小説【魔法科】「魔法科高校の劣等生 3巻 九校戦編〈上〉」感想・ネタバレ

小説【魔法科】「魔法科高校の劣等生 3巻 九校戦編〈上〉」感想・ネタバレ

どんなラノベ?

「小説家になろう」にて公開されていたWEB作品が名編集者・三木一馬 氏から見出されての商業デビュー。
キッカケは入学編〈上〉のあとがきにも書いてあった、第16回電撃小説大賞に応募した「ドウルマスターズ」だったらしい。

偶然に偶然が重なっての商業化デビュー。
詳細は「面白ければなんでもあり 発行累計6000万部――とある編集の仕事目録」著者:三木一馬 氏にて書いてある。

そのWEB版から知ってはいたが、いつでも読めると思い横浜編までしか読んでおらず、商業化に伴いWEB版が消されてしまい続きを読むのに数年待つ事になってしまった。
さらにラノベは電子書籍でしか読まない(家屋的事情)ので紙媒体のみの発売を悔やんだ覚えもある。

あれから10年経ったのか・・・

読んだ本のタイトル

魔法科高校の劣等生 九校戦編〈上〉
著者:佐島勤 氏
イラスト:石田可奈 氏

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あらすじ・内容

達也が調整したCADを手に、第一高校生徒による圧勝劇の幕が開く――!

『九校戦』。そこでは毎年、全国から魔法科高校生たちが集い、熾烈な魔法勝負を繰り広げていた。
 七月中旬。第一高校でも、将来の魔法師候補たちによる優れた選手団が組織されていた。遠征メンバーには、新人戦に参加する司波深雪と、その兄・達也の姿もあった。
 競技に向け決意を新たにする深雪だが、一方で達也の表情は晴れず……。
『九校戦』で勝利を掴むためには、選手の運動能力の他に、もう一つ重要なファクターがある。それは、選手たちが持つCAD《術式補助演算機》の調整。
 ――魔法の苦手な司波達也が、魔法の代わりに得意とする分野。達也によって調整されたCADを手に、第一高校生徒による華麗なる圧勝劇、その幕が開く。

魔法科高校の劣等生(3) 九校戦編<上>

前巻からのあらすじ

ブラコンな妹、シスコンな兄。

一科生の深雪は生徒会に入り順調にエリート街道を進み。

二科生の達也は異例的に風紀委員となり、様々な武勇伝を創り一科生にも一目置かれるようになる。

そんな彼に二科生の剣道小町が接近し、彼を一科生と二科生の不平等な立場の是正に協力して欲しいと勧誘して来た。

それを一考の余地なく断る達也。

そして、不平等を謳う連中との討論会が行われたが、テロリストのブランシュが襲撃して来て、ブランシュが妹の害になると知るや十文字、桐原、レオ、エリカ、達也、深雪が組織を潰しにアジトに突入して壊滅させてしまう。

感想

学校内でのゴタゴタがひと段落したら、今度は全国に9つある魔法科高校との戦が始まった。

最初は他人事のように見ていた達也だったが、、

CADの調整をする人員が少なく困っていた時に、風紀委員でCAD調節で辣腕を奮っている達也に白羽の矢がたった。

彼のCAD調整の腕を見込まれて、真由美と摩利に強引に参加させられる。

そこで1科生、2科生の弊害が勃発するも達也が実力で1科生を黙らすのだが、、
達也がやり方が常識外れで、彼の実力がわかる人間が少なかった。

そのせいか、達也が担当するのは妹の深雪の関係で1年生の女子ばかりになってしまう。
これが男子の成績不振に繋がるとは知らずに。。

それで2科生で初めて九校戦代表に選ばれる快挙をニ科生達が祝福する。
ついでにブラコンの妹も上機嫌。

そして、裏ではマフィアが九校戦をネタにトトカルチョをしており。
賭けを面白くするために、絶対優位の第一高校を事故を装って出場出来なくしてしまおうと暗躍し成功直前まで行くが、、

達也が雲散霧消を使い、混乱していた力場を空白状態にし、そこに深雪が介入して事故を防ぐ。

その後、直接的に襲撃しようと第一高校が宿泊しているホテルに近づくが、、
そこに偶然いた幹比古が迎撃。
術の発動が遅くて攻撃されそうになった処を達也が助っ人に入り潜入者を鎮圧。

幹比古に術自体の発動スピードが遅いと何気にアドバイスする。

その後、現場に来た軍に潜入者を引き渡して背後関係を探らせる。

そして、大会1日目。
真由美のスピード・シューティング、摩利のバトル・ボードは順調に予選を突破して終わる。

その日の夜に女子のクラウド・ボールのCAD整備の担当者に負担が行ってるので、まだ手の空いている達也にお鉢が回ってくる。

そして、1試合目と2試合目の合間に達也にCADの調整をお願いしたら、、
CADの情報処理能力が上がっていた。

それでプログラムを弄るなと言ってたのに弄ったと文句を言ったら、達也は弄っていないゴミ、システムファイルの残骸を取り除いただけだと答える。
そして、予選を通過して終える。

そのあと、花音のピラーズ・ブレイクを深雪と観戦してかえったら、、

男子のクラウド・ボールの成績が振るわなかった。
だがそれは桐原のくじ運が悪かっただけで、桐原が敗退した2回戦の相手が優勝候補の三高のエースで。
接戦の末の敗退で、相手も3回戦で力尽きて負けてしまった。

それを桐原に言ったら、桐原も切り替えが出来たらしく次の競技に集中出来るようになる。

何気にこの2人って相性が良いんだよな、、
出会い方は最悪だったけど、、

そんな2日目だったが、夜中に前の日に会社の牛山に頼んだ物が届いていた。
そ物が届く。

最後までお読み頂きありがとうございます。

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備忘録

国立魔法大学付属の魔法科高校は全国に九つ存在し、それぞれが特定の地域に設置されている。これらの高校は、魔法教育を正規課程として提供している唯一の学校群である。教師となる魔法師の不足が原因で、政府はこれ以上の高校数の増加が困難である。一学年あたりの生徒数は合計で千二百名に限られ、これが魔法師を新たに供給できる上限とされている。魔法科高校の生徒を鍛え上げ、能力を向上させることが、将来の魔法師育成のための戦略となっている。

この戦略の一環として、九つの魔法科高校間での競争を促し、生徒の向上心を刺激するために、夏の九校戦が開催される。これは全国魔法科高校親善魔法競技大会であり、全国から選ばれた魔法科高校生が集まり、彼らの技術とプライドを競い合う。この大会は政府関係者、魔法関係者、一般企業、海外の観客や研究者、スカウトを集める重要なイベントであり、魔法科高校生にとっての晴れ舞台となっている。今年も再びこの大会の幕が上がる。

1

西暦2095年7月中旬、国立魔法大学付属第一高校では一学期の定期試験が終わり、生徒たちは夏の九校戦の準備に向けて活動を始めていた。しかし、司波達也はその熱気に乗ることができず、定期試験の結果に関して教師から呼び出されていた。彼の妹、深雪は九校戦の準備で忙しい中、達也はクラスメイトたちと再会し、彼らの心配を受ける。達也は特に目立つ存在であり、彼の周りの人々もまた注目されていた。

達也は実技試験での成績が教師から疑われ、手を抜いているのではないかという疑念を持たれていた。しかし、彼はその疑念を否定し、理論試験ではトップの成績を収めていたが、その結果が信じられず、転校を勧められるほどだった。彼の友人たちはこの事実に驚き、教師の提案に憤慨するが、達也は落ち着いて対応していた。

九校戦に向けた話題が出ると、達也と彼の友人たちは九校戦の準備や可能性のある競争相手について話し合う。特に注目されているのは、第三高校に入学した一条の御曹司である。達也たちの会話は、九校戦が魔法競技を観る貴重な機会であり、魔法師を目指す若者たちにとって重要な舞台であることを示している。達也の友人の一人、雫は九校戦で競う側として参加することになり、彼女のやる気が見える場面で話は終わる。

試験が終了してから達也は放課後を風紀委員会本部で過ごし、新しい風紀委員長の引き継ぎ資料作りに取り組んでいた。これは摩利からの依頼であり、彼女は次期委員長に経験のない二年生を考えていたため、達也に丸投げしていた。達也はこの作業に取り組みながら、九校戦の準備について摩利と話を交わす。九校戦は魔法力の比重が高いスポーツ系魔法競技であり、モノリス・コードやミラージ・バットなどの競技が行われる。選手は本戦と新人戦で男女各十名ずつ選ばれ、作戦スタッフも含めたチームで競う。摩利は今年も第一高校が優勝するだろうと話すが、エンジニアの人材不足が懸念されていた。達也はこの話題を聞きながらも、自分の作業に集中し続けた。

交通集中管制技術の進歩により、軌道上の電車は安全性、利便性、輸送量を兼ね備え、都市内公共交通の主役となった。一方で、公道上の自動運行システムは大都市での試験的導入にとどまり、全国的普及はしていない。その代わり、車載頭脳の開発が進み、現代の自走車は交通事故を起こせない安全性を持つ。この技術は世界的に評価され、交通事故撲滅に貢献しているが、下手なドライバーによる交通渋滞は未だ問題となっている。この問題を防ぐため、安全性が向上した今も運転免許制度が堅持されている。

達也は新しい電動二輪車で妹の深雪を待っていた。彼がこのバイクを買ったのは免許を取ってすぐで、実用目的であり、整備を怠らないため新しい印象を保っている。深雪がライダースーツを着て現れ、二人は準備をしてバイクに乗り、静かに夜の街を走り出した。

交通集中管制技術の進化により、都市内の電車は高い安全性、利便性、輸送量を実現し、公共交通の主役となった。一方で公道の交通管制技術は大きく進展しておらず、自動運行システムは限定的にしか導入されていない。代わりにドライバー支援の車載頭脳の開発が進み、現代の自走車は交通事故を起こしにくくなっているが、交通渋滞の問題は依然として存在する。このような状況の中でも、運転免許制度は安全性向上のために維持されている。達也は新しい電動二輪車で妹の深雪を待ち、共に夜の街を静かに走り出した。

達也と深雪は、深雪の九校戦のトレーニングのために八雲の寺へ向かった。深雪は「アイスピラーズ・ブレイク」に出場予定で、その他の競技にも参加する可能性があるため、肉体的なトレーニングが必要だった。「バトル・ボード」と「クラウド・ボール」は特に運動能力が求められる競技である。八雲からの武術指導を受けている深雪は、トレーニングを重ねておくことにした。二人は寺の境内にバイクを停め、暗闇稽古中の八雲のもとへ挨拶に行くが、達也は八雲からの突然の攻撃を巧みにかわし、深雪を守った。このやり取りから、達也の武術の腕前と、深雪への気遣いが見て取れる。

達也と深雪は、九校戦の準備として、八雲の寺で特訓を行っていた。深雪は「アイスピラーズ・ブレイク」と「ミラージ・バット」の競技に向けて、身体を動かし、八雲の幻術「鬼火」を追いかける訓練をしている。訓練中、達也はカウンセラーの小野遥が公安の秘密捜査官であることを知る。遥は達也の「眼」に気づかれ、その場に現れ、遥の正体と彼女の特異な魔法能力について話が明かされる。遥の能力は特定の魔法に特化しており、それが公安にスカウトされるきっかけとなった。達也と遥は情報の共有について合意し、お互いの秘密を守る約束をする。

魔法科高校の体育授業で、レッグボールというフットサルから派生した競技が行われている。これは魔法を使わずにプレイされ、特に反発力の高いボールを使用し、壁や天井にスプリング効果を持たせたフィールドで行う。この日、達也たちはその授業に参加し、達也はクラスメートの吉田幹比古の予想外の運動能力に注目する。幹比古は魔法の名門、吉田家の直系であり、伝統的な修行法により身体を鍛え上げている。授業後、達也とレオは幹比古に声をかけ、幹比古は彼らと友好的に交流する。しかし、その後のエリカの登場により、幹比古は彼女とのやり取りで苛立ちを見せる。エリカは伝統的な女子用体操服であるブルマーを着用しており、これが幹比古の反応を引き出す。最終的に、達也たちは幹比古の興味を引くが、彼は達也の強さの秘密に興味を持っていた。幹比古は達也との可能性ある白兵戦技術による戦いに興味を持ち、達也とレオを戦わせてみたいと思うまでになる。しかし、授業終了までの間、幹比古と達也たちの間の空気は完全には修復されなかった。

魔法大学付属高校では、夏に行われる九校対抗戦が大きなイベントであり、全校から選ばれた有望な選手で競技が行われる。生徒会が主体となって準備を行うが、選手選出やエンジニアの確保が大変である。特に、エンジニアの人材不足は深刻で、学生からの選出が困難である状況だ。しかし、達也がCADの調整を行うことで、一部の問題が解決する見込みが出てくる。

一方で、加重系魔法の技術的三大難問に関するレポートの課題に苦戦するあずさに対し、達也は魔法の効力を打ち消すための理論的アプローチが間違っていると指摘する。達也の説明によると、対象エイドスに同時に作用し続ける二つの魔法式は、効力を失っても消滅せず、余分な魔法の上書きが累積されるため、事象干渉力の上限に早く達する。これは、イギリスの研究者が実施した飛行魔法の実験の失敗の原因を説明している。

達也の説明は、同席していた生徒たちに新たな視点を提供し、特にあずさはトーラス・シルバーという技術者に強い興味を示すが、達也はその正体については詳しくないと回答する。達也の妹・深雪も、兄の技術力を高く評価し、彼にCAD調整を依頼するなど、生徒間での信頼と協力の重要性が浮き彫りにされる。

九校戦準備会合では、選手やエンジニアに選ばれることが大きなステータスとなる中、達也の参加に対する意見が分かれていた。達也は九校戦への参加に消極的であったが、彼の技術を確かめるために実際にCADの調整を行うテストが提案された。達也は桐原のCADを高度な技術で調整し、彼に全く違和感がないと言わしめた。この結果は、一部の生徒からは平凡だと評価されたが、服部など他の生徒は達也の技術を高く評価し、彼のエンジニアチームへの参加を支持した。この支持により、達也のチーム入りが決定した。達也の技術は、自動調整に頼らず全てマニュアルで調整するという高度なものであり、彼がエンジニアとしてチームに参加することは、学校の威信をかけた大会で最適なメンバーを選ぶ上で重要な意味を持つこととなった。

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兄妹二人の夕食後、達也は旧知の人物である風間玄信少佐からの電話を受けた。風間は達也に、サード・アイのオーバーホールとソフトウェアのアップデート、性能テストの実施を依頼した。達也が関わる独立魔装大隊は新開発された装備のテスト運用を担う部隊であり、高度なセキュリティを要する。また、風間は達也に対し、今夏の九校戦に参加することや、富士演習場南東エリアに不穏な動きがあることを警告した。国際犯罪シンジケート「無頭竜」の関与が疑われ、風間は達也に注意を促した。達也はこの情報をどこまで共有すべきか考えながら、共通の師匠への伝言を考えていた。

達也が深雪の提案で一緒にお茶をすることになった。深雪はキッチンで達也が電話を終えるのを待っていたが、達也は静かにキッチンへ入り、深雪を驚かせてしまう。達也は深雪が手間をかけて準備した紅茶とショートブレッドを褒め、二人は和やかな時間を過ごした。風間からの電話の内容については、達也も深雪も触れず、お茶とお菓子を楽しむことに集中した。深雪は達也が喜んでくれることを何よりの喜びと感じていた。

深雪は優等生であり、努力を惜しまない学生である。彼女は兄の達也のために、夜遅くまで勉強し、紅茶を淹れることで気分転換を図る。ある晩、深雪は達也が研究していた常駐型重力制御魔法、すなわち飛行術式のテストに成功する。この技術は現代魔法学において長らく実現不可能とされてきたが、達也はそれを可能にした。深雪はフェアリー・ダンスのコスチュームを身に纏い、この新たな飛行デバイスを使って飛行することに成功する。彼女はこの快挙を兄と共有し、二人は新しい技術の可能性を喜ぶ。深雪は飛行中の負担を感じることなく、自由自在に空を飛び、その経験に大きな喜びを感じる。達也の研究は、現代魔法学の新たな地平を開いたと言える。

フォア・リーブス・テクノロジー(FLT)のCAD開発センターは、達也と深雪が住む場所から交通機関を使って二時間程度の場所にある。FLTは技術力を売りにしており、開発センターでは厳重な警備が施されているが、達也たちは特別扱いを受けており、受付を通らずに内部へ入ることができる。開発センターでは、達也が中心となって新しいタイプの飛行デバイスのテストが行われており、このデバイスは常駐型重力制御魔法を使用している。この飛行デバイスの成功は、現代魔法の新たな歴史を築くものとされ、テストの成功によりFLTの所員から大きな賞賛を受ける。しかし、達也はテスト結果に完全には満足しておらず、起動式の連続処理による負担が大きいと感じていた。技術者の牛山は、ハードウェアの改善を提案し、達也もそれに賛成する。二人はこの新しい飛行デバイスの改善に向けて協力し合うことを決める。

ハード面の改善点がいくつか見つかったものの、飛行術式の作用に関しては満足のいく結果が得られた。市販のCADを使用しても、平均的な魔法師による飛行術式の実行が可能であることが明らかになり、これが最大の成果であった。この成果を踏まえ、達也たちは飛行術式のノウハウを早急にトーラス・シルバーの名で発表する予定である。また、飛行術式専用の新しいCADを設計し、9月の半期決算月までに製品化する計画もある。

達也たちは、ティーラウンジで待つ深雪と合流し家路につく途中、FLTの開発本部長である彼らの父親と偶然にも顔を合わせた。その場には、彼らにとって不快な青木という人物もいた。青木は、四葉家の執事であり、四葉家の財産管理の一部を任されているが、達也や深雪とは良好な関係にはない。青木との会話は緊張を孕んでおり、達也は彼からの侮辱に冷静に対処した。その過程で、達也は自分が「似非魔法師」と侮蔑されたことに対して、自分をそうした実験の結果であると説明し、その実験を行ったのが四葉家の現当主とその姉であることを指摘した。

達也たちの父親が現れ、達也を制止しようとするが、達也は自分が母親を恨んでいないと述べた。達也には「恨む」という感情がなく、彼の心からは強い情動を司る部分が抹消されていたため、彼は深い怒りや悲しみ、嫉妬などを感じることができない。達也たちはその場を去り、この出来事は達也と深雪にとって重たいものとなった。

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学校において決まった教室を割り当てる利点は、人間関係の構築・醸成を促進することにある。これは、場所的所属が組織的帰属につながる傾向に基づく。例として、達也が九校戦のチームスタッフに選ばれたことについて、クラスメイトから次々とエールを受け取るシーンが描かれている。これは、普段親しくない人々とも友好関係を築けることを示している。

九校戦のメンバー選定において、エンジニアチームの顔ぶれが最後まで決まらず、準備が遅れていたが、達也はチームスタッフとして選ばれた唯一の一年生である。その選出は、彼の異常なスキルによるもので、実際には彼がCADソフト開発の分野でプロフェッショナルとして活躍していることを知っているのは妹の深雪だけである。この事実は、達也が同級生や上級生から嫉妬される側に立つことが少ない理由を説明している。

美月による「嫉妬は理屈じゃない」という指摘やエリカの気休めのコメントは、達也が人間関係の複雑さを理解する上での経験不足を浮き彫りにする。達也は、人間関係の機微を察する上で、まだ成長の余地があることを感じさせる。

四時限目終了後、指定された時間に講堂の舞台裏で、達也は深雪から技術スタッフ用のユニフォームとして薄手のブルゾンを受け取った。これは、発足式で制服の代わりに着用するものであった。ブルゾンには第一高校の校章が刺繡されており、深雪はそれを見るのが嬉しそうだった。発足式が始まるまでの間、達也はブルゾンを着たまま待つことにし、深雪はうっとりと兄のユニフォーム姿を見つめていた。深雪は選手の立場を一時的に棚上げし、進行役として制服のままでいることを達也に説明した。プレッシャーを感じているふりをしながらも、達也は妹を励まし、その様子を周囲は冷たい眼差しで見ていた。

発足式は予定通りに始まり、順調に進んだ。達也は壇上に上がるが、彼にとって居心地は良くなかった。彼以外のエンジニアチームは上級生であり、達也の参加は異例の抜擢で特別扱いされていたことから、場違い感と反感の可能性を感じていた。プレゼンターは真由美で、深雪が舞台栄えする理由で徽章を選手に付ける役目を担った。選手の紹介が進む中、深雪は淑女教育の成果を見せ、選手たちを効率良く対応した。達也の番になると、クラスメイトが一斉に拍手を送り、予定外の騒動になったが、ブーイングが起こりかける中、真由美と深雪のタイミングの良い拍手により、全員に対する拍手として講堂全体に広がった。

発足式後、九校戦への準備が一気に加速した。深雪は毎日練習に励み、達也はCADの調整と深雪の仕事を肩代わりしていた。美月は一週間、他のメンバーを待つことが多く、発足式では勇気を出して前列に座ったが、これはエリカの影響である。美月はエリカが達也をどう思っているのか疑問に思っていた。

ある日、美月は不思議な波動を感じ取り、メガネを外してその源を追うことにした。実験棟に到着すると、精霊のような光の球を目撃し、その現象を行っていたのは吉田であることが判明した。達也が現れると状況は落ち着き、美月と吉田の間には誤解が生じていたが、平和的に解決した。

吉田は「水晶眼」と呼ばれる特殊な能力を美月が持っていることに気づき、その能力に驚愕する。水晶眼は精霊の色を識別できる珍しい能力であり、吉田にとって非常に価値があるものだった。しかし、現時点で吉田にはその能力を活かす術がなく、美月の能力を他人に話すこともないと約束した。

この出来事を通じて、美月の特殊な能力が明らかになり、その能力に関する話は達也と吉田の間で秘密にされることになった。

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八月一日、一高は九校戦へ出発する日を迎えた。他の遠方の学校とは異なり、一高は例年、競技前日に現地入りすることにしている。これは、練習場が遠方校に優先割り当てされるためであり、競技会場の下見が競技当日まで禁止されているため、早めに現地入りする必要がないとされている。この日、達也は摩利と共に出発前の準備をしていたが、全員が集合するまでに一時間半の遅刻があった。

真由美が遅刻した理由は家の急用であり、彼女の遅れによって他の生徒たちが待つことになったが、達也はその遅刻を責める気にはなれなかった。彼は乗車確認役を務めており、彼以外の一年生を含む正式スタッフは全員制服を着用していたが、二年生以上はほとんどが私服姿だった。中でも真由美のサマードレスは非常に目立っていた。

真由美が遅刻した理由は、家の事情であり、三年生全員が彼女を待つという意見で一致していた。達也は彼女の遅刻を責めず、ストレスが溜まっていると思い、彼女を労わる態度を取った。しかし、真由美は達也の態度に対して戸惑いを見せた。達也は、彼女のストレスを考慮して、バスの中で休むことを提案した。

バスの中で、真由美は達也が自分を躁鬱扱いすることについて頰を膨らませて怒り、鈴音はその様子に生暖かい目を向けていた。達也は技術スタッフとして作業車両に乗り込んでおり、真由美は彼が自分から逃げたと感じていた。真由美の怒りに対し、鈴音は彼女が餌食になるのを回避するために達也の判断は的確だと指摘した。このやり取りに真由美はさらに憤慨したが、鈴音は冷静に対応し続けた。

服部が真由美の体調を心配し、彼女にブランケットを掛けようとしたが、その場面で動揺し、真由美はそれを楽しんでいるように見えた。鈴音は服部を促し、真由美は恥ずかしそうに胸元を隠す仕草をして、その場がより微妙な雰囲気になった。この一連の出来事を通して、真由美の振る舞いが少し抑えが利かなくなっていることが示唆され、鈴音は達也の見立てが正確だったと内心で思った。

バス内でのやりとりでは、摩利が真由美と服部、そして鈴音の間の複雑な関係について内心で感じていることが描かれている。真由美は服部を弄ぶことで彼にストレスを与え、その結果生じる負の連鎖を摩利は苦々しく見ていた。しかし、摩利は真由美が家族や社会から大きな期待を一身に背負い、その重圧に耐えていることを理解しており、彼女が少し羽目を外すことを許容していた。

一方、摩利は隣の座席に座る花音に目を向け、彼女の現状を考えていた。花音は摩利が次期風紀委員長として期待している後輩で、彼女に向けた引継資料も作成していた。花音は優秀な魔法師であり、彼女の家も魔法師社会で名門の一つであることが語られている。しかし、花音が元気がないのは、五十里と一緒に過ごせないことに対するガッカリ感からであり、摩利は彼女のこのような面を見るといつもため息をついてしまう。技術スタッフが別の車両に乗る必要性について花音が不満を述べる場面で、摩利は再び内心で彼女に対する感想を持つ。

バス内で、深雪と彼女の友人たちは、達也が技術スタッフとして別の車両に乗っていることに対して不満を抱いていた。深雪は達也が遅れて来ることを理由に外で待つ必要がないと愚痴り、その冷静でない態度が友人たちには不気味に感じられていた。一方、深雪の隣の席に座っている一年生女子生徒は、この状況から目を逸らし窓外を見ていた。

事故が発生し、バスの乗客たちは対向車線で車が横転し火を吹くのを目撃する。乗客たちはパニックに陥り、無秩序に魔法を発動させるが、これが事態を悪化させてしまう。摩利は乗客に魔法をキャンセルするよう指示するが、乱れた魔法式を整理するのに十分な魔法力が必要だった。その時、深雪が冷静に魔法を発動し、炎上する車を効果的に消火する。摩利は深雪の能力と冷静さに感心するが、同時に事故を回避しようとした他の魔法式が一瞬で消え去った現象に疑問を抱く。

真由美はこの状況を冷静に対処し、乗客を落ち着かせる。彼女は克人と深雪の行動を称賛し、深雪は特に克人に感謝の意を表す。摩利は事故現場での救助活動を遠くから見守るが、ドライバーの生存は絶望的であると感じていた。この一連の出来事を通じて、乗客たちはお互いに協力し合い、事故を乗り越える団結力を見せた。

事故後の処理で遅れたが、生徒たちは昼過ぎに宿舎に到着した。宿舎は通常、外国の高官や軍人を宿泊させるホテルで、九校戦期間中は生徒用に提供される。到着後、生徒たちは自分たちで荷物の積み下ろしを行った。

その後、服部は事故時の自分の無力さに落ち込んでいた。友人の桐原は、服部の気持ちを軽くしようと励ますが、服部は特に達也と深雪の冷静な対応と協力に感じた自分の劣等感を隠せなかった。桐原は、達也が実戦経験があると示唆し、その話題で服部を驚かせた。桐原は達也と深雪の強さを認めつつ、自分も強くなることを誓う。

桐原は、魔法師としての優劣が魔法力だけでなく、実際に困難な状況でどう行動できるかにも依存することを強調する。服部はこれに反応せず、黙って自分の部屋へ向かう。桐原は、達也と深雪の強さに対する服部の反応を見て、彼の成長を願う。同時に、達也と深雪に関わることで生じるかもしれない新たな問題について考える。

桐原の予感は的中し、達也は事故が魔法を使った自爆攻撃だったと明かす。犯罪者が運転手であり、高度な技術で魔法を使用していたことが判明する。この事実に対して、深雪は憤りを感じる。一方、エリカと美月は、懇親会への参加のために早めに宿舎に到着していた。エリカの家族のコネクションを使って宿舎に泊まることになっていたが、深雪はその適切でない服装に注意する。エリカは千葉家の娘であり、その家族は魔法師の訓練に関わっている名門であることが語られる。彼女たちの会話から、魔法師社会内の家族や家系の影響力がうかがえる。最後に、深雪はエリカと美月を懇親会で再会することを約束し、自分の荷物を整理しに行く。

深雪たちが予定より早く到着したのは、夕方に予定されているパーティーのためである。九校戦の参加者とスタッフを合わせると400名を超える大規模な立食パーティーが開かれ、各校の生徒やスタッフが交流する場となる。パーティーでは、アルコールは提供されず、和やかさよりも緊張感が目立つ。達也と深雪はパーティーに出席し、様々な人々と交流する。エリカはアルバイトとして給仕を行い、意外な再会がある。パーティーでは、九島烈が若い女性と共に現れ、精神干渉魔法を用いて出席者を驚かせる。彼の演説では、魔法の使い方の重要性を強調し、参加者に対して魔法を単なる道具として見ることの重要性を訴える。この出来事を通じて、達也は魔法師社会の在り方について新たな洞察を得る。

懇親会が前々日に催されたのは、前日を休養に当てるためであった。技術スタッフや作戦スタッフは最後の追い込みに余念がないが、選手たちは各自で明日からの戦いに備えて英気を養っている。一年生の出番は大会の四日目からであり、緊張よりも興奮と高揚が勝っている。夕食後、達也の部屋に遊びに来ていた深雪、ほのか、雫の三人は、達也が作業に取り掛かると早めに引き上げた。地下には人工の温泉があり、深雪たち一年生女子チームはそこを貸し切って入浴することになる。温泉での会話は九校戦の話題や男性の噂話に花が咲く。特に三高の一条くんが深雪のことを見ていたという話が出るが、深雪は一条くんを知らないと答える。また、深雪の好みのタイプについての質問が出るも、深雪は兄である達也を恋愛対象として見たことがないと答え、会話はそこで終わる。しかし、深雪の答えを聞いた中には、その言葉を額面通りに受け取っていない者もいた。

達也は、深雪たちと別れた後、作業車で起動式のアレンジ作業をしていた。その作業中、五十里から作業の切り上げを勧められる。達也が担当する一年生女子の競技は四日目以降であるため、比較的余裕があった。作業を終えた達也は、ホテルの周りを散歩していた際に、緊張した気配を感じる。彼は感覚を開放し、三人の武装した侵入者を感知する。達也は彼らに接近し、幹比古もまた同じ侵入者に気づき、古式魔法を用いて対処しようとする。幹比古の術は間に合わないと感じた達也は、彼の援護として「分解」魔法を用い、侵入者の拳銃を無力化する。侵入者たちは幹比古の魔法によって無力化される。

その後、達也と幹比古は話し合い、達也は幹比古の魔法の構造に無駄が多いことを指摘し、その問題を解決することで幹比古の悩みが解消される可能性を示唆する。幹比古は達也の能力に驚くが、達也は自分の見解を押し通す。最終的に、達也は風間と遭遇し、侵入者たちの処置を風間に依頼する。風間は達也の行動に興味を示し、二人は後日改めて話し合うことにする。

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達也は前夜、予期せぬ作業に従事した後、九校戦の開幕日を迎える。この大会には直接的な観客だけでも延べ十万人が訪れ、有線放送の視聴者数はそれを遥かに上回る。開会式は華やかさよりも規律を重視し、競技は直ちに始まった。初日はスピード・シューティングの決勝とバトル・ボードの予選が行われる。達也たちは、特に真由美のスピード・シューティングの試合を観戦するために移動する。スピード・シューティングは、空中に投射されるクレーの標的を制限時間内に破壊する数を競う競技である。真由美は、その高い精度と速度で知られ、達也たちはその技能に注目する。

競技中、真由美は完璧なパフォーマンスを披露し、達也たちはその技術を称賛する。真由美の使用する魔法、「ドライアイスの亜音速弾」は、ドライアイスを形成し加速させることにより、物理法則に逆らわないように工夫されている。これにより、少ないエネルギーで効率的に魔法を行使することが可能になる。

達也は、魔法の技術が世界の物理法則を巧みに操ることによって成り立っていると説明し、強力な魔法師ほど、その技術に長けていると示唆する。この日の試合と達也たちの観戦は、魔法の深い理解とその応用の重要性を示している。

バトル・ボードは、人工水路を使用して行われる競争競技であり、選手は魔法を用いてゴールを目指す。競技には攻撃行為は禁止されており、水面に対する魔法の使用のみが許可されている。九校戦では、全長3キロのコースを3周し、直線や急カーブ、上り坂、滝のような段差が特徴である。予選は6レース、準決勝は2レース、そして決勝レースが行われる。この競技は、特に体力を要し、最大速度は時速約55~60キロに達する。

達也はほのかの体調管理について尋ね、彼女は達也のアドバイスを受けて体力トレーニングを継続してきたと答える。ほのかは達也に試合を見てもらえないと感じているが、達也はミラージ・バットの調整を担当し、練習や作戦にも協力していると説明する。しかし、この説明はほのかを納得させるには至らず、達也は女性陣からの批判を受けることとなる。達也の説明が逆効果に終わり、彼は女性陣からの集中砲火を浴び、理不尽ながらも反論できない状況に陥る。

コースの整備が終わり、選手がコールされると、達也はようやく解放された。彼は、相手の主張を理解できても、それに対応できるかどうかは別問題であると感じ、今後は余計なことを言わないようにするという決意を心に秘める。バトル・ボードのスタートラインに立つ選手たちを見つめ、達也は摩利の立ち姿勢が他の選手と異なることに注目する。摩利は真っ直ぐに立ち、他の選手を圧倒する姿勢を見せる。選手紹介時、摩利に対する歓声が特に大きく、彼女の人気が高いことが示される。

レースが始まると、四高の選手が水面を爆破する自爆戦術を試みるが、摩利は混乱に巻き込まれずに独走態勢に入る。摩利のボードは、移動魔法を使ってなめらかに水面を進む。摩利はボードと自分を一つのオブジェクトとして扱い、硬化魔法と移動魔法をマルチキャストして操作する。これにより、摩利は水上の様々な障害を巧みに乗り越え、加速魔法や振動魔法を併用して抵抗を減らしながらレースをリードする。

達也は摩利の魔法の組み合わせを称賛し、その臨機応変さと多彩な魔法の使い方に感嘆する。摩利は戦術的な観点からも高い評価を受けるが、エリカは摩利の性格が悪いとコメントする。レースの半ばでも、摩利の勝利はほぼ確実となる。

今日のバトル・ボードは予選のみであり、午後はスピード・シューティングの準決勝と決勝を観戦する予定であった。達也はホテルに戻り、風間少佐との約束を果たすために高級士官用客室へ向かった。部屋には風間を含む独立魔装大隊の幹部がおり、達也は彼らから暖かく迎えられた。達也の階級は特尉であり、軍の階級秩序に全面的に縛られているわけではないが、この場では友人「司波達也」として招かれていた。

風間少佐の部下である藤林少尉、真田大尉、柳大尉、山中軍医少佐との会話は、九校戦と犯罪組織「無頭竜」についての現況報告へと移っていった。昨夜の事件に関して、風間たちは訊問の成果を待っている段階で、積極的に関わるつもりはなかった。藤林少尉は達也が九校戦に技術スタッフとして参加していることに言及し、達也の技術に敬意を表した。

達也と風間少佐の間では、達也が選手として九校戦に出場することに関する話題も出たが、達也は「雲散霧消」や「マテリアル・バースト」などの魔法を使用することはレギュレーション違反になるため、参加する見込みは低いと説明した。しかし、風間少佐は、もし選手として出場するようなことがあれば、達也がそのような魔法を使わないよう注意を促した。二人は、友情を超えて、任務の優先を理解しており、必要とあれば互いを切り捨てる覚悟があることを示した。

スピード・シューティング女子決勝トーナメント会場での観戦に戻った達也は、エリカから呼び止められる。会場は既に満席状態で、真由美の出場による人気の高さが窺えた。座席は深雪、レオ、エリカ、美月、ほのか、雫という配置であった。幹比古は気分が悪くなり休んでおり、競技の熱気が原因かもしれないという話があった。真由美の試合が始まると、圧倒的な歓声が起こり、対戦相手にはプレッシャーがかかる状況だった。

真由美は小銃型CADを用いて、対戦型のスピード・シューティングで赤い標的を効率的に破壊していく。彼女の技量は戦術的に見ても卓越しており、「魔弾の射手」という遠隔魔法を使い、効率的に標的を撃ち抜いた。この魔法は、競技の性質上、対戦相手の魔法行使領域外から狙撃することで、競技を純粋なスピードと照準の精確さの勝負に変えていた。真由美の技術は、高校生レベルでは他の追随を許さない圧倒的なものであった。

一日目の競技で、スピード・シューティングは予想通り、女子部門で真由美が圧勝し、男子部門も一高が優勝した。真由美の部屋には女子生徒会役員が集まり、ジュースで簡単な祝杯を挙げていた。男子部門では、バトル・ボード予選で思ったより苦戦し、CADの再調整が必要となったため、木下先輩が作業に没頭している状況だった。女子クラウド・ボールの副担当である木下君の担当について議論が交わされ、最終的には達也が代替案として提案され、真由美から深雪を通じて達也に伝えることが決定された。深雪はこの依頼を喜んで受けた。

深雪が達也の部屋を訪れ、彼にクラウド・ボールの副担当をすることを伝えた。達也は、深雪が夜遅くに自分の部屋を訪れることに対して心配の念を示したが、彼女の安全を気にかけている様子も見せた。深雪は達也に迷惑をかけたと謝罪し、達也は作業をしていたが、深雪の安全を最優先すると伝えた。達也が取り組んでいたプログラミング作業は競技とは無関係のもので、新しい近接戦用の武器についてのアイデアだが実用性は低いと語った。達也は深雪の安全を優先し、彼女を部屋まで送ることを提案し、深雪は達也を大切に思う気持ちを表現した。達也は妹の言葉に戸惑いながらも、彼女の安全を確保するために行動を起こすことを決めた。

6

九校戦二日目に達也は女子クラウド・ボールの副担当として活動し、真由美のCADのメンテナンスを行う。達也は真由美のCADから不要なデータを除去し、効率を向上させたが、これをプログラムの改変と勘違いした真由美は達也に詰め寄る。しかし、達也の説明を聞いた後、真由美は彼を信頼し、彼の行動を受け入れる。達也は真由美のCADのメンテナンスを効率的に行い、真由美はそのメンテナンスのおかげで競技に集中でき、女子クラウド・ボールで優勝する。真由美は達也にCADのメンテナンス方法を教えてもらうことを希望し、達也は彼女の要望に応えることに同意する。最終的に、二人の間の信頼と協力が強化される。

ピラーズ・ブレイクは、高さ2メートルの氷の柱が12本設置された屋外フィールドで行われる競技である。この競技は魔法力の消耗が激しく、「最後は気力勝負」と言われている。達也、深雪、雫は、スタッフ席から花音の試合を観戦している。花音は、相手陣内の氷柱を全て倒し、一回戦を最短時間で勝利し、二回戦も勝利する。達也は、五十里との関係や、選手とエンジニアとしての自身の役割について考える。ピラーズ・ブレイクの競技場は限られており、一日のスケジュールは18試合が限界である。花音は魔法のみで氷柱を倒す戦法を用い、達也たちはその戦法や選手間の関係性について意見を交わす。最終的に、花音は勝利し、達也はチームワークの重要性を感じながらも、個々のエンジニアが選手に公平に対応できるかどうかについて疑問を持つ。

三回戦進出を果たした花音たち一行は、天幕に戻ると男子クラウド・ボールの結果による重苦しい雰囲気に遭遇した。九校戦のポイントシステムは競技ごとに異なり、総合順位は各競技のポイント合計で決まる。男子クラウド・ボールの結果が期待外れだったため、スタッフはポイントの見通しを計算し直していた。桐原はクラウド・ボールの一回戦敗退で落胆している可能性があったが、達也との会話の中で彼は落ち込んでいるようには見えなかった。達也は桐原の敗戦を客観的に分析し、彼を慰めることはしたが、桐原は達也のアプローチを好意的に受け止め、敗戦をポジティブに捉え直すきっかけとなった。

達也は新人戦に備えて担当選手のコンディションとCADの設定をチェックした後、自分宛に届いた荷物を確認する。荷物の中には、達也がFLTに依頼していた武装一体型CAD、すなわち特定の魔法に特化した装置が含まれていた。この装置はミドルソードの形をしており、特定の魔法を使用するためのものである。その後、達也の部屋には深雪をはじめとする友人たちが訪れ、彼らはCADに興味を示す。特にレオは、達也からその装置のテストを任される。

達也は仮想型端末の使用が未熟な魔法師に有害とされる理由を説明する。それは、仮想型端末が提供する体験が現実の魔法操作と混同され、自身の能力を誤認するリスクがあるためである。しかし、実際に可能な魔法操作を仮想体験することは有益であり、魔法式構築に必要なイメージ形成に役立つとも述べている。達也はこの説明を通じて、仮想型端末の利用に対する理解を深める。

達也とレオは、試作デバイスのテストを行うため、エリカのコネで屋外格闘戦用訓練場を借りる。夜中に訓練場でテストを開始し、レオはデバイスを使って硬化魔法を応用した新魔法の動作を確認する。このデバイスは、刀身が分離し空中で操作可能な武装一体型CADであり、刀身の相対位置を硬化魔法で固定することによって「飛ばす」効果を実現している。テストでは、分離した刀身を使って藁人形を叩き潰す実験を行い、成功を収める。達也は、このデバイスがモノリス・コードのようなルール内で有用である可能性を考えつつ、テストを進める。達也とレオは、デバイスの実用性と改善点について話し合いながら、実験を続ける。

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いつクビになるかビクビクと怯えている会社員(営業)。 自身が無能だと自覚しおり、最近の不安定な情勢でウツ状態になりました。

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