物語の概要
■ 作品概要
ミーシアン内乱終結後、カナレ郡長となったアルス・ローベントは、領地強化のため鑑定スキルによる「人材発掘」を再開した。
内政や外交を補佐するヴァージに加え、兵器適性Sを持つエナンを新家臣として獲得する。
さらに、ミレーユの弟トーマス・グランジオンを教育係として招き入れ、軍事組織の近代化を図っていった。
この教育改革を通じて猪突猛進だった将ブラハムは自らの未熟さを悟り、名将への成長を見せ始める。物語の後半では、異国ヨウ国から亡命してきたフジミヤ三兄弟と接触した。
音を消す魔道具を操る盗賊団に至宝「龍絶刀」を奪われ三兄弟は危機に陥るものの、末妹マイカによる反撃の兆しと共に、事態は次なる局面へと移行していく。
■ 主要キャラクター
- アルス・ローベント :主人公。カナレ郡長。鑑定スキルを駆使し、能力の限界値や適性を見抜いて人材を収集する。
- リシア・プレイド :アルスの婚約者。人心掌握に長け、政治・軍事の学習にも意欲的。アルスの妹レンの教育も担う。
- リーツ・ミューセス :アルスの右腕。内政・軍事全般を統括。他州の動向を分析し、魔力水売却による資金調達などを提案。
- トーマス・グランジオン :ミレーユの弟。元バサマーク派参謀。アルスの家臣団の質を認め「試用期間」として加入。軍の教育・訓練を担当。
- ブラハム・ジョー :高い武勇を誇る将。当初は知略に乏しかったが、自己変革を決意。知略が31から45、統率が68から77へ成長を遂げる。
- ザット・ブロズド :ブラハム隊の副隊長。元賞金稼ぎ・傭兵。ブラハムの補佐と潜入・工作活動を担当。
- ヴァージ・サマード :新家臣。政治90、計略Bの外交・内政特化型人材。没落貴族出身で口が回り、リーツの補佐を務める。
- エナン・リュージェス :新家臣。兵器適性S。極度のコミュ障だが、シンの工房へ配属され、飛行船開発と兵器製造に従事。
- フジミヤ三兄弟(リクヤ、タカオ、マイカ) :ヨウ国の亡命王族。長兄リクヤは当主、次男タカオは武勇99、末妹マイカは知略99を誇る。
書籍情報
転生貴族、鑑定スキルで成り上がる 5 ~弱小領地を受け継いだので、優秀な人材を増やしていたら、最強領地になってた~
著者:未来人A 氏
イラスト:JIMMY 氏
出版社:講談社(Kラノベブックス)
発売日:2023年7月1日
ISBN:9784065320679
(PR)よろしければ上のサイトから購入して頂けると幸いです。
あらすじ・内容
弱小貴族ローベント家の若き当主・アルス。 実は転生者であるアルスは、武力も知識も一般的なレベルだが、 「鑑定」という特別なスキルを使い出自や年齢を問わず有能な人材を集め、重用していた。 攻め寄せた大軍勢を退けたアルスは、 戦後処理を行うとともに、さらなる勢力拡大のための人材発掘を続けていた。 敵対していた勢力からも積極的な登用を行うアルスだが、 そんな中でみるからに裏のありそうな兄妹に出会う。 彼らの正体は、そして重要度を増すアルスとカナレ郡は――!?
感想
おバカだったブラッハムが名将候補に。呂蒙みたいな成長が面白い
前巻でサイツ州の大軍を撃退し、ようやく落ち着けるかと思ったアルス。
しかし、今度はサイツ州の元兵士たちが野盗化し、カナレ郡の治安を荒らし始める。
戦争は終わっても、その後始末までは簡単には終わらない。
しかもリーツやミレーユは、それぞれ内政や領地運営で忙しい。
そこで白羽の矢が立ったのが、ブラッハムだった。
最初に登場した頃のブラッハムは、とにかく強いけれど頭を使うのが苦手。
戦術なんて卑怯だ。
男なら正面から戦えばいい。
そんなことを本気で言っていた人物である。
それが今巻では、まるで呂蒙のように勉強を始め、少しずつ「武勇だけの男」ではなくなっていく。
個人的には、このブラッハムの成長が一番面白かった巻だった。
■平和になったら、また人材集め。アルスは本当に人材が好きだな
ミーシアンの内乱も終わり、サイツ軍も撃退。
アルス自身もリシアと結婚し、ようやく平和な時間が訪れる。
普通ならここで領地を整えて一息つくところだが、アルスが真っ先に始めたのは人材募集だった。
やっぱり人材集めるんだ。
カナレの評判が上がったことで、今度は500人近い仕官希望者が集まる。
その中から鑑定スキルを使って、必要な人材を探していく。
今回面白かったのは、単純に戦闘能力の高い人物だけを集めていないところである。
例えばヴァージは政治能力が高く、口が上手い。
戦場で剣を振るうタイプではないが、領民との交渉や商人との取引ではかなり使える。
そこで多忙なリーツの補佐につける。
リーツは戦もできる。
内政もできる。
人材を見る目もある。
何でもできすぎて仕事が集中していたので、そこを別の人材で補う。
人材を増やす目的が、単純な戦力増強だけではなくなってきたのが印象的だった。
■兵器適性Sのエナン。でも面接だけなら絶対落とされそう
さらに見つけたのがエナン。
兵器適性Sという、とんでもない才能を持っている。
しかし本人はものすごく人付き合いが苦手。
声が小さすぎて会話にならない。
自己評価も低い。
普通の採用面接なら、かなり厳しいだろう。
アルス自身も「鑑定がなければ不採用にしていた」と思うくらいである。
それでも潜在能力だけは分かる。
だから採用して、飛行船を開発しているシンの工房へ送り込む。
このシリーズの鑑定スキルらしさが出ている場面だった。
今できるかどうかではなく、
「この人は何ならできるようになるのか」
を見る。
本人が自分の才能を知らなくても関係ない。
むしろ、そういう人を見つけられるのがアルスの強みなのだと思う。
■敵だったトーマスまで教師になる。カナレの人材層がどんどん厚くなる
さらにミレーユが、弟のトーマスを連れてくる。
トーマスは元々バサマーク側の軍師。
アルスたちにとっては完全に敵だった人物である。
しかもバサマークへの忠誠心が強く、クランには絶対仕えたくない。
そんなトーマスを、ミレーユが半ば強引にカナレへ連れてくる。
ただし、いきなりアルスに忠誠を誓うわけではない。
「お前が仕えるに値する人物か、自分で見極める」
という試用期間のような状態で加わる。
この距離感は結構好きだった。
昨日まで敵だった人間が、急に「アルス様最高!」になるより自然である。
そしてトーマスに任されたのが兵士の訓練と教育。
これがかなり大きい。
今までカナレには、才能の高い家臣は大量にいた。
でも体系的に戦術や軍事知識を教える人間は少なかった。
そこを元敵軍の優秀な軍師が埋める。
敵だった人材すら吸収して、組織が強くなっていく。
アルス軍、どんどん層が厚くなるな。
■「俺が冷遇されていたのって、頭が悪かったから?」
そしてブラッハムである。
トーマスの講義には、部隊を率いる人物たちも参加する。
もちろんブラッハムも参加。
最初は相変わらずである。
「戦術なんて勉強する意味あるのか?」
「男なら正々堂々と戦えばいい!」
うん、いつものブラッハムだ。
しかし副官のザットと話しているうちに、過去の自分を振り返る。
無謀に突撃して罠に嵌まった。
命令を無視して味方の足並みを崩した。
戦果を上げたこともあるけれど、失敗も結構している。
そしてようやく気付く。
「もしかして俺がベルッドで冷遇されていたのは、頭が悪いからだったのか?」
今気付いたのかよ。
思わず笑ってしまった。
ザットも当然のように「多分そうでしょうね」と返す。
ただ、ここからのブラッハムは違う。
落ち込んで終わらない。
トーマスの講義を真面目に聞く。
分からないことを質問する。
ザットに復習を手伝ってもらう。
模擬戦でも考えて兵を動かすようになる。
アルスが鑑定すると、実際に知略が伸びている。
今まで武勇だけで戦っていた男が、ようやく頭も使い始めた。
三国志の呂蒙を思い出すような変化だった。
「勉強したら本当に人って変わるんだな」と感じる成長である。
■才能があるだけでは意味がない。本人が変わろうとして初めて伸びる
ここで面白かったのが、アルスの鑑定だけでは成長させられないことだった。
アルスは最初からブラッハムの統率限界値が非常に高いことを知っている。
将来的にはトップクラスの武将になれる。
でも本人が勉強しない。
戦術を学ばない。
考えずに突撃する。
それでは才能が高くても伸びない。
これまでのアルスは、「才能を見つける」ことが中心だった。
しかし今巻では、
見つける。
適切な場所へ置く。
教師を与える。
経験を積ませる。
本人が努力する。
ここまで揃って、ようやく才能が伸びていく。
人材育成の話として一段階進んだ感じがした。
■元サイツ兵が野盗化。戦争が終わっても後始末は続く
そんな中、カナレ郡では野盗被害が増えていく。
正体はサイツ州の元兵士たち。
前巻の戦争で敗北し、軍を追われた者たちが野盗化して流れ込んできていた。
しかも単なる脱走兵ではない。
サイツ側の貴族が、カナレの古城の場所を教えていたことまで分かる。
つまり、直接軍を送り込むのではなく、野盗を使ってカナレを弱らせようとしている可能性がある。
嫌らしいな。
大軍による正面侵攻が失敗したから、今度は治安を悪化させる方向へ切り替えてきたわけだ。
カナレとしては放置できない。
しかしリーツは忙しい。
ミレーユも忙しい。
そこでアルスが選んだのがブラッハムだった。
■アルス、ついにブラッハムへ部隊を任せる
これはかなり大きな出来事だったと思う。
これまでブラッハムは、武勇は高いが指揮官としては不安がある人物だった。
アルス自身も、大軍を任せるのは怖いと思っていた。
しかし勉強を始め、模擬戦でも成長している。
なら実戦経験を積ませる。
アルスは野盗討伐をブラッハムに任せる。
こういうのは結構怖い。
才能があることと、実際に成功できることは別だからだ。
しかも失敗すれば兵士が死ぬ。
ゲームなら能力値が高いから任せればいいが、実際にはそんな簡単ではない。
それでもアルスは任せる。
今までの「有能な家臣に頼る」という姿勢から、さらに「成長途中の家臣に経験を与える」段階へ進んでいる。
■偵察して、相手を調べて、作戦を立てる。あのブラッハムが……
ブラッハムは、いきなり突撃しない。
まず斥候を出す。
敵の数を調べる。
古城の構造を確認する。
ザットを潜入させる。
敵の情報を集めてから突入する。
……誰だお前。
以前のブラッハムなら、
「野盗だと!? よし、突撃だ!」
で終わっていた気がする。
しかもザットの潜入が危険になった時には、自分たちが突入するタイミングまで考えている。
ザットは敵の首領ブイゴを暗殺しようとして失敗し、逆に追い詰められてしまう。
そこへブラッハムが突入。
最後は自ら首領を討ち取る。
武勇もちゃんと活かす。
頭だけ使えるようになって、元の長所が消えたわけではないのが良い。
戦術を覚えたことで、元々持っていた圧倒的な武勇がさらに使いやすくなった。
そして討伐は成功。
大きな被害も出さずに野盗を壊滅させる。
アルスが期待していた「名将ブラッハム」が、少しだけ見え始めた瞬間だった。
■ザットもいい副官になっている
ブラッハムばかり目立つが、ザットもかなり重要だった。
ブラッハムが「頭を使わないと駄目なんだ」と気付くきっかけを作ったのもザット。
勉強の復習に付き合うのもザット。
模擬戦で成長を確認するのもザット。
そして野盗討伐では、危険な潜入任務まで担当する。
ブラッハムが将軍として成長している裏で、ザットがずっと支えている。
この二人、かなり良いコンビになってきた。
最初はザットの方が「何でこんな馬鹿の下で働かないといけないんだ」と思っていたのに、今では普通にブラッハムを支えている。
能力の高い隊長だけでは部隊は成り立たない。
その欠点を補う副官も必要。
アルスの人材配置の面白さが出ていた。
■今度は島国ヨウ国の王族。人材が向こうから流れてくる
野盗討伐が終わった後、今度は異国の三兄弟が登場する。
リクヤ。
タカオ。
マイカ。
ヨウ国という島国から流れてきた人物たちである。
アルスが鑑定すると、またとんでもない。
タカオは武勇99。
マイカは知略99。
リクヤは突出こそしていないものの、全体的に高い万能型。
欲しい。
これは欲しい。
アルスが早速家臣に誘うのも分かる。
しかし断られる。
彼らはヨウ国の王族であり、目的は御家再興。
誰かの家臣になって、そのまま人生を終えるわけにはいかない。
なるほど。
アルスの鑑定で有能だと分かっても、相手には相手の人生がある。
「能力が高いから家臣になってください」
だけでは成立しない。
ここも前より人材登用が少し難しくなっている。
■武勇99と知略99をこのまま逃すのは惜しすぎる
特にタカオとマイカが強烈だった。
タカオは見た目通りの武闘派。
武勇99。
ほぼ限界まで強い。
一方でマイカは知略99。
こちらもほぼ最高。
兄のリクヤは、この二人ほど派手な能力ではない。
でも全体的に能力が高い。
三人セットで見ると、かなりバランスが良い。
戦える弟。
考えられる妹。
二人をまとめる兄。
アルスからすれば、喉から手が出るほど欲しい人材だろう。
しかし事情が事情なので、無理に家臣にすることはできない。
そこで、とりあえず仕事を紹介する。
一度断られたら終わりではなく、カナレに残ってもらう。
この辺りもアルスらしい。
■龍絶刀を狙われて盗賊に捕まる。王族でも普通に危ない
三兄弟は宿屋で働きながら、家宝である龍絶刀を売って資金を作ろうとする。
御家再興には金が必要。
しかし、その龍絶刀が盗賊に狙われる。
特殊な魔道具で音を消し、宿に侵入。
タカオはすぐ異変に気付く。
さすが武勇99。
しかしマイカを人質に取られてしまい、龍絶刀を渡すしかなくなる。
そのまま三人とも捕まってしまう。
王族だから強い。
能力が高い。
それでも状況が悪ければどうにもならない。
ここは結構緊張感があった。
特にリクヤは、兄として弟と妹を守ろうとする。
能力値では二人に負けている。
本人もそれを気にしている。
しかし最後に家族を守ろうとするのは兄であるリクヤ。
マイカを庇って大怪我を負う。
能力値だけでは見えない部分が出ていたと思う。
■助けてもらったから家臣になる。アルス、結局三人とも手に入れる
最終的にリーツたちが盗賊のアジトを突き止め、三兄弟を救出する。
リクヤも一時は危険な状態になるが、何とか回復。
龍絶刀も戻ってくる。
そして三兄弟は、助けてもらった恩を返すためアルスの家臣になることを決める。
結局家臣になるのか。
アルス、強い。
最初の勧誘では断られたのに、助けた結果として三人とも加入。
しかも、
武勇99。
知略99。
万能型。
一気にとんでもない人材が三人増えた。
アルス自身は家臣を増やすために助けたわけではない。
それでも人を助け、信頼関係を作った結果として有能な人材が集まってくる。
以前は鑑定で見つけて直接スカウトすることが多かった。
今ではアルス自身の評判や行動によって、人材が集まるようになってきた。
領主としての立場が変わってきたのを感じる。
■マイカ「アルス様を皇帝にしましょう」
そして家臣になったマイカが早速すごいことを言い出す。
アルスをサマフォース帝国の皇帝にする。
その力を使ってヨウ国を取り戻す。
野望が大きい。
アルスはもちろん拒否。
本人はただ平和に暮らしたい。
相変わらず周囲と本人の温度差がすごい。
ミレーユもトーマスもリシアも、アルスがもっと大きな存在になる可能性を感じている。
今度は異国から来たマイカまで、それを考え始める。
本人だけが、
「いや、カナレを平和に治められればそれでいい」
という感じ。
この認識のズレが、このシリーズらしいところだと思う。
■5巻は「人材を見つける」より「人材を育てる」巻だった
この巻を読んで一番感じたのは、アルスの鑑定スキルの使い方が変わってきたことである。
最初の頃は、
強い人を見つける。
家臣にする。
活躍してもらう。
という流れが中心だった。
しかし今回は違う。
ブラッハムは、才能は最初から分かっていた。
でも能力が育っていなかった。
そこでトーマスという教師が加わる。
ザットが支える。
本人が失敗を振り返る。
勉強する。
模擬戦をする。
そして実戦を任せる。
それでようやく成長する。
この過程がしっかり描かれていた。
鑑定スキルがあっても、人間は勝手に完成しない。
本人が経験して、失敗して、勉強して、周囲に支えられて伸びていく。
ブラッハムがその象徴だったように思う。
最初はただの「強いけど馬鹿なキャラ」だった。
それが少しずつ名将候補になっていく。
まだ完成していない。
知略も飛び抜けて高いわけではない。
それでも、自分の弱点に気付いて変わろうとした。
この成長がかなり印象に残った。
そして最後にはフジミヤ三兄弟まで家臣に加わる。
戦争が終わって少し落ち着いた巻かと思ったら、結局また大量に人材が増えている。
アルス軍、どこまで強くなるんだ。
次はサイツ州もまた怪しい動きをしている。
さらにアルスを狙う暗殺計画まで進み始めている。
平和になったと思っても、やっぱり簡単には休ませてもらえなさそうである。
最後までお読み頂きありがとうございます。
(PR)よろしければ上のサイトから購入して頂けると幸いです。
考察・解説
ストーリー・プロット
サイツ州軍の撃退を経て、カナレ郡は経済的な安定と発展の局面を迎えた。この平穏な期間において、アルス・ローベントは将来の動乱を見据えた組織の再編、新たな人材の発掘、ならびに家臣団の教育と軍備強化を多角的に進めた。その過程で起きた主要な出来事と各陣営の動向を以下に整理する。
第1幕:戦後の安定と新たな人材発掘
- サイツ州軍の撃退後、カナレ郡は順調な経済発展を遂げた。
- アルスは組織力のさらなる底上げを図るため、大規模な人材募集を実施した。
- 鑑定スキルにより、外交能力に優れたヴァージと、兵器適性Sを持つエナンを見出した。
- エナンはシンが進める飛行船開発の現場へ配属され、ヴァージはリーツの内政補助を担当することとなった。
- 平和な時期にこそ戦力を整えるという方針を明確にし、軍備と内政基盤の拡充を同時に推し進めた。
第2幕:姉弟の再会とトーマスの登用
- ミレーユがアルカンテスで幽閉されていた弟トーマスと面会し、説得を試みた。
- トーマスは当初協力を拒んでいたが、アルスの配下に集うリーツ、シャーロット、ロセルら帝国全土でも稀な一級の人材を目の当たりにし、アルスの鑑定眼の確かさを認めた。
- アルスが主君に値する器であるかを見定める試用期間を条件として、トーマスは軍の訓練と教育全般を引き受けた。
第3幕:教育とブラハムの意識改革
- トーマスによる体系的な軍事講義が開始された。
- 全20種に及ぶ魔法属性の解説や、高度な戦術論の指導が行われた。
- ブラハムは過去の敗戦が自身の知略不足に起因していた事実を痛感し、ザットとともに本格的な学習を開始した。
- 地道な研鑽を通じて、ブラハムの知略と統率の能力値は飛躍的な上昇を見せ始めた。
第4幕:実戦による証明(野盗討伐)
- カナレの弱体化を狙うサイツ州貴族の謀略により、元サイツ兵で構成された大規模な野盗集団が古城を拠点として活動を開始した。
- アルスはブラハムを指揮官に任命し、野盗の討伐を命じた。
- ザットによる決死の潜入捜査と、ブラハムによる的確な突入指揮が噛み合い、野盗集団の壊滅に成功した。
- 窮地に陥ったザットをブラハムが救出したことで両者の信頼関係が深まり、ブラハムは知勇を兼ね備えた名将への第一歩を踏み出した。
第5幕:異国からの来訪者と盗賊の影
- 町でヨウ国出身のフジミヤ三兄弟と遭遇した。
- アルスは鑑定スキルにより三兄弟の極めて高い資質と、家宝である龍絶刀の存在を把握した。
- 三兄弟は町外れの宿屋で働き始めたが、音を消す魔道具を行使する盗賊団の急襲を受けた。
- 三兄弟は拉致され、奪われた宝剣は盗賊から商人ロブケを経て別の商人へと転売された。
- 囚われの身となったマイカが脱出に向けた機転を利かせ、反撃の端緒を開いた。
戦後の平穏期を活用した人材の登用と教育は、アルス陣営の総合力を質的に向上させた。トーマスによる知略の注入とブラハムの成長は軍の戦術水準を引き上げ、新大陸や異国からの要素が絡む新たな事件の発生は、さらなる波乱と勢力拡大の予兆を示している。
主要な転換点
戦後における領内の安定と軍備再編の過程において、アルス陣営の質的転換を促す重要な出来事が相次いだ。軍事教育の導入、武将の意識改革、そして異国勢力との接触という三つの転換点について整理する。
トーマス・グランジオンの加入
- 状況:配下の将兵は高い武勇を誇る一方で、体系的な魔法理論や高度な戦術に関する教養が不足していた。
- 変化:元敵将であるトーマスの登用により、組織的な軍事教育体制が確立された。
- 影響:軍全体の戦術水準が向上し、アルスが帝国を統べる器である可能性をトーマス自身が認識する契機となった。
ブラハムの自己変革
- 状況:武勇一辺倒で知略が31と低く、過去の実戦において失態を重ねていた。
- 変化:講義を通じた猛勉強により、知略45、統率77へと数値的な成長を遂げ、戦術眼と意識の刷新を果たした。
- 影響:野盗討伐において味方の被害を皆無に抑える戦果を挙げ、アルスによる登用と期待の正しさを実証した。
フジミヤ家との接触
- 状況:隣州との緊張関係が続く中、異国であるヨウ国の亡命者が領内に現れた。
- 変化:家宝である龍絶刀を狙い、音を消す特殊な魔道具を行使する盗賊団が出現した。
- 影響:カナレ領内に潜伏する組織的な犯罪勢力の排除と、ヨウ国を巡る大局的な事情に巻き込まれる端緒となった。
これらの転換点は、カナレ軍の教育水準や戦術能力を根本から引き上げるとともに、領内外における新たな火種の存在を浮き彫りにした。個々の武勇に依存する段階から組織的な軍隊へと脱皮を遂げたアルス陣営は、異国の事情をも内包する次なる動乱への備えを着実に固めつつある。
主人公を中心とした人物関係の変化
アルスと主要人物における関係性の変遷
戦後のカナレ領内における軍備再編と治安維持の過程において、アルス・ローベントを取り巻く人物関係は大きく進展した。元敵将の教育係への登用、既存家臣の飛躍的な成長、そして異国から訪れた要人との接触を通じ、主従関係や対人関係の質的向上が見られる。各人物との関係の変遷は以下の通りである。
アルスとトーマスの関係
- 開始時:元敵対派閥の捕虜と領主という関係であった。
- 契機となった出来事:ミレーユによる説得を受け、アルスの配下に集う帝国級の人材の実在を確認した。
- 巻末時:アルスの人を見抜く力を認め、その器量を注視する試用期間中の家臣となった。
アルスとブラハムの関係
- 開始時:高い武勇の潜在能力を持ちながらも統率力に不安を抱える主従関係であった。
- 契機となった出来事:知略の重要性を説かれ、野盗討伐という重大な任務を与えられた。
- 巻末時:自己変革による目覚ましい成長を遂げ、軍事の中核を担う武将として信頼を深めた。
アルスとフジミヤ三兄弟の関係
- 開始時:街で見かけた風変わりな異国の来訪者であった。
- 契機となった出来事:鑑定スキルにより亡命王族の素性を把握し、領内での滞在に便宜を図った。
- 巻末時:特殊魔道具を操る盗賊団に拉致された彼らの行方を追い、救出を決意する関係へと移行した。
まとめ
元敵将の登用による教育体制の刷新、配下武将の覚醒による戦力強化、そして異国の王族を巡る突発的な事件への対応を通じ、アルス陣営の人間関係と統治基盤はより強固なものとなった。個々の能力を的確に見定めて信頼を築く姿勢が、組織全体の結束と領内情勢の安定をもたらす基盤となっている。
主人公の認識と周囲の評価
アルスの自己認識と周囲からの評価
アルス・ローベントが抱く自己認識と、外部の観察者が下す評価との間には、依然として大きな落差が存在する。領地経営と人材育成が進む過程で生じた内面的な変化と、元敵将トーマスが抱いた驚嘆について整理する。
アルス自身の認識
- 若き領主としての不安や、自身の能力ではなく鑑定スキルに依存しているという自己評価は根強く残る。
- トーマスによる教育を受けて知略を伸ばし、野盗討伐を成功させたブラハムらの成長を目の当たりにし、領主としての歩みに勇気を得る。
周囲からの客観的評価
- トーマスは、リーツ、シャーロット、ロセルといった帝国を二分する規模の大戦でも滅多に揃わない最高峰の人材を、一介の辺境貴族であるアルスが従えている現状を異様な光景と捉えて戦慄する。
- 個々の能力の高さだけでなく、それらの才能を惹きつけて適材適所で束ねるアルスの統御力を高く評価する。
認識の差が現れた場面
- トーマスが、ベルッド侵攻戦における自軍の敗北は単なる不運ではなく、アルスの持つ人を見抜く目によってもたらされた必然であったと悟る。
- 自身の力量を低く見積もるアルスの姿勢とは対照的に、トーマスは姉ミレーユが語った「サマフォース帝国を統べる男」という言葉の真実味をアルスの器量に重ね合わせる。
まとめ
アルス本人は謙虚さと慎重さを保ちながら一歩ずつ成長を実感しているが、客観的な視点ではすでに国家の勢力図を塗り替えかねない規格外の人材集団を率いる指導者として映る。この認識のずれこそが、アルスが奢ることなく人材の価値を引き出し続け、陣営全体の結束と成長を促す要因となっている。
クライマックス:古城の野盗討伐
カナレ領内で発生した大規模野盗集団の討伐戦について、事件の発生背景から討伐作戦の推移、そして判明した政治的背景を整理する。
発生原因と当初の状況
- サイツ州の貴族が、解雇された兵士たちをカナレ領内の古城へと意図的に誘導したことで治安が悪化した。
- 敵勢力は改修された古城を拠点とし、首領ブイゴ率いる大規模な集団を形成していた。
潜入捜査と危機の発生
- 指揮官ブラハムは周囲に斥候を派遣し、副官ザットが単独で古城内部への潜入捜査を実施した。
- ザットによる首領ブイゴの暗殺計画は、傭兵経験が豊富なブイゴに予見され、ザットは絶体絶命の窮地に陥った。
強襲作戦と決着
- ザットは危険を冒しながらも時間稼ぎを敢行し、味方の突入機会を確保した。
- ブラハム率いる本隊が古城へ強襲突入を行い、ブラハム自身が一騎打ちで首領ブイゴを撃破した。
- カナレ軍は味方の被害を最小限に抑えつつ、野盗集団を完全に壊滅させた。
本件の鎮圧により、事件の背後にカナレ領の弱体化を狙うサイツ州の謀略が存在していた事実が明白となった。ブラハムとザットの連携による迅速な対応は、領内の治安維持にとどまらず、隣州からの干渉を退ける重要な防衛実績となった。
巻末時点の状況
カナレ領内における大規模野盗の討伐戦を経て、アルス・ローベントを取り巻く統治体制および安全保障環境は新たな局面を迎えた。領内情勢の安定化とともに浮き彫りとなった新たな懸念事項と今後の課題について整理する。
アルスの立場
- カナレ郡長としての統治体制を維持している。
- 新家臣トーマスによる軍事教育とブラハムの覚醒により、軍事面および内政面の安定をさらに強化している。
解決した問題
- カナレ領内に潜伏していた大規模な野盗集団を鎮圧し、領民の安全を確保した。
継続している問題
- サイツ州が仕掛ける解雇兵を介した間接的な治安悪化工作に対し、警戒を継続する必要がある。
- 拉致されたフジミヤ三兄弟の救出、および商人の間で流通し始めた至宝「龍絶刀」の奪還が喫緊の課題となっている。
野盗の速やかな鎮圧により領内の防衛力と統制力は向上したものの、隣州による謀略や異国の要人を巡る事件など、外部からの干渉は依然として続いている。今後は内政と軍備の充実を維持しつつ、領外に流出した至宝の追跡と要人救出に向けた迅速な対応が求められる。
登場キャラクター
ローベント家(カナレ郡・ランベルク領)
アルス・ローベント
転生者であり、カナレ郡長およびローベント家の当主を務める14歳の少年である。他者の能力や適性を見抜く鑑定スキルを持つ。自身の能力は平凡と自覚し、優れた家臣たちの力を借りて領地の発展を目指す。妻となったリシアを深く愛している。
・所属組織、地位や役職 ローベント家当主。カナレ郡長。
・物語内での具体的な行動や成果 人材募集を行い、ヴァージやエナンを新たに家臣として登用する。ミレーユの提案を受け入れ、敵対していたトーマスとの面談許可をクランへ求める書状を執筆する。成長期にあるブラッハムに実戦経験を積ませるため、野盗討伐の指揮官に抜擢する。町で出会ったフジミヤ三兄弟の才能を見抜き、盗賊団から救出した後に家臣として迎え入れる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 自身を鑑定することはできない仕様である。積極的な人材登用と経済政策により、カナレ郡をミーシアン州内でも屈指の勢力へと急成長させる。
リーツ・ミューセス
マルカ人の青年であり、ローベント家の筆頭家臣である。アルスに対して絶対的な忠誠を誓っている。文武両道の実力者であり、カナレの内政と軍事の双方で中心的な役割を担う。
・所属組織、地位や役職 ローベント家・筆頭側近。
・物語内での具体的な行動や成果 過剰となった魔力水の売却を提案し、人材獲得に必要な資金を確保する。新しく登用されたヴァージを補佐につけ、領民への説得や商談を任せる。傭兵団の相場や性質をアルスに助言し、傭兵団バングルの雇用を後押しする。盗賊団のアジトを突き止めて突入を指揮し、囚われていたフジミヤ兄弟の救出を果たす。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 作中において個別のステータス数値表示はない。家中における絶大な信頼を維持し、領内全体の政務を総括する。
ヴァージ・サマード
パラダイル州の没落貴族出身の青年である。口数が多く調子の良い性格をしている。大陸各地を放浪した経験から、各地の言語や風習に詳しい。
・所属組織、地位や役職 ローベント家・家臣(内政官・リーツの補佐)。
・物語内での具体的な行動や成果 仕官の面談において自己PRを行い、高い政治力を評価されて採用される。リーツの補佐として領民からの苦情処理や外部商人との商談を担当する。書物室へ向かうアルスとリシアに対し、トーマスの勉強会へ参加することを勧める。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 23歳時のステータスは統率31/44、武勇45/51、知略66/74、政治71/90、野心30である。適性は計略B、歩兵C、他はDを示す。優れた弁舌を活かして事業の円滑化に貢献する。
クライツ・ローベント
アルスの実弟である。父譲りの金髪を持ち、活発で体を動かすことを好む。兄のアルスを慕っており、リシアのことも姉上と呼んで懐いている。
・所属組織、地位や役職 ローベント家・次男。
・物語内での具体的な行動や成果 8歳を迎え、休暇中のアルスに元気よく剣の稽古をせがむ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 作中において個別のステータス数値表示はない。武芸の修練に励み、順調な成長を見せる。
レン・ローベント
アルスの実妹である。黒髪で物静かな性格をしている。兄のアルスに対して強い独占欲を抱く。
・所属組織、地位や役職 ローベント家・長女。
・物語内での具体的な行動や成果 アルスと一緒に本を読むことを望み、クライツと張り合う。アルスと結婚したリシアに嫉妬して敵対的な態度をとる。花の育て方を教わる約束を交わし、リシアと徐々に打ち解け始める。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 作中において個別のステータス数値表示はない。知略と内政の資質を保ちながら屋敷で過ごす。
リシア・ローベント(リシア・プレイド)
トルベキスタ領主ハマンドの娘であり、アルスの正妻である。高い政治力と人心掌握術を誇る。アルスを心から深く愛しており、領主の妻としての役割を果たそうと努める。
・所属組織、地位や役職 ローベント家当主夫人。
・物語内での具体的な行動や成果 義妹レンの嫉妬を受け止め、花や読書という共通の趣味を通じて関係を改善させる。アルスと共にトーマスの講義へ出席し、魔法の属性や戦術の知識を熱心に学ぶ。家臣たちを集めた祝宴において、新しく加入したフジミヤ兄弟を温かく出迎える。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 作中において個別のステータス数値表示はない。正式な郡長夫人として家臣や領民から厚い信望を集める。
ミレーユ・グランジオン
ローベント家の軍師兼相談役である。酒と博打を好む豪放な女性である。天才的な知謀を持ち、大局的な情勢判断に長けている。弟トーマスに対して強気な態度で接する。
・所属組織、地位や役職 ランベルク領主代行、ローベント家・軍師。
・物語内での具体的な行動や成果 トーマスを説得するため、アルスの書状を携えて単身アルカンテスへ乗り込む。クランと直談判して面会許可を取り付け、過去の恩義を突いてトーマスをカナレへ連れ帰る。祝宴の席で泥酔し、ブラッハムやマイカに絡んで周囲を困惑させる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 作中において個別のステータス数値表示はない。弟の登用を成功させ、カナレの軍事力強化に大きく寄与する。
トーマス・グランジオン
元バサマーク派の軍師であり、ミレーユの実弟である。生真面目で厳格な性格の武人である。主君バサマークに忠誠を誓っていたため、クランへの仕官を拒絶していた。
・所属組織、地位や役職 カナレ軍・兵士訓練担当(試用期間)。
・物語内での具体的な行動や成果 ミレーユの説得を受けてカナレ城へ赴き、アルスの器量を見極める名目で暫定的に仕官する。兵舎で厳しい訓練を施し、兵士たちの規律と練度を高める。城内の講義室で勉強会を開き、魔法の属性や実戦的な陣形を家臣たちに教授する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 作中において個別のステータス数値表示はない。アルスの家臣団の力量を目の当たりにし、アルスに対する評価を徐々に改める。
エナン・リュージェス
人材募集に応じてカナレ城を訪れた21歳の女性である。前髪で目元を隠しており、極度の対人恐怖症で声が非常に小さい。家族から容姿以外に長所がないと蔑まれて育った過去を持つ。
・所属組織、地位や役職 ローベント家・家臣(セイマーロ工房所属)。
・物語内での具体的な行動や成果 面談で言葉を発せず筆談を試みるが、勘違いから声を絞り出してアルスに謝罪する。兵器適性の高さを見込まれ、シンの工房へ配属される。シンの怒声に戸惑いながらも作業の手伝いを開始する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 21歳時のステータスは統率2/22、武勇12/21、知略56/80、政治4/66、野心0である。適性は兵器S、築城B、水軍B、空軍B、計略C、他はDを示す。飛行船開発の現場で職人としての才能を開花させ始める。
シャーロット・レイス
ローベント家の魔法兵部隊を率いる少女である。自由奔放かつ食欲旺盛な性格をしている。常識外れの絶大な魔力を誇る。部下のムーシャを可愛がっている。
・所属組織、地位や役職 ローベント家・魔法兵隊長。
・物語内での具体的な行動や成果 トーマスの勉強会に出席するが、知識の不足を露呈させた末に居眠りをする。自主練習に励むムーシャを気遣い、魔力水の使用制限を緩和するようリーツに掛け合う。指導に向いていない自覚から、新兵の教育係をムーシャに一任する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 作中において個別のステータス数値表示はない。圧倒的な戦闘力で領内外にその名を轟かせ続ける。
ムーシャ・トリック
ローベント家の魔法兵である。真面目で心優しい性格をしており、自己評価が低い。努力家であり、シャーロットを深く尊敬している。
・所属組織、地位や役職 ローベント家・魔法兵、後に魔法兵隊副隊長格。
・物語内での具体的な行動や成果 トーマスの講義を真剣に受講し、副隊長候補として勉強を重ねる。新人の魔法兵5名に対し、触媒機の実技や魔法発動のイメージをわかりやすく指導する。隊員全体の訓練を担当し、短期間で部隊の総合火力を飛躍的に向上させる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 最新のステータスは統率60/76、武勇77/79、知略51/73、政治56/75、野心32である。部隊育成の功績を称えられ、アルスから金貨20枚の特別報酬を授与される。
ロセル・キーシャ
ローベント家の軍師を務める少年である。優れた記憶力と洞察力を備える。読書を通じて膨大な知識を蓄積している。
・所属組織、地位や役職 ローベント家・軍師。
・物語内での具体的な行動や成果 書物室で新たな兵器や道具の着想を練る。ヨウ国の歴史や地理に関する知識をアルスに解説し、フジミヤという姓がヨウ国の王族のものである可能性を指摘する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 作中において個別のステータス数値表示はない。カナレの政策立案において重要な頭脳として機能する。
ブラッハム・ジョー
カナレ軍の精鋭部隊を率いる武芸者である。単純で喧嘩っ早い性格をしている。かつては戦術を軽視していたが、ザットの指摘を受けて自身の無知を恥じ、勉学に励むようになる。
・所属組織、地位や役職 ローベント家・精鋭部隊隊長。
・物語内での具体的な行動や成果 トーマスの戦術講義に真剣に通い、知略の数値を伸ばす。古城を根城とする野盗集団の討伐を任され、斥候の派遣や潜入工作を指示する。捕らわれたザットを救うべく部屋へ突入し、槍で敵首領ブイゴの心臓を貫いて討ち取る。市場でひったくり犯を追跡して取り押さえる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 ステータスは統率68(後に77)/102、武勇91/92、知略45/61、政治19/55、野心88へと成長する。実戦での成功により統率力を大きく伸ばし、武将としての自信を取り戻す。
ザット・ブロズド
ブラッハムの副官を務める古参の兵士である。数々の修羅場をくぐり抜けてきた経験豊富な現実主義者である。手柄や報酬に目がない一面を持つ。
・所属組織、地位や役職 ローベント家・精鋭部隊副隊長。
・物語内での具体的な行動や成果 模擬戦を通じてブラッハムの成長を実感する。野盗討伐において自ら志願して古城へ潜入し、敵の警戒を解いて門を開く。ブイゴの寝室へ侵入して戦闘となり、負傷しながらも味方の突入まで時間を稼ぐ。新兵クッラの剣術の才能を見出して指導を行う。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 作中において個別のステータス数値表示はない。潜入任務を完遂した功績を認められ、アルスから金貨の特別報酬を下賜される。
リクヤ・フジミヤ
ヨウ国の元王族であり、フジミヤ家の現当主である。18歳の青年で、真面目かつ家族想いな性格をしている。自身の能力を平凡と捉え、コンプレックスを抱く。
・所属組織、地位や役職 ヨウ国フジミヤ家当主、後にローベント家・家臣。
・物語内での具体的な行動や成果 家宝の龍絶刀を携えてカナレに流れ着き、生活のために宿屋で働き始める。マイカを人質にとった盗賊に宝剣を引き渡し、地下牢へ連行される。脱出に際して囮役を買って出た後、メイスで狙われたマイカを身を挺して庇い重傷を負う。回復後にアルスへ忠誠を誓い、正式に家臣となる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 18歳時のステータスは統率60/75、武勇68/75、知略63/75、政治65/75、野心54である。適性は歩兵B、騎兵B、弓兵B、築城B、水軍B、計略Bを示す。万能型の能力を備え、兄弟を束ねる将として歩み始める。
タカオ・フジミヤ
リクヤの異母弟である。16歳の巨漢で、坊主頭をしている。のんびりとした性格で、食事と昼寝を好む。卓越した反射神経と怪力を誇る。
・所属組織、地位や役職 ヨウ国元王族、後にローベント家・家臣。
・物語内での具体的な行動や成果 宿屋で力仕事に従事し、山盛りのまかない飯に満足する。夜間に侵入してきた盗賊に素早く体当たりを食らわせる。地下牢からの脱出戦では素手で複数の盗賊を殴り倒し、圧倒的な破壊力を見せつける。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 16歳時のステータスは統率44/79、武勇90/99、知略12/21、政治10/25、野心12である。適性は歩兵S、騎兵A、弓兵Aを示す。近接戦闘の主戦力として家臣団に加わる。
マイカ・フジミヤ
リクヤの異母妹である。17歳の小柄な少女で、目つきが鋭い。合理的で自信過剰な言動をとる反面、小心者で寂しがり屋な一面を持つ。非凡な知謀を誇る。
・所属組織、地位や役職 ヨウ国元王族、後にローベント家・家臣。
・物語内での具体的な行動や成果 街頭の看板からアルスの鑑定能力の存在を瞬時に推測する。フジミヤ家再興の資金を得るため、宝剣の売却を強硬に主張する。地下牢内で見張りの油断を誘う芝居を打ち、鍵を開けさせる契機を作る。乱戦中にリクヤに庇われて救出され、涙を流して兄の無事を祈る。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 17歳時のステータスは統率12/22、武勇9/15、知略90/99、政治71/91、野心34である。適性は計略S、兵器Aを示す。知略の高さを活かして将来の軍師候補となる。
クッラ
カナレ軍の精鋭部隊に配属された新兵である。細身で小柄な体躯をしている。
・所属組織、地位や役職 ローベント家・精鋭部隊兵士。
・物語内での具体的な行動や成果 当初は動きが鈍くブラッハムから疑問視される。ザットの指導を受けると観察眼と剣術の非凡なセンスを開花させ、体格の勝る先輩兵士を模擬戦で次々と打ち倒す。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 作中において個別のステータス数値表示はない。アルスに見出された隠れた才能を急速に発揮し始める。
サレマキア家(ミーシアン総督府)
ロビンソン・レンジ
クラン・サレマキアの腹心を勤める重臣である。実務能力に長けた冷静沈着な人物である。
・所属組織、地位や役職 ミーシアン総督府・側近。
・物語内での具体的な行動や成果 アルカンテス城を訪れたミレーユを出迎え、クランとの面会を取り次ぐ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 作中において個別のステータス数値表示はない。新体制下の政務の統括に従事する。
クラン・サレマキア
ミーシアン州の総督である。覇気と実力主義を兼ね備える領袖である。アルスの力量を高く評価している。
・所属組織、地位や役職 ミーシアン総督。サレマキア家当主。
・物語内での具体的な行動や成果 アルカンテス城でミレーユと面会し、アルスの書状を読み込む。カナレ郡の防衛力強化を目的とし、トーマスへの面会およびカナレへの引き渡しを許可する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 作中において個別のステータス数値表示はない。ミーシアンの統一を維持しつつ、隣国サイツ州への警戒を怠らない。
セイマーロ工房
シン・セイマーロ
カナレの町で飛行船の開発に情熱を燃やす技術職人である。小柄な体格を気にしており、背の低さを指摘されると激怒する。
・所属組織、地位や役職 技術職人、発明家。
・物語内での具体的な行動や成果 アルスから依頼を受け、初心者のエナンを工房の助手として受け入れる。飛行船の組み立てを順調に進め、祝宴の場で開発の進展を報告する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 作中において個別のステータス数値表示はない。エナンの素質を認め、共同での開発作業を加速させる。
傭兵団グランドール
ウルバート・セオン
200名規模の傭兵団グランドールを率いる団長である。30歳前後の屈強な男で、濃い髭面を持つ。
・所属組織、地位や役職 傭兵団グランドール・団長。
・物語内での具体的な行動や成果 カナレ城を訪れ、過去の戦功を説明して月額金貨15枚での契約をアルスに持ちかける。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 ステータスは統率65、武勇71、知略55、政治45であり、際立った能力や適性はない。割高と判断されて契約を見送られる。
傭兵団バングル
ロック・フランバルト(ロック・シードル)
アンセル州出身の27歳の青年である。整った顔立ちのオールバックの髪型をしている。12人兄弟の家庭で育った経歴を持つ。
・所属組織、地位や役職 傭兵団バングル・団長。
・物語内での具体的な行動や成果 50名ほどの部下を率い、月額金貨5枚の安価な条件でローベント家への仕官を申し出る。契約成立後、治安が悪化していたカナレ西部の州境付近に配備される。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 27歳時のステータスは統率77/85、武勇63/70、知略69/73、政治55/62、野心50である。適性は騎兵A、歩兵B、計略Bを示す。配属直後に野盗退治で戦功を挙げる。
古城の野盗集団
ブイゴ
カナレ北西の廃城を占拠していた野盗集団の首領である。元サイツ軍の兵士で、筋骨隆々の体躯に無精髭を生やしている。
・所属組織、地位や役職 野盗集団・首領。
・物語内での具体的な行動や成果 敗戦に伴いサイツの貴族から解雇された際、教えられたカナレの古城を拠点として勢力を拡大させる。侵入してきたザットを賞金稼ぎと誤認し、伏兵と共に返り討ちを試みる。突入してきたブラッハムに胸を槍で突かれ、絶命する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 作中において個別のステータス数値表示はない。首領の死亡により野盗集団は完全に壊滅する。
カナレの盗賊団
盗賊団のボス
カナレ郡内で強盗や人攫いを繰り返す盗賊団の頭領である。整った身なりをしており、一見すると裕福な商人に見える。
・所属組織、地位や役職 カナレ盗賊団・首領。
・物語内での具体的な行動や成果 音を消す魔道具を利用して犯行を重ねる。奪わせた龍絶刀を商人に安値で売却し、捕らえたリクヤたちを奴隷として売ろうと画策する。脱走騒ぎの最中に突入してきたリーツたちによって拘束される。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 作中において個別のステータス数値表示はない。配下の団員全員と共に捕縛され、地下牢に収容される。
民間(商人・医師・町民)
テーネス・カムチャー
カナレを拠点に活動する30代の商人である。温和な風貌をしている。
・所属組織、地位や役職 カナレ在住の商人。
・物語内での具体的な行動や成果 同業のロブケから金貨80枚で購入した宝剣をアルスに買い取らせようと登城する。盗品の疑いを持たれたため、事情聴取に応じて入手経緯を説明する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 作中において個別のステータス数値表示はない。ロブケから購入代金を返金され、処罰を免れる。
カナレ城の医師
カナレ城に常駐する中年の医療従事者である。白衣を着用している。
・所属組織、地位や役職 カナレ城・医師。
・物語内での具体的な行動や成果 メイスで頭部を強打されて重体となったリクヤの応急処置と治療を担当する。意識を取り戻したリクヤに対し、指の数を数えさせて脳の異常の有無を確認する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 作中において個別のステータス数値表示はない。
ひったくりの男
カナレの市場をうろついていた貧しい身なりの若い男である。
・所属組織、地位や役職 路上窃盗犯。
・物語内での具体的な行動や成果 身なりの良い女性のバッグを奪って逃走を図るが、猛追してきたブラッハムに捕らえられる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 作中において個別のステータス数値表示はない。駆けつけた憲兵に身柄を引き渡される。
カナレの女性町民
カナレの市場で買い物をしていた身なりの良い女性である。
・所属組織、地位や役職 カナレの一般町民。
・物語内での具体的な行動や成果 バッグをひったくられて悲鳴を上げる。犯人を捕まえて荷物を取り戻してくれたブラッハムに深く感謝する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 作中において個別のステータス数値表示はない。
サイツ州総督府・サイツ軍
ボロッツ・ヘイガンド
サイツ州総督の最側近である。先のカナレ侵攻で敗戦したものの、総督から再びカナレ攻略の任務を任されている。
・所属組織、地位や役職 サイツ軍総大将。
・物語内での具体的な行動や成果 カナレの急速な発展と人材獲得を危険視し、軍事侵攻に先駆けてアルスの暗殺を企てる。凄腕の暗殺者「ゼッ」の捜索を家臣に命じ、砦の応接間で面会を取り次がせる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 作中において個別のステータス数値表示はない。アルス排除に向けた秘密裏の工作を開始する。
登場集団
カナレ城の仕官志願者たち
カナレの発展と評判を聞きつけて城に押し寄せた応募者集団である。
・所属組織、地位や役職 平民、没落貴族、職を失った者たち。
・物語内での具体的な行動や成果 城内に招かれてアルスの鑑定を受ける。優秀な才能を示したヴァージやエナンなどが採用を勝ち取る。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 約500名が集まり、カナレの人材増強の基盤となる。
アルカンテス城の門番・見張り兵たち
ミーシアン州都アルカンテス城の警備を担当する兵士たちである。
・所属組織、地位や役職 サレマキア家・城郭警備兵。
・物語内での具体的な行動や成果 ローベント家の封蝋が押された書状を確認し、ミレーユを城内へと案内する。トーマスが収容されている部屋の前に立ち、規則に従って面会に同席する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 厳格な規律を維持して城内の治安を守る。
カナレ城の兵舎・魔法訓練所の兵士たち
カナレ城の近隣施設で訓練を行う常備軍の部隊である。
・所属組織、地位や役職 カナレ軍・歩兵および魔法兵。
・物語内での具体的な行動や成果 トーマスの指導を受けて基礎訓練に励む。シャーロットの強力な爆発魔法に驚嘆の声を上げる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 厳しい指導のもとで組織的な戦術能力と練度を向上させる。
カナレ城講義室の参加者たち
トーマスが主催した勉強会に出席した将校や指揮官候補たちである。
・所属組織、地位や役職 カナレ軍・部隊長および指揮官層。
・物語内での具体的な行動や成果 講義室に集まり、魔法の産地や属性、音魔法を用いた部隊指揮法を学ぶ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 座学を通じて戦術的な視野を広げる。
ブラッハム率いる精鋭部隊の兵士たち
カナレ軍の中から選び抜かれた強者たちで構成される部隊である。
・所属組織、地位や役職 ローベント家・精鋭部隊。
・物語内での具体的な行動や成果 斥候を放って古城の防御構造を調査する。夜襲を敢行して城門から突入し、弓の正確な射撃で起きてきた敵兵を排除する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 味方の犠牲を出さずに野盗集団の殲滅を完遂する。
古城を根城とする野盗たち
カナレ北西の廃鉱山近くの古城に住み着いた武装集団である。
・所属組織、地位や役職 野盗集団。
・物語内での具体的な行動や成果 元サイツ軍の兵士を中核とし、流入者を吸収して城を改修する。夜襲を受けて首領を失い、ブラッハムからの降伏勧告を受け入れて武器を捨てる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 一夜にして壊滅し、捕虜としてカナレ城の牢へ連行される。
カナレ地下アジトの盗賊団員たち
治安の悪い地区の民家の地下に潜伏していた犯罪集団である。
・所属組織、地位や役職 盗賊団。
・物語内での具体的な行動や成果 魔道具で物音を消して犯行を重ねる。脱走を図ったリクヤを取り囲むが、乱入してきたタカオに打ち倒される。リーツ率いる討伐隊の突入を受けて全員が捕縛される。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 カナレ城の地下牢に収容され、組織は完全に崩壊する。
カナレ城の祝宴参加家臣たち
新体制の親睦を深めるために大広間に招集された家臣一同である。
・所属組織、地位や役職 ローベント家・家臣団および関係者。
・物語内での具体的な行動や成果 正装を纏って乾杯を交わし、豪華な料理を味わいながら互いに交流を深める。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 新旧の家臣が団結し、領地発展への士気を高める。
プルレード砦のサイツ軍兵士・家臣たち
ミーシアン国境に位置するプルレード砦に駐屯するサイツ軍の将兵である。
・所属組織、地位や役職 サイツ軍・砦駐屯部隊および幕僚。
・物語内での具体的な行動や成果 カナレの内情を偵察する工作活動に従事する。凄腕の暗殺者を発見し、司令官ボロッツへの面会を仲介する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 カナレ郡に対する新たな謀略の拠点として機能する。
新人の魔法兵たち
アルスの鑑定によって魔法の才能を見出され、新しく採用された5名の兵士である。
・所属組織、地位や役職 カナレ軍・新兵(魔法兵)。
・物語内での具体的な行動や成果 全員が平民出身で魔法の使用経験を持たなかったが、ムーシャの助言を受けて触媒機を用いた実技を習得する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 短期間で魔法の威力を安定させ、実戦要員として育ち始める。
カナレ大通り・市場の商人や町民たち
急速な経済発展を遂げるカナレ城下を行き交う市民層である。
・所属組織、地位や役職 カナレ郡の一般住民および来訪商人。
・物語内での具体的な行動や成果 活気に満ちた市場で食材や各地の特産品を売買する。人口増加に伴い、宿屋や飲食店の需要を支える。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 街の繁栄を享受する一方、治安悪化や貧富の格差といった都市問題に直面する。
展開まとめ
プロローグ
アルス・ローベントは異世界に転生して十四年が経過していた。彼は「鑑定スキル」を使い、リーツやシャーロット、ロセル、ミレーユといった有能な家臣を集め、領地を統治していた。平穏な時期を過ごしていたが、ミーシアン州の後継者争いが激化し、戦に巻き込まれるようになった。戦いの末、アルスは勝利を収めたが、多くの死を目の当たりにし、戦乱の現実を強く実感した。
その後、アルスはカナレ郡長となり、領主としての責任を感じながらも、有能な家臣たちの助けを得て領地を守っていた。しかし、サイツ州からの侵攻により大きな危機に直面し、一時は生きた心地がしなかったものの、最終的にサイツ軍を撃退することに成功した。この勝利により、彼の兄クランが優勢となり、弟バサマークが劣勢となった。ミーシアンを巡る争いはクランの勝利で決着し、アルスは戦乱を経験しながらも、一城の主としての地位を確立した。
アルスはまた、若くして結婚することになり、これまでの平凡な日本での人生とは大きく異なる転生後の人生を振り返っていた。彼は過去の自分が仕事人間であり、趣味もなく結婚もしていなかったことを思い出し、現在の激動の人生に驚きながらも少し疲れを感じていた。ミーシアンが統一されたことで、しばらくは戦が起こらないだろうと考えつつ、アルスは平和の間にカナレを強化し、再び戦が起きたときに簡単に追い払えるような領地に成長させる決意を固めていた。
一章 人材発掘
アルスは領地の強化には優秀な人材を集めることが重要だと考え、人材発掘を積極的に行っていた。彼の「鑑定スキル」を活用し、戦後に各地で人材募集を行い、多くの応募者が集まった。特にサイツとの戦いでの勝利がアルスの名声を高め、500人近くの人々が集まり、カナレ郡に仕官を希望した。アルスはその中から150人を鑑定し、計10名を採用した。
三日後、先着順に変えた募集で、ヴァージ・サマードという没落した貴族出身の男性が面接に現れた。彼は政治力が高く、口が上手な人物であったため、アルスは内政の補佐役としてリーツの下に彼を配属することに決めた。
その後、アルスは家族と過ごす時間を取り、弟クライツと剣の稽古、妹レンとの時間を過ごした。リシアとレンの間に少し距離があったものの、二人はお花を育てるという共通の趣味を通じて仲良くなり、アルスは安心した。
アルスは休暇を終えた翌日、ミレーユの訪問を受けた。ミレーユは弟トーマスを説得し、クランに仕官させたいという目的でアルスに書状を託し、クランに届けることを提案した。トーマスはかつてバサマークに忠誠を誓っていたため、クランの家臣になることを拒否していたが、ミレーユは彼を説得できる自信を持っていた。
ミレーユはアルカンテスを訪れ、アルスの書状をクランに直接届け、トーマスとの面会を許可された。ミレーユはトーマスと面会し、彼に姉としての恩を語り、アルスとの面会を促した。トーマスは当初は頑なに拒否していたが、ミレーユの言葉に心が動かされ、最終的には「少し考えさせてくれ」と答えた。
アルスはミレーユがアルカンテスへ向かっている間、人材発掘を続けていたが、今回も期待に沿う人材は見つからなかった。リーツと話し合いながら、ヴァージがリーツの補佐として役立っていることを確認し、少し安心した。執務中にミレーユが戻り、彼女はトーマスを連れてきた。トーマスはアルスに忠誠を誓うことは拒んだが、試用期間としてしばらくは働くことを承諾した。
その後、トーマスにはカナレ軍の兵士訓練を任せることとなり、リーツの負担も軽減されることが期待された。アルスは人材発掘を続け、最後に兵器適性が高い女性、エナン・リュージェスを発見した。彼女は極度の緊張でコミュニケーションが難しかったが、アルスは彼女の潜在能力に期待して採用を決めた。
アルスは数日後、新しく採用した人材たちと面談を行った。魔法騎兵として採用した二人は問題なく、今後の訓練について伝えた。しかし、エナンは相変わらず声が小さく、会話が困難であったため、筆談に切り替えた。エナンは長い間人と話す機会がなく、声が出なくなったと説明したが、声帯に異常はなく、緊張や環境の影響が原因であった。アルスの励ましにより、エナンは少しずつ声を出すことができるようになり、最終的には声が出るようになった。
アルスはエナンの潜在的な才能を信じ、彼女を飛行船開発を進めるシンの工房で働かせることに決めた。エナンは最初は不安そうであったが、アルスの言葉を信じ、挑戦することを決意した。シンは最初は懐疑的であったが、アルスの保証により、エナンを受け入れ、彼女を育てることを了承した。
アルスはカナレで兵士の訓練を行うトーマスを任命した。トーマスは厳しい指導を行いながらも、カナレの兵士たちの高い練度に感心していた。また、リーツやシャーロットなどの優秀な人材が揃っていることにも驚き、アルスがこれほどの人材を集めたことに対して次第に評価を高めていった。
一方、アルスはサイツ州の不穏な動きに警戒を強め、戦力の増強を考えていた。その際、リーツから傭兵団がカナレに訪れているとの報告を受け、傭兵団グランドールの団長、ウルバートと面会した。ウルバートの能力を鑑定した結果、特に秀でた点はなく、リーツの提案もあり、アルスは今回の契約を見送る決断を下した。
数日後、リーツの予想通り、再び傭兵団がカナレに現れた。今回は三組の傭兵団が同時に訪れ、その中でアルスは「傭兵団バングル」の団長、ロック・シードルに注目した。彼の統率力は非常に高く、特に騎兵としての適性も優れていたため、アルスはバングルと契約を結ぶことを決めた。
契約金は月に金貨五枚と安価であり、ロックも契約を喜んでいた。バングル傭兵団は、サイツ州の近くに配属され、州境の治安維持や野盗対策のために配置された。サイツ州からの攻撃を警戒しつつ、バングル傭兵団の活躍が期待されていた。
二章 ブラッハムの成長
数週間後、傭兵団バングルは野盗退治で戦功を挙げた。アルスは引き続き人材発掘を行い、魔法に長けた人材10人と近接戦闘に優れた12人を見つけた。これにより、魔法騎馬隊の編成が少しずつ進展し、ブラッハムの精鋭部隊の強化も進んだ。
一方で、リーツの予想通り、複数の傭兵団が訪れ、アルスはロック・シードル率いる「傭兵団バングル」と契約を結んだ。契約後、アルスはしばらく人材発掘を休止し、この世界の知識を深めるために勉強を始めた。リシアと共に勉強会に参加し、トーマスの授業で魔法や戦術について学んだ。ブラッハムやシャーロットが勉強不足だと感じられたが、ムーシャが新たに魔法部隊の副隊長に任命され、期待が寄せられた。
ブラッハムは、トーマスの授業を受けた後、これまでの自分の戦術不足に気づき、真剣に勉強を始めた。彼は副官のザットと共に訓練に励むが、過去の戦での失態を思い出し、少しずつ自分の限界を自覚し始めた。これを機に、戦術の重要性を認識し、勉強に真摯に取り組む姿勢を見せるようになった。
アルスはトーマスの授業に参加し、ブラッハムの変化に驚きつつも、その成長を喜んでいた。ブラッハムの知略や統率力が少しずつ向上していることが、アルスの鑑定によって確認された。しかし、急に真面目になったブラッハムは、どこか落ち込んでいる様子も見せていた。アルスはブラッハムの今後の成長を見守ることに決めた。
ザットはブラッハムと共にカナレの訓練所で模擬戦を行い、ブラッハムの成長ぶりに驚いていた。以前は無謀な戦い方をしていたブラッハムが、最近は冷静に指示を出し、戦術を考えるようになっていた。ザットはアルスの鑑定の力を信じ始め、ブラッハムの才能を徐々に認めていた。
一方、アルスは家臣たちとの会議で、ブラッハムに野盗討伐を任せることを提案した。リーツやミレーユは最初反対したが、アルスの信頼を受けて最終的にブラッハムが任務を引き受けることになった。ブラッハムは最初自信を失いかけていたが、アルスの励ましと信頼を受けて決意を固め、野盗討伐に向かうことを決意した。
ザットはブラッハムと共にカナレの訓練所で模擬戦を行い、ブラッハムの成長ぶりに驚いていた。以前は無謀な戦い方をしていたブラッハムが、最近は冷静に指示を出し、戦術を考えるようになっていた。ザットはアルスの鑑定の力を信じ始め、ブラッハムの才能を徐々に認めていた。
一方、アルスは家臣たちとの会議で、ブラッハムに野盗討伐を任せることを提案した。リーツやミレーユは最初反対したが、アルスの信頼を受けて最終的にブラッハムが任務を引き受けることになった。ブラッハムは最初自信を失いかけていたが、アルスの励ましと信頼を受けて決意を固め、野盗討伐に向かうことを決意した。
ブラッハムは、野盗の根城に潜入して討伐作戦を実行した。ザットの指導下で見張り兵を排除し、ブラッハムは精鋭部隊を率いて根城に突入した。ザットは野盗のリーダー、ブイゴを暗殺しようとしたが、ブイゴに見つかり、戦闘に突入した。だが、ザットは冷静に対応し、ブラッハムが到着するまで時間を稼いだ。
ブラッハムは部隊と共にブイゴの部屋に突入し、ブイゴを討ち取った。残りの野盗たちは抵抗を続けたが、最終的に降伏し、捕縛された。ブラッハムは勝利を収め、カナレに帰還した。リーツはブラッハムの成長を称賛し、特別報酬を進言することを約束した。
ブラッハムに与えられた野盗討伐任務は、成功裏に終わった。ブラッハムは野盗のリーダーであるブイゴを討ち取り、被害も最小限で済ませたことで、アルスは彼の成長を確認した。特に統率力が向上しており、今後さらなる成長が期待できると判断された。
ザット副隊長も優れた働きを見せ、彼の作戦立案が討伐の成功に大きく寄与したことから、アルスはブラッハムとザットに特別報酬を与えることを決めた。さらに、討伐の過程で、ブイゴが仕えていたサイツの貴族が古城を教えたという情報を入手し、サイツ州による策略の可能性が示唆された。
リーツは、サイツが今すぐ攻めてくる可能性は低いものの、今後も嫌がらせのような行動が続く可能性があると警戒を促し、アルスは防備を強化することを決めた。
三章 フジミヤ家
アルスはリーツと共にカナレの町を歩きながら人材を探していた。広場で和服を着た三人の異国風の若者たちに出会い、鑑定スキルで彼らの能力を確認した。リクヤ、タカオ、マイカという三兄弟は、それぞれ異なる才能を持っており、特にリクヤは総合力、タカオは武勇、マイカは知略に優れていた。
アルスは三人を家臣として勧誘しようとしたが、リクヤは事情があり家臣になることを拒否した。しかしリーツがカナレでの仕事を紹介する提案をしたところ、三人はそれを受け入れ、翌日カナレ城で話をすることになった。
最終的に、三兄弟はカナレに留まり、今後の展開に期待を持たせる結果となった。
アルスは、リクヤたち三人を家臣に勧誘するため、彼らの母国「ヨウ国」についてリーツと話し合ったが、詳しい情報を持っていなかったため、知識豊富なロセルに相談した。ロセルはヨウ国がサマフォース大陸の南東にある島国で、内乱が頻繁に起こっていること、フジミヤ姓がヨウ国の王族の名前であることを説明した。しかし、フジミヤ姓が一般にも使われているため、彼らが本当に王族かどうかは不明であった。
アルスは、リクヤたちがもし王族であるなら、家臣になることを嫌がる理由が理解できると考えた。貴族に忠誠を誓う家臣になるのは、簡単に抜けられない立場だからである。アルスは彼らの背景を知るためにも、明日再び彼らと会って話をすることを決意した。
アルスはリクヤたち三人をカナレ城に招き、まず仕事を紹介することから話を始めた。三人はそれぞれ特技が異なっていたため、別々の仕事を提案されたが、マイカは一緒に働くことを望んでいた。リクヤは大切にしている宝剣「龍絶刀」を売って資金を得て事業を始めたいという考えがあり、家臣になることを拒んでいた。アルスは再度家臣になることを提案したが、リクヤは王族として誰かの家臣になることに抵抗があった。
結局、三人は宿屋で働くことになり、リクヤは宝剣を売るかどうかまだ決めかねていたが、事業を成功させ、恩を返すことを誓った。
フジミヤ三兄弟はカナレの宿屋で住み込みの仕事をしていたが、マイカは本来の事務作業ではなく力仕事も任され、不満を感じていた。タカオは一方で満足していたが、マイカは早く独立して事業を始めたいと考えていた。彼らは龍絶刀を売って資金を得るかどうかを悩んでいたが、最終的にリクヤは剣を売る決意を固めた。しかし、夜中にタカオが不審者の侵入を察知し、即座に対応して侵入者を撃退した。
リクヤ、マイカ、タカオの三兄弟は、夜中に宿屋で盗賊に襲撃され、マイカを人質に取られたため、龍絶刀を差し出し従わざるを得なかった。その後、三人は盗賊団に連行され、牢に閉じ込められた。盗賊のボスは彼らを奴隷として売るつもりであり、特にタカオは強い武闘士として、マイカは別の目的で売られる恐れがあった。リクヤは脱出を試みようとしたが、見張りが厳しく、焦らずチャンスを待つことにした。
リクヤたちが失踪した後、アルスとリーツはリクヤの龍絶刀が商人を通じて市場に出回っていることを知り、盗賊による盗難の可能性を疑い調査を進めた。リクヤたちは一方で盗賊団に捕らえられ、牢に閉じ込められていたが、リクヤは自らが囮となってマイカとタカオを脱出させようとする作戦を立てた。しかし、計画は狂い、リクヤは命をかけてマイカを守るため頭に致命的な打撃を受けてしまう。その直後、リーツが救援に駆けつけた。
リクヤたちは盗賊団に攫われ、龍絶刀も盗まれていたことが判明した。アルスとリーツは盗賊団を見つけ、一網打尽にすることに成功し、リクヤたちを救出した。タカオとマイカは無事だったが、リクヤは頭に大怪我を負い、意識不明となっていた。治療は困難だったが、数時間後にリクヤは意識を取り戻し、カナレ城で目を覚ました。マイカは泣きながらリクヤに抱き着き、彼の無事を喜んだが、同時に心配をかけたことに対して叱責した。
リクヤは意識を取り戻し、数週間後には完全に回復した。彼の持っていた龍絶刀も無事に返還され、盗品と知って関与していた商人ロブケは、カナレで商売を禁止された。リクヤは恩返しのため、兄弟とともにローベント家の家臣になることを希望し、アルスにその願いを伝えた。アルスはその申し出を受け入れ、リクヤ、マイカ、タカオの三人が新たに家臣となった。マイカは野心を抱き、アルスをサマフォース帝国の皇帝にし、ヨウ国を取り戻す計画を提案したが、アルスはそれを拒み、ただ平和に生きたいと述べた。
エピローグ
アルスは数ヶ月の間に、多くの有能な人材を見つけ出し、家臣として迎え入れていた。リクヤやマイカ、タカオといった新たな家臣が加わり、さらに傭兵団との契約も成立したことで、勢力は着実に強化されていた。人材が増えたことで、親睦を深めるためにカナレ城で祝宴を開催し、家臣たちの間で交流を促進する機会を設けた。
祝宴当日、リーツが挨拶をし、家臣たちは乾杯を行った。新たに加わったリクヤたち兄弟や、他の家臣たちが交流を深める中で、少しの緊張や笑いもあったが、全体的に和やかな雰囲気だった。アルスはリクヤ兄弟に対して彼らの出身や経歴について質問され、リクヤがヨウ国出身であることを説明した。ミレーユが少し問題を起こしそうだったが、大事には至らず、家臣たちの親睦も深まった。
こうして祝宴は無事に終わり、アルスは家臣たちの成長と協力に感謝し、今後もさらに多くの人材を迎え入れ、同様の機会を増やす必要があると考えていた。
ボロッツ・ヘイガンドは、先の大戦で敗北したにもかかわらず、サイツ総督から再びカナレ攻略の任を与えられていた。アルス・ローベントを味方にすることが難しいと判断し、ボロッツと総督は彼を暗殺する計画を立てていた。しかし、カナレ郡は優秀な家臣や経済発展により急速に成長しており、力押しでは成功しないと考えたボロッツは、暗殺者を雇うことに決めた。
凄腕の暗殺者「ゼツ」を探し出し、交渉するために調査を進めていたが、なかなか報告が返ってこなかった。焦るボロッツのもとに、ついにゼツを見つけたとの報告が入り、ボロッツはすぐに交渉に向かった。こうして、アルスを暗殺するための計画が本格的に動き始めた。
番外編 ムーシャの成長
ムーシャは、魔法訓練所で自主的に魔法訓練を行っていた。訓練休みの日であり、他の魔法兵はいなかったが、ムーシャは魔力水を使わずに呪文の練習を続けていた。そこへシャーロットが訪れ、魔力水の使用制限が緩和されたことを伝えた。ムーシャは魔力水を使った訓練を始め、ファイアバレットの威力も向上していたが、シャーロットの強力な魔法にはまだ及ばなかった。二人はその後、一緒に訓練を行い、ムーシャは成長を実感しつつも、シャーロットの実力に感嘆していた。
訓練が終わり、ムーシャは明日から新人の魔法兵が加わることを話題にし、シャーロットはそのことを忘れていたが、教える役割を担うことを確認した。ムーシャは新人たちに対して、自分がサポートできるよう努力しようと決意した。
翌日、カナレ城の魔法訓練所に新人の魔法兵5人が集まり、シャーロットが挨拶を行った。新人たちはシャーロットの評判を知っており、恐怖を抱いていたが、挨拶を聞いて安心した。訓練が始まり、彼らはアルスの鑑定により魔法の才能を持っていたため、初めての魔法でも高威力を発揮したが、シャーロットほどの力には及ばなかった。
シャーロットの指導は曖昧で、新兵たちは戸惑ったが、ムーシャが適切に補足説明を行い、新人たちは成長を遂げた。ムーシャの指導に感謝する新人たちを見たシャーロットは、魔法兵の教育をムーシャに一任すると決めた。ムーシャは最初は不安だったが、最終的にその役割を引き受け、他の兵士にも指導を始めた。
ムーシャの指導により、魔法兵たちの実力は短期間で大幅に向上し、彼女自身も成長を遂げた。シャーロットはムーシャの進歩に驚き、今後の指導を続けるように頼んだ。ムーシャはその責任を受け入れ、引き続き頑張ることを誓った。
定例会議の日、シャーロットはムーシャの指導により魔法兵たちが大きく成長したと報告した。ムーシャは元々魔法の才能があると見抜かれていたが、教える才能もあることが分かった。ムーシャ自身も指導を通じて成長し、ステータスが大幅に向上していた。
アルスがムーシャを改めて鑑定すると、統率や武勇が大きく成長しており、特に武勇は限界に近づいていた。魔法兵としての重要性が高まったムーシャは、将来的には魔法兵を率いる可能性があると評価された。アルスはムーシャの功績に感謝し、特別報酬として金貨二十枚を与えることを決定した。
番外編 2 ブラッハム、ザットの日常
カナレ軍の練兵場で、ブラッハムが率いる精鋭部隊が訓練を行っていた。新兵のクッラは、当初は身体能力も低く、武器の扱いも下手だったため、ブラッハムは彼に才能がないと思っていた。しかし、数日後、クッラは模擬戦で次々と大柄な兵士たちを倒し、驚異的な成長を見せた。
クッラの強さの秘密は、優れた観察眼と剣の扱いに非凡なセンスがあったことで、相手の動きを先読みし、少ない力で大きな威力を生み出していた。ザットの指導によってクッラの才能が開花し、ブラッハムもアルスの鑑定力の凄さを改めて感じた。クッラの身体能力がさらに向上すれば、将来は非常に強力な戦士になるだろうと見込まれていた。
ブラッハムとザットは訓練の休日にカナレの街を散策していた。彼らは市場を訪れ、ブラッハムは珍しい武器を購入し、ザットは酒を手に入れた。その途中で、泥棒が女性のバッグを奪う場面に遭遇し、ブラッハムは素早く犯人を追い詰め捕まえた。犯人を憲兵に引き渡し、街の治安について話し合った。
ブラッハムは、カナレの急成長による人々の生活環境の変化や治安の問題を憂いながらも、ローベント家の指導力と優秀な人材によって、カナレがより豊かな街になることを信じていた。
同シリーズ
小説
その他フィクション

Share this content:










コメント