物語の概要
大学生・岩谷尚文が「盾の勇者」として異世界に召喚され、仲間を失いながらも奴隷少女ラフタリアらと共に波(災厄)に立ち向かう。本巻では混乱と謎の連続する異世界で、牢獄脱出から新たな勇者との出会い、そしてキョウという強敵の影と対峙する冒険を描く。
主要キャラクター
- 尚文(岩谷尚文): 本作の主人公。「盾の勇者」として召喚され、信頼も財産も奪われながらも仲間と共に成り上がっていく。
- ラフタリア: 尚文が連れた亜人の少女。彼にとっての大切なパートナーであり、剣の腕を得て強く成長する。
- リーシア: 今巻で共に行動する仲間。牢獄から救い出し、共闘の絆を深める存在。
- 絆(キズナ): 新たに出会う別世界の「勇者」。尚文との協力関係が物語に大きな転機をもたらす。
- キョウ: 今巻に暗い影を落とす強敵。「真の敵」として尚文たちの前に立ちはだかり、その脅威が次第に明らかになる。
物語の特徴
本作は、「異世界召喚」「裏切り」「成り上がり」というテンプレ要素に加え、複数世界や異なる勇者との協力と対立が描かれる点に特徴がある。特に今巻では、牢獄からの脱出劇、資金難におけるオークション活用、フィーロの救出など、緊迫と感動が同居する展開が彩りを添える。また別世界の勇者・絆との出会いによって、単なる再起ではなくマルチワールド的スケールでの物語深化が図られ、既存作品との大きな差別化が図られている。
書籍情報
盾の勇者の成り上がり 19
著者:アネコユサギ 氏
イラスト: 弥南せいら 氏
出版社:KADOKAWA(MFブックス)
発売日:2018年01月25日
ISBN:9784040696652
メディア展開:
TVアニメはSeason1(2019年1月-6月)、Season2(2022年4月–6月)、Season3(2023年10月–12月)まで放送済。Season4は2025年7月に放送予定
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あらすじ・内容
禁断の力、再び!? 内なる怒りを開放せよ!!
料理勝負から始まった戦いの末、波の尖兵の正体を掴んだ盾の勇者、尚文。
尚文に好意を抱いている魔竜の案内で、かつて魔竜が治めていた大陸の城へ向かうことに。
彼らは城内で、宝探しの冒険者を装った小物に襲いかかられるも問題なく撃退。
しかし、その時に起こったあることが原因で、尚文はセインの姉やヴィッチたちと対峙することになってしまう。
不正に聖武器や眷属器を所持している者共を前に、魔竜は尚文にある助言をする。
それは、憤怒の力を使えというもので――!?
「知らん! 俺は決めたんだ。もう怒りに……憤怒の力に頼らないと」
怒りを強制開放された尚文は!? 異世界成り上がりファンタジー第十九弾、ここに登場!!
感想
もう感情がジェットコースターみたいに揺さぶられて大変だった!
まずね、「眷属器の大安売り!?」って、マジで!?シャチ姉妹が眷属器使いとか、予想外すぎて脳みそが処理しきれない!ヴィッチに至っては、鞭の眷属器を手に入れたのに、ザコ具合がパワーアップしてるように見えるのが笑えるんだけど、笑えない!しぶといのは認めるけど、死んでも生き返るとか、どんだけチートなんだよ!理不尽にも程があるわ!
そんな中、セインの姉ちゃん、マジで何者!?盾の勇者にヒント与えるとか、ラスボス臭しかしねぇ!謎が深まる一方じゃねぇか!もう、どうなるか全く予想できなくて、心臓がバクバク止まらん!お願いだから、みんな幸せになってくれえええええ!
今回の物語では、料理勝負から波の尖兵の正体が暴かれたり、魔竜の城へ冒険に行ったり、盛りだくさんだったけど、やっぱり尚文が憤怒の力と葛藤するシーンが一番心に残った。「もう怒りに頼らない」って決めたのに、強制的に怒りを解放されるなんて、マジで可哀想すぎる!彼の苦悩が痛いほど伝わってきて、胸が締め付けられたよ。
戦闘シーンも熱いけど、登場人物たちの人間関係も丁寧に描かれてるのが、この作品の好きなところ。特に、尚文と仲間たちの絆は、どんな困難も乗り越えられる力になるって信じてる!
『盾の勇者の成り上がり』は、ただの成り上がりファンタジーじゃない!理不尽な状況に立ち向かい、成長していく尚文の姿は、私たちに勇気をくれるんだ。だから、今後の展開がマジで楽しみで仕方ない!お願いだから、ハッピーエンドで終わってくれ!
最後までお読み頂きありがとうございます。
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登場キャラクター
展開まとめ
プロローグ 異世界情報交換
異世界の波と勇者たちの交錯
波の終結と異世界との邂逅
絆の世界の波に勝利した後、尚文たちは担当世界との幸運なマッチングにより、武器が盾に戻り、レベルが大幅に上昇した。樹の弓が特に活躍し、封じられた聖武器が使える状況下で高い攻撃力を発揮した。尚文たちは、ラフタリアとリーシアを異世界へ派遣し、状況を説明させることにした。
異世界からの訪問者と混乱
ラフタリアがエクレールを連れて帰還し、ヨモギとツグミがエクレールと視線を交わす。異世界では、槍の勇者とガエリオンが騒動を起こしており、クズが対応に追われていた。魔竜が竜帝の欠片を渡したことが原因でガエリオンが暴走し、ウィンディアが困惑していた。魔竜は自己弁護し、尚文の従僕になることを提案するが、拒否される。
情報交換とヴィッチの影
尚文はエクレールにこっちの世界の状況を説明し、絆を紹介する。聖武器が使用不能になった原因や、ヴィッチの関与が明らかになった。密偵の情報から、ヴィッチが異世界に渡ったことが判明し、ヴィッチ勢力にスパイが潜んでいる可能性が浮上する。波の尖兵の正体は、日本出身の転生者であることが判明し、黒幕は神を僭称する者であることが示唆された。
増援の要請と新たな仲間
エクレールは増援の要請を打診するが、尚文は慎重な姿勢を示す。クズが元王女に手心を加える可能性を懸念していることが明かされる。変幻無双流の師匠が異世界への同行を希望し、ルフトが亜人の姿に変身できるようになったことが判明する。シルディナは眷属器に巻き込まれた可能性があり、シルディナが尚文と共に戦うことを決意する。
波の亀裂の閉鎖と新たな発見
エクレールとルフトが異世界へ戻り、絆が0の狩猟具で波の亀裂を攻撃した。その結果、波の発生周期が大幅に遅れるという効果が確認された。尚文たちは情報交換を終え、撤収する。
一話 総本山訪問
異世界でのレベル上げとグラスの故郷へ
レベル上げと日常
異世界に来たババアは、大地の結晶を握ることで容易にレベルを上げ、ラフタリアと共に城の食堂で絆やグラスと雑談をした。セインは相変わらず言葉が翻訳されず、意思疎通が困難な状況が続く。ババアは機敏な動きで周囲の注目を集め、エスノバルトと共に図書兎達へ稽古をつけていた。
グラスの流派へ
一行はグラスの流派の総本山を目指し移動した。グラスは過去に同じ流派の門下生から嫌がらせを受けていた過去があり、総本山へ向かうことに複雑な感情を抱いていた。魔竜から領地に隠された品々を回収できるかもしれないという話があり、魔竜の領地へ行く可能性も浮上した。
総本山到着と手荒い歓迎
グラスの流派の総本山近くの町は、時代劇の遊郭のような禍々しい雰囲気の場所であった。総本山へ到着すると、待ち構えていた門下生から手荒い歓迎を受けた。グラスは師範代である老人と手合わせをし、互いの腕を確認し合った。
師範代との対面と秘術
グラスは師範代に尚文たちを紹介し、これまでの経緯と敵に関する情報を説明した。師範代は援護魔法を弾く術は失伝していると告げたが、グラスの出生に関して心当たりがある様子だった。グラスの先祖は聖武器の暴走を止めたことがあり、故郷は失われし国アマチハであるという。
奉具殿とババアの乱入
一行は奉具殿へ向かうことになり、師範代の案内で総本山内を移動した。奉具殿は過去の伝承者や眷属器の所持者が封印した場所であり、何があるかは不明であった。ババアは師範代に殺気をぶつけ、二人は激しい戦いを繰り広げた。グラスはババアと師範代の戦いを放棄し、奉具殿へ向かうことを決意した。
二話 奉具殿
禁域と奉具殿の探索
ナオフミ一行は、グラスの流派に伝わる禁域とされる「奉具殿」の封印扉の前に到達した。かつて多くの者が開封を試みるも失敗してきた扉には複雑な魔法が施されており、強力な隔壁に守られていた。扉に貼られた札をシルディナが調査した際、過去の天命が残した封印に似ていることを示唆し、触れた途端に残留思念の影響によって自動的に扉が開いた。
鎮震の扇子と封波の剣の発見
内部には長年封印された様々な武具が保管されており、その中でも特に「鎮震の扇子」と呼ばれる武器が注目された。グラスが扇に触れるとウェポンコピーが作動し、「封波の剣」へと変形することが確認された。この武器は上位互換的な性能を持ち、形状の変化に加えて特殊なスキルを備えていた。
新スキルの検証と反射能力の実証
グラスは「輪舞・逆式無法取り」などのスキルを試し、ナオフミが施した援護魔法を反射することに成功した。反射能力は強力であったが、再使用までの時間が長く、戦術的な運用には制限があった。続いて「扇舞・雪梅」も確認され、周囲の能力向上効果があることが判明したが、持続は舞の間に限られており扱いが難しかった。
神託による記憶共有とスキル継承
シルディナはグラスに神託を施し、武器に宿る残留思念を転写して力を引き出す試みを行った。憑依状態となったグラスは高い能力を得て、シルディナと共に同時攻撃や連続スキル使用を実現した。その後、武器から得られた知識により、失伝していた裏輪舞などの技が実演され、グラスの技術はかつての流派に由来するものであると確認された。
三種の神器様の武具とスキル効果の分析
奉具殿からは「七支刀」「沖津鏡」「道返玉」などの武具が発見されたが、多くは劣化しており実用性に課題があった。それでも「沖津鏡」には魔法威力増加や魂視覚などの優れた性能があり、シルディナの武器強化素材としての可能性が示された。加えて、「解除弾き」や「解除避け」といった解除魔法対策スキルが確認され、今後の戦いに向けた突破口となった。
流派師範代らの戦闘と技術継承
同時進行で行われていたグラスの師範代と対抗者の決闘では、双方が扇を武器に高度な気の技術を用いた攻防を展開した。これにより変幻無双流の応用技術が実戦で披露され、弟子達は熱心に技の習得に取り組むようになった。グラスとシルディナの神託による技術も演武され、流派にとって失伝技術の復興の契機となった。
城内での訓練体制の整備
城に戻ったナオフミ一行は、今回得られた解除対策技術をもとに城内全体での訓練を開始した。リーシア、エスノバルトに加え、樹やラルクまでもが積極的に鍛錬に参加し、ジジイとババアが講師として指導に加わった。シルディナとグラスの神託技術も含め、変幻無双流の技術は勢力全体に波及し、戦力の底上げが図られることとなった。
このようにして、ナオフミ一行は失われていた解除魔法への対策技術と武具を手に入れ、今後に備えて着実な強化を進めていくこととなった。
三話 人の業と魔物の業
魔竜の支配域への旅立ちと同行者たち
ナオフミ一行は、魔竜の支配していた土地に赴くべく、巨竜化した魔竜の背に乗って空を飛び、目的地へと向かった。同行したのはナオフミ、ラフタリア、ラフちゃん、絆、グラス、クリス、魔竜、フィーロ、シャチ姉妹、そして無言ながらセインであった。さらに樹、リーシア、エスノバルトも参加していたが、彼らは稽古や研究に集中していたため、やや距離を置いていた。ラルクらは防衛のため城に残り、必要時には召喚する体制が整えられていた。
魔竜の旧支配地とその異様な地勢
魔竜の支配域に近づいた一行は、荒野や奇妙な墓標型の木が立つ湿地帯を確認した。そこは「死の墓場」や「迷いの湿地帯」とも呼ばれる土地であり、魔竜の霧によって迷わせる結界が張られていた。さらに先にはマグマ地帯が広がり、その先に魔竜の居城が存在すると説明された。過去には人間によってこの地が自由な土地として開放され、ラルクの手配で移民が受け入れられたが、現在では再び魔物の支配下に戻っていた。
人間社会の限界と魔竜の復権
魔竜は復活の宣言をあえて行わず、混乱を避けるよう配慮したと語った。一方、絆とグラスは、この地に残った人々が人間よりも魔物に救いを見出した結果、魔物側に下ることを選んだ現実を振り返った。ナオフミは、利権争いの結果として、魔物の方がましだと判断された経緯を推察した。魔竜はアマチハという国の存在について記憶しておらず、竜帝としての記憶が欠片状であることを理由に説明した。
魔竜とナオフミの関係性と感情
ナオフミがグラスのルーツや遺跡調査を進めようとする中、魔竜はナオフミに対する感情がガエリオンの影響によるものである可能性を自覚していた。魔竜はナオフミに強い執着を見せ、ラフタリアとの関係についても詮索を始めた。フィーロはその動向を察知し、密かに妨害していたことが明らかとなり、ナオフミに称賛された。
ナオフミとラフタリアの関係に関する対話
ナオフミはラフタリアとの関係を真剣に考え、まだ踏み込まないと明言した。ラフタリアも同様に使命を優先する意志を示し、過去の境遇から軽々に進展することへの慎重な姿勢を示した。サディナやシルディナとの関係にも配慮がなされ、ナオフミは一層の負担増を避けるため、私生活に余裕を持つ必要性を意識した。内省の中でナオフミは、奴隷としてラフタリアを買った過去を思い返し、今の自分がその関係に値するか自問した。
働きへの意識改革と役割分担
キズナはナオフミから努力を促され、自らも料理や稽古に励んでいることを主張した。ラフタリアはグラスにも自覚を促し、グラスは自らの甘えを認めて協力の必要性を認識した。これにより、戦闘以外にも貢献する姿勢が示された。最終的に一行は、マグマ地帯の先に存在する魔竜の居城に到着した。崩壊した城の姿を前に、物語は次なる調査へと進むこととなった。
四話 魔竜の城訪問
魔竜の城の現状と人間による破壊
ナオフミ一行は魔竜の旧居城を訪れ、荒廃した様子を確認した。城は魔竜の魔力によって維持されていたが、魔竜の死後は人間による略奪や戦乱の影響を受けて崩壊していた。魔竜は人間の愚行を嘆きつつも、ナオフミへの執着を隠さず表明し、フィーロと小競り合いを起こした。一方、絆の世界と比較して魔物の支配体制や「悪魔」と呼ばれる存在の扱いについて話題が広がった。
四天王制度と魔竜の統治構造
魔竜は自身の封印解除と宝物庫へのアクセスに加え、四天王の召集を試みた。四天王は世襲制で知識や能力を継承する仕組みがあり、魔竜亡き後も支配構造を維持するために組織されていた。ただし事前に招集をかけていたにもかかわらず応じていない現状から、統率力に疑問が呈された。ナオフミは魔竜の支配体制にヒントを得て、ラフちゃんに魔王の素質を見出す一幕もあった。
玉座の間での招集と異分子の出現
魔竜は玉座の間で招集の儀式を行い、四天王の到着を待ったが、その直後、外部からの足音が聞こえ、複数の冒険者風の人物が姿を現した。彼らの中には獣耳を持つ女性も含まれており、明らかに異質な雰囲気をまとっていた。ナオフミは彼らが波の尖兵であると察し、注意を向けた。加えて、ナオフミだけが相手のレベルやステータスを一瞬視認できたことに疑問を抱いた。
グラスの偽装と冒険者との接触
魔竜の指示により、ナオフミ一行は勇者であることを隠し、グラスを代表として冒険者を装って対応にあたった。リーダー格の男は無礼な態度で名乗らず、戦力を誇示してナオフミたちを牽制した。会話の中で、彼らは魔王の城に宝探しと魔物討伐を目的として訪れていたと述べたが、その態度からは敵意が感じられた。
魔竜の策略と囮作戦の開始
魔竜は敵の真意を見抜き、彼らが一行の誰かを追跡して襲撃しようとしていると判断した。そのため、ナオフミたちは探索を装って一度解散し、各自が単独行動をとることとなった。追跡される可能性の高い勇者には監視鏡を持たせ、他の者は一度集合して二重尾行を実施する作戦が取られた。ナオフミの中継鏡スキルを活用することで、追跡の様子を把握する体制が整えられた。
分散探索と罠の仕掛け
作戦に従い、一行は魔竜の城内を分散して探索することとなった。表向きは宝探しのための行動であったが、実際には敵の動向を観察し、先手を打つための布石であった。ナオフミたちは波の尖兵との対峙に備え、魔竜の支配域という地の利を活かして迎撃の準備を進めていった。
五話 鑑定偽装
廃城内での違和感と魔物の気配
尚文は廃墟と化した魔物の城内を歩き、空間の広さや設計に人間とは異なる異質さを感じていた。玉座裏の迷宮や罠の存在を警戒しつつ、通路の先で一礼して去る巨躯の魔物と遭遇し、その振る舞いや容貌からシルトヴェルトの獣人たちを思い出すような既視感を覚えた。魔物が人語を理解する存在ならば、獣人と同等に扱われる可能性があることにも思い至った。
グラスの単独行動と犬耳女との衝突
その後、尚文は仲間と再合流するが、グラスの姿がなかった。魔竜の鏡による中継により、グラスが別行動中であることが判明する。そこに突如として犬耳女が飛びかかり、グラスに攻撃を仕掛けた。グラスは冷静に反撃し、犬耳女を打ちのめすが、直後に現れた錬二号一行との間で非難の応酬が始まった。犬耳女は嘘を吐いて被害者を装い、尚文たちはその振る舞いに呆れていた。
グラスと錬二号一行との衝突
グラスは落ち着いて対応しつつも、挑発的な言動を続ける錬二号一行に扇を向けて警告した。しかし彼らはそれを無視し、戦闘を開始。グラスはその実力で圧倒し、攻撃魔法を返すなどして敵を撃退したが、なおも挑発を続ける彼らに対し、呆れと怒りを募らせた。
魔竜の介入と威圧
錬二号が更なる挑発と攻撃に出ようとしたその瞬間、魔竜が介入し、城主としての威厳を示してその場を制した。魔竜はグラスを下げさせ、自らが相手を引き受けると宣言した。錬二号はその正体に驚愕しつつも、なお世界のためにと誇大妄想的な主張を繰り返し、戦意を煽った。
魔竜四天王の召喚と戦力差の明示
魔竜は四天王のうち三体──ダインブルグ、クリムレッド、アクヴォル──を召喚し、戦力の圧倒的差を明らかにした。錬二号はそれでも強気な姿勢を崩さず突撃するが、魔法陣により拘束される。魔竜は解析スキルを逆用して錬二号に錯覚を与えていたと明かし、錬二号はその現実に打ちのめされて逃走を試みた。
脱出の失敗と戦意喪失
錬二号は仲間を見捨てて逃亡を図るが、魔竜の力により阻まれ、四天王に行く手を塞がれた。ヴィッチのような女性が命乞いを始め、醜悪な保身を見せると、魔竜はその行為に嫌悪を示し、容赦なく彼女を吹き飛ばした。これにより魔竜の怒りは明確となり、もはや撤退の余地はなかった。
魔竜による圧倒的制裁と一行の崩壊
戦闘が再開される中で、錬二号は女仲間を盾にして命乞いを始め、さらには人間を生贄にする発言まで飛び出した。その態度は周囲の信頼を失わせ、グラスの制止も間に合わなかった。魔竜は一行を蹂躙し、戦闘は早々に決着した。
波の転生者への認識と限界
絆や尚文は、このような転生者たちに対しての諦念を語り合い、説得や対話が通じない存在であることを再確認した。彼らは強さを誇示するが、負けを認めず保身に走る者たちであり、話し合いが通じる相手ではないと理解した。
魔竜による総括と試練の提示
魔竜は戦いの終盤、かつて自らを倒した者の勇敢さを讃え、対照的に目先の利だけで動く錬二号に蔑みの視線を向けた。尚文たちはその姿勢から、勇者としての在り方を改めて突き付けられることとなった。最終的に錬二号一行は敗北し、保身と裏切りの醜さを露呈して幕を閉じた。
六話 新四天王誕生
魔竜による戦後処理と魂の捕食
グラスが戦場から戻り、魔竜が錬二号一行の魂を生きたまま貪る様子を目撃した影響で気分を害していた。尚文はそれが魔竜の戦い方だとし、ゲテモノ扱いする発言に対し、魔竜は逆に誇らしげに応じた。魔竜は盲目の虎──アトラを高く評価しており、その想いが自身に影響を及ぼしたと語った。
死体の再利用と魔竜の倫理観
魔竜は錬二号一行をゾンビ化させ、城の修繕作業に従事させた。絆やリーシアらはその非道さに困惑するが、魔竜はそれを当然と受け止め、人間と魔物の違いに疑問を呈した。尚文は絆の正論を支持しつつも、現実的な折衷案として波の脅威を優先する立場を取った。
四天王への処罰と風の欠員
魔竜は四天王を呼び出し、招集に応じなかった理由を追及した。四天王は気配の混乱を理由に釈明するも、魔竜は容赦なく制裁を下した。更に姿を見せなかった風のクーフィリカに対し、反逆とみなして四天王から除名し、水晶体に封じた。
フィーロの四天王任命
魔竜は新たな風の四天王としてフィーロを指名し、水晶を使って強化を施した。その影響でフィーロの種族が変化し、ステータスが大幅に上昇した。魔竜はこれを盾の勇者への献上品と称し、四天王としての務めを果たせば新たな能力が得られることを示唆した。
魔竜由来の古代魔法と勇者への伝授
魔竜は竜帝由来の古代魔法──強力な魔物と契約し遠隔で力を借りる「竜魔法式」について勇者たちに教えると宣言した。これは過去に封印されていた魔法であり、絆たちは学習の負担を感じつつも受け入れた。尚文も龍脈法との類似点を見出し、後の応用を考えた。
四天王の忠誠と魔竜の強化理由
大地の四天王ダインブルグは尚文に、魔竜が復活後に以前より強大な力を持つようになったため、従属する意志を固めたと語った。また、尚文の在り方にも共感を示し、魔に属するに相応しい存在と評したが、尚文自身はその真意を測りかねていた。
宝物庫への探索開始
魔竜は城内の隠された通路を魔法で開き、尚文たちを連れて宝物庫の探索を開始した。その先には更なる発見が待ち受けていることを予感させつつ、一行は進んでいった。
七話 魔竜の宝物庫
宝物庫内部の探索と龍刻の砂時計の発見
一行は魔竜の案内により、宝石が光を反射する美しい地下空洞の中央に建つ金色の館へと足を踏み入れた。館の庭には植物が絡まる龍刻の砂時計があり、かつて訪れたクテンロウのものに似ていた。魔竜と四天王の協力で結界を解除した後、彼らは砂時計に絡む禍々しい色合いの椿に注目し、これがこの世界の「椿光樹」であると推察された。
天命の儀式と椿陣結界の展開
椿光樹を用いた天命の儀式をグラスで試みるも不発に終わったが、シルディナとグラスが合体することで椿光樹が反応し、桜陣結界に似た魔法陣「椿陣結界」が発動した。これにより、クテンロウ式の天命就任が一応完了したと見なされた。なお、発動できるのは合体中に限られるため、実用性には難が残った。
椿光樹の性質と血筋の問題
椿光樹がグラス単体では反応しなかった理由は、グラスの血筋が天命との互換性に欠けていたためとされた。ラフタリアは王族の直系である一方、グラスは滅亡した国の遠縁であり、神託によって無理やり認証された可能性が示唆された。その後、椿光樹の枝の採取と植樹計画が立案された。
宝物庫の発掘と魔法道具の収集
一行は館内部を探索し、数々の魔法道具や資料を発見した。魔竜は弾丸型の札を発射する銃器を紹介したが、実用性は乏しく、弓との比較で劣る点が多かった。酒蔵も見つかり、シャチ姉妹が歓喜して泥酔状態となった。魔竜が自らの金像を誇示するも、ナオフミは無用と一蹴し、代わりに自身の像を作られることに難色を示した。
勇者文字の石板と予言の内容
探索の途中、勇者文字が彫られた石板が発見された。絆が触れると一部の文字が浮かび上がり、「月を目指せば神さえも狩れる」といった内容の予言が記されていた。これは過去の宗教組織が保持していた碑文とされ、リーシアの情報から四聖教会との関連が明らかとなったが、内乱の際に破壊されたことも判明した。
札の勇者に関する記述と文字の調査
別の石板には狩猟具と札のマークが描かれており、リーシアが解読した内容から、札の勇者は特殊な出生と技術再現能力を持つ者であることが記されていた。グラスと絆が石板を読み進めるも、重要な箇所は劣化で判読不能となっていた。また、札の聖武器所持者の接近が疑われたが、実際には何も起こらなかった。
石板の意味と勇者召喚の仕組みの一端
最後に発見された石板には、波で召喚される勇者の候補者に関する記述が含まれていた。この内容から、勇者は過去に選定された存在である可能性が示されたが、詳細は不明のままであった。石板から残留思念を得ることもできず、有効な情報は得られなかった。
調査の成果と今後の展望
宝物庫の調査は完了し、武器や魔法道具、資料など一定の成果が得られた。また、フィーロの成長や魔竜の配下との同盟、四天王の転職による強化も果たされ、今後の決戦に向けた体制が整いつつあった。
八話 疑惑のプディング
マロの盗み食いと騒動の発端
魔竜の城を探索した翌日、ラルクの城の厨房でマロが尚文の試作料理を盗み食いし、過剰な反応を見せたことで場が混乱した。ツグミとヨモギも同行していたが、マロの行動に呆れていた。尚文は料理の効果を過剰に表現するマロに困惑しつつも、彼の様子から料理の効能の強さを確信していた。
子どもたちの登場と見学希望
セーヤ飯店騒動で知り合った子どもたちがツグミに連れられ厨房を訪れ、尚文の料理を見たいと願い出た。尚文はこれを了承し、マロの監視を依頼した。マロの異常反応に対し、セインは無言で試作品を食べ続けており、むしろマロ以上に危険な存在と見なされていた。
騒ぎの拡大と会議の準備
厨房の騒ぎを聞きつけたラルクたちが集まり、マロを魔法で浮かせて別室に連行することとなった。その後、各勢力の代表が揃い、銛の眷属器勇者に対する作戦会議が開始された。
銛の勢力への警戒と作戦立案
グラスの報告により、敵勢力が活発に動いていることが判明したが、正確な目的は不明であった。尚文は敵の潜伏先を発見し、魔竜とフィーロによる潜入を前提とした強襲作戦を提案した。テリスは晶人の嗜好を利用した情報収集を提案し、その手段として尚文が作成したアクセサリーを活用する意向を示した。
アクセサリーの提供とテリスの変貌
尚文はテリスに対し、四聖獣の守護印「星炎」と魔竜四天王の鈴を提供した。アクセサリーの効果により、テリスは魔力を大幅に強化し、別人のような振る舞いを見せ始めた。ラルクや絆たちはその変貌に戸惑い、尚文に責任を問う場面も見られた。
料理研究と効率料理の完成
尚文は戦闘強化のための効率的な料理として「ブロードプディング」を開発した。この料理は能力上昇と経験値増加をもたらし、満腹にならずに効果を得られるという特長を持っていた。見た目はチョコレートケーキ風であったが、実際は魔竜の血を使用した高効率料理であった。
材料の正体と騒然とする場
試食後、多くの者がその味と効果に驚嘆したが、材料が魔竜の血と判明した途端、大半が動揺し、会議の場を退出した。尚文は実用性を優先した結果であると主張し、魔竜も素材提供者として自らの正当性を主張した。
作戦の進行と緊急報告
会議の終盤、魔竜が異変を察知し、直後に敵国が軍を動かしたとの報告が入った。ラルクはこれを受け、連合軍に対して出撃準備を指示し、戦闘態勢への移行が開始された。
九話 念のための確認
港町の戦況と樹の出撃
敵軍が急速に進軍し、港町では既に戦闘が始まっていた。斧を持つ敵の出現により、樹とリーシアは敵討ちのために出撃を決意した。港町は絆たちの家もある重要地点であり、各陣営も同時に行動を開始した。
魔竜領侵攻の不可解さと防衛分担
敵軍の一部が魔竜の領地にも侵攻しているという情報が入り、魔竜自身も聖武器や眷属器に似た気配を感じ取った。尚文は敵の意図を探るため、ラルクたちに港町の防衛を任せ、自身は魔竜領の確認に向かうことを決断した。
出撃前の人員分担と移動
ラルクたちは港町方面へ、尚文と魔竜、フィーロ、セイン、シャチ姉妹、絆、グラスらは魔竜の領地に向かった。鏡のスキルにより即座に魔竜の城へ転移し、異変の調査を開始した。
魔竜の城での敵との遭遇
魔竜の城庭にて、尚文らはセインの姉、ヴィッチ、銛の眷属器持ちの男とその仲間たちと対峙した。彼らは空飛ぶ船から現れ、魔竜への復讐心を露わにしていた。銛の眷属器持ちは、魔竜の影響で仲間のクーフィリカが瀕死になったとして怒りをぶつけた。
呪いの品と魔竜の過去
魔竜はかつて各地に呪いの品をばらまいていたことを明かし、それが原因でクーフィリカが力を失った可能性を認めた。ただし、それは四天王としての義務を果たさなかったことに対する当然の報いであると主張した。
人造魔物の召喚と戦力の誇示
セインの姉が召喚したのは、人造魔物「メタルマジックドラゴン」であった。これは過去に戦った人造ベヒーモスの改良型で、聖武器を内包しており、かつ竜帝の欠片によって強化されていた。魔竜の怒りは頂点に達し、両者は睨み合いを始めた。
戦力差と相手の狙い
敵軍は聖武器を多数強化済みで保有しており、魔竜たちにとっては大きな脅威であった。尚文たちは戦力差を認識しつつ、戦術での補完を決意した。敵の目的はクーフィリカの力の回収と尚文たちの殲滅であり、戦いは全面対決の様相を呈した。
銛の眷属器持ちの精神状態と交渉の破綻
尚文は交渉を試みたが、銛の眷属器持ちは激昂して取り合わなかった。彼は転生者であり、力を得るためなら手段を選ばないという思想を持っていた。魔竜も挑発的に応じ、事態は完全に決裂した。
敵の全力投入とさらなる武器の出現
敵は札の聖武器持ち、船の眷属器、さらにはタクトが所持していた七星の鞭までも投入していた。ヴィッチがその鞭を手にしていたことから、戦力は過去最大級と判断された。ラルクたちが戦う別戦場にも強力な戦力が投入されている可能性が示唆された。
決戦の始まりと戦意の明示
メタルマジックドラゴンは、魔竜を超える存在として自らを宣言し、戦闘を開始しようとする。尚文たちは劣勢の中で戦術的な反撃を模索し、魔竜は自らの矜持を懸けて戦いに臨んだ。銛の眷属器持ちとその仲間たちは、尚文たちを敵と断じ、全面戦争へと突入した。
十話 怒りの重要性
魔竜の問いかけと怒りの本質
魔竜は尚文に対し、かつての怒りを否定することが正しいのかを問いかけた。魔竜は尚文の中にある怒りの感情こそが本質的であり、それを受け入れたうえで慈悲の力も共存させるべきだと主張した。尚文は怒りを否定しようとしていたが、ラフタリアの支えとアトラの記憶により、その感情の必要性を再認識させられた。魔竜はその上で、尚文の力を取り込みつつ、自らの変異を促進した。
新たな力の発現と共鳴する意志
魔竜は尚文の怒りと慈悲の盾を融合的に活用し、ラースミラーという新たな盾を出現させた。それにより尚文の力は増幅され、外見も鎧ごと変化した。その姿は怒りと温もりが混在しており、尚文の心中には守りたい存在たちへの想いと怒りが共鳴していた。魔竜はこの融合した力を盾の勇者に見せることで、「真の慈悲は怒りをも否定しないこと」であると示唆した。
眷属器剥奪の陰謀とその失敗
敵勢力は汚染された聖武器を使い、尚文たちの眷属器を奪おうとしたが、聖武器と眷属器の連携により未遂に終わった。武器は鏡や狩猟具の加護で保護され、機能停止には至らなかった。ヴィッチの策は不発に終わり、魔竜はその浅はかさを嘲笑した。
各勢力の戦闘布陣と駆け引き
尚文たちはセイン、ラフタリアと共にセインの姉やヴィッチらと対峙し、札を使う敵には絆、グラス、シルディナが連携して対応した。ヴィッチとセインの姉は口論を繰り広げるが、セインの姉は冷静に戦局を見据えて挑発しつつ作戦を展開した。セインは糸を活用した戦術で戦況を有利に導き、鏡と組み合わせることで更なる応用が可能であることが示された。
サディナとフィーロの連携と追撃
サディナとフィーロは尚文の加護を受けつつ、銛の眷属器持ちを翻弄した。サディナは自身の得意武器である銛の扱いで優位に立ち、フィーロの風の力を利用して敵を急襲した。その技術は、単純な力の差を凌駕するものであった。
魔竜の闇魔法と戦況支配
魔竜は黒い炎「新星黒陽炎」を放ち、メタルマジックドラゴンに甚大なダメージを与えた。炎は呪いを伴っており、治療を妨げる力を有していた。さらに魔竜は回復遅延の魔力場を展開し、敵側の回復能力を制限する戦術で圧倒し始めた。
戦闘支援と強化魔法の応酬
魔竜とメタルマジックドラゴンはそれぞれの配下に対して強化魔法を展開し、戦闘力を高めた。尚文は魔竜の援護魔法を鏡を通じて倍化し、仲間たちに有利な支援を行った。この強化は即興ながら高い効果を発揮し、戦況の主導権を握った。
激化する戦局と逆転の兆し
戦いは両陣営の魔法詠唱が重なるなど緊張感を増しつつ展開された。魔竜は尚文との連携でメタルマジックドラゴンに突撃し、フィーロとサディナも銛の眷属器持ちに奇襲をかけた。技と戦術において尚文たちは一歩先を行き、敵の虚を突いて反撃を開始した。
怒りと慈悲の調和による覚醒
尚文は自らの怒りと慈悲を否定することなく受け入れ、それを原動力として戦いに臨んだ。魔竜の導きと仲間たちの支えにより、尚文は新たな段階の力を手にし、戦いの中心へと立っていた。怒りと慈悲、両極の感情を抱きしめた先に、真の力と戦う意義を見出していたのである。
十一話 無効化対策
盾の勇者の成り上がり 十一話「無効化対策」
セインの姉との連携戦闘と隙の構築
尚文、ラフタリア、セインはセインの姉との交戦に集中しつつ、ヴィッチらの排除を狙い、戦況を誘導していた。ラフタリアの瞬撃は躱され、セインの糸も鎖で防がれたが、三者の連携で注意を引き、敵勢の隙を突く布石を打ち続けた。
グラスとシルディナによる連携と反撃
グラスとシルディナは札の聖武器を持った敵と戦い、連携で雷魔法や札攻撃を封じた。封波の剣や変幻無双流の技を駆使し、物理と魔法の波状攻撃を展開。敵は対応に追われ劣勢となり、グラスの比例攻撃とシルディナの再現魔法による戦術で優位に立った。
札の聖武器の異常と暴走の兆候
シルディナが魔竜の血を使った札で攻撃したことで、札の聖武器が異常な反応を見せた。メタルマジックドラゴンからの謎の力の移動もあり、聖武器が意思を持つかのように暴走の兆候を示した。グラスとシルディナはこれに驚きながらも隙を逃さず戦い続けた。
セインと姉の攻防と無効化魔法の阻止
セインは姉の魔法詠唱を妨害するべく猛攻を仕掛け、姉は解除魔法とメタルマジックドラゴンの魔法で戦況の転換を図ったが、尚文、ラフタリア、グラスの連携による対抗スキル「解除弾き」「魔道祓い」などで無効化魔法を弾き返し、戦況を維持した。
銛の眷属器持ちとサディナの鍔迫り合い
サディナは銛の扱いで敵を圧倒し、相手の攻撃を読み切って反撃し続けた。銛を突き刺す、技を模倣するなど卓越した技量で戦況を支配し、魔竜から授かった雷と炎による強化でさらに優位に立った。相手の怒りによる呪いのスキルも、魔竜とフィーロの連携により無効化された。
アクセサリー破壊を巡る攻防と妨害策の発覚
サディナは銛を奪うためアクセサリーを狙ったが、眷属器側はそれを封じる対策を施していた。尚文たちは破壊を試みるも失敗し、ヴィッチとセインの姉の開発した防護対策の存在が明らかとなった。
札の聖武器の制御不能と敵の混乱
札の聖武器を持った敵は、暴走し始めた武器に振り回されるようになり、攻撃も不安定になっていった。グラスとシルディナは波状攻撃で敵を追い詰め、札に縛られた敵の武器から異常な黒い力が現れるなど、制御不能の兆候が強まった。
戦況逆転の布石と空中戦への展開
尚文はフィーロに乗りラフタリアと共に上空の船に乗り込む準備を整え、ヴィッチらの拠点に接近。ヴィッチは強力なスキルで迎撃を狙ったが、その直前、予期せぬ裏切りにより致命傷を受けた。
ヴィッチの裏切りと急展開
女2二号が突如ヴィッチを背後から刺突し、ヴィッチは致命的な一撃を受けた。尚文たちも驚愕し、勝利が確定したかのような空気が広がった。因縁深いヴィッチの裏切りという予期せぬ展開が、戦局を大きく左右する出来事となった。
十二話 諜報員
ライノの裏切りとヴィッチへの襲撃
ヴィッチが信頼していた女二号、ライノにより突然の裏切りが発生した。ライノはヴィッチの背後から剣で貫き、そのまま空飛ぶ船から突き落とした。落下したヴィッチは重傷を負いながらも辛うじて命を繋ぎとめていた。ライノはなおも攻撃の手を緩めず、怒りと憎悪を込めて剣を振るい続けた。その執拗な暴力により、ヴィッチの意識は次第に朦朧としていった。
憎悪と制裁の連鎖
ライノは過去の復讐を口にし、鞭の七星武器をヴィッチから奪うと、その顔面や体を徹底的に鞭で打ち据えた。彼女は回復魔法を併用し、ヴィッチの生命を繋ぎとめたまま痛めつけ続けた。周囲はその激しさに驚愕しつつも、ヴィッチに向けられた強烈な憎悪の正体を察していった。やがて尚文はライノがスパイであることに確信を持ち、彼女に協力してヴィッチを嬲る援護を行った。
アクセサリーの細工と聖武器の暴走
ライノは敵のアクセサリーをすり替えていたことを告白し、それがきっかけで銛の眷属器と札の聖武器が暴走を始めた。札の聖武器は制御を失い、宿主を拘束したまま暴発した。絆がそれを狙撃し、札の聖武器は持ち主から離脱し光となって飛来した。その光はシルディナのもとへ集まり、彼女は聖武器によって召喚される形で出現した。
シルディナと札の聖武器の覚醒
シルディナは召喚された直後、札の聖武器を手に入れ、暴風札を使って旧所有者を吹き飛ばした。聖武器が彼女を選んだ理由は、過去に水竜の巫女としての役目を逃れ、世界を渡って自由を求めた存在であったからであった。聖武器の適合者として、彼女はその力を完全に引き出した。
銛の眷属器の奪取と対立の激化
サディナも銛の眷属器を手にし、元の所有者を退けた。一方で、魔竜がメタルマジックドラゴンを討ち取り、その中にあった黒い塊を眷属器へと戻そうとするが失敗に終わった。魔竜は尚文に忠誠を誓い、自らの意思を示した。
ヴィッチの魂の回収と妨害
ヴィッチの肉体は回収され、その魂も救出されかけていた。尚文とライノは魂の破壊を試みたが、間に合わずヴィッチの死体は船によって回収され、逃亡されてしまった。なおも怒りを燃やす尚文は、仲間たちと共に追撃の準備を整えた。
聖武器と眷属器の意志の選定
聖武器や眷属器の意思が新たな持ち主を選んだことにより、戦況は逆転しつつあった。札の聖武器に召喚されたシルディナはその力を操り、また銛の眷属器もサディナの手に渡った。これにより敵勢力は戦力を失い、混乱に陥った。
敵陣の崩壊と撤退
敵側は劣勢を悟り、撤退を開始したが、ヴィッチを乗せた船だけが仲間を置き去りにして逃走した。その行動に尚文は怒りを燃やしつつも、ヴィッチの魂の確保に集中する決意を固めた。仲間の協力を得ながら、尚文は反撃を開始した。
十三話 薄情者達の茶番
見捨てられた仲間たちの混乱と責任転嫁
元・銛の眷属器持ちと札の聖武器の元持ち主は、味方に見捨てられたことで動揺し、セインの姉に責任を押し付けた。しかし、セインの姉は計画に反対しながらも協力していた立場であり、責任転嫁には無理があった。敗因は協力者の裏切り、道具の破損、作戦の失敗など、複合的な要素によるものであった。
恩義と見捨てられる立場の相違
セインの姉は、見捨てられた仲間たちが上層部から重要視されていないと指摘し、彼らの死が報告すらされない可能性を示唆した。これにより、仲間たちは自身の立場がどれだけ軽視されていたかを痛感した。尚文もまた、過去の戦いにおける犠牲や怒りを思い出し、自身の盾がその感情に反応して力を増す様子を見せた。
魔竜による制裁と反応
戦況を見かねた魔竜が行動を起こし、元・銛の眷属器持ちらを瞬時に捕食し、魂ごと消滅させた。これに対して尚文は困惑し、味方たちも魔竜の過激な行動に対し話し合いの必要性を感じていた。
セインの姉の強さと浮遊鏡の対応
セインの姉はセインの使い魔を一瞬で粉砕し、尚文たちに単独で挑む姿勢を見せた。逃亡手段が封じられない状況に尚文は不安を募らせたが、ライノから渡されたアクセサリーにより、一部の魔法が使用可能となった。これを活かして反撃の準備を進めた。
武器強化方法の解明と対応
尚文はサディナとシルディナに武器の強化方法を確認させ、それぞれ魔法やスキルの熟練度、武器の希少度、ステータス向上といった手段で強化できることが判明した。特にシルディナが持つ札の聖武器には、複数の強化方法が内包されていた。
戦況への適応と強化の活用
各武器の強化方法が明らかになり、尚文は鏡の希少度を引き上げるなど、即応可能な手段を講じた。また、魔竜がメタルマジックドラゴンの記憶から聖武器の強化方法を抽出し、信頼と強化共有のシステムが存在することも判明した。
職業システムの発見とさらなる強化手段
魔竜の助言により、尚文たちは職業の選択が可能であることを認識し、戦士・僧侶などのクラス選択による成長システムが導入されていると把握した。これによりさらなる強化が可能となるが、即時の対応は難しかった。
未知の強化方法の存在と戦力差の分析
セインの姉の攻撃は、既存の強化方法に当てはまらないものであり、残された聖武器の一つ、鈍器にスキルレベル強化の可能性があると推測された。これにより尚文は敵の実力差を理解し、潜在能力の違いが力の差に直結していることを悟った。
戦闘再開と限界の見極め
セインの姉が攻撃を仕掛ける中、尚文は浮遊鏡とラースミラーを活用して防御を図ったが、相手の鎖は想像以上に強力で制御困難であった。セインの攻撃も通じず、彼女の力を見切った鎖によって吹き飛ばされた。尚文は仲間の支援を得ながら、魔竜の情報とライノの助力を活かして反撃の糸口を模索していた。
十四話 メギド・アイアンメイデン
総攻撃の開始と反撃による混乱
グラスとライノは強化されたスキルを駆使してセインの姉に攻撃を仕掛けたが、セインの姉は鎖を檻のように展開して防ぎ、逆に反射された魔力が尚文に襲いかかった。尚文はかろうじて魔力を逃がし致命傷を免れたものの、激しいダメージを受けた。
魔竜の支援とスキルの連携
魔竜は尚文に干渉し、回復魔法を完成させて治癒を補助した。セインの姉は自身の身体に鎖を巻き、くさりかたびらの装備で挑発しつつ防御を強化した。尚文は怒りと共にラースミラーの制限時間を意識し、短期決戦に切り替える方針を示した。
メギド・アイアンメイデンの発動
魔竜との連携により、尚文は鏡の檻と変異鏡でセインの姉を閉じ込め、最大級のコンビネーションスキル「メギド・アイアンメイデン・十」を発動した。鉄の乙女が出現し、黒炎を伴う極限の一撃でセインの姉を焼き尽くそうとしたが、完全には倒しきれなかった。
アクセサリー破壊と眷属器の解放
続けて絆が狩猟具で攻撃し、セインの姉が持つ鎖の眷属器のアクセサリーを破壊することに成功した。これにより眷属器は解放され、セインの姉の戦力は確実に低下した。
セインの姉の強襲と仲間たちの被害
セインの姉は怒りを露わにし、「ヒュドラ・10」のスキルで鎖を飛ばし、一同に甚大なダメージを与えた。尚文が仲間を庇って被弾し、仲間たちは辛うじて立ち上がったが、依然として戦力差は大きかった。
聖武器の意志と撤退の判断
セインの姉は眷属器の意志が必ずしも尚文側にあるわけではないことを指摘し、聖武器の性質に言及した。戦局が不利と判断した尚文は撤退を考えるが、同時にセインの姉も撤退を選んだ。セインの姉は想定外の展開と呪いによる負傷を理由に、深手を負いながらも余裕を装って退場した。
戦局の背景と敵の真意
セインの姉は戦いの背後に娯楽目的の存在を仄めかし、敵対勢力の本質が単なる力の実験であることを明かした。また、元銛の眷属器持ちの能力が縄張りにより数倍に強化される性質を持っていたことも語られ、戦力評価の再考が必要とされた。
ライノの正体と忠誠の誓い
戦後、ライノは女王の命で諜報活動をしていたことを明かし、ヴィッチへの復讐のためスパイとして活動していたと述べた。彼女はヴィッチから奪還した七星武器の鞭を献上し、尚文に忠誠を誓った。尚文もライノの有能さを評価し、正式に仲間として迎え入れた。
戦線離脱と次なる行動
絆やラフタリアらと短いやり取りを交わした後、尚文たちは次なる戦場であるラルクたちのもとへ急行することを決意し、戦場を後にした。
十五話 港町の攻防
ラルクの奮戦と晶人の異変
尚文たちが港町へ到着すると、ラルクが敵を蹴散らしており、戦況は収束に向かっていた。敵勢力は撤退命令を受けたようで、残っていたのは遅れて逃げ遅れた兵のみであった。一方、晶人たちはテリスに強い敬意を示し、祈りを捧げて敵味方の区別なく混乱を引き起こしていた。
各地の戦況と仲間たちの活躍
港町各地でも戦闘はほぼ終結し、ヨモギやツグミも敵の捕縛に成功していた。魔竜の力を受けた四天王たちも活躍し、魔竜自身も尚文の力を用いての変身中に彼らを強化していたと誇らしげに語っていた。また、図書兎や武術者の協力により、特定の区域では被害が極めて少なかった。
樹と鎧(マルド)の決着
樹は鎧と対峙し、戦闘の末に斧の七星武器を砕いて勝利を収めた。鎧は尚文たちに責任を転嫁しながら敗北を喚き続けたが、樹は冷静に論破した。さらに過去の報酬窃盗事件を問い詰め、拷問によって鎧が自白するまで追い詰めた。エスノバルトやリーシアの制止もあったが、樹はゼルトブル式の拷問技術で精神的な制裁を加え、最後には気絶させた。
ライノの正体と裏切りの告白
尚文の側に立つライノが鎧と因縁があることが明かされ、ヴィッチへの復讐のために諜報活動をしていたことを告白した。彼は戦果と共に七星武器の鞭を返還し、尚文に忠誠を誓った。尚文はその忠誠に応え、仲間として受け入れた。
戦後処理と次なる戦いへの布石
戦闘後、尚文たちは港町の被害状況を確認し合い、復興の手伝いに取りかかった。銛の眷属器持ちを討伐し、多くの成果を得たことから戦勝会が開催された。しかし尚文は、セインの姉の勢力がまだ残っている可能性を踏まえ、今後の戦いに向けた準備の重要性を再確認した。強化手段としての潜在能力向上の存在も周知され、仲間たちはさらなる鍛錬の必要性を痛感していた。
エピローグ 深夜の来訪者
戦勝会後の静かな時間
戦勝会が終了し、尚文は興奮から眠れず、翌日の食事の仕込みを行っていた。セインは尚文についてきたものの、食堂の隅で寝入っていた。激しい一日を過ごした反動で、尚文も限界に近かったが、魔竜の血を使ったプディングによって体力を保っていた。
セインの姉の突如の訪問
深夜、セインの姉が突然現れ、眠るセインに毛布を掛けながら尚文に接触してきた。彼女は修復された使い魔の監視をすり抜け、警備を無視して現れたことから、その異常性が際立っていた。尚文は警戒しながらも、彼女の来訪理由を探ろうとした。
セインが語らない理由とその背景
セインの姉は、セインが自身の過去を語らない理由は、自分のことを語った相手が皆死亡したという過去の因縁にあると明かした。また、尚文に対してセインが強く固執する理由について、命を賭けて守るほどの何かがあることをほのめかした。
セインが持つ特別な力と武器の秘密
セインが所持していた核のような物体は、滅んだ世界の聖武器の強化素材であり、他者に力を貸すことが可能な代物であった。その力により、尚文は過去に瀕死の状態から回復していたことが判明した。
敵勢力の正体と構成
セインの姉は、これまでの敵は三軍に過ぎず、技術部門の試作品を使った実験部隊であったことを語った。聖武器や眷属器が使用されていたにもかかわらず、本隊は全く別の世界で活動しており、こちらの世界は後回しにされようとしていることが明かされた。
次なる侵攻先の予告と尚文への警告
尚文の世界が次の侵攻対象であることが告げられた。これはヴィッチを殺した影響があり、聖武器を囮にして尚文たちをこの世界に留めておく計画であった。尚文が不在の間に元の世界が波に襲われれば、取り返しのつかない事態となることが指摘された。
敵内部の分裂と来訪の動機
セインの姉は敵勢力が一枚岩ではないと語り、戦いに歯ごたえを求める一派が尚文たちに情報を漏らしていると明かした。今回の来訪もその一環であり、次に尚文の世界で会うことを宣言して去っていった。
セインの覚醒と沈黙の理由
姉が姿を消した直後、セインが目覚めた。尚文が姉から聞いた「話した相手が死ぬジンクス」について問いただすと、セインは否定せず、それが原因で話を避けていたことが明らかとなった。
セインの決意と力の脅威
セインは、敵の強さが圧倒的であり、全ての聖武器と眷属器を強化し、大量のレベルを上げても勝てる保証がないことを述べた。そして、自分が尚文に固執する理由は「尚文だから」と一言で答え、それ以上は語らなかった。
騒動の余波と不穏な空気
その後、騒ぎを聞きつけたラフタリアたちが駆けつけ、城内は一時騒然となった。事態は一応の収束を見せたが、セインの姉が残した不穏な情報により、尚文たちの間には緊張感が漂っていた。
シリーズ
盾の勇者の成り上がり
小説版




















漫画版


























その他フィクション

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