第四部 貴族院の自称図書委員3レビュー
第四部 貴族院の自称図書委員
本好きの下剋上 全巻まとめ
第四部 貴族院の自称図書委員5レビュー
読んだ本のタイトル
本好きの下剋上 ~司書になるためには手段を選んでいられません~ 第四部「貴族院の自称図書委員Ⅳ」
著者:香月美夜 氏
イラスト:椎名優 氏
(PR)よろしければ上のサイトから購入して頂けると幸いです。
これまでのあらすじ
中世ヨーロッパ風の世界が舞台。
異世界なのでファンタジー要素もある。
日本で本の虫だった女子大生が、地震で本の下敷きになって死亡(多分)
次に目覚めたらファンタジー世界の門番兵の娘として目覚める。
貧しく、衛生面も最悪。
身体は魔力が大きいせいで貧弱。
さらに彼女に必須アイテム本が高価で手が出ない。
なら創れば良いじゃないかと、、
そんな彼女は幼馴染のルッツと共に紙作りを始める。
でも子供2人ではほとんど何もできない。
そこで、マインが開発した髪を綺麗にするリンシャン。
姉のトゥーリーの為に作った髪飾りの製法を父親の部下のツテから紹介されたべノン商会に売り、それを資金に紙作りの支援を受けて紙の量産体制に入ろうととしたら。
マインの魔力が身体を蝕み瀕死になってしまう。
生き残るためには貴族に隷属するしかない。
それを良しとせず大好きな家族と過ごす事を優先する決意したが、、
初めて神殿に行き、図書館を見付けた瞬間決意を覆して神殿の巫女見習になる事を決意。
でも平民である事がアダとなり、孤児と変わらない灰色巫女見習になる処だったが余りにも高圧的に言う貴族の神殿長にブチギレ、魔力で威圧して昏倒させ灰色巫女見習案は却下。
交代で出て来た神官長と交渉の末、貴族と同じ青色巫女見習として、通いで神殿に入る事が決まる。
第二部「神殿の巫女見習いI 神殿の巫女見習いⅡ 神殿の巫女見習いⅢ 神殿の巫女見習いⅣ」
神官長直属の神殿の青色巫女見習として神殿に通う事になったが、下町との常識が違い過ぎた。
神官長、神殿長から付けられた側仕えとの常識の擦り合わせに苦労する。
さらに神殿に着替える部屋が無いので欲しいと神官長に言ったら、孤児院の院長室を与えられたのだが、、
その孤児院の過酷な飢餓状況を知り、孤児たちに食べ物を自己の力で獲得する事を教え、さらに自身でお金を稼ぐ方法、紙作りを教える。
何気に孤児院の孤児達を本作りに巻き込み、絵を描くのが上手い灰色巫女を側仕えに追加して、遂に絵本を完成させる。
順風満帆と思ったのは束の間、神官長と共に騎士団の要請で赴いたトロンベ討伐の際に、貴族の目の前で貴族達を遥かに超える魔力を持ってる事を知られてしまい、拉致られそうになる。
それを恐れて神殿に籠っていたが、他領の貴族が神殿にまで押し入って来た。
その貴族を手引きしたのは、マインに威圧されて気絶させられた事を恨んでいる神殿長だった。
何とか撃退したのだが、、
平民が貴族を攻撃したと言われて問答無用で拘束されそうになったのだが、、
以前お忍びで来た領主に渡された、養女になる契約の印に印を付けた事によりマインは貴族になっていた。
その結果、実は領主の一族だった神殿長は公文書偽装で極刑。
マインはローゼマインとなり下町の家族と別れて領主の養女となり空席の神殿長に就任する。
第三部「領主の養女I 領主の養女Ⅱ 領主の養女Ⅲ 領主の養女Ⅳ 領主の養女Ⅴ」
貴族令嬢ローゼマインとなったが、いきなり領主の養女にはなれなかった。
上級貴族のカルステッドの第三夫人(故人)の娘という事にして、神殿で密かに育てられていた事にした。
そんな経歴を携えてローゼマインは領主の養女になった。
でも、貴族の世間は神殿とも下町とも違っており特に貴族のご婦人方と上手くやって行けるかは不安材料だったが、、
フェルディナンドをダシにして、お茶会を開催してフェルディナンドの演奏リサイタルを開催。
さらに、フェルディナンドの肖像画を印刷してパンフレットを作成。
結果、貴族のご婦人方の心をガッチリ掴んで貴族社会で確固たる地盤を得る。
そして、貴族として初めての冬。
冬籠りの部屋で一緒になった子供達にマイン工房作の絵本とカルタを与えて無自覚に勉強をさせる。
それは歳上の学院生達よりも神の名前限定だが詳しくさせた、、
さらに、紙でハリセン製造、水汲みポンプ作成、アンゲリカの説教剣(cvフェルディナンド)を作成して領地への貢献も増大して行く。
そんな中、元領主候補で跡目争いの火種になるとして隣の領地に嫁いでいたゲオルギーネが、政変を利用してのし上がり暗躍し始める。
その一手が領地の発展に寄与してるローゼマイン暗殺。
暗殺は未遂に終わったが、ローゼマインは毒を盛られて、たまたま作っていた治療薬を使って治療したが2年間意識不明となってしまう。
そして目覚めたら、、
学院に行く年齢になっていた!
第四部「貴族院の自称図書委員I 貴族院の自称図書委員Ⅱ 貴族院の自称図書委員Ⅲ貴族院の自称図書委員Ⅳ 貴族院の自称図書委員Ⅴ 貴族院の自称図書委員Ⅵ 貴族院の自称図書委員Ⅶ 貴族院の自称図書委員Ⅷ 貴族院の自称図書委員Ⅸ」
学院への入学式、、
見た目が学院に入る前の子供にしか見えないローゼマインは悪目立ちした。
さらに初日で全試験合格と言う快挙を挙げ、その成果でローゼマインの図書館への情熱が暴走して、ウサギ型魔法具が再起動。
その所有権を巡って第一位の領地と模擬戦で争う事になるが罠に嵌めて撃退・・
さらに次期王位を絡めた恋愛話もあり。
ローゼマインは首を突っ込んで王位継承権問題に巻き込まれるが。。。
本人はホクホク顔w
魔道具問題で争った他領の領主候補のハンネローレを本好き友達とロックオン!
でも、年齢が大きくなった事で、ルッツたち下町の連中とは素の状態で会えなくなってしまった。
それに動揺するローゼマイン、彼女からしたら3年と思ってたのが1年で終わってしまった心境だった。
それはルッツ達も同じだった。。
感想
貴族院1年生終了。
領主会議、領主会議で注目の集り順位も13位→10位になる。
領主の養女であるローゼマインに婚姻の申し込みが殺到しそうなので、予防策でローゼマインとヴィルフリートの婚約を決める。
でも双方実感が無いようでほほえましい。
アーレンスバッハからの花嫁が来て、ランプレヒトの元にアウレーリアが嫁いでくる。
一度は諦めていただけに・・・
でも不穏な空気も出てくる。
下町に下水道を整備する大型魔術エントヴィッケルンの発動。
ただし下町への告知は不十分、、
上流階級の下町への無関心さが露呈しつつ、その情報をローゼマインから下町の兵士に伝えたら奔走する兵士達が胸熱。
そして、浄化の魔法をぶっ放すフェルディナンド。
その後の領主様の大型魔術エントヴィッケルンは地味過ぎて下町の人達は認識してないww
何でも持って行ってしまうフェルディナンド、、
持ってるわ。。
(PR)よろしければ上のサイトから購入して頂けると幸いです。
第四部 貴族院の自称図書委員3レビュー
第四部 貴族院の自称図書委員
本好きの下剋上 全巻まとめ
第四部 貴族院の自称図書委員5レビュー
考察・解説
ヴィルフリートとの婚約
物語におけるヴィルフリートとの婚約について解説する。ヴィルフリートとローゼマインの婚約は、エーレンフェストの事情と派閥問題が複雑に絡み合った政治的決断であり、領地内に大きな波紋を呼ぶことになった。
婚約打診の背景とエーレンフェストの事情
貴族院の一年生を終えて城へ戻った直後、ヴィルフリートはジルヴェスターからローゼマインとの婚約を打診された。ローゼマインを他領へ嫁がせず、エーレンフェストに留め置かなければならない理由は以下の通りである。
- 新産業の保護:ローゼマインが主導する印刷業などの新産業が領地に根付くまでには少なくとも10年ほど必要であり、彼女が他領へ嫁げば印刷業の利益が流出してしまう恐れがあった
- 不安要素の多さ:ローゼマインは虚弱すぎて将来的に子が望めるかわからず、さらに本が絡むと普通の貴族では考えられない突飛な言動をする問題児であり、他領へ第一夫人として出すには不安要素が大きすぎた
フェルディナンドが除外された理由
婚約相手としてフェルディナンドも候補になり得たが、以下の理由から除外され、ヴィルフリートが最適と判断された。
- 派閥の対立懸念:ライゼガング派がフェルディナンドを次期領主に望んでいる状況で彼を婚約者にすれば、ジルヴェスターの子供達の立場が軽んじられ、領地内に混乱を招く危険があった
- フロレンツィアへの配慮:実子ではなく異母弟と養女が次期領主となれば、これまで我慢を重ねてきた第一夫人フロレンツィアを蔑ろにすることになり、他領からも欠陥があるように見られてしまうためである
ヴィルフリートの決断と側近の歓喜
白の塔に入ったことで汚点を持つヴィルフリートにとって、この婚約は自身の立場を劇的に改善する機会であった。
- 側近達に相談すると、彼らはヴィルフリートが確実に次期領主になれる、今までの努力がアウブに認められた結果だと大歓迎した
- この側近達の喜びと、自分の努力が報われたという解放感に後押しされ、ヴィルフリートは婚約を受け入れる決意を固めた
ローゼマインの承諾とシャルロッテの懸念
一方のローゼマインは、養子縁組の時点から政略結婚は織り込み済みであった。
- 彼女は城と神殿の図書室を好きにできれば構わないという、図書室の利用を条件にあっさりと婚約を受け入れていた
- これを知ったシャルロッテは、本につられてお父様やお兄様に騙されていないかとローゼマインを本気で心配し、ヴィルフリート自身が周囲に流されずに納得して決めたのかを確認している
婚約発表と貴族社会の動揺
春を寿ぐ宴において、ジルヴェスターから二人の婚約が電撃的に発表された。
- あまりに予想外の発表に大広間はざわめき、何故だという声が上がった
- 特に、ローゼマインを次期領主に押し上げようと一冬かけて暗躍していたライゼガング派の貴族達にとっては、これまでの努力が霧散する事態となった
- 納得できないライゼガング系の貴族達から罪を犯した者が聖女と婚約して次期領主になるのかという中傷を受け、ヴィルフリートは一時落ち込むことになった
まとめ
最終的に、春の領主会議において王から正式に婚約の承認が下りた。これにより、王の決定に異議を唱えられなくなった貴族達は表立った文句を封じられることになった。ヴィルフリートとの婚約は、ローゼマインを図書室という餌で釣りつつ、エーレンフェストに新産業を定着させ、同時にヴィルフリートの汚点を取り繕って派閥をまとめるための、アウブによる冷徹な政治的決断だったのである。
印刷業と新産業
物語における「印刷業と新産業」というテーマについて解説する。エーレンフェストにおいて、印刷業をはじめとする新産業は領地の未来を左右する重要な事業となっており、それが領主一族の政治的決断や、職人たちの生活、新たな制度の導入にどのような影響を与えているかが描かれている。
新産業の防衛と婚約の背景
ローゼマインが主導する印刷業や製紙業は、エーレンフェストに莫大な利益と影響力をもたらす新産業であるが、まだ領地に根付いておらず、定着には少なくとも10年はかかるとされている。
- もしローゼマインが上位領地に嫁いだ場合、資金や人材に余裕のある嫁ぎ先で印刷業が栄え、エーレンフェストはあっという間に追い抜かれてしまうという懸念があった
- 領地の利益と新産業を防衛するため、領主ジルヴェスターは彼女を他領へ出さないと決断し、ヴィルフリートとの婚約を決定した
- 印刷業の独占という経済的な事情が、領主一族の婚姻を左右するほどの重大な政治的要因となっている
納本制度の導入
印刷業を領地全体へ広げるにあたり、ローゼマインは文官たちに納本制度の導入を宣言した。
- これは出版された本をエーレンフェストの図書室とエーレンフェストの聖女へ納入することを印刷協会に義務付ける制度である
- 表向きは全国書誌の作成、文化の保存、著作権管理などを理由としているが、ローゼマインの真の目的は自分が本を読むために自動で手元に本が集まる仕組みを作ることであった
- 本を集めるルッツの負担を減らす目的も含まれている
- 彼女は自身の夢のために権力を行使することも辞さない姿勢を見せている
ハルデンツェルでの印刷業の本格化
エーレンフェストの北方に位置するハルデンツェルでは、夏場は農業や魔獣狩りに出るため、印刷業は人々が城に集まる長い冬の間の仕事として導入された。
- 活字作りにおいて、グーテンベルクのヨハンがわずかなズレも許さず不合格を連発したため、現地の鍛冶職人たちと激しく衝突する事態が起きた
- しかしローゼマインが間に立ち、金属活字の傾きや高さの不揃いが印刷に致命的な影響を与えることを丁寧に説明したことで、職人たちは納得しヨハンの合格を勝ち取ろうと奮起した
- 同時に、アウブの許可証やギーベの令状といった手続きも整備され、印刷協会が組織として本格的に機能し始めていることが示されている
勘合紙の実用化と新たな産業の種
製紙業の産物である植物紙は、領主会議で文官たちに積極的に使用させることで、他領への流行発信の手段として活用され始めた。
- イルクナーで開発された魔木の紙であるナンセーブ紙は、破片同士が引き合う性質を利用し、領主会議で取引を許可した他領の商人を識別するための勘合紙として実用化された
- 印刷業だけでなく、ローゼマインの知識をもとに蝋纈染めや絞り染めといった古い染色技術の復活も進められている
- ギルベルタ商会は新技術を独占せず染織協会に提供し、コンペを通じて職人を育成することで、新たな流行や産業を領地全体に生み出そうとしている
まとめ
印刷業を中心とする新産業は、エーレンフェストの順位を押し上げる強力な武器であると同時に、他領への技術流出を防ぐために領主一族の政治的結束を促す要因ともなった。ローゼマインの本が読みたいという強い情熱が、職人たちを巻き込み、納本制度のような新たなルールを作り出し、領地全体を豊かにする一大産業へと発展を遂げているのである。
下町の大規模洗浄
物語における下町の大規模洗浄(エントヴィッケルンと広域ヴァッシェン)というテーマについて解説する。エーレンフェストの下町が抱えていた衛生問題と、それを解決するために領主一族と平民たちがどのように連携し、大魔術を行使したのかが描かれている。
大規模改造(エントヴィッケルン)の決定
領主会議後に他領の商人を受け入れるにあたり、エーレンフェストの下町が他領に比べて数十年遅れた不衛生な状態であることが問題視された。
- 他領では数十年前に下水道が整備されていた
- エーレンフェストでも貴族院の寮や城、貴族街には導入されたが、魔力不足により下町は長年放置されていた
- ジルヴェスターは他領の商人に侮られないよう下町を整備することを決定した
- 祈念式の後から領主会議までの間にエントヴィッケルン(大規模改造魔術)を用いることとなった
街の消滅の危機と下町への警告
エントヴィッケルンで街を根本から造り直す場合、領主の魔力で作られた白い石造りの建物しか残らず、平民たちが勝手に増築した木造部分(多くの人々の住居)はすべて消滅してしまうという危険があった。
- 大量の難民や工房の損失を防ぐためフェルディナンドの提案により神殿方式が採用された
- 建物をいじらずに道路の地下に下水路を設置し平民に汚物指定の場所へ捨てさせる方式である
- 改造後に街を綺麗に保てなければ次こそ下町全体を造り替える大改造が行われることになる
- ローゼマインはこの危機を父ギュンターら兵士に伝え住民への周知徹底と取り締まりを頼んだ
ギュンター達の奔走と平民の決意
ローゼマインからの忠告を受けたギュンターは、家族や下町を守るために奔走した。
- プランタン商会のルッツや商業ギルド、各門の士長、職人協会の親方達と連携した
- 街の消滅という危機的状況を説明した
- 改造後はゴミの捨て方によっては追放罪に該当するという厳しい罰則を設けた
- 家族や近所同士で注意し合うよう呼びかけ情報はまたたく間に下町全体へ広がった
広域ヴァッシェン(洗浄魔術)の実行
予定通りエントヴィッケルンが実行され、地下の下水整備は完了したが、地上の建物の汚れはそのままだった。
- 外観が変わっていないことに気づいたローゼマインは自らの魔力で下町全体を洗浄しようと試みた
- やり直しで下町全部をひっくり返される方が困るためである
- 効率化のためフェルディナンドが空中に広域魔術の魔法陣を描いた
- ローゼマインが魔力で染め上げた13個の魔石を使用することで街の上空から滝のような水を一斉に降らせた
- わずか十秒足らずの濁流が路地を駆け抜け水が消えた後には貴族街と同じような白さを取り戻した美しい下町が現れた
まとめ
下町の大規模洗浄は、領主一族の絶大な魔力と、自分たちの街と生活を守ろうとする平民たちの必死の連携によって成し遂げられた。大魔術の威力を目の当たりにした平民たちは畏怖を抱きつつも、美しく生まれ変わった街並みを希望に満ちた笑顔で見つめ、二度と街を汚さない決意を固めたのである。なお、この大魔術で魔力と体力を限界まで使い果たしたローゼマインは、城へ戻って安心した直後に倒れてしまった。
ハルデンツェルの祈念式
物語におけるハルデンツェルの祈念式について解説する。ハルデンツェルでは祈念式が春の訪れを喜び、狩猟の始まりを示す独自の祭りとして行われており、そこでの出来事が土地に大きな奇跡をもたらすことになった。
ハルデンツェル独自の祭りと歓迎
ハルデンツェルの祈念式は、地下の広場で平民と貴族が共に参加する形で行われる。
- ギーベ・ハルデンツェルは、ローゼマインをエルヴィーラの娘であり、ハルデンツェルに富をもたらした聖女として紹介した
- 住民達は大いに盛り上がり、熱烈な歓迎を受けた
- 祈念式は春の訪れを祝う祭りであると同時に、男達が狩りへと出かける前のしばしの別れを惜しむ場でもある
女性達による歌の奉納と本来の儀式
例年の祈念式では、男達による剣舞や歌が奉納されていた。
- ローゼマインは、男達が歌っている詩が神殿長に伝わる古い聖典に載っている詩と同じであることに気付いた
- 聖典の絵によると、本来はその歌は女神の眷属である女性達が円柱状の舞台で歌うものだと指摘した
- それを聞いたギーベ・ハルデンツェルの提案により、ローゼマインの代わりにエルヴィーラがフェシュピールを演奏し、ハルデンツェルの女性達が歌を捧げることになった
魔法陣の出現と予期せぬ事態
女性達が歌を終えて神に祈りを捧げた瞬間、誰も見たことのない現象が起こった。
- 舞台の上に大きな魔法陣が浮かび上がり、それが小聖杯に吸い込まれて緑の光の柱が立ち上がった
- その直後、魔法陣に魔力を奪われた下級貴族の女性達が次々と意識を失って倒れ、中級貴族の女性達も気分を悪くして座り込む事態となった
- 会場は騒然となり、エルヴィーラ達の指示ですぐに回復薬が配られた
一夜にして訪れた春と奇跡
その夜、春の訪れを告げる雷の女神フェアドレンナの激しい雷が鳴り響き、翌朝にはハルデンツェルの雪が完全に消え、若葉と花に包まれた初夏のような景色が広がっていた。
- ローゼマインは、祈念式が本来は魔力を捧げて本当に春を呼び込む儀式だったのではないかと推測した
- 女性達への魔力負担を減らすため、男性が魔石に魔力を込めて女性に渡すという神殿方式を提案した
- ギーベ・ハルデンツェルは、本来の儀式を取り戻したことで決して増えることのなかった魔木ブレンリュースの芽が生えるという奇跡を目の当たりにし、今後もこの祈念式を続ける決意を固めた
まとめ
ハルデンツェルの祈念式は、ローゼマインの古い聖典の知識によって本来の女性達による歌の奉納へと姿を変えた。その結果、巨大な魔法陣が発動し、一夜にして雪が解け初夏が訪れるという奇跡を起こした。この出来事は、ハルデンツェルに真の豊かさを取り戻す希望となり、忘れ去られていた本来の神事の力を証明する歴史的な転換点となったのである。
シュバルツ達の衣装作り
物語におけるシュバルツ達の衣装作りについて解説する。図書館の魔術具であるシュバルツとヴァイスの衣装を新調するにあたり、単なるお着替えではなく、新しい魔法陣の組み込みや魔力を帯びた素材の作製、そして側近達との交流が描かれている。
魔力インクの調合と危険な副産物
フェルディナンドとヒルシュールの研究により、新しい衣装には改良された守りの魔法陣を縫い込むことになった。
- 魔法陣として機能させるためには、主であるローゼマインの魔力で染めた糸を使い、彼女自身が刺繍しなければならないとされた
- しかし、複雑な魔法陣十枚分の刺繍は自分には無理だと反発したローゼマインは、魔力を使ったインクで染める方法を提案した
- フェルディナンドが平民向けの契約魔術用インクを元に調合した結果、全属性を持つ者の魔力で作った場合にのみ書いた線が一晩で消えるが主の魔力にだけ反応して浮かび上がるという特殊なインクが完成した
- このインクは契約魔術の改竄や秘密裏の魔法陣設置などに悪用される危険性が極めて高いため、製法は秘匿され、衣装作り一回限りの使用と決められた
- 結局、魔法陣はインクで下書きし、他人が刺繍しても効果が落ちないようにするが、花嫁修業と勉強を兼ねて一つはローゼマイン自身が刺繍することになった
側近達によるデザインの決定
衣装のデザインは、衣装作りに情熱を注ぐリーゼレータやブリュンヒルデといった女の子の側近達を中心に決められた。
- リーゼレータの強い希望により、二体には同じ格好ではなく男女別の衣装を着せることになった
- ローゼマインは図書委員の腕章を付ける前提でセーラー服と学ランを提案したが、アンゲリカが魔法陣の模様を書き足すと特攻服のような印象に変わってしまったため、可愛らしくないと却下された
- メイド服と執事服の案も女の子達によってアレンジされ、最終的にはエプロンやベストに魔法陣をびっしりと刺繍した、可愛らしい民族衣装風のデザインに落ち着いた
- また、小物には新しく復活させる予定の新しい染め布(絞り染めや蝋纈染め)で作ったスカーフや、花飾りが取り入れられることになった
刺繍作業を通じた側近達との交流
領主会議で大人達が不在の間、ローゼマインはフェルディナンドから側近達と交流を深めるよう課題を出され、共同作業として皆で衣装の刺繍を行った。
- ハルトムート達文官がもこもこインクで布に魔法陣の下書きを描き、女性陣や護衛騎士達がそれを刺繍するという適材適所の分担で進められた
- リーゼレータやアンゲリカが高い刺繍の腕前を披露する一方、まだ難しいローゼマインやシャルロッテ、フィリーネは失敗しても問題のないエプロンのポケット部分(偽物の魔法陣部分)を担当した
- 作業中には、レオノーレの言葉をきっかけに、貴族女性が男性のマントに魔法陣を刺繍することが求婚に近い特別な意味を持つという恋愛事情の話題になり、皆で盛り上がった
まとめ
シュバルツ達の衣装作りは、魔術具の改良というフェルディナンドの研究目的から始まったが、特殊な魔力インクの偶然の発見や、側近達が団結してデザインや刺繍に取り組む機会を生み出した。図書委員としてのローゼマインの夢と、側近達の特技や交流が交差する重要な出来事となっているのである。
領地内の派閥融和
物語における領地内の派閥融和について解説する。エーレンフェストでは、旧ヴェローニカ派とライゼガング派という二大派閥の対立が長年の課題となっており、領地が一丸となって発展していく上で、その融和が重要な政治的テーマとして描かれている。
婚約を通じた派閥融和の試み
ヴィルフリートとローゼマインの婚約は、大きく二分された貴族社会をまとめるための決定的な一手として位置づけられている。
- 領主ジルヴェスターは、次期領主にライゼガングの血を入れたいと長らく望んでいたライゼガング派の希望を叶えることで、彼らをある程度御しやすくなると見込んでいた
- ヴィルフリートの側近たちも、ヴィルフリートが旧ヴェローニカ派をまとめ、ローゼマインが自身の親族であるライゼガング派を抑える形になるため、将来の統治が大きく楽になると歓迎してこの婚約を支持した
アーレンスバッハの介入と派閥争い再燃の懸念
エルヴィーラの手腕や、流行の創出、魔力圧縮の提供などを通じて旧ヴェローニカ派の影響力は削がれ、領内の派閥は徐々にまとまりつつあった。しかし、領主会議での決定がその流れに水を差すことになる。
- アーレンスバッハのアウブからの強い要望により、ランプレヒトとフロイデンがアーレンスバッハから花嫁を迎えることが決まった
- 根強い旧ヴェローニカ派は元々アーレンスバッハに由来する者が多く、特にゲオルギーネに心酔する南の貴族は、この婚姻によって確実に勢いづくとフェルディナンドは指摘している
- この結果、せっかく沈静化しつつあった派閥争いが再燃することは避けられず、ローゼマインや周囲の者たちに深い懸念を抱かせている
騎士団長カルステッドの中立姿勢
派閥の対立が続く中、ライゼガングの血を引く騎士団長カルステッドの動向も注目されている。
- ハルデンツェルでの対話において、ギーベ・ハルデンツェルは、アウブとライゼガングの古老たちの考えが相容れない現状を危惧し、カルステッドに対して親族との関係を強化し、彼等を抑えるのはどうかと提案した
- しかしカルステッドは、私は騎士団長であり、領主を守ることが仕事だ、派閥関係の調整は私の仕事ではないと断言し、自らライゼガング派に近づくような愚かな真似はしないと、徹底して中立の立場を貫いている
まとめ
エーレンフェストの順位が上がり、他領からの注目が集まる中で領地全体がまとまる必要があるにもかかわらず、内部の派閥対立は依然として根深い。ローゼマインは貴族院の時のように外に目を向けることで領内の貴族をまとめられないかと考えているが、アーレンスバッハからの干渉や貴族たちの複雑な思惑が絡み合い、真の派閥融和への道は非常に険しいものとなっている。
納本制度の導入
物語における納本制度の導入について解説する。ローゼマインが印刷業を広げるにあたり、自身の野望を満たすために権力を行使して定めた新たな制度とその背景が描かれている。
納本制度の概要と表向きの目的
納本制度とは、出版された本をエーレンフェストの図書室とエーレンフェストの聖女へそれぞれ納入することを印刷協会に義務付ける制度である。すでにアウブからの許可も得て導入が決定している。
- ローゼマインは表向きの理由として、本は文化を記した宝物であり領地の財産であるため、収集・整理・保存するのは領主の子の義務であると主張している
- また、全国書誌の作成や著作権の登録が容易になること、網羅的な収集によって将来的な検閲も可能になる(本人はするつもりはないが)といった有用性を説明し、エルヴィーラからも一定の理解を得ている
真の目的とルッツへの配慮
図書室だけでなく聖女への納本も義務付けた真の目的は、自分が本を読むために自動で手元に本が集まる仕組みを作ることいであった。
- 印刷業が各地のギーベ主導で広まった場合、ルッツがすべての工房へ本を集めに回るのは負担が大きすぎる
- 納本制度があれば、プランタン商会が協会長を務める印刷協会に自動的に本が集まり、それをルッツがローゼマインに納めるだけで済むようになる
- ローゼマインは自分が広げた印刷業で作られた本ならば全て集めるのが普通だと断言し、自分の夢を最高の形で叶えるためなら権力によるごり押しも辞さない姿勢を見せ、エルヴィーラを呆れさせている
- 途中から導入すると反発が出るため、他領へ広がる前から最初から義務化しておくという計算も働いていた
巨大図書館への野望とグーテンベルク達の反応
グーテンベルクの集いにおいて、ローゼマインは下町の職人達やベンノにも納本制度の導入を説明し、城と自分宛てに計二冊を納めるよう申し渡した。
- ベンノから城にいるのだから二冊もいらないのではないかと疑問を呈されたが、ローゼマインの野望は城の図書室にとどまるものではなかった
- 彼女はいずれユルゲンシュミット中の本を集めた巨大図書館を作る予定であり、そのための本を今から集める必要があると壮大な野望を発表した
- これを聞いたグーテンベルクの面々は、これに付いて行くのかと揃って頭を抱えることになった
まとめ
納本制度の導入は、文化の保存や著作権管理といった真っ当な理由を掲げつつも、その本質はローゼマインの本が読みたい、巨大図書館を作りたいという果てしない欲望を満たし、協力者であるルッツの負担を減らすためのシステムである。自らの夢のために権力を容赦なく行使し、周囲を巻き込みながら新たな常識を作り上げていくローゼマインの強かさが如実に表れている出来事である。
第四部 貴族院の自称図書委員3レビュー
第四部 貴族院の自称図書委員
本好きの下剋上 全巻まとめ
第四部 貴族院の自称図書委員5レビュー
登場キャラクター
エーレンフェスト領主一族
ローゼマイン
本を深く愛する領主の養女である。フェルディナンドを後見人に持ち、下町出身である秘密を抱えている。ヴィルフリートとの婚約が決定した。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト領主一族。領主候補生。神殿長。孤児院長。
・物語内での具体的な行動や成果
下町の整備に向けた広域魔術を発動して街を一掃した。ハルデンツェルで小聖杯を渡し、祈念式を行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ヴィルフリートと婚約した。エーレンフェストの聖女として影響力を増している。
ジルヴェスター
エーレンフェストの領主である。ローゼマインを養女として受け入れ、領地の発展を主導している。フロレンツィアを深く愛している。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト領主一族。アウブ・エーレンフェスト。
・物語内での具体的な行動や成果
ヴィルフリートにローゼマインとの婚約を打診した。エントヴィッケルンを発動し、下町の地下を整備した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
領主会議でエーレンフェストの順位を10位に押し上げた。
フロレンツィア
ジルヴェスターの第一夫人である。ローゼマインの義母として、彼女の行動を見守っている。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト領主一族。領主第一夫人。
・物語内での具体的な行動や成果
春を寿ぐ宴で領主と共に登場した。礎の魔術へ魔力を供給した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
フェルディナンド
ローゼマインの後見人である。魔術具の研究に没頭し、彼女に厳しい指導を行っている。ジルヴェスターの異母弟である。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト領主一族。神官長。
・物語内での具体的な行動や成果
消えるインクを開発し、ローゼマインに刺繍の重要性を説いた。広域洗浄の魔術を展開し、下町を綺麗にした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
次期領主となる意志がないことを示すため、神殿に留まる姿勢を見せた。
ボニファティウス
カルステッドの父である。ローゼマインを溺愛しており、騎士見習い達の訓練を担当している。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト領主一族。
・物語内での具体的な行動や成果
城の森で騎士見習い達の採集を監督した。グリュンを殴り飛ばして撃退した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ヴィルフリート
ジルヴェスターの息子である。白の塔の一件で汚点を持つが、次期領主を目指して努力している。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト領主一族。領主候補生。
・物語内での具体的な行動や成果
父親からの婚約打診を受け、側近と相談して承諾した。ハルデンツェルで印刷業の視察を行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ローゼマインとの婚約が決定し、次期領主に返り咲く足がかりを得た。
シャルロッテ
ローゼマインの義妹である。姉を慕い、領主候補生として彼女を補佐しようと努めている。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト領主一族。領主候補生。
・物語内での具体的な行動や成果
直轄地の祈念式で南側の冬の館を担当した。下町から上がる要望の確認を担当することになった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
エーレンフェストの貴族・側近・騎士
カルステッド
エーレンフェストの騎士団長である。ローゼマインの実父として行動を支援している。エルヴィーラの夫である。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェストの貴族。騎士団長。
・物語内での具体的な行動や成果
領主会議へ同行した。クラッセンブルクの境界付近の調査と魔獣狩りを行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
エルヴィーラ
カルステッドの第一夫人である。ローゼマインの義母として彼女を教育し、印刷業の責任者を務めている。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェストの貴族。印刷業の統括役。
・物語内での具体的な行動や成果
文官との顔合わせで印刷業に関する指示を出した。ハルデンツェルの祈念式でフェシュピールを演奏した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
コルネリウス
カルステッドの息子である。ローゼマインの護衛騎士を務めている。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェストの貴族。上級護衛騎士見習い。
・物語内での具体的な行動や成果
春を寿ぐ宴で優秀者として表彰された。城の森での採集訓練に参加した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ランプレヒト
カルステッドの息子である。ヴィルフリートの護衛騎士を務めている。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェストの貴族。中級護衛騎士。
・物語内での具体的な行動や成果
アーレンスバッハのアウレーリアとの結婚が決定した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
他領の貴族を妻に迎えることとなった。
エックハルト
カルステッドの息子である。フェルディナンドの護衛騎士として彼を補佐している。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェストの貴族。上級護衛騎士。
・物語内での具体的な行動や成果
インク作りの実験に立ち会い、試し書きを行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
アンゲリカと婚約している。
リヒャルダ
ローゼマインの筆頭側仕えである。彼女の身の回りの世話を的確にこなしている。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェストの側近。筆頭側仕え。
・物語内での具体的な行動や成果
春を寿ぐ宴の衣装選びを主導した。ボニファティウスからローゼマインを受け取った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
オティーリエ
ローゼマインの側仕えである。ハルトムートの母である。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェストの側近。側仕え。
・物語内での具体的な行動や成果
神殿に戻るローゼマインの荷物をまとめた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ユストクス
フェルディナンドの側近である。情報収集に長けている。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェストの貴族。文官。
・物語内での具体的な行動や成果
インク作りの実験で試し書きを行った。城の動向を探りフェルディナンドに報告した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
オズヴァルト
ヴィルフリートの側近である。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェストの側近。
・物語内での具体的な行動や成果
ヴィルフリートに対し、ローゼマインとの婚約を歓迎する意見を述べた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
イグナーツ
ヴィルフリートの側近である。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェストの側近。文官見習い。
・物語内での具体的な行動や成果
ローゼマインとの婚約が絶好の機会であるとヴィルフリートに進言した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ブリュンヒルデ
ローゼマインの側仕え見習いである。流行の発信に強い意欲を持っている。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェストの側近。上級側仕え見習い。
・物語内での具体的な行動や成果
春を寿ぐ宴の衣装選びに参加した。新しい染め物を選んで流行を作りたいと語った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
リーゼレータ
ローゼマインの側仕え見習いである。シュミルを好んでいる。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェストの側近。中級側仕え見習い。
・物語内での具体的な行動や成果
シュバルツとヴァイスの衣装のデザインや刺繍を熱心に進めた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ハルトムート
ローゼマインの文官見習いである。情報収集や書類作成に優れている。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェストの側近。上級文官見習い。
・物語内での具体的な行動や成果
春を寿ぐ宴で優秀者として表彰された。ヴィルフリートへの厳しい意見を口にした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
フィリーネ
ローゼマインの文官見習いである。下級貴族として努力を重ねている。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェストの側近。下級文官見習い。
・物語内での具体的な行動や成果
文官との顔合わせに同席した。魔法陣の基礎について学んだ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
レオノーレ
ローゼマインの護衛騎士見習いである。魔法陣の図案に関心を寄せている。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェストの側近。上級護衛騎士見習い。
・物語内での具体的な行動や成果
春を寿ぐ宴で優秀者として表彰された。城の森での採集訓練に参加した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
アンゲリカ
ローゼマインの護衛騎士である。考えることを苦手とし、戦闘に特化している。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェストの側近。中級護衛騎士。
・物語内での具体的な行動や成果
春を寿ぐ宴で新成人としてお披露目された。シュバルツ達の衣装の刺繍を熱心に行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
見習いを卒業し、正式な騎士となった。
ユーディット
ローゼマインの護衛騎士見習いである。アンゲリカに強い憧れを抱いている。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェストの側近。中級護衛騎士見習い。
・物語内での具体的な行動や成果
城の森での採集訓練で、スリングショットを用いて魔獣を撃ち落とした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
投擲技術を伸ばすようローゼマインから助言を受けた。
ダームエル
ローゼマインの護衛騎士である。文官仕事もこなせるため、彼女からの信頼が厚い。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェストの側近。下級護衛騎士。
・物語内での具体的な行動や成果
ローゼマインに洗浄の魔術を教えた。グリュンが現れた際、文官見習い達を騎獣に押し込んで守った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ノルベルト
城の筆頭側仕えである。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェストの側仕え。
・物語内での具体的な行動や成果
ローゼマイン達を領主の執務室へ案内した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ヘンリック
ダームエルの兄である。文官として印刷業に関わっている。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェストの貴族。下級文官。
・物語内での具体的な行動や成果
文官との顔合わせに出席した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
エルネスタ
シャルロッテの護衛騎士である。ハルデンツェル出身である。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェストの側近。中級護衛騎士。
・物語内での具体的な行動や成果
ハルデンツェル城内で回廊の説明を行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ギーベ・ハルデンツェル(クラウディオ)
ハルデンツェルを治める領主である。エルヴィーラの兄である。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェストの貴族。ギーベ。
・物語内での具体的な行動や成果
ハルデンツェルの祈念式を主催した。ブレンリュースの実を採集してローゼマインに贈った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ギーベ・ハルデンツェル夫人
ギーベ・ハルデンツェルの妻である。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェストの貴族。
・物語内での具体的な行動や成果
祈念式で女性達に台へ上がるよう呼びかけた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ライゼガング伯爵
ライゼガング地方を治める貴族である。ローゼマインを次期領主として支持している。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェストの貴族。
・物語内での具体的な行動や成果
春を寿ぐ宴での婚約発表に大きく目を開いて驚いた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ローゼマインを次期領主にする動きを一旦諦めた。
ダールドルフ子爵夫人
旧ヴェローニカ派の貴族である。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェストの貴族。
・物語内での具体的な行動や成果
春を寿ぐ宴で婚約発表を聞き、口元を押さえて驚いた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
神殿・孤児院関係者
フラン
神殿におけるローゼマインの筆頭側仕えである。
・所属組織、地位や役職
神殿。筆頭側仕え。
・物語内での具体的な行動や成果
ローゼマインに体調を崩さないよう休憩を勧めた。ハルデンツェルで小聖杯を渡す際の文言をまとめた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ザーム
ローゼマインの側仕えである。
・所属組織、地位や役職
神殿。側仕え。
・物語内での具体的な行動や成果
フェルディナンドに祈念式の分担に関する報告を行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
モニカ
ローゼマインの側仕えである。孤児院への連絡役を担っている。
・所属組織、地位や役職
神殿。側仕え。
・物語内での具体的な行動や成果
コンラートの様子についてローゼマインに報告した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ニコラ
ローゼマインの側仕えである。
・所属組織、地位や役職
神殿。側仕え。
・物語内での具体的な行動や成果
お茶とお菓子の準備を担当した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ギル
ローゼマインの側仕えである。印刷工房の作業や平民との折衝を担当している。
・所属組織、地位や役職
神殿。側仕え。
・物語内での具体的な行動や成果
ギルベルタ商会が訪れた際、蝋纈染めの実演を行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
フリッツ
ローゼマインの側仕えである。
・所属組織、地位や役職
神殿。側仕え。
・物語内での具体的な行動や成果
製紙業を広げるための出張班を編成するよう命じられた。蝋纈染めの実演を手伝った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ロジーナ
ローゼマインの専属楽師である。
・所属組織、地位や役職
神殿。側仕え。
・物語内での具体的な行動や成果
フェシュピールの手入れと片付けを行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ヴィルマ
ローゼマインの側仕えである。孤児院で子供たちの面倒を見ている。
・所属組織、地位や役職
神殿。側仕え。
・物語内での具体的な行動や成果
冬の間の孤児院の状況やコンラートの様子を報告した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
デリア
神殿の孤児院で暮らす少女である。ディルクの世話をしている。
・所属組織、地位や役職
神殿。孤児院の住人。
・物語内での具体的な行動や成果
コンラートとディルクの面倒をまとめて見るよう頼まれ、引き受けた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ディルク
神殿の孤児院で暮らす幼児である。
・所属組織、地位や役職
神殿。孤児院の住人。
・物語内での具体的な行動や成果
新しく来たコンラートに孤児院のルールを教え、遊び相手となった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
コンラート
フィリーネの弟である。神殿の孤児院に預けられた。
・所属組織、地位や役職
神殿。孤児院の住人。
・物語内での具体的な行動や成果
孤児院の生活に馴染み、ディルクと共に過ごすようになった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ノーラ
ハッセの小神殿で生活する灰色巫女である。
・所属組織、地位や役職
神殿。灰色巫女。
・物語内での具体的な行動や成果
リリーの出産を手伝った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
トール
ハッセの小神殿で生活する灰色神官である。
・所属組織、地位や役職
神殿。灰色神官。
・物語内での具体的な行動や成果
小神殿の周囲で畑作りの指導を行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
リック
ハッセの小神殿で生活する灰色神官である。
・所属組織、地位や役職
神殿。灰色神官。
・物語内での具体的な行動や成果
トールと共に畑作りの指導を行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
マルテ
ハッセの小神殿で生活する灰色巫女である。
・所属組織、地位や役職
神殿。灰色巫女。
・物語内での具体的な行動や成果
リリーの子供の様子をローゼマインに尋ねた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
プランタン商会・ギルベルタ商会・グーテンベルク・下町関係者
ベンノ
プランタン商会の代表である。ローゼマインの提案に振り回されつつも利益を追求する。
・所属組織、地位や役職
プランタン商会。代表。
・物語内での具体的な行動や成果
グーテンベルクの集いに出席した。染色業へ手を広げるローゼマインに呆れた様子を見せた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ダミアン
プランタン商会で働く商人である。
・所属組織、地位や役職
プランタン商会。
・物語内での具体的な行動や成果
ハルデンツェルでの印刷業に関する打ち合わせに参加した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ルッツ
プランタン商会のダプラ見習いである。ローゼマインの幼馴染である。
・所属組織、地位や役職
プランタン商会。ダプラ見習い。
・物語内での具体的な行動や成果
ギュンター達兵士への護衛任務の報酬を手渡した。街の大規模改造の危機について説明を受けた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
オットー
ギルベルタ商会の代表である。
・所属組織、地位や役職
ギルベルタ商会。代表。
・物語内での具体的な行動や成果
ローゼマインとの商談に出席し、染色技術に関する提案を受けた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
コリンナ
ギルベルタ商会で働く女性である。ベンノの妹である。
・所属組織、地位や役職
ギルベルタ商会。
・物語内での具体的な行動や成果
染色技術はギルベルタ商会で独占せず、染織協会へ提供するべきだと提案した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
テオ
オットーの補佐を務める人物である。
・所属組織、地位や役職
ギルベルタ商会。
・物語内での具体的な行動や成果
商談において必死にメモを取った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
レオン
ギルベルタ商会のダプラである。実家が染色関係の仕事をしている。
・所属組織、地位や役職
ギルベルタ商会。ダプラ。
・物語内での具体的な行動や成果
染色技術の話題が出た際に強い関心を示した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
トゥーリ
ギルベルタ商会で働く職人である。ローゼマインの実姉である。
・所属組織、地位や役職
ギルベルタ商会。職人。
・物語内での具体的な行動や成果
エラの結婚祝い用の髪飾りと、図書委員の腕章の制作依頼を受けた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
グスタフ
商業ギルドのギルド長である。
・所属組織、地位や役職
商業ギルド。ギルド長。
・物語内での具体的な行動や成果
他領の下水道整備に関する情報を手紙で報告した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ヨハン
グーテンベルクの鍛冶職人である。精密な作業を得意とする。
・所属組織、地位や役職
鍛冶工房。職人。
・物語内での具体的な行動や成果
ハルデンツェルで金属活字の選別を行い、現地の職人達へ厳しく指導した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ザック
グーテンベルクの鍛冶職人である。設計を得意とする。
・所属組織、地位や役職
鍛冶工房。職人。
・物語内での具体的な行動や成果
揺れの少ない馬車とバネを利用したベッドの設計図を提出した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
インゴ
グーテンベルクの木工職人である。
・所属組織、地位や役職
木工工房。職人。
・物語内での具体的な行動や成果
動く本棚の試作品を作ったが、金属部品の改良が必要だと報告した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ハイディ
グーテンベルクのインク職人である。インク研究に情熱を燃やす。
・所属組織、地位や役職
インク工房。職人。
・物語内での具体的な行動や成果
新しい定着剤の開発を報告し、属性測定の魔術具を欲しがった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
出産して母親となっていた。
ヨゼフ
ハイディの夫である。インク工房で働いている。
・所属組織、地位や役職
インク工房。職人。
・物語内での具体的な行動や成果
ハイディの無作法な態度をたしなめ、文官が同席する際は彼女を留守番させると決めた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ギュンター
門の士長である。ローゼマインの実父である。
・所属組織、地位や役職
兵士。士長。
・物語内での具体的な行動や成果
ハッセへの護衛任務を終え、街の大規模改造に対する注意喚起を他の兵士や職人達へ伝達した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
エーファ
ギュンターの妻である。ローゼマインの実母である。
・所属組織、地位や役職
平民。
・物語内での具体的な行動や成果
夫から街の改造についての忠告を聞き、近所へ知らせるよう頼まれた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
カミル
ローゼマインの実弟である。
・所属組織、地位や役職
平民の子供。
・物語内での具体的な行動や成果
ギュンターの帰宅を待たずに眠っていた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
レクル
ギュンターの部下である。
・所属組織、地位や役職
兵士。
・物語内での具体的な行動や成果
ギュンターの指示で露店の昼食を買い、街を守る意思を示した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
エラ
ローゼマインの専属料理人である。
・所属組織、地位や役職
専属料理人。
・物語内での具体的な行動や成果
フーゴとの結婚をローゼマインに報告した。星祭りで髪飾りを贈られることになった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
フーゴ
ローゼマインの専属料理人である。
・所属組織、地位や役職
専属料理人。
・物語内での具体的な行動や成果
エラと共に結婚の報告を行い、祝い金を受け取った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
アーレンスバッハ関係者
ギーゼルフリート(アウブ・アーレンスバッハ)
アーレンスバッハの領主である。領地の将来を憂慮している。
・所属組織、地位や役職
アーレンスバッハ領主。アウブ。
・物語内での具体的な行動や成果
孫娘レティーツィアの婿候補を探すよう王に願い出た。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ゲオルギーネ
アウブ・アーレンスバッハの第一夫人である。エーレンフェストの出身である。
・所属組織、地位や役職
アーレンスバッハ領主夫人。
・物語内での具体的な行動や成果
ヴィルフリートをディートリンデの婿にしたいと考えていたが、婚約発表により断念した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
魔術具
シュバルツ
図書館の魔術具である。黒い姿をしている。
・所属組織、地位や役職
図書館。魔術具。
・物語内での具体的な行動や成果
ローゼマイン達によって新しい衣装が準備されることになった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ヴァイス
図書館の魔術具である。白い姿をしている。
・所属組織、地位や役職
図書館。魔術具。
・物語内での具体的な行動や成果
ローゼマイン達によって新しい衣装が準備されることになった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
第四部 貴族院の自称図書委員3レビュー
第四部 貴族院の自称図書委員
本好きの下剋上 全巻まとめ
第四部 貴族院の自称図書委員5レビュー
展開まとめ
プロローグ
婚約打診と動揺
貴族院一年目を終えて帰還した直後、ヴィルフリートは領主執務室でジルヴェスターからローゼマインとの婚約を打診された。側近を排した場で意見を求められたヴィルフリートは、ローゼマインが他領へ嫁ぐものと考えていたため、この話に強い困惑を覚えた。
領地事情による婚約の必要性
ジルヴェスターは、ローゼマインを他領に出せない理由を説明した。彼女が関わる新産業がまだ定着しておらず、領地にとって不可欠であること、さらに他領へ嫁げば印刷業の利益が流出する恐れがあるためであった。また、虚弱体質や突飛な言動などの問題からも、他領への嫁入りは適さないと判断されていた。
ローゼマインの評価の変化
ヴィルフリートはこれまでローゼマインを完璧な領主候補生と見ていたが、ジルヴェスターの説明を受け、成績優秀でありながら問題児でもある存在として認識を改めた。その結果、他領へ出せないという判断に納得するに至った。
婚約相手としての選定理由
婚約相手として選べるのはヴィルフリート、フェルディナンド、メルヒオールの三名に限られていたが、年齢や政治的事情から他の二名は除外された。フェルディナンドは神殿出身という経歴や派閥問題、領地間関係への影響などから不適当とされ、結果としてヴィルフリートが最適と判断された。
婚約による政治的利益
ジルヴェスターは、婚約によってヴィルフリートが次期領主の地位を取り戻し、派閥対立の緩和にも繋がると説明した。婚姻が政治的取引であることを前提に、領地全体にとって利がある選択であると説いた。
ローゼマインの反応と別案
ローゼマイン自身は政略結婚を受け入れており、図書室の利用が保証されるなら問題ないと考えていた。一方、ヴィルフリートが断った場合はジルヴェスターが第二夫人として迎える案も示されたが、それは誰も幸せにならない結果になると語られた。
側近との相談と決断
自室に戻ったヴィルフリートは側近達に相談した。側近達は婚約による地位回復や政治的利点を評価し、前向きに捉えた意見を示した。自身の努力が認められた結果であるとの言葉に後押しされ、ヴィルフリートは婚約を受け入れる決意を固めた。
春を寿ぐ宴
宴の準備と衣装選び
ローゼマインは神殿から城へ戻ると、春を寿ぐ宴に向けた衣装選びに巻き込まれた。リヒャルダとブリュンヒルデが候補を示す中、リーゼレータが新しい髪飾りを基準に衣装を選ぶよう提案し、準備は側仕え達に任せる形で進められた。
印刷業の書類確認とハルトムートへの忠告
ハルトムートは印刷業に関する書類を整え、ローゼマインはその出来を評価した。さらにユストクスの議事録を参考にするよう伝えたが、ハルトムートが女装による情報収集に興味を示したため、ローゼマインは似合わないことや付け焼き刃では不気味になることを理由に強く却下した。
本作りとシャルロッテからの招待
ローゼマインはルッツとの約束を胸に、本を増やすための原稿作りを進めた。貴族院で写本された参考書の確認や恋愛小説の続きを書いていると、シャルロッテから茶会の招待が届き、ローゼマインはそれを受けることにした。
兄妹三人での茶会と祈念式の分担
シャルロッテの茶会にはヴィルフリートも招かれ、兄妹三人で祈念式の分担を話し合った。ローゼマインはハッセとハルデンツェルへ向かう都合から東側を希望し、シャルロッテが南、ヴィルフリートが西、フェルディナンドが北を担当する案でまとまった。
回復薬への不満とローゼマインの認識
ヴィルフリートとシャルロッテは、祈念式の道中で最も大変なのはフェルディナンドの回復薬であると訴えた。ローゼマインは、二人が飲んだ薬は改良版であり、原液よりはかなり飲みやすくなっていると説明し、二人から驚きと尊敬の目を向けられた。
婚約話へのシャルロッテの不安
シャルロッテは、ローゼマインとヴィルフリートの婚約が本当なのかを尋ねた。ローゼマインは領地のために最良の選択であると答えたが、シャルロッテはローゼマインが本につられて騙されているのではないかと心配した。
ヴィルフリートの承諾とローゼマインの確認
ヴィルフリートは、自分も婚約話を聞かされて驚いたが、承諾したと説明した。ローゼマインは、周囲に流されるのではなく、ヴィルフリート自身が考えて決めたのであればよいと述べ、自分も婚約を受け入れる姿勢を示した。
春を寿ぐ宴の開始と優秀者の表彰
春を寿ぐ宴の日、ローゼマインはヴィルフリートやシャルロッテと共に会場へ入った。宴では貴族院の優秀者が発表され、ローゼマイン、ヴィルフリート、レオノーレ、コルネリウス、ハルトムートが表彰され、記念品として魔石を受け取った。
側近達の努力と成績向上委員会
ローゼマインは自分の側近達が優秀であることに感心した。コルネリウスやハルトムート達は、主に相応しい側近であるために努力したのだと語り、成績向上委員会の賞品であるカトルカールのレシピは一年生と騎士コースに配られることになった。
領地成績と流行の報告
ジルヴェスターは、領地対抗戦のディッターでエーレンフェストが十一位となったことや、研究発表、側仕え達の歓待、リンシャンや髪飾り、カトルカールの流行について報告した。今後は印刷された本も広げていくため、貴族達に協力を求めた。
婚約発表と貴族達の動揺
宴の終盤、ジルヴェスターはエーレンフェストの将来に関わる重大な発表として、ヴィルフリートとローゼマインの婚約を公表した。予想外の発表に大広間は騒然となり、ライゼガング伯爵やダールドルフ子爵夫人を含む貴族達の間に驚きが広がった。ジルヴェスターは領主会議で王の承認を得ると告げ、春を寿ぐ宴は終わった。
文官との顔合わせ
婚約発表後の混乱と面会依頼
春を寿ぐ宴で婚約が発表されたことで、エーレンフェストの貴族社会は大きく揺れた。ローゼマインの元には緊急の面会依頼が大量に届いたが、保護者達から関わることを禁じられていたため、全て断ることにした。
神殿へ戻る方針と顔合わせの準備
フェルディナンドは、文官との顔合わせを終えた後に神殿へ戻るよう指示した。ローゼマインは冬の成人式と春の洗礼式を神殿長として行う必要があり、面会対応を避けられることに内心安堵した。
文官見習いとしての初仕事
ローゼマインは文官見習いとして顔合わせに臨むことになった。図書室勤務を希望していたが、フェルディナンドから印刷業と製紙業の責任者として実習するよう命じられており、フィリーネやハルトムートと共に仕事へ向かった。
エルヴィーラとの打ち合わせ
顔合わせの部屋には、仕事用の文官服を着たエルヴィーラが先に来ていた。ローゼマインは、下町の者との会合場所やグーテンベルクの移動、灰色神官達の派遣時期について確認した。
納本制度への熱弁
ローゼマインは、出版物をエーレンフェストの図書室と自分へ納める納本制度について説明した。本は文化を記録する財産であり、収集と保存は領主の子としての義務であると主張したが、実際には全ての本を自分の手元に集めるための制度でもあった。
ヴィルフリートとシャルロッテへの役割説明
エルヴィーラは、シャルロッテには下町から上がる改善点や要望の確認を、ヴィルフリートには製紙業や印刷業を始める土地の最終確認を任せると説明した。ローゼマインは、グーテンベルクと荷物をレッサーバスで運ぶ役割を担うことになった。
文官達との顔合わせ
貴族街の文官と各ギーベから派遣された文官達が集まり、印刷業と製紙業に関わる顔合わせが始まった。エルヴィーラは、グーテンベルク受け入れ前の準備や平民との交渉の注意点を貴族視点で説明した。
新事業の重要性の強調
ローゼマインは、下町との打ち合わせは基本的に神殿で行うこと、領主会議後に他領の商人が出入りするため街の整備も必要であることを伝えた。また、平民を騎獣で運んででも効率を上げるほど、製紙業と印刷業は急務で重要な事業であると強調した。
面会対応の丸投げと神殿への帰還
顔合わせ後、ローゼマインは大量の面会依頼への対応をジルヴェスター、フロレンツィア、婚約者であるヴィルフリートに任せると告げた。ヴィルフリートは驚いたが、シャルロッテはその様子を楽しそうに見守った。
城に残る側近達への指示
ローゼマインは神殿へ戻る前に、フィリーネには製紙業や印刷業の利益に関する書類準備を、ハルトムートにはその指導を命じた。さらに城に残る側近達には、貴族達の反応を集めるよう頼んだ。
神殿での原稿確認依頼
神殿へ戻ったローゼマインは、フェルディナンドに自作の恋愛小説の原稿確認を依頼した。春から印刷したいと考えていたが、こちらの常識に合うか確認する必要があったためである。
恋愛小説への却下
フェルディナンドは原稿を確認すると、破廉恥であるとして印刷を強く却下した。ローゼマインが少女向けの恋愛小説として書いた場面は、この世界の貴族社会では直接的で淫靡すぎる表現と判断された。
常識の違いと作家育成への転換
フェルディナンドは、恋愛表現では神々を称える詩を使うべきだと説明した。ローゼマインは常識の隔たりを理解し、自分で恋愛小説を書くことを諦め、作家を育てる方向へ切り替えることにした。
神殿での生活
原稿の封印と料理人二人への説明
ローゼマインは、フェルディナンドから書いた物は必ず確認に出すよう念を押された後、破棄を命じられた小説を鍵付きの書箱に封印した。その後、フーゴとエラを呼び、二人の結婚について直接話すことにした。
フーゴとエラの結婚準備
ローゼマインは、フーゴとエラの結婚自体は問題なく、夏の星結びの儀式で祝福すると伝えた。ただし神殿内に夫婦の部屋は作れないため、城の夫婦用の部屋を申請し、神殿では従来通り別室か下町からの通いになると説明した。さらに、貴族院での働きへの出張手当と結婚祝い金を渡し、休暇を交互に取れるよう配慮した。
孤児院とコンラートの様子
ローゼマインは、モニカから孤児院の報告を受けた。コンラートは当初、人の足音に怯えていたが、孤児院では権力を笠に着ることもなく、むしろ安心しているように見えると報告された。ローゼマインは翌日に孤児院と工房を見回ることを決め、コンラートが安心して過ごせるか確認しようとした。
祈念式の分担と下町への手紙
ローゼマインは、ヴィルフリートやシャルロッテと話し合った祈念式の分担をザームに伝え、フェルディナンドと確認するよう頼んだ。その後、プランタン商会、ギルベルタ商会、商業ギルドからの手紙を確認し、下町整備の件についてフェルディナンドへ相談する必要を感じた。
体調を気遣われた休憩
ローゼマインは手紙を書こうとしたが、フランから顔色が良くないと指摘され、休憩を勧められた。成人式で祝福できなくなる事態を避けるため、ローゼマインは素直に休むことにし、寝台で新しい本を読むことにした。
規則正しい神殿生活の再開
翌日から、ローゼマインは奉納舞とフェシュピールの練習を行い、三の鐘で神官長室へ向かう神殿生活に戻った。フェルディナンドは留守中の仕事で忙しくしており、ローゼマインは商業ギルド長グスタフから届いた下町整備に関する手紙を差し出した。
下町の下水整備の相談
グスタフの手紙には、他領では貴族街のトイレに使われる魔術を応用した下水道のような設備が広まっていると記されていた。フェルディナンドは、下町だけが数十年遅れている可能性を認め、この件を城のエルヴィーラとシャルロッテへ回すよう指示した。
孤児院でのコンラート確認
ローゼマインは孤児院を訪れ、ヴィルマから冬の間の報告を受けた。コンラートはディルクに世話を焼かれながら孤児院に馴染み、笑顔を見せるようになっていた。ローゼマインは、ディルクとコンラートが良い友人になっていることに安心し、デリアに二人の世話を頼んだ。
工房での製紙業拡大の相談
ローゼマインは工房でギルとフリッツに、領地内の複数の土地で製紙業を始めるため、灰色神官の派遣班を作るよう指示した。イルクナー経験者を含めた出張班を編成し、基本の紙作りを短期間で教えていく計画であった。さらにアヒムとエゴンを加え、グリム計画として各地の話を集めることも企てた。
冬の成人式と護衛騎士の不満
冬の成人式の日、ローゼマインは神殿長の儀式服をまとって礼拝室へ向かった。アンゲリカは礼拝室の中まで護衛したいと訴えたが、神事の決まりにより入室は許されず、ローゼマインは後でフェルディナンドと相談すると伝えてその場は諦めさせた。
新成人達の反応と髪飾りの定着
礼拝室に入ったローゼマインは、新成人達から小さな神殿長として驚かれた。祭壇に上がって室内を見渡すと、多くの女性がギルベルタ商会の髪飾りを身につけており、髪飾りが下町に定着していることを実感した。
家族の姿と成人への祝福
ローゼマインは礼拝室の扉付近に父と母の姿を見つけ、二年の間に少し老けた二人が涙ぐんでいることに気づいた。自分が元気であることを伝えるように微笑んだ後、新成人達へ赤と白の光に満ちた祝福を与え、冬の成人式を終えた。
シュバルツ達の衣装
読書予定の消滅と衣装作りの優先
成人式後、ローゼマインは神殿で穏やかに過ごし、午後は読書をするつもりでいた。しかし、フェルディナンドは図書館の魔術具であるシュバルツ達の衣装について話し合う方が優先だと告げた。ローゼマインは不満を抱いたが、自分が依頼している立場であるため従うしかなかった。
ギルベルタ商会への注文予定
ローゼマインは、ギルベルタ商会との面会でエラの結婚祝いの髪飾りと図書委員の腕章を注文する予定であった。腕章は自分、シュバルツ、ヴァイス、ハンネローレの分を用意するつもりであり、貴族院で図書委員として活動する未来を楽しみにしていた。
下町整備に関する報告
エルヴィーラからのオルドナンツと手紙により、他領ではネバネバを利用した下水路整備が八十年ほど前から広がっていたことが判明した。エーレンフェストでも貴族院の寮、城、貴族街は整備されたが、魔力不足により下町は放置されていた。ローゼマインは、今後他領の商人が増える以上、下町整備が必要になると考えた。
隠し部屋での衣装作りの準備
フェルディナンドはユストクスやエックハルトと共に素材や資料を持ち込み、ローゼマインの工房で準備を始めた。ローゼマインは手伝おうとしたが邪魔扱いされ、アンゲリカから何もしないことが一番の手伝いだと教えられたため、準備が整うまで読書をすることにした。
魔法陣とアンゲリカの刺繍意欲
フェルディナンドは、シュバルツ達の衣装に必要な守りの魔法陣をローゼマインに見せた。複雑な魔法陣を見たアンゲリカは、自分のマントにも刺繍したいと申し出た。フェルディナンドは衣装作りに役立てば許可するとし、アンゲリカは刺繍を手伝うことになった。
新衣装に必要な素材と魔力
フェルディナンドは、シュバルツ達の衣装には守りの魔法陣が縫い込まれており、新しい衣装には魔力を通す糸や魔石を、主であるローゼマインの魔力で作る必要があると説明した。素材はフェルディナンドが提供し、代わりに古い衣装を研究用にもらうことになった。
刺繍の負担とローゼマインの抵抗
フェルディナンドは、魔法陣の一部は主であるローゼマインが刺繍する必要があると告げた。ローゼマインは複雑な魔法陣十枚分の刺繍など無理だと反発し、染めによる代替案を提案した。
蝋による防染案
フェルディナンドは染めでは滲みが問題になると指摘したが、ローゼマインは蝋を使って染料の滲みを防ぐ方法を説明した。ユストクスはその知識に興味を示し、ローゼマインは下町知識が広がる前にギルベルタ商会へ伝える必要を感じた。
魔力インクへのこだわり
フェルディナンドは、魔力が残る染料には大きな魔力が必要であり、血で染める案まで冗談交じりに口にした。ローゼマインは血染めを拒み、刺繍よりは魔力を使ったインクの方がましだと粘った。最終的に、刺繍を避けるために魔力インク作りを強く主張した。
魔術具のインク
調合講義と素材の属性
インク作りが決まると、フェルディナンドは魔物素材の属性や特性について講義を始めた。ローゼマインは一年生と二年生の範囲を予習していたため、属性ごとの性質や素材の相性について理解していると答えた。フェルディナンドは、今回のインクには風の属性を中心に、魔力容量の高い素材が必要であると説明した。
属性測定の魔術具と素材確認
フェルディナンドは、素材の属性と魔力容量を調べる円盤状の魔術具を取り出した。ローゼマインが木の根の欠片を置くと、風属性を示す黄色の光が大きく伸び、わずかに火属性も反応した。続けて調べようとしたローゼマインは、皿を洗浄しなければ正確に測れないと注意された。
洗浄魔術への興味とダームエルの役割
ローゼマインは便利な洗浄魔術を覚えたいと希望した。フェルディナンドは側仕えに任せるべきだとしつつも、後でダームエルに教わるよう命じた。アンゲリカはダームエルの教え方を褒め、自分が教える役を避けようとしていた。
インク工房の知識と属性の関係
ローゼマインは、クルアイゼがアイゼの上位種であることに気づき、平民時代に色インク作りで使われていた油の属性について推測した。フェルディナンドは、インクの色が属性に左右されている可能性を認め、魔力のある土地で育つ素材には少なからず魔力が含まれると説明した。
グーテンベルクの研究力
フェルディナンドは、平民が属性の確信を得られるほど材料を揃えて研究したことに感心した。ローゼマインはグーテンベルクの優秀さを誇り、ユストクスはハイディにとってインクはローゼマインにとっての本と同じだと補足した。フェルディナンドは、方向性の違うローゼマインが複数いるようなものだと納得した。
契約魔術用インクを元にした調合
フェルディナンドは、平民商人向けの契約魔術用インクを再構成して作ると説明した。布にもローゼマインの魔力を含ませるため、魔術具のペンで直接描く方法では魔力が混ざり、魔法陣として機能しにくいとされた。そのため、布より魔力濃度の高い粘度のあるインクが必要であった。
調合開始と青いインクの完成
ローゼマインはシュタープをナイフに変えて木の根を刻み、材料を量った後、混ぜ棒に変形させて調合を始めた。根、クルアイゼの油、青の粉、赤の液、金色の粉を順に加えて混ぜ続けた結果、契約魔術のインクに似た青いインクが完成した。
試し書きと予想外の盛り上がり
ローゼマインは不要な布に試し書きを行い、インクが滲まず、時間が経つと線が盛り上がることを確認した。フェルディナンドは予想と異なる結果に困惑し、ローゼマインの魔力で染めた布でも同じようになるか確認するよう求めた。
魔力で染めた布への試し書き
フェルディナンドは布をローゼマインの魔力で染め、再びインクを試させた。ローゼマインが描いた線は普通の布と同じように滲まず盛り上がったが、フェルディナンドやエックハルト、ユストクス、アンゲリカ、ダームエルが描くと滲み方が異なった。魔力量や属性、魔力の質が影響している可能性が示された。
フェルディナンドの研究意欲と洗浄魔術
フェルディナンドはインクを預かって研究することにした。ローゼマインは食事と翌朝までに工房を出ることを条件に許可し、その後、ダームエルから洗浄魔術を教わった。しかし、ローゼマインが大きな魔力で洗浄を使うと工房全体が水に満たされ、ダームエルとアンゲリカを巻き込む騒ぎになった。
消えるインクと浮かび上がる線
翌日、フェルディナンドは自分の工房で試した線が全て消えたと報告し、ローゼマインの工房に残した布を確認した。布には何も書かれていないように見えたが、ローゼマインが触れると全員分の線が浮かび上がった。ユストクスは、ローゼマインの魔力に反応して見えるようになるのだと推測した。
インクの使用可能性と読書の再開
フェルディナンドは、このインクならローゼマイン以外には魔法陣を描けないことを確認しつつ、詳しい仕組みに興味を示した。ローゼマインは、これ以上の実験はフェルディナンド自身のインクで行うよう勧めた。インクが使える見込みが立ったため、ローゼマインはようやく読書を始めた。
ギルベルタ商会への依頼
フェルディナンドの研究没頭
フェルディナンドは新しいインクを研究材料として得たため、神殿の仕事以外の時間は工房に籠もるようになった。エックハルトは心配したが、ローゼマインは春の洗礼式後には城へ移ることや、最低限の食事は取っていることから、しばらく研究を続けさせてもよいと考えた。
ギルベルタ商会との面会準備
ローゼマインは午後からギルベルタ商会と面会するため、孤児院長室へ移動した。ギルとフリッツには蝋纈染めの実演に必要な蝋、色インク、湯、筆、刷毛、布などを準備させていた。説明だけでは伝わりにくいため、実際に見せるつもりだった。
ギルベルタ商会の来訪と商人の挨拶
オットー、コリンナ、テオ、レオン、トゥーリが神殿を訪れた。ローゼマインは商談相手として彼らを迎え、商人同士の春の挨拶を交わした。トゥーリが自然に商人として振る舞う姿を見て、ローゼマインは不思議な感慨を覚えた。
エラへの髪飾り依頼
ローゼマインは、夏の星祭りで結婚する専属料理人エラのために、春生まれのエラに似合う髪飾りを見繕ってほしいとトゥーリに依頼した。エラは貴族街勤務のため成人式に出ておらず、星祭りが初めての晴れ着姿になるため、両親や夫の親族の前で映える品を贈りたいと考えていた。
髪飾りの広がりと家族の近況
ローゼマインは冬の成人式で多くの女性が髪飾りを身に付けていたことを喜んだ。トゥーリは、髪飾りの流行を観察しながら制作していると語った。また、成人式にトゥーリとカミルがいなかった理由は、洗礼前の子供を神殿へ入れられないため、トゥーリがカミルの留守番をしていたからだとわかった。
ハッセでの再会の可能性
トゥーリは、ギュンターがハッセへの護衛任務を受けたと伝えた。ローゼマインは、灰色神官達にも親切なギュンター達なら安心して任せられると答え、ハッセの小神殿で父に会える可能性に気分を上向かせた。
図書委員の腕章注文
ローゼマインは、図書委員用の腕章の型紙を見せた。トゥーリは腕に巻く形が葬式の黒い布を連想させると指摘したが、ローゼマインは色や刺繍を変えれば問題ないと考えた。自分、シュバルツ、ヴァイス、ハンネローレの分として、色違いの腕章四つを注文した。
新しい髪飾りと冬の依頼への礼
ローゼマインは、夏用の新しい髪飾りもトゥーリに依頼した。その後、冬に王族の依頼として急ぎの髪飾りを作ってくれたことへ礼を述べた。エグランティーヌの髪飾りは貴族院で非常に目立ち、今後多くの注文が届くだろうと伝えた。
新技術提供と染色への関心
ローゼマインは、急な依頼に応えた褒美として、ギルベルタ商会に新しい染色技術を教えると告げた。レオンは実家が布を扱う店で染色工房とも繋がりがあるため、布の新技術に強い関心を示した。
染め技術の衰退と復活の提案
コリンナは、昔は絞り染めのような技術があったが、アーレンスバッハから嫁いできた姫君の影響で均一に染めた布と刺繍が流行し、染めの技術は廃れたと説明した。ローゼマインは、技術が再び失われないよう記録を残すことを求めた。
蝋纈染めの実演
工房でギルとフリッツは、布に蝋を塗って染料を弾かせる蝋纈染めを実演した。柔軟性の違う蝋を使うことで、くっきりと白く残る花や、ひび割れ模様の入った花ができることを示した。熱湯で蝋を溶かして布を洗うと、絵柄がはっきりと浮かび上がった。
染色工房への依頼方針
ローゼマインは、絞り染めと蝋纈染めを組み合わせた冬の貴色の赤い布を、各染色工房に一枚ずつ準備させる案を示した。その中から自分が使う布を選ぶことで、染色工房を活気づけ、新しい流行として広げる狙いがあった。
グーテンベルクの集い
染色技術の扱いとコンペの決定
コリンナは、新しい染め方はギルベルタ商会だけで独占できる技術ではないため、染織協会と直接やり取りすべきだと進言した。ただし、蝋纈染めは褒美として受け取り、ギルベルタ商会から染織協会へ低価格で提供することになった。その結果、夏の終わりに染色職人達によるコンペを開き、優秀な職人を専属にする流れが決まった。
ベンノからの呼び出し
ギルベルタ商会との面会後、ローゼマインは年間予定に染め布のコンペを書き加えた。そこへプランタン商会から手紙が届き、文面の奥にベンノの苛立ちを感じ取った。ローゼマインは、ハルデンツェルへ向かう前にグーテンベルク全員と会うことを希望し、洗礼式前日に孤児院長室で集まることになった。
グーテンベルクの集合
プランタン商会、鍛冶職人のヨハンとザック、木工職人のインゴ、インク職人のハイディとヨゼフ、ローゼマイン工房のギルが集まった。ハイディは下町の調子でローゼマインに声をかけ、周囲を凍りつかせたが、ヨゼフに叱られた。さらに、ハイディが母親になっていたことを知り、ローゼマインは二年の時間の流れを実感した。
インク工房の成果
ハイディは、一定した品質で色を作れるようになったことや、インクを保護する薬剤を開発したことを報告した。ローゼマインは研究成果を褒め、今後も出資すると約束した。また、素材の属性が色に影響する話を伝えると、ハイディは属性測定の魔術具を欲しがったが、入手困難であると説明された。
鍛冶工房の成果と新依頼
ザックは、揺れの少ない馬車とバネを使ったベッドの設計図を提示した。ローゼマインは馬車の量産可能な設計を買い取り、ベッドは大人用で制作を進めるよう依頼した。ヨハンには金属活字や手押しポンプの普及状況を確認し、新たに安全ピンの設計図を渡した。
ヨハンの苦労と弟子の存在
ヨハンは金属活字の指導で各地へ行くことを嫌がった。彼は完璧主義で人付き合いが不得手なため、教える先で反感を買いやすかった。しかし、ハルデンツェルでは評価が高く、弟子のダニロもグーテンベルクを目指していると語られた。
動く本棚の課題
ローゼマインはインゴに動く本棚の進捗を尋ねた。インゴは設計図通りに試作したものの、本を入れると重くて動かないと報告した。金属レールや滑車の設計が必要であるため、ザックが改良を引き受け、ローゼマインは集密書架の夢が潰れずに済んだと安堵した。
ベンノの叱責と染色技術の広がり
ベンノは、ローゼマインが染色にも手を広げたことに呆れた。ローゼマインは古い技術の復活であり、染色職人を育てるだけだと説明したが、グーテンベルク達は彼女の「ゆっくり」が自分達にとっては過酷な課題の連続であると受け止めた。
納本制度と巨大図書館の野望
ローゼマインは納本制度の導入を説明し、新しく作った本をエーレンフェストの城と自分へ一冊ずつ納めるよう求めた。ベンノは二冊必要な理由を尋ねたが、ローゼマインは将来、ユルゲンシュミット中の本を集めた巨大図書館を作るためだと語った。グーテンベルク達は、その壮大な野望について行くのかと頭を抱えた。
消えるインクと城への帰還
春の洗礼式と神殿への滞在理由
春の洗礼式が行われ、ローゼマインは子供達の率直な囁きを聞きながら祭壇へ向かった。式は滞りなく終わったが、扉の近くに家族の姿はなかった。その後、フェルディナンドは、ライゼガング伯爵が街を出るまで神殿に籠もることが、領主への恭順と次期領主辞退の意思表示になると説明した。
消えるインクの危険性
フェルディナンドは、自分でもインクを作って検証した結果、全属性を持つ魔力で作った場合にのみ、線が膨らんだり消えたりする性質が出ると示した。さらに、このインクは契約魔術の改竄や秘密裏の魔法陣設置に悪用される恐れがあるため、製法を秘匿すると決めた。ローゼマインも危険性を理解し、衣装作り以外では使わないことに同意した。
刺繍から完全には逃れられない結論
フェルディナンドは、シュバルツ達の衣装にはまずインクで魔法陣を描き、その上からローゼマインの魔力で染めた糸で刺繍すればよいと提案した。ただし、花嫁修業と魔法陣の勉強を兼ねて、一つはローゼマイン自身が刺繍するよう命じた。ローゼマインは刺繍を完全には回避できないことに落胆した。
布染めの報告と神殿からの帰還
フェルディナンドは、ローゼマインが下町の商人達と始めた布染めの件について、フロレンツィアとエルヴィーラに報告するよう促した。その後、ライゼガング伯爵が城を出た知らせが入り、ローゼマインは城へ戻ることになった。エラは結婚前の女性であり危険があるため神殿に残し、城では期間限定で料理人を借りる方針となった。
城での情報共有
城へ戻ったローゼマインは、側近達から婚約発表後の貴族達の反応を聞いた。ライゼガング系の貴族達は、ローゼマインが次期領主を望んでいないことや、本人の意に染まぬ婚約ではないことを聞いて多少落ち着いた。しかし、ヴィルフリートは中傷を受けて落ち込んでいると報告された。
ライゼガング伯爵の執着
ブリュンヒルデとレオノーレは、ライゼガング伯爵がローゼマインを領主夫妻に迫害されているのではないかと心配していたことを報告した。二人は否定したが、ライゼガング伯爵はローゼマインの神殿育ちを奥床しさとして好意的に受け取り、支援する気を強めたようであった。ローゼマインは、曾祖父がまだ暗躍しそうなことに頭を痛めた。
下町整備と議事録の整理
ハルトムートは、貴族院の寮、城、貴族街を改造した時の資料をまとめて持ってきた。ローゼマインは代わりに、ギルベルタ商会やグーテンベルクとの話し合いの議事録を渡し、印刷、街の整備、染色に関する部分を抜粋してエルヴィーラへ提出するよう指示した。
孤児院の教育とコンラートの近況
ローゼマインはフィリーネに、コンラートが孤児院で元気に過ごし、同じ年頃の子供と仲良くなって読み書き計算を教わっていると伝えた。孤児院ではカルタ、トランプ、絵本によって洗礼前の子供でも読み書き計算ができると説明され、フィリーネやハルトムートは、神殿の孤児が下級貴族以上の教育を受けている可能性に驚いた。
染色技術と流行作り
ローゼマインは、シュバルツ達の衣装作りをきっかけに、昔のエーレンフェストにあった絞り染めや蝋纈染めを復活させようとしていると説明した。リヒャルダは懐かしみ、昔の生地を見せると約束した。ブリュンヒルデは古い物への関心を疑問視したが、ローゼマインは古い技術を使って新しい流行を作るのだと説き、ブリュンヒルデに選択眼を活かして共に流行を作るよう促した。
領主会議の前に
染め物への関心と領主一族の会議
ブリュンヒルデ達が昔の染め物に興味を示す中、ローゼマインには領主一族の会議への招待状が届いた。領主会議に向けた話し合いであり、印刷業や下町整備も議題に含まれていた。
会議で示されたエーレンフェストの課題
ジルヴェスターは、エーレンフェストが他領から注目される立場になった一方で、他領の商人を受け入れる準備が整っていないと説明した。エルヴィーラは、下町整備が他領より数十年遅れていることを報告し、領主会議までに体裁を整える必要があると述べた。
エントヴィッケルンによる下町整備
ジルヴェスターは、祈念式後から領主会議までの間に、エントヴィッケルンで下町整備を行うと決定した。ローゼマインは住民や工房への影響を懸念し、フェルディナンドは建物内部を改造せず、神殿と同じように汚物を捨てる場所を設ける方式を提案した。
商業ギルドと兵士による周知
下町の使い方を周知する方法として、北や西、東は商業ギルド長グスタフの影響力を使う案が出た。一方、南側には職人や貧民が多いため、ローゼマインは兵士を通じて周知や取り締まりを行う案を出した。文官は商業ギルド、騎士団は兵士を通じて対応することになった。
水路と商人識別の案
ローゼマインは、将来の製紙や染色のために川から水を引く管も通せないかと提案した。さらに、許可された他領商人を見分ける方法として、ナンセーブ紙を使った判別札を作る案がフェルディナンドから出され、採用された。
ヴィルフリートの提案
ヴィルフリートは、領主会議で文官達が植物紙を使い、リンシャンや髪飾りも活用してエーレンフェストの流行を示すべきだと提案した。フェルディナンドやフロレンツィアがそれを後押しし、ヴィルフリートは自分の意見が受け入れられたことに安堵した。
染め物復活の報告
ローゼマインは、ギルベルタ商会と染織協会が中心となって昔の染め技術を復活させ、夏の終わりにコンペを行うことをフロレンツィア達に報告した。エルヴィーラは興味を示し、開催方法についてギルベルタ商会と話し合う意向を示した。
シュバルツ達の衣装相談
ローゼマインは、シュバルツとヴァイスの衣装デザインを側近達と相談した。リーゼレータは二体に男女別の衣装を着せたいと熱意を見せ、女の子達は刺繍や小物の案を次々に出した。
衣装案の決定
ローゼマインが提案したセーラー服と学ランは、魔法陣の刺繍を入れると印象が大きく変わったため却下された。最終的には、メイド服と執事服を基にした可愛らしい民族衣装風のデザインに決まり、エプロンやベストへ魔法陣を刺繍し、小物に新しい染め布や花飾りを使うことになった。
生地選びと刺繍稽古
リーゼレータの手配により、翌日にはギルベルタ商会を呼んで生地と糸を選ぶことになった。布と糸は神殿へ運ばれ、衣装作りは一歩進んだ。一方で、オティーリエはこの機会にローゼマインとシャルロッテも刺繍の稽古に励むよう促した。
直轄地の祈念式
祈念式前の準備と各商会への連絡
祈念式の一週間前、ローゼマインは神殿へ戻って準備の最終確認を行った。同行者や食料、馬車、護衛、不在時の孤児院管理はすでに整えられており、ローゼマインは領主一族の会議で決まった下町整備や商人判別、染め物コンペの情報を商会や商業ギルドへ手紙で知らせた。
シュバルツ達の衣装準備とダームエルの嘆き
ギルベルタ商会から届いた布や糸は、フェルディナンドの協力で魔力染めされた。ローゼマインはそれを城のリーゼレータ達へ届けるようアンゲリカに頼み、祈念式前の休暇を与えた。一方、ダームエルは自分の結婚相手探しを忘れられていたことに絶望し、ローゼマインは慌ててエルヴィーラに頼むことにした。
ハッセへの出発とギュンターとの再会
ハッセへ向かう馬車の護衛にはギュンターが来ており、ローゼマインは久しぶりに父の変わらぬ愛情を感じて嬉しくなった。ハッセから灰色神官を連れ戻すため、代わりの灰色神官や見習い、ギルとフーゴを馬車で先に送り出し、ローゼマインは午後の祈念式に向けて騎獣で出発した。
ハッセでの歓迎と祈念式
ハッセに到着したローゼマインは、リヒトや周辺の村長達、住民から熱烈に迎えられた。二年間、小神殿の者達が世話になった礼を述べた後、聖杯に魔力を注ぎ、村長達の桶へ緑に光る液体を分け与えて祈念式を行った。
小神殿の成長と畑作り
祈念式後、ローゼマインはハッセの小神殿を訪れた。ノーラ達は成長し、神殿に馴染んでいた。リリーの子供の近況を伝え、小神殿で畑作りが始まったことを聞いたローゼマインは、紙作りや印刷業を疎かにしないよう注意しつつ、収穫を楽しみにした。
兵士達への下町整備の説明
夕食後、ローゼマインはギュンター達兵士にエントヴィッケルンの説明をした。今回の改造で下町を美しく保てなければ、木造部分が消える大改造になる可能性があると伝え、住民への周知と取り締まりを頼んだ。ギュンターは皆の生活を守ると誓い、兵士達もそれに続いた。
直轄地の祈念式の完了
翌朝、灰色神官達を乗せた馬車を見送った後、ローゼマインは次の冬の館へ向かった。その後も各地で歓迎を受けつつ、特に問題なく祈念式を終えた。今回は分担によって範囲が四分の一になっていたため、回復薬も少なく済み、体への負担も軽かった。
シャルロッテへの引き継ぎ
ローゼマインは神殿へ戻る予定をフェルディナンドに知らせ、四の鐘頃に帰還した。神殿前ではシャルロッテが儀式用の衣装で待っており、ローゼマインは体調が良いことを伝えて聖杯を引き渡した。シャルロッテは次の祈念式へ出発した。
調合特訓と回復薬作り
祈念式後、ローゼマインは通常の神殿生活に戻った。午後の自由時間にはフェルディナンドによる調合特訓が入り、まずは基本的な回復薬を作れるようになった。しかし、フェルディナンドの特製薬に慣れているローゼマインには効果が薄く、役に立たないように感じられた。
薬代としてのお手伝い
フェルディナンドは、特製薬は高価で日常使いする物ではないと説明した。ローゼマインは自分が薬代を払っていないことに気づいたが、フェルディナンドは神官長室の手伝いや魔力提供で相応に働いているため問題ないと答えた。ローゼマインは、薬代分としてしっかり働かされていたことを知り、項垂れた。
ハルデンツェルの職人達
ハルデンツェル行きの準備
シャルロッテの祈念式が終わり、次はヴィルフリートが出発することになった。ローゼマインはその間にハルデンツェルへ向かう準備を進め、同行者としてリーゼレータ、フィリーネ、アンゲリカを選んだ。小聖杯を届ける神殿長としての役目もあるため、儀式服で向かうことになった。
グーテンベルクとの合流
神殿にはベンノ、ダミアン、ヨハン、ザックが集まり、レッサーバスに荷物を積み込んだ。初めてレッサーバスを見るヨハンは怯えたが、ザックに押し込まれる形で乗り込んだ。城でエルヴィーラ達と合流し、一行は騎獣でハルデンツェルへ向かった。
小聖杯の受け渡し
ハルデンツェルに到着すると、ギーベ・ハルデンツェル達が一行を迎えた。ローゼマインは神殿長として小聖杯をギーベへ渡し、春の訪れと土地の実りを祈る言葉を述べた。初めて一人で行う小聖杯の受け渡しだったが、無事に役目を終えた。
印刷室の見学
一行は印刷室へ案内され、稼働中の印刷機を見学した。大きな音を立てて動く印刷機と、黒いインクに汚れながら働く大柄な職人達の姿に、貴族街育ちの者達は圧倒された。担当文官は、印刷機の数や植字、校正、印刷手順について説明した。
ハルデンツェルの暮らしと狩猟
ローゼマインは、ハルデンツェルで夏に狩猟が行われることを知った。北の魔獣を狩ることで冬の主の力を弱め、同時に食料を守る必要があるためであった。北の住民は狩猟部族として夏を過ごし、冬は城で暮らしていた。
鍛冶場での金属活字確認
次に一行は鍛冶場へ向かい、ヨハンがハルデンツェルの職人達が作った金属活字を確認した。ヨハンは黙々と選別し、合格品と不合格品を分けたが、不合格を告げられた職人達は激昂した。
ローゼマインの仲裁と説明
剣呑な空気になったため、ローゼマインは双方の間に入り、合格品と不合格品の違いを実際に見せながら説明した。金属活字はわずかな傾きや高さの違いでも印刷に支障が出るため、甘さが許されないと伝えた。
ヨハンへの指摘と職人達への激励
ローゼマインは、ヨハンに対して説明が足りていないと指摘した。ハルデンツェルの職人達には、半分ほど合格していることを評価し、ヨハンの合格を勝ち取るよう励ました。その結果、職人達は反発を収め、真剣にやり直す姿勢を見せた。
印刷協会の説明
その後、一行はハルデンツェルの印刷協会に関する説明を受けた。担当文官は、商業ギルドの許可証、アウブの許可証、ギーベの令状など、印刷業開始に必要な書類や手順を説明した。ヴィルフリート、シャルロッテ、フィリーネ達は、今後の確認業務に備えて真剣に学んだ。
ハルデンツェルの祈念式
祈念式までの休息
印刷室や鍛冶場の見学を終えた一行は、ハルデンツェル伯爵夫人の采配でそれぞれの部屋へ案内された。ローゼマインは湯浴みを済ませ、神殿長として祈念式に参加するため、儀式用の衣装に着替えた。
広場で行われる祈念式
祈念式は、地下の広場で平民と貴族が共に参加する形で行われた。ギーベ・ハルデンツェルは、ローゼマインをエルヴィーラの娘であり、ハルデンツェルに富をもたらした聖女として紹介した。住民達は大いに盛り上がり、春の訪れを祝う祭りが始まった。
ハルデンツェルの歌と古い聖典
祈念式では、春の訪れと狩猟の始まりを示す歌が披露された。ローゼマインは、その歌詞が神殿長に伝わる古い聖典に載っている詩と同じであり、本来は女神の眷属が歌うものだと説明した。ギーベ・ハルデンツェルは興味を示し、女性達による歌の奉納を提案した。
エルヴィーラの演奏と女性達の奉納
ローゼマインの代わりに、エルヴィーラがフェシュピールを演奏し、ハルデンツェルの女性達が歌を捧げることになった。ローゼマインも神殿長として壇上に立つよう促され、歌わずに祈りを捧げる形で参加した。
魔法陣の発動と女性達の昏倒
女性達の歌が終わり、祈りを捧げた瞬間、舞台に大きな魔法陣が浮かび上がった。魔法陣は小聖杯に吸い込まれ、緑の光の柱が立ち上がった。その直後、下級貴族の女性達が倒れ、中級貴族の女性達も気分を悪くした。エルヴィーラは、魔法陣に魔力を奪われたためだと判断し、回復薬を与えるよう指示した。
雷と一夜で訪れた春
その夜、激しい雷が鳴り響き、ローゼマインは怯えてリーゼレータに手を握ってもらいながら眠った。翌朝、ハルデンツェルでは一晩で雪が消え、若葉と花に包まれた初夏のような景色が広がっていた。ギーベ・ハルデンツェルは、昨夜の雷が春の訪れを告げる女神フェアドレンナの雷だったと語った。
本当の春を呼ぶ儀式
ローゼマインは、祈念式が本来は魔力を捧げ、神に祈り、本当に春を呼び込む儀式だったのではないかと考えた。ギーベ・ハルデンツェルは、今後も同じ儀式を行えば春を早められる可能性を認めたが、女性達への負担を問題視した。ローゼマインは、神殿で行うように魔石へ魔力を込めて渡す方法を提案した。
ブレンリュースの贈り物
遠くに金色に輝く魔木ブレンリュースが見え、ギーベ・ハルデンツェルは、それがハルデンツェルの貴重な甘味であり、回復薬の素材にもなると説明した。ローゼマインが本当の春をもたらした礼として、ヴィルフリート、シャルロッテ、ローゼマインに実が贈られた。
ハルデンツェルを覆う春の境界
帰路のレッサーバスから見ると、春になったハルデンツェルと雪が残る周辺の境界がはっきり見えた。ローゼマインは小聖杯の祝福の範囲に驚いたが、アンゲリカやグーテンベルク達は、その現象を起こしたローゼマインこそ最も不思議だと受け止めていた。
エントヴィッケルン
神殿への帰還と報告不足
ローゼマインはグーテンベルク達を神殿で降ろし、プランタン商会の迎えに引き渡した。神殿ではフェルディナンドが待っており、ハルデンツェルで起きた出来事を当事者であるローゼマインが報告していなかったことを咎めた。
聖典の違いと研究成果
ローゼマインは、ハルデンツェルの歌が神殿長の聖典に載る古い詩と関係していることを説明した。フェルディナンドは、神殿長の聖典が魔術具であり、神殿長以外には記述が見えないことを明かした。ローゼマインは過去に新旧の聖典を比べていたため、その研究成果を提出するよう命じられた。
ブレンリュースの実と回復薬の改良
ローゼマインは、ハルデンツェルから贈られたブレンリュースの実をフェルディナンドに渡した。フェルディナンドはそれが稀有な素材であると驚き、エントヴィッケルンに向けて必要となる回復薬の改良に使うことにした。ローゼマインも空の魔石に魔力を溜める作業を課された。
礎への魔力供給
改良薬が完成すると、ローゼマイン達は城へ向かい、供給の間で礎の魔術へ魔力を注ぐことになった。ヴィルフリートとシャルロッテ、フェルディナンドとローゼマイン、ジルヴェスター達で分かれて魔力供給を行った。改良薬は甘みが増して飲みやすくなり、皆に歓迎された。
ボニファティウスによる運搬
何度も魔力供給を行ったローゼマインは体力が尽き、座り込んでしまった。フェルディナンドはボニファティウスに抱き方を教え、ローゼマインをリヒャルダの元まで運ばせた。ボニファティウスは緊張しながらも無事に役目を果たした。
エントヴィッケルンの実施
三日後、下町への連絡が行き届いたことを確認したうえで、ジルヴェスターはエントヴィッケルンを実行した。領主一族は供給の間で魔力を注ぎ、ジルヴェスターは礎の魔術の場で街の改造を行った。エントヴィッケルンは成功し、下町の地下に整備が施された。
下町の見回りと不満
ローゼマインは騎士団と共に下町を見に行ったが、地上の見た目はほとんど変わっていなかった。フェルディナンドは全て改造すべきだったかと呟いたため、ローゼマインは下町を洗浄すればよいと主張した。
広域洗浄の実行
ローゼマインが個別に洗浄しようとすると、フェルディナンドは魔法陣を使った方が効率的だと止めた。ローゼマインが魔力を込めた魔石を使い、フェルディナンドが広域洗浄の魔法陣を展開した。十三の魔法陣から水が放たれ、下町全体が一気に洗浄された。
白さを取り戻した下町とローゼマインの限界
洗浄後、下町の石造部分は白さを取り戻し、木造部分の汚れも落ちた。ローゼマインはフェルディナンドの技術に感激したが、使われたのは自分の魔力であった。城へ戻ったローゼマインは、自室に着いて安心した瞬間、無理がたたって倒れた。
留守番中の生活
寝台での静養と魔法陣の勉強
ローゼマインは熱が下がった後も、フェルディナンドの指示で寝台から下りることを禁じられた。代わりに魔法陣の基礎に関する本を読み、フィリーネと共に記号を覚えながら静養した。ローゼマインは、知識を使って魔法陣を自在に描くフェルディナンドのすごさを改めて実感した。
領主会議への出発と留守番の課題
体調確認を受けたローゼマインは、すでに領主夫妻が領主会議へ出発したことをフェルディナンドから聞いた。フェルディナンドは城と神殿を行き来しながら緊急事態に備えるつもりであり、ローゼマインには魔力供給と側近達との交流を課した。ローゼマインは、リヒャルダの助言を受け、共同作業としてシュバルツ達の衣装作りを始めることにした。
衣装作りを通じた側近達との交流
領主候補生と側近達が集まり、シュバルツ達の衣装に魔法陣を刺繍する作業が始まった。文官達が布に魔法陣を描き、女性達が刺繍を担当した。ローゼマインやシャルロッテ、フィリーネは失敗しても問題の少ない部分を任され、リーゼレータやアンゲリカは高い刺繍の腕を見せた。
ハルデンツェルで示された政治的姿勢
ブリュンヒルデは、ライゼガング伯爵がローゼマインを次期領主に推すことを一旦控えるようになったと話した。シャルロッテは、ハルデンツェルでローゼマインがヴィルフリートを優先したことが、次期領主を狙わない意思表示になったのだと説明した。ローゼマインは自覚なく行った行動の政治的意味を知った。
刺繍と貴族女性の恋愛事情
刺繍の作業中、マントに刺繍できる相手が夫婦や家族に限られることが語られた。ローゼマインは、恋物語に出てきたマントへの刺繍の意味が求婚に近いものだったと知った。貴族女性にとって刺繍は花嫁修業であり、同時に恋愛や結婚にも深く結びつく行為であった。
ユーディットとフィリーネの焦り
ユーディットは、アンゲリカやダームエルに追いつきたい焦りを打ち明けた。ローゼマインは、ユーディットには剣よりも投擲の才能があると指摘し、得意分野を伸ばすよう助言した。さらにフィリーネも、ダームエルのように信頼される側近になりたいと決意を示した。
護衛騎士の条件とダームエルの重要性
リハビリ中、ローゼマインはボニファティウスに、自分の護衛騎士には神殿に出入りできること、神殿の側仕えと協力できること、最低限の文官仕事ができることが必要だと語った。そのため、下級騎士であってもダームエルは非常に適任であり、ローゼマインにとって欠かせない護衛騎士であった。
採集訓練の計画とフェルディナンドの警戒
回復薬の素材が不足したユーディットは、採集の許可を求めた。ローゼマインは護衛任務の実習を兼ねて自分も森へ行こうと提案したが、フェルディナンドはボニファティウスの方が危険だとして一度は却下した。最終的には、回復薬の準備やコルネリウスの同行を条件に許可が出た。
城の森での採集と護衛訓練
ローゼマイン達は城の森へ向かい、素材採集を行った。ボニファティウスは護衛任務を忘れて素材や魔獣に飛びつく騎士見習い達を叱責し、護衛対象を守る意識を徹底させた。ローゼマインはヴィルフリートやフィリーネと共に素材を採りながら、護衛訓練としての採集の重要性を実感した。
ユーディットの投擲能力と新たな方向性
採集中、ユーディットはスリングショットで遠くのザンツェを撃ち落とした。ボニファティウスは、護衛対象から離れずに攻撃できる手段は大きな強みになると評価した。ローゼマインは、ユーディットが投げて使える薬や魔術具をハルトムートに考案させることにした。
グリュン出現と撤退判断
採集中にグリュンの気配が見つかり、ボニファティウスは即座に撤退を命じた。ところが一部の騎士見習いは戦おうとし、文官見習い達は魔獣を前に動けなくなった。ローゼマインはレッサーバスに文官達を乗せ、ダームエルはユーディットも護衛役として押し込んだ。
ダームエルの判断とユーディットの理解
ユーディットは文官と一緒に退避させられたことに傷ついたが、ダームエルは騎獣内から投擲で護衛できる彼女が最も適任だと説明した。ユーディットは自分が軽んじられたのではなく、役割を期待されていたのだと理解した。この出来事により、彼女はダームエルに質問するようになり、護衛騎士達のまとまりも強まった。
文官見習いの自衛訓練
夕食の席で、ローゼマインは騎士見習いだけでなく文官見習いにも自衛や退避の訓練が必要だと提案した。グリュン出現時に文官達が動けなかったことから、守られる側にも意識づけが必要だと考えたのである。フェルディナンドとボニファティウスはその意見を受け、今後の訓練に文官見習いも加える方針となった。
魔力圧縮の第四段階と回復薬作り
訓練に備え、ローゼマインは側近達と回復薬を作ることにした。その過程で、鍋を煮詰める様子を見せながら魔力圧縮の第四段階を教えた。フィリーネには全段階の魔力圧縮も教え、契約魔術はひとまずエーレンフェスト内で効力を持つものだけを結ぶことにした。
忙しい留守番生活
ローゼマインは、訓練、回復薬作り、フェシュピール、衣装の刺繍、祝福に関する質問、リハビリなどに追われた。領主会議中の留守番は読書だけの穏やかな時間にはならず、側近達との交流と教育を深める忙しい日々となった。そうしているうちに、領主会議が終わる時期が近づいた。
領主会議の報告会
領主夫妻の帰還と報告会への出席
ローゼマイン達は転移陣の部屋の前で領主夫妻を出迎えた。ジルヴェスターは詳しい話を翌日の報告会で行うと告げ、領主候補生であるヴィルフリート、シャルロッテ、ローゼマインも出席することになった。カルステッドはやや疲れた様子であり、領主会議で何か大きな出来事があったことをうかがわせた。
エーレンフェストの順位上昇
報告会では、今年のエーレンフェストの順位が十位になったと発表された。これはこれまでの最高位であり、会議室には喜びの空気が広がった。ジルヴェスターは、この順位を維持し、さらに上を目指すためには貴族院での成績維持と領地全体の協力が必要だと訴えた。
貴族院教育の変化と新人育成の必要性
フェルディナンドは、政変後に貴族院の教師や課程が変化し、宝盗りディッターが速さを競うディッターへ変わった影響を説明した。その結果、騎士見習いは護衛や連携の実戦的な経験を積みにくくなり、文官と騎士の距離も広がっていた。騎士団で新人や見習いの特訓が行われていることを踏まえ、各部署でも新人教育を見直す必要が示された。
中央とクラッセンブルクとの取引決定
新しい流行の取引先は、中央とクラッセンブルクに決まった。髪飾り、リンシャン、植物紙、新しい料理、カトルカールのレシピ販売などが一定の成果を上げ、他領からも関心を集めていた。商人の判別には、ローゼマインが名付けた勘合紙が使われることになった。
リンシャン工房拡大への警戒
文官は、来年の取引拡大を見据えてリンシャン工房を増やす必要があると述べた。だがローゼマインは、製法が広まればリンシャン専業の工房が不要になり、失業者が大量に出る可能性を指摘した。文官の仕事を明日から騎士に替えることが難しいように、平民も簡単に仕事を替えられないと説明し、下町への無茶な方針に歯止めをかけた。
ヴィルフリートとローゼマインの婚約承認
ジルヴェスターは、ヴィルフリートとローゼマインの婚約が王に承認されたと発表した。これにより、二人の婚約は正式なものとなり、反対は王の決定への異議と同じ意味を持つことになった。会議室の貴族達は、派閥間の力関係が変わることを意識し、次の動きを探り始めた。
王族の婚約と中央情勢
アナスタージウス王子とエグランティーヌの婚約も承認された。アナスタージウスはジギスヴァルト王子の下につくことになり、王位争いから一歩退いた形となった。ローゼマインはその影響を考えたが、エーレンフェストの貴族達の関心は自領の婚約問題ほど高くなかった。
アーレンスバッハからの婚姻受け入れ
アーレンスバッハからの申し出により、ランプレヒトとフロイデンが二人の花嫁を迎えることが決まった。過去の事件や交流制限があったにもかかわらず、上位領地からの申し出を断れなかった形であった。特にランプレヒトの花嫁はアウブ・アーレンスバッハの姪であり、エーレンフェストの中枢に近い情報へ触れ得る立場となるため、カルステッドやエルヴィーラも素直に喜べない様子であった。
派閥争い再燃への懸念
アーレンスバッハとの婚姻によって、旧ヴェローニカ派やアーレンスバッハとの交流を望む者達が活気づく可能性があった。ローゼマインは、せっかく流行や魔力圧縮で旧派閥の影響力を弱めていたのに、再び領内の派閥争いが起こることを懸念した。領地全体で上位を目指すべき時に内輪で争う余裕はないと考え、エーレンフェストの順位を早く上げたいと感じた。
私的な報告会
ダンケルフェルガーから届いた本
報告会の後、ローゼマインとフェルディナンドはジルヴェスターに呼ばれ、領主の執務室へ移動した。そこにはダンケルフェルガーから預かった本と手紙が置かれており、ローゼマインはハンネローレへの好意を強めた。本は文官見習い達によって丁重に包まれ、部屋へ運ばれることになった。
領主会議でのジルヴェスターの疲弊
人払いの後、ジルヴェスターは領主としての態度を崩し、今回の領主会議が非常に疲れるものだったと愚痴を漏らした。流行の取引を決める前にヴィルフリートとローゼマインの婚約承認を得ていたため、大領地からの縁談を退けられたのだと語った。
大領地からの縁談とローゼマインへの注目
クラッセンブルク、ドレヴァンヒェル、フレーベルタークなどが、それぞれローゼマインやヴィルフリートとの縁を探っていた。特にクラッセンブルクは、ローゼマインが流行や作曲に関わっていることを把握しており、大領地の情報収集力を示していた。ドレヴァンヒェルは勘合紙にも強い関心を示していたため、次の貴族院では接触が増えると予想された。
上位領地との交流方針
フェルディナンドは、クラッセンブルク、ダンケルフェルガー、ドレヴァンヒェルとは仲良くしておいた方が良いと判断した。アーレンスバッハの動きが読めない以上、上位領地の情報源や味方は多い方が良いからであった。ただし、味方に見える相手にも油断は禁物であり、特に本を通じてローゼマインを引き込めるダンケルフェルガーには注意が必要だとされた。
アーレンスバッハへの警戒
ジルヴェスターは、アウブ・アーレンスバッハがいる時といない時でゲオルギーネの態度が違い、ディートリンデの言動も報告と噛み合わないことから、アーレンスバッハの目的が読めないと語った。二人の花嫁を送り込むこと自体に何らかの役目がある可能性もあり、最も警戒すべき相手だとされた。
ゲオルギーネと旧ヴェローニカ派の繋がり
旧ヴェローニカ派の中心には、かつてアーレンスバッハの姫君に付き従ってエーレンフェストへ来た側仕えや護衛騎士、その縁者達がいた。そのため、彼らはアーレンスバッハやゲオルギーネの影響を強く受けていた。特に南にはゲオルギーネに心酔する貴族が多く、今回の婚姻で再び活性化することが懸念された。
アーレンスバッハからの強引な婚姻要求
領主会議でアーレンスバッハは、両領地の溝を埋める証しとして二組の婚姻を認めると持ちかけた。上位領地であるアーレンスバッハからの譲歩という形を取られたため、エーレンフェスト側は断りにくかった。さらにカルステッドも、ランプレヒトに新しい相手がいないかと直接圧力をかけられ、頭を痛めることになった。
ランプレヒトの結婚と情報流出の懸念
ランプレヒトは望んでいた相手と結婚できることになったが、相手がアウブ・アーレンスバッハの姪であるため、単純には喜べない状況であった。ヴィルフリートの筆頭護衛騎士の第一夫人となれば、カルステッド家や領主候補生周辺の情報を得やすい立場になるからである。
境界門での星結びの儀式
ランプレヒト達の星結びの儀式は、両領地のアウブが揃う境界門で行われることになった。最も位の高い神殿長であるローゼマインが儀式を行い、フェルディナンドが補佐と監視役につくことになった。ローゼマインは祝福が偏らないよう、平等に祝福を与える練習を求められた。
襲撃への警戒と防御魔術の必要性
境界門には両領地の重要人物が集まるため、城や移動中の守りを固める必要があった。カルステッドはローゼマインにも魔力の鎧を身につけるよう勧め、フェルディナンドもそれを必要だと判断した。ローゼマインは神殿長と花婿の実妹という二つの立場を持つため、神殿の側仕えと城の側近の両方を連れて行く必要があった。
ローゼマインへの防御訓練
境界で不用意に攻撃すれば領地間の問題に発展するため、ローゼマインには攻撃ではなく守りに徹することが求められた。フェルディナンドは、ローゼマインに攻撃魔術を教えるのは不安だが、防御手段を持たせれば無闇に攻撃へ転じないだろうと考えた。その結果、ローゼマインは防御に関する魔術を教えられることになった。
エピローグ
領主会議後の休息とレティーツィアの婚約問題
領主会議を終えたギーゼルフリートは、自領へ戻り、自室でようやく一息ついた。ゲオルギーネは疲れを見せず、今回の領主会議でレティーツィアの婚約者候補を探す願いが受理されたことを収穫として語った。
ギーゼルフリートは、次期領主となるレティーツィアを支える婿を早急に探す必要があると考えていた。アーレンスバッハは政変後の粛清で領主一族を大きく減らし、ヴォルフラムも亡くなったため、将来を担う人材が不足していたのである。
王族の婿入りへの期待
ギーゼルフリートは、王にはダンケルフェルガー出身の第三夫人との間に子がいるらしいと語り、その子が男児でレティーツィアと同学年であれば望ましいと考えた。ゲオルギーネは王族を婿に迎えるのは難しいのではないかと述べたが、ギーゼルフリートは、アーレンスバッハの現状には王族とクラッセンブルクの粛清も関わっているため、望みが全くないわけではないと見ていた。
エーレンフェスト情報の不足
ギーゼルフリートは、エーレンフェストの流行を生み出しているというローゼマインについて、ゲオルギーネに情報を求めた。ゲオルギーネは、最後に帰郷した時には現在のような料理や菓子は出ておらず、詳しい情報はないと答えた。
ディートリンデの側仕えであるマルティナからの報告もあり、ローゼマインが流行を主導していることは確からしいとされた。一方で、寮監フラウレルムの報告は主観が多く、アーレンスバッハだけがエーレンフェストへの認識で出遅れる原因になっていた。
ディートリンデの婿候補とヴィルフリートの婚約
ゲオルギーネは、ディートリンデの婿にはヴィルフリートがちょうど良いと考えていた。ヴィルフリートは消しがたい罪を持つ領主候補生であり、他領で領主を狙いにくい立場だったため、ディートリンデを次期領主に据えようとしない婿として都合が良かったのである。
しかし、ヴィルフリートとローゼマインの婚約が発表されたことで、その案は使えなくなった。ゲオルギーネは、同じく神殿育ちという傷を持つローゼマインとの婚約は、傷持ちの領主候補生同士で都合が良かったのだろうと見ていた。
アウレーリアとベティーナの輿入れ
ギーゼルフリートは、アウレーリアだけでなくベティーナの結婚まで推し進める必要があったのかと疑問を口にした。ゲオルギーネは、片方だけの結婚では断られたため、来年の交易枠やエーレンフェストとの関係を考えれば、二人の花嫁は必要な布石だと答えた。
アウレーリアは騎士団長カルステッドの次男であり、ローゼマインの実兄でもあるランプレヒトに嫁ぐことになっていた。その立場から、ヴィルフリート周辺やエーレンフェストの内情を得られると期待されていた。
フェルディナンドへの関心
ゲオルギーネは、エーレンフェストの流行の仕掛け人がローゼマインの後見人であるフェルディナンドだという噂を聞いたと話した。ギーゼルフリートはその名に聞き覚えがあり、神殿へ入れられた最優秀の領主候補生だったことを思い出した。
彼は、政治的な圧力によって神殿に押し込められた天才が、ローゼマインを通じてのみ才能を発揮しているのではないかと考えた。その才能を活用しないのは惜しいと感じ、頭の中で一つの提案が形になった。ゲオルギーネはその表情を見て、良い案なら教えてほしいと促した。
ハルデンツェルの奇跡
クラウディオによる婚約への評価
クラウディオは、ヴィルフリートが事前に聞いていたほど愚かな領主候補生ではなく、魔力と神事が収穫量に結びつくことを理解していると見ていた。ローゼマインの異質さと強大な魔力を受け入れ、協力する姿勢を崩さなければ、次期領主となっても問題はないと判断した。
一方で、ヴィルフリートが次期領主として貴族全体に認められるには、汚点を乗り越える大きな努力が必要であった。クラウディオは、ローゼマインをエーレンフェストに留めるため、ヴィルフリートと婚約させたアウブの判断は間違っていないと考えていた。
ローゼマインの異質さと神事への順応
クラウディオは、ローゼマインの異質さは神殿育ちに由来すると見ていた。彼女は神々への考え方や神事への順応の仕方が通常の貴族と異なり、一夜で雪が消えた光景にも、さすが女神様であると自然に納得していた。
クラウディオは、この感性こそが今後の祈念式に重要になると考えた。毎年祈念式で春を呼ぶことになれば、これまで疎まれていた神殿や神事が見直される可能性があり、その新しい流れを受け入れる度量がヴィルフリートには求められると見ていた。
ライゼガングへの対応とカルステッドの立場
クラウディオは、ライゼガングの古老達とアウブの考えは相容れないため、エーレンフェストはしばらく落ち着かないだろうと見ていた。そのため、ライゼガングの血を引くカルステッドが親族との関係を強化し、彼等を抑えてはどうかと提案した。
しかしカルステッドは、自分は騎士団長であり、領主を守ることが仕事だとして、派閥調整に関わることを拒んだ。彼は最優先で守るべきものはエーレンフェストとアウブであり、家族はその後になると語った。クラウディオはその言葉から、エルヴィーラが苦労してきた理由を理解した。
魔獣討伐とハルデンツェルの調査
ハルデンツェルの雪が完全に消えたため、クラウディオは魔獣の動きや繁殖への影響を早急に調べる必要があると考えた。彼はカルステッドに協力を願い、騎士団と共にクラッセンブルクとの境界付近を調査しながら魔獣を狩ることにした。
クラウディオは、騎士団に貴重な素材を乱獲されたり、平民との問題が起きたりすることを避けるため、自分と騎士団は人里の少ない北側へ、ハルデンツェルの騎士達は南側へ向かうよう分担した。雪解けが早まったことで、土地全体への影響を把握する必要が生じていた。
ハルデンツェルの過去と領主への不信
クラウディオは、かつてハルデンツェルが餓死者を出すほど困窮し、カルステッドを通じてアウブに救いを求めた過去を思い返した。ヴェローニカの権勢下で、ライゼガングとの繋がりを断たれ、食料支援や小聖杯、魔獣素材の買い取りなど、何らかの救いを求めていたのである。
その要望は、結果的にローゼマインによってすべて叶えられていた。魔力豊富な小聖杯、ヴェローニカ失脚後の食料支援、印刷業による外貨獲得が実現していたためである。しかしクラウディオは、アウブやカルステッドの認識が五年前のまま止まっているように感じ、境界門の開放が冬の主の強大化につながる危険を指摘した。
境界門開放への懸念
クラウディオは、境界門が開かれれば猟師達が商人の護衛に回り、夏場の魔獣狩りが手薄になると考えていた。その結果、冬の主が強大化し、騎士団や領地全体に負担が及ぶ可能性があった。
彼は、他領の商人の護衛と夏場の狩りのどちらを優先するのか、境界門を開く前にアウブの考えを確認してほしいとカルステッドに求めた。クラウディオは領主を信じていると言いながらも、実際には都合が悪くなればハルデンツェルに責任を押しつけるだろうと警戒していた。
儀式の影響と資料の不足
クラウディオは、祈念式による雪解けが今後どのような影響をもたらすのかを重く見ていた。雪解け水がどこへ行ったのか、夏に水不足が起こるのか、魔獣の繁殖や成長に変化があるのか、秋の終わりがどうなるのか、考えるべき問題は多かった。
彼は、儀式が変容したのは二百年前、アイゼンライヒが滅びてエーレンフェストが興った頃ではないかと推測した。新しいギーベが赴任したことで儀式の形が変わったか、あるいは平民達が正しい儀式を伝えなかった可能性があった。しかし当時の資料はなく、城や神殿に記録が残っているかを確認する必要があった。
カルステッドとエルヴィーラの関係への気付き
クラウディオは、カルステッドがローゼマインの雷嫌いについてエルヴィーラから報告を受けていたと知り、妹夫婦の関係が変化していることに気付いた。かつてのエルヴィーラは、カルステッドとの関係に苦しんでいたが、今では子供の様子を報告し合う普通の夫婦のように見えた。
クラウディオは、ローゼマインを我が子として迎えた頃からエルヴィーラが生き生きし始めたことを思い出した。そしてカルステッドに、妻を褒める言葉はローゼマインより先にエルヴィーラへ伝えた方が良いと助言した。
ギーベとしての婚約評価と個人としての見解
クラウディオは、ギーベとしては最も有能な者を次期領主に望み、その意味ではローゼマインこそ相応しいと考えていた。神事を行い、貴族院で最優秀となり、事業を興して領地に利益をもたらしているためである。
しかし、同母の親族を持たない者を領主に戴く危険も理解していた。ローゼマインが健康で子を成せるならば話は別だが、虚弱である以上、次代の継承に混乱が起こる恐れがあった。そのため、ヴィルフリートを次期領主とし、ローゼマインを第一夫人にする判断は、ギーベとしては当然の帰結でもあった。
ヴィルフリートとローゼマインの関係確認
クラウディオは、個人としてはローゼマイン自身が婚約をどう捉えているかを重視していた。彼女がヴィルフリートを嫌っている様子も、不仲な様子もなく、むしろ彼を立てる姿勢を見せていたため、婚約を拒んでいるわけではないと判断した。
また、ヴィルフリートとシャルロッテはローゼマインへの敬意を持ち、神事にも協力していた。クラウディオは、ヴィルフリートがローゼマインの異質さを受け入れ、新しい流れを共に支えていけるなら、次期領主となっても問題はないと見たのである。
ブレンリュース採集と親族としての同行
クラウディオは、ハルデンツェルにとって極めて重要なブレンリュースの実を採集し、ローゼマイン達へ贈ることにした。ブレンリュースはハルデンツェル以外の者の採集を許さず、勝手に採れば殺すほど大事な魔木であった。
彼はカルステッドを同行させた。カルステッドは自分がハルデンツェルの者として扱われることに意外そうな反応を見せたが、クラウディオはエルヴィーラの夫であり、ローゼマインの父親であるため親族だと告げた。内心では採集を手伝わせる目的もあったが、カルステッドを親族として扱ったことも事実であった。
ブレンリュースの芽と新たな奇跡
ブレンリュースの魔木のもとへ向かったクラウディオは、根元に金色に輝く芽を見つけた。ブレンリュースは実を埋めても、自然に任せても、接ぎ木をしても増えなかったため、芽を見ること自体があり得ない出来事であった。
クラウディオは、それも祈念式によってもたらされた女神の奇跡だと悟った。小さな芽は、新しい時代の到来を告げるものに見え、彼の胸を強く震わせた。クラウディオは、奇跡を起こす祈念式をこれからも続け、真に豊かなハルデンツェルを取り戻さなければならないと決意した。
神への祈りと感謝
クラウディオは、芽を踏まないように注意しながら、ローゼマイン達へ贈るためのブレンリュースの実を採集した。当初は一つだけのつもりだったが、ローゼマイン、ヴィルフリート、シャルロッテへ二つずつ贈れるように採った。
彼はその日、生まれて初めて心の底から神に祈った。ハルデンツェルに奇跡をもたらした神々への感謝と、祈念式を続ける決意が、彼の中に確かなものとして刻まれた。
大改造を防ぐには
ギュンター達が緊急連絡に動いたこと
ギュンターは、ローゼマインから受けた忠告を無駄にしないため、兵士達に各門の士長や職人協会の協会長へ連絡するよう指示した。下町全体をひっくり返す大改造を防ぐには、改造後の街を美しく保つ必要があったためである。
兵士達は自分達の街を守るために率先して動き出した。ギュンターは、ローゼマインが貴族社会で家族や下町を守るために戦っていることを思い、自分も父親として協力しなければならないと決意した。
神殿でルッツに危機を伝えたこと
ギュンター達が神殿に到着すると、馬車の受け取りに来ていたのはルッツだった。ルッツはプランタン商会の者として丁寧に対応したが、ギュンターから街の改造とローゼマインの忠告を聞くと、すぐに深刻さを理解した。
プランタン商会や商業ギルドには、改造が行われること自体は伝わっていた。しかし、南側まで美しく保てなければ下町全体が造り替えられる可能性までは伝わっていなかった。ギュンターは、商業ギルドに情報を通すようルッツへ依頼し、自分達は南側への周知に集中することにした。
兵士の会議室に職人達が集まったこと
ギュンターは中央の兵士会議室を使い、各門の士長や職人協会の協会長を集めようとした。しかし、噂を聞いた親方達が先に押しかけ、早く説明しろと騒ぎ立てた。
ギュンターは騒ぐ親方を力ずくで黙らせ、五の鐘に全員が集まってから説明を始めた。貴族から知らされていた街の改造の前提を確認した上で、ローゼマインから受けた忠告を伝えた。
下町全体が消える危険の共有
ギュンターは、今回の改造は家や生活に影響しない範囲で済むが、改造後に街を美しく保てなければ、次は下町全体を造り替える大改造が行われる可能性があると伝えた。その場合、白い石造りの部分だけが残り、木造の建て増し部分はすべて消えると説明した。
親方達は最初、そのような横暴が本当に可能なのかと反発した。しかし、フリーダが街は元々領主の魔術で造られたものだと補足したことで、親方達は貴族の魔術による危険を理解し、黙り込んだ。
街を守るためのルールが決まったこと
ギュンターは、改造当日は家の中に避難するか街から出ること、終わるまで窓や扉を開けないこと、改造後は必ず決められた場所に汚物やゴミを捨てることを伝えた。家族や近所同士で注意し合うことが、街を守るために必要だった。
南門の士長は、何度注意しても従わない者は危険人物として扱い、市民権を剥奪して街から追放することも必要だと提案した。ゴミを捨てる行為が、数万人の住居を奪う危険につながる以上、厳しい処分もやむを得ないという判断であった。
家族と近所への周知
ギュンターは夜遅くに帰宅し、エーファへローゼマインの様子と街の危機を話した。ローゼマインは外見こそ眠る前と変わらない小さな姿のままだったが、家族を忘れず、貴族社会で必死に守ろうとしていた。
エーファは自分にできることを尋ね、ギュンターはローゼマインの忠告をカミルや近所へ伝えるよう頼んだ。こうして、兵士、商業ギルド、職人協会、家族、近所という複数の情報網を通じて、忠告は予想以上の速さで街中に広がった。
改造日時の通達と住民の避難
数日後、騎士から改造が三日後の五の鐘に行われると正式に伝えられた。兵士達は各門、商業ギルド、職人協会へ連絡し、すでに共有されていた注意事項を改めて徹底した。
改造当日、四の鐘が鳴ると門は閉じられ、兵士達は住民に家へ入るよう声をかけて回った。露店は片付けられ、工房や商店も昼休みの後は自宅待機となり、街全体が緊張に包まれた。
空から行われた大規模な洗浄
五の鐘の後、街の上空に騎士達とローゼマインの騎獣が現れた。ギュンター達は北門の窓から見守り、やがて光る魔法陣が空中に描かれるのを目撃した。
魔法陣は十三個に増え、街全体を覆うように散った。そこから大量の水が一斉に降り注ぎ、下町全体を押し流すように洗浄した。水はすぐに消え、灰色に汚れていた石造りの建物は白く輝きを取り戻した。
新しい街並みを守る決意
ギュンター達は、魔術の力で下町が本来の白さを取り戻した光景に圧倒された。これほど大がかりな魔術で綺麗にされた街を再び汚せば、貴族が怒るのも当然だと感じた。
騎士から改造終了とゴミ捨て穴の使い方を伝えるよう命じられたギュンター達は、靴の裏を拭いてから街へ出た。そして住民達に、外へ出てもよいことと、近くのゴミ捨て穴を確認して街を守るよう呼びかけた。窓や扉が開き、子供達が歓声を上げて飛び出す中、住民達は美しく生まれ変わった街を見て、希望に満ちた笑顔を浮かべていた。
第四部 貴族院の自称図書委員3レビュー
第四部 貴族院の自称図書委員
本好きの下剋上 全巻まとめ
第四部 貴族院の自称図書委員5レビュー
本好きの下剋上 シリーズ 一覧
兵士の娘

あらすじと考察は本文で詳しく解説。

あらすじと考察は本文で詳しく解説。

あらすじと考察は本文で詳しく解説。
神殿の巫女見習い

あらすじと考察は本文で詳しく解説。

あらすじと考察は本文で詳しく解説。

あらすじと考察は本文で詳しく解説。

あらすじと考察は本文で詳しく解説。
領主の養女

あらすじと考察は本文で詳しく解説。

あらすじと考察は本文で詳しく解説。

あらすじと考察は本文で詳しく解説。

あらすじと考察は本文で詳しく解説。

あらすじと考察は本文で詳しく解説。
貴族院の自称図書委

あらすじと考察は本文で詳しく解説。

あらすじと考察は本文で詳しく解説。

あらすじと考察は本文で詳しく解説。

あらすじと考察は本文で詳しく解説。

あらすじと考察は本文で詳しく解説。

あらすじと考察は本文で詳しく解説。

あらすじと考察は本文で詳しく解説。

あらすじと考察は本文で詳しく解説。

あらすじと考察は本文で詳しく解説。
女神の化身

あらすじと考察は本文で詳しく解説。

あらすじと考察は本文で詳しく解説。

あらすじと考察は本文で詳しく解説。

あらすじと考察は本文で詳しく解説。

あらすじと考察は本文で詳しく解説。

あらすじと考察は本文で詳しく解説。

あらすじと考察は本文で詳しく解説。

あらすじと考察は本文で詳しく解説。

あらすじと考察は本文で詳しく解説。
ハンネローレの貴族院五年生

あらすじと考察は本文で詳しく解説。

あらすじと考察は本文で詳しく解説。

あらすじと考察は本文で詳しく解説。
その他フィクション

Share this content:


コメント