アラフォー賢者14巻レビュー
アラフォー賢者まとめ
アラフォー賢者16巻レビュー
どんな本?
■ 作品概要
本作は、異世界に転生したアラフォーの主人公・ゼロスが、大賢者の規格外の力を持ちながらもマイペースに生きる姿を描いたファンタジーである。第15巻では、アーハン廃坑ダンジョンの未曾有の構造変化に巻き込まれたゼロス一行が、旧時代の無人兵器や多脚戦車、非人道的な生物兵器の実験施設と遭遇し、それらを容赦なく破壊・回収していく。一方で、人間の発情期ともいえる奇病「恋愛症候群(ラブ・シンドローム)」が猛威を振るい始め、社会的な死(精神暴走による奇行)を回避するため、ゼロスはルーセリス、ジャーネの三人でサントールの街へ初デートに出かけることになる。また、南大陸では邪神アルフィアが惑星環境制御システム「ユグドラシル」を再起動させるなど、世界の運命を左右する事態も並行して進行する。
■ 主要キャラクター
- ゼロス:【大賢者】の職業を持つ転生者のアラフォー。ダンジョンで遭遇した多脚戦車にロマンを感じて嬉々として回収し、戦車に改造しようと企む。恋愛症候群への対策としてルーセリスとジャーネをデートに連れ出し、宝石店で強引に婚約指輪を贈る。
- ルーセリス:教会の見習い神官。ゼロスに好意を寄せており、奥手なジャーネを引っ張ってデートを提案するなど、結婚に向けて積極的に行動する。
- ジャーネ:女性傭兵。乙女趣味で奥手な性格であり、ゼロスへの恋心や結婚に戸惑い逃げ腰であったが、最終的にプロポーズを受け入れて婚約する。
- エロムラ:ゼロスの知人である転生者の少年。ダンジョン探索や多脚戦車の解体作業に巻き込まれて酷使される。【下ネタの道化師】【やらないか】という不名誉な称号を獲得し、不遇な運命を嘆いている。
- アド:ゼロスと同郷の転生者。魔導式モートルキャリッジなどの開発が一段落して無職状態となり、暇を持て余してゼロスの戦車解体作業を手伝う。
- アルフィア・メーガス:次世代の観測者である元邪神。南大陸で世界再生のためにユグドラシルを目覚めさせるという神らしい行動をとる一方で、サントールの市場では子供げなくお菓子や串肉を買い占めようとし、ゼロスたちを呆れさせる。
■ 物語の特徴
物語の特徴 本作の魅力は、ダンジョン内で展開される旧時代の兵器(多脚戦車やロボット、サイボーグ化した生物兵器など)とのSFチックでシリアスな死闘と、平穏な街で繰り広げられる恋愛コメディの激しい落差である。兵器を魔法で蹂躙し、ロマンを求めて戦車を解体するゼロスたち転生者のオタク気質が存分に発揮されている。また、恋愛症候群という「無自覚に奇行や絶叫告白に走る」という恐ろしい設定が、奥手なヒロインたちとのお見合い的なデートを急がせる要因となっており、独特の緊張感と笑いを生み出している。世界再生の胎動や、隣国が直面する銃器による軍事バランス崩壊の危機など、世界の歴史と変革の裏側が緻密に描かれている点も興味深いポイントである。
読んだ本のタイトル
アラフォー賢者の異世界生活日記 15
著者:寿安清 氏
イラスト:ジョンディー 氏
出版社:KADOKAWA(MFブックス)
発売日:2021年9月25日
ISBN:9784046807649
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あらすじ・内容
大賢者ゼロス、美人シスター&美人傭兵と嬉し恥ずかし初デート♪
アラフォー賢者の異世界生活日記 15
鉱石素材をゲットするためアーハンの村へとやってきたゼロス。ところが、突然発生したダンジョンの構造変化に巻き込まれてしまい、彼は急遽、ダンジョン内の調査を開始する。
アンデッドモンスター・ファラオネェとのバトルに始まり、旧時代の超技術で作られたと思しき多脚戦車との死闘、更にはファンタジー世界に似つかわしくない生物兵器に襲われたりと、想像以上の大冒険を強いられるものの、そこは大賢者ゼロス。しっかりとレア素材を回収しつつ無事に帰還する。だが、ゼロスには別な緊急事態が迫っていて……。
人間の発情期とも言うべき【恋愛症候群(ラブ・シンドローム)】。そんな困った奇病が猛威を振るう初夏がすぐそこまで迫っているので、恋愛症候群発症中のゼロスとルーセリス、そしてジャーネは三人でデートをすることに! 奥手同士のデートの行方は!?
感想
感じたのは、ダンジョン探索のくだらなさと、世界規模で進む不穏な動きの落差が激しい巻であったということである。
特に印象に残ったのは、ツヴェイト、セレスティーナ、エロムラを連れたダンジョン探索である。
繁殖力の強いキノコのエリアで、エロムラの股間にキノコが生える展開には、思わず吹き出してしまった。くだらないのに、胞子が肺に入れば命に関わる危険もある。この馬鹿馬鹿しさと危機感が同時に成立しているところが、いかにも本作らしいと感じた。
ゼロスが迷わず最大火力の魔法でフロアごと焼き尽くす判断も印象的であった。状況だけ見れば正しいのだが、絵面を想像するとあまりにもひどい。
さらに、火事から逃げる途中で罠を踏み抜き、元勇者コンビを襲っていた多脚戦車の上に落ちる流れも面白かった。
そこで戦車の銃撃により、エロムラの股間のキノコが撃ち抜かれる。周囲の男たちが「ムスコを失った」と勘違いして同情する場面には、さすがに笑ってしまった。本人は必死なのに、周囲の受け止め方があまりにもズレており、エロムラの不憫さが際立っていた。
一方で、ゼロスのロマン優先な性格も相変わらずである。
エロムラが騒動に巻き込まれている隙に、多脚戦車を機能停止させ、規約違反と分かっていながら持ち帰ろうとする。こうした場面を見ると、ゼロスは本当に自分の興味に正直な人物であると感じる。
ただ、その下層で発見された実験施設には、読んでいてゾッとした。
巨人に機械を無理やり融合させた生物兵器の施設である。そこには、これまでのギャグの空気を一瞬で吹き飛ばすほどの嫌悪感があった。
だからこそ、ゼロスが重力崩壊魔法で施設ごと消し飛ばした場面には、強いカタルシスがあった。普段は飄々としている彼だが、越えてはいけないものを見た時の判断は非常に冷徹である。その落差が、ゼロスという人物の怖さでもあり、同時に頼もしさでもあると感じた。
そして本巻で最も温かい気持ちになったのは、ゼロスの婚約である。
ダンジョンでの大仕事を終えた勢いもある。さらに、この世界特有の「恋愛症候群」への危機感もある。さまざまな流れが重なり、ついにゼロスがルーセリスとジャーネに向き合うことになった。
年齢差や重婚の問題もあり、三人の関係は簡単に進むものではなかった。それでも、周囲に背中を押されながら、ようやく一歩前へ進んだことには素直に嬉しさを覚えた。
恋愛経験の少ない三人が、ぎこちなく初デートをする場面も微笑ましかった。行き先に迷い、距離感にも迷いながら、それでも一緒に歩いている。その不器用さが、とてもこの三人らしく感じられた。
宝石店での流れも印象に残っている。
妻に裏切られてダークサイドに堕ちていた店主を、ゼロスが言葉巧みに立ち直らせる。そして、その勢いのまま婚約指輪を贈る。笑える場面でありながら、三人の関係がようやく形になったことに、少しじんわりとしたものを感じた。
一方で、ゼロスたちが恋愛やダンジョン探索をしている裏側では、世界そのものも大きく動いている。
南大陸では邪神アルフィアが世界樹を再起動させ、メーティス聖法神国では勇者たちがドラゴンに対抗するため大砲作りを強いられている。ゼロスたちの日常があまりにも騒がしいため忘れそうになるが、世界はかなり危険な方向へ進んでいるように感じられた。
読んでいて感じたのは、本巻はゼロス個人の人生が進んだ巻であると同時に、世界の流れも大きく変わり始めた巻であったということである。
エロムラの不憫な騒動には笑わされた。ゼロスたちの婚約には温かい気持ちになった。そして、世界樹や神国の動きには少し不穏なものを感じた。
くだらないギャグで笑っていたはずなのに、気付けば世界規模の話が進んでいる。
その忙しさと温度差こそが、『アラフォー賢者』らしい面白さなのだと思う。今回も、笑いと不穏さと温かさが詰まった、満足感のある一冊であった。
最後までお読み頂きありがとうございます
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アラフォー賢者14巻レビュー
アラフォー賢者まとめ
アラフォー賢者16巻レビュー
考察・解説
ダンジョン新エリア探索
『アラフォー賢者の異世界生活日記 15』における「ダンジョン新エリア探索」に関する詳細は以下の通りである。
未曾有の大規模な構造変化に巻き込まれたゼロス一行が、SFチックな旧時代の遺物や非人道的な研究施設、そして強力な無人兵器と直面する緊迫感とロマンに満ちた探索の全容は以下の通りである。
未曾有の構造変化による被害と大迷宮への胎動
突然発生した大規模な構造変化により、アーハン廃坑ダンジョンはこれまでの地図が全く役に立たなくなった。
・地鳴りとともに元来た道が塞がれ、見知らぬエリアに迷い込む傭兵が続出し、無人兵器に襲われた犠牲者や未帰還者が多数発生するなど、傭兵ギルドは大混乱に陥っている。
・この変化の裏では、情報集積体であるダンジョン・コアが、邪神アルフィアによって再起動された惑星環境管理システムユグドラシルと同調し、長い眠りから目覚め始めていた。
・世界中に点在する同類とのネットワークが回復し始め、後の大迷宮誕生へと繋がる事態が人知れず進行している。
胞子に包まれたキノコエリアと煉獄炎焦滅陣による殲滅
遺跡エリアを抜けたゼロス、ツヴェイト、セレスティーナ、エロムラの一行は、龍血茸やケミカルマッシュなどの希少なキノコのみが繁殖する新エリアに足を踏み入れた。
・ここは寄生性の魔物も生息し、高濃度の胞子が充満する危険地帯であった。
・突如エロムラの股間にキノコが生えたのを見たゼロスは、肺に入って寄生される危険性を察知し、広範囲殲滅魔法【煉獄炎焦滅陣】を放ってエリア内のキノコと胞子を跡形もなく焼き尽くした。
術式トラップによる落下と無人攻撃ロボットの回収
キノコエリアから逃げる際、エロムラが術式トラップを踏み抜き、一行は落とし穴から下の階層へ落下した。
・落ちた先では、偶然ダンジョンを探索していた勇者の田辺勝彦と一条渚、そして傭兵たちが、旧時代の作業機械を改造した無人攻撃ロボットに襲われ絶体絶命の危機に陥っていた。
・このロボットはナットを連射しグレネードを撃つ兵器であり、天井から乱入したゼロスたちはエロムラを囮にしてロボットの脚部を切り離し、機能を停止させた。
・ゼロスはダンジョンの規約違反を承知で、ロマンと研究目的からこのロボットをインベントリーに回収した。
試作型多脚戦車との死闘とアンチマテリアルライフルによる鹵獲
地上へ帰還する勇者コンビらと別れ、一行は情報をもとに地下空間でありながらスコールが降る亜熱帯ジャングルエリアへ進んだ。そこは互いに情報を共有し合う無人兵器群が徘徊し、銃弾やナパーム弾が飛び交う戦場となっていた。
・ゼロス達は瓦礫の下敷きになって休眠状態だった旧時代の試作型多脚戦車を発見するが、識別コードを持たないため敵と認識され、再起動した機体から猛攻を受ける。
・この戦車は八十八ミリ魔導式砲、ガトリングガン、高出力レーザー、ミサイルランチャーを備え、装甲は鉄とミスリル、ダマスカス鋼の複合合金製という規格外の性能を誇っていた。
・数十トンを超える巨体でありながらホバーによる超加速や高速スピン攻撃を繰り出す多脚戦車に対し、ゼロスは水魔法【ミスト】でレーザーを減衰させながら回避を続けた。
・刀での斬撃が阻まれたため、ゼロスはアンチマテリアルライフルを用いて戦車の脚部を破壊する戦法に出て、バランスを崩した機体のハッチから内部へ侵入し動力を停止させた。
・制圧に成功したゼロスは、機体ごと自身のインベントリーに鹵獲した。
自宅での戦車解体と趣味の暴走
鹵獲された多脚戦車はゼロス邸の地下に運び込まれ、アドやエロムラを巻き込んでの解体作業が行われた。
・解体の過程で、戦車の装甲に継ぎ目がないのは、内側に刻まれた簡易魔導錬成陣に魔力を流すことで金属同士を癒着、強化しているためであることが判明した。
・ゼロスはこの魔導力機関と魔法強化装甲の技術を流用し、自分好みのロマン溢れる戦車(駆逐戦車)を一から作り上げようと目論み、趣味への飽くなき探究心を暴走させていった。
秘密研究施設への侵入と巨人型生物兵器との決戦
ジャングルの奥でゼロスたちは、旧時代の物資集積場や秘密研究施設へと続く地下搬入口を発見し、放置されていた警備用ロボットや電子部品を片っ端から回収した。
・地下深層へ進むと、転送ゲートの実験場や細菌培養施設があり、最下層では魔物や様々な種族を改造した生物兵器の培養ポッドが並ぶおぞましい光景が広がっていた。
・さらに、巨人族をベースに右腕の剣と左腕のレーザー砲を融合させた巨人型生物兵器がポッドを破って蘇り、一行に襲いかかってきた。
・驚異的な再生能力と硬度を持つ巨人に対し、ゼロスはアキレス腱を斬り裂いて動きを封じ、最後はエロムラの大楯による防御を利用して巨人の口内にグレネードを撃ち込み、上半身を吹き飛ばして討伐した。
超重力崩壊魔法による施設消滅と空間断層の自己防衛
戦闘後、ゼロスはこのような非人道的な兵器や研究資料を今の時代の魔導士が知れば、再び同じ悲劇が繰り返されると危惧し、施設を完全に消滅させることを決意した。
・一行を安全な上層へ退避させた後、超重力崩壊魔法【暴食なる深淵】を放ち、地下のジャングルエリアと研究施設を空間ごと根こそぎ消し飛ばした。
・その際、すさまじい破壊の波はダンジョンの自己防衛作用である空間断層(紙一枚分の薄さもない見えない境界)によって完全に遮断され、他の階層へは一切波及しなかった。
・この完全複製された過去の軍事施設や兵器の存在を通じ、ゼロスたちは、世界そのものが仮想世界ではないか、という背筋の凍るような仮説に行き着くこととなった。
まとめ
アーハン廃坑ダンジョンの新エリア探索は、魔導文明期の超科学遺物や非人道的な研究施設がリアルタイムで完全複製されるという、世界の根幹を揺るがす怪現象との遭遇である。キノコエリアの危険な胞子を焼き払い、勇者たちを救出しながら鹵獲した試作型多脚戦車は、ゼロスの自宅地下で解体されて新たな駆逐戦車製作のロマンへと繋がっていく。最下層で繰り広げられた巨人型生物兵器との死闘の後、ゼロスが放った超重力崩壊魔法とそれを遮断した空間断層の存在は、ダンジョン・コアの驚異的な再構築能力と防衛システムを証明しており、世界の仕組みそのものに対する壮大な謎を提示する結果となった。
旧時代の魔導兵器
『アラフォー賢者の異世界生活日記 15』において、旧時代の魔導兵器はダンジョンの大規模な構造変化によって現代に再現された、魔導文明期の失われた超技術の産物として描かれている。
その圧倒的な性能や開発の裏に隠された非人道的な歴史、現在の魔法技術とは全く異なる高度なシステム、そしてそれらに対するゼロスの対応にいたる全容は以下の通りである。
ダンジョンに完全再現された主な旧時代の魔導兵器
ダンジョン新エリアの出現に伴い、現在の常識を遥かに凌駕する性能を持った旧時代の魔導兵器群が姿を現した。
・無人攻撃ロボット(作業用ロボット改):円柱の胴体に四本の脚と二本のアームを持つ兵器である。元は作業用機械であったものを防衛用に急造改造した機体で、空気圧を利用してナットをマシンガンのように連射し、上部の砲身からはグレネード弾を放つ。
・TSTIX103試作型多脚戦車:局地戦仕様の戦闘試験車両であり、八十八ミリ魔導式砲、ガトリングガン、高出力レーザー、八連装ミサイルランチャーを搭載した規格外の機体である。数十トンを超える巨体でありながら、脚部のスラスターとホバー機能による超加速や高速スピン攻撃など、常識外れの機動力を発揮する。
・巨人型生物兵器:地下の秘密研究施設で生み出された、巨人族をベースにサイボーグ化された生体兵器である。右腕には巨大な剣、左腕にはレーザー砲が融合しており、胸部には心臓のようなクリスタルが埋め込まれている。驚異的な再生能力と、刃を通さないほどの異常に強固な肉体を持つ。
失われた魔導文明期における高度な超技術
これらの兵器には、現代の魔導士では到底模倣できない極めて高度なシステムや構造が組み込まれていた。
・高度な情報共有システム:複数の無人兵器がネットワークを通じてリアルタイムで敵の情報を共有し、連携して組織的な戦闘を行うシステムが確立されていた。
・魔法強化装甲と魔導力機関:多脚戦車の装甲は三重構造になっており、内側に簡易魔導錬成陣が刻まれている。そこに魔導力機関から自然魔力を流し込むことで、金属同士を癒着させて繋ぎ目をなくし、同時に強化魔法で超硬度を維持するという画期的な技術が使われていた。
・ブラックボックス:機体のシステムを統括する制御装置には、賢者の石を利用した集積回路が使われており、ゼロスですら内部構造を完全には解明できない未知の技術の結晶であった。
欺瞞に満ちた平和と兵器開発に隠された非人道的な歴史
魔導文明期は、各国が大量破壊兵器を保有することで互いに牽制し合い、大きな戦争が起こりにくい経済重視の欺瞞に満ちた平和が成立していた時代であった。
・しかし、その裏では軍事的な優位性を保つため、人体実験や魔物の改造といった倫理観を逸脱した生物兵器、細菌兵器の研究が極秘裏に進められていた。
・また、高密度な魔力を一点に集中させると魔力溜まりが発生し、悪魔や魔王が生み出される妖魔災害や奇病恋愛症候群を引き起こす危険があった。
・そのため、兵器の稼働や生活には魔力に頼らない代替エネルギー(電気など)の発電施設が不可欠となっていた。
技術へのロマンと非道への拒絶を分かつゼロスの対応
規格外の超技術を目の当たりにしたゼロスは、その性質に応じて対照的な対応をとった。
・ゼロスは、多脚戦車やロボットの魔導力機関や装甲技術に強いロマンを感じ、規約違反を承知でインベントリーに回収し、自身の戦車製作に技術を流用しようと画策する。
・しかし一方で、非人道的な実験の産物である生物兵器や研究施設については、今の時代の魔導士が知れば再び同じ過ちが繰り返されると危惧した。
・そのため、超重力崩壊魔法【暴食なる深淵】を用いて、秘密研究施設をエリアごと跡形もなく消滅させる道を選んだ。
まとめ
『アラフォー賢者の異世界生活日記 15』に登場する旧時代の魔導兵器と超技術は、かつて栄華を極めた文明の驚異的な科学力と、その陰に潜む深い闇を象徴している。無人兵器の高度な連携システムや、魔導力機関による魔法強化装甲は、現代の魔法体系を遥かに超越する利便性と破壊力を備えていた。しかし、それらは凄惨な人体実験や環境への甚大なリスクの上に成り立つ危うい遺物であり、技術への純粋なロマンから戦車を鹵獲して解体する一方で、世界の安全のために非道な研究施設を空間ごと徹底的に消し去ったゼロスの決断は、高度すぎる力がもたらす功罪を冷徹に見極めた賢者ならではの選択と言える。
多脚戦車の鹵獲
『アラフォー賢者の異世界生活日記 15』における「多脚戦車の鹵獲」に関する詳細は以下の通りである。
ダンジョン内に再現された旧時代の強大な魔導兵器に対し、ゼロスがロマンを追い求めて死闘を繰り広げ、規約違反を承知で手に入れるにいたる具体的な経緯と戦闘の全容は以下の通りである。
瓦礫からの再起動と試作型多脚戦車の基本性能
ジャングルエリアを進むゼロス達は、建物の瓦礫の下敷きになっている戦車のような機械を発見した。
・完全に壊れていると思われていたが、実際には休眠状態にあっただけであった。
・味方識別コードを持たないゼロス達を敵と認識したことでシステムが再稼働し、マニピュレーターのレーザー砲でいきなり攻撃を仕掛けてきた。
・鑑定の結果、それは魔導文明期に製造された、TSTIX103試作型多脚戦車、であることが判明した。
・主砲である八十八ミリ魔導式砲に加え、ガトリングガン、高出力レーザー、ミサイルランチャーを備えた局地戦仕様の実験機であり、自動攻撃システムが作動していた。
圧倒的な機動力による猛攻とゼロスの強いられた苦戦
多脚戦車は数十トンを超える巨体でありながら、ホバーによる超加速や脚部のスラスターを用いた高速スピン攻撃など、常識外れの機動力を発揮してゼロスを圧倒した。
・ゼロスは水魔法【ミスト】でレーザーの威力を減衰させながら接近し、刀でガトリングガンを一つ潰した。
・しかし、鉄とミスリル、ダマスカス鋼の複合合金で作られた魔法強化装甲の硬さにより、刀が刃こぼれを起こしてしまった。
・さらに、多脚戦車の回転体当たりを食らって木々を薙ぎ倒しながら建物の壁に叩きつけられた。
・これにより、至近距離からの砲撃とミサイルの猛攻に晒されるという苦戦を強いられることとなった。
アンチマテリアルライフルによる制圧とインベントリーへの鹵獲
装甲の硬さと機動力に手を焼いたゼロスは、戦術を切り替えて反撃に出た。
・武器をアンチマテリアルライフル(電磁加速された弾丸)に持ち替え、多脚戦車の太い脚部を二本破壊する戦法をとった。
・脚を失ってバランスを崩した機体に飛び乗ると、ハッチから内部へ侵入して自動攻撃システムと動力を直接停止させ、完全な無力化に成功した。
・その後、ゼロスはダンジョンの規約違反を承知のうえで、自身のインベントリーに機体ごと回収し、鹵獲を完了した。
鹵獲後の解体作業と駆逐戦車製作へのロマンの暴走
鹵獲された多脚戦車はゼロス邸の地下に運び込まれ、アドやエロムラを巻き込んでの解体作業が行われた。
・解体の過程で、戦車の装甲に継ぎ目がない理由が明らかになった。
・装甲の内側に、簡易魔導錬成陣、が刻まれており、魔導力機関から魔力を流すことで金属同士を癒着、強化している仕組みが判明した。
・ゼロスはこの技術や魔導力機関を流用し、自らのロマンであるドイツ戦車(駆逐戦車)を一から作り上げようと目論んだ。
・こうして、趣味への飽くなき探究心をさらに暴走させていくこととなった。
まとめ
試作型多脚戦車との死闘と鹵獲の顛末は、ゼロスの規格外な戦闘能力と、趣味に対する異常な執念が結びついた象徴的なエピソードである。数十トンの巨体でホバー走行する魔導兵器の猛攻に苦戦しつつも、アンチマテリアルライフルで脚部を破壊して制圧する一連の立ち回りは、彼の賢者としての実力を遺憾なく示している。さらに、鹵獲した機体を自宅の地下で解体し、内蔵された簡易魔導錬成陣の技術を流用して自分好みのドイツ風駆逐戦車を作ろうと画策する姿は、彼が異世界においていかに常識外れでロマンを重視する存在であるかを物語っている。
巨人型生物兵器との戦闘
『アラフォー賢者の異世界生活日記 15』における「巨人型生物兵器との戦闘」に関する詳細は以下の通りである。
ダンジョン深部に完全複製された旧時代の秘密研究施設を舞台に、サイボーグ化されたバイオ兵器と繰り広げられた、SFホラー的な死闘の全容は以下の通りである。
培養槽からの覚醒と異様でおぞましい姿
ゼロスとエロムラは、施設の最下層で巨人族をベースにサイボーグ化された生物兵器が培養槽の中で生きているのを発見した。
・エロムラが偶然スイッチを押してしまったことで培養槽が開き、巨人が自力で外へと這い出してきた。
・その姿は、右腕に巨大な剣、左腕にレーザー砲、胸部には心臓のようなクリスタルが埋め込まれ、背部には機械とチューブが接続された異様でおぞましいものであった。
驚異的な防御力と異常な再生能力による抵抗
外気に触れて肉体が爛れながらも、巨人は強烈な殺意を向けて突進してきた。
・エロムラがM16アサルトライフルで迎撃したが、巨人の多重魔法障壁に弾かれ、体内に食い込んだ弾丸も筋肉の膨張と異常な再生能力によってすぐに押し出されてしまった。
・ゼロスもショートソードで頭部や胸部に神速の連続斬撃を叩き込んだが、刃を通さないほどの異常に堅牢な肉体に阻まれ、薄皮一枚を斬る程度のダメージしか与えられなかった。
アキレス腱の切断と自傷をも厭わないレーザーの脅威
装甲の硬さを悟ったゼロスは狙いを変え、魔力を凝縮させた刃で巨人の両脚のアキレス腱を斬り裂き、直立能力を奪ってその場に倒れ伏させた。
・ゼロス達はその隙に隔壁の外へ退避しようとしたが、巨人は左腕のレーザー砲を放って反撃してきた。
・極太のレーザーは通路を溶解させ、放った熱で巨人自身の肉を焦がす諸刃の剣であったが、巨人はその火傷すらも即座に再生し蠢かせていた。
赤熱化した剣による隔壁破りと至近距離からの内部爆発による決着
ゼロスはダネルMGL(エクスプロードの術式を込めたグレネード弾)を撃ち込みながら緊急防壁を閉じ、巨人を部屋に隔離しようとした。
・しかし、巨人は赤熱化した剣(ヒートソード)で隔壁を貫き、強引に外へ現れた。
・これ以上の長期戦は危険と判断したゼロスは、エロムラに大楯で巨人の大剣の振り下ろしを受け止めさせ、その一瞬の隙を突いて【闇の縛鎖】で巨人を拘束した。
・さらに【白銀の神壁】を円錐状に変形させて巨人の口にねじ込み、そこへダネルMGLの銃口を押し込んで全弾を発射した。
・至近距離からの内部爆発により、巨人は驚異的な再生能力を発揮する間もなく上半身ごと完全に吹き飛び、機械部品だけを残して討伐された。
まとめ
秘密研究施設の最下層で起きた巨人型生物兵器との戦闘は、魔導文明期の非人道的な技術の極致を示す、凄惨かつ緊迫した死闘である。現代の近代兵器による射撃やゼロスの神速の斬撃すら弾き返す堅牢な肉体、そして自傷ダメージをも瞬時に修復する再生能力は、生物兵器としての圧倒的な完成度を物語っている。エロムラの大楯による強固な防御とゼロスの冷徹な戦術眼が噛み合い、口内への至近距離グレネード連射という確実な内部破壊を完遂したことで、この異形なる旧時代の悪夢を辛くも完全消滅させることに成功した。
異世界の技術革新
『アラフォー賢者の異世界生活日記 15』において描かれる「異世界の技術革新」は、ゼロスやアドたち転生者の地球の知識が持ち込まれたことによって引き起こされた技術革命であり、産業や軍事のバランスを根本から覆す事態として描かれている。
転生者による産業化の推進から、国家間に生じた致命的な技術格差、そして従来の戦術を過去のものとする戦争の在り方の根本的な変化にいたる全容は以下の通りである。
転生者による技術チートの自覚と本格的な産業化の始まり
アドやゼロスといった地球出身の転生者たちの知識により、異世界では本来の歴史の歩みを飛び越えた技術革新が進んでいる。
・アドは魔導式モートルキャリッジ(自動車)の磁力発生術式基板や、魔導銃の弾丸射出装置などの開発に協力しており、自身でも避けていたはずの技術チートを頻発させていると自覚している。
・すでにイサラス王国では、ドワーフの建築家の監修のもとでモートルキャリッジの部品製造工場の建設が急ピッチで進められている。
・これにより、異世界における本格的な近代産業化が現実のものとなりつつある。
ソリステア魔法王国とメーティス聖法神国の圧倒的な技術格差
軍事技術の急速な革新は、国家間に埋めようのない致命的な格差を生み出している。
・ソリステア魔法王国:ゼロスやアドの知識を基に、ドワーフや魔導士たちがアサルトライフル(ボルトアクション式の魔導銃)の開発を進めており、すでに実用化の段階に入りつつある。
・メーティス聖法神国:生産職の勇者である佐々木学(サマっち)を中心に火縄銃の開発を行っていたが、ドラゴンの襲撃に対抗するため、急遽大砲の製造を命じられる。しかし、神国の鋳造技術は未熟であり、青銅の耐久性不足や材料不足、暴発の危険性といった問題が山積みで、量産の目処すら立っていない。
様式の一変による戦争の在り方の根本的な変化
神国の開発担当であるサマっちは、隣国のソリステア魔法王国でアサルトライフルが開発されているという情報を聞き、自国の敗北と終わりを確信するにいたった。
・神国の誇る神聖魔法は本来は攻撃向きではなく、防御や治療に特化している。
・それに対し、魔法王国は強力な攻撃魔法に加え、魔法を利用して火薬なしで何千発も連射できる近代的な銃器を保有し始めている。
・これにより、今後の戦争は従来の、騎士と騎士の戦い、から、騎士対現代兵器、へと様式が完全に変化する。
・もし両国間で戦争が起きれば、神国側が一方的に虐殺される結果になるだろうと、サマっちはその恐るべき脅威度を予測している。
まとめ
異世界に持ち込まれた地球の知識は、中世的な文明を瞬く間に近代へと押し上げる強烈なパラダイムシフトを引き起こしている。アドらの関与によってイサラス王国で自動車工場の建設が始まるなど産業基盤が書き換えられる一方で、軍事面におけるソリステア魔法王国とメーティス聖法神国の格差は決定的なものとなった。火薬すら満足に扱えず大砲の暴発に怯える神国に対し、魔法の力で連射を可能にしたアサルトライフルを実用化する魔法王国の優位は動かしがたく、騎士の時代を終焉させて戦争の様式を根底から変える恐怖の技術革命が静かに進行している。
ゼロスの婚約
『アラフォー賢者の異世界生活日記 15』におけるゼロスの婚約は、人間の発情期ともいえる奇病「恋愛症候群(ラブ・シンドローム)」が迫るなか、社会的な死を回避するために、ルーセリスとジャーネを交えた三人での初デートを経て半ば強引に決着がつけられるドタバタ劇として描かれている。
恋愛症候群による暴走への危機感から決行された初デートの迷走、立ち寄った宝石店での騒動、そしてタイムリミットが迫るなかでゼロスが下した強引なプロポーズにいたる全容は以下の通りである。
恋愛症候群の脅威と関係進展のための初デート決行
初夏が近づくにつれ、本能の赴くままに行動してしまう恋愛症候群の症状が強まりつつあった。
・ゼロスは以前、無自覚のうちにプロポーズめいた発言をしてしまったことに強い危機感を覚えていた。
・ルーセリスもこのままではジャーネが奇行に走りかねないと危惧していた。
・乙女趣味でロマンチックなプロポーズに憧れるジャーネは結婚に及び腰であったが、段階を踏んで距離を縮めるため、三人で初デートに出かけることとなった。
デートスポットの選定不足と迷走する道中
恋愛経験が乏しい三人は異世界でのデートスポットを知らず、案内は行き当たりばったりとなった。
・ルーセリスの案内で路地裏の駄菓子店に行くものの、メーティス聖法出版が発行する謎のカードゲームに困惑させられる。
・さらに、野放しにしていた邪神アルフィアが子供に混じって菓子を買い占めようとするのを止めるなど、デートらしからぬ展開となった。
・その後訪れた公園でも、マッチョ集団の暑苦しい筋肉トレーニングを見せつけられ、ただの散歩と化してしまった。
宝石店での闇落ちオーナーの説得と割引の獲得
雰囲気を変えるため、三人はアクセサリーや魔導具を扱う老舗の宝石店に入る。
・そこで婚約指輪を見ていると、店のオーナーが突然、愛を呪うような恨み言を口にし始めた。
・オーナーは妻の異常なまでの性欲と裏切りによって女性不信に陥り、精神を病んでいた。
・ゼロスは彼に、一途すぎたために理想と現実のギャップに傷ついただけであり、今からやり直せばいい、と適当な相槌と口八丁で説得した。
・結果としてオーナーは見事に立ち直り、お礼として商品が30パーセント割引されることになった。
強引なプロポーズによる婚約の成立と社会的死の回避
この割引のどさくさに紛れて、ゼロスはミスリル製の婚約指輪三点を注文した。
・恋愛症候群による暴走のタイムリミットが迫っていると判断したゼロスは、逃げ出そうとするジャーネを体術の要領で強引に抱き寄せた。
・至近距離で見つめ合いながら、普段とは違う真剣な表情で、僕と婚約してくれますよね?、とストレートにプロポーズを行う。
・本能の衝動とゼロスの押しに負けたジャーネもついに抵抗をやめて指輪を受け入れ、三人は晴れて正式な婚約を果たした。
まとめ
『アラフォー賢者の異世界生活日記 15』におけるゼロスの婚約劇は、恋愛症候群という異常事態がもたらす社会的破滅を防ぐための、合理的かつ波乱に満ちた決着である。デート自体は駄菓子店での邪神の妨害や公園でのマッチョ集団の出現によって迷走を極めたものの、偶然立ち寄った宝石店でのオーナー救出を機に風向きが変わる。タイムリミットを察知したゼロスが体術を交えてジャーネを捕らえ、ミスリル指輪の割引購入と同時に敢行したストレートなプロポーズは、おっさんらしい世俗的な計算と土壇場での冷徹な決断力が融合した、一風変わった婚約の形を証明している。
アラフォー賢者14巻レビュー
アラフォー賢者まとめ
アラフォー賢者16巻レビュー
登場キャラクター
転生者・地球の人物
ゼロス
大賢者の職業を持つ転生者である。飄々とした性格で自由を好む。教え子たちの成長を厳しく見守る立場をとる。
・所属組織、地位や役職
無職。ソリステア公爵家の家庭教師。傭兵(Sランク)。
・物語内での具体的な行動や成果
アーハン廃坑ダンジョンで多脚戦車などを鹵獲し、秘密研究施設を消滅させた。ルナ・サーク防衛戦でゾンビの群れを掃討した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ルーセリスとジャーネに婚約指輪を贈り、正式に婚約した。
エロムラ
エロを愛好する転生者の少年である。エルフの女性に執着を持つ。
・所属組織、地位や役職
傭兵。ツヴェイトの専属護衛。
・物語内での具体的な行動や成果
ダンジョンで罠を踏み抜き、下の階層へ落下した。巨人型生物兵器との戦闘では囮や防御役を務めた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
称号【下ネタの道化師】と【やらないか】を獲得した。
アド
ゼロスと同郷の転生者である。ユイの夫であり、彼女を深く愛している。
・所属組織、地位や役職
イサラス王国の嘱託魔導士。
・物語内での具体的な行動や成果
ルナ・サーク防衛戦で魔導銃を用いてゾンビを粉砕した。ゼロスの多脚戦車の解体作業を手伝った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ユイとの間に娘のかのんが生まれた。
ボンバー内藤(マスクド・ルネッサンス)
元プロレスラーの転生者である。格闘戦を好む。
・所属組織、地位や役職
傭兵。マッスルハッスルズのリーダー。
・物語内での具体的な行動や成果
スライスト城塞都市の防衛戦でパイルバンカーを振るい、魔物を殲滅した。公園で男たちを率いて筋肉訓練を行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
二つ名【ベルセルク】として戦場に名が轟いている。
ソリステア魔法王国
ツヴェイト
ソリステア公爵家の長男である。真面目で常識的な思考を持つ。
・所属組織、地位や役職
イストール魔法学院生。次期当主。
・物語内での具体的な行動や成果
ゼロスの指導で実戦訓練や魔導錬成に取り組んだ。クリスティンと惹かれ合った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
軍組織改革のテストケースとなる戦術構想を提出した。
セレスティーナ
ソリステア公爵家の長女である。ゼロスを尊敬している。
・所属組織、地位や役職
イストール魔法学院生。
・物語内での具体的な行動や成果
下級生たちに魔法を教え、学院中で慕われるようになった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
魔導天使と呼ばれ、裏でファンクラブが結成されている。
リサ
アドと行動を共にする転生者の女性である。
・所属組織、地位や役職
イサラス王国の嘱託魔導士。ソリステア公爵家の別邸のメイド。
・物語内での具体的な行動や成果
アドの行動をからかい、ゼロスの過去の行動に怯えた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
シャクティ
アドと行動を共にする転生者の女性である。弁護士志望だった経歴を持つ。
・所属組織、地位や役職
イサラス王国の嘱託魔導士。ソリステア公爵家の別邸のメイド。
・物語内での具体的な行動や成果
同性愛に関する本を読んで考察を深めた。歴史や資料の精査を担当した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
かのん
アドとユイの間に生まれた娘である。
・所属組織、地位や役職
記載なし。
・物語内での具体的な行動や成果
記載なし。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
平仮名でかのんと名付けられた。
クロイサス・ヴァン・ソリステア
ソリステア公爵家の次男である。重度の研究馬鹿で魔法研究に没頭する。
・所属組織、地位や役職
イストール魔法学院生。サンジェルマン派。
・物語内での具体的な行動や成果
大講堂で魔法式の解読方法を発表した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
発表によりサンジェルマン派の権威拡大に貢献した。
アンズ
小柄な体格の忍者である。無表情で確かな実力を持つ。
・所属組織、地位や役職
傭兵。ツヴェイトの護衛。
・物語内での具体的な行動や成果
エロムラに制裁を下した。女性用下着の販売を行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
神出鬼没の下着売りとして有名になった。
メーティス聖法神国・勇者
一条渚
メーティス聖法神国に召喚された勇者の一人である。責任感が強く現実的である。
・所属組織、地位や役職
メーティス聖法神国の勇者。
・物語内での具体的な行動や成果
勝彦とともにアーハン廃坑ダンジョンを探索した。サハギンの群れを討伐した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
勝彦に愛想を尽かし、亡命を考えている。
田辺勝彦
メーティス聖法神国に召喚された勇者の一人である。考えなしで浪費癖を持つ。
・所属組織、地位や役職
メーティス聖法神国の勇者。
・物語内での具体的な行動や成果
カジノで資金を失い、渚を頼ってダンジョン探索に赴いた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
渚から見捨てられそうになっている。
笹木大地
メーティス聖法神国に召喚された勇者の一人である。他人任せで小悪党のような性格を持つ。
・所属組織、地位や役職
メーティス聖法神国の勇者。聖騎士団・五将。
・物語内での具体的な行動や成果
火縄銃増産のため工房を仕切っている。聖剣を使ったドラゴン退治を作戦として提案した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
自称リーダーとして振る舞い増長している。
佐々木学
メーティス聖法神国に召喚された勇者の一人である。戦闘を拒絶した生産職である。
・所属組織、地位や役職
メーティス聖法神国の勇者。勇者鍛冶師。
・物語内での具体的な行動や成果
火縄銃の開発と製作を主導した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
大砲の製造を命じられ苦労している。
開発班の人達
佐々木学とともに兵器開発に従事する者たちである。
・所属組織、地位や役職
メーティス聖法神国の開発班。
・物語内での具体的な行動や成果
記載なし。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
川本龍臣
メーティス聖法神国に召喚された勇者の一人である。
・所属組織、地位や役職
メーティス聖法神国の勇者。聖騎士団・五将。神聖騎士。
・物語内での具体的な行動や成果
国境方面の討伐任務から帰還した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
戦闘可能な数少ない勇者として活動している。
ミハロウフ法皇
メーティス聖法神国の法皇である。歴史に名を残すことに執着する。
・所属組織、地位や役職
メーティス聖法神国・法皇。
・物語内での具体的な行動や成果
神殿を襲うドラゴンの対策会議を開いた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
聖都崩壊などの多くの問題に頭を抱えている。
八坂学
メーティス聖法神国に召喚された勇者の一人である。事勿れ主義な性格を持つ。
・所属組織、地位や役職
メーティス聖法神国の勇者。聖騎士団・五将。
・物語内での具体的な行動や成果
ルナ・サーク防衛戦でゼロスたちの圧倒的な力を目撃した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
リナリー司祭と秘密を共有し、男女の関係になった。
サントールの街・傭兵・その他
ルーセリス
サントールの街の教会の見習い神官である。ゼロスに好意を寄せている。
・所属組織、地位や役職
教会の見習い神官。養護院の管理者。
・物語内での具体的な行動や成果
ゼロス、ジャーネとともにサントールの街でデートをした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ゼロスから婚約指輪を受け取り婚約した。
ジャーネ
女性傭兵である。乙女趣味で奥手な性格を持つ。
・所属組織、地位や役職
傭兵。
・物語内での具体的な行動や成果
ゼロス、ルーセリスとともにデートをした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ゼロスのプロポーズを受け入れて婚約した。
マッスルハッスルズの男達
筋肉を愛する男たちの集団である。
・所属組織、地位や役職
素行不良の傭兵を更生させるクラン。
・物語内での具体的な行動や成果
公園で筋肉訓練や奇妙な筋肉ダンスを行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
周囲の市民を巻き込んで公園を盛り上げた。
宝石店のオーナー
サントールの街の宝石店「ジュエリー・サンシャイン」のオーナーである。妻の裏切りで女性不信に陥っている。
・所属組織、地位や役職
宝石店のオーナー。
・物語内での具体的な行動や成果
愛を呪う言葉を口にしていたが、ゼロスの説得で立ち直った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
立ち直った礼としてゼロスに商品を割引した。
イリス
女性傭兵である。明るい性格でゼロスを慕っている。
・所属組織、地位や役職
傭兵。
・物語内での具体的な行動や成果
アーハン廃坑ダンジョンを探索した。ゼロスから調合を学んだ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
駆け出しの傭兵パーティー
ダンジョンを探索する新人傭兵の集団である。
・所属組織、地位や役職
傭兵。
・物語内での具体的な行動や成果
記載なし。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
神・観測者
アルフィア・メーガス
次世代の観測者である元邪神である。子供のような外見をしている。
・所属組織、地位や役職
次世代の観測者。
・物語内での具体的な行動や成果
南大陸で世界再生のためにユグドラシルを再起動させた。駄菓子店でお菓子を買い占めようとした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
名を得て完全体への道を歩み始めている。
魔物・怨霊・旧時代兵器
ゴブリン
森やダンジョンに生息する一般的な魔物である。
・所属組織、地位や役職
魔物。
・物語内での具体的な行動や成果
実戦訓練でツヴェイトたちに討伐された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
無人攻撃ロボット
旧時代の作業機械を改造した兵器である。
・所属組織、地位や役職
旧時代兵器。
・物語内での具体的な行動や成果
アーハン廃坑ダンジョンで傭兵や勇者たちを襲撃した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ゼロスに脚部を破壊され、回収された。
TSTIX103試作型多脚戦車
魔導文明期に製造された戦闘試験車両である。局地戦仕様の強力な武装を持つ。
・所属組織、地位や役職
旧時代兵器。
・物語内での具体的な行動や成果
ジャングルエリアで起動し、ゼロス一行に襲いかかった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ゼロスに動力を停止させられ、鹵獲された。
警備用ロボット
旧時代の施設を防衛する機械である。
・所属組織、地位や役職
旧時代兵器。
・物語内での具体的な行動や成果
秘密研究施設に配置されていた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ゼロスによって回収された。
巨人型生物兵器
巨人族をベースに機械や武装を融合させた生体兵器である。
・所属組織、地位や役職
魔物(生体兵器)。
・物語内での具体的な行動や成果
培養ポッドを破って蘇り、ゼロスたちに襲いかかった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ゼロスの至近距離からのグレネード攻撃で討伐された。
ウーケイ
異常進化したコッコの一羽である。
・所属組織、地位や役職
ゼロスの使い魔。グラップルマスター・コッコ。
・物語内での具体的な行動や成果
教会の子供たちに武術を教えた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
コカトリスへの変身能力を獲得した。
ヒヨコ達
コッコの幼体である。
・所属組織、地位や役職
魔物。
・物語内での具体的な行動や成果
正拳突きの訓練を行い衝撃波を発生させた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
ニワトリ達
ゼロスの家で飼われているコッコたちである。
・所属組織、地位や役職
ゼロスの使い魔。
・物語内での具体的な行動や成果
ゼロスの畑仕事を手伝い、鍛錬に励んでいる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
シャランラ
ゼロスの実姉である。自己中心的な性格を持つ。
・所属組織、地位や役職
指名手配犯。暗殺者。
・物語内での具体的な行動や成果
勇者たちの群霊を乗っ取り、メーティス聖法神国を襲撃した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
悪霊の一部となり、復讐のために活動している。
盗賊の魂
討伐された盗賊たちの怨霊である。
・所属組織、地位や役職
怨霊。
・物語内での具体的な行動や成果
シャランラに協力し、群霊の一部となった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
オーク
豚の顔を持つ二足歩行の魔物である。
・所属組織、地位や役職
魔物。
・物語内での具体的な行動や成果
記載なし。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
ツインホーンラビット
角を持つウサギ型の魔物である。
・所属組織、地位や役職
魔物。
・物語内での具体的な行動や成果
記載なし。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
アラフォー賢者14巻レビュー
アラフォー賢者まとめ
アラフォー賢者16巻レビュー
展開まとめ
プロローグ おっさん、再びダンジョンを焼き尽くす
キノコ新エリアと煉獄炎焦滅陣
胞子に包まれた世界
ゼロス達が第二階層の新エリアに入ると、そこは巨大なキノコだけが繁殖する胞子だらけの世界だった。巨大キノコの傘の上を歩く一行は、足元の粘着性の菌や湿気に不快感を覚えていた。眼下には毒々しい胞子が充満し、不気味なキノコの魔物達が蠢いていた。
希少なキノコ素材
セレスティーナは、そこに高級食材として知られる龍血茸や、高品質ポーションの素材となるケミカルマッシュが繁殖していることに気づいた。ツヴェイトは、錬金術師にとって宝物庫のような場所だと驚いた。しかし同時に、寄生性のパラサリスクやマッシュマンも存在し、採取には極めて高い危険が伴うと分かった。
股間のキノコ
高濃度の胞子が充満する中、エロムラは自分の股間からキノコが生えたと騒いだ。ゼロスは最初こそ下ネタだと思って呆れたが、実際にエロムラの衣服に白い菌糸が広がり、赤い傘のキノコが三本生えているのを確認した。短時間で胞子が衣服に根を張り、キノコへ成長したことが明らかになった。
寄生の危機
ゼロスは、同じことが自分達の身体にも起こる可能性に気づいた。このまま胞子を吸い込み続ければ、肺や身体に寄生され、下にいるキノコの魔物のようになってしまう危険があった。危機を悟ったゼロスは即座に膨大な魔力を集め、三人に来た通路まで全力で戻るよう命じた。
煉獄炎焦滅陣
ゼロスは煉獄炎焦滅陣の術式を展開し、圧縮した魔法式のキューブをフィールド中央へ投げ込んだ。三人が退避する中、広範囲殲滅魔法が発動し、エリア内の大小のキノコや滞留する胞子を一気に焼き尽くした。ゼロスは、ダンジョン内に再び地獄のような炎の光景を生み出した。
第一話 おっさん、ダンジョンでロボと遭遇する
勇者達の口論と旧時代の魔導兵器
四階層の探索
一条渚と田辺勝彦は、湖中央の神殿でガーディアンゴーレムを倒した後、階段を下りて四階層を探索していた。石造りの通路には柱や水場、庭園や浴場の跡があり、遺跡巡りのような場所だったが、ゴブリンが襲ってくるため二人は撃退しながら進んでいた。
傭兵知識の不足
勝彦はオークの種類や食用に適した魔物の区別を知らず、渚に勉強不足を指摘された。傭兵は魔物の特徴や素材、生息域を把握して仕事を受ける必要があったが、勝彦はゲーム知識に頼り、講習も受けていなかった。渚は、知識不足のままでは近いうちに死ぬと厳しく叱った。
渚の限界
勝彦は情報収集が面倒だとこぼし、もう一度コンビを組んでほしいと頼んだ。渚は、勝彦が自分に頼り切りで不始末を押しつけてきたことに怒りを爆発させた。勝彦は相棒や夫婦のような関係だと言い訳したが、渚はそれを強く拒絶し、今回限りで手助けを終えると告げた。
迫る未知の魔物
二人の近くで轟音が響き、通路の先から傭兵達が逃げてきた。彼らを追っていたのは魔物ではなく、円柱の胴体に四本脚と小型銃付きの腕を持つ、ロボットのような存在だった。足元に撃ち込まれた弾がナットだと分かり、渚と勝彦はファンタジー世界に不釣り合いな機械兵器を前にして混乱した。
逃げ場のない銃撃
ロボットはナットをマシンガンのように連射し、さらに内蔵兵器からグレネードまで撃ち込んできた。渚達と傭兵達は柱の陰に隠れたが、逃げれば高速移動で追われ、留まれば爆撃される状況に追い込まれた。相手は弾薬を節約しながら狙いを定める知能を持っており、五人は絶体絶命になった。
煉獄炎焦滅陣の後
一方、ゼロス達は煉獄炎焦滅陣でキノコ繁殖エリアを焼き払い、石造遺跡風エリアへ退避していた。ゼロスは、胞子に寄生される危険があったため焼き払ったと説明した。エロムラの股間にはまだキノコが生えており、それを取ろうとして地団駄を踏んだ拍子に、術式型の罠を作動させてしまった。
落とし穴の罠
発動した罠は、通路の床そのものが消える大規模な落とし穴だった。ゼロス達は下層へ落下し、途中からロート状の構造に滑り込んでいった。ゼロスは落ち着いてストームで落下速度を抑え、着地後すぐ戦えるよう備えたが、エロムラの股間のキノコが残ったままであることも気にしていた。
天井からの乱入
ロボットがグレネードを撃とうとした瞬間、天井が開き、ゼロス達が落ちてきた。ツヴェイトとエロムラはロボットの砲身に激突し、セレスティーナはゼロスに抱えられて着地した。渚と勝彦はゼロスの登場に驚き、同時に危険な状況を知らせた。
回転するロボット
ロボットは砲身に引っかかったツヴェイトとエロムラを排除しようと回転し始めた。二人は必死にしがみついたが、やがて壁際へ吹き飛ばされた。ゼロスは魔法障壁で二人の怪我を防ぎ、セレスティーナを安全な柱の陰へ退避させた。
股間のキノコ
ゼロスとエロムラがロボットと対峙する中、傭兵達はエロムラの股間に生えたキノコを見て不信感を抱いた。緊急時に下ネタをしているようにしか見えず、戦力が増えたはずなのに安心できなかった。実際のエロムラは、状況の変化が続いたせいでキノコを取ることを忘れていただけだった。
魔導兵器への好奇心
ゼロスはロボットを旧時代の魔導兵器ではないかと考え、動力や構造に強い興味を抱いた。回収できれば研究価値があると判断し、好奇心を抑えきれないまま剣を握った。ロボットのカメラアイが点滅する中、ゼロスは先手を取って走り出した。
第二話 おっさん、ロマンを求めてギルド規約を無視する
ロボット戦と指揮官機の可能性
硬い装甲
ゼロスはロボットとの間合いを一気に詰めたが、ロボットは上部のグレネードで牽制してきた。ゼロスは円柱状のボディや脚の関節を斬ろうとしたが、装甲も関節も予想以上に頑丈で、ショートソードでは切り裂けなかった。ロボットは素早く照準を変え、エロムラを狙い始めた。
囮のエロムラ
ゼロスは武器を替えるため、エロムラに時間稼ぎを任せた。エロムラは泣きながらロボットの周囲を走り回り、ナットの連射を必死に避け続けた。その間にゼロスは、ロボットをできるだけ壊さず回収する方法を考え、メンテナンス用の隙間や背面パネルを見つけた。
刀選びの迷い
ゼロスはインベントリーから刀を選ぼうとしたが、自作の刀が多すぎたうえ、それぞれの性能を忘れていたため悩み始めた。強烈な特殊効果でロボットを破壊してしまうことを警戒し、どの刀を使うか決められずにいた。その間もエロムラは助けを求めながら走り続けていた。
ロボットの緊急制動
ロボットはエロムラの動きを学習し、足爪を石畳に突き立てて急停止した。エロムラは勢いのまま射線へ飛び込む形になり、多数のナットを撃ち込まれた。彼は極限状態でありえない動きをして弾を避けたが、股間に生えていたキノコが被弾し、鑑定表示に視界を塞がれた。
股間キノコの誤解
エロムラは何とか死角へ逃れたが、股間のキノコが砕けた姿を傭兵達に見られ、妙な誤解を受けた。声を上げたことでロボットに位置を知られ、今度は高速のバック移動で体当たりされて吹き飛ばされた。ロボットが再び照準を向けた時、ゼロスが脚部を一瞬で切り離し、エロムラは辛くも助かった。
機能停止と回収
ゼロスは背面パネルを開き、レバーや配線を操作してロボットを停止させた。彼は脚部を回収し、本体もインベントリーへ収めた。内部には小型で高出力の魔導力機関らしき動力部があり、ゼロスは発電機として利用できるかもしれないと興味を強めた。
勇者二人との再会
ゼロスは一条渚と田辺勝彦の無事を確認し、二人が傭兵達に巻き込まれてロボットに追われたことを知った。傭兵達からは、湿気の多いジャングルのようなエリアに昆虫型の魔物が多く、イーサ・ランテに似た建物が森に飲み込まれていたという情報を得た。ゼロスは、その場所にロボットの手がかりがあると見た。
地上への護衛依頼
ゼロスは渚と勝彦に、傭兵達を地上まで護衛して傭兵ギルドへ報告するよう頼んだ。勝彦は稼ぎが足りないと渋ったが、ゼロスは構造変化に巻き込まれれば帰れなくなる可能性があると指摘した。渚は引き返すことを決め、勝彦にはしばらく真面目に働くよう突きつけた。
駄目人間同士の共感
勝彦は娼館や博打に金を使う理由を語り、ゼロスと渚に呆れられた。そんな中、エロムラだけは勝彦の気持ちに理解を示し、娼婦に癒やしを求める気持ちは分かるが、借金してまで通うのは駄目だと諭した。二人は互いを心の友と呼び合い、周囲は駄目人間同士が分かり合った光景に呆れていた。
奥へ進むゼロス達
渚達と別れた後、ゼロス達は地上へ戻らず、ロボットが出現したというエリアへ向かった。ツヴェイトは戻る予定ではなかったのかと疑問を持ったが、ゼロスはロボットに戦闘用としての違和感があると説明した。ロボットは高火力だが判断や反応に遅れがあり、ゼロスは本来は作業機械を急造で戦闘用に改造したものだと考えた。
指揮官機の仮説
セレスティーナは、ロボットに指示を出す別の機体がいる可能性を示した。ゼロスはその考えに乗り、子機を統合処理する大型の指揮官機があるなら、武装や冷却機構も含めて大型兵器になるだろうと推測した。さらに衛星軌道上の兵器とリンクしている可能性まで妄想し、危険な話を楽しそうに語った。
第三話 おっさん、無人機多脚戦車と相対す
ジャングルエリアの無人兵器と多脚戦車
亜熱帯エリアへの進入
ゼロス達は傭兵から聞いた情報を確かめるため、ギリシャ風の回廊を進み、壁に開いた洞穴を抜けて奥へ向かった。ゼロスは蒸し暑さや生水、蚊が媒介する病気への注意を促した。エロムラはロボットという言葉をツヴェイト達に合わせてゴーレムの別称としてごまかし、転生者であることを隠していた。
銃弾の飛び交う戦場
洞窟の先には、タワーの階段と熱帯ジャングルが広がっていた。ゼロス達が哨戒中のロボットを一機倒すと、次々に同型機が集まり、周辺は銃弾やナット、ナパーム弾が飛び交う戦場となった。ツヴェイト達は巨石の陰に隠れ、無人兵器が情報を共有している可能性に恐怖を覚えた。
情報共有する兵器群
エロムラは、一機が敵を発見すると他の機体にも情報が共有される仕組みではないかと考えた。ツヴェイトは、ラッパや狼煙とは桁違いの情報伝達技術に驚き、旧時代の技術力を思い知らされた。ロボット達は魔物も敵と認識して攻撃しており、味方識別コードがなければ人間も魔物も区別なく排除するようだった。
ロボット回収のゼロス
ゼロスは上機嫌でロボット達を戦闘不能にし、脚部を切り落として動力を止め、機体ごとインベントリーに回収していった。正式なガードロボットらしく、先に戦った機体より性能も素材も良く、ゼロスは大量に手に入る魔導力機関の使い道を考えていた。セレスティーナは、なぜ旧時代の兵器がダンジョン内に存在するのか疑問を抱いた。
ダンジョンの再現能力
ゼロスは、ダンジョンが過去や現在の事象から情報を読み取り、旧時代の遺跡や兵器を地形ごと再現しているのではないかと推測した。鑑定スキルや過去を映す国宝級アイテムとも似た不可解さがあり、ダンジョン内部は現実に近い再現空間のようにも思えた。そこから世界そのものが仮想世界ではないかという考えに至り、一行は深く考えることを避けた。
合体ロボの夢と現実
エロムラは、生産プラントが再現されていれば合体ロボを作れるのではないかと話した。ゼロスは、人型ロボットは重量バランスや関節負荷、動力、制御、人手の問題で現実的ではないと説明した。実用性を考えれば、人型よりも四足や多脚の方が安定し、巨大化すれば結局はゴリラのような形になると語った。
瓦礫の中の多脚戦車
ゼロスが理想形として指さした先には、六本脚とマニピュレーターを備えた戦車のような機械が瓦礫に埋もれていた。四人は壊れていると思い込んだが、その機体は休眠状態であり、味方識別コードを持たない彼らを敵と認識して再起動した。マニピュレーターのレーザー砲が四人を捉え、ゼロスは咄嗟に魔法障壁で防いだ。
試作型多脚戦車
ゼロスが鑑定すると、その機体は魔導文明期の試作型多脚戦車だった。六本脚、魔導式砲、ガトリングガン、レーザー、ミサイルランチャーを備えた局地戦仕様の実験機であり、無人攻撃システムを起動したまま放置された欠陥機だった。ゼロスはその武装と来歴に興奮し、目の前の戦車へ集中した。
多脚戦車の猛攻
多脚戦車はガトリングガンやレーザーで攻撃し、ゼロスはミストでレーザーの威力を落としながら動き回った。ゼロスはガトリングガンを潰したが、機体の装甲は強化されており、刀にも刃こぼれが生じた。さらに多脚戦車はホバーのような急加速と高速スピンでゼロスを弾き飛ばし、彼を建物へ叩きつけた。
砲撃とミサイル
多脚戦車は八十八ミリ魔導砲でゼロスを狙い、さらにミサイルまで発射した。ゼロスは爆炎に包まれたが耐え抜き、今度はツヴェイト達へ砲塔が向いたため、三人は慌てて逃げ出した。多脚戦車が標的を切り替える中、炎の中からゼロスがアンチマテリアルライフルを構えて現れた。
脚部破壊と制圧
ゼロスは電磁加速された弾丸を撃ち込み、多脚戦車の脚部を二本破壊した。バランスを崩した機体に飛び乗ると、ハッチから内部へ入り、自動攻撃システムと動力を停止させた。多脚戦車は完全に無力化され、ゼロスは腰を痛めながらも操縦席から這い出た。
混ぜるな危険
ゼロスは多脚戦車を分解調査し、改造する気でいた。手伝いにエロムラを巻き込み、さらにアドやクロイサスも関わらせようと考えたため、セレスティーナは嫌な予感を覚えた。ゼロスとクロイサスという危険な組み合わせが再び揃う可能性が生まれていた。
灼熱地獄の帰路
一方、地上へ戻ろうとする渚、勝彦、傭兵達は、ゼロスが煉獄炎焦滅陣で焼き払ったキノコエリアに辿り着いた。そこは一面が焼け焦げ、地面はガラス化や溶岩状態になり、瀕死のキノコ魔物が蠢く灼熱地獄だった。渚は勝彦を蹴り飛ばしながら、上へ続く道を探すために進んでいった。
第四話 おっさん、ダンジョンの謎に直面する
旧時代の研究施設とユグドラシルの目覚め
傭兵達の最期
ゼロス達は、アスファルト上に血痕や装備品が散乱する場所に遭遇した。そこでは帰還中の傭兵達が無人攻撃ロボットに襲われ、遺体も残さずダンジョンに吸収されたようだった。ゼロスは、逃げ延びた傭兵達はこの犠牲者達が囮になったから助かったのかもしれないと考えた。
埋もれた研究施設
ゼロスは、周囲の遺跡が秘密研究施設だった可能性を考え、放熱用煙突や発電所の存在を推測した。魔力だけに頼ると魔力溜まりから妖精や悪魔、さらには魔王を生む危険があり、旧時代には代替エネルギーが必要だった。クロイサスならこの場所を知れば危険を顧みず突入すると予想され、ツヴェイト達は嫌な確信を抱いた。
地下搬入口
ゼロスは施設配置を推測し、格納庫跡らしき場所で地下通路と思われる窪地を見つけた。エクスプロードで土砂を吹き飛ばすと、予想通り地下へ続く搬入口が現れた。ゼロスは旧時代の機械や部品への期待で高揚し、武器を銃に持ち替えて奥へ進んだ。
集積場の発見
地下にはコンテナが並ぶ集積場があり、中には真新しい警備用ロボットや部品、操作機材、ノートパソコンなどが残されていた。ゼロスは、ダンジョンが作った複製品なら所有権は発見者にあると主張し、次々と回収していった。ツヴェイトは旧時代の遺物なら国に報告すべきだと反発したが、議論は平行線だった。
旧時代の戦争観
ゼロスは回収した電子部品や機材を見ながら、魔導文明期の軍事技術や情報伝達について説明した。大量破壊兵器の存在は国家同士の牽制となり、戦争よりも経済力が重視されるようになると語った。ツヴェイトは、武勲を名誉とする現代とは逆の価値観に戸惑い、欺瞞に満ちた平和の方が現実の戦争よりましだというゼロスの考えに納得しきれなかった。
地下十三階の隔壁
ゼロス達は施設を漁りながら地下へ進み、地下十三階で物々しい金属扉に行き当たった。カードキーで扉を開くと、そこには転送ゲートがあった。ゼロスとエロムラは、旧時代の施設で転送実験が行われていたと見抜き、人体実験や非人道的な研究が隠されている可能性を考えた。
覚悟の先
ゼロスは、ここから先には知らない方がよい真実があるかもしれないと警告した。ツヴェイトとセレスティーナは、旧時代の魔法技術の真実を知る必要があると考え、同行を決めた。二人は、魔法の可能性だけでなく、その裏にある悪意や倫理の逸脱にも向き合う覚悟を示した。
生物兵器の研究
奥の施設には、転送装置の実験場、薬品研究、細菌培養、兵器開発の跡が残っていた。さらに下層では、魔物を改造した生物兵器の培養ポッドが並んでいた。奇形化した実験動物や機械を埋め込まれた個体を見たツヴェイトとセレスティーナは、旧時代の技術が悪魔の所業にも使われていたことに衝撃を受けた。
生きた巨人兵器
ゼロスは二人を転送ゲートの部屋へ戻らせ、エロムラの声を頼りにさらに奥へ進んだ。そこには人体実験の被験者が並び、さらに巨人族をベースにサイボーグ化された生物兵器が存在していた。右腕は巨大な剣、左腕は砲身のように改造されており、機械やチューブを埋め込まれたその個体は、なお生きていた。
南大陸のアルフィア
一方、南大陸の砂漠上空では、アルフィア・メーガスが巨大な円形の山脈を見下ろしていた。彼女は世界再生のため、創世期に残されたシステムを探しており、その一つがまだ完全には停止していないことを確認した。彼女は半径二百キロメートルの結界を張り、高次元のエネルギーを慎重に流し込んだ。
ユグドラシルの再生
アルフィアの力によって、岩だけの山脈は崩れ、内側から生命力に満ちた枝が急速に成長し始めた。それは無数の木々ではなく、一本の巨大樹から伸びる枝だった。砂漠の中心に緑地帯が広がり、虹色の葉から膨大な魔力が放出された。惑星環境制御システム、ユグドラシルが目覚め、世界再生が始まった。
第五話 おっさん、生物兵器を処分する
巨人生物兵器と消滅する熱帯雨林エリア
生きていた複製体
ゼロスとエロムラは、巨大な培養槽に浮かぶ巨人型生物兵器が生きていることに気づいた。ダンジョンが複製した施設に生物が存在することは不可解であり、ゼロスはダンジョンコアが植物や魔物だけでなく、生物兵器まで複製できる可能性を考えた。しかし理由までは分からず、人ならざる存在の思惑があるのだろうと流すエロムラを、ゼロスはある意味で羨ましく感じた。
押されたスイッチ
エロムラは偶然スイッチを押してしまい、生物兵器の培養槽が泡立ち始めた。蒸気や液体が噴き出し、槽は内側から歪んでいった。ゼロスとエロムラは、改造され培養槽に閉じ込められていた存在が友好的であるはずもないと判断し、戦闘準備を整えた。
巨人型生物兵器
培養槽を破って現れた巨人は、右腕に巨大な剣、左腕に砲身、背中に機械とチューブを備えた異様な姿だった。外気に触れた肉体は腐敗し焼けただれながらも、異常な再生力で動き出した。エロムラの銃撃は多重魔法障壁に阻まれ、ゼロスの斬撃も硬い肉体には浅い傷しか与えられなかった。
アキレス腱の一撃
ゼロスは皮膚や筋肉を切り裂くのが難しいと判断し、巨人のアキレス腱を狙った。魔力を集中させた刃で両脚を斬り裂くと、巨人は直立を維持できずに倒れた。ゼロスとエロムラは距離を取ろうとしたが、巨人は左腕のレーザーを放ち、隔壁の操作パネルまで破壊した。
爆炎の隔壁
ゼロスは未試射のグレネードを撃ち込み、巨人を爆炎に包んだ。威力は想定以上で、通路や培養槽ごと吹き飛ばしたが、巨人はなお動いていた。隔壁を閉じて閉じ込めようとしたものの、巨人は赤熱した剣で隔壁を貫き、外へ出ようとしていた。
口内への一撃
ゼロスはエロムラに大楯で一撃を受け止めさせ、その瞬間に闇の縛鎖で巨人を拘束した。さらに白銀の神壁を円錐状にして口へねじ込み、グレネードを口内へ撃ち込んだ。爆発は巨人の上半身を吹き飛ばし、機械部品だけを残して肉体はダンジョンに吸収されていった。
煤だらけの合流
ゼロスとエロムラがツヴェイト達のもとへ戻ると、二人は煤だらけになっていた。爆発の余波がエアダクトを通じて届いたためだった。ゼロスは、生物兵器や実験資料を残せば今の時代にも同じ研究に手を出す者が出ると考え、この施設を破壊する必要があると語った。
施設破壊の決断
ゼロスは、魔導士の探究心や国家の軍事思想が結びつけば、生物兵器や細菌兵器の研究が再び行われる危険があると判断した。危険な遺物を大規模に残すべきではないという考えから、施設そのものを抹消することにした。エロムラ、ツヴェイト、セレスティーナを先に退避させ、ゼロスは一人で破壊の準備に入った。
暴食なる深淵
ゼロスは熱帯雨林エリアの中央付近に狙いを定め、重力崩壊魔法である暴食なる深淵を放った。超重力場は木々や建物を呑み込みながら地下深くへ沈み、やがて爆縮して凄まじい破壊を生んだ。ゼロスは自分の魔法に巻き込まれないよう全力で逃げ、上階層へのルートへ駆け込んだ。
空間断層
ゼロスが上階層へ辿り着くと、暴食なる深淵の破壊波は見えない境界に押しとどめられていた。熱帯雨林エリアだけが崩壊し、上階層には被害が及ばなかった。ゼロスは、ダンジョンが空間断層によって異常を遮断する自己防衛作用を持つのではないかと考え、重力系魔法の使用を控えるべきだと感じた。
純白の迷宮への帰還
熱帯雨林エリアが消滅すると、下層へ続く坑道だけが残った。ゼロスは罪悪感を抱えながら移動し、純白の迷宮で待っていた三人と合流した。エロムラはその間にゴブリンやゴーレムを倒していたが、扱いは相変わらず雑だった。四人は来た道を辿り、幸い大きな問題もなく地上へ帰還した。
第六話 おっさん、エロムラの称号に同情する
アーハン帰還と大迷宮への胎動
傭兵ギルドの混乱
アーハンの村では日が暮れ、傭兵ギルドがダンジョンの大規模な構造変化への対応に追われていた。帰還した勇者二人と傭兵達は長時間の事情聴取を受け、未帰還者の確認や被害状況の整理が続いていた。田辺勝彦は運が悪かったと嘆いたが、一条渚はそもそも勝彦の散財に付き合わされた結果だと考え、彼を災いの根源のように扱っていた。
宿代を巡る突き放し
渚は日帰りの予定が崩れて宿泊費が必要になったことに腹を立てていた。勝彦は宿代や相部屋を期待したが、渚は冷たく突き放し、野宿しろと告げた。勝彦はなおも反省せず、渚の怒りをさらに買っていた。
ダンジョンと情報の価値
勝彦と渚は、ダンジョンの広大な内部空間やアイテムBOXの不思議について話した。渚は理解できない現象を無理に考えるより、今必要な情報を集めることが大切だと考えていた。醤油や味噌、米の入手先を知っていた渚に対し、勝彦は情報を軽視していた自分を悔やみ、渚から傭兵としても商人としても不向きだと切り捨てられた。
傭兵達の喧騒
傭兵ギルド内では、未帰還の仲間や新エリア、キノコ人間になった仲間、無駄になった地図について、傭兵達が口々に語っていた。大規模な構造変化により、これまでの探索情報は役に立たなくなり、人材を失ったクランの立て直しも難しくなっていた。渚は傭兵を専業にしなくてよかったと感じ、予約していた宿へ向かおうとした。
ゼロスとの再会
渚は傭兵ギルドでゼロスと再会した。ゼロスは未帰還者の中に犠牲者がいたことや、自身も日帰り予定で宿を取っていなかったことを話した。渚は、途中に山火事のようなエリアがあったと告げたが、ゼロスが何かを誤魔化していると察し、深く追及しなかった。ゼロスは当たり障りのない報告をしに向かい、渚は勝彦を置いて宿へ向かった。
追い出された勝彦
勝彦は渚がいないことに気づき、彼女の宿を探し当てた。しかし、仲間だから一緒に休ませてほしいと騒いだため、不審者として宿の主人に追い出された。勝彦は最後まで自分の行動を反省せず、どこまでも駄目な人間であった。
野営の準備
報告を終えたゼロス達は、村外れの空き地にテントを張った。ツヴェイトとセレスティーナには宿で風呂を借りさせ、ゼロスとエロムラは夕食の準備と護衛を担当した。エロムラは風呂に入れないことを残念がったが、ゼロスは過去の覗き騒動を持ち出し、罪は消えないと諭した。
呪われた称号
ゼロスに促され、エロムラは久しぶりに自分のステータスを確認した。すると、下ネタの道化師とやらないかという称号を得ていた。前者は条件次第でセクハラまがいの行動を引き起こし、後者はそっち系の相手を引き寄せる効果を持つものだった。エロムラは自分の運命を嘆き、ゼロスは同情しつつも原因は本人の行動にあると納得した。
見張りの分担
風呂から戻ったツヴェイトとセレスティーナは、悶えるエロムラを見て事情を尋ねたが、ゼロスは深く聞くべきではないと流した。見張りは男三人で交代することになり、セレスティーナは特別扱いを嫌がったが、クレストンの反応を恐れた三人に説得されて休むことになった。
漢前まよねぇ〜ずの脅威
夕食にはワイヴァーンのベーコン入り野菜スープ、ナン、龍王の肉のジャーキー、目玉焼きが用意された。そこにゼロス特製の漢前まよねぇ〜ずが加わると、三人はその圧倒的な味にまたも手を止められなくなった。エロムラ達は、このマヨネーズを売れば国を滅ぼすほどの中毒者を生み出しかねないと恐れた。
マヨによる侵略構想
ゼロスは漢前まよねぇ〜ずをメーティス聖法神国に流通させれば、血を流さずに国を混乱させられるのではないかと面白がった。三人はマヨを求めて徘徊する民衆や崩壊する国家を想像し、そんな戦争は決してクリーンではないと反発した。それでも三人の手はマヨネーズへ伸び続け、すでに手遅れの様子だった。
夜の見張り
食後、三人が休む中、ゼロスは一人で見張りに立った。地下からはまだ地響きが続いており、ダンジョンの変化は収まっていなかった。ゼロスはこの世界に来てから面倒事に巻き込まれ続け、スローライフとは程遠い生活になっていることを振り返り、星空の下で薄っぺらい将来設計を考えようとしていた。
勝彦の野営入り
翌朝、勝彦が火のそばで涙を流しながら眠っていることが分かった。夜中にエロムラが彼を招いたためだった。朝食後、ゼロス達は勇者二人と共にサントールの街へ戻ることになった。
目覚めるダンジョン・コア
ゼロス達が野営していた地下深くでは、廃坑ダンジョンよりさらに深い場所で何かが動き出していた。魔力供給が回復し、世界中に点在する同類とのネットワークもわずかに再接続されていた。情報集積体であるダンジョン・コアと、惑星環境管理システムであるユグドラシルは、共有した情報から状況打開のための最適なプロセスを構築し始めた。後の世界再生と大迷宮誕生につながる事態は、アルフィア・メーガス以外には知られぬまま静かに動き出していた。
第七話 アド、無職になる
アドの来訪とジャーネの乙女心
暇を持て余すアド
魔導式モートルキャリッジと魔導銃の開発が一段落し、アドは暇を持て余していた。家ではリサやシャクティから無言の圧力を受け、仕事がない男は家庭で肩身が狭いと悟った。今後の身の振り方を相談するため、アドはゼロスの家を訪れた。
武闘派のコッコ達
ゼロス邸では、ヒヨコやニワトリ達が武術の訓練に励んでいた。アドは、以前にもヒヨコ達がゴロツキを袋叩きにしていたのを思い出し、サントール旧市街が危険地帯になりつつあると感じた。ウーケイにゼロスの居場所を尋ねると、地下でエロムラと何かを作っていると教えられた。
地下の多脚戦車
地下では、ゼロスがダンジョンから回収した多脚戦車を分解しようとしていた。エロムラは、部屋の隅で放置されたパワードスーツや訓練用ゴーレムを見て不安を覚えた。ゼロスは、多脚戦車から八十八ミリ砲を取り外し、自走砲や戦車に転用しようとしていた。
装甲の仕組み
ゼロスは、多脚戦車の装甲に継ぎ目やボルトが見当たらないことを不審に思った。魔力を流してみると、装甲の内側に刻まれた簡易魔導錬成陣が反応し、装甲が分離した。装甲は魔力によって癒着と強化が行われる仕組みであり、動力が稼働している限り外部から剥がすのは難しい構造だった。
巻き込まれたアド
そこへアドが現れ、多脚戦車に驚いた。ゼロスは、暇なら手伝ってほしいと彼を分解作業に巻き込んだ。アドはファンタジー世界の地下に戦車のようなものがある状況に呆れたが、結果として八十八ミリ砲の取り外しに協力することになった。エロムラはアドにもエロムラ呼びされ、呼び名が定着したことに涙した。
隣人の風呂借り
一方、隣の教会に住むジャーネとルーセリスは、ゼロス邸の風呂を借りていた。温泉旅行以降、ジャーネは風呂にすっかりハマっており、ルーセリスは結婚すればここが自分達の家になると平然と語った。ジャーネはその言葉に動揺し、ルーセリスの強引さに振り回されていた。
結婚への抵抗
ルーセリスは、ジャーネがゼロスを男性として意識することから逃げていると指摘した。恋愛症候群の症状が強まっているため、放置すれば奇行に走る危険があった。ジャーネはゼロスに惹かれていることを認めつつも、重婚や年齢差、過去の家庭環境への抵抗から踏み切れずにいた。
デートの提案
ルーセリスは、段階を踏みたいというジャーネの言葉を受け、三人でデートしようと提案した。ジャーネは生活費のために依頼を受け続けなければならないと反論したが、ルーセリスは今のうちに向き合うべきだと説いた。ジャーネは、勢いではなく、きちんとしたプロポーズの言葉がほしいという乙女心を抱えていた。
婚姻届の存在
ルーセリスは、以前の婚姻届がまだ残っていると明かした。用意したのはメルラーサ司祭長であり、ジャーネは誰が司祭長に話したのかと動揺した。ゼロスからプロポーズされている以上、返事をしなければならないことは分かっていたが、ジャーネはもう少し時間がほしいと訴えた。
浴室の悲鳴
話題は突然、ジャーネの胸の成長へ移った。ルーセリスはジャーネの体つきを羨ましがり、触ってもいいかと迫った。ジャーネは慌てて止めようとしたが、ルーセリスは距離を詰め、浴室にはジャーネの悲鳴が響いた。その声が地下のゼロス達に届くことはなかった。
第八話 おっさん、多脚戦車を解体中
多脚戦車の解体とデート前夜
地下の解体作業
ゼロス邸の地下では、ゼロス、アド、エロムラが多脚戦車を解体していた。ゼロスとアドの作業は速く、エロムラが戸惑う間にも電子機器や魔導力モーター、魔導力機関が次々と取り外されていった。鑑定スキルの見え方には個人差があり、ゼロスは火器管制ユニットまで把握できたが、アドは番号程度、エロムラはエロ方面のデータに反応していた。
ダンジョンへの疑問
三人は、多脚戦車がダンジョンに再現されていた理由について考えた。ゼロスは、ダンジョンが過去の地形情報をもとにエリアを再構築した結果、兵器の情報まで偶然含まれたのではないかと推測した。アドは、ダンジョンコアが外部情報を集めて利用している可能性に気づき、ゼロスもそこに不気味さを感じていた。
ブラックボックス
多脚戦車の内部には、賢者の石を使った集積回路らしき黒い制御装置があった。配線が集中していることから機体制御の中枢と思われたが、ネジも継ぎ目もなく内部構造は分からなかった。ゼロスは複製よりも装甲強化の術式に興味を示し、魔導力機関を使って軽く頑丈な戦車を作る構想を膨らませた。
戦車製作の暴走
ゼロスは魔法強化装甲や魔導力機関を流用し、駆逐戦車のようなものを作る気になっていた。アドとエロムラは、戦車である必要があるのかと突っ込んだが、ゼロスはドイツ戦車へのロマンを優先した。作業に没頭した三人は夕方まで地下にこもり、戦車製作は趣味人達を巻き込みながら始まった。
湯上がりの二人
台所へ戻ったゼロス達の前に、風呂を借りていたルーセリスとジャーネが現れた。エロムラは湯上がりの二人を見て露骨に興奮し、アドとゼロスから呆れられた。彼は称号のせいだと弁解したが、ゼロスは元から資質があったのだろうと切り捨て、いたたまれなくなったエロムラは逃げ出した。
アドの仕事確保
アドは多脚戦車の分解作業に給料が出ると知り、当面の仕事ができたことを喜んで帰っていった。ゼロスはアドとエロムラを個性的な知り合いだと評したが、ルーセリスとジャーネはゼロスこそ一番おかしいと感じていた。ゼロスは夕食を一人分だけ作ることになった。
デートの話
ジャーネとルーセリスは、ゼロスと三人でデートする話を改めて進めた。ジャーネは劇場で演劇を見るようなものを想像していたが、費用の問題もあり、ゼロスは普通に街を歩いて食事をするだけでもよいと考えた。二人の見た目と性格のギャップを知るゼロスは、その反応を見て楽しんでいた。
ゼロスの過去
ゼロスは、若い頃に幼馴染と淡い関係があったが、姉の麗美によって家庭ごと壊され、その相手とも疎遠になったと語った。後に彼女が交通事故で亡くなっていたことを知り、ゼロスは麗美を憎み続けていた。ルーセリスはゼロスの言葉に一瞬だけ悲哀を感じ、ジャーネも厄介な身内を抱える苦しさに同情した。
恋愛症候群の自覚
ゼロスは、以前のプロポーズが自分の意思だけでなく、恋愛症候群による無自覚な行動だった可能性に気づいたと話した。本人が異常だと認識できないまま行動し、記憶だけが残る症状の恐ろしさを三人は理解した。ジャーネも逃げ続ける危険を悟り、デートの話を受け入れることにした。
改めてのプロポーズ
ゼロスは、二人を幸せにできるとは断言できないが、努力は惜しまないと述べ、改めて結婚してほしいと告げた。ジャーネはそれが本気なのか症状の暴走なのか分からず赤面し、叫びながら逃げ出した。ゼロスとルーセリスは彼女の反応を可愛いと感じ、翌日の午前にデートすることを本人不在のまま決めた。
着せ替えの準備
教会へ戻ったルーセリスは、明日デートすることになったとジャーネに告げた。服がないと慌てるジャーネのため、ルーセリスは下着売りのアンズを連れてきていた。アンズは多様な女性服を取り出し、逃げ場を失ったジャーネは着せ替え人形のように服を選ばされ、ジャケットを購入することになった。
彷徨うシャランラ
夜の草原では、肉塊と化したシャランラが彷徨っていた。彼女の中に残っていた盗賊達の魂は、魔力の枯渇とともに次々と消滅し、最後の盗賊も輪廻へ還っていった。シャランラだけは生への執着を捨てず、他の魂が消えたことで魔力消費が減り、生き延びられると喜んでいた。
人外の女王
シャランラは、再び男を誑かして贅沢に生きると叫び、自分を女王だと思い込んでいた。しかし、取り込んだ生物の影響で彼女の姿はすでに化け物そのものであり、人と関われる姿ではなくなっていた。彼女はその現実に気づかないまま、平原で醜い欲望をさらけ出していた。
第九話 ソリステア兄妹の魔導錬成風景
ゼロスのデート準備と神国のドラゴン対策
置き去りの解体作業
アドとエロムラは、多脚戦車の解体作業を続けるためゼロス邸を訪れた。しかしゼロスは、恋愛症候群による精神暴走を避けるため、ルーセリスとジャーネとのデートを理由に作業を抜けると告げた。エロムラは二人の女性に好かれるゼロスを羨み、アドはゼロスの趣味の暴走よりは結婚で落ち着く方がましだと考えていた。
エロムラの浅さ
エロムラは、この世界で一夫多妻や一妻多夫が合法的に認められていることも知らず、奴隷ハーレムのことしか考えていなかったと白状した。ゼロスとアドは、説明書を読まずにプラモデルを組み立てるような彼の場当たり的な性格を見抜き、もう少し真面目に生きるべきだと諭した。ゼロスは二人に作業を任せ、教会へ向かった。
魔導錬成の三兄妹
ソリステア公爵家別邸では、クロイサスがツヴェイトとセレスティーナの魔導錬成に興味を持ち、自分も参加していた。クロイサスはミスリルの扱いやすさに興味を示したが、魔力量が足りず、思うように錬成できなかった。訓練を嫌う彼は、魔力量を増やす方法をゼロスではなくアドに聞こうと考えていた。
偶然の人形劇
クロイサスとセレスティーナは、それぞれ指輪やブレスレットを作ろうとして失敗し、錬成台の上にはサボテン人形や不気味な魔王のようなミスリル細工が生まれた。再挑戦すると、二つの細工は互いに戦い、最後には息の合ったダンスまで披露した。ツヴェイトは街角で見せれば受けると評したが、二人は意図してできるものではないと困惑していた。
学院改革の余波
三兄妹は、イストール魔法学院から届いた通知や学院改革について話した。クロイサスの術式解読法やツヴェイト達の戦術理論によって、魔導士団や派閥の常識は覆され、汚職や旧体制の魔導士達は追い出されていた。ローブによる階級制度も撤廃され、学院は実力主義へ移行したが、講師陣や生徒達には大きな混乱が生じていた。
学院へ戻る理由
クロイサスは研究室へ進むつもりであり、ツヴェイトとセレスティーナも学院へ戻る意思を示した。セレスティーナは、ゼロスから学んだことを後輩達に伝えたいと考えていた。ツヴェイトは、生徒が講師代わりになる状況をおかしいと思いながらも、改革のしわ寄せを避けられないと理解していた。
神国の窮状
メーティス聖法神国では、大神殿を失った神官達が旧大神殿で政務を行っていた。獣人族の侵攻、グレート・ギヴリオン、新種ゾンビの襲撃に加え、神殿や教会を集中的に襲う謎のドラゴンによって国は追い詰められていた。龍臣は勇者全員でも勝てない可能性を示し、邪神封印に使われた壊れた聖剣の力を試す案が浮上した。
学の疑念
八坂学は、神殿を狙うドラゴンの行動から、過去の勇者達の恨みが関係しているのではないかと考えていた。彼は、ルナ・サークのゾンビ事件で勇者の魂が悪霊化していたことを思い出し、ドラゴンも神国への憎悪に突き動かされているのではないかと推測した。確証はなかったが、否定する材料も少なかった。
大地の押しつけ
笹木大地は、聖剣を使ったドラゴン退治を学に押しつけようとした。学は、壊れた聖剣でドラゴンに挑むなど無謀だと反発し、大地に自分で戦えと迫った。大地は勇者の自称リーダーとして振る舞っていたが、実際には面倒事を他人に押しつけ、功績だけを奪おうとする小悪党のような態度を見せていた。
龍臣の助け舟
龍臣は、ドラゴンの出現場所が不明であること、一般騎士では対抗できないこと、聖剣の力を試していないことを理由に、大地の案の欠点を指摘した。学も、神殿を狙うドラゴンがいずれ聖都を襲う可能性を示し、無駄な遠征より防衛準備を優先すべきだと主張した。大地は不満そうに退席し、学と龍臣は聖剣の扱いを神国側に委ねることにした。
近づく邂逅
大地の増長に学はうんざりしていたが、龍臣も同じように負担を抱えていた。神国は聖剣の使用を検討せざるを得ないほど追い詰められており、勇者達と滅魔龍ジャバウォックの邂逅は少しずつ近づいていた。
第十話 おっさん、デート(?)する
不慣れなデートと地下の分解作業
行き先に迷う三人
ゼロスはルーセリスとジャーネを連れてサントールの街へ出たが、異世界でのデートスポットを知らず、早々に行き先に困った。劇場や市場を候補に出すものの、三人とも恋愛経験が乏しく、デートで何をすればよいのか分からなかった。そこでゼロスは、ルーセリスとジャーネにとって懐かしい場所へ行くことを提案した。
路地裏の菓子店
ルーセリスが案内したのは、子供達が集まる駄菓子店のような小さな店だった。ゼロスは菓子や安物の玩具が並ぶ店内に郷愁を覚えたが、そこで売られていたカードゲームに困惑した。乾杯コレクションや万歳コレクションという奇妙なカードは、メーティス聖法出版による商品であり、ゼロスはその商売感覚と倫理観に呆れた。
野放しのアルフィア
ゼロスは、最近アルフィア・メーガスを見かけていないことを思い出し、野放しにしていた危険性に気づいた。すると店の奥では、アルフィアが子供向けの揚げ菓子を買い占めようとしてジャーネに止められていた。高位存在でありながら子供に配慮しないアルフィアに、ゼロスは保護者としての頭痛を覚えた。
買い占める神様
アルフィアは、ポワワールという一口サイズの揚げ菓子を全部買おうとしたが、ジャーネに羽交い締めにされ、子供達が優先された。ゼロスは、大人買いしようとするアルフィアをたしなめたが、彼女は人間の子供に気を使う理由がないと反論した。高位存在としての威厳はなく、ただ食い意地の張った子供のようだった。
市場の串肉騒動
四人が市場へ出ると、アルフィアは今度は串肉の屋台に走り、またも全て買い占めようとして店主と揉めた。店主は多くの客に自分の味を楽しんでほしいと訴えたが、アルフィアは金を払うのだから問題ないと譲らなかった。周囲の露店は彼女に限って売買制限を掲げており、アルフィアの大人買いはすでに市場で有名になっていた。
公園の散歩
アルフィアと別れたゼロス達は、公園で菓子を食べながらのんびり過ごした。しかしゼロスは、これはデートというより散歩ではないかと我に返った。ジャーネも同じ疑問を口にし、三人はあらためて自分達のデート経験のなさを思い知らされた。
筋肉集団の訓練
公園では、マスクド・ルネッサンスことボンバー内藤が、男達を率いて筋肉訓練を行っていた。彼らは素行不良の傭兵を更生させるクラン、マッスルハッスルズとして知られていた。ゼロスはゲーム時代の知人である彼に見つかれば筋肉訓練に巻き込まれると考え、関わらないようにした。
筋肉からの撤退
マッスルハッスルズは、公園で奇妙な筋肉ダンスを始めた。子供や大人達まで集まり、公園は異様な盛り上がりを見せた。ルーセリスは幻聴のように筋肉礼賛が聞こえると言い、ゼロス達は洗脳される前に公園を離れ、宝石店へ行くことにした。
地下の仕分け作業
一方、ゼロス邸の地下では、アドとエロムラが旧時代兵器の分解を続けていた。アドの作業は速く、エロムラは山のように積まれる部品の仕分けに追われた。危険物も混ざっていたため精神的に消耗し、エロムラは休憩を求めようとした。
エロゲー談話
作業に疲れたエロムラは、アドに現実とエロゲーの違いについて唐突に語り出した。アドは、ありえないからこそ背徳的なシチュエーションに興奮するのだと返し、話は非モテとヤンデレ妻の苦労へとずれていった。エロムラはアドをリア充と羨んだが、アドにはユイに追い詰められる別種の苦労があった。
アドの寄り道
エロムラが休憩を求めていた間、アドは小型ゴーレムを作って遊んでいた。某勇者ロボのような変形合体可能な力作で、アドはその再現度を誇った。エロムラは自分が仕分け作業をしている間に遊んでいたことへ怒ったが、アドもまたゼロスと同類のオタク気質を持つ人物だった。
第十一話 おっさん、婚約する
大砲開発の無理難題と婚約指輪
大地の無茶な命令
笹木大地は、佐々木学が率いる武器開発班の部屋へ乱暴に入り、大砲をすぐ作れと命じた。ドラゴン退治を八坂学に押しつけるための武器が必要だったが、佐々木学は鋳造技術も材料も人手も不足しており、量産どころか試作品すら危険だと説明した。大地はそれでも命令を押しつけ、現場は火縄銃の量産を止めて大砲の試作へ取りかかることになった。
アサルトライフルの脅威
大地がソリステア魔法王国でアサルトライフルが開発されていると漏らすと、佐々木学は神国の危機を理解した。魔法国家が銃を得れば、火縄銃では対抗できず、戦争の形は騎士同士の戦いから現代兵器による一方的な虐殺へ変わる可能性があった。大地はようやく青ざめたが、目先のドラゴン対策として大砲を求める態度は変わらなかった。
宝石店の入り口
ゼロス達はサントールの宝石店、ジュエリー・サンシャインへ向かった。魔導具や装飾品に興味はあっても、生活が苦しいジャーネにとって店の入り口は非常に敷居が高かった。ルーセリスに背中を押され、ゼロスも気軽に入店したが、ゼロスは宝飾品を素材や魔導具としてしか見ておらず、女性が惹かれる理由を理解していなかった。
高価な魔導具
店内にはアクセサリーや魔石を使った魔導具が並んでいたが、ゼロスから見れば性能の低い使い捨て品が高額で売られているだけだった。一方、ジャーネは野営に便利そうな水を生み出す指輪などに目を輝かせたが、価格を見て購入を諦めた。ゼロスは材料があれば自分で作ると軽く言ったが、二人は彼の価値観が一般常識から外れていると改めて感じた。
婚約指輪の注文
ゼロスは二人に指輪を買おうと提案したが、ルーセリスとジャーネは反射的に断った。しかし、二人の表情がまんざらでもないことを見抜いたゼロスは、店員にミスリル製の婚約指輪を三点注文した。突然の注文に二人は慌てたが、店は演出付きでオーナーを呼び出した。
病んだオーナー
現れたオーナーは、恋愛や結婚を呪うような前口上で婚約指輪を紹介し始めた。過去に妻から裏切られたことで女性不信に陥り、愛を幻想だと語るほど心を病んでいた。ゼロスは彼の話を肯定しつつ、妻が特殊だっただけで、まだ幸せを掴めると視点をずらした。オーナーはそれを受けて立ち直り、お見合いで人生をやり直す気になった。
逃げるジャーネ
ゼロスが婚約指輪を買う流れを進めると、ジャーネは恥ずかしさと戸惑いから逃げ出そうとした。ゼロスは彼女の手を掴み、逃がすつもりはないと抱き寄せた。恋愛症候群の衝動も重なり、ジャーネはゼロスを強く意識し、自分が彼に惹かれていることをはっきり自覚した。
婚約の成立
ゼロスは、以前正式にプロポーズした以上、逃げ続けるのは卑怯だとジャーネに答えを求めた。ジャーネは奇病に流されることへの抵抗を口にしたが、最後には観念して指輪を選ぶことになった。ルーセリスはその様子を見て満足し、密かに婚姻届を出す計画まで考え始めた。ゼロス達三人は指輪を購入し、店員達の祝福を受けながら婚約を果たした。
閑話 イリス、ソロ活動をしてみる
イリスの単独依頼と殴り魔導士
初めてのソロ依頼
ジャーネがゼロスとルーセリスとのデートに出かけ、レナも不在だったため、イリスは初めて一人で傭兵依頼を受けた。内容は農村近辺に出没する三匹のオーク討伐であり、イリスの実力なら達成可能な依頼だった。彼女は村長への挨拶を済ませ、森でオークの気配を探り始めた。
森の探索
イリスは木の上から慎重に周囲を観察し、気配を探ったが、見つけたのはツインホーンラビットだった。オークの姿はなく、彼女は移動しながら薬草の採取も行った。草木や蔦が絡む森の中で擦り傷を負いながらも、匂いで気づかれないよう薬の使用を控え、優位を失わないよう慎重に行動した。
殴り魔導士の自覚
イリスは、冷静に相手を探り、一撃で仕留めることを考えていた。そこで自分の思考が魔導士というより武闘家や狩人に近いことに気づいたが、依頼達成を優先して深く考えなかった。実際には、彼女は殴り魔導士どころか格闘家の道へ進み始めていた。
一匹目の奇襲
森の奥で一匹目のオークを見つけたイリスは、匂いが届かないようエア・シールドで薄い風の幕を張った。木の上から飛び降り、頭部へ近づいた瞬間に耳をエストックで刺し貫き、一撃で仕留めた。その動きは魔導士ではなく、隠密や武闘家のような早業だった。
二匹目の討伐
イリスはすぐに木の上へ戻り、仲間の死体に近づいてきた二匹目のオークを待った。冷静さを失った相手を好機と見て、インベントリーから弓と矢を取り出し、頭部と心臓を同時に射抜いた。これで二匹目も即死し、残る標的は一匹となった。
少年少女の苦戦
最後のオークを見つけたイリスは、それが少年少女の駆け出し傭兵パーティーと戦っている場面に出くわした。彼らは自信だけで格上に挑んでおり、魔物の特性を理解していなかった。リーダー格の少年がオークの棍棒で吹き飛ばされて気絶し、残りの仲間達も完全に怯えていた。
横入りの許可
傭兵の暗黙の了解として他者の獲物を奪うことは禁じられていたため、イリスはすぐには手を出さなかった。しかし少年達では勝てないと判断し、依頼対象のオークを狩ってもよいか確認した。少年達は戸惑いながらも了承し、イリスは戦闘へ入った。
格闘での圧倒
オークはイリスを大した相手ではないと見て襲いかかったが、彼女は懐へ飛び込み、掌底を腹部に叩き込んだ。悶絶して前屈みになったところへアッパーカットを入れ、さらに回し蹴りで吹き飛ばした。倒れたオークにナイフを突き立て、イリスはあっさり三匹目を討伐した。
信じられない魔導士
少年達はイリスの戦いぶりを見て、武闘家か格闘家だと思い込んだ。イリスは自分が魔導士だと説明したが、最後まで信じてもらえなかった。その後、殴り魔導士になってしまったことに落ち込んだものの、依頼達成のため討伐証明の素材を剥ぎ取ることにした。
剥ぎ取りの試練
魔石や皮、牙の回収までは問題なかったが、討伐証明には錬金術素材でもあるオークの睾丸も含まれていた。イリスは戦闘とは別の意味で厳しい試練に直面することになった。
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