アラフォー賢者11巻レビュー
アラフォー賢者まとめ
アラフォー賢者13巻レビュー
- どんな本?
- 読んだ本のタイトル
- あらすじ・内容
- 感想
- 考察・解説
- 登場キャラクター
- 展開まとめ
- プロローグ おっさん、大いに困る
- 第一話 おっさんが必死で誤魔化していた頃、かの地では……
- 第二話 ディーオは誘いに乗りミスカは企む
- 第三話 ツヴェイト、 温泉へ誘われる
- 第四話 おっさん、調査依頼を受ける
- 第五話 ツヴェイト、遅まきながら休暇に入りました
- 第六話 シャランラと亡霊達の動向
- 第七話 クロイサスの暴かれた罪
- 第八話 異変調査中のおっさん達とセレスティーナの好み
- 第九話 エロムラは扇動し男達は暴走す
- 第十話 おっさんは捜査中で、覗き魔達は不幸になる
- 第十一話 おっさん、再びメーティス聖法神国の地に立つ
- 第十二話 おっさん、メーティス聖法神国へ ~滅魔龍、爆誕~
- 第十三話 おっさん、警鐘で起こされる
- 第十四話 おっさん、防衛戦を眺める
- 同シリーズ
- その他フィクション
どんな本?
■ 作品概要
本作は、地球から剣と魔法の世界へ転生したアラフォーの主人公・ゼロスが、規格外の能力を持ちながらものんびりとした生活を目指す異世界ファンタジーである。 第12巻では、ついに次世代の観測者である邪神ちゃんことアルフィア・メーガスが完全復活を遂げる。彼女は世界を取り戻すべく単独で行動を開始し、四神の一柱である風の女神ウィンディアを捕縛して管理権限を奪う。一方でゼロスとアドは、デルサシス公爵から国境付近で発見された不審な「ミイラ化死体」の調査依頼を受け、メーティス聖法神国へと向かう。そこでは、前巻で討伐された姉・シャランラら悪党の魂に乗っ取られた元勇者の怨霊が、大量のゾンビを生み出して暴走するパンデミックを引き起こしていた。ルナ・サークの街でゾンビの防衛戦に苦戦する勇者・八坂学たちの前に、自作の「魔導銃」を手にしたゼロスたちが現れる。同時に、リサグルの温泉街ではイストール魔法学院の学生たちによる前代未聞の覗き騒動が勃発する。
■ 主要キャラクター
- ゼロス:【大賢者】の職業を持つ転生者のアラフォー。デルサシス公爵の依頼でミイラ化事件を追う。自作した「魔導銃」や「軽ワゴン」などを投入し、ファンタジー世界で規格外の威力を発揮してしまう。
- アド:ゼロスと同郷の転生者。身重のユイを過剰に心配する愛妻家。ゼロスと共に調査へ向かい、強力すぎる現代兵器が異世界にもたらす影響を危惧している。
- アルフィア・メーガス:復活を遂げた元邪神の少女。ウィンディアから管理権限を奪い、自分に助けを求めた元勇者たちの魂に新たな肉体を与え、「滅魔龍ジャバウォック」として解き放つ。
- 八坂学:メーティス聖法神国に召喚された勇者の一人。ルナ・サークの街でゾンビの大群による襲撃に巻き込まれ、聖騎士団と共に絶望的な防衛戦を強いられる。
- ツヴェイト:ソリステア公爵家の長男。リサグルの温泉宿でエロムラたちが起こした覗き騒動に呆れつつも、エルウェル子爵家の令嬢クリスティンと運命的な出会いを果たす。
- エロムラ:ツヴェイトの護衛の転生者。リサグルの大衆浴場でスキル【鼓舞咆哮】を無意識に発動させ、男たちを扇動して女湯への覗き騒動という暴動を引き起こす。
- シャランラ(大迫麗美):ゼロスの実姉の遺灰からなる悪霊。盗賊の魂を取り込んで元勇者の群霊を乗っ取り、殺した人間をゾンビ化させて大群を率いる凶悪な存在へと変貌した。
■ 物語の特徴
本作の特徴は、主人公たちが神すら凌駕するチート能力や知識を持ち、アサルトライフルなどの現代兵器(魔導銃)や自動車を平然とファンタジー世界に持ち込んでしまう点にある。それによって生じる軍事バランスの崩壊を危惧するメタ的な視点が描かれるのが興味深い。また、国家に使い捨てられる勇者の悲哀や、バイオハザードさながらのシリアスなゾンビパニックが展開される一方で、温泉街で繰り広げられる「男の覗き魔軍」対「女性防衛軍」というギャグ全開のドタバタ劇が同時進行する温度差も、他の作品とは一線を画す大きな魅力となっている。
読んだ本のタイトル
アラフォー賢者の異世界生活日記 12
著者:寿安清 氏
イラスト:ジョンディー 氏
出版社:KADOKAWA(MFブックス)
発売日:2020年4月25日
ISBN:9784040645810
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あらすじ・内容
邪神ちゃん、ついに復活!
ブリザード・カイザードラゴンを討伐後、サントールの街に帰還したゼロスは、この街に実の姉・シャランラが来ていることを知り、積年の恨みを晴らすべく復讐計画を立てる。その計画が面白いように成功し、シャランラは賞金稼ぎに殺されるという最期を迎えるのだった。
そんなある日、ついに邪神ちゃんこと【アルフィア・メーガス】が復活する。だが、彼女を復活させた張本人であるおっさんは、デルサシス公爵から国境付近で発見された変死体の調査を依頼され、しばらくサントールの街を不在にすることになり……。
「いつ戻るか分からぬのじゃろ? なら、我も少し早いが動くべきかもしれぬ……」
まだ完全復活とはいかないものの、彼女はこの世界を取り戻すべく単独で行動を開始した! 邪神改め女神・アルフィアの待ちに待った反攻が今、始まる!!
アラフォー賢者の異世界生活日記 12
感想
邪神復活による世界規模の危機と、温泉街で繰り広げられるいつもの騒動が同時進行する、本作らしい温度差を存分に楽しめる一冊だった。シリアスな戦いが続く一方で、思わず吹き出してしまうギャグも健在で、最後まで飽きることなく読み進めることができた。
まず印象に残ったのは、ついに本格的に動き始めた邪神アルフィアの存在である。
これまで地下で力を蓄えていた彼女が、復讐の第一歩として四神の一柱である風の女神をあっさり封印してしまう展開には驚かされた。ようやく四神への反撃が始まったという高揚感があり、物語が大きく動き始めたことを実感する。
さらに、四神に利用され、転生すら許されなかった勇者や異世界人たちの怨念へ力を与え、「滅魔龍ジャバウォック」として復活させる展開も非常に興味深かった。
単なる悪役ではなく、理不尽な運命を押し付けられた者たちの怒りが形になっているため、一概に否定できない複雑さがある。四神が積み重ねてきた歪みが、ようやく表面化したようにも感じられた。
その中でも最も驚いたのは、前巻で死亡したはずのゼロスの姉・シャランラが、レギオンの中に紛れ込んでいたことである。
盗賊たちの魂を取り込み、怨念の集合体の主導権を奪ったかと思えば、本体から分離して好き放題暴れ始める姿は、死んでもなお迷惑しかかけない彼女らしさ全開だった。
転生できないからとはいえ、その執念深さは異常であり、「本当にしつこい」という感想しか出てこない。それでも、この作品らしいブラックユーモアとして笑ってしまう場面でもあった。
一方で、シャランラが生み出したゾンビの大群によって、メーティス聖法神国のルナ・サークが襲撃される防衛戦は非常に読み応えがあった。
勇者・八坂学と聖騎士団だけでは押し返せない絶望的な戦況の中、ミイラ化事件を調査していたゼロスとアドが戦線へ加わる展開は非常に熱い。
特に印象的だったのは、二人が自作した魔導銃による戦闘である。
現代兵器の発想と魔法技術を融合させた武器は、ファンタジー世界では完全に規格外の存在となっており、圧倒的な火力でゾンビの群れを蹴散らしていく様子には爽快感があった。
その一方で、こんな兵器が量産されたら世界の軍事バランスが一変してしまうだろうという危うさも感じさせられる。
そんなシリアスな戦いとは対照的に、リサグル温泉街で繰り広げられる騒動は相変わらずくだらなく、本作らしい魅力に溢れていた。
休暇を満喫していたイストール魔法学院の面々だったが、護衛役のエロムラが無意識にスキルを暴走させたことで、男たちが次々と覗きへ向かってしまう展開には思わず笑ってしまう。
その結果、女性陣との大乱闘へ発展してしまう流れも実に本作らしく、世界が滅びかけている最中でも平然とこんな騒動を描いてしまうバランス感覚には感心させられた。
シリアスとギャグをここまで極端に行き来しながらも、不思議と作品全体の面白さが損なわれないのは、『アラフォー賢者の異世界生活日記』ならではの魅力だと改めて感じる。
邪神アルフィアによる反撃が本格化し、四神との戦いも新たな局面へ突入した一方で、ゼロスたちの日常は相変わらず騒がしく、笑いが絶えない。
世界の命運を左右する壮大な物語と、くだらない日常のギャップを最後まで楽しめる、大満足の一冊だった。
最後までお読み頂きありがとうございます。
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アラフォー賢者11巻レビュー
アラフォー賢者まとめ
アラフォー賢者13巻レビュー
考察・解説
アルフィアの復活と衣服問題
『アラフォー賢者の異世界生活日記 12』において描かれる「邪神アルフィアの完全復活」は、世界管理の根幹に関わる重要な転換点であると同時に、邪神の圧倒的な威光と衣服調達を巡る世俗的なドタバタ劇が交錯するエピソードである。
全裸での復活がもたらした衣服問題、神の力が秘める大陸消滅の危機、周囲の壮絶な誤解、そして四神への復讐と権限奪還にいたる全容は以下の通りである。
全裸での復活と下着購入を巡る男たちの葛藤
かつて世界の管理者でありながら失敗作として封印されていた邪神アルフィア・メーガスは、ゼロスたち転生者の介入によってついに復活を遂げた。
・頭部に白銀の角、背中に十二の金色の翼を持つ美しい少女の姿で現れたが、復活直後は全裸であった。
・ゼロスとアドは復活の挨拶を交わすよりも先に、いい歳をした男二人が店で女性用下着をどう買うか、という社会的な大問題に直面した。
・店員から奇異の目で見られる羞恥心や通報リスクを恐れ、互いに責任を押し付け合って激しい議論を交わす間、アルフィアは全裸のまま長時間放置されることとなった。
物質創造による大陸消滅の危機
店への買い出しを嫌ったアドは、神であるアルフィア自身に物質を構築させて服を作らせればいいのではないか、と提案した。
・しかし、高位次元の超エネルギー生命体である彼女が無から物質を生み出そうとすると、周辺の原子を集める過程で瞬間的に数億度の熱量と核爆発級の衝撃波、さらに膨大な放射線が発生することが判明した。
・アルフィア自身も、加減に失敗すると大陸一つが消滅してもおかしくはない、と語り、服一着を作るだけで世界が滅びかねない神の力の物騒さが浮き彫りとなり、自作案は即座に却下された。
ルーセリスによる壮絶な誤解と衣服問題の決着
ゼロス、アド、クレストンの男三人が全裸の少女を前に深刻な顔で議論している様子を、いつの間にか背後にいたルーセリスが目撃していた。
・彼女はその異様な光景から、三人が少女性愛趣味の犯罪者であると完全に勘違いし、虚ろな目で硬直してしまう。
・牢獄送りを恐れたゼロスたちは、アルフィアを自分が作り出したホムンクルスであると偽り、1時間近くかけて必死に誤解を解いた。
・最終的に衣服問題は、クレストンがかつて孫娘のセレスティーナに着せようとして拒絶された古着(黒と赤のゴスロリ衣装)を提供することで解決した。
外なる神々の思惑と風の女神ウィンディアの封印
アルフィアが復活できた背景には、システム上この世界に直接干渉できない外側の神々の思惑があった。彼らは地球から転生者を送り込み、アルフィアの手で現在の管理者である四神から強引に権限を奪わせようと計画していた。
・復活後、アルフィアは自身から管理権限を奪った四神への復讐を開始した。
・ファーフラン大深緑地帯の上空で四神の一柱である風の女神ウィンディアを物理法則を超えた速度で捕縛し、その腹部に手刀を突き入れて管理権限の情報マテリアルを強制的に奪い取った。
・神の座から引きずり下ろされたウィンディアは永遠の闇の中へと封印され、アルフィアは力の一部を取り戻した。
滅魔龍ジャバウォックの誕生
四神の残り三柱は聖域に引きこもっており、アルフィアが直接手出しできない状態であった。
・そこで彼女は四神をおびき出すための囮として、神国と四神に使い捨てにされた元勇者たちの怨念の集合体(黒き獣)を利用することにした。
・自身が完全体になれば魂を回収して元の世界へ送り返す、という条件で勇者たちと取引を結ぶ。
・肥大化して動けなくなっていた彼らの肉体を、四本の腕と四本の後ろ足、二対の翼を持つ漆黒の龍へと作り変え、滅魔龍ジャバウォックと名付けて解き放った。
まとめ
邪神アルフィア・メーガスの復活は、世界を揺るがす神々の権力闘争の幕開けでありながら、衣服の確保という極めて世俗的な問題から始まる二面性を持ったエピソードである。服一着の創造で大陸を消滅させかけ、周囲に犯罪者と誤解されるコミカルな描写の裏では、外なる神々の陰謀や、風の女神ウィンディアの権限強奪、元勇者たちの怨念を用いた滅魔龍ジャバウォックの創造といった冷酷な復讐劇が着実に進行している。この圧倒的な神の威力と人間味溢れるドタバタ劇のギャップこそが、彼女を取り巻く物語の大きな魅力となっている。
勇者の怨念と滅魔龍誕生
『アラフォー賢者の異世界生活日記 12』において描かれる「勇者の怨念と滅魔龍誕生」は、神々と国家に使い捨てられた異世界人たちの深い憎悪と、完全復活を目論む邪神アルフィアの利害が一致して生まれた、恐るべき復讐の魔獣のエピソードである。
不条理な最期を遂げた魂が群霊を形成するに至った経緯、主導権を奪われた悲劇、細胞増殖による肉体の暴走、そして邪神との契約により誕生した滅魔龍の全容は以下の通りである。
勇者たちの怨念と群霊の形成
過去に異世界からメーティス聖法神国や四神によって召喚され、政治的に利用された挙げ句に理不尽に殺害された勇者や異世界人たちの魂は、異世界の魂ゆえに輪廻転生の円環に還ることができず、世界を彷徨い続けていた。
・彼らは神国と四神に対して激しい憎悪と復讐心を抱いていたが、個別の魂では力が弱かったため、同類同士で融合して強力な群霊(レギオン)を形成した。
・さらに、勇者システム(スキル)の変質により、憑依した生物の肉体を自らの意のままに作り替える能力を獲得した。
シャランラによる乗っ取りと制御不能の悲劇
形成された群霊の一部は、ゼロスの実姉・シャランラの遺灰を媒体にして肉体を構築した。
・彼らはより強い力を得るために悪党である盗賊たちを襲って魂を取り込んだが、それが致命的な敗因となる。
・群霊の主導権は、シャランラや盗賊の悪霊たちに奪われてしまった。
・本来の勇者たちは無関係な民間人を殺す意思を持っていなかったが、シャランラに操られた肉体は本能のままに生者を襲うゾンビ大群と化した。
・これにより、勇者たちは、誰かこの邪悪な存在を止めてくれ、と悲痛な願いを抱くことしかできなくなった。
肉体の暴走による肥大化と絶望
一方、ファーフラン大深緑地帯にいた別の群霊は、魔物の肉体に憑依し、力を蓄えるために他の魔物の因子を次々と取り込んでいた。
・しかし、他の生物の因子を完全には制御できず、無茶な細胞増殖を繰り返した結果、肉体は癌細胞のように暴走してしまった。
・最終的に、元の鼠の体は空を飛ぶことも歩くこともできないほどの巨大な肉の塊に肥大化し、その場から動けなくなるという絶望的な状況に陥った。
邪神アルフィアとの契約による救済の提示
身動きが取れなくなった巨大な肉塊の前に、復活した邪神アルフィア・メーガスが現れる。
・アルフィアは彼らの正体を見抜き、自らが狙う四神を聖域から引きずり出すための囮として利用しようと考えた。
・彼女は、自身が四神から管理権限を取り戻して完全体になれば、勇者たちの魂を回収して元の世界へ帰還させる、という条件を提示した。
・自力では復讐も移動もできず詰んでいた勇者たちは、元の世界へ帰ることを望んでアルフィアの提案を受け入れ、両者の間に誓約が結ばれた。
滅魔龍ジャバウォックの爆誕と断罪の旅立ち
契約が成立すると、アルフィアは巨大な肉塊に直接力を流し込み、勇者たちが思い描く強者の姿へと肉体を強制的に変質させた。
・激痛を伴う骨格や筋肉の再構築を経て、肉塊は四本の腕と四本の後ろ足、二対の翼を持ち、全身を漆黒の鱗に覆われた強大な龍へと生まれ変わった。
・アルフィアはこの復讐の魔獣を、四神とそれに連なる者達に裁きを与える断罪の獣、とし、滅魔龍ジャバウォックと名付けた。
・新たな体と力を得たジャバウォックは、体を慣らすために強大な魔物を求めて大空へと飛び去り、約三ヶ月後にメーティス聖法神国を襲撃することとなる。
まとめ
勇者の怨念から生み出された滅魔龍ジャバウォックの誕生は、異世界召喚システムの被害者である転生者たちの悲痛な憎悪が、邪神の復讐劇と結びついた最悪の結末である。主導権を奪われゾンビ化した一派の悲劇や、制御を失い肉塊と化した絶望を経て、アルフィアの手で漆黒の龍へと新生したその姿は、世界の不条理を体現している。元の世界への帰還を条件に四神への囮となることを承諾したジャバウォックは、神国と四神の欺瞞を打ち砕く断罪の獣として、世界を大いなる混沌へと導く存在となった。
温泉地リサグルでの交流と騒動
『アラフォー賢者の異世界生活日記 12』において、一大温泉地として発展した隣国アルトム皇国の「リサグルの町」では、複数のグループが異なる事情から集結し、前代未聞の覗き騒動や意外な交流が巻き起こる。
様々な思惑と偶然が重なった温泉旅行の計画から、大衆浴場での大乱闘、覗き魔たちの悲惨な末路、そしてツヴェイトとクリスティンの甘酸っぱい出会いにいたる全容は以下の通りである。
複数のグループによる温泉旅行の計画と背景
物語の中盤、それぞれのグループが異なる経緯からリサグルの町への温泉旅行を計画し、同時進行で現地へと向かった。
・ディーオと学院生たちの思惑:地下都市イーサ・ランテに派遣されているディーオは、セレスティーナへの片思いを進展させるため、メイドのミスカの策略によって譲渡された宿泊券を利用し、ツヴェイトやエロムラら友人を誘って温泉旅行を計画した。セレスティーナたちも遅まきながらの休暇を利用してリサグルへと出立した。
・ジャーネの福引き大当たり:サントールの街では、傭兵のジャーネが福引きでリサグル温泉宿泊券を引き当てた。ゼロスが調査依頼で街を離れたため、最終的に予定の空いていたイリスと二人で温泉へ行くことになった。ゼロスから半ば強引に貸し出された魔導車により、ジャーネは道中で激しい車酔いに苦しむこととなる。
・クリスティンへの強制休暇:エルウェル子爵家の次期当主であるクリスティンは、過労状態に陥っていた。母のマルグリットや家庭教師の老魔導士サーガスが休養とドワーフの鍛冶職人探しを目的とした旅行を提案し、騎士から譲り受けた無料宿泊券を用いて、サーガスやイザートの三人でリサグルへ向かった。
大衆浴場での変態侵攻軍対女性防衛軍の大乱闘
一大温泉地に主要キャラクターたちが集結する中、男湯でのある暴挙をきっかけに前代未聞の騒動が勃発する。
・男湯にて、温泉で倫理観を失ったエロムラが女湯を覗こうと熱弁を振るい、職業スキルである鼓舞咆哮を無意識に発動させてしまう。
・これにより理性を失った男たちが変態侵攻軍と化して女湯の仕切り壁に殺到する事態となった。
・一方の女湯では、クリスティンの低級魔法やミスカの過激な迎撃命令のもと、女性客が一致団結して女性防衛軍となり、風呂桶や魔法を飛び交わせて応戦する壮絶な大乱闘へと発展した。
サーガスの武力介入と覗き魔たちの悲惨な末路
この馬鹿げた戦争は、サウナから出てきたエルウェル子爵家の老魔導士サーガスによって終結する。
・彼は鍛え抜かれた筋肉と戦闘技術を駆使し、無防備な女を襲うような愚か者を合法的に殴り飛ばせる、と喜々として覗き魔たちを蹂躙し、次々と気絶させて衛兵に引き渡した。
・捕縛されたエロムラや学院生たちは、牢屋でそっち系の男から迫られるという凄まじい恐怖を一晩中味わうことになる。
・さらに釈放後、そのトラウマ体験をセレスティーナたち(腐女子)に興味津々で聞かれ、社会的な死を悟って泣きながら逃げ出すという悲惨な末路を辿った。
ツヴェイトとクリスティンの出会いと世代を超えた意外な繋がり
騒動の裏では、若者たちの甘酸っぱい出会いと、公爵家や子爵家の関係者たちの間で奇縁が繋がる穏やかな交流が持たれた。
・甘酸っぱい出会い:騒動の中、露店で一口饅頭を食べていて難を逃れたツヴェイトは、宿へ向かう途中でよそ見をしており、クリスティンとぶつかってしまう。倒れそうになった彼女を受け止めたことで二人は抱き合う形となり、互いに胸を高鳴らせる出会いを果たした。
・旧友との判明:この出会いをきっかけに、サーガスがツヴェイトの祖父・クレストンとかつて拳で語り合った旧友であり、ツヴェイトたちが戦術の参考にしている論書の著者であることが判明する。
・奇縁の繋がり:さらに、獣人少女のウルナがサーガスの養女であることも発覚し、ソリステア公爵家とエルウェル子爵家の関係者たちの間で穏やかな交流の場が持たれた。
・騒動の例外:なお、魔導車でリサグルに到着したものの激しい車酔いでダウンしていたジャーネと、その同行者イリスの二人だけは、この騒動に一切巻き込まれることなく別の宿で平和な観光を満喫していた。
まとめ
リサグルの町で起きた温泉騒動は、様々な偶然や宿泊券の譲渡が重なって集まったキャラクターたちが一堂に会する、賑やかでコミカルな一大エピソードである。エロムラの暴走が招いた大乱闘と覗き魔たちの社会的な死というドタバタ劇の裏側で、ツヴェイトとクリスティンの運命的な出会いや、祖父の代から続くサーガスとの旧友関係の露呈など、今後の人間関係を発展させる重要な繋がりがいくつも形成された。激しい車酔いで難を逃れたジャーネの動向も含め、キャラクターたちの個性が温泉街という舞台で見事に交錯した一幕となっている。
ゾンビの群れとルナ・サーク防衛戦
『アラフォー賢者の異世界生活日記 12』において描かれる「ゾンビの群れとルナ・サーク防衛戦」は、シャランラの遺灰を媒体にした悪霊たちが引き起こしたパンデミックと、それに立ち向かう勇者やゼロスたちの激闘を描いたエピソードである。
生者の魔力を求めて暴走する異常なゾンビの性質から、神国守備隊の失策、神聖魔法すら通じない絶望的な籠城戦、そしてゼロスとアドによる規格外の現代兵器を用いた武力介入にいたる全容は以下の通りである。
生者の魔力を求めて暴走する異常なゾンビの襲来
シャランラら悪霊に乗っ取られた元勇者の群霊が、本能のままに生者の魔力(血液)を求めて暴走し、メーティス聖法神国の街ルナ・サークへと迫った。
・このゾンビは移動速度が異常に速く、襲われた人間を即座にゾンビ化して仲間を増やす凶悪な性質を持っていた。
・その暴走は、原因となったシャランラ自身にも制御不能な状態に陥っていた。
守備隊の油断と独断による傭兵部隊の全滅
ルナ・サークはソリステア魔法王国との交易断絶などにより疲弊しており、防衛の予算や人手も不足していた。
・防衛の総指揮を執るのは勇者である八坂学であったが、功を焦った守備騎士隊の隊長が学に指示を仰がず、独断で傭兵たちを先発隊として出撃させてしまう。
・草むらに潜んでいた千を超えるゾンビの奇襲を受け、傭兵部隊は瞬く間に全滅した。
・全滅した傭兵たち自身もゾンビとなり、敵勢力を一気に拡大させる最悪の結果を招いた。
浄化が効かない絶望的な防衛戦と防備の崩壊
守備側は街門を閉じて籠城戦に移行したものの、襲来したゾンビにはアンデッドに有効なはずの神聖魔法(浄化)がまったく通じなかった。
・火矢で燃やしても逆に炎を力に変えて向かってくるという異常な耐性を持っていた。
・これは、死体を動かしている群霊の残滓の中に、元勇者たちのスキルの耐性が含まれていたためである。
・ゾンビは凄まじい膂力で防壁をよじ登り、負傷した衛兵も次々とゾンビ化して防壁上で仲間を襲い始めた。
・学は光刃斬撃でゾンビを切り刻んで奮闘するが、バラバラにされた部位すら黒い霧を流して動き続ける生命力を前に、防衛線は崩壊寸前まで追い込まれた。
ゼロスとアドの武力介入と魔導銃による蹂躙
街のボロ宿で警鐘に叩き起こされたゼロスとアドは、姿を隠して防衛戦を観察していたが、門がこじ開けられそうになっている絶体絶命の状況を見て、ついに武力介入を決断する。
・不気味な仮面で素顔を隠した二人は防壁の上に現れ、自作の現代兵器である魔導銃(M4カービンやウィンチェスターM13など)を取り出した。
・フレア・バーストなどの魔法を付与した弾丸を放ち、規格外の魔力が込められた銃弾は、着弾と同時に二〇〇〇度を超える熱量と大爆発を引き起こした。
・この圧倒的な火力により、押し寄せるゾンビの群れを瞬く間に粉砕していった。
勇者の問いの拒絶と大群への突入
規格外の武器と圧倒的な魔法行使を目の当たりにした学は、二人が転生者ではないかと問い詰める。
・しかしゼロスは答える義務も時間もないと会話をあっさりと拒絶した。
・二人は学を置き去りにして、無数のゾンビがひしめき合う防壁の下へと直接飛び降り、さらなる戦闘へと身を投じていった。
まとめ
ルナ・サーク防衛戦におけるゾンビの襲来は、元勇者たちの強力なスキル耐性を引き継いだ群霊の暴走により、一国の防衛網を容易に瓦解させるほどの絶望的な脅威として描写されている。神国側の慢心と独断が被害を拡大させ、神聖魔法すら無効化される中で、ゼロスとアドが放った魔導銃の火力は、世界の理不尽を強引にねじ伏せる圧倒的なものであった。勇者である八坂学の困惑を余所に、素性を隠したまま戦場を蹂躙し大群へと突入していく二人の姿は、転生者としての規格外の格の違いと、今後の世界の行く末を左右する強力な個の力を象徴するエピソードとなっている。
ゼロスとアドの異変調査
『アラフォー賢者の異世界生活日記 12』における「ゼロスとアドの異変調査」は、デルサシス公爵からの依頼を皮切りに、凄惨な事件現場の調査から、最終的にメーティス聖法神国での大規模なゾンビ防衛戦へと発展していく一連のエピソードである。
国境付近で発生した異常なミイラ化事件の端緒から、魔導車による移動と新兵器の談義、難民村で遭遇した惨劇、そしてルナ・サークでの決死の武力介入にいたる全容は以下の通りである。
デルサシス公爵からの不審な遺体調査依頼と報酬の提示
ゼロスとアドはデルサシス公爵から呼び出され、国境付近で発見された不審な遺体の調査を依頼された。
・最初の被害者は盗賊であり、外傷がほとんどないにもかかわらず、体内の血液がすべて抜き取られミイラ化しているという異常な状態であった。
・二人がドレイン系の魔物や吸血鬼の可能性を口にしたため、公爵に上手く誘導される形で、原因の特定と討伐を含めた調査依頼として引き受けることとなる。
・アドは、身重のユイと暮らすための家を報酬として提示され、即座に依頼を承諾した。
魔導車による移動と技術革命がもたらす戦争の変化
二人はゼロスが自作した軽ワゴン型の魔導式モートルキャリッジに乗り込み、目的地へと向かった。
・道中、馬車よりも速く部隊を展開できる機動力を持つ車の軍事利用や、メーティス聖法神国の火縄銃に対する優位性など、技術革命がもたらす戦争の変化について語り合った。
・さらにゼロスがライフルや拳銃などの魔導銃を密かに制作していたことが判明し、アドはその危険性を強く警戒する。
・また、アドが道標を見落として何度も道を間違えるという、凄まじい方向音痴であることも発覚した。
ボンバ砦での検死と難民村におけるミイラ化の惨劇
ボンバ砦に到着した二人は、責任者であるルガー・ガンスリング団長の案内で霊安室を訪れた。
・医者の解剖結果により、被害者は胃袋を通じて体内の血液を奪われていたことが判明する。
・さらに北西で同様に殺された盗賊十三人の遺体が見つかったとの報告を受け、その進路上にあるメーティス聖法神国からの難民村へと急行した。
・しかし、到着した時には村人は老若男女を問わず全員ミイラ化して殺されており、生存者は一人もいなかった。
・直後、遺体が一斉にアンデッド化して動き出したため、二人は彼らを浮かばせ、周囲への被害拡大を防ぐために村ごと火葬する決断を下した。
ルナ・サークへの潜入と魔導銃を用いた決死の武力介入
難民村の調査を終え、メーティス聖法神国の街ルナ・サークへと向かう森の中で、ゼロスは魔導銃(ホーワM1500)の試し撃ちを行い、極力魔力を抑えたにもかかわらず対象の頭部を完全に吹き飛ばす規格外の威力を確認した。
・ルナ・サークに到着した二人は、街が交易断絶により寂れ、治安が悪化している状況を目の当たりにする。
・広場に勇者(八坂学)と聖騎士団がいるのを見かけたため、素性を隠してボロ宿に宿泊した。
・翌朝、警鐘の音で叩き起こされた二人は、進路上の村々を襲って勢力を拡大したゾンビの大群が街に迫っていることを知る。
・魔法で姿を隠して防壁から防衛戦を観察していたが、負傷した衛兵が瞬く間にゾンビ化して仲間を襲い始める惨状を目撃し、ゼロスはウィンチェスターM13の魔導銃でゾンビ化した衛兵を狙撃した。
・街門が突破されそうになる絶体絶命の状況を見て、二人はついに武力介入を決断する。
・不気味な仮面で顔を隠して防壁の上に現れると、魔導銃(M4カービンとウィンチェスターM13)にフレア・バーストなどの魔法を付与して放ち、高熱と爆発でゾンビの群れを瞬く間に粉砕した。
・勇者の学から転生者か、と問われるが、ゼロスは答える義務も時間もないと会話を拒絶し、二人は無数のゾンビがひしめく防壁の下へと直接飛び降りていった。
まとめ
ゼロスとアドによる異変調査は、国境地帯の小規模な怪奇事件から始まり、最終的には一国の防衛線を揺るがす国家規模のゾンビハザードへと巻き込まれていく激動の展開を見せている。報酬の家や自作の魔導車といった世俗的・技術的な描写を交えつつも、難民村の全滅や神国守備隊の崩壊といった異世界召喚システムがもたらす冷酷な現実が次々と突きつけられる。素性を隠しながらも現代兵器を模した魔導銃の圧倒的な火力で戦場を蹂躙し、勇者をも置き去りにして大群へと突入していく二人の姿は、転生者としての規格外の強さと、世界の危機に対して独自の意志で介入していく冷徹な覚悟を象徴するエピソードとなっている。
アラフォー賢者11巻レビュー
アラフォー賢者まとめ
アラフォー賢者13巻レビュー
登場キャラクター
転生者・地球の人物
ゼロス
大賢者の職業を持つアラフォーの転生者である。ルーセリスと親しい関係になりつつあり、アルフィアをホムンクルスと偽って保護している。
・所属組織、地位や役職
無職。魔導士。
・物語内での具体的な行動や成果
アルフィアの衣服の調達に悩み、ルーセリスに誤解される事態を招いた。デルサシスから不審死事件の調査を依頼され、アドとともに国境へ向かう。自作の魔導銃でゾンビの群れを迎撃する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
製作した魔導銃や軽ワゴンなどの兵器が、世界に技術革命を起こす可能性をアドから危惧されている。
アド
ゼロスと同郷の転生者である。ユイの夫であり、彼女の妊娠により過保護になっている。
・所属組織、地位や役職
ソリステア公爵家の臨時雇い。
・物語内での具体的な行動や成果
ゼロスとともにアルフィアの処遇に困惑しつつ、不審死事件の調査に同行した。ユイとの新居を報酬として提示され、調査依頼を即決する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ゼロスの規格外の行動や発明品に対し、常識的な観点からツッコミを入れる役割を担う。
ユイ
アドの妻であり、現在妊娠中である。過保護なアドを微笑ましく見守っている。
・所属組織、地位や役職
記載なし。
・物語内での具体的な行動や成果
ソリステア公爵家の別邸の庭園を散歩し、アドに心配されていた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
出産が間近に迫っている。
リサ
アドたちと行動を共にする転生者の魔導士である。アドの過保護ぶりをからかっている。
・所属組織、地位や役職
ソリステア公爵家の客人。
・物語内での具体的な行動や成果
アドが将来親馬鹿になるだろうと予想して呆れていた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
シャクティ
アドたちと行動を共にする転生者である。リサとともにアドの過保護な様子を見守っている。
・所属組織、地位や役職
ソリステア公爵家の客人。
・物語内での具体的な行動や成果
アドが子供に過保護になり報復行動に出る未来を予測した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
エロムラ
ツヴェイトの護衛を務める転生者の少年である。女性の胸に執着する性格をしている。
・所属組織、地位や役職
ツヴェイトの護衛。ブレイブ・ナイト。
・物語内での具体的な行動や成果
リサグルの大衆浴場で女湯を覗こうと男たちを扇動し、騒動を引き起こした。その後、サーガスに成敗されて牢屋へ送られる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
無意識に発動したスキルによって、大衆浴場での暴動の原因となった。
アンズ
ツヴェイトの護衛を務める転生者の少女である。仕事熱心で、温泉への興味は薄い。
・所属組織、地位や役職
ツヴェイトの護衛。忍者。
・物語内での具体的な行動や成果
雪原を疾走しながら魔物を討伐し、馬車の護衛を行った。大衆浴場では水遁の術の訓練を行っていた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
シャランラ
ゼロスの実の姉の悪霊である。盗賊たちの魂を取り込み、元勇者の群霊を乗っ取った。
・所属組織、地位や役職
記載なし。
・物語内での具体的な行動や成果
ゾンビの大群を率いて生者を襲い、ルナ・サークの街へと侵攻した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
一部の魂に反発されて分離され、力が半減する事態に陥った。
ソリステア魔法王国・イストール魔法学院
デルサシス公爵
ソリステア公爵家の現当主である。情報網が広く、目的のためには手段を選ばない性格を持つ。
・所属組織、地位や役職
ソリステア公爵領領主。
・物語内での具体的な行動や成果
国境付近で多発する不審死事件の調査を、ゼロスとアドに依頼した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ゼロスからは乱世の覇王タイプと評されている。
クレストン
ソリステア公爵家の前当主である。孫娘のセレスティーナを溺愛している。
・所属組織、地位や役職
元ソリステア公爵。
・物語内での具体的な行動や成果
復活したアルフィアにセレスティーナの古着を提供した。セレスティーナの休暇に合わせて会いに行けないことを嘆く。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
旧友のサーガスとは拳で語り合う仲である。
ツヴェイト・ヴァン・ソリステア
ソリステア公爵家の長男である。家族の非常識な側面に悩み、常識的な思考を持つ。
・所属組織、地位や役職
イストール魔法学院生。
・物語内での具体的な行動や成果
休暇でリサグルの温泉を訪れ、エロムラの覗き騒動に呆れて見捨てた。街角でクリスティンとぶつかり、彼女に惹かれる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
クリスティンとの出会いをきっかけに、サーガスと面識を得た。
クロイサス
ソリステア公爵家の次男である。旧時代の魔導具研究に没頭するマッドサイエンティストの一面を持つ。
・所属組織、地位や役職
イストール魔法学院生。
・物語内での具体的な行動や成果
イーサ・ランテで徹夜で研究を続け、冬期休暇での帰省を拒否した。無断で倉庫から魔導具を持ち出していたことが発覚する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
無断持ち出しの罪で処罰されそうになったが、仲間の助けで免れた。
セレスティーナ
ソリステア公爵家の長女である。魔法研究に熱心であり、密かにボーイズラブ小説を執筆している。
・所属組織、地位や役職
イストール魔法学院生。
・物語内での具体的な行動や成果
リサグルの大衆浴場で温泉を満喫し、美肌作りに励んだ。ミスカから母親の過去の性格を聞かされ、ショックで気を失う。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
理想の男性像が父親のデルサシスに近いことが判明した。
ディーオ
セレスティーナに片思いをしている魔導士の少年である。彼女のことになると暴走しがちである。
・所属組織、地位や役職
イストール魔法学院生。
・物語内での具体的な行動や成果
ミスカから温泉宿泊券をもらい、セレスティーナに近づく口実としてツヴェイトを誘った。エロムラの暴走による覗き騒動に巻き込まれ、牢屋に入れられる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
セレスティーナからは名前すら覚えられておらず、空気のように扱われている。
マカロフ
クロイサスと共にイーサ・ランテで研究を行う学院生である。クロイサスの暴走に巻き込まれて疲弊している。
・所属組織、地位や役職
イストール魔法学院生。
・物語内での具体的な行動や成果
休暇で帰省するようクロイサスを説得し、彼の部屋の片付けを手伝った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
キャロスティー
セレスティーナの友人である。出歯亀根性があり、他人の恋愛事情に興味を示す。
・所属組織、地位や役職
イストール魔法学院生。
・物語内での具体的な行動や成果
セレスティーナとともにリサグルの温泉を訪れた。エロムラたちが牢屋で受けた仕打ちに好奇の目を向ける。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
ミスカ
セレスティーナ付きのメイドである。知的でクールな外見だが、人をからかうのが好きである。
・所属組織、地位や役職
ソリステア公爵家のメイド。
・物語内での具体的な行動や成果
ディーオに温泉宿泊券を渡し、彼をからかった。大衆浴場の騒動では女性陣に強硬な迎撃命令を出した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
セレスティーナの母ミレーナとは同級生で友人だった。
ダンディス
ソリステア公爵家の執事である。
・所属組織、地位や役職
ソリステア公爵家の執事。
・物語内での具体的な行動や成果
アドとゼロスに対し、デルサシス公爵からの呼び出しを伝えた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
ルガー・ガンスリング
ボンバ砦の責任者を務める重騎士である。
・所属組織、地位や役職
ボンバ砦の騎士団長。
・物語内での具体的な行動や成果
ゼロスとアドに不審死した盗賊のミイラを見せ、状況を説明した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
エルウェル子爵家
クリスティン・ド・エルウェル
エルウェル子爵家の跡継ぎである。真面目で責任感が強く、騎士としての鍛錬に励んでいる。
・所属組織、地位や役職
エルウェル子爵家次期当主。
・物語内での具体的な行動や成果
母親の命令でリサグルの温泉へ休養に向かった。ツヴェイトと街中でぶつかり、互いに惹かれ合う。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
マルグリット・ド・エルウェル
クリスティンの母親である。娘を心配する親馬鹿な一面を持つ。
・所属組織、地位や役職
エルウェル子爵家当主代行。
・物語内での具体的な行動や成果
過労気味のクリスティンに強制的に温泉での休暇を命じた。リサグルの名産ワインを買ってくるよう娘に懇願する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
サーガス・セフォン
クリスティンの家庭教師を務める老魔導士である。クレストンとは昔からの旧友の関係にある。
・所属組織、地位や役職
エルウェル子爵家の家庭教師。
・物語内での具体的な行動や成果
クリスティンとともにリサグルの温泉へ向かった。大衆浴場で覗きを試みた男たちを物理的な打撃で成敗した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ウィースラー派の戦術研究に大きな影響を与えた人物であることが判明する。
イザート
クリスティンの護衛を務める騎士である。心配性な性格をしている。
・所属組織、地位や役職
エルウェル子爵家の護衛騎士。
・物語内での具体的な行動や成果
クリスティンの温泉旅行に同行し、リサグルの町で宿の手配を行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
ウルナ
サーガスの養女である獣人の少女である。天真爛漫な性格を持つ。
・所属組織、地位や役職
記載なし。
・物語内での具体的な行動や成果
セレスティーナたちとともにリサグルの温泉を訪れた。大衆浴場では湯船で泳ごうとして注意された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
サーガスに孫のように育てられたことが判明する。
メーティス聖法神国
八坂学
メーティス聖法神国に召喚された勇者の一人である。事勿れ主義で、国の現状に悲観的である。
・所属組織、地位や役職
聖騎士団・五将。勇者。
・物語内での具体的な行動や成果
ルナ・サークの街でゾンビの大群による襲撃に巻き込まれ、防衛戦の指揮を執った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ゼロスたちの使用する魔導銃や魔法の威力に驚愕した。
リナリー
学の世話係を務める神官である。淡々とした口調で職務を遂行する。
・所属組織、地位や役職
メーティス聖法神国の神官。
・物語内での具体的な行動や成果
学の愚痴を聞きつつ、勇者としての職務を果たすよう説得した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
神官達
神聖魔法を使用し、負傷者の治療などを行う者たちである。
・所属組織、地位や役職
メーティス聖法神国の神官。
・物語内での具体的な行動や成果
ルナ・サークの防衛戦で浄化や防御魔法を行使したが、ゾンビには効果がなかった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
聖騎士団
神聖魔法を使えるエリート騎士の集団である。
・所属組織、地位や役職
メーティス聖法神国の部隊。
・物語内での具体的な行動や成果
ルナ・サークの防衛戦に参加し、多数の犠牲者を出しながらゾンビと交戦した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
サントールの街・教会
ルーセリス
サントールの教会に勤める神官の女性である。ゼロスの行動を勘違いすることがある。
・所属組織、地位や役職
四神教の神官。
・物語内での具体的な行動や成果
ゼロスたちが全裸のアルフィアを囲んでいる状況を見て、犯罪行為に手を染めたと誤解した。誤解が解けた後、アルフィアの着替えを手伝った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
イリス
ゼロスと行動を共にする転生者の少女である。ジャーネの温泉旅行に同行する。
・所属組織、地位や役職
傭兵。
・物語内での具体的な行動や成果
ゼロスから魔導車を借り、ジャーネを乗せてリサグルの温泉地まで運転した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
ジャーネ
ルーセリスの友人の女性傭兵である。乗り物酔いが激しい体質を持つ。
・所属組織、地位や役職
傭兵。
・物語内での具体的な行動や成果
福引きでリサグルの温泉宿泊券を当て、イリスとともに旅行へ出かけた。魔導車の揺れで激しく車酔いした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
レナ
ジャーネやイリスとパーティーを組む女性傭兵である。
・所属組織、地位や役職
傭兵。
・物語内での具体的な行動や成果
温泉宿泊券を持て余すジャーネに対し、ゼロスとの婚前旅行を提案してからかった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
盗賊・傭兵・商人・その他
宿の主人
ルナ・サークの街でボロ宿を営む男である。
・所属組織、地位や役職
宿屋の主人。
・物語内での具体的な行動や成果
ゼロスたちを宿泊客として迎え入れた。街が厳戒態勢になった際、戸締まりをして客に外に出ないよう伝えた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
盗賊達
メーティス聖法神国から逃れてきた犯罪者の集団である。
・所属組織、地位や役職
盗賊。
・物語内での具体的な行動や成果
森の中で油断していたところを、シャランラ率いる群霊の黒い霧に襲われ死亡した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
死亡後、彼らの魂は悪霊としてシャランラに協力することになる。
覗き魔達
リサグルの大衆浴場で女湯を覗こうと暴走した男たちである。
・所属組織、地位や役職
一般人、学生、商人など。
・物語内での具体的な行動や成果
エロムラのスキルに同調し、女湯の仕切り壁を破壊して殺到した。サーガスに成敗されて捕縛される。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
牢屋で恐ろしい体験をし、激しいトラウマを負った。
傭兵達
商人の護衛や街の防衛を行う戦闘員たちである。
・所属組織、地位や役職
傭兵。
・物語内での具体的な行動や成果
一部は商人を護衛中にゾンビの奇襲を察知して逃げ延びた。ルナ・サークでは先発隊として出撃し、ゾンビに奇襲されて全滅した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
全滅した者はゾンビ化して敵勢力に加わった。
商人達
各地を移動して商売を行う者たちである。
・所属組織、地位や役職
交易商人。
・物語内での具体的な行動や成果
野営中にゾンビの襲撃を受け、逃げ遅れた者は死亡してゾンビ化した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
神・観測者・使徒
アルフィア・メーガス
次世代の観測者として復活した邪神の少女である。自由奔放な性格をしている。
・所属組織、地位や役職
邪神。次世代の観測者。
・物語内での具体的な行動や成果
四神への復讐のため単独で行動を開始し、ウィンディアを封印して管理権限を奪った。動けなくなった勇者の群霊を滅魔龍ジャバウォックへと作り変えた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
完全体となるために残り三柱の権限を狙っている。
ウィンディア
風と大気を司る女神である。
・所属組織、地位や役職
四神。風の女神。
・物語内での具体的な行動や成果
アルフィアに急襲され、管理権限の情報マテリアルを奪われた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
神の座から引きずり下ろされ、永劫の闇の中へ封印された。
使い魔・魔物
コッコ達
ゼロスの使い魔である鳥型の生物である。
・所属組織、地位や役職
使い魔。
・物語内での具体的な行動や成果
ゼロスの家の庭で武術の鍛錬や畑の雑草刈りを行っていた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
ブルドドド
カバのような頭部を持つイノシシに似た草食性の魔物である。
・所属組織、地位や役職
魔物。
・物語内での具体的な行動や成果
森の中でゼロスが魔導銃の試し撃ちの標的にした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
頭部を吹き飛ばされて解体された。
滅魔龍ジャバウォック
アルフィアによって作り変えられた復讐の魔獣である。四本の腕と足、二対の翼を持つ。
・所属組織、地位や役職
魔物。
・物語内での具体的な行動や成果
勇者の怨念を宿し、四神を討つために体を慣らすべく空へ飛び立った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
約三ヶ月後にメーティス聖法神国を襲撃する予定である。
群霊(レギオン)
過去に召喚された勇者や異世界人たちの魂が融合した存在である。
・所属組織、地位や役職
魔物。怨霊。
・物語内での具体的な行動や成果
シャランラの遺灰を媒体にして肉体を構築し、盗賊の魂を取り込んだことでシャランラに乗っ取られた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
乗っ取られた肉体は本能のまま生者を襲うゾンビの群れとなった。
ゾンビ達
シャランラたちの悪霊によって生み出されたアンデッドの群れである。異常な速度と怪力を持つ。
・所属組織、地位や役職
魔物。
・物語内での具体的な行動や成果
難民村や野営地を襲撃し、ルナ・サークの街に侵攻して多数の衛兵を殺害した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
浄化魔法や火による攻撃に耐性を持ち、噛みついた者を次々とゾンビ化させた。
アラフォー賢者11巻レビュー
アラフォー賢者まとめ
アラフォー賢者13巻レビュー
展開まとめ
プロローグ おっさん、大いに困る
アルフィアの衣服問題と盛大な誤解
復活後の放置
復活したアルフィア・メーガスは、全裸のままゼロス達の前に現れた。だが、ゼロスとアドは彼女への挨拶よりも、少女用の服と下着をどう用意するかで深刻に悩んでいた。アルフィアは待たされることに不満を示したが、二人にとっては女物の下着を買いに行くことが社会的に危険な問題だった。
下着購入の難題
ゼロスとアドは、男二人で女性用下着を買いに行く恥ずかしさや、店員にどう見られるかを真剣に議論した。クレストンは貴族の屋敷には商人が売りに来るため理解できず、アルフィアも衣服を買う程度で悩む感覚が分からなかった。邪神と貴族の価値観は、一般人の感覚と大きくずれていた。
使えない物質創造
アドは、神であるアルフィアが自分で服を作れないのかと提案した。だが、アルフィアが物質を創造すれば、周囲の原子や高次元エネルギーの影響で街どころか大陸規模の被害が出る可能性があった。服を作るだけで壊滅的な爆発が起きかねないと知り、ゼロスとアドは結局買いに行くしかないと悟った。
背後のルーセリス
ゼロス達が必死に話し合う間、ルーセリスは背後で硬直していた。アルフィアとクレストンは気づいていたが、話すタイミングを逃していたのである。振り返ったゼロスとアドは、虚ろな目で固まるルーセリスを見て、最悪の事態に気づいた。
壮絶な勘違い
ルーセリスは、ゼロス、アド、クレストンが全裸の少女に悪戯をしていると誤解していた。さらに、三人が少女性愛趣味なのではないかと混乱し、ゼロスを正常な道に戻すため自分が体を張るべきかまで考え始めていた。ゼロス達は、自分達が犯罪者扱いされかねない状況に青ざめた。
一時間の説明
ゼロス達は必死に誤解を解こうとしたが、全裸の少女の前に男三人がいる状況はあまりにも言い訳しづらかった。アルフィアがホムンクルスであることなどを説明し、ルーセリスに納得してもらうまで一時間近くかかった。その間も、アルフィアは全裸のまま放置され続けていた。
第一話 おっさんが必死で誤魔化していた頃、かの地では……
アルフィアの衣服問題と黒いドラゴンの出発
ホムンクルスの説明
ゼロス達は、アルフィアを秘密裏に作ったホムンクルスだと説明し、ルーセリスの誤解を解こうとした。ルーセリスは命の創造が禁忌であることを問題視したが、アルフィアは生まれに関係なく意思ある命には自由に生きる権利があると返した。ゼロスは草むしり要員のつもりだったと苦しい理由を語り、禁忌を人手不足解消で犯したことにルーセリスは頭を抱えた。
危険な知人達
ゼロスとアドは、かつて獣人型ホムンクルスを使ったダンジョン酒場を作ったケモさんの話をした。攻略者から金品や装備を巻き上げるような非常識な仕組みに、ルーセリスとクレストンはゼロスの知人達の危険さを感じた。ゼロス達は現実との違いをあえて訂正せず、話を誤魔化す材料にしていた。
残された全裸問題
話がまとまりかけたところで、アルフィアが自分はいつまで裸でいればよいのかと問いかけた。ルーセリスの服はサイズが合わず、クレストンがセレスティーナの古着を提供することになった。ルーセリスは待つ間に羽織れる布を持って戻り、アルフィアにかけた。
下着作りの気まずさ
ゼロスは女性用装備も作れるよう練習するべきかと考え、下着も装備に含まれる以上、作る可能性があると話した。ルーセリスは試作として自分の下着を作ってみるかと提案したが、採寸には裸に近い状態で向き合う必要があった。互いに意識している二人はその状況を想像して気まずくなり、アルフィアは早くくっつけばよいと呆れていた。
黒い異形
同じ頃、ファーフラン大深緑地帯には黒いドラゴンのような異形がいた。体には無数の人面が浮かび、肉を食らうたびに笑い、泣き、叫んでいた。その正体は、邪神を倒すために異界から召喚され、利用されて死んだ勇者達の魂が集まって生まれた存在だった。
勇者達の怨念
彼らの魂は輪廻に戻れず、メーティス聖法神国と四神を恨み続けていた。個々では大きな力を持てないため、同類と融合して群霊となり、強力な魔へ変わった。勇者スキルの変質によって憑依した生物の肉体を作り替えることもでき、彼らは復讐のために力を蓄えていた。
飛べないドラゴン
勇者達の魂はメーティス聖法神国を目指して飛び立とうとしたが、黒いドラゴンは空へ上がれなかった。元の肉体は鼠であり、無茶な細胞増殖と捕食の結果、飛ぶにはあまりにも太りすぎていた。魂達は沈黙の後、痩せるために走るしかないと結論づけた。
復讐への疾走
黒いドラゴンは木々を薙ぎ倒し、地響きを立てながらファーフラン大深緑地帯を走り始めた。転びながらもメーティス聖法神国を目指す姿は、恐ろしさと滑稽さが入り混じっていた。怨霊達が【邪神の爪痕】を通り、目的地へ辿り着くまでにはまだ時間がかかる見込みだった。
第二話 ディーオは誘いに乗りミスカは企む
アルフィアの外出と温泉宿の宿泊券
ゴスロリ姿のアルフィア
クレストンとアドがセレスティーナの古着を持ち帰り、ルーセリスの手伝いでアルフィアは着替えを終えた。黒と赤のゴスロリ衣装は翼を収納したアルフィアによく似合っており、彼女は鏡の前で上機嫌に回っていた。ゼロスとアドは正体を知っているため素直に褒められなかったが、ルーセリスの言葉にアルフィアは得意げになった。
爺馬鹿クレストン
その衣装は、クレストンがセレスティーナに着せたかった特注品だった。だが背中が大きく開いた服であり、セレスティーナには拒まれていた。クレストンは孫への執着を隠せず、ゼロスとアドは彼の過剰な溺愛ぶりに呆れ、セレスティーナに想いを寄せるディーオの未来を案じた。
最強少女の街歩き
アルフィアは自分の姿を街の人々に見せ、名物を味わうつもりで外出を望んだ。ゼロスは、彼女が見た目こそ少女でも実際には人間を超える存在であり、誘拐犯が出ても返り討ちになるだけだと見ていた。アドはユイに刺されることを恐れて同行を断り、ゼロスとルーセリスがアルフィアと街へ出ることになった。
地下都市のディーオ
一方、イーサ・ランテでは、ディーオが休日を利用して街を歩いていた。彼は地下都市の環境に慣れつつあったが、最近セレスティーナと会えていないことを気にしていた。彼の想いは【恋愛症候群】ではなく普通の片思いであり、好印象を得るきっかけを探していた。
背後のミスカ
ディーオの背後に、セレスティーナ付きのメイドであるミスカが突然現れた。彼女は人を驚かせることを礼儀のように語り、ディーオをからかった。ディーオは、ミスカがクレストン側の人間であり、恋路を邪魔する可能性があると警戒した。
セレスティーナの立場
ミスカは、セレスティーナには政略結婚の予定がなく、屋敷を自分の足で出る身だと語った。ディーオは嬉しさを感じつつも、話が都合よすぎるため疑った。ミスカは、恋愛感情そのものを否定するつもりはなく、想いが本物なら困難に挑むべきだと告げた。
温泉宿の宿泊券
ミスカは、リサグルの温泉宿の宿泊券をディーオに渡した。セレスティーナが使う予定だったが、福引きで同じものが当たったため余っていたという。学院はすでに休暇に入っていたが、ディーオ達への連絡は遅れており、彼は温泉旅行をきっかけにできると考えた。
仕組まれた青春
ディーオは不審に思いながらも宿泊券を受け取り、ツヴェイト達も誘おうと考えた。ミスカはセレスティーナに恋愛経験をさせる教育の一環だとしつつ、面白がっている本音も隠しきれていなかった。彼女は計画通りに事が進んでいると見て、ディーオの背を見送った。
第三話 ツヴェイト、 温泉へ誘われる
温泉旅行の誘いとそれぞれの思惑
突然の温泉提案
ディーオがツヴェイト達のもとへ戻ると、学院生達にはようやく休暇の連絡が届いていた。帰り支度で慌ただしい中、ディーオは温泉に行こうと唐突に提案した。ツヴェイトとエロムラは男同士の旅行かと疑ったが、ディーオはミスカからリサグルの温泉宿泊券をもらったのだと説明した。
親友の危険な恋
ツヴェイトは、ディーオがセレスティーナに近づく口実として自分を使おうとしていることを察した。彼は、祖父クレストンがセレスティーナに近づく男を敵視するため、親友が殺される危険を本気で心配していた。エロムラもクレストンの異常な溺愛を聞き、ディーオの身を案じた。
ソリステア公爵家の現実
エロムラは、ツヴェイトの家族について知る噂を並べた。父デルサシスは謎の多い才人、弟クロイサスは魔導の探求者、妹セレスティーナは作家として成功したプチ腐女子、祖父クレストンは孫娘を溺愛する危険人物だった。ツヴェイトは、理想として見ていた家族の現実に疲弊していた。
セレスティーナの趣味
エロムラは、セレスティーナが男性同士の物語を書いて作家デビューし、しかもベストセラーになっていることを明かした。ディーオはその事実を受け入れられず、クレストンの罠だと現実逃避した。エロムラは蹴りとビンタで彼を正気に戻し、好きな相手の個性を否定するのは傲慢だと諭した。
暴走する恋慕
ディーオはセレスティーナの趣味も受け入れるべきだと立ち直ったが、実際にはまだ彼女との関係は進展していなかった。さらに、エロムラがセレスティーナから名前を覚えられていると知ると、恋敵だと疑い始めた。ディーオはツヴェイトも邪魔者と見なし、恋慕を殺意に変えて暴走した。
ジャーネの大当たり
サントールの商店街では、ジャーネが福引きでリサグル温泉宿泊券を当てていた。彼女は二等の剣や三等のポーションの方を望んだが、すでに当選済みで交換はできなかった。二名分の宿泊券だったため、三人組のパーティーでは誰かが余ることになり、使い道に困った。
婚前旅行の提案
レナとイリスは予定があり、温泉には行けなかった。そこでイリスとレナは、ジャーネがゼロスと行けばよいと提案した。ジャーネは婚前旅行という言葉に激しく動揺し、恋愛症候群を自覚しながらも、デートの段階を飛ばして旅行に行くことには抵抗を覚えていた。
ジャーネの核心
レナは、ジャーネが年配の男性と距離を置こうとする理由に気づいた。ジャーネは触れられたくない過去を思い出して言葉に詰まったが、レナはそれ以上踏み込まず、温かく見守るべきだとした。ジャーネは宿泊券をどう扱うか悩み、メルラーサ司祭長に渡しても結局ゼロスと行けと言われそうだと考えた。
エルウェル家の悩み
ソリステア公爵家を支持するエルウェル子爵家では、当主代行のマルグリットが娘クリスティンを案じていた。クリスティンは家を継ぐ自覚から勉学と剣の鍛錬に励んでいたが、真面目すぎて息抜きができていなかった。母として、年頃の娘が責務だけに追われる姿は辛いものだった。
温泉行きの手配
家庭教師のサーガスは、クリスティンに強制的な休暇を与えるべきだと提案した。リサグルの温泉で疲れを癒し、さらにオリハルコンを鍛えられるドワーフ職人を探す名目も立つと考えた。マルグリットはその案に乗り、母の気遣いを知らないクリスティンが鍛錬を続ける中、温泉行きの手配を進めた。
第四話 おっさん、調査依頼を受ける
不審死の調査依頼とクリスティンの温泉休暇
過保護なアド
ソリステア公爵家の別邸で、ユイは出産間近の腹を撫でながら庭園を散歩していた。アドは万一を心配して部屋に戻るよう頼んだが、ユイは少しの運動は体によいと笑っていた。クレストンやリサ達も、アドが父親になる不安で過保護になっていると見ていた。
公爵からの呼び出し
執事のダンディスが現れ、デルサシス公爵がアドとゼロスを呼んでいると伝えた。クレストンは、息子が二人を指名する以上、厄介事が起きたのだろうと見抜いた。アドはユイのそばにいたがったが、雇われている立場でもあるため、重い足取りでゼロスの家へ向かった。
魔改造エア・ライダー
ゼロスの家では、コッコ達が鍛錬や畑仕事をする中、ゼロスが【エア・ライダー】とバイクを組み立てていた。彼はフレームを軽量化し、魔力伝導率や空気圧縮率を高めたと語ったが、アドは音速飛行やジェットエンジンじみた構造に危険を感じた。二人は安全基準の必要性を言い合いながら領主の館へ向かった。
デルサシスの冗談
執務室に入ると、デルサシス公爵はいきなり任務の話を切り出した。ゼロスとアドが突っ込むと、彼は漫画の司令官風のやり取りに憧れていたと明かした。その漫画は獄中の転生者が描いたものを製本した作品であり、ゼロス達は同郷の者の行動に恥ずかしさを覚えた。
干からびた遺体
デルサシスの依頼は、国境付近で見つかった不審死の調査だった。最初の被害者は盗賊で、遺体は血液を抜き取られたようにミイラ化していた。武器が落ちており抗戦の形跡はあったが、魔物の死骸や血痕は見つからず、原因は特定できていなかった。
逃げられない依頼
ゼロスとアドは、ドレイン系の魔物や吸血鬼の可能性を口にしたことで、魔物に心当たりがあるとデルサシスに受け取られた。二人は誘導されたと悟ったが、ゼロスは原因特定と討伐を含む調査依頼として引き受ける流れになった。アドは、夫婦で暮らせる家を用意するという報酬を提示され、即座に依頼を受けた。
温泉休暇の命令
エルウェル子爵家では、マルグリットが娘クリスティンに温泉旅行を命じた。クリスティンは領主に相応しい実力を得るため勉強や剣、魔法の鍛錬に励みすぎており、周囲を心配させていた。マルグリットは、努力と無茶は違うと諭し、休息も領主に必要な自己管理だと伝えた。
母娘の応酬
マルグリットは、クリスティンが鍛錬に打ち込みすぎて女性らしさを忘れかけているとからかった。クリスティンは反発したが、母のわざとらしい芝居に押され、休暇を取ることを受け入れた。二人の会話は親子の気安さに満ちており、当主代行としての厳格な姿とは異なるマルグリットの一面が出ていた。
リサグルへの準備
温泉旅行には、クリスティン、護衛騎士イザート、家庭教師サーガスが行くことになった。目的は休養だけでなく、リサグルの町でオリハルコンを鍛えられるドワーフ職人を探すことでもあった。クリスティンは屋敷の者達への土産としてルーズベリーのワインを買うことを考え、マルグリットも自分の分を必死に頼み込んだ。
涙声の見送り
サーガスがアイテムバッグを貸すことで、土産の運搬問題は解決した。クリスティンは二日間で準備を済ませ、三日目の早朝にサーガスとイザートを伴ってリサグルへ出立した。母マルグリットはワインを買ってきてほしいと涙声で叫び、その姿を領民達に見られたクリスティンは本気で恥ずかしがった。
第五話 ツヴェイト、遅まきながら休暇に入りました
温泉旅行の相談と暴走する魔導車
温泉宿泊券の相談
旅支度中のゼロスは、イリス達からジャーネと温泉に行かないかと持ちかけられた。ジャーネは福引きで二名分の宿泊券が当たっただけだと否定したが、イリスとレナは婚前旅行だと面白がった。ゼロスはデルサシス公爵からの依頼で街を離れるため同行できず、イリスがジャーネと行く流れになった。
魔導式モートルキャリッジ
ゼロスは、リサグルまでの移動手段として【魔導式モートルキャリッジ】を貸すと提案した。イリスは免許がないことを気にしたが、この国にはまだ制度がないため、ゼロスは試乗を兼ねて半ば強引に押しつけた。ジャーネとイリスは危険な高速馬車を拒み、結局この魔導車で向かうことになった。
アルフィアの予定
ゼロスが街を離れると聞いたアルフィアは、食事を誰が作るのかを気にした。ゼロスは金を置いていくので計画的に生活するよう伝えたが、アルフィアは各地を歩き、愚か者を捕まえて枷を少しでも解くつもりだと語った。ゼロスは世界への被害を心配したが、二人の被害規模の感覚はすでに常識からずれていた。
春期休暇の温泉行き
イーサ・ランテ組にも、遅れて学院の休暇が伝えられた。地下都市で過ごしていた学院生達は地上を恋しがり、帰る前にリサグルの温泉町へ行くことになった。セレスティーナ達は傭兵ギルドの馬車に乗り、雪国の景色に興味を示しながら移動していた。
雪原の護衛
雪原では、アンズが馬車の外で魔物を仕留めながら護衛をしていた。木々の間を疾走し、雪を落とさずに動き回る姿は凄まじく、エロムラは自分の重装備では雪中戦に向かないと弁解した。彼は実力者ではあったが、普段の言動のせいでツヴェイト達からあまり信用されていなかった。
ディーオの危険な恋心
ディーオはセレスティーナへの想いに浸り、彼女に近づく男達を闇討ちしていないかツヴェイトに疑われた。エロムラは実際に学院で襲撃事件があったと明かし、ディーオの危うさが浮き彫りになった。さらに彼はセレスティーナに縛られたいという危険な願望まで漏らし、ツヴェイト達を引かせた。
地下街道のクリスティン
一方、クリスティン達はエルウェル子爵家の馬車で地下街道を進んでいた。クリスティンは工事の速さに驚き、サーガスは礫石の処理や新魔法の導入による作業効率の向上を説明した。話題はクレストン派の魔法技術やゼロスの存在にも及び、サーガスは規格外の魔導士の背後関係を疑っていた。
蛇行する魔導車
イーサ・ランテ到着が近づいた頃、クリスティン達の後方から馬のいない馬車のような魔導具が高速で近づいてきた。乗っていたのはイリスとジャーネで、ジャーネは速さに怯えてイリスに抱きつき、イリスは運転に苦戦していた。魔導式モートルキャリッジは危険な蛇行をしながら、クリスティン達の馬車を追い越してトンネルの奥へ消えていった。
第六話 シャランラと亡霊達の動向
リサグル到着と黒い霧の群霊
温泉地リサグル
リサグルは、かつて鉱山労働者の小村だったが、温泉の発見とイルマナス地下街道の開通によって一大温泉地へ発展していた。交易商人や観光客が集まり、アルトム皇国とソリステア魔法王国の支援で工事も進んでいた。町並みは純日本風で、イリスは故郷を思い出していた。
乗り物酔いのジャーネ
イリスとジャーネは魔導式モートルキャリッジでリサグルに到着したが、ジャーネは乗り物酔いで完全に弱っていた。イリスは運転中にジャーネに抱きつかれ、危険な走行になったことを振り返った。町の名物にも興味を示したジャーネだったが、体調が悪く、イリスは彼女を支えながら宿へ向かった。
露天風呂の少女達
セレスティーナ達は予約していた大きな宿に入り、すぐに露天風呂で旅の疲れを癒していた。雪景色を眺めながらの温泉に満足していたが、セレスティーナとキャロスティーは周囲の女性客の体型に目を奪われていた。アンズは胸を凝視されて不機嫌になり、ウルナは二人の気配に怯えていた。
胸への羨望
ミスカは、美肌効果の説明をしながら、胸を大きくする効能がないことをセレスティーナに告げた。キャロスティーは将来に期待を抱いたが、セレスティーナは母親の体型から将来が望みにくいとミスカに断言され、強い衝撃を受けた。さらに母ミレーナの意外な一面まで明かされ、セレスティーナは思考停止に陥った。
母ミレーナの秘密
ミスカは、セレスティーナの母ミレーナが同級生で友人だったことを語った。明るく個性的な人物だった一方で、血統魔法【未来予知】を持ち、その事実はセレスティーナにも伏せられていた。【未来予知】は命を縮める禁呪であり、血族に受け継がれる可能性があるため、公爵家にとって最重要秘匿事項だった。
男湯の騒動
ツヴェイト達も宿に入り、男湯で疲れを癒していた。エロムラは鏡の前で堂々と体を見せつけ、温泉では全てをさらけ出すべきだと熱く語った。ツヴェイトはその変態的な開放感に呆れ、静かに温泉を楽しみたいとぼやいていた。
ディーオへの現実
ディーオは女湯の仕切りを気にし、セレスティーナとの妄想に浸っていた。ツヴェイトは、彼女に名前すら忘れられている現実を突きつけ、ディーオを沈ませた。さらに、食事を一緒にしただけで結婚を了承されたと思い込みかねないと指摘し、親友がストーカー化しないよう厳しく諭した。
盗賊達の油断
森の奥では、メーティス聖法神国から逃げてきた盗賊達が焚き火の前で酒を飲んでいた。彼らは勇者に追われて仲間を失い、ソリステア魔法王国で再び金品や女性を奪おうと考えていた。だが逃亡の緊張から解放されて警戒を怠り、自分達の周囲に黒い霧が迫っていることに気づかなかった。
黒い霧の襲撃
盗賊の一人が突然苦しみだし、体から黒い霧を漏らしながら干からびていった。やがて霧は周囲の盗賊達にも襲いかかり、彼らは叫び声すら上げられずミイラとなった。黒い霧の中には無数の顔が浮かび、四神への復讐を目的に動いていた。
遺灰の肉体
黒い霧の正体は、異界から召喚され利用されて死んだ魂達が集まった群霊だった。彼らはシャランラこと大迫麗美の遺灰を媒体に肉体を作っていたが、不安定で消耗が激しかった。四神へ復讐するには完全な肉体が必要であり、魂達は相性のよい器を求めて再び動き出した。
第七話 クロイサスの暴かれた罪
軽ワゴンの軍事談義とクロイサスの研究中毒
軽ワゴンの軍事利用
ゼロスとアドは、軽ワゴン型の魔導式モートルキャリッジで街道を走っていた。ゼロスは乗り心地に感心したが、アドはイサラス王国の戦争推進派に兵器へ改造される危険を考え、販売を避けていた。二人は車の機動力が部隊展開や物資輸送に革命を起こし、戦術を大きく変えてしまう可能性を語り合った。
火縄銃と銃の浪漫
話題はメーティス聖法神国の火縄銃に移り、ゼロスは勇者の誰かが作ったのだろうと推測した。さらに自作した【ガンブレード】や拳銃、軽機関銃の話を出し、アドを呆れさせた。ゼロスにとって銃は男の浪漫だったが、アドはこの世界に現代兵器が広まる危険を強く警戒していた。
デルサシスへの評価
アドは、デルサシス公爵にも野心があるのではないかと疑った。ゼロスは、デルサシスなら新技術を喜びつつも危険性を考え、法整備や国直轄工場による厳重管理を行うだろうと見ていた。彼は、デルサシスが表に立つ王ではなく、裏方として国を支える人物だと考えていた。
方向音痴のアド
ゼロス達はボンバ砦へ向かっていたが、アドは道標を見落として何度も道を間違えていた。ゼロスは彼の方向音痴ぶりに驚き、過去にお台場へ行くのに仙台を経由した話まで聞かされた。帰りは自分が運転しようと、ゼロスは内心で決めた。
リサグル到着
クリスティンは長旅で疲れながら、リサグルの町へ到着した。三角屋根の木造建築や温水の流れる側溝がある町は、冬場にもかかわらず賑わっていた。イザートが宿を探しに行く間、クリスティンは体を伸ばし、サーガスと町の変化について話した。
武闘派の老魔導士
サーガスは、以前のリサグルが寂れた村だったと語りながら、魔導士にも体力が必要だと持論を述べた。彼は過去にグレイベアを素手で倒したことがあり、クリスティンはその武闘派ぶりに絶句した。宿が見つかった直後、サーガスは開放感から全力でポーズを決め、ローブを破いて半裸になった。
半裸老人との待機
イザートが確保した宿は、前の客が出たばかりで部屋の片付け待ちだった。クリスティン達はロビーで待つことになったが、上半身半裸の筋肉質なサーガスと並ぶことになり、非常に恥ずかしい思いをした。長旅よりも、その状況の方が精神的にこたえるものだった。
研究に没頭するクロイサス
イーサ・ランテでは、クロイサスが旧時代の魔導具研究に没頭していた。彼は四日ほど徹夜し、周囲の学院生や国家魔導士達が力尽きる中でも、知識への興奮で研究を続けていた。マカロフは、このままでは自分達が本当に死ぬと訴えた。
帰省拒否
クロイサスは、冬期休暇による帰省を完全に忘れていた。マカロフに帰る準備を促されると、旧時代の叡智を前にして家に帰る意味が理解できず、絶望した。仲間達は、家族に会うことも大事だと説得したが、クロイサスは研究から離れることを拒もうとした。
盗まれた魔導具
仲間達がクロイサスの部屋を確認すると、そこは魔導具と巨大な茸に埋もれた腐海のような状態だった。さらに、倉庫から消えたと騒ぎになっていた魔導具が山積みになっており、クロイサスが無断で借りていたことが判明した。彼は悪気なく研究に使っていたが、多くの者に迷惑をかけていたため、仲間達に叱責された。
救われた研究馬鹿
クロイサスは研究部の所長に謝罪し、仲間達の助けもあって処罰を免れた。一歩間違えば犯罪者として処刑されかねない状況だったが、友人達のおかげで事なきを得た。しかし、彼がそれで研究に関する行動を改めるかは疑わしかった。
第八話 異変調査中のおっさん達とセレスティーナの好み
ボンバ砦の調査とセレスティーナの恋愛観
ボンバ砦の遺体
野営明けのゼロスとアドは、軽ワゴンでボンバ砦へ到着した。砦では、血液を全て奪われた盗賊の遺体と、同じように殺された魔物の死骸が発見されており、厳戒態勢が敷かれていた。ゼロス達はデルサシス公爵の書状を示し、遺体調査のため砦へ入った。
霊安室の調査
ゼロス達は、団長ルガー・ガンスリングに案内され、遺体が安置された地下室へ向かった。解剖中の医者は、胃袋から血液を奪われた痕跡を見つけていた。外傷がほとんどないため、口から何かが入り込み、体内から血液を奪った可能性が考えられた。
デルサシスの情報網
ルガーは、この件がまだ領主にしか伝えられていないはずなのに、デルサシス公爵が把握していたことを不審に思っていた。ゼロスとアドは、公爵の情報網の広さに改めて驚いた。デルサシスは悪事を働いた領主すら利用しており、ゼロスは彼を乱世の覇王に近い人物だと見ていた。
北西への移動
新たに十三人の盗賊の遺体が見つかり、ルガーは被害が北西へ向かっているようだと語った。ゼロスは、その先に集落があるかを確認し、メーティス聖法神国から流れてきた難民村があると知った。自国民ではないため軍を動かしづらい状況だったが、ゼロス達は先行して調査へ向かうことにした。
難民村への出発
ゼロス達は地図を受け取り、砦を出て軽ワゴンで再び走り出した。今度は道を見逃さないように注意しながら、北西の難民村を目指した。二人には緊張感が薄く、アドの方向音痴をゼロスがからかうような調子で移動を続けた。
温泉宿の朝
一方、リサグルでは、セレスティーナ達が朝食後に部屋でくつろいでいた。ウルナは満腹で畳に寝転がり、キャロスティーにたしなめられていた。アンズはすでに護衛に出ており、ミスカはセレスティーナ達の様子を見守っていた。
エロムラへの評価
ミスカとキャロスティーは、セレスティーナがエロムラの名をすぐに覚えたことを気にしていた。セレスティーナは、エロムラが図書館で本を取ってくれたり護衛してくれたりした親切な人物だと見ていた。二人は、彼が意外な形で好印象を得ている可能性を考えた。
理想の男性像
ミスカが好みの男性を尋ねると、セレスティーナは包容力があり、理知的で女性に理解のある大人の男性がよいと答えた。ミスカとキャロスティーは、彼女の理想がデルサシスのような父親像に近いことに気づき、教育方針が裏目に出たのではないかと焦った。
空気のディーオ
ミスカはディーオについても尋ねたが、セレスティーナは彼の名前を覚えておらず、影が薄い人物としてしか認識していなかった。ディーオの想いはまるで届いておらず、ミスカとキャロスティーはその報われなさに涙した。セレスティーナは、二人がなぜ泣いているのか分からず首を傾げていた。
美容への関心
セレスティーナは恋愛には鈍かったが、美肌には強い関心を持っていた。公衆大浴場で肌を整え、祖父に元気な姿を見せたいと考えていたのである。ミスカは、恋愛教育の難しさとクレストンの過保護な護衛体制に頭を悩ませつつ、セレスティーナの純真さを見守っていた。
第九話 エロムラは扇動し男達は暴走す
大衆浴場の騒動とウィンディアの失墜
温泉への憧れ
リサグルの大衆浴場で、クリスティンは温泉に身を委ね、旅の疲れを癒していた。観光が限られた裕福層の娯楽であるこの世界では、彼女にとって温泉旅行は新鮮な体験だった。領内にも温泉が湧けばよいと夢想するほど、その心地よさに魅了されていた。
湯の中の修行
クリスティンは浴槽の水面から突き出た筒に気づき、何気なく指を入れた。すると湯の中から少女が飛び出し、修行中だとだけ告げて再び潜っていった。あまりに不可解な光景に、クリスティンはしばらく呆然とした。
友達への羨望
浴場には、ウルナやセレスティーナ達が楽しげに過ごしていた。クリスティンは同年代の少女達が友人同士で旅行を楽しむ様子を見て、自分に親しい友人がいないことを意識した。騎士を目指す立場や貴族社会での扱いから孤立してきた彼女は、友達が欲しいと小さく本音を漏らした。
男湯の友情
男湯では、ツヴェイト達が仲間とともに温泉を楽しんでいた。学院生達は訓練の疲れを癒しながら、金銭事情や土産、恋愛の話を交わした。ディーオのセレスティーナへの片思いは仲間達に知られていたが、誰も素直に応援する気はなく、むしろ彼女を狙う者もいた。
ディーオの決意と鼻血
エロムラがセレスティーナの護衛や手助けをしている話を聞き、ディーオは嫉妬に燃えた。彼は今から告白すると勢いづいたが、セレスティーナが隣の女湯にいると知った途端、妄想で鼻血を吹いて湯船に沈んだ。ツヴェイト達は、純情なのか変態なのか分からない彼に呆れていた。
エロムラの暴走
エロムラは女湯との仕切りを見つめ、覗けないかと真剣に考えていた。ツヴェイトに咎められても、彼は胸への執着を熱弁し、男湯と女湯を隔てる壁を壊すべきだと叫んだ。その際、職業スキル【鼓舞咆哮】が無意識に発動し、男湯の多くの男達が彼の馬鹿な欲望に同調してしまった。
変態侵攻軍
鼓舞された男達は、女湯との壁へ殺到した。女湯では叫び声を聞いた女性達が逃げようとして混乱し、脱衣所の出入り口で渋滞が起きた。男の一人が壁によじ登ったことで女性達の恐怖はさらに高まり、浴場は一気に危険な状況となった。
女性防衛軍
クリスティンは【ウォーターボール】で覗き男を撃ち落とし、女性達に落ち着いて避難するよう呼びかけた。さらに風呂桶や石鹸水で時間を稼ぐよう提案したが、ミスカは変態共に情けは無用だと過激に号令をかけた。女性達は一致団結し、覗こうとする男達に風呂桶や魔法を浴びせて迎撃した。
性欲と貞淑の戦争
男湯側は女湯を覗こうとする変態侵攻軍となり、女湯側は身を守るための女性防衛軍となった。覗きを強行する男達と、それを撃退しながら避難時間を稼ぐ女性達の間で、あまりにも馬鹿げた戦いが始まった。
地脈の異常
一方、アルフィアはファーフラン大深緑地帯の上空を飛び、現地調査をしていた。地脈の魔力は異常に滞留しており、マハ・ルタートを中心に魔力が集まっていた。勇者召喚魔法陣が消えた今、溜まった魔力が他へ流れ込めば、人の住む領域まで森に覆われ、異常進化が広がる危険があった。
風の女神の捕縛
アルフィアは、懐かしくも忌まわしい波動を感知し、物理法則を超えた速度でその存在へ迫った。彼女が捕らえたのは、四神の一柱である風の女神ウィンディアだった。ウィンディアは、邪神が復活した理由に転生者と外なる神々の思惑が関わっていると悟り、恐怖した。
管理権限の剥奪
アルフィアは神器のないウィンディアを圧倒し、腹部へ手刀を突き入れて管理権限の情報マテリアルを奪った。ウィンディアは神の座から落とされ、ただの風の妖精王へと戻された。アルフィアは力の一部を取り戻したが、完全な管理者となるにはまだ他の権限が必要だった。
永劫の闇
用済みとなったウィンディアは、アルフィアによって深淵より暗い闇へ引きずり込まれた。ウィンディアは死への恐怖に抗おうとしたが、神の力を失った彼女には抵抗できなかった。こうしてアルフィアは四神への復讐の第一歩を果たし、残る三柱を狙うことになった。
第十話 おっさんは捜査中で、覗き魔達は不幸になる
難民村の惨状と温泉騒動の終幕
乗っ取られた群霊
黒い霧となった元勇者達の群霊は、盗賊達の魂を取り込んだことでシャランラと悪霊達に主導権を奪われていた。勇者達は民間人を殺すつもりはなかったが、シャランラは悪党の魂を味方につけ、彼らの力を利用して自由を得ていた。勇者達は、自分達以上に邪悪な存在を止めてほしいと願うしかなかった。
手遅れの難民村
ゼロスとアドは森を抜け、難民村へ向かった。だが、到着した時点で村人は老若男女を問わず全員ミイラ化しており、生存者はいなかった。多くは家の中で眠ったまま殺されており、実体のない霊体が侵入して精気と血を奪った可能性が高いとゼロスは考えた。
動き出す死体
ゼロスとアドが調査を進める中、村人達の遺体が一斉に動き出した。アンデッド化した村人達を放置すれば、彼ら自身も浮かばれず、周囲にも被害が出る恐れがあった。二人は火葬することを決め、村を焼いてからメーティス聖法神国側へ向かった。
続く浴場戦争
リサグルの大衆浴場では、覗きを強行する男達と女性客達の防衛戦が続いていた。風呂桶や石鹸、魔法障壁や氷結魔法まで飛び交い、仕切り壁は半分近く破壊されていた。男達は覗きに固執しており、女湯側から見れば暴漢の襲撃と変わらない状況だった。
筋肉魔導士の介入
サウナから出てきたサーガスとイザートは、浴場の惨状を目にした。サーガスは男達が悪いと判断し、覗き魔達を合法的に殴り飛ばせる機会だと喜んだ。老魔導士とは思えない跳躍と蹴りで男達を次々に吹き飛ばし、浴場を猛獣の狩り場に変えた。
覗き魔の捕縛
サーガスの蹂躙により、覗き魔達は次々に気絶した。彼らは捕縛されて衛兵に連行され、説教だけで済んだものの、帰るまで町の住民から白い目で見られることになった。騒動の間、アンズは浴槽の中で水遁の術を続けており、女湯が無人になったことに首を傾げていた。
饅頭を食べるツヴェイト
ツヴェイトは騒動を知らず、露店で買った一口饅頭を食べ歩いていた。担架で運ばれるエロムラや仲間達を見て驚いたが、覗きは犯罪であり罰は当然だと考え、あっさり見捨てた。彼はそのまま宿へ戻ろうとしていたが、前方から来た一団に気づかず歩いていた。
出会った二人
クリスティンは、サーガスのやりすぎを注意しながら歩いていたところ、よそ見をしていたツヴェイトとぶつかった。転びかけた彼女をツヴェイトが受け止め、二人は抱き合う形で見つめ合った。互いに胸を高鳴らせ、初めて感じる感情に戸惑っていた。
サーガスとの縁
サーガスはツヴェイトの顔にクレストンの面影を見出し、彼がソリステア公爵家の長子だと気づいた。ツヴェイトは、サーガスが自分達の戦術研究に大きな影響を与えた人物だと知り、強く興奮した。サーガスも、クレストンの孫が自分の研究を学んでいることを知り、時代の変化を感じていた。
繋がる関係
会話の途中、ウルナが現れ、彼女がサーガスの養女として育てられた存在だと明かされた。さらにセレスティーナやキャロスティー、ミスカも合流し、意外な縁が次々とつながった。その後、彼らは共に食事をし、世間話を交わして一日を終えた。
平和な二人
一方、ジャーネとイリスは小さな宿で食後のお茶を飲みながら、大衆浴場の覗き騒ぎの話を聞いていた。ジャーネは嫁入り前の肌を知らない男に見せたくないとして、宿の温泉を使うことにした。騒動から離れた二人だけは、穏やかな時間を過ごしていた。
第十一話 おっさん、再びメーティス聖法神国の地に立つ
覗き魔達の後遺症と勇者学の危機感
釈放された覗き魔達
集団覗きを実行したエロムラ達は、一晩拘留された後に釈放された。ツヴェイトは呆れながら迎えたが、彼らは全員憔悴し、牢で味わった恐怖を引きずっていた。どうやら後から入ってきた男に身の危険を感じたらしく、その記憶に怯えていた。
嫉妬する学院生達
ツヴェイトがクリスティン達と話している姿を見た学院生達は、自分達が牢にいる間に女の子と親しくなったと逆恨みした。ディーオ達は血の涙を流すほど嫉妬し、ツヴェイトを責めた。だが、そもそも牢に入った原因は自分達の覗き騒ぎであり、ツヴェイトに落ち度はなかった。
腐女子達の興味
牢での恐怖体験を語っていたところへ、セレスティーナ達が現れた。セレスティーナ、キャロスティー、ミスカは、その男との関係を薄い本のような展開として興味津々に聞きたがった。学院生達は、女子に聞かれたことで噂が広まり人生が終わると絶望し、泣きながら走り去った。
平和な観光
騒動の反対側では、ジャーネとイリスがのんびり観光を楽しんでいた。二人は【ミーチン】という脂たっぷりの麺料理を食べ、意外なほどさっぱりした味に満足していた。彼女達は温泉旅行の騒ぎに巻き込まれず、平和にサントールへの帰路についた。
寒い野営
一方、ゼロスとアドはミイラ化事件の調査中、森で野営して朝を迎えていた。冬の寒さと寝不足で機嫌が悪く、簡素な朝食を取りながら依頼を受けた経緯を振り返った。アドはユイと暮らす家欲しさに依頼を即決したが、リサとシャクティの今後をすっかり忘れていた。
謎の茸スープ
ゼロスは周囲に生えていた茸をスープに入れていたが、食べられるかは確認していなかった。アドは毒の危険を訴えたが、ゼロスは状態異常が効かない自分達なら問題ないと平然としていた。飢えに苦しんだ者のようなゼロスの言葉に、アドは彼が以前より危うくなっていると感じた。
勇者八坂学
メーティス聖法神国では、勇者の一人である八坂学が盗賊討伐の任務に就いていた。召喚された勇者達は次々と減っており、学は勇者という立場や神国への不信を抱えていた。彼は司祭リナリーに愚痴をこぼしながら、神国に利用されている現状を冷めた目で見ていた。
四神への疑問
学は、異世界人を勝手に召喚し続けた四神の立場に疑問を抱いていた。転生者を受け入れている時点で、四神が他の神々より上とは限らないと考え、周辺世界の神々が怒っている可能性にも気づいていた。リナリーはその問いに答えられず、学の不安は深まっていた。
神国の詰み
学は、獣人族との戦争、周辺国との関係悪化、回復魔法の流通、ソリステア魔法王国の技術発展を考え、メーティス聖法神国はすでに追い込まれていると見ていた。車や魔導技術が軍事に応用されれば、火縄銃などすぐに時代遅れになると予測した。彼は政治的解決を期待されても、自分には無理だと投げ出すしかなかった。
盗賊討伐への逃避
学は、国の行く末を考えるほど鬱になるため、今は本来の盗賊討伐に集中しようとした。政治や外交の問題は上層部に押しつけ、兵士達を休ませるため近くの街へ移ることにした。勇者と呼ばれていても、彼は多くの命運を背負う覚悟までは持てない普通の少年だった。
第十二話 おっさん、メーティス聖法神国へ ~滅魔龍、爆誕~
魔導銃の試射と滅魔龍ジャバウォック
魔導銃ごっこ
森を抜けたゼロスとアドは、街道を目指して歩きながら魔導銃を手に遊んでいた。ゼロスはライフルや拳銃、ショットガンまで作っており、アドはそれがこの世界に広まった場合の技術的・軍事的な危険を警戒した。二人はメーティス聖法神国の火縄銃についても話し、神国が魔導士を否定しながら火薬技術を受け入れている矛盾を指摘した。
ブルドドドの試射
ゼロスは草食性のモンスター【ブルドドド】を見つけ、ホーワM1500型の魔導銃を試射した。魔力を最小限に抑えたにもかかわらず、弾丸はブルドドドの頭部を吹き飛ばす威力を発揮した。二人は、ゼロス達の規格外の魔力量では魔導銃が危険すぎる兵器になると理解した。
ルナ・サークの衰退
二人は街道を見つけ、メーティス聖法神国南端の街ルナ・サークへ辿り着いた。かつて交易都市として栄えていた街は、ソリステア魔法王国との交易断絶や地下街道の開通により寂れていた。失業者や強奪犯も目立ち、二人は神国の治安と経済が深刻に悪化していることを実感した。
勇者との遭遇
中央広場では聖騎士団が休暇を言い渡されており、ゼロス達は辺境に精鋭がいることを不審に思った。二人は関わらないよう宿を探し、勇者らしき黒髪の少年が高級宿へ入るのを見た。ゼロス達は怪しまれないよう、傭兵を装って向かいの古びた宿に入った。
ボロ宿の内側
外観は廃墟のような宿だったが、内装は丁寧に手入れされ、食堂も落ち着いた雰囲気だった。主人は交易の衰退で宿泊客が減ったことを嘆きながらも、二人を迎えた。ゼロスとアドは部屋で休めることに安堵し、翌日からの調査に備えて早めに休むことにした。
太りすぎた黒き獣
ファーフラン大深緑地帯では、勇者達の魂が憑依した黒き獣がさらに肥大化し、ついに動けなくなっていた。取り込んだ魔物の因子が暴走し、肉体が癌細胞のように増殖してしまったため、ダイエットではどうにもならない状態だった。勇者達は嘆き、助けを求めていた。
アルフィアとの邂逅
そこへアルフィアが現れ、勇者達が四神に召喚され利用された存在だと見抜いた。勇者達は四神と自分達を利用した者達への復讐を望み、同時に元の世界へ帰ることも願っていた。アルフィアは、四神から力を取り戻せば彼らの魂を回収して元の世界へ戻すことができると語り、取引を持ちかけた。
復讐の契約
勇者達はアルフィアを完全には信じきれなかったが、今のままでは詰んでいると判断し、力を貸してほしいと頼んだ。アルフィアは彼らを四神を引きずり出すための囮として利用するつもりだったが、同時に彼らを救うことも契約に含めた。利害が一致したことで、勇者達はアルフィアと誓約を結んだ。
滅魔龍ジャバウォック
アルフィアは巨大な肉塊に力を流し、勇者達の思い描く強者の姿へ肉体を変質させた。激痛の末、肉塊は四本の腕と四本の後ろ足、二対の翼を持つ漆黒の龍へ変わった。アルフィアはその存在を【滅魔龍ジャバウォック】と名づけ、四神とその眷属へ裁きを与える復讐の魔獣として送り出した。
三ヶ月後の襲撃
ジャバウォックは新たな力を確かめるため、強大な魔物を求めて飛び去った。アルフィアは、勇者達が冷静に体を慣らそうとしていることに満足し、自分が完全体へ近づいていると感じていた。滅魔龍ジャバウォックがメーティス聖法神国を襲うのは、それから約三ヶ月後のことだった。
第十三話 おっさん、警鐘で起こされる
ルナ・サーク防衛戦と動き出すゾンビの群れ
危機を察した傭兵
三つの商人グループが野営していた夜、一人の傭兵が強烈な不安を覚えた。仲間達は彼の勘を信じ、依頼主の商人家族を起こして急いで撤収を始めた。他の傭兵達はその忠告を笑って無視したが、彼らが離れた直後、平原に無数のゾンビが現れた。
野営地の惨劇
ゾンビ達は異様な速さでキャンプ地に殺到し、残っていた商人や傭兵達を襲った。彼らは殺されるだけでなく、そのままゾンビの仲間へ加えられた。危機を察して逃げた傭兵達は荷を捨てて馬車を軽くし、翌朝どうにかルナ・サークへ辿り着いた。
制御不能のゾンビ
シャランラ達悪霊は、ゾンビを使って被害者を装い街へ侵入するつもりだったが、ゾンビ達は本能のまま生者を襲い始めた。悪霊達は手に負えないと判断し、別の街を狙うことにした。さらに一部の悪霊はシャランラに反発して分離し、彼女の力は半減した。
叩き起こされた学
宿で眠っていた八坂学は、ルナ・サークの衛兵に起こされ、ゾンビの大軍が迫っていると知らされた。ゾンビが馬車に迫るほど速く、襲われた者をすぐに仲間へ変える異常な存在だと聞き、学は映画のような事態を連想して危機感を抱いた。彼は監視強化と避難勧告、籠城準備を命じた。
ルナ・サークの厳戒態勢
ルナ・サークでは街門が閉じられ、衛兵や守備騎士隊が防衛準備に追われた。だが、マハ・ルタート崩壊や敗戦の影響で予算も人手も不足し、矢や装備も十分ではなかった。守備側には、相手がゾンビなら大した脅威ではないという油断もあった。
独断の出撃
守備騎士隊の隊長は、勇者である学に指示を仰がず、功を焦って傭兵達を先発隊として出撃させた。最初に見えたゾンビは少数だったが、草むらから千を超えるゾンビが一斉に立ち上がった。傭兵達は瞬く間に全滅し、その死体もすぐにゾンビ化して敵の数を増やした。
燃えないゾンビ
守備側は門を閉じ、火矢でゾンビを焼こうとした。しかしゾンビの多くは炎をまとっても燃え尽きず、むしろその炎を力にしているようだった。常識外れの事態に衛兵達が動揺する中、学は聖騎士団を率いて参戦し、浄化魔法による迎撃を始めようとした。
眠りを邪魔された二人
向かいの宿で眠っていたゼロスとアドは、警鐘の音で叩き起こされた。二人は宿の主人からゾンビの大群が迫っていると聞き、進路上の村々が全滅した可能性を察した。仕事を放棄すればデルサシス公爵に睨まれると考え、眠気を引きずりながら街門へ向かった。
勇者の力の見物
街門前ではすでに戦闘が始まっており、火矢はほとんど効果を上げていなかった。ゼロスとアドは、勇者と聖騎士団がどれほど戦えるのか見極めることにした。街にゾンビが侵入したら動くつもりで、二人はまずメーティス聖法神国の勇者の力を観察することにした。
第十四話 おっさん、防衛戦を眺める
異常ゾンビとの防衛戦と謎の転生者達
通じない浄化
ルナ・サークの防壁には、干からびたゾンビ達が殺到していた。衛兵達は矢や火縄銃、神官達は【浄化】で応戦したが、ゾンビは黒い霧を放つだけで再び起き上がった。学は、浄化が通じないことからアンデッドではなく、生きた肉体のような別物ではないかと考え始めた。
食われる聖騎士
一人の聖騎士がゾンビに掴まれて外壁の外へ落とされ、群がるゾンビに食い殺された。その光景を見た学は、この敵が自分達の知るゾンビとは違うと痛感した。炎も浄化も効かず、再生に近い修復まで見せる存在を前に、彼は対処法を見いだせず追い詰められていった。
防壁上の乱戦
ゾンビの一部が防壁上へ侵入し、衛兵達に襲いかかった。学は指揮を一時任せて救援に走り、噛まれた衛兵が瞬く間に干からび、さらにゾンビ化する場面を目撃した。彼は【光刃斬撃】でゾンビを解体したが、切り分けられた部位すら黒い霧を流しながら動き続けていた。
観察するゼロス達
ゼロスとアドは魔法で姿を隠し、防衛戦を観察していた。二人はゾンビから出る黒い霧を見て、死体そのものではなく霧が本体なのではないかと考えた。だが、素性を知られる危険を避けるため、すぐには参戦せず、勇者達の戦いぶりを見極めていた。
負傷兵の変貌
負傷した衛兵が仲間に支えられて運ばれてきたが、ゼロス達はその傷の様子に違和感を覚えた。予想通り、負傷兵は突然ゾンビ化し、同僚に襲いかかった。ゼロスは緊急事態と判断し、魔導銃ウィンチェスターM13で狙撃して、ゾンビ化した兵の上半身を吹き飛ばした。
魔導銃の威力
魔導銃の一撃はゾンビを消し飛ばしただけでなく、背後の建物の壁まで破壊した。ゼロスは軽い調子で済ませたが、アドは街中で使うには危険すぎる威力に呆れた。二人はこれ以上被害が広がる前に武力介入することを決め、防壁へ向かった。
追い込まれる防衛線
防壁上では、衛兵や騎士達がゾンビ化した仲間への対応に苦しみ、混乱が広がっていた。学は街への侵入を防ぐため必死に指示を出したが、ゾンビは数を増やし続け、門も破られかけていた。彼は範囲殲滅魔法を使える風間卓実の不在を思い出し、打開策を求めていた。
仮面の二人
門が破られかけたその時、学の背後に仮面をつけたゼロスとアドが現れた。二人は銃を手にし、緊張感のない会話を交わしながらゾンビに魔法を付与した弾丸を撃ち込んだ。銃弾に込めた【フレア・バースト】が発動し、ゾンビ達は高熱と爆発で一気に吹き飛ばされた。
勇者の問い
学は二人の武器と戦い方を見て、転生者ではないかと問いかけた。だがゼロスは答える義理も時間もないとかわし、話し合いを拒んだ。学がさらに問いただそうとする中、ゼロスとアドは防壁から飛び降り、ゾンビの大群の中へ向かっていった。
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