第五部 女神の化身10レビュー
第五部 女神の化身
本好きの下剋上 全巻まとめ
第五部 女神の化身12レビュー
どんな本?
フェルディナンドが旅立ったエーレンフェストの冬は重い。騒乱を好む「混沌の女神」のようなゲオルギーネに関する密告があったことで粛清が早められた。
本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第五部「女神の化身1」
一方、貴族院の三年生になったローゼマインは喪失感を振り払うように、忙しく動き回る。寮内では旧ヴェローニカ派の子供達が連座を回避できるように説得し、院内では領主候補生の講義初日が開始。文官コースの試験に、新しい上級司書との出会い、専門コースの専攻など、一年前とは立場も環境も激変した日々へ突入していく。
次第に「らしさ」を取り戻す中、神々のご加護まで大量に得て、ますますローゼマインの暴走は止まらない!?
「わたしの本好きウィルス、皆に広がれ!」
読んだ本のタイトル
#本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第五部「女神の化身Ⅺ」
著者:#香月美夜 氏
イラスト:#椎名優 氏
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あらすじ・内容
第5部完結目前!
新ツェントの決定と就任式へーー新時代への助走!
大人気ビブリア・ファンタジー最新刊!
中央の戦いを終えると、フェルディナンドは次代のユルゲンシュミットへ改革を始める。
本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第五部「女神の化身11」
歪んだ王族の世襲を廃し、新しいツェントの選出と決定を急ぐこと。その就任式、グルトリスハイトの継承の儀式の準備が進む一方、女神によって断たれたローゼマインの記憶が戻らない。けれど、周囲の不安をよそに、彼女の頭の中は「図書館都市計画」で楽しくなってきて……。
第五部完結目前! 新時代への助走ーー自らが選択した未来へ突き進め!
書き下ろし短編×2本、椎名優描き下ろし「四コマ漫画」収録!
前巻からのあらすじ
貴族院ではアーレンスバッハのディートリンデの手引きで他国の王族ジェルヴァージオが国の礎の魔術を狙っている。
それを防ぐためにローゼマインとフェルディナンドが率いるエーレンフェストの騎士達。
援軍のダンケルフェルガーの騎士達が貴族院に突撃する。
だが、ジェルヴァージオにツェントになってほしい中央騎士団の者達がそれに立ち塞がる。
現在のツェントのトラオクヴァールにツェントの矜持として先頭に立てとフェルディナンドに言われたのに、トラオクヴァールは礎の魔術を獲得した者に従うとヘタレる。
そこに始まりの庭から戻って来たジェルヴァージオが現れてツェントの証”グルトリスハイト”を見せ付けて来た。
だがそれはローゼマイン、フェルディナンドも持っていた。
ローゼマインはジェルヴァージオが持っているグルトリスハイトを見せて、ツェントになる資格があるとは限らないと見せつける。
3人いる王の資格を持つ者は正々堂々とツェントレースを行う事になる。
それをフェルディナンドは、ローゼマインを先を行かせてジェルヴァージオを罠に嵌める。
フェルディナンドマジで魔王w
感想
叡智の女神メスティオノーラがローゼマインの身体に降臨した時に、ローゼマインが本より大切なモノの記憶を消したらしい。
フェルディナンドの感覚では消えていたのは下町で暮らしていた時の記憶だった。
そんな記憶を無くした感覚の無いローゼマインは、演技では無く完全なる貴族令嬢になっていた。
そして、戦闘を行った事で発症した魔石に対する恐怖も無くなっていた。
そして、神の魔力に完全に染められているローゼマインは、普通にしていても神の魔力を垂れ流してらしく他の貴族達には神の力が感じられるらしく、軽く威圧してる感じになっているらしい。
そして王族との話し合いで次期ツェントの選出をして欲しいと神々から頼まれていると言う。
神々が望むツェントは”ユルゲンシュミットの礎を染められる者”。
祭壇に上がれる者は全ての大神の加護を得ている全属性の者じゃないといけない。
それをジギスヴァルトが立候補したが、彼には資格が全く無く、地位にしがみ付いて時間を稼ぎローゼマインから女神の力が抜けたら、居座る気でいたようて、それを見透かしていたトラオクヴァールがジギスヴァルトを魔法で縛り脱落。
そして、トラオクヴァールはフェルディナンドにツェントになって欲しいと言うが、前はツェントにならない意思を示すためにアーレンスバッハに婿入りしようとしたのに、その同じ口でツェントになれと言うのかと言い返す。
寝言は寝て言えとフェルディナンドの兄であるジルヴェスターもキレる。
このままでは王族は白の塔送りになってしまう。
娘を白の塔に入れるのを嫌がったエグランティーヌがツェントになると宣言する。
そして、彼女がローゼマインに名を捧げてツェント候補となり、グレトリスハイトをローゼマインから授与される事になるのだが、、
ローゼマインの身体に女神が再度降臨しようとして、フェルディナンドが妨害する魔道具を装備させていたせいで、神々がムキになって神気をローゼマインに注ぎ込んでしまった。
そのせいで、ローゼマインは神気で身喰い状態となってしまい。魔力を減らす事を積極的に行わないといけなくなった。
アーレンスバッハ改。
アレキサンドリアの領主となるべくローゼマインは荒廃している領地に祝福をドンドン振り撒く。
さらに海にも祝福を放って領民達は歓呼の声をローゼマインに捧げる。
さらにローゼマインの神の気に染まった魔力を狙って襲って来る魔物を護衛騎士達と共に、ローゼマインの魔力でチャージしては直ぐ放ってまたチャージするとドンドン討伐して行く。
そうして魔力をドンドン使うが、寝てしまうと神の気に染まった魔力が回復してしまうので、、
寝れない。
腹も減るが食べられない。
元々虚弱体質だったローゼマインには辛い状態。
まるで身喰いの時のようになって行って行く。
それでも魔力を使わないといけないローゼマインは、大規模な魔法を行使して魔力を早く消費する。
そして、アレキサンドリア全体に回復魔法を行使して各地を護る部下達、親戚達を見てホッとして意識を手放す。
最後までお読み頂きありがとうございます。
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第五部 女神の化身10レビュー
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本好きの下剋上 全巻まとめ
第五部 女神の化身12レビュー
考察・解説
記憶の欠損
『第五部 女神の化身11』において、ローゼマインが直面する「記憶の欠損」は、彼女のアイデンティティや今後の展開に関わる極めて重要な要素である。その原因や欠落した記憶の範囲、および対策について解説する。
記憶欠損の原因
記憶の欠損は、物語の根幹に関わる重大な事象として引き起こされた。
- 始まりの庭において、英知の女神メスティオノーラがローゼマインに降臨した際、彼女の精神に干渉したことによる代償である。
- メスティオノーラは、体を借りている間にローゼマインの意識を女神の図書館に喜んで留まらせておくため、読書に対する執着より深く心の内に入り込んでいる記憶への繋がりを意図的に断ち切った。
- 女神によれば、記憶そのものを完全に消去したわけではなく、あくまで繋がりが切れている状態だとされている。
欠落した記憶の範囲
干渉の対象となったのは、ローゼマインにとって読書よりも優先される大切な存在や強烈な経験である。領主一族や側近、およびフェルディナンドに関する記憶は無事であったが、彼女の根幹にある部分が影響を受けている。
- 下町の家族と専属職人:フェルディナンドの推測通り、本作りに関わる下町の関係者への記憶が繋がっていない状態である。実際にローゼマインは、自分の衣装に合わせる髪飾りを作った職人であるトゥーリや、自身が称号を与えた染色職人の顔と名前を全く思い出せず、混乱することとなる。
- 魔石恐怖症の記憶:良い記憶だけでなく、深く心に刻まれた強烈な悪い記憶も断たれている。以前は魔石恐怖症に苦しんでいたが、記憶欠損後は魔石に対する恐怖を忘れたように振る舞い、当然のように騎獣を使おうとしてハルトムートら側近たちに違和感を抱かせた。
ローゼマインの恐怖
記憶の欠落を自覚したローゼマインは、精神的に大きな追い詰められ方をすることとなった。
- 自覚がないまま、不自然な形で自分の大切な記憶を失っていることに気づいたローゼマインは、得体の知れない強い恐怖と焦燥感に襲われる。
- 自分が一体何を忘れているのかすら分からない事態に背筋を凍らせる。
- しかし、繋がりが切れているだけならばきっと思い出せるはずだと必死に自分に言い聞かせ、落ち着こうと試みる。
記憶を取り戻す方法と周囲の対策
失われた記憶の回復と魔力の暴走を防ぐため、周囲では慎重な対応と対策が講じられた。
- 記憶の回復手段:メスティオノーラによれば、忘れられた本人がローゼマインに魔力を流すことで記憶の繋がりを取り戻すことができる。しかし、記憶がない状態で見知らぬ者の魔力を流されることには強い拒否感を示すだろうとも語られている。
- 今後の検証:フェルディナンドは神話や歴史を参考に他の手段も検証しようと考えているが、現在は新しいツェント選出や領地の問題で時間がないため、すべてが落ち着いた後に必ず協力するとローゼマインに約束した。
- 精神面の保護:フェルディナンドは、記憶の欠損を知ってローゼマインが感情を乱し、彼女の体から漏れ出ている強大な女神の御力が暴走することを何よりも危惧している。そのため、側近たちに対して、記憶の欠如についてローゼマイン本人から気づく前に伝えることを厳しく禁じ、彼女の精神状態を慎重に守ろうとしている。
まとめ
ローゼマインの記憶の欠損は、神々の降臨がもたらした過酷な代償であり、彼女にとって最も大切な下町のつながりを脅かす危機となっている。自覚のない欠落に対する恐怖に怯えながらも、繋がりを修復するための具体的な方法が示されたことは今後の希望と言える。フェルディナンドによる厳格な情報統制と精神的な保護のもと、すべての政変や戦後処理が落ち着いた後に、彼女がどのように記憶と絆を取り戻していくのかが今後の展開における最大の焦点となる。
グルトリスハイトの継承
『本好きの下剋上』における「グルトリスハイトの継承」について、その本来の姿から魔術具への変質、政変による喪失、そして新たな継承の儀式に至るまでの歴史と変遷を解説する。
本来の姿とマニュアルの誕生
本来、ツェントの証である英知は「メスティオノーラの書」と呼ばれ、他者へ継承することは不可能である。
・全属性を持つ者が自力で祠を巡って神々から石板を得る
・始まりの庭でエアヴェルミーンから直接自身のシュタープに写し取る
しかし、全ての英知を取り込むのは困難であったため、執務に支障が出ないよう足りない知識を補う「マニュアル本」としてのグルトリスハイトが作られ、地下書庫の奥に収められた。昔のツェント候補たちは、そこで必要な知識を自分のメスティオノーラの書に写していた。
ガランゾルグの愚行と王族への限定
後にガランゾルグという人物が、祠を巡らずとも地下書庫の女神像に魔力を注げばグルトリスハイトの外形を得られ、地下書庫の奥で中身を書き写せることに気付いてしまう。
・自力で英知を得る努力が敬遠されるようになる
・ツェントを巡る争いが激化する
この争いを憂えたツェント・ラオヘルシュトラは、候補者を絞るために、自分の一族として登録した者(王族)しか地下書庫の奥へ入れないように制限を設けた。
魔術具化と継承の始まり
グルトリスハイトが継承されるものへと決定的に変わったのは、ツェント・アルプゼンティの時代である。
・属性が一つ足りない最愛の息子ナイグンハイトをツェントにするため、他者へ引き継げる「魔術具型のグルトリスハイト」を作り出した
・持ち主が死ぬと本来あるべき地下書庫の奥へ自動的に戻る仕組みであった
しかし、ナイグンハイトは死の直前に、シュタープで魔力を通し合って持ち主の変更を行い、息子のルンドザインへ直接魔術具を継承させてしまう。ルンドザイン自身は自力で英知を得られる全属性であったが、グルトリスハイトは親から子へシュタープを通して継承する魔術具だと誤認し、地下書庫の奥へ行くことなく自身の子へ継承させた。こうして、グルトリスハイトは自力で得るものではなくなり、魔術具として血族間で継承されるものへと変質してしまった。
政変による喪失
魔術具の継承が当たり前となった結果、王族は地下書庫の奥に関する正しい知識(口伝)を失ってしまった。
・近年の政変において、魔術具型のグルトリスハイトを継承した第二王子ワルディフリードが第一王子によって殺害される
・正当な持ち主の死により、魔術具は本来の仕組み通りに地下書庫の奥(王族登録がなければ入れない書庫)へと戻って消え去ってしまった
アルプゼンティの言葉が引き継がれていなかった王族は、書庫の存在にも気づけず、グルトリスハイトは完全に行方不明となってしまったのである。
新たな継承の儀式と本来の姿への回帰
物語の終盤、この魔力枯渇の危機を脱するため、フェルディナンドは一代限りで消滅し、他者へ譲渡できない魔術具型のグルトリスハイトを新たに作製した。これは急場を凌ぐための措置であり、次代からは自力でメスティオノーラの書を得るという本来の方式へ戻すことを目的としている。
女神の化身となったローゼマインから新たなツェントであるエグランティーヌへと、この一代限りのグルトリスハイトが授与される継承の儀式が歴史上初めて執り行われることになった。この儀式を通じて、ユルゲンシュミットは再び正当なツェントを戴き、失われた古の神事や本来の継承のあり方を取り戻していくことになる。
女神の御力
『第五部 女神の化身』の終盤において、ローゼマインがその身に宿した「女神の御力」について、獲得の経緯や周囲へ与える圧倒的な影響、そして御力を手放すための過酷な過程を解説する。
女神の御力獲得の経緯
「始まりの庭」において、フェルディナンドが作成したお守り(神の降臨を防ぐ魔術具)が英知の女神メスティオノーラの降臨を阻もうとしたため、それに抗う神々が力任せに膨大な御力(祝福)をローゼマインに注ぎ込んだ。
・複数の神々の御力が体内で反発し合い、ローゼマインは体が引き裂かれるような激痛に苦しむことになる
・最終的にメスティオノーラが降臨して御力を整えたことで苦痛は和らいだが、彼女の体は神々の御力で完全に塗り替えられてしまった
圧倒的な神々しさと威圧感
育成の神アーンヴァックスによって年相応の姿へ急成長させられたローゼマインは、闇の神の祝福を受けた夜空のような髪と、光の女神の祝福を受けた金色の瞳を持ち、伝承に語られるメスティオノーラと瓜二つの姿となった。
・常に全身から淡い光を放ち、身に着けているお守りの魔石も激しく発光するようになる
・人が持つ魔力とは次元が違う、近付くほどに畏れ多く跪きたくなるような圧倒的な威圧感(波動)を放つようになる
・側近や家族ですら直視するのが困難なほどの神々しさをまとった
日常生活への支障と王族への影響力
この強大な御力が常に垂れ流しになっているため、日常生活には大きな支障が出た。
・周囲を混乱させず、威圧感で他者を傷つけないように、日常では遮光性の高い「銀色の布」をすっぽりと被って過ごすことを余儀なくされる
・自身の魔力が神々の御力に染まったことで、騎獣(レッサーバス)の魔石に登録された魔力と差が生じ、騎獣が虹色になってしまうなど、魔術具の扱いにも不具合が生じた
一方で、この御力は新しいツェントにグルトリスハイトを授ける女神の化身としての絶対的な説得力を持ち、王族や他領の貴族に対して、ローゼマインが彼らよりも上位の存在であることを一目で知らしめ、立場の逆転を容易に受け入れさせる強力な武器となった。
御力の消去と魔力枯渇計画
神々の御力は人の身には過ぎた力であり、時間が経過して御力が増大すれば再び激痛に襲われ、長期間保持すれば命に関わる。この御力を消す唯一の方法は、魔力を枯渇寸前(限りなく死に近付く状態)まで使い果たし、その直後に他者の魔力で染め直すという非常に過酷なものであった。
そのためローゼマインは、国の礎への魔力供給や、神具への魔力奉納、大量の金粉作りなどを経て、最終的にはフェルディナンドの協力のもと、アーレンスバッハの領地全体(アレキサンドリア)を覆う超大規模な「癒しの魔術」を発動させた。この魔術によってついに魔力を枯渇させることに成功し、彼女は神々の御力から解放されることになった。
次期ツェントの選定
『本好きの下剋上』における「次期ツェントの選定」は、グルトリスハイトが失われたことによる王族の苦境から始まり、奉納舞の魔法陣の発見、そして神々の要求による新たなツェントの決定へと目まぐるしく変遷していく。その選定プロセスと各キャラクターの動向について解説する。
奉納舞の魔法陣と次期ツェント候補の浮上
貴族院の卒業式における奉納舞で、アーレンスバッハのディートリンデが偶然に魔法陣を浮かび上がらせたことで、事態は大きく動き出す。中央神殿の神殿長は、それが次期ツェントを選出するための魔法陣であると主張し、ディートリンデが最も次期ツェントに近いと宣言して貴族院を混乱させた。
しかしフェルディナンドは、この魔法陣が優秀な王族や領主候補生が成人の時に、ツェントとなるに足る魔力があるか否かを問う神事であると説明する。
・全属性と十分な魔力を持ち、光の柱を立てられた者だけが次の段階である祠巡りに進める
・ただ魔石を光らせようと魔力を放出して魔法陣を浮かび上がらせただけのディートリンデには、ツェント候補の資格はないと切り捨てた
王族の挑戦とローゼマインの巻き込み
ディートリンデの一件を受け、王族たちも御加護の再取得を行い、魔法陣を光らせることに挑戦した。トラオクヴァール、ジギスヴァルト、アナスタージウス、エグランティーヌの四人は魔法陣を光らせることに成功するが、次の段階である祠に入れたのはエグランティーヌただ一人であった。彼女は最初から全属性であったため、貴族院卒業前に始まりの庭でシュタープを得ていたからである。
一方で、王族たちは国境門の開閉や魔術具の維持のため、一刻も早くグルトリスハイトを必要としていた。
・すでにグルトリスハイト取得に最も近い位置にいるローゼマインをトラオクヴァールの養女として王族に迎え入れる
・グルトリスハイトを取得させた上で、次期ツェントに内定していたジギスヴァルトの第三夫人にするという計画を企てる
神々の要求とジギスヴァルトの失格
物語終盤、女神の化身となったローゼマインは王族たちに対し、ツェントの世襲の廃止と次代のツェントは自力でメスティオノーラの書を得た者にすることという神々からの要求を突きつける。
これに対し、ジギスヴァルトは自らが新たなツェントに就任して昔のやり方を取り入れると立候補した。しかしフェルディナンドから、女神の御力の影響を防ぐためにもローゼマインに名を捧げることを要求されると、彼は難色を示す。
その姿を見た現在のツェントであるトラオクヴァールは、ジギスヴァルトを光の帯で縛り上げた。処刑が当然の我々に生き延びる選択肢を与え、グルトリスハイトを授けてくださる女神の化身に名を捧げて尽くすこともできぬ者にツェントとなる資格などないと激しく叱責し、彼を次期ツェントの候補から完全に失格させた。
最終的な次期ツェントの決定
ジギスヴァルトが失格となった後、トラオクヴァールは自らフェルディナンドの前に跪き、彼がツェントになることを懇願した。しかし、フェルディナンドは最初からツェントになる選択肢などないとこれを拒絶する。
王族の誰もがツェントにならなければ、王族全員が白の塔へ幽閉されるという危機的状況の中、エグランティーヌが決断を下す。彼女は争乱のない平和な未来と、自分の娘と過ごせる場所を守るため、自らがツェントになることを志願した。
こうして、エグランティーヌが新たなツェントとして選定され、歴史上初めて女神の化身であるローゼマインから一代限りのグルトリスハイトが授与される継承の儀式が執り行われることになったのである。
フェルディナンドの名捧げ
『本好きの下剋上』における「フェルディナンドの名捧げ」は、彼の過酷な生い立ちやアーレンスバッハでの危機、そしてローゼマインとの強い絆を示す極めて重要な要素である。その経緯と詳細を以下に解説する。
ヴェローニカやディートリンデからの要求と拒絶
フェルディナンドの有能さを利用し、その行動を縛るために名捧げを要求した女性は、過去にヴェローニカとディートリンデの二人がいる。
・アーレンスバッハでディートリンデから名を捧げるよう迫られた際、フェルディナンドは「私の名は手元にない」と冷たく拒絶した
・行動を縛るために名を欲しがったのはヴェローニカと貴女だけであり、二人はよく似ていると皮肉を告げ、ディートリンデを激怒させている
ローゼマインへの密かな預託
アーレンスバッハへ婿入りする前、フェルディナンドはローゼマインへ録音の魔術具を入れた革袋を贈った。
・革袋の二重底には、「クインタ」という名が刻まれた全属性の魔石(彼自身の名捧げの石)が隠されていた
・「いずれ私が取りに行くので、隠し部屋に置いておいてほしい」というメモが同封されていた
アーレンスバッハは自らの命を預けるほど安全な場所ではなく、他に信用できる者もいなかったため、フェルディナンドはローゼマインの隠し部屋を最も安全な保管場所として選んだのである。
命を救うための名の奪取
アーレンスバッハでフェルディナンドが毒に倒れ、瀕死の危機に陥った際、事態は急変する。
・ローゼマインはユストクスから、名捧げは主の魔力によって窮地の臣下を生かすためにも使えると唆された
・フェルディナンドの死を絶対に認めないローゼマインは、手段を選ばず彼を救うため、保管していた名捧げの石を自らの魔力で染め上げ、彼から名を奪った
そして「絶対に助けに行くので、生きてください」と命じた。遠く離れた地でその命令を受けたフェルディナンドは、無意識に抗おうとしたものの主の魔力に首を絞められるような苦痛を受け、生きることを了承したことで命を繋ぎ止めた。
女神の御力対策としての再名捧げ
フェルディナンドを救出した後、ローゼマインは奪った名捧げ石を彼に返却した。しかしその後、ローゼマインが始まりの庭で神々の御力を過剰に受けてしまい、通常の貴族では彼女に触れることすら恐れおののく状態になってしまう。
・ハルトムートらの証言により、名を捧げた側近であれば彼女の魔力に包まれているため問題なく触れられると判明した
・フェルディナンドは、非常時に彼女を物理的に抑える手段を確保するため、再び自らの名捧げ石を作ってローゼマインに押し付けた
ローゼマインは騙し討ちだと嫌がったが、フェルディナンドに「最初に私の命を救う手段として名捧げを利用したのは君だ」と反論され、女神の御力が消えるまでという期間限定で再び彼の名を受けることとなった。
まとめ
フェルディナンドの名捧げは、他者からの支配を拒む彼が、唯一ローゼマインを信用して命を預けた証である。また、ローゼマインが彼の命を救うための究極の手段として機能し、後には彼女の暴走を止めるための物理的な安全装置としての役割も果たした。この名捧げを巡る一連の出来事は、二人の間に存在する特異な信頼関係と深い絆を象徴しているといえる。
ローゼマインの魔力枯渇
『第五部 女神の化身』終盤において、ローゼマインが体内に宿した「神々の御力」を手放すために行われた過酷な「魔力枯渇」の試みと、それに伴う超大規模魔術について解説する。
魔力枯渇の必要性と難航
始まりの庭で複数の神々から注がれた御力は、ローゼマインの体内で反発し合い、そのまま保持し続ければ命に関わる危険な状態であった。この御力を消し去る唯一の方法は、魔力を枯渇寸前(限りなく死に近づく状態)まで完全に使い果たし、その直後に他者の魔力で染め直すことであった。
しかし、ローゼマインがユルゲンシュミットの国の礎を染め上げ、領地の境界線を引き直すという膨大な魔力を要する作業を行っても、神々の御力は全く枯渇しなかった。
・大量の素材を金粉化する
・虹色の騎獣を作製する
・アーレンスバッハのビンデバルトの土地やカンナヴィッツの海を浄化して回る
これらの魔力散布を続けたが、一晩眠るだけで魔力が回復してしまい、枯渇させることは困難を極めた。
超大規模魔術の計画と覚悟
いくら魔力を使っても枯渇しない状況を打破するため、フェルディナンドとローゼマインは、新領地「アレキサンドリア」の全土を一度に癒す超大規模な魔術を発動する計画を立てた。
・領地の礎を起点とする
・各境界門を終点としてアレキサンドリア全体を癒しの魔法陣で覆う
これは前代未聞の術式である。フェルディナンドは、この魔術による魔力枯渇でローゼマインが命を落とす危険性があることを名捧げ側近たちに伝え、「最悪の場合は名捧げ側近も、新しいツェントも、ユルゲンシュミットも全て道連れにする」というすさまじい狂気と覚悟を見せていた。
領民を巻き込んだ祈りの強要
大規模魔術を成功させるには、領地に住む人々の祈りが必要であった。
決行の夜、ハルトムートたち側近は魔術具を通じて領地中に声を響かせ、貴族だけでなく港の漁師たちのような平民にまで「エーレンフェストの聖女ローゼマイン様へ祈りを捧げよ」と祈りを強要した。初めは戸惑っていた平民たちも、新しいアウブが身を削って土地を豊かにしようとしていることを知り、街全体が一体となって真剣な祈りを捧げた。
魔力枯渇の達成とアレキサンドリアの再生
礎の間において、ローゼマインはエアヴェルミーンの枝などを組み込んだ特製の魔術具に魔力を注ぎ込んだ。すると、空には巨大な魔法陣が広がり、水鏡には領地各地の境界門や街の様子が映し出された。
・魔法陣が完成に近づくにつれ、ローゼマインの魔力は凄まじい勢いで吸い取られていく
・空腹感は激しい飢餓感へと変わり、体は冷え、呼吸も浅くなっていった
そして限界を迎えたローゼマインは、フェルディナンドに最後の祝詞を託し、安心感の中で意識を手放してついに魔力を枯渇させることに成功した。その後、フェルディナンドの液状魔力によって染め直しが行われ、彼女は命の危機と神々の御力から無事に解放された。
まとめ
この魔力枯渇の代償として行われた大規模魔術により、アレキサンドリアの枯れた土地は緑を取り戻し、濁っていた海は青く透き通って魚が跳ね回る豊かな海へと生まれ変わり、領民たちに多大な恩恵をもたらす結果となった。
アレキサンドリアの大規模魔術
『第五部 女神の化身』の終盤にて行われた「アレキサンドリアの大規模魔術」は、ローゼマインが体内に宿した危険な「神々の御力」を手放すための魔力枯渇計画の最終段階として発動された、前代未聞の超大規模魔術である。
その目的や準備、発動の様子、そして新領地にもたらした奇跡について詳しく解説する。
大規模魔術の概要と準備
この魔術は、アレキサンドリアの礎を起点とし、各境界門を終点として、領地全体を巨大な「癒しの魔法陣」で覆うという、古代の神話時代を再現するような術式である。発動にあたり、フェルディナンドの指示のもとで緻密な準備が行われた。
・始まりの庭で得たエアヴェルミーンの白い枝と、ローゼマインの虹色の騎獣を潰して作った魔石を組み合わせ、魔術の基点となる道具が作られた
・広大な領地を覆う魔法陣を一から描く時間はなかったため、ローゼマインが開発したコピーシテペッタン(コピペ魔術)を用いて、エアヴェルミーンの枝に癒しの魔法陣を刻み込んだ
・エックハルトやマティアス、ラウレンツなどの護衛騎士たちが各境界門に派遣され、終点となる枝を配置して上空を見守った
礎の間での発動
アレキサンドリアの礎の間に入ったローゼマインが、盆状の魔石に魔力を注ぐと、魔石の表面が水鏡のように変化した。そして、エアヴェルミーンの枝が虹色に染まり、全属性の光が天井を貫いて空へと真っ直ぐに伸びていく。
水鏡には、貴族街や下町、海、そして各境界門で魔法陣を見上げる騎士たちの様子が次々と映し出され、領地の上空を光の魔法陣が覆い尽くしていく様子が確認できた。
領民たちへの祈りの強要
この巨大な魔術を成功させるためには、領地に住む人々の祈りが不可欠であった。
魔法陣が広がる中、ハルトムートとクラリッサは魔術具を使って領地中に声を響かせた。彼らはこの空に広がる美しい魔法陣は、新しいアウブであるローゼマイン様が魔力に乏しい領地を満たすために作り出したものと説明し、貴族だけでなく、港に集まっていた漁師などの平民にまで女神の化身であるローゼマイン様へ祈りを捧げよと強要した。
最初は戸惑っていた平民たちも、新しい領主が身を削って土地を豊かにしようとしていることを知り、街全体が一体となって真剣な祈りの声を上げた。
魔術の完成とアレキサンドリアの再生
領民たちの祈りが最高潮に達し、空を覆う魔法陣が繋がって完成した瞬間、魔法陣はカッと強い光を放ち、緑色の光の粒(癒しの力)となって領地全体に雨のように降り注いだ。
同時に、魔力を吸い尽くされたローゼマインは激しい飢餓感と寒気に襲われ、ついに魔力の枯渇を迎える。フェルディナンドがフリュートレーネの祝詞を唱えて魔術を完了させると、ローゼマインは安心感の中で意識を手放した。
もたらされた恩恵
この命懸けの魔術により、アレキサンドリアは劇的な再生を遂げた。
・翌朝、魔力不足で痩せて硬くなっていた井戸広場などの土は、一晩でふっくらと柔らかくなり、草が生い茂る豊かな土地へと生まれ変わっていた
・黒っぽく濁っていたカンナヴィッツの海は、一気に澄んだ青く透き通る海へと変化し、痩せこけていた魚が大きく成長して跳ね回るようになった
この奇跡を目の当たりにした漁師や領民たちは、新しいアウブのもたらした絶大な恩恵に歓喜し、かつてない希望に満ちた朝を迎えることとなった。
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本好きの下剋上 全巻まとめ
第五部 女神の化身12レビュー
登場キャラクター
エーレンフェスト
ジルヴェスター
エーレンフェストの領主である。フェルディナンドの兄という立場にある。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト・アウブ。
・物語内での具体的な行動や成果
王族との話し合いに参加した。フェルディナンドへツェント職を押し付けようとするトラオクヴァールに対して怒りを露わにした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ローゼマインとの養子縁組の取り消しを要求した。
フロレンツィア
ジルヴェスターの第一夫人である。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト・第一夫人。
・物語内での具体的な行動や成果
王族との昼食会に参加した。ローゼマインへ神話表現における秋と冬の意味を説明する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
シャルロッテ
ジルヴェスターとフロレンツィアの娘である。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト・領主候補生。
・物語内での具体的な行動や成果
寮の采配を任された。金粉化のための素材をローゼマインの部屋へ運び込んだ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
メルヒオール
ジルヴェスターとフロレンツィアの息子である。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト・領主候補生。神殿長。
・物語内での具体的な行動や成果
神殿長の儀式服をまとって継承の儀式を見学した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ヴィルフリート
ジルヴェスターとフロレンツィアの息子である。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト・領主候補生。
・物語内での具体的な行動や成果
文書内に直接の登場はない。ローゼマインとの婚約解消が内々に決まっていると言及された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ボニファティウス
ジルヴェスターの叔父である。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト・領主一族。
・物語内での具体的な行動や成果
大規模魔術の発動時、エーレンフェストとの境界門でコルネリウスを担いで振り回した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
リヒャルダ
ローゼマインの筆頭側仕えである。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト・側仕え。
・物語内での具体的な行動や成果
寮での荷物運びの指示を出した。フェルディナンドから来客の面会依頼を断るよう命じられる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ブリギッテ
イルクナーのギーベの妹である。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト・貴族。
・物語内での具体的な行動や成果
文書内に直接の登場はない。ゲルラッハの戦いに参加したと言及された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
トゥーリ
ギルベルタ商会の髪飾り職人である。
・所属組織、地位や役職
ギルベルタ商会・髪飾り職人。
・物語内での具体的な行動や成果
文書内に直接の登場はない。ローゼマインが彼女の顔や名前を思い出せなくなっていた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
コリンナ
ギルベルタ商会の関係者である。
・所属組織、地位や役職
ギルベルタ商会・関係者。
・物語内での具体的な行動や成果
文書内に直接の登場はない。衣装を作る人物としてローゼマインの記憶に残っていた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ベンノ
プランタン商会の関係者である。
・所属組織、地位や役職
プランタン商会・関係者。
・物語内での具体的な行動や成果
文書内に直接の登場はない。ローゼマインの記憶の中で言及された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
フーゴ
ローゼマインの専属料理人である。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト・専属料理人。
・物語内での具体的な行動や成果
祈念式の同行者に加わった。漁師から魚を受け取る。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
エラ
ローゼマインの専属料理人である。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト・専属料理人。
・物語内での具体的な行動や成果
祈念式に同行した。魚の塩焼きを作ってローゼマインへ提供した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
レオン
イタリアンレストランの給仕である。
・所属組織、地位や役職
イタリアンレストラン・給仕。
・物語内での具体的な行動や成果
文書内に直接の登場はない。ローゼマインの記憶の中で言及された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
デリア
神殿の関係者である。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト神殿・関係者。
・物語内での具体的な行動や成果
文書内に直接の登場はない。ローゼマインの記憶の中で名前が浮かんだ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ディルク
神殿の関係者である。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト神殿・関係者。
・物語内での具体的な行動や成果
文書内に直接の登場はない。ローゼマインの記憶の中で名前が浮かんだ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
前神殿長
かつてのエーレンフェスト神殿長である。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト神殿・元神殿長。
・物語内での具体的な行動や成果
文書内に直接の登場はない。ローゼマインの記憶の中で顔が浮かんだと言及された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ローゼマインとその側近
ローゼマイン
本作の主人公である。女神の化身として扱われている。
・所属組織、地位や役職
アーレンスバッハ・アウブ。
・物語内での具体的な行動や成果
エグランティーヌにグルトリスハイトを授与した。アレキサンドリア全体を癒す大規模魔術を成功させる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
メスティオノーラの降臨により一部の記憶への繋がりが断たれた。
レオノーレ
ローゼマインの護衛騎士である。
・所属組織、地位や役職
ローゼマインの護衛騎士。
・物語内での具体的な行動や成果
魔獣狩りの際、シュツェーリアの盾を展開して騎獣の周囲を守った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
アンゲリカ
ローゼマインの護衛騎士である。
・所属組織、地位や役職
ローゼマインの護衛騎士。
・物語内での具体的な行動や成果
銀色の布に包まれたローゼマインを抱えて移動した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
コルネリウス
ローゼマインの護衛騎士である。
・所属組織、地位や役職
ローゼマインの護衛騎士。
・物語内での具体的な行動や成果
神具を用いた魔獣狩りに参加した。大規模魔術の発動時、エーレンフェストとの境界門で待機する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
マティアス
ローゼマインの護衛騎士である。
・所属組織、地位や役職
ローゼマインの護衛騎士。
・物語内での具体的な行動や成果
魔獣狩りに参加した。大規模魔術の発動時、フレーベルタークとの境界門で待機した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ラウレンツ
ローゼマインの護衛騎士である。
・所属組織、地位や役職
ローゼマインの護衛騎士。
・物語内での具体的な行動や成果
祈念式に同行した。大規模魔術の発動時、旧ベルケシュトックとの境界門で待機する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ユーディット
ローゼマインの護衛騎士である。
・所属組織、地位や役職
ローゼマインの護衛騎士。
・物語内での具体的な行動や成果
寮でローゼマインの護衛を担当した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ダームエル
ローゼマインの護衛騎士である。
・所属組織、地位や役職
ローゼマインの護衛騎士。
・物語内での具体的な行動や成果
寮でローゼマインの護衛を担当した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ハルトムート
ローゼマインの文官である。神事を取り仕切る役割を持つ。
・所属組織、地位や役職
ローゼマインの文官。エーレンフェストの神官長。
・物語内での具体的な行動や成果
継承の儀式で神官長役を務めた。祈念式に同行し、アーレンスバッハの貴族達へ神事の重要性を説く。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
クラリッサ
ローゼマインの文官である。ハルトムートの婚約者という立場にある。
・所属組織、地位や役職
ローゼマインの文官。
・物語内での具体的な行動や成果
銀色のマントを準備し、ローゼマインに被せた。祈念式への同行を志願した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
フィリーネ
ローゼマインの文官である。
・所属組織、地位や役職
ローゼマインの文官。
・物語内での具体的な行動や成果
ローゼマインから原稿を託され、神殿で印刷するよう命じられた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ローデリヒ
ローゼマインの文官である。
・所属組織、地位や役職
ローゼマインの文官。
・物語内での具体的な行動や成果
ダンケルフェルガーの物語の執筆を続けるよう指示された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
リーゼレータ
ローゼマインの側仕えである。
・所属組織、地位や役職
ローゼマインの側仕え。
・物語内での具体的な行動や成果
ローゼマインの食事の毒見を行った。神具の管理や主の体調を気遣う役割を果たす。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
グレーティア
ローゼマインの側仕えである。
・所属組織、地位や役職
ローゼマインの側仕え。
・物語内での具体的な行動や成果
ローゼマインの着替えや食事の給仕を行った。大規模魔術の際、主の無事を心から祈った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
オティーリエ
ローゼマインの側仕えである。
・所属組織、地位や役職
ローゼマインの側仕え。
・物語内での具体的な行動や成果
寮でローゼマインの身支度を整えた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ブリュンヒルデ
ローゼマインの側仕えである。
・所属組織、地位や役職
ローゼマインの側仕え。
・物語内での具体的な行動や成果
届いた新しい衣装への着替えを手伝った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ベルティルデ
ローゼマインの側仕えである。
・所属組織、地位や役職
ローゼマインの側仕え。
・物語内での具体的な行動や成果
銀色の布を運び、継承の儀式前に魔石の装飾品を準備した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
フェルディナンドとその側近
フェルディナンド
ローゼマインの婚約者である。合理的な思考と高い魔術の知識を持つ。
・所属組織、地位や役職
アーレンスバッハ・アウブ代行。
・物語内での具体的な行動や成果
ローゼマインの魔力枯渇計画を立案した。始まりの庭でエアヴェルミーンに即死毒を使用し、女神降臨を促す。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ユルゲンシュミットの行く末を裏から操作する存在として、他領からも恐れられている。
エックハルト
フェルディナンドの護衛騎士である。
・所属組織、地位や役職
フェルディナンドの護衛騎士。
・物語内での具体的な行動や成果
大規模魔術の発動時、ダンケルフェルガーとの境界門で魔法陣を見守った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ユストクス
フェルディナンドの側仕えである。
・所属組織、地位や役職
フェルディナンドの側仕え。
・物語内での具体的な行動や成果
グレーティアと共に食事の毒見を行った。大規模魔術の際、興奮して窓に張り付く。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ラザファム
フェルディナンドの側仕えである。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト・側仕え。
・物語内での具体的な行動や成果
寮の部屋の準備をし、フェルディナンドにお茶を淹れた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
シュトラール
フェルディナンドの護衛騎士である。
・所属組織、地位や役職
フェルディナンドの護衛騎士。
・物語内での具体的な行動や成果
アーレンスバッハの騎士達の統率を任された。大規模魔術の発動時、境界門で待機した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ゼルギウス
フェルディナンドの側仕えである。
・所属組織、地位や役職
フェルディナンドの側仕え。
・物語内での具体的な行動や成果
ハルトムートの熱弁に対し、懸命に相槌を打っていた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
アーレンスバッハ・アレキサンドリア・ランツェナーヴェ陣営
レティーツィア
アーレンスバッハの領主候補生である。
・所属組織、地位や役職
アーレンスバッハ・領主候補生。
・物語内での具体的な行動や成果
城で留守番をし、ローゼマインの虹色の騎獣を見て目を輝かせた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ディートリンデ
アーレンスバッハの領主候補生である。
・所属組織、地位や役職
アーレンスバッハ・罪人。
・物語内での具体的な行動や成果
文書内に直接の登場はない。神事を拒否していたため領地が出遅れたと言及された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
連座の対象外となることが確定している。
アルステーデ
アーレンスバッハの貴族である。
・所属組織、地位や役職
アーレンスバッハ・罪人。
・物語内での具体的な行動や成果
文書内に直接の登場はない。ランツェナーヴェの者達を貴族登録したと言及された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ブラージウス
アルステーデの夫である。
・所属組織、地位や役職
アーレンスバッハ・罪人。
・物語内での具体的な行動や成果
文書内に直接の登場はない。アルステーデの夫として言及された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ビンデバルト伯爵
旧アーレンスバッハの貴族である。
・所属組織、地位や役職
アーレンスバッハ・元ギーベ。
・物語内での具体的な行動や成果
文書内に直接の登場はない。ローゼマインの記憶の中で顔が浮かんだ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ジェルヴァージオ
ランツェナーヴェの王候補である。
・所属組織、地位や役職
ランツェナーヴェ・王候補。
・物語内での具体的な行動や成果
国境門に閉じ込められていたが、エグランティーヌ達によって捕縛された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
アーレンスバッハの平民達
ジフィ
港の漁師である。フィナの夫という立場にある。
・所属組織、地位や役職
アレキサンドリア・漁師。
・物語内での具体的な行動や成果
仲間と共に酒を飲みながら新しいアウブの噂を語り合った。大規模魔術の際、祈りを捧げる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
浄化された海を見て歓喜し、舟を漕ぎ出した。
トレム
港の漁師である。
・所属組織、地位や役職
アレキサンドリア・漁師。
・物語内での具体的な行動や成果
ジフィに注意を促しつつ、酒を注いだ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ゼグト
港の漁師である。
・所属組織、地位や役職
アレキサンドリア・漁師。
・物語内での具体的な行動や成果
アウブが塩焼きを好むという情報を伝えた。父親と舟の主導権を争う。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
アンク
港の漁師である。
・所属組織、地位や役職
アレキサンドリア・漁師。
・物語内での具体的な行動や成果
アウブの好みが塩焼きであることを補足した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
フルト
商船の船乗りである。
・所属組織、地位や役職
アレキサンドリア・船乗り。
・物語内での具体的な行動や成果
カンナヴィッツでローゼマインが海を浄化するのを目撃し、その凄さを語った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
フィナ
ジフィの妻である。
・所属組織、地位や役職
アレキサンドリア・平民。
・物語内での具体的な行動や成果
夜明け前にジフィと共に外へ出た。酒を飲む夫たちに呆れていた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ゼグトの父親
ゼグトの父親である。
・所属組織、地位や役職
アレキサンドリア・元漁師。
・物語内での具体的な行動や成果
アウブの癒しで足腰の痛みが消え、引退を取り消して再び舟に乗ると主張した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ダンケルフェルガー
アウブ・ダンケルフェルガー
ダンケルフェルガーの領主である。
・所属組織、地位や役職
ダンケルフェルガー・アウブ。
・物語内での具体的な行動や成果
王族との話し合いに参加した。ディッター物語の主役になると聞いて大興奮する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ジークリンデ
ダンケルフェルガーの第一夫人である。
・所属組織、地位や役職
ダンケルフェルガー・第一夫人。
・物語内での具体的な行動や成果
興奮する夫を窘めた。エグランティーヌに対し、クラッセンブルク以上の発言力を求めた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
レスティラウト
ダンケルフェルガーの領主候補生である。
・所属組織、地位や役職
ダンケルフェルガー・領主候補生。
・物語内での具体的な行動や成果
継承の儀式を見学し、美しい光景を絵に残したい欲求と戦った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ハンネローレ
ダンケルフェルガーの領主候補生である。
・所属組織、地位や役職
ダンケルフェルガー・領主候補生。
・物語内での具体的な行動や成果
継承の儀式を見学し、ローゼマインの神々しさに感動した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
アインリーベ
レスティラウトの婚約者である。
・所属組織、地位や役職
ダンケルフェルガー・上級貴族。
・物語内での具体的な行動や成果
自室に籠もったレスティラウトに対し、諦めが混ざった声を漏らした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ルングターゼ
アウブ・ダンケルフェルガーの第二夫人の娘である。
・所属組織、地位や役職
ダンケルフェルガー・領主候補生。
・物語内での具体的な行動や成果
文書内に直接の登場はない。継承の儀式に参加したと言及された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ラオフェレーグ
アウブ・ダンケルフェルガーの第二夫人の息子である。
・所属組織、地位や役職
ダンケルフェルガー・領主候補生。
・物語内での具体的な行動や成果
文書内に直接の登場はない。継承の儀式の参加を見送られたと言及された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
コルドゥラ
ハンネローレの側仕えである。
・所属組織、地位や役職
ダンケルフェルガー・側仕え。
・物語内での具体的な行動や成果
文書内に直接の登場はない。ハンネローレのお守りを作ったと言及された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
王族・中央・他領
トラオクヴァール
ユルゲンシュミットの前ツェントである。
・所属組織、地位や役職
中央・元ツェント。
・物語内での具体的な行動や成果
ジギスヴァルトを光の帯で縛り上げ、叱責した。新たなツェントとしてエグランティーヌを認める。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ツェントの座を退き、旧ベルケシュトックなどの土地を治めるアウブとなることが決まった。
ラルフリーダ
トラオクヴァールの第一夫人である。
・所属組織、地位や役職
中央・第一夫人。
・物語内での具体的な行動や成果
トラオクヴァールがジギスヴァルトを叱責した際、静かに目を伏せた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ジギスヴァルト
中央の王子である。
・所属組織、地位や役職
中央・王子。
・物語内での具体的な行動や成果
自らが新ツェントに相応しいと主張したが、ローゼマインへの名捧げを拒否したため失格となった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
次期ツェントの立場を失い、中領地のアウブとなることが決まった。アドルフィーネとの離婚も確定する。
アドルフィーネ
ジギスヴァルトの第一夫人である。
・所属組織、地位や役職
中央・王族。
・物語内での具体的な行動や成果
ジギスヴァルトが次期ツェントの立場を失ったことを理由に、離婚を要求した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
離婚後、ドレヴァンヒェルに戻りギーベとなる予定である。
アナスタージウス
中央の王子である。エグランティーヌの夫という立場にある。
・所属組織、地位や役職
中央・王子。
・物語内での具体的な行動や成果
エグランティーヌがツェントになることを受け入れ、彼女を支える努力をすると誓った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
妻の補佐として、中央神殿の準備などに奔走することになった。
エグランティーヌ
新たなツェントである。アナスタージウスの妻という立場にある。
・所属組織、地位や役職
中央・ツェント。
・物語内での具体的な行動や成果
ローゼマインに名を捧げ、グルトリスハイトを継承した。始まりの庭でローゼマインの救出に協力する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ユルゲンシュミットの新たなツェントに就任した。
マグダレーナ
トラオクヴァールの第三夫人である。
・所属組織、地位や役職
中央・第三夫人。
・物語内での具体的な行動や成果
ヒルデブラントの教育不足を指摘され、目を伏せて謝罪した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ヒルデブラント
中央の王子である。
・所属組織、地位や役職
中央・王子。
・物語内での具体的な行動や成果
不正にシュタープを得た罰として、次代のツェントになる道を絶たれたことを知り絶望した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
王族ではなくなり、ダンケルフェルガーを参考にした教育を受けることになった。
ナーエラッヒェ
ジギスヴァルトの妻である。
・所属組織、地位や役職
中央・王族。
・物語内での具体的な行動や成果
文書内に直接の登場はない。ハウフレッツェ出身であると言及された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ツェント・アルプゼンティ
過去のツェントである。
・所属組織、地位や役職
元ツェント。
・物語内での具体的な行動や成果
文書内に直接の登場はない。グルトリスハイトの魔術具を作った人物として言及された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ラオブルート
前中央騎士団長である。
・所属組織、地位や役職
中央・罪人。
・物語内での具体的な行動や成果
文書内に直接の登場はない。反乱を扇動した首謀者として言及された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
イマヌエル
中央神殿長である。
・所属組織、地位や役職
中央神殿・神殿長。
・物語内での具体的な行動や成果
文書内に直接の登場はない。死なせてはない状況であると言及された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
グンドルフ
ドレヴァンヒェルの寮監である。
・所属組織、地位や役職
ドレヴァンヒェル・寮監。
・物語内での具体的な行動や成果
文書内に直接の登場はない。アドルフィーネの笑みから連想されて言及された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
エグランティーヌの娘
エグランティーヌとアナスタージウスの娘である。
・所属組織、地位や役職
中央・王族。
・物語内での具体的な行動や成果
文書内に直接の登場はない。エグランティーヌが娘と一緒に過ごすことを望んでツェントに立候補したと言及された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
貴族院・図書館
ソランジュ
貴族院図書館の中級司書である。
・所属組織、地位や役職
貴族院・中級司書。
・物語内での具体的な行動や成果
フェルディナンドの指示を受け、執務室で待機し図書館への立ち入りを制限した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
シュバルツ
図書館の魔術具である。
・所属組織、地位や役職
貴族院図書館・魔術具。
・物語内での具体的な行動や成果
ローゼマインを図書館で出迎えた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ヴァイス
図書館の魔術具である。
・所属組織、地位や役職
貴族院図書館・魔術具。
・物語内での具体的な行動や成果
ローゼマインを図書館で出迎えた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
神々
エアヴェルミーン
始まりの庭にいる神格的存在である。
・所属組織、地位や役職
神々。
・物語内での具体的な行動や成果
ローゼマインにツェント就任を迫り、無理やりメスティオノーラを降臨させようとした。フェルディナンドから即死毒を受ける。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
メスティオノーラ
英知の女神である。
・所属組織、地位や役職
神々。
・物語内での具体的な行動や成果
ローゼマインに降臨し、記憶への繋がりを断った。エグランティーヌの誓いを見届ける。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
シュツェーリア
風の女神である。
・所属組織、地位や役職
神々。
・物語内での具体的な行動や成果
文書内に直接の登場はない。祝詞や盾の神具の名前として言及された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
フリュートレーネ
水の女神である。
・所属組織、地位や役職
神々。
・物語内での具体的な行動や成果
文書内に直接の登場はない。祝詞や杖の神具の名前として言及された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ライデンシャフト
火の神である。
・所属組織、地位や役職
神々。
・物語内での具体的な行動や成果
文書内に直接の登場はない。祝詞や槍の神具の名前として言及された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ゲドゥルリーヒ
土の女神である。
・所属組織、地位や役職
神々。
・物語内での具体的な行動や成果
文書内に直接の登場はない。祝詞や杯の神具の名前として言及された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
エーヴィリーベ
命の神である。
・所属組織、地位や役職
神々。
・物語内での具体的な行動や成果
文書内に直接の登場はない。祝詞の中で名前が言及された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ドレッファングーア
時の女神である。
・所属組織、地位や役職
神々。
・物語内での具体的な行動や成果
文書内に直接の登場はない。アドルフィーネやハンネローレのセリフの中で言及された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
カーオサイファ
混沌の女神である。
・所属組織、地位や役職
神々。
・物語内での具体的な行動や成果
文書内に直接の登場はない。アーレンスバッハが魅入られた存在として言及された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ブルーアンファ
芽吹きの女神である。
・所属組織、地位や役職
神々。
・物語内での具体的な行動や成果
文書内に直接の登場はない。若葉の芽生えをもたらす存在として言及された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
アーンヴァックス
育成の神である。
・所属組織、地位や役職
神々。
・物語内での具体的な行動や成果
文書内に直接の登場はない。ローゼマインを成長させた存在として言及された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ゲボルトヌーン
秩序の女神である。
・所属組織、地位や役職
神々。
・物語内での具体的な行動や成果
文書内に直接の登場はない。契約の誓いに関する文脈で言及された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
第五部 女神の化身10レビュー
第五部 女神の化身
本好きの下剋上 全巻まとめ
第五部 女神の化身12レビュー
展開まとめ
プロローグ
フェルディナンドの足止め
エーレンフェスト寮で夕食後の情報交換を終えた領主一族が会議室から出てくる中、フェルディナンドは離宮へ戻ろうとしていた。
しかし、側仕えのラザファムが今夜だけでも寮で休んでほしいと願い出る。さらにユストクスやジルヴェスターまで加わり、ハルトムートから内密の話があると告げたことで、フェルディナンドは渋々寮へ残ることを決めた。
彼はすでにアーレンスバッハの人間として振る舞う意識を持っていたが、それでも兄達が変わらずエーレンフェストの者として扱ってくれることに、わずかな喜びも感じていた。
寮の自室での会談
フェルディナンドが貴族院時代と同じ自室へ入ると、暖炉には火が入り、既に宿泊準備が整えられていた。
ユストクスの周到さに呆れつつも、フェルディナンドはハルトムートを席へ座らせ、話を聞くことにする。
ラザファムの淹れた茶を飲んだことで、フェルディナンドは張り詰めていた体から僅かに力が抜けるのを感じていた。
側仕え移動の延期提案
ハルトムートはまず、ローゼマインの側仕え達を今夜中にアーレンスバッハから移動させる予定を延期してほしいと願い出た。
フェルディナンドは、側仕えを人質に取ろうとする勢力が存在するため、できる限り早く移動させたいと考えていた。
だがハルトムートは、現在の城内には信用できる騎士が少なく、夜間移動の方が危険だと説明し、自分達が翌日護衛して連れ戻す案を提示する。
フェルディナンドは、余計な問題へ時間を割きたくない本音もあり、その提案をあっさり許可した。
継承の儀式についての確認
続いてハルトムートは、グルトリスハイト授与の儀式について詳細を求めた。
中央神殿の記録を調べても、女神の化身が新しいツェントへグルトリスハイトを与える神事は存在しなかったのである。
フェルディナンドは、本来グルトリスハイトは自力で得るものであり、今回のような事態は歴史上前例がないと説明した。
継承の儀式の構想
フェルディナンドは、ローゼマインが奉納舞によって選別の魔法陣を起動し、始まりの庭への道を開く構想を語った。
そして始まりの庭から戻った後、メスティオノーラの化身として新たなツェントへグルトリスハイトを授ける予定であることを明かす。
最後に、新ツェントが授けられたグルトリスハイトを人々へ示すことで、就任式として完成させるつもりだった。
儀式に込めた政治的意図
フェルディナンドは、この儀式の目的が単なる継承ではないことも説明した。
選別の魔法陣を完全に作動させることで、ディートリンデにはツェントとしての資質が全く足りなかった事実を周知しようとしていたのである。
さらに、ローゼマインの神秘性を他領へ強烈に印象付け、未成年女性アウブという特例を強引に認めさせる狙いもあった。
ハルトムートの熱意
ハルトムートは、その目的に深く共感し、ローゼマインを完璧な女神の化身として演出すると熱意を燃やした。
フェルディナンドは、その暴走気味な情熱へ若干の不安を抱きつつも、自分には細部へ関わる余裕がないため任せるしかないと判断する。
ただし、やり過ぎてローゼマイン本人に儀式を拒否される事態だけは避けるよう釘を刺した。
本題への移行
側仕え移動や儀式の話を終えた後、フェルディナンドは、それらが本当の目的ではないだろうとハルトムートへ指摘した。
するとハルトムートは真剣な表情となり、女神降臨後のローゼマインへ何が起きたのか説明を求める。
彼は、ローゼマインが魔石恐怖症を忘れたように振る舞い、騎獣を当然のように使おうとしていたことへ強い違和感を抱いていた。
英知の女神による記憶干渉
フェルディナンドは、英知の女神メスティオノーラがローゼマインへ降臨した際、精神へ干渉したことを語り始めた。
女神は、自身の図書館へローゼマインを留めやすくするため、読書より深く心へ刻まれている記憶との繋がりを断ったのである。
その結果、魔石恐怖症に関わるような強烈な記憶が失われている可能性が高いとフェルディナンドは推測していた。
女神への怒り
フェルディナンドは、説明もなく勝手に降臨した女神へ強い怒りを抱いていた。
同時に、女神の図書館に釣られて軽率に体を貸したローゼマインにも苛立ちを覚えていた。
彼は、ローゼマインを神々の世界へ取り込もうとしているのではないかという疑念まで抱いていた。
ローゼマイン呼び戻しの記憶
フェルディナンドは、女神降臨直後にローゼマインを呼び戻した際のことも思い返していた。
ローゼマインは女神の魔力で完全に染め替えられており、フェルディナンドの魔力を拒絶していた。
彼はシュタープを通じて強引に魔力を流し込み続け、ようやく読書に夢中になっていたローゼマインへ声を届けることに成功する。
記憶欠如の危険性
フェルディナンドは、現状では記憶がどこまで失われているのか正確に把握できていないことを認めた。
ただし、領主一族や側近達の記憶は残っているように見え、読書を超える執着を持つ存在のみ影響を受けていると推測する。
特に、本作りや下町の関係者に関する記憶は危うい可能性が高いと考えていた。
記憶欠如を伏せる判断
フェルディナンドは、ローゼマイン本人へ記憶欠如を知らせることを禁じた。
女神の御力が満ちた状態で感情を乱せば、誰にも止められなくなる危険があるからである。
そのため、王族との話し合いでも銀色の布を用意し、必要ならば威圧を抑える準備をしておくつもりだった。
名捧げ側近の特異性
ハルトムートは、名捧げ側近だけは女神の御力に包まれていても問題なくローゼマインへ触れられると説明した。
一般の上級貴族ですら畏怖によって震える中、名捧げ側近だけは例外だったのである。
フェルディナンドはその情報を受け、王族との会談時には名捧げ側近を控えさせるよう決めた。
名捧げ石への決意
ハルトムートが退出した後、フェルディナンドはユストクス達へ、いざという時にローゼマインへ触れられる存在が必要だと語った。
そして彼は懐へ手を入れ、ローゼマインから返却された自身の名捧げ石へ触れる。
その行動は、彼が今後の状況を見据え、新たな決断を下そうとしていることを示していた。
顔色の悪い王族
側近達の帰還
アダルジーザの離宮へ荷物を取りに行っていたレオノーレ達から、寮へ戻るとのオルドナンツが届いた。
リーゼレータやグレーティアも一緒に戻ってくる予定であり、リヒャルダは玄関で迎えられるよう準備を整え始める。
ローゼマインは銀色の布に包まれ、アンゲリカに抱えられて玄関ホールへ向かった。
アーレンスバッハ騎士達への感謝
玄関ホールでは荷物が次々と運び込まれており、ローゼマインは騎士達へ礼を述べた。
さらに、領地へ戻る騎士達へ休息を勧めると共に、レティーツィアの周囲へ注意を払うよう頼む。
リーゼレータ達は、レティーツィアがローゼマイン達の無事を喜んでいたことや、自分達にも良くしてくれたことを伝えた。
奉納舞への苦戦
自室へ戻ったローゼマインは、新しい体で奉納舞の練習に励んでいた。
普段の動作には慣れてきたものの、成長した体では重心感覚が以前と異なり、思うように舞えない。
新しいツェントの就任式までに間に合うのか、不安を抱えながら練習と原稿暗記を続けていた。
新衣装と記憶の違和感
王族との昼食会当日、ギルベルタ商会から新しい衣装が届いた。
エーレンフェストの染布とアーレンスバッハの薄布を組み合わせた衣装であり、トゥーリ作の髪飾りも添えられていた。
しかしローゼマインは、髪飾り職人であるトゥーリの顔も名前も全く思い出せないことへ気付く。
記憶欠損への恐怖
ローゼマインは、自分が無自覚のまま記憶を失っていることへ強い恐怖を覚えた。
何を忘れているのか、自分でもわからない状態だったのである。
それでも、完全消失ではなく繋がりが切れているだけならば、きっと思い出せるはずだと自分へ言い聞かせた。
フェルディナンドへの相談
フェルディナンド到着を聞いたローゼマインは、急いでお茶会室へ向かった。
そこで彼女は、髪飾り職人や染色職人の記憶が欠けていることを訴える。
フェルディナンドは特に驚かず、それらは女神による記憶干渉の影響だと説明した。
女神による記憶干渉の説明
フェルディナンドによれば、英知の女神はローゼマインを図書館へ留めるため、読書以上に深く心へ刻まれた記憶との繋がりを断ったという。
人物だけでなく、無意識に抱え込んでいる大切な事柄も対象になっている可能性があった。
そのため、本作りや下町関係者の記憶が欠けているのではないかとフェルディナンドは推測していた。
記憶回復への約束
ローゼマインは、どうすれば記憶が戻るのかと必死に問いかけた。
フェルディナンドは、薬や準備の都合で今すぐは無理だが、新しいツェント選出後に協力すると約束する。
彼は嘘を言わないと知っているローゼマインは、その言葉で少しだけ安心できた。
女神の化身としての席
昼食会では、ローゼマインは女神の化身として最上位席へ座らされた。
周囲には護衛騎士が並び、フェルディナンドが側近の位置へ立つことで、彼女の地位の高さを演出していた。
ローゼマイン自身は落ち着かなかったが、フェルディナンドは王族へ立場の上下を理解させるため必要だと説明する。
ダンケルフェルガーの跪拝
最初に訪れたダンケルフェルガー領主夫妻は、ローゼマインの前へ跪き、英知の女神として祝福を求めた。
ローゼマインは、自分はあくまでローゼマインであり、女神そのものではないと慌てて否定する。
しかし領主夫妻は、依然として女神の化身として上位者扱いを崩さなかった。
ディッター談義
アウブ・ダンケルフェルガーは、今回の戦いが本物のディッターだったと興奮気味に語った。
騎士達も活躍を見せたかったと悔しがっているらしく、未だ戦いの熱気が冷めていない様子だった。
一方で、ランツェナーヴェ関係者の見張りをしているアーレンスバッハ騎士達は緊張状態が続いているという。
王族の到着
続いて王族一行が到着した。
トラオクヴァールや王子達は誰も疲弊した様子であり、ヒルデブラントはシュタープ封印用の手枷を嵌められていた。
マグダレーナは、不正入手したシュタープの使用は禁止されるべきだと厳しく告げる。
ヒルデブラントへの同情
ローゼマインは、悪意ある大人へ利用されたヒルデブラントの姿を見て、かつて白の塔へ入って罪に問われたヴィルフリートを思い出していた。
罪は罪であると理解しつつも、利用された子供への苦い感情を抱く。
エグランティーヌは何かを期待するような微笑みを向けていたが、ローゼマインにはその意図がわからなかった。
許可証返却の失敗
ローゼマインは、以前ジギスヴァルトから受け取った許可証を返却しようとした。
しかし女神の御力が残っていたため、手に取った瞬間、許可証は金粉となって崩壊してしまう。
王族達はその異常な現象へ息を呑み、フェルディナンドだけが研究対象を得たように機嫌を良くしていた。
昼食会の開始
ジルヴェスターの料理紹介によって昼食会が始まった。
今回はアーレンスバッハ食材をエーレンフェスト風に調理した料理であり、両領地の関係改善を示す意図が込められていた。
ローゼマインも、レティーツィアや漁師達との良好な関係を強調し、アーレンスバッハとの敵対が本意ではないことを示した。
中央騎士団の取り調べ
食事中、話題は中央騎士団の取り調べへ移った。
ラオブルートに扇動された騎士達にはトルークの影響が見られたが、ローゼマインのヴァッシェンによって洗い流されつつあるという。
トラオクヴァール自身も長期間トルークを使われていたらしく、最も深刻な状態だったと明かされた。
貴族院の混乱
ダンケルフェルガーからの救援要請と国境門発光によって、多くのアウブ達が貴族院へ集まり始めていた。
しかし情報統制が徹底されており、どこへ問い合わせても満足な回答は得られない。
そのため、各領地は強い苛立ちと不安を抱えたまま、事態の推移を見守っていた。
新ツェントの条件
側近達を下げた本格協議
昼食後、食後の茶とデザートが運ばれると、側近達は全員退出させられた。
静まり返ったお茶会室で、ローゼマインは新しいツェント選出について話を始める。
彼女は、英知の女神メスティオノーラとエアヴェルミーンが、一刻も早く新しいツェントを望んでいると告げた。
偽りの礎発覚
ローゼマインは、現在王族が魔力供給している場所はユルゲンシュミット本来の礎ではないと明かした。
中央神殿と貴族院を経由した遠回しな供給となっており、魔力ロスが大き過ぎるため、国を維持する量には到底足りていないという。
王族達は、自分達が必死に守っていたものが不完全な供給先だった事実へ強い衝撃を受けていた。
神々からの要求
ローゼマインは、新ツェントには神々の要求を受け入れてもらう必要があると説明した。
要求内容は、礎を早急に満たすこと、魔力を持つランツェナーヴェ人をユルゲンシュミットへ受け入れること、今回の騒動で命を奪う処罰を禁止すること、そして次代ツェントを自力でメスティオノーラの書を得た者にすることだった。
王族達は神々の要求という言葉へ一斉に緊張を強める。
ランツェナーヴェ人処遇案
トラオクヴァールは、侵略者であるランツェナーヴェ人を受け入れることへ難色を示した。
するとフェルディナンドは、貴族として遇する必要はなく、シュタープを封印した上で、罪人として牢で魔力を搾り取るか、中央神殿で神官・巫女として奉仕させれば良いと提案する。
ローゼマインも、ユルゲンシュミットで暮らす以上、魔力供給義務を負うのは当然だと考えていた。
粛清への否定
ジギスヴァルトやエグランティーヌは、命を奪わない処置では禍根が残ると危惧した。
しかしローゼマインは、政変後の粛清こそ知識と人材を失わせ、現在の国崩壊危機を招いた元凶だと指摘する。
さらに、何もしていない者まで連座で処刑したことで、新たな恨みを生み続けてきたと断言した。
王族責任の追及
ローゼマインは、ユルゲンシュミット崩壊寸前の原因は王族にあると糾弾した。
王族達は視線を逸らし、ジルヴェスターは動揺を隠せない様子を見せる。
ローゼマインは、王族が努力していた姿を評価しつつも、その姿勢へ不安を感じ始めたと語った。
古の制度への回帰
ローゼマインは、エアヴェルミーンとの約束として、できる限り古の制度へ戻す方針を宣言した。
具体的には、ツェントの世襲制を廃止し、自力でメスティオノーラの書を得た者だけがツェントになる制度へ改めるという。
その言葉に、次期ツェントと見なされていたジギスヴァルトは顔色を変え、アドルフィーネは諦めたような表情を浮かべた。
中央神殿改革
ローゼマインは、中央神殿を貴族院へ戻し、ツェント自身が神殿長を兼任すると続けた。
さらに、王宮や離宮は閉鎖し、ツェント一族は貴族院へ住居を移すべきだと語る。
維持費を税で賄い、不足するなら自ら稼げば良いという発言まで飛び出し、フェルディナンドから説明不足だと注意された。
印刷による世論操作
ローゼマインは、新ツェントが王族以外となる場合、王族の失態を印刷して全国へ広める案を語った。
同時に、ダンケルフェルガーの活躍をディッター物語として吹聴し、中継ぎツェント候補として持ち上げる構想まで明かす。
アウブ・ダンケルフェルガーは、自領が物語の主役になると聞いて大興奮していた。
白の塔案
フェルディナンドは、王族以外が新ツェントとなる場合、旧王族は将来的な内乱防止のため白の塔へ入る必要があると説明した。
ただし、神々との約束により処刑は行わず、生活は旧王族として保証すると続ける。
ローゼマインは「一日二食と本一冊付き」という待遇改善案を誇らしげに語ったが、周囲からは呆れた反応しか返ってこなかった。
エグランティーヌの疑問
エグランティーヌは、以前フェルディナンド達が「王族以外からツェント候補を増やせば騒乱の種になる」と警告していた点を指摘した。
ローゼマインは、本来は今でも王族がツェントになる方が望ましいと考えていると答える。
しかし、取得法を知って一年近く経っても誰一人グルトリスハイトを得ていない以上、現王族へ任せ続けることに限界を感じていた。
フェルディナンドの怒り
フェルディナンドは、自分が手掛かりを教え、忠誠を示すため王命婚約を受け入れたにもかかわらず、王族は自ら取得せずローゼマインへ押し付けたと怒りを露わにした。
さらに、エーレンフェストを守るため離れたのに、結果的に王族によってローゼマインが最悪の婚姻へ追い込まれたことへの憤りも吐露する。
トラオクヴァールは、その言葉へ反論できず沈痛な表情で俯いていた。
ツェント資格の歴史改変
ローゼマインは、歴代ツェントによって資格取得法が少しずつ改変されてきた歴史を説明した。
中央王族が学んでいた歴史とは全く異なる内容であり、王族達は大きな衝撃を受ける。
その上でフェルディナンドは、取得法を公開し、今後は王族自身の努力で歴代ツェントを輩出し続ければ良いと突き放した。
ジギスヴァルトの立候補
ジギスヴァルトは、自分が新ツェントとなり、古い制度を取り入れていくと宣言した。
しかし同時に、今回の外患誘致の責任はアーレンスバッハにもあり、王族だけが罪を背負うべきではないと主張する。
その視線はフェルディナンドへ向けられており、侵略阻止に失敗した責任を暗に問うていた。
ローゼマインの反撃
ジギスヴァルトの発言へ、ローゼマインは強い怒りを覚えた。
彼女は、フェルディナンドが婚約者という不安定な立場のまま、毒に侵されながらも戦場を駆け回り、義務以上の働きをしていたと反論する。
さらに、危機を警告されながら騎士団長の裏切りにも気付かず、礎を守らず離宮へ籠もっていた王族こそ何をしていたのかと問い詰めた。
女神の威圧発現
怒りを強めるローゼマインの周囲では、無意識に女神の御力が漏れ出し、軽い威圧状態になっていた。
王族達は顔色を失い、フェルディナンドも焦った様子で彼女の袖を引く。
ローゼマイン自身にはその自覚がなく、ただ当然の疑問をぶつけているつもりだった。
トラオクヴァールの謝罪
トラオクヴァールは、発言許可を丁寧に求めた上で、愚かな息子を詫びた。
そして、フェルディナンドが星結びまでディートリンデの連座にならない約束を結んでいることを確認し、安心してほしいと告げる。
その言葉を聞いたローゼマインは安堵し、同時に威圧状態も収まっていった。
女神の御力と名捧げ
女神の御力暴走
フェルディナンドは、ローゼマインの目の色が元へ戻ったことを確認しつつも、女神の御力が感情と連動して膨れ上がっていると警告した。
このままでは、ローゼマイン自身がローゼマインでなくなる可能性すらあるという。
その言葉へ恐怖を覚えた瞬間、ローゼマインの中で感情が暴走し、周囲の者達が一斉に胸を押さえて苦しみ始めた。
恐怖による威圧
ローゼマインは怒っていたわけではなく、ただ恐怖を感じていただけだった。
しかし、その恐怖感情が女神の御力を増幅し、無意識の威圧となって周囲を苦しめていたのである。
フェルディナンドは皆を守るためローゼマインの肩を掴み、必死に感情を抑えるよう呼びかけた。
平民時代の記憶
フェルディナンドが咳き込み、口元から血を流した瞬間、ローゼマインの脳裏には平民時代の記憶が蘇った。
神殿で誰かを守ろうとしていた場面や、「街を守るために力を使う」と交わした約束が断片的に浮かび上がる。
今の自分は誰も守れず、ただ傷つけているだけだと理解し、ローゼマインは更に追い詰められていった。
フェルディナンドからの逃走
フェルディナンドを傷つけたくないローゼマインは、離れるよう懇願した。
しかしフェルディナンドはなおも彼女を支えようとし、血を吐きながら手を伸ばす。
ローゼマインはその手を振り払い、皆を傷つけない場所を求めて部屋の中を見回した。
ハルトムート達の突入
フェルディナンドは即座にジルヴェスターへ命じ、待機していたハルトムート達を呼び入れさせた。
入室したのは、ハルトムート、クラリッサ、マティアス、ラウレンツ、グレーティア、ローデリヒの六人である。
彼等はローゼマインを囲むように立ち、他者との間へ壁を作った。
名捧げ側近達の耐性
ハルトムート達は、常にローゼマインの御力をまとっているため、威圧の影響をほとんど受けていなかった。
彼等の穏やかな表情を見て、ローゼマインは自分に近付いても大丈夫な人間がいることへ安堵する。
膨れ上がっていた孤独感と恐怖は、少しずつ薄れていった。
銀色の布による対策
クラリッサとグレーティアは、リーゼレータ達が整えた銀色の布のマントをローゼマインへ被せた。
銀色の布は女神の御力を遮断する効果があり、露出を減らすことで周囲への負担を大きく軽減できる。
フェルディナンドも、その状態なら問題ないと判断した。
癒しの発動
ハルトムートは、女神の化身による癒しを見せてほしいとローゼマインへ頼んだ。
ローゼマインはフリュートレーネの杖を呼び出し、ルングシュメールへの祈りを捧げる。
すると杖の魔石から癒しが部屋中へ広がり、苦しんでいた者達の顔色が明らかに回復した。
緊迫感の収束
興奮するハルトムートは、マティアス達に連行されるように退出させられた。
側仕え達が茶を淹れ始めたことで、室内の空気も徐々に穏やかなものへ戻っていく。
ローゼマインはクラリッサに支えられながら、自席へ戻った。
銀色の布への理解
フェルディナンドは、銀色の布を最初からまとわせなかった理由を説明した。
ランツェナーヴェを連想させるため印象が悪く、最初から使用すれば王族やダンケルフェルガーとの会談に支障が出ると考えていたのである。
だが、今後は誰もその必要性へ異論を唱えられないだろうと語った。
名捧げ石の返却拒否
フェルディナンドは、今後の暴走対策としてローゼマインへ白い箱を渡した。
箱は魔力を吸って白い繭へ変化し、その中身がフェルディナンドの名捧げ石だと判明する。
ローゼマインは、主従関係が生まれることを嫌がり激しく拒否した。
フェルディナンドの決意
フェルディナンドは、非常時に自分がローゼマインへ近付けなければ意味がないと断言した。
さらに、以前ローゼマインが自分の命を救うため名捧げを利用したことを挙げ、今回は諦めるよう言い聞かせる。
ローゼマインは納得できなかったが、反論もできず、名捧げ石を握り締めた。
ツェント候補協議再開
話し合いは再開され、ジギスヴァルトを新ツェントにするかが議題となった。
トラオクヴァールとラルフリーダは不安そうにローゼマイン達を見るが、フェルディナンドは、立候補者がいるなら任せる方針を示す。
ジギスヴァルトは、自分が最適な次期ツェントだと自信満々に宣言した。
神々への契約要求
ローゼマインは、新ツェントには神々との契約魔術による宣誓が必要だと告げた。
神々の要求を後から無視されたり先延ばしにされたりしないためである。
違反すれば神罰が下る厳格な契約だと知り、ジギスヴァルトは顔色を悪くした。
名捧げ要求
さらにフェルディナンドは、継承儀式中に女神の御力へ耐えるため、ジギスヴァルトがローゼマインへ名を捧げるよう求めた。
ジギスヴァルトは、ツェントとなる者がアウブへ名を捧げるのはおかしいと拒否感を示す。
ローゼマイン自身も、本来名捧げをそうした手段に使いたくはないと感じていた。
トラオクヴァールの断罪
するとトラオクヴァールが立ち上がり、光の帯でジギスヴァルトを拘束した。
彼は、女神の化身へ名を捧げる覚悟すら持てない者にツェント資格はないと断言する。
さらに、自分達王族の生き方が息子を歪めたことを認め、地位へ執着する姿を愚かで見苦しいと厳しく叱責した。
ジギスヴァルト失格
フェルディナンドが、ジギスヴァルトをツェント候補から外す判断で良いか確認すると、トラオクヴァールは明確に肯定した。
今のジギスヴァルトでは、神々の要求へ応えられず、むしろ神々の怒りを買うだけだと語る。
その言葉へ反論する者は誰一人おらず、場の全員が沈黙のまま拘束されたジギスヴァルトを見つめていた。
新しいツェントの決定
トラオクヴァールの懇願
フェルディナンドは、王族の誰かがツェントにならなければ、王族全員が白の塔へ入ることになると告げた。
その言葉を受け、トラオクヴァールは深く逡巡した後、その場へ跪く。
彼は、真にツェントに相応しいのは自力でグルトリスハイトを得た者であり、祭壇で女神の化身と共に消えたフェルディナンドならば既に持っているのではないかと問いかけた。
アナスタージウスの制止
トラオクヴァールがフェルディナンドへ敬称付きで跪いたことで、場は大きくざわめいた。
アナスタージウスは慌てて父を止め、自分こそトラオクヴァールに真のツェントとなってほしいと訴える。
彼は、これまで誰よりも国を案じてきた父こそ最もツェントに相応しいと信じていたのである。
祭壇条件の説明
フェルディナンドは、祭壇へ上がれる条件はグルトリスハイト所持ではなく、全大神の御加護を得た全属性であることだと説明した。
エグランティーヌも、自分は祭壇へ上がった経験があるが、グルトリスハイトを持っていないと証言する。
そのため、祭壇へ上がった事実だけではグルトリスハイト所持の証拠にはならないことが明らかとなった。
フェルディナンドへの疑念
それでもトラオクヴァールとエグランティーヌは、フェルディナンドがグルトリスハイトへ極めて近い位置にいると考えていた。
だがフェルディナンドは、トラオクヴァールとジギスヴァルトはよく似ていると冷淡に言い放つ。
その言葉には、都合の悪いことを忘れ、他者へ自分の意を押し付ける王族への強い軽蔑が込められていた。
王命婚約への怒り
フェルディナンドは、自分は簒奪も反逆も望んでおらず、それを証明するため王命に従ってアーレンスバッハへ婿入りしたと改めて告げた。
命懸けで一年半を過ごしたにもかかわらず、今度は根拠もないままツェント職を押し付けようとしていると王族を非難する。
ジルヴェスターも、王族の後始末までフェルディナンドへ押し付ける気かと怒りを露わにした。
フェルディナンドの拒絶
エグランティーヌは、フェルディナンドにツェントとなる意思が本当にないのか確認した。
フェルディナンドは、最初から自分がツェントになる選択肢など存在していないと断言する。
示された選択肢は、王族が神々の要求を受け入れるか、アウブ・ダンケルフェルガーがツェントとなるかの二択だけだと切り捨てた。
ローゼマインの仲裁
ローゼマインは、トラオクヴァールの考え自体は間違っていないと認めた。
しかし、突然王族以外の者がツェントになるより、一度現王族へ引き継がせた方が国の混乱を抑えられると説く。
また、王族の妻達や子供達まで白の塔送りになるのは避けたいとも考えていた。
グルトリスハイト万能論の否定
ローゼマインは、グルトリスハイトさえあれば全て解決するという考えを否定した。
たとえ正当なツェントが立っても、人々の不満や争いが完全になくなることはないと歴史を根拠に語る。
その現実的な意見へ、エグランティーヌは強い関心を示した。
エグランティーヌの決意
エグランティーヌは、これまでローゼマインとジギスヴァルトの婚姻こそ最善だと考えていたと打ち明けた。
しかし今は、女神の化身からグルトリスハイトを授かれる以上、その婚姻は不要になったと理解している。
そして、フェルディナンドもトラオクヴァールもツェントを望まないのであれば、自分が新たなツェントになると宣言した。
娘の存在
エグランティーヌは、自分には娘がいるため、家族と共に過ごせる未来を望むとも語った。
ローゼマインは、エグランティーヌが既に母親となっていた事実へ大きな衝撃を受ける。
また、全属性であるエグランティーヌの娘ならば、次代ツェント候補としても有望だと考えた。
アナスタージウスへの条件
ローゼマインは、アナスタージウスが全大神の御加護を得て、エグランティーヌの代役を務められるようになる必要があると説明した。
それまでは二人目の子を望めない可能性もあると告げる。
アナスタージウスは頬を引きつらせながらも、愛する妻と娘のためなら努力すると覚悟を決めていた。
ヒルデブラントへの配慮
ローゼマインは、ヒルデブラントだけが重い罪を背負うのは可哀想だと考え、手枷を目立たない魔術具へ改造してはどうかと提案した。
フェルディナンドは、幼さゆえに情報不足だった点を考慮すれば情状酌量の余地はあると認める。
その上で、周囲の大人達の教育不足が今回の騒動を招いたとも厳しく指摘した。
ローゼマインの誤魔化し
ローゼマインは、以前ヒルデブラントへカリキュラム変更の説明をした覚えがあった。
しかし、今それを指摘すればヒルデブラントへの処分が更に厳しくなると考え、口を閉ざす。
代わりに、ダンケルフェルガー流の教育なら優秀な領主候補生へ育つはずだと話題を逸らした。
ヒルデブラントの絶望
ヒルデブラントは、不安そうに自分も次代ツェントを目指せるのか尋ねた。
しかしフェルディナンドは、早期取得した旧世代品質のシュタープでは容量不足となり、将来的な成長に致命的な制限が生じると説明する。
さらに、属性不足のため大神の祠にも入れず、メスティオノーラの書取得はほぼ不可能だと断言した。
見えない罰
フェルディナンドは、ヒルデブラントがこれから背負う苦労こそ、他人には見えない本当の罰だと語った。
ヒルデブラントは絶望に満ちた表情で項垂れ、トラオクヴァールやマグダレーナも悔しそうに顔を歪める。
ダンケルフェルガー領主夫妻もまた、その過酷な現実へ重苦しい表情を浮かべていた。
罪人の扱いと褒賞
ヒルデブラント退場
涙を流して項垂れるヒルデブラントを前に沈黙が広がる中、フェルディナンドは面倒そうに溜息を吐いた。
彼は、泣いているだけの子供は会議の邪魔だとして退場を命じ、ローゼマインへ議題を進めるよう促す。
グルトリスハイト継承の日程や罪人処分など、領主会議までに決めなければならない案件は山積みだった。
ジギスヴァルト解放
ローゼマインは、新たなツェントが決まった以上、ジギスヴァルトも今後の領地運営について話し合う必要があるとして、拘束解除を求めた。
トラオクヴァールは、女神の化身へ無礼を働いたジギスヴァルトを本当にアウブへ据えるのか確認する。
しかしローゼマインは、王族としての対応であり罪に問う程ではなく、処罰すれば妻達へまで累が及ぶと説明した。
アドルフィーネの不安
アドルフィーネは、上位者への恭順を知らないジギスヴァルトに廃領地のアウブが務まるのかと不安を口にした。
ローゼマインは、グルトリスハイト取得者としては不適格だったが、罪人ではないと返す。
そして、今後問題を起こしたなら、新ツェントから相応の処罰が下されるだろうと説明した。
慈悲と誤解
王族達はローゼマインを慈悲深いと称賛した。
だが実際には、ジギスヴァルトを廃領地アウブへ据えることは、フェルディナンドの計画維持や図書館都市計画推進のためでもあった。
ローゼマインは、できるだけ早く問題を片付け、自分の記憶と図書館都市計画へ集中したいと考えていた。
継承儀式の日程決定
ローゼマインは、エグランティーヌへ至急名捧げ石を作成するよう求めた。
石が完成次第、グルトリスハイト継承儀式とアウブ達による承認儀式を実施する予定だという。
各領地のアウブ達が既に集まり始めている今こそ、まとめて儀式を行う好機だった。
フェルディナンドの強硬姿勢
エグランティーヌは、儀式は領主会議時でも良いのではないかと提案した。
しかしフェルディナンドは、女神の御力を長期間維持できず、現在のローゼマインではアウブ業務も不可能だと説明する。
さらに、正当なアウブ不在のまま再び一年間アーレンスバッハの執務を押し付ける気かと厳しく問い返した。
中央神殿改革方針
フェルディナンドは、今後エグランティーヌが中央神殿長となり、中央神殿機能を貴族院へ移す方針を説明した。
王族自身の手で神殿を整備し直せと突き付ける内容である。
また、政変後に中央へ集められた青色神官や青色巫女達も、希望する領地へ返還すると決定された。
貴族院居住案
アナスタージウスは、貴族院には王族の住居がないと不満を示した。
するとフェルディナンドは、かつてローゼマインが入る予定だった離宮が貴族院内に存在すると告げる。
ローゼマインも、それを仮住まいとして使えば良いと笑顔で同意した。
ジェルヴァージオ回収問題
ローゼマインは、ギレッセンマイアーの国境門へ閉じ込められているジェルヴァージオの回収も必要だと説明した。
アナスタージウスはローゼマイン側へ任せようとしたが、フェルディナンドはエグランティーヌ自身が功績として捕縛すべきだと主張する。
さらに、記憶を探ればグルトリスハイト関連情報も得られるため、新ツェントとして知っておくべきだと続けた。
ツェントの重責
アナスタージウスは、ランツェナーヴェ関連の記憶をエグランティーヌへ背負わせるのは重すぎると反発した。
しかしフェルディナンドは、ツェントという立場自体が重く、伴侶とはその責任を共に負う存在だと厳しく返す。
逃げるなという視線に、エグランティーヌ達は息を呑んだ。
ランツェナーヴェとの断絶
フェルディナンドは、中央神殿から回収したランツェナーヴェ王の登録メダルをエグランティーヌへ渡した。
エグランティーヌは賠償交渉を提案したが、フェルディナンドは、ランツェナーヴェ人はユルゲンシュミット貴族を魔力資源としか見ていないと断言する。
そのため、国境門を閉ざしたまま放置するのが最善だと主張した。
ランツェナーヴェ人処遇
ジギスヴァルトは、捕虜を帰還させないのかと尋ねた。
ローゼマインは、助けを求めた者を拒むことは神々の理に反すると説明する。
ただし、受け入れた後は人の理によって扱って良いとされており、今後はユルゲンシュミットで魔力供給に従事させる方針だった。
罪人処分方針
フェルディナンドは、貴族院へ攻め込んだ罪人達が全く処刑されないとなれば、負け組領地の不満が高まると説明した。
ローゼマインは、処刑禁止の代わりに、領地外で登録メダルを破棄してシュタープ資格を剥奪する処分を提案する。
これにより、命を奪わずに貴族資格のみを完全剥奪する方針が固まった。
王族への処分委任
罪人達の配置と管理については、王族とダンケルフェルガーが中心となって決め、最終判断をエグランティーヌが下すことになった。
ダンケルフェルガーを監視役へ据えることで、今後の発言力強化とクラッセンブルク牽制も兼ねている。
ローゼマインは、重い処分業務の大半を王族側へ任せられたことへ安堵していた。
領地再編案
フェルディナンドは地図を描き、中央縮小と領地再編を説明した。
旧ベルケシュトック・旧シャルファー・中央の一部をまとめてトラオクヴァールへ、旧トロストヴェークと中央の一部をジギスヴァルトへ与える案である。
また、政変後に勝ち組領地へ分配された土地も再整理されることとなった。
ダンケルフェルガーの要求
エグランティーヌは、今回最大の功労者であるダンケルフェルガーへ褒賞を尋ねた。
ジークリンデは追加領地ではなく、クラッセンブルク以上の発言力を求める。
エグランティーヌも、今後はダンケルフェルガーを優遇すると明言した。
エーレンフェストの願い
ジルヴェスターは、ローゼマインとトラオクヴァールの養子縁組取消を要求した。
その代わり、養子縁組によって得られるはずだった利益や、結婚時の移動制限などは維持してほしいと求める。
トラオクヴァールも、女神の化身との養子縁組など恐れ多くてできないと同意した。
図書館都市計画
ローゼマインは、自身の望みとして図書館都市計画への協力を求めた。
特に、印刷業拡大時には全領地へ納本制度を適用してほしいと要求する。
フェルディナンドは、各地に図書館や転移陣を作ると言い出さなかっただけ、まだ分別が残っていると評した。
新領地名決定へ
フェルディナンドは、領主会議でローゼマインのアウブ就任式と、新領地名・領地色承認を行いたいと提案した。
エーレンフェストと同名にはできないため、新たな領地名を考える必要がある。
ローゼマインは、自分で新しい名前を決められることへ期待を膨らませ、楽しそうに思案し始めた。
アドルフィーネの相談
アドルフィーネの契約違反主張
図書館都市の名を考えていたローゼマインへ、アドルフィーネが発言許可を求めた。
彼女は、本来は王族内で話し合うべき内容だと前置きしつつ、自分は次期ツェントとドレヴァンヒェルを繋ぐためにジギスヴァルトへ嫁いだのであり、ジギスヴァルトが次期ツェントの立場を失った以上、契約違反になる可能性があると説明する。
さらに、光の女神から罰を受けないよう、英知の女神の知恵を借りたいと願い出た。
離婚要求の真意
ローゼマインが内容を理解できずにいると、フェルディナンドが通訳する形で説明した。
アドルフィーネは、ドレヴァンヒェルが得るはずだった利益を保証するか、あるいはローゼマインに離婚を認めてほしいと告げる。
彼女の笑みは、研究を推し進めるグンドルフに似た執念を感じさせるものだった。
ドレヴァンヒェルの事情
アドルフィーネは、先の政変後にクラッセンブルクやダンケルフェルガーが褒美として土地を得た一方、ドレヴァンヒェルには隣接地がなかったため、多数の上級貴族を中央へ送り込むことで影響力を確保してきたと説明した。
そのため、ジギスヴァルトが次期ツェントでなくなることは、ドレヴァンヒェルの政治的基盤を大きく揺るがす問題だったのである。
ローゼマインも、自分がトラオクヴァールとの養子縁組で得るはずだった利益を失う状況に置き換え、彼女の焦りへ共感していた。
離婚時期への慎重論
ローゼマインは、状況への理解を示しつつも、この場で即離婚を決めるべきではないと述べた。
領地間の思惑やアドルフィーネ自身の将来に深く関わるため、王族やドレヴァンヒェルとの協議を経る必要があると考えたのである。
アドルフィーネも、今すぐ決めるつもりはなく、領主会議までに結論を出す予定だと答えた。
古の星結びと離婚問題
アドルフィーネは、自分達の星結びが古の儀式として執り行われた以上、離婚にも特別な手続きが必要なのではないかと問いかけた。
ローゼマインはメスティオノーラの書を呼び出し、離婚方法について調査を始める。
その間、ジギスヴァルトはアドルフィーネへ、一年近く夫婦として過ごしたではないかと訴えていた。
夫婦認識の食い違い
ジギスヴァルトは、アドルフィーネがそこまで王族の地位へ執着していたとは思わなかったと責めるように語った。
しかしアドルフィーネは、自分が了承したのは次期王との政略結婚であり、王族としての立場を得ることが前提だったと冷静に返す。
さらに、そもそも自分達が本当に夫婦だったことがあったのかと問い返し、二人の認識が大きく食い違っていることを露呈させた。
離婚への強い意志
ジギスヴァルトは、離婚すればアドルフィーネは再婚も難しくなり、将来が閉ざされると説得を試みた。
だがアドルフィーネは、時の女神ドレッファングーアの糸が見えた時、それを掴まぬ者はいないと答え、離婚機会を逃すつもりがないことを明言する。
その意志は極めて固く、表情からも迷いは感じられなかった。
離婚可能との判定
調査を終えたローゼマインは、従来通りの手続きで離婚可能だと伝えた。
ただし、離婚後はジギスヴァルトもアドルフィーネも、最高神からの祝福を受けにくくなるという副作用があると続ける。
それでもアドルフィーネは全く動揺せず、すぐさま王族やドレヴァンヒェルとの協議を取り付け始めた。
継承儀式の日程決定
アドルフィーネの件が終わると、フェルディナンドは四日後にグルトリスハイト継承儀式と新ツェント披露を行うと宣言した。
エグランティーヌは急過ぎると驚いたが、ローゼマインはむしろ余裕のある日程だと感じていた。
名捧げ石作成や素材採集も、エグランティーヌなら二日程度で十分だとローゼマインは説明する。
奉納舞の不安
フェルディナンドは、エグランティーヌにも奉納舞の稽古が必要だから四日間取ったのだと説明した。
ローゼマインは、自分はまだ新しい体で舞うことに不安があり、もう少し練習時間が欲しいと願い出る。
しかしフェルディナンドは、祈念式へ間に合わなくなれば今年の収穫が壊滅的になると却下した。
儀式衣装の決定
ローゼマインは、儀式用衣装をどうするべきか尋ねた。
フェルディナンドは、エグランティーヌには成人式用晴れ着があるが、ローゼマインは神殿長の儀式服を使えば良いと答える。
着慣れた衣装で済むことに、ローゼマインは安心していた。
女神の御力漏出
フェルディナンドは、エグランティーヌには魔石の靴で奉納舞を行うよう指示した。
一方ローゼマインについては、女神の御力を完全に垂れ流している状態なので、靴の素材など関係ないと説明する。
ローゼマイン自身はそこまで酷い状態だという自覚がなく、驚きを隠せなかった。
ハルトムート貸出提案
フェルディナンドは、儀式補佐役としてハルトムートを神官長役へ据え、アナスタージウスの教育係として貸し出す案を提示した。
ジルヴェスターは、エーレンフェストの上級貴族を王族教育係にすることへ驚愕する。
しかしフェルディナンドは、自分にはアーレンスバッハ統制があるため余裕がなく、神事知識ならハルトムートが最適だと断言した。
王族への圧力
アナスタージウスはフェルディナンド自身へ教えを請おうとしたが、即座に拒否される。
もしハルトムートが不要ならば、自力で中央神殿を率いて継承式準備を整えれば良いと突き放された。
ローゼマインは、そのやり口へ「完全に退路を断ちつつ王族へ恩を売る魔王」と内心で評していた。
商売人ローゼマイン
ローゼマインは、自分の側近を四日間拘束するなら有料だと主張し、出張費は王族負担だと要求した。
周囲が呆然とする中でも、彼女はここだけは譲れないと考えていた。
魔王じみたフェルディナンドへ対抗できるのは、自分の商売根性くらいだと自覚していたのである。
ハンネローレ招待
ローゼマインは、ハンネローレを継承儀式へ招待する約束をしていたことを思い出し、ダンケルフェルガー領主夫妻へ招待を依頼した。
夫妻は快く了承し、必ず連れて来ると約束する。
ローゼマインはその返答へ大いに満足していた。
領主候補生招待案
トラオクヴァールは、貴族院在学中の領主候補生達も継承儀式へ招待してはどうかと提案した。
神事の重要性とグルトリスハイトの神秘性を、未来のツェント候補達へ示す良い機会になると考えたのである。
ジルヴェスターも賛同し、洗礼式を終えたばかりのメルヒオールにも見せたいと望んだ。
神事教育への期待
ローゼマインは、幼い頃から神事へ触れることは非常に良いことだと賛同した。
もし問題を起こす子供がいれば、それは親の教育不足が周囲へ知れるだけだとも言い切る。
さらに今回の儀式は恒例ではなく特別な継承儀式なのだから、洗礼式後の子供達を参加させても問題ないと主張した。
弟妹への見栄
フェルディナンドは、ローゼマインが弟妹へ良いところを見せたいだけだろうと見抜いていた。
ローゼマインも、その指摘を否定できなかった。
こうして洗礼式後の領主候補生にも参加資格が認められ、儀式の流れ確認を終えたことで、長い会議はようやく終了した。
エグランティーヌの名捧げ
継承式準備の開始
王族との話し合いを終えると、ローゼマイン達は寮の多目的ホールへ移動し、それぞれの側近達へ指示を出し始めた。
ローゼマインは、四日後に行われるグルトリスハイト継承式について説明し、ハルトムートへ準備と当日の神官長役を任せる。
ハルトムートは、女神の化身による継承儀式を完璧に仕上げると意気込みを見せていた。
神殿関係者への指示
ローゼマインは、貴族院儀式で青色神官役を務めてきた護衛騎士達へも準備を命じた。
レオノーレから新ツェントについて問われると、エグランティーヌが継承者であり、本来は彼女が神事指導を受けるべきだが、準備優先のためアナスタージウスが担当すると説明する。
その直後、フェルディナンドは儀式詳細のメモをハルトムートへ渡し、聖典の鍵をローゼマインへ預けるよう命じた。
側近達の分担
ハルトムートは聖典の鍵をローゼマインへ託し、フェルディナンドへ質問を終えると、即座に行動を開始した。
コルネリウス達護衛騎士もエーレンフェストへ戻り、儀式準備へ向かう。
一方、リーゼレータとグレーティアには、アーレンスバッハへ置いてきた神殿長儀式服や髪飾りの回収が命じられた。
印刷準備
ローゼマインはフィリーネへ、新ツェント披露時に配布予定だった原稿を渡し、神殿へ持ち帰って印刷するよう頼んだ。
印刷部数は二十五部であり、ハッセの小神殿も含めた急ぎの仕事になると説明する。
フィリーネは原稿を抱え、すぐに神殿へ向かった。
ローデリヒの安堵
ローデリヒは、自分が執筆しているダンケルフェルガー物語の扱いについて不安を口にした。
ローゼマインは、アウブ・ダンケルフェルガーがツェントにならなくなったため締切は消えたが、物語自体は続けてほしいと伝える。
極限状態で執筆していたローデリヒは、ようやく重圧から解放されて安堵していた。
レティーツィア問題
指示が一段落すると、フェルディナンドはレティーツィアをどう扱うつもりかローゼマインへ尋ねた。
アーレンスバッハの慣例では、ローゼマインがアウブへ就任すれば、レティーツィアは上級貴族へ降格され、孤児院行きとなる。
ローゼマインは、ドレヴァンヒェルの実親元へ戻せないのかと提案した。
貴族社会の柵
フェルディナンドは、レティーツィアは既にアーレンスバッハ領主候補生として洗礼式を受けているため、両親の意思だけでは帰還できないと説明する。
さらに、騒動を起こした前領主一族をドレヴァンヒェルが歓迎する保証もなく、逆にローゼマインとの繋がり目当てに利用される危険もあると指摘した。
ローゼマインは、貴族社会の複雑な柵へ改めて戸惑っていた。
孤児達への方針
フェルディナンドは、ランツェナーヴェ騒乱で身寄りを失った子供達をどうするつもりか確認した。
ローゼマインは、被害者側も加害者側も区別せず、エーレンフェスト時代と同じように孤児院で育て、自分が後ろ盾になるつもりだと答える。
その言葉を聞き、フェルディナンドはレティーツィアの件は自分へ任せるよう告げた。
魔力過多への対処
フェルディナンドはローゼマインの首筋へ触れ、少し熱が出ていると確認した。
感情的になったことで魔力を溜め込み過ぎていると判断し、銀色の布で包み込み始める。
ローゼマインは何をするのか理解できず困惑していた。
図書館への移動
フェルディナンドは、名捧げした護衛騎士だけ同行を許可し、ローゼマインを連れて図書館へ向かった。
クラリッサは文官ながら同行を志願し、ユーディットは置いていかれることを嘆いていた。
ローゼマインは、名捧げした者だけが同行する時は、決まって重大な秘密が関わると理解していた。
国の礎への案内
銀布を外されたローゼマインは、メスティオノーラ像の前へ立たされる。
フェルディナンドは、自分はアウブ・アーレンスバッハとして認識されるため国の礎へ弾かれたと説明し、代わりにローゼマインへ礎への魔力供給を頼んだ。
エアヴェルミーンが不満を抱かない程度に礎を満たしつつ、ローゼマインの余剰魔力を抜く狙いも兼ねていた。
国の礎への供給
ローゼマインは聖典の鍵を使い、メスティオノーラ像の奥へ隠された階段を下りていく。
その先には巨大な国の礎が存在しており、魔力はほとんど枯渇寸前だった。
ローゼマインは大量の魔力を注ぎ込み、六分の一にも満たないながらも、危機的状態からは回復させることに成功した。
継承式までの四日間
魔力供給を終えたローゼマインは、再び銀色の布へ包まれ、寮へ戻された。
その後の四日間、奉納舞練習や休息、儀式打ち合わせを繰り返して過ごす。
フェルディナンドから「まぁ、良いのではないか」と評価を受けたことで、ローゼマインは本番への不安を少し軽くしていた。
儀式当日の装束
継承式当日、神殿長衣装へ着替えたローゼマインを見て、女性側近達は神々しいと感嘆した。
リーゼレータ達は、多数の虹色魔石が組み込まれた新しいお守りを装着していく。
それはフェルディナンドが、奉納舞で再び女神が降臨しないよう準備した特別製だった。
再降臨への恐怖
クラリッサは、本当は女神降臨を見てみたいが、記憶喪失が起こると聞いたので我慢していると笑った。
ローゼマインは、自分の腕を覆う鎖へ触れながら、これがあれば再び女神が降臨しても記憶を失わずに済むのだろうかと不安を抱く。
失った記憶への恐怖は、まだ彼女の中で消えていなかった。
講堂への移動
安全確認を終えたとの連絡を受け、ローゼマインは銀色の布へ包まれたまま、王族専用通路を使って控え室へ移動した。
クラリッサは、ハルトムートが中央神殿や中央貴族を総動員して舞台準備を進めていると誇らしげに語る。
ローゼマインは、その熱意に付き合わされる中央の人々を少し気の毒に思っていた。
控え室での対面
控え室へ到着すると、エグランティーヌとアナスタージウスもやって来た。
二人はローゼマインを見るなり跪き、身分差を明確にした上で挨拶する。
エグランティーヌ達は、卒業式の際にローゼマインから祝福を受けた時と同じ衣装をまとっていた。
護衛達の警戒
ハルトムートは、コルネリウス達へ講堂の最終確認を命じた。
中央騎士団にまだラオブルート派が残っている可能性を、エーレンフェスト側は完全には捨て切れていなかったのである。
アナスタージウスも、自分達の護衛騎士へ同様の確認命令を出した。
名捧げの開始
奥の控室へ移動すると、継承式前にエグランティーヌの名捧げが行われることとなった。
エグランティーヌは、小さな白い箱へ収めた名捧げ石をローゼマインへ捧げ、一生忠実な臣下として尽くすと誓う。
ローゼマインは本来、他人の命を預かることへ強い抵抗感を抱いていたが、フェルディナンドへの王命を二度と許したくない思いから、それを受け入れた。
魔力反発と受諾
ローゼマインが名捧げ石へ魔力を流し込むと、魔力差による反発でエグランティーヌは苦しそうに呻いた。
アナスタージウスが思わず駆け寄ろうとしたが、ハルトムートが制止する。
大量の魔力を一気に流し込んだことで名捧げは完了し、エグランティーヌは息を整えながら微笑みを取り戻した。
継承式直前
ローゼマインは、受け取った名捧げ石を腰籠へ収めた。
その後、全員で儀式の流れを最終確認しているうちに、三の鐘が鳴り響く。
こうして、グルトリスハイト継承式がいよいよ始まろうとしていた。
神々の祝福
継承式開始前の緊張
フェルディナンドは、参列者の入場終了を確認すると、それぞれ扉前へ移動するよう指示を出した。
神官長役のハルトムートは舞台側の扉から先に講堂へ入り、ローゼマイン達は講堂正面の扉前で待機する。
先に入場するのはエグランティーヌとアナスタージウスであり、ローゼマインとフェルディナンドは扉が開いても見えない位置に控えていた。
祝福再現の計画
エグランティーヌ達が入場すると、ローゼマインは卒業式で行った祝福を再現するため、指輪へ魔力を流した。
新ツェントへ神々の祝福があるように見せる演出であり、図書館都市計画へ集中するためにも、エグランティーヌを円滑に受け入れさせる必要があったのである。
フェルディナンドは渋々ながらも、その演出を許可していた。
女神の御力増大
祝福を送った直後、フェルディナンドは最悪だと呟き、ローゼマインを取り巻く女神の御力が増えていると指摘した。
ローゼマイン自身には変化がわからなかったが、腕の魔石やお守りが次第に光を帯び始める。
フェルディナンドは強い警戒を見せながら、回復薬や攻撃用魔術具を確認し始めた。
女神の化身としての入場
やがて講堂の扉が開き、ハルトムートが英知の女神メスティオノーラの化身としてローゼマインを紹介する。
ローゼマインは、フェルディナンドから女神の化身らしく振る舞うよう釘を刺されながら入場した。
しかし、その頃には腕を覆う魔石が激しく輝き始め、女神の御力の暴走状態は本人にも理解できるほどになっていた。
舞台での異変
舞台へ上がった瞬間、足元に選別の魔法陣が浮かび上がった。
本来なら奉納舞で魔力を放出して初めて出現するはずの魔法陣が、立っただけで現れたのである。
ローゼマインは、自分の女神の御力垂れ流し状態が、想像以上に深刻だったことを実感していた。
奉納舞開始
フェルディナンドが神事や魔法陣について説明を終えると、楽師達の調弦が始まり、奉納舞の準備が整った。
ローゼマインは跪き、神々への祈りを口にして舞を開始する。
エグランティーヌへ負けたと思われないよう、舞の技術ではなく光の柱や演出効果で女神の化身らしさを示そうと考えていた。
祭壇への道
ローゼマインが魔力を流しながら舞うと、光の柱は勢いよく伸び、祭壇の神像が動いて道が開いた。
その後、ローゼマインは祭壇前で待機し、エグランティーヌの奉納舞を見守る予定だった。
しかしローゼマインは、舞へ集中していたため、自分の魔力が光の波となって祭壇を駆け上がり、神像の神具を光らせていたことには気付かなかった。
始まりの庭への転移
奉納舞を終え、神に感謝を捧げた瞬間、ローゼマインは突然強烈な光へ包まれた。
次に目を開けると、そこは始まりの庭であり、エアヴェルミーンが待っていた。
本来ならエグランティーヌとフェルディナンドも一緒に来るはずだったのに、自分だけが移動していたことに、ローゼマインは愕然とする。
ツェント順位の変更
エアヴェルミーンは、ツェント争いでローゼマインが二位になったと告げた。
ジェルヴァージオは戻っておらず、一位はフェルディナンドだったが、ローゼマインは先に礎へ魔力を注いだ功績を認められたのである。
さらに国境門の大半がローゼマインの魔力で染められていることも理由となり、エアヴェルミーンはローゼマインを新たなツェントに任命しようとした。
エアヴェルミーンとの対立
ローゼマインは、自分はアウブ・アーレンスバッハになる予定であり、エグランティーヌを新ツェントにする儀式の最中だと必死に訴えた。
しかしエアヴェルミーンは、フェルディナンドを嫌っており、彼へ礎を渡したくないという感情を露わにする。
さらに、フェルディナンドが礎を完全に満たす前に、ローゼマインへ染め切らせようと考えていた。
メスティオノーラ降臨の危機
エアヴェルミーンは、ローゼマインの魔力では不足しているため、メスティオノーラの力で礎を染めると宣言した。
直後、上空から光が降り注ぎ、ローゼマインの腕のお守りが激しく反応する。
フェルディナンドが作ったお守りが、ローゼマインの許可なく女神へ体を貸し出すことを防いだのである。
記憶喪失への拒絶
ローゼマインは、再び記憶を失うことへの恐怖から、絶対に体を貸さないと強く拒絶した。
以前メスティオノーラへ体を貸した結果、大事な記憶を奪われた経験があったためである。
フェルディナンドとの約束もあり、ローゼマインは神へ従うことを拒み続けた。
神々の祝福暴走
エアヴェルミーンは、記憶を失わなければ良いのだろうと言い、他の神々から祝福を流し込ませた。
しかし複数神の御力は互いに激しく反発し、ローゼマインの体内で暴走を始める。
全身へ電流のような痛みが走り続け、ローゼマインはその場へ崩れ落ちた。
フェルディナンドの乱入
苦しむローゼマインを救うため、フェルディナンドが始まりの庭へ侵入してきた。
隠蔽のお守りを使って忍び込み、エアヴェルミーンへ攻撃まで仕掛ける。
エアヴェルミーンは、ローゼマインを苦しめて死なせ、自分が礎を奪うつもりなのだろうとフェルディナンドを非難した。
メスティオノーラ降臨決断
フェルディナンドは、ローゼマインへ本当に女神降臨を望むのか確認した。
ローゼマインが助けを求めながら頷くと、フェルディナンドは解毒剤を飲ませた後、エアヴェルミーンへ即死毒を放ち、一時的に動きを封じる。
その隙に、ローゼマインの腕を覆うお守りを外し始めた。
エグランティーヌの到着
そこへ、道を開いて始まりの庭へ到達したエグランティーヌが合流した。
フェルディナンドは、ローゼマインを助けるにはメスティオノーラ降臨しかないと説明し、エグランティーヌへ協力を求める。
二人は協力してお守りを外し切り、ローゼマインはついにメスティオノーラへ体を明け渡した。
女神の説明
ローゼマインの意識は白い空間へ隔離され、メスティオノーラから説明を受ける。
前回の降臨でローゼマインの体が完全にメスティオノーラの御力へ染まっていたため、複数神の祝福が激しく反発したのである。
さらに、フェルディナンドのお守りが降臨を妨害したことで、神々が力任せに祝福を注ぎ込み、状況を悪化させたのだと明かされた。
神々の事情
メスティオノーラは、神々に悪意はなかったが、エアヴェルミーンへ反抗するフェルディナンドへの意趣返しが含まれていたと語った。
また、フェルディナンドはエーヴィリーベの影響が強く、ゲドゥルリーヒに関わると辛抱強さを失うとも説明する。
そのため、できれば今後エアヴェルミーンへ近付かないでほしいと頼まれた。
神々への感謝
ローゼマインは、神々がユルゲンシュミット存続を願い、力を貸してくれたことを理解した。
大変な事態にはなったものの、これまでにも数多くの祝福を受けてきた以上、神々の望みを叶えることへ異論はないと考える。
そしてローゼマインは、女神へ感謝を告げ、神への祈りを捧げた。
祝福の影響
女神降臨後の確認
意識を取り戻したローゼマインへ、フェルディナンドは体調や記憶の異常について確認した。
ローゼマインは、指先や肩に違和感は残っているものの、先程までの激痛は収まっていると答える。
フェルディナンドによれば、メスティオノーラは神々の御力を分けて固めただけであり、時間経過と共に神々の御力も再び増大していくらしかった。
神々の御力を消す方法
ローゼマインが、長期間苦しみ続けるのは嫌だと訴えると、フェルディナンドは魔力を極限まで使った直後なら、人の魔力で神々の御力を打ち消せると説明した。
つまり、枯渇寸前まで魔力を使い、その後フェルディナンドに染め直してもらう必要があるということである。
しかしエグランティーヌは、その方法が冬の到来を早めることになると意味深に補足した。
エグランティーヌのグルトリスハイト
話題を変えるように、フェルディナンドはエグランティーヌへグルトリスハイト登録の完了を確認した。
エグランティーヌは、大きな魔石付きのブレスレット型グルトリスハイトを見せる。
それは一代限りで、エグランティーヌしか使えない魔術具だった。
エアヴェルミーンとの別れ
エアヴェルミーンは、ローゼマイン達へ早く始まりの庭から去るよう促した。
ローゼマインは、メスティオノーラとの約束通り、ユルゲンシュミットの礎を染めると約束する。
その言葉を聞いたエアヴェルミーンは、小さく頷きながら再び白い大木へ戻っていった。
神々の御力の増大
ローゼマインは、会話をしている間にも神々の御力が膨れ上がっていると説明した。
このままでは、貴族達の前で苦痛に呻く姿を晒しかねないため、急いで礎へ向かう必要がある。
フェルディナンドも事態の深刻さを理解し、儀式を早急に終わらせる決断を下した。
エアヴェルミーンの枝回収
フェルディナンドは、白い大木の周囲へ落ちていた枝を拾い集め始めた。
それは、エアヴェルミーンの髪を切り落とした際に生じた枝だという。
ローゼマインは呆れながらも、素材として有効活用した方が良いと判断し、神々へ心の中で許しを請うていた。
始まりの庭での出来事共有
祭壇を下りながら、エグランティーヌは始まりの庭で起きた一連の騒動を振り返った。
ローゼマインが突然消えたこと、フェルディナンドが神々へ攻撃を仕掛けたこと、女神とフェルディナンドが互いに怒っていたことなどを語る。
エグランティーヌは、英知の女神がエアヴェルミーンを、フェルディナンドがローゼマインを極めて大切にしているように見えたと感想を漏らした。
始まりの庭の秘密保持
エグランティーヌは、始まりの庭で見聞きしたことは決して他言しないと約束した。
ローゼマインも、神々の御力で体が震え始めている状況を隠しながら、女神の化身らしい微笑みを浮かべる。
一方、事情を聞かされたハルトムートは、痛々しいほど神々しいと恍惚とした表情を浮かべていた。
光の女神との契約
ハルトムートが声量増幅の魔術具を構える中、ローゼマインは光の女神の冠をシュタープで作り出し、エグランティーヌへ授けた。
続いてエグランティーヌは、古き儀式を復活させ、ユルゲンシュミットを正しく導くと光の女神へ誓いを立てる。
その誓いに呼応するように、冠は一際強く輝いた。
全属性祝福の危険
誓いに反応して、ローゼマインの体内にある神々の御力も膨れ上がった。
この後予定されている全属性祝福で、さらに悪化する危険を理解したローゼマインは不安を抱く。
ハルトムートも異変に気付き、フェルディナンドを探し始めた。
グルトリスハイト授与
しかしローゼマインは、ここで儀式を止められないと判断し、そのままグルトリスハイト授与を宣言した。
大神達への祈りと共に、全属性祝福がエグランティーヌへ降り注ぐ。
その代償として、ローゼマインの体内では神々の御力が暴れ始め、発熱や震えが悪化していった。
時間稼ぎの指示
フェルディナンドは、礎へ向かう準備を整えたと告げ、ハルトムートへ講堂内での時間稼ぎを命じた。
エグランティーヌによるアウブ達への話や領主会議関連の説明を引き延ばし、外へ出さないよう指示する。
歓声に包まれる中、ローゼマインは女神の化身としての役目を果たせたことへ安堵していた。
退場時の限界
儀式終了後、ローゼマインは祝福を漏らしながら退場した。
フェルディナンドから非常時に馬鹿だと呆れられながらも、ローゼマインは女神の化身らしく振る舞い続ける。
しかし講堂を出た頃には、立っていることすら辛いほど体調は悪化していた。
銀色の布による隔離
講堂の外では、グレーティアとクラリッサが銀色の布を用意して待機していた。
ローゼマインへ布を被せた瞬間、周囲の者達が一斉に安堵したことから、神々の御力の影響が極めて危険だったことがわかる。
クラリッサ達も、フェルディナンドからの緊急命令で待機していたのである。
同行者制限
フェルディナンドは、今後同行できるのは名捧げした者だけだと宣言した。
国家規模の機密を扱う以上、言動を縛れない者は同行不可だと断言し、アナスタージウスすら排除する。
エグランティーヌは、今のローゼマインの危険な状態を説明し、アナスタージウスを説得した。
図書館への移動
フェルディナンドはローゼマインを横抱きにし、そのまま図書館へ急行した。
ソランジュへ図書館封鎖を命じ、護衛騎士達へも周辺警戒を徹底させる。
ローゼマインは、揺れだけでも体内の熱が暴れ出すほど危険な状態になっていた。
礎への道の公開
二階へ到着すると、ローゼマインの首元から聖典の鍵が取り出された。
エグランティーヌがメスティオノーラ像へ鍵を差し込むと、礎へ続く階段が現れる。
エグランティーヌは、その光景へ驚愕していた。
ユルゲンシュミットの礎染色
礎へ到着したローゼマインは、即座に魔力供給を開始した。
神々の御力も一緒に礎へ流れ込み、苦痛や熱が引いていく。
フェルディナンドは、中央神殿長や各領地神殿長の聖典の鍵が、それぞれ国や領地の礎へ繋がることを説明した。
今後の領地再編
フェルディナンドは、礎を一度ローゼマインの魔力で満たし、その後エグランティーヌ達が染め直せば良いと説明する。
さらに、領主会議までに境界線引き直しや新領地造成を進める必要があると語った。
エグランティーヌは、ドレヴァンヒェルとの交渉結果や、アドルフィーネの新たな立場についても説明した。
ローゼマインの卒業試験
フェルディナンドは突然、境界線引き直しやメダル破棄を、ローゼマインの領主候補生コース採点に使うようエグランティーヌへ依頼した。
ローゼマインは抜き打ち試験だと抗議するが、フェルディナンドは、自分が教えたことを覚えていれば問題ないと一蹴する。
こうしてローゼマインは、本物のユルゲンシュミットの礎を使った再試験を受けることになった。
魔力枯渇計画
魔力枯渇の難航
ローゼマインは、国の礎を染め、境界線の引き直しまで終えたにもかかわらず、魔力が枯渇していないことへ困惑していた。
正確には、数種類の神々の御力が依然として体内へ残っており、図書館で魔術具へ大量供給を行った後でも四分の一ほど残存していたのである。
フェルディナンドは、今後アーレンスバッハを治めるために必要な場所へ、順次魔力を供給していくしかないと判断した。
アーレンスバッハへの移動
ジェルヴァージオ回収のため、エグランティーヌ達が国境門へ向かった後、ローゼマイン達はアダルジーザの離宮を経由してアーレンスバッハへ移動した。
ローゼマインは、フェルディナンドの騎獣へ同乗しながら、自分の騎獣レッサー君が使えないことを残念がる。
現在の神々の御力と騎獣登録時の魔力差が大きすぎるため、騎獣が正常に扱えなかったのである。
危険な回復薬の説明
フェルディナンドは、本来なら回復薬を使いたいが、魔力を枯渇させる必要があるため使えないと説明した。
さらに、外傷と体力を一気に回復させる特殊な薬の存在を語る。
しかしその薬は、深い傷を前提とする危険なものであり、ローゼマインの魔力を枯渇させるには手足を切断級に傷付ける必要があると聞き、ローゼマインは全力で拒絶した。
採集場所での検証
フェルディナンドは、祝詞を唱えなければ神々の御力が反応しない可能性を考え、アーレンスバッハの採集場所で検証を行うことにした。
採集場所は管理不足で荒れ果てており、エーレンフェストとは比べ物にならないほど貧相だった。
フェルディナンドは、それをディートリンデ達の怠慢と敵対心の結果だと断じる。
土地の癒し
ローゼマインが地面へ両手を付き、魔法陣へ魔力を流し込むと、フェルディナンドがフリュートレーネへの祝詞を唱え始めた。
すると土地へ魔力が満ち、草木が急速に成長し、花々が咲き誇っていく。
アーレンスバッハの貴族達は、その光景を女神の奇跡として熱狂的に讃えた。
神々の御力の反応
土地を癒す中で、ローゼマインは神々の御力が少し反応していることを感じ取った。
しかし、光の女神の神具を使った時ほど激しい反応ではなく、荒れた土地への大量供給によって、全体としては御力が増えていないと判断する。
フェルディナンドは、アーレンスバッハの荒廃した土地へ魔力を注ぐ方針に希望を見出した。
神事回避案の検討
ローゼマインは、祈念式ではなく聖杯による魔力垂れ流し方式を提案した。
さらに、神殿の神具へ魔力を注ぎながら、騎獣で上空を飛んで魔力を撒く案も考える。
フェルディナンドは、絵面は酷いが有効かもしれないと評価し、調合による魔力消費も候補へ加えた。
金粉作りの計画
フェルディナンドは、金粉化する魔石や魔術具も図書館都市建設へ利用するつもりだった。
ランツェナーヴェに荒らされた街や離宮周辺を再整備するため、早急にエントヴィッケルンを進める必要があるのである。
ローゼマインは、自分のためには使えないのに、命を守るためには御力を消費しなければならない状況へ不満を漏らした。
アーレンスバッハ貴族への洗脳
ハルトムートとクラリッサは、アーレンスバッハの貴族達へ神事の重要性を説き始めた。
神事を怠れば、ローゼマインをアウブに迎えながら最も御加護を得られない領地になると脅し、神々へ祈る習慣を根付かせようとする。
その結果、貴族達は危機感を抱きながら必死に素材採集を始めた。
エーレンフェスト寮での説明
エーレンフェスト寮へ戻ると、ジルヴェスター達がローゼマインの身を案じて待っていた。
フェルディナンドは、詳細を伏せつつ、ローゼマインが再びメスティオノーラを降臨させ、さらに他神の御力も受けたことを説明する。
そして、神々の御力を消すため、一度魔力を枯渇させる必要があると告げた。
冬の到来の意味
ジルヴェスターが「冬の到来を早める」と発言したことで、ローゼマインはその意味を尋ねた。
フロレンツィアは、神話表現における秋と冬の意味を順に説明する。
成熟や成人を意味する秋、その後に訪れる冬という表現を聖典通りに解釈した瞬間、ローゼマインはそれが男女関係を示す隠語であると理解して絶叫した。
羞恥と誤解
ローゼマインは、自分が以前「フェルディナンド様に染めてもらえば良い」とエグランティーヌへ発言したことを思い出し、激しい羞恥に襲われた。
床へしゃがみ込みながら悶絶するローゼマインに対し、フェルディナンドは、そうした行為はしないのだから落ち着けと冷静に返す。
さらに、遠回しな貴族言葉を理解できないのはローゼマイン自身の問題だと指摘した。
特殊体質の説明
フロレンツィアが「特殊な生い立ち」とは何か尋ねると、フェルディナンドは詳細を伏せながら説明した。
ローゼマインは普通の貴族とは体質が異なり、養女になる以前からフェルディナンドの魔力影響下にあったため、通常の染め替えと事情が異なるというのである。
そのため、薬や魔術具による処置だけで済み、星結びのような行為は不要だと説明された。
今後の危険性
フェルディナンドは、神々の御力が回復した魔力と共に増大すれば、ローゼマインは耐え切れず「はるか高み」へ向かう危険があると告げた。
しかも名捧げした者達全員を巻き込む可能性があり、新ツェントとなったエグランティーヌすら例外ではない。
ジルヴェスターは、ローゼマインがユルゲンシュミットの命運を握る状況へ強い危機感を抱いた。
グーテンベルク移住計画
フェルディナンドは、図書館都市建設のため、グーテンベルク達へ移住命令を出すよう依頼した。
しかしローゼマインは、失われた記憶に髪飾り職人が関係している可能性を気にする。
フェルディナンドは、今の状態で記憶に関わる人物と会えば、神々の御力が暴走しかねないため、面会は避けるべきだと判断した。
魔力消費への決意
フェルディナンドは、今夜中に魔力を減らし切れなければ、翌日からアーレンスバッハ全土を満たす旅へ出ると宣言した。
そして、ローゼマインを抱き上げたまま部屋を後にする。
ローゼマインは、羞恥と疲労で抗議しながらも、フェルディナンドの鈍感さへ内心で文句をぶつけていた。
金粉作りと帰還
側近達への説明
フェルディナンドは、ジルヴェスター達の側近を押し退けるようにしながら、ローゼマインを抱えたまま退室した。
廊下ではハルトムート達が待機しており、ローゼマインの異変を察して切迫した様子で状況確認を求める。
フェルディナンドは、ローゼマインの体力消耗を極力避ける必要があり、場合によっては回復薬すら使えないと説明した。
回復薬の制限
体力回復薬には僅かながら魔力回復効果も含まれているため、神々の御力が反発してローゼマインの負担になる可能性が高かった。
フェルディナンドは、魔力を全く回復させない薬を研究する暇もないと苛立ちを滲ませながら語る。
その後、ローゼマインはアンゲリカへ引き渡された。
ローゼマインの羞恥と気付き
ローゼマインは、フェルディナンドに抱えられている状況を自分だけが妙に意識していることへ気付く。
側近達は誰一人として色恋沙汰のような反応を示さず、純粋にローゼマインの命を案じていた。
そのため、ローゼマインは、自分が勝手に意識し過ぎていたのだと自戒し始める。
アーレンスバッハ遠征準備
フェルディナンドは、今夜中に魔力枯渇へ至れなければ、翌日にはアーレンスバッハ全土を満たす旅へ出発すると宣言した。
側近達はその切迫した状況に動揺しつつも、即座に準備へ取り掛かる。
特に料理人や食材の確保、神具の回収など、多方面への指示が矢継ぎ早に飛ばされた。
騎獣作製の指示
フェルディナンドは、虹色魔石で新しい騎獣を作るようローゼマインへ命じた。
神々の御力が消えれば使えなくなるため、ローゼマインは魔石の浪費を懸念する。
しかしフェルディナンドは、長旅の中で安全かつ快適に休息できる移動拠点が必要だと説明し、巨大化可能なレッサーバスの価値を認めた。
金粉作製命令
ローゼマインは、騎獣用魔石を作った後、部屋へ運び込まれる素材をひたすら金粉化して魔力消費を続けるよう命じられた。
フェルディナンドは、感情を激しく揺らすことも危険だと繰り返し警告する。
神々の御力が暴走すれば、名捧げした者達全員の命にも関わるためである。
シャルロッテの訪問
忙しなく準備が進む中、シャルロッテが大量の素材を持って訪れた。
カルステッド率いる騎士団が、ローゼマインのために採集場所で素材を確保していることも伝えられる。
シャルロッテは、ローゼマインができるだけ早く貴族院を離れるべきだと進言した。
神々に近い場所への懸念
シャルロッテは、貴族院が神々に最も近い場所である以上、神々の御力の影響も強まる可能性が高いと考えていた。
そのため、少しでも負担を減らすには早期離脱が必要だと判断していたのである。
ローゼマインは、その指摘でようやく事態の深刻さを改めて実感した。
シャルロッテの願い
シャルロッテは、図書館都市へ自分も遊びに行きたいから、必ず神々の御力を消してほしいと懇願した。
ローゼマインは、自分が死を軽視していることを見抜かれたような感覚を覚える。
そして、シャルロッテの願いを受け止めながら、再び金粉作製へ戻った。
虹色レッサー君の誕生
夕食後、ローゼマインは大量の虹色魔石へ魔力を注ぎ、新しい騎獣を作製した。
完成したレッサー君は、従来の淡黄色ではなく、全身が虹色に輝く神々しい騎獣となる。
ローゼマイン本人は微妙な色合いだと感じていたが、周囲は大絶賛していた。
一晩での魔力回復
翌朝、ローゼマインは一晩で騎獣作製分と金粉化分の魔力が完全回復していることを報告した。
フェルディナンドは、その異常な回復速度に険しい表情を見せる。
神々の御力による発熱や体調悪化も始まっており、本格的に時間がないと判断した。
他領貴族達の懇願
アーレンスバッハへ向かう途中、他領の貴族達が道を塞ぎ、女神の化身へ自領救済を願い出た。
フェルディナンドは、それを新ツェントより女神の化身へ取り入ろうとする打算だと切り捨てる。
そしてローゼマインへ、そうした者達を気にする必要はないと告げた。
離宮封鎖とアーレンスバッハ帰還
フェルディナンド達は、アダルジーザの離宮経由でアーレンスバッハへ戻った。
新ツェントの住居となる離宮へ他者が侵入できないよう、完全封鎖も進められる。
その後、ローゼマインは虹色レッサー君へ乗り込み、側近達へ披露した。
虹色騎獣への反応
ローゼマインは、以前の淡黄色の方が可愛いと思っていたが、周囲は虹色騎獣を神々しいと大絶賛した。
レティーツィア達も、全属性の輝きを持つ騎獣へ感嘆する。
ローゼマインは、その感覚だけは最後まで理解できなかった。
神具への魔力供給
城へ到着すると、神殿から運ばれた神具へ次々と魔力供給が行われた。
通常なら青色神官達が長期間かけて満たす神具も、ローゼマインには容易だった。
さらに、祝詞を使わず流し出された魔力は虹色の液体となって聖杯から溢れ出した。
土地を満たす虹色の魔力
ハルトムートが虹色の液体を庭へ撒くと、植物が生気を取り戻し、花々が咲き始めた。
祝詞を唱えないため、神々の御力は暴走していないことも確認される。
これにより、神具への直接供給なら比較的安全に魔力消費できる可能性が見えてきた。
ローゼマインの不安
周囲の貴族達は、女神の化身としてのローゼマインへ熱狂していた。
しかしローゼマインは、神々の御力が消えた後も、自分をアウブとして認めてくれるのか不安を抱く。
神々の御力を失えば、自分の価値まで消えてしまうのではないかという恐れが芽生えていた。
図書館都市構想
ハルトムートとクラリッサは、アーレンスバッハの貴族達へ、ローゼマインを崇める臣民になるしかないと半ば脅迫する。
その後、新領地の名前や紋章の希望を求める文書が新ツェントから届いていることが伝えられた。
ローゼマインは、図書館都市に相応しい名前として「アレキサンドリア」や「ベネツィア」を候補に挙げ、楽しげに悩み始める。
祈念式への出発
フェルディナンドは、領地名の検討は後回しにし、荒れた土地から順に癒していくため転移陣を使用すると決定した。
ローゼマインはグルトリスハイトで転移陣を作成し、荷物や同行者達を次々と乗せていく。
転移発動にはフェルディナンドがアウブ代行として関与し、祈念式の旅が本格的に始まった。
魔力散布祈念式
ビンデバルトでの拠点作り
ビンデバルトへ到着したローゼマインは、人の気配が消えた荒れた土地を見渡して寂しさを覚えた。
フェルディナンドによれば、館は完全封鎖され、下働き達も近隣の町へ移動済みであり、新しいギーベが任命されるまでは無人状態を維持する方針だった。
ローゼマインは、平民達の徴税や生活を心配しつつも、まずは領主会議後の正式任命を待つしかない状況を理解する。
巨大化したレッサー君
フェルディナンドは、側仕えや料理人が安全に過ごせるよう、虹色レッサー君を宿泊拠点として拡張するよう命じた。
ローゼマインは、キャンピングカー風の内装をイメージして騎獣を巨大化させたが、フェルディナンドから男女別階層や下働き用区画など、更なる改良を要求される。
最終的には、二階建ての家のような巨大騎獣となり、ローゼマインは騎獣の定義に疑問を抱いた。
土地を癒す方針
フェルディナンドは、側仕え達へ宿営準備を命じると、ローゼマインを連れて土地の癒しへ向かった。
ローゼマインは農村へ直接向かうつもりだったが、フェルディナンドは先に山や森へ魔力を流す必要があると説明する。
農村だけを先に満たせば、魔力を求めた魔獣が押し寄せ、農民へ被害が出る危険が高いためだった。
聖杯から溢れる虹色の魔力
ローゼマインが抱える聖杯から虹色の液体が溢れ始めると、フェルディナンドは騎獣の速度を上げた。
虹色の魔力が降り注いだ土地では、黒ずんだ景色へ緑が戻り、本来の鮮やかさを取り戻していく。
ローゼマインは、神々の御力によって土地そのものが癒される光景へ感嘆していた。
聖杯運搬の限界
しかし、巨大な聖杯を抱え続けることは想像以上に重労働だった。
ローゼマインは腕が震え始め、フェルディナンドへ限界を訴える。
昼食時には、今後は紐で腹部へ聖杯を固定した方が良いと真剣に提案するほど疲弊していた。
ハルトムートの熱弁
レッサーバスへ戻ると、ハルトムートが神々しい光景を熱弁していた。
リーゼレータやグレーティアは慣れた様子で聞き流していたが、フェルディナンド側の側仕えゼルギウスだけは圧倒されていた。
ユストクスは、ゼルギウスの給仕仕事を肩代わりし、事実上の生贄として放置した。
効率改善の必要性
昼食中、ローゼマインは聖杯を腹へ括り付ける案を改めて提案した。
フェルディナンドは、美しさよりも効率を優先せざるを得ない現状を認めつつ、より効率的な方法が必要だと判断する。
午後以降は実際に聖杯を腹へ固定し、同様の方法で魔力散布を続行した。
カンナヴィッツの海の浄化
午後にはビンデバルト全域と南部カンナヴィッツの浄化が行われた。
特にカンナヴィッツでは、濁っていた海が透き通る青へ変化し、魚が跳ね回るほど豊かな海へ戻っていく。
ローゼマインは、その光景に興奮して漁師達へ手を振り返したり、多めに魔力を注いだりした結果、極度に疲弊した。
図書館都市構想の再開
夕食後、ローゼマインはフェルディナンドへ、図書館都市計画の相談を持ち掛けた。
フェルディナンドは、疲労を理由に話題変更を勧めたが、ローゼマインは魚料理で元気を回復したと主張して押し切る。
そのため、盗聴防止魔術具を用いた上で、新領地名の本格的な相談が始まった。
アレキサンドリアとベネツィア
ローゼマインは、「アレキサンドリア」が巨大図書館と薬草園を持つ古代都市、「ベネツィア」が印刷と交易で本が集まる都市であると説明した。
フェルディナンドは、ベネツィアがランツェナーヴェと響きが近いため避けるべきだと指摘する。
その結果、ローゼマインはアレキサンドリア案を強く推し始めた。
失われた記憶への違和感
会話の途中、ローゼマインは平民時代の記憶が断片的にしか思い出せないことへ改めて気付く。
神殿へ入る前後の出来事や、大切な存在だったはずの人物達の記憶が抜け落ちていた。
フェルディナンドは、それがローゼマインの根幹に関わる記憶を奪われた結果だと語った。
アレキサンドリア採用
ローゼマインは、グーテンベルク達の印刷技術、自身の図書館、フェルディナンドの研究施設を内包する都市として、アレキサンドリアが最適だと熱弁した。
フェルディナンドも、重大な不都合がない限り、ローゼマイン自身が得た領地なのだから好きに決めれば良いと認める。
こうして、新領地名はアレキサンドリアへほぼ固まった。
領地色の相談
続いて、領地色についての相談が始まった。
ローゼマインは、国境門由来を重視して黒に近い色を希望する。
フェルディナンドは、ローゼマインの髪色を新領地色にする案を提示し、それが女神の化身に相応しいと評価した。
髪へ触れる仕草
フェルディナンドが自然な動作でローゼマインの髪へ触れた時、ローゼマインは妙な違和感を覚える。
しかし、その違和感の正体を深く考えることは避け、話題を紋章へ移した。
ローゼマインは、紋章にレッサー君を採用したいと主張する。
紋章論争
フェルディナンドは即座にレッサー君案を却下し、エーレンフェスト由来の獅子や、図書館の魔術具シュミルを候補に挙げた。
ローゼマインは不満を示したが、側近達も揃って図書館魔術具案へ賛同する。
さらに、本を持ったシュミルを紋章にする案まで発展し、レッサー君案は完全に流されていった。
減らない魔力
魔力回復への絶望
ローゼマインは、一晩眠っただけで再び魔力が回復している現実へ強い絶望を抱いていた。
せっかく減らした魔力が戻るたび、神々の御力による苦痛も増していくため、賽の河原のような徒労感を覚える。
さらに、前日の無理が祟ったせいで、熱と倦怠感まで加わっていた。
朝食時の診察
食堂へ向かったローゼマインを見たフェルディナンドは、一目で不調を察知した。
ローゼマインは、カンナヴィッツではしゃぎ過ぎたせいで熱を出したと指摘され、額や首筋へ触れられながら診察を受ける。
しかし回復薬を使えば魔力回復が進み、魔力枯渇が遠のくため、ローゼマインは回復薬使用を強く拒絶した。
神具活用案の提案
ローゼマインは、自分が直接動かずに神々の御力を消費する方法を考え始めた。
その結果、自分が神々の御力を込めた神具を側近達へ使わせる案を提案する。
フリュートレーネの杖で土地を癒し、ライデンシャフトの槍で魔獣を討伐し、シュツェーリアの盾で守護し、祈念式も並行して行わせる計画だった。
癒しの魔法陣案
さらにローゼマインは、フェルディナンド達に採集場所用の癒しの魔法陣を各地へ描いてもらい、自分はそこへ魔力を注ぐだけにする案も提示した。
フェルディナンドは、体力消耗が少ない分、一日中魔力散布するより現実的だと判断する。
同時に、それほど次々と改善策を思い付くこと自体が、ローゼマインの状態悪化を示しているとも見抜いていた。
フェルディナンドの薬
フェルディナンドは、自分の薬を一滴だけスプーンへ垂らし、ローゼマインへ舐めさせた。
薬は強烈な苦味と刺激を持っており、ローゼマインは舌が痺れるほどの不味さに顔をしかめる。
しかしフェルディナンドは、薬よりもローゼマインの癖の方へ注目している様子だった。
神具の保管
ハルトムートは、神具を神殿へ返却せず、自らの荷物として持参していた。
表向きはローゼマインの神事に必要だからという理由だったが、コルネリウスからは、置いて行かれるのを恐れた結果だと暴露される。
それでもハルトムートは、ローゼマインの御力が宿る神具を他人へ預ける気はないと断言した。
神具運用の決定
フェルディナンドは、ローゼマインの提案を正式採用した。
側近達へ神具を用いた土地の癒し、魔獣狩り、祈念式を分担させ、自分は城へ戻って各地との連絡調整を行うことを決定する。
午後からはザイツェン西部かヴルカターク方面へ移動する計画も固められた。
側近達への役割分担
ローゼマインは、側近達へ細かく役割を振り分けていく。
アンゲリカは部屋護衛、レオノーレはシュツェーリアの盾展開、他の護衛騎士達は魔獣狩りや祈念式護衛へ配置された。
クラリッサは、神事参加によって神殿や祝詞への忌避感を変えるため、自ら祈念式同行を希望した。
祝詞と神具の制約
神具は、複数人の魔力が混ざった状態では、正確な祝詞を唱えなければ使用できない。
そのため、祝詞を覚えられないアンゲリカは魔獣狩り参加を断念し、素直に部屋護衛を選んだ。
一方で他の騎士達は、神具運用のため祝詞を何度も練習していた。
神具への再充填
午前中、ローゼマインは布団の中で休息を取っていた。
昼前には側近達が神具を空の状態で持ち帰り、ローゼマインはそこへ再び神々の御力を込めていく。
その結果、体内の不快感が軽減し、ようやく少し安堵できた。
フェルディナンドの多忙
フェルディナンドは午前中、ギーベ達への通達やエーレンフェストとの連絡、新ツェントとのやり取りなどを精力的に進めていた。
その結果、大量の仕事道具と共に戻って来たらしい。
さらに、旧ベルケシュトック方面から魔獣が流入しているという報告も受けていた。
魔獣流入への警戒
アレキサンドリア側が神々の御力で満たされ始めた結果、魔力を求めた魔獣達が移動してきていた。
ローゼマイン自身も、最も神々の御力に満ちた存在である以上、魔獣にとって極上の獲物だろうと理解する。
そのため、ザイツェンやヴルカターク方面へ急行し、魔獣をアレキサンドリア側で迎撃する必要があった。
製紙業への打算
ローゼマインは、ザイツェン西部からヴルカターク周辺が、火属性魔力豊富な山岳地帯であり、製紙業に適していることを思い出す。
将来的な製紙業発展のためにも、土地を癒し、ギーベ達へ恩を売っておきたいと考えた。
グレーティアは、ライデンシャフトの槍による大規模攻撃なら、ローゼマインの魔力を大幅に減らせるだろうと期待していた。
虹色レッサー君への反応
レッサー君は巨大化した上、虹色に輝いているため、農民達の注目を集めていた。
レオノーレによれば、農民達は指差して騒ぎ、中には追い掛けようと走る者までいた。
ローゼマイン自身も、虹色より形状の方が問題ではないかと薄々感じ始めていた。
神具による魔獣狩り
移動中、レッサー君は何度も強力な魔獣へ襲われた。
レオノーレがシュツェーリアの盾で防御し、コルネリウス達がライデンシャフトの槍で攻撃する。
その後、抉れた土地はフリュートレーネの杖で修復され、神具が大活躍していた。
魔力減少への安堵
神具の魔力が空になるたび、ローゼマインは再充填を行った。
予想以上に魔力が減っていく感覚があり、ローゼマインは久々に安堵を覚える。
今夜こそ落ち着いて眠れそうだと期待するほどだった。
体調悪化と強制休養
夕食後、ローゼマインは図書館都市計画の続きを望んだが、フェルディナンドは体調悪化を理由に却下した。
ローゼマイン自身は魔力減少で改善した気分だったが、実際には熱も下がっておらず、食欲も完全には戻っていなかった。
回復薬が使えない以上、睡眠で少しでも体力を回復させるしかないと判断され、ローゼマインは不満を抱えたまま寝台へ戻された。
大規模魔術
悪夢による目覚め
ローゼマインは、誰かを引き止めるように叫びながら夜中に目を覚ました。夢の内容は思い出せなかったが、枕は涙で濡れ、背中には冷たい汗が張り付いていた。消えた記憶が繋がりそうで繋がらない苛立ちもあり、目覚めは最悪のものだった。
神具への魔力補充
不寝番のレオノーレは、ローゼマインの顔色を見て神具への魔力供給を勧めた。護衛騎士達は夕食後にも魔獣狩りへ出て、神具の魔力を空にしてくれていたのである。ローゼマインはその心遣いに感謝しながら、次々と神具へ魔力を流し、不快感を軽減させた。
フェルディナンドの気配
シュツェーリアの盾へ魔力を注いでいる最中、ローゼマインは下階に何かがいる気配を感じ取った。ジェルヴァージオが祭壇奥から現れた時に似た感覚だったため警戒したが、レオノーレは居間で仕事をしているフェルディナンドだろうと推測した。ローゼマインは診察も兼ねて居間へ向かうことになった。
ジェルヴァージオ捕縛の報告
居間ではフェルディナンドが執務をしており、ローゼマインはジェルヴァージオのその後を尋ねた。フェルディナンドは、エグランティーヌ達が国境門で彼を捕らえ、記憶を覗いたと説明した。ただし、その際に護衛騎士の半数を失ったと聞かされ、ローゼマインは衝撃を受けた。
アレキサンドリア設計の相談
フェルディナンドは、ジェルヴァージオの件は新ツェント達が乗り越える問題だとして話を切り替え、アレキサンドリアの設計図を広げた。ローゼマインは図書館中心の都市を望んでいたが、フェルディナンドは貴族街の中心に城、図書館、研究施設を置きつつ、警備面から城と図書館を安易に転移陣で繋ぐ案は却下した。
平民向け図書室の構想
ローゼマインは、誰でも本を読める図書館を望んだが、フェルディナンドは平民の識字率や貴族の反発を考えると時期尚早だと指摘した。その代案として、神殿を下町と貴族街の間に置き、富裕層向けの神殿教室と平民も利用できる神殿図書室を作る案を示した。ローゼマインは、それを理想へ向かう第一歩として受け入れた。
都市整備と商人達の移住
フェルディナンドは、港、貴族街、神殿、商業ギルドなどを優先して整備し、平民の意見を聞きながら区画整理を進める案を出した。ローゼマインも、アーレンスバッハの気候に合った建築様式を取り入れるべきだと賛同した。プランタン商会やギルベルタ商会、グーテンベルク達の店や工房も、住居部分を含めて整える必要があると確認した。
空腹感の正体
ローゼマインが眠りたくない理由を告げると、フェルディナンドは空腹感について確認した。夕食後も空腹が続いていたことから、彼はそれが魔力枯渇に近付いた体の危機信号だと推測した。長時間かけて少しずつ魔力を削られることで、体が飢餓感として訴えているのだと説明した。
大規模魔術の発想
フェルディナンドは、癒しの魔法陣をコピペで複数展開できないかと提案した。ローゼマインは、魔紙ではなく土地そのものへ魔法陣を写す可能性を考え、さらにエアヴェルミーンの欠片と神々の御力を利用すれば、古代の大規模魔術に近いものを再現できるかもしれないと気付いた。
大規模魔術の準備
フェルディナンドは、礎を起点、各境界門を終点として、アレキサンドリア全体を癒しの魔法陣で覆う構想を固めた。ローゼマインは、エアヴェルミーンの枝と神々の御力を込めた魔石を組み合わせ、魔術の基点となる道具を作った。フェルディナンドは、その非常識なやり方に呆れつつも、実用可能と判断した。
家族同然という理由
作業の合間、ローゼマインはフェルディナンドがなぜ自分のためにそこまでするのか尋ねた。フェルディナンドは、ローゼマインは家族同然なのだから当然だと答えた。しかしローゼマインは、貴族の家族は個人より家や領地を優先するものだと考えており、その答えを理解し切れなかった。
すれ違いと退室
ローゼマインが、フェルディナンドは家族からかなり遠い後見人ではないかと口にすると、フェルディナンドは何かを言いかけて飲み込んだ。彼は明確に傷ついた様子を見せながら、ローゼマインを自室で休ませるよう命じた。ローゼマインは、自分が何を間違えたのかわからないまま、据わりの悪い感覚を抱えた。
礎の間での発動準備
夕食後、ローゼマインはアレキサンドリアの礎の間へ移動した。フェルディナンドも、今の礎が自分をアウブと認識していることを理由に同行した。ローゼマインは、フェルディナンドがアウブになれば研究都市を作れるのではないかと尋ねたが、彼はローゼマインが自分の望む研究施設を作るなら十分だと答えた。
大規模癒しの魔術発動
ローゼマインが盆状の魔石へ魔力を注ぐと、水鏡のような面が生じ、エアヴェルミーンの枝が虹色に染まった。全属性の光は天井を貫き、アレキサンドリア各地へ魔法陣を広げていく。水鏡には貴族街、下町、海、国境門、各境界門の様子が次々と映し出された。
境界門の反応
各境界門では、シュトラール、エックハルト、ラウレンツ、マティアス、コルネリウス達がそれぞれ配置され、空へ広がる魔法陣を見上げていた。ダンケルフェルガーとの境界門では青いマントの騎士達が興奮し、エーレンフェストとの境界門ではボニファティウスがコルネリウスを担いで振り回していた。ローゼマインは水鏡越しにその様子を見ながら、少しだけ気を紛らわせていた。
魔力枯渇と意識喪失
魔法陣が完成に近付くにつれ、ローゼマインの魔力は急速に吸い取られ、空腹感は飢餓感へ変わり、体は冷え、呼吸も浅くなった。フェルディナンドは手を離さないよう支え、彼女の体を抱え込む。最後にフェルディナンドがフリュートレーネへの祝詞を唱え始め、ローゼマインは魔法陣の完成と魔力枯渇を悟った。安心感の中で、彼女は後をフェルディナンドへ託し、意識を手放した。
エピローグ
毒見と警戒態勢
グレーティア達は、領主の部屋へ届けられた夕食の毒見を行っていた。ユストクスは通常の講義では扱わない高度な毒物知識を教え、アーレンスバッハ特有の毒やランツェナーヴェ由来の危険物について細かく指導した。グレーティアは、ラザファムがエーレンフェストで徹底した警戒を行っていた理由を改めて理解し、今のアーレンスバッハがどれほど危険な土地なのかを痛感していた。
アーレンスバッハ貴族達の敵意
現在のアーレンスバッハには、ローゼマインが礎を奪ったと恨む貴族や、レティーツィアを次期アウブに据えようとする勢力が存在していた。彼らは目的こそ異なるものの、ローゼマインが正式にアウブへ就任する前に排除したいという点で一致していた。そのため、領主区域にはエーレンフェストの者しか入れず、アーレンスバッハ出身の側近ですら排除されていた。
礎の間へ向かう準備
夕食後、フェルディナンドは名捧げ側近以外へ退室を命じた。ローゼマインとフェルディナンドは礎の間へ向かう予定であり、その情報漏洩を防ぐため、名捧げ石を用いてグレーティアやユストクスへ厳命を下した。ローゼマインは名捧げ石による命令を嫌がっていたが、フェルディナンドに促され、情報流出禁止を命じた。
疲弊したローゼマイン
礎の間へ向かう直前、ローゼマインは神々の御力によって著しく消耗しており、笑顔の裏に疲労を隠せていなかった。グレーティアはその姿を見て胸を痛め、神々の理不尽さへ怒りを覚えた。同時に、彼女を救うため必死に道筋を探し続けるフェルディナンドの存在を、非常に心強く感じていた。
液状魔力への驚き
グレーティアは、フェルディナンドがローゼマインと同じ魔力を持つ液状魔力を作り出したことに驚いていた。本来、液状魔力には作製者自身の魔力が混ざるはずであり、他人の魔力を完全再現することは不可能だと考えられていたからである。しかし、フェルディナンドは誤差レベルにまで再現しており、ユストクス達も問題なしと判断していた。
グレーティアの過去
ユストクスは、フェルディナンドが名捧げ側近達の背景を徹底的に調べていたことを明かした。グレーティアは中級貴族と青色巫女の間に生まれ、「神殿の子」として差別されながら育った。洗礼式後は貴族として扱われたものの、家族から虐げられ、魔力感知発現後は愛妾として売られそうになっていた。粛清でギーベ・ヴィルトルが処刑された後、彼女はローゼマインへ名を捧げ、庇護を求めたのである。
ローゼマインへの恩返し
グレーティアは、ローゼマインに人生を救われた恩返しができていないと苦しんでいた。フェルディナンドがいれば他の側近は不要に思えるほどで、自分に何か勝てる部分が欲しいと悩んでいた。だが、ユストクスもまた、自分の主であるフェルディナンドを救うことに関してはローゼマインへ負けていると語り、グレーティアの気持ちへ理解を示した。
大規模魔術の開始
やがて外が緑色の光で照らされ始め、大規模魔術が始まった。ハルトムートからのオルドナンツでは、城から伸びる光と空へ広がる魔法陣への熱狂が伝えられた。シュトラールやエックハルト、ラウレンツ、マティアス達も、それぞれの境界門から驚きや感嘆を報告してきた。ダンケルフェルガーの騎士達は特に興奮しており、エックハルトが押し留めるほどだった。
旧ベルケシュトックへの複雑な感情
旧ベルケシュトックの境界門では、大規模魔術の恩恵から外された彼らを哀れむ声も上がっていた。しかし、グレーティアは彼らがエーレンフェストへ攻め込んだ者達であることを思い出し、ローゼマインが命を削って行う魔術で救う必要はないと考えていた。むしろ、助けても逆恨みされるだけではないかと思っていた。
名捧げ側近達の変化
ローゼマインが神々の御力に染まって以降、名捧げ側近達は以前より強い忠誠心を抱くようになっていた。ハルトムートのように祈りを捧げたくなる衝動すらあり、グレーティア自身もローゼマインへ深く心酔していることを自覚していた。彼女は、自分にはローゼマインの側近以外にまともに生きる道はないと感じていた。
死と隣り合わせの大規模魔術
フェルディナンドは事前に、魔力枯渇によってローゼマインが死ぬ可能性があり、その場合は名捧げ側近達も共に死ぬことになると告げていた。さらに、ローゼマインが死ねば新ツェントもユルゲンシュミットも道連れだと語っていた。グレーティアはその狂気を理解しつつも、ローゼマインを救わなかった神々より、自分を救ってくれたローゼマインを選ぶと決意していた。
大規模魔術の完成
ついにクラリッサから、大規模魔術成功の報告が届いた。アレキサンドリア全体を覆う巨大な魔法陣が完成し、緑色の光が降り注いでいるという。グレーティアとユストクスは成功へ安堵したものの、礎の間から二人が戻ってこないことに強い不安を覚えた。
グレーティアの祈り
ローゼマインの帰還を待ちながら、グレーティアは何もできない自分へ焦りを募らせていた。そんな時、ローゼマインから教えられた「他人のために祈ることこそ祈りの基本」という言葉を思い出した。これまで自分のために祈っても救われなかった彼女は、初めて純粋に他者のためだけに祈りを捧げた。ローゼマインが無事に戻ってくることを、心から願っていたのである。
閑話 継承の儀式
継承の儀式への参加
新たなツェントへのグルトリスハイト授与が行われることになり、洗礼式を終えた子供達にも今回だけ参加が許可された。ハンネローレはダンケルフェルガーの観覧席から講堂を見回し、予想より幼い参加者が少ないことを不思議に思っていた。レスティラウトは、王族が集う領主会議同然の場へ子供を連れて来られるアウブは少ないと説明し、実際にダンケルフェルガーでも参加者選定を巡って議論があったことを語った。
メルヒオールと神殿長の役目
エーレンフェストの席では、神殿長の衣装を着たメルヒオールの姿が目立っていた。ハンネローレは、ローゼマインの後任として神殿長に就任したことを説明し、エーレンフェストでは領主一族が神殿を担うことが当然になっているのだと感じていた。レスティラウトは、神殿長となったメルヒオールが次期アウブになるのではないかと推測しつつ、ヴィルフリートの立場を危うく見る。だがハンネローレは、ローゼマインが神殿長でありながらヴィルフリートが次期アウブに定められていた事実を挙げ、その推測を否定した。
フェルディナンドへの評価
ハンネローレは、ローゼマインには手綱を握る存在が必要であり、フェルディナンドこそがその役目に相応しいと語った。さらに、フェルディナンドが王命によってアーレンスバッハへ移動し、次期アウブを補佐する役目を負っていた経緯や、ディートリンデ失脚後に再びその王命が有効になった事情も説明した。レスティラウトは、レティーツィアを巡る王命との矛盾を問題視したが、ハンネローレはフェルディナンドほどの人物が何の対策も講じていないはずがないと断言した。
エグランティーヌとローゼマインの入場
儀式開始の鐘が鳴り、まずアナスタージウスにエスコートされたエグランティーヌが入場した。彼女には神々の祝福の光が降り注ぎ、卒業式を思わせる神聖な雰囲気をまとっていた。続いてローゼマインがフェルディナンドに伴われて現れると、講堂中が騒然となった。彼女は女神の御力による淡い光を常に帯びており、さらに身につけた魔石までも輝いていた。成長した姿はまさに伝承のメスティオノーラそのものであり、周囲の貴族達は圧倒されていた。
女神の舞
フェルディナンドが楽師達と共に演奏を始め、ローゼマインは奉納舞を開始した。舞台には古い選別用の魔法陣が浮かび上がり、ローゼマインが舞うたびに七色の光柱が伸びていく。祭壇の神像までもが動き出し、神々への道が開かれていった。やがて祭壇の神具が全て光を放つと、ローゼマインの姿は舞台上から消失した。貴族達が驚愕する中、フェルディナンドは彼女が始まりの庭へ招かれたのだと説明した。
エグランティーヌの奉納舞
続いてエグランティーヌが奉納舞を行った。ローゼマインほどの神秘性はなかったものの、優れた技術によって魔法陣と光柱を顕現させ、最終的には祭壇への道を開くことに成功した。彼女はアナスタージウスのエスコートを受けながら祭壇を登り、神々の元へ向かっていった。周囲の貴族達は、古の継承式の実在を目の当たりにし、感嘆の声を漏らしていた。
神々の元からの帰還
しばらくして神像が再び動き、エグランティーヌとローゼマインが神々の元から戻ってきた。エグランティーヌはローゼマインを支えるように手を引き、祭壇を下りてくる。ローゼマインから放たれる女神の御力はさらに強まっており、その姿はますます神聖さを増していた。レスティラウトは筆記具を持ってこなかったことを悔やみ、ジークリンデから窘められていた。
新たなツェントへの誓約
ローゼマインは光の女神の冠を出現させ、跪くエグランティーヌへ授けた。エグランティーヌは、中央神殿長として古の儀式を復活させ、ローゼマインとの約束通りにユルゲンシュミットを導くと神々へ誓った。その誓約に応じるように冠は強く輝き、神々との契約成立が示された。
グルトリスハイトの授与
ローゼマインはシュタープで全属性の魔法陣を描き、大神達への祈りを捧げながらエグランティーヌへ祝福を与えた。全属性の光が彼女へ降り注ぎ、その後エグランティーヌが「グルトリスハイト」と唱えると、彼女の手には本物のグルトリスハイトが現れた。待望の真のグルトリスハイトを持つツェントの誕生に、講堂中が歓喜に包まれた。
祈りを捧げる貴族達
ハルトムートが神々への祈りを呼びかけると、メルヒオールを始め、エーレンフェストや一部アーレンスバッハの貴族達が一斉に立ち上がって祈りを捧げた。その動きは見事に統一されており、ハンネローレは驚きを隠せなかった。続いて貴族達はシュタープを掲げ、新たなツェントと女神の化身の退場を祝福の光で見送った。
儀式後の反応
儀式終了後、トラオクヴァールがランツェナーヴェの反乱や新たな領地再編について説明を行った。しかしレスティラウトは話よりも儀式の余韻に囚われており、退出許可が出るや否や自室へ籠もってしまった。婚約者アインリーベは、彼がまた大量の絵を描き始めるのだろうと半ば諦めた様子を見せる。ハンネローレは、今日目にした継承の儀式の荘厳さとローゼマインの神々しさを改めて思い返していた。
始まりの庭と誓い
エグランティーヌの決意
継承の儀式を前に、アナスタージウスはエグランティーヌへ本当にツェントになる覚悟があるのか確認した。これまでツェントになることを避け続けていた彼女の変化を疑問に思っていたのである。だがエグランティーヌは、自分自身の望みは変わっておらず、周囲の状況が変化した結果として、自分がツェントになることが最も争いを少なくできる道になったのだと語った。
王族とローゼマインの交渉
エグランティーヌは、ローゼマインが王族へ要求を突きつけたことについて、王族だけでなく貴族社会全体が似たような交渉を行っていると述べた。かつて自分も政治的事情によって結婚相手を選ぶ自由を奪われていたことを思い返し、ローゼマインは自力で逃げ道を切り開いたのだと感心していた。また、ローゼマインとフェルディナンドが王族を排除せず、ユルゲンシュミットにとって最も平穏な道を選んだことにも感謝を示した。
アナスタージウスの覚悟
エグランティーヌがツェントになる意思を固めていることを理解したアナスタージウスは、自分もまた彼女の夫であり続けるために努力も犠牲も厭わないと告げた。二人は、フェルディナンドに振り回されながらも共に進む覚悟を確認し合い、争いを防ぐツェントになることを誓い合った。
始まりの庭での異変
奉納舞を終えたローゼマインが突然姿を消し、エグランティーヌは始まりの庭へ導かれた。そこではフェルディナンドが暴れるローゼマインを必死に押さえ込んでいた。英知の女神メスティオノーラを再び降臨させなければ、ローゼマインが高みへ昇ってしまう危険があると説明され、エグランティーヌも装飾品を外す作業を手伝うことになった。
再び降臨する英知の女神
ローゼマインの装飾品を外した瞬間、彼女は女神の御力による光の繭に包まれ、再びメスティオノーラが降臨した。フェルディナンドはエグランティーヌへ、無礼を働けば女神に弾き飛ばされると警告し、人と神の仲立ちこそが本来のツェントの役割だと語った。その言葉は、従来の王族教育とは全く異なる考え方であり、エグランティーヌは衝撃を受けていた。
フェルディナンドと女神の対立
メスティオノーラは、フェルディナンドがエアヴェルミーンへ何をしたのか問い詰めた。フェルディナンドは逆に、神々こそローゼマインへ何をしたのか問い返し、女神と真正面から対立した。ローゼマインが神々の御力によって死にかけていることや、記憶を代償に女神へ身体を貸したことを指摘し、さらにローゼマインへ名捧げをした者達の存在を盾に取って女神を牽制した。
エアヴェルミーンへの即死毒
フェルディナンドは、ランツェナーヴェから持ち込まれた銀色の武器と毒の危険性を示すため、エアヴェルミーンへ短剣を投げつけた。女神の力でも防げない武器によって白い髪が切り落とされ、エグランティーヌはユルゲンシュミットの基礎たる存在に即死毒を使用した事実へ戦慄した。その後、彼女はフェルディナンドから解毒薬を託され、エアヴェルミーンへ投与する役目を担った。
ローゼマインの危機と代償
メスティオノーラは、ローゼマインが複数の神々の祝福を受けた結果、人の身では耐え切れない状態になっていることを説明した。御力の影響を消すには魔力を極限まで減らし、人の魔力で染め直す必要があるという。その方法がフェルディナンドの魔力によるものであることを知り、エグランティーヌは女神の降臨が想像以上に大きな代償を伴うことを理解した。
真のツェントとは何か
エアヴェルミーンは、グルトリスハイトを魔術具で得るだけでは真のツェントではないと断言した。フェルディナンドは、人の理において必要な中継ぎであり、次代には必ず自力でメスティオノーラの書を得る者を育てる必要があると説明した。エグランティーヌは、フェルディナンドがツェントを目指さなかった理由が、自分と同じく争いを避けるためだったことを理解した。
ローゼマインとフェルディナンドの違い
英知の女神から、人の理においてどちらが適切なのか問われたエグランティーヌは、フェルディナンドの方が為政者向きだと答えた。ローゼマインは自分の大切なものを守るためなら大きな犠牲も厭わない人物であり、図書館都市構想にも本を望まない民への配慮が存在しなかったと指摘する。一方でフェルディナンドは過程こそ苛烈だが、最終的には平穏な未来を目指していると評した。
神々への誓約
エグランティーヌは、自分はまだ未熟であると認めながらも、真のツェントとなるため努力を惜しまないと神々へ誓った。祠を巡り、自らメスティオノーラの書を得ることを宣言すると、金色の光が彼女を包み込み、英知の女神は契約成立を認めた。エアヴェルミーンから励ましを受けたエグランティーヌは、深く頭を下げながら新たな決意を固めていた。
新しいアウブのすげぇ魔術
漁師達の酒盛りと新しいアウブの噂
漁を終えたジフィ達は港で魚を焼きながら酒を飲み、新しいアウブについて語り合っていた。最近は海の状態が悪化し魚も減っていたため、漁師達の不満は大きかった。しかし新しいアウブが余所者を追い払い、港を守ってくれたことで、彼女は漁師達にとって英雄のような存在となっていた。
塩焼きを好むアウブへの親近感
城へ魚を届けた漁師達から、新しいアウブが魚の「塩焼き」を好んでいるという話が伝えられた。貴族らしい豪華な料理ではなく、漁師達が普段食べている塩焼きを喜んで食べていると知り、一同は強い親近感を抱いた。外国の味ばかり好んでいた前アウブとは違うと実感し、新しいアウブへの好感をさらに深めていった。
前アウブへの不満
漁師達は、前アウブが外国人を優遇し、交易期間を守らなかったことを振り返った。その頃から海は濁り、魚が急激に減っていったのである。さらに外国人達は人攫いまで行っており、漁師達は堪忍袋の緒を切らして暴動を起こした。そんな中、新しいアウブが騎士達を率いて現れ、外国人を排除し、攫われた女性達を救出したことで、漁師達は深く感謝していた。
平民を守るアウブの奇跡
戦いの際、新しいアウブは平民達にも癒しを施し、守りの魔術まで与えた。緑色の光によって怪我や痣が消え、黄色い光によって攻撃を受けても痛みを感じなくなったのである。平民を守る存在として扱ってくれたことに、漁師達は誇りと感動を覚えていた。
北の海で見た虹色の奇跡
北方から戻った船乗りフルトは、ローゼマインが虹色の光を海へ降らせ、濁った海を浄化していたと語った。その光を浴びた海では海草が一気に増え、痩せ細っていた魚が目に見えて成長したのである。周囲の船乗り達は歓声を上げ、ローゼマインへ祈りを捧げていた。ジフィ達はその話に驚きながらも、自分達の海もいつか救われると期待を抱いた。
領地全体を覆う大規模魔術
その夜、新しいアウブが領地全体へ魔力を満たす大規模魔術を行うという知らせが届いた。漁師達は港へ集まり、空を見上げながら開始を待った。やがて城から緑色の光が空へ伸び、領地全体を覆う巨大な魔法陣が広がっていく。その光景はあまりにも壮大で、漁師達は言葉を失った。
祈りを強要する側近の声
魔法陣が広がる中、見知らぬ道具からローゼマインの側近を名乗る男の声が響き始めた。彼は、女神の化身であるローゼマインの魔術を成功させるためには領民全員の祈りが必要だと力説し、平民も貴族も共に祈るよう求めた。最初は戸惑っていた漁師達も、ローゼマインが身を削って領地のために尽くしていると聞き、次第に本気で祈り始める。やがて街全体が祈りの声で満たされ、一体感が生まれていった。
神々の力による再生
領地全体を覆った魔法陣が完成すると、緑色の光の粒が雨のように降り注いだ。側近はこれを神々の御力を用いた古代魔術だと説明し、領民達へローゼマインへの感謝を呼びかけた。漁師達は翌朝の海に期待を膨らませながら帰路についた。
蘇った海と漁師達の歓喜
翌朝、ジフィは井戸広場に草が生い茂り、土が柔らかくなっていることに驚いた。そして港へ向かうと、そこには濁りの消えた青く透き通る海が広がっていた。かつて失われていた美しい海が戻ってきたのである。漁師達は歓喜し、誰の魚をローゼマインへ献上するか競い合いながら、一斉に舟を漕ぎ出していった。
第五部 女神の化身10レビュー
第五部 女神の化身
本好きの下剋上 全巻まとめ
第五部 女神の化身12レビュー
本好きの下剋上 シリーズ 一覧
兵士の娘

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神殿の巫女見習い

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領主の養女

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貴族院の自称図書委

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女神の化身

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ハンネローレの貴族院五年生

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その他フィクション

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