魔法科 (28)(29) 追跡編レビュー
魔法科 まとめ(3年生)
魔法科シリーズ まとめ
魔法科 (31) 未来編レビュー
どんな本?
『魔法科高校の劣等生』は、佐島勤 氏による日本のライトノベル。
略称は「魔法科」。
物語は西暦2097年、3月。
魔法が現実の技術として確立し、魔法師の育成が国策となった時代を舞台にしている。
主人公は、国立魔法大学付属第一高校(通称「魔法科高校」)に通う兄妹、司波達也と司波深雪。
この作品は、原作小説の累計が1,400万部、シリーズ累計が2,500万部を突破し、大人気のスクールマギクスとなっている。
また、2024年には3期目のTVアニメが放送されることが決定している。
さらに、この作品は様々なメディアで展開されており、ライトノベルだけでなく、漫画やアニメでも楽しむことができる。
読んだ本のタイトル
魔法科高校の劣等生 (30) 奪還編(The Irregular at Magic High School)
著者:佐島勤 氏
イラスト: 石田可奈 氏
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あらすじ・内容
原作小説シリーズ累計1000万部突破!! 物語はさらなる高みへ――!!
水波を連れ、日本を脱した九島光宜。パラサイト化したレイモンドと共に、USNA軍基地のある北西ハワイ諸島を目指す。
魔法科高校の劣等生(30) 奪還編
一方、九重八雲という意外な伏兵によって追跡を阻止された達也だが、彼は水波のことを諦めてはいなかった。必ず連れ戻す、と深雪と約束したからだ。
光宜とレイモンドが逃れた先。そこは奇しくも、リーナが救出を願うカノープス少佐が幽閉されたミッドウェー監獄に近い、パールアンドハーミーズ米軍基地。
パラサイトを滅す新魔法『アストラル・ディスパージョン』を習得した達也が、水波と、そしてカノープス奪還のため、USNA軍基地を隠密裏に強襲する……!!
感想
当初、四葉家は敵であったが、現在は完全に味方になっている。
その代わり、国防軍、パラサイトたち、そしてそれに汚染されたアメリカ軍、日本の世論が達也に牙を剥いたが、達也はこれを返り討ちにする。
四葉家は藤林家とリーナを所属組織から引き離す動きを見せ。
そして、インドからは良いニュースが届く。捨てる神がいれば拾う神もいる。
ただし、達也という戦略級魔法師は国という単位で収まる器ではなかった。
そんな達也が使用人の救出についに乗り出し、救出に成功するも、相手はその前に退散しており、不気味であった。
達也の強さは半端ではない事も世間で認知され出す。
彼は1人で艦隊と渡り合い、拠点を1つ無効化する。
それは婚約者の護衛を奪還するためだけに行われたことだった。
さらに、次の新章「メイジアンカンパニー」への布石がこの巻に大胆に設けられていた。
魔法科 (28)(29) 追跡編レビュー
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考察・解説
水波奪還作戦
『魔法科高校の劣等生』第30巻「奪還編」において、司波達也が展開した桜井水波の奪還作戦の全貌について解説する。
作戦の背景と外部勢力との結託
九島光宣と米軍パラサイトによって国外へ連れ去られた水波を追跡するため、達也は周到な準備を行った。
・USNAのワイアット・カーティス上院議員と密かに結託し、ミッドウェー監獄に収監されているベンジャミン・カノープス少佐の救出と米軍内のパラサイト駆逐を条件に、北西ハワイ諸島への渡航手段(原子力潜水空母「バージニア」)の提供と事後の隠蔽を取り付けた。
・日本の黒幕である東道青波から、佐伯少将の指揮下を離れて軍事力を行使する許可と公用旅券を得た。
・軍へ退役届を叩きつけ、独立魔装大隊と決別した。
偽装工作と巳焼島からの出撃
達也の出撃を秘匿するため、四葉家は大規模な偽装工作を行った。
・達也が乗る小型艇「落陽丸」が沿岸警備艦「粟国」に乗っ取られた反魔法主義者に沈められるという海上テロを自作自演した。
・達也は魔法「再成」で重傷を無かったことにした上で、表向きは病院のICUで治療中であると偽装した。
・深雪の迫真の悲嘆の演技により、世間や情報機関の目を病院に釘付けにした。
・その隙に達也は巳焼島の地下施設からステルス性能を大幅に向上させた新型エアカーで出撃し、囮の駆逐艦の裏で「バージニア」と合流を果たした。
ミッドウェー監獄の襲撃とカノープス救出
「バージニア」から出撃した達也は、以下の手順で作戦の第一段階を完遂した。
・ミッドウェー監獄の防空・対人兵器を「雲散霧消」で分解して無力化し、施設内に侵入した。
・カノープスと接触し、彼の部下であるラルフ・アルゴルらを救出した。
・待ち受けていたUSNAの非合法暗殺部隊「イリーガルMAP」のコールサック分隊からの奇襲をことごとく殲滅した。
・兵器庫を「雲散霧消」で消滅させ、軍用車両を奪ってゲートを突破し、エアカーで「バージニア」へと生還した。
パラサイト殲滅と米軍艦隊の無力化
エアカーの充電を終えた達也は、直ちに水波がいるパールアンドハーミーズ基地へ向けて再出撃し、脅威の排除を行った。
・道中、迎撃に現れたステルス艦載機「ホーンドアウル」8機とミサイルを「雲散霧消」で分解し、パイロットを海へ退避させた。
・駆逐艦「シュバリエ」の甲板に降り立ち、パラサイト化したアンタレス少佐とサルガス中尉の精神干渉魔法を「術式解散」で無効化した。
・彼らの肉体を消滅させた後、露出したパラサイトの本体(霊子情報体)を新魔法「アストラル・ディスパージョン」でこの世界から完全に追放・消滅させた。
・護衛艦「ミラー・デービス」を艦体ごと「雲散霧消」で消し去り、空母「シャングリラ」の艦長と通信して、互いに交戦の意思がないことを確認し合った。
水波の保護と奪還作戦の完遂
空母との交戦を避けてパールアンドハーミーズ基地に到達した達也であったが、基地は完全な無人状態となっていた。そこには光宣の魔法「人体発火」による大量殺戮の痕跡が残されており、水波だけが病院棟に一人残されていた。光宣は米軍パラサイトの襲撃から水波を守るために基地の兵士を虐殺し、水波を置いてレイモンドと共に逃亡していたのである。
達也は深く追及することなく水波を保護し、エアカーに乗せて巳焼島へと帰路についた。台風の雨雲に紛れて日本の監視網を抜けた達也たちは、巳焼島で待っていた深雪とリーナに迎えられ、水波は深雪への謝罪と共に温かく受け入れられて奪還作戦は無事に終了した。
師族会議
『魔法科高校の劣等生』第30巻における臨時師族会議の開催背景、主な議題、各当主の思惑、そして会議の結末について解説する。
臨時師族会議の概要
7月14日の午前10時、魔法協会関東支部のオンライン会議室などをつないで臨時師族会議が開催された。十師族の各当主が参加する中、以下の人物が招集された。
・九島真言:九島光宣の逃亡に関する事情聴取のため(師補十八家)
・司波達也:光宣を追跡していた参考人として出席
九島光宣の逃亡と九島家の責任
会議の冒頭、一条剛毅が九島蒼司による光宣への逃亡支援について追及した。
・達也は、蒼司が魔法「仮装行列」を用いて光宣の身代わり(囮)になった事実を証言した。
・九島真言は、蒼司がパラサイト化した光宣の精神干渉魔法に操られていたと主張したが、これは九島家の責任を回避するための虚偽であった。
・七草弘一は真言の説明の矛盾を指摘し、九島家内部の調査協力を申し出た。これは旧第九研の成果を探るための謀略であったが、十文字克人の仲裁により詳細は後日の当主間協議へと持ち越された。
イリーガルMAPの襲撃と戦略級魔法師の疑惑
七宝拓巳から、達也が平塚で報道ヘリを奪った武装集団と交戦した件について質問がなされた。
・達也は自衛のために反撃し、相手を殲滅したことを認めた。
・襲撃者がUSNA軍の非合法魔法師暗殺小隊「イリーガルMAP(ホースヘッド分隊)」であることが、七草弘一と三矢元の発言により明らかになった。
・一条剛毅は、USNAが暗殺部隊を送り込んだ理由は、達也が戦略級魔法師であるという噂が事実だからではないかと四葉真夜を追及した。
・達也はこの追及に対し、回答の必要性を否定し、この場に相応しい議題ではないとして一蹴した。
九島家に対する処遇の決定
七草弘一が四葉家に対し、使用人を攫われたけじめを九島家に求めるか問い、四葉真夜はその判断を達也に一任した。
・達也は、九島家も光宣に操られた被害者であり、先代当主を殺害された第一の被害者であると定義した。
・この考えに基づき、九島家に責任を取らせる必要はないと明言した。
・二木舞衣や八代雷蔵がこの判断に賛同し、七草弘一も異議を唱えなかったため、九島家に償いは求めないことで決着した。
まとめ
会議の終盤、三矢元は達也に対し、彼が戦略級魔法師であることは公然の秘密であり、その行動が国内外に脅威を与えている現状を自覚すべきだと忠告した。元の発言は善意に基づくものであったが、達也は三矢家が自らの計画を国防軍へ密告した事実を把握していた。そのため、この忠告を自らの手足を縛るための牽制と捉えて警戒を強め、会議は双方の思惑が交錯したまま終了した。
戦略級魔法師管理条約
『魔法科高校の劣等生』第30巻において、国防陸軍第一〇一旅団司令官・佐伯少将が提唱した「戦略級魔法師管理条約」の概要、背景、そして真の狙いと各勢力の反応について解説する。
条約の概要と提案の背景
「戦略級魔法師管理条約」とは、存在が明らかになっている戦略級魔法師を国際魔法協会に登録し、その所属国家に管理を義務付けるという内容の条約案である。さらに、国家の管理体制に対して国際魔法協会に査察権を認めることで、国際的な保証を与える仕組みとなっている。
この条約が提案された背景には、以下の理由がある。
・「シンクロライナー・フュージョン」「霹靂塔」「アクティブ・エアー・マイン」「トゥマーン・ボンバ」といった戦略級・大規模魔法が立て続けに使用されたことで、世界的に魔法師に対する民衆の不安やマスヒステリーが高まっていたため。
・国内にアンジェリーナ・クドウ・シールズ(アンジー・シリウス)や劉麗蕾という外国の戦略級魔法師が滞在しているという、日本固有の事情があったため。
・一条将輝が新戦略級魔法師として認定されたばかりであったため。
佐伯は、これらを理由に日本が他国から領土的野心を疑われるのを避けるため、日本から率先して管理体制を提案すべきだと主張した。
佐伯少将の真の狙い
表向きは民衆の不安払拭と外交的配慮を掲げていたが、風間中佐は佐伯の真の標的が司波達也であると推測している。
佐伯の真の狙いは以下の通りである。
・達也を四葉家から引き離して完全に国家(軍)の手駒とすること。
・個人の意思で「マテリアル・バースト」などの強大な力を行使できないよう、徹底的に自由を奪って封じ込めること。
ウィリアム・マクロードの協力
佐伯は、オーストラリア軍魔法師の捕虜引き渡し任務に赴く風間を利用し、イギリスの国家公認戦略級魔法師ウィリアム・マクロードに条約案を記した密書を渡した。
マクロードの反応と対応は以下の通りである。
・達也の恒星炉プロジェクトを高く評価しており、達也の自由を奪うことには本意ではないとしつつも、新ソ連(ベゾブラゾフ)の日本侵攻には強く反発していた。
・「マテリアル・バーストが連合王国に向けられないという保証」が得られるのであれば日本と敵対する理由はないとした。
・条約案協議のための国際会議開催に向けてイギリスの国際的影響力を行使することを約束した。
一条家の賛同
佐伯は金沢基地で一条剛毅、一条将輝、劉麗蕾にも条約への同意を求めた。
・将輝は、魔法師に対する社会の不安を和らげる必要があるという佐伯の意見に同意した。
・自身の新魔法「海爆」を独断で使うつもりはないため、戦略級魔法の使用に政府の許可が必要になっても自身の自由が制限されるとは思わないとして、条約の趣旨に賛同した。
・将輝の判断に従うとした劉麗蕾も含め、一条家としては戦略級魔法の管理に同意した。
・ただし、国防軍への仕官については魔法大学を卒業するまで保留とするという形で決着した。
まとめ
佐伯少将が提唱した「戦略級魔法師管理条約」は、表向きは国際的な魔法師への不安解消や外交的配慮を目的としながらも、真の目的は司波達也の無力化と軍による国家管理にあった。この思惑に対し、イギリスのマクロードや日本国内の一条家など各勢力がそれぞれの立場で動き出し、達也を取り巻く状況はさらなる政治的駆け引きへと発展していくこととなる。
達也の軍籍抹消
『魔法科高校の劣等生』第30巻における、司波達也の軍籍(大黒竜也特尉としての登録)抹消の経緯と結末について解説する。
佐伯少将による召喚と退役届の提出
7月19日、達也は佐伯少将の呼び出しに応じ、霞ヶ浦基地の国防陸軍第一〇一旅団司令部を訪れた。
・達也は挨拶も早々に「ただ今を以て地位を返上する」と告げ、佐伯に退役届を提出した。
・しかし佐伯は、達也が戦略級魔法師であることを理由に、「勝手に軍を離れることなど許されない」と激しく拒絶した。
国家と個人の責任を巡る対立
達也と佐伯の間で、国家と個人の責任を巡る激しい対立が生じた。
・佐伯は「戦略兵器に匹敵する破壊能力を国家が野放しにするはずがない」と主張した。
・これに対し達也は「戦略級魔法師は一般論が当てはまらない特殊な存在」であると反論した。
・達也は国家のために魔法を使うこと自体は否定しないものの、「国家(政府)の代わりに個人で責任を負うつもりはない」と述べ、軍の都合の良い手駒として扱われることを明確に拒否した。
拘束命令と達也の逃走
達也の態度に激昂した佐伯は、風間中佐に達也の拘束を命じた。
・柳少佐と独立魔装大隊の隊員たちが襲い掛かり、柳の掌底によって達也は肋骨を折られるが、即座に魔法「再成」でダメージを無かったことにして反撃に転じた。
・さらに立ち塞がった風間から投げ飛ばされる瞬間に強力な振動波を撃ち込んで彼を退けた。
・達也は自ら司令官室の扉のロックを解除し、基地から脱出を果たした。
大黒竜也特尉の登録抹消
達也が去った後、風間は床に落ちていた達也の退役届の扱いを佐伯に尋ねた。
・佐伯はその封筒を無言でシュレッダーに放り込み、本日付で特務規則に基づく「大黒竜也特尉」の登録を抹消すると決定した。
・風間がその判断で良いのかと念を押すと、佐伯は「忠誠心の無い兵士は、いても有害なだけです。軍の後ろ盾が必要無いと言うなら、思いどおりにさせてあげましょう」と怒りを滲ませて吐き捨てた。
まとめ
結果として、達也の退役届が円満に受理されたわけではなかったが、佐伯の怒りに基づく判断により、達也は大黒竜也としての軍籍を抹消されることとなった。この一連の出来事により、達也は国防軍と完全に決別し、自らの道を進むこととなる。
パラサイトとの対決
『魔法科高校の劣等生』第30巻におけるパラサイトとの対決は、北西ハワイ諸島のパールアンドハーミーズ基地周辺を舞台に、パラサイト同士の内部抗争や、司波達也による最終的な消滅戦として展開される。
USNA軍強硬派による「コーラル」襲撃
パールアンドハーミーズ基地に到着した輸送艦「コーラル」に対し、パラサイトを悪魔と見なすUSNA軍の保守派・強硬派が奇襲を仕掛けた。
・退魔師(エクソシスト)が展開する対妖魔術式によって九島光宣は魔法を阻害され、桜井水波が身を挺して銃弾を防ぐ事態となる。
・しかし光宣が退魔師を無力化したことで、パラサイトであるゾーイ・スピカ中尉が本来の力を取り戻し、襲撃部隊を約半数無力化して事態を収束させた。
同族による光宣への精神干渉と反撃
救援に駆けつけたスターズ第十一隊のケヴィン・アンタレス少佐とエリヤ・サルガス中尉(共にパラサイト)は、同族の意識ネットワークへの共有を拒む光宣を危険視し、精神干渉魔法で支配しようと試みる。
・アンタレスはあらゆる知覚を奪う幻覚フィールド「ニュクス」で光宣を闇に閉じ込める。
・サルガスが精神防壁を崩す作戦に出る。
・これに対し光宣は「仮装行列(パレード)」を発動して敵の照準から逃れ、恐怖のイメージを直接叩き込む想子光の魔法「フォボス」で反撃し、二人に強烈な恐怖を与えて撃退した。
スピカの排除と基地の壊滅
達也の接近を知ったスピカ中尉は、連邦軍がパラサイトを匿っている証拠を隠滅するため、光宣とレイモンド・クラーク、水波を強制的に移動させようとする。
・水波の安静を優先する光宣はこれに激しく反発し、放出系魔法「人体発火」でスピカと部下の兵士たちを一瞬で消滅させた。
・光宣はスピカに宿っていたパラサイトの本体を取り込み、恐怖で基地の生存者を支配して「コーラル」で逃亡した。
・この光宣の苛烈な魔法行使により、基地は大量殺戮の痕跡を残す無人状態となった。
まとめ
パラサイトとの一連の抗争は、司波達也による完全消滅という形で決着する。
水波を救出に向かう達也は、パラサイトが乗る駆逐艦「シュバリエ」の甲板に降り立ち、アンタレスおよびサルガスと対峙した。
・二人は「ニュクス」や獣の幻影で精神を食いちぎる魔法「イケロス」を放つが、達也は発動過程の情報を読み取り「術式解散(グラム・ディスパージョン)」で即座に無効化した。
・達也は「雲散霧消(ミスト・ディスパージョン)」で二人の肉体を消滅させる。
・続いて、露出したパラサイト本体(霊子情報体)に対し、新魔法「アストラル・ディスパージョン」を発動した。
この魔法は、精神体がこの世界に存在するための足場(想子情報体の支持構造)を分解するものである。これにより二体のパラサイトはこの世界から完全に追放・消滅させられ、一連の死闘は幕を閉じた。
藤林響子の勧誘
『魔法科高校の劣等生』第30巻における、四葉真夜による藤林響子の勧誘について、その背景や響子の葛藤、そして真夜の真の狙いを解説する。
九島烈の葬儀と藤林家の孤立
九島烈の葬儀後の会食の場で、藤林響子は強い疎外感と無力感に苦しんでいた。
・父である藤林長正が司波達也の追跡を妨害し、九島光宣の逃亡を助けたため、藤林家は親族から距離を置かれ、手伝いすら断られていた。
・いたたまれなくなった響子は、会場を後にしようとしていた四葉真夜に声を掛け、場所を移して父の裏切りを謝罪した。
・しかし真夜は、長正はすでに重傷を負うという罰を受けており、水波が連れ去られたのも長正だけの責任ではないとして、響子が気に病む必要はないと優しく慰めた。
真夜による突然のスカウトと才能への評価
謝罪が終わった後、真夜は響子に対し「私は、惜しいと思っています」と切り出し、軍を円満に退役してFLTなど四葉家所有の企業に就職しないかと勧誘した。
・真夜は、響子が電子情報ネットワークに魔法で直接干渉できるという特異な能力を高く評価していた。
・魔法の可能性を広げるほどの才能を、軍事情報の収集や操作だけに使うのは惜しいと説き、民間の魔法師として自由に能力を発揮する道を示した。
響子の葛藤と保留
元々魔法研究者を志していた響子は、真夜の言葉に強く揺さぶられることとなる。
・婚約者の戦死を切っ掛けに軍人となった響子であったが、近年は上官である佐伯少将の違法性の強い命令に疑問を抱くようになっていた。
・真夜の誘いを受けたことで、響子は自分が軍人を続ける動機がすでに乏しくなっていることに気付かされた。
・結果として彼女は誘いを即座には拒絶できず、「少し考えさせてください」と回答を保留した。
まとめ:佐伯少将の力を削ぐ真夜の真の狙い
響子が去った後、真夜は側近の葉山忠教に対し、この勧誘が本気のものであると明かした。もちろん響子に情報ネットワークの解明という魔法研究を行わせる意図もあったが、真夜の最大の狙いは別に存在していた。
・真夜は響子の高度な情報収集・操作能力を敵に回すと厄介だと警戒していた。
・特に佐伯少将が不穏な動きを見せる中で、響子を軍から引き離すことに大きな意味を見出していた。
・響子を四葉側の研究に没頭させることで、佐伯のための軍事情報工作に関わる余裕を奪い、事実上封じ込めることが真夜の真の目的であった。
巳焼島への帰還
『魔法科高校の劣等生』第30巻における、司波達也と桜井水波の巳焼島への帰還について解説する。
台風を利用した帰還とUSNA軍の対応
パールアンドハーミーズ基地で水波を保護した達也は、エアカーの助手席に彼女を乗せ、往路よりもやや南寄りの進路を取って巳焼島への帰路についた。
・その途中、USNAの偵察衛星が太平洋を西へ進む「靄のような影」を捕捉した。
・高度なステルス性能を持つ未知の航空機械と認識したUSNA統合参謀本部は、日本近海の潜水空母の航空戦力による捕獲、あるいは撃墜を決定した。
・しかし、同盟国である日本との開戦リスクやシビリアンコントロールの原則逸脱を理由に、この決定は差し戻しとなった。この政治的介入は、達也と取引をしたワイアット・カーティス上院議員の主導によるものであった。
・一方の達也は、日本列島に接近しつつあった台風の雨雲に紛れることで、視界不良を利用して日本の監視網や衛星の目をごまかしながら巳焼島へと向かっていた。
深雪の出迎えと水波の葛藤
7月24日の午前零時過ぎ、激しい雨が降る巳焼島では、深雪が窓辺で達也の帰還を待ちわびていた。
・四葉本家からの情報で帰還時刻を把握していた深雪は、暗闇の中に達也のエアカーの気配を察知すると、リーナと共に秘密の地下施設や専用車両を使って空港へと急行した。
・空港の出入り口で、フリードスーツ姿の達也が帰還を果たした。
・しかし、達也の背後に控えていた水波は、かつて深雪を裏切って光宣を庇ったことへの強い罪悪感から、深雪の前に進み出ることを深く躊躇していた。
まとめ
怯える水波に対し、深雪は「わたしは謝罪を求めていない」「最初から、わたしに許されなければならないことなんて無い」と優しく語りかけ、笑顔で両手を広げて「お帰りなさい」と迎え入れた。
その言葉に呪縛を解かれた水波は、勢い良く前に進み出て床に両膝を突き、深雪にすがりついて大粒の涙を流しながらひたすら謝罪を繰り返した。深雪は慈愛に満ちた笑みで水波を見下ろしてその頭を撫で、自身の目にも涙を浮かべて彼女を温かく受け入れた。
こうして、光宣による拉致から始まった水波の奪還劇は、深雪と水波の涙の再会をもって無事に幕を閉じた。
四葉家とメイジアン構想
『魔法科高校の劣等生』第30巻において、インド・ペルシア連邦の魔法工学の第一人者であるアーシャ・チャンドラセカール博士によって提唱された「メイジアン構想」と、司波達也および四葉家との関わりについて解説する。
魔法師の人権問題と市民との対立
巳焼島を訪れたチャンドラセカール博士は、達也と深雪に対し、現在の各国政府による魔法師の管理体制を強く批判した。その背景には以下の問題がある。
・魔法師は民主主義社会においてすら基本的人権が容易に制限され、軍事利用という名の事実上の徴兵制を強いられている。
・二年前の達也による戦略級魔法「灼熱のハロウィン」以降、魔法師に対する市民(シビリアン)の恐怖はマスヒステリーの領域に達している。
・ヨーロッパの一部では魔法師の発動兆候を感知して電気ショックを与える「首輪」の開発が進められており、魔法師が家畜のような扱いを受ける危険性が高まっていた。
メイジアン結社の設立構想
この危機的状況に対し、チャンドラセカール博士は魔法師が自らの権利を守るために、国境を越えて団結する必要があると主張した。
・反魔法主義への感情的な反発から生まれた魔法至上主義のように市民と敵対するのではなく、市民と併存しながら権利を守る穏健な国際的NGOの設立を目指している。
・既存の名称に代わり、魔法資質保有者を広く指す概念として「メイジアン(Magian)」、実用的な魔法技能を持つ専門職業人を「メイジスト(Magist)」と呼称することが提案され、達也や深雪もこの名称に賛同した。
ESCAPES計画との本質的な一致
博士が日本を訪れて達也に協力を求めた最大の理由は、達也が進める「恒星炉プラントプロジェクト(ESCAPES計画)」が産み出す巨大な経済基盤を、メイジアン結社の各政府に対する発言力として利用するためであった。
・達也の計画は、魔法師を経済的に不可欠な技術者・生産者にすることで、兵器としての役割から解放することを目指している。
・チャンドラセカール博士の構想と達也の目的は本質的に同じであったため、達也は博士の提案に不快感を覚えることなく、状況が許せば数年以内に設立される結社に参加すると約束し、固い握手を交わした。
まとめ
四葉家当主である四葉真夜は、チャンドラセカール博士のプランを事前に把握しており、達也が結社に協力することも了承済みであった。四葉家としても、魔法師の未来を左右するこの国際的な枠組みに達也を通じて関与していく姿勢を見せている。しかし達也は、真夜からの命令という形で自身の将来の行動を縛られないよう、あえてこの場で明確な言質を与えることは避けた。このように、メイジアン構想は魔法師の自立と解放に向けた重要な一歩となるが、その背後には各々の思惑が交錯しているのである。
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キャラクター紹介
四葉家・分家
司波達也
深雪の婚約者であり、水波の奪還を目指す青年である。軍の特尉という立場を捨てて、自らの判断で行動する。
・所属組織、地位や役職
四葉家直系。第一高校の生徒(登校は控えている)。元国防軍特務士官(大黒竜也特尉)。
・物語内での具体的な行動や成果
東道青波の支援を得て、USNAの潜水空母「バージニア」でミッドウェーへ向かった。ミッドウェー監獄を襲撃してカノープスらを救出し、その後パールアンドハーミーズ基地で水波を保護した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
佐伯少将に退役届を提出し、特務士官の地位を返上した。新魔法「アストラル・ディスパージョン」でパラサイトを世界から追放する手段を確立した。
司波深雪
達也の婚約者であり、四葉家の次期当主である。拉致された水波の身を案じている。
・所属組織、地位や役職
四葉家次期当主。第一高校の生徒会長。
・物語内での具体的な行動や成果
マスコミの目を逸らすため、リーナの魔法で外見を変えて登校した。達也が襲撃され重傷を負ったという偽装工作に協力し、病院で悲痛な姿を演じた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
帰還した水波に謝罪を求めず、温かく迎え入れた。
桜井水波
深雪に仕えるメイドであり、光宣に連れ去られて行動を共にしている。
・所属組織、地位や役職
四葉家のメイド。
・物語内での具体的な行動や成果
パールアンドハーミーズ基地でUSNA軍の兵士から銃撃を受けた際、対物シールドを展開して光宣を守った。魔法の過負荷で衰弱していたが、達也に救出されて巳焼島へ帰還した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
魔法の行使により魔法演算領域が限界を超え、眠り続ける状態に陥っていた。
四葉真夜
四葉家の当主であり、知略を巡らせて事態を操る。
・所属組織、地位や役職
四葉家当主。
・物語内での具体的な行動や成果
巳焼島で達也とチャンドラセカールを引き合わせた。達也の暗殺未遂事件を偽装し、マスコミや軍の目を逸らす工作を指揮した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
藤林響子を四葉家側の企業に勧誘し、彼女の能力を取り込もうとした。
葉山忠教
四葉真夜の側近であり、当主の指示を的確に実行する。
・所属組織、地位や役職
四葉本家の執事。
・物語内での具体的な行動や成果
巳焼島や会食の場で真夜の背後に控え、ワイアット・カーティスと達也の引き合わせを補佐した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき地位の変化は記載されていない。
花菱兵庫
達也の執事であり、移動の支援などを行う。
・所属組織、地位や役職
達也の執事。
・物語内での具体的な行動や成果
達也を乗せた小型ヘリや大型セダンを操縦し、師族会議の会場や会食の場へ送迎した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき地位の変化は記載されていない。
新発田勝成
四葉分家である新発田家の次期当主である。達也を他勢力に渡さないための監視と護衛を担う。
・所属組織、地位や役職
四葉分家・新発田家次期当主。
・物語内での具体的な行動や成果
潜水空母「バージニア」に乗り込み、達也と合流した。カノープス救出の報告を本家に伝達した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき地位の変化は記載されていない。
提琴鳴
新発田勝成のガーディアンであり、婚約者である。
・所属組織、地位や役職
新発田家の関係者。勝成のガーディアン。
・物語内での具体的な行動や成果
巳焼島で達也と深雪を応接室に案内した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき地位の変化は記載されていない。
堤奏太
新発田勝成のガーディアンであり、調整体である。
・所属組織、地位や役職
新発田家のガーディアン。調整体「楽師シリーズ」の第二世代。
・物語内での具体的な行動や成果
ヘリから振動系魔法「フォノンメーザー」を放ち、警備艦「粟国」の機関砲を破壊した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき地位の変化は記載されていない。
津久葉夕歌
四葉分家である津久葉家の関係者である。四葉家の意向を伝える交渉役を務める。
・所属組織、地位や役職
四葉分家・津久葉家の関係者。
・物語内での具体的な行動や成果
甲府の病院で藤林響子と面会し、九島家の罪を問わない代わりに佐伯少将の利敵行為を証言するよう要求した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき地位の変化は記載されていない。
九島家・藤林家
九島光宣
水波を救うためにパラサイトとなった少年である。水波の意思を尊重しようとしている。
・所属組織、地位や役職
九島家(パラサイト)。
・物語内での具体的な行動や成果
パールアンドハーミーズ基地でUSNA兵士の襲撃を受けた。スピカたちを「人体発火」で殲滅し、レイモンドと共に逃亡した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
水波の回復を願いながらも、彼女を置いて基地を離脱した。
九島真言
九島家の当主であり、光宣の父親である。
・所属組織、地位や役職
九島家当主。
・物語内での具体的な行動や成果
臨時師族会議において、蒼司が光宣に操られていたと主張し、九島家の責任を回避しようとした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
七草弘一の追及を受け、九島家内のパラサイト調査を受け入れることとなった。
藤林長正
藤林家の当主であり、達也に敗れて捕らえられている。
・所属組織、地位や役職
藤林家当主。
・物語内での具体的な行動や成果
甲府の病院に監禁状態で入院している。見舞いに来た響子に対し、敗者として四葉家の要求に従う意思を示した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき地位の変化は記載されていない。
藤林響子
国防軍の士官であり、長正の娘である。上官の行動に疑問を抱いている。
・所属組織、地位や役職
国防陸軍第一〇一旅団独立魔装大隊中尉。
・物語内での具体的な行動や成果
父の裏切りについて達也に謝罪を申し入れた。四葉家から佐伯少将の不正を証言するよう求められ、これに同意した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
四葉真夜から軍を退役して民間企業へ移るよう勧誘され、保留とした。
十師族・師補十八家
七草弘一
七草家の当主であり、他家の弱みに付け込む策士である。
・所属組織、地位や役職
七草家当主。
・物語内での具体的な行動や成果
臨時師族会議で九島真言を追及し、パラサイト調査を名目に旧第九研の成果を探ろうとした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき地位の変化は記載されていない。
七草真由美
七草家の長女であり、後輩たちを気遣う性格である。
・所属組織、地位や役職
七草家。第一高校の卒業生。
・物語内での具体的な行動や成果
臨時師族会議の前に達也へ登校を勧めた。達也の入院報道後、見舞いを希望して巳焼島を訪れた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
深雪から達也の入院が偽装であることを打ち明けられ、秘密の保持に同意した。
十文字克人
十文字家の当主であり、師族会議の進行役を務める。
・所属組織、地位や役職
十文字家当主。
・物語内での具体的な行動や成果
臨時師族会議の開催を宣言し、各当主の議論を仲裁した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき地位の変化は記載されていない。
一条剛毅
一条家の当主であり、国益や実利を重んじる。
・所属組織、地位や役職
一条家当主。
・物語内での具体的な行動や成果
臨時師族会議で達也を「灼熱のハロウィン」の実行者ではないかと問い詰めた。佐伯少将の訪問を受け、将輝たちの戦略級魔法管理への同意を示した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき地位の変化は記載されていない。
一条将輝
一条家の長男であり、国家公認戦略級魔法師である。
・所属組織、地位や役職
一条家。第三高校の生徒。
・物語内での具体的な行動や成果
佐伯少将に対し、戦略級魔法の使用に政府の許可が必要となっても構わないと答えた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
進路については魔法大学進学を希望し、軍への仕官は保留とした。
一条茜
将輝の妹であり、劉麗蕾と親しくしている。
・所属組織、地位や役職
一条家。中学生。
・物語内での具体的な行動や成果
劉麗蕾に対し、将輝への好意を認めるよう促し、恋愛について助言を与えた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき地位の変化は記載されていない。
一条美登里
一条剛毅の妻であり、一条家の女主人である。
・所属組織、地位や役職
一条家当主夫人。
・物語内での具体的な行動や成果
一条邸へ移ってきた劉麗蕾と挨拶を交わした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき地位の変化は記載されていない。
二木舞衣
二木家の当主であり、中立的な態度をとる。
・所属組織、地位や役職
二木家当主。
・物語内での具体的な行動や成果
臨時師族会議に出席し、九島真言へ質問を行った。達也の発言にいち早く賛同した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき地位の変化は記載されていない。
六塚温子
六塚家の当主である。
・所属組織、地位や役職
六塚家当主。
・物語内での具体的な行動や成果
臨時師族会議で九島真言を問い詰めた。剛毅の達也に対する追及をたしなめた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき地位の変化は記載されていない。
八代雷蔵
八代家の当主である。
・所属組織、地位や役職
八代家当主。
・物語内での具体的な行動や成果
臨時師族会議で九島真言を追及した。九島家に償いは必要ないとする達也の意見に同調した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき地位の変化は記載されていない。
七宝拓巳
七宝家の当主である。
・所属組織、地位や役職
七宝家当主。
・物語内での具体的な行動や成果
臨時師族会議で達也に対し、ヘリを撃墜した件について質問した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき地位の変化は記載されていない。
五輪勇海
五輪家の当主である。
・所属組織、地位や役職
五輪家当主。
・物語内での具体的な行動や成果
臨時師族会議に出席し、達也へ質問を行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき地位の変化は記載されていない。
三矢元
三矢家の当主である。
・所属組織、地位や役職
三矢家当主。
・物語内での具体的な行動や成果
臨時師族会議でイリーガルMAPに関する説明を行った。達也の行動が国際的な警戒を招いていると忠告した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき地位の変化は記載されていない。
第一高校の生徒
七草泉美
真由美の妹であり、第一高校の生徒である。
・所属組織、地位や役職
第一高校の生徒。
・物語内での具体的な行動や成果
食堂で深雪がメッセージを見て表情を変えた際、不審に思い声を掛けた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき地位の変化は記載されていない。
光井ほのか
達也に好意を寄せる少女である。
・所属組織、地位や役職
第一高校の生徒。
・物語内での具体的な行動や成果
検査入院中の病室で達也と会話した。達也の入院報道に驚き、巳焼島へ見舞いに訪れた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
四葉家所属の魔法師になることを受け入れた。
千葉エリカ
達也の友人であり、仲間思いの性格である。
・所属組織、地位や役職
第一高校の生徒。
・物語内での具体的な行動や成果
ほのかの病室を訪れ、達也を慰めた。巳焼島で達也の偽装入院を知り、秘密の保持に同意した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき地位の変化は記載されていない。
西城レオンハルト
達也の友人である。
・所属組織、地位や役職
第一高校の生徒。
・物語内での具体的な行動や成果
巳焼島を訪れ、達也の偽装入院の真実を知った。深雪の嘘を広めるという意図を正確に理解した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき地位の変化は記載されていない。
北山雫
ほのかの親友である。
・所属組織、地位や役職
第一高校の生徒。
・物語内での具体的な行動や成果
ほのかの病室で、達也にほのかを守るよう強く求めた。巳焼島を訪れ、偽装入院に協力した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき地位の変化は記載されていない。
国防軍
佐伯
第一〇一旅団の司令官であり、国益を最優先とする冷徹な軍人である。
・所属組織、地位や役職
国防陸軍第一〇一旅団司令官。少将。
・物語内での具体的な行動や成果
イギリスのマクロードへ戦略級魔法師管理条約の提案書を送った。達也を軍から引き離そうとし、退役届を提出された際に拘束を命じた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
達也の特務士官登録の抹消を決定した。
風間
独立魔装大隊の指揮官であり、佐伯の命令に従いつつも疑問を抱く。
・所属組織、地位や役職
国防陸軍第一〇一旅団独立魔装大隊指揮官。中佐。
・物語内での具体的な行動や成果
硫黄島でオーストラリアの魔法師を解放し、マクロードに佐伯の書状を手渡した。佐伯の命令で達也を拘束しようとし、投げ飛ばした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
達也の退役に関して佐伯と見解が対立した。
柳
独立魔装大隊の将校である。
・所属組織、地位や役職
国防陸軍第一〇一旅団独立魔装大隊。少佐。
・物語内での具体的な行動や成果
佐伯の命令を受け、司令官室で達也に格闘戦を仕掛けたが、振動魔法で反撃を受けて倒れた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき地位の変化は記載されていない。
楯岡
風間の部下である。
・所属組織、地位や役職
国防陸軍第一〇一旅団独立魔装大隊。曹長。
・物語内での具体的な行動や成果
風間に同行して硫黄島へ向かい、イギリス空母の存在を報告した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき地位の変化は記載されていない。
木戸乙葉
佐伯の護衛を務める女性士官である。
・所属組織、地位や役職
国防軍。大尉。
・物語内での具体的な行動や成果
佐伯に同行して金沢基地を訪れた。一条家の対応について佐伯と意見を交わした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき地位の変化は記載されていない。
浅野
金沢基地の司令官である。
・所属組織、地位や役職
国防陸軍金沢基地司令官。大佐。
・物語内での具体的な行動や成果
一条剛毅を基地に出迎えた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき地位の変化は記載されていない。
USNA軍・政府関係者
アンジェリーナ・クドウ・シールズ
USNA軍の魔法師であり、達也たちに保護されている。
・所属組織、地位や役職
スターズ総隊長(アンジー・シリウス)。少佐。第一高校の生徒。
・物語内での具体的な行動や成果
深雪の護衛を務めつつ、達也にカノープスの救出を依頼した。四葉真夜から日本への帰化や養子縁組を提案された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
USNAへの愛国心を残しつつも、自らの進路について迷いを深めている。
ワイアット・カーティス
USNAの上院議員であり、CIAにも強い影響力を持つ保守派の大物である。
・所属組織、地位や役職
USNAバージニア州上院議員。ベンジャミン・カノープスの大叔父。
・物語内での具体的な行動や成果
達也と面会し、渡航手段の提供と引き換えにカノープス救出とパラサイトの駆逐を依頼した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
作戦成功の暁には深雪の後ろ盾となることを約束した。
マイケル・カーティス
原子力潜水空母の艦長であり、ワイアット・カーティスの甥である。
・所属組織、地位や役職
USNA海軍原子力潜水空母「バージニア」艦長。大佐。
・物語内での具体的な行動や成果
達也を艦に迎え入れ、ミッドウェー監獄の情報を提供した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
飛行魔法の軍事的価値を高く評価している。
レイモンド・S・クラーク
七賢人の一人であり、光宣と行動を共にしている。
・所属組織、地位や役職
七賢人。パラサイト。
・物語内での具体的な行動や成果
パールアンドハーミーズ基地で光宣に逃亡を勧めた。基地壊滅後、光宣と共に脱出した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
世界情勢よりも光宣と水波の結末を見届けることを選んだ。
ゾーイ・スピカ
スターズの隊員であり、パラサイトである。
・所属組織、地位や役職
スターズ第四隊。中尉。
・物語内での具体的な行動や成果
パールアンドハーミーズ基地で光宣を拘束しようとしたが、光宣の「人体発火」を受けて消滅した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
肉体を失い、パラサイトの本体は光宣に取り込まれた。
ケヴィン・アンタレス
スターズの隊長であり、パラサイトである。
・所属組織、地位や役職
スターズ第十一隊隊長。少佐。
・物語内での具体的な行動や成果
光宣の意識を封じるため「ニュクス」を使用したが、光宣の「フォボス」で反撃を受けた。駆逐艦シュバリエで達也と交戦し、分解魔法で消滅した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
達也の魔法により、パラサイトとしてこの世界から追放された。
エリヤ・サルガス
スターズの隊員であり、パラサイトである。
・所属組織、地位や役職
スターズ第十一隊。中尉。
・物語内での具体的な行動や成果
アンタレスと共に光宣を攻撃したが反撃を受けた。シュバリエの甲板で達也に精神攻撃魔法「イケロス」を放ったが破られ、消滅した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
達也の魔法により、パラサイトとしてこの世界から追放された。
ベンジャミン・カノープス(ベンジャミン・ロウズ)
スターズの魔法師であり、不当に収監されている。
・所属組織、地位や役職
スターズ第一隊隊長。少佐。
・物語内での具体的な行動や成果
ミッドウェー監獄に囚われていたが、達也によって救出された。部下のアルゴルとシャウラを連れて脱出した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ワイアット・カーティスの手配により自由を取り戻した。
ラルフ・アルゴル
スターズの隊員である。
・所属組織、地位や役職
スターズ第一隊。少尉。
・物語内での具体的な行動や成果
ミッドウェー監獄で睡眠薬を嗅がされベッドに縛られていた。カノープスに担がれて救出された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
意識がないままエアカーに乗せられた。
アリアナ・リー・シャウラ
スターズの女性隊員である。
・所属組織、地位や役職
スターズ第一隊。少尉。
・物語内での具体的な行動や成果
ミッドウェー監獄からカノープスによって救出された。達也たちを脱出用の車両へと案内した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき地位の変化は記載されていない。
空母「シャングリラ」の艦長
USNA海軍の空母艦長である。
・所属組織、地位や役職
USNA海軍空母「シャングリラ」艦長。
・物語内での具体的な行動や成果
達也からの通信を受け、交戦を中止して海上のパイロット救助に専念することに合意した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
達也のパラサイト駆逐の目的に個人的な賛同を示した。
ワイアット・カーティスの秘書
ワイアット・カーティスに仕える女性である。
・所属組織、地位や役職
ワイアット・カーティスの秘書兼通訳。日系白人。
・物語内での具体的な行動や成果
会食の場でカーティスに付き添い、適切な日本語を助言した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき地位の変化は記載されていない。
イリーガルMAP・コールサック分隊
USNA軍の非合法暗殺部隊である。
・所属組織、地位や役職
イリーガルMAP。
・物語内での具体的な行動や成果
ミッドウェー監獄でアルゴルに偽装してカノープスを狙った。煙幕や投擲武器で達也に襲い掛かったが、全滅させられた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
達也の反撃により殲滅された。
その他の海外勢力
劉麗蕾
大亜連合から亡命してきた戦略級魔法師である。将輝に強い好意を抱いている。
・所属組織、地位や役職
大亜連合軍少尉(亡命申請中)。国家公認戦略級魔法師。
・物語内での具体的な行動や成果
小松基地から一条邸へ移動した。佐伯の問いに対し、進路や軍への仕官は将輝の判断に従うと答えた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき地位の変化は記載されていない。
ウィリアム・マクロード
イギリスの戦略級魔法師であり、十三使徒の一人である。
・所属組織、地位や役職
イギリスの国家公認戦略級魔法師。
・物語内での具体的な行動や成果
硫黄島で風間からジャスミンたちを受け取り、佐伯からの書状を読んだ。達也の計画を評価し、戦略級魔法師管理条約への協力を約束した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき地位の変化は記載されていない。
ジャスミン・ウィリアムズ
オーストラリア軍の魔法師である。
・所属組織、地位や役職
オーストラリア軍工作員。
・物語内での具体的な行動や成果
日本の軍事刑務所から解放され、硫黄島でマクロードに引き渡された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
マクロードが開発した魔法の使い手であり、調整体魔法師であることが判明している。
ジェームズ・J・ジョンソン
オーストラリア軍の魔法師である。
・所属組織、地位や役職
オーストラリア軍工作員。
・物語内での具体的な行動や成果
日本の軍事刑務所から解放され、硫黄島でマクロードに引き渡された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき地位の変化は記載されていない。
アーシャ・チャンドラセカール
インド・ペルシア連邦の科学者であり、魔法師の人権向上を目指している。
・所属組織、地位や役職
ハイダラーバード大学教授。
・物語内での具体的な行動や成果
巳焼島を訪れ、達也と深雪に面会した。魔法師の国際結社設立に向けて、達也の協力を要請した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき地位の変化は記載されていない。
アイラ・クリシュナ・シャーストリー
チャンドラセカールの護衛を務める女性である。
・所属組織、地位や役職
非公認戦略級魔法師。
・物語内での具体的な行動や成果
巳焼島の応接室でチャンドラセカールの背後に立ち、達也と会釈を交わした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
新たに戦略級魔法「アグニ・ダウンバースト」を習得したことが明かされた。
その他
東道青波
日本の国家の黒幕的存在であり、達也の行動を後押しする。
・所属組織、地位や役職
国家の黒幕。
・物語内での具体的な行動や成果
九重寺で達也と面会した。達也の軍事力行使を事後承認する手配と、出国のための公用旅券を提供した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
達也に光宣を日本へ連れ帰らないことを条件として提示した。
九重八雲
忍術の使い手であり、達也の師匠である。
・所属組織、地位や役職
九重寺の住職。忍び。
・物語内での具体的な行動や成果
東道青波と達也の面会に同席した。達也に公用旅券を渡した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき地位の変化は記載されていない。
魔法科 (28)(29) 追跡編レビュー
魔法科 まとめ(3年生)
魔法科シリーズ まとめ
魔法科 (31) 未来編レビュー
備忘録
[1]
水波奪還失敗後の状況整理
平静を装う達也と深雪
七月十三日早朝、達也は登校する深雪にほのかの見舞い予定を確認した。前日に水波の奪還に失敗していたが、二人は動揺を見せず平静を保っていた。深雪は報道対策としてリーナの魔法で変装していた。
リーナの理解と同行
リーナは達也に同行を求められると即座に了承した。二人の精神的負担を理解しつつも、諦めていないことを見抜き、自身も普段通り振る舞うことを選択した。
マスコミ対策と変装理由
深雪の変装は、達也の関与が報道されたことで取材が過熱したためであった。一条将輝の戦略級魔法使用に関連して達也の名が公表され、周囲の注目が集中した結果である。
達也の観測と光宣の妨害
達也は水波の位置を追跡していたが、光宣の古式魔法により観測を妨害された。無理な追跡は水波に危険が及ぶと判断し、一時的に観測を中断した。
藤林家との関係悪化
藤林響子から父の行動に関する謝罪の申し出があったが、達也はこれを拒否した。長正は光宣の逃亡を助けるため達也を妨害しており、裏切り行為に相当していた。
軍の警戒と達也の評価
軍内部では達也の行動が問題視され、戦略級魔法師としての危険性が改めて認識されていた。光宣の逃亡先や米軍関与の可能性も含め、情勢は緊迫していた。
師族会議での対立と駆け引き
臨時師族会議では九島家の関与や達也の行動が議題となった。九島家は責任回避を図り、他家はそれを追及したが、最終的に達也は責任追及を不要と判断し、問題は収束した。
達也への警戒と忠告
三矢元は達也の影響力の大きさと、それに伴う危険性を指摘した。達也は忠告を受け止めつつも、背後の意図に警戒心を抱いていた。
ほのか見舞いと関係の変化
見舞いの場では、ほのかが達也に守られることを望み、その代償も受け入れる意思を示した。深雪も複雑な本音を抱えながら、それを受け入れる姿勢を見せた。
日常の維持と内面の重さ
夕食の場では軽いやり取りが交わされたが、水波の件が話題に上ると空気は重くなった。達也は本来このような状況を望んでいなかったと本音を漏らした。
水波救出への決意
達也は水波の救出を決して諦めないと明言した。現在位置の把握も継続しており、追跡は維持されていた。
目的地推測と今後の展開
移動経路から、目的地は北西ハワイ諸島方面と推測された。ミッドウェーやパールアンドハーミーズが候補に挙げられ、今後の行動の焦点となった。
[2]
硫黄島任務と新たな国際局面
硫黄島への護送任務開始
七月十四日、風間は硫黄島へ向けて出発した。任務は拘束していたオーストラリア軍魔法師二名の引き渡しであり、対象者は落ち着いた様子を見せつつも厳重な監視下に置かれていた。風間は任務が平穏に終わる可能性を感じながらも警戒を緩めなかった。
達也の出発と奪還準備の進行
風間の出発後、達也は深雪とリーナを伴い移動を開始した。目的は水波奪還に向けた移動手段の確保であり、長距離飛行可能なエアカーの開発状況確認と並行して、米軍艦船の奪取という現実的手段も視野に入れていた。
巳焼島での真夜との対面
巳焼島に到着した達也たちは予定外の施設へ案内され、四葉真夜と対面した。真夜は達也の行動を把握した上で介入しており、水波奪還の意思を確認すると、数日の待機を命じた。達也は疑問を抱きつつもその指示を受け入れた。
チャンドラセカールとの会談
応接室では魔法工学の第一人者チャンドラセカールと会談が行われた。彼女は魔法師の人権問題を提起し、国家管理からの解放と国際的連携の必要性を説いた。達也の恒星炉構想はその基盤として評価され、将来的な協力関係が合意された。
リーナへの勧誘と内面の揺らぎ
一方で真夜はリーナに対し、日本への帰化や四葉側への参加を提案した。リーナは自身の孤立した過去と現在の立場の間で揺れ動きつつ、即答を避けて熟考する姿勢を示した。
新魔法の説明と評価
達也は真夜に対し、新魔法「アストラル・ディスパージョン」の原理を説明した。これは霊子情報体の存在基盤を破壊するものであり、精神体そのものをこの世界から排除する画期的な魔法として高く評価された。
硫黄島での異例の引き渡し
硫黄島では、囚人の引き渡し先がオーストラリア軍ではなくイギリス海軍であることが判明した。責任者として現れた戦略級魔法師マクロードとの接触により、任務の背後に別の意図があることが示唆された。
戦略級魔法師管理構想の提示
佐伯からの書状には、戦略級魔法師を国家が管理する国際条約構想が記されていた。風間はこれが達也を国家管理下へ置く意図であると理解し、軍人としての立場と内心の葛藤を抱えることとなった。
九島烈の葬儀と勢力の思惑
九島烈の葬儀では四葉家の存在が強い注目を集めた。藤林家は孤立し、響子は父の行為に対する責任を抱えて苦しんでいたが、真夜は彼女を責めることなく受け入れた。
響子への勧誘と真夜の意図
真夜は響子に対し軍を離れ四葉側へ来るよう勧誘した。その狙いは能力の活用だけでなく、情報操作能力を持つ彼女を軍から切り離し、潜在的な脅威を抑えることにもあった。響子は迷いながらも即答を避けた。
物語の転換点としての国際連携
この一連の動きにより、水波奪還という個人的問題は、魔法師の権利や国際政治を巻き込む大きな局面へと拡大した。達也の行動は単なる奪還作戦に留まらず、世界規模の構造変化へと繋がる段階に入っていた。
[3]
パールアンドハーミーズ到着と米国勢力との取引
基地到着直後の異常事態
七月十五日早朝、光宣と水波を乗せた輸送艦はパールアンドハーミーズ環礁の米軍基地に到着した。しかし乗員には上陸禁止が命じられ、補給のみが行われるという異常な対応が取られた。光宣とレイモンドにとっても想定外の措置であり、状況は停滞した。
原因不明の拘束と光宣の自制
レイモンドはスピカを通じて理由の確認を試みたが、明確な回答は得られなかった。解決には数日を要するとされ、光宣は苛立ちを覚えながらも軽率な行動を避け、状況の推移を待つ姿勢を取った。
水波への謝罪と内面の葛藤
光宣は水波に対して現状を詫びたが、水波は責任を否定し穏やかに応じた。しかしその言葉には抑えた感情が含まれており、光宣はそれを察して自らの無力さに苦悩していた。
達也側での状況把握
七月十六日、達也は水波が同基地に到達したことを深雪とリーナに伝えた。深雪は冷静に受け止めたが、リーナはカノープスの状況も重なり動揺を見せた。その後リーナは自らの態度を反省し謝罪した。
救出方針の維持
達也は北西ハワイ諸島への移動手段は真夜の連絡待ちであると説明しつつ、水波救出の意志を明確に示した。リーナの願いにも応える姿勢を見せ、三者の信頼関係は維持された。
深雪への不審な連絡
七月十七日、深雪は食堂で受信したメッセージにより一瞬動揺したが、即座に平静を装った。エリカが話題を逸らしたことで、その場での追及は避けられた。
四葉家の命令と会食準備
同日、深雪は四葉本家から会食出席を命じられ、リーナと共に同行することとなった。帰宅後、三人は急ぎ準備を整え、指定時刻に会場へ向かった。
カーティスとの対面
会食の場で達也たちはUSNA上院議員ワイアット・カーティスと対面した。彼はリーナの正体を把握しており、自身の政治的影響力を背景に交渉を開始した。
取引条件の提示
カーティスは北西ハワイ諸島への移動手段提供と引き換えに、ミッドウェー監獄に収監されたカノープスの救出を依頼した。さらに現地での後始末を引き受けるとしつつ、実行は達也側に委ねる条件を提示した。
政治的背景と真意
この依頼の背景には政治的面子の問題が存在していた。不当拘束を放置できない事情に加え、米軍内部に浸透したパラサイトの排除も目的とされていた。
達也の受諾と協力関係の成立
達也は水波救出と利害が一致すると判断し、依頼を受け入れた。これによりカーティスは四葉家の後ろ盾となることを約束し、双方の協力関係が成立した。作戦準備は急速に進行した。
軍側の警戒と対抗措置
七月十八日、風間はカーティスの来日と四葉家接触の可能性を知らされた。風間は達也を利用したパラサイト殲滅の取引を推測したが、佐伯はこれを強く警戒し反発した。
達也召喚の決定
佐伯は達也を特務士官として召喚する方針を示し、外国勢力との関与を理由に訊問を行う構えを取った。風間はその理屈に無理を感じつつも、反対することはなかった。
[4]
パールアンドハーミーズ基地襲撃と作戦準備
コーラルへの強襲と襲撃開始
日本時間七月十八日午後三時、パールアンドハーミーズ基地に新たな輸送艦が入港し、武装兵士たちが全水没型輸送艦「コーラル」へ突入した。彼らはカーゴハッチを破壊して侵入し、敵地に踏み込むかのような緊張を漂わせていた。
乗員への無差別攻撃
襲撃部隊は、コーラルの乗員をパラサイト協力者または感染者として扱い、警告もほとんどなく射殺を開始した。銀と水晶を用いた対妖魔弾を使用し、退魔師の協力のもとでパラサイト殲滅を目的としていた。この行動の背景には、パラサイトを悪魔と見なす軍内部の過激思想が存在していた。
光宣の異変察知と水波の防御行動
光宣は水波の部屋で異変を察知し、念話が妨害されていることから事態の異常性を認識した。やがて突入した兵士が銃撃を行うと、水波は反射的にCADを操作し対物シールドを展開して攻撃を防いだ。
水波の消耗と光宣の自責
水波は防御に成功したが、その代償として大きく消耗し膝をついた。光宣は自身の行動が水波に負担を強いたことを悟り、彼女を抱き締めながら深い悔恨に苛まれた。
戦闘終結と負傷者の処置
光宣が退魔師を無力化したことでスピカは本来の力を取り戻し、襲撃部隊の半数を制圧した。さらに指揮官の死亡により残存兵は戦意を喪失し、投降が受け入れられたことで全滅は回避された。戦闘後、水波は基地医務室へ運ばれ、薬により眠らされた。
光宣の絶望と決意
戦闘後、光宣は自らの責任を痛感し、水波を救うためにパラサイト化させるべきだとするレイモンドの提案を拒否した。水波の意思を尊重するという約束を守ることを選び、無力感を抱えながら沈黙した。
達也の九重寺訪問
同日夜、達也は単独で九重寺を訪れ、八雲の仲介により東道青波と面会した。目的は軍を離れても合法的に戦力行使できる立場の確保であった。
東道の判断と政治的意図
東道は達也の能力を自由に使えない状況を国防上の損失と判断し、事後処理によって罪に問われない体制を整えると約束した。また、佐伯から達也を切り離すことが国家にとって有益であるとの見解を示した。
救出作戦への許可と制限
東道はカーティスの依頼受諾を認め、カノープス救出を達也の力の示威と位置付けた。ただしミッドウェー監獄の全壊は禁止し、過剰な破壊を避けるよう条件を付した。
光宣に関する条件提示
東道は九島光宣を日本へ連れ帰らないことを条件とした。問題は現地で処理されるべきであるとし、達也は水波奪還を優先してこれを受け入れた。
公用旅券の準備
さらに東道は、密出国の問題を回避するため公用旅券を用意していた。名目は魔法工学技術者としての技術協力であり、達也はその実用性を理解して受領した。
[5]
スターズ増援と光宣の反撃
スターズ増援の到着
日本時間七月十九日正午、パールアンドハーミーズ基地にスターズ本部から小型輸送機が到着した。滑走路が無いため空母を代用した着陸であり、派遣されたアンタレスとサルガスはいずれもパラサイト化していた。
基地状況の報告
スピカはコーラル襲撃による被害を報告し、乗員の半数が死亡したことと、生存者の待遇改善を伝えた。さらにベガとデネブの戦死が共有され、アンタレスは簡潔に哀悼を示した。
光宣の存在と警戒
問題は未解決であり、その原因はパラサイトの意識ネットワークを拒絶する光宣の存在であった。個体として独立した意思を保つその異質性は、種全体にとって危険と判断され、三名は強い警戒を抱いた。
精神干渉による同化計画
アンタレスは光宣への接触を決定し、精神干渉魔法によって防壁を崩しネットワークへ取り込む方針を立てた。サルガスと連携し、強制的な同化を狙う作戦が開始された。
達也の退役宣言と対立
同日午後、達也は霞ヶ浦基地で退役を申し出たが、佐伯により拒否された。戦略級魔法師である以上、国家の管理下に置くべきとされ、達也は国家と政府の役割の違いを指摘して反論した。
拘束命令と戦闘
佐伯は達也の拘束を命じ、柳らが攻撃を仕掛けた。達也は負傷しても即座に再生し、魔法で反撃して突破、司令室から脱出した。風間との交錯でも互いにダメージを与え合い、達也は離脱に成功した。
特尉資格の抹消
達也の退室後、佐伯は退役届を破棄しつつ、特務規則に基づく登録そのものを抹消した。これは忠誠心を欠く存在と見なした結果であり、感情的な判断でもあった。
水波の悪化と光宣の葛藤
基地では水波の消耗が続き、回復の見込みは薄かった。光宣は救う手段としてパラサイト化を考えつつも、本人の意思を尊重する約束との間で苦悩していた。
精神干渉攻撃の発動
アンタレスは幻覚領域「ニュクス」で光宣の感覚を遮断し、サルガスが精神攻撃を行う作戦を実行した。光宣は知覚を封じられながらも状況を分析し、反撃の機会を探った。
仮装行列による脱出
光宣は「仮装行列」によって自身の位置情報を改変し、敵の照準から離脱した。闇は消え、敵の攻撃は実体を捉えられなくなった。
精神攻撃『フォボス』の反撃
続いて光宣は『フォボス』を発動し、強制的な恐怖を植え付けた。この攻撃により敵の精神干渉は崩壊し、「ニュクス」も維持不能となった。
戦況逆転と優位確立
アンタレスとサルガスは激しい恐怖により行動不能となり、光宣は完全に主導権を握った。視界を遮断された状態での精密攻撃は、敵の想定を大きく超えるものであった。
意思表示と衝突の終結
光宣は念話で支配の意思が無いことを伝え、干渉を禁じた。アンタレスはこれを受け入れて謝罪し、光宣も応じたことで戦闘は終結したが、両者の間には明確な力の差が残された。
[6]
第〇章 出発前の策謀と潜航作戦
出発前の朝の食卓
七月二十日早朝、達也は登校せず出発準備を進める中、深雪とリーナと共に朝食を取っていた。深雪が淹れたコーヒーを味わいながら、達也はしばらくそれを飲めなくなることへの寂しさを口にし、深雪は不安と寂しさを隠せず沈黙した。
出発の決意と不安の共有
達也はその日のうちに北西ハワイ諸島へ向かうことを告げ、深雪は兄の身を案じながらも受け止めた。互いに相手を気遣いながら、不安を抱えたまま別れに向き合う状況であった。
役割と約束の再確認
達也は不在中の護衛をリーナに託し、リーナはカノープス救出を依頼した。これまで繰り返されてきた約束が再確認され、それぞれの役割と覚悟が明確化された。
救出任務への覚悟
達也は水波とカノープスの救出を引き受けると明言し、深雪はそれを信じて任せる姿勢を示した。三人はそれぞれの立場で任務に臨む決意を固めていた。
出港準備と移乗計画
午後、達也は巳焼島の港から小型艇「落陽丸」で駆逐艦へ移乗する準備を整えた。公用旅券により、技術協力名目での合法出国が整えられていた。
不審船の接近と異常行動
航行中、沿岸警備艦「粟国」が異常な進路で接近し、達也のいる船へ一直線に突進した。達也はこれを意図的な攻撃と判断し、状況を冷静に観察していた。
衝突による沈没危機
「粟国」は体当たりを敢行し、「落陽丸」は致命的損傷を受け沈没が不可避となった。さらに機関砲を向けるなど敵対行動を続けた。
四葉側の反撃と制圧
直後、堤奏太が魔法で機関砲を破壊し、四葉の魔法師たちが突入して「粟国」を制圧した。戦闘の主導権は四葉側へ移行した。
沈没と救助活動
しかし「落陽丸」は沈没し、周囲では救助活動が開始された。乗組員の救出が急がれる状況となった。
海上テロとしての報道
事件は海上テロとして報じられ、「粟国」が反魔法主義者に乗っ取られていたことが明らかにされた。達也暗殺を目的とした襲撃であったと報道された。
達也の重傷と搬送
達也は血まみれの状態で救助され、病院へ搬送された。生死不明の状態として世間の注目を集めた。
深雪の悲嘆と社会反応
深雪は病院で達也の姿を見て崩れ落ち、その様子が報道されたことで世間の同情を集めた。一方で報道の在り方には批判も高まった。
偽装工作の真相
夜、地下施設にて達也は無傷で存在しており、『再成』によって負傷は完全に回復されていた。病院には精巧な偽装が置かれ、入院状態が演出されていた。
深雪の本心と約束
深雪の涙は演技ではなく本心であり、達也はその思いを受け止め同様の危険な策を繰り返さないと約束した。
別れに向けた心情整理
深雪は感情を整理し、リーナも不安を抱えつつ見送る覚悟を固めた。三人の間には緊張と軽口が混じる関係が保たれていた。
出発と潜航
達也はエアカーで出発し、水上走行の後に潜航して姿を消した。新型機は高いステルス性能を備え、探知が極めて困難であった。
潜水空母との合流
達也は原子力潜水空母「バージニア」に着艦し、真の移動手段として作戦に合流した。表向きの駆逐艦は囮であった。
勝成との合流と護衛体制
艦内で新発田勝成らと合流し、達也は保護下に置かれた。同行は戦力維持と他勢力への対抗を目的としていた。
四葉本家での報告
同時刻、四葉本家では達也の無事が報告され、計画が順調に進行していることが確認された。
事件の裏側の露呈
「落陽丸」襲撃や報道の流れはすべて真夜の計画によるものであり、達也の行動を隠すための演出であった。
関係者の処理と調整
関与した反魔法主義者は拘束され、軍への引き渡しと処理が進められる見通しとなった。真夜はその進行を管理していた。
計画の最終調整
真夜は引き渡しの前倒しを指示し、計画全体を掌握したまま調整を進めた。すべては周到な準備のもとで進行していた。
[7]
休みの始まりと各勢力の思惑
夏休み開始と深雪の巳焼島滞在
七月二十一日、魔法大学付属第一高校は夏休みに入った。九校戦が中止されたため深雪の予定は空白となっていたが、深雪は達也の看病を名目に巳焼島へ滞在していた。達也が病院にいないと分かっていても、その行動は達也を最優先する意思に基づいていた。
ほのかからの電話と見舞いの受け入れ
深雪はICUモニター室でほのかから電話を受け、達也の容体について命に別状はなく一週間ほどで退院できると建前を伝えた。ほのかの不安を察した深雪は見舞いを提案し、偽装入院の危険を理解しつつも、友人たちへの信頼と不自然さを避ける必要から受け入れを決めた。
四葉本家への連絡と真夜の了承
深雪はほのかたちの訪問について四葉本家へ連絡した。真夜はすぐに了承し、友人たちの巳焼島訪問が決定した。
劉麗蕾の一条家滞在開始
劉麗蕾は小松基地から一条邸へ移り、一条家での生活を始めていた。監視役である茜の負担を軽減するための措置であり、劉麗蕾は「レイラ」や「レイちゃん」と呼ばれながら一条家に馴染み始めていた。
佐伯による戦略級魔法師管理条約の説明
剛毅は金沢基地で佐伯から、戦略級魔法師管理条約の構想を説明された。佐伯は大規模魔法への不安が世界的に高まっているとして、所属国家による管理と国際魔法協会の査察が必要だと主張した。
将輝と劉麗蕾の同意
剛毅は将輝と劉麗蕾を呼び、本人たちに判断させた。将輝は戦略級魔法の政府管理に同意しつつ、進路は魔法大学卒業まで保留した。劉麗蕾は将輝の判断に従うと答え、将輝への強い依存と好意を示した。
劉麗蕾と茜の恋愛談義
前夜、劉麗蕾は茜との会話で将輝への好意を認めていた。彼女は将輝の強さではなく優しさに惹かれており、茜の助言を受けて自分から行動する決意を固めていた。
佐伯の帰路と将輝への評価
面談後、佐伯は木戸と共に霞ヶ浦基地へ戻る途中、一条家の回答を期待以上と評価した。一方で、将輝と達也の違いを意識し、国家への義務を理解している点では将輝の方が成熟していると見ていた。
藤林響子への証言要求
藤林響子は、四葉家の影響下にある病院で父・長正を見舞った。そこにいた津久葉夕歌は、九島真言らの罪を追及しない代わりに、佐伯の利敵行為を証言するよう響子に求めた。
響子の葛藤と決断
響子は上官への裏切りに葛藤したが、長正から藤林家の人間としての立場を問われ、佐伯への忠誠に疑問を抱いた。不正は正されるべきだと判断し、呂剛虎の密入国黙認とパラサイドール開発支援について証言する決意を固めた。
見舞い客の追加と真由美の申し入れ
ほのかは雫、エリカ、レオも同行すると伝え、深雪は宿泊手配を進めた。その直後、七草真由美からも達也の見舞い希望があり、深雪は本家に確認すると答えた。
真夜の許可と深雪の判断
真夜は七草家の意図を警戒しつつも、真由美の訪問を許可し、対応を深雪に一任した。リーナは偽装入院の露見を心配したが、深雪は真由美なら事情を守ると判断していた。
佐伯の帰還と風間の招集
佐伯は霞ヶ浦基地に戻ると風間を呼び、達也の入院報道について意見を求めた。風間は『再成』の存在から重傷は考えにくく、入院は偽装であり、既に出国している可能性もあると述べた。
情報部の失敗と佐伯の警戒
情報部も事件を不審に思い調査していたが、巳焼島の警戒は厳しく潜入は失敗していた。佐伯は警備艦事件の不自然さを疑い続け、風間は海軍内の反魔法主義派による計画的テロの可能性を示した。
達也への執着と緊張の継続
風間は佐伯が達也を敵視しすぎているのではないかと指摘したが、佐伯は否定した。それでも達也の動向を即時報告するよう命じ、彼女の強い警戒と執着は残り続けていた。
[8]
見舞いと情報戦の進行
見舞い客の到着と再会
七月二十二日午前十時、巳焼島の空港に北山家と七草家のティルトローター機が到着した。雫、ほのか、エリカ、レオ、そして真由美は同じ車で病院へ向かい、ICUモニター室にて深雪とリーナに迎えられた。
達也不在の真実の開示
部屋を施錠した後、深雪は達也が病院にいない事実を明かした。重傷を負ったこと自体は事実であるが、搬送時には既に「再成」により回復していたと説明され、一同は驚きながらも理解した。深雪の涙が演技ではなかったことも語られ、場の緊張は次第に和らいでいった。
真由美の追及と信頼の確認
真由美は、この規模の偽装を自分に明かしてよいのか問い質した。深雪は七草家との対立を望まない姿勢を示し、情報を漏らす意思があるか逆に確認した。真由美はこれを否定し、入院の建前を守ると約束したことで、他の四人も同様に協力する意思を示した。
嘘の拡散という方針の提示
雫の疑問に対し、深雪は完全な秘匿ではなく、限られた人物に嘘を共有させ自然に広める方針を説明した。疑念を招くよりも統一された情報を流す方が現実的であると判断していた。
協力関係の成立
深雪は積極的な情報操作ではなく、問われた際に達也は入院中であると答えるよう依頼した。ほのか、エリカ、レオ、雫、真由美はこれに同意し、偽装を支える協力体制が整った。
病院封鎖と世論の動向
病院は盗撮報道の影響により厳重に封鎖され、面会は事前許可制となっていた。マスコミは反発したが、深雪の悲痛な姿が報じられたことで世論は病院側を支持し、結果として報道側が不利な状況に追い込まれていた。この状況自体が四葉家による計画の一部であった。
諜報機関の潜入活動と停滞
マスコミに紛れて各国の諜報員も潜入を試みていたが、警備体制は極めて厳重であり、接触やハッキングはいずれも成果を上げられなかった。協力者の確保も進まず、調査は停滞していた。
情報戦の継続と撤収判断
状況が好転しない中でも、諜報チームは作戦の継続を決定した。一度三宅島へ撤収しつつも、夜間行動も視野に入れ再侵入の機会を窺う方針が確認された。
監視報告と深雪の対応
夕方、深雪の端末に陸軍情報部のクルーザーが三宅島へ向かったという報告が入った。巳焼島の警察は四葉家配下で構成されており、深雪は監視継続のみを指示した。
情報部の行動分析と警戒維持
リーナは船を使う点に疑問を示したが、深雪は情報部独自の行動と分析した。組織間の連携不足を前提に状況を把握しつつ、両者は冷静に警戒を続けた。
残存する脅威と環境悪化
陸軍の動きが収束したわけではなく、新ソ連の工作員も周辺海域で活動を続けていた。さらに台風接近により環境は悪化していたが、各勢力はなお監視と潜入の機会を探り続けていた。
緊張下の一時的な緩和
台風を巡る軽いやり取りにより、深雪とリーナの間には一時的な緊張緩和が生まれた。しかし状況そのものは依然として不安定であり、情報戦は継続していた。
[9]
潜入作戦と戦局の転換
潜水空母内での最終準備
原子力潜水空母「バージニア」は現地時間に合わせて艦内時計を調整し、達也は護衛兵を伴って艦橋へ向かった。ミッドウェー到着まで約一時間と確認され、作戦は予定どおり進行していた。
カーティス艦長との対話
艦長マイケル・カーティスは達也を艦長室へ招き、協力関係を前提とした最終確認を行った。彼は上院議員の甥として本作戦の重要な仲介役でもあり、両者は利害の一致を再確認した。
飛行魔法の軍事的意義の認識
カーティスは達也の飛行魔法が戦争の形を変える革新技術であると評価した。個人単位で高機動戦闘を行う存在は従来の戦術を無効化し、戦場の常識を覆す脅威であると位置付けられた。
ミッドウェー監獄への侵入
達也は新型エアカーで監獄へ接近し、ステルス性能で防空網を突破しようとしたが、警報作動により対空砲に捕捉された。これに対し分解魔法「雲散霧消」で砲塔および兵装を消滅させ、迎撃能力を無力化した。
カノープスの救出
『精霊の眼』でカノープスの位置を特定した達也は、警備兵を殺さず無力化しながら収監棟へ侵入した。証明として指輪を提示し、カノープスは同行を承諾した。
コールサック分隊との戦闘
カノープスの部下を救出する過程で、イリーガルMAPのコールサック分隊が襲撃した。達也は偽装を見破り、煙幕や奇襲を用いる敵に対し最終的に殺傷を選択し、部隊を殲滅した。
救出完了と兵器庫の排除
アルゴルとシャウラを救出した後、達也は兵器庫を「雲散霧消」で消滅させ、追撃能力を削いだ。これにより脱出経路の安全を確保した。
監獄からの脱出
軍用車両を奪取した達也たちは、手榴弾による混乱を利用してゲートを突破した。魔法による迎撃も分解で無効化し、エアカーへ到達して離脱に成功した。
バージニアへの帰還と評価
帰還信号を受けた「バージニア」は急速浮上し、達也の収容を行った。監獄は兵装を喪失していたが施設本体は保持されており、カーティスは達也が意図的に被害を限定したと評価した。
第一段階任務の完了
カノープスらの収容が完了し、達也は第一段階の任務を達成した。勝成が本家への報告を引き受け、作戦は次段階へ移行した。
再出撃と作戦継続
エアカーの充電完了後、達也は短時間で再出撃した。救出成功の報は即座に本家および巳焼島へ伝達され、次の作戦行動へと繋がった。
基地側の対応と任務変更
ミッドウェー襲撃の報を受け、パールアンドハーミーズ基地では防衛から追撃へと任務が変更された。駆逐艦および戦闘機による追跡作戦が開始された。
達也への脅威評価の確立
基地側は襲撃者を達也と推定し、その魔法能力を最大級の脅威と認識した。空母から多数の艦載機が出撃するなど、軍事的対応は一気に強化された。
光宣の決断と基地壊滅の契機
一方で光宣は水波を優先し脱出を拒否したが、スピカの強制介入により状況は激化した。光宣は放出系魔法「人体発火」を行使し、基地全体に大規模な殺戮をもたらした。
脱出と壊滅の結果
戦闘後、光宣はパラサイトを回収し、レイモンドと共に輸送艦で離脱した。基地は壊滅状態となり、戦局は大きく転換した。
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