アラフォー賢者4巻レビュー
アラフォー賢者まとめ
アラフォー賢者6巻レビュー
どんなラノベ?
■ 作品概要
『アラフォー賢者の異世界生活日記 5』は、VRRPGの規格外の能力を持ったまま異世界に転生したおっさん主人公による、「成り上がりファンタジー&スローライフ」ジャンルの作品である。 物語は、イストール魔法学院の実戦訓練中に、ツヴェイトが暗殺者に強襲される場面から幕を開ける。護衛任務を忘れて採掘に没頭していたゼロスだが、慌てて現場に急行し、規格外の魔導バイクや兵器を駆使して暗殺者を圧倒した。だが、その暗殺者の正体は地球での因縁を持つ実の姉・麗美であった。 後半では、スティーラの街の大図書館における「四神」や「邪神」といった世界の成り立ちの調査や、クロイサスとの危険な魔法薬開発による大騒動が描かれる。さらに帰途についたゼロスたちが、残虐な妖精の被害に苦しむハサム村を救うため、容赦のない殲滅戦を繰り広げるエピソードが展開され、世界の謎とカオスな日常が交錯するファンタジー世界が広がっている。
■ 主要キャラクター
- 大迫聡(ゼロス・マーリン):本作の主人公で、平穏を望むおっさん魔導士。かつて「殲滅者」と恐れられた規格外の能力を持つ。実姉には強烈な殺意を抱き、害悪な妖精にも地形ごと吹き飛ばすほどの容赦ない殲滅魔法を放つ。
- 入江澄香(イリス):ゼロスと同郷の転生者の少女。駆け出しの傭兵として同行し、上位妖精フェアリー・ロゼとのソロバトルを経験する。自身の力不足を痛感し、コッコたちを師匠にして過酷な格闘訓練に励む。
- ツヴェイト・ヴァン・ソリステア:ソリステア公爵家の長男。暗殺者シャランラの襲撃を受けるが、ゼロスから与えられた魔導具を駆使して時間を稼ぎ、冷静に危機を乗り越える。
- クロイサス・ヴァン・ソリステア:ツヴェイトの弟で、魔法研究に没頭する天才。ゼロスと意気投合し、「超強力豊胸薬」や「短時間性別変換薬」などの危険な薬を共同開発し、学院生たちを巻き込む阿鼻叫喚の騒動を起こす。
- シャランラ(大迫麗美):裏組織の暗殺者であり、ゼロスの実姉。極めて自己中心的で金に汚い性格を持つ。【回春の秘薬】で若返っているが、ゼロスから引導を渡されかけ、命からがら逃亡した。
- アド(安藤俊之):ゼロスたちと同じ転生者の青年。この世界のシステムに違和感を抱き、四神への復讐と世界の謎の解明を目指して大図書館などで情報収集を行っている。
- フェアリー・ロゼ:アゲハチョウのような羽を持つ上位妖精。可愛らしい外見に反して純粋ゆえの極めて残酷な本性を持ち、遊び感覚で生物を解剖する。
■物語の特徴
本作の最大の魅力は、主人公が圧倒的な力と現代知識を持ちながら、それを英雄的行為ではなく、身内への冷酷な制裁や魔物への過剰な殲滅といったダークかつコミカルな行動に振り向ける点にある。 他作品と差別化される興味深いポイントとして、一般的なファンタジーでは友好的に描かれがちな「妖精」が、知能が低く遊びで命を奪う「邪悪な魔物」としてリアルかつ残酷に描かれている点が挙げられる。また、転生者たちが「ゲームの設定と現実の異世界の摂理の違い(レベル上限や職業補正の有無)」を論理的に考察し、世界の真実に迫っていくSF・ミステリ的なアプローチも、読者の興味を強く惹きつける要素となっている。
前巻からのあらすじ
表紙のバイクに跨り異世界の街道を爆走するオッサン。
口ずさむのはアニソン、、、
そして、大カーブを抜けると商人を襲っているキングオークと部下のオーク達を轢き逃げ。
そのせいでバイクのブレーキとアクセルが壊れてオッサンは風になる。
公爵の息子、オッサンからしたら教え子のツヴェイトの暗殺計画の情報を入手したらしく、オッサンは公爵からツヴェイト護衛の依頼を受けて学院に行く。
森林での実習では、移動中は街道脇に潜む数多くの盗賊をオッサンが連れて来たコッコ3羽が撃退して衛兵に引き渡され。
遂に実習が始まると、オッサンはくじ運が悪く護衛対象のツヴェイトの側にいることができない。
変わりに最下級生の子供達の護衛につくのだが、、
森の中で魔獣におそわれ、言う事を聞かないクソガキ最下級生を相手にしていたオッサンはまた野生に帰ってしまった。
そこから始まるブートキャンプ。
生徒達に戦場の心得を教え、安全確実な狩を教える。
一晩中休む暇なく仲間と共に魔獣と戦った最下級生達は一皮も二皮も剥けて大きくなって帰ってきた。
読んだ本のタイトル
アラフォー賢者の異世界生活日記 5
著者:寿安清 氏
イラスト:ジョンディー 氏
出版社:KADOKAWA(MFブックス)
発売日:2017年11月25日
ISBN:9784040695891
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あらすじ・内容
暗殺者の正体は意外な人物!? 異世界でもおっさんの怒りは止まらない!イストール魔法学院主催の実戦訓練は、おっさんが【あの頃のゼロス】になったりクロイサスが実験に失敗したりといったトラブル(?)はありつつも、無事に日程を消化していた。
アラフォー賢者の異世界生活日記 5
ところが訓練開始から三日目、事態は急展開を迎える。なんとツヴェイトが暗殺者に強襲され、更に敵が展開した結界によりディーオ達と分断されてしまったのだ。
一方のおっさんはというと、護衛任務そっちのけで採掘作業に没頭してしまい、対応が後手に回ることに。ゼロスは慌ててバイクを走らせ現場を目指す。
「【バンカーシューター】、発射」
バイクに装備されたサイドカーから射出された杭が、眼前の結界を破壊! ゼロスは暗殺者と対峙することになるのだが、それは意外な人物で……!?
感想
読んでまず感じたのは、本作らしいシリアスとギャグの落差の激しさである。
命を狙われる暗殺事件や妖精による惨劇といった重い出来事が描かれる一方で、思わず吹き出してしまうような騒動も次々と発生する。その独特のバランスが本巻でも存分に発揮されていた。
特に印象に残ったのは、ツヴェイト暗殺計画を巡る騒動である。
裏組織による本格的な襲撃かと思いきや、実行犯たちのやり取りはどこか間の抜けたものだった。
中でもアンズの存在は強烈である。
一宿一飯の恩義だけで暗殺計画に参加しているうえに、武器すら持っていない。ただツヴェイトにしがみついているだけなのだが、その行動が結果的に時間稼ぎとなり、シャランラの計画を狂わせてしまう。
読んでいて思わず笑ってしまったが、本作らしい偶然と混沌が詰まった場面だったように思う。
そして本巻最大の見どころは、ゼロスとシャランラの再会である。
ようやく対面した姉弟だというのに、感動的な再会とは程遠い。
ゼロスは姉に似ているからという理由だけで躊躇なくバイクで轢き、その後も追撃をやめようとしない。
さらに相手が実の姉だと判明してからも態度が変わらないのだから凄まじい。
読んでいて感じたのは、この姉弟は根本的な部分で非常によく似ているということである。
貴重なアイテムを消費しながら必死に逃げるシャランラも相当だが、それを本気で追い回すゼロスも十分に危険人物である。
どこか笑ってしまう一方で、この二人が再び衝突した時に何が起きるのか気にならずにはいられなかった。
また、アンズとエロムラが自然な流れで仲間側に加わる展開も面白い。
特にアンズは独特すぎる存在感を放っていた。
コッコたちですら圧倒する戦闘力を持っているのに、彼女はそのコッコたちをモフモフしただけで無力化してしまう。
理屈が全く分からないのだが、それが妙に納得できてしまうところも本作らしい。
一方で、後半のハサム村のエピソードは非常に重かった。
妖精による被害は悪戯という言葉で片付けられるものではなく、村人たちが怒りを募らせるのも当然だと感じる。
読んでいて印象的だったのは、善悪が単純ではない点である。
教会側は妖精保護を訴えるが、実際に被害を受けている村人たちからすれば到底受け入れられない。
その結果としてゼロスが下した決断は極めて苛烈だったが、この世界の厳しさを象徴する出来事でもあったように思う。
また、大図書館で語られる神々や世界の歴史の話も興味深かった。
これまで断片的に語られてきた世界観の謎が少しずつ見えてきており、今後の物語の根幹に関わってきそうな雰囲気がある。
さらに、危険な魔法薬を開発して騒動を引き起こしたり、イリスが修行を始めたりと、日常パートも相変わらず賑やかで楽しい。
特にイリスが自らの未熟さを認め、強くなろうと努力する姿は印象に残った。
読んでいて感じたのは、本巻はゼロスたちの日常の騒がしさと、この世界の残酷な現実の両方が描かれた巻だったということである。
笑える場面も多いが、その裏では世界の謎や人々の苦しみも確実に描かれている。
だからこそ物語に厚みが生まれ、続きが気になってしまうのだろう。
ギャグとシリアスが絶妙なバランスで共存しており、次巻への期待がますます高まる一冊だった。
最後までお読み頂きありがとうございます。
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アラフォー賢者6巻レビュー
考察・解説
ツヴェイト襲撃事件
『アラフォー賢者の異世界生活日記 5』において、イストール魔法学院主催の実戦訓練中に発生した「ツヴェイト襲撃事件」について解説する。
本事件は、貴族の派閥争いと裏組織の陰謀が絡むシリアスな発端とは裏腹に、転生者たちの思惑が交錯する非常にコミカルでカオスな騒動となった。その全容は以下の通りである。
1. 事件の背景と発端
事の発端は、ウィースラー侯爵家の次男サムトロールの逆恨みであった。
・彼は自らの派閥をツヴェイトに論破されて孤立したため、裏組織であるヒュドラにツヴェイトの暗殺を依頼する。
・ヒュドラの幹部ガーランスもまた、かつて自分の組織を壊滅寸前に追い込んだツヴェイトの父・デルサシス公爵への報復としてこの依頼を引き受けた。
・訓練3日目、暗殺者たちはツヴェイトを襲撃し、旧時代の魔導具である隔絶の領域を使って彼を結界に閉じ込め、他の護衛や仲間たちから分断することに成功した。
2. 暗殺者たちの正体とグダグダな展開
ツヴェイトを襲った暗殺者は3人であったが、その構成と連携は最悪であった。
・首犯は黒いドレスの女シャランラ(大迫麗美)で、彼女はゼロスの実の姉であり、回春の秘薬で若返った姿をしていた。
・残る2人は地球からの転生者で、合法奴隷に手を出して犯罪奴隷に落ちた少年ラインハルト十三世(エロムラ君)と、一宿一飯の恩義で参加した桃色の忍び装束の少女(アンズ)である。
・ツヴェイトがゼロス製の自動防御アミュレットを起動して時間を稼ぐ中、暗殺の現場は緊迫感のないものへと変わっていく。
・アンズはツヴェイトの背中にただ子泣き爺のようにおんぶされるだけで攻撃を行わず、ラインハルトはリア充死ねと追い回すものの、ツヴェイトと「シャランラは金食い虫のビッチ」という意見で意気トウ合し、モテない男同士の奇妙な友情を結んでしまう。
・さらに、シャランラがラインハルトを苦しめる監視の駒を取り出すと、ツヴェイトが魔法で彼女の腕を切り落とし、ラインハルトが駒を奪い返して自由の身となった。
・アンズも恩は返したとあっさり寝返り、シャランラは完全に孤立した。
3. 三羽のコッコの乱入とウーケイの覚醒
その頃、結界の外にいた護衛のワイルド・コッコ三羽(ウーケイ、ザンケイ、センケイ)は、結界の上空が空いていることに気づき、高い木から滑空して侵入する。
・アンズがセンケイをモフモフして無力化するというデタラメな活躍を見せる中、ウーケイがシャランラと対峙した。
・シャランラは暗殺技である影化連撃でウーケイを沈めたかと思ったが、ウーケイは硬気功で耐え抜き、シャイニング・コカトリスモードと呼ばれる上位種への変身能力を発動する。
・全長3メートルを超える巨体となったウーケイは、爆風を伴う打撃や石化ブレスを放ち、シャランラを圧倒的な力で追い詰めていった。
4. ゼロスの到着と容赦なき姉弟対決
一方のゼロスは、護衛任務をすっかり忘れて採掘に没頭していたが、視界の緊急信号で事態を思い出し、魔改造したバイクであるハーリー・サンダース十三世で現場へ急行する。
・彼はバイクのサイドカーに搭載した攻城兵器であるバンカーシューターを発射し、結界を粉砕するという荒業を見せた。
・到着したゼロスは、逃げるシャランラをバイクのドリフトスピンで容赦なく轢き飛ばす。
・相手が実の姉だと判明してもゼロスの怒りは収まらず、むしろ裏社会に落ちた姉へ引導を渡すのが弟の義務と嬉々として殺しにかかった。
・フレイム・ファランクスなどの強力な魔法を撃ち込まれたシャランラは、精霊王の首飾りを使って魔法を反転させ、意識を魔人形へ移し替えることで命からがら逃亡を図る。
・ゼロスは逃げられはしたものの、彼女の強力なレアアイテムをすべて消費させることに成功した。
5. 事件の結末
この事件の結果、ツヴェイトは無事に生還を果たす。
・寝返ったエロムラ君はデルサシス公爵の判断により恩赦で奴隷から解放されてツヴェイトの専属護衛となり、アンズも一宿一飯の恩義(食料目当て)でツヴェイトの部屋に居座るようになった。
・一方、暗殺を企てたサムトロールは、自作自演の救出劇も失敗に終わり、洗脳が解けた仲間たちから見放されて実家からも勘当される。
・路地裏で転落した彼は、怪しい男から邪神石の魔法薬を買ってしまい、破滅への道を歩むことになる。
・また、裏で糸を引いていたヒュドラのボス・ガーランスは、ツヴェイトを囮にしたデルサシス公爵の強襲に遭い、逃走の末に討ち取られて組織は完全に壊滅した。
まとめ
ツヴェイト襲撃事件は、暗殺という重大な危機でありながら、登場する転生者たちのあまりに身勝手な行動や、護衛のワイルド・コッコの予想外の覚醒、そしてゼロスの無慈悲な乱入によって、終始グダグダでカオスな展開のまま幕を閉じた。結果として、ツヴェイトは新たな強力な護衛(エロムラ君とアンズ)を手に入れ、背後にいた裏組織ヒュドラも公爵の手によって一掃されるなど、悪側の企みがすべて裏目に出る形で解決を迎えた。
転生者同士の再会
『アラフォー賢者の異世界生活日記 5』における、主人公・ゼロスが地球時代の関係者である転生者たちと再会・遭遇するエピソードについて解説する。
本作では、ゼロスが深い憎悪を抱く実の姉との最悪の再会と、かつてのゲーム仲間の婚約者との出会いという、極端に対照的な2つの遭遇イベントが展開される。その詳細な内容は以下の通りである。
1. 実の姉・麗美(シャランラ)との最悪の再会
イストール魔法学院の実戦訓練において、ツヴェイトを強襲した暗殺者の首犯であるシャランラの正体は、回春の秘薬で若返ったゼロスの実姉・大迫麗美であった。
・彼女は地球にいた頃から無職の弟を金蔓扱いし、自己中心的な振る舞いでゼロスに深い恨みを抱かせていた人物である。
・現場に魔導バイクで急行したゼロスは、逃げるシャランラを姉に似ているからという理由だけで容赦なくドリフトスピンで撥ね飛ばした。
・相手が実の姉だと判明してからもゼロスの怒りは収まらず、裏社会に落ちた姉に引導を渡すのが弟の義務と語り、嬉々として殺しにかかる。
・ゼロスは骨すら残さないよう執拗な魔法攻撃を加えたが、シャランラは身代わり人形や魔人形、精霊王の首飾りなどの高価なレアアイテムを消費することで、命からがら逃亡を果たした。
・逃亡した姉は一切反省しておらず、回春の秘薬の急激な老化という副作用を消すために再び弟を利用しようと企んでいる。
・ゼロスもそれを予見し、似顔絵の手配書を公爵に渡して先手を打つなど、姉弟による骨肉の争いが続くこととなった。
2. かつてのゲーム仲間の婚約者・ユイ(船橋唯香)との遭遇
妖精の被害に苦しむハサム村を訪れたゼロスとイリスは、村長に保護されていた一人の妊婦であるユイと出会う。
・彼女がゲームの初期神官服に似た服を着ていたことから、ゼロスが転生者にしか分からない質問を投げかけ、同郷の日本人であることが確認された。
・彼女の本名は船橋唯香であり、幼馴染の婚約者である安藤俊之(アバター名:ADO)と一緒にゲームをプレイしていた際に、この世界へ飛ばされてきていた。
・俊之は地球時代にゼロスとよくパーティーを組んでいた優秀な生産職の仲間であった。
・ゼロスは以前戦った黒衣の魔導士が俊之ではないかと推測したが、確証がないためそのことは伏せ、もしアドに会ったらユイがこの村にいることを伝えると約束した。
まとめ
このようにゼロスが遭遇した2つの転生者エピソードは、殺意をむき出しにする因縁の肉親と、互いに協力し合うかつての仲間の関係者という、非常に極端な対比構造を持っている。実の姉との容赦なき戦いは今後の血みどろの抗争を予感させる一方で、ユイとの出会いは行方不明となっているかつての戦友・アドの行方を追う重要な伏線となっており、物語のシリアス面と謎解き面を大きく加速させる展開となっている。
魔導具の製作理論
『アラフォー賢者の異世界生活日記 5』における、魔導具の製作理論および素材の特性について解説する。
作中では主に、魔導具の核となる「魔石」と「宝石」の性質の違い、そして機能を持たせるための魔法陣の構築理論が語られている。その詳細な内容は以下の通りである。
1. 魔石の特性と用途
魔石とは、魔物の体液によって魔力が結晶化した素材である。
・同じ属性の魔法と結合しやすい性質を持ち、融合や圧縮を行うことで魔力量を増やし、強力な魔法すら封じ込めることが可能だ。
・しかしながら、使用するたびに魔石自体が削れて次第に小さくなり、やがて完全に消滅してしまうという欠点を持つ。
・そのため、一般的には生活魔導具など、使用頻度の高い道具の製作に向いているとされている。
2. 宝石の特性とリスク
一方で宝石は、内部に込められる魔力の許容量に限界があるものの、魔力消費によって石自体が消滅することがないため、利便性に非常に優れている。
・宝石のサイズが大きければ大きいほど魔力の許容量も増し、より多くの魔力や強力な魔法を封入できる理屈になる。
・しかし、宝石を用いた魔導具の製作には大きなリスクが存在する。
・魔力や魔法の封入に失敗した場合、宝石自体の物質結合が崩壊し、砂のように崩れ去ってしまう。
・崩れてしまえば顔料(絵の具)くらいにしか使い道がなくなり、高価な素材を失う手痛い損失となる。
・そのため、宝石を魔法石(魔導具)に加工する技術は、主に護身用魔導具などの限られた範囲に留まっている。
・ゼロスは自身の規格外の能力から、宝石を使った回復魔法の強化アイテムなどを簡単に作れると考えているが、一般の魔導士にとっては非常に難易度とリスクが高い作業である。
3. 積層魔法陣の 構築理論
また、魔導具の機能や魔法を発動させるための積層魔法陣の構築についても、ゼロスがセレスティーナに助言を与える形で理論が語られている。
・積層魔法陣は、複数の異なる命令魔法式を分割し、何層にも重ね合わせることで構築される。
・この際、各層の魔法陣の大きさがわずかでも異なると、間に挟む処理術式の魔法陣に不具合が生じ、魔力の運用効率に負荷がかかってしまう。
・ゼロスは、命令魔法式を細かく分割しすぎないことが安定の秘訣だと指摘した。
・最初の術式から数枚を一つの魔法陣にまとめ、大きさを均一化して積み重ねることで、歪みを防ぐことができる。
・また、魔法式を処理・統合する役割を持つ処理術式の魔法陣については、その役割を果たすだけでよいため、魔法陣全体の大きさに合わせてサイズを変えるのみでよい。
・内部の細かな魔法式まで複雑に弄る必要はないと説明している。
まとめ
これらの理論から、魔導具の製作には、用途に応じた素材(魔石か宝石か)の適性を正確に把握することと、魔法陣を無駄なく均一に構築する精密な技術の両方が求められることがわかる。魔石の消耗性や宝石の崩壊リスクといった素材の性質を理解した上で、積層魔法陣のサイズを均一化して無駄な負荷を減らすというゼロスの実践的な技術論は、異世界における魔導具製作の奥深さと難易度の高さを浮き彫りにしている。
邪神と転生者の謎
『アラフォー賢者の異世界生活日記 5』における、邪神の謎と転生者を取り巻く世界の真実について解説する。
かつて世界を滅ぼしかけた「邪神」と、地球からやってきた「転生者」たちを取り巻く謎は、物語の根幹に関わる重要なテーマとして描かれている。作中でゼロスや別行動をとるアドたちが考察した、世界の成り立ちや転生の真実についての謎は以下の通りである。
1. 邪神の不法投棄と力関係の矛盾
この世界では、二千五百年以上前に現れた邪神を、四柱の女神(四神)が勇者召喚と神器を用いて封印したと伝えられている。
・四神からのメールやゼロスたちの経験を総合すると、四神には邪神を倒す力がなかった。
・そのため、地球のVRRPGである『ソード・アンド・ソーサリス』のデータ世界へ邪神を不法投棄して封印したという事実が浮かび上がる。
・さらに不可解なのは、ゼロスをはじめとするトッププレイヤーである殲滅者たちが、ゲーム内でその本物の邪神を討伐している点である。
・つまり、力関係において「殲滅者>邪神>四神」という図式が成り立つ。
・この世界の神であるはずの四神よりも、転生者の方が強大な力を持っていることとなる。
2. 転生ではなく転移?地球の神々の関与
四神からの手紙には「苦労したのは君達の世界の神々」と記されている。
・ゼロスたちを蘇生させ、アバターの能力を付与して異世界へ送ったのは地球側の神々である可能性が高いと推測された。
・その疑問を深める決定打となったのが、アドの婚約者であるユイ(船橋唯香)の存在である。
・彼女は妊娠した状態のままこの世界にやってきており、魂だけが生まれ変わる転生ではなく、肉体ごと移動した転移ではないかとゼロスは疑念を抱く。
・なぜ地球に蘇生させなかったのか、地球の神々がこれほど強大な力を行使してまで彼らを異世界へ送った理由は謎に包まれている。
3. 謎のアイテム邪神魂魄と復活の予感
ゼロスはシャランラとの戦闘後、いつの間にか自分のインベントリに入っていた邪神魂魄という謎のアイテムを取り出した。
・これは邪神の魂や核となる存在であり、ホムンクルス作成に必要な精霊結晶と呼応して輝いた。
・四神が転生者に敵である邪神の魂を持たせるとは考えにくいため、ゼロスは一つの推測を立てる。
・地球側の神々が、四神への嫌がらせ、あるいは何らかの意図で邪神を復活させようとしているのではないか、というものである。
・元トッププレイヤーとしての直感から、彼は邪神には聞きたいこともあるし、ヤバくなったら始末すればいい、と軽い気持ちで邪神復活の危険な実験に乗り出すことを決意した。
4. 壊れかけている世界と異物としての転生者
一方、大図書館で独自に世界の歴史を調査していた転生者のアドは、この世界の摂理がゲームとは似て非なるものであると結論づける。
・この世界ではレベル300が最強と言われ、勇者や超越者と呼ばれる者でもレベル500が上限である。
・しかし、アドたち転生者はレベル1000を超えており、世界から見れば明らかに埒外の異物であった。
・さらにアドは、レベルやスキルという概念が邪神戦争以降の約二千数百年で急に現れたことに違和感を覚える。
・世界の摂理がこれほど短期間で変わるのは不自然であり、アドはこの世界は壊れかけているのではないか、という恐ろしい仮説に辿り着いた。
まとめ
このように、四神の欺瞞、地球の神々の思惑、そして不自然に変容した世界の摂理という複数の謎が複雑に絡み合っている。転生者たちはただのファンタジー世界ではない世界の歪みの深淵へと足を踏み入れていくこととなる。世界のシステムそのものが抱える崩壊の危機と、神々の身勝手な都合に翻弄されながらも、規格外の力を持つ彼らがどのように世界の真実に迫るのか、今後の展開を揺るがす重要な要素である。
妖精殲滅と村の救済
『アラフォー賢者の異世界生活日記 5』における、妖精殲滅と村の救済のエピソードについて解説する。
本作では、一般的なファンタジー作品における妖精のイメージを覆す残酷な生態と、主人公ゼロスの容赦のない殲滅劇が描かれている。その全容は以下の通りである。
1. ハサム村の惨状と妖精の本性
イストール魔法学院での護衛任務を終え、サントールへの帰路についたゼロスとイリスは、ハサムという小さな農村に立ち寄る。
・村は活気がなく、家屋からは腐敗臭が漂い、包帯を巻いた怪我人が多数見受けられた。
・直後、ゼロスたちの頭上から突然金床やハンマーが落下してくる。
・ゼロスが光魔法エレメント・アイで確認すると、そこには姿を消して悪戯を働く妖精たちの姿があった。
・妖精は見た目こそ可愛らしいが、知能は子供並みで善悪の概念を持たない。
・長命で食事も必要としない彼らにとって、他種族を惨殺することは単なる娯楽であり、悪意すらない純粋さゆえに極めてタチの悪い邪悪な存在として描かれている。
・ゼロスは即座に対妖精用殲滅魔法ガンマ・レイを放ち、彼らを容赦なく消滅させた。
2. 四神教の教義との対立と救済の証明
村の教会前では、度重なる被害に耐えかねた村人たちが司祭に抗議していた。四神教は妖精は無垢で清い種族として擁護し、被害を信仰心の不足のせいにしていたためである。
・ゼロスは、妖精が神官服を着た者を襲わないのは何者かとの契約によるものだと推測した。
・妖精も種族であるなら裁きの対象になると主張して、対抗策として妖精を捕食する魔物フェアリーイーターの種を村人に渡す。
・その最中、村の少年ルオが家の中で妖精に襲われ、瀕死の重傷を負う事件が発生した。
・司祭の魔法では治療が間に合わないと見たゼロスは、自ら改造した高位回復魔法我は癒す、大いなる慈悲の御手を使用し、瞬く間にルオを完治させた。
・さらに、ルオの無事を嘲笑っていた室内の妖精たちをガンマ・レイで消し去り、村の平穏を取り戻すためには妖精の集落ごと滅ぼすしかないと説く。
・理と力をもって道を示すゼロスの姿を見た司祭は、自身の信仰の矛盾を悟り、村を救うために妖精殲滅を本国へ報告しないことを決断した。
3. 地獄の集落と暴食なる深淵による殲滅
村長から正式に依頼を受けたゼロスは、使い魔を放って妖精の集落である魔力溜まりを発見する。
・そこは無数の獣や人間の死骸が散乱し、上位妖精フェアリー・ロゼが生物を生きたまま解体して遊ぶ凄惨な地獄であった。
・ゼロスは村の防衛をイリスに任せ、単身で夜の森を駆け抜ける。
・道中の妖精たちをガンマ・レイの乱れ撃ちで消し去りながら進むと、泉の中央にある魔力溜まりに到達した。
・そこは死骸と怨念によって濃密な瘴気が発生しており、強大な悪魔が誕生しかけていた。
・事態を重く見たゼロスは、高密度圧縮魔法暴食なる深淵を発動させる。
・漆黒の球体が妖精や死骸、魔力溜まりそのものを無差別に吸い込み、限界突破による大爆発を引き起こした。
・この破壊力はゼロスの想定を遥かに超えており、妖精を全滅させただけでなく、山間部の谷を広範囲にわたって抉り取り、巨大なクレーターを形成してしまった。
4. 事後処理と新たな湖の誕生
この殲滅魔法の副次効果により、ハサム村の水源まで破壊してしまうという大失態を犯したゼロスは、魔力溜まりが魔法と過剰反応して誘爆したと村人たちに誤魔化す。
・負い目を感じたゼロスは、翌日、村人たちに大量の薬草やフェアリーイーターの種を分け与え、その栽培法を親切に指導するというボランティア活動を行った。
・一方、村に残っていたイリスも単独で村に侵入してきたフェアリー・ロゼと交戦し、遅れて駆けつけたゼロスの助けもあって無事に討伐を果たしている。
・結果として村から妖精の脅威は完全に排除され、ゼロスが開けた巨大なクレーターは後に地下水が湧き出して豊かな水源となった。
・未来にはマーリンの湖と呼ばれる名所として後世に残ることとなった。
まとめ
このようにハサム村における妖精殲滅のエピソードは、無邪気ゆえに残虐な妖精の恐ろしさと、それを圧倒的な火力で根絶やしにするゼロスの実力が際立つ展開となっている。四神教の歪んだ教義に苦しむ村人たちを、独自の魔法と実利的な道具によって救うプロセスは、ゼロスの賢者としての規格外な側面を強調している。魔法の威力が強すぎて水源を吹き飛ばし、結果として新たな湖を作ってしまうという結末も、彼の持つ常識外れの強さを象徴するエピソードである。
回復魔法の普及計画
『アラフォー賢者の異世界生活日記 5』において、ゼロスとデルサシス公爵が企てた「回復魔法の普及計画」について解説する。
本計画は、この世界で強大な権力を誇る宗教国家であるメーティス聖法神国(四神教)の権威を根本から揺るがすための、政治的かつ戦略的な陰謀である。その発端から巧妙な戦略にいたるまでの全容は以下の通りである。
1. 計画の発端と動機
この世界では、怪我を癒やす神聖魔法は神の恩恵であり神官にしか使えない、と吹聴され、メーティス聖法神国が回復系統の魔法を完全に独占していた。
・ハサム村で妖精の残虐な被害を目の当たりにしたゼロスは、害悪でしかない妖精を神の御使いとして擁護し、苦しむ民衆を救おうとしない四神教に対して強い反発を抱く。
・ゼロスは領主であるデルサシス公爵への報告の際、四神教へのささやかな嫌がらせとして、神官が独占している回復魔法を魔導士にも売り出す気はないか、と持ちかけた。
・実は、神聖魔法と呼ばれているものは、神官が使うと職業の補正で効果が上がるというだけで、本質的には魔導士が使う魔法と全く同質のものであった。
2. デルサシスの思惑(メーティス聖法神国への対抗策)
デルサシス公爵にとっても、この提案は非常に魅力的なものであった。
・メーティス聖法神国は、回復魔法の独占と、異世界から召喚した強大な勇者の武力を盾にして、周辺の小国に対して脅迫的な威圧外交を繰り返していた。
・もし魔導士が回復魔法を使えるようになれば、軍内に医療専門の魔導士を増やしたり、傭兵に普及させたりすることで、怪我による損耗率を大幅に下げることができる。
・これはメーティス聖法神国が持つ最大の優位性を削り、神官たちの権威と資金源(お布施という名の賄賂など)を奪う強力な対抗手段となる。
・そのため、デルサシスは自国を狙う大国への牽制としてこの策に乗ることを決意した。
3. 干渉を防ぐ巧妙な流通戦略
メーティス聖法神国は、過去に遺跡などから回復魔法のスクロールが発見された際も、宗教的な理由をこじつけて他国から奪い取ってきた歴史がある。
・ソリステア魔法王国単独で回復魔法を普及させれば、異端として難癖をつけられ、最悪の場合は戦争に発展する危険があった。
・そこでゼロスは、初級から中級までの回復魔法のスクロールを複数用意し、巧妙な流通策を提案する。
・それは、周辺の他国には改良前の通常版スクロールを外交取引で流し、自国のソリステア魔法王国内では効果の高い改良版を販売する、というものであった。
・複数の国で同時期に回復魔法が出回る状況を作り出せば、どの国でも独自に回復魔法を開発していたように見せかけることができる。
・もしメーティス聖法神国が干渉してきても、長い魔法研究の成果だ、と主張して誤魔化すことができる。
・日頃からメーティス聖法神国の横暴を嫌っている周辺国も、喜んでこの計画に協力するだろうと踏んだ。
4. 計画がもたらす影響
この計画は、ゼロスの四神教への不満と嫌がらせという個人的な感情から始まった。
・しかし、デルサシスの辣腕な政治力と結びつくことで、大国であるメーティス聖法神国の根幹を脅かす一大プロジェクトへと発展する。
・ゼロスとデルサシスという、ある意味で非常に危険で腹黒い二人が意気投合した。
・これにより、世界の力関係を大きく変える強烈な布石が打たれたこととなる。
まとめ
このように回復魔法の普及計画は、一見すると利便性の向上や人道的な救済措置に見えるが、その本質は宗教国家の独占権を打破するための冷徹な政治工作である。ゼロスの規格外の魔法技術と、デルサシス公爵の他国を巻き込む巧妙な外交戦略が合致したことで、メーティス聖法神国に言い逃れの余地を与えない包囲網が形成された。個人的な嫌がらせから始まったこの企みは、国際社会の勢力図を裏から塗り替える極めて効果的な一手となっている。
アラフォー賢者4巻レビュー
アラフォー賢者まとめ
アラフォー賢者6巻レビュー
登場キャラクター
転生者・地球の人物
大迫聡(ゼロス・マーリン)
元プログラム技術者のおっさん魔導士であり、平穏な暮らしを望む転生者である。実の姉を強く憎んでいる。
・所属組織、地位や役職
無職。大賢者。
・物語内での具体的な行動や成果
大図書館で四神教や邪神について調べた。ハサム村で妖精の集落を殲滅魔法で消し去った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
スティーラの傭兵ギルドでSランク傭兵として登録された。
イリス
駆け出しの傭兵であり、ゼロスに憧れを抱く転生者の少女である。魔法の多重展開を無詠唱でこなす。
・所属組織、地位や役職
傭兵。
・物語内での具体的な行動や成果
ゼロス達の護衛任務に同行した。エクスプロードを放ち魔物の群れを殲滅した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ワイルド・コッコのメイケイから指導を受け、戦士職スキルを獲得した。
安藤俊之(アド)
ユイの婚約者であり、イサラス王国で行動する転生者の青年である。四神に復讐しようとしている。
・所属組織、地位や役職
イサラス王国の重鎮。
・物語内での具体的な行動や成果
イサラス王国で兵器開発を手伝った。大図書館で世界の摂理について調査を行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
船橋唯香(ユイ)
俊之の幼馴染で婚約者であり、妊娠したままこの世界に転移した女性である。
・所属組織、地位や役職
ハサム村に保護された身。
・物語内での具体的な行動や成果
村長宅でゼロスにお茶を出した。ゼロスに俊之を探していることを伝えた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
シャクティ
弁護士を目指していた転生者の女性である。
・所属組織、地位や役職
イサラス王国の重鎮。
・物語内での具体的な行動や成果
アド達と共に大図書館で歴史について調べた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
リサ
ポニーテールの転生者の少女である。
・所属組織、地位や役職
イサラス王国の重鎮。
・物語内での具体的な行動や成果
アド達と共に大図書館で宗教関連の調査を行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
榎村樹(エロフスキート・ムラムラス / ラインハルト十三世 / エロムラ)
合法奴隷に手を出して犯罪奴隷に落ちた転生者の少年である。
・所属組織、地位や役職
裏組織ヒュドラの奴隷。
・物語内での具体的な行動や成果
シャランラと共にツヴェイトの暗殺に向かった。監視の駒を奪い返しシャランラを裏切った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
恩赦で奴隷から解放され、ツヴェイトの専属護衛になる予定である。
大迫麗美(シャランラ)
ゼロスの実姉であり、金遣いが荒く自己中心的な人物である。
・所属組織、地位や役職
裏組織ヒュドラの暗殺者。
・物語内での具体的な行動や成果
回春の秘薬で若返り、ツヴェイトを暗殺しようとした。ゼロスにバイクで轢き飛ばされて逃亡した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ゼロスによって手配書を作られ、賞金稼ぎに追われる予定である。
アンズ(名無しちゃん)
忍び装束を着た転生者の少女であり、裏組織を利用して食料を確保していた。
・所属組織、地位や役職
裏組織ヒュドラに拾われた少女。
・物語内での具体的な行動や成果
シャランラを裏切ってツヴェイトの背中に張り付いた。センケイやザンケイを無力化した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
一宿一飯の恩義でツヴェイトの部屋に居座り、給料をもらう予定となる。
カノン
ゼロスのゲーム時代の仲間である。
・所属組織、地位や役職
殲滅者の一員。
・物語内での具体的な行動や成果
回春の秘薬の副作用がひどいことを発見した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ダイスケ・キンジョウ
古い記録に残された日本名を持つ勇者である。
・所属組織、地位や役職
勇者。
・物語内での具体的な行動や成果
特になし。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ユキ・ミナサワ
古い記録に残された日本名を持つ勇者である。
・所属組織、地位や役職
勇者。
・物語内での具体的な行動や成果
特になし。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ヒロシ・ヤマモト
古い記録に残された日本名を持つ勇者である。
・所属組織、地位や役職
勇者。
・物語内での具体的な行動や成果
特になし。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
勇者達
異世界から召喚された者達である。
・所属組織、地位や役職
メーティス聖法神国の戦力。
・物語内での具体的な行動や成果
邪神戦争で邪神を封印した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
増田さん
地球の人物である。
・所属組織、地位や役職
会社の専務。
・物語内での具体的な行動や成果
シャランラに宝飾品をプレゼントした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ソリステア大公爵家
デルサシス・ヴァン・ソリステア
ソリステア公爵家の現当主であり、優秀な経営者である。
・所属組織、地位や役職
ソリステア公爵領領主。ソリステア商会会長。
・物語内での具体的な行動や成果
ゼロスにツヴェイトの護衛を依頼した。独自の諜報網を用いて裏組織ヒュドラを壊滅させた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
裏社会から沈黙の獅子と恐れられている。
ツヴェイト・ヴァン・ソリステア
ソリステア公爵家の長男であり、次期当主の自覚を持ち始めた青年である。
・所属組織、地位や役職
イストール魔法学院生徒。
・物語内での具体的な行動や成果
実戦訓練でシャランラ達の襲撃を受けた。過去の冷遇についてセレスティーナに謝罪した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
エロムラと奇妙な友情を結んだ。
セレスティーナ・ヴァン・ソリステア
ソリステア公爵家の娘であり、魔法の才能を開花させた少女である。
・所属組織、地位や役職
イストール魔法学院生徒。
・物語内での具体的な行動や成果
いじめられていたウルナを助け友人となった。積層魔法陣の構築に取り組んだ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
下級生から魔導天使と呼ばれるようになった。
クロイサス・ヴァン・ソリステア
ソリステア公爵家の次男であり、魔法研究に没頭する天才魔導士である。
・所属組織、地位や役職
イストール魔法学院主席。
・物語内での具体的な行動や成果
短時間性別変換薬を作成した。ゼロスの護衛用魔導具を受け取った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ミスカ
セレスティーナの世話係であり、神出鬼没のクールなメイドである。
・所属組織、地位や役職
ソリステア公爵家のメイド。
・物語内での具体的な行動や成果
クロイサスを荒縄で縛り宿へ連行した。ガーランスをボウガンで射殺した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
過去にヒュドラの暗殺者であった。
イストール魔法学院
キャロスティー
サンジェルマン侯爵家の息女であり、セレスティーナの数少ない友人である。
・所属組織、地位や役職
イストール魔法学院生徒。
・物語内での具体的な行動や成果
セレスティーナやウルナと共に実戦訓練に参加した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
マカロフ
クロイサスの同期であり、共に研究を行う青年である。
・所属組織、地位や役職
イストール魔法学院生徒。
・物語内での具体的な行動や成果
クロイサスの実験に巻き込まれて刺激臭の被害に遭った。短時間性別変換薬を飲んで女性化した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
イー・リン
犬耳を持つ獣人の少女であり、クロイサスの同期である。
・所属組織、地位や役職
イストール魔法学院生徒。
・物語内での具体的な行動や成果
クロイサスの部屋に入り浸り本を返却させた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
クロイサスと恋人同士であると噂される。
ディーオ
ツヴェイトの友人であり、セレスティーナに思いを寄せる青年である。
・所属組織、地位や役職
イストール魔法学院生徒。
・物語内での具体的な行動や成果
実戦訓練で魔物に襲われて救援を要請しようとした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
サムトロール
ウィースラー侯爵家の次男であり、権力志向が強い青年である。
・所属組織、地位や役職
イストール魔法学院生徒。
・物語内での具体的な行動や成果
ツヴェイトの暗殺を裏組織に依頼した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
実家から見捨てられ勘当される予定である。
ブレマイト
サムトロールの仲間であり、精神系の血統魔法の使い手である。
・所属組織、地位や役職
イストール魔法学院生徒。
・物語内での具体的な行動や成果
派閥の仲間に洗脳魔法を掛けていた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
カーブルノ
パンティスキー伯爵の長男であり、親の権威を笠に着る少年である。
・所属組織、地位や役職
イストール魔法学院生徒。
・物語内での具体的な行動や成果
実戦訓練で魔物に囲まれ、一晩戦い続けた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
過酷な経験を経て戦士として覚醒した。
傭兵ギルド・傭兵
セイフォン
スティーラ傭兵ギルドの支部長であり、Sランクの傭兵である。
・所属組織、地位や役職
スティーラ傭兵ギルドマスター。
・物語内での具体的な行動や成果
ゼロスと剣で手合わせをした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
オネェの振る舞いをしているが、愛妻家である。
ラーサス
監視役として護衛任務に参加した傭兵である。
・所属組織、地位や役職
傭兵。
・物語内での具体的な行動や成果
ゼロスと共に実戦訓練の護衛を行った。レッサーオーガを撃破した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ジャーネ
赤髪の女性傭兵であり、男勝りだが純情な性格である。
・所属組織、地位や役職
傭兵。
・物語内での具体的な行動や成果
実戦訓練でイリス達と共に護衛を行った。魔物を多数討伐した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
レナ
甘栗色の髪の女性傭兵であり、少年に目がない性格である。
・所属組織、地位や役職
傭兵。
・物語内での具体的な行動や成果
少年傭兵と宿で逢瀬を楽しんだ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
護衛の傭兵二人
学院生パーティーの護衛として雇われた傭兵である。
・所属組織、地位や役職
傭兵。
・物語内での具体的な行動や成果
魔物に襲われ苦戦した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
教会・養護院
ルーセリス
養護院を運営する見習い神官であり、心優しい女性である。
・所属組織、地位や役職
養護院の見習い神官。
・物語内での具体的な行動や成果
孤児達の面倒を見ながら怪我人の治療を行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
カエデ
ハイ・エルフの少女であり、好戦的な剣士である。
・所属組織、地位や役職
養護院に預けられた少女。
・物語内での具体的な行動や成果
他の子供達と共に剣の稽古を行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
アンジェ
養護院に住む赤毛の少女である。
・所属組織、地位や役職
養護院の子供。
・物語内での具体的な行動や成果
コッコ達と型稽古や組手を行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ジョニー
顔にすり傷のある少年である。
・所属組織、地位や役職
養護院の子供。
・物語内での具体的な行動や成果
コッコ達と型稽古や組手を行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ラディ
角刈りの少年である。
・所属組織、地位や役職
養護院の子供。
・物語内での具体的な行動や成果
コッコ達と型稽古や組手を行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
カイ
ぽっちゃり体型の少年である。
・所属組織、地位や役職
養護院の子供。
・物語内での具体的な行動や成果
コッコ達と型稽古や組手を行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ハサム村
村長
ハサム村をまとめる老人である。
・所属組織、地位や役職
ハサム村村長。
・物語内での具体的な行動や成果
ゼロスに妖精の殲滅を依頼した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
司祭
四神教の司祭であり、妖精を擁護する立場にある。
・所属組織、地位や役職
四神教司祭。
・物語内での具体的な行動や成果
妖精を庇って村人達から反感を買った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
サイモン
ハサム村に住む男性である。
・所属組織、地位や役職
ハサム村村人。
・物語内での具体的な行動や成果
ルオが妖精に襲われた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ルオ
サイモンの息子である。
・所属組織、地位や役職
ハサム村の少年。
・物語内での具体的な行動や成果
家の中で妖精に襲われ重傷を負った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ゼロスの回復魔法で一命を取り留めた。
ミーサ
ハサム村に住む女性である。
・所属組織、地位や役職
ハサム村村人。
・物語内での具体的な行動や成果
妖精に赤ん坊を殺されて寝込んでしまった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ジュダン
ハサム村に住む男性である。
・所属組織、地位や役職
ハサム村村人。
・物語内での具体的な行動や成果
妖精に子供を殺された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
村人達
ハサム村の住人達である。
・所属組織、地位や役職
ハサム村の住人。
・物語内での具体的な行動や成果
妖精の悪質な悪戯に苦しみ司祭に抗議した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
裏組織・盗賊・犯罪者
ガーランス
裏組織ヒュドラの幹部であり、デルサシスに恨みを持つ男である。
・所属組織、地位や役職
ヒュドラの頭目。
・物語内での具体的な行動や成果
シャランラにツヴェイトの暗殺を依頼した。ミレーナを連れて逃走した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ミスカにボウガンで射殺された。
ミレーナ
未来予知ができる血統魔法を持つ少女である。
・所属組織、地位や役職
ソリステア公爵家の専属侍女。
・物語内での具体的な行動や成果
ガーランスに攫われて逃走に付き合わされた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
胡散臭い身なりの男
黒衣の魔導士の仲間である。
・所属組織、地位や役職
不明。
・物語内での具体的な行動や成果
イサラス王国の情勢についてアドと会話した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
盗賊頭
盗賊団の頭目である。
・所属組織、地位や役職
盗賊団。
・物語内での具体的な行動や成果
特になし。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
盗賊達
街道や森で略奪を行う犯罪者集団である。
・所属組織、地位や役職
盗賊団。
・物語内での具体的な行動や成果
コッコ達によって全滅させられた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
チンピラ達
裏組織の末端の男達である。
・所属組織、地位や役職
ならず者。
・物語内での具体的な行動や成果
特になし。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ガーランスの部下
ガーランスに従う裏社会の男達である。
・所属組織、地位や役職
ヒュドラの構成員。
・物語内での具体的な行動や成果
特になし。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ワイルド・コッコ
ウーケイ
格闘戦に特化した異常進化を遂げた魔物である。
・所属組織、地位や役職
ゼロスの護衛。
・物語内での具体的な行動や成果
シャランラに執拗に襲い掛かった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
コカトリス形態に進化する能力を見せた。
ザンケイ
斬撃を得意とする異常進化を遂げた魔物である。
・所属組織、地位や役職
ゼロスの護衛。
・物語内での具体的な行動や成果
アンズにモフモフされて悶絶した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
センケイ
狙撃を得意とする異常進化を遂げた魔物である。
・所属組織、地位や役職
ゼロスの護衛。
・物語内での具体的な行動や成果
アンズに飛びつかれて悶絶した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
メイケイ
クロオビ・コッコであり、面倒見が良い雌である。
・所属組織、地位や役職
ゼロスの護衛。
・物語内での具体的な行動や成果
イリスに格闘戦の型稽古や組手を指導した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ゼロスから名前を与えられて四羽目のネームドモンスターとなった。
神々・四神教・メーティス聖法神国
スメラギ
メーティス聖法神国に召喚された勇者の一人である。
・所属組織、地位や役職
メーティス聖法神国特務騎士団の勇者。
・物語内での具体的な行動や成果
聖女と熱愛中であると新聞に報じられた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
聖女
メーティス聖法神国の聖女である。
・所属組織、地位や役職
メーティス聖法神国の聖女。
・物語内での具体的な行動や成果
勇者スメラギと熱愛中であると報じられた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ヒメジマ
メーティス聖法神国に召喚された勇者の一人である。
・所属組織、地位や役職
メーティス聖法神国の勇者。
・物語内での具体的な行動や成果
特になし。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ササキ
メーティス聖法神国に召喚された勇者の一人である。
・所属組織、地位や役職
メーティス聖法神国の勇者。
・物語内での具体的な行動や成果
特になし。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
カワモト
メーティス聖法神国に召喚された勇者の一人である。
・所属組織、地位や役職
メーティス聖法神国の勇者。
・物語内での具体的な行動や成果
特になし。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
イワタ
メーティス聖法神国に召喚された勇者の一人である。
・所属組織、地位や役職
メーティス聖法神国の勇者。
・物語内での具体的な行動や成果
特になし。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ヤサカ
メーティス聖法神国に召喚された勇者の一人である。
・所属組織、地位や役職
メーティス聖法神国の勇者。
・物語内での具体的な行動や成果
特になし。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
フレイレス
火の女神である。
・所属組織、地位や役職
四神。
・物語内での具体的な行動や成果
邪神が復活したことを察知した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ウィンディア
風の女神である。
・所属組織、地位や役職
四神。
・物語内での具体的な行動や成果
邪神を異世界に再封印することに賛成した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
アクイラータ
水の女神である。
・所属組織、地位や役職
四神。
・物語内での具体的な行動や成果
邪神を異世界に再封印することに反対しなかった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ガイラネス
大地の女神である。
・所属組織、地位や役職
四神。
・物語内での具体的な行動や成果
話し合いの途中で眠り続けた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
創生神
世界を構築した神である。
・所属組織、地位や役職
神。
・物語内での具体的な行動や成果
世界を作った後は見守るだけであった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
邪神
世界を蹂躙した巨大な生命体である。
・所属組織、地位や役職
邪神。
・物語内での具体的な行動や成果
四神によってゲームの世界に封印された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
地球側の神々
地球を管理する神々である。
・所属組織、地位や役職
神。
・物語内での具体的な行動や成果
死亡した転生者達を異世界へ送った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
大司教
メーティス聖法神国の指導層である。
・所属組織、地位や役職
メーティス聖法神国大司教。
・物語内での具体的な行動や成果
特になし。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
神官達
四神教を信仰する者達である。
・所属組織、地位や役職
四神教神官。
・物語内での具体的な行動や成果
特になし。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
その他・魔物
フェアリー・ロゼ
残酷な本性を持つ上位妖精である。
・所属組織、地位や役職
妖精。
・物語内での具体的な行動や成果
生物を生きたまま解体して遊んでいた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
妖精達
子供並みの知能と残酷さを持つ魔物である。
・所属組織、地位や役職
妖精。
・物語内での具体的な行動や成果
ハサム村の村人に悪質な悪戯を行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ゼロスのガンマ・レイによって殲滅された。
モスト・マスキュラー号の船乗り
赤茶色の船に乗る船乗り達である。
・所属組織、地位や役職
モスト・マスキュラー号の船員。
・物語内での具体的な行動や成果
特になし。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
老人
船に乗っていた乗客である。
・所属組織、地位や役職
特になし。
・物語内での具体的な行動や成果
特になし。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
幼い少年
船に乗っていた乗客である。
・所属組織、地位や役職
特になし。
・物語内での具体的な行動や成果
特になし。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
イサラス王国の民
食料難に苦しむ小国の民である。
・所属組織、地位や役職
イサラス王国。
・物語内での具体的な行動や成果
特になし。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ミレーナの両親を含む一族の者達
未来予知の血統魔法を持つ一族である。
・所属組織、地位や役職
特になし。
・物語内での具体的な行動や成果
魔法を消し去るために歴史の裏で布石を置いた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。### 転生者・地球の人物
アラフォー賢者4巻レビュー
アラフォー賢者まとめ
アラフォー賢者6巻レビュー
展開まとめ
プロローグ おっさん焦る
採掘に夢中なゼロスと緊急信号
岩場の採掘
ゼロスは一人で岩場を掘り進めていた。最初は鉄鉱石と希少鉱石が少し出るだけだったが、掘るほどに多様な鉱石が見つかり、採掘に夢中になっていた。非常識な身体能力と覚醒スキルのおかげで疲れ知らずであり、肉体労働との相性も良かった。
覚醒スキルへの疑問
ゼロスは、【限界突破】【臨界突破】【極限突破】といった覚醒スキルが、身体能力や職業スキルの効果を大きく引き上げる壊れた能力だと考えていた。ただし取得条件は分からず、この世界にも同じものが存在するのかは不明であった。現時点で確かなのは、ゼロスが重機いらずの速度で採掘できるという非常識さだけだった。
宝石の使い道
採掘を続けるうち、ゼロスは鉱石より宝石の類が多く出ることに気付いた。売れば一財産になるが、魔導具にした方がよいかもしれないと考え、ルーセリスやジャーネへの贈り物も思い浮かべた。魔石と宝石の性質の違いを踏まえ、回復魔法を強化する魔導具などを試作し、ツヴェイトやイリス達に意見を聞く案を考えていた。
規格外の無自覚
ゼロスは、簡単な魔導具なら作れると気軽に考えていた。しかし彼にとって簡単な品でも、この世界の人々から見れば破格の性能を持つものになり得た。そこから起こる影響について、ゼロスはまったく無頓着であった。
赤い緊急信号
さらに採掘を続けようとした時、ゼロスのマスクに方位を示す矢印と、緊急事態を示す赤い光点が点滅した。そこでゼロスは、暗殺者の件をすっかり忘れていたことに気付いた。彼は慌てて【ハーリー・サンダース十三世】を取り出し、始動キーを差し込んで救援へ向かった。
森を貫く黒いバイク
ゼロスは魔力式モーターを起動し、ラーマフの森を一直線に駆け抜けた。バイクは障壁で車体を包み込み、前方を塞ぐ植物型の魔物【トレント】を粉砕しながら進んだ。餌を求めていただけのトレントは、ゼロスの通過によって大量の木片へと変わった。
残されたトレント素材
粉砕されたトレントは魔法杖の貴重な素材だったが、ゼロスは緊急事態のため回収できなかった。その後、他の学院生が木片を拾い集め、杖に加工された。余った木片も職人へ売られ、学院生の臨時収入となった。
学院への思わぬ影響
大量のトレント素材によって多くの魔法杖が作られ、それを学院生達が買い求めた。結果として、優秀な魔法媒体を持つ貴族の学院生と一般学生の差が縮まり、学院内の成績順位にも大きな変動が起こることになった。ゼロスは知らないうちに、学院の教育問題に一石を投じていた。
第一話 ツヴェイト、襲撃される
結界内の時間稼ぎと崩れる血統主義派の策
背中の桃色忍者
ツヴェイトは背中にしがみ付く少女に下りるよう求めたが、少女はご飯のために逃がせないと言って離れなかった。ツヴェイトは、その言葉から彼女がサムトロールに雇われた刺客だと判断した。だが少女は人殺しを望んでいるわけではなく、生活のために裏の仕事をしているようだったため、ツヴェイトは雇い入れることで懐柔できないかと考えた。
黒いドレスの刺客
そこへ黒いイブニングドレスの女シャランラと、騎士鎧を着た少年ラインハルトが現れた。シャランラはツヴェイトに名乗る気はなく、これから死ぬ相手に親切に教える必要はないと告げた。ツヴェイトは、彼女がサムトロールに雇われた刺客か、あるいは父が過去に潰した組織の残党ではないかと探りを入れた。
ツヴェイトのブラフ
ツヴェイトは、デルサシスがすでに刺客の動きを予見し、組織の所在も把握しているのではないかと揺さぶりをかけた。シャランラは平然を装ったが、ツヴェイトを殺しても組織が潰されている可能性を想像し、内心で焦りを覚えた。その隙をついて、ツヴェイトはゼロスから渡されたアミュレットを起動させた。
ラインハルトの転落
ツヴェイトは、ラインハルトの首輪を見て犯罪奴隷だと見抜いた。ラインハルトは奴隷ハーレムを作ろうとして合法奴隷に手を出し、訴えられたうえ、捕まえに来た衛兵を返り討ちにしたことで重犯罪奴隷になっていた。ツヴェイトは、奴隷にも人権があり、嫌がることを強要した以上は自業自得だと説明した。
奴隷制度の現実
ツヴェイトは、合法奴隷商人は職業斡旋に近い存在であり、奴隷になった者も借金返済のために働く民であると語った。奴隷を買った者には衣食住を賄い、人権を守る義務があり、主人を訴えることもできた。ラインハルトは、自分が想像していた奴隷制度と現実が違うことを知り、自由になれない立場に落ち込んだ。
防御するアミュレット
シャランラは名無しの少女にツヴェイトを押さえたまま止めを刺すよう促したが、少女は押さえていないと逃げられるとして断った。シャランラは自分でナイフを投げたが、アミュレットの自動防御に弾かれた。ツヴェイトは、ゼロス製の魔導具が働いたことに安堵し、最強の護衛へ合図も送ったと告げて時間を稼いだ。
隔絶の領域の誤算
シャランラが使った【隔絶の領域】は、結界を展開し、効果時間が切れるまで内側から出られない旧時代の魔導具だった。ツヴェイトを孤立させるつもりが、自分達も閉じ込められる形になり、援軍が来れば逃げ場を失う危険があった。さらにアミュレットは周囲から魔力を集める長時間運用型であり、簡単に魔力切れを起こさない厄介な代物だった。
忍者観の食い違い
シャランラは名無しの少女に武器を仕込んでいないのかと問い詰めたが、少女は忍者は情報収集をする存在であり、暗殺専門ではないと返した。彼女は、シャランラの考える忍者像は忍者ではなくNINJYAだと指摘した。ツヴェイトはその知識と落ち着きから、少女が見た目通りの年齢ではないのではないかと感じた。
締まらない襲撃
ツヴェイトが少女と言葉を交わすうち、殺し合いの場には不自然なほど緩い空気が流れた。ラインハルトはツヴェイトが少女を口説いているように見えたことへ嫉妬し、ロリに手を出したいと断言した。ツヴェイトは彼を変質者だと呆れ、シャランラもここまで馬鹿とは思わなかったと困惑した。
結界外の三羽
ウーケイ、ザンケイ、センケイは結界の外からツヴェイトの状況を見ていたが、結界に阻まれて中へ入れなかった。強そうな獲物が近くにいるのに戦えず、三羽は苛立ちながら障壁を観察した。やがて山鳩が上空から結界を抜けたのを見て、上には壁がないと気付き、高い木から滑空して侵入する策を立てた。
救援を阻む魔物の群れ
一方、ディーオ達は野営地へ救援を呼びに向かっていたが、【邪香水】に引き寄せられた魔物の群れに進路を阻まれていた。彼らは、サムトロールが自作自演で自分達を救うため、撤退ルートにも邪香水を撒いたのではないかと推測した。傭兵二人も必死に戦っていたが、魔物の数は増え続け、力尽きる危険が迫っていた。
イリスの援軍
ディーオ達が力ずくで退路を開こうとした時、前方の魔物の群れが強力な魔法で吹き飛ばされた。現れたのはイリスとジャーネであり、イリスは素材を売れば生活が安泰だと喜んでいた。援軍に安堵する一方、ディーオ達はイリスの範囲魔法の威力に絶句した。
セレスティーナへの盲目
セレスティーナ達も合流し、イリスはこの森の魔物なら一撃で倒せると軽く言った。ディーオは実際に窮地を救ったのがイリスであるにもかかわらず、セレスティーナが自分達を助けに来てくれたと思い込み、胸を熱くした。彼の目にはセレスティーナしか入っていなかった。
森を吹き飛ばす魔法
さらに魔物の群れが迫ると、イリスは面倒だからまとめて吹き飛ばすと言い、【エクスプロード】を放った。強力な魔法はラーマフの森で炸裂し、森ごと魔物を消し飛ばした。その後、森林火災になりかけたため、イリスは必死に火を防ぐことになった。
崩れた救出劇
遠くからその光景を見ていたサムトロール達は言葉を失った。彼らは邪香水で魔物を呼び、ディーオ達を窮地に追い込んでから救出することで評価を上げるつもりだった。しかし魔物を増やしすぎたうえ、イリスに手柄を奪われ、さらに【エクスプロード】という上位戦略魔法を見せつけられたことで、計画は完全に崩れた。
薄れる洗脳
イリスの魔法を見た衝撃で、ブレマイトの洗脳を受けていた学院生達の精神が大きく揺らいだ。彼らはサムトロールへの疑念を取り戻し始め、勝手に撤退の準備を始めた。記憶への違和感を口にする者も現れ、サムトロールに反抗できる程度まで自己意識が戻りつつあった。
孤立するサムトロール
仲間達がサムトロールを見限り始める中、彼は自分が悪いとは思わず、ツヴェイトへの逆恨みをさらに募らせた。自作自演の救出劇は失敗し、周囲の信頼も崩れ、サムトロールは完全に孤立へ向かっていた。
第二話 おっさん、急行中
結界内の攻防とバンカーシューター
弾かれる斬撃
シャランラとラインハルトはツヴェイトに攻撃を加え続けたが、ほとんどの斬撃はアミュレットの障壁に弾かれた。ツヴェイトの顔を見られた以上、シャランラ達はこの国で生き残るためにも彼を殺す必要があった。しかし障壁には衝撃反射の効果まであり、ラインハルトの【ブレイブ・ザッパー】も弾き返された。
背中の名無しちゃん
名無しちゃんはツヴェイトの背中にしがみついたまま、暗殺に協力するどころか状況を楽しんでいた。ツヴェイトは首に手甲が食い込んで苦しいと訴えたが、彼女は下りようとしなかった。シャランラは首を絞めればよいと促したが、名無しちゃんは人殺しは外道だと返し、シャランラをおばさんや外道と呼んで怒らせた。
モテない男達の友情
ツヴェイトが自分はリア充ではなく、女にモテるのは弟の方だと漏らすと、ラインハルトは彼に同志を見出した。二人はモテない男同士として奇妙に意気投合し、握手を交わした。シャランラは、公爵家の御曹司なら引く手数多だと呆れたが、ツヴェイトは権力や金目当ての女など願い下げだと否定した。
ビッチ呼ばわりの応酬
ツヴェイトとラインハルトは、シャランラを金食い虫の守銭奴でビッチだと評した。シャランラは怒ったが、金や贅沢のために殺し屋をしていることは事実であり、反論しきれなかった。ツヴェイトは、公爵家には責任があり、金遣いの荒い女は嫁候補にも挙がらないと語った。
逆上するシャランラ
シャランラは、ビッチ呼ばわりされた怒りで目が据わり、本気でツヴェイト達を殺そうとした。だが障壁に阻まれ、斬撃は届かなかった。さらに名無しちゃんが、事実を受け入れて自分を変えないと孤独になる、更年期障害かと辛辣に追い打ちをかけたため、シャランラの怒りはさらに膨れ上がった。
監視の駒
シャランラは空間から小さなチェスの駒のような【監視の駒】を取り出した。それはラインハルトの隷属の首輪と対になるもので、魔力を流すと彼に激しい痛みと痺れを与えた。ツヴェイトは即座に【白銀の神壁】でシャランラの腕を斬り飛ばし、落ちた【監視の駒】をラインハルトが【烈風刃】で援護しながら回収した。
身代わりの術具
ツヴェイトはシャランラの腕を斬り落としたが、彼女の腕はすぐに元通りになった。ツヴェイトは、シャランラが【身代わり人形】か【贄の形代】のような呪術師の道具でダメージを無効化したのだと見抜いた。ラインハルトは【監視の駒】を手に入れ、ツヴェイトに助けられたことで自由を得たと感じた。
影へ沈む暗殺者
シャランラは本気で殺すと告げ、自分の影の中へ沈んだ。ツヴェイトとラインハルトは【シャドウ・ダイブ】を警戒したが、闇系統の魔法は感知しにくく居場所を掴めなかった。名無しちゃんが木の影を指し示したことで、二人はシャランラの位置を知り、【ファイアーボール】と【紅蓮斬】で攻撃した。
名無しちゃんの裏切り
シャランラは名無しちゃんに裏切りを責めたが、彼女はガーランスへの恩は命を助けたことで返したと答えた。名無しちゃんは使い捨てにされることを理解しており、逆に裏組織を利用して食料を確保していた。彼女は、悪人は利用するだけでよいという祖母の教えを語り、ツヴェイト達を震え上がらせた。
空から来た三羽
名無しちゃんは、シャランラは負けると告げた。その直後、空から鋭い羽が撃ち込まれ、ウーケイ、ザンケイ、センケイの三羽が舞い降りた。結界の上空に隙があることを見抜いた三羽は、高い木から滑空して侵入してきたのである。
センケイ捕獲
名無しちゃんはツヴェイトの背中から急速に離れ、センケイに飛びついた。彼女は巧みな指使いでセンケイをもふり、戦闘不能に追い込んだ。センケイが離脱したため、ウーケイとザンケイはどちらがシャランラと戦うかをじゃんけんで決め、ウーケイが相手をすることになった。
油断したウーケイ
ウーケイはシャランラの力を見て期待外れだと感じ、【縮地】で間合いに入り腹へ重い一撃を叩き込んだ。しかしその攻撃は身代わりの人形を破壊しただけで、シャランラ本人には届かなかった。直後、シャランラは【影化連撃】で四方八方から斬撃を叩き込み、ウーケイを茂みへ落とした。
本気になるウーケイ
シャランラはウーケイを倒したと思ったが、茂みから膨大な魔力が放出された。ウーケイは【硬気功】で羽毛を強化し、傷を負いながらも生きていた。自分が相手を侮ったことを悟ったウーケイは非礼を詫び、全力で戦うと決めた。
シャイニング・コカトリスモード
ウーケイの体は膨れ上がり、白い羽毛は深紅に染まり、蛇のような尾や凶悪な鉤爪、牙を持つ巨体へ変貌した。それは進化ではなく、亜種のコッコ達が得た上位種への変身能力であった。ウーケイは【シャイニング・コカトリスモード】となり、全長三メートルを超す姿でシャランラに迫った。
石化ブレスの恐怖
ウーケイの翼による打撃は爆風を生み、周囲の木々を消し炭にするほどの威力を持っていた。シャランラが影に潜って逃げようとすると、ウーケイは【石化ブレス】を放ち、木々や草花を石化させて砕いた。シャランラは慌てて石化しかけたマントを払い除けたが、もはや逃げ場はなくなっていた。
助けない見物人達
シャランラは助けを求めたが、ツヴェイト、ラインハルト、名無しちゃんの誰も応じなかった。ツヴェイトにとってウーケイは護衛であり、ラインハルトは自分を苦しめた相手を助ける義理がなかった。名無しちゃんも、戦いを挑んだ時点で死ぬ覚悟は必要だと冷静に突き放した。
結界へ向かうゼロス
一方、ゼロスは【ハーリー・サンダース十三世】で森を走り、ツヴェイトのもとへ急いでいた。彼は半透明の結界を発見し、今の文明水準では作れない規模の魔導具であるため、旧時代の遺物か、転生者が関わっている可能性を考えた。同じ転生者が敵となれば、自分と同等の装備や強さを持つ可能性があり、厄介だと感じていた。
転生者への警戒
ゼロスは、自分やイリスのように、他の転生者も【ソード・アンド・ソーサリス】の装備や強さを保持している可能性を考えた。強い力を持っていても、人を殺すことに抵抗のある者もいれば、かつて戦った黒衣の魔導士のようにためらいなく剣を向ける者もいる。ゼロスは、犯罪者は捕まえるか始末するだけだと考えつつも、同等の相手が出ることを憂鬱に感じていた。
バンカーシューター起動
ゼロスは結界を破壊するため、バイクのサイドカーに搭載された【バンカーシューター】を起動した。コンテナが龍の口のように開き、内部の機構が作動した。それは六個の魔力タンクを消費して一発の杭を撃ち込む、パイルバンカーとリボルバー式シリンダーを組み合わせた攻城兵器だった。
吹き飛ぶ結界
ゼロスが【バンカーシューター】を発射すると、杭は結界の障壁を貫通した。外部から攻撃が通ったことで結界の魔法式は破壊され、障壁は維持できなくなった。しかし杭に刻まれていた攻撃魔法は範囲魔法【エクスプロード】であり、六個分の魔力タンクによって想像以上の威力へ膨れ上がっていた。
想定外の爆発
撃ち出した反動でサイドカーのコンテナは後方へ吹き飛び、ゼロスのバイクは高速スピンした。さらに着弾地点では凄まじい爆発が起こり、森の一角に超高熱量の煙が立ち上った。ゼロスは、この世界では武器の威力がゲーム時代とは段違いになることを知り、【バンカーシューター】も封印すべきだと乾いた笑いを浮かべた。
危険武器への後悔
ゼロスはまた自然を破壊してしまったことから目をそらし、ツヴェイトの無事を優先することにした。彼は昔の武器を処分すべきだと考えながら、再びバイクで森を疾走した。個人で国を相手にできるような魔導武器を多数持っていることに今さら気付き、分解にかかる手間を思って再び憂鬱になった。
第三話 おっさん、内なる狂気を解放す
ウーケイの猛攻とゼロスの姉弟対決
追い詰められるシャランラ
コカトリス形態のウーケイは、大木をへし折るほどの蹴りを放ちながら、シャランラに全力で襲いかかっていた。シャランラは【身代わり人形】や【贄の形代】で何度も命をつないでいたが、魔物討伐は専門外であり、生きた心地がしていなかった。彼女は転生者であり、PKで奪った強化系魔導具によって不足する力を補っていた。
PK時代の報い
シャランラは【ソード・アンド・ソーサリス】時代、相手を騙して装備を奪うことで自分を強化していた。しかし強者には勝てず、特に【殲滅者】を狙った時は返り討ちに遭い、呪いのアイテムを装備させられてドラゴンの住処に放り込まれていた。ウーケイの容赦ない攻撃は、その時の恐怖を思い出させるものだった。
異常なコッコ
ツヴェイトとラインハルトは、ウーケイの強さと変身能力に驚いていた。通常の魔物は進化すると姿が固定されるため、上位種から下位種へ戻ることはあり得なかった。だがウーケイ達はコッコの姿でも異常な強さを持ち、さらにコカトリスのような上位種へ自在に変身できるため、生物学的にも明らかに異常な存在だった。
見物人たちの冷淡
シャランラは助けを求めたが、ツヴェイト、ラインハルト、名無しちゃんは冷たく見ていた。彼女が自分をいい女だと言うと、三人は嫌な顔をし、名無しちゃんは自意識過剰だと切り捨てた。シャランラはさらに怒ったが、その自己中心的な本性をさらけ出し、誰も助ける気にはならなかった。
結界を砕く轟音
ウーケイの攻撃から逃げるシャランラの横で、突然轟音と地響きが起こった。結界は消し飛び、衝撃波と砂塵が押し寄せた。ツヴェイト達は地面に伏せてやり過ごし、ゼロスの仕業だと察した。爆風の先には高熱を放つ巨大なクレーターができており、三人はしばらく言葉を失った。
バイクでの追撃
シャランラは上空から落下し、【身代わり人形】によって辛うじて助かった。だが直後、土煙を切り裂くようにゼロスの黒いバイクが現れ、倒れたシャランラをドリフトスピンで容赦なく弾き飛ばした。ツヴェイトとラインハルトは、明らかに殺意のある人身事故を見て驚愕したが、ゼロスは何事もなかったように爽やかにツヴェイトの無事を確認した。
殺意の記憶
ゼロスは、土煙の中を逃げるシャランラを見た瞬間、かつて社宅で暮らしていた頃の姉の記憶を思い出していた。無職でありながら妻子持ちの専務から宝飾品をもらい、金を要求してきた姉の姿が重なり、封じていた殺意が噴き上がった。ゼロスは躊躇なくバイクを加速させ、シャランラを轢き飛ばしていたのである。
ウーケイとの会話
ゼロスは、コカトリス形態のウーケイを見て驚いた。ウーケイはこの姿が特殊能力によるものだと伝え、ゼロスはその能力に強い興味を示した。ツヴェイトとラインハルトは、ゼロスがウーケイと会話を成立させていることに驚いたが、ツヴェイトは飼い主だからなのかと受け流した。
アンズとエロムラ君
ゼロスは名無しちゃんを、パーティー【影六人】のアンズではないかと見抜いた。彼女は久しぶりに【殲滅者】と呼びかけ、ゼロスも畑仕事が中心だが最近ジェノサイドをしたと返した。さらにゼロスはラインハルトを鑑定し、その本名がエロフスキート・ムラムラスであることを知って吹き出した。ラインハルトはその名を呼ばれ、エロムラ君と略されて号泣した。
復活したシャランラ
シャランラは【身代わり人形】で生き延び、ゼロスに慰謝料を払えと怒鳴った。ツヴェイトが彼女を敵だと告げると、ゼロスは即座に【カラミティ・ゲイル】を放った。腐食効果を伴う旋風がシャランラを空高く巻き上げ、【身代わり人形】や【贄の形代】の残骸が周囲に散らばった。
再会した姉弟
ゼロスがシャランラを殺す気で攻撃していると、シャランラは彼を聡と呼んだ。ゼロスは、やはり姉だったと確認し、ここで会ったが三年目とばかりに、幸せのために死んでほしいと告げた。ツヴェイトとラインハルトは、二人が姉弟であることに驚いた。
引導を渡す弟
シャランラは弟なら姉を手伝えと命じたが、ゼロスはそんな義務はなく、裏社会に落ちた姉へ引導を渡すのが弟の義務だと返した。シャランラは、人を殺すことを何とも思わないのかと叫んだが、ツヴェイト達は彼女が言うことではないと内心で突っ込んだ。ゼロスは、ここなら死体も魔物の餌になって残らないと冷酷に語った。
回春の秘薬
ゼロスは、シャランラの若返った外見を見て【回春の秘薬】を使ったのだと見抜いた。彼女の実年齢は四十六歳であり、見た目は若返っていたが、その秘薬には肉体を強制的に活性化させ、数年後に急激な老化を引き起こす副作用があった。ゼロスは、いずれ八十代の老婆のようになると告げ、シャランラは自分の最悪のミスに青ざめた。
助ける気のないゼロス
シャランラは弟なのだから助けろと迫ったが、ゼロスはまったく可哀想だと思わず、助ける方法も知らないし、あっても教える義理はないと切り捨てた。実際には魔法薬の知識もあったが、回春の秘薬の効果を無効化する方法だけは知らなかった。ゼロスは、今ここで姉に引導を渡すと宣言した。
容赦なき魔法攻撃
ゼロスは【フレイム・ファランクス】を発動し、無数の火球をシャランラへ撃ち込んだ。森が火事になると判断すると、【コールド・ファランクス】に切り替え、消火しながら攻撃を続けた。周囲は炎から白銀の世界へ変わり、ゼロスは冷静さを残しつつも、骨すら残さないほど執拗な攻撃を続けた。
姉弟の斬り合い
シャランラは隙を突いて斬撃を放ったが、ゼロスは魔法杖で受け止め、刃を突き刺した。さらに【白銀の神壁】を魔法杖に付与して巨大な剣のように振るい、周囲の木々ごとシャランラを斬り払った。だが彼女は【贄の形代】でダメージを肩代わりし、無傷で罵り返した。
砕ける魔導具
ゼロスの斬撃は一つ一つが即死級であり、シャランラの攻撃無効化や身体強化の魔導具は次々に限界を迎えた。ゼロスは、無限に持ち歩くことは不可能だから死ぬまで攻撃し続ければよいと考え、楽に死なせる気もなかった。シャランラは器が小さいと罵ったが、ゼロスはビッチにモテたくないと返し、なおも殺意を向けた。
精霊王の首飾り
ゼロスが【ボルテック・シャイン】を放つと、シャランラは奥の手である【精霊王の首飾り】を使った。首飾りは鏡面の盾を展開し、ゼロスの魔法を反転させて彼自身へ返した。ゼロスは爆発の中へ消え、ツヴェイトは驚いたが、首飾りも大きな宝石に亀裂が入り、魔導具としては使い物にならなくなった。
影からの反撃
シャランラがツヴェイト達へ向かおうとした瞬間、背後からゼロスの魔法杖が彼女の胸を貫いた。ゼロスは【シャドウ・ダイブ】を使い、手を抜いた魔法でわざと隙を作っていたのである。彼は、雑魚同然の姉を相手に全力など出すわけがなく、一撃で殺しても恨みが晴れないと語った。
魔人形の身代わり
ゼロスは、シャランラが【魔人形】を使っていることを見抜いていた。彼が魔法杖を振るうと、シャランラは真っ二つにされたが、その姿は木製のマネキンへ変わった。【魔人形】は使用者の意識や能力を移し替え、本体を凍結保存する高価な魔導具であり、暗殺やアリバイ作りに便利な道具だった。シャランラは本体ではなかったため、精神だけが戻された。
精霊結晶と邪神魂魄
ゼロスは、壊れた【精霊王の首飾り】から天然の精霊結晶を見つけた。それはホムンクルス製作に必要な貴重素材であり、彼が求めていたものだった。すると赤い宝玉【邪神魂魄】が現れ、精霊結晶と呼応するように輝いた。ゼロスは、このアイテムを誰が自分に持たせたのかを疑問に思った。
邪神復活への仮説
ゼロスは、【邪神魂魄】が邪神の魂か核であり、ホムンクルスのボディに定着できる可能性を示していると考えた。四神の敵である邪神の核を持たされていることから、転生に関わったのは四神ではなく、地球側の神々ではないかという仮説を強めた。単なる嫌がらせか、何らかの意図による邪神復活なのかは分からなかったが、ゼロスは邪神に聞きたいことができたため、危険な実験に乗ることを軽く決めた。
残された惨状
危機が去ったため、ゼロスは野営地へ戻ろうとした。だが周囲には、シャランラとの戦闘や爆発によって破壊され尽くした森が広がっていた。さらに残されたのは、裏切り者となった元刺客二人だった。ツヴェイトの危機は去ったが、その痕跡はあまりにもひどい有様であった。
第四話 おっさん、本気で考え中
ヒュドラ壊滅の因縁と邪神をめぐる疑念
地下都市の犯罪組織
【ヒュドラ】の拠点は、古い街並みを埋め立てて作られた地下空間に存在していた。犯罪組織は横流しされた奴隷に穴を掘らせ、偽装された出入り口と複雑な通路を作り、地下都市のような拠点を築いていた。小規模な組織同士が地下通路の拡張で手を組んだ結果、巨大犯罪組織【ヒュドラ】が生まれていた。
未来予知の少女
【ヒュドラ】は、血統魔法【未来予知】を受け継ぐ少女の一族を狙った。未来を知る力を手に入れれば組織の繁栄が約束されると考えたからである。少女の一族は彼女を逃がすために抵抗したが、少女一人を残して皆殺しにされ、少女は行方不明となった。
デルサシスの介入
生き残った少女はソリステア公爵家で侍女となり、デルサシスの専属侍女として働いていた。【ヒュドラ】は彼女を誘拐したが、実行犯が持っていた短剣を手掛かりに拠点を突き止められた。デルサシスは仲間や騎士団、衛兵を動かし、【ヒュドラ】をひと月で壊滅させた。
ガーランスの逃走
ガーランスは少女ミレーナを連れて森を逃げていた。彼は【未来予知】の力を使えば組織を再興できると考え、頭目すら殺して彼女を奪っていた。だがミレーナは、ガーランスがここで死ぬ未来は決まっており、それは自分達の一族が導いたものだと告げた。
未来予知の代償
ミレーナの一族は、未来を見るたび寿命を削られる短命の血筋だった。その力は制御できず、夢として未来を見てしまうため、平穏に生きることができなかった。一族は長い時間をかけ、【未来予知】の血統魔法が二度と現れない未来へ世界を動かすため、歴史の裏で布石を置き続けていた。
利用されたヒュドラ
ミレーナは、自分達を追い込んだのはガーランス達のような悪意ある者達であり、自分達が逆に利用してもよいはずだと告げた。【ヒュドラ】が未来予知の一族を利用してきたつもりでいても、実際には一族の長い計画に誘導されていた可能性があった。ガーランスはその事実に恐怖した。
ミスカとデルサシス
ガーランスが否定しようとした直後、ミスカの矢が彼の肩を貫いた。そこへデルサシスも現れ、ミレーナに手を出したガーランスを生かす気はないと告げた。逃げ場を失ったガーランスは崖へ走ったが、デルサシスの魔法の爆風で吹き飛ばされ、オーラス大河へ落ちた。
生き延びたガーランス
ガーランスは川に落ちた後、下流に流れ着いて一命を取り留めた。その記憶は彼の夢として蘇っていた。現在のガーランスは、再興した【ヒュドラ】のボスとして奴隷の横流しや麻薬売買で資金を集め、複数の犯罪組織を吸収して急成長していた。さらにシャランラから譲られた【回春の秘薬】で若返っていたが、その副作用は知らなかった。
騎士団の襲撃
ガーランスがシャランラの成功を確信し、組織再興の夢に酔っていたところへ、騎士団が拠点へ攻め込んできた。彼はデルサシスがツヴェイトを囮にして拠点を狙ったのだと悟り、自分の甘さを呪った。部下を見捨て、隠し通路から逃げることを選んだ。
逃げ道の待ち伏せ
ガーランスが地下通路を抜けて街外れの森へ出ると、過去と同じように矢が左肩を貫いた。そこにはメイド服姿のミスカと、腕を組んだデルサシスが待っていた。デルサシスは、くだらない力に頼らず長い調査で逃げ道を突き止めたと語った。
デルサシスとの決着
ガーランスはナイフでデルサシスに襲いかかったが、ダガーと体術で完全にあしらわれた。彼はツヴェイトを囮に使うデルサシスを非情だと責めたが、デルサシスは子を苦難に進ませるのも親の務めだと返した。最後にガーランスはデルサシスを道連れにしようとしたが、ミスカのボウガンで眉間を射抜かれ、命を落とした。
老いた亡骸
ガーランスの遺体は、息絶えると急速に老い、痩せ衰えた老人の姿へ変わった。デルサシスは何らかの秘薬の影響だと見抜き、ミスカはゼロスなら知っているかもしれないと話した。二人は昔の口調で軽く言い合いながらも、ミレーナのことを思い出し、懐かしさと切なさを共有した。
撤収するデルサシス
デルサシスはガーランスの遺体を魔法で焼却し、領地へ戻るため船着き場へ向かった。騎士団と顔を合わせる必要はなく、事前に準備は整えられていた。彼は山積みの仕事を抱えながらも、人生を楽しみ時間を無駄にしないという亡き女性との約束を守っていた。
スキル自動獲得
ツヴェイト救出を終えて野営地に戻ったゼロスは、視界にスキル自動獲得の操作項目が現れたことで困惑した。【教師】【神仙人】【超土木工】など、この世界で得た職業スキルには不明な点が多く、特に【超土木工】はハンバ土木工業が原因だと考えられた。ゼロスは、今後余計なスキルを増やさないため、自動獲得をオフにした。
手加減の必要
ゼロスは、スキルが身体能力に影響を与えすぎることを警戒していた。彼ほどの力になると、首筋への手刀ですら首を落とす威力になりかねず、常に【手加減】で調整していた。今後さらにスキルが増えれば、その【手加減】でも力を抑えきれなくなる可能性があった。
姉への殺意
ゼロスはシャランラと再会したことで、彼女に付きまとわれる未来を強く嫌悪していた。過去に酷い目に遭わされたせいで、再び見かけたら確実に始末する覚悟を決めていた。危険な思考に傾いたまま、彼は食堂で食事をしているアンズとエロムラ君を見た。
同じ転生者
アンズとエロムラ君は、久しぶりのまともな食事に夢中になっていた。イリスは彼らが自分達と同じ転生者なのかと尋ね、邪神のせいで殺されたのではないかと考えた。ゼロスは、邪神ではなく四神の所業と見る方が正しいと答えた。
邪神と四神への疑念
イリスは、四神がこの世界の神であるなら、なぜ邪神をゲーム世界に封印できたのかと疑問を呈した。ゼロスは、確証はないものの、邪神を倒したのは自分達【殲滅者】であり、最後に戦った邪神だけ攻撃パターンが明らかに違っていたと語った。彼は、あの邪神はプログラムではなく本物の生き物のようだったと考えていた。
ソード・アンド・ソーサリスの正体
ゼロスとイリスは、【ソード・アンド・ソーサリス】の世界もデータ上のゲームではなく、別の異世界だったのではないかと推測した。この世界は自然な個体差や経験値のムラがある一方、【ソード・アンド・ソーサリス】はより管理された摂理を持っていた。だが五感のリアルさや邪神の存在を考えると、単なる電子世界とは思えなかった。
神々の不法投棄
ゼロスは、四神が邪神を封印という形で別世界に捨てたのではないかと考えた。だが邪神は実際に復活して動き回っており、四神が倒せず封印に頼ったのなら、四神は邪神より弱いことになる。さらに【殲滅者】は本物の邪神を倒しているため、イリスはゼロス達の強さに驚いた。
危険な好奇心
ゼロスは、邪神や世界の仕組みに不自然な点が多いと感じながらも、これからどうするかを楽しむような悪辣な笑みを浮かべた。イリスは、彼が面白半分で危険なことをしようとしているのではないかと不安を抱いた。ゼロスは凄いことはしないと曖昧に答えたが、イリスはラグナロクに巻き込まれるのは嫌だと必死に止めようとした。
第五話 おっさん、ラーマフの森を後にする
シャランラの逆恨みと実戦訓練の帰還
壊された魔人形
シャランラは寂れた宿の一室で意識を取り戻した。【魔人形】が破壊され、意識を魔導具に留めておけなくなったためである。彼女は、大事にしていた【魔人形】だけでなく【身代わり人形】や【贄の形代】まで使い切らされたことに怒り、実の弟である聡を逆恨みした。
反省しない麗美
シャランラこと大迫麗美は、弟の聡を都合の良い金蔓としか見ておらず、過去の行いをまったく反省していなかった。異世界では命の値段が安く、聡が本気で自分を殺しに来ることも理解していたが、それでも自分は悪くないと考えていた。彼女は【回春の秘薬】の副作用を消せるのは聡だけだと決めつけ、彼から方法を奪おうと考えた。
殲滅者への恐怖
麗美は、かつて【殲滅者】を狙った時の報復を思い出した。呪い付きの装備を強制され、ドラゴンの住む洞窟に放り込まれ、死ぬまで地獄を味わわされた記憶は強烈だった。その【殲滅者】の一人が実の弟だったと知り、迂闊に近付けば殺されると分かっていた。
弟を利用する計画
麗美は、聡の居場所を割り出して転がり込み、外堀を埋めることで口を割らせようと考えた。だが、同じ手が何度も通じる相手ではなく、今のゼロスには遠慮がないことを忘れていた。彼女は失敗の可能性を考えず、ゼロスを利用するだけの弟と見なして動き出した。
帰路の馬車
ツヴェイト救出から二日後、実戦訓練を終えた学院生達はイストール魔法学院への帰路についていた。格上げの倦怠感が残る者は馬車に乗せられ、動ける者は徒歩で移動していた。ゼロス達は傭兵用の馬車に揺られ、イリスとジャーネは大量の魔物素材に満足していたが、レナだけは少年達に手を出せなかったことを嘆いていた。
シャランラの手配書
ゼロスは馬車の中で、シャランラの似顔絵を複数の姿で描いていた。彼は公爵家の跡取りを狙ったシャランラを指名手配させるため、デルサシス公爵に渡す手配書を用意していたのである。さらに【回春の秘薬】で子供の姿になって近付く可能性まで考え、さまざまな年齢の顔を描いて先手を打とうとしていた。
騙されやすい善人への警戒
ゼロスは、シャランラが外面の良さでジャーネやルーセリスを騙す危険を警戒していた。彼女は手紙や伝言から書類を偽造し、人の善意につけ込んで借金を背負わせるほど悪質な女だった。身近な人々を守るため、ゼロスは絡め手を用意し、次に会った時は確実に仕留める決意を固めていた。
ウィースラー改革派
一方、少年達はゼロスの訓練を経て、偏った正義に目覚めていた。彼らはツヴェイト達をウィースラー改革派と勝手に呼び、貴族と庶民出身の魔導士の格差や古い因習をどう変えるかを話し合っていた。カーブルノも若い世代が未来を作るべきだと語り、改革への意欲を燃やしていた。
レナの嘆き
レナは、少年達が大人になってしまったことを嘆き、その役目は自分だったと主張した。周囲はそんな役目などないと否定したが、レナは一時の快楽を最優先すると断言した。彼女の倫理観は世間から大きく外れており、ジャーネは呆れながらも説教しようとした。
ジャーネへのからかい
レナは、ジャーネにも早くゼロスに女にしてもらえとからかった。イリスも一夫多妻ならルーセリスと一緒に結婚できるのではないかと話に乗ったため、ジャーネは顔を赤くして動揺した。ゼロスは、真剣に話し合う必要があるかもしれないと考えつつ、可愛い反応を見せるジャーネに本能が暴走しそうだと感じていた。
モテない同盟の嫉妬
遠くからゼロス達を見ていたツヴェイトとエロムラ君は、彼の周囲に女性が集まる様子に嫉妬していた。二人は、経済力と将来性、強さが必要なのではないかと愚痴をこぼし、ゼロスの立場を羨ましがった。彼らにとって、ゼロスはまさにリア充に見えていた。
ディーオの恋路
ディーオは、ツヴェイトにセレスティーナとの仲を取り持ってほしいと頼んだ。だがセレスティーナは魔法研究に熱心で、クロイサスやマカロフとよく話していた。ディーオは自分が戦闘系魔導士で研究談義に加われないことを嘆き、マカロフを恋敵のように意識して危険な方向へ焦りを募らせた。
命懸けの恋
ディーオは、セレスティーナに近付く害虫を始末しなければと口走った。ツヴェイトは、そんなことをすれば好感度が下がるだけでは済まないと止めた。さらにディーオは、クレストンに殺される前に殺るしかないとまで覚悟しており、ツヴェイトはその命懸けの恋に驚いた。
エロムラ君の処遇
エロムラ君は、隷属の首輪を早く外したいとぼやいた。彼は衛兵の詰め所で、裏組織に売られた経緯を聴取される予定だった。捜査協力や暗殺阻止への貢献を考慮されれば、減刑され自由の身になれる可能性もあったが、最終判断はデルサシスに委ねられていた。
アンズと最強コッコ
アンズはゼロス達の荷馬車で眠っていた。その周囲では、ウーケイ、ザンケイ、センケイが悶絶し、白目を剥いて痙攣していた。最強ともいえるコッコ達を一人で制圧したアンズに、ツヴェイトとエロムラ君は、ある意味で彼女こそ最強ではないかと感じた。
謎の増強剤
別の馬車では、クロイサスがまた魔法薬の調合をしていた。今回は妙なガスは発生しなかったが、完成した薬は【鑑定】しても効果が分からず、【??? 増強剤】とだけ表示された。セレスティーナとキャロスティーは新薬の可能性を考え、クロイサスはレシピを控えていた。
研究家クロイサス
クロイサスはゼロスに鑑定を頼めば分かる可能性があると理解しつつも、魔導士としての矜持から自分で調べることにこだわった。マカロフは、クロイサスの作るものだから碌でもないはずだと断言した。クロイサス自身も、過去に変なものを多く作った自覚はあったが、失敗が新たな成果につながると考えていた。
キャロスティーの恐怖
セレスティーナが、以前キャロスティーがクロイサスの部屋で見たものについて尋ねると、キャロスティーは蒼白になった。彼女は恐ろしくおぞましく、異様で不気味でありながら愉快な存在を思い出し、絶叫した。その記憶は封印されていたが、セレスティーナの言葉でフラッシュバックしたのである。
クロイサスの部屋
クロイサスの部屋は、未知の生物がいる危険地帯として扱われていた。過去にはクロイサス不在の部屋から叫び声が聞こえたこともあり、誰がいたのかは分からなかった。イー・リンだけはその部屋に入って掃除できていたが、未知の生物を見たという話はなく、謎は深まるばかりだった。
実戦訓練の終幕
学院生や傭兵達は、大きなトラブルもなく学院都市スティーラへ無事帰還した。今回の実戦訓練で多くの学院生の格は底上げされ、全体の差は均等に近づいた。中には最底辺から上位成績へ一気に上がる者もおり、講師陣の能力を大幅に超える結果となったため、学院の教育方針は見直されることになった。ラーマフの森での実戦訓練は、こうして幕を閉じた。
第六話 おっさん、大図書館へ行く
傭兵ギルドの報告と大図書館の調査
ラーサスの報告
実戦訓練を終えたラーサスは、傭兵ギルド支部長セイフォンの部屋を訪れた。彼は監視役として参加しており、学生の護衛が無事に終わったことを報告した。セイフォンはゼロスの力量を尋ね、ラーサスは魔導士とは思えない格闘戦の技量と、底の見えない実力に恐ろしさを感じたと答えた。
ゼロスへの警戒
ラーサスは、ゼロスが魔物を相手にしても本当の力の一端すら見せず、時折背筋が寒くなる凶暴性を秘めていると見ていた。セイフォンも彼の強さを認めつつ、敵に回さなければ問題ないと考えた。ゼロスには人の輪ができており、強さだけに囚われた者とは違う器もあるため、危険ではあるが信用できる人物でもあった。
愛妻家ラーサス
仕事を終えたラーサスは、セイフォンの家に誘われたが、妻の顔が見たいとして断った。セイフォンは複数の妻との修羅場も愛されている実感だと語ったが、ラーサスには理解しがたい境地だった。彼は見た目が少女のようなドワーフの妻を深く愛しており、そのためギルド内でロリコン疑惑を持たれる苦労も抱えていた。
スティーラの朝
スティーラに戻ったゼロス達は宿で休んだが、レナだけは夕暮れの街へ出かけていた。翌朝、傭兵ギルドの食堂には肌艶よく機嫌の良いレナが現れ、朝帰りをしたことがうかがえた。ジャーネ達は素材の換金を終え、サントールへ帰る準備を進めていた。
帰路と大図書館
ジャーネとレナは船で帰ることにし、ゼロスはスティーラにもう一日滞在して大図書館で調べ物をすると決めた。イリスも異世界の常識を得るためにゼロスと残ることを選んだ。ゼロスは船代と宿代代わりの宝石をジャーネに渡し、レナが少年を見つけて姿を消さないよう、ウーケイ達を護衛につけた。
大賢者の露見
ゼロスが四神教や邪神関連を調べるつもりだと話す中、イリスはうっかりゼロスが【大賢者】であることを口にした。ジャーネとレナは、伝説上の存在が目の前にいることに驚愕した。ゼロスは、自分の職業が知られれば各国が動き、周囲の人々まで巻き込まれるため、絶対に秘密にするよう求めた。
賢者像への違和感
ジャーネ達は【大賢者】を魔導の極致に立つ伝説的存在として捉えていたが、ゼロスは賢者を研究に没頭するマッド・サイエンティストのようなものだと考えていた。彼に自己犠牲の精神はなく、見ず知らずの者のために犠牲になるつもりもなかった。ゼロスは、大賢者という名に過度な期待を寄せられることを迷惑に思っていた。
レナ護送任務
ジャーネとレナが夕暮れの定期船に間に合うよう街を出ることになり、ゼロスは改めてレナへの警戒を促した。イリス、ゼロス、ジャーネはそれぞれレナを見境のない危険人物と評し、レナは少年愛を正当化していじけた。出発後、レナは通りすがりの少年に目移りしたため、ウーケイ達の鉄拳を受けて連行された。
大図書館の威容
ジャーネ達と別れたゼロスとイリスは、セレスティーナに案内されて大図書館へ向かった。大図書館は教会や大聖堂のような荘厳な建物で、ステンドグラスから差し込む光が神聖な雰囲気を作っていた。大量の書籍が並ぶ様子に、ゼロスはその規模に感心しつつ、記録には勝者側の偏りがあると考えていた。
四神教の台頭
ゼロスは宗教の成り立ちに焦点を絞り、四神教が邪神戦争以降に台頭したことを調べた。創生神教は先に存在していたが、邪神戦争後に衰退し、四神教が勢力を伸ばしていた。二つの宗派の間に大きな衝突の記録がないまま、神殿が次々と四神教のものへ変わったことに、ゼロスは不自然さを覚えた。
邪神戦争の記録
記録では、二千五百年以上前に突如現れた巨大な生命体が世界を蹂躙し、のちに【邪神】と呼ばれるようになった。高度な魔導文明や現代兵器のようなものも一方的に破壊され、世界の七割が崩壊した時、四柱の女神が降臨して神器と勇者召喚の魔法陣を人間に与えた。人海戦術と勇者召喚により、邪神は最終的に封印されたとされていた。
格と勇者への疑問
ゼロスは、邪神を倒さず封印した理由に疑問を抱いた。四神に邪神を倒す力がなかった可能性も考えられた。さらに【格】という概念が邪神戦争の頃から現れ、当初は召喚された勇者特有のものだったように記録されていたが、現在では一般的に広まっていた。ゼロスは、この世界の摂理が二千五百年ほどで変化したのかと疑った。
遺跡の魔法陣
ゼロスは、メーティス聖法神国との戦いで滅んだ王国の廃墟を描いた資料に目を留めた。そこには柱を中心とした巨大な魔法陣のようなものが描かれ、儀式施設のように見えた。中央の柱に刻まれた魔法文字をゼロスは解読でき、邪神の存在について新たな疑問を抱いたが、確証がないため口にはしなかった。
四神への不信
セレスティーナは、ゼロスがなぜ古い歴史資料を調べているのか、四神教に思うところがあるのかと尋ねた。ゼロスは、四神教が気に入らないからだと答えた。彼が知りたいのは四神が本当に神なのかであり、邪神の正体を確かめることも今後の行動を決める重要な要素だった。
モスト・マスキュラー号
夕暮れのセザンの船着き場で、ジャーネとレナは定期船【モスト・マスキュラー号】に乗ろうとしていた。その船は赤茶色の船体に金色の握り拳の飾りを掲げ、船員は全員半裸のマッチョで、客にポーズを決めていた。レナは下品だとして嫌がったが、ジャーネは予算と定期便の都合から乗るしかないと押し切った。
船上の獲物
レナは船に乗るのを渋っていたが、老人と幼い孫が同じ船に乗るのを見た瞬間、態度を変えた。ジャーネはその変化を不審に思ったが、レナの本能が獲物を見つけたことには気付かなかった。船は出航し、夜の闇が訪れると、逃げ場のない船内はレナという獣の狩り場へ変わっていった。
ホラーナイト
夜、幼い少年は怖い顔の女がいると祖父に訴えたが、祖父は寝ぼけたのだと思い、少年を抱き寄せて眠らせた。暗い部屋の奥には、二人を覗き見る者が確かに存在していた。闇の中に三日月のような笑みが浮かび、船上の夜は不穏な幕を開けた。
第七話 おっさん、調べものをする
創世神話の調査と超強力豊胸薬
創世神話の類似
ゼロスは大図書館で種族間の伝承を記した本を読み、虚無から神が世界を作り、やがて命と国が生まれ、欲望と戦争によって終末へ向かうという内容にありきたりさを感じていた。宗教的な写本は膨大であり、一日では調べきれなかったため、予定を超過して二日目も調査を続けていた。
創生神教の記録
ゼロスは四神教以前の古い伝承を調べ、創生神が世界を作った後は見守るだけの存在だったという記述を見つけた。創生神は神託を出さず、四神や邪神に関する記述も創生神教の教義には見当たらなかった。そのため、四神と邪神がどのように現れたのかは依然として分からなかった。
勇者召喚の疑問
ゼロスとイリスは、邪神戦争以降に初めて勇者召喚の記録が現れることに注目した。残された勇者の名前は日本人らしく、三十六人が同時に召喚されたなら同じ世界から呼び出された可能性が高かった。ゼロスは、四神が勇者召喚魔法を与えたこと自体は記録上正しいかもしれないが、人間がそれを制御できたのか疑問を抱いた。
邪神の異常な強さ
邪神戦争の記録では、邪神は文明を破壊し、種族を食らい尽くすように暴れ、山を消し飛ばし、海を煮えたぎらせ、空間を裂いたとされていた。ゼロスは、実際に邪神と戦った経験から、状態異常無効、属性吸収、溜めのない広範囲攻撃などを持つ相手であり、まともに戦って勝てる存在ではないと考えていた。
封印の不自然さ
ゼロスは、四神が邪神を倒さず封印したことに疑問を抱いた。神器を使って封印したとされるが、封印の最中に神器は壊れ、四神自身が戦った記録もなかった。さらに勇者召喚魔法陣が今も残されて使われていることから、四神が本当に世界の安定を考えていたのか疑わしいと見ていた。
続く勇者召喚
閲覧用の新聞には、メーティス聖法神国の勇者【スメラギ】と聖女の熱愛記事があり、今も勇者召喚が続いていることが分かった。ゼロスとイリスは、召喚が世界に与える影響や危険性を気にしたが、確証がない以上は騒いでも意味がないと判断した。ゼロスは、邪神戦争後に魔物が急速に増えたことにも不自然さを感じていた。
四神と妖精への仮説
ゼロスは、メールを送ってきた女神達の無責任さを妖精のようだと感じていた。妖精は悪戯で人に害を与える厄介な存在であり、彼は過去に妖精を問答無用で殲滅していた。メーティス聖法神国が妖精を擁護していることから、イリスは四神が元は妖精王だった可能性を口にし、ゼロスも同族保護なら辻褄が合うと考えた。
五神ではない理由
ゼロスは、女神からのメールで邪神も女神とされていたことを思い出し、それならなぜ五神ではなく四神なのかと疑問を抱いた。イリスは、創生神が自分好みの女神を作ろうとして失敗し、それを恨んだ邪神が世界を壊そうとしたのではないかと冗談めかして推測した。ゼロスは否定しきれないものの、あまりに情けない話だと感じた。
情報収集の終わり
大図書館での調査を一通り終えたゼロスとイリスは、本を棚に戻して食事に行くことにした。二人は、ゲーム世界では街の住人が遺跡の秘密を都合よく知っていたり、勇者が他人の家に入り込んでアイテムを漁ったりすることを現実に置き換えて語り合った。だが、騒ぎながら本を戻していたため、図書館職員に公共施設では静かにするよう叱られた。
孤独なセレスティーナ
セレスティーナは、ゼロス達から少し離れた場所で魔法式の構築をしていた。実戦訓練から戻るとミスカはデルサシスに呼ばれて不在であり、セレスティーナは一人で寮にいる寂しさを感じていた。楽しそうに調べ物をするゼロスとイリスを少し羨ましく思いながら、彼女は積層魔法陣の試作に集中していた。
ライトニング・ショット改良
セレスティーナは中級魔法【ライトニング・ショット】を改良し、防御にも転用できる複数のプラズマ球を作れないか考えていた。しかし積層魔法陣に自然界の魔力を利用する術式を加えると、立体魔法陣が歪になり、術者への負荷が増える危険があった。魔法式をどのように分割し配置するかで悩んでいた。
ゼロスの助言
悩むセレスティーナの背後から、ゼロスが処理術式と命令魔法式の分割について助言した。彼は、分割しすぎた魔法式をまとめ、処理術式は役割だけ果たせばよいと説明した。セレスティーナはその考えに納得したが、振り向くと火のついていない煙草を持ったゼロスが立っており、図書館職員に睨まれていた。
実験室への興味
ゼロスは図書館内の通路の先に学院生が入っていくのを見て、そこが実験室だとセレスティーナから聞いた。クロイサスもその実験室で研究していると知り、ゼロスとイリスは興味を持った。セレスティーナは、魔法薬の実験では爆発や有毒ガスが発生することもあり、学院には救助体制まで整えられていると説明した。
クロイサスの危険性
セレスティーナによれば、実験事故の多くはクロイサスが関わっていた。彼は研究がすべての人物であり、過去には戦争になりかねない危険物まで作ったことがあるらしかった。ゼロスは、自分もかつて似たような実験を繰り返していたため、他人事ではないと感じた。
コッコと竜種の話
会話はウーケイ達の異常な成長にも及んだ。セレスティーナは、上位種に変身するコッコなど聞いたことがないと驚いていた。ゼロスは、形態変化はドラゴンにも見られる現象だと説明したが、セレスティーナにとって竜種はほとんど幻の魔物であり、彼の基準の高さに戸惑っていた。
爆発した実験室
ゼロス達が実験室の方へ向かう途中、何かが爆発した。セレスティーナは兄の実験を心配し、ゼロスは怪我人がいれば治療すると言って実験室へ向かった。途中で柑橘系のような香りが漂ったが、セレスティーナとイリスは気付いていない様子だった。
黄色い液体の正体
実験室には器具が散乱し、天井には黄色い汚れが広がっていた。中央の大鍋には黄色い液体が残っており、何らかの反応で上方へ爆発したことが分かった。ゼロスの【鑑定】は、その液体を【超強力豊胸薬】と表示した。
危険な美容革命
【超強力豊胸薬】は、わずかスプーン一杯で胸のない女性を極端な巨乳へ変えるという異常な効果を持っていた。ゼロスは、Aカップが一気に規格外のサイズへ変われば、胸を引きずるどころか脂肪で圧死しかねないと考えた。クロイサスは、別の意味で戦争になりかねない危険な新薬を作り出していた。
第八話 おっさん、クロイサスと実験す
短時間性別変換薬とサムトロールの転落
無事だった実験室
大図書館の実験室では爆発が起きていたが、学院生達は障壁を展開していたため無事だった。天井には黄色い染みが広がり、柑橘系の香りが漂っていた。クロイサスは、謎の増強剤を複数作って実験しようとした際、マカロフの【成長促進剤】が偶然混入して爆発したと説明した。
超強力豊胸薬
ゼロスは、出来上がった魔法薬を【超強力豊胸薬】だと鑑定した。胸を大きくする薬であり、効果が高すぎて危険な代物だった。その名を聞いた女子学院生達は目の色を変え、鍋の中の薬へ向かって動き出した。
豊胸への暴走
女子学院生達は、胸を大きくできる夢の秘薬を求めて正気を失ったように鍋へ迫った。ゼロスは男子学院生達に女子を止めるよう命じたが、女子達は異様な執念で男子達を押し返した。ゼロスは鍋の前に立ちはだかり、この薬が胸を大きくしすぎて命に関わる可能性があると説明したため、女子達はようやく踏み止まった。
女性ホルモン増強剤
クロイサスが最初に作った増強剤をゼロスが鑑定すると、それは【女性ホルモン増強剤】だった。女性にとっては美しさを保つ夢の薬になり得たが、男性が飲めば取り返しのつかない変化を起こす危険があった。試飲しようとしていた男子学院生達は、危うくオネェになるところだったと知り、ゼロスに感謝した。
危険な共同研究
ゼロスとクロイサスは、女性ホルモン増強剤を使って別の魔法薬を作れないかと意気投合した。二人は周囲を置き去りにして実験を開始し、イリスも胸に悩む者達への希望を求めて興奮していた。研究に没頭する二人は、どちらも危険なほど生産職気質であった。
短時間性別変換薬
一時間ほどの実験の末、ゼロスとクロイサスは【短時間性別変換薬】を完成させた。それは男性を一時的に女性の姿へ変える薬で、効果は約一時間だった。原液は完全に女性化して戻れなくなる危険があるため、希釈した劣化版として調整された。
研究者達の試飲
クロイサスをはじめとする男子学院生達は、自分が女性になった姿を見てみたいという好奇心から試飲に参加した。研究者として未知の薬の効果を確かめたい思いが勝り、彼らは一斉に薬を飲み干した。だが性別変換は身体構造を急速に作り替えるため、彼らは激痛にのたうち回ることになった。
イリスの悪戯
ゼロスは薬を飲まずに見守っていたが、イリスに茶と偽って薬を飲まされた。彼女はゼロスの女性化した姿を見たいという悪戯心で薬を渡したのである。ゼロスも激痛に襲われ、他の男子達と同じく女性の姿へ変わっていった。
美人になった男子達
薬の効果が出ると、クロイサスは知的な金髪美女に、マカロフは元気なスポーツ女子のような姿になった。ほかの男子達もそれぞれ女性化し、周囲は驚きながら鏡で姿を確認した。性別が変わるだけで、同じ言動でも印象が大きく違って見えることが明らかになった。
ゼロスの悪夢
女性化したゼロスは、灰色ローブが似合う色気のある高位女性魔導士のような姿になった。しかしその姿は姉シャランラと瓜二つであり、ゼロスは精神的に耐えられなくなった。彼は殺せと口走り、切腹まで覚悟するほどの屈辱を感じていた。
拘束されたゼロス
ゼロスは姉に似た姿でいることを拒み、敦盛を歌いながら自害しようとした。周囲の学院生達は慌てて彼を止め、薬の効果が切れるまで拘束することになった。イリスは、自分の悪戯がゼロスにとって死を望むほどの最悪の出来事だったと悟り、してはならないことがあると理解した。
孤立したサムトロール
一方、サムトロールはラーマフの森から戻って以降、周囲から人が消えていた。血統主義者達は彼の家の権威に利用価値を見ていただけであり、洗脳されていた者達もイリスの【エクスプロード】を見た衝撃で自我を取り戻していた。さらにブレマイトも姿を消し、サムトロールの立場は急速に崩れていった。
失われた家の後ろ盾
サムトロールには実家のウィースラー侯爵家から絶縁状が届いていた。学費は卒院まで払うが、それ以降は好きに生きろと突き放され、公爵家の慈悲で処刑を免れたことをありがたく思えと告げられていた。彼は何もかも失ったにもかかわらず、自分の過ちを認めず、ツヴェイトを逆恨みし続けていた。
邪神石の魔法薬
路地裏でチンピラに叩きのめされたサムトロールの前に、胡散臭い男が現れた。男は力が溢れる魔法薬を売りつけ、使用は格上げ時に限るよう忠告した。しかしサムトロールは忠告を無視し、その粉末を口にした。薬の効果で力が漲った彼は、自分を倒したチンピラ達を瀕死になるまで殴りつけた。
見守る三人
サムトロールの様子を遠くから、魔導士の男と二人の女性が観察していた。彼らは【邪神石】を処分するため、魔法薬を裏組織へ流し、サムトロールを実験対象のように利用していた。彼らの本当の目的は別にあり、標的はイサラス王国をめぐる大きな計画の先にあった。
イサラス王国の事情
彼らが関わるイサラス王国は、かつて大国を築いた王族の末裔の国だったが、今は弱小国家に落ちぶれていた。魔物の脅威で安全な土地の確保が急務となり、他国へ戦争を仕掛けざるを得ない状況にあった。しかしソリステア魔法王国には転生者らしき存在がおり、彼らは同郷の者と敵対することを避けたいと考えていた。
獣人達の自由
アド達は、まず獣人達の自由を取り戻し、信頼を得ることを目的としていた。そのために戦力が必要であり、準備を進めていた。ソリステア魔法王国を直接標的にするつもりはなく、彼らは魔法薬の効力を確認するため、サムトロールを尾行し続けた。
第九話 おっさん、寄り道をする
サントールへの帰路と妖精に荒らされた村
スティーラでの別れ
ゼロスとイリスはサントールへ戻るため、大図書館の前でセレスティーナ達に別れを告げていた。ゼロスは畑やコッコの世話を理由に早めの帰還を決めたが、ツヴェイトはもう少し滞在してもよいのではないかと惜しんだ。アンズはツヴェイトの傍にいれば飢えないとして残ることを選び、周囲からツヴェイトが少女を餌付けしたのではないかと疑われた。
アンズの護衛
ゼロスはアンズがツヴェイトの護衛になるなら安心だと考えた。アンズはゼロスが認める上位者の一人であり、見た目に反して高い実力を持っていた。エロムラ君は衛兵の詰め所で事情聴取を受けており、ツヴェイトは彼を擁護する手紙を送っていた。
バイク帰還への抵抗
スティーラの北門を出たゼロスは【ハーリー・サンダース十三世】で帰ろうとしたが、イリスはせっかくの異世界なのだからゆっくり帰りたいと訴えた。ゼロスはサントールまでの街道を確認し、二つほど村を経由する遠回りの道をのんびり進むことにした。異世界らしい冒険を期待するイリスとは対照的に、ゼロスは面白いことがあるかどうかを半信半疑に見ていた。
弱小盗賊団
スティーラ街道では、弱小盗賊団が獲物を待ち伏せしていた。彼らはもともと農村で威張っていたが、外の世界で通用せず落ちぶれた者達だった。商人を狙うつもりだったが、街道を通るのは公用馬車ばかりで、生活にも困っていた。
黒い乗り物への期待
盗賊達はゼロス達の黒いバイクを見つけ、それを売れば大金になると考えた。彼らは家族への仕送りや祖母の入れ歯、妹の花嫁衣装などを思い浮かべ、意外にも家族思いな動機で襲撃の準備を始めた。しかし相手が最悪の存在であることには気付いていなかった。
吹き飛ばされた盗賊達
盗賊達は街道にロープを張ってバイクを止めようとしたが、ゼロスは傾斜を利用して飛び越え、同時に【トルネード】で周囲の盗賊を吹き飛ばした。盗賊達は森に落ちて重傷を免れたが、周囲の地面が抉られた光景から、相手が手加減していたことを理解した。彼らは盗賊稼業を諦め、猟師として生き直すことを決めた。
装備と現実の違い
イリスは、いきなり盗賊を魔法で蹴散らしたゼロスに驚いた。ゼロスは盗賊相手なら構わないと答えつつ、この世界では【ソード・アンド・ソーサリス】製の武器や魔法が想定以上の威力を発揮することに不安を抱いていた。イリスは新しい装備を欲しがったが、ゼロスは現実の装備作成には素材集めや採寸が必要だと説明した。
採寸への抵抗
イリスは良い装備を欲しがりながらも、ゼロスに身体のサイズを測られることに抵抗を覚えた。ゼロスはルーセリス達に採寸してもらえばよいと提案し、自分は素肌を見たいわけではないと説明した。ただしジャーネなら見たいと力強く即答し、イリスに恋愛感情を疑われた。
異世界の作物
二人は【ハサム】という小さな農村に到着した。そこでは麦が水田で育ち、キュウリが泥の中から蓮根のように収穫されていた。ジャガイモが木に生ることも含め、地球の常識が通じない異世界の植生に、ゼロスとイリスは改めて違和感を覚えた。
活気のない村
ハサム村は広い田畑を持つ農村でありながら、人の姿が少なく、農作業をしている村人にも気力がなかった。子供の姿も見えず、包帯を巻いた村人もいた。ゼロスとイリスが異変を感じた直後、何もない空中から金床とハンマーが落ちてきたため、ゼロスはイリスを抱えて回避した。
姿を現した妖精
ゼロスは見えない存在の仕業だと判断し、【エレメント・アイ】を使った。すると上空に半透明の妖精が見えた。妖精達は金床を落として脳を潰そうとしていたことを楽しげに語り、さらに農機具を操ってゼロス達へ襲いかからせた。
ガンマ・レイ
ゼロスは妖精を悪質な存在だと見なし、対妖精用殲滅魔法【ガンマ・レイ】を放った。威力を絞った収束ガンマ線レーザーで妖精を消滅させ、逃げようとしたもう一匹も即座に討った。残されたのは妖精の魔石である【妖精の珠玉】だけだった。
悪戯では済まない被害
イリスは妖精の可愛らしい姿との落差に戸惑ったが、ゼロスは妖精が盗みや殺しを遊び感覚で行い、反省もしない存在だと説明した。妖精には善悪の区別がなく、人が死んでも気にしないため、村人達の怪我も妖精の悪質な悪戯による可能性が高かった。
四神教への疑問
ゼロスは、妖精が四神教の神官だけを襲わないことに疑問を抱いた。神官の服装で判別している可能性を考えたが、それを妖精に教えた存在が誰なのか分からなかった。精霊と妖精の違いについても説明し、妖精は契約者に従うことがあっても裏で悪質な悪戯を続ける厄介な存在だと語った。
妖精駆除の予感
イリスは、村を救う冒険として妖精被害の解決を捉えようとした。だがゼロスは、妖精が無数にいるなら全滅させた方がすっきりすると考えていた。実の姉に似た自己中心性を持つ妖精への嫌悪も重なり、ゼロスは殲滅に前向きだった。イリスはそんな彼に引きつつ、妖精に同情していた。
第十話 おっさん、勇者と間違えられる
妖精被害の村と大賢者の回復魔法
閑散とした村
ゼロスとイリスが村の舗装路を進むと、村人の姿は少なく、子供達は家の中へ急いで隠されていた。家屋からは腐敗臭が漂い、ゼロスは妖精達の嫌がらせが原因だろうと見ていた。妖精は可愛らしい外見に反して残酷で、長命かつ食事を必要としないため、暇つぶしのように悪質な悪戯を繰り返す存在だった。
教会前の抗議
村の教会前では、多くの村人が司祭を取り囲み、妖精の被害について抗議していた。妖精は家畜を殺し、村人を穴に埋め、子供や赤ん坊まで惨たらしく傷つけていた。司祭は妖精を無垢で清い種族だと擁護し、襲われるのは信仰心が足りないからだと語ったため、村人達の怒りはさらに高まっていた。
妖精への対抗策
ゼロスは旅人を装って村人に事情を聞き、妖精が神官服を着た者を襲わないだけで、四神の加護とは限らないと説明した。さらに、何者かが妖精と契約し、神官服の者を襲わないようにしている可能性を示した。ゼロスは、妖精に殺される前に殺るべきだと述べ、魔力を帯びたトレント製の武器なら村人でも妖精を倒せる可能性があると伝えた。
司祭との対立
司祭は、妖精を殺すことは四神に背く行為だと止めようとした。だが村人達は、子供や家族を殺されている以上、黙っていられなかった。ゼロスは、妖精も種族として認められているなら、盗賊と同じく裁きの対象になり得ると語り、攻撃されたなら反撃するのは当然だと主張した。
魔物素材の矛盾
司祭は魔物の力を利用することを邪悪だと非難したが、ゼロスは司祭の神官服や杖、護身用魔導具にも魔物素材が使われていると指摘した。神官だけが魔物素材を浄化したから許され、一般人が利用するのは許されないという理屈は通らないと論じた。司祭は正論で教義を崩され、反論できなくなった。
フェアリーイーターの種
ゼロスは、妖精を捕食する【フェアリーイーター】の種を村人に渡した。村人達は妖精被害を打破できる可能性にすがり、その種を求めた。司祭はなおも反対したが、ゼロスは何もしない神の教えに縛られるより、幸せになるために努力する方がまともだと返した。
勇者扱いされるゼロス
ゼロスがインベントリーから種を取り出すと、司祭は虚空から物を取り出す能力を勇者の力だと見なし、ゼロスを勇者だと疑った。ゼロスは勇者ではないと否定し、勇者とは押し付けられる称号ではなく、自ら至る者だと語った。司祭は四神に従わない勇者の力を持つ魔導士を理解できず、村人達はゼロスを勇者より世捨て人に近いと見ていた。
妖精に襲われた少年
その時、村人が駆け込み、サイモンの家の少年ルオが妖精に襲われたと知らせた。ゼロスとイリスは村人達を追って民家へ向かい、斬り刻まれて血に染まった少年を見つけた。命に別状はまだなかったため、ゼロスは治療できると判断した。
司祭の回復魔法
司祭は【ライト・ヒール】でルオを治療しようとしたが、傷の癒える速度は遅く、重傷には力不足だった。ゼロスはこのままでは死ぬと判断し、司祭の面目を潰すことになると分かりながらも治療へ向かった。彼は緊急事態として、司祭に治療を続けるよう促した。
大いなる慈悲の御手
ゼロスは改造回復魔法【我は癒す、大いなる慈悲の御手】を使った。その魔法は状態異常回復と高位回復を組み込んだもので、魔導士であるゼロスの認識では神官職ほどの補正はないはずだった。しかしこの世界では想定以上の効果を発揮し、ルオの重傷はみるみる癒えていった。
神聖魔法の現実
司祭は、魔導士であるゼロスが高位の神聖魔法のような力を使ったことに愕然とした。ゼロスは、それは四神から与えられた神聖魔法ではなく、自分が改造した回復系魔法だと説明した。神聖魔法も魔導士の魔法と同質であり、いずれ魔導士達も回復魔法を使いこなすようになるだろうと語った。
信仰と正しい心
ゼロスは、信仰そのものを否定するつもりはなく、人々のために道徳を説く行為は尊いと語った。しかし、神の名を笠に着て欲望を満たす者や、被害を放置して信仰だけを押し付ける者には容赦しないとも述べた。大切なのは力ではなく、力を正しく使う心を育てることだと司祭に説いた。
嘲笑う妖精達
治療が終わった直後、ゼロスは妖精の気配を察知し、【エレメント・アイ】を使った。部屋には妖精達が潜んでおり、ルオが死ななかったことを残念がり、目玉や内臓を奪えばよかったと陽気に話していた。ゼロスは即座に【ガンマ・レイ】を放ち、妖精達を消滅させた。
狩られる側の恐怖
仲間を殺された妖精達は、初めて自分達が人間に殺されたことに動揺した。ゼロスは、今度はこちらが楽しませてもらうと告げ、さらに妖精を一匹だけ残して消滅させた。残った妖精は姫が怒ると脅したが、ゼロスは【フェアリー・ロゼ】の存在を知り、妖精の集落ごと根絶すべきだと判断した。
妖精族との戦争
妖精は、自分達にとって人間は弱い玩具であり、殺しても増えるからよいと語った。ゼロスはその理屈をそのまま返し、弱い妖精を殺しても構わないだろうと冷酷に告げた。命乞いをする妖精も消滅させ、村人達と司祭はその裁きに言葉を失った。
司祭の選択
ゼロスは、この村の平穏を取り戻すには妖精の集落を滅ぼすしかないと村人達に示した。妖精が種族として認められている以上、これは妖精族とソリステア魔法王国の問題であり、メーティス聖法神国が介入すれば内政干渉となり、大きな戦争に発展しかねないとも語った。司祭は悩んだ末、村人達のために本国へ報告しない道を選んだ。
物語の賢者
司祭は、理を説き道を示すゼロスの姿を見て、まるで物語の賢者のようだと呟いた。ゼロスは自分勝手に生きる魔導士だと返していたが、司祭は村人達に囲まれ感謝される彼を見つめていた。それは、一人の司祭が【大賢者】と邂逅した初めての一幕であった。
第十一話 おっさん、再び転生者と出会う
村長宅の依頼と妖精の集落
村長宅の腐臭
子供を治療した後、ゼロスとイリスは村長宅に招かれた。家は簡素ながら温かみのある田舎の住まいだったが、床下からは妖精の嫌がらせによる腐臭が漂っていた。村長は、村全体が同じような被害に悩まされていると語った。
妖精殲滅の依頼
村長はゼロスに妖精の殲滅を依頼し、村の維持費を報酬にしようとした。ゼロスは報酬を妖精の素材で得るつもりだとして、依頼料を受け取らずに引き受けた。妖精の素材は四神教とメーティス聖法神国の圧力で市場に出回りにくく、ゼロスにとっても集めておく価値があった。
使い魔の準備
ゼロスは妖精の集落を探すため、偵察用の使い魔を使うことにした。イリスはそのアイテムを欲しがったが、ゼロスは【魔法紙】の値段や製作の手間を理由に断った。イリスが遠慮なく装備やアイテムを求める様子を見て、ゼロスは彼女にまだ戦いの厳しさが足りないと感じていた。
神官服の妊婦
村長がお茶を頼むと、ユイという若い女性が現れた。彼女は妊婦でありながら、【ソード・アンド・ソーサリス】の初心者用神官服に似た服を着ていた。ゼロスは、彼女が妊娠したままこの世界に来たのなら、それは転生ではなく転移に近いのではないかと疑問を抱いた。
船橋唯香
村長によると、ユイは四ヶ月ほど前に村の前で倒れていたところを保護された女性だった。ゼロスは転生者にしか分からない質問を投げかけ、彼女が同郷の者だと確認した。ユイこと船橋唯香は、幼馴染で恋人の安藤俊之、アバター名【ADO】と共に【ソード・アンド・ソーサリス】で過ごしていたと語った。
アドの手掛かり
唯香は、黒い霧に包まれた後に俊之とはぐれたと説明し、彼の所在を尋ねた。ゼロスは、俊之とは会っていないと答えたが、以前戦った黒衣の魔導士が彼ではないかと思い当たった。しかし確信がないため、そのことは伏せた。唯香は俊之がこの世界にいる気がすると語り、ゼロスは会った時には伝えると約束した。
イリスへの留守番
ゼロスは村長からの仕事を始めるため、イリスに身重の唯香の傍にいるよう頼んだ。イリスはその間、ゼロスの姉であるシャランラの危険性を唯香に伝えることにした。ゼロスは、被害者を増やさないためにも徹底的に教えてほしいと頼み、村長宅を後にした。
フクロウ型の使い魔
夕暮れ時、ゼロスは村外れで三枚の【魔法符】を使い、フクロウ型の使い魔を生み出した。魔石を与えて長時間運用できるようにし、妖精を視認できる探査型として空へ放った。ゼロスは視覚を共有し、妖精が集まる【魔力溜まり】を探し始めた。
山間の魔力溜まり
使い魔は北東の山間へ向かい、魔力の濃い場所に辿り着いた。そこには獣の屍が散乱し、臓物が腐る凄惨な場所が広がっていた。妖精達はそこを遊び場にし、生き物を生きたまま解体して楽しんでいた。
妖精の狂宴
さらに奥には無数の妖精が飛び交い、一見幻想的な光景の中で、血に染まった地面と解体された獣の死骸が広がっていた。赤い髪とアゲハチョウのような羽を持つ妖精の姫【フェアリー・ロゼ】は、被害者を惨たらしく傷つけながらも、魂を領域に固定する【妖精の狂宴】によって死ぬことすら許していなかった。
記録された惨状
ゼロスは、この光景をイリスには見せられないほど教育に悪いと判断しながらも、証拠として【魔法紙】に記録した。だが転写時に漏れた魔力を【フェアリー・ロゼ】に察知され、彼女が使い魔へ猛スピードで迫った。ゼロスは即座に使い魔を自爆させ、視覚共有を断った。
見せられない証拠
視覚が戻ったゼロスは、【魔法紙】に転写された凄惨な絵を見て溜息を吐いた。そこに映っているものは、村人に見せればさらなる悲劇を呼びかねない内容だった。ゼロスは、妖精の集落を突き止めた一方で、この証拠をどう扱うべきか悩むことになった。
第十二話 おっさん、妖精達の集落へと向かう
妖精の真実と暴食なる深淵
写し画の惨状
ゼロスは使い魔で偵察した妖精の集落の光景を、魔法紙に転写して村人達と司祭に見せた。そこには屍が積み重なり、妖精達が生物を弄ぶ凄惨な現場が写っていた。村人達は耐え切れずに吐き、司祭も妖精を清い種族とする信仰に疑問を抱き始めた。
妖精の本質
ゼロスは、妖精が悪意ではなく享楽で他種族を玩具にしていると説明した。彼らは同族同士では争わないが、他種族に対しては残虐であり、人間や獣人、エルフを面白半分に傷つける存在だった。村人達は、妖精が人間とは相容れない種族であることを理解した。
司祭の苦悩
司祭は、妖精を擁護してきた教義が現実と食い違っていることを知り、異端審問にかけられる可能性を恐れた。だが村人達は、妖精の件を除けば司祭が真面目に治療や支援をしてきたことを認め、彼を責めなかった。司祭は村人達の言葉に涙ぐんだ。
神託と妖精保護
司祭は、五百年ほど前に四神から聖女へ妖精を守れという神託が下り、それ以来メーティス聖法神国が妖精を擁護してきたと語った。今も妖精を殺すことは許されないとされ、司祭達の嘆願も試練として退けられていた。ゼロスは自分が魔導士である以上、神託には関係なく素材確保のため妖精を殲滅すると決めた。
村を守る備え
ゼロスが夜にもかかわらず妖精の集落へ向かおうとすると、村人達は危険だと止めた。だがゼロスは向かってくるなら返り討ちにすると言い残し、すぐに出発した。出発前、イリスには村の防衛を任せ、【封縛の投剣】と【アストラルスライサー】を貸し与えた。
イリスの不安
イリスは妖精との戦いに不安を覚えた。ゼロスは、子供の姿をした魔物を相手にすることも傭兵の仕事であり、依頼を選り好みしていては低ランクのままだと諭した。イリスは奥の手となる魔導具を身につけ、万一使うことになればゼロスに弁償させようと考えた。
風のようなゼロス
ゼロスは全力で山道を走り、常識外れの速度で妖精の集落へ向かった。途中で魔物を撥ね飛ばしても自身には傷一つなく、妖精がぶつかって粉砕されるほどだった。自分の身体能力が人間離れしていることを改めて思い知らされ、ゼロスは現実逃避しながらも先を急いだ。
妖精の群れ
目的地の手前だけで、妖精は六百ほどもいた。森は妖精の光で幻想的に輝いていたが、その周囲にはバラバラにされた動物の死骸が散乱していた。ゼロスは美しさの裏にある残酷な光景を見て、すぐに【ガンマ・レイ】を多重展開し、妖精ごと森を焼き払った。
魔力溜まりの泉
ゼロスがさらに奥へ進むと、泉の中央に妖精達が魔力を補充する【魔力溜まり】があった。そこには新たに生まれる妖精の姿もあり、この場を放置すれば妖精が増え続けると判断された。だが濃密な瘴気も発生しており、死骸と怨念によって悪魔が生まれかけていた。
暴食なる深淵
ゼロスは悪魔が生まれる前に潰すため、高密度圧縮魔法【暴食なる深淵】を放った。黒い球体は妖精、死骸、泉、魔力溜まりを無差別に吸い込み、圧縮して崩壊した。次の瞬間、大規模な爆発と衝撃波が山間部を抉り、妖精の集落と魔力溜まりは消え去った。
生まれたクレーター
ゼロスは威力を抑えたつもりだったが、【暴食なる深淵】は現実の異世界で想定以上の破壊力を示した。妖精は全滅したが、豊かな森も大きく失われた。ゼロスは魔力溜まりが爆発したことにして誤魔化そうと考えたが、この大失敗は後に湖を生み、遠い未来には【マーリンの湖】と呼ばれることになった。
村に現れたフェアリー・ロゼ
一方、村を見回っていたイリスは、空中で牛が腹を裂かれ、内臓を引きずり出されている異様な光景を目撃した。周囲には高濃度の魔力があり、イリスは即座に【マナ・ブリット】を撃ち込んだ。そこに現れたのは、小さな妖精ではなく、赤い髪と血のような赤い羽を持つ少女型の上位妖精【フェアリー・ロゼ】だった。
第十三話 イリス、ソロバトルをする
フェアリー・ロゼ討伐とハサム村の後始末
イリスとフェアリー・ロゼ
フェアリー・ロゼはイリスの【マナ・ブリット】を受けても大きな傷を負わず、楽しげに笑っていた。イリスは上位妖精の魔法耐性と機動力を警戒し、正面から撃つのではなく、設置型の遅延魔法で誘導しながら戦う方針を取った。
設置魔法の誘導
フェアリー・ロゼは地面から岩の槍を生やして攻撃し、イリスは逃げながら魔法陣を設置していった。イリスは【ホーミング・ブリット】で牽制し、あらかじめ設置した【フォース・ゲイザー】へ誘導した。攻撃は直撃したが、フェアリー・ロゼは緊張感のない声を上げるばかりで、倒れる様子はなかった。
逆転する形勢
フェアリー・ロゼは薔薇の鞭【ローゼス・ウィップ】と魔力弾を使い、イリスを追い詰めた。イリスは【ホーミング・ブリット】で迎撃し、遅延していた【フォース・ミサイル】を一斉に放って反撃した。フェアリー・ロゼの姿は一度消えたが、イリスはまだ倒し切れていないと判断し、警戒を解かなかった。
茨の罠
フェアリー・ロゼは姿を隠したまま、地面から無数の茨を生やしてイリスの逃げ場を塞いだ。イリスは【エクスプロード】で茨を破壊したが、さらに薔薇の鞭で攻められ、相手の位置を掴めず苦戦した。そこで広範囲浄化魔法【ピュリフィケイション・フォース】を使い、フェアリー・ロゼを実体化させた。
落とし穴の捕縛
イリスは実体化したフェアリー・ロゼへ【フォース・ミサイル】を放ったが、追撃しようとした瞬間に落とし穴へ落とされた。フェアリー・ロゼはイリスの設置型魔法を真似るように罠を作っていた。さらに茨が太腿を貫き、喉元にも絡みついたため、イリスは身動きできなくなった。
封縛の投剣
フェアリー・ロゼはイリスを生きたまま切り刻もうと近付いた。イリスは恐怖を抑えながら、ゼロスから借りた【封縛の投剣】を隠し持ち、相手が十分近付くのを待った。そして五本の投剣を投げ、五芒陣でフェアリー・ロゼの動きを封じた。
アストラルスライサー
イリスは残していた遅延魔法を使い、【フォース・ブラスト】を連続で叩き込んだ。茨の拘束が解けると、強化魔法【ホッパー】で穴から飛び出し、【アストラルスライサー】でフェアリー・ロゼの四肢を斬り裂いた。フェアリー・ロゼは消滅寸前まで弱ったが、それでも魔力で姿を再構築し、反撃しようとした。
ゼロスの一閃
フェアリー・ロゼが再び茨を生み出した瞬間、背後から現れたゼロスがショートソードで斬り捨てた。フェアリー・ロゼは間抜けな声を上げ、そのまま消滅した。ゼロスは妖精の集落で何かをやらかして途方に暮れていたため遅れたと語り、イリスは遅いと泣きついた。
治療と抱き上げ
ゼロスは【ライト・ヒール】でイリスの太腿の傷を塞いだ。イリスは血が足りずにふらついていたため、ゼロスに抱き上げられて運ばれることになった。イリスは恥ずかしがって降ろしてほしいと訴えたが、無理をすれば倒れるため、そのまま村へ戻るしかなかった。
四神の動揺
山間部にできたクレーターの上空には、四柱の女神が現れていた。彼女達はその惨状を見て、かつての邪神による被害を思い出し、もし原因が同じ存在なら勇者では対処できないと焦った。四神は責任をなすり合い、神器も失われた状況で対策を考えたが、有効な案は出なかった。
ハサム村への補償
翌日、ゼロスはハサム村の水源を破壊してしまった負い目から、薬草や【フェアリーイーター】の種を村人に分け、栽培法も教えた。彼は魔力溜まりが魔法と過剰反応して爆発したと説明し、自分の失敗をうまく誤魔化した。イリスはその様子を白い目で見ていた。
ユイとの別れ
ゼロスはユイに、アドと会ったら彼女がこの村にいることを伝えると約束した。ユイはイリスとゼロスの関係を勘違いし、一晩じっくり話し合うという言葉を別の意味に受け取った。イリスは必死に否定し、ゼロスはアドへの嫉妬を抱えながら村を後にした。
回復魔法への悪巧み
帰路の途中、ゼロスは回復魔法が広まれば傭兵や怪我人を救えると考えた。だが動機は正義感ではなく、妖精を擁護する四神教への嫌がらせだった。彼はサントールに戻ったらデルサシス公爵に商談を持ちかけようと考えながら、イリスと共に帰還した。
草原になった自宅
サントールに着くと宿が混んでいたため、イリスは養護院に泊まることになった。ゼロスが自宅へ戻ると、畑の一部とコッコ達の鶏小屋周辺を除き、家の周囲は草花が鬱蒼と生い茂っていた。コッコ達は雑草を無視して鍛錬に明け暮れていたらしく、ゼロスは翌日からの草刈りを思って眩暈を覚えた。
第十四話 おっさん、ささやかな嫌がらせを提案す
デルサシスへの報告とイリスの訓練
領主館の報告
ゼロスは護衛任務の報告のため、領主館を訪れた。商人用の通路から案内されたため、デルサシスは公爵ではなく会長として扱うよう職員に注意した。ゼロスは任務完了を報告し、デルサシスが大量の仕事に埋もれているのを見て、何か危険な野暮用で留守にしていたのだろうと察した。
護衛任務の成果
デルサシスは、ゼロスがクロイサスやセレスティーナにも護衛をつけたことに感謝した。ツヴェイトには直接護衛をつけられなかったが、ゼロスはコッコ達を待機させて守ったと説明した。デルサシスは弱いはずのコッコに困惑したが、ゼロスは自分のコッコは凶暴だとだけ答えた。
寝返った暗殺者達
ゼロスは、暗殺者二人がツヴェイト側についたことを報告した。一人は事情聴取中のエロムラ君で、もう一人のアンズはツヴェイトのもとに居座っていた。デルサシスは、アンズには護衛として給料を用意し、エロムラ君は恩赦で奴隷から解放してツヴェイト専属の護衛にすることを考えた。
シャランラの手配書
ゼロスは、逃げたシャランラの似顔絵をデルサシスに渡した。そこには子供の姿も含めて複数の顔が描かれていた。ゼロスは、彼女が【回春の秘薬】でさらに若返って現れる可能性を警戒しており、実の姉であっても確実に始末してほしいと告げた。デルサシスも、彼女は利用価値より危険性が大きいと判断した。
妖精被害の証拠
ゼロスは帰路で訪れた村の妖精被害についても報告し、使い魔で記録した凄惨な絵を見せた。デルサシスは、四神教がこのような妖精を擁護していることに驚いた。妖精の危険性は、メーティス聖法神国への対抗材料として有益な情報でもあった。
回復魔法の商談
ゼロスは、神官だけが独占している回復魔法を魔導士にも売り出す気はないかと持ちかけた。神聖魔法と呼ばれているものも魔導士が使う魔法と同質であり、軍や傭兵に広めれば損耗を減らせると説明した。デルサシスは、メーティス聖法神国の優位性を削る策として魅力を感じた。
回復魔法スクロール
ゼロスは初級から中級までの回復魔法のスクロールを用意し、他国には改良前のものを外交取引で流し、ソリステアでは改良版を販売する案を出した。デルサシスは、複数国で同時に回復魔法が出回れば、メーティス聖法神国も難癖をつけにくくなると考えた。回復魔法の流通は、神官達の権威と収入を揺るがす一手になり得た。
勇者への警戒
デルサシスは、メーティス聖法神国が勇者を戦力として脅しに使っていることを語った。特に五人の勇者が最大戦力として優遇されており、その名を聞いたゼロスは関心を示した。彼は相手次第では戦うこともあり得ると考え、危険な目をしていた。
水源爆発の釈明
帰り際、デルサシスはハサム村の山間にある水源が吹き飛んだ件を尋ねた。ゼロスは、魔力溜まりの魔力が自分の魔法で誘爆したと説明し、酷い目に遭ったとごまかした。デルサシスはそれ以上追及せず、ゼロスを休ませることにした。
高額報酬
領主館を出たゼロスは養護院へ向かい、イリスに護衛任務の報酬を渡した。一人あたり二百五十万ゴルという大金であり、イリスはその額に驚いた。ジャーネとレナの報酬は、二人がまだ戻っていなかったため、ゼロスが一時的に預かることになった。
装備強化の相談
イリスはフェアリー・ロゼとの戦いで【駆け出し剣術】と【投擲】を覚えたため、今後に備えて装備を強化したいと相談した。ゼロスは、今の魔導士装備をベースに防御力を高めることは可能だが、近接戦闘を本気で取り入れるなら戦士系スキルと鍛錬が必要だと説明した。
コッコ師匠案
ゼロスは、イリスにコッコ達と鍛錬することを提案した。鎧や近接装備は重く、戦士系スキルを鍛えなければ扱いにくいからである。イリスはコッコを師匠にすることへ恥ずかしさを覚えたが、死にたくないという思いから訓練を検討することになった。
草刈りのゼロス
三日後、ゼロスは自宅周辺で草刈りに追われていた。畑の周囲は草叢のように荒れており、【万能鎌】と手作業で雑草を処理していた。コッコ達も手伝っていたが、まだ広い範囲が雑草に覆われており、ゼロスは中腰作業に腰を痛めていた。
ルーセリスの訪問
ルーセリスは、朝に受け取った卵のお礼を言うためゼロスの家を訪れた。彼女は鶏小屋のそばで奇妙な動きをしているイリスを見て、何をしているのか尋ねた。ゼロスは、格闘スキルを得るための型稽古であり、見た目は変な踊りのようでも、体に動きを覚えさせる訓練だと説明した。
養護院の子供達
カエデ、アンジェ、ジョニー、ラディ、カイもコッコ達と型稽古や組手をしていた。子供達は欲望に忠実で、ダンジョン攻略や金稼ぎを夢見ながら鍛錬していた。ゼロスとルーセリスは力が抜ける思いを抱きつつも、子供達が間違った道へ進んでいないことには安堵していた。
メイケイ誕生
イリスの相手をしていたのは、面倒見の良い雌の【クロオビ・コッコ】だった。彼女はイリスの型を丁寧に直し、組手では容赦なく投げ飛ばしていた。ゼロスはそのコッコに【メイケイ】という名を付け、四羽目のネームドモンスターとした。
ジャーネ達の帰還
そこへジャーネ達がようやく戻ってきた。船の遅れに加え、レナが幼い子供に手を出そうとしてウーケイ達に制裁され、簀巻きにされて引きずられてきたため、ジャーネはひどく疲れていた。ゼロスはジャーネに報酬を渡し、その金額に彼女は驚愕した。
レナの報酬問題
簀巻きにされたレナにも報酬を渡すべきか、ゼロスとジャーネは悩んだ。渡せば三日で少年達に使い切る可能性が高かったからである。ゼロスはレナの報酬もジャーネに預け、ルーセリスは二人を養護院で休ませることにした。
イリスの訓練継続
仲間が戻ってきても、イリスはメイケイに投げ飛ばされ続けていた。その訓練は厳しく、助けは入らなかった。やがてイリスは一週間後に戦士職スキルを一通り獲得し、戦士用装備も扱えるようになったが、訓練でできた痣はしばらく消えなかった。
短編 アドの異世界考察
アド達の調査と世界の摂理への疑念
安藤俊之の転生
安藤俊之は、不運にも異世界へ送られた犠牲者の一人だった。大学生活を送りながら、五歳年下の幼馴染で婚約者でもある船橋唯香と【ソード・アンド・ソーサリス】を楽しんでいた。唯香の妊娠によって両親に叱られつつも祝福され、就職先も決まっていたが、四神が邪神を捨てた影響で彼の普通の未来は奪われた。
四神への復讐
俊之はアドとして、同じ転生者であるリサやシャクティと共に四神への復讐を目指していた。ただし無関係な人々を巻き込むつもりはなく、標的は四神を信奉する宗教国家メーティス聖法神国に向けられていた。彼はイサラス王国に協力しながら、情報収集と周辺国の情勢調査を進めていた。
イサラス王国の事情
イサラス王国は山岳の小国で、慢性的な食料難に苦しんでいた。メーティス聖法神国は食料支援を条件に鉱物資源を安く得ており、いずれ征服に動く可能性も見えていた。アドは、偶然立ち寄った村の食料事情を改善したことで国賓のように扱われ、情報収集のためにその国を拠点としていた。
大図書館の調査
アドはソリステア魔法王国の学院都市スティーラにある大図書館で、世界の摂理と【ソード・アンド・ソーサリス】の設定を比較していた。一週間以上かけて資料を読み、仲間と意見を交わした結果、この世界はゲームに似ているが同じではないと感じていた。彼は、自分達が異なる摂理に属する存在ではないかと疑い始めていた。
脱線するシャクティ
アドが真面目に調査を進める一方、シャクティは同性同士の恋愛を扱う本に読みふけっていた。彼女は弁護士志望だった立場から個人の愛は尊重されるべきだと語り、戦場における同性愛の歴史にも話を広げた。アドは、調査の目的から大きく脱線していると呆れた。
唯香への恐れ
シャクティは、戦場に出たアドが興奮を鎮められず女性に手を出す可能性を口にした。アドは、そんなことをすれば婚約者の唯香に殺されると即座に否定した。彼は浮気に発展する状況に行くくらいなら逃げる覚悟があるほど、唯香を恐れていた。
職業の違い
リサが戻ると、アドはこの世界とゲームの違いについて説明した。まず【職業】について、ゲームでは職業が固定され補正を受けるが、現実の異世界で職業が完全に固定されるのは不自然だと考えた。人には得手不得手があり、転職できないはずがないという点で、ゲームの仕組みとは違うと見ていた。
スキルの違い
次にアドは、スキルは鍛えれば誰でも覚えられる点ではゲームと似ていると考えた。ただし上位スキルへ発展させるには一生を費やすほどの修練が必要であり、ゲームのように簡単には成長しないと判断した。リサ達も、修練に費やした時間や個人差が成長に影響するのは当然だと受け止めた。
格の上限
アドは、この世界で最も分かりやすい違いは【格】、つまりレベルだと説明した。転生者である彼らはレベル一〇〇〇を超えている一方、この世界ではレベル五〇〇が上限に近いようだった。レベル三〇〇で最強と呼ばれる世界において、彼らは明らかに埒外の存在だった。
覚醒スキルへの警戒
アドは、自分達の基準でこの世界の住民に無茶をさせるのは危険だと考えた。特に【臨界突破】や【極限突破】のような覚醒スキルを教えるべきではないと判断した。一方で、この世界にも【限界突破】に類するものが存在する可能性はあると見ていた。
壊れかけた世界
アドは、邪神戦争以降の記録を調べるうちに、レベルの概念が勇者召喚から始まり、三百年後にはスキルという概念が現れたことに違和感を抱いた。世界の摂理が二千数百年で変わるのは不自然であり、この世界そのものが異常、あるいは壊れかけているのではないかと推測した。その言葉に、リサとシャクティは空気が凍るほどの衝撃を受けた。
イサラス王国への帰還準備
アドはまだ確証がないため、世界の異常については勘に近いとした。閉館時間が近づき、三人は宿へ戻ることにした。翌日からイサラス王国へ戻る準備を始め、残された仕事も片付ける必要があった。三日後、アド達は宿を出て姿を消し、その後、裏社会には危険な魔法薬が出回ることになった。
アラフォー賢者4巻レビュー
アラフォー賢者まとめ
アラフォー賢者6巻レビュー
同シリーズ
アラフォー賢者の異世界生活日記シリーズ
小説
























その他フィクション

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