アラフォー賢者18巻レビュー
アラフォー賢者まとめ
アラフォー賢者20巻レビュー
どんな本?
■ 作品概要
本作は、異世界に転生したアラフォーの大賢者・ゼロスが自由気ままに生きる姿を描いたファンタジー作品の第19巻である。四神教の総本山マハ・ルタートが崩壊し、大国メーティス聖法神国が瓦解したことで、中原は野心ある将軍や貴族たちが覇権を争う群雄割拠の戦乱へと突入する。一方、世界の再生を始めた神(アルフィア)はサントールの街の神官たちに、今後各地に出現・活性化する迷宮(ダンジョン)の脅威から人々を救うよう神託を下す。激動する世界情勢をよそに、ゼロスはアルフィアから無茶振りされた神具づくり(一撃必殺のロマン武器開発)に没頭し、さらに無職で金欠に悩む同郷の転生者・アドを巻き込んで、危険な魔物が徘徊する廃坑ダンジョンへと素材採取の探索に向かう。
■ 主要キャラクター
- ゼロス:【大賢者】の職業を持つ転生者のアラフォー。アルフィアから依頼された神具の製作で悪ノリしてロマン武器を作ったり、ダンジョン内でエビ(ザリガニ)を乱獲して美味しく調理したりと、相変わらずマイペースで非常識な日常を送る。
- アド:ゼロスと同郷の転生者。極度の方向音痴。妻子を養い自分の店を開くための資金と素材を稼ぐため、ゼロスと共に凶悪な魔物が生息するアーハンの廃坑ダンジョンへ足を踏み入れる。
- アルフィア・メーガス:世界の管理権限を取り戻した次世代の観測者(邪神)。メルラーサたち神官に神託を下し未来への備えを促すが、ゼロスの家では相変わらずお好み焼きなどの食事をたかる俗っぽい一面を見せる。
- メルラーサ司祭長:サントールの街の司祭長。アルフィアからの神託と神具を受け取り、迫りくる大ダンジョン時代に向けて人々を救うための組織づくりを始める。
- アーレン・セクマ:元聖天十二将の第八師団将軍。純粋に殺戮と戦争を楽しむ戦闘狂であり、弱小のモルケー公爵を神輿に担ぎ上げて周辺の領地を蹂躙し始める。
- フューリー・レ・レバルト:元聖天十二将の第三師団将軍(伯爵)。英雄王を目指す野心家で、対話と説得により周辺貴族をまとめ上げ、理想の国造りに向けて迅速に行動する。
- クロイサス・ヴァン・ソリステア:ソリステア公爵家の次男。イストール魔法学院で自然魔力を利用した蒸気機関の開発に没頭し暴走事故を起こすが、その裏には将来の戦乱や難民問題を見据え、国の輸送力を高めようとする高い志を持っていた。
■ 物語の特徴
本作の特徴は、世界の根幹に関わるシリアスな変革と、転生者たちのコミカルで常識外れな日常の激しい落差である。メーティス聖法神国の崩壊に伴う群雄割拠の戦乱や、勇者たちの亡命、ダンジョンの活性化による生態系の激変(ダークファンタジーのようなおぞましい魔物の出現や弱肉強食の世界への変化)といったシビアな事態が進行する。一方で、ゼロスとアドがダンジョン内で危険な魔物を一蹴しながら呑気に料理を楽しんだり、クロイサスが研究で爆発騒ぎを起こしたりといったユーモラスなやり取りが展開される。ゲーム的な知識やSF的設定(ダンジョンを生物の進化実験場とする解釈など)を交えながら、過酷な異世界をマイペースに生き抜く姿が他のファンタジー作品と差別化される独自の魅力となっている。
読んだ本のタイトル
アラフォー賢者の異世界生活日記19巻
著者:寿安清 氏
イラスト:ジョンディー 氏
出版社:KADOKAWA(MFブックス)
発売日:2021年12月25日
ISBN:9784046831620
(PR)よろしければ上のサイトから購入して頂けると幸いです。
あらすじ・内容
神の誕生にダンジョンの活性化!? だから異世界生活はやめられない!
アラフォー賢者の異世界生活日記 19
四神教の総本山であるマハ・ルタートが崩壊したため、今後の方針を議論していたメルラーサを始めとするサントールの街の派遣司祭達。そこに突如、アルフィア――神が顕現し、『各地に迷宮が出現するから、種を守るために働け』と神託を伝える。さらに神は、聖約の証に神具を与えると言い残し、まるで幻であったかのように姿を消すのだった。
一方、ゼロス宅に戻ったアルフィアは、早速メルラーサ達との聖約に使うための神具をゼロスに作るよう命じるが、【殲滅者】であり【怪しい行商人】でもあるおっさんが自重できるはずもなく……!?
世界が大きく変革していくなかで、ゼロスはアドを巻き込んだダンジョン探索に出発! 相変わらずマイペースなアラフォーおっさんの異世界ライフ、待望の19巻刊行!!まー
や
感想
四神を僭称する精霊達を封印して世界の管理権限を掌握したアルフィアこと邪神ちゃん。
勇者召喚を乱発して、大量の魔力を消費して魔力枯渇を起こし、世界が崩壊に向かっていたのを歯止め。
魔力を世界各地へ循環させたら地震が頻発。
さらにダンジョンも活性化して構造変化を始めた。
そんな世界が混乱してる時、邪神ちゃんを復活させたオッさんは、、、
ソースを完成させて、お好み焼きを食べようと暴走していた。
ルーセリスのために四神ではない司祭服のデザインを片手間にこなして、、
オッさん、転生者イリスの目はソースにロックオンしていた。
世界は大変なのに平和だなコイツら、、
オッさんの周辺では米の成長が早い程度くらいしか認識はなかった。
それも、コッコ達が対応してくれるのでオッさんの認識は軽かった。
そして、四神封印で「四神教」の教義が完全に崩れ。
元勇者の暴走で半壊していたが、地震で完全崩壊したメーティス聖法神国の首都マハ・ルタート。
その影響で地方の領主達が野心を持ちメーティス聖法神国は散り散りに分裂して群雄割拠して来た。
川村、佐々木など勇者達は、発禁図書を作成した連中と多くの難民を連れて隣国のソリステア魔法王国を目指して移動中。
それ以外では、勇者の子孫で騎士団長だったアーレン・セクマは弱小のモルケー公爵の配下となり武力で領土拡大し。
さらに同じく騎士団長だったフューリー・レ・レバルト伯爵も対話を主体に領土拡大をして行く。
この2人が主体となって群雄割拠している元メーティス聖法神国を再編するが、、
その戦火を逃れ勇者達を筆頭に難民となり隣国へ避難する者もいた。
その難民が多く流れる場所は、隣国のソリステア公爵家の領土だった。
その難民を理由に”自国民を取り戻す”と言ってアーレン、フューリーのどちらかが攻めて来てもおかしく無い。
侵攻されても跳ね返せるようにデルサシス公爵はオッさんから提供された魔導銃の配備を急ぎ。
さらにオッさんがケモブロスくんに見せつけに行った、車両搭載の大砲にも興味を持つが、、
オッさんを刺激しないように気をつけて技術を提供してもらおうと父親のクレストン元公爵と話をする。
さらにオッさんの魔導銃、勇者達が生産した火縄銃で戦争のやり方が変わってしまったと嘆くクレストン元公爵。
それでも変わっていくしか無いと、新技術を積極的に取り入れて行くデルサシス公爵となかなかに時代を見るのに機敏な2人の有能さが際立つ。
その2人の話の中心になったオッさんは、アドの生活を安定させるために変動中で、調査に入った傭兵が1人も帰還しないので立ち入り禁止となったダンジョンへと不法侵入。
ダークファンタジーでクリーチャーな人族を蹂躙しながら、薬草などの素材採取に勤しむ。
そのダンジョンは、邪神ちゃん復権によるエネルギーの充実のせいか、ダンジョンのモンスターの生態が変動しており。
食物連鎖が発生しており、調査に入った傭兵達はモンスターの餌となっているだろうとかなりエゲツない状況になっていた。
そんなダンジョンのモンスターを相手に、オッさんとアドは下らない話をしながら駆逐し。
さらに傭兵ギルドに匿名で報告するため。
焚き火を囲みながらオッさんが報告書。
アドがイラストを描いていた。
一方、セレスティーナ達が居る学園では革新的な魔導を習得した生徒達(ツヴェイト、クロイサス等)に教師が教えを乞うという何のための学園か分からなくなってしまう状況になってしまった。
そのせいで、以前は劣等生として差別されていたが、今は教える側になったセレスティーナは、ストレスを溜めて夜遅くまで執筆活動に勤しんでしまう。
前は腐のエネルギー溢れる話を書いていたセレスティーナだったが、悪役令嬢モノを執筆しており普通に面白い。
だが、それを読むセレスティーナ付きのミスカが腐った成分が足りないとクレームを付けているのが、、、
このメイド、マジで害悪じゃ無いか?w
最後までお読み頂きありがとうございます。
(PR)よろしければ上のサイトから購入して頂けると幸いです。
アラフォー賢者18巻レビュー
アラフォー賢者まとめ
アラフォー賢者20巻レビュー
考察・解説
ゼロスの神具製作
『アラフォー賢者の異世界生活日記 19』における「ゼロスの神具製作」は、邪神アルフィアからの依頼に応えたものであるが、彼自身のマイペースな趣味や悪ノリが多分に混ざった過程として描かれている。
理想の調味料研究の裏で完了していた製造スケジュール、鈍器としての耐久性も備えた美しい女神像のデザイン、クトゥルフ神話めいた魔法文字の刻印と魔力強制吸収の代償システム、そして特撮ヒーローや魔力収束砲のギミックを取り入れたロマン武器の開発にいたる全容は以下の通りである。
理想のソース調合を成功させた歓喜と依頼後わずか4日で完了していた製造
ゼロスは地下工房で、長年の試行錯誤の末に理想のお好み焼きソースを完成させてマッドサイエンティストのように歓喜していた。
・アルフィアやルーセリスたちから、神器や神官服はどうしたのか、と呆れられる。
・しかし、実はそれらは依頼からわずか4日(ソース完成の3日前)には既に終わらせていた。
・余った時間でソースの研究に没頭していただけであったことが判明する。
十二の翼を持つ女神像の純白デザインと三種合金の芯柱による打撃耐久性
完成した神器のベースは純白の杖であり、上部には十二の翼を持つ女神像が背中合わせに二体彫られ、その翼が水晶球を包み込むように固定しているという、神聖で息を呑むほど美しい造りであった。
・補強として入れられた芯柱には、ミスリル、オリハルコン、ダマスカス鋼の合金が使われている。
・これにより、鈍器としての打撃戦にも耐えうる実用性も備えている。
クトゥルフ神話めいた呪術刻印と安易な奇跡を制限する四肢再生の魔力吸収
神器には、光魔法効果増幅(大)、魔力増幅(強)、魔力強制吸収(激強)、という極めて強力なスキルが付与された。
・呪い関係が苦手なゼロスのささやかな嫌がらせとして、魔法文字で、フグルム・フグルィ・アルフィア・アルフィミィ・イア・イア、とクトゥルフ神話めいた言葉が刻まれている。
・後にアルフィアからアダン司教ら神官たちに与えられた際、この魔力強制吸収は、使用者の魔力を代償にして神気を引き出す儀式の触媒、として機能することが明かされる。
・これは安易に奇跡を振るわせないための防衛策であり、命の危機を対価に、失った四肢をも再生させるほどの絶大な神聖魔法を発揮させる。
高圧圧縮コインを用いた魔力収束砲の試作と魔法符読み込み式戦斧の改造案
ゼロスは神器製作の合間に、遊び感覚でもう一つの試作魔杖を作り出していた。
・それは神器と同じ形状でありながら、横のスリットに魔力を高圧圧縮したコインを入れる構造を持つ。
・持ち手を捻ることで魔力収束砲を放つことができるという、完全な兵器(ロマン武器)であった。
・一撃必殺の兵器の登場に転生者のイリスは熱狂したが、ジャーネたちはその物騒さにドン引きする。
・さらに、純粋な物理打撃を好むルーセリスのためには、戦斧のスリットに魔法符を読み込ませて合成魔法を放つ、という特撮ヒーローの武器のような改造案まで熱弁し、彼女を困惑させた。
まとめ
ゼロスの神具製作は、世界の未来に関わる重要なアイテムを生み出しているにもかかわらず、本人のマイペースな日常やロマン追求の延長としてコミカルに描かれている。お好み焼きソース開発の片手間で4日以内に神器を完成させる驚異的な製造能力を示しながらも、クトゥルフ神話風の呪文刻印や、三種合金による鈍器性能の付加など、ゼロス固有の悪ノリと実用主義が随所に反映された。命を代償に四肢を再生する厳格なシステムを持たせる一方で、コイン式魔力収束砲や魔法符読み込み戦斧といった特撮ギミックに情熱を燃やす姿は、彼が常識外れの技術を独自の趣味として消費している現実を厳密に証明している。
異世界の技術開発
『アラフォー賢者の異世界生活日記』における「異世界の技術開発」は、かつて高度な魔法文明が邪神戦争によって滅びて中世レベルにまで後退した世界に、転生者や勇者たちの地球の知識が持ち込まれることで引き起こされる、急速な産業革命や軍事革命として描かれている。
魔法不要の火縄銃に対抗する魔導銃の試作、三国間での部品生産分担による魔導自動車の量産、職人と魔導士の衝突を伴う技術水準の強引な押し上げ、土木魔法を用いたインフラ整備の劇的向上、そして戦争激化や公害を危惧する転生者と国益へ利用する為政者の思惑にいたる全容は以下の通りである。
アサルトライフルやハーフトラックの登場による大量虐殺時代への移行の危険性
メーティス聖法神国に召喚された勇者たちの知識により、魔法を使わずに弾丸を撃ち出す火縄銃が開発された。
・これに対抗するため、ソリステア魔法王国のデルサシス公爵は、旧時代の遺物とゼロスらの知識を参考に、魔法の爆発力を利用した魔導銃の設計と試作をクロイサスらに命じた。
・アサルトライフルや大砲、ハーフトラックなどの近代兵器の登場は、従来の剣や魔法による戦争を根底から変える。
・女性や子供でも容易に敵を殺傷できる大量虐殺の時代へと移行させる危険性を孕んでいる。
魔石を動力とするモーター搭載車両の開発と三国間での部品生産量産体制
ゼロスとアドは、魔石を動力とする魔導式モーターを搭載した魔導式モートルキャリッジ(魔導自動車)やバイクを開発した。
・これは馬車よりも速く、兵力や物資の輸送能力を飛躍的に向上させる。
・そのため、デルサシス公爵はイサラス王国やアルトム皇国と連携し、三国間で部品生産と組み立てを分担する量産体制を構築した。
・さらに、軍用車両であるモトラックの開発も急ピッチで進められ、職人と魔導士が専門知識の相違で衝突しながらも、技術水準を強引に押し上げている。
実用レベルの蒸気機関車発展と全自動で組み立てを行う万能工作機械の完成
魔石への依存と魔導式モーターの量産難航を危惧したクロイサスと学生たちは、新たな動力として蒸気機関の研究に着手した。
・ドワーフの鍛冶師の協力により、実用レベルの蒸気機関車へと発展させた。
・一方、ゼロスとアドはダンジョンから回収した旧時代の機材を繋ぎ合わせ、部品の加工から組み立て、魔導錬成までを自動で行う万能工作機械を完成させた。
・これにより、旧時代の高度な技術すら再現可能な環境を整えてしまった。
重機並みの地下街道開通速度と魔石冷蔵庫や乾燥機付きサイロの生活道具試作
ゼロスが開発したガイア・コントロールやロック・フォーミングなどの土木魔法を、ドワーフたちのハンバ土木工業が取り入れた。
・これによりインフラ整備の速度が重機並みに劇的に向上し、地下街道の開通や街の復興が驚異的なスピードで進んだ。
・また、ゼロス個人の趣味と不満から、魔石で動く冷蔵庫、洗濯機、乾燥機付きサイロ、足踏み式脱穀機、唐箕といった生活や農業を豊かにする道具も次々と試作されている。
戦争の激化や環境破壊を危惧する自重と魔導銃士隊構想へのちゃっかりとした利用
ゼロスやアドは、自分たちの持ち込む技術が急激な技術革新をもたらし、戦争の激化や環境破壊(公害問題)、権力者による悪用を引き起こすことを強く危惧している。
・そのため、意図的に技術を秘匿したり、実用性を無視した自分専用のロマン武器にとどめようと自重を試みる。
・しかし、デルサシス公爵のような先見の明を持つしたたかな為政者によって、それらの技術はちゃっかりと国益の拡大や防衛軍備の強化(魔導銃士隊構想など)に利用されてしまう構造となっている。
まとめ
異世界の技術開発は、地球の近代知識が引き金となり、中世的な文明圏に急速な近代化をもたらす歪な過渡期として描かれている。ゼロスらの自重や危惧を置き去りにするように、軍事面では魔導銃や装甲車両の量産体制が国家間で構築され、産業面では蒸気機関や自動工作機械、魔法を応用した高速土木技術が社会のあり方を根底から変えつつある。平和な生活や農業の向上を目的としたはずの技術であっても、したたかな権力者によって速やかに軍事、国益へと回収されていくプロセスは、近代技術そのものが持つ制御不能な破壊力と、それに適応していく異世界社会の強かさを厳密に証明している。
アドの素材探索
『アラフォー賢者の異世界生活日記』において、「アドの素材探索」は主に第19巻で描かれており、妻子を養うための切実な金策と、ゼロスに同行したことで起きる非常識なサバイバルが入り交じったエピソードとなっている。
店舗開業を目指す初期投資を抑えるための危険地帯行き、遭難を回避するためのゼロスの同行、ギルドによる封鎖を破る透明化マントでの不法侵入、希少薬草や巨大エビの乱獲、そして具体的な生活設計を疎かにする姿勢へのゼロスの説教にいたる全容は以下の通りである。
イサラス王国からの金銭的援助の拒絶とマイホーム建設に向けた調達決意
イサラス王国からの金銭的援助を断っていたアドは、妻のユイと生まれたばかりの娘かのんを養い、マイホームを建てるための資金難に直面していた。
・彼は自営業として武具や魔法薬の店を開こうと考えた。
・しかし、問屋から材料を仕入れると資金が圧迫されてしまう。
・そこで初期投資を抑えるために、自ら危険地帯へ赴き素材を調達することを決意する。
チート級の戦闘力の裏にある迷子癖とアーハンの廃坑ダンジョンでの案内役
アドはチート級の戦闘力を持つ一方で、ゲーム時代から他人のナビゲーションがないと確実に迷子になるという極度の方向音痴であった。
・単独での素材集めは遭難の危険がある。
・そのため、ゼロスはほぼ道なりで迷いにくいアーハンの廃坑ダンジョンを提案した。
・ゼロスは気晴らしを兼ねて案内役を買って出ることになった。
大規模な構造変化に伴う完全封鎖の無視と透明化マントによる強行突破
アーハンの村に到着した二人であるが、廃坑ダンジョンは大規模な構造変化と傭兵の未帰還が相次いだため、ギルドによって完全封鎖されていた。
・しかし、素材がないと生活が困窮するアドと、ダンジョンの異常変化を調べたいゼロスの利害が一致する。
・二人は透明化マントを使って、ダンジョンへ不法侵入を強行した。
希少種の薬草採取と雷魔法による巨大エビの感電および氷結バズーカでの巣穴凍結
規格外の力を持つ二人にとって、危険なダンジョンも素材の宝庫でしかなかった。
・薬草と鉱物の採取:森に覆われた第四階層は薬草の宝庫であり、一般的なものから希少種まで採り放題の状態であった。また、川底からは翡翠やダイヤを含む原石も採取でき、一財産を築けそうな手応えを得る。
・ポーション瓶用の珪砂と巨大エビ:魔法薬を入れる瓶を自作するため、川でガラスの材料となる珪砂を探した。その際、透明な川に生息する巨大なエビ(ザリガニ)を発見する。食欲を刺激された二人は雷魔法サンダーを水面に放って感電させ、網で大量に乱獲した。そのままダンジョン内で塩茹でや濃厚なエビスープを作り、絶品料理を堪能した。
・ハッチマーヤの巣:高値で売れる蜂蜜やローヤルゼリー、魔法薬の素材となる毒針を求め、巨大蜂ハッチマーヤの巣へ向かう。まともに戦えば危険な相手であるが、ゼロスがロマンを追求して自作した氷結バズーカを巣穴に撃ち込み、一瞬で凍結させて安全に素材を回収した。
・呪術系素材の回収:気味の悪い魔人たちを倒し、黒い爪やダークエレメントといった呪術系の素材も手に入れる。しかし、アドは犯罪に使われそうだし買い手が限られる、とハズレ枠扱いで愚痴をこぼしていた。
すぐに金になるものを求める姿勢と将来への不安による思考停止の指摘
アドはとにかく、すぐに金になるもの、を求めて行動していたが、年長者であるゼロスから窘められる。
・ゼロスからは、具体的な生活設計が完全に疎かになっている、と指摘された。
・チート能力という恵まれた立場にありながら、将来への不安から思考停止に陥っていたアドは、足元を固めて計画的に生きるよう説教を受けることになった。
まとめ
アドの素材探索は、切実な生活苦という現実的な動機から始まりながらも、転生者特有の規格外な武力と現代知識によってダンジョンの脅威を一方的に解体していくサバイバル劇である。方向音痴や資金難という弱みを抱えつつも、ギルドの封鎖を無視した隠密潜入、重力や氷結の近代兵器もどきを用いた素材の乱獲、川での豪快な密漁とグルメ堪能など、そのプロセスは常識から逸脱している。すぐに現金化できる効率のみを追求してゼロスに生活設計の甘さを指摘される一幕を含みつつも、自立した生活基盤を築くために手段を選ばず突き進む転生者の逞しさを厳密に証明している。
迷宮の異変と生態
『アラフォー賢者の異世界生活日記』における「迷宮の異変と生態」は、世界のシステムと密接に関わる謎多き現象から、過酷な弱肉強食の世界へと変貌していく過程として描かれている。
生命の進化を記録する実験場としての本来の目的、邪神アルフィアによる強制覚醒と既存システムエラーの修正、外部と同じ自然の摂理の適用に伴う獰猛化とスタンピードの脅威、そしてダークファンタジーのような廃墟都市で徘徊する異常進化種や新人類の失敗作にいたる全容は以下の通りである。
生命の進化を記録するための実験場と星の種子を創り出す壮大な役割
迷宮は単なる魔物の巣窟ではなく、その正体は生命の進化を記録するための実験場である。
・ダンジョンコアが地脈の魔力を吸収して空間を拡張し、魔物を繁殖させ、武器や資源を餌として知的生命体を呼び込む。
・魔物と人間を争わせることで双方の成長情報を収集し、やがてこの世界が滅びた際に外宇宙へ放つ「星の種子(新たな惑星の核)」を創り出す。
・以前の迷宮内の魔物は、ダンジョンから魔力供給を受けていたため飢えることがなく、侵入者に対してもどこか遊びのような感覚で襲いかかっていた。
ダンジョンコア同士のネットワーク構築と旧時代無人ロボット再現バグの修正
勇者召喚によって失われた世界の魔力循環を正常化させるため、邪神アルフィアは休眠状態だった世界中のダンジョンコアを強制的に覚醒させた。
・これにより、既存の迷宮を含めて世界中でダンジョンが活発化する。
・アーハンの廃坑ダンジョンでは、ダンジョンコア同士がネットワークでリンクしシステムチェックを行った結果、旧時代の兵器(無人攻撃ロボットなど)や建造物を再現してしまうシステムエラーが修正された。
・同時にフィールドの再編が始まり、第一階層から遺跡型に変わるなど大規模な構造変化が発生した。
・さらに迷宮の再編に支障をきたすとして、調査に入っていた傭兵たちは排除対象とみなされ、魔物を差し向けられて壊滅状態に陥った。
魔物同士の喰らい合いと生存競争を勝ち抜いた狡猾なスタンピードの懸念
異変後の迷宮の生態系における最大の変化は、外部と同じ弱肉強食の自然の摂理が働き始めたことである。
・魔物同士が互いを喰らい合うようになり、アイアンシェルの死骸を巨大な昆虫が捕食したり、グリースピタロス(ワニ型のドラゴン)が巨大カニのギガントクラブに捕食されたりと、凄惨な生存競争が繰り繰り広げられるようになった。
・生存を懸けた環境に変わったことで、魔物たちは野生の獰猛さを発露させ、侵入者に対しても本気で殺しにかかるようになった。
・これにより、迷宮から魔物が外部に放出されるスタンピード(暴走)が起きた場合、最初から過酷な生存競争を勝ち抜いた狡猾で強力な魔物が野に放たれることになる。
・これは人類にとって、これまで以上の甚大な脅威となることが示唆されている。
廃墟都市で共食いを行う魔人と触手から麻痺毒を打ち込むイソギンチャク頭
高濃度の魔力や過酷な環境により、迷宮内では常識を外れた進化を遂げる異常進化種が跋扈している。
・アーハン廃坑ダンジョンの第三階層はダークファンタジーのような廃墟の都市となっており、そこでは人間モドキの生物(魔人)が徘徊し、共食いを行っていた。
・第四階層では、新人類の失敗作とされる不気味な魔物が生息している。
・触手から麻痺と毒を打ち込み、爪に凶悪な腐食性細菌を宿すイソギンチャク頭の魔物「チャクチャック」が確認されている。
・巨大なミミズの頭部と柔軟な体を持ち、強力な消化液で獲物を丸呑みにする「ニョル・ミョルニール」などが、互いに殺し合いを演じている。
・これらはダンジョンが魔力枯渇による生態系の破壊を見越して生み出した試作生物と推測されているが、その生態は本能のみで生きる極めておぞましいものとなっている。
まとめ
迷宮の異変と生態の変貌は、世界の魔力循環を復旧させるための強制措置がもたらした、制御不能な自然淘汰の始まりを描いている。邪神アルフィアの覚醒によってシステムエラーが修正され、純粋な進化の実験場へと回帰した迷宮は、魔物同士の壮絶な共食いを伴う弱肉強食の空間へと塗り替えられた。試作生物であるチャクチャックやニョル・ミョルニール、あるいは共食いを行う魔人といった異常進化種の誕生は、世界の生存戦略が生み出した不条理な産物であり、過酷な淘汰を生き抜いたこれら狡猾な魔物たちがスタンピードとして地上へ溢れ出す大ダンジョン時代の到来は、人類にとって過去最大のサバイバルを強いる危険な転換点となっている。
戦乱と国家情勢
『アラフォー賢者の異世界生活日記』における戦乱と国家情勢は、長きにわたり覇権を握っていた巨大な宗教国家・メーティス聖法神国の崩壊を皮切りに、群雄割拠 of 戦乱の世へと突入していく激動の過程として描かれている。
度重なる災厄による神国の事実上の無政府状態と中原の内乱、周辺小国家の結束を主導するソリステア魔法王国の暗躍、特定の国のみを標的とする獣人族の勢力拡大、そして大陸全土の掌握を狙う西の大国グラナドス帝国の脅威にいたる全容は以下の通りである。
政治中枢の壊滅と大義名分を得て周辺貴族を蹂躙する将軍らの内乱
メーティス聖法神国は、獣人族への敗北、世界的な大地震、そして元勇者の怨霊による政治中枢・聖都マハ・ルタートの壊滅といった度重なる災厄により、事実上の無政府状態に陥った。
・四神教が隠蔽してきた悪事が暴露され信仰の権威も完全に失墜したことで、中原の広大な領土では、貴族たちが生き残りと新たな覇権をかけて互いの領地を騙し討ちで奪い合う凄惨な内乱が勃発する。
・アーレン・セクマ将軍:戦場での殺戮を楽しむ異常な欲求を満たすため、名ばかりの無能なモルケー公爵を神輿に担ぎ、大義名分を得て圧倒的な暴力で周辺の貴族を蹂躙、併呑し領土を拡大している。
・フューリー・レ・レバルト伯爵(将軍):英雄王を目指す野心家であり、対話と説得によって周辺貴族をまとめ上げ、着実に新たな国家基盤を築いている。彼はアーレンを自らが英雄になるための最後の踏み台と見なしており、やがてドゥマー侯爵家が彼に宣戦布告をしたことで、中原全土を巻き込む戦いの幕が上がる。
地下街道開通による安全な交易路確立と四神教の外交的優位性の破壊
メーティス聖法神国の軍事、経済的圧力に苦しんでいた周辺の小国家群は、ソリステア魔法王国のデルサシス公爵のしたたかな主導により、強固な同盟網を形成した。
・ソリステア魔法王国:旧時代の地下遺跡を再利用したイルマナス地下街道を開通させ、他国に略奪されない安全な陸路の交易路を確立した。さらに、神官の特権とされていた回復魔法を魔導士が使えるスクロールとして諸国に無償提供し、四神教の外交的優位性を根底から破壊した。デルサシス公爵は来るべき戦乱の飛び火に備え、画期的な兵站物資となる携帯食料(缶詰)の量産や、火縄銃を凌駕する魔導銃および大砲の開発を急ピッチで進めている。
・イサラス王国:慢性的な食糧難と貧困にあえぐ山岳国家であったが、地下街道の開通やソリステアからの援助により復興の兆しを見せている。メーティス聖法神国の混乱を、かつて奪われた肥沃な領土を取り戻す好機、と捉え、侵攻準備を進めると同時に、敵国の良将であるガルドア将軍の引き抜きなども画策している。
・アルトム皇国:メーティス聖法神国と戦争中であった有翼人種(ルーフェイル族)の国家である。彼らの戦士は勇者にも匹敵する戦闘力を持つ。真なる神(アルフィア)の降臨を感じ取ったことで使徒としての古き血が目覚めたが、神の意思を待つため、あえて現在は静観の構えを取っている。
軍事組織化された獣人族の破竹の進撃と特定国家への復讐の矛先
ルーダ・イルルゥ平原では、転生者ケモ・ブロスの指導のもとで軍事組織化された獣人族が、メーティス聖法神国の北方防衛の要であるカルマール要塞やアンフォラ関門を次々と陥落させた。
・彼らは同胞である奴隷を解放しながら破竹の勢いで進撃している。
・しかし、アドとの交渉によりイサラス王国などとは相互不可侵を結んでおり、その怒りと侵攻の矛先はメーティス聖法神国のみに向けられている。
弱小国への不自然な使節団派遣と大陸全土の掌握を狙う駒の利用推測
メーティス聖法神国のさらに西には、大陸の広大な領域を支配する強大な軍事国家・グラナドス帝国が存在する。
・彼らはイサラス王国などの弱小国に不自然な使節団を送っている。
・これはメーティス聖法神国を多方面から攻めさせて国力を削ぐための駒として小国を利用し、最終的には大陸全土の掌握を狙っているのではないかとゼロスたちは推測している。
まとめ
世界の情勢は、絶対的だった宗教大国の自滅的な崩壊を契機に、新たな領土や覇権、そして魔導兵器といった近代技術を巡る世界大戦の時代へと大きく舵を切っている。聖都の消滅と大罪の暴露に伴い無政府状態となった神国領内では貴族たちの凄惨な内乱が勃発し、これに乗じた周辺小国家群はソリステア魔法王国の戦略的な外交支援によって復興と領土奪還へと動き出している。相互不可侵を守りつつ神国への復讐を完遂せんとする獣人族の軍事力や、小国を駒として大陸掌握を狙う西のグラナドス帝国の不穏な暗躍が複雑に絡み合い、旧時代の常識が通用しない予測不能な戦乱が本格化している。
邪神との食事
『アラフォー賢者の異世界生活日記』シリーズにおいて、「邪神(アルフィア・メーガス)との食事」は、世界を滅ぼしかけた絶対的な存在でありながら、食欲に忠実で威厳の欠片もない彼女のコミカルなキャラクター性を象徴するエピソードとして描かれている。
培養槽で初めて味覚を知った飴玉の差し入れ、満腹にならず顔面から突っ伏して貪り食うフライドオークへの執着、街の屋台や露店商から売買制限をかけられた買い占め騒動、そして究極のお好み焼きソースがもたらした絶叫の感動にいたる全容は以下の通りである。
地下の培養槽で初めて知った美味いという感覚と食道楽へ堕ちるきっかけ
ゼロスの自宅地下にある培養槽で不完全な状態だった邪神に対し、ゼロスが暇つぶしにと飴玉を差し入れた。
・邪神戦争期には情報収集のために生物を取り込んでいたものの、味覚という概念を持ち合わせていなかった。
・彼女はこの時初めて、美味い、という感覚を知り、激しく感動した。
・これが、彼女が食道楽へと堕ちるきっかけとなった。
満腹にならず山盛りの肉を貪る暴食の駄目神と神託を下させる報酬の対価
分体として自由に行動できるようになったアルフィアは、ゼロスの家に勝手に上がり込み、フォークとスプーンを構えて食事を要求するようになる。
・カツカレーを所望するぞ、と堂々と食事を要求する。
・特にフライドオークは大好物であり、食べたものがすぐにエネルギー(量子)変換されるため満腹になることがない。
・山盛りのフライドオークを顔面から突っ伏して獣のように貪り食う。
・ゼロスからは暴食の駄目神やブラックホールと蔑まれているが、出来たてのフライドオークを報酬(対価)にすることで、働くのを面倒がるアルフィアを動かし、神官たちへ神託を下させることに成功している。
子供たちの並ぶ店での一口揚げ菓子買い占めと露天商から出された売買制限
ゼロスの家だけでなく、サントールの街中にも出没し、食べ物を求めて騒動を起こす。
・子供たちが並ぶ店で一口サイズの揚げ菓子「ポワワール」を買い占めようとしてジャーネに羽交い締めにされた。
・串肉の屋台で、金を払うから全部売れ、と店主と揉めたりと、神としての度量や大人げなさが全くない。
・結果として、街の露天商たちから、彼女に限り売買制限、の看板を出されるほど警戒されている。
理想のソースを用いたドラゴン肉お好み焼きの衝撃と一口ずつ丁寧な味わいへの変化
ゼロスが長年の試行錯誤の末に理想のお好み焼きソースを完成させた際、彼はお好み焼き(ドラゴンの肉のベーコン入り)をアルフィアに振る舞った。
・一口食べたアルフィアは、野菜の甘み、ベーコンの旨み、究極のソースが調和した味に衝撃を受ける。
・う~~まぁ~~いぃ~~~~ぞぉ~~~~~~っ!!!と絶叫するほど感動した。
・普段は一心不乱に貪り食うだけの彼女が、この時ばかりは一口一口を丁寧に味わって食べる。
・これにより、ゼロスも、食に意地汚いわけじゃなかったんだな、と認識を少し改めることになった。
まとめ
邪神アルフィアとの食事にまつわるエピソードは、世界の修復という重大な任務を裏でこなす絶対者でありながら、地上では食欲に身を任せて奔走する彼女のポンコツな魅力を如実に表している。飴玉一つで味覚に目覚め、ブラックホールと称される胃袋でフライドオークを貪り、街の屋台で買い占め騒動を起こすなど、神としての威厳は皆無に近い。しかし、ゼロスの作った究極のお好み焼きを前にして美食家のように一口ずつ味わう姿勢を見せるなど、食事を通じたゼロスたちとのユーモラスで奇妙な信頼関係は、物語に絶妙な親しみやすさを与えている。
独自兵器のロマン
『アラフォー賢者の異世界生活日記』において、「独自兵器のロマン」は主人公ゼロスをはじめとする転生者(特に殲滅者たち)の行動原理の中核をなす要素として描かれている。彼らは実用性や安全性を度外視し、自らの趣味と憧れを具現化するために規格外の兵器を開発している。
二足歩行のバランスやコストを無視した男のロマンの追求、ガン・ブレードや八十八ミリ砲搭載ハーフトラックにいたる趣味全開の代表的兵器、自爆装置の組み込みにこだわる殲滅者たちの暴走、そして大量虐殺の道具として量産されることを嫌う技術提供の拒否にいたる全容は以下の通りである。
効率より夢見た憧れを最優先する未完成パワードスーツの試作と暴走事故
ゼロスにとって武器や乗り物の製作は、効率や利便性よりもロマンを満たすことが最優先される。
・人型ロボットやパワードスーツは、二足歩行のバランスの悪さやコストの高さから兵器としての実用性はないと理解していた。
・しかし、男にはいくつも夢見たロマンがある、鋼の機体を操り戦場を駆け抜ける戦士への憧れ、という理由から試作に踏み切っている。
・結果として未完成のパワードスーツをエロムラに装着させ、暴走事故を引き起こしている。
高出力魔力収束砲のギミック魔杖と後輪キャタピラ仕様のドイツ軍アハト・アハト
作中には、ゼロスたちの趣味全開で作られた独自の兵器が多数登場する。
・ガン・ブレード:剣と銃を融合させた武器。ゼロスは、銃は男のロマン、と語り製作したが、希少金属を多用した結果、総重量が重すぎて取り回しが困難な欠陥品となった。
・一撃必殺の試作魔杖:杖のスリットに魔力を圧縮したコインを入れ、持ち手を捻ることで高出力の魔力収束砲を放つギミック武器。また、戦斧のスリットに魔法符を読み込ませ、決め台詞と共に合成魔法を放つという特撮ヒーロー的な武器も構想され、これには同じ転生者のイリスが激しく熱狂している。
・魔導バイクとバンカーシューター:チョッパーハンドルの魔導バイクのサイドカーに、巨大な杭を打ち込むパイルバンカーとリボルバー式シリンダーを組み合わせた攻城兵器を搭載。テストで杭に込めた爆発魔法が想定以上の威力を発揮し、ゼロス自身が冷や汗を流す結果となった。
・八十八ミリ砲搭載ハーフトラック:最初は戦車を作る予定だったが、ゼロスが、普通のトラックでは面白くない、と考え、後輪をキャタピラにし、旧ドイツ軍のアハト・アハトを搭載するマニアックな仕様に変更して完成させた。
青の殲滅者ガンテツの自爆装置スペース問題と限界を超えたオーバースペック
ロマンを追求するのはゼロスだけではない。
・青の殲滅者であるガンテツは、パイルバンカー(バスター・グングニル)を製作した際、自爆装置を組み込むスペースがないと分かって本気で泣き崩れたというエピソードがある。
・彼らの作る武器は往々にして限界を超えた威力を持ち、使用者の能力を強制的に底上げする。
・代わりに、扱いを間違えれば周囲を巻き込む大惨事や使用者自身の自滅を招く。
・アドもまた、兵器にロマンを感じてバズーカを撃ちたがったり、変形合体する小型ロボットを自作して遊んだりしている。
中世の戦争概念を変える大量虐殺への嫌悪と個人趣味の秘匿制限
これらの独自兵器は、中世レベルの異世界においては戦争の概念を根本から変え、大量虐殺を引き起こす危険性を孕んでいる。
・ソリステア魔法王国のイルハンス伯爵などの為政者はその技術力に目をつけ、砦の防衛や軍備拡張に利用しようとゼロスを勧誘する。
・しかしゼロスは、自分の作ったロマン武器が殺し合いの道具として量産されることを嫌悪している。
・大量虐殺の父にはなりたくない、として、あくまで個人の趣味にとどめ、販売や技術提供を固く拒否している。
まとめ
独自兵器のロマンは、転生者たちが持つ現代の特撮・ミリタリー知識が、異世界の圧倒的な魔導技術と融合した結果生み出された、規格外の技術的暴走である。パワードスーツの試作から始まり、ガン・ブレードやコイン式魔力収束砲、88mm砲トラックといったロマン武器は、実用性を度外視しながらも中世文明を遥かに凌駕するオーバースペックな破壊力を備えている。ガンテツの自爆装置へのこだわりやアドの変形玩具製作に代表される殲滅者たちの悪ノリは、一歩間違えれば自滅を招く危険性を孕みつつも、為政者による軍事量産化の誘いを「大量虐殺の父になりたくない」と拒絶し、個人の趣味に封じ込める姿勢によって、奇妙な一線を保ち続けている。
アラフォー賢者18巻レビュー
アラフォー賢者まとめ
アラフォー賢者20巻レビュー
登場キャラクター
転生者・地球の人物
ゼロス
自由を好む大賢者の転生者である。アドの知人であり、周囲からは非常識な行動をとる人物として見られている。
・所属組織、地位や役職
無職の魔導士である。
・物語内での具体的な行動や成果
お好み焼きソースを完成させた。アルフィアからの依頼で白い神器の杖を製作した。アドと共にアーハンの廃坑ダンジョンへ向かい、魔人を掃討した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
試作魔杖を作り、イリスに一撃必殺のロマンを説いている。
イリス
転生者の少女である。大賢者に憧れを抱いている。
・所属組織、地位や役職
傭兵である。
・物語内での具体的な行動や成果
ゼロスが作った試作魔杖の威力に引き寄せられた。レナに男性化薬を飲まされそうになり、貞操の危機に怯えた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項はない。
アド
イサラス王国に滞在する転生者である。極度の方向音痴という弱点を持つ。
・所属組織、地位や役職
イサラス王国の客分である。嘱託魔導士を務める。
・物語内での具体的な行動や成果
家族を養う資金を稼ぐため、ゼロスと共にアーハンの廃坑ダンジョンへ向かった。ゼロスの地下工房でロボット玩具を作って遊んだ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
妻のユイに無神経なことを言えば刺されかねないと恐れている。
佐々木学
メーティス聖法神国に召喚された勇者である。戦闘を激しく嫌がっている。
・所属組織、地位や役職
メーティス聖法神国の勇者である。武器開発班の鍛冶師を務める。
・物語内での具体的な行動や成果
笹木大地から大砲の試作を強要された。ソリステア魔法王国でのアサルトライフル開発の噂を聞き、神国の危機を悟った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
サマっちという愛称で呼ばれている。ソリステア魔法王国への亡命キャラバンに参加した。
八坂学
メーティス聖法神国に召喚された勇者である。保身を考えつつも神国の行く末に不安を抱いている。
・所属組織、地位や役職
メーティス聖法神国の勇者である。
・物語内での具体的な行動や成果
神国の崩壊を受け、部下やその家族を引き連れてソリステア魔法王国への亡命を主導した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項はない。
エロムラ
本名を榎村樹という転生者である。女性にモテたいという願望が強い。
・所属組織、地位や役職
騎士である。ツヴェイトの護衛を務める。
・物語内での具体的な行動や成果
出会いを求めてアーハンの村へ向かい、男性傭兵達に囲まれた。落とし穴のトラップによって貞操の危機から逃れた。ゼロスの地下工房でアドとロボット玩具を作って遊んだ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項はない。
ソリステア魔法王国
デルサシス公爵
ソリステア公爵家の現当主である。冷徹な判断力を持つ。
・所属組織、地位や役職
ソリステア公爵家当主である。
・物語内での具体的な行動や成果
クロイサスに火縄銃と旧文明の魔導具の解析を依頼した。アダン司教と面会し、神官達の国外脱出を支援すると約束した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項はない。
クレストン元公爵
ソリステア公爵家の前当主である。孫娘のセレスティーナを溺愛している。
・所属組織、地位や役職
ソリステア公爵家元当主である。
・物語内での具体的な行動や成果
アダン司教と面会するデルサシスに同席した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項はない。
ベラドンナ
魔導具店の店主である。クーティーの素行に悩まされている。
・所属組織、地位や役職
魔導具店店長である。
・物語内での具体的な行動や成果
魔導式モートルキャリッジの動力部の術式構築のため、アドを強制連行した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項はない。
セレスティーナ
ソリステア公爵家の長女である。腐の小説を執筆している。
・所属組織、地位や役職
イストール魔法学院生である。
・物語内での具体的な行動や成果
ゼロスの指導のもと魔導錬成を行った。ファラオネェをモデルにした小説を執筆した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項はない。
ミスカ
セレスティーナの世話係である。冷静なメイドである。
・所属組織、地位や役職
メイドである。
・物語内での具体的な行動や成果
セレスティーナが書いた小説の内容に衝撃を受け、現実逃避をした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項はない。
クロイサス・ヴァン・ソリステア
ソリステア公爵家の次男である。知識の探求に貪欲な性格を持つ。
・所属組織、地位や役職
イストール魔法学院生である。サンジェルマン派に所属する。
・物語内での具体的な行動や成果
デルサシスから銃の解析を依頼された。自然魔力の危険性を悟り、魔石を利用する方針へ切り替えた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項はない。
マカロフ
クロイサスと行動を共にする学院生である。
・所属組織、地位や役職
イストール魔法学院生である。サンジェルマン派に所属する。
・物語内での具体的な行動や成果
クロイサスとともに魔導具の調査や蒸気機関の研究を行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項はない。
ツヴェイト・ヴァン・ソリステア
ソリステア公爵家の長男である。真面目な性格である。
・所属組織、地位や役職
イストール魔法学院生である。ウィースラー派に所属する。
・物語内での具体的な行動や成果
学院改革の影響で混乱が起きている現状を受け止めた。セレスティーナの小説を読んでしまったミスカの反応に困惑した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項はない。
ディーオ
ツヴェイトの友人である。セレスティーナに思いを寄せている。
・所属組織、地位や役職
イストール魔法学院生である。
・物語内での具体的な行動や成果
セレスティーナの趣味が過激な方向へ進むことを心配した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項はない。
ハンバ土木工業
ナグリ
ハンバ土木工業をまとめる棟梁である。仕事に快楽を見出している。
・所属組織、地位や役職
ハンバ土木工業の棟梁である。
・物語内での具体的な行動や成果
徹夜の突貫工事を終えた後、ゼロスから栄養ドリンクを購入した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項はない。
職人達
ハンバ土木工業に所属する職人達である。
・所属組織、地位や役職
土木作業員である。
・物語内での具体的な行動や成果
過酷な労働環境の中で働き、ゼロスから提供された栄養ドリンクを飲んだ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項はない。
新人職人達
ハンバ土木工業の若い職人達である。
・所属組織、地位や役職
土木作業員である。
・物語内での具体的な行動や成果
徹夜の工事で疲弊していたが、ゼロスの栄養ドリンクで体力を回復させた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項はない。
メーティス聖法神国(元含む)
フューリー・レ・レバルト
野心的な伯爵である。英雄王を目指している。
・所属組織、地位や役職
元聖天十二将である。伯爵を務める。
・物語内での具体的な行動や成果
勢力を拡大しながら政務に追われた。交易路確保のため南の土地を重視した。ダンジョンの徹底調査を命じた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項はない。
アーレン・セクマ
戦闘狂としての顔を持つ将軍である。
・所属組織、地位や役職
元聖天十二将である。第八師団を率いる将軍を務める。
・物語内での具体的な行動や成果
モルケー公爵家の騎士団と連携し、略奪を行う騎士達を蹂躙した。戦場に高揚し、単身突撃した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項はない。
聖騎士団
メーティス聖法神国の騎士達である。
・所属組織、地位や役職
騎士である。
・物語内での具体的な行動や成果
モルケー公爵家の軍勢とともに町を襲う騎士を討伐した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項はない。
モルケー公爵家の騎士団
モルケー公爵に仕える騎士達である。
・所属組織、地位や役職
騎士である。
・物語内での具体的な行動や成果
第八師団と連携して戦闘に参加した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項はない。
住民達
中原の小さな町に住む人々である。
・所属組織、地位や役職
一般市民である。
・物語内での具体的な行動や成果
略奪を行う騎士達に襲われた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項はない。
事務官
フューリーに仕える文官である。
・所属組織、地位や役職
事務官である。
・物語内での具体的な行動や成果
フューリーとともに政務を処理し、南の土地の重要性を確認した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項はない。
メーティス聖法出版の作家達
薄い本を作る生産職の勇者達である。締め切りに追われる生活に快楽を覚えている。
・所属組織、地位や役職
作家である。
・物語内での具体的な行動や成果
創作への渇望を抑えきれず、八坂学らの亡命キャラバンに同行した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項はない。
孤児院・教会関係
ルーセリス
見習い神官である。ゼロスに好意を寄せている。
・所属組織、地位や役職
四神教の見習い神官である。
・物語内での具体的な行動や成果
ゼロスに依頼して神官服を司祭服のように改造してもらった。ゼロスとジャーネの婚約を後押しした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項はない。
アダン司教
サントールの教会に派遣された司教である。
・所属組織、地位や役職
四神教の司教である。
・物語内での具体的な行動や成果
アルフィアから純白の杖を受け取った。デルサシス公爵と面会し、神官達の保護を求めた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項はない。
メルラーサ司祭長
サントールの教会の責任者である。豪快な性格を持つ。
・所属組織、地位や役職
四神教の司祭長である。
・物語内での具体的な行動や成果
アルフィアから迷宮の脅威について神託を受けた。神への依存を捨て、自らの意思で人々を救う覚悟を示した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項はない。
ジョニー
孤児院の少年である。
・所属組織、地位や役職
孤児院の子供である。
・物語内での具体的な行動や成果
朝食に用意されたカレーを勝手に食べた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項はない。
ラディ
孤児院の少年である。
・所属組織、地位や役職
孤児院の子供である。
・物語内での具体的な行動や成果
朝食のカレーを勝手に食べた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項はない。
アンジェ
孤児院の少女である。
・所属組織、地位や役職
孤児院の子供である。
・物語内での具体的な行動や成果
朝食のカレーを勝手に食べた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項はない。
カエデ
ハイ・エルフの少女である。
・所属組織、地位や役職
孤児院の子供である。
・物語内での具体的な行動や成果
朝食のカレーを勝手に食べた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項はない。
カイ
肉に対する強い執着を持つ少年である。
・所属組織、地位や役職
孤児院の子供である。
・物語内での具体的な行動や成果
朝食のカレーを勝手に食べた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項はない。
傭兵・その他市民
ジャーネ
傭兵である。ゼロスとの関係に進展を求めている。
・所属組織、地位や役職
傭兵である。
・物語内での具体的な行動や成果
宝石店でゼロスから婚約指輪を受け取り、婚約を果たした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項はない。
レナ
傭兵である。重度の少年愛好家である。
・所属組織、地位や役職
傭兵である。
・物語内での具体的な行動や成果
男性化薬を奪い、イリスに飲ませようと暴走した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項はない。
傭兵達
スティーラやアーハンの街にいる傭兵達である。
・所属組織、地位や役職
傭兵である。
・物語内での具体的な行動や成果
エロムラに手を出そうとして落とし穴のトラップに阻まれた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項はない。
ウェイトレス
飲食店の従業員である。
・所属組織、地位や役職
ウェイトレスである。
・物語内での具体的な行動や成果
エロムラからナンパされた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項はない。
神・観測者
アルフィア・メーガス
次世代の観測者である。食欲に忠実である。
・所属組織、地位や役職
次世代の観測者である。邪神とも呼ばれる。
・物語内での具体的な行動や成果
サントールの神官達に神具を与え、神託を下した。ゼロスの家でお好み焼きやフライドオークを貪り食った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項はない。
ルシフェル
上位の管理者である。
・所属組織、地位や役職
天使である。
・物語内での具体的な行動や成果
世界の完全な再生には時間が必要だと溜息をついた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項はない。
ケモさん
転生者を送り込んだ観測者である。ルシフェルの上司にあたる。
・所属組織、地位や役職
観測者である。
・物語内での具体的な行動や成果
ルシフェルと通信し、神域へのアクセスについて話した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項はない。
動物・魔物
コッコ達
ゼロスが飼育する魔物である。
・所属組織、地位や役職
ワイルド・コッコである。
・物語内での具体的な行動や成果
武術の訓練に励んだ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項はない。
魔人達
廃坑ダンジョンに生息する異形の魔物である。
・所属組織、地位や役職
魔物である。
・物語内での具体的な行動や成果
アーハンの廃坑ダンジョンでゼロス達に襲いかかった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項はない。
アラフォー賢者18巻レビュー
アラフォー賢者まとめ
アラフォー賢者20巻レビュー
展開まとめ
プロローグ おっさんは遊んでいた
お好み焼きソースと世界再生の報告
地下工房の完成品
ゼロス宅の地下は、鍛冶場や燻製工房まで備えた秘密基地のような空間になっていた。そこでゼロスは、長年の試行錯誤の末に理想のお好み焼きソースを完成させていた。アルフィア達は神器や神官服を後回しにしていたのかと驚いたが、ゼロスはそれらは三日前に完成済みだと告げた。
強化された神官服
ルーセリスの神官服は、四神教の面影を消しつつ、金糸やアルフィアを模した紋章を加えた司祭服のような姿に改造されていた。さらに魔法耐性と光魔法効果増幅の効果まで付与されており、周囲はその性能に驚いた。ゼロスは片手間で仕上げたと言ったが、十分すぎる出来であった。
白い神器の杖
神具として作られた杖は、純白の美しい姿をしていた。上部には十二の翼を持つ女神像が背中合わせに彫られ、水晶球を包むような構造になっていた。アルフィアも出来を認め、補強材にはミスリル、オリハルコン、ダマスカス鋼の合金が使われていると見抜いた。
試作魔杖の危険性
ゼロスは、試作段階で作った別の杖も披露した。それはコインを入れて持ち手を捻ることで高出力の魔力収束砲を放てる攻撃型魔杖だった。イリスは一撃必殺のロマンに引き寄せられたが、ジャーネ達はその兵器じみた危険性に引いていた。
ルーセリスの武器趣味
ゼロスはルーセリス向けの武器改造も考え始めたが、彼女は魔杖よりもメイスやモーニングスター、アックスなどの物理武器を好んでいた。ゼロスは単純な打撃武器の醍醐味を壊さずに改造する方法に悩んだ。やがて魔法符を読み込ませる特殊武器案を出したが、ルーセリス本人は困惑していた。
アルフィアの紋章回収
アルフィアは、ゼロスが描いた自分を模した紋章を見つけた。信仰に興味はなかったが、四神の痕跡が地上に残ることは不愉快だったため、人間達にこの紋章を使わせようと考えた。彼女は誰にも気づかれないように、デザイン画を回収した。
完成したお好み焼き
ゼロスはロマン武器の話を続ける一方で、お好み焼きを焼き始めた。完成したソースを使い、キャベツ、紅ショウガ、ベーコン、目玉焼きを重ねたお好み焼きを作ると、アルフィアはその味に衝撃を受けた。彼女は珍しく一口ずつ味わい、ゼロスも少しだけ認識を改めた。
女性陣の試食
ソースの香りに誘われたルーセリス達にも、ゼロスはお好み焼きを振る舞った。四人はその味に強く反応し、ゼロスの料理の腕前に改めて感心した。レナは、魔導具作りで稼げて家事も万能なゼロスは優良物件だと評したが、ジャーネはまだ自分の気持ちに決着をつけられずにいた。
ルシフェルの報告
一方、ルシフェルはモニター越しにケモさんへ報告していた。次元崩壊は防がれ、アルフィアによるシステム掌握も進んでいたが、召喚された魂の選別は難航していた。無断召喚の被害を報告していない管理者もおり、古き観測者達の杜撰な管理が問題になっていた。
観測者達の事情
ケモさんは、古い世代の神々は自身の力を抑え込むことに追われ、世界管理が疎かになると説明した。若い観測者は後継者を用意するが、古き者達はそれすら怠っている場合があった。ルシフェルは、ケモさん自身も各地に奇跡やオーパーツの痕跡を残していると指摘した。
レベルアップ制の課題
ルシフェルは、この世界に抗体システムが深く食い込み、不完全なレベルアップ制を取り除くのは難しいと報告した。ケモさんは、その仕組みが霊質進化の可能性を広げる一方で、進化種と旧人類種の格差や隷属社会を生む危険もあると見ていた。魂の昇華を促すには有用でも、管理を誤れば魂の零落につながる問題があった。
増援申請と未帰還の魂
ルシフェルは、人手不足を訴え、宇宙のエントロピー増大への対応も含めて増援を求めた。ケモさんは他の観測者達に相談すると答えたが、戻っていない魂の捜索も依頼した。それはゼロスの姉にあたる人物で、神のシステムに抗ってこの世界に残っている可能性があった。
遠い世界再生
報告を終えたルシフェルは、深い溜息をついた。次元崩壊は防がれたものの、魂の選別、世界管理システムの修復、進化制度の調整、人手不足など問題は山積みであった。世界の完全な再生には、まだ長い時間が必要であった。
第一話 動き出した者達
中原戦乱の幕開けと魔導兵器の備え
貴族達の小競り合い
メーティス聖法神国の崩壊は瞬く間に広がり、聖都マハ・ルタートを失った領内では中堅貴族達が隣接領へ攻撃を始めた。疑心暗鬼に陥った貴族達は話し合いすら避け、先に滅ぼされることを恐れて騙し討ちのような奇襲を繰り返した。腐敗した社会の不信が、領地同士の戦いを負の連鎖へ変えていた。
焼かれる町
小さな町では騎士達が略奪を行い、住民を殺し、女性を拉致し、金品を奪っていた。守るべき民を襲う彼らの姿は、聖都崩壊後の中原が無法地帯となったことを示していた。略奪を終えて撤退しようとした彼らのもとへ、聖騎士団とモルケー公爵家の軍勢が迫ってきた。
アーレンの突撃
現れたのはアーレン・セクマ率いる第八師団だった。モルケー公爵家の騎士団と連携した彼らは退路を断ち、町を襲っていた騎士達を蹂躙した。アーレンは戦場に高揚し、敵部隊長を自分の獲物と定めて単身突撃した。
部隊長の処刑
アーレンは部隊長を圧倒しながら、あえて嬲るように戦った。彼は正義ではなく、民衆の前で敵を殺し、力と憧憬の目に酔うために動いていた。部隊長は自分達が治安維持という大義名分に利用されたことを悟ったが、最後はアーレンに無慈悲に両断された。
偽りの英雄視
町の住民達は第八師団に感謝し、アーレンを救い主のように称えた。しかしアーレンは、逃げ惑うだけだった住民達を内心で軽蔑していた。彼の態度は悪行を働いた騎士達を嫌っているように誤解され、民衆とのすれ違いは続くことになった。
モルケー公爵領の拡大
アーレンは、逃げる敵の退路を塞いで一網打尽にする作戦を進めた。彼の戦争はここから始まり、モルケー公爵領は次第に領土を広げていった。やがて周辺貴族達も結託し、独自の派閥や国を形成する流れが生まれていった。
フューリーの領土拡大
同じ頃、フューリー・レ・レバルト伯爵も領土を拡大していた。彼はアーレンとは異なり、対話と説得で子爵や男爵家をまとめ上げ、新たな国家基盤を築こうとしていた。侯爵家や公爵家からの高圧的な誘いは拒み、自分の勢力を着実に育てていた。
好敵手アーレン
フューリーは、アーレンがモルケー公爵家の臣下になった報告を聞いて愉快そうに笑った。彼は、アーレンを英雄になるための踏み台、あるいは好敵手として見ていた。自分が英雄になる舞台には強敵が必要であり、アーレンを倒すことに大きな意味を見出していた。
英雄譚の序章
フューリーは、楽に王になることに価値はないと考えていた。強敵を下し、自らの手で栄光を掴むことこそ英雄にふさわしいと信じていた。やがてドゥマー侯爵家がレバルト伯爵家へ宣戦布告し、中原全土を巻き込む戦いの幕が上がることになった。
ソリステア公爵家の分析
ソリステア公爵家では、デルサシス公爵とクレストン元公爵が隣国の情勢報告を読んでいた。二人は、メーティス聖法神国の内乱がいくつかの新興国を生み、その国々が食料や物資を求めて他国へ侵攻する可能性を危惧した。ソリステア魔法王国も戦火に巻き込まれる恐れがあった。
魔導銃と大砲
デルサシスは、魔導銃の配備状況を確認しつつ、より強力な武器の必要性を感じていた。ゼロスがアンフォラ関門で魔導銃を巨大化させたような兵器を使ったらしいという情報も届いていた。デルサシスは、魔導銃を大型化した大砲の可能性をすでに考えており、クロイサスも設計に着手していた。
異界技術録
クレストンは、勇者達から聞き出した異世界技術を記した異界技術録に触れていた。そこには中世の武器から現代兵器、さらには都市を消し飛ばす核兵器まで記されていた。凶悪な兵器が逆に戦争を抑止するという考えに、彼は恐ろしさと一定の理を感じていた。
勇者達の探索
デルサシスは、アルトム皇国の勇者達には手を出せないため、他の勇者達を保護する名目で探していた。そこには炸薬の製造方法を知る可能性への期待もあった。魔導銃や大砲の研究を進めるうえで、異世界の知識は重要な手がかりだった。
危険な二人の将軍
デルサシスは、特にアーレン・セクマとフューリー・レ・レバルトを危険視していた。戦争馬鹿と英雄願望の強い二人は、目的のためなら他国を巻き込むこともためらわない存在だった。勇者の血脈を持つ彼らは、この世界の住民では届かない領域の実力を持つため、野放しにすれば大きな脅威となる。
防衛強化の正念場
クレストンは、二人の将軍が共倒れしてくれればよいと考えたが、都合よくはいかないと見ていた。領内復興にも資金がかかる中、ソリステア魔法王国は魔導武器の量産と防衛強化を急ぐ必要があった。ここ数年が、公爵家にとっても正念場になると見込まれていた。
第二話 おっさん、正体不明のアイテムに悩む
神具の授与と医療組織の再編
派遣神官達の日常
アルフィアの降臨から一週間ほどが過ぎ、派遣神官達は四神教の教えを捨て、人々に道徳を説きながら医療活動を続けていた。四神教の不祥事を理由に因縁をつける者もいたが、アダン司教達の評判が良かったため、大きな問題にはならなかった。
孤児達の自立問題
定例会議では、養護院を出る孤児達の進路が話題になった。成人した孤児の多くは初期費用の少ない傭兵を選んでいたが、戦闘経験や覚悟が足りず、命を落とす者も多かった。神官達は、職人への道や戦闘訓練の導入を考えたが、現実的な解決策は見つからなかった。
孤児教育の難しさ
孤児達には、親との死別、遺棄、路地裏生活など様々な事情があり、それぞれに異なる問題を抱えていた。路地裏育ちは自立心が強い一方、家庭を失った子供達には孤立や攻撃性が見られることもあった。メルラーサは、厳しさも社会を生き抜く力になると考えていたが、アダン達は道徳と生存力の両立に悩んでいた。
再び現れたアルフィア
会議の最中、アルフィアが再び現れ、神具が完成したと告げた。アダン司教達は跪き、メルラーサだけは酒を飲みながら平然としていた。アルフィアは、純白の杖と自らの姿をかたどった紋章を神官達に授けた。
白き杖の奇跡
アルフィアは、杖が神聖魔法の効果を数倍に高める神具だと説明した。ただし奇跡を起こすには代償が必要であり、使用者の魔力を奪う仕組みになっていた。小さな傷を癒やすヒールでさえ、杖を介せば失った四肢を再生できるほどの力になるという。
聖約の意味
アルフィアは、神具を授けることは神官達の行いを肯定する代わりに、多くの命を守るために働けという聖約であると語った。彼女は神具を免罪符にした愚行は許さないと告げ、奇跡には代償が伴うべきだと説明した。神官達は、迷宮の脅威に備え、人々を救う使命を受け入れた。
既存迷宮への警告
アダン司教が迷宮の出現時期を尋ねると、アルフィアは新たな迷宮よりも、今確認されている迷宮に注意を向けるべきだと答えた。早ければ一年も経たずに魔物の放出が始まるという。世界の再生はすでに進んでおり、神官達は既存の迷宮にも異変が起きていることを知らされた。
メーガス神の名
メルラーサが神の名を尋ねると、アルフィアはアルフィア・メーガスと名乗った。彼女は自らを、観測者であり、永劫の果てで人々を待つ者だと告げた。神が去った後、アダン司教の手には白い杖と紋章が残され、神官達はデルサシス公爵との協力体制を整えることを決めた。
デルサシス公爵との面会
二日後、アダン司教は神託について相談するため、サントール領主館を訪れた。デルサシス公爵は、杖から途方もない力を感じ取り、神の再降臨と神託をすぐに見抜いた。アダン司教は、世界各地に迷宮が現れ、人々を救う準備が必要だと説明した。
迷宮異変の把握
デルサシス公爵は、領内の迷宮がすでに不安定化していると明かした。調査に向かった傭兵達はほぼ壊滅し、無断侵入した者も戻っていなかった。彼は対処できる実力者の存在を示唆したが、復興予算の問題もあり、すぐに動かすことは難しい状況だった。
神官達の保護案
アダン司教は、メーティス聖法神国に残る真面目な神官達を避難させたいと相談した。デルサシス公爵は、彼らを四神教の神官ではなく医療魔導士として保護する方針を示した。さらに、神官達がソリステア魔法王国に貢献するなら、回復魔法のスクロールを無償で与えると約束した。
新たな協力体制
アダン司教とデルサシス公爵は、魔物の暴走や戦争時の後方支援も含めて話し合った。二人は今後の協力を確認し、会談を終えた。デルサシス公爵は、新たな時代の変革と世界規模の苦難を見据え、厳しい表情でその先を考えていた。
教会の宝石
その後、ゼロスは教会の天井裏から見つかった宝石類を鑑定した。大半は普通の宝飾品で、古い盗品か隠し物の可能性が高かったため、養護院の運営資金にすればよいと勧めた。ただし黒い水晶球だけは用途不明で、周囲の魔力を吸収していたため、ゼロスが預かって調べることになった。
養護院の食卓
ルーセリスは宝石類の扱いに困り、メルラーサ司祭長へ預けることにした。メルラーサも判断に困ったため、最終的にアダン司教へ任せた。その後、養護院の食事は少しだけ豪華になった。
第三話 おっさん、アドの金策のためダンジョンへ
畑の魔物化野菜とアドの仕事探し
ライスウィードの鑑定
ゼロスは朝から畑仕事をしていた。魔力の影響で植物の成長が早く、特に米であるライスウィードは雑草扱いされるほど繁殖力が強かった。鑑定の結果、塩水処理や水田栽培で繁殖力を抑えられ、乾燥期間や水分量で米の種類が変わると分かり、ゼロスは今さら出た情報に文句を漏らした。
成長しすぎた畑
ゼロスの家庭菜園は、食べきれないほど野菜や薬草が育っていた。余った野菜は教会へのお裾分けやコッコの餌になっていたが、一部は魔物化して勝手に繁殖範囲を広げていた。魔物化した野菜は通常より味が良く、倒された後は食材として使われていた。
危険な野菜達
訪ねてきたアドは、庭で魔物化したトマトや空飛ぶキャベツに襲われた。彼は咄嗟に攻撃して撃退したが、ゼロスが異世界ならキャベツも飛ぶと平然と言ったため、改めて異世界の危険さを思い知らされた。教会の子供達も普段からこうした野菜を相手にしており、すでに物足りないほど強くなっていた。
ロールキャベツの悩み
ゼロスは魔物化野菜を使ってロールキャベツ入りのトマトスープを作ろうと考えた。乾瓢がないため形が崩れることを気にするゼロスに、アドは腹に入れば同じだと返した。そこから料理への気遣いの話になり、アドは妻ユイに無神経なことを言えば刺されかねないと本気で怯えた。
不器用な父親
アドは娘かのんの世話を手伝おうとしたが、紙おむつ交換でかのんをミイラのようにしてしまい、以後ユイに任せてもらえなくなっていた。公爵家別邸では家事もメイドが行うため、自分の役割がないと落ち込んでいた。ゼロスは、アドにできることは稼ぐことだと指摘した。
無職二人の金銭感覚
アドは家族を養うため金が必要だと考えていたが、ゼロスは自給自足とスクロール収益だけで十分に暮らしていた。ゼロスは寄付金の使途すら把握していなかったが、実際にはマーリン基金として養護院や慈善活動、地震被害の修繕に使われていた。アドは、ゼロスほど気楽には生きられないと感じていた。
アドの自営業案
アドは、家族のために稼ぐ手段として自営業を考えていた。鍛冶や魔法薬作りはできるが、素材の仕入れには金がかかり、問屋を使うと負担が大きかった。ゼロスは、薬草は栽培し、鉱石や希少素材は自分で集める方がよいと助言した。
旧時代遺物の限界
アドは、ブロスのところで得た旧時代のパワードスーツについて尋ねた。ゼロスは、繊維金属や形状記憶合金、特殊センサーなどで構成された高度な装備だと説明した。工作機械を使えば量産は可能でも、手作業や魔導錬成では再現できず、魔導文明期の技術には現代の生産職スキルでも届かないと分かった。
方向音痴のアド
素材集めの話から、アドが極度の方向音痴であることが明らかになった。ゲーム時代も単独行動はほとんどなく、仲間のナビがなければ迷っていた。ゼロスは、アドが素材採取で苦労するのは確実だと考え、道なりに進めるアーハンの廃坑ダンジョンなら練習になると提案した。
廃坑ダンジョン行き
アドは仕事の準備と気晴らしを兼ねて、ゼロスに廃坑ダンジョンへの案内を頼んだ。ゼロスは、落ち込むアドを放置するより連れ出した方がよいと判断した。二人はアーハンの村へ向かうことにした。
ルーセリスとの挨拶
出発前、二人は教会の裏口でルーセリスに会った。ゼロスは一稼ぎに行くと説明したが、ルーセリスは彼が危険な場所へ行くのではないかと心配した。ゼロスは軽くごまかし、神官服の補助効果について確認した後、恋愛症候群が発動する前にその場を離れた。
復興中のサントール
サントールの街では、ドワーフ達が地震からの復興作業を急速に進めていた。足場の上で踊りながら作業し、酒を水分補給代わりに飲む彼らの異様さに、アドは頭を痛めた。ゼロスはドワーフに見つかれば現場へ連行されると語り、二人は急いで街を出た。
第四話 おっさん、不法侵入をする
魔導自動車の発表と廃坑ダンジョン潜入
魔導自動車の披露
ソリステア商会では、魔導式モートルキャリッジが先行試作品として発表された。小型車、中型車、大型車が展示され、司会者は魔導式モーターによる快適な移動手段として大々的に宣伝した。三国の協力で作られたことも強調され、同盟関係の友好を示す商品として紹介された。
モトラックの登場
発表の最中、荷物と騎士を積んだ大型車両モトラックが大通りに現れた。モトラックは馬車より速く、大量輸送や被災地支援、軍の前線輸送にも使えると説明された。民衆の注目は一気に集まり、魔導自動車は時代を変える発明として拍手を浴びた。
デルサシスの宣伝策
発表を遠くから見ていたデルサシス公爵は、軍用車両を先に準備したことが良い宣伝になったと考えていた。クレストン元公爵は報告なしに騎士団配備まで進めていたことに呆れたが、デルサシスは近隣情勢を考えれば軍備優先は当然だと答えた。さらに整備工場や修理体制、人材確保の手配まで進めていた。
移民と職人化計画
デルサシスは、無職者や前科者をドワーフ達に預けて職人として働けるようにする方針も考えていた。今後、元メーティス聖法神国から移民が来る可能性もあり、彼はその労働力の活用まで見据えていた。クレストンは、ドワーフによる強引な職人化に人格面の不安を覚えたが、デルサシスは時間短縮のためには必要だと見ていた。
寂れたアーハンの村
ゼロスとアドがアーハンの村を訪れると、以前のような傭兵の賑わいはなく、村は閑散としていた。廃坑ダンジョンが封鎖されている可能性を感じた二人は、傭兵ギルドで事情を聞いた。職員は、ダンジョンの構造変化後に調査へ向かった傭兵達が戻らず、封鎖に踏み切ったと説明した。
すれ違う深刻さ
ゼロスはダンジョンコアの活性化や魔物の放出を危険視し、今のうちに内部を確認すべきだと考えた。一方のアドは、素材を集められなければ自分の生活がまずいと焦っていた。二人は別々の理由で深刻な顔をしていたが、ダンジョンに入るという結論だけは一致した。
透明化マントの潜入
封鎖中のため正規の侵入はできなかったが、ゼロスは透明化マントを使えば見つからずに入れると提案した。アドも潜入ミッションのようだと乗り気になった。こうして二人は、それぞれの目的を胸に、警備の薄い廃坑ダンジョンへ不法侵入した。
工房の修羅場
一方、ソリステア派の工房では、魔導自動車とモトラックの開発で現場が修羅場になっていた。軍用車両の開発が優先され、魔導式モーターや魔力タンクの改良が急務となっていた。魔石では出力や稼働時間に不安があったため、超濃縮したエーテル溶液を用いた魔力タンクが偶然生まれた。
職人と魔導士の衝突
ドワーフ職人達は車体改良には熱心だったが、魔導式モーターの術式や構造を理解しておらず、小型化や軽量化を簡単に求めた。魔導士達は、積層魔法陣や磁力発生術式の調整には長い研究が必要だと反発した。互いの専門分野への理解不足から、製造側と開発側の対立は深まっていった。
廃坑ダンジョン第二階層
廃坑ダンジョンの第二階層は、以前の森ではなく平原へ変わっていた。出現する魔物はゴーレム系やヤドカリのような甲殻類が中心で、ゼロスとアドは見知ったアイアンシェルとは異なる新種らしき魔物を確認した。ダンジョンが生物の進化を調べる実験場であることを思い出し、二人はその変化に警戒した。
捕食する蟲
二人が進もうとしたとき、巨大な昆虫が現れ、アイアンシェルの死骸を捕食し始めた。ゼロスは、本来ならダンジョン内の魔物は食事を必要としないはずだと気づいた。捕食が行われているということは、ダンジョン内部にも外界と同じ弱肉強食の摂理が働き始めたことを意味していた。
難易度の上がった迷宮
ゼロスは、魔物が生存のために襲ってくるなら、今後のダンジョン攻略はさらに難しくなると考えた。アドも、安全地帯がなければ精神的負担が大きくなると理解した。放置すれば魔物が外へ放出されるため、何もしないという選択も取れない状況だった。
謎の石碑
二人は探索中、蔦に覆われた風化した石碑を見つけた。鑑定では謎の石碑としか出ず、翻訳された文字は演歌の歌詞のような意味不明な内容だった。足止め用の仕掛けかと疑いながらも、特に意味はないと判断し、二人は下層への道を探して進んだ。
下層への道
内部構造が変化していたため、二人は警戒しながら探索を続けた。現実のダンジョンは命の保証がない危険地帯であり、ゲームのような便利な場所ではなかった。最終的に、岩場の小さな洞窟内で下層へ続くルートを発見したが、そこに辿り着くまで半日を費やした。
第五話 おっさん、ダークファンタジーな世界に迷い込む
孤児達の自立と廃坑都市の魔人
巣立ちの準備
ゼロスとアドが廃坑ダンジョンへ向かっている頃、ルーセリス、ジャーネ、イリス、レナは教会でお茶をしていた。教会の子供達は自立の準備を進めており、ルーセリスとジャーネは自分達の若い頃を思い返しながら、その成長を懐かしく見守っていた。
レナへの警戒
レナは、傭兵になる子供達を先輩として心配していると語った。しかしジョニー達に向ける視線や言葉には危険な気配があり、ルーセリス達は彼女を信用できなかった。結局、三人はレナを監視することに決めたが、その後レナはジョニーとラディへの夜這い未遂を繰り返した。
子供達の生活設計
ジョニー、ラディ、アンジェ、カエデ、カイは、教会を出た後の拠点や資金について話し合っていた。農家の小屋を借りる案や草刈り、ウサギ狩りなどで稼ぐ方法を考えていたが、十分な資金には届いていなかった。ルーセリス達は、自分達よりも計画的に将来を考える子供達の逞しさに感心した。
第三階層の城塞都市
ゼロスとアドは、廃坑ダンジョンの第三階層へ辿り着いた。そこは荒れ果てた中世の城塞都市のような場所で、屍が転がり、人間に似た不気味な生物が徘徊していた。街は死の臭気に満ち、同種を食らう異形まで存在する救いのない空間だった。
魔人という呼称
ゼロスは、この階層の人間モドキ達を魔人と呼ぶことにした。彼は、ダンジョンが生物進化の実験場である以上、人間と別の方向へ枝分かれした存在がいても不思議ではないと考えた。アドは人間の未来の可能性がその姿だとすれば嫌だと感じたが、ゼロスは進化と退化は様々な形で現れるものだと受け止めていた。
可変剣とパイルバンカー
ゼロスは、この階層に合う武器として可変剣と小型パイルバンカー付きガントレットを取り出した。どちらも試作品で、アドはそれらの危険な作りに呆れつつ装備した。ゼロスはついでにショットガンも渡し、二人は不気味な街へ足を踏み入れた。
変質する魔人達
街に入ると、魔人達はゼロス達を凝視し、一定距離に入った瞬間に肉体を変質させて襲いかかってきた。背中から腕を生やす者や毒を撒く者など、変化の仕方は個体ごとに異なっていた。しかし魔人達は軽く脆く、二人に次々と撃破されていった。
駒のような生物
魔人達は知能が低く、統率のないまま突撃を繰り返していた。ゼロスは、彼らが獲物を弱らせるための捨て駒であり、どこかに司令塔のような存在がいるのではないかと考えた。生物でありながら機械的に動くその性質は、普通の魔物とは異なるものだった。
呪術素材の発見
魔人達は魔石のほか、黒い爪やダークエレメントという素材を落とした。ゼロスは、これを使えば変わり身の形代や身代わり人形のような呪具を作れる可能性があると考えた。アドは稼ぎになるかもしれないと期待したが、呪術系素材は扱いが難しく、買い手も限られそうだった。
胡散臭い宝探し
アドは、呪術素材ばかりの階層は外れではないかと落ち込んだ。ゼロスはまだ探索は始まったばかりだと励まし、高く売れそうな物があるかもしれないと軽く流した。さらに宝箱からブルマが出るかもしれないと冗談を言い、アドはこのダンジョンへの不信感を強めながら後を追った。
第六話 おっさん、ダークファンタジー系のボスとバトルする
廃坑都市の魔人掃討と巨大アリジゴク
魔人達の殲滅
ゼロスとアドは、襲いかかる魔人達を可変剣の間合いで斬り伏せていった。魔人達は異形へ変貌し、毒霧を残して消滅したが、二人は高い状態異常耐性で被害を受けなかった。魔人達は姿も攻撃手段もばらばらで、数の多さと気味の悪さだけが厄介だった。
群れの習性
魔人達は武器を扱う程度の知性を持ちながら、行動は獣やゾンビに近かった。ゼロスは、彼らが魔力を探して徘徊し、群れの力を均一に保つために同族を食らうのではないかと推測した。さらに、魔人達を統率するボスがどこかにいる可能性を考えた。
別系統の魔人
一部の魔人はゼロス達を襲わず、別の命令系統に属しているように見えた。アドは、魔人にも種類があり、複数のボスがいる可能性を嫌がった。ゼロスも詳しい調査は避け、先に進むためにボスの居場所を探すことを優先した。
大聖堂の地下
二人は墓地や公園を確認した後、建築様式の異なる大聖堂へ向かった。扉を開けると床は抜け落ち、下には古代都市のような地下水路が広がっていた。水路には不定形の肉塊生物が蠢き、巨大ナメクジを捕食していた。
汚水への落下
ゼロスとアドは地下を覗き込んでいるうちに足場を崩し、汚水の満ちた水路へ落下した。落下地点には肉塊生物が集まり、二人を餌として狙っていた。二人は落ちながらコキュートスとサンダー・レインを放ち、周囲の魔物を凍結と雷撃でまとめて殲滅した。
肉塊生物の生態
水路の肉塊生物は、頭部のない体に水かきのある腕や吸盤状の管足を持ち、獲物へ溶解液を流し込んで肉を啜る生物らしかった。さらに二人は、背中が割れて卵を抱えた個体や、肉塊に寄生されたネズミを見つけた。あまりの醜悪さに、二人は即座に炎で焼き払った。
繁殖場の嫌悪
ゼロスは、肉塊生物が産卵後に死に、その死体を別の生物の餌にして繁殖を広げているのではないかと推測した。アドも、その生態の気味悪さに耐えきれず、二人は精神的に大きなダメージを受けた。地下水路には、その生態系の頂点にいる肉食生物がいる可能性もあったが、確認したいとは思えなかった。
魔人の女王
地下水路を進んだ二人は、魔人を束ねるボスと思われる存在を見つけた。そこには、地面から上半身だけを突き出した巨大な裸婦のような魔物がいた。無数の眼球、二股に割れた顎、背中の昆虫脚、体に寄生する肉塊があり、ゼロスとアドはそれをアリジゴク型の女王だと判断した。
流砂の罠
魔人の女王はゼロス達を見据えると、砂地を動かして中央へ引きずり込もうとした。二人は流砂から距離を取り、雷と炎の魔法で攻撃した。女王は倒れ込み、下半身から蜘蛛のような八本脚を持つ醜悪な全身を露わにした。
地中への逃走
ゼロスとアドは魔法とショットガンで追撃したが、女王は砂塵を巻き上げて地中へ潜った。二人は地中からの攻撃に備えたが、女王は竜巻を起こして瓦礫ごと周囲を破壊し始めた。知能は高くなく、無差別に魔力を消耗する攻撃を続けているようだった。
供物となる魔人
女王の攻撃が止むと、天井の穴から魔人達が次々と飛び降り、砂の中へ自ら沈んでいった。ゼロスは、彼らが女王の非常食であり、負傷時の魔力補給と回復のために食われる存在だと考えた。主を守る供物のような光景に、二人は強い嫌悪感を覚えた。
羽化する女王
魔人達を食らった女王は、地鳴りとともに第二形態へ移行した。巨大アリジゴクは大量の砂を巻き上げ、成虫であるウスバカゲロウのような姿となって宙へ舞い上がった。しかしその姿は通常の昆虫とはかけ離れ、さらにおぞましさを増した異形であった。
第七話 おっさん、ダンジョンの方向性が心配になる
神官の備えと原生林のハッチマーヤ
巨大ウスバカゲロウの第二形態
羽化した巨大ウスバカゲロウは、トンボに似た体と薄羽、強靭な顎、八本の長い脚を持つ異形であった。さらに尻尾の位置には逆さの女性の上半身のような部位があり、無数の眼球と三日月形の口が不気味さを際立たせていた。ゼロスとアドはその姿に呆れつつも、想定より強化されていないことに拍子抜けしていた。
砂塵と糸の索敵
巨大ウスバカゲロウは砂嵐を起こして視界を奪い、細い糸をゼロス達へ絡ませた。その糸は位置を探るだけでなく魔力も吸収しており、砂砲弾による遠距離攻撃の目印になっていた。ゼロスは周囲にボルガニック・ピラーを発動し、砂地を溶岩に変えて糸と砂塵を焼き払った。
熱と冷気の討伐
アドはサンダー・レインで巨大ウスバカゲロウを地面へ落とし、二人は熱に苦しむ相手へ追撃した。最後は二人でコキュートスを放ち、溶岩ごと敵を凍結させた。ゼロスは逆さ女の頭にパイルバンカーを、アドは昆虫の頭部に可変剣を叩き込み、巨大ウスバカゲロウを仕留めた。
黒いブラジャーの宝箱
討伐後、魔石や素材とともに豪華な宝箱が出現した。ゼロスは罠を確認し、フォースバリアで防御しながら開封したが、中からはポーションと黒いブラジャーが出てきた。アドは使い道のない報酬に困惑し、二人はポーションだけを回収して先へ進んだ。
聖約の世間話
メルラーサ司祭長は旧市街の教会を訪れ、ルーセリスにアルフィアとの聖約と迷宮への警戒について話した。本来は機密扱いの内容だったが、彼女は世間話のように漏らしていた。神官達は四神教から離れ、人手を確保しながら医療活動へ力を入れる方針だった。
新たな紋章
メルラーサは、ルーセリスの神官服にある紋章が神から授けられたものと同じだと気づいた。紋章を考えたのはゼロスであり、メルラーサはその裏に彼と神のつながりを察したが、面倒事を避けて追及しなかった。彼女にとって重要なのは、困っている人を救うことであった。
神官達の戦闘準備
メルラーサは、迷宮から魔物が放出される事態に備え、神官達も戦う力を取り戻す必要があるとルーセリスに告げた。神官達は護身術程度しか持たず、魔物相手では全滅しかねないためである。ルーセリスも自分が鈍っていることを認め、再び鍛え直す必要を感じた。
ルーセリスの武器点検
メルラーサが帰った後、ルーセリスは自室でモーニングスター、メイス、アックス、鉈を取り出して点検した。彼女の武器は叩き潰すか割るものに偏っており、内面の交戦的な性質を表していた。相談相手が不在の中、ルーセリスは思い立ったら即行動と決め、再びコッコ達との訓練を始めることにした。
第四階層への落下
巨大ウスバカゲロウを倒した後、ゼロス達の前に先へ続く道が現れた。しかし行き止まりに見えた通路で足元が崩れ、二人は第四階層へ落下した。落下中、ゼロスは思いつきでアドにバスター技をかけ、着地と同時に技を決めたため、アドは本気で怒った。
アドの生活設計
第四階層は原生林に覆われた森林エリアだった。アドはすぐ金になる素材を求めていたが、ゼロスは目的が漠然としすぎていると指摘した。アドは家族を養う不安や、自分の力を使うことへの躊躇いを抱えており、ゼロスは恵まれた力を自覚して生活基盤を整えるべきだと諭した。
異世界で生きる不安
アドは、この世界で暮らすうちに地球の記憶の現実感が薄れ、人を殺すことを当たり前に受け入れる自分が怖いと語った。ゼロスは、アドが一人でいる時間が多すぎるため不安を抱えやすいのだと見ていた。将来が不安なら、まず足元を固めることに集中すればよいと助言した。
ハッチマーヤの発見
ゼロスは近くを飛ぶハッチマーヤを見つけ、アドに素材の価値を示した。ハッチマーヤは巨大な蜂型魔物で、毒針や蜂蜜、ローヤルゼリーが高い価値を持っていた。二人はゲーム時代の思い出を語りながら追跡し、原生林を進んだ末、フィールド端の断崖に巨大な巣を発見した。
第八話 おっさん、今さら昔の仲間に疑問を持つ
ハッチマーヤの巣と勇者達の亡命
崖の巣穴
ゼロスとアドは、崖の中腹にある亀裂の中でハッチマーヤの巣を発見した。巨大な蜂が数百匹、場合によっては千匹近くいる可能性があり、下手に近づけば集団で襲われる危険があった。ゼロスは全滅させずに素材を得るため、氷結弾を撃ち込む作戦を選んだ。
氷結バズーカ
ゼロスは、狭い空間を瞬間冷凍できる氷結弾とバズーカを取り出した。アドはその危険性を見て、ゼロスが戦争に備えているようにしか見えないと疑った。ゼロスは魔物捕獲用だと説明したが、技術の扱いには倫理と結果論の問題がつきまとうとも考えていた。
撃ちたい男達
アドは危険な武器だと理解しながらも、バズーカを撃ってみたいという欲求を隠せなかった。ゼロスはアドも自分と同類だと指摘し、効率を求める点ではむしろ危ういと評した。結局、二人はハッチマーヤの巣へ氷結弾を撃ち込み、亀裂の内部を白く凍らせた。
恋愛症候群の苛立ち
ゼロスは氷結弾を撃つ最中、アドとユイの関係に嫉妬して八つ当たり気味になった。恋愛症候群の影響で思考が過敏になり、何かのきっかけで一気に感情が暴走すると自覚していた。自然界の魔力濃度が戻るまで、この奇病は続くと見られていた。
凍った巨大巣
二人が亀裂へ到着すると、巣の内部は巨大な冷凍庫のように凍っていた。ハッチマーヤ達は冬眠する性質があるため死んではおらず、ただ動けない状態になっていた。巣は十メートルほどの大きさがあり、蜂蜜やインセクトベント、ゴールデン・ローヤルゼリーが大量に蓄えられていた。
素材の採取
ゼロスとアドは、手分けして蜂蜜とインセクトベントを採取した。インセクトベントは魔物の肉を蜂の唾液や蜂蜜で発酵させた幼虫用の餌で、高級食材として価値がありそうだった。アドは蜂蜜を、ゼロスはインセクトベントを回収し、アドは店を開くための素材確保に前向きになった。
神国からの亡命
四神の威光を失ったメーティス聖法神国では、貴族の領地争いや神官への迫害、民衆の暴動が広がっていた。そんな中、理不尽に召喚された勇者達は、国に留まる危険を見極め、部下やその家族を連れて亡命することにした。佐々木学と八坂学は、準備を整えてソリステア魔法王国を目指していた。
増えるキャラバン
八坂は、国に残りたがる者達へ戦乱に巻き込まれる危険を伝え、半ば脅すように説得した。結果として、勇者達の一行には商人や部下の家族も加わり、大規模なキャラバンが形成された。食料不足の懸念も出たが、周囲では草食性の魔物が増え始めており、狩りで補うことも考えられていた。
魔物増加の兆候
八坂と佐々木は、自然が急速に戻り、草食魔物が増えている状況を危険な兆候と見ていた。ダンジョンから魔物が放出されている可能性があり、やがて肉食魔物も増えると考えられた。混乱する民衆や貴族達は、その環境変化に気づいていなかった。
危険な二人の将軍
八坂はフューリー・レ・レバルト将軍を、佐々木はアーレン・セクマ将軍を危険視していた。フューリーは民衆の支持を得るため意図的に噂を流し、アーレンは無能な公爵を神輿にして戦乱を広げているように見えた。二人の将軍は形こそ違うが、勇者達にとって物騒な存在だった。
笹木大地への不信
勇者達は、笹木大地を信用していなかった。彼は強い者に媚び、弱い者を挫く性格で、状況に流されやすく簡単に裏切りそうだと見られていた。八坂と佐々木は、彼がフューリーのような相手に甘い言葉で取り込まれることを懸念していた。
川本龍臣への心配
一方で、川本龍臣は善良すぎるため、困っている人々を見捨てられず、余計な荷物を背負い込む可能性が心配されていた。勇者は国民から救世主扱いされていたため、混乱を収めてほしいと頼まれれば断れない恐れがあった。後にその心配は、多くの難民を連れた川本の合流という形で現実となる。
メーティス聖法出版
勇者達のキャラバンには、薄い本を作る生産職達も同行していた。彼らは締め切りと修羅場に追われる生活で壊れかけており、創作への渇望を抑えきれない状態だった。八坂は彼らを連れてきたことを不安視したが、佐々木はソリステア魔法王国なら治療できる可能性を考えていた。
フューリーの政務
フューリー・レ・レバルト伯爵は、勢力を伸ばしながらも地震被災地への対応と政務に追われていた。彼は交易路確保のため南の土地を重視し、ソリステア魔法王国との取引にはデルサシス公爵という危険な存在がいるため慎重だった。フューリーはデルサシスを覇王に近い人物と見て、強い憧れを抱いていた。
ダンジョン調査の要請
フューリーは、植物の成長や魔物の増加を神の復活と世界再生の影響ではないかと推測した。休眠していたダンジョンが魔力の回復で再稼働し、魔物の繁殖場になっている可能性を危険視した。彼は傭兵ギルドに対し、試練の迷宮と各ダンジョン跡地の徹底調査を命じる手配書を書き始めた。
英雄願望と現実
フューリーは、神の存在を認めながらも、人の世は人の手で築くべきだと考えていた。四神が偽物だったことで、自分の疑念は間違っていなかったという自信が強まり、英雄王への願望は国造りへと向かった。しかし現実には書類仕事と戦乱が待っており、彼の理想はまだ遠かった。
カノンへの違和感
ハッチマーヤの素材採取を終えたゼロスは、アドとの会話からカノンに関する違和感に気づいた。かつて中学生だと聞いた記憶がある一方、研究所で働く社会人らしい話も聞いており、年齢が合わなかった。ゼロスはカノンというアバターを使う人物が二人いた可能性を疑ったが、確かめる術はなかった。
第九話 おっさん、エビ (ザリガニ?)を食う
第四階層の異形生物と川辺の収穫
カノンへの疑惑
ゼロスは、カノンに対する年齢や経歴の違和感を考え続けていた。だが、別世界に来た今となっては確かめる手段もなく、他人のプライバシーに踏み込む気もなかった。アドは、殲滅者達のプレイスタイルも普通ではなかったと内心で思いながら、ゼロスの非常識さを改めて認識した。
異世界での倫理観
ゼロスは、自分達がこの世界で人を殺し、罪悪感を薄れさせながら生きている以上、地球の倫理観からはすでに外れていると語った。アドも、この環境に順応しすぎていることを否定できなかった。そんな会話の最中、ゼロスは茂みから襲ってきた未知の魔物を即座に斬り捨てた。
チャクチャック
倒された魔物は、イソギンチャクのような頭部を持つ人型のチャクチャックだった。隠密性が高く、毒針や腐敗性の細菌を持つ危険な魔物であり、一匹いれば百匹の群れがいると考えるべき存在だった。ゼロスとアドは、細菌への抗体研究の必要性を感じ、体液や皮膚片を採取することにした。
細菌兵器の危険
アドは、チャクチャックの細菌が研究されれば兵器に転用される危険を心配した。ゼロスは、その危険性を認めつつも、ダンジョン外へ放出されれば被害は避けられないため、対処法の研究は必要だと考えた。二人は誰に頼まれたわけでもなく、チャクチャックの生息状況を調べ始めた。
薬草の宝庫
調査を始めたはずの二人は、第四階層が薬草の宝庫であることに気づき、採取に夢中になった。一般的な薬草から見たことのない希少種まで揃っており、売れば大きな収入になりそうだった。アドは店を開くための素材確保に手応えを感じたが、ユイに錬金術を教えることは危険だと考えて避けようとした。
川砂と瓶作り
ポーション用の瓶を作る話になり、ゼロスは陶器やガラスの材料として川砂を集める案を出した。使い魔で周囲を調べた結果、森の先に遺跡の点在する平原と透明度の高い川が見つかった。二人は砂の確保に目処をつけたが、ゼロスは川の中にいる大量の大型エビに強く反応した。
エビへの突撃
ゼロスとアドは、川に生息する大型のエビを見つけると食欲を抑えられなくなった。生き物はインベントリーに入らないため、即座に仕留めて回収する方針を決めた。二人は全力で川へ向かい、サンダーで感電させたエビを網で大量に捕獲した。
焼きエビと塩茹で
二人は捕獲したエビを塩茹でにし、さらにマヨネーズとチーズをのせて焼いた。熱々の身を口にした瞬間、二人はあまりの美味さに言葉を失い、ひたすら食べ続けた。食材への感謝を口にするほど満足し、エビかザリガニかという細かな違いはどうでもよくなっていた。
濃厚エビスープ
ゼロスは食べ終えた殻を洗い、オリーブオイル、ニンニク、バターで炒めて砕き、野菜や香草と煮込んだ。さらにドラゴンベーコンを加えて濃厚なエビスープを作った。満腹だったアドもその香りに抗えず、暴力的なまでの旨みに再び食欲を刺激された。
川沿いの採取
食事を終えた二人は、ポーション瓶の材料となる珪砂、追加のエビ、鉱物を求めて川沿いを進んだ。川の中には翡翠やダイヤを含む原石も少量あり、以前の古代文明遺跡よりも収穫が良かった。ゼロスは、アドがまず魔法薬専門店を開き、鍛冶は後回しにした方がよいと助言した。
ニョル・ミョルニール
川沿いを進んだ先で、二人はチャクチャックと争う新たな魔物を見つけた。鑑定の結果、それは細長い人型の身体とミミズのような頭部を持つニョル・ミョルニールであり、獲物を丸呑みにして血を吸い、胃液で溶かす魔物だった。知能は低く、新たな人類種の失敗作とされていた。
失敗作の生態
ゼロスとアドは、第四階層の異形達が、魔力枯渇で生態系が破壊される中、ダンジョンコアが作り出した新人類の試作生物ではないかと考えた。チャクチャックとニョル・ミョルニールは互いに殺し合っており、どちらも不気味で本能的な存在だった。二人は繁殖力も分からないまま、げんなりしながら観察を続けた。
第十話 おっさん、アドの意外な才能を知る
弱肉強食の第四階層と夜営の報告書
異形同士の捕食戦
チャクチャックとニョル・ミョルニールは、互いを捕食対象として襲い合っていた。チャクチャックは数で押したが、ニョル・ミョルニールの頑丈な体を容易には噛み破れなかった。一方でニョル・ミョルニールもまとわりつかれて動きを制限され、細菌への耐性がない個体は腐り落ちていった。
耐性持ちの暴食
細菌に耐性を持つニョル・ミョルニールは、チャクチャックを次々と丸呑みにしていた。柔軟で硬い身体と凄まじい消化能力を備え、一般の傭兵では太刀打ちできない危険な魔物であった。ゼロスとアドは、それが新人類の失敗作とされていることに、ダンジョンの恐ろしさを感じていた。
地中の上位捕食者
二種の魔物が争う中、地中からグリースピタロスというドラゴンが現れた。水辺や泥地に潜む肉食獣であり、チャクチャックやニョル・ミョルニールをまとめて食らっていた。ゼロス達は、廃坑ダンジョン内で食物連鎖が成立し、魔物達が本格的な弱肉強食の環境に置かれていると判断した。
変わったダンジョンの摂理
ゼロスは、以前のダンジョンの魔物は遊びのように侵入者を襲っていたが、今は生きるために獲物を狩っていると考えた。過酷な生存競争を経験した魔物が外に放出されれば、防衛側の被害は大きくなる。二人は、この異変を報告すべき重要案件だと理解したが、無断侵入していることが問題だった。
匿名報告の準備
ゼロスとアドは、匿名で傭兵ギルドへ報告書を投げ込む方針を決めた。ゼロスは報告書作成を、アドは魔物のイラストを担当することになった。二人は当初の目的から外れながらも、隠密行動を続け、生態調査とスケッチを進めた。
夜営でのまとめ
調査を終えた頃には夜半を過ぎており、二人は魔物を避けてキャンプを張った。焚火の前で報告書をまとめたゼロスは、第四階層の魔物を基準上Aランク、ダンジョン全体の危険度をSランク相当と見た。薬草は豊富だが、低位の傭兵が挑むには危険すぎる場所であった。
ギガントクラブとダミーロッククラブ
調査中、グリースピタロスは巨大カニのギガントクラブに襲われ、首を断たれて捕食された。ゼロスとアドはギガントクラブを狩らなかったが、代わりに高級食材であるダミーロッククラブを乱獲した。ダンジョン内の捕食速度と食物連鎖の厳しさは、二人に強い印象を残した。
アドの絵の才能
アドは報告書用に薬草や魔物の絵を描いていた。薬草の絵は本物と見間違うほど精密で、魔物の絵はデフォルメされながら特徴を捉えていた。ゼロスはその出来に驚いたが、アドは色を塗ると台無しになるため、美術の成績は悪かったと説明した。
向かない仕事
ゼロスは、アドの方向音痴、不器用さ、文才のなさを思い浮かべ、彼に向く仕事は肉体労働くらいではないかと考えた。しかしハンバ土木工業で働くアドの姿を想像し、あまりの哀れさに口に出せなかった。ゼロスはせめてもの慰めのように、カニシュウマイを作り始めた。
夜食のカニシュウマイ
ゼロスはダミーロッククラブを使い、報告書を書きながらカニシュウマイを蒸していた。アドはユイの絵を描きつつ、出来たてのシュウマイを受け取った。ゼロスは、アドの魔法薬販売業が失敗した場合の未来を想像して涙をこらえながら、顔を背けていた。
不穏な夜
二人は岩を操る魔法で寝床を作り、魔物避けの香を焚いて休むことにした。しかしその夜、アドの帰宅が遅いことを疑うユイのような、どす黒い声が聞こえた気がした。ゼロスとアドはその気配に怯え、なかなか眠れなかった。
第十一話 セレスティーナ、執筆作業でストレス発散中
学院の臨時講師とアド邸の着工
セレスティーナの執筆
ゼロスとアドが廃坑ダンジョンで夜を過ごしている頃、セレスティーナは学生寮で執筆に没頭していた。スティーラの街と学院は地震から日常を取り戻し、上位成績者達も臨時講師を再開していた。しかし一般学生だけでなく講師達まで講義を受けに来るようになり、教える側のセレスティーナは大きなストレスを抱えていた。
講師達への指導
上位成績者達の講義は、ゼロスから学んだ基礎能力向上の訓練であり、保有魔力、魔法操作、身体強化、多重展開などを反復するものだった。講義を受けた学生達は明らかに成長し、講師達も危機感から参加するようになっていた。セレスティーナはその意欲を尊重しつつも、年配の講師達へ教える状況に慣れずにいた。
学院改革の負担
ミスカは、旧体制の学院が研究成果を潰し、新しい知識を軽んじてきたことが今の混乱を招いたと考えていた。セレスティーナは、自分達の講義が学生の命を左右する可能性を重く受け止めていたが、ミスカは責任を一人で抱える必要はないと諭した。むしろ学生に講師役を任せた学院側に問題があると見ていた。
戦争への備え
ミスカは、クロイサスの魔導蒸気機関やツヴェイトの戦術研究にも触れた。隣国の崩壊により難民や犯罪者が流入し、治安悪化や戦争が起こる可能性があった。セレスティーナも、建国ラッシュや貿易問題が内政を不安定にすることを理解しており、平穏は長く続かないと考えていた。
セレスティーナの理想
セレスティーナは、公爵家の娘として政治的な知識を持ちながらも、いずれ家から独立し、自分の理想の道を進みたいと考えていた。その理想は、世間に埋もれつつも有能な魔導士であるゼロスのようになることだった。ミスカはその美化された見方に内心で疑問を抱いたが、言葉には出さなかった。
路線変更の原稿
ミスカは、セレスティーナが書き散らした原稿をこっそり読んだ。そこには、婚約破棄を宣言された公爵令嬢が、王子との婚約をむしろ破棄したがっていたという物語が書かれていた。これまでの薔薇色小説とは異なり、貴族視点では奇妙ながらも比較的まともな内容だったため、ミスカは作風の変化に驚いた。
ミスカの暴走
原稿の令嬢は、屈強で勇猛な男性を好む女傑のような人物として描かれていた。ミスカは、セレスティーナらしさである腐の要素が消えたことに衝撃を受け、路線変更を乱心だと叫んだ。セレスティーナは、ただのストレス発散だと反論したが、ミスカの暴走を抑えるうちに夜は更けていった。
アド邸の着工
早朝、ハンバ土木工業の棟梁ナグリは、ゼロス宅の隣の更地に来ていた。地震復興の影響で新築アド邸の工事は遅れていたが、これ以上放置すれば職人としての沽券に関わるため、着工を決めたのだった。設計はゼロス宅を流用し、一階を小さめの店舗にする形で進められることになった。
働きすぎの職人達
ハンバ土木工業の職人達は、復興作業で休みなく働き続けていた。魔法薬で強制的に回復し、重労働に快感を覚えるほど危険な状態になっていたが、ドワーフ達にとっては珍しいことではなかった。ナグリ達は新人職人を休ませる必要を認めつつも、現場を進めることを優先した。
異様なコッコ訓練
基礎工事を始めようとしたボーリングは、隣のゼロス宅で子供達とコッコ達が激しい戦闘訓練をしている光景を目撃した。蹴りや斬撃、分身するコッコに少年少女達が必死で対応していた。異常な職人気質のドワーフ達から見ても、そのコッコ達の武芸は異様に映った。
廃坑ダンジョンの朝
廃坑ダンジョンで一夜を明かしたゼロスとアドは、地下空間に昼夜があることを異世界だからと受け入れながら朝食の準備をしていた。ゼロスは携行食よりも安全を確保して調理した方がやる気が出ると考えていた。二人は、ダンジョン内でも普段通り食事を作る自分達の異質さをあまり気にしていなかった。
ユイの生霊
ゼロスは、夜通し聞こえたユイの怨念めいた声のせいで寝不足になっていた。一方、アドはユイの生霊に慣れており、枕元に立たれても落ち着いていた。ゼロスはその適応力に恐怖を覚え、ユイの嫉妬心が都市伝説になるほど強いものだと感じていた。
探索への切り替え
ゼロスとアドは、昨夜の恐怖を忘れるように、この後の探索へ意識を向けた。酒場でチンピラに絡まれるような展開を想像しながらも、ユイの生霊が絡むと洒落にならないと考えた。ゼロスは現実逃避のように朝食と探索準備へ思考を切り替えた。
第十二話 ツヴェイトとクロイサスの日常
蒸気機関の暴走と恋に迷うディーオ
クロイサスの蒸気機関
イストール魔法学院のサンジェルマン派研究室では、クロイサスが仲間達を巻き込み、蒸気機関の研究を進めていた。魔導自動車の魔導式モーターは製造コストが高く、技術者も足りないため、彼は簡単な動力として蒸気機関に目をつけた。水と火の術式を使うから魔導具だという屁理屈で、機械工学に近い研究を押し切っていた。
暴走する試作機
試作蒸気機関は過熱し、ボイラーが赤熱化して爆発寸前になっていた。原因は、クロイサスが魔石を使う術式基板を勝手に自然魔力利用型へ変更していたことだった。術式基板が熱で歪んでレールに癒着し、停止できなくなったため、学生達は必死に冷却して事故を防ごうとしていた。
強制停止
クロイサスは、外部から術式プレートを狙って攻撃魔法を撃ち込み、強制停止させることを決めた。学生達は氷結魔法と水魔法でボイラーを冷やし、クロイサスはストーン・ブリットで内部の術式プレートを破壊した。蒸気機関は炎を噴いた後に静まり、爆発せずに停止したため、学生達は安堵ではなく爆発しなかったことに歓喜した。
研究馬鹿への非難
学生達は、勝手に術式を変更して命を危険に晒したクロイサスを非難した。クロイサスは結果的に誰も死ななかったため問題はなかったと言い、研究データ収集を優先する姿勢を崩さなかった。仲間達は彼の倫理観の薄さに呆れたが、クロイサスは怪訝そうにするだけだった。
国境情勢への危機感
クロイサスは、旧メーティス聖法神国の崩壊により国境付近が荒れると見ていた。難民を追って新興勢力が国境を越える可能性や、逃げた民を奴隷として連れ戻そうとする危険を考えていた。だからこそ、多くの人員や物資を動かせる蒸気機関が必要であり、軍備や輸送技術を急ぐべきだと考えていた。
見直されたクロイサス
マカロフ達は、クロイサスが国や仲間の未来を考えて研究を進めていたことに驚いた。彼らは、ただの非人道的な研究馬鹿だと思っていた自分達を反省し、蒸気機関研究に前向きになった。しかし実際には、クロイサスが勝手に術式をすり替えた事実は忘れられており、彼が研究第一の自己中心的な人間であることには気づかなかった。
蒸気機関の未来
クロイサス達は、自然魔力の利用研究をいったん後回しにし、魔石を使う方式で実験を続けることにした。後にドワーフの鍛冶師を助言役に迎え、三ヶ月後には蒸気機関の試作品を完成させることになる。その技術はソリステア派の工房へ渡り、職人ドワーフ達の暴走によって実用レベルの蒸気機関車へと発展していくことになった。
カフェの三人
大図書館前のカフェでは、エロムラ、ツヴェイト、ディーオが過ごしていた。エロムラが唐突に叫んでも、ツヴェイトとディーオは無視して紅茶を飲んでいた。ツヴェイトとディーオは、学院生達に実戦訓練を経験させる必要があると話し合っていた。
実戦訓練の必要性
ツヴェイトは、研究部の学生達も実力をつけてきたため、騎士団や国境警備隊との合同訓練を考えていた。戦場では人を殺せないでは済まされず、実戦経験の不足は味方を危険に晒すからだった。しかし復興作業で騎士団も忙しく、臨時講師の負担もあるため、すぐに実現するのは難しい状況だった。
エロムラのナンパ
エロムラは、ウェイトレスへ露骨な下心を隠さないナンパを仕掛けて逃げられた。彼は交際ではなく軽い関係を求めているだけだと悪びれずに語り、ツヴェイトとディーオは最低だと呆れた。風俗店へ行くには上司であるミスカの許可が必要で、それを言い出せないため、彼の奇行はますます目立っていた。
ディーオの片想い
話題は、セレスティーナに恋するディーオへ移った。セレスティーナは公爵家の血筋であり、自由恋愛は難しく、さらに年上好みであるため、ディーオの想いが叶う可能性は低かった。ツヴェイトとエロムラは、現実を見ないディーオを容赦なく指摘した。
告白できない弱さ
ディーオはセレスティーナを諦めきれない一方で、告白する勇気もなかった。ツヴェイトは、公爵家の立場上、友人として話を聞くことはできても応援はできないと考えていた。エロムラも、ほとんど付き合いがない相手への恋にそこまで執着する理由を理解できず、ディーオは哀愁を漂わせながら去っていった。
アラフォー賢者18巻レビュー
アラフォー賢者まとめ
アラフォー賢者20巻レビュー
同シリーズ
アラフォー賢者の異世界生活日記シリーズ
小説
























その他フィクション

Share this content:

