第五部 女神の化身2レビュー
第五部 女神の化身
本好きの下剋上 全巻まとめ
第五部 女神の化身4レビュー
どんな本?
フェルディナンドが旅立ったエーレンフェストの冬は重い。騒乱を好む「混沌の女神」のようなゲオルギーネに関する密告があったことで粛清が早められた。
本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第五部「女神の化身1」
一方、貴族院の三年生になったローゼマインは喪失感を振り払うように、忙しく動き回る。寮内では旧ヴェローニカ派の子供達が連座を回避できるように説得し、院内では領主候補生の講義初日が開始。文官コースの試験に、新しい上級司書との出会い、専門コースの専攻など、一年前とは立場も環境も激変した日々へ突入していく。
次第に「らしさ」を取り戻す中、神々のご加護まで大量に得て、ますますローゼマインの暴走は止まらない!?
「わたしの本好きウィルス、皆に広がれ!」
読んだ本のタイトル
#本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第五部「女神の化身3」
著者: 香月美夜 氏
イラスト: 椎名優 氏
(PR)よろしければ上のサイトから購入して頂けると幸いです。
あらすじ・内容
ダンケルフェルガーとのディッター勝負で倒れたローゼマインが目を覚ます。諸問題は解決したものの、乱入した中央騎士団にトルークを使われた可能性が浮上した。
本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第五部「女神の化身3
その対応は大人達に任せつつ、本人は領地対抗戦の準備に取りかかる。様々な領地や王族との社交が次々と始まるのだった。
けれど、ローゼマインの心はどこか落ち着かない。それもそのはず。対抗戦の夜にフェルディナンドがエーレンフェストのお茶会室に宿泊予定なのだ。
「わたくし、フェルディナンド様を全力でお迎えします!」
待ちわびた再会に成人式の奉納舞と、イベント目白押しで相変わらずの大激走!
前巻からのあらすじ
ダンケルフェルガーとの嫁とりリッターでの決闘。
賞品はローゼマインとハンネローネ。
ダンケルフェルガーが勝ったらローゼマインがダンケルフェルガーの跡取りに第一夫人として嫁ぎ。
エーレンフェストが勝ったらハンネローネがエーレンフェストの跡取りの第二夫人として嫁ぐ事になる。
本人そっちのけで盛り上がるリッターだが、、
下馬評はダンケルフェルガーの圧倒的有利。
実際にリッターが始まったらダンケルフェルガーの猛攻にエーレンフェストは防戦一方。
ローゼマインの前まで相手が攻め寄せて来て、側仕え達も気絶してしまった。
そんな時、、
感想
ダンケルフェルガーとの嫁取りリッターで、回復薬を大量摂取したせいでローゼマインは寝込んでしまう。
肝心のリッターの結果は、、
エーレンフェスト:
「第三者が介入した時点でリッターは中止。」
ダンケルフェルガー:
「何が起ころうと、神聖な勝負は勝負。
こちら側の宝(ハンネローネ)がエーレンフェスト側に行ったのでダンケルフェルガーの負け。」
お互いの認識に齟齬があるせいで、領地対抗戦の際にダンケルフェルガーの婦人との茶会を設けるのだが、、
誓約書がダンケルフェルガー側から突然出て来たりと、エーレンフェストとの認識の差がより深刻になり。
しかも、それをエーレンフェストに伝えていないと第一婦人が知ると、、
キレた。
そのせいで、ダンケルフェルガーの嫡子であるレスティラウトが作成した絵が没収されて、エーレンフェストに譲られる。
それに意気消沈するレスティラウトが哀れ。
それ以外の領地対抗戦では、アーレンスバッハのディートリンデが展示している。
ライムント作成の録音する魔導具を埋めたシュミルのヌイグルミを欲しがり、周りが遠回しに遠慮しろと言ってるのに気が付かない。
それで譲るのだが、、
そんな時に、展示しているシュミルからローゼマインの本の宣伝が流れてアーレンスバッハの展示で、エーレンフェストのCMが流れてしまう騒動が起きてしまう。
領地対抗戦の晩にフェルディナンドがエーレンフェストへの束の間の帰還。
ローゼマインと調合をしたり、マットレスの長椅子で寝たりしてリラックスする。
最後にマインとリヒャルダに「ありがとう」って言って去って行く。
もうそう簡単には会えないフェルディナンドとの束の間の再会。
リヒャルダも涙目。
そんな別れをしてアーレンスバッハ側に行くと、、
ディートリンデがワガママ放題。
卒業式の舞でピカピカになる酷さにドン引きするが、、
それを見た中央の神殿の者が、ディートリンデがツェントの資格を持つと言う。
あの頭が残念な令嬢が、ツェント?
どんな悪夢だそれ?
それで余計に増長するディートリンデがまた、、
王族を伴侶にすると言ってるのが何とも頭が軽い、、
最後の方では、ヴィルフリートは側近達の言葉に踊らされて変な方向に話が向かって行く。
元々がヴェローニカに育てられるからな、、
情報の取得の仕方、分析がずさん過ぎる。
何でそうなるのか。。
でも、ジルヴェスターもそうだったんだよな?
凄く似てるし、、
ならエーレンフェストのアウブは大丈夫か?
最後までお読み頂きありがとうございます。
(PR)よろしければ上のサイトから購入して頂けると幸いです。
第五部 女神の化身2レビュー
第五部 女神の化身
本好きの下剋上 全巻まとめ
第五部 女神の化身4レビュー
考察・解説
嫁取りディッターの終結
エーレンフェストとダンケルフェルガーの間で行われた嫁取りディッターは、領地対抗戦での会談を経て、両領地の認識の食い違いや思惑が明らかになりながら決着を迎えた。本稿では、その勝敗の行方から不祥事の真相、そして和解に至るまでの詳細を解説する。
ディッターの勝敗と乱入者の始末
・中央騎士団と中小領地の乱入により無効試合となる懸念が生じたが、ハンネローレが自ら陣を出てローゼマインの盾へ避難した時点で勝負が決したとみなされ、エーレンフェストの勝利に終わった。
・乱入した中央騎士団はツェントの名を騙って学生を煽ったとして、厳罰に処されることとなった。
・一方、エーレンフェストのマティアスは事情聴取の場で捕らえられた騎士たちから甘い匂いを感じ取っており、彼らが記憶を混濁させる危険植物「トルーク」で操られていた可能性に気付いていた。
領地対抗戦での会談とジークリンデの追及
・領地対抗戦の場で行われたダンケルフェルガーの第一夫人ジークリンデとの会談で、彼女はハンネローレが自ら陣を出た以上、敗北を受け入れてエーレンフェストの第二夫人として嫁がせるべきであると主張した。
・エーレンフェストが大領地の姫を受け入れる態勢が整っていないことを非難し、遠回しにローゼマインをダンケルフェルガーへ引き渡すよう迫るジークリンデに対し、ローゼマインは「敗者は黙っていてくださいませ」と一蹴した。
・ローゼマインは、第二夫人の条件はディッターを回避するための時間稼ぎに過ぎず、勝利した場合は最初からその条件を破棄し、ハンネローレが望む場所へ嫁げるよう助力するつもりであったと反論した。
契約書の齟齬と誤解の発覚
・話し合いの中で、レスティラウトとヴィルフリートが署名した契約書に、エーレンフェスト側の前提条件である「勝利した場合は第二夫人にする条件を取り消す」「敗北したら求婚を諦める」という文言が記載されていなかったことが発覚した。
・これは、レスティラウトが自領の常識を押し通して意図的に説明を曖昧にし、契約書の作成を行っていたためである。
・ヴィルフリートも、ダンケルフェルガー側が安価なエーレンフェスト紙を契約書に使用していたため、それが正式な契約書であるとは認識せずに署名していた。
ハンネローレの真意と覚悟
・実はハンネローレの行動は深い策略などではなく、ディッターの最中にヴィルフリートに手を差し伸べられた瞬間に衝動的な恋心を抱き、彼について行きたいと願って自ら陣を出たものであった。
・しかし、大領地の姫を受け入れる態勢がエーレンフェストにないことを知った彼女は、敗者が勝者にこれ以上迷惑をかけるべきではないと自ら母親を諭し、嫁入りを辞退した。
・この決断は、自領を敗北させた上に利益まで投げ出した裏切り者として、ダンケルフェルガー内で厳しい風当たりを受ける覚悟を決めての行動であった。
決着と詫びの品
・最終的に双方は確認不足や説明不足を謝罪し合い、エーレンフェストは「ローゼマインへの求婚を諦めること」「今後ディッターを仕掛けないこと」を要求し、ジークリンデもこれを了承した。
・エーレンフェストに多大な迷惑をかけた詫びの品として、ハンネローレの提案により、レスティラウトが描いた『ディッター物語』の挿絵が提供されることとなった。
まとめ
このように、多くの誤解や思惑を孕んだ嫁取りディッターを巡る騒動は、双方の話し合いによってひとまずの決着を見た。一連の出来事は、両領地の関係性に新たな局面をもたらすとともに、登場人物たちの成長や決意を促す重要な転換点となったのである。
ローゼマインの体調不良
物語におけるローゼマインの体調不良について解説する。ダンケルフェルガーとの「嫁取りディッター」において、彼女は勝利と味方の保護のために無茶を重ね、深刻な状態に陥った。この出来事は、彼女の側近たちに大きな波紋を呼び、主への仕え方や婚約者に対する不満を浮き彫りにした。
回復薬の過剰摂取と深刻な症状
ダンケルフェルガーとのディッター中、乱入者からの攻撃を防ぎ味方や非戦闘員を守るため、ローゼマインは「シュツェーリアの盾」を維持し続けた。その結果、以下のような深刻な体調不良を引き起こすこととなる。
- 主治医であるフェルディナンドに定められた許容量を超える回復薬を過剰に摂取し、魔力も使いすぎた結果、土気色の顔で倒れた。
- 熱が上がり苦しそうな呼吸を続ける深刻な状態に陥った。
- 薬の飲み過ぎが原因の一つであるため更なる薬を投与できず、側近たちはただ彼女の目覚めを待つことしかできなかった。
側近たちの苦悩と「側近 of 心得」
ローゼマインが倒れた事態は、側近たちに大きな葛藤と意識の変化をもたらした。
- 側仕え見習いのブリュンヒルデは、自分がディッター中に気を失わなければ過剰摂取を止められたはずだと激しく自責の念に駆られ、側仕え失格だと苦悩した。
- 護衛騎士のユーディットたちも主を守りきれなかったことを悔やむ一方、マティアスやラウレンツは盾を維持しなければ皆が危険だったため仕方がない状況だったと考えた。
- 側近たちの背景には、4年前に護衛騎士がローゼマインの「皆を助けたい」という望みを優先した結果、彼女がさらわれて2年間もユレーヴェで眠る羽目になった苦い過去が存在する。
- この教訓から、筆頭護衛騎士見習いのレオノーレやブリュンヒルデは、「主の望みを際限なく叶えることが側近の務めではなく、ローゼマインの安全と健康を最優先にすべきである」という認識を強く共有することとなった。
婚約者ヴィルフリートへの不満
ローゼマインが周囲のために無理をして倒れた一方、婚約者であるヴィルフリートの対応は側近たちの不信感を煽るものとなった。
- ヴィルフリートは勝利や事情聴取が無事に終わったことばかりを喜び、ローゼマインへの感謝や心配の言葉を口にしなかった。
- 彼はローゼマインが倒れることを「いつものこと」と軽く捉え、お見舞いの品すら用意しなかった。
- この態度は、必死に主を支えるブリュンヒルデやレオノーレたち側近に強い苛立ちと不信感を抱かせ、ヴィルフリートに対する嫌悪感をさらに深める悪循環を生んだ。
目覚めとその後
約3日間寝込んだ後、ローゼマインは熱が下がり目を覚ました。その後の経過は以下の通りである。
- リヒャルダやブリュンヒルデから、今後は絶対に許容量を超えて薬を飲まないようきつく釘を刺され、ローゼマインも「勝手に薬を飲みません」と約束した。
- その後、領地対抗戦で再会したフェルディナンドによる診察では、「少し丈夫になった」「寝込む回数も減り、寝込んでも二日で治るようになってきた」と自ら報告した。
- 以前に比べて着実に体力がついている様子も描かれている。
まとめ
ローゼマインの体調不良は、彼女自身の「皆を守りたい」という自己犠牲の精神と危うさを改めて浮き彫りにした。同時に、過去の失敗を教訓に主の安全を最優先しようとする側近たちの成長や、ヴィルフリートとの間にある認識のズレといった、人間関係の複雑な歪みを描き出す重要な契機となっている。
側近の心得と葛藤
物語におけるローゼマインの側近たちの「心得と葛藤」について解説する。ダンケルフェルガーとの「嫁取りディッター」において、ローゼマインが味方を守るために無茶をして倒れたことをきっかけに、側近たちの間で「主への仕え方」を巡る深刻な葛藤と議論が交わされた。
主の決断に対する後悔と自責
ディッター中、乱入者からの攻撃を防ぎ味方や非戦闘員を守るため、ローゼマインは「シュツェーリアの盾」を維持し続けた。その結果、許容量を超える回復薬を過剰に使用し、熱を出して深刻な状態に陥ってしまう。この事態に対し、側近たちの間ではそれぞれの立場から後悔や意見の相違が生まれた。
- 側仕え見習いのブリュンヒルデは、自分がディッターの途中で気を失わなければ薬の過剰摂取を止められたはずだと「側仕え失格だ」と激しく自責の念に駆られる。
- 護衛騎士のユーディットも、自分が武器を手にしなければ盾から弾き出されず、主を守れたと悔やんでいた。
- 一方、新しく側近になったマティアスやラウレンツは、主の危機に武器を取らない騎士は失格であり、盾の維持は皆を守るためにローゼマイン自身が望んだ不可欠な行動だったと考えていた。
四年前の教訓と「側近 of 心得」
マティアスは「あれはローゼマイン様が望んだことであり、主の望みを叶えることが側近の務めではないか」と問うが、ブリュンヒルデはそれをぴしゃりと否定する。側近たちが主の安全を何よりも重んじる背景には、過去の苦い教訓が存在していた。
- レオノーレは、4年前に起きたジョイソターク子爵による誘拐事件を教訓として挙げた。当時、護衛騎士たちが「皆を助けたい」という主の心に沿うことだけを考えて動いた結果、ローゼマインは攫われ、ユレーヴェで2年間も眠りにつくことになってしまった。
- この過去があるからこそ、側近たちは「主の望みを際限なく叶えることが側近の務めではない」と痛感している。
- 特にローゼマインは発想が豊かでやる気があるものの、体力が全くついていかない。そのため、「ローゼマインの安全と健康を最優先にすること」こそが、彼女に仕える上での絶対の心得として共有されている。
護衛騎士の覚悟とヴィルフリートへの不満
主の安全を第一に考える側近たちは、無理を押してエーレンフェストのために倒れたローゼマインに対し、婚約者であるヴィルフリートの対応へ強い苛立ちと不信感を募らせていた。
- ヴィルフリートは感謝や心配の言葉を口にせず、ローゼマインの容体を「いつものこと」と軽く扱っていた。
- さらにヴィルフリートが、乱入者によってディッターの決着が中途半端になったと思い悩んでいたことに対しても、レオノーレは「どんな手段を使っても勝てば良い。本気でローゼマイン様を守る気があるのか」と憤慨する。
- 「全てにおいて主の安全を優先すること。どのような手段を用いても主を守りきれ」というのが護衛騎士の心得である。
- 騎士らしい勝利の形にこだわるヴィルフリートを少しでも擁護しようとしたラウレンツに対し、レオノーレは辛辣な言葉で厳しく指導を行った。
まとめ
側近たちの葛藤は、自己犠牲を厭わずに皆を守ろうとする主を、いかにして安全に守り抜くかという深い忠誠心から生じている。このディッター後の話し合いは、新旧の側近たちの間で「主の健康と安全の最優先」という心得を再確認し、結束を固める重要な契機として描かれている。
中央騎士団とトルーク
物語における中央騎士団と危険植物「トルーク」の関わりについて解説する。ダンケルフェルガーとの嫁取りディッターに乱入した中央騎士団の不審な行動から、中央の中枢にまでゲオルギーネの脅威が及んでいる可能性が浮上した。
中央騎士団の乱入と不審な行動
ダンケルフェルガーとのディッターにおいて、中央騎士団の騎士たちが乱入する事態が発生した。その概要と影響は以下の通りである。
- 騎士たちは王命もなく「王族が聖女を得るべきだ」と主張して中小領地の学生たちを扇動したため、ツェントから厳罰が下されることになった。
- 乱入した三人は中央騎士団の中枢にいて王が最も信頼していた者たちであり、彼らの予期せぬ暴走は王に大きなショックを与えた。
マティアスの気付きとトルークの匂い
王族による事情聴切の際、エーレンフェストの騎士見習いであるマティアスは重要な異変を察知した。
- 捕縛されて転がされていた中央騎士たちから、甘い匂いが漂っていることに気が付いた。
- 寮に戻って暖炉の火を見た瞬間、マティアスはその匂いからゲオルギーネの笑みを思い出し、それが危険植物「トルーク」のものであると確信した。
トルークの危険性とゲオルギーネとの繋がり
トルークは非常に危険な植物であり、中央騎士団とゲオルギーネ派を結びつける物証となった。
- 乾燥させたものを火にくべて使うと、甘ったるい匂いと共に記憶の混濁や幻覚症状、陶酔感を引き起こす強い作用を持つ。
- エーレンフェストにおいては、ゲオルギーネに忠誠を誓う反逆者たちが証拠隠滅のために秘密の会合で使用していた。
- ローゼマインを害そうとしたゲオルギーネ派と、今回のディッター乱入犯が同じ植物を使っていたことから、レオノーレ達は中央騎士団とゲオルギーネ派の間に何らかの繋がりがあると考えた。
- 冬の貴族院では暖炉が日常的に使われているため、不審に思われずにトルークを焚くことができる環境も整っていた。
王族への報告と波紋
エーレンフェストのアウブであるジルヴェスターは、領地対抗戦でのアナスタージウス王子との会談において、このトルークに関する重要な情報を報告した。
- 乱入犯からトルークの匂いがしたことを伝え、中央の中枢にトルークを使用する危険な人物が潜んでいる可能性を指摘した。
- トルークを使用していたエーレンフェストの反逆者が、ゲオルギーネが第一夫人として君臨するアーレンスバッハと通じていることも明かした。
- この報告は王族に大きな衝撃を与え、中央騎士団内に蔓延する脅威とアーレンスバッハの不穏な動きを認識させる重要な契機となった。
まとめ
中央騎士団の乱入と危険植物「トルーク」の存在は、ゲオルギーネの脅威が単なる一領地の問題に留まらず、中央の中枢にまで及んでいることを浮き彫りにした。エーレンフェストからの報告により王族がその危険性を認識したことは、中央騎士団の調査やアーレンスバッハへの警戒を強める重要な契機となっている。
領地対抗戦の準備
領地対抗戦が近づく中、エーレンフェストの学生たちは三大領地との共同研究の準備や、例年を上回る来客への対応に追われている。
共同研究の仕上げと新たな工夫
ドレヴァンヒェル、ダンケルフェルガー、アーレンスバッハとの共同研究の進捗と工夫は以下の通りである。
- ドレヴァンヒェルとの研究:魔紙の性質向上などの共通発表に加え、新しい魔術具は各領地で独自に発表することになった。ドレヴァンヒェルが優れた自動演奏楽器を開発していたためエーレンフェストの文官見習いたちは落胆したが、ローゼマインの提案により「自動的に書箱に戻る本」や、クズ魔石を用いた「平民でも使える省魔力の音楽魔術具」の試作品を短期間で完成させた。
- ダンケルフェルガーとの研究:祈りと御加護の関係に関する共通研究部分をまとめ終え、新たに芽吹きの女神ブルーアンファの御加護を得たヨースブレンナーのリュールラディの成果も急遽追加された。
- アーレンスバッハとの研究:ライムントとフェルディナンドが開発した図書館の検索用魔術具や録音魔術具の発表が行われる。フラウレルムの妨害や手柄の横取りを防ぐため、リーゼレータの提案で録音魔術具を可愛らしいシュミルのぬいぐるみに仕込むことになった。さらに、ミュリエラが選んだ恋物語の愛の言葉をラウレンツの声で録音し、最後にローゼマイン自身の声でエーレンフェストの新刊の宣伝を吹き込むという工夫が凝らされている。
フェルディナンドの宿泊準備
卒業式の朝にエスコートしてほしいというディートリンデの要望により、フェルディナンドはエーレンフェスト寮のお茶会室に宿泊することになった。
- 情報流出を警戒するアーレンスバッハ側近が同行するため、寮の客室は使えなかった。
- ローゼマインとリヒャルダは、彼が少しでも快適に休めるよう、衝立で空間を区切り、特注のコイル入りマットレスを備えた長椅子や布団を用意して休息空間を整えた。
- 領地対抗戦で忙しい城の料理人に代わり、神殿の料理人にフェルディナンドの好物(タオヒェンのポメ煮込みなど)を作らせて保存の魔術具で運び込む手配も行った。
会場設営とローゼマインの待機
当日の朝、会場の設営準備とローゼマインの動向は以下の通りである。
- 寮の厨房では大量のサンドイッチやスープ、そして来客用のお菓子が準備されていた。オトマール商会からもカトルカールやクッキーが続々と届き、祭り前の慌ただしい雰囲気に包まれていた。
- ローゼマイン自身も会場の設営を手伝おうとしたが、嫁取りディッターへの乱入事件があったため、安全を考慮したヴィルフリートから「領主夫妻の護衛として騎士団が到着するまで寮で待機するように」と命じられた。
- 仲間外れのような寂しさを感じつつも、彼女はお茶会室の最終確認などをしながら待機することになった。
まとめ
領地対抗戦に向けて、エーレンフェストでは各領地との共同研究の仕上げや、フェルディナンドの宿泊環境の整備など、多方面での綿密な準備が進められた。ローゼマインのアイデアや側近たちの工夫により、様々な課題を乗り越えて本番を迎える体制が整えられている。
共同研究の成果
物語における「共同研究の成果」と、領地対抗戦での研究発表における反響について解説する。エーレンフェストが三大領地(ダンケルフェルガー、アーレンスバッハ、ドレヴァンヒェル)と行った共同研究は、領地対抗戦の研究発表の場で非常に高く評価された。深刻な魔力不足に悩む現在のユルゲンシュミットにとって有益な成果が多く、表彰式ではツェント(王)からエーレンフェストの多大な貢献が直接称賛される結果となった。
第一位:ダンケルフェルガーとの「儀式と御加護の関係」
ダンケルフェルガーとの共同研究は、研究発表で見事第一位に選ばれた。その評価ポイントと実演による影響は以下の通りである。
- 現代では廃れていた神事が見直され、神々に祈りと魔力を奉納することで御加護を得る条件が明らかにされた点が評価された。
- 御加護を得ることで魔力の消費量が減少するという結果は、魔力不足の貴族社会において非常に重要であり、王族が奉納式に参加したことからも今後のユルゲンシュミットに多大な影響を与える研究であると称賛された。
- ディッターの全試合終了後、アウブ・ダンケルフェルガーが率いる成人騎士たちによって、神殿の神具「ライデンシャフトの槍」を用いた儀式の実演が行われた。
- 騎士たちが慣れた動きで青い光の柱を立ち上げ、強大な祝福を得て魔獣を圧倒する姿は、他領の貴族たちに神事の絶大な効果と重要性をまざまざと見せつけることになった。
第三位:アーレンスバッハとの「魔術具の省魔力化」
フェルディナンドの弟子ライムントとローゼマインが協力して行った研究は、第三位に選ばれた。
- 大量の魔力が必要な魔術具を、従来よりもずっと少ない魔力で動かせるようにした画期的な手法が評価された。
- 展示された魔術具だけでなく、様々な魔術具に応用可能な研究であることが高く評価されている。
- アーレンスバッハの寮監フラウレルムによる手柄の横取りを防ぐため、エーレンフェスト側は録音の魔術具を可愛らしいシュミルのぬいぐるみに仕込んで展示した。
- このぬいぐるみからは、ラウレンツの声で貴族院の恋物語から厳選された愛の言葉が流れ、最後にはローゼマインの声でエーレンフェストの書籍の宣伝が流れるという仕掛けが施されていた。
- この工夫は多くの女性の関心を引き、エーレンフェストの本に対する興味を大いに煽ることに成功した。
ドレヴァンヒェルとの共同研究と「グラフ」の波及
表彰式のトップ3には入らなかったものの、ドレヴァンヒェルとの研究も大きな反響を呼んだ。
- エーレンフェストの魔紙の品質向上を共通発表としつつ、エーレンフェストの文官見習いたちは独自に「自動的に書箱に戻る本」や、クズ魔石を利用した「省魔力の音楽魔術具」の試作品を展示した。
- これを見たドレヴァンヒェルのグンドルフ先生は、少ない魔力で魔術具を動かすエーレンフェストの成長ぶりに驚き、高く評価した。
- 研究内容以上にグンドルフ先生や他領の文官たちの関心を引いたのが、研究結果を視覚化するために用いられた「グラフ」という新しい手法だった。
- 数値を視覚的に示すこの画期的な手法に多くの教師が注目し、グンドルフ先生に至っては「来年の研究にはグラフを使いたい」と宣言するほどの反響を呼んだ。
まとめ
これらの共同研究 accomplishments を通じて、エーレンフェストは単なる「流行の発信地」から、ユルゲンシュミット全体の魔力不足を改善する実践的な知識や、新たな学術的手法を提供する重要な領地として、その存在感を大きく高めることになった。
次期ツェント騒動
物語における「次期ツェント騒動」について解説する。この騒動は、貴族院の卒業式における奉納舞でのハプニングから始まり、王族や他領を巻き込む大きな混乱へと発展した。
騒動の発端
卒業式の奉納舞において、前代未聞の失態が騒動の引き金となった。
- 光の女神役を務めたディートリンデが、自身の髪飾りや装飾の魔石を光らせようとして大量の魔力を放出した結果、意識を失って倒れ込んだ。
- その際、倒れた彼女の手が触れた白い舞台に、見知らぬ魔法陣が数秒間浮かび上がった。
中央神殿の主張と王族の混乱
魔法陣の出現により、貴族院や王族周辺はひどい混乱状態に陥った。
- 中央神殿の神殿長と神官長が、舞台に浮かんだ魔法陣は「次期ツェント(王)を選出するためのもの」であり、今最も次期ツェントに近い人物がディートリンデであると発言したことで、貴族院は騒然となった。
- トラオクヴァール王自身はグルトリスハイトを持たないため、もしディートリンデが本当にグルトリスハイトを得た場合は玉座を明け渡すつもりであると述べた。
- しかし、これまで苦労してきた王にこそグルトリスハイトを得てほしいと願う側近や、数々の醜態を見せたディートリンデがツェントになることに強い不安を抱く者が現れた。
- さらに、フェルディナンドの陰謀だと疑う者まで現れ、王族周辺はひどい混乱状態に陥った。
真相とフェルディナンドの助言
神事に詳しくない王族(エグランティーヌやアナスタージウス)は、急遽ローゼマインとフェルディナンドを離宮に召喚して事情を問いただした。
- フェルディナンドは、あの魔法陣がツェント候補を選出するものであることは認めつつも、「ディートリンデが最も次期ツェントに近い」という主張は誤りであると断言した。
- 本来の作動条件は、全属性とツェントに相応しい魔力量を持つ者が、祈りを捧げて魔力を奉納し、光の柱を立てることである。
- ディートリンデは魔石を光らせようとして魔力を垂れ流した結果、たまたま魔法陣を浮かび上がらせただけであり、作動させることもできなかった彼女に候補の資格はないと一蹴した。
- フェルディナンドは、エーレンフェストの共同研究を参考に、王族自身が御加護を得る儀式をやり直し、自ら魔法陣を作動させる検証を行うべきだと提案した。
- もし魔力と祈りに慣れたローゼマインが魔法陣を作動させれば、今度は彼女が次期ツェント候補として担ぎ上げられ新たな騒乱の種になるため、検証は王族だけで行うべきだと強く主張した。
- ツェントになるには聖典よりも古いグルトリスハイトを読むための古語の習得が必須であることも指摘した。
ディートリンデの暴走
奉納舞の二日後に目覚めたディートリンデは、中央神殿の言葉を利用した側近たちにおだてられ、すっかりその気になってしまう。
- 母親であるゲオルギーネからも「欲しいものは努力して手に入れよ」と後押しを受け、1年間の猶予でグルトリスハイトを探し、本気で次期ツェントを目指すと宣言した。
- 自分がツェントになった暁には王族のジギスヴァルト王子かアナスタージウス王子を婿に迎え、フェルディナンドとは婚約解消するつもりだという非現実的な妄想を抱いた。
- フェルディナンドを自身の命令に逆らえないように縛るため「名捧げ」を要求したが、フェルディナンドに「名はすでに手元にない」と(祖母ヴェローニカに奪われたと誤認させる形で)涼しい顔で躱され、激怒する結果となった。
まとめ
今回の次期ツェント騒動は、奉納舞でのハプニングをきっかけに王族や中央神殿、各領地を巻き込む大きな混乱へと発展した。フェルディナンドの助言によって魔法陣の真の作動条件や王族が取るべき対応が明確になったものの、ディートリンデの盲信と暴走や周囲の思惑が絡み合い、今後の情勢に大きな影響を与える重要な転換点となっている。
第五部 女神の化身2レビュー
第五部 女神の化身
本好きの下剋上 全巻まとめ
第五部 女神の化身4レビュー
登場キャラクター
中央・王族・貴族院
トラオクヴァール
ユルゲンシュミットの現在の王である。グルトリスハイトを持たない状態で国を治めている。
・所属組織、地位や役職
中央・王族。王(ツェント)。
・物語内での具体的な行動や成果
領地対抗戦の表彰式で挨拶を行った。ディートリンデがグルトリスハイトを得た場合は王座を譲る意向を示している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
魔力供給に追われて顔色を悪くしていた。
ジギスヴァルト
トラオクヴァールの第一王子である。アドルフィーネの婚約者として知られている。
・所属組織、地位や役職
中央・王族。第一王子。
・物語内での具体的な行動や成果
領地対抗戦の表彰式に出席した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項なし。
アナスタージウス
トラオクヴァールの第二王子である。エグランティーヌの夫である。
・所属組織、地位や役職
中央・王族。第二王子。
・物語内での具体的な行動や成果
中央騎士団の乱入についてジルヴェスターに謝罪した。トルークの情報を聞いて警戒を強める。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
エーレンフェストの順位を現状維持にする提案を受け入れた。
エグランティーヌ
アナスタージウスの妻である。
・所属組織、地位や役職
中央・王族。
・物語内での具体的な行動や成果
領地対抗戦の表彰式に出席した。奉納舞の魔法陣についてローゼマインを離宮に呼び出し、情報を求めた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項なし。
ヒルデブラント
トラオクヴァールの第三王子である。
・所属組織、地位や役職
中央・王族。第三王子。
・物語内での具体的な行動や成果
ダンケルフェルガーが婚約者を奪おうとしていると中央騎士団へ訴えた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
その訴えが中央騎士団に拡大解釈された。
ナーエラッヒェ
ジギスヴァルトの第一夫人である。
・所属組織、地位や役職
中央・王族。
・物語内での具体的な行動や成果
領地対抗戦の表彰式に出席した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項なし。
ラオブルート
中央騎士団を率いる人物である。
・所属組織、地位や役職
中央。中央騎士団長。
・物語内での具体的な行動や成果
ディッターの表彰式で騎士見習い達を称賛した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項なし。
オスヴィン
アナスタージウスの側仕えである。
・所属組織、地位や役職
中央・王族。筆頭側仕え。
・物語内での具体的な行動や成果
エグランティーヌからの手紙をローゼマインに届けた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項なし。
ソランジュ
貴族院の中級貴族である。図書館の業務を行っている。
・所属組織、地位や役職
貴族院・図書館。中級司書。
・物語内での具体的な行動や成果
一人で図書館の魔術具を維持してきた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項なし。
ヒルシュール
貴族院の教師である。エーレンフェストの寮監を務めている。
・所属組織、地位や役職
貴族院・教師。エーレンフェスト寮監。
・物語内での具体的な行動や成果
ディッターの後半戦でタルクロッシュを召喚した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
フェルディナンドの恩師にあたる。
ルーフェン
貴族院の騎士コースの教師である。
・所属組織、地位や役職
貴族院・教師。ダンケルフェルガー寮監。
・物語内での具体的な行動や成果
ディッターの開始と終了の宣言を行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
嫁取りディッターと嫁盗りディッターを勘違いしていた。
グンドルフ
貴族院の教師である。ドレヴァンヒェルの寮監を務めている。
・所属組織、地位や役職
貴族院・教師。ドレヴァンヒェル寮監。
・物語内での具体的な行動や成果
ディッターの後半戦でグミモーカを召喚した。エーレンフェストのグラフを用いた研究発表に強い関心を示した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項なし。
フラウレルム
貴族院の教師である。アーレンスバッハの寮監を務めている。
・所属組織、地位や役職
貴族院・教師。アーレンスバッハ寮監。
・物語内での具体的な行動や成果
録音の魔術具から流れた宣伝の言葉に激怒した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
妹がビンデバルト伯爵の連座で処罰されている。
エーレンフェスト
ジルヴェスター
エーレンフェストを治める領主である。ローゼマインの養父にあたる。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト。アウブ。
・物語内での具体的な行動や成果
領地対抗戦の社交で他領のアウブや王族と交渉を行った。エーレンフェストの順位を現状維持にするよう求めた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
旧ヴェローニカ派の粛清後の処理に追われている。
フロレンツィア
ジルヴェスターの第一夫人である。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト。第一夫人。
・物語内での具体的な行動や成果
転移陣に酔って体調を崩し、領地対抗戦の社交を欠席した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
懐妊の兆しがある。
ローゼマイン
ジルヴェスターの養女である。本を読むことを好む性格である。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト。領主候補生。
・物語内での具体的な行動や成果
領地対抗戦で三年連続の最優秀者として表彰された。ダンケルフェルガーとの交渉で自らの意見を主張した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
多領地との共同研究でユルゲンシュミットに貢献したと王から評価された。
ヴィルフリート
ジルヴェスターの息子である。ローゼマインの婚約者である。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト。次期アウブ。
・物語内での具体的な行動や成果
ダンケルフェルガーとのディッターに関する契約書に署名した。オルトヴィーンとゲヴィンネンで勝負をした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ローゼマインに対して不信感を抱くようになった。
シャルロッテ
ジルヴェスターの娘である。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト。領主候補生。
・物語内での具体的な行動や成果
領地対抗戦の社交でヴィルフリートを補佐した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項なし。
メルヒオール
ジルヴェスターの息子である。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト。領主候補生。
・物語内での具体的な行動や成果
ローゼマインの後に神殿長へ就任する予定である。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項なし。
ボニファティウス
カルステッドの父である。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト。元領主一族。
・物語内での具体的な行動や成果
領地で留守番をしている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
アンゲリカの結婚相手候補として名が挙がっている。
カルステッド
エーレンフェストの騎士団を率いる人物である。ローゼマインの実父である。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト。騎士団長。
・物語内での具体的な行動や成果
王族の離宮へ向かうローゼマインの護衛任務に就いた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項なし。
エルヴィーラ
カルステッドの第一夫人である。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト。
・物語内での具体的な行動や成果
フェルディナンドへ届ける料理を入れるため、保存の魔術具を貸し出した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項なし。
ヴェローニカ
ジルヴェスターの母である。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト。元第一夫人。
・物語内での具体的な行動や成果
過去にフェルディナンドの名を要求した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項なし。
リヒャルダ
ローゼマインに仕える側仕えである。ユストクスの母である。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト。筆頭側仕え。
・物語内での具体的な行動や成果
フェルディナンドが休憩するお茶会室の準備を整えた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項なし。
ブリュンヒルデ
ローゼマインに仕える側仕え見習いである。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト。上級側仕え見習い。
・物語内での具体的な行動や成果
ディッター中に気を失ったことで自責の念に駆られた。五年時の優秀者に選ばれた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項なし。
リーゼレータ
ローゼマインに仕える側仕え見習いである。トルステンの婚約者である。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト。中級側仕え見習い。
・物語内での具体的な行動や成果
録音の魔術具を仕込むためのシュミルのぬいぐるみを作製した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
新たにルングシュメールの御加護を得た。
グレーティア
ローゼマインに仕える側仕え見習いである。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト。側仕え見習い。
・物語内での具体的な行動や成果
他領の態度の変化についてヒルシュールに相談した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項なし。
マティアス
ローゼマインに仕える護衛騎士見習いである。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト。中級護衛騎士見習い。
・物語内での具体的な行動や成果
事情聴取の際に騎士からトルークの匂いがしたことに気づいた。五年時の優秀者に選ばれた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項なし。
ラウレンツ
ローゼマインに仕える護衛騎士見習いである。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト。中級護衛騎士見習い。
・物語内での具体的な行動や成果
録音の魔術具に恋物語の愛の言葉を吹き込んだ。五年時の優秀者に選ばれた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項なし。
レオノーレ
ローゼマインに仕える護衛騎士見習いである。コルネリウスの婚約者である。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト。筆頭護衛騎士見習い。
・物語内での具体的な行動や成果
ディッターの後半戦でグミモーカに対する的確な指揮を執った。優秀者に選ばれた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
アングリーフやシュタイフェリーゼの御加護を得た。
ユーディット
ローゼマインに仕える護衛騎士見習いである。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト。中級護衛騎士見習い。
・物語内での具体的な行動や成果
ディッターで爆発系の魔術具をスリングで投げ込んだ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項なし。
テオドール
ユーディットの弟である。貴族院限定の護衛騎士見習いである。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト。護衛騎士見習い。
・物語内での具体的な行動や成果
ヒルシュール研究室へ向かうローゼマインの護衛に同行した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ギーベ・キルンベルガの騎士を目指している。
アレクシス
ヴィルフリートに仕える護衛騎士見習いである。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト。護衛騎士見習い。
・物語内での具体的な行動や成果
ディッターでグミモーカに魔力を打ち込んだ。優秀者に選ばれた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
アングリーフやシュタイフェリーゼの御加護を得た。
ナターリエ
騎士見習いである。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト。護衛騎士見習い。
・物語内での具体的な行動や成果
ディッターでグミモーカに魔力を打ち込んだ。五年時の優秀者に選ばれた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項なし。
トラウゴット
騎士見習いである。アンゲリカの結婚相手候補として名が挙がっている。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト。護衛騎士見習い。
・物語内での具体的な行動や成果
ディッターでグミモーカに上空から魔力を打ち込んだ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項なし。
イグナーツ
ヴィルフリートに仕える文官見習いである。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト。上級文官見習い。
・物語内での具体的な行動や成果
紙を用いた本の転送装置の試作品を完成させた。優秀者に選ばれた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項なし。
マリアンネ
シャルロッテに仕える文官見習いである。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト。文官見習い。
・物語内での具体的な行動や成果
紙と魔石を用いた音楽を奏でる魔術具の試作品を完成させた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項なし。
フィリーネ
ローゼマインに仕える文官見習いである。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト。下級文官見習い。
・物語内での具体的な行動や成果
手紙の読み上げや研究発表の会場での説明を行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項なし。
ローデリヒ
ローゼマインに仕える文官見習いである。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト。中級文官見習い。
・物語内での具体的な行動や成果
研究発表の会場でグラフに関する説明を担当した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項なし。
ミュリエラ
ローゼマインに仕える文官見習いである。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト。中級文官見習い。
・物語内での具体的な行動や成果
録音の魔術具に吹き込む愛の言葉を恋物語から厳選した。リュールラディに本を書くことを勧めた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項なし。
ハルトムート
ローゼマインに仕える側近である。クラリッサの婚約者である。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト。神官長。
・物語内での具体的な行動や成果
ディッター用の強力な魔術具を作製した。クラリッサとの結婚の許可を得た。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項なし。
コルネリウス
ローゼマインに仕える護衛騎士である。レオノーレの婚約者である。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト。上級護衛騎士。
・物語内での具体的な行動や成果
卒業式に合わせて貴族院を訪れ、ローゼマインの護衛任務に就いた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項なし。
アンゲリカ
ローゼマインに仕える護衛騎士である。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト。中級護衛騎士。
・物語内での具体的な行動や成果
卒業式に合わせて貴族院を訪れた。御加護を得るために神々の名前を覚えようと決意した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項なし。
ダームエル
ローゼマインに仕える護衛騎士である。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト。下級護衛騎士。
・物語内での具体的な行動や成果
貴族院へ行く建前がなかったため、エーレンフェストで留守番をした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項なし。
バルトルト
ヴィルフリートに仕える文官見習いである。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト。文官見習い。
・物語内での具体的な行動や成果
ヴィルフリートにゲヴィンネンの誘いを受けるよう助言した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ヴィルフリートに名を捧げている。
オズヴァルト
ヴィルフリートに仕える側仕えである。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト。筆頭側仕え。
・物語内での具体的な行動や成果
ローゼマインとフェルディナンドの距離感についてヴィルフリートに忠告した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項なし。
トルステン
ヴィルフリートに仕える文官である。リーゼレータの婚約者である。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト。文官。
・物語内での具体的な行動や成果
卒業式のために貴族院を訪れ、ローゼマインに挨拶をした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項なし。
イージドール
ヴィルフリートに仕える側仕え見習いである。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト。側仕え見習い。
・物語内での具体的な行動や成果
オルトヴィーンからの招待状をヴィルフリートに渡した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項なし。
エラントゥーラ
作家である。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト。
・物語内での具体的な行動や成果
貴族院に在学中の学生に関する話は本にしない方針を持っている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項なし。
ヨハン
鍛冶職人である。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト。鍛冶職人。
・物語内での具体的な行動や成果
井戸のポンプに必要な細かい部品の製作を担当している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項なし。
ザック
鍛冶職人である。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト。鍛冶職人。
・物語内での具体的な行動や成果
コイル入りのマットレスを用いた長椅子を作製した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項なし。
ジョイソターク子爵
過去に事件を起こした人物である。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト。子爵。
・物語内での具体的な行動や成果
四年前にシャルロッテを誘拐した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項なし。
グーテンベルク達
エーレンフェストの職人たちである。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト。職人。
・物語内での具体的な行動や成果
マットレスを用いた長椅子の製作に携わった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項なし。
ダンケルフェルガー
アウブ・ダンケルフェルガー
ダンケルフェルガーを治める領主である。ジークリンデの夫である。
・所属組織、地位や役職
ダンケルフェルガー。アウブ。
・物語内での具体的な行動や成果
ディッターの終了後、ライデンシャフトの槍を用いて儀式を実演した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項なし。
ジークリンデ
アウブ・ダンケルフェルガーの第一夫人である。
・所属組織、地位や役職
ダンケルフェルガー。第一夫人。
・物語内での具体的な行動や成果
領地対抗戦でエーレンフェストと交渉を行い、契約書の食い違いを謝罪した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項なし。
レスティラウト
ダンケルフェルガーの領主候補生である。ハンネローレの兄である。
・所属組織、地位や役職
ダンケルフェルガー。領主候補生。
・物語内での具体的な行動や成果
ディッターの契約書を作成した。奉納舞の舞台でディートリンデと衝突した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
領主候補生の最優秀者に選ばれた。
ハンネローレ
ダンケルフェルガーの領主候補生である。
・所属組織、地位や役職
ダンケルフェルガー。領主候補生。
・物語内での具体的な行動や成果
ディッターの最中に自ら陣を出た。エーレンフェストへの嫁入りを辞退した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項なし。
クラリッサ
ダンケルフェルガーの上級文官見習いである。ハルトムートの婚約者である。
・所属組織、地位や役職
ダンケルフェルガー。上級文官見習い。
・物語内での具体的な行動や成果
ダンケルフェルガーの儀式実演に関する情報を伝えた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項なし。
ラールタルク
ダンケルフェルガーの騎士見習いである。
・所属組織、地位や役職
ダンケルフェルガー。騎士見習い。
・物語内での具体的な行動や成果
ディッターでブリュンヒルデに攻撃を加えた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ダンケルフェルガーの騎士見習いの中で最も強い。
ハイスヒッツェ
ダンケルフェルガーの騎士である。
・所属組織、地位や役職
ダンケルフェルガー。騎士。
・物語内での具体的な行動や成果
フェルディナンドから長年奪われていた青いマントを返却された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項なし。
コルドゥラ
ハンネローレに仕える側仕えである。
・所属組織、地位や役職
ダンケルフェルガー。側仕え。
・物語内での具体的な行動や成果
ディッターの敗北報告を行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項なし。
アーレンスバッハ
アウブ・アーレンスバッハ
アーレンスバッハを治めていた領主である。
・所属組織、地位や役職
アーレンスバッハ。アウブ。
・物語内での具体的な行動や成果
秋の終わりに亡くなった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
故人である。
ゲオルギーネ
アーレンスバッハの第一夫人である。ディートリンデの母である。
・所属組織、地位や役職
アーレンスバッハ。第一夫人。
・物語内での具体的な行動や成果
ディートリンデに次期ツェントを目指すよう後押しをした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項なし。
ディートリンデ
アーレンスバッハの次期アウブ候補である。フェルディナンドの婚約者である。
・所属組織、地位や役職
アーレンスバッハ。次期アウブ。
・物語内での具体的な行動や成果
奉納舞で魔力を放出し、舞台に魔法陣を浮かび上がらせた。フェルディナンドに名を要求した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
グルトリスハイトを探し、次期ツェントを目指すことを宣言した。
レティーツィア
アーレンスバッハの領主候補生である。
・所属組織、地位や役職
アーレンスバッハ。領主候補生。
・物語内での具体的な行動や成果
フェルディナンドから厳しい教育の課題を与えられている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項なし。
フェルディナンド
ディートリンデの婚約者である。ローゼマインの元後見人である。
・所属組織、地位や役職
アーレンスバッハ。
・物語内での具体的な行動や成果
領地対抗戦の期間中、エーレンフェストのお茶会室に宿泊した。ディートリンデからの名捧げの要求を拒否した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
アーレンスバッハの執務の中枢を担っている。
ユストクス
フェルディナンドに仕える側近である。リヒャルダの息子である。
・所属組織、地位や役職
アーレンスバッハ。側近。
・物語内での具体的な行動や成果
フェルディナンドの調合を補佐し、時間短縮の魔法陣を描いた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項なし。
エックハルト
フェルディナンドに仕える護衛騎士である。カルステッドの息子である。
・所属組織、地位や役職
アーレンスバッハ。護衛騎士。
・物語内での具体的な行動や成果
フェルディナンドと共にエーレンフェストのお茶会室に宿泊した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項なし。
ゼルギウス
フェルディナンドに仕える側仕えである。
・所属組織、地位や役職
アーレンスバッハ。側仕え。
・物語内での具体的な行動や成果
録音の魔術具に魔力を登録し、レティーツィアへ届ける役割を担った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
レティーツィアの筆頭側仕えの息子である。
ライムント
フェルディナンドの弟子である。
・所属組織、地位や役職
アーレンスバッハ。中級文官見習い。
・物語内での具体的な行動や成果
省魔力で動く図書館の魔術具を研究し、発表を行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項なし。
マルティナ
ディートリンデに仕える側仕え見習いである。
・所属組織、地位や役職
アーレンスバッハ。側仕え見習い。
・物語内での具体的な行動や成果
ディートリンデの機嫌を取りながら側近としての業務をこなした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ゲオルギーネによって取り立てられた。
ファティーエ
ディートリンデに仕える側近である。
・所属組織、地位や役職
アーレンスバッハ。側近。
・物語内での具体的な行動や成果
ディートリンデの暴走に頭を抱えつつ、他の側近達と情報を共有した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
旧ベルケシュトックの上級貴族である。
アウレーリア
マルティナの姉である。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト。
・物語内での具体的な行動や成果
エーレンフェストの騎士団長の息子に嫁いだ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
有益な情報をアーレンスバッハへ送っていない。
ベティーナ
アーレンスバッハの中級貴族である。
・所属組織、地位や役職
アーレンスバッハ。中級貴族。
・物語内での具体的な行動や成果
ゲオルギーネの美談の当事者として知られている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項なし。
ヴォルフラム
ゲオルギーネの息子である。
・所属組織、地位や役職
アーレンスバッハ。
・物語内での具体的な行動や成果
不慮の事故で亡くなった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
故人である。
ブラージウス
アーレンスバッハの前第二夫人の息子である。アルステーデの夫である。
・所属組織、地位や役職
アーレンスバッハ。上級貴族。
・物語内での具体的な行動や成果
特筆事項なし。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
政変後の粛清で上級貴族に落とされた。
アルステーデ
ゲオルギーネの長女である。ブラージウスの妻である。
・所属組織、地位や役職
アーレンスバッハ。
・物語内での具体的な行動や成果
特筆事項なし。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項なし。
ベネディクタ
ブラージウスとアルステーデの娘である。
・所属組織、地位や役職
アーレンスバッハ。上級貴族。
・物語内での具体的な行動や成果
特筆事項なし。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ディートリンデとフェルディナンドの養子になる計画がある。
ガブリエーレ
アーレンスバッハからエーレンフェストへ嫁いだ人物である。
・所属組織、地位や役職
エーレンフェスト。
・物語内での具体的な行動や成果
特筆事項なし。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項なし。
ドレヴァンヒェル
オルトヴィーン
ドレヴァンヒェルの領主候補生である。アドルフィーネの弟である。
・所属組織、地位や役職
ドレヴァンヒェル。領主候補生。
・物語内での具体的な行動や成果
ヴィルフリートをゲヴィンネンに誘い、情報を探った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項なし。
アドルフィーネ
ジギスヴァルト王子の婚約者である。オルトヴィーンの姉である。
・所属組織、地位や役職
ドレヴァンヒェル。領主候補生。
・物語内での具体的な行動や成果
表彰式に出席した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項なし。
フレーベルターク
アウブ・フレーベルターク
フレーベルタークを治める領主である。コンスタンツェの夫である。
・所属組織、地位や役職
フレーベルターク。アウブ。
・物語内での具体的な行動や成果
領地対抗戦の社交でエーレンフェストを訪れた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項なし。
コンスタンツェ
アウブ・フレーベルタークの妻である。ジルヴェスターの姉である。
・所属組織、地位や役職
フレーベルターク。第一夫人。
・物語内での具体的な行動や成果
神事に関する共同研究をエーレンフェストへ提案した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項なし。
リュディガー
フレーベルタークの領主候補生である。
・所属組織、地位や役職
フレーベルターク。領主候補生。
・物語内での具体的な行動や成果
神殿の神事に参加し、領地の収穫量を増やした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項なし。
クラッセンブルク
アウブ・クラッセンブルク
クラッセンブルクを治める領主である。
・所属組織、地位や役職
クラッセンブルク。アウブ。
・物語内での具体的な行動や成果
エーレンフェストに対して奉納式の恒例化やポンプの技術提供を求めた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項なし。
ヨースブレンナー
アウブ・ヨースブレンナー
ヨースブレンナーを治める領主である。
・所属組織、地位や役職
ヨースブレンナー。アウブ。
・物語内での具体的な行動や成果
リュールラディにエーレンフェストの共同研究へ協力するよう指示した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項なし。
リュールラディ
ヨースブレンナーの上級文官見習いである。恋物語を好む性格である。
・所属組織、地位や役職
ヨースブレンナー。上級文官見習い。
・物語内での具体的な行動や成果
祈りを捧げた結果、芽吹きの女神ブルーアンファの御加護を得た。メスティオノーラを題材にした恋物語を書く決意をした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項なし。
その他
ビンデバルト伯爵
フラウレルムの妹が連座で処罰される原因となった人物である。
・所属組織、地位や役職
その他。伯爵。
・物語内での具体的な行動や成果
特筆事項なし。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項なし。
第五部 女神の化身2レビュー
第五部 女神の化身
本好きの下剋上 全巻まとめ
第五部 女神の化身4レビュー
展開まとめ
プロローグ
注意すべき存在
ディッター後の不穏な違和感
ダンケルフェルガーとの嫁取りディッターは、中央騎士団の乱入や王族による事情聴取という想定外の事態を挟みながらも、エーレンフェストの勝利で終わった。ローゼマインが嫁入りする事態を回避できたことに、マティアスは安堵していた。
しかし、事情聴取の場で感じた“甘い匂い”が彼の胸に引っかかっていた。その正体を確かめるため、マティアスはラウレンツ、レオノーレ、ユーディット、ブリュンヒルデを会議室へ集める。
ローゼマインの悪化する容態
会議の冒頭で、マティアスはローゼマインの容態を尋ねた。だが、ブリュンヒルデから返ってきたのは深刻な報告だった。ローゼマインは回復薬を飲み過ぎたことで状態が悪化し、熱も上がり、苦しそうな呼吸を続けているという。今は目覚めを待つしかない状態だった。
ブリュンヒルデは、自分がディッター中に気絶しなければ、ローゼマインへこれ以上回復薬を使わせなかったはずだと自責する。だが、マティアス達はそれを彼女の責任ではないと否定した。
護衛騎士達の認識の甘さ
ユーディットも、自分が武器を取ったことでシュツェーリアの盾から弾き出されたことを悔いていた。しかし、マティアスは主を守るために動かなかった方が護衛騎士失格だと断言する。
だが、ブリュンヒルデは厳しい態度で彼等を否定した。問題なのは、皆がローゼマインへ当然のように無理をさせ、その危険性を軽視していたことだと言う。ローゼマインは虚弱であり、無尽蔵の魔力を持つわけでもない。それなのに、側近達は“皆を守りたい”という主の意志を優先し過ぎていたのである。
四年前の失敗と側近の心得
レオノーレは、四年前にジョイソターク子爵事件でローゼマインが攫われた時の話を語った。当時の護衛騎士達は主の望みを最優先し、シャルロッテ救出へ向かった結果、ローゼマイン自身を守れなかった。
その代償として、ローゼマインは二年間ユレーヴェで眠り続け、目覚めた後も成長不良や知識不足、精神的不安定さを抱えたまま貴族社会へ戻ることになったのである。
この経験から、レオノーレ達は「主の望みを無制限に叶えること」が側近の務めではないと考えていた。ローゼマインの安全と健康を最優先にすることこそが重要だと理解していたのである。
ヴィルフリートへの不満
話題は次第にヴィルフリートへの不満へ移っていく。ブリュンヒルデ達は、ヴィルフリートがローゼマインへ十分な配慮をしていないことへ強い苛立ちを抱いていた。
ディッター後も、ヴィルフリートは勝利や事情聴取の無事ばかりを喜び、倒れた婚約者への感謝や心配を口にしなかった。さらに、乱入によって中断されたディッターの決着をやり直したいと考えたことも、レオノーレ達には許し難かった。
護衛騎士にとって最優先は主の安全であり、勝敗や騎士としての名誉ではない。レオノーレはその考えをラウレンツへ叩き込み、「どのような手段を使っても主を守り切れ」と強く言い聞かせた。
派閥による認識の違い
さらに、ヴィルフリートが次期アウブになれた理由についても、旧ヴェローニカ派とライゼガング系で認識が大きく異なっていることが判明した。
旧ヴェローニカ派では「勢力均衡のため」と考えられていたが、ライゼガング系では「ローゼマインとの婚約によって支持基盤を得られたから」と見られていたのである。マティアスは、その意識の乖離に衝撃を受けた。
中央騎士団に潜む危険
そしてマティアスは、本題である“甘い匂い”について語り始める。事情聴取の場で中央騎士団の騎士達の近くから漂っていた匂いが、ゲオルギーネ派が使用していた違法植物「トルーク」と酷似していたのである。
マティアスは、暖炉の匂いを嗅いだ瞬間にゲオルギーネの笑みを思い出し、記憶が結び付いたのだと説明した。レオノーレ達は凍り付いたような表情になり、中央騎士団でトルークが使われている可能性を認識する。
しかも、今は冬で暖炉が当たり前に使われる季節であり、不自然さなくトルークを焚ける環境が整っていた。マティアスは、中央騎士団へトルークが蔓延している可能性に強い危機感を抱いた。
沈黙という判断
レオノーレは、ゲオルギーネ派がローゼマインを狙っていたこと、そして今回の乱入もローゼマインを巡るディッター中に起きたことから、両者に繋がりがあっても不思議ではないと判断する。
しかし、マティアスがその場でトルークについて口に出さなかったことは正解だったと結論付けた。もし王族やダンケルフェルガーに知られていれば、エーレンフェストの関与まで疑われた可能性があったからである。
そして彼等は、今は軽率に動かず、ローゼマインの回復を待つべきだと決めた。レオノーレは、筆頭護衛騎士見習いとして、主の意思と安全を最優先に据えた判断を下したのである。
目覚めと報告
目覚めと側近達の安堵
ローゼマインが目を覚ますと、そこには深く安堵した様子のリヒャルダがいた。回復薬を使えない状態だったため、側近達はただ目覚めを待つことしかできず、不安な時間を過ごしていたのである。ローゼマインは水を飲みながら謝罪したが、リヒャルダからは二度と許容量を超えた回復薬を飲まないよう強く釘を刺された。
次に目覚めた時には、ブリュンヒルデが深い苦悩と後悔を抱えた表情でローゼマインの手を握っていた。彼女は、自分がディッター中に気絶したためにローゼマインへ過剰な回復薬を飲ませてしまったと責任を感じ、自分は側仕え失格だと謝罪する。
しかし、ローゼマインはそれを否定した。回復薬を飲むと判断したのは自分自身であり、ブリュンヒルデの責任ではないと繰り返し伝えたのである。
側近達との和らいだ時間
熱が下がるまで寝台から出ることを禁じられたローゼマインは、普段よりも甲斐甲斐しく世話を焼く側近達に囲まれて静養を続けた。そんな中、リーゼレータは録音の魔術具を仕込んだ紺色のシュミルのぬいぐるみを持ってくる。
ローゼマインはフェルディナンドへ向けて、きちんと休むことや食事を取ることを促す言葉を録音した。しかし、フェルディナンド本人は使わないだろうと考え、ユストクスへ渡して必要時に使ってもらう方が良いかもしれないと思い直す。
レティーツィアからの手紙
その後、フィリーネがエーレンフェストからの手紙と共に、アーレンスバッハのレティーツィアから届いた手紙を持ってきた。これはフェルディナンドがレティーツィアへ課した課題の一環であり、ローゼマインへも「貴族らしい返事を書くように」という課題が出されていた。
ローゼマインは熱が上がったと言って逃げたくなったが、側近達は笑いながら励ます。
手紙の内容は、フェルディナンドの教育が非常に厳しく、課題も多くて大変だという嘆きだった。神々の名を用いた高度な貴族表現が多用されており、ローゼマインは解読に苦しむ。最終的にはリヒャルダ達と共に読み解き、レティーツィアが厳しい教育へ苦悩しながらも努力していることを理解した。
フェルディナンドの厳しさへ強く共感したローゼマインは、レティーツィアを助けるため、もう一つ録音付きシュミルを作り、フェルディナンドへ「たまには褒めてください」といった言葉を聞かせようと考える。
三日後の会議
三日ほど経ってようやく熱が下がり、ローゼマインは側近達との会議へ参加できるまで回復した。そこにはヴィルフリートやシャルロッテ、その側近達も集まっていた。
会議では、嫁取りディッターの結果について説明が行われた。中小領地と中央騎士団の乱入によってエーレンフェスト側は無効試合だと考えていたが、ダンケルフェルガー側は試合継続中だと認識していた。最終的には、ハンネローレが陣を出てローゼマインの盾へ入った時点で敗北を認めたらしい。
ローゼマインは、婚約解消を諦めてもらえれば十分だと提案し、ヴィルフリートもそれに安堵する。
王族からの警告
続いて、アナスタージウスからの厳重注意について説明された。今回のような騒動を再び起こした場合、王族がローゼマインの身柄を引き受けるというのである。
その原因の一つは、ヒルデブラントが中央騎士団へ「ダンケルフェルガーが王命による婚約者を奪おうとしている」と訴えたことだった。ただし、ヒルデブラント本人は騎士団へ命令しておらず、彼の情報だけが利用された形だった。
ローゼマインは、自分が厄介事ばかり起こしているのに、なぜ王族が欲しがるのか理解できず困惑する。しかし、貴族院の奉納式で王自らが訪れたほどであり、王族は彼女の力を高く評価していたのである。
中央騎士団への疑念
最後に、乱入した中央騎士団についての報告が行われた。ツェントの名を騙り、中小領地を扇動した罪で、乱入した騎士達には厳罰が下されることになった。
しかし、ローゼマインは、忠臣であるはずの中央騎士団が王命もなく暴走したことへ強い違和感を覚える。そこでマティアスが挙手し、ある可能性を口にした。
それは、ゲオルギーネ派が使っていた危険植物「トルーク」が使用された可能性だった。マティアスは、事情聴取の場で縛られていた騎士達から甘い匂いを感じ、それが暖炉を見た瞬間にトルークの記憶と結び付いたのだと説明する。
ローゼマイン達は、その言葉に強い衝撃を受けた。中央騎士団へまでゲオルギーネ派の影響が及んでいる可能性が浮上したのである。
領地対抗戦の準備
中央との繋がりへの不安
ゲオルギーネと中央のどこかが繋がっている可能性を知ったローゼマインは、不安を抱えていた。しかし、レオノーレは微笑みながら、それはアウブが判断するべき問題であり、今ローゼマイン達が優先すべきは領地対抗戦の準備だと諭した。ブリュンヒルデも同調し、奉納式によって王族や大領地との関係が増えた以上、今年の領地対抗戦は例年以上に忙しくなると説明する。
ヴィルフリートも気持ちを切り替えるよう促し、アーレンスバッハとの共同研究について尋ねた。ローゼマインは、フェルディナンドからの手紙を読んだ後に動く予定であり、自分が関わる部分はそれほど多くないだろうと答えた。
ドレヴァンヒェルとの研究発表
続いて、ドレヴァンヒェルとの共同研究の進捗が共有された。発表では、エーレンフェストの魔紙の品質向上や利用法を共同研究として扱い、新しい魔術具の部分は各領地で別々に発表することになっていた。
ローゼマインが提案した自動演奏楽器については、すでにドレヴァンヒェル側が優れた研究を進めており、エーレンフェスト側は劣化版しか作れそうにないとマリアンネ達が落ち込んでいた。
しかし、ローゼマインは責めることなく、新たな発明を提案する。本を自動で書箱へ戻す仕組みや、少ない魔力でも演奏可能な音楽魔術具である。平民でも使えるレベルまで魔力消費を抑えることを目指し、クズ魔石を使った演奏魔術具の構想まで語った。
突然の高度な提案にマリアンネ達は困惑したが、ローデリヒやフィリーネはライムントから学んだ魔法陣の応用として理解し、すぐに実現方法を考え始めた。その様子を見て、マリアンネ達も研究へ取り組む決意を固める。
御加護研究の進展
ダンケルフェルガーとの共同研究については、フィリーネとミュリエラが説明を行った。共通研究部分はすでに完成しており、後は儀式による御加護の研究結果をまとめる段階に入っていた。
その中で、ヨースブレンナーの上級文官見習いリュールラディが、新たに芽吹きの女神ブルーアンファの御加護を得たことが報告される。彼女は御加護の儀式前から真摯に祈りを続けていたのである。
ローゼマインは、恋愛より恋物語を重視するリュールラディへ妙な親近感を抱いた。ミュリエラから、新作の恋物語を礼として貸しても良いか尋ねられると、快く了承する。読書好き同士が本を囲んで語り合う光景を想像し、ローゼマインは幸福感を覚えていた。
フェルディナンドからの手紙
話し合いが終わると、ローゼマインはフェルディナンドから届いた手紙を読むため、隠し部屋へ向かった。手紙には研究発表でのグラフ使用についての助言や、領地対抗戦期間中にフェルディナンドがお茶会室へ宿泊する予定であることなどが記されていた。
ディートリンデが恋物語に憧れ、卒業式当日にフェルディナンドから迎えに来てもらいたがったため、フェルディナンドはエーレンフェスト寮へ泊まることになったのである。ただし、情報流出を警戒したアーレンスバッハ側近も同行するため、宿泊場所はお茶会室しか使えなかった。
ローゼマインは、長椅子で寝泊まりするフェルディナンドを少しでも快適にしたいと考え、追加の料理や備品を準備しようと張り切る。リヒャルダもまた、息子ユストクスと会える機会を楽しみにしており、準備に意欲を見せていた。
報告不足への危機感
フェルディナンドの光るインクの手紙には、王族を書庫へ案内した件や、共同研究の進捗について質問が書かれていた。そして、途中から手紙が途絶えたことについて、「報告できないようなことをしているのではあるまいな」と疑念まで向けられていた。
ローゼマインは、確かに最近は騒動続きで報告を後回しにしていたことを思い出し、頭を抱える。再会時に怒られる未来を想像しつつ、まずは褒められそうな内容を優先して手紙へ書くことにした。奉納式による王族への魔力奉納、シュタープを二本使えるようになったこと、ディッターを頑張ったことなど、比較的無難な内容を選んで記したのである。
そして、翌日にはヒルシュール研究室へ向かい、ライムントとの研究発表の最終打ち合わせや、シュバルツ達の研究確認を行う予定を立てながら、ローゼマインは領地対抗戦へ向けて再び動き始めた。
ライムントの研究とヒルシュールの注意
ジルヴェスターからの忠告
トルークに関する報告への返事は、エーレンフェストから翌朝すぐに届いた。内容は、王族との話し合いはアウブが行うため、ローゼマイン達は余計な行動をするなという厳しいものだった。検閲がある以上、手紙で情報を送れば危険人物へ内容が漏れる可能性があるため、軽率な行動は許されないと釘を刺される。
さらに、中央騎士団にトルークが使われたのであれば、中央内部かそれに近い位置に危険人物がいる可能性が高いと説明され、ローゼマイン達はこれ以上関わるなと命じられた。ローゼマインは、どこまで話して良いのかわからない状況で余計なことを口走る危険性を理解し、トルークの件はジルヴェスターへ任せることにした。
ヒルシュール研究室での最終確認
ローゼマインはフェルディナンド宛の手紙を持ち、ヒルシュール研究室へ向かった。同行したのはリーゼレータ、グレーティア、テオドール、ラウレンツだけであり、他の側近達は領地対抗戦の準備で忙殺されていた。
研究室では、ライムントが録音の魔術具や資料検索用の魔術具を発表する予定であることが説明された。シュバルツ達の研究を応用した魔術具だったが、図書館が少ない現状では注目度は低いとヒルシュールは冷静に分析していた。ローゼマインは図書館を増やせば需要が増えると発言しかけたが、即座に遮られる。
その後、ローゼマインはドレヴァンヒェルとの共同研究で、本を自動的に書箱へ戻す魔術具を開発したいと提案した。以前ライムントに添削してもらった魔法陣を利用するつもりだと説明すると、ライムントは自分の技術に無頓着な様子で許可など不要だと言う。ローゼマインは、技術を安売りせず研究成果を正当に評価されるべきだと諭した。
フラウレルムとアーレンスバッハの事情
ライムントは、共同研究についてフラウレルムから横槍を入れられたことも語った。フェルディナンドが関わる研究なのだからエーレンフェストを外せと言われたが、ライムントはローゼマインの協力が不可欠だったことを訴え、ディートリンデやフェルディナンドへ相談すると牽制して押し切ったのである。
さらに、フラウレルムがエーレンフェストへ強い敵意を持っている理由も明かされた。彼女の妹がビンデバルト伯爵の連座で処罰され、その件でゲオルギーネから便宜を受けているため、エーレンフェストを敵視しているらしい。
儀式でシュツェーリアの盾に弾かれたアーレンスバッハの学生達もローゼマインへの悪感情を募らせており、フラウレルムがその不満を利用している状況だった。しかし一方で、儀式に参加した文官見習い達は神事の有用性を理解し、フェルディナンドの価値を再認識していた。ローゼマインは、自分の行動が少しでもフェルディナンドの助けになったことを喜んだ。
フェルディナンド帰還への期待
フェルディナンドへの手紙を託した後、ヒルシュールは、フェルディナンドが領地対抗戦期間中にエーレンフェスト寮へ滞在することへ驚きを見せた。アーレンスバッハでは執務を任されているはずなのに、何日も不在にできるのか不思議だったのである。
ライムントによれば、アーレンスバッハでは元領主一族の上級貴族達が留守を預かる体制になっていた。エーレンフェストのように礎の魔術へ常時誰かが魔力供給する体制とは違うと知り、ローゼマインは領地ごとの常識の差に戸惑う。
調合中、ローゼマインはディートリンデの要望によってフェルディナンドがお茶会室で泊まることになった経緯を語った。するとヒルシュールは、フェルディナンドがエーレンフェストへ帰りたいからこそ、その条件を受け入れたのだろうと分析する。研究がしたいという言葉の裏には、帰りたいという本音が隠れているのではないかと指摘され、ローゼマインは嬉しさと切なさを同時に覚えていた。
エーレンフェストへの嫉妬
リーゼレータとグレーティアは、奉納式やディッター勝負以降、他領の態度が不自然に変化していることをヒルシュールへ相談した。表向きは好意的でも、裏では恨みや嫉妬が渦巻いていることを感じ取っていたのである。
ヒルシュールは、エーレンフェストが急激に順位を上げ、王族と繋がりを持ったことで、多くの領地から妬みを買っていると説明した。周囲は、流行も共同研究も王族との関係も、全てローゼマイン一人による成果だと認識しているのである。
ローゼマインは、自分一人では何もできないと否定したが、ヒルシュールは、彼女がいなければ成立しなかった成果ばかりだと厳しく指摘した。そして、周囲からどう見られているのかを正しく認識しなければならないと忠告する。
録音シュミルの作製
研究室で、リーゼレータは録音魔術具をシュミルのぬいぐるみに仕込む案を提案した。可愛らしい外見にすれば、ローゼマインの関与が一目でわかり、発表でも人目を引くと考えたのである。ヒルシュールとライムントも了承し、リーゼレータは張り切ってぬいぐるみ作りを始めた。
完成後、ローゼマインは録音内容に悩む。そこでミュリエラが、恋物語から選んだ愛の言葉を録音する案を提案した。録音役にはラウレンツが選ばれ、神々の名前を交えた甘い言葉を読み上げていく。一方、真面目なマティアスはその役を恥ずかしがって辞退していた。
最後にローゼマインは、自らエーレンフェストの本の宣伝を吹き込んだ。恋物語だけでなく、ディッター物語や騎士物語、ダンケルフェルガーの歴史書も同時発売すると宣伝し、多くの人に本へ興味を持ってほしいと願っていた。
領地対抗戦の始まり(三年)
試作品の完成
領地対抗戦を翌日に控えた昼前、イグナーツとマリアンネが試作品の魔術具を完成させた。マリアンネは楽譜を読み取って演奏する魔術具を、イグナーツはナンセーブ紙と改良型転移陣を組み合わせた本の転送装置を披露する。改善点は残っていたものの、短期間で成果を形にしたことに皆が達成感を抱いていた。
フィリーネは、自分では魔力量不足で高度な調合ができないことを悔しがりながらも、上級貴族達の能力へ尊敬の眼差しを向けた。イグナーツ達も負けじと魔力を増やす決意を語り、互いに切磋琢磨する空気が生まれていた。
領地対抗戦への慌ただしい準備
午後になると、ローゼマインはドレヴァンヒェルとの共同研究の仕上げへ加わった。一方、騎士見習い達は一日中訓練に励み、側仕え見習い達は領地対抗戦のための菓子搬入に追われる。
エーレンフェストからはカトルカールやクッキーなど大量の焼き菓子が届き始めた。来客数が多すぎて寮の厨房だけでは対応しきれず、城やオトマール商会にも協力を頼んでいる状況だった。祭り前のような忙しさに、ローゼマインは高揚感を覚えていた。
さらに、『フェルネスティーネ物語』第二巻も届き、ミュリエラ達は大喜びした。しかしリヒャルダから、領地対抗戦が終わるまでは読むことを禁止されてしまう。ローゼマインもミュリエラと同じく読書を我慢することになった。
領地対抗戦当日の朝
領地対抗戦当日の朝、寮では甘い菓子の香りが漂っていた。学生達は朝食を済ませると、それぞれ準備へ散っていく。側仕え見習い達は会場設営へ向かい、騎士見習い達は最後の訓練に励んでいた。
ローゼマインも設営へ参加したかったが、ヴィルフリートから止められる。ダンケルフェルガーとのディッターへ乱入した中小領地がどう動くかわからず、危険回避のため護衛が増えるまでは寮で待機するよう命じられたのである。
誰もいなくなった多目的ホールを見て寂しさを覚えていたローゼマインに、リヒャルダはフェルディナンド達の休憩用に整えたお茶会室の確認を勧めた。
フェルディナンドのための部屋
お茶会室は衝立で区切られ、個室のように整えられていた。一番奥には、ローゼマインがエーレンフェストから取り寄せた特製マットレス付き長椅子が設置されている。布団やチェスト、不寝番用の椅子まで準備され、完全に休息用空間となっていた。
領地対抗戦後には、ヴィルフリートとローゼマインがフェルディナンドをもてなす夕食会が予定されており、その後ジルヴェスターも合流する予定だと聞かされる。ローゼマインは喜びながらも、長時間説教される可能性を想像して青ざめた。
そこで、ヒルシュールから預かった研究資料や紙、インクも用意して、研究話題へ誘導することで説教を回避しようと考える。
卒業生達の来訪
やがて保護者達が続々と転移陣から到着し始めた。その中には、正装したコルネリウス、アンゲリカ、ハルトムートの姿もあった。
ハルトムートは、クラリッサとの婚約継続について改めて家族へ説明し、許可を取り直す必要があると語った。神官長就任によって婚約解消の可能性があるためだったが、クラリッサなら反対されても単独でエーレンフェストへ突撃しかねないため、対策が必要らしい。
アンゲリカは、トラウゴットが婚約者に相応しい強さを得たか確認するために来たと説明した。しかし実際は、神々の名前を覚える勉強から逃げる口実であり、ボニファティウスも高齢での再婚回避ができるため、双方の利害が一致していた。
ダームエルへの話題
ローゼマインがダームエルの不在を尋ねると、コルネリウスは、貴族院へ来るための建前がなかったため留守番になったと説明した。ハルトムートは、恋人でも作れば来られたのにと爽やかな笑顔で追撃し、ローゼマインはダームエルのガラスの心が砕け散る様子を想像して慌てて止めに入る。
しかしハルトムートから、最初から恋人ができないと決めつけている方が失礼だと指摘され、ローゼマインは自分の考えを反省した。
疲弊したジルヴェスター
そこへジルヴェスターが現れた。顔色は悪く、目の下には深い隈ができている。粛清後の後始末で疲弊していたのである。
ローゼマインが回復薬を差し出そうとすると、ジルヴェスターは飲めば眠気に襲われると断った。そして、フロレンツィアも体調を崩しており、領地対抗戦の社交は欠席させたと明かす。明日の卒業式には出席できるかもしれないが、今日の社交対応はローゼマイン達が担うことになった。
ローゼマインは、自分が起こした騒動の大きさを改めて実感し、謝罪するしかなかった。
厳重警備の会場
会場入口では中央騎士団による厳重な確認が行われていた。前年のテロ事件を受け、マントやブローチの検査が徹底されていたのである。会場内にも黒いマントの騎士達が配置され、前年以上に物々しい雰囲気だった。
エーレンフェストの席に到着すると、ジルヴェスターはヴィルフリートとシャルロッテへ他領対応を任せ、自身はローゼマインと共に上位領地への対応にあたると告げる。そして、余計なことを言いそうになったら足を叩いて黙らせると警告した。
ダンケルフェルガーとフェルディナンド
会場では、今にも飛び出しそうなアウブ・ダンケルフェルガーを第一夫人とハンネローレが抑え込んでいた。一方、アーレンスバッハの席にはフェルディナンド、ユストクス、エックハルトの姿が見える。
ライムントがシュミル型録音魔術具を説明しており、フェルディナンドは頭を抱え、ユストクスは笑いを堪えていた。シュミルのぬいぐるみはかなり好評らしく、ローゼマインは自分も説明に加わりたかったと悔しがる。
そして、ルーフェンの宣言によって領地対抗戦が始まった。同時に、ダンケルフェルガーの一団がエーレンフェストへ向かって歩き出す。ジルヴェスターは姿勢を正し、ローゼマインへ、求婚撤回とハンネローレの嫁入り拒否という交渉方針を再確認した。
ダンケルフェルガーとの社交
ジークリンデによる追及
ダンケルフェルガー第一夫人ジークリンデは、穏やかな笑顔を浮かべながらも鋭い視線でローゼマイン達を観察していた。そして先日の嫁取りディッターについて、本格的な話し合いを始める。
ジークリンデは、勝負が決したのはハンネローレが自ら陣を出たためだと断言した。ローゼマインは、護衛騎士を失ったハンネローレが危険だったから避難したのだと擁護したが、ジークリンデは、騎士達が宝を守るために戦っていたのに陣を離れたのは裏切りではないかと問い返す。
これに対しジルヴェスターは、領主候補生を守るのが護衛騎士の役目であり、守れなかった騎士側の落ち度だと主張した。ジークリンデはエーレンフェストとダンケルフェルガーの価値観の違いを認めつつも、そのまま話を進めていった。
ハンネローレの嫁入り決定
ジークリンデは、ディッターで決まった以上、ハンネローレをエーレンフェストへ嫁がせると宣言した。ローゼマインとジルヴェスターは慌てて、本人が本当に望んでいるのかと問いかける。
しかしジークリンデは、自ら陣を出た以上、ハンネローレ自身が望んでいる証拠だと断定した。だが当のハンネローレは俯いたまま震えており、とても望んでいるようには見えない。
ジルヴェスターは、エーレンフェストは成り上がり途中の中領地であり、ダンケルフェルガーの領主候補生を受け入れる器ではないと説明した。するとジークリンデは、エーレンフェストに価値があるとすればローゼマインだけだとまで言い切る。
大領地の論理とエーレンフェストへの圧力
ジークリンデは、大領地では第一夫人は外交用、第二夫人は領内統治用であり、地縁のないハンネローレを第二夫人に据えて外交から遠ざける意味がわからないと指摘した。さらに、過去にアーレンスバッハの姫君を迎えながら、その価値を活かせなかったエーレンフェストの歴史まで持ち出し、領地の未熟さを厳しく非難する。
そして、ローゼマインはエーレンフェストには過分な存在であり、もっと活躍できる土地へ移るべきではないかと遠回しに移籍を勧めてきた。ダンケルフェルガーがその受け皿になるとも語り、ローゼマインは苛立ちを募らせる。
ローゼマインの反撃
ジルヴェスターから好きにして良いと許可を得たローゼマインは、ついに反論へ踏み切った。
ローゼマインは、神聖なディッターで勝敗が決したにもかかわらず、なぜ敗者側が勝者へ圧力をかけているのかと真正面から問い詰める。そして、エーレンフェストはレスティラウトの「敗北したら求婚を諦める」という言葉を信じて勝負を受けたのだと断言し、「敗者は黙っていてくださいませ」と貴族らしからぬ直截的な言葉で切り捨てた。
さらに、他人が良いと思う環境と、本人にとって幸せな環境は違うのだと語り、余計なお世話はいらないと明確に拒絶する。
ローゼマインは、そもそもハンネローレを本当に欲していたわけではなく、面倒なディッター勝負を回避するための時間稼ぎとして第二夫人案を持ち出しただけだと説明した。勝利した場合は最初から破棄する予定であり、ハンネローレが望む場所へ嫁げるよう助力するつもりだったと明かす。
ハンネローレの本音
この説明を聞いたハンネローレは、震えながらも母へ向き直った。
ハンネローレは、戦いの場で「守る」と言われたのも、自分に選択肢を提示されたのも初めてだったと告白する。そのため、本当にエーレンフェストへ嫁いでも良いと思ったのだと語った。
しかし同時に、エーレンフェストには大領地の領主候補生を受け入れる土壌がなく、無理に押しかけるのは迷惑になるだけだとも理解していた。そして、敗者がこれ以上勝者へ迷惑をかけるべきではないと主張し、母へ退くよう求める。
さらに、相手へ利を配りながら望みを叶えるのがダンケルフェルガーの女だと語り、まずはエーレンフェストの利を知るべきだと提案した。その姿は、まさしくダンケルフェルガーの女性らしい強さを見せていた。
契約書の食い違い発覚
その後の話し合いで、重大な食い違いが発覚する。
ダンケルフェルガー側が保有していた契約書には、「ハンネローレを第二夫人に迎える」という条件は記載されていたが、「勝利した場合は取り消す」という条件は一切書かれていなかったのである。
ローゼマインとハンネローレは、二人だけで交わした約束が共有されていると思い込んでいた。しかし実際には、レスティラウトとヴィルフリートが署名した正式契約には反映されていなかった。
さらに、ローゼマインが当然条件だと思っていた「敗北したら求婚を諦める」という内容も、第二夫人条件へ変更した時点で削除されたとダンケルフェルガー側は認識していた。
つまり、ダンケルフェルガーは契約通りに動いていただけであり、完全に説明不足と確認不足だったのである。ローゼマインは、自分達の落ち度を悟って頭を抱え、失礼な言動を謝罪した。ジークリンデもまた、説明不足や監督不行き届きを認め、双方で謝罪し合う形となった。
ディッター回避の要求
誤解が解けた後、ジルヴェスターは改めて本来の要求を提示した。ローゼマインへの求婚を諦めること、そして今後エーレンフェストへディッター勝負を仕掛けないことである。
ジークリンデは、自分の目の届く範囲では止めると約束した。ただし、毎年ディッターを受けているせいで、ダンケルフェルガー側には「エーレンフェストはディッター好きな領地」という誤解が広がっていることも明かされる。
ローゼマインは、自分にとって大事なものはエーレンフェストにあるため、どれほど良い条件を出されても離れる気はないと断言した。
レスティラウトの絵という詫び
関係改善のための利として、ハンネローレはレスティラウトの描いたディッター物語の挿絵を提供してはどうかと提案した。印刷に利用できるため、エーレンフェストにとって大きな利益になる。
ローゼマインは大喜びしたが、ジルヴェスターはもっと実利を取れと呆れていた。だがジークリンデは、本人の許可なく絵を差し出すことを決定し、自分に関わることを勝手に決められる気持ちをレスティラウトにも味わわせるべきだと笑った。
その笑顔に、ローゼマインはフェルディナンドと同種の怒りを感じ取り、内心でレスティラウトへ同情するのだった。
アーレンスバッハとの社交
領地対抗戦の社交とフェルディナンドの来訪
ダンケルフェルガー第一夫人ジークリンデと本の販売方法について話していたローゼマインは、領地対抗戦が領主会議の前哨戦のようだと感じていた。そんな中、フェルディナンドとディートリンデが挨拶に現れる。
フェルディナンドはいつものように作り笑顔を浮かべていたが、顔色は明らかに悪く、寝不足の疲労が隠しきれていなかった。ローゼマインが挨拶へ向かうと、再会早々に頬をつねられてしまう。フェルディナンドはここでは詳しく言わないと言いつつ、怒りを隠していなかった。
青いマントの返却
フェルディナンドはローゼマインに青いマントを持っているか確認し、それを受け取るとダンケルフェルガーの騎士達の元へ向かった。呼び出されたハイスヒッツェは、婚約を祝福するが、フェルディナンドは穏やかな笑顔のまま、ディートリンデとの縁を得たのはダンケルフェルガー達の尽力のおかげだと皮肉交じりに語る。
その後フェルディナンドは、長年預かっていた青いマントをハイスヒッツェへ返却した。神殿入りの時には返されなかったマントが、婚約によって返された意味を悟ったハイスヒッツェは顔色を失う。
周囲の騎士達は事情を知らず祝福していたが、フェルディナンドは冷えた声で「もっと喜べ」と迫り、ハイスヒッツェへ謝罪すら許さなかった。
ディートリンデの空気の読めなさ
緊迫した空気の中へ割り込んだディートリンデは、何故フェルディナンドがマントを持っていたのか興味津々に尋ねた。騎士達は面白半分に事情を説明し、婚約者のマントをディッターの勝負に使っていたことまで話してしまう。
ディートリンデは、婚約者のマントを奪うなど冷酷だとフェルディナンドを責めたが、騎士達はそれがダンケルフェルガーにおけるディッターの浪漫なのだと熱弁し始めた。フェルディナンドはその場を騎士達へ任せ、静かにテーブルへ戻っていく。
エーレンフェストの味と共同研究の話
フェルディナンドはエーレンフェストのお茶と菓子を口にし、故郷の味だとしみじみ呟いた。ユストクスやエックハルトにも同じ茶菓子を与え、束の間の休息を与える。
その後、フェルディナンドはダンケルフェルガーの古い儀式が現代まで残っていたことに驚き、祝福を得られるようになった成果を高く評価した。ハンネローレは、ルーフェンが騎士コースの采配を取るようになってから儀式が教えられるようになったと説明する。
さらに、ダンケルフェルガーでは祝福の儀式を領地へ持ち帰った結果、騎士達が神殿へ殺到して大混乱になったことも明かされた。フェルディナンドに問われたローゼマインは、その状況を想像して心の中で神殿長へ謝罪するしかなかった。
ハンネローレによる暴露
ハンネローレは、祝福を得る儀式が復活したのはローゼマインのおかげだと誇らしげに語った。ローゼマインがライデンシャフトの槍で魔力を奉納した結果、光の柱が立ち上がり、ダンケルフェルガーが儀式復活へ本気になったのだという。
さらに、王族まで喜んだ奉納式についても説明され、ローゼマインは怒られる要素が次々増えていくことに青ざめた。フェルディナンドは、手紙には詳細が書かれていなかったと笑顔で追及を始め、ローゼマインは逃げ場を失っていく。
アーレンスバッハの研究自慢
そこへ戻ってきたディートリンデは、アーレンスバッハの共同研究について語り始めた。図書館の魔術具を少ない魔力で維持する研究だと自慢するが、実際にはローゼマイン達が中心となって進めた共同研究である。
ジークリンデは、アーレンスバッハの研究ではなくエーレンフェストとの共同研究ではないかと指摘したが、ディートリンデは自分の婚約者の弟子による研究だからアーレンスバッハの研究だと言い張った。
ローゼマインは、共同研究の成果は自分の側仕え見習いや騎士見習い達が頑張ったものだと微笑みながら説明する。文官見習いではないと言われても、シュミルのぬいぐるみを作ったのはリーゼレータであり、愛の言葉を吹き込んだのはラウレンツであるため、事実だった。
シュミルのぬいぐるみを巡る騒動
ディートリンデは、愛を囁くシュミルの魔術具を欲しがり、ローゼマインへ譲るよう要求した。しかしローゼマインは、それは既に譲る相手が決まっているため断る。
ハンネローレとジークリンデは、自領で似たぬいぐるみを作れば良いのではないかと提案するが、ディートリンデは設計図と権利をローゼマインに奪われたのだと主張した。ローゼマインは即座に否定し、正当にライムントから購入したのだと反論する。
フェルディナンドは、工房を得た後で自分が新しく作ると提案し、そのために設計図を送ってほしいとローゼマインへ頼む。ローゼマインはその意図を理解しつつも協力を約束した。
しかしディートリンデは、今すぐ欲しいと言って譲らない。空気を読まない要求に周囲が気まずくなる中、リーゼレータがローゼマインへ、展示用のシュミルを渡して新しい物を作り直そうと提案した。
ローゼマインは、困っているフェルディナンドを見るよりは良いと判断し、領地対抗戦後にシュミルを譲ることを決めた。ディートリンデは大喜びしたが、フェルディナンドは申し訳なさそうに謝罪する。
宣伝文句による逆襲
その直後、フラウレルムから怒声混じりのオルドナンツが飛んできた。原因は、シュミルの魔術具に仕込まれていた最後の音声だった。
愛の言葉を語るシュミルの最後には、エーレンフェストの恋物語や本の宣伝文句が吹き込まれていたのである。アーレンスバッハの研究だと胸を張っていた展示品から、エーレンフェストの宣伝が流れたことでディートリンデは激怒した。
ディートリンデは怒ったまま席を立ち、他領への挨拶へ向かおうとする。その後ろ姿を見送りながら、フェルディナンドは小さく笑い、ローゼマインへ「本当に何をしでかすかわからぬな」と呆れ混じりに告げた。そして最後に、「大変結構」と頭へ手を置いて去っていくのだった。
王族との社交
フェルディナンドからの「大変結構」
ローゼマインは、シュミルの魔術具へ本の宣伝を入れたことをフェルディナンドに「大変結構」と評価されたことを思い返し、嬉しさに浸っていた。フェルディナンドから直接褒められる機会は減っていたため、その一言と頭へ置かれた手の感触が特別に感じられたのである。
その様子を見たハンネローレとジークリンデは、フェルディナンドの指導内容に驚いていた。ローゼマインは彼の厳しさを当然のものとして受け止めていたが、周囲から見れば異常に高い成果を要求されていたらしい。さらに、これまで褒美だと思っていた新しい本ですら、実は次の課題だったとジルヴェスターに知らされ、大きな衝撃を受ける。
王族による呼び出し
そこへアナスタージウスが現れ、ジークリンデとハンネローレにも席へ残るよう求めた。さらに、ローゼマインへ風の盾を張らせた上で盗聴防止の魔術具を使用し、護衛騎士や側近達まで外へ下がらせるという厳重な体制を取る。
アナスタージウスは、ダンケルフェルガーとエーレンフェストが問題を起こしすぎていると苦言を呈した。特にローゼマインとハンネローレが入学して以来、騒動の規模が年々拡大していると指摘する。
しかしローゼマインは、ディッターを望んでいるのは自分達ではなく、毎回ダンケルフェルガー側から仕掛けられているのだと反論した。一年目はレスティラウト、二年目はアウブ・ダンケルフェルガー、三年目もレスティラウトによって勝負を強いられてきたのである。
ローゼマインは、叱るべきは上位領地の立場を利用してディッターを押し付けるダンケルフェルガーの男達だと主張した。さらに、王族も訓練場の使用許可を簡単に出すべきではなく、下位領地へ事前確認を行うべきだと訴える。
アナスタージウスはその意見を受け入れ、今後は参考にすると約束した。ローゼマインは、これでディッターの被害者が減るはずだと考える。
中央騎士団乱入事件の真相
続いてアナスタージウスは、中央騎士団の乱入について謝罪した。騎士達はツェントのために王族が聖女を得るべきだと考え、ヒルデブラントの願いを勝手に王命と解釈して暴走したらしい。しかも乱入した三人は、中央騎士団でも王が最も信頼していた者達だった。
その話題を受けて、ローゼマインはトルークの存在を話すべきだと判断した。ジルヴェスターはダンケルフェルガーが同席していることを理由に止めようとしたが、ローゼマインは今しかないと説得する。中央騎士団を信用できない以上、ユルゲンシュミットで最も頼れる戦力はダンケルフェルガーだと考えたためである。
ジルヴェスターは、トルークとは記憶混濁や幻覚、陶酔を引き起こす危険な植物であり、エーレンフェストの反逆者達も使用していたと説明した。さらに、乱入した中央騎士団の騎士から同じ匂いがしたことも明かす。
アナスタージウスは、反逆者と繋がっていた領地を問いただした。重い沈黙の後、ジルヴェスターはゲオルギーネが第一夫人を務めるアーレンスバッハだと告げる。場の空気は一気に張り詰めた。
エーレンフェストへの評価
アナスタージウスは、奉納式で得た魔力のおかげで多くの重要な魔術具が動かせるようになり、ツェントも少し休めるようになったと語った。そして、神事を守ってきたエーレンフェストへ感謝していることも伝える。
その上で、エーレンフェストの順位を上げる意思があるか尋ねた。ジルヴェスターは、領地内にはまだ上位領地として動ける貴族が少なく、現状維持を望むと答える。その代わり、今後は政変の勝ち組領地と同等の扱いを求めた。
アナスタージウスは、その提案を悪くないと評価し、ツェントと相談すると約束した。
図書館への協力依頼
続いてアナスタージウスは、領主会議の期間中、ローゼマインとハンネローレへ図書館への日参を依頼した。鍵の管理を中央文官へ任せる案もあったが、叛意や害意のない二人へ任せる方が安全だと判断したのである。
ローゼマインは即座に了承し、ハンネローレも古い儀式を調べたいことから協力を引き受けた。ローゼマインは書庫へ入れることを確認し、嬉しそうに目を輝かせる。
しかしアナスタージウスは、今度は保護者がローゼマインを摘み出せるだろうと皮肉を口にした。以前、図書館へ籠もって王子達へ迷惑をかけた件を思い出したジルヴェスターは、平謝りを始める。
そのやり取りを見ながら、アナスタージウスは「これの手綱はフェルディナンドか」と呟いた。ローゼマインだけが意味を理解できず首を傾げていた。
アーレンスバッハとランツェナーヴェの問題
さらにアナスタージウスは、フェルディナンドをアーレンスバッハへ送った理由についても語った。現在、唯一開いている国境門はアーレンスバッハにあり、他国との交易を一手に引き受けているため、領地が潰れるわけにはいかないのである。
そして、ランツェナーヴェとの諍いが起こる可能性があることも示唆した。ローゼマインは、フェルディナンドがアーレンスバッハにいる以上、自分達も無関係ではないと考える。
何かあれば必ず助けに行くと宣言するローゼマインに対し、アナスタージウスとジルヴェスターは同時に、ローゼマインが動けば事態が拡大する未来しか見えないと頭を抱えるのだった。
他領との社交
領地対抗戦の社交と各領地の反応
王族との会話後の余波
アナスタージウスは話を終えると、ローゼマインへシュツェーリアの盾を解除するよう命じた。その後、盗聴防止の魔術具を回収させながら、神事中に祭壇へ騎士を上げるのは神への不敬であるため、青色神官や巫女を同行させるよう中央神殿から言われたことを伝える。領主候補生でも青の衣装をまとえるエーレンフェストなら問題ないだろう、と暗に護衛騎士へ神官服を着せる案を示した。
王族とダンケルフェルガーが去った後、今度はクラッセンブルクが訪れる。アウブ・クラッセンブルクは共同研究を非常に興味深く見たと語り、参加した文官見習い達が「本物の神事を経験した」と感動していたことを伝えた。皆の祈りが一つとなり、魔力が引き出され、光の柱が立ち上がる光景は圧倒的だったらしい。
ローゼマインは、自分にとっては日常的な光景になりつつあったことへ気付き、エーレンフェストの学生達が祝福へ慣れすぎている原因は自分かもしれないと考える。
奉納式継続への打診
クラッセンブルクは来年以降も奉納式を行わないかと打診した。文官以外にも経験したい者が多く、王族を支える一助になると考えていたのである。
しかしローゼマインは、奉納式はダンケルフェルガーとの共同研究だから行ったものであり、毎年貴重な魔力を集めるつもりはないと断った。本音では、準備によって読書時間が削られることを嫌がっていた。
代わりに、各領地の神殿で神事を見直してほしいと訴える。ジルヴェスターも、貴族院で何度も儀式を行えば中央神殿と王族の溝が深まると補足し、話を収めた。
エーレンフェストの新技術への関心
話題はエーレンフェストの新技術へ移る。クラッセンブルクは、商人達から井戸用ポンプや乗り心地の良い馬車などの話を聞き、特にポンプをぜひ導入したいと望んでいた。
ハルトムートは、ポンプは細かい部品を作れる職人が少なく、まだ量産体制が整っていないため売り出せないと説明する。するとクラッセンブルク側は、設計図だけでも売れないかと提案した。
ハルトムートは、ポンプの設計図は鍛冶協会によって厳格に管理されており、クラッセンブルク側でも同様に管理できなければ譲れないと返す。さらに、大領地が平民まで管理を行き届かせるのは難しいだろうと、遠回しに信用不足を示した。
ジルヴェスターは領主会議で改めて話し合うと締めくくる。その後も、各領地のアウブ達が次々と訪れ、取り引き枠の拡大を求め続けた。
グレッシェル整備の必要性
昼食時、ローゼマインは疲労困憊していた。ジルヴェスターは、下町事情についてハルトムートやローゼマインへ頼らざるを得ない現状を嘆き、自らも下町を視察すべきだと語る。
しかしローゼマインは、視察よりも先にグレッシェルを整備し、商人を受け入れられるようにするべきだと主張した。準備もないまま商人を迎え入れれば、苦労するのは平民達だからである。
ローゼマインは、現在のエーレンフェストへ完璧な大領地対応を要求するのと同じ無茶だと例え、準備期間の必要性を訴えた。ジルヴェスター達はその指摘に押し黙り、グレッシェルの整備を優先する方針となる。
嫁取りディッター契約の誤解
昼食中、ジルヴェスターはヴィルフリートへ契約書について注意を与えた。嫁取りディッターで使われた書類は、実際には契約書として成立していたのである。
しかしヴィルフリートは、エーレンフェスト紙では正式契約にならないとローゼマインから教わっていたため、報告書程度にしか見えなかったと反論する。
ここでローゼマインとジルヴェスターは、レスティラウトがその常識を逆手に取ったのだと気付いた。ダンケルフェルガー側は植物紙しか持っておらず、正式契約に使えないこと自体を理解していなかった可能性も浮上する。
ヴィルフリートは、自分からハンネローレへ注意のオルドナンツを送る。返信では、ダンケルフェルガー側が絵を描くために羊皮紙を使い切っていたことが判明し、ジークリンデが呆れていた。
共同研究への高評価
その後、ローゼマインは共同研究の成果について側近達から報告を受けた。ドレヴァンヒェルのグンドルフは、エーレンフェストが魔力を抑えた音楽魔術具を作ったことへ驚いていた。
また、研究内容そのもの以上に、グラフを使った視覚化へ強い関心を示し、ローデリヒが延々と説明役を務めることになる。来年はグラフを使った研究を行いたいとも語っていた。
さらにミュリエラは、ダンケルフェルガーが成人騎士によるディッター儀式の実演を行う予定だと報告する。儀式からディッター、魔力奉納まで一連の流れを見せるつもりらしく、アウブ・ダンケルフェルガーが非常に張り切っているそうだ。
新たな作家の芽生え
ミュリエラは、ヨースブレンナーのリュールラディとも交流していた。リュールラディはシュミルの魔術具で流れる愛の言葉と本の宣伝を気に入り、本が欲しくてたまらなくなったという。
しかしヨースブレンナーはエーレンフェストと取り引きがなく、本を購入できない。そこでミュリエラは、自分で物語を書いて本を作ればよいと勧めた。リュールラディはその提案へ乗り気になり、ローゼマインは新しい作家が生まれるかもしれないと期待を抱くのだった。
フレーベルタークとの社交
祝福を与えない決断
午後から始まるディッターを前に、レオノーレは騎士見習い達を代表して、今年も祝福を与えてもらえないのかと尋ねた。去年のフンデルトタイレン戦ではフラウレルムの妨害もあり、皆がローゼマインの祝福に助けられていたため、不安を感じていたのである。
しかしローゼマインは、今年は祝福を与えないと明言した。模擬戦でも六位の実力を持つのだから、自分に頼りすぎるのは成長の妨げになると考えていたからである。
コルネリウスは、ダンケルフェルガーが祝福を得られるならば、こちらも同じようにした方が良いのではないかと疑問を呈する。ローゼマインは、ダンケルフェルガーは既に自力で祝福を得る方向へ進んでおり、エーレンフェストも同じように努力するべきだと語った。御加護研究を行った領地でありながら、自力で御加護を得られないのでは意味がないと考えていたのである。
さらに、御加護を得るには魔力奉納と祈りが重要であり、儀式をやり直しても日頃の積み重ねがなければ意味がないと説明した。
アンゲリカのやる気
その話を聞いていたアンゲリカは、御加護を得れば自分も強くなれるのかと興味を示した。ローゼマインは、御加護を得れば戦闘時の魔力消費を抑えられ、シュティンルークもより強く扱えるようになると説明する。
その瞬間、アンゲリカは初めて真剣な反応を示し、全力で神々の名前を覚える決意を固めた。これまで神々の名前を覚える勉強は、自分への利点を理解しないまま受けていたらしい。
コルネリウスは、もっと早くやる気になっていればダームエルの苦労も減っていたはずだと同情し、周囲は苦笑する。
領地対抗戦後半戦の開始
午後になると、ルーフェンによってディッター後半戦の開始が宣言された。今年は珍しい魔獣への対応力を見るため、敵にも趣向が凝らされているという。
コルネリウスは、去年フンデルトタイレンへ苦戦した経験があるエーレンフェストは有利だと分析する。他領はその経験を持たないため、未知の魔物への対処に苦戦するだろうと考えていた。
最初に戦うことになったのはアーレンスバッハで、ヒルシュールが召喚役を務める。ローゼマインは観戦許可を得て、去年より高くなった視点に成長を実感しながら競技場を見下ろした。
タルクロッシュの出現
ヒルシュールが召喚したのは、小山のような巨大なタルクロッシュだった。ローゼマインはユレーヴェ素材集めで遭遇した経験があり、その特徴をよく知っていた。
タルクロッシュは一定以上の攻撃でなければ弾き返し、さらに強い攻撃を受けると分裂する。アーレンスバッハの騎士見習い達は戸惑いながら戦い始めたが、やがて虹色に光る大技でタルクロッシュを爆破した。
しかし、倒したと思った瞬間、小型化した大量のタルクロッシュが競技場へ降り注ぎ、騎士達は右往左往しながら処理を始める。ローゼマイン達は、去年のフンデルトタイレン戦そのままだと感じていた。
ただし、今回のタルクロッシュは触れただけで再合体するわけではなく、最小まで細かくしなくても倒せるため、去年よりは楽だと分析される。ヒルシュールなりの仕返しだと皆は納得していた。
クラリッサ問題とフレーベルタークの訪問
その最中、リーゼレータが現れ、フレーベルタークの領主夫妻が訪れているため戻るよう告げる。ローゼマインはその時、ハルトムートの姿がないことへ気付いた。
ハルトムートはクラリッサの両親へ挨拶に行っていた。現在の焦点は、クラリッサが勝手にエーレンフェストへ押しかけてきた場合の対応方法についてであり、結婚を認めるか否かより、暴走時の対処が議題になっているらしい。
その後、ローゼマインはフレーベルタークの領主夫妻と対面する。コンスタンツェはジルヴェスターの姉であり、貴族院の恋物語にも登場する人物だった。
フロレンツィア懐妊の報告
コンスタンツェは、フロレンツィアの姿が見えないことを心配していた。ジルヴェスターは、まだ公表できないが懐妊の兆しがあるため、大事を取って休ませていると明かす。
ローゼマインは新しい弟妹ができる可能性に内心大喜びし、赤ちゃん向け絵本を作らなければと考えていた。しかしコンスタンツェは、順位も上がったのだからそろそろ第二夫人を迎えるべきではないかと弟を叱る。
それに対しジルヴェスターは、結果的にフロレンツィア一人で済んでいるのはリーベスクヒルフェの御加護だと軽口を返し、コンスタンツェを呆れさせた。
フレーベルタークの神殿改革
ローゼマインは、神事へ積極的なフレーベルタークの現状について尋ねる。リュディガーが神殿神事を始めてから収穫量が目に見えて増え、他の領主候補生やギーベ達も積極的に神事へ参加するようになったという。
当初は神殿への忌避感も強かったが、試す価値のあることは何でもやるしかない状況だったため、コンスタンツェが最初にリュディガーを支持したらしい。現在では神殿改革も急速に進んでいる。
さらにコンスタンツェは、来年は領主候補生が祈念式や収穫祭へ参加したことによる収穫量の変化を、フレーベルタークとエーレンフェストで共同研究しないかと提案した。
ローゼマインは、自分は今年しか貴族院へ長く滞在できない予定なので、ヴィルフリートやシャルロッテ側の文官を中心に進めてほしいと答える。
フレーベルターク夫妻が去った後、ローゼマインは、これまで神殿神事を隠していたにもかかわらず、今度は神事を武器に共同研究を持ちかけてくる辺り、元上位領地らしい強かさを感じていた。ジルヴェスターも、収穫量が安定すればフレーベルタークはすぐ順位を戻すだろうと認め、自領の意識改革の必要性を改めて痛感するのだった。
ディッターとダンケルフェルガーの実演
未知の魔獣への警戒
エーレンフェストの出番を前に、競技場ではギレッセンマイアーがタウナーデルと戦っていた。黄色く尖った球体のような魔魚であり、全身から毒針を飛ばして攻撃してくる危険な魔獣である。ローゼマインは、以前の魚解体で遭遇した経験から、その危険性を理解していた。
知らない魔獣が次々に登場する状況に、騎士見習い達の緊張は高まっていた。レオノーレも、自分達の時には何が出てくるのか不安を漏らしていた。
今年はフラウレルムではなくグンドルフが召喚役だったため、一同は多少安心したものの、グンドルフも様々な魔木に詳しいため油断はできないと警戒していた。
グミモーカ出現
グンドルフが召喚したのは、葉を大量に茂らせた巨大な魔木だった。一見すると普通の木にしか見えず、動きもない。しかしレオノーレは即座にグミモーカだと見抜き、全員へ的確な指示を出した。
グミモーカは、一定以上の攻撃を受けると葉の中から細い枝を大量に伸ばしてくる魔木であり、その枝の先端には痺れを引き起こす棘がついている。レオノーレは、枝が伸びた瞬間に刈り取る作戦を立て、騎士見習い達へ配置と役割を細かく指示した。
ローゼマインは、グミモーカがゴムに似た性質を持つ魔木だと気付き、素材として強い興味を抱く。しかし側近達から、他領の素材に安易に手を出しては危険だと釘を刺される。
連携による攻略
ユーディットが魔術具を葉の中へ撃ち込むと、グミモーカは反応して大量の枝を伸ばした。騎士見習い達は騎獣に乗ったままハルバードを振り回し、枝を次々と刈り取っていく。
その後、レオノーレやアレクシス、ナターリエ達が順番に魔力を叩き込み、危険な枝を減らしていった。全力攻撃でもすぐには倒れない頑強さに、ローゼマインは驚きを隠せなかった。
さらにユーディットが、ダンケルフェルガー戦用にハルトムートが作った強力な爆発系魔術具を使用したことで、葉が一気に焼き払われる。周囲はその威力に騒然となった。
最後はトラウゴットとマティアスが上空から同時に虹色の魔力攻撃を叩き込み、グミモーカを撃破する。魔法陣の光が消え、エーレンフェストの勝利が宣言された。
騎士見習い達への賞賛
戻ってきた騎士見習い達へ、ジルヴェスターは素晴らしい戦いだったと称賛を送った。特にレオノーレは、魔物知識と的確な指揮で観客の注目を集めていた。
しかしレオノーレは、自分だけが特別なのではなく、騎士見習い全員で知識を共有しているのだと語る。本棚には彼女がまとめた魔物資料があり、今後も知識は受け継がれていくという。
騎士団上層部の者も、中級・下級騎士達の連携や動きの速さを高く評価し、既に成人騎士並みだと褒め称えた。騎士見習い達は達成感に満ちた表情で互いを見合わせていた。
シャルロッテの現実的な視点
その後、ジルヴェスターはヴィルフリートを伴って社交へ戻り、ローゼマイン達には観戦を続けるよう指示した。
シャルロッテは、現在のエーレンフェストはローゼマイン一人の功績で順位を上げている状態であり、周囲から真の上位領地と認められているわけではないと語る。そのため、自分の輿入れ先もまだ決めづらい状況なのだという。
ローゼマインは、旧ヴェローニカ派の粛清によって領内は大きく変化せざるを得ず、この機会に貴族達の意識改革を進める必要があると考えていた。
ダンケルフェルガーの神事実演
全てのディッター終了後、ダンケルフェルガーによる儀式の実演が始まった。競技場へ整然と並んだ成人騎士達の中心には、ライデンシャフトの槍を持つアウブ・ダンケルフェルガーが立っていた。
アウブは、忘れ去られつつあった本来の神事と神具を見せると宣言し、騎士達と共に儀式の舞を始める。成人騎士達の動きは見習い達より遥かに洗練され、猛々しさと優雅さを兼ね備えていた。
やがて槍が高く掲げられると、青い光の柱が競技場へ立ち上がった。その光景に観客達は騒然となり、神殿神具の力に驚愕する。
その後、祝福を受けた騎士達は圧倒的な力で魔物を撃破し、最後はハンネローレがフェアフューレメーアの杖で祝福を神々へ返還した。騎士達の体から立ち昇った魔力が空へ昇っていく様子に、会場全体が感嘆と興奮に包まれるのだった。
初めての表彰式
表彰式の始まり
ダンケルフェルガーの儀式が終わると、ルーフェンが表彰式の開始を告げた。学生達は五の鐘が鳴るまでの間に片付けを進め、文官見習いは研究発表用の魔術具を、側仕え見習いは茶器や菓子を慌ただしく回収していった。ローゼマインは長時間の観戦で足が痛みつつも、以前より体力がついたことを実感していた。
五の鐘が鳴ると、各領地の学生達が騎獣で競技場へ降り立った。ヴィルフリートとシャルロッテは誘導役を引き受け、ローゼマインはジルヴェスターと共に残るよう言われる。そこでジルヴェスターは、フェルディナンドから今日くらいは褒められても良いだろうと語り、表彰式を楽しむよう送り出した。
王族の登場と開会
競技場には王族達が姿を現した。王と第一夫人、ジギスヴァルト、アドルフィーネ、ナーエラッヒェ、アナスタージウス、エグランティーヌらが次々と壇上へ上がっていく。ローゼマインは、奉納式にほとんどの次代王族が参加していたことを思い返し、自分が行った儀式の影響の大きさを改めて感じていた。
王の挨拶に続き、領地対抗戦の表彰が始まった。
ディッター順位発表
ディッター一位はダンケルフェルガー、二位はクラッセンブルク、そして三位にはエーレンフェストが選ばれた。エーレンフェストが呼ばれた瞬間、競技場はざわつく。模擬戦六位だった領地が三位に食い込んだことに驚きが広がったのである。
一部では、グンドルフへ魔木を指定していたのではないかという悪意ある声も上がった。しかし他領の騎士見習い達が、どの魔物が出るかは運であり、エーレンフェストの実力は本物だと反論したことで批判は小さくなった。レオノーレ達は、その言葉に励まされていた。
騎士見習い達は中央騎士団長ラオブルートからも称賛を受け、記念品として青い魔石を授与された。
研究発表の表彰
続いて研究発表の表彰が始まった。一位はダンケルフェルガーとエーレンフェストによる御加護研究、二位はギレッセンマイアーの魔力増幅魔術具、三位はアーレンスバッハとエーレンフェストによる省魔力化研究だった。
ローゼマインは二つの研究に関わっていたため困惑したが、ヴィルフリートに代役を断られ、自ら両方へ出席することになった。ダンケルフェルガー側代表はレスティラウトだったが、どこか疲れた様子を見せていた。
一方、アーレンスバッハ側では本来の研究者であるライムントではなく、ディートリンデが代表者として現れる。ライムントが断り切れずに押し切られたのだろうとローゼマインは察し、手柄を横取りされたことへ苛立ちを覚えた。
中央文官は、御加護研究について神事の見直しと魔力消費の変化を解明した重要研究だと高く評価した。また、省魔力化研究についても今後の応用性が非常に高いと称賛していた。現在のユルゲンシュミットがいかに魔力不足へ苦しんでいるかが、評価基準からも明らかだった。
接客部門とエーレンフェストの課題
来客数と応対の表彰では、クラッセンブルク、ダンケルフェルガー、ドレヴァンヒェルが上位を占め、エーレンフェストは入らなかった。
ブリュンヒルデは、エーレンフェストは対応できる側仕えや領主候補生の人数が足りず、どうしても客を待たせてしまうことが原因だと説明した。ローゼマインは、今後は貴族人口を増やしていかなければならないと考える。
成績優秀者発表
続いて個人成績の表彰が始まった。レスティラウトは領主候補生の最優秀者として名を呼ばれ、ローゼマインは意外に感じていた。
エーレンフェストからも次々と優秀者が選ばれる。レオノーレ、アレクシス、ブリュンヒルデ、マティアス、ラウレンツ、イグナーツらが呼ばれ、皆が努力の成果を認められていた。
特にマティアスは、ローゼマインへ最上級の感謝を示すため、その手に額を当てて忠誠を捧げた。ローゼマインは目立ち過ぎるその行為に慌てながらも、彼の感謝を受け止めていた。
ローゼマインへの表彰
三年生の最優秀者として、ローゼマインの名が呼ばれた。さらに文官最優秀でも呼ばれ、周囲には感嘆と驚きの声が広がる。ヴィルフリートにエスコートされながら壇上へ向かったローゼマインは、多くの視線と囁きに緊張していた。
王はローゼマインへ、三年連続の優秀な成績と、複数領地との共同研究によるユルゲンシュミットへの大きな貢献を称賛した。ローゼマインは、初めて自分が本当に役立ったのだと実感し、胸の奥から喜びが込み上げる。
拍手の中で視線を巡らせると、エーレンフェストだけではなく、アーレンスバッハ側にいるフェルディナンド達も拍手を送っていた。その姿を見たローゼマインは、自分の成果を喜んでくれる人達が大勢いることへ幸せを感じ、来年も頑張ろうと自然に思うのだった。
フェルディナンドとの夕食
フェルディナンドとの再会
領地対抗戦後、エーレンフェストの側近達はフェルディナンドを迎えるため、お茶会室の準備を進めていた。学生達が夕食の準備のため退室した後、フェルディナンドがユストクスやエックハルト、そしてアーレンスバッハで仕える側仕えゼルギウスを伴って到着する。
ローゼマインはフェルディナンドへ帰還の挨拶を求め、フェルディナンドは渋々ながら応じた。その後、ジルヴェスターは「今日くらいはあまり叱るな」と釘を刺して席を外す。
ローゼマインは最優秀を取ったことや共同研究が表彰されたことを誇らしげに語り、褒めてほしいと要求した。しかしフェルディナンドは褒めるより先に叱ることが山ほどあると言い、棒読みで「大変結構」と返しただけだった。
さらにローゼマインがシュミルのぬいぐるみを話題に出すと、フェルディナンドはディートリンデがぬいぐるみを奪った件を自分の責任のように謝罪する。ヴェローニカを想起させる出来事だったらしく、その表情には苦さが滲んでいた。
休息のための部屋とマットレス
リヒャルダ達は、フェルディナンドが少しでも寛げるように衝立付きの休息空間を整えていた。さらにローゼマインは、新しく作らせたマットレス付き長椅子を披露する。
フェルディナンドはその寝心地に満足しつつも、正面から見たローゼマインには彼の顔色の悪さがはっきり見えていた。仕事と薬漬けで疲弊していることが窺える。ローゼマインは体調を案じたが、ヴィルフリートにはフェルディナンドの疲労がよくわかっていなかった。
逆にフェルディナンドは、ローゼマインの脈や熱を確認し、体調管理を怠らぬよう注意する。ローゼマインは、以前よりずっと丈夫になったことを誇らしげに報告した。
夕食と領地対抗戦の話題
夕食には神殿で作られた特別料理が並んだ。タオヒェンを使った料理など、フェルディナンドの好物が中心である。彼は懐かしい味に穏やかな表情を浮かべ、料理人達への感謝を伝えてほしいと頼んだ。
食事中は領地対抗戦の話題となり、ヴィルフリートは共同研究への参加希望が殺到したことを語る。フェルディナンドはエーレンフェストの順位上昇を実感しつつも、ローゼマインが事態を大きくし過ぎたと指摘した。
ヴィルフリートもローゼマインをもっと叱ってほしいと訴えるが、フェルディナンドは、これまでの言葉は「叱る」ではなく「注意」に過ぎないと断言した。最大限叱った場合を想像したローゼマイン達は、慌ててそれ以上を拒否する。
情報共有とアーレンスバッハの危険
冬の狩りについて話題が及ぶと、ヴィルフリートは、フェルディナンドはすでに他領の人間なのだから内情を軽々しく話してはならないとローゼマインを制止した。
フェルディナンド自身も、以前とは立場が違う以上、情報は慎重に扱うべきだと同意する。しかしローゼマインは、情報共有も重要だと不満を漏らした。
その後、ローゼマインは、ディートリンデが卒業式で王族以上に豪華な髪飾りを付けたり、魔石を光らせる「ピカピカ奉納舞」を行う可能性を伝える。フェルディナンドは不敬行為を見逃せないと判断し、即座に対応を考え始めた。
録音の魔術具作り
リーゼレータの提案で、フェルディナンドは償いとして録音の魔術具を作ることになった。お茶会室には即席の調合空間が作られ、文官見習い達も補助へ駆り出される。
フェルディナンドは驚異的な速度で下準備を進め、さらに時間短縮の魔法陣を三重に重ねるという規格外の調合を披露した。文官見習い達はその技術に圧倒される。ローゼマインも補助として魔法陣を描き、フェルディナンドの調合技術へ改めて憧れを抱いていた。
最終的に録音の魔術具は四つ完成する。ローゼマインは知的財産権の重要性を説き、フェルディナンドから正式に設計図使用料を受け取った。フェルディナンドは、まず本の印税制度を定着させてから特許制度へ広げるべきだと助言した。
レティーツィアへの贈り物
完成した魔術具の一つは、レティーツィアへ贈られることになった。ゼルギウスがドレヴァンヒェルと連絡を取り、家族の声を録音して届ける予定となる。
ローゼマインはレティーツィアへの励ましとして、「頑張っている」「もっと褒めてあげてほしい」「厳しすぎる言葉は駄目」という内容を録音した。
シュミルのぬいぐるみと小言
ローゼマインは、本来フェルディナンドではなくユストクスへ渡す予定だった紺色シュミルのぬいぐるみも披露する。中には「ちゃんと休め」「食事をしろ」「薬に頼り過ぎるな」など、ローゼマインからの小言が録音されていた。
フェルディナンドはそれを封印しようとしたが、そこへ戻ってきたジルヴェスターが内容を聞いて大笑いし、「これを流すぞと脅せば仕事を止める」とユストクスへ持たせるよう命じた。
癒しと規格外の成長
疲れた一同を見たローゼマインは、フリュートレーネの杖を用いて一斉に癒しをかけた。しかしフェルディナンドは、彼女が季節一つでさらに規格外へ成長していることに頭を抱える。
ローゼマインは、自分も成長して神具を同時に二つ作れるようになったと誇らしげに語った。フェルディナンドは呆れつつも、もはや自分が止める立場ではないと諦め半分に受け止めていた。
別れ際の寂しさ
やがてジルヴェスターが戻り、大人達の時間が始まるとしてローゼマイン達は退出を命じられる。
結局最後まで、ローゼマインが望んでいたような素直な褒め言葉はフェルディナンドから聞けなかった。しょんぼりしながら部屋を後にするローゼマインだったが、それでも久しぶりに共に過ごした時間は、彼女にとってかけがえのないものとなっていた。
別れと成人式
朝食への招待
領地対抗戦翌日の朝、ローゼマインはグレーティアに起こされた。ジルヴェスターの命令で、フェルディナンドと朝食を共にすることになったのである。昨夜フェルディナンドは酒を飲みながらジルヴェスターと話し込んだ後も研究資料を読み続けており、ローゼマイン達が朝食に来るタイミングで起こしてほしいと頼んでいた。
ローゼマインは喜びながら支度を整え、シャルロッテやヴィルフリートと共にお茶会室へ向かった。室内はすでにかなり片付いており、フェルディナンドのために設置されていた休憩空間も整理されていた。
寝心地の良い長椅子
フェルディナンドはまだ眠気が残っている様子だったが、その理由は研究資料だけではなく、ローゼマインが準備した長椅子の寝心地が予想以上に良かったためでもあった。
ローゼマインは春にアーレンスバッハへ運ぶことも提案したが、フェルディナンドはまだ自室を得ていないため必要ないと答える。しかし、その返答はどこか歯切れが悪く、先の見えない立場を感じさせるものだった。
その後、フェルディナンドはいつも通りローゼマインの体調を確認した。シャルロッテは姉が体調を崩していたことに驚き、ローゼマインは領地対抗戦の疲れと表彰式の興奮による熱だったと説明する。フェルディナンドは無理をしないよう念押しした。
昨夜の話と録音の魔術具
朝食中、ローゼマイン達は昨夜の夕食後の様子を尋ねた。フェルディナンドは詳細を語らず、「後でジルヴェスターに聞け」とだけ答える。
食後になると、ユストクスが録音の魔術具と革袋を持ってきた。フェルディナンドは、側近達の要望に従ってローゼマインへの注意や小言を大量に録音した魔術具を渡す。ローゼマインは褒め言葉を期待していたが、再生すると食事をしろ、作業を止めろといった注意ばかりで不満を漏らした。
さらにフェルディナンドは、余った魔術具を用いた追加研究への協力を依頼した。ローゼマインは共同研究の一環として引き受ける。
別れ際の感謝
フェルディナンドは、お茶会室の環境を整えてくれたローゼマインとリヒャルダへ礼を述べた。一晩をとても快適に過ごせたという言葉に、ローゼマインは大きな喜びを感じる。
ローゼマインが「そういう時はありがとうと言ってくださいませ」と軽口を叩くと、フェルディナンドは珍しく柔らかな笑みを浮かべ、「ありがとう、ローゼマイン、リヒャルダ」と素直に感謝を口にした。
その優しい言葉に、ローゼマインだけでなくリヒャルダも目を潤ませる。しかしフェルディナンドはすぐに衝立の向こうへ戻っていき、別れの時間であることを改めて実感させた。
卒業式前の待機
ローゼマインはヴィルフリートに止められ、多目的ホールで待機することになった。体調を崩した状態で無理をすれば、今年も途中退席になると案じられたのである。
そこへ卒業生の保護者達や、卒業生を迎えに来た婚約者達が集まり始めた。ハルトムートはクラリッサとの結婚許可を得たことを報告し、リーゼレータの相手であるトルステンも挨拶へ訪れる。
やがて領主夫妻も到着した。フロレンツィアは転移陣酔いで顔色が悪かったが、それでも卒業式へ出席したいという強い意志を見せていた。ジルヴェスターもそんな彼女を気遣っている様子だった。
卒業式の開幕
講堂では昨年同様、円形舞台と観覧席が設置されていた。今年はローゼマインも領主一族席へ案内され、舞台を間近に見られる位置へ座る。
卒業生が入場する中、会場中の視線を奪ったのはディートリンデだった。彼女は髪を極端に盛り上げ、レースやリボンを大量に使い、エーレンフェスト製の髪飾りまで飾り立てた豪華な髪型で現れたのである。
ローゼマインは、その奇抜さに衝撃を受けると同時に、隣を歩くフェルディナンドの作り笑いが虚ろになっていることに気づいた。説得は失敗したらしい、と内心で叫ぶしかなかった。
さらにローゼマインは、娘の奇行を止めないゲオルギーネの意図に強い不安を抱く。
音楽奉納と剣舞
音楽奉納では、ローゼマインはようやくリーゼレータを見つけることができた。淡いクリーム色の衣装を纏った彼女は、控えめながらも非常に美しく見えた。
続く剣舞では、レオノーレが優雅で柔らかな動きを見せつつ鋭い剣技を披露する。ヴィルフリートも自分の側近アレクシスを誇りながら、レオノーレの見事さを認めていた。
そして次に始まる奉納舞へ、会場中の視線が再びディートリンデへ集中していく。あの巨大な髪型で本当に舞えるのかという不安が、皆の胸に広がっていた。
ディートリンデの奉納舞
光る奉納舞
会場中の注目を集める中、光の女神役のディートリンデは闇の神役のレスティラウトへ近付いていった。レスティラウトは彼女の異様に盛り上げられた頭を見て、そんな格好で舞えるのかと率直に尋ねる。
しかしディートリンデは質問の意図を理解せず、自分は十分に練習したから問題ないと答えた。さらに彼女は頭飾りだけでなく、光らせるための魔石まで大量に準備していた。ローゼマインは、フェルディナンドの制止をどうやって振り切ったのかと驚く。
奉納舞が始まると、ディートリンデの全身に仕込まれた魔石が小さく光り始めた。確かに人目は引くものの、舞そのものは不安定で、重い頭飾りのせいか回転するたびに軸がぶれていた。
シャルロッテは、ローゼマインが以前に見せた光はもっと華やかだったと説明する。それを聞いたローゼマインは、自分が当時どれほど目立っていたのかを想像し、内心で絶叫した。
魔力の暴走
やがてディートリンデの光は点滅を繰り返し始める。最初は演出かと思われたが、実際には彼女の魔力が制御しきれず漏れ出していた。魔力の揺らめきは次第に濃くなり、観客席でも異常に気付き始める。
ジルヴェスターやヴィルフリートはローゼマインへ、あれほど魔力を放出して大丈夫なのかと尋ねた。ローゼマインは、自分なら薬を飲んで数日寝込むほど体に負担がかかると答えるが、次期アウブであるディートリンデなら大丈夫だろうとも付け加えた。
しかし、その直後にディートリンデの体が大きく揺らぎ、隣で舞っていたレスティラウトへ倒れ込む。反応が一瞬遅れたレスティラウトへ激突した反動で、ディートリンデは風の女神役を巻き込みながら派手に転倒した。
舞台に浮かぶ魔法陣
倒れ込んだディートリンデの手が舞台に触れた瞬間、奉納舞の舞台に魔法陣が浮かび上がった。ほんの数秒だったが、観客全員が目撃するには十分だった。
突然現れた魔法陣に講堂は騒然となる。フェルディナンドは眉間に皺を寄せながらローゼマインへ口止めの合図を送り、中央神殿の神殿長と神官長は神事を中断できないと声を上げた。
しかしディートリンデは完全に気絶しており、奉納舞の続行は不可能だった。フェルディナンドは即座に舞台へ上がり、アーレンスバッハの者達へ指示を出す。
彼は巻き込まれて転倒した風の女神役へ丁寧に謝罪し、癒しを施して立ち上がらせた後、舞台を降りた。ディートリンデは側近達に運ばれ、フェルディナンドも付き添うようゲオルギーネに命じられて講堂を去っていく。
その後、補欠の領主候補生によって奉納舞はやり直された。今度は何事もなく無難に終了したが、会場には不穏な空気が残り続けていた。
次期ツェント騒動
昼食の場でも話題はディートリンデと魔法陣一色だった。ヴィルフリートは、あの魔法陣がハルデンツェルの魔法陣に似ていると指摘し、ジルヴェスターはローゼマインへ見覚えがないか尋ねる。ローゼマインは中央神殿の神事だから自分は知らないと答えた。
そこへエグランティーヌから緊急のオルドナンツが届く。王族の使者として現れたオスヴィンは、盗聴防止の魔術具を使用した上でアナスタージウスからの手紙を差し出した。
その内容は衝撃的なものだった。中央神殿の神殿長と神官長は、奉納舞で現れた魔法陣は次期ツェントを選定するための魔法陣であり、現在もっともツェントに近い人物はディートリンデだと主張しているというのである。
王族達の奉納舞では魔法陣が現れなかったこともあり、中央神殿側は正式なツェント選定が始まる前兆ではないかと騒ぎ始めていた。もしディートリンデが本当にグルトリスハイトを得るならば、トラオクヴァールは王座を譲る意向まで示しているという。
ローゼマインは、ディートリンデが次期ツェントになる未来に強い恐怖を覚える。
王族からの召喚
アナスタージウスは、神事や魔法陣について詳しいローゼマインから話を聞きたいと考えていた。しかしジルヴェスターは、神事についてならフェルディナンドの方が詳しいはずだと提案する。
オスヴィンはその提案を受け入れ、ディートリンデの容態確認という名目でフェルディナンドも呼び出すことになった。
使者が去った後、エーレンフェストの領主一族は重苦しい空気に包まれる。ヴィルフリートが不用意に次期ツェントについて口にすると、ジルヴェスターはまだ決まったわけではないと厳しく制した。
そしてローゼマインには、例年通り体調不良を理由に途中退席した形を取り、カルステッドと共にアナスタージウスの離宮へ向かうよう指示が出される。ジルヴェスターは、フェルディナンドへ全てを任せ、ローゼマインは話を聞くことに徹するよう念を押した。
エグランティーヌとの話し合い
王族からの緊急召喚
ローゼマインはエグランティーヌの離宮へ呼び出され、盗聴防止の魔術具が用意された状態で直接話をすることになった。エグランティーヌは時間がないとして、率直に話を進める。
中央神殿の神殿長と神官長が、奉納舞で浮かび上がった魔法陣はツェント選定のためのものだと主張したことで、王族周辺は混乱状態に陥っていた。トラオクヴァールへグルトリスハイトを得てほしい者や、ディートリンデがツェントになることへ不安を抱く者、さらにフェルディナンドの陰謀だと疑う者まで現れていた。
トラオクヴァール自身は、本当にディートリンデがグルトリスハイトを得たならば、王座を譲る意向を示していた。
フェルディナンドへの疑惑
ローゼマインは、なぜディートリンデには玉座を譲るのに、フェルディナンドは危険視されてアーレンスバッハへ送られたのか疑問を口にした。
エグランティーヌは、それは領地の違いだと説明する。中領地だったエーレンフェストでは、フェルディナンドがツェントになっても支える基盤が弱く、グルトリスハイトを巡る争いが再燃する可能性が高かったという。過去にも、グルトリスハイトを巡る王族同士の争いから政変が起きていた。
一方でディートリンデの場合は、アーレンスバッハという大領地の後ろ盾があり、さらに夫として支えるフェルディナンドがいるため、執務能力を補えると考えられていた。ローゼマインは、フェルディナンドの精神が壊れそうだと内心で同情する。
フェルディナンドの到着
そこへフェルディナンドが呼び出されて到着した。彼はディートリンデが奉納舞で魔力枯渇を起こして倒れたこと、回復薬で快方に向かっていることを説明する。
さらに、朝から髪飾りを減らすよう説得していた録音の魔術具まで提示した。だがディートリンデは髪飾りを減らした代わりに別の飾りを増やしていた。
エグランティーヌは本題として、奉納舞の舞台に現れた魔法陣について質問した。フェルディナンドは、あの魔法陣を知っていると認める。
ツェント選定の真実
フェルディナンドは、中央神殿の者達がその知識を持っていたことに驚きつつも、魔法陣がツェント候補を選定するものであることは認めた。
ただし、中央神殿の「ディートリンデが最も次期ツェントに近い」という主張は誤りだと断言する。
奉納舞の神事では、神々へ祈りを捧げながら魔力を奉納することで魔法陣が浮かび上がる。そして全属性と十分な魔力を持つ者だけが、次の段階として光の柱を立てられる。ディートリンデは単に魔石を光らせようとして大量の魔力を放出した結果、偶然魔法陣を浮かび上がらせただけであり、本来の作動条件を満たしていないという。
フェルディナンドは、王族自身が神事や奉納を行い、御加護の儀式をやり直して検証するべきだと提案した。
王族の知識不足
エグランティーヌは、王族には神事について詳しい者がいないことを認めた。フェルディナンドは、以前ローゼマインを通じて地下書庫の資料を読むよう伝えていたはずだと指摘する。
ローゼマインは、王子達と地下書庫へ入り、古い言葉の現代訳まで手伝ったことを説明した。しかし王子達は古語をほとんど読めず、資料の解読が進んでいなかった。
フェルディナンドは、ツェントに必要なのはグルトリスハイトそのものだけではなく、古い言葉を読める能力でもあると断言する。神殿長の聖典よりさらに古いグルトリスハイトを扱う以上、古語習得は必須だと語った。
ローゼマインへの警戒
エグランティーヌは、ローゼマインやディートリンデを利用してフェルディナンドがツェントの座を狙っているという噂についても尋ねた。
フェルディナンドは、もしローゼマインが魔法陣を浮かび上がらせれば、今度は彼女が次期ツェント候補として担ぎ上げられる危険があると説明する。しかしエーレンフェストではツェントを支える基盤が不足しており、各地で候補者が乱立すれば争乱の火種になるため、奉納舞の検証は王族だけで行うべきだと強く主張した。
ローゼマインの反論
フェルディナンドが忠誠を疑われている件について、ローゼマインは強い不満を露わにした。アーレンスバッハへ向かったのは王命に従った結果であり、それでもなお疑われるのは理不尽だと訴える。
フェルディナンドは止めようとしたが、ローゼマインは、事情を伝えなければ理解も配慮も得られないと反論した。
さらに彼女は、フェルディナンドが本当に望んでいるのは研究時間と自分の工房であり、ツェントの座など全く求めていないと断言する。
問い詰められたフェルディナンド自身も、グルトリスハイトを得るつもりは一切ないと認めた。ユルゲンシュミット全体へ人生を捧げるツェントにはなりたくないという。
ローゼマインは、研究時間が減るからだと全面的に共感したが、フェルディナンドには嫌そうな顔をされた。
奉納式継続問題
話題は来年以降の奉納式へ移った。エグランティーヌは、クラッセンブルクが共同研究の継続を望んでいると伝える。
しかしローゼマインは、準備や道具運搬、神具管理、魔力回復薬の確保など、エーレンフェスト側の負担が大きすぎるとして難色を示した。
継続するなら中央神殿から神具や神官を派遣し、回復薬もクラッセンブルク側で準備し、エーレンフェストは神殿長として参加するだけにしてほしいと条件を提示する。
ローゼマイン自身は上手く本音を隠したつもりだったが、フェルディナンドには読書時間を奪われたくない本心まで見抜かれていた。
話し合いの終了
話し合いは卒業式終了前に切り上げられた。フェルディナンドを呼んだのはエグランティーヌの独断であり、アナスタージウスが嫉妬で面倒になる可能性が示唆された。
本の貸し借りと心の拠り所
離宮からの帰還
エグランティーヌとの話し合いを終えたローゼマイン達は離宮を後にした。盗聴防止の魔術具がなくなり、側近達も周囲にいるため、フェルディナンドとは共同研究についての簡単な会話しかできなかった。
フェルディナンドは、王族まで巻き込んだ大規模な共同研究になっている以上、学生だけの問題では済まないと指摘する。さらに、ローゼマインの提示した条件では奉納式が恒例行事になる可能性が高く、卒業後をどうするつもりなのか問い質した。
ローゼマインは、将来メルヒオールを神殿長として育成するつもりであり、神官長役の側近も準備する予定なので継続可能だと考えていた。しかし同時に、自分がヴィルフリートの子を産む立場になる未来について考え、恋愛や出産が未知の領域であることに戸惑いを覚えていた。
フェルディナンドとの別れ際
短い帰路の途中、ローゼマインはフェルディナンドへ健康を気遣う言葉をかけた。フェルディナンドもまた、丈夫になったからと油断するなと釘を刺す。
ローゼマインは、次に会えるのは春の星結びかと尋ねたが、フェルディナンドは曖昧に答えた。そして中央神殿が再び厄介事を持ち込む可能性を警戒し、面倒事に巻き込まれるなと忠告する。
しかしローゼマインは、自分は好んで騒動へ飛び込んでいるわけではなく、気付けば渦中にいるだけだと反論した。フェルディナンドには全力で首を突っ込んでいるようにしか見えていなかった。
カルステッドからの労い
寮へ戻ると、カルステッドが王族の離宮での護衛任務は緊張で肩が凝ると疲れた様子を見せた。盗聴防止の魔術具の外で待機し続けるのは、内容がわからない分だけ神経を使ったらしい。
その後、カルステッドはローゼマインの頭を撫でながら、三年連続最優秀という成果を褒めた。護衛任務中は声をかけられなかったため、今のうちに労っておきたかったのである。
さらに、ボニファティウスが今年も興奮しているため、放り投げられたり抱き潰されたりしないよう気を付けろと警告した。ローゼマインは手を繋ぐ程度で済めば良いと思いつつ、少し不安を抱く。
卒業式後の慌ただしさ
ローゼマインは多目的ホールでフェルネスティーネ物語第二巻を読みながら皆の帰還を待った。忙しさのあまり、最近まともに読書する余裕すらなかったことを改めて実感する。
そこへヴィルフリートが慌てて現れ、ハンネローレが本やレスティラウトの絵を届けに来たいと言っていると伝えた。ローゼマインは快諾し、ブリュンヒルデへ日程調整を任せる。
その後、領主候補生達はジルヴェスターに呼び出され、卒業式で起きた騒動について説明を受けた。中央神殿が、奉納舞の魔法陣は次期ツェント選定のためのものだと発表し、大騒ぎになったのである。
ローゼマインは、フェルディナンドから聞いた内容として、あの魔法陣は確かにツェント候補選定のものだが、作動させることもできなかったディートリンデに資格はないと説明した。さらに、フェルディナンドへの疑いを解くため王族と話し合ったこと、クラッセンブルクとの共同研究継続には条件を付けたことも報告する。
御加護の儀式
卒業生達は、奉納式参加者の特典として御加護獲得の儀式をやり直した。何度も祝福の儀式を訓練していた騎士見習い達を中心に、新たな御加護を得る者が続出する。
レオノーレやアレクシスは武勇の神アングリーフや疾風の女神シュタイフェリーゼの御加護を得た。また、リーゼレータは癒しの女神ルングシュメールの御加護を獲得した。彼女は日頃から騎士見習い達へ癒しを与えていたのである。
ローゼマインは、女子力の高いリーゼレータを少し見習うべきかもしれないと思ったが、それでも読書時間を削る気にはなれなかった。
ハンネローレとのお茶会
後日、ローゼマインはハンネローレと本の貸し借りを行うお茶会を開いた。ダンケルフェルガーからは神話関連の分厚い本が二冊も届けられ、さらに大量のレスティラウトの絵も持ち込まれる。
その中には、奉納舞を描いた絵も含まれていた。魔石の光に包まれた幻想的な姿で描かれた自分の絵を見て、ローゼマインは別人のようだと困惑する。レスティラウトは奉納舞を好んで描くらしく、以前にはエグランティーヌをモデルにした絵も描いていたという。
二人は卒業式の騒動や、魔法陣についても会話した。ローゼマインは地下書庫に資料があるとだけ伝え、詳しい事情は伏せる。
また、領地対抗戦後のダンケルフェルガーの様子についても語られた。レスティラウトは大量の絵を没収されて落ち込んでおり、注意を受けた騎士達も静かになっているため、ハンネローレは以前より過ごしやすいと感じていた。
恋愛話と秘密の共有
会話の流れで、ハンネローレはローゼマインの好みの男性について尋ねた。女性同士の社交において共感や秘密の共有が重要だと知っているローゼマインは、麗乃時代の経験を活かして即興の恋愛話を作り上げる。
彼女は、洗礼式前から自分を支えてくれた大切な人がいると語った。その人物とは今は簡単に会えない関係になったが、その人との約束が心の支えだと打ち明ける。
一方ハンネローレは、自分の意見をあまり聞いてくれない兄レスティラウトとは正反対の男性が好みだと照れながら話した。
こうして秘密を共有する女性同士の社交を無事に終えたローゼマインは、自分の対応は完璧だったと満足しながら、ダンケルフェルガーの本を抱えてエーレンフェストへ帰還した。
エピローグ
卒業後のアーレンスバッハ
卒業式を終えた学生達が領地へ帰還する中、アーレンスバッハでも荷物の搬出が進められていた。しかし、ディートリンデは卒業生として最後まで貴族院に残りたいと不満を漏らす。奉納舞で倒れた件については、中央神殿長が「次期ツェントに最も近い」と発言したことで、側近達はその言葉を利用して必死に機嫌を取っていた。
側近達は、これ以上問題を起こされる前に領地へ帰還してほしいと考えていた。ファティーエとマルティナは、一年生達が帰還しやすくなるようディートリンデが領地で待つべきだと持ち上げ、ようやく帰還へ誘導することに成功する。
マルティナ達の休息と本音
ディートリンデを送り出した後、側近達は束の間の安堵を得た。ファティーエは婚約者との未来が決まっており、他領へ移る予定だったため、マルティナはそれを羨ましく感じていた。
一方、自身はゲオルギーネ派として取り立てられたことで、領地内に縛られる立場にある。マルティナは、もし領主一族のままであったなら、母親がフレーベルターク出身である以上、政変後の粛清対象になっていたかもしれないと語った。
さらに二人は、ヴォルフラムの死後、ディートリンデしか領主候補生が残らなかった経緯や、ゲオルギーネが第二夫人派閥を取り込んで勢力を拡大していった過去を振り返る。
ゲオルギーネへの評価と不安
ファティーエは、ゲオルギーネがベルケシュトックに配慮し、恋人達を救った美談に感謝していた。しかしマルティナは、姉アウレーリアがエーレンフェストから全く有益な情報を送ってこないことに苛立ちを抱いていた。
また、マルティナは本来文官として働きたかったが、ゲオルギーネによってディートリンデの側仕えへ抜擢された過去を語る。彼女は、情報収集よりもディートリンデが醜態を晒さないよう立ち回る方が遥かに難しいと感じていた。
側近達は、今年も奉納舞で失神するという前代未聞の失態を見せたディートリンデに頭を抱えていた。しかし中央神殿長が「次期ツェント候補」と発言したことで、失態を誤魔化せるようになったことだけは救いだった。
ゲオルギーネとの会談
帰還後、ディートリンデはゲオルギーネの離宮へ呼び出された。マルティナ達は、そこで中継ぎアウブとしての役割や、レティーツィアとの養子縁組について知らされ、機嫌を損ねたディートリンデから八つ当たりを受けると予想していた。
しかし予想に反し、戻ってきたディートリンデは満足げな様子を見せる。そして側近達を集め、自分はグルトリスハイトを探し、次期ツェントを目指すと宣言した。
側近達は驚愕したが、ディートリンデはゲオルギーネから「欲しい物は努力して手に入れよ」と後押しされたと得意げに語る。さらに一年間だけ猶予を設け、その間にグルトリスハイトを見つけられなければ次期アウブになるとも説明した。
マルティナは、それがディートリンデを納得させるためのゲオルギーネの方便だと理解し、一度は安心する。だが、ディートリンデが本気で世論を味方につけようとし始めたことで、不安を強めた。
アーレンスバッハの未来
ディートリンデは、自分がツェントになればブラージウスや姉を領主一族へ戻し、アーレンスバッハを安定させると語った。また、グルトリスハイトを得られなかった場合に備え、自身とレティーツィアで礎への魔力供給を行うつもりだと説明する。
さらにフェルディナンドには神殿で神事を行わせるつもりだと述べた。神殿にいた経験があるため適任だという理屈だった。
しかし本心では、ツェントになれば王命を覆し、フェルディナンドとの婚約を破棄するつもりでいた。さらには王子達を自分の婿に迎える構想まで口にし、側近達は呆れながらも、どうせ実現しない妄想だと受け流していた。
名捧げ要求とフェルディナンド
ディートリンデは、自分の命令に逆らえないようにするため、フェルディナンドへ名捧げを要求することを決めた。マルティナ達は場を整え、会議室へフェルディナンドを呼び出す。
突然の要求にフェルディナンドは驚いたが、恋物語のように互いに名を捧げ合う話かと穏やかに返した。しかしディートリンデは、自分が名を捧げるつもりなどないと即座に否定する。
その時、フェルディナンドは静かな笑みを浮かべながら、自分の名は既に手元にないと告げた。さらに、自分の行動を縛るために名を欲しがった女性は、ディートリンデとヴェローニカの二人だけだと皮肉を口にする。
ディートリンデは、ヴェローニカに名を奪われたのだと勘違いし激怒した。だがフェルディナンドは終始冷静なままで、エーレンフェストへ帰って名捧げ石を取り戻すことなど、今の立場では不可能だと説明する。
ディートリンデはフェルディナンドを役立たずと罵倒したが、フェルディナンドは笑みを崩さず受け流した。その結果、二人の間にある溝だけがさらに深まっていった。
領地対抗戦での決意
リュールラディの御加護
リュールラディは奉納式への参加によって、芽吹きの女神ブルーアンファの御加護を得ていた。最終試験まで祈りを捧げ続けた結果であり、卒業までにさらに多くの眷属神から御加護を得たいと考えていた。
共同研究へ協力したことで、ミュリエラから新しい貴族院の恋物語を借りることもできた。リュールラディは、それを女神の導きだと感じながら熱心に読み進めていた。
研究発表への訪問
領地対抗戦が始まると、リュールラディは真っ先にエーレンフェストの研究発表へ向かった。本来はアウブと共に挨拶へ行く予定だったが、各領地の上位貴族達が一斉にエーレンフェストへ集まる様子を見て、自領では相手にされないと判断したのである。
展示では、奉納式の研究成果と協力者の名前が公開されていた。そこには王族と並んで自分の名まで掲載されており、リュールラディは大きな衝撃を受ける。このような栄誉は、自領の領主候補生ですら得ていないだろうと感激していた。
フェルディナンドとローゼマイン
展示会場にはディートリンデとフェルディナンドも現れた。リュールラディは、フェルディナンドがローゼマインの頬へ触れ、ローゼマインが頬を赤らめる様子を目撃する。
その姿を見たリュールラディは、二人の間に秘められた恋心があるに違いないと想像した。しかしフィリーネは、単に頬をつねられただけだろうと淡々と説明する。それでもリュールラディとミュリエラは、自分達の中で恋物語を膨らませていった。
恋物語入りの魔術具
ミュリエラは、アーレンスバッハ側で展示される録音魔術具について教えた。その魔術具はシュミルのぬいぐるみで包まれており、中には貴族院の恋物語から厳選された愛の言葉が録音されているという。
リュールラディは興奮しながら会場へ向かい、実際に魔力を流して音声を聞いた。そこでは冬しか逢えない恋人達の切ない愛の言葉が語られ、彼女は完全に魅了されてしまう。
さらに最後にはローゼマイン本人の声で本の宣伝が流れ、多くの女性達がエーレンフェストの本へ興味を持ち始めた。リュールラディ自身も、エーレンフェストへ嫁げないか真剣に考え始めるほどだった。
ブルーアンファの訪れ
その後、フラウレルムの叫び声によって周囲が騒然となる中、フェルディナンドが優しくローゼマインの髪へ触れる姿が見えた。リュールラディは、その光景に強く心を揺さぶられ、自分が確かにブルーアンファの御加護を得たのだと実感する。
ミュリエラと二人きりになったリュールラディは、ローゼマインとフェルディナンドの関係について熱く語り合った。周囲は恋ではないと言っているものの、二人の間には縁結びの女神リーベスクヒルフェの糸を感じると盛り上がる。
リュールラディは、ローゼマインの切ない初恋物語を読みたいと願うようになった。するとミュリエラは、自分で書いてみてはどうかと提案する。
恋物語を書く決意
最初は戸惑ったリュールラディだったが、エーレンフェストでは上級貴族の婦人達も本を書いていると聞かされ、大きく心を動かされた。
さらに、原稿料を困窮する学生支援に使えば問題ないという話を聞き、ローゼマインが学生達へ学費を貸し出していることにも感銘を受ける。
こうしてリュールラディは、メスティオノーラを題材にした切ない恋物語を書くことを決意した。そして後に、自分が冗談半分で語った「ローゼマイン=メスティオノーラ」という印象が広く定着していくことになる。
娘の意見と覚悟
ダンケルフェルガー第一夫人の苦悩
アナスタージウス達が去った後、ハンネローレの母であるダンケルフェルガー第一夫人は、エーレンフェストとの会談結果に強い頭痛を覚えていた。
彼女は本来、レスティラウトとローゼマイン、ハンネローレとヴィルフリート、それぞれの恋情を成立させながら領地へ利益をもたらすつもりで交渉に臨んでいた。しかし、実際には全ての前提が食い違っていたのである。
さらに、ディートリンデによって大領地の横暴さを実感させられ、ハイスヒッツェとフェルディナンドの間にも不穏な溝を感じ取った。そして王族との会話では、中央騎士団に危険植物トルークが使われている可能性まで示唆される。問題が山積みの状況だった。
秘密裏の母娘の会話
第一夫人は、まずハンネローレの本心を確認する必要があると考え、盗聴防止の魔術具を用いて二人きりの会話を始めた。
彼女は、ルーフェンが「嫁取りディッター」と「嫁盗りディッター」を勘違いした理由を問い質す。ハンネローレは、レスティラウトが意図的に説明を曖昧にし、周囲に互いが想い合っているかのように誤認させていたと明かした。
さらに、ダンケルフェルガーでは一般的な契約書の形式が、他領には通じないことも説明される。レスティラウトは自領の常識を押し通し、結果として重大な誤解を生み出していたのである。
ハンネローレの本心
第一夫人は、ハンネローレがいつからヴィルフリートへ想いを抱いていたのか問いかけた。
ハンネローレは、ディッターの最中にヴィルフリートから手を差し伸べられた瞬間、彼についていきたいと思ったのだと告白する。それ以前からの深謀遠慮ではなく、衝動的な恋心だったのである。
第一夫人は、その浅慮さに眩暈を覚えた。敵へ恋をして自領を敗北へ導くなど、領主一族として致命的な失態だったからである。
ダンケルフェルガーの横暴の実態
ハンネローレはさらに、これまでダンケルフェルガーがエーレンフェストへ行ってきた数々の横暴を語り始めた。
一年生の時には、レスティラウトが図書館の魔術具の主の座を明け渡せと大領地の権力を使って威圧した。二年生では、アウブ・ダンケルフェルガーが歴史書翻訳を巡って強引にディッターを仕掛けた。そして今回も、レスティラウトがヴィルフリートを侮辱し、圧力をかけながらディッターへ持ち込んだのだという。
さらにルーフェンは、ローゼマイン達もディッター好きだと誤解していたが、実際のエーレンフェストは常にディッターを回避しようとしていた。ローゼマインにとってディッターとは、ダンケルフェルガーの要求を退けるための交渉手段に過ぎなかったのである。
裏切りと責任
第一夫人は、ハンネローレが「嫁入りしない」と宣言したことで、全ての責任を背負う立場になったと説明した。
もし嫁入りしていれば、領地へ利益をもたらす存在として一定の擁護を受けられた。しかし今は、自領を敗北させた上に利益まで捨てた存在として見られることになる。映像記録も残っている以上、事実を改竄することもできなかった。
それでもハンネローレは、自分の選択を後悔していないと語る。ただし、自分の側近達が今後肩身の狭い思いをすることだけは心苦しく感じていた。
母としての怒り
第一夫人は、娘の浅慮さに怒りを覚えつつも、それ以上にこの状況を作り出したレスティラウトへの怒りを募らせていた。
彼女は、昼食時にレスティラウトを徹底的に問い詰めると宣言し、夫であるアウブ・ダンケルフェルガーについても去年の領地対抗戦の振る舞いを含めて追及する決意を固める。
一方で母としては、傷ついた娘の将来を案じていた。ハンネローレがエーレンフェストへ嫁ぐ覚悟で敗北を選んだ以上、その拒絶がどれほど深い傷になっているか理解していたのである。
最後に第一夫人は、後ろめたいことをしたのはハンネローレではなく周囲だと告げ、胸を張っていれば良いと励ました。しかしハンネローレは、自分はまだ理想的なダンケルフェルガーの女にはなれないと力なく答えるのだった。
不信感とゲヴィンネン
ヴィルフリートの不安と揺らぎ
領地対抗戦の表彰式やフェルディナンドとの夕食を終えたヴィルフリートは、ようやく自室へ戻っていた。疲労の残る中、筆頭側仕えのオズヴァルトから、ローゼマインとフェルディナンドの距離感についてどう思うかを尋ねられる。
ヴィルフリートは、互いの体調を顔を見るだけで把握していることや、フェルディナンドがローゼマインへ見せる柔らかな態度に驚いたと答えた。また、ローゼマインが甘える様子を見て、かつて祖母ヴェローニカへ甘えていた頃を思い出していた。
しかしオズヴァルトは、それだけでは済まされないと指摘する。フェルディナンドは既に後見人でも主治医でもなく、婚約者のいる異性同士として距離が近すぎるのだと警告した。
婚約者としての自覚への圧力
オズヴァルトはさらに、ローゼマインが婚約者としてヴィルフリートを立てていないと批判した。共同研究や印刷事業、表彰式などで常に主導権を握り、周囲から次期領主に相応しいと見られていることが、ヴィルフリートの立場を苦しくしていると語る。
ヴィルフリートは、共同研究や印刷業はローゼマインが始めたことであり、自分が成果を奪いたいわけではないと反論した。しかしオズヴァルトは、婚約者や妹は次期領主を支えるため成果を献上すべきであり、それをしないのはローゼマインが次期領主を狙っているからだと見られても仕方がないと断言した。
さらに、粛清によってヴィルフリート派の貴族が多数排除されたことを持ち出し、ライゼガング系貴族の圧力によってローゼマインが勢力を拡大しているのではないかと示唆する。
父やローゼマインへの批判めいた言葉に、ヴィルフリートは強い反発を覚えた。だが同時に、何をどう反論すれば良いかわからず、苛立ちを抱えたまま話を打ち切ってしまう。
オルトヴィーンとのゲヴィンネン
翌日、卒業式では中央神殿長による「ディートリンデが次期ツェント候補」という爆弾発言が飛び出し、貴族院は混乱に包まれた。
その後、ヴィルフリートの元にはドレヴァンヒェルのオルトヴィーンからゲヴィンネンの誘いが届く。オズヴァルトは警戒したが、ヴィルフリートは友人との勝負を楽しみたいという気持ちから招待を受け入れた。
ゲヴィンネンの席で、オルトヴィーンは婚約魔石の話題を持ち出す。ヴィルフリートはそこで初めて、フェルディナンドがローゼマインへ贈った虹色魔石の髪飾りが、周囲から婚約魔石の代用品のように見られていることを知った。
その瞬間、ヴィルフリートはフェルディナンドとローゼマインの距離感を改めて意識する。オズヴァルトの忠告が脳裏に蘇り、自分はもっと気にするべきだったのだと動揺した。
次期領主への疑念
オルトヴィーンはさらに、卒業式後に王族がローゼマインを呼び出した件について探りを入れた。王族へ嫁ぐ姉アドルフィーネの立場を案じ、情報を求めてきたのである。
ヴィルフリートは詳しい内容を語れず沈黙したが、その態度からオルトヴィーンは、ヴィルフリートが重要情報を共有されていないのではないかと察した。そして、ローゼマインが次期領主を望み、ヴィルフリートを排除しているのではないかと推測する。
さらにドレヴァンヒェルでは、優秀な養子が次期領主になることは普通であり、養女であるローゼマインが次期領主候補と見られるのも当然だと語った。
ローゼマインは三年連続で最優秀を獲得し、ライゼガング系貴族からも支持されている。その上、フェルディナンドが最優秀を求めるのは常にローゼマインだけだった。オルトヴィーンの言葉によって、ヴィルフリートは、自分こそが次期アウブとして望まれていないのではないかという疑念に囚われていく。
不信感への変化
ヴィルフリートは、オズヴァルトの忠告が正しかったのだと思い始めた。ローゼマインは婚約者として献身が足りず、フェルディナンドとの距離感も改めるべきなのだと考えるようになる。
そして、オズヴァルトへ反発していた自分を反省し、今後はもっと彼の助言に耳を傾けようと決意した。ローゼマインへの不信感が、ゆっくりとヴィルフリートの中で膨らんでいったのである。
最後にヴィルフリートは、礼としてディートリンデが次期ツェントにはなれないという情報をオルトヴィーンへ伝えた。安心したオルトヴィーンは隙を見せ、その結果、ヴィルフリートは貴族院最後のゲヴィンネンに勝利するのだった。
第五部 女神の化身2レビュー
第五部 女神の化身
本好きの下剋上 全巻まとめ
第五部 女神の化身4レビュー
本好きの下剋上 シリーズ 一覧
兵士の娘

あらすじと考察は本文で詳しく解説。

あらすじと考察は本文で詳しく解説。

あらすじと考察は本文で詳しく解説。
神殿の巫女見習い

あらすじと考察は本文で詳しく解説。

あらすじと考察は本文で詳しく解説。

あらすじと考察は本文で詳しく解説。

あらすじと考察は本文で詳しく解説。
領主の養女

あらすじと考察は本文で詳しく解説。

あらすじと考察は本文で詳しく解説。

あらすじと考察は本文で詳しく解説。

あらすじと考察は本文で詳しく解説。

あらすじと考察は本文で詳しく解説。
貴族院の自称図書委

あらすじと考察は本文で詳しく解説。

あらすじと考察は本文で詳しく解説。

あらすじと考察は本文で詳しく解説。

あらすじと考察は本文で詳しく解説。

あらすじと考察は本文で詳しく解説。

あらすじと考察は本文で詳しく解説。

あらすじと考察は本文で詳しく解説。

あらすじと考察は本文で詳しく解説。

あらすじと考察は本文で詳しく解説。
女神の化身

あらすじと考察は本文で詳しく解説。

あらすじと考察は本文で詳しく解説。

あらすじと考察は本文で詳しく解説。

あらすじと考察は本文で詳しく解説。

あらすじと考察は本文で詳しく解説。

あらすじと考察は本文で詳しく解説。

あらすじと考察は本文で詳しく解説。

あらすじと考察は本文で詳しく解説。

あらすじと考察は本文で詳しく解説。

あらすじと考察は本文で詳しく解説。

あらすじと考察は本文で詳しく解説。

あらすじと考察は本文で詳しく解説。
ハンネローレの貴族院五年生

あらすじと考察は本文で詳しく解説。

あらすじと考察は本文で詳しく解説。

あらすじと考察は本文で詳しく解説。
その他フィクション

Share this content:


コメント