第五部 女神の化身1レビュー
第五部 女神の化身
本好きの下剋上 全巻まとめ
第五部 女神の化身3レビュー
どんな本?
フェルディナンドが旅立ったエーレンフェストの冬は重い。騒乱を好む「混沌の女神」のようなゲオルギーネに関する密告があったことで粛清が早められた。
本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第五部「女神の化身1」
一方、貴族院の三年生になったローゼマインは喪失感を振り払うように、忙しく動き回る。寮内では旧ヴェローニカ派の子供達が連座を回避できるように説得し、院内では領主候補生の講義初日が開始。文官コースの試験に、新しい上級司書との出会い、専門コースの専攻など、一年前とは立場も環境も激変した日々へ突入していく。
次第に「らしさ」を取り戻す中、神々のご加護まで大量に得て、ますますローゼマインの暴走は止まらない!?
「わたしの本好きウィルス、皆に広がれ!」
読んだ本のタイトル
#本好きの下剋上 ~司書になるためには手段を選んでいられません~第五部「女神の化身2」
著者: 香月美夜 氏
イラスト: 椎名優 氏
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あらすじ・内容
雪降るアーレンスバッハ城。その執務室で、次期領主の婚約者フェルディナンドはローゼマインの手紙に眉を寄せていた。彼女は王族に呼び出されたばかりか、貴族院の図書館に秘められた地下書庫へ近付こうとしていたのだ。周囲を悩ます「頭の痛い報告書」の数々は貴族院三年生になっても変わらなかった!
本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第五部「女神の化身2」
不思議な現象を起こした上に、学生達の共同研究に王を巻き込む始末。王の御前だろうと取り繕いゼロ、聖女と持ち上げられるお茶会にはイライラ。我が道を全力で突っ走るローゼマインにレスティラウトから驚愕の提案が!
ライデンシャフトの槍を振りかざし、いざディッター勝負、再び開幕!(自身の将来を賭けた嫁取りディッター!?)
前巻からのあらすじ
アーレンスバッハの第一夫人で元エーレンフェストの領主候補だったゲオルギーネの侵略に協力するエーレンフェストの旧ヴェローニカ派の貴族達の粛清が始まった。
それに巻き込まれる貴族院の生徒達。
粛清は秘密にされており親に手紙を送る事も禁止。
それなのに送ろうとする旧ヴェローニカ派の生徒。勉強なんて出来ないと言う生徒もいる。
それでも生徒が連座で処刑されないようにローゼマインは尽力するローゼマインを見ていた側近達はブチギレてしまう。
アーレンスバッハのフェルディナンドの弟子が持って来た課題が深刻な空気を吹き飛ばす。
やっぱり魔王だ、、、
感想
王族を連れての地下図書へ。
シュヴァルツ達の案内で地下の書庫に行ったのだが、、
書庫に入るとシュヴァルツが祈りが足りない、属性が足りないと言って来る。
コレって、王の印。
グリトリスハイト獲得に対するシュヴァルツ達からのアドバイスだったんだな、、
最初は地下図書に入らなかったローゼマインだったが、、
あまりにも文字が旧くて王族達は読めない。
それでローゼマインが図書に入ったのだが、、
結果から言うと彼女は暴走した。
王族に声をかけられても無視。
肩を叩いても反応しない。
おかげで彼女を図書室から出すのに苦労した王族達。
そして、彼女に王族達は1人で絶対に入るなと言うのだった。。
ダンケルフェルガーとの合同研究でリッターを行う前にやる儀式をローゼマインが執り行うと。
メチャクチャ力が上がってしまいエーレンフェストの騎士見習い達は自爆してしまい、ダンケルフェルガーの騎士見習い達からブーイングが起こってしまう始末。
それも真剣に祈りを行えば、さらに力が増すとわかるとダンケルフェルガーは大喜び。
さらに共同研究に力が入る。
そうなってくると他の領地の領主候補達が自分にも参加させろと言って来た。
いつも嫌味を言って来ていた他領の領主候補達にご立腹だったローゼマインは、王族を巻き込んで貴族院の聖杯を満たそうと企画した。
王族の一部が来たら良いなくらいに思ったらツェントが居た。
そして王族が勢揃いして貴族院の聖杯を満たす儀式を行う。
だが、王族を護衛なしで聖杯を満たす儀式をすると知る中央騎士団からケチがついた。
それで、ローゼマインは敵意を持つ者が入れない結界を儀式を行う部屋の入口に作り、参加者の選別を行った。
そしたら、アーレンスバッハと王族から粛清された者が身内にいる領主候補達が弾かれてしまった。
そんな状況下で王族を含めた聖杯を満たす儀式を行ったら、、、
聖杯が満たされた。
そして魔力を絞られて倒れる上級貴族から下の階級の者達。
ホクホクな王族とローゼマイン。
そんな大成功な儀式を行ったエーレンフェストとダンケルフェルガーはお茶会で、口論となり。
ダンケルフェルガーからエーレンフェストに嫁とりリッターでの決闘が行われる事になる。
賞品はローゼマインとハンネローネ。
ダンケルフェルガーが勝ったらローゼマインがダンケルフェルガーの跡取り、レスティラウトの第一夫人として嫁ぎ。エーレンフェストが勝ったらハンネローネがエーレンフェストの跡取りヴィルフリートの第二夫人として嫁ぐ事になる。
本人そっちのけで盛り上がるリッターだが、、
下馬評はダンケルフェルガーの圧倒的有利。
実際にリッターが始まったらダンケルフェルガーの猛攻にエーレンフェストは防戦一方。
ローゼマインの前までレスティラウトが攻め寄せて来て、側仕え達も気絶してしまった。
そんな時、、
中央騎士3人が他領の騎士達を扇動して、リッターに横槍を入れて来てダンケルフェルガーは相手を迎撃。
ハンネローネは1人っきりにされてしまった。
そのスキにエーレンフェストのヴィルフリートが危ないから出ておいでと言って、彼女を誘導してリッターはエーレンフェストの勝利で終わる。
アーレンスバッハのゲオルギーネの影がチラついて来た。
最後までお読み頂きありがとうございます。
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第五部 女神の化身3レビュー
考察・解説
フェルディナンドのアーレンスバッハ移籍
物語において、フェルディナンドのアーレンスバッハへの移籍(婿入り)は、エーレンフェストとアーレンスバッハ、そしてユルゲンシュミット全体の情勢を大きく揺るがす出来事である。王命によってエーレンフェストから引き離された彼が、不穏な情勢のアーレンスバッハで直面している現状と、残されたエーレンフェストへの影響について以下に解説する。
移籍の背景と王族からの疑惑
フェルディナンドが次期アウブとなるディートリンデの婿としてアーレンスバッハへ向かうことになった背景には、単なる婚姻以上の政治的思惑が存在している。
・フェルディナンドがアダルジーザの離宮で誕生した特殊な生い立ちを持つ傍系王族であることを、中央騎士団長ラオブルートが突き止め、彼を敵視した。
・彼が将来的に王位を狙って再び政変を起こすのではないかという疑惑が、中央の王族の間で急速に高まった。
・王族は再び政変が発生する可能性を未然に防ぐため、彼を大領地であるアーレンスバッハの婿とし、王座から物理的・政治的に引き離すことで簒奪を不可能にする意図を持っていた。
アーレンスバッハでの現状と執務の引き受け
アーレンスバッハに到着したフェルディナンドを取り巻く環境は、当初の懸念とは異なる展開を見せている。
・到着後まもなくアウブ・アーレンスバッハが急逝し、中継ぎの次期領主となったディートリンデが礎の魔術の染め変えや貴族院生活を優先したため、膨大な実務の引き継ぎが彼に集中することとなった。
・警戒の対象であった第一夫人ゲオルギーネが夫の死を嘆いて離宮に引き籠もっており、文官たちからの組織的な妨害はなく、実務の要として尊重されている。
・エーレンフェストの厳しい冬とは異なり、現地では冬の主討伐がなく社交も午後から開始されるため、想定していたよりは時間的な余裕がある。
・次期領主となるレティーツィアの教育係として重要な役割を担う一方、ランツェナーヴェから献上されるアダルジーザの姫の受け入れ対応など、自身の出自に直結する苦々しい執務にも直面している。
地下書庫とローゼマインへの警戒
遠く離れた地にあっても、フェルディナンドはエーレンフェストやローゼマインの動向を注視し、警戒を怠っていない。
・自身の弟子であるライムントを介した秘密の通信手段により、ローゼマインが貴族院で王族と接触し、さらに王族以外は立ち入れない地下書庫の鍵の管理者となったことを把握する。
・彼は過去の経験から、地下書庫に王の証であるグルトリスハイトに至る手がかりが眠っていることを知っており、ローゼマインが知的好奇心からそこに接近することを強く危惧している。
・自身が王座簒奪を疑われて移籍させられた状況下で、その庇護下にあったローゼマインが王の書に近付けば、エーレンフェスト全体が国家反逆の疑いをかけられかねない。
・破滅的な事態を避けるため、彼はあえて王族側に書庫の情報を流すことで、ローゼマインをその危険から遠ざけようと裏で苦心している。
エーレンフェストへの影響と連絡手段
フェルディナンドと彼の護衛騎士であるエックハルトが離脱した影響は、エーレンフェストの現場に深刻な影を落としている。
・領地内では冬の主討伐における戦力が著しく低下したほか、神殿での奉納式をはじめとする諸神事の準備を担う者たちが深刻な人員不足から激務に追われている。
・この窮地において、ローゼマインたちは対アーレンスバッハの共同研究を提案し、敵対的な文官であるフラウレルムをその連絡役に据える。
・ライムントに対して頻繁に手紙を送る正当な口実を作り出すことで、アーレンスバッハに留まるフェルディナンドとの安全な通信経路を確保し、情報共有に努めている。
まとめ
フェルディナンドのアーレンスバッハ移籍は、王位簒奪という理不尽な嫌疑を背景にした過酷な王命であった。現地ではその卓越した事務能力から実務の要として受け入れられ、表面上は安定した日々を送っているように見える。しかし水面下では、自身の出自を巡る因縁や、危険な好奇心に走るローゼマインを王族の疑惑の目から保護するための気苦労が絶えない。また、彼を失ったエーレンフェストもその不在による痛手を痛感しており、この移籍劇は双方にとって依然として極めて大きな試練であり続けている。
図書館の地下書庫
物語の舞台である貴族院の図書館には、極めて重要な秘密が隠された地下書庫が存在する。三本の鍵によって閉ざされたこの特別な書庫には、国家の根幹を揺るがす貴重な情報が眠っており、その入室には厳しい資格制限が設けられている。以下に、地下書庫の持つ役割や特徴、そしてそこに眠る知識について解説する。
地下書庫の存在と王族の思惑
貴族院図書館の閉架書庫のさらに奥深くには、地下へと続く階段と、三本の鍵が揃わなければ開かない堅牢な扉が存在する。
・かつては成人した王族が領主会議の際に訪問し、上級司書たちが総出で出迎えていた格式高い場所である。
・フェルディナンドは過去の経験から、この書庫に王族の象徴であるグルトリスハイトへ至る情報が数多く保管されていることを知っていた。
・彼は、弟子のローゼマインが好奇心からその領域に深く立ち入ることを危惧し、あえて王族へ書庫の情報を開示することで、王族の権限を利用して彼女を遠ざけようと試みた。
・一方で、現王族や中央騎士団長ラオブルートも、失われたグルトリスハイトの手がかりがこの書庫にあると推測し、調査の機会をうかがっている。
厳重な入室制限と開錠の条件
地下書庫の扉を開き、内部へ立ち入るためには、極めて厳格な魔力的および物理的な制約をクリアしなければならない。
・開錠には、鍵の管理者となったローゼマイン、ハンネローレ、オルタンシアの三名が、同時にそれぞれの鍵を扉の装飾部分へはめ込む必要がある。
・扉が開いた後も、内部へ入るためには透明な障壁を通過しなければならず、そこでは個人の資格や魔力量が厳しく審査される。
・中級貴族である側仕えや文官たちはもちろん、上級司書であるオルタンシアさえも、図書館の魔術具であるシュバルツたちから資格なしと判定されて侵入を阻まれた。
・資格を満たしたジギスヴァルトやアナスタージウス、ハンネローレ、ローゼマインは入室できたが、洗礼式を終えたばかりのヒルデブラント王子は魔力不足により障壁を越えられなかった。
・内部に保管されている資料は、外部への持ち出しが固く禁じられている。
書庫に眠る貴重な資料と知識
地下書庫の内部には、机や本棚が整然と並び、経年劣化を防ぎ耐朽性を高めるために白い石板に刻まれた資料や、多数の古書が厳重に保管されている。
・古い言葉で記されたこれらの資料には、過去のツェントの回顧録、効率的な魔力圧縮法、神々への祈りと奉納によって御加護を得る具体的な方法などが遺されている。
・新王がグルトリスハイトを披露する継承儀式の詳細な手順や、海の女神フェアフューレメーアの杖など、シュタープをさまざまな神具へと変化させるための呪文が記録されている。
・石板の記述を読み解いたローゼマインは、魔力不足に苦しむ王族たちに対して神々への祈りの重要性を助言した。
・同時に、自身も書庫の知識を応用し、複数の神具をシュタープから出現させる高度な魔術を習得した。
ローゼマインの無念と機会の喪失
ローゼマインは王族命令という大義名分のもとで地下書庫へ入る念願を叶え、未知の資料の解読に深い喜びを見出していた。
・彼女は王族の代理として今後も資料の読み込みと調査を継続したいと切望したが、彼女の暴走を警戒する周囲の大人たちや王族によって即座に却下された。
・その後、貴族院での奉納式を経て、王族は集まった魔力をユルゲンシュミットの土地に供給する任務に追われることとなった。
・アナスタージウスから当面は地下書庫を訪れる予定はないと告げられたことで、ローゼマインは貴重な本に囲まれながらもその閲覧権を事実上奪われ、強い未練を残すこととなった。
まとめ
貴族院の地下書庫は、失われた王の書であるグルトリスハイトへの手がかりが眠る、物語の核心に位置する場所である。厳重な入室制限や過酷な政治的思惑が交錯する中、ローゼマインがそこで得た古代の知識は、彼女自身の魔術的実力を飛躍的に向上させた。しかし、政治の壁と周囲の自重要請によってそれ以上の閲覧が阻まれたことは、本を何よりも愛する彼女にとって大きな痛手であり、今後の動向に影響を与える重要な因縁となっている。
王族とグルトリスハイト
物語の舞台である貴族院の図書館には、極めて重要な秘密が隠された地下書庫が存在する。三本の鍵によって閉ざされたこの特別な書庫には、国家の根幹を揺るがす貴重な情報が眠っており、その入室には厳しい資格制限が設けられている。以下に、地下書庫の持つ役割や特徴、そしてそこに眠る知識について解説する。
地下書庫の存在と王族の思惑
貴族院図書館の閉架書庫のさらに奥深くには、地下へと続く階段と、三本の鍵が揃わなければ開かない堅牢な扉が存在する。
・かつては成人した王族が領主会議の際に訪問し、上級司書たちが総出で出迎えていた格式高い場所である。
・フェルディナンドは過去の経験から、この書庫に王族の象徴であるグルトリスハイトへ至る情報が数多く保管されていることを知っていた。
・彼は、弟子のローゼマインが好奇心からその領域に深く立ち入ることを危惧し、あえて王族へ書庫の情報を開示することで、王族の権限を利用して彼女を遠ざけようと試みた。
・一方で、現王族や中央騎士団長ラオブルートも、失われたグルトリスハイトの手がかりがこの書庫にあると推測し、調査の機会をうかがっている。
厳重な入室制限と開錠の条件
地下書庫の扉を開き、内部へ立ち入るためには、極めて厳格な魔力的および物理的な制約をクリアしなければならない。
・開錠には、鍵の管理者となったローゼマイン、ハンネローレ、オルタンシアの三名が、同時にそれぞれの鍵を扉の装飾部分へはめ込む必要がある。
・扉が開いた後も、内部へ入るためには透明な障壁を通過しなければならず、そこでは個人の資格や魔力量が厳しく審査される。
・中級貴族である側仕えや文官たちはもちろん、上級司書であるオルタンシアさえも、図書館の魔術具であるシュバルツたちから資格なしと判定されて侵入を阻まれた。
・資格を満たしたジギスヴァルトやアナスタージウス、ハンネローレ、ローゼマインは入室できたが、洗礼式を終えたばかりのヒルデブラント王子は魔力不足により障壁を越えられなかった。
・内部に保管されている資料は、外部への持ち出しが固く禁じられている。
書庫に眠る貴重な資料と知識
地下書庫の内部には、机や本棚が整然と並び、経年劣化を防ぎ耐朽性を高めるために白い石板に刻まれた資料や、多数の古書が厳重に保管されている。
・古い言葉で記されたこれらの資料には、過去のツェントの回顧録、効率的な魔力圧縮法、神々への祈りと奉納によって御加護を得る具体的な方法などが遺されている。
・新王がグルトリスハイトを披露する継承儀式の詳細な手順や、海の女神フェアフューレメーアの杖など、シュタープをさまざまな神具へと変化させるための呪文が記録されている。
・石板の記述を読み解いたローゼマインは、魔力不足に苦しむ王族たちに対して神々への祈りの重要性を助言した。
・同時に、自身も書庫の知識を応用し、複数の神具をシュタープから出現させる高度な魔術を習得した。
ローゼマインの無念と機会の喪失
ローゼマインは王族命令という大義名分のもとで地下書庫へ入る念願を叶え、未知の資料の解読に深い喜びを見出していた。
・彼女は王族の代理として今後も資料の読み込みと調査を継続したいと切望したが、彼女の暴走を警戒する周囲の大人たちや王族によって即座に却下された。
・その後、貴族院での奉納式を経て、王族は集まった魔力をユルゲンシュミットの土地に供給する任務に追われることとなった。
・アナスタージウスから当面は地下書庫を訪れる予定はないと告げられたことで、ローゼマインは貴重な本に囲まれながらもその閲覧権を事実上奪われ、強い未練を残すこととなった。
まとめ
貴族院の地下書庫は、失われた王の書であるグルトリスハイトへの手がかりが眠る、物語の核心に位置する場所である。厳重な入室制限や過酷な政治的思惑が交錯する中、ローゼマインがそこで得た古代の知識は、彼女自身の魔術的実力を飛躍的に向上させた。しかし、政治の壁と周囲の自重要請によってそれ以上の閲覧が阻まれたことは、本を何よりも愛する彼女にとって大きな痛手であり、今後の動向に影響を与える重要な因縁となっている。
ダンケルフェルガーとの共同研究
エーレンフェストの学生たちが異常な数の神々の御加護を得たことを発端とし、祈りや魔力の奉納と得られる御加護の数の関係を検証するために、大領地ダンケルフェルガーとの共同研究が行われた。ディッターと儀式を重んじるダンケルフェルガーならではの展開や、他領を巻き込んだ騒動の実態について以下に解説する。
共同研究の目的と比較対象としての選定
エーレンフェストの学生たちが複数の眷属神から御加護を得た原因が、祈りと魔力の奉納であるという仮説を立て、それを実証することが本研究の目的である。
- ダンケルフェルガーは、騎士見習いを中心に戦い系の御加護を得る者が非常に多い。
- 彼らはディッター勝負の前後において、日常的に祈りや儀式を行っていることが判明した。
- このような背景から、比較検証を行うための最適な対象としてダンケルフェルガーが選定された。
聞き取り調査とダンケルフェルガーの特異性
ローゼマインが考案したアンケート形式の聞き取り調査を用いて、ダンケルフェルガーの学生たちの御加護取得状況の調査を行った。
- 調査の結果、ダンケルフェルガーの騎士見習いは、他領の生徒に比べて圧倒的に多くの御加護を得ている実態が明らかになった。
- さらに、武勇を尊ぶ文官や側仕えといった非戦闘職の者であっても、戦い系の御加護を得ていることが判明した。
- ディッターと共に繁栄してきた領地特有の、極めて偏った御加護の傾向が浮き彫りとなった。
儀式の実演とディッターでの検証
研究の過程では、両領地の特徴的な儀式やディッターを通じた魔力の検証が行われた。
- ダンケルフェルガーの戦前儀式:レスティラウトを中心に、シュタープを槍に変形させて大地に打ち付け、武勇の神アングリーフや風の眷属シュタイフェリーゼへの祝詞を唱えながら舞い、士気を高める儀式が執り行われた。
- ローゼマインによる儀式の実演:ローゼマインがダンケルフェルガーの儀式を模倣し、神具であるライデンシャフトの槍を作り出して大量の魔力を奉納した。この奉納により、視覚的に明らかな多色の祝福の光がエーレンフェストの騎士見習いたちへ降り注ぐ結果となった。
- 过剰な祝福による敗北:強力すぎる祝福を受けたエーレンフェストの騎士見習いたちは、急激な魔力の変化に適合できず、魔力調整が困難となって動きがぎこちなくなった。その結果、速さを競うディッターにおいてダンケルフェルガーに敗北を喫し、皮肉にも祝福の強大さが実証されることとなった。
- ハンネローレの戦後儀式:ディッター終了後、ハンネローレが海の女神フェアフューレメーアの杖を作り出して儀式を行った。これは本来、暑さを和らげるための神事であるが、騎士たちから魔力を吸い上げて天へ還すことで、過剰な祝福を打ち消し、戦いの興奮を鎮める効果があることが確認された。
他領の巻き込みとディッターの強要
エーレンフェストと大領地が共同研究を行っているという情報が伝わると、インメルディンクをはじめとする中小領地が研究への参加を強く希望した。
- ローゼマインは、これらの領地をエーレンフェストの奉納式へ参加させる形で研究に巻き込むことを提案した。
- しかし、ダンケルフェルガー側は参加を希望する領地に対し、ディッター勝負を行うことを条件として提示した。
- 経験のない宝盗りディッターを強要された中小領地の合同チームは、ダンケルフェルガーによって徹底的に叩きのめされる結果となった。
- この強引な手法により、回復薬を大量に消費して疲弊する領地や、参加そのものを辞退する領地が続出する騒動へと発展した。
領地対抗戦での発表方針と落としどころ
共同研究の成果を領地対抗戦でどのように発表するかについて、レスティラウト、ヴィルフリート、ローゼマインの間で協議が行われた。
- 共通して得られた聞き取り調査の結果については、双方の文官同士の打ち合わせを通じてデータを共有することで合意した。
- それ以外の発表内容については、各領地が自由に行う方針が定められた。エーレンフェストは独自の奉納式を、ダンケルフェルガーは儀式による光の柱の検証結果などを展示することとなった。
- 儀式に参加した他領の学生たちの扱いについては、共同研究に名前を連ねさせるのは貢献度に見合わないとするダンケルフェルガー側の主張と、実績を残したい参加者側の希望との間で調整が行われた。
- 最終的な妥協案として、研究報告の最後に協力者として名前を掲載することで決着を見た。
まとめ
ダンケルフェルガーとの共同研究は、エーレンフェストが提示した仮説を実証する上で極めて有意義な試みとなった。儀式の実演やディッターを通じた検証により、祈りと奉納が御加護に直接関与しているという事実が証明された。一方で、大領地ならではの強引なディッターの強要や他領の巻き込みといった騒動を巻き起こしながらも、実務的なデータの共有や発表方法の調整を経て、領地対抗戦に向けた現実的な落としどころを見出すことに成功したのである。
式と神々への祈り
『第五部 女神の化身2』において描かれる「儀式と神々への祈り」について解説する。この巻では、失われた古代の知識の再発見や、他領を巻き込んだ共同研究を通じ、神殿蔑視によって失われていた「祈り」の重要性がユルゲンシュミット全体で見直されていく過程が描かれている。
地下書庫における古代の知識の再発見
ローゼマインは王族しか入れない地下書庫で古い石板や昔の王の回顧録を読み解き、魔力圧縮の方法や、神々に祈りを捧げて御加護を得る方法が記されていることを発見する。魔力を注ぐだけで精一杯になっている王族に対し、ローゼマインは「祈りによって多数の御加護を得れば、最終的に魔力消費量が減って楽になる」と助言した。実際に、日常的に祈りを捧げているヴィルフリートは12の御加護を得て魔力消費が7割程度になり、ローゼマイン自身は43の御加護を得て消費魔力が4割ほどにまで減少していることが明かされた。
ダンケルフェルガーの儀式と共同研究
エーレンフェストの学生が異常な数の御加護を得た理由を「祈りと魔力の奉納」と仮定し、ダンケルフェルガーを比較対象とした共同研究が行われた。聞き取り調査の結果、ダンケルフェルガーの騎士見習いが多数の戦い系の御加護を得ているのは、ディッター勝負の前後に戦歌を歌い、神々に祈りを捧げる儀式を伝統として行っているためだと裏付けられた。
ローゼマインが彼らの儀式を真似て「ライデンシャフトの槍」で魔力を奉納すると、目に見える形で強大な祝福が降り注いだ。また、ディッター後にはハンネローレが「海の女神フェアフューレメーアの杖」を作り出して儀式を行い、騎士たちから祝福と戦意を吸い上げて鎮静化させるという新たな発見ももたらされた。
貴族院における大規模な奉納式の実施
神殿を蔑視する他領の貴族たちに神事の重要性を理解させるため、ローゼマインはダンケルフェルガーの許可を得て、貴族院の祭壇で他領の学生や王族を巻き込んだ「奉納式」を挙行した。
儀式では、ローゼマインがシュタープを「ゲドゥルリーヒの聖杯」に変化させ、参加者全員が膝をついて共に祈りの言葉を復唱した。全員で魔力を奉納すると、聖杯からゲドゥルリーヒの貴色である赤い光の柱が天井へ真っ直ぐに立ち上るという奇跡的な光景が現れ、参加者たちは神々の力を身近に感じ、深い一体感を味わうこととなった。
神具の再現と祈りの関係
ローゼマインがシュタープで本物と見紛う神具を作り出せるのは、神殿で本物の神具に魔力を奉納し続け、魔法陣を頭に刻み込んでいるためである。初代王が神殿長であった時代には当たり前だったこの行為も、神殿が蔑まれ、魔力を持つ青色神官が激減している現代の貴族社会では、神具を扱える者がほぼ存在しない状態となっている。
王族とユルゲンシュミット全体への影響
奉納式を通じて、王族や他領の貴族たちは、魔力を奪われる神事の過酷さと、神々に祈る意味を身をもって知った。儀式で集められた膨大な魔力は、王族の手によってユルゲンシュミット全体を潤すために使われることになった。また、トラオクヴァール王は祈りの効果を確認するため、今年の卒業式の後にもう一度学生たちが御加護を得る儀式をやり直す権利を与え、国全体で祈りと儀式の価値が見直される大きな転換点となった。
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登場キャラクター
ご提示いただいたリストに基づき、指定の文書から登場人物を抽出し、ルールに従って整理しました。
中央・王族・貴族院
トラオクヴァール
ユルゲンシュミットの現在の王である。グルトリスハイトを持たず、魔力を注いで国を維持している。
・所属組織、地位や役職
中央・王族。王(ツェント)。
・物語内での具体的な行動や成果
エーレンフェストが貴族院で行った奉納式に参加した。儀式で集まった魔力をユルゲンシュミット全体を潤すために使うと説明する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
政変後に即位した。顔色が悪く、疲弊した様子を見せている。
ジギスヴァルト
トラオクヴァールの第一王子である。次期王の座に就くと見なされている。
・所属組織、地位や役職
中央・王族。第一王子。
・物語内での具体的な行動や成果
ローゼマインから地下書庫に関する情報を聞き出した。地下書庫の立ち入りを当面禁止するよう命じる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
アドルフィーネと婚約している。グルトリスハイトがなくても国を治められることを証明したいと考えている。
アナスタージウス
トラオクヴァールの第二王子である。エグランティーヌを妻に迎えている。
・所属組織、地位や役職
中央・王族。第二王子。貴族院の管理者補佐。
・物語内での具体的な行動や成果
ローゼマインを離宮に呼び出し、地下書庫についての情報を問いただした。ディッターの乱戦に介入して中央騎士団を捕縛する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
王宮での執務と貴族院の管理を兼任している。
ヒルデブラント
トラオクヴァールの第三王子である。ローゼマインに対して好意を抱いている。
・所属組織、地位や役職
中央・王族。第三王子。貴族院の管理者。
・物語内での具体的な行動や成果
魔力不足のため地下書庫への入室を阻まれた。奉納式の準備のため、最奥の間を開ける役目を自ら志願する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
アーレンスバッハのレティーツィアと婚約予定である。
エグランティーヌ
アナスタージウスの妻である。クラッセンブルクの領主一族出身である。
・所属組織、地位や役職
中央・王族。貴族院の教師。
・物語内での具体的な行動や成果
奉納式でフリュートレーネの杖を使ったローゼマインをメスティオノーラに例えた。アナスタージウスと共に見届け役を務める。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
卒業式でローゼマインの祝福を受けた。
ナーエラッヒェ
ジギスヴァルトの妻である。
・所属組織、地位や役職
中央・王族。ジギスヴァルトの第一夫人。
・物語内での具体的な行動や成果
貴族院の奉納式に参加し、シュツェーリアの盾の中へ入った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項なし。
ワルディフリード
過去の第二王子である。
・所属組織、地位や役職
中央・王族。元第二王子。
・物語内での具体的な行動や成果
次期王としてお披露目した後に図書館を訪れる予定があったとされる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
故人である。
ラオブルート
中央騎士団を率いる人物である。オルタンシアの夫である。
・所属組織、地位や役職
中央。中央騎士団長。
・物語内での具体的な行動や成果
フェルディナンドの出自を探り、彼が王座簒奪を企んでいると疑う。ローゼマインの回復薬に対して異物混入を警戒した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
離宮の鍵を求め、更なる調査を希望していた。
オルタンシア
貴族院図書館の新しい上級司書である。ラオブルートの第一夫人である。
・所属組織、地位や役職
貴族院・図書館。上級司書。知識の番人。
・物語内での具体的な行動や成果
地下書庫の扉を開けるため、ローゼマインとハンネローレを鍵の管理者に指定した。図書館の魔術具に魔力を供給してもらい安堵する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
かつてワルディフリード王子に仕えていた経歴を持つ。
ソランジュ
貴族院図書館の中級司書である。
・所属組織、地位や役職
貴族院・図書館。中級司書。知識の番人。
・物語内での具体的な行動や成果
王族が図書館を訪れた際の過去の対応について証言した。閉架書庫から過去の研究資料を貸し出す。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
長年一人で図書館を管理していた。
ヒルシュール
貴族院の教師である。研究に没頭する傾向がある。
・所属組織、地位や役職
貴族院・教師。エーレンフェストの寮監。
・物語内での具体的な行動や成果
アーレンスバッハとの共同研究において、ローゼマインへ試作品係の役割を与えた。嫁取りディッターの審判を務める。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
フェルディナンドの恩師である。
グンドルフ
貴族院の教師である。ドレヴァンヒェルの寮監を務める。
・所属組織、地位や役職
貴族院・教師。ドレヴァンヒェルの寮監。
・物語内での具体的な行動や成果
紙を用いた魔術具の研究に熱心に取り組んでいる。エーレンフェストの文官見習いに着眼点の不足を指摘した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項なし。
ルーフェン
貴族院の教師である。ダンケルフェルガーの寮監を務める。
・所属組織、地位や役職
貴族院・教師。ダンケルフェルガーの寮監。
・物語内での具体的な行動や成果
ディッターの審判を務め、乱入した中央騎士団に対して王命の有無を確認した。中小領地の騎士見習い達へ撤退を命じる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ディッターを深く愛好している。
フラウレルム
貴族院の教師である。アーレンスバッハの寮監を務める。
・所属組織、地位や役職
貴族院・教師。アーレンスバッハの寮監。
・物語内での具体的な行動や成果
共同研究の報告書を受け取ったが、フェルディナンドへ届いていないことをアーレンスバッハの文官の怠慢だと主張した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
エーレンフェストに対して敵対的な態度を取る。
オスヴィン
アナスタージウスに仕える側仕えである。
・所属組織、地位や役職
中央・王族。アナスタージウスの側仕え。
・物語内での具体的な行動や成果
離宮を訪れたローゼマインを出迎えた。ハンネローレを呼び出すためのオルドナンツを飛ばす。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項なし。
アルトゥール
ヒルデブラントに仕える側仕えである。
・所属組織、地位や役職
中央・王族。ヒルデブラントの筆頭側仕え。
・物語内での具体的な行動や成果
地下書庫の前で待機する際、主のためにお茶の準備をする許可を求めた。最奥の間から護衛騎士を排除することに猛反発する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項なし。
ロヤリテート
中央騎士団の騎士である。
・所属組織、地位や役職
中央騎士団。騎士。
・物語内での具体的な行動や成果
シュツェーリアの盾の強度確認で初撃を加えた。ローゼマインが用意した魔力回復薬の毒見役を務める。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項なし。
シュバルツ
図書館の業務を補佐する魔術具である。
・所属組織、地位や役職
貴族院・図書館。魔術具。
・物語内での具体的な行動や成果
地下書庫の扉を案内した。魔力を注がれた際にじじさまがおおよろこびしていると発言する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
王族の遺物である。
ヴァイス
図書館の業務を補佐する魔術具である。
・所属組織、地位や役職
貴族院・図書館。魔術具。
・物語内での具体的な行動や成果
地下書庫の扉を案内した。ヒルデブラントに対して魔力不足で入れないと告げる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
王族の遺物である。
エーレンフェスト
ジルヴェスター
エーレンフェストを治める領主である。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト。アウブ・エーレンフェスト。
・物語内での具体的な行動や成果
旧ヴェローニカ派の粛清を決行した。奉納式のために神具や衣装を貴族院へ送る手配を行う。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
縁結びの女神と試練の神の御加護を得ている。
フロレンツィア
ジルヴェスターの第一夫人である。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト。領主の第一夫人。
・物語内での具体的な行動や成果
貴族院から届いた奉納式の報告書を読み、目を回して執務を中断した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項なし。
ローゼマイン
ジルヴェスターの養女である。本を愛する性格である。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト。領主候補生。神殿長。
・物語内での具体的な行動や成果
貴族院で王族を招いた奉納式を挙行した。嫁取りディッターでシュツェーリアの盾を用いて味方を守る。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
四十三の神々から御加護を得ており、魔力消費が大幅に減少している。
ヴィルフリート
ジルヴェスターの息子である。ローゼマインの婚約者である。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト。領主候補生。
・物語内での具体的な行動や成果
ディッターの勝負を受け、エーヴィリーベの剣を用いて冬の眷属を作り出した。ハンネローレをシュツェーリアの盾の中へ避難させる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
十二の神々から御加護を得ている。
シャルロッテ
ジルヴェスターの娘である。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト。領主候補生。
・物語内での具体的な行動や成果
貴族院での社交を全面的に担当している。奉納式で魔力供給の限界を察し、終了の合図を送った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項なし。
メルヒオール
ジルヴェスターの息子である。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト。領主候補生。
・物語内での具体的な行動や成果
ヴィルフリートとシャルロッテに続く領主候補生として控えている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項なし。
ボニファティウス
カルステッドの父である。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト。元領主一族。
・物語内での具体的な行動や成果
粛清の際に先陣を切って突入した。ディッターの戦術に関して助言を送る。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項なし。
カルステッド
エーレンフェストの騎士団を率いる人物である。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト。騎士団長。
・物語内での具体的な行動や成果
粛清の後始末と冬の主討伐の計画立て直しに奔走した。ディッターの戦術について助言を行う。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項なし。
エルヴィーラ
カルステッドの第一夫人である。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト。騎士団長の第一夫人。
・物語内での具体的な行動や成果
レスティラウトの絵を買い取るための資金をローゼマインの私費として送った。フェルネスティーネ物語を執筆している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項なし。
リヒャルダ
ローゼマインに仕える筆頭側仕えである。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト。上級側仕え。
・物語内での具体的な行動や成果
ディッターの作戦として、魔力の多い側仕えを騎士の代わりに入れる案を提示した。魔力回復薬の過剰摂取についてローゼマインを叱責する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項なし。
ブリュンヒルデ
ローゼマインに仕える側仕え見習いである。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト。上級側仕え見習い。
・物語内での具体的な行動や成果
嫁取りディッターに参戦し、広範囲のヴァッシェンを発動させた。ダンケルフェルガーの攻撃に巻き込まれ気を失う。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項なし。
リーゼレータ
ローゼマインに仕える側仕え見習いである。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト。中級側仕え見習い。
・物語内での具体的な行動や成果
録音の魔術具を入れるため、シュミル型のぬいぐるみを作ることを志願した。ローゼマインの着替えを手伝う。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項なし。
フィリーネ
ローゼマインに仕える文官見習いである。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト。下級文官見習い。
・物語内での具体的な行動や成果
ダンケルフェルガーとの共同研究において、アンケートの集計を素早くこなした。奉納式の注意事項を参加者へ伝達する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
適性外である風の属性の御加護を得ている。
ローデリヒ
ローゼマインに仕える文官見習いである。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト。中級文官見習い。
・物語内での具体的な行動や成果
ディッター物語を執筆し、他領でも流行させた。フェルディナンドの指南書から有用な魔術具を書き出す。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
全属性の御加護を得ている。
レオノーレ
ローゼマインに仕える護衛騎士見習いである。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト。上級護衛騎士見習い。
・物語内での具体的な行動や成果
嫁取りディッターの作戦を立案し、全体の指揮を執った。体調を崩したローゼマインを抱えてシュツェーリアの盾に戻る。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項なし。
ユーディット
ローゼマインに仕える護衛騎士見習いである。遠距離攻撃を得意とする。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト。中級護衛騎士見習い。
・物語内での具体的な行動や成果
嫁取りディッターにおいて、敵陣へ魔術具を連続投擲した。ローゼマインを光の奔流からマントで庇う。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項なし。
テオドール
ユーディットの弟である。貴族院限定の護衛騎士見習いである。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト。中級護衛騎士見習い。
・物語内での具体的な行動や成果
嫁取りディッターの際、観客席でシャルロッテの護衛に就いた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項なし。
ハルトムート
ローゼマインの側近である。クラリッサの婚約者である。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト。上級文官。神官長。
・物語内での具体的な行動や成果
貴族院の奉納式を指揮し、神具の管理と準備を完璧にこなした。ディッター用のえげつない魔術具を多数作製する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ローゼマインを狂信的に崇拝している。
コルネリウス
ローゼマインの護衛騎士である。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト。上級護衛騎士。
・物語内での具体的な行動や成果
神殿の神事に巻き込まれて迷惑しているとぼやいていた。冬の主討伐において主力として参加する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
貴族院を卒業している。
アンゲリカ
ローゼマインの護衛騎士である。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト。中級護衛騎士。
・物語内での具体的な行動や成果
奉納式の祝詞を覚えるのに苦労している。冬の主討伐において主力として参加する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
貴族院を卒業している。
ダームエル
ローゼマインの護衛騎士である。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト。下級護衛騎士。
・物語内での具体的な行動や成果
アンゲリカに祝詞を教えるのに苦労していると騎士団の訓練で報告した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項なし。
マリアンネ
シャルロッテの文官見習いである。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト。文官見習い。
・物語内での具体的な行動や成果
ドレヴァンヒェルとの共同研究において、自動演奏する紙の提案をした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項なし。
イグナーツ
ヴィルフリートの文官見習いである。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト。文官見習い。
・物語内での具体的な行動や成果
ローゼマインが考案したアンケートの取り方を覚えるよう同僚に促した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項なし。
アレクシス
ヴィルフリートの護衛騎士見習いである。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト。護衛騎士見習い。
・物語内での具体的な行動や成果
嫁取りディッターで負傷し、シュツェーリアの盾に飛び込んでローゼマインから癒しを受けた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項なし。
ナターリエ
シャルロッテの護衛騎士見習いである。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト。護衛騎士見習い。
・物語内での具体的な行動や成果
嫁取りディッターで負傷し、ローゼマインから癒しを受けた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項なし。
イージドール
ヴィルフリートの側仕え見習いである。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト。側仕え見習い。
・物語内での具体的な行動や成果
嫁取りディッターに参戦し、広範囲魔術の補助具を使用した。エーヴィリーベの剣を使用したヴィルフリートを回収する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項なし。
マティアス
エーレンフェストの中級護衛騎士見習いである。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト。中級護衛騎士見習い。
・物語内での具体的な行動や成果
ゲオルギーネ派の秘密会合を密告した。嫁取りディッターで上空から全体へ指示を出し、弓矢で援護を行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
父親のギーベ・ゲルラッハが粛清で死亡した。
ラウレンツ
エーレンフェストの中級護衛騎士見習いである。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト。中級護衛騎士見習い。
・物語内での具体的な行動や成果
嫁取りディッターでトラウゴットを補佐し、強敵ラールタルクを二人がかりで抑え込んだ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項なし。
トラウゴット
エーレンフェストの中級護衛騎士見習いである。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト。中級護衛騎士見習い。
・物語内での具体的な行動や成果
速さを競うディッターで剣に強大な魔力を込めて魔獣を一撃で消し飛ばした。嫁取りディッターでラールタルクと激しい打ち込みを行う。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
周囲の言葉を聞いて連携できるよう成長している。
ミュリエラ
ローゼマインの側近である。旧ヴェローニカ派の出身である。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト。中級文官見習い。
・物語内での具体的な行動や成果
リュールラディに対してローゼマインの儀式の価値を説き、参加を促した。ローデリヒと共に回復薬の作製を手伝う。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
恋物語を好んでいる。
グレーティア
ローゼマインの側近である。旧ヴェローニカ派の出身である。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト。側仕え見習い。
・物語内での具体的な行動や成果
お茶会での下位領地の言葉に、ローゼマインを貶める悪意が含まれていると指摘した。儀式用衣装への着替えを手伝う。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項なし。
レーベレヒト
フロレンツィアに仕える文官である。ハルトムートの父親である。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト。文官。
・物語内での具体的な行動や成果
フロレンツィアが倒れたため、ジルヴェスターへ貴族院の報告書を持ち込み執務を補佐した。取り乱すハルトムートを叱り飛ばす。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
冷静沈着な性格である。
ロジーナ
ローゼマインの専属楽師である。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト。
・物語内での具体的な行動や成果
他領から音楽の腕前を褒められ、曲を覚えようとする楽師達から注目を集めている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項なし。
ヴィルマ
孤児院の側仕えであり、ローゼマインの専属絵師である。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト。灰色巫女。
・物語内での具体的な行動や成果
彼女の描く優しくて柔らかいイラストが、ディッター物語の挿絵の参考とされた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項なし。
ギーベ・ゲルラッハ
マティアスの父親である。ゲオルギーネに名捧げをしていた。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト。ギーベ。
・物語内での具体的な行動や成果
騎士団の突入に気付き、証拠隠滅のため自殺した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
粛清により死亡した。
グーテンベルク達
印刷業に関わる平民の職人たちである。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト。職人。
・物語内での具体的な行動や成果
ガリ版印刷に必要な道具や技術を長い時間をかけて作り出し、改良してきた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項なし。
ダンケルフェルガー
アウブ・ダンケルフェルガー
ダンケルフェルガーを治める領主である。
・所属組織、地位や役職
ダンケルフェルガー。アウブ・ダンケルフェルガー。
・物語内での具体的な行動や成果
嫁取りディッターを観戦するため、映像を収める魔術具を学生に持たせた。ローゼマインの風の盾を破るための黒い盾を貸し与える。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項なし。
レスティラウト
ダンケルフェルガーの領主候補生である。
・所属組織、地位や役職
ダンケルフェルガー。領主候補生。
・物語内での具体的な行動や成果
ローゼマインに第一夫人になるよう求婚し、嫁取りディッターを強要した。黒い盾を用いてシュツェーリアの盾の中に侵入する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
絵の才能が高く、ディッター物語の挿絵を描いた。
ハンネローレ
ダンケルフェルガーの領主候補生である。
・所属組織、地位や役職
ダンケルフェルガー。領主候補生。
・物語内での具体的な行動や成果
ディッター後に行う海の女神の儀式を実演した。嫁取りディッターにおいて、自ら陣を出てヴィルフリートの手を取る。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
地下書庫の鍵の管理者に選ばれている。
クラリッサ
ダンケルフェルガーの上級文官見習いである。ハルトムートの婚約者である。
・所属組織、地位や役職
ダンケルフェルガー。上級文官見習い。
・物語内での具体的な行動や成果
ローゼマインの儀式での姿をメスティオノーラのようだと称賛した。儀式の後片付けの際にハルトムートと熱く語り合う。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
エーレンフェストへ嫁ぐことを強く望んでいる。
ラールタルク
ダンケルフェルガーの騎士見習いである。
・所属組織、地位や役職
ダンケルフェルガー。騎士見習い。
・物語内での具体的な行動や成果
嫁取りディッターでトラウゴットとラウレンツを二人がかりでも圧倒した。光の奔流を放ち、エーレンフェストの陣地を攻撃する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
突出した戦闘力を持つ。
コルドゥラ
ハンネローレの筆頭側仕えである。
・所属組織、地位や役職
ダンケルフェルガー。側仕え。
・物語内での具体的な行動や成果
ハルトムートと別れを惜しむクラリッサへ忠告を与え、即座に引き下がらせた。ハンネローレの行動を恋心によるものだと指摘する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項なし。
ハイスヒッツェ
ダンケルフェルガーの騎士である。
・所属組織、地位や役職
ダンケルフェルガー。騎士。
・物語内での具体的な行動や成果
過去の戦闘において、ローゼマインのシュツェーリアの盾で攻撃を防がれた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項なし。
アーレンスバッハ
アウブ・アーレンスバッハ
アーレンスバッハを治める領主である。
・所属組織、地位や役職
アーレンスバッハ。アウブ・アーレンスバッハ。
・物語内での具体的な行動や成果
病に倒れ、急逝した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
故人である。
ゲオルギーネ
アーレンスバッハの第一夫人である。
・所属組織、地位や役職
アーレンスバッハ。第一夫人。
・物語内での具体的な行動や成果
夫の死後、離宮に閉じ籠もり社交場に姿を見せていない。エーレンフェストの旧ヴェローニカ派と秘密裏に会合していた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
北部においてジルヴェスター達の想定以上に影響力を持っている。
ディートリンデ
アーレンスバッハの領主候補生である。フェルディナンドの婚約者である。
・所属組織、地位や役職
アーレンスバッハ。領主候補生。次期アウブ。
・物語内での具体的な行動や成果
フェルディナンドが作曲した恋歌を披露した。奉納舞で魔石を光らせるための方法をローゼマインへ執拗に尋ねる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
中継ぎの次期領主であることを知らされていない。
レティーツィア
アーレンスバッハの領主候補生である。
・所属組織、地位や役職
アーレンスバッハ。領主候補生。
・物語内での具体的な行動や成果
フェルディナンドから教育を受けている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
成人後に次期領主となる予定である。
フェルディナンド
アーレンスバッハへ婿入りした人物である。ローゼマインの後見人である。
・所属組織、地位や役職
アーレンスバッハ。ディートリンデの婚約者。
・物語内での具体的な行動や成果
アーレンスバッハでの執務を円滑に進めている。ローゼマインを地下書庫から遠ざけるため、王族へ情報を流す。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
アダルジーザの実として王位簒奪を疑われている。
ユストクス
フェルディナンドの側近である。
・所属組織、地位や役職
アーレンスバッハ。上級文官。
・物語内での具体的な行動や成果
アーレンスバッハでゲオルギーネの影響力など情報収集を行う。執務中のフェルディナンドへ休憩を促す。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項なし。
エックハルト
フェルディナンドの護衛騎士である。
・所属組織、地位や役職
アーレンスバッハ。上級護衛騎士。
・物語内での具体的な行動や成果
エーレンフェストとアーレンスバッハにおける冬の主討伐の違いを指摘した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項なし。
ゼルギウス
フェルディナンドの側仕えである。
・所属組織、地位や役職
アーレンスバッハ。側仕え。
・物語内での具体的な行動や成果
ライムントから届いた魔術具と手紙を受け取り、フェルディナンドへ差し出した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項なし。
ライムント
アーレンスバッハの中級文官見習いである。フェルディナンドの弟子である。
・所属組織、地位や役職
アーレンスバッハ。中級文官見習い。
・物語内での具体的な行動や成果
改良型の録音の魔術具を設計し、フェルディナンドへ送った。図書館の魔術具についてオルタンシアと調査する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ローゼマインと省魔力魔術具の共同研究を行っている。
マルティナ
ディートリンデの側仕え見習いである。
・所属組織、地位や役職
アーレンスバッハ。側仕え見習い。
・物語内での具体的な行動や成果
ブリュンヒルデから卒業式用の髪飾りの付け方を教わった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項なし。
ドレヴァンヒェル
オルトヴィーン
ドレヴァンヒェルの領主候補生である。
・所属組織、地位や役職
ドレヴァンヒェル。領主候補生。
・物語内での具体的な行動や成果
奉納式で魔力回復薬を持ち帰ろうとしてヴィルフリートに止められた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項なし。
アドルフィーネ
ドレヴァンヒェルの領主候補生である。ジギスヴァルトの婚約者である。
・所属組織、地位や役職
ドレヴァンヒェル。領主候補生。
・物語内での具体的な行動や成果
貴族院の奉納式に参加し、シュツェーリアの盾の中へ入った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項なし。
ヨースブレンナー
リュールラディ
ヨースブレンナーの上級文官見習いである。
・所属組織、地位や役職
ヨースブレンナー。上級文官見習い。
・物語内での具体的な行動や成果
お茶会でローゼマインの恋物語について尋ねた。貴族院での奉納式に参加し、ローゼマインの神々しい姿に感銘を受ける。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項なし。
フェアツィーレ
リュールラディの姉である。
・所属組織、地位や役職
ヨースブレンナー。
・物語内での具体的な行動や成果
妹であるリュールラディに対して、エーレンフェストへの憧れをたしなめ、現実を見るよう忠告した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項なし。
ルストラオネ
ヨースブレンナーの上級文官見習いである。
・所属組織、地位や役職
ヨースブレンナー。上級文官見習い。
・物語内での具体的な行動や成果
奉納式の会場で、護衛騎士が排除される状況を冷静に分析した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項なし。
インメルディンク
ムレンロイエ
インメルディンクの領主候補生である。
・所属組織、地位や役職
インメルディンク。領主候補生。
・物語内での具体的な行動や成果
ダンケルフェルガーとの共同研究へ参加したいとローゼマインに申し出た。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項なし。
第五部 女神の化身1レビュー
第五部 女神の化身
本好きの下剋上 全巻まとめ
第五部 女神の化身3レビュー
展開まとめ
第五部 女神の化身2
プロローグ
フェルディナンドへの執務引き継ぎ
フェルディナンドは、アーレンスバッハ城の執務室で文官達から引き継ぎを受けていた。文官達はランツェナーヴェから打診されたアダルジーザの姫の献上に関する資料を差し出し、次の領主会議で王へ奏上する必要があると説明した。フェルディナンドは自身の出自に関わるアダルジーザの名に苦々しさを覚えつつも、表情を動かさず資料を確認していた。
ディートリンデの立場と教育不足
ディートリンデは元々次期領主から遠い立場にいたため、領主としての教育を十分に受けていなかった。しかし、政変後の粛清や兄の死、アウブ・アーレンスバッハの急逝によって、突然中継ぎの次期領主として担ぎ出されることになった。そのため、礎の魔術の染め変えを優先する彼女に代わり、実務の引き継ぎはフェルディナンドへ集中していた。
エーレンフェストとアーレンスバッハの冬の違い
雪が降り始めると、ユストクスやエックハルトはエーレンフェストとの冬の違いを語った。エーレンフェストではこの時期すでに道が雪に埋まり、冬籠もりや冬の主討伐の準備が進んでいた。一方、アーレンスバッハでは雪が少なく、冬の主討伐もなく、社交の時間帯や子供部屋の扱いも大きく異なっていた。
文官達のディートリンデ評
フェルディナンドは、ディートリンデが貴族院から戻れば文官達は彼女の執務教育を優先するべきだと考えていた。しかし文官達は、彼女が執務に到達する頃にはレティーツィアが成人しているかもしれないと苦笑した。彼女の教育不足を問題視する声がある一方で、中継ぎのアウブであるため、政治に深く関心を持たない方が都合がよいという意見も出ていた。
ゲオルギーネへの警戒
話題はゲオルギーネへ移った。文官達は、彼女が旧ベルケシュトックを味方につけていたにもかかわらず、素直に離宮へ移ったことを意外に感じていた。フェルディナンドは、ゲオルギーネの影響力がジルヴェスター達の想定以上に北部へ及んでいる可能性を感じ、離宮に閉じ籠もって社交場に姿を見せない彼女へ警戒を強めていた。
ライムントの魔術具とローゼマインの手紙
ライムントから改良型の録音の魔術具と手紙が届いた。魔術具は小型化され、魔石部分が剥き出しになっていたが、フェルディナンドは良い出来だと判断した。同封されていたローゼマインの手紙は文官達によって検閲され、共同研究や王族主催のお茶会、閉架書庫の本についての内容が読み上げられた。
ローゼマインの行動への不安
夜、フェルディナンドは光るインクで書かれたローゼマインの報告を確認し、彼女が次々と王族に関わっていることに頭を抱えた。アナスタージウス王子とエグランティーヌへの祝福、ジギスヴァルト王子の星結びで神殿長役を務める話、さらに図書館の地下書庫の鍵の管理者になったことが記されていた。
地下書庫とグルトリスハイトへの懸念
フェルディナンドは、地下書庫にグルトリスハイトへ至る情報が多く残されていることを知っていた。ローゼマインは神殿長の聖典に魔法陣と文言を浮かび上がらせており、自覚のないままグルトリスハイトへ近付いている可能性が高かった。そのため、彼は王族に地下書庫の情報を知らせ、ローゼマインを地下書庫から遠ざけるべきか考えた。
王族とローゼマインへの釘刺し
フェルディナンドは、地下書庫の情報が王族から失われているなら教えた方がよいと判断しつつ、ローゼマインには書庫へ近付かないよう返事を書いた。王族でも何でも利用し、彼女を地下書庫から遠ざけることが最善だと考えたのである。返事を書き終えたフェルディナンドは、これ以上王族にもローゼマインにも関わってほしくないと深く溜息を吐いた。
王族と図書館
共同研究と録音の魔術具の準備
ローゼマインは王族に呼び出される日まで、ダンケルフェルガーとの共同研究に向けて質問状や回答用紙を準備し、文官達にアンケートの取り方を練習させていた。また、ヒルシュールの研究室ではライムントから録音の魔術具の設計図を買い取り、複数の言葉を録音できる小型の魔術具を完成させた。設計図の価値に応じて追加報酬を払う考えを示すと、ライムントとヒルシュールは研究者を育てる姿勢に感銘を受けていた。
ぬいぐるみ型魔術具への発想
ローゼマインは完成した録音の魔術具をぬいぐるみに入れ、撫でると声が聞こえるようにできないかと考えた。リーゼレータはその案に強く賛成し、シュミル型のぬいぐるみ作りを手伝うと申し出た。ローゼマインはレッサーパンダ型にも未練を持っていたが、立体化の難しさからシュミル型を任せることにした。
王族からの呼び出し
王族から呼び出されたローゼマインは、地下書庫に関する情報を伝えたことで再び離宮へ向かうことになった。アナスタージウス王子だけだと思っていたが、部屋にはヒルデブラント王子と第一王子ジギスヴァルトもいた。ローゼマインは驚きながらも挨拶と祝福を行い、王族から地下書庫の情報について確認を受けた。
地下書庫の情報を巡る確認
ジギスヴァルトは、三本の鍵が必要な書庫に王族が読むべき資料があるのかを問いただした。ローゼマインは、自分が書庫に入ったわけではなく、エーレンフェストからの返事でその可能性を知らされたのだと正直に説明した。さらに、王族が本当に知るべきなのは情報源ではなく資料の内容ではないかと指摘し、図書館へ行って確認する流れを作った。
図書館への移動と鍵の登録
王族三人とローゼマイン達は図書館へ向かい、ハンネローレも呼び出された。オルタンシアの案内で地下書庫の鍵にローゼマインとハンネローレが魔力登録を行い、二人は短時間で登録を終えた。ソランジュは、かつて王族が図書館を訪れる時には上級司書が対応していたと語り、閉架書庫のさらに奥にある地下への階段を案内した。
地下書庫の扉と入室資格
階段の先には白い広間と三つの鍵穴を備えた金属質の扉があった。三本の鍵をはめ込むと魔法陣が浮かび上がり、扉が回転して地下書庫が開いた。しかし、上級司書のオルタンシアや側近達は透明な膜に阻まれ、入ることができなかった。ハンネローレと成人した王子二人は入れたが、ヒルデブラントは魔力不足により入室できなかった。
ヒルデブラントへの慰めと待機
ヒルデブラントは王族でありながら入れないことに動揺したが、ローゼマインはこの書庫が成人した王族のための場所であり、まだ魔力圧縮もシュタープも神々の御加護も得ていない彼に魔力が足りないのは当然だと慰めた。ローゼマイン自身も保護者から書庫へ入ることを禁じられていたため、ヒルデブラントと共に外で待つことにした。
王族命令による書庫入り
書庫内の資料は古語が多く、ハンネローレや王子達だけでは判別が難しかった。そのため、ハンネローレとジギスヴァルトはローゼマインに協力を求めた。ローゼマインは保護者の禁止を理由に迷ったが、アナスタージウスが王族命令として資料を読むよう命じたため、大義名分を得て喜びながら書庫へ入った。
古い資料と祈りの不足
書庫へ入ったローゼマインは、シュバルツから祈りが足りないと言われた。ハンネローレも属性や祈りが足りないと言われており、王子二人も同様だった。意味は不明だったが、ローゼマインは古い石板を読み始め、古代の儀式や聖典の内容と実際の儀式の関係を確認していった。
王の回顧録と御加護の情報
ローゼマインは、昔の王の回顧録を見つけ、魔力圧縮や神々の御加護に関する記述を王族へ示した。そこには神々に祈りを捧げることが重要であると記されていたが、当時の共通認識が省かれているため不明瞭な点も多かった。ローゼマインは神殿内の神々の彫刻に祈って回る可能性を示し、現代語訳を引き受けた。
御加護による魔力消費量の変化
ジギスヴァルトは、祈りや御加護を王族の務めより優先するべきか悩んでいた。ローゼマインは、祈りによって御加護を得ることは遠回りに見えても最終的には魔力消費を減らす安全な道だと説明した。ヴィルフリートが十二の神々から御加護を得て魔力消費を七割程度に抑えられるようになったこと、さらに自分は四十三の神々から御加護を得て魔力消費が四割ほどになっていることを王族に明かした。
王族への祈りの助言
ローゼマインは、エーレンフェストでは礎へ魔力供給する際に神々へ祈りを捧げる習慣があると説明した。王族がすぐに神事を主導すれば中央神殿との衝突が起こるため、まずは魔力供給の際に祈りの言葉を唱えることから始めるべきだと助言した。成人後でも御加護は増えるため、数年後には魔力供給が楽になる可能性があると伝えた。
王の継承儀式と神具の呪文
ハンネローレは王の継承儀式に関する石板を見つけた。そこには新しい王がグルトリスハイトを見せる儀式や、神殿長が光の女神の冠を被って行う手順が記されていた。ローゼマインは資料を読み進め、シュタープで神具を作るための呪文を知り、フェルディナンドがこの書庫で多くの知識を得ていたのだろうと推測した。
地下書庫の利用禁止
閉館まで資料を読んだローゼマインは、今後は王族の代わりに自分が資料を読み進めると提案した。しかし、リヒャルダとアナスタージウスは、彼女が読書に夢中になりすぎることや、側仕えの手が届かない書庫へ一人で向かわせられないことを理由に即座に却下した。ジギスヴァルトも王族から呼び出しがあるまで地下書庫への立ち入りを禁じ、ローゼマインは未練を残しながら寮へ戻った。
寮での叱責
寮へ戻ったローゼマインは、資料から目を離さずジギスヴァルトに生返事をしたことや、最後まで粘ってアナスタージウスに資料を取り上げられ、書庫から摘み出されたことをリヒャルダに叱られた。さらにヴィルフリートからは、王族と極力関わらないと言っていたはずだと呆れられたが、ローゼマインは今回の件は自分のせいではないと内心で反論していた。
ダンケルフェルガーの儀式
共同研究としての騎士棟訪問
ローゼマインは、ルーフェンから騎士棟でディッターをしないかと誘われたが、共同研究であれば受けると返した。ヴィルフリートとシャルロッテも神々の御加護に関する研究へ興味を示し、同行することになった。ローゼマインは二人の文官見習いも集め、騎士見習いへの聞き取り調査の手順を教えた。
聞き取り調査の実施
騎士棟では、ルーフェン、レスティラウト、ハンネローレが出迎えた。ルーフェンはディッターを急ぎたがったが、ローゼマインとハンネローレは研究を優先し、騎士見習い達への聞き取り調査を先に行うことにした。エーレンフェストの文官見習い達は一対一で質問を行い、領地順に並んだ騎士見習い達から回答を集めていった。
宝盗りディッターの回避
ルーフェンは宝盗りディッターを期待していたが、ローゼマインは研究のために儀式を見るだけなら、普段の訓練で行う速さを競うディッターで十分だと判断した。ダンケルフェルガー側は落胆したが、ハンネローレも研究目的なら速さを競うディッターがよいと同意したため、試合形式は速さを競うディッターに決まった。
ディッター物語と挿絵の話
ルーフェンはローデリヒのディッター物語に夢中になっており、続きがいつ出るのかを尋ねた。ローゼマインは、レスティラウトが挿絵を描く予定であり、一巻も挿絵入りで綴じ直すつもりだと説明した。レスティラウトは挿絵をすでに描いたと告げ、エーレンフェストの儀式を見る時に見せると述べた。
集計作業への参加希望
聞き取り調査が終わると、クラリッサ達ダンケルフェルガーの文官見習いは共同研究らしい仕事をしたいと申し出た。ローゼマインは翌朝からエーレンフェストのお茶会室で集計を行うと決め、手の空いている者に参加を許可した。クラリッサの参加に不安を覚えたため、ハンネローレにもお目付け役として来てもらうことにした。
ダンケルフェルガーの戦前儀式
訓練場では、レスティラウトを中心にダンケルフェルガーの騎士見習い達が戦前儀式を行った。彼らはシュタープを槍に変え、アングリーフやシュタイフェリーゼへ祈りを捧げながら、歌と槍舞によって士気を高めた。ローゼマインは、ダンケルフェルガーの儀式が単なる訓練とは異なり、戦う者の気持ちを一つにする力を持つことを実感した。
エーレンフェスト側の儀式実施
ダンケルフェルガーの熱気に圧倒されたエーレンフェストの騎士見習い達を見て、ローゼマインは対抗して同じ儀式を行うことにした。ヴィルフリートとシャルロッテは止めようとしたが、レスティラウトが研究のために比較すべきだと後押ししたため、ローゼマインは騎士見習い達と共に競技場へ降りた。彼女は儀式の細かな舞はできなかったが、祝詞を唱えて祝福を贈るつもりだった。
ライデンシャフトの槍による異変
ローゼマインはシュタープをライデンシャフトの槍に変化させ、ダンケルフェルガーと同じ祝詞を唱えた。最後に戦えと叫んで槍を掲げると、槍から大量の魔力が噴き出し、上空で複数の色を帯びた後、エーレンフェストの騎士見習い達へ降り注いだ。観覧席の者達はその異常な祝福に驚き、ダンケルフェルガー側はローゼマインに何をしたのか問い詰めた。
儀式の見え方とクラリッサの興奮
ハンネローレとレスティラウトは、観覧席から見た儀式の様子を説明した。ローゼマインが神具を出したこと自体が大きな驚きであり、クラリッサはその姿を神聖で美しいものとして熱烈に語り始めた。話が進まなくなったため、ローゼマインはクラリッサにハルトムートへの手紙として儀式の様子を詳細に書くよう依頼し、彼女を静かにさせた。
祝福のかかりすぎによる敗北
速さを競うディッターでは、エーレンフェストの騎士見習い達が自分の魔力をうまく扱えなくなっていた。騎獣は予想外の速度で動き、攻撃には大きな反動が出た。トラウゴットは強大な魔力を剣に込めて魔獣を一撃で消し飛ばしたが、全体としては動きがぎこちなく、勝負はダンケルフェルガーの勝利となった。
祝福が呪いに近くなった結果
試合後、騎士見習い達は祝福の影響で魔力調整が難しくなり、自分の身体を扱えないような状態だったと説明した。ローゼマインは、祝福をかけすぎたことで逆に戦えなくしてしまったのだと理解し、ダンケルフェルガーの大切な儀式を乱したことを謝罪した。ハンネローレは新しい発見もあったと慰めた。
ハンネローレによる戦後儀式
勝利後、ハンネローレは競技場の中央で海の女神フェアフューレメーアの杖とされる形へシュタープを変え、戦後儀式を行った。杖を振るたびに潮騒のような音が響き、エーレンフェストの騎士見習い達から陽炎のように魔力が集まり、竜のように天へ駆け上がった。ダンケルフェルガーでもそのような現象は初めてであり、ハンネローレ自身も何が起きたのかわからなかった。
祝福を返す儀式の可能性
レオノーレとマティアスは、ハンネローレの儀式が神々から授かった祝福を返すものではないかと考えた。騎士見習い達は、ローゼマインの祝福が消え、魔力が元に戻ったように感じ、さらに心が凪いだような鎮静効果もあったと述べた。ハンネローレはその効果を上手く使えるようにならなければならないと前向きに受け止めた。
エーレンフェストの儀式への要求
レスティラウトは、今回ローゼマインが行ったのはダンケルフェルガーの真似であり、エーレンフェストの儀式ではないと指摘した。彼は約束通りエーレンフェストの神事を見せるよう求めた。ローゼマインは、レスティラウトの講義が全て終わったら連絡するよう告げ、成績が落ちれば領地間の関係に差し障ると釘を刺した。レスティラウトは不満を見せつつも、本気になれば講義などすぐ終わると言い残して去っていった。
集計中のお喋り
報告を任せて集計準備を優先
ローゼマインは、訓練場での出来事についての報告をヴィルフリート達に任せ、翌日の集計準備を優先した。寮の多くの者が訓練場に来ており、聞き取り調査にもヴィルフリートやシャルロッテの文官見習い達が関わっていたため、急ぎの報告は任せられると判断したのである。彼女は後日改めて、ダンケルフェルガーとの共同研究に関する報告書をジルヴェスターへ送るつもりだった。
集計方法の確認と側近達の役割
ローゼマインは、文官見習い達やレオノーレ、ユーディットと共に集計方法を確認した。神殿で護衛騎士も書類仕事を行っているため、レオノーレやユーディットも集計に加わることになった。文官仕事を苦手とするラウレンツは青ざめたが、春から神殿に通う以上、避けられない仕事であると告げられた。
ハンネローレへの対応準備
リヒャルダは、ローゼマイン自身が集計に関わるのではなく、領主候補生であるハンネローレの相手をするべきだと諭した。最後の儀式について詳しく聞くことや、ダンケルフェルガーの古い書物について話を聞くことは、領主候補生でなければできない情報収集だった。ローゼマインはその役割を受け入れ、翌日の話題を整理した。
ダンケルフェルガーの来訪
翌日、エーレンフェストのお茶会室にはハンネローレを先頭に、ダンケルフェルガーの学生達が訪れた。文官見習い達は集計用の机へ案内され、ハンネローレと側近達は別のテーブルへ案内された。クラリッサからは、前日の儀式についてハルトムートへ宛てた分厚い手紙が届けられ、ローゼマインは確認後すぐにエーレンフェストへ送るようグレーティアに命じた。
フィリーネとクラリッサの対抗心
集計では、フィリーネがフェルディナンドに鍛えられた成果を見せ、素早く回答用紙を捌いていった。クラリッサはその速度に驚き、ローゼマインの文官となる以上は負けられないと真剣に集計へ取り組み始めた。ハンネローレは、クラリッサが集中して仕事をしているなら自分が見張りに来る必要はなかったかもしれないと苦笑した。
クラリッサの恋を巡る見解
ハンネローレは、クラリッサがローゼマインへの忠誠を強調しているのは、神殿に入った婚約者ハルトムートと別れずにいるための演技かもしれないと語った。彼女は、寝不足になってまで手紙を書くクラリッサの姿に愛を感じていた。しかし、ローゼマインとコルドゥラは、クラリッサはそこまで計算しておらず、ハルトムートと同じ方向の情熱で動いているだけだと見ていた。
エーレンフェストの文官仕事への評価
ハンネローレは、エーレンフェストの文官見習い達がダンケルフェルガーに引けを取らないほど優秀だと評価した。特に、護衛騎士であるレオノーレやユーディットまで文官仕事に加わっていることに驚いた。ローゼマインは、神殿では護衛騎士も書類仕事をするため、人数が必要な時には手伝ってもらうのだと説明した。
ハンネローレの儀式の確認
ローゼマインは、前日の戦後儀式でハンネローレが使った杖について尋ねた。ハンネローレは、ダンケルフェルガーでは海の女神フェアフューレメーアの神具と伝えられているが、本当かは定かではなく、呪文自体は騎士コースで習う杖と同じだと説明した。ローゼマインは、儀式中に波の音が聞こえたことから、海の女神に関わる神具である可能性が高いと考えた。
暑さを払う儀式との関連
ハンネローレが唱えた祝詞を聞いたローゼマインは、それが海の女神に魔力を奉納する儀式であると確信した。地下書庫の石板には、熱すぎる夏を抑える儀式として詳細が記されていたため、前日の儀式は魔力を奉納して場を鎮める効果を持つものではないかと考えた。ハンネローレも、祝福を打ち消すだけでなく、興奮を鎮める効果があるのかを確かめたがっていた。
神々の零れ話の本
ハンネローレは、本好きのお茶会のためにダンケルフェルガーから持参した本が、聖典に載せられなかった神々の零れ話を集めた古い本だと教えた。その中にはメスティオノーラの話も含まれているという。ローゼマインは、聖典に載る最高神と五柱の大神以外の神々について知る機会が得られると知り、大きく興味を抱いた。
集計結果とダンケルフェルガーの特異性
集計結果では、戦い系の御加護を得た騎士見習いは圧倒的にダンケルフェルガーに多かった。毎年、御加護を得られない者が数人いる程度であり、複数の眷属や適性外の属性の御加護を得る者も珍しくないことがわかった。ローゼマインは、他領がもっとダンケルフェルガーを調べるべきだったと考えたが、ディッターを避けたい他領が近付かなかった可能性もあると見ていた。
文官と側仕えへの追加調査
ローゼマインは、ダンケルフェルガーの騎士見習いだけでなく、武よりの文官見習いや側仕え見習いにも戦い系の御加護があるのではないかと考えた。ハンネローレも、他領より多いはずだと認めたため、クラリッサに騎士見習い以外への聞き取り調査を依頼した。クラリッサは、ローゼマインの文官としての初仕事だと喜び、全力で取り組むと応じた。
儀式と魔力奉納の考察
ハンネローレは、ダンケルフェルガーでもライデンシャフトの槍を使えば祝福を得られるのではないかと尋ねた。ローゼマインは、神具の形を作ることは可能だが、維持には大きな魔力が必要で、さらに魔力奉納まで行えばディッターで戦えなくなると説明した。また、神殿の儀式は他者のために行う祈りであるため、魔力を奉納した本人には祝福が返らないことも伝えた。
儀式変更への注意
ローゼマインは、下級貴族も含めて大人数で儀式を行う場合、魔力差によって魔力を奪われすぎる者が出る危険があると注意した。さらに、昔はディッターの前日に儀式を行っていたという話には、魔力回復や祝福に身体を慣らすための意味があるはずだと考えた。伝統的な儀式には理由があるため、安易に変更せず、慎重に調査してから臨むべきだと助言した。
グラフ化された研究資料
ダンケルフェルガーの学生達が帰った後、ローゼマインはフィリーネ達に教えながら、集計結果をグラフ化して資料を作った。数字だけよりも考察しやすい資料になり、彼女は満足した。しかし、貴族院ではグラフ化した資料が一般的でないらしく、文官見習い達は強い関心を示した。ヴィルフリートが領地対抗戦で騒ぎにならないか心配したため、ローゼマインはフェルディナンドに相談の手紙を書くことにした。
イライラのお茶会
光の魔術具の研究と図書館への未練
ローゼマインはフェルディナンドへの手紙をライムントに渡し、光が降り注ぐ魔術具の試作に取り組んでいた。本を読んでいる者の注意を引く魔術具として側仕え達には好評だったが、ローゼマイン自身は本が自動で書棚へ戻る魔術具を研究したがっていた。図書館へ行きたがったものの、王族から禁止されているため、リヒャルダに止められて自室で読書することになった。
閉架書庫の資料とフェルディナンドへの配慮
ローゼマインは、シュバルツ達の過去の研究資料をヒルシュールへ貸した。その資料は閉架書庫から借りたもので、いずれフェルディナンドに見せるための資料でもあった。ヒルシュールとローゼマインは、アーレンスバッハで隠し部屋も工房もないフェルディナンドの不自由な状況を心配したが、ヒルシュールはすぐに研究へ意識を切り替えた。
フラウレルムへの報告書提出
ローゼマインは、アーレンスバッハとの共同研究の二度目の報告書をフラウレルムへ提出した。その際、一度目の報告書がフェルディナンドへ届いていないことを指摘したが、フラウレルムは自分は確かに送ったため、アーレンスバッハの文官が怠慢なのだろうと答えた。ローゼマインはディートリンデへ確認が必要だと示しつつ、フェルディナンドとの連絡手段については明かさなかった。
社交予定とディートリンデからの一方的な連絡
貴族院の社交シーズンが始まり、ローゼマインとシャルロッテのもとには次々とお茶会の招待状が届いた。予定を詰めすぎると体調を崩す可能性があるため、側仕え達と調整しながら参加予定を決めていた。そこへディートリンデから、従姉弟同士のお茶会を四日後の午後に行うという一方的なオルドナンツが届き、ローゼマイン達は予定を立て直すことになった。
下位領地のお茶会での悪意ある持ち上げ
ローゼマインは下位領地とのお茶会に出席し、菓子や音楽、本の貸し借りでは好意的に対応された。しかし、話題がエーレンフェストの順位上昇や神殿長としての立場に移ると、ジルヴェスターがローゼマインを神殿に押し込めて魔力を奪っているという噂を前提に話され続けた。彼女は何度も否定したが、相手はそれをローゼマインの優しさと受け取り、話を聞こうとしなかった。
反省会と危険認識
お茶会後、ローゼマインは側近達と反省会を行った。ブリュンヒルデとリヒャルダは、相手が味方のような顔で悪意ある噂を語っていたと分析した。さらにグレーティアは、ローゼマインを都合よく使われている神殿育ちの聖女と見下す悪意もあったと指摘し、さらわれたり脅されたりする危険を考慮すべきだと述べた。
従姉弟会への不安
ローゼマインは、下位領地のお茶会で溜まった苛立ちを抱えたまま、ディートリンデ主催の従姉弟会に出席することになった。旧ヴェローニカ派の子供達が一斉に側近になっていることを知られないよう、マティアス、ラウレンツ、ミュリエラ、グレーティアは留守番にした。彼女は、どれほど苛立ってもフェルディナンドの扱いに影響しないよう、穏便に振る舞うと自分に言い聞かせていた。
ディートリンデの恋歌自慢
従姉弟会で、ディートリンデはフェルディナンドが自分のために作曲した恋歌だとして、アーレンスバッハの新しい曲を披露した。それは音楽の実技でも聞いた郷愁歌だった。さらに、フェルディナンドの専属料理人が星結び後にアーレンスバッハへ来るのではないかと楽しげに語り、ローゼマインはその話を初耳として警戒した。
フェルディナンドへの評価を巡る苛立ち
ディートリンデは、フェルディナンドとの婚約が決まった時は、年上で下位領地出身、神殿に入れられていた母のない領主一族だったため憂鬱だったと語った。実際に会って優秀さに安心したとも述べたが、自分の配偶者として隣にいても問題ないという言い方に、ローゼマインは強い苛立ちを覚えた。それでも、フェルディナンドの立場を悪くしないために感情を抑えた。
ディートリンデの過去の恋と次期アウブとしての決意
シャルロッテが話題を変えると、ディートリンデは過去に想いを捧げてくれた相手がいたと語った。しかし、次期アウブである以上、父が決めた相手と結婚しなければならず、その恋を諦めたという。ローゼマインは、フェルディナンドとの婚約がディートリンデにとっても歓迎できるものではなかったと知り、複雑な思いを抱いた。
魔石を光らせる方法への執着
ディートリンデは、卒業式で奉納舞を行う際に注目を集めるため、魔石を光らせる方法を教えてほしいと求めた。ローゼマイン達は、卒業式でそのようなことをすれば悪目立ちすると止めようとした。しかしディートリンデは、自分だけが目立つために教えたくないのだと受け取り、魔術具があるはずだと疑った。
魔石の説明と髪飾りの受け渡し
シャルロッテは、ローゼマインが稽古の時に魔石を光らせたのは体調不良で魔力が漏れたためだと説明した。ヴィルフリートは品質の低い魔石なら光らせやすいのではないかと提案し、ディートリンデはその案を喜んだ。さらに、卒業式用の髪飾りが渡され、ブリュンヒルデはディートリンデの側仕えマルティナへ飾り方を教えた。
共同研究報告書を巡る言質
ローゼマインは、フラウレルムに二度報告書を提出したにもかかわらず、フェルディナンドに一度目の報告書が届いていないことをディートリンデへ伝えた。ディートリンデは、自分に見せるより先にアーレンスバッハへ送られたことに不満を示したが、婚約者の評判に関わるため調べさせると答えた。ローゼマインは、今後ライムントがフェルディナンドへ頻繁に手紙や報告書を出す口実を得た。
レティーツィアと情報制限
ヴィルフリートは、フェルディナンドがレティーツィアの教育係として上手くやっているかを尋ねた。ディートリンデは、レティーツィアとの交流は少なく、フェルディナンドは執務で忙しく教育係をしている余裕はないのではないかと答えた。その様子から、ディートリンデは自分がレティーツィア成人までの中継ぎであることを知らされていないとわかった。
従姉弟会後の疲労と分析
従姉弟会は、ディートリンデの自慢話とアーレンスバッハの影響力を強めるための協力要請が続き、ローゼマイン達は大きく疲弊した。エーレンフェストの粛清に関する探りはなく、ディートリンデ自身には情報が共有されていないようだった。一方で、側近達には緊張が走る場面があり、何かを知る者がいることも感じられた。
ヴィルフリートとの意見衝突
ヴィルフリートは、情報を制限されたまま次期アウブになるディートリンデを心配した。しかしローゼマインは、ディートリンデよりも、彼女の行動に巻き込まれて連座しかねないフェルディナンドの方が心配だと述べた。二人は互いに冷たいと言い合ったが、シャルロッテが心配する対象が違うだけだと諭し、対立は収まった。
中下位領地のお茶会と神殿への嫌悪
ローゼマインは、従姉弟会の疲れが取れないまま中下位領地のお茶会に出席した。共同研究へ参加できなかった不満や、神殿へ出入りすることへの嫌悪を聞かされ、神事の重要性を説明しても理解されなかった。神殿ではなく貴族院で行う神事ならば忌避感が少ないと聞いたローゼマインは、ダンケルフェルガーとの共同研究で見せるエーレンフェストの神事に彼らを参加させる案を思いついた。
神事参加への誘導
ローゼマインは、ダンケルフェルガーの許可が取れれば、共同研究の一環としてエーレンフェストの神事に参加できるかもしれないと提案した。共同研究に加わりたがっていた領地の者達は一斉に参加を希望した。ローゼマインは、彼ら自身からもダンケルフェルガーへ熱意を伝えるよう促し、神事参加を通して神殿や祈りへの見方を変える機会にしようと考えた。
ちょっとした企み
リヒャルダによる追及
ローゼマインは寮へ戻るなり、他領の領主候補生を神事に参加させる件についてリヒャルダに問い詰められた。ローゼマインは、ダンケルフェルガーの許可があればという話だと説明したが、リヒャルダは側近に相談せず重大な提案をしたことを問題視した。ローゼマインは、中小領地が神事を蔑ろにしながら利益だけ求めることへ苛立っていたため、彼らを奉納式に参加させる案を考えたのだった。
奉納式を利用する案
ローゼマインは、ダンケルフェルガーの許可が得られれば、貴族院で奉納式を行うつもりだと明かした。自分一人では聖杯を満たすのが難しいが、協力者が多ければ可能であり、他領の者達は自主的に魔力を奉納する善意の協力者になると説明した。奉納された魔力は個人的に使うのではなく、王族に有効利用してもらうつもりだった。
ダンケルフェルガーへの条件案
マティアスは、共同研究に他領の参加を断ってきたダンケルフェルガーが許可するかを疑問視した。ローゼマインは、参加希望者にダンケルフェルガーとのディッターを条件として提案すれば、彼らは喜んで受け入れるはずだと考えていた。これにより、ダンケルフェルガーは儀式の検証とディッターができ、エーレンフェストは何度も検証に付き合う負担を減らせると見込んでいた。
各方面に利点のある企み
ローゼマインは、奉納式に必要な人数を確保でき、王族は魔力を得られ、中小領地は共同研究に参加でき、ダンケルフェルガーはディッターと検証ができるため、皆に利点がある案だと説明した。ただし、王族やダンケルフェルガー、参加者にはそれぞれ負担が生じるため、側近達は賛成とも反対とも言えない微妙な表情を見せた。ローゼマイン自身にも秘密の利点があり、王族の許可が得られれば実現すると述べた。
ヒルデブラントへの手紙とアナスタージウスからの呼び出し
ローゼマインは、ダンケルフェルガーとヒルデブラントに手紙を書いた。内容は、共同研究に参加希望者が多いこと、奉納式には人数が必要なこと、ディッターを条件にすればダンケルフェルガーにも利点があること、奉納式で得た魔力を王族に譲ること、祭壇のある最奥の間を使わせてほしいことだった。しかし返事はアナスタージウスから届き、翌日の午後に離宮へ来るよう命じられた。
王族とダンケルフェルガーへの説明
離宮にはハンネローレとその側近、さらに寮監達まで呼び出されていた。アナスタージウスはローゼマインに何をするつもりか包み隠さず話すよう求めた。ローゼマインは共同研究の概要と奉納式の内容、王族が魔力を得られる利点を説明した。アナスタージウスは、ローゼマインとハンネローレが大事にしがちなことに頭を抱えた。
ダンケルフェルガーの儀式検証騒動
ハンネローレは、ダンケルフェルガーが儀式の検証を行った結果、光の柱が立ち上がり、多くの問い合わせが王族に向かったことを明かした。彼らはローゼマインを真似て魔力奉納付きの儀式を行い、寮の訓練場でディッターをしていたのである。ルーフェンは、ディッター物語と祝福が得られる儀式で寮内の熱が高まっていると喜んでいた。
共同研究参加者の扱い
ハンネローレは、他領の参加者を共同研究に正式に名を連ねさせるのは貢献度に見合わないと、レスティラウトが言っていたと伝えた。ローゼマインは、共同研究はあくまでエーレンフェストとダンケルフェルガーのものとし、聞き取り調査や儀式に協力した者を最後に協力者として名前を載せる案を出した。ハンネローレは、それならレスティラウトも納得するだろうと頷いた。
最奥の間の使用許可
アナスタージウスは、最奥の間の祭壇は中央神殿の管轄であり、神具を使うには中央神殿の許可と采配が必要だと説明した。中央神殿は奉納式の時期で多忙だったため、ローゼマインはエーレンフェストから神事に必要な物を取り寄せ、祭壇に触れず部屋だけを借りることにした。アナスタージウスは、祭壇に触れないなら使用を許可した。
聖杯の準備と魔力の持ち帰り方法
ローゼマインは、聖杯を下ろせないなら自分がシュタープで聖杯を作れると説明した。王族がその聖杯を中央へ持ち帰ることはできないため、王族が聖杯を作れるようになるか、空の魔石を大量に準備して魔力を移す必要があると提案した。アナスタージウスは、神具を借りられない状況でも魔力を集める方法を示されたことで、ローゼマインの裏技の多さに呆れた。
王族への奉納式参加依頼
ローゼマインは、王族にも奉納式へ参加してほしいと申し出た。王族が率先して参加すれば他領の参加者も辞退しにくくなり、王族自身も真剣に祈る機会を得られると考えたためである。アナスタージウスは驚いたが、中央神殿と距離がある王族こそ本当の神事を経験する価値があると説明され、考えておくと答えた。
エーレンフェストへの準備依頼
ローゼマインは、王族を巻き込んだ奉納式を貴族院で行うことになった経緯をエーレンフェストへ報告した。そして、魔力を流すための敷物、神々への供物、神殿長の儀式用衣装、ヴィルフリートとシャルロッテの儀式用衣装など、奉納式に必要な物を送るよう依頼した。ジルヴェスターからは、王族を巻き込んだ以上は絶対に成功させるよう返事が届いた。
ハルトムート対策
エーレンフェストからの返事には、クラリッサの報告書を読んだハルトムートからの怨念じみた手紙も同封されていた。ローゼマインは、ハルトムートが面倒な状態になっていると感じ、成人済みの側近達で御加護を得る儀式をやり直す予定があるため、日々のお祈りと神々の名の復習をしておくよう命じた。ユーディットはアンゲリカに神々の名を覚えさせる役目も加えればよいと提案したが、フィリーネはダームエルの負担が増えると慌てた。
儀式の準備
奉納式開催までの準備期間
貴族院の講堂奥にある祭壇前で奉納式を行うことは決まったものの、すぐに実施できるわけではなかった。レスティラウトの講義とエーレンフェストの奉納式が終わる必要があり、その間にダンケルフェルガーは参加希望者を集めてディッターを行い、参加者を選別していた。ローゼマインは、魔力差による負担を考慮し、参加者を上級貴族か領主候補生に限定し、魔力圧縮を覚えたばかりの一年生は除外するよう指示した。
ディッターによる選別と他領の疲弊
ダンケルフェルガーは宝盗りディッターを課したため、合同チームを組んだ中小領地は完膚なきまでに叩きのめされ、回復薬が足りないという苦情が相次いだ。ローゼマインは、共同研究にはディッターが必須だと笑いながら受け流し、ジルヴェスターの悪評ではなくディッターの話題で終始するお茶会に精神的な楽さを感じていた。
ドレヴァンヒェルとの研究進展
共同研究では、グンドルフが魔木ごとの特徴を強める調合研究を進めていた。勘合紙として使うナンセーブ紙は性能が向上し、エイフォン紙では魔石を滑らせることで音楽を奏でられるようになっていた。ローゼマインは、自動演奏機能を持つ楽器の可能性を示唆し、マリアンネはその着眼点を研究に活かそうとしていた。
参加者名簿の到着
レスティラウトの講義終了後、クラリッサから参加者名簿が届けられた。六十人以上が参加し、大領地からもクラッセンブルク、ドレヴァンヒェル、アーレンスバッハなどが名を連ねていた。一方で、ディッターの負担や回復薬の消耗を理由に尻込みする中小領地も存在した。ローゼマインは、奉納式でも大量の回復薬が必要になると考え始めた。
参加者への注意事項
ローゼマインは、参加者へ当日の朝に身を清めること、回復薬を持参すること、祝詞を覚えることなどを伝えるよう文官見習い達に指示した。ヴィルフリートは奉納式の祝詞を知らなかったが、礎への魔力供給と同じ内容だと知り安堵した。
神事道具の輸送とハルトムートの参加
エーレンフェストでは神殿の奉納式が終わり、吹雪の中を何往復もしながら神事道具を運んでいた。ハルトムートは、神事道具を扱うには神官長役が必要だと主張し、自身の参加許可を求めていた。ローゼマインは、その主張に一定の理があると判断し、アナスタージウスへ許可を求めた。
王族の参加決定
アナスタージウスからは、ハルトムートの立ち入り許可に加え、王も儀式へ参加するという返答が届いた。王は大量の魔力提供者へ直々に礼を述べるつもりであり、周囲は事態の重大さに顔色を変えた。しかしローゼマインは、自分の計画がそこまで重大視されているとはあまり理解していなかった。
回復薬の準備
ディッターと奉納式で消耗する参加者の負担を考慮し、ローゼマインは回復薬を参加賞として配ることを考えた。当初はフェルディナンドの優しさ入り回復薬を検討したが、味や臭いへの抵抗を考慮し、魔力のみを大幅に回復させる飲みやすい薬を配布することに決めた。ローデリヒとミュリエラを手伝わせながら、大量の回復薬を調合していった。
儀式当日の準備開始
儀式当日の朝、ハルトムートが青色神官の儀式衣装で到着し、神事道具と儀式衣装を運び込んだ。ローゼマインは最奥の間の準備をハルトムートに任せ、自身は王族への連絡を行った。ハルトムートは高い熱量で完璧な準備を誓い、周囲の視線を集めていた。
ヒルデブラントとのやり取り
最奥の間を開ける役目を望んだヒルデブラントは、自ら魔石に触れて扉を開いた。儀式に参加できない代わりに役目を与えられたことを誇らしげにしており、ローゼマインは今日の奉納式について説明していった。しかし、神事中は護衛騎士を最奥の間へ入れないと聞き、ヒルデブラントや側近達は強く反発した。
護衛騎士排除の理由
ローゼマインは、多数の領主候補生が魔力を流す場に武装した護衛騎士が立つこと自体が危険だと説明した。エーレンフェストでも礎への魔力供給時は護衛騎士を供給の間へ入れないと語り、神事とはそういうものだと理解を求めた。そして、王族に悪意や害意を持つ者はシュツェーリアの盾で最初から排除すると告げた。
貴族院の奉納式
王族との対面
ヒルデブラントからの呼び出しを受け、ローゼマイン達は予定より早く講堂へ向かった。道中ではダンケルフェルガーの者達と遭遇し、ヴィルフリートやシャルロッテが神殿衣装を着ていることに驚かれた。ローゼマインは、本来なら参加者全員に儀式服を準備させる予定だったと説明した。
講堂には王族と中央騎士団が集まっていた。ローゼマインは初めてツェント・トラオクヴァールと対面し、その疲弊した様子からフェルディナンドを連想した。ツェントから護衛騎士を排除する理由について問われると、ローゼマインは神事において敵意を持つ者を排除するためだと説明した。
シュツェーリアの盾の検証
中央騎士団は、護衛騎士を排除しても安全を確保できるのか疑問視した。そこでローゼマインは、シュツェーリアの盾を用いた実演を行うことになった。中央騎士団の騎士達は剣や魔術具を用いて攻撃したが、全て弾き返され、逆に自分達が吹き飛ばされて傷を負っていった。
さらに、敵意のない者は盾の中へ入れるが、攻撃の意思を持った瞬間に外へ弾き出されることも確認された。最終的にトラオクヴァールは、安全性は十分だと判断し、儀式への参加を認めた。
回復薬の披露
ローゼマインは負傷した中央騎士団へルングシュメールの癒しを施した後、儀式参加者へ配布予定の魔力回復薬も披露した。ラオブルートは異物混入を疑ったが、ロヤリテートが毒見役となり、優れた回復効果を証明した。ローゼマインは、神事への参加で消耗する他領の負担を少しでも軽減したいと説明した。
最奥の間への入場
中央騎士団を講堂に残し、参加者達は最奥の間へ入った。レスティラウトとハンネローレは共同研究の立会人として見学に徹し、他の参加者達が儀式に参加することになった。ローゼマインは入口でシュツェーリアの盾を展開し、敵意や害意を持つ者を選別した。
最初に弾かれたのはアーレンスバッハの学生であり、その後も政変で不満を抱える領地の者達が次々と退出させられていった。ローゼマインは、護衛騎士のいない場で敵意を持つ者を受け入れることはできないと淡々と告げた。
奉納式の開始
参加者全員の入場が終わると、ローゼマインは自身の魔力消費が想定以上だったことを感じ、自分用の回復薬を飲んでから儀式へ臨んだ。ヴィルフリート達は、神事や御加護についての説明を行い、神殿を軽視する風潮を改めてほしいと参加者へ訴えた。
その後、参加者達は赤い敷物に手を付いて跪き、ローゼマインは地下書庫で知った呪文で聖杯を作り出した。皆で祝詞を唱え、魔力を奉納すると、赤い光の柱が立ち上がった。王族達は驚いたが、ローゼマインは貴族院で儀式を行うと起きる現象だと説明した。
魔力供給の限界
奉納式は順調に進んでいたが、中小領地の上級貴族達が次々と倒れ始めた。領主候補生や王族も疲労を見せ始め、シャルロッテは限界を察して儀式終了の合図を送った。ローゼマインは急いで参加者達へ回復薬を配布するよう指示した。
しかし、自らも毒見として回復薬を飲んだことで、予想外に魔力が回復しすぎてしまった。奉納式であまり魔力を消費していなかったため、体内に溢れた魔力が暴走しかけ、腕のお守りが次々と光り始めた。
二本目のシュタープ
祝福暴走を防ぐため、シャルロッテは癒しを与えて魔力を消費するよう提案した。しかし、ローゼマインは既に聖杯を維持しており、さらにフリュートレーネの杖も必要だった。切羽詰まったローゼマインは、二本目のシュタープを呼び出そうと試みた。
その結果、右手に新たなシュタープが現れた。ローゼマインは即座にそれをフリュートレーネの杖へ変化させ、ルングシュメールの癒しを参加者達へ降り注がせた。これにより余剰魔力を消費し、祝福暴走を回避することに成功した。
メスティオノーラの伝承
ローゼマインが複数の神具を自在に扱う姿を見たクラリッサは、彼女をメスティオノーラに重ね始めた。エグランティーヌも、古い伝承に登場する夜空の髪と金の瞳を持つメスティオノーラの特徴がローゼマインに似ていると語った。
ローゼマインは困惑したが、ハルトムートが古い伝承への興味として話題を逸らし、その場を収めた。ローゼマインは、暴走しかけた魔力を制御しつつ二本目のシュタープを扱えたことに達成感を覚え、フェルディナンドへ報告したいと考えていた。
残った魔力の使い道
王族による感謝と研究成果の共有
奉納式で集められた魔力は、網状の袋に入れた魔石へ移されていた。透明だった魔石は全て赤く染まり、アナスタージウスはその様子を参加者へ見せながら、この魔力をユルゲンシュミット全体を潤すために使うと説明した。王も参加者達へ感謝を述べ、儀式に協力した者達は誇らしげな表情を見せた。
ローゼマインは、儀式参加者へのお礼として研究成果を先行公開した。神々の御加護を得るには、礎の魔術や調合、訓練など全力で行動する際に神々へ祈りを捧げることが有効であり、神の記号を刻んだお守りへ魔力を込めながら祈るのも効果的だと説明した。ハンネローレも自作のお守りを見せ、文官見習い達は神殿へ行かずとも祈りを実践できる方法として強い関心を示した。
再度の御加護儀式という提案
しかし、参加者の多くは既に御加護の儀式を終えており、今さら祈っても意味がないのではないかという声が上がった。それに対し、ツェント・トラオクヴァールは、卒業式後にもう一度御加護の儀式を行う権利を与える案を提示した。ダンケルフェルガーとエーレンフェストの研究成果を確認するためにも必要だと述べたのである。
参加者達は再び希望を取り戻し、オルトヴィーン達も意欲を見せた。ローゼマインは、ジルヴェスターが一年ほどの祈りによって縁結びの女神と試練の神から御加護を得て、上位領地出身の第一夫人を迎えた事例まで披露し、神々への祈りが実際に成果へ繋がると語った。
神具二重展開への驚き
参加者達を見送った後、アナスタージウスはローゼマインへ、どのようにして神具を二つ同時に扱ったのか尋ねた。ローゼマインは、騎士見習いも盾と武器を同時に扱っているのだから不思議ではないと返したが、王族達は神具と騎士用武器を同列に語る彼女へ困惑を隠せなかった。
ローゼマインは、地下書庫の回顧録やフェルディナンドが複数の盾を扱っていた経験から可能だと思っただけだと説明した。しかし、アドルフィーネやエグランティーヌには認識の違いを痛感され、ローゼマインは余計なことを言わない方が良いと判断して口を閉ざした。
ツェントへの癒し
ローゼマインは、あえて癒しを施した理由として、ツェントの疲弊ぶりがあまりにも深刻に見えたことを明かした。トラオクヴァールは癒しによって身体が楽になったことを認め、礼を述べた。ローゼマインは、過労を見れば心配になるのは当然だと思いながらも、余計なお節介を口にせず貴族らしく振る舞えた自分の成長を感じていた。
余った魔力を図書館へ
聖杯にはなお大量の魔力が残っていた。実際にはローゼマインが魔力消費のために追加で注いでいたため、王族が持ち込んだ空の魔石では吸収し切れなかったのである。ローゼマインは、その残りを図書館のために使うべきだと提案した。
図書館は本来、複数の上級文官が魔力供給して維持する施設だったが、長年ソランジュ一人に依存していたため、保存書庫の魔術すら失われかけていた。ローゼマインは、貴重な資料を守るためにも図書館への魔力供給が必要だと訴え、同時に自身の図書館立ち入り許可も求めた。王は残りの魔力を図書館へ使うことを許可し、アナスタージウスとエグランティーヌに立ち会いを命じた。
図書館の危機
図書館へ移動したローゼマイン達は、オルタンシアとソランジュから歓迎された。ライムントとの調査の結果、図書館の維持に最も重要な魔術具の魔力があと一年も持たない可能性が判明していたのである。
ローゼマイン達は聖杯から赤い液体状の魔力を巨大な魔石へ注ぎ込んだ。透明に近かった魔石はゆっくりと虹色へ変化し、オルタンシアは図書館停止の危機を回避できたことへ安堵した。ローゼマインも、図書館の役に立てたことを嬉しく感じていた。
「じじさま」の正体
帰り際、シュバルツ達は「じじさま、おおよろこび」と跳ねながら喜んだ。アナスタージウスが「じじさま」とは何かを尋ねると、シュバルツ達は「ふるくてえらい」とだけ答えた。
ソランジュとオルタンシアは、図書館の礎とも言える古い魔術具が「じじさま」なのではないかと推測した。アナスタージウスも、その説明には納得した様子を見せた。
地下書庫計画の崩壊
ローゼマインは、今回の奉納式によって王族が地下書庫調査を優先するようになると期待していた。しかし、アナスタージウスは当面その予定はないと告げた。王族は、奉納式で得た魔力を用いてユルゲンシュミット各地へ魔力供給を行う必要があり、資料調査どころではなかったのである。
ローゼマインは、自分の計画が完全に裏目へ出たことに衝撃を受けた。エグランティーヌから、春までの魔力供給が収穫へ直結する重要な仕事だと説明されると、神殿長として理解はできるものの、地下書庫へ入れない事実に落胆した。
後片付けと恋人達
講堂へ戻ると、後片付けはほぼ終わっており、残っていたのは熱心に語り合うハルトムートとクラリッサだけだった。二人はローゼマインについて延々と語り合い、完全に二人の世界へ入り込んでいた。
別れを惜しむクラリッサへ、ハンネローレの側仕えコルドゥラが「このままではエアヴェルミーンを失ったエーヴィリーベになりますよ」と声をかけると、クラリッサは即座にハルトムートから離れた。ローゼマインはその見事な制止に感心しつつ、研究発表についてまた話し合う約束を交わし、それぞれ寮へ戻っていった。
お茶会と交渉
儀式後の報告と新たなお茶会
奉納式を終えたローゼマインは、六の鐘までにハルトムートをエーレンフェストへ送り返した。神官長であるハルトムートの貴族院滞在は当日のみ許可されていたため、時間内に戻れなければ罰せられる状況だったのである。ローゼマインは、儀式用衣装の返送や報告書の提出を頼み、無事に転移を見届けた。
夕食時、ヴィルフリートからダンケルフェルガーとのお茶会要請を受けたことを知らされる。共同研究や領地対抗戦での発表方法について話し合う必要があったためである。さらに、レスティラウトがディッター物語用の挿絵を持参し、買い取りを求めていることも明かされた。
ローゼマインは、挿絵購入には自分の私費か印刷業予算を使う必要があるため、エーレンフェストとの調整が不可欠だと説明した。しかし、その流れから、ヴィルフリートに「報告を怠るな」と逆に説教されることになり、奉納式中に予定外の大規模な癒しを行った件について、きちんと報告するよう求められた。
寝込みながら進む準備
奉納式後、ローゼマインは疲労で熱を出して寝込んだ。しかし、その間にもダンケルフェルガーとのお茶会準備は進められていった。リヒャルダやブリュンヒルデは体調を優先させ、フィリーネ達はエルヴィーラから届いた資金を報告した。レスティラウトの絵を買い取るための予算である。
二日後に回復したローゼマインは、ヴィルフリート達からドレヴァンヒェルの様子を聞いた。ドレヴァンヒェルでは、御加護獲得のため全員が真剣にお守り作りへ取り組んでおり、その行動力にヴィルフリートは大きな差を感じて落ち込んでいた。エーレンフェストでは情報を事前に得ていたにもかかわらず、領内全体へ広がっていなかったからである。
レスティラウトの挿絵披露
お茶会当日、レスティラウトは研究の話より先に挿絵を披露した。並べられた十枚ほどの白黒イラストは、騎獣へ跨る騎士達やディッターの迫力を見事に描き出しており、ローゼマインはその完成度に驚愕した。ヴィルマとは違う力強い画風でありながら、挿絵として十分な魅力を持っていたのである。
ヴィルフリートは興奮し、ぜひ買い取るべきだと熱弁した。しかし、ローゼマインは、印刷にはガリ切りという工程があり、他者の手が入ることで絵の雰囲気が変わると説明した。さらに、印刷技術流出の危険性から、ダンケルフェルガーへその工程を任せるわけにはいかないと明言した。
レスティラウトは当初不満そうだったが、ローゼマインが、技術流出はエーレンフェストにとって致命的だと説明すると納得を示した。最終的に、他者の手が入ることを受け入れられるか検討した上で返答することになった。
共同研究の発表方針
挿絵の話が終わると、共同研究の発表方法について協議が行われた。レスティラウトによれば、共同研究では展示場所によって来客数に差が出るため、どちらの領地で発表するかが重要らしい。
ローゼマインは、共通部分は聞き取り調査のみであり、実際の儀式内容は領地ごとに大きく異なるため、それぞれの領地で独自に発表すれば良いと提案した。ヴィルフリートも賛同し、ダンケルフェルガーは光の柱の検証結果、エーレンフェストは独自の儀式を発表する方針となった。ハンネローレは、この合意に安堵していた。
ゲヴィンネンとダンケルフェルガー文化
話し合いが終わると、レスティラウトはヴィルフリートをゲヴィンネンへ誘った。ヴィルフリートは闘志を燃やし、卒業までに一度は勝ちたいと宣言した。
その準備を見ながら、ローゼマインはダンケルフェルガーのお茶会室に飾られている青い彫刻がゲヴィンネンの駒を模していることに気付く。ハンネローレによれば、ダンケルフェルガーではディッター後の反省会にもゲヴィンネンが使われており、儀式・試合・反省会の全てが文化として根付いていた。ローゼマインは、神具や儀式が現代まで残っている理由に納得した。
奉納式の反響
ハンネローレは、奉納式後の上位領地のお茶会が大いに盛り上がったことを語った。参加者達は、皆で祈る一体感や光の柱、王から直接感謝されたことに強い感動を覚えていたのである。さらに、ローゼマインの神々しい姿にも大きな衝撃を受けていた。
ローゼマインは、実際には魔力暴走を必死に抑えていただけだったため、それが露見していなかったことに安心し、自分の成長を感じていた。また、各領地ではお守り作りや神具再現への挑戦が流行し始めており、特にライデンシャフトの槍を再現したい者達が多いと知らされる。
神具習得の秘密
ハンネローレは、複数神具を扱う方法を教えてほしいと頼んだ。ローゼマインが逆にフェアフューレメーアの杖の習得方法を尋ねると、ハンネローレは実際に杖を作り出し、触れて魔力を流して覚えると説明した。ローゼマインが魔力を流し込むと、他人の魔力に驚いたハンネローレは小さな悲鳴を上げる。領主一族内でのみ継承される理由を理解したようだった。
ローゼマインも、自分の神具習得方法はほぼ同じだと説明した。神殿の神具へ一定以上の魔力を奉納すると、魔法陣が頭へ刻み込まれ、シュタープで自然に再現できるようになるというのである。
さらに、神殿が蔑まれている現状では、たとえ神具を扱える者がいても表に出てこないだろうと推測した。真摯に祈りを捧げていれば御加護を得られた者もいたはずだが、神殿や神々への反感を抱えたままでは難しかっただろうとも考えていた。
エアヴェルミーンの物語
ローゼマインは、以前コルドゥラが口にした「エアヴェルミーンを失ったエーヴィリーベ」という表現について尋ねた。ハンネローレは、エアヴェルミーンがエーヴィリーベとゲドゥルリーヒの結婚を仲介した縁結びの神であり、その後ゲドゥルリーヒを守るためエーヴィリーベと決別した存在だと説明した。
ローゼマインは、そのような零れ話が記された本を読むことを心から楽しみにした。また、フェルネスティーネ物語についても話題となり、ハンネローレは続きが気になって仕方ない様子を見せる。ローゼマインは、最終的には幸せになるとだけ保証し、続刊への期待を煽った。
突然の宣言
その時、ゲヴィンネンをしていたヴィルフリートが突然立ち上がり、「違います、レスティラウト様!」と大声を上げた。部屋中の視線が集まる中、ヴィルフリートは強い表情でレスティラウトを見据えた。
そして、エーレンフェストの次期アウブはローゼマインではなく自分だと強く主張したのである。
対立
ヴィルフリートとレスティラウトの衝突
ヴィルフリートが突然声を荒げたことで、お茶会の空気は一変した。ハンネローレは席を立ち、兄レスティラウトへ何を言ったのか問いただした。レスティラウトは大したことではないと流そうとしたが、ハンネローレは、些細なことでヴィルフリートが激昂するはずがないと断言し、代わりに謝罪した。
ヴィルフリートも、ゲヴィンネン中の挑発に乗ってしまった自分が浅はかだったと応じる。しかし、その直後に彼は、ジルヴェスターはローゼマインをアウブにするつもりはないと明言した。ローゼマインは虚弱であり、健康に不安のある娘へ過酷な負担を強いることはしないというのである。
ローゼマインは、その発言からレスティラウトがジルヴェスターの悪評を利用して挑発していたことを察した。繰り返される悪意ある噂話への苛立ちは、自分にも理解できるものだった。
レスティラウトによる挑発
しかし、レスティラウトはさらに挑発を続けた。健康問題があるから能力に関係なくヴィルフリートが次期アウブなのか、と皮肉を口にしたのである。ヴィルフリートの拳には怒りがこもっていた。
ローゼマインは二人の間へ立ち、礎を支える魔力が十分ならば、健康な男子を次期領主にするのは自然なことだと主張した。自分よりヴィルフリートを選ぶ方が当然だという立場を示したのである。
するとレスティラウトは、ローゼマインほど突出した才能を持ちながら第一夫人に甘んじるのかと問い返した。ローゼマインは、そもそも領主の座を望んだことはないと答え、自分の望みを語る。
ローゼマインの望み
ローゼマインが望んでいたのは、領主の第一夫人となって図書館の司書になることであった。印刷業を発展させ、自分の図書館へ本を増やし続けることが彼女の夢であり、そのために本作りへ全力を注いできたのである。領主として政務を担うことには全く興味がなかった。
その答えを聞いたレスティラウトは、ならば問題ないとして、突然ローゼマインへ第一夫人になれと求婚した。部屋中が騒然となり、ハンネローレも慌てて止めようとしたが、レスティラウトは意に介さなかった。
ローゼマインは唐突すぎる求婚に混乱した。貴族の求婚はもっと正式なものだと思っていたため、世間話の延長のように告げられた言葉をどう受け止めればよいのかわからなかったのである。
ダンケルフェルガーへの勧誘
レスティラウトは、ローゼマインの価値を並べ立てた。神具を複数扱える魔力、数多くの御加護、新たな流行や産業を生み出す知識、王族との繋がり、聖女としての名声。その一方で、エーレンフェスト全体はローゼマイン一人だけが突出し、周囲が追いついていないと指摘した。
さらに、下位領地の感覚ではローゼマインの才能を活かしきれないと断じ、ダンケルフェルガーならば長い歴史の中で蓄積された膨大な本や資料を提供できると語る。そして、自分のところへ来いと改めて勧誘した。
ローゼマインは、一瞬心を大きく揺さぶられた。ユルゲンシュミット随一の資料群という言葉は、彼女にとって極めて魅力的だったのである。だが同時に、ダンケルフェルガーへ行けば、家族やグーテンベルク達、フェルディナンドから受け継いだ図書館と離れることになると気付いた。
そして、エーレンフェストの職人以上の人材がいるというレスティラウトの発言を聞いた瞬間、ローゼマインの迷いは消えた。自分の大切な人々を軽視されたことで、冷静さを取り戻したのである。
ローゼマインは、魅力的な提案だと認めつつも、きっぱりと断った。
ディッターによる奪取宣言
断られたレスティラウトは、今度は雰囲気を一変させた。欲しいものは力ずくでも勝ち取る。それがダンケルフェルガーだと宣言し、ディッターで決着をつけると言い放ったのである。
ローゼマインは、やはりディッターに持ち込まれたかと内心で呆れた。レスティラウトは、勝利すれば婚約解消へ圧力をかけるとまで断言した。第二位の大領地による圧力は、エーレンフェストにとって極めて重いものだった。
ヴィルフリートが、勝負を受けなければどうなるのか尋ねると、レスティラウトは最初から勝負を捨てるなら同じ手段を取るだけだと答えた。そして、ダンケルフェルガーはディッターの誓約だけは守ると宣言する。エーレンフェストが勝てば、今後ローゼマインへ手を出さないというのである。
ローゼマインの反撃
一方的に押し込まれる状況に、ローゼマインは反撃を考えた。そして、レスティラウトの弱点としてハンネローレへ目を向ける。
ローゼマインは、もしエーレンフェストが勝利したならば、ハンネローレをヴィルフリートの第二夫人として迎えると宣言した。部屋中がさらに大きくざわめく。レスティラウトは激昂し、ハンネローレを守るように前へ出た。
ローゼマインは、王の許可を得た婚約を解消しろという無茶を押し付けるなら、自分達も同じ気持ちだと返した。もし本気でディッターを仕掛けるなら、こちらも本気でハンネローレを求めるというのである。
ヴィルフリートもすぐに意図を理解し、ハンネローレの将来を軽々しく賭けてよいのかと挑発した。ハンネローレ自身も、自分達の将来をお茶会の戯言で決めないでほしいと懇願した。
しかし、レスティラウトは引かなかった。ローゼマインを第一夫人に迎えることは、ダンケルフェルガーの未来の利益のためだと断言したのである。
ヴィルフリートの決意
その後、ヴィルフリートはローゼマインへ問いかけた。エーレンフェストを本当に望むのか、と。レスティラウトの指摘を受け、自分がローゼマインの価値を理解できていなかったことを認めたのである。彼は、ローゼマインを抑えることばかり考え、その知識を活用する視点を持てていなかったと反省した。
ローゼマインは、自分の大切なものは全てエーレンフェストにあると告げた。そして、自分のゲドゥルリーヒはエーレンフェストなのだと断言する。
その言葉を聞いたヴィルフリートは、次期アウブとしてローゼマインを守ると誓った。エーレンフェストにいたいと願う彼女を守れなければ、家族失格だとも語ったのである。
レスティラウトはその覚悟を認めた上で、正式にディッターを申し込んだ。ヴィルフリートもまた、エーレンフェストの宝を易々と渡さないと宣言し、挑戦を受けて立った。
ディッター準備
ディッターの日程調整
レスティラウトとヴィルフリートは、ディッターの日程や訓練場の確保について話し合いを始めた。審判役となるルーフェンの予定や会場準備が必要であり、すぐには実施できない状況だった。騎士見習い達も集まり、戦いへ向けた打ち合わせが進められていく。
その一方で、ハンネローレはローゼマインへ声をかけ、盗聴防止の魔術具を使って二人きりで会話を始めた。彼女は、お茶会をこんな事態にしてしまったことを深く謝罪した。レスティラウトが挑発を繰り返し、婚約者の前で求婚し、さらにディッターへ持ち込んだことを申し訳なく思っていたのである。
ローゼマインも、自分がハンネローレを巻き込んでしまったことを謝罪した。しかし、ハンネローレは、ディッターで決まったことは覆せないと告げる。少なくともダンケルフェルガーでは、その誓約は絶対だった。
ハンネローレとの友情
ローゼマインは、もしハンネローレに望む相手がいるならば、自分達が勝利した際にはその相手と結ばれるよう交渉すると提案した。しかし、ハンネローレは、自分の結婚相手は家族が決めるものだと語る。それでも、ローゼマインのように自分の意志を貫く姿を見て、初めて自分で選びたいと思ったと打ち明けた。
ローゼマインは、もしエーレンフェストへ来ることになったなら、幸せになれるよう全力を尽くすと約束した。ハンネローレを友人として大切に思っていたからである。ハンネローレも、今回の件で友人関係を絶とうとしなかったことを喜んだ。ローゼマインは、ハンネローレは心の友だと断言した。
その後、ハンネローレは重要な忠告を与えた。ダンケルフェルガーは、ローゼマインの風の盾を破る方法を既に知っているというのである。ローゼマインは、その言葉に大きな危機感を抱いた。
作戦会議の開始
寮へ戻ると、ローゼマイン達は側近を集めてディッター対策の会議を始めた。シャルロッテは、なぜお茶会へ行って婚約解消を賭けたディッターになったのか理解できず、青ざめていた。ヴィルフリートは説明を試みたが、途中で諦め、対策を立てる方が先決だと話を切り替えた。
レオノーレは、風の盾が使えなくなると勝率は大きく下がると分析した。しかし、完全に使わないのも悪手であり、どの程度無効化されるのか見極める必要があると語る。さらに、ラウレンツは、ローゼマインが盾を張るまでの時間が最大の弱点だと指摘した。盾が完成する前に狙われる可能性が高いというのである。
ローゼマインは、大規模なヴァッシェンのような魔術で時間を稼げないか提案したが、マティアスに却下された。大規模魔術は魔力消費が激しく、騎士達が戦えなくなる危険があるからである。
側仕えを利用した新戦術
そこでリヒャルダが、昔の宝盗りディッターの戦術を提案した。魔力の少ない騎士と、魔力の多い側仕えを入れ替え、側仕えに魔術具や回復薬の管理をさせるという方法である。
特にユーディットのような遠距離攻撃型の騎士へ魔力供給役の側仕えを付ければ、使用できる魔術具の数を大幅に増やせるという。さらに、癒しの魔術を使う側仕えを陣地待機させる戦術も説明された。
ヴィルフリートは、最も魔力の多い側仕えとしてブリュンヒルデとイージドールを選出した。そして、自分達三人で大規模ヴァッシェンのような妨害魔術が使えないか検討し始める。
神具の利用計画
ヴィルフリートは、神具を利用した戦法についても相談した。ターニスベファレン戦でローゼマインが神具のマントを使い、敵の攻撃を防いだことを思い出したのである。
ローゼマインは、神具をシュタープで作るには大量の魔力が必要なので、神殿から本物を借りる方が早いと提案した。ただし、ライデンシャフトの槍は威力が強すぎるため、ハンネローレを傷付ける危険があり不適切だった。
また、闇の神のマントは黒の武器と誤解される危険があり、フリュートレーネの杖は敵味方問わず回復してしまうため使えないと判断した。そして、これまで使ったことのないエーヴィリーベの剣なら今回の戦いに適しているかもしれないと考えた。
ヴィルフリートはすぐにエーレンフェストへ連絡を送り、神殿からエーヴィリーベの剣を運ばせる手配をした。さらに、クラリッサの広域魔術補助用魔術具の研究についても調査を依頼した。
戦闘準備の本格化
ローデリヒはフェルディナンドのディッター指南書から有用な魔術具を書き出し、レオノーレへ渡した。レオノーレはそれをもとに文官へ魔術具と回復薬の製作を指示し、騎士達には素材採集と訓練を命じた。
マティアスは、ローゼマインの祝福に身体を慣らすことで勝率が上がるかもしれないと提案した。ダンケルフェルガーがどれほど祝福を使いこなしているかわからない以上、少しでも対抗策が必要だったのである。ローゼマインは騎士達へアングリーフの祝福を与えた。
その後、ローゼマインはフェアフューレメーアの杖の情報を求めて地下書庫へ向かうことを決めた。ヒルデブラントへ頼んでみると、予想外にあっさり許可が下りたのである。
地下書庫での調査
翌日、ローゼマインはレオノーレ達を伴って図書館地下書庫へ向かった。シュバルツ達は以前と同じく彼女を「ひめさま」と呼んで歓迎した。
ローゼマインは、フェアフューレメーアの儀式や春を呼ぶ儀式についての資料を探し、必要な魔法陣を書き写していく。ハンネローレは、ヒルデブラントにディッターの話が知られてしまったことを気にしていたが、ローゼマインは悪いのはレスティラウトだと主張した。
ハンネローレは、兄が問題を起こすたびに自分まで一緒に叱られてきたと苦笑し、今回も同じだろうと諦め気味に語った。
ハルトムートの参戦
寮へ戻ると、エーヴィリーベの剣と共にハルトムートが到着していた。彼は、神具を運ぶのは神官長の役目だと言い、クラリッサの研究内容も詳細に覚えていると説明した。ローゼマインは、その有能さを大いに称賛した。
ハルトムートは、ディッター当日まで貴族院へ滞在し、魔術具作製を全面的に支援すると宣言した。文官達は彼を中心に次々と魔術具を製作し、騎士達は訓練と採集を繰り返して作戦を練り上げていった。
ローゼマインは、祝福を与えたり、フェアフューレメーアの杖の練習をしたりしながら、ヴィルフリートへエーヴィリーベの剣の使い方を教えた。そして、自らシュタープで剣を再現し、命の神の祝詞を唱える。すると吹雪と共に白い光の柱が立ち上がり、魔力がどこかへ飛んでいった。
嫁取りディッター
嫁取りディッターの開始
ディッター当日、ローゼマイン達は競技場へ向かい、審判役のルーフェンと合流した。ルーフェンは、今回の勝負が「嫁取りディッター」であると説明した。これはダンケルフェルガーに伝わる風習であり、求婚を拒まれた男性側が花嫁を得るために行う宝盗りディッターだった。
ローゼマインは、何も得る物がない勝負など受けられないとして、ダンケルフェルガーが負けた場合にはハンネローレをもらう条件を提示していた。ハンネローレ自身も望まぬ勝負に巻き込まれていたが、ダンケルフェルガーでは一度決まったディッターを取り下げることは許されなかった。
ヒルシュールは研究を妨げられたことに苛立ちながらも、ローゼマイン達へ負けるなと圧力をかけた。観客席には両領地の学生達が集まり、ダンケルフェルガー側は試合を記録するための大型魔術具まで持ち込んでいた。
エーレンフェストの布陣
ローゼマイン達は競技場内で陣形を整えた。前衛にはマティアス、ラウレンツ、トラウゴットら上級騎士が並び、中列ではレオノーレが全体指揮を執る。後方にはローゼマインと遠距離攻撃役のユーディットが配置された。
作戦の要は、試合開始直後にローゼマインがシュツェーリアの盾を完成させることだった。そのため、全騎士がゲッティルトで防御しながら時間を稼ぎ、ヴィルフリート、イージドール、ブリュンヒルデの三人が広範囲ヴァッシェンを放つ準備を進めた。
ダンケルフェルガー側も同様に大量の魔術具や回復薬を準備しており、双方とも長期戦を想定していた。ローゼマインは、フェルディナンド由来の戦術が既に敵へ流出している可能性を警戒していた。
開幕直後の奇襲
試合開始と同時に、エーレンフェスト側は一斉にゲッティルトを展開した。ローゼマインは盾の陰でシュツェーリアの盾の祝詞を唱え始める。
その瞬間、ダンケルフェルガー側が強烈な閃光魔術具を投げ込み、最前列の騎士達の視界を奪った。しかし、ローゼマインは後方にいたため無事に祝詞を継続できた。
視界を失いながらも、ヴィルフリート達三人は広範囲ヴァッシェンを発動した。大量の水流がダンケルフェルガー陣地へ押し寄せ、攻勢へ出ようとしていた騎士達を押し流した。この二十秒ほどの時間稼ぎによって、ローゼマインはシュツェーリアの盾を完成させることに成功した。
完成した盾からは黄色の光柱が立ち上がり、ローゼマインはシュタープを用いて祈りを行ったことが影響しているのではないかと推測した。
フェアフューレメーアの儀式
レオノーレの指示で、ローゼマインは続けてフェアフューレメーアの儀式を開始した。これは敵の祝福を神々へ返還する儀式だった。
その間、ユーディットはハルトムート製の魔術具を敵陣へ投擲した。魔術具は赤い煙や粉塵を撒き散らし、目や喉に激痛を与え、手足の痺れまで引き起こした。ダンケルフェルガーの騎士達は混乱し、攻勢が完全に止まる。
ローゼマインが儀式を完成させると、ダンケルフェルガー側から祝福が吸い取られ、戦意まで穏やかに変化していった。これによってエーレンフェスト側はようやく互角に近い状況を得た。
ラールタルクとの激戦
しかし、ダンケルフェルガー側にはラールタルクという突出した強者が存在していた。ラウレンツとトラウゴットの二人掛かりでも押し切れず、マティアスが常に援護へ回らなければならない状況だった。
エーレンフェスト側はユーディットの魔術具攻撃で人数差を作り出そうとしたが、それでもダンケルフェルガーの個々の技量は圧倒的だった。回復のために戻る騎士が増え始め、次第に戦列が乱れていく。
ローゼマインは次々と癒しをかけ続け、自らの魔力を削りながら味方を支えた。だが、レスティラウトはその状況を見抜き、一気に攻勢へ出るよう命令した。
エーヴィリーベの剣の発動
押し込まれ始めたエーレンフェルガー側は、ヴィルフリートが神具エーヴィリーベの剣を使用する決断を下した。ユーディットが高威力の魔術具で敵陣を混乱させる中、ヴィルフリートは祈りを唱えながら神具へ魔力を注ぎ込む。
ダンケルフェルガー側は必死に妨害しようとしたが、フェルディナンドの護符が攻撃を弾き返した。やがてヴィルフリートが剣を振るうと、冬の主の眷属が大量に出現し、敵陣へ襲い掛かった。
これによってエーレンフェスト側は一時的に立て直しに成功し、さらにユーディット達が高レベル魔術具で敵の回復薬を破壊していった。レスティラウトはローゼマインを「卑劣にして性悪」と罵ったが、ローゼマインは油断した方が悪いと考えていた。
シュツェーリアの盾への総攻撃
レスティラウトは、ローゼマインの魔力消耗を見抜き、ラールタルクへ総攻撃を命じた。ラールタルクは巨大な魔力奔流を放ち、エーレンフェストの騎士達を吹き飛ばしながらシュツェーリアの盾へ直撃させる。
ローゼマインは盾へ全力で魔力を注ぎ込み、ユーディット達を守り抜いた。攻撃後、騎獣が消えて地面へ座り込むほど消耗していたが、盾そのものは維持されていた。
その直後、レスティラウトが黒い盾を用いてシュツェーリアの盾内部へ侵入してきた。その盾はダンケルフェルガーの秘宝であり、魔力の壁へ穴を開けて突破できる特殊な盾だった。
ユーディットはレスティラウトへ斬りかかったが、敵意を持った瞬間に盾の外へ弾き出されてしまう。レスティラウトはローゼマインへ降伏を促したが、彼女は拒絶した。
激マズ薬と逆転
追い詰められたローゼマインは、最後の手段として激マズ回復薬を飲み干した。壮絶な苦味と臭気に苦悶しながらも、一気に魔力を回復させる。レスティラウトは服毒したと誤解して動揺した。
回復したローゼマインはライデンシャフトの槍を召喚し、レスティラウトへ反撃した。武術の技量は皆無だったが、神具そのものの力で黒い盾へ攻撃を叩き込む。
槍と盾が激突すると、黒い盾は魔力飽和によって金粉化を始めた。秘宝を失ったレスティラウトはシュツェーリアの盾外へ弾き出される。ローゼマインはこれで敗北を回避したと安堵した。
しかし、その直後、観客席のヒルシュールが上空から接近する何者かへ警告を発し、戦場は新たな局面へ突入していった。
乱入者
乱入者達の襲撃
嫁取りディッターの最中、突如として上空から攻撃用魔術具が降り注いだ。騎士見習い達がゲッティルトで防御する中、競技場へ乱入してきたのは複数の中小領地の騎士見習い達だった。彼等は「エーレンフェストの聖女は勝者のものだ」と叫び、ローゼマインを巡る争奪戦へ割り込んできたのである。
レスティラウトは激怒し、ダンケルフェルガーの騎士見習い達も迎撃へ飛び立った。しかし、相手の戦力や準備が全く読めず、混戦状態へ突入していく。
エーレンフェストの立て直し
ローゼマインは、まず負傷者の回収と癒しを優先した。エーレンフェルガー側はダンケルフェルガーとの激戦で既に疲弊しており、そのままでは乱入者への対応すら不可能だったのである。
ユーディットは拘束を解かれた後、怪我人確認へ奔走した。さらにヴィルフリートは、置き去りにされていたハンネローレをシュツェーリアの盾内部へ保護する。ローゼマインは、領主候補生を放置して乱戦へ向かったダンケルフェルガー側へ強い怒りを示した。
ローゼマインはフリュートレーネの杖を用いてルングシュメールの癒しを発動し、盾内部の全員を一斉に回復した。再び光柱が立ち上がり、乱入者達は大きく動揺する。
ローゼマインの体調悪化
癒しを終えたローゼマインは、自身の身体に異変が起き始めていることを自覚した。回復薬の過剰摂取と連続した魔力消費により、視界が白黒に点滅し始めたのである。
それでも彼女は指示を止めず、回復薬や魔術具の残数確認を命じた。しかし、その最中にダンケルフェルガーの騎士見習いが上空から墜落する。ローゼマインは危険を承知で騎獣に乗り、直接癒しへ向かった。
護衛騎士達は驚愕したが、ローゼマインは「目の前に怪我人がいて、自分には癒す力がある」と言い切り、迷わず治療を行った。騎士見習いは回復後、礼を述べると即座に戦場へ戻っていった。
観客席への波及
乱戦はさらに拡大し、ダンケルフェルガーの観客席からも騎士見習い達が参戦し始めた。その結果、上空からの攻撃がエーレンフェスト側観客席へ向かい始める。
観客席には疲弊した文官見習いや戦闘能力の低い側仕え見習い、さらにシャルロッテまでいた。ヴィルフリートは即座に騎士見習い達へ観客席防衛を命じ、安全確保を最優先に切り替えた。
その一方で、ローゼマイン自身は限界に近付きつつあり、レオノーレは彼女を抱えてシュツェーリアの盾へ戻した。
ディッター中止の判断
ヴィルフリートは、もはやディッター続行は不可能と判断した。ハンネローレも同意し、海の女神の儀式で乱戦を鎮める方向へ切り替わる。
その矢先、上空で大きな金属音が鳴り響き、全員が動きを止めた。ルーフェンが中央騎士団へ激怒し、何故王命もなくディッターへ乱入したのかを問い質したのである。
乱入者達の背後には中央騎士団が存在していた。彼等は「王族はローゼマインがダンケルフェルガーへ移ることを憂えている」と主張し、中小領地を煽動していたのである。
ルーフェンは、正式な王命が存在しないことを確認済みだと宣言し、中小領地の騎士見習い達へ即座に撤退するよう命じた。責任問題を恐れた学生達は一斉に逃走し、上空には中央騎士団とダンケルフェルガーだけが残った。
中央騎士団との対峙
レスティラウトは王命なき乱入を「言語道断」と断じ、中央騎士団の拘束を命じた。しかし、中央騎士団は中央へ選抜された精鋭であり、学生達だけでは圧倒し切れない。
そこへアナスタージウス率いる本隊が到着した。彼は中央騎士団の騎士達を即座に拘束し、その場で事情聴取を開始する。これによって乱戦はようやく終息へ向かった。
ローゼマインの離脱
戦いが終わったことで緊張が切れたローゼマインは、一気に体調を悪化させた。シュツェーリアの盾を消した後も吐き気と不調が治まらず、リヒャルダは彼女を見て即座に寮へ戻すべきだと判断する。
ローゼマインは当事者として残る義務を気にしたが、アナスタージウスは彼女の顔色を見て「さっさと戻れ」と命じた。
寮へ戻った後、リヒャルダは回復薬の規定量超過を厳しく叱責した。ローゼマインはフェルディナンド製の特殊な回復薬しか使えず、そのうえ過剰摂取で体調を崩す体質だったため、これ以上の服薬は禁止される。
そのまま着替えさせられたローゼマインは、強制的にベッドへ寝かされ、安静を命じられた。
エピローグ
ローゼマイン退場後の空気
ローゼマインがリヒャルダに抱えられて退出すると、観客席にいた学生達も次々とその場を去っていった。訓練場には領主候補生達と側近、そして寮監だけが残される。
ハンネローレは、シュツェーリアの盾に避難した時と同じ位置から、運び出されるローゼマインを見つめていた。彼女は、ディッター中に強靭な精神力で盾を維持し続けていたローゼマインが、今にも倒れそうなほど土気色の顔をしていることに強い衝撃を受ける。ダンケルフェルガーの騎士見習いよりも、むしろローゼマインこそ癒しを必要としていると感じていた。
ハンネローレの決断
レスティラウトに呼び戻されたハンネローレは、領地ごとに整列する場へ向かいながら、自分がエーレンフェスト側へ移動した事実を改めて実感していた。
乱入者への対応でダンケルフェルガーの騎士見習い達が上空へ向かった際、ハンネローレは一人で陣地に残されていた。そこへヴィルフリートが騎獣で駆け付け、危険だからエーレンフェストの盾へ避難するよう促したのである。
ヴィルフリートは武器も持たず、ただ彼女を守るためだけに盾を構えていた。その真っ直ぐな態度に、ハンネローレは今まで味わったことのない感覚を抱く。危険から守られ、案じられる存在になることが、彼女には新鮮で心地良かったのである。
そして彼女は、自らの意思で陣を出てヴィルフリートの手を取った。その瞬間、ダンケルフェルガーの敗北が確定した。
王族を交えた事情聴取
全員が整列した後、アナスタージウスは今回のディッターについて説明を求めた。ルーフェンとヒルシュールが概要を説明したものの、あまりに異例尽くしの内容に、アナスタージウスは険しい表情を崩せなかった。
ヴィルフリートが即座に謝罪した一方で、レスティラウトは王族相手にも一歩も引かず、今回の問題は中央騎士団側にあると主張する。彼は、正式申請済みの神聖なディッターへ中央騎士団が乱入したことを問題視し、謝罪と厳罰を要求した。
さらにレスティラウトは、神々へ祈りと祝福を捧げたディッターの結果を覆すことは不敬であり、仕切り直しは認めないと断言した。ハンネローレが自ら陣を出た以上、勝敗は既に決しているというのである。
ヴィルフリートは、ハンネローレを安全確保のために誘導しただけだと弁明したが、レスティラウトは受け入れなかった。
アナスタージウスの警告
その後、アナスタージウスはヴィルフリートへ厳しい忠告を与えた。今回ディッターを受けたことで、今後ローゼマインを狙う他領からの挑戦を拒否しにくくなったと指摘したのである。
ローゼマインは流行、神事、共同研究などによって急速に価値を高めており、上位領地が関心を抱くのも当然だった。アナスタージウスは、ローゼマインを守り切れるかは婚約者であるヴィルフリートの立ち回り次第だと告げた。
ヴィルフリートは王族からの叱責を受け、項垂れながら退場した。
ハンネローレの本心
寮へ戻った後、ハンネローレはレスティラウト達から何故自ら陣を出たのか問い詰められた。
ヴィルフリートに差し出された手と、彼の真っ直ぐな瞳を思い出したハンネローレは、自分が危険から逃げたわけではないことを理解していた。ヴィルフリートに守られる存在になりたいと思ったからこそ、彼の手を取ったのである。
コルドゥラは、それを恋心による行動だと指摘した。ハンネローレ自身は、まだ恋と呼べるほど明確な感情ではないと戸惑っていたが、ヴィルフリートを想う気持ちを否定もできなかった。
周囲の騎士見習い達も、ハンネローレを責めることはなかった。領地としては敗北でも、彼女個人としては望む未来を手にした勝利だと受け止められたのである。
レスティラウトは、自分の情報収集不足と妹への甘さが招いた結果だと認めながらも、ディッターの結果を覆そうとはしなかった。
ハンネローレは、自分の手を見つめながらヴィルフリートと手を重ねた瞬間を思い返していた。その記憶を胸に浮かべた彼女の表情は、周囲が息を呑むほど柔らかく綻んでいた。
聖女の儀式
共同研究への参加準備
リュールラディは、ダンケルフェルガーとエーレンフェストによる共同研究へ参加するため、儀式の注意事項を確認していた。身体の清めや回復薬の準備、祈りの言葉の暗記など、多くの準備が必要だったのである。
リュールラディは以前からローゼマインへ強い関心を抱いていた。恋物語を好むローゼマインと気が合うと考えており、ハルトムートやフィリーネ、ミュリエラから情報を集めていたのである。エーレンフェストで作られている新しい恋物語への憧れも強く、いずれ自分もエーレンフェストへ嫁ぎたいと夢見ていた。
エーレンフェストへの注目
リュールラディは、近年エーレンフェストが急速に勢力を伸ばしている理由についても理解を深めていた。成績優秀者の増加、魔力の高さ、新たな流行の発信、そして王族や上位領地との繋がりによって、かつて底辺だった中領地は大きく変貌していたのである。
特にローゼマインの存在は異質だった。座学や実技で圧倒的な成績を収めながら、社交の場にはほとんど姿を見せず、神殿や共同研究に関わる噂ばかりが広まっていた。リュールラディは、実際にローゼマインと交流できる機会を得たことで、その人物像にますます惹かれていった。
共同研究参加の条件
ローゼマインは、お茶会で神事を見学する共同研究への参加を許可した。ただし、ダンケルフェルガー側との調整が必要であり、参加にはディッターが条件となった。
ヨースブレンナーは共同研究参加のため、ダンケルフェルガーと宝盗りディッターを行うことになった。しかし結果は惨敗であり、大量の回復薬と魔力を消費する大損害となる。それでも騎士見習い達の奮闘により、三名分の参加許可証を得ることには成功した。
リュールラディは、さらに魔力を使う儀式へ参加することに不安を抱いたが、ミュリエラから「神々に愛されるとはどういうことかがわかる」と真剣に勧められ、参加を決意した。
講堂での異様な警戒態勢
講堂には二百人以上が集まっていた。しかも入口には中央騎士団が並び、異様な緊張感が漂っていた。参加者は許可証を提示しなければならず、護衛騎士ですら入室を拒否される徹底ぶりだった。
さらに、シュツェーリアの盾による選別が行われており、敵意や害意を持つ者は入室直後に弾き出されていた。アーレンスバッハの学生や、政変に不満を持つ領地の者達が次々と排除される様子を見て、リュールラディはこの儀式の異常さを実感する。
王族が並ぶ儀式会場
最奥の間へ入ったリュールラディは、そこに王族が勢揃いしている光景を見て衝撃を受けた。シュツェーリアの盾の中には、トラオクヴァール王や王子達、エグランティーヌらが並んでいたのである。
さらにローゼマインは神殿長の衣装をまとっており、ヴィルフリートやシャルロッテ、ハルトムートまでも青色神官の装束を着ていた。領主候補生達が実際に神殿で神事を行っている事実を、リュールラディはこの場で確信する。
奉納式の開始
奉納式は、参加者全員から魔力を集め、王族へ献上する儀式だった。突然知らされた内容に参加者達は驚愕したが、ヴィルフリートとシャルロッテは、儀式によって神々の御加護を多く得られる可能性が高まることを説明する。
ダンケルフェルガー側も、儀式による祝福がディッター強化へ繋がっていると証言し、この研究の成果を認めていた。
ハルトムートは、かつて神殿長がツェントを兼ねていた時代を語り、神々への祈りを見直してほしいというローゼマインの願いを説明した。その姿に、リュールラディはローゼマインの在り方を真の聖女のようだと感じ始める。
ローゼマインによる祈り
奉納式が始まると、白い神殿長装束をまとったローゼマインが静かに歩み始めた。その姿は神聖そのものであり、夜空色の髪と虹色魔石の髪飾りが幻想的に輝いていた。
ローゼマインはシュタープを巨大な聖杯へ変化させた。その姿は祭壇の神具と全く同じであり、参加者達は息を呑む。さらに祈りが始まると、参加者全員の魔力が赤い敷物を通じて聖杯へ流れ込み、やがて赤い光柱となって天井へ伸びていった。
その光景はあまりに神秘的であり、リュールラディは貴色の本当の美しさを初めて理解した。
奉納式後の疲弊
儀式終了後、参加者達は激しい疲労と魔力枯渇に襲われた。特に中小領地の上級貴族達はまともに動くこともできず、倒れる者まで現れる。
それを見たローゼマインは、事前に大量の回復薬を準備していた。しかもその回復薬は通常とは比較にならない速度で魔力を回復させる性能を持っていた。
王族自らが最初にその薬を飲んだことで、エーレンフェストがツェントから深く信頼されている事実も周囲へ示される。リュールラディは、これほど大量の高性能回復薬を準備したローゼマインの慈悲深さに驚愕していた。
フリュートレーネの癒し
魔力は回復しても疲労が抜けない者達を見たローゼマインは、さらにフリュートレーネの杖を出現させ、大規模な癒しを行った。
神具を当然のように次々扱う姿に、クラリッサはローゼマインを「メスティオノーラのようだ」と称賛する。エグランティーヌもその考えに理解を示し、ローゼマインが神々に愛されている存在だと認めるような発言をした。
ローゼマイン本人は困惑していたが、その場にいた者達の多くは、彼女が本当に聖女なのではないかと感じていた。
儀式を終えたリュールラディの感想
儀式を終えたリュールラディは、魔力も疲労も回復した状態で寮へ戻った。
今回の経験は、彼女の常識を次々と覆すものだった。神事、神具、王族との関係、そしてローゼマインという存在。その全てを目の当たりにしたリュールラディは、ローゼマインこそ本物の聖女なのだと強く実感していた。
注意すべき存在
アナスタージウスによる極秘報告
次期王ジギスヴァルトは、アナスタージウスから内密の報告を受けるため離宮へ招かれた。話題となったのはエーレンフェストの領主候補生ローゼマインであり、アナスタージウスは卒業式でエグランティーヌへ降り注いだ祝福の光が、ローゼマインによるものだったと明かした。
しかし、その祝福は計画的な政治工作ではなく、ローゼマインが奉納舞の歌を口ずさみながら祈った結果だという。あまりにも理解不能な内容に、ジギスヴァルトは強い警戒心を抱いた。
ローゼマインへの不信感
ジギスヴァルトは、以前からローゼマインを得体の知れない存在だと感じていた。恐ろしい速度で講義を終え、図書館へ通い詰める一方で表彰式には現れず、王族しか扱えないはずの図書館の魔術具へ干渉し、さらに祝福まで引き起こしていたからである。
二年生時には黒の武器を騎士見習い達へ与え、襲撃事件では不思議な盾で自領だけを守ったことも問題視されていた。さらに中央騎士団長ラオブルートが、フェルディナンドの出生や行動を調査した結果、ローゼマインとフェルディナンドが王族の書庫を狙っている可能性まで浮上していた。
星結びの儀式と条件提示
アナスタージウスは、自身とエグランティーヌの星結びの儀式でローゼマインへ神殿長役と祝福を依頼し、了承を得たと説明した。ただし、ローゼマイン側は複数の条件を提示しており、王族に条件を付ける姿勢へジギスヴァルトは不満を抱く。
しかしアナスタージウスは、目に見える祝福によって世論を動かせると主張した。これにより、中央神殿が主張していた「神々の祝福を受けたエグランティーヌこそ次期王に相応しい」という論調を崩せる可能性があったのである。
地下書庫と三本の鍵
話題は、王族しか入れないとされる地下書庫へ移った。上級司書オルタンシアが管理者として選んだのは、自身とダンケルフェルガーのハンネローレ、そしてローゼマインだった。
ジギスヴァルトは、危険視されているローゼマインを鍵の管理者にすることへ強く反対した。しかしアナスタージウスは、図書館へ継続的に魔力供給を行える人材が図書委員しかおらず、さらに上級貴族以上でなければ書庫へ辿り着けないと説明する。
王族側には人員的余裕がなく、長期間図書館へ側近を常駐させることも難しかったため、結果的にローゼマインとハンネローレが適任とされていたのである。
フェルディナンドへの疑惑
ジギスヴァルトは、ローゼマイン以上にフェルディナンドを危険視していた。ラオブルートの調査によって、フェルディナンドはアダルジーザの離宮で生まれた傍系王族ではないかという疑惑が浮上していたからである。
実際に離宮の記録には、先代アウブ・エーレンフェストが男児を引き取った記録が残っており、年齢から見てもフェルディナンドと一致していた。ジギスヴァルトは、フェルディナンドがグルトリスハイトを狙い、再び政変を引き起こす可能性を危惧していたのである。
ローゼマインからの新情報
その最中、ローゼマインから地下書庫についての新情報が届いた。三本の鍵を必要とする書庫には、王族が読むべき資料が存在し、一部の領主候補生も条件付きで入れるという内容だった。
アナスタージウスは、ローゼマイン自身が最初から知っていたわけではなく、鍵の管理者になった後にフェルディナンドから教えられたのだろうと推測する。しかしジギスヴァルトは、底辺領地だったエーレンフェストがそのような情報を持っている時点で不自然だと感じ、フェルディナンドへの疑念をさらに深めた。
ジギスヴァルトの判断
最終的にジギスヴァルトは、自ら地下書庫へ赴き、ローゼマインと直接会うことを決めた。アナスタージウスやオルタンシアが彼女を危険視していない理由を、自分の目で確かめる必要があると考えたのである。
一方で彼は、ローゼマインそのものよりも、背後にいるフェルディナンドこそ真に警戒すべき存在だと認識していた。グルトリスハイトを巡る動き、地下書庫の知識、そして王族に対する影響力。その全てが、平穏な王位継承へ不穏な影を落としていたのである。
頭の痛い報告書(三年)
粛清後の混乱と冬の主討伐
エーレンフェストでは、マティアスの情報提供によってゲオルギーネへ名捧げをしていた旧ヴェローニカ派の貴族達が一斉に捕縛された。だが、騎士団の突入時には証拠隠滅のために自害する者や館へ火を放つ者も多く、後処理は困難を極めていた。
粛清を前倒しした影響で騎士団は戦力と魔術具を消耗しており、冬の主討伐にも支障が出ていた。しかし、ローゼマインから大量の魔力を満たした空の魔石が送られ、さらに捕らえた文官へ強制労働として攻撃用魔術具を作らせたことで、何とか討伐の目処が立つ。
神殿の奉納式とハルトムートの暴走
神殿では、ローゼマイン不在の中でハルトムートが奉納式の準備を主導していた。騎士達まで青色神官の真似事をさせられ、儀式用衣装も用意されている状況に、コルネリウス達は振り回されていた。
その最中、フロレンツィアが貴族院から届いた報告書を読んで倒れてしまい、ジルヴェスターが代わりに内容を確認することとなった。報告書には、ローゼマインがダンケルフェルガーと共同研究を進め、貴族院で奉納式を行うため祭壇の使用許可を得たことが記されていた。
当初は大きな問題がないように見えたが、追伸として「王族も奉納式へ招待した」と書かれており、ジルヴェスターは頭を抱える。ローゼマインは純粋な善意で王族を助けようとしていたが、その結果として王族との関係が深まり過ぎていたのである。
共同研究と各方面の苦戦
一方、ドレヴァンヒェルとの共同研究では、エーレンフェスト側の文官見習い達が苦戦していた。発想力や情報操作など座学では測れない能力が求められ、提案を奪われる場面も多かったのである。
カルステッドはローゼマインへ助言を求めさせる案を出したが、ジルヴェスターはローゼマインが関わればさらに騒動を起こすと判断し、自分達で試行錯誤させる方針を取った。
クラリッサの異様な手紙
ハルトムート宛てに届いたクラリッサからの手紙も、ジルヴェスター達を困惑させた。内容は恋文ではなく、ローゼマインの神々しい姿を延々と称賛する文章で埋め尽くされていたのである。
ジルヴェスターは途中で読むのを断念し、クラリッサの熱狂ぶりへ呆れ果てた。レーベレヒトは、ローゼマインへ仕えるために嫁いできたダンケルフェルガーの上級貴族だと説明し、領地としては良縁だと評価していた。
ハルトムートの執念
呼び出されたハルトムートは、ローゼマインが貴族院で奉納式を行うと知った瞬間、自分が卒業してしまったことを嘆き始めた。ローゼマインの神事を見られないことを「側近失格」とまで言い切り、周囲を呆れさせる。
さらに彼は、神具や供物を運ぶ責任者として自分も貴族院へ行くべきだと主張した。神事の重要性や神具管理の責任を盾に執拗に食い下がり、最終的に王族から条件付きで出入り許可を得ることに成功する。
ツェント参加という最悪の展開
その後、新たな報告によって、奉納式にはアナスタージウスだけでなくツェント本人まで参加することが判明した。ジルヴェスターは前代未聞の事態に絶句し、共同研究自体を中止したくなるほど頭を抱えた。
だが、今さら止めることもできず、ハルトムートへ「無事に終わらせろ」と言い聞かせるしかなかった。エーレンフェスト側から貴族院へ直接介入する手段は存在しなかったのである。
奉納式後のさらなる衝撃
奉納式後に届いた報告書は、さらにジルヴェスター達の胃を痛める内容だった。ハルトムートはローゼマインの神々しさばかりを熱弁し、イグナーツはローゼマインがシュツェーリアの盾によって中央騎士団や護衛騎士見習い達を排除したと報告する。
シャルロッテは、ローゼマインがシュタープから神具を二つ作り出したことや、貴族院で神事を行うと光の柱が立つことを記していた。ジルヴェスターは内容を理解できず、胃痛を深めるばかりだった。
そしてローゼマイン本人の報告書は、「奉納式で余った魔力を図書館へ注いだ」という内容が中心であり、奉納式そのものより図書館の安泰を優先している様子だった。これを読んだジルヴェスターは、ローゼマインが常識とは異なる世界で生きていることを改めて痛感する。
終わらない頭痛
レーベレヒトは、奉納式が問題なく終わった以上、しばらく大きな事件は起きないだろうと楽観視していた。しかしジルヴェスターは、ローゼマインが関わる以上、何も起きないはずがないと断言する。
そしてその予感通り、この後には婚約済みのローゼマインを賭けたディッター騒動まで発生することとなり、ジルヴェスターの頭痛は途切れることがなかったのである。
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