どんなラノベ?
普段は出涸らしと呼ばれる、臣下の貴族に馬鹿にされてる皇子。
でもその実態は古代魔術を駆使するSS級冒険者のシルバ。
そんな彼が双子の弟を次期皇帝にしようと暗躍する。
読んだ本のタイトル
最強出涸らし皇子の暗躍帝位争い 無能を演じるSSランク皇子は皇位継承戦を影から支配する
著者:タンバ 氏
イラスト:夕薙 氏
(PR)よろしければ上のサイトから購入して頂けると幸いです。
あらすじ・内容
優れた才能とSS級冒険者の力を持ちながらも、無能を装う出涸らし皇子・アルノルト。国を狙う謀略を正体を隠して阻止したものの、皇帝の戯れにより、国の代表として他国に赴く双子の弟・レオに同行するはめに。更に、その船旅の途中で『海竜』に襲われてレオと引き離され、2人は入れ替わることに!?
最強出涸らし皇子の暗躍帝位争い2 無能を演じるSSランク皇子は皇位継承戦を影から支配する
レオの振りを完璧以上にこなし、異国でも暗躍するアルだったが、目覚めた『海竜』が民に襲い掛かり――「竜の誇りか、くだらないな。人間を舐めるな」爪を隠した出涸らし皇子は、聖剣を召喚したエルナと共に、外交も『海竜』も完全制圧する! 最強皇子による縦横無尽の暗躍ファンタジー、激動の第二幕!
感想
双子の第八皇子の弟レオに才能を全て吸い取られた出涸らしと呼ばれている第七皇子のアル。
実は悪魔に身体を乗っ取られて事件を起こした曽祖父から古代魔術を習い 、その力を利用して謎の仮面をしたSS級冒険者になっていた。
表の顔は愚か者、その実態はスーパーマン。
そんな彼が暗躍するストリート。
正体がバレないように細心の注意を払って隠蔽してたのだが、、
弟を皇帝にするためにどの後継者も支持していないクライネルト公爵家が強力なモンスターに困っていると知ると。
その公爵家の領地に棲みついたA A級マザースライムを弟レオを支持する事を報酬に討伐。
後始末をした後に、古代魔術の瞬間移動を使用して公爵家の部屋で仮面を外した時に、たまたま部屋に入っていた公爵家の娘フィーネにアッサリとバレるw
執事の爺様の悪意(御節介)を感じるw
そして、秘密を共有するため。
表向きは弟の支持を表明するために娘を皇子の側に仕えさせるために帝都に行く。
そして、魔獣が増えて困窮している東部地区で皇帝主催の騎士狩猟祭。
各皇族に各騎士団が付いて狩った魔獣を競い合う大会が開催される。
そして各騎士団が配置されて、アルには第3騎士団が配下に就く。
その騎士団長にはアルの幼馴染(天敵)のエルナだった。
エルナはアルを1位にするために孤軍奮闘が、、
肝心のアルが付いて行けてないw
そんな時に、裏で暗躍する吸血鬼達が起こした魔獣の暴走が起こり皇帝を暗殺しに動く。
それに協力して踊らされた第五皇子は最初の犠牲者になった、、
アルは騎士達を皇帝の元に送るためにサッサと狩猟祭りの参加権を棄権して近くの村でサボると言って離脱。
その後、シルバに変身してレオを助けに暗躍する。
そして、レオは周辺領の騎士達を集めて皇帝を救出に向かって皇帝を救援。
さらにシルバはエルナと組んで吸血鬼を討伐。
幼馴染と息ぴったり、、、
じゃない。
何気に幼馴染に魔法が被弾してるし、、
いや、敵意を持つ相手に誘導してるとはいえ、自身は変装してるのだから。。
コレは、バレたら怖いぞ。。
魔獣の暴走で有耶無耶になったが狩猟祭の結果は1位はレオになり。
次の外交特使に選ばれたが、、、、、
裏で色々やって上手く行ったのをニコニコしながら見ていたアルに皇帝がイラッと来たので。
レオの補助をしろと命じられて絶叫を上げて終わる。
何気にアルが1番皇帝に似ているとは皇帝の親友の宰相の言。
(PR)よろしければ上のサイトから購入して頂けると幸いです。
展開まとめ
プロローグ
SS級冒険者シルバーの登場
アードラシア帝国の帝都ヴィルトにある冒険者ギルドにて、黒衣の魔導師シルバーがキング・ミノタウロスの角を持ち帰り、多額の報酬を受け取った。彼は周囲の冒険者たちに酒を奢りつつ、高難度依頼を優先的に回すよう依頼し、ギルドを後にした。
シルバーの正体と二重生活
シルバーの正体は第七皇子アルノルト・レークス・アードラーであり、正体を隠すため宿で仮面とローブを脱ぎ貴族の姿へと戻った。彼は無能と評される「出涸らし皇子」として振る舞うことで自由を得ており、その裏で冒険者として活動していた。
帝位争いと老将軍の死
執事セバスチャンから、帝都守備隊の名誉将軍ドミニクの死が伝えられた。将軍は帝位争いに関与し、第八皇子レオナルトを支持していたため、三大勢力による暗殺の可能性が示唆された。この死により、レオナルトは有力勢力から敵と見なされる状況となった。
双子の立場と避けられぬ選択
アルノルトは双子の弟レオナルトのもとを訪れ、現状では帝位争いに参加しなければ自分たちと母の命も危ういと告げた。争いを望まないレオナルトであったが、周囲を守るため帝位争いへの参加を決意した。
帝位獲得への決意
アルノルトは自ら皇帝になる意思は示さず、レオナルトを皇帝に据えるため裏から支援する方針を固めた。勢力拡大と皇帝の認可を目標に掲げ、二人の帝位争いが始まったのであった。
第一章 クライネルト公爵家
正体を隠したままの方針決定
アルノルトはセバスチャンと今後の策を協議し、SS級冒険者シルバーとしての正体を明かす案を退けた。古代魔法の使用が皇族にとって忌避されていることや、弟レオナルトへの悪影響を考慮し、引き続き無能な皇子として振る舞う方針を維持した。
クライネルト公爵家への目標設定
帝位争いに関与していない公爵家としてクライネルト家が挙げられ、その理由が領内のモンスター問題であることが判明した。アルノルトはこの問題を解決することで恩を売り、レオナルトの勢力拡大に繋げる計画を立てた。
シルバーとしての訪問と門前での拒絶
転移魔法で公爵領に赴いたアルノルトはシルバーとして屋敷を訪れるが、門番に信用されず追い返された。冒険者カードすら確認されない対応に苛立ちを覚えつつも、これを好機と捉え、後の交渉に利用することを決めた。
蒼鷗姫フィーネとの邂逅
屋敷の窓越しに、公爵令嬢フィーネ・フォン・クライネルトの姿を目にした。彼女はかつて皇帝により国一番の美女と認められた蒼鷗姫であり、その美しさは一層際立っていたが、アルノルトは目的を優先してその場を去った。
アルノルトとしての再訪と布石
一度帝都へ戻ったアルノルトは、今度は皇子として正式に訪問する準備を整え、再び公爵領へ向かった。事前に来訪を伝えたことで、公爵自らの出迎えを引き出すことに成功した。
自作自演による圧力と交渉開始
アルノルトはシルバー派遣をレオナルトの善意と偽り、公爵に恩義を返すよう迫った。事情を知らない公爵は困惑するが、シルバーの名を利用した圧力により調査を余儀なくされる。アルノルトはこの状況を利用し、公爵をレオナルト側へ引き込む布石を打った。
内部問題の発覚と次への展開
調査により、公爵家内部で問題が起きていたことが判明し、公爵が激怒する声が響いた。アルノルトの策略は功を奏し、クライネルト公爵家を動かす段階へと進んだのであった。
門番の失態と公爵の謝罪
クライネルト公爵は、シルバーを追い返した原因が息子の門番としての失態であったと明かし、深く謝罪した。息子は状況を理解しきれておらず反論するが、公爵は強く叱責し、自身の責任として事態を受け止めた。
フィーネの自己犠牲の申し出
責任の取り方を問われた公爵家に対し、フィーネ・フォン・クライネルトが自らを差し出すことで父と兄の許しを請うた。公爵と兄も共に懇願し、家族全員が膝をつく事態となり、アルノルトは想定外の展開に直面した。
セバスの仲裁と一時収束
セバスチャンの進言により、事態は内密に処理しシルバーを探し出して謝罪する方針に収まった。アルノルトは渋々これを受け入れる形を取り、公爵家に調査と対応を命じることで交渉は一旦決着した。
シルバーとの対面工作
アルノルトは古代魔法を用いてシルバーの存在を偽装し、フィーネの前で一人二役を演じた。シルバーは公爵家の不備を厳しく指摘し、信頼を失ったと断じることで、公爵家全体の責任として認識させた。
協力を引き出す条件提示
シルバーは公爵家がレオナルトへの全面協力を約束することを条件に依頼を受ける姿勢を示した。アルノルトは自ら頭を下げて依頼継続を願い出る演技を行い、その結果としてシルバーは討伐を引き受けることとなった。
フィーネの誤解と心境の変化
交渉後、フィーネはアルノルトの行動を領民のためと受け取り感謝を述べた。アルノルトは誤解を否定するも、フィーネはあえてその認識を保ち、柔らかな笑みを向けた。その姿にアルノルトは強い感動を覚え、結果として誤解を正すことができなかった。
マザースライム討伐の決断
アルノルトはシルバーとして、クライネルト公爵領に出現したマザースライムの巣を確認した。大量のスライムはすでに軍勢規模に達しており、通常の冒険者では対処困難な状況であったため、速やかな討伐が必要と判断した。
現地冒険者との対立と説得
現地で依頼を受けていたA級パーティーと対面したアルノルトは、依頼への割り込みに対する反発を受けた。しかし現状では火力不足で討伐が不可能であることを指摘し、被害拡大を防ぐため自らに討伐を任せるよう説得した。最終的にリーダーのアベルは実力不足を認め、依頼を譲る決断を下した。
古代魔法による殲滅
アルノルトは古代魔法を発動し、巨大な魔法陣から放たれた炎によって山一帯を焼き尽くした。これによりマザースライムおよび無数のスライムは完全に消滅し、被害拡大の原因は根絶された。圧倒的な力により、冒険者たちはその実力差を痛感した。
功績の放棄と帰還
討伐後、アルノルトは報告と功績を現地の冒険者たちに任せ、自らは転移魔法で屋敷へ戻った。公爵から正式な助力を引き出すため、皇子としての立場で事後処理に臨む必要があった。
正体露見の危機
部屋に戻り仮面を外した直後、そこに居合わせたフィーネに正体を見られてしまった。アルノルトとシルバーが同一人物であることが露見する危機が訪れ、事態は新たな局面へと進んだ。
正体露見とフィーネの対応
部屋で仮面を外したアルノルトは、差し入れに訪れたフィーネに正体を見られてしまった。誤魔化しも口封じも不可能な状況に追い込まれるが、フィーネは秘密を漏らさないと約束し、むしろアルノルトの行動を信頼して受け入れる姿勢を示した。
信頼に基づく秘密の共有
フィーネはアルノルトが領地を救ったことや弟のために動いている点を理由に、彼を善良な人物と認識した。アルノルトはその信頼を裏切れず、秘密保持を条件にフィーネを帰す決断を下した。
依頼完了と公爵の正式支援
マザースライム討伐の報告を受けたクライネルト公爵は、改めてレオナルトへの全面協力を約束した。これによりクライネルト公爵家は正式に後ろ盾となり、レオナルトは帝位争いにおける第四勢力としての地位を確立した。
フィーネの同行申し出
人手不足を理由に、公爵は娘フィーネをアルノルト側へ送り出す提案を行った。フィーネ自身の強い希望もあり、アルノルトはこれを受け入れることとなった。
新たな同行者と不安の残存
帝都へ向かう馬車の中で、フィーネは改めて協力を申し出る一方、アルノルトは帝位争いの危険性を警告した。しかしフィーネはそれでも同行の意思を変えず、結果としてアルノルトは秘密を抱えたまま彼女と行動を共にすることとなり、不安を抱くこととなった。
帝都帰還とマリーの観察
帝都へ戻ったアルノルトはレオナルトの部屋を訪れ、道中でマリーと遭遇した。マリーはレオナルト側に人材が集まりつつあることを報告しつつ、アルノルトの変化を鋭く見抜き、彼に警戒を抱かせた。
シルバーとの関係の説明
アルノルトはレオナルトに対し、シルバーとの関係をあくまで外部協力者として説明した。シルバーの協力によってクライネルト公爵家を味方に引き込んだことを共有しつつも、その正体や目的には慎重な姿勢を示した。
帝位争いの構図整理
アルノルトは三人の有力後継者として、第二皇子エリク、第三皇子ゴードン、第二皇女ザンドラを挙げ、それぞれが文官・軍・魔導師の支持基盤を持つことを説明した。長兄の死を契機に始まった帝位争いの構図が改めて明確化された。
勢力争いの停滞と課題
レオナルトは中立貴族の取り込みを進めていたが、他勢力による引き抜きもあり成果は限定的であった。特に軍務関連の人材を巡る競争は激化しており、資金力を持つ他勢力に後れを取る状況が示された。
フィーネの影響と帝都での立場確立
フィーネの帝都入りにより、クライネルト公爵家がレオナルト側に付いたという噂が広まり、勢力拡大の足掛かりが形成された。彼女の存在は交渉面でも象徴的な意味を持つこととなった。
帝都散策と関係の深化
フィーネはアルノルトに帝都案内を求め、変装のうえで外出した。街の見学や会話を通じて両者の距離は縮まり、フィーネはアルノルトに対する信頼と親しみを深めていった。
トラブルと正体の偽装
街中でギードに絡まれたアルノルトは一方的に暴力を受けるが、フィーネが介入し事態は複雑化した。フィーネはアルノルトを守るため、彼をレオナルトに見せかける策を取ったことで場は収まったが、新たな不安要素を生む結果となった。
衝突後の反省と再確認
事後、アルノルトはフィーネの軽率な行動を諭しつつも、その動機が自分を思ってのものであると理解し感謝を示した。フィーネも反省しつつ関係は修復され、今後の協力関係は維持されることとなった。
第二章 騎士狩猟祭
重臣会議への異例の招集
皇帝は帝都にいる皇子・皇女全員を重臣会議へ招集した。通常は限られた者しか参加できない場であり、この異例の招集にアルノルトとレオナルトは重大な報告があると推測した。
三大勢力の対立の顕在化
会議の場では第三皇子ゴードン、第二皇女ザンドラ、第二皇子エリクがそれぞれの立場を示し、互いに牽制し合った。武力・魔法・知略の三勢力が帝位を巡って競い合う構図が改めて浮き彫りとなった。
騎士狩猟祭の復活宣言
皇帝ヨハネスは、近衛騎士団を用いた騎士狩猟祭の復活を宣言した。各皇子・皇女に騎士を割り振り、討伐したモンスターの成果を競わせることで、帝位継承者としての力量を測る意図が示された。
冒険者ギルドとの関係と背景
近年のモンスター増加により冒険者ギルドだけでは対処しきれない状況があり、帝国主導での討伐が正当化された。実質的には帝国の圧力も働き、ギルドは祭りの実施を承認する形となった。
競争条件と皇帝の意図
皇帝は騎士の配属を自ら行うとし、皇子たちの工作を封じた。また、出撃の有無も各自の判断に委ねたが、実際には前線に立つ覚悟を試す意図が込められていた。
優勝報酬と新たな争点
優勝者には全権大使の地位が与えられることが決定された。この地位は外交上の影響力を大きく左右するため、各勢力にとって極めて重要な意味を持ち、争いはさらに激化することとなった。
アルノルトの戦略思考
騎士狩猟祭の本質が皇子たちの采配を競う場であると理解したアルノルトは、レオナルトを優勝へ導くための策を練り始めた。帝位争いは新たな局面へと進むこととなった。
作戦会議と戦況の分析
アルノルトはセバスチャンとフィーネを交え、騎士狩猟祭に向けた作戦会議を行った。全権大使の座を巡る戦いは好機である一方、他の三勢力に奪われれば決定的な差が生まれるため、極めて重要な局面であると認識した。
開催地と戦いの本質
情報収集の結果、開催地はモンスター被害の激しい帝国東部と予測された。勝敗はレアモンスターとの遭遇に大きく左右されるため、実力だけでなく運も重要な要素であることが明らかとなった。
非情な策とその否定
アルノルトはモンスターを誘導する策を検討するが、民への被害を伴うため却下した。レオナルトの思想や自身の矜持に照らし、民を犠牲にする戦略は取らない方針を固めた。
レオナルトの覚悟の再確認
レオナルトは帝位争いから逃げない意思を示し、自らに関わる者すべてを守るため勝ち抜く決意を語った。その言葉により、周囲は改めて結束を強めることとなった。
シルバーとしての活動再開
アルノルトはシルバーとしてAAA級モンスターである変異ケルベロスの討伐依頼を受け、短時間でこれを撃破した。帝国内で高ランクモンスターの出現が増加している現状が示された。
エルナとの再会と対立の発生
討伐後、近衛騎士団第三騎士隊隊長エルナ・フォン・アムスベルグと遭遇した。過去に因縁のある相手であり、言葉の応酬の末に互いに敵対的な印象を残す結果となった。
新たな火種の発生
アルノルトはエルナとの対立により、勇爵家という強大な勢力との関係悪化の可能性を自覚した。騎士狩猟祭を前にして、さらなる不安要素を抱えることとなった。
騎士隊配属と最悪の引き当て
アルノルトのもとに割り当てられた騎士隊は、第三騎士隊隊長エルナ・フォン・アムスベルグであった。エルナ自身が皇帝に志願して配属された結果であり、アルノルトは一気に優勝候補として注目を集める立場に置かれた。
エルナによる強制訓練
エルナはアルノルトを優勝させるため特訓を開始し、馬術や戦闘訓練を強行した。その過酷さによりアルノルトは全身を痛め、まともに動けない状態へと追い込まれた。
戦略上の利点の発見
セバスチャンは、エルナの存在が逆に有利に働くと指摘した。アルノルトが勝利しても実力はエルナによるものと見なされるため、無能を装う立場を維持したまま優勝が可能となる構図が成立した。
優勝方針の再確認
アルノルトは最悪の場合には自ら優勝してでも全権大使の座を確保する方針を示しつつも、最善はレオナルトの優勝であると位置づけた。有力者の前でレオナルトが成果を示すことに大きな意味があると判断していた。
譲る姿勢と本音の露呈
フィーネはアルノルトが意図的に役割をレオナルトへ譲ろうとしていると解釈したが、実際には面倒を避ける本音も含まれていた。セバスチャンはそれを見抜きつつも、状況としては合理的であると認めた。
再び始まる過酷な訓練
回復途中のアルノルトであったが、エルナは容赦なく訓練を再開させた。筋肉痛を理由とする休息は認められず、再び引きずられる形で修練場へ連れて行かれた。
準備期間の緊張の高まり
騎士狩猟祭まで残りわずかとなる中、アルノルトはエルナという強力な戦力を得た一方で、行動の制約と新たな注目を背負うこととなった。戦いに向けた準備は緊張を伴いながら進んでいった。
地下書斎と祖父との再会
アルノルトは城の地下にある隠し書斎を訪れ、思念体となった曾祖父グスタフと対話した。グスタフは元皇帝であり、古代魔法の研究者としてアルノルトの師でもあった。
帝位争いの陰謀の示唆
グスタフは帝位争いの本質として、最有力候補の排除が常套手段であると語り、長兄の戦死にも陰謀の可能性があると指摘した。アルノルトは今後の出来事も単なる偶然ではない可能性を意識するようになった。
モンスター増加の原因の推察
アルノルトは帝国内でのモンスター増加について相談し、広範囲に影響を及ぼす魔法は存在しないと否定された。一方で、モンスターを誘導する古代魔導具「ハーメルン」の存在が示され、これが原因である可能性が浮上した。
新たな脅威の認識
ハーメルンの笛が実在する場合、騎士狩猟祭の結果を左右しかねない危険性があると判明した。さらに、その使用は帝国に対する重大な脅威であり、帝位争いの表面下で別勢力が動いている可能性が示唆された。
暗殺者の襲撃と撃退
帰路にてアルノルトは暗殺者に襲撃されたが、結界により動きを封じて制圧した。さらにセバスチャンが他の暗殺者も無力化しており、事態は即座に収束した。
ザンドラの関与の判明
捕らえた暗殺者は恐怖により依頼主を漏らし、第二皇女ザンドラの関与が明らかとなった。アルノルトはこの襲撃が騎士狩猟祭での競争を有利にするための排除であると判断した。
複雑化する戦局
ザンドラの動きから、モンスター増加の黒幕は別に存在する可能性が高まり、騎士狩猟祭は単なる競技ではなく陰謀が交錯する場へと変化した。アルノルトは新たな脅威に備える必要性を強く認識した。
前夜祭での束の間の休息
騎士狩猟祭前夜、アルノルトはフィーネと共に帝国東部の都市キールを訪れ、露店巡りを楽しんだ。変装のための眼鏡を用いたフィーネは普段とは異なる印象を見せつつ、束の間の平穏な時間が流れた。
窃盗事件の発覚
街中でレオナルトとマリーと合流したアルノルトは、貴金属を狙った窃盗事件が発生していることを知る。警戒を促された直後、フィーネの髪飾りが小動物ブレットによって奪われる事態が発生した。
窃盗の手口の解明
アルノルトはブレットの行動から、蓄音石を利用して動物を誘導する仕組みを見抜いた。一定間隔で配置された音の誘導装置により、盗品が目的地へ運ばれる構造であると看破した。
犯人拠点の特定と制圧
誘導経路を辿ったアルノルトは窃盗犯の拠点を突き止め、騎士を動かして包囲・制圧させた。民家からは多数の盗品と捕獲されたブレットが発見され、事件は速やかに解決された。
功績の偽装と配慮
アルノルトは自らの功績を隠し、レオナルトの名で騎士に指示を出すことで表向きの手柄を譲った。また、フィーネの髪飾りが皇帝からの贈り物であることを隠すため、騎士たちにも口止めを行った。
フィーネの信頼と決意
事件後、フィーネはアルノルトの実力と人柄を改めて認識し、その活躍を自分が記憶し続けると語った。アルノルトはそれを受け入れ、二人の関係はさらに深まった。
嵐前の静けさ
事件を解決した後、アルノルトとフィーネは再び祭りを楽しんだ。騎士狩猟祭本番を前にしたひとときの安息であったが、その裏では陰謀が動いている可能性を抱えたままであった。
本番開始と東部の熱狂
騎士狩猟祭本番の日、東部最大都市キールは大勢の民で賑わい、祭りへの期待が高まっていた。皇帝は事前に資金を配ることで民の不満を和らげ、祭りを盛り上げる下地を整えていた。
皇族それぞれの姿勢の対比
レオナルトは東部の村々を巡り、被害を受けた民への支援と優勝後の寄付を考えていた。一方アルノルトは表向きは軽い態度を取りつつも状況を観察しており、両者の性格と方針の違いが明確に示された。
クリスタの予知と新たな危機
第三皇女クリスタが訪れ、この街がモンスターに囲まれる未来を見たと告げた。アルノルトはその能力の危険性と信頼性を理解しており、この情報をもとに警戒を強める必要を認識した。
フィーネへの託しと守りの配置
アルノルトは不安定なクリスタを守るため、フィーネに同行を任せた。フィーネは快くこれを引き受け、クリスタとの間に信頼関係を築くことで後方の安定を確保した。
三勢力との緊張の継続
ザンドラやゴードンとの遭遇により、帝位争いの緊張は依然として高い状態にあった。互いに牽制し合う中で、騎士狩猟祭は単なる競技ではなく勢力争いの場であることが改めて示された。
各勢力の戦略の明確化
レオナルトはあえて被害の少ない南部を選び、強力な個体の討伐を狙う戦略を取った。多数討伐ではなく質を重視する判断であり、祭りの勝敗条件を踏まえた合理的な選択であった。
騎士狩猟祭の開幕
皇帝の号令により、皇子・皇女と近衛騎士たちはそれぞれの軍旗を掲げて出陣した。アルノルトも第三騎士隊と共に戦場へ向かい、表舞台ではなく裏から状況を制するため動き出した。
第三章 キール防衛戦
圧倒的戦力としてのエルナ
騎士狩猟祭初日、エルナは多数のブラッドハウンドを単独で殲滅し、アルノルト陣営は暫定首位に立った。圧倒的な戦闘力により、他勢力を大きく引き離す戦果を上げていた。
無理な進軍の抑制と戦略的判断
アルノルトは初日からの過度な進軍を避け、騎士たちの疲労を考慮して早期に街へ戻る判断を下した。三日間の長期戦を見据え、持久戦を前提とした運用に切り替えた。
エルナとの衝突と価値観の対立
宿に戻った後、エルナはアルノルトの無気力な態度と評判の低さに不満を示し、本気で帝位争いに向き合うべきだと訴えた。一方アルノルトは従来どおりの立場を崩さず、両者の価値観の違いが明確となった。
暗殺未遂の告白と状況の説明
アルノルトはエルナに対し、自身が暗殺未遂に遭った事実を明かした。エルナの存在によって優勝候補と見なされたことが原因であり、帝位争いの苛烈さと危険性が具体的に示された。
エルナ排除の必要性の提示
アルノルトはエルナの力が強大であるがゆえに政治的な標的となる危険性を指摘し、これ以上関わらないよう距離を取るよう求めた。アムスベルグ家を守るためにも、帝位争いから遠ざける必要があると判断した。
関係の断絶と戦力低下
エルナは謝罪しつつもその場を去り、以降アルノルト陣営は急速に戦果を落とすこととなった。強力な戦力を意図的に遠ざけたことで、戦局は新たな局面へと移行した。
戦況悪化と順位転落の背景
三日目、アルノルト陣営はモンスター出現率の低下により戦果が伸びず、順位を落としていた。これはエルナの圧倒的戦闘力によって周辺のモンスターが警戒し、接近を避けた結果であった。
裏で進めていた誘導作戦
アルノルトは意図的に南へ進軍し、モンスターをレオナルト側へ誘導していた。これによりレオナルトはAAA級モンスターの討伐に成功し、優勝への布石が打たれていた。
カルロスの急浮上と不審な戦果
突如として第五皇子カルロスが首位に立ち、AAA級モンスターを複数討伐したと見られる結果が表示された。実力的に不可能な戦果であり、アルノルトは背後に何者かの介入を察した。
モンスター大移動の発生
地面の振動から、モンスターの大群が移動する現象が発生していることが判明した。エルナはこれを“津波”と判断し、群れはキールへ向かっていると推測された。
キール壊滅の危機と皇帝の危険
キールには皇帝と民が集まっている一方、近衛騎士は各地に分散しており、防衛は極めて手薄であった。このままでは街の壊滅と皇帝の危機が避けられない状況であった。
騎士たちへの命令と覚悟の要求
アルノルトはエルナと騎士たちに対し、死なずに生きて守ることを誓わせたうえで出撃を命じた。自己犠牲ではなく生存を前提とした戦いを求め、彼らをキール救援へ向かわせた。
自らの失格と責任の切り離し
アルノルトは腕輪を外し、自ら失格となることで騎士たちの行動に迷いが生じないようにした。すべての責任を自分に集約し、騎士たちが全力で救援に向かえる環境を整えた。
影で動く決意
騎士たちを送り出した後、アルノルトはシルバーとして暗躍することを決意した。表舞台から退いたことで自由に動ける立場となり、真の脅威への対処に向かうのであった。
皇帝の決断と防衛戦の開始
モンスターの大群接近を受けても、皇帝ヨハネスは退却を拒否しキールに留まることを選択した。逃げれば東部の反乱を招くと判断したためであり、自ら前線に立つことで守備隊の士気を高め、防衛戦を開始した。
圧倒的物量による劣勢
守備隊三千に対しモンスターはその数倍に達しており、防衛線は急速に押し込まれていった。皇帝自身も奮戦するが、多勢に無勢の状況は覆せず、戦況は明確な劣勢であった。
吸血鬼サムとディーンの出現
戦場に現れたのは、賞金首として知られる吸血鬼サムとディーンであった。彼らは帝国そのものへの復讐を掲げ、モンスターの津波を引き起こした張本人であることを示し、皇帝を追い詰めた。
エルナの参戦と戦局の変化
危機的状況の中、エルナが到着し皇帝を救援した。アルノルトの判断によって送り出されたことを理解した皇帝はこれを評価し、エルナに戦闘を任せたことで戦局に変化が生まれた。
神童エルナの実力発揮
エルナは吸血鬼と互角以上に渡り合い、空中戦を展開した。その実力は人間の枠を超えたものであり、サムとディーンも警戒を強めるほどであった。戦場の中心は三者の激突へと移行した。
カルロスの介入と失敗
第五皇子カルロスは自らの英雄願望に基づき戦場へ突入したが、吸血鬼との取引に裏切られ一撃で撃破された。重傷を負い戦線離脱する結果となり、その軽率さが露呈した。
騎士たちの奮戦と時間稼ぎ
カルロスの騎士たちは主の敗北にもかかわらず奮起し、モンスターに突撃して戦線を維持した。その行動によりわずかながらも時間が稼がれ、戦況に変化の兆しが生まれ始めた。
レオナルトとの合流と制止
シルバーとなったアルノルトは、キールへ急行するレオナルトの一団の前に姿を現した。キールを救いたい一心で突き進もうとするレオナルトに対し、この人数では焼け石に水であると指摘し、感情のまま突入しても守れる命は増えないと諭した。
越権を承知での決断
アルノルトは、東部一帯の騎士たちを集める必要があると告げた。領主の騎士を皇子の名で動員することは本来なら越権行為であったが、レオナルトは皇帝と民を救えるなら自らが責任を負うと決断し、その覚悟を示した。
転移門による騎士召集
アルノルトは古代魔法でキール近くの丘と東部各地を繋ぐ転移門を開いた。そして拡声魔法を使い、レオナルトが自らの名で騎士たちに参陣を呼びかけた。領主の許可を待たず、個人の意思で集まるよう求めたこの演説は、レオナルトの責任感と覚悟を前面に出すものとなった。
レオナルトのカリスマの発露
最初に現れた騎士ハンスは、レオナルトが各地の村を慰問していたことに心を動かされ、以前からその下で戦いたいと願っていたと語った。その後も同様の思いを抱く騎士たちが続々と集まり、やがて領主フォルカーまでも五百の騎士を率いて参陣した。レオナルトの人望が、混乱の中で明確な形となって表れた。
三千超の援軍形成
転移門を通じて集まった騎士たちは最終的に三千を超えた。統制の取れた正規軍ではなくとも、誰かに命じられたのではなく自らの意志で集まったため、その士気は非常に高かった。アルノルトはこの光景を見て、キール救援に足る戦力が整ったと判断した。
アルノルトの先行と異変の予兆
レオナルトから協力への礼を受けたアルノルトは、まだ礼を受けるのは早いと返し、自らは先にキールへ向かった。転移した先の上空で彼が目にしたのは、常ならぬ異様な光景であり、戦場がさらに深刻な局面へ入っていることを示していた。
屋敷での混乱とフィーネの決断
キールの屋敷では不安に駆られた領民が押し寄せ、混乱が生じていた。フィーネはクリスタの意思を尊重し、子供・老人・病人を優先して受け入れる方針を決定したうえで、民に冷静な行動を促した。さらに兵士の軽率な対応を戒め、屋敷の防衛体制を整えた。
ギードとの対立と貴族としての矜持
安全を求めて現れたギードに対し、フィーネは貴族としての責務を欠いた行動を厳しく叱責した。自らだけ助かろうとする姿勢を否定し、身分に関係なく方針を貫いたことで、その場の秩序を維持した。
クリスタの予知と笛の存在
クリスタはモンスター襲来の原因となる笛の存在を思い出し、それが時計塔に落ちたと告げた。フィーネはその言葉を信じ、危険を承知で自ら笛の回収に向かう決意を固めた。
時計塔への単独行動
フィーネは制止を振り切り、街の中心にある時計塔へ向かった。戦闘能力を持たない自身でも役に立とうとする意志に基づく行動であり、初めて任された役割を果たそうとする覚悟の表れであった。
魔笛を巡る攻防
上空ではエルナと吸血鬼ディーンたちが戦闘を続ける中、モンスターを操る魔笛「ハーメルン」が落下した。ディーンは回収を試み、エルナもそれを阻止しようと追撃し、戦場は笛を巡る攻防へと移行した。
フィーネの決死の行動
落下してきた笛をフィーネが受け止め、危険を顧みずエルナへ投げ渡した。自身は落下しながらも役目を果たすことを優先し、戦局に大きな影響を与える行動を取った。
絶体絶命からの救出
ディーンの攻撃を受けて落下するフィーネであったが、その瞬間にシルバーが現れ彼女を救出した。絶望的状況の中で現れた救援により、戦局は新たな局面へと移った。
シルバーの参戦宣言
シルバーは自らの正体を名乗り、吸血鬼サムとディーンの討伐を宣言した。帝国最強と謳われる冒険者の参戦により、キール防衛戦は決戦段階へと突入した。
シルバーの救援と怒りの表明
上空へ転移したアルノルトは、エルナと吸血鬼の戦闘そのものよりも、その近くにフィーネがいることに驚いた。フィーネが時計塔の上で笛を受け止め、さらにそれをエルナへ投げ渡した直後、吸血鬼の攻撃によって落下したため、アルノルトは最大速度で降下して魔力弾を弾き飛ばし、空中でフィーネを救い上げた。間に合ったことに安堵しつつも、フィーネを危険に晒した吸血鬼たちへの怒りを強め、シルバーとして討伐を宣言した。
フィーネの奮戦の承認
助けられたフィーネは自らの軽率さを詫びたが、アルノルトはその行動を責めず、よくやったと認めた。笛を確保し、エルナへ託した行動が戦局に与えた意味を理解していたためであり、後のことは自分に任せるよう告げてフィーネを地上へ降ろした。
シルバーと吸血鬼の対峙
シルバーの登場により、サムとディーンは初めて明確な脅威を意識した。アルノルトは、彼らがこれまで大人しくしていたのはSS級冒険者を恐れていたからではないかと挑発し、ディーンもまた計画の失敗を認めざるを得ない状況に追い込まれた。両者の間で言葉の応酬が交わされ、決戦の空気が濃くなった。
エルナとの役割分担
エルナは吸血鬼二人のうち自らの獲物を譲る気はなく、シルバーの介入にも反発した。だが地上の戦況を踏まえたうえで、最終的にはサムとディーンをそれぞれ分担して迎え撃つ形に落ち着いた。エルナはなおも怒りを抱えていたが、戦場ではその感情すら戦意へと変えていた。
レオナルト率いる騎士団の到着
吸血鬼たちは地上の劣勢を利用して揺さぶりをかけようとしたが、その直後、レオナルトが数千の騎士を率いてキールへ突入した。横合いからの突撃によってモンスターの群れは対応できず、戦況は大きく変化した。レオナルトの到着により、地上は防衛から反撃へと転じた。
ディーンとの激突
アルノルトはディーンを相手に空中戦を展開した。ディーンは魔力弾による遠距離攻撃から接近戦へ切り替え、アルノルトを殴り落として優位に立ったかに見えた。しかし、その最中もアルノルトは冷静に戦場全体を見据え、別の術式の準備を進めていた。
治癒結界による戦場維持
シルバーが現れて以降、キールの守備兵やレオナルト率いる騎士たちは傷を負っても即座に回復していた。アルノルトは戦いながら街全体に治癒結界を張っており、それによって戦線の崩壊を防いでいた。吸血鬼たちはその事実に後れて気づき、アルノルトが単なる戦闘要員ではなく、戦場全体を支えていたことが明らかになった。
呪鎖結界の発動
アルノルトは治癒結界に加えて、もう一つの大規模魔法を準備していた。術式完成とともにキール全域に巨大な魔法陣が浮かび、無数の鎖がサムとディーンを拘束した。それは古代魔法・呪鎖結界であり、対象を縛るだけでなく呪いによって弱体化させる効果を持っていた。アルノルトはここまでの攻撃への怒りを込め、吸血鬼たちに覚悟を問うた。
フィーネ救出とシルバーの怒り
上空へ転移したアルノルトは、エルナと吸血鬼の戦闘そのものよりも、時計塔に登っていたフィーネの姿に強く動揺した。フィーネが笛を受け止めてエルナへ投げ渡し、その直後に吸血鬼の攻撃で落下したため、アルノルトは最大速度で降下し、魔力弾を弾き飛ばして空中でフィーネを抱き留めた。間に合ったことに安堵すると同時に、彼女を危険に晒した吸血鬼たちへの怒りを深め、シルバーとして討伐を宣言した。
フィーネの行動への承認
救われたフィーネは自らの軽率さを詫びたが、アルノルトは責めず、よくやったと認めた。笛を確保し、それをエルナへ繋いだ行動が戦局にとって重要であったからである。アルノルトは後のことは自分に任せるよう告げ、フィーネを地上へ降ろした。
吸血鬼兄弟との対峙
シルバーの登場により、サムとディーンは初めて明確な脅威を意識した。アルノルトは、二人が長く潜伏していたことを指摘しつつ挑発し、相手の余裕を削いでいった。一方でエルナも戦意を失っておらず、どちらが敵を仕留めるかを巡ってシルバーと衝突したが、最終的にはそれぞれ標的を分けて迎え撃つ流れとなった。
レオナルト率いる騎士団の突入
地上では、レオナルトが数千の騎士を率いてキールへ突撃した。横合いからの攻撃を受けたモンスターの群れは対応が遅れ、防衛戦は反撃へと転じた。これにより吸血鬼たちが思い描いていた一方的な蹂躙は崩れ、戦局は人間側へ傾き始めた。
ディーンとの空中戦
アルノルトはディーンを相手に空中戦を展開した。ディーンは魔力弾による遠距離攻撃から接近戦に切り替え、アルノルトを地上へ叩き落としたが、決定打にはならなかった。その最中もアルノルトは冷静さを失わず、戦場全体を見据えて術式の完成を進めていた。
治癒結界と呪鎖結界の発動
アルノルトがキールに現れて以降、守備兵も騎士たちも傷を負っては回復していた。それはアルノルトが街全体に治癒結界を張っていたためであった。さらに彼は戦いながらもう一つの古代魔法を準備しており、術式完成とともに巨大な魔法陣を街に展開し、サムとディーンを呪鎖結界で拘束した。鎖は二人を縛るだけでなく、呪いによって弱体化を重ねていった。
エルナとの応酬と決着への移行
呪鎖結界は敵意に反応してエルナまで捕らえかけたため、アルノルトはそれを止めつつ皮肉を返した。エルナもまた聖剣・極光を召喚し、吸血鬼を自ら討つ意志を示した。両者は言い争いながらも、最終的には標的を分け合い、それぞれ最大威力の一撃を準備した。
黒と白の極大魔法
アルノルトは古代魔法インフィニティ・ダークネスを、エルナは聖剣の極光を放った。黒と白の極大攻撃はそれぞれディーンとサム、そして周囲のモンスター群を飲み込み、すべてを消し飛ばした。こうして吸血鬼兄弟とモンスターの大群は一掃され、キール防衛戦は決着した。
戦後の応酬とアルノルトの限界
戦いの後、アルノルトは皇帝に対して、今後は冒険者ギルドを軽んじないよう釘を刺した。さらにエルナからはフィーネを救ったことへの礼と、幼馴染への侮辱を許さないという強い言葉を受けた。アルノルトは軽口を返してその場を去ったが、連続した転移魔法と複数の大規模魔法の行使で消耗は極限に達していた。セバスに労われたアルノルトは、ようやく休んでもよいのだと感じ、そのまま眠りに落ちた。
アルノルトの帰還と再会
騒動から三日後、アルノルトは皇子たちの中で最後にキールへ到着した。屋敷の前ではクリスタが不安を抱えながら駆け寄り、フィーネやレオ、エルナらも出迎えた。全員が無事であることに安堵しつつ、アルノルトはそのまま会議へ向かうこととなった。
エリクによる牽制
道中で第二皇子エリクと対峙したアルノルトは、遅参を咎められるも意に介さなかった。エリクは自身が次期皇帝であると断言し、アルノルトとレオに対して牽制を行った。これは今回の戦功によって二人の存在が無視できなくなったことを意味していた。
カルロスの陰謀の発覚
会議において皇帝ヨハネスは、騒動の黒幕が第五皇子カルロスであったと明かした。カルロスは吸血鬼サムとディーンと取引し、モンスターを操って祭りでの勝利を狙っていたが、結果として帝国全土を危機に晒していた。重傷を負ったカルロスはその事実を認め、罪が確定した。
助命を巡る思惑と対立
エリクをはじめとする皇子たちは表向きカルロスの助命を嘆願したが、それは皇帝の意向を汲んだ行動であった。一方でレオナルトは処刑を主張し、帝国の秩序と公正を優先すべきだと述べた。この対立によって、どちらの判断を下しても皇帝の威厳が保たれる状況が作られた。
騎士狩猟祭の勝者決定
最終的にカルロスは助命されることとなり、騎士狩猟祭の結果が発表された。カルロスは失格、アルノルトも規定違反により失格とされ、騎士を率いて戦果を上げたレオナルトが優勝者に選ばれた。ゴードンは同率ながらも劣位とされ、結果に従うしかなかった。
アルノルトへの評価と処遇
エルナはアルノルトの功績を認めて失格取り消しを求めたが、アルノルト自身が「誤って腕輪を壊した」と認めたため却下された。しかし皇帝は、その行動が結果的に自身を救ったことを評価し、アルノルトを大使補佐官に任命し、レオナルトの補佐に就けると決定した。
予想外の人事と動揺
この任命はアルノルトにとって完全な想定外であり、自身とレオが帝国を離れることで勢力運営に支障が出ることを懸念した。皇帝が意図的に状況を覆したことを察し、計画が崩れたことに強い動揺を覚えたまま、会議は終了した。
エピローグ
紅茶と静かな時間
会議後、フィーネは来訪を見越して紅茶を準備していた。訪れたアルノルトに対し、疲労回復のための茶を勧め、半ば強引に飲ませた。二人の間には言葉少なながらも穏やかな空気が流れ、アルノルトにとって貴重な安らぎの時間となっていた。
互いへの感謝と信頼
アルノルトはフィーネに礼を述べ、フィーネもまた自身の軽率な行動を詫びつつ、助けられたことへの感謝を示した。特に笛の確保によって被害拡大が防がれたことが語られ、アルノルトは危険な行動を控えるよう釘を刺したが、フィーネは彼への信頼と安心感を素直に示した。
フィーネの過去と想い
フィーネはかつて帝都でアルノルトに励まされた出来事を思い出していた。当時の何気ない言葉に救われた経験から、彼に対して憧れを抱き続けていたのである。再会時に抱いた失望も、彼の本質が変わっていないと知ることで払拭され、傍で支えたいという決意へと繋がっていた。
眠るアルノルトと秘めた感情
疲労の限界に達したアルノルトは紅茶を飲みながら眠りに落ちた。フィーネはその寝顔を見守り、毛布を掛けた後、過去の感謝を胸に秘めたままそっと口づけをした。彼に気づかれぬまま、その想いは静かに深まっていった。
ザンドラの策謀と暗躍
一方その頃、ザンドラは全権大使の座を逃したものの、帝都での権力掌握に意識を切り替えていた。長年の準備により大臣の座を得る見通しを立て、今後は帝都内部で勢力を拡大する方針を固める。アルノルト暗殺の失敗を受けて次の策を指示しつつ、最終的には帝位を奪い、対抗者を排除する野望を露わにした。
帝位争いの激化
こうして戦いの幕は一旦下りたものの、各勢力の思惑はさらに交錯し、帝位争いはより一層激しさを増していくこととなった。
最強出涸らし皇子 シリーズ











その他フィクション

Share this content:


コメント