小説【魔法科】「続・魔法科高校の劣等生 メイジアン・カンパニー 6巻」感想・ネタバレ

小説【魔法科】「続・魔法科高校の劣等生 メイジアン・カンパニー 6巻」感想・ネタバレ

どんな本?

続・魔法科高校の劣等生 メイジアン・カンパニー」は、佐島勤 氏によるライトノベルシリーズで、司波達也の新たな物語を描かれてる。
達也は一般社団法人『メイジアン・カンパニー』の専務理事に就任し、その組織の目的は、魔法適性はあるものの実用レベルに至らない存在、メイジアンの人権保護の実現。
達也は魔法師が兵器ではなく人間として生活できる新時代へ向け、大学生ながら、確実に歩みを進めている。
彼の影響力は世界中から注目され、魔法師の結社「FEHR」から刺客が送り込まれるなど、新たな騒動が起こる。

読んだ本のタイトル

続・魔法科高校の劣等生 メイジアン・カンパニー(6)
著者:佐島勤 氏
イラスト:石田可奈 氏

gifbanner?sid=3589474&pid=889222068 小説【魔法科】「続・魔法科高校の劣等生 メイジアン・カンパニー 6巻」感想・ネタバレ

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あらすじ・内容

開かれたシャンバラへの扉。達也は封印されし遺物へとたどり着く――!

 IPUのチューダクール湖で新たな遺物を見つけた達也たち。
 遺物を伝説の古代文明シャンバラへの『鍵』であると考える達也は、この白い石板と新たに見つけた青、黄色の石板の3つの『鍵』をヒントに、次なる目的地をIPU連邦魔法大学ウズベキスタン校舎に設定する。
 シャンバラの遺物、もしくはその手がかりを求めて魔法大学へ向かう達也たちだが、その背後に不穏な影が。
 遺物を狙う視線、そして達也たちへ幻覚魔法が襲いかかる。敵の正体は不明だが、激しい攻撃は確実にシャンバラへと近づいている証拠。
 そしてついに達也たちはシャンバラの遺物へとたどり着く――!

続・魔法科高校の劣等生 メイジアン・カンパニー(6)
電撃文庫チャンネル

前巻からのあらすじ

高度魔法文明都市・シャンバラを探索するために達也は光宣に古代のシャンバラへのコンパスと思われる聖遺物を預けて探査をしてもらったら。
ウズベキスタンのブハラを指しているようだと判る。

更なる確証を得るためにチベットのラサに行くのだが、、
その先で光宣は襲われてしまう。

それでも情報を持ち帰り、中央アジアにシャンバラがあるのではと判断した達也はシャンバラを探すために、メイジアン・ソサエティとFEHRの提携書署名式を隠れ蓑にしてインド・ペルシア連邦へと向かう。

USNAでもFEHRにスターズの隊員が入り。
達也と似たような意図で潜入をするが、、

その先でスターズの隊員がやらかしてしまい、大亜連合の魔法師と魔法戦が起こってしまう。

その時、日本では逃亡中のローラ・シモンが発見される。

それに対応するのが、真由美と遼介。
ローラ・シモンと対峙した2人の前に第三者がいた。
ルゥ・ドンビン。

彼等を相手に真由美と遼介は善戦したが、2人に逃亡されてしまいう。
真由美は無傷だったが、遼介はドンビンに刺されて重傷。

しかも、遼介の防御膜を破っての怪我だったので達也はかなり警戒していた。

そのせいで、達也はインド・ペルシャ連邦から高千穂を経由して日本に緊急帰国してドンビンを倒しに向かう。

それがドンビンの、大亜連合の狙いだったとは、、

感想

シャンバラを求めてレリックを集める達也達。
ウズベキスタンのチューダクール湖で鍵を回収する。
そしてブラハ、チョル・バルクでも鍵を回収。
そして最後の鍵を探しにIPU連邦魔法大学に訪問したら、、
遺跡の守人と名乗る人達が現れた。
そして、彼等は達也の持つ遺物は月、日、空の鍵だと終えてくれた。

そして、彼等はこの大学の地下に遺跡が眠っているが月、日、空の鍵が揃って無かったので発掘出来なかったらしい。

そして、鍵が示す場所を掘削するために達也が魔法で床を分解して沈んで行く姿を見て達也を「シヴァの幻力」と言う。

そうして石壁を見つけ月、日、空の鍵をはめると。
入り口が開く。
達也が中を確認したら祭壇があり杖が安置されていた。

そして、杖を使ってパネルに触れると知識が流れ込んで来た。
シャンバラの遺産はパネルの知識だった。
量は図書館12棟分。
その知識を全て達也が受け取った。
そして、シャンバラの遺産の重要キーアイテムの杖を日本に持って帰った。

こうしてシャンバラの遺跡は達也の手に入ったのだが、、
そして、日本に帰国した達也は溜まった仕事を片付けて仕事が終わった頃に光宣達を呼ぶと、シャンバラはアレだけでは無かった。
シャンバラは氷河期を回避するシェルターで世界に複数あると達也は言う。
そして達也は新しい魔法を発見したとも言う。

そして、新しい魔法を使用する魔法のモジュールがデーモンと呼ばれている魔法を使えるように人に取り憑く存在らしい。

そして、達也はラサのポタラミアの遺跡に行き。
シャンバラの更なる情報を取得すると宣言。
お供に光宣を指名した。

ラサ潜入に達也はカノープスにUSNAの最新の偵察機と、潜入用の試作機で潜入する段取りを始める。

彼等が忙しく飛び回っている時に、前の巻で大亜連合の工作員の攻撃を受けて入院していた遠上がアメリカに帰還しようと動き出し。

アメリカでFAIRが暴れた時に重要人物を護衛させるのに良いかもしれないと達也は遠上をそのまま見逃した。

同じ頃に十六夜家に匿われていたローラ・シモンも大亜連合の八仙の手引きでアメリカに帰還。

またアメリカがキナ臭くなって来る。

そしてラサに潜入した達也達は、ラサのシャンバラがあるポタラミアに潜入するのだが、出迎えをする老僧がいた。
彼もシャンバラの守人らしく、達也達を記録されている場所へ案内する。

そして、達也と光宣はシャンバラに保存されている魔法の目録を全て記録し。

達也達はラサから脱出する時に、IPU連邦を炙り出すために大亜連合の兵士達が部隊を展開しせていた。
その中に前回、光宣がラサに潜入した時に苦戦させられた八仙の1人がいたので、リベンジを兼ねて殺害してから。
USNAの試作機で帰還して、USNAの艦船に回収してもらい達也の自家用ジェットで日本へ帰還する。

そうしてシャンバラの情報を日本に持ち帰る。
中はにパラサイトを人間に戻す魔法もあり、光宣はその魔法を1番最初に取りに行きたかったが、、

理性ではそれ以上に世界に影響の大きい魔法があるので其方を優先しないといけない。

達也達は再度、シャスタ山へ赴く。

最後までお読み頂きありがとうございます

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備忘録

1

北アメリカ西部のシャスタ山から発掘された八角形の小石板『コンパス』に導かれて、達也たちは中央アジアウズベキスタンのチューダクール湖に辿り着いた。そこで彼らが見つけたのは、シャンバラに関係すると思われる白い石の円盤であった。

この円盤には一面に八葉の蓮が凹み彫りで、もう一面には大円に囲まれた三つの小円が浮き彫りで刻まれており、そのデザインはレーリヒ条約のシンボルマーク『平和のバナー』と同じであった。

達也はこの円盤が二十世紀の製作物ではなく、シャンバラの遺物であると考えた。

その根拠の一つとして、円盤を『コンパス』と重ね、想子を注ぐと特定の方向に動き出す現象があった。

この現象を目の前で見せられた深雪とリーナも、この円盤に刻まれているデザインが古代から伝わるシンボルであると認めざるを得なかった。

達也、深雪、リーナ、花菱兵庫の四人は、白い石の円盤「鍵」と八角形の小石板「コンパス」に導かれ、ブハラ市街地西部のイスマーイール・サーマーニー廟に訪れた。

観光客で賑わう中、彼らは「鍵」と「コンパス」の反応を探っていたが、多くの観光客が発する想子のせいで魔法的な探知が難航していた。

その中で、「鍵」から弱い反応があり、彼らはそれに従って地域を歩き回ることにした。

突然、達也たちは幻術によって白い砂漠の幻影を見せられ、そこに現れた白い鷹が緑地の方向に誘導した。

彼らがその場所に到着すると、幻影は消え、達也は地下に何かあることを感じ取ったが、その場での発掘は目立ちすぎると判断し、後にすることに決めた。

この一連の出来事から、達也たちはシャンバラを探している者たちか、あるいは探索を妨害しようとする者たちの存在を感じ取った。

結界が施されていた緑地は、人を遠ざける力があり、夜に再び訪れることにした。

リーナは幻術を仕掛けてきた者たちをそのままにしておくことに不安を感じ、達也に問い掛けたが、達也は現時点で彼らに対処するよりも、情報収集を優先する判断を下した。

達也たちがその場を去ると、リーナは未練がましくその場所を振り返りつつ彼らの後を追った。

達也たち四人は、夜になり観光客がいなくなった遺跡を目指した。この時期、国境地帯では軍事的緊張が高まっており、兵士の巡回もあり、特に軍事的な重要性が無い遺跡にも警戒が強化されていたが、彼らは巡回の空白を狙って訪れた。達也と深雪は遺跡に向かい、リーナと兵庫は車で待機することになった。

深雪は周囲一帯を覆う意識誘導魔法を発動し、達也が目立たずに掘り出し作業を行うための「目隠し」を作り出した。達也はその「目隠し」の下、地下深くに埋まっている物を掘り出した。彼が見つけたのは、青い石の円盤であり、『鍵』と呼ばれているものと同じ大きさと形をしていたが、色が異なっていた。

翌日、彼らは再び、今度は黄色の『鍵』を手に入れるために、ブハラの西郊外、チョル・バクルに向かった。そこでも白い砂漠の幻影と白い鷹に導かれ、達也は黄色の『鍵』を発掘した。

ホテルに戻った彼らは、集めた三つの『鍵』と『コンパス』が全く動かなくなったことに困惑した。しかし、達也はこれが最終目的ではなく、次のステージがあるはずだと考え、一晩考える時間を求めた。

深雪とリーナは、達也の判断に従うことを表明し、翌日の行動方針を達也に委ねた。

翌朝、達也は深雪とリーナを自分の部屋に呼び、ルームサービスで朝食を済ませた後、ブハラの地図を映し出して、これまでに発掘した三つの『鍵』(白、青、黄色)について議論した。

達也は、青と黄色の『鍵』が保管用に作られた場所に置かれていたのに対し、白の『鍵』がただ土中に突っ込まれていたという事実に注目し、これが重要な手がかりであると考えた。

達也は三つの『鍵』を地図上で正三角形を形成するよう配置し、カーラチャクラ・タントラに基づく配置との違いから、本来白の『鍵』があるべき場所を推理し、その地点を指摘した。

それはウズベキスタンの郊外北西にある地点で、IPU連邦魔法大学ウズベキスタン校舎の場所と一致した。
この結論に、深雪とリーナは驚きを隠せなかった。

2

八月十八日、水曜日の夜、達也たちはブハラの郊外北西にあるIPU連邦魔法大学ウズベキスタン校舎に来ていた。

この大学は、インド・ペルシア連邦が新ソ連や大亜連合に対抗するために設立した、魔法師育成を目的とした単科大学であり、連邦政府に最も多くの魔法師を供給している。

達也たちの目的は大学構内に忍び込み、シャンバラの遺跡か、その手掛かりを入手することだったが、確証はなく、推理に基づく行動だった。

日本での藤林からの電話を受けて、日本に帰国する必要性を感じ、急いで潜入を決行することにした。
兵庫には安全を最優先して行動するよう伝えた後、達也、深雪、リーナは大学に向かった。

達也たち三人は、IPU連邦魔法大学ウズベキスタン校舎への潜入に成功した。

校内に設置された魔法警備装置を容易くクリアし、達也が三つの『鍵』を取り出した瞬間、彼らは監視されていることを感じ取った。

三人は、この場所がシャンバラの遺物や遺跡と何らかの関係があると推測し、遺跡の反応を示す『鍵』を頼りに校舎内を探索していたが、監視者たちによる強力な幻術に遭遇した。

戦闘の興奮は無く、静かな夜が続く中、達也は敵意を感じなくなるまでの戦いを展開し、最終的には幻術を制することに成功した。
その後、彼らは何も見えない状態から戻り、倉庫を目指して再び歩き始めた。

達也一行は、夜間にIPU連邦魔法大学ウズベキスタン校舎内の倉庫へ潜入し、そこで「遺産の守人」と名乗る八人の男性と出会った。

これらの守人は、シャンバラの秘宝を守っていると自己紹介し、達也たちの目的をシャンバラに関連する遺産を探すことと理解していた。

遺産の守人たちは、白い「月の鍵」を含む三つの鍵の存在を知っており、これらが失われた「月の鍵」を必要とする特定の宝物庫にアクセスするために必要であることを語った。

達也が持っていた鍵は、長らく行方不明だった「月の鍵」を含むことが確認され、これらが合わせて宝物庫を開くための鍵であることが明らかになった。

遺産の守人たちは達也たちが受けた幻術の試練を通過したことを認め、彼らに遺産への道を示す準備ができたと述べた。

達也は、地中にあるとされる宝物庫の正確な位置を「鍵」と「コンパス」を用いて特定し、それを探索するために地下へ潜ることに決めた。

遺産の守人たちは達也の決定に同意し、達也一行は宝物庫を探し出すための準備に取り掛かった。

達也は、IPU連邦魔法大学ウズベキスタン校舎内の倉庫に潜入し、地中深くにあると推測される遺跡へと繋がる坑を掘り進めた。

この行為により、守人たちは達也の魔法技術に驚愕し、彼がシヴァの幻力を持つ者であると感嘆した。 

達也が坑から戻ってきた際、リーナと深雪は彼に遺跡の発見について尋ね、達也は石室を見つけたことを報告した。

達也はその後、石室の入口を開くための三つの「鍵」を用いて壁に埋め込まれた仕掛けを解除し、入り口を開いた。

達也が石室の中へ入って安全を確認した後、リーナと深雪も彼に続いて中に入った。

達也は石室の外側だけでなく内側からも「鍵」で扉を開けることができる仕組みであることを確認し、万が一閉じ込められた場合でも外へ出られることを伝え、三人は遺跡の探索を続けることにした。

石室に入った直後、達也は扉が閉まる仕組みについて説明し忘れていたことを思い出す。

扉が閉まる音に驚いたリーナが反応し、扉を開けようとするが、達也に止められる。
達也は深雪に灯りを作るよう頼み、石室内を照らす。

彼は石室の扉が自動で閉まる仕様であることを説明し、リーナを落ち着かせる。

その後、彼らは石室の奥にある祭壇を発見する。
祭壇には水晶製と思われる杯と、真鍮に似た杖が置かれていた。

達也は特定の手順で杖を祭壇から取り出し、石室の壁にある石板の凹みに杖の宝珠を合わせる。

これにより、壁に嵌め込まれた石板から膨大な情報が流れ出し、深雪とリーナは数百人が同時に話しているような声に囲まれる。

石室に入った直後、達也が扉が閉まる仕組みについて説明する。
しかし、扉が閉まると深雪とリーナは暗闇と騒音に囲まれ、精神的防御魔法を発動させる。

達也は石板に接触している間、トランス状態にあったことがわかり、リーナと深雪は彼の安否を心配する。
達也は数分後に正気に戻り、シャンバラの遺産が知識であることを明かす。

遺産には危険な魔法も含まれており、全ての石板を確認する必要があると述べる。
しかし、遺産の確認は達也一人で行うべきであり、他の二人は参加しない方が良いと主張する。

深雪とリーナは達也の決定に懸念を示すが、彼は自分の精神の強さを信じている。
遺産の確認作業は時間がかかるものの、達也はそれを一夜で終えるつもりでいる。

日付が変わり、深雪とリーナは連邦魔法大学の正門から再び入構し、達也と合流した。
達也は疲れは見せていたが、身体的、精神的な異常はないと二人を安心させた。

達也は遺跡から持ち帰った杖を示し、それが『遺産の守人』から正統な相続人として認められたものであることを明かす。
この杖は、現代の魔法師にとって価値ある「シャンバラの遺産」である可能性があると示唆される。

その後、達也はチャンドラセカールとブハラ国際空港で会い、シャンバラの遺跡と呼べるものは見つからなかったが、発掘調査の成果として二枚の石板を彼女に渡す。
チャンドラセカールはこれを貴重な研究資料として受け取る。

達也一行は自家用ジェット機で帰国の途につく。
税関検査では、最新の検査装置にも引っかからなかった杖は深雪のスーツケースに隠されていたが、問題なく通過する。

この杖は可視光線を除くいかなる電磁波にも反応しない特性を持っており、その材質は未知の素材とされる。

達也はリーナと深雪の質問に答えつつ、仮眠を取るよう促される。

3

達也たちはマッハ七の速さで日本に到着し、翌朝から活動を再開する。 
達也は大量の決裁文書に追われ、昼食時にシャンバラの遺跡について話したいと深雪に依頼する。

その後、光宣と水波も巳焼島に呼ばれ、シャンバラの遺産に関する話が進められる。

達也は、シャンバラは「幸福の源に抱かれた」という意味があるとし、世界各地に存在する一種のシェルターであったと説明する。

ブハラで得た知識によると、これらのシェルターは約三万五千年前から一万五千年前の間に建設され、氷河期の寒冷から逃れるためのものだった。

シャンバラの遺跡からは、未知の魔法も発見され、これをインストールする技術について達也は詳しく述べる。

この技術を使用して、魔法師の精神に魔法をインストールすることが可能であり、これがシャンバラ文明の技術の一つであることが明かされる。

達也は、ブハラの遺跡から持ち帰った杖を通して、シャンバラ文明のデーモンを呼び出し、魔法師に寄生させる機能があると説明する。

これにより、未知の魔法を伝授するシステムが確立されていたことが分かる。

しかし、達也は、現代においても、危険な魔法を保管した別の遺跡が存在する可能性を指摘し、その対策が必要であると強調する。

ラサのポタラ宮の地下にはそのような遺跡への「案内所」が存在するとされ、達也はそこを調査する計画を立てる。

彼はこの任務に光宣の同行を望み、水波にはサポートを依頼する。
達也の提案に、光宣と水波は賛同し、深雪とリーナも反対できずにいる。

4

達也たちがチベット潜入について相談している間、入院中の遼介はアメリカ帰国の準備を進めていた。
彼は以前、USNAでの不法滞在の危機を回避し、F.E.H.Rの活動に専念するために契約結婚を計画していた。

このことは彼にとって、家族に対する罪悪感とも結びついていた。
一方、達也には緊急の通信が入り、遼介のアメリカへの渡米支援を決定する。

達也は遼介の戦力をアメリカでFAIRに対抗するために利用しようと考えており、チベット潜入計画の続行と遼介の支援を両立させる方針を示した。

チベット潜入に関して、達也はカノープス大佐に協力を求めることを計画し、最新鋭の極超音速・高高度戦略偵察機「スプライト」からグライダーボードを使っての降下を提案する。

達也は脱出方法として、軍用機の乗っ取りや、ポタラ宮の地下に伝わる秘密の通路の可能性を考慮していたが、最終手段として高千穂の使用も示唆している。

カリフォルニア州警察に指名手配されたFAIRの首領ロッキー・ディーンは、リッチモンド市の隠れ家に潜伏していた。

洪門の幹部であり、ディーンの古い知り合いである朱元允が訪れ、ディーンの状況を気遣った。

ディーンは洪門の支援を受けてFAIRの実権を握り、顧傑からの独立を果たしていた。

一方で、達也はチベット潜入のための計画を進めており、スターズの総司令官ベンジャミン・カノープス大佐と連絡を取っていた。

達也はスプライトからの降下潜入を提案し、カノープスは新兵器「ステルスダイバー」の使用を条件に応じた。

達也はステルスダイバーの実物を確認するため、3日後に嘉手納基地を訪れることになったが、この交渉に勝った実感はなかった。

5

日本と大亜連合との間では、水面下で緊張状態が続いているが、表面上は平和的な経済交流が行われている。この状況下で、大亜連合の女性が日本に到着した。

一方、カリフォルニア州リッチモンド市に潜伏中のFAIRの首領ロッキー・ディーンの元に、洪門の幹部朱元允の使用人が訪れ、大亜連合がFAIRのサブリーダー、ローラ・シモンの日本派遣を決めたことを伝える。

その後、ディーンは女性使者と寝室へ向かう。

日本の魔法師社会において、十師族に次ぐ力を持つ百家の中で、特に古式魔法を看板に掲げる十六夜家が最強とされている。

その十六夜家の当主の弟、十六夜調の屋敷にはローラ・シモンが囚われており、彼女は市販のタロットカードを使い占いを行い、幻視を通じて八仙の女の顔を覚える。

その他、達也は自家用ジェットで那覇空港に到着し、監視を簡単に振り切る。

光宣(変身した青年)と共に、米軍の新兵器「ステルスダイバー」の実物を確認するため、嘉手納基地に向かう。

基地ではステルスダイバーの操縦系や飛行魔法システムの検証を行い、その性能に合格点を出す。

嘉手納基地を訪れていた達也たちの頃、旧埼玉県にある十六夜調の屋敷で、ローラ・シモンが部屋の封印を破って脱出した。

調は冷静に、ローラの逃走を予期していたようで、式鬼が彼女を捕捉していると説明し、捜索の必要がないと断言する。彼はローラを使って間者を捕らえることを計画していた。

一方、ローラは警察車両を利用して東へ逃走し、十六夜調の屋敷からの脱出に成功したが、消耗した力は回復しておらず、彼女は自分の影に潜む式鬼に気付いていなかった。

八仙の一人である何仙姑は、日本の首都圏に潜伏しており、ローラを米国に帰国させる任務を担っていた。
何仙姑はローラが十六夜調の屋敷から脱出することを予想し、彼女の脱出後に接触を計画していた。

何仙姑はローラの居場所を探るために式鬼を使っており、ローラが何仙姑の罠に気付かないことを期待していた。
ローラは警察官を魅了して逃亡を続け、最終的に何仙姑に出会い、二人はローラの帰国のために行動を開始した。

ローラ・シモンを追う十六夜調は、彼女の偽造パスポートに仕込んでいた式鬼が壊されたことを感知する。
調は、自身が仕掛けた追跡用の魔法をローラが発見することを予想しており、本命の式鬼は健在であると自負していた。

彼は、中古の一軒家に隠れていると思われるローラを包囲し、式鬼を利用して屋内を偵察するが、家の中には誰もおらず、ローラの気配も間者の気配も感じられなかった。
調は追捕之符を使い、式鬼を放って『開門』を探し始めるが、[八門遁甲]による罠に嵌まり、家から出られなくなる。

一方、ローラは何仙姑と共にロボットタクシーで空港に向かい、日本からの脱出を試みていた。
何仙姑は、追跡者が彼女の仕掛けた罠に引っ掛かったことを知り、ローラにその旨を伝える。

何仙姑は、日本の魔法師が陣術に不慣れであり、彼らの使役する鬼の支配権を奪うか命令を書き換えたと語る。

この策略により、十六夜調はローラを追跡することができず、ローラは何仙姑の助けを借りて日本を脱出することに成功する。

6

遼介は、ある夜、病院からの脱走を試みるが、偶然現れた藤林大門に止められる。
大門は遼介のアメリカ行きを手伝うと申し出、遼介はその提案を受け入れる。

翌日、大門の手配で遼介は病院から退院し、メイジアン・カンパニーからの退職手続きをオンラインで行い、伊豆の社宅から必要な荷物を回収して出発準備をする。

その過程で偶然にも真由美と遭遇し、自身の決意と今後の行動について打ち明ける。
遼介はアメリカへの移住を決意し、真由美には自身の決断を尊重してもらうように頼む。

真由美は遼介の決意を受け入れ、彼の家族には何も伝えないことを約束する。
遼介はメイジアン・カンパニーと日本から姿を消し、新たな生活を始める決意を固める。

沖縄の嘉手納基地では、達也と光宣が乗る最新鋭の極超音速・高高度戦略偵察機スプライトが離陸準備をしていた。
ステルスダイバー、降下潜入作戦用の特殊機体がウェポンベイに積み込まれ、達也と光宣はそれに乗り込んでいる。

スプライトは速度と上昇性能を追求した機体で、武装はミサイル迎撃用の対空レーザーのみである。
達也たちは、この機体を使ってチベットへの潜入任務を実行に移していた。

時差の関係で、チベット上空に到着したのはスプライトが嘉手納基地を飛び立ってから時計を逆算すると約11時間前、午後8時前であった。
スプライトはヒマラヤ山脈の東端上空でステルスダイバーを投下し、任務が開始された。

7

ラサの郊外で達也と光宣はステルスダイバーで無事着陸し、市街地に向かった。
大亜連合がチベットを統治しており、その夜、市街は異常な静けさに包まれていた。

これは大亜連合による夜間の外出禁止措置であり、実際には魔法師同士の戦闘が秘密裏に行われていた。
達也と光宣はこの戦闘に気付き、介入を決意した。

この戦闘では八仙の一人、韓湘子が敵の魔法師に向けて「熱風」の魔法を使い、敵を火傷させていたが、達也と光宣には効果がなかった。

達也は八仙の情報を持っており、光宣も戦闘への参加を望んでいた。二人はこの魔法戦に介入することを選んだ。

IPUは、チベット解放の準備として精鋭部隊を含む戦闘魔法師を派遣し、その中の一人であるミザールは大亜連合軍と遭遇し戦闘になった。

韓湘子の参加で状況が悪化したが、ミザールは戦いながら撤退を試みた。突如追撃が止まり、ミザールはこれを新たな敵の介入と疑った。
彼は「乾き切った熱風」の幻術を使い大亜連合軍にダメージを与え、撤退を図るが、韓湘子の集中攻撃に苦戦する。

その時、達也と光宣が介入し、光宣の発動した大規模領域魔法「迷霧」で大亜連合軍を無力化した。
ミザールはこの機を逃さず、シンプルな電撃魔法で敵部隊を全滅させ、正体不明の助力者に感謝の意を示して場を離れた。

達也と光宣は大亜連合軍の注意が他に向いている隙を突き、ラサのポタラ宮への侵入を果たした。
ポタラ宮の地下には、チベット仏教の高僧が待っており、達也たちの訪問を予測していたようだ。

この高僧は瞑想を通じて、ブハラの守人から達也たちの訪問に関する伝言を受け取ったと語る。
高僧からは、達也が「シヴァの幻力」を持つ者であると告げられ、彼らはシャンバラの遺跡へ導かれる。

遺跡内には何もない石室と、その中央に立つ鉄製の八角錐があり、その底に下りる階段があった。
達也はブハラの遺跡から持ち出した杖を使い、石室の壁を動かし、広い空洞へと入った。

彼らは八角錐の底へと下り、中央の鉄製の柱に接触し、その中に保存されている記録を読み取る作業を始めることになった。

8

ラサのポタラ宮地下深くにあるシャンバラの遺跡「塔」で、達也と光宣は「柱」に保存された記録を読み取り、シャンバラの遺産に関する情報を得た。

その中には、人間をパラサイトに変える魔法やパラサイトを元に戻す魔法が含まれていたが、最も注意すべきは大量破壊のための魔法だった。
これらの発見に深刻な影響を受けつつも、光宣と達也は遺跡を後にし、ポタラ宮の管理人に感謝を伝えて立ち去った。

一方、ラサの外では、サプタ・リシの一員であるメグレズが率いる傭兵部隊が大亜連合軍に追われていた。
メグレズは、チベットの完全独立を目指すチベット人とグルカ兵の混成集団を指揮している。

彼らは大亜連合軍の捜索網を避けつつ移動していたが、その過程で大亜連合軍が何者かに襲撃される様子を目撃する。
この襲撃者が誰であるかは不明だが、メグレズはその場に留まり、状況を見極める決意を固めた。

光宣は疑似瞬間移動を使い、大亜連合部隊に電撃魔法を放ち、兵士たちを行動不能にした。
これは心理的な効果も狙った作戦であり、その結果、部隊はパニックに陥った。

その後、光宣は八仙の一人、鍾離権を誘い出すため再び魔法を使用した。
鍾離権との戦いでは、光宣は偽神魔法[黄泉八雷神]を使用し、電撃の蛇を鍾離権に襲わせた。

この攻撃で鍾離権は重傷を負い、最終的には光宣の魔法によって命を落とした。達也はその場に現れ、二人はその場を立ち去ることにした。
この一連の出来事は、光宣が経験豊富な魔法師であること、そして彼らが八仙との戦いで手段を選ばないことを示している。

メグレズと彼女の部下は、黒焦げになった鍾離権の死体を目の当たりにし、恐怖を感じていた。
そこへ、影のような存在感の魔法師とその隣に突如現れた魔法師が現れ、二人はメグレズたちの方向へ歩き出した。

メグレズは恐れを感じつつも、感謝の意を表し、彼らの名前を尋ねると、彼らはそれぞれ「ブラック」と「ブライト」と名乗った。
この出来事はメグレズにとって忘れられない経験となった。

一方、達也と光宣は、USNA連邦海軍原子力潜水空母『バージニア』でのミッションを終え、極超音速のプライベートジェット『雷閃』で帰路についた。

彼らは艦長のマイケル・カーティス大佐から歓迎され、達也はチベットでの体験を将来共有する意向を示した。
船員たちは達也たちの出発を敬礼で見送った。

達也は左胸に右手を当てて答礼し、仮称『雷閃』に乗り込んだ。
光宣も達也の真似をしたが、彼程には様になっていなかった。

9

達也と光宣が日本に帰還したのは8月27日金曜日のことで、深雪とリーナが出迎えに来ていた。

帰還後、彼らは少し休息を取り、遅い朝食をとる中で、リーナが光宣にいたずらを仕掛ける場面があった。

また、達也はラサの遺跡探索で得た情報を、深雪、水波、兵庫、リーナに説明する時間を設けた。

その中で、特に危険とされる大量破壊魔法「天罰業火」の封印と、パラサイトに関わる魔法の存在が重要な話題となった。

パラサイトを人間に戻す魔法の存在には特に関心が集まり、これが彼らの次の目標となることが示された。

そして、「天罰業火」を封印するための遺物が保管されている場所がシャスタ山であることが明かされた。

横浜ベイヒルズタワーに位置する日本魔法協会関東支部近くのホテルのレストランで、七草真由美は十文字克人と夕食を共にしていた。

克人は十師族の一員として魔法協会との会合に参加しており、真由美はその日のディナーに克人を招待していた。

会話の中で、真由美は克人に遠上遼介がメイジアン・カンパニーを辞め、アメリカに戻ってレナ・フェールのために働きたいと決意したことを伝えた。

この情報は克人にとって新しく、遼介が FEHRの一員だったことや、メイジアン・ソサエティが FEHRと提携したことなど、世界魔法界の最新情報について話し合った。

真由美は、遠上遼介に好意を持っているかのような発言をし、それに克人が反応したが、真由美は遼介とは何もないと否定した。

克人は、遼介が外国人のためのスパイであったにも関わらず、メイジアン・カンパニーに害を与える意図がなかったことを受け入れ、真由美の説明を理解した。
レストランでの会話は、遼介がアメリカに渡るという話題で締めくくられた。

カリフォルニア州リッチモンド市にある一軒家に、ローラ・シモンと何仙姑が訪れた。
ローラは玄関で跪き、 FAIRの首領であるロッキー・ディーンに対し、無事帰参したことを報告した。

彼女たちの入国は何仙姑の変身術により税関を通過したが、ビザやパスポートの記録は誤魔化せなかったため、東南アジア経由で慎重に行われた。
ディーンはローラの帰還に安堵と喜びを隠せなかった。

一方、バンクーバーの FEHR本部では、遼介がレナ・フェールと思わぬ再会を果たした。

遼介はメイジアン・ソサエティとの提携により日本での任務を完了したとして、再びレナの下で仕えることを願い出た。

レナは遼介を仲間として迎え入れ、一緒に頑張ることを提案した。

日本では、達也が兵庫と共にアメリカ西海岸への渡米計画を進めていた。

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こも

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