第五部 女神の化身11レビュー
第五部 女神の化身
本好きの下剋上 全巻まとめ
どんな本?
『本好きの下剋上 第五部「女神の化身」』は、香月美夜 氏によるライトノベル「本好きの下剋上」シリーズの第五部。
この部では、主人公マイン(ローゼマイン)の成長と彼女が直面する様々な挑戦が描かれている。
特に、貴族院での生活と彼女が持つ特別な魔力が物語の中心になる。
この部では、ローゼマインが家族を失った子供たちを救うために奔走する様子や、貴族社会の中での彼女の立ち位置や役割について詳しく描かれている。
また、聖女伝説が広まり、神々のご加護を得る儀式でローゼマインの特別な魔力が示され、周囲からの注目が集まる様子が描かれている。
さらに、図書館に関する謎やローゼマインの宿敵であるゲオルギーネとの対立など、様々な要素が物語を彩る。
読んだ本のタイトル
本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第五部「女神の化身XII」
著者:香月美夜 氏
イラスト:椎名優 氏
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あらすじ・内容
「第五部 女神の化身」ついに完結!
本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第五部「女神の化身12」
大人気ビブリア・ファンタジー最新刊!
古代の大規模魔術の成功と引き換えに、意識を失ったローゼマイン。フェルディナンドと魔力を繋ぎ、女神に断たれた記憶の海を辿ってゆく。
領主の養女として旅立つ以前、兵士の娘だったあの頃。大切に育ててくれた家族、愛してくれた彼ら――。下町の人々との思い出が蘇る。
「……みんな……大好き」
そして、始まる建領のための忙しい毎日。ユルゲンシュミット初の未成年領主の就任によって、図書館都市アレキサンドリアの歴史が幕を開ける。
「皆様に祝福を!」
全てを夢物語では終わらせないビブリア・ファンタジー完結!
大増書き下ろしに加えて、椎名優描き下ろし漫画「四コマ」「アレキサンドリア~ある晴天のバルコニーにて~」を収録!
前巻からのあらすじ
ローゼマインの身体に女神が再度降臨しようとして、フェルディナンドが妨害する魔道具を装備させていたせいで、神々がムキになって神気をローゼマインに注ぎ込んでしまった。
そのせいで、ローゼマインは神気で身喰い状態となってしまい。魔力を減らす事を積極的に行わないといけなくなった。
アーレンスバッハ改。
アレキサンドリアの領主となるべくローゼマインは荒廃している領地に祝福をドンドン振り撒く。
さらに海にも祝福を放って領民達は歓呼の声をローゼマインに捧げる。
さらにローゼマインの神の気に染まった魔力を狙って襲って来る魔物を護衛騎士達と共に、ローゼマインの魔力でチャージしては直ぐ放ってまたチャージするとドンドン討伐して行く。
そうして魔力をドンドン使うが、寝てしまうと神の気に染まった魔力が回復してしまうので、、
寝れない。
腹も減るが食べられない。
元々虚弱体質だったローゼマインには辛い状態。
まるで身喰いの時のようになって行って行く。
それでも魔力を使わないといけないローゼマインは、大規模な魔法を行使して魔力を早く消費する。
感想
本編が完結した。
大円団のハッピーエンドだった。
神が身体に降臨したせいで神気が溢れて、いつ身体が神気に耐えられず壊れてしまうかわからない状態になったローゼマイン。
身体に多大な普段が掛かる魔力枯渇をさせないと、神気が抜けないと知ったフェルディナンドはローゼマインに神気色々と使わせようと。
アレキサンドル全体を祝福する大規模な祝福を行使してローゼマインの中で満ちていた神気を使い果たし、神気の身喰い状態を解消するが、、
神気(魔力)切れはローゼマインの身体には負担なので、急いで魔力を補充する必要があった。
そのため、急いでフェルディナンドは自身の魔力でローゼマインに魔力を補充するが。
ローゼマインは全く目を覚さない。
記憶を繋ぐ魔道具を使用して、ローゼマインと繋がり彼女の意識を覚醒させたが、神によって封印された下町の家族の事をローゼマインは全く思い出せな状態だった。
その記憶を取り戻させるため、フェルディナンドの目線から見たローゼマインの下町の家族を彼女に見せるが、ローゼマインの記憶は戻らない。
徐々に過去に遡り。
ルッツとその両親のシーン。
その後に前世の記憶も混ぜて髪飾りの所まで記憶を遡って、やっとマインだった頃の記憶を取り戻す。
この記憶の遡行の時に時々出るフェルディナンドの記憶が苦々しく、親が心配してくれるルッツに羨望的になったりとフェルディナンドが心から信頼の出来る家族を熱望していた事も発覚。
そうして現実世界に戻って来たローゼマインとフェルディナンドだったが、、
突然フェルディナンドが平民のマインに戻るか、元アーレンスバッハで現アレキサンドルの女領主となってフェルディナンドを伴侶にするか、王族に頼んで別の男と結婚するか選べと言って来る。
恋慕という意味ではあまりフェルディナンドの事を思ってないと言うローゼマイン(別視点では無自覚なだけ)だったが、フェルディナンドが心から信頼出来る家族を持つ事を熱望している事を知ったばかりの彼女はフェルディナンドと婚約する事を決める。
そうして、ローゼマインはアレキサンドルの女領主となる事を決めるのだが、、
元々は中央で王族の婚約者となって王族になる予定で動いていたのに、紆余曲折あってアレキサンドルの領主となる事が決まった。
準備していた事が全て変更となり、エーレンフェストで色々と準備をしなおさないといけなくなった。
さらに、中央でもアーレンスバッハの礎の魔術を染めてアレキサンドルへと変えた事の手続きを領主会議で承認してもらわないといけなくなっていた。
その準備をアレキサンドルとエーレンフェストで行い。
領主会議では中位、下位の領主から未成年の領主(アウブ)となるのは反対だと言われ猛反発を受けていたが、アーレンスバッハの礎の魔術を染めた本人であり。
未成年だろうが実力で領地を奪った事は事実。
学生だから資格が無いと言う者には、ツェントになるための資格、グリトリスハイトを持っているためユルゲンシュミットの知識も充分だと証明したら。
反対していた領主は全員黙ってしまった。
そうして、アレキサンドルの領主(アウブ)となったローゼマイン。
アーレンフェストでは契約魔法でお互い家族とは言えなかったが、アレキサンドルでは無効となったので、ルッツの成人の儀を行った後に、下町の家族の下に突撃。
驚く一同を横目にフェルディナンドを家族に紹介して、弟のカミルを可愛がれなかった分を取り返すためにベタベタしたりと大円団となって終わった。
最後までお読み頂きありがとうございます。
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第五部 女神の化身11レビュー
第五部 女神の化身
本好きの下剋上 全巻まとめ
考察・解説
古代大規模魔術の復元
『本好きの下剋上』の終盤において、ローゼマインが体内に宿した危険な「神々の御力」を手放す(魔力枯渇させる)ために実行された、領地全体を一度に癒す超大規模魔術「古代大規模魔術の復元」について解説する。その発案から、前代未聞の準備プロセス、そして驚異の決着に至るまでの経緯は以下の通りである。
発案のきっかけと古代魔術の応用
神々の過剰な魔力が原因で体内に飢餓感(枯渇への欲求)を覚え始めたローゼマインは、効率的に魔力を消費する手段を模索していた。
・一気に魔力を使い切る手段として、癒しの魔法陣を「コピーシテペッタン(コピペ魔術)」で複数同時に展開し、領地全体へ注ぎ込む術式をフェルディナンドへ提案した。
・フェルディナンドは当初、貴族院全域を覆っていたような超巨大な魔法陣を、一領地の規模にまで拡大して展開することは魔力効率の観点から不可能であると考えた。
・しかしローゼマインは、フェルディナンドが所持していた「エアヴェルミーンの欠片(白い枝)」を核とし、自身の中にある膨大な神々の御力を注ぎ込めば、失われた古代の大規模魔術を完全再現できることに気が付いた。
術式の構築と周到な準備
フェルディナンドはこの独創的なアイデアを検証・補正し、領地全体の魔術的ネットワークを利用した現実的な術式へと昇華させた。
・領地の「礎の魔術」を起点とし、国境に点在するすべての「境界門」を終点(結節点)として配置すれば、新領地アレキサンドリアの全土を癒しの魔法陣で覆うことができると計算した。
・基点の作製:ローゼマインは、自身の魔力の塊であり全属性を備えた虹色魔石(魔力を高めるために自身の騎獣を潰して作製した特別な盆状の魔石)を用意し、その中央へエアヴェルミーンの白い枝を突き刺すことで、大規模魔術の核となる専用の魔術具を完成させた。
・コピペ魔術による時間短縮:本来であれば何日もかけて緻密に描くべき、複雑な構成の癒しの魔法陣や、枝をシステムに組み込むための特殊な魔法陣の数々を、ローゼマインの「コピーシテペッタン」によって一瞬で魔石へ精密に書き写し、準備時間を大幅に短縮した。
礎の間での魔術発動
すべての準備を整え、アレキサンドリアの城の最奥にある礎の間において、ついに古代魔術の起動が試みられた。
・ローゼマインが盆状の魔石に手を当てて全力で魔力を注ぎ込むと、盆の中に液状の魔力が急速に満ち、鏡のような水鏡へと変化した。
・同時に、真っ白であったエアヴェルミーンの枝が全属性の魔力を吸い上げて鮮やかな虹色に染まり、そこから放たれた極太の光の奔流が天井へ向かって真っ直ぐに立ち上った。
・礎の間を媒介した魔力は供給の間を経由し、上空へと展開される。水鏡の表面には、美しい貴族街や活気ある下町、暗い海、そして遠く離れた各境界門の景色が次々と映し出され、領地の上空を覆い尽くすほどの巨大な魔法陣が網の目のように広がっていく様子が克明に確認された。
領民の祈りと奇跡の再生
この神代の魔術を完全に定着させ、領地全土を隈なく満たすためには、術者の魔力だけでなく、土地に生きる者たち全員による「祈り」が不可欠であった。
・側仕えのハルトムートや文官たちは、拡声の魔術具を最大限に駆使して領地中に声を響かせ、貴族だけでなく漁師をはじめとする平民の領民にまで「女神の化身であるローゼマイン様に祈りを捧げましょう」と強く呼びかけた。
・突然の要請に住民たちは当初戸惑いを見せていたが、新アウブとなった少女が自らの身を削り、領地を救うために大規模な魔術を執り行っている事実を知ると、その誠実さに胸を打たれた。
・やがて貴族も平民も関係なく、領民たちの心が完全に一つとなり、街全体が震えるほどの真面目で強烈な祈りの声がユルゲンシュミットの夜空へ響き渡った。
・領民の祈りが最高潮に達し、上空の魔法陣が完全に結合した瞬間、まばゆい光を放った文様は、無数の瑞々しい緑色の光の粒へと姿を変え、恵みの雨のように領地全土へ降り注いだ。
・この古代大規模魔術の恩恵により、長年の魔力不足と戦乱で痩せて硬く干からびていたアレキサンドリアの土壌は、一晩にしてふっくらとした柔らかな黒土へと生まれ変わり、瑞々しい草木が生い茂った。さらに、不純な交易によって濁り果てていた海は、底まで透き通る本来の美しい海へと劇的に再生を遂げた。
・すべての神々の御力をこの領地再生に注ぎ込んだローゼマインは、狙い通り魔力枯渇の限界を迎えてその場に倒れ込み、意識を喪失した。しかし、これにより「神々の御力によって肉体が崩壊する」という最悪の破滅を回避し、フェルディナンドによる命懸けの魔力の染め直し(同調と保護)の工程へと無事に移行することが可能となった。
まとめ
アレキサンドリアで実行された古代大規模魔術の復元は、ローゼマイン自身の生命の危機を救うための魔力枯渇処理でありながら、結果として不毛の地と化していた領地を瞬時にして豊かな理想郷へと蘇らせる奇跡の一手となった。前代未聞のコピペ魔術による術式構築、大領地ダンケルフェルガーすら驚愕する魔力の規模、そして貴族と平民の垣根を越えた領民全員の祈りの融合は、まさに「女神の化身」と称されるに相応しい伝説として、新領地の歴史に深く刻まれることとなった。
神々の御力の消去
『本好きの下剋上』の物語終盤において、ローゼマインが抱えることになった「神々の御力」を消去するための一連のプロセスは、彼女の命を救うための極めて過酷な試練であった。その詳細な経緯や実行された手段について以下に解説する。
神々の御力がもたらした危機
始まりの庭において、ローゼマインは英知の女神メスティオノーラをその身に降臨させた。
・フェルディナンドの作った魔術具によって女神の降臨が防がれた際、その妨害を前提として複数の神々が祝福の力を力任せに注ぎ込んだ。
・その結果、人の身には過ぎた強大な力がローゼマインの体内に宿ってしまった。
・複数の神々の御力が体内で反発し合って暴れ、ローゼマインに体がバラバラにちぎれるような耐え難い激痛をもたらした。
・英知の女神によれば、時間が経って魔力が回復すると共に神々の御力も増幅し、再び激しい苦痛が戻ってくるという非常に危険な状態であった。
御力消去の条件
この過剰な祝福という名の「呪い」を打ち消すための唯一の方法は、迅速かつ確実な手順を必要とした。
・体内の魔力を枯渇寸前まで一気に使い果たすことが絶対条件であった。
・魔力を使い切った直後に、他者の魔力で全身を染め直す必要があった。
・フェルディナンドは自らの魔力でローゼマインを染め直そうと試みたが、体内に宿る神々の御力の反発がひどく、魔力が枯渇寸前になるまで減らさなければ染め替え自体が不可能な状態であった。
魔力枯渇への苦闘
ローゼマインとフェルディナンド達は、魔力を強制的に枯渇させるためにあらゆる手段を講じた。
・国の礎の染め替えと境界線の引き直し:ユルゲンシュミットの国の礎を満たし、境界線の引き直しを行ったが、それでも御力は四分の一ほど残る結果となった。
・アーレンスバッハの癒し:荒廃したアーレンスバッハの採集場所の癒しや、空中で騎獣に乗りながら聖杯から魔力を撒き散らす魔力散布祈念式を実行した。
・神具への魔力注入:ローゼマインの体力が限界を迎え、眠るだけで魔力と神々の御力が回復してしまうため、寝ている間にも魔力を消費できるよう、神具に魔力を込めて側近達に魔獣狩りや土地の癒しを行わせた。
・これらの手段を尽くしても神々の御力は回復が早く、ローゼマインは眠ることも食事をとることも恐れるようになり、体力と魔力のどちらが先に尽きるかという極限状態に追い詰められた。
古代大規模魔術による決着と染め直し
少しずつ魔力を使っても追いつかない状況を打破するため、最終手段として実行されたのが「古代大規模魔術の復元」である。
・エアヴェルミーンの枝の欠片を基点とし、アレキサンドリア全土を癒しの魔法陣で覆うという前代未聞の魔術に、ローゼマインはありったけの魔力を注ぎ込んだ。
・領民たちの祈りが集まり魔法陣が完成した瞬間、ローゼマインは激しい飢餓感と共に魔力枯渇の限界を迎え、ついに意識を手放した。
・ローゼマインが気絶した直後、待機していたフェルディナンドは即座に同調薬と自身の魔力を液状化させた薬を彼女に飲ませた。
・さらに記憶を覗く魔術具を使って魔力を流し込み、意識を完全に同調させた。
・加えて、神話における「呪い返し」の手段として、かつてローゼマインから得た全属性の祝福を彼女自身に返し、神々の御力を打ち消すという決死の処置を行った。
まとめ
これらの複合的で命懸けの処置により、ローゼマインの魔力はフェルディナンドの魔力によって完全に染め直され、体内に残っていた神々の御力は無事に消去された。ローゼマインは激しい苦痛から解放され、銀色の布で魔力を遮断する必要もなくなり、本来の平穏を取り戻すことができたのである。人知を超えた神々の御力という脅威に対し、アレキサンドリア全土を巻き込んだ大規模魔術の行使と、フェルディナンドの緻密かつ迅速な執念が実を結んだ、物語の重大な転換点となる一幕であった。
家族の記憶の回復
『第五部 女神の化身』の終盤において、英知の女神の降臨によって失われたローゼマインの「家族の記憶」が、フェルディナンドの命懸けの尽力によって回復(繋ぎ直し)されるまでの経緯を解説する。
記憶欠落の原因と影響
ローゼマインは、始まりの庭で英知の女神メスティオノーラを降臨させた際、女神が身体を借りやすくする(図書館に留めておく)ための代償として、「読書に対する執着より深く心の内に入り込んでいる記憶」への繋がりを断たれてしまった。
これにより、以下の記憶が抜け落ちてしまうことになった。
・下町の家族(ギュンター、エーファ、トゥーリ、カミル)やルッツ、本作りに関する記憶
・魔石恐怖症の原因となったような、強烈な恐怖や苦痛を伴う悪い記憶
記憶を繋ぐ方法の模索
英知の女神によれば、断たれた記憶を取り戻すには「記憶を共有している者に魔力を流されながら、何かしらのきっかけを与えられる」必要があった。
しかし、ローゼマインの家族は魔力を持たない平民であるため、彼ら自身が魔力を流すことは不可能である。そこでフェルディナンドは、魔力枯渇状態の彼女を自身の魔力で染め直した後、「記憶を覗く魔術具」を使用して意識を同調させ、自分が知る限りの「彼女と家族の記憶」を視覚・感情を通して見せることで、きっかけを与えるという方法をとった。
同調による記憶と感情の共有
同調した意識の中で、フェルディナンドの視点から様々な過去の光景が再生されていく。
・両親の無償の愛:神殿長室で、平民でありながら命懸けでマインを庇い、前神殿長に抗ったギュンターとエーファの姿。
・家族の和解:ルッツが家族と話し合い、愛情を確かめ合って和解した時の様子。
・麗乃時代の温もり:麗乃時代の母親が作った手芸品や、愛情のこもった手作りの和食の食卓。
・トゥーリの愛情:トゥーリが作った髪飾りを、優しく愛情深い眼差しで着けてくれた時の光景。
この同調を通して、ローゼマインは自分がどれほど深く家族に愛されていたかを実感する。それと同時に、フェルディナンド自身が彼らの家族の絆に対して強い羨望や憧れを抱き、平民の家族から彼女を引き離したことに深い苦渋や罪悪感を抱えていたという、彼の痛切な本心まで知ることになった。
祝福の光と記憶の完全な復活
映像を見てもあと一歩で繋がりきらずにもどかしい思いをするローゼマインであったが、最後に決定的な場面が訪れる。
それは、神官長室で家族と別れを告げた際、家族を思うあまり魔力を溢れさせ、無意識のうちに「全属性の祝福」を紡ぎ出して部屋中に光を降らせた瞬間の記憶であった。
その美しく舞う祝福の光を見た瞬間、せき止められていた記憶が一気に繋がり始める。家族と過ごした日々、紙ができた喜びだけでなく、トロンベ討伐や敵の襲撃など、強い感情を伴う恐怖や苦痛の記憶までもが全て蘇った。
まとめ
記憶の奔流から目を覚ましたローゼマインは、自身が目覚めないのではないかと限界まで気を揉み、絶望的な焦燥感に駆られていたフェルディナンドに強く抱きしめられ、「よかった」という安堵の言葉を受け取る。こうして彼女は、自分にとって何よりも大事な家族の記憶と絆を無事に取り戻すことができたのである。
フェルディナンドとの婚約
『本好きの下剋上』の物語において、フェルディナンドの「婚約」は二段階の大きな展開を見せる。最初はアーレンスバッハの次期アウブであるディートリンデとの政略結婚であり、その後、ローゼマインがアーレンスバッハの礎を奪取したことで、対象がローゼマインへとスライドする形で婚約が結ばれる。
ディートリンデとの王命による婚約
第四部の終盤の領主会議において、王命によりフェルディナンドとアーレンスバッハの領主候補生ディートリンデとの婚約が決定したことがエーレンフェストに報告された。
この婚約の背景には、以下のような事情や政治的思惑が存在する。
・アーレンスバッハの深刻な魔力不足や、アウブ・アーレンスバッハの余命が長くないこと
・次期アウブとなる未成年のディートリンデを執務面で支え、次々期アウブのレティーツィアを教育する優秀な人材が必要だったこと
・フェルディナンドの特異な出自(アダルジーザの実)を知る中央騎士団長のラオブルートの思惑により、将来的な王位簒奪を警戒した王族が、彼をエーレンフェストから引き離して大領地であるアーレンスバッハの婿として縛り付けようとしたこと
フェルディナンドは、先代アウブ・エーレンフェストとの「ジルヴェスターを補佐する」という最後の約束を守り抜き、エーレンフェストを危険に巻き込まないようにするため、この理不尽な王命を受け入れたのである。
王命のスライドとローゼマインとの婚約
第五部の終盤、ディートリンデ達がランツェナーヴェと結託して反逆を起こした際、ローゼマインは瀕死のフェルディナンドを救出するためにアーレンスバッハの礎の魔術を奪取し、自らが新たなアウブとなった。
トラオクヴァールから下された王命は「執務経験のない次期アウブ・アーレンスバッハに婿入りして執務を全面的に補佐すること」であったため、次期アウブがディートリンデからローゼマインに変わったことで、王命の効力がそのままスライドし、フェルディナンドの婚約者は自動的にローゼマインへと変更されることになった。
フェルディナンドの思惑とローゼマインの決断
この王命のスライドは偶然ではなく、フェルディナンド自身がローゼマインとの繋がりを失わないために、王命の婚約を利用して自ら計画したものであった。彼は、下町の家族とローゼマインが持つような「家族同然の細い繋がり」を渇望しており、彼女を自分の本当の家族にするためにこの方法が最も効率的で実現性が高いと判断したと語っている。
一方のローゼマインは、突然の展開や男女の恋愛感情(懸想)というものに戸惑い理解できなかったものの、フェルディナンドを家族同然の師や保護者として深く信頼していた。彼が側にいるだけで安心できることや、彼が望む研究所を作り、おいしい料理を食べさせて幸せにしたいという思いから、この婚約を前向きに受け入れた。
まとめ
その後、新領地アレキサンドリアの大広間において、エーレンフェストの親族や多数の貴族達が見守る中で正式な婚約式が執り行われた。
ローゼマインからは「貴方のマントに刺繍をさせてください」という、家族でなければできない行為を望む言葉が刻まれた魔石が贈られた。フェルディナンドからは、ローゼマインを全ての女神になぞらえた詩的な求婚の言葉と共に、「アレキサンドリアの領地ごと君を守る」と刻まれた全属性の魔石が贈られた。
フェルディナンドが決してできない約束はしない性格であることを知っているローゼマインは、この真摯な誓いの言葉に感極まって涙を浮かべる。フェルディナンドがその涙を素早く袖で隠して拭ったことで、会場の女性貴族達からは歓声とも悲鳴ともつかない声が上がり、熱狂に包まれる中で二人の婚約が正式に成立したのである。
アレキサンドリアの礎と統治
『本好きの下剋上』の物語終盤において、ローゼマインがアーレンスバッハの礎を奪取したことで新たな領地「アレキサンドリア」が誕生した。本記事では、この新領地における礎の管理体制や、図書館都市を中心とした独自の統治方針について詳しく解説する。
アレキサンドリアの誕生と象徴
ローゼマインが礎を奪ったことにより、外患誘致の罪を犯した旧アーレンスバッハは解体され、新たな領地「アレキサンドリア」として生まれ変わった。新領地を象徴する基本情報は以下の通りである。
領地名の決定
ローゼマインは「巨大図書館と薬草園があった古代都市(アレキサンドリア)」と「印刷と交易の都市(ベネツィア)」の2つを候補として提案した。しかし、ベネツィアは敵国ランツェナーヴェと響きが似ているというフェルディナンドの指摘を受け、最終的にアレキサンドリアに決定した。
領地の色と紋章
領地の色は、ローゼマインの髪色(闇の神の祝福の色)である紺色に定められた。また、紋章には彼女の理想を体現する「本と図書館の魔術具(シュミル)」が配置された。
礎の再設定と防衛
ローゼマインは創造魔術(エントヴィッケルン)を用いて図書館都市の街並みを創り出した後、礎の間に至る扉の仕掛けを新しく再設定した。領地の最高機密である礎を守るため、厳重な防衛策が講じられている。
古語による設問
次代の領主(アウブ)にも図書館への理解と敬意、そして古語の知識を求めるため、扉のパスワードには古語で「ランガナタンの図書館五法則」を問う設問を設定した。
間違えた場合の罰則
生ぬるい設定を避けるため、旧アーレンスバッハ時代と同様に、認証に失敗した場合は強力な「呪い」が発動する仕組みを維持し、不審者の侵入を徹底的に防いでいる。
図書館都市としての街づくりと新産業
アレキサンドリアの都市開発は、領主一族の居住区や研究施設を中心とした貴族街と、下町の人々が生活する平民街に分けて再開発が進められる。
都市の構造
貴族街は、城と広大な円形図書館、そしてフェルディナンドの研究所を中心として整備される。一方、平民街は神殿や商業ギルドを中心とした配置となる。
産業と外交の方針
旧アーレンスバッハ時代にランツェナーヴェとの取引に依存していた外交体制を断ち切るため、しばらくの間は国境門を閉鎖する方針を採る。交易による経済的優位性が失われる代わりとして、以下の新産業を育成することを貴族たちに宣言した。
・エーレンフェストからグーテンベルクたちを呼び寄せて展開する製紙業および印刷業
・香辛料や砂糖の栽培研究
・豊かな海産物を活かした新料理の開発
平民教育と神殿の重視
長期的な領地の発展と本を増やすための基盤づくりとして、平民へのアプローチや意識改革も同時に進められる。
識字率の向上と孤児院の運営
本を普及させるには平民の識字率向上が不可欠であると考え、平民でも学べる「神殿教室」を設立する。また、孤児院の子供たちに対しては、無条件の保護ではなく生活費を自力で稼ぐ力を身につけさせるため、写本や平民に伝わる物語の執筆を行わせる方針を打ち出した。
神殿に対する認識改革
神事に貴族が参加して祈りを捧げることが、魔力の効率的な回復や神々の御加護の増加に繋がると説明した。これにより、神殿を蔑み神事を軽視してきた旧アーレンスバッハの貴族たちに対し、神殿に対する認識を根本から改めるよう強く求めた。
フェルディナンドとの共同統治
未成年でアウブに就任したローゼマインを支えるため、王命によって彼女の婚約者となったフェルディナンドが、執務の全面的なバックアップを担当する。
徹底的な悪習の排除
フェルディナンドは旧アーレンスバッハの悪習や不穏分子を徹底的に排除するため、冷徹かつ周到な手回しを行った。情に厚く他者に同情しやすいローゼマインを、領主会議での就任式が終わるまであえてエーレンフェストへ帰還させて新領地から遠ざけ、その間に自身が裏で過酷な調整と改革を迅速に進める体制を整えた。
新領地アレキサンドリアは、ローゼマインの夢である「本に囲まれた図書館都市」の実現と、フェルディナンドの緻密な計算に基づく強固な領地統治を両輪として、新たな一歩を踏み出した。平民の教育から貴族の意識改革、新産業の育成に至るまで、二人の異なる強みが噛み合うことで、ユルゲンシュミットの中でも極めて独自性の高い、先進的な領地経営が行われていくこととなる。
平民家族との再会
『本好きの下剋上』におけるローゼマイン(マイン)と平民の家族(ギュンター、エーファ、トゥーリ、カミル)との再会は、身分の壁に阻まれながらも決して切れることのない深い絆と愛情を示す重要なエピソードとして描かれている。物語の各段階における彼らの再会の軌跡について以下に解説する。
青色巫女見習い時代の再会
神殿に入って間もない頃、マインを狙う他領の貴族の危険から身を守るため、春の祈念式が終わるまで神殿に籠もるようにフェルディナンドから命じられる。
- 家族に会えない寂しさを募らせていたマインのため、フェルディナンドの計らいで両親が神殿へ呼ばれた。
- フェルディナンドが人払いをして防音の結界を張ってくれたことで、マインは両親の間に座り、出産を控えたエーファのお腹を撫でながら抱きしめられた。
- 緊迫した情勢のなかにあっても、マインは家族と触れ合うことで心からの安心感を得ることができた。
領主の養女時代の秘密の再会
魔力を狙う悪意から家族を守るために貴族(ローゼマイン)となってからは、家族と公に親子の関わりを持つことは法律で禁じられ、永遠の別れを余儀なくされた。
- 以降の家族との接点は、プランタン商会や専属の髪飾り職人としての業務上の繋がりのみとなる。
- 面会は主に周囲の目を盗み、神殿の孤児院長室や隠し部屋で行われた。
- 冬のお披露目用の髪飾りを納品しに来た際、エーファはわずかな隙を見てローゼマインの頭をそっと撫でた。
- 互いに抱きしめ合いたいと強く願いながらも、貴族と平民という絶対的な身分差からそれ以上の接触は許されず、他人行儀に振る舞わなければならない切なさと歯痒さが描かれている。
記憶の回復と涙の再会
物語の終盤、英知の女神の降臨によってローゼマインの心から家族の記憶が断ち切られるという最大の危機が訪れる。
- フェルディナンドの命懸けの魔力同調と記憶の復元処置により、ローゼマインは失われていた大切な家族の記憶を奇跡的に取り戻す。
- 記憶の回復を経て臨んだ面会の場で、彼女はついに家族との本当の再会を果たした。
- ローゼマインは感情を爆発させてギュンターの胸に飛び込んで「ただいま」と涙ながらに抱きつき、ギュンターも大粒の涙を流して愛娘の帰還を狂喜した。
フェルディナンドの誓いと成人祝い
この感動的な再会の場において、後見人であるフェルディナンドはギュンターとエーファに対し、自身がマインの家族になることを認めてほしいと真摯に申し出る。
- 貴族としての形式的な婚姻ではなく、平民の家族のやり方に歩み寄るため、フェルディナンドはギュンターと一つの木杯で酒を交わした。
- ギュンターからの「マインを頼む」という言葉に「約束する」と応じ、平民の様式に則って婚約の約束を交わした。
- さらに、トゥーリの提案により、本来ならば下町で盛大に祝われるはずだったマインの成人祝いがその場で簡易的に執り行われた。
- トゥーリがマインの髪を結い、ギュンターたちが料理や酒を用意する中、ローゼマインは久しぶりに家族水入らずの温かい時間を心から楽しんだ。
- 読書や印刷業について熱く語り、ルッツやベンノに昔のように叱られるなど、領主になっても本質的には変わっていない彼女の姿に、家族も深い安拓と喜びを感じていた。
まとめ
ローゼマインと平民の家族との再会の歴史は、ユルゲンシュミットの苛烈な身分社会に対する愛の勝利の物語である。神殿での密会から始まり、業務を介した他人行儀な接触という苦難の時期を経て、最終的に記憶の回復と共に真の再会へと至る。さらにフェルディナンドが平民の儀式を受け入れて家族の輪に加わったことで、彼らの絆は貴族の法をも超える強固なものとなった。どれほど身分が離れてもマインは家族の愛に支えられ、その愛が彼女を動かす最大の原動力であり続けている。
第五部 女神の化身11レビュー
第五部 女神の化身
本好きの下剋上 全巻まとめ
登場キャラクター
ローゼマインとその側近
ローゼマイン
本作の主人公である。アウブ・アレキサンドリアであり、フェルディナンドの婚約者という立場にある。
・所属組織、地位や役職
アレキサンドリア・アウブ。
・物語内での具体的な行動や成果
エントヴィッケルンを用いて新しい図書館都市を創造した。就任式でアウブとして承認され、アレキサンドリアの紋章とマントを披露する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
エーレンフェストの領主の養女から他領のアウブへと地位が変わった。
ハルトムート
ローゼマインの側近である。クラリッサの婚約者という立場にある。
・所属組織、地位や役職
アレキサンドリア・筆頭文官。
・物語内での具体的な行動や成果
古代魔術の復元の際に、貴族や平民に祈りを捧げるよう主導した。就任式ではアレキサンドリアの紋章について説明を行う。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
領主会議で筆頭文官として認められるため、アレキサンドリアに残り資料の読み込みを優先した。
クラリッサ
ローゼマインの側近である。ダンケルフェルガー出身の文官という立場にある。
・所属組織、地位や役職
アレキサンドリア・文官。
・物語内での具体的な行動や成果
アレキサンドリアの基本色となる染料の試作を行った。就任式に向けて領地紋章の清書も担当する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
リーゼレータ
ローゼマインの側近である。筆頭側仕えという立場にある。
・所属組織、地位や役職
アレキサンドリア・筆頭側仕え。
・物語内での具体的な行動や成果
婚約式で魔石の入った箱をローゼマインに差し出した。就任式では新しいマントの着付けを行う。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
グレーティア
ローゼマインの側近である。
・所属組織、地位や役職
アレキサンドリア・側仕え。
・物語内での具体的な行動や成果
寮でローゼマインの身支度を手伝った。未成年のため就任式の講堂には向かわず、寮で待機する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
オティーリエ
ローゼマインの元側近である。ハルトムートの母親という立場にある。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト・側仕え。
・物語内での具体的な行動や成果
エーレンフェストの城でローゼマインの引っ越し準備を行った。ローゼマインの就任式へ向けた化粧や身支度を担当する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ローゼマインがアレキサンドリアへ移動した後、ブリュンヒルデに仕える予定である。
ベルティルデ
ローゼマインの元側近である。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト・側仕え。
・物語内での具体的な行動や成果
ローゼマインの引っ越し作業を手伝った。就任式の朝にローゼマインの髪を結い上げる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
エーレンフェストに残り、姉であるブリュンヒルデと共にローゼマインの功績を守る役割を担う。
ブリュンヒルデ
ジルヴェスターの第二夫人予定者である。フロレンツィアを補佐する立場にある。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト・領主一族。
・物語内での具体的な行動や成果
領主会議へ向かうローゼマインをエーレンフェストの城で見送った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
側仕えから領主一族の一員へと成長し、ライゼガング系貴族を抑える手腕を発揮している。
コルネリウス
ローゼマインの側近である。レオノーレの婚約者という立場にある。
・所属組織、地位や役職
アレキサンドリア・護衛騎士。
・物語内での具体的な行動や成果
アレキサンドリアに残り、他領との情報収集や連絡役を務めた。就任式では護衛騎士としてローゼマインに同行する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
星結びの儀式を早め、レオノーレと結婚する予定である。
レオノーレ
ローゼマインの側近である。コルネリウスの婚約者という立場にある。
・所属組織、地位や役職
アレキサンドリア・護衛騎士。
・物語内での具体的な行動や成果
ライゼガングの実家や騎士寮の片付けを行った。就任式で護衛騎士の代表としてローゼマインに同行する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
アンゲリカ
ローゼマインの側近である。エックハルトの再婚約者という立場にある。
・所属組織、地位や役職
アレキサンドリア・護衛騎士。
・物語内での具体的な行動や成果
ボニファティウスが突進してきた際、シュティンルークを用いて制止に入った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
弱い騎士からの求婚を避けるため、エックハルトと再び婚約することになった。
ユーディット
ローゼマインの元側近である。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト・護衛騎士。
・物語内での具体的な行動や成果
シャルロッテの命を受け、グーテンベルク達の護衛として境界門まで同行する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
成人後にアレキサンドリアへ移動するか迷っていたが、ローゼマインの助言を受けて将来を再考することになった。
ダームエル
ローゼマインの側近である。フィリーネの婚約者という立場にある。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト・護衛騎士。
・物語内での具体的な行動や成果
ボニファティウスの護衛として婚約式に出席した。神殿業務に詳しいため、メルヒオール達の補佐を任される。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
フィリーネが成人した後に、共にアレキサンドリアへ移籍することが決まっている。
フィリーネ
ローゼマインの側近である。ダームエルの婚約者という立場にある。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト・文官。
・物語内での具体的な行動や成果
アレキサンドリアの教材を用いて地理や産業について学んだ。祈念式に参加して荒れた土地に魔力を戻す役割を果たした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
成人後にダームエルと共にアレキサンドリアへ移籍することが決まっている。
ローデリヒ
ローゼマインの側近である。
・所属組織、地位や役職
アレキサンドリア・文官。
・物語内での具体的な行動や成果
クラリッサの指導のもと、婚約式の招待状を作成した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
未成年のため、領主会議には同行せず城で留守番をする。
マティアス
ローゼマインの側近である。
・所属組織、地位や役職
アレキサンドリア・護衛騎士。
・物語内での具体的な行動や成果
騎士寮の片付けを早急に終わらせ、アレキサンドリアへ移動した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ラウレンツ
ローゼマインの側近である。
・所属組織、地位や役職
アレキサンドリア・護衛騎士。
・物語内での具体的な行動や成果
騎士寮の片付けを終えてアレキサンドリアへ移動した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
未成年のため、領主会議中はアレキサンドリアの城で待機する。
ミュリエラ
エルヴィーラの側近である。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト・文官。
・物語内での具体的な行動や成果
エルヴィーラの下で原稿を集めたり、印刷工房の視察に同行したりしている。フィリーネの書類作成を手伝うために神殿へ向かった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
図書館都市を恋物語でいっぱいにしたいという願望を語った。
フェルディナンドとその側近
フェルディナンド
ローゼマインの婚約者である。アレキサンドリアの領地運営を実質的に取り仕切る立場にある。
・所属組織、地位や役職
アレキサンドリア・領主一族。
・物語内での具体的な行動や成果
古代魔術の復元によってローゼマインの魔力を枯渇させ、自らの魔力で染め直して命を救った。神話の「呪い返し」を利用して神々の御力の影響を消去した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ローゼマインと正式に婚約し、アウブの補佐としてアレキサンドリアの執務を担う。
エックハルト
フェルディナンドの側近である。アンゲリカの再婚約者という立場にある。
・所属組織、地位や役職
アレキサンドリア・護衛騎士。
・物語内での具体的な行動や成果
就任式でフェルディナンドの護衛騎士として講堂に入場した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
弱い騎士からの縁談を避けるため、アンゲリカと再び婚約した。
ユストクス
フェルディナンドの側近である。
・所属組織、地位や役職
アレキサンドリア・側仕え。
・物語内での具体的な行動や成果
婚約式で魔石の入った箱をフェルディナンドに差し出した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ラザファム
フェルディナンドの側近である。
・所属組織、地位や役職
アレキサンドリア・側仕え。
・物語内での具体的な行動や成果
エーレンフェストの館を管理し、フェルディナンドの荷物を運び出す準備を行った。ユストクスが作成したアレキサンドリアの毒性植物や鉱物に関する資料を暗記した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
館の管理を終え、本来の主であるフェルディナンドの元へ戻った。
シュトラール
ローゼマインの側近である。
・所属組織、地位や役職
アレキサンドリア・騎士団長。
・物語内での具体的な行動や成果
領主会議へ同行する騎士団のメンバーを選別した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
フェルディナンドの側近からローゼマインの側近へ移籍し、騎士団長に就任した。
ゼルギウス
フェルディナンドの側近である。
・所属組織、地位や役職
アレキサンドリア・側仕え。
・物語内での具体的な行動や成果
領主会議へ同行する側仕えを選別した。アレキサンドリア寮で待機してエーレンフェストとの連絡役を務めた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
フェアゼーレ
フェルディナンドの側近である。
・所属組織、地位や役職
アレキサンドリア・側仕え。
・物語内での具体的な行動や成果
領主会議へ同行する側仕えの選別を行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ライムント
フェルディナンドの側近である。
・所属組織、地位や役職
アレキサンドリア・文官。
・物語内での具体的な行動や成果
フェルディナンドの指示でエントヴィッケルンの設計図を執務室へ届けた。新しい図書館の検索用魔術具の改良を請け負う。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
エーレンフェスト
ジルヴェスター
エーレンフェストの領主である。ローゼマインの養父という立場にある。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト・アウブ。
・物語内での具体的な行動や成果
緊急用の水鏡を通じてローゼマインから神々の御力が消えた報告を受けた。エーレンフェストの城でローゼマインを見送り、再会を願う挨拶を交わす。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
フロレンツィア
ジルヴェスターの第一夫人である。ローゼマインの養母という立場にある。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト・第一夫人。
・物語内での具体的な行動や成果
就任式に向けてローゼマインとお揃いの意匠を用いた衣装を準備した。ローゼマインとの関係について本音を語り、母としての愛情を伝えた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
シャルロッテ
ジルヴェスターとフロレンツィアの娘である。ローゼマインの義妹という立場にある。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト・領主候補生。
・物語内での具体的な行動や成果
グーテンベルク達の安全を守るため、護衛騎士を同行させるよう手配した。ゲルラッハ周辺の視察をユーディット達に命じるようローゼマインに依頼した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
メルヒオール
ジルヴェスターとフロレンツィアの息子である。ローゼマインの義弟という立場にある。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト・領主候補生。神殿長。
・物語内での具体的な行動や成果
ローゼマインの代わりに神殿長として神事を引き継いだ。孤児院と工房を守る責任をローゼマインから託される。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
祈念式の時期が早まったため、前倒しで神殿長に就任した。
ヴィルフリート
ジルヴェスターとフロレンツィアの息子である。ローゼマインの義兄という立場にある。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト・領主候補生。
・物語内での具体的な行動や成果
ローゼマインが婚約魔石を身につけていることに違和感を抱いた。フェルディナンドがローゼマインの手綱を握ることに安堵を示した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ボニファティウス
ジルヴェスターの叔父である。ローゼマインの祖父という立場にある。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト・領主一族。
・物語内での具体的な行動や成果
ローゼマインとフェルディナンドの婚約に対して強く反発した。エーレンフェストを去るローゼマインを見送るために転移陣の間へ突進してきた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
カルステッド
エーレンフェストの騎士団長である。ローゼマインの実父という立場にある。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト・騎士団長。
・物語内での具体的な行動や成果
ローゼマインの婚約式に実父として出席した。フェルディナンドと共にいる方が安心できると語った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
エルヴィーラ
カルステッドの第一夫人である。ローゼマインの養母という立場にある。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト・第一夫人。
・物語内での具体的な行動や成果
隠し部屋でローゼマインとお茶を飲み、貴族社会における情報網の重要性を説いた。ローゼマインとフェルディナンドの物語を執筆する意欲を見せた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
リヒャルダ
ローゼマインの側仕えである。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト・側仕え。
・物語内での具体的な行動や成果
エーレンフェストの城でローゼマインの引っ越し作業を取り仕切った。城を出るローゼマインに対し、別れの女神ユーゲライゼの祝福を捧げた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
本来のジルヴェスターの側仕えという立場に戻った。
ノルベルト
ジルヴェスターの筆頭側仕えである。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト・筆頭側仕え。
・物語内での具体的な行動や成果
貴族院のエーレンフェスト寮において、お茶とお菓子の準備をして待機していた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ランプレヒト
ヴィルフリートの護衛騎士である。アウレーリアの夫という立場にある。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト・護衛騎士。
・物語内での具体的な行動や成果
ボニファティウスが突進してきた際、盾を手にして制止に入った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
アウレーリア
ランプレヒトの妻である。旧アーレンスバッハ出身の貴族という立場にある。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト・貴族。
・物語内での具体的な行動や成果
実家の家族に下された処罰についてローゼマインから報告を受けた。父親が亡くなったことに安心し、連座処罰を免れたことに感謝した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ジークレヒト
ランプレヒトとアウレーリアの息子である。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト・貴族。
・物語内での具体的な行動や成果
ローゼマインと対面し、元気に突進してきた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ヴェローニカ
先代アウブの第一夫人である。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト・罪人。
・物語内での具体的な行動や成果
文書内に直接の登場はない。過去にフェルディナンドを迫害し、神殿へ追いやった元凶として言及された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ガブリエーレ
アーレンスバッハから嫁いできた貴族である。ヴェローニカの母親という立場にある。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト・故人。
・物語内での具体的な行動や成果
文書内に直接の登場はない。アウレーリアの素顔が彼女に酷似しており、ライゼガング系貴族から憎悪の対象として肖像画が飾られていると言及された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
エーレンフェスト神殿
フラン
神殿長室の筆頭側仕えである。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト神殿・筆頭側仕え。
・物語内での具体的な行動や成果
ローゼマインが神殿に到着した際に出迎えた。ディルクたちに静かにするよう注意した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
神殿改革を支えるため、アレキサンドリアの神殿へ移動することが決まった。
ザーム
神殿長室の側仕えである。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト神殿・側仕え。
・物語内での具体的な行動や成果
ローゼマインの到着を出迎えた。ギルが神殿を出て工房を管理することに賛成した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
アレキサンドリアの神殿へ移動することが決まった。
ギル
神殿工房の責任者である。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト神殿・灰色神官。
・物語内での具体的な行動や成果
アレキサンドリアで孤児院工房を立ち上げる役割を請け負った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
アレキサンドリアへ移動し、ローゼマインが成人した後に買い取られる予定である。
ヴィルマ
孤児院の責任者である。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト神殿・灰色巫女。
・物語内での具体的な行動や成果
アレキサンドリアの神殿へ同行し、戦争孤児たちの面倒を見ることを引き受けた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
アレキサンドリアへ移動することが決まった。
モニカ
神殿長室の側仕えである。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト神殿・側仕え。
・物語内での具体的な行動や成果
神殿長室でローゼマインにお茶の準備を行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
フィリーネの側仕えとして異動することが決まった。
ニコラ
神殿長室の側仕えである。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト神殿・側仕え。
・物語内での具体的な行動や成果
モニカと共に神殿長室でお茶の準備を行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
フィリーネの側仕えとして異動することが決まった。
フリッツ
工房の管理者である。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト神殿・灰色神官。
・物語内での具体的な行動や成果
ギルが移動した後のエーレンフェスト神殿工房の管理を引き継いだ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
メルヒオールの側仕えに異動することが決まった。
バルツ
エーレンフェスト神殿の灰色神官である。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト神殿・灰色神官。
・物語内での具体的な行動や成果
文書内に直接の登場はない。フリッツを補佐するため、新たに工房の管理者として召し上げられる予定である。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ディルク
身食いの孤児から貴族になった少年である。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト・貴族。
・物語内での具体的な行動や成果
神殿の玄関ホールでローゼマインを出迎え、無邪気に喜んだ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
カジミアール
メルヒオールの側近である。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト神殿・神官長。
・物語内での具体的な行動や成果
ローゼマインの側仕えの異動に関して書類の手続きを行った。祈念式における魔力量の不足に懸念を示した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ロータル
メルヒオールの側仕えである。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト神殿・側仕え。
・物語内での具体的な行動や成果
フランとザームが移動した後の神殿長室の業務をギードと共に担うことになった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ギード
メルヒオールの側仕えである。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト神殿・側仕え。
・物語内での具体的な行動や成果
文書内に直接の登場はない。ロータルと共に神殿長室の業務を回すと言及された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
イミル
神官長室の側仕えである。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト神殿・側仕え。
・物語内での具体的な行動や成果
文書内に直接の登場はない。クルトと共に神官長室の業務を回すと言及された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
クルト
神官長室の側仕えである。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト神殿・側仕え。
・物語内での具体的な行動や成果
文書内に直接の登場はない。イミルと共に神官長室の業務を回すと言及された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
フォルク
エーレンフェストの下町で働く平民である。元灰色神官という立場にある。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト・平民。
・物語内での具体的な行動や成果
文書内に直接の登場はない。神殿を出て下町で仕事をする手本として言及された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
コンラート
神殿で暮らす孤児である。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト神殿・孤児。
・物語内での具体的な行動や成果
文書内に直接の登場はない。孤児院を守れる立場になりたいと望んでいると言及された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
前神殿長
過去のエーレンフェストの神殿長である。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト神殿・故人。
・物語内での具体的な行動や成果
フェルディナンドが見せた記憶の中で、幼いマインを差し出すようギュンター達に要求した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
アレキサンドリア・旧アーレンスバッハ・ランツェナーヴェ陣営
レティーツィア
アーレンスバッハの領主候補生である。
・所属組織、地位や役職
アレキサンドリア・領主候補生。
・物語内での具体的な行動や成果
文書内に直接の登場はない。神殿で孤児たちと共に過ごし、星結びの儀式後に養子縁組される予定だと言及された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
次期アウブとしての教育を受けることが決まっている。
ディートリンデ
アーレンスバッハの元領主候補生である。
・所属組織、地位や役職
中央・罪人。
・物語内での具体的な行動や成果
文書内に直接の登場はない。取り調べで不敬だと騒ぎ、エグランティーヌがグルトリスハイトを得たことに憤慨していたと言及された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
メダルを破棄され、平民として魔力を供給する罰を受けることになった。
アルステーデ
アーレンスバッハの元アウブである。
・所属組織、地位や役職
中央・罪人。
・物語内での具体的な行動や成果
文書内に直接の登場はない。フェルディナンドが彼女の記憶を覗いて礎の間の正確な開け方を確認したと言及された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ゲオルギーネ
アーレンスバッハの元第一夫人である。
・所属組織、地位や役職
アーレンスバッハ・故人。
・物語内での具体的な行動や成果
文書内に直接の登場はない。エーレンフェストへの侵攻を目論んでいたと言及された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
マルティナ
ディートリンデの側仕えであった貴族である。アウレーリアの妹という立場にある。
・所属組織、地位や役職
中央・罪人。
・物語内での具体的な行動や成果
文書内に直接の登場はない。アダルジーザの離宮に同行した罪により、重い処罰を受けると言及された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
メダルを破棄され、平民に落とされて他領へ引き渡されることになった。
レオンツィオ
ランツェナーヴェの王族である。
・所属組織、地位や役職
ランツェナーヴェ・罪人。
・物語内での具体的な行動や成果
文書内に直接の登場はない。領主執務室で即死毒を使ったと言及された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ジェルヴァージオ
ランツェナーヴェの王である。
・所属組織、地位や役職
ランツェナーヴェ・罪人。
・物語内での具体的な行動や成果
文書内に直接の登場はない。始まりの庭での出来事の中で名前が言及された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ビンデバルト伯爵
旧アーレンスバッハの貴族である。
・所属組織、地位や役職
アーレンスバッハ・罪人。
・物語内での具体的な行動や成果
文書内に直接の登場はない。過去にディルクの従属契約に関わった人物として言及された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
中央・王族・他領
エグランティーヌ
ユルゲンシュミットの新たなツェントである。アナスタージウスの妻という立場にある。
・所属組織、地位や役職
中央・ツェント。
・物語内での具体的な行動や成果
アレキサンドリアを訪れてエントヴィッケルンの状況を確認し、婚約の承認書類にサインした。就任式ではローゼマインに新しいマントを授与した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
アナスタージウス
エグランティーヌの夫である。
・所属組織、地位や役職
中央・王族。
・物語内での具体的な行動や成果
エグランティーヌと共にアレキサンドリアを訪れ、新しい街並みを視察した。罪人たちのメダル破棄に立ち会った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
トラオクヴァール
前ツェントである。新領地ブルーメフェルトの領主という立場にある。
・所属組織、地位や役職
ブルーメフェルト・アウブ。
・物語内での具体的な行動や成果
就任式で新領地のアウブとして講堂に入場し、貴族たちから歓声を受けた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ツェントからアウブへと地位が変わった。
マグダレーナ
トラオクヴァールの第三夫人である。
・所属組織、地位や役職
ブルーメフェルト・第三夫人。
・物語内での具体的な行動や成果
就任式でトラオクヴァールと並んで入場した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
第一夫人のラルフリーダに代わって、表舞台でトラオクヴァールを支えることになった。
ジギスヴァルト
前ツェントの息子である。新領地コリンツダウムの領主という立場にある。
・所属組織、地位や役職
コリンツダウム・アウブ。
・物語内での具体的な行動や成果
就任式に遅れて到着し、案内係を急かせることなく優雅に歩いていた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
王族からアウブへと地位が変わった。
ナーエラッヒェ
ジギスヴァルトの妻である。
・所属組織、地位や役職
コリンツダウム・第一夫人。
・物語内での具体的な行動や成果
就任式でジギスヴァルトと共に講堂に入場した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ラルフリーダ
トラオクヴァールの第一夫人である。
・所属組織、地位や役職
ブルーメフェルト・第一夫人。
・物語内での具体的な行動や成果
文書内に直接の登場はない。ラオブルートを推薦した責任を負い、第三夫人へ降格したと言及された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
アドルフィーネ
ジギスヴァルトの前妻である。ドレヴァンヒェルの出身という立場にある。
・所属組織、地位や役職
ドレヴァンヒェル・領主候補生。
・物語内での具体的な行動や成果
文書内に直接の登場はない。ジギスヴァルトとの離婚を決断したことが賢明であったと言及された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ヒルデブラント
前ツェントの息子である。
・所属組織、地位や役職
中央・元王族。
・物語内での具体的な行動や成果
文書内に直接の登場はない。将来レティーツィアと結婚してアウブ・アーレンスバッハになる可能性があったと言及された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ラオブルート
前中央騎士団長である。
・所属組織、地位や役職
中央・罪人。
・物語内での具体的な行動や成果
文書内に直接の登場はない。騒動の原因を作った人物として言及された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
シキコーザ
元エーレンフェストの騎士である。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト・故人。
・物語内での具体的な行動や成果
文書内に直接の登場はない。過去のトロンベ討伐でマインにナイフを向けた記憶の中で言及された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ヒルシュール
貴族院の寮監である。
・所属組織、地位や役職
貴族院・教師。
・物語内での具体的な行動や成果
文書内に直接の登場はない。寮監としての職務を放棄して研究に没頭していると言及された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ソランジュ
貴族院図書館の司書である。
・所属組織、地位や役職
貴族院図書館・中級司書。
・物語内での具体的な行動や成果
文書内に直接の登場はない。ローゼマインが将来図書館で共に暮らしたいと考える手本として言及された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
下町・商人・グーテンベルク
ギュンター
ローゼマインの実父である。兵士という立場にある。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト・兵士。
・物語内での具体的な行動や成果
ルッツの成人式後、アレキサンドリアの神殿の様子を問い詰めた。ローゼマインが帰還した際、涙を流して抱きしめた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
フェルディナンドと平民流の婚約の杯を交わした。
エーファ
ローゼマインの実母である。染色職人という立場にある。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト・染色職人。
・物語内での具体的な行動や成果
成人祝いの席で料理を準備した。フェルディナンドに対して婚約の杯を差し出した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
トゥーリ
ローゼマインの姉である。ルッツの婚約者という立場にある。
・所属組織、地位や役職
ギルベルタ商会・髪飾り職人。
・物語内での具体的な行動や成果
帰還したローゼマインをからかいながら、簡易的な成人祝いのために彼女の髪を結い上げた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
カミル
ローゼマインの弟である。プランタン商会の見習いという立場にある。
・所属組織、地位や役職
プランタン商会・見習い。
・物語内での具体的な行動や成果
突然現れたローゼマインに抱きしめられて激しく混乱した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
アレキサンドリアでの教育を受ける候補となっている。
ルッツ
ローゼマインの幼馴染である。トゥーリの婚約者という立場にある。
・所属組織、地位や役職
プランタン商会・商人。
・物語内での具体的な行動や成果
アレキサンドリアの神殿で成人式を迎えた。ローゼマインとフェルディナンドの突然の訪問に驚きつつも、彼らの関係を静観した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ベンノ
プランタン商会の関係者である。
・所属組織、地位や役職
プランタン商会・商人。
・物語内での具体的な行動や成果
商人達との話し合いで、アレキサンドリアへの移動に関する船や馬車の手配を要求した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
マルク
ベンノの側仕えである。
・所属組織、地位や役職
プランタン商会・店代。
・物語内での具体的な行動や成果
ルッツの成人祝いの席に参加し、酒を取りに戻るなど宴の準備を手伝った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ヤレス
プランタン商会の新店主である。
・所属組織、地位や役職
プランタン商会・新店主。
・物語内での具体的な行動や成果
神殿での商人達の話し合いに出席し、ローゼマインたちに挨拶をした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ミルダ
ヤレスの妻である。ベンノの妹という立場にある。
・所属組織、地位や役職
プランタン商会・店主の妻。
・物語内での具体的な行動や成果
神殿での話し合いで、自分たちがギルベルタ商会の仕事に長く関わってきたことを説明した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ディード
ルッツの父親である。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト・木工職人。
・物語内での具体的な行動や成果
過去の記憶の中で、ベンノからの養子縁組の申し出を断り、親の役割について語った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
カルラ
ルッツの母親である。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト・平民。
・物語内での具体的な行動や成果
文書内に直接の登場はない。ルッツの成人式について残念そうに語っていたと言及された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ディモ
木工工房の親方である。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト・木工職人。
・物語内での具体的な行動や成果
神殿での話し合いで、新しい家屋の扉や窓の修繕を最初の仕事にしたいと申し出た。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ザック
鍛冶工房の職人である。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト・鍛冶職人。
・物語内での具体的な行動や成果
アレキサンドリアへの移動について、家族の引っ越し準備のために遅れる可能性を心配していたが、同行を決断した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ヨハン
鍛冶工房の職人である。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト・鍛冶職人。
・物語内での具体的な行動や成果
ザックの代わりに新しい工房を一人で立ち上げようと勢い込んだが、計算ができないことを指摘されて引き下がった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ヨゼフ
インク工房の職人である。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト・インク職人。
・物語内での具体的な行動や成果
妻のハイディが移動に乗り気であるため、アレキサンドリアへの早期の移動が可能だと語った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ハイディ
インク工房の職人である。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト・インク職人。
・物語内での具体的な行動や成果
文書内に直接の登場はない。新しいインクの研究成果をエーレンフェストに残していくとヨゼフが言及した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ホレス
インク工房の跡取りである。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト・職人。
・物語内での具体的な行動や成果
文書内に直接の登場はない。資格取りを手伝えなくなるため、研究成果を置いていくと言及された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
オットー
商人である。
・所属組織、地位や役職
ギルベルタ商会・商人。
・物語内での具体的な行動や成果
文書内に直接の登場はない。過去にマインへ石板を与えた人物として記憶の中で言及された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
フリーダ
ギルド長の孫娘である。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト・平民。
・物語内での具体的な行動や成果
文書内に直接の登場はない。過去に身食いの熱で死にかけていたマインを助けたと言及された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
神々
エアヴェルミーン
始まりの庭にいる神格的存在である。
・所属組織、地位や役職
神々。
・物語内での具体的な行動や成果
文書内に直接の登場はない。ローゼマインをツェントにしようとし、フェルディナンドから即死毒を盛られたと言及された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
メスティオノーラ
英知の女神である。
・所属組織、地位や役職
神々。
・物語内での具体的な行動や成果
ローゼマインに降臨し、エアヴェルミーンへの解毒薬を条件にフェルディナンドへ事情を説明した。ローゼマインの記憶の繋がりを断った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
フリュートレーネ
水の女神である。
・所属組織、地位や役職
神々。
・物語内での具体的な行動や成果
文書内に直接の登場はない。フェルディナンドが祝詞の中で名前を呼び、魔術を成功させた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ライデンシャフト
火の神である。
・所属組織、地位や役職
神々。
・物語内での具体的な行動や成果
文書内に直接の登場はない。祝詞や挨拶の中で名前が言及された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
シュツェーリア
風の女神である。
・所属組織、地位や役職
神々。
・物語内での具体的な行動や成果
文書内に直接の登場はない。祝詞の中で名前が言及された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ゲドゥルリーヒ
土の女神である。
・所属組織、地位や役職
神々。
・物語内での具体的な行動や成果
文書内に直接の登場はない。祝詞や求婚の言葉の中で名前が言及された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
エーヴィリーベ
命の神である。
・所属組織、地位や役職
神々。
・物語内での具体的な行動や成果
文書内に直接の登場はない。神話の中で娘のメスティオノーラの命を狙っていたと言及された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
フェアドレンナ
雷の女神である。
・所属組織、地位や役職
神々。
・物語内での具体的な行動や成果
文書内に直接の登場はない。求婚の言葉の中で名前が言及された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ブルーアンファ
芽吹きの女神である。
・所属組織、地位や役職
神々。
・物語内での具体的な行動や成果
文書内に直接の登場はない。求婚の言葉の中で名前が言及された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
シックザントラハト
闇の神である。
・所属組織、地位や役職
神々。
・物語内での具体的な行動や成果
文書内に直接の登場はない。エントヴィッケルンの祝詞の中で名前が呼ばれた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
フェアシュプレーディ
光の女神である。
・所属組織、地位や役職
神々。
・物語内での具体的な行動や成果
文書内に直接の登場はない。エントヴィッケルンの祝詞の中で名前が呼ばれた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ドレッファングーア
時の女神である。
・所属組織、地位や役職
神々。
・物語内での具体的な行動や成果
文書内に直接の登場はない。再会を願う別れの挨拶の中で名前が言及された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ユーゲライゼ
別れの女神である。
・所属組織、地位や役職
神々。
・物語内での具体的な行動や成果
文書内に直接の登場はない。ローゼマインが城を去る際、リヒャルダ達が旅立ちの祝福を祈るために名前を呼んだ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
カーオサイファ
混沌の女神である。
・所属組織、地位や役職
神々。
・物語内での具体的な行動や成果
文書内に直接の登場はない。フェルディナンドの求婚の言葉の中で名前が言及された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
闇の神
最高神である。
・所属組織、地位や役職
神々。
・物語内での具体的な行動や成果
文書内に直接の登場はない。祝詞や祈りの中で言及された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
光の女神
最高神である。
・所属組織、地位や役職
神々。
・物語内での具体的な行動や成果
文書内に直接の登場はない。祝詞やフェルディナンドの求婚の言葉の中で言及された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
第五部 女神の化身11レビュー
第五部 女神の化身
本好きの下剋上 全巻まとめ
展開まとめ
プロローグ
礎の間で始まる古代魔術
アレキサンドリアの礎の間には、大規模魔術のための魔術具や薬、盆状の魔石などが並べられていた。ローゼマインが盆状の魔石へ魔力を注ぎ込むと、液状の魔力が満ち、エアヴェルミーンの白い枝は虹色へ染まっていく。天井付近の魔石を通じて、礎の間で行われた魔術が供給の間を経由して領地全体へ展開されている様子が、水鏡に映し出されていた。
フェルディナンドの覚悟
フェルディナンドは、この大規模魔術を成功させ、ローゼマインを魔力枯渇寸前まで追い込み、自らの魔力で染め直す必要があると考えていた。ローゼマインが神々の御力によって生きられない状態へ追い込まれている以上、神々に翻弄されたまま終わらせるつもりはなかった。エーレンフェストで居場所を失ったローゼマインが、自分の領地と本当の家族を得るためにも、この魔術は絶対に成功させなければならなかった。
英知の女神との対峙
継承式の後、フェルディナンドは降臨した英知の女神へ、ローゼマインに何をしたのか説明を求めていた。女神は、エアヴェルミーンがローゼマインをツェントにしようと考え、神々の御力を過剰に送り込んだ結果、彼女が死にかける状態になったと説明する。神々の御力を消すには、魔力を枯渇寸前まで減らし、他者の魔力で染め直すしかないと告げられた。フェルディナンドは強い不快感を覚えながらも、ローゼマインを救うためには受け入れるしかなかった。
失われた記憶への執着
フェルディナンドは、断たれた記憶を取り戻す方法についても尋ねた。英知の女神は、記憶を共有している者から魔力を流されながら、何らかのきっかけを与えれば戻るかもしれないと答える。下町の家族との記憶を失ったことで、ローゼマインの感情や人間関係が変化していることを、フェルディナンドは強く問題視していた。彼は、その記憶を絶対に失わせたままにはしないと決意する。
神々の御力を削る苦闘
フェルディナンド達は、神具や大規模魔術を利用してローゼマインの魔力を減らし、神々の御力を薄めようと試みていた。しかし、神々の御力は想定以上に回復が早く、ローゼマインの体力ばかりが削られていく。彼女は眠ることすら恐れ、食事もまともに摂れないほど追い詰められていた。それでもローゼマインは、できるだけ自分で魔力を消費する方法を提案し続けていた。
限界へ近付くローゼマイン
大規模魔術の展開中、ローゼマインは徐々に限界へ近付いていた。顔色は蒼白になり、呼吸は浅く、手も震え始める。それでも彼女は回復薬を拒否し、「もう少し」と魔術を続けようとした。フェルディナンドは彼女を支えながら魔力を流し込み、魔法陣完成まで耐えさせようとしていた。
魔法陣完成と意識喪失
ついに魔法陣が完成し、大規模魔術は成功した。しかしその直後、ローゼマインは完全に力を失い、意識を喪失する。フェルディナンドは急いで同調薬と自身の液状魔力を流し込み、彼女を自らの魔力へ染め直そうとした。だが、魔力枯渇状態を脱してもローゼマインの意識は戻らず、呼吸も脈も極めて弱いままだった。
絶望の中での決断
フェルディナンドは、自分の判断が遅かったのではないかと後悔に襲われる。それでも、ローゼマインが今まで決して諦めなかったことを思い出し、自分も諦めるべきではないと奮い立った。そして、神話に記された「呪い返し」を試す決断を下す。
祝福を返す魔術
フェルディナンドはシュタープをペンへ変え、ローゼマインからかつて受け取った祝福を、今度は彼女へ返すための魔法陣を描き始めた。複数の神々から与えられた祝福が呪いと化したなら、それを打ち消すには、彼女自身が他者へ与えた祝福を返すしかないと考えたのである。彼は祈りを捧げ、ローゼマインを救うために、自分が得てきた全ての祝福を彼女へ返還した。
記憶と命を繋ぐ試み
さらにフェルディナンドは、記憶を繋ぐ魔術具を使用し、ローゼマインと額を合わせて魔力を流し込んだ。彼は魔力を繋ぎ、記憶を繋ぎ、意識を繋ぎ、命そのものを繋ぎ止めようとしていた。礎の間には、反転された祝福の光が満ち、フェルディナンドから返された祝福がローゼマインへ降り注いでいった。
記憶
意識の回復と魔力の染め直し
暗闇の中で意識を漂わせていたローゼマインは、口の中に残る甘さと、繰り返し自分を呼ぶフェルディナンドの声によって目覚め始めた。フェルディナンドは、彼女がほぼ自分の魔力に染まったことを告げる。これにより、神々の御力に振り回される状態から脱したことがわかった。
失われた記憶を取り戻す試み
フェルディナンドは、ローゼマインへ大事な者達の記憶を見せると告げた。ただし、記憶を繋げるきっかけしか与えられず、最終的に思い出せるかどうかは本人次第だった。ローゼマインは、自分がフェルディナンドの感情や記憶へ同調する形になっていることを知り、普段隠されている彼の感情が直接流れ込んでくる状況に驚く。
神殿長室での家族の抵抗
最初に映し出されたのは、幼いマインが両親と共に神殿長室へ訪れた場面だった。前神殿長がマインを差し出すよう要求する中、ギュンターとエーファは命の危険を承知で拒絶する。さらに、幼いマイン自身も両親を守るために威圧を放っていた。フェルディナンドは、権力者相手でも迷わず娘を守ろうとする家族の姿へ驚愕と羨望を抱いていた。
フェルディナンドが抱える羨望
記憶の中でフェルディナンドは、家族の愛情を当然のように受け取っている平民達へ強い羨望を抱いていた。ローゼマインは、その感情を同調によって知り、彼が家族という存在に強い憧れと欠落感を抱えていることを理解し始める。
ルッツと家族の和解
続いて映し出されたのは、家出したルッツについて話し合う場面だった。フェルディナンドは、ルッツの家族が息子を深く愛していることを見抜きながら、その愛情が本人へ伝わっていない状況を不思議に感じていた。ディードが「利益を優先する者は親になれない」とベンノへ語った言葉は、フェルディナンド自身の心にも深く突き刺さっていた。
トゥーリとの再会の記憶
ユレーヴェから目覚めた後、トゥーリが髪飾りを届けに来た記憶も映し出された。トゥーリが髪を整えながら優しく髪飾りを着ける姿を見て、ローゼマインは自分がこの愛情を知っていることを感じ始める。同時にフェルディナンドは、平民家族からローゼマインを引き離したことへの後悔を強く抱いていた。
髪飾りに込められた家族の思い
フェルディナンドは、最初の髪飾りがトゥーリの洗礼式のために家族総出で作られた物だと教えた。その言葉をきっかけに、ローゼマインの中には糸を編み、家族と一緒に物作りをしていた曖昧な記憶が浮かび始める。さらに、虚弱な自分を支え、怒り、心配しながらも一緒に過ごしてくれた家族の存在が断片的に蘇っていった。
家族への愛情の自覚
ローゼマインは、記憶は完全に戻っていないにもかかわらず、自分が家族を深く愛していたことだけは強く理解した。フェルディナンドは、現在の彼女が本より大切な存在として自分しか認識できないのは、記憶を断たれた後に魔力を流した相手が自分だけだからだと説明する。そして、本来のローゼマインは、家族へ溺れるほど深い情を抱く人間だったと語った。
家族との別れの記憶
神官長室で家族へ貴族になることを告げる場面も映し出された。トゥーリは涙を流しながらマインの無事を喜び、家族全員が別れを惜しみながら抱擁と言葉を交わしていく。フェルディナンドは、その様子を見ながら、自らが家族を引き離してしまう立場であることに強い罪悪感を抱いていた。
家族への祝福
別れの中で、マインは溢れる感情と魔力を抑えきれず、家族へ祝福を捧げ始めた。純粋な祈りだけで紡がれた祝詞によって、神々の祝福の光が部屋中へ舞い広がる。その美しい光景を、フェルディナンドは言葉を失いながら見つめていた。
記憶の復活
祝福の光が降り注いだ瞬間、ローゼマインの記憶は一気に繋がり始めた。家族との日々、ルッツとの関係、紙作りや印刷機完成の喜びだけでなく、孤児院の地階やトロンベ討伐、祠巡り、フェルディナンドの毒殺未遂など、苦痛や恐怖を伴う記憶までも次々と戻っていく。消えていたのは愛情の記憶だけではなく、強い感情を伴う出来事全般だったのである。
抱きしめられる再会
記憶の奔流から戻ったローゼマインが目を開けると、目の前にはフェルディナンドの顔があった。彼は安堵した表情を浮かべ、そのままローゼマインを抱きしめて「よかった」と囁いた。ローゼマインは、普段とは違うその反応に混乱しながら瞬きを繰り返していた。
選んだ未来
抱擁による安堵と混乱
記憶を取り戻した直後、ローゼマインはフェルディナンドに抱きしめられていた。彼から自発的に抱擁されるのは極めて珍しく、ローゼマインも便乗して抱き返す。しかしフェルディナンドは強く動揺し、彼女の行動へ戸惑いを見せた。ローゼマインは、同調と記憶の復元で頭も感情も混乱しているため、落ち着くまで抱擁の延長を求めた。
生死の境を彷徨っていた数日間
フェルディナンドは、ローゼマインが数日間ずっと魔力枯渇による死の危険と隣り合わせだったことを説明した。魔力を減らさなければ神々の御力で死に、減らしすぎれば魔力枯渇で死ぬという極限状態だったのである。さらに、枯渇直後に自身の魔力で染め直し、回復させる必要もあった。フェルディナンドは、同調が突然切れた上にローゼマインが目覚めなかったことで、最悪の事態を覚悟していた。
平民へ戻るという提案
フェルディナンドは突然、今ならばローゼマインを「はるか高みへ上がった」ことにして平民へ戻せる可能性があると提案した。アレキサンドリアのアウブとなった後、自分が正式な婚約者として後を継ぎ、ローゼマインを死亡扱いにすることで、マインとして下町へ戻す計画だった。家族との記憶を取り戻した今ならば、それが彼女にとって幸せなのではないかと考えていたのである。
ローゼマインの葛藤
ローゼマインは家族の元へ戻れる可能性に強く心を揺さぶられた。しかし同時に、その全てをフェルディナンドへ押しつける形になることに激しい抵抗を覚える。彼が一人でアウブとして責任を背負い込み、過労で潰れていく未来が容易に想像できたからである。彼女は、自分が幸せになるためにフェルディナンドを犠牲にするつもりはないと明言した。
魔石恐怖症と貴族としての限界
フェルディナンドは、記憶が戻ったことで魔石恐怖症も再発している可能性を指摘した。もし魔石を扱えなければ、アウブとしての仕事も調合も不可能になる。その場合、自分が実務を担うことになるため、ローゼマインは実質的に「お飾りのアウブ」になると語った。しかしローゼマインは、それでも女神の化身という立場が必要であり、自分が消えればアレキサンドリア全体へ大きな悪影響が及ぶと理解していた。
ルッツとの結婚という誤解
フェルディナンドは、平民へ戻ればルッツと添い遂げる道もあると言い出した。しかしローゼマインは、ルッツを大切な存在とは思っていても、結婚相手として考えたことはなかった。むしろ、自分の体質や魔力差を考えれば平民社会では嫁候補にもならないと冷静に分析していた。二人の間には、恋愛観に関する認識のずれが存在していた。
三つの選択肢
フェルディナンドは、ローゼマインへ三つの道を提示した。平民へ戻る道、自分との婚約を受け入れる道、そして王命を解消して別の相手と婚約する道である。そして彼女へ、自ら選ぶよう求めた。
王命による婚約の真実
ローゼマインはそこで初めて、フェルディナンドへ下された王命の内容を知る。元々はディートリンデへ婿入りしてアーレンスバッハを支える命令だったが、礎を得たことで婚約対象がローゼマインへ変わっていたのである。戦いの混乱や彼女の精神状態への配慮によって、これまで説明されていなかっただけだった。
フェルディナンドの本心
フェルディナンドは、これは自分の望みであり計画だったと告白した。家族のような繋がりを求め続けていた彼は、ローゼマインとの縁を失いたくなかった。そのため、王命による婚約を利用して彼女を手に入れる道を選んだのである。新ツェントへも余計な介入をさせないよう圧力をかけていた。彼にとって欲しかったのは、ローゼマインが築いてきた「家族同然」の繋がりだった。
恋愛感情への戸惑い
ローゼマインは、フェルディナンドが自分を求めていることは理解できても、それと同じ感情を返せる自信がなかった。恋愛感情そのものが理解できず、彼の期待に応えられないことへ罪悪感を覚える。しかしフェルディナンドは、男女の恋愛感情ではなく「家族同然」であり続けることを望んでいると語った。
婚約の受け入れ
ローゼマインは、恋愛感情を理解できなくても、家族同然としての情ならば返せると気付く。さらに、婚約すれば外聞を気にせずフェルディナンドを心配できることにも思い至った。彼女は最終的に、平民へ戻ることは難しいと認め、フェルディナンドとの婚約を受け入れる方向へ傾いていく。
名捧げ石を巡るやり取り
神々の御力が消えた以上、名捧げは不要だと考えたローゼマインは、フェルディナンドへ名捧げ石を返そうとした。しかしフェルディナンドは受け取りを拒み、「家族関係に主従関係は不要だ」と語るローゼマインへ、対等になる別の方法もあると示唆した。ローゼマインは、互いに名を捧げ合う形を思い浮かべるが、将来子供ができた時に両親が同時に死ぬ危険性を考え、現実的ではないと否定する。
未来を見据えた判断
ローゼマインは、アレキサンドリアにはまだ安定した領主一族が少なく、領主夫妻が同時に失われる危険を避けるべきだと主張した。フェルディナンドは、その発言へ驚きを見せつつも納得する。そして名捧げ石はすぐには返さず、二年後に返してもらうと告げた。さらに、それを「シュツェーリアの盾」と呼び、ローゼマインを守る物として扱っていた。
神々の御力の消失
礎の間から出ると、側近達が安堵した様子で迎えた。フェルディナンドは各自へ指示を飛ばし、ローゼマインを休ませる準備を整える。グレーティアやリーゼレータは、銀布なしで近付けるようになったことで、神々の御力が完全に消えたことを実感していた。ローゼマインもまた、ようやく自分が元へ戻ったことを理解するのだった。
忙しい日々
神々の御力を失った朝
神々の御力が消えた翌朝、ローゼマインは久し振りに苦痛のない状態で目覚めた。薬も使えるようになり、魔力が回復しても苦しくならないことに大きな安堵を覚える。読書の時間を期待していたが、クラリッサから領主会議まで極めて多忙であることを告げられた。
急速に進む婚約と都市整備
クラリッサは、エントヴィッケルンによる街づくり、新ツェントの迎え入れ、罪人の処分、そして婚約式を急いで進めなければならないと説明した。グーテンベルク達や戦災孤児の住居確保、新しい街並みの整備など急務が山積みだったのである。ローゼマインは婚約式が急に決まったことへ驚くが、婚約が成立していなければフェルディナンドは領主会議へ同行できないと知り、その必要性を理解した。
領主執務室での健康確認
健康診断後、フェルディナンドはローゼマインを領主執務室へ連れていった。そこはほとんど使われておらず、実務はフェルディナンド側の執務室で進められていた。彼はローゼマインへ、ジルヴェスターとの緊急連絡や貴族院の寮を開く作業など、アウブとして必要な仕事を指示する。
魔石恐怖症との再対面
通信用水鏡の魔石を見た瞬間、ローゼマインは震えと恐怖に襲われた。しかし以前ほどではなく、気絶せずに魔力を流せる程度には改善していた。フェルディナンドは魔石が視界に入らないよう布を掛け、無理をしないよう気遣う。ローゼマインは恐怖を抱えながらも、アウブとしての役目を果たそうとしていた。
ジルヴェスターとの連絡
水鏡を通じて、ローゼマインはジルヴェスターへ神々の御力が消えたことを報告した。ジルヴェスターは安堵しつつ、領主会議に向けた協力を約束する。また、エーレンフェストの寮を利用できるよう手配済みであることが語られ、フェルディナンドと事前に様々な計画を進めていたことが明らかになった。
フェルディナンドによる準備
フェルディナンドは、ローゼマインが神々の御力に苦しんでいる間にも、図書館都市計画の設計図をグーテンベルク達へ送り、修正や確認を終わらせていた。また、エーレンフェストとの物資移動や寮運営のための体制も整えていた。ローゼマインは、自分が知らないところで周到に準備が進められていたことに驚かされる。
エーレンフェストへの一時帰還計画
フェルディナンドは、婚約式後にローゼマインをエーレンフェストへ戻す予定を告げた。旧アーレンスバッハ貴族から守ること、護衛を容易にすること、引っ越し作業を終わらせることが理由である。また、領地貴族の選別は試験によって行う方針も説明された。ローゼマインは急な試験に同情しつつも、自分も似た立場であることを思い出す。
転移陣の間の解放
ローゼマインはアウブとして転移陣の間を開放する役目を果たした。魔石への恐怖に震えながらも、自力で魔力を流し、転移陣を起動させることに成功する。自分の仕事を無事に終えられたことへ、彼女は大きな安堵を覚えた。
アレキサンドリア寮の内部
寮へ移動したローゼマインは、エーレンフェスト寮との違いに興味を示した。フェルディナンドは、ディートリンデ時代には大量の花が飾られていたが、毒の危険性などから無駄だと感じていたことを語る。ローゼマインは、アーレンスバッハで彼がどれほど警戒を強いられていたのかを実感した。
リーゼレータ達の誤解
寮の解錠作業を見たリーゼレータは、それが筆頭側仕えの仕事だと思い込んでいた。しかし実際は寮監の仕事であり、ヒルシュールがまともに職務を果たしていなかったため、エーレンフェスト側が誤解していたことが判明する。ローゼマイン達は改めて、ヒルシュールの問題行動に振り回されていた事実を認識した。
ユーディットとの再会
設計図を届けに来たユーディットは、神々の御力が消えたことで普通に近付けるようになったことを喜んだ。彼女から、フィリーネやダームエル、オティーリエ達がそれぞれ引っ越し準備や祈念式などに追われている状況も語られる。ローゼマインは、側近達が今も自分のために働いてくれていることを知る。
ライムントの混乱
その後やって来たライムントは、何も事情を知らされておらず混乱していた。ローゼマインがアウブになったことも、新ツェント誕生も知らなかったのである。フェルディナンドは、親族問題へ巻き込まれないよう意図的に研究室へ閉じ込めていたと説明した。ローゼマインは、ラザファムと同じように守るための隔離だったのだと理解する。
婚約魔石の調合
フェルディナンドは、婚約式で交換する婚約魔石の調合について、無理なら自分が代わりに作ると提案した。しかしローゼマインは、それだけは自分でやると決意する。フェルディナンドから渡されたレーギッシュの鱗由来の魔石を、恐怖に震えながらも染め上げていった。
刻む言葉への悩み
婚約魔石へ刻む言葉を考える中で、ローゼマインは何を書けばフェルディナンドが喜ぶのか悩み続けた。クラリッサから「相手にしてあげたいこと」を考えれば良いと言われたことで、ようやく言葉を決める。そして完成した婚約魔石には、「貴方のマントに刺繍をさせてください」という言葉が刻まれた。
エントヴィッケルン
エントヴィッケルン前の混乱
城内ではエントヴィッケルンに備え、装飾品や家具、カーペットなどが次々と片付けられていた。わずか五日で荷物の搬出と領主会議準備を並行しなければならず、貴族達は慌ただしく動き回っていた。ローゼマインは見知らぬ貴族との接触を避けるため、領主の自室へ籠もって執務を行っていた。
ツェント来訪と婚約式準備
クラリッサは、エグランティーヌからツェント来訪の日程が届いたことを報告した。婚約式の日取りも近く決まると聞き、側近達は招待状や衣装の準備を進め始める。ローゼマインは、王族との会談時に着用したエーレンフェストとアーレンスバッハ双方の布を使った衣装を婚約式に用いることを決めた。その衣装にはトゥーリの髪飾りや母の染め布が使われており、記憶を取り戻した今の彼女にとって特別な意味を持っていた。
求婚の言葉への苦悩
婚約式では、婿を迎える立場であるローゼマインが求婚の言葉を述べなければならない。ローデリヒは、フェルディナンドから添削役を命じられていた。ローゼマインは歴史上の女王や聖典、恋物語などから参考を探そうと考えるが、結局は読書したいだけだと見抜かれてしまう。
読書禁止と図書館への褒美
フェルディナンドは、エントヴィッケルンや婚約式の準備が優先だとして、ローゼマインへフェシュピール練習や魔石克服訓練を課していた。しかし文句を言われると、領主会議後は新図書館の運営を好きにしてよいと約束する。ローゼマインはその言葉に大喜びし、読書を我慢して準備へ集中することを決めた。
エントヴィッケルン当日
晴天の中、側近達は転移陣を使って大量の家具や荷物を搬出していった。ローゼマインは金粉や設計図、礎の鍵など必要な物を確認し、誰もいなくなった部屋を後にする。クラリッサは、エントヴィッケルンの様子を魔術具で撮影しておくと約束した。
礎の間への侵入
ローゼマインは、革袋に入れたバックル型の鍵へ魔力を流して本来の鍵を出現させ、礎の間への扉を開いた。その先には、複数の扉と危険な仕掛けが存在していた。誤った方法で鍵を使えば呪いが発動する構造であり、彼女は震えながら魔石へ魔力を流して進んでいく。ディートリンデの証言ではなく、アルステーデの記憶から正確な方法を確認したというフェルディナンドらしい慎重さも思い出していた。
図書館都市の創造
礎の間へ到達したローゼマインは、設計図と大量の金粉を用いてエントヴィッケルンを開始した。新しい図書館は大英博物館閲覧室を参考にした巨大な円形建築であり、そこには将来ローゼマイン自身が住む部屋まで用意されていた。フェルディナンドの研究所も隣接して建設される予定だった。
創造の魔術
ローゼマインは最高神の記号を描き、神々への祈りを捧げながら魔法陣を形成していく。金粉が自動的に魔法陣を彩り、設計図は金色の炎となって燃え上がった。彼女は魔力を注ぎ続け、街の再構築を進めていく。しかし礎の間では外の様子が見えず、自分だけが街の完成を直接見られないことへ少し不満を抱いていた。
新たな礎の設定
エントヴィッケルン後、ローゼマインはアーレンスバッハ時代の礎設定を消去し、新たな仕掛けを構築した。彼女は次代のアウブへ求める資質として「図書館への理解」を重視し、ランガナタンの図書館五法則を古語で記述した問いを設定する。正しく答えられる者だけが礎へ至れるようにしたのである。
罰則設定への苦悩
礎を守るためには罰則設定も必要だった。メスティオノーラの書には殺意に満ちた罠ばかりが並んでおり、ローゼマインは苦悩する。最終的には、アーレンスバッハと同じ呪い系統の罰則を選び、ようやく設定を終えた。
完成した図書館都市
礎の間を出たローゼマインは、新たに完成した街並みを目にする。白い建物群の中には、巨大な円形図書館が存在していた。設計図通りに完成した自分の図書館都市を見た瞬間、彼女の胸は喜びで満たされる。その感動を誰かと共有したいと願いながら、フェルディナンド達へ向けて紙飛行機を飛ばした。
エグランティーヌの訪れ
新ツェント来訪前の多忙な日々
エントヴィッケルン後、ローゼマインは新しい図書館へ本を並べる余裕もなく、ツェント来訪と婚約式準備に追われていた。図書館へ行けないことに落ち込みつつも、フェルディナンドが作成した予定表や警備計画へ目を通し、アウブとして全体の流れを把握しようとしていた。
婚約式準備とエーレンフェストからの贈り物
エーレンフェストから新しい衣装が届き、リーゼレータ達と婚約式用の衣装や装飾品を決めることになった。フィリーネからは、祈念式によって戦乱で荒れたゲルラッハの土地が癒やされつつあるという報告も届き、ローゼマインは安堵する。
境界門でのツェントとの再会
ツェント来訪当日、ローゼマインとフェルディナンドは境界門でエグランティーヌ達を迎えた。国境門から現れたエグランティーヌは、以前のお姫様然とした雰囲気を失い、凜とした眼差しを持つ存在へ変わっていた。短期間での変化から、ツェントの重責の大きさがうかがえた。
アレキサンドリアでの歓待
城へ転移した一行は、魚料理を中心としたアレキサンドリアの昼食を共にした。エグランティーヌとアナスタージウスは料理へ満足し、穏やかな空気が流れる。しかしエグランティーヌは、ツェントになったことで今まで見ようとしなかった現実を直視するようになり、フェルディナンドやローゼマインへ謝罪したいことが増えたと語った。
婚約承認とフェルディナンドの圧力
フェルディナンドは、王命による婚約を証明する書類へツェントとしての承認を求めた。エグランティーヌは形式上不要ではないかと疑問を抱くが、他領への説明を容易にするためだと説得され、書類へ署名する。フェルディナンドは穏やかな笑みを浮かべながらも、王命の重さを王族自身に背負わせようとしていた。
冬の到来への誤解
エグランティーヌは、ローゼマインの神々の御力を消すため冬の到来を早め、星結びの儀式も前倒ししたいのだと思い込んでいた。ローゼマインは全力で否定し、恥ずかしさのあまり混乱する。フェルディナンドは薬によって染めたのであり、冬の到来ではないと説明したが、話題そのものがローゼマインには耐え難かった。
レティーツィアの処遇
エグランティーヌは、レティーツィアを次期アウブ・アーレンスバッハとする王命について確認した。フェルディナンドは、アレキサンドリアでは領主候補生として遇し、教育係として次期アウブに相応しい教育を施すつもりだと答える。ただし、アーレンスバッハ自体が消滅したため、その王命を実現するには王族側の負担が必要だと強調し、過去の王命の責任を突き付けた。
罪人達の処罰
取り調べを終えた罪人達のメダル破棄も行われた。ローゼマインは、貴族院の実技試験と同様の形式で処刑魔術を実行する。黒い魔法陣へ罪人達のメダルを投げ込み、闇の神へ祈りを捧げた。エグランティーヌはそれを「実技合格」と評し、ローゼマインが未成年でもアウブとして十分な知識と技量を持つことを証明した。
新しい街の視察
その後、一行は騎獣に乗って新たなアレキサンドリアの街を上空から視察した。城、図書館、研究所を中心にした貴族街や神殿周辺が完成しており、ランツェナーヴェの館と転移陣が完全に消えていることも確認された。エグランティーヌ達は、短期間でこれほどのエントヴィッケルンを実現したことへ驚きを隠せなかった。
図書館都市への夢
ローゼマインは、これから神殿教室や納本制度を整え、本が溢れる図書館都市を作る夢を語った。フェルディナンドの研究所だけでなく、魔木や魔魚、魔獣などの専門研究所も設立したいと目を輝かせる。その夢を「全部実行する」と断言するローゼマインに対し、フェルディナンドは苦笑しながらも否定はしなかった。
未来への期待
帰還前、エグランティーヌは、完成したアレキサンドリアをまた訪れたいと微笑んだ。そして、時の女神ドレッファングーアのお導きを心待ちにしていると告げ、国境門を開いて去っていった。
婚約式
婚約式当日の装い
婚約式当日、ローゼマインは淡い若葉色と青空色を重ねた春らしい衣装を身に纏い、トゥーリの髪飾りと虹色魔石の髪飾りで飾られていた。さらにアーレンスバッハの文化を尊重する意思を示すため、薄青のヴェールを被せられる。その姿は花嫁のようであり、本人は強い羞恥を覚えていた。
婚約式を前にした緊張
クラリッサから、ギーベ達を含め多くの貴族が城へ集まっていることを聞いたローゼマインは、人の多さに緊張していた。エーレンフェストからは領主夫妻やカルステッド夫妻、ボニファティウス達も到着しており、フィリーネ達未成年組は留守番になったことも伝えられる。
家族からの祝福
エルヴィーラ達は婚約衣装のローゼマインを見て、美しく成長したと口々に褒めた。カルステッドは、中央へ養女として送られる時よりも、フェルディナンドと共にいる今の方が安心できると語る。一方でボニファティウスは、ローゼマインの婚約相手がフェルディナンドであることへ最後まで納得できず、激しく反発していた。
婚約への本心
ローゼマインは、フェルディナンドへ懸想しているわけではないと率直に語った。しかし同時に、彼と本物の家族になりたいこと、自分の理想を現実へ落とし込んでくれる存在は彼しかいないこと、そして彼がそばにいると安心できることを真剣に伝える。さらに、研究所や健康的な生活を整え、自分なりに彼を幸せにしたいと述べ、婚約への反対だけはしないでほしいと願った。
ダームエルとコルネリウスの反応
ダームエルは、洗礼式前から知るローゼマインとフェルディナンドの婚約へ不思議な感慨を抱いていた。またコルネリウスは兄として婚約を祝福しつつも、フェルディナンドへ流されすぎないよう忠告する。しかしローゼマインにレオノーレとの関係を指摘されると、視線を逸らして言葉を濁した。
大広間での婚約式
大広間には多くの貴族が集まり、新アウブであるローゼマインへ視線を注いでいた。壇上にはローゼマインとフェルディナンドがそれぞれ側近達を伴って立つ。ハルトムートは、王命による婚約であることや、急遽婚約式を行う理由を説明した後、魔石交換の儀へ進めた。
ローゼマインからの求婚
ローゼマインは、王命によって決まった婚約であることを神々への祈りとして述べ、これまで導いてくれたフェルディナンドへの感謝と、これからも共に歩みたいという想いを込めて魔石を差し出した。その魔石には「貴方のマントに刺繍をさせてください」という言葉が刻まれていた。家族だけができる行為を願うその言葉に、フェルディナンドは一瞬だけ素の笑みを浮かべるほど深く喜んでいた。
フェルディナンドの返答
フェルディナンドは、ローゼマインを英知の女神の化身や光の女神になぞらえながら、長い求婚の言葉を紡いだ。そして差し出した魔石には「アレキサンドリアの領地ごと君を守る」と刻まれていた。彼が軽々しく口約束をしない人物であることを知っているローゼマインは、その言葉に強い安心感と幸福感を覚え、感情を抑えきれず涙を滲ませた。
貴族達の騒然
涙ぐむローゼマインをフェルディナンドが袖で隠し、そっと涙を拭ったことで、会場中から歓声とも悲鳴ともつかない声が上がった。ユストクスは笑いを堪え、リーゼレータは赤面し、エルヴィーラは歓喜してシュタープを振り、ボニファティウスは拳を振り上げて暴れようとした。周囲が騒然となる中、ハルトムートが婚約成立を宣言し、貴族達は一斉に祝福の光を掲げた。
アウブの宣言
領主会議参加者への認証ブローチ授与
婚約式終了後、ローゼマインは領主会議へ参加する者達へ認証ブローチを授与した。実際の作成はフェルディナンド達が行っていたが、アウブとして正式に渡す役目はローゼマインが担う。彼女は、側近達がいなければ今の状況は成り立たなかったと感謝を述べ、これからも続く忙しさへの協力を求めた。
新たな側近候補達
次に呼ばれたのは、騎士団や文官、側仕え達の中から選抜された者達だった。フェルディナンドがアーレンスバッハ滞在中に信頼できると判断した者達であり、今後ローゼマインの側近候補になる予定だった。さらに、その中には罠へかける対象を誘導する役目を持つ者もおり、フェルディナンドに協力者が増えたことへローゼマインは安堵していた。
孤児達の扱いの発表
ハルトムートは、ランツェナーヴェの騒動で親を失った孤児達の扱いについて説明した。洗礼後の子供は青色見習いとして神殿で過ごし、洗礼前の子供は孤児院へ入る。魔力や能力次第では孤児院から貴族へ取り立てる可能性もあると宣言された。また、レティーツィアも同様に神殿で暮らし、将来的に養子縁組する予定であることが語られる。
神殿教育への反発
ローゼマインは、子供達へ神殿での祈りや神事参加を推奨し、さらに平民も学べる神殿教室を開く予定だと宣言した。最終的には平民を含め全領民が文字を読めるようにしたいと語るが、貴族達はあまりに急進的な構想へ唖然とする。フェルディナンドは軽く咳払いし、話を現実的な方向へ戻させた。
国境門閉鎖後の領地運営
ローゼマインは、ランツェナーヴェとの交易停止によって、アレキサンドリアは「唯一国境門が閉ざされた領地」になる可能性が高いと説明した。これまでのような交易優位は失われるため、新しい産業の育成が必要不可欠であると貴族達へ理解を求める。
新産業への取り組み
フェルディナンド達がまとめた研究所では、香辛料や砂糖栽培、代替甘味料などの研究が始まっていた。しかし成果が出るまで時間がかかるため、ローゼマインはエーレンフェストから製紙業・印刷業・新しい食事処などを導入すると発表する。貴族達は産業流出を懸念したが、彼女は市場拡大には複数領地での生産が必要だと説明した。
図書館都市への本音
印刷工房を増やして多くの本を作り、納本制度によって図書館を充実させたいという本音が漏れると、フェルディナンドから軽く睨まれた。ローゼマインは笑って誤魔化しつつ、海産物を活かした新料理の開発など、アレキサンドリア独自の発展方針も語った。
平民教育と神殿教室
ローゼマインは、産業発展には平民教育が必要不可欠だと主張し、神殿教室の構想を説明した。座学中心の教育であり、平民との交流を通じて視野を広げることも目的としている。また、神殿へ通い祈ることが御加護増加へ繋がるため、神殿への認識を改めてほしいと訴えた。
孤児達への現実的な対応
貴族の中には、孤児院へ入れば優遇されるのではないかと疑問を持つ者もいた。しかしローゼマインは、孤児達の生活費を全て負担するわけではなく、自力で働き、将来的には返済も必要だと説明する。魔力や能力が不足していれば青色神官や灰色神官になるだけであり、全員を貴族にするつもりはないと現実的な線引きを示した。
物語と写本による収益化
ローゼマインは、孤児達へ写本や物語執筆によって収入を得させる計画も語った。さらに、ギーベ家に残る古文書や各地の口伝、研究成果なども買い取ると宣言する。その発想に旧アーレンスバッハ貴族達は驚愕し、エーレンフェスト側へ助けを求めるような視線を向けたが、ジルヴェスターは笑顔で放置していた。
図書館都市宣言
ローゼマインは最後に、自分は英知の女神メスティオノーラの化身として、アレキサンドリアを図書館都市として発展させると高らかに宣言した。そして、自身の図書館をユルゲンシュミット最大かつ最も幸福な場所にすると語り、貴族達へ共に歩むよう呼びかける。
祈りによる締めくくり
ハルトムートは、最高神や五柱の大神、そしてメスティオノーラの化身であるローゼマインへ祈りと感謝を捧げるよう呼びかけた。半数以上の貴族が即座に祈りへ応じる一方、ハルトムート達に慣れていないギーベ達は唖然としていた。しかしローゼマインは、エーレンフェストでも最初は同じだったのだから、そのうち慣れるだろうと考えていた。
研究所と図書館
婚約式後の説教
婚約式後、控え室へ戻った途端にフェルディナンドの説教が始まった。ローゼマインが図書館都市構想や祈りの強制を含む急進的な発表を行ったため、多くの貴族が置き去りにされていたのである。しかしハルトムートは、古代魔術復元の際に祈りを捧げた成果だと誇らしげに語った。
祈りの強制とフェルディナンドの思惑
コルネリウス達の説明によって、ハルトムートが旧アーレンスバッハの貴族や平民へ強制的に祈りを捧げさせていたことが判明した。ローゼマインが驚く一方、フェルディナンドは、領地内の貴族や平民がローゼマインへ感謝し祈ることに問題はないと述べ、自らも裏で関与していたことを認める。側近達もその方針に納得していた。
エーレンフェスト勢の帰還準備
フェルディナンドは、領主会議準備で忙しいエーレンフェスト勢を早く帰還させるべきだと判断した。ジルヴェスター達は境界門経由で帰ることになり、ローゼマインはダームエルへ、側近達の引っ越し準備や家族への連絡を依頼する。
ダームエルの決意
ローゼマインは、フィリーネの成人後にアレキサンドリアへ移籍する意思があるかをダームエルへ確認した。ダームエルは迷うことなく、フィリーネと共に移籍すると決意を示す。ローゼマインはその答えを喜び、二人の進展について後で聞かせてほしいと微笑んだ。
研究所見学への期待
エーレンフェスト勢を見送った後、ローゼマインは念願だった図書館や研究所の見学を強く希望した。まず訪れた研究所には、大規模な温室と大量の香辛料植物が並んでおり、旧アーレンスバッハ各地の研究成果が集められていた。文官達は、国境門閉鎖後も領地が利益を得られるよう、砂糖栽培や香辛料研究を急いで進めていた。
フェルディナンドの研究環境
研究所にはフェルディナンド専用の部屋も整えられていた。ローゼマインは、自分より忙しいはずなのに研究室が非常に充実していることへ驚く。ユストクスは、毒で倒れる以前より睡眠時間も増え、食事もきちんと摂るようになったと説明した。
エックハルトとアンゲリカの再婚約
ローゼマインは、再び持ち上がったエックハルトとアンゲリカの婚約話について尋ねた。エックハルトは、自分へ不要な縁談を避けるためにアンゲリカとの結婚が都合良いと説明し、アンゲリカもまた面倒な求婚を断る手間が省けるから都合が良いと即答した。あまりに実利的な理由で即決した二人に、ローゼマインは唖然とする。
念願の図書館訪問
研究所を後にしたローゼマインは、ついに新しい図書館へ足を踏み入れた。まだ本は一冊も並んでいなかったが、大英博物館閲覧室を参考にした半球状天井と放射状閲覧席を持つ理想の図書館に深く感動する。採光性を重視した構造や、将来的な検索用・警備用魔術具の構想についても熱心に語った。
図書館の未来構想
ライムント達が、これほど大きな図書館に本が収まるのか疑問を呈すると、ローゼマインは、人類の作る建築で本より長く残るものはないのだから、いずれ本で溢れる日が来ると断言した。そして、将来的には平民向け図書館や別館も増設したいと夢を語る。
図書館内の自室
司書棟には、ローゼマイン専用の部屋も用意されていた。ローゼマインは、本を読む机と長椅子があれば十分だと考えていたが、フェルディナンドや側近達は、彼女が無理をして倒れる未来を予想し、寝台を含めた設備を整えるべきだと主張した。
隠し部屋と転移陣
フェルディナンドは、図書館の部屋へ隠し部屋を作らせた。その内部には、メスティオノーラの書でしか使用できない特別な転移陣が設置される。転移先は、平民時代の家だった。これは、ローゼマインがアウブでなくなっても家族へ帰れる道を残すための配慮だった。
家族への紹介
ローゼマインは、自分の家族へフェルディナンドを正式に紹介したいと願った。しかしフェルディナンドは、貴族である自分が行けば平民家族へ気を遣わせるだけだと後ろ向きな態度を見せる。それでもローゼマインは、婚約した相手として家族へ紹介したいと真っ直ぐに訴えた。しばらく迷った後、フェルディナンドは「嫌ではない」と認め、わずかに表情を緩めた。
エーレンフェストへ
エーレンフェスト帰還前の確認
図書館と研究所の見学を終えた後、ローゼマインはフェルディナンドから「エーレンフェストでやることリスト」を渡された。側近達やその家族が急な移住に対応するための準備期間が必要であり、隠し部屋の閉鎖や図書館の片付けも行わなければならないと説明される。ローゼマインは、自分の図書館を支所として残せないか提案したが、フェルディナンドから強欲だと厳しく叱責された。
婚約魔石の加工
フェルディナンドは、婚約式で渡した婚約魔石をネックレスへ加工するため返却するよう求めた。婚約魔石は相手の魔力へ慣れるための魔術具であり、加工後は常に身につける必要があると説明する。ローゼマインは魔石への恐怖心から気が進まなかったが、最終的にはフェルディナンドへ任せることにした。
婚約ネックレスの完成
翌日の出発時、フェルディナンドは完成したネックレスを持参した。虹色の婚約魔石は繊細な金属装飾によって程良く隠されており、ローゼマインが恐怖を感じにくい工夫が施されていた。実際に身につけると、フェルディナンドと同質の魔力が滲んでいたため、不快感はほとんどなかった。フェルディナンドもその様子に満足していた。
アレキサンドリア帰還禁止
エーレンフェストへ戻る直前、フェルディナンドは、領主会議と就任式が終わるまでアレキサンドリアへ戻ることを禁じた。旧アーレンスバッハの悪習を徹底的に排除したい一方で、ローゼマインは他者へ感情移入しやすく改革の妨げになるからである。ローゼマインは渋々納得し、代わりにアレキサンドリアの地理や産業について学ぶよう命じられた。
側近達との合流
貴族院の寮へ到着したローゼマインは、旧アーレンスバッハ出身の新しい側近達と、エーレンフェスト側の側近達を顔合わせさせた。その中でダームエルとフィリーネには、将来的にアレキサンドリアへ移籍予定であることを正式に伝え、認証ブローチを渡した。
ユーディットの葛藤
エーレンフェストへ移動する途中、ユーディットは、自分もアレキサンドリアへ行きたいが家族に反対されていると漏らした。オティーリエは、未婚女性を不安定な土地へ送り出すことを家族が心配するのは当然だと説明する。ベルティルデも、エーレンフェストへ残ってローゼマインの遺したものを守る役目が必要だと説得した。
エーレンフェストでの再会
エーレンフェストへ帰還したローゼマインを迎えたのは、ヴィルフリート、シャルロッテ、メルヒオールだった。ヴィルフリートは、ローゼマインが婚約魔石を身につけている姿に違和感を覚えつつも、フェルディナンドが婚約者になって安心したと語る。一方、メルヒオールは継承の儀式を神秘的だったと興奮気味に振り返った。
グーテンベルク達への説明不足
シャルロッテから、行き先変更についてグーテンベルク達へ十分な説明がされていないと指摘される。ローゼマインは、自分の感覚では中央からアレキサンドリアへ少し変更になった程度だったが、周囲にとっては大問題であることを改めて理解し、後日改めて商人達へ説明することを決めた。
基本色の染料準備
ローゼマインは、アレキサンドリアの領地色を決めるための基本色染料を調合する必要があると説明した。これは全てのマントを統一色へ変えるための特別な魔術具であり、新領地設立時に不可欠なものである。紋章の清書はハルトムートが担当することになっていた。
リヒャルダとの再会
自室へ戻ったローゼマインを迎えたのはリヒャルダだった。婚約後は「姫様」と呼べなくなることを寂しく感じたローゼマインは、就任式までの間だけでも以前通り「姫様」と呼んでほしいと頼む。リヒャルダは部屋の中だけという条件付きで了承した。ローゼマインは、アレキサンドリアへの期待とエーレンフェストを離れる寂しさが入り混じる中、リヒャルダの淹れるお茶で心を落ち着かせた。
基本色の調合
エーレンフェスト帰還後の予定調整
ローゼマインは、リヒャルダの淹れたお茶を飲みながら、今後の予定について側仕え達と相談していた。エルヴィーラへの連絡や、図書館・神殿・城の荷物整理の日程調整など、決めなければならないことは山積みだった。
ハルトムートの決断
アレキサンドリアから戻った側近達によって、ハルトムートが現地へ残ったことが伝えられる。彼は、初めての領主会議で筆頭文官として認められるため、旧アーレンスバッハの資料をできる限り読み込み、知識不足を補うことを優先したのである。その代わり、基本色の染料調合や紋章清書はクラリッサが担当することになった。
側近達の引っ越し事情
コルネリウスもまた、アレキサンドリア側にエーレンフェスト出身の側近が完全に不在になる事態を避けるため、現地へ残留していた。レオノーレは、ライゼガングの実家や騎士寮の整理に追われる予定であり、側近達はそれぞれ短期間で引っ越し準備を進めなければならなかった。アンゲリカについては、本人よりリーゼレータや家の側仕え達が荷物整理を担う形になっていた。
図書館への帰還
翌朝、ローゼマインはダームエルやクラリッサ達を伴って図書館へ向かった。ラザファムは、いつでもフェルディナンドの荷物を運び出せるよう準備を整えて待っていた。ローゼマインは、新領地認証のブローチと、ユストクス作成の旧アーレンスバッハ情報資料をラザファムへ渡した。そこには毒性植物や鉱物など、新領地特有の危険情報が詳細に記されていた。
ラザファムの認識の変化
ラザファムは、ローゼマインがフェルディナンドの婚約者となったことで、自分にとっても「仮の主」ではなくなったと語った。そして、フェルディナンド不在時には婚約者であるローゼマインへ配慮するのが側仕えの役目だと考え、積極的に世話を焼こうとしていた。
基本色の染料調合開始
調合室では、ローゼマインとクラリッサが基本色染料の試作を始めた。アレキサンドリアの基本色は、ローゼマインの髪色を基準にした紺色を目指しており、フェルディナンドの覚え書きを参考に素材配分を調整していく。フィリーネやダームエル、ユーディット達も補助役として動いていた。
理想の色へのこだわり
何度も試行錯誤を重ねる中、クラリッサは単に色味だけでなく、ローゼマインの髪のような艶まで再現しようと試みていた。しかし、カーペットやタペストリーまで髪のように艶やかになる必要はないと周囲から指摘され、最終的には色を優先した形で試作品を完成させた。
試作品の合格
完成した試作品をアレキサンドリアへ送ったところ、フェルディナンドとハルトムートの両名から合格の返答が届く。ローゼマインは、エーレンフェストのマントを紺色へ染めたものと、クラリッサが清書した領地紋章をツェントへ提出した。また、領主会議へ参加する貴族達のために、基本色染料の大量生産にも励んだ。
新しい教材への喜び
一連の作業を終えたローゼマインは、ようやく新しい教科書を読めることになった。旧アーレンスバッハの地理や産業を学ぶ教材に対して、彼女は強い期待を抱いていた。
アウレーリアの立場
アレキサンドリアの教科書解禁
ツェントへの提出を終えた褒美として、アレキサンドリアから運び込まれた教科書が解禁された。ローゼマインは、レティーツィアが使用していた教材やフェルディナンド作成の補足資料に夢中になり、領地の地理・産業・動植物・行事などの基礎知識を学び始めた。フィリーネも将来的な移住に備え、一緒に勉強へ参加することになった。
フィリーネとダームエルの関係
ローゼマインは、ダームエルとフィリーネの関係が進展していることを知り、どちらから求婚したのか尋ねた。しかしフィリーネは顔を真っ赤にして詳細を拒み、ユーディットから「祈念式で何かあったらしい」と暴露されて更に慌てる。最終的に、二人が誠実な話し合いの末に将来の移動を決めたことだけが伝わった。
フェルディナンドからの呼び出し
ローデリヒが戻り、フェルディナンドからフィリーネとダームエルへ召集がかかったことを伝える。不正の証拠固めのため計算に強い文官が必要とされ、フィリーネはその補助として、ダームエルは護衛役としてアレキサンドリア側へ向かうことになった。ローゼマインは二人へ、神殿行きの予定も含めて無理をしないよう指示を出した。
実家訪問と側近達の休息
ローゼマインは、アンゲリカやユーディットへ休息を命じ、自身はコルネリウスとレオノーレを伴ってエルヴィーラの館を訪れた。レオノーレはその後ライゼガングへ向かう予定であり、側近達は引っ越し準備と移動に追われていた。
ミュリエラとの再会
館では、成人したミュリエラが出迎えた。彼女はエルヴィーラの下で原稿集めや印刷工房視察を手伝っており、フィリーネへ貴族社会の情報を教える役目も担っていた。ミュリエラは、ローゼマインが目指す「図書館都市」に強い憧れを抱き、図書館を恋物語で満たしたいと語ったため、ローゼマインは方向性の違いに危機感を覚えた。
アウレーリアへの報告
その後、ローゼマインはアウレーリアへ、実家の家族に下された処罰について説明した。妹マルティナはメダル破棄によって平民へ落とされ、どこかの領地へ送られて魔力供給を強いられることになる。また、父親はランツェナーヴェ掃討戦の混乱の中ですでに死亡していた。第二夫人は錯乱状態にあり、処罰は保留されていた。
アウレーリアの本心
アウレーリアは、父親が死亡したことに安心したと語った。父親は権力維持のためなら家族も利用する人物であり、生きていればローゼマインの治世を乱す危険があったからである。ヴェール越しでは感情が見えず、ローゼマインは不安を覚えたため、素顔を見せてほしいと頼んだ。
ガブリエーレに似た容貌
ヴェールを外したアウレーリアの顔を見たレオノーレは、かつてライゼガングを苦しめたガブリエーレに酷似していることへ驚愕した。ライゼガングでは、その憎しみを忘れないためガブリエーレの肖像画が飾られていたのである。そのためアウレーリアは顔を見せることを避けて生きてきた。ローゼマインは、死者への憎悪を他人へ向け続ける愚かさを指摘し、問題の肖像画を撤去すべきだと語った。
連座処罰への不安
アウレーリアは、自分や夫・息子が連座処罰を受けるのではないかと長く怯えていた。しかしローゼマインは、今回の処罰は旧政変時と異なり、実際にランツェナーヴェへ協力した者だけを対象とすると説明する。血縁のみで罰するつもりはないと明言されたことで、アウレーリアはようやく安心した。
ジークレヒトとの対面提案
エルヴィーラは、もしアウレーリアが連座対象になった場合には、息子ジークレヒトを自分の子として引き取るつもりだったと明かした。そして、今後ローゼマインがエーレンフェストへ戻る機会は少なくなるだろうとして、一度くらい親族としてジークレヒトへ会ってほしいと提案する。ローゼマインとアウレーリアは顔を見合わせ、穏やかに了承した。
母の激励
ジークレヒトとの対面
ローゼマインは、ランプレヒトとアウレーリアの息子ジークレヒトと対面した。金髪はアウレーリア譲りだったが、顔立ちや目元はランプレヒトによく似ており、年齢の割に体格が大きく、人見知りも少なかった。元気に突進してくる様子や、むっちりした幼児体型を見たローゼマインは、将来は騎士向きだろうと感じる一方、ボニファティウス譲りの脳筋気質を少し心配していた。
コルネリウス達の結婚準備
昼食後、コルネリウスとレオノーレは、エックハルトから譲られた館の片付けへ向かった。荷物はそのままアレキサンドリアの新居へ運び込まれる予定であり、二人は星結びの儀式までに新生活の準備を進めるつもりだった。さらに、レオノーレがエーレンフェストへ戻った途端、コルネリウスにはアレキサンドリア側から縁談が殺到したため、それを断る意味でも早急に結婚を済ませたいという事情があった。
エックハルトとアンゲリカの再婚約
ローゼマインは、エックハルトとアンゲリカの再婚約についてエルヴィーラへ話した。二人は恋愛感情よりも実利を優先して再婚約を決めており、エックハルトはフェルディナンド最優先の生活を理解してくれる相手が必要で、アンゲリカは自分の戦闘力と側近業務を許容できる強者を求めていた。エルヴィーラは、あまりにも情緒に欠ける経緯に深く溜息を吐いていた。
エルヴィーラとの隠し部屋での語らい
ローゼマインは、隠し部屋を閉鎖する前にエルヴィーラと二人きりでお茶を飲むことになった。去年の領主会議では、中央へ養女として送られる不安の中で同じ場所を使っていたが、今はフェルディナンド達を救い出し、自ら新領地を築く立場になっている。エルヴィーラは、アーレンスバッハで苦しんでいた家族達がようやく安全になったことを心から喜んでいた。
女性の情報網の重要性
エルヴィーラは、男性陣は危険の報告ばかりで安心させる情報を後回しにすると愚痴を漏らしつつ、ローゼマインへ女性独自の情報網を築く重要性を説いた。フェルディナンドへ頼りすぎず、自分自身でも情報源を確保し、貴族女性達を掌握する必要があると厳しく忠告する。さらに、既婚側近や親族関係への理解が不足している点も心配していた。
親族関係への理解不足への懸念
エルヴィーラは、ローゼマインが領主一族の事情で親族付き合いを制限されてきたため、親世代の感覚や家族関係の重みを十分理解できていないのではないかと危惧していた。フェルディナンド自身も家族関係が希薄であるため、側近達の家族や親族事情まで配慮できるか不安だと語り、アレキサンドリアで取り立てた側近達の背景にも気を配るよう助言した。
アレキサンドリアへの期待
エルヴィーラは、ローゼマインが望む図書館都市を築き、フェルディナンドと共に新領地を支えていく未来を楽しみにしていると語った。ローゼマインもまた、情勢が落ち着けばエーレンフェストとの往来が増えるだろうと考え、将来コルネリウス達に子供が生まれた際にはぜひ会いに来てほしいと願った。
結婚観の違い
エルヴィーラは、ローゼマインにも将来的に子供ができるだろうと自然に語った。しかしローゼマインは、自分とフェルディナンドは恋愛感情による婚約ではなく、家族同然の関係だと否定する。するとエルヴィーラは、貴族社会では恋愛感情のない政略結婚が普通であり、むしろ互いに家族になりたいと望んだ関係は幸福だと断言した。
恋愛感情への執着からの解放
エルヴィーラは、自分とカルステッドですら恋愛感情が芽生えたかは曖昧だと明かした。結婚後に信頼関係が築かれ、そのまま穏やかな関係を続ける夫婦も珍しくないという。その話を聞いたローゼマインは、周囲が「懸想」ばかり強調するせいで感じていた焦りや罪悪感から解放され、自分達の関係のままで良いのだと安心した。
エルヴィーラの創作意欲
安心したのも束の間、エルヴィーラは婚約魔石に刻まれた言葉へ強い興味を示し、二人を題材にした恋愛物語を書く気満々だった。王命によって引き離された二人が、新領地を築いて結ばれるという展開は、創作意欲を刺激して仕方ないらしい。ローゼマインが必死に止めようとしても、エルヴィーラは「これは架空の物語」と言い張れば問題ないと笑い、まったく止まる気配を見せなかった。
幸せになれという願い
最後にエルヴィーラは、ローゼマインへ「自分が幸せにならなければ周囲も幸せにできない」と優しく語った。そして、自分の書く物語を超えるくらい幸せになりなさいと微笑み、娘の未来を祝福した。
神殿の側仕え達
新しい衣装と旅立ちの準備
翌朝、ローゼマインの元にはエルヴィーラの専属針子達によって大量の新衣装が運び込まれた。フロレンツィアやボニファティウスの第一夫人の衣装を譲り受けてリメイクした物まで含まれており、領主会議に長期間出席するアウブとしての体裁が整えられていた。昼食後には神殿へ向かい、側仕え達や商人達との調整を行う予定になっていた。
隠し部屋の閉鎖と館の側仕え達との別れ
ローゼマインは、自室の隠し部屋から家具を運び出させ、魔法陣を閉じて完全に使用不能にした。長年世話をしてきた側仕え達は、ローゼマインが他領のアウブになってしまえば、この館へ戻る機会も減るだろうと寂しさを滲ませる。ローゼマインは、自分が神殿育ちでも差別されずに受け入れられたのは、この館の側仕え達のおかげだと感謝を伝えた。
洗礼式前の思い出話
側仕え達は、洗礼式前後のローゼマインとの思い出を懐かしそうに語り始めた。図書室へ向かう途中で倒れたことや、初めて見た神殿のトイレを怖がっていたことなど、幼い頃の話題が次々と出される。ローゼマインは恥ずかしさを感じながらも、彼女達にとって自分との思い出が大切な記憶になっていることを実感していた。
ユーゲライゼの加護による見送り
神殿へ向かう直前、エルヴィーラ達は、婚姻によって領地を去る女性へ捧げられていた古い慣習に倣い、別れの女神ユーゲライゼの加護を祈った。ローゼマインはその祈りを受けながら、館の者達に見送られて神殿へ向かった。
神殿での歓迎と婚約への勘違い
神殿ではフランやザーム達が揃って出迎えた。ローゼマインは神々の御力に翻弄された苦労話を始めたが、フラン達はフェルディナンドとの婚約を祝おうとしていたため、話が噛み合わず困惑する。慌てて婚約魔石を見せて説明したローゼマインは、ユーディットから「神々の御力に翻弄されるのはローゼマイン様くらい」と呆れられていた。
神殿長交代による変化
神殿へ戻ったローゼマインは、自分が不在の間にメルヒオールが正式に神殿長へ就任していたことを知る。神殿長室に戻っても神殿長服へ着替える必要はなくなっており、自分の居場所が少しずつ神殿から失われていることを実感した。さらに隠し部屋も閉鎖し、自分が長年籠もっていた場所との別れを迎えた。
アレキサンドリア神殿改革の説明
ローゼマインは、アレキサンドリアで神殿改革を進める予定を説明した。戦争孤児を受け入れる孤児院や神殿学校を設立するつもりであり、そのためにはエーレンフェストの神殿改革を経験した側仕え達の力が必要だった。フランとザームには早急な移動を望み、モニカとニコラはフィリーネが成人するまで残って支える方針を伝えた。
ヴィルマとギルへの依頼
ローゼマインはヴィルマとギルにも同行を求めた。ヴィルマには戦争孤児達の世話を任せたいと考えており、ギルには孤児院工房や神殿改革の中心人物として働いてほしかったのである。ギルは、自分が神殿外で働く姿を孤児達の目標にしてほしいというローゼマインの言葉を受け、自信に満ちた笑みで協力を引き受けた。
神殿長室の引き払い問題
ローゼマインは、神殿長ではなくなった以上、早急に神殿長室を明け渡したいと考えた。しかし、フラン達の滞在場所がなくなる問題が発生する。そこでフィリーネの孤児院長室の側仕え部屋を一時的に借りることになったが、ユーディットから貴族の外聞について指摘され、フィリーネは神殿に泊まらず城で過ごす形で問題を回避することになった。
孤児院の変化と懐かしさ
孤児院へ向かったローゼマインは、食堂に並ぶ本棚や玩具、洗礼式を終えた子供達の姿を見て、孤児院が大きく変わったことを実感した。同時に、トゥーリやルッツの成長を思い出し、自分が長く不在だったことも改めて感じていた。
デリアとの再会
孤児院で再会したデリアは、ディルクと離れて暮らしている寂しさを抱えていた。そして、かつてディルクと従属契約を結ぶための契約書を今も大切に持っていると打ち明ける。しかしローゼマインは、自分は既に別領地のアウブになる立場であり、エーレンフェストの貴族と勝手に契約することは許されないと厳しく制止した。
孤児院を守る新たな役目
ローゼマインは、ディルクが外側から孤児院を守るなら、デリアには内側から孤児院を守ってほしいと頼んだ。孤児達を弟妹のように可愛がり、二度と放置される子供を出さないようにしてほしいと願う。デリアは文句を言いながらも笑顔を浮かべ、孤児院のお姉ちゃんとして皆を守ると約束した。
商人達との話し合い
メルヒオールとの引き継ぎと神殿長室の問題
孤児院での話し合いを終えたローゼマインは、メルヒオールの部屋へ向かった。神殿長服を着たメルヒオールを見たローゼマインは、自分の荷物が神殿長室に残ったままであることへ強い申し訳なさを覚える。早急に神殿長室を明け渡さなければならないと改めて決意した。
側仕え達の移動計画
カジミアールはローゼマインの側仕え達の今後について確認した。ローゼマインは、フラン、ザーム、ギル、ヴィルマをアレキサンドリアの神殿へ移動させ、モニカとニコラはフィリーネ付きに、フリッツはメルヒオール付きへ異動させると説明する。さらに工房運営のため灰色神官三名も移動させる予定だった。
神殿業務の後継者問題
カジミアールは、フランとザームが抜けることで神殿長業務を知る者が不足すると懸念した。しかしローゼマインは、かつてフェルディナンドが神官長業務と神殿長業務を兼任していた時代から仕えていた側仕え達がいるため問題ないと説明する。ロータル達も新しい側仕えを育成すれば対応可能だと認め、メルヒオール達は新たな人材育成を進める方針を固めた。
工房と孤児達を守るための釘刺し
ローゼマインは、ギルが移動するためバルツを工房管理者として召し上げてほしいと頼んだ。その上で、神殿工房は孤児達が自分の力で生きるために作られた場所であり、領主一族が利益を搾取する場にしてはならないと強く警告する。さらに、ディルクやコンラートが孤児院を守るために貴族になろうとしていることを語り、メルヒオールへ孤児院を守る役目を託した。
祈念式に必要な魔力量への不安
カジミアールは、祈念式がローゼマインの莫大な魔力量に支えられていたことを痛感していた。今年は特別な魔石で補えたものの、来年以降への不安は大きい。ローゼマインは、中央神殿へ取られていた青色神官達を領地へ戻せるようになったことを伝え、さらに貴族達が競って神殿へ来たくなる制度を作るべきだと助言した。御加護の数を側近選抜の基準にする案まで提示され、カジミアールは驚きながらも真剣に受け止めていた。
プランタン商会の新店主との対面
やがてプランタン商会一行が到着し、ベンノは新店主のヤレスとミルダを紹介した。ミルダはベンノの妹であり、ギルベルタ商会で後継者教育を受けていた経験を持っていた。穏やかな口調ながら商業ギルドへの対抗材料も持っていると語る姿から、ローゼマインは彼女がコリンナ以上に強かな人物であると感じ取った。
アレキサンドリアへの移動説明
ベンノは、中央移動からアーレンスバッハ、さらにアレキサンドリアへと短期間で移動先が変わったことで、準備が混乱していると不満を露わにした。ローゼマインは謝罪しつつ、自分が新たにアウブ・アレキサンドリアとなること、旧アーレンスバッハに図書館都市を築く計画を説明する。さらに、魔術で新しい街そのものを造ったことを明かし、グーテンベルク達へ新工房や新居の設計図を見せた。
グーテンベルク達の移動準備
ヨゼフやディモ達は、既にプランタン商会から急いで準備を進めるよう指示されていたことを明かした。ベンノは、ローゼマインがアウブになる以上、事業計画は前倒しになると予想していたのである。ローゼマインはその先見性に驚きつつ感謝した。ザックだけは妻や家財道具の都合で悩んでいたが、新天地で最初から仕事を始める重要性を理解しており、最終的には同行を決断した。
神殿関係者の同行依頼
ローゼマインは、フラン達神殿側仕えも一緒に連れて行ってほしいとベンノへ頼み込んだ。ベンノは、人数が増えれば船や馬車、護衛の手配が難しくなると渋い顔をする。しかしローゼマインは、転移陣を利用して大量の荷物を先に送る案を提示し、移動中の荷物を減らすことで同行を可能にしようと考えた。グーテンベルク達はその案へ強く賛同し、ベンノも最終的に了承した。
船と護衛の手配
ベンノは、西門からライゼガングへ向かう船と、カンナヴィッツからアレキサンドリアへ向かう船を移動用に確保してほしいと要望した。さらに馬車や護衛の手配も必要となる。そこへユーディットが、シャルロッテの依頼でグーテンベルク達の護衛を引き受けると申し出た。ローゼマインが大切にしている者達に何かあれば領地間問題になるとシャルロッテは考えており、ユーディットとダームエルが護衛役として同行することになった。
図書館都市への誓い
最後にローゼマインは、自分の専属である証明書とアレキサンドリアへの移動要請書をベンノへ渡した。ベンノは、図書館都市から国中へ印刷業を広げるのだろうと野望を語る。ローゼマインもまた、ユルゲンシュミット中へ本を広げ、全ての本を自分の図書館へ集めるのだと宣言し、アレキサンドリアでの再会を約束した。
就任式の衣装と図書館の閉鎖
就任式の衣装選びと領主一族としての体裁
ローゼマインは教科書を読み込んでいたが、リヒャルダに本を取り上げられ、本館で就任式用の衣装選びを行うよう促された。婚約式で着用した思い入れの深い衣装を再び使いたいと考えていたが、同じ公式衣装を何度も使えば、アウブ・エーレンフェストが養女に新しい衣装を用意していないと思われかねないと指摘され、別の衣装を選ぶことにした。
シャルロッテによる領民支援への配慮
衣装部屋でシャルロッテと合流したローゼマインは、グーテンベルク達の移動へ配慮してくれたことへ感謝を述べた。シャルロッテはさらに、ユーディットとダームエルへゲルラッハ周辺の視察を命じてほしいと依頼する。戦いで荒廃した土地が祈念式によってどこまで回復したのか確認し、必要であれば追加の魔力供給や食糧支援を考えなければならないと説明した。ローゼマインは、領地の大人達が領主会議対応に追われる中で、領民支援まで考えている妹の成長に強く感動した。
フロレンツィアとのお揃い衣装
ローゼマインは、水色を基調とした衣装を就任式に着たいと申し出た。その衣装はフロレンツィアの専属針子が仕立てたもので、フロレンツィアの衣装と同じ染色職人による布を使っていたため、自然と雰囲気が揃っていた。ローゼマインは、エーレンフェストとの良好な関係を示すためにも、お揃いの雰囲気にしたいと提案する。フロレンツィアは喜んで受け入れ、帯まで色違いで合わせることになった。さらにブリュンヒルデとも雰囲気を揃える案が出され、ローゼマインは彼女が第二夫人として尊重されていることへ安堵した。
フロレンツィアとの本音の会話
盗聴防止の魔術具を使い、ローゼマインとフロレンツィアは二人だけの会話を交わした。魔石恐怖症を抱えるローゼマインは内心で強く怯えていたが、平静を装う。そこでフロレンツィアは、ローゼマインが今まで領地や家族のために尽くしてきたことへ感謝を述べ、聖女だと思っていると語った。さらに、教育方針や価値観の違いから距離を感じていたこと、自分に嫌われているのではないかと悩んだことも打ち明ける。ローゼマインもまた、自由にやらせてくれた養母へ感謝を伝え、互いに母娘としての絆を再確認した。
図書館閉鎖の準備
その後ローゼマインは、アレキサンドリアへの移動に備えて図書館の閉鎖作業へ向かった。フェルディナンドの側近であるラザファムは、課題として渡されていた大量の書類暗記を終えており、それを「頭の準備運動」と語った。ローゼマインは改めてフェルディナンドの側近達の能力の高さに圧倒される。
隠し部屋と図書館の片付け
ローゼマインは隠し部屋へ入り、フェルディナンドから届いた手紙や録音の魔術具など、大切な物を箱へ収めていった。部屋はすぐに空になり、図書館でも本が次々と運び出されていく。ローゼマインは、自分が初めて手に入れた図書館を閉じる寂しさを覚える一方で、新しい図書館へ本が増える未来への期待も感じていた。
ラザファムが語るフェルディナンドの過去
荷物搬出を待つ間、ラザファムはフェルディナンドの過去について語った。フェルディナンドは成人後にこの館を与えられたが、研究を優先してほとんど滞在しなかった。その後、先代領主の病悪化とヴェローニカの圧力によって騎士団長として扱われ、居場所を失っていったという。さらに神殿へ追いやられた経緯や、ヴェローニカへの深い憎悪まで明かされ、ローゼマインはフェルディナンドの側近達の危うさを改めて実感した。
フェルディナンド救出への感謝
ラザファムは、この館があったからこそフェルディナンド救出の準備が整えられたと語り、ローゼマインがフェルディナンドの婚約者となり、アレキサンドリアへ共に行けることを心から喜んでいると打ち明けた。そして、自分の主をよろしく頼むと頭を下げる。ローゼマインは、自分が今まで散々迷惑をかけてきたことを思い返しつつも、これからも頑張ると応えた。
図書館の閉鎖
全ての荷物が運び出されると、ラザファムは館を閉鎖すると宣言した。ローゼマインは玄関ホールを見渡し、もうここが自分の場所ではなくなったことを実感する。ラザファムに促され、ローゼマインは鍵を使って図書館を閉ざした。感傷に浸るローゼマインとは対照的に、ラザファムは本来の主の下へ戻れる喜びを隠さない。最後に彼は、アレキサンドリアで本を並べて待っていると語り、ローゼマインもまた、新しい図書館への期待を胸に馬車へ乗り込んだ。
エーレンフェストとの別れ
突然の寮生活への移行
アレキサンドリアへ移動する側近達の引っ越しが終わる頃になると、領主会議準備のためエーレンフェスト貴族達が頻繁に寮へ出入りするようになった。その結果、旧アーレンスバッハ出身の側近達との接触が領地間の諍いへ発展しかねない状況となり、ローゼマインはジルヴェスターから就任式まで貴族院の寮で過ごすよう命じられた。ローゼマインは急な予定変更で周囲へ迷惑をかけることを気にしたが、側仕え達は主として領地間の火種を防ぐ必要があると説明した。ローゼマインもまた、エーレンフェストとアレキサンドリア双方への配慮を意識し始めていた。
隠し部屋の閉鎖
荷物整理が終わると、ローゼマインは隠し部屋を確認し、中に何も残っていないことを確かめた後、魔力を流して部屋を消した。これまで使い続けてきた隠し部屋を閉鎖する行為は、エーレンフェストでの生活が終わりに近付いていることを強く実感させるものだった。
リヒャルダとの別れ
リヒャルダは、引っ越し準備の間だけ変則的にローゼマインの側仕えを務めていたが、領主会議中は城での仕事を担当するため、ここで別れることになった。ローゼマインは、神殿育ちで貴族常識に疎かった自分を導き続けてくれたことへ深い感謝を伝える。リヒャルダもまた、ローゼマインによってガブリエーレから続いていた負の連鎖が断ち切られたと語り、エーレンフェストとアレキサンドリアが共に発展していく未来へ期待を示した。
旅立ちの祝福
再会の難しさを思い、ローゼマインは涙を流した。しかしリヒャルダは、これからは感情や隙が領地の不利益に繋がる立場になるのだと厳しく言い聞かせる。そして正式な別れの儀として、別れの女神ユーゲライゼへの祝福を捧げた。赤い光が浮かび上がる中、ローゼマインは涙を拭い、アウブとして前へ進む決意を固めた。
兄妹達との別れの会話
階段を下りると、ヴィルフリート、シャルロッテ、メルヒオール達が待っていた。メルヒオールは、まだエーレンフェストへ残ってほしいと寂しさを口にし、自分が神殿長として未熟であることを不安視していた。ローゼマインは彼の努力を認め、無理をしすぎないよう励ます。シャルロッテもまた、兄妹だけでのお茶会を開きたかったと残念がった。
ヴィルフリートの現実的な考え
感傷的な空気の中で、ヴィルフリートだけは比較的冷静だった。元々ローゼマインは城にいる時間が短く、中央へ行く予定だった頃に比べれば隣領へ行く方が遥かに交流しやすいと指摘する。さらに、フェルディナンドがローゼマインの手綱を握ることで平和な形に落ち着いたと安堵を示した。ローゼマインも、養子縁組を解消せずエーレンフェストとの繋がりを残したことを語り、領地が分かれても兄妹関係は変わらないと断言した。
ボニファティウスの突撃
その時、遠方からボニファティウスの叫び声と地響きが響いた。彼はローゼマインを見送るため駆けつけてきたが、勢い余って周囲を吹き飛ばしかねない危険な突進となっており、アンゲリカやランプレヒトが慌てて制止に入る。ようやく落ち着いたボニファティウスは、ローゼマインをエスコートするつもりで待機していた。メルヒオールも自分がエスコート役だと主張したため、ローゼマインは両手を二人へ預けて歩き出した。
ボニファティウスの本音
歩きながらボニファティウスは、他領のアウブになるなど面倒な立場に就かなくてもよかったのではないかと不満を漏らした。さらに、自分が助けたはずのローゼマインをフェルディナンドに奪われたように感じていることや、フェルディナンドが婚約者となりローゼマインを重責へ縛り付けたことが気に入らないと語る。ローゼマインは、これまで何度もフェルディナンドに助けられてきたことを説明し、いつか認めてもらえるよう願った。ボニファティウスは完全には納得していないものの、頭ごなしに否定することもなかった。
エーレンフェストへの感謝
転移陣の前で、ローゼマインはエーレンフェストの領主一族として過ごした日々への感謝を語った。養父母や兄妹達、祖父であるボニファティウスに支えられてきたからこそ、自分はここまで来られたのだと述べる。そして今後領地が分かれても、良好な関係を続けたいと願いを伝えた。皆が頷く中、ローゼマインはアンゲリカとオティーリエを伴い、転移陣へ向かう。エーレンフェストの貴族としてこの城を歩く最後の時間を噛み締めながら、一歩ずつ前へ進んでいった。
エーレンフェストからの旅立ち
転移陣の上に立ったローゼマインは、再び皆と会える日を願い、神々の加護を祈る別れの言葉を告げた。魔法陣が黒と金色の光を放ち、皆の姿が揺らめきながら見えなくなっていく。こうしてローゼマインは、エーレンフェストの領主一族としての立場を終え、アウブ・アレキサンドリアとして新たな道へ踏み出した。
就任式の朝
ライゼガング系貴族への説明と謝罪
貴族院の寮へ到着したローゼマインは、まずライゼガング系貴族への挨拶回りを始めた。多目的ホールでは、旧アーレンスバッハ出身の側近達がお茶会室へ出入りしていることに不満を抱く貴族達が空気を尖らせていた。入室を制止されたローゼマインは、自分の配慮不足を認めて謝罪し、藤色のマントの側近達はエーレンフェストへ攻め込んだ者ではなく、ゲルラッハ戦で共に戦った者達だと説明する。さらに、ライゼガングからの食糧支援への感謝を伝え、正式な礼については今後エーレンフェストとアレキサンドリアで協議すると約束した。その結果、場の空気は和らぎ、露骨な不満は見えなくなった。
就任式当日の準備
領主会議当日の朝、ローゼマインは普段より早く起こされ、オティーリエとベルティルデによって念入りに支度を整えられた。髪結いや化粧は、エーレンフェストで彼女達が行う最後の仕事であり、二人の表情には強い気迫が滲んでいた。朝食代わりの軽食を取りながら、ローゼマインは就任式の長丁場へ備える。
アレキサンドリア側近達との再会
二の鐘が鳴ると、アレキサンドリア寮からレオノーレ、アンゲリカ、リーゼレータ、クラリッサが到着した。未成年であるローデリヒやラウレンツ達は城で留守番しているが、グレーティアだけは寮で待機しているという。レオノーレの意味深な笑顔から、留守番組も何か役目を任されていることが察せられた。
水色の衣装を巡る誤解
支度が進む中、クラリッサはローゼマインの水色の衣装について、アレキサンドリアでは「フェルディナンドの髪色をまとった恋物語」として噂になっていると説明した。さらに、フェルディナンド側もローゼマインの髪色を基調にした衣装を準備しているため、貴族女性達の間では大きな盛り上がりを見せているらしい。ローゼマインは完全な誤解だと否定したが、オティーリエからはハルトムートかフェルディナンドによる策略の可能性を指摘され、警戒心を強めることになった。
オティーリエへの感謝
支度が終わると、ローゼマインはエーレンフェストに残る側近達へ順番に感謝を伝えた。まずオティーリエには、リヒャルダが去った後に負担の大きい側仕え役を務めてくれたことへの礼を述べる。オティーリエは、今後ハルトムートが暴走した際には厳しく叱ってほしいと真剣に頼み込んだ。ローゼマインは、自分にハルトムートを制御できるのか不安を覚えながらも頷いた。
ベルティルデ達の決意
ベルティルデは、ブリュンヒルデの意向で、ローゼマインが残した変化をエーレンフェストへ定着させるために皆で協力していくつもりだと語った。オティーリエやユーディットにも引き抜きが行われているらしく、ローゼマインは彼女達へ期待を寄せる。一方、ユーディットはアレキサンドリアへ移住したい気持ちはあるものの、将来像が想像できず迷っていると打ち明けた。ローゼマインは、焦って決断する必要はないと諭し、家族や故郷との関係も含めて後悔の少ない選択をするよう助言した。
フィリーネとダームエルへの期待
ローゼマインは、神殿改革のためフランやザームを引き抜く以上、エーレンフェスト神殿を支える役目をフィリーネ達へ託した。さらにダームエルは、長年神殿業務を見てきた経験から神殿長業務にも詳しく、メルヒオール達への助言役になれると説明する。重責に困惑するダームエルだったが、ローゼマインは彼なら守ってくれると信頼を示した。フィリーネも巻き込まれながら、三人は笑い合っていた。
ブリュンヒルデの成長
お茶会室には領主夫妻とブリュンヒルデも訪れた。深緑の衣装をまとったブリュンヒルデは、もはや側仕えではなく、領主一族の一員としての風格を備えていた。ローゼマインは、ライゼガング系貴族を抑えつつ商人達とも連携できる彼女の成長を頼もしく感じる。そして、自分が去った後のエーレンフェストを安心して任せられると伝えた。ブリュンヒルデもまた、今後も領主会議で顔を合わせる機会があると語り、別れではなく「また会いましょう」と笑顔を交わした。
フロレンツィアとジルヴェスターの期待
フロレンツィアは、ローゼマインがお揃いの衣装を提案してくれたことを喜び、エーレンフェストとの良好な関係を望んでいると語った。そしてフェルディナンドへ、ローゼマインを支え導いてほしいと正式に頼む。ジルヴェスターもまた、アーレンスバッハではなくローゼマインが隣領のアウブとなったことで安心していると本音を漏らし、今後も友好的な関係を築きたいと望んだ。
認証のブローチ返却
続いて、アレキサンドリアへ移る側近達へ魔力登録済みの白いメダルが渡され、エーレンフェストの認証ブローチが回収された。これによって、彼等は正式にエーレンフェストの所属ではなくなる。ラザファムやエックハルト、ユストクスまでブローチを返却する様子を見て、ローゼマインはとうとうエーレンフェストでの役目が終わったことを実感した。
最後の別れと旅立ち
やがて全員が向かい合い、再会を願う別れの挨拶を交わした。ローゼマインがフェルディナンドの手を取ると、エーレンフェストへ残る側近達が扉を開き、揃って跪く。そして別れの女神ユーゲライゼへ旅立ちの祝福を祈った。浮かび上がる祝福の光を受けながら、ローゼマインはフェルディナンドと共に、新たな領地へ向けて歩き出した。
就任式
就任式前の待機とトラオクヴァールの現状
就任式の控え室で待機していたローゼマイン達は、案内係に呼ばれて講堂前へ向かった。そこでは、すでにトラオクヴァールとマグダレーナが新領地ブルーメフェルトの領主夫妻として入場していた。ローゼマインは、本来第一夫人ではないマグダレーナが隣に立っていることへ疑問を抱くが、フェルディナンドやジギスヴァルトとの会話から、ラルフリーダが責任を取って第一夫人の座を譲り、第三夫人へ降格していたことを知る。フェルディナンドは、旧ベルケシュトックを抱える新領地を治める上で、ラオブルートを推薦したラルフリーダより、ダンケルフェルガー出身のマグダレーナを表に立てる方が合理的だと評した。
ジギスヴァルトの慢心
続いて入場するジギスヴァルトは、自分がいなければ式が進まないと考えており、案内係に急かされても悠然と構えていた。しかしフェルディナンドは、式の進行はエグランティーヌに合わせて行われるのであり、遅れれば未整列の醜態を全貴族へ晒すことになると指摘する。その忠告によってジギスヴァルト達は慌てて整列した。彼等の様子を見たフェルディナンドは、王族感覚の抜けていないジギスヴァルトの前途を危ぶみ、早々に離婚を決意したアドルフィーネの判断を評価した。
夫婦の距離感とフェルディナンドの企み
ジギスヴァルト夫妻と、かつてのアドルフィーネとの距離感を比較したローゼマインは、仲の良い夫婦には自然な近さがあると気付いた。そして、自分なりに適切と思う距離までフェルディナンドへ近付いてみせる。するとフェルディナンドは、その距離感を領主会議の間ずっと保つよう命じた。ローゼマインは即座に何か企みがあると察したが、フェルディナンドから圧力をかけられ、逆らえず従うしかなかった。
就任式への入場
護衛騎士達の並び順を調整した後、ついに講堂の扉が開かれた。エグランティーヌが神殿長の衣装をまとって壇上に立つ姿を見て、ローゼマインは彼女の負担の大きさを実感する。そして「新領地アレキサンドリア」と呼び上げられ、フェルディナンド達と共に入場した。だが、講堂内の反応は歓迎ではなく、未成年のアウブ誕生に対する戸惑いと拒絶感に満ちていた。鋭い視線に晒され、ローゼマインは一瞬気圧されそうになる。
図書館都市への執着
緊張しかけたローゼマインに対し、フェルディナンドは「アレキサンドリアは君の望みであろう」と囁いた。その言葉を受け、ローゼマインは自らが望んだ図書館都市や蔵書、自室、納本制度の未来を思い浮かべる。そして、自分がアウブでなければそれらを守れないことを再認識し、周囲の視線を意識しなくなった。さらに、下町時代から本を求めて歩んできた人生を振り返る。本のない環境で絶望し、紙作りや印刷に挑戦し、神殿図書室や貴族社会、数々の別れや戦いを経て、ついに図書館都市へ辿り着いたのである。
未成年アウブへの反発
壇上に立ったローゼマインへ、エグランティーヌはアウブ・アレキサンドリア就任を宣言した。しかし観覧席からは、未成年がアウブになる前例はないと激しい反発が飛ぶ。ローゼマインは、自分こそが前例になるのだと堂々と言い切り、続行を求めた。さらにエグランティーヌも、未成年にシュタープ取得を許した制度自体を作ったのは貴族達だと指摘し、ローゼマインへ紺色のアレキサンドリアのマントを授けた。
アレキサンドリアの紋章披露
リーゼレータが新たなマントを着付ける間、ハルトムートがアレキサンドリアの紋章を説明した。本と図書館の魔術具を中心に据え、闇の国境門を象徴する闇神のマントを背景に配置した意匠である。しかし観覧席ではなおも不満の声が上がり続けた。女神の化身の力は消えた、未成年では領主は務まらないという批判が相次ぐ。
グルトリスハイトによる黙殺
ローゼマインは、騒いでいるのが主に中位以下の領地であることから、フェルディナンドが意図的に情報制限を行っていたと見抜いた。そして音量増幅の魔術具を借り、観覧席へ向けて堂々と宣言する。自分がアウブなのは褒美ではなく、実際にアーレンスバッハへ攻め込み、礎の魔術を得たからだと説明した。さらに、領主としての知識不足を疑う声に対しては、自らグルトリスハイトを顕現させる。実物を目にした貴族達は一斉に沈黙した。ローゼマインは、ユルゲンシュミットに関する知識ならどのアウブより詳しいと断言し、完全に反論を封じた。
正式な承認と祝福
エグランティーヌは、ローゼマインがアウブに必要な魔術を実際に行えることを確認済みであり、執務面はフェルディナンドの補佐によって問題ないと説明した。そしてユルゲンシュミット初の未成年アウブ誕生を宣言し、貴族達へ祝福を求める。講堂中に祝福の光が飛び交う中、フェルディナンドは「もう君の大事なものが奪われることはあるまい」と告げた。ローゼマインは、自分が守れる立場へ到達したことを実感する。そして、平民出身の未成年アウブとして、自らも青い祝福の光を講堂全体へ広げた。
エピローグ
ルッツの成人式とアレキサンドリア神殿
夏の終わり、ルッツはアレキサンドリアの神殿で成人式を迎えた。エーレンフェストより遥かに大きな神殿には多くの人々が集まっており、神殿長として祝福を行うローゼマインの姿もあった。ルッツは、成人式後に移動するという提案を断り、グーテンベルクとして新領地の立ち上げに関わる道を選んでいた。家族達もその決断を受け入れ、送り出していた。
ローゼマインへの平民達の熱狂
成人式を終えた後、ギュンター達は真っ先にローゼマインの様子を尋ねた。ルッツは、神殿全体を覆うほどの巨大な祝福だったと説明する。さらに、カミルやトゥーリの話から、ローゼマインがランツェナーヴェの蛮族を撃退し、大規模な魔術によって海や大地を蘇らせたことが平民達の間で伝説のように語られていることが明らかになった。その影響で、アレキサンドリアの平民達はローゼマインを熱狂的に歓迎していた。
ルッツの複雑な思い
成人祝いの席で、ルッツは本来ならローゼマインも平民として一緒に成人式を迎えていたはずだと思い返していた。しかし、マインは貴族となり、領主の養女となったことで別の道を歩むことになったのである。そんな中、カミルがルッツとトゥーリの結婚話を口にし、皆で盛り上がる。ローゼマインがまた印刷業のために人々を振り回す前に結婚した方がいいという現実的な話も出ていた。
突然の帰還
その時、家の中に不自然な足音が響いた。皆が警戒する中、勢いよく扉を開けて現れたのはローゼマインだった。豪華な髪飾りと神々に磨かれた美貌を持ちながらも、飛び出した言葉は「ただいま、皆! マインだよ!」という平民時代そのままのものだった。ルッツは契約魔術の問題を慌てて指摘するが、ローゼマインは契約魔術はエーレンフェスト限定なので、アレキサンドリアでは問題ないと説明した。
フェルディナンドとの婚約発覚
さらにローゼマインの後ろからフェルディナンドが現れ、皆を驚かせた。ローゼマインは照れながら婚約について説明しようとするが、ベンノ達はすでに事情を知っていた。トゥーリが以前の会話を暴露したことで、ローゼマインは真っ赤になって否定する。しかし周囲から見れば、彼女がフェルディナンドを好いていることは明白だった。からかわれたローゼマインは耐え切れず、カミルへ抱きついて照れ隠しを始める。突然現れた美しい姉に抱きしめられ、カミルは混乱しきっていた。
家族との再会
その後、ローゼマインはギュンターへ飛び込み、「ただいま」と涙ながらに抱きついた。ギュンターも涙を流しながら娘の帰還を喜ぶ。ローゼマインは、自分が再び家族と会えるようになったのはフェルディナンドのおかげだと説明した。ルッツは、その様子を無表情のまま見守るフェルディナンドの姿から、彼自身もこの再会を望んでいたのだと感じ取った。
マインの成人祝い
トゥーリは、せっかく成人式の日にマインが戻ってきたのだからと、その場で簡易的な成人祝いを提案した。フェルディナンドも六の鐘までなら問題ないと許可し、皆で祝いの準備を始める。トゥーリが髪を結い、ギュンター達が酒や料理を用意する中、ローゼマインは家族との時間を心から楽しんでいた。毒見の習慣などに平民との違いも見せつつ、仕事や印刷業の話になると昔と変わらぬ熱意を見せた。
ローゼマインの変わらなさ
ローゼマインは、新しい図書館を本で埋め尽くしたいと目を輝かせ、印刷工房の増設計画を語った。その一方で、お忍びで街へ出たいと言い出し、ルッツとベンノに同時に叱られる。ルッツは、領主になっても本質的には昔のまま変わっていないローゼマインに頭を抱えつつ、フェルディナンドがそれを許可していることに危うさを感じていた。
ルッツとトゥーリの結婚話
ベンノがルッツとトゥーリの結婚予定を口にすると、ローゼマインは驚きと喜びで大騒ぎした。祝福を飛ばしかけてフェルディナンドに止められながらも、二人の結婚を心から喜ぶ。フェルディナンドも結婚式で祝福を行うつもりだと語り、ルッツは将来浴びることになるであろう大量の祝福に気が遠くなった。そして、自分がフェルディナンドと親戚になるのだという事実に今さら衝撃を受ける。
ギュンターとフェルディナンドの約束
髪を結い上げられたローゼマインを見て、ギュンターは世界一可愛いと大絶賛した。しかしフェルディナンドの「悪くはない」という反応に怒りを露わにする。そんなギュンターへ、フェルディナンドは真摯な言葉を向けた。自分はマインに救われ、家族の在り方を教えられたこと、そしてマインを何よりも大切にすると誓うことを静かに語る。その言葉を受け、エーファは安心したように微笑み、ギュンターも平民流の婚約の杯を交わしてフェルディナンドを受け入れた。
別れと再会の約束
楽しい時間はあっという間に過ぎ、帰る時間が訪れた。トゥーリは次回の訪問用に平民服を渡し、ローゼマインは季節ごとに遊びに来たいと笑う。最後にカミルは、ぎこちなくも「マイン」と名前で呼び、ローゼマインは嬉しそうに笑った。そして、魔術で隠されていた扉が現れ、ローゼマインは「またね、皆!」と大きく手を振りながら壁の向こうへ帰っていった。
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兵士の娘

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神殿の巫女見習い

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領主の養女

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貴族院の自称図書委

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女神の化身

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ハンネローレの貴族院五年生

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