半数を失った勇者達を相手にするなら戦士達で防げると判断し、小国家は団結へ動き始めた。

洗濯機の試作

一方、ゼロスは庭先で洗濯機の試作をしていた。魔力の制御が難しく、回転盤が高速になりすぎて水を噴き出したり、水竜巻を発生させたりして失敗を重ねていた。四度目の組み立てを進めながら、魔石の大きさや魔法式の制御に頭を悩ませていた。

子供達の狩り願望

そこへ養護院の子供達が現れ、狩りに行きたいと訴えた。彼らはダンジョン攻略や自立のために実戦経験を求めており、コッコ達を護衛役にするつもりだった。ゼロスはルーセリスと相談することを条件に、許可が出れば簡単な装備を作ると約束した。

ルーセリスへの説得

子供達は、ルーセリスに筋を通して許可を取るべきだとゼロスに諭された。彼らは自分達の覚悟を示すため、勢いよくルーセリスを探しに走り出した。ゼロスは焚きつけた手前、子供達が無茶をしないか少し心配しながら見送った。

疲弊したイリス

夕刻、イリスがジャーネ達に引きずられるようにしてゼロスのもとへ来た。彼女はゴブリン相手に近接戦闘を経験し、剣で刺す感触やメイスで頭蓋を砕く手応えに衝撃を受けていた。解体まで行ったため、血の臭いや生き物を殺す現実に心が追いつかず、ひどく疲弊していた。

殺す覚悟

ゼロスは、魔法で殺すことも武器で殺すことも結果は同じだと現実を突きつけた。イリスはこの世界がゲームではなく、弱ければ死ぬ現実だと理解しつつも、感覚として受け入れきれずにいた。ジャーネとレナも妖精被害の記録絵を見て外へ走り出し、妖精の残酷さを思い知らされた。

強化された装備

イリスは、ゼロスが強化した自分の装備を確認して興奮した。装備には【魔力回復効果増大】【魔法効果増大】【物理攻撃耐性アップ】【魔法耐性強化】などの効果が追加・強化されていた。ゼロスが提示した強化費用は良心的で、イリスは即座に支払った。

ワイヴァーンカレー

ゼロスが夕食にカレーを作ると知ったイリスは、懐かしい味を求めて手伝いを申し出た。辛口が苦手でも、転生者としてカレーを食べたい欲求には抗えなかった。ゼロスはワイヴァーン肉を使い、二時間かけてカレーを作った。

奪われた残りカレー

完成したワイヴァーンカレーは四人の想像以上に美味しく、鍋は焦げ一つ残らないほどきれいに食べ尽くされた。半分は養護院へ分けたが、翌朝には子供達がゼロス宅を強襲し、冷蔵庫に保存していた小鍋のカレーまで見つけ出した。子供達は勝手知ったる他人の家で、いろいろな意味で飢えていた。

第六話 おっさん、子供達の装備に悩む

洗濯機開発と子供達の狩猟準備

暴走する洗濯機

ゼロスは庭で洗濯機の試作を続けていた。構造自体は整いつつあったが、魔力が規定量を超えて流れ込み、魔力式モータが暴走してしまっていた。原因は、ゼロスの魔力が高すぎて魔宝石を変質させていることだったが、本人はその単純な理由に気付かず悩み続けていた。

ルーセリスへの拷問まがいの説得

子供達はルーセリスを連れてゼロスのもとへ来て、狩りの許可が下りたと報告した。だが、その方法はルーセリスを縛り上げ、コッコの羽でくすぐるという暴挙だった。ルーセリスは顔を赤くして否定したが、ゼロスは近所の夫婦から子供達が危険な知識を得ていたことを知り、教育上よくないと感じた。

結婚話への脱線

ゼロスが冗談めかしてルーセリスを貰い受けると言うと、ルーセリスは順序を守るべきだと慌てた。子供達はもう結婚すればよいと茶化したが、カイは肉、カエデは剣の道を優先しており、相変わらず欲望に忠実だった。ゼロスとルーセリスの間には微妙な空気が生まれた。

無茶な装備要求

子供達は狩りに向けて、鎧や剣、槍、弓矢を求めた。さらに【カリバーン】や【ゲイボルグ】のような伝説級の武器まで欲しがったが、ゼロスは未熟な彼らに扱えるものではないと断った。強力な武器には適性や呪いの危険があり、簡単に与えてよい代物ではなかった。

危険装備への憧れ

子供達はリビングアーマーや呪われた鎧のような物騒な装備にも興味を示した。ゼロスは、それは自分で戦うのではなく鎧に操られるだけだと説明し、カエデも剣を極める道とは違うと納得した。結局、作るのは普通の武器と防具に限定された。

初狩猟の準備

ゼロスは子供達のサイズを測り、体格に合わせた防具や武器を作ることにした。ルーセリスも手伝いを申し出たうえで、自分も狩りに同行したいと伝えた。子供達が見えない場所で無茶をしないか心配だったためである。

ルーセリスの休暇申請

狩りに同行するため、ルーセリスは休暇を取る必要があった。彼女は自分が普段治療を担当している区画を他の神官に任せるため、各養護院へ連絡することにした。ゼロスは、真面目に働くルーセリスを見て、自由人である自分に少し罪悪感を覚えた。

世紀末風の装備案

ジョニーは、自分達の装備案として紙を持ってきた。そこにはモヒカン付きの兜や棘だらけの肩当てなど、実用性に乏しい悪趣味な防具が描かれていた。ゼロスは頭を抱えながらも、できるだけ子供達の希望を反映させる方向で装備製作の準備に入った。

南側の教会

翌日、ルーセリスは休暇申請のため、南側の教会へ向かった。サントールには四つの養護院があり、その中で最も大きい教会に司祭のメルラーサがいた。ルーセリスにとって、メルラーサはジャーネと共に自分を育ててくれた恩人でもあった。

放蕩司祭メルラーサ

メルラーサは、神官服を着ながらテーブルの上で胡坐をかき、酒と煙草を楽しむ五十代の女性司祭だった。聖職者らしからぬ姿だったが、街の人々からの信頼は厚く、特に船乗り達から慕われていた。ルーセリスは相変わらずの姿に呆れながらも、休暇の申請を伝えた。

子供達への理解

メルラーサは、子供達が狩りに行きたいと言い出したことを聞き、あっさり許可を出した。ルーセリスは危険を心配したが、メルラーサは子供はいずれ自立して出ていくものだと語った。ただし、子供達が大物を狙って無茶をする姿は容易に想像できるとも認めた。

ルーセリスの過去

メルラーサは、幼い頃のルーセリスが角材で悪ガキ達を叩き伏せていたことを持ち出し、今では人を心配するようになったとからかった。さらにゼロスとの関係やジャーネとの三角関係まで茶化し、ルーセリスを慌てさせた。放蕩司祭は女性司祭というより、酔っ払ったおっさんのようだった。

ジャーネへの気遣い

メルラーサは、ジャーネの近況も尋ねた。ジャーネは傭兵として元気に働いているが、元は人見知りで繊細な子だったため、無理を重ねていないか心配していた。ルーセリスは、ジャーネが言葉遣いを変えても内面は昔の可愛いままだと答えた。

神官と回復魔法

ルーセリスは、最近広まっている回復魔法の噂についてメルラーサと話した。各国の魔導士が協力して回復魔法を完成させたという話があり、神聖魔法がただの魔法である可能性も示されていた。メルラーサは、それを軽々しく口外すと異端審問の対象になり得ると警告した。

休暇の許可

メルラーサは、ルーセリスに子供達の面倒をしっかり見てくるよう伝え、休暇を正式に認めた。優しさだけでなく、時には厳しく教えることも大人の役目だと諭した。ルーセリスは出発日が決まったら改めて報告すると告げ、休暇申請は無事に受理された。

第七話 おっさん、子供達と狩りへ行く

初狩猟への出発と宿の誤解

初狩猟の装備

子供達が初狩猟へ向かう当日、ゼロスは五日かけて作った装備を教会へ届けた。装備は安全性を優先したため、子供達が望んだ世紀末風の意匠は反映されていなかった。アンジェ、ジョニー、ラディ、カイには共通の防具と武器が用意され、カエデには和風軽装を強化した武者少女風の装備が与えられた。

不評な実用装備

子供達は棘付き肩当てや鎖のような派手な個性を期待していたため、実用重視の装備に不満を漏らした。しかしゼロスは、狩りでは肌の露出や悪趣味な装飾よりも、植物の棘や毒から身を守ることが重要だと説明した。子供達もルーセリスを泣かせるわけにはいかないと考え、装備を受け入れた。

ルーセリスの重装備

ルーセリスは、ブレストプレートや手甲、レッグアーマーを身につけ、モーニングスターとカイトシールドを持つ僧兵のような姿だった。彼女は、何かあれば盾役になって子供達を守るつもりだった。ゼロスは力が入りすぎではないかと感じたが、ルーセリスは過去に修道院で狩りの経験があると話した。

神官と殺生

ルーセリスは、神聖魔法を覚えるために格を上げる必要があり、修行で狩りをした経験があった。ゼロスは、殺生を禁じながら魔物は不浄だから殺してよいとする教義に違和感を覚えた。ルーセリスも、魔物を食べている現実を考えると少しおかしいと感じていた。

レンタル馬車

教会の横には、メルラーサが借りてくれた馬車が停まっていた。レンタル馬車は傭兵ギルドが管理する運送業の一種で、村と街を結ぶ足として使われていた。運行管理が厳しく、盗賊が襲うとすぐに足がつく仕組みのため、比較的安全な交通手段でもあった。

危険な御者

ゼロス達が乗り込むと、御者は異様なテンションで馬車を発進させた。馬車を引いていたのはスレイプニールであり、聖獣の脚力によって馬車は常識外れの速度で爆走した。御者の狂気じみた運転に、ゼロス達は恐怖と激しい揺れで意識を失った。

村への到着

ゼロスが気付くと、一行はノーガス砦とサントールの中間にある発展した村へ到着していた。そこは薬草や魔物素材が集まり、傭兵や商人が多く訪れる中継拠点だった。盗賊は少ないが血の気の多い傭兵も多く、自警団や衛兵が常駐していた。

ルーセリスへの偶発接触

目覚めたゼロスは、無意識にルーセリスの胸へ手を置いてしまっていた。二人は気まずくなり、ゼロスは慌てて謝罪したが、内心では幸運だとも思っていた。ルーセリスも動揺し、夜這いの冗談に心の準備ができていないと返してしまい、さらに気まずい沈黙が流れた。

子供達の茶化し

いつの間にか目を覚ましていた子供達は、二人にもう結婚すればよいと茶化した。馬車の爆走に子供達も苦しんだが、誰も振り落とされずに済んでいた。ゼロスはスレイプニールの凶暴さを説明し、あの御者が何者なのか不審に思った。

消えたコッコ達

一行は馬車に乗っていたはずのコッコ達が見当たらないことに気付いた。心配する間もなく、通りの方から不吉な音が聞こえ、コッコ達が女性に絡んでいた男達を制裁していることが分かった。村人達は男達を嫌っており、コッコ達の行動をむしろ歓迎していた。

宿探し

ゼロス達は宿を探し始めたが、子供達が最初に見つけたのは派手な看板の宿だった。そこは勇者ケンジ・ツキシマが創業した三百年続く老舗の特殊な宿であり、子供達と泊まるには不適切だった。ゼロスとルーセリスは慌てて却下し、普通の宿を探すことにした。

森の木陰

一行は、ログハウスのような宿【森の木陰】に泊まることにした。宿は小規模ながら清潔で落ち着いた雰囲気があり、傭兵の宿泊を想定した広い部屋もあった。子供達には三段ベッドが二つある部屋が用意された。

二人きりの部屋

ゼロスとルーセリスに案内された部屋には、大きなダブルベッドが一つだけ置かれていた。宿の女将は二人の関係を完全に誤解し、思う存分愛し合えばよいと満面の笑みで部屋を任せた。ゼロスとルーセリスはまだそういう関係ではないと否定したが、聞き入れられず、気まずい空気の中に取り残された。

第八話 おっさん、子供達に驚愕す

初狩猟の部屋割りと森での初成果

同室問題

ダブルベッドの部屋に残されたゼロスとルーセリスは、互いに意識しているだけに気まずい状況となった。ゼロスは自分がソファーで寝ると提案したが、ルーセリスは着替えの問題を気にした。そこでアンジェとカエデを自分達の部屋へ移せばよいと考え、二人は子供達の部屋へ向かった。

子供達の却下

ルーセリスの部屋割り変更案は、子供達に即座に却下された。子供達はルーセリスがゼロスと結ばれるべきだと考えており、ジャーネも含めて幸せになるべきだと背中を押した。空いたベッドにはコッコ達が陣取っており、実質的に退路はなかった。

傭兵ギルドへの出発

ゼロスは、子供達を連れて傭兵ギルドへ向かった。子供達はまだ正式な傭兵ではないため、森に入るには手続きや予定の報告が必要だった。これは行方不明時の捜索や素材の売買を円滑にするための制度であり、傭兵としての第一歩でもあった。

モブ村傭兵ギルド

一行はモブ村傭兵ギルド支部で、森に入る者の名簿へ記入した。受付嬢は、傭兵でなくとも猟師がギルドを利用することや、素材の買い取りについて説明した。ゼロスはギルドの仕組みに疎かったため、子供達と共に説明を聞いて今後の参考にした。

森の魔物情報

受付嬢は、森にはゴブリン、オーク、ウルフ、ストラバード、熊、鹿などがいると説明した。最近はビッグ・コックローチも見かけると聞き、ゼロスや子供達は生理的な嫌悪を示した。一方、カエデは東方では油虫が鎧の素材として使われると語り、文化の違いを見せた。

森の変質者

受付嬢は、盗賊や変質者を見かけたら逃げるようにと注意した。特に、全裸の黒光りした筋肉質の変質者が出るという話に、ゼロス達は別の意味で危険を感じた。受付嬢は笑顔で注意事項を告げたが、その内容は子供達の教育に悪いものだった。

情報収集の訓練

ゼロスは、子供達にギルド内で魔物の情報を集めるよう指示した。魔物の習性は場所によって変わるため、自分の耳で聞き、目で確かめることが大切だと教えた。子供達は不満を漏らしつつも、すぐに傭兵達へ声を掛け始めた。

子供達の交渉術

アンジェは女性傭兵に美人だと声を掛け、ジョニーは酒を奢って傭兵から話を聞き出した。ラディは狩りに失敗した傭兵達を励ましながら反省点を聞き、カイは解体場で肉の情報を集めていた。カエデは賞金首の掲示板を確認し、手練れとの死合に関心を示していた。

末恐ろしい観察眼

ゼロスとルーセリスは、子供達があまりに手慣れた方法で情報を集めていることに驚いた。彼らは孤児として生き抜く中で、相手を見極め、会話から情報を引き出す術を自然に身につけていたようだった。ルーセリスは、知らない間に逞しく育っていたことへ少し寂しさを覚えた。

初狩猟の方針

子供達は集めた情報を交換し、初日はスライムやウサギを狙う方針を決めた。ゼロスは、狩りができるのは三時間ほどだと告げ、一人一匹を目標に自由に考えて行動するよう指示した。子供達は軍隊式の返事をしながら、勢いよく森へ向かった。

森での索敵

モブ村周辺の森に入った子供達は、すぐに生き物の痕跡を探し始めた。足跡や糞、毛を見つけ、カエデが感覚を広げて小型の魔物の気配を探った。彼女はウサギと蛇の気配を捉え、子供達は作戦を立てて静かに回り込んだ。

初めてとは思えない連携

アンジェが木の上から獲物を発見し、サインで仲間に位置を伝えた。ジョニーやカエデ達もサインをつなぎ、全員が弓を構えながら慎重に配置についた。ゼロスとルーセリスは、子供達の動きが初めての狩りとは思えないほど見事であることに驚いた。

二頭狩り

草むらからヴァイパーが現れ、ウサギに食らいついた瞬間、子供達は一斉に矢を放った。矢はヴァイパーの頭部とウサギを貫き、二頭を同時に仕留める結果となった。ゼロスは狙ってやったのかと驚き、ルーセリスも子供達の腕前に言葉を失った。

初日の狩猟成果

子供達は獲物を仕留めても浮かれるばかりではなく、すぐに解体を始めた。その手際も素人とは思えないほど巧みだった。夕暮れまでに、子供達はウサギ六羽、蛇七匹、スライム三十一匹を狩り、初狩猟とは思えない成果を上げた。

第九話 おっさんの災難

ハイスピード・ジョナサンと少女達の初戦果

朝の事故

宿の部屋で目覚めたルーセリスは、寝惚けたまま日課の清めを行おうとして脱衣所へ向かった。そこにはシャワーを浴び終えたゼロスがおり、全裸のルーセリスと鉢合わせてしまった。二人は同時に悲鳴を上げ、その後の朝食でも気まずい空気を引きずっていた。

朝食と大物狙い

子供達は二人の気まずさを気にせず、朝食を勢いよく食べていた。前日の狩りでは格が上がらなかったため、彼らはフォレストグリズリーやワイルド・ウルフ、オークなどの大物を狙おうと話し合った。ゼロスは大物を運ぶために、信号弾を買っておく必要があると教えた。

宿のおばちゃんの誤解

子供達が信号弾を買うと、宿のおばちゃんはゼロスとルーセリスを見て昨晩の関係を勝手に邪推した。二人は必死に否定したが、おばちゃんは聞く耳を持たず、初めての次の日のようだと一方的に話を進めた。ゼロスとルーセリスは、不可抗力の朝の出来事もあり、さらに居たたまれなくなった。

本格的な狩り

ゼロスは子供達の実力を見て、少し森の奥へ入り、本格的な狩りをさせることにした。子供達はそれぞれコッコ達と組み、必要なら単独やコンビで行動する方針となった。ルーセリスは危険だと心配したが、ゼロスは子供達の技量は十分で、足りないのは経験だけだと判断していた。

子供達の覚悟

子供達はルーセリスの心配を受け止めつつも、夢と成長のために狩りをやり遂げると答えた。ゼロスは所在確認用の指輪を渡し、万一の時は自分が助けに入るつもりだった。ルーセリスも、養護院のための蓄えを増やせると考え、自分も格上げに前向きになった。

馬車にはねられたゼロス

一行が環境不安定エリアに入ると、突然スレイプニールに引かれた荷馬車が猛スピードで通過し、ゼロスをはね飛ばした。御者は異様な高揚状態で走り去り、ゼロスはその正体がかつてゲーム内で自分を轢いた【ハイスピード・ジョナサン】ではないかと確信した。子供達はゼロスを勝手に死んだ扱いし、ルーセリスに怒られて逃げ出した。

膝枕の目覚め

ゼロスが目を覚ますと、大木のそばでルーセリスの膝枕を受けていた。ルーセリスも眠っていたが、狩り場で無防備に寝るのは危険であり、ゼロスは警戒の甘さを指摘した。二人は子供達を追うことにし、狩り場の地図を手に森を進んだ。

暴走する運搬馬車

森の中では、ハイスピード・ジョナサンの馬車が傭兵や魔物をはね飛ばしながら走り回っていた。彼は傭兵ギルド所属の運搬馬車の御者として、信号弾の上がった場所へ向かっているようだった。ゼロスは、彼が人の言葉で止まる相手ではないと判断した。

アンジェとカエデのコンビ

アンジェとカエデは、二羽のコッコと共にオークを探して森の奥へ進んでいた。先にオークと戦っていた傭兵達が撤退したため、二人は残ったオークを相手にすることにした。コッコ達は二匹を一撃で仕留め、カエデとアンジェも連携して残るオークを倒した。

物騒な羅刹姫

カエデは居合抜きでオークの首を斬り落とし、アンジェは矢でオークの両目を射抜いた。カエデはさらに頸動脈を斬り、額にとどめを刺した。二人は格が多少上がった程度では満足せず、さらに手応えのある獲物を求めた。

ロック・シェル狩り

アンジェは石に擬態した魔物【ロック・シェル】を見つけた。斬撃や弓とは相性が悪い相手だったが、クロオビ・コッコが内部破壊の打撃を見せ、二人は対処法を理解した。アンジェとカエデは素手でロック・シェルを次々と倒し、殻や血液、身を素材として大量に確保した。

新人二人の評価

アンジェが信号弾を上げると、ハイスピード・ジョナサンの運搬馬車が猛スピードで突っ込んできた。大量のロック・シェルはモブ村へ運び込まれ、傭兵ギルドでは期待の新人の誕生として歓声が上がった。後にアンジェは【赤毛のアンジェ】、カエデは【羅刹姫】と呼ばれることになる。

ルーセリスの格上げ

ゼロスとルーセリスは子供達の位置を確認しながら森を歩き、途中でホーンビートルを相手にした。ルーセリスはモーニングスターで昆虫型の魔物を叩き潰し、格上げを進めていた。ゼロスは魔石を回収しつつ、素材価値の低さに見合わない労力だと考えていた。

三度目の轢殺未遂

ゼロスが魔石を回収していると、再びハイスピード・ジョナサンの馬車が突っ込んできた。ルーセリスが警告した直後、ゼロスはまたもはね飛ばされて気絶した。彼はゲーム時代を含めて三度轢かれたことになり、手元には【ジョナサン】というダイイングメッセージが残されていた。

第十話 おっさん、一般傭兵の現実を知る

ゴブリン討伐とジョニーの救援

ルーセリスの近接戦闘

ルーセリスはゴブリンの棍棒をカイトシールドで受け流し、モーニングスターで顎を砕いた。さらに背後から襲うゴブリンには跳び膝蹴りを放ち、鈍器で容赦なくトドメを刺した。ゼロスは、聖女のような見た目に反して過激な戦い方だと感じていた。

ゴブリンの後始末

ゼロスは、ゴブリンは魔石以外に使える素材がなく、傭兵から不人気な魔物だと考えた。死体を放置すると疫病の原因になるため、魔法で焼却する必要があった。ルーセリスは死骸という言い方に少し抵抗を覚えつつも、魔法の便利さを認めた。

聖魔導士の提案

ゼロスは、ルーセリスに魔法を覚えれば【聖魔導士】になる可能性があると話した。ルーセリスは異端審問の危険を気にしたが、ゼロスはその時は異端審問官を叩きのめすと言った。彼は四神を信用しておらず、四神を盲信する者達も敵になると考えていた。

見つからない子供達

ゼロスとルーセリスは、散開した子供達を探して森を回ったが、なかなか合流できなかった。二人は子供達が魔物に襲われることより、逆に大物へ突撃しているのではないかと心配していた。コッコ達との鍛錬によって、子供達はすでに一般常識から外れた戦闘力を持っていた。

ジョニーの隠密行動

ジョニーはブラック・コッコと共に、オーク十匹に囲まれた五人の傭兵を見つけた。正面から助けに入るのは危険だと判断し、相棒と手分けして包囲を抜け、背後から奇襲することにした。彼はストリートで身につけた尾行や気配消しを狩りに応用していた。

背後からの一撃

ジョニーはオークの背後から首に飛びつき、ナイフを頭部へ突き刺して仕留めた。続くオークも首を切り裂き、返り血を浴びないよう素早く茂みに隠れた。戦い方は傭兵というより暗殺者に近く、実に悪辣で確実だった。

動揺する傭兵達

ジョニーとブラック・コッコがオークを減らすと、傭兵達とオーク達は何が起きているのか分からず動きを止めた。ジョニーはその隙に攻めるか撤退すべきだと考えたが、傭兵達は判断できずにいた。彼は外れにいたオークへ【気爆掌】を放ち、内部から破壊する一撃で吹き飛ばした。

ブラック・コッコの暗殺

ブラック・コッコは高速でオークの背後へ回り込み、耳の穴へ黒い羽を突き刺して一撃で葬った。その速さと正確さに、傭兵達は目の前の存在が本当にコッコなのか信じられなかった。ジョニーは驚く傭兵達に、まだ敵が残っていると促した。

傭兵達の反撃

ジョニーの援護で活路を得た傭兵達は、残ったオークへ一気に挑んだ。戦いを終えると、信号弾が打ち上げられ、けたたましい笑い声を上げる運搬馬車が到着した。ハイスピード・ジョナサンは相変わらず恐ろしい速度で活動していた。

ジョニーとの合流

ゼロスとルーセリスは、マーカーを頼りに移動していたが、子供達が狩りに熱中して動き回るため苦労していた。ようやくジョニーとブラック・コッコを見つけると、彼は助けた傭兵達から感謝されていた。ルーセリスはオークと戦っていたことに驚いたが、ジョニーは隙を突けば何とかなったと平然としていた。

急成長への危惧

ゼロスは、ジョニー達が一般的な傭兵より異常な速度で成長していることを改めて実感した。普通の傭兵は慎重に経験を積むが、子供達はコッコとの訓練や独自の工夫で高いスキルを得ていた。彼は、このまま強くなりすぎれば慢心や油断につながるのではないかと危惧した。

青年傭兵の喪失

ジョニーに助けられた青年傭兵は、最近パーティーリーダーを失ったことをゼロスに打ち明けた。仲間を守れなかった無力感に苦しんでおり、強くなりたいと語った。ゼロスは、悲しみを一人で背負わず仲間と話し合い、失敗や危険な状況を冷静に分析するしかないと助言した。

弱さと前進

ゼロスは、仲間を失った苦しみはすぐに消えないが、足掻き続けた者だけが前へ進めると伝えた。弱さは恥ではなく、仲間と共に悩みながら答えを探すしかないとも語った。青年達は無言で頭を下げ、ゼロスは重苦しい気分を抱えたまま、ジョニー達を連れて次の子供達を探しに向かった。

第十一話 おっさん、意外な人物と再会す

狩猟の現実とビッグ・ボアの解体

ジョニーの不安

ジョニーは、助けた傭兵達が仲間を失っていたことに気付き、いつもの奔放さを失っていた。ゼロスは、傭兵として生きる以上、どれだけ強くなっても仲間が死ぬ可能性はあると厳しく告げた。ジョニーは自分達が甘かったのかと受け止め、夢を追うには覚悟と責任が必要なのだと知った。

死の可能性

ルーセリスはゼロスの言葉が厳しすぎると感じたが、ゼロスは死ぬよりはましだと考えていた。技術、身体能力、情報、装備を揃えても死ぬ時は死ぬという現実を、ジョニーには今のうちに心に留めておく必要があった。ゼロス自身も、命の値段が安い世界にいることを改めて認識していた。

ビッグ・ボア狩り

ラディとカイは、茂みの中からビッグ・ボアを狙っていた。二人は毛皮を綺麗に残すことより安全を優先し、魔石だけでも十分な稼ぎになると判断した。しかし風上にいたため臭いで居場所がばれ、ビッグ・ボアは二人へ突進してきた。

突進への対処

ビッグ・ボアの突進は速かったが、コッコ達との訓練を積んだラディとカイには緩慢に見えていた。二人は回避しながら斬りつけたが、硬い毛皮に弾かれ、剣では有効打にならなかった。そこで二人は、魔力を込めた格闘技でカウンターを狙うことにした。

無敵の一撃

ラディとカイは、突進してくるビッグ・ボアに対し、拳と蹴りを同時に叩き込んだ。強化された一撃はビッグ・ボアを空高く打ち上げ、二人は見事に勝利した。しかし魔力を使いすぎて倒れ込み、マナ・ポーションを飲んで回復した。

崖下の獲物

ビッグ・ボアは茂みの奥へ落ちたが、そこは崖だった。下の狩り場に落下したビッグ・ボアは、偶然にも人を潰していた。ラディとカイはその光景に青ざめ、恐る恐る崖下を見下ろしていた。

ベラドンナとの再会

ゼロス達はラディとカイを見つけた先で、魔導具店の店長ベラドンナと再会した。ベラドンナはクレストンから冷蔵庫用の魔法石製作を依頼され、多忙だったと語った。ゼロスは、自分が作った冷蔵庫がソリステア商会で広まり、冷凍貯蔵庫まで作られていることを知った。

血塗れのクーティー

ベラドンナの店員クーティーは、ビッグ・ボアの下から血塗れで這い出てきた。見た目は凄惨だったが、血はすべて返り血であり、彼女は【血塗れの撲殺者】と呼ばれていた。クーティーはベラドンナに文句を言ったが、過去の騒動を持ち出されてすぐに沈黙した。

ビッグ・ボアの解体

ラディとカイは、ベラドンナ達を気にせずビッグ・ボアの解体を進めていた。ジョニーも加わり、焼肉やモツ鍋の話をしながら作業を手伝った。結局、解体作業は日が落ちるまで続くことになった。

第十二話 おっさん、クーティーの悪行を知る

宿の夕食と再び始まる狩り

同じ宿のベラドンナ達

狩りを終えたゼロス達は、宿でベラドンナとクーティーに再会した。二人も同じ宿に泊まっており、クーティーはカウンター席で平然と食事をしていた。ベラドンナは、問題ばかり起こすクーティーに消費した金銭分の働きをさせるため、狩りへ連れてきていた。

役立たずのクーティー

ベラドンナは、クーティーが親戚であるため仕方なく雇ったが、店に客が来なくなるほど迷惑をかけていると語った。クーティーは【血塗れの撲殺者】と呼ばれた元傭兵で、反省も学習もしない天然の自己中心人物だった。食事代を払えないにもかかわらず、おかわりを続ける姿に、ゼロスとベラドンナは強い苛立ちを覚えた。

子供達の情報共有

子供達は夕食を食べながら、その日の狩りの成果について情報を交換していた。アンジェとカエデはロック・シェル、ジョニーはマダラオーク、ラディとカイはビッグ・ボアについて語り合い、それぞれ素材や肉の価値を考えていた。彼らは狩りの成果だけでなく、今後の行動にも自然と目を向けていた。

ジョニーの慎重さ

ジョニーは、助けた傭兵達が仲間を失っていたことから、自分達にも同じことが起きない保証はないと話した。カエデは強さに溺れれば誰かが死ぬかもしれないと受け止めたが、アンジェはまだ楽観的だった。ゼロスは、ジョニーが良い経験をしたと考え、強いだけでは生き残れない現実を改めて見ていた。

傭兵への不安

ルーセリスは、子供達に傭兵になってほしくないと改めて感じていた。傭兵は自立の道ではあるが、命を落とす危険が常につきまとう仕事だった。ベラドンナは、自分で選んだ道なら応援すべきだと語り、ゼロスも慎重に経験を積ませる必要があると考えた。

相部屋の夜

子供達は話し合いの続きを部屋で行うことにした。そこでゼロスとルーセリスは、自分達が同じ部屋に泊まることを思い出した。二人はまたも気まずい一夜を過ごし、翌朝も寝不足のまま宿のおばちゃんにからかわれることになった。

村の散策

翌日、ゼロスとルーセリスは宿のおばちゃんの助言を受け、狩りを休んで村を散策した。おばちゃんの遠慮のない好奇心に辟易しながらも、二人は発展した村の店を見て回った。そこで本屋を見つけ、紙が高価な世界に多くの本が並んでいることに目を留めた。

改変された漫画

本屋には、日本の漫画を思わせる作品や薄い本まで並んでいた。ゼロスはその内容を確認し、原作を壊すような改変に怒りと頭痛を覚えた。裏には【メーティス聖法出版】の名があり、勇者の影響による文化の広がりか、四神教が外貨獲得のために漫画を売っている可能性が考えられた。ルーセリスは問題の薄い本を見て、精神的な衝撃を受けた。

武器屋での意気投合

ゼロスは放心したルーセリスを落ち着かせるため、近くの武器屋へ入った。職人の手で作られた武器を見たゼロスは心を落ち着かせ、店主と金属配合や武器の出来について語り合った。ゼロスが武器や魔剣を作る職人でもあると知り、武器屋のオヤジとは意気投合した。

傭兵と武器の現実

武器屋のオヤジは、実力が伴わないのに良い武器を求める傭兵達に不満を持っていた。ゼロスも、武器は使い手に合わせてこそ意味があると考えており、子供達に与えた装備も彼らの実力と危険性を踏まえたものだった。オヤジは、最近の傭兵は見た目ばかりで骨がないと語った。

クーティーの過去

武器屋のオヤジは、かつて期待されていたが迷惑ばかりかけた傭兵として、クーティーの話をした。彼女は食肉用の魔物まで粉々にし、依頼を潰し続けていた。さらに仲間の女性の過去を面白半分に暴き、公の場で広めたことで、その女性を長く苦しめたという。

殺人依頼まがいの懇願

オヤジは、ようやく幸せになった姪を再び傷つけられたくない一心で、ゼロスにクーティーを事故に見せかけて始末してほしいと頼んだ。ゼロスはさすがに困惑したが、クーティーが問題を起こした場合は魔法を撃ち込むと答えた。彼は、できれば余計な厄介事を起こさないでほしいと切に願った。

再び狩りへ

そこへアンジェが現れ、思ったほど格が上がらなかったため、今日も狩りに行きたいと頼んだ。ゼロスは、大物を狙うならルーセリスも同行し、昨日のようにバラバラで行動しないことを条件に許可した。コッコ達の姿は見当たらなかったが、結局ゼロスも子供達に同行し、再び狩りが行われることになった。

第十三話 おっさん、見守る

ドドン・トード討伐とハイスピード・ジョナサンの正体

三日目の森

狩りの三日目、子供達はさらに森の奥へ進んでいた。彼らは技能スキルによる身体補正が高すぎるため、普通の魔物では格が上がりにくくなっていた。ジョニーを中心にハンドサインで連携しながら進む姿は手慣れており、ゼロスとルーセリスはその成長ぶりに感心していた。

ドドン・トード

ジョニー達が発見したのは、巨大で太ったカエル型の魔物【ドドン・トード】だった。ラディの矢は分厚い皮膚に弾かれ、ドドン・トードは地属性魔法【ガイア・ランス】で反撃した。カエデの斬撃も油と柔らかな皮膚に阻まれ、さらに疣から強酸液が噴き出したため、子供達は攻めあぐねた。

強酸と跳躍

アンジェは【発気掌波】で内部からダメージを与えようとしたが、ドドン・トードは巨体に似合わぬ跳躍力で空へ逃げた。さらにガイア・ランスで子供達の足場を乱し、落下時に全身の疣から強酸液を撒き散らした。子供達は異臭と酸に苦しみながらも、弱点を探して戦い続けた。

カイの食欲

決め手を欠く中、カイは肉を求める執念で跳び上がり、ドドン・トードの頭部へ【破岩裂掌】を叩き込んだ。彼は肉への想いを拳に込め、頭上から猛ラッシュを浴びせた。普段とは違うカイの気迫に、仲間達も驚いていた。

串肉の女神

カイはかつて、路地裏で飢えていた孤児だった。食料を奪われ、空腹に耐えていた彼は、酒瓶と串肉を持ったメルラーサ司祭に拾われた。彼女がくれた串肉と養護院への誘いが、カイに仲間と居場所を与えた。カイにとって肉は、友達と安息につながる絆であり、信仰に近いものだった。

飲み込まれたカイ

ドドン・トードが跳び上がると、魔力を使い果たしたカイは動けなくなっていた。仲間達は槍を用意することに気を取られ、彼の魔力欠乏に気付かなかった。次に見た時、カイの足だけがドドン・トードの口から見えており、子供達は自分達のミスを悟った。

救出と反省

子供達は同時に魔力を込めた打撃を放ち、間一髪でカイを吐き出させた。カイは体液まみれになりながらも無事で、仲間達は魔物を相手にしていることを忘れた自分達の失敗を反省した。ゼロスは介入できる準備をしながらも、あえて見守っていた。

頭部への槍撃

カイの攻撃により、ドドン・トードの弱点が頭部だと分かった。子供達は四方から回り込み、槍に魔力を込めて一斉に頭部へ突き刺した。槍は薄い皮膚を抜けて頭骨を貫き、脳に届いた。ドドン・トードは痙攣した後に倒れ、子供達は大物討伐に成功した。

急激な格上げ

ドドン・トードを倒したことで、子供達のレベルは一気に上がった。だが急激な格上げの反動で全員が倦怠感に襲われ、動けなくなった。ルーセリスは無事を喜びつつ、ゼロスがカイを飲み込まれる寸前まで見守ったことに不安を示したが、ゼロスは自立するなら危険を自分達で乗り越える経験が必要だと考えていた。

気弱な御者

そこへ、傭兵ギルドの運搬馬車がちょうど現れた。御者は長髪で目元が隠れた気弱そうな青年で、動物好きらしく、倒されたドドン・トードに涙ぐんでいた。ゼロスは、彼が重力魔法を使って荷積みをしていることに違和感を覚えたが、その正体には気付かなかった。

スレイプニールの擬態

子供達は馬車で早く村へ戻りたいと急かした。青年は渋ったが、責任を問うような子供達の言葉に押され、御者台へ乗った。その瞬間、青年の雰囲気は一変し、馬達も八脚の漆黒の軍馬、スレイプニールへと姿を変えた。馬達は【変化】スキルで擬態していたのである。

ボッチ・モン

気弱な青年は、馬や馬車に乗ると人格が変わる【ハイスピード・ジョナサン】、プレイヤー名【ボッチ・モン】だった。普段は動物を愛する地味な青年だが、手綱を握ると暴走し、意味不明な叫びと共に馬車を爆走させる人物だった。彼は【手加減】を使っているため死者は出していないようだが、一度走り出した彼を止められる者はいなかった。

見かけの教訓

子供達は、生意気な態度で急がせたことを激しく後悔した。三頭のスレイプニールに引かれた馬車は遠回りしながら猛スピードで走り続け、子供達の絶叫が響いた。この日、彼らは人を見かけで判断してはいけないことを身をもって学んだ。

第十四話 おっさん、勇者と出会う

モブの村からの帰路と勇者達の接近

報酬分配の会議

ドドン・トードを倒した翌日、子供達は傭兵ギルドで報酬を受け取り、分配方法について話し合っていた。ルーセリスの休暇期間を考えると、今日中にモブの村を出発する必要があった。本来ならサントールから二、三日かかる距離だったが、ハイスピード・ジョナサンの暴走馬車によって予定は大きく崩れていた。

大蛙の外皮

子供達は、ドドン・トードの素材である【大蛙の外皮】の使い道を話し合っていた。防具のインナーやローブ、剣の柄の滑り止めなどに使える素材だったが、カイは相変わらず肉の味だけを重視していた。ゼロスは話し合いを切り上げ、まずはサントールへ戻ることを優先させた。

武器と大型魔物

カエデは、刀を使う機会が少なかったことに不満を示した。ゼロスは、大型魔物には硬い鱗や分厚い筋肉があるため、刀剣だけでは有効打を与えにくく、槍やハンマーなどの武器を使い分ける必要があると説明した。カエデは世界の広さを知り、大型の太刀や新たな武器技の必要性を感じた。

武器技の課題

ゼロスは、【武器技】がゲームのようにレベルアップだけで覚えられるものではなく、修練で編み出すものだと理解していた。子供達に必殺技を教えるには自分の感覚を説明するしかなく、属性を含む技の伝え方には悩んでいた。精神論で説明したら子供達が覚えてしまうこともあり、ゼロスは原理の分からなさに頭を抱えていた。

帰れないベラドンナ達

一行がモブの村を出発する一方、ベラドンナとクーティーはまだ帰れずにいた。クーティーが魔物を全力でミンチにしてしまうため、素材も食肉もまともに売れず、食費ばかりが増えていたからである。ベラドンナは、クーティーの大食いと学習しない性格に怒りながら、ツケを払うまで狩りを続けるしかなかった。

ファーフラン街道

馬車はモブの村を離れ、ファーフラン街道を進んでいた。この道は元々、大深緑地帯から現れる魔物討伐のための軍事道路であり、商人向けの配慮は少なかった。魔物や盗賊が多い危険な道だったが、最近は整備が進み、海沿いの国のキャラバンも利用するようになっていた。

のどかな荷台

ゼロスとルーセリスは、荷台で青空を見上げながら穏やかな時間を過ごしていた。子供達やコッコ達は眠っており、のどかな空気が流れていた。ルーセリスは、ゼロスが魔物や盗賊の襲撃を期待していないか疑ったが、ゼロスは平穏がモットーだと誤魔化した。

突然の求婚

ルーセリスの無防備さと魅力に耐えきれず、ゼロスは突然結婚しようと口走った。ルーセリスは動揺しながらも、気持ちの確認や将来設計、子供達の自立を見届けることが先だと返した。ゼロスは照れ隠しに、子供達をファーフランの森で鍛え上げると話を膨らませ、ルーセリスをさらに慌てさせた。

嫉妬する御者

二人の会話を聞いていた御者の中年男性は、リア充への嫉妬を爆発させた。彼は昨日女性に振られたばかりだと語ったが、その実態は相手を一方的に見守り、部屋に侵入し、洗濯物を持ち帰るような変質者だった。ゼロスとルーセリスは、通報されて当然だと冷静に判断した。

暴走する変質者

御者は自分の行為を愛だと主張し、拒絶されたことを裏切りだと受け取っていた。ゼロスが相手の視点で考えるよう諭しても、御者は自分の犯罪性を認めず、怒りのままナイフを抜いた。ゼロスは軽く殴って昏倒させ、御者は簀巻きにされることになった。

ゼロスの御者役

御者が使えなくなったため、ゼロスが馬車を動かすことになった。彼は日本で田舎暮らしをしていた頃、近所の馬車を動かした経験を思い出していた。馬達は道を覚えているようで、御者よりも優秀にサントールへ向けて進んでいった。

殺気への反応

眠っている子供達を見たゼロスは、警戒心を確かめるために殺気を放った。反応して跳ね起きたのはジョニー、カエデ、五羽のコッコだけだった。ゼロスは二人を合格とし、カエデは街道でも油断すれば死ぬと理解した。これにより、子供達には睡眠中でも殺気へ反応する訓練という新たな課題ができた。

川原の野営

夕暮れ、一行は川原で野営することにした。子供達は飯盒や鍋を使って食事の準備をし、楽しそうに料理に取り組んでいた。ゼロスはラディと共に見張りにつき、ダンジョンでは休める場所も安全も自分達で確保しなければならないと教えた。

カレーの奥深さ

ラディはカレー粉の調合方法を知りたがった。ゼロスは、香辛料の配合はわずかな差で味が変わり、辛さの中に旨味を生かすには食材との相性を理解する必要があると語った。彼は故郷で味わった失敗作を思い出しながら、カレーの奥深さを説明した。

勇者達の接近

食事の準備中、ゼロスとラディは何者かの接近に気付いた。近づいてくる者達はカレーの匂いに反応しており、勇者の肩書で分けてもらえばよいと話していた。ゼロスは彼らが四神の先兵である勇者だと理解し、悪辣な笑みを浮かべた。ラディは、その顔がひどく悪いと指摘した。

第十五話 おっさん、四神教の神官にマジギレす

勇者との遭遇と賢者疑惑

カレーを求める勇者達

ゼロス達の前に、鎧を着た高校生ほどの男女と神官達が現れた。田辺は勇者の立場を理由にカレーを当然のように求め、一条渚はその無礼を必死に止めようとした。ゼロスは礼儀知らずの田辺には食事を与えず、苦労している渚には同情を向けた。

邪神への疑問

ゼロスは、邪神が既に滅びた存在だと告げ、四神が邪神復活を語っているなら全知全能ではないと皮肉った。勇者達はその言葉に動揺し、ゼロスがなぜ平然と勇者や四神を軽んじられるのか分からなかった。ゼロスは詳しい説明を面倒だと拒み、かつての勇者のように使い潰されるだけだと匂わせた。

神官達の攻撃

神官達はゼロスの言葉を危険視し、【ホーリー・レイ】で攻撃した。ゼロスは無詠唱の【リフレクト】で魔法を反射し、さらに同じ【ホーリー・レイ】を撃って神官達を脅した。神聖魔法が魔導士の魔法と同じ根源であることを示され、勇者達の常識は崩れた。

回復魔法の真実

ゼロスは、回復魔法も神官だけのものではなく、神官職の効果で回復力が上がっているだけだと説明した。さらに創生神を崇めていた神官の地位を四神教が奪い、勇者召喚を繰り返すことで世界に災厄を招く可能性があると語った。勇者達は、自分達の世界まで巻き込まれるかもしれないという言葉に青ざめた。

カレーによる懐柔

重い話の途中でも、ゼロスはカレーを優先した。勇者達は久しぶりの地球の味に心を奪われ、ゼロスが差し出したカレーを受け取った。渚は母親のカレーを思い出して涙ぐみ、田辺も懐かしい味に動揺した。

帰れない勇者達

勇者達は、ゼロスがカレーを知っている理由に気付き、彼が勇者なのではないかと疑った。ゼロスは否定しつつ、今まで召喚された勇者は誰一人として送還されていないと告げた。召喚に三十年分の魔力が必要なら、送還する余力などないはずだと聞かされ、二人は大司教から聞かされていた話を疑い始めた。

四神への不信

ゼロスは、勇者召喚がランダムに条件の合う世界から呼び出すものだと推測し、死んだ勇者が元の世界で目覚めるという説明も都合のいい嘘だと切り捨てた。二人は、風間が四神教を疑っていた理由をようやく理解し始めた。自分達が異世界に浮かれ、考えることを放棄していた現実も突きつけられた。

邪神の正体

田辺は、四神が邪神を倒せないのなら、邪神は神の地位を脅かす存在なのではないかと考えた。ゼロスはその推測を肯定し、邪神がこの世界の正当な神、あるいは旧時代の生物兵器である可能性に触れた。ただし確証はなく、ゼロスは仮説を真実のように語って勇者達を揺さぶっていた。

改変漫画への怒り

会話の中で、メーティス聖法出版が勇者由来の漫画文化を改悪し、薄い本まで無制限に売っている話になった。ゼロスは原作への敬意のない改変に激怒し、神官達がその出版に関わっていたと知って怒りを爆発させた。彼は子供達への悪影響を理由に、四神教そのものを敵と見なし始めた。

魔王めいた大賢者

怒りに任せたゼロスは、黒い装備へと姿を変え、神官達を圧倒する威圧感を放った。神官達は彼をただ者ではないと見なし、古の【賢者】ではないかと疑った。ゼロスは否定しつつも、勇者を導く魔導士や世捨て人の研究者を装い、彼らの勘違いを利用した。

勇者への断罪

ゼロスは、風間が疑問を持っていたことを評価し、勇者達がその声を聞かずに状況へ流されていたと突きつけた。渚と田辺は、異世界に来た解放感や力に浮かれていたことを否定できなかった。ゼロスは、覚悟もなく戦争に加担し、後悔してから救いを求めるのは甘えだと冷たく断じた。

勇者の空白

勇者達は、自分達が最強であり選ばれた存在だと教えられていたが、目の前のゼロスには全く通用しなかった。自分達が何の偉業も成し遂げておらず、ただ利用されてきただけかもしれない現実に直面したのである。ゼロスは、ちょっかいを掛けるなら容赦なく潰すと告げ、国が滅んでも構わないとまで言い放った。

簀巻きの男

重苦しい話の終わりに、勇者達は傍らで簀巻きにされて跳ねている男の存在に気付いた。ゼロスは、それをただの悪質なストーカーだと説明した。勇者達は、異様な状況を前にしながらも、さらに現実の理不尽さを突きつけられることになった。

第十六話 おっさん、勇者の様子をこっそり覗き見る

勇者達の動揺と獣人族領域への使者

田辺勝彦の召喚

田辺勝彦は中学三年の夏休み前、ホームルーム中に四神の手で異世界へ召喚された。彼は勇者になれたことに浮かれ、破格の待遇と特権に増長していた。風間卓実だけは四神教の話を胡散臭いと警告していたが、ほとんどの生徒は耳を貸さなかった。

アルトム皇国での敗北

勇者達は神託に従い、有翼人種の国【アルトム皇国】を攻めた。しかし最強のはずの勇者達は次々と殺され、初めて死の恐怖を知った。砦の包囲中には【邪神の爪痕】付近の森から魔物の群れが現れ、神聖騎士団と勇者達を襲った。風間卓実の活躍で半数は生き延びたが、彼は生死不明となった。

勇者召喚への疑念

田辺と一条渚は、ゼロスから聞かされた勇者召喚の危険性について話し合った。異世界に穴を開ける行為が世界に歪みを残し、何度も召喚すれば世界同士の衝突や崩壊を招く可能性があると考えた。風間がこの危険に気付いていたなら、魔導士である彼が神官達に嫌悪された理由にもつながると見ていた。

神官達の動揺

田辺と渚は、神聖魔法が魔導士の魔法と同じ根源であることや、勇者召喚の危険性について神官達に問いただした。神官達は任務として勇者を支え、教えに反する者を排除するだけだったため、真実を知らされていなかった。彼らは、自分達も異端審問の対象になり得ると気付き、激しく動揺した。

ゼロスの隠密観察

ゼロスは【万象隠形】で気配を消し、勇者と神官達の会話を背後から聞いていた。彼は虚実を混ぜた話で勇者達に疑念を植え付け、四神教の内部に亀裂を作ろうとしていた。神官達が自分達の立場を危ぶみ始めたことを見て、予想外に大きな効果が出ていると考えた。

黙秘の合意

渚は、ゼロス達と会ったことも聞いたこともなかったことにするよう提案した。神官達も、異端審問官に知られれば自分達や家族が危険にさらされると考え、今は黙っておくしかないと判断した。四神教への信頼は大きく揺らぎ、彼らは身を守るために沈黙を選んだ。

神聖魔法の失墜

神官達は、回復魔法が魔導士にも使えるなら、メーティス聖法神国の優位性が崩れると気付いた。さらにアルトム皇国を含む小国家が連携すれば、神聖魔法の独占と軍事的優位は失われかねなかった。彼らの脳裏には、メーティス聖法神国が包囲される未来が浮かんでいた。

邪神の攻撃への疑問

田辺達は、邪神が既に倒されているなら、この国に残された巨大なクレーターは何だったのかと疑問を抱いた。ゼロスはそれが自分の放った【暴食なる深淵】の跡だと気付き、内心で焦った。神官達は、あれを賢者による警告かもしれないと解釈し、ゼロスは勝手に評価が上がっていく状況に羞恥と罪悪感を覚えて退散した。

イサラス王国の使者

時は一ヶ月ほど前に戻り、イサラス王国諜報部の騎士ザザは、三人の魔導士を連れて獣人達の住む【ルーダ・イルルゥ平原】を訪れていた。この地は部族ごとに縄張りを持つ獣人達が暮らす広大な平原で、農業や放牧が盛んなため、イサラス王国にとって重要な地域だった。

アド達の同行

黒衣の魔導士アドは、リサとシャクティを連れて草原を歩いていた。三人は魔導士でありながら近接戦闘もこなせる装備をしており、ザザはその異質さと実力に驚いていた。彼らは獣人族領域で噂される英雄を探しており、アドは【野蛮人】というプレイヤーに心当たりを持っていた。

ザザの恋心

ザザは同行するリサに一目惚れしていた。彼は諜報員として感情を隠す訓練を受けていたが、シャクティには目の動きから内心を見抜かれていた。さらにリサには意中の相手がいると示され、ザザは諜報員としての自信と恋心を同時に打ち砕かれた。

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