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2026年 秋未来人A転生貴族、鑑定スキルで成り上がる

小説「転生貴族、鑑定スキルで成り上がる 9」感想・ネタバレ

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転生貴族、鑑定スキルで成り上がる 9の表紙画像(レビュー記事導入用) 2026年 秋

鑑定スキル8巻レビュー
まとめ
鑑定スキル10巻レビュー

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  1. 物語の概要
    1. ■ 作品概要
    2. ■ 主要キャラクター
  2. 書籍情報
  3. あらすじ・内容
  4. 感想
  5. 考察・解説
    1. ストーリー・プロット
        1. 序章:カナレ城の休養と出陣
        2. 前哨戦:サイツ・シューツ戦線の開幕
        3. 空戦:飛行船の激突と撤退戦
        4. 逆転:アルスの合流と決戦
      1. アンセル事変:帝都の陥落と新秩序
        1. 終章:新たな生命と見えない火種
      2. 主要な転換点
        1. シューツ軍の飛行船投入
        2. 新型飛行船の投入
        3. アンセル事変
        4. リシアの妊娠発覚
        5. 鑑定偽装方法の露呈
      3. 主人公を中心とした人物関係の変化
        1. アルスとリシア
        2. アルスとレング
        3. アルスとゼツ
        4. アルスとクラン
      4. 主人公の認識と周囲の評価
        1. 主人公自身の認識
        2. 周囲からの評価
        3. 認識の差が現れた場面
      5. クライマックス
        1. 危機の発生と初期局面
        2. 指揮官たちの知略と敵の足止め
        3. 想定外の早期合流と戦況の一変
        4. 決着と敵軍の敗走
      6. 巻末時点の状況
        1. アルスの現状と立場
        2. 家族および家臣団の動向
        3. 解決済みの課題
        4. 直面している懸念事項
        5. 今後の展望と重要課題
    2. サイツ防衛戦
        1. 戦役の背景:
        2. 史上初の空中戦:
        3. バルット城の迎撃:
        4. 戦後の政治的余波:
        5. 初の実戦投入:
        6. 運用の組織化と洗練:
        7. 空中戦への突入:
    3. アンセル事変
        1. 事変の勃発:戦女神エレノアの電撃的ランバス急襲
        2. 宰相シャクマの失脚と最期
        3. ブレインド家による新秩序の形成と徹底的な反対派排除
        4. ミーシアン王国にもたらされた影響
        5. まとめ
    4. 鑑定偽装の手法
        1. 鑑定偽装の手法と原理
        2. 偽装がもたらしたアルス暗殺未遂事件
        3. 構築された偽装対策のスクリーニング体制
        4. 地政学的な影響とまとめ
  6. 登場キャラクター
    1. ローベント家(カナレ郡・ランベルク領)
      1. アルス・ローベント
      2. リシア・ローベント(リシア・プレイド)
      3. リーツ・ミューセス
      4. ロセル・キーシャ
      5. シャーロット・レイス
      6. ムーシャ・トリック
      7. クライツ・ローベント
      8. リオ
      9. レン・ローベント
      10. ミレーユ・グランジオン
      11. トーマス・グランジオン
      12. ヴァージ・サマード
      13. リツ
      14. リクヤ・フジミヤ
      15. タカオ・フジミヤ
      16. マイカ・フジミヤ
      17. ブラッハム・ジョー
      18. ザット・ブロズド
    2. セイマーロ工房
      1. シン・セイマーロ
    3. サレマキア家(ミーシアン王国・クラン派)
      1. クラン・サレマキア
      2. ロビンソン・レンジ
      3. リーマス(リーマス・アイバス)
      4. レング・サレマキア
      5. ルメイル(ルメイル・パイレス)
    4. サイツ州総督府(サイツ王国)
      1. アシュド・リンドヴァル
      2. ラダス(ラダス・キーシアス)
      3. ボロッツ(ボロッツ・ヘイガンド)
    5. シューツ州総督府(シューツ王国)
      1. ブラン・ドルマーヌ
      2. ヴァルト・ロバーツ
      3. ロブ・トリントン
      4. グイス・ファランツェ
      5. ハイネ(ハイネス・ブラウン)
    6. ローファイル州(ブレインド家)
      1. エレノア・ブレインド
      2. ガット・ブレインド
      3. セドリック・ブレインド
      4. マックス・トレント
    7. 傭兵団シャドー(ローベント家配下)
      1. ファム(マザーク・ファインド)
      2. ベン(アレクサンドロス・ベルマドルド)
    8. メイトロー傭兵団
      1. クラマント・メイトロー三世
    9. パラダイル州
      1. ゼツ
      2. ヒャード
    10. アンセル州(サマフォース帝国・皇帝派)
      1. シャクマ・ドリーズ
      2. シャルル(シャルル・バイドラス)
    11. その他(武闘大会参加者など)
      1. マイケル・トリアン
      2. キプス
      3. ジン
      4. イージ
      5. ビート
      6. ブロー
    12. 登場が明確に確認できる集団
      1. カナレ城の兵士たち
      2. サイツの貴族たち
      3. シューツ軍の兵士たち
      4. ミーシアンの兵士たち
      5. 飛行船兵たち
      6. 伝令兵
      7. 斥候の兵たち
      8. 見張りの兵たち
      9. 奇襲部隊の兵たち
      10. 憲兵たち
      11. パラド城の守備兵たち
      12. アンセルの貴族たち
      13. 野次馬たち
      14. 処刑人
      15. 処刑人の助手
      16. クアットの商人たち
      17. フジミヤ家の兵たち
      18. ブラッハムの精鋭部隊の兵士たち
      19. カナレの街の市民たち
      20. 予選の観客たち
      21. 本選の審判
      22. 闘技場の観客たち
      23. 選手控室の出場者たち
      24. メイトロー傭兵団の兵士たち
      25. シャドーのメンバー
      26. ヒャードの屋敷の用心棒たち
      27. ヒャードの屋敷の用心棒たち
      28. ヒャードの屋敷の見張りたち
      29. パラダイルの憲兵たち
  7. 展開まとめ
    1. プロローグ
    2. 第一章 サイツ防衛
    3. 第二章 アンセル事変
    4. 第三章 帰還後
  8. 同シリーズ
    1. 小説
  9. その他フィクション

物語の概要

■ 作品概要

センプラーの奪還に成功したアルス・ローベントは、カナレ城で束の間の休息を得たものの、情勢は止まることなく流転していく。

属国的な立場にあるサイツ州が、北のシューツ州から十万の軍勢による侵攻を受けたため、アルスは家臣団を率いて救援へと向かった。

サイツ防衛戦では、敵側による飛行船の投入や内通者の発生といった困難に直面する。

だが、家臣たちの知略に加え、アルスが戦場へ持ち込んだ「新型飛行船」の圧倒的な機動力によって撃退に成功した。

しかし、カナレへの帰還後、ミーシアン北部の征伐軍が瓦解し、ローファイル州が帝都アンセルを制圧するという急激な情勢変化(アンセル事変)に直面してしまう。

本作第9巻は、外敵の脅威を退けた直後に、北部に誕生した強大な新勢力との対峙と、主君クランとの間に生じた不可解な認識の齟齬という、新たな動乱を予感させる構成となっている。

■ 主要キャラクター

  • アルス・ローベント:  ローベント家当主。「鑑定」スキルで登用した人材を適材適所に配し、領地経営と軍事の両面で戦果を挙げる。本作ではサイツ救援に奔走し、戦後には第一子を授かる。
  • レング・サレマキア:  クランの息子。かつての未熟さは影を潜め、サイツ救援軍の指揮官として兵の士気を高めるなど、精神的な成長と指導者としての適性を見せる。
  • ミレーユ・グランジオン:  アルスの家臣。サイツ戦線でレングを補佐。「撤退を装った伏兵策」を立案し、敵将ロブの負傷と敵飛行船の陸上破壊を狙う独創的な指揮を執る。
  • アシュド:  サイツ州元総督・元帥。バルット城にて裏切り者(内通者)を逆利用する「調略返し」を演じ、自ら騎兵を率いて追撃を行うなど、老練な軍事手腕を発揮する。
  • エレノア・ブレインド:  ローファイル州の将。戦場俯瞰能力「戦略眼」を持つ。アンセル制圧後、実力者マックス・トレントを迅速に粛清し、アンセル州の軍事実権を掌中に収める。
  • リシア:  アルスの婚約者。カナレ城にてアルスの精神的支柱となり、巻末で妊娠二ヶ月であることが判明する。
  • ゼツ:  アルスを狙った暗殺者。パラダイル州の都市ルバにてファムに捕縛される。「特定の紙」を用い、制限時間付きで「鑑定」の結果を欺く具体的な手法を供述する。

書籍情報

転生貴族、鑑定スキルで成り上がる 9 ~弱小領地を受け継いだので、優秀な人材を増やしていたら、最強領地になってた~
著者:未来人A 氏
イラスト:JIMMY  氏
出版社:講談社(Kラノベブックス)
発売日:2026年6月2日
ISBN:9784065437131

(PR)よろしければ上のサイトから購入して頂けると幸いです。

あらすじ・内容

ローベント家の若き当主・アルス。

転生者であるアルスは、「鑑定」という特別なスキルを使い

出自や年齢を問わず有能な人材を重用していた。

アルスの戦功もあり、勢力を伸ばすミーシアン・サイツ連合だが

それをよしとしない他州が連携し、多方面から攻めかかる。

アルスもまた戦の天才・エレノアによって窮地に陥るが

腹心のリーツの活躍もあり、撃退に成功したのだった。

優秀な人材、そして飛行船という切り札を抱えるアルスは、

多方面で戦功を挙げ耳目を集め続ける。

それはアルスの立場を強くするが、一方で不安も呼び起こすことに――!?

大河ファンタジー、怒濤の第9巻!

転生貴族、鑑定スキルで成り上がる 9 ~弱小領地を受け継いだので、優秀な人材を増やしていたら、最強領地になってた~

感想

ついにクランとの間に亀裂。飛行船戦争と戦女神の政変で大陸がさらにヤバくなる

9巻で一番気になったのは、戦争そのものよりもアルスとクランの関係である。

これまでクランはアルスを高く評価し、アルスもクランのために働いてきた。

ところが、アルスの勢力が大きくなりすぎた。

三郡を治め、多くの優秀な家臣を抱え、飛行船まで持っている。戦争でも次々と結果を出す。

本人はまったく王になりたいとは思っていないのに、周囲から見ると「クランに次ぐ実力者」になってしまったのである。

そして9巻では、ついにその力が主君との軋轢を生み始める。

しかも、どうも単純な意見の違いだけではない。

届いたはずの書状が届いていない。

アルスへの疑いを強める言葉がクランの周囲から出てくる。

何となく誰かに仕組まれているようにも見える。

気のせいなのか?

それとも、本当に第三者が二人の間を引き裂こうとしているのか?

戦争には勝っているのに、別のところでかなり嫌な流れが始まった巻だった。

クランとアルス、ついに考え方の違いが表面化する

アルスは基本的に戦争をしたくない。

領地を豊かにして、できるだけ平穏に暮らしたい人物である。

対してクランは、必要なら戦争によって勢力を広げることもためらわない。

今までは同じ敵と戦っていたので大きな問題にはならなかったが、国が大きくなるにつれて、この違いが無視できなくなってくる。

パラダイル攻略を巡る軍議では、アルスがクランの方針に反対する。

すると他の貴族たちまでアルスに同調した。

結果としてクランは攻略を断念することになる。

アルス本人にクランへ対抗する意思などない。

しかしクランから見れば、自分が決めた戦略を一人の臣下が覆したようにも見える。

これは王として面白くないだろう。

しかもアルスには領地も兵力も飛行船もあり、優秀な家臣も大量にいる。

アシュドまでアルスをミーシアンのナンバー2と評している。

アルス本人がどう思っているかとは関係なく、もう政治的には無視できない存在になっているのである。

ロビンソン、アルスを警戒しすぎでは?

そして気になるのがクランの側近ロビンソンである。

ロビンソンは以前からアルスを警戒していた。

9巻では、その警戒がかなり強くなっている。

アルスには大きな影響力がある。

サイツのアシュドとも接触している。

もしアルスがサイツやミーシアン国内の有力者を味方につければ、クラン以上の戦力を持つ可能性すらある。

理屈としては分かる。

乱世なのだから、最悪の事態を考えることも側近としては必要なのだろう。

ただ、アルス本人に反乱する気がないだけに、

「そこまで疑うか?」

とも感じてしまった。

しかもクランとアルスの間では、援軍要請の書状が届いていないという不可解な出来事まで起きる。

クランは送った。

アルスは受け取っていない。

どちらも嘘をついているようには見えない。

だったら途中で何が起きたのか。

単純な事故なのか。

それとも誰かが意図的に止めたのか。

ここはかなり気になった。

クランとアルスが勝手に疑い合っているというより、誰かが疑うように誘導しているようにも見えてしまう。

飛行船無双が終わった。敵も飛行船を出してきた

一方、サイツではシューツ州との戦争が続く。

ここでついに敵側も飛行船を投入してきた。

前巻では、

「飛行船があれば空から一方的に攻撃できる」

という状態だった。

当然、いつまでもそんな無双状態が続くわけではない。

技術を見られれば真似される。

そしてシューツは実際に飛行船を作ってきた。

しかも乗せている魔法兵の射程が長い。

サイツ・ミーシアン側の飛行船が近付こうとしても、先に攻撃されて撃墜される。

ついに制空権まで奪われてしまった。

前巻までの切り札が、今度は敵からこちらへ向けられる。

これはかなり怖い。

城の上から一方的に魔法を撃たれる恐怖を、今度はアルスたちの側が味わうことになる。

絶体絶命のところにアルスの飛行船。これは気持ちいい

飛行船を失い、敵だけが空から攻撃できる。

兵力でも不利。

レングやミレーユ、トーマスたちは何とか抵抗するが、いよいよ撤退まで考えなければならない。

そのタイミングで現れるのがアルスたちである。

しかもシンが開発した新型飛行船。

機動力が高く、これまで以上に素早く戦場へ到達できる。

そして乗っている魔法兵がシャーロット。

相手が悪すぎる。

敵の飛行船へ放たれた魔法が直撃し、一撃で撃墜。

それまで敵に握られていた制空権を、いきなり奪い返してしまう。

飛行船同士の性能差もあるのだろうが、結局シャーロットを乗せると酷い。

敵からすれば、

「やっと飛行船を作ったぞ!」

と思ったところへ、より新しい飛行船と化け物級の魔法兵が飛んできた状態である。

サイツ軍まで追い詰められていたところから、一気に戦況がひっくり返る。

ここは素直に気持ちよかった。

ゼツをついに捕縛。鑑定を騙した方法が分かった

そして長く残っていた問題にも進展がある。

アルスを暗殺しかけたゼツである。

ファムたちが居場所を突き止め、ついに捕縛に成功する。

ゼツが危険だったのは、暗殺技術だけではない。

アルスの鑑定スキルを騙したことだ。

名前。

年齢。

能力。

経歴。

それらを偽装され、アルスは完全に信用してしまった。

鑑定スキルが作品の根幹にあるだけに、

「これを自由に偽装されたら人材発掘できないだろ」

という大問題だった。

今回、その仕組みがようやく分かる。

特定の紙を使うことで鑑定結果を偽装できる。

ただし効果には時間制限がある。

完全無欠の偽装ではなかった。

ならば身体検査を行い、時間を空けてもう一度鑑定すれば見破れる可能性が高い。

6巻から引っ張っていた鑑定スキルの弱点に、ようやく具体的な対策ができた。

何でも鑑定すれば分かる状態に戻すのではなく、

「鑑定にも騙される可能性があるから確認する」

という形になったのは良かったと思う。

一方その頃、戦女神は帝都でヒャッハーしていた

そしてアルスたちがサイツで戦っている頃、帝都ではもっと大変なことが起きている。

ローファイル州が帝都へ侵攻。

指揮するのは、もちろん戦女神エレノアである。

またお前か。

前巻ではアルスを捕まえて夫にしようとしていた女が、今度は帝都へヒャッハー!と攻め込んでいる。

しかも本当に落とす。

さらに実権を握っていた宰相シャクマを捕縛。

罪を認めて協力すれば助けると提案するが、シャクマは拒否。

裁判。

有罪。

死罪。

そのまま処刑。

権力者だからと遠慮する気が全くない。

さらに反発しそうな有力者マックスまで素早く潰し、アンセル州を力でまとめてしまう。

戦女神、本当に戦争だけ異常に強い。

こうしてエレノアは元帥となり、ブレインド家はローファイルだけでなくアンセルまで事実上支配する巨大勢力になる。

ミーシアン征伐軍が崩れたのでアルス側にとって助かったようにも見える。

でも北にエレノアの勢力が誕生した。

全然安心できない。

戦争より怖いのは、クランとの関係かもしれない

9巻ではサイツ防衛にも勝った。

敵の飛行船にも勝った。

鑑定偽装への対策も見つかった。

一つ一つを見ると、かなり問題を解決している。

それなのに読み終わった時の安心感が薄い。

理由はやはりクランとの関係である。

アルスは裏切る気がない。

クランもまだアルスを完全に敵だとは考えていない。

それなのに、二人の間へ少しずつ不信感が入り込んでいる。

特に援軍要請の書状が届いていない件が気持ち悪い。

偶然ならいい。

だが、これまでの流れを考えると、

「本当に偶然なのか?」

と思ってしまう。

アルスの勢力が大きくなれば、それを利用したい者も出てくる。

アルスとクランを戦わせたい者がいても不思議ではない。

そして外では、戦女神エレノアが帝都を奪って巨大勢力を作り始めている。

飛行船もアルスたちだけの兵器ではなくなった。

技術も政治も戦争も、今までとは別の段階へ入った感じがする。

何より怖いのは、敵が攻めてくることではない。

今まで味方だったクランとアルスが、本当に敵同士になってしまうことではないだろうか。

9巻は大きな戦争に勝った巻でありながら、それ以上に「内側から何かが崩れ始めている」不穏さが印象に残る巻だった。

最後までお読み頂きありがとうございます。

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鑑定スキル8巻レビュー
まとめ
鑑定スキル10巻レビュー

考察・解説

ストーリー・プロット

センプラー奪還という軍事的成果を収めたローベント家は、息つく間もなく従属国サイツ州への救援要請を受け、新たな戦域へと身を投じた。航空兵器同士の衝突や帝都における政変、さらには領内の慶事と水面下で進行する政治的不和まで、激動する情勢の全貌を以下に整理する。

序章:カナレ城の休養と出陣

センプラー奪還を果たしたアルス一行は、本拠地カナレ城にて束の間の休息を得た。

  • 家臣たちの研鑽と日常 リーツとロセルはアルカンテスの戦いなど過去の戦史を検証し、奇襲への対処や決断の重要性を再確認する。シャーロットとムーシャは衣装選びを楽しむなど、戦時下における平穏な時間を過ごす。
  • 救援出陣の決断 アルスは婚約者リシアとの団らんで連戦の疲労を癒やす。しかし、従属下にあるサイツ州がシューツ州による大規模な侵攻を受けたとの急報が届き、同盟関係と領土保全のため即時の出陣を決断する。
前哨戦:サイツ・シューツ戦線の開幕

サイツ州の防衛拠点では、元帥アシュド、援軍の指揮を執るミレーユ、そしてクラン王の嫡男レングによる軍議が開かれた。

  • 兵力差と心理戦 侵攻側のシューツ軍十万に対し、迎撃側の連合軍は七万と数的不利に立たされる。敵軍師ヴァルトは密偵を潜入させてサイツ兵の厭戦気分を煽る工作を展開する。これに対し、レングは特別報酬の支給を約束するなど巧みな統御を行い、前線兵士の動揺を防ぐ。
  • 緒戦の敗北 防衛の要所と見られていたローグ砦が敵の猛攻により陥落し、連合軍は序盤において防衛線の後退を強いられる。
空戦:飛行船の激突と撤退戦

本戦役では、シューツ軍によって独自開発された飛行船が実戦投入され、史上初となる航空戦へと発展した。

  • 航空優位の喪失 シューツ軍の旧型飛行船は機動力に欠けるものの、搭乗した魔法兵の技量に依存した超長距離攻撃を展開する。サイツ側の飛行船は射程外からの攻撃を受けて撃墜され、連合軍は空の主導権を奪われる。
  • クーハ城での伏兵策 ミレーユはクーハ城にて偽装撤退を実行し、追撃してきた敵部隊を岩石地帯へと誘引する。地上輸送中であった敵飛行船の破壊と敵将ロブへの重傷付与に成功し、シューツ軍の進軍速度を大幅に低下させる。
逆転:アルスの合流と決戦

戦線が膠着する中、アルス率いる増援部隊が戦場へと到達した。

  • 新型飛行船の投入 技術者シンが開発した新型機は、高い機動性と対空戦に特化した設計を持つ。従来の行軍速度を覆す迅速さで戦線に合流を果たす。
  • 空中戦の制圧と勝利 シャーロットの圧倒的な魔法火力により、敵飛行船を瞬時に撃墜して制空権を奪還する。地上では、バルット城にてアシュドが内通者を逆利用した迎撃策と精鋭騎兵の突撃を敢行し、シューツ軍を総崩れの敗走へと追い込む。

アンセル事変:帝都の陥落と新秩序

サイツ戦線の決着と時を同じくして、帝都アンセルにおいて大陸の勢力図を塗り替える政変が発生した。

  • 帝都急襲とシャクマ処刑 エレノア率いるローファイル軍が電撃的に帝都アンセルを制圧する。実権を握っていた宰相シャクマを処刑し、反対派の領袖マックス・トレントを迅速に排除することで、州内の異論を力ずくで統合する。
  • 連合包囲網の崩壊と新たな脅威 帝都の陥落に伴い、ミーシアン北部を脅かしていた征伐軍は瓦解する。一方で、ローファイル州のブレインド家が帝都を含む北部一帯を掌握し、ミーシアンにとってより強大で統一された脅威として台頭する。
終章:新たな生命と見えない火種

一連の戦役を終えてカナレ城へ帰還したアルスを、領内の慶事と新たな軍政上の課題が迎えた。

  • 後継の懐妊と防諜体制の刷新 リシアの妊娠二ヶ月が判明し、領内は祝祭の活気に包まれる。パラダイル州ルバで捕縛された密偵ゼツの証言から、特殊な紙を用いた鑑定偽装の手法が明らかとなる。アルスは能力への過信を戒め、身体検査と再鑑定を義務付ける防諜プロセスの制度化を決定する。
  • 主従間の亀裂 単独でアンセル侵攻を試みたクラン王は作戦に失敗する。クランは援軍要請の書状を送ったと主張するが、カナレのアルスには一切届いていなかった。通信の途絶か意図的な妨害かは不明なまま、主臣の間に解消しがたい不信の火種が残される。

サイツ救援戦における新技術の優位と家臣団の連携により、ミーシアンは軍事的な危機を脱した。しかし、帝都に君臨した戦女神エレノアの存在、鑑定をすり抜ける工作技術、そして主君クランとの間に生じた連絡不達の疑念は、次なる動乱の幕開けを告げている。

主要な転換点

サマフォース大陸を巡る戦乱は、兵器技術の急速な進化と勢力図の激変に伴い、新たな局面へ突入した。空域における独占的優位の崩壊、帝都における政変、さらには領内の体制刷新に至るまで、軍事と内政の双方が重大な転換点を迎えている。本稿では、激動する情勢の核となる要点を整理し、その意義を詳述する。

シューツ軍の飛行船投入
  • 技術の普及により、これまでミーシアン側が保持していた空域の絶対的な優位性が相対化した。
  • 敵勢力の航空戦力参入に伴い、上空から一方的に攻撃を加える従来の空中戦術は通用しなくなった。
新型飛行船の投入
  • 機動力不足や搭乗魔法兵の技量への過度な依存といった旧型の課題を、機体の小型化により克服した。
  • 高い機動性と操縦士の適性を重視した設計を採用したことで、戦術的な柔軟性と空戦能力が飛躍的に向上した。
アンセル事変
  • ローファイル州のブレインド家が帝都アンセルを制圧した。
  • ミーシアン北部を脅かしていた征伐軍が消滅した反面、帝都を掌握したより強大で狡猾な北部統一勢力が誕生する結果となった。
リシアの妊娠発覚
  • 正妻リシアの懐妊により、当主アルスが内政および軍事において守るべき対象が明確化した。
  • 後継の存在が可視化されたことで、ローベント家臣団の忠誠心と団結が一段と強固なものとなった。
鑑定偽装方法の露呈
  • 製法不明ながら効果時間に制限のある特定の紙を用いることで、鑑定結果を偽装する手口が判明した。
  • 能力への盲信を排するため、身体検査と一定時間後の再鑑定を徹底するリスク管理手順が公式に制度化された。

航空兵器の普及と新型機の登場は、戦争の形態を空中戦を含む総力戦へと決定的に変容させた。外部では帝都を制したブレインド家という強大な壁が立ちはだかる一方、領内では次世代の誕生による結束と防諜体制の強化が進んでいる。技術的優位の喪失と新たな脅威に対し、組織的な備えを整えたローベント家は、さらなる動乱の時代へ立ち向かう態勢を整えつつある。

主人公を中心とした人物関係の変化

激動の戦乱を経て、アルス・ローベントを取り巻く人間関係は大きな節目を迎えた。領地の拡大や次世代の誕生、戦場での共闘、そして水面下で生じた政治的摩擦により、主要人物との距離感や力学は以前とは異なる形へと再構築されつつある。本稿では、アルスと各人物との間に生じた関係性の変化について整理する。

アルスとリシア
  • 従来の婚約者という立場から、第一子を授かり共に父母となる関係へと移行した。
  • 初めての懐妊に伴うリシアの心情的な不安に対し、それを支えるアルス側の当主および家庭人としての自覚がより強固なものとなった。
アルスとレング
  • かつての未熟な後継者という認識から脱却した。
  • 過酷な戦場での実戦と指揮を経て、互いの影響力と実力を正当に評価し合う、州の重鎮同士としての対等な関係へと進展した。
アルスとゼツ
  • 命を狙う刺客と標的という敵対関係から、捕虜としての情報提供者という立場へ変化した。
  • 鑑定を欺瞞する手段を巡る尋問を通じ、特異な秘密を共有する関係となった。
アルスとクラン
  • かつての盤石な主従関係に揺らぎが生じた。
  • 届かなかった救援要請の書状に端を発する認識の齟齬により、将来的な不和を予感させる緊張状態へと移行した。

新たな生命の誕生による家庭環境の確立や、同世代の領袖との信頼関係の深化といった前進が見られる一方、主従関係においては決定的な亀裂の兆候が刻まれた。個人的な絆の強化と政治的な距離の拡大が同時に進行しており、これらの人間関係の変容が今後の情勢に多大な影響を与える要因となる。

主人公の認識と周囲の評価

アルス・ローベントが抱く自己認識と、外部の有力者が下す政治的評価の間には顕著な乖離が存在する。急激な武功と領地拡大によってミーシアン王国の最重要戦力へと押し上げられた現状において、当主本人の内省的な姿勢と、周囲が注視する権力構造上の立ち位置との差異を整理する。

主人公自身の認識
  • 自身を鑑定スキルで集めた優秀な人材がいなければ何もできない凡人と位置づけ、過度な自信を排して謙虚に自制し続けている。
  • あくまで家臣団の力量を最大化させる補佐役に過ぎないという意識を崩さず、権力への野心を抱いていない。
周囲からの評価
  • サイツ州の元帥アシュド・リンドヴァルより、ミーシアン王国の事実上の第二位の実力者と評されている。
  • この評価には、アルスの強大な軍事力が主君クランの地位を脅かしかねない事実への皮肉とともに、主従間の亀裂を煽る政治的な意図が込められている。
認識の差が現れた場面
  • 祝勝会の場において、アシュドから将来的に国王の座に就くのではないかと揺さぶりをかけられた。
  • 自身が国家の権力バランスを揺るがすほどの影響力を獲得している現実を自覚していなかったアルスは、予想外の問いかけに対して激しく困惑を示した。

アルス自身が持ち続ける謙虚さは独善的な暴走を防ぐ一方で、客観的に獲得した巨大な権勢に対する無自覚さを生んでいる。すでに大陸の列強や政敵からは主君と並び立つ警戒対象として認知されており、本人の意図とは無関係に、その存在自体が高度な政治的駆け引きの火種となっている。

クライマックス

サイツ州を舞台としたシューツ軍との激戦は、航空戦力の優劣と知略が交錯する極めて緊迫した戦役となった。一時は防衛線の崩壊寸前まで追い詰められた連合軍が、いかにして危機を脱し逆転勝利を収めたのか、その戦闘経緯を詳述する。

危機の発生と初期局面

サイツ側の保有する飛行船が撃墜されたことにより、クーハ城およびバルット城の両拠点は落城寸前の危機に陥った。兵力で劣る連合軍は防戦一方の展開を強いられ、前線の士気も限界に達していた。

指揮官たちの知略と敵の足止め

劣勢の中、前線の指揮官たちは限られた戦力を駆使して抵抗を試みた。

  • ミレーユは岩石地帯に伏兵を配置し、撤退を装うことで敵の油断を誘い、進軍速度を鈍らせることに成功した。
  • アシュドは城内に潜伏していた内通者を逆利用し、敵の作戦行動を撹乱する手を打った。
想定外の早期合流と戦況の一変

この膠着状態を打破したのは、アルス率いる増援部隊の到着であった。新たに実戦投入された新型飛行船は従来の行軍速度の常識を覆す機動力を発揮し、想定よりも遥かに早い段階で戦場への到達を果たした。

決着と敵軍の敗走

戦場上空に突入した新型機からシャーロットが放った魔法攻撃により、シューツ軍の飛行船は瞬時に撃墜された。制空権を奪還され動揺する敵軍に対し、地上ではアシュド率いる精鋭騎兵の突撃が決行された。連携を乱したシューツ軍は耐えきれず敗走を開始し、戦闘は連合軍の完全な勝利で幕を閉じた。

シューツ軍が撤退したことで、サイツ州には暫定的な平穏がもたらされた。卓越した現場の防衛策と、新型航空兵器がもたらした規格外の機動力が噛み合わさった結果、戦力差を覆す鮮やかな逆転劇が成し遂げられた。

巻末時点の状況

激動の戦乱を経てカナレ城へ帰還したアルス・ローベントは、領内の安定化を図ると同時に、次なる軍事行動や政治的緊張への対応を迫られている。戦役の終結によって一定の危機を脱したものの、国内外には依然として警戒すべき火種が残る。現在のアルスを取り巻く環境と課題について整理する。

アルスの現状と立場
  • カナレ城にてローベント家当主としての責務を果たす。
  • 第一子の誕生を控え、領内の内政強化および人材発掘に注力している。
家族および家臣団の動向
  • 妻リシアの妊娠が判明(二ヶ月目)。
  • 主力家臣団は健在であり、それぞれの任務を遂行している。
  • 捕縛した暗殺者ゼツは地下牢に厳重に拘束し、監視下に置いている。
解決済みの課題
  • シューツ軍の侵攻を撃退し、領内の防衛に成功。
  • 刺客ゼツによる直接的な脅威を排除。
直面している懸念事項
  • 北部における新勢力ブレインド家の台頭と動向。
  • クラン陣営との間における書状未着事象および情報操作の懸念。
今後の展望と重要課題
  • クランから要請されたパラダイル州攻略への軍事協力への対応。
  • 新型飛行船の量産体制の構築。
  • 空軍戦力として不可欠な操縦士の適性者発掘および育成の推進。

直先の脅威であった外敵と暗殺者の排除には成功したものの、北部情勢の不穏な動きや同盟関係における情報撹乱など、政治的な火種は燻り続けている。パラダイル州攻略への派兵要請に対応しつつ、新型飛行船の配備と運用人員の育成を迅速に進める体制構築が急務となる。

サイツ防衛戦

『転サイツ防衛戦

サイツ防衛戦 『転生貴族、鑑定スキルで成り上がる』第9巻の中心となる戦役「サイツ防衛戦」は、従来の地上戦の前提を根底から覆した飛行船をめぐる技術競争の最前線となった。

同時に高度な情報戦や心理戦、戦後の冷徹な政治的駆け引きが交錯する大規模な決戦へと発展していく。

港都センプラーを奪還したアルス一行が、休む間もなく従属国サイツ州への救援として転戦した本戦役の全貌を以下にまとめる。

戦役の背景:

シューツ州の野心と傀儡国家の隙 サイツ州はミーシアン王国に降伏して従属国となったものの、前総督アシュドの放逐や無関心な傀儡王カイルの即位により、国内統制は極めて脆弱な状態にあった。

隣国シューツ州の総督ブランと軍師ヴァルトは、サイツの豊富な魔法資源の獲得を狙い、この政治的空白を突いて侵攻を開始する。

 シューツ軍は十万の大軍を動員したのに対し、元帥に復帰したアシュド率いるサイツ軍とミーシアン援軍の連合軍は七万にとどまり、当初から深刻な兵力差を抱えていた。

 シューツ軍師ヴァルトは密偵を用いて厭戦気分を煽る心理工作を展開し、前線のローグ砦ではサイツ兵の逃亡が相次いだ結果、連合軍は緒戦で重要拠点を失う敗北を喫してしまう。

史上初の空中戦:

飛行船同士の激突 本戦役の大きな転換点となったのは、ミーシアンが独占していた飛行船技術をシューツ州側が模倣・開発し、史上初となる飛行船同士の空戦が発生した点だ。

 クーハ城での空戦では、搭乗した魔法兵の力量差が勝敗を分けた。

シューツ側の飛行船には長大な射程を誇る老魔法兵ラント・モートルが乗船しており、ミーシアン側の飛行船は一方的な長距離砲撃を受けて撃墜される。

 制空権を握ったシューツ軍は城の防壁を上空から破壊し、連合軍の士気は崩壊寸前まで追い込まれた。

しかし、クラン王の嫡男レングによる現場の統率やトーマスの規律維持、ミレーユによる報酬提示などの対策により、前線はかろうじて持ちこたえる。

クーハ城の攻防とアルス軍の電撃救援 制空権を奪われた状況を打破するため、現場指揮官の知略と後方からの増援部隊が連動して機能した。

 ミレーユはクーハ城から偽装撤退を行い、追撃してきた敵将ロブ・トリントンを岩石地帯へ誘引して痛撃を与える。

敵飛行船の地上破壊には至らなかったものの、敵将に重傷を負わせて進軍を鈍らせた。 

劣勢が続く中、飛行船を伴ったアルスの本隊が戦場に到達する。敵がこちらの救援到着を把握していない隙を突き、飛行船に搭乗したシャーロット・レイスが高威力の魔法攻撃を放って敵飛行船を一撃で撃墜した。 制空権を奪還したことで敵軍は混乱に陥り、地上部隊の反撃と側面からの射撃が噛み合い、クーハ城戦線は連合軍の逆転勝利に終わる。

バルット城の迎撃:

アシュドによる調略返し サイツ主力軍が防衛を担当したバルット城では、敵の計略を逆利用したアシュドの軍略が戦局を決定づけた。

 軍師ヴァルトは城内の将を内応させて夜間に城門を開けさせる計画を進めていたが、アシュドは密偵を通じて事前にこれを察知し、あえて裏切り者を泳かせておく。

 開かれた城門から突入してきた敵部隊に対し、城内に配置した罠と弓兵・魔法兵による一斉射撃を浴びせて包囲殲滅を図った。

 混乱して敗走する敵軍に対し、アシュド自ら精鋭騎兵を率いて追撃を敢行する。

アルス軍の飛行船による上空からの追撃も加わり、シューツ軍は壊滅的な損害を受けて全面撤退に追い込まれた。

戦後の政治的余波:

主従間の亀裂 サイツ防衛戦は連合軍の完全な勝利で決着したが、この軍事的成功はアルスに新たな政治的課題を突きつける結果となった。

 祝勝会の席上、アシュドはアルスに対し、現在の影響力がすでに国家の序列第二位に達しており、これ以上の功績は王位を脅かす存在と見なされかねないと指摘する。

アルス自身に野心はないものの、主君クランは側近の進言を受けてローベント家の急速な台頭やサイツとの密会に対する警戒を強めていた。 

外部からの軍事的脅威を退けた輝かしい戦果は、皮肉にも国内における権力バランスの歪みを浮き彫りにした格好だ。

アルスを取り巻く環境は、侵略者との領土防衛戦から、主君の疑念と向き合う過酷な政治的駆け引きの局面へと移行していく。

飛行船の投入 アルスの鑑定スキルによって発掘された技術と人材が結実し、戦場に最大級のパラダイムシフトをもたらした要素が飛行船の実戦投入に他ならない。

中世的な攻城戦や陣形戦の常識を根底から覆した飛行船の投入について、初陣における衝撃、戦術的な運用の洗練、空対空戦闘への発展という三つの段階から整理して論じる。

初の実戦投入:

常識を破壊した上空からの垂直爆撃 最初の投入は、サイツ州との戦いにおけるプルレード砦の攻略であった。

ここでアルス軍は、従来の軍事常識には存在しなかった航空戦力という未知の概念を戦場に持ち込む。

 地上の魔法障壁は、正面や左右からの水平攻撃を防ぐよう特化して展開されていた。

軍師ロセルはこの仕組みに着目し、真上の天井部分にあたる障壁強度が極めて薄いという死角を見抜く。

 開発者シン・セイマーロと助手エナンが完成させた飛行船は、敵の攻撃が一切届かない高度三千メートル以上の高空に到達した。

そこから魔法兵隊長シャーロット・レイスが、中型触媒機を用いて正確な爆発魔法を垂直に投下する。

 この垂直爆撃により、砦の防衛要たる魔法塔がわずか数時間で一方的に粉砕され、アルス軍は味方に一人も犠牲者を出すことなく砦を制圧した。

続く街道での野戦でも投入され、サイツ軍の主力兵器である大型触媒機二十基以上をピンポイントで破壊し、総督アシュドを撤退へ追い込んでみせる。

運用の組織化と洗練:

センプラー奪還作戦での海上封鎖 クラン王から国家予算規模の支援を受けて量産体制に入ると、飛行船の運用は単一の切り札から組織的な航空部隊へと洗練されていった。

その真価が発揮されたのがセンプラー奪還作戦だ。 飛行船をより安定して実戦運用するため、家臣団の中から鑑定スキルで空軍適性B以上を持つ人材を抜擢する。

操縦士や乗組員として専門的に配備したことで、機体の操縦安定性と爆撃の精度が大きく向上した。

 味方の都市であるセンプラーを破壊しないため、アルスは都市への直接爆撃を禁じる。

代わりに、海から侵入するキャンシープ水軍の輸送船や補給路のみを飛行船で叩く海上封鎖を実行した。

シャーロットとムーシャをそれぞれ別の飛行船に搭乗させて火力を分散および最大化し、敵の船載障壁を貫通する爆撃で輸送船を全滅させ、敵を補給途絶による撤退へと追い込む。

 軍師ロセルの先読みにより、敵が逃亡を図る外洋ルートへ飛行船を事前に先回りさせて配置した。ウモンガス家の長男カイが乗る旗艦を沈没させ、キャンシープ水軍に致命的な打撃を与える。

空中戦への突入:

サイツ防衛戦での空戦 技術がシューツ州に模倣された局面では、飛行船の運用は一方的な攻撃から空の主導権を奪い合う激しい空中戦へと移行した。

 シューツ州側が完成させた飛行船には、超長距離の射程を誇る老魔法兵ラント・モートルが搭乗していた。

サイツ側の前線に配備された飛行船は、射程外からの先制射撃を浴びて即座に撃墜されてしまう。 

劣勢を打開すべく、アルスは救援に駆けつけた自軍の飛行船に最高戦力のシャーロットを搭乗させ、戦場へ投入した。

敵が援軍の接近に気づいていない虚を突き、シャーロットは一撃でシューツの飛行船を爆発・墜落させる。制空権を瞬時に奪い返したことで、十万の大軍を誇るシューツ軍を混乱に陥れ、逆転勝利の決定打とした。

なお、この戦いで敵飛行船の脅威を痛感したシューツ州軍師ヴァルトが、操縦技術で攻撃を回避できる小型飛行船の開発を企図し、戦後カナレに戻ったアルスのもとでも技術者シンによって対空戦闘用の小型飛行船が完成するなど、航空戦力は次なる進化の局面を迎えていく。

投入がもたらした地政学的な大変動 アルスによる飛行船の実戦投入は、戦術的には自軍の犠牲を抑えた極めて効率的な勝利をもたらした。 しかし大局的な視点で見ると、空からの攻撃を目撃した周辺諸国は強い危機感を抱き、五州連判状による反ミーシアン包囲網の結成を促す要因となってしまう。さらに、この圧倒的な武力を管理するローベント家に対し、主君クランが将来的な謀反を警戒して監視役を送り込む直接の引き金にもなった。 飛行船という技術革新の実戦配備は、アルスを三郡の大領主へと押し上げた象徴に留まらず、各勢力からの注視と警戒を集める重大な転換点となったと言える。

アンセル事変

『転生貴族、鑑定スキルで成り上がる』第9巻で勃発したアンセル事変は、大陸の勢力図を一変させ、アルスたちの戦いの舞台を周辺諸州との地方紛争から新帝国体制との対峙という極めて巨大な地政学的対立へと押し上げた、物語上最大の政変である。サイツ防衛戦の最中にミーシアン北部でひそかに進行し、劇的な結末を迎えたこの事変の全貌と、それがもたらした影響を整理する。

事変の勃発:戦女神エレノアの電撃的ランバス急襲

ミーシアン北部では、帝国宰相シャクマ・ドリーズ率いる征伐軍が優勢に戦いを進めていた。しかし、サイツ州での防衛戦と時を同じくして、ローファイル州の将エレノア・ブレインドが突如として独自の行動を開始した。

  • シャクマの油断と戦略的ミス エレノア率いるローファイル軍三万が突如帝都アンセルに向けて侵攻したという報に接しても、シャクマは帝都ランバス城の堅牢さと州境の防備を過信した。ミーシアンへ送った主力を戻さず、アルカンテス攻略の継続を優先した。
  • 瞬く間の帝都陥落 エレノアの軍はシャクマの想定を遥かに超える速度でアンセルの防衛線をあっさりと突破し、帝都を電撃的に占領した。
宰相シャクマの失脚と最期

帝都を占領したエレノアは、逃げ隠れしていた宰相シャクマを捕縛。

  • 罪状の糾弾と処刑 エレノアはシャクマに対し、これまでの横領、暗殺、裏切り、外国との裏取引などの罪を認めて辞任すれば命は助けると持ちかけたが、シャクマはこれを拒絶した。裁判で死罪を宣告されたシャクマは、帝都の中央広場に集まった大勢の群衆が見守る中で斧による斬首刑に処され、その首を高々と掲げられた。
ブレインド家による新秩序の形成と徹底的な反対派排除

シャクマを処刑したブレインド家は、傀儡である皇帝シャルルの命令を巧みに利用し、アンセル州およびローファイル州を統括する強大な権力を確立。

  • 新体制の人事 宰相:セドリック・ブレインド(エレノアの父) ローファイル総督:ガット・ブレインド(エレノアの兄) アンセル元帥:エレノア・ブレインド
  • 実力者マックス・トレントの粛清 新体制に反発し、裏で工作を始めたアンセル第二の都市ラマノア郡の郡長マックス・トレントに対し、エレノアは出頭命令を拒否されたことを大義名分として即座に出陣した。わずか数週間で彼の軍を打ち破って捕縛・投獄し、その領地をブレインド家に忠実な貴族へ与えた。この圧倒的な武力を目の当たりにした他のアンセル貴族たちも次々と服従を誓い、アンセルはエレノアの圧倒的軍事力のもとに統一された。
ミーシアン王国にもたらされた影響

アンセル事変は、ミーシアン王国に二つの対照的な結果。

  • 北部包囲網の一時的な瓦解と失地回復 帝都がエレノアに制圧され、シャクマからの命令系統が断絶したため、ミーシアン北部に侵入していた征伐軍は占領地(ゼート城など)をすべて放棄して自領へと撤退せざるを得なくなった。クラン王は、血を流すことなく北部領地を完全に回復することに成功した。
  • より強大で統一された北の脅威の誕生 これまで五州連判状で結ばれていた征伐軍は、各々の国益や不和によって統率が乱れており、各個撃破が可能な相手であった。しかしアンセル事変により、最大人口を誇るアンセル州の富と、武勇に優れたローファイル州の軍事権が、天才将軍エレノアを元帥とするブレインド家のもとに完全に一本化された。ミーシアンのすぐ北隣に、以前よりもはるかに結束した強大な統一勢力が誕生することとなった。
まとめ

アンセル事変は、奸計を巡らせていた宰相シャクマが、自ら利用しようとした戦女神の計り知れない武力によって破滅した、極めて皮肉な政変であった。アルス・ローベント個人としては、北部包囲網という命を狙われる危機が一度は遠のいたものの、彼を自らの夫にすると公言するエレノアが帝国元帥という巨大な権力と軍事力を手に入れた。この事変は、アルスが将来的にさらに過酷で避けられない戦いへ引きずり込まれる運命を決定づける契機となった。

鑑定偽装の手法

アルスが持つ唯一無二の武器である鑑定スキルの信頼性を根底から揺るがし、彼を死の淵まで追い詰めた事象が鑑定偽装の手法である。アルスが絶対視していた能力の死角と、それに対抗するために構築された防衛体制について整理する。

鑑定偽装の手法と原理

暗殺者ゼツ(本名ナターシャ)がアルスに捕縛された際、尋問に対して供述したことでその詳細な仕組みが判明した。

  • 特定の紙による欺瞞 偽装の中核となるのは、偽のステータス数値を書き込んだ特殊な紙を身につけて所持することである。この紙を所持している間、鑑定を行っても表示される内容は本物の数値ではなく、紙に記された偽の能力値や偽名となる。
  • 制限時間の存在 偽装効果は永続的ではなく、明確な効果時間が存在する。効果が切れると紙は効力を失い、再使用は不可能となる。
  • 製法の起源と希少性 この紙は、過去に存在した鑑定眼の持ち主が自身の弱点を補うために開発した手法である。ゼツはローファイル州の一部に伝わる古い書物に挟まれていたものを偶然入手した。製法や材料は現代に伝わっておらず、極めて希少な遺物であるため、この手法を実行できる者はほぼ皆無に近い。
偽装がもたらしたアルス暗殺未遂事件

この偽装手法が実戦で用いられた最初の事例が、アルカンテスにおけるアルス襲撃事件である。

  • 偽の人物像による潜入 ナターシャは偽装紙を用い、13歳の少年キーフ・ヴェンジに変装した。知略98、政治95という極めて優秀な文官のステータスを偽装し、アルスに鑑定させて家臣として登用させることに成功した。
  • 効果切れによる露呈 カナレへの移動中、偽装紙の効果時間が切れた。アルスが不意に再鑑定を行ったところ、ナターシャという本名や、魔法兵適性A、計略適性Sといった戦闘特化型の本来の能力値が表示された。
  • 毒殺の危機 正体の発覚を察知したナターシャは、即座に短剣でアルスを急襲した。傷口から特殊な毒が注入されたことで、アルスは長期間にわたり重体に陥った。
構築された偽装対策のスクリーニング体制

鑑定スキルの信頼性を維持することは、ローベント家の戦力基盤を守ることに直結する。ゼツから紙の仕組みを聞き出したアルスと家臣団は、安全な人材登用を再開するために三重のスクリーニング体制を導入した。

  • 徹底した身体検査 仕官希望者との面会前に所持品検査と身体検査を実施し、ステータス偽装用の不審な紙や魔道具を一時的に没収する。これにより、偽装を物理的に遮断する。
  • 時間を置いた再鑑定 偽装紙に効果時間の限界がある点に着目し、初回の鑑定結果が優秀であっても即座には採用せず、一週間ほど間隔を空けてから再度鑑定を行う手順を設けた。この猶予期間中に効果が切れれば、本来の能力値や身元が判明する。
  • 身辺調査の併用 鑑定結果のみに依存せず、密偵部隊を用いて対象者の出自、家族構成、過去の経歴に矛盾がないかを確認する身辺調査を徹底した。
地政学的な影響とまとめ

鑑定偽装の技術は、心理戦としても利用された。サイツ州の将ボロッツ・ヘイガンドは、戦後の会談において鑑定結果を誤魔化す手段が存在するという情報をアルスに意図的に吹き込み、アルスに猜疑心を抱かせて人材登用の速度を鈍らせようと画策した。

しかし、ゼツの捕縛を通じて対処手順を確立したアルスは、登用の効率こそ低下したものの、刺客やスパイを排除しながら飛行船の操縦士をはじめとする専門人材を安全に発掘・確保できる体制を整える結果となった。

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登場キャラクター

ローベント家(カナレ郡・ランベルク領)

アルス・ローベント

アルスは異世界へ転生した少年である。彼はローベント家の当主を務めている。他人の能力値を見抜く鑑定スキルを持つ。妻のリシアを心から愛している。

・所属組織、地位や役職  ローベント家当主。カナレ郡、クアット郡、プルレード郡の三郡を治める大領主。

・物語内での具体的な行動や成果  鑑定スキルを活用し、リーツ、シャーロット、ロセル、ミレーユ、フジミヤ三兄弟などの逸材を見出して家臣に登用する。シン・セイマーロに資金援助を行い、飛行船を開発させる。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  12歳で新当主となり、のちにミーシアン王国でもトップクラスの大貴族となる。アシュドと極秘面談を行った。

・ステータス(能力値)  自分自身のステータスを鑑定することは不可能な仕様である。

リシア・ローベント(リシア・プレイド)

リシアはアルスの妻である。彼女は極めて優れた政治力を持つ。他者の感情を表情から読み取ることが得意だ。夫のアルスに対して深い愛情と信頼を抱いている。

・所属組織、地位や役職  ローベント家当主夫人。

・物語内での具体的な行動や成果  アルスが不在の間、義妹レンと義弟クライツの面倒を見て絆を深める。飛行船の完成をアルスとともに祝福する。家臣たちの親睦を深めるお茶会を提案した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  正式な郡長夫人として、領内の治安維持や人々の心のケアに大きく貢献する。アルスがクアット郡に赴いている間は、城主代理として政務を任された。

・ステータス(能力値)  11歳時のステータスは統率8/10、武勇6/10、知略52/73、政治84/100、野心80である。13歳時の政治力は89に達している。適性は計略B、他はDを示す。

リーツ・ミューセス

リーツはマルカ人の青年である。彼はローベント家の筆頭家臣である。アルスに対して絶対的な忠誠を誓う。武勇、統率、政治、知略のすべてにおいて傑出した実力を発揮する。

・所属組織、地位や役職  ローベント家・筆頭側近、歩兵隊長。

・物語内での具体的な行動や成果  飛行船を用いたプルレード砦の攻略作戦に同行する。領内での会議において、安全を第一に考えた堅実な意見を述べる。武闘大会の本選に進出し、ザットを下して決勝に進んだ。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  全能力値が90を突破する成長を遂げている。他家の将たちからもその武勇と統率力を高く恐れられている。

・ステータス(能力値)  現在のステータスは統率97/99、武勇90/90(限界到達)、知略97/99、政治92/100、野心20である。適性は歩兵A、騎兵S、弓兵A、魔法兵C、築城S、兵器A、水軍D、空軍C、計略Sを示す。

ロセル・キーシャ

ロセルはローベント家の軍師を務める少年である。優れた記憶力と鋭い洞察力を併せ持つ。

・所属組織、地位や役職  ローベント家・軍師。

・物語内での具体的な行動や成果  シンの工房で完成した中型の飛行船を目撃して興奮する。アルスから戦術や地理の面で非常に頼りにされている。雨の日に飛行船をルンド城へ一旦撤退させるようアルスに進言した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  11歳時で知略99まで成長を遂げている。

・ステータス(能力値)  現在のステータスは統率65/88、武勇22/32、知略99/109、政治77/95、野心21である。適性は計略S、築城A、兵器A、空軍A、弓兵C、魔法兵C、水軍C、歩兵D、騎兵Dを示す。

シャーロット・レイス

シャーロットは魔法兵隊長を務める少女である。彼女はかつて奴隷であった。規格外の強力な魔力を誇る。自由奔放な性格をしている。

・所属組織、地位や役職  ローベント家・魔法兵隊長。

・物語内での具体的な行動や成果  飛行船に乗り込み、上空からの強力な魔法攻撃を担当する。その圧倒的な破壊力でプルレード砦の城壁や魔法塔を難なく破壊する。武闘大会の予選に出場した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  「ランベルク의青い死神」の異名で戦場全体に恐れられている。

・ステータス(能力値)  現在のステータスは統率80/92、武勇104/116、知略45/45、政治37/40、野心1である。適性は魔法兵S、その他はDを示す。

ムーシャ・トリック

ムーシャはローベント家の魔法兵である。真面目で控えめな性格をしている。魔法兵適性Aの才能を秘める。

・所属組織、地位や役職  ローベント家・魔法兵。魔法兵部隊の副隊長格。

・物語内での具体的な行動や成果  新人魔法兵の実技指導を担当し、部隊の魔法威力を大幅に引き上げる。お茶会のために自分でケーキを焼いた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  指導の功績が認められ、アルスから金貨20枚の特別報酬を授与された。

・ステータス(能力値)  現在のステータスは統率60/76、武勇77/79、知略51/73、政治56/75、野心32である。適性は魔法兵Aを示す。

クライツ・ローベント

クライツはアルスの実弟である。父譲りの金髪を持ち、活発に動き回る。統率と武勇に優れた潜在能力を持つ。

・所属組織、地位や役職  ローベント家・次男。

・物語内での具体的な行動や成果  リシアを「姉上」と呼んで懐く。ブラッハムに剣の稽古で相手をしてもらうよう詰め寄る。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  将来の将帥として期待される成長を見せている。

・ステータス(能力値)  誕生直後のステータスは統率1/82、武勇1/89、知略1/33、政治1/21、野心77である。適性は歩兵S、騎兵B、弓兵A、魔法兵C、その他Dを示す。

リオ

リオは青い毛を持つキツネである。キングブルーと呼ばれる希少な品種だ。人間に非常によく懐く。

・所属組織、地位や役職  ローベント家の飼育動物。

・物語内での具体的な行動や成果  レンやクライツと楽しそうに戯れる。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  成長すると馬並みの大きさと速度を持つ。非常に賢い頭脳を備えている。

・ステータス(能力値)  キツネであるため、個別のステータス数値は表示されていない。

レン・ローベント

レンはアルスの実妹である。物静かで聡明な少女だ。知略と政治に関して類いまれな限界値を持つ。

・所属組織、地位や役職  ローベント家・長女。

・物語内での具体的な行動や成果  義姉のリシアと仲良く過ごし、おやつを一緒に食べる。兄のアルスが帰還するのを心待ちにする。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  将来の内政を支える頭脳としての潜在能力を秘めている。

・ステータス(能力値)  誕生直後のステータスは統率1/22、武勇1/21、知略1/91、政治1/85、野心33である。適性は計略A、兵器B、空軍B、築城C、水軍C、その他Dを示す。

ミレーユ・グランジオン

ミレーユはローベント家の軍師を務める女性である。酒と博打に溺れる破天荒な性格をしている。帝国屈指の知謀を誇る。

・所属組織、地位や役職  ローベント家・軍師兼相談役。ランベルク領主代行。クアット郡代官。

・物語内での具体的な行動や成果  サイツ軍の撤退後の情勢を冷静に分析する。アルスの領地拡大に伴い、代官の選定や統治方法について意見を述べる。職人ギルド長の黒い噂を利用して彼を追放した。武闘大会でトーマスと対戦する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  戦局を一変させる頭脳として重用され続けている。クアット郡の統治を任された。

・ステータス(能力値)  31歳時のステータスは統率82/90、武勇35/42、知略99/101、政治95/98、野心79である。適性は計略S、歩兵A、騎兵A、弓兵B、築城B、兵器B、水軍B、空軍B、魔法兵Cを示す。

トーマス・グランジオン

トーマスはミレーユの実弟であり、元バサマーク派の軍師である。生真面目で厳格な性格をしている。

・所属組織、地位や役職  元バサマーク派軍師。後にカナレ軍・兵士訓練担当。プルレード砦代官。

・物語内での具体的な行動や成果  カナレ城で兵士たちに厳しい訓練を施す。講義室で戦術や魔法の属性を指導する。武闘大会の本選に出場し、ミレーユに勝利した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  試用期間中でありながら、指導力によって兵士の規律を高める。ミレーユの説得によりローベント家に仕えた。

・ステータス(能力値)  29歳時のステータスは統率85/91、武勇40/51、知略94/96、政治88/90、野心65である。適性は計略S、歩兵A、弓兵A、築城A、他はBかCを示す。

ヴァージ・サマード

ヴァージは没落貴族の出身であり、非常に口が達者な青年である。極めて優れた政治力と卓越した弁舌を誇る。

・所属組織、地位や役職  ローベント家・家臣、内政官。ランベルク代官。

・物語内での具体的な行動や成果  リーツの補佐として領民の苦情処理や外部商人との商談を円滑に進める。アルスの解毒の鍵となる「毒の魔力水」を調達した。クアット旅行の際は皆を歓楽街プラットーへ案内する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  交渉力の高さで、カナレの内政および外交業務を大きく円滑化させる。ランベルクの代官に就任した。

・ステータス(能力値)  23歳時のステータスは統率31/44、武勇45/51、知略66/74、政治71/90、野心30である。適性は計略B、歩兵C、その他はDを示す。

リツ

リツはファムの弟子である。小柄な体躯と中性的な風貌を持つ15歳の少年だ。無表情で引っ込み思案な性格をしている。

・所属組織、地位や役職  傭兵団シャドー。アルスの護衛。

・物語内での具体的な行動や成果  ファムがパラダイル州へ向かう間、アルスの護衛を務める。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  ガキに見えるが、確かな隠密・護衛技術を仕込まれている。

・ステータス(能力値)  15歳時のステータスは統率 5/7、武勇 75/75、知略 65/65、政治 2/2、野心 0である。適性は歩兵C、騎兵D、弓兵B、魔法兵C、その他はDを示す。

リクヤ・フジミヤ

リクヤはヨウ国の元王族であり、フジミヤ家の長男である。非常に真面目で家族想いな性格だ。

・所属組織、地位や役職  ローベント家・家臣。オーロス城代官。

・物語内での具体的な行動や成果  ミレーユの指示に従って多くの内政実務を確実にこなす。カジノでマイカの提示した必勝法を信じて賭けた。野戦では部隊を率いて襲撃を行い、多くの戦果を挙げる。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  万能型の能力を活かし、領地経営の即戦力として実績を重ねている。オーロス城の代官に就任した。

・ステータス(能力値)  18歳時のステータスは統率60/75、武勇68/75、知略63/75、政治65/75、野心54である。適性は歩兵B、騎兵B、弓兵B、築城B、水軍B、計略B、他はDを示す。

タカオ・フジミヤ

タカオはヨウ国の元王族であり、リクヤの異母弟である。のんびりとした性格で、食事と昼寝を好む。卓越した反射神経と怪力を誇る。

・所属組織、地位や役職  ローベント家・家臣。オーロス城防衛補佐(軍事)。

・物語内での具体的な行動や成果  訓練場でブラッハムと激しい模擬戦を行う。ミレーユの指示で力仕事を一手に引き受ける。武闘大会でジンを破るが、クラマント戦の途中で空腹により倒れた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  武勇90(限界99)を誇る、近接戦闘の主戦力である。

・ステータス(能力値)  16歳時のステータスは統率44/79、武勇90/99(のちに95に成長)、知略12/21、政治10/25、野心12である。適性は歩兵S、騎兵A、弓兵Aを示す。

マイカ・フジミヤ

マイカはヨウ国の元王族であり、リクヤの異母妹である。合理的で負けず嫌いな性格をしている。非凡な知謀を誇る。

・所属組織、地位や役職  ローベント家・家臣。オーロス城防衛補佐(知略)。

・物語内での具体的な行動や成果  アルスが毒に倒れた際、毒魔法に関する自身の知識を懸命に思い返そうとする。ミレーユの下で知的な事務作業を担当する。カジノのルーレットの仕組みを分析して必勝法をリクヤに伝授した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  知略90(限界99)を誇る、将来の軍師候補である。

・ステータス(能力値)  17歳時のステータスは統率12/22、武勇9/15、知略90/99、政治71/91、野心34である。適性は計略S、兵器Aを示す。

ブラッハム・ジョー

ブラッハムはカナレ軍の精鋭部隊を率いる武芸者である。単純で喧嘩っ早い性格をしている。統率の限界値が102に達する。

・所属組織、地位や役職  ローベント家・精鋭部隊隊長。クアット配属。

・物語内での具体的な行動や成果  自身の無知を恥じてトーマスの講義を熱心に受講した。訓練場でタカオと激しい模擬戦を行う。武闘大会の本選に出場し、ビートとイージ、トーマスを撃破して決勝に進出する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  勉強により知略を45まで伸ばすなど、武将としての大きな成長を見せている。

・ステータス(能力値)  現在のステータスは統率68/102、武勇91/92、知略45/61、政治19/55、野心88である。適性は歩兵S、騎兵A、弓兵B、築城C、他はDを示す。

ザット・ブロズド

ザットは経験豊富な兵士であり、ブラッハムの副官を務める。実直で落ち着いた性格をしている。

・所属組織、地位や役職  ローベント家・精鋭部隊副隊長。

・物語内での具体的な行動や成果  新兵クッラの剣術の才能を見出して指導を行う。ブラッハムの過剰な訓練姿勢をいさめる。野盗の古城アジトへ潜入し、敵のリーダーブイゴに近づく工作を行った。武闘大会でリーツと対戦する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  実戦力の高い副隊長として、部隊の士気維持に欠かせない存在となっている。

・ステータス(能力値)  31歳時のステータスは統率51/51、武勇81/81、知略70台、政治70台、野心56である。適性は歩兵A、他はCかDを示す。

セイマーロ工房

シン・セイマーロ

シンは飛行船の開発に生涯を捧げる技術職人である。背の低さを気にしている。操縦と開発に強い情熱を持つ。

・所属組織、地位や役職  ローベント家・技術顧問。セイマーロ工房。

・物語内での具体的な行動や成果  アルスからの資金援助を得て、ついに人が乗れる大きさの飛行船の開発に成功する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  画期的な空戦兵器を完成させ、ローベント家の軍事技術を大きく進歩させた。

・ステータス(能力値)  24歳時のステータスは統率41/55、武勇30/41、知略81/86、政治25/38、野心18である。適性は空軍S、兵器A、計略C、他はDを示す。

サレマキア家(ミーシアン王国・クラン派)

クラン・サレマキア

クランは前総督の長男であり、新たに建国されたミーシアン王国の国王である。豪胆で実力主義を貫く。

・所属組織、地位や役職  ミーシアン国王。サレマキア家当主。

・物語内での具体的な行動や成果  サマフォース帝国からの独立と、ミーシアン王国の復活を高らかに宣言する。アルスにクアット郡とプルレード郡の二郡を授けた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  ミーシアン全土を支配する国王となった。アルスを高く評価しつつも、ローベント家の台頭を内心で警戒し、監視役を送り込んでいる。

・ステータス(能力値)  45歳時のステータスは統率99/99、武勇97/97、知略78/79、政治80/81、野心93である。適性は騎兵S、歩兵A、築城A、水軍A、弓兵B、魔法兵B、空軍B、兵器C、計略Cを示す。

ロビンソン・レンジ

ロビンソンはクランが最も信頼する腹心の家臣である。冷静沈着で実務能力に長けている。

・所属組織、地位や役職  ミーシアン王国・重臣。クラン直属家臣。

・物語内での具体的な行動や成果  軍事同盟を狙うサイツ軍やパラダイル州との間で、裏の調整や交渉にあたる。アルスとアシュドの極秘面談の情報を得て、アルスを最前線に出陣させるよう進言した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  新体制となった王国の政務を一手に引き受けて統括する。

・ステータス(能力値)  知略88、政治91の高い知謀を誇る。

リーマス(リーマス・アイバス)

リーマスはサレマキア家に仕える長年の老将であり、百戦錬磨の経験を持つ知将である。

・所属組織、地位や役職  ミーシアン王国・重臣、知将。

・物語内での具体的な行動や成果  クランに対し、ミーシアン独立直後の出兵には慎重であるべきだと意見を述べる。アシュドの来訪については交易の可能性もあると冷静に分析した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  軍事的な限界を冷静に見定め、王国の防衛に尽力する。

・ステータス(能力値)  35歳時のステータスは統率78/82、武勇91/93、知略35/40、政治20/28、野心50である。適性は騎兵S、歩兵A、その他はDを示す。

レング・サレマキア

レングはクランの長男である。元気で少し調子に乗りやすい性格だ。のちに厳しい訓練を重ねて顔つきを引き締めた。

・所属組織、地位や役職  サレマキア家・公子。

・物語内での具体的な行動や成果  アルスの大躍進に対抗意識を燃やす。厳しい訓練を重ねて剣技を高めた。シューツの侵攻に対抗するため、サイツへの援軍の将として自ら名乗りを上げる。ミレーユの案を採用した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  以前に比べて体格が大きくなり、武芸の腕前は上がったが、頭の良さはまだ不十分である。

・ステータス(能力値)  22歳時のステータスは統率66/78、武勇60/72、知略48/62、政治55/70、野心88である。適性は騎兵B、歩兵B、その他はCかDを示す。のちに統率69、武勇70、政治78、知略49に成長している。

ルメイル(ルメイル・パイレス)

ルメイルはカナレ郡の元郡長である。実力主義的で差別をしない穏健な人物だ。アルスを高く評価している。

・所属組織、地位や役職  カナレ郡元郡長。ベルッド郡長。

・物語内での具体的な行動や成果  ベルッドの包囲戦で指揮を執り、見事に勝利する。アルスに対し、カナレの統治を任せる決定を下した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  ベルッド郡長へと出世した。

・ステータス(能力値)  個別のステータス数値は表示されていない。

サイツ州総督府(サイツ王国)

アシュド・リンドヴァル

アシュドは元サイツ州総督であり、現在は辺境の領主である。謀略に非常に長けた冷静な人物だ。

・所属組織、地位や役職  元サイツ州総督。ハーバル領主。後にサイツ軍元帥。

・物語内での具体的な行動や成果  カナレ城を訪ね、アルスに対してミーシアンを裏切って独立しないかと交渉を持ちかけた。シューツの侵攻を受けて、ラダスの強い推薦と国王カイルの任命により、サイツ軍の元元帥に復帰する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  総督の座を退いた後も、実質的なサイツ国政の指導者として強い影響力を持つ。再び軍の実権を握った。

・ステータス(能力値)  47歳時のステータスは統率92/93、武勇70/88、知略99/99、政治100/101、野心66である。適性は歩兵A、騎兵A、弓兵B、魔法兵C、築城C、兵器D、水軍D、空軍B、計略Sを示す。

ラダス(ラダス・キーシアス)

ラダスはサイツ州の軍師を務める知謀の士である。

・所属組織、地位や役職  サイツ州総督府・軍師。アシュド直属軍師。

・物語内での具体的な行動や成果  シューツ軍の侵攻に対応できない現状を憂う。アシュドを元帥としてペンドラに戻すよう国王に直訴した。反対するミーシアンの貴族たちを、大声で論破する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  アシュドの復帰を成功させた。サイツ軍の防衛体制を再編する立役者となる。

・ステータス(能力値)  個別のステータス数値は表示されていない。

ボロッツ(ボロッツ・ヘイガンド)

ボロッツはサイツ軍の総大将であり、軍略家として優れた才能を持つ。アシュドに絶対の忠誠を誓う。

・所属組織, 地位や役職  サイツ軍総大将。現サイツ国王側近。

・物語内での具体的な行動や成果 暗殺者ゼツを雇ってアルスの暗殺を計画した。アルスと直接会談を行い、彼の「鑑定眼」についての牽制を仕掛ける。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  アルス暗殺未遂の裏工作を主導し、ローベント家に大きな脅威を与えた。

・ステータス(能力値)  36歳時のステータスは統率85/91、武勇71/77、知略75/80、政治92/95、野心20である。適性は歩兵A、騎兵A、計略B、弓兵C、魔法兵C、築城C、兵器C、水軍C、空軍Cを示す。

シューツ州総督府(シューツ王国)

ブラン・ドルマーヌ

ブランはシューツ州の総督である。気弱で、他州の動きに翻弄されやすい。

・所属組織、地位や役職  シューツ州総督。ドルマーヌ家当主。

・物語内での具体的な行動や成果  合議に参加した。ヴァルトとともにミーシアン征伐軍の戦略を立てる。ハイネスの工房を訪れ、完成した試作飛行船が浮遊する姿に歓声を上げた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  飛行船開発の成功を喜ぶ。ハイネスに多額の報酬を約束した。

・ステータス(能力値)  個別のステータス数値は表示されていない。

ヴァルト・ロバーツ

ヴァルトはブランの幼馴染であり、シューツ州の重用される優秀な軍師である。

・所属組織、地位や役職  シューツ州・軍師。

・物語内での具体的な行動や成果  兵力の分散を懸念して防衛兵の増強を主張した。サイツへの調略と侵攻を提案する。ハイネスの設計した飛行船の出来栄えに驚いた。完成した設計図を預かってサイツ戦へと輸送する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  40歳であり、シューツ州の戦略決定に決定的な影響力を持つ。開発された飛行船を利用し、実戦に投入するための乗組員の配置を指示した。

・ステータス(能力値)  個別のステータス数値は表示されていない。

ロブ・トリントン

ロブはヴァルトの一番弟子である。目つきが鋭く尖った男だ。

・所属組織、地位や役職  シューツ軍・軍師補佐、クーハ城攻略指揮官。

・物語内での具体的な行動や成果  クーハ城の攻略を任される。作戦に失敗して腕を負傷した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  ヴァルトからの信頼は非常に厚い。

・ステータス(能力値)  個別のステータス数値は表示されていない。

グイス・ファランツェ

グイスは総督ブランの従兄弟にあたる人物である。

・所属組織、地位や役職  シューツ軍・将、本陣指揮官。

・物語内での具体的な行動や成果  ヴァルトを深く信用しており、バルット城の攻略にあたりサイツ兵の調略を信じて突入の手はずを整える。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  兵を指揮する能力は認められており、戦でも様々な戦功を立てている。

・ステータス(能力値)  個別のステータス数値は表示されていない。

ハイネ(ハイネス・ブラウン)

ハイネスは白髪だらけの髪を持つ、シューツ州お抱えの優秀な技術者である。口の利き方が荒い。

・所属組織、地位や役職  シューツ州・技術顧問、発明家。

・物語内での具体的な行動や成果  ミーシアンの飛行船データを元にする。独自のデザインを施した複製飛行船を短い期間で完成させた。ブランから多額の報酬を受け取る。すぐさま次の研究へと着手した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  乗組員として自身の弟子たちを戦場へ連れて行くことを許可した。

・ステータス(能力値)  個別のステータス数値は表示されていない。

ローファイル州(ブレインド家)

エレノア・ブレインド

エレノアは戦女神と謳われる16歳の美少女将軍である。百戦百勝の天才だ。他者の動きを見抜く「鷹目」など複数の眼の能力を持つ。

・所属組織、地位や役職  ローファイル州・将、アンセル軍元帥。

・物語内での具体的な行動や成果  グラット砦を制圧し、アルスの本陣を奇襲した。アルスを追い詰めるが、顔を見て殺さず連れ去る判断を下す。のちに帝都アンセルを急襲し、シャクマを処刑した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  皇帝からアンセルの元帥に任命され、軍事の実権を掌握した。

・ステータス(能力値)  アルスが鑑定を試みたが、「鑑定不可」と表示され数値を確認することはできなかった。

ガット・ブレインド

ガットはブレインド家の長男である。真面目にしていればイケメンだが、妹のエレノアを溺愛する重度のシスコンである。

・所属組織、地位や役職  ブレインド家・長男。ローファイル州総督。

・物語内での具体的な行動や成果  帰還したエレノアを抱擁しようとして冷たく拒否された。罵倒されることに喜びを感じる。エレノアが敗北したことを知り、アルスに対して「初めてを奪った」と激しい怒りを燃やした。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  セドリックの後を継ぎ、ローファイル州の総督に就任した。

・ステータス(能力値)  個別のステータス数値は表示されていない。

セドリック・ブレインド

セドリックはローファイル州を治める総督であり、エレノアの父親である。

・所属組織、地位や役職  ローファイル州総督。のちに帝国宰相。

・物語内での具体的な行動や成果  エレノアの提案を容れ、混乱に乗じて帝都アンセルを急襲し、実権を奪うことを決定した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  シャクマの処刑後、皇帝の下知により新宰相に就任した。

・ステータス(能力値)  個別のステータス数値は表示されていない。

マックス・トレント

マックスはアンセルでシャクマの次に権力を持っていた大物である。好戦的な性格をしている。

・所属組織、地位や役職  ラマノア郡の郡長。

・物語内での具体的な行動や成果  ブレインド家主導の新体制に反発し、裏で工作を企てる。エレノアからの出頭命令を拒否し、攻め込んできた彼女の軍に敗北して捕らえられた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  敗北後に裁判で有罪となり、投獄された。

・ステータス(能力値)  個別のステータス数値は表示されていない。

傭兵団シャドー(ローベント家配下)

ファム(マザーク・ファインド)

ファムは情報収集や工作を専門とする傭兵団シャドーの団長である。中性的な美貌の持ち主だ。

・所属組織、地位や役職  ローベント家・家臣。傭兵団シャドー団長。

・物語内での具体的な行動や成果  パラダイル州ルバの街で、メイドに扮して潜入していたゼツを罠にハメて捕縛した。

・地位の変化、昇進, 影響力、特筆事項  アルスの直属家臣となった。諜報活動の指揮を一手に担う。

・ステータス(能力値)  23歳時のステータスは統率35/44、武勇92/92、知略88/90、政治22/23、野心45である。適性は弓兵S、歩兵A、魔法兵A、兵器Aを示す。

ベン(アレクサンドロス・ベルマドルド)

ベンはシャドーの団員である。非常に地味で特徴のない顔をしており、人の捜索や情報収集に長けている。

・所属組織、地位や役職  傭兵団シャドー。

・物語内での具体的な行動や成果  パラダイル州でゼツのターゲットであった商人ヒャードの監視や、ゼツの居場所特定に貢献した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  ファムの片腕として、優れた諜報・追跡技術を発揮する。

・ステータス(能力値)  ステータスは統率33/88、武勇78/80、知略77/78、政治45/66、野心3である。適性は歩兵A、弓兵A、他はBかCを示す。

メイトロー傭兵団

クラマント・メイトロー三世

クラマントは水上傭兵団の頭領であり、槍と弓において無類の腕前を誇る。リアリストな性格をしている。

・所属組織、地位や役職  メイトロー傭兵団・団長。

・物語内での具体的な行動や成果  武闘大会に出場し、圧倒的な強さで勝ち進む。準決勝でリーツと相打ちの有効打を放った。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  圧倒的な戦闘力で戦局を支える強力な傭兵部隊を率いる。アルスの飛行船に興味を抱き、買い取りたいと申し出る。

・ステータス(能力値)  31歳時のステータスは統率91/95、武勇110/112、知略65/68、政治55/61、野心50である。適性は騎兵S、弓兵S、空軍A、歩兵A、魔法兵D、攻城C、兵器C、水軍C、計略Dを示す。

パラダイル州

ゼツ

ゼツは凄腕の暗殺者である。ローファイル州出身であり、子供の頃から様々な拷問を受けてきたため、高い精神力と逃走技術を持つ。

・所属組織、地位や役職  暗殺者。

・物語内での具体的な行動や成果  ボロッツに雇われてアルスを襲撃し、毒に冒した。パラダイル州ルバの街で商人ヒャードを暗殺しようとしたが、待ち伏せていたファムによって捕縛された。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  カナレの牢に幽閉される。アルスとの取引に応じ、鑑定結果をごまかす方法が「紙に偽の数値を書きそれを保有すること」であると明かした。

・ステータス(能力値)  個別のステータス数値は表示されていない。

ヒャード

ヒャードはパラダイル州ルバの街に住む金持ちの商人である。

・所属組織、地位や役職  商人。

・物語内での具体的な行動や成果  小型の触媒機を販売して大儲けしていた。ゼツの暗殺ターゲットとなったが、シャドーによる事前の張り込みや警告により無事であった。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  戦闘力や運動神経は悪く、警備を手薄にしていた。

・ステータス(能力値)  個別のステータス数値は表示されていない。

アンセル州(サマフォース帝国・皇帝派)

シャクマ・ドリーズ

シャクマはアンセル州の実権を握る帝国宰相である。野心が非常に高い。

・所属組織、地位や役職  サマフォース帝国・宰相。アンセル州総督。

・物語内での具体的な行動や成果  ミーシアン征伐軍の合議を主催した。しかし、エレノア率いるローファイル征伐軍に帝都を急襲される。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  帝都を制圧されて捕らえられ、のちに中央広場で有罪として処刑された。

・ステータス(能力値)  28歳時のステータスは統率77/88、武勇62/76、知略87/96、政治72/77、野心90である。適性は歩兵C、騎兵B、弓兵D、魔法兵D、築城D、兵器D、水軍C、空軍C、計略Sを示す。

シャルル(シャルル・バイドラス)

シャルルはサマフォース帝国の第12代皇帝である。気弱な性格をしている。

・所属組織、地位や役職  サマフォース帝国皇帝。

・物語内での具体的な行動や成果  宰相シャクマに操られていた。帝都制圧後はセドリックを新たな宰相に指名した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  実質的な権力はなく、常に周囲の傀儡としての立場にある。

・ステータス(能力値)  17歳時のステータスは統率22/54、武勇55/65、知略46/54、政治34/56、野心0である。適性は歩兵C、騎兵D、弓兵D、魔法兵D、築城D、兵器C、水軍C、空軍D、計略Dを示す。

その他(武闘大会参加者など)

マイケル・トリアン

マイケルはカナレ郡の兵士である。

・所属組織、地位や役職  ローベント家・兵士。

・物語内での具体的な行動や成果  ミレーユやレングの説得に鼓舞され、次の戦で必ず戦功を挙げて見せると息巻いた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  レングの特別報酬や貴族取り立ての言葉に強い意欲を示す。

・ステータス(能力値)  個別のステータス数値は表示されていない。

キプス

キプスは武闘大会に出場した剣士である。技術の高い中年の男だ。

・所属組織、地位や役職  剣士。

・物語内での具体的な行動や成果  武闘大会の本選へ進出する。二回戦でリーツと対戦し、敗北した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  歩兵適性Aの強者である。

・ステータス(能力値)  武勇が77、歩兵適性がAであることが確認されている。個別のステータス数値は表示されていない。

ジン

ジンは武闘大会に出場した格闘家である。

・所属組織、地位や役職  格闘家。

・物語内での具体的な行動や成果  フットワークに優れ、一回戦でタカオと対戦した。タカオの強力な腹への一撃を受けて降参した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  身軽な動きを誇る。

・ステータス(能力値)  個別のステータス数値は表示されていない。

イージ

イージは武闘大会に出場した二刀流の剣士である。

・所属組織、地位や役職  二刀流剣士。

・物語内での具体的な行動や成果  本選一回戦において圧倒的なスピードで対戦相手を撃破する。二回戦でブラッハムと激しく戦ったが敗北した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  武勇85の持ち主であり、素早い動きを得意とする。

・ステータス(能力値)  武勇が85であることが確認されている。個別のステータス数値は表示されていない。

ビート

ビートは武闘大会に出場した槍使いである。

・所属組織、地位や役職  槍使い。

・物語内での具体的な行動や成果  一回戦でブラッハムと対戦した。ブラッハムに槍の柄を折られて混乱し、そのまま敗北した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  槍使いとして予選を突破した。

・ステータス(能力値)  個別のステータス数値は表示されていない。

ブロー

ブローは武闘大会に出場した槍使いである。

・所属組織、地位や役職  槍使い。

・物語内での具体的な行動や成果  一回戦で相手の槍使いと熱戦を繰り広げて勝利した。二回戦でトーマスと対戦し、敗北した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  実力派の槍使いとして大会を盛り上げた。

・ステータス(能力値)  個別のステータス数値は表示されていない。

登場が明確に確認できる集団

カナレ城の兵士たち

・所属組織、地位や役職  カナレ郡の警備・防衛部隊。

・物語内での具体的な行動や成果  トーマスやリーツから厳しい訓練を受けて、高い練度を身に付ける。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  ミーシアンの防衛戦やシューツ侵攻戦などで重要な役割を担う。

サイツの貴族たち

・所属組織、地位や役職  サイツ州の有力貴族層。

・物語内での具体的な行動や成果  アシュドの命令に従い、ミーシアン軍への対抗策をペンドラ城で白熱して議論した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  従属後はカイルに代わって、アシュドやボロッツらとともに国政を主導する。

シューツ軍の兵士たち

・所属組織、地位や役職  シューツ州の侵攻部隊。

・物語内での具体的な行動や成果  サイツ州へ攻め込み、ローグ砦などの攻略にあたる。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  強力な兵力と独自飛行船でサイツを圧迫するが、最終的には撤退を余意なくされた。

ミーシアンの兵士たち

・所属組織、地位や役職  ミーシアン王国の軍。

・物語内での具体的な行動や成果  クランの指揮下で、アルファーダ郡やルンド城の防衛・奪還戦を戦う。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  大戦の勃発とともに士気高く戦場へ出陣する。

飛行船兵たち

・所属組織、地位や役職  カナレ軍およびシューツ軍の飛行船乗組員。

・物語内での具体的な行動や成果  最新兵器である飛行船を操縦し、空中爆撃の足がかりを構築した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  空軍適性B以上の者たちで構成され、高度な訓練をこなす。

伝令兵

・所属組織、地位や役職  各軍の伝達係。

・物語内での具体的な行動や成果  ルンド城のアシュドらに対し、プルレード郡陥落の報を青ざめて伝えた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  正確な戦況の伝達に奔走する。

斥候の兵たち

・所属組織、地位や役職  偵察部隊。

・物語内での具体的な行動や成果  前線における敵の兵力移動や、輸送隊の動きをマークして報告する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  奇襲や待ち伏せの成功のために情報をもたらす。

見張りの兵たち

・所属組織、地位や役職  城や砦の警備兵。

・物語内での具体的な行動や成果  グラット砦やアルカンテス城などで不審な動きを警戒する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  暗殺者や奇襲から要人を守る。

奇襲部隊の兵たち

・所属組織、地位や役職  奇襲専門部隊。

・物語内での具体的な行動や成果  エレノアに率いられ、アルスの本陣を電撃的に強襲する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  高い機動力と乗馬技術を誇る。

憲兵たち

・所属組織、地位や役職  パラダイル州などの法執行機関。

・物語内での具体的な行動や成果  ルバの街などの治安維持にあたる。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  不審者や不法滞在者を監視・逮捕する。

パラド城の守備兵たち

・所属組織、地位や役職  クラン派のパラド城守備隊。

・物語内での具体的な行動や成果  征伐軍の接近に対し、クランの臨席を得て士気高く防衛の備えを固める。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  堅牢な城壁を守り抜くために動員された。

アンセルの貴族たち

・所属組織、地位や役職  サマフォース帝都の貴族。

・物語内での具体的な行動や成果  シャクマの処刑や、ブレインド家の新宰相指名に対し、ざわつきと反発を示す。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  圧倒的なエレノアの武力を前に、一時的に従う姿勢を見せた。

野次馬たち

・所属組織、地位や役職  帝都の一般市民。

・物語内での具体的な行動や成果  中央広場に作られた処刑台を囲み、シャクマの処刑を見物した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  権力者の没落に大いなる関心を示す。

処刑人

・所属組織、地位や役職  帝都の処刑執行人。

・物語内での具体的な行動や成果  処刑台の上で斧を構え、シャクマの処刑を実行した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  法の執行を象徴する。

処刑人の助手

・所属組織、地位や役職  処刑補助。

・物語内での具体的な行動や成果  シャクマの体を処刑台の上に押さえつけ、執行を助けた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  処刑人に従う。

クアットの商人たち

・所属組織、地位や役職  クアット郡の市場で商売をする人々。

・物語内での具体的な行動や成果  馬肉のサンドウィッチや、異国の料理レシピ本、高級な壺などを販売する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  ローベント家の政策により、活気を取り戻した。

フジミヤ家の兵たち

・所属組織、地位や役職  フジミヤ三兄弟直属の部隊。

・物語内での具体的な行動や成果  リクヤの指揮のもと、まとまりのある組織的行動で実戦に参加する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  新設されたフジミヤ部隊として訓練を重ねる。

ブラッハムの精鋭部隊の兵士たち

・所属組織、地位や役職  ローベント家・精鋭部隊兵。

・物語内での具体的な行動や成果  ブラッハムやザットの指導のもと、野盗の砦襲撃など過酷な任務を遂行する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  高い白兵戦闘能力を備えた、カナレの主力戦力である。

カナレの街の市民たち

・所属組織、地位や役職  カナレの住民。

・物語内での具体的な行動や成果  領地の急速な経済成長の恩恵を受け、市場や武闘大会などの催しに沸き立つ。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  ローベント家の統治のもとで、平和と繁栄を享受する。

予選の観客たち

・所属組織、地位や役職  武闘大会予選の観覧者。

・物語内での具体的な行動や成果  練兵場や広場に詰めかけ、出場者たちの激しい戦いを見守って声援を送った。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  市民の娯楽として、予選を大いに盛り上げる。

本選の審判

・所属組織、地位や役職  武闘大会審判。

・物語内での具体的な行動や成果  大会のルールの説明を行い、勝敗や優勢の宣告、降参の確認を担当する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  厳格に規律に沿った大会運営を担う。

闘技場の観客たち

・所属組織、地位や役職  武闘大会本選の観衆。

・物語内での具体的な行動や成果 リーツやブラッハム、クラマントらの名勝負を見物し、勝敗の行方に大歓声を響かせた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  闘技場を埋め尽くし、熱狂的な雰囲気を演出する。

選手控室の出場者たち

・所属組織、地位や役職  武闘大会の出場戦士。

・物語内での具体的な行動や成果  出番を待つ間、武器を磨いたり、お互いの実力を測るために牽制し合ったりする。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  一癖ある強者たちがそろっている。

メイトロー傭兵団の兵士たち

・所属組織、地位や役職  クラマント率いる傭兵団員。

・物語内での具体的な行動や成果  クラマントの命令に従い、鉄船の操縦や戦闘時の武力発揮で大いに貢献する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  高い水上戦闘能力を誇る精鋭として知られる。

シャドーのメンバー

・所属組織、地位や役職  傭兵団シャドーの団員。

・物語内での具体的な行動や成果  ファムやベンの指示に従い、各州での隠密調査やゼツの捜索・包囲を迅速に行う。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  情報収集や追跡のプロフェッショナルとして、裏からローベント家を支える。

ヒャードの屋敷の用心棒たち

・所属組織、地位や役職  ヒャードに雇われた護衛剣士。

・物語内での具体的な行動や成果  ヒャードの寝室前の部屋などに立ち、屋敷の警戒を担当する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  単純な剣の技量は高いが、暗殺者への対応能力は低かった。

ヒャードの屋敷の用心棒たち

・所属組織、地位や役職  ヒャードに雇われた護衛剣士。

・物語内での具体的な行動や成果  ヒャードの寝室前の部屋などに立ち、屋敷の警戒を担当する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  単純な剣の技量は高いが、暗殺者への対応能力は低かった。

ヒャードの屋敷の見張りたち

・所属組織、地位や役職  屋敷の警備員。

・物語内での具体的な行動や成果  屋敷の周囲を巡回し、怪しい者の侵入に備える。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  警備の数はあまり多くなかった。

パラダイルの憲兵たち

・所属組織、地位や役職  パラダイル州の警備兵。

・物語内での具体的な行動や成果  ルバの街などを巡回し、不審者や密偵の警戒に努める。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  治安維持の執行を担う。

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鑑定スキル8巻レビュー
まとめ
鑑定スキル10巻レビュー

展開まとめ

プロローグ

続く戦乱

転生から十五年が経ったアルス・ローベントは、鑑定スキルで見出した優秀な家臣たちの力により戦功を重ね、飛行船の開発にも成功し、ミーシアン最大級の領地を持つ貴族となっていた。しかし、勢力を拡大したミーシアンを警戒した諸州が征伐軍を結成し、アルスも戦女神エレノアとの戦いやセンプラー奪還戦を経験していた。ようやく一息つけるかと思われた矢先、属国となったサイツへシューツ州が侵攻し、新たな戦いが始まった。

第一章 サイツ防衛

カナレでの休息

センプラーを奪還したアルスは、サイツ救援へ向かう前に兵を休ませるためカナレ城へ戻った。リーツとロセルは過去の戦史から奇襲や決断の重要性を学び、シャーロットとムーシャは衣装選びを楽しむなど、それぞれ束の間の平穏を過ごした。

アルスもリシアとの時間で連戦による疲労を癒やした。リシアは三日後に再び出陣するアルスを心配しながらも励まし、必ず無事に帰ってくるという約束を交わして送り出した。

シューツ軍の侵攻

アルスが到着する以前、サイツでは元総督アシュドが元帥として軍を率い、クランの息子レング、援軍として派遣されたミレーユとトーマスらと防衛態勢を整えていた。シューツ軍約十万に対し、サイツとミーシアンの連合軍は約七万であり、さらにシューツ側も飛行船を開発していた。

シューツ軍師ヴァルトは密偵を利用してサイツ兵の厭戦気分を煽り、士気を低下させた。その影響もあってローグ砦では逃亡や独断撤退が相次ぎ、アシュドは防衛を断念した。緒戦はシューツ軍の勝利となり、連合軍はバルット城とクーハ城を中心に守ることになった。

初めての飛行船同士の戦い

クーハ城を守るレングたちは、敵軍を空から攻撃するため飛行船を出撃させた。しかしシューツ側も飛行船を送り出し、史上初めて飛行船同士の戦闘が発生した。

戦闘では飛行船そのものの性能より、搭乗する魔法兵の能力が勝敗を左右した。シューツ側の魔法兵は射程で上回っており、サイツ側の飛行船は攻撃できない距離から一方的に撃たれて墜落した。続いてシューツの飛行船がクーハ城を攻撃し、魔法防壁まで破壊したため、兵士たちの士気も低下した。

それでもレングは、サイツを失えば次はミーシアンが危険になると兵士たちを鼓舞した。トーマスが戦場で死を恐れていては戦えないと厳しく言い放ち、ミレーユも戦功を挙げれば報酬や出世の可能性があると示したことで、兵士たちは再び戦意を取り戻した。

ミレーユの偽装撤退

このまま籠城しても飛行船に攻撃され続けるため、ミレーユはクーハ城から撤退したように装う作戦を立てた。敵将ロブは慎重に追撃したが、岩石地帯に入ったところで伏兵の攻撃を受けた。

ミレーユの本当の狙いは、地上輸送中の敵飛行船を破壊することであった。ロブは途中で意図を見抜いて飛行船を離陸させたため破壊には失敗したが、自身は魔法攻撃によって負傷した。レングたちは敵が動揺している間に反転して攻撃を仕掛けたものの、飛行船からの攻撃を受けて再び劣勢に陥り、撤退を考えざるを得ない状況となった。

アルスの救援

そこへアルスの援軍が到着した。敵飛行船の存在を知ったアルスたちは、シャーロットを飛行船に乗せて先行させた。ロセルは危険を心配したが、アルスはシャーロットの力を信じて出撃を決断した。

シャーロットはシューツ側の飛行船を一撃で撃墜し、そのまま敵軍へ魔法攻撃を加えた。空からの脅威を失ったシューツ軍にレングたちが攻勢をかけ、さらに到着したアルス軍が側面から魔法と弓で攻撃したことで敵軍は混乱し、撤退した。

アルスは成長したレングと再会した。以前は未熟だったレングは統率や武勇を伸ばしており、自分より年下ながら功績を重ねるアルスを意識したことが成長のきっかけとなっていた。

アシュドの調略返し

一方、バルット城を攻めるシューツ軍は、ヴァルトが調略したサイツの将に城門を開かせ、夜襲を仕掛けようとしていた。しかしアシュドはすでに裏切り者を把握しており、あえて泳がせて偽の成功を信じ込ませていた。

城門が開いたことでシューツ軍は一斉に突入したが、待ち伏せしていた弓兵や魔法兵から集中攻撃を受けた。さらにアシュド自身が騎兵を率いて撤退中の敵軍へ突撃し、大きな損害を与えた。

そこへアルス側の飛行船も到着して攻撃を開始したため、シューツ軍は戦況を立て直せないと判断して本格的に撤退した。こうしてサイツ防衛戦は連合軍の勝利となった。

アシュドの警告

勝利後、アルスたちはサイツの防衛態勢が整うまでバルット城へ残った。祝勝会でアシュドは、アルスがすでにミーシアン第二位ともいえる実力者になったと語り、今後さらに勢力を増したときにクランがどう反応するか分からないと忠告した。

アルスはクランへの忠誠を理由に問題は起こらないと考えたが、アシュドは困ったときには力になると言い残した。一か月ほどして国境の防備が整うと、アルスたちはサイツを離れ、カナレへ帰還した。

第二章 アンセル事変

エレノアの帝都侵攻

ミーシアン北部では、アンセルから侵攻した征伐軍が複数の城を攻略していた。宰相シャクマは優勢な戦況に満足していたが、突如としてエレノア率いるローファイル軍三万がアンセルへ侵攻した。

シャクマは帝都ランバス城の堅牢さを頼りに、ミーシアンへ出していた軍をすぐには戻さず、アルカンテス攻略を優先した。しかしエレノアは急速に進撃し、帝都を陥落させた。

そのためミーシアンへ侵攻していた征伐軍は占領地を放棄して撤退し、クランは失っていた領土を戦わずして取り戻した。一方で、ローファイルがアンセルを支配すれば、ミーシアン北部に以前より統一された強敵が誕生することになった。

シャクマの最期

帝都を占領したエレノアはシャクマを捕らえ、横領、暗殺、裏切りなどの罪を認めて宰相を辞任すれば命を助けると告げた。しかしシャクマは拒絶し、裁判で死罪を宣告されて処刑された。

皇帝の名のもとでセドリック・ブレインドが新たな宰相、ガット・ブレインドがローファイル総督、エレノアがアンセル元帥となった。さらにエレノアは、ブレインド家に反発する有力貴族マックス・トレントを危険視した。

マックスが新体制への工作を始めたことを確認すると、エレノアは出頭命令を拒否した彼を討つため出陣し、数週間でラマノア郡の軍を破って捕縛した。圧倒的な軍事力を見た他のアンセル貴族もブレインド家へ従うようになり、アンセルはエレノアの武力を背景に統一されていった。

第三章 帰還後

成長するローベント領

カナレへ帰還したアルスは、征伐軍の瓦解によって久しぶりに領地経営へ集中できるようになった。カナレ、クアット、プルレードはいずれも人口と生産力を伸ばしており、特にクアットには不安定なサイツから多くの移民が流入していた。

一方で人口増加は治安悪化や食糧不足、旧住民との対立につながる危険もあり、アルスたちは発展と安定を両立させる必要に迫られた。

ゼツの捕縛

ファムは、かつてアルスを毒殺しようとした暗殺者ゼツがパラダイル州にいる手掛かりを掴んだ。鑑定結果を偽装したゼツを捕らえなければ新規の人材登用を安心して進められないため、ファムは自ら捜索へ向かい、代わりに弟子のリツをアルスの護衛へ付けた。

その後、ファムはパラダイル州の都市ルバでゼツの捕縛に成功した。尋問によって、ゼツが特定の紙を使い、一時的に鑑定結果を偽装していたことが判明した。効果時間には限界があったため、アルスは今後の採用時には身体検査を行い、時間を空けて再度鑑定することで刺客を見破る方針を定めた。

新型飛行船と操縦士

シンによる飛行船開発も進み、従来より小型で機動性に優れた新型機が完成した。飛行船同士の戦いが現実となったことで、魔法兵の力だけではなく操縦技術も重要になっていた。

アルスは鑑定を使って空軍適性を持つ人材を探し、新型飛行船を運用する操縦士の確保と育成を進めた。かつて独占していた飛行船技術が他州にも広がり始めたため、さらなる技術革新が必要となっていた。

リシアの懐妊

そんな中、リシアの妊娠が判明した。すでに二か月ほど経っており、アルスは自分が父親になることに驚きながらも大きな喜びを感じた。

リシアも初めての出産への不安を抱えていたが、アルスは共に乗り越えると伝えた。ローベント家に後継者が生まれる知らせは家臣たちにも喜ばれ、戦続きだったアルスにとって家族を守るという新たな意味を持つ出来事となった。

届かなかった書状

その後、クランはアンセルの混乱に乗じて攻勢を仕掛けたが、エレノア率いる軍に敗北した。アルスが援軍に来なかったことをクランが問いただすと、アルスは援軍要請そのものを受け取っていなかったと答えた。

クランは確かに書状を送ったと主張したが、カナレには届いていなかった。単なる伝達事故なのか、誰かが意図的に書状を止めたのかは分からなかった。さらにアルスはアンセル方面が劣勢であるとの情報自体は得ていたものの、シューツへの警戒と戦を避けたい考えから救援へ動いていなかった。

クランは最終的にアルスの言葉を信じたものの、急速に力を増すローベント家とクランとの間には、これまでになかった認識のずれが生まれた。外ではエレノア率いるブレインド家が巨大な勢力を築き、内では主従関係にも不穏な兆しが現れ、アルスを取り巻く情勢は新たな局面へと進んでいった。

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