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フィクション(Novel)リビルドワールド読書感想

「リビルドワールド Ⅱ(2)〈上〉 旧領域接続者(3)」感想文・ネタバレ

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フィクション(Novel)

リビルドワールドI〈下〉レビュー
リビルドワールド全巻まとめ
リビルドワールド II〈下〉レビュー

Table of Contents

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  1. 物語の概要
    1. ■ 作品概要
    2. ■ 主要キャラクター
    3. ■ 物語の特徴
  2. 読んだ本のタイトル
  3. あらすじ・内容
  4. 感想
  5. 考察・解説
    1. ヤラタサソリの掃討
    2. 旧領域接続者の特性
    3. カツヤと少女の契約
    4. 情報収集機器の訓練
    5. ハンターの実力差
  6. 登場キャラクター
    1. 旧世界の存在
      1. アルファ
    2. ハンター
      1. アキラ
      2. エレナ
      3. サラ
      4. ミマタ
      5. シカラベ
    3. ハンター徒党「ドランカム」
      1. カツヤ
      2. ユミナ
      3. アイリ
      4. トガミ
      5. レイナ
      6. シオリ
      7. アラベ
      8. ミズハ
    4. スラム街の徒党(シェリルの徒党)
      1. シェリル
    5. 商人・店舗
      1. シズカ
      2. カツラギ
      3. ダリス
    6. ハンターオフィス / 都市関係者
      1. キバヤシ
    7. 集団
      1. ドランカム
      2. 第9探索チーム
      3. 探索チーム
      4. 討伐チーム
      5. 防衛チーム
      6. 都市の防衛隊
      7. 14番防衛地点の子供達
      8. A班
      9. B班
      10. 事務派閥
      11. ヤラタサソリの群れ
      12. ドラッドラットの群れ
      13. 暴食ワニ
  7. 展開まとめ
    1. 第32話 ヒガラカ住宅街遺跡 
    2. 第33話 旧領域接続者 
    3. 第34話 暴食ワニ 
    4. 第35話 専用弾の威力 
    5. 第36話 願いの対価 
    6. 第37話 仮設基地構築補助依頼 
    7. 第38話 ヤラタサソリ 
    8. 第39話 アキラ宛ての依頼 
    9. 第40話 14番防衛地点の子供達 
    10. 第41話 戦歴と実力 
    11. 第42話 揉め事の対応 
    12. 第43話 虫の群れ 
    13. 第44話 報酬の算出方法 
    14. 第45話 カツヤの不満 
    15. 第46話 第9探索チーム 
    16. 第47話 エレナの判断 
    17. 第48話 地下街の探索 
    18. 第49話 ハンター達の実力 
    19. 閑話 ハンター志望の少年少女 
  8. リビルドワールド 一覧
  9. その他フィクション

物語の概要

■ 作品概要

『リビルドワールドII〈上〉 旧領域接続者』は、高度な旧世界文明が滅び、危険なモンスターと荒野が広がる世界を描いた、本格ポストアポカリプスSFバトルアクション小説の第3巻(第2シリーズ上巻)である。
都市防衛の激戦を生き延び、実力派の新人ハンターとして頭角を現し始めた少年アキラは、新装備「CWH対物突撃銃」やエレナから200万オーラムで購入した「情報収集機器」を手に、新たな遺跡「ヒガラカ住宅街遺跡」の探索へ赴く。
アキラはそこで、自らが旧世界の高度情報ネットワーク「旧領域」に直接脳でアクセスできる特殊能力者**「旧領域接続者」**であることを知る。
その驚異的な能力は、一歩間違えれば脳死に至る致命的なリスクと隣り合わせであった。
さらに、クズスハラ街遺跡の地下に広がるヤラタサソリの巨大な巣の掃討作戦において、アキラはドランカムの若きリーダー・カツヤ、そしてメイド服を身に纏う戦闘員シオリと彼女が護衛する少女レイナと遭遇する。地下街を舞台にした新たな死闘が幕を開け、それぞれの信念と実力が試される。

■ 主要キャラクター

  • アキラ: 本作の主人公。スラム街出身のハンター。防衛戦での高額報酬によって強力な重火器や強化服を揃え、ハンターランク20に到達した。 自らが「旧領域接続者」であることを知り、アルファに脳の中継処理(フィルター)を許可することで脳死の危険を回避する。 ヤラタサソリの掃討作戦では、ドランカムのカツヤやレイナといった若手ハンターたちの認識の甘さを浮き彫りにしつつ、凄まじい索敵・戦闘能力で圧倒的な活躍を見せる。
  • アルファ: アキラにしか知覚できない拡張現実(AR)の謎の美女。アキラを自らの目的である「特定遺跡の極秘攻略」へと導くため、戦闘や学習のサポートを続ける。 アキラが旧領域に無防備に接続して情報過負荷で脳死するのを防ぐため、中継処理の「許可」を得て、入力情報に中継フィルターをかける。 アキラを一流のハンターに育てるべく、より高いレベルでの戦闘能力と索敵技術の訓練を課していく。
  • カツヤ: 大手ハンター徒党「ドランカム」に所属する若手ハンターのリーダー。 都市防衛戦でアキラが単身救援に向かい圧倒的な生還を遂げたのに対し、自分は止められて何もできなかったことに深い挫折と嫉妬を募らせている。 アキラがサラたち命の恩人をビジネスライクに助けた背景や、アキラの真意が見えない態度に強い不審と対抗心を抱く。 かつてクズスハラ街遺跡で、拡張現実機能を切っても消えない「全裸の少女(旧世界の幽霊)」を目撃した過去を持つ。
  • レイナ: ドランカムに所属する、勝気でプライドの高い少女ハンター。ハンターランクは23だが、実態は周囲の手厚い護衛によって守られた「養殖」ハンターである。 防衛地点で孤立するアキラに高圧的に合流を迫るなど、荒野に対する認識が致命的に甘かった。 アキラの実績(暴食ワニを単独で撃破した戦歴など)を聞かされて衝撃を受け、アキラに同行するものの、そこでアキラから「お荷物」として冷酷に扱われ、自身の未熟さを痛感して反省を深めていく。
  • シオリ: レイナに忠実に仕える、メイド服姿の付き人(護衛)。優れた戦闘技術を誇る実力者であり、レイナを過保護なまでに守る。 レイナの実力評価を巡ってアキラを威圧し、殺し合い寸前の緊迫した状況に発展した際、アキラが虚勢ではなく「本気で殺し合いを実行できる狂人」であることを見抜いて警戒を強める。 ヤラタサソリの大規模な群れの迎撃戦でアキラに共闘(護衛)を依頼し、戦いを通じて彼の実力を深く認め、和解する。
  • エレナ&サラ: アキラの命の恩人であり、良き理解者でもある実力派美人ハンターコンビ。 アキラがエレナから購入した型落ちの情報収集機器を使い、地下街の闇の中で「異常な精度での索敵」を行ったことから、アキラが「旧領域接続者」である可能性を確信する。 しかし、アキラを危険な目に遭わせず、信頼関係を守るために、その能力について不必要な詮索を一切しないことを固く約束している。

■ 物語の特徴

ヤラタサソリの群れとの壮絶な地下街防衛戦: 暗闇の地下街、擬態や擬死を得意とする不気味なモンスター「ヤラタサソリ」の群れとの戦闘は、息が詰まるような緊迫感を誇る。アキラが放つ高価な「CWH対物突撃銃」の専用弾による文字通りの粉砕描写や、それによって生まれる死体の泥沼など、容赦のないグロテスクさと圧倒的な戦術描写が見どころである。

「旧領域接続者」をめぐる世界観の深化と致命的なリアル: タイトルにもなっている「旧領域接続者」という、本作の世界観を支配する根幹の謎が大きく掘り下げられる。脳だけで旧世界のネットワークにアクセスできる奇跡的な有用性と、脳が情報過負荷で焼き切れる「脳死」や、大企業に拉致され人体実験の対象にされる社会的リスクがシビアに描かれ、アキラとアルファの絆(中継処理の許可)の必要性が明確になる。

「本物」と「養殖」の対比が織りなす極限の心理戦: 過酷なスラムから自らの命と覚悟を賭して這い上がってきた「本物」のアキラと、大手徒党ドランカムの手厚い育成方針のなかで実力以上のハンターランクを得て甘やされている「養殖」ハンター(カツヤやレイナ)との、残酷なまでの実力と覚悟の格差が描かれる。アキラの冷徹な死生観が、レイナたちの「荒野における甘い認識」を打ち砕き、人間的な自立と成長を促すプロセスは、重厚な人間ドラマを形成している。

KADOKAWAオフィシャルチャンネル
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読んだ本のタイトル

リビルドワールド  II〈上〉 旧領域接続者(3)
著者:ナフセ 氏
イラスト:わいっしゅ  氏
出版社:KADOKAWA電撃の新文芸
発売日:2019年11月16日
ISBN:9784049127300

(PR)コチラのサイトから購入して頂けると幸いです。

あらすじ・内容

カツヤ、覚醒! WEB連載版より大幅加筆。物語は新たな世界線へ――!

 クガマヤマ都市防衛の緊急依頼での活躍を皮切りに、ハンターとして目覚ましい成長を見せるアキラ。
 周囲のハンター関係者達の間でも注目を集める存在となっていくアキラに対し、ドランカムの若手ハンター・カツヤは複雑な思いを抱いていた。
 そんな二人が、再び同じ討伐任務で相まみえる。遺跡の中を群れで行動する強敵ヤラタサソリの殲滅ミッション――アキラには思わぬ護衛依頼も加わって、物語はさらに加速する!
 WEB連載版より大幅加筆。書き下ろし短編「ハンター志望の少年少女」も収録!!

リビルドワールドII〈上〉 旧領域接続者

感想

拳銃一挺で荒野へ出ていた頃と比べれば、アキラはかなり強くなった。

強化服を着て、AAH突撃銃にCWH対物突撃銃まで装備している。

大規模なモンスター襲撃を生き延び、ハンターランクも上昇。

周囲から見れば、もう普通の新人とは言いにくい実績を積み始めている。

ところが本人には、その実感がほとんどない。

理由は単純で、

「強いのはアルファの補助があるから」

と自覚しているからである。

実際、CWH対物突撃銃をアルファの補助なしで撃つと普通に外す。

弾道予測を出してもらって、ようやく命中させられる程度。

だから他のハンターから雑魚扱いされても、

「まあ、そうだよな」

くらいにしか思わない。

周囲から見たアキラの実績と、本人が認識している実力との差が、かなり大きくなってきた。

比較的安全な仕事のはずが、ヤラタサソリだらけになる

今回、アキラはエレナから200万オーラムで購入した総合情報収集機器《ミッドナイトアイ》を使い始める。

最初は比較的安全なヒガラカ住宅街遺跡で機器の訓練。

さらに仮設基地の仕事では、廃ビルの探索や救援任務をこなしながら索敵技術も覚えていく。

しかし、そこへ出てきたのが《ヤラタサソリ》。

瓦礫に擬態し、死んだふりまでしてくる厄介なモンスターである。

最初に救援要請を出したハンターたちは、

「虫みたいなモンスターに囲まれた」

程度の報告しかしていなかった。

そのせいで本部側も、

「小型の蟲型モンスターに怯えているだけでは?」

くらいに受け取っていたらしい。

ところが実際はヤラタサソリ。

救援対象のハンターたちが持つ銃ではまともに装甲を抜けない。

アキラもCWH対物突撃銃の徹甲弾を大量に使って、ようやく救出することになる。

当然、弾薬代が高い。

そんな戦いをした直後なのに、今度は都市側から、

「ヤラタサソリの巣を駆除するから参加してくれ」

と名指しで依頼される。

アキラは断られるつもりで、

高額弾薬費は依頼元負担。

自由に行動させろ。

危険なら勝手に撤退する。

撤退しても減額するな。

討伐報酬も別に払え。

と条件を並べる。

これなら向こうが断るだろう。

……全部通った。

えっ、通るの?

こうなったら行くしかない。

結果としてCWH対物突撃銃の専用弾まで大量に持ち込むことになる。

レイナとシオリとは、ヤラタサソリより先に殺し合い寸前になる

アキラが配属されたのは、比較的重要度の低い14番防衛地点。

そこにはドランカムの若手も多く配置されていた。

本人たちは一端の戦力として来ている。

一方、ベテラン側から見ると、

「子供のお守り」

という感覚が強い。

当然、雰囲気はよろしくない。

特に揉め事を増やしていたのがレイナだった。

そんな中、別の防衛地点が襲われ、アキラには周辺の再調査が命じられる。

本部からは同行者を連れていいと言われたのだが、

アキラは一人で出発。

するとレイナと、その護衛であるシオリが勝手についてくる。

アキラは何度も、

「帰れ」

と言う。

それでも帰らない。

最終的にはシオリがアキラへ報酬を払い、レイナのサポートを依頼する形でどうにか同行することになる。

その途中でシオリが、

「レイナをハンターとして雇うなら、いくら払う?」

と聞く。

アキラの答えは、

雇わない。

理由がまた身も蓋もない。

実力以前に、揉め事を起こしそうで面倒だから。

要するに、

「トラブルを率先して起こすヤツを、身銭を切ってまで雇いたくない」

という評価である。

レイナを主人としているシオリからすれば当然面白くない。

シオリが、

「私を怒らせる可能性まで考えて言ったのか?」

と圧力を掛けても、アキラは、

依頼されたから誠実に答えただけ。

怒らせる可能性も考えていた。

と返す。

結果、

シオリとアキラが殺し合い寸前。

お前も十分トラブルメーカーじゃないか。

最終的にはレイナ自身が止めたことで戦闘は回避された。

ただ、この一件でレイナも、自分が今までどこまで揉め事を大きくする可能性を考えずに行動していたのか気付く。

単なる喧嘩ではなく、荒野ではそのまま殺し合いになる。

そこまで考えて行動しろ。

アキラの言い方は酷いが、内容そのものはかなり重かった。

大穴からヤラタサソリが湧く。そりゃそうなるよね

その後の調査で、アキラは地下街の地図に載っていない巨大な穴を発見する。

ヤラタサソリが通った痕跡を追った先にあった穴で、幅は4メートル以上。

本部に報告すると、

「そこを確保しろ」

と言われる。

嫌な予感しかしない。

そして案の定、

ヤラタサソリの大群がやって来る。

アルファが確認しただけで124匹。

しかも増えている。

アキラの情報収集機器よりアルファの方が早く察知しているので、レイナたちにはまだ何も見えていない。

照明弾を撃ち込むと、奥から順番に光が消えていく。

そして闇の中から大量のヤラタサソリ。

怖すぎるだろ。

ここでアキラは、依頼元負担で用意したCWH対物突撃銃の専用弾を惜しみなく撃ち込む。

一発が先頭を粉砕。

さらに後ろの個体まで貫通し、まとめて何匹も吹き飛ばす。

普段なら、

「高いから使いたくない」

となる弾丸である。

でも今回は都市持ち。

撃て。

撃て。

どんどん撃て。

それを見たレイナから、

「なんでそんな高価な弾をそんなに持ってるのよ!」

とツッコまれる。

アキラが、

「断られるつもりで弾薬費を全部出せと言ったら通った」

と説明すると、

納得される。

なるほど。

いや、本当にそれでいいのか?

さらに別方向からヤラタサソリが来ると、今度はアキラからレイナとシオリへ、

「そっちは頼む。背中を守ってくれ」

とお願いする。

さっきまで雇いたくないと言っていた相手に、今度は普通に頼る。

この辺のアキラは変に見栄を張らない。

自分一人では無理なら無理。

必要なら頼む。

レイナも、そんなアキラに頼られたことで気持ちを切り替え、シオリと一緒に通路側を完全に抑える。

結果、三人で大群を全滅させる。

戦闘後に本部が記録を確認すると、

「何だこの数は?」

という状態。

増援を送ったと言われても全然来ないし、アキラが文句を言いたくなるのも当然だった。

それなのに本人が一番気にしているのは、

「これだけ専用弾を撃ったけど、本当に弾薬代を払ってくれるよな?」

という部分だったりする。

何気に貧乏性である。

でも、ほんの少し前までスラムの路地裏で生活していたことを考えると、金への不安が簡単に消えるはずもない。

そこは妙にアキラらしく感じた。

褒められても素直に喜べない。そして一流はもっと上にいる

その後、前日の戦闘記録が評価されたことで、アキラはエレナ、サラ、シカラベという先輩ハンターたちと一緒に探索へ向かう。

本来ドランカム側は、カツヤたちとシカラベを組ませ、エレナたちと仕事をさせたかった。

しかしシカラベが猛反発。

その代わりに選ばれたのがアキラだった。

当然、それを面白く思わないカツヤ。

一方のアキラは、そんなことより先輩たちについていくので精一杯である。

探索では何度かシカラベに、

「気を抜くな」

と注意される。

危ないところではアルファが補ってくれるため致命的な失敗にはならない。

そして戦闘になると、逆に先輩たちから高く評価される。

でもアキラ本人は、

「それ、アルファの補助込みなんだよな……」

と思っている。

褒められれば褒められるほど、何となく居心地が悪い。

自分だけで同じことができるわけではないからである。

この自己評価の低さは、今のアキラの面白いところだと思う。

周囲から見れば、

大襲撃から単独で生還。

ヤラタサソリを大量撃破。

暴食ワニも単独討伐。

かなりおかしな新人である。

でも本人は、

「アルファなしなら大したことない」

と本気で思っている。

しかも、そのエレナやサラ、シカラベですら、アルファから見れば最前線の一流ハンターにはまだ及ばない。

……一流ってどれだけ化け物なんだ?

アキラ自身もまだまだ。

先輩たちもさらに上を目指せる。

その先には、戦車や義体、高性能な旧世界装備を使うような連中までいる。

世界の上限が全然見えない。

そしてアキラへ妙に危険な仕事を回してくるキバヤシも、どうやらかなり曰く付きの職員らしい。

アキラ自身は未熟だと思っているのに、周囲からは少しずつ、

「こいつなら過酷な仕事を振っても生き残るかもしれない」

と認識され始めている。

強くなれば仕事が楽になるのではなく、

強くなった分だけ、さらに面倒な仕事が寄ってくる。

この世界で一人前になる日は、まだまだ遠そうである。

最後までお読み頂きありがとうございます。

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リビルドワールドI〈下〉レビュー
リビルドワールド全巻まとめ
リビルドワールド II〈下〉レビュー

考察・解説

ヤラタサソリの掃討

ヤラタサソリ掃討作戦の全貌と地下街での死闘

『リビルドワールドII〈上〉 旧領域接続者』において、クズスハラ街遺跡の地下街を舞台に繰り広げられる「ヤラタサソリの掃討作戦」について、押し付けられた依頼と条件の受諾、14番防衛地点での不和とアキラの戦歴、殺し合い寸前の交渉から10万オーラムのサポート契約への移行、大穴の死守戦とCWH専用弾の猛威、3等分がもたらした和解とカツヤの蟠り、および翌日の第9探索チームにおける擬態撃破の各点から解説する。

押し付けられた依頼と「まさかの条件全呑み」

アキラは以前、ヤラタサソリに占拠された廃ビルからハンターたちを救出する際、手持ちの徹甲弾をすべて使い切るほどの消耗を経験していた。そのため、ハンターオフィスからヤラタサソリの巣の駆除作業への参加を打診された際、アキラは即座に断ることを決意した。

・依頼元がクガマヤマ都市の「長期戦略部」という大物であったため、安易に断れば都市から睨まれるリスクがあった。
・そこでアキラは、アルファと相談して相手から断らせるための法外な条件を提示した。
・高額なCWH対物突撃銃の専用弾などの弾薬費を依頼元が先払いすること。
・自分の判断でいつでも単独行動・撤退に移行できる権利(撤退による報酬の減額なし)を認めること。
・アキラは絶対に断られると思っていたが、翌朝、長期戦略部がこの条件をすべて受け入れたという通知が届いた。
・後戻りができなくなったアキラは、シズカの店でCWH対物突撃銃の専用弾(さらにAAH突撃銃用の強力な強装弾)を、強化服とアルファのサポートがなければ歩くこともできないほどの重量分、リュックに限界まで詰め込んで戦場へ向かった。
・出発前、アキラを深く心配するシズカから優しく強く抱きしめられ、彼は必ず生きて帰ることを誓った。

14番防衛地点での不和と、アキラの「規格外」な戦歴

地下街に構築された作戦現場に到着したアキラは、重要度の低い「14番防衛地点(中継器設置場所)」に配備された。そこは、ドランカムから派遣されたカツヤ、ユミナ、アイリ、レイナ、そしてメイド服姿の護衛シオリといった若手が多く集まる場所であった。

・ベテランハンターのミマタたちは、アキラを実力に見合わないランクを持つ養殖のガキと決めつけて見下したが、アキラは気にも留めず、彼らと距離を置いて一人で黙々と警備を続けた。
・そんな中、別地点が襲撃されたため、14番防衛地点から周辺の再調査を行う要員を出す指示が下った。
・ミマタたちが遺物欲しさに名乗り出たが、本部の職員はそれを見抜いて却下し、アキラを名指しで指名した。
・ドランカムの面々やミマタたちが反発すると、本部職員はアキラの恐るべき戦歴を明かした。
・「ヤラタサソリに占拠されたビルから単独で突入してハンターたちを救出し、最低でも30体以上のヤラタサソリを単独で撃破している。さらに暴食ワニも単独で撃破している」
・この事実を聞いた14番防衛地点の人員は驚愕に包まれた。特に、自分を強く認められない焦りを抱えていたドランカムの少女レイナは、カツヤがライバル視するアキラの強さに強く惹かれ、自分も実力を証明するきっかけを掴むため、命令を無視してシオリと共にアキラの後を追った。

殺し合い寸前の交渉から「10万オーラムのサポート契約」へ

地下街で強引に合流してきたレイナとシオリに対し、アキラは迷惑そうに同行を拒否した。

・アキラの進む速度が極めて遅いことに不満を漏らすレイナに対し、シオリはアキラが私達を戦力に数えておらず実質一人で索敵をしているから遅いのだと冷静に諭した。
・足手纏い扱いされたことにプライドを傷つけられたレイナを気遣い、シオリはアキラに対して500万オーラムを自費で支払うのでレイナの護衛を引き受けてほしいと交渉を持ちかけた。
・しかし、アキラは自分の身を守るだけで精一杯であり他人を護衛する余裕はないと大金を拒絶した。ヤラタサソリの救出も暴食ワニの撃破も、すべてギリギリで生き残っただけ、強力な専用弾の威力のおかげと淡々と説明するアキラを見て、二人は彼が強者であるという先入観を一度失った。
・最終的に、シオリは防衛地点に戻るまでのレイナのサポートとして10万オーラムの先払いに依頼内容を格下げし、アキラもこれを受託した。
・しかしその後、アキラがレイナの実力を「雇わない。揉め事を率先して起こすし、死ぬほど面倒だから」と最低評価を下したことで空気が一変した。
・ミマタたちと揉めた際に「もし殺し合いになったら勝てる算段や覚悟があったのか?」とアキラに問われ、何も想定していなかったレイナは言葉を失った。
・主を侮辱されたシオリは激怒し、アキラを強烈に威圧して「殺し合いの覚悟があるのか」と問うが、アキラは一歩も引かずに「ある」と答え、双方が本気の臨戦態勢に入った。
・アキラの自己評価の低さゆえに「弱そうに見えるが、小石と思って蹴飛ばせば命を奪いに来る凶悪な地雷」の本質を見抜いたシオリは冷や汗を流したが、限界寸前でレイナが制止したことで辛うじて戦闘は回避された。

大穴の死守戦:CWH専用弾の猛威とレイナの覚醒

揉め事を終えた三人は、アルファの痕跡索敵によって、地下街マップに記載されていない「幅4メートル以上の大穴」を発見した。

・アキラが本部に報告すると、そこからヤラタサソリが侵入してくるのを防ぐため、追加の防衛要員が到着するまでその場を死守しろという命令が下った。
・まもなく、大穴の奥の闇から124匹以上のヤラタサソリの群れが押し寄せてきた。
・アキラはCWH対物突撃銃を構え、依頼元負担であることを利用して超高価で破壊的な専用弾を連射し始めた。
・専用弾の威力は凄まじく、直撃した先頭の個体を四散させ、その後方の個体までまとめて十数匹を一発で木っ端微塵に粉砕した。強化服の出力とアルファのサポートによって、反動をものともせず、アキラは一人で大穴を完全に封鎖し続けた。
・その凄まじい戦いぶりにレイナとシオリが唖然とする中、今度は通路の左右からヤラタサソリが這い出てきた。
・大穴の対処で手一杯のアキラは、レイナとシオリに向かって焦りを含んだ必死の声で「こっちは手一杯だからそっちで何とかしてくれ! 頼んだぞ!」と叫んだ。
・アキラの実力を認め、さらに自分を低く評価していた凄腕のハンターが今自分を本気で頼りにしているという事に、レイナの胸の中にあった迷いや劣等感が吹き飛んだ。
・枷を外されたレイナは、かつてないほど俊敏で的確な動きを見せ、対ヤラタサソリ用の武装で敵の弱点を精密に撃ち抜き、次々と撃破していった。その見事な才能の開花ぶりに、長年彼女を護衛してきたシオリすら驚愕した。

「3等分」がもたらした奇妙な和解と、カツヤの蟠り

アキラが専用弾を撃ち尽くす前に、通路側も大穴側もすべてのヤラタサソリの掃討に成功した。

・遅れて到着したカツヤたち増援部隊は、アキラの貸出端末が記録した異常な討伐数と、大穴の奥に広がった専用弾で粉砕されたサソリの血肉が作り出した泥沼を目にして言葉を失った。
・戦闘後、アキラは本部に対し、討伐報酬の分配について「3人で戦ったのだから、好きに推測して3で割ってくれ」と提案した。
・これを聞いたレイナは大半の敵を倒したのはアキラであり、3等分では自分たちの取り分が多すぎると困惑してアキラに問いかけた。しかし、アキラはむしろ「お前たちが背後を守ってくれたから、俺は大穴に集中できたんだ。等分割以外に揉めない方法なんて知らない」と主張した。
・アキラに自分も同等の報酬を受け取る資格があると認められたと感じたレイナは上機嫌になった。
・一方、この状況を面白く思わないカツヤは、レイナたちがアキラと同行していた時間についてアキラに問いただそうとしたが、アキラは「本人に聞け」と拒絶した。
・険悪になりかけた二人を見て、ユミナがカツヤを止めるために割り込み、あえてアキラを冷たくあしらいながら引き下がらせた。この際、ユミナはレイナたちが沈黙しているのは過酷な戦闘での恐怖が理由かもしれないと耳打ちし、カツヤを納得させた。

翌日の第9探索チーム:擬態を見破る「旧領域接続者」の片鱗

ヤラタサソリの掃討戦での驚異的な実績を評価されたアキラは、翌日、実力派の熟練ハンターであるシカラベ、エレナ、サラの「第9探索チーム」へ火力役として合流させられた。

・地下街の未知のエリアを探索する中、アキラはシカラベに気の緩みを一瞬で見抜かれるなどベテランの技量に圧倒されたが、戦闘になればアルファのサポートを受けたアキラは闇に紛れたヤラタサソリを的確に先制撃破し、評価を得た。
・帰路の途中、1番防衛地点へ続く通路が「崩落した大量の瓦礫」で塞がれており、エレナは迂回路を検討していた。
・しかし、アルファから指示を受けたアキラは「あれは瓦礫じゃない、擬態したヤラタサソリの群れだ」と看破し、CWH対物突撃銃の専用弾を撃ち込んで敵の群れを吹き飛ばした。
・実際、広範囲の索敵を行っていたエレナの高性能機器すら「瓦礫」と誤認していたものを、アキラの安物の機器が見抜けたはずがなかった。
・エレナは、アキラがこの異常な索敵を可能にしている原因が、彼が「旧領域接続者」だからではないかと確信を強めたが、かつての約束に従い、その疑問を胸に秘めて追及しなかった。
・その後、サラのミニガンによる重火力、シカラベの戦闘支援、アキラの後方射撃が噛み合い、彼らは包囲網を突破して生還を遂げた。

まとめ

ヤラタサソリ掃討作戦の全貌と地下街での死闘を巡る一連の全貌は、法外な条件全呑みによる出撃から始まり、14番防衛地点での不和と単独撃破戦歴の露呈、シオリとの殺し合い寸前の一触即発と10万オーラムサポート契約への移行、CWH専用弾乱打による大穴死守とレイナの覚醒、等分割の報酬分配による和解とカツヤの嫉妬、そして翌日の第9探索チームにおける擬態サソリの看破と生還に至るまで、その歩みを明瞭に示している。
過酷な地下街の脅威や周囲の誤解という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を自らの選択と確固たる意志によって完璧に確立するに至る、圧倒的火力の行使と不屈の臨機応変な果断の記録である。
法外要求の受諾から、戦歴の公表、殺気の対峙、大穴の封鎖、等分の提案、そして擬態の破砕へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。

旧領域接続者の特性

旧領域接続者の具体特性と致命的リスクの全貌

『リビルドワールドII〈上〉 旧領域接続者』においては、旧領域接続者の具体的な特性や生存に関わる致命的なリスク、そしてアルファによる中継処理(フィルター)の重要性がより詳細かつ技術的に明かされている。脳内に存在する無線の送受信機能、旧世界の幽霊の知覚と認識、情報過負荷による脳死のトラップ、アルファによる中継処理の恩恵、および高度な情報処理者としての価値と社会的リスクの各点から解説する。

脳内に存在する「無線の送受信機能」

旧領域接続者の最大の特徴は、特別な接続端末機器を使用することなく、自身の脳にある通信機能を介して生身で直接「旧領域」(旧世界の施設などを繋ぐネットワーク)にアクセスできる点にある。

・アキラが実体のないアルファを認識し、彼女の精密な戦闘サポートや高精度な弾道計算を受け取ることができているのも、すべて彼自身がこの旧領域接続者としての脳の特性を生まれつき持っているからにほかならない。

「旧世界の幽霊」の知覚と認識

接続者は、旧領域上に存在する当時の映像データやサポート用の立体映像(いわゆる旧世界の幽霊)をリアルタイムに視覚で処理・認識することができる。

・かつて旧世界では、受付や道案内、管理人格、秘書としてこれらの非実在キャラクターが使用されていた。
・ヒガラカ住宅街遺跡の邸宅の地下室でアキラの前に突如現れた「メイド服の女性」も、非実在形式の人材派遣サービスを行っていた旧世界企業の映像データであった。
・しかし、これらは当時の情報に基づいて表示されるため、現代の人間の事情を考慮せず、モンスターの巣や瓦礫の山に案内して接続者を惑わす危険な罠にもなり得る。

情報過負荷による「脳死」のトラップ(致命的リスク)

旧領域接続者にとって最も恐ろしく、最も多い不審死の原因が情報の過負荷による脳死である。

・旧世界の自律システム(邸宅の管理人格など)は、生身の接続者を感知した際、向こうの高度なシステム基準で「こちらの脳が問題なく大容量情報を処理できる能力がある」と誤認してしまう確率が非常に高いという特性がある。
・例えば、アキラが幽霊の女性に「この館の情報が必要ですか?」と問われ、「はい」と安易に答えてしまった場合、システムは現代の人間の脳の許容量を無視し、分子レベルの物理演算すら可能にするような途途方もない情報量(館の構造・詳細マップ・各種データ)を一度に送信してくる。
・その結果、人間の脳が処理しきれず、高確率で脳が焼き切れて脳死に陥ってしまう。実際、このように自覚のない接続者が無防備に接続し、情報過負荷で命を落とすケースは後を絶たない。
・礼儀正しく確認を求めるシステムであれば拒否したり制限をかけたりできるが、現代の広告のように一方的に送りつけられるサービスデータに対しては、見えた時点で手遅れになるという防ぎようのない恐怖も孕んでいる。

アルファによる「中継処理(フィルター)」の恩恵

アキラが地下室で死にかけた際、アルファはアキラを物理的に突き飛ばして危険なマークから強制的に退避させた。そして、アキラの生命を守るために呼称アルファによる中継処理(フィルター)の許可を求めた。アキラがこれを許可したことで、以下の劇的な変化が起きている。

・入力情報のフィルタリング:旧領域からアキラの脳へ入ってくるデータに対し、アルファが中継処理を行って危険な情報をフィルターで遮断・安全なレベルに希釈できるようになり、脳死の即死リスクを劇的に低下させた。
・通信の完全な委託:最初はアキラを経由して少しずつ情報を受け取っていたが、アルファが直接アクセス先を交換したため、その後はアキラを一切介さず、アルファが端末や自身の能力でリオンズテイル社のサーバーから安全に直接データを吸い上げられる状態を構築した。

高度な情報処理者としての価値と社会的リスク

旧領域接続者は、その副次的な特性として極めて優秀な情報処理能力(高いハッキング能力など)を持つ傾向にある。裏を返せば、有能なハッカーが自身の技術を宣伝するために自分は接続者だと嘘を吐くケースがあるほど、その才能は羨望の的である。しかし、本物がその正体を露呈させた場合、以下のような極めて悲惨な末路が待っている。

・生きていれば人体実験の対象として企業の研究所に幽閉される。
・死んでいれば脳の構造を解析されるために解剖され、バラバラにされる。
・アルファがアキラに対して「絶対にバレたらダメ。バレたら楽には死ねないと思いなさい」と厳しい剣幕で忠告したのは、この社会的な破滅を避けるためであった。
・アキラはヒガラカ住宅街遺跡でこの事実を知り強いショックを受けるが、「俺が旧領域接続者だからこそアルファに出会えて今も生き残っている。俺は運が良かった!」と自ら納得し、気持ちを切り替えた。

まとめ

旧領域接続者の具体特性と致命的リスクを巡る一連の全貌は、端末不要の脳内送受信機能と「旧世界の幽霊」の視認特性から始まり、システム側の誤認による大量データ送信が招く「情報過負荷(脳死)」の脅威、アルファの中継処理許可によるデータ希釈とリオンズテイル社サーバーへの直接通信確立、そして露呈時の企業研究所幽閉や人体実験といった極めて悲惨な社会的リスクに至るまで、その歩みを明瞭に示している。
旧世界のシステムや統治企業という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を自らの選択と確固たる意志によって完璧に確立するに至る、絶対的機能の行使とリスクの適切な管理の記録である。
脳内通信の把握から、幽霊の認識、過負荷の回避、中継処理の承認、そして正体秘匿の決意へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。

カツヤと少女の契約

カツヤと旧世界の少女の契約と不気味な対価の全貌

『リビルドワールド』において、主人公アキラとアルファのバディ関係に対する、もう一つの極めて不気味な対比として描かれているのがカツヤと旧世界の少女(幽霊)との繋がり(契約)である。アキラのように明確な会話や意思疎通を行っているわけではないものの、カツヤが窮地において力を願い、それと引き換えに不気味な契約が成立していくプロセスについて、1年前の全裸の少女との遭遇、暴食ワニ戦での願いと白い世界、契約の恩恵である常識外れの射撃精度、および不気味な対価の暗示の各点から解説する。

始まり:1年前の「全裸の少女(旧世界の幽霊)」との遭遇

カツヤと少女の出会いは、物語の本編から1年前、彼がドランカムの加入試験を受けていた時期まで遡る。

・消えないAR情報:クズスハラ街遺跡の外周部を探索中、カツヤは暗がりの中に無数に舞う弱い光の先に、半透明の全裸の少女が立っているのを目撃した。惑わされないようマニュアル通りに機器の拡張現実(AR)機能を切ったものの、なぜか少女の姿は消えなかった。
・無音の声への集中:少女は敵意なく笑いかけ、口元を動かしていた。声自体は聞こえなかったものの、カツヤがその音の無い声に極限まで集中した瞬間、カツヤの中に少女の話している内容がわずかに聞き取れるような奇妙な錯覚が生じ、半透明だった少女の体がわずかに色付き始めた。
・不具合としての処理:しかし、別の仲間(トガミ)が部屋に入ってきて声をかけられた瞬間、少女は視界から消失してしまう。トガミやドランカムの本部にはその姿を確認できず、当時は情報収集機器の不具合か通信混線として片付けられてしまった。

覚醒:暴食ワニ戦での「願い」と白い世界

ヒガラカ住宅街遺跡での訓練中、大型モンスター「暴食ワニ」と遭遇したカツヤ達は、自分たちの力だけで討伐を試みた。しかし、想像以上の強固な装甲と生命力を前に、弾幕を張りながらも徐々に追い詰められ、カツヤの中に焦りと弱気が生まれた。

・アキラの力への羨望:大襲撃で多くの仲間を失った自責の念から、普通に強いだけでは誰も守れない、一人で状況を覆せる圧倒的な力が欲しいと渇望したカツヤは、脳内でかつて目撃したアキラの理不尽なまでの戦闘能力を思い浮かべ、「俺にもあんな力を……!」と極限の集中の中で強く願った。
・色彩の消えた白い世界:カツヤの類い稀な才能が極限の集中を生み出した結果、彼の知覚から不必要な情報と色彩がすべて消え去り、白く塗りつぶされた世界(白い世界)が広がる。そしてその白い空間の中で、かつて出会ったあの少女が不敵に笑っていた。

発現:契約の恩恵(常識外れの射撃精度)

少女が笑った次の瞬間、カツヤの放った銃弾は、物理的な限界や常識を無視した超人的な挙動を見せた。

・弾丸同士の激突による内部破壊:カツヤが放った大型銃の弾丸は、すでに暴食ワニの頭部に着弾していた別の弾丸の尻に、寸分の狂いもなく直撃(連続激突)した。激突した弾丸同士が体内で砕け散ることで、散弾となって暴食ワニの内臓や骨をめちゃくちゃに粉砕し、あれほど強固だったモンスターの歩みを一瞬で鈍らせて絶命に至らしめた。
・周囲の違和感:戦闘を見守っていたサラは純粋に喜びましたが、分析を得意とするエレナは、あれほどの生命力を持つ個体が、偶然ピンポイントの極小の弱点に弾が当たり続けたかのように、突然不自然に動きを鈍らせたことに強い不審を抱いた。しかし、確証が得られなかったため最終的にはただの幸運(偶然)として片付けられた。

進行:不気味な「対価」の暗示

カツヤは自分たちの実力で暴食ワニを撃破したと確信し、何か強力な戦闘のコツを掴んだと考えて射撃訓練場に籠もるが、そこで起きる現象はあまりに不可解なものであった。

・観察者がいると外れ、一人だと当たる不自然さ:訓練場でカツヤは驚異的な高難度狙撃を次々と成功させるが、ユミナやアイリが様子を見に現れた途端、何十発撃っても標的に一発も当たらなくなってしまう。しかし、彼女たちが諦めて先に帰宅し、カツヤが完全に一人きりになった瞬間、今度は撃つ弾すべてが見事な精密さで再び命中し始める。
・カツヤが知らないまま進む契約:カツヤはこの不自然な現象をただの疲労によるものと自分で納得し、深く気に留めなかった。
・しかし、カツヤが一人で状況を覆す力を願ってそれを手に入れた裏には、彼自身がまだ一切気づいていない未知の対価(契約)が確かに発生している。カツヤが何も知らずに日常へ戻っていく中、「願いは叶った。対価はまだ支払われていない」として、真っ白な空間で旧世界の少女だけがただ一人、冷酷に笑い続けているのであった。

まとめ

カツヤと旧世界の少女の契約と不気味な対価を巡る一連の全貌は、ドランカム加入試験時の消えないAR少女の目撃と音の無い声への集中から始まり、暴食ワニ戦での圧倒的力への渇望と「白い世界」の出現、弾丸同一点連続着弾による暴食ワニ撃破と常識外れの精密射撃発現、そして他者の目がある状態での不発と一人きりの時の全弾的中、さらに本人無自覚のまま保留される未知の対価の発生に至るまで、その歩みを明瞭に示している。
弱さや焦燥感という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を自らの選択と確固たる意志によって完璧に確立するに至る、能力の強奪と旧世界システムとの歪な契約の記録である。
少女の認識から、力の渇望、射撃精度の覚醒、対価の保留、そして不穏な契約の継続へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。

情報収集機器の訓練

情報収集機器「ミッドナイトアイ」の導入と索敵訓練の全貌

アキラが初の情報収集機器である「ミッドナイトアイ」を導入し、それを使いこなすために重ねた訓練のプロセスは、彼のハンターとしての成長に不可欠な「索敵の重要性」を叩き込むと同時に、彼が背負う「旧領域接続者」という秘匿すべき才能が露見していく、物語上極めてスリリングな展開を内包している。導入の経緯とアルファによる掌握、ヒガラカ住宅街遺跡でのマニュアル読解と自力索敵、廃ビル制圧依頼での隠密・索敵訓練、ヤラタサソリ救援からの帰路における設定・調整の洗礼、および第9探索チームでの異常な索敵と露見のリスクの各点から解説する。

導入の経緯とアルファによる「掌握」

アキラは、ハンターランクが20に到達した頃、自分の活動方針に合わせた情報収集機器の購入を検討し始めた。

・偶然居合わせたエレナから、彼女が以前に試しに購入したものの自身の戦闘スタイルに合わず埃を被らせていたセンバエレクトロニクス製の総合情報収集機器「ミッドナイトアイ」を200万オーラムで譲り受けた。
・単一系が壊れた部分だけ買い換えられる自由度を持つ一方、総合系は索敵結果の出力や立体マップの自動作成などの各種処理を一つにまとめて初心者に扱いやすくした機器である。
・アキラがこれを持ち帰って情報端末に繋ぐと、アルファは自身の高度なサポートを最大限に適用できるよう、すぐにそのソフトウェアを書き換えて掌握を完了した。

ヒガラカ住宅街遺跡での「マニュアル読解と自力索敵」

アキラの最初の実地訓練は、モンスターの脅威度が低く、建物が適度に密集しているヒガラカ住宅街遺跡で行われた。

・アルファはアキラの読み書きの勉強の成果を試すため、機器の取扱説明書(マニュアル)をアキラの視界に重ねて表示し、アキラに自力でマニュアルを読み、操作と索敵を行うことを命じた。
・アキラは表示装置(バイザー)に浮かぶ情報の意味や操作に四苦八苦しながら探索するが、弱いモンスターの接近すら自分より先にアルファに教えられてしまい、自身の索敵技術の未熟さを痛感することとなった。
・この訓練に対するアルファの評価は「まるで駄目」という厳しいものであったが、アルファ側が機器を通じてどれほど高度な索敵を行えるかという裏の目的(アキラの装備によるサポート効率の確認と試行錯誤)は十分に達成されていた。

廃ビル制圧依頼での「色無しの霧」を想定した隠密・索敵訓練

クズスハラ街遺跡での前線基地構築補助依頼(廃ビルの制圧・オートマッピング)において、アキラはアルファの提案で本格的な索敵・隠密訓練を行った。

・アキラは足跡や埃の乱れ、瓦礫、遮蔽物を慎重に確認し、足音を立てずに部屋へ侵入する動作を繰り返した。アルファからその都度厳しく動作の修正を受けたため動きは洗練されていったが、通常の何倍もの時間と集中力を激しく消耗することとなった。
・結果、ビル1棟を制圧するのに想定時間の倍である「2時間」を要し、本部から急ぐよう注意されるが、アルファはアキラに対し「急いで危険を増やす必要はない」と安全を最優先させた。
・ここでアルファは、「色無しの霧」が濃くなればアルファのサポートも情報収集機器の性能も著しく落ちるため、最終的にはアキラが機器に頼らず自力で対処できる索敵技能を身につけなければ生き残れないと、訓練の真の重要性を説いた。

ヤラタサソリ救援からの帰路における「設定・調整の洗礼」

ヤラタサソリに占拠されたビルからの救援を終えて仮設基地に戻る道中、アキラはバイクに乗りながら機器の操作訓練を続け、情報収集機器を実戦で使いこなすことの難しさを突きつけられた。

・自動設定(簡単お任せ自動設定)の誘惑と却下:エレナが残していた最適な設定からわずかでも変更すると索敵精度が崩れ、表示がノイズの塊となる。機器に用意されている簡単お任せ自動設定を使えば一時的にすっきりとした索敵結果が表示されるが、アルファにそれに頼ると設定値調整の訓練にならないと即座に機能を切られた。
・環境に応じた調整の複雑さ:アルファはアキラに対し、収集範囲を広く浅く設定して何らかの反応らしきものを見付けたらその周辺を狭く深く解析するという索敵の基本を教えた。そして、入り組んだ場所では反響定位解析の比率を上げ、見通しの良い場所では下げるなど、映像波、音響、動体解析のバランスを周囲の環境に合わせて慎重に調整・最適化する難しさを叩き込んだ。
・擬態・迷彩への対処限界:実際、帰路の途中でヤラタサソリの群れに待ち伏せされた際、汎用的な自動設定をしていたアキラの機器は、目前のサソリすらただの瓦礫(反応無し)と誤認していた。収集した未加工の各種センサーデータから敵の擬態を的確に解析・識別するためには、状況に応じた高度なマニュアル調整が不可欠であることをアキラは痛感した。

第9探索チームでの「異常な索敵」と露見のリスク

アキラがシカラベ、エレナ、サラと組んだ「第9探索チーム」での地下探索において、アキラは当初、自身の自力索敵で進もうと試みるが、すぐに精神と体力の限界を迎え、全体の移動に遅れ始めた。

・見かねたアルファが索敵をジャックしてアキラの気力を緩めさせ、アルファによる完璧なサポート(裏での索敵とアキラの視界の拡張)へと切り替えた。
・この直後、アキラは暗闇の先や瓦礫に擬態したヤラタサソリを完璧に先制撃破し、さらにエレナの高性能な索敵機器すら崩落した瓦礫と誤認していた敵の擬態を見事に看破して撃破した。
・しかし、アキラが使っているミッドナイトアイの限界性能を誰よりも知っているのは、元の持ち主であるエレナである。
・あの中途半端な総合系機器を使用し、かつ情報収集の阻害要因だらけの暗い地下街でそれを行うのが技術的に絶対に不可能(異常)であることを知るエレナは、アキラが機器の性能ではなく「旧領域接続者」としての能力でこれを行っているのだと確信を深めることとなった。

まとめ

情報収集機器「ミッドナイトアイ」の導入と索敵訓練を巡る一連の全貌は、200万オーラムによる譲受とアルファによるソフト書き換え・掌握から始まり、ヒガラカ住宅街遺跡でのマニュアル読解を伴う泥臭い自力索敵、色無しの霧を想定した廃ビル制圧時の2時間に及ぶ隠密訓練、簡単お任せ自動設定の却下と環境最適化・擬態見破り調整の洗礼、そして第9探索チームにおける擬態ヤラタサソリの看破とエレナによる「旧領域接続者」としての確信に至るまで、その歩みを明瞭に示している。
未熟な索敵技術や情報機器の性能限界という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を自らの選択と確固たる意志によって完璧に確立するに至る、泥臭い訓練の積み重ねと真の能力露呈の記録である。機器の獲得から、自力操作、隠密体得、マニュアル調整、そして異常索敵の露呈へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。

ハンターの実力差

ハンターたちの実力差と生存適性の全貌

『リビルドワールドII〈上〉 旧領域接続者』では、ハンターたちの実力差が単なるハンターランクという数値の差にとどまらず、生き様、精神の覚醒、実戦での指揮系統、そして自己認識の乖離など、多角的な視点から非常にシビアに描かれている。養殖と本物の実力差、自己評価の低さが生む地雷としてのアキラ、カツヤとアキラの対比、集団運用における実戦的な判断、および一流のハンターという遥かなる天井の各点から解説する。

「養殖」と「本物」の実力差

作中では、組織の手厚い支援を受けて育った若手を養殖(のガキ)と呼び、自力で死線を潜り抜けてきたハンターと明確に区別している。

・レイナの焦りと養殖の限界:レイナはハンターランク23というアキラより高い数値を持ちますが、その実態は専属の熟練護衛であるシオリが常に付き添い、実力以上の安全を確保されて上がった養殖のランクであった。そのため、レイナ自身も自分の実力を心の底から信じられず、ドランカム内での評価の低さも相まって自らの実力を証明したいという強い焦りを抱くことになった。
・アキラの本物の戦歴が与える畏怖:一方のアキラは、徒党に属さず、誰ともチームを組むことなく、登録からわずか数か月でハンターランク20へと急上昇した。都市防衛戦への単独貢献や、ヤラタサソリの群れに占拠されたビルからの単独救出劇、さらに暴食ワニの単独撃破など、その異常な戦歴を目にしたハンターオフィスの職員は、称賛ではなく得体の知れない存在への薄気味悪い畏怖を抱いている。

自己評価の低さが生む「地雷」としてのアキラ

アキラの実力の不気味さは、彼の致命的な自己評価の低さに起因している。

・アキラは、自分の戦闘能力を常にアルファのサポートという絶対的な基準と比較しているため、自分を銃の威力やアルファの制御が無ければ何もできない未熟者と本気で認識している。
・このため、アキラは他者から実力を疑われたり見下されたりしても不満を覚えず、むしろ俺は強くないと平然と答える。
・しかし、その実力不足を自覚するからこそ、アキラは生き残るための冷酷な覚悟を常に決めている。
・侮辱や脅しに対しては一歩も引かず、もし殺し合いになれば即座に相手を仕留める覚悟(狂気)を持って対峙するため、護衛のシオリはアキラを小石だと思って踏み付け、蹴飛ばせば命を奪いに来る、質の悪い地雷のような子供であると評し、強い警戒を向けた。

カツヤとアキラの対比:シカラベの直感が示す矛盾

熟練ハンターのシカラベが下したアキラとカツヤの評価は、本作における実力のあり方を最も象徴している。

・カツヤの圧倒的な強さの資質:シカラベの長年培った鋭いハンターとしての勘は、純粋な戦闘能力やハンターとしてのポテンシャルにおいてカツヤの方が強いと告げている。実際、カツヤは暴食ワニ戦で無意識に旧世界の少女とリンクし、弾丸同士を空中で激突させて敵を内部破壊するほどの常識外れの射撃精度を覚醒させている。
・カツヤにはアキラの代わりはできないという矛盾:しかしシカラベは、ではアキラではなくカツヤ一人を探索に連れて行ったとして、アキラの代わりができたか?と自問した際、明確にできないという矛盾した答えを勘から突きつけられ、内心で頭を抱えている。
・カツヤは卓越した才能を持ちますが、実力を過信し、安全や戦術を甘く見積もる未熟さがある。
・一方のアキラは、アルファの冷徹な判断のもと、危険なヤラタサソリの擬態(瓦礫)を完璧に見破り、確実に包囲を突破する確実性と死生観を持っている。カツヤの持つ爆発的な強さは、アキラの持つ生存に特化した冷酷な確実性の代わりにはなり得ないのである。

集団運用における実戦的な判断

エレナが地下街探索において、カツヤたち5人のグループではなく、シカラベ1人とアキラ1人の追加を選択した理由も、実戦における実力差の現実を物語っている。

・狭く視界の悪い地下街では、単純に人数(戦力)を増やしても、移動速度が低下し、気気配を増やすことで余計なモンスターを刺激するリスクしかない。
・さらに即席の混成部隊において、メンバー(レイナ)が勝手に持ち場を離れ、リーダー(カツヤ)がそれを統率できていないような指揮系統が曖昧な集団を加えれば、非常時に部隊行動が崩壊する恐れがある。
・それならば、指揮を完璧に執れるエレナの指示に素直に従い、確実に役割(火力・索敵)を遂行できる少数精鋭のアキラやシカラベを同行させる方が、ハンターとして遥かに実力が高いチームとして機能するのである。

一流のハンターという遥かなる天井

地下街でエレナやサラの圧倒的な火力と連携(ヤラタサソリの包囲網を擦り傷一つ負わずに殲滅する実力)を見たアキラは、これこそが一流のハンターなのかと感銘を受けた。

・しかし、アルファはそれをあっさりと否定した。
・「残念ながら一流のハンターを名乗るには装備も実力も全く足りていないわね。クガマヤマ都市を活動拠点にしているハンターにしては強いってぐらいよ」
・アルファの説明によれば、本物の一流ハンターたちは東部最東端の最前線と呼ばれる激戦区にひしめき合っており、彼らは人間が銃を持つような感覚で個人で戦車を所有して運用しているという。
・アキラが身を置くクガマヤマ周辺の世界ですら過酷極まりないものであるが、その上には想像を絶する次元の異なる強者たちの天井が存在しているという事実が、この世界の底知れない広さと実力差の絶対的な現実を提示している。

まとめ

ハンターたちの実力差と生存適性を巡る一連の全貌は、手厚い保護を受けた「養殖」のレイナと異常な孤立戦闘を積み重ねた「本物」のアキラの比較から始まり、アキラの自己評価の低さに起因する「質の悪い地雷」としての殺意の覚悟、シカラベの直感が捉えたカツヤの強さの資質とアキラの確実性の代替不能性、指揮系統や気配増大のリスクを考慮したエレナの少数精鋭(シカラベ・アキラ)選択、そして「最前線」で個人戦車を運用する一流ハンターという圧倒的境界に至るまで、その歩みを明瞭に示している。
過酷な荒野の現実や身の丈に合わない評価という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を自らの選択と確固たる意志によって完璧に確立するに至る、生存に特化した冷酷な確実性と真の実力構造の記録である。
養殖の直視から、地雷の形成、代替不能性の証明、少数精鋭の果断、そして最前線への展望へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。

リビルドワールドI〈下〉レビュー
リビルドワールド全巻まとめ
リビルドワールド II〈下〉レビュー

登場キャラクター

旧世界の存在

アルファ

アキラにしか見えない拡張現実の謎の美女である。
彼女はアキラを自身の目的である特定遺跡の極秘攻略へ導く役割を果たす。
アキラが旧領域に無防備に接続して脳死するのを防ぐため、情報にフィルターをかけた。

・所属組織、地位や役職
 アキラ専用のサポートAI。

・物語内での具体的な行動や成果
 アキラが購入したミッドナイトアイのソフトウェアを書き換えて掌握した。
 アキラが旧領域から安全に情報を受け取れるように中継処理の許可を求める。
 アキラが実戦で生き延びられるよう、過酷な索敵や戦闘の訓練を主導した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 アキラを一人前のハンターに育てるために彼を支援し続ける。
 アキラの戦闘能力を最大化させる一方、常に彼の行動を観察していた。


ハンター

アキラ

スラム街出身の若きハンターである。
彼は自分の強さがアルファの補助によるものだということを強く自覚している。
そのため、他のハンターから力量を疑われても一切反発しない。

・所属組織、地位や役職
 ハンター。

・物語内での具体的な行動や成果
 エレナから総合情報収集機器のミッドナイトアイを200万オーラムで購入した。
 ヤラタサソリの駆除依頼において、CWH対物突撃銃の専用弾を大量に消費して群れを全滅させる。
 シカラベやエレナたちとの共同探索で、他の機器が誤認したヤラタサソリの擬態を見抜いて撃破した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ハンターランク20に到達する。
 自らが旧領域接続者であることを知り、脳死のリスクを避けるためにアルファによるフィルターを許可した。
 依頼元に弾薬費を全額先払いさせるなど、異例の好条件で契約を結んだ。

エレナ

状況分析や情報収集を得意とする実力派の女性ハンターである。
彼女はサラとチームを組んで活動している。
アキラの実力と急成長に対し、高い関心と複雑な感情を抱く。

・所属組織、地位や役職
 ハンター。第9探索チームリーダー。

・物語内での具体的な行動や成果
 自宅で埃を被っていた総合情報収集機器のミッドナイトアイをアキラに売却した。
 カツヤたちのヒガラカ住宅街遺跡での探索訓練で教官役を務める。
 アキラが地下街で不自然なほどの高い索敵能力を示したことから、彼の異質さに確信を深めた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 アキラの秘密について不必要な詮索を一切しないという約束を遵守する。
 シズカの店で自身初となる高性能な強化服の購入を決意した。

サラ

身体強化拡張者の女性ハンターである。
彼女はエレナの優秀な相棒として高い火力を担当する。
アキラを命の恩人として優しく気遣い、信頼を寄せた。

・所属組織、地位や役職
 ハンター。第9探索チームメンバー。

・物語内での具体的な行動や成果
 カツヤたちの訓練で教官役を務め、探索における実戦的な助言を与える。
 探索中に高価な遺物の持ち帰りが厳禁であることをアキラに忠告した。
 カツヤが暴食ワニを倒した戦闘において、彼の常識外れの射撃を目撃する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 数々の激戦を生き延び、戦闘経験をさらに積み重ねる。
 エレナとともに、アキラが旧領域接続者である可能性を確信した。

ミマタ

14番防衛地点に配属されたベテランハンターである。
彼は新米や子供のハンターを露骨に見下す傾向を持つ。
現場の規律よりも目先の利益を優先して行動した。

・所属組織、地位や役職
 ハンター。14番防衛地点警備要員。

・物語内での具体的な行動や成果
 アキラを養殖のガキと蔑み、孤立するアキラを無視した。
 未調査エリアに隠された遺物がないか探すため、持ち場を離れる。
 レイナからの非難に対して適当にトイレと嘘を吐いてごまかした。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 本部の指示を無視して勝手な探索を繰り返した。
 アキラが先に戦功を挙げて調査要員に指名されたことに強い不満を抱く。

シカラベ

ドランカムに所属する熟練のベテランハンターである。
彼はカツヤたち若手の身勝手な態度を非常に嫌っている。
アキラの実力と驕らない姿勢を高く評価した。

・所属組織、地位や役職
 ハンター徒党ドランカム所属。第9探索チームメンバー。

・物語内での具体的な行動や成果
 カツヤたちが探索チームに加入することに強硬に反対した。
 アキラが自分の実力を謙虚に見積もるのを見て機嫌を良くする。
 地下街の探索中にヤラタサソリの群れに冷静に対処し、次々と撃退した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 カツヤたちの指導役(引率)を完全に辞退する。
 シオリからアキラの実力について問われ、自分たちの足手纏いにならないと保証した。


ハンター徒党「ドランカム」

カツヤ

ドランカムの若手グループを率いる少年ハンターである。
彼はアキラに対して激しいライバル心と複雑な嫉妬を抱く。
仲間を守るための強烈な力を心の底から渇望した。

・所属組織、地位や役職
 ハンター徒党ドランカム所属。若手グループリーダー。

・物語内での具体的な行動や成果
 ヒガラカ住宅街遺跡での探索試験において、お手本のような動きで及第点を得る。
 暴食ワニとの戦闘中に無意識に旧世界の少女とリンクし、精密な射撃を成功させた。
 アキラがシカラベやエレナたちと共同探索を行うことに強い不満を表明して口論した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 引率役付きの半人前扱いから正式に外された。
 ドランカムの事務派閥の管理職であるミズハの管轄下へ移る。

ユミナ

ドランカムに所属する少女ハンターである。
彼女はカツヤの幼馴染として彼を近くで支え続ける。
カツヤの無謀な突っ走りを防ぐために常に気配りを欠かさない。

・所属組織、地位や役職
 ハンター徒党ドランカム所属。

・物語内での具体的な行動や成果
 1年前の加入試験でドランカムの装甲車に乗り込み、カツヤに同行した。
 カツヤがアイリを救出しようとして窮地に陥った際、安全ルートを確保して救い出す。
 カツヤがアキラとしつこく揉めようとした際、アキラに頭を下げて彼を引き下がらせた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 カツヤとともに引率役付きから外され、一人前のハンターと認められる。
 ミズハの思惑に気付きつつも、カツヤの利益を優先して従う選択をした。

アイリ

ドランカムに所属するスラム街出身の少女ハンターである。
彼女はカツヤに対して深い感謝と好意を寄せている。
カツヤの活気ある姿を願い、彼の側に寄り添う。

・所属組織、地位や役職
 ハンター徒党ドランカム所属。

・物語内での具体的な行動や成果
 1年前のドランカムの加入試験でドラッドラットに襲われて重傷を負う。
 死を覚悟したところで、自分を背負って救い出してくれたカツヤに涙を流した。
 ヒガラカ住宅街遺跡での訓練で、カツヤの射撃に静かな視線を送る。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 スラム街のB班試験から生還し、ドランカムの施設で暮らす権利を得た。
 カツヤやユミナとともに、一端のハンターとして認められる。

トガミ

ドランカムに所属する自信家の少年ハンターである。
彼は1年前のドランカム加入試験においてカツヤと出会った。
自分の実力を証明することに強い執着を示す。

・所属組織、地位や役職
 ハンター徒党ドランカム所属。

・物語内での具体的な行動や成果
 1年前の試験でカツヤが発見した旧世界の幽霊の反応を自身の機器で探したが、確認できなかった。
 B班の過酷な試験中に文字が読めないながらも、冷静にマップを確認して進む。
 A班のカツヤたちに負けじと、B棟の残された装備の回収を自ら志願した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 自ら危険な任務に志願する高い上昇志向を持つ。
 ドラッドラットを冷静に仕留める実力を試験で見せた。

レイナ

ドランカムに所属する勝気でプライドの高い少女ハンターである。
彼女は自分の実力以上のハンターランクに焦りと引け目を感じていた。
アキラと深く関わることで自らの甘さを思い知る。

・所属組織、地位や役職
 ハンター徒党ドランカム所属。

・物語内での具体的な行動や成果
 14番防衛地点でアキラに対し、自分の方がランクが上であると高圧的に迫る。
 哨戒に出たアキラに無断で同行し、彼から「トラブルを起こすヤツ」と一蹴された。
 ヤラタサソリの大群が押し寄せた際、アキラと共闘して優れた戦闘の才能を開花させる。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ハンターランクは23である。
 アキラから戦力を対等に認められて報酬を等分され、機嫌を良くした。
 自分のこれまでの酷い態度を深く反省した。

シオリ

レイナに絶対の忠誠を誓い仕えるメイド服姿の護衛である。
彼女はレイナの安全と意思を最優先にして行動する。
アキラが本気で殺し合いに踏み切れる狂人であることを見抜いた。

・所属組織、地位や役職
 ハンター徒党ドランカム所属(レイナ専属の付き人)。

・物語内での具体的な行動や成果
 14番防衛地点に場違いなメイド服姿で佇み、着替えを頑なに拒否する。
 レイナを侮辱したアキラを威圧し、一触即発の臨戦態勢に突入した。
 ヤラタサソリとの死守戦で、レイナをサポートするために共闘をアキラに依頼した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 アキラの実力を高く評価してシカラベに彼の戦いぶりについて尋ねる。
 アキラに対してこれまでの無礼を詫びて和解を申し出た。

アラベ

ドランカムの幹部を務めるハンターである。
彼はカツヤたちの力量やこれまでのトラブルを把握していた。
組織の世代交代や調整に心を砕く。

・所属組織、地位や役職
 ハンター徒党ドランカム幹部。

・物語内での具体的な行動や成果
 ヒガラカ住宅街遺跡での訓練後にカツヤたちを呼び出した。
 エレナへの無礼な態度についてカツヤたちを厳しく問い詰める。
 カツヤたちの今後の管理を、事務方の管理職であるミズハに引き継がせた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 カツヤたちを引率役付きの半人前扱いから正式に外す。
 彼らの身勝手な行動から生じる心労から解放されて安堵した。

ミズハ

ドランカムの事務派閥の管理職を務める女性である。
彼女は若手ハンターの増員を主導する立場にある。
カツヤたちの実力を政治的に利用しようと画策した。

・所属組織、地位や役職
 ハンター徒党ドランカム・事務派閥管理職。

・物語内での具体的な行動や成果
 カツヤたちの暴食ワニ討伐の成果を大いに称賛する。
 カツヤを懐柔するために甘い言葉と手厚い優遇措置を提示した。
 カツヤに自身が選定した高難度依頼の資料を並べてそれらを選ばせる。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 カツヤたちを自らの管轄下に移すことに成功した。
 彼らの功績を事務派閥の正しい成果として喧伝し、影響力を強める。


スラム街の徒党(シェリルの徒党)

シェリル

アキラを唯一の後ろ盾にする弱小徒党の少女ボスである。
彼女は自分の地位と安全を保つために商才と知略を発揮する。
アキラに対して強烈な依存と愛情を示した。

・所属組織、地位や役職
 シェリルの徒党ボス。

・物語内での具体的な行動や成果
 アキラがクズスハラ街遺跡で警備任務を終えた後に彼と合流する。
 カツラギの移動店舗(トレーラー)でホットサンドの販売事業を立ち上げた。
 アキラから商才やホットサンドの適切な価格設定について高く認められる。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 カツラギから仕入れた食材や清潔な服を用いて効率よく利益を上げる。
 アキラやカツラギの支援を得て、スラム街での立場をさらに安定させた。


商人・店舗

シズカ

銃弾専門店「カートリッジフリーク」を一人で経営する女性である。
彼女はアキラを実の弟のように大切に思い気遣う。
アキラの不自然なほどの戦闘実績から彼の秘密に気づきかけた。

・所属組織、地位や役職
 カートリッジフリーク店長。

・物語内での具体的な行動や成果
 エレナたちに高性能な強化服を選定して販売した。
 ヤラタサソリ掃討戦へ向かうアキラを優しく強く抱きしめて送り出す。
 アキラが旧領域接続者ではないかと疑うが、詮索は不利益を生むとして思考を打ち切った。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 アキラの数少ない精神的な支えとしての立場を保ち続ける。
 彼との信頼関係を壊さないためにあえて深く踏み込まない判断を下した。

カツラギ

大型トレーラーを駆使して活動する強欲な武器商人である。
彼はアキラとの取引を極めて重視している。
シェリルのビジネスに対して積極的に物資の提供を行った。

・所属組織、地位や役職
 移動店舗店主。

・物語内での具体的な行動や成果
 シェリルの徒党の子供たちに弾薬運びや荷物運びの雑用を提供した。
 シェリルがホットサンドの店を立ち上げるための食材や清潔な服を用意する。
 アキラに対してシェリルの劇的な内面の変化について怪訝そうに尋ねた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 アキラから遺物を優先的に売り込んでもらう約束を取り付けている。
 シェリルをビジネスパートナーとして有能であると高く評価した。

ダリス

カツラギの移動店舗で相棒を務める護衛の男である。
彼はアキラに対して死線を共に越えた仲間として気安く接する。
アキラの急速な装備の充実ぶりに驚きを見せた。

・所属組織、地位や役職
 移動店舗護衛兼店員。

・物語内での具体的な行動や成果
 カツラギのトレーラー店舗で忙しく働くシェリルの姿を見守る。
 アキラが強化服を着用して対物突撃銃を背負って現れたことに驚愕した。
 アキラの成長からカツラギも彼に対して真剣な対応が必要だと判断して店番を代わる。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 アキラを一人前のハンターに近い実力者として認めるようになる。


ハンターオフィス / 都市関係者

キバヤシ

ハンターオフィスとクガマヤマ都市の職員を兼任する男である。
彼は無謀な生き様を貫くハンターを極端に好む。
アキラのことを「無理無茶無謀な面白い素材」として目をつけた。

・所属組織、地位や役職
 ハンターオフィス職員。クガマヤマ都市職員。

・物語内での具体的な行動や成果
 都市防衛戦でのアキラの無茶な戦いぶりを見て非常に興奮した。
 ヤラタサソリ掃討作戦においてアキラの「弾薬費全額保証」や「撤退権」の条件を許可した。
 アキラを危険極まりない高難度エリアの依頼へと意図的に送り込む。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 アキラの推薦人および配置監督員としての権限を持つ。
 アキラに大勝か大敗かの機会を与えて楽しそうに見守る。


集団

ドランカム

クガマヤマ都市に拠点を置く大規模なハンター徒党である。
この徒党は若手ハンターの積極的な増員と育成を進めている。
しかし古参のベテラン勢と新進の若手勢との間に深い軋轢が生じていた。

・所属組織、地位や役職
 ハンター徒党。

・物語内での具体的な行動や成果
 若手の教育や評判改善を狙い、エレナたち実力派ハンターの勧勧を試みる。
 カツヤたちのこれまでの戦果を考慮して彼らの引率役付き扱いを解除した。
 大量の若手を今回のヤラタサソリ掃討作戦に送り込む。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 管理側(古参派閥と事務派閥)の政治的な対立がより深刻化している。

第9探索チーム

ヤラタサソリ掃討作戦中に急遽結成された探索グループである。
このチームはクズスハラ街遺跡の未知のエリアを探索する。
メンバー全員が非常に優れた戦闘技術や索敵能力を持つ。

・所属組織、地位や役職
 ヤラタサソリ掃討作戦・探索チーム。

・物語内での具体的な行動や成果
 エレナをリーダーとし、サラ、シカラベ、追加のアキラの4人で構成される。
 暗闇とモンスターの不確かな地下街を順調に探索しマップを作成した。
 ヤラタサソリの群れから奇襲を受けるが、全員が傷を負うことなく全滅させる。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 アキラが不自然な索敵を行ったことで、彼の旧領域接続の秘密がチーム内で確信された。

探索チーム

ヤラタサソリ掃討作戦における主要な部隊の一つである。
この部隊は暗闇の地下街の未知のエリアを調査する任務を負う。
情報収集能力に長けた優秀なハンターたちが選抜されていた。

・所属組織、地位や役職
 ヤラタサソリ掃討作戦・調査担当グループ。

・物語内での具体的な行動や成果
 一切光の差さない地下街の闇の中を慎重に調査する。
 地下街マップの作成やモンスターの巣の位置の特定を行う。
 アキラが発見した未調査の大穴の奥の領域をのちに制圧した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 地下街の制圧において極めて重要な役割を果たす。

討伐チーム

ヤラタサソリ掃討作戦で戦闘を専門に引き受ける部隊である。
この部隊は強力なモンスターの直接駆除を担当する。
戦闘力に自信を持つ多くの熟練ハンターたちが配備された。

・所属組織、地位や役職
 ヤラタサソリ掃討作戦・戦闘担当グループ。

・物語内での具体的な行動や成果
 発見されたヤラタサソリの巣の本格的な駆除や完全制圧区域の拡大を行う。
 探索チームや防衛チームがピンチになった際の武力支援を引き受けた。
 大穴が発見された新防衛地点に到着し、その先の脅威を排除した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 作戦における最大の戦力供給源として機能する。

防衛チーム

ヤラタサソリ掃討作戦で指定地点の警備を担うグループである。
このチームには他チームに配備されなかった者たちが多く所属する。
安全で簡単な作業が主な仕事とされていた。

・所属組織、地位や役職
 ヤラタサソリ掃討作戦・拠点警備グループ。

・物語内での具体的な行動や成果
 中継器の設置場所や仮設基地内の重要地点の防衛を行う。
 簡易照明の設置といった各種雑務も同時に並行して進めた。
 アキラが1番防衛地点の警備を希望してこのチームに配置される。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 実力に乏しい余り者の子供ハンターが多いと評されていた。

都市の防衛隊

クガマヤマ都市の安全を物理的に死守する私設軍隊である。
彼らは防壁の内部を守るための強固な戦闘能力を誇る。
過去に発生したモンスターの大襲撃に対して圧倒的な力で応戦した。

・所属組織、地位や役職
 クガマヤマ都市の防衛私設軍。

・物語内での具体的な行動や成果
 クズスハラ街遺跡での戦闘により、地上および地下街の一部を破壊した。
 その戦闘の影響により地下街が未知の領域と繋がるきっかけを作る。
 防壁内にいる市民の安全を確保した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 都市の中位区画の住民に対して防衛予算の必要性を示した。

14番防衛地点の子供達

14番防衛地点(中継器設置場所)に配備された若手ハンターたちの集団である。
この集団は主にドランカムの若手たちで構成されている。
ベテランハンターであるミマタから養殖のガキと見下されていた。

・所属組織、地位や役職
 防衛チーム・14番防衛地点警備グループ。

・物語内での具体的な行動や成果
 アキラ、ミマタたち、カツヤたちの3つのグループに分かれて警備を行う。
 ミマタたちが哨戒を口実に持ち場を離れる中、不満を漏らしつつも広場に残る。
 ヤラタサソリの襲撃を受けて、アキラが単独で周辺の調査へと向かった。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 何事も起こらない時間が続いたため現場の緊張感を著しく欠いていた。

A班

1年前のドランカム加入試験において高い評価を受けていたグループである。
このグループは一定 of 教育を受け、常識や倫理を備えた者たちで構成されていた。
試験に臨んだ時点で基本的に合格が前提とされていた。

・所属組織、地位や役職
 ドランカム加入試験・高評価グループ。

・物語内での具体的な行動や成果
 カツヤやユミナたちがこの班に配属されて試験を受ける。
 事前にモンスターが完全に駆除された比較的安全なA棟を進んだ。
 荒野へ足を踏み入れる覚悟と冷静さのみを審査されて全員が合格した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ドランカムの事務派閥から極めて高い期待を寄せられていた。

B班

1年前のドランカム加入試験で低い評価を受けていたグループである。
このグループは主にスラム街出身者などの教育や常識を欠く者たちで構成されていた。
合格のために過酷な戦闘能力を示す必要があった。

・所属組織、地位や役職
 ドランカム加入試験・低評価グループ。

・物語内での具体的な行動や成果
 雑に装甲が貼られた大型バスで過酷なB棟へと運ばれる。
 ドラッドラットが残されたままの建物に紙の地図だけで突入させられた。
 恐怖から弾を浪費したり、味方同士で武器を奪い合ったりして多数の脱落者を出した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 トガミやアイリがこの過酷な試験を生き延びてドランカムへの加入を果たす。

事務派閥

ドランカムの内部で事務作業や管理を専門に担う派閥である。
このグループはハンター未経験の純粋な事務方で構成されている。
古参のベテランハンター派閥とは大きく方針を異にする。

・所属組織、地位や役職
 ハンター徒党ドランカム・事務管理部門。

・物語内での具体的な行動や成果
 徒党の戦力強化のために若手ハンターの積極的な増員計画を開始する。
 カツヤたちの若手ハンターを手厚く優遇し、彼らを政治的に利用した。
 ドランカムに馴染まない古参ハンターとの間に大きな軋轢を生み出す。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 カツヤたちの獲得した戦果を自らの手績として組織内での発言力を強める。

ヤラタサソリの群れ

クズスハラ街遺跡の地下街を実質的に占拠しているモンスターの集団である。
彼らは蜘蛛とサソリを混ぜたような外見の甲殻虫である。
頑丈な外骨格を持ち、周囲の環境に同化する擬態や擬死を得意とする。

・所属組織、地位や役職
 地下街に棲息する野生モンスター。

・物語内での具体的な行動や成果
 地下街の未知の領域から掘られた大穴を通って続々と出現する。
 アキラたちの守る大穴に120匹以上の大群で押し寄せた。
 アキラが放ったCWH対物突撃銃の専用弾によって、肉片の沼へと変えられて殲滅される。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 地下街の至る所に無数の繁殖場所(巣)を構築していた。

ドラッドラットの群れ

ヤハラタ工場遺跡などに生息するネズミ型のモンスターの集団である。
彼らは人間の膝ほどの高さを持つ大型の害獣である。
個々の戦闘力は非常に低いものの、数の暴力で人間に襲いかかる。

・所属組織、地位や役職
 野生モンスター。

・物語内での具体的な行動や成果
 1年前のドランカムの加入試験が行われたB棟に多数徘徊する。
 スラム出身の子供たちに群がって襲いかかり、多くの犠牲者を出した。
 瀕死のアイリを執拗に追い詰めるが、救出に現れたカツヤやユミナによって撃退される。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 弾を失った素人のハンターにとっては十分に命を脅かす危険な存在である。

暴食ワニ

ヒガラカ住宅街遺跡に突如出現した巨大な生物系モンスターである。
このモンスターは食べたものの特性を自身の体に反映させる適応力を持つ。
大型トラックほどの巨体と強固な鱗を有していた。

・所属組織、地位や役職
 野生モンスター。

・物語内での具体的な行動や成果
 本来は生息していないはずのヒガラカ住宅街遺跡に迷い込み、廃屋を食べていた。
 訓練中のカツヤ、ユミナ、アイリの前に立ち塞がり、彼らを窮地に陥れる。
 カツヤが旧世界の少女とリンクして放った精密射撃の連続激突によって撃破された。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 金属を食べることでコンクリートのような鱗を全身に生やしていた。
 この討伐成功の実績が、のちにカツヤたちの評価を急上昇させることとなる。

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展開まとめ

第31話 情報収集機器 

個人巡回依頼

アキラは荒野仕様のバイクにハンターオフィスから借りた情報収集機器を積み、個人で受注した巡回依頼を続けていた。個人巡回は時間や経路を自由に決められる一方、安全管理も戦闘も全て自己責任だった。

先日の大襲撃で多くのモンスターが倒されたため遭遇数は少なかったが、アルファは機械系だけでなく生物系モンスターも旧世界の生産設備などから大量に供給され続けていると説明した。統企連がハンターにモンスター討伐や遺跡攻略をさせているのも、その増加を抑えて生活圏を維持するためだった。

CWH対物突撃銃の実戦訓練

一体の大型生物系モンスターが接近すると、アルファはアキラに自力で倒すよう求めた。アキラはバイクを降り、CWH対物突撃銃を構えたが、強化服と銃の扱いに慣れておらず最初の二発を外した。

途中からアルファが弾道予測のみを表示すると、アキラはそれを利用しながら自力で照準と強化服の操作を続けた。接近する敵への恐怖に耐えながら撃ち続け、胴体への直撃で動きを鈍らせた後、頭部を撃ち抜いて仕留めた。

アキラはアルファの補助なしでは倒せなかったことに満足できなかったが、今の実力なら赤字にならずに戦えるだけでも十分だと考え直した。

ランク20への目標

アキラが今後どこまでハンターランクを上げるのか尋ねると、アルファは20台を目安にしていると答えた。ランク20程度になれば荒野仕様車両のレンタル条件が大幅に緩和され、今後の遺跡探索に必要な車を借りやすくなるためだった。

アキラはバイクだけでも十分ではないかと考えたが、アルファは弾薬や遺物の運搬量を理由に車両が必要だと説明した。さらに他の遺跡ではアルファの索敵精度が大きく落ちるため、情報収集機器も必要だと告げた。

回復薬を探したいアキラは早く別の遺跡へ行きたがったが、アルファの索敵支援が弱まると聞くとすぐに諦めた。装備を揃えるほど金が減ることに不満を漏らしたものの、必要経費だと納得した。

エレナの強化服

休養日にシズカの店を訪れたアキラは、偶然来ていたエレナとサラの雑談に加わった。そこでエレナが今まで強化服を使っておらず、自身の身体能力だけで重い情報収集機器を装備していたことを知った。

サラとエレナが互いの身体能力をからかい合う中、アキラは場を収めようとしてエレナ、サラ、シズカを美人だと評した。それぞれがその言葉を嬉しく受け取り、場には気恥ずかしい空気が流れた。アルファも同じ質問をしたが、アキラはからかわれていると考えて素っ気なく答えた。

エレナは新たに強化服を購入することを決めており、シズカに選定を任せていた。アキラがどのような強化服なのか尋ねると、シズカは届いたら直接見せてもらえばいいと勝手に話を進め、エレナを慌てさせた。

中古の情報収集機器

アキラが情報収集機器を購入する予定だと話すと、シズカは専門外としてエレナに相談するよう勧めた。エレナは以前購入したものの自分には合わず、使わずに保管していた総合型の情報収集機器をアキラに売ることを提案した。

単一系が各機能を個別に組み合わせる自由度を持つ一方、総合系は複数の機能と情報処理を一つにまとめて扱いやすくしていた。独自に機器を組み合わせるエレナには総合系が合わなかったが、単独行動の多い初心者には適していると考えた。

価格は200万オーラムだった。預金の大半を失う金額だったが、アキラはアルファやエレナの勧めを信じて購入し、そのままエレナ達の家へ受け取りに向かった。

安全な場所での休息

エレナが機器を探している間、サラは防護服の前を大きく開けたままアキラの前に座り、視線に困るアキラをからかった。やり過ぎたと判断すると服を閉じ、その後は真面目な態度で、家のような安全な場所では戦闘用の服を脱いで気を緩めることも必要だと説明した。

四六時中戦場の緊張を保てば精神が疲弊し、安全な日常と危険な戦場の区別まで失ってしまうとサラは忠告した。宿代を惜しんで安心できない場所に泊まり続けることも良くないと聞き、アキラは路地裏で常に警戒していた頃を思い出した。

アキラはサラの話を受け入れて強化服の上半身を脱いだ。サラはこの家が十分安全であることを話し、その例としてエレナが家の中を裸で歩くことまで口にしたため、後から現れたエレナを前にアキラは挙動不審になった。

ミッドナイトアイ

エレナが持ってきた情報収集機器は、センバエレクトロニクス製の総合情報収集機器ミッドナイトアイだった。エレナは使用時の設定が残っているためそのままでも使えると説明し、まずは宿の部屋など安全な場所で操作を覚えるよう勧めた。

アキラは機器を受け取ると、すぐに使い勝手を確かめたいとして帰宅した。

情報収集機器の改造

宿に戻ったアキラがミッドナイトアイを情報端末へ接続すると、アルファは自身の支援を最大限利用できるようソフトウェアを書き換え始めた。

翌日には作業が終わるため、比較的安全な遺跡で情報収集機器の訓練を行うことになった。アキラは二挺のAAH突撃銃とCWH対物突撃銃の整備を進め、アルファはその姿を観察しながら機器の掌握を続けた。

第32話 ヒガラカ住宅街遺跡 

ヒガラカ住宅街遺跡への訓練

アキラはエレナから購入した情報収集機器を試すため、バイクでヒガラカ住宅街遺跡へ向かった。そこは長年の探索で高価な遺物がほとんど持ち出されていたが、建物が適度に残り、モンスターも比較的弱いため、情報収集機器の訓練には適していた。

遺跡が近付くと、アルファが掌握した情報収集機器を使ってエレナとサラを発見した。アキラが挨拶に向かうと、二人も別のハンターの訓練を手伝う依頼で来ていたことが分かった。

カツヤ達との再会

そこへドランカムの車両でカツヤ、ユミナ、アイリが到着した。三人は大規模襲撃での戦果によって以前より自由な行動を認められており、今回の訓練結果次第では引率役を外される可能性があった。

一方で今回の依頼には、ドランカムがエレナ達を勧誘する意図も含まれていた。エレナ達が加入すればカツヤ達の新たな引率役となる予定だったが、三人にはそこまで知らされていなかった。

カツヤはエレナ達との訓練に張り切っていたが、到着するとアキラの姿を見て驚愕した。緊急依頼へ一人で向かったアキラは死んだと思っていたからだった。アキラはカツヤ達をエレナ達の依頼相手だと理解すると、邪魔を避けるため挨拶だけして遺跡の奥へ移動した。

異なる時代の遺跡

ヒガラカ住宅街遺跡を見たアキラは、クズスハラ街遺跡ほど旧世界らしい印象を感じず、スラム街に近い雰囲気に拍子抜けした。

アルファは、旧世界とは単一の文明ではなく、滅亡と再構築を繰り返してきた過去の文明全体を指すと説明した。それぞれの文明はさらに古い文明の技術を利用して発展し、その力を扱い切れず滅び、その遺物が次の文明の礎となってきたのだった。

アキラは壮大な歴史に感慨を覚えたが、今は自分の今日を生きる方が重要だと気持ちを切り替えた。

情報収集機器の実地訓練

アキラはバイザー型の表示装置を装着し、周囲の情報が視界へ重ねて表示される状態で訓練を始めた。アルファは機器の性能確認を担当し、アキラには説明書を自力で読みながら操作を覚えるよう指示した。

アキラはバイクの運転も索敵も自力で行ったが、弱いモンスターの存在をアルファに先に察知され、自分の索敵能力がまだ不足していることを実感した。廃屋では食器などの遺物も見つけたが、価値が低いため持ち帰らなかった。

探索を続ける中、アキラは最近破壊されたような半壊家屋と、巨大な何かが通過した痕跡を発見した。弱いモンスターしかいないはずの遺跡には不自然な痕跡だった。アルファは大襲撃の影響でモンスターの分布が変わり、強い個体が流れ込んでいる可能性を指摘した。アキラは嫌な予感を覚え、警戒を強めた。

カツヤ達の探索試験

一方、エレナとサラはカツヤ達に、四時間を上限として自由に遺跡を探索する訓練を課した。二人は細かな指示を出さず、三人だけで来たつもりで判断するよう求めた一方、危険を感じた場合は意地を張らず救援を求めるよう念を押した。

評価対象は遺物の価格だけではなく、探索場所への見切り、周囲への警戒、撤退判断などを含む総合的な行動だった。アイリが目標を尋ねると、エレナは最小の労力で最大の成果を出し、危険に見合う利益を得る選択を続けることが重要だと説明した。

アキラへの疑問

質問を促されたカツヤは、先ほどエレナ達と一緒にいたアキラとの関係を尋ねた。ユミナは訓練と無関係な男女関係を尋ねたと受け取り、カツヤを殴ろうとした。

カツヤは、アキラが大襲撃時に一人で緊急依頼へ向かった者であり、死んだと思っていたため気になっただけだと説明した。エレナは事情を理解したものの、訓練とは無関係な質問だったとして話を打ち切り、三人を探索へ送り出した。

アキラの生還と成長

カツヤから話を聞いたエレナは、アキラが防衛戦で想像以上に危険な状況を潜り抜けていたことを知った。バイクや新しい装備、情報収集機器を購入できるほどの報酬を得た事情も合わせると、死んでいても不思議ではない激戦から生還したことになると考えた。

サラは、このままではそのうちアキラに追い抜かれるかもしれないと笑った。エレナも一度アキラに命を救われている以上、先輩という立場にこだわる必要はないと返し、それでもしばらくは頼れる先輩でいられるよう、自分達もしっかり仕事をしようとカツヤ達の後を追った。

第33話 旧領域接続者 

邸宅の隠し地下室

ヒガラカ住宅街遺跡を探索していたアキラは、周囲より立派な邸宅を発見した。高価な遺物を期待して内部を調べたが、過去のハンター達に持ち去られた後で、館内にはほとんど何も残っていなかった。

探索が雑になり始めた頃、アルファが情報収集機器の解析から床の隠し扉を発見した。アキラは地下室へ下りたものの、そこも一見すると空だった。さらに調べるため照明を消すと、アルファが情報収集機器のデータを利用して暗闇の地下室を白黒映像として視界に表示した。その結果、床に透明な蓄光塗料で描かれた立ち位置を示す印が見つかった。

突然現れたメイド服の女性

アキラが印の上に立つと、視界にメイド服の女性が突然現れた。アルファにはその姿が見えておらず、アキラが女性の存在を口にすると、アルファは即座に強化服を強引に操作してアキラを印の外へ退避させた。

アルファは頭痛や吐き気、意識状態などを確認し、異常がないと分かると安堵した。女性の姿も消えていたが、アルファはアキラが死にかけた可能性があったと説明した。

旧領域接続者の危険

アルファは、アキラが旧領域と呼ばれる旧世界のネットワークに生身で接続できる旧領域接続者であり、アルファを認識して支援を受けられるのもそのためだと明かした。

先ほどの女性は旧領域上の映像情報である可能性が高く、旧世界では道案内や受付などに利用されていた存在だった。しかし旧世界側がアキラの能力を過大評価すると、現在の人間には処理できないほど大量の情報を送り込む危険があった。館の情報を求めただけでも、膨大な情報を一度に受信して脳が処理できず、死亡する可能性があると説明された。

アキラは、情報を断るか、視覚で処理できる形式に限定させるか、情報端末へ送らせる方法などを教えられた。しかし相手が了承を取らず一方的に情報を送る場合には防げない可能性もあった。

アルファによる中継処理

対策を求めたアキラに対し、アルファは普段とは異なる事務的な態度で、旧領域からの入力情報を自分が中継処理する許可を求めた。アキラが許可すると、アルファは情報にフィルターを掛けられるようになり、危険を大幅に下げた。

安全を確保したアキラが再び印の上に立つと、メイド服の女性が現れた。今度はアルファにも姿が見えるようになっていた。

新規ユーザ登録の案内

女性はアキラに新規ユーザ登録を希望するか尋ねた。アキラがまず断ると、女性は利用を待っていると告げて消えた。

再び呼び出して詳しい説明を求めようとしたところ、女性はアルファの声には反応せず、アキラの発言にだけ応答した。情報端末への情報送信を頼んでも端末では受信できなかったため、アルファはアキラ自身を経由して情報を受け取る方法を提示した。

危険が残ると説明されたものの、アキラは何も分からないまま帰ることを嫌い、試すことを選んだ。

旧世界との通信

アキラは女性に、自分へ情報をできる限り少しずつ送るよう頼んだ。送信が始まってもアキラには頭痛や吐き気などの異常は起こらなかった。

実際には途中からアルファが通信を直接引き継ぎ、アキラを経由する情報量を最小限に抑えていた。アルファは先に接続先だけを取得し、その後は自分が直接情報を受け取れる状態にしていた。

アルファは、直接金になるものではないが予想外に多くの収穫が得られたと告げた。アキラは危険を冒した価値はあったと納得し、詳しい説明を後回しにして地下室を後にした。

第34話 暴食ワニ 

順調な遺物収集

ヒガラカ住宅街遺跡で訓練を受けるカツヤ達は、見張りと遺物収集を交代しながら廃屋を探索し、モンスターと遭遇すれば全員で撃破していた。その動きは遺物収集のお手本に近く、離れて見守るエレナ達からも十分な評価を得られる内容だった。

しかし見付かる遺物は安価なものばかりで、カツヤは成果に不満を抱いていた。以前クズスハラ街遺跡で拡張情報対応の情報収集機器を使った経験を思い出したが、その際に見た半透明の裸の少女についてはユミナに詳しく話さなかった。

旧世界の幽霊との遭遇

以前、ドランカムはクズスハラ街遺跡の外周部に高価な遺物が眠る未調査区域があるという噂を調べるため、若手を中心とした調査部隊を派遣していた。カツヤも拡張情報対応の情報収集機器を借り、一人で指定区域を探索していた。

成果が出ずに気を落としていたカツヤは、暗がりを漂う弱い光を見付け、その先で半透明の全裸の少女を目撃した。拡張現実機能を切っても少女は消えず、カツヤは本部へ報告したが、本部側では存在を確認できなかった。

少女はカツヤのすぐ側まで近付き、口を動かしていた。声は聞こえなかったものの、カツヤがその無音の声に集中すると、何かを聞き取れそうな感覚が生まれ、少女の姿もわずかに色付き始めた。しかし確認に来たトガミの声で意識を逸らした瞬間、少女は消えていた。その後も再発見できず、情報収集機器の不具合か通信混線として処理された。

訓練への焦り

現在の探索に戻ったカツヤは過去の出来事を思い返して集中を乱したが、アイリに気付かれると話をごまかした。三人は集めた遺物を確認して探索を切り上げることでは一致したものの、カツヤだけは安価な成果に満足できなかった。

防衛戦で仲間を失った経験から、普通に強いだけでは誰も守れないという思いがカツヤを追い立てていた。その強迫的な集中によって、カツヤは情報収集機器が捉えた微かな反応を発見した。

暴食ワニの発見

反応の先には、大型トラックほどの暴食ワニがいた。暴食ワニは食べた物の性質を体に取り込み、成長を続ける生物系モンスターであり、発見された個体も鉄やコンクリートのような鱗と強靭な顎を備えていた。

カツヤ達は相手に発見されていないことを確認し、ユミナとアイリはそのまま帰還しようとした。しかしカツヤは、奇襲できること、遠距離攻撃を持たないこと、自分達が高火力の装備を用意していることを理由に、三人で暴食ワニを倒そうと提案した。

ユミナは不要な危険だとして反対した。するとカツヤは食い下がらず、自分では勝てないのかと落ち込み、提案を取り下げた。その陰のある様子を見たユミナは考えを変え、エレナ達の承諾を条件に討伐へ賛成した。

共闘討伐の交渉

ユミナはエレナに連絡し、カツヤ達が先に攻撃を始め、エレナ達には到着次第加勢してもらう共闘を提案した。報酬配分も到着までの時間を基準に決めるよう求め、自分達の実力を評価する材料にしてもらおうとした。

エレナは、他のハンターに報酬分配まで提示して保険を掛けながら戦う行為を甘えではなく強かな判断と評価し、提案を受け入れた。ただし少しでも危険だと判断すれば、訓練を優先せず自分達で暴食ワニを倒すつもりだった。

エレナとサラはそれぞれ狙撃位置を取り、情報収集機器と高威力の銃で暴食ワニをいつでも仕留められる状態を整えた。

暴食ワニ討伐への決意

エレナから承諾を得たユミナは、自分達だけでも戦える可能性を認められたのだと受け止めて覚悟を決めた。カツヤもユミナの後押しで覇気を取り戻し、感謝を伝えた。

アイリも討伐への意欲を見せ、三人は互いに笑い合うと、暴食ワニとの戦闘に向けて配置に付いた。

第35話 専用弾の威力 

暴食ワニへの奇襲

カツヤ達はエレナ達の援護を保険としつつ、自分達だけで暴食ワニを仕留めるため、最大火力を頭部へ集中させる作戦を取った。合図と同時に一斉射撃を開始したが、暴食ワニは強固な鱗と生命力で攻撃に耐え、そのまま猛然と接近してきた。

三人は怯まず銃撃を続けたものの、敵の前進を止め切れず、カツヤはエレナ達が介入する前に倒せないのではないかと焦り始めた。防衛戦で仲間を失った記憶から、もっと強い力を求める思いが膨らみ、アキラのように一人で状況を覆せる力を強く願った。

白い世界の少女

極限まで集中したカツヤの知覚から色彩が消え、白い世界の中に少女の姿が現れた。その直後、カツヤの撃った弾丸が既に暴食ワニへ着弾していた弾丸へ正確に衝突し、砕けた破片が内部へ飛び散って損傷を拡大させた。

以後の弾丸も同様に最大限の損傷を与え続け、暴食ワニは急激に動きを鈍らせた。カツヤ達はその機を逃さず頭部へ集中攻撃を続け、ついに暴食ワニを撃破した。三人は自分達だけで強敵を倒したことを喜び合った。

不可解な撃破

遠くから戦闘を見ていたサラは素直にカツヤ達を評価したが、エレナは暴食ワニが突然動きを鈍らせたことを不審に思った。正面の極めて小さな弱点へ偶然攻撃が命中した可能性を考えたものの、原因を特定できず、最終的には偶然として扱った。

訓練を終えたエレナ達はカツヤ達と合流し、そのままヒガラカ住宅街遺跡を離れた。

砲撃する暴食ワニ

地下室から出たアキラは帰還しようとしたが、アルファに強敵の接近を知らされ、CWH対物突撃銃を構えた。直後に砲撃を受けると、アルファの運転でバイクを急発進させ、廃墟の路地を高速で進んだ。

敵は全長約20メートルの暴食ワニで、金属の鱗に覆われ、背中には複数の砲塔を備えていた。アキラはアルファの索敵と照準補正を受けながらCWH対物突撃銃を撃ち、砲塔や脚、尾を次々と破壊した。

劣勢となった暴食ワニは脚を再生させて逃走した。アキラはハンターランクの足しにするため、アルファと共に追撃を続けた。

双頭への変貌

逃走した暴食ワニは、カツヤ達が倒した同種の死体を発見して捕食した。死んで間もない同種は身体との相性が非常に高く、その影響を即座に反映した暴食ワニは双頭へ変貌し、逃走をやめてアキラへ再び襲いかかった。

二匹分の生命力を得た暴食ワニは、CWH対物突撃銃で脚や胴体を撃ち抜かれてもすぐに再生し、執拗に攻撃を続けた。アルファは再生を繰り返せば生命力を消費していずれ死ぬと説明したが、戦闘が長引けばアキラの弾薬が先に尽きる恐れがあった。

専用弾の一撃

アキラは万一に備えて購入していたCWH対物突撃銃の専用弾を使用した。強化服でも抑え切れないほどの反動と共に発射された弾丸は、暴食ワニの何層もの鱗を貫き、頭部に巨大な穴を開けて脳を吹き飛ばした。

暴食ワニは即死し、アキラは専用弾の威力に驚いた。高価な保険を早くも使ってしまったものの、討伐依頼の報酬で弾薬費を補えることを期待した。

こうして情報収集機器の訓練を目的として始まったヒガラカ住宅街遺跡での探索は、地下室での予想外の発見と二体の暴食ワニとの戦闘を経て終了した。

第36話 願いの対価 

暴食ワニの由来

宿に戻ったアキラは装備を整備しながら、アルファからヒガラカ住宅街遺跡で戦った暴食ワニについて説明を受けた。暴食ワニは食べたものを自身に取り込む能力を持つ生物系モンスターであり、戦車などを食べたことで砲塔を備える個体も存在した。

アルファは、暴食ワニが旧世界の研究施設から流出した実験体である可能性を挙げた。自動修復や部品製造能力を持つ存在を作る研究の産物だったとも考えられたが、正確な由来は不明だった。アキラは旧世界の技術が生み出した危険に呆れ、現在の文明も同じように滅びる可能性があると聞くと、自分が生きている間だけは保ってほしいと考えた。

地下室の女性と旧領域

館の地下室に現れたメイド服の女性は、旧領域を利用した非実在形式の人材派遣サービスだった。地下室には限定的に旧領域へ接続する機器が存在しており、女性もその接続先から表示されていた。

アルファは、その接続機器の存在を誰にも話さず、取り出して売ることも禁止した。旧領域への接続機器は非常に貴重であり、入手経路を調べられればアキラが旧領域接続者だと露見する危険があったからである。旧領域接続者だと知られれば、最悪の場合は生きたまま人体実験の対象となり、死後も脳を解析される可能性があると聞き、アキラは強い恐怖を覚えた。

それでもアキラは、自分が旧領域接続者だったからこそアルファと出会い、生き延びてきたのだと考え直した。秘密を守る必要性も理解し、アルファの確認を受けながら気持ちを切り替えた。

リオンズテイル社の情報

地下室で得た接続先は、旧世界の企業であるリオンズテイル社だった。一部施設は現在も稼働しており、アルファは接続を通じて端末や支店の位置情報を入手していた。

その場所がまだ発見されていない遺跡なら、大量の遺物が残っている可能性があった。アキラはすぐに向かおうとしたが、アルファは荒野仕様の車を確保するまで待つよう止めた。アキラは新たな目標として受け入れ、装備と実力を整える意欲を高めた。

情報収集機器の評価

アキラがヒガラカ住宅街遺跡で行った情報収集機器の訓練について、アルファは自力での評価はまるで駄目だったと告げた。ただし今回の主目的は、アルファがその機器を使ってどこまで高度な索敵を行えるか確認することであり、その点では十分な成果が得られていた。

機器には以前エレナが使用していた際の遺跡やモンスターのデータ、各機能の調整記録なども残っていた。アルファは不要として削除する前にアキラへ内容を見せたが、表示されたのはエレナとサラの裸体だった。

アキラは慌てて消すよう求めた。アルファは取得時の状況やデータ処理の結果だと説明したが、アキラは恩人である二人の裸体を見たことに動揺し、その後も思い出してしまって装備整備に集中できなくなった。アルファはそんなアキラの反応を観察していた。

ドランカムへの勧誘

エレナとサラは帰宅後、カツヤ達の訓練結果をドランカムへ報告する準備を進めた。エレナはカツヤ達の探索行動や暴食ワニ撃破を十分に評価しており、悪評を払拭するための外部評価を求めるドランカムの意図も考慮しながら報告書を作成していた。

二人は今回の依頼がドランカムへの勧誘の布石である可能性についても話し合った。加入すれば安全性や装備、資金面での支援を得られる一方、自由を失い、サラのナノマシン補充費を理由に行動を縛られる可能性もあった。

エレナはサラの命に直接関わる問題だからこそ、まずサラ自身に選んでほしいと伝えた。サラもその気遣いを受け入れ、急いで結論を出さずに考えることにした。

カツヤの射撃

ドランカムへ戻ったカツヤは休息もそこそこに射撃訓練を始めた。暴食ワニを倒した際に何かを掴んだ感覚があり、それを定着させようとしたのである。

訓練では難しい狙撃が次々と成功し、カツヤ自身も驚くほど高い命中率を出した。しかしユミナとアイリが迎えに来ると、突然それまでの感覚が失われ、何度撃っても標的を外すようになった。

疲労が原因だと考えたユミナ達が先に戻った後、カツヤが再び撃つと、今度はまた連続して命中した。カツヤは不可解に思いながらも訓練を切り上げた。

白い空間の少女

カツヤは暴食ワニとの戦いで、仲間を守れるほどの力を求め、その願いを叶えるように一人で状況を覆す力を得ていた。

しかしその力には対価が存在していた。カツヤ自身がまだ何も知らないまま、真っ白な空間では少女が笑っていた。

第37話 仮設基地構築補助依頼 

カツヤ達の一人前昇格

ヒガラカ住宅街遺跡での訓練から数日後、カツヤ、ユミナ、アイリはドランカム幹部のアラベと事務方の管理職ミズハに呼び出された。エレナの報告書と内部調整の結果、三人は引率役付きの扱いから外され、ドランカム内で一人前のハンターとして認められた。

その一方、アラベはエレナがドランカムへの加入を断ったことから、カツヤ達が訓練中に問題を起こした可能性を疑っていた。鎌をかけられたカツヤの反応から心当たりがあると見抜かれ、ユミナが訓練前の不用意な発言について説明した。アラベは外部のハンターへの礼儀を注意した上で、三人を自分の管轄からミズハの管轄へ移した。

ミズハの優遇

ミズハはカツヤ達の遺物収集や暴食ワニ討伐を高く評価し、若手支援の成果を示してくれたと手放しで称賛した。大人達から軽んじられることも多かったカツヤは、ようやく認められた喜びからその言葉を素直に受け入れた。

ミズハは自分の管轄なら実力に見合った優遇を受けられると告げ、都市関連の高難度依頼を次々と提示した。カツヤが自分で依頼を探そうと口にしても、選択自体は自由だと言いながら、実際には自分が用意した依頼の中から選ばせる形へ誘導した。

ユミナとアイリは取り込まれようとしていることに気付いていたが、提示された条件が実際にカツヤ達の利益となり、ミズハも本気で彼らを評価していたため、強く否定できなかった。ミズハも嘘を吐いているつもりはなく、双方に利益のある正しい支援だと信じていた。

仮設基地構築依頼

しばらく後、アキラはクズスハラ街遺跡奥部攻略のために進められている仮設基地構築関連の依頼を受けた。都市は遺跡外周部近くに前線基地を設け、瓦礫を撤去して戦車や輸送車が奥部まで進める後方連絡線を整備しようとしていた。

アキラに割り振られた仕事は、基地周辺の廃ビルを制圧し、貸出端末のオートマッピング機能で内部構造を記録することだった。端末には14番と記されており、アキラはその番号を見て顔をしかめた。

廃ビルでの索敵訓練

アキラは指定された廃ビルへ入り、アルファの提案で索敵訓練を兼ねて慎重に探索した。足跡や埃の乱れ、瓦礫、遮蔽物などに注意し、足音を抑えながら部屋へ侵入する動作を繰り返した。アルファから何度も修正を受けながら進んだため、動きは少しずつ洗練されたが、通常の探索より大幅に時間と集中力を消耗した。

アルファは、高性能な情報収集機器だけでなく、機器に頼らない索敵技能も必要だと説明した。特に色無しの霧が濃くなればアルファの索敵能力や情報収集機器の性能も落ちるため、アキラ自身が対処できなければならなかった。

アキラはエレナの索敵能力にも改めて感心した。火力と索敵を分担するエレナ達のようなチームでは、不要な戦闘を避け、奇襲を防ぎ、先制攻撃を可能にする索敵役の重要性が高かった。

遅れた制圧作業

アキラは一棟目の8階建てビルを制圧するだけで約2時間を費やした。本部からは想定の1時間を大幅に超過していると指摘され、もう少し急ぐよう求められた。

落ち込むアキラに対し、アルファは依頼の評価より安全を優先すると明言した。ただし、索敵や隠密技術を磨いて安全性を落とさず速く動くことは必要だと告げた。アキラはその方針を受け入れ、その後も数棟の制圧を終えて依頼を完了した。

仮設基地の露店

自力での索敵による精神的な疲労を抱えたアキラは、帰る前に仮設基地周辺の露店で食事を取ることにした。比較的客の多い店に並び、一人前980オーラムのホットサンドを注文すると、店員として働いていたシェリルと再会した。

その店はカツラギのトレーラーを利用していたが、ホットサンドの販売自体はシェリル達の商売だった。シェリルはアキラとの再会を喜び、客への応対を続けながらも小声で嬉しさを伝えた。

カツラギとの取引確認

カツラギはアキラを店内に招き、最近遺物を売りに来ていない理由を尋ねた。アキラは大襲撃後のクズスハラ街遺跡では遺物収集に向かず、現在は基地関連の依頼でハンターランクを上げ、荒野仕様の車を借りられるようにしていると説明した。

カツラギが最も気にしていたのは、アキラがシェリルを見限って他所へ遺物を売っている可能性だった。そうではないと分かり、シェリル達への先行投資が無駄にならずに済んだと安堵した。

シェリルの商売

シェリルはカツラギから人員管理や簡単な仕事を任され、徒党の子供達にも荷運びなどの仕事を割り振っていた。さらに材料の手配などでカツラギの協力を得ながら、自分でホットサンドの販売を始めていた。

価格や量も荒野で働くハンター達を相手に適切に設定されており、少なめの量で追加注文を誘いながら、味も十分に保たれていた。アキラが値段を決めたのは誰かと尋ねると、シェリル自身だと知った。

カツラギから商売の細かな指南を受けたわけでもないと分かり、アキラはシェリルを素直に凄いと評した。シェリルはアキラとカツラギの助力があってこそだと答え、嬉しそうに微笑んだ。

第38話 ヤラタサソリ 

救援依頼の連続

仮設基地構築関連の依頼で救援班に回されたアキラは、次々と届く救援要請に対応してクズスハラ街遺跡を駆け回っていた。現場によって状況は様々で、到着前に戦闘が終わっていたり、救援対象にモンスターを押し付けられたりすることもあった。

救援待ちを減らし続けたアキラは疲労を重ね、安価な回復薬を飲みながら任務を続けた。アルファは次の救援を終えたら弾薬補充を理由に休憩するよう勧め、アキラの安全を最優先すると告げた。

ヤラタサソリの巣食う廃ビル

次の救援場所では、ハンター達が廃ビルの5階に立て籠もり、ヤラタサソリの群れと交戦していた。ヤラタサソリは瓦礫などに擬態し、死んだ振りまで行うため、生死の判別が難しいモンスターだった。

アキラはアルファの索敵によって生きている個体だけを識別し、CWH対物突撃銃の徹甲弾で確実に仕留めながら進んだ。救援対象の部屋へ向かうまでにも大量のヤラタサソリが潜んでおり、高価な徹甲弾を大量に消費した。

一方、籠城していたハンター達は弾薬が尽きかけ、救援の遅さに苛立ちながらも部屋から動けずにいた。ヤラタサソリが再び襲いかかり、最後の弾まで撃ち尽くしたところでアキラが到着した。

間一髪の救出

アキラはアルファの支援で室内の敵とハンター達の位置を事前に把握し、突入直後にヤラタサソリを次々と撃破した。追い詰められていたハンター達は間一髪で助かり、アキラが一人だけで救援に来たことに驚いた。

本部には虫のようなモンスターの群れとしか伝えていなかったため、弱い小型モンスターと判断されて救援の優先度が低くなった可能性があった。アキラは正確な情報を伝える重要性を理解し、自分が通ってきた安全な道を使ってハンター達をビルの外へ連れ出した。

本部の態度の変化

救出後、アキラは仮設基地へ戻ると本部に伝えたが、次の救援先へ向かうよう指示された。アキラはヤラタサソリの群れとの戦闘で弾薬を大きく消耗したため拒否し、補充なしでは絶対に行かないと強く主張した。

本部はアキラの報告から敵が本当にヤラタサソリだと知ると態度を変え、直ちに帰還するよう指示した。さらに貸出端末を絶対に紛失、破損させないよう念を押したため、アキラ達は何か異常事態が起きていると察した。

情報収集機器の訓練

仮設基地への帰路、アキラは救出したハンター達に頼まれて同行しながら、情報収集機器の操作訓練を続けた。エレナが残した設定から少し変更するだけで索敵結果が崩れ、自動設定なら簡単に安定した結果を得られた。

しかしアルファは自動設定に頼らせず、広く浅い索敵から反応を見付け、その周辺を狭く深く調べる基本を教えた。映像、音響、動体解析などの比率を環境に応じて変更する必要があり、アキラは操作の難しさを実感した。

迫るヤラタサソリの群れ

帰路の途中、アルファが大量のヤラタサソリの接近を察知した。アキラは同行者達に仮設基地まで全力で走るよう警告し、自分が足止めすると告げた。

しかしヤラタサソリは瓦礫に擬態して先回りしており、ハンター達は待ち伏せを受けた。アキラはバイクで駆け付けて虫達を弾き飛ばし、アルファが示す擬態個体をCWH対物突撃銃で撃破して退路を切り開いた。

アキラの情報収集機器は近距離のヤラタサソリすら瓦礫と誤認していた。アルファは、汎用的な自動設定では迷彩能力持ちへの索敵精度が低く、収集した情報をどう解析するかが重要だと説明した。

弾薬切れと撤退戦

徹甲弾を使い切ったアキラは、二挺のAAH突撃銃に持ち替えた。アルファの精密射撃によって同じ場所へ銃弾を集中させ、装甲を破壊して内部へ撃ち込むことでヤラタサソリを倒し続けた。

それでも群れは減らず、通常弾も急速に消費した。ハンター達も疲労の限界に近付いていたため、アキラは最後まで粘った後、近くの建物に籠城させて自分だけ撤退することまで考え始めた。

防衛隊の到着

その時、クガマヤマ都市の防衛隊の武装車両が現れた。機銃による強力な弾幕でヤラタサソリの群れを一気に殲滅し、アキラ達の退路を確保した。

防衛隊の目的は救援ではなく、ハンター達に貸し出した端末の回収だった。遺跡の地上部にヤラタサソリが溢れ始めており、今回の制圧作業が近くにある巨大な巣を刺激した可能性があった。

貸出端末には襲撃時の情報が記録されており、そのデータから巣の位置や数を割り出す必要があった。しかし未帰還者が多いためデータ不足となり、端末の回収が急務になっていた。

救援任務の終了

アキラは端末を防衛隊に渡し、任務終了を告げられた。端末回収を手伝うよう誘われたが、弾薬をほとんど使い切った上に費用を回収できるかも分からなかったため断った。

救出されたハンター達は仮設基地まで送ってもらえず、自力で戻ることになった。彼らはアキラの強さを話題にし、ドランカムの若手ハンターではないかと推測した末、名前をカツヤと取り違えた。

第39話 アキラ宛ての依頼 

大量の徹甲弾補充

アキラはシズカの店で、使い切った徹甲弾を予備分まで含めて大量に注文した。大量のヤラタサソリと戦った事情を聞いたシズカは、アキラが淡々と説明したため危険は少なかったと受け取ったが、実際のアキラは死地を繰り返したことで危険の基準自体が大きく狂っていた。

シズカは徹甲弾を増やすだけでなく、AAH突撃銃を改造して強装弾を使えるようにすることを勧めた。アキラは前回の救援依頼で十分な報酬を得ていたため提案を受け入れ、改造部品や情報収集機器と連携する照準器を購入した。弾薬代も含めて稼ぎの大半を失ったが、生活水準はスラム街時代より十分に向上していたため、装備を優先しても暮らしを損なうほどではなかった。

エレナの新しい強化服

店の奥にいたエレナは、シズカに選んでもらったB3CSD強化服を試着していた。補助骨格を持たない薄手の強化服は起動すると身体に密着し、エレナの体の線を鮮明に浮かび上がらせた。

以前に情報収集機器のデータからエレナの裸体を見てしまったアキラは、その姿を思い出して動揺した。エレナもアキラの反応に気付いて赤面したが、シズカは楽しげに性能を説明した。エレナの要望を満たす高性能品が予算内に収まったのは、サラが追加資金を出していたためだった。

アキラは刺激が強すぎるので上に何か着た方が良いと答え、エレナは慌てて防護服を重ねた。シズカから、この種の薄型強化服は重装強化服や防護服の下に着る強化インナーでもあり、自身も似た製品を使用していると聞いたアキラは、外見だけでは相手の装備を判断できないと知った。

レンタル車両での遠征

ハンターランクが20に上がったアキラは、荒野仕様の車両を借りて遠出した。アルファは費用対効果と頑丈さを重視して武装のない車を選んでおり、レンタル車の武装は制御装置を介するため自身の支援対象にしにくいと説明した。

道中、汎用討伐依頼ではモンスターの討伐だけでなく索敵データにも報酬が出ると知ったアキラは、荒野を高速で走り続けて情報を集める走り屋というハンターの存在も教えられた。しかしアルファは、アキラには遺跡攻略に必要な基本的な実力を伸ばすことが優先だと告げた。

自力での射撃訓練

接近してきた生物系モンスターを相手に、アキラは改造したAAH突撃銃と強装弾を使い、アルファの支援なしで戦った。最初の射撃は大きく外れ、修正を重ねてようやく命中させたものの、狙撃だけでは接近を止められなかった。

危険な距離まで迫られると、アキラは通常弾の掃射へ切り替え、改造によって高まった火力でモンスターを倒した。自力ではまだ精密射撃が難しいと落ち込んだが、アルファは自身が示す弾道予測を自力で思い描けるよう訓練を続けるよう促し、実力は確実に伸びていると保証した。

未発見の遺跡探し

アキラ達の遠征目的は、ヒガラカ住宅街遺跡で得たリオンズテイル社の支店や端末の位置情報を頼りに、未発見の遺跡を探すことだった。しかし最初の地点には何も残っておらず、データが示す位置も空中に浮かんでいた。

その後も各地点を回ったが外れが続いた。アキラは既存の遺跡探索へ切り替えず、手に入れた情報を活用するため未発見の遺跡探しを継続した。

アルファは、他の遺跡ではクズスハラ街遺跡ほど高品質な支援ができず、特に索敵能力が大きく低下すると警告した。また未発見の遺跡を見付けても、レンタル車両の移動記録から場所を割り出される危険があるため、本格的な探索には自前の車両や車庫、広範囲索敵機器なども必要だった。

地下に示された位置

その日の最後に訪れた場所も瓦礫ばかりの荒野だったが、位置情報を確認すると矢印は地面の下を示した。入口らしいものは見付からなかったものの、地下が無事なら未発見の遺跡である可能性が残った。

アキラはレンタル車両で長時間留まれば場所を嗅ぎ付けられる恐れがあるため、その日は入口を探さず、自前の車を手に入れてから改めて調べることにした。

ヤラタサソリ駆除の名指し依頼

宿へ戻ったアキラの情報端末に、ハンターオフィスから名指しの依頼が届いた。内容はクズスハラ街遺跡にあるヤラタサソリの巣の駆除作業への参加だった。

アキラは即座に断ろうとしたが、依頼元がクガマヤマ都市の長期戦略部だったため、安易な拒否は都市から悪く見られる恐れがあった。そこでアルファと相談し、高額弾薬費の先払い、自由な独自行動と撤退権、討伐数に応じた金銭報酬、撤退を理由とした減額禁止など、自分から断るのではなく相手に断らせるための条件を提示した。

しかし翌朝、長期戦略部はその条件を全て受け入れていた。

専用弾の大量調達

アキラは開店直後のシズカの店へ駆け込み、CWH対物突撃銃の専用弾を持ち運べる限界まで用意するよう頼んだ。事情を聞いたシズカは、そこまで高価な弾薬の使用を認める以上、今回のヤラタサソリは以前の個体より強く、巣も大規模なのだろうと考えた。

弾薬費は依頼元が先払いする契約だったため、シズカは専用弾だけでなくAAH突撃銃用の最も高威力な強装弾まで用意した。アキラはそれらを銃やリュックに可能な限り詰め込み、強化服とアルファの補助がなければ歩くことさえ難しい重量を背負った。

シズカの抱擁

出発前、シズカは無理をしないよう念を押し、アキラを強く抱き締めた。行くなとは言わず、代わりにちゃんと帰ってくるよう告げた。

その温もりと鼓動に落ち着きを得たアキラは、少し嬉しそうに必ず帰る意思を込めて返事をした。

第40話 14番防衛地点の子供達 

ヤラタサソリ討伐作戦への参加

アキラは大量の弾薬を携えてクズスハラ街遺跡の仮設基地へ向かい、ヤラタサソリの巣の除去作業に参加した。貸出端末を受け取ると、アルファが自前の情報端末と連携させ、依頼情報を共有できる状態にした。

現場の高層ビルでは、防衛か探索の仕事を選ぶよう求められた。アキラは楽で安全な方を希望したが、担当職員はその態度をふざけていると受け取り、子供扱いして防衛側へ配置した。さらにハンターランク20を養殖によるものと決め付けて見下した。

しかし職員が非公開の戦歴を確認すると、アキラがスラム街から数か月でランク20まで上がり、都市防衛戦やヤラタサソリの群れからの救援で多数のハンターを助け、それらをほぼ単独で成し遂げていたことを知った。その異常な経歴は、称賛よりも得体の知れない存在への畏怖を職員に抱かせた。

地下街への降下

アキラは案内に従って地下へ向かった。入口には、地下街からモンスターが地上へ溢れ出した場合に通路ごと封鎖するための爆弾が大量に設置されていた。爆破される時には、防衛側は既に撤退しているか死んでいるはずだと説明され、アキラは嫌そうに地下へ下りた。

地下街では探索、討伐、防衛の三チームが活動していた。探索は巣や地下街の調査、討伐はモンスターの排除、防衛は中継器など重要地点の警備を担当していた。アキラの配置先は比較的重要度の低い防衛地点であり、本当に楽な仕事かもしれないと喜んだが、アルファは彼の悪運を理由に油断しないよう釘を刺した。

実在するメイドのシオリ

防衛地点へ到着したアキラは、広場にメイド服の女性が立っているのを見て反射的に飛び退いた。ヒガラカ住宅街遺跡で見た旧領域上の女性を思い出したためだった。

しかしアルファは、その女性が拡張現実ではなく実在していると説明した。女性はシオリと呼ばれ、レイナに仕えていた。場違いなメイド服姿のため周囲から奇異の目を向けられていたが、シオリは着替えることを拒み、その理由も明かさなかった。

レイナは周囲からの視線に苛立ち、シオリに当たってしまったが、すぐに謝った。シオリは気にせずレイナを支える姿勢を崩さず、レイナもその気遣いに感謝した。

三つに分かれた防衛地点

防衛地点にはアキラ、ミマタ達、カツヤ達が集まっていた。ミマタはアキラをランク20の養殖ハンターだと決め付け、邪魔にならないようにしていろと吐き捨てた。

アキラは相手にせず、カツヤ達とも距離を取って一人で警備することを選んだ。カツヤ達にはカツヤ、ユミナ、アイリ、レイナ、シオリが参加しており、ミマタ達は格上に見えるシオリを若手の子守役だと誤解していた。

何事も起こらないため緊張感は薄れ、他の者達が雑談をする中、アキラはアルファの索敵に任せながら勉強を続けた。

レイナとの対立

一人で離れているアキラを見たレイナは、カツヤとシオリを連れて近付き、全員と合流するよう命じた。アキラが拒否すると、レイナは見張りもせず座っているだけだと責めた。

アキラは情報収集機器で広範囲を索敵していると答えた。実際にはアルファが担当していたが、レイナ達の接近にも事前に気付いていたため、レイナは反論できなかった。

そこでレイナは自分のハンターランク23を持ち出し、ランクが上なのだから従うよう要求した。しかしアキラは、高ランクのハンターに従う義務は依頼内容にないと拒否した。カツヤも集団の方が安全だと取り成したが、アキラは自分のことは放置し、必要なら見殺しにして構わないと答えた。

怒ったレイナは一人で死ねば良いと言い残して戻り、カツヤも話を続けるのを諦めた。アキラは、既に別グループに分かれていた彼らを見て、到着前にも揉め事があったのだろうと考えた。

ミマタ達の持ち場離脱

平穏な時間が続くと、ミマタ達は探索チームが隠した可能性のある遺物を探そうと考え始めた。地下街の未調査部分にはまだ遺物が残っており、依頼中に見付けた者が後で回収するため近くへ隠している可能性があると推測したためだった。

広場を離れようとしたミマタ達をレイナが呼び止め、勝手に持ち場を離れるなと強く非難した。しかしミマタ達は哨戒だと言い張り、まともに取り合わなかった。

意見を求められたアキラは、トイレなら早く済ませて戻り、長く戻らなければ本部に連絡すると答えた。ミマタはその言葉を利用してトイレだと言い残し、仲間と広場を去った。

アキラとレイナの再衝突

ミマタ達を止めなかったアキラに、レイナは激しく怒った。だがアキラは、自分には彼らを止める権利がなく、聞く気もない者を無理に止めるより早く戻らせた方が良いと答えた。

さらに、不満なら本部へ連絡するか、自分で銃を突き付けて止めれば良いと告げた。アキラ自身も状況次第では独自に撤退するつもりであり、勝手に離れた者が取り残されても待つつもりはなかった。

レイナがその後も責め続けたため、アキラは完全に無視した。やがてレイナも諦めて戻っていった。

アキラはカツヤ達が揉め事を起こしやすいと考えたが、アルファは最悪の事態を引き起こす可能性が最も高いのはアキラだと見ていた。以前、脅した男を即座に殺して死体を相手の拠点まで運んだ行動も踏まえ、アルファはアキラの行動原理を正確に把握し、今後も観察を続けようとしていた。

第41話 戦歴と実力 

レイナの焦り

ミマタ達が警備地点を離れて探索を繰り返す一方、レイナは本部に止めるよう求めたが、重要度の低い防衛地点であるため現場判断として取り合われなかった。やがてミマタ達が遺物を探していると察すると、自分達だけ真面目に警備を続けることへの不満を募らせ、カツヤにも探索を提案した。

カツヤは、五人で行動する方針と、勝手に持ち場を離れればドランカムへの苦情につながることを理由に拒否した。さらにレイナにミマタ達と同じ真似をさせたくないと告げ、シオリも危険な荒野で不用意に動くべきではないと諭したため、レイナは不満を抑えた。

レイナは以前、模擬戦でカツヤ達に敗れ、さらにカツヤとの一対一では完敗を重ねたことで、その実力を認めていた。一方、自身はシオリという実力者の護衛を常に伴っているため、ハンターランクが上がっても自分の力を認められずにいた。カツヤが成果を上げて周囲から評価される中、レイナもヤラタサソリ討伐で実力を証明したいと焦り、安全よりも戦う機会を望み始めていた。

防衛地点の再調査

本部から通信が入り、別の防衛地点が制圧済み区域から現れたヤラタサソリに襲撃されたことが伝えられた。新たな通路が作られた可能性があるため、14番防衛地点から数名を出して周辺を再調査することになった。

ミマタ達は未調査区域の遺物を期待して名乗り出たが、これまで持ち場を離れていたことを見抜かれて却下された。本部が指名したのはアキラだった。アキラは同行者を付けず、一人で向かうことを選んだ。

残された者達が理由を尋ねると、本部はアキラがヤラタサソリに占拠されたビルからハンター達を救出し、単独で三十体以上を撃破した戦歴を挙げた。さらに暴食ワニも単独で倒していると明かしたため、ミマタ達やカツヤ達は驚いた。

アキラを追うレイナ

アキラの戦歴を聞いたレイナは、自分が認めたカツヤが意識している相手なら、その後を追えば自身が実力を証明する機会を得られるかもしれないと考えた。そして安全への配慮よりもその思いを優先し、残っていた調査要員枠を利用してシオリと共にアキラを追った。

地下街での調査方針

アキラは1番防衛地点方面を調べる方針を立てた。襲撃したヤラタサソリが戻った痕跡を探せる可能性に加え、危険時には既に襲撃を撃退した防衛地点へ逃げ込めると考えたためだった。アルファも特に撤退先を確保する判断を評価した。

一方、アルファは14番防衛地点について、人員が分裂し空気も緩んでいるため、襲撃時に十分対応できるか不明だと見ていた。

低下したアルファの索敵

アルファは探索をアキラ自身の索敵訓練として進めることを提案し、自身も現在の装備でどこまで支援できるか確認すると告げた。その中で、クズスハラ街遺跡の地下では地上より索敵能力が低下し、さらに建材や設備による妨害も受けていると明かした。

具体的な低下幅は伏せたものの、普段より大きく能力が落ちていると聞いたアキラは恐怖を覚えた。それでも覚悟は自分の担当だと気を引き締め、先へ進もうとした。

レイナとシオリの同行

その直前、アルファが接近するレイナとシオリを知らせた。アキラが二人より先に正確な方向へ振り向いたため、シオリは視界外の存在まで察知する異常な感覚を持っている可能性を考え、警戒を強めた。

レイナは自分達も調査に加わると告げたが、アキラは別の場所を調べるよう求めた。しかしレイナは同行を譲らず、シオリだけで良いという提案も、二人で帰れば良いという言葉も拒否した。

アキラははっきり帰れと告げて先へ進んだが、二人はそのまま後をついてきた。銃を突き付けて追い返すのかと尋ねると、シオリはその場合は全力で抵抗すると答えた。アキラはシオリ自身がレイナを連れ帰れば済むと指摘したが、シオリは許容範囲ではレイナの意思を尊重すると譲らなかった。

アルファから力尽くでは事態が悪化すると諭されたアキラは、二人を無視して同行させることにした。

情報収集機器の再設定

アキラは地下街を慎重に進みながら情報収集機器で索敵を続けた。しかし設定が現在の環境に適しているか疑問を持ち、アルファに確認すると問題があると指摘された。

擬態するヤラタサソリが多い地下街では、探索範囲や映像、音響、地形差分などを状況に応じて細かく調整する必要があった。アキラは自力での調整を断念し、アルファに設定変更を頼んだ。

設定後はレイナ達の反応や周辺地形が鮮明になり、過去のマップとの細かな差異や遮蔽物の先まで認識できるようになった。その性能差に驚いたアキラに、アルファは設定の適否に自分で気付くことも訓練だと告げた。アキラは項垂れながらも、今後の習得を受け入れた。

第42話 揉め事の対応 

足手纏いと見なされたレイナ達

アキラに半ば強引に同行したレイナは、地下街での進行が遅いことを疑問に思った。シオリは、アキラがレイナ達を戦力にも索敵要員にも数えず、実質一人で安全確認を続けていると説明した。レイナは足手纏い扱いされたことに怒ったが、相手の意思を無視して同行している以上、騒いで無能を証明するわけにはいかないと怒りを抑えた。

シオリは、アキラがレイナ達の実力を知らず、不確定な相手に命を預けないよう行動しているだけだと諭した。それでも成果を得るまで戻りたくないレイナの意思は変わらず、シオリは非常時にアキラまで敵に回る危険を考え、最低限協力できる関係を作る必要があると考えた。

痕跡のない地下街

アキラはヤラタサソリの痕跡を探しながら慎重に進んだが、何も発見できず、自分が見落としているのではないかとアルファに確認した。アルファは見落としがあれば教えると保証し、時間が掛かっても安全を優先すべきだと励ました。

アキラは仕事への責任感から本部の評価を気にしていたが、アルファに諭されて焦らず調査を続けることにした。

シオリからの護衛依頼

シオリは突然、レイナの護衛をアキラに依頼し、成功報酬として500万オーラムを自費で支払うと提示した。レイナが帰還を拒む以上、別の方法で安全を高めようとしたのである。

しかしアキラは、自分は自身の身を守るだけで精一杯であり、他人を護衛できる実力はないとして断った。ヤラタサソリの群れからハンター達を救った件も、余裕を持って成し遂げたのではなく、弾薬を使い切る勢いで辛うじて切り抜けただけだと説明した。

暴食ワニを単独で倒した件についても、CWH対物突撃銃の専用弾で一撃だったと淡々と話したため、レイナとシオリはアキラを強者だと考えていた先入観を崩した。

10万オーラムのサポート契約

シオリは依頼内容をレイナの護衛からサポートへ変更し、防衛地点へ戻るまでの報酬として10万オーラムを先払いすると提示した。アキラもアルファから、揉め事を終わらせる口実として受ければよいと勧められ、その条件ならばと了承した。

契約成立後、アキラはレイナに今後の方針を尋ねた。しかしレイナは自分で全体の行動方針を決めることに慣れておらず答えられなかったため、シオリの提案で当面はアキラの調査方針を継続することになった。

アキラへの疑念

三人で索敵を分担したことで移動速度は上がったが、アキラ自身の索敵は未熟であり、レイナには本部から聞いた戦歴との食い違いが気になった。本人は実力不足を認めている一方、長期戦略部から個人指定で依頼され、単独で危険な調査にも出ているため、単なる未熟な若手とも考えにくかった。

レイナが考え込む様子を見たシオリは、その疑問の根底にはアキラを基準に自分自身の実力を測りたい思いがあると察した。

レイナへの最低評価

シオリはアキラに、レイナをハンター稼業の相方として雇うなら幾ら払うかと尋ねた。アルファは相手の力量を見極める訓練として、自分で考えるよう促した。

アキラは迷った末に、レイナは雇わないと答えた。理由は実力そのものより、揉め事を増やしそうで死ぬほど面倒だからだった。14番防衛地点でミマタと揉めた際、殺し合いに発展した場合まで考えていたのかと問われたレイナは答えられなかった。

アキラは、相手を殺してでも侮辱を許さないという選択自体は否定せず、その結果を正しく想定し、許容した上で行動するなら構わないと話した。しかしレイナにはそこまでの想定がなく、アキラはその点を理由に、自分なら身銭を切ってまで雇いたくないと説明した。

シオリとの一触即発

レイナへの評価に怒りを強めたシオリは、自分を怒らせる結果まで想定していたのかとアキラに問い掛けた。アキラは、依頼として正直に答える以上、相手を怒らせる可能性も承知していたと返した。

その返答によって双方は殺し合いまで想定した臨戦態勢に入り、わずかな動きで戦闘が始まりかねない状態となった。アキラはアルファの支援と比較して自分を低く評価していたため、外見から受ける印象と実際の戦闘能力が大きく食い違っていた。シオリはその危険な相手と対峙することになった。

レイナの制止

緊張が限界に達する直前、項垂れていたレイナがシオリにやめてほしいと頼んだ。シオリが先に臨戦態勢を解き、アキラもそれに続いたため、戦闘は回避された。

アルファは、他人を揉め事製造機のように扱っていたアキラ自身も同様だと呆れた。アキラは自分から喧嘩を売ったわけではないと弁明したが、アルファから予想を覆すほど揉め事を生み出したと指摘され、結局謝るしかなかった。

第43話 虫の群れ 

殺し合い寸前の後始末

レイナの実力評価を巡る揉め事は、シオリとアキラが殺し合う寸前まで悪化したが、レイナがアキラの判断を受け入れて止めたことで収まった。それでもレイナ達は防衛地点へ戻らず、三人での調査を続けた。

アキラは自分が依頼に誠実であろうとして正直に答えた結果、事態を悪化させたことを少し気にしていた。アルファは、揉め事を避けるなら穏便な伝え方を選ぶべきだったとしつつ、依頼に誠実であろうとする姿勢自体は評価した。アキラには、力のない頃のように相手へ媚びて屈することへの無意識の拒絶があり、それが今回の対応にも影響していた。

ヤラタサソリの痕跡

調査を続けたアキラは、銃撃を受けて死んだヤラタサソリと床に残った体液の跡を発見した。15番防衛地点を襲った群れの一匹ではないかと考え、アルファに他の痕跡を探してもらうことにした。

アルファはすぐに微細な傷や体液、散乱物の乱れから大量のヤラタサソリが通過した跡を割り出し、移動経路を示した。アキラがその痕跡を追うと、地下街マップに存在しない幅4メートル以上の大穴へ辿り着いた。

未調査区域への大穴

アキラが本部へ報告すると、穴の先は本部も把握していない地下街の別区域へ通じていると判明した。本部は地下街にヤラタサソリの繁殖場所が無数に存在し、既に七か所を駆除していると説明した。

アキラは調査を終えて戻ろうとしたが、本部は穴の先に新たな防衛地点を設置する必要があるとして、その場の確保を命じた。アキラはレイナとシオリを含む三人で未調査区域との境を守ることになった。

シオリの警戒

待機中、シオリは改めてアキラの力量を考えた。見た目や普段の動きからは戦歴に見合う実力者には思えない一方、殺し合いを覚悟した際の態度は虚勢にも無謀にも見えなかった。

シオリは結局、アキラの強弱を判断できなかったが、威圧すれば簡単に退く相手ではないことだけは確かだと考えた。先ほど軽率にアキラを脅したことを反省し、得体の知れない相手として警戒を強めた。

レイナの反省とシオリへの感謝

落ち着きを取り戻したレイナは、これまで相手との揉め事がどこまで悪化するか考えずに行動していたことを振り返った。ミマタ達との口論も、相手次第では殺し合いに発展していた可能性があり、これまではシオリが危険を避けるために支えてくれていたのだと理解した。

レイナはこれまで迷惑を掛けてきたことを謝り、助けてくれたことへの感謝を伝え、今後も頼らせてほしいと頼んだ。シオリは感激しながら応じ、二人は関係を改めて確かめ合った。

大穴から迫る群れ

大穴を警戒していたアキラは、アルファから索敵範囲内に124匹、さらに増加中のヤラタサソリが接近していると知らされた。レイナ達の情報収集機器にはまだ反応がなく、シオリが照明弾を撃ち込んでも当初は敵の姿を確認できなかった。

やがて奥から照明弾の光が次々と消え、大量の何かが光源を踏み潰しながら迫る音が響いた。闇が目前まで迫ると、アキラはアルファの合図に合わせてCWH対物突撃銃を発射した。

専用弾による迎撃

闇から現れたのは、大穴を埋め尽くすヤラタサソリの大群だった。アキラは汎用徹甲弾ではなく、依頼元負担で大量に用意したCWH対物突撃銃の専用弾を使用した。

専用弾は先頭の一匹を四散させ、そのまま後続まで貫いて一発で十数匹を巻き込んだ。アキラは強化服とアルファの姿勢制御で激しい反動を抑えながら連射し、群れを次々に粉砕した。

それでもヤラタサソリ達は仲間の死骸を踏み越えて前進を続けた。アルファは、以前防衛地点から戻った個体も逃走ではなく敵の戦力や位置を伝える斥候だった可能性を挙げた。アキラは弾倉交換のたびに距離を詰められながらも、その都度専用弾で押し返し、一人で大穴を守り続けた。

レイナ達が見たアキラの実力

レイナとシオリはアキラの指示通り通路側を警戒し、必要なら加勢するつもりでいた。しかしアキラから援護要請はなく、多少必死になりながらも大量のヤラタサソリを単独で押し止めていた。

その戦いを目の当たりにしたレイナ達は、本部から聞いたアキラの戦歴と実力が事実だったことを理解し、呆気に取られていた。

第44話 報酬の算出方法 

専用弾による群れの圧倒

アキラはCWH対物突撃銃の専用弾を惜しみなく撃ち込み、一発で十数匹のヤラタサソリをまとめて粉砕しながら大穴から迫る群れを押し止めていた。レイナは大量の高価な専用弾に驚いたが、アキラは実力不足を補うため弾薬費を依頼元負担とする条件を付け、断られるつもりで要求したところ全て認められたと説明した。

アキラは、この状況を依頼元がある程度想定していたのではないかと考え、今後は依頼条件をもっと慎重に決めようと心に決めた。

通路からの増援

大穴とは別の通路からもヤラタサソリが現れ始めた。アキラは、大穴の群れを食い止めるだけで手一杯だったため、通路側をレイナとシオリに任せた。

アキラは二人に何度も頼むと必死に念を押した。その姿を見たレイナは、自分を低く評価したアキラが今は自分を必要としていると実感し、迷いや劣等感を振り払った。レイナは装備と技量を生かしてヤラタサソリを次々に撃破し、その動きはシオリが驚くほど俊敏で的確なものとなった。

弾薬切れとの競争

アキラは都市の資金で用意した大量の専用弾とアルファの照準補正によって群れを押し返し続けたが、それでも戦況には余裕がなかった。予備弾薬まで尽きれば、強化服を限界まで動かして逃げるしかなく、その場合は両脚への深刻な負担も覚悟する必要があった。

追加要員も姿を見せず、アキラは弾倉を交換しながら必死に戦い続けた。やがて通路側の敵が途絶え、続いて大穴からの増援も止まった。アキラは残った群れを専用弾で撃破し、最後の一匹を吹き飛ばして戦闘を終えた。

遅れた追加要員

戦闘後、アキラは追加要員が到着していないことを本部へ抗議した。本部は既に派遣指示を出していると答えたが、アキラの貸出端末から交戦記録を取得すると、その異常な討伐数に驚いた。

レイナとシオリも大量のヤラタサソリを目視したと証言したため、本部は端末の故障ではないと理解し、大穴の先の映像取得と照明設置を依頼した。

血肉に埋まった大穴

シオリとレイナが大穴を調査すると、内部はアキラが専用弾で粉砕したヤラタサソリの血肉と体液によって泥沼のようになっていた。死体は原形を失っており、正確な討伐数を数えることすら困難な状態だった。

レイナは不快感に耐えながらも、自分もこの依頼を受けたハンターである以上、こうした光景に慣れる必要があるとしてシオリと共に照明を設置した。

レイナ達の戦果

一方、アキラは通路側に残されたヤラタサソリの死体を確認した。自分の周囲には一匹も到達しておらず、レイナ達が確実に背後を守っていたことが分かった。

死体には無駄な弾痕が少なく、弱点を的確に狙って効率良く倒していた跡が残っていた。アキラは二人の実力に驚いたが、同じ戦い方を自分だけで再現するにはアルファの強制操作によって両腕を酷使する必要があると聞き、自分にはまだ無理だと受け止めた。

増援との合流

やがて14番防衛地点と1番防衛地点からの増援が到着し、カツヤ達も姿を見せた。アキラは状況的にシオリから受けたレイナのサポート依頼は完了したと確認し、シオリもそれを認めた。

その後、探索チームと討伐チームを含む正式な部隊も到着し、大穴周辺は新たな防衛地点として整備され始めた。

ヤラタサソリの死体処理

アキラは休憩を兼ねてヤラタサソリの死体を指定場所へ運ぶ作業を命じられた。死体は見た目より軽く、アルファは旧世界時代のナノマシンや清掃機能などによって分解が急速に進んでいる可能性を説明した。

アキラは荒野で腐敗途中のモンスターをあまり見ないことを思い返し、旧世界の技術による現象の一つとして受け入れた。

討伐報酬の分配

休憩中、本部から交戦記録の査定について連絡が入った。アキラは真っ先に弾薬費の支払いを拒んだが、本部は契約通り依頼元が負担すると明言した。

問題は専用弾で死体が粉砕され、正確な討伐数を数えられないことだった。本部が報酬算定方法について希望を尋ねると、アキラはゼロ扱いでなければ好きに推測し、三人で均等に分ければよいと答えた。

本部の職員は取り分を巡って揉めるハンターが多い中で、そのあっさりした返答に戸惑ったが、アキラの了承を確認し、推定討伐数を三等分して報酬を決めることにした。

第45話 カツヤの不満 

報酬の三等分

ヤラタサソリ討伐の報酬について確認に来たレイナは、アキラが推定討伐数を三等分すると決めたことに困惑した。アキラは逆に、レイナが自分達だけで報酬を受け取ろうとしているのかと誤解して機嫌を損ねたが、レイナは慌てて否定した。

レイナは大半の敵を倒したアキラの取り分が三分の一では少なすぎると考えていた。しかしアキラは、三人で戦った以上は三等分でよく、レイナ達が背後から迫る敵を防いだからこそ自分は大穴側の群れに集中できたと考えていた。シオリはこれ以上の口論を避けるため、レイナにその条件を受け入れさせた。

シオリの忠告

レイナはアキラともう少し話したかったが、シオリは以前レイナが何度もアキラを怒鳴り付け、一人で死ねとまで言っていたことを挙げ、しばらく冷却期間を置くべきだと忠告した。

レイナは戦闘で自分がどの程度役に立ったのか、アキラからどう評価されたのかを聞きたかったが、自身の過去の言動によってその機会を失ったことを改めて悔やんだ。

カツヤの問い掛け

レイナ達が離れた後、カツヤはアキラにシオリから受けたサポート依頼の内容を尋ねた。アキラは一貫して本人に聞けと答えた。

アキラは依頼中に起きた揉め事を勝手に話すべきではないと考えており、話すかどうかを決めるのはレイナ達だと判断していた。しかし事情を知らないカツヤには単にアキラが隠し事をしているように見え、問い詰める態度を強めていった。

ユミナの仲裁

険悪になりかけた二人を見たユミナは、カツヤを止めるためにあえてアキラを信用できない相手のように扱い、仲間であるレイナ達から直接聞いた方がよいと促した。アイリもそれに同意した。

カツヤはようやく引き下がった。ユミナは去る前にアキラへ謝意を込めて頭を下げた。アキラも索敵結果からその行動に気付き、何か一言返せばよかったかもしれないと後から考えた。

警備中の休息

アキラはその後も防衛地点の警備を続けた。表向きは周囲を警戒していたが、実際にはアルファの索敵に頼り、かなり気を抜いていた。

それを疑った職員から警備状況を問われた際も、アルファが教えた情報を正確に答えたため疑いは解けた。アキラはアルファに頼っている以上、それも含めて自分の実力だと割り切り、そのまま勤務を続けた。

八時間の勤務終了

ヤラタサソリの巣の駆除作戦は二十四時間体制だったが、アキラの最低勤務時間は八時間だった。アキラは時間になると本部へ連絡し、そのまま帰還してよいとの許可を得た。

依頼期間は最低一週間であり、残り六日あった。アルファは今日も生き延びたと労ったが、アキラは地上へ出るまでは気を抜かないと答えた。アルファはその慎重さを成長として評価した。

残されたカツヤ達

帰ろうとしたアキラは、先に地下街へ来ていたカツヤ達がまだ残っていることに気付いた。ドランカム所属者は交代要員も同じドランカム所属でなければならず、その調整が遅れていたためだった。

レイナは二時間以上待たされていることに苛立ったが、カツヤ達に宥められると、以前のように癇癪を起こさず自分で不満を抑え、謝った。その変化にカツヤ達は驚いた。

アキラから得た評価

レイナは、アキラから一度は只でも雇いたくないほど低く評価されていた。しかしヤラタサソリとの戦闘後、アキラは当然のように報酬を三等分した。

レイナはそれを、自分にもアキラと同等の報酬を受け取る資格があると認められたように受け取り、機嫌を良くしていた。

カツヤに残った疑念

カツヤはレイナ達が戦闘については話したものの、それ以外に何かを隠していると感じていた。ユミナは無理に追及する必要はないと考えたが、疑念が後に悪影響を残すことを懸念した。

そこでユミナは、少人数でヤラタサソリの群れに襲われた恐怖からレイナが失禁した可能性もあると耳打ちした。カツヤはそれなら話したくないのも当然だと納得した。

直後にシオリから交代要員の催促を求められ、カツヤは慌てて対応を始めた。ユミナとシオリは互いに、この件をこれ以上問題にしない意思を察し合った。

第46話 第9探索チーム 

探索チームへの配置

翌日、アキラは弾薬を補充して再びクズスハラ街遺跡の地下街へ向かった。前日に大量のCWH対物突撃銃専用弾を消費していたため、再び大量購入したことでシズカを心配させたが、アキラは遠距離から安全に戦った結果だと説明した。シズカは深く追及せず、無理をせず帰ってくるよう告げて送り出した。

地下街の本部では、アキラは前日の活躍を評価され、防衛ではなく探索か討伐のどちらかを選ぶよう命じられた。アキラは戦闘を避けられる可能性を考えて探索を選び、第1防衛地点へ向かった。

キバヤシからの推薦

本部の職員は、アキラの推薦人や弾薬費保証条件の許可者、配置監督員が全てキバヤシであることを知った。キバヤシは高い危険と大きな利益を伴う機会をハンターに与えることで知られており、その機会を得た者の多くは成功か破滅のどちらかへ進んでいた。

職員は、キバヤシに目を掛けられたアキラを幸運と見るべきか不運と見るべきか判断できなかった。

探索を選んだ理由

アルファは、昨日のような戦闘を避けたいなら多人数で戦える討伐チームの方が適していると考えていた。アキラは、CWH対物突撃銃の専用弾を大量に使わなければならない戦闘を避けたいと答えた。

アルファは、専用弾を大量購入すればシズカを心配させるため、アキラがその点も考えて探索を選んだと指摘した。アキラは否定せず、アルファから早くヤラタサソリの群れを軽く倒せる実力を身に付けるよう促された。

第9探索チーム

第1防衛地点に着いたアキラは、参加予定の第9探索チームが戻るまで待機することになった。職員は探索中のチームへ追加要員の到着を伝え、昨日多数のヤラタサソリを倒した者だと説明した。

待機中、アキラはカツヤ達を見付けたが、アルファから揉め事を避けるため距離を取るよう勧められ、反対側へ移動した。

エレナとサラとの合流

やがてサラが現れ、アキラが参加する第9探索チームには自分とエレナがいると教えた。エレナはチームリーダーとしてアキラを迎え、未調査部分では何が出ても不思議ではないため十分注意するよう伝えた。アキラも足を引っ張らないよう気を付けると答えた。

エレナは探索で収集した情報を都市側へ渡していた。自前の情報収集機器で得たデータは貸出端末のものより精密で、形式の違いから変換作業が必要でも利用されるほど価値が高かった。

情報収集の重要性

アキラがエレナの情報収集能力を素直に称賛すると、エレナは機嫌を良くした。情報収集を軽視し、遭遇したモンスターは倒せばよいと考えるハンターも多いと話した。

アルファの索敵によって何度も遺跡から生還してきたアキラにはその考えが理解できず、戦闘も迷子も可能な限り避けたいと答えた。自分の役割を本心から認められたエレナは喜び、過去に情報収集役を軽視された経験について話した。

強化服の記憶

エレナが自分も強化服によって以前より重い武器を扱えると話したことで、アキラはシズカの店で見た密着型の強化服姿を思い出した。さらに情報収集機器のデータから再現されたエレナとサラの裸体まで思い出し、動揺した。

エレナもアキラの反応から以前の強化服姿を思い出されたと察し、二人とも気恥ずかしさをごまかすように笑った。事情を知るサラは、その様子を楽しげに眺めていた。

四人の探索チーム

第9探索チームはアキラを含めて四人だった。昨日三人でヤラタサソリの群れと戦ったアキラは人数の少なさを不安に感じたが、エレナ達は本来もう少し多い人数で探索する予定だったと説明した。人員同士の相性に問題があり、編成が減っていたのである。

最後の一人として現れたのはシカラベだった。以前カツヤ達を監督していたドランカム所属のハンターであり、人員調整の問題について自分からも強く言うと話した。

シカラベとの顔合わせ

シカラベはアキラを値踏みし、足手纏いでは困ると挑発気味に尋ねた。アキラは、自分が使えないと思うなら派遣した本部に文句を言って別の人員を求めればよいと平然と答えた。

さらに自分がいれば必ず何とかなると言えるほど強いとは思っていないと話したため、シカラベは意外に感じた。根拠のない自信に満ちた若手を多く見てきたシカラベは、少なくともアキラはその類いではないと判断して態度を和らげた。

エレナはデータ転送が終わり次第出発すると告げた。その直後、アキラ達の方へ不満そうな表情を浮かべたカツヤ達が近付いてきた。

第47話 エレナの判断 

第9探索チームへの追加要員

地下街の探索から戻ったエレナ達がアキラと合流していると、カツヤ達が現れた。シカラベは以前からカツヤ達を探索チームに加えることへ強く反対しており、加えるなら自分が抜けるとまで主張していた。

カツヤは、危険な地下街を少人数で探索するより自分達を加えるべきだとシカラベを説得した。しかしシカラベは、本部から追加要員としてアキラが派遣されたため問題ないと拒絶した。

シカラベとカツヤの対立

カツヤはドランカム所属者を優先する決まりを持ち出したが、シカラベは役に立たない者を連れて報酬まで分ける必要はないと退けた。さらに、カツヤ達が一端のハンターとなったことは認めても、自分達と同等ではないと告げ、これ以上邪魔をするなら敵対者として対処すると警告した。

シカラベの態度が本気だと察したユミナはカツヤを止めた。カツヤもそれ以上は踏み込まず、エレナが出発時間を告げたことで口論は終わった。レイナはその様子を見て、前日の自分はさらに酷かったとシオリから聞き、今後の糧にしようと考えた。

地下街の索敵

第9探索チームは、エレナを中心にシカラベが前、サラが左、アキラが右を担当して地下街を進んだ。アキラはアルファの訓練として自力に近い状態で索敵を続けたが、次第に遅れ始め、精神と体力を消耗した。

限界が近付いたためアルファが索敵を引き受けると、シカラベはアキラの気が緩んだことを即座に察した。確認を求められたアキラは、アルファの索敵結果を基に前方のヤラタサソリ三体の位置と状態を正確に答えた。

その精度にシカラベは驚き、アキラが火力だけでなく索敵にも優れていると評価した。アキラはシカラベが僅かな変化から自分の気の緩みを察知した技量に、熟練ハンターの実力を感じた。

カツヤ達を外した理由

シカラベがアキラを高く評価してカツヤ達を外したことを喜ぶと、エレナはドランカム内部の揉め事へ巻き込まないよう釘を刺した。

アキラが、人数の多いカツヤ達ではなくシカラベを選んだ理由を不思議に思うと、エレナは人数が増えれば狭い地下街で動きにくくなり、移動速度の低下やモンスターを刺激する危険も増えると説明した。さらに、非常時にカツヤ達が自分の指示へ従うか不安だったことが決定的な理由だった。

シカラベも、レイナが他者と揉めて勝手に持ち場を離れ、それをカツヤが止められなかったことから、即席の指揮系統へ加えるには危険だと評した。アキラは説明に納得し、エレナの指示なら自分の判断より良い結果になると信頼を示した。

順調な地下街探索

エレナは地形情報を収集して見取図と現在位置を把握し、モンスターの潜伏場所や襲撃された際に不利になる地点を避けながら安全な経路を選んだ。

途中で何度かヤラタサソリと遭遇したが、多くは先頭のシカラベが一人で撃退し、数が多い場合だけ四人で殲滅した。シカラベはカツヤ達を外した分の負担を引き受けるという言葉通り、多くの戦闘を担当していた。

先頭役の交代

シカラベの弾薬消費を考えたエレナが交代を提案すると、シカラベはアキラを一度先頭に立たせ、実際の戦闘能力を確認したいと申し出た。余裕のある状況なら、不覚を取っても残りの三人で援護できると考えていた。

アキラは判断をエレナに委ねた。エレナはアキラに嫌がる様子も無理に活躍しようとする様子もなく、移動にも問題なく追従できていることを確認し、先頭への交代を認めた。ただし無理をせず、サラとシカラベには危険を感じた時点ですぐ援護するよう命じた。

全力のサポート

先頭へ出る前、アルファはアキラにどこまで支援するか尋ねた。ここで意図的に活躍を抑えれば、次回は危険度の低い防衛チームへ戻される可能性もあると提案した。

アキラは、手を抜けばエレナ達に迷惑が掛かるとして拒否し、全力でのサポートを求めた。アルファはその返答を予想しており、アキラの考え方を少しずつ把握しながら支援を引き受けた。

第48話 地下街の探索 

先頭での戦闘

第9探索チームはアキラを先頭に切り替えた後も順調に進んだ。アキラはアルファの索敵で前方のヤラタサソリ四体を発見し、改造したAAH突撃銃と強装弾で先制して全て撃破した。

エレナ達も撃破済みの敵を確認したが、エレナは自分がアキラに売った情報収集機器の性能では、地下街で同じ索敵を行うのは困難だと知っていた。その異常な索敵能力が旧領域接続者に関係している可能性を考えたものの、余計なことを聞かないという約束を守り、追及しなかった。

地下街に残る遺物

探索中、アキラ達は商店跡に大量の旧世界の遺物が残っているのを発見した。アキラが価値を気にすると、サラとエレナは依頼中に発見した遺物の所有権は都市にあり、持ち帰れば重い罰則を受けると釘を刺した。

シカラベは、都市に渡したくないなら自力で地下街まで来るしかないと話した。その流れで、以前に素人らしい子供が高価な遺物を持ち込んだ噂を思い出し、その入手元が地下街だった可能性を語った。

アキラ、エレナ、サラにはその噂に関わる過去があったため微妙な反応を見せたが、最終的には三人とも結果として良い出来事につながったと考えた。対してシカラベは、その噂に振り回された若手の引率で苦労した記憶を思い出し、機嫌を悪くして再び先頭に戻った。

増え続けるヤラタサソリ

探索を続けるにつれて遭遇するヤラタサソリの群れは徐々に大きくなり、やがて三十体ほどの群れまで現れた。アキラ達は無傷で殲滅したものの、倒しても数が減る様子がなかった。

エレナは大規模な巣が近くにある可能性を考え、収集した情報も十分に溜まったことから、一度1番防衛地点へ戻ることを決めた。

塞がれた帰路

帰還途中、エレナは1番防衛地点へ続く通路が大量の障害物で塞がれていることに気付いた。最初は崩落した瓦礫だと考え、別の迂回路を選んだが、同様の通行不能地点が三度も続いた。

偶然とは考えにくい状況となったため、エレナ達は警戒を強めた。さらに別の迂回路へ向かおうとしたところで、アルファがアキラにエレナ達を止めるよう指示した。

アキラの提案

アルファから説明を受けたアキラは表情を険しくし、エレナに最短ルートを塞いでいる障害物を確認したいと申し出た。詳しい理由は説明できなかったが、エレナはアキラの真剣な態度を見て提案を受け入れた。

一行は索敵の精度が落ちる危険を承知で急いで目的地へ向かった。シカラベは理由を尋ねたが、エレナは後回しにして指示への従属を求めた。

瓦礫に擬態した群れ

目的の通路に到着すると、そこは確かに大量の障害物で塞がれていた。アルファから指示を受けたアキラはCWH対物突撃銃を構え、それは瓦礫ではないと告げて専用弾を撃ち込んだ。

銃弾を受けた障害物は外骨格と血肉を撒き散らして吹き飛んだ。通路を塞いでいたものの正体は、瓦礫に擬態した大量のヤラタサソリだった。

第49話 ハンター達の実力 

ヤラタサソリの包囲突破

通路を塞いでいたものが大量のヤラタサソリだと判明すると、サラ達は即座に攻撃し、濃密な弾幕で群れを殲滅した。アキラはその火力に驚いたが、既に周囲を包囲されている可能性を考え、1番防衛地点との通信圏まで急いで戻るよう提案した。

エレナはサラとシカラベを先頭に置き、地形情報に大きな変化がある場所には敵が潜んでいる前提で進むと決めた。サラが重火器で群れを粉砕し、シカラベが取りこぼしを始末しながら脇道まで封鎖した。エレナは戦況を把握して進路を調整し、アキラは後方から迫る群れをCWH対物突撃銃の専用弾で食い止めた。

アキラ達は大量のヤラタサソリを蹴散らしながら進み、ついに包囲網を突破した。防衛地点との通信圏に入ると、エレナは大規模な巣が存在する可能性と、群れを誘導してしまった恐れを伝え、その後は歩いて1番防衛地点へ帰還した。

シカラベの評価

帰還後、シカラベはアキラが帰路変更を提案した理由を尋ねた。アキラは以前ヤラタサソリに包囲された経験から、通路を塞いでいた瓦礫を擬態ではないかと疑ったと説明した。

シカラベは完全には納得しなかったが、アキラが最終的に勘だと答えると、自身も勘を重視するため追及をやめた。また、アキラが判断を外して評価を下げられても構わないと考えていたことに少し意外さを覚えた。

その後シオリはシカラベにアキラの実力を尋ねた。シカラベは、自分やエレナと同格とは言わないが、足手纏いにはならない実力だと評価した。一方でカツヤとの比較では、自身の勘はカツヤの方が強いと告げていると答えた。

しかしシカラベは、実際にアキラの代わりとしてカツヤ一人を連れていった場合、同じ役割を果たせるとは思えなかった。自身の勘が出した矛盾した答えに戸惑いを抱いた。

探索チームからの離脱希望

アキラはエレナ達から探索中の働きを十分評価されたが、自分では限界ぎりぎりだったと考えていた。エレナが冗談半分に、使い物にならなかったと報告して防衛チームに戻れるようにしようかと提案すると、アキラは真剣に頼み込んだ。

アキラは探索か討伐しか選べず、前日の戦果を評価されたため防衛を希望しても認められなかったと説明した。高い報酬や戦歴より生存を優先し、探索や討伐はまだ荷が重いと考えていた。

エレナは虚偽は書けないと断った上で、アキラ自身が探索に実力不足を感じ、探索や討伐への参加を強く嫌がっていた事実を報告に含めると約束した。

一流のハンター

勤務終了後、アキラはエレナ達の強さを振り返り、一流のハンターなのかとアルファに尋ねた。しかしアルファは、クガマヤマ都市を拠点とするハンターとしては強い程度であり、一流を名乗るには装備も実力も足りないと答えた。

一流の多くは東部最東部の最前線近辺で活動し、より強力な装備と実力を持っていた。アキラはその話を聞き、自分が見た強さのさらに上が存在することを知った。

アルファはアキラにも一流を目指してもらい、その手始めとしてヤラタサソリの群れを自力で蹴散らせるようになってもらうと告げた。アキラは自分には無理だと思っていたが、アルファが出来ると断言したことで考えを改め、鍛えてほしいと頼んだ。

閑話 ハンター志望の少年少女 

孤児院とカツヤの進路

東部の孤児院は地域や経済状況によって役割が異なり、裕福な地域では児童養護と教育を担う社会保障施設として、余裕のない者にとっては親の死後に子供の生活を保障する保険として機能していた。

ナノガミヤ都市の施設で暮らすカツヤは退所時期が近付き、ハンターになることを決めていた。ユミナは死が身近なハンター稼業を憧れだけで選ぶことを危惧したが、カツヤは若手を募集していたドランカムに入り、訓練とチーム行動を受けるつもりだと説明した。

ドランカム加入試験への出発

試験当日、カツヤ達の前にドランカムの装甲兵員輸送車が現れた。担当者は試験場が荒野にあり、護衛はするものの命の保証はないと説明したため、多くの加入希望者が乗車をためらった。

カツヤは覚悟を決めて車に乗り込んだが、そこにはユミナもいた。ユミナはカツヤを止めるのではなく、自分も試験に参加する道を選んでいた。

ヤハラタ工場遺跡の単独試験

試験場となったヤハラタ工場遺跡で、カツヤ達には廉価版AAH突撃銃と情報端末が貸し出された。試験は一人ずつ廃工場を進み、指定されたチェックポイントを通って目的地を目指す内容だった。

担当者は、モンスターとの遭遇時に恐慌状態となって弾を浪費する者では荒野で生き残れないと説明し、辞退も認めた。その言葉を受けてもユミナは先に出発し、カツヤも自分の番が来ると工場へ入った。

カツヤは血痕や薬莢、ドラッドラットの死体が残る廃工場を緊張しながら進んだ。戦闘そのものは発生しなかったが、敵襲を警戒し続ける探索だけで大きく消耗した。それでも目的地へ到着し、先に着いていたユミナと無事に再会した。

A班とB班の格差

カツヤ達A班は、一定の教育や常識を身に付けた者としてドランカムの事務派閥から高く評価されており、実際にはA棟に入った時点でほぼ合格扱いだった。A棟のモンスターも事前に完全駆除され、試験は荒野へ進む意思と冷静さを確かめるものだった。

一方、スラム街出身者を中心とするB班は人格や教育面を低く評価され、その不足を戦闘能力で補うことを求められていた。情報端末も与えられず紙の地図だけでB棟へ入り、内部には実際にドラッドラットが残されていた。

B棟では恐怖から弾を浪費する者、仲間同士で武器を奪い合う者、味方を巻き込んで死ぬ者が続出した。一方、トガミは文字を十分に読めないながらも冷静に地図を確認し、遭遇した敵を着実に倒して先へ進んでいた。

追加試験

A班の基本試験終了後、希望者にはドラッドラットとの実戦を行う追加試験が提示された。参加しなくても評価は下がらず、一匹も倒せなくても挑戦自体が加点される内容だった。

多くの参加者が手を挙げ、カツヤとユミナもB棟へ入った。二人は血塗れのドラッドラット二匹を冷静に撃破した。カツヤはさらに進もうとしたが、ユミナは素人として十分な成果を得たとして撤退を提案し、カツヤも受け入れた。

アイリの救出

帰路でカツヤは突然、誰かに呼ばれているような感覚を覚え、ユミナに先へ行くよう告げてB棟の奥へ走った。幼い頃から時折感じていたその感覚の先には、死体や瀕死の者がいることが多かった。

その先ではB班のアイリが重傷を負い、死を待つ状態になっていた。アイリは他の参加者に襲われて銃を奪われ、残った拳銃も既に弾切れだったが、カツヤを敵と考えて銃口を向けた。

カツヤは撃たれる可能性を承知した上で近付き、アイリに応急処置と回復薬を施した。助けようとした相手が死んでいるのはつらく、今回は間に合ったから助けさせてほしいと頼んだカツヤに、アイリは涙を浮かべた。

カツヤとユミナの帰還

カツヤは自力で動けないアイリを背負って帰ろうとしたが、モンスターとの遭遇が増え、弾薬と体力を消耗していった。アイリは共倒れを避けるため自分を置いていくよう求めたが、カツヤは拒否した。

やがて体勢を崩したカツヤがドラッドラットに襲われかけたところを、後を追ってきたユミナが救った。ユミナは情報端末の地図から安全なルートを確認し、出口より近くなっていたB棟のゴールへ二人を案内した。

カツヤ達は無事に到着し、アイリも生還した。B班でゴールした者達は基本的に合格扱いとなり、アイリもドランカムの施設で生活する道を選んだ。

試験後のカツヤとユミナ

試験を終えたカツヤとユミナは無事に元の場所まで送り届けられた。荒野から生還した達成感を覚えるカツヤに対し、ユミナは安全な場所に戻った以上、廃工場で勝手に行動した件について話をすると告げた。

ユミナはカツヤの手を強く握り、これからも一緒にいることを願いながら帰っていった。

この出来事は、クズスハラ街遺跡から現れたモンスターの群れがクガマヤマ都市を襲う一年前のことであった。

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