アラフォー賢者12巻レビュー
アラフォー賢者まとめ
アラフォー賢者14巻レビュー
どんな本?
■ 作品概要
本作は、地球から剣と魔法の世界へ転生したアラフォーの主人公・ゼロスが、規格外の能力や知識を持ちながらもマイペースな生活を目指す異世界ファンタジーである。 第13巻では、不審死事件の調査で隣国メーティス聖法神国へ潜入したゼロスとアドが、ルナ・サークの街を襲うゾンビの大群と遭遇する。このゾンビは神国に使い捨てられた勇者たちの怨霊が生み出したものであったが、二人は自作の「魔導銃」を駆使し、圧倒的な火力で敵を殲滅してしまう。 サントールの街へ帰還すると、アドの妻であるユイが無事に娘の「かのん」を出産していた。父親になったアドが仕事に精を出し、ゼロスがツヴェイトやセレスティーナへの家庭教師を再開する一方、裏では世界を揺るがす事態が進行していた。完全復活を目指す邪神アルフィアが大地の女神ガイラネスから管理権限を奪い、勇者の怨霊の集合体である「滅魔龍ジャバウォック」が神国への復讐を開始するなど、世界は激動の時を迎えていく。
■ 主要キャラクター
- ゼロス:【大賢者】の職業を持つ転生者のアラフォー。自作の魔導銃でゾンビを蹂躙し、教え子には鋼の騎士(ゴーレム)をけしかけ、パワードスーツまで試作する自由人。
- アド:ゼロスと同郷の転生者。魔導銃で共にゾンビを殲滅する。妻ユイが出産して父親となるが、娘の命名を巡ってゼロスとアホな戦争を繰り広げ、ボコボコにされる。
- ユイ:アドの妻。無事に娘を出産するが、娘の名前が別の女性と同じであると誤解し、チェーンソード型の呪装武器を取り出して重度のヤンデレを暴走させる。
- アルフィア・メーガス:復活を遂げた元邪神の少女。大地の女神ガイラネスからあっさりと管理権限を奪い、完全復活に向けて暗躍する。
- 八坂学:メーティス聖法神国に召喚された勇者。ルナ・サークでの防衛戦でゼロスたちの規格外の力に戦慄し、神国の不都合な真実を知らされて絶望に突き落とされる。
- クロイサス:ソリステア公爵家の次男で重度の研究馬鹿。公爵の命を受け、戦争のあり方を変えかねない魔導銃の解析と量産化に着手する。
- エロムラ:ツヴェイトの護衛。ゼロスが趣味で作った試作パワードスーツの実験台に乗るが、機体が過敏に暴走したことで悶死(気絶)する。
■ 物語の特徴
本作の最大の魅力は、世界の命運を左右するシリアスな事態と、主人公たちの自由すぎる日常パートとの激しいギャップにある。使い捨てられた勇者たちの怨霊による復讐や、軍事バランスを崩壊させる魔導銃の量産化計画など、世界が危機に向かって進行しているにもかかわらず、当のゼロスは完全に蚊帳の外で悠々自適なスローライフを満喫している。圧倒的なチート能力と現代兵器(魔導銃やガトリング)でファンタジー世界の脅威を蹂躙する痛快な爽快感に加え、ユイの凶悪なヤンデレ暴走や、パワードスーツで踊り狂うエロムラなど、声を出して笑えるドタバタ劇が絶妙なバランスで混在している点が、他の作品にはない独自のおもしろさを生み出している。
読んだ本のタイトル
アラフォー賢者の異世界生活日記 13
著者:寿安清 氏
イラスト:ジョンディー 氏
出版社:KADOKAWA(MFブックス)
発売日:2020年8月21日
ISBN:9784040648699
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あらすじ・内容
異世界で、アドはパパになり、おっさんは最強かてきょに復帰!
原因不明の変死事件の調査で、ソリステア魔法王国の隣国であるメーティス聖法神国へこっそり潜入したゼロスとアドは、一夜を過ごした街がゾンビの集団から襲撃されたことで防衛戦に加勢する。だが、聖法神国の聖騎士や衛兵達が苦戦している横で、まるで空気を読まず、ゼロスたちは魔導銃の圧倒的火力でゾンビ達を殲滅させてしまうのだった。
アラフォー賢者の異世界生活日記 13
その後、彼らがサントールの街に戻ると、妊娠中のアドの妻・ユイがすでに出産していて、アドは楽しみにしていた初の子供の誕生に立ち会えなかったという残酷な現実を知り……。
養育費を稼ぐべく仕事に精を出すアドに、力の回復と復讐のために暗躍するアルフィア。そして、休暇で帰省してきたセレスティーナとツヴェイトの家庭教師を久々に再開させるゼロス、三者三様の時間が過ぎていく――まあ、全然平穏じゃないんですけど!!
感想
世界が破滅へ向かって動き始めるシリアスな展開と、主人公ゼロスの相変わらずマイペースな日常が絶妙なバランスで描かれた一冊であった。重苦しい物語が進行しているにもかかわらず、気が付けば笑ってしまう場面が次々と現れるのは、本作ならではの魅力だと改めて感じる。
まず印象に残ったのは、ゼロスとアドのコンビの安定感である。
ルナ・サークでの防衛戦では、神国に使い捨てられた勇者たちの怨念から生まれたゾンビの大群を相手に、二人は自作の魔導銃を惜しげもなく乱射し、圧倒的な火力で殲滅していく。通常の冒険者ではどうにもならない状況を、まるで作業のように片付けてしまう姿は爽快そのものだった。
戦闘後も印象的だったのが、勇者・八坂学とのやり取りである。
神国の実態や四神の裏事情を淡々と語り、彼が信じてきた価値観を根底から覆してしまうゼロスの姿には、力だけではなく情報も武器として使う彼らしさがよく表れていた。敵を倒すだけでは終わらず、人の価値観まで揺さぶってしまうところが実に恐ろしい。
一方で、世界情勢はさらに不穏さを増していく。
デルサシス公爵の命令によってクロイサスが魔導銃の研究と量産を開始し、これまでの戦争の常識を覆しかねない兵器が誕生しようとしている。ツヴェイトが危機感を抱くのも当然であり、一度この技術が広まれば世界中の勢力図が一変してしまうだろう。
さらに、邪神アルフィアも着実に復活への歩みを進めている。
四神から管理権限を奪い始め、元勇者たちの魂が集まった「滅魔龍ジャバウォック」は、神国への本格的な復讐を開始する。これまで積み重ねられてきた伏線が一気に動き始め、物語が終盤へ向かって加速していることを強く実感した。
しかし、本作の面白さはシリアス一辺倒にならないところである。
アドの妻・ユイが無事に娘を出産したものの、名前の由来を巡るちょっとした勘違いからヤンデレぶりを爆発させ、周囲を巻き込んで大騒動になる展開には思わず笑ってしまった。
命懸けの戦いを終えた直後でも、この夫婦は相変わらずである。重い空気を吹き飛ばすコメディとして非常に良いアクセントになっていた。
そして、やはり一番笑ったのはゼロスの日常生活である。
世界が滅亡へ向かいつつあるにもかかわらず、本人は畑仕事を楽しみながら趣味でパワードスーツを開発している。その試作機にエロムラを乗せた結果、操縦系統が敏感すぎて悶絶させてしまう流れは、本当にこの作品らしいくだらなさだった。
さらに、銃やロボットを作り過ぎて鉱石不足に陥ると、危険なダンジョンの裏道を利用して無断採掘を始める始末である。
イリスたちが命懸けでダンジョンの安全を守っている一方、その奥では元凶とも言える人物が堂々と資源を掘り出しているという構図には、呆れながらも笑わずにはいられなかった。
ここまで世界規模の危機が迫っていても、ゼロス自身は焦ることなく、自分の生活ペースを崩さない。
その余裕が作品全体に独特の安心感を与えており、「このおっさんなら最後には何とかしてしまうだろう」という不思議な信頼感につながっているのだと思う。
シリアスな世界情勢、規格外の戦闘、そして相変わらずのドタバタな日常が絶妙に噛み合った本巻は、『アラフォー賢者の異世界生活日記』らしさを存分に味わえる、大満足の一冊であった。
最後までお読み頂きありがとうございます。
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アラフォー賢者12巻レビュー
アラフォー賢者まとめ
アラフォー賢者14巻レビュー
考察・解説
魔導銃の開発
『アラフォー賢者の異世界生活日記』における「魔導銃の開発と実戦」は、主人公ゼロスの個人的なロマン追求から始まった兵器開発が、ソリステア魔法王国の軍事戦略やメーティス聖法神国でのゾンビ防衛戦を経て、異世界の軍事バランスを根底から覆していく一連のエピソードである。
開発の構造や規格外の威力、国家による量産化計画への移行、そして戦場の常識を理不尽に破壊した圧倒的な殲滅劇にいたる全容は以下の通りである。
ゼロスによる魔導銃の開発構造と過剰な破壊力
ゼロスは銃は男のロマンという理由から、M4カービン、ウィンチェスターM13、グロック17、モスバーグM500、M60軽機関銃、ミニガンまで、地球の現代兵器を模した魔導銃を趣味で次々と自作した。
・元々はアンチマテリアルライフル並みに巨大なガンブレードを製作したが、重すぎて取り回しが困難な欠陥品だったため、一から様々な銃器を製作したのが始まりである。
・この魔導銃は火薬や薬莢を必要とせず、チャンバー内に刻印された魔導術式を起動して発生させた魔法の爆発力で弾丸を撃ち出す仕組みとなっている。
・弾丸自体も、鉄と鉛の合金に魔石の粉末を混ぜることで、着弾と同時に魔法を発動させる特殊仕様であった。
・使用者の魔力を自動で吸収、消費して威力を高める仕様のため、ゼロスやアドのような規格外の魔力量を持つ者が扱うと、魔力を最小限に抑えても魔物の頭部を吹き飛ばしたり、着弾と同時に大爆発を引き起こすなど、設計者の意図を超えた過剰な破壊力を発揮してしまう。
・アドは、これらが異世界に広まれば第一次世界大戦レベルの殺戮兵器となり、戦争のあり方が激変してしまうと強く警戒した。
・ゼロス自身もその危険性を自覚しており、大量虐殺の父にはなりたくないとして、一切の販売や譲渡を行わない方針を貫いている。
クロイサスによる魔導銃の解析と国家量産化計画
一方で、ソリステア魔法王国のデルサシス公爵は、メーティス聖法神国が開発した火縄銃と、古代都市イーサ・ランテから発掘された旧時代の遺物(射撃武器)を掛け合わせ、新たな魔導銃を開発、量産する極秘計画を立ち上げた。
・その解析と設計を任されたのが、重度の研究馬鹿である次男のクロイサスである。
・クロイサスは徹夜で遺物を分解し、火縄銃の火薬機構を魔法の爆発力に置き換える構造を考案した。
・ソリステア派の工房にて、ドワーフの職人や魔導士たちを集めて試作を開始する。
・その際、偶然工房で別作業をしていたアドから銃の部品名や構造の知識を聞き出し、設計図を完成させた。
・この開発に対しツヴェイトは、訓練を受けていない女子供でも戦力になり、容易に反乱や暗殺が可能になるため、戦争がより陰惨なものになると強い危機感を抱いていた。
・しかし、開発に携わるクロイサスは、自分は部品の設計という研究を楽しんでいるだけ、使って被害を出すのは使う側の責任、と完全に無責任な態度を貫いている。
・デルサシス公爵は、この武器が戦争の根本を変えると理解しつつも、国の防衛力強化のために厳重な管理下で自国での開発を進めるという、したたかな政治的思惑を見せていた。
ルナ・サーク防衛戦での武力介入と魔法付与による圧倒的火力
魔導銃による殲滅が最も象徴的に描かれたのは、メーティス聖法神国の街ルナ・サークにおけるゾンビ防衛戦であった。
・ルナ・サークの街は、異常な速度で動き、噛みついた生者を即座にゾンビに変えてしまう凶悪なアンデッドの大群に襲撃されていた。
・勇者の八坂学や聖騎士団が必死に防衛線を張るも、アンデッドには神聖魔法である浄化や炎がまったく効かず、防衛側は崩壊寸前に追い込まれていた。
・姿を隠して状況を観察していたゼロスとアドは、被害の拡大を防ぐために不気味な仮面で顔を隠し、防壁の上に姿を現して武力介入を決断した。
・二人はM4カービン、ウィンチェスターM13、モスバーグM500、ZB26軽機関銃などを使用し、規格外の魔力で魔法を付与(エンチャント)することで、その威力を異常なまでに跳ね上げた。
・弾丸にフレア・バーストを付与して撃ち込むと、着弾と同時に2000度を超える高熱と大爆発を引き起こし、群がるゾンビたちを一瞬で消し炭に変えて吹き飛ばした。
・ゼロスはショットガンの散弾一つ一つにエクスプロードを付与して至近距離から絨毯爆撃のような連鎖爆発を起こし、アドを巻き込みそうになるほどの無茶な攻撃も見せている。
トリガーハッピーと化した殲滅劇と勇者に刻まれた絶望
戦闘が白熱するにつれ、二人は完全にヒャッハー状態のトリガーハッピーと化していった。
・ゼロスはデザートイーグルとトカレフを両手に持った二挺拳銃でゾンビの群れに飛び込み、ダンスでも踊るかのようにアクロバティックに弾丸を叩き込んだ。
・さらに、アイテムBOXからM134(ミニガン)を取り出して毎秒数百発の銃弾をばらまき、アドもM60軽機関銃を乱射して、ゾンビの群れを文字通りゴミのように蹂躙、殲滅した。
・防衛陣が苦戦していた大量のゾンビは、二人が参戦してから30分にも満たない時間でほぼ完全に駆逐されてしまう。
・この一方的で圧倒的な殲滅劇を目の当たりにした聖騎士や衛兵たちは、完全に絶句した。
・彼らが誇りとしてきた剣や神聖魔法がまったく通用しなかった敵を、見たこともない武器が理不尽なまでの火力で消し飛ばしていく光景は、彼らにとって未知の恐怖であった。
・勇者の学は、もしこの武器が量産されて自分たちに向けられれば軍団規模の戦力すら簡単に消し飛ぶことを悟り、勇者なんて無意味じゃん、と自身の存在価値を見失うほどの絶望と恐怖を刻み込まれた。
まとめ
魔導銃の開発と実戦は、現代兵器のシステムとファンタジー世界の規格外な魔力が融合した結果、戦場の常識を一変させる圧倒的な破壊兵器が誕生したことを示している。ゼロス個人がロマンとして秘匿していた銃器は、ルナ・サークの防衛戦において神聖魔法すら無効化するゾンビの大群をわずか30分で塵にするという理不尽な蹂躙劇を演じ、勇者や聖騎士たちに致命的なまでの絶望を植え付けた。この個人による圧倒的な火力の実証と並行して、ソリステア魔法王国による国家主導の量産化計画が着実に進行している事実は、これからの異世界の軍事バランスや戦争の形態を根底から変革していく不穏な前兆となっている。
ゾンビ軍団の鎮圧
『アラフォー賢者の異世界生活日記 13』における「ゾンビ軍団の鎮圧」は、ゼロスとアドの圧倒的な武力介入により、ルナ・サークの防衛戦がわずかな時間で終結へと導かれるエピソードである。
重火器を用いた一方的な蹂躙から、それを見守る勇者と聖騎士団の絶望、ゾンビの正体に関する独自の推論、そして圧倒的な剣技による完全鎮圧にいたる全容は以下の通りである。
重火器の投入とトリガーハッピーによる一方的な蹂躙
魔導銃に魔法を付与してゾンビの群れを粉砕し始めたゼロスとアドは、次第に戦闘の高揚感に酔いしれ、完全にトリガーハッピー(ヒャッハー状態)と化していった。
・ゼロスはアイテムBOXから小型ガトリング砲であるミニガン(M134)を取り出し、毎秒数百発の弾丸を周囲にばらまいた。
・アドもM60軽機関銃を乱射し、群がるゾンビをゴミのように一掃していった。
圧倒的な火力を前にした勇者と聖騎士団の絶望
この規格外の殲滅劇を目の当たりにした聖騎士や衛兵たちは、これまでの自分たちの戦いや誇りが無価値に思えるほどの絶望と恐怖に打ちひしがれる。
・勇者である八坂学も、圧倒的な火力の前に勇者の存在意義すら無意味だと痛感した。
・もしあの武器が自分たちに向けられれば、軍団規模の戦力すら簡単に消し飛んでしまうと戦慄した。
生物学的アプローチによるゾンビの正体への推論
戦闘の最中、ゼロスとアドはゾンビから漏れ出る黒い霧の正体について推測を交わす。
・浄化魔法が効かず、四肢を吹き飛ばされても活動を続けることから、霊的な存在(死霊や悪霊)が死体を操っているのではないと判断した。
・二人は、細胞単位の魔物や血液に潜伏するウィルスのようなものが感染し、魔力を求めて死体を動かしているのではないかと結論付ける。
・これにより、現地での発生状況をバイオハザードさながらの状況だと認識した。
人間離れした剣技による残存勢力の完全鎮圧
ゾンビの数が減ってきたところで、二人は銃を収め、接近戦へと移行した。
・ゼロスはショートソードの二刀流、アドは大型のショーテルを引き抜き、街門に群がる残存のゾンビへ突撃した。
・二人は勇者ですら目で追えない超高速の移動(縮地など)を駆使する。
・一振りでゾンビを爆発したかのようにバラバラに解体し、防壁に亀裂が走るほどの凄まじい剣圧を見せつけた。
防衛戦の速やかな終結とその後の展開
銃火器と人間離れした剣技によって、ゾンビの群れは完全に鎮圧された。
・ルナ・サークでの防衛戦全体としては約3時間が経過していたが、ゼロスたちが参戦してから事態を収束させるまでにかかった時間は、わずか30分にも満たなかった。
・戦闘後、未知の武器と技による恐怖に怖気づいた騎士団に代わり、勇者の学が単身でゼロスたちの事情聴取へ向かうこととなった。
まとめ
ルナ・サークにおけるゾンビ軍団の鎮圧は、現代兵器の概念と規格外の魔力が融合した魔導銃の威力を改めて見せつけ、ファンタジー世界の戦闘常識を完全に破壊したエピソードである。神聖魔法が無効化される絶望的な戦況をわずか30分で解決に導いたゼロスとアドの戦闘力は、聖騎士団を戦慄させ、勇者・八坂学から存在意義を奪うほどの絶望を刻み込んだ。ウイルスの可能性を疑う冷徹な観察眼と、超高速の剣技による最後の掃討を経て、二人の圧倒的な個の強さが戦場全体のパワーバランスを無意味なものにした幕引きとなっている。
勇者の怨霊
『アラフォー賢者の異世界生活日記』に登場する「勇者」たちは、神々と国家に使い捨てられた過酷な現実のなかで、生きている間だけでなく死後もなお深い絶望と魂の変質に苦しめられる。
召喚システムがもたらす世界の崩壊危機や、過酷な現実による誇りの崩壊、死してなお世界を彷徨う怨霊たちの悲劇、そしてそれらが引き起こす凄惨な事件の全容は以下の通りである。
勇者召喚システムによる魂の変質と次元崩壊の危機
メーティス聖法神国と四神によって召喚された勇者や異世界人たちは、用済みになると元の世界へ送還されることなく殺害されてきた。
・彼らの魂は本来のこの世界のルールとは異なる性質を持っているため、死後も輪廻転生の円環に還ることができず、世界を彷徨い続けることとなる。
・送還されずに世界に蓄積された異世界の魂は、事象管理システムに食い込み、致命的なウィルス(バグ)となって現実の摂理を侵食し始めた。
・これにより、自然界の法則を逸脱した異常な力を持つ魔物(異常進化種)が大量に発生する原因となった。
・異常進化種が限界点に達して時空間に爆発を引き起こせば、他の世界をも巻き込む次元連鎖崩壊へと繋がる危険性を孕んでいる。
・この事態を収拾するため、次世代の観測者であるアルフィア・メーガスや外なる次元の神々が、異界の魂を回収して世界を正常化しようと動き出している。
過酷な現実と真実の露呈による勇者たちの絶望
神に選ばれた最強の存在と信じていた少年少女たちは、いくつもの残酷な現実を突きつけられ、心と誇りを完全にへし折られていく。
・最強の幻想の崩壊:アルトム皇国への侵攻作戦において無謀な指揮により罠に誘き出され、遥かに強い魔族や魔物の大群に蹂躙された。目の前で仲間が無残に殺される地獄絵図を経験し、半数を失ったことで心は完全に折れてしまった。
・存在意義の喪失:ルナ・サークでの防衛戦において、自分たちが手も足も出なかったゾンビの群れを、乱入したゼロスとアドが自作の魔導銃や人間離れした剣技でゴミのように消し飛ばした。圧倒的な火力を前に、勇者としての存在意義を見失うほどの恐怖を刻み込まれた。
・捨て駒という真実:ゼロスたちから、過去に召喚された勇者は誰一人として帰還しておらず、用済みになった者は裏で始末されてきたという不都合な真実(ブラフを含む)を告げられた。信じていた国に騙されていた事実は、彼らから生きる希望を奪い去った。
復讐の怨霊群霊の形成とシャランラによる暴走
世界に留まり続けた勇者たちの魂は、神国や四神への激しい憎悪から同類同士で融合し、強力な群霊(レギオン)へと変化した。さらに勇者スキルの変質により、憑依した肉体を意のままに作り替える能力を獲得する。
・一部の群霊は、ゼロスの実姉・シャランラの遺灰を媒体にして肉体を構築した。
・彼らは力を得るために悪党(盗賊)たちの魂を取り込んだが、数の多さから主導権をシャランラや悪霊たちに奪われてしまう。
・民間人を殺す意思のなかった勇者たちの思いとは裏腹に、肉体は本能のまま生者を襲う制御不能のゾンビ大群と化し、ルナ・サークなどの街を襲撃する惨劇を引き起こした。
邪神と契約し滅魔龍ジャバウォックとなった怨霊
ファーフラン大深緑地帯にいた別の群霊は、鼠のような魔物の肉体に憑依し、他生物の因子を取り込んでいた。
・しかし細胞増殖が暴走し、空を飛ぶことも歩くこともできない巨大な肉塊へと肥大化して身動きが取れなくなってしまう。
・そこへ復活した邪神アルフィア・メーガスが現れ、四神を引きずり出すための囮となることを条件に、管理権限を取り戻した後に魂を回収して元の世界へ帰還させるという取引を持ちかけた。
・元の世界へ帰ることを望む勇者たちはこれを受け入れ、誓約を結んだ。
・アルフィアは肉塊に力を流し込み、四本の腕と四本の後ろ足、二対の翼を持つ漆黒の龍へと肉体を強制的に変質させ、滅魔龍ジャバウォックと名付けた。
・この復讐の魔獣は、四神と神国に裁きを下すため大空へと飛び立ち、約三ヶ月後にメーティス聖法神国を襲撃することとなる。
まとめ
『アラフォー賢者の異世界生活日記』における勇者たちの描写は、都合のよい英雄願望を無残に打ち砕く、異世界召喚システムの利己的かつ破滅的な構造を浮き彫りにしている。好待遇に溺れて思考を放棄した代償はあまりにも大きく、生きては捨て駒として蹂躙され、死しては世界のバグとなって醜悪な怪物へ成り果てるという救いのない結末を辿る。シャランラに主導権を奪われたゾンビの暴走や、邪神アルフィアの復讐の道具たる「滅魔龍ジャバウォック」へと変貌を遂げた怨霊たちの姿は、神国と四神の欺瞞に対する強烈な因果応報であり、世界を崩壊へと導く最大の脅威となっている。
邪神と女神
『アラフォー賢者の異世界生活日記』において、「邪神」と「女神(四神)」は、この世界の管理権限を巡る本来の継承者と、その座をかすめ取った代行者という対立関係にある。
彼女たちの歪な成り立ちと因縁、そして現在進行形で描かれる復讐劇の全容は以下の通りである。
邪神と女神の歪な成り立ちと管理権限の真実
本来、邪神はこの世界を創造した創世神(観測者)によって作られた、正当な次元管理生命体(後継者)であった。
・しかし、その姿がおぞましい肉塊のようであったため、創世神は失敗作として彼女を地中深くへ封印してしまった。
・創世神が別の次元へ去る際、急遽、妖精王をベースにして作り出されたのが、火・水・風・地の四柱の女神(四神)であった。
・つまり四神は、管理権限(マトリクス)を四分割して与えられた、ただの代行神に過ぎなかったのである。
邪神戦争の真実と女神たちの無責任な実態
妖精をベースに持つ四神は、享楽的で身勝手な性質を持ち、世界の管理をまともに行わずに遊び呆けていた。
・管理者が不在同然となったことで封印が解け、自我を持った邪神が目覚める。
・邪神は自身の代わりである四神から管理権限を取り戻そうと彼女たちを追い回したが、これが旧時代文明を崩壊させた邪神戦争の真相であった。
・四神は自ら戦うことはせず、人類に勇者召喚の魔法陣を与え、召喚した勇者たちを盾にして邪神を封印した。
・最終的には邪神をゲーム世界へ不法投棄して逃れ去り、その後も娯楽目的で無闇に勇者を召喚し続け、世界を滅亡の危機に陥れていた。
邪神アルフィアの復活と正当なる権限奪還への歩み
地球の神々の手配により異世界へ送り返された邪神は、ゼロスたちの協力により美しい少女アルフィア・メーガスとして完全復活への道を歩み始める。
・彼女の目的は、世界を崩壊に導く四神から管理権限(マスターコードマテリアル)を奪還することである。
・さらに、不当に使い捨てられた異世界の勇者たちの魂を回収して輪廻の円環に還すことも目的として掲げている。
・能力の制限が一部解除されたアルフィアは、ついに四神への直接的な報復と権限奪還を開始した。
四神の末路と次々に進む管理権限の剥奪
アルフィアの具体的な行動とゼロスたちの介入により、女神たちは次々と権限を失っていくこととなる。
・風の女神ウィンディア:アルフィアに強襲され、腹部に手刀を突き入れられて権限の情報マテリアルを強制的に奪い取られた。神の座から引きずり下ろされた彼女はただの妖精王に戻り、アルフィアによって永遠の闇の中へ封印された。
・大地の女神ガイラネス:重度の怠け者である彼女は世界の管理に一切の未練がなく、アルフィアが魔法で作り出した最高級の安眠枕と羽毛布団と引き換えに、自らあっさりと権限を譲渡した(以降は、惰眠のパジャマ神、となる)。
・火の女神フレイレス・水の女神アクイラータ:ゼロスとアドによる問答無用の魔法攻撃と、大自然の怒りから生まれた謎の正義の味方、漆黒流星ギヴリオン、によって一方的に蹂躙され、満身創痍の幼女の姿となって聖域へ逃げ帰るという惨めな結末を迎えた。
まとめ
邪神と女神の対立関係を巡る顛末は、世界の正当な管理者である邪神による、身勝手な代行神たちへの粛清の物語である。神を騙りながら怠惰と享楽に耽り、人間や転生者を使い捨てにしてきた四神の愚行は、アルフィア・メーガスの完全復活によってついに終焉を迎えつつある。力ずくでの権限強奪から物欲による懐柔、そしてゼロスたちの規格外な魔法攻撃による蹂躙まで、四神が辿る因果応報の末路は、世界のシステムを正常化し、歪められた歴史に終止符を打つための正当なる断罪の過程として描かれている。
弟子の育成訓練
『アラフォー賢者の異世界生活日記 13』における、主人公ゼロスによる「弟子の育成訓練」は、セレスティーナとツヴェイトのレベルアップと成長に合わせて、より高度で危険な段階へと進展している。
魔力枯渇を伴う日々の荒行から、個性が発現した魔晶石加工の授業、魔法薬への依存に対する厳格な警告、そして完全金属製ゴーレムを用いた苛烈な実戦訓練にいたる全容は以下の通りである。
魔力枯渇の荒行と錬成台の解禁
ツヴェイトとセレスティーナは、魔力総量と魔力制御能力を高めるため、魔法を使用し続けて意図的に魔力を枯渇させ、そこから自然回復させるという過酷な荒行を日々繰り返していた。
・この地道な努力が実を結び、二人の魔力基盤は大きく強化された。
・その結果、多大な魔力を消費するためそれまで扱えなかった、錬成台、を使用できるレベルへと確かな成長を果たした。
魔晶石加工の授業と二人の個性の発現
ゼロスは次の段階として、宝石の粒子の隙間に魔力を組み込んで圧縮、結合させる魔晶石加工の技術を教えた。この訓練では二人の個性が明確に表れることとなった。
・ツヴェイトの成果:趣味の彫金加工の経験を活かし、金属の特性を理解していたため器用に百合の花のブローチを作り上げた。しかし、力任せに魔力をねじ込もうとする強引な傾向を覗かせた。
・セレスティーナの成果:繊細な魔力制御に向いていたものの極端に不器用であった。真面目に取り組んだ結果、なぜか邪神召喚に使えそうなほど名状しがたいおぞましい金属のオブジェを作り出してしまい、マイナス方面の独特な才能を露呈した。
マナ・ポーションへの依存に対する厳格な警告
魔導錬成の授業中、魔力消費の激しさに疲弊したセレスティーナが、常にマナ・ポーションを飲みながら作業をすればいいのではないか、と提案する場面がある。
・これに対しゼロスは、魔法薬はあくまで緊急時の応急処置用であり、安易に服用を続ければ副作用や依存症の危険があると厳しく警告した。
・安易に薬に頼る前に、まず自身の魔力や体を鍛え上げるべきであるという、魔導士としての根本的な心構えを説いている。
鋼の騎士アイゼンリッターとの過酷な実戦訓練とカオスな中断
二人の実力が上がり、これまでの泥で作られたマッドゴーレムでは訓練相手にならなくなったため、ゼロスは難易度を一段上げるべく新型のゴーレムを投入した。
・投入されたのは、ゼロスが趣味全開で作り上げた完全金属製の自律型ゴーレムであるアイゼンリッター(鋼の騎士)であった。
・全長約4メートル、重量2.7トンという巨体にもかかわらず軽快な運動性能を誇る。
・盾やチェーンで射出される木剣を駆使して二人を圧倒した。
・最低出力に抑えられていたとはいえ、ツヴェイトたちの手に余るほどの強さであり、実戦さながらの極限状態を強いる容讐のない訓練が行われた。
・なお、この緊迫した訓練は、見学に訪れたエロムラがゼロスの試作したパワードスーツに搭乗した際、過敏な操作性に振り回されて激しいダンスを踊るように暴走して乱入してきたことで、カオスな中断を迎えることとなった。
まとめ
ゼロスによる弟子の育成訓練は、基礎の徹底から応用、そして実戦形式のゴーレム戦へと移行し、弟子たちの実力を確実に引き上げている。魔力枯渇に耐える精神力や、魔晶石加工で見せたそれぞれの特性、そして魔法薬の危険性を説く教育者としての姿勢は、ゼロスの指導がいかに理にかなっているかを示している。アイゼンリッターを用いた容赦のない訓練と、それに続くエロムラの暴走によるコミカルな結末のギャップを交えつつも、若き魔導士たちが世界の常識を超える存在へと着実に歩みを進めている様子が描かれている。
アラフォー賢者12巻レビュー
アラフォー賢者まとめ
アラフォー賢者14巻レビュー
登場キャラクター
転生者・地球の人物
ゼロス・マーリン
アラフォーの転生者であり、大賢者の職業を持つ魔導士である。飄々とした性格で権力に縛られることを嫌う。ルーセリスに好意を寄せている。
・所属組織、地位や役職
無職。ソリステア公爵家の家庭教師。
・物語内での具体的な行動や成果
自作の魔導銃でゾンビの群れを殲滅した。ルナ・サーク防衛戦で圧倒的な火力を誇示した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
世界に技術革命を起こす可能性を持つ。
アド(俊)
ゼロスと同郷の転生者であり、賢者の職業を持つ。妻のユイを深く愛している。
・所属組織、地位や役職
イサラス王国の嘱託魔導士。ソリステア公爵家の客分。
・物語内での具体的な行動や成果
ゼロスと共にルナ・サークでゾンビを迎撃した。魔導車の部品製作などに従事する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
サントールの傭兵ギルドで実力を示し、一目置かれる存在となった。
ユイ
アドの妻であり、アドを異常なまでに溺愛するヤンデレ気質の持ち主である。
・所属組織、地位や役職
アドの妻。
・物語内での具体的な行動や成果
アドに近づく女性に激しい嫉妬を向けた。呪いの包丁を振り回して暴走した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
娘の「かのん」を出産した。
かのん
アドとユイの間に生まれた娘である。
・所属組織、地位や役職
アドとユイの長女。
・物語内での具体的な行動や成果
作中では誕生が報告された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
名前が他の女性プレイヤーと似ていたため、ユイが暴走する原因となった。
リサ
アドのパーティーメンバーである女性魔導士。裁縫を得意としている。
・所属組織、地位や役職
イサラス王国の国賓。ソリステア公爵家の客人。
・物語内での具体的な行動や成果
アド達と共にイサラス王国で活動した。アドとユイの修羅場に巻き込まれた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
シャクティ
アドのパーティーメンバーである女性魔導士。元弁護士志望で客観的な思考を持つ。
・所属組織、地位や役職
イサラス王国の国賓。ソリステア公爵家の客人。
・物語内での具体的な行動や成果
異世界の社会体制や女性の立場について考察を行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
エロムラ
ツヴェイトの護衛を務める転生者の少年である。エロ好きでアンズを恐れている。
・所属組織、地位や役職
ツヴェイトの護衛。ブレイブ・ナイト。
・物語内での具体的な行動や成果
イーサ・ランテの地下遺跡で魔物と交戦した。アンズから強烈なお仕置きを受けた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
犯罪奴隷から恩赦で解放され、自由の身となった。
アンズ
転生者の少女であり、小柄な忍者である。無表情ながらエロムラに厳しいお仕置きを下す。
・所属組織、地位や役職
ツヴェイトの護衛。忍者マスター(猿飛佐助)。裁縫帝。
・物語内での具体的な行動や成果
地下遺跡で多数のコボルトを瞬殺した。女性用下着を作成して販売している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
学院で神出鬼没の下着売りとして有名になった。
ケモ・ブロス
獣人をこよなく愛する転生者の少年である。
・所属組織、地位や役職
野蛮人の異名を持つ戦士。獣人族の英雄。
・物語内での具体的な行動や成果
ヤーバン城を築き、四神教の軍勢と対峙した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
各部族から妻を迎え、17人の妻を持つ。
マスクド・ルネッサンス
ファーフラン大深緑地帯で活動する転生者である。
・所属組織、地位や役職
記載なし。
・物語内での具体的な行動や成果
狩り場を求めて大深緑地帯で活動していることが言及された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
カノン(観音大寺)
ゼロスの仲間であった転生者である。魔法薬の効能を追求する探求者の一面を持つ。
・所属組織、地位や役職
白の殲滅者。調合師。
・物語内での具体的な行動や成果
回春の秘薬やゾンビドリンクなど危険な薬を多数製作した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
八坂学
メーティス聖法神国に召喚された勇者の一人である。事勿れ主義な性格をしている。
・所属組織、地位や役職
メーティス聖法神国の勇者。聖騎士団・五将。
・物語内での具体的な行動や成果
ゼロスから神国の暗部を知らされた。リナリーと深い関係になった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
勇者としての存在意義に絶望を抱くようになった。
笹木大地
メーティス聖法神国の勇者の一人である。
・所属組織、地位や役職
メーティス聖法神国の勇者。
・物語内での具体的な行動や成果
火縄銃増産のため工房を仕切っていることが報告された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
岩田定満
メーティス聖法神国の勇者の一人である。傲慢で身勝手な性格を持つ。
・所属組織、地位や役職
メーティス聖法神国の勇者。
・物語内での具体的な行動や成果
無謀な突撃を命じて神聖騎士団を崩壊させた。アドに敗北して勇者の無力さを悟った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
アドの一撃で絶望に突き落とされた。
姫島
メーティス聖法神国の勇者の一人である。幼馴染を失い復讐鬼と化した。
・所属組織、地位や役職
メーティス聖法神国の勇者。
・物語内での具体的な行動や成果
アルトム皇国の女戦士に復讐を挑んだ。幼馴染の生存を知り燃え尽きた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特撮の悪役のようなゼロスの苛烈さに惹かれ、ファンになった。
一条
メーティス聖法神国の勇者の一人である。
・所属組織、地位や役職
メーティス聖法神国の勇者。
・物語内での具体的な行動や成果
邪神の情報を集める役割を担った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
田辺
メーティス聖法神国の勇者の一人である。状況を理解していないお調子者である。
・所属組織、地位や役職
メーティス聖法神国の勇者。
・物語内での具体的な行動や成果
カレーを要求してゼロスに咎められた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
メーティス聖法神国
リナリー
八坂学の世話係を務める神官である。淡々とした口調で職務をこなす。
・所属組織、地位や役職
メーティス聖法神国の神官。
・物語内での具体的な行動や成果
学から神国の不都合な真実を知らされ、共犯者となった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
学と親密な関係になった。
ソリステア魔法王国・公爵家・イストール魔法学院
デルサシス公爵
ソリステア公爵家の現当主である。情報網が広く、目的のためには手段を選ばない。
・所属組織、地位や役職
ソリステア公爵。
・物語内での具体的な行動や成果
ゼロスとアドに不審死事件の調査を依頼した。他国の大使達を集めて会合を行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
国を動かすほどの絶大な情報網と影響力を持つ。
クレストン
ソリステア公爵家の前当主である。孫娘のセレスティーナを溺愛している。
・所属組織、地位や役職
元ソリステア公爵。
・物語内での具体的な行動や成果
ゼロスにセレスティーナの家庭教師を依頼した。ゼロスの指導で強靭な肉体を手に入れた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
ツヴェイト
ソリステア公爵家の長男である。真面目で常識的な思考を持つ。
・所属組織、地位や役職
イストール魔法学院生。
・物語内での具体的な行動や成果
ゼロスの指導を受け、魔物との実戦訓練をこなした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
学院内でウィースラー改革派と呼ばれるようになった。
クロイサス・ヴァン・ソリステア
ソリステア公爵家の次男である。重度の研究馬鹿である。
・所属組織、地位や役職
イストール魔法学院生。
・物語内での具体的な行動や成果
イーサ・ランテの遺跡調査に参加した。魔導銃の研究と量産化に着手した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
女性化薬の実験で美人に変身した。
セレスティーナ
ソリステア公爵家の長女である。ゼロスに心酔している。
・所属組織、地位や役職
イストール魔法学院生。
・物語内での具体的な行動や成果
ゼロスから魔法を学び、魔力を操作できるようになった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
学院で無能者から才女と呼ばれるようになった。
イザベラ
ツヴェイトの母親である。侯爵家出身の貴族である。
・所属組織、地位や役職
ソリステア公爵の妻。
・物語内での具体的な行動や成果
記載なし。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
ミレーナ
セレスティーナの母親である。
・所属組織、地位や役職
ソリステア公爵の妻。
・物語内での具体的な行動や成果
胸が慎ましい人物であったことが言及された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
ダンティス
ソリステア公爵家の執事である。
・所属組織、地位や役職
ソリステア公爵家の執事。
・物語内での具体的な行動や成果
ゼロスを客室へ案内した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
マサリ
ソリステア公爵家のメイド長である。イザベラの実家から仕えている。
・所属組織、地位や役職
ソリステア公爵家のメイド長。
・物語内での具体的な行動や成果
後継者争いを意図的に広げる行動をとっていた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ツヴェイトから実家と手を切るよう警告された。
ミスカ
セレスティーナ付きのメイドである。武闘派でハーフエルフである。
・所属組織、地位や役職
ソリステア公爵家のメイド。
・物語内での具体的な行動や成果
エロムラに強烈な制裁を下した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
ルガー・ガンスリング
ボンバ砦の責任者を務める騎士である。
・所属組織、地位や役職
ボンバ砦の騎士団長。
・物語内での具体的な行動や成果
不審死事件の状況をゼロスとアドに説明した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
イサラス王国
ザザ
イサラス王国諜報部の騎士である。リサに恋心を抱いている。
・所属組織、地位や役職
イサラス王国の騎士。諜報員。
・物語内での具体的な行動や成果
アド達の案内役と監視役を務めた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
シャクティに恋心を読まれて失恋した。
サントールの街・その他(傭兵・孤児・商人など)
ルーセリス
養護院を運営する見習い神官である。ゼロスに想いを寄せている。
・所属組織、地位や役職
教会の見習い神官。アルトム皇国の皇族血統。
・物語内での具体的な行動や成果
子供達を育てながら、怪我人の治療などを行っている。ゼロスと共に魔物を倒して格上げを行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
幼少期は「狂乱の乙女」と呼ばれていた過去を持つ。
イリス
ゼロスと同じ転生者の少女である。魔法使いの格好をしている。
・所属組織、地位や役職
傭兵。魔導士。
・物語内での具体的な行動や成果
ゼロスから調合の技術を学んだ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
ジャーネ
ルーセリスの幼馴染である女性傭兵である。
・所属組織、地位や役職
傭兵。
・物語内での具体的な行動や成果
ルーセリスの後を継いでストリートチルドレンのリーダーを務めた過去が語られた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
レナ
ジャーネやイリスと行動を共にする女性傭兵である。重度のショタコンである。
・所属組織、地位や役職
傭兵。
・物語内での具体的な行動や成果
定期船で獲物となる少年を見つけ、狩り場に変えた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
裏ではカジノの女帝と呼ばれるギャンブラーであることが判明した。
ベラドンナ(キャンディー)
魔導具店の店長を務める女性である。ルシオンの恋人である。
・所属組織、地位や役職
魔導具店の店長。
・物語内での具体的な行動や成果
駄目店員のクーティーにジャイアントスイングを見舞った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
ルシオン
ベラドンナの恋人である靴職人の青年である。
・所属組織、地位や役職
靴職人。
・物語内での具体的な行動や成果
ベラドンナの精神状態を本気で心配した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
クーティー
ベラドンナの魔導具店で働く駄目店員である。
・所属組織、地位や役職
魔導具店の店員。
・物語内での具体的な行動や成果
仕事を放り出して自称名探偵として活動し、ベラドンナから制裁を受けた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
ガンテツ
ゼロスの仲間であった転生者である。自爆武器の製作を好む。
・所属組織、地位や役職
青の殲滅者。鍛冶師。
・物語内での具体的な行動や成果
危険な自爆機能付き武器を多数製造したことが語られた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
テッド
ゼロスの仲間であった転生者である。呪いのアイテムを愛好する。
・所属組織、地位や役職
緑の殲滅者。死霊術師。
・物語内での具体的な行動や成果
ユイに振られた腹いせで呪いの包丁を送りつけた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
カイ
養護院の孤児である。肉に対して異常な執着を持つ。
・所属組織、地位や役職
養護院の子供。
・物語内での具体的な行動や成果
ドドン・トードの頭部に猛ラッシュを浴びせて討伐した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
ラディ
養護院の孤児である。角刈りの少年である。
・所属組織、地位や役職
養護院の子供。
・物語内での具体的な行動や成果
仲間と共にコッコ達から戦闘訓練を受けた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
ジョニー
養護院の孤児であり、リーダー格の少年である。
・所属組織、地位や役職
養護院の子供。
・物語内での具体的な行動や成果
ブラック・コッコと共にオークを背後から暗殺して傭兵を救った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
カエデ
養護院に預けられたハイ・エルフの少女である。好戦的な侍の娘である。
・所属組織、地位や役職
養護院の子供。
・物語内での具体的な行動や成果
孤児達に剣術を教え、強者を求めて鍛錬を積んでいる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
神・観測者
アルフィア・メーガス
次世代の観測者として復活した邪神である。
・所属組織、地位や役職
邪神。次世代の観測者。
・物語内での具体的な行動や成果
四神から管理権限を奪還するための活動を開始した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
滅魔龍ジャバウォックに復讐の力を与えた。
ガイラネス
大地の女神である。極度の怠け者である。
・所属組織、地位や役職
四神。大地の女神。
・物語内での具体的な行動や成果
安眠枕と引き換えに管理権限をアルフィアにあっさり譲渡した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
惰眠のパジャマ神となった。
ウィンディア
風の女神である。
・所属組織、地位や役職
四神。風の女神。
・物語内での具体的な行動や成果
アルフィアに急襲され、管理権限を奪われた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
神の座から引きずり下ろされ、永遠の闇に封印された。
フレイレス
火の女神である。
・所属組織、地位や役職
四神。火の女神。
・物語内での具体的な行動や成果
ゼロスとアドの怒りを買い、一方的に蹂躙された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
アクイラータ
水の女神である。
・所属組織、地位や役職
四神。水の女神。
・物語内での具体的な行動や成果
フレイレスと共にゼロスとアドの凶悪な魔法攻撃を受けた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
魔物・怨霊・ゴーレム
シャランラ
ゼロスの実の姉の悪霊である。自己中心的で他者を利用する。
・所属組織、地位や役職
元プレイヤー。詐欺師。
・物語内での具体的な行動や成果
勇者の魂の集合体を乗っ取り、ゾンビを操って街を襲撃した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
最終的に傭兵の手によって討伐された。
滅魔龍ジャバウォック
勇者の怨霊が集合した巨大な魔獣である。
・所属組織、地位や役職
魔物。怨霊。
・物語内での具体的な行動や成果
メーティス聖法神国への復讐のため、アルフィアから力を与えられて空へ飛び立った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
グレート・ギヴリオン
スライスト城塞都市を襲った巨大なG型の魔物である。
・所属組織、地位や役職
魔物。
・物語内での具体的な行動や成果
魔王クラスへ進化する途中で都市に接近し、ゼロスとアドに討伐された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
ブリザード・カイザードラゴン
雪山に生息する龍王クラスの魔物である。
・所属組織、地位や役職
魔物。
・物語内での具体的な行動や成果
ゼロスとアドと三日三晩にわたる死闘を繰り広げた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
討伐後、素材として公爵家に解体された。
コッコ達
ゼロスが使役するワイルド・コッコの群れである。
・所属組織、地位や役職
使い魔。魔物。
・物語内での具体的な行動や成果
ゼロスの畑仕事を手伝い、戦闘訓練を行っている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
ウーケイ達
異常進化したコッコの三羽である。高い戦闘力と隠密能力を持つ。
・所属組織、地位や役職
使い魔。魔物。
・物語内での具体的な行動や成果
ツヴェイトの護衛を務め、異端審問官を成敗した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
グラップルマスターなどに進化し、人間の言葉を理解する。
群霊(レギオン)
過去に召喚された勇者や異世界人たちの魂が融合した存在である。
・所属組織、地位や役職
魔物。怨霊。
・物語内での具体的な行動や成果
シャランラに乗っ取られ、ゾンビとして生者を襲った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
一部の魂はシャランラから分離して逃走した。
ゾンビ達
群霊やシャランラに操られて生者を襲うアンデッドである。
・所属組織、地位や役職
魔物。
・物語内での具体的な行動や成果
ルナ・サークの防衛戦で衛兵を襲い、ゼロスたちに殲滅された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
マッドゴーレム
ゼロスが土から作り出した訓練用のゴーレムである。
・所属組織、地位や役職
魔法による造魔。
・物語内での具体的な行動や成果
セレスティーナやツヴェイトの近接戦闘訓練の相手を務めた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
アイゼンリッター(ナイトゴーレム)
ゼロスが趣味で作った金属製の自律型ゴーレムである。
・所属組織、地位や役職
魔法による造魔。
・物語内での具体的な行動や成果
ツヴェイトとセレスティーナを圧倒し、過酷な実戦訓練を行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
アラフォー賢者12巻レビュー
アラフォー賢者まとめ
アラフォー賢者14巻レビュー
展開まとめ
プロローグ おっさん、銃を乱射する
ルナ・サーク防衛戦と魔導銃の暴走
防壁下への降下
ルナ・サークを襲うゾンビの群れに対し、ゼロスとアドは仮面で顔を隠して介入した。ゼロスは八坂学との会話を切り上げ、防壁からゾンビの密集地帯へ飛び込んだ。落下中にウィンチェスターM13へ次弾を装填し、魔法を付与した弾丸を撃ち込んで着地点を確保した。
魔導銃の異常威力
アドはM4カービンでゾンビを粉砕しながら、魔導銃の威力を確認していた。薬莢を使わず魔導術式で弾を撃ち出す構造は、ゼロス達の過剰な魔力と結びつき、意図せず弾丸の威力を高めていた。ゼロス自身も詳しい仕組みを理解していなかったが、できてしまったならよいと開き直っていた。
押し寄せるゾンビ
ゾンビ達はゼロス達の魔力を感知し、次々と殺到した。二人は銃で殴り、拳や蹴りで粉砕し、至近距離から弾丸を撃ち込んだ。それでもゾンビは腕や胴を吹き飛ばされながら地面を這って向かってきたため、二人もその異様なしぶとさに怖気を覚えていた。
散弾と爆発魔法
ゼロスはモスバーグM500に威力を抑えた【エクスプロード】を付与して撃った。散弾一つ一つに爆発魔法が乗ったことで、至近距離に連続爆発が発生し、ゾンビをまとめて吹き飛ばした。しかし爆風はゼロスとアドにも及び、アドは巻き込まれたことに強く抗議した。
雑な人命優先
ゼロスは、雑魚を一掃できたのだから問題ないと平然としていた。アドは自分も巻き込まれていると訴えたが、ゼロスは死んでいないならよいと流した。二人は、ゾンビが一定以上損傷すると修復できないことを確認し、勇者達に後始末を押しつけるつもりでさらに暴れ続けた。
戦局の逆転
ゼロスとアドは走り回りながら弾倉を交換し、会話しつつも銃撃を続けた。背後から迫るゾンビも振り向かずに撃ち抜き、聖騎士や衛兵が苦戦していた群れを次々と駆逐した。二人の介入によって、防衛側が劣勢だった戦局は大きく覆った。
二挺拳銃のゼロス
ゼロスはハンドガンに持ち替え、デザートイーグルとトカレフの二挺拳銃でゾンビの群れへ飛び込んだ。彼はゾンビを飛び越え、蹴り飛ばし、銃のグリップで殴りながら、踊るように弾丸を撃ち込んでいった。その姿は明らかに戦闘を楽しんでいた。
ヒャッハー状態の二人
アドもZB26とグロック17を使い、範囲魔法【フレア・バースト】を付与した掃射でゾンビを爆炎に呑み込んだ。ゾンビ化した騎士も、彼の一発で爆散した。ゼロスとアドは銃を撃つ感触と敵を駆逐する快楽に酔い、完全なトリガーハッピー状態となっていた。聖騎士や衛兵はもちろん、勇者ですら二人を止めることはできなかった。
第一話 勇者、学君は戦慄する
魔導銃の絶望とゾンビ鎮圧
勇者の無力感
八坂学は、ゼロスとアドが魔導銃でゾンビを蹂躙する光景を見て、自分達勇者の存在意義が揺らぐほどの衝撃を受けた。勇者や聖騎士団が手こずった敵を、二人は圧倒的な火力と身体能力で一方的に駆逐していた。学は、ゾンビよりも二人の方が脅威だと感じた。
壊された騎士の誇り
聖騎士達も、魔導銃の威力を前に絶句していた。剣や槍、騎士道や名誉を重んじてきた彼らにとって、銃による一方的な殲滅は戦いではなく蹂躙だった。今まで自分達が勝者として行ってきた行為が、今度は自分達へ向けられるかもしれないと想像し、彼らは恐怖と絶望に囚われた。
学の敗北予測
学は、ゼロス達がソリステア魔法王国と繋がる転生者だと考えた。あれほどの武器を作れる国と敵対すれば、メーティス聖法神国に勝ち目はないと判断した。リナリーが二人を捕らえる可能性を口にしても、学は勇者全員でも勝てないと断言した。
死の舞
ゼロスとアドは互いの死角を補いながら、銃と体術でゾンビを駆逐していた。ゼロスは二挺拳銃で攻撃を逸らし、殴り、撃ち抜き、アドは大型銃と拳銃を軽々と扱っていた。二人の動きはアニメのような戦場の死の舞であり、学ですら追うのがやっとだった。
ミニガンと軽機関銃
ゼロスは新たにミニガンを取り出し、アドにもM60軽機関銃を渡した。二人は重火器を乱射し、ゾンビの群れをさらに削っていった。学とリナリーは、火縄銃が玩具に見えるほどの火力差を目の当たりにし、剣から銃の時代へ変わる恐ろしさを理解した。
戦争観の崩壊
リナリーは、銃が作る戦場を地獄のようだと感じた。学は、それでもメーティス聖法神国が小国を潰してきた側であり、剣も銃も人を殺す道具である点は変わらないと指摘した。彼は、圧倒的な力を見せられた以上、二人に敵対する意思を示さないよう伝令を出すよう命じた。
黒い霧の正体
ゾンビの数が減る中、ゼロスとアドは銃を収め、黒い霧の正体を考えた。二人は、死霊ではなく血液そのもの、あるいは細胞単位の魔物が感染体内部に潜んでいる可能性を話し合った。魔力を求めて死体を動かし、生物を襲う性質から、アドはバイオハザードのようだと受け止めた。
剣による殲滅
二人は残ったゾンビを相手に、銃ではなく剣で最後の殲滅に入った。ゼロスは二刀のショートソード、アドは大型のショーテルを抜き、街門前のゾンビへ突入した。目で追えない速度で接近し、一振りごとに斬撃を飛ばしてゾンビを解体していった。
化け物の証明
学は、二人が銃だけでなく身体能力と剣技でも勇者を超えていることを思い知らされた。防壁には斬撃の余波で亀裂が走り、生身で城塞都市を滅ぼせるほどの力を示していた。衛兵や騎士達は、二人が敵でないことを祈るしかなく、学は勇者として過度な期待を向けられて涙目になっていた。
三十分の鎮圧
戦闘開始から約三時間が経過した頃、ルナ・サークを襲ったゾンビの群れは鎮圧された。ゼロス達が参戦していた時間は三十分にも満たなかった。勇者と聖騎士団が苦戦した脅威は、予期せぬ二人の乱入によって終息した。
第二話 おっさん、学と対話する
勇者との事情聴取とレギオンの消滅
勇者の貧乏くじ
ルナ・サークの街門前には、ゼロス達に叩き潰されたゾンビの残骸が散乱していた。騎士達はゼロス達を恐れて事情聴取を避け、結局その役目を勇者の八坂学に押しつけた。学は恐怖でぎこちない足取りになりながら、二人のもとへ向かった。
奇妙な挨拶
学は緊張のあまり、胸元で手を合わせて不自然な口調で名乗った。ゼロスとアドは一瞬戸惑ったが、同じ調子で転生者だと返した。学は退けない空気の中、助太刀への礼を述べ、二人がこの地に来た理由を尋ねた。
武器と立場
ゼロスは、ミイラ化した遺体の調査依頼を受けた民間調査会社だと説明したが、学はそれを疑った。さらに魔導銃の譲渡を求めたが、ゼロスはこの国に渡せば戦争が悲惨になるとして拒んだ。ゼロスは、火縄銃を生み出したメーティス聖法神国もすでに技術革命を起こしていると指摘した。
魔法への矛盾
学は魔法よりも理解できる技術の方がましだと反論したが、ゼロスは魔力もこの世界の法則に従うエネルギーであり、魔法を否定することは知識そのものを脅かす行為だと返した。さらに、魔導士の勇者を排除したことで神国が自ら戦力を捨てたと告げた。学は姫島達の裏切りや暗殺の可能性を察し、神国への不信を深めた。
故郷の味
ゼロスは一条達の近況を語り、さらにカレー粉を取り出した。学はカレーや米、醤油、味噌、豆腐、納豆を前に理性を失い、全力で宿まで金を取りに走った。ゼロスは怪しい行商人のように商売を始め、学は故郷の味への飢えから、用意できるだけの品を買い込んだ。
近づく異質な気配
取引の直後、ゼロスとアドは人ではない異質な気配を感じ取った。草むらから助けを求めるみすぼらしい男が近づいてきたが、ゼロス達はそれを人間とは見なさなかった。ゼロスは男の頭部を撃ち抜き、首から漏れ出す黒い霧と血の臭いから、ゾンビ事件の元凶だと判断した。
黒い霧の悪霊
黒い霧の中には無数の顔が浮かび、ゼロス達を殺して体を奪おうとしていた。ゼロスとアドは、それが血液に憑依して操るレギオンのような存在だと見た。二人は即座に【ダイヤモンドダスト】で血液ごと凍らせ、さらに【煉獄炎】で焼き尽くした。
解放された勇者達の魂
レギオンが燃え尽きると、光る球体が無数の人型の霊となって現れた。彼らは召喚され利用され殺された勇者達の魂であり、輪廻に還れず、神国への恨みを抱えたまま消えていった。学は、自分達勇者の未来にも見えるその光景を前に、聞き捨てならない事実を突きつけられた。
後始末の押しつけ
ゼロスとアドは、勇者達の問題は学自身が考えるべきだと告げ、ゾンビの後始末を任せて姿を消した。学は残されたゾンビの残骸を処理するため、騎士達に命令を出すしかなかった。その後も領主への報告や書類作成が待っており、休暇は完全に潰れた。
すれ違う勇者と転生者
学は疲れ果てたまま宿へ戻ろうとしたが、向かいの宿で食事をしているゼロス達には気づかなかった。二人はその日のうちにソリステア魔法王国へ帰路につき、学とは再び言葉を交わすことなくすれ違った。後日、学は念願のカレーを作って歓喜したが、リナリー達に食べられて泣くことになった。
第三話 おっさん、リーマン時代を思い出す
ボンバ砦への報告と学の不都合な真実
二つの報告書
ゼロスとアドはボンバ砦へ戻り、ルガーに事件の報告書を提出した。砦へ渡した内容は血液を媒介とする死霊群という当たり障りのない説明にとどめ、デルサシス公爵宛てには勇者達の怨霊や復讐に関する詳細を記していた。ゼロスは、真相が広まれば戦争の火種になるため、情報は外交の切り札として伏せるべきだと考えていた。
軽ワゴンの帰路
報告を終えた二人は軽ワゴンでサントールへ向かった。アドはカーナビを欲しがったが、ゼロスは製作不能だと断った。車内では、メーティス聖法神国が抱える火種や周辺諸国との緊張、勇者召喚が失われた後の国家の弱体化について語り合った。
戦争の火種
ゼロスは、メーティス聖法神国の侵略や弾圧、神聖魔法による搾取、勇者召喚による世界崩壊未遂など、国が滅びる理由を数多く抱えていると整理した。だが、真相が広まれば戦争と難民が増えるだけであり、国を壊すよりも外側から削る方が現実的だと見ていた。アドは、デルサシス公爵なら裏から上手く動くだろうと感じた。
ゼロスの会社員時代
デルサシス公爵の有能さに触れたゼロスは、かつての会社員時代を思い出した。無責任な上司に仕事を押しつけられ、急な海外出張や資料準備に振り回された記憶がよみがえり、ゼロスは暗い気分に沈んだ。アドは、突然過去の愚痴をこぼし始めたゼロスに戸惑うしかなかった。
シャランラの潜伏
一方、黒い霧となったシャランラ達は、街道を行くキャラバンの馬車にへばりついていた。力が衰えているため護衛の傭兵達を襲えず、魔力の消耗を抑えながら街に着くのを待っていた。街が見えたことで、彼らは路上の弱者を襲い、体を手に入れる機会を狙うことにした。
新たなミイラ事件
シャランラ達は夜を待って馬車から離れ、街の闇へ消えていった。その日から、街ではミイラ化した死体がいくつも発見されるようになった。騎士団と衛兵が調査したが、原因をつかむことはできなかった。
報告書と勇者の憂鬱
ルナ・サークでは、学がゾンビの後始末を監督しながら報告書を書かされていた。彼は、死んだ勇者達の魂が輪廻に還れず、復讐のために魔物化していることを重く受け止めていた。自分達もいずれ同じ末路を辿る可能性があると考え、深く落ち込んでいた。
リナリーへの告白
学はリナリーに、ゾンビの正体が歴代勇者達のなれの果てであり、勇者は死んでも元の世界へ帰れないと話した。さらに、異世界召喚は自然の摂理に反する禁忌であり、転生者達は邪神の復活を狙っている可能性があると推測した。リナリーは信じがたい話に動揺したが、学の洞察に説得力を感じていた。
共犯者になったリナリー
学は、リナリーがこの話を報告すれば、彼女も都合の悪い真実を知った者として処分される可能性があると告げた。彼はリナリーを秘密の共有者にし、実質的に共犯者へ引き込んだ。リナリーは後戻りできない立場となり、学に責任を取るよう求めた。
親密になる二人
この日から、学とリナリーは以前よりも親密に行動するようになった。周囲には歳の差カップルと噂されるようになり、やがて偽装ではなく本当に男女の関係へ進んでいくことになった。二人の関係が変わる一方で、世界には大きな激動の時が近づいていた。
第四話 おっさん、調査結果を報告する
領主館への報告とそれぞれの帰宅
サントール領主館
ゼロスとアドは、サントール領主館にいるデルサシス公爵のもとへ報告書を届けた。領主館は古い城を大改築した豪華な建物で、アドは落ち着かないと漏らしてしまった。ゼロスは不敬にあたる可能性を注意し、デルサシスも貴族社会の厳しさを示しながら本題へ入った。
勇者の怨霊
デルサシスは、ミイラ事件の原因が血液を媒体にした群霊であり、過去に召喚された勇者達が悪霊化しているという報告に注目した。ゼロスは、元は悪党を狙っていた勇者達の群霊が、盗賊の悪霊に乗っ取られたのだと説明した。デルサシスは、歴代の勇者達が輪廻に還れず復讐を望んでいるなら、メーティス聖法神国だけでなく世界全体にも災いとなり得ると見ていた。
転生者への警戒
デルサシスは、ゼロス達が四神と敵対し、すでに目的を果たしているのではないかと踏み込んで尋ねた。ゼロスは、邪神が復活した以上、自分達の仕事は終わったようなものだと考え、特に企みはないと答えた。さらに、ケモ・ブロスやマスクド・ルネッサンスについても、基本的には趣味や目的に従って動いているだけで、デルサシスが警戒するほどではないと説明した。
滅びゆく宗教国家
デルサシスは、メーティス聖法神国が遠くないうちに滅びると見ていた。ゼロスとアドも、西の大国との緊張や勇者の怨霊が関わる新たな魔物の可能性から、その予想に同意した。ただし、四神教の神官や司祭が憎悪の対象になるなら、周辺国にも被害が及ぶ可能性があるため、事態は単純ではなかった。
危険を楽しむ公爵
デルサシスは、危険度の高い問題ほど愉快そうに受け止める人物だった。ゼロス達は依頼達成を確認し、報酬の振り込みを受けることになったが、アドには魔導式モートルキャリッジの動力部品製造という仕事が残された。ゼロスは手伝いを拒み、アドは三日後からの作業を押しつけられることになった。
魔導銃への関心
ゼロス達が退室した後、デルサシスはルナ・サークで使われた魔導銃の報告書を読んでいた。魔導銃は軍事戦略を根底から変える危険な武器であり、彼は国王への報告を保留し、自分の工房でタネガシマを基に研究させることを考えた。さらに、聖騎士団内にいる密偵への報酬手配も命じ、裏表に広がる情報網の深さを見せた。
活気づく旧市街
領主館を出た後、アドはユイの元へ戻り、ゼロスは土産の串肉を買いながら旧市街を歩いた。旧市街では魔導式モートルキャリッジの部品製作を機に、職人や魔導士達が集まり、工業用機械の開発まで始まっていた。サントールは産業革命の入り口に立っていたが、ゼロスは自分がその輪に加わる気はなく、あくまで他人事のように眺めていた。
肉教祖様
ゼロスが教会へ戻ると、ルーセリスは無事に過ごしていたと報告した。カイとラディは土産を求め、ゼロスが串肉を出すと、カイは喜びのあまりゼロスを肉教祖様と呼んだ。ゼロスは、肉への執着が強すぎるカイが本当に妙な宗教を興しかねないと心配した。
食いしん坊の邪神
自宅に戻ったゼロスを待っていたのは、フォークとスプーンを持ってカツカレーを要求するアルフィアだった。彼女は四神を探して世界を巡っていたと言いながら、食事への執着を隠さなかった。ゼロスは、食道楽に堕ちた元邪神の姿に呆れつつ、彼女が封印の一つを解いたことには気づかなかった。
アドの父親
一方、アドはユイが心配でソリステア公爵家別邸へ急いで戻った。そこでダンティスから、ユイが女の子を出産したと告げられ、彼は突然の知らせに放心した。出産に立ち会えなかった罪悪感で動けなくなったが、ユイと生まれた娘に対面すると復活し、屋敷中に響くほどの歓喜の叫びを上げた。
第五話 おっさん、アドにイラッと来る
魔導具作りとアドの強制連行
装飾魔導具の試作
ミイラ化事件の調査から三日後、ゼロスは日課の訓練と畑仕事を終え、魔晶石や魔石を使った装飾魔導具を作っていた。魔導具作りは魔石の容量や術式の複雑さ、加工スキルの併用など制約が多く、量産や教育には材料と技術の問題があった。ゼロスはツヴェイト達に魔導錬成を教えるべきか悩んでいた。
娘の名前
一方のアドは、生まれた娘の名前を決められず朝から悩み続けていた。ゼロスが名前の案を出しても、アドはアニメや物語の印象を理由に次々と却下した。ゼロスは延々と続く問答に苛立ち、ついにはゴム弾入りのデザートイーグルを突きつけて、早く決めるよう迫った。
アホな戦争
アドは最初に貞子という名を考えていたが、ゼロスはその感性を危ぶんだ。結局、アドは華漣か華音という候補をすでに考えていたと明かし、ゼロスはそれなら最初からそう言えばよかったと完全に切れた。サントールの片隅でゴム弾と打撃が飛び交う、くだらない戦争が始まり、アドが徹底的に叩きのめされた。
出産祝い
翌日、ゼロスは出産祝いを持って、ユイのいるソリステア公爵家別邸を訪れた。ユイは出産直後にもかかわらず運動しようとしており、アドは必死に止めていた。ゼロスは粉ミルク、哺乳瓶、紙おむつを渡し、ユイは素直に感謝した。
乳幼児用品のレシピ
ゼロスは、かつてゲーム内イベントで乳幼児用品を大量生産したため、粉ミルクや紙おむつを大量に持っていたと説明した。さらに製作レシピの写しをアドに渡し、アドはそれをデルサシス公爵との交渉やイサラス王国での製品化に使えると考えた。ゼロスは、流れ作業で大量生産できれば乳幼児を持つ家庭に喜ばれるだろうと見ていた。
かのん
ユイは娘の名を、平仮名でかのんにしたと明かした。アドは名前を考える苦労を語ったが、ゼロスは彼が本来の仕事をせずに別邸にいることを指摘した。アドは魔力モーターの術式を刻む仕事を忘れており、顔色を悪くした。
ベラドンナの襲来
そこへベラドンナとクーティーが乱入し、仕事をすっぽかしたアドを連行しに来た。アドはユイを心配して抵抗したが、クーティーのハンマーで気絶させられ、ロープで縛られた。ベラドンナは、魔導式モートルキャリッジの動力部に必要な術式が高度すぎて、アドの力が必要だと説明した。
危険な共感
ベラドンナは、店員のクーティーに迷惑をかけられ続けて店が潰れかけていると嘆いた。ゼロスはクーティーをスライムの餌にすればよいと提案し、ベラドンナも本気で検討した。二人は迷惑な身内や店員への怒りで妙に意気投合し、クーティーは本気で命の危機を感じて青ざめた。
魔力モーターの難度
ベラドンナは、アドが刻める魔力モーターの術式が芸術の域にあると語った。ゼロスは、この世界の魔法技術が想像以上に停滞していることを知り、人材育成に手間がかかると感じた。アドはそのまま工房へ強制連行され、窓の外で芋虫のように縛られた姿をさらした。
店長の恐怖
アドを工房へ送り届けた後、ベラドンナは久しぶりに店を開けた。店にはスライム入りの壺と毒草があり、クーティーは自分が始末されるのではないかと怯えた。ベラドンナは、クーティーが馬鹿なことをしなければよいと妖艶に笑い、クーティーはしばらく真面目に店番しようと誓った。
第六話 おっさん、かてきょを再開する
クロイサスの銃研究と魔晶石加工の授業
楽園からの追放
クロイサスは、地下都市イーサ・ランテでの遺跡調査を理想郷のように懐かしんでいた。多くの学院生にとって終わらない解析作業は地獄だったが、研究馬鹿のクロイサスにとっては古代魔導具や文献に囲まれる最高の日々だった。休暇によってその場を離れることになり、彼は自室で意気消沈していた。
父からの贈り物
デルサシスは、部屋で腐っているクロイサスのもとを訪れ、二つの武器を見せた。一つはメーティス聖法神国の火縄銃、もう一つはイーサ・ランテから発掘された旧文明の魔導具だった。クロイサスは古代遺物と聞いて興味を示し、両者が弾を撃ち出す同系統の武器だと見抜いた。
銃の解析依頼
デルサシスは、火縄銃と旧文明の魔導具を解析し、再現するようクロイサスに依頼した。クロイサスは、火薬の工程を魔法で省いたものが旧文明の武器ではないかと考えたが、なぜゼロスに直接聞かないのか疑問を持った。デルサシスは、ゼロスが趣味では作っても量産には協力しないと見ていた。
始まる銃研究
クロイサスは、金属を撃ち出す武器の危険性をまだ十分には理解していなかったが、研究課題として面白いと判断して引き受けた。デルサシスは人員や工房の使用を許可し、ソリステア派の工房で銃の研究が始まった。この計画は、のちに銃士隊の創設へつながることになる。
魔晶石加工の授業
一方、ゼロスはツヴェイトとセレスティーナに、宝石と魔石を結合させる魔晶石加工を教えていた。ゼロスは、宝石の粒子の隙間に魔力を組み込み、圧縮して結合させるイメージだと説明した。魔力の正体について話が広がったが、結局は分からないものとして実験を進めることにした。
アイテムバッグへの関心
魔晶石は魔導具に使われ、無属性の魔晶石はアイテムバッグの素材にもなると説明された。ツヴェイトは軍事面で、セレスティーナは薬草や魔法媒体の保存で、アイテムバッグに強い関心を示した。だがゼロスは簡単には渡さず、まずは授業が大事だと二人を錬成台に向かわせた。
初めての失敗
ツヴェイトとセレスティーナは、錬成台を使って魔晶石加工に挑戦した。ツヴェイトは力押しで結合させようとして砕き、セレスティーナは結合には近づいたが凝結で失敗した。ゼロスは、セレスティーナが繊細な制御に向き、ツヴェイトは強引に動かす傾向があると見た。
ゼロスの手本
ゼロスは大きな水晶と魔石を使い、分解、浸透、圧縮の工程をゆっくり見せた。水晶は青く変色しながらスライムのように蠢き、最後には卓球ボールほどの魔晶石へ圧縮された。ツヴェイト達はその手本を見て工程を理解し、何度か失敗しながらも歪な魔晶石を作ることに成功した。
第七話 アド、取引をする
魔導銃開発の始動と怠惰の女神
ソリステア派の工房
サントール北区画のソリステア派工房では、魔法薬や魔導具の研究と量産が行われていた。デルサシスの経営手腕によって工房は大きな利益を上げ、魔導士の就職先としても機能していた。その一室で、デルサシスとクロイサスはドワーフ職人達を集め、魔導銃の試作について打ち合わせを始めた。
魔導銃の設計図
クロイサスは徹夜で旧時代の魔導銃を分解し、火縄銃も参考にして基本構造の設計図を描き上げていた。彼は魔法で弾丸を撃ち出す仕組みや薬室の強度、弾丸に合わせた術式調整の必要性を説明した。職人達は図面に強い関心を示し、アドが銃の部品名を知っていたことで彼にも視線が集まった。
ドワーフ職人の圧力
魔導銃の心臓部には小さく精密な魔導術式が必要であり、その作業は魔導士達に回されることになった。だが、ドワーフ職人達は妥協を許さず、担当部署が違う魔導士達にまで過酷な仕事を押しつけようとした。魔導士達は逃げようとしたが、職人達に阻まれ、工房は大乱闘のような混乱に陥った。
逃げ損ねたアド
アドは混乱に紛れて逃げようとしたが、入口でデルサシスに捕まった。デルサシスは、アドに魔導銃そのものを作らせるのではなく、必要な時に相談役として助言してほしいと求めた。アドは国同士の戦争には関わらないと条件を出し、デルサシスもイサラス王国との関係を調整すると約束した。
公爵との取引
デルサシスは、アドやゼロスを危険だから消すのではなく、有能な人材として適所で活用すべきだと考えていた。アドは彼の底知れなさを警戒しながらも、ユイや娘に手を出さないという言葉を信じることにした。部屋の中では、ドワーフ達に捕らえられた魔導士達が簀巻きにされ、別の意味で地獄を見ることになっていた。
眠る大地の女神
一方、ファーフラン大深緑地帯では、アルフィアが大地の女神ガイラネスを見つけていた。ガイラネスは危険地帯で涎を垂らして眠っており、アルフィアに起こされても寝直そうとした。彼女は世界の管理にまったく未練がなく、毎日寝ていたいだけの怠け者だった。
管理権限の返還
アルフィアはガイラネスから管理権限を返してもらおうとしたが、ガイラネスは抵抗せず、最高の枕と羽毛布団を要求した。アルフィアは呆れながらも権限を回収し、制限の一部を解除した。その結果、彼女の本体は惑星上での活動が困難となり、疑似体を作り、本体を宇宙空間へ移した。
惰眠のパジャマ神
権限を得たアルフィアは物質変換を容易に行えるようになり、ガイラネスのために高級枕と羽毛布団を作った。ガイラネスは寝具に大喜びし、アルフィアを惰眠のパジャマ神と呼んだ。アルフィアは新たな称号と、安眠グッズをねだるぐーたらな配下を得ることになった。
第八話 おっさん、教え子の一面を知る
錬成授業の騒動と怠惰な女神の居候
魔導錬成の苦戦
セレスティーナとツヴェイトは、ゼロスから午前に戦闘訓練、午後に魔導錬成を教わっていた。二人は魔力量と制御力を高めたことで錬成台を扱えるようになったが、複数工程を同時に行う錬成は難しく、魔力消費も激しかった。地道な訓練の成果は出ていたものの、まだ扱いには苦労していた。
ツヴェイトの彫金技術
ツヴェイトはミスリルと宝石を使い、花を模したブローチを作り上げた。彼は小遣い稼ぎと趣味で彫金加工をしており、その経験が魔導錬成にも生きていた。ゼロスは、ツヴェイトが近いうちに魔導術式を刻めるようになるだろうと見ていた。
セレスティーナの不気味な作品
一方、セレスティーナは兄の作品を真似ようとしたが、錬成台の上には不気味な金属塊ができあがっていた。彼女は可愛いと言い張ったが、ゼロスとツヴェイトには邪神召喚に使えそうな異様な造形に見えていた。セレスティーナは夢中で錬成を続け、魔力を消耗して倒れかけた。
マナ・ポーションの注意
ゼロスは、錬成台は魔力消費が大きく、使いこなすには素材と訓練が必要だと説明した。セレスティーナはマナ・ポーションを飲みながら作業すればよいのではと考えたが、ゼロスは魔法薬の過剰使用は危険であり、あくまで緊急時の補助だと教えた。二人は、安易に薬に頼らず鍛える重要性を理解した。
倒れたアド
授業を終えようとした頃、屋敷の玄関でアドが重度の疲労により倒れたという騒ぎが起きた。リサはゼロスに精力剤を求め、ゼロスは怪しげな超強力精力剤を取り出した。彼は未試験の薬だと内心で楽しんでおり、その効果はアドを別方向に暴走させるほど強烈だった。
四神ガイラネス
ゼロスが帰宅すると、家にはアルフィア、イリス、ジャーネに加え、クマ柄のパジャマ姿で眠る見知らぬ女性がいた。アルフィアは、その女性が四神の一柱だった大地の女神ガイラネスだと明かした。ゼロス達は驚き、アルフィアが家に連れてきたことに困惑した。
邪神の正体
イリスは、以前から怪しんでいたアルフィアが邪神ではないかと見抜いていた。ゼロスは隠しきれないと判断し、アルフィアがかつて世界を滅ぼしかけた邪神であることを認めた。さらにアルフィアは、風の女神ウィンディアをすでに封印したことまで漏らし、場をさらに混乱させた。
レナの告白
そこへレナが深刻な顔で現れ、自分が妊娠したかもしれないと告げた。相手に心当たりが多すぎて誰の子か分からないという発言に、ジャーネ達は激しく動揺した。レナは子供を育てる覚悟はあるものの、少年達と遊べなくなることを悩んでおり、その欲望の強さに周囲は呆れていた。
物置のガイラネス
話が混乱する中、ゼロスは怠惰なガイラネスを二階奥の物置へ運び、結界を張って封じた。アルフィアは騒がしい家の様子を眺めながら食事を期待し、ゼロスも女性陣の騒ぎをよそに夕食の準備を始めた。後日、レナの妊娠は勘違いだと分かり、彼女は再び少年達を求めて街へ出ていった。
第九話 おっさん、エロムラを犠牲にする
ザザへの密談と暴走する試作機
裏街の取引
イサラス王国の諜報員ザザは、宿の部屋に置かれていた手紙に従い、サントール裏街の酒場へ向かった。彼に接触した酔客風の男は、ソリステア魔法王国側の者であり、メーティス聖法神国の内情をまとめた詳細な報告書を渡した。そこには、イサラス王国への武器や補給物資の支援案まで記されていた。
三国の思惑
ソリステア側は、弱体化したメーティス聖法神国を前に、イサラス王国へ軍事的支援を行うことで貸しを作ろうとしていた。鉱物資源を持つイサラス王国との関係強化は、ソリステア魔法王国にとっても利益があった。ただし、補給線が伸びれば不利になるため、領土拡大はほどほどにすべきだと男は忠告した。
繋ぎ役ザザ
ザザは、自分の一存では決められないとしながらも、この提案をイサラス王国側へ繋ぐことにした。アルトム皇国との軍事同盟や補給不足の現状を考えれば、ソリステアの支援は大きな意味を持つものだった。彼は料理と酒を済ませた後、同胞と連絡を取るために動き出した。
新型ゴーレム
一方、ゼロスは実力を伸ばしてきたツヴェイトとセレスティーナの訓練難度を上げるため、新たなゴーレムを用意していた。巨大な金属球は変形し、全長四メートルほどの鋼の騎士アイゼンリッターとなった。ゼロスは趣味で完成させたゴーレムを嬉々として披露し、二人に戦わせた。
鋼の騎士との訓練
アイゼンリッターは見た目に反して軽快に動き、木剣と盾で二人を翻弄した。ツヴェイトとセレスティーナは左右から挟撃したが、盾で受け流され、木剣を射出する仕組みにも苦しめられた。最低出力とはいえ、その動きと圧力は二人にとって明らかに手に余るものだった。
男のロマン
訓練を見に来たエロムラは、ゼロスが人型兵器を作っていることに呆れた。ゼロスは、男にはロボや戦艦、パワードスーツへのロマンがあると熱弁し、作れるなら作ってもよいと開き直った。その流れで、未完成のパワードスーツをエロムラに試させることになった。
暴走する外骨格
エロムラが試作パワードスーツを起動すると、操作の過敏さと出力の高さによって機体が暴走した。わずかな動作が増幅され、エロムラは跳ね回るように訓練場へ乱入した。着地時の動きまで過剰に反映され、彼の体には鳴ってはいけない音が次々と響いた。
鋼のダンス
暴走するエロムラの隣では、なぜかアイゼンリッターまで踊るように動き出した。ツヴェイト達は訓練どころではなくなり、ゼロスも危険すぎて近づけないと判断した。やがてエロムラが気絶したことで試作機は止まり、彼は高レベル者らしく骨折もせずに済んだ。
パンティーの弔い
気絶したエロムラに、アンズは無言で女性用下着を被せ、祈るように手を合わせた。彼女は、エロムラが男のロマンに殉じ、情熱の象徴を被って昇天したかのように語った。ツヴェイトだけが救護を促し、エロムラは介抱されて復活したが、この時の記憶を失い、以後ゴーレムを見ると震えるようになった。
第十話 イリス、 現在お仕事中
アーハン鉱山の調査とゼロスの無断採掘
ザザへの接触
イサラス王国の諜報員ザザは、宿に置かれていた手紙に従い、サントール裏街の酒場でソリステア魔法王国側の男と接触した。男はメーティス聖法神国の詳細な調査報告書を渡し、イサラス王国への武器や補給物資の支援を提案した。ザザは、ソリステア側がイサラス王国に貸しを作り、鉱物資源や軍事面で利益を得ようとしていると理解した。
軍事支援の提案
報告書には、弱体化したメーティス聖法神国の内情や、攻め込むなら今が好機であることが示されていた。男は、領土を広げすぎれば補給線が伸びて不利になると忠告した。ザザは、この件を自国へ繋ぐ必要があると判断し、同胞へ連絡を取るために動き出した。
アーハン鉱山の調査
イリス、ジャーネ、レナの三人は、傭兵ギルドの依頼でアーハンの鉱山跡地を調査していた。鉱山はダンジョン化が進み、以前よりも魔物や地形が大きく変化していた。三人は罠を警戒しながら進み、少年傭兵達が後をつけていることにも気づいていた。
広がる草原フィールド
坑道の奥には、地下とは思えない草原が広がっていた。森や草原、肉食魔物まで生まれており、ダンジョンは空間型のフィールドへ変化しているようだった。三人は、これ以上少年達を連れて進めば危険だと判断し、隠れていた彼らに戻るよう忠告した。
少年達への忠告
少年達は、イリス達を軽く見て同行を望んだが、三人は傭兵の仕事は自己責任であり、足手まといは助けられないと告げた。そこへグレートホーン・バッファローが突進してきたため、イリス、ジャーネ、レナは連携してこれを討伐した。少年達は実力差を思い知り、自分達では先へ進めないと認めて引き返した。
変化するダンジョン
三人は調査を続け、オークやゴブリン、巨大蛇、昆虫型、寒冷地の魔物まで確認した。鉱床は見つからず、ダンジョンは階層型へ変化している可能性があった。スタンピードの危険も考えられ、ジャーネ達は管理が難しくなっていることに不安を覚えた。
地下の渓谷
草原フィールドの奥には、地下とは思えない渓谷が広がっていた。イリスは冒険らしい光景に高揚したが、ジャーネとレナは異空間の不自然さに精神を削られていた。三人は飛行する魔物を警戒しながら蔦や根を伝い、岩棚を下って洞窟へ入った。
採掘音の先
洞窟の奥から採掘音が聞こえ、三人は無許可侵入者か別の調査隊かを警戒した。隠れて様子を探ると、そこにいたのは上機嫌でツルハシを振るうゼロスだった。彼は封鎖された場所に無断で入った自覚が薄く、以前の落とし穴を使って最下層から上がってきたと説明した。
無断採掘のおっさん
ゼロスは、銃や変形機構付きゴーレムを作って鉄を使い尽くしたため、鉱山へ採掘に来ていた。さらに、溶岩地帯、水晶地帯、南国風のジャングルなど、三人がまだ到達していない危険なエリアの存在を軽く語った。イリス達は、自分達ではこれ以上の探索は無理だと判断し、撤退を決めた。
豚骨スープの研究
イリス達はアーハンの村で一泊し、サントールへ戻った。教会に戻った後、ゼロスが何を作っているのか気になって家を覗くと、彼は豚骨スープの研究をしていた。銃やゴーレムのために無断採掘していたと思えば、次には料理研究に没頭しており、三人はゼロスの考えの読めなさを改めて感じた。
第十一話 ツヴェイト、無駄なことだがクロイサスに忠告する
公爵家の母親問題とクロイサスの機密資料
不在の公爵夫人達
ツヴェイトは、最近姿を見せない母親達についてメイド長マサリに尋ねた。公爵夫人達は王都の婦人会へ出向いており、しばらく戻らないとのことだった。ツヴェイトは、母親達が貴族夫人としては典型的でも、育児を乳母に任せきりで母親らしい記憶が薄いため、敬う気持ちを持てずにいた。
マサリへの警告
マサリはツヴェイトに母親を敬うよう諭し、継承問題にも触れた。だがツヴェイトは、後継者争いは母親達の実家が勝手に騒いでいるだけで、デルサシスならいずれ潰すだろうと見ていた。さらにマサリへ、長生きしたければ母親の実家から手を切るべきだと警告した。
クロイサスの部屋
ツヴェイトは、数日工房へ通った後に部屋から出てこないクロイサスを心配し、彼の部屋へ向かった。部屋の前には異様な暗さが漂い、中に入るとガラクタと埃に満ちた魔窟が広がっていた。クロイサスは書類の束を抱えたまま、ガラクタに埋もれて眠っていた。
魔導銃の資料
ツヴェイトは、クロイサスが抱えていた書類から、火縄銃や旧時代の射撃武器の分解図、量産化を目指した設計資料を見つけた。資料には、チャンバーの強度や高耐久金属、連射機構などの検討が記されており、ツヴェイトはそれが戦争を前提にした危険な武器開発だと察した。
銃の危険性
ツヴェイトは、魔導銃が少ない魔力で敵を殺傷できるなら、訓練を積んでいない者でも戦力になり、反乱や暗殺の火種にもなると考えた。彼は、デルサシスがその危険性を理解していないはずがないと見ていたが、管理体制の難しさにも頭を痛めた。
研究者の無責任
目を覚ましたクロイサスは、魔導銃の部品設計を研究の一環としか捉えておらず、使用責任は扱う者にあると考えていた。ツヴェイトは、危険物を作った側にも管理責任があると説いたが、クロイサスは最後まで実感を持てなかった。二人の間には、国防側と研究者側の認識の隔たりがあった。
部屋の怪現象
ツヴェイトは、クロイサスの部屋が学院の部屋と同じように異常現象を起こす可能性に気づいた。実際に、部屋に溜まった得体の知れない魔力によって、怪現象が発生した。そこへツヴェイトを探しに来たエロムラが、閉じた扉越しに中の様子を探ろうとした。
変身音の向こう側
エロムラは扉の向こうから、ツヴェイトとクロイサスらしき声や、変身音声、必殺技のような音を聞いた。彼は中で何が起きているのか気になり、正義の味方への憧れから自分も参加したがった。しかし扉は開かず、彼はクライマックスを見られないまま悔し涙を流した。
腐の誤解
クロイサスの部屋の前で、エロムラがやらせろと叫んでいる姿をメイド達が目撃した。彼女達はその言葉を別方向に解釈し、エロムラや公爵家兄弟への妙な想像を膨らませた。この日を境に、メイド達の間で腐の書籍伝道が活発化することになった。
第十二話 ソリステア公爵家別邸の惨劇?
アドとの初対面とシャランラの異形化
別邸での初対面
ツヴェイトとアドは、クレストン邸の客室前で初めて顔を合わせた。ツヴェイトはゼロスの弟子と聞いていたアドを値踏みし、アドはまた権力者と関わったと内心で嘆いていた。そこへゼロスがイリスまで連れてきていたため、場は早々に騒がしくなった。
イリスの同行
ゼロスは、同年代の友人が少ないセレスティーナのために、イリスとの交流を深めさせようとしていた。イリスは公爵家の別邸を観光客のように眺め、アドは一般人を公爵家の屋敷に連れてくるゼロスに呆れた。ゼロスは顔パスの信頼を理由に平然としていた。
殲滅者の逸話
イリスはアドをダンジョン調査に誘い、セレスティーナはゼロス達の過去の功績に興味を示した。だが語られた内容は、襲撃者を利用した資金稼ぎや試作魔法への巻き込み、薬物実験、危険な魔物との戦闘など、英雄譚とは程遠い騒動ばかりだった。セレスティーナは尊敬する師の非常識な一面に困惑した。
龍王の肉
アドは、ゼロスと共に雪山で龍王と三日三晩戦わされた過去を語った。二人が倒した龍王の肉は公爵家にも流れており、ツヴェイト達が朝食で食べたベーコンもその一部だった。さらに鱗や牙、心臓などはエリクサー級の素材になり得るため、ツヴェイトはその危険な価値に驚いた。
アンズの下着販売
話題はアンズに移り、彼女が教会に女性用下着を売りに来ていることが明かされた。イリスとセレスティーナは、アンズ製の下着の肌触りやデザインを高く評価した。男性陣はそれぞれ別方向の想像を巡らせ、ユイやイリス、セレスティーナから冷たい視線を向けられた。
かのんの名前
イリスは、アドの娘かのんの名前が、同じ殲滅者であるカノンに由来するのかと何気なく尋ねた。アドは強く否定したが、ユイは娘に他の女性の名前をつけたのかと激しく怒り始めた。ゼロスはカノンは本名ではないと説明して一度は場を収めたが、イリスの追加発言でユイの怒りは再燃した。
闇デレの暴走
ユイは、アドが他の女性を思い浮かべることさえ許せず、家族も周囲も巻き込んで消そうとするほど危険な状態になった。彼女はチェーンソード型の呪装武器【フライデー13 V-Max】を取り出し、アド達を震え上がらせた。ゼロスは二人を再会させた自分の判断を後悔し、アドは早々に運命を諦めた。
別邸の悲鳴
別邸には複数の悲鳴が響き渡ったが、シャクティやミスカは巻き込まれないよう放置を選んだ。商人達や新聞記者にも噂は広まったものの、真相を語る者はおらず、事件は曖昧なまま消えていった。イリスだけは、しばらくユイへの恐怖にうなされることになった。
地下水路の麻薬取引
メーティス聖法神国の商業都市では、神官の後ろ盾を失った元商人が地下水路で麻薬を求めていた。商人として落ちぶれた彼は薬に逃げ、幸福そうに意識を沈めた。その隙に、黒い霧となったシャランラ達が彼の体へ侵入した。
異形のシャランラ
シャランラ達は肉体を得たつもりだったが、麻薬の影響で人間とはかけ離れた異形へ変質した。人の肌をしたムカデのような体に女性の上半身が生え、全身に目や口が蠢くおぞましい姿となった。シャランラは求めた姿との落差に絶叫し、盗賊達や被害者達の魂も口々に騒ぎ立てた。
討伐対象の誕生
シャランラ達を変異させた麻薬は、邪神石を混ぜて敵国に流された危険物だった。アドとイサラス王国の軍部による嫌がらせと破壊工作の結果、その薬は人間を化け物へ変える性質を持っていた。異形の存在となったシャランラ達は、後に下水道の清掃員に発見され、討伐対象として追われることになった。
第十三話 ベラドンナさんのプライベート事情
ジャバウォックの襲来と流されるクーティー
忘れられた二つ名
勇者達の魂が集まったジャバウォックは、メーティス聖法神国へ向かって飛行していた。アルフィアから滅魔龍という二つ名を与えられていたが、魂達は肥満体から解放された喜びで話を聞いておらず、誰も正確に覚えていなかった。彼らは復讐の対象を神官達に絞り、住民を巻き込まない形で派手に登場しようと相談した。
黒い巨龍の侵入
ジャバウォックはメーティス聖法神国領内へ侵入し、上空を悠々と飛んだ。地上の砦や農村では、禍々しい巨龍の姿を見た者達が大混乱に陥った。これにより、メーティス聖法神国を震撼させる新たな事態が始まった。
七砦の疲弊
シュトーマル要塞の後方支援拠点である七砦では、兵士達が修復作業と見張り任務に追われていた。聖都崩壊やルーダ・イルルゥ平原での敗北、回復魔法の一般販売、ギヴリオン襲撃などが重なり、神国全体に不安が広がっていた。兵士達も長時間勤務で疲弊し、士気は大きく落ちていた。
砦上空の災厄
七砦の兵士達は、上空を通過する漆黒の巨龍を目撃した。ドラゴンを思わせる巨体は、本国へ向かって高速で飛び去り、砦内は伝令を出すべきかどうかで混乱した。この日、メーティス聖法神国では初めてジャバウォックの存在が確認され、同日には神殿の一つが完全に破壊された。
疲れ果てたベラドンナ
一方、ベラドンナは恋人ルシオンの家で目を覚ました。彼女はソリステア派の工房で単調かつ過酷な作業に追われ、さらに店ではクーティーに悩まされ、精神的にも肉体的にも疲れ切っていた。ルシオンは彼女を気遣ったが、ベラドンナはクーティーを恋人に会わせたくないため、すべてを一人で抱え込んでいた。
駄目店員への殺意
ベラドンナは、クーティーが示談で済む迷惑行為を繰り返し、その負担を周囲に押しつけていると語った。クビにしても忘れて戻り、店の金や実家の金まで自分本位に扱うクーティーに、ベラドンナの殺意は限界に近づいていた。ルシオンは、恋人が本当に殺人に踏み切りかねないほど追い詰められていると感じた。
災厄の来訪
外へ出たベラドンナとルシオンの前に、包帯姿のクーティーが現れた。彼女は相変わらず自分を天才名探偵と名乗り、店に入れなかった不満や自分の美貌を一方的に語った。さらにベラドンナを行き遅れや犯罪者のように扱ったため、ベラドンナは怒りに任せて何度も叩きのめした。
川へ流されるクーティー
気絶したクーティーの処理に困っていると、釣り竿を持ったゼロスが偶然通りかかった。ゼロスは、ついでにオーラス大河へ捨ててくると申し出て、クーティーを抱えて川へ向かった。ルシオンはそれが普通に犯罪ではないかと疑問を抱いたが、ベラドンナは衛兵も喜ぶだけだと冷静に受け止めていた。
誰も助けない水死体
オーラス大河に流されたクーティーを見た船乗り達は、迷惑探偵がまた流されているだけだと判断し、誰も助けようとしなかった。むしろ網に引っかかることを嫌がり、迷惑な粗大ゴミのように扱った。ゼロスもその嫌われぶりを眺めた後、すぐに釣りへ意識を戻した。
一週間後の帰還
一週間後、クーティーは海岸沿いの漁村で目を覚ましたと訴えながら、ボロボロの姿で店に戻ってきた。ベラドンナは彼女が海へ行って仕事をサボっていたことにし、掃除を命じた。今回だけはクーティーにも理があったが、普段の行いのせいで同情されることはなかった。
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