リビルドワールドVI(6) 〈下〉レビュー
リビルドワールド全巻まとめ
リビルドワールド VIII(8)〈上〉レビュー
物語の概要
■ 作品概要
『リビルドワールドVII 超人』は、未来の荒廃した世界を舞台に、少年ハンターのアキラが成り上がっていくポストアポカリプスSFバトルアクション小説の第7巻である。
建国主義者との激しい死闘を乗り越え、ついにハンターランク50に到達したアキラは、入院生活を経て再生治療により失った両手を取り戻す。
アキラのもとに、都市職員のキバヤシの紹介で、広域経営部の若き才媛・ヒカルが新たな専属オペレーターとして現れる。
ヒカルの勧めにより、アキラはクガマヤマ都市から新たな都市「ツェゲルト」へ向かう都市間輸送車両「ギガンテスIII」の護衛依頼を引き受ける。
しかし、初めて足を踏み入れる「東側領域」は、全長数十メートルを超える巨大な巨虫類(ジャイアントバグズ)の群れが襲いかかる地獄のような戦場であった。
さらに、車両の内部でも、坂下重工の厳重な監視から脱走を企てる旧領域接続者の少年シロウと、彼を追って車内を襲撃した「超人」エルデたちとの壮絶な死闘が幕を開ける。
■ 主要キャラクター
アキラ: 本作の主人公。ユミナを自身の手にかけた深い喪失感を抱えながらも、同じ悲劇を繰り返さないために「戦う前に相手が退くほどの圧倒的な強さ(ハンターランク)」を強く求める。ツェゲルト都市で空中走行が可能なキワモノバイク「シルフィードA3」と、液体金属を瞬時に刃とする巨大な有線式ブレードを新たに調達した。アルファのサポートが遮断された通信障害の戦闘を経て、五感を超えた「拡張感覚(第六感)」を無意識のうちに身に付けていることが判明する。
ヒカル: クガマヤマ都市広域経営部に所属する有能な女性職員。アキラの危険な過去や殺人数を知り、強い重圧を抱えながらも、自身の出世のためにアキラを制御して護衛依頼を成功させようと奮闘する。戦闘時には非戦闘員ながらアキラの補給役を必死に務め、彼に大きな成果をもたらした。
アルファ: アキラにのみ見える旧世界の人工知能。アキラがこれまでの死地で無意識に「拡張感覚」を磨き上げていたことを教え、さらなる強さを手に入れるよう彼の成長を促す。
シロウ: 坂下重工に所属する旧領域接続者の少年。極めて高度なハッキング技術を誇り、ギガンテスのセキュリティーや認証機能をいとも容易く掌握する。坂下重工による徹底した監視と軟禁状態から逃れるため、車外の混戦の裏で緻密な脱走計画を実行に移す。
ハーマーズ: 坂下重工警備部に所属する超人であり、シロウの監視・護衛役。強化服を着用せず、生身の凄まじい身体能力だけで大型の人型兵器を蹴りの一撃で大破させるほどの戦闘力を持つ。しかし、シロウの二重三重の巧妙な罠に嵌まり、彼の脱走を許してしまう。
エルデ: シロウの誘拐を目的にギガンテスを襲撃した「超人」の男。ヒカルを坂下重工所属の旧領域接続者であると誤解し、彼女を確保するために28号室を強襲した。自分の肉体をエネルギーへ変換する「自食作用」を発動させて生体力場装甲の出力を極限まで高め、アキラを絶体絶命の窮地へと追い詰める。
■ 物語の特徴
さらなる強敵と未知の技術が蠢く「東側領域」の新章開幕: これまでのクガマヤマ都市周辺から舞台を移し、空に巨大な島が浮かび、全長100メートルを超えるような巨虫類(ジャイアントバグズ)が闊歩する、技術的にも生態系的にも格上の「東側領域」での過酷な戦いが圧倒的なスケールで描かれる。
超高性能バイクと巨大ブレードによるハイスピード三次元空中戦: アキラが新たに購入した「空中走行可能なバイク(シルフィードA3)」を駆使し、空中をタイヤで縦横無尽に走り回りながら、10メートルに達する液体金属ブレードやLEO複合銃のC弾(チャージバレット)の雨を浴びせる、高低差を生かしたスピーディーな空中戦闘シーンが最大の見どころである。
生身で人型兵器を粉砕する「超人」との死闘と、アキラの自立への片鱗: 強化服に頼らず、自身の生体エネルギーや肉体性能のみで戦車や人型兵器を凌駕する「超人(エルデやハーマーズ)」という新たな脅威が登場する。アキラがアルファの技術調整と自身の限界を天秤にかけ、自身の全装備と命を賭して超人エルデに挑む一騎打ちは息を呑む緊張感に満ちている。
シロウの緻密な脱走劇と錯綜する情報戦: 車外でのモンスターや白い機体との派手な大戦闘と並行し、車内ではシロウが情報処理技術、拡張現実(AR)、心理的なブラフを幾重にも張り巡らせて監視役のハーマーズを出し抜こうとする、極めてスリリングな頭脳・情報戦が描かれる。
新米ハンターのアキラは、命賭けで足を踏み入れた旧世界の遺跡で全裸でたたずむ謎の美女《アルファ》と出会う。
読んだ本のタイトル
リビルドワールド VII 超人
著者:ナフセ 氏
イラスト:わいっしゅ 氏
出版社:KADOKAWA(電撃の新文芸)
発売日:2023年1月16日
ISBN:9784049142754
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あらすじ・内容
更なる強さを求め、アキラは新たな都市へ向かう! 待望の新章、開幕!!
リビルドワールドVII 超人
建国主義者討伐戦の死闘を経て、アキラはついにランク50に到達した。
ハンターとして新たな一歩を踏み出すアキラの下に、キバヤシの紹介でクガマヤマ都市職員の若き才媛・ヒカルが現れる。
ヒカルの勧めで都市間輸送車両の護衛依頼を受けたアキラは、新たな都市ツェゲルトへ向かう。
しかし、初めて訪れる東側領域は全長数十メートルを超える巨虫群との激戦など、驚きと予想外の事態の連続で――!?
更なる強さを求め、アキラの新たな戦いが始まる!!
読者を熱狂させる大人気SFバトルアクション、書籍版オリジナル展開で贈る待望の新章がついに開幕!!
感想
前巻でカツヤ、ユミナ、アイリとの戦いを終えたアキラ。
勝ったとはいえ、その代償は大きかった。
両腕を失っただけでなく、自分を助けてくれたユミナを自分の手で殺した。その事実は、これまで多くの敵を殺してきたアキラにとっても簡単に割り切れるものではない。
そんな重い状態から始まる一方、今巻ではヒカルとシロウという新しい人物が登場し、舞台もクガマヤマ都市からさらに東へ広がっていく。
前巻までの一区切りを経て、新章が始まったような巻だった。
ユミナを殺した後悔を抱えたまま、それでも前へ進むアキラ
ユミナを殺したアキラは、最初は自分には悲しむ資格すらないと思っていた。
だがシズカに抱き締められ、「悲しんでもいい」と受け止めてもらったことで、ようやく泣くことができる。
ここは前巻から続いてかなり印象に残った。
スラムでは、人が死ぬことも殺されることも珍しくなかった。
そんな環境で育ったアキラが、大切な人を失うことを「悲しい」と実感するようになったこと自体が、一つの成長なのだと思う。完全に立ち直ったわけではないが、少なくとも笑える程度には前を向けるようになっている。
そして失った両腕については、医者から義手を猛烈に勧められる。
レーザーを撃てる腕だの、多腕化だの、何だか医者の趣味が混じってないか?と思うくらい推してくるのだが、アキラは生身を選択。
最終的には培養した両手を移植して元に戻る。
身体は戻った。
でも心にはユミナのことが残っている。
さらに、自分の実力に比べてハンターランクが低かったことも、カツヤ達が「勝てる」と判断した一因だったと聞かされる。
もしもっと自分の強さを周囲に分かりやすく示していれば、ユミナを殺さずに済んだかもしれない。
その可能性を知ったアキラが、
「同じことを繰り返さない」
と考えるようになったのが大きかった。
これまでの「強くなれば生き残れる」から、「強いと周囲に認識させることも必要」という方向へ少し変わったように感じる。
若き才媛ヒカル、アキラを踏み台にするつもりが振り回される
今巻で一気に存在感を出してきたのがヒカルである。
クガマヤマ都市広域経営部の若い職員で、キバヤシからアキラへ紹介される。
高ランクハンターとなったアキラには、企業や都市との交渉が増えていく。
そこでヒカルが専属の窓口となり、装備購入や都市からの依頼などをまとめて担当するようになる。
ヒカル自身もかなり野心家である。
アキラとの関係を利用して実績を作り、いずれ都市幹部まで成り上がろうとしている。
ところが相手が悪かった。
アキラの身元確認の練習をしただけなのに、アキラがヴィオラへ調査を依頼したせいで「都市職員を騙る詐欺師がアキラへ接触している」という大事になってしまう。
初手からこれである。
それでもヒカルは有能で、企業同士がアキラに装備を使わせようと争っていた案件を整理し、総額50億オーラムを超える新装備を実質無料に近い条件で用意してしまう。
かなり優秀なのは間違いない。
ただし、アキラのトラブルを引き寄せる力までは計算できない。
都市間輸送車両の護衛依頼へアキラを送り込んだら、よりによって同じ車両へウダジマが乗る予定だったと判明。
アキラがウダジマを殺したがっていることを知っているヒカルは顔面蒼白である。
結局ウダジマ本人は危険を察して乗らなかったので直接衝突は避けられたが、キバヤシまで「そこまで引くか」と驚く始末。
ヒカル、アキラを踏み台にするつもりだったのに、自分まで火薬庫の上に立ってないか?w
東へ行ったら、敵もハンターも桁が違った
リハビリと新装備の試運転を終えたアキラは、都市間輸送車両ギガンテスの護衛としてツェゲルト都市へ向かう。
ここから一気に世界が広がった感じがした。
クガマヤマ都市周辺ではかなりの強者になったアキラも、東側ではまだハンターランク50。
周囲にはさらに上のハンターが普通にいる。
往路で巨大な蟲の群れに襲われた際も、アキラは大量の巨虫を一人で相手にして大活躍するのだが、その先ではランク60級のハンターが苦戦する怪物が現れる。
アキラが一匹倒すのにも苦労した相手を、さらに上のハンターであるメルシアは残りをあっさり片付けてしまう。
いや、一流ってどこまで行くんだ?
かなり強くなったはずなのに、東へ進んだだけでまた上が見えてくる。
この辺りのパワーバランスが『リビルドワールド』らしくて好きである。
帰路はさらに酷い。
往路で護衛に大量の負傷者が出たため、本来なら出発延期になりそうだったのに、坂下重工から予定通り出発しろという指示が飛ぶ。
そして案の定、大規模な戦闘になる。
蟲だけではない。
白い大型人型兵器、黒い円盤型兵器、さらに上空から攻撃してくる巨大な存在まで入り乱れ、守備側を含めて完全な四つ巴である。
アキラはツェゲルト都市で買ったシルフィードA3を駆り、空中に力場の足場を作りながら三次元機動。
銃だけでは倒せない相手には液体金属製のブレードまで使う。
ちょっと前まで荒野を走るバイクだったのに、とうとう空を走り始めた。
装備の進化も凄いが、それを扱うアキラ自身も完全に別人になっている。
シロウという新たな旧領域接続者。しかも護衛を振り切って逃亡する
そしてもう一人、今後かなり重要になりそうなのがシロウである。
坂下重工に所属する旧領域接続者で、高度な情報処理能力を持っている。
現代の認証システム程度なら簡単に突破してしまい、輸送されていた最前線向け兵器まで勝手に起動させるほど。
さらに気になるのが、アキラとすれ違った時の反応である。
シロウはアキラの周辺に何かを感じている。
それがアルファなのか、旧領域接続者としてのアキラ自身の何かなのかは、まだ分からない。
ただ、少なくとも普通の人には見えない何かを察知しているように見える。
アルファそのものを見ることはできなくても、その存在を認識する日は来るのでは?
と思わせるキャラクターだった。
そして帰路では、シロウを誘拐しようとする連中まで現れる。
なぜか巻き込まれたのはヒカル。
外の敵を片付けて戻ってきたアキラは、間一髪でヒカルと襲撃者の間へ入り、超人的な相手と戦う羽目になる。
紙一重で勝つ。
ヒカルを助ける。
そしてアキラはダウン。
またかw
しかも、その大騒ぎを横目に、本来守られていたシロウ本人は坂下重工の護衛を振り切ってクガマヤマ都市へ逃げていく。
何のために?
誰に会うつもりなのか?
そしてアキラやアルファとどう関わるのか。
前巻でカツヤ達との長い関係が終わった直後だけに、ヒカルとシロウという二人の新キャラクターがどんな立場になっていくのかが気になる。
特にシロウ。
あいつ、絶対何かやるだろw
東側へ進み、アキラより上のハンターも大量に登場した。
強さも装備も、まだまだ先がある。
そして新しい人間関係にも、波乱の予感しかしない巻だった。
最後までお読み頂きありがとうございます。
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リビルドワールド全巻まとめ
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考察・解説
ユミナの死と再起
ユミナの死とアキラの再起の全貌
『リビルドワールドVII 超人』におけるユミナの死とアキラの再起は、主人公アキラの人間的な脆さ、そして「なぜ強さを求めるのか」というハンターとしての根本的な動機が再定義される、物語全体のなかでも極めて重要な人間ドラマである。ユミナの死がもたらしたかつてない精神的崩壊、シズカによる救いと生身の手へのこだわり、悲劇を繰り返さないための抑止力という新たな思想、および徒党を率いたリハビリと東側領域への新たな一歩の各点から解説する。
ユミナの死がもたらした、かつてない精神的崩壊
アキラはこれまで、自分に害をなす敵やスラムの悪党を冷徹に排除してきた。
・しかし、ユミナはアキラにとって「敵対したくない、殺したくないと心から望みながらも、生き残るために自分の手で殺さざるを得なかった初めての存在」となった。
・カツヤたちを全滅させ、両腕を失ってクガマヤマ都市の高度な医療施設に入院したアキラは、肉体の負傷だけでなく、精神的に完全に抜け殻のような状態に陥っていた。
・他者に甘えることを拒み、非情なスラムの論理で生きてきた彼にとって、ユミナを殺してしまったという罪悪感と喪失感は、一人では抱えきれないほど重いものであった。
シズカによる救いと「生身の手」へのこだわり
この精神的な奈落からアキラを救い上げたのは、他ならぬシズカの存在であった。
・病室でお見舞いに訪れたシズカに対し、アキラは自分がユミナを殺したことを打ち明ける。
・激しく責められるか、あるいは見捨てられるのではないかと怯えるアキラに対し、シズカは彼を優しく抱きしめた。
・シズカは人を殺してしまったことを嫌だ、悲しいと思えるアキラの人間らしい心を肯定し、その痛みを忘れないようにと抱きしめた。
・アキラはシズカの胸の中で、初めて子供のように声を上げて涙を流し、張り詰めていた心を解放することができた。
・入院中、病院の医師(ヤツバヤシら)からは、即効性があり戦闘力も向上する「義体化(義手の装着)」を強く勧められていた。
・しかし、アキラは頑なにこれを拒否し、高額で時間のかかる「生物学的な両腕の再生治療」を選択する。
・その理由は、シズカに抱きしめられた時の温もりを、将来また生身の肌で感じたいという、極めて切実で純粋な人間らしい願いからであった。
「悲劇を繰り返さないための抑止力」という新たな思想
アキラはこの事件を経て、強さに対する思想を大きく変化させる。
・退院後、巨人を単独で撃破した功績などから、アキラのハンターランクは一気に50へと引き上げられた。
・一流ハンターの仲間入りを果たし、周囲への強力な抑止力を手に入れたアキラは、新たな境地に達する。
・アキラは「もし自分に、相手が戦う前に恐怖して逃げ出すほどの圧倒的な強さ(ハンターランク)があれば、ユミナもカツヤも自分に挑むことはなく、殺さずに済んだのではないか」と考えるようになる。
・二度と殺したくない相手を殺さないために、戦う前に相手を屈服させるほどの「絶対的な抑止力としての強さ」を求めること。
・これが、アキラがさらなる高みを目指す新たな、そして悲痛な原動力となった。
徒党を率いたリハビリと、東側領域への新たな一歩
失った両腕を再生し、精神的にもユミナへの後悔を胸に抱えながら歩む覚悟を決めたアキラは、本格的な復帰に向けてリハビリを開始する。
・リハビリの場として選んだのは、シェリルの徒党の少年たち(エリオたち)を率いて行う、クズスハラ街遺跡でのモンスター狩りであった。
・かつてのようにアルファのサポートに頼り切るのではなく、自らの感覚を研ぎ澄ませながら、戦闘勘を丁寧に取り戻していく。
・そして、新たに紹介された有能な交渉オペレーター・ヒカルの手引きにより、アキラはさらなる未開の地であり、一流ハンターの戦場である東側領域(ツェゲルト都市)への都市間輸送の護衛依頼を引き受け、新たな戦いへと旅立っていくこととなる。
まとめ
ユミナの死とアキラの再起を巡る一連の全貌は、殺したくないユミナを殺害したことによる肉体・精神の完全崩壊から始まり、病室でのシズカの抱擁と生身の両腕再生治療の選択、悲劇回避のための絶対的抑止力獲得という思想転換、そしてシェリル徒党とのリハビリとオペレーター・ヒカル経由の東側領域出撃に至るまで、その歩みを明瞭に示している。
過酷な戦場の宿命や自責の念という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を自らの選択と確固たる意志によって完璧に確立するに至る、人間の感情の肯定と絶対的強者への精神的覚醒の記録である。
精神的絶望から、人間性の肯定、思想の変容、リハビリの遂行、そして新たな戦地への踏み出しへと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。
新装備と宣伝
アキラの新装備調達と企業間プロモーション契約の全貌
『リビルドワールドVII 超人』において、主人公アキラの新装備調達と企業間の宣伝(プロモーション)契約は、アキラが単なるスラムの少年ハンターから、都市や大企業が注目する価値ある一流の存在(ハンターランク50)へと成り上がったことを最も象徴するエピソードである。新装備と宣伝を巡る複雑な企業間交渉の背景、その驚くべき無料のカラクリ、そしてそれがもたらした影響について解説する。
装備更新の背景:アキラの宣伝価値の暴騰
事の発端は、第6巻下巻における建国主義者討伐戦でのアキラの規格外の活躍である。
・アキラは、吉岡重工製の強力な人型兵器「黒狼」の部隊すら撤退せざるを得なかった大型の巨人を、たった一人で撃破した。
・この偉業がハンターたちの間に知れ渡ったことで、アキラが当時着用していた機領(キリョウ)製の強化服の評価と知名度が爆発的に跳ね上がることとなった。
・どんなに優れた製品であっても、失敗や敗北の悪評がつけば敬遠されるが、逆に歴史的な偉業を達成した者が使っていた製品であれば、誰もがその性能を認め、あやかりたいと願うようになる。
・この莫大な宣伝効果(プロモーション価値)に目をつけた他企業が、次なる宣伝の機会を得るため、アキラの獲得に向けて一斉に動き出した。
シズカの店への営業殺到と困惑
アキラは退院後、新たな装備を調達するためにお世話になっているシズカの店を訪れた。
・しかし、シズカは複雑な表情でアキラに現状を説明することになる。
・入院中のアキラに直接接触できない大企業の営業担当者たちが、アキラの装備調達の窓口であるシズカの店に大挙して押し寄せていた。
・アキラは前回、機領の強化服を安く売ってもらう代わりに次も自社の強化服を買うという契約を結んでいた。
・これに対し、他企業は多額の違約金を肩代わりしてでも自社製品をアキラに使わせたいと、シズカの店で激しい営業競争を繰り広げていた。
・高ランクハンター向けの百戦錬磨の営業たちに押し寄せられたシズカは、自分の店の規模(ハンターランク30程度が限界)では太刀打ちできず、企業側の都合の良い装備を押し付けられそうになって困惑していた。
ヒカルによる天才的な利害調整と「実質無料」のカラクリ
この面倒な企業間の利害調整と装備交渉を一手に引き受け、完璧な形でまとめ上げたのが、キバヤシの紹介でアキラの専属窓口となった都市職員のヒカルである。
・ヒカルがまとめ上げた契約は、アキラにとって信じられないほど破格の内容であった。
・総額50億オーラム超の最新装備:アキラが手に入れたのは、「CA31R強化服」と「LEO複合銃2挺」を基本とし、超高性能な小型エネルギーパックや高ランク弾倉、高性能回復薬などを存分に組み込んだ最新の強化仕様である。さらに、ハンターランク50未満は購入制限がかけられている、大威力のオプション兵器「AFレーザー砲」まで搭載された。
・アキラの自己負担は実質無料:これらの装備は厳密にはアキラへの貸与(レンタル)扱いとされた。しかし、アキラに返却の義務はなく、戦闘で壊してしまっても一切の弁償義務(ペナルティ)は発生しない。
・他企業に代金を払わせる仕組み:この50億オーラムを超える装備代金は、アキラが次に強化服を買い換えて購入する側の企業が負担する、という極めて奇妙な契約になっている。
・ヒカルは、この一見不条理な契約を成立させるため、各企業を以下のように説得した。
・機領(現在の貸与元)に対して:アキラにこれ以上ないほどの高性能装備を提供し、戦場で大活躍してもらった方が、結果的に自社製品の最高の宣伝になると説いた。
・他企業に対して:交渉を引き延ばしてアキラの不興を買うより、まずは機領の装備をアキラに提供する。その上で、アキラに超高難度の仕事を斡旋して装備を早期に酷使・自壊させれば、他社製品が参入できる次の機会が格段に早く訪れると説いた。
・アキラに対して:この高性能装備を無料で提供する代わりに、装備の性能を世間に広く示すことができる、大活躍が約束された高難度の依頼を斡旋すると説明した。
・このように、ヒカルは装備の早期消耗と買い換えを企業・アキラの双方の共通利益に仕立て上げることで、交渉を完璧に調停した。
宣伝の舞台としての「間引き依頼」と「護衛依頼」
この宣伝契約を果たすため、ヒカルがアキラに斡旋したのが、東のミルカケワ地方でのモンスター間引き依頼と、ツェゲルト都市への都市間輸送車両ギガンテスIIIの護衛依頼であった。
・アキラはこれらの戦場で、ヒカルの弾切れ前提で好き放題に戦ってよい(弾薬費はすべて依頼元・企業負担)という言質に基づき、1発500万オーラムもする高価なAFレーザー砲や高威力のC弾を一切惜しむことなく乱射した。
・空中を走る超高性能バイク「シルフィードA3」と、液体金属の巨大ブレードを駆使し、150メートルクラスの巨大モンスターや、手負いの白い人型兵器を次々と大破させるアキラの戦闘描写は、まさに各企業が求めていた自社製品の圧倒的な性能を世間に知らしめるための極上のプロモーション映像となった。
まとめ
アキラの新装備調達と企業間プロモーション契約を巡る一連の全貌は、第6巻での巨人撃破に伴う宣伝価値の暴騰から始まり、シズカの店への各社営業殺到と困惑、ヒカルによる50億オーラム超装備の実質無料貸与および他社肩代わり契約の成立、間引き依頼・都市間輸送車両ギガンテスIII護衛依頼におけるプロモーション戦闘の実践、そして企業の宣伝欲求を逆手に取った一流ハンターとしての成り上がりに至るまで、その歩みを明瞭に示している。
弱小ハンターの立場や企業の私利私欲という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を自らの選択と確固たる意志によって完璧に確立するに至る、圧倒的武力の経済的価値化と卓越した交渉仲介の記録である。
宣伝価値の発生から、営業の集中、契約の調停、プロモーションの実践、そして一流ハンターとしての飛躍へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。
大流通間引き依頼
大流通間引き依頼の構造と展開の全貌
『リビルドワールドVII 超人』に登場する大流通間引き依頼(大流通経路間引き依頼)は、主人公アキラがハンターランク50の高ランクハンターとして新たな一歩を踏み出す、新章の最初を飾る極めて重要な戦闘ミッションである。大流通間引き依頼の背景と目的、アキラの参加経緯と新装備の宣伝、多様な思惑が絡み合う混成部隊の編成、ミルカケワ地方での実戦と想定外のオクパロス戦、およびヒカルの誤算と足枷による次の展開の各点から解説する。
「大流通間引き依頼」の背景と目的
この依頼を理解するには、東部における大流通という独自の経済活動と、それに伴う危険性を整理する必要がある。
・東部経済の生命線「大流通」:東部世界に点在する都市同士を繋ぐ流通網は経済の生命線であるが、モンスターが徘徊する荒野でこれを維持するのは莫大なコストがかかり、破産する企業が後を絶たない。そこで、東部を支配する統企連が定期的に巨額を投じて大規模な流通支援を行い、物資や人を一気に循環させて経済を活性化させる。
・巨大輸送車両ギガンテスの脅威:大流通の主役は、長距離移動を行うタンカー並みに巨大な都市間輸送車両(ギガンテスなど)である。しかし、これほど巨大な質量が荒野を疾走すると、一帯のモンスターを強烈に刺激し、普段は遺跡の奥に引きこもっている強力な個体まで地平線の先から大量に引きずり出してしまう。
・「間引き」の役割:ギガンテスが通過した際に甚大な被害が出ないよう、事前に強力な敵寄せ機をあえて起動し、遺跡の奥にいるモンスターを能動的に引きずり出して徹底的に根絶やしにする大掃除を行う。これが大流通間引き依頼の正体であり、通常の輸送を安全に行うための流通網の整備も兼ねている。
アキラの参加経緯と「新装備の宣伝」
アキラがこの高難度の依頼を受けることになったのは、新専属窓口となった都市職員のヒカルがまとめ上げた新装備の無料貸与契約が直接の引き金となっている。
・アキラは、前巻で大型巨人を単独撃破した功績から、企業側のプロモーション価値(宣伝効果)が爆発的に高まっていた。
・ヒカルはこれを利用し、総額50億オーラムを超える新装備をアキラに実質無料で購入・提供させる代わりに、自社製品を装備して戦場で大活躍し、その圧倒的な高性能さを世間に広く宣伝するという条件を各企業(機領やTOSONなど)と結んだ。
・この宣伝の舞台、すなわち弾薬代をすべて依頼元(都市・企業)が負担する、採算度外視で好き放題に暴れ回ってよい戦場として斡旋されたのが、この間引き依頼であった。
多様な思惑が絡み合う「混成部隊」の編成
ヒカルは、アキラを隊長とする大規模な混成部隊を編成したが、参加したメンバーの裏にはそれぞれ異なる思惑や利害が隠されていた。
・指揮役「クロサワ」の安全第一主義:戦闘の指揮は、極めて交渉能力が高く、絶対に無理をしないベテランハンター・クロサワに一任された。ヒカルからは多大な成果を期待されていたが、クロサワは「安全第一。自分が撤退と言ったら絶対に撤退する」という契約を盾に、部隊の生存率を最優先した。
・エレナとサラのサポート:アキラと親しく、彼の暴走を抑えられる信頼できる戦力として、ヒカルの護衛を兼ねて部隊に加わった。
・ドランカム古参(シカラベたち)の和平交渉:カツヤたちとの死闘の後、アキラとの不必要な対立を回避したいドランカム側は、和平交渉の一環としてこの依頼に参加した。彼らが運用する大型装甲車両や高性能装備の資金源は、カツヤたちの死によってウダジマ側から支払われた事実上の手切れ金(賠償金)であり、それをアキラを助けるために使うことでドランカムはウダジマから手を引き、イナベ・アキラ側に鞍替えしたという政治的な立ち位置を明確にする役割もあった。
・エリオたちシェリルの徒党と機領(キリョウ)の挽回:スラムの子供たち(エリオたち)は、機領が提供する総合支援システムの実地試験要員として参加した。機領にとって、自社の支援システムを搭載したカツヤの精鋭部隊がたった一人のハンター(アキラ)に全滅させられた事実は、システム評価に致命的な悪評をもたらしていた。この悪評を覆すため、アキラと同じ戦場に総合支援システムの部隊を並べて共闘させ、活躍させることで評価を上書き・挽回するという機領側の必死なプロモーション目的が隠されていた。
・追加の遺物回収要員:間引きが完了して安全になった(しかし一般ハンターにとっては高価値な)遺跡に、スラムの武力要員やデイル、レビン、コルベといったハンターたちを流し込み、大量の高価な遺物を荒稼ぎさせる実益のシステムも構築された。
ミルカケワ地方での実戦と「想定外」のオクパロス戦
作戦が行われたミルカケワ地方は、通常はハンターランク40台〜60台が活動する領域であり、クガマヤマ都市の周辺とはモンスターの強さが段違いであった。
・アキラは、新装備(LEO複合銃、AFレーザー砲など)を縦横無尽に駆使し、エネルギーパックを過剰消費するC弾や、巨大な光刃のように見せるレーザー切断を乱射して、凄まじい殲滅力を発揮した。
・しかし、敵寄せ機の出力を最大に上げた最終フェーズ(7周目)において、作戦側の計算を覆す想定外の事態が発生した。
・本来であれば、はるか東の地域にしか生息していないはずの超強力なモンスター「オクパロス」が突如出現し、襲いかかってきた。
・部隊が全滅しかねない危機において、アキラは部隊を巻き込むまいと、一人でオクパロスの前に立ち塞がった。
・アキラは新装備の性能を限界まで引き出し、死力を尽くした戦闘の末に、これを見事に単独で撃破した。
ヒカルの誤算と「足枷」による次の展開
オクパロス撃破により、間引き依頼は大成功に終わったが、この結果はヒカルに新たな誤算と方向転換をもたらした。
・クロサワの断固拒否:アキラの圧倒的な強さを見たヒカルは、さらに成果を稼ぐため、より東側の高難度地域へ部隊の担当エリアを移そうと提案した。しかし、クロサワはこれを一蹴する。部隊の余力は、想定外の事態に備えるための安全マージンであり、それを常時使い切るような高難度への移行は自殺行為であるとし、強行するなら指揮役を降りるとヒカルを強く牽制した。アキラ自身もエレナたちの安全に関わる以上、クロサワの判断に従うと答え、ヒカルは引き下がざるを得なくなった。
・「部隊はアキラの足枷」という結論:この交渉を経て、ヒカルはアキラ自身はどれほど危険な死地でも飛び込める強さがあるのに、周囲の仲間(部隊)を気遣い、守ろうとするがゆえに、安全マージンに縛られて本来の実力(宣伝効果)を制限されていると気づく。大規模なチームの存在こそがアキラの成長の足枷になっていると感じたのである。
・都市間輸送車両の護衛依頼への移行:そこでヒカルは、部隊を伴わずにアキラを限界まで暴れさせ、かつ安全(いざとなれば車内に避難できる)が確保できる次のプランを思いつく。それが、アキラ個人での、ツェゲルト都市行き都市間輸送車両(ギガンテスIII)の護衛依頼であった。
まとめ
大流通間引き依頼の構造と展開を巡る一連の全貌は、東部経済の生命線「大流通」の維持と巨大輸送車両ギガンテス襲撃防止を狙う「敵寄せ間引き」の目的設定から始まり、ヒカルによる50億オーラム超新装備の無料貸与・プロモーション契約と弾薬費全額負担の条件構築、クロサワ・ドランカム・機領・スラム勢力が入り交じる多目的混成部隊の編成、ミルカケワ地方での激戦と想定外の超強力モンスター「オクパロス」の単独撃破、そしてクロサワの安全第一主義による拡大拒否と「部隊はアキラの足枷」というヒカルの結論に基づく単体護衛依頼(ギガンテスIII)への移行に至るまで、その歩みを明瞭に示している。
過酷な荒野のモンスター群や複雑な企業間の利害という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を自らの選択と確固たる意志によって完璧に確立するに至る、圧倒的戦闘能力の発揮と一流ハンターとしての実益構築の記録である。
間引きの要請から、契約の締結、混成部隊の編成、オクパロスの撃破、そして単独護衛への転進へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。
超人エルデとの死闘
超人エルデとの死闘と決着の全貌
『リビルドワールドVII 超人』におけるクライマックス、超人エルデとの死闘は、これまでのハンター対ハンター、あるいは対モンスター戦とは一線を画す、まさに別次元の限界バトルとして描かれている。死闘の幕開け、拡張粒子の環境とエルデの攻撃、エルデの覚悟と自食作用への移行、アルファが仕掛けた起爆作戦と決着、および終結と報酬の各点から解説する。
死闘の幕開け:「超人」の規格外の力
アキラがヒカルの避難先である28号室に突入した際、すでにヒカルを確保しようとしていたエルデと遭遇した。
・エルデはアキラをヒカルの護衛と判断し、アキラが銃を向ける前に、拡張粒子を利用した見えない蹴りの衝撃を飛ばしてアキラを部屋の壁まで吹き飛ばした。
・この一撃でエルデはヒカルを金庫室に押し込み、扉を力尽くで閉じて戦闘から隔離した。
・エルデはヒカルを坂下重工所属の旧領域接続者だと断言し、アキラに命を懸けて戦うのは割に合わないと撤退を提案した。
・しかし、金庫室のヒカルから必死の懇願を受けたアキラが報酬の上乗せ(取引)を承諾したことで、超人との正面衝突が決定した。
拡張粒子の環境と、エルデの圧倒的な攻撃
戦場となった車内には拡張粒子が散布されており、一定以上の速度で動く物体に強烈な抵抗を与える高速フィルターが機能していた。
・アキラが放つC弾(チャージバレット)は数メートル進んだだけで急減速して跳弾してしまい、射程が極端に制限された。
・一方で、エルデは自身の驚異的な身体能力そのものを衝撃波として空気中に伝播させ、不可視の打撃(手刀や拳、蹴りの衝撃)を遠距離から飛ばしてアキラを襲った。
・その一撃一撃が、28号室の内壁や頑丈な車体を歪ませるほどの破壊力を持っていた。
・アキラは極限の体感時間操作と現実解像度操作を行い、アルファによる強化服の神懸かり的な極限制御によって紙一重で致命傷を回避し続けた。
・さらに、ツェゲルト都市で調達した最高級のエネルギーパックと強力な回復薬を絶え間なく服用し、力場装甲の超負荷に肉体が融解するのを防ぎながら、辛うじて戦闘可能な状態を維持していた。
・しかし、AFレーザー砲を3度直撃させてもエルデは片手で防ぎ切り、アキラのLEO複合銃を破壊して彼の片腕を強化服ごとへし折るなど、圧倒的な実力差を見せつけた。
エルデの覚悟:命を削る「自食作用」への移行
アキラがアルファの支援を受けていることを知らないエルデは、自身の想定を超えるアキラの粘りと、部下であるトルパとサーザルトがすでに撃破された事実に驚愕した。
・他の増援ハンターが到着する前に迅速に決着をつけるため、エルデは重大な決断を下した。それは、自身の細胞を喰らってエネルギーを生み出す「自食作用」の起動であった。
・自らの命を直接削って生み出した莫大なエネルギーにより、エルデの生体力場装甲の出力と身体能力は、まさに未来を捨てた自滅前提の領域へと引き上げられた。
・戦いが極限に達する中、二人は互いの名を名乗り合い、戦士としての敬意を示した上で、最後の一撃を交わすための覚悟を決めた。
決着:アルファが仕掛けた「起爆作戦」と究極の賭け
アルファはアキラに対し、壊れかけのAFレーザー砲に全エネルギーを注ぎ込んで放つ「最後の一撃」を唯一の勝機だと思わせた。
・エルデも、アキラが自身の突撃に合わせてカウンターでAFレーザー砲を撃つと読んで、慎重に間合いを測っていた。
・しかし、アキラが牽制の余波で体勢を崩したのを見て、エルデはAFレーザー砲の展開が間に合わない今こそ勝機と判断して一気に踏み込んだ。
・だが、アキラの体勢の崩れは、エルデの突撃を誘い込むためにアルファが意図的に仕組んだ罠であった。
・アキラは投げ捨てたLEO複合銃の残余全エネルギーを爆発させ、弾幕を目眩ましにした。
・さらにアキラは、距離を取るのではなく自らエルデへと肉薄し、未展開のまま過負荷エネルギーで暴走状態にしたAFレーザー砲と、エネルギーパックの詰まったバックパックをエルデに向けて投げつけた。
・二人が高速で接近したことで圧縮された拡張粒子の中に、AFレーザー砲の暴走爆発とエネルギーパックの連鎖反応が起き、膨大なエネルギーを閉じ込めた直径30センチほどの光球が一時的に発生した。
・アキラとエルデは、光球が崩壊して全方位を消滅させる一瞬の隙に、同時に拳を突き出し、高エネルギーの放出方向(指向性)の制御を至近距離で奪い合った。
・拳の速さでは超人であるエルデが僅かに上回ったが、アルファの神懸かり的な技術がそれを凌駕し、膨大なエネルギーは指向性を持ってエルデ側へと集中して放たれた。
まとめ
超人エルデとの死闘と決着を巡る一連の全貌は、28号室でのヒカル獲得を巡る遭遇と取引成立から始まり、高速フィルター拡張粒子環境での遠距離衝撃打撃とAFレーザー砲相殺の激戦、エルデの命を削る自食作用起動と生体力場装甲限界上昇、アルファの誘導トラップによる過負荷AFレーザー砲・バックパック連続起爆、そして指向性制御争奪戦の制覇によるエルデ撃破とアキラの生還に至るまで、その歩みを明瞭に示している。
物理法則を超越する超人の武力や死地という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を自らの選択と確確たる意志によって完璧に確立するに至る、覚醒した個の強さと不屈の限界突破の記録である。
遭遇の開始から、環境の制約、自食の起動、トラップの発動、そして指向性制御の奪取へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。
旧領域接続者シロウの脱走
旧領域接続者シロウが『リビルドワールドVII 超人』で見せたギガンテスIIIからの脱走劇は、彼の卓越した情報処理能力と、坂下重工の厳重な包囲をかいくぐるための緻密な多重トラップが噛み合った高度な知能犯罪である。段階的に仕込まれた脱走計画、アキラおよびアルファとの接触とシロウの気づき、ならびに脱走後のシロウの目的と今後の波乱の各点から解説する。
段階的に仕込まれたシロウの脱走計画
シロウの脱走は突発的なものではなく、ツェゲルト都市への往路から巧妙に仕込まれた幾重もの準備の上に成り立っている。
・計画の全容とハーマーズの排除:シロウにとって最大の障壁は、監視役であり生身で人型兵器を大破させる実力を持つ超人ハーマーズの存在であった。ハーマーズが側にいる限り、気配の察知や肉体的な制圧を免れることはできない。そこでシロウは、以下の手順でハーマーズの目と耳を遮断する作戦を実行した。
・第1段階:出撃機体の操作権掌握:往路における白い機体部隊との戦闘時、シロウは緊急事態での無断出撃という名目を盾に、輸送中だった最前線向け人型兵器や多脚機をハッキングして起動させた。この段階で、彼はハッキングした機体の隠し操作権を事前に確保していた。
・第2段階:超人ハーマーズの隔離:戦闘終了後、激戦で疲労していたハーマーズに対し、体調管理を建前に医務室での徹底的な治療を強く勧めて遠ざけることに成功した。
・第3段階:臨時護衛のハッキングと自身の偽装:ハーマーズの不在を埋めるため、シロウは臨時護衛として義体者のハンターを指名した。さらに、セキュリティーを理由に坂下重工の権力を利用して、護衛たちの義体の管理者権限を強制的に提出させた。これによりシロウは、護衛たちの五感を直接ハッキングし、自分がソファーに座っている幻影を見せ続け、その隙に本物の肉体で部屋を抜け出した。
・第4段階:偽の囮による「超人の気配察知」への対策:シロウが光学迷彩などで身を隠して逃げようとしても、超人であるハーマーズが戻ってくれば、その驚異的な気配の察知で脱走を見破られる恐れがあった。そのため、シロウは事前に確保していた最前線向けの人型兵器を遠隔操作して車外へ逃亡させ、あたかも自分がそれに乗って逃げているかのように偽装した。ハーマーズがその無人機を追ってギガンテスから遠く離れていく隙に、シロウ自身は気配を消してクガマヤマ都市の下位区画へ脱出した。
アキラ(アルファ)との接触とシロウの「気づき」
シロウがアキラとすれ違った際に抱いた不審な反応は、物語における非常に重要な伏線となっている。
・シロウは格納庫や日の出を見る屋根の上でアキラやヒカルと遭遇した際、旧領域接続者としての並外れた感応能力によって、何らかの違和感を感知していた。
・彼は内心で、格納庫の反応は自分の勘違いだったのか、旧領域対応の情報端末を誤認したのか、それとも聞こえていたはずのデータ通信に相手が全く無反応を装っているだけなのかと激しく思案を巡らせている。
・この描写から、シロウはアルファの姿そのものは見えないまでも、アキラがアルファと行っている超高解像度の旧領域通信の残響やアクセスログのようなものをハッキング能力でかすかに感知していた可能性が高い。
・アキラが自分のハッキングに対して完全に無反応を貫いたため、シロウは逆にアキラが高度なハッキングを平然といなす底知れないプロなのではないかと警戒を強めることになった。
脱走後のシロウの「目的」と今後の波乱
シロウは坂下重工による捜索の手から完全に逃げ切れるとは考えていない。
・彼は五大企業である坂下重工の専属旧領域接続者という、この世界における最高峰の富裕層としての地位や、極上の生活環境をすべて投げ打ってこの暴挙に出た。
・安宿の薄暗い一室で、非常に真面目な表情を浮かべたシロウは、しばらくは自由に動けるはずであり、この短い自由を無駄にしないために何をすべきか考えろと自分に言い聞かせている。
・彼には、自らの命と将来をすべて賭けてでも、このクガマヤマ都市周辺で成し遂げなければならない旧世界に関連する重大な目的が存在していることは確実である。
・ハーマーズの怒りは頂点に達しており、坂下重工はアキラとヒカルが戻ってきたまさにその時、すでにクガマヤマ都市に極めて厳重な包囲網を敷いている。
・シロウが下位区画へ姿を消したことで、今後のクガマヤマ都市は、シロウを追う五大企業「坂下重工」の暴力と、彼を匿う、あるいは利用しようとする都市内部の闇が交錯する、さらなる大混乱の渦に巻き込まれていくことが予感される。
まとめ
旧領域接続者シロウの脱走劇を巡る一連の全貌は、往路での人型兵器ハッキングとハーマーズ遠ざけから始まり、義体護衛の五感ハッキングと無人兵器囮による超人追撃誘導、アキラ(アルファ)との旧領域通信残響の感知と警戒強化、そして最高峰の地位を捨てたクガマヤマ都市下位区画への逃亡と真の目的追求に至るまで、その歩みを明瞭に示している。
五大企業の絶対的な監視や超人の武力という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を自らの選択と確固たる意志によって完璧に確立するに至る、卓越したハッキング技術の行使と極限の逃亡劇の記録である。
計画の仕込みから、ハーマーズの隔離、擬態の維持、囮の発出、通信の感知、そして下位区画への潜伏へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。
高性能装備の調達と更新
アキラの装備更新と能力飛躍の全貌
『リビルドワールドVII 超人』におけるアキラの高性能装備の調達と更新は、彼が一流ハンター(ハンターランク50)の仲間入りを果たし、自身の武力を周囲への絶対的な抑止力へと変えていくプロセスを象徴している。装備更新を可能にしたアキラの広告価値、ヒカルが仕掛けた実質無料のカラクリ、更新された高性能装備の具体的なスペック、東側領域で手に入れた三次元戦闘の超高性能兵器、および戦闘における新装備の真価とアキラの次なる渇望の各点から解説する。
装備更新を可能にした「アキラの広告価値」
アキラがこれほど破格の調達を行えた背景には、前巻の建国主義者討伐戦における大型巨人(ティオル)の単独撃破という偉業がある。
・この戦いにより、アキラが当時着用していた機領(キリョウ)製の強化服の評価は、ハンターたちの間で爆発的に跳ね上がった。
・「あの化け物を倒したハンターが愛用している製品」という事実は、企業にとって数億、数十億オーラムを支払ってでも手に入れたい最高のプロモーション素材となった。
・アキラの装備調達の窓口であるシズカの店に、大企業の凄腕営業たちが殺到し、他社製品を使わせようと激しい違約金肩代わり競争を繰り広げたのは、アキラ自身の広告塔としての価値が暴騰したためである。
ヒカルが仕掛けた「実質無料(50億オーラム超)」のカラクリ
この複雑極まりない複数企業間の利害調整を、アキラの専属窓口となった都市職員のヒカルが天才的な手腕でまとめ上げた。
・手に入れた新装備は、通常であれば50億オーラムを軽く超える超豪華な構成である。しかし、アキラの自己負担は実質無料とされた。
・ヒカルは「装備をアキラに無料貸与し、壊しても弁償義務はない」という、一見すると企業側に著しく不利な契約を成立させた。
・機領(現在の貸与元)への説得:アキラに限界まで高性能なパーツを盛り込んだ装備を提供し、戦場で大活躍してもらうことが、自社製品の最高の宣伝(プロモーション)になると説いた。
・他企業への説得:交渉を引き延ばしてアキラの不興を買うより、まずは機領の装備を使わせる。その代わり、アキラに超高難度の仕事を斡旋し、今の装備を早期に酷使・自壊(または買い換え)させれば、他社製品に乗り換えてもらう次のチャンスが格段に早く巡ってくると説いた。そして、その次の買い換えの際に、代金を他企業が負担するというロジックを用いた。
・このようにヒカルは、企業側がアキラの装備の早期消耗と買い換えを競い合う仕組みを構築した。これにより、アキラはリスクなしで最強の装備を手に入れ、企業側は自社製品の性能を広く世間に示すための高難度依頼(間引き依頼、護衛依頼)をアキラに斡旋する、という完璧な利害一致が完成した。
更新された高性能装備の具体的なスペック
ハンターランク50に到達したことで、購入制限が解除された最先端の装備や消耗品がアキラの手に渡った。
・CA31R強化服(サーベラス)のフルカスタマイズ:基本となる強化服は前回と同様だが、今回は潤沢な支援により、高価な高性能拡張部品を余すことなく組み込んだ。これにより、基本性能が別次元へと跳ね上がった。
・高ランクハンター向け消耗品:片手で持てるサイズでありながら、大型エネルギータンクを上回る超大容量の小型エネルギーパックや、威力を極限まで高めたC弾(チャージバレット)用の拡張弾倉、そして磨り潰された細胞を即座に治療する高性能回復薬など、武力を支える足回りの品質が一新された。
・制限解除オプション「AFレーザー砲」:背中に折り畳まれて格納されており、使用時に自動で変形して肩口に展開する。ハンターランク50未満には購入制限がかけられている超重火力兵器である。エネルギーを過剰供給した弾丸を崩壊させながら放つため、まるで極太のレーザーを射出しているかのように見え、オクパロスなどの強敵を一点集中の一撃で即死させる威力を誇る。
・TOSON製「LEO複合銃」:TOSONとの宣伝契約により、予算内に複数挺が組み込まれた。のちにアキラは自費で追加購入し、計4挺をバイクの拡張アームと両手・両足に装備して、同時一斉射撃を行う圧倒的な面制圧力を獲得した。
東側領域で手に入れた「三次元戦闘」の超高性能兵器
さらに、目的地であるツェゲルト都市に到着した際、アキラは自らの意志で、失ったバイクの代わりとして約33億オーラムを投じてさらなるキワモノ高性能装備を調達した。
・空中走行バイク「シルフィードA3」:タイヤから力場装甲の足場を空中に瞬時に生成することで、飛行するのではなく「空中をタイヤで走行する」という、極めて変則的な挙動を可能にする高級バイクである。アルファが制御権を掌握したことで、垂直上昇や空中での急激な三次元回転など、物理法則を無視した神懸かり的な戦闘機動を実現した。
・有線式液体金属ブレード:シルフィードA3に搭載された液体金属の保管・生成庫から、刃渡り10メートルに及ぶ巨大な銀色の刃をその都度生成して戦うキワモノ近接武器である。切れ味は旧世界製に匹敵するが、刃の維持に莫大なエネルギーを消費するため、バイクからの有線接続による常時電力供給が必須となる。振るった一瞬だけ切断力を限界まで高め、斬撃後に刃を液化・蒸発させて使い捨てるという、アルファの極限制御があって初めて機能する超兵器である。
戦闘における新装備の真価とアキラの次なる渇望
この一連の装備更新は、ツェゲルト都市への帰路で発生した上空領域の巨大モンスター、白い人型兵器、黒い円盤、地上の群れによる四つ巴の大混沌、そして車内での超人エルデとの命懸けの死闘において、アキラの生存を担保する絶対的な盾となった。
・特にエルデ戦では、ツェゲルト都市で調達した超高性能エネルギーパックによって強化服の力場装甲(フォースフィールドアーマー)の出力を桁違いに引き上げ、自食作用で自滅前提の強化を施したエルデの衝撃波をギリギリで耐え抜いた。
・細胞単位で肉体が磨り潰されるほどの過負荷を、強力な回復薬の即時治療効果で強引に完治させながら戦い続けるという、まさに最新装備とアキラの異常な意志が噛み合わなければ一瞬で消し飛んでいた戦いであった。
・しかし、これほどの高性能装備を揃えてなお、アキラは10号車にいたメルシアなどの高ランクハンターたちの、自分をはるかに凌駕する圧倒的な火力と装備スペックを目の当たりにし、強い衝撃を受ける。
・自分の50億オーラムの装備ですら、東側の一流から見れば100億オーラムにも満たない端金で買える玩具にすぎないという過酷な現実を突きつけられたことで、アキラは自身の慢心を戒め、ヒカルに対して最前線向けのさらなる高性能装備の調達を、命の報酬として要求する。
・装備の更新は、アキラをさらなる強さへの渇望へと駆り立てる新たなループの始まりとなったのである。
まとめ
アキラの装備更新と能力飛躍を巡る一連の全貌は、建国主義者討伐戦での大型巨人撃破に伴う広告価値暴騰から始まり、ヒカルによる50億オーラム超装備の実質無料貸与および他社肩代わり契約の成立、サーベラス強化服フルカスタマイズ・AFレーザー砲・LEO複合銃の調達、ツェゲルト都市での空中走行バイク「シルフィードA3」と有線式液体金属ブレードの導入、超人エルデ戦での超負荷防衛と生存、そしてメルシアら東側一流ハンターとの格差痛感に伴うさらなる最前線装備要求へと至るまで、その歩みを明瞭に示している。
弱小ハンターの過去や東側の圧倒的実力差という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を自らの選択と確固たる意志によって完璧に確立するに至る、圧倒的プロモーション価値の行使とさらなる高みへの覚醒の記録である。
広告価値の発生から、ヒカルの契約調停、装備の導入、死闘での実証、そして次なる渇望への昇華へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。
リビルドワールドVI(6) 〈下〉レビュー
リビルドワールド全巻まとめ
リビルドワールド VIII(8)〈上〉レビュー
登場キャラクター
主要キャラクター
クガマヤマ都市(幹部・広域経営部・ハンターオフィスなど)
イナベ
アキラを重要視しており、彼に肩入れしている。
シェリルの立場を利用し、アキラとの関わりを調整する。
ウダジマと派閥争いを行っているクガマヤマ都市の幹部である。
・所属組織、地位や役職
クガマヤマ都市・幹部(区画長)。
・物語内での具体的な行動や成果
ヤナギサワとツバキの取引に伴い、ツバキハラ方面の利権を得て派閥争いで優位に立つ。
シェリルに対して、アキラがユミナを殺害した事実を伝えた。
ヒカルをアキラの担当者に任命している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ツバキハラ方面の警備費用をツバキに請求する利権を獲得した。
都市幹部内での影響力を大幅に強めている。
ウダジマ
アキラを排除するため、ドランカムのカツヤ等と裏で取引を行っていた。
現在はイナベに派閥争いで劣勢に追い込まれている。
イナベと激しい派閥争いを行うクガマヤマ都市の幹部だ。
・所属組織、地位や役職
クガマヤマ都市・幹部。
・物語内での具体的な行動や成果
シェリルを救う代わりにアキラを殺害するようカツヤに取引を持ちかけた。
派閥争いの巻き返しを図るため、クズスハラ街遺跡の第2奥部攻略に注力し始める。
ツェゲルト都市の強力なハンターを勧誘するためにギガンテスIIに乗車する予定であった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
イナベの台頭により劣勢となっている。
アキラが乗車することを知ってギガンテスIIへの乗車をキャンセルした。
キバヤシ
アキラの実力と無茶な戦い振りを高く評価している。
ヒカルの能力や意図を理解した上で、アキラとの機会を与えた。
無茶なハンターの生き様を好むクガマヤマ都市のハンターオフィス職員だ。
・所属組織、地位や役職
クガマヤマ都市・ハンターオフィス職員。
・物語内での具体的な行動や成果
退院したアキラを見舞い、彼が大型巨人を撃破したことを喜ぶ。
アキラの交渉能力を訓練するため、ヒカルを紹介した。
秘匿回線でヒカルに連絡を取り、アキラの危険性やウダジマが同乗している情報を伝えている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
自身が担当するハンターとの繋がりを持つ。
都市内で独自の強固な立場を築いた。
ヤナギサワ
旧領域接続者の動向を監視し、利用しようとする。
ツバキを極めて危険視しつつ、交渉窓口となっている。
クガマヤマ都市の奥部攻略を担当する冷徹な幹部だ。
・所属組織、地位や役職
クガマヤマ都市・幹部。
・物語内での具体的な行動や成果
カツヤの死体から生体部品としての再利用が不可能なことを確認した。
ツバキとの交渉を仲介し、坂下重工のマツバラを交渉の場へ案内する。
ツバキが護衛部隊を攻撃した際、反射的に現場から全速力で逃走した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ツバキとの交渉を成立させた功績を誇る。
坂下重工のスガドメから入社を勧められた。
サクヤマヒカル
自身の出世のためにアキラの信頼を得ようとする。
交渉事や書類処理に優れた能力を発揮する。
都市の広域経営部に所属する、野心的な若き女性職員だ。
・所属組織、地位や役職
クガマヤマ都市広域経営部・職員。アキラの専属担当者。
・物語内での具体的な行動や成果
複数企業が費用を負担する形で新装備を実質無料で調達した。
アキラを都市間輸送車両の護衛依頼に一人で参加させる手配を行う。
アキラを監視するためにギガンテスIIに自ら同行した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
イナベからアキラの専属担当者に抜擢された。
出世の足がかりを得ている。
旧世界の存在・遺跡の管理人格
アルファ
自らの目的を達成するためにアキラを強化・教育する立場である。
戦闘時にはアキラの装備や情報収集機器を精密に制御する。
アキラにのみ見える旧世界のシステム存在だ。
・所属組織、地位や役職
旧世界の人工知能。アキラの専属サポート。
・物語内での具体的な行動や成果
アキラが装備を更新する際に新装備の選定を支援した。
アキラが自力で「拡張感覚」を身に付け、無意識に使用していることを説明する。
アキラとエルデの戦闘において、爆発と指向性の制御を制して勝利に貢献した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
アキラとの契約完了を目指す。
引き続きサポートを継続している。
ツバキ
自身の管理領域の警備を徹底し、侵入者を無警告で排除する。
クガマヤマ都市との取引により、遺物を提供して封鎖費用を支払う。
クズスハラ街遺跡奥部を支配する管理人格だ。
・所属組織、地位や役職
クズスハラ街遺跡奥部管理人格。
・物語内での具体的な行動や成果
ヤナギサワを介してクガマヤマ都市との貿易を成立させた。
交渉に来た坂下重工の護衛部隊を一瞬で木っ端微塵にする。
マツバラの契約提案を拒絶し、彼の首から下を吹き飛ばした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記述なし。
個人ハンター・その他
アキラ
ユミナを殺した精神的ショックを抱える。
同じ悲劇を避けるための圧倒的な強さを求める。
義手を拒み、生身の手を再生させた。
・所属組織、地位や役職
個人ハンター。ハンターランク50。
・物語内での具体的な行動や成果
ギガンテスIIの護衛において、大量の巨虫類を単独で撃破した。
車内でヒカルを救うため、超人エルデと激しい死闘を繰り広げて勝利する。
戦闘後に重傷を負い、治療を終えてクガマヤマ都市に帰還した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ハンターランク50に到達した。
高ランクハンターの仲間入りを果たしている。
エレナ
アキラを暖かく気遣い、見守る立場をとる。
ヒカルの護衛として、アキラの部隊行動に同行した。
サラとバディを組むベテランの女性ハンターだ。
・所属組織、地位や役職
個人ハンター。
・物語内での具体的な行動や成果
アキラの病室を訪れ、ユミナの死を気遣いつつ無事を喜ぶ。
ヒカルに雇われて間引き依頼に参加し、新装備でアキラを支援した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記述なし。
サラ
アキラに好意を抱き、彼の精神的な支えになろうとする。
アキラをからかいながらも、彼の無事を心から喜ぶ。
エレナとバディを組む火力担当の女性ハンターだ。
・所属組織、地位や役職
個人ハンター。
・物語内での具体的な行動や成果
アキラの病室を訪れ、医療用義手の感覚を確かめるためにアキラをからかった。
間引き依頼に火力担当として同行し、アキラをサポートする。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記述なし。
クロサワ
絶対に無理な戦闘を行わず、部隊の生存を最優先する。
ヒカルの無茶な難易度変更提案を毅然と拒否した。
安全第一を信条とする実力派のベテランハンターだ。
・所属組織、地位や役職
個人ハンター。
・物語内での具体的な行動や成果
間引き依頼において、アキラを主力とする部隊の指揮を執った。
オクパロス出現などの想定外の事態に対処し、死傷者を出さずに作戦を終える。
アキラ不在時でも安全に戦えるよう、ヒカルに高性能装備の貸出を要求した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記述なし。
デイル
スラムの人間に対して偏見を抱いている。
間引き作戦後の安全な遺跡で遺物収集を行った。
真面目な性格の個人ハンターだ。
・所属組織、地位や役職
個人ハンター。
・物語内での具体的な行動や成果
間引き作戦後の遺跡に遺物収集要員として参加した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記述なし。
レビン
危険を避けながら利益を得ることを好む。
間引き作戦後の安全な遺跡で遺物収集を行った。
金に目がない個人ハンターだ。
・所属組織、地位や役職
個人ハンター。
・物語内での具体的な行動や成果
間引き作戦後の遺跡に遺物収集要員として参加した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記述なし。
コルベ
仲間の安全を重視する。
間引き作戦後の安全な遺跡で遺物収集を行った。
慎重な性格の個人ハンターだ。
・所属組織、地位や役職
個人ハンター.
・物語内での具体的な行動や成果
間引き作戦後の遺跡に遺物収集要員として参加した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記述なし。
メルシア
冷静沈着で、チームの実質的な運営を行っている。
アキラの実力を認めつつ、ヒカルの介入により対面した。
大規模ハンターチームの副隊長を務める女性だ。
・所属組織、地位や役職
ハンターチーム「ドラゴンリバー」・副隊長。
・物語内での具体的な行動や成果
4号車の窮地において、高出力レーザーで巨虫類を一瞬で撃破した。
部下たちの不手際を注意し、アキラに礼を述べる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
個人で都市を滅ぼせるほどの実力と高い影響力を持つ。
ハンター徒党「ドランカム」
カツヤ
アキラと敵対し、最終的に殺害された。
彼を巡る契約や陰謀がドランカムの存続を揺るがしている。
ドランカムの若手派閥のリーダーであった少年だ。
・所属組織、地位や役職
元ドランカム所属ハンター。カツヤ派のリーダー。
・物語内での具体的な行動や成果
建国主義者討伐戦においてアキラと交戦し、死亡した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
死亡したことで、ドランカムの長期契約はすべて破綻した。
ユミナ
カツヤを守るためにアキラと戦い、殺害された。
彼女の死はアキラの心に極めて深い傷を残した。
ドランカムに所属していた少女ハンターだ。
・所属組織、地位や役職
元ドランカム所属ハンター。
・物語内での具体的な行動や成果
建国主義者討伐戦において、アキラと戦い、死亡した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
アキラが強さを追い求める最大の動機となる。
アラベ
組織の存続を第一に考え、アキラとの不必要な敵対を避ける。
シカラベと共にアキラとの和平交渉に臨んだ。
ドランカムの幹部である。
・所属組織、地位や役職
ドランカム・幹部。
・物語内での具体的な行動や成果
アキラに対して正式な和平交渉を提案し、交渉の必要性を説明した。
ヒカルとの通信を繋ぎ、ドランカム側の和平交渉を開始する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記述なし。
シカラベ
アキラの実力を正しく認識し、敬意を払う。
ドランカムの存続のためにアキラと直接話す決意をした。
ドランカムに所属する古参の実力派ハンターだ。
・所属組織、地位や役職
ドランカム所属・ハンター。
・物語内での具体的な行動や成果
アキラに直接連絡を取り、歓楽街の酒場で会合を設けた。
ドランカムそのものを敵視していないアキラの返答に安堵する。
酒を飲みながら、カツヤに対する複雑な後悔をアキラに語った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
カツヤの死後、ドランカム内での発言力を強めている。
ミズハ
カツヤを利用して発言力を高めようとしていた。
カツヤの死に伴う、違約金などの対応に追われている。
ドランカムの事務派閥を率いる女性幹部だ。
・所属組織、地位や役職
ドランカム・幹部(事務派閥)。
・物語内での具体的な行動や成果
長期契約の破綻に伴い、防壁内のスポンサー対応に忙殺された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
カツヤの死後、ドランカム内での事務派閥の影響力は衰退しつつある。
パルガ
貸与された高性能装備で間引き作戦に参加した。
アキラがこれまでに起こした事件について噂を交わした。
シカラベと行動を共にするドランカムのハンターだ。
・所属組織、地位や役職
ドランカム所属・ハンター。
・物語内での具体的な行動や成果
間引き作戦に参加し、モンスターに弾幕を浴びせた。
アキラのハンターランクの急上昇や都市幹部との関わりについて語る。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記述なし。
ヤマノベ
貸与された高性能装備で間引き作戦に参加した。
パルガと共に、アキラの実力や噂について語り合った。
シカラベと行動を共にするドランカムのハンターだ。
・所属組織、地位や役職
ドランカム所属・ハンター。
・物語内での具体的な行動や成果
間引き作戦に参加し、シカラベたちと共闘した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記述なし。
シェリルの徒党
シェリル
アキラの不興を買って切り捨てられることを極めて恐れている。
自身がユミナの死の遠因となった事実を隠しながらアキラに接する。
アキラを唯一無二の後ろ盾とするスラム街の少女ボスだ。
・所属組織、地位や役職
シェリルファミリー(シェリルの徒党)・ボス。
・物語内での具体的な行動や成果
入院中のアキラの容態を案じ続け、面会予約を申請した。
吉岡重工 of ハラジからの和解仲介依頼を、敵対を避けるために拒否する。
イナベからユミナの死の真相を伝えられ、アキラの前で恐怖を隠して微笑み続けた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
アキラの後ろ盾、および黒狼の配置を獲得する。
スラム街で最大の暴力を保持する立場となった。
エリオ
アキラに畏怖を抱き、役立たずと判断されることを恐れる。
機領の総合支援システムの実地試験として戦闘に参加する。
シェリルファミリーの戦闘要員のリーダーである。
・所属組織、地位や役職
シェリルファミリー・武力要員リーダー。
・物語内での具体的な行動や成果
間引き依頼に武力要員として参加し、強力なモンスターと戦った。
アキラがユミナらを殺害した事件について仲間たちと噂を交わす。
アキラの質問に対し、巨大な黒狼の方が強そうに見えると答えたルシアを支持した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
黒狼の操縦を当面担当する予定となった。
アリシア
エリオが荒野の戦闘に向かうことを深く心配している。
幹部の報酬額を算出し、後任を募るための経理調整を行った。
エリオの恋人であり、シェリルファミリーの経理担当幹部だ。
・所属組織、地位や役職
シェリルファミリー・経理担当幹部。
・物語内での具体的な行動や成果
幹部報酬を500万オーラムに設定して後任を募ろうとしたが、希望者は現れなかった。
アキラが去った後、恐怖から解放されたエリオたちと心労を共有する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記述なし。
ナーシャ
構成員のまとめ役として上手く機能している。
幹部になることへの恐怖を逆手に取り、他者に仕事を押し付けた。
かつてアキラと揉めた経緯を持つシェリルファミリーの女性幹部だ。
・所属組織、地位や役職
シェリルファミリー・幹部。
・物語内での具体的な行動や成果
アキラの恐ろしさを目の当たりにして幹部就任を躊躇する構成員を、牽制として利用した。
幹部になりたくない構成員たちが逃げるように去るを見守る。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
アキラと揉めながら生き残った度胸を評価された。
徒党内での立場を確立している。
ルシア
親友であるナーシャの負担を軽減するため、幹部として活動する。
アキラから黒狼とどちらが強く見えるか尋ねられ、必死に回答した。
アキラの財布を盗み、かつて殺されかけた経歴を持つ女性幹部だ。
・所属組織、地位や役職
シェリルファミリー・幹部。
・物語内での具体的な行動や成果
アキラに「見た目だけなら黒狼の方が強そうに見える」と正直に答え、アキラの機嫌を損ねずに切り抜けた。
アキラの退室後、安堵のあまり親友のナーシャに頭を置かれて励まされる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記述なし。
坂下重工
マツバラ
生身でありながら頭部に高度な生命維持機能を備えている。
ツバキの圧倒的な武力と冷酷さを身を以て体験した。
スガドメの指示を受けてツバキと交渉に臨んだ、坂下重工の男性だ。
・所属組織、地位や役職
坂下重工・交渉役。
・物語内での具体的な行動や成果
ツバキハラ方面の警備区域において、ツバキとの再契約を冷静に提案した。
ツバキによって首から下を一瞬で吹き飛ばされたが、頭部のみで生き延びる。
ヤナギサワに回収され、スガドメに対してツバキとの再契約が極めて困難であることを報告した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
首から下を吹き飛ばされた状態から、生命維持装置を施されて生存している。
スガドメ
有能であれば危険人物であっても適切に運用する冷徹な思想を持つ。
五大企業としての体面を最優先に考え、ギガンテスの運行予定を厳守させる。
坂下重工の重役として、東部の統治と自社の繁栄を担う男性だ。
・所属組織、地位や役職
坂下重工・重役。
・物語内での具体的な行動や成果
マツバラからの報告を受け、護衛たちの死が自社の繁栄のための有意義な犠牲だったと判断した。
ヤナギサワの手腕を認め、坂下重工への入社を改めて勧誘する。
ギガンテスIIの出発延期要請を却下し、自社の全責任で5倍の追加戦力を調達した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
統企連体制の維持、および坂下重工の体面を守るための強固な決定権を握っている。
シロウ
現在の恵まれた軟禁状態を捨ててでも、クガマヤマ都市周辺で成し遂げたい目的を持つ。
監視役のハーマーズを幾度も騙し、脱走に成功した。
坂下重工に所属する、極めて優秀な旧領域接続者の少年だ。
・所属組織、地位や役職
坂下重工所属・旧領域接続者。
・物語内での具体的な行動や成果
ギガンテスIIの往路戦闘時、人型兵器のセキュリティーを掌握して自動起動させた。
拡張現実と義体者の管理者権限をハッキングし、自身がソファーに座っている偽装映像を見せ続ける。
囮の無人機を遠隔操作してハーマーズを遠ざけ、クガマヤマ都市の下位区画へ脱走した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
坂下重工の捜索網をかいくぐり、下位区画の安宿に潜みながら目的の実行を企てている。
ハーマーズ
シロウの護衛兼監視役を務めている。
シロウの言動に振り回されつつも、彼の安全を厳重に守ろうとする。
坂下重工警備部に所属する、生身で戦う「超人」の男性だ。
・所属組織、地位や役職
坂下重工警備部・シロウの護衛。
・物語内での具体的な行動や成果
日の出を見るためにシロウと共にギガンテスIIの屋根に上がった。
車内で発生したエルデの部隊をたった一人で全滅させる。
シロウが仕掛けた多重のハッキングと囮に騙され、彼の脱走を許してしまった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
シロウの脱走後、激怒して坂下重工へ緊急連絡を入れ、捜索網を敷いた。
襲撃者(エルデの部隊)
エルデ
ヒカルを坂下重工の旧領域接続者と誤認し、28号室を襲撃した。
自食作用を起動させて身体能力を限界まで高める。
坂下重工の旧領域接続者であるシロウの誘拐を目論む「超人」だ。
・所属組織、地位や役職
襲撃部隊の隊長。超人。
・物語内での具体的な行動や成果
28号室を強襲し、金庫室へ逃げたヒカルを捕らえようとした。
駆けつけたアキラと対峙し、見えない衝撃波や圧倒的な身体能力で彼を追い詰める。
アキラが仕掛けたAFレーザー砲とエネルギーパックの暴走爆発により、肉体の半分を失って絶命した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
自食作用による自滅を辞さずに戦った。
敗北後に仲間たちへの謝罪を述べて息絶えている。
トルパ
立体映像の腕と光学迷彩の実体の腕を組み合わせた近接戦闘を得意とする。
高速フィルターを利用し、至近距離の銃撃を無効化する。
エルデの部隊に所属する襲撃者の一人だ。
・所属組織、地位や役職
エルデの部隊・構成員。
・物語内での具体的な行動や成果
28号室へ向かう通路でサーザルトと共にアキラの行く手を阻んだ。
高速フィルター環境を利用してアキラを追い詰め、蹴りを食らって天井に叩きつけられる。
サーザルト撃破後、副作用で確実に死ぬ強化薬を使用してアキラと戦い、死亡した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記述なし。
サーザルト
自在に変形する腕を駆使し、旧世界製に匹敵するナイフでアキラを襲う。
トルパとの息の合った連携でアキラに接近戦を強いた。
エルデの部隊に所属する襲撃者の一人だ。
・所属組織、地位や役職
エルデの部隊・構成員。
・物語内での具体的な行動や成果
アキラの前に立ち塞がり、変形する腕から光刃のようなナイフ攻撃を繰り出した。
アキラの一瞬の隙を突いて背後に回り込み、激しい近接戦を展開する。
アキラの至近距離からの容赦ない銃弾の連射を頭部と腹部に浴び、撃破された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記述なし。
企業・情報屋・その他
シズカ
ユミナを殺害して深く傷ついたアキラの心を優しく受け止め、救い出した。
アキラの新装備選定において、殺到する企業営業に押されながらもアキラのために尽力する。
アキラが最も信頼を置く武器店の女性店主だ。
・所属組織、地位や役職
武器・装備店「静」の店主。
・物語内での具体的な行動や成果
ユミナの死を悲しみ泣き続けるアキラを優しく抱きしめ、彼の心を救った。
退院したアキラのために、企業とのややこしい交渉に苦慮しながら新装備の相談に乗る。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記述なし。
ヴィオラ
周囲の人間関係や事件を操作し、大騒動を引き起こすことを至上の喜びとする。
アキラの嘘を見抜く技術を信頼し、ギリギリの狂言を仕掛ける。
クガマヤマ都市の裏で暗躍する、悪名高い情報屋の女性だ。
・所属組織、地位や役職
情報屋。
・物語内での具体的な行動や成果
ハラジをシェリルの元へ連れて行き、アキラとの和解交渉を仲介した。
アキラの前に現れ、あえて「ユミナの死は残念だった」と語り、アキラから殺意の銃口を向けられる。
アキラが今も些細な刺激で爆発する危険物であることを確認し、内心で深く高揚した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
アキラの「嘘を見抜く技術」を正確に読んでいる。
撃たれない確信を持って行動していた。
ハラジ
自社の黒狼の悪評が広がるのを防ぐため、アキラとの和解を急いでいる。
アキラと交渉するためにヴィオラを雇った。
吉岡重工の営業部に所属する男性だ。
・所属組織、地位や役職
吉岡重工営業部・職員。
・物語内での具体的な行動や成果
シェリルに対して自社の防衛戦力調達協力を持ちかけ、アキラとの和解仲介を依頼したが拒絶された。
アキラの病室を訪れ、ザルモの襲撃は吉岡重工の意図ではないと釈明する。
アキラの冷淡な態度とヴィオラのとてつもない暴言に翻弄された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記述なし。
ネルゴ
カツヤを利用した計画を推進していた。
カツヤの死を受けてドランカムへの潜入を終了させた。
ドランカムに潜入していた、本物の建国主義者の男性だ。
・所属組織、地位や役職
建国主義者。
・物語内での具体的な行動や成果
ヤナギサワと秘匿通信を行い、カツヤの死と脳の再利用不可を確認した。
ザルモが危険視するアキラの実力を探るため、ヤナギサワの認識を調査する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
カツヤの死に伴い、ドランカムから無事に離脱した。
集団
防衛隊
ヤナギサワの利権の拡大に伴い、装備や人型兵器が大幅に増強されている。
第1奥部のツバキハラ方面を厳重に封鎖し、侵入者を厳しく処理する。
クガマヤマ都市を実質的に防衛する、大規模な統治企業の武装部隊だ。
・所属組織、地位や役職
クガマヤマ都市防衛隊。
・物語内での具体的な行動や成果
クズスハラ街遺跡のツバキハラ方面に大部隊を展開し、厳重な警備を敷いた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ツバキとの取引から得られる莫大な資金をもとに、最前線向けの人型兵器などの戦力増強を急速に進めている。
黒狼の部隊
建国主義者討伐戦において、ツバキや大型巨人に敗北し撤退した。
その際の評価の低下が、吉岡重工にとって大きな痛手となった。
吉岡重工が開発した黒い人型兵器を運用する企業武装部隊だ。
・所属組織、地位や役職
吉岡重工・人型兵器部隊。
・物語内での具体的な行動や成果
建国主義者討伐戦で十分な成果を上げられず、アキラが巨人を撃破したことで製品評価が大きく下がった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記述なし。
ドランカム
カツヤの死に伴い、彼を中心とした各種長期契約が破綻し、莫大な違約金に直面している。
和平交渉を経て、ウダジマ派から離れてイナベ派へ傾きつつある。
大規模な組織としてクガマヤマ都市周辺に君臨するハンター徒党だ。
・所属組織、地位や役職
ハンター徒党。
・物語内での具体的な行動や成果
アキラとの和平のために、高性能装備を整えた部隊を間引き依頼に派遣した。
カツヤの死後、一部の事務派閥の権力が衰退し、ハンター全体の利益を重視する体制への移行が進んでいる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記述なし。
シェリルファミリー
遺物販売店などで莫大な富を蓄積している。
アキラを絶対的な後ろ盾としており、彼がいない時の抑止力として黒狼を又貸しされている。
シェリルが率いる、スラム街から急速に拡大したハンター徒党だ。
・所属組織、地位や役職
ハンター徒党。
・物語内での具体的な行動や成果
アキラの装備調達やドランカムとの和平などの多くの恩恵を間接的に受けている。
間引き作戦後の遺跡に人員を派遣し、高価な遺物を大量に収集した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
エリオたちの総合支援システムの導入、および黒狼の配備を獲得する。
スラム街で突出した暴力を保持する立場となった。
巨虫類の群れ
輸送車両が発する膨大な質量とエネルギーに強く刺激されて襲撃を繰り返す。
アキラとハンターたちの徹底的な迎撃により、2号車付近の群れは全滅した。
東側領域の荒野に棲息する、全長数十メートルから100メートルを超える巨大な虫型モンスターの集団だ。
・所属組織、地位や役職
東側領域のモンスター。
・物語内での具体的な行動や成果
ギガンテスIIの往路および復路を群れで急襲し、多くの護衛ハンターを脱落させた。
3号車ではアキラのC弾連射やAFレーザー砲によって死骸の山を築かれている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
高濃度のフェロモンを排出する。
より強力な個体を引き寄せる習性を持つ。
ドラゴンリバー
メルシアが副隊長を務めており、アキラや他の護衛とは格違いの戦闘能力を持つ。
ギガンテスIIの護衛において、最も危険な10号車の防衛を担当していた。
東側でも屈指の実力を誇る、大規模なハンターチームだ。
・所属組織、地位や役職
ハンターチーム。
・物語内での具体的な行動や成果
4号車の窮地において、副隊長のメルシアが巨虫類を一撃で一掃した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
個人で都市を滅ぼせるほどの実力と高い影響力を持つ。
坂下重工の部隊
重装強化服を着用し、車内の通路でエルデの部隊と激しい戦闘を展開した。
個々の実力が非常に高く、そこらの高ランクハンターを凌駕する強さを持つ。
シロウの護衛および監視を担う、五大企業の強力な企業武装部隊だ。
・所属組織、地位や役職
坂下重工・警備部。
・物語内での具体的な行動や成果
通路を掃射し、エルデの部隊による車内への侵入や制圧行動を防いだ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記述なし。
白い人型兵器の部隊
上空領域のモンスターから砲撃の標的とされており、大混戦の原因となった。
アキラがこれまでに見たどの機体とも比較にならない戦闘能力を誇る。
ギガンテスIIの屋根や周囲に配備された、坂下重工の超高性能な機動兵器部隊だ。
・所属組織、地位や役職
坂下重工・機動兵器部隊。
・物語内での具体的な行動や成果
車外のモンスターを迎撃し、浮遊砲台などの標的を引き付けながら戦い続けた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記述なし.
エルデの部隊
車内に拡張粒子を散布し、高速フィルターなどの有利な戦闘環境を構築した。
ハーマーズとの戦闘により、通路で部隊の全員が撃破され全滅した。
シロウを誘拐するためにギガンテスIIを車内外から急襲した、実力者揃いの襲撃集団だ。
・所属組織、地位や役職
襲撃部隊。
・物語内での具体的な行動や成果
一般乗客や乗務員に偽装して乗車し、一斉に車内へ侵入して制圧を試みる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
全員が凄まじい実力を持つ。
坂下重工の部隊と互角以上の死闘を繰り広げた。
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リビルドワールドVI(6) 〈下〉レビュー
リビルドワールド全巻まとめ
リビルドワールド VIII(8)〈上〉レビュー
展開まとめ
第191話 入院中の出来事
ユミナの死を受け止めたアキラ
ユミナを自ら殺して生き残ったアキラは、その死を悲しむ資格はないと思い、感情を抑え込んでいた。しかしシズカから悲しむことを許され、長い時間泣き続けたことで、ようやく溜め込んだ感情を吐き出した。人の死、大切な者を失うことを心から悲しいと実感できたことも、スラム街を出てからアキラが得たものの一つであった。
泣き止んだアキラはシズカに感謝し、普通に笑える程度には落ち着きを取り戻した。シズカもアキラが前を向き始めたことに安堵し、完治するまでしっかり休むよう言い残して帰っていった。
義手越しのアルファ
シズカが去った後、アルファはアキラを抱き締めるように振る舞ったが、拡張視界上の存在であるため感触はなかった。一方、医療用の義手を通せばアルファが感覚へ介入できるため、アキラは以前アルファの胸に触れた時の感触を思い出して恥ずかしがった。
そのような気恥ずかしさを覚えられるほどには、アキラの心もユミナの死から立ち直り始めていた。
両手の再生治療
担当医から、アキラの体は両手の欠損を除いて完治していると説明された。今後は義手のままにする、戦闘向けの機械義手へ換装する、再生治療を受けるという選択肢があった。
担当医は都市負担で高性能な義手を導入できる機会だと勧めたが、アキラは生身の手を再生する道を選んだ。培養した手を移植する方法を選択し、両腕には培養に必要な神経情報を取得する装置と医療用義手が取り付けられた。手の培養には約1週間掛かる予定となった。
担当医からレーザーを撃てる戦闘用義手まで勧められ、アルファもその使用感を映像で再現したが、アキラは誤作動への不安や風呂で落ち着けないことを理由に拒否した。
エレナとサラの見舞い
エレナとサラが病室を訪れ、アキラが元気になっていることに安堵した。サラは医療用義手の感覚を確かめるためアキラの手を触り、さらに自分の胸へ押し当ててアキラをからかった。二人は明るく振る舞いながらも、本題へ入る機会を窺っていた。
アキラが救援への感謝を伝えると、エレナはユミナの件をシズカから聞いたと告げた。詳しい事情を無理に聞くことはせず、アキラが話したければ聞くとした上で、アキラが無事で良かったことだけは伝えた。アキラもその気遣いを受け止めた。
その後は再び冗談交じりの会話へ戻り、エレナとサラは必要なら自分達も支えると伝えた。帰路では、アキラがユミナの死をすぐ忘れる必要はなく、時間を掛けて受け止めればよいと考えていた。
浴室と装備の優先順位
病室の浴室を気に入ったアキラは、自宅の浴室も豪華に改装したいと考えた。しかしアルファは、今後さらに高性能な装備を揃える必要があり、その費用を削ってまで浴室へ金を使うことには反対した。
クズスハラ街遺跡では30億オーラムを掛けて準備しても死にかけたため、アキラも装備が優先であることは理解していた。良い生活を望みながらも、そのために死んでは意味がないとして、浴室の改装は後で考えることにした。
キバヤシの見舞い
翌日、上機嫌なキバヤシが見舞いに訪れ、黒狼の部隊でも倒せなかった巨人をアキラが撃破したことを大いに喜んだ。アキラはその反応に呆れながらも、キバヤシが事前に大量の装備を準備させたおかげで生き残れたことについては礼を伝えた。
キバヤシは見舞いの代わりとして、今回の騒動後の都市情勢を説明し始めた。
ツバキとの取引とイナベの優勢
イナベとウダジマの派閥争いは、イナベ優勢へ大きく傾いていた。ヤナギサワがツバキとの取引に成功したことで、第1奥部全域がヤナギサワの担当となり、後方連絡線を境にツバキハラ方面をイナベ、反対側をウダジマが管理する形になった。
ツバキハラ方面は現在も封鎖されていたが、都市はその警備費用をツバキへ請求できる契約を結んでいた。さらにツバキは旧世界の遺物を都市へ売ってオーラムを得て、そのオーラムで警備費用を支払うことになった。
これは旧世界の存在との正式な遺物取引を成立させただけでなく、企業通貨であるオーラムをツバキに通貨として認めさせ、さらにクガマヤマ都市が旧世界側から警備を委託される立場になったことを意味していた。中堅統治企業としては桁違いの成果であり、ツバキハラ方面の利権を担当するイナベは大きな利益を得て、派閥争いで一気に優位へ立った。
次の依頼
一連の説明を聞き終えたアキラは、まず両手を治し、装備を再調達してから今後を考えるつもりだと話した。
するとキバヤシは、早くても1週間後なら動けると受け取り、次の依頼を今から準備すると嬉々として宣言した。これまでキバヤシが斡旋した仕事が結果的にアキラの成長へ大きく貢献していたことは事実だったが、アキラはアルファに相談するまでもなく、その申し出を拒んだ。
第192話 一因と遠因
アキラを案じるシェリル
シェリルは意識不明となったアキラの身を案じ続け、目覚めたと知るとすぐに見舞おうとした。しかし軟禁状態のアキラとの面会には厳しい制限があり、社会的地位の低いシェリルは予約すら取れなかった。自分ではアキラの見舞いにも満足に行けない現実を突き付けられ、両者の立場の差を痛感していた。
一方、ユミナの死には感傷を覚えながらも、恋敵が消えたことを喜ぶ自分がいることも自覚していた。その感情をアキラに知られれば切り捨てられると恐れ、決して表に出さないよう努めていた。
吉岡重工からの依頼
ヴィオラは吉岡重工のハラジを連れてシェリルの前に現れた。ハラジは、吉岡重工の部隊にいたザルモがアキラを襲撃した件について、アキラとの和解交渉に協力してほしいと頼んだ。
シェリルは自分まで襲撃側とみなされる危険を恐れ、報酬や防衛戦力の提供を持ち出されても即座に拒否した。ハラジは説得を諦め、ヴィオラと共に去った。シェリルは、以前アキラに撃たれながら吉岡重工との交渉を請け負ったヴィオラの度胸に呆れた。
ユミナへの思い
一人になったシェリルは、ユミナがカツヤを連れて荒野から逃げ、安全な場所で暮らす道もあったのではないかと考えた。しかしシェリルが知っていたのは、ユミナがカツヤと共に建国主義者討伐戦で死亡したことだけであり、アキラがユミナを殺した事実までは知らなかった。
ヴィオラはその重要な情報を意図的に伝えておらず、シェリルに疑念や誤解を残したまま、自分に都合の良い状況を維持していた。
アキラと吉岡重工の交渉
ハラジはヴィオラを交渉人としてアキラの病室にも訪れ、ザルモの行動は吉岡重工の意思ではなかったと説明した。しかしアキラは、二大徒党の抗争やハンターランク調整依頼など以前から吉岡重工絡みの面倒事に巻き込まれてきたとして、今回だけを切り離した謝罪には乗り気ではなかった。
ヴィオラは交渉自体が面倒なら自分に委託すればよいと持ち掛けた。アキラはヴィオラの手腕を相手側に向けるなら悪くないと考え、即答は避けながらも検討すると答えた。
黒狼を巡る吉岡重工の事情
吉岡重工が和解を急いでいた背景には、建国主義者討伐戦での黒狼の評価低下があった。八島重鉄の白兎が費用に見合う成果を上げた一方、黒狼はツバキや大型巨人に勝てず、ザルモとの戦闘では一機をアキラに破壊されていた。
さらに大型巨人を最終的に倒したのもアキラであったため、アキラからイナベへ黒狼の悪評が伝われば、ツバキハラ方面の防衛隊への導入計画に影響しかねなかった。吉岡重工はそれを避けるため、アキラとの和解を望んでいた。
培養中の両手
担当医は培養中のアキラの両手を病室へ運び、義手を介して遠隔操作させた。アキラは途中から義手と培養中の手を別々に動かすことにも成功したが、移植後の操作に悪影響が出るとして止められた。
その器用さを見た担当医は多腕型の追加義手まで勧めたが、アキラは拒否した。アルファも興味を示したものの、アキラは腕が増えた状態に慣れることを嫌がった。
ハンターとしての区切り
再び病室を訪れたイナベは、治療費や入院費は都市側が全額負担すると保証した。その後、アキラが建国主義者討伐戦の報酬としてハンターランク50と約50億オーラムを得たことを踏まえ、今後の進路を尋ねた。
アキラにはハンターを辞める、クガマヤマ都市に残る、より東の都市へ移るという大きな選択肢があったが、本人は何も考えていなかった。イナベは急ぐ必要はないとして、入院中に考えるよう勧めた。
ウダジマへの報復
イナベはドランカムへの報復を考えているか尋ねた。アキラは自分を襲った者達は既に殺したため、ドランカム全体を襲う気はないと答えた。一方、アキラ殺害を依頼したウダジマについては、いずれ殺すつもりだと明言した。
イナベは都市幹部であるウダジマを現状で殺せば都市全体を敵に回すと説明し、まず自分が権力争いでウダジマを失脚させるか、アキラ自身が都市を脅かせるほどの高ランクハンターへ成り上がるべきだと提案した。両者の利害は一致し、アキラも強行策を避けることに同意した。
ハンターランクへの決意
イナベは、ドランカムがアキラ襲撃を決断した一因として、当時のアキラのハンターランクが実力より低かったことを挙げた。客観的なランクが低かったため、ドランカム側はカツヤ達なら勝てると判断したのである。
もしアキラが実力に見合うランクを求めていれば、今回の戦いそのものを避けられ、ユミナを殺さずに済んだ可能性もあった。その説明にアキラは大きな衝撃を受けた。そしてシズカから言われた言葉を思い返し、同じことを繰り返さないと強く決意した。
再生した両手
培養が完了した両手がアキラの腕へ移植された。骨や神経、血管、筋繊維が結合され、処置直後から両手は違和感なく動いた。しばらくは負荷を抑える必要があるものの、再生治療自体は無事に完了した。
担当医は最後まで義手や義体を勧めたが、アキラは改めて断った。
遅れて届いた見舞い
退院直前になって、ようやくシェリルの面会予約が通った。見舞いが遅れたことを謝るシェリルに、アキラは軟禁状態だった事情を理解し、来てくれたことを素直に喜んだ。
しかしシェリルは強い緊張を隠していた。見舞いの直前、イナベから面会を意図的に遅らせていたと明かされ、さらにユミナを殺したのがアキラであることを知らされたためであった。
ユミナの死とシェリル
イナベはさらに、カツヤがシェリルを助けることを条件としてウダジマと取引し、そのためにアキラを殺そうとしたことを明かした。ユミナはそのカツヤに従ってアキラと戦い、殺されたのであり、シェリルもユミナの死に至る遠因の一つであった。
しかもアキラはまだその事実を知らない可能性が高かった。今後誰かから知らされれば、アキラがシェリルをどう見るかは分からない。イナベは今回は問題がないとは言わせないと告げ、この問題を自力で解決するよう求めた。
その事実を抱えて病室に入ったシェリルは、アキラの目に敵意も嫌悪もないことを確かめた。まだ大丈夫だと必死に自分へ言い聞かせながら、恐怖を隠して微笑んでいた。
第193話 アキラとヒカル
新装備を巡る企業競争
退院翌日、アキラは新装備の相談のためシズカの店を訪れ、再生した両手を見せた。再び無茶をして手を失わないよう高性能な装備を揃えたいと頼んだが、シズカは装備調達が複雑な状況になっていると明かした。
アキラは前回、次も機領の強化服を購入する契約を結んでいた。しかし建国主義者討伐戦での活躍が高い宣伝価値を生み、違約金を肩代わりしてでも自社製品を使わせたい企業が複数現れていた。その営業担当者達がシズカの店に押し寄せ、シズカでは対応し切れないほどの企業間競争になっていた。
アルファも、単純に装備を選ぶだけなら支援できるものの、企業間の利害まで調整する交渉をアキラに指示すれば、自分の存在を疑われる危険があるとして介入を避けた。
変わった周囲の視線
キバヤシに呼び出されたアキラはクガマビルへ向かった。以前は周囲のハンター達に圧倒されていたアキラだったが、今では建国主義者討伐戦での活躍により、逆に周囲から警戒や畏怖の目を向けられる存在になっていた。
アキラはその変化を嬉しいとは思わなかったが、勝てない相手だと思われれば襲われる危険も減ると受け入れた。そして、もっと早く自分の実力が周囲に知られていれば何かが変わっていたのかと一瞬考えた。
ヒカルとの顔合わせ
待ち合わせ場所にはキバヤシではなく、クガマヤマ都市広域経営部のヒカルという少女が現れた。事情を知らされていなかったアキラはキバヤシへ確認を取り、ヒカルが確かに知人であることだけを保証された。
キバヤシは、ハンターランク50となったアキラには武力に見合う交渉能力が必要だと告げた。今後は高ランクハンターとの取引を求める企業が殺到するため、ヒカルを練習相手として、相手の身元や立場、信用できるかどうかを自分で判断する訓練をするよう勧めた。
身元確認の訓練
アキラとヒカルはレストランへ移り、互いに気軽な口調で話すことにした。ヒカルは今回の機会を、高ランクハンターであるアキラとの関係を築き、自身の出世につなげる好機と考えていた。
二人はヒカルが本当に都市職員か確かめる訓練を始めた。ヒカルは身分証や都市の職員情報を示したが、アキラは訓練として偽造の可能性まで疑った。最終的に、第三者へ調査を依頼するのが現実的だという話になり、アキラは心当たりの人物へヒカルの調査を頼んだ。
ヒカルは、アキラの頼った相手も大した人物ではないだろうと考え、その調査結果の不備を指摘することで、将来自分を交渉役として頼らせようと目論んでいた。
詐欺師疑惑の騒動
調査結果を待っている間、アキラは周囲に戦闘能力の高い者達が配置されていることに気付いた。彼らはイナベから派遣された者達であり、直後にイナベから、都市職員を装った詐欺師がアキラを騙そうとしているという情報が入ったと連絡が来た。
派遣された者達はヒカルを拘束同然に確認し、本人が広域経営部所属のサクヤマヒカルであると証明した。アキラが訓練としてヴィオラに調査を頼んだ結果、情報が大事になってイナベまで伝わったのである。
本人確認が終わると騒動は収まったが、アキラとヒカルは互いに気まずい空気を抱えることになった。
ヒカルの抜擢
アキラとの顔合わせ後、ヒカルはイナベに呼び出された。責任を問われるのではないかと緊張したが、イナベはアキラとの関係が概ね良好だったことを確認すると、ヒカルをアキラ担当に任命した。
高ランクハンターとの専用窓口という立場は、ヒカルが望んでいた大きな出世の機会だった。ヒカルは嬉々として引き受け、イナベはキバヤシよりは扱いやすいだろうと考えた。
アキラ専用の窓口
ヒカルはアキラへ連絡し、自分がクガマヤマ都市側の専用窓口になったと伝えた。そしてハンター稼業を再開するなら、有利な依頼も斡旋すると申し出た。
アキラが装備調達の企業間交渉で困っていることを話すと、ヒカルは自分が纏めると即答した。さらに吉岡重工との揉め事についても、並行して交渉を引き受けると申し出た。
複数企業を相手にした難しい交渉を簡単に引き受けるヒカルにアキラは不安も覚えたが、ヒカルは広域経営部に若くして入った自身の能力に自信を示した。アキラはその言葉を信じ、装備調達と吉岡重工との交渉を任せることにした。
成り上がりを狙うヒカル
アキラとの通話を終えたヒカルは、大きな手応えを感じていた。装備や企業との揉め事を解決し、有力な依頼まで斡旋すれば、アキラから強い信頼を得られると考えた。
さらにアキラとの関係をキバヤシ以上に深め、その繋がりを足掛かりにすれば、将来は都市幹部まで成り上がれる可能性もあると期待した。ヒカルはまず装備問題から片付けようと決め、意欲的に動き始めた。
第194話 酒場での話
カツヤの死とヤナギサワの安堵
アキラが意識不明だった頃、ヤナギサワはカツヤの死体を密かに回収し、自ら検死して本人の死と蘇生不能を確認した。カツヤが契約者だったと考えるヤナギサワは、その死によって相手側の試行が振り出しに戻り、自分の猶予が延びたと安堵した。
ネルゴからアキラの評価を尋ねられたヤナギサワは、大型巨人との戦闘中にアキラが急激に強くなったことを思い返した。その時はツバキの通信障害中で外部からの支援は不可能だったため、アキラの実力は自力だと判断していた。また契約者とみるカツヤをアキラが殺したことからも、アキラは契約者ではないと結論付けていた。
ネルゴとの認識の食い違い
ヤナギサワはアキラより強いハンターは他にもいるとして、現時点では興味がないと答えた。それはネルゴ側がアキラを取り込むことを黙認する意図だったが、ネルゴの本当の目的は、ザルモが危険視するアキラの危険性を測ることにあった。
互いに目的を共有していないため、同じ会話から異なる意図を読み取っていた。ネルゴはカツヤの死によりドランカムへの潜入を終えると告げ、ヤナギサワもカツヤを失ったドランカムには関心を失っていた。
揺らぐドランカム
カツヤの死によって、ドランカム事務派閥が進めていた長期契約は破綻した。カツヤの成長を前提に契約を結んでいたため、ミズハ達は違約金などの対応に追われていた。
さらにドランカムはアキラを敵に回した状態にあり、アキラが組織そのものへ報復すれば存続すら危うかった。シカラベとアラベは事務派閥の尻拭いに命を懸ける気はなかったが、長年所属してきたドランカムへの愛着から、直接アキラと話すことを決めた。
強者となったアキラ
シカラベとの面会に向かうアキラは、歓楽街のハンター達から明確に距離を取られていた。かつてのように弱者として軽んじられることはなくなっていた。
アキラ自身も、ユミナを殺して生き残った以上、自分を弱いと思うことはユミナへの侮辱になると考えていた。さらに、自分の実力が正しく知られていればユミナを殺さずに済んだかもしれないという思いから、強くなり、その強さを周囲に認めさせなければならないという意識を強めていた。
ドランカムとの和平
酒場でアキラと対面したシカラベは、以前とは違ってアキラを明確な強者として感じ取り、自分の勘が正しかったことに安堵した。
シカラベがドランカムへの報復意思を尋ねると、アキラは襲ってきたカツヤ達は既に殺したため、ドランカムそのものへ報復する気はないと答えた。ただし再び襲われれば別だとも付け加えた。
アラベは、口約束だけでは事務派閥の者達が疑心暗鬼から暴走する恐れがあるとして、正式な和平交渉を提案した。アキラは交渉を自分で行うことを避け、ヒカルへ代理を依頼した。ヒカルは喜んで引き受け、ドランカムとの交渉を開始した。
シカラベの悔恨
交渉中、シカラベは酒を飲みながらカツヤへの思いを語った。生前は強く嫌っていたにもかかわらず、死後になってなぜそこまで嫌っていたのか分からなくなっていたのである。
カツヤが仲間を助けようとしていたことも理解しながら、その嫌悪のために止められなかったのではないかと、シカラベは悔いていた。アキラはカツヤを殺した者として、その話を静かに聞いた。
帰路でアキラがアルファにその話を尋ねると、アルファは嫌うために嫌い続ければ、最初の理由すら忘れることもあると答えた。アキラは、敵を皆殺しにすれば済むという以前の考えでは、殺したくない者まで敵になることを経験していたため、不必要に敵を作らないよう心掛けることにした。
無料となった新装備
ヒカルが企業間の交渉を纏め、アキラはシズカの店で新装備を受け取った。新装備はCA31R強化服とLEO複合銃を基礎にしながら、高価な拡張部品を大量に導入した大幅な強化仕様だった。
ハンターランク50となったことで、高性能な小型エネルギーパック、強化されたC弾用弾倉、高性能回復薬なども購入可能になった。さらに強化服には、強力なオプション兵器であるAFレーザー砲が搭載された。
通常なら総額50億オーラムを軽く超える装備だったが、アキラの負担は実質無料だった。
ヒカルの利害調整
ヒカルは、装備を貸与扱いとして返却義務も破損時の弁償義務もなくし、代金を次にアキラへ強化服を販売する企業が負担する契約に纏めていた。
機領には高性能装備を使ったアキラの活躍が宣伝になると説得し、他企業には早く機領との契約を消化させれば次の買い換え機会が早まると説明した。さらにアキラには、高性能装備が必要になるだけの大きな成果を狙える依頼を斡旋すると約束した。
それぞれ異なる理由でアキラの早期の装備更新を望む形に整えたことで、企業側とアキラの利害を一致させていた。アキラはヒカルの手腕を信じ、新装備で十分な成果を上げることを受け入れた。
防壁外への感覚差
店にはエレナとサラも来ていたが、二人は装備更新のためではなく、ヒカルの護衛として雇われていた。
ヒカルは防壁の外にあるシズカの店へ来るだけでも護衛が必要だと考えていた。普段から防壁外で活動するアキラとは危険に対する感覚が大きく異なっており、アキラはその違いに少したじろいだ。
第195話 間引き依頼
大流通に向けた遠征
アキラ達は4台の大型装甲車両でクガマヤマ都市の東へ進み、大流通に備えたモンスターの間引き作戦に向かっていた。作戦地域は普段ならミルカケワ都市が担当する領域であり、活動するハンターのランクもクガマヤマ都市周辺より高かった。
指揮を執るクロサワは、通常の間引きとは異なり、都市間輸送車両が安全に通過できるよう広域のモンスターを徹底的に減らす必要があると説明した。その上で成果より安全を優先し、撤退の判断には全員が従うよう求めた。主力はアキラだが、エレナとサラ、シカラベ達、エリオ達もそれぞれ役割を担っていた。
敵寄せ機による作戦開始
作戦地域に到着すると、アキラが乗るA車両の強力な敵寄せ機が起動した。遺跡からは重武装した甲殻類型のモンスターが次々と現れ、アキラ達へ押し寄せた。
アキラはアルファに、単純に任せ切るのではなく、自分が強くなったと実感でき、訓練にもなる形で支援するよう頼んだ。アルファはその要求を容易に受け入れ、アキラは新たな装備と自身の能力を使って戦闘を開始した。
アキラの集中砲火
アキラは2挺のLEO複合銃から高威力のC弾を連射し、まずモンスターの大砲や機銃、ミサイルなど遠距離攻撃手段を優先して破壊した。敵寄せ機で自分へ群れを誘導しながら、走行する車両の屋根を駆け回り、砲撃を回避して撃ち続けた。
高性能なエネルギーパックと大容量の弾倉によって火力を維持し、アキラは強力なモンスター群を一人で押さえ込んだ。しかし全てを単独で処理できるほど容易な地域ではなく、移動を妨げる個体への対応で後続の処理が遅れる場面もあった。
エレナとサラの援護
アキラを追う群れには、別車両のエレナとサラが側面から強烈な銃撃を浴びせた。二人は今回の依頼に合わせて強力な武装を調達しており、ミルカケワ地方のモンスターにも十分通用する火力を発揮した。
エレナ達は、自分達がアキラとの親しい関係を理由に誘われたことを理解していた。それでもアキラが同行を喜んだ以上、実力でも役に立つことを示そうと全力で戦い、大量のモンスターを撃破していった。
新体制のドランカム
シカラベ達も、ドランカムから貸与された高性能装備で戦っていた。建国主義者討伐戦で得た約200億オーラムの報酬は、新たな装備や大型装甲車両の購入に使われていた。
カツヤの死後、ドランカムでは事務派閥が衰退し、古参だけでなく所属ハンター全体の利益を重視する方針へ移りつつあった。今回の参加もアキラとの和平の一環であり、ヒカルの調整によってドランカムはウダジマ派から離れ、イナベ派へ移る形になっていた。
総合支援システムの実地試験
B車両ではエリオ達が機領の総合支援システムを使って戦っていた。以前より強力な装備も提供され、個人では倒せないモンスターでも、部隊としてなら対抗できる戦力を得ていた。
機領には、総合支援システムを使った部隊がアキラ一人に敗れた評価を挽回する狙いがあり、今回はアキラと共闘して成果を上げることで、その性能を改めて示そうとしていた。
恐怖を越えたエリオ達
実戦が始まると、エリオ達は巨大なモンスターと激しい砲撃を前に恐怖し、悲鳴を上げながら戦った。総合支援システムは動揺した者の強化服まで制御して攻撃を続けさせ、エリオも仲間を叱咤して戦線を維持した。
やがて自分達の攻撃で強力なモンスターを倒せたことで、子供達の恐怖は少しずつ薄れていった。死者も重傷者も出さずに戦えている事実が自信となり、エリオ達は自分達も役に立てるのだと意気を取り戻し、さらに戦い続けた。
第196話 よくある想定外の事態
名無しの遺跡の間引き
アキラ達が作業していたのは、普段なら近付かなければ問題のない無名の遺跡だった。しかし内部ではモンスターが限界まで増えており、大流通で巨大な都市間輸送車両が通れば外へ引き出される恐れがあったため、敵寄せ機を使った大規模な間引きが行われていた。
作戦開始から1時間が経っても、アキラ達は休まず戦い続けた。エリオ達は大量のモンスターを相手に笑って戦うアキラを見て、その圧倒的な強さに頼もしさと恐ろしさを同時に感じていた。
アキラの実戦訓練
アキラは余裕に見えたものの、実際にはアルファの支援を受けながら自身の射撃精度を高める訓練を続けていた。支援がなければ着弾位置が2メートルもずれていたことを知ると、自身の未熟さを認め、アルファの補助による完璧な動きへ少しでも近付こうと集中した。
アキラは大量のモンスターを倒した成果を自分だけの力とは考えていなかった。それでも自分の力を過小評価すれば再び敵から軽く見られ、同じ悲劇を招くかもしれないため、アルファ込みの実力を自分の力として受け入れることにした。
クロサワの安全確認
休憩に入ると、クロサワは戦闘中のアキラの調子がほとんど変化しなかったことを気にして、無理を隠していないか確認した。アキラはまだAFレーザー砲も使っておらず、回復薬にも余裕があるため、実際にまだ戦えると答えた。
クロサワはアキラの余裕が部隊全体の安全につながると念を押し、無理をしないよう求めた。エレナとサラも、全てを一人で背負わず自分達を頼るよう伝え、アキラも先輩として支援を頼むと笑って応じた。
強化されたモンスター
休憩後、敵寄せ機の出力を上げると、遺跡の奥からより大型で重武装のモンスターが現れ始めた。アキラは弾薬消費を抑える訓練をやめ、部隊の安全を優先して十分な火力を投入した。
敵の数が減ったことに加え、エレナ達やシカラベ達の援護もあり、アキラ達は体長20メートル級の個体まで安定して撃破した。周回を重ねるごとに出現数は減り、6周目にはモンスターが一匹も現れなくなった。
最大出力の敵寄せ機
最後の7周目では敵寄せ機を最大出力にした。エリオ達は作戦終了が近いと気を緩め、アキラがいるから何か起きるかと思ったが心配しすぎだった、と口にした直後、強力なモンスター接近の警報が鳴った。
遺跡の奥から、それまでの個体を大きく上回る巨大なモンスターが高速で接近していた。アルファは即座に訓練を中止させ、両手のLEO複合銃ではなくAFレーザー砲を使うようアキラに指示した。
AFレーザー砲の初撃
アキラは車両を囮として先に走らせ、自身は地上へ降りてAFレーザー砲を展開した。現れたのは大型装甲車両を上回る巨体と巨大な砲を持つ軟体多脚型のモンスターだった。
クロサワから任せられたアキラは、アルファの精密な支援でAFレーザー砲の威力を一点へ集中させた。放たれた光線は装甲と力場装甲を貫き、巨体に大穴を開けて即死させた。敵が最後に撃った砲弾もアキラを外れ、アキラは新装備の圧倒的な威力を実感した。
無事に終えた間引き作業
帰路では、エレナとサラから一人で危険を引き受けたことを心配されたが、クロサワは部隊全体の被害を抑えるには最大戦力のアキラに任せるのが最善だったと説明した。
一方でクロサワは、想定外の強敵が現れた責任についてヒカルに確認し、それを材料に次回以降の装備支援強化を求めた。ヒカルも現場への支援拡大がアキラとの関係強化につながるため、その要望を引き受けた。
不測の事態に慣れたアキラ
作戦を終えた一同は、アキラがいる場所では何か予想外のことが起こるという話で盛り上がった。クロサワは、その経験の多さがアキラを不測の事態でも動じないハンターにしているのかもしれないと考えた。
アルファもその見方を認めつつ、不測の事態に慣れたことで逆に油断しないよう釘を刺した。アキラは否定し切れず、苦笑を堪えた。
第197話 分かりやすい強さ
黒狼の配備
間引き依頼の休養日に、アキラはシェリルの拠点を訪れた。新設された格納庫には、ヒカルが吉岡重工との交渉で用意した黒狼が配備されていた。アキラが不在でもシェリルファミリーを守る代理戦力という扱いであり、吉岡重工にとっても黒狼の評価を回復させる取引となっていた。
黒狼と総合支援システムを使うエリオ達によって、シェリルファミリーはスラム街でも突出した武力を持つようになった。
増えない上級幹部
シェリルファミリーでは構成員が大幅に増えた一方、シェリルに次ぐ上級幹部はエリオ、アリシア、ナーシャ、ルシアの四人のままだった。高額な報酬や好待遇が用意されていても、アキラと直接関わる立場を恐れて新たな希望者は現れなかった。
武力要員の幹部がエリオ一人しかいないため、エリオは間引き依頼にも毎回参加していた。アリシア達は報酬を増やして後任を募ろうとしたが、500万オーラムを提示しても誰も積極的に幹部になろうとはしなかった。
黒狼より強いアキラ
アキラはエリオ達に、自分と黒狼のどちらが強そうに見えるか尋ねた。ルシアは実際にはアキラの方が強いと知りながらも、見た目だけなら巨大な人型兵器である黒狼の方が強そうだと答えた。
その返答から、アキラは実際に戦って勝つだけでは足りないと考えた。敵対した後に倒すのではなく、最初から戦うことを諦めさせる分かりやすい強さが必要であり、そのためにもハンターランクをさらに上げようと決意した。
黒狼の操縦者
黒狼の操縦は当面エリオが担当する予定だった。ほかの武力要員にもシミュレーターで訓練させ、適性のある者を探す方針となっていた。
シェリルは黒狼に実戦で活躍してもらうこと自体を望んでいなかった。黒狼の役割は襲撃者を倒すことではなく、強大な戦力があると示して、そもそも拠点を襲わせないことだった。
カツヤ達への謝罪
シェリルはアキラと二人きりになることを避けるため、エリオ達を近くに残していた。自分がユミナの死の遠因になった事実をアキラに知られることを恐れていたからである。
シェリルはカツヤ達との一件を防げなかったことを謝った。アキラは、建国主義者に騙されたことなど様々な不運が重なった結果であり、少なくともシェリルの責任ではないと答えた。シェリルはユミナの名前こそ口にできなかったものの、その言葉に安堵した。
ヴィオラへの銃口
そこへヴィオラが現れ、何気なくユミナの件は残念だったと口にした。アキラはその言葉からヴィオラの関与を疑い、即座にLEO複合銃を額へ突き付けた。
アキラは、嘘を吐く、答えない、関係のないことを話す、そのいずれでも殺すと告げ、ユミナの件に関わったのかを問い詰めた。ヴィオラが無関係だと答え、アルファも嘘ではないと判断したため、アキラは疑ったことを謝った。しかし誤解を招く言動をすれば次は殺すと警告し、自制を失ったことを悔やみながら拠点を去った。
ヴィオラの企み
ヴィオラは危険を承知でユミナの話を持ち出していた。建国主義者討伐戦後、ドランカムと和平を結び、部隊を率いて都市の依頼をこなすアキラが、成功によって穏当な人物へ変わったのではないかと疑っていたからである。
しかしアキラは疑念だけで即座に殺意を向ける危険性を残していた。ヴィオラはその事実を確認して内心で喜び、アキラという危険物を利用してさらに大きな騒動を起こす方法を考え始めた。
遠のいた幹部の席
アキラの様子を遠くから見ていた構成員達の中には、幹部になれば高待遇を得られるうえ、アキラも実際にはそれほど恐ろしくないのではないかと考えていた者達がいた。
だがヴィオラへ迷わず銃を向けた姿を目撃し、その考えは消えた。事情を聞いても、些細な誤解から殺されかけたようにしか見えず、幹部になってアキラと直接関わることへの恐怖を改めて強めた。
ナーシャが幹部として手伝ってほしいと持ち掛けると、彼らは揃って逃げるように立ち去った。結局、新たな上級幹部は増えなかったが、同じ苦労を抱えるエリオ、アリシア、ナーシャ、ルシアの結束は少し深まった。
第198 話 立入許可の無いハンター
順調な間引き作業
アキラ達の間引き作業は、初日の戦闘を踏まえた戦力増強とクロサワの安全重視の指揮により、死者や重傷者を出さずに順調に進んでいた。間引き後の遺跡では余力を使って遺物収集も行い、シェリルファミリーやドランカムの者達も加わって高価な遺物を大量に集めていた。
結果としてアキラを中心とした集団は、高ランクハンターが都市から勧められて形成する大規模なハンターチームに近い形となっていた。ヒカルはその成果を自分の手腕によるものとして満足していた。
クロサワの拒否
更なる成果を求めたヒカルは、より東側の高難度地域へ間引き場所を移そうと考えた。アキラは部隊全体の安全判断をクロサワに任せているとして、決定を委ねた。
クロサワは、現在の余力は突発事態に備える安全マージンであり、それを常時使う難易度へ移ることは認められないと明確に拒否した。さらに変更を強行するなら指揮役を降りると告げたため、ヒカルは間引き作業自体を失うことを恐れて引き下がった。
ヒカルとキバヤシ
アキラが自分の無茶に仲間を付き合わせるどころか、部隊の安全を強く重視していたことはヒカルの予想外だった。ヒカルは、大規模なチームがアキラの成果を抑える足枷になっているのではないかと考え始めた。
そこへキバヤシが現れ、第2奥部攻略のために東側から高ランクハンターを呼び戻す仕事について話した。ウダジマはイナベとの権力争いを巻き返すため、第2奥部の攻略に賭けており、キバヤシは遠方のハンターチームの勧誘や都市間輸送車両を使った移動費の調整に追われていた。
都市間輸送車両の護衛
キバヤシの話から着想を得たヒカルは、アキラだけを都市間輸送車両の護衛に参加させる案を思い付いた。アキラが抜けている間は間引き部隊を休ませるか、難易度を下げて活動させればよいと説明した。
アキラは部隊の予定変更を気にしたものの、護衛依頼がハンターランク上昇にも有効だと聞き、イナベの意向も含まれていると受け取って依頼を承諾した。
浴室の改装
ヒカルから他に困り事がないか尋ねられたアキラは、自宅の浴室を豪華に改装したいと話した。賃貸業者からは現在の家ではなく、高ランクハンターに相応しい住居への引っ越しを勧められていたが、アキラは今の家に大きな不満がなく迷っていた。
ヒカルは、護衛依頼で家を空けている間に浴室だけ改築すればよいと提案し、その交渉も引き受けた。アキラは帰宅時に豪華な浴室が完成している案を気に入り、改装を選んだ。
防壁内への立入許可
都市間輸送車両側との契約を進めたヒカルは、護衛要員には防壁内への立入許可が必要だと知らされた。アキラはその許可を持っていなかったため、ヒカルは中位区画への立入申請を出した。
しかし申請は却下され、ヒカル自身を推薦人にしても防衛上の理由で再び拒否された。護衛依頼開始までに通常の手続きでは間に合わないと判断したヒカルは、広域経営部の権限を使い、数日間だけ有効な仮の立入許可を発行することにした。
イナベの名を使った強行
警備課の承認を経ない仮許可は好まれない手段だったが、ヒカルは護衛依頼を失敗させるよりはましだと判断して手続きを強行した。さらに警備課からの介入を抑えるため、イナベの名まで使ってアキラの中位区画への仮立入許可を成立させた。
警備課からその日のうちに異議は届かず、ヒカルは問題なく進んだと安堵した。一方、名を使われたことを知ったイナベは事情を考えた末、すぐには止めずに事態を静観することを選んだ。
第199話 ヒカルの誤算
ギガンテス護衛依頼
中位区画への入場
都市間輸送車両の護衛当日、アキラは追加購入したLEO複合銃を含む装備を携え、ヒカルと合流した。第2奥部攻略のため東側から高ランクハンターが多数集まっており、以前ほどアキラに注目する者はいなかった。
ヒカルの案内で防壁を越えたアキラは、かつて憧れていた中位区画へ初めて足を踏み入れた。洗練された街並みには比較的淡い反応だったが、人が殺されれば犯人が捕まり裁判を受けるという治安の違いには素直に驚き、ヒカルに壁外との感覚の差を実感させた。
巨大輸送車両ギガンテス
乗降場に到着したアキラは、貨物船のように巨大な都市間輸送車両ギガンテスを目の当たりにして驚いた。ツェゲルト都市まで向かう長距離車両であり、その巨体がモンスターを刺激するため、事前の大規模な間引きが必要になることにも納得した。
車内には富裕層向けの豪華な客室や浴室まで備わっていた。アキラは自宅で進めている浴室改装を思い出しながら、護衛依頼への期待を高めた。
キバヤシからの警告
アキラを送り届けたヒカルのもとへ、キバヤシから秘匿通信が入った。キバヤシは、以前ヒカルに都市間輸送車両の話をしたのは、アキラを護衛に参加させるよう誘導する意図があったと明かしたが、想定以上に危険な状況になったと告げた。
送られた資料には、アキラの推定累計殺人数が200人から1000人と記され、総合捜査局の職員三人を殺した事実まで含まれていた。ヒカルは、自分が担当しているアキラの危険性を改めて知り、顔色を変えた。
ウダジマ殺害の推測
さらにキバヤシは、アキラがイナベと組み、ウダジマを殺すためにハンターランクを上げている可能性を指摘した。敵を徹底して排除してきたアキラがドランカムとは和平を結びながら、急にハンターランク上昇へ積極的になったことから、ウダジマを失脚させて壁外へ追い出した後に殺す計画ではないかと推測していた。
そして最大の問題として、同じギガンテスにウダジマも乗っていることが判明した。ウダジマはツェゲルト都市のハンターを勧誘するために乗車しており、アキラと偶然接触する可能性が生じていた。
ヒカルの焦燥
ウダジマには護衛もおり、通常なら暗殺の機会などないと聞いてヒカルは一度安堵した。しかしキバヤシから、アキラは大きな騒動に巻き込まれやすく、その混乱に乗じる機会が生じかねないと念を押され、再び焦りに襲われた。
通信を終えたヒカルは全力でアキラの部屋へ戻った。ちょうど食堂へ向かおうとしていたアキラを慌てて部屋へ戻し、自分も護衛依頼に同行すると決めた。
ヒカルの同行
ヒカルは近くで支援する必要があると説明し、アキラと同じ部屋を使い、出来る限り部屋から出ないよう頼んだ。アキラは不審に思いながらも了承した。
ヒカルは、自分がアキラを制御して何事もなく護衛依頼を終わらせなければ、自身の立場どころか命まで危うくなると覚悟した。やがてギガンテスはクガマヤマ都市の防壁を抜け、アキラとヒカルを乗せてツェゲルト都市へ向けて荒野を走り始めた。
第200話 東側の領域
ギガンテスの警備任務
ギガンテスは強力な力場装甲と巨大砲を備えた移動要塞のような都市間輸送車両であり、荒野の障害物を粉砕しながら進んでいた。護衛を担当するアキラは警備時間まで客室で待機し、ヒカルと情報収集機器を連係させた。ヒカルは依頼中のオペレーターとして警備側との連絡や交渉を引き受けたが、実際に渡される情報はアルファによって調整されていた。
屋上での待機
四挺のLEO複合銃とAFレーザー砲を装備したアキラを見たヒカルは、その戦力を頼もしさより危険物として意識した。屋上まで同行したヒカルは周囲を警戒し続けたが、アキラの最初の警備はほとんど敵襲もなく暇なものとなった。アキラはアルファに勤務状況を偽装してもらい、その間に授業を受けて時間を過ごした。
ヒカルの警戒緩和
冷静さを取り戻したヒカルは、キバヤシが示したウダジマ暗殺の話は推測にすぎないと考え直した。アキラは都市幹部を直接殺せないからこそウダジマの失脚を狙っているという推測と、そもそも同じ車両にウダジマがいることを知らない可能性から、偶発的な暗殺への懸念は考え過ぎだと結論付けた。
それでも念のため、アキラがギガンテスに乗っている情報を公開された依頼履歴に追記した。ウダジマ側がアキラの動向を監視していれば、同乗を知って接触を避けると考えたのである。こうして初日は大きな問題もなく終わった。
東側の異景
二日目、ギガンテスはより東側の領域へ入っていた。アキラは空に浮かぶ巨大な島や、その下面から伸びる建造物を目にし、本当に存在する光景なのかと驚いた。拡張視界上にしか存在しないアルファと、現実に浮かぶ島を見比べたことで、自分の目だけでは現実を判断できない奇妙さも感じていた。
巨虫類の襲来
車列前方から巣級の巨虫類が接近した。巨大な虫は島のような巨体を持ち、車載砲の一斉射撃によって撃墜されたが、その体内から多数の巨虫類が飛び出した。先頭車両では戦車、人型兵器、東側で活動する高ランクハンター達が迎撃し、強力なモンスターと激しい戦闘を始めた。
その戦いを見たアキラは、自分などまだ弱いと感じた。しかしアルファから、初めて出会った頃から現在までの成長に比べれば、彼らとの差は大したものではないと告げられたことで、いずれ同じ領域まで強くなると意欲を新たにした。
二号車の配置
アキラが配置されたのは、車列の中でも比較的安全な二号車だった。ハンターランク50が東側では低い部類であることに加え、配置がチーム単位で決まり、アキラが一人だけのチームだったためである。
ヒカルは、活躍すればより危険で報酬の高い場所へ配置換えされると説明した。都市間輸送車両なら危険時には車内へ避難でき、同行者もいないためアキラの能力を制限する者もいなかった。ヒカルはこの環境なら安全を確保しながらアキラの実力に応じた成果を引き出せると考えていた。
巨虫類との本格戦闘
先頭で取りこぼされた乗用車ほどの巨虫類が二号車まで押し寄せると、アキラは弾薬費を気にせず二挺のLEO複合銃を連射した。大量のC弾で外骨格を貫き、銃撃や砲撃、突進を回避しながら次々と敵を撃破した。
アキラの周囲には巨虫類の死骸が積み上がり、護衛任務は本格的な戦闘へ移っていった。
アキラの実力とヒカルの重圧
アキラの情報収集機器と連係していたヒカルは、最初に主観視点で戦闘を確認したものの、余りの速度に耐えられず俯瞰表示へ切り替えた。それでも高速で屋上を駆け回りながら大量の敵を撃破するアキラの動きは、ヒカルの想定を大きく上回っていた。
ヒカルはアキラの強さを改めて認める一方、そのような武力を持ち、都市職員を殺した経歴まである人物を自分が制御しなければならない現実に重圧を感じた。それでもこの護衛依頼を成功させれば自身の立場も大きく上がると考え、始まってしまった賭けに勝つ覚悟を固めた。
第201話 巨虫類
巨虫類への蹂躙
アキラはギガンテスIIの屋根を高速で駆け回り、アルファの支援を受けながら二挺のLEO複合銃で巨虫類を撃ち続けた。体感時間操作と複数の照準情報を駆使し、別方向の敵にも弱点を正確に撃ち抜き、必要最低限の威力に調整されたC弾で効率的に倒していった。
圧倒的な戦果を上げていたものの、アキラ自身はアルファの支援なしでも同じ戦いができるようになるため、必死に動きを磨いていた。一方で巨虫類は倒すほど増え、アキラを襲う数は当初より五割ほど増していた。
空中での弾薬交換
絶え間ない連射で弾倉とエネルギーパックを消費したアキラは、バックパックから新しい物を射出し、両手の銃を空中で叩き付けるようにして装填した。それほど戦況は忙しく、手作業で交換する余裕もなかった。
警備側はアキラの戦果を評価し、同じ二号車の他チームを後方へ下げ、アキラ一人を前方へ再配置した。周囲から味方が離れたことで誤射の心配もなくなり、アキラはAFレーザー砲を広範囲に放って巨虫類の飛行能力を奪い、一気に数を減らした。
高額な火力
広範囲攻撃に使ったAFレーザー砲の一発は、値引き後でも五百万オーラムだった。しかしヒカルから弾切れになるまで戦ってよいと言質を取っていたため、アキラとアルファは弾薬費を気にせず使用することにした。
巨虫類は銃撃だけでなく粘着液や溶解液、体当たりまで仕掛けてきた。アキラは空中を蹴って回避し、力場装甲で液体を防ぎ、接近した敵を蹴り飛ばしながら撃ち続けた。AFレーザー砲も繰り返し使用し、周囲には大量の死骸が積み上がった。
ヒカルの弾薬運搬
大量の弾薬を消費したアキラは、ヒカルに予備のバックパックを屋根への出入口まで運ぶよう頼んだ。非戦闘員のヒカルは恐怖を覚えながらも、アキラを補給のために撤退させるわけにはいかず、自ら弾薬を運んだ。
わずかな時間だけ屋根側の扉を開けただけでも、出入口には巨虫類の足や溶解液が入り込んでいた。ヒカルは溶解液をわずかに踏んで音を聞いただけでも怯え、急いで車内へ戻った。
巨虫類を退けた戦果
やがてアキラの周囲から巨虫類が急に消えた。大量の死骸から放出されるフェロモンの濃度が一定値を超え、弱い個体が近付かなくなったためだった。アキラは二号車を襲う巨虫類の大半を一人で引き受け、それでも勝ち続けたことで、この状態を作り出していた。
その戦果によって警備側はアキラを一つ前の三号車へ移した。二号車に交代で入ったハンター達は大量の死骸を見て、大規模なチームが撤退か相打ちしたのだと考え、一人のハンターが勝ち抜いて三号車へ進んだとは想像もしなかった。
三号車の激戦
三号車では巨虫類が乗用車程度からバスほどの大きさに変わり、一匹を倒すために必要な弾数も増えた。アキラはAFレーザー砲の放出角を絞り、巨大な光刃のような一撃で複数の敵を切断し、生き残った個体をLEO複合銃で仕留めた。
巨大な虫の突進には正面から蹴りを合わせ、強化服の力で外骨格を砕いて吹き飛ばした。それでも戦闘は厳しく、アキラの全身には大きな負荷が掛かったが、回復薬を使いながら前進を続けた。
最後の予備弾薬
アキラは三号車でも弾薬を大量に消費し、ヒカルは再び補給を担当した。屋根への出入口には今度は巨大な眼球や牙まで転がっており、ヒカルは恐怖を押し殺しながらバックパックを運んだ。
往復分として用意された弾薬を使い切るほどの勢いで撃ち続けたアキラは、遂に三号車の先頭まで進んだ。その頃には車列が巣級の巨虫類から離れ始め、増援も減少したため、残った敵を全て倒して戦闘を終えた。
四号車からの支援要請
戦闘が一段落すると、ヒカルはアキラの疲労や負傷を確認した。実際には四号車から支援要請が届いており、アキラが限界ならそれを理由に断るつもりだった。
しかしアキラは回復薬で補える程度の状態であり、残弾もあると答えた。アルファにも確認し、危険なら車内へ逃げ込めると判断したうえで、最終判断をオペレーターであるヒカルに委ねた。
ヒカルは危険を承知しながらも、得られる成果を捨てることを惜しみ、無理だと思ったら即座に撤退することを条件に支援を認めた。アキラは最後の予備バックパックを受け取り、万全の状態で四号車へ向かった。
四号車の六匹
三号車が四号車へ接近する中、アキラは望遠機能で支援先を確認した。四号車を襲っていた巨虫類はわずか六匹だった。
しかしその一匹一匹が体長四十メートルを超える巨大な個体であり、アキラはその姿を見て表情を険しくした。
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第202話 高ランクハンター達
4号車の苦戦
4号車では、大規模ハンターチームの下位部隊が巨虫類を大量に倒したことで、高濃度のフェロモンが格上の個体を呼び寄せていた。ハンターランク40台の者達は撤退を余儀なくされ、残ったランク50台以上の者達も押され続けた結果、警備側から支援要請が出されていた。
前衛に残ったハンターランク60の二人は、当初より数を減らした巨大な巨虫類六匹を相手に戦線を維持していた。仲間が次々に離脱する中でも撤退せず、せめて惨敗を避けようと戦い続けた。
アキラの遠距離支援
3号車から駆け付けたアキラは、AFレーザー砲で巨虫類の一匹を狙撃した。しかし最大威力の一撃でも外骨格を破壊して肉を露出させる程度に留まり、撃破には至らなかった。
原因は巨虫類の分泌物による強い威力減衰だった。アルファは遠距離ではAFレーザー砲の威力が大幅に落ちると説明し、十分に接近すれば撃破できると判断した。アキラは撤退せず、標的との距離を詰めることにした。
巨虫類への接近
巨虫類はアキラへ大量の生体ミサイルと砲撃を浴びせた。ミサイルの一部は屋根に着地して自走し、死骸を遮蔽物にしながら接近するほど高性能だった。
アキラはLEO複合銃でミサイルを迎撃し、砲撃を避けながら前進した。極端な体感時間操作の中では短い距離さえ長く感じられたが、1号車で戦う高ランクハンター達を目標に、自身を奮い立たせて突き進んだ。
近距離のAFレーザー砲
巨虫類に肉薄したアキラは、アルファの支援でAFレーザー砲を未展開状態から充填し、攻撃の隙を突いて展開した。近距離から最大威力で放たれた一撃は巨体を貫き、アキラの背丈を超える大穴を開けた。
大きく損壊した巨虫類は崩壊しながら倒れた。アキラはハンターランク60の者達でも苦戦する格上の個体を一匹撃破した。
メルシアの圧倒的な火力
アキラが一匹を引き付けたことで、二人のハンターは残る敵をさらに減らした。しかし限界を迎えたところで、上位チームのメルシアが到着した。
メルシアは残った四匹を複数の高出力レーザーで一瞬にして撃破した。二人の部下には死者がいなかったことを及第点としつつ、外部から支援を出される前に自分達へ救援を求めるべきだったと注意した。
上位ハンターとの実力差
アキラは自分が一匹を倒すだけでも苦労した巨虫類を、メルシアが容易く全滅させたことに驚いた。彼女が10号車で戦っていたハンターだと知り、自分との装備や実力の差を改めて認識した。
アキラは自分の装備が彼らの装備に比べれば安価なものにすぎないと落ち込んだが、アルファから同等の装備を手に入れればよいと言われ、再びそこを目指して強くなることを決めた。
メルシアとの対面
メルシアは支援に来たアキラへ礼を伝え、名前を尋ねた。しかしヒカルは強力なハンターチームの副隊長であるメルシアとの不用意な会話を恐れ、アキラに何も話さないよう必死に指示した。
アキラはオペレーターから私語を止められているとだけ説明した。メルシアは事情を察し、これ以上の支援は不要だと伝えて去った。ヒカルは大きく安堵し、今後も騒ぎを起こさないようアキラに念を押した。
拡張感覚の正体
戦闘後、ヒカルはアキラと映像を見返し、視界外の敵まで正確に捉えて攻撃していることに驚いた。アキラ自身はうまく説明できなかったが、ヒカルは人工的な第六感である拡張感覚を使用していると解釈した。
アルファは、アキラが実際に無意識の拡張感覚を身に付けていたと明かした。アキラは肉眼、情報収集機器、アルファの支援による視覚を同時に個別認識し、情報収集機器から直接得た情報も感覚として処理していた。この長年の無自覚な訓練は、建国主義者討伐戦でアルファとの接続を失った際にも、アキラが生き残る一助となっていた。
ヒカルの決意
ヒカルは一日の終わりに、アキラほどの高ランクハンターを扱う難しさを改めて実感した。それでも自分はアキラを制御できており、この成果を積み重ねればイナベにも能力を認められると考え、自信を奮い立たせた。
眠りについたアキラとヒカルを乗せ、ギガンテスIIはさらに東へ進んだ。目的地であるツェゲルト都市までは、あとわずかとなっていた。
第203話 ツェゲルト都市
屋根の上の日の出
早朝に目覚めたアキラは、日の出を見るためギガンテスIIの屋根に上がった。ヒカルも同行したが、本当の目的はアキラを監視して他のハンターとの揉め事を防ぐことだった。強風を恐れたヒカルはアキラに抱き付き、アキラも彼女を支えながら日の出を待った。
やがて荒野の地平から太陽が昇ると、ヒカルも恐怖を忘れてその光景に見入った。日の出を見終えた後は、アキラに抱き締められていたことを意識して気恥ずかしくなり、部屋に戻ってもしばらく顔を赤くしていた。
東の都市近郊
警備に戻ったアキラは、巨大な砲を備えたバッタ型のモンスターを容易く撃破した。前日に戦った巨虫類より弱いことを不思議に思ったが、アルファから都市近郊では脅威となる個体が駆除されていると聞いて納得した。
それでも、その地域で小物扱いされる個体の強さがクガマヤマ都市周辺とは桁違いであることに気付き、アキラは自分の慢心を戒めた。
ツェゲルト都市への到着
ギガンテスIIは巨大なドームに覆われたツェゲルト都市へ到着した。これで護衛依頼の往路は終了したが、アキラは用意された往復分の弾薬を既にほぼ使い切っていた。ヒカルは帰路に備えて補充すると約束した。
ヒカルは仮の立入許可しか持たないアキラに車内で過ごすよう求めた。実際には手続きをすれば都市へ入ることは難しくなかったが、ヒカルはアキラを他者と接触させず、揉め事を防ぐために外出させたくなかった。
新しいバイクの購入
アキラは観光ではなく、建国主義者討伐戦で失ったバイクの代わりをツェゲルト都市で購入したいと話した。高性能な装備が揃う東の都市に来られる機会を逃したくなかったためである。
装備調達を妨げるわけにはいかないヒカルは、アキラから離れて代理購入するより、自分が同行した方が安全だと考え直した。都市への立入手続きと販売店の予約を済ませ、翌日に二人で店へ向かうことになった。
ツェゲルト都市の街並み
ツェゲルト都市では空飛ぶ自動車や輸送機が行き交い、巨大な透明ドームが都市全体を覆っていた。かつてアキラが想像していた未来都市に近い光景であり、アキラは興奮して街並みを眺めた。
一方のヒカルは、クガマヤマ都市の中位区画では見せなかった反応をアキラがツェゲルト都市で見せたことに不満を覚えた。アルファから理由を教えられたアキラは、クガマヤマ都市も負けていなかったと取り繕った。
飛行バイクの試乗
販売店では予算に合わせて八台のバイクを紹介されたが、その半数にはタイヤすらなく、実質的には飛行バイクだった。アキラは戸惑ったものの、この価格帯では飛行機能を主とする車種が一般的だと説明された。
試乗した飛行バイクは前後左右上下へ自在に移動でき、運転補助も優秀だった。アキラでも初めてとは思えないほど容易に扱えたが、本人はバイクを運転している感覚が薄いことに引っ掛かっていた。
シルフィードA3
店員は走行に特化したキワモノとして、シルフィードA3を紹介した。両輪から力場装甲の足場を生成し、空中を飛ぶのではなくタイヤで走れるバイクだった。
アキラが扱いにくさを感じて試乗を切り上げようとすると、アルファが運転を代わった。シルフィードA3は螺旋状に垂直上昇し、前輪や後輪を軸に回転し、透明な球面を走るような複雑な三次元機動まで見せた。
その性能を確かめたアルファは購入を決め、アキラも従った。店員とヒカルは意外な選択に驚いたが、アキラはアルファの存在を隠すため、自分はこういうキワモノが好きなのだと説明した。
キワモノの新装備
アキラはシルフィードA3に拡張アーム、大型エネルギータンク、大型汎用拡張弾倉などを追加し、購入を終えた。帰路でヒカルからキワモノ好きなのかと尋ねられたアキラは否定できず、独自の拘りがあることにして話を合わせた。
さらにバイクには、店員が半ば冗談で勧めた特殊な武装も追加されていた。店員はキワモノのバイクにキワモノの武装を選んだアキラを、相当に尖ったハンターだと受け止めていた。
第204話 坂下重工
ツバキハラ方面の厳重封鎖
クズスハラ街遺跡のツバキハラ方面は、クガマヤマ都市の防衛隊によって厳重に封鎖されていた。立入禁止区域の奥へ侵入した者は、高ランクハンターであっても無警告で殺害される方針が採られていた。
ツバキの管理区域には旧世界の都市が存在し、その価値を狙う者を止めるには強大な武力が必要だった。クガマヤマ都市は警備費をツバキへ請求し、ツバキから遺物を購入する取引によって費用を賄ったため、防衛隊の戦力増強と都市経済の活性化が同時に進んでいた。
坂下重工の訪問
封鎖されたS9出入口に坂下重工の大型装甲兵員輸送車が現れた。警備側は上位からの連絡を受けると封鎖を解除し、車両を通した。
車内には坂下重工の部隊、ヤナギサワ、交渉役のマツバラが乗っていた。途中でティオルの端末だった巨大な異形のモンスターと遭遇したが、坂下重工の部隊は圧倒的な火力で容易く撃破した。
ツバキとの交渉
ヤナギサワはツバキとの直接交渉が極めて危険だとマツバラに忠告していたが、マツバラは坂下重工の事情から交渉を続行した。
予定時刻になると、ツバキは坂下重工の高性能な索敵機器にも捉えられないまま、マツバラ達の目前に突然姿を現した。交渉役がマツバラだと知ると、ツバキは他は不要だと告げた。
その言葉を聞いたヤナギサワは即座に逃走し、直後に護衛部隊は全員木っ端微塵にされた。マツバラだけは残され、坂下重工との再契約を提案したが、ツバキは拒絶し、彼の首から下も吹き飛ばした。
生還したマツバラ
ツバキが去った後、ヤナギサワはマツバラの頭部を回収した。マツバラは頭部に生命維持機能を備えていたため生存しており、坂下重工の特別貸出区域へ運ばれた。
重役のスガドメに報告したマツバラは、ツバキとの再契約は交渉の糸口すら掴めず、著しく困難だと説明した。また護衛達の死は無駄ではなく、ツバキが坂下重工への姿勢を示すために必要だったと判断した。
スガドメとヤナギサワ
スガドメはツバキとの取引を成立させたヤナギサワの能力を高く評価し、坂下重工への入社を改めて勧めた。しかしヤナギサワは誘いを断った。
マツバラはヤナギサワを危険人物だと指摘したが、スガドメは有能で安全な人物などいないと答えた。危険性を理解した上で利用し、発展と進歩を続けなければ、現在の文明も旧世界に敗れて滅びると考えていた。
ギガンテスの出発延期
その後スガドメのもとへ、巨虫類との戦闘で護衛戦力が大幅に減ったため、ツェゲルト都市から出発するギガンテスの運行を一週間延期したいとの連絡が届いた。
しかしスガドメは延期を認めず、予定通り出発させるよう命じた。その代わり坂下重工の責任で必要量の五倍を想定した追加戦力を用意し、不足すれば自社軍まで投入するよう指示した。採算よりも出発日時の厳守を優先させた。
帰路への懸念
スガドメは巨虫類に襲われた往路と帰路候補を比較し、巣級の巨虫類の出現が単なる偶然ではない可能性を考えていた。確信するには確率が低い一方、無視するには高過ぎると感じていた。
一方、都市間輸送車両側の会議では、護衛チームの四割が戦線離脱したため、一週間の延期を決めていた。しかし坂下重工から予定通りの出発と大規模な増援を提示されたことで、その判断を変更した。
十分な戦力が揃うことを条件に予定通り出発する方針となり、巣級の巨虫類の影響を避けるため、帰路の移動経路について慎重な検討が続けられた。
第205話 シロウ
新しいバイクの調整
ギガンテスIIへ戻ったアキラは、約33億オーラムを費やした新しいバイクの調整を始めた。強化服や情報収集機器と連係させ、拡張アームや力場障壁も意識だけで扱えるよう訓練を重ねた。ヒカルはアキラから目を離したくないため、その作業にも付き添った。
シロウとのすれ違い
格納庫には坂下重工らしい重武装の一団が現れ、その中に背広姿のハーマーズとフードを被った少年シロウがいた。シロウはアキラ達を一瞬観察したが、ハーマーズから揉め事を起こすなと注意され、クガマヤマ都市の制服が気になっただけだと取り繕った。
シロウはVR観光では現実の情報量に及ばないと話し、特に自分達には感覚情報が不足すると語った。さらに拡張感覚や五感の増設にも触れたが、ハーマーズに黙るよう命じられて話を切り上げた。
二度目の日の出
帰路のギガンテスIIには坂下重工から提供された強力な人型兵器が配備されていた。アキラは再び日の出を見るため屋根に上がり、今回もヒカルを抱えて強風から守った。
ヒカルは監視のために同行した面もあったが、二度目の日の出は前回より余裕を持って楽しんだ。そこへシロウとハーマーズが現れ、シロウは映像では情報量が足りないため直接日の出を見る価値があると話した。ヒカルは同意したが、アキラには私語を控えさせた。
シロウは抱き合う二人をデート中ではないかとからかったものの、ハーマーズに連れ戻された。ヒカルはその言葉を意識してしまい、車内へ戻るまで顔を赤らめていた。
シロウの疑念
部屋へ戻ったシロウは、格納庫ですれ違ったアキラ達について考え続けた。何らかの反応を感じたものの、自分の勘違いなのか、旧領域対応の情報端末などを誤認したのか判断できなかった。
乗員名簿からアキラがクガマヤマ都市のハンター、ヒカルが都市職員だと知ったシロウは、自分への接触目的ではないかという可能性も探った。シロウは現在の恵まれた待遇を捨ててでも果たすべき目的を抱えており、監視役のハーマーズを出し抜く機会を求めていた。
空中走行での出撃
警備時間になると、アキラは新しいバイクで格納庫から直接車外へ出た。両輪が力場装甲の路面を空中に生成し、アキラは高速移動するギガンテスIIの側面へ着地すると、そのまま壁を駆け上がって屋根へ到達した。
その映像を共有していたヒカルは、一連の動きを自殺行為のように感じ、日の出を見る際にバイクを使わなかったことを心底良かったと思った。
不運より強いアキラ
帰路は坂下重工の増援によって戦力が大幅に強化されており、アキラの警備はほとんど暇なまま終わった。
夕食時、ヒカルから往路で遭遇した巣級の巨虫類が本来そこにいるはずのない存在だったと聞き、アキラは自分が予想外の事態に遭遇し過ぎていると落ち込んだ。
ヒカルは、普通のハンターは予想外の事態に一度遭遇すれば死ぬが、アキラは強いため生き残り、次の予想外にも遭遇しているだけではないかと励ました。アキラはその考えを受け入れ、自分が不運なら、その不運より強ければよいと気持ちを立て直した。
雲上の白い人型兵器
翌日、アキラ達の車列は分厚い雲の下を進んでいた。色無しの霧を含む雲は索敵を妨害するが、地上の運行には問題ないと判断されていた。
しかし雲の上では、100機を超える全長約20メートルの白い人型兵器が飛行していた。その部隊は体長100メートルを超えるモンスターすらレーザー砲の一斉射撃で容易く撃破するほどの戦力を持っていた。
それでも白い機体群は既に激しい戦闘の傷を負っていた。極太の光線によって機体が撃ち抜かれ、巨大な刃を備えた黒い円盤状の攻撃端末機に両断される機体も続出した。
白い部隊は敵を振り切るため一斉に雲の中へ降下した。しかし光線と黒い攻撃端末機を放っていた存在も、その後を追って雲海へ下りていった。
第206話 永遠の緊急事態
上空からの未確認機
ギガンテスの警備中、ヒカルから空からの落下物を警戒するよう連絡を受けたアキラは、アルファが真顔で警告したことで即座に臨戦態勢へ入った。やがて雲を突き破って白い大型人型兵器が次々に降下し、それを追って無数の黒い円盤状の攻撃機も現れた。
白い機体と黒い円盤は互いに戦っており、当初はどちらも車列を直接狙っていなかった。そのため警備側も攻撃を躊躇したが、その判断の遅れによって巨大な上空領域のモンスターが車列の真上まで降下してきた。
三つ巴の戦場
白い機体は上空領域のモンスターを車列まで誘導するため、意図的に車列へ接近していた。警備側はその狙いを察し、全ての白い機体を車列から引き離すよう命じた。
アキラも四挺のLEO複合銃で攻撃を始めたが、白い機体の装甲は極めて強固で、一点へ集中射撃しても容易には破れなかった。ようやく装甲を崩したところへ黒い円盤が襲い掛かり、白い機体を両断した。
シルフィードA3での高速戦闘
アキラはシルフィードA3の空中走行能力を使い、白い機体のレーザーを三次元機動で回避しながら接近した。アルファの支援によって四挺の銃を高精度で操り、敵の攻撃を避けながら戦い続けた。
続く敵には、バイクから大量のエネルギー供給を受ける液体金属製のブレードを使用した。対力場装甲効果を持つ刃による一撃は、銃撃に耐えた白い機体の両脚を切断した。
上空領域の砲撃
アキラは脚を失った機体をAFレーザー砲で車列から押し出した。目的は自分で撃破することではなく、上空領域のモンスターに処理させることだった。
直後、上空の浮遊砲台から極太の光線が降り注ぎ、白い機体を一瞬で消滅させた。着弾地点には巨大な破壊が生じ、余波だけで都市間輸送車両を揺らした。別の車両では退避が間に合わず、同じ砲撃を受けて大破した。
まだ多数の白い機体が残っていると知ったアキラは、次の砲撃が車列へ落ちる前に敵を引き離すため、全力で次の標的へ向かった。
シロウによる兵器掌握
一方、格納庫に残っていたヒカルの前にシロウとハーマーズが現れた。ヒカルが警備へ通報しようとすると、その機能は既に停止させられていた。ハーマーズは坂下重工警備部の人間だと身元を明かし、ヒカルを危険な格納庫から退去させた。
シロウは緊急事態への援軍として、輸送中だった最前線向け人型兵器や多脚機、飛行工作機械のセキュリティーを突破し、一斉に起動させて車外へ出撃させた。坂下重工所属の旧領域接続者であるシロウにとって、旧領域を基盤とする現代の認証機能は大きな障害にならなかった。
ハーマーズの一撃
格納庫の外壁が閉じる前に白い機体が突入しようとすると、ハーマーズは一瞬でそこまで移動し、蹴り一発で大型人型兵器を大破させて車外へ吹き飛ばした。
ハーマーズは強化服ではなく、自身の身体能力だけで人型兵器を圧倒する超人だった。その能力を隠すため、シロウに戦闘記録を消させた。
手負いの白い機体
シロウが出撃させた増援も加わる中、アキラは白い機体を次々に攻撃した。四挺のLEO複合銃で片脚や片腕を破壊し、液体金属ブレードで腕や胴体を切断して黒い円盤との連携で撃破していった。
比較的簡単に倒せた機体は、本来弱いのではなく、上空での戦闘によってエネルギーを使い果たしかけた手負いだった。まだ十分なエネルギーを残す機体は、最前線向け人型兵器や多数の黒い円盤を相手にしてなお優勢に戦うほど強力だった。
甘えずに頼る決意
依然として多数の敵が残っていたが、アルファの表情は戦闘開始時の真剣なものから笑顔へ戻っていた。それを見たアキラも恐怖を振り払い、気持ちを立て直した。
アキラは、自分がまだアルファに頼らなければならないほど弱いことを認めながらも、それに甘えてはいけないと考えた。アルファを頼りながらさらに強くなると決意し、バイクで空を駆けて次の白い機体へ突撃した。
第207話 四つ巴
白い機体との消耗戦
車列を襲う白い機体との戦闘は続き、アキラはアルファの支援を受けて何機もの機体を大破に追い込んだ。2号車に配置されていた者とは思えない戦果に周囲のハンター達は驚いたが、アキラ自身も強力な白い機体を単独で圧倒する高ランクハンター達を見て、10号車の戦力との差を改めて実感した。
車列は上空からの砲撃に耐えるため力場装甲へ大量のエネルギーを回した。その結果、通信が遮断され、さらに速度まで低下したことで、これまで振り切っていた地上の強力なモンスター達が周囲から集まり始めた。
四つ巴の大混戦
地上のモンスターが上空領域のモンスターを攻撃したことで、浮遊砲台と黒い円盤も地上の群れを標的に加えた。車列側、白い機体、上空領域のモンスター、地上のモンスターによる四つ巴の戦闘となった。
地上の敵が増えたことで上空から車列が狙われる確率が下がったように見えたが、車列へ接近する巨大モンスターまで浮遊砲台の標的となるため、巻き添えの危険はむしろ増していた。アキラはAFレーザー砲とLEO複合銃を使い、車列への接近を遅らせるよう敵を撃破し続けた。
ヒカルの大量弾薬
アキラが長時間戦い続けられたのは、ヒカルがツェゲルト都市で高価な大容量拡張弾倉を大量に用意していたためだった。行きの戦闘で補給役を務めて怖い思いをしたヒカルが、帰路では補給に出なくて済むよう私情を交えて調達したものだった。
アキラは偶然とは思えないほど都合の良い準備に疑問を抱いたが、アルファはヒカルが事態を予測していたなら最初から車両に乗らなかったはずだと否定した。アキラは自分が予想外の事態に遭遇しやすいという話を思い出し、それなら今回も不運より強いことを証明すると戦い続けた。
巨大甲虫の落下
上空領域のモンスターが攻撃規模を拡大し、浮遊砲台の掃射で地上の巨大モンスター達が爆風に巻き上げられた。その一体である体長150メートルほどの甲虫が車両の屋根へ落下し、生き残った。
甲虫が次の砲撃対象になれば車両まで巻き込まれるため、アキラは最大威力のC弾を浴びせた。しかし巨体には十分な致命傷を与えられず、援護を期待した黒い円盤も白い機体に撃ち落とされていった。
黒い円盤の誘導
アルファは甲虫を処理するため、アキラ自身を黒い円盤の標的にする策を選んだ。アキラは甲虫の背からAFレーザー砲を広範囲に放ち、白い機体と周囲の黒い円盤をまとめて攻撃した。
攻撃自体では倒せなかったものの、黒い円盤は標的をアキラへ変更した。アキラは白い機体のレーザー砲を精密射撃で破壊しながら、大量の円盤を引き付けて甲虫の背を駆け回った。
現実解像度の向上
無数の黒い円盤に囲まれたアキラは極度の体感時間操作に入り、さらに意識上の現実の解像度を大きく高めた。以前から培っていた能力に加え、ツバキから与えられた旧世界製治療薬によって旧領域接続者としての通信能力が改善されていたため、かつてなら長時間昏倒するほどの負荷にも耐えられるようになっていた。
アキラは高速回転する円盤の刃まで正確に認識し、シルフィードA3の立体的な走行と空中の足場を利用して次々に回避した。さらに円盤を蹴って軌道を変え、甲虫へ衝突させることで巨大な外骨格を削らせた。
巨大ブレードの斬り合い
レーザー砲を失った白い機体がレーザーブレードを構えて接近すると、アルファは残っていた液体金属を全て使い、刃渡り10メートルほどのブレードを生成した。
アキラは巨大な光刃を持つ白い機体と高速で斬り合った。渾身の攻撃でも力場装甲を突破できず、反動で肉体にも深刻な損傷を受けたが、強化服と回復薬で戦闘を継続した。黒い円盤も入り乱れる中、ブレードは破損と再生成を繰り返し、徐々に短くなっていった。
甲虫への押し込み
浮遊砲台の次の攻撃が迫る中、アルファは賭けに出た。アキラはバイクで白い機体へ正面から激突し、最大出力の空中走行でその巨体を後方へ押し続けた。
白い機体の攻撃をブレードとAFレーザー砲で防ぎながら、そのまま巨大甲虫の目前まで押し込んだ。甲虫の前脚を銃撃で折ると、開かれた巨大な口へ白い機体ごと突入した。
三者まとめての撃破
甲虫は白い機体を噛み込み、白い機体は口内をブレードで斬り裂いた。そこへアキラを追ってきた黒い円盤も大量に突入し、白い機体を切断した後、甲虫を内部から斬り刻んだ。
白い機体、黒い円盤、巨大甲虫は全て倒れた。アキラも一時アルファとの通信を失ったものの、甲虫の背をブレードで切り開いてバイクと共に脱出した。
車列の離脱
残る白い機体も撃破され、車列は再び速度を上げて地上のモンスター群から離脱を始めた。アキラは残敵を銃撃しながら警備を続けたが、激戦の負荷によってバイク側のLEO複合銃は故障していた。
それでもこれほどの敵を相手に勝利したことに満足したアキラは、ようやく戦闘の終わりを実感した。
ヒカルからの緊急連絡
力場装甲による通信遮断が残っていたため、アキラは車両外壁の損傷箇所を探し、そこからヒカルとの微弱な通信を回復した。
アキラが外の戦闘は一段落したと伝えると、ヒカルは落ち着いた声で今すぐ来てほしいと頼んだ。その声音から危機的な状況を察したアキラは、車外の戦いが終わっても車内では別の問題が続いていることを知った。
第208話 襲撃者
ウダジマの空室
格納庫から戻ったヒカルは、車外の激戦に備えて安全な部屋へ移動するよう指示され、指定先がウダジマのために確保されていた28号室だと知って焦った。しかし利用者はヒカル一人で、ウダジマが帰路の乗車を避けたのだと考えて安堵した。
通信障害でアキラとの連絡も途絶え、ヒカルは上空領域のモンスターが車列を覆う異常事態を見ながら、アキラが今回も不運に勝つことを願って待機した。
偽の避難誘導
車両が激しく揺れた直後、乗務員を装ったエルデが現れ、車両が自走不能になったとして避難を促した。ヒカルは車両側から事前連絡がないことやエルデの僅かな演技を見抜き、ドアを開けず防護扉を閉鎖した。
エルデは蹴りで通常のドアを大破させたものの、防護扉の閉鎖は阻止できなかった。直後、ヒカルには28号室の要人を狙う襲撃犯を殲滅せよという警告が届き、自分が狙われていることを知った。
超人エルデ
エルデは部下を分散させて坂下重工の部隊を引き付け、自身はトルパ、サーザルトと28号室攻略を続行した。車内には特殊な気体が散布され、各所で襲撃部隊と車両側、坂下重工の部隊との激戦が始まった。
エルデ自身は力場装甲にも頼らず、素手の連撃だけで特殊合金製の防護扉を徐々に歪ませた。その身体能力は超人と呼ばれる域に達していた。
ヒカルの時間稼ぎ
追い詰められたヒカルのもとへアキラとの通信が一時的に回復した。ヒカルは28号室にいることを伝え、すぐに来てほしいと頼んだ。アキラが向かうと答えたことで冷静さを取り戻したヒカルは、救援到着まで時間を稼ぐ策を練った。
エルデが扉を破壊して室内へ入ると、金庫室の扉からヒカルのスカートが見えていた。エルデは慎重に扉をこじ開けたが、中にあったのは仕掛けられた服だけだった。さらに寝室にも別の服が見え、ヒカルは所在を誤認させながら時間を稼いでいた。
拡張粒子の車内
一方のアキラは、屋根の亀裂から車内へ入り、アルファの案内で28号室へ急いだ。途中にはハンターや襲撃者、坂下重工の部隊の死体が大量に残されており、車内で大規模な戦闘が起きていたことを知った。
さらに空気中には拡張粒子が散布されており、索敵や通信の精度が低下し、身体にも僅かな抵抗が生じていた。アキラは車外の混乱を利用して内部から襲撃した者達の存在を察し、ヒカルを襲う敵の危険性を警戒した。
トルパとサーザルト
28号室へ迫ったアキラの前に、トルパとサーザルトが立ちはだかった。二人はナイフから光刃を飛ばし、アキラはLEO複合銃で反撃したが、銃弾は数メートル進んだところで急減速した。
拡張粒子によって高速物体に強い抵抗を与える高速フィルターが形成され、銃の射程が極端に短縮されていた。敵側はその環境を利用した戦闘に熟達しており、アキラは光刃を回避しながら接近するしかなかった。
虚実の近接戦
アキラは体感時間と現実解像度の操作を強め、飛来する光刃を銃撃で弱めながら間合いを詰めた。しかしトルパは立体映像の腕と光学迷彩で隠した実体の腕を組み合わせ、初見では見切りにくい攻撃を繰り出した。
サーザルトも自在に変形する腕で旧世界製並みの切れ味を持つナイフを操り、二人は高速フィルターまで利用して至近距離の銃撃を無効化した。アキラはアルファの支援を受けても二対一で互角に戦うのが精一杯だった。
サーザルトの撃破
激戦で傷んだ床を踏んだトルパが僅かに体勢を崩した。アルファは床の状態からその一瞬を事前に予測し、アキラに蹴りを叩き込ませた。
二対一が一瞬だけ一対一になった隙に、アキラはサーザルトのナイフを掻い潜り、頭部と腹部へ銃口を押し付けた。至近距離から大量の銃弾を浴びせ、反撃の余地を残さないようサーザルトを完全に撃破した。
トルパとの死闘
一人になったトルパは勝利を捨て、刺し違える覚悟で副作用によって確実に死ぬ強化薬を使用した。アキラもその覚悟を察し、油断せず迎え撃った。
一秒にも満たない攻防の中、純粋な戦闘経験ではトルパが上回っていたが、死地で死力を尽くす経験ではアキラが僅かに上回っていた。トルパに生じた僅かな高揚が動きを半手遅らせ、冷静さを維持したアキラがその差を突いて至近距離から銃撃し、トルパを撃破した。
28号室への急行
二人を倒したアキラは安堵する間もなく、弾倉とエネルギーパックを交換し、回復薬を大量に服用して次の戦闘に備えた。
装備も肉体も大きく消耗していたが、アキラは再び28号室へ走り出した。ヒカルが生きていれば助け、間に合わなかったとしても仇を討つつもりで、エルデの待つ先へ急いだ。
第209話 超人
ヒカルの隠れ場所
エルデは28号室を隈なく探してもヒカルを見付けられず、最初に調べた金庫室を再確認した。そこにはヒカルが隠れていた。
ヒカルは最初から金庫室に籠もらず、スカートを挟んで囮にし、自身はロッカーに潜んでいた。エルデが寝室へ移った隙にゆっくり金庫室へ入り直したことで、動体探知にも捉えられず時間を稼いでいたのである。
ヒカルの捕縛
遂に発見されたヒカルは、会話を続けて時間を稼ぎながら、自分が狙われる理由を探ろうとした。さらに相手が自分を重要人物と誤認していると察し、その誤解を解けば殺される可能性があると考えて話を合わせた。
しかしエルデは時間稼ぎを見抜き、ヒカルの腕を掴んで連行しようとした。その直後、トルパ達との戦闘を終えたアキラが28号室へ飛び込んできた。
アキラの救援
エルデはアキラが銃撃する意思を見抜き、拡張粒子を利用した蹴りの衝撃を飛ばしてアキラを吹き飛ばした。その隙にヒカルを金庫室へ押し込み、扉を力尽くで閉じて戦闘から隔離した。
アキラはアルファの支援で致命傷を避け、すぐに体勢を立て直した。エルデの攻撃が、銃弾さえ止める高速フィルターを利用しながら遠距離まで衝撃を伝えるものだと知り、その異常な強さを警戒した。
旧領域接続者の誤認
エルデはアキラをヒカルの護衛だと思っていたが、会話から単なるハンターだと理解した。そしてヒカルを坂下重工所属の旧領域接続者だと断言した。
ヒカル自身もその話を否定したが、エルデは確信を崩さなかった。さらにアキラにはヒカルを命懸けで守る義務がないとして、戦わず退くよう提案した。
報酬の上乗せ
金庫室の中で会話を聞いていたヒカルは、アキラが割に合わないと判断して退くことを恐れ、何でもするから助けてほしいと必死に頼んだ。
アキラはもともと見捨てるつもりはなかったが、予想外の強敵と戦う分の報酬を上乗せするよう要求した。ヒカルが承諾したことで、アキラは救出を正式な取引として引き受け、エルデとの戦闘を選んだ。
超人エルデ
エルデは口頭での排除を諦め、最短時間でアキラを殺すため攻撃に移った。アルファはエルデを超人だと告げ、アキラも初めて戦うその存在に気を引き締めた。
両者が一気に間合いを詰めると、アキラの銃撃とエルデの拳が激突した。戦闘開始から一分も経たないうちに28号室の内壁や調度品はほぼ破壊され、金庫室だけが残るほどの激戦となった。
ヒカルの断念
金庫室から戦闘を感じ取ったヒカルは、超人と互角に戦うアキラの攻防を視認することすらできなかった。高ランクハンターを管理するとは、このような圧倒的な武力を暴走させず都市の利益に利用することなのだと理解した。
その現実を目の当たりにしたヒカルは、自分には到底扱えないと痛感し、今回の件が終われば高ランクハンターの管理から手を引くことを決めた。
届かない銃撃
エルデは高速フィルターの抵抗すら全身の力で突き破り、拳や蹴り、掌打の衝撃を遠距離まで飛ばした。アキラはアルファの支援で紙一重の回避を続け、反撃可能な角度から最大威力のC弾を浴びせた。
しかしエルデの負傷は僅かで、回復薬によってすぐに治っていった。AFレーザー砲を直撃させても片手で受け止められ、アキラは圧倒的な実力差を突き付けられた。それでもアルファから攻撃は確実に効いていると告げられ、弱気を振り払って戦い続けた。
超人の拳
エルデは拡張粒子を介した不可視の斬撃でアキラの体勢を崩し、一瞬で間合いを詰めて拳を放った。回避不能と判断したアキラは、LEO複合銃一挺を壊す覚悟で制御限界を超える大量のC弾を拳へ撃ち込んだ。
それでも拳は止まらず、銃を粉砕してアキラに直撃した。銃撃で威力を削ぎ、力場装甲を被弾箇所へ集中させたことで即死は免れたものの、片腕は強化服ごと折れた。
折れないアキラ
アキラは折れた腕を自ら戻し、残ったLEO複合銃とAFレーザー砲を確認した。脱出できないかアルファに尋ねたものの、エルデを残したままヒカルと逃げることは不可能だった。
追撃してこないエルデを警戒しながら、アキラは回復薬が効く時間を稼いだ。大きく消耗してなお、その戦意は折れておらず、超人との戦いを続けるために立ち続けていた。
第210話 名乗る理由
エルデの決死
エルデは、アキラを見抜いたつもりでいながらアルファのサポート込みの強さを測れず、トルパとサーザルトが短時間で倒されたのではなく、強敵を相手に長く時間を稼いだのだと認識を改めた。二人の死を無駄にしないため、エルデは自らの細胞を喰ってエネルギーを生み出す自食作用を開始し、生体力場装甲の出力を命と引き換えに引き上げた。
アルファは、それまでのアキラの戦いが他のハンターの到着を待つための時間稼ぎだったと明かした。しかし強化されたエルデを前に、それすら続けられない状況となり、アキラには更に危険な賭けが必要となった。
アキラとエルデ
死闘を再開する直前、エルデはアキラの名を尋ねた。アキラも名乗り、エルデは部下の名がトルパとサーザルトであると告げた。互いに相手を殺す覚悟を固め、戦闘が始まった。
命を削ったエルデの攻撃は格段に強まり、拳や手刀、蹴りから伝播する衝撃だけで28号室や周囲の車体まで歪ませた。アキラはツェゲルト都市で得た高性能なエネルギーパックと回復薬、さらにアルファによる強化服、体感時間、現実解像度の極限制御によって、致命傷だけを避け続けた。
最後のAFレーザー砲
アキラは反撃すらできないまま逃げ続けたが、アルファは壊れる寸前までAFレーザー砲へエネルギーを注ぎ込んでいた。アキラは、それを最後の一撃として撃つ作戦だと思い込み、唯一の勝機を逃さないよう耐え続けた。
一方のエルデもAFレーザー砲を警戒し、アキラが自分の突撃に合わせて撃つと読んでいた。その警戒が突撃をためらわせたが、アキラが攻撃の余波で体勢を崩したのを見て、遂に勝機と判断して踏み込んだ。
アルファの誘い
アキラの体勢の崩れは、エルデを誘い込むためにアルファが意図して作ったものだった。アキラはLEO複合銃を投げ、爆発と大量の弾丸を目眩ましにしながら、エルデから離れるどころか自ら接近した。
アキラ自身も作戦の全容を知らなかったが、アルファを信じて一切躊躇せず動きを合わせた。そのためAFレーザー砲を撃つと思い込んでいたエルデも、アキラと同じ誤認へ誘導されていた。
光球への拳
アキラは未展開のAFレーザー砲と残ったエネルギーパック入りのバックパックをエルデへ投げた。アルファは安全装置を無視してAFレーザー砲を暴走させ、その爆発をきっかけに複数のエネルギーパックまで連鎖反応させた。
二人が高速で接近したことで圧縮された拡張粒子が、発生した膨大なエネルギーを直径約30センチの光球として一時的に閉じ込めた。光球が崩壊すればアキラも消滅しかねない状況で、アキラとエルデは同時に拳を振るい、その放出方向を奪い合った。
拳の速さではエルデが僅かに上回ったが、制御技術ではアルファが勝った。その結果、膨大なエネルギーはエルデへ集中して放たれた。
エルデの最期
爆発の余波でアキラも焼け焦げたが、強化服の力場装甲によって生き延びた。対するエルデは身体の左半分を失い、自食作用による消耗も重なって致命傷を負った。
エルデは敗北を認め、トルパ、サーザルト、仲間達へ謝罪を残して息絶えた。アキラはアルファから勝利を告げられ、ようやく安堵した。
金庫室のヒカル
アキラは自分がどれほど危険な賭けをしたのかをアルファに尋ねたが、詳しい説明は長くなると言われ、後回しにした。緊張が切れると疲労が一気に押し寄せ、そのまま床で眠ろうとした。
その時、金庫室に閉じ込められたままのヒカルから通信が入った。ヒカルは戦闘を無傷で生き延びていたが、自力では外へ出られなかった。疲れ切ったアキラは後にしてくれとだけ答えて眠り込み、ヒカルの慌てた声は増援のハンター達が到着するまで続いていた。
第211話 激戦の報酬
ハーマーズの勝利
ハーマーズは3号室前まで到達したエルデの部隊を一人で全滅させた。周囲の損傷も軽く、超人として圧倒的な実力を示していたが、本人にも疲労は残っていた。様子を見に来たメルシアを退かせた後、シロウから治療を受けるよう勧められたハーマーズは、護衛を離れる危険を懸念しながらも上司へ相談した。
シロウの臨時護衛
ハーマーズの治療中、シロウは義体者のハンター達を臨時護衛に付け、その義体の管理者権限まで坂下重工の権力で提出させた。ハンター達は強い不満を抱きながらも、相応の報酬を受けて護衛を続けた。
シロウは護衛の一人に仮想現実の娯楽を勧め、拒まれると襲撃時の戦闘記録を送った。その後に仮想の食事まで提供し、男は坂下重工の部隊と襲撃者達の戦闘映像を見ながら、実在しないコーラとハンバーガーを味わっていた。
アキラの治療終了
医務室で目覚めたアキラは、回復薬による治療を受け、既に護衛任務から外されて乗客扱いとなっていた。ヒカルは命を救われた礼を述べ、エルデとの戦闘前に何でもすると約束した報酬について話し始めた。
アキラは金銭ではなく、今後の装備調達で可能な限り高性能な品を用意し、できれば最前線向けの装備を手配してほしいと頼んだ。今回の戦いで現在の装備でもエルデとの力の差を埋め切れないと感じていたためである。ヒカルは実現の難しさを理解しながらも、出来る限り尽力すると約束した。
不運を巡る笑い
アキラとヒカルは、今回の異常事態がどちらの不運だったのかを笑って言い合った。やがてギガンテスはクガマヤマ都市へ帰還し、ヒカルは当分防壁の外へ出たくないと話してアキラと別れた。
都市間輸送車両の護衛依頼はそこで完了した。しかしアキラの後を追うように、フードを被ったシロウも防壁の外へ出て下位区画へ姿を消していた。
シロウの脱走
治療を終えたハーマーズが3号室へ戻ると、臨時護衛のハンター達は任務完了を告げられ、シロウから義体の管理者権限を返された。だがハーマーズは、ソファーに見えていたシロウが拡張現実にすぎないと見抜いた。
直後、シロウは外にいる人型兵器から通信を送り、少し出掛けてくると告げて逃走した。激怒したハーマーズは車両の壁を突き破って追跡し、ついには機体へ追い付いたが、操縦席は無人だった。
シロウは、格納庫の機体を出撃させた時点から操作権を確保し、義体者の護衛を選んだのも拡張現実で自身の姿を偽装するためだった。さらにハーマーズを治療へ向かわせ、最後には無人機を追わせることで、自分の気配を察知できない距離まで遠ざけていた。
束の間の自由
脱走を悟ったハーマーズは坂下重工へ緊急連絡を入れ、クガマヤマ都市周辺に捜索網が敷かれた。しかしシロウは発見されなかった。
シロウは下位区画の安宿に潜み、長期間逃げ切れるとは考えず、この短い自由の間に何をすべきか必死に考えていた。坂下重工所属の旧領域接続者という立場を捨ててでも成し遂げたい目的のため、この機会を逃すつもりはなかった。
改装された浴室
自宅へ戻ったアキラは、依頼中に改装された浴室へ入った。以前とは別物になった浴室と贅沢な湯を全身で味わい、死闘で溜まった疲労を癒やした。
入浴後、アキラはそのまま寝室へ向かい、ベッドに倒れ込むように眠りについた。目覚めた後もハンター稼業を続け、不運と死闘を乗り越えて得たものを、次の戦いへ注ぎ込んでいくつもりであった。アルファも、自身の依頼が完遂されるまで、それを止めることはなかった。
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