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アラフォー賢者の異世界生活日記フィクション(Novel)読書感想

小説「アラフォー賢者の異世界生活日記 7」感想文・ネタバレ

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アラフォー賢者の異世界生活日記

アラフォー賢者6巻レビュー
アラフォー賢者まとめ
アラフォー賢者8巻レビュー

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  1. どんな本?
  2. 読んだ本のタイトル
  3. あらすじ・内容
  4. 前巻からのあらすじ
  5. 感想
  6. 考察・解説
    1. 地下街道の開通
    2. 古代遺跡の探索
    3. 勇者召喚の真実
    4. 獣人族の山城
    5. 四神教の凋落
    6. 転生者たちの合流
  7. 登場キャラクター
    1. 転生者・地球の人物
      1. ゼロス・マーリン(大迫聡)
      2. アド(安藤俊之)
      3. ケモ・ブロス(野蛮人)
      4. イリス
      5. タカ・ガトー(加藤貴仁)
      6. ケモ・ラビューン
      7. リサ
      8. シャクティ
    2. メーティス聖法神国に召喚された勇者
      1. 田辺勝彦
      2. 一条渚
      3. 岩田定満
      4. 風間卓実
      5. 姫島佳乃
      6. 神薙悟
      7. 坂本
      8. 笹木
      9. 百合
      10. 宏美
      11. 勇者達
    3. メーティス聖法神国・四神教
      1. ミハロウフ
      2. ジャミール
      3. マリアンヌ
      4. 異端審問官
      5. 四神教血連同盟の者達
      6. 神聖騎士団
      7. 銃士隊
      8. 狙撃手
    4. ソリステア魔法王国
      1. デルサシス・ヴァン・ソリステア
      2. クレストン
      3. イルハンス
      4. ミレーナ
      5. ミスカ
      6. セレスティーナ・ヴァン・ソリステア
    5. イサラス王国
      1. ザザ
    6. アルトム皇国
      1. ルセイ・イマーラ
      2. アルトム皇国の姫
      3. アルトム皇国の戦士団
      4. アルトム皇国側のドワーフ達
    7. 獣人族
      1. 獣人族の妻達
      2. 獣人族
    8. 四神
      1. アクイラータ
      2. フレイレス
    9. ハンバ土木工業・土木作業員
      1. ナグリ
      2. ボーリング
      3. 土木作業員達
    10. 傭兵ギルド・教会の関係者
      1. ルーセリス
      2. 養護院の子供達
      3. ジャーネ
      4. レナ
      5. ハイスピード・ジョナサン
    11. 魔物・聖獣・その他
      1. ブエル
      2. スケルトン・カイザー
      3. スカル・オーガスト
      4. スケルトン
      5. グール(食人鬼)
      6. オーク・ロード
      7. サイクロプス
      8. マッド・ウルフ
      9. オーガ
      10. ワイヴァーン
      11. コッコ達
  8. 展開まとめ
    1. プロローグ おっさん、燻製す
    2. 第一話 アド、獣人族の元へ向かう
    3. 第二話 アド戦記?
    4. 第三話 おっさん、拉致られる
    5. 第四話 おっさん、古代遺跡の存在を予測する
    6. 第五話 おっさん、遺跡内部に踏み込む
    7. 第六話 おっさん、エア・ライダーをガメる
    8. 第七話 おっさん、悪魔をボコる
    9. 第八話 おっさん、またもやらかす
    10. 第九話 おっさんは休めない
    11. 第十話 おっさん、元勇者と出会う
    12. 第十一話 おっさん、再び護衛依頼を請け負う
    13. 第十二話 姫島佳乃の追憶
    14. 第十三話 おっさん、迎撃す
    15. 第十四話 おっさんは、空気を読まない
    16. 短編 デルサシスの誓い
  9. 同シリーズ
    1. アラフォー賢者の異世界生活日記シリーズ
    2. 小説
  10. その他フィクション

どんな本?

ゲームのラスボスを倒したら。
別の世界の邪神だったらしく滅ぶなら道連れだと自爆されてしまった。
そのせいで日本中の全ての電源が落ちて大停電が起きてしまう。
そのせいで様々な事情で田舎でスローライフをしていた大迫聡は死亡してしまった。

でも彼が気が付いたら森の中にいた。
そして、操作パネルのようなステータスが見えるので調べていたら、異世界の神からメールが来ていた。
そこには何が起こったのか簡単に説明されており。

オッサンは異世界の神に怨みを抱えながら平穏を求めて街を目指して歩き出す。

読んだ本のタイトル

アラフォー賢者の異世界生活日記 7
著者:寿安清 氏
イラスト:ジョンディー  氏
出版社:KADOKAWAMFブックス
発売日:2018年9月25日
ISBN:9784040651699

(PR)よろしければ上のサイトから購入して頂けると幸いです。

あらすじ・内容

おっさん、拉致られる!?
モブ村で実戦訓練を開始した養護院の子供達。なにかと心配するルーセリスをよそに、あらゆる困難を子供達だけで乗り越えさせるべく、ゼロスは影から見守ることに徹する。その甲斐あってか、子供達は心身ともに大きく成長を遂げ、訓練は大成功に終わった。
その後、ゼロスはサントールの街へ帰る際、偶然にも勇者と遭遇。これをメーティス聖法神国の内部事情を知るチャンスと考えたおっさんは、嘘と誠を巧妙に交えた情報を勇者に吹き込み、面白半分に揺さぶりをかける。その大人げない作戦は見事ヒットし、勇者達は混乱するのだった。
そんなこんなで我が家に戻ったゼロス。その後も平穏な日々が戻ることなく、数日が過ぎて……。
「い、行くって……どこへ?」
突如現れたナグリとボーリングに、おっさんは何処かへと連れて行かれるのだった。

アラフォー賢者の異世界生活日記 7

前巻からのあらすじ

孤児院の子供達かついに冒険者デビューする。

その引率にシスターとオッサンが着いていく。

あくまでも子供達を主体にした狩だったのだが、、
子供達がすごく逞しい。

酒場での情報収集、森での移動。
戦闘もその辺の傭兵より強いが、経験が足りないせいでドンドン奥へ行ってしまい「肉、肉」言ってる子がカエルに喰われてしまう。

歯がないモンスターなので何とかなったが結構危なかった。

それでも心は折れない子供達、反対に仲間がいきなり死ぬかもしれないと覚悟を決めてしまう、、、

逞しい。

感想

読んでまず感じたのは、本作らしいシリアスとギャグの落差がこれまで以上に激しかったことである。

地下遺跡の攻略や国家間の戦争、勇者たちの悲劇といった重い出来事が描かれる一方で、相変わらずゼロスの周囲では常識が通用しない騒動が巻き起こる。その温度差が最後まで読者を飽きさせない。

まず印象に残ったのは、ゼロスがドワーフたちに拉致同然に連行される冒頭の騒動である。

そして、その移動手段がハイスピード・ジョナサンの馬車だったことに思わず笑ってしまった。

前巻でも十分に強烈だったが、今回も相変わらずの暴走ぶりである。

凄まじい速度で街道を駆け抜ける姿はもはや馬車というより災害に近い。

ゼロスが気絶してしまうのも無理はないが、周囲のドワーフたちが平然としているあたりに、この世界の住人たちの逞しさを感じた。

地下深くに眠る遺跡都市の探索も非常に面白かった。

大量のスケルトンや悪魔が待ち受ける危険な場所でありながら、ゼロスは相変わらず圧倒的な実力で進んでいく。

特に印象的だったのは、長年怨念を蓄積して生まれた悪魔との戦いである。

本人は強大な存在を気取っていたが、ゼロスからすれば大した脅威ではなく、一方的に蹂躙されてしまう。

読んでいて爽快感があった一方で、もし普通の冒険者が先に発見していたら大惨事になっていただろうとも感じた。

結果的にゼロスを現場へ連れてきたドワーフたちとジョナサンが世界を救った形になっているのが、本作らしい面白さである。

しかし、本巻で特に印象に残ったのは勇者たちを巡る物語だった。

聖法神国に召喚された風間は、周囲とは違い国の教義や在り方に疑問を抱いていた。

そのために疎まれ、危険な最前線へ送られてしまう。

それでも仲間を見捨てず、自ら殿を務める姿には強く心を打たれた。

そして幼馴染である姫島の前で命を落としたと思われたことで、彼女が復讐に囚われていく流れも非常に重い。

読んでいて、これまで比較的軽快だった勇者側の物語が一気にシリアスな方向へ進んだように感じた。

だからこそ、その後の展開には驚かされた。

復讐に燃える姫島がアルトム皇国へ潜入し、ついに仇討ちへ動き出したかと思えば、肝心の風間本人は普通に生きていたのである。

しかも王女と良い関係を築いているという予想外の状況には思わず吹き出してしまった。

あれだけ重苦しい雰囲気を積み上げておいて、この結末を持ってくるあたりが本作らしい。

さらに、その流れで姫島がゼロスに強い興味を持ち始める展開も面白かった。

シリアスな復讐劇がいつの間にか妙な方向へ転がっていく様子には笑わずにいられない。

また、アドとケモ・ブロスの再会も印象的だった。

ゲーム時代のアバターと現実の姿のギャップには驚かされたが、それ以上に獣人たちを守るために戦う彼らの姿が格好良い。

特にケモミミへの愛を原動力に戦争へ突っ込んでいく姿は、真面目なのか馬鹿なのか判断に困るが、それが妙に魅力的だった。

読んでいて感じたのは、本巻はそれぞれの場所で戦う人々の生き様が描かれた巻だったということである。

ゼロスは相変わらず振り回されながら問題を解決し、勇者たちは過酷な運命と向き合い、転生者たちもそれぞれの信念で戦っている。

世界は決して平和ではなく、多くの悲劇や陰謀が渦巻いている。

それでも登場人物たちは前へ進み続ける。

そんな力強さが強く印象に残った。

シリアスな戦争劇と破天荒なギャグが絶妙なバランスで共存しており、続きがますます楽しみになる一冊だった。

最後までお読み頂きありがとうございます。

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アラフォー賢者6巻レビュー
アラフォー賢者まとめ
アラフォー賢者8巻レビュー

考察・解説

地下街道の開通

『アラフォー賢者の異世界生活日記 7』における、イルマナス地下大遺跡の街道開通とそれに伴う騒動について解説する。

本エピソードは、長年の苦労が実を結ぶ感動的な瞬間と、その直後に巻き起こるゼロスならではのドタバタ劇が入り交じった展開となっている。その全容は以下の通りである。

1. 三十年越しの悲願と開通の瞬間

ソリステア魔法王国、メーティス聖法神国国境付近、アルトム皇国を結ぶイルマナス地下大遺跡の街道工事は、三十年もの歳月をかけて極秘裏に進められてきた国家事業であった。

・魔物の大量繁殖や、自己修復能力を持つ古代都市イーサ・ランテの外殻といった数々の困難に直面した。
・しかし、ハンバ土木工業の職人達や、強制連行されてガテン系に順応したゼロスの活躍により、ついに工事は最終段階を迎える。
・開通式では、ハンバ土木工業のナグリと、別の業者の現場監督であるタカ・ガトー(元勇者・加藤貴仁)の二人が代表して岩壁にツルハシを振り下ろした。
・岩壁に穴が穿たれて反対側から光が溢れ出した瞬間、現場の作業員達は歓喜の雄叫びを上げ、互いに抱き合って涙を流した。

2. 開通直後のゼロスの悲劇(禁煙現場)

作業員達が最後の仕上げに向けて動く中、ゼロスもまた大きな達成感に包まれていた。

・彼はその余韻に浸りながら一本の煙草を取り出して火を点け、充足感を味わおうとする。
・しかし次の瞬間、ゼロスはナグリのアッパーカットを食らい、天高く殴り飛ばされて地面に叩きつけられた。
・実はこの異世界の工事現場でも禁煙がルール化されつつあり、ゼロスは現場の規則を破ったとして容赦ない制裁を受けた。
・誰もゼロスを助けようとしないという、職人たちの日常を象徴するコミカルなシーンとなった。

3. 雪国リサグルの町とドワーフ達の共鳴

開通したトンネルを抜けると、そこは雪がうっすらと積もるアルトム皇国側の山間部であった。

・出口の近くにはリサグルというのどかな田舎町があり、町の傍には不釣り合いなほど立派に整備された街道が造られていた。
・そこではアルトム皇国側のドワーフの作業員達が、街道の完成を祝ってヨサコイ風のダンスを踊っていた。
・国は違えど、困難な仕事を終えたあとに熱烈なダンスで祝うドワーフ達の共通する性質に、ゼロスは半ば呆れながらも感心する。

4. 暴走洗濯機と温泉街の誕生

大仕事を終えた作業員達は宴会を開く予定であったが、長期間地下で働き続けた彼らの悪臭が問題となる。

・ナグリから洗濯できる道具を求められたゼロスは、大気中の水素と酸素を集めて水を自動生成する試作段階の洗濯機を取り出した。
・ところが、防水加工や魔力制御に欠陥を抱えていたその試作機は、稼働させた途端に激しく水漏れを起こし、高速回転を始める。
・暴走した洗濯機はそのまま地面を猛烈な勢いで掘り進み、ついには地下水脈を貫いて大量の温水(温泉)を噴出させた。
・温水で町が水浸しになるのを防ぐため、職人達は宴会を中止してそのまま温泉施設を建設するという新たな工事に突入することとなる。
・何もない辺鄙な町だったリサグルは、後に温泉街として大きく発展していくことになった。

まとめ

このように地下街道の開通エピソードは、歴史的偉業の達成というシリアスな側面と、ゼロスの発明品が引き起こす常識外れのトラブルというコメディ要素が融合した展開となっている。三十年に及ぶ職人たちの執念が実を結んだ一方で、ゼロスの失敗作である洗濯機が地下水脈を掘り当て、結果としてリサグルを一大温泉街へと変貌させる結末は、彼の規格外な影響力を物語るエピソードと言える。

古代遺跡の探索

『アラフォー賢者の異世界生活日記 7』における「古代遺跡の探索」のエピソードについて解説する。

本作においてこのエピソードは、ゼロスが土木工事の現場に拉致されたことから始まり、アンデッドの殲滅、悪魔との死闘、そして古代兵器のうっかり起動による国家中枢の破壊という、スケールの大きな騒動へと発展していく。その全容は以下の通りである。

1. 探索の発端と自己修復する岩壁

サントールの街へ帰還したゼロスは、ハンバ土木工業のドワーフ達によって強制連行され、イルマナス地下大遺跡の地下街道工事を手伝わされることになる。

・この工事は、ソリステア魔法王国、アルトム皇国などを繋ぐ新たな交易ルートを掘削する国家事業であった。
・しかし、工事は巨大な岩壁に阻まれ難航していた。
・ツルハシや魔法で穴を開けても一瞬で塞がれてしまうという現象を目の当たりにしたゼロスは、それが魔法防壁とガイア・コントロールの複合による自己修復能力を持つ都市の外殻であると予測する。
・外側からの破壊は不可能と判断したゼロスは、内部への入り口を探すことを提案した。

2. 遺跡への侵入とアンデッドの大群

職人達が岩棚を掘り進めて巨大な門を発見する一方で、抜け駆けして内部へ侵入した傭兵達が食人鬼(グール)と化して戻ってくる事件が発生する。

・門の奥からは大量のスケルトンやグールが溢れ出し、職人達と傭兵達は外で防衛戦を繰り広げることとなった。
・そんな中、門をこじ開けて現れた強大なアンデッドであるスケルトン・カイザーに対し、ゼロスは単身で挑む。
・彼は氷結華で巨体を凍らせ、遅延術式で放った振動波の魔法ウェーブ・パニッシャーで一撃粉砕した。
・その後、ゼロスは一人で無明の闇が広がる死の街へと足を踏み入れ、シャイニング・ノヴァなどの光魔法で立ちはだかるアンデッドを片っ端から殲滅していった。

3. 旧時代の都市イーサ・ランテと横領

遺跡の内部は、かつてゼロスがプレイしていたVRRPG『ソード・アンド・ソーサリス』の初心者向け地下都市イーサ・ランテと酷似していた。

・この街は落盤によって外部から隔絶され、食糧不足と暴動の末に住民が死に絶えた死の街であり、充満した死臭と瘴気から無数のアンデッドが生まれていた。
・探索の道中、ゼロスは旧時代の高度な魔導具である空飛ぶバイク、エア・ライダーを発見する。
・本来ならば国家に没収されるべき古代の遺物であったが、誘惑に抗えなかった彼は周囲に誰もいないことを確認し、こっそりとインベントリへ収納して横領を働いた。

4. 悪魔ブエルとの死闘

ゼロスは街の明かりを取り戻すため、領事館の地下にある管理室へ向かい、魔力を失った魔晶石を新しいものと交換して都市の管理システムを再起動させる。

・しかしシステムが稼働した直後、龍の心臓と呼ばれる動力部に長年の瘴気から生まれた爵位級の悪魔ブエルが検知された。
・防衛システムによって作動した隔壁に潰されそうになりながら外へ逃れたゼロスは、実体化した悪魔と対峙する。
・ゼロスは悪魔に本気を出させる隙を与えず、多数の魔法を同時解放する波状攻撃で徹底的に蹂躙した。
・最後は、悪魔が実体化を解いて蛇の姿で絡みついてきたところを、自身ごと巻き込む至近距離のシャイニング・ノヴァを放ち、悪魔を完全に消滅させた。

5. 古代兵器の起動と大惨事

悪魔討伐から数日後、遺跡には騎士団や歴史学者が入り、呪われた遺物の浄化をゼロスが手伝うことになる。

・その最中、管理室のシステムを調べていたゼロスは、この世界の魔力がメーティス聖法神国の勇者召喚によって搾取され、世界が滅亡の危機に瀕していることを知る。
・勇者召喚を阻止すべく、ゼロスは龍脈の流れを元に戻すようシステムに命じたが、それが古代の防衛システムであるジャッジメントを起動させるコードとなってしまった。
・結果として、宇宙空間の攻撃衛星メタトロンから対地上決戦兵器セラフィム・バーストが発射され、メーティス聖法神国の中枢であるマルトハンデル大神殿(召喚施設)を一撃で消し飛ばすという大惨事を引き起こしてしまった。
・最終的に、ゼロスは最高責任者としてシステムに顔認証登録されてしまい、対地上攻撃兵器グングニールの発動権限まで押し付けられる羽目になる。
・ゼロスとクレストンは、この手に余る危険な兵器の存在を隠蔽するため、管理室とイーサ・ランテの中枢を隔壁で完全封鎖し、闇に葬ることを決意した。

まとめ

このように、イルマナス地下大遺跡の探索は、一介の土木工事のサポートから世界の根幹を揺るがす超古代兵器の覚醒へと繋がる、シリーズ屈指の壮大なエピソードとなった。ゼロスの圧倒的な魔法火力によるアンデッドや悪魔の討伐という見どころだけでなく、ちゃっかりと古代の遺物を横領するおっさんらしいコミカルな一面も描かれている。しかし、善意で行ったシステムの操作が結果的に敵対国家の中枢を物理的に消滅させるという結末は、彼の持つ規格外の力と、世界の裏に隠されたシリアスな設定を浮き彫りにしている。

勇者召喚の真実

『アラフォー賢者の異世界生活日記 7』における「勇者召喚の真実」について解説する。

本作において勇者召喚は、四神教が語るような神の奇跡や神聖な儀式ではなく、人間の欲望と無知、そして四神の身勝手さが引き起こした世界の危機として描かれている。その全容は以下の通りである。

1. 若い勇者が選ばれる理由と帰還の嘘

異世界から召喚される勇者の大半は、地球の中学生など未成年ばかりであった。

・実は大人の勇者も召喚されていたが、大人は洗脳しにくく反乱の恐れがあるため、ほぼ全員が事故に見せかけて暗殺されていた。
・四神教にとって都合が良いのは、好待遇で甘やかせば現状に順応して思考を放棄する夢見がちな若者であった。
・彼らはメーティス聖法神国の権威を高めるための軍事力として利用されるだけであり、過去の記録において元の世界へ帰還した勇者は一人も存在しない。
・真実に気付いた者や用済みになった者は秘密裏に始末されるという、完全な使い捨ての駒であったのが勇者の真実である。

2. 召喚魔法陣の欠陥と無意味な生贄

勇者を召喚する魔法陣は、聖都マハ・ルタートのマルトハンデル大神殿の地下に存在し、30年かけて自然に魔力を蓄え、自動で召喚を行うシステムである。

・本来は魔導士が管理する高度なシステムであったが、四神教が権威拡大の過程で魔導士を異端として排除し、関連する研究資料も廃棄してしまった。
・そのため、現在の神官たちはその仕組みを全く理解していない。
・その結果、魔力の蓄積が不安定になるシステムの欠陥を補うためと勘違いし、生贄の儀式が必要だと思い込む。
・これにより、多くの獣人族や無実の罪人を無為に殺戮し続けるという恐ろしい人災を引き起こしていた。

3. 魔力搾取による世界滅亡の危機

勇者召喚における最大の脅威は、時空に穴を開けて異世界と繋ぐために、この世界の莫大な魔力を消費・流出させてしまうことである。

・ゼロスが古代都市イーサ・ランテの龍脈監視システムで確認したところ、2000年以上にわたって大規模な魔力が搾取され続けていた。
・その影響で世界の龍脈は虫食い状態になっていた。
・このまま勇者召喚を続ければ魔力が枯渇し、魔力を持つ生物の絶滅や気候変動を引き起こす。
・生態系の再生に46万年を要するという、文字通りの世界滅亡の危機に瀕していることが判明した。

4. 四神と聖法神国の思惑のズレ

メーティス聖法神国の上層部は、勇者を軍事力や権力維持の道具として利用している。しかし、ゼロスの推測によれば、勇者を召喚させるシステムを作った四神(代行神)の目的は異なる。

・享楽的で無責任な四神は、他の世界へ遊びに行き高度な文明や娯楽を知ったことで、この世界の低い文明水準に不満を抱いた。
・そのため、異世界の文化や技術を強引に持ち込ませて文明を発展させ、自分たちの娯楽とするために勇者を召喚し続けていた可能性が高いとされている。
・このように、勇者召喚は世界を崩壊に導く極めて邪悪なシステムであった。
・ゼロスが古代の防衛システムを誤って起動させ、大神殿ごと召喚魔法陣を破壊したことで、皮肉にも世界は滅亡の危機から救われる結果となった。

まとめ

このように勇者召喚の真実は、崇高な救世の儀式などではなく、神の身勝手な娯楽と人間の無知な隠蔽工作が合致した結果生み出された、世界を滅ぼしかねない欠陥システムであった。大人を暗殺して未成年を利用する冷徹な統治術や、システムの構造を理解できずに生贄を捧げ続けた神官たちの盲信は、四神教の深い欺瞞を表している。ゼロスのうっかりによる大神殿の破壊という結末は、結果として世界を破滅的な魔力枯渇から救い出すという、皮肉で重大な転換点となっている。

獣人族の山城

『アラフォー賢者の異世界生活日記』に登場する「獣人族の山城(ヤーバン城)」の構造と機能について解説する。

ヤーバン城は、獣人族を束ねる英雄であり転生者でもある野蛮人(ケモ・ブロス)によって、ルーダ・イルルゥ平原の山を利用して築かれた建造物である。メーティス聖法神国の侵攻から獣人族を守るという強い執念のもとに作られたこの城は、通常の城塞とは全く異なる異質な特徴を秘めており、その全容は以下の通りである。

1. 日本の城を模した外観と張りぼての天守閣

遠目に見る外観は、熊本城などを思わせる日本の木造建築に、少数民族風の文様や龍の彫り物が施された中華風が混ざったような独特なデザインをしている。

・建物(天守閣)自体は非常に造りが雑なやっつけ仕事である。
・火をかけられれば簡単に燃え落ちてしまいそうな張りぼてのような状態になっている。

2. 異常に強固な防壁と防衛設備

建物が手抜きである一方で、城を囲む白壁や石垣は恐ろしく強固かつ巧妙に作られている。

・土系統の魔法で作られた厚く高い壁には、内部を行き交うための通路が設けられている。
・弓や槍で敵を集中攻撃するための狭間(さま)や石落としなど、日本の山城をベースにした凶悪な防衛機能が随所に仕込まれている。
・地形の高低差を巧みに利用することで、外側からは城の内部構造が一切把握できないようになっている。

3. 城の真の姿:巨大な処刑台(トラップ)

この山城の最大の特徴は、城そのものが敵を誘い込んで一網打尽にするための巨大な魔導具(トラップ)であるという点である。

・入り口の門は広く開け放たれているが、奥に進むにつれて道が狭くなり、行き止まりや迷路のような分かれ道が多数配置されている。
・天守閣の近くまで辿り着いても建物の中に入るための入り口が存在しないという構造になっている。
・敵が完全に城の奥深くに誘い込まれたタイミングで罠が発動する仕組みである。

4. ルーダ・イルルゥ戦役における猛威

勇者・岩田定満が率いるメーティス聖法神国の神聖騎士団がこの城に攻め込んだ際、この要塞の真の恐ろしさが発揮された。

・敵が城の奥まで入り込んだ瞬間、城の真下にある遺跡の魔力溜まりから供給された膨大な魔力によって、退路が見えない壁で塞がれた。
・電子レンジ(火攻め):電磁場を発生させて敵の血液を沸騰させ、自然発火させる。
・水攻め・氷攻め:透明な壁に閉じ込め、水で溺れさせたり氷塊に変えて粉砕する。
・物理攻撃と魔法封じ:壁の向こう側から槍や毒矢による集中攻撃が行われる一方、神聖騎士団側の魔法は妨害され一切発動できなくなる。
・この圧倒的な殺戮トラップにより、神聖騎士団はわずか数時間で戦力の六割を失い、完全に壊滅状態へと追い込まれた。

まとめ

このようにヤーバン城は、ケモ・ブロスがダンジョンクリエイトの能力を応用して築き上げた、敵を全滅させるためだけの非情な要塞である。外観の手軽さとは裏腹に、侵入した者を確実に仕留める冷徹な迎撃システムが構築されている。彼が愛する獣人族を守るためなら魔王にも悪にもなるという、恐ろしいまでの情熱が形になった存在と言える。

四神教の凋落

『アラフォー賢者の異世界生活日記』において、四神教を国教とする巨大宗教国家であるメーティス聖法神国の凋落とその要因について解説する。

圧倒的な武力と医療の独占により周辺諸国へ横暴な威圧外交を繰り返していたメーティス聖法神国であるが、主にゼロスの個人的な恨みとデルサシス公爵の辣腕により、その権威と国力は急速に崩壊していくこととなる。その凋落を決定づけた主な要因は以下の4点に集約される。

1. 神聖魔法(回復魔法)の独占崩壊

メーティス聖法神国は、回復魔法は神官にしか使えない神聖な奇跡、と偽り、各国に神官を派遣して法外な治療費や有利な外交条件を押し付けていた。

・しかし、ゼロスが、神聖魔法は魔導士の使う光魔法と全く同じもの、と看破する。
・誰でも使えるよう最適化した回復魔法のスクロールをゼロスが作成した。
・これを受けたデルサシス公爵は、周辺の小国家にこのスクロールを無償提供し、各国が共同開発したと偽って同時期に公表する策を打つ。
・これにより、四神教の最大の資金源と外交カードであった医療の独占が完全に崩れ去り、神官たちの権威は地に堕ちることとなった。

2. 最大の武力である勇者の喪失と離反

四神教は異世界から未成年の学生たちを勇者として召喚し、破格の待遇で甘やかして都合の良い使い捨ての武力として戦争に投入していた。

・しかし、アルトム皇国での大敗や、獣人族の英雄(ケモ・ブロス)が仕掛けたトラップ城での戦いにより、勇者と神聖騎士団は甚大な被害を受ける。
・さらに、前線でゼロスと遭遇した勇者たちは、過去に召喚された勇者は誰一人元の世界へ帰還していない、という絶望的な真実を突きつけられた。
・四神教に騙され、使い捨ての駒に過ぎなかったと気付いた勇者たちは、戦意を喪失して次々と投降・離反していった。

3. 古代兵器による勇者召喚施設の完全破壊

ゼロスとクレストンが古代地下都市イーサ・ランテの管理システムを調べた際、メーティス聖法神国が30年周期で行う勇者召喚が世界の魔力を搾取し、世界を滅亡の危機に追いやっていることが判明する。

・勇者召喚を阻止すべくゼロスが龍脈の流れを元に戻すようシステムに命じた結果、誤って古代の対地上決戦兵器セラフィム・バーストが起動してしまった。
・宇宙空間から放たれた断罪の光により、聖都マハ・ルタートの象徴であるマルトハンデル大神殿と、その地下にあった勇者召喚魔法陣は跡形もなく消し飛ぶ。
・これにより、四神教は新たな勇者を補充する唯一の手段を永久に失った。

4. 周辺諸国による対メーティス包囲網の完成

メーティス聖法神国に苦しめられていたイサラス王国やアルトム皇国などの周辺諸国は、ソリステア魔法王国のデルサシス公爵の主導により同盟を結んだ。

・長年の悲願であったイルマナス地下大遺跡を経由する地下街道が開通する。
・これにより、メーティス聖法神国の妨害を受けない安全な独自の交易路が確保された。
・経済的にも軍事的にも自立できるようになった周辺諸国は完全に団結し、四神教国家を取り囲む強固な包囲網が完成した。

まとめ

聖都が未曾有の災害で壊滅し、神殿が光に撃ち抜かれたことで、民衆や神官たちの間には、神の怒りに触れた、という恐怖と不信感が蔓延した。切り札の勇者も召喚できず、周辺国からは圧力をかけられる八方塞がりの状態に陥った法皇ミハロウフは、狂信的な暗殺部隊である四神教血連同盟を使って事態を隠蔽しようと足掻く。しかし、大国としてのメーティス聖法神国の崩壊は、もはや誰の目にも明らかな決定事項となっていくのである。

転生者たちの合流

『アラフォー賢者の異世界生活日記 7』において、地球からやってきた転生者や召喚者(勇者)たちが各地で偶然の出会いや合流を果たし、物語に大きな影響を与えている。第7巻で描かれる主な合流・接触の全容は以下の通りである。

1. アドとケモ・ブロスの同盟(復讐者とケモナーの共闘)

イサラス王国で行動していた転生者のアド(安藤俊之)は、メーティス聖法神国に対抗するため、獣人族を束ねて要塞(ヤーバン城)を築いたとされる英雄の元へ向かった。

・そこで出会ったのは、アドのかつてのゲーム時代の知り合いであり、獣人(モフモフ)をこよなく愛する野蛮人ことケモ・ブロスであった。
・四神に復讐を誓うアドと、愛する獣人たちを守るために四神教と敵対するケモ・ブロスは、共通の敵を持つことから意気投合する。
・彼らは相互不干渉を条件に同盟を結び、勇者・岩田定満が率いる神聖騎士団を迎え撃って、見事に壊滅させることとなった。

2. ゼロスと元勇者タカ・ガトー(加藤貴仁)の邂逅

ゼロスは、イルマナス地下大遺跡のトンネル工事現場(リサグルの町周辺)で、別業者の現場監督として働くタカ・ガトーと出会う。

・タカが労働基準法というこの世界には存在しない言葉を口にしたことから、ゼロスは彼が異世界人であることを見抜く。
・タカの正体は、33年前に召喚された勇者である加藤貴仁であった。
・彼は四神教に使い捨ての駒として扱われ、真実に気付いた仲間の多くを殺された過去を持ち、現在は素性を隠して土木作業員として暮らしていた。
・ゼロスも自身が転生者であることを明かし、マルトハンデル大神殿が崩壊して新たな勇者召喚が不可能になったことなどを伝えると、タカは長年の恨みを晴らすかのように歓喜し、二人は四神教への警戒という点で意気投合する。

3. ゼロスと現役の勇者たち(姫島佳乃ら)の接触

ソリステア魔法王国の外交特務官イルハンス伯爵の護衛としてアルトム皇国へ向かっていたゼロスは、街道破壊および要人暗殺を目論むメーティス聖法神国の勇者たち(神薙悟や姫島佳乃ら)と遭遇する。

・ゼロスは自作のガン・ブレードで彼らの火縄銃部隊を圧倒した後、自身が召喚者ではなく転生者(雇われ傭兵)であると明かす。
・勇者召喚の魔法陣に元の世界へ帰還する機能はないこと、さらに大神殿の崩壊により召喚陣自体がすでに破壊されていることなどを告げ、彼らが四神教の使い捨ての駒に過ぎないことを突きつけて投降を促し、結果的に彼らを降伏させた。
・また、死んだ幼馴染・風間卓実の仇を討つためにアルトム皇国の黒天将軍ルセイと決闘していた姫島佳乃に対し、ゼロスは間に割って入り仲裁する。
・ルセイから、風間卓実は生きており、アルトム皇国の合法ロリ姫と恋に落ちている、という衝撃の事実を告げられた佳乃は、長年の初恋が打ち砕かれたショックで真っ白に燃え尽きてしまう。
・しかしその直後、佳乃を暗殺しようとした四神教血連同盟の騎士をゼロスが容赦なく叩き伏せ、えげつない尋問を行う姿を見た佳乃は、敵に容赦しないその苛烈さに惹かれ、殲滅者であるゼロスの熱烈なファンになるという意外な結末を迎えた。

まとめ

このように第7巻における転生者や召喚者たちの出会いは、かつての知己との再会による強力な同盟の締結から、利害の一致による情報共有、さらには敵対勢力であった現役勇者たちの調略と離反にまで及んでいる。四神教という共通の脅威を前に、過去と現在の地球人たちがゼロスやアドを介して緩やかに、あるいは強固に結びついていくプロセスは、独善的な宗教国家を外側と内側から崩壊させる決定的な布石となっている。

アラフォー賢者6巻レビュー
アラフォー賢者まとめ
アラフォー賢者8巻レビュー

登場キャラクター

転生者・地球の人物

ゼロス・マーリン(大迫聡)

アラフォーの魔導士であり、元の世界で事故死した後に転生した存在である。平穏な生活を望んでいる。

・所属組織、地位や役職
 無職。大賢者。傭兵(Sランク)。
・物語内での具体的な行動や成果
 イルマナス地下大遺跡の工事を手伝い、古代兵器を誤って起動させて大神殿を崩壊させた。勇者たちに召喚の真実を伝え、投降を促した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 四神教から強く警戒される存在となった。

アド(安藤俊之)

イサラス王国で行動する転生者の青年である。四神への復讐を目的としている。

・所属組織、地位や役職
 イサラス王国の重鎮。
・物語内での具体的な行動や成果
 ケモ・ブロスと同盟を結び、メーティス聖法神国の神聖騎士団を壊滅させた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

ケモ・ブロス(野蛮人)

獣人族を束ねる転生者の少年である。モフモフをこよなく愛するケモナーである。

・所属組織、地位や役職
 獣人族の英雄。
・物語内での具体的な行動や成果
 ルーダ・イルルゥ平原にヤーバン城を築き、神聖騎士団の戦力の六割を消滅させた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 獣人族の指導者として影響力を高めた。

イリス

駆け出しの傭兵であり、ゼロスに憧れる転生者の少女である。

・所属組織、地位や役職
 傭兵。
・物語内での具体的な行動や成果
 ゼロスと共に護衛任務やダンジョン探索に参加した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

タカ・ガトー(加藤貴仁)

33年前に召喚された元勇者である。四神教に恨みを抱いている。

・所属組織、地位や役職
 ハンバ土木工業の現場監督。
・物語内での具体的な行動や成果
 イルマナス地下街道の工事現場でゼロスと出会い、情報交換を行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

ケモ・ラビューン

ゲーム時代のトッププレイヤーである。

・所属組織、地位や役職
 特になし。
・物語内での具体的な行動や成果
 ケモ・ブロスを鍛え上げ、極限突破の境地へ導いた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

リサ

ポニーテールの転生者の女性である。

・所属組織、地位や役職
 イサラス王国の重鎮。
・物語内での具体的な行動や成果
 アド達と共に大図書館で歴史を調査し、イサラス王国へ戻る準備をした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

シャクティ

弁護士を目指していた転生者の女性である。

・所属組織、地位や役職
 イサラス王国の重鎮。
・物語内での具体的な行動や成果
 アド達と共に大図書館で歴史を調査した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

メーティス聖法神国に召喚された勇者

田辺勝彦

異世界から召喚された勇者の一人である。増長して現状に甘んじている。

・所属組織、地位や役職
 メーティス聖法神国の勇者。
・物語内での具体的な行動や成果
 ゼロスから勇者召喚の真実を吹き込まれ、激しく動揺した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

一条渚

異世界から召喚された勇者の一人である。

・所属組織、地位や役職
 メーティス聖法神国の勇者。
・物語内での具体的な行動や成果
 田辺勝彦と共にゼロスから真実を聞き、神官たちと黙秘の合意を結んだ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

岩田定満

異世界から召喚された勇者の一人である。傲慢な性格をしている。

・所属組織、地位や役職
 メーティス聖法神国の勇者。前線指揮官。
・物語内での具体的な行動や成果
 アルトム皇国への侵攻で無謀な突撃を行い、仲間を盾にして逃亡した。その後アドに敗北した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 用済みとして自国の司教に暗殺された。

風間卓実

異世界から召喚された勇者の一人である。四神教を胡散臭いと疑っていた。

・所属組織、地位や役職
 メーティス聖法神国の勇者。
・物語内での具体的な行動や成果
 アルトム皇国との戦いで仲間を逃がすために囮となった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 アルトム皇国に救出され、相手国の姫と恋に落ちた。

姫島佳乃

異世界から召喚された勇者の一人である。幼馴染の仇を討つために復讐鬼となった。

・所属組織、地位や役職
 メーティス聖法神国の勇者。前線指揮官。
・物語内での具体的な行動や成果
 アルトム皇国の将軍ルセイと交戦したが、風間卓実が生存していると知って戦意を喪失した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 暗殺者を拷問するゼロスの苛烈さに惹かれ、熱烈なファンとなった。

神薙悟

異世界から召喚された勇者の一人である。

・所属組織、地位や役職
 メーティス聖法神国の勇者。
・物語内での具体的な行動や成果
 街道破壊工作から要人暗殺へと作戦の変更を提案した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

坂本

異世界から召喚された勇者の一人である。

・所属組織、地位や役職
 メーティス聖法神国の勇者。
・物語内での具体的な行動や成果
 神薙の暗殺作戦に対し、元の世界に帰りたいだけだと発言した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

笹木

異世界から召喚された勇者の一人である。

・所属組織、地位や役職
 メーティス聖法神国の勇者。
・物語内での具体的な行動や成果
 岩田の無謀な突撃を批判した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

百合

異世界から召喚された勇者の一人である。

・所属組織、地位や役職
 メーティス聖法神国の勇者。
・物語内での具体的な行動や成果
 魔物に踏み潰されて死亡した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

宏美

異世界から召喚された勇者の一人である。

・所属組織、地位や役職
 メーティス聖法神国の勇者。
・物語内での具体的な行動や成果
 魔物との戦いで命を落とした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

勇者達

異世界から召喚された地球の学生達である。

・所属組織、地位や役職
 メーティス聖法神国の戦力。
・物語内での具体的な行動や成果
 アルトム皇国や獣人族の領地に侵攻して大敗した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

メーティス聖法神国・四神教

ミハロウフ

メーティス聖法神国の指導者である。権力に固執している。

・所属組織、地位や役職
 メーティス聖法神国法皇。
・物語内での具体的な行動や成果
 勇者達に邪神討伐の神命を下した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 大神殿崩壊により、権威の失墜を恐れている。

ジャミール

メーティス聖法神国の大司教である。

・所属組織、地位や役職
 メーティス聖法神国の大司教。
・物語内での具体的な行動や成果
 ミハロウフから勇者に勅命を下すよう指示を受けた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

マリアンヌ

メーティス聖法神国の聖女である。

・所属組織、地位や役職
 メーティス聖法神国の聖女。
・物語内での具体的な行動や成果
 転生者が旧時代の遺物を動かしたという神託を伝えた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

異端審問官

メーティス聖法神国の暗部組織に属する者達である。

・所属組織、地位や役職
 メーティス聖法神国の暗部。
・物語内での具体的な行動や成果
 特になし。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

四神教血連同盟の者達

四神を絶対神と崇める狂信的な暗殺部隊である。

・所属組織、地位や役職
 メーティス聖法神国の暗部。
・物語内での具体的な行動や成果
 佳乃を暗殺しようとしたが、ゼロスに阻止され尋問を受けた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

神聖騎士団

メーティス聖法神国の軍事組織である。

・所属組織、地位や役職
 メーティス聖法神国の騎士団。
・物語内での具体的な行動や成果
 アルトム皇国や獣人族への侵攻に参加したが、壊滅的な被害を受けた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

銃士隊

メーティス聖法神国の部隊である。

・所属組織、地位や役職
 メーティス聖法神国の部隊。
・物語内での具体的な行動や成果
 街道破壊工作に同行し、狙撃の準備をした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

狙撃手

メーティス聖法神国の銃を扱う兵士である。

・所属組織、地位や役職
 メーティス聖法神国の狙撃手。
・物語内での具体的な行動や成果
 火縄銃で要人暗殺を狙った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

ソリステア魔法王国

デルサシス・ヴァン・ソリステア

ソリステア公爵領の領主であり、辣腕の政治家である。

・所属組織、地位や役職
 ソリステア公爵領領主。
・物語内での具体的な行動や成果
 小国家の大使達に回復魔法のスクロールを提供し、対メーティス包囲網を提案した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 裏社会から沈黙の獅子と恐れられている。

クレストン

ソリステア公爵家の前当主である。

・所属組織、地位や役職
 元ソリステア公爵。
・物語内での具体的な行動や成果
 ゼロスと共に古代兵器を誤って起動させた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

イルハンス

ソリステア魔法王国の外交特務官である。仕事一筋の人物である。

・所属組織、地位や役職
 ソリステア魔法王国の伯爵。外交特務官。
・物語内での具体的な行動や成果
 アルトム皇国への外交任務に向かった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

ミレーナ

デルサシスがかつて愛した女性である。

・所属組織、地位や役職
 ソリステア公爵家のメイド。
・物語内での具体的な行動や成果
 セレスティーナを出産して命を落とした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

ミスカ

セレスティーナの世話係であり、クールな性格のメイドである。

・所属組織、地位や役職
 ソリステア公爵家のメイド。
・物語内での具体的な行動や成果
 ミレーナに連れられてデルサシスの前に現れた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

セレスティーナ・ヴァン・ソリステア

ソリステア公爵家の娘であり、ゼロスの弟子である。

・所属組織、地位や役職
 ソリステア公爵家の息女。
・物語内での具体的な行動や成果
 特になし。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

イサラス王国

ザザ

イサラス王国諜報部所属の騎士である。リサに一目惚れした。

・所属組織、地位や役職
 イサラス王国の騎士。諜報員。
・物語内での具体的な行動や成果
 アド達の監視役兼案内役を務めた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

アルトム皇国

ルセイ・イマーラ

アルトム皇国の将軍である。黒天将軍と呼ばれている。

・所属組織、地位や役職
 アルトム皇国特務戦士団の将。
・物語内での具体的な行動や成果
 ソリステア魔法王国の使節団を迎え、佳乃と交戦した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

アルトム皇国の姫

アルトム皇国の王族である。

・所属組織、地位や役職
 アルトム皇国の姫。
・物語内での具体的な行動や成果
 風間卓実と恋に落ちた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

アルトム皇国の戦士団

アルトム皇国の戦力である。

・所属組織、地位や役職
 アルトム皇国の戦士団。
・物語内での具体的な行動や成果
 合流地点でソリステア魔法王国の使節団を迎えた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

アルトム皇国側のドワーフ達

アルトム皇国に住むドワーフ達である。

・所属組織、地位や役職
 土木作業員。
・物語内での具体的な行動や成果
 地下街道の開通を祝ってヨサコイ風のダンスを踊った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

獣人族

獣人族の妻達

ケモ・ブロスに差し出された女性達である。

・所属組織、地位や役職
 各部族の代表。
・物語内での具体的な行動や成果
 ケモ・ブロスの周囲で警戒に当たった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

獣人族

ルーダ・イルルゥ平原に住む種族である。

・所属組織、地位や役職
 特になし。
・物語内での具体的な行動や成果
 メーティス聖法神国の軍勢を襲撃し、大きな被害を与えた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

四神

アクイラータ

この世界の管理を任された女神の一柱である。

・所属組織、地位や役職
 四神。水の女神。
・物語内での具体的な行動や成果
 大神殿の崩壊を見て、転生者を断罪する神託を下した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

フレイレス

この世界の管理を任された女神の一柱である。

・所属組織、地位や役職
 四神。火の女神。
・物語内での具体的な行動や成果
 アクイラータと共に転生者を始末する方針を決めた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

ハンバ土木工業・土木作業員

ナグリ

ハンバ土木工業の棟梁である。

・所属組織、地位や役職
 ハンバ土木工業の現場監督。
・物語内での具体的な行動や成果
 ゼロスを地下街道の工事現場へ強制連行した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

ボーリング

ハンバ土木工業のドワーフである。ナグリの叔父である。

・所属組織、地位や役職
 ハンバ土木工業の作業員。
・物語内での具体的な行動や成果
 ゼロスの拉致に関与した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

土木作業員達

ハンバ土木工業で働く作業員達である。

・所属組織、地位や役職
 ハンバ土木工業の作業員。
・物語内での具体的な行動や成果
 地下街道の開通工事に従事した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

傭兵ギルド・教会の関係者

ルーセリス

養護院の見習い神官である。

・所属組織、地位や役職
 養護院の見習い神官。
・物語内での具体的な行動や成果
 子供達の初狩猟に引率として同行した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

養護院の子供達

教会で育てられている孤児達である。

・所属組織、地位や役職
 養護院の子供。
・物語内での具体的な行動や成果
 モブの村で狩猟訓練を行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

ジャーネ

赤髪の女性傭兵である。

・所属組織、地位や役職
 傭兵。
・物語内での具体的な行動や成果
 地下都市の探索に参加した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

レナ

甘栗色の髪の女性傭兵である。

・所属組織、地位や役職
 傭兵。
・物語内での具体的な行動や成果
 地下都市の探索に参加した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

ハイスピード・ジョナサン

傭兵ギルドの運搬馬車の御者である。

・所属組織、地位や役職
 傭兵ギルドの職員。
・物語内での具体的な行動や成果
 ゼロス達をモブの村まで爆速で送り届けた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

魔物・聖獣・その他

ブエル

瘴気から生まれた爵位級の悪魔である。

・所属組織、地位や役職
 悪魔。
・物語内での具体的な行動や成果
 地下都市の管理システム再起動時に出現し、ゼロスに討伐された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

スケルトン・カイザー

巨大なアンデッドの魔物である。

・所属組織、地位や役職
 魔物。
・物語内での具体的な行動や成果
 地下都市の入り口でゼロスに粉砕された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

スカル・オーガスト

無数の魔力体が集結した巨大な骸骨である。

・所属組織、地位や役職
 魔物。
・物語内での具体的な行動や成果
 地下都市の扉をこじ開けようとした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

スケルトン

地下都市に巣食うアンデッドである。

・所属組織、地位や役職
 魔物。
・物語内での具体的な行動や成果
 地下都市の発掘現場で作業員達に襲い掛かった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

グール(食人鬼)

地下都市に巣食うアンデッドである。

・所属組織、地位や役職
 魔物。
・物語内での具体的な行動や成果
 地下都市に侵入した傭兵達が変化した姿で現れた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

オーク・ロード

オークの上位種である。

・所属組織、地位や役職
 魔物。
・物語内での具体的な行動や成果
 アルトム皇国の侵攻作戦時に現れ、神聖騎士団を蹂躙した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

サイクロプス

巨大な魔物である。

・所属組織、地位や役職
 魔物。
・物語内での具体的な行動や成果
 アルトム皇国の侵攻作戦時に神聖騎士団を襲った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

マッド・ウルフ

群れで行動する魔物である。

・所属組織、地位や役職
 魔物。
・物語内での具体的な行動や成果
 アルトム皇国の侵攻作戦時に神聖騎士団を襲った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

オーガ

凶悪な魔物である。

・所属組織、地位や役職
 魔物。
・物語内での具体的な行動や成果
 アルトム皇国の侵攻作戦時に神聖騎士団を無差別に攻撃した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

ワイヴァーン

空を飛ぶ魔物である。

・所属組織、地位や役職
 魔物。
・物語内での具体的な行動や成果
 ゼロスによって狩られ、ジャーキーにされた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

コッコ達

異常進化を遂げたワイルド・コッコ達である。

・所属組織、地位や役職
 ゼロスの護衛。
・物語内での具体的な行動や成果
 子供達の初狩猟に護衛として同行した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

アラフォー賢者6巻レビュー
アラフォー賢者まとめ
アラフォー賢者8巻レビュー

展開まとめ

プロローグ おっさん、燻製す

ワイヴァーンジャーキーと勇者達のその後

平和な燻製作り

ゼロスは自宅でワイヴァーン肉のジャーキー作りに挑んでいた。保存食にするための試作だったが、香りや香辛料の加減が難しく、何度も失敗していた。子供達に見つかれば食べ尽くされると考え、ゼロスは地球で食べたビーフジャーキーの味を思い出しながら、静かな時間を過ごしていた。

勇者達への疑念

ゼロスは、サントールへ戻る途中で出会った田辺勝彦と一条渚のことを思い出した。彼は勇者達と神官達から情報を引き出すため、虚実を交えた話で疑心暗鬼を誘っていた。その結果、勇者達はメーティス聖法神国へ戻ることに警戒心を抱くようになっていた。

疲れ切った田辺

帰路の途中、田辺は馬車に乗れず徒歩で移動していたため、すっかり疲れ果てていた。予算がなく馬車を借りられなかったのは、田辺自身が贅沢に金を使ったせいであった。ゼロスは、勇者の待遇に甘えていた田辺をからかいながら、自業自得だと冷静に見ていた。

創世神教の話

神官達はゼロスに創世神教について尋ねた。ゼロスは、創世神教が精霊信仰に近く、命に感謝し種族を問わず手を取り合う穏やかな教えだったと説明した。さらに、四神は創生神に代行者として力を与えられた存在でありながら、享楽的に世界へ災いをもたらした可能性を語った。

石文に残された真実

ゼロスは、遺跡の魔法式に隠された石文として、四神に都合の悪い歴史が残されていたと話した。書物は焚書によって消されても、遺跡に刻まれた記録は残るため、四神教が魔導士を嫌う理由にもなると説明した。神官達は、自分達の教義を揺るがす話に動揺した。

一条渚の合流

一条渚は田辺と交代して、ゼロス達の側を歩き始めた。彼女はメーティス聖法神国へ戻れば処刑される可能性を考え、帰りたくないと語った。ゼロスは、傭兵や働き口を探す必要があると指摘し、渚は布教や調査を名目にサントールへ滞在し、いずれ亡命することを考えた。

神官達の告白

同行していた神官達は、魔法治療で生活費を稼ぐことを考えていた。さらに、セラスタ国で疫病が流行した際、メーティス聖法神国が民を救わず街ごと焼き払ったことを告白した。彼らはその光景に今も苦しんでいたが、異端審問を恐れて告発できずにいた。

サントール到着

ゼロス達は検問を経てサントールの街へ入った。ゼロスは勇者達に、異世界だからと浮かれず現実を見て行動するよう告げた。短い同行はそこで終わり、勇者達と神官達はサントールで身を隠しながら生きる道を探すことになった。

勇者への評価

ゼロスは、勇者達が何も知らず、状況に流されて生きていたことを改めて認識した。特に田辺は、勇者であるという理由で何でも許されると考える甘さがあり、現実を舐めていた。死んだ仲間が元の世界で生きているという都合の良い話を信じていたことにも、ゼロスは危うさを感じていた。

四神教への亀裂

勇者達と神官達は、布教を名目にサントールで働きながら、メーティス聖法神国の目を逸らそうとしていた。ゼロスは、勇者召喚を続けてきた四神教にはすでに亀裂が入っており、その亀裂をどう広げるかを考えていた。回復魔法のスクロールを広めたことが、神官の優位性を崩す一手になると見ていた。

殲滅者の流儀

ゼロスは、四神を炙り出すために回復魔法を放出し、その結果がどう転ぶかを静かに見守っていた。異世界転生で奪われたものへの恨みもあり、四神への復讐心は消えていなかった。完成したワイヴァーンジャーキーを見つめながら、ゼロスは冷たい笑みを浮かべていた。

第一話 アド、獣人族の元へ向かう

ルーダ・イルルゥ平原と戦役の幕開け

魔法文明の跡地

【ルーダ・イルルゥ平原】は、かつて高度な魔法文明が栄えた国の跡地であった。その国は邪神の一撃で滅び、奴隷的立場にあった獣人達が荒れた土地に住みついて集落を築いた。今も魔法システムの影響が残っているのか魔力濃度が高く、強い魔物が多いため、獣人達も並の騎士を超える力を持っていた。

獣人族の英雄

まとまりのなかった獣人達の間に、近年になって英雄と呼ばれる人物が現れた。その人物はメーティス聖法神国の砦を落とし、部族を統括し、城まで築いていた。アドは、そのようなことができるのは転生者だと考え、心当たりのある人物なら仲間として心強いと判断していた。

喧嘩祭りの旅路

アド達は獣人達の部族を探して平原を歩き回っていたが、部族は家畜に合わせて移動するため、何度も集落を往復することになった。水場に向かうたびに強者との勝負を挑まれ、最後は喧嘩祭りになる流れが続いた。アドはその全てに勝ち続け、ようやく英雄のいる場所にたどり着いた。

ヤーバン城

アド達の前に現れたのは、熊本城を思わせる日本風と中華風が混ざったような山城だった。建物は手抜きに見えたが、白壁や石垣には狭間や石落としが備えられ、攻め込む敵を殺すための構造が徹底されていた。アドは、それを城というより巨大な罠だと見抜いた。

野蛮人ケモ・ブロス

防壁の上に現れた少年は、骨装備をまとった転生者であり、【野蛮人】と呼ばれるプレイヤーだった。彼の名は【ケモ・ブロス】で、アドはゲーム時代に見た屈強な戦士姿との違いに驚いた。ケモ・ブロスは、城を築いた理由をモフモフを守るためだと堂々と叫んだ。

十七人の妻

ケモ・ブロスの周囲には、各部族から差し出された獣人族の妻達がいた。その数は十七人で、全員が美人だった。彼が異世界でケモミミハーレムを作っていたことに、アド達とザザはそろって嫉妬した。

ケモナーの系譜

ケモ・ブロスは、アドの知る【ケモ・ラビューン】を師匠と呼んだ。アドは、彼がゼロス・マーリンと同じく殲滅者に関わる存在だと知り、妙に納得した。ケモ・ブロスは四神教の軍勢を退けた結果、獣人達の中心人物になっていた。

同盟の条件

アドは、イサラス王国との同盟を求めて来たと説明した。ケモ・ブロスはすぐには信用せず、メーティス聖法神国の協力者ではない証として、攻めてくる勇者の相手を手伝うよう求めた。アドは勇者程度なら脅威ではないと判断し、戦うことを即決した。

復讐者とケモナー

アドは、勇者がレベル五百程度なら雑魚だと考えていた。彼はすでに盗賊を殺した経験もあり、人間相手の戦いにも覚悟を持っていた。ケモ・ブロスとアドは、メーティス聖法神国に反撃するために手を組み、復讐者とケモナーの共闘が始まった。

勇者岩田定満

岩田定満は、元の世界にいた頃から粗暴で問題の多い少年だった。父親の権力によって事件を揉み消されてきたため、異世界で勇者になってからはさらに増長した。彼は勇者達の中でも攻撃力が高く、権威と欲に溺れた増長派の中心となった。

アルトム皇国での失態

アルトム皇国侵攻作戦で、定満は前線指揮官として人海戦術を選び、【邪神の爪痕】へ誘い込まれた。そこで巨大な魔物と魔獣に襲われ、勇者の半数と神聖騎士団が壊滅した。定満は真っ先に逃げ、風間卓実の進言を無視した責任を棚上げして、卓実に八つ当たりした。

獣人族の反撃

定満は邪神探索を名目に獣人領域へ進軍したが、獣人達は姿を見せず、奴隷商や傭兵達を集中的に襲った。奴隷商達は次々に離脱し、逃げても執拗に狙われ、生きて平原を出られなかった。これにより、メーティス聖法神国の兵力は大きく削られた。

副官の警戒

副官は、獣人達の動きがこれまでと違い、英雄の影響があると見て慎重になるべきだと進言した。だが定満は、相手をケダモノと見下し、話を聞こうとしなかった。副官は異端審問を恐れ、勇者である定満に強く逆らうことができなかった。

ヤーバン城への進軍

北東に獣人達の城が発見されると、副官は防衛機能を調べるべきだと訴えた。しかし定満は退屈していたこともあり、全軍を挙げて進軍するよう命じた。こうして【ルーダ・イルルゥ戦役】が始まり、勇者岩田定満の愚かさが歴史に残る戦いの幕が上がった。

第二話 アド戦記?

ヤーバン城の罠と勇者岩田定満の最期

異質な山城

岩田定満率いる神聖騎士団は、地形を利用して築かれた山城を前にして動揺していた。定満はそれが日本の城に似ていることに驚き、獣人族に技術を伝えた日本人、あるいは勇者の存在を疑った。一方で副官は、防壁の厚さや構造の不気味さから、目の前の城がただの城ではなく罠だと見抜いていた。

進軍命令

副官は犠牲を覚悟して撤退すべきだと進言したが、定満は獣人族を見下し、聞き入れなかった。彼は城を欠陥品と決めつけ、敵の頭を潰せば終わると考えていた。副官は信仰と立場に縛られ、苦渋の末に全軍進軍を命じた。

城塞の迷宮

神聖騎士団は山城へ進軍したが、抵抗は一切なく、奥へ進むほど道は狭く複雑になっていった。兵達は次第に警戒を緩め、獣人族が逃げたのだと考え始めた。しかし天守閣らしき場所まで進んでも建物への入り口はなく、そこでようやく城全体が罠であることに気付いた。

巨大な処刑台

城から膨大な魔力が放出され、白壁に刻まれた魔法文字が浮かび上がった。退路は見えない壁で塞がれ、兵達は炎や氷、水攻め、槍や毒矢によって一方的に蹂躙された。城は防衛施設ではなく、敵を内部へ誘い込んで処理する巨大な魔導具であり、神聖騎士団は数時間で六割を失った。

モフモフのための魔王

その惨状を見て、アドは城の仕掛けがあまりに悪辣だと呆れた。ケモ・ブロスは、モフモフを守るためなら悪にも魔王にもなると平然と答えた。彼は【ケモ・ラビューン】に鍛えられた過去を語り、その過酷な訓練により【臨界突破】へ至ったことを明かした。

ゼロスの記憶

ケモ・ブロスとアドは、ゲーム時代のゼロス・マーリンについて語り合った。ケモ・ブロスは、ゼロスが自分を本気で心配してくれたと話し、アドもゼロスを戦闘好きの漆黒の魔導士として思い出した。二人の会話を聞いたザザは、彼らの知るゼロスという魔導士の異常さに戦慄していた。

本陣への反撃

神聖騎士団の壊滅が本陣へ伝わると、副官はただちに撤退を命じようとした。だが定満は、城を奪えばよいと考え、まだ勝てると思い込んでいた。副官は、偽りの城に兵を誘い込んで戦力を削り、本陣を潰す作戦だと悟ったが、撤退は間に合わなかった。

獣人族の殺戮

獣人族はメーティス聖法神国への憎悪をぶつけるように、残された騎士団を襲った。家族を奪われ、同胞を殺され、奴隷として扱われてきた怒りが、侵略者達へ向けられた。神の名の下に他者の尊厳を踏みにじってきた神聖騎士団は、同じように尊厳を踏みにじられることになった。

アドの出現

定満が自分だけ逃げようとした時、姿の見えない声が彼を止めた。現れたのは黒衣の魔導士アドであり、彼は勇者が元の世界へ帰されず、使い捨ての駒として扱われていると告げた。定満は激怒して斬りかかったが、アドはその攻撃を軽くいなし、肩へナイフを突き刺した。

復讐者の言葉

アドは、自分は勇者ではなく、四神を殺すために戦う復讐者だと名乗った。彼は四神が真の神ではなく代理神であり、邪神と呼ばれる存在こそが神の座を脅かすものだと語った。副官は、勇者の存在や四神教の教えそのものに疑問を抱き始めた。

暴食なる深淵

定満がなおも勇者の力を誇ろうとすると、アドは【暴食なる深淵】を放った。漆黒の球体は周囲を飲み込み、肥大し、臨界点を超えて大地を抉る大爆発を起こした。超高熱でガラス化した巨大なクレーターを前に、定満は勇者の力などただの雑魚に過ぎないと悟り、崩れ落ちた。

賢者の脅威

アドは自らを【賢者】と称し、四神が勇者召喚で世界を危機に陥れていると語った。真実と虚実を混ぜた情報戦により、騎士達は自分達の信仰が大きな過ちだった可能性に直面した。アドは、信じるかどうかは彼ら自身で決めることだと言い残し、姿を消した。

相互不干渉の同盟

戦いの後、アドとケモ・ブロスは同盟について話し合った。ケモ・ブロスは相互不干渉を望み、アドも今の状況ではそれが妥当だと受け入れた。アドはイサラス王国の王なら素直に頷くと見ており、獣人族との関係改善に大きく近付いた。

マハ・ルタートへの帰還

大敗から五日後、定満は聖都【マハ・ルタート】へ帰還し、法皇ミハロウフの前に立った。彼は勇者が送還されていないこと、勇者召喚が世界を危機に陥れていること、賢者が四神を敵視していることを問い詰めた。さらに獣人族に賢者が味方していると告げ、法皇達を動揺させた。

勇者の浄化

定満はその情報を使って一生遊んで暮らそうと考えていたが、法皇は静かに手を上げた。背後から司教に刺され、定満は邪教に穢された勇者として浄化されることになった。彼は最後に、四神教が自分よりも酷い死に方をするだろうと呪うように言い残そうとしたが、言葉を終える前に灰となった。

大賢者の予兆

ミハロウフ法皇は、定満が語った魔法の脅威を信じなかった。だが近い未来、彼はそれを知ることになる。それはアドではなく、もう一人の賢者、すなわち【大賢者】の手によるものであった。

第三話 おっさん、拉致られる

公爵家の密談とゼロスの強制連行

デルサシスとクレストンの密談

デルサシスは書斎で公務と商売の仕事を進めながら、クレストンとメーティス聖法神国の敗北について話していた。ルーダ・イルルゥ平原で勇者イワタ率いる騎士団が壊滅し、獣人族側に【賢者】がいたという情報も得ていた。デルサシスはその情報源を既に確保しており、クレストンは息子の裏社会への精通ぶりに恐れを覚えていた。

ミレーナへの想い

デルサシスは、かつて愛したミレーナが自由で優しい国だと言ったソリステア魔法王国を守ろうとしていた。政略結婚のため彼女と正式に結ばれることはできなかったが、彼女はセレスティーナを産み、未来予知の血統魔法を終わらせるという一族の悲願を果たしていた。デルサシスはミレーナに託された娘の幸せを守るため、今も貴族達を遠ざけるように手を回していた。

獣人族側の賢者

デルサシスは、ルーダ・イルルゥ平原にベトルステン伯爵領の穴と同規模の巨大な穴が穿たれたことをクレストンに伝えた。それは獣人族側の攻撃によるものであり、ゼロスと同等の力を持つ者、すなわち獣人族側の【賢者】によるものと考えられた。メーティス聖法神国の被害は甚大で、生存者はわずか四百五十三名だった。

四神教への警戒

デルサシスとクレストンは、メーティス聖法神国の消滅を望みつつも、【四神教血連同盟】のような妄信者達がいるため、今すぐ動くのは難しいと判断した。現時点では情報収集を優先し、神聖国家の弱体化を見極める方針となった。

地下街道の問題

次の議題は、イルマナス地下街道の整備が硬い岩盤に阻まれている件だった。岩盤にはミスリルやダマスカス鉱が微量に含まれており、【ガイア・コントロール】がうまく機能しないらしい。デルサシスとクレストンは、戦力としても工事作業員としても優秀なゼロスを使うしかないと判断した。

ナグリへの依頼

書斎にはハンバ土木工業のナグリも控えていた。デルサシスは正式な依頼の手紙を書くことを約束し、ナグリは現場へ向かう準備を始めた。地下街道の存在はアルトム皇国でも一部の者しか知らず、ドワーフやルーフェイル族の義理堅さによって極秘裏に進められていたが、最後に大きな問題が発生していた。

洗濯機の試作

一方、ゼロスは自宅で洗濯機の製作に取り組んでいた。構造自体は単純で、魔力を流せば動くはずだったが、水圧調整がうまくいかず暴走していた。実際の原因はゼロス自身の魔力が高すぎることだったが、本人はそれに気付かず、誰かに試してもらう必要があると考えていた。

ハンバ土木工業の来訪

ゼロスが試験協力者を考えていると、ナグリやボーリング達、ガテン系の男達が現れた。彼らは怪しい笑みを浮かべながらゼロスを捕まえ、どこかへ連れて行こうとした。ゼロスは嫌な予感を覚えたが、男達は阿吽の呼吸で彼を拘束し、土木工事の現場へ連行しようとしていた。

強制連行

ゼロスはルーセリスに助けを求めようとしたが、口を塞がれて連れて行かれた。そこにはハイスピード・ジョナサンの馬車が用意されており、ナグリ達は最初からゼロスを問答無用で現場へ運ぶつもりだった。ゼロスは怪しい液体を染み込ませた布で意識を奪われ、完全に誘拐同然の手口で荷台へ乗せられた。

超特急の現場行き

ナグリ達はハイスピード・ジョナサンに現場までの超特急を頼んだ。ジョナサンは相変わらず異常なテンションで馬車を走らせ、男達を乗せて一気に目的地へ向かった。こうして、不憫なゼロスは眠らされたまま、熱い土木工事の現場へ運ばれていった。

第四話 おっさん、古代遺跡の存在を予測する

イルマナス地下大遺跡と工事戦士達

地下現場の目覚め

ゼロスは、ツルハシの音とドワーフ達の作業歌で意識を取り戻した。周囲にはヒカリゴケや魔石ランプに照らされた地下空間が広がり、石造りの街並みと巨大な岩壁が見えていた。彼はハンバ土木工業に拉致されたことを思い出し、ここが工事現場であると理解した。

イルマナス地下大遺跡

ボーリングは、ゼロスにここが【イルマナス地下大遺跡】であり、邪神戦争期に築かれたドワーフ達のシェルターだと説明した。この地下遺跡は、ソリステア魔法王国、メーティス聖法神国付近、アルトム皇国を結ぶ地下街道として使われていたが、コボルトやゴブリンが住み着いたことで危険な場所になっていた。

三十年越しの地下街道計画

クレストンの命により、三十年ほど前から地下街道を整備する計画が進められていた。当初は既存の地下街道を整えるだけだったが、複雑すぎる構造のため、新たなルートを掘る大事業へと変わった。魔物討伐と掘削工事は同時に進められ、多くの犠牲を出しながらようやく完成が見え始めていた。

再生する岩壁

工事は新たな大空洞を発見したことで短縮できるはずだったが、硬い岩壁に阻まれていた。ツルハシも【ガイア・コントロール】も効きにくく、開けた穴はすぐに元へ戻ってしまうという異常が起きていた。ゼロスは自然発生ではなく、魔法障壁か人為的な仕組みがあるのではないかと考えた。

岩壁の観察

ゼロスは岩壁の下で【ガイア・コントロール】を使い、表面に大きな窪みを作った。しかし窪みは不自然な平面となり、魔法効果が途中で相殺されているようだった。さらに砕けた砂が自ら動いて岩壁へ戻り、窪みを塞ぐ光景を見て、職人達は息を呑んだ。

旧時代の街

ゼロスは周辺地図を確認し、問題の岩壁が円形の外殻である可能性を見出した。地下都市の明かりに必要な魔力供給源を考えると、その奥には旧時代の街が今も生きたまま存在していると推測した。岩壁は天井の重量を分散させる外殻であり、自己修復能力を持つ巨大な魔法防壁だった。

入口探し

ゼロスは、外側から岩壁を破壊するのは無理だと判断した。内部の魔力供給施設を壊せば地下都市ごと崩壊しかねないため、入り口を探して内部へ潜入し、遺跡そのものを利用する方がよいと考えた。問題は、その入口がどこにあるかだった。

スケルトンの出どころ

情報を集めた結果、傭兵達が護衛任務とは別にどこかへ狩りに出かけていることが分かった。ゼロスは、地下では遺体が火葬されるためスケルトンが発生する理由がなく、壁の内側から出てきている可能性を指摘した。傭兵達はスケルトンの出現場所を知りながら、何らかの利益のために報告していなかったと見られた。

傭兵達への制裁

工期の遅れに苛立っていた職人達は、情報を隠した傭兵達を締め上げに向かった。傭兵達はボコボコにされ、鎖で縛られて引きずられて戻ってきた。彼らの証言により、岩棚の奥に亀裂があり、その先に歪んだ鉄の扉とスケルトンが湧く場所があることが判明した。

遺跡攻略の準備

ゼロスは、スケルトンが発生する以上、遺跡内には多くの遺体が放置されていると考えた。内部へ入るには亀裂を広げ、集団でスケルトンに対処する必要があった。ナグリ達は入口を掘り出すために組分けを始め、土木工事は一時中断して、遺跡攻略の準備へ移った。

仮設宿舎の休息

ゼロスは仮設宿舎で茶を飲みながら、職人達の行動を眺めていた。ボーリングは、地下都市では鉱石を売って食料を外から買っていること、最近は超速の宅配馬車のおかげで補給が楽になったことを話した。ゼロスは、それがハイスピード・ジョナサンのことだと察し、危険人物が意外な形で役立っていることに複雑な気持ちを抱いた。

仕事中毒の職人達

ナグリは、翌朝から本格的に動くと告げ、ゼロスにスケルトン制圧を任せた。入口発掘には半日もかからないと豪語し、職人達も仕事に飢えた目で岩壁を見つめていた。彼らは家庭より仕事を優先するほどの仕事中毒者であり、ゼロスはその異常な熱意に呆れた。

ハンバ土木工業の一員

ゼロスは、いつの間にかハンバ土木工業の切り札として扱われていることを知った。彼は翌日のために魔力を温存しようとしたが、ドワーフ達が無類の酒好きで祭り好きであることを忘れていた。その結果、ゼロスは夜半過ぎまで眠れず、寝不足のまま翌朝を迎えることになった。

第五話 おっさん、遺跡内部に踏み込む

イーサ・ランテの門と死者の街

地下現場の朝

ドワーフ達の騒ぎで寝不足になったゼロスが目を覚ますと、作業は既に始まっていた。職人達は岩棚の上から驚異的な速さで掘り進め、巨大な門を発掘していた。ゼロスは、その門と淡く光る建材から、イルマナス大遺跡が旧時代の避難経路を利用して築かれた可能性を考えた。

発掘された城門

ナグリは、作業が昼頃には終わると語った。掘り出された門には精巧な彫刻や飾り細工が施されており、周囲の壁とは明らかに異なる造りだった。ゼロスはその門に見覚えを感じたが、どこで見たものか思い出せずにいた。

イリス達の合流

現場には、護衛依頼を受けたイリス、ジャーネ、レナも来ていた。三人は未報告の遺跡に入るような違法行為はしておらず、侵入した傭兵達が戻ってこないことを警戒していた。ゼロスは、彼らが宝を得たのか全滅したのかを考え、危険な魔物の存在を想定した。

イーサ・ランテの街門

イリスも門に見覚えがあると話し、ゼロスはそれが【ソード・アンド・ソーサリス】に登場した地下都市【イーサ・ランテ】の街門に似ていることを思い出した。イーサ・ランテは、地脈の魔力と【照光結晶】によって維持される円形都市であり、ゲームではアンデッドを倒しながら照光結晶の管理室を目指す場所だった。

扉の異変

発掘が進む中、巨大な金属扉が軋み始め、白い指が上部から突き出した。扉の奥から現れようとしていたのは、スケルトンが結合した巨大なアンデッドだった。ゼロスはそれを【スカル・オーガスト】、あるいは【ボーンズ・フューラー】に近い存在と見て、職人達を退避させた。

巨大骸骨への対処

ナグリは作業員を退避させ、ゼロスはジャーネ達に護衛を任せた。ゼロスは、巨大な骨の魔物にも恐怖を感じず、素材としての旨味も少ない相手だと考えていた。イリスだけは、【殲滅者】であるゼロスなら勝てると確信し、他の者達は奥から来るスケルトンに備えるべきだと判断した。

スケルトン・カイザー

現れた魔物は【スケルトン・カイザー】であり、勇者を超えるほどの格を持つ高レベルの存在だった。ゼロスは、一般の傭兵や職人では相手にならないと見ながらも、自分なら問題ないと考えた。イリスは、自分達転生者とこの世界の者達のステータスが別物ではないかと感じていたが、ゼロスはその話を後回しにした。

氷結と粉砕

スケルトン・カイザーがゼロスへ攻撃を仕掛けると、ゼロスはそれを躱して頭部へ跳び上がった。無詠唱の【氷結華】で巨体を凍結させ、さらに遅延術式で封じていた振動波の魔法を解放した。スケルトン・カイザーは【ウェーブ・パニッシャー】によって粉々に砕かれ、死霊も消滅した。

死者の街

門をくぐったゼロスの前には、光の届かない暗黒の街が広がっていた。【ライト】で照らすと、そこには無数のスケルトンやゾンビが蠢いていた。最近死んだと思われる者達も混じっており、遺跡に侵入した傭兵達のなれの果てだと考えられた。

浄化の開始

アンデッド達が一斉にゼロスへ襲いかかると、ゼロスは光魔法【シャイニング・ノヴァ】を放った。強力な光が街の一角を覆い、アンデッドと死霊をまとめて浄化していった。ゼロスは【照光結晶】の管理室を目指し、遺跡に明かりを取り戻すため、立ちはだかる死者達を殲滅しながら進み始めた。

第六話 おっさん、エア・ライダーをガメる

遺跡封鎖とゼロスの横領

遺跡前の待機

ゼロスが都市遺跡に入ってから二時間、イリス達傭兵は外で待機していた。奥から破砕音が聞こえるためゼロスの無事は分かったが、遺跡内部には魔導具や宝飾品が眠っている可能性があり、傭兵達は一獲千金の機会を逃していることに苛立っていた。しかし遺跡は国家事業の現場で発見された生きた旧時代の遺跡であり、公爵家の勅命によって侵入は禁止されていた。

欲深い傭兵達

一部の傭兵達は、ゼロスだけが内部に入れることに不満を爆発させた。彼らは宝を独り占めされると騒ぎ、アンデッドや呪われた道具の危険を理解しようとしなかった。ナグリ達職人は、国の管理前に危険物が流出することを防ぐために立ちはだかったが、欲に目が眩んだ傭兵達は聞く耳を持たなかった。

職人と傭兵の乱闘

ナグリと傭兵の殴り合いをきっかけに、職人達と傭兵達の大乱闘が始まった。武器を使わない殴り合いで決着をつけるという暗黙のルールのもと、男達は拳で語り合った。ジャーネ達はその様子を呆れながら見守り、依頼内容にない遺跡探索には手を出さず、護衛任務を続けることを選んだ。

抜け駆けの代償

乱闘の隙を突き、一人の傭兵が遺跡へ向かおうとした。だが門の奥から現れたのは、先に遺跡へ入った仲間達の変わり果てた姿だった。モッコス達は食人鬼となっており、近づいた男の首筋に噛みついて肉を食い千切った。さらに門の闇からは大量のスケルトンやグールが現れ、場は一気に戦闘状態へ変わった。

防壁の構築

ナグリ達ハンバ土木工業の職人達は、即座に【ガイア・コントロール】と【ロック・フォーミング】で防壁を作った。アンデッド達は防壁を越えようとしたが、動きが単調で、迎撃はしやすかった。職人達は斧やハンマー、ツルハシ、スコップを武器に、スケルトンを次々と粉砕していった。

工事戦士達の実力

ドワーフ達は日頃の土木作業で魔力操作に優れ、魔力を込めた武器でスケルトンを容易く破壊していた。傭兵達は、職人達の戦闘能力の高さに圧倒された。ナグリは傭兵達まで指揮下に置き、遺跡からあふれるアンデッドを迎撃する態勢を整えた。

イリス達の奮戦

イリスは風魔法や浄化魔法でスケルトンとグールをまとめて吹き飛ばした。ジャーネはゼロスが作った魔剣でグールを両断し、レナは盾とシミターを使って技巧的に戦った。三人はそれぞれの役割を果たし、アンデッドの群れを確実に減らしていった。

殴り魔導士イリス

グールがイリスに急襲したが、彼女は杖と体術で迎え撃った。メイケイ師範の教えを思い出しながら、顎を砕き、突きと蹴りで敵を崩し、最後は【シャイニング・ゲイザー】で浄化した。魔法使いに憧れていたイリスは、コッコ達の訓練によって完全に殴り魔導士へと変わっていた。

外の防衛成功

職人達と傭兵達の奮戦により、門からあふれたアンデッドは食い止められた。騎士団が到着するのは四日後だったが、その間の危機は彼らの手でひとまず防がれた。現場は一時的に安定し、ゼロスが内部で遺跡を攻略する時間が確保された。

闇の街の殲滅

遺跡内部では、ゼロスが【ライトニング・レイン】などでアンデッドを片っ端から殲滅していた。街は広く、死霊やゴースト、スケルトン・カイザーが多数潜んでいたが、ゼロスは魔力察知で位置を把握し、建物内にいる敵まで消滅させていた。彼は【照光結晶】を制御する管理室が領事館の地下にあると見て、そこを目指すことにした。

悪魔の不在

ゼロスは、これほど瘴気と死霊が満ちているにもかかわらず、悪魔が生まれていないことに違和感を覚えた。通常ならレッサーデーモンが跋扈していてもおかしくないほどの環境であり、その不在は不自然だった。だが彼は、いずれ分かるだろうと考え、まずは目的を優先した。

エア・ライダー

ゼロスは、街の中で車輪のない空飛ぶバイク【エア・ライダー】を発見した。それは重力制御魔法と空気噴射で空を飛ぶ希少な魔導具であり、【ソード・アンド・ソーサリス】でも残骸でしか見かけないような貴重品だった。状態は古びていたが十分に良く、ゼロスは強い欲望を抑えきれなかった。

古代遺物の横領

ゼロスは周囲に誰もいないことを確認し、【エア・ライダー】をインベントリーへ収納した。古代遺物の横領は重罪だったが、騎士団が来れば没収されるため、彼は今しかないと判断した。こうしてゼロスは国家事業の現場で横領を働き、上機嫌で遺跡の奥へ進んでいった。

第七話 おっさん、悪魔をボコる

イーサ・ランテ中枢と悪魔ブエル

領事館への到達

ゼロスはスケルトンや死霊を蹴散らしながら、街の中央にある領事館らしき建物へ到着した。かつては美しい街だったと思われる場所は瓦礫と白骨死体に満ち、領事館内にも暴動の痕跡が残っていた。ゼロスは【ソード・アンド・ソーサリス】の初期イベントを思い出しながら、【照光結晶】を動かすため地下管理室へ向かった。

照光結晶の制御盤

地下管理室には白骨死体が散乱しており、ゼロスは浄化魔法で死霊を消しながら制御盤を探した。石柱型の制御盤に魔力を流すと内部のパネルが展開したが、設置されていた【魔晶石】は魔力を失っていた。ゼロスは手持ちの魔晶石を置き、照光システムを再起動させた。

イーサ・ランテの起動

管理システムは、地下第七都市【イーサ・ランテ】の行政管理システムとして起動した。照光システムや魔力伝達ラインが確認され、【龍の心臓】へ魔力が届き、都市機能の復旧が始まった。ゼロスは、この都市が【ソード・アンド・ソーサリス】とつながる存在であることを改めて実感した。

爵位級ブエル

都市機能の復旧中、管理システムは【龍の心臓】に高密度魔力体を検知し、爵位級【ブエル】と設定した。ゼロスは、悪魔が生まれていたことを知り、管理室から退避しようとした。しかし防衛システムが隔壁を次々に閉じ始め、ゼロスは潰されかけながら必死に通路を走り抜けた。

漆黒の魔導士

領事館の外へ出たゼロスは、都市に光が戻り始めた中で、漆黒の魔力を纏う悪魔と対峙した。ゼロスは【殲滅者】の漆黒装備へと切り替え、悪魔の出方を窺った。悪魔は美しい人型へ姿を変え、芝居がかった口調でゼロスを挑発した。

悪魔との攻防

悪魔は生者を食事と見なし、ゼロスに襲いかかった。ゼロスは魔法杖の刃で爪を受け止め、棒術と魔法で応戦した。悪魔は青い炎をまとった頭蓋骨を操ったが、ゼロスは【黒雷連弾】で迎撃し、追尾する黒雷で悪魔の魔力を削った。

至近距離の浄化

ゼロスは遅延術式を解放し、自分ごと巻き込む形で【シャイニング・ノヴァ】を発動した。【変わり身の形代】で爆風を逃れつつ、浄化の光を悪魔に浴びせて魔力を大きく削った。悪魔は自分ごと攻撃するゼロスの戦い方に驚き、怒りで本性を露わにした。

第二形態

悪魔は赤銅色の巨体と角、翼、尻尾を持つ姿へ変貌した。ゼロスはその変化をやられ役のようだと挑発しながら、遅延術式に仕込んだ多数の魔法を連続で解放した。氷、黒雷、溶岩、竜巻、重力、爆炎、冷気などの魔法が悪魔へ集中し、悪魔は反撃する暇もなく蹂躙された。

門前の不安

遺跡の外では、傭兵達が奥から響く爆発音と光に青ざめていた。イリスは、二千年以上閉鎖された魔力溜まりなら悪魔が生まれていてもおかしくないと考えた。ジャーネとレナは、ゼロスが本気で戦わなければならない相手の存在を想像し、沈黙するしかなかった。

蛇の奇襲

ゼロスは悪魔を徹底的に弱らせたが、悪魔は実体化を解いて潜み、角の生えた蛇の姿でゼロスに絡みついた。締め殺して魂を食らおうとする悪魔に対し、ゼロスは再び自分ごと【シャイニング・ノヴァ】を放った。悪魔はその攻撃を警戒しておらず、光に呑まれて消滅した。

悪魔の素材

悪魔が消えた後、ゼロスの前には黒い角と魔石が残っていた。ゼロスは、それが【デモン・ジェネラル】級の素材だと判断し、武器強化などに使えるかもしれないと回収した。その後、彼は中枢ブロックへ向かい、残された死霊を問答無用で浄化していった。

都市の浄化

ゼロスはイーサ・ランテの街を浄化し尽くした。古代都市の機能が目覚めたことで各地に騒ぎが起きたが、ゼロスはそのことを知らなかった。彼はあくまで自由に行動し、死者の街を一人で片付けていった。

第八話 おっさん、またもやらかす

イーサ・ランテの調査と勇者召喚陣の破壊

死の街の調査

ゼロスの奮闘から四日後、デルサシスの命で一個中隊と歴史学者達が【イルマナス地下大遺跡】へ送られた。調査の結果、イーサ・ランテの住民は落盤によって外部から隔絶され、飢餓と暴動の果てに死に絶えたと判断された。街は瘴気に満ち、住民の遺体はアンデッドへ変わっていた。

呪われた遺物

一週間ほど経つと、騎士達は魔導具や宝飾品を集め、土木職人達は北門側から地下街道工事を再開していた。しかし発見された宝石や魔導具の多くは呪われ、瘴気にも汚染されていた。神官に頼むのは政治的に危険であるため、クレストンはゼロスに浄化を相談した。

浄解結晶

ゼロスは、アンデッド対策用の使い捨て護身アイテム【浄解結晶】を取り出した。それは強力な浄化魔法を封じた結晶で、人的被害なく呪いを祓えるものだった。クレストンがそれを山積みの遺物に投げ込むと、眩い光と怨嗟の声が広がり、道具類の浄化は成功した。

管理機能の掌握

ゼロスはイーサ・ランテの防衛管理システムや環境維持システムを調べていた。都市には気温、換気、疑似天候を制御する機能まであり、古代魔法文明の水準は現代地球にも匹敵するほど高度だった。ゼロスは、その文明を滅ぼした邪神の力に改めて戦慄した。

勇者召喚への仮説

ゼロスは、勇者召喚が時空に穴を開けて魔力を大量消費する危険な技術だとクレストンに語った。三十年ごとに膨大な魔力を消費し続ければ、世界に深刻な影響が出る可能性があると考えていた。彼は四神に好き勝手されることを防ぐため、勇者召喚を止めたいと考えていた。

龍脈監視システム

ゼロスが龍脈の監視システムを起動すると、世界中の魔力の流れが映し出された。メーティス聖法神国の聖都【マハ・ルタート】には不自然な魔力集中があり、大神殿地下に魔力を集める装置が存在すると判明した。さらに世界各地には魔力濃度が低下した龍穴があり、二千年以上にわたる大規模な魔力搾取の痕跡が示された。

世界滅亡の危機

管制システムは、魔力枯渇が進めば魔力を持つ生物がほぼ絶滅し、生態系の再生には四十六万年を要すると告げた。ゼロスの出まかせだった勇者召喚の危険性は、実際に世界の危機として存在していた。ゼロスとクレストンは、勇者召喚が世界に害をなしていると理解した。

ジャッジメントの起動

ゼロスは、勇者召喚施設へ魔力が流れないように龍脈を元に戻すことを管制システムに命じた。だがその指示はコード【ジャッジメント】として処理され、防衛システムと攻撃衛星【メタトロン】が起動してしまった。二人が止めようとした時には、龍脈移動と攻撃準備が進行していた。

セラフィム・バースト

ゼロスは慌てて攻撃出力を最小限に抑えるよう命じたが、管制システムは大神殿を撃ち抜く兵器【セラフィム・バースト】を発射した。衛星軌道からの光がマルトハンデル大神殿を貫き、勇者召喚施設は大打撃を受けた。ゼロスとクレストンは、想定外の被害に罪悪感を覚えながらも、勇者召喚は阻止されたと理解した。

勇者召喚陣の真相

マルトハンデル大神殿地下には、三十年ごとに勇者を召喚するための魔法陣が存在していた。本来は魔導士が管理していたが、四神教の権威を重んじる者達が魔導士を排除し、資料も失われたため、神官達は仕組みを理解しないまま運用していた。その結果、生贄の儀式まで必要だと思い込み、多くの獣人や罪人が殺されていた。

召喚施設の崩壊

召喚陣の魔力が失われ始め、神官達が原因を突き止められず混乱する中、天井を貫く光が召喚陣へ突き刺さった。神官達は光に呑まれ、大神殿は衝撃波で崩壊した。こうして、メーティス聖法神国は勇者召喚という最大の切り札を失った。

法皇ミハロウフ

法皇ミハロウフは、その時大神殿を離れ、聖女達と淫らな時間を過ごしていた。彼は四神への信仰よりも自分の名声と権力を重視しており、【賢者】の存在が自分の野望を脅かすことに焦っていた。地震と大神殿への光の一撃を目撃した彼は、それを神の裁きと受け止め、激しく動揺した。

信仰の揺らぎ

マハ・ルタートの街は地震と爆発で壊滅的被害を受け、民衆は法皇に救いを求めて殺到した。さらに四神教の象徴である大神殿が光に貫かれて崩壊したことで、敬虔な信徒達は神の怒りを恐れた。ミハロウフは、四神が代行神であるという秘密を思い出し、新たな神と賢者を倒さねばならないと焦った。

古代兵器の後始末

ゼロスとクレストンは、神殿破壊を他人に知られれば戦争に発展しかねないと考えた。攻撃衛星【メタトロン】は老朽化により自爆廃棄され、二人は安堵した。だが、防衛任務が【サンダルフォン】へ移され、さらに対地上攻撃兵器【グングニール】の存在まで告げられた。

封鎖された管理室

ゼロスは、なぜか最高責任者としてシステムに登録されてしまった。クレストンと相談した結果、二人は管理室とイーサ・ランテ中枢を隔壁で完全封鎖し、危険な古代兵器を人知れず闇に葬ることにした。だが誰かが侵入する可能性は残り、ゼロスの心は休まらなかった。

第九話 おっさんは休めない

四神の神託と地下街道工事

大神殿上空の四神

瓦礫となったマルトハンデル大神殿の上空で、四神の一柱であるアクイラータは召喚陣の破壊を苦々しく見ていた。そこへフレイレスも現れ、攻撃が魔力や神力ではなく、宇宙空間からの旧時代の兵器によるものだと知った。二人は、これを行ったのが勇者か転生者である可能性が高いと考えた。

無責任な代行神

アクイラータとフレイレスは、転生者達が自分達より強い可能性に焦っていた。彼女達は妖精から階位を上げた代行神であり、正式な神ではなかった。世界管理も杜撰で、転生者の処理も異世界の神々に丸投げしていたため、誰がどれほどの力を持つのか把握していなかった。

転生者への神託

四神は、自分達が原因で世界が危機に陥っていることには気付かず、転生者を恩知らずな敵と見なした。正面から戦えば勝てないため、人間達に探させて始末させる方針を取った。アクイラータとフレイレスは、転生者を神敵として断罪せよという神託を下すことにした。

旧聖堂の混乱

大神殿崩壊から一週間後、ミハロウフ法皇達は旧時代の聖堂に拠点を移していた。断罪の光は神官達の信仰を揺るがし、街の復興も進まず、他国からの援助も難しい状況だった。そこへ聖女マリアンヌが、転生者が旧時代の遺物を動かした可能性と、神敵として断罪せよという神託を伝えた。

転生者への恐怖

ミハロウフは勇者達に転生者を探させようとしたが、転生者が勇者より強いと聞いて動揺した。神聖騎士団は復興に追われ、勇者召喚も不可能となっていた。さらに他国は政治圧力を強め、回復魔法の独占も崩れつつあり、メーティス聖法神国は八方塞がりになっていた。

崩壊の始まり

ミハロウフは、勇者が転生者と共闘して神国に牙を剥く未来を恐れた。彼は四神教の崩壊が自身の名声を悪名に変えることを何より恐れていた。しかし、神国は既に切り札を失い、内外から崩れ始めていることに一部の者以外はまだ気付いていなかった。

地下街道工事の再開

イルマナス地下大遺跡では、地下街道の工事が続いていた。ハンバ土木工業を含む作業員達が熱気に満ちた歌声とともに作業を進め、ゼロスも灰色ローブの魔導士として岩盤を砕いていた。工事は順調に進み、開通まであと少しというところまで来ていた。

現場に馴染むゼロス

ゼロスは作業員達と昼食を取りながら、地下街道やイーサ・ランテの利用について話していた。その中で、自分がいつの間にか土木作業に慣れ、完全に現場の一員のようになっていることに気付いた。拉致同然で連れてこられたはずの彼は、肉体労働に順応してしまっていた。

クレストンの追加依頼

査察に来たクレストンは、ゼロスにアルトム皇国側の様子を見てきてほしいと頼んだ。地下街道の開通後、イサラス王国との貿易も本格的に動かす必要があり、外交官の護衛が必要だった。ゼロスは酷使されていると嘆いたが、クレストンは使える人員は使うのが貴族だと返した。

リサグルの課題

地下街道の出口付近には【リサグル】という山間の町があるが、辺鄙な場所で、街道利用者を支えるには整備が必要だった。宿などの施設がなければ商人達も困るが、ハンバ土木工業が動けば短期間で建てられる可能性があった。ゼロスとクレストンは、その異常な作業能力に半ば呆れていた。

終わらない労働

昼休みはすぐに終わり、ナグリ達はゼロスを再び現場へ連れて行った。ゼロスは食べかけの弁当を残したまま連行され、クレストンは責任をデルサシスへ押しつけるように見送った。この日もゼロスは長時間働くことになり、地下街道が開通するまで休めない状況に置かれていた。

第十話 おっさん、元勇者と出会う

イルマナス地下街道開通と温泉の誕生

地下街道の開通式

イルマナス地下大遺跡では、ソリステア魔法王国からイーサ・ランテを経由し、アルトム皇国とイサラス王国を結ぶ交易路が復活しようとしていた。作業員達は開通の瞬間を待ち望み、ナグリ達がツルハシで最後の岩壁を打ち砕いた。反対側から光が漏れた瞬間、職人達は歓喜し、すぐに最後の仕上げへ取りかかった。

禁煙現場の鉄拳

ゼロスは開通の達成感に浸り、煙草を吸おうとした。だが、現場は禁煙であり、ナグリに見事なアッパーを食らって吹き飛ばされた。異世界でも煙草への風当たりは強まりつつあり、ゼロスは愛煙家としての世知辛さを味わった。

雪国リサグル

開通したトンネルの先には、雪の積もるアルトム皇国の山間部が広がっていた。近くにはリサグルの町があり、豊かな森と大河に囲まれたのどかな田舎町だった。街道は不釣り合いなほど立派に整備されており、アルトム皇国側のドワーフ達も竣工を祝って踊っていた。

タカ・ガトーの正体

ゼロスは現場監督のタカ・ガトーが労働基準法という言葉を口にしたことで、彼が異世界人だと見抜いた。タカは三十三年前に召喚された勇者【加藤貴仁】であり、四神教に使い捨ての駒として扱われた生き残りだった。ゼロスも転生者だと明かし、二人は互いに警戒しながらも情報を交わした。

勇者召喚の真実

タカは、勇者達が元の世界へ送還されたという話が嘘であり、真実に気付いた仲間の多くが殺されたと語った。ゼロスは、現在の勇者達の半数が既に死んでいること、勇者達に四神教への不信を吹き込んだことを伝えた。タカは四神教の失墜を喜び、長年の恨みを吐き出すように笑った。

四神教血連同盟

タカは、異端審問官を含む【四神教血連同盟】の危険性を語った。彼らは四神の権威を守るためなら虐殺も厭わない妄信者であり、勇者達を追って匿った人々ごと殺したこともあった。ゼロスは、彼らが身近な者に手を出す危険を考え、公爵家の情報網なら見逃さないだろうと見ていた。

リサグルの町とルーフェイル族

ゼロスとタカはリサグルの町へ向かった。町は合掌造りを思わせる木造建築が並び、住民は翼を持つルーフェイル族だった。彼らは高い平均レベルを持つ強力な民族であり、絹やルーズベリーのワインなど、町には今後の発展につながる可能性があった。

地下街道の犠牲

タカは、イサラス王国側の街道工事やイルマナス地下大遺跡の魔物討伐について話した。地下は魔物に有利な環境で、多くの傭兵が犠牲になっていた。ゼロスは傭兵業の厳しさを思い出しつつ、自分がSランク傭兵であることを改めて意識した。

元勇者の現在

タカは、四神教から逃げる中で土木作業員となり、今では現場監督として生きていた。さらに同じく召喚された同級生と結婚し、五人の子供がいると語った。独り身のゼロスはその話に嫉妬し、タカを内心でリア充と見なした。

悪臭と洗濯機

リサグルでは、工事現場の作業員達が洗濯に追われていた。長期間着替えない職人達の悪臭は町民が逃げ出すほどで、ナグリはゼロスに洗濯できる道具を求めた。ゼロスは試作中の洗濯機を取り出し、水を自動生成して洗濯できる仕組みを説明した。

暴走する試作機

ゼロスが別の試作洗濯機を動かすと、防水不良と制御不能により激しく水を噴き出し始めた。洗濯機はねずみ花火のように回転しながら地面を掘り進め、やがて地下水脈に達した。そこから噴き出したのは大量の温水であり、ゼロスは温泉を掘り当てたと判断した。

温泉街の始まり

失敗作の洗濯機が温泉を掘り当てたことで、リサグルの町は後に温泉街として知られるようになった。しかしその場では、温水で町が水浸しになるのを防ぐため、土木作業員達は宴会を中止して新たな工事に取りかかった。ゼロスもまた休めず、失敗作の洗濯機は町おこしのきっかけを作るという奇妙な成果を残した。

第十一話 おっさん、再び護衛依頼を請け負う

イルマナス地下街道開通と勇者達の不穏

交易路の復活

イルマナス地下大遺跡では、ソリステア魔法王国からイーサ・ランテを経由し、アルトム皇国とイサラス王国を結ぶ安全な地下交易路が復活した。作業員達は開通の瞬間を待ち望み、ナグリ達が最後の岩壁を打ち砕いた。光が差し込んだ瞬間、職人達は歓喜し、すぐに最後の仕上げへと取りかかった。

禁煙現場の鉄拳

ゼロスは開通の達成感に浸って煙草を吸おうとしたが、工事現場は禁煙であり、ナグリに殴り飛ばされた。異世界でも煙草への風当たりは強まりつつあり、ゼロスは喫煙者として世知辛さを味わった。職人達は誰も助けず、現場の日常として最後の作業を続けていた。

雪国リサグル

開通した地下街道を抜けると、そこは雪の積もるアルトム皇国の山間部だった。近くにはリサグルの町があり、のどかな田舎町とは不釣り合いなほど立派な街道が整備されていた。アルトム側のドワーフ達もハンバ土木工業に似た熱気で街道完成を祝っており、ゼロスは両国のドワーフの共通性を感じていた。

タカ・ガトーの正体

現場監督のタカ・ガトーが労働基準法という言葉を口にしたことで、ゼロスは彼が異世界人だと見抜いた。タカは三十三年前に召喚された勇者【加藤貴仁】であり、四神教に使い捨てにされかけた生き残りだった。ゼロスも転生者であることを明かし、二人は互いに警戒しながら四神教の真実を語り合った。

使い捨ての勇者

タカは、勇者が元の世界へ送還されたという話は嘘であり、それに気付いた仲間の多くが殺されたと語った。ゼロスは、現在召喚された勇者達も既に半数が死んでいることを伝え、四神教に不信を抱かせる情報を勇者達へ吹き込んだことを明かした。タカは四神教の苦境を知り、長年の恨みから心底愉快そうに笑った。

四神教血連同盟

タカは、四神教血連同盟が四神の権威を守るためなら虐殺も厭わない妄信者集団だと語った。彼らは異端審問官を含み、勇者を匿った者達まで周囲ごと皆殺しにしたことがあった。ゼロスは、彼らが勇者や転生者の周辺人物を狙う危険性を考え、今後の脅威として警戒した。

リサグルの可能性

リサグルの町は合掌造りに似た木造建築が並び、翼を持つルーフェイル族が住んでいた。彼らは高い平均レベルを誇る強力な民族であり、絹やルーズベリーのワインなどの産物もあった。地下街道の開通により、この辺鄙な町も交易拠点として発展する可能性が見えていた。

洗濯機と温泉

悪臭に困った作業員達のため、ゼロスは試作洗濯機を取り出した。まともに動く機体もあったが、別の試作機は水漏れと制御不能を起こし、地面を掘り進めて温泉を掘り当てた。こうして失敗作の洗濯機は、リサグルを温泉街へ変えるきっかけを作った。

温泉の一ヶ月

おっさんが拉致られて一ヶ月後、リサグルには公衆浴場や温水の洗い場、温泉旅館まで作られていた。土木作業員達は大仕事を終え、露天風呂で酒を飲みながら疲れを癒していた。ゼロスは筋肉だらけの光景にうんざりしつつ、四神とメーティス聖法神国の思惑について考えを巡らせていた。

四神への推測

ゼロスは、メーティス聖法神国が勇者を権威拡大と軍事圧力の道具にしている一方、四神は娯楽や文明発展を求めて勇者召喚を続けていたのではないかと推測した。享楽的で無責任な四神は、異世界の文明に触れたことでこの世界の低い文明水準に不満を抱き、勇者に文化を持ち込ませようとした可能性があった。

外交官護衛の依頼

翌朝、ゼロスのもとへ騎士が訪れ、デルサシス公爵の命による外交官護衛の依頼を伝えた。騎士は魔導士への偏見を見せたが、ゼロスが連携の重要性を説くと態度を改めた。今回の任務はアルトム皇国の皇都アスーラーへ外交官を送り届けるものであり、魔導士団は嫌がらせのように派遣されていなかった。

イルハンス伯爵

ゼロスが馬車に乗り込むと、そこには書類と格闘するイルハンス伯爵がいた。伯爵は挨拶もそこそこに、国の命運を左右する外交任務を急いでいた。馬車はすぐに出発し、ゼロスは肉体労働から一転して、退屈な護衛任務へ移ることになった。

シュトーマル要塞の会議

数週間前、メーティス聖法神国のシュトーマル要塞では、神聖騎士団と勇者達がアルトム皇国の街道破壊工作について協議していた。街道がイサラス王国との交易を可能にすると、神国の包囲につながるためである。勇者達は戦力不足を懸念しながらも、神国が崩れれば自分達の帰還手段も失うと考え、任務を受け入れた。

姫島佳乃の変貌

姫島佳乃は、アルトム皇国侵攻で幼馴染の風間卓実を失って以来、復讐心に囚われていた。神官達の言葉を信じず、勇者が元の世界へ帰れるとも思っていなかった。彼女は、この国が自分達を召喚したせいで仲間達が死んだと考え、神国が滅びても構わないとまで口にした。

神薙悟の失恋

神薙悟は佳乃を止めようとしたが、佳乃は彼の言葉を拒絶した。悟は卓実の死を内心で喜んだことがあり、佳乃はその態度を見抜いていた。彼女にとって卓実の代わりはおらず、悟の想いは届かなかった。佳乃は復讐という死に場所を求める鬼へと変わっていた。

血連同盟の悪意

勇者達が出撃準備を始める一方、神官長と神聖騎士団長は、マルトハンデル大神殿崩壊と勇者召喚不能の事実を共有していた。勇者を失うわけにはいかず、彼らへの待遇改善が指示されていたが、危険視された佳乃には血連同盟の者達をつけることになった。勇者達の知らないところで、妄信に満ちた悪意が佳乃へ向けられ始めていた。

第十二話 姫島佳乃の追憶

アルトム皇国侵攻の記憶と勇者達の破壊工作

風間卓実の警告

一年前、メーティス聖法神国はアルトム皇国への侵攻を進め、戦況は順調に見えていた。だが、勇者の中で唯一の魔導士である風間卓実は、住民も食料も消えた街や村を見て罠の可能性を疑った。卓実は岩田定満に進軍の危険を訴えたが、定満は勇者の力を過信し、忠告を聞かず卓実を殴り飛ばした。

勇者召喚への疑念

卓実は姫島佳乃に、メーティス聖法神国が勇者達を利用しているだけだと語った。召喚される勇者が未成年に偏っていること、大人の勇者が事故死として処理されていること、過去の勇者が帰還した記録がないことから、勇者は元の世界へ戻れず、真実を知れば始末される可能性が高いと考えていた。

佳乃への頼み

卓実は、アルトム皇国の撤退が罠であり、神聖騎士団が大打撃を受けると予測していた。自分は最前線へ送られるため、もし戦況が最悪になれば、一条渚達と協力して勇者達をできるだけ逃がしてほしいと佳乃に頼んだ。佳乃は不安を抱きながらも、その頼みを受け入れた。

邪神の爪痕の戦場

神聖騎士団はアルトム皇国の最終防衛ラインである【邪神の爪痕】へ到達したが、断崖を利用した防衛と空からの攻撃に苦しめられた。戦線は膠着し、補給も回復も追いつかないまま七日が過ぎた。そこへファーフラン大深緑地帯から強力な魔物の大群が押し寄せ、神聖騎士団は一気に壊滅へ向かった。

勇者の幻想崩壊

魔物達は勇者すら圧倒する強さを持ち、神聖騎士団と勇者達を一方的に蹂躙した。佳乃は友人が魔物に踏み潰される光景を見て恐怖に凍りつき、勇者達は戦争の現実に心を折られた。アルトム皇国は魔物の襲撃に合わせて攻勢をかけ、神聖騎士団は完全敗北した。

漆黒の女戦士

逃げ延びた佳乃達の前に、漆黒の鎧を纏った翼ある女戦士が現れた。勇者達の鑑定が通じないほどの実力差があり、女戦士は侵略者である勇者達を容赦なく斬り伏せた。佳乃は戦争に参加した責任を突きつけられ、自分達が言われるまま侵略に加担したことを思い知らされた。

卓実の最期

女戦士が佳乃を斬ろうとした瞬間、重傷の卓実が現れて魔法で阻んだ。卓実は佳乃を逃がすため、ナイフと魔法で女戦士に挑み、最後は自分ごと【エクスプロード】を放った。佳乃は仲間に引きずられて離れながら、爆炎の中に消える幼馴染の姿を目に焼き付けた。

復讐に囚われた佳乃

卓実の死によって、佳乃は笑わなくなり、復讐心に囚われていった。現在の彼女はアルトム皇国の山間に通された街道を破壊する任務に就いており、悪夢を見るたびに復讐心が消えていないことを確認していた。彼女を含む一部の勇者は、すでにメーティス聖法神国を信用していなかった。

逃走計画と監視役

佳乃達はメーティス聖法神国を見限る機会を狙っていたが、補佐役という名の監視がついており、迂闊に動けば毒殺される危険もあった。今回の任務は復讐と逃走を両立できる機会でもあったが、神薙悟の動きだけは信用できなかった。佳乃は悟が自分達の行動を阻む可能性を警戒していた。

街道破壊の困難

勇者達は犠牲を出しながら古い橋を渡り、破壊目標の街道へ到達した。しかし街道は短期間で整備されたとは思えないほど立派で、火薬で穴を開けてもすぐ修復される可能性が高かった。さらに上空にはアルトム皇国の戦士達が頻繁に巡回しており、破壊工作は想定以上に難しい状況だった。

女戦士の再発見

巡回する戦士達の中に、佳乃は卓実と戦った漆黒の女戦士を見つけた。勇者達は、辺境の街道に精鋭がいる理由から、この先に重要人物がいるのではないかと考えた。神薙悟は街道破壊よりも要人暗殺で国家間の軋轢を生む作戦に切り替えようとした。

ソリステアの馬車

勇者達は森に潜み、広場へ到着した馬車を確認した。その馬車にはソリステア魔法王国の紋章があり、騎士に護衛された貴族と灰色ローブの魔導士が降りてきた。魔導士が巨大な銃剣のような武器を持っていることに勇者達は動揺し、ソリステアにも銃の技術が存在すると知った。

規格外の魔導士

勇者達は、灰色ローブの魔導士が連射可能な銃らしき武器を持っていると見て、メーティス聖法神国の優位が失われたと感じた。それでも悟は貴族と魔導士の暗殺を狙い、佳乃は漆黒の女戦士と戦うことに固執した。彼らは鑑定を怠り、その魔導士が規格外の存在であることにまだ気付いていなかった。

第十三話 おっさん、迎撃す

護衛馬車の退屈と火縄銃の襲撃

馬車内の魔導練成

ゼロスはアルトム皇国の皇都アスーラーへ向かう馬車の中で、三日間の暇を持て余していた。イルハンス伯爵は書類に没頭して会話もなく、ゼロスは未完成だった【ガン・ブレード】の部品を作り始めた。それは剣と銃を融合させた趣味の武器であり、実用性よりも男のロマンを優先した欠陥武器だった。

イルハンスの関心

イルハンス伯爵はゼロスの作る武器に興味を示し、砦の防衛武器として使えるのではないかと考えた。ゼロスは、こうした武器は戦争に利用され、大量虐殺の道具になりかねないため売るつもりはないと答えた。イルハンスはゼロスを国に迎えようとしたが、ゼロスは宮仕えを嫌い、国に縛られるなら他国へ行くと拒絶した。

自由を望む魔導士

イルハンスは研究資金や地位を提示してゼロスを誘おうとしたが、ゼロスは自分の意思で身近な人に役立てばよいと考えていた。国に研究成果を提供し、知らないところで危険物が使われることを嫌っていたのである。イルハンスは、ゼロスが権威や資金では動かない魔導士だと理解した。

ルーフェイル族の話

馬車の中で、イルハンスはアルトム皇国の民がほとんど戦士であり、非常時には戦闘に参加すると語った。ゼロスは、彼らが創世神によって最初に生み出されたとされる【ルーフェイル族】であり、勇者よりも強い古代種だと理解していた。アルトム皇国は、メーティス聖法神国との戦争中であるため、使節団の護衛にも警戒が必要だった。

合流地点の戦士達

使節団の馬車は、アルトム皇国の戦士団との合流地点へ到着した。そこには武装した空の戦士達が整然と並び、ソリステア魔法王国の使節を迎える態勢を整えていた。ゼロスは、【ソード・アンド・ソーサリス】で知るルーフェイル族とは異なる戦闘的な雰囲気に戸惑った。

黒天将軍ルセイ

アルトム皇国の将軍ルセイ・イマーラは、ソリステアの使節団を迎えるため部下達に礼を尽くすよう命じた。彼女は【黒天将軍】と呼ばれる実力者だったが、内心では婚期を逃していることに悩んでいた。強過ぎる実力と、過去に自分より弱い男とは結婚しないと発言したことが、彼女の縁談を遠ざけていた。

ゼロスへの警戒

ルセイは、馬車から降りてきたゼロスの魔力と気配に、自分より強い存在だと直感した。ゼロスはただの雇われ傭兵だと名乗ったが、巨大な剣状の杖や一級品の装備から、ただ者ではないことは明らかだった。ルセイは戦人として名を尋ね、ゼロスはフリーの魔導士だと答えた。

森の中の気配

挨拶を終えた直後、ゼロスは森の中からこちらを覗く者達に気付いた。彼は巨大な【ガン・ブレード】を構え、森へ向けて砲撃を放った。轟音とともに木々が抉られ、潜んでいた人影が露わになり、アルトム皇国の戦士達は敵が侵入していたことを悟った。

火縄銃の襲撃

森に潜んでいた敵は、火縄銃を構えて一斉に攻撃を始めた。甲高い発射音とともに、前衛の戦士達が次々と倒れていった。ゼロスはそれが勇者達の世界の古い武器であり、連射はできないが数で欠点を補っていると判断した。

盾と障壁の反撃

ゼロスは火縄銃の弱点を伝え、盾と障壁魔法を併用すれば防げると説明した。ルセイは即座に戦士達を鼓舞し、盾と防御魔法で陣形を立て直させた。火縄銃の弾は防がれ、ゼロスの砲撃とアルトム戦士達の突撃によって、森の中から敵の悲鳴が上がり始めた。

第十四話 おっさんは、空気を読まない

火縄銃の失敗と殲滅者の尋問

勇者達の待ち伏せ

メーティス聖法神国の小隊は、街道破壊から要人暗殺へ作戦を切り替え、森の中で機会を窺っていた。火縄銃は準備されていたが、勇者達はゼロスの【ガン・ブレード】の威力を警戒していた。神薙は魔導士を先に倒せばよいと考え、木の上に狙撃手を配置していた。

殺気への反撃

狙撃手がゼロスを撃とうとした瞬間、ゼロスは殺気を察知し、先に【ガン・ブレード】を放った。轟音とともに弾丸は木々を抉り、狙撃手のいた木を吹き飛ばした。姿を隠していても殺意は魔力の波として読まれ、火縄銃の優位は初手で崩れた。

火縄銃の限界

神聖騎士達は火縄銃で一斉射撃を行い、初めはアルトム皇国の戦士達を動揺させた。しかしルセイの指示で戦士達は盾と魔法障壁を併用し、火縄銃の弾を防ぎながら接近した。ゼロスの銃撃は火縄銃を大きく上回る威力で騎士達を吹き飛ばし、戦況は一気にメーティス聖法神国側の不利へ傾いた。

勇者達の突撃

勇者達は数でも戦力でも追い詰められ、逃げ場を失った。騎士達は捕縛され、周囲を囲まれた勇者達は剣を抜いて突撃するしかなくなった。火縄銃という新兵器への過信と、撤退まで考えなかった稚拙な作戦が、彼らを四面楚歌へ追い込んだ。

ゼロスの武器観

ゼロスは、【ガン・ブレード】が伝説の【竜殺し】を参考にした趣味の武器であり、量産するつもりはないとルセイに語った。強力な武器を広めれば戦場は大量殺戮の場になるため、彼は他人に使わせる気がなかった。ルセイは、武器が命を奪う道具である以上、扱う者の意志と信念が重要だと受け止めた。

勇者二人との対話

ゼロスは前線へ進み、勇者二人と遭遇した。彼は、自分が勇者ではなく転生者であり、傭兵として雇われているから戦っているだけだと語った。さらに、ルーフェイル族は四神教が魔族と呼んでいるだけで、創世神に最初に作られた天使に近い種族だと告げ、勇者達を動揺させた。

勇者召喚の真実

ゼロスは、勇者召喚の魔法陣に帰還機能はなく、大神殿の崩壊によって召喚そのものも不可能になったと明かした。さらに、勇者召喚が世界の魔力を搾り取り、世界を滅亡寸前に追い込んでいたとも語った。勇者二人は、自分達が捨て駒として利用されていた可能性を突きつけられ、投降するかどうかの決断を迫られた。

投降の選択

勇者二人は、メーティス聖法神国に監視されていることや、仲間達に危険が及ぶことを気にして迷った。しかしゼロスは、既に彼らが信用されていないこと、生かしておく気もないことを指摘した。二人は最終的に武器を捨て、投降する道を選んだ。

佳乃とルセイの決闘

残る勇者の姫島佳乃は、卓実を殺したと思っているルセイに復讐するため戦い続けていた。実力差は大きく、佳乃は剣を当てることすらできなかったが、相打ち覚悟で挑んでいた。ルセイは、戦争に加担した時点で殺し合いの責任を負っていると突きつけ、佳乃の復讐が筋違いであることを示した。

仲裁するゼロス

ゼロスは決闘の最中に割り込み、二人の剣を素手で止めた。佳乃は復讐を邪魔されたことに怒ったが、ゼロスは彼女達が要人暗殺を実行した犯罪者であり、わがままを通す資格はないと告げた。戦争をしている以上、復讐や矜持よりも現実を優先すべきだと彼は判断していた。

風間卓実の生存

ルセイは、佳乃が死んだと思っていた風間卓実が生きていると明かした。卓実は瀕死の重傷を負ったが回収され、治療されていた。さらにアルトム皇国の姫と恋仲になっていると判明し、佳乃は長年の初恋が崩れ落ちた衝撃で燃え尽きた。

暗殺者の露見

ゼロスは、周囲に潜んでいた殺気に気付きながら佳乃を立ち直らせようとした。すると倒れていた騎士が血連同盟の者として起き上がり、佳乃を殺そうとした。ゼロスは【ガン・ブレード】で騎士を薙ぎ払い、佳乃の暗殺命令があらかじめ下されていたと見抜いた。

血連同盟への威圧

ゼロスは血連同盟の騎士を踏みつけ、情報を吐かせようとした。彼は魔導士でありながら回復魔法や【神の祝福】を使ってみせ、神聖魔法が神官だけのものではないと突きつけた。騎士は四神の権威を否定され、ゼロスの威圧と拷問めいた尋問に精神的に追い詰められていった。

殲滅者の新たな信奉者

騎士はゼロスの【威圧波動】に屈し、情報を話すことを選んだ。一方、失恋した佳乃は、敵に容赦しないゼロスの苛烈さに惹かれ、【殲滅者】のファンになり始めていた。血連同盟の騎士はアルトム皇国側へ引き渡され、ゼロスはやり過ぎを反省しながらも後悔はしなかった。

短編 デルサシスの誓い

ミレーナの墓前とセレスティーナへの誓い

墓前の答え

デルサシスはミレーナの墓前に立ち、かつて彼女に問われた幸せの意味を思い返していた。今の彼にとっての答えは、愛する者の傍にいられることだった。セレスティーナを抱きしめることもできず逝ったミレーナに問いかけても返事はなく、デルサシスは失った時間と残された後悔を噛みしめていた。

ミレーナとの出会い

若き日のデルサシスは人を信じず、世界をくだらないものと見ていた。そんな彼にミレーナは、世界を自分の望む形に変えればいいと語りかけた。彼女はなぜかデルサシスにつきまとい、やがて彼の世界にミスカや多くの友人を連れてきた。

ミスカとの縁

ミレーナは、周囲から氷結の女王と呼ばれていたミスカを強引にデルサシスの前へ連れてきた。ミスカは遠慮なく悪意をぶつけてくる相手だったが、デルサシスにとっては貴族達の上辺だけの態度よりもずっと新鮮だった。口喧嘩を重ねるうちに、デルサシスはいつの間にかミスカの存在を受け入れていた。

未来予知の宿命

学院生活の中で、ミレーナが【未来予知】の血統魔法を持つ一族の最後の生き残りだと判明した。その力を狙った裏組織【ヒュドラ】にミレーナは攫われたが、デルサシスは約束通り彼女を見つけ出し、組織を叩き潰した。しかし【未来予知】が術者の命を奪う呪われた魔法であることには、最後まで気付けなかった。

遺された手紙

ミレーナはセレスティーナを出産した三日後、誰にも看取られずに静かに息を引き取った。傍らに残された手紙には、彼女の一族と未来予知の真実、そして幸せだったという言葉が記されていた。デルサシスは、彼女が抱えていた闇を知らず、愛情に甘えていただけだった自分を責めていた。

ミスカの慰め

墓前に現れたミスカは、デルサシスに自分を責めても何もならないと告げた。彼女も同じ悲しみを抱えていたが、学生時代のように彼を支えようとしていた。二人は、最後まで自分達を振り回し、本心を見せずに逝ったミレーナらしさを思い出した。

勝ち逃げのミレーナ

ミレーナはいつも天真爛漫に笑い、突拍子もない行動で周囲を巻き込みながら、結果的には物事を良い方向へ導いていた。弱音を吐かず、時折見せる闇を抱えた彼女に、デルサシスは知らぬ間に惹かれていた。最後まで何も言わず逝った彼女に、デルサシスとミスカは勝ち逃げされたような思いを抱いていた。

セレスティーナへの約束

デルサシスは、弱音は今日限りにすると決めた。ミレーナが遺した希望であるセレスティーナを幸せにし、最後まで見守ることが、自分に残された約束だった。ミスカもまた協力を誓い、二人はセレスティーナが自分の道を選び、高く飛び立つ日まで支えることを胸に刻んだ。

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