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どんな本?
『魔法科高校の劣等生』は、佐島勤 氏による日本のライトノベル。
略称は「魔法科」。
物語は西暦2097年、3月。
魔法が現実の技術として確立し、魔法師の育成が国策となった時代を舞台にしている。
主人公は、国立魔法大学付属第一高校(通称「魔法科高校」)に通う兄妹、司波達也と司波深雪。
この作品は、原作小説の累計が1,400万部、シリーズ累計が2,500万部を突破し、大人気のスクールマギクスとなっている。
また、2024年には3期目のTVアニメが放送されることが決定している。
さらに、この作品は様々なメディアで展開されており、ライトノベルだけでなく、漫画やアニメでも楽しむことができる。
読んだ本のタイトル
魔法科高校の劣等生 (28)(29) 追跡編(The Irregular at Magic High School)
著者:佐島勤 氏
イラスト: 石田可奈 氏
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あらすじ・内容
攫われた水波を奪還せよ! 疾走する達也に暗殺の魔の手が迫る――
光宣による水波の奪取を許してしまった深雪――。達也は、助けを求める深雪の声に応え巳焼島を飛び立つ。
魔法科高校の劣等生(28) 追跡編<上>
光宣に魔法を放つことができなかったことを悔いる深雪。最も忠義を尽くす深雪を前にして、光宣を背中に庇ってしまったことを責める水波。
すれ違ってしまった二人は自責の念を抱え、思い悩んでいた。
そして、それぞれの思惑を抱いた、達也、十師族、さらに九島烈の仇を討たんとする通称『抜刀隊』が光宣の大追跡を開始する!!
そんなとき、フリードスーツを纏い空を疾走する達也に魔の手が迫っていた。
亡者を葬る新魔法炸裂! そして、達也とあの男が衝突!?
二〇九七年、七月。達也は富士樹海に潜伏する光宣を追い、張り巡らされた結界『蹟兵八陣』を破る方法を思案していた。
魔法科高校の劣等生(29) 追跡編<下>
一方、USNA軍非合法魔法師暗殺者小隊『イリーガルMAP』が達也の暗殺に動き出す。その魔の手は彼の友人たちにも向けられることに――。
さらに達也の前に立ち塞がる刺客・藤林長正。希代の忍術使いであり亡霊を操る強敵を前にして、ついに精神体をも消滅させる達也の新魔法『アストラル・ディスパージョン』が放たれる!!
水波救出のため、猛進する達也。しかし彼の前に次は『あの男』が『最悪の敵』となって立ちはだかる――!?
感想
パラサイトになったラスボスな光宣と真のラスボスの達也は、追いかけっこの後はかくれんぼ。
その裏でUSNAが司波達也暗殺に送り込んだ暗殺部隊イリーガルMAPが始動する。
そして大亜連合も日本に亡命した劉麗蕾を回収もしくは暗殺するために人食い虎を小松基地に潜入させようとしたが、偶然通りかかった千葉修次に捕捉され斬られる。
光宣はUSNAの艦艇で日本国脱出を狙い、それを九島家と日本に妖魔がいる事を嫌う権力者達が九重八雲を使い光宣を援護する。
その裏でUSNAのイリーガルMAPが司波達也の周辺に居るほのかと美月を誘拐し、暗殺の道具にしようとするが幹比古、レオ、エリカ、国防軍の情報部がそれを防ぐ。
混沌として参りました!!
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考察・解説
九島光宣の逃走
『魔法科高校の劣等生』28巻および29巻における、九島光宣の逃走(調布碧葉医院から水波を連れ去った後の潜伏と日本脱出)について解説する。
青木ヶ原樹海への潜伏と達也との攻防
調布の病院から水波を攫った光宣は、九島家が用意した自走車で中央道を西へ進み、青木ヶ原樹海に用意された隠れ家へと逃げ込んだ。この館での状況は以下の通りである。
・かつて周公瑾が構築した東亜大陸流古式魔法「蹟兵八陣(鬼門遁甲)」による大規模な隠蔽結界によって守られていた。
・達也は「精霊の眼」を用いて水波の居場所を特定しようと試み、光宣はそれを防ぐために「仮装行列」で水波の位置情報を偽装した。
・情報次元において、達也が「術式解散」を応用して偽装魔法を破ろうと圧力をかけ、光宣がそれに耐えて「仮装行列」を維持するという激しい攻防が繰り広げられた。
最終的に達也が限界を迎えて攻撃を中断したため結界は守られたが、大まかな潜伏エリア(青木ヶ原樹海)は特定されてしまう。
陽動作戦の失敗と外部との結託
光宣は、達也や十師族、国防軍に隠れ家周辺を包囲されると考え、早急な移動が必要だと判断した。その際の行動と結果は以下の通りである。
・大亜連合の人喰い虎こと呂剛虎の密入国を手引きし、国防軍の注意をそらす陽動に利用しようと企てた。
・しかし、呂剛虎が千葉修次に討たれたため、この目論見は短期間で頓挫した。
焦る光宣に対し、パラサイトのネットワークを通じてUSNAのレイモンド・クラークが接触してくる。レイモンドは、USNAの非合法工作部隊(イリーガルMAP)が達也暗殺のために起こす混乱に乗じて横須賀へ向かえば、日本からの脱出を支援すると提案し、光宣は水波と共にこれを受け入れた。
九島家の支援と囮作戦の実行
逃走を前に、以下の出来事と作戦が実行された。
・九重八雲が隠れ家に侵入し、仮装行列の術式を漏らさないことを条件に光宣の逃亡を見逃す約束を交わした。
・光宣の父である九島真言と次兄の蒼司が隠れ家を訪れた。
・真言は九島家の体面を守るため、光宣を国外へ追放するべく、蒼司とガイノイドを仮装行列の器(身代わり)として提供した。
達也が隠れ家の結界に踏み込んだタイミングを見計らい、光宣は蒼司とガイノイドに自分と水波のエイドスのコピーを貼り付け、囮の車として結界外へ走らせた。達也はこの囮の追跡に誘導されることとなる。
まとめ
囮が達也を引きつけている隙に、光宣と水波は隠れ家を後にした。光宣は「仮装行列」と「鬼門遁甲」を融合させた即興の新魔法「仮装遁甲」を用いて自分たちの情報と方向を偽装し、電車を乗り継いで横須賀軍港へと向かった。
一方の達也の動向と結末は以下の通りである。
・囮の車に追いついた際にエイドスの履歴を遡ることで偽装を見破り、ついに水波本人の真の現在位置(横須賀)を特定した。
・しかし、横須賀へ飛ぼうとした達也の前に九重八雲が立ち塞がり、幻術によって激しい足止めを受けた。
・達也が八雲の幻術を打ち破った頃にはすでに手遅れとなっていた。
横須賀基地でレイモンドに迎えられた光宣と水波は、USNA海軍の全水没型高速輸送艦「コーラル」に乗り込み、ミッドウェー島周辺(パールアンドハーミーズ環礁)に向けて日本の領海を脱出していた。
司波達也の追跡
『魔法科高校の劣等生』における司波達也の九島光宣および桜井水波の追跡について、その経緯と結末を解説する。
追跡の開始とアークトゥルスとの死闘
調布の病院で光宣に水波を攫われた達也は、飛行装甲服「フリードスーツ」と電動二輪「ウイングレス」を用いて即座に追跡を開始した。
・パラサイト用レーダーの情報を頼りに、中央道を西へ逃走する光宣を空から追跡した。
・しかし、高尾山付近の上空で封印から脱して幽体(アストラル体)となったUSNA軍のパラサイト、アレクサンダー・アークトゥルスの強襲を受けた。
達也は「術式解体」や「術式解散」で激しい防戦を強いられたが、「精霊の眼」で幽体を維持する事象干渉力(霊子波)のチャネルを発見し、それを分解することでアークトゥルスを撃退した。しかし、この戦闘で達也自身も激しく消耗し、無理な追跡を一時中断して休息を取らざるを得なくなった。
青木ヶ原樹海の結界と藤林長正との交戦
光宣の逃走先が青木ヶ原樹海であると特定した達也は、自宅の瞑想室などから「精霊の眼」を用いて情報次元経由での捜索を試みた。
・光宣は周公瑾が遺した「蹟兵八陣(鬼門遁甲)」の隠蔽結界と自身の「仮装行列」を組み合わせて潜伏していた。
・達也は魔法による事象改変の痕跡を遡って「仮装行列」を無力化しようと試みたが、精神への負荷が大きく魔法演算領域がオーバーヒートしかけたため、深雪の必死の制止を受けて間接的な追跡を断念した。
その後、達也は結界に穴が開いたのを感知し、直接樹海へ乗り込んだ。隠れ家には既に光宣と水波の姿はなく、待ち構えていた藤林長正と交戦になった。長正の「影分身」や「火遁」などに苦戦しつつも本体を捕捉した達也は、長正が最後に発動した死霊(残留思念)による精神攻撃に対し、新魔法「アストラル・ディスパージョン」で霊子情報体支持構造を分解し、結界を完全に崩壊させた。
囮の看破と暗殺部隊の殲滅
長正との戦闘後、達也は黒羽貢から光宣が小田原方面へ向かっているという情報を提供され、バイクで追跡を再開した。その際の経緯は以下の通りである。
・小田原付近で水波のエイドスが二つに分裂しているのを観測した達也は、鎌倉市内で自走車に追いついた。
・しかし乗っていたのは、光宣と水波のエイドスを貼り付けられた九島蒼司とガイノイド(囮)であった。
・達也はガイノイドから水波の真のエイドスの履歴を遡り、彼女の現在位置が横須賀軍港であることを特定した。
横須賀へ向かう途中、達也はUSNAの非合法工作部隊イリーガルMAP「ホースヘッド分隊」が乗るヘリの強襲を受けた。達也はバイクごと空へ跳び上がってヘリを墜落・炎上させ、飛び出してきた4人の暗殺者を「トライデント」で瞬時に殲滅した。さらに警察の機動隊の追跡を逃れるため、バイクのナンバーと外装を魔法で偽装して先を急いだ。
まとめ
横須賀軍港を目前にした達也の前に、師匠である九重八雲が立ち塞がった。八雲はパラサイトを国外へ追放したいという東道青波ら国家の黒幕の意向を受け、光宣の逃走を助けるために達也を足止めしに来たのである。
達也は八雲の「欺身暗気」などの強力な幻術に苦戦を強いられたが、最後には幻覚による痛みを無視して分解魔法を放ち、八雲の本体を無力化した。
しかし、この戦闘で生じたタイムロスにより、以下の結末を迎えた。
・光宣と水波は既にUSNA海軍の潜水艦「コーラル」に乗り込み、日本の領海外へ脱出していた。
・公海上の軍艦に手を出せば国家間紛争になるため、達也はそれ以上の追跡を断念した。
・結果として、水波の奪還は失敗に終わった。
水波の拉致と葛藤
『魔法科高校の劣等生』28巻および29巻における、桜井水波の拉致から逃走中の隠れ家で抱いた葛藤、そして同行を決意するまでの経緯について解説する。
病院からの拉致と裏切りの自覚
九島光宣は、想いを寄せる水波の命を救う(パラサイト化する)ため、彼女が入院している調布の病院を襲撃した。その際の出来事と水波の心境は以下の通りである。
・病室で光宣は司波深雪の精神凍結魔法「コキュートス」を受けそうになるが、その瞬間、水波は咄嗟に深雪の前に立ちはだかり、光宣を庇ってしまった。
・深雪が魔法の行使を躊躇した隙を突き、光宣は水波を連れ去った。
・青木ヶ原樹海に用意された周公瑾の隠れ家へと逃れる道中や館の中で、水波は自分は主である深雪を裏切ってしまったという強烈な罪悪感と深い後悔の淵に沈むこととなる。
魔法と人の選択による苦悩
隠れ家において光宣は、水波の意思を最大限に尊重し、無理強いはしないと誓っていた。彼は水波に「パラサイト化して魔法を使い続けるか、魔法師であることを止めて人として生きるか」の選択を委ね、結論を急がせなかった。しかし水波にとって、それは以下の理由から残酷な選択であった。
・魔法を失えば深雪の役に立てない。
・パラサイトになれば人間ではなくなり、もはや深雪の側にいることはできない。
水波の葛藤の根底には、自分は誰の役にも立てない無用の存在になり、深雪から見捨てられてしまうのではないかという極度の恐怖があった。
光宣への想いと自己評価の低さ
水波は光宣に対して確かに惹かれる思いを抱いていた。しかし、自分は地味なメイドに過ぎず、絶世の美貌と力を持つ光宣に釣り合うはずがないという自己評価の低さから、彼の純粋な好意が永遠に続くとは信じきれずにいた。深雪への絶対的な忠誠心と、光宣への淡い恋心の間で、水波の心は激しく揺れ動いていた。
まとめ
迷い続ける水波の前に、結界を突破した九重八雲が姿を現した。八雲の助言と水波の決断は以下の通りである。
・光宣の逃亡先はミッドウェー島周辺であり、もし水波が同行すれば達也は必ずそこへ追撃に向かうだろうと告げた。
・達也がミッドウェー島で米軍の監獄破りの依頼をこなすことになれば、それが達也と深雪の未来を保障する縁になると助言した。
この言葉が決定打となり、水波は光宣と共に日本を離れる決意を固める。光宣に対し「結論が出るまで、もう少しご一緒させてください」と告げた水波を、光宣は歓喜の表情で受け入れた。しかし水波の胸中には、光宣の純粋な好意を利用して達也たちに利益をもたらそうとしている自分に対する、新たな罪悪感という棘が深く突き刺さっていたのである。
幽体離脱と精神体
『魔法科高校の劣等生』における「幽体離脱(アストラル・プロジェクション)」と「精神体(幽体)」について、アレクサンダー・アークトゥルスとの戦闘や、司波達也による対抗魔法の確立などの観点から解説する。
幽体離脱による脱出と精神体の誕生
USNA軍「スターズ」の魔法師アレクサンダー・アークトゥルスは、パラサイト化して日本に潜入した直後、達也の魔法によって自らの肉体に封印された。外界から完全に遮断された虚無の闇の中で覚醒した彼は、肉体側から精神を拘束する強固な封印を物理的に解除することは不可能だと判断した。その後の展開は以下の通りである。
・精神と肉体の結びつきを断つ古式魔法「幽体離脱(アストラル・プロジェクション)」を発動し、精神体(幽体)として肉体という牢獄から脱出した。
・本来の幽体離脱は肉体と魂が「糸」で繋がっているが、この時のアークトゥルスにはその繋がりがなかった。
・彼自身も自分が完全に肉体と断絶し、死んだ(亡霊になった)と認識していた。
精神体の特性と魔法行使
肉体という物質的な檻から解放された精神体は、海や山などの物理的障害を無視し、生前に体験したことのある速度(超音速戦闘機など)で移動することが可能である。しかし、機械的なナビゲーションシステムは利用できないため、明確な目的地や強い因縁のある目印(生体波動など)がなければ、闇雲に移動して精神力を消耗するだけという欠点がある。戦闘面における特徴は以下の通りである。
・武器を併用する魔法は使えないが、流体や電磁波に干渉する魔法、特に精神干渉系の系統外魔法は、幽体状態の方がスムーズに行使できる。
・過去の実験では、幽体状態での魔法行使は通常よりも威力や速度が低下し、戦闘は2〜3分が限度とされていた。
・しかし、パラサイトであったアークトゥルスの幽体は非常にタフで、達也の「術式解体(グラム・デモリッション)」の直撃にも耐え、長時間の激しい魔法戦を繰り広げるという異常な耐久性を見せた。
精神体と想子・霊子の関係(達也の仮説)
達也は、「精神(霊子情報体)」が形作る構造を直接視認できないため、精神体に直接「分解」魔法は通用しないという限界を抱えていた。しかし、アークトゥルスとの戦闘中に、精神が物質次元や情報次元に干渉するためには、想子(サイオン)で構築された構造体を媒体とし、その中に「通路(チャネル)」を設けているはずだという仮説に辿り着いた。
達也が「精霊の眼」でアークトゥルスの幽体の深部を観察した結果は以下の通りである。
・幽体離脱の術式を維持するための稼働中のチャネルが存在した。
・そこからほとんど途切れなく事象干渉力が送られてきているのを発見した。
・この時、達也は事象干渉力の正体が霊子波であることを観測している。
まとめ
達也は、この幽体離脱を維持するためのチャネルを標的とし、「術式解散(グラム・ディスパージョン)」を応用した情報体分解魔法を放った。事象干渉力の供給路を破壊されたアークトゥルスの幽体は、存在を維持できなくなり、虚空に吸い込まれるように消滅して、再び肉体の中(虚無の闇)へと強制送還された。
さらにその後、青木ヶ原樹海の隠れ家において、達也は藤林長正が操る死霊(死者の残留思念)と交戦する。この戦いで達也は、霊子情報体そのものを狙うのではなく、霊子情報体をこの世界に存在させている想子情報体支持構造を破壊する新魔法「アストラル・ディスパージョン」を発動した。精神体を直接滅ぼすのではなく、この世界に存在するための足場を分解して追放するこの魔法により、達也は精神生命体を事実上消滅(殺害)させる決定的な手段を確立したのである。
リーナの一高編入
『魔法科高校の劣等生』における、アンジェリーナ・クドウ・シールズ(リーナ)の第一高校への再編入の背景とその経緯について解説する。
一高編入の背景と目的
司波達也が新戦略級魔法の基礎設計に関与していた事実が公になり、マスコミの取材攻勢や外国工作員、反魔法主義者から深雪を守る必要が生じた。その際の提案と決定は以下の通りである。
・四葉真夜はマスコミ対策の護衛として黒羽亜夜子の転校を提案した。
・達也は身内への負担を避けるため、現在四葉家で保護しているUSNA軍のアンジェリーナ・クドウ・シールズ(リーナ)を深雪の護衛に付けることを提案した。
・彼女の強力な偽装魔法「仮装行列」で深雪の外見を偽装することが目的である。
真夜もこれを許可したことで、護衛任務の手段としてリーナの第一高校への再編入が決定した。
リーナの葛藤と説得
達也から一高への再編入を求められたリーナは、既に軍人として就職している自分が今更ハイスクールに通うことへの体裁や恥ずかしさから、強い心理的抵抗を示した。これに対する達也の説得とリーナの決断は以下の通りである。
・達也は、依頼を受けた仕事を遂行するための手段だと考えれば体裁を気にする必要はないと説き伏せた。
・リーナは、護衛の仕事に必要なことを恥ずかしがるのは間違っていると思い直した。
結果として、リーナは一高への編入に同意した。
防衛省からの圧力と百山校長の信念
達也、深雪、リーナの三人は休校中の一高を訪れ、百山校長と面会した。その際のやり取りは以下の通りである。
・百山校長は、実は防衛省からシールズを編入させないように圧力が掛かっていることを明かした。
・しかし百山校長は、リーナの祖父である九島健と「魔法師であっても教育の機会を奪われてはならない」という信念を共に模索した同志であった。
・そのため、リーナ自身に学ぶ意志があるならば、軍の不当な圧力には屈せず彼女を受け入れると力強く約束した。
まとめ
受け入れの条件として、百山校長は翌日に魔法理論と実技の編入試験を受けるようリーナに指示した。その後の展開は以下の通りである。
・突然の試験決定にリーナは動揺して引き攣った声を上げるが、帰宅後に深雪の熱心なサポートを受けて猛勉強に励んだ。
・結果として、リーナは無事に編入試験をパスして第一高校の三年生に復帰した。
・変装魔法を用いて深雪の護衛役を果たしながら学校生活を送ることとなった。
呂剛虎暗殺計画
『魔法科高校の劣等生』において、大亜連合の「人喰い虎」こと呂剛虎(ルウガンフウ)が企てた劉麗蕾(リウ・リーレイ)暗殺計画と、それに絡む各勢力の思惑や結末について解説する。
呂剛虎による劉麗蕾暗殺計画と光宣の関与
大亜連合の工作部隊を率いる呂剛虎は、日本へ亡命した自国の国家公認戦略級魔法師・劉麗蕾を暗殺するため、山陰の松江から日本へ密入国し、彼女が保護されている小松基地周辺へと潜入した。この密入国と九島光宣の関与は以下の通りである。
・光宣が裏で手引きをし、呂剛虎の暗殺工作による混乱を陽動として利用しようと企てていた。
・自身が青木ヶ原樹海の隠れ家から別の場所へ脱出する時間を稼ぐことが目的であった。
・しかし、暗殺がスムーズに成功して混乱が小規模で終わることを危惧した光宣は、自ら国防陸軍第一師団遊撃歩兵小隊(抜刀隊)へ密入国の情報を密告し、意図的に軍を動かした。
国防軍(佐伯少将)による計画の黙認と思惑
一方、国防陸軍第一〇一旅団の佐伯少将と風間中佐も、藤林響子による周公瑾のネットワーク傍受を通じて、呂剛虎の密入国計画を日時や場所に至るまで事前に完全に把握していた。風間は水際で工作員を捕らえようとしたが、佐伯はそれを許可せず、情報の秘匿を命じた。佐伯の真の狙いは以下の通りである。
・呂剛虎による劉麗蕾の暗殺を黙認し、利用すること。
・劉麗蕾が排除されれば新ソ連が軍事行動を起こす口実が失われ、将来的に彼女の戦略級魔法「霹靂塔」が日本に向けられるリスクも消滅する。
・亡命者を守り切れなかった責任を監視役の一条将輝にも負わせることで、国防軍だけでなく十師族の権威をも失墜させるという政治的なメリットを計算していた。
小松市での強襲と林少尉の死
小松市に潜入した呂剛虎は、厳重な警備が敷かれた小松基地を直接襲撃するのではなく、市街地の香港資本の薬局に現れた。そこでの行動と小松基地の対応は以下の通りである。
・劉麗蕾の護衛隊長であり、実は新ソ連のスパイでもあった林衣衣(リン・イーイー)少尉を拘束した。
・林を人質に取り、彼女の端末から基地の部下へ通信させることで劉麗蕾をおびき出そうと図った。
・この知らせを受けた小松基地は混乱に陥り、劉麗蕾は林を救うために自ら基地を出ようと訴えたが、一条将輝や護衛兵の判断によって阻止された。
まとめ
光宣からの密告メールを受けて小松市で呂剛虎を捜索していた抜刀隊の千葉修次と渡辺摩利が、現場の薬局に駆けつけた。呂剛虎は店内にいた摩利に気付くと、人質にしていた林の身体を窓から投げ捨てて飛び出し、修次との交戦に入った。
共に白兵戦では世界最強クラスと謳われる二人の戦いは、全くの互角の死闘となった。しかし、あくまでも劉麗蕾暗殺という任務を優先しようとする呂剛虎に対し、修次は初めから呂剛虎との因縁の決着(殺害)を心に期していた。修次は慣性制御を用いた「幻の剣」で呂剛虎の間合いを狂わせ、最後は肉体の情報に直接干渉して心臓を貫かれたと錯覚させる無系統魔法の秘剣「突陰(つきかげ)」を放ち、呂剛虎を撃破した。
結果として呂剛虎の暗殺計画は未発のまま頓挫し、彼を利用して時間稼ぎを狙っていた光宣の目論見や、暗殺を黙認して十師族の失墜を狙った佐伯少将の思惑も、すべて計算外の失敗に終わることとなった。
イリーガルMAPの襲撃
『魔法科高校の劣等生』における、USNA軍の非合法魔法師暗殺者小隊「イリーガルMAP(ホースヘッド分隊)」による襲撃事件について、その目的から部隊の壊滅に至るまでの経緯を解説する。
イリーガルMAPの正体と目的
イリーガルMAP(illegal Mystic Assassin Platoon)は、USNA軍統合参謀本部直属の非合法な魔法師部隊であり、表沙汰にできない暗殺任務を専門としている。彼らの目的と潜入の経緯は以下の通りである。
・新戦略級魔法「海爆」の基礎設計に関与していた司波達也を、USNAの覇権を揺るがす脅威と見なした参謀本部の対日強硬派が暗殺を決定した。
・スターズ基地司令ポール・ウォーカー大佐を通じて、イリーガルMAPの「ホースヘッド分隊(計10名)」に達也の暗殺を命じた。
・彼らは一般人を装って羽田空港から日本へ不正入国し、首都圏に潜入した。
人質作戦の実行とアジトでの洗脳
ホースヘッド分隊長アル・ワンは、達也をおびき出し抵抗を封じるため、彼の友人である柴田美月と光井ほのかを人質とする作戦を立案し、部隊を二手に分けて同時襲撃を実行した。
・美月の襲撃:ゲイブ、ヘンリー、イギーの3名が、下校途中の美月と吉田幹比古を川沿いの道で襲撃した。エリカとレオが救援に駆けつけたことで形勢が逆転し、暗殺者たちは煙幕などを使い撤退した。
・ほのかの拉致:ジュリア、エリー、フランクの3名は、帰宅直後のほのかを背後から襲撃し、薬物で意識を奪ってアジトへと連れ去った。
人質がほのか一人になったため、アル・ワンは作戦を変更する。薬物で思考を麻痺させたほのかに司波達也を殺せという暗示を刷り込み、暗殺のブービートラップにして送り返そうと企てた。しかし、ほのかの達也への強い思いが暗示に激しく抗い、強烈な光の洪水を発生させた。
国防軍の急襲と逃走
その直後、遠山(十山)つかさ率いる国防陸軍情報部の防諜部隊がアジトを急襲した。その結果と逃走の経緯は以下の通りである。
・逃亡が不可能となったイギーとゲイブの2名は、機密保持のルールに従い自爆して命を絶った。
・アル・ワンを含む残る8名は、ほのかを置き去りにして地下の荷物配送用チューブを使って逃走した。
地下から脱出した8名は報道機関のヘリコプターを奪って離陸する。逃走中、彼らの通信端末に七賢人レイモンド・クラークから、達也が鎌倉から小田原に向かう高速道路上に現れるという密告が届いた。アル・ワンは罠の可能性を考慮しつつも、本来の暗殺任務を優先して西へと進路をとった。
まとめ
小田原付近の上空で達也(飛行バイク「ウイングレス」で走行中)を発見したホースヘッド分隊は、アサルトカービンで銃撃を仕掛けた。それに対する達也の反撃と結末は以下の通りである。
・達也はバイクごと空中に跳び上がってヘリに体当たりし、魔法「雲散霧消」でヘリを爆破した。
・炎上・墜落するヘリの中で4名が焼死した。
・炎を耐え抜いて脱出した4名の魔法師(アル・ワンら)も、着地した達也の三連分解魔法「トライデント」によって一瞬で肉体を消滅させられた。
結果として、日本に潜入したイリーガルMAP・ホースヘッド分隊は、達也一人を相手にわずか3分も持たずに完全な殲滅を迎えることとなった。
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魔法科 (30) 奪還編レビュー
登場キャラクター
四葉家・分家
司波達也
司波深雪の婚約者であり、彼女の安全を最優先に行動する。同時にトーラス・シルバーとしての顔を持つ。
・所属組織、地位や役職
第一高校の生徒。特務士官(大黒特尉)。
・物語内での具体的な行動や成果
水波奪還のため青木ヶ原樹海で光宣の隠れ家を探索した。アークトゥルスの幽体や九重八雲、藤林長正と交戦してこれを退けた。高速道路上でイリーガルMAPホースヘッド分隊を殲滅した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
新戦略級魔法「海爆」の基礎設計提供者であることが記者会見で公表された。
司波深雪
達也の婚約者であり、水波を家族のように思っている。水波が攫われたことに自責の念を抱いている。
・所属組織、地位や役職
第一高校の生徒会長。四葉家次期当主。
・物語内での具体的な行動や成果
病院で光宣と対峙し、パラサイドールを魔法で無力化した。一高の編入試験を受けるリーナに勉強を教えた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき地位の変化は記載されていない。
桜井水波
深雪の護衛を務める少女である。深雪を裏切って光宣を庇ったことに深い罪悪感を抱いている。
・所属組織、地位や役職
四葉家のメイド。
・物語内での具体的な行動や成果
光宣によって病院から連れ去られた。青木ヶ原樹海の隠れ家からUSNA海軍の潜水艦へ同行した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
光宣からパラサイト化を提案され、結論を保留している。
桜崎千穂
津久葉夕歌のガーディアンを務める。
・所属組織、地位や役職
津久葉家のガーディアン。
・物語内での具体的な行動や成果
病院が襲撃された際の状況を無線で達也に報告した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき地位の変化は記載されていない。
津久葉夕歌
四葉分家である津久葉家の関係者である。
・所属組織、地位や役職
四葉分家・津久葉家の関係者。
・物語内での具体的な行動や成果
深雪の指示で病院の外の対応にあたった。病院に到着した達也と克人を出迎えた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき地位の変化は記載されていない。
黒羽貢
四葉分家・黒羽家の当主である。達也の生き方を好ましく思っていないが、娘の頼みで彼に協力する。
・所属組織、地位や役職
黒羽家当主。
・物語内での具体的な行動や成果
達也の前に現れ、藤林長正の身柄を引き取った。光宣が小田原に向かっていることを達也に伝えた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき地位の変化は記載されていない。
黒羽亜夜子
黒羽貢の娘である。水波のことを心配しており、達也への支援を画策する。
・所属組織、地位や役職
黒羽家。
・物語内での具体的な行動や成果
本家当主の真夜に直接電話をかけ、達也への援軍派遣を求めた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき地位の変化は記載されていない。
黒羽文弥
黒羽貢の息子である。達也を慕っている。
・所属組織、地位や役職
黒羽家。
・物語内での具体的な行動や成果
達也に九島真言と蒼司の所在が不明であることを報告した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき地位の変化は記載されていない。
花菱兵庫
達也の執事であり、深雪の安全を重んじている。
・所属組織、地位や役職
達也の執事。花菱モータースポーツの代表者。
・物語内での具体的な行動や成果
達也に状況を報告した。深雪が誘拐現場へ自ら向かうのを制止した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
民間軍事会社での経験を持つ。
四葉真夜
四葉家の当主である。一族の利益と深雪の安全を管理している。
・所属組織、地位や役職
四葉家当主。
・物語内での具体的な行動や成果
マスコミ対策としてリーナを深雪の護衛につけることを提案した。達也の要望を受け、リーナの一高編入を手配した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき地位の変化は記載されていない。
葉山
四葉家の執事である。
・所属組織、地位や役職
四葉家執事。
・物語内での具体的な行動や成果
真夜の傍に控え、彼女の不満の言葉に対して礼儀正しく沈黙を守った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき地位の変化は記載されていない。
新発田勝成
四葉分家・新発田家の次期当主であり、分家中最強の戦闘力を持つ。
・所属組織、地位や役職
新発田家次期当主。防衛省職員。
・物語内での具体的な行動や成果
巳焼島の被害調査と対策のため、羽田空港から島へ派遣された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき地位の変化は記載されていない。
提琴鳴
勝成の婚約者であり、元ガーディアンである。
・所属組織、地位や役職
新発田家の関係者。
・物語内での具体的な行動や成果
勝成に同行して巳焼島の管理施設へ向かった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき地位の変化は記載されていない。
堤奏太
提琴鳴の弟であり、勝成の現在のガーディアンを務める。
・所属組織、地位や役職
新発田家のガーディアン。
・物語内での具体的な行動や成果
勝成に同行して巳焼島の管理施設へ向かった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき地位の変化は記載されていない。
作間
新発田家に長く仕える使用人である。
・所属組織、地位や役職
新発田家の使用人。
・物語内での具体的な行動や成果
小型機専用の空港で勝成を出迎えた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき地位の変化は記載されていない。
USNA軍・スターズ・イリーガルMAP
アンジェリーナ・クドウ・シールズ
USNA軍の戦略級魔法師であり、現在は達也たちの庇護下にある。
・所属組織、地位や役職
スターズ総隊長。少佐。
・物語内での具体的な行動や成果
第一高校の編入試験を受け、これに合格した。変装を用いて深雪の護衛役を務める。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
身分を偽り、第一高校への再編入が決定した。
アレクサンダー・アークトゥルス
パラサイト化したUSNA軍人であり、任務の遂行を優先する。
・所属組織、地位や役職
スターズ第三隊隊長。
・物語内での具体的な行動や成果
幽体離脱を行い、空中で達也と交戦した。事象干渉力の通路を達也に分解されて敗北した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
幽体での戦闘に敗れ、虚無の闇の中で意識を失った。
ポール・ウォーカー
スターズの基地司令官であり、達也を排除すべき脅威と考えている。
・所属組織、地位や役職
スターズ本部基地司令官。大佐。
・物語内での具体的な行動や成果
イリーガルMAPに達也暗殺の指示を出した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき地位の変化は記載されていない。
ゾーイ・スピカ
パラサイト化したスターズの隊員である。
・所属組織、地位や役職
スターズ一等星級隊員。中尉。
・物語内での具体的な行動や成果
潜水艦コーラルの艦内で光宣と水波を監視した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき地位の変化は記載されていない。
レイモンド・クラーク
七賢人の一人であり、パラサイトである。光宣を国外へ逃がす手引きを行う。
・所属組織、地位や役職
七賢人。パラサイト。
・物語内での具体的な行動や成果
横須賀軍港で光宣と水波を迎え、潜水艦コーラルへ案内した。警察やイリーガルMAPに情報を流して状況を操作した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき地位の変化は記載されていない。
アル・ワン
ホースヘッド分隊の分隊長であり、任務達成のためには手段を選ばない。
・所属組織、地位や役職
イリーガルMAPホースヘッド分隊長。
・物語内での具体的な行動や成果
達也を誘き出すため、ほのかを人質にするよう部下に指示した。ヘリで達也を襲撃したが、返り討ちに遭った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
達也の分解魔法により消滅した。
ジュリア・マー
ホースヘッド分隊の女性隊員である。
・所属組織、地位や役職
イリーガルMAPホースヘッド分隊。
・物語内での具体的な行動や成果
ほのかの誘拐を実行した。作戦の変更をアル・ワンに進言した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
達也の分解魔法により消滅した。
フランク・ウー
ホースヘッド分隊の隊員である。
・所属組織、地位や役職
イリーガルMAPホースヘッド分隊。
・物語内での具体的な行動や成果
ほのかの誘拐に関与した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
達也の分解魔法により消滅した。
ゲイブ・シュイ
ホースヘッド分隊の隊員であり、純魔法戦を得意とする。
・所属組織、地位や役職
イリーガルMAPホースヘッド分隊。
・物語内での具体的な行動や成果
川の周辺で幹比古と交戦した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
逃亡が不可能となり自爆した。
ヘンリー・フー
ホースヘッド分隊の隊員であり、軍人気質を残している。
・所属組織、地位や役職
イリーガルMAPホースヘッド分隊。
・物語内での具体的な行動や成果
ガラスの短剣やリストウェイトを用いてレオと肉弾戦を行った。撤退命令を出して逃走した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
達也の分解魔法により消滅した。
イギー・ホー
ホースヘッド分隊の隊員であり、針金を用いた戦闘を行う。
・所属組織、地位や役職
イリーガルMAPホースヘッド分隊。
・物語内での具体的な行動や成果
エリカと交戦し、煙幕を使って逃走した。隠れ家で防諜部隊の攻撃を受けた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
致命傷を負い自爆した。
バート・リー
ホースヘッド分隊の副隊長格である。
・所属組織、地位や役職
イリーガルMAPホースヘッド分隊。
・物語内での具体的な行動や成果
作戦に疑問を呈した。逃走用のヘリコプターの操縦を行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
達也の分解魔法により消滅した。
チャーリー・チャン
ホースヘッド分隊の隊員である。
・所属組織、地位や役職
イリーガルMAPホースヘッド分隊。
・物語内での具体的な行動や成果
アジトの隠れ家を警戒した。ヘリから達也を発見した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
達也の分解魔法により消滅した。
ドン・ヤン
ホースヘッド分隊の隊員である。
・所属組織、地位や役職
イリーガルMAPホースヘッド分隊。
・物語内での具体的な行動や成果
アジトの警戒にあたった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
達也の分解魔法により消滅した。
エリー・チャオ
ホースヘッド分隊の女性隊員である。
・所属組織、地位や役職
イリーガルMAPホースヘッド分隊。
・物語内での具体的な行動や成果
ほのかの誘拐に関与した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
達也の分解魔法により消滅した。
九島家・藤林家
九島光宣
水波を救うために自らパラサイトとなった少年である。水波の意思を尊重しようと努めている。
・所属組織、地位や役職
九島家。パラサイト。
・物語内での具体的な行動や成果
病院を襲撃し水波を連れ去った。青木ヶ原樹海の隠れ家からレイモンドの手引きで逃亡した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
水波と共にUSNA海軍の潜水艦に乗船し、日本を離れた。
九島真言
九島家の当主であり、光宣の父親である。九島家の名誉を守るため光宣を国外へ逃がそうとする。
・所属組織、地位や役職
九島家当主。
・物語内での具体的な行動や成果
隠れ家を訪れ、光宣に逃亡のための身代わりと手引きを提供した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき地位の変化は記載されていない。
九島蒼司
九島家の次男であり、父の命令に従って行動する。
・所属組織、地位や役職
九島家。
・物語内での具体的な行動や成果
光宣の身代わりとして仮装行列を受け、車を運転して達也の囮となった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき地位の変化は記載されていない。
藤林長正
藤林家の当主である。忍術を現代に活かすことを目的としており、光宣を一族として自ら処断しようとする。
・所属組織、地位や役職
藤林家当主。
・物語内での具体的な行動や成果
青木ヶ原樹海で達也を妨害し、影分身と死霊を用いた結界で交戦したが敗れた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
達也の攻撃と術の反動により、自滅に近い状態に陥った。
藤林響子
長正の娘であり、風間の副官を務める。
・所属組織、地位や役職
独立魔装大隊中尉。
・物語内での具体的な行動や成果
当主の代理として達也の元を訪れ、謝罪とともに九島家の秘術のデータを提供した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき地位の変化は記載されていない。
パラサイドール
九島家が開発した人型魔法兵器である。
・所属組織、地位や役職
九島家(光宣が使役)。
・物語内での具体的な行動や成果
光宣による病院の襲撃に使用され、深雪の魔法で機能を停止した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき地位の変化は記載されていない。
第一高校の生徒・教職員
千葉エリカ
達也の友人であり、仲間を思いやる気持ちが強い。
・所属組織、地位や役職
第一高校の生徒。
・物語内での具体的な行動や成果
川沿いでイギー・ホーと交戦した。誘拐されたほのかの救出に向かった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき地位の変化は記載されていない。
西城レオンハルト
達也の友人であり、肉弾戦に優れる。
・所属組織、地位や役職
第一高校の生徒。
・物語内での具体的な行動や成果
ヘンリー・フーと川の中で肉弾戦を行い、相手を撤退に追い込んだ。エリカと共にほのかの救出へ向かった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき地位の変化は記載されていない。
吉田幹比古
達也の友人であり、古式魔法の使い手である。
・所属組織、地位や役職
第一高校の生徒。
・物語内での具体的な行動や成果
川沿いでホースヘッド分隊の襲撃を受け、美月を庇いながらゲイブ・シュイと魔法戦を行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき地位の変化は記載されていない。
光井ほのか
達也に強い好意を寄せる少女である。
・所属組織、地位や役職
第一高校の生徒。
・物語内での具体的な行動や成果
ホースヘッド分隊に誘拐され薬物で意識を奪われたが、達也への殺害暗示を強い意志で拒絶した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
軍と警察によって救出された。
北山雫
ほのかの親友である。
・所属組織、地位や役職
第一高校の生徒。
・物語内での具体的な行動や成果
カフェでエリカたちと合流し、共に下校した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき地位の変化は記載されていない。
柴田美月
霊子放射光過敏症を持つ少女である。
・所属組織、地位や役職
第一高校の生徒。
・物語内での具体的な行動や成果
帰宅途中にホースヘッド分隊に狙われ、幹比古に守られた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき地位の変化は記載されていない。
七草泉美
七草家の娘であり、深雪を敬慕している。
・所属組織、地位や役職
第一高校の生徒会役員。
・物語内での具体的な行動や成果
始業前の生徒会室で深雪とリーナを出迎えた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき地位の変化は記載されていない。
三矢詩奈
三矢家の娘である。
・所属組織、地位や役職
第一高校の生徒。
・物語内での具体的な行動や成果
父と兄が達也の計画を軍に密告しようとしていることを深雪に伝えた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき地位の変化は記載されていない。
ピクシー
パラサイトが宿った非ヒューマノイド型ロボットである。
・所属組織、地位や役職
第一高校生徒会室に常駐。
・物語内での具体的な行動や成果
ほのかの誘拐を感知し、現在位置をトレースして深雪に報告した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき地位の変化は記載されていない。
百山東
第一高校の校長であり、教育者としての信念を持つ。軍の圧力に屈しない。
・所属組織、地位や役職
第一高校校長。
・物語内での具体的な行動や成果
リーナの第一高校への再編入を認め、編入試験を受けさせた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
九島健と親交があったことが明かされた。
八百坂
第一高校の教頭である。
・所属組織、地位や役職
第一高校教頭。
・物語内での具体的な行動や成果
リーナの編入試験の科目と日程を説明した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき地位の変化は記載されていない。
十文字家
十文字克人
十文字家当主であり、首都防衛の責任感が強い。
・所属組織、地位や役職
十文字家当主。
・物語内での具体的な行動や成果
逃走した光宣の追跡を陣頭指揮した。達也と共に樹海の結界を調査した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき地位の変化は記載されていない。
一条家・第三高校
一条将輝
一条家の長男であり、劉麗蕾の監視と保護を担当している。
・所属組織、地位や役職
第三高校の生徒。国家公認戦略級魔法師。
・物語内での具体的な行動や成果
新ソ連艦隊を新戦略級魔法「海爆」で撃退し、記者会見に出席した。小松基地で劉麗蕾を慰めた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
日本で二人目の国家公認戦略級魔法師として政府に認定された。
吉祥寺真紅郎
将輝の親友であり、「海爆」の開発者である。
・所属組織、地位や役職
第三高校の生徒。金沢魔法理学研究所。
・物語内での具体的な行動や成果
記者会見で、「海爆」の基礎理論が司波達也からの提供であることを公表した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき地位の変化は記載されていない。
一条茜
将輝の妹である。
・所属組織、地位や役職
一条家。中学生。
・物語内での具体的な行動や成果
小松基地で劉麗蕾に日本の一般常識を教えた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき地位の変化は記載されていない。
国防軍・警察・SMAT
佐伯
第一〇一旅団司令官であり、国家の利益を最優先する。
・所属組織、地位や役職
国防陸軍第一〇一旅団司令官。少将。
・物語内での具体的な行動や成果
呂剛虎の密入国を黙認し、劉麗蕾暗殺を利用しようとした。風間に光宣捕縛への不干渉を命じた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき地位の変化は記載されていない。
風間
独立魔装大隊の指揮官である。佐伯の腹心だが、その命令に疑問を抱くこともある。
・所属組織、地位や役職
国防陸軍第一〇一旅団独立魔装大隊指揮官。中佐。
・物語内での具体的な行動や成果
佐伯に光宣の追跡を提案したが却下された。達也にリーナの登校を止めるよう抗議した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき地位の変化は記載されていない。
千葉修次
千葉家の剣士であり、摩利の恋人である。実直で任務に忠実。
・所属組織、地位や役職
国防陸軍第一師団遊撃歩兵小隊。防衛大の学生(特例で少尉)。
・物語内での具体的な行動や成果
小松基地近郊で呂剛虎と白兵戦を行い、無系統魔法の秘剣で撃破した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき地位の変化は記載されていない。
渡辺摩利
防衛大の学生であり、修次の恋人である。
・所属組織、地位や役職
国防陸軍第一師団遊撃歩兵小隊。防衛大の学生。
・物語内での具体的な行動や成果
小松市で林少尉の不審な行動を察知し追跡した。新ソ連のエージェントを無力化した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき地位の変化は記載されていない。
遠山つかさ
師補十八家・十山家の出身である。
・所属組織、地位や役職
国防陸軍情報部防諜部隊。曹長。
・物語内での具体的な行動や成果
イリーガルMAPのアジトを急襲し、ほのかを救出した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき地位の変化は記載されていない。
東海林
千葉道場の門下生であり、エリカを崇拝している。
・所属組織、地位や役職
SMAT隊員。
・物語内での具体的な行動や成果
覆面パトカーでエリカとレオを迎えに行き、誘拐犯のアジト付近へ案内した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき地位の変化は記載されていない。
犬飼
陸軍情報部防諜部隊の幹部であり、十山家とのつながりを持つ。
・所属組織、地位や役職
陸軍情報部防諜部隊防諜十課課長。
・物語内での具体的な行動や成果
秘密会議でイリーガルMAPの密入国を報告し、達也暗殺阻止の意見を述べた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき地位の変化は記載されていない。
恩田
陸軍情報部特務一課の幹部である。
・所属組織、地位や役職
陸軍情報部特務一課課長。
・物語内での具体的な行動や成果
秘密会議で、達也の暗殺を阻止すべきだと提言した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき地位の変化は記載されていない。
大亜連合・新ソ連
劉麗蕾
大亜連合の戦略級魔法師であり、日本に保護されている。
・所属組織、地位や役職
大亜連合軍。国家公認戦略級魔法師。
・物語内での具体的な行動や成果
林少尉が新ソ連の工作員であったと知らされ、ショックを受けて涙を流した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき地位の変化は記載されていない。
呂剛虎
大亜連合の工作部隊に属する暗殺者である。
・所属組織、地位や役職
大亜連合軍工作部隊。
・物語内での具体的な行動や成果
日本に密入国し、小松市で林少尉を殺害したが、修次との戦闘で敗北した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
修次の魔法により撃破された。
林衣衣
劉麗蕾の護衛隊長であるが、正体は新ソ連の工作員である。
・所属組織、地位や役職
大亜連合軍少尉。
・物語内での具体的な行動や成果
監視兵を催眠術で操り基地を抜け出したが、薬局で呂剛虎に捕らえられた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
新ソ連のエージェントに射殺された。
イーゴリ・アンドレイビッチ・ベゾブラゾフ
新ソ連の戦略級魔法師であり、達也を激しく憎悪している。
・所属組織、地位や役職
新ソ連の国家公認戦略級魔法師。
・物語内での具体的な行動や成果
将輝と吉祥寺の記者会見の映像を見て、自分の魔法が盗まれたと激しい怒りを抱いた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき地位の変化は記載されていない。
サーシャ・フー
新ソ連の連絡員であり、薬局の店員を装っている。
・所属組織、地位や役職
新ソ連のエージェント。
・物語内での具体的な行動や成果
呂剛虎に屈し、指示を受けて林少尉を射殺した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
摩利に無力化され拘束された。
その他
九重八雲
忍術使いであり、達也の師匠にあたる。国家の黒幕からの依頼で動いている。
・所属組織、地位や役職
僧侶、忍び。
・物語内での具体的な行動や成果
青木ヶ原の結界に侵入して光宣に条件を提示した。達也の追跡を幻術で妨害し、交戦の末に敗北を認めた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき地位の変化は記載されていない。
魔法科 (27) 急転編レビュー
魔法科 まとめ(3年生)
魔法科シリーズ まとめ
魔法科 (30) 奪還編レビュー
展開まとめ
[0]
意識の覚醒と虚無の認識
アレクサンダー・アークトゥルスは、日本潜入直後に襲撃を受けて意識を失い、完全な闇の中で覚醒した。そこには光も感覚も存在せず、自身の肉体すら認識できない状態であった。
この状況から彼は、自分が既に死んだのではないかと考え、死後の世界が裁きではなく虚無である可能性に思い至った。
パラサイトからの切断への違和感
思考を続ける中で、アークトゥルスは自身が完全に孤立していることに違和感を覚えた。本来パラサイトであれば他個体の思念が流れ込むはずであったが、それが一切存在しなかった。
この事実から、彼は集合意識から切り離されている状態にあると認識した。
パラサイトの本質と自己認識の揺らぎ
彼はパラサイトの性質を再確認しつつ、自身の状態を分析した。パラサイトは個としての自我が不完全であり、他者の思念と混在する存在であった。
しかし現在はその影響が消えており、人間へ戻った可能性と、未知の変質への恐怖が同時に生じていた。
封印状態の理解
やがてアークトゥルスは、自身が死んだのではなく封印されていると推測した。精神が肉体から切り離され、外界との接続が遮断されている状態であると結論付けた。
その封印は古式魔法によるものであり、肉体側から精神を拘束する術式であると見抜いた。
幽体離脱による脱出
封印の直接解除が困難であると判断した彼は、精神と肉体の結び付きを断つ方法を選択した。アストラル・プロジェクションを発動し、強い抵抗を押し切って肉体から離脱した。
その結果、輸送機内にある自分の肉体を外側から視認する状態に至った。
肉体との断絶と死の認識
離脱後、通常存在するはずの肉体と精神を繋ぐ結び付きが消失していることに気付いた。これにより、肉体との完全な断絶、すなわち死の可能性を認識した。
しかし外界を認識できている現状を受け入れ、動揺は速やかに収束した。
任務遂行への再決意
アークトゥルスは、自身の存在意義をUSNA軍人としての任務に見出した。幽体となってもなお、その役割を果たすべきだと判断した。
彼に課せられていた任務は、司波達也の恒星炉プラントを破壊し、ディオーネー計画への参加を強制する状況を作ることであった。
そのため彼は、幽体の状態でも行使可能な魔法によって任務を遂行する決意を固めた。一方で、他のパラサイトたちは既に達也によって無力化されており、彼のみが残された存在となっていた。
[1]
水波拉致と達也の帰還対応
水波が光宣に攫われたことで、深雪は達也に救援を求めた。達也は即座に巳焼島を発ち、移動中から状況把握に着手した。深雪の説明が混乱していることを理解し、負担を避けて桜崎千穂から情報を得る方針を取った。
病院襲撃と防衛線突破の実態
光宣はパラサイドールを自爆させて混乱を引き起こし、解放されたパラサイトによる市民襲撃の隙を突いて防衛線を突破した。十文字家が対応に追われる中、光宣は病院へ侵入し、深雪と対峙する状況を作り出していた。
深雪の勝利と水波拉致の不可解性
深雪はパラサイドールを全て無力化しており、その戦闘力に問題はなかった。しかし無傷でありながら水波の拉致を許した点に不自然さが残り、単なる戦闘結果では説明できない状況であった。
達也の判断と追跡方針の確立
達也は推測に固執せず追跡を優先し、想子レーダーから光宣の西進を把握した。同時に仮装行列の機能低下を見抜き、深雪の攻撃による弱体化の可能性を高く評価した。
水波奪還と生け捕りの方針
光宣の弱体化は好機であったが、達也は殺害によるリスクを警戒し、生け捕りを最善と判断した。完全な勝利を保証できない中でも、この機を逃さず決着をつける覚悟を固めた。
深雪との再会と冷静な再起
達也は現場到着後、深雪の無事を確認し動揺を鎮めた。安易な慰めを避けつつ現実的な判断を示し、即時行動の必要性を説いたことで深雪は冷静さを取り戻した。
単独追跡への出発
追跡には飛行装備が不可欠であったため、達也は深雪の同行を認めず単独で出発した。フリードスーツの性能を活かし、高速飛行による追撃を開始した。
光宣の逃走と水波との対峙
光宣は水波を拘束せず、自身の意思で選択させるために連れ出していた。水波もまた罪悪感と葛藤を抱えながら、自身の感情を整理できずにいた。
アークトゥルスとの空中戦闘
達也は幽体となったアークトゥルスと交戦し、防戦を強いられた。幽体特有の性質により分解魔法が通じず、戦闘は長期化した。
幽体離脱構造の看破と撃退
達也は幽体を維持するチャネルを発見し、そこを破壊することでアークトゥルスを無力化した。これにより戦闘は終結し、追跡の障害は排除された。
消耗と撤退判断
激戦により達也は大きく消耗し、無理な追跡継続は危険と判断した。深雪の安全を優先し、一時的な休息を選択した。
十文字家の追跡と合流
十文字家も光宣を追跡していたが、戦闘気配の調査により進路を変更した。達也は克人と合流し、情報を共有したうえで追跡を再開した。
青木ヶ原樹海への潜入推定
光宣の進路から目的地が樹海である可能性が高まり、追跡はより困難な局面に入った。
幻影魔法による隠蔽の発見
達也は樹海内で強力な幻影魔法を看破し、隠された道の存在を突き止めた。これは通常の索敵では発見できない高度な隠蔽であった。
追跡の完全行き詰まり
しかし道は途中で途切れ、追加の手掛かりは得られなかった。こうして光宣の行方は完全に不明となり、追跡は行き詰まった。
[2]
調布への帰還と失敗の共有
達也と十文字克人は夜に調布へ帰還し、病院で深雪たちと再会した。深雪は達也の表情から水波奪還の失敗を察し、達也もそれを認めて謝罪した。深雪は達也を責めず、自らの判断ミスとして受け止め、自責の念を深めていた。
帰宅後の沈黙とすれ違い
二人は自宅へ戻ったが、会話はほとんどなく、深雪は距離を取るようにキッチンへ向かった。達也はその態度を当然と受け止めつつも、適切な言葉を見つけられず、無力感を抱えて沈黙するしかなかった。
光宣の隠れ家と夕食の準備
一方、光宣は隠れ家で水波の作った料理を前にしていた。この隠れ家は強力な結界で守られた特殊空間であり、外部から完全に遮断されていた。水波は通常より時間をかけて食事を用意し、二人は向かい合って食卓に着いた。
ぎこちない食事と緊張した空気
食事は穏やかな内容であったが、二人の間に打ち解けた雰囲気はなく、水波は最低限の応答しかしなかった。互いに距離を保ったまま、緊張した空気の中で食事を終えた。
光宣の告白と選択の提示
食後、光宣は水波にパラサイト化を提案した。これは彼女の命と魔法を両立させるための手段であったが、強制する意思はないと明言した。その上で、魔法を捨てて人として生きるか、パラサイトとして魔法を保つかの選択を水波自身に委ねた。
水波の保留と対話の中断
水波は即答せず、考える時間を求めた。光宣はその意思を尊重し、返答を急がないと伝えて場を離れた。こうして二人の対話は結論を出さぬまま中断された。
深夜の対話と深雪の本音
その夜、達也は深雪と向き合い、出来事の整理を行った。深雪は水波の感情を理解していたつもりだったが、それを受け入れた判断が誤りだったのではないかと悩みを吐露した。
恋心に対する達也の見解
達也は感情は他人が制御できるものではないとし、恋心は障害によって強まることすらあると説明した。この言葉により深雪は、水波の行動を否定しきれない現実を受け入れ始めた。
光宣を殺すべきだったのかという葛藤
深雪は自らの判断を問い直し、光宣を殺すべきだったのではないかと苦悩した。達也は自分なら同様の選択に至った可能性を認めつつ、結果的には同じ葛藤に直面したはずだと語った。
水波と達也の共通する想い
達也は、水波が深雪に人殺しをさせたくなかったように、自分もまた深雪に同じことを望まなかったと明かした。両者の行動の根底には、大切な相手に重荷を背負わせたくないという共通の願いがあった。
達也による深雪の肯定
達也は、当主としての視点では誤りであっても、自分にとって深雪の判断は間違いではないと断言した。その言葉により、深雪は張り詰めていた感情を解放し、涙を流して達也に抱きついた。
[3]
目覚めと昨夜の余韻
七月九日の早朝、深雪は達也の腕に抱かれた状態で目を覚ました。拘束されているようでありながら心地良い感覚に戸惑い、やがてその正体を理解すると強い動揺と羞恥を覚えた。
羞恥と安堵の交錯
深雪は何事もなかったことに安堵しつつも、安堵より落胆を先に感じた自身の内面に気付き、強い羞恥を抱いた。達也に声を掛けられても冷静に振る舞えず、感情の揺れが隠しきれなかった。
昨夜の記憶の回想
深雪は、昨夜リビングで泣き崩れた後に達也に運ばれ、離れたくないと懇願した結果、同じベッドで一夜を過ごしたことを思い出した。その事実を自覚し、さらに強い羞恥に襲われた。
朝の再会と関係の変化
達也は深雪の動揺を深く追及せず、自然に距離を保ったまま接した。やがて深雪は達也と共に運動し、気分転換によって前日よりも落ち着いた状態を取り戻した。
水波救出の優先と意思の一致
達也は気分転換として外出を提案したが、深雪は水波の救出を最優先とすべきだと主張した。その判断を受けて達也も考えを改め、二人は救出に全力を注ぐことで意思を一致させた。
光宣の朝と日常への違和感
一方、光宣は隠れ家で目覚め、水波が朝食を用意している光景に強い違和感と動揺を覚えた。これまで経験のない日常的な関係性に適応できず、戸惑いを抱えていた。
ぎこちない朝食と距離感
二人は食事を共にしたが、会話はほとんどなく、互いに距離を測りかねる状態が続いた。パラサイト化の問題も話題に上らず、重要な課題は先送りされたままであった。
光宣の葛藤と計画の未熟さ
外に出た光宣は、自身が水波を連れ出すことに集中するあまり、その後の関係や行動を考えていなかったことに気付いた。水波を救うという目的は明確であったが、その動機や執着の理由は自分でも整理できていなかった。
水波の罪悪感と内面の崩壊
水波は深雪への裏切りを強く自覚し、その罪悪感に囚われていた。将来の選択よりも謝罪と許しへの渇望が優先され、見捨てられることへの恐怖が内面を支配していた。
光宣追跡の継続と国家的判断
十師族および国防軍は、水波の誘拐とは無関係に光宣を危険視し、追跡を継続していた。光宣の存在そのものが国家的脅威と認識されており、捕縛方針は揺らぐことがなかった。
樹海捜索作戦の開始
十文字克人からの情報を受け、遊撃歩兵小隊は青木ヶ原樹海の捜索作戦を開始した。隊員たちは任務への強い意欲とともに出動し、光宣追跡は本格化した。
USNA参戦と新たな脅威
同時に、USNA空母インディペンデンスが関東沖へ引き返し参戦を表明した。これは新ソ連への対抗であると同時に、パラサイト工作員潜入の可能性も孕んでおり、日本側は強い警戒を強いられた。
国家間の均衡と達也への制約
日本軍は対外関係の悪化を避けるため、達也の介入を抑制する方針を取った。外敵への対応と同時に、国内の不確定要素も管理する必要があり、状況はより複雑化していった。
[4]
休校継続と捜索準備
第一高校は引き続き休校となり、達也と深雪は自宅で水波捜索の準備を整えた。二人は心身を整え、冷静な状態で探索に臨む態勢を構築した。
精霊の眼による捜索開始
達也は「精霊の眼」を用いて情報次元へ意識を拡張し、水波との縁を手掛かりに探索を開始した。その結果、短時間で水波のエイドスを捉えることに成功した。
観測の察知と光宣の対応
観測されたことで水波に変化が生じ、それを通じて光宣は達也の探索を察知した。光宣は結界では防げないと判断し、「仮装行列」によって水波の位置情報を偽装し、追跡を撹乱した。
仮装行列と達也の対抗
達也は偽装を即座に見抜き、「仮装行列」の妨害を前提として再探索に移行した。直接観測できない状況の中で、改変された痕跡から魔法式を逆算する手法を用い、突破を試みた。
改変痕跡の解析と攻撃
達也は「改変された事実」を観測対象とし、エイドスの履歴を遡ることで魔法式への干渉を行った。これにより完全な破壊には至らないものの、「仮装行列」にダメージを与えることに成功した。
光宣の消耗と防戦
達也の干渉は連続的に続き、光宣は精神的圧迫と魔法維持の負荷によって急速に消耗した。それでも彼は「仮装行列」を重ね掛けしながら、偽装の維持を最優先として抵抗を続けた。
戦いの構図と誤解
光宣は達也の能力を完全には理解しておらず、観測対象や能力の性質に誤解を抱いていた。一方で達也も、間接解析という不完全な手段に頼らざるを得ず、決定打を欠いていた。
達也の消耗と限界接近
達也は極度の集中により著しく消耗し、魔法演算領域にも過負荷の兆候が現れていた。それでもあと一歩で突破できる可能性を感じ、攻撃を継続した。
深雪による強制的中断
限界に近づいた達也を見た深雪は、強引に視界を遮って捜索を中断させた。達也は深雪の必死の訴えを受け入れ、捜索停止を決断した。
光宣の意識喪失と結界の変化
達也の干渉が止まったことで圧力から解放された光宣は、そのまま意識を失った。これにより「仮装行列」は解除され、残る隠蔽は周公瑾の結界のみとなった。
決定的手掛かりの取得
捜索終了直前、達也は一瞬だけ青木ヶ原樹海の座標情報を捉えた。それは限定された範囲であったが、次の行動に繋がる重要な手掛かりとなった。
[5]
戦果による国内情勢の変化
新ソ連艦隊は能登半島沖に留まり続けていたが、小型艦十二隻撃沈の戦果により国内には安心感が広がっていた。政府はこの成果を偶然ではないと示すため、戦略級魔法の存在と実行者の公表を決断した。
一条将輝の公表と記者会見
防衛省は戦略級魔法「海爆」とその行使者が一条将輝であると正式に発表し、彼を国家公認戦略級魔法師として認定した。記者会見では将輝が冷静に受け答えを行い、関心は次第に開発者である吉祥寺へと移った。
達也関与の暴露と反応
吉祥寺は「海爆」の基礎が司波達也の提供によるものであると明かした。これに対し達也は不満を示したが、深雪の指摘により吉祥寺の意図を理解し、感情を収めた。
情報戦と各国の反応
記者会見の内容は新ソ連にも伝わり、ベゾブラゾフは達也の関与に強い警戒と疑念を抱いた。同時にUSNAでも達也排除の命令が下され、各国の思惑が交錯する状況となった。
水波の罪悪感と行動
水波は報道を目にして強い罪悪感に苛まれ、館の外へ出た際に倒れている光宣を発見した。彼女は迷わず光宣を運び介抱したが、その行動の根底には深雪を裏切ったという自責があった。
真夜の提案と護衛体制
達也の関与が広まったことでマスコミが殺到し、深雪の安全確保が問題となった。真夜は護衛の配置を提案し、最終的にアンジェリーナ・クドウ・シールズを護衛役とする方針が決定された。
達也の現地捜索と結界の障害
達也は青木ヶ原樹海での現地捜索を開始したが、周公瑾の結界と幻影魔法に阻まれ、位置を絞り込みながらも発見には至らなかった。古式魔法の高度さにより、想定以上の困難に直面した。
光宣の覚醒と結界の維持
意識を取り戻した光宣は結界の状態を確認し、軍の捜索が行われていることを把握したが、隠蔽が維持されていることから発見の危険は低いと判断した。彼は警戒を続けつつ、水波と向き合う余裕を取り戻した。
捜索の失敗と誤認
達也および抜刀隊の捜索は成果を得られず、光宣が樹海にいないという誤った結論に至った。結界の存在がその認識を歪めていたが、覆す材料はなかった。
工作依頼と光宣の戦略判断
光宣は周公瑾の通信網を通じて大亜連合からの工作依頼を受信した。内容は呂剛虎の潜入支援であり、光宣はこれを利用して達也の注意を逸らし、自身の逃走機会を確保する策として受諾した。
[6]
八雲への訪問と拒絶
達也は行き詰まりを打開するため、古式魔法の大家である八雲を訪ね、「鬼門遁甲」の破り方を教えるよう求めた。しかし八雲は資格が無いとしてこれを拒絶し、動機についても問い質した。水波救出という理由に対し、八雲は守るべきは深雪のみであると指摘し、達也の判断を揺さぶった。
達也の葛藤と決断不能
達也は水波を救う理由を持ちながらも、それが深雪を危険に晒してまで優先すべきかという問いに答えられなかった。八雲は弟子入りという条件を提示したが、それは俗世を捨てることを意味しており、達也は受け入れられなかった。
戦況の変化と警戒の緩和
新ソ連艦隊が撤退し、日本は準戦時体制へ移行した。警戒が一時的に緩む中、その隙を突いて大亜連合とUSNAの工作部隊が同時に日本へ潜入した。防諜体制はこの動きを見抜けず、完全に後手に回ることとなった。
リーナの招集と護衛任務
リーナは東京へ呼び戻され、深雪の護衛を依頼された。達也はマスコミや刺客の脅威を避けるため、彼女の「仮装行列」を利用する必要性を説明し、リーナは任務を受諾した。さらに護衛の一環として第一高校への再編入も求められ、最終的にこれを受け入れた。
第一高校での編入手続き
達也たちは校長百山と面談し、リーナの編入を正式に申請した。防衛省からの圧力がある中でも、百山は教育の理念を優先し、試験を条件に受け入れを認めた。リーナは突然の試験に動揺しつつも、受験を決意した。
達也の再探索と観察方針
達也は瞑想室で再び水波の位置を探り、彼女がまだ人間であることを確認した。仮装行列による妨害は続いていたが、前回よりも術式の構造を把握し、九島家の技術に突破口があると考え始めた。
光宣の警戒と陽動準備
達也の攻撃が弱まったことから、光宣は観察されていた可能性を疑い、不気味さを感じていた。仮装行列への自信を持ちながらも隠れ家移動の必要性を認識し、さらなる陽動のため匿名通信を用いた工作を準備した。
抜刀隊の停滞と新任務
青木ヶ原樹海での捜索に失敗した抜刀隊は、光宣不在と誤認し士気が低下していた。しかし差出人不明の電文により、大亜連合工作部隊の侵入が知らされ、新たに呂剛虎迎撃任務が与えられた。
陽動の疑念と優先順位の決定
摩利はこの情報が陽動である可能性を指摘し、光宣が樹海に潜伏していると推測した。修次もその可能性を認めたが、任務と呂剛虎への因縁を優先し、迎撃を最優先とする判断を下した。
風間の抗議と達也の対応
風間はリーナを学校に通わせることに強く反対したが、達也は別人として扱うことで問題はないと論理的に反論し、方針を貫いた。軍に従属しない姿勢を明確にしつつも、敵対の意思はないことを示した。
試験前夜と深雪の動揺
リーナは深雪の指導のもと試験勉強に励んだが、長時間の学習に疲労を見せた。会話の中で水波の話題が出ると、深雪は動揺を見せ、リーナに経緯を語った。
リーナの共感と深雪の救い
リーナは達也の判断に理解を示し、過去の経験からその苦しさに共感した。その言葉は深雪にとって大きな支えとなり、彼女の心の負担を和らげる結果となった。
[7]
登校再開と校内の動揺
休校明けの登校日、一高ではリーナと変装した深雪の存在が大きな注目を集め、生徒たちの間に困惑と憶測が広がった。一方でマスコミも張り込んでいたが、達也たち本人が姿を見せなかったため、決定的な接触には至らなかった。
監視者の存在と作戦再検討
通学路を見下ろす位置から、USNAの非合法部隊がリーナを監視していた。彼らは彼女の正体に高い確信を持ちつつも、同行する人物の重要性にも着目し、作戦への影響を考慮して本国への報告と再検討を決断した。
生徒会室での変装解除と信頼
深雪は変装したまま生徒会室を訪れ、泉美に対してのみ正体を明かした。泉美は事情を即座に理解し、詮索を控える姿勢を示したことで、両者の信頼関係が再確認された。
達也への秘術提供と対立の構図
藤林響子は謝罪と引き換えに、「仮装行列」と「蹟兵八陣」に関する詳細な情報を達也へ提供した。これにより達也は光宣攻略の糸口を得たが、藤林家は独自に光宣を処断する意志を持っており、完全な共闘には至らなかった。
リーナの試験と新たな立場
リーナは編入試験を受け、筆記を終えた段階で自信を取り戻した。昼食時には仲間たちと交流を深めつつ、マスコミ対策として深雪と行動を共にする方針が共有された。
林少尉の潜入と裏切りの発覚
小松基地では、護衛隊長であった林が新ソ連の工作員であることが判明した。彼女は催眠術によって監視を欺き外出に成功し、外部の協力者と接触していた。
呂剛虎による制圧と通信強要
薬局で接触した林は呂剛虎に拘束され、部下も既に殺害されていた。彼女は抵抗の余地なく通信を強要され、敵の計画に利用される立場へと追い込まれた。
小松基地の混乱と判断の停滞
林が人質となったことで基地は混乱し、劉麗蕾の出動要求と護衛側の制止が対立した。救出と防衛の両立が困難な中、指揮系統は判断を下せず膠着状態に陥った。
修次と摩利の介入と戦闘開始
現場に到着した修次と摩利は呂剛虎と遭遇し、即座に戦闘へ移行した。修次は鋭さを極めた剣で対抗し、両者は互角のまま激突した。
林の死と摩利の制圧行動
摩利は店内で新ソ連エージェントを制圧したが、林は既に致命傷を負っており救えなかった。彼女は敵を無力化しつつ、状況の把握と尋問を優先した。
死闘の決着と秘剣の発動
修次は最終局面で隠していた技を用い、さらに無系統魔法の秘剣「突陰」により呂剛虎の心臓停止を誘発した。これにより戦闘は紙一重の差で決着し、修次が勝利した。
林の死と劉麗蕾の動揺
呂剛虎撃破の報と同時に林の死亡が伝えられ、さらに彼女が工作員であった可能性も示された。劉麗蕾はそれを否定しつつも、状況の矛盾から疑念を抱かざるを得なかった。
将輝の言葉と感情の整理
将輝は林の真意を断定できないとしながらも、結果として劉麗蕾を守る行動であった可能性を示した。この言葉により劉麗蕾は感情を解放し、涙を流した。
光宣の計画破綻と焦燥
呂剛虎の敗北により、光宣の陽動計画は失敗に終わった。自身の判断も原因であったことから、彼は強い苛立ちと焦燥を抱えつつ、隠れ家の放棄を決断した。
パラサイトとの連携と脱出決断
レイモンドからの提案により、USNA部隊による混乱を利用した脱出計画が提示された。光宣は水波を伴う条件に迷いながらも、最終的に協力を受け入れ、国外脱出を図る決断を下した。
達也と藤林の協力関係の成立
達也は藤林長正からの連絡を受け、光宣討伐計画への参加を決断した。解析の時間を犠牲にしながらも、水波救出を優先し、決戦に臨む意思を固めた。
討伐決定と重苦しい余韻
藤林長正と九島真言は討伐方針を最終確認し、一族としての責任を明確にした。重苦しい沈黙の中で決断が固まり、九島光宣との決着に向けた流れが確定した。
[8]
第一〇一旅団司令部の思惑と放置判断
戦時体制下にある国防軍第一〇一旅団司令部では、風間が佐伯少将へ報告を行っていた。密入国した呂剛虎は小松市で討たれ、暗殺計画は未遂に終わった。風間は千葉修次の実力を評価したが、佐伯は成果に不満を示した。
実際には両者は事前に計画を把握しており、佐伯は国内の不安要素排除を狙って暗殺を黙認していた。しかし失敗により思惑は外れた。さらに九島光宣の追跡について風間は協力を申し出たが、佐伯は任務外として拒否し、むしろ放置することで司波達也の行動を拘束する意図を示した。
イリーガルMAPの正体と作戦方針
イリーガルMAPはUSNA軍統合参謀本部直属の非合法暗殺部隊であり、複数分隊で構成されていた。対日強硬派の意向により、司波達也の排除が最優先任務とされていた。
日本に潜入したホースヘッド分隊は本国からの指示を受け、達也暗殺を継続する方針を確認した。その手段として光井ほのかや柴田美月を人質に取り、洗脳して利用する計画が採用された。隊員たちは規律よりも成果を重視し、暗殺成功のみを価値とする姿勢を共有していた。
達也による魔法解析と結界の問題
達也は地下研究室にて「仮装行列」の解析を進め、その構造をほぼ解明していた。この術はエイドスを複製し人造精霊として運用することで、認識を欺く高度な偽装魔法であった。
一方で「蹟兵八陣」は鬼門遁甲を基盤とする結界であり、方向感覚を狂わせるため追跡を困難にする性質を持っていた。この二つを同時に破らなければ光宣の捕捉は不可能であると、達也は結論付けた。
光宣の焦燥と逃走計画の模索
隠れ家に潜伏していた光宣は、達也に発見される危険の高まりから焦りを抱いていた。レイモンドの提案により国外逃亡を決断していたが、水波の意思を確認せず受け入れたことに後悔も感じていた。
その中で光宣は、「仮装行列」と鬼門遁甲を融合させた新たな逃走術の構想に至った。認識と位置の双方を攪乱するこの方法に手応えを感じたが、偽装用エイドスを貼り付ける身代わりの確保が課題として残り、計画は未完成のままであった。
秘密会議と達也暗殺阻止の決定
国防陸軍情報部では、イリーガルMAP侵入を受けて秘密幹部会議が開かれた。入国記録や特徴から侵入者はホースヘッド分隊と特定され、目的は司波達也暗殺である可能性が高いと判断された。
達也は制御不能であっても国家に有益な戦力であり、暗殺を許せば政治的損失も大きいと評価された。そのため副部長は暗殺阻止と敵勢力排除を決定し、遠山つかさに対応を命じた。
詩奈の告白と密告計画の発覚
一高では、詩奈が深雪に対し父と兄が達也の計画を国防軍へ密告しようとしている事実を打ち明けた。対象となる計画はミッドウェー監獄に関する調査であり、密告先は第一〇一旅団の佐伯少将であると明かされた。
深雪は動揺を見せず、詩奈の立場に配慮して詳細追及を避け、自ら情報を精査する判断を下した。そしてこの情報を達也へ伝える必要があると決意した。
風間と藤林の報告と合流計画
独立魔装大隊では藤林が通常どおり出勤し、風間に対して達也の動向を報告した。達也は九島光宣捕縛計画への参加を希望し、それが認められていた。
さらに翌日正午に富士風穴北西の国道で合流予定であることが共有された。報告を受けた風間は表面的には労をねぎらったものの、その後は沈思に入り、内心の思惑を周囲に明かすことはなかった。
[9]
達也の研究と結界異変の察知
七月十二日、達也は地下研究室に籠もり「仮装行列」と「蹟兵八陣」の解析を続けていた。水波の居場所特定と救出には両方の無効化が不可欠であり、目的を見失うことなく研究に集中していた。
午後三時過ぎ、達也は結界に小さな穴が生じたことを感知した。それは崩壊ではなく、何者かが抜け道を利用して侵入した痕跡であると推測され、第三勢力の介入可能性を認識した。軽率な突入を避け、四葉本家へ連絡して状況確認を優先した。
光宣の決断と八雲の介入
同時刻、光宣は水波に隠れ家の撤収を告げ、彼女もこれを受け入れる姿勢を示した。そこへ突如、九重八雲が現れ、結界を突破した事実により光宣は強い警戒を抱いた。
八雲はUSNAによる国外逃亡計画を示しつつ、逃亡自体は容認する代わりに「仮装行列」の術式を外部へ漏らさないよう条件を提示した。光宣は彼の実力を認め、この条件を受諾した。
第二の侵入と位置特定の成功
午後四時前後、結界に再び変化が生じ、今度は強引な侵入が発生した。この瞬間、達也は結界内部構造を把握し、隠れ家の正確な座標特定に成功した。
侵入者は先の者とは別と推測され、達也はこれを決定的好機と判断した。四葉本家へ報告後、自ら現地へ向かう意思を固め、電動二輪「ウイングレス」による移動を開始した。
九島真言の来訪と提案
隠れ家では、侵入者の正体が九島真言であることが判明した。真言は冷静に状況を見据え、光宣に対し逃亡支援を提案した。
仮装行列のための身代わりとして蒼司やアンドロイドを提供し、国外逃亡も手配するという内容であった。その意図は光宣を国外へ排除し、九島家の立場を守ることにあった。
光宣はその打算を理解しつつも、既に別の逃亡手段を確保しているとして冷静に受け流した。
水波の葛藤と選択の揺らぎ
水波は自室で、帰るべきか同行すべきかの間で強く揺れていた。理性では離れるべきと理解しながらも、光宣と共にいたい感情を否定できず、自身の曖昧さに苦悩していた。
さらに自身の価値への不安や、深雪への背信意識が重なり、決断を下せない状態にあった。
八雲の再訪と行動の意味付け
そこへ再び現れた八雲は、水波に対し達也がミッドウェー監獄救出任務を担っていることを伝えた。加えて、光宣の逃亡先が同方面であることを示し、水波が同行すれば達也が必ず追ってくると断言した。
この説明により、水波は自分の行動が達也の未来に影響を与えると理解した。
同行決断と内面の矛盾
水波は最終的に、完全な決断を保留しつつも光宣に同行する選択を取った。自らの存在が達也の行動に繋がるという認識が、この決断を後押しした。
しかし同時に、光宣の好意を利用しているという自覚があり、その選択には罪悪感が伴っていた。
達也の進行と九島家関与の推測
移動中の達也は、四葉家からの報告により十師族や国防軍の関与が否定されたことを知った。その結果、結界侵入は九島家によるものと推測された。
ただし事前連携の可能性は低いと判断し、真言の行動は光宣にとっても想定外であったと結論付けた。達也は支援要請を退けつつ、単独で青木ヶ原へ向かう決意を固めた。
[10]
青木ヶ原樹海への到着と状況把握
午後五時過ぎ、達也は青木ヶ原樹海に到着した。現地には新たな轍が残されており、かつて十文字家が見失った地点が正しい経路であったと確信した。過去に辿り着けなかったことに一瞬の悔恨を抱いたものの、結界の性質上、内部からの変化がなければ発見できない構造であると理解し、無意味な思考を切り替えた。
隠れ家への接近準備
達也は電動二輪ウイングレスを停車させ、徒歩で樹海へ侵入した。隠れ家までは直線距離で約七百メートルであり、短時間で到達可能と判断していたが、分岐の見落としによる進路誤りを最大の懸念として警戒した。
装備として軽量のフリードスーツを着用しており、機動力を維持したまま慎重に移動を開始した。
光宣の察知と逃走方針
光宣は「蹟兵八陣」の感知機能によって達也の接近を察知した。結界は完全ではなかったが依然として探知妨害効果を持っており、外へ出るより内部に留まる方が安全であると判断した。
迎撃ではなく逃走を選択し、結界内で機を窺う方針を固めた。
即興の囮作戦の構築
光宣は達也が結界へ侵入する瞬間を利用する脱出計画を構築した。水波のエイドスをコピーしたガイノイドと、自身のエイドスを付与した蒼司を囮として外へ逃がし、達也の追跡を引き付ける一方、自分は水波と共に逆方向へ脱出するという構想であった。
この作戦は即興で組み上げられた独自の術式に基づくものであり、外部には知られていなかった。
仮装遁甲による逃走計画
脱出後は小田原方面へ向かい、「仮装行列」と「鬼門遁甲」を組み合わせた「仮装遁甲」によって追跡を困難にする計画であった。囮が失敗した場合には達也との直接対決も辞さない覚悟を固めていた。
光宣は不確実性を理解しつつも、水波を連れて逃げ切る決意を崩さなかった。
鬼門遁甲の影響と侵入成功
達也は進行中、足元の違和感から「鬼門遁甲」による方向干渉を察知した。進路が微妙にずらされる現象を認識したが、目的地を把握していたため致命的な影響は受けず、結界内部への侵入に成功した。
囮の発動と達也の違和感
侵入を察知した光宣は直ちに囮を出発させた。蒼司とガイノイドにはそれぞれ光宣と水波のエイドスが付与され、北方向へ逃走させることで達也を誘導した。
達也はこれを感知したものの、情報があまりにも明瞭であることや進路の不自然さから違和感を覚え、囮の可能性を疑った。それでも完全には否定できず、放置もできないため判断に迷った末、一度結界外へ戻る選択を取った。
光宣の脱出成功
達也が囮に引き付けられて離脱した隙を突き、光宣は水波と共に結界から脱出した。公道へ出た時点で達也の追跡は及ばず、即興で組み立てた作戦は成功を収めた。
光宣は限られた時間の中で構築した計画に賭け、その賭けに勝利したのである。
【11】
日常の制限と不穏な兆し
新ソ連艦隊撤退後も緊張状態は続き、学校生活には制限が残っていた。生徒たちは早めに下校する状況となり、日常は維持されているようでありながらも不安定さを孕んでいた。
エリカは駅での帰路において異変を察知し、美月と幹比古を別行動させるなど警戒を強めた。
囮の露見と追跡の転換
達也は西湖付近で光宣と水波のエイドスを持つ車両を捕捉したが、「術式解散」によってそれが蒼司による囮であると見抜いた。追跡を中断し、隠れ家へ引き返す判断を下した。
蒼司は体当たりで足止めを試みたが、達也はこれを退けて離脱し、再び樹海へ向かった。
隠れ家内部での対峙
隠れ家内部には藤林長正が待ち構えており、達也と対峙した。長正は光宣を逃がす側であることを明かし、忍術発展のために光宣の存在が必要であると語った。
達也は会話から得るものは無いと判断し離脱を試みるが、仕掛けられていた罠によって炎と爆発に阻まれることとなった。
幹比古と美月の襲撃
一方で帰路にあった美月と幹比古は、ホースヘッド分隊の襲撃を受けた。薬物や刃による攻撃に対し幹比古は防御に徹し、美月を守りながら離脱を図った。
川へ飛び込むことで一時的に距離を取るが、敵は追撃を続け、状況は依然として不利であった。
援軍到着と戦況の転換
戦闘はエリカとレオの参戦によって均衡が崩れた。三対三の構図となり、幹比古たちは反撃の余地を得た。
最終的に敵は煙幕と爆発を利用して撤退し、戦闘は終息した。
達也と長正の戦闘激化
達也は長正の分身による攪乱を受けつつも、攻撃の発動瞬間を捉えて逆探知を試みた。罠による電撃攻撃を受けながらも再成で回復し、情報遡行によって本体の位置を特定した。
分解魔法によって長正本体に打撃を与え、戦闘の主導権を握った。
蹟兵八陣の発動と死霊の正体
追い詰められた長正は結界「蹟兵八陣」を発動し、死霊による精神干渉を行った。この結界は死者の霊子情報体を利用して侵入者の認識を狂わせる構造であった。
しかし長正自身もその影響を受け、精神を侵食され自滅に近い状態へと陥った。
新魔法による結界崩壊
達也は死霊の構造を解析し、その存在基盤を破壊する魔法「アストラル・ディスパージョン」を発動した。これにより死霊は消失し、結界も崩壊した。
この戦いによって達也は、精神体を排除する新たな対抗手段を確立した。
ほのか誘拐と深雪の対応
同時刻、ほのかは自宅で襲撃を受け薬物により無力化され、誘拐された。深雪はピクシーの報告により事態を把握し、即座に追跡と対応を開始した。
兵庫への支援要請とともに、自ら出動する意志を示すが、危険性を理由に制止された。
救出方針の決定
エリカからの報告により事件の関連性が明らかとなり、ほのかの位置も特定された。深雪は単独行動を避ける条件で、SMATとの連携を指示した。
エリカたちはこれを受け入れ、救出作戦へと移行した。
[12]
黒羽貢の介入と達也の迷い
達也は藤林長正を撃破した後、そのまま離脱しようとしたが、致命傷を与えた長正を見捨てるかどうかで一瞬逡巡した。その場に現れた黒羽貢は、自身の意思で来たことを告げ、達也に光宣を追う理由を問い掛けた。
達也は水波奪還を理由に挙げつつも、その執着の本質を自分でも説明できず、内面の迷いを露わにした。貢はその迷いを認めることで達也の人間性を理解しつつも、嫌悪を隠さず、それでも別の理由から助力を決断した。
逃走先の判明と再出発
貢は光宣の進路が小田原方面であることを伝えた。これは亜夜子と文弥の意向でもあり、水波を案じた結果であった。
達也は情報に礼を述べ、再び追跡へと向かった。
エリカとレオの現地到着
エリカとレオは大和市の現地へ到着し、警戒を強めながら行動していた。敵の外見が一般人と区別できない状況により、緊張は高まっていた。
その中で警察関係者との連携を優先し、迅速な行動に移行した。
SMATとの合流と突入準備
二人の前にSMAT隊員の東海林が現れ、突入準備が整っていることを告げた。エリカとレオは車両に乗り込み、警察と連携した救出作戦が本格的に開始された。
敵側の作戦修正
ホースヘッド分隊は美月誘拐に失敗し、計画の修正を余儀なくされた。人質が一人しか確保できていない状況を受け、ほのかを利用した新たな罠が検討された。
アル・ワンはほのかに達也暗殺の暗示を施そうとしたが、ほのかは強い意志でこれを拒絶した。
敵襲と撤退行動
その直後、強烈な光による攪乱が発生し、外では敵襲が始まった。ホースヘッド分隊は国防軍の突入を受け、壊滅を回避するため撤退を決断した。
隊員は機密保持のため自爆を選び、残存戦力は地下経路から脱出した。
ほのか救出と状況説明
現地ではSMATと国防軍が展開し、ほのかは無事救出された。薬物の影響で意識は朦朧としていたが、後遺症は無いと判断された。
遠山つかさは敵がUSNAの非合法工作員部隊イリーガルMAPであることを明かし、今回の襲撃が達也暗殺を目的とした作戦の一環であったと説明した。
軍と警察の対立と役割分担
つかさは残党追跡を国防軍が担う意向を示したが、警察側はこれに反発した。最終的にエリカは、ほのかの安全確保を優先する判断を下し、追跡からは距離を置いた。
光宣の移動と新たな偽装
光宣は小田原に到着し、水波と共に変装して移動していた。囮としてアンドロイドに自身と水波の情報を付与し、別経路を進ませていた。
さらに仮装行列と鬼門遁甲を融合させた新魔法「仮装遁甲」を用い、追跡の撹乱を図った。
達也の異常察知と判断
達也は水波のエイドスが二つに分裂している異常を観測した。これは従来の魔法では説明できない現象であり、新たな融合魔法の存在を推測した。
どちらが本物か判別できない中、達也は分岐点である小田原駅を押さえる方針を選択した。
イリーガルMAPの再編と新目標
撤退したホースヘッド分隊はヘリで再集結し、USNA海軍からの通信を受信した。その中には「七賢人」からの達也の位置情報が含まれていた。
アル・ワンはその情報を利用し、作戦を達也暗殺へと完全に集中させる決断を下した。
[13]
小田原での追跡停滞と進路決定
達也は小田原駅前に到着したが、夕方の混雑により想子の痕跡は追跡困難であった。水波のエイドスは依然として二つに分裂しており、自走車と電車の両方に存在している状態であった。
どちらが本物か判別できない中、達也は両者が東へ向かっている事実のみを根拠に、高速道路を進む判断を下した。
七賢人による情報操作と警察の介入
レイモンド・クラークは日本警察へ虚偽を交えた情報を流し、達也をテロリストとして通報した。警察は当初懐疑的であったが、監視映像と車両情報の一致により対応を開始した。
機動隊の出動が決定され、達也の周囲には新たな包囲網が形成され始めた。
ホースヘッド分隊の再接近
同時にホースヘッド分隊も達也の位置を把握し、ヘリによる接近を開始した。アル・ワンは即座に攻撃を命じ、達也を挟撃する構図が成立した。
ヘリ襲撃と達也の反撃
達也は接近するヘリと敵意を察知し、飛行によって回避した。さらに空中からヘリへ突撃し、分解魔法「雲散霧消」で機体を破壊した。
ヘリは炎上し、戦闘は空中から地上へ移行した。
戦闘魔法師の殲滅
生存した四人の戦闘魔法師に対し、達也は即座に三連分解魔法「トライデント」を同時発動した。防御を含む事象干渉力を瞬時に破壊し、肉体を分解したことで敵は一瞬で消滅した。
ホースヘッド分隊は短時間で壊滅し、達也一人に対して三分も持たなかった。
警察接近と離脱行動
戦闘直後、機動隊が現場へ接近したため、達也は交戦を避けて離脱を選択した。監視カメラを停止させ、飛行と分解を併用して移動経路を変更し、車体の外見とナンバーを偽装した。
その後、再び高速道路へ戻り追跡を継続した。
光宣の移動と偽装戦術
光宣は小田原から横須賀へ移動し、水波と共に変装して電車に乗った。囮としてアンドロイドに自身と水波の情報を付与し、自走車で別経路を進ませた。
仮装行列と鬼門遁甲を融合させた「仮装遁甲」により、追跡の撹乱を図っていた。
囮の看破と情報遡行
達也は鎌倉で自走車を視認し、エイドスの履歴からそれがコピーであると見抜いた。ガイノイドに接触し、水波のコピー情報を遡ることで本体の情報へ辿り着いた。
これにより、水波の位置を完全に把握することに成功した。
横須賀軍港の特定と決意
達也は水波が横須賀軍港にいることを確認し、飛行による直接追跡を決意した。しかしその直前、想定外の妨害によって行動を阻まれることとなった。
光宣と水波の迷い
一方で光宣と水波は、横須賀軍港へ向かう途中でそれぞれ迷いを抱えていた。互いに重要な事実を隠していることへの罪悪感を抱きながらも、結局打ち明けることはできなかった。
二人はそのまま軍港へ到達した。
レイモンドの出迎え
軍港ではレイモンド・クラークが待ち構えており、光宣と水波を迎え入れた。ここに至り、両者の逃走は新たな段階へと移行した。
[14]
八雲の幻術による飛行阻止
達也が飛行魔法で横須賀へ向かおうとした瞬間、天地が逆転する幻覚に襲われた。飛行を中断すると現象は消え、再発動すると再び発生することから、達也はこれが飛行そのものを封じるための幻術であり、方向感覚へ干渉する鬼門遁甲系統の術であると見抜いた。
術式解体で術者を炙り出した結果、その正体が九重八雲であると判明した。
横須賀基地内での光宣たちの移動
同時刻、光宣と水波はレイモンドの運転する自走車で横須賀基地内を移動していた。光宣は警察に追われていたはずのレイモンドが問題なく基地内にいることに疑問を抱いたが、基地外へ出なければ問題にならないという説明を受け、それ以上は追及しなかった。
光宣は達也の追跡を警戒しており、いつ現れてもおかしくないと考えていたが、レイモンドはそれでも速度を上げようとはしなかった。水波は終始沈黙を保っていた。
達也への弾劾と八雲の問い
達也は八雲に対して激しく抗議し、妨害の理由を問い詰めた。しかし八雲は取り合わず、会話を求めるだけであった。達也が再び飛行を試みても阻止されたことで、ついに光宣の味方かと詰問するに至った。
八雲は光宣と水波が既に横須賀に到達している可能性を示しつつ、なぜそこまで急ぐのかと達也に問い返した。
達也が引き起こした事態の拡大
八雲は、達也の行動が警察や国防軍を巻き込む大規模な騒動へ発展していると指摘した。高速道路での銃撃戦、ヘリの炎上、死体の発生、樹海の火災、調布での事件などが連鎖的に拡大しており、その多くが光宣との対立と無関係ではないと述べた。
達也は反論できず、それでもなお行動を止めるつもりはなかった。
八雲の主張と達也の反発
八雲は、水波の意思が尊重されている以上、その選択は本人に委ねられるべきであり、他者が介入すべきではないと断じた。達也は強く反発し、妨害をやめるよう要求したが、八雲はこれを拒否した。
そのまま達也の飛行は再び阻止され、進路は完全に封じられた。
小型艇から潜水艦への移乗
光宣と水波は小型艇へ乗り換え、沖合へ移動した。やがて水面上に現れた構造物を水波が潜水艦と見抜き、レイモンドはそれが全水没型高速輸送艦「コーラル」であると説明した。
二人はハッチから艦内へと入り、輸送艦へ収容された。
近接戦への移行と幻術戦
一方で達也は八雲と接近戦に移行した。幻術により位置を隠す八雲に対し、達也は想子弾で分身を排除し、直接攻撃を試みた。
しかし八雲は煙玉や幻術を駆使して姿を消し、達也は過去の情報を辿ることで実体の位置を割り出す戦法へ切り替えた。
欺身暗気による精神干渉
八雲は「欺身暗気」という幻術を用い、実際には触れていないにもかかわらず攻撃を受けたと認識させ、肉体に痛みを生じさせた。
達也はこれを見抜き、自身の身体に絡みつく魔法式を精霊の眼で確認し、術式解散によって解除した。
千日手と発想の転換
幻術の発動と解除が繰り返される膠着状態となり、時間だけが消費される状況となった。達也はこのままでは敗北に等しいと判断し、発想を転換した。
痛みは幻覚であり機能的損傷ではないと割り切り、これを無視する決断を下した。
分解による決着
達也は痛みに耐えながら分解魔法を同時発動し、八雲の本体と分身すべての防御を破壊した。結果として分身は消滅し、本体のみが露出した。
達也は瞬時に接近し、分解を待機させた手刀を突き付け、八雲は敗北を認めた。
水波の国外離脱と敗北認識
しかし達也は直後に水波の位置を確認し、既に日本領海外へ出たことを知った。軍用艦への介入は国家間問題となるため、奪還は事実上不可能となった。
このため達也は戦闘には勝利したが、目的の達成には失敗したと認識した。
八雲の依頼と黒幕の存在
八雲は妨害の理由として、パラサイトを国外へ排除しようとする非公式な権力組織から依頼を受けていたことを明かした。
その組織は封印ではなく排除を望み、光宣の逃亡を結果的に支援する形となっていた。
しがらみと別離
達也は八雲がしがらみに縛られていることを指摘し、八雲もそれを否定しなかった。両者の間に重い沈黙が流れた後、達也は何も言わずその場を立ち去った。
[15]
達也の帰還と深雪の受容
達也は高速道路に放置していた電動二輪を回収し、午後九時過ぎに調布のマンションへ帰還した。事前に光宣の隠れ家へ向かったことを伝えていなかったため、深雪と顔を合わせることに気まずさを覚え、水波の救出が困難となった現状の説明にも結論を出せずにいた。
しかし深雪は既に葉山から事情を聞いており、達也を責めることなく受け止めた。状況の悪化を認めつつも無事の帰還を優先する姿勢を示し、その言葉に達也は自身が深雪に大きな心配を掛けていたことを自覚し、彼女を伴ってリビングへ移動した。
リビングでの報告とほのかたちの無事
落ち着いた後、深雪は紅茶を用意し、リーナも合流したことで、達也は留守中に起きた出来事を知ることとなった。深雪はほのかの誘拐と美月の誘拐未遂について説明し、ほのかはエリカの保護下にあり、薬の影響は残るものの後遺症はない見込みであると伝えた。
また、エリカの直感が美月を救い、ピクシーの存在がほのかの所在特定に繋がったことも明かされた。達也はこれを受け、不幸中の幸いと判断し、関係者への謝意と労いを示す意向を固めた。
達也の懸念と責任の自覚
一連の報告を受けた達也は、自分の交友関係が原因で友人たちが敵対勢力の標的になっている現実を重く受け止めた。非合法工作員とUSNA政府に責任があると認識しつつも、完全に無関係ではいられないという自覚を示した。
深雪とリーナはその認識を支持し、責任を背負う必要はないと強く擁護したが、達也は将来的な再発の可能性を考慮し、対策の必要性を認めていた。
友人たちの保護構想
達也は逡巡の末、ほのかと美月を四葉家、あるいは自身の庇護下に置くべきではないかという考えを明かした。これは本人の意思を前提とした提案であった。
さらに対象は二人に留まらず、雫を除いたエリカ、レオ、幹比古についても必要に応じて保護を検討すべきだと述べた。深雪はこれを受け入れ、リーナはその規模を半ば冗談交じりに評したが、深雪は軽く扱うことなく静かに受容した。
光宣と水波の到着
その後、日本時間七月十六日未明、光宣と水波を乗せた全水没型輸送艦コーラルは、北西ハワイ諸島のUSNA海軍パールアンドハーミーズ基地へ到着した。
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