アラフォー賢者10巻レビュー
アラフォー賢者まとめ
アラフォー賢者12巻レビュー
- どんな本?
- 読んだ本のタイトル
- あらすじ・内容
- 感想
- 考察・解説
- 登場キャラクター
- 展開まとめ
- プロローグ ~アルトム皇国に届いた訃報~
- 第一話 おっさん、雪山でバトル中
- 第二話 おっさん、またも危険物を作り出す
- 第三話 おっさん、売ってはならないものを売ってしまう
- 第四話 おっさんは、たまに人助けをする
- 第五話 おっさん、被害者と出会う
- 第六話 おっさん、姉弟喧嘩の前準備を始める
- 第七話 シャランラ、飛んで火に入るなんとやら
- 第八話 おっさんの悪意
- 第九話 おっさん、シャランラを掌のうちで弄ぶ
- 第十話 おっさんは野暮な真似をせず、静かに見守る
- 第十一話 おっさん、マジギレする
- 第十二話 おっさん、一応本気で告る・・・・・・おや?
- 第十三話 おっさん、巻き込む ~復活の邪神ちゃん〜
- 第十四話 ジャーネとルーセリスの結婚観
- 同シリーズ
- その他フィクション
どんな本?
■ 作品概要
本作は、地球から剣と魔法の世界へ転生したアラフォーの主人公・ゼロスが、規格外の能力を持ちながらものんびりとした生活を目指す異世界ファンタジーである。 第11巻では、次世代の観測者である邪神アルフィア・メーガスを復活させる力を得るため、ゼロスとアドが雪山で異常進化を遂げた【ブリザード・カイザードラゴン】(龍王)との三日三晩にわたる死闘を繰り広げる。一方で、サントールの街にはゼロスを逆恨みする実姉・シャランラが潜入し、彼の周囲の人間を利用しようと暗躍する。長年にわたる姉弟の深い因縁に対し、ゼロスは科学捜査などを駆使した容赦のない包囲網を敷いて決着をつける。さらに、厄介事が片付いたゼロスが、ルーセリスとジャーネに突然プロポーズを行うというドタバタ劇も描かれている。
■ 主要キャラクター
ゼロス:【大賢者】の職業を持つ転生者のアラフォー。圧倒的な実力で龍王を討伐し、長年自分を苦しめてきた姉・シャランラに対しては周到な罠を張り巡らせて冷徹に引導を渡す。
アド:ゼロスと同郷の転生者。ゼロスに巻き込まれる形で龍王討伐に挑み、死の淵を彷徨いながらも生還する。
シャランラ(大迫麗美):ゼロスの実姉。自己中心的で他者を騙して生きてきた犯罪者。ゼロスを狙いサントールの街へ潜入するが、ゼロスの掌で踊らされ自業自得の最期を遂げる。
ルーセリス:サントールの教会で養護院を運営する神官。ゼロスからの突然のプロポーズを即決で受け入れる前向きな性格。
ジャーネ:ルーセリスの友人の女性傭兵。ゼロスからプロポーズされるが、過去に父親から受けた虐待のトラウマから決断できず激しく戸惑う。
アルフィア・メーガス:次世代の観測者(邪神)。龍王から得た膨大なエネルギーにより、肉体の再構築を大きく進める。
■ 物語の特徴
本作の魅力は、主人公たちが神をも凌駕するチート能力を持ちながらも、それをひた隠しにし、結果的に規格外の騒動を引き起こしてしまうギャップにある。第11巻では、レイドボス級のドラゴンとの命懸けの死闘といった王道ファンタジー展開の裏で、指紋照合などの科学捜査を用いた冷徹な姉への復讐劇や、ブラック労働に勤しむ土木作業員への怪しい栄養ドリンク販売、そして唐突なプロポーズと強引な荒療治といった、人間臭くシュールなエピソードが同時進行する。世界のシステム崩壊というSF的で壮大な設定と、泥臭い人間関係や日常のドタバタが見事に融合しており、他のスローライフ作品とは一線を画す独自の世界観を築いている点が、読者にとって興味深いポイントである。
読んだ本のタイトル
アラフォー賢者の異世界生活日記 11
著者:寿安清 氏
イラスト:ジョンディー 氏
出版社:KADOKAWA(MFブックス)
発売日:2019年8月24日
ISBN:9784040640563
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あらすじ・内容
セレスティーナとキャロスティーによる『地下遺跡都市【イーサ・ランテ】こっそり探索作戦』は、早々にアンズとエロムラに見つかったことで『こっそり』ではなくなった。とは言え、遺跡に侵入しようとしていた魔物達との戦闘に加勢したり、強敵【ボアヘッド・バタフリーベアー】に強襲されたりと、二人は自身の想定を遥かに上回る大冒険をするのだった。
アラフォー賢者の異世界生活日記 11
そんな中、無事にサントールの街へと到着したゼロスとアドは、邪神ちゃんこと【アルフィア・メーガス】復活のために力を貸すよう観測者・ソウラスに頼まれ、これを了承。その依頼というのはドラゴン退治だったのだが、たまたま採取に来ていた雪山で【龍王】と遭遇し――。
「マジモンのハンターゲームじゃねぇか……」
こうして思いがけずブリザード・カイザードラゴンと戦うことになったゼロスとアド。
だがその裏では、別の意味でおっさんにとって最凶最悪の存在が迫っており……!?
感想
長年続いてきたゼロスと姉・シャランラ(麗美)の因縁にようやく決着がつく、シリーズの大きな節目となる一冊だった。シリアスな復讐劇と、本作らしいコミカルな日常が絶妙に入り混じり、最後まで飽きることなく楽しめた。
何より印象に残ったのは、シャランラの異常な執念深さである。
若返りの薬の副作用によって寿命は尽きかけ、ツヴェイト暗殺未遂の罪で捕まれば死刑は避けられない状況にもかかわらず、彼女は最後まで諦めようとしない。ゼロスが解毒薬を持っていると思い込み、どこまでも執拗に狙い続ける姿からは、人間の執着の恐ろしさを感じさせられた。
そんな彼女が身分を偽り、養護院へ潜入する場面も非常に印象深い。
孤児たちからは獲物を見るような目で警戒され、常に緊張感が漂っている様子はどこかシュールで思わず笑ってしまった。さらに、エルフのカエデを奴隷として売ろうとした過去があるため、近づくだけで周囲から強烈な殺気を向けられる展開も、本作らしいブラックな笑いが効いている。
しかし、それでも彼女は悪事を止めようとはしない。
ルーセリスとジャーネの筆跡を偽造し、高利貸しから借金を背負わせたうえで二人を娼館へ売り飛ばそうとする卑劣な罠を仕掛ける展開には、改めてシャランラの危険さを思い知らされた。
一方で、そのすべてを読んでいたゼロスの対応は見事だった。
長年振り回され続けた経験から姉の思考を完全に読み切り、一つずつ逃げ道を潰しながら確実に追い詰めていく。その冷静さと容赦のなさからは、これまで積み重ねられてきた怒りの深さが痛いほど伝わってきた。
最後までしぶとく足掻いた姉との決着は、長い因縁にふさわしい締めくくりだったと感じる。
その一方で、因縁が終わったことで張り詰めていた糸が切れたのか、ゼロスが勢いのままルーセリスとジャーネへプロポーズする展開には驚かされた。
ルーセリスがほぼ即答で受け入れる一方、ジャーネは真っ赤になって逃げ出してしまうという対照的な反応が実に微笑ましい。
さらに面白かったのは、奥手すぎるジャーネを何とかしようと、ルーセリスたちが麻痺アイテムまで使って強引に二人をくっつけようとする場面である。
常識的に考えればかなり危険な作戦なのだが、この世界では周囲が本気で応援しているからこそ成立してしまう。その豪快さには苦笑しながらも、本作らしい勢いを感じた。
また、この世界特有の「恋愛症候群」の存在にも思わず笑ってしまう。
もしゼロスたちが決断を先延ばしにして発症してしまったら、一体どんな騒動になるのだろうか。普段は冷静なゼロスが女性陣の暴走を前に煙草をふかしながら遠い目をしている姿や、羞恥心の強いジャーネが部屋から出られなくなる姿まで自然と想像してしまった。
さらにエロムラが発症した場合、なぜか女性ではなく男ばかりが寄ってきそうな気がするのも、本作らしいギャグとして妙に納得できる。
全体を通して、本巻はゼロスとシャランラの長い因縁に一区切りがつき、主人公自身も新たな人生へ踏み出す転換点となる内容だった。
シリアスな復讐劇、笑いに満ちた日常、そして個性豊かなキャラクターたちの掛け合いが絶妙なバランスで描かれており、『アラフォー賢者の異世界生活日記』らしい魅力を存分に味わえる、大満足の一冊だった。
最後までお読み頂きありがとうございます。
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アラフォー賢者10巻レビュー
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アラフォー賢者12巻レビュー
考察・解説
ルーフェイル族の贖罪
『アラフォー賢者の異世界生活日記 11』のプロローグで描かれる「ルーフェイル族の贖罪」は、アルトム皇国を統治する有翼種・ルーフェイル族が、過去に一族の皇女に対して犯した過ちと、その罪滅ぼしに向けた悲痛な決断のエピソードである。
実力主義と厳格な気質が引き起こした悲劇の背景、失われた知識による誤解の露呈、そして遺された家族や娘への対応にいたる全容は以下の通りである。
悲劇の発端とルーフェイル族の厳格な民族性
アルトム皇国は他種族に寛容である一方で、過酷な環境を生き抜いてきた歴史から実力主義と義侠を重んじる。
・裏切りや不実に対しては厳しく融通が利かないという民族性を持っており、この厳格な気質が悲劇を生む原因となった。
・ルセイの母である皇女メイア・イマーラが人族の子(ルーセリス)を産んだ際、一族は彼女が不義を働いたと疑った。
・処罰を恐れたメイアは、生まれた子と共に国から姿を消し、長らく消息不明となっていた。
真実の判明と過去の過ちに対する一族の後悔
時が経ち、ソリステア魔法王国でルーセリスの生存が確認される。
・調査に赴いた黒天将軍のルセイ(メイアの娘でありルーセリスの異父姉)が帰還し、皇王謁見の間に一族だけを集めて真実を報告した。
・メイアの出産は不義ではなく、先祖の他種族の特徴が世代を超えて突然現れる隔世遺伝によるものであった。
・しかし、とうの昔に遺伝子工学などの知識を失っていたルーフェイル族には、自然のいたずらであるその現象を理解できなかった。
・戦闘能力が低いメイアにとって険しい山脈を越えることは自殺行為であったが、彼女は無実を証明するため命懸けでソリステア魔法王国へ渡っていた。
・そこで良き知己を得て真実に辿り着いたものの、志半ばで命を落としていたことが判明する。
・アルトム皇国国王マルドゥークラハ・アルトムは、皇族にも他種族の血が混ざっていることを認め、メイアを信じようとしなかった一族の罪の深さと愚かさを深く嘆いた。
夫であるラーフォンの贖罪と亡骸の帰還
メイアの夫でありルセイの父であるラーフォンは、妻を信じられなかった自分を愚かで最低な夫と激しく責め、生気を失っていた。
・マルドゥーク皇は彼に対し、ソリステア魔法王国へ赴きメイアの亡骸を迎えに行くよう勅命を下す。
・たった一人で過酷な旅を成し遂げた誇り高い皇女を故郷へ連れて帰り、安らかに眠らせることこそが一族にとって唯一の罪滅ぼしであるとされた。
・これが、ラーフォンにとっての具体的な贖罪であると告げられた。
遺された娘であるルーセリスへの今後の対応
残された娘のルーセリスについては、母の過去を知らず、既に自らの意志でソリステア魔法王国での人生を歩んでいる。
・そのため、今さらアルトム皇国へ連れ戻すことはできないと判断された。
・ルセイは母の形見を手渡す程度に留める方針を提案した。
・もし将来ルーセリスが結婚してその子供にルーフェイル族の特徴が現れた場合には、快く一族へと迎え入れるべきだとし、国王もひとまずは静観する方針をとった。
まとめ
ルーフェイル族の贖罪を巡るエピソードは、高度な知識を失った一族がその厳格すぎる規範ゆえに身内を追い詰めてしまったという、過去の不条理な悲劇と向き合う過程を描いている。隔世遺伝という真実が明らかになったことで、一族は自らの無知と不信を深く後悔することとなった。妻の亡骸を連れ戻すというラーフォンの過酷な旅は、一族の罪滅ぼしの第一歩であり、ソリステアで自立して生きるルーセリスへの静観という選択は、過去の過ちを繰り返さないための理性的かつ不器用な愛情の表れと言える。
魔導士団の組織改革
『アラフォー賢者の異世界生活日記 11』における「魔導士団の組織改革」は、ソリステア魔法王国の軍部において、これまで後方支援を主としていた魔導士たちを前線でも戦える戦力へと根底から鍛え直すための過酷なテコ入れとして描かれている。
組織が直面した存在意義の危機から、大深緑地帯での苛烈な訓練、それらがもたらした精神的変化、そして過酷さの裏で発生した重大な見落としにいたる全容は以下の通りである。
改革の背景と魔導士団の存在意義の危機
改革の発端は、後輩にあたるイストール魔法学院の学生たちが提唱した前衛魔導士の育成を含む軍の改革案を、国王がそのまま採用したことであった。
・これにより、かつて高圧的な態度をとっていた魔導士団の面目は丸潰れとなってしまう。
・さらに、騎士たちの間で魔法スクロールが普及し始め、騎士が魔法を様々な用法で使いこなすようになった。
・結果として、魔法のエキスパートであるはずの魔導士の立場が低下し、もう魔導士なんて要らないのではないか、と組織の存在意義そのものが危ぶまれる事態に陥った。
ファーフラン大深緑地帯での地獄の実戦訓練
武器を持って前線で戦える魔導士を育成するため、彼らは過酷な自然領域であるファーフラン大深緑地帯の外れに駆り出される。
・そこで、泥臭い実戦訓練に明け暮れることとなった。
・基礎体力の向上や戦術講義はもちろんのこと、一人でもミスをすれば連帯責任となる厳しいルールが敷かれた。
・甘ったれた文句を言えば殴られ、罵詈雑言を浴びせられるという地獄のようなしごきが行われた。
改革がもたらした結果と強烈な使命への目覚め
この過酷な環境により、無駄なエリート意識や後方からの安全な攻撃に慣れきっていた魔導士たちは真っ先に脱落していった。
・一方で、過酷な訓練を乗り越えた先輩魔導士たちは、国民の税金による装備を持った以上、我らには民を守る責務がある、と強く意識するようになる。
・ある種の洗脳状態と言えるほどの強い使命感に目覚めるにいたった。
・限界まで追い込まれていた後輩魔導士たちも、危険な訓練に率先して挑む先輩たちの姿に強い憧憬の念を抱くようになっている。
過酷な連戦の裏で発生した異常事態の見落とし
魔導士たちはこの改革によって逞しく生まれ変わりつつあったが、精神的、肉体的に限界まで追い込まれていたことと、実戦経験の乏しさが仇となる。
・彼らは目の前の過酷な連戦に必死になるあまり、森の中で、やけに魔物の数が多い、という違和感を覚えるにとどまった。
・これがスタンピードや大型種出現の明確な前兆であるにもかかわらず、ただの疑問で済ませてしまう。
・結果として、その奥に潜む大きな危機であるブリザード・カイザードラゴンに似た漆黒の竜の接近を見落としてしまうという失態を演じることになった。
まとめ
魔導士団の組織改革は、時代の変化とスクロールの普及によって不要論まで囁かれた組織が、生き残りをかけて敢行した肉体的・精神的な新生へのプロセスである。地獄のしごきによって無駄なプライドを削ぎ落とされ、民を守る盾としての強い使命感に目覚めた彼らの成長は、軍事的な地殻変動を象徴している。しかし、その限界寸前の猛訓練が視野狭窄を引き起こし、漆黒の竜の接近という破滅的な予兆を見落とす結果につながった描写は、急速な改革が孕む危うさと、次なる大動乱への不穏な前触れをリアルに描き出している。
勇者の魂と変異種
『アラフォー賢者の異世界生活日記 11』における「勇者の魂と変異種(異常進化種)」の関係は、無責任な神々と国家によって生み出された深刻なシステムのバグであり、世界を次元崩壊の危機に陥らせる原因として描かれている。
使い捨てにされた勇者たちの魂がシステムを汚染する背景、そこから生まれる異常進化種の脅威、怨念が受肉した漆黒の竜の出現、そして邪神アルフィアが講じる防衛策にいたる全容は以下の通りである。
勇者の魂の怨念と世界のシステムバグ化
メーティス聖法神国と四神によって一方的に召喚された勇者と呼ばれる異世界人たちは、都合の良い道具として利用され、用済みになれば危険分子として密かに始末されてきた。
・本来、異界の魂は死後に回収されるようシステムが調整されるべきであるが、四神の杜撰な管理により、彼らの魂は輪廻転生の円環に還ることができず世界を彷徨い続けている。
・四神や神国への深い絶望と憎悪を抱えた彼らの魂は、世界の事象システムに深く食い込み、森羅万象の摂理を歪める猛毒へと変貌してしまった。
異常進化種の誕生と世界を脅かす次元崩壊の危機
死しても救われない勇者たちの魂は、やがて生物に憑依する力を得て、物質世界の他者から力を喰らい自己を固定させようとする。
・過去に勇者召喚魔法陣から逆流した膨大な魔力が動植物を活性化させた結果、そこに勇者たちの魂が侵食した。
・これにより、通常の生態系ではあり得ない凶悪な異常進化種が次々と生み出されている。
・これら異常進化した魔物は世界の摂理から完全に逸脱した存在であり、彼らがレベル上限に達すると、魂に蓄えられた力によって時空間を巻き込む大爆発を引き起こす。
・その爆発によって次元の壁が破壊されれば、外界の別世界と接触して次元の連鎖崩壊(対消滅)を招いてしまうという、極めて危険な状態に陥っている。
無数の怨念が受肉した漆黒の竜の出現
異常進化の最たる例として、ファーフラン大深緑地帯に漆黒の巨体を持つ竜(ジャバウォック)が現れた。
・この竜の鱗には無数の人面が浮かび上がっており、それらはすべて捨てられた勇者たちの魂である。
・彼らは、憎い、復讐する、といった呪詛を口々に吐き出しながら、一つの巨大な憎悪として統合されている。
・偶然遭遇したウーケイたち(ゼロスの使い魔)との戦闘を経て自身の力不足を悟った竜は、さらなる力を喰らって進化し、憎きメーティス聖法神国を滅ぼすため東へと飛び去っていった。
邪神アルフィアの対策とゼロスたちが担う役割
次世代の観測者として復活しつつある邪神アルフィア・メーガスは、この世界崩壊の危機を把握している。
・しかし、世界の管理システムを修正するためのマスターコードを四神が握ったまま聖域に引きこもっているため、根本的な解決ができない状態である。
・そこで彼女は、次元崩壊のタイムリミットを引き延ばすため、世界の自浄作用を活性化させる。
・そして、イレイザー(神殺し)の素質を持つゼロスやアドたちに異常進化種を狩らせることを決断した。
・規格外の力を持つ彼らに魔物を討伐させることで、魔物に干渉している異世界の魂を強制的に回収し、破滅までの時間を稼ぐ強硬手段に打って出ることになった。
まとめ
勇者の魂と異常進化種を巡る因果関係は、神々の怠慢が積み重なった結果、世界そのものが破滅へ向かうバグの連鎖として描写されている。システムから排除され、行き場を失った勇者たちの憎悪は、単なる魔物の強化に留まらず、限界突破による次元崩壊の危機という世界の寿命を縮める致命的な不具合を生み出した。アルフィアの指示のもと、ゼロスたちがイレイザーとしてこれらの変異種を討伐していく一連の戦いは、世界の自浄作用を代行し、神々がもたらした最悪の歪みを強制終了させるための過酷な防衛策となっている。
龍王との死闘
『アラフォー賢者の異世界生活日記 11』において、ゼロスとアドは雪山で異常進化を遂げたブリザード・カイザードラゴン(龍王)と遭遇し、三日三晩にわたる壮絶な死闘を繰り広げる。これは上位観測者ソウラスからの、邪神アルフィア・メーガスを復活させるためのエネルギー、としての討伐依頼であったが、彼らは周囲に対しては、薬草採取の際にうっかり縄張りに踏み込んでしまった、と事実を伏せてごまかしている。
レイドボスを凌駕する龍王の脅威、総力戦となった激闘の展開、満身創痍の解体作業、そして邪神復活にもたらされた多大な影響にいたる全容は以下の通りである。
龍王の圧倒的な強さと極めて高い知能
ブリザード・カイザードラゴンは、単なる巨獣ではなく極めて高い知能と戦闘力を持つ存在であった。
・空中からの優位性を保ちながら氷塊の槍を爆撃のように降らせる。
・アドが放った必殺の超電磁砲(レールガン)をバレルロールで見切って回避した。
・さらに魔法障壁と強化された鱗でダメージを軽減し、幾重にも浮かべた氷の鏡にブレスを反射させて山頂を吹き飛ばした。
・これらゲームのレイドボスすら凌駕する規格外の強さで、二人を死の淵まで追い詰めた。
激闘の展開と総力戦による決着
ゼロスとアドはプラズマ・レイやバースト・マインなどの高威力魔法や、大剣、戦闘槌による物理攻撃を乱発して翼を潰し、どうにか龍王の飛行を封じた。
・しかし、追い詰められた龍王は山腹へブレスを撃ち込んで巨大な雪崩を引き起こし、二人を雪崩に巻き込む。
・雪崩から抜け出した二人は出し惜しみなしの総力戦に挑む。
・龍王の猛攻を掻いくぐり、アドの雷撃系最強魔法グングニールが龍王の脇腹を貫通させた。
・その隙を突いたゼロスが大剣で喉元を引き裂くことで、ついに強敵の討伐に成功した。
討伐後の過酷な解体作業とアドの生死の境
龍王を倒したものの、ドラゴンゾンビ化を防ぎ高価な素材を持ち帰るため、二人は満身創痍のまま吹雪の雪山で解体作業を強行する。
・三日三晩の戦闘と極寒の環境により体力と魔力の限界に達したアドは、幻覚の中で三途の川や奪衣婆を見るほど危険な状態に陥った。
・しかし、妻であるユイの生霊のような幻影に、逃がさない、と引き戻される。
・正体不明の恐怖に背中を押されるようにして、ギリギリのところで生還を果たした。
討伐成功がもたらした結果と邪神へのエネルギー転送
死闘の結果として得られた恩恵は、世界のシステムへダイレクトに反映されることとなった。
・この龍王から得られた、一級神が誕生してもおかしくない、ほどの膨大なエネルギーは、地下の培養液に浮かぶアルフィア・メーガスへと流れ込んだ。
・これにより彼女の肉体構築は大きく進む。
・アカシックレコードからより多くの情報を引き出せるようになるなど、完全復活に向けた大きな飛躍を遂げることとなった。
まとめ
ブリザード・カイザードラゴンとの死闘は、転生者たちの規格外の能力を以てしても死線を彷徨うほどの過酷なものとして描かれている。高い知能による戦術や雪崩を用いた反撃は、世界のバグが生み出した異常進化種の恐ろしさを物語っている。極限状態での解体作業を経てアドが生死の境から生還し、龍王の莫大なエネルギーがアルフィアへと転送されたことで、邪神の完全復活へのカウントダウンは確実に加速した。この勝利は世界の崩壊を食い止めるための大きな前進であると同時に、イレイザーとしてのゼロスたちの戦いが今後さらに激化していくことを予感させるエピソードとなっている。
姉シャランラとの決着
『アラフォー賢者の異世界生活日記 11』における「姉シャランラとの決着」は、ゼロスが現実世界から長年抱え続けてきた憎悪の精算であり、他人を騙して利用し続けてきた悪女の因果応報の最期として描かれている。
教会への潜入から科学捜査を用いた社会的包囲網、共同墓地での激しい対峙、そして自業自得の最期とゼロスが抱いた虚無感にいたる全容は以下の通りである。
教会への潜入とゼロスの先読みによる包囲網
シャランラ(大迫麗美)は、回春の秘薬の副作用を打ち消す解毒薬を求めてサントールの街へ現れ、幸薄い女を装ってルーセリスたちのいる教会へ使用人として潜入した。
・彼女はルーセリスやジャーネを奴隷商人に売り飛ばし、ゼロスから金目のものを奪う計画を立てる。
・しかし、その手口を誰よりも熟知しているゼロスは、あらかじめ街の至る所に手配書を掲示し、衛兵や騎士団による包囲網を構築していた。
・さらに、イリスや子供たち、レナには彼女の演技が通用しておらず、最初から完全にゼロスの掌の上で踊らされている状態であった。
科学捜査を用いた社会的な追い詰め
焦ったシャランラは、教会で盗んだ受領書からルーセリスとジャーネの筆跡を真似て、裏街の高利貸しから借金をして二人に押し付けようとする。
・これに対し、ゼロスは異世界には存在しない指紋の照合(気化させた接着剤と粉末を用いた科学捜査)を利用して、証文の指印が二人のものではないことを証明した。
・これにより、シャランラは賞金稼ぎや衛兵だけでなく、面子を潰された裏社会の男たちからも命を狙われる絶望的な状況に追い込まれることとなった。
共同墓地での対峙とゼロスの激昂
逃げ場を失い共同墓地へ逃げ込んだシャランラは、かつて自分が騙して金を奪った被害者である漁師のザボンと対峙する。
・ザボンはゼロスから渡された魔法薬を差し出し、再び一緒に暮らそうと手を差し伸べたが、シャランラはそれを奪うために彼を躊躇なくナイフで刺し殺そうとした。
・ザボンが身代わり人形などで生還した後、ゼロスが姿を現す。
・中学時代からの数々の悪事(友人関係の破壊、親の財産散財、産業スパイ行為によるゼロスの解雇など)を棚に上げ、自分の非を一切認めないシャランラの態度に、ゼロスはついに激昂した。
・彼は手加減を完全にやめ、エクスプロードで墓地ごと彼女を吹き飛ばし、大鎌で情け容赦なく斬り刻んだ。
自業自得の最期と新たな最強パーティーの誕生
絶体絶命のシャランラは、魔封爆弾をゼロスの足元に投げつけて連鎖爆発を起こし、その衝撃に乗じて逃走することに成功する。
・船着き場の廃倉庫へ逃げ込んだ彼女は、ザボンから奪った魔法薬を勝ち誇りながら飲み干した。
・しかし、その薬は解毒薬ではなく、ゼロスが罠として用意していたリフレッシュ・エナジードリンク 試作3号であり、飲んだ彼女の体はミイラのようなゾンビへと変貌してしまう。
・最後は、賞金目当てに彼女を追ってきた名もなき傭兵たちによって、ただの下級アンデッドとしてあっけなく討伐された。
・なお、彼女を倒した傭兵たちはドロップした莫大な賞金と魔導具を手に入れ、後にラッキースターと呼ばれる最強パーティーへと成り上がることになる。
決着がもたらしたゼロスの虚無感
長きにわたる因縁に終止符が打たれたものの、ゼロスの心にはスッキリとした感情ではなく、虚無感が残った。
・彼は、他人の手ではなく、自分の手でシャランラを徹底的に絶望の底へ叩き落とし、慈悲を乞わせながら直接始末したかったのだと気づく。
・結果として、不完全燃焼な思いを抱えることになった。
まとめ
姉シャランラとの決着は、現代社会からの因縁に決着をつけるカタルシスと、それゆえに生じる割り切れない複雑な感情をリアルに描写している。ゼロスの先読みと科学捜査によって完全に社会的な逃げ場を失ったシャランラは、最後まで他者を裏切り利用しようとした結果、自ら罠の薬を煽って下級アンデッドへと成り下がった。悪女に相応しい自業自得の凄惨な末路でありながらも、意図せぬ形で第三者の傭兵に討伐を奪われたゼロスの虚無感は、長年の憎悪の重さと、復讐が必ずしも完全な救済にはならないというビターな後味を作品に残している。
ゼロスの求婚騒動
『アラフォー賢者の異世界生活日記 11』における「ゼロスの求婚騒動」は、長年の懸案だった姉・シャランラとの因縁に決着がついた後、ゼロスが勢いと決意をもって行った突然のプロポーズから始まる一連のドタバタ劇である。
唐突に切り出された二人同時のプロポーズ、ヒロインたちの対照的な反応、事態を打開するための荒療治、長年のトラウマがもたらす葛藤、そして騒動の結末にいたる全容は以下の通りである。
厄介事の解決に伴う唐突なプロポーズ
姉の件が片付き、デルサシス公爵への報告を終えて教会に戻ったゼロスは、ルーセリスやジャーネたちと談笑していた。
・そこでジャーネの初心な反応を可愛いらしいと褒めた後、空気を読まずにいきなり真面目な顔で、僕と結婚してください、とルーセリスとジャーネの二人に同時に求婚した。
・ゼロスは年齢差や、二人同時に妻に迎えることについて悩み、覚悟を決めるのに時間がかかっていた。
・しかし、厄介な問題が片付いたことで思い切って告白に踏み切った。
ルーセリスとジャーネの対照的な反応
この突然の爆弾発言に対し、二人の反応は非常に対照的なものであった。
・ルーセリスの反応:家庭を持つことに憧れを抱いていた彼女は、自身の目と本能を信じ、末永くお願いしますと言いたい、と即答するほど前向きであった。恋愛症候群の兆候を自覚しており、二人で同じ男性に嫁ぐ一夫多妻にもまったく抵抗を持っていなかった。
・ジャーネの反応:急激な展開に思考がフリーズし、顔を真っ赤にして固まってしまう。彼女はゼロスに惹かれているものの、年齢差や傭兵生活への未練から、結婚に対して希望を持てずにいた。
トラウマによる葛藤と男性不信
ジャーネがこれほどまでに頑なな態度をとってしまう背景には、彼女が抱える根深い過去が大きく影響している。
・彼女は幼少期に、アルコール依存症の父親から虐待を受けていた。
・この過酷な生育環境が原因で、ジャーネの心には深いトラウマが植え付けられており、重度の男性不信を抱えるにいたっている。
・ゼロスへの好意を自覚しつつも、このトラウマが心理的な障壁となり、結婚という選択に対して一歩を踏み出せないでいた。
恋愛症候群を危惧したルーセリスによる荒療治
ジャーネが奥手で決断を渋っている状態を重く見たルーセリスは、このままだと初夏に発生する恋愛症候群恋慕暴走現象によってジャーネが奇行に走り、社会的に死んでしまうと危惧する。
・そこでルーセリスは、男性が苦手なジャーネへの荒療治として実力行使に出た。
・彼女はイリスにレアアイテムを使わせてゼロスにパラライズ(麻痺魔法)をかけ、同様に麻痺させたジャーネをゼロスの膝の上に抱きつくような体勢で座らせた。
・そして、既成事実を作るにはもってこい、と言い放ち、真っ赤になって俯くジャーネと困惑するゼロスを放置してイリスと共にその場から立ち去ってしまった。
用意された婚姻届と騒動の結末
自己回復で麻痺が解けるまでの間、ゼロスはジャーネの温もりを感じながら放置されることになった。
・その後、戻ってきたルーセリスの手には、彼女とジャーネの名が書かれた二通の婚姻届が握られていた。
・ルーセリスからの説得を受け、ゼロスは唐突すぎる展開に驚きつつ大いに悩むこととなる。
・最終的には麻痺から回復したジャーネがごねたため、婚姻届の提出はひとまず先送りという結末に落ち着いた。
まとめ
ゼロスの求婚騒動は、長年の因縁から解放された解放感と、ヒロインたちの将来を思った決意が空回りした、コミカルかつ騒がしい一幕として描かれている。一夫多妻を快諾し婚姻届まで用意して実力行使に出るルーセリスの計画性と、過酷な過去のトラウマから困惑しきりなジャーネの対比が、一筋縄ではいかないゼロスの婚活事情を浮き彫りにした。最終的に入籍は先送りとなったものの、この騒動は三人の関係性をより一歩踏み込んだものへと変化させ、今後の新たな日常の進展を予感させる重要なエピソードとなっている。
異世界の魂の歪み
『アラフォー賢者の異世界生活日記 11』において、「異世界の魂の歪み」とは、四神の身勝手な勇者召喚によって犠牲となった異世界人たちの魂が引き起こしている、世界規模のシステムバグと次元崩壊の危機を指します。
その詳細な背景と世界にもたらしている影響は以下の通りです。
1. 魂の歪みの発生原因
過去の邪神戦争期から現在に至るまで、メーティス聖法神国と四神によって召喚され、使い捨てにされた勇者たちの魂は、死後も輪廻転生の円環に還ることができず、世界を彷徨い続けています。本来、異界の魂は死後に回収されるようシステムが調整されるべきですが、四神の杜撰な管理により、彼らの魂は世界の事象管理システムに深く食い込み、森羅万象の摂理を歪める「猛毒」となってしまいました。
2. 異常進化種の誕生と怨念の受肉
勇者召喚魔法陣から逆流した膨大な魔力と、四神や神国への深い絶望や憎悪を抱えた勇者の魂が結びつくことで、動植物の生態系に異常変質が促され、世界の摂理から完全に逸脱した「異常進化種」が生み出されています。その最たる例として、ファーフラン大深緑地帯に現れた「漆黒の竜(ジャバウォック)」は、鱗に無数の人面(勇者たちの魂)を浮かび上がらせ、憎悪と呪詛を吐き出しながら更なる力を求めて彷徨う恐ろしい魔物へと変貌しています。
3. 次元連鎖崩壊の危機
これらの異常進化した生物は、レベル上限の限界点に達すると、魂に蓄えられた膨大な力によって時空間を巻き込む大爆発を引き起こす危険性を孕んでいます。その爆発によって次元の壁が破壊されると、外界の別世界と接触してしまい、世界同士の摂理のぶつかり合いによる「次元の連鎖崩壊(対消滅現象)」を招くという、世界消滅レベルの危機に瀕しています。
4. 邪神アルフィアによる魂の回収と対策
完全体として復活を遂げつつある次世代の観測者・邪神アルフィア・メーガスは、この深刻な歪みを正し、不憫な被害者である魂たちを元の世界へ帰してやりたいと望んでいます。しかし、世界の管理権限(マスターコード)を四神が握ったまま聖域に引きこもっているため、彼女の権限ではシステムから直接魂を回収することができません。
そこでアルフィアは、次元崩壊を防ぐための苦肉の策として、世界の自浄作用を活性化させ、「イレイザー(神殺し)」であるゼロスたちに異常進化種を討伐させることを決断しました。彼らのような規格外の強者に魔物を狩らせることで、魔物に干渉している異世界の魂を強制的に回収し、世界が崩壊するのを防ぐための時間を稼ごうとしているのです。
アラフォー賢者10巻レビュー
アラフォー賢者まとめ
アラフォー賢者12巻レビュー
登場キャラクター
転生者・地球の人物
ゼロス(大迫聡)
大賢者の職業を持つ転生者である。実の姉であるシャランラに深い憎悪を抱いている。
・所属組織、地位や役職
無職。傭兵。大賢者。殲滅者。
・物語内での具体的な行動や成果
アドとともに雪山でブリザード・カイザードラゴンを討伐した。街中に手配書を貼り、科学捜査を駆使してシャランラを追い詰めた。ルーセリスとジャーネに求婚した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
自らの手でシャランラを始末し、長年の因縁に決着をつけた。
アド(俊)
ゼロスと行動を共にする転生者である。ユイの婚約者である。
・所属組織、地位や役職
イサラス王国の王室顧問魔導士。軍備開発部。
・物語内での具体的な行動や成果
ゼロスとともにブリザード・カイザードラゴンと三日三晩戦った。バザーでポーションなどを販売した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
過労で死にかけたが、幻覚として現れたユイに引き戻されて生還した。
ユイ
アドの婚約者であり、妊娠している。非常に嫉妬深い性格である。
・所属組織、地位や役職
記載なし。
・物語内での具体的な行動や成果
作中ではアドの幻覚として三途の川に現れ、彼を現世に引き戻した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
アドの精神に強い影響を与え、死の淵から生還する原動力となった。
リサ
アドと行動を共にする転生者の魔導士である。常識的な思考を持つ。
・所属組織、地位や役職
イサラス王国の王室顧問魔導士。
・物語内での具体的な行動や成果
サントールのバザーでハンカチや小さなぬいぐるみを出品した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
シャクティ
アドと行動を共にする転生者である。
・所属組織、地位や役職
イサラス王国の王室顧問魔導士。
・物語内での具体的な行動や成果
サントールのバザーで自作の彫金ブローチを販売し、値切り交渉に対応した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
エロムラ
ツヴェイトの護衛を務める転生者の少年である。
・所属組織、地位や役職
ツヴェイトの護衛。
・物語内での具体的な行動や成果
作中ではあらすじにて、イーサ・ランテの探索作戦でセレスティーナたちを見つけたと語られている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
アンズ
エロムラと行動を共にする転生者の少女である。
・所属組織、地位や役職
ツヴェイトの護衛。
・物語内での具体的な行動や成果
作中ではあらすじにて、イーサ・ランテの探索作戦でセレスティーナたちを見つけたと語られている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
シャランラ(大迫麗美)
ゼロスの実の姉であり、指名手配犯である。自己中心的で他者を騙す性格を持つ。
・所属組織、地位や役職
暗殺者(アサシン)。
・物語内での具体的な行動や成果
サントールの教会に身分を偽って潜入した。ルーセリスとジャーネの筆跡を盗んで借金を背負わせようとしたが、ゼロスの罠に嵌った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ゾンビ化する魔法薬を飲み、廃倉庫で傭兵たちに討伐された。
カノン
「白の殲滅者」と呼ばれる転生者である。魔法薬の探求者である。
・所属組織、地位や役職
白の殲滅者。錬金術師。
・物語内での具体的な行動や成果
過去に「回春の秘薬」や「時戻りの秘薬」を製作した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
作中では回想に登場する。
ブロス
ルーダ・イルルゥ平原で獣人族をまとめる転生者である。
・所属組織、地位や役職
野蛮人。獣人族の指導者。
・物語内での具体的な行動や成果
作中ではメーティス聖法神国の騎士団を全滅させるほど勢力を拡大していると語られている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
作中では回想や情報として登場する。
殲滅者
ゼロスやカノンが所属していたプレイヤーの集団である。
・所属組織、地位や役職
記載なし。
・物語内での具体的な行動や成果
危険な魔法薬や呪われた武器を秘密裏に売りさばいていた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
作中では回想に登場する。
ソリステア魔法王国・イストール魔法学院
デルサシス公爵
ソリステア公爵家の現当主である。辣腕の政治家である。
・所属組織、地位や役職
ソリステア公爵領領主。
・物語内での具体的な行動や成果
ゼロスから墓地破壊の報告を受け、彼を叱責した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
修復費としてゼロスからブリザード・カイザードラゴンの鱗を受け取った。
クレストン
ソリステア公爵家の前当主である。
・所属組織、地位や役職
元ソリステア公爵。
・物語内での具体的な行動や成果
ゼロスから龍王の肉をご馳走になった。ゼロスが旧時代の兵器を使用した可能性に気づいた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
アドに秘密を共有させ、彼を共犯者として扱った。
ツヴェイト
ソリステア公爵家の跡取りである。
・所属組織、地位や役職
記載なし。
・物語内での具体的な行動や成果
シャランラに命を狙われた過去がある。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
作中では名前のみ登場する。
セレスティーナ
ソリステア公爵家の関係者である。
・所属組織、地位や役職
記載なし。
・物語内での具体的な行動や成果
キャロスティーと共にイーサ・ランテのこっそり探索作戦を行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
作中ではあらすじに登場する。
キャロスティー
セレスティーナの友人である。
・所属組織、地位や役職
記載なし。
・物語内での具体的な行動や成果
セレスティーナと共にイーサ・ランテのこっそり探索作戦を行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
作中ではあらすじに登場する。
アルトム皇国
マルドゥークラハ・アルトム
アルトム皇国の国王である。
・所属組織、地位や役職
アルトム皇国国王。
・物語内での具体的な行動や成果
メイアの出産が隔世遺伝によるものだと知り、ラーフォンに彼女の亡骸を迎えに行くよう勅命を下した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ルーセリスの処遇については、ひとまず静観する方針をとった。
メイア・イマーラ
ルセイとルーセリスの母親である。
・所属組織、地位や役職
アルトム皇国の皇女。
・物語内での具体的な行動や成果
不義の疑いをかけられ、無実を証明するために国を離れた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ソリステア魔法王国で亡くなっていたことが判明した。
ラーフォン
メイアの夫であり、ルセイの父親である。
・所属組織、地位や役職
アルトム皇国の皇族。
・物語内での具体的な行動や成果
妻を信じられなかった自分を激しく責め、生気を失っていた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
国王の命により、メイアの亡骸を迎えにソリステア魔法王国へ出発した。
ルセイ・イマーラ
アルトム皇国の将軍である。
・所属組織、地位や役職
アルトム皇国・黒天将軍。
・物語内での具体的な行動や成果
ソリステア魔法王国でメイアの真実とルーセリスの生存を確認し、国王に報告した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
ルーフェイル族
アルトム皇国を中心に統治する有翼種の民族である。
・所属組織、地位や役職
アルトム皇国の民族。
・物語内での具体的な行動や成果
実力主義と義侠を重んじ、裏切りや不実に対して厳しく対応してきた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
遺伝子工学の知識を失っており、メイアの隔世遺伝を理解できなかった。
イサラス王国
強硬派
イサラス王国内で戦争路線を推進する一派である。
・所属組織、地位や役職
イサラス王国の派閥。
・物語内での具体的な行動や成果
失われた国土を取り戻そうと息巻いている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
作中では情報として語られている。
メーティス聖法神国
勇者達
異世界から召喚された若者たちである。
・所属組織、地位や役職
メーティス聖法神国の騎士など。
・物語内での具体的な行動や成果
用済みになれば危険分子として始末され、魂が世界に留まっている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
死後も輪廻転生できず、怨念となって世界の摂理を歪める魔物へと変貌している。
異端審問部
メーティス聖法神国の非情な部署である。
・所属組織、地位や役職
メーティス聖法神国の組織。
・物語内での具体的な行動や成果
シャランラが一時的に所属していた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
非常識な生物によって壊滅させられた。
枢機卿
メーティス聖法神国の高位の聖職者である。
・所属組織、地位や役職
メーティス聖法神国の幹部。
・物語内での具体的な行動や成果
見習い時代のルーセリスに対し、聖女認定を見返りにして妻になるよう求めた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
作中では回想に登場する。
神官達
四神教に仕える者たちである。
・所属組織、地位や役職
四神教の神官。
・物語内での具体的な行動や成果
性同一性障害に悩むクリスティアンを悪魔憑きと断定した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
サントールの街・教会
ルーセリス
教会の見習い神官であり、養護院を運営している。
・所属組織、地位や役職
四神教司祭見習い。
・物語内での具体的な行動や成果
ゼロスからのプロポーズを即決で受け入れた。奥手なジャーネに対し、荒療治として彼女をゼロスの膝の上に座らせた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
恋愛症候群の兆候を自覚しており、結婚に対して前向きな姿勢を見せている。
イリス
ゼロスと行動を共にする転生者の少女である。
・所属組織、地位や役職
傭兵。
・物語内での具体的な行動や成果
鑑定スキルでシャランラの正体と職業を見破り、回し蹴りや正拳突きで攻撃した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
ジャーネ
ルーセリスの親友である女性傭兵である。男性不信のトラウマを持つ。
・所属組織、地位や役職
傭兵。
・物語内での具体的な行動や成果
ゼロスからプロポーズされ、思考停止して固まった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
レナ
少年を好む女性傭兵である。裏の顔はギャンブラーである。
・所属組織、地位や役職
傭兵。
・物語内での具体的な行動や成果
男性化する魔法薬をゼロスから奪い、イリスを狙って暴走した。シャランラの演技を最初から見抜いていた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
カエデ
ハイエルフの少女である。好戦的な性格をしている。
・所属組織、地位や役職
養護院の子供。
・物語内での具体的な行動や成果
シャランラの悪意を察知し、試し斬りを理由に彼女へ斬りかかった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
ジョニー
養護院で暮らす孤児の少年である。
・所属組織、地位や役職
養護院の子供。
・物語内での具体的な行動や成果
逃走するシャランラを賞金首として追いかけた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
アンジェ
養護院で暮らす孤児の少女である。
・所属組織、地位や役職
養護院の子供。
・物語内での具体的な行動や成果
逃走するシャランラを賞金首として追いかけた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
ラディ
養護院で暮らす孤児の少年である。
・所属組織、地位や役職
養護院の子供。
・物語内での具体的な行動や成果
逃走するシャランラを賞金首として追いかけた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
カイ
養護院で暮らす孤児の少年である。肉への執着が強い。
・所属組織、地位や役職
養護院の子供。
・物語内での具体的な行動や成果
逃走するシャランラを賞金首として追いかけた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
メルラーサ司祭長
サントールの養護院を統括する司祭である。
・所属組織、地位や役職
四神教の司祭長。
・物語内での具体的な行動や成果
作中では回想に登場し、ルーセリスに過激な教えを授けていたことが語られている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
メーティス聖法神国の神官たちに恐れられている。
司祭達
教会の運営に関わる者たちである。
・所属組織、地位や役職
四神教の司祭。
・物語内での具体的な行動や成果
バザーでルーセリスと合同で出店した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
孤児達
教会で暮らす子供たちである。
・所属組織、地位や役職
養護院の子供。
・物語内での具体的な行動や成果
シャランラの尾行を素人臭いと見抜き、警戒していた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
ザボン
オーラス大河の漁師である。シャランラに騙されていた被害者である。
・所属組織、地位や役職
漁師。
・物語内での具体的な行動や成果
共同墓地でシャランラと対峙し、ナイフで刺された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ゼロスから慰謝料として宝石を受け取り、後に食堂の給仕と結婚した。
クリスティアン
性同一性障害に悩む青年である。
・所属組織、地位や役職
雑貨店の息子。
・物語内での具体的な行動や成果
ゼロスから短時間性別変換薬を受け取り、激痛に耐えて女性の姿になった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
女性として生きる決意を固め、両親から受け入れられた。
クリスティアンの父親
雑貨店を営む中年男である。
・所属組織、地位や役職
雑貨店店主。
・物語内での具体的な行動や成果
初めは息子が女性になることに猛反対したが、妻の説得により薬を試すことを承諾した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
女性化した息子を凝視して妻に成敗されたが、最終的には娘として受け入れた。
クリスティアンの母親
クリスティアンの母親である。
・所属組織、地位や役職
雑貨店の関係者。
・物語内での具体的な行動や成果
息子の苦しみを理解し、夫を説得して魔法薬を試すことに賛成した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
ナグリ
ハンバ土木工業のベテラン職人である。
・所属組織、地位や役職
ハンバ土木工業の職人。
・物語内での具体的な行動や成果
ゼロスから栄養ドリンクを買い占め、疲労した職人たちをさらに働かせようとした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
傭兵ギルド
ラッキースター
シャランラを討伐した傭兵たちのパーティーである。
・所属組織、地位や役職
傭兵パーティー。
・物語内での具体的な行動や成果
船着き場の廃倉庫で、ゾンビ化したシャランラを討伐した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
シャランラのドロップアイテムを得て、数年後に最強傭兵パーティーの一角となった。
神・観測者・使徒
アルフィア・メーガス
次世代の観測者である。
・所属組織、地位や役職
次世代の観測者。邪神。
・物語内での具体的な行動や成果
培養槽から目覚め、強制介入プログラムの作成を完了させた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
完全体になるため、四神からのマスターコード奪取を目論んでいる。
ルシフェル
神域でアルフィアを支援する使徒である。
・所属組織、地位や役職
使徒。
・物語内での具体的な行動や成果
バックアップ要員として神域のシステム掌握を試みている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
ヴェルサリス
神域でアルフィアを支援する者である。
・所属組織、地位や役職
記載なし。
・物語内での具体的な行動や成果
ルシフェルたちと共に神域のシステム掌握を試みている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
ソウラス
観測者である。
・所属組織、地位や役職
観測者。
・物語内での具体的な行動や成果
ゼロスとアドに対し、邪神復活のための協力を頼んだ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
作中では回想に名前が登場する。
四神
世界を管理する女神たちである。
・所属組織、地位や役職
惑星管理神。
・物語内での具体的な行動や成果
聖域に引きこもり、マスターコードを保有している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
創造主
アルフィアを生み出した存在である。
・所属組織、地位や役職
観測者。システム管理者。
・物語内での具体的な行動や成果
世界を完全自動管理にし、自らが管理する手間を省こうとした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
作中ではアルフィアの回想に登場する。
使い魔・魔物
ウーケイ
ゼロスの使い魔のコッコである。武闘派である。
・所属組織、地位や役職
使い魔。
・物語内での具体的な行動や成果
ファーフラン大深緑地帯で漆黒の竜と遭遇し、三日三晩戦った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
メイケイ
純白のコッコである。
・所属組織、地位や役職
使い魔。
・物語内での具体的な行動や成果
教会の庭でイリスに格闘訓練を指導した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
コッコ達
ゼロスの使い魔である。
・所属組織、地位や役職
使い魔。
・物語内での具体的な行動や成果
帰還したウーケイたちから戦闘の武勇伝を聞いていた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
ブリザード・カイザードラゴン
雪山に生息する強力なドラゴンである。
・所属組織、地位や役職
魔物。龍王。
・物語内での具体的な行動や成果
ゼロスとアドを相手に激しい戦闘を繰り広げ、ブレスで雪崩を引き起こした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
二人に討伐され、素材として解体された。
漆黒の竜
ファーフラン大深緑地帯に現れた魔物である。
・所属組織、地位や役職
異常進化種。
・物語内での具体的な行動や成果
体に無数の人面を浮かび上がらせ、ウーケイたちと交戦した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
自身の力不足を悟り、さらなる力を求めて東へ飛び去った。
グレート・ギヴリオン
非常識な強さを持つ巨大生物である。
・所属組織、地位や役職
魔物。
・物語内での具体的な行動や成果
作中ではシャランラの回想において、異端審問部の作戦に関連して名前のみ登場する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
ボアヘッド・バタフリーベアー
危険な魔物である。
・所属組織、地位や役職
魔物。
・物語内での具体的な行動や成果
作中ではあらすじにて、イーサ・ランテでセレスティーナたちを強襲したと語られている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
ボロモロ鳥
越冬のために飛来する鳥型の魔物である。
・所属組織、地位や役職
魔物。
・物語内での具体的な行動や成果
ピリ辛揚げとして調理され、ゼロスとザボンに食された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
アラフォー賢者10巻レビュー
アラフォー賢者まとめ
アラフォー賢者12巻レビュー
展開まとめ
プロローグ ~アルトム皇国に届いた訃報~
アルトム皇国の贖罪と黒き竜の飛翔
メイアの真実
アルトム皇国では、ルセイが皇王謁見の間で母メイアの真実を報告した。メイアは不義を働いたのではなく、隔世遺伝によって人族の子であるルーセリスを産んでいた。彼女は無実を証明するために国を離れ、協力者を得ながら真実に辿り着いたが、志半ばで亡くなっていた。
皇族の後悔
マルドゥーク皇は、隔世遺伝という現象を受け入れ、メイアを信じなかった一族の罪を認めた。険しい山脈を越えてソリステア魔法王国へ向かったメイアの覚悟を思い、彼女を故郷へ迎えることが唯一の罪滅ぼしだと判断した。
ラーフォンへの勅命
メイアの夫であるラーフォンは、ルセイの報告を聞いて生気を失っていた。マルドゥーク皇は、彼にメイアの亡骸を迎えに行くよう命じた。ラーフォンはメイアを信じられなかった自分を最低の夫だと責めながら、その命を受けた。
ルーセリスの扱い
ルーセリスについては、今さらアルトム皇国へ連れ戻すことはできないとされた。彼女はソリステア魔法王国で人族として生き、自分の意志で人生を歩んでいた。ルセイは、形見を渡す程度にとどめ、将来ルーセリスの子にルーフェイル族の特徴が出た場合は快く迎え入れるべきだと考えた。
魔導士団の改革
ファーフラン大深緑地帯では、騎士団と魔導士達が実戦訓練を行っていた。魔導士団は後方支援中心の旧体制から、前線でも戦える戦力へ変わるよう改革されていた。魔法スクロールの普及で騎士達も魔法を使えるようになり、魔導士達は存在意義を守るためにも鍛え直されていた。
過酷な訓練
魔導士達は、基礎体力や戦術を叩き込まれ、騎士達と共に大深緑地帯で魔物と連戦していた。旧来のエリート意識を持つ者ほど脱落し、先に訓練を受けた魔導士達は民を守る責務を強く意識するようになっていた。だが、魔物の数が多い異常には気づけていなかった。
漆黒の竜
訓練中の一団の前に、漆黒の巨体を持つ竜のような魔物が現れた。ワニのような口、翼、長い尾を持ち、鱗には無数の人面が浮かんでいた。騎士や魔導士達は恐怖で動けなくなり、ドラゴンであれば勝ち目がないと悟った。
三羽のコカトリス
絶望の中、三羽のコカトリスらしき魔物が漆黒の竜に襲いかかった。炎、白銀の翼、漆黒の闇が竜を攻め、騎士隊長はその隙に全員へ撤退を命じた。彼らは形振り構わず逃げ、二日間森を逃げ続けた末、死者を出さずに野営地へ戻った。
ウーケイ達の戦い
漆黒の竜に挑んだのは、ファーフラン大深緑地帯を歩き回っていたウーケイ達だった。彼らは偶然遭遇した強敵に闘争心から戦いを挑み、三日三晩戦い抜いた。竜は分が悪いと判断して離脱し、ウーケイ達はこの地をよい修行場だと考えて帰っていった。
力を求める復讐者
漆黒の竜は、自分の弱さを理解し、さらに強くなるため東へ飛び続けた。その身に宿る人面は、利用され捨てられた勇者達の魂であり、四神とメーティス聖法神国への憎悪を口々に吐き出していた。死しても輪廻に還れなかった彼らは、世界の摂理を歪める存在となり、より多くの力を求めていた。
第一話 おっさん、雪山でバトル中
龍王討伐とアルフィアの覚醒
三日三晩の死闘
ゼロスとアドは、【ブリザード・カイザードラゴン】と三日間戦い続けていた。二人は大剣や戦闘槌、強力な魔法を次々に叩き込み、翼を潰して飛行を封じたが、龍王もなお倒れなかった。雪山は高威力の魔法で溶け、岩場へと変わるほど荒れ果てていた。
雪崩の罠
追い詰められたブリザード・カイザードラゴンは、山腹へブレスを撃ち込み、雪崩を引き起こした。ゼロスは咄嗟に【アイス・ウォール】で氷壁を作り、真正面から受け止めようとしたが、二人は雪崩に巻き込まれた。ドラゴンは二人が生きていると本能で察し、警戒を解かなかった。
最後の攻防
雪崩から抜け出したゼロスとアドは、出し惜しみなしで龍王へ挑んだ。ブリザード・カイザードラゴンは二人の動きに対応し、アドを尾で弾き飛ばし、ゼロスにも至近距離からブレスを叩き込んだ。だが、アドの【グングニール】が脇腹を貫き、ゼロスが喉元を大剣で引き裂いたことで、ついに龍王は倒れた。
龍王素材の後始末
ゼロスとアドは、龍王が四神よりも強い完全なイレギュラーだったと実感した。二人は満身創痍だったが、ドラゴンゾンビ化を防ぐためにも解体作業を始めざるを得なかった。素材は莫大な価値を持ち、アドはユイとの家を買う資金にしようと意気込んだ。
アルフィアへの膨大な力
地下の培養液に浮かぶアルフィア・メーガスは、龍王から流れ込む膨大なエネルギーを感じ取った。その力は一級神が誕生してもおかしくないほど大きく、彼女の肉体構築を可能にするものだった。アルフィアは能力の拡張を実感し、アカシックレコードからより多くの情報を引き出せるようになった。
聖域への侵入準備
アルフィアは、勇者召喚の抗体システムが暴走し、世界の摂理を侵食していることを改めて把握した。四神が管理コードを持って聖域に引きこもっているため直接手は出せなかったが、暴走した抗体システムを逆利用すれば聖域へ侵入できる可能性があった。彼女は自分の誕生理由のくだらなさに落ち込みながらも、侵入用のプログラム構築を続けた。
神域側の進展
ルシフェル達の側でも、アルフィアの覚醒によって神域のプロテクト解除が進んでいた。管理者不信による権利剥奪が正常に発動し始めたものの、聖域は四神の管理コードが残るため掌握できなかった。彼らは管理コードの奪取を有効な手段と認め、神域を解放してアルフィアと完全にリンクさせる作業を急いだ。
吹雪の解体作業
ゼロスとアドは龍王を解体していたが、作業中に猛吹雪へ巻き込まれた。三日三晩の戦闘と極寒の作業でアドは限界に達し、三途の川や奪衣婆の幻覚を見るほど危険な状態に陥った。ゼロスは必死に起こし続けたが、アドはユイの幻影に引き戻されるようにして生還した。
ユイの執念
アドは、三途の川でユイに逃がさないと言われたと語った。ゼロスもまた、黄泉に落ちかけた際、ユイにアドを一人にするなと脅されたような幻を見ていた。二人は正体不明の恐怖に背中を押され、吹雪の中で形振り構わず解体作業を続けた。
満身創痍の帰還
ゼロスとアドが出かけて四日が過ぎ、ルーセリス達は少し心配し始めていた。そこへ、互いに肩を貸し合いながらボロボロになった二人が戻ってきた。ゼロスはドラゴンと戦ってきたと告げ、驚く女性陣を前に家へ入ると同時に力尽き、翌日の夜半過ぎまで死んだように眠り続けた。
第二話 おっさん、またも危険物を作り出す
龍王戦の回想と性別変換薬の騒動
空の龍王
ブリザード・カイザードラゴンは、空中からゼロス達を見下ろしていた。ゼロスとアドは数時間にわたって魔法で攻撃したが、龍王は地上に降りず、空中での優位を捨てなかった。氷塊の槍を降らせる攻撃は爆撃のような威力で、二人は逃げながら対抗するしかなかった。
通じない超電磁砲
アドは鉄杭を使って【超電磁砲】を放ったが、龍王は巨体に似合わぬ機動力で回避した。さらに魔法障壁と強化された鱗があり、たとえ当たっても致命傷にはならないとゼロスは見た。二人は、ゲームのレイドボス以上に現実の龍王が厄介な存在であることを思い知らされた。
氷鏡のブレス
ブリザード・カイザードラゴンは、氷の鏡を幾重にも浮かべ、ブレスを反射させて山へ撃ち込んだ。攻撃は山頂を吹き飛ばすほど凄まじく、ゼロスとアドは爆風で吹き飛ばされながら死に直面した。帰宅後にその話を聞いたイリス達は、二人が生きて戻ったこと自体が奇跡だと呆れていた。
隠された討伐
ゼロスとアドは、龍王を倒した事実を周囲には伏せた。ルーセリスはゼロスなら倒していてもおかしくないと疑い、イリスもこっそり本当は倒したのではないかと見抜こうとした。だが、アルフィアや神々の依頼について話すわけにはいかず、二人は縄張りに踏み込んで逃げ惑っただけだと誤魔化した。
男性ホルモン増強剤
調合中のアドは、薬品を間違えて混ぜたことで爆発を起こした。鑑定の結果、できたものは【男性ホルモン増強剤】だった。ゼロスは以前の【女性ホルモン増強剤】と対になる薬だと見て、性別変換薬への応用を考え始めた。
男性化性別変換薬
ゼロスは過去の女性化薬のデータをもとに、男性化限定の性別変換薬を作り上げた。イリスは、以前ゼロスに女性化薬を飲ませた過去を思い出し、復讐されるのではないかと怯えた。女性化したゼロスが姉に似ていたため自殺しかけた話を聞き、ルーセリス達は興味を持ちながらも危険性を理解した。
拒否される実験
ゼロスは薬の効果を確かめようとしたが、ルーセリス、ジャーネ、レナは男性化を拒否した。アドにも女性化してから男性化薬を飲ませて戻るか試そうとしたが、ユイに殺される可能性を理由に断られた。結局、実験相手が見つからず、ゼロスはイリスに協力を求めた。
レナの暴走
男性化薬の存在は、レナの妄想を刺激した。イリスが男の子になれば自分の守備範囲に入ると考え、彼女は欲望を正当化し始めた。ゼロス達は危険に気づいて薬を回収しようとしたが、レナは驚異的な動きで薬を奪い、イリスを狙い始めた。
イリスの危機
レナは、イリスを男性化させて手取り足取り性教育をすると言い出した。ジャーネとゼロスは彼女を止めようとしたが、アドはユイへの恐怖から手を出せなかった。レナは完全に開き直り、イリスは貞操の危機に震えていた。
ルーセリスの説得
ルーセリスは、イリスを襲った後も仲間として活動できるのかとレナに問いかけた。その言葉でレナは、欲望を優先すればパーティーが壊れる可能性に気づいた。レナは悩んだ末に崩れ落ち、イリスは実力行使なしで救われた。
残された危険物
ゼロス達は、ルーセリスが当たり前の言葉だけでレナを止めたことに驚いた。しかし、男性化薬はまだレナの手にあり、再び暴走する危険は残っていた。平穏がいつまで続くかは、誰にも分からなかった。
バザーの準備
一方、リサとシャクティはバザーの準備を進めていた。リサはハンカチや掌サイズのぬいぐるみを作り、シャクティは彫金でブローチを用意していた。街の大通りを封鎖して大々的に行われるバザーに向け、二人は出店の準備を整えていた。
第三話 おっさん、売ってはならないものを売ってしまう
サントールの大市と怪しい栄養ドリンク
大通りのバザー
サントールでは三ヶ月に一度、大通りを封鎖して大規模な市が開かれていた。バザーでは不要品や日用品が売られ、貧しい階層にとってもありがたい催しとなっていた。ルーセリスは養護院の司祭達と合同で出店する予定であり、ゼロスは遅れて場所取りをしながら、怪しい行商人として店を開こうとしていた。
怪しい販売員
ゼロスは町人風の薄汚れた格好に身をやつし、看板だけを掲げて商売を始めようとしていた。看板には客の相談に応じて要望に応えると書かれていたが、その姿は露店商というより不審者に近かった。ルーセリスは心配したが、ゼロスは売り上げより客の満足が報酬だと言い、怪しい笑いを残して歩き出した。
アド達の出店
アド達は大通り中央付近で、アクセサリー、レースのハンカチ、ポーションなどを売っていた。価格は庶民でも手が届く範囲に設定されており、開店直後から商品は順調に売れていった。シャクティは値切り交渉に応じつつも、手間のかかった一品ものについては値下げを断っていた。
ポーションの商談
アドは傭兵相手に高品質なポーションを売ろうとしていた。客は値段を気にして渋ったが、アドは命を守る切り札だと説明し、普通のポーションをおまけにつけた。互いに子を持つ立場として共感が生まれ、傭兵は購入を決めた。
現実の傭兵稼業
リサとシャクティは、傭兵が思ったほど儲かる職業ではないことを知った。現実では依頼対象の魔物や素材が必ず見つかるとは限らず、素材の状態によって値も変わるため、ゲームのようには稼げなかった。アドは、スキル習得にも長い経験が必要であり、現実は都合よく進まないと説明した。
ゼロスへの不安
アド達は、ゼロスがどこかで怪しい行商人をしているだろうと考えた。かつて彼は、失敗作や危険物を売りさばく闇商人のようなことをしていたため、リサ達は現実でも何かやらかすのではないかと不安を覚えた。アドは、ゼロスが大人しくしていることを祈るしかなかった。
路地裏のゼロス
ゼロスは路地裏の角で、木箱と看板だけを置いて店を開いていた。家族連れの多さを見て羨ましさと嫉妬を抱き、自分の姿を自嘲していた。そんな中、ゼロスはハンバ土木工業のナグリと、疲れ切った新人職人達に出会った。
ハンバ土木工業の常識
ナグリによれば、新人職人達は徹夜続きの突貫工事を終えた直後に家族サービスをしていた。ゼロスは休日を入れるべきだと訴えたが、ナグリ達にとって仕事は快楽であり、現場で死ねるなら本望という価値観だった。労働時間の規制がないこの世界では、ゼロスの感覚の方が非常識に見られていた。
栄養ドリンクの営業
ゼロスは疲労困憊の職人達に、栄養ドリンクを売る商機を見出した。怪しい口調で試供品を差し出し、子供達の相手をする体力が必要だと説得した。職人は不信感を抱きながらも飲み干し、すぐに体が逞しく回復した。
ビルドアップする職人達
栄養ドリンクを飲んだ職人達は、疲労が消え、筋肉に活力を満たした労働者へと復活した。効果を目の当たりにした職人達は殺到し、ナグリは在庫をすべて買い取ろうとした。ゼロスは、その薬がハンバ土木工業の過酷な労働をさらに悪化させると気づいた。
売ってはいけない相手
ナグリは、倒れた職人達をさらに働かせるために栄養ドリンクを使うつもりだった。ゼロスは肉体疲労は取れても精神疲労までは取れないと忠告したが、ナグリは職人教育の一環だとして聞かなかった。結局、ゼロスは押し切られて栄養ドリンクを売ってしまい、労働者達の地獄に手を貸した罪悪感に沈んだ。
第四話 おっさんは、たまに人助けをする
怪しい行商人と性別変換薬の相談
売り切れ後の捜索
昼食を終えたアドは、売り物が早々に完売したためゼロスを捜していた。ポーションは戦闘用だけでなく家庭の常備薬としても需要があり、アドの予想以上に売れていた。彼はゼロスが路地裏で怪しい行商人をしていると見当をつけ、細い通りを探した。
夜の薬
アドは、ゼロスが客に性欲強壮薬のような薬を売っている場面を見つけた。ゼロスは心臓の疾患にも使える普通の薬だと言い張ったが、明らかに別の効果を売り文句にしていた。アドは呆れつつ、回春の秘薬や性別変換薬のような危険物を売っていないか確認した。
カノンの失敗作
ゼロスとアドは、かつてカノンが作った回春の秘薬や、その副作用を打ち消そうとして生まれた薬の被害を思い出した。秘薬は人の人生を壊す危険物であり、ゼロスは売るつもりがないと述べた。アドは、ゼロスも殲滅者の一員として危険な品の製作に関わっていたと指摘した。
性別を変えたい青年
二人のもとに、性別を変える薬を求める青年が現れた。彼は心と体の違和感に苦しみ、女性ものに惹かれ、自分の男性の体を嫌悪していた。神官には悪魔憑きとされ、悪魔祓いを受けても改善せず、自傷行為にまで及んでいた。
重い相談
ゼロスは、青年が性同一性障害に近い深刻な状態だと見た。女性化の薬は持っていたが、一度完全に変われば元に戻れないため、軽々しく売るわけにはいかなかった。アドは短時間性別変換薬で様子を見る案を出し、ゼロスはまず家族と話す必要があると判断した。
クリスティアンの家
青年クリスティアンの実家は雑貨店だった。父親は不機嫌そうにゼロスを迎え、息子を女にする薬など認められないと激しく反発した。ゼロスは、苦しんでいるのはクリスティアン本人であり、父親が自分の価値観だけで否定しても解決にはならないと説いた。
母親の決断
父親は納得しなかったが、母親はクリスティアンの苦しみをこれ以上見ていられないと語り、試すべきだと主張した。ゼロスは短時間女性変換薬を渡し、効果が出る時と切れる時に強い痛みがあると説明した。クリスティアンは覚悟を決め、母親とともに奥の部屋へ向かった。
変化の苦痛
薬を飲んだクリスティアンは、肉体が変化する激痛に叫び声を上げた。父親は取り乱して部屋へ向かおうとしたが、ゼロスは何もできないと押し止めた。十分ほど続いた苦痛の後、父親は急いで部屋へ向かった。
本当の姿
父親が部屋に入ると、女性の体となったクリスティアンが涙を流しながら鏡を見ていた。母親は彼女を綺麗だと受け入れ、本当の自分を取り戻したのだと語った。父親は驚きながら見つめていたが、凝視していたため母親に成敗された。
救われた家族
夕暮れ時、クリスティアン一家はゼロスを見送った。父親も娘という形を受け入れ始め、ゼロスに感謝を伝えた。ゼロスは商売をしただけだと返し、満足げに立ち去った。
姉と追跡者
上機嫌で歩くゼロスを、実姉シャランラが見つけて追い始めた。だが、そのシャランラもまた、かつて彼女に騙されたザボンに見つけられていた。ザボンは痩せこけた姿で危うい目を光らせ、彼女を尾行していた。
第五話 おっさん、被害者と出会う
シャランラの尾行とザボンの決意
執念の尾行
シャランラは、【回春の秘薬】の効果を打ち消す魔法薬を求め、ゼロスを尾行していた。だが、その薬は存在せず、彼女は自分の都合だけで弟の財産も自分のものだと思い込んでいた。公爵家の跡取りを狙った指名手配犯でありながら、彼女は自分の非を認めず、弟への逆恨みを募らせていた。
ザボンの追跡
シャランラの後ろには、彼女に騙されたザボンがいた。彼はシャーラを本気で愛していたが、金を奪われ、裏切られたことで心身ともに追い詰められていた。それでも彼は彼女を信じたい思いを捨てきれず、ゼロスを新しい男かもしれないと疑い、殺意を抱いた。
ゼロスの威圧
ザボンの殺意に気づいたゼロスは振り返り、威圧で彼の体を硬直させた。シャランラは咄嗟に隠れたが、ザボンはその場に取り残され、何が起きたのか理解できず混乱した。ゼロスは痩せこけたザボンの様子を見て事情があると察し、食事を奢るから話をしないかと誘った。
酒場の食事
ゼロスとザボンは酒場に入り、ボロモロ鳥のピリ辛揚げを注文した。二人は料理の美味しさに圧倒され、しばらく本題を忘れるほど満ち足りた気分になった。空腹だったザボンも、極上の味によって一時的に幸福感を取り戻した。
シャーラの正体
食後、ゼロスはザボンが自分に殺意を向けた理由を尋ねた。ザボンが捜している女の名をシャーラだと聞いたゼロスは、それが姉のシャランラだと察した。彼は、彼女が家を荒らされたように偽装して金目の物を奪う手口を昔から使っていたと語った。
麗美の過去
ゼロスは、地球にいた頃から麗美が他人を騙し、金や貴金属を盗み、その罪を別の男になすりつけていたことを思い出した。聡が忠告しても周囲は麗美を信じ、逆に聡が悪者にされていた。麗美のせいで、聡は親しかった女性とも関係を壊されていた。
回春の秘薬の代償
ゼロスは、シャランラが【回春の秘薬】で若返ったが、その副作用で倍の年数分老化すると説明した。ザボンは、若く見えたシャーラが実際には四十代後半であり、やがて九十代ほどの姿になると知って衝撃を受けた。それでも、彼は自分が愛したシャーラが本当に外道な女なのかを受け入れきれなかった。
悪女への罠
ゼロスは、ザボンにシャランラの本性を確かめるための罠を提案した。解毒薬と称する秘薬を餌にすれば、彼女は必ず引っかかると見たのである。ザボンは悪辣な作戦だと感じつつも、自分で判断することを条件に承諾した。
二重の尾行
酒場を出たゼロスは、向かいのカフェからシャランラの視線を感じ取った。シャランラは長時間待たされたことに苛立ちながらも、ゼロスの住処を突き止めて金目の物を奪うつもりで尾行を再開した。そのさらに後ろから、ザボンもまたシャランラの本心を確かめるために尾行を始めた。
第六話 おっさん、姉弟喧嘩の前準備を始める
尾行者への警告とシャランラ包囲網
食堂の一行
ゼロスは尾行されていることを感じながら街を進み、食堂の野外席で食事をしているルーセリス達に出会った。彼女達はバザー後の打ち上げをしており、ジャーネ達は道具探し、イリスは【鑑定】で魔法薬の品質確認をしていた。レナは賭け事の話題に内心刺されながらも、カジノ通いを隠していた。
性別変換薬の行方
ゼロスは、女性化の【完全性別変換薬】が売れたことを話した。ルーセリス達は、二度と元に戻れない薬を望む者がいたことに驚いた。ゼロスは相手の詳しい事情を伏せたが、自殺未遂をするほど思い詰めていたとだけ伝えた。
姉への警戒
ゼロスは、実姉であるシャランラが酒場から尾行しており、近いうちにルーセリス達の前に現れるかもしれないと警告した。彼女は指名手配犯であり、人質や窃盗を企む可能性があるため、決して心を許してはいけないと念を押した。さらに手配書を渡し、賞金首として捕まえれば一千万ゴルが得られると知らせた。
賞金首への関心
ジャーネ達や子供達は、シャランラを賞金稼ぎの対象として見るようになった。特に子供達は、尾行していた彼女の動きが素人臭く、警戒が逆に目立つと見抜いていた。ルーセリスは、裏社会の経験からくる彼らの洞察力に複雑な思いを抱いた。
麗美の品定め
一方、シャランラこと麗美は、ゼロスが話していた女性達を利用できる相手として観察していた。彼女は聡の人間関係を壊し、自分に利益をもたらす道具として使う手口を昔から繰り返していた。今回もルーセリス達を奴隷商人に売れるかもしれないと考え、悪意を向けていた。
拠点への尾行
麗美はフードで顔を隠し、ゼロスの後を追った。彼女は弟の住処を突き止め、金目のものを奪うつもりでいた。しかし、ゼロスが自分の性格と行動を最も理解していることにも、食堂の子供達に獲物を見るような目で見られていたことにも気づいていなかった。
帰還したウーケイ達
ゼロスが自宅前に着くと、ウーケイ達が戻ってきていた。彼らはファーフラン大深緑地帯で黒い異質なドラゴンのような魔物と戦い、逃がしてしまったと語った。体に無数の人面が浮かぶその魔物は、ゼロスの知識にも該当せず、彼は邪神に近い不気味な特徴を思い浮かべた。
罠の準備
家に入ったゼロスは、スライム核や白陽樹の樹液、鉄のインゴットなどを取り出し、木工接着剤と鉄粉を用意し始めた。そこへアドが目を覚まし、ゼロスはシャランラが街に入り込んでいることを説明した。アドは、ゼロスと姉の関係があまりに険悪であることに苦い顔をした。
隠された過去
ゼロスは、アドが過去にイサラス王国で危険な実験に関わっていた可能性を察していた。アドもまた、ゼロスと戦った過去を思い出し、絶対に知られてはいけないと心に決めた。ゼロスは追及を避けたが、アドの不用意な言葉で疑惑はほぼ確信へ変わった。
姉弟の宿業
ゼロスは、麗美がゲーム内でもPK職として活動しており、殲滅者達に処刑されたことがあるのではないかと推測した。現実でもゲームでも引き合い、争う姉弟関係に、アドは呆れた。ゼロスは、この世界なら指名手配犯である姉を正義の名のもとに始末できると、迷いなく語った。
アドの恐怖
ゼロスは賞金目当てでアドにもシャランラを始末しないかと誘ったが、アドは手を汚させようとしていると拒んだ。ゼロスの憎悪は、アドにとってユイとは別種の恐ろしさだった。アドは、ゼロスを敵に回すことだけは避けたいと本気で感じた。
悪魔達の庭先
ゼロスの家を見つけたシャランラは、庭先にいる黒と白のコッコ達を見て侵入を断念した。三羽どころか雛を含めて二十羽ほどおり、影に潜っても気づかれる危険が高かった。ゼロスの財産を奪うには直接侵入できず、彼女は生活を壊す別の手段を取ろうと考えた。
気づかぬ視線
シャランラは逆恨みを募らせ、ゼロスの生活を壊すために動き出した。しかし、彼女自身もまた一人の男に見つめられていた。その男の存在に、シャランラは最後まで気づいていなかった。
第七話 シャランラ、飛んで火に入るなんとやら
シャランラの潜入とゼロスの包囲網
標的の調査
シャランラは数日かけて、ゼロスの人間関係を調べていた。公爵家とのつながりは厄介だったが、直接配下にいるわけではないと見て、次に教会のルーセリスや居候中の女性傭兵達に目をつけた。メーティス聖法神国の司祭長を利用するのは危険と判断し、傭兵達に取り入る方針を立てた。
弱った女の演技
シャランラは衣服を汚し、食事不足で弱っている状態を利用して、幸薄い女を装った。買い物中のルーセリスとジャーネの前で倒れ、衰弱しているように振る舞った。二人は彼女を放っておけず、傭兵ギルドの食堂へ運び、話を聞くことになった。
偽りの転落人生
シャランラは、夫に売上金を持ち逃げされ、借金で店を失った女という嘘の身の上を語った。さらに戸籍もなく、娼婦として働くことも難しいと説明されると、自力でなんとかすると弱々しく振る舞った。ルーセリスは見捨てる後味の悪さを感じ、期限付きで教会の薬草畑を手伝わせることにした。
疑うルーセリス
教会へ向かう途中、ルーセリスは彼女がゼロスの姉ではないかとジャーネに小声で話した。ジャーネは手配書と雰囲気が違うため迷ったが、ルーセリスは演技なら恐ろしいと感じていた。二人は別人であってほしいと思いながらも、しばらく様子を見ることにした。
魔窟の養護院
シャランラは教会へ入り、カエデを奴隷として売れば高くなると考えた。だが、カエデはその悪意を察したかのように斬ってよいかと口にし、シャランラを震え上がらせた。さらに子供達も、見えないところでなら斬ってよいと軽く肯定し、シャランラは養護院を魔窟だと感じた。
朝の鍛錬
翌朝、教会ではゼロスとカエデが真剣で激しい鍛錬を行い、イリスもメイケイに鍛えられて宙を飛んでいた。ジョニー達やウーケイ達もその光景を当然のように受け入れており、シャランラは非常識な戦力ばかりだと知った。彼女は聡がこの世界で法律の枷から外れていることを痛感した。
物置のザボン
ゼロスは朝食を物置に運び、そこに隠れているザボンへ渡した。ザボンは明かり窓からシャランラの様子を見ており、騙されていたとしても一緒にいた時間は幸福だったと語った。ゼロスは彼が命を捨てる必要はないと考えたが、ザボンは自分のけじめとして協力する覚悟を固めていた。
ゼロスの憎悪
ゼロスは、麗美が両親の死後も財産を喜び、聡の相続分まで狙った過去をザボンに語った。四十年にわたる憎悪は深く、彼は自分が殺しに行く前にザボンへ決着の機会を譲ると告げた。ザボンは、ゼロスの中にある深い闇を感じ取り、彼が普通ではないと静かに思った。
公爵家への報告
ゼロスは裏口から出て、公爵家の別邸へ向かった。裏門の騎士に、ツヴェイトを狙った指名手配犯らしき人物が教会に入り込んだと伝え、クレストンへ手紙を届けるよう頼んだ。彼はすぐに捕縛せず、逃走経路を塞ぐため慎重に包囲網を作るべきだと説明した。
手配書の掲示
ゼロスは、街の外周や波止場から先にシャランラの手配書を貼り出すつもりだった。波止場は犯罪者が追っ手をまきやすい場所であり、先に逃げ道を塞ぐ必要があった。その日、波止場を含む街の外壁沿いには、シャランラの手配書を貼った掲示板が大量に設置された。
第八話 おっさんの悪意
シャランラの正体露見と賞金首狩り
一週間の潜伏
シャランラは教会に入り込んで一週間、ゼロスの人間関係を探っていた。ルーセリスやジャーネを利用するつもりでいたが、子供達の勘の鋭さやレナの読めなさが厄介だった。彼女は時間が残されていない焦りから、ルーセリス達の筆跡を手に入れ、借金を背負わせる計画を進めようとした。
レナの見抜き
シャランラは台所にいるジャーネとレナの会話を盗み聞きした。ジャーネはシャディがゼロスの姉か疑っていたが、レナは彼女が嘘で作った仮面を被っていると見抜いていた。シャランラは、騙せていたのがジャーネだけであり、レナには最初から信用されていなかったことを知って焦った。
受領書の盗難
シャランラは執務室に入り、ルーセリスとジャーネの署名がある受領書を盗んだ。二人の筆跡を使って金を借り、奴隷商人に売るための足がかりにするつもりだった。しかし、本来の目的である【回春の秘薬】の解毒薬入手から外れ、ゼロスへの嫌がらせに行動がずれていることには気づいていなかった。
イリスの鑑定
執務室を出たシャランラは、イリスに掃除をしていたと誤魔化そうとした。だが清掃道具を持っていない不自然さを突かれ、さらに【鑑定】で職業や名前、転生者であることまで見抜かれた。シャランラは、イリスも転生者であり、自分がすでにゼロスの罠の中にいることを悟った。
完成した包囲網
イリスは、ゼロスが街中に手配書を掲示し、公爵家や衛兵にも通報済みであることを伝えた。【シャドウ・ダイブ】対策の魔導具まで用意されており、シャランラは逃げ場を塞がれていた。さらにゼロスから、処刑台ではなく直接殺しに行くという伝言も告げられた。
イリスの先制
追い詰められたシャランラは、ナイフでイリスに襲いかかった。だがイリスは壁を蹴って宙に舞い、回し蹴りと正拳突きでシャランラを圧倒した。イリスは賞金を狙っており、シャランラを自分達の生活のための犠牲にすると宣言した。
賞金稼ぎ達
ジャーネとレナも加勢し、さらに窓から逃げたシャランラをジョニー達やカエデが追った。カエデは賞金ではなく試し斬りを目的にしており、魔力を込めた斬撃でシャランラの魔導具を破壊した。シャランラは閃光の魔導具を使って視界を奪い、なんとかその場から逃げ出した。
街中の追跡
逃げたシャランラには、ご近所の住民達も賞金目当てで襲いかかった。家族の生活や結婚式の資金など、それぞれの目的を持つ者達に追われ、シャランラは悪態をつきながら逃走した。彼女は自分が他人を犠牲にしてきたことを棚に上げ、自分が追われる立場になったことに怒っていた。
傍観するゼロス
ゼロスはルーセリスとともに、シャランラの捕縛劇を距離を置いて見ていた。ルーセリスは少し騙されそうになったと認め、ゼロスはそれが姉の手口だと説明した。彼は逃げられても別の手を打ってあり、船着き場や潜伏先にも先回りできると考えていた。
式神による復讐
ゼロスは、シャランラが計画を失敗した後に逃走資金を作ろうとする行動パターンを把握していた。彼は【式神】を使って監視し、安心したところで絶望へ叩き落とすつもりだった。こうしてサントールの街では、賞金首であるシャランラを追い詰める狩りが始まった。
第九話 おっさん、シャランラを掌のうちで弄ぶ
シャランラの逃走とゼロスの科学捜査
深夜の逃走
シャランラは、サントールの街を必死に逃げ回っていた。街中には手配書が貼られ、住民や賞金稼ぎ、衛兵や騎士達が彼女を捜していた。街門や船着き場も押さえられ、【シャドウ・ダイブ】で逃げようとしても対策されていたため、彼女はゼロスへの恨み言を吐きながら逃走を続けていた。
姿写しの指輪
シャランラは、教会で盗んだルーセリスとジャーネの筆跡を使い、二人に借金を背負わせようと考えた。【姿写しの指輪】でルーセリスに化け、裏街の高利貸しへ向かった。逃亡のために使えばよい道具を、ゼロスへの嫌がらせに使ってしまうあたり、彼女は復讐心に判断を曇らせていた。
借金取りの来訪
早朝、ゼロスが新聞を読んでいると、イリスが慌てて駆け込んできた。教会には、ルーセリスとジャーネが借金をしたと主張する取り立て屋達が押しかけていた。ゼロスは、二人の筆跡が盗まれたのだろうと即座に見抜き、準備していた対策を持って教会へ向かった。
交渉人ゼロス
教会では、取り立て屋達が証文を示し、金を返せなければ娼館で働かせると迫っていた。ゼロスは割って入り、姿を偽る魔導具が存在する以上、目撃証言だけでは本人とは限らないと指摘した。さらに、偽れない証拠として指紋を調べると宣言した。
指紋の検証
ゼロスは器具を取り出し、ルーセリスとジャーネの右手親指の指紋を採取した。木工接着剤を気化させ、粉末で指紋を浮かび上がらせる方法で、証文の指印と照合した。結果、証文の指紋は二人のものと一致せず、別人がなりすまして借金したことが証明された。
裏社会の敵意
取り立て屋達は、自分達がシャランラに詐欺を働かれたと知って激怒した。彼らは裏社会の面子を潰されたと受け取り、手勢を集めてシャランラを追うことにした。これにより、シャランラは衛兵や賞金稼ぎだけでなく、裏社会からも狙われる立場となった。
意図された放置
ルーセリス達は助かったことに感謝したが、イリスはゼロスが事前に手口を読んでいたのなら、もっと早く動けたのではないかと指摘した。ゼロスは、シャランラが清廉潔白を装うのが巧みであり、自分が直接対面すれば感情が爆発しかねないため、彼女が実際に罪を犯した瞬間を狙ったのだと説明した。
復讐者の笑み
ゼロスは、シャランラが今回の失敗でさらに追い込まれたことに満足していた。彼女をただ捕まえるだけではなく、絶望に落としてから裁くつもりであり、その様子にイリス達は引いていた。ルーセリス達は、肉親を殺す罪を見過ごしてよいのか悩んだが、本気のゼロスを止めることはできないと感じていた。
裏社会の包囲
教会での検証から三時間後、シャランラは裏社会の男達に囲まれた。彼らは証文の指紋から彼女の詐欺を知り、貸した金を利子付きで返せと迫った。シャランラはしらを切ろうとしたが、ゼロスが科学捜査の手法を教えたことを知り、また弟に邪魔されたと怒りを募らせた。
墓地への逃走
シャランラは【シャドウ・ダイブ】で影に潜り、男達の包囲を抜けた。しかし、その弱点もすでに知られており、長く隠れ続けることはできなかった。彼女は人気の少ない北側の墓地へ逃げ込むことを決めたが、その動きは建物の上からゼロスに見られていた。
死神の追跡
漆黒の装備をまとったゼロスは、シャランラの行き先が共同墓地だと見抜いた。式神の時間制限がある中、取り立て屋達が彼女を追い込んだことを利用し、復讐作戦の仕上げへ向かった。サントールの街の夜に、ゼロスは死神のようにシャランラを追い始めた。
第十話 おっさんは野暮な真似をせず、静かに見守る
共同墓地の対峙と毒婦への罠
墓地への追跡
ゼロスは共同墓地までシャランラを追い、さらに彼女を尾行するザボンの姿を見つけた。ザボンがどうやって居場所を突き止めたのかは分からなかったが、ゼロスは被害者である彼に先約があると考え、すぐには手を出さず様子を見ることにした。
ザボンの決意
ザボンは、シャーラとシャランラが同一人物だと知りながらも、なお真実を確かめようとしていた。騙された怒りと、信じたい思いの間で揺れながらも、この場で決着をつけなければ前に進めないと覚悟した。彼は小さな教会へ忍び込み、シャランラに声をかけた。
忘れられた男
シャランラはザボンの顔に見覚えがあったが、名前を思い出せなかった。それでも、かつて自分が騙した男の一人だと判断し、淑女の仮面を被って応対した。彼女は記憶が薄れたと嘘をつき、再びザボンを利用できるか探ろうとした。
偽りの悲劇
シャランラは、自分は秘薬の実験台にされ、ゼロスに命を狙われていると嘘を語った。涙を浮かべ、か弱い被害者を演じることで、ザボンの同情と執着心を利用しようとした。しかしザボンはすでにゼロスと接触しており、ゼロスから高価な魔法薬を受け取っていた。
目の前の解毒薬
ザボンが持っていた薬は、シャランラが求めていた解毒薬だった。彼女はゼロスがそれを他人に渡していたことに腹を立てながらも、目の前の薬を奪えば助かると考えた。薬が手に入ればザボンは用済みだと判断し、彼を殺して始末する計画へ切り替えた。
裏切りの抱擁
ザボンは、薬があればシャランラは生きられるから、また一緒に暮らそうと歩み寄った。シャランラは怯える女性を演じて抱きしめられたが、内心では侮蔑し、隙を見てナイフを抜いた。彼女はザボンの心臓を狙って突き刺し、自分の好みではないと告げて笑った。
死ななかったザボン
シャランラが魔法薬を手に取った直後、ゼロスが姿を現した。ザボンは殺されたはずだったが、【身代わり人形】や【贄の形代】によって生き延びていた。ゼロスは、シャランラが殺人まで犯す様子を最初から見ており、彼女の本性を改めて暴き出した。
掌の上のシャランラ
ゼロスは、ザボンが自分の物置に隠れてシャランラを監視していたことを明かした。指紋照合や魔法薬の囮もすべて、彼女の性格と行動を読んだうえで準備したものだった。シャランラは、この世界では日本の法律に守られず、弟が自分を計画的に追い詰めていたことを悟った。
天敵としての聡
シャランラは、聡が【殲滅者】として強いだけでなく、自分の行動を読み切る天敵であることを初めて理解した。文明水準の低い世界ならいつも通り騙せると油断していたが、その油断こそがゼロスに利用されていた。ゼロスは、次は自分の番だと告げ、シャランラを逃がすつもりがないことを示した。
第十一話 おっさん、マジギレする
シャランラの最期と墓地破壊の後始末
礼拝堂の殺し合い
ゼロスは共同墓地の教会でシャランラを追い詰め、わざと斬撃を外しながら恐怖を刻み込んでいた。実力差は圧倒的で、シャランラは逃げ回ることしかできなかった。ゼロスは彼女に残された道は死だけだと告げ、情け容赦なく攻撃を続けた。
形代の痛み
ゼロスは一度シャランラを斬り捨てたと思ったが、彼女は【贄の形代】によって生き残っていた。しかし残っていた形代は低品質で、部位欠損は防げても痛みは完全に消せなかった。ゼロスはその現象に興味を示しながら、さらに攻撃を重ねた。
切れた憎悪
シャランラは、自分が恨まれるようなことをしたのかと平然と口にした。ゼロスは中学時代から彼女に騙された男達の後始末を押しつけられ、財産を食い潰され、会社を追われた過去を怒りとともにぶつけた。シャランラが反省どころか責任転嫁を続けたことで、ゼロスは完全に激昂した。
墓地を焼く爆発
ゼロスは手加減をやめ、【エクスプロード】で礼拝堂の半分と周囲の墓地を吹き飛ばした。さらに大鎌でシャランラを何度も斬り、彼女は形代で致命傷を避けながらも激痛に苦しんだ。シャランラは初めて死の恐怖を実感し、命乞いをしたが、ゼロスは無表情で攻撃を続けた。
魔封爆弾
追い詰められたシャランラは、生き残るためにインベントリー内の切り札を探した。ゼロスの大鎌が迫る瞬間、彼女は【魔封爆弾】を足元に投げつけ、連鎖爆発を引き起こした。爆発は共同墓地をさらに戦場のような惨状に変え、シャランラは衝撃で遠くへ吹き飛ばされた。
逃げたシャランラ
ゼロスは爆発の中から生きて現れたが、途中から記憶が飛んでおり、自分が何をしていたか覚えていなかった。ザボンはその非常識な耐久力に驚き、シャランラが逃げたことを伝えた。ゼロスはまだ次の手を打ってあると語り、惨状の説明に頭を悩ませた。
奪った魔法薬
シャランラは船着き場近くの廃倉庫へ向かい、ザボンから奪った魔法薬を飲んだ。だが、それは【回春の秘薬】の解毒薬ではなく、使用者をゾンビ化させる【リフレッシュ・エナジードリンク 試作3号】だった。彼女はミイラのような姿へ変わり、ゼロスにまた騙されたことを悟った。
ゾンビ討伐
廃倉庫には、賞金目当てにシャランラを尾行していた傭兵達が突入した。そこにいたのはゾンビ化したシャランラであり、傭兵達は放置すれば危険だと判断して討伐した。彼女を倒した瞬間、虚空から多くの装飾品や魔導具が現れ、傭兵達は莫大な賞金と予想外の戦利品を得た。
ラッキースター
シャランラを討伐した傭兵達は、得た報酬と魔導具をもとにさらに奮闘するようになった。数年後、彼らは【ラッキースター】と名乗り、最強傭兵パーティーの一角として名を轟かせることになった。
公爵への報告
墓地での戦闘から二日後、ゼロスはデルサシス公爵に事後報告を行った。墓地を大きく破壊したことで叱責されたゼロスは、預金と【ブリザード・カイザードラゴン】の鱗を修復費に充てると申し出た。だが鱗の価値は想像以上に高く、修復費を払ってもなお貯金が増えると知り、ゼロスは恐怖しながら迷惑料として鱗を無料進呈しようと頼み込んだ。
第十二話 おっさん、一応本気で告る・・・・・・おや?
ザボンの旅立ちと新たな黒い影
船着き場の別れ
ゼロスは船着き場でザボンを見送り、姉が迷惑をかけたことを謝罪した。ザボンは自分が間抜けだっただけだと返し、これまで通り漁師として生きていくと告げた。二人は握手を交わし、ザボンは振り返らず船へ乗り込んだ。
過ぎた慰謝料
ザボンは船上で、ゼロスから渡された小袋の中身を確認した。そこには大粒の宝石が複数入っており、迷惑料として好きに使えという手紙も添えられていた。善良なザボンは受け取れないと混乱し、船を戻せと騒いだが、船員達に止められた。
墓地破壊の報告
ザボンを見送ったゼロスは、デルサシス公爵へ墓地破壊の報告に向かい、やりすぎだと叱責された。修復費はゼロスの預金と【ブリザード・カイザードラゴン】の鱗で賄うことになったが、鱗の価値があまりに高く、修復費を払ってもゼロスの貯金が増えるほどだった。
教会での報告
ゼロスは教会へ戻り、ルーセリス達にザボンの見送りと公爵への報告を話した。ジャーネ達は、墓地の修復費を簡単に支払えることや、龍王の鱗を無料で渡したことに絶句した。ゼロスは今後は手加減するよう釘を刺されたと語った。
ジャーネへの言葉
ゼロスは、ジャーネが人を信じる性格であることを責める必要はないと話した。さらに、変にすれておらず可愛らしいと本人に告げ、ジャーネは真っ赤になって固まった。ルーセリスは、ジャーネが照れているのだと説明し、彼女の初心な性格を懐かしんだ。
突然の求婚
ゼロスは真面目な話として、ルーセリスとジャーネに結婚してほしいと告げた。あまりに唐突な発言に三人は固まり、イリスが最初に反応した。ゼロスは年齢差や二人同時に妻に迎えることを悩んでいたが、厄介な問題が片付いたことで思い切ったのだと説明した。
ルーセリスの即答
ルーセリスは、末永くお願いしますと言うつもりだったほど前向きだった。彼女は家族への憧れや【恋愛症候群】の兆候もあり、自分の目と本能を信じると決めていた。一方、ジャーネは急な求婚に思考停止し、赤面したまま固まっていた。
ジャーネの背中
ルーセリスは、ジャーネがゼロスに気があることは間違いないが、奥手で踏み出せないのだと見ていた。さらに、ジャーネを襲って既成事実を作ってほしいとまで言い出し、ゼロスとイリスを驚かせた。ゼロスは強引な手段ではなく、二人で話し合う場を用意する方向へ考えを改めた。
廃倉庫の黒い意思
薄暗い廃倉庫では、負の感情を持つ無数の意思が集まっていた。怒り、憎しみ、悲しみ、望郷、苦痛が結合し、灰を媒体に黒い影のような体を作り出した。その中にはシャランラの欲望と怒りも混じっており、影はメーティス聖法神国と四神、そして聡への復讐を求めて動き出した。
不審死の始まり
黒い影は同種の存在と合流するため、闇の中へ消えた。数日後、評判の悪い傭兵が骨のように干からびた変死体で発見され、それをきっかけに各地で人や動物、魔物の不審死が相次いだ。原因は分からず、正体が判明するまでには時間がかかることになった。
ザボンの日常
ザボンは実家に戻り、漁師としての日常へ戻った。しかし心には虚無感が残り、以前のように仕事へ打ち込むには時間が必要だった。ゼロスから渡された宝石は高価すぎて手元に置くのも怖く、返すべきか悩むことが、かえって彼の気を紛らわせていた。
給仕の告白
食堂で日替わりランチを頼んだザボンに、いつも明るく接してくれる給仕が突然想いを告げた。彼女は以前からザボンを好きで、シャーラを生理的に受け付けなかったと話した。返事は心の傷が癒えてからでよいと言い残して厨房へ戻り、ザボンは呆然とした。
嫉妬の結婚式
食堂にいた客や漁師仲間達は、給仕に告白されたザボンへ嫉妬を向けた。その後、彼は仲間達から制裁を受けることになった。半年後、ザボンは彼女と結婚し、漁師仲間の殺意混じりの嫉妬を浴びながら盛大な式を挙げることになった。
第十三話 おっさん、巻き込む ~復活の邪神ちゃん〜
アルフィアの復活と危険な真実
地下室の目覚め
培養槽の中で、アルフィア・メーガスは目を開けた。肉体は安定し、事象管理システムの完全掌握には至らないものの、強制介入プログラムの作成は完了していた。彼女は自由を得る時が近いと感じながら、四神からマスターコードを奪う必要を改めて認識していた。
異世界人の魂
アルフィアは、邪神戦争期に犠牲となった異世界人達の魂が、今も世界に彷徨い続け、摂理を崩壊させる毒になっていることを把握していた。転生者の魂は基本的に回収されるよう調整されていたが、一部はこの世界に留まっていた。四神の悪ふざけに近い扱いを知り、アルフィアは怒りを抱いていた。
四神への対策
アルフィアは、四神をおびき出してマスターコードを奪う方法を考えていた。聖域に逃げ込まれれば手が出せず、事象干渉プログラムで穴を開ける方法も世界への影響が大きすぎた。異世界の魂達を救うためにも、まずは異常進化種に干渉している魂の回収を優先するしかなかった。
世界崩壊の危機
異常進化した生物は、摂理から逸脱した存在であり、レベル上限に達すると魂に蓄えられた力で時空間に爆発を起こす危険があった。その結果、次元の壁が壊れ、他世界との接触による連鎖崩壊へつながる可能性があった。アルフィアは、自浄作用を活性化し、イレイザー達に異常進化種を狩らせることを考えた。
イレイザー達への不安
アルフィアは、イレイザー達が魔物狩りに協力する可能性を見込んだが、彼らの性格に不安を覚えた。戦闘狂や獣人好き、速度中毒者など、非常識な者ほど強い傾向があり、まともな者達は能力面で心許なかった。彼女はひとまず外に出ることを優先し、魔力を集め始めた。
不完全燃焼のゼロス
一方、ゼロスはシャランラを葬ったことに後悔はなかったが、どこか虚無感を覚えていた。彼は、他人の手ではなく自分の手でシャランラを徹底的に追い詰め、絶望させてから始末したかったのだと気づいた。だが、肉の美味さで気分を切り替え、前向きに生きようとした。
龍王のホルモン焼き
ゼロスが一人で龍王のホルモンを焼いているところへ、クレストンとアドが訪れた。二人は龍王の肉の美味さに引き込まれ、クレストンもその正体を知って驚愕しながら食べた。ゼロスとアドにとっては地獄の狩りの成果だったが、クレストンには人間二人で龍王を倒したこと自体が非常識だった。
イサラス王国の情勢
食事の途中、ゼロスは車の部品工場の建設状況をクレストンに尋ねた。工場はソリステア魔法王国主導で進んでおり、イサラス王国は財源面で苦しい立場だった。クレストンは、イサラス王国の強硬派やルーダ・イルルゥ平原の獣人勢力の動き次第で、情勢が不安定化する可能性を語った。
旧時代兵器の秘密
アドは、ゼロスがメーティス聖法神国の勇者召喚魔法陣が存在しないと断言する根拠を疑った。ゼロスとクレストンの反応から、アドはイーサ・ランテの旧時代兵器が今も稼働し、ゼロスがそれで召喚魔法陣を破壊した可能性に辿り着いた。二人は、アドが知りすぎた以上、共犯者になるしかないと告げた。
邪神の魔力
その時、ゼロスの家から膨大な魔力が放出された。ゼロスとアドはアルフィアの復活だと察したが、クレストンは旧時代の記録に残る邪神の脅威を思い出し、世界の終わりを覚悟した。ゼロス達は、彼女の目的は四神であり世界を滅ぼすことではないと説明したが、クレストンの恐怖は簡単には消えなかった。
全裸のアルフィア
玄関から現れたアルフィアは、十二の翼と角を持つ少女の姿で復活していた。彼女は歓迎の準備がないことに不満を漏らし、ゼロス達を睨んだ。だが、その姿は全裸であり、三人はまず服を着ろと叫んだ。ゼロスとアドは、少女用の衣服を用意していなかったことに気づき、直視できずに視線を逸らした。
第十四話 ジャーネとルーセリスの結婚観
求婚後の迷いと荒療治
進まない結婚話
ゼロスから勢いで求婚されて数日が経ったが、ルーセリスとジャーネの関係には進展がなかった。イリスは二人がどう考えているのか気になり、結婚するのかと口にした。ルーセリスは結婚を受けるつもりでいたが、ジャーネは突然の話に気持ちが追いつかず、決断できずにいた。
ジャーネの迷い
ジャーネは、ゼロスの求婚が本気なのか、からかわれているのではないかと疑っていた。年齢差や傭兵生活を続けたい思いもあり、結婚後の自分を想像できずにいた。さらに、過去の傷が結婚への希望を持てない理由となっていた。
父親の記憶
深夜、ルーセリスはジャーネの部屋を訪ね、結婚を渋る理由を聞いた。ジャーネの最も古い記憶は、酒に溺れた父親から理由もなく暴力を受けていたものだった。その父親はある日姿を消し、衰弱していたジャーネは養護院に保護されたが、その傷は今も男性への不信として残っていた。
ルーセリスの現実主義
ルーセリスは、ジャーネがゼロスに惹かれている以上、覚悟を決めるべきだと説いた。恋愛小説のような理想的な告白や結婚に憧れても、現実の結婚はもっと限られた出会いの中で決まることが多いと語った。彼女自身はゼロスの自然体に安心しており、結婚に前向きだった。
恋愛症候群への危機感
ルーセリスは、ゼロスへの想いを放置すれば【恋愛症候群恋慕暴走現象】で社会的に死にかねないと危惧していた。ジャーネは初夜への不安や羞恥も抱えていたが、ルーセリスは結婚後に経験することなら今から怯えすぎても仕方がないと受け止めていた。二人で同じ男性に嫁げばよいという考えにも、ルーセリスは抵抗を持っていなかった。
麻痺させられた二人
その後、ゼロスは【パラライズ】の魔法で動けなくされ、同じく麻痺したジャーネを膝の上に抱きつかせる形で座らされていた。これはルーセリスが、男性が苦手なジャーネへの荒療治として仕組んだものだった。イリスも協力させられ、ゼロスを麻痺させるために秘蔵のレアアイテムを使っていた。
置き去りの温もり
ルーセリスとイリスはその場を去り、ゼロスとジャーネだけが残された。ジャーネは真っ赤になって俯き、何も聞かないでほしいと呟くしかなかった。ゼロスは困惑しながらも、麻痺が自然に解けるまでジャーネの温もりを感じながら放置された。
先送りの婚姻届
ルーセリスが戻ると、その手には彼女とジャーネの名が書かれた二通の婚姻届があった。ゼロスは唐突な展開に驚き、ルーセリスから説得を受けながら大いに悩んだ。だが、麻痺から回復したジャーネがごねたため、婚姻届の提出は結局先送りとなった。
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アラフォー賢者の異世界生活日記シリーズ
小説
























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