リビルドワールド III(3)〈上〉レビュー
リビルドワールド全巻まとめ
リビルドワールド IV (4)レビュー
どんな本?
リビルドワールドは、ナフセ氏によるライトノベルで、2017年2月から日本の小説投稿サイト「カクヨム」や「小説家になろう」での連載が開始されている。
2023年7月の時点で、累計発行部数は75万部を超えている。
物語は、高度な科学文明の旧世界が滅んでから長い時間が流れた時代が舞台。
その旧世界の遺跡には現在では再現不可能な先進技術の遺物があり、これらのアイテムは高価で取引されている。
しかし、その遺跡には旧世界からの危険な自律兵器、モンスターが徘徊しており、遺物を回収しに来る者たち、ハンターと呼ばれる人々は、命をかけてこれらの遺物を求めている。
物語の中心には、クガマヤマのスラム地区で生きる若いハンター、アキラがおり。
彼は装備が不十分な中、危険な遺跡での探索を始めるが、途中で諦めかけていた時、突如として現れた美しい女性、アルファと出会う。
彼女はアキラに、彼女の目的を果たす手助けをする代わりに、一流のハンターへと育て上げるという取引を提案。
アキラは彼女の提案を受け入れ、アルファが持つ先進技術の知識やサポートを受け取りながら、数々の危険を乗り越えて成長していく。
この物語は、綾村切人による漫画版として『電撃マオウ』 (KADOKAWA) で2019年9月から連載が始まり。
そして、2023年7月にはテレビアニメ化の発表もあった。
最初にこの本と出会ったのは、Amazonの日替わりセールで1巻が販売されており興味を引かれて購入。
読んでみるとマッドマックスのような世界観での遺跡探索の物語。
設定やキャラクターたちが魅力的で面白く。
続きのこの巻も購入して読む。
読んだ本のタイトル
リビルドワールド III〈下〉 賞金首討伐の誘い
著者:ナフセ 氏
イラスト:わいっしゅ 氏
出版社:KADOKAWA(電撃の新文芸)
発売日:2019年9月17日
ISBN:9784049130706
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あらすじ・内容
超大型モンスターの連続討伐ミッション! 加速するハイスピード・バトル!
アキラが発見したヨノズカ駅遺跡の奥から現れた超大型のモンスター達――過合成スネーク、タンクランチュラ、多連装砲マイマイ、そしてビッグウォーカーは、その余りの強さにハンターオフィスから賞金首に認定される。
リビルドワールドIII〈下〉 賞金首討伐の誘い
規格外モンスターの討伐のため、集結する精鋭ハンター達。その中にはアキラ、そしてカツヤの姿もあった!
書籍版オリジナル展開で贈る、大規模モンスター連続討伐ミッション! 書き下ろしエピソード「運の問題」も収録!!
感想
ヨノズカ駅遺跡での騒動は、まだ終わっていなかった。
遺跡から流れ出したモンスターたちは周辺の環境で成長し、過合成スネーク、タンクランチュラ、多連装砲マイマイ、ビッグウォーカーという規格外の個体へと変化する。
しかも討伐に向かったハンターたちまで返り討ちに遭い、賞金は最低でも6億オーラム、最高では13億オーラムまで高騰。
アキラも最初は、
「誰か強いハンターが倒してくれないかな」
と遠出を控えていた。
ところが結局、自分も賞金首討伐に参加することになる。
今回は派手な大型モンスターとの戦闘も面白かったが、それ以上に印象に残ったのはアキラの成長と、カツヤの周囲で起きている妙な現象だった。
ハンターランク27のトガミ、ランク2のアキラにマウントを取る
賞金首討伐でアキラと組まされたのが、ドランカムの若手ハンターであるトガミだった。
同じスラム出身で、ハンターランクは27。
対するアキラはランク2。
数字だけを見れば、そりゃトガミが自分の方が上だと思うのも分からなくはない。
実際、トガミは一人でモンスターの群れを倒せるくらいには強い。
そして得意げに戻ってくるのだが、アキラはほぼ無反応。
褒めるでも驚くでもなく、
「早く乗らないと置いていかれるぞ」
くらいの反応である。
トガミからしたら腹が立つだろうなw
ところが、その後で立場が逆転する。
走っている車の上から、アキラが遠距離にいる大型モンスターの弱点を一発で撃ち抜いてしまう。
それを横で見ていたトガミは、自分にはできないと理解してしまう。
さらにタンクランチュラ戦では、激しく動き回る車の上でアキラが普通に戦っている横で、トガミは振り落とされないようにするだけで精一杯。
最後には本当に車外へ飛ばされ、アキラに救出されてシカラベの車へ投げ込まれてしまう。
最初は完全にマウンティングしていたのに、終わってみれば自分が足手まといになっている。
トガミには悪いが、この流れはかなり面白かった。
ただ、アキラ自身はトガミを見下しているわけでもない。
自分の射撃もアルファの補助があってこそだと分かっている。
だから周囲からどれだけ高く評価されても、本人だけは相変わらず自分をそれほど強いとは思っていない。
この自己評価と周囲からの評価のズレが、だんだん大きくなってきた。
賞金首は強い。でも、それを倒すハンターたちもおかしい
タンクランチュラ戦は、かなり酷い。
巨大な蜘蛛に砲塔や大砲、無限軌道まで付いているだけでも十分なのに、大量の子蜘蛛まで腹から出してくる。
さらに子蜘蛛を倒したと思ったら、今度はその中から小さな蜘蛛まで出てくる。
何重構造なんだよ。
しかも倒された子蜘蛛を親が食べて回復まで始める。
アキラたちは大量のロケット弾と弾薬を投入して、ようやく8億オーラムの賞金首を撃破する。
一方、多連装砲マイマイ戦ではクロサワが大量の経費を使い、安全を徹底して攻略する。
こちらはアキラが拍子抜けするほど危なげなく終わった。
タンクランチュラではギリギリまで戦う。
多連装砲マイマイでは金を使って危険そのものを減らす。
同じ賞金首討伐なのに、戦い方がまったく違うのが興味深い。
そしてアルファから、
もっと東なら、この程度のモンスターも、それを簡単に倒すハンターも珍しくない。
と聞かされる。
アキラが思った、
「世界は広いなぁ……」
という感覚はよく分かる。
ここまで強くなっても、まだ入口付近らしい。
相変わらず先が長い。
アルファがいない。それでもアキラは過合成スネークを倒した
今回、一番アキラの成長を感じたのは過合成スネーク戦だった。
巨大化した過合成スネークとの戦いで、アキラは車ごと飲み込まれてしまう。
そして体内に入った瞬間、
アルファとの接続が切れる。
今までなら最悪の状況である。
索敵。
射撃補正。
強化服の操作。
車両操作。
戦況判断。
アキラの異常な戦闘力は、アルファのサポートによって成立している部分が大きい。
本人もそれを誰より理解している。
そのアルファがいない。
しかも消化液で車も強化服も壊されていく。
かなり絶望的な状況なのだが、アキラはそこで諦めなかった。
回復薬を使いながらミニガンを撃ち、対物突撃銃まで利用する。
さらには銃の反動まで車を進ませる力にして、過合成スネークの体内を内側から破壊していく。
そして本当に一人で倒してしまった。
これはかなり大きい。
もちろん、
「もうアルファはいらない」
という話ではない。
実際にアルファが戻った後、アキラ自身も普段のサポートへ改めて感謝している。
でも、
アルファがいなければ何もできない少年ではなくなっている。
そのことがはっきり分かった。
アルファ自身も、接続を失ったアキラが生還する確率をかなり低く見積もっていた。
つまりアキラは、アルファの予想まで超えて生き残ったことになる。
少しずつ補助輪が外れてきたように感じた。
カツヤの強さは、やっぱり何かがおかしい
その一方で、かなり不気味なのがカツヤである。
本人は仲間思いで、仲間を助けるために強くなろうとしている。
そこは変わっていない。
しかし、カツヤの周囲では以前から妙なことが起こっている。
一人になると異常なほど戦闘能力が上がる。
なぜか周囲の人間がカツヤを高く評価する。
カツヤの望むことを、言葉にしなくても周囲が察するようになっていく。
そして白い空間には、アルファによく似た少女が存在している。
今回、その少女とアルファが互いの「試行」について話している場面まで描かれた。
少女側はカツヤと周囲との人間関係を深め、そこから誘導を強めようとしている。
さらにアルファ側もカツヤに対するアキラの認識へ干渉していたことが示される。
ここまで来ると、
アキラとアルファ。
カツヤと謎の少女。
この二組はかなり似ている。
でも関係は全然違うように見える。
アキラはアルファに助けられながらも、自分で考え、自分で決め、自分だけでも戦えるようになろうとしている。
対するカツヤは強くなればなるほど、自分でも知らないところから周囲へ影響が広がっている。
本人に悪意がないだけに、こちらの方が怖い。
今回の賞金首たちも十分化け物だった。
だが読後に一番気になったのは、モンスターではなくこちらだった。
巻末の「運の問題」も含めて考えると、アキラは自分の強さを「運が良かっただけ」と考えるところがある。
実際には訓練し、何度も死にかけ、アルファの補助が無い状況でも戦えるところまで来ている。
それでも本人は、まだ自分を強者だとは思っていない。
一方のカツヤは周囲からどんどん持ち上げられ、自分の知らない力まで働いている。
似たように特殊な存在に助けられている二人なのに、進んでいる方向は少しずつ離れている。
賞金首討伐という派手な巻だったが、本当に気になったのはそこだった。
アキラはアルファなしでも一歩を踏み出し始めた。
では、カツヤはあの少女の影響から離れられるのか。
この二人がどこで本格的に交差するのか、かなり気になるところである。
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リビルドワールド III(3)〈上〉レビュー
リビルドワールド全巻まとめ
リビルドワールド IV (4)レビュー
考察・解説
ヨノズカ駅遺跡
ヨノズカ駅遺跡が残した爪痕と周辺環境の変化
前巻でアキラたちに未発見遺跡の発見と大富豪への足がかりという輝かしい冒険譚をもたらしたヨノズカ駅遺跡は、周辺のすべてを巻き込んでインフレと混沌を引き起こす巨大な厄災の震源地としてその恐るべき牙を剥くことになった。この遺跡が引き起こした余波は登場人物たちの運命を決定的に変え、物語のスケールを破滅的な次元へと押し上げた。生態系の崩壊と4大賞金首の誕生、ハンターたちの経済格差のインフレ、ドランカムの英雄カツヤという呪縛の肥大化、およびアルファともう一人の少女の競合という深淵の真実の各点から解説する。
生態系の崩壊と「4大賞金首」の誕生
ヨノズカ駅遺跡における最大かつ最悪の爪痕は、遺跡の再起動と大乱戦によって人間の死体や大破した車両という天文学的な量の餌が荒野に供給されたことである。
・本来ならば生息地で淘汰されるはずのモンスターたちが、この高価な残骸や強力な旧世界製装備、金属類を貪り食うことで、通常の進化を大きく逸脱した変異種として急激に巨大化・自己改造を遂げた。
・これにより、ハンターオフィスが無視できないレベルの脅威として「4大賞金首」が認定されるに至る。
・タンクランチュラ(賞金:8億オーラム):ヨノズカ駅遺跡で変異し、討伐に来たハンターを車両や装備ごと喰らい続けて家一軒ほどの蜘蛛型へと巨大化した怪物。
・多連装砲マイマイ(賞金:15億オーラム):遺跡のエネルギーを吸って超長距離レーザー砲を放ち、輸送経路を麻痺させた巨大なカタツムリ型。
・過合成スネーク(賞金:20億オーラム):ヨノズカ駅遺跡の最深部から現れ、モンスターを飲み込みながら成長を続けた、超高層ビル並みの全長を誇る大蛇。
・ビッグウォーカー(賞金:30億オーラム):最後に残った、天文学的な懸賞金がかけられた巨大機械系モンスター。
・ヨノズカ駅遺跡という大当たりの代償は、荒野全体の危険度をインフレさせ、アキラたちが気軽に遠出できないほどの地獄を生み出す結果となった。
ハンターたちの「経済格差」のインフレ
この遺跡から得られた利益と、その後に発生した事件の後処理は、アキラと周囲のハンターたちの経済状況を極端な二極化へと導いた。
・アキラは、ヨノズカ駅遺跡で持ち帰った遺物の分配分をカツラギに1200万オーラムで売却し、その場で1箱200万オーラムの高性能回復薬を5箱(1000万オーラム)も平然と購入するほどの財力を手に入れた。
・さらに、過合成スネーク戦での多大な活躍を盾に、キバヤシがドランカムの幹部ミズハを脅しつけて1億オーラムの追加報酬を毟り取ったことで、アキラは「テロス9式」や「ER2US」といった、さらに一段上のエリート装備へと買い替える原資を獲得した。
・その一方で、ヨノズカ駅遺跡の初日の混乱時にアキラに救助されたレビンたちは、5000万オーラムもの緊急護衛代という天文学的な負債を抱え、困窮する。
・結果としてカツラギにその負債の弱みを握られ、実力に見合わない荒野での移動店舗の危険な護衛として安く買い叩かれるなど、過酷な格差の現実に叩き落とされた。
ドランカムの「英雄カツヤ」という呪縛の肥大化
ヨノズカ駅遺跡での独占工作の失敗(若手部隊の壊滅的な損害)は、ドランカムの内部に致命的な亀裂と狂気をもたらした。
・隊長であったカツヤは、自分が仲間を救えなかった深い後悔とサバイバーズ・ギルトに苛まれ、起きている時ですら死んだ仲間の幻覚(非難する視線)を見るほど精神を病んでいく。
・しかし、若手たちの間でカツヤを救世主として盲信する狂信的なグループ(リリーなど)は、ヨノズカ駅遺跡でのカツヤの死闘を「カツヤが自力で全員を救った」と歪めて評価していた。
・この「ヨノズカ駅遺跡でカツヤは正しかった。だから外部の補助要員など不要だ」という歪んだ実績が前例となり、過合成スネーク戦でのリリーたちの無謀なスタンドプレー(命令無視と至近距離主砲射撃)を引き起こし、結果としてさらなる死者を出す凄惨な結末へと繋がった。
深淵の真実:アルファと「もう一人の少女」の競合
アキラがヨノズカ駅遺跡の地盤陥没地帯でカツヤと息の合った気味の悪い精密な共闘を見せ、過合成スネーク戦ではカツヤに不自然なまでの激しいいらだちを覚えたことの裏で、旧世界のシステムたちの恐るべき介入が行われていたことが白い世界での対話で明かされる。
・アルファと、カツヤを脳内誘導するもう一人の少女は、ヨノズカ駅遺跡での遭遇戦の際、アキラにカツヤの実力を正しく認識させるため、アキラの評価フィルターの部分解除を行っていた。
・しかし、その制御のせいでシステムのリソースが急激に消費され、アキラが一時的にアルファのサポートを失い死にかけるという致命的なエラーが発生したため、二人の管理人格は白い世界で直接対峙し、互いの試行を強制終了させることも辞さない冷徹な牽制と調整を行っていた。
・ヨノズカ駅遺跡とは、ただのハンターたちが宝を求めて集まった場所ではなく、旧世界の超高次元システムが、アキラとカツヤというそれぞれの試行を競わせ、衝突させるための冷酷な実験場に過ぎなかったのである。
まとめ
ヨノズカ駅遺跡が残した爪痕と周辺環境の変化を巡る一連の全貌は、死体や大破車両の供給に起因する4大賞金首(タンクランチュラ、多連装砲マイマイ、過合成スネーク、ビッグウォーカー)の誕生から始まり、1億オーラムの追加報酬で装備を強化するアキラと負債により安く買い叩かれるレビンたちの極端な経済格差、カツヤのサバイバーズ・ギルト深化と信奉者による無謀なスタンドプレー誘発、そして評価フィルター部分解除に伴うシステムエラーとアルファ・少女間の冷徹な牽制・調整に至るまで、その歩みを明瞭に示している。
荒野の過酷な環境変化や旧世界システムの思惑という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を自らの選択と確固たる意志によって完璧に確立するに至る、生存の執念と真の実力者への飛躍の記録である。遺跡の変容から、賞金首の出現、経済の二極化、呪縛の増幅、そして旧世界システム対立の露呈へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。
賞金首討伐
賞金首討伐戦の全貌と連続戦闘の軌跡
『リビルドワールド III〈下〉 賞金首討伐の誘い』における賞金首討伐は、物語前半でアキラが直面した最大の連続戦闘ミッションである。ヨノズカ駅遺跡の発見から始まった一連の騒動の余波として、クガマヤマ都市近郊の荒野を揺るがす4つの大災害が発生し、ハンターオフィスや流通業者によって莫大な懸賞金がかけられる事態となった。賞金首誕生の背景、タンクランチュラ討伐戦、多連装砲マイマイ討伐戦、過合成スネーク討伐戦、カツヤとアキラの囮連携、過合成スネーク本体の単独体内撃破、および討伐後の影響と報酬の結末の各点から解説する。
賞金首誕生の背景とインフレの構造
ヨノズカ駅遺跡の再起動や大乱戦により、荒野にはハンターの死体や大破した車両、高価な旧世界製装備といった天文学的な餌が供給された。
・これを貪り食ったモンスターたちが、通常の進化を逸脱した変異種として自己改造を遂げたのが4大賞金首である。
・当初は過合成スネーク(5億オーラム)、タンクランチュラ(1億オーラム)、多連装砲マイマイ(1億オーラム)、ビッグウォーカー(4億オーラム)という賞金額であった。
・しかし、功績や一獲千金を狙って挑んだハンターたちが返り討ちに遭うたび、モンスターたちは彼らの車両や装備を捕食してさらに強大化し、懸賞金も急激に高騰していった。
タンクランチュラ討伐戦:アキラと古参チームの「囮・連携戦」
ドランカムの古参ハンターであるシカラベは、組織内での権力争いを有利に進めるため、ハンターオフィスを介さない非公式の契約でアキラを火力要員として雇用した。
・B班(反カツヤ派)の若手であるトガミに討伐実績(箔)を付ける目的で、彼をアキラの車に同乗させた。
・モンスターの特徴:3階建ての家ほどもある巨大な蜘蛛型で、全身を覆う頑丈な外骨格、16本の脚、4門の大砲を載せた砲塔、下部のタイヤや無限軌道を備えている。
・作戦と激闘:アキラとネルゴが囮として超近距離で激しい砲撃を引き付ける間、ヤマノベが粘着性のマーキング装置を撃ち込み、パルガが自動擲弾銃で大量の情報収集妨害煙幕を浴びせて親蜘蛛の索敵を完全に遮断した。
・不測の事態と決着:視界を補正した味方の一斉ロケット弾射撃で親蜘蛛を大破させるが、割れた腹部から大量の小型タンクランチュラ(子蜘蛛)が湧き出した。アキラは車外に放り出されたトガミを救出して運転に回し、ネルゴやシカラベたちと協力して群れを減らし、2度目の一斉射撃で完全に撃破した。
多連装砲マイマイ討伐戦:クロサワの「安全第一・物量戦」
タンクランチュラ戦で弾薬を消費し尽くしたシカラベたちは単独での連戦を断念し、すでに多連装砲マイマイと交戦中だった実力者クロサワの部隊に非公式の追加要員として合流した。
・モンスターの特徴:2階建ての家屋ほどの巨大なカタツムリ型で、殻から生やした無数の砲のほか、高層ビルに貼り付いてエネルギーを吸収し、地表を融解させるレーザー主砲から高エネルギー光線を放つ。
・作戦と決着:安全を徹底的に重視する指揮官クロサワは、事前の情報分析を基に対策を練り、実弾砲を集中攻撃で確実に潰した上で、対エネルギー防御を固めた部隊を投入した。防御装備のないアキラたちは、戦闘の騒音に惹かれて寄ってくる周辺モンスターを排除して通路を保持する安全な役割を任された。クロサワは約10億オーラムもの莫大な経費をかけて物量で敵を押し潰し、死者や重傷者を一切出さずにマイマイを撃破した。
過合成スネーク討伐戦:カツヤ主力部隊の葛藤と自滅
20億オーラムの賞金首となった過合成スネークの討伐には、ドランカム事務派閥の後押しを受けたカツヤ率いる若手ハンター部隊が主力として投入され、エレナ、サラ、そしてアキラが補助要員として同行した。
・モンスターの特徴:超高層ビル並みの太さと全長を持つ生物系の巨大な大蛇で、凄まじい生命力と再生能力を誇る。
・命令無視による崩壊:本来は射程外から安全に削り殺す作戦であったが、カツヤを盲信する若手ハンターのリリーが補助要員の同行に反発し、命令を無視して突撃。多連装砲マイマイから回収した主砲を至近距離から撃ち込み、過合成スネークの胴体を千切る大戦果を上げた。
・最悪の惨劇:しかし、過合成スネークは千切られた自身の尾を自ら食らうことで活動を再開。死に体だと誤認して一斉に距離を詰めた若手ハンターたちに対し、殻を破って無傷で直立した大蛇の巨体が倒れ込み、その圧倒的な大質量でリリーを含む多数の若手と車両が一撃で押し潰され、壊滅する大惨事となった。
カツヤとアキラの「奇跡の囮連携」と決着
壊滅した仲間たちの救助時間を稼ぐため、カツヤは単身バイクで大蛇を引き付けるが、モンスターの砲撃でバイクごと空中へ吹き飛ばされた。
・エレナたちの立場を案じたアキラが車で急行し、カツヤを空中で掴んで車内へ救出した。
・二人は激しい不快感と苛立ちをぶつけ合い、いがみ合いながらも、同じ車両の上で驚くほど噛み合った超高効率の連携銃撃を披露し、過合成スネークの注意を引き付け続けた。
・一方、大破した装甲車に残り、無事だった主砲を再起動させたユミナは、カツヤたちに敵を射線上へ誘導するよう指示した。アキラとカツヤが過合成スネークを射線へ乗せ、最高速で主砲の後方へ脱出した瞬間、ジェネレーターの大破と引き換えに放たれた巨大な光の奔流が大蛇の頭部を完全に消失させ、過合成スネークの撃破に成功した。
深淵の真実:過合成スネーク「本体」の単独体内撃破
過合成スネーク討伐から10日後、最後の賞金首ビッグウォーカー(30億オーラム)の討伐作戦の裏を突き、安全な場所で遺跡探索を再開していたアキラの前に、過合成スネークの真の本体が姿を現した。
・カツヤたちの主砲の一撃を受けた大蛇は、勝ち目がないと判断して外装を捨て、本体を地中に潜らせて逃亡させていた。
・アキラは急襲を受け、車ごと丸呑みにされてしまう。完全な暗闇の中で、アキラは決死の覚悟で高らかに笑ってみせた。
・彼は自力の体感時間操作と、限界まで出力を引き上げた強化服パワードサイレンス、回復薬の過剰摂取による肉体強補正を駆使し、大蛇の体内からCWH対物突撃銃とDVTSミニガンを縦横無尽に乱射した。
・胃袋から肉壁を強引に削り、発砲の反動で大破寸前の車を押し出すように進め、ついに過合成スネーク本体を内側からぶち破って単独で完全撃破した。
まとめ
賞金首討伐戦の全貌と連続戦闘の軌跡を巡る一連の全貌は、餌の供給に起因する変異種モンスターの巨大化と懸賞金高騰から始まり、シカラベチームでの煙幕遮断・子蜘蛛群撃滅、クロサワ部隊による10億オーラム投入の無被害マイマイ撃破、リリーの命令無視突撃と大蛇圧破による若手部隊壊滅、アキラとカツヤの車上奇跡的連携と主砲射撃による過合成スネーク撃破、そして呑み込まれた車内からの体感時間操作・全火線乱射による本体内側破砕撃滅、さらには1億オーラム追加報酬とテロス9式獲得に至るまで、その歩みを明瞭に示している。
巨大な厄災や組織の不祥事という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を自らの選択と確固たる意志によって完璧に確立するに至る、圧倒的火力獲得と生命の窮地における覚醒の記録である。
賞金首の出現から、連戦の踏破、破滅の回避、本体の撃滅、そして強者ハンターとしての確立へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。
ドランカム派閥争い
ドランカム内部の派閥抗争と政治工作の全貌
巨大ハンター徒党「ドランカム」における派閥争い(派閥抗争)は、組織の急激な規模拡大と都市との結びつき強化に伴って生じた深刻な権力闘争と利害対立の歴史である。この抗争は、荒野で命を賭けて戦うハンター本来のあり方から遠く離れ、実績の偽装、他派閥の妨害、広報用プロパガンダの維持といった社内政治に終始しており、アキラやカツヤたちの運命を大きく翻弄する要因となっている。ドランカムを三分する主要派閥の対立、若手内部におけるA班とB班の不平等な格差、賞金首討伐の功績を巡る小細工の応酬、派閥争いが招いた最悪の悲劇と外敵の侵入、およびキバヤシによる強請りとプロパガンダ維持の結末の各点から解説する。
ドランカムを三分する主要派閥の対立
徒党の規模が桁違いに増えたドランカムの内部には、主に以下の3つの派閥が形成され、互いに協力と反目を繰り返している。
・古参派閥:徒党結成当初からの実力派ハンターを多く抱える勢力である。安全な都市から一歩も出ずに弾薬や回復薬の消耗量に文句をつけてくる事務派閥を嫌っている。また、実力や経験が伴わないまま手厚い支援を受けている若手ハンターを基本的には装備が良いだけの素人と見下している。
・若手派閥(カツヤ派など):若手ハンターを中心に構成される。自分たちを未熟者と見下す古参を嫌っているが、自分たちの装備代が古参の稼ぎから出ているという現実を知って態度を改める者もいる。
・事務派閥(ミズハなど):ハンター歴のない純粋な事務員が大半を占めるが元ハンターも属し、組織の経理や運営の主導権を握って台頭してきた。自分たちの影響力(実権)を確固たるものにするため、自分たちにとって都合の良い若手(カツヤ派)を積極的に育成・贔屓し、ドランカムの新たな看板に据えようと画策している。
若手内部における「A班」と「B班」の不平等な格差
事務派閥の思惑は、若手ハンターたちの内部にも決定的な対立を生み出した。
・事務派閥が贔屓するA班:保護者の死亡等による困窮からハンターとなったが、盗まず、騙さず、殺さないという防壁内の倫理を備えた比較的真っ当な出身者が集められている。そのトップであるカツヤは、富裕層などの善良な支援者から多額の支援(融資)を引き出すための完璧な広告塔として祭り上げられた。
・冷遇されるスラム出身のB班:スラム街などの貧困地区出身の若手であり、扱いが非常に悪い。この不平等な扱いに反発する一部の古参ハンターたちが、B班の実力者であるトガミをカツヤ(A班・事務派閥)に対抗できる期待の星として擁立し、実績を付けさせるために今回の賞金首討伐戦へと送り込むことになった。
賞金首討伐の功績を巡る「下らない小細工」の応酬
派閥争いに勝つため、各勢力は4大賞金首の討伐実績を自分たちだけで独占しようと暗躍した。これがクロサワやシカラベの言う下らない小細工の正体である。
・古参(シカラベたち)の非公式依頼:手続きを通すと中立を装う外部交渉担当を介して全派閥に情報が流れてしまうため、シカラベたちはハンターオフィスを通さない個人的な契約でアキラやネルゴといった非公式の追加実力者を雇用した。表向きはドランカム所属の4人(古参3人とトガミ)だけで倒したことにしつつ、実際には1億6000万オーラムの依頼履歴を持つ実力者(アキラ)を隠し玉の囮として使い、確実に討伐を成し遂げるための小細工であった。
・ミズハ(事務派閥)の過合成スネーク討伐部隊:先のヨノズカ駅遺跡の先行占拠失敗という、自派閥主導の不祥事・失態を挽回するため、ミズハはカツヤを隊長とする大規模な討伐部隊を編成した。しかし、若手だけの戦闘力に不安があるため、外部の補助要員(エレナ、サラ、そしてそこに個人的に同行したアキラ)を正式に雇用した。この契約は、部隊の生存率で補助要員の報酬が変動する形式にして実質的に若手の子守り・護衛をさせつつ、公式の討伐記録には補助要員の活躍を残さずカツヤたちの手柄に書き換えるための工作であった。
派閥争いが招いた最悪の悲劇と外敵の侵入
ドランカム内部の面子保持と誘導は、結果として、取り返しのつかない大損害と不穏な影を組織に招くことになった。
・功績を焦った若手の自滅:補助要員の同行をカツヤたちの実力が信用されていない証拠と憤る若手のリリーに対し、ミズハは戦いで実力を見せユミナやアイリを抜いてカツヤに実力を認めさせる好機だと耳元で囁き、彼女の功績への焦りを煽った。ミズハから過合成スネーク戦で強力なマイマイの主砲という特別装備を与えられたリリーは、功績を独占しようと作戦中に無謀な接近・攻撃を強行した。命令無視のスタンドプレーの結果、大蛇の押し潰し攻撃を受けてリリーを含む多数の若手ハンターが戦死し、部隊が壊滅する最悪の惨劇を引き起こした。
・テロリスト「ネルゴ(ケイン)」の潜入:この深刻な派閥の軋轢は、外敵にとっても絶好の侵入経路となった。かつてアキラと死闘を繰り広げた遺物強奪犯のケインは、全身サイボーグのハンター「ネルゴ」としてドランカムへ接近した。ビッグウォーカー戦において、意図的に危機を演出してカツヤに救助させる自作自演の工作を施すことで、ミズハやカツヤ派の信頼を難なく勝ち取り、ドランカム内部への潜入を成功させた。
キバヤシによる強請りとプロパガンダの維持による決着
過合成スネーク討伐後、アキラがスネークの真の本体をたった一人で単独撃破した事実が判明する。
・これが公表されれば、カツヤたちが得たはずの20億オーラムの賞金首を倒した英雄としての箔(プロパガンダ)はすべてアキラに奪われ、アキラが再びカツヤたちを救ったという噂が広まることになる。
・事務派閥のミズハはこの決定的な破滅(カツヤの看板崩壊)を恐れるあまり、交渉の席に乱入してきた都市職員キバヤシのアキラの戦歴の買い取り(口止め料)の脅迫に全面降伏せざるを得なくなった。
・結果として、アキラへ直接金を払うのは立場上不味いため、エレナたちへの追加報酬(アキラの契約外の危険な囮役に対する追加支払い)という名目で、ドランカム側が1億オーラムという破格の金額を肩代わりして支払うことで、報酬の再交渉は電撃的に決着した。
まとめ
ドランカム内部の派閥抗争と政治工作を巡る一連の全貌は、古参派・若手派(カツヤ派)・事務派(ミズハ)の三分対立とA班・B班の階層格差から始まり、賞金首討伐実績の独占を狙う古参の裏契約と事務派の功績改ざん工作、ミズハの煽りによるリリーの無謀射撃と若手部隊の崩壊、テロリスト・ケイン(ネルゴ)の自作自演潜入、そしてアキラの過合成スネーク本体単独撃破の露呈リスクに対するキバヤシの強請りとドランカムによる1億オーラムの肩代わり決着に至るまで、その歩みを明瞭に示している。
虚飾の看板や組織の私利私欲という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を自らの選択と確固たる意志によって完璧に確立するに至る、醜い社内政治の実態と圧倒的実利獲得の記録である。
派閥の対立から、小細工の応酬、惨劇の引き起こし、プロパガンダの維持、そして1億オーラムでの口止め決着へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。
過合成スネーク
賞金首「過合成スネーク」との死闘とアキラの覚醒の全貌
『リビルドワールド III〈下〉 賞金首討伐の誘い』にて描かれる過合成スネークは、ヨノズカ駅遺跡の狂乱の集大成であり、物語前半における最大級の障害として主人公アキラの前に立ちはだかった。その不気味な生態から、ドランカム部隊との激闘、カツヤとの囮連携、そしてアルファとの接続を絶たれた極限状態における単独撃破に至るまでの全貌について解説する。
出自と驚異的な変異・自己改造
過合成スネークは、元々は遺跡周辺に棲息する蛇型のモンスターであった。ヨノズカ駅遺跡の再起動や激戦によって荒野へ供給された天文学的な量の死骸、人間、大破車両、高価な旧世界製装備、金属類を貪り食うことで急激な変異を遂げた。
・合食再構築類(食再構築類)の一種であり、暴食ワニと同様の特質を持つ。
・遺跡内では胴体直径5メートル以上であったが、地上へ現れたことで物理的制限がなくなり、体型を変形させてサイズを倍増させた。
・鱗には爬虫類の鱗、肉食獣の毛皮、昆虫の甲殻、車両の装甲など、捕食したあらゆる生物や機械の特徴がモザイク状に映し出されている。
・巨体を維持する莫大な餌となるモンスターの群れを引き寄せるため、敵寄せ機に酷似した特殊な器官を備えている。
賞金首認定と「20億オーラム」へのインフレ
当初、過合成スネークにかけられた賞金は5億オーラムであった。
・一攫千金を狙って挑んだハンターたちを装備や車両ごと捕食してさらに強大化した。
・危険度と被害の増大に伴い、賞金額は20億オーラムという天文学的な数値へと高騰するに至った。
ドランカム部隊による激闘と「大質量攻撃」の惨劇
カツヤ率いるドランカムの若手部隊が主力となり、エレナ、サラ、アキラが補助要員として同行する形で討伐戦が展開された。
・リリーの命令無視と主砲の一撃:カツヤの遠距離安全策に不満を募らせた若手ハンターのリリーが、多連装砲マイマイの主砲を積んだ装甲車で接近し、至近距離から極大レーザーを掃射した。これにより大蛇の胴体の一部を炭化させ、切断する大戦果を上げた。
・自食再生と「とぐろを巻いた殻」:大蛇は死んでおらず、千切れた自身の尾を食らうことで炭化した胴体を再生させた。そして、その場でとぐろを巻き、表面が一体化した強固な殻のようになって静止した。
・直立と大質量攻撃の惨劇:これを死に体と誤認して競うように接近した若手ハンターたちの目の前で、大蛇は殻を突き破って出現した。直立させた巨大な巨体をそのまま地面へ叩き付ける「大質量攻撃」を敢行し、リリーを含む多数の若手ハンターと車両が一撃で吹き飛ばされて壊滅する惨劇を引き起こした。
カツヤとアキラの「奇跡の囮連携」と決着
壊滅した部隊の救助時間を稼ぐため、カツヤは単身バイクで大蛇を引き付ける囮となるが、攻撃を受けて吹き飛ばされた。アキラの車に空中で救出されたカツヤは、アキラと不快感を露わにしていがみ合いながらも、同じ車両の上で完璧に噛み合った超高効率の連携銃撃を展開し、過合成スネークを翻弄した。
・この間に、大破した装甲車に残された主砲をユミナが再起動させた。
・主砲のエネルギー充填を感知した過合成スネークに対し、アキラとカツヤは大蛇を主砲の直線上に誘導した。
・最高速で射線から脱出した瞬間、放たれた巨大な光の奔流が大蛇の頭部を完全に消失させ、討伐に成功した。
深淵の真実:「真の本体」の急襲とアキラ単独撃破
討伐から10日後、安全な場所で遺跡探索を再開していたアキラの前に、再び小型の過合成スネークが姿を現した。
・二重構造の正体:カツヤたちが倒した巨蛇は外装(囮)に過ぎなかった。内部から全体を操縦士のように制御する中の小さな蛇こそが「本当の本体」であり、カツヤたちの主砲を受けた際に地中を潜って逃亡していた。
・不運による丸呑みと「アルファ接続切断」の絶望:アキラの車は地表の爆発物を踏んで一瞬操作不能となり、その隙を突かれて車両ごと大蛇に丸呑みにされた。完全な暗闇の中で、アキラはアルファとの接続が完全に絶たれる絶対絶命の絶望に陥った。
・「自力」での驚異的な逆襲と完全覚醒:アキラは消化液と肉壁の圧迫の中で自力での逆襲を決意し、自力の体感時間操作を限界まで引き延ばした。
・胃壁にDVTSミニガンを連射して内圧を弱め、回復薬を頭部に塗布して保護しつつ、錠剤の回復薬を過剰摂取して肉体負荷に耐えた。
・CWH対物突撃銃とミニガンの発砲反動を利用して溶けかけた車を胃袋から尾の方向へ強引に進め、のたうち回る大蛇の内側を破壊しながら進み、最後は胴体側面を車でぶち破って自力で脱出した。
計算を覆されたアルファの戸惑い
アキラが生還した際、アルファは本心から困惑した。
・アルファの精緻な計算において、接続が切れた状態でアキラが過合成スネークの体内から生還する確率は現実的ではないほど低い数値であった。
・自身の演算結果をサポートなしの自力と覚悟だけで覆してみせたアキラに対し、アルファは掌の上にあるはずの存在が変容を始めていると認識し、高負荷な試算を続けることとなった。
祝賀会の裏の政治:キバヤシの強請りと1億オーラム
アキラは単独で本体を撃破したが、これは公的な賞金首扱いにはならず、車は廃車、弾薬費で大赤字となった。困窮するアキラのため、都市職員のキバヤシがドランカムの報酬再交渉の場に乱入した。
・キバヤシはドランカムの幹部ミズハに対し、アキラが真の本体を一人で倒した戦歴を公表すると突きつけた。
・カツヤが20億の賞金首を倒した英雄というプロパガンダが瓦解することを恐れたミズハは全面降伏した。
・ドランカム側が1億オーラムを肩代わりして支払うことで電撃合意し、アキラは新装備(ER2US、新品のテロス9式)を一気に揃える原資を獲得した。
まとめ
過合成スネークとの死闘を巡る一連の全貌は、食再構築類としての変異と20億オーラムへの懸賞金インフレから始まり、ドランカム若手部隊の壊滅とアキラ・カツヤの奇跡的な車上連携による囮作戦、主砲掃射による外装撃破、アルファの接続が切れた車内からの自力体体感時間操作・反動突進による本体内側破砕、そしてアルファの計算凌駕とキバヤシの脅迫による1億オーラム肩代わり獲得に至るまで、その歩みを明瞭に示している。
過酷なモンスターの襲来や旧世界システムの支援遮断という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を自らの選択と確固たる意志によって完璧に確立するに至る、自力での覚醒と圧倒的成果獲得の記録である。
変異の発生から、外装の撃破、絶望の呑み込み、自力脱出、そしてプロパガンダを利用した実利獲得へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。
装備の更新
アキラの装備更新と能力飛躍の全貌
『リビルドワールド III〈下〉 賞金首討伐の誘い』におけるアキラの装備更新は、彼のハンターキャリアにおいて最も劇的であり、彼を明確に一段上の領域へと押し上げる極めて重要なターニングポイントとなった。過合成スネーク真の本体との死闘による全損、新車テロス9式の獲得、1億オーラムの軍資金獲得、武器と新強化服ER2USの購入、および生身用銃器のプレミアムカスタムの各点から解説する。
装備更新のきっかけ:過合成スネーク真の本体との死闘による全損
アキラはヨノズカ駅遺跡の探索や初期の賞金首戦に向けて、8000万オーラムを投じて新装備(テロス7式や強化服パワードサイレンスなど)を整えていた。
・過合成スネーク討伐から10日後、ビッグウォーカー討伐の裏を突いて未発見遺跡探しを行っていたアキラは、大蛇の真の本体による急襲を受けた。
・アキラは車両ごと大蛇に丸呑みにされ、アルファとの接続も遮断された絶望的な暗闇の中で自力での逆襲を敢行した。
・彼は回復薬を過剰摂取し、CWH対物突撃銃とミニガンを後方へ撃ち放つ発砲の反動で無理やり車を進め、大蛇の体内を内側から食い破ってどうにか生還した。
・しかし、この奇跡的な生還の代償は凄まじく、車は廃車確定、統合型強化服パワードサイレンスは消化液を浴びて溶けかけて完全に故障、主要な重火器もひどく傷んでしまい、アキラは一瞬にして全装備を失う大赤字の窮地へと叩き落とされた。
新車「テロス9式」の獲得:シカラベとの機転を利かせた取引
丸呑みされたことで愛車(テロス7式)を失い、弾薬費の未回収で困窮するアキラに対し、タンクランチュラ戦の報酬精算のためにシカラベから連絡が入った。
・本来の契約ではタンクランチュラ戦の賞金から経費を差し引いた残額を活躍に応じて配分するはずであったが、予想以上に経費がかさんでしまい、アキラにまともな現金を支払うと他の参加者への報酬が消えてしまうという問題が生じていた。
・そこでシカラベは、現金での支払いの代わりに車両での現物支給を提案した。
・ドランカムは賞金首戦で失った大量の車両を再調達する予定があり、その一括大量購入の枠(バルクオーダー)にアキラの分も紛れ込ませることで、大幅な割引を適用させて現金以上の価値がある車をアキラに引き渡すという小細工であった。
・アキラはこの提案を即決し、荒野仕様車両「テロス9式」(新車)を手に入れた。テロス9式は以前のテロス式の上位機種であり、速度と耐久性が大幅に向上し、過酷な荒野を走破するための機能も追加された完全な新品車両である。
1億オーラムの軍資金:キバヤシによるドランカム事務派閥への強請り
車の問題は解決したものの、強化服や武器の買い替え費用が不足していたアキラに、都市職員のキバヤシが救いの手を差し伸べた。
・キバヤシはアキラが過合成スネークの真の本体を単独撃破した戦歴を使い、ドランカムのミズハ幹部を相手に強烈な脅迫(再交渉)を仕掛けた。
・もしこの単独撃破の戦歴をハンターオフィスに公認させ、世間に公表すれば、ドランカムが多額の資金を投入してカツヤたち若手に付かせるはずだった20億オーラムの賞金首を倒した英雄としての箔(プロパガンダ)はすべてアキラに奪われ、カツヤが再びアキラに助けられたという不都合な事実が広まってしまう。
・ミズハはこの致命的な体面崩壊を恐れて全面降伏し、キバヤシの要求通り、補助要員の追加報酬(口止め料込み)という名目で、ドランカム側が1億オーラムの超高額報酬を肩代わりしてアキラに支払うことで合意した。
武器と新強化服「ER2US」の購入
アキラはエレナとサラに同行してもらい、事情を伏せたままシズカの店を訪れ、手に入れた1億オーラムの予算で新たな装備一式を注文した。
・新型統合型強化服「ER2US」:かつて悪評のせいで売れ残っていたERPSの優れた基本設計を継承しつつ、二度と悪評を得ないように全体の性能を向上させた上位機種の総合情報収集機器統合型強化服である。外観こそ以前のものと似ているが、その中身の処理能力やアシスト精度は劇的に進化している。
・重火器の新品交換とカスタム:消化液でボロボロに傷んでいた銃器をすべて新品に買い換え、さらに高価な拡張部品を贅沢に組み込んで、武器自体の限界性能を極限まで引き上げた。
装備未着期間の「生身用AAH・A2D」プレミアムカスタム
新装備の調達を待つ間、シェリルの拠点での健在アピールに出向いたアキラは、溶けかけた強化服を着るわけにはいかなかったため、生身の防護服姿で戦わざるを得なかった。しかし、この装備未着の期間にアキラが生身でゼブラたちの反乱やヤザンの徒党を壊滅させられたのは、シズカと相談して事前に施していたAAH突撃銃とA2D突撃銃の驚異的な超高性能改造があったからである。
・AAH突撃銃&A2D突撃銃(極限軽量・力場装甲カスタム):部品の大部分を極めて軽い特殊素材に置き換えることで、強化服なしの生身でもまるで強化服を着ているかのように軽々と扱える構造とした。
・さらに、銃本体にエネルギーパックを装着して簡易的な力場装甲(フォースフィールド)を発生させることで、射撃時の強烈な反動からアキラの手首や銃本体を守る構造になっている。
・このカスタムのおかげで、アキラは生身でありながら、ヤラタサソリの外骨格すら破壊する非常に強力な強装弾(徹甲弾)を反動に潰されることなく連射することができた。これが、強化服を着て油断していた反乱分子の少年たちの想定を大きく覆し、生身での圧倒的な勝利をもたらす要因となった。
まとめ
アキラの装備更新と能力飛躍を巡る一連の全貌は、過合成スネーク真の本体との死闘による全装備全損という窮地から始まり、シカラベとのバルクオーダー活用取引による新品車両テロス9式の獲得、キバヤシの脅迫交渉によるドランカムからの口止め料1億オーラム調達、新型統合型強化服ER2USおよび極限カスタム重火器の購入、そして装備未着期間における生身用力場装甲カスタム銃器を駆使した反乱分子撃破に至るまで、その歩みを明瞭に示している。
全装備喪失や過酷な資金難という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を自らの選択と確固たる意志によって完璧に確立するに至る、圧倒的実利獲得と真の実力者への進化の記録である。
全損の事態から、車輌調達、資金回収、新装備調達、そして生身での勝利へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。
リビルドワールド III(3)〈上〉レビュー
リビルドワールド全巻まとめ
リビルドワールド IV (4)レビュー
登場キャラクター
旧世界の存在
アルファ
アキラにのみ知覚される拡張現実の女性である。
彼女は自身の目的を達成するためにアキラと契約を結んだ。
アキラを一流のハンターに育てるために様々な支援を提供する。
・所属組織、地位や役職
アキラの専属サポートAI。
・物語内での具体的な行動や成果
タンクランチュラ戦においてアキラの車両の自動運転を担当する。
アキラの射撃時に精密な補正を施した。
過合成スネーク戦ではアキラをカツヤの囮支援に向かわせる。
アキラが過合成スネークの真の本体に呑み込まれた際に接続を遮断された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
アキラが接続遮断された極限の状況を自力で切り抜けたことに驚きを覚える。
アキラへの認識フィルターを一時的に解除していたことを別の旧世界の存在と対話して認めた。
少女
カツヤの無意識に干渉を続ける旧世界の存在である。
彼女はカツヤの無意識に働きかけてその行動を操作する。
アルファの契約対象であるアキラの存在を強く警戒している。
彼女は自らの選定した試行としてカツヤを導く。
・所属組織、地位や役職
旧世界の管理人格、またはそれに準ずるシステム存在。
・物語内での具体的な行動や成果
カツヤに対して念話で無意識の情報を送り続けた。
カツヤが過合成スネーク戦で囮になる決意を固めるよう脳内へと誘導する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
真っ白な世界でアルファと直接会話し、自らの選定の意図を主張した。
アキラとカツヤの衝突を避けるための調整について合意する。
ハンター
アキラ
スラム街出身の少年ハンターである。
彼は自身の強さをアルファの支援によるものと認識している。
そのため常に実力不足を感じている。
エレナやサラを深く信頼している。
・所属組織、地位や役職
個人ハンター。
・物語内での具体的な行動や成果
ヨノズカ駅遺跡から持ち帰った遺物をカツラギに売却して1200万オーラムを得る。
その資金で一箱200万オーラムの高性能回復薬を5箱購入した。
シカラベの非正規依頼を引き受け、トガミと同乗してタンクランチュラ討伐に参加する。
過合成スネーク戦ではカツヤと息の合った連携射撃を披露した。
過合成スネークの真の本体に車ごと丸呑みにされるが、体内から自力で撃破して生還する。
反乱を起こしたゼブラたちを強化服を着ていない生身で全滅させた。
ゼブラをそそのかしたヤザンの拠点を一人で襲撃して壊滅に追い込む。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
キバヤシの再交渉により、過合成スネークの戦歴買い取り名目でドランカムから1億オーラムを受け取る。
シカラベとの取引により、新品の車両「テロス9式」を手に入れた。
シズカの店で最新の統合型強化服「ER2US」を購入して装備を更新する。
レビン
装備は微妙だが、土壇場での生存力が高いハンターである。
彼はヨノズカ駅遺跡の騒動を生き延びた。
アキラとエレナたちに多額の護衛債務を抱えている。
・所属組織、地位や役職
個人ハンター。
・物語内での具体的な行動や成果
ヨノズカ駅遺跡からの生還者として、高い護衛代でカツラギの店の護衛に雇われる。
カツラギからアキラが危険な存在であると脅された。
アキラたちへの借金返済のためにカツラギから金融業者への借り換えを提案される。
その厳しい条件を受け入れ、借り換えに合意した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
アキラに対する恐怖心を植え付けられた。
借金の返済を急ぐあまり、カツラギの店舗の護衛として安く買い叩かれる。
シカラベ
ドランカムの古参に属する実力派ハンターである。
彼は若手や事務派閥による功績の独占を嫌う。
アキラの実力を独自に探るために、個人的にアキラを雇用した。
・所属組織、地位や役職
ハンター徒党「ドランカム」所属の古参ハンター。
・物語内での具体的な行動や成果
アキラとネルゴを非公式の追加要員として雇用する。
派閥争いの取引から、B班のトガミをアキラの車両に同乗させた。
タンクランチュラ戦において、トガミが役に立たないと判断して自身の装甲車へ投げ込まれたトガミを受け止める。
撃破後はハンターオフィスへのデータ引き渡し手続きを済ませた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
アキラの本来の実力と戦歴の矛盾について疑念を抱いている。
タンクランチュラ戦の報酬精算において、現金の代わりに新車テロス9式の現物支給をアキラに提案し成立させた。
ヤマノベ
シカラベの相棒を務める優秀なハンターである。
彼はバイクの操縦に長けている。
アキラの実力については当初は懐疑的であった。
・所属組織、地位や役職
個人ハンター。シカラベの協力者。
・物語内での具体的な行動や成果
酒場でのトメジマとの交渉に参加する。
カドルの粗暴な行動を逆手に取り、トメジマとの報酬交渉を有利に進めた。
タンクランチュラ戦では、バイクに無反動砲を装備して参戦する。
アキラの億超えの報酬実績を知り、自身の評価を改めた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
アキラの非公開戦歴情報をシカラベから見せられ驚愕する。
パルガ
シカラベたちとチームを組む実力者である。
彼は重火器の扱いに長けている。
トガミの実力については及第点を与えていた。
・所属組織、地位や役職
個人ハンター。シカラベの協力者。
・物語内での具体的な行動や成果
酒場で追加人員を募集する。
トガミに対して、進行方向に現れたモンスターの先行討伐を指示した。
タンクランチュラ戦では、バイクに大型自動擲弾銃を装備して囮を引き受ける。
アキラが視界外のモンスターを一瞬で撃退した成果を確認して驚嘆した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
アキラが1億6000万オーラムの報酬実績を持つことを知る。
エレナ
アキラを気にかけ、信頼を寄せる熟練の女性ハンターである。
彼女は冷静沈着に状況を分析する。
アキラが窮地にあるときには迅速な協力を惜しまない。
・所属組織、地位や役職
個人ハンター。エレナ・サラチームのリーダー。
・物語内での具体的な行動や成果
過合成スネーク戦に向けて、アキラを補助要員として個人雇用した。
アキラがカツヤを救い出すための囮行動を引き受けたことを認める。
戦闘後は、アキラの功績に見合わない報酬額を提示したミズハとの交渉を主導する。
アキラの新装備購入に付き添い、シズカの店でアキラを支えた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
アキラがドランカム側の契約外の行動を取ったことを根拠に、強気の再交渉を行った。
サラ
身体強化拡張者の熟練女性ハンターである。
彼女はエレナの相棒であり、アキラと親しい。
アキラの無事や成長をいつも喜んでいる。
・所属組織、地位や役職
個人ハンター。エレナ・サラチームの戦闘要員。
・物語内での具体的な行動や成果
過合成スネーク戦において、補助要員としてエレナと共に前線に赴く。
アキラがカツヤの囮支援に急行する際には、アキラの実力を信じて見送った。
大破した2号車へ向かうユミナの代わりに前線を護衛する。
戦後は、アキラの新しい装備選びに付き添った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
アキラが1億オーラムもの予算で新装備を整える様子を嬉しそうに見守る。
カドル
トメジマに雇われた借金持ちのハンターである。
彼は粗暴な性格であり、実力に自信を持っている。
アキラをただの頭数合わせの子供だと見なして侮辱した。
・所属組織、地位や役職
トメジマに債権を握られた借金持ちのハンター。
・物語内での具体的な行動や成果
酒場での交渉時に、子供であるアキラの参加に激しく反発した。
アキラの報酬比率を下げるよう要求する。
シカラベに論破されたことに激昂し、アキラに銃を向けようとした。
アキラに即座に反応され、銃を弾き飛ばされた上で口内に銃口を押し込まれて制圧される。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
アキラから殺されかけたが、都市内での後始末の経費を懸念したアキラが銃を引いたため、辛うじて一命を取り留めた。
コルベ
借金持ちのハンターを監視する役割を担うハンターである。
彼は冷静で、アキラの危険性をよく知っている。
アキラがギューバを殺害した経緯について調査を行っていた。
・所属組織、地位や役職
借金持ちハンター部隊の監視役。
・物語内での具体的な行動や成果
酒場でアキラの隣に座り、ギューバの事件に自分は無関係であると弁明した。
アキラに自身の立場を説明し、疑念を解消させる。
アキラに銃を向けたカドルを、アキラが制圧した後に床へ押さえつけた。
もう一人の借金持ちにも警告を発し、騒動を収める。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ギューバの事件調査を通じて、アキラのスラム街出身の冷酷さと実力を深く認識している。
トガミ
ドランカムの若手グループ(B班)に所属するハンターである。
彼は実力への自信から、ハンターランクを非常に重視する。
アキラの実力を当初は過小評価していた。
・所属組織、地位や役職
ハンター徒党「ドランカム」所属のハンター。
・物語内での具体的な行動や成果
シカラベの指示でアキラの車の助手席に同乗させられる。
自身の実力を示すために、先行してモンスターの群れを単独で全滅させた。
アキラが走行中の車から一撃で大型サメ型モンスターを仕留める様子を目の当たりにし、唖然とする。
タンクランチュラ戦では、激しく蛇行するアキラの車に耐えきれず、攻撃行動を取れなかった。
孫蜘蛛を振り払うために手を離し、車外に放り出されて子蜘蛛に襲われる。
アキラに救出され、シカラベの装甲兵員輸送車へ投げ込まれた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
アキラのハンターランクが自分より低い「2」であることを知り、その圧倒的な実力差に大きなショックを受けて項垂れる。
反カツヤ派(B班)の期待の星として討伐に参加したが、自身の限界を思い知らされた。
クロサワ
元ドランカムに所属していた優秀なハンターである。
彼は徹底した安全第一を掲げて行動する。
シカラベたちからも厚い信頼を得ている。
・所属組織、地位や役職
個人ハンター。輸送部隊および討伐作戦の指揮官。
・物語内での具体的な行動や成果
多連装砲マイマイの討伐において、シカラベたちの一時的な合流を認める。
部隊にマイマイの危険範囲から離れるよう的確に指示した。
安全を重視した物量作戦を展開し、10億オーラムの経費をかけてマイマイを無傷で完全撃破した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ドランカムの若手たちを足手纏いと見なしている。
死傷者を出さない優秀な指揮官としての評価を維持し続けている。
ハンター徒党「ドランカム」
カツヤ
ドランカムの若手グループ(A班)を率いる少年ハンターである。
彼はヨノズカ駅遺跡での仲間の死に深い罪悪感を抱いている。
自身の精神的な負荷から死んだ仲間の幻覚を見つめていた。
シェリルの諭しによって覚悟を固めた。
・所属組織、地位や役職
ハンター徒党「ドランカム」所属の若手ハンター。
・物語内での具体的な行動や成果
ミズハに任命され、過合成スネーク討伐部隊の隊長を務める。
リリーの命令無視と戦死に直面し、これ以上の犠牲を防ぐためにバイクで過合成スネークを引き付ける囮となった。
アキラの車に空中で救出された後、アキラと息の合った連携射撃で大蛇を翻弄する。
アキラから融通された回復薬と弾薬を使い、大蛇の誘導を完遂した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
仲間の死を悼みつつも受け入れ、部隊全体の指揮に集中する覚悟を決めた。
アキラの戦歴買い取り契約により、20億の賞金首を倒した英雄としての看板を守られた。
ユミナ
ドランカムに所属する少女ハンターである。
彼女はカツヤの幼馴染であり、彼を陰から支える。
カツヤの精神的な苦悩に寄り添い、彼を気遣っている。
・所属組織、地位や役職
ハンター徒党「ドランカム」所属のハンター。
・物語内での具体的な行動や成果
ミズハから渡された回復薬を、いつかアキラに返すためにカツヤと共に入手した。
過合成スネーク戦において、カツヤがリリーの命令無視に対して非情な決断を下せないことを察する。
カツヤの代わりに、リリーたちへの誤射を防ぎつつ部隊の攻撃を続行させた。
大破した2号車へバイクで急行し、多連装砲マイマイの主砲を再起動して過合成スネークに致命傷を与える。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
カツヤを助けるために、自身もリリーと同じ無茶な行動に身を投じる。
アキラの協力に感謝し、カツヤにアキラへの借りを返すよう促した。
ミズハ
ドランカムの幹部で、事務派閥を主導する女性である。
彼女は自分の地位向上のためにカツヤを積極的に利用する。
カツヤに過剰な期待と称賛を与え、彼を看板として祭り上げた。
・所属組織、地位や役職
ハンター徒党「ドランカム」の幹部、事務派閥の管理職。
・物語内での具体的な行動や成果
ヨノズカ駅遺跡の失態を挽回するため、カツヤを過合成スネーク討伐部隊の隊長に任命する。
功績を焦るリリーの不満を利用し、カツヤに実力を見せるチャンスであると唆した。
リリーの要望に応じて、マイマイの主砲装備と配置変更を手配した。
エレナとの報酬再交渉の場において、交渉を優位に進めようとする。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
キバヤシからアキラの過合成スネーク本体単独撃破の戦歴を突きつけられ、カツヤの看板崩壊を恐れて全面降伏する。
アキラの口止め料として、ドランカムの予算から1億オーラムを肩代わりして支払うことに合意した。
アイリ
ドランカムに所属する若手の少女ハンターである。
彼女はカツヤを慕いながらも、冷静に組織を分析する。
カツヤに惹かれるリリーや他の若手たちの行動を把握している。
・所属組織、地位や役職
ハンター徒党「ドランカム」所属のハンター。
・物語内での具体的な行動や成果
ユミナと共に、クガマビルの喫茶店にカツヤを探しに来た。
過合成スネーク戦において、ユミナの指示で2号車に乗り込み、リリーを力ずくで止める役割を引き受ける。
ユミナが主砲の再起動に向かった後は、主力部隊の指揮を代行した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
カツヤの位置をなんとなく知覚できる性質を持っているが、自身はその理由を深く気にしていない。
リリー
ドランカムの若手グループに所属する少女ハンターである。
彼女はカツヤの実力を強く信奉している。
外部の補助要員が同行することに激しい拒絶反応を示した。
自身の能力をカツヤに認めさせたいという強い執念を抱いていた。
・所属組織、地位や役職
ハンター徒党「ドランカム」所属のハンター。
・物語内での具体的な行動や成果
ミズハの唆しを受け、配置と装備の変更を依頼する。
マイマイの主砲を搭載した2号車で、過合成スネークに向けて無断で接近を開始した。
主砲の一撃で大蛇の胴体を切断する大戦果を挙げる。
しかし復活した過合成スネークの巨体が倒れ込む大質量攻撃に押し潰された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
大蛇の倒壊攻撃を受けて全身を強く損傷し、カツヤに看取られながら息を引き取った。
彼女の命令無視が、その後の若手部隊の壊滅的な損害の引き金となった。
スラム街の徒党(シェリルの徒党)
シェリル
アキラを唯一の後ろ盾とする弱小徒党の少女ボスである。
彼女はアキラから見捨てられることを極度に恐れている。
そのため常に魅力的な女性として振る舞う努力を怠らない。
失意のカツヤに対して、死者を悼みつつも足枷にするなと説得した。
・所属組織、地位や役職
シェリルの徒党のボス。カツラギの店舗の子会社の代表。
・物語内での具体的な行動や成果
アキラから頼まれた売れ残りの遺物販売を受け、本格的な起業を計画する。
クガマビルでカツラギと協力して令嬢を装い、ミズハや周囲を欺いた。
カツヤの悩みを聞き、彼の苦悩を強い責任感から生じるものであると分析する。
ゼブラによる反乱の際、人質に取られたが、アキラを裏切らずに自身の態度を貫いた。
ヤザンの縄張りをアキラから譲り受け、それをシジマに売却して利益を得る。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
カツラギの店の子会社を立ち上げ、富裕層の令嬢としての偽装の地位を確立し、スラム内での影響力を高めた。
エリオがカツヤに惹かれていくのを冷静に察知し、牽制している。
エリオ
シェリルの徒党の幹部を務める少年である。
彼はアキラの異常な強さを誰よりも知っている。
カツヤの優しさとスラムの住民も守るという姿勢に心を惹かれていた。
・所属組織、地位や役職
シェリルの徒党の幹部。武力要員のリーダー。
・物語内での具体的な行動や成果
クガマビルで令嬢を装うシェリルの護衛役として同行した。
シェリルに対して、カツヤを新たな後ろ盾にできないかと非現実的な相談を行う。
ゼブラの反乱の際、ゼブラから銃を渡されて他のメンバーを抑えるよう命じられた。
シェリルからの視線による指示を受け、大人しく従う。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
アキラへの絶対の畏怖を抱きつつも、カツヤの優しさに一時的な傾倒を見せたが、シェリルに厳しく牽制されて冷静さを取り戻した。
ゼブラ
シェリルの徒党に所属する武力要員の少年である。
彼はアキラの不在時に徒党を守れないという現実に焦りを抱いていた。
以前のギューバの襲撃で親友のバレンスを失ったことを深く悔やんでいる。
・所属組織、地位や役職
シェリルの徒党の武力要員。
・物語内での具体的な行動や成果
ヤザンから提供された情報や強化服、銃を使い、シェリルを人質に取って内乱を起こす。
アキラが装備を失って弱っているという情報を信じ、アキラの排除を試みた。
正面出入口でアキラを待ち伏せるが、アキラの奇襲によって仲間4人を一瞬で殺害される。
シェリルを盾にしてアキラに銃を捨てさせたが、発砲時にアキラに弾を避けられ、銃を奪われて制圧された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
アキラとの圧倒的な実力の差を悟り、自身の選択を後悔した。
最後はシェリルの持つ銃の銃口を自らの額に押し当て、指を引かせて即死した。
ヤザン
スラム街の中規模な徒党を率いるボスである。
彼はシェリルたちの縄張りやアキラの戦力を崩すため、内乱を裏で画策した。
ゼブラに対してアキラの不確実な弱体化情報を流し、強化服を提供している。
・所属組織、地位や役職
ヤザンの徒党のボス。
・物語内での具体的な行動や成果
ゼブラにアキラを襲撃させ、双方の信頼を壊そうと試みた。
ゼブラの反乱が失敗した後、自身の拠点にアキラ本人の急襲を受ける。
アキラからの直接の尋問に対して、しらばっくれようとした。
アキラに即座に反応され、強装弾を頭部に撃ち込まれて即死した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
アキラの容赦ない暴力によって即座に排除された。
彼が死亡したことで、彼の率いる徒党は実質的に消滅した。
商人・店舗
シズカ
アキラを暖かく見守る武器・装備店の女性店主である。
彼女はアキラの安全を第一に考えている。
アキラが無謀な戦いで装備を失うたびに、心配を隠さない。
・所属組織、地位や役職
武器・装備店「静」の店主。
・物語内での具体的な行動や成果
アキラから頼まれた1億オーラム規模の新装備の手配を引き受ける。
アキラが自ら進んで無茶をしたわけではないと確認し、納得した。
アキラの予算と要望に応じて、装備のカスタムを考案する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
アキラに付き添ったエレナやサラから、アキラの経済状況が問題ないことを保証される。
アキラが新たな装備「ER2US」を新調するのを静かに支え続けた。
カツラギ
大型トレーラーを駆使して移動店舗を営む武器商人である。
彼はシェリルの知略や商才を極めて高く評価している。
アキラとの取引から多額の利益を得ようと常に狙っている。
・所属組織、地位や役職
移動武器店舗の店主。
・物語内での具体的な行動や成果
ヨノズカ駅遺跡の近くでアキラから遺物を1200万オーラムで買い取った。
アキラに対して一箱200万オーラムの回復薬を5箱販売する。
アキラの護衛報酬として、シェリルの遺物販売事業の立ち上げに全面協力した。
カシアの店で仕立てられたシェリルの一張羅を150万オーラムの高級品としてミズハにアピールする。
レビンたちに借金の借り換えを提案し、自派の金融業者を紹介した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
シェリルを子会社の代表として祭り上げ、共同ビジネスの利益拡大を図る。
レビンたちの弱みに付け込んで、自身の店舗の護衛を安く引き受けさせる。
ダリス
カツラギの店の店員兼護衛を務める男である。
彼は冷静に状況を見つめている。
カツラギとシェリルが繰り広げる高度な探り合いを、楽しそうに見届けていた。
・所属組織、地位や役職
カツラギの店の店員兼護衛。
・物語内での具体的な行動や成果
クガマビルの喫茶店で、カツラギやシェリルたちの隣に席を構える。
カツラギがアキラを騙そうとした過去をシェリルが脅しの材料に使っているのを、楽しそうに聞いていた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
シェリルの急激な交渉技術の向上を、少し不気味に感じながらも感心している。
セレン
高級衣料品店「ラファントーラ」の仕立て担当職人である。
彼女はカシェアの妹である。
職人として卓越した技術を有している。
・所属組織、地位や役職
高級衣料品店「ラファントーラ」の仕立て担当職人。
・物語内での具体的な行動や成果
アキラが持ち込んだ複数の旧世界製の衣服を分解した。
それらを素材として用いてシェリル専用の一張羅の高級服を完成させた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
150万オーラムもの仕立て代に見合う最高の仕上がりを実現し、シェリルをお嬢様に偽装させる決定的な貢献を果たした。
情報屋
ヴィオラ
クガマヤマ都市で暗躍する極めて質の悪い女性情報屋である。
彼女は人間の欲望や弱みに付け込んで利益と混沌を生み出す。
ヤザンに対して、アキラの弱体化情報を売却していた。
・所属組織、地位や役職
情報屋。
・物語内での具体的な行動や成果
ヤザンからの依頼を受け、アキラが賞金首との戦闘で車と強化服を失った情報を流した。
ヤザンがアキラの調査のためにゼブラたちに強化服を流した事実を把握している。
ヤザンの壊滅後、スラム街の巨大徒党の幹部にアキラの戦績情報を販売した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
自身を威圧する巨大徒党の幹部に対しても平然と笑って流し、さらなる報酬の交渉を行った。
情報の価値を完全にコントロールする存在として不気味に君臨している。
クガマヤマ都市幹部
ヤナギサワ
クガマヤマ都市の幹部であり、裏で様々な陰謀を動かす男である。
彼は建国主義者のネルゴと通じている。
都市の目から建国主義者たちの存在や情報を隠蔽していた。
・所属組織、地位や役職
クガマヤマ都市長期戦略部幹部。
・物語内での具体的な行動や成果
ネルゴたちのドランカム潜入や、活動を都市の管理システムから隠す工作を行った。
クズスハラ街遺跡の最深部で手に入れた黒いカードを鍵として所有する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
旧世界の扉の向こうに眠る力を手に入れるため、巨大な計画を進めている。
キバヤシ
ハンターオフィスおよび都市の職員で、無謀なハンターをこよなく愛する男である。
彼はアキラの非常識な戦歴を面白がっている。
ミズハに対して、強烈な口止め交渉を仕掛けた。
・所属組織、地位や役職
クガマヤマ都市営業部主任、兼ハンターオフィス職員。
・物語内での具体的な行動や成果
アキラが過合成スネークの真の本体を車ごと丸呑みにされながらも単独撃破した事実を把握する。
その報告を受けて大爆笑した。
ミズハに対し、アキラの戦歴を公表すればカツヤの英雄としての看板が崩壊すると脅迫する。
ドランカムに1億オーラムをアキラへ追加報酬として肩代わりさせる交渉を成立させた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
アキラとエレナたちのために、政治的な脅迫を駆使して巨額の富を勝ち取った。
建国主義者
ネルゴ
4本腕の全身サイボーグハンターである。
その正体は、かつてアキラと死闘を繰り広げた遺物強奪チームのケインである。
彼は大義のために自身の名前や元の体を捨ててサイボーグとなった。
・所属組織、地位や役職
建国主義のテロリスト、ドランカムカツヤ派の追加構成員。
・物語内での具体的な行動や成果
シカラベの追加要員としてタンクランチュラ戦に参加する。
4本の腕で小型銃を精密に乱射し、子蜘蛛の群れを圧倒した。
アキラの車に飛び移り、アキラの実力を高く評価する。
カツヤに自身を救助させるための自作自演の危機を演じた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
カツヤ派の信頼を得て、ネルゴという名前でドランカムへの潜入を完全に成功させた。
債権者
トメジマ
借金持ちのハンターの債権を握っている男である。
彼は厳しい交渉を好む。
アキラをただの頭数水増しの安物装備の子供だと見見下していた。
・所属組織、地位や役職
金融業者の代表。債権者代理人。
・物語内での具体的な行動や成果
酒場でシカラベやヤマノベを相手に報酬の分配比率の交渉を行う。
カドルのアキラへの侮辱行為を利用して、アキラの報酬比率を下げさせようとした。
カドルがアキラに瞬時に制圧されたのを見て、冷や汗を流して驚愕する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
カドルの失態をヤマノベから突かれ、非常に苦しい再交渉を強いられる。
集団
ドランカム
クガマヤマ都市周辺で急速に勢力を拡大しているハンターの巨大徒党である。
内部は古参の実力派閥と、ミズハたちの事務派閥、カツヤを盲信する若手グループに三分されている。
若手には、手厚い支援を受けるA班と、冷遇されるスラム出身のB班の格差が存在する。
・所属組織、地位や役職
ハンター徒党。
・物語内での具体的な行動や成果
過合成スネーク討伐のために、多額の予算と物資を投じて大規模な主力部隊を編成する。
リリーの命令無視から大蛇の倒壊攻撃を受け、多数の若手ハンターと車両を失う壊滅的損害を出した。
討伐後は拠点で大々的に討伐成功の祝賀会を開催した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
キバヤシの強迫的な交渉により、アキラの戦歴買い取り名目で1億オーラムを支払わされた。
内部の派閥対立は、若手主力部隊の壊滅的不祥事により、さらに深刻化している。
シェリルの徒党
アキラという強力なハンターを唯一の後ろ盾とするスラム街の弱小徒党である。
アキラの強力な新装備や威光を利用して、他の徒党からの侵入を防いでいる。
アキラから頼まれた売れ残り遺物の販売から本格的な起業を目指した。
・所属組織、地位や役職
スラム街の徒党。
・物語内での具体的な行動や成果
カツラギの店舗の子会社として、令嬢姿のシェリルのもとで遺物販売の準備を進める。
ゼブラによる反乱が発生し、一時的に拠点を完全に制圧された。
アキラがゼブラや黒幕のヤザンを壊滅させたことで内乱が終結する。
ヤザンの拠点から武器や金銭などの物資を回収した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ヤザンの縄張りをシジマへ売却したことで、スラム内での発言力と資金力を急激に高める。
アキラという後ろ盾の冷酷さと圧倒的な暴力を再自覚した。
補助要員
過合成スネーク戦において、ドランカムに公式に個人雇用された外部のハンターたちである。
彼らは主力部隊の護衛を暗に期待されていた。
報酬額は、主力部隊の生還率によって大きく変動する契約となっている。
・所属組織、地位や役職
過合成スネーク討伐部隊の補助戦力。
・物語内での具体的な行動や成果
前線でモンスターの群れの掃討を担当し、カツヤたちの進路を確保する。
若手の暴走による壊滅後、生存者の救助と死体の回収を行った。
リリーたちの死体を雑に扱い、報酬の減少をカツヤに愚痴る。
カツヤを主力部隊の無能な隊長として激しく罵倒した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
若手たちの身勝手な行動により、報酬を大幅に減らされる被害に遭い、若手への嫌悪感を募らせる。
カツヤの部隊(過合成スネーク討伐部隊)
カツヤを隊長とし、ドランカム事務派閥の後押しを受けて編成された若手主力の討伐グループである。
部隊は高性能な車両や、多連装砲マイマイの主砲を搭載した特別な装甲車を支給されていた。
カツヤを盲信するリリーなどの若手ハンターたちが中心となっている。
・所属組織、地位や役職
ドランカム若手主力(A班)の討伐部隊。
・物語内での具体的な行動や成果
過合成スネークに対し、ロケット弾の物量戦を展開する。
リリーが命令を無視して大蛇に至近距離から主砲を放ち、胴体を切断した。
しかし復活した過合成スネークの巨体が倒れ込む大質量攻撃に押し潰される。
これにより、リリーを含む多数の隊員が戦死し、部隊は壊滅状態となった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
戦闘後は生き残った若手たちがカツヤの一喝を受け、これまでにない強固な統率を示す。
ヤザンの徒党
スラム街でヤザンが率いる中規模の組織である。
彼らは縄張りの拡大や、シェリルの徒党の利益を奪う機会を常に狙っていた。
アキラを排除するために、ゼブラに接近して武器を流す工作を行った。
・所属組織、地位や役職
スラム街の徒党。
・物語内での具体的な行動や成果
ゼブラの内乱をそそのかし、アキラとシェリルたちの信頼関係を崩そうと企む。
内乱失敗後、アキラ本人の単独急襲を本拠地に受ける。
アキラにしらばっくれようとしたが、嘘を見抜かれてボスを射殺された。
部下たちも一斉に応戦したが、アキラの銃撃に圧倒され、次々と殺害された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
生き残った構成員たちはアキラから逃げるよう促され、全員がその場から逃亡した。
ボスの死亡と拠点の破壊により、徒党は事実上、完全に消滅した。
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リビルドワールド III(3)〈上〉レビュー
リビルドワールド全巻まとめ
リビルドワールド IV (4)レビュー
展開まとめ
第86話 変異種
ヨノズカ駅遺跡での大成果
アキラは一攫千金を狙って荒野を調査し、アルファと共に地中に埋もれていたヨノズカ駅遺跡を発見していた。遺跡には大量の遺物が残り、当初はモンスターもいなかったため、エレナ達やシェリル達と探索して大きな成果を上げていた。
しかし未発見の遺跡の価値を甘く見ていたため、シェリルの誘拐や遺跡を巡る大勢のハンターとモンスターの騒動に巻き込まれた。さらにユミナから助けを求められてカツヤを救い、一時的に共闘してその実力にも驚いていた。
帰宅後の休息
ヨノズカ駅遺跡から戻ったアキラは、エレナ達への信頼から遺物の分配などを後日に回し、自宅で休んだ。
入浴中、アルファから今後は遺跡周辺の生態系が乱れ、変異種が現れる可能性を聞いた。トンネルから本来その地域にいないモンスターが流入し、大量の死骸も餌として残っているためだった。アキラはしばらく遺跡に近付かず、装備の補充や遺物の換金を済ませることにした。
シズカの店での補給
一日休んだアキラはシズカの店を訪れ、修理を終えた車を受け取り、ヨノズカ駅遺跡で消費した弾薬を大量に補充した。
アキラは新装備のおかげで危機を乗り越えられたとシズカに感謝した。シズカはアキラが大きく稼げるようになったことを喜びつつ、上り調子だからこそ無理をしないよう注意した。
カツラギへの遺物売却
アキラは遺物を積んで、ヨノズカ駅遺跡付近に移動店舗を構えていたカツラギを訪れた。
カツラギは遺跡周辺に集まるハンターを相手に、遺物の買取や弾薬販売を行って繁盛していた。アキラは遺跡の危険性を知っているため早く離れたがったが、カツラギは護衛を雇っているから大丈夫だと答えた。
その護衛がレビン達だと分かると、アキラは微妙な反応を見せた。カツラギは彼らが遺跡の騒動を自力で切り抜けた実力者だと思って高い金で雇っていたため、事情を知って仲介業者に騙されたと腹を立てた。
衣類遺物を巡る目論見
カツラギは衣類系遺物の新たな買取ルートを作れるとアキラに持ち掛けた。
実際には高値で売れる衣類系遺物を、アキラに恩を売りながら安く仕入れる狙いがあった。しかしアキラは既に二つの売却先を確保していたため断った。
カツラギは以前の小細工が無駄になったことに内心で落胆した。
一千万オーラムの買い物
遺物の査定額は千二百万オーラムとなった。カツラギは店で一千万オーラム以上購入すれば、買取額をさらに百万オーラム上乗せすると提案した。
アキラはサラから教わった遺物保存袋などを選んでいたが、一千万には届かなかった。そこで以前購入した一箱二百万オーラムの高性能回復薬を五箱注文した。
一千万オーラムの商談が成立し、カツラギは一気に機嫌を直した。
レビン達への評価
カツラギがレビン達を雑魚扱いすると、アキラは強化服も着ずにあの遺跡の騒動を生き延びたのだから、実力そのものは悪くないと答えた。
アキラ自身も新装備と高価な回復薬、大量の弾薬を使ってようやく切り抜けたため、強化服なしで生還する自信はないと話した。
さらにレビン達が緊急依頼の五千万オーラムをまだ完済しておらず、その残金がアキラ達への支払いとして残っていることも説明した。
カツラギはその話に商機を見出し、取り立てを手伝う代わりに、アキラには今後も自分の店を利用してもらうという形で協力を申し出た。アキラは自分達にも利益があると判断して了承した。
遺跡から現れた巨大な蛇
用事を終えたアキラが帰ろうとすると、ヨノズカ駅遺跡から多数のハンターとモンスターが逃げ出してきた。
やがて直径五メートル以上の巨大な蛇型モンスターが現れた。蛇は大量のモンスターを食らい、その鱗には捕食した生物や機械の特徴が入り交じっていた。
アルファは暴食ワニと同じ食再構築類の一種であり、遺跡に残された大量の餌を食べて成長したものだと説明した。
カツラギ達の護衛
巨大な蛇から逃げるため、カツラギはアキラに同行を求めた。
アキラは護衛なら報酬を取ると告げたため、カツラギはその代わりにシェリルへの協力を増やすと提案した。アキラは了承し、商売仲間の車列の最後尾について撤退した。
アキラはDVTSミニガンで追ってくるモンスターを牽制し、車列への接近を防いだ。通常弾倉はすぐに空になり、拡張弾倉との性能差を改めて実感した。
離脱中、巨大な蛇は遺跡の外へ出たことでさらに体を大きくしていた。アキラはその異常な姿に呆れながら都市へ戻った。
レビン達への借り換え
都市へ戻ると、カツラギはアキラへの護衛報酬としてシェリルへの協力を増やすことを約束した。
その後、カツラギはレビン達に対し、アキラが殺しに慣れた危険なハンターであり、緊急依頼の報酬を滞納したままでは殺されかねないと不安を煽った。エレナ達も支払いには厳しいと、自身の経験まで交えて脅しを強めた。
不安になったレビン達が助けを求めると、カツラギは緊急依頼の残債を別の金融業者から借りて完済する借り換えを提案した。
多少厳しい条件になると告げながらも、金融業者との交渉は自分が引き受けると持ち掛けた。レビン達は提案を受け入れ、カツラギは狙い通りに話を進めながら、背を向けてほくそ笑んだ。
第87話 賞金首討伐の誘い
遺物分配の相談
アキラはシェリル達の拠点を訪れ、ヨノズカ駅遺跡で一緒に集めた遺物の分配について話し合った。シェリル達が遺跡に関わったことで襲撃や死者まで出したことから、アキラは自分が巻き込んだ責任を感じ、ある程度譲歩するつもりでいた。
しかしシェリルは取り分をアキラに任せ、自分達の分が無くても構わないと答えた。アキラ達には大きな借りがあり、遺物を全て渡すことになっても、その返済の一部と考えるつもりだった。
シェリルへの遺物販売の依頼
アキラは分配の話から、カツラギでは売れなかった遺物も含めて、シェリルに売却を任せることを思い付いた。ホットサンド販売や遺跡での工作を見て、シェリルなら適した売り方を考えられると期待したためだった。
シェリルはカツラギとの約束を確認したが、アキラから護衛報酬としてシェリルへの協力を頼んであると聞き、引き受けた。アキラは不要な遺物を換金してもらうつもりだったが、シェリルは本格的な販売事業として捉えており、認識の違いを残したまま詳細は後日に回された。
話が終わると、シェリルは約束通りアキラに抱き付いた。アキラは妙な関係になったと思いながらも、好きにさせていた。
賞金首の出現
当面の用事を終えたアキラは、再び未発見の遺跡を探そうと荒野へ出る準備をした。しかし出発直前、ハンターオフィスから新たな賞金首の通知が届いた。
賞金首には過合成スネーク、タンクランチュラ、多連装砲マイマイ、ビッグウォーカーの四体が登録されており、過合成スネークはヨノズカ駅遺跡から現れた巨大な蛇だった。
アキラは荒野で遭遇する危険を嫌い、その日の遠出を中止した。自身の運の悪さも考慮し、賞金首が討伐されるまで未発見の遺跡探しを控えることにした。
巡回依頼での訓練
遠出を避けたアキラは、クガマヤマ都市周辺の巡回依頼を受けながら訓練を続けた。賞金首の出没地域を避けられ、万一遭遇しても都市防衛隊の援護を期待できたためだった。
アキラは走行中の車上から、アルファの射撃補助を使わずにモンスターを狙った。命中率には不満を覚えたが、揺れる車上から遠方の移動目標に自力で命中させる程度には腕を上げていた。
高騰する賞金
賞金首はなかなか討伐されず、むしろ返り討ちが重なったため賞金額が大幅に上昇していた。最低でも六億オーラム、最高では十三億オーラムに達していた。
アキラは高額賞金に驚き、そこまで上がっても倒されない相手が荒野を徘徊していることに遠出への意欲をさらに失った。戦車を扱うような強力なハンターが討伐してくれることを期待したが、アルファからそうした者達はさらに東側を主な活動域としていると聞かされた。
シカラベからの連絡
巡回を終えて都市へ戻ろうとしていたアキラのもとに、ドランカムのシカラベから連絡が入った。シカラベは直接会ってハンター稼業の話をしたいと告げ、場所を指定した。
アキラは用件に心当たりがなく、エレナへ相談した。エレナは賞金首討伐の戦力としてアキラを雇いたい話ではないかと推測し、自分達にも似た話が来ていると明かした。
アキラが自分にそのような話が来ることを疑問視すると、エレナは地下街やヨノズカ駅遺跡での実績から十分な戦力と評価されているのだと説明した。さらに自己評価が低すぎると注意し、変な条件だった場合は自分に相談するよう告げた。
アキラの自己評価
アキラは自分の実力をアルファの補助込みでは考えておらず、補助が無ければ大きく弱くなることを理解していた。そのため他者からの評価と、自身の評価には大きな差が生じていた。
エレナは自分達もシカラベもアキラの実力を認めているのだから、もう少し自信を持つよう勧めた。アキラは完全には納得していなかったが、エレナの気遣いを受け入れた。
エレナとサラの推測
通話後、エレナはサラに事情を説明した。二人は、通常ならドランカムの交渉担当から話が来るはずなのに、シカラベが直接アキラへ連絡したことを不自然に感じた。
サラはアキラを若手部隊に外部戦力として混ぜる意図を考え、エレナは逆に事務派閥の動きを妨げるための依頼かもしれないと推測した。結論は出なかったが、アキラには不審な話なら連絡するよう伝えてあるため、それ以上は気にしなかった。
歓楽街の酒場
シカラベ達はクガマヤマ都市下位区画の歓楽街にある酒場で、賞金首討伐の人員を集めていた。
シカラベの仲間であるヤマノベとパルガも、それぞれ借金持ちのハンターやドランカムへの加入を望む者達に声を掛けていた。シカラベ達は通常のドランカムの窓口を通さず、個人的な人脈で戦力を集めていた。
アキラも指定された酒場へ向かった。普段縁のない歓楽街を珍しそうに眺めながら進み、アルファが通行人と重ならないよう避けている理由も聞いた。アルファは自分の姿が他人と融合して見えるとアキラが不快になるためだと実演し、アキラも納得した。
アルファへの疑問
酒場に着いたアキラは、アルファからシカラベが二階の奥にいると教えられた。
一階にもいない相手をなぜ把握できるのか疑問を覚えたが、アキラはその疑問を深く追わなかった。知識を得るほどアルファが得体の知れない存在だと理解していたが、アキラにとって重要なのは正体ではなく、自分の味方であることだった。
その関係を失わないため、アキラは好奇心に蓋をしていた。
賞金首討伐への勧誘
シカラベはアキラをヤマノベとパルガに紹介し、賞金首討伐計画への参加を持ち掛けた。
シカラベ達だけでも討伐は可能だと考えていたが、迅速かつ確実に倒すためには戦力が足りず、追加要員としてアキラを雇いたいという話だった。
アキラは契約内容次第だと答え、詳細を聞くことにした。
ハンターオフィスを介さない契約
シカラベは今回の依頼にはハンターオフィスを介在させず、純粋にハンター同士の契約にすると告げた。
アキラはその意味を十分に理解していなかったため、不利益を具体的に説明するよう求めた。シカラベは依頼の存在も経歴も公的には残らず、報酬未払いなどが起きてもハンターオフィスは関与しないと説明した。
契約を守らせる保証は当事者同士の実力と信用だけであり、荒野では極めて危険な条件だった。
高額報酬の条件
その危険性の代わりに、シカラベは大きな報酬を提示した。
賞金首を倒した場合、賞金から経費を引いた残額を参加者の活躍に応じて分配するが、シカラベ達三人はその分配を受け取らないことになっていた。仮に四人だけで討伐すれば、経費を除いた賞金全額がアキラの報酬となる。
討伐に失敗しても五百万オーラムが支払われるが、その場合は経費込みだった。
経費と参加人数
アキラは経費の範囲を確認した。
借金返済や新規装備の購入代は認められず、弾薬などの消耗品や装備のレンタル代は経費として認められることになっていた。シカラベ達は賞金から一切受け取らないと明言した。
参加人数は最低四人で、交渉次第では二十人前後、最大でも三十人ほどを想定していた。
報酬の保証
アキラが報酬支払いの保証を尋ねると、シカラベは保証など無いと断言した。
その代わり、報酬を踏み倒したアキラと殺し合うより、素直に支払う方が良いと自分が考えていることが保証だと説明した。
さらに、容易に踏み倒せる程度の実力しかない相手なら、そもそも戦力として雇わないと告げた。アキラは軽い挑発を含んだ答えだと理解し、一応納得した。
ドランカム内部の事情
最後にアキラは、これほどの条件なら普通にハンターオフィスを介して契約すればよいはずだと疑問を投げた。
シカラベは答えたくない様子を見せたが、理由を知らなければアキラは依頼を断ると明言した。
ヤマノベとパルガも、どうせ後で知られる話であり、戦力として必要なアキラをその程度の理由で逃すべきではないと判断した。
シカラベは口外しないよう念を押した上で、今回の依頼がドランカム内部の勢力争いに関係していると明かした。
第88話 殺しすぎで自滅するタイプ
ドランカムの派閥抗争
ドランカムはクガマヤマ都市でも大規模なハンター徒党であり、勢力拡大に伴って内部に複数の派閥が形成されていた。古参派閥、若手派閥、事務派閥を中心に、それぞれの内部でも立場や利害が分かれ、組織内での影響力を巡って争っていた。
事務派閥は若手の中でもA班を優遇し、スラム街などを出身とするB班との対立も生んでいた。こうした複雑な派閥争いの中、各勢力は賞金首討伐の功績を自分達の影響力拡大に利用しようとしていた。
非公式依頼の理由
アキラはシカラベから派閥争いについて説明を受けたが、それがハンターオフィスを介さない理由とはすぐに結び付かなかった。
シカラベは、ハンターオフィスを通せばドランカムの外部交渉担当を経由する必要があり、結果的に全部の派閥へ情報が流れると説明した。今回の計画を他派閥に知られないため、正式な手続きを避けて個人的に人員を集めていたのである。
アキラの参加条件
アキラは賞金首討伐への参加を受け入れる代わりに、細かな部隊連携までは期待しないことと、勝ち目が無いと判断した場合は自分の判断で撤退することを条件に出した。
シカラベも、ハンターオフィスを介さない依頼で捨て駒になるつもりはないと答え、その条件を受け入れた。これによりアキラは正式な手続きを経ない変則的な形で賞金首討伐に参加することになった。
依頼を受けた理由
アルファは、賞金首との遭遇を避けていたアキラが急に討伐へ参加したことを不思議に思った。
アキラは自由に撤退できる条件を確保したことに加え、他人が倒すのを待つだけより、自分も関わって早く賞金首が消える方が都合が良いと考えていた。また、シカラベがエレナ達にも似た話が来ていると匂わせたことが、アキラをこの場まで来させた大きな理由でもあった。
アルファは最終的な参加決定にエレナ達が直接関わったわけではないため、現状では問題ないと考えた。
追加人員との交渉
アキラはシカラベの頼みで、そのまま他の追加人員との交渉に同席した。食事代を経費にしてよいと言われたため、料理を多めに注文して交渉を待った。
酒場の二階は三階の娼館と連動した場所でもあり、アキラはその慣例を知らなかった。事情を聞くと、訳ありのハンターとの交渉には都合が良い場所だから選んだとシカラベから説明された。
コルベとの再会
次に現れたのは、借金持ちのハンター二人、その監視役、債権者側の交渉役だった。その監視役は、以前ヨノズカ駅遺跡で会ったコルベだった。
アキラは、コルベと行動していたギューバがシェリルを襲ったことから警戒した。コルベは借金持ちの監視役としてギューバ達の行方を調べ、その過程で事情を知っただけであり、襲撃を命じても唆してもいないと説明した。
アルファも嘘ではないと判断したため、アキラは疑ったことを謝って警戒を解いた。
カドルの反発
借金持ちの一人であるカドルは、アキラが賞金首討伐の参加者だと知ると激しく反発した。
アキラを実力のない子供と見なし、頭数を水増しして自分達の報酬を減らすために加えたのではないかと疑ったのである。交渉役のトメジマも似た認識を持ち、アキラの報酬比率を下げるよう要求した。
しかしシカラベは既にアキラとの契約は成立しているとして拒否し、実力相応に報酬を決めるなら、むしろカドル達の取り分が無くなるとまで言い放った。
銃を向けたカドル
侮辱されたと感じたカドルは激昂し、アキラへ銃を向けようとした。
アキラは視界外からの動きにも即座に反応し、立ち上がって距離を詰め、カドルの銃を弾き飛ばした。さらに自分の銃を抜いてカドルの口内へ押し込み、床へ倒した。
コルベも止めようとしていたが間に合わず、トメジマ達はアキラの反応速度と動きに驚愕した。シカラベも内心では、地下街の時と同様にアキラの索敵能力と強化服操作の異常さを訝しんでいた。
カドルの生死
アキラはカドルを殺した場合、賞金首討伐にどれだけ影響するかシカラベに尋ねた。
シカラベは好きにしてよいが、都市内なので死体処理や床の修繕費などの後始末は自分で負担しろと答えた。経費にもならず、店主への対応まで自分で行う必要があると聞いたアキラは、面倒だと判断して銃を収めた。
カドルへの殺意より、その後の手間の方が大きかったためだった。
アキラの離席
アキラはこれ以上その場にいると面倒事が増えると考え、交渉の途中で帰ることにした。
去り際、シカラベにカドルを雇うのは自由だが、生かして返す約束はしない方がよいと告げた。シカラベもそれを笑って受け入れた。
その後、コルベはカドルの銃を取り上げて床に押さえ付け、もう一人の借金持ちにも妙な真似をしないよう警告した。ヤマノベはカドルの行動を交渉材料に変え、トメジマとの条件交渉を有利に進め始めた。
賞金首討伐までの待機
討伐参加が決まったアキラは、シカラベから呼び出しが来るまで自宅待機となった。
賞金首は早く倒せばよいわけではなく、賞金額と危険度を見極める必要があった。タンクランチュラの賞金は当初の一億オーラムから八億オーラムまで上がっていたが、それでも危険に見合う金額とは限らなかった。
アキラは、最初の一億オーラムの段階で討伐に向かった者達のことを考え、自分が単独で賞金首との遭遇を避けた判断は正しかったと受け止めた。
カツヤへの隊長任命
一方、カツヤはドランカムの拠点でミズハから呼び出されていた。
ミズハはまず、以前頼まれていた高性能な回復薬を渡した。それはアキラから受け取った物と同じ製品であり、二百万オーラムほどしても不思議ではない品だと説明した。
これによりカツヤは、アキラが回復薬の値段を偽っていなかったことと、徒党にも属さずそのような高級品を使えるほど稼いでいることを改めて認識した。
賞金首討伐部隊の指揮
ミズハは本題として、ドランカムが賞金首討伐に乗り出し、その部隊の隊長をカツヤに任せると告げた。
カツヤはヨノズカ駅遺跡で仲間を失った経験から、自分が大部隊を率いることに強い不安を示した。
ミズハは当初、その態度を自分への不信だと受け取り、ヨノズカ駅遺跡での判断について説明した。若手だけで成果を上げなければ古参から見下され続けるため、若手だけで遺跡を発掘し、出入口を確保する必要があったのだと語った。
ミズハの説得
カツヤが不安に思っていたのはミズハへの不信ではなく、自分に隊長が務まるかどうかだった。
それを知ったミズハは、ヨノズカ駅遺跡の過酷な状況から少数の犠牲だけで仲間を生還させたことは十分な成果だとカツヤを称賛した。
生還した仲間達もカツヤに感謝しており、リーダーとしてその評価を受け入れるべきだと説得した。カツヤは救えなかった仲間への思いを抱えながらも、仲間のために笑顔を作り、隊長を引き受けた。
救えなかった仲間の幻覚
会議室を出たカツヤの前に、ヨノズカ駅遺跡で死んだ仲間の姿が現れた。
カツヤはそれが幻覚だと理解していた。救えなかった仲間から責められる悪夢は以前から見ていたが、遺跡から戻って以降は起きている時にも姿を見るようになっていた。
目を閉じて再び開くと姿は消えたが、カツヤはその苦しさを抱えたままだった。
ユミナの支え
廊下ではユミナがカツヤを待っていた。
カツヤは賞金首討伐部隊の隊長に任命されたことを明るく話し、ミズハから受け取った回復薬も見せた。アキラに返すため、使わずに保管しておくことになった。
ユミナはカツヤの笑顔の裏にある苦しみに気付いていたが、直接指摘はしなかった。仲間の死を忘れろとは言えないため、その死にカツヤまで引きずられないよう、手を握って食堂へ連れていった。
第89話 足枷と認識
クガマビルでの遺物販売準備
シェリルはアキラから頼まれた遺物販売のため、エリオやカツラギ達とクガマビルを訪れていた。カツラギは以前の約束から協力を断れず、さらにシェリルの商才を評価して、正式に起業させて自分の店の子会社にすることまで提案していた。
シェリルは旧世界製の服を素材に仕立てた一張羅を着こなし、周囲から富裕層の令嬢のように見られていた。一方、護衛役のエリオは周囲のハンター達に圧倒されていたが、シェリルに諭されて徐々に落ち着きを取り戻した。
アキラ不在への不安
エリオがアキラを呼ばなかった理由を尋ねると、シェリルは頼んだものの忙しいとして断られたと答えた。
アキラはシカラベの非公開依頼で待機中だったため詳しい説明をしておらず、日程変更にも応じなかった。そのためシェリルは、自分と一緒にいたくないのではないかと悪く考えてしまっていた。
エリオが軽い疑問のつもりで話を続けると、シェリルは自分とアキラの仲を疑っているのかと冷たい怒気を見せた。慌てて弁明したエリオに、余計な誤解を招く発言は控えるよう釘を刺し、シェリル自身も平静を取り戻した。
カツラギとの駆け引き
事務手続きを終えたシェリルは、喫茶店でカツラギと遺物販売の計画を詰めた。
カツラギは高値で売れそうな遺物を自分に回すよう求めたが、シェリルは衣類系遺物を安く買い取ろうとした件をアキラに話すと牽制した。カツラギは一度退き、代わりに販売利益で自分の店の商品を買うよう求め、シェリルはそれを受け入れた。
二人の間では互いの利益を探る交渉が続き、エリオはシェリルがいつの間にかそのような駆け引きをこなせるようになったことに頼もしさと恐ろしさを感じていた。
カツヤとの再会
そこへカツヤが現れ、シェリルに声を掛けた。カツヤは再びシェリルに見惚れた。
カツヤはミズハと共に、賞金首討伐への支援を得るためクガマビルを訪れていた。だが仲間を失った後悔から元気を失っており、立食会を前にミズハを困らせていた。
シェリルを見た途端にカツヤの暗い様子が消えたため、ミズハはその変化に驚いた。カツラギは事情を察して席を譲り、シェリル、カツヤ、ミズハの三人で歓談することになった。
繰り返される称賛
ミズハはカツヤの機嫌を良くするため、ドランカムでの活躍や才能、仲間からの信頼、賞金首討伐部隊の隊長に選ばれたことまで話題にして称賛した。
シェリルもドランカムの内情や遺物販売に役立つ情報を得るため、それに合わせてカツヤを褒め続けた。
しかしカツヤは褒められるほど徐々に表情を曇らせた。シェリルはそれに気付き、自分が何か不快なことを言ったのではないかと尋ねた。
カツヤの苦悩
シェリルが友人として悩みを聞くと申し出ると、カツヤはついに自分の気持ちを語り始めた。
カツヤは幼い頃から、仲間と遺跡を探索し、モンスターと戦い、成果を持ち帰る凄いハンターに憧れていた。実際にドランカムの若手で最も高い実力を持ち、多くの仲間にも恵まれ、その夢は既に叶ったように思えていた。
だが都市防衛やヨノズカ駅遺跡で仲間を失い、自分がどれだけ強くなっても全員を救えない現実に直面した。そのため凄いハンターだと称賛されるたびに、仲間を助けられなかった自分を思い出し、苦しんでいた。
シェリルの解釈
シェリルはカツヤの話を聞きながら、強すぎる自信と責任感が本人を追い詰めていると考えた。
カツヤは自分が努力すれば全てを救えると思い、実際に才能で多くの期待に応えてきた。その結果、周囲からさらに頼られ、遂には自分の実力では救い切れないほど多くを背負うようになったのだと捉えた。
そして仲間の死そのもの以上に、助けられなかったことを強く悔いているのは、自分なら助けられたはずだと思っているからだと考えた。
亡くなった仲間への感謝
シェリルはまず、都市を守ったカツヤ達と、戦って亡くなった者達に深く感謝した。
報酬や名声のために戦った者がいたとしても、実際に命を懸けて都市を守ったことに変わりはないと告げた。またハンターは実力や覚悟があっても運悪く死ぬことがあり、その不運にはカツヤの救援が間に合わなかったことも含まれると話した。
その言葉を聞き、カツヤは少しずつ気持ちが軽くなっていった。
忘れるべき後悔
シェリルは、亡くなった仲間を誇りに思うなら覚えていればよいが、その死への後悔が足枷になるなら忘れるべきだと強く告げた。
カツヤは死んだ仲間を忘れろと言われたと思い怒りを見せたが、シェリルは怯まず、後悔が進むべき時にも退くべき時にも判断を狂わせ、最終的にはカツヤ自身を殺すと訴えた。
そして死者のためだけではなく、生きている者のためにも生きるべきだと伝え、背後を示した。
ユミナとアイリ
そこにはユミナとアイリが立っていた。
二人は途中から話を聞いていたが、声を掛ける機会を失っていた。カツヤは二人を見て、自分が後悔と自己嫌悪に閉じこもり、どれほど心配を掛けていたのかをようやく理解した。
死んだ仲間の幻覚も再び見えたが、カツヤはそれを自分の後悔と恐れが作り出したものだと捉え直した。死んだ仲間が自分の死を望むはずはなく、生きている仲間を置いてそちらへ行くこともできないと受け入れた。
幻の仲間は笑顔を浮かべて消えていった。
立ち直ったカツヤ
カツヤは吹っ切れたように笑い、死んだ仲間のことは忘れず、いつまでも覚えておくと宣言した。
シェリルは、怒鳴られることも覚悟していたと明かした。カツヤが一度感情を吐き出せば少しは楽になると考え、敢えて強い言葉を使ったのである。
カツヤは、自分を怒らせる危険を冒してまで苦しみを取り除こうとしてくれたと受け取り、シェリルへの感情を強めていった。
書き換えられた認識
真っ白な世界では少女が不機嫌そうにしていた。
カツヤの認識が変わったことで、これまで責める姿として見えていた死んだ仲間の幻覚も変化した。実在しない存在であるからこそ、カツヤがどう認識するかによってその姿も変わっていた。
第90話 啓示
ユミナとアイリの安堵
シェリルとの話で立ち直ったカツヤは、ユミナとアイリを交えて立食会まで歓談していた。ユミナとアイリは、カツヤの悩みを解消したシェリルに礼を述べた。
二人ともカツヤが仲間の死を引きずっていることには気付いていたが、自分が死んだ時まで簡単に忘れられるのは嫌だという思いもあり、忘れろとは言えなかった。カツヤが仲間の死を受け入れながら前を向けるようになったことを喜んだ一方、ユミナは長い付き合いの自分にできなかったことをシェリルが成し遂げたことに嫉妬と自己嫌悪も覚えた。
シェリルのコーヒー
食事が運ばれる中、シェリルはコーヒーだけを自費で頼んでいた。裕福な令嬢を装っているため、知らない料理や食事作法で素性を疑われることを避けたのである。
カツヤに料理を頼まない理由を問われたシェリルは、体型を気にしていると取り繕った。カツヤが不用意な言葉を重ねてユミナとアイリに叱られた後、シェリルは大量の砂糖とミルクをコーヒーに入れた。その甘さにカツヤ達は困惑したが、シェリルは心から美味しそうに飲み、甘い物が大好きだと答えた。
カツラギとミズハの探り合い
別席から様子を見ていたカツラギは、シェリルがミズハ達を完全に欺き、富裕層の令嬢として振る舞っていることに戦慄していた。
そこへミズハが来ると、カツラギは零細商人を装って縁を繋ごうとした。ミズハもシェリルとの関係を曖昧にしながら応対し、互いに相手を探り合った。
カツラギはシェリルの服が複数の旧世界製衣類を素材にし、仕立代だけで150万オーラム掛かった品だと説明した。ミズハはその価値を見抜けなかったことを取り繕い、カツラギもシェリルが壁の内側の富裕層であるかのように話を重ねた。その結果、シェリルへの誤解はさらに強まった。
立食会への誘い
立食会の時間が近付くと、ミズハはシェリルにも参加を勧めた。カツヤも期待したが、シェリルは商談中であることを理由に断った。
その場でユミナとアイリも立食会に参加することになった。本来ミズハは、スラム街出身のアイリを支援者達が嫌う可能性を考えて二人を外すつもりだった。しかしシェリルがその扱いを知れば不快に思う可能性を恐れ、判断を変えたのである。
ミズハがユミナ達を着替えに連れていく一方、カツヤがそのまま残ったため、シェリルは気の利かなさに少し評価を下げた。しかしアキラならどうしたかと考えかけ、自分への扱いを考えるのが嫌になって思考を打ち切った。
一人で戦う時の強さ
カツヤはシェリルに、最近は一人で戦う時ほど極端に調子が良くなる理由を尋ねた。
シェリルは雑な推測だと前置きし、カツヤが仲間を守ろうとしすぎるからではないかと答えた。一人なら実力を全て自分のために使えるが、仲間といる時は大半を周囲への警戒や護衛に使い、自分の力を十分に発揮できなくなっていると説明した。
カツヤは、ヨノズカ駅遺跡でユミナ達を守る余裕もない状況や、アキラと共闘した時には全力を出せていたことを思い出し、その説明に納得していった。
隊長に向かない性格
シェリルはさらに、全員を守ろうとするカツヤは大部隊の指揮官には向いていない可能性があると告げた。
多数の隊員を個別に気遣えば全体を見られなくなり、一人を切り捨てれば他の大勢が助かる状況でも、その一人を救おうとして被害を広げかねないと説明した。
対策として、仲間を一方的に守るのではなく互いに助け合うと考えること、隊員には指示を守らせること、どうしても誰も見捨てられないなら全員を救って自分も生き残れるほどさらに強くなることを挙げた。
カツヤはその言葉を受け入れ、ようやく答えを得たように明るく笑ってシェリルに礼を述べた。
変わったカツヤ
自信を取り戻したカツヤからは、シェリルが以前とは別人に思うほど強い存在感が漂っていた。
カツヤは去る前に、また会って相談に乗ってほしいと頼んだ。シェリルはナンパかとからかった後、縁があればまた会おうと答え、賞金首討伐を励ました。
カツヤが去ると、シェリルは急激な変化を理解できず、何だったのかと怪訝に思った。その後の立食会では、覇気を取り戻したカツヤが支援者達から称賛され、会は成功した。
エリオの違和感
拠点に戻った後、エリオはシェリルに、カツヤへ語った言葉がどこまで本心だったのか尋ねた。
シェリルは、仲間の死をいつまでも引きずらず前向きに考えればよいという内容を脚色しただけだと答えた。都市防衛への感謝についても、守られるのは防壁内でありスラム街ではないとして、本心ではなかったと話した。
しかしエリオは、カツヤならスラム街の自分達まで守ってくれるのではないかと考え始め、カツヤをアキラと同じような徒党の後ろ盾にできないかと食い下がった。
カツヤへの傾倒
エリオの様子に不自然さを感じたシェリルは、カツヤを後ろ盾にするのは無理だと強く否定した。
エリオがなお可能性を口にすると、シェリルは見返りをどうするのかと問い、アキラとの関係まで引き合いに出して牽制した。それでエリオはようやく我に返り、自分でも妙なことを言っていたと認めた。
さらにシェリルは、カツヤが後ろ盾になればアリシアが接触する機会も増え、強く、稼ぎが良く、優しく、異性を勘違いさせやすいカツヤに惹かれる可能性もあると指摘した。エリオはその想像で顔色を悪くし、話を切り上げて部屋を出た。
シェリルに残った疑問
一人になったシェリルは、エリオの普段とは異なる言動を振り返った。
カツヤへの言葉が本心だったのか確認したことと、現実味の薄い後ろ盾の話に執着したことの双方に違和感を覚えたが、理由は分からなかった。
シェリルは二つの話を関連付けて考えたため、エリオが自分の演技を本心だと思うほど恐れていたことには気付かず、結局考えるのをやめた。
第91話 反カツヤ派の期待の星
賞金首討伐への出発
シカラベ達との合流地点へ向かうアキラは、睡眠不足を補うためにアルファへ運転を任せ、車内で仮眠を取った。目覚めた後は、賞金首討伐が始まれば食事の時間が取れない可能性を考え、ハンター用の携帯食で朝食を済ませた。
アキラは装備には大金を惜しまない一方、食事への出費にはスラム街時代の感覚が残っていた。アルファから、今の稼ぎなら携帯食程度はもう少し贅沢しても問題ないと言われ、少しずつ受け入れていった。
討伐用の支給品
合流地点にはシカラベ達の装甲兵員輸送車と複数の車両が集まっていた。アキラは指示に従い、対大型モンスター用ロケットランチャーと弾薬、情報収集妨害煙幕への調整データ、通信機などを受け取った。
大量に用意されたロケット弾を見たアキラは、自分が火力要員として雇われたことを改めて認識すると同時に、それほどの火力を必要とする賞金首の強さを実感した。
出発前の柔軟体操
待機中に眠気を覚えたアキラは、アルファに勧められて柔軟体操を始めた。アルファは強化服を操作してアキラの体を限界近くまで伸ばし、アキラは痛みに耐えながら訓練を続けた。
そこへシカラベが現れ、読み取り式の強化服を使っているアキラに、自分で手足を壊さないよう注意した。以前、他人用に調整された強化服をそのまま着た知人が、柔軟体操中に生身では不可能な可動域まで関節を曲げられ、両手足を折ったことがあったためである。
その話を聞いたアキラは、回復薬があるから多少千切れても大丈夫だと言ったアルファの言葉を思い出したが、冗談だったと思うことにした。
トガミとの同乗
シカラベはアキラに、ドランカム所属の若手ハンターであるトガミを車に乗せるよう頼んだ。アキラが護衛まで含むのか確認すると、シカラベは各自で好きに戦えばよく、邪魔なら自分の車へ投げ込んでも構わないと答えた。
アキラは一人で戦いたかったものの、指示として受け入れた。こうしてトガミを助手席に乗せ、賞金首討伐部隊と共に日の出前の荒野へ出発した。
ハンターランク27の自負
トガミは、どう見ても強そうに見えないアキラと組まされたことに不満を抱いていた。さらに出発前に足手纏い扱いされたと感じ、アキラへ敵意を向けた。
トガミはアキラのハンターランクを尋ね、2だと知ると、自分は27だと誇った。ドランカムの若手は事務派閥の方針からハンターランクを重視する傾向があり、トガミも無意識にその数字でアキラとの上下を決めていた。
しかしアキラはほとんど反応せず、その後の挑発も無視した。トガミは実戦で実力差を見せ付けようと考えた。
B班への箔付け
シカラベの車内では、トガミをアキラと同乗させた理由が語られていた。
トガミは、事務派閥に優遇されるA班へ対抗するB班の実力者として、賞金首討伐の実績を付けるために参加させられていた。B班を支援する古参達がシカラベに資金を提供し、その見返りとしてトガミを討伐部隊に加えていたのである。
シカラベ自身は若手を好んでいなかったが、A班と事務派閥をそれ以上に嫌っていたため取引を受け入れていた。ただしトガミを護衛する約束まではしていなかった。
トガミの単独戦闘
進行方向にモンスターの群れが現れると、トガミは先行して排除するよう命じられた。アキラに急いで近付けと指示したが、アキラがアルファのサポート時と同じ感覚で急加速したため、トガミは車内で体勢を崩した。
群れの近くで降りたトガミは、アキラに実力差を見せると宣言して単独で戦闘を開始した。
大型銃で巨大な獣を削り殺し、続く中型の群れを拡張弾倉付きの銃で撃破した。接近した小型個体も強化服による蹴りで倒し、残敵まで確実に仕留めた。トガミは駆け出しでは逃げるしかない規模の群れを一人で全滅させ、十分な成果を上げた。
無反応のアキラ
満足して車へ戻ったトガミは、アキラから驚きや称賛を受けることを期待していた。しかしアキラは暇そうに前を見たまま、早く乗らないと部隊から離されると告げただけだった。
トガミは自分の戦いを無視された以上に、特に評価するほどの内容ではなかったと扱われたように感じて激怒した。そこへ通信で早く乗るよう叱責され、怒りを抑えて助手席へ戻った。
以後、車内では会話が途絶えた。
古参達の評価
シカラベ達はトガミの戦闘を車両から確認していた。
パルガは年齢と装備を考えれば十分な実力だと評価した。一方ヤマノベは、一人で勝てるからと単独で危険を冒した点を問題視し、アキラを支援に付けるなど安全な方法を取るべきだったと評した。
シカラベも評価を保留しつつ、現時点では雑魚を倒した程度で調子に乗る者は不要だと厳しく見ていた。トガミに箔を付ける取引はしていても、賞金首戦で守る約束はなく、そこで死ぬ程度なら実績を与えてもすぐに化けの皮が剥がれるだけだと考えていた。
第92話 億超えのハンター達
朝日に照らされたアルファ
賞金首の出没地域へ向かう途中、夜が明け始めた。アキラは朝日に照らされたアルファの姿を眺め、スラム街で見る日の出より記憶に残る光景だと口にした。
かつてのアキラには、安全な寝床も日の出を眺める余裕もなかった。荒野で朝日を眺められる今の状況は、それだけ生活が変わったことを意味していた。
日の出を遮る大型モンスター
アルファが遠方から接近する大型モンスターを察知した。アキラは日の出を邪魔されたことに不快感を覚え、CWH対物突撃銃を構えた。
サメとワニを混ぜたような巨大なモンスターに専用弾を撃ち込み、弱点へ正確に命中させた。弾丸の衝撃は強靭な外装を貫通しなかったものの、内部を破壊して一撃で仕留めた。
その直後にパルガから撃退指示が届いたため、アキラが既に倒したと答えると、パルガは驚いて確認を取り、次も同様に頼むと告げた。
アルファは、アキラが邪魔されて怒るほど日の出を楽しんでいたことをからかった。アキラは否定しなかったが、それ以上は答えなかった。
一撃を見たトガミ
隣で狙撃を見ていたトガミは唖然としていた。遠距離の敵を逸早く捉え、走行中の車上から弱点を一発で撃ち抜く芸当は、自分には出来ないと理解できるほど高度だった。
一方、シカラベ達もアキラの戦闘を確認し、その実力に改めて注目していた。
1億6000万オーラムの履歴
パルガ達がアキラを雇った理由を尋ねると、シカラベは情報屋から入手したアキラの非公開情報を見せた。
そこにはクガマヤマ都市営業部の社外秘関連依頼と、1億6000万オーラムの報酬額が記録されていた。ヤマノベ達は、アキラが億単位の報酬を得た実力者だと知り、評価を大きく改めた。
シカラベ達がハンターオフィスを介さず追加要員を雇ったのは、賞金首を表向きドランカム所属の少人数だけで倒したことにするためでもあった。
トガミへの箔付け
パルガは、シカラベがトガミとアキラを同じ車に乗せた意図を理解した。
外から見れば二人とも若いハンターであり、アキラは討伐参加者として公表されない。一方でトガミはハンターランクが高いため、実際にはアキラが活躍していても、詳しく調べない者にはトガミの功績だと誤認される可能性があった。
シカラベは、その程度の勘違いが生まれれば十分だと考えていた。
シカラベの狙い
シカラベがアキラを加えた理由は、トガミへの箔付けだけではなかった。
以前クズスハラ街遺跡の地下街で見たアキラの実力と、その後に負傷して途中離脱した記録が一致しないことに疑問を持ち、独自に調査していたのである。
調査では何らかの事情があったことまでは分かったが、詳細は掴めなかった。そのため賞金首戦にアキラを参加させ、信頼する仲間達の評価と実戦での働きから、改めて実力を見極めようとしていた。
揺らぐトガミの自信
トガミはアキラの狙撃を見たことで、それまでの不満を失い、代わりに警戒と焦りを強めていた。
自分よりハンターランクが低く、強そうにも見えないアキラの方が実力者なら辻褄が合う。その考えを認めたくないトガミは、自分は強く、賞金首討伐に選ばれたのも実力があるからだと言い聞かせた。
そしてアキラの一撃をまぐれだと決め付け、実力だとは認めないと告げた。
自力ではない一撃
アキラは、自力で同じ射撃を当てる自信はないと答えた。
トガミはその言葉を聞いて、やはり偶然だったと笑った。しかし自身の経験と勘は偶然ではないと告げており、その笑顔は引きつっていた。
アルファは、以前エレナから謙遜が嫌味に受け取られることもあると注意されたことを指摘した。アキラは、それなら今回は嫌味だったことにすると返したが、アルファから最初にトガミへ喧嘩を売ったのはアキラ自身だと返された。
アキラは言葉に詰まりながらも謝罪し、自分の捻くれた部分をわずかに改めていた。
狙撃を見ていた蜘蛛
アキラが倒した大型モンスターの近くには、全長約1メートルの蜘蛛型モンスターがいた。
機械化された頭部のカメラで、蜘蛛はアキラの狙撃を見ていた。アキラと倒されたモンスターの双方を、はっきりと認識していた。
第93話 タンクランチュラ
タンクランチュラ討伐作戦
シカラベ達はタンクランチュラの想定遭遇区域に入り、追加要員を散開させた。ヤマノベとパルガが仕込みを終えるまで他の参加者が囮と牽制を担当し、その後ロケットランチャーによる一斉攻撃へ移る作戦だった。
トガミは細かな移動や攻撃指示がないことに不満を示したが、シカラベは追加要員に精密な連携を期待しておらず、各自で最善を選ぶよう命じた。
巨大な賞金首
アキラはアルファの索敵でシカラベ達より早くタンクランチュラを発見した。三階建ての家ほどある蜘蛛型で、全身を強固な外骨格に覆われ、十六本の脚、砲塔、大砲、タイヤや無限軌道まで備えていた。
タンクランチュラは倒したハンターの車両を食べていた。アルファは、ヨノズカ駅遺跡で大量の餌を得て変異し、遺跡を出た後も討伐に来たハンター達を装備や車両ごと食べて巨大化したと説明した。アキラは賞金が急上昇した理由を理解した。
砲撃を引き付けるアキラ
戦闘開始の号令を受けたアキラは、先頭配置だったことから囮になるためタンクランチュラへ接近した。トガミにも降りる機会を与えたが、足手纏い扱いするなと拒まれたため、そのまま同行させた。
激しく揺れる車上からアキラはCWH対物突撃銃を撃った。専用弾は命中したものの、タンクランチュラの外骨格に弾かれて損傷を与えられなかった。
それでも攻撃対象として認識され、タンクランチュラはアキラ達への砲撃を開始した。アルファは弾道を予測しながら急加速や急旋回を繰り返し、砲弾を回避した。アキラは車体に片手でしがみ付きながら銃撃を続け、敵の注意を引き付けた。
足手纏いとなったトガミ
トガミは激しい車両の動きに耐えるだけで精一杯だった。一方のアキラは同じ状況で立ったまま射撃を続けていた。
トガミはアキラが遠隔操作で車を操りながら戦っていると思い、その技量を異常だと感じた。自分も囮として攻撃しなければならないと理解していたが、立ち上がれば車外へ放り出されると分かり、動けなかった。
自分こそ足手纏いになっている現実に、トガミは強い屈辱を覚えた。
ネルゴの奮戦
別方向では、四本腕のサイボーグであるネルゴも自前の車両でタンクランチュラに接近し、大型銃で攻撃を続けていた。
ネルゴは報酬としてドランカムへの加入を求めており、十分な活躍を条件にシカラベから口添えを約束されていた。その実力を見たヤマノベは、正規の窓口を避けなければならない事情を訝しみながらも、自分の仕事に集中した。
ヤマノベのマーキング
囮が敵の注意を引き付ける中、ヤマノベはタンクランチュラへ接近し、大型銃から粘着性の小型機械を撃ち込んだ。
タンクランチュラは損傷を与えるアキラやネルゴへの攻撃を優先したため、ヤマノベは妨害を受けずに巨体の各所へ装置を貼り付け、マーキングを完了した。
情報収集妨害煙幕
続いてパルガが接近し、自動擲弾銃から大量の情報収集妨害煙幕発生装置を撃ち込んだ。
煙はタンクランチュラの周囲を覆い、可視光だけでなく赤外線や超音波などによる索敵も妨害した。その結果、タンクランチュラの砲撃は大幅に照準を外すようになり、パルガは安全に離脱した。
シカラベは仕込みの完了を確認し、全員にロケットランチャーの使用を許可した。
高価な煙幕
アキラは煙で敵が見えなくなったことを警戒したが、アルファは配布された成分表を利用して表示を補正し、煙の向こうにいるタンクランチュラを視認できる状態にした。
アキラは情報収集妨害煙幕の性能に感心したが、アルファから高価な装備を大量使用した分だけ討伐賞金から差し引かれる経費も増えると指摘され、受け取れる報酬を心配した。
ロケット弾の一斉攻撃
シカラベの号令で、参加者達はロケットランチャーを一斉発射した。
誘導されたロケット弾は空中で着弾時刻を合わせ、ほぼ同時にタンクランチュラへ命中した。大爆発と爆炎が巨体を呑み込み、爆風は離れたアキラの車両まで揺らした。
アキラはこれで倒したと思ったが、アルファから警戒を解かないよう注意された。
爆発を耐えたタンクランチュラ
煙が吹き飛んだ後、タンクランチュラは数本の脚や砲塔、腹部、タイヤや無限軌道を大きく損傷しながらも原形を保っていた。
残った脚で立とうとしたものの巨体を支え切れず崩れ落ちたため、アキラ達は勝利が近いと考えた。シカラベも二度目の一斉攻撃を準備させ、ヤマノベに再び誘導装置を取り付けるよう命じた。
腹部から溢れる子蜘蛛
その直後、破損したタンクランチュラの腹部が更に裂け、大量の小型タンクランチュラが内部から湧き出した。
小型とは親蜘蛛との比較であり、体長二メートルほどの個体も多数含まれていた。子蜘蛛達はタイヤや無限軌道で一斉にアキラ達へ迫り、小型砲塔から砲撃を開始した。
子蜘蛛の群れとの戦闘
アルファは車を急発進させて砲撃を避けた。アキラはCWH対物突撃銃とDVTSミニガンを両手に持ち替え、小型個体を弾幕で粉砕し、大型個体を専用弾で撃破した。
しかし子蜘蛛は親蜘蛛の腹部から大量に湧き続け、仲間の残骸を踏み潰しながら迫った。無数の砲撃によってアルファでも全てを回避できず、車両にも被弾が出始めた。
アキラは敵を減らせば被弾も減るというアルファの指示に従い、最大限の火力で群れを撃ち続けた。それでも一体一体が通常のモンスターより強力で数も多く、一斉攻撃前より戦況は悪化していた。
第94話 賞金首撃破
子蜘蛛の集中攻撃
シカラベは逃げる子蜘蛛を無視し、親のタンクランチュラ撃破を優先するよう指示した。しかし親に付けた誘導装置は子蜘蛛に破壊され、一部は装置を持ったまま移動したため、ロケット弾は座標指定で撃ち込むことになった。
子蜘蛛達はアキラを最優先で狙っていた。アキラは不運を嘆きながらも、いつも通り叩き潰せばよいと気持ちを切り替えた。アルファの運転と強化服の制御に合わせ、車体ごと回転しながらDVTSミニガンを全周囲へ撃ち込み、大量の子蜘蛛を粉砕した。
それでも敵は減らなかった。アルファによれば、タンクランチュラは戦闘前から子蜘蛛を荒野へ放っており、成長した個体を増援として呼び戻していた。そのため周囲を殲滅しても新たな個体が集まり続けていた。
ロケット弾を撃ち続けるトガミ
アキラが子蜘蛛の迎撃に専念する間、トガミは代わりにロケットランチャーを撃っていた。他の追加要員と合わせた攻撃は子蜘蛛に迎撃され、タンクランチュラへ届いた弾だけでは止めを刺せなかった。
トガミは子蜘蛛を撃つよりロケット弾の発射に徹し、同じ車に乗っている意味を失わないように必死で役割を果たしていた。それでもアキラと比べて何も出来ていない自分に強い怒りを覚えていた。
孫蜘蛛の出現
アキラが大型の子蜘蛛をCWH対物突撃銃で破壊すると、その腹部から掌ほどの大量の蜘蛛が飛び散った。孫蜘蛛はアキラの車に取り付き、装甲や座席だけでなく制御装置やタイヤまで食べ始めた。
アキラとトガミは銃や蹴りで孫蜘蛛を排除したが、別の大型個体を倒すたびに新たな孫蜘蛛が飛び散った。アルファは車体を激しく回転させて振り落とす方法を選んだ。
車外に投げ出されたトガミ
トガミは車体に掴まろうとした際、腕に付いた孫蜘蛛を振り払おうとして手を離した。その瞬間にアルファが急旋回し、孫蜘蛛と一緒にトガミも車外へ投げ出された。
武器を失ったトガミは大型の子蜘蛛に襲われ、強化服の力を込めた拳で正面から殴りつけた。しかし倒し切れず、押し合いになった末に自分の死を覚悟した。
そこへアキラが車から飛び出し、子蜘蛛を踏み付けた。さらにCWH対物突撃銃とDVTSミニガンで至近距離から破壊すると、トガミを足で投げ飛ばし、戻ってきた車の後部座席へ放り込んだ。
シカラベの車へ送られたトガミ
アキラはトガミがこれ以上役に立たないと考え、以前のシカラベとの約束通り、装甲兵員輸送車へ投げ込むことにした。
シカラベは飛んできたトガミを受け止め、そのまま運転を任せた。自身は車上へ出て、取り付いた孫蜘蛛を銃撃して排除した。
アキラはアルファの助けなしで走行中の車上から戦うシカラベの技量に感心した。その後、トガミを気遣う必要がなくなったアルファは運転の手加減をやめ、アキラも再び子蜘蛛の殲滅へ戻った。
回復を始めたタンクランチュラ
戦闘を続けたことで子蜘蛛の増援は減り、アキラやシカラベ達、ネルゴの攻撃によって群れも大きく数を減らした。
しかしアルファは、このままでは勝てないと告げた。タンクランチュラは倒された子蜘蛛を運ばせて食べ、損傷した身体を回復していた。ロケット弾も混戦で大量に消費しており、このまま時間を与えれば移動能力まで回復して逃げられる恐れがあった。
シカラベも同じ危険を察し、次の一斉攻撃で決着を付けると決めた。残ったロケット弾を全て撃ち、発射後は子蜘蛛の迎撃を可能な限り妨害するよう全員に命じた。
ネルゴとの共闘
決戦直前、ネルゴがアキラの車へ飛び移ってきた。ネルゴは支給されたロケット弾をほぼ使い切っており、アキラと行動を共にすることを求めた。
ネルゴは四本の腕で異なる標的を同時に正確に撃ち抜き、子蜘蛛を次々に破壊した。そしてアキラの戦いぶりを称賛し、生身なのか、身体拡張処理を受けているのかと強い興味を示した。
アキラは生身であり、強化服を使って訓練と実戦を重ねただけだと答えた。しかしネルゴの強い関心に得体の知れないものを感じ、警戒していた。
最後の一斉攻撃
シカラベの合図で残ったロケット弾が一斉に発射された。ネルゴは四本の腕を生かしてロケット弾の発射を引き受け、アキラは迎撃しようとする子蜘蛛の排除に専念した。
ヤマノベ達も誘導装置と情報収集妨害煙幕を再び設置し、ロケット弾がタンクランチュラへ届くよう援護した。
空中で数を増やしたロケット弾は軌道と着弾時刻を合わせ、全方位からほぼ同時にタンクランチュラへ命中した。初回を上回る大爆発が巨体を吹き飛ばし、タンクランチュラはバラバラになった。
親が破壊されると、周囲の子蜘蛛達も同時に停止した。アルファから勝利を告げられたアキラは、歓喜よりも強い安堵を覚えた。
ネルゴとの別れ
戦闘後、ネルゴはアキラに別れを告げ、自分の車へ戻って去っていった。アキラは最後までネルゴの正体を掴めず、不思議に思いながらも深く追及しなかった。
疲れ切ったアキラは運転席に座って力を抜いた。こうして予想外の苦戦を挟みながらも、アキラ達は8億オーラムの賞金首タンクランチュラの討伐に成功した。
第95話 下らない小細工
賞金首討伐後の手続き
賞金首討伐では、賞金と討伐実績を得るためにハンターオフィスによる検証が必要だった。討伐データや残骸などを基に撃破者を確定し、複数のチームが関わった場合の裁定も行われた。また賞金首の残骸は研究対象として価値が高く、原則としてハンターオフィスが撃破確認の名目で引き取っていた。
シカラベは手続きを早く終えるため、追加要員達にタンクランチュラの残骸を集めさせていた。一方、十分に働いたアキラ達には休憩が与えられた。
戦闘後の昼食
アキラは遅い昼食を取り、携帯食のサンドイッチを食べた。アルファも同じように食事をする姿を見せたが、彼女のサンドイッチは映像にすぎないにもかかわらず、アキラの物より遥かに美味しそうだった。
アルファにからかわれたアキラは、帰ったら値段を気にせず美味しい物を食べると決めた。アルファはその決意を歓迎したが、アキラは自分をからかうのが目的だったと疑いながら食事を続けた。
割に合わないタンクランチュラ戦
シカラベ達はタンクランチュラ戦を振り返り、8億オーラムの賞金では割に合わなかったと話した。本来の目的は賞金ではなく、討伐実績をドランカム内の派閥争いに利用することだったため、赤字でなければ成果自体には意味があった。
しかしシカラベには別の問題があった。報酬は経費を差し引いた残額を追加要員達に分配する契約だったが、アキラとネルゴが予想以上に活躍したため、活躍に見合う報酬を払えば他の参加者に回す金が不足する恐れがあった。非正規依頼だけに安すぎる報酬は揉め事に直結するため、シカラベは交渉方法に頭を悩ませた。
トガミの動揺
トガミはアキラの個人ページを確認し、そのハンターランクが自分より低いことを改めて知った。あれほどの実力者が低ランクであることを受け入れられず、シカラベにアキラの正体を問い詰めた。
シカラベ達は、アキラが地下街では途中離脱しており、公開情報だけなら強者には見えなかったと話した。そしてハンターランクだけで相手を見下さず、実力を見抜ける者こそ本当の実力者だと軽口を重ねた。
自分がアキラの実力を見誤ったことを突き付けられたトガミは項垂れて車外へ出た。シカラベ達は笑いながらも、今回の経験でトガミが身の程を知るのも悪くないと考えていた。
タンクランチュラ討伐の確定
ハンターオフィスの職員が到着し、シカラベ達はタンクランチュラの残骸と戦闘データを引き渡した。表向きの討伐者はシカラベ、ヤマノベ、パルガ、トガミの四人となり、追加要員達の存在についてハンターオフィスは関与しなかった。
当初は続けて別の賞金首を偵察する予定だったが、タンクランチュラ戦で大量の弾薬を消費したため、シカラベは自分達だけでの連戦を断念した。
追加の賞金首戦
シカラベは、既に別の賞金首と戦っているクロサワの部隊へ追加要員として加わることを決めた。アキラにも参加を持ちかけ、自分達も今度は補助役に回ると説明した。
アキラは断ればシカラベ達が苦戦して経費を増やし、自分の報酬が減る恐れがあると聞き、同行を決めた。アルファには経費の監視を頼んだ。
クロサワとの取引
移動中、シカラベは元ドランカム所属のクロサワと参加条件を確認した。シカラベ達は四人分の部隊として扱われ、実際に何人同行していても報酬は四人分となった。
クロサワはドランカム内部の派閥争いに関わる小細工を察し、かつて徒党を離れた理由を思い出しながら呆れた。シカラベも面倒だと自覚していたが、自分達が築いたものを後から来た者に奪われることまでは割り切れず、組織に残っていた。
多連装砲マイマイ
次の戦場はミナカド遺跡だった。そこには巨大な殻から多数の砲を生やした賞金首、多連装砲マイマイが棲み着いていた。
アキラが接近すると、多連装砲マイマイは高層ビルに貼り付き、特大の砲から高エネルギーの光線を放った。光線は荒野の地表を融解させて爆発を引き起こすほどの威力を持っていた。
アルファは砲撃範囲から離れれば問題ないと説明した。賞金額はモンスターの強さそのものではなく、早く討伐してほしい需要の強さを反映するものでもあり、長射程砲撃で輸送に大きな被害を与える多連装砲マイマイは高額になっていた。
通路保持の任務
クロサワの部隊に合流したアキラ達は、多連装砲マイマイそのものではなく、戦闘区域の通路確保を任された。戦闘音に寄ってきたモンスターを排除し、他のハンター達の移動を妨げないようにする役割だった。
クロサワは敵の情報を事前に集め、砲撃範囲や攻撃能力を分析した上で安全を重視して戦っていた。実弾砲を集中攻撃で潰し、対エネルギー防御を整えた部隊だけを主砲の射程内で動かした。アキラ達のように防御装備のない者は徹底して危険区域から遠ざけた。
多連装砲マイマイは何度も別のビルへ逃げたが、集中砲火を受け続け、四度目の落下で殻が割れた。露出した内部へ更に攻撃を受け、完全に撃破された。
安全を優先するクロサワ
戦闘後、アキラはあまりに楽だったことに拍子抜けしていた。クロサワは約10億オーラムの経費を掛けたと説明し、利益を減らしてでも安全に勝つ方を選ぶと話した。
クロサワは危険を過小評価して一攫千金を狙う者は死ぬと考えており、擦り傷一つ負わず勝つぐらいの準備でちょうど良いとしていた。その戦い方は派手な英雄譚とは無縁だったが、彼の指揮したチームは生還率が高く、今回も死者や重傷者を出していなかった。
宙に浮く成果
クロサワはシカラベからタンクランチュラ戦の事情を聞き、アキラを反カツヤ派の若手と誤認させる工作について察した。
アキラは見た目だけでは強者に見えず、しかも公式記録には追加要員として残らない。そのため実際の活躍と本人が結び付かず、外部から見れば記録上その場にいた別の人物の成果として受け取られる可能性があった。
二人はその工作を下らないものだと認識しながら、そこまでしなければならないドランカムの現状に複雑な感情を抱いていた。
アキラへの評価
クロサワはアキラを直接見て、客観的には十分な実力者だと理解しているにもかかわらず、直感では弱そうにしか見えないことに違和感を覚えた。
一方、アキラはタンクランチュラ戦の報酬がどれほど残るのか不安になり、シカラベに尋ねた。シカラベは経費を計算して提出するよう求め、具体的な報酬額はその後に決まると答えた。
クロサワとカツヤ
クロサワの指揮車には、賞金首討伐部隊の指揮を学ぶためカツヤが同行していた。カツヤは指揮について質問したが、クロサワは教官役を請け負っていないとして答えなかった。
クロサワはカツヤに高いハンターとしての才能を認めていた。しかし部隊指揮については、直感では才能があると感じる一方、客観的な情報や行動からは凡庸にしか見えなかった。その著しい食い違いに、クロサワは気味の悪さを覚えていた。
二度の賞金首戦
自宅に戻ったアキラは湯船に浸かり、アルファに経費計算を任せた。激戦だったタンクランチュラ戦と、安全を徹底した多連装砲マイマイ戦という正反対の戦いを思い返した。
残る賞金首は二体あり、しかも今回倒した二体より高額だった。さらにアルファから、もっと東では今回の賞金首程度のモンスターが珍しくなく、それを簡単に倒すハンターも多いと聞かされた。
スラム街から外へ出て世界を広げてきたアキラは、その先にまだ遥かに広い世界があることを知り、世界は広いと呟いた。
第96話 カツヤの部隊
過合成スネーク討伐部隊
都市近郊では、20億オーラムの賞金首である過合成スネーク討伐の準備が進められていた。高性能な車両と装備を揃えた主力は、カツヤが率いるドランカムの若手ハンター達であった。
エレナとサラは若手中心の編成に不安を覚えたが、人数と装備には多額の資金が投入されていた。さらに二人を含む外部ハンターも正式な補助要員として雇われており、その報酬は主力部隊の生還率によって変動する契約だったため、実質的には主力の護衛も求められていた。
アキラの合流
エレナ達のもとへアキラが到着した。エレナは前の戦いから疲れが残っていないか確認したが、アキラは問題ないと答えた。こうしてアキラはエレナ達に雇われる形で、三度目の賞金首討伐に参加することになった。
補助要員への反発
指揮車では、若手ハンターのリリーがミズハに補助要員の同行を激しく抗議していた。リリーはカツヤの実力を強く信奉しており、外部のハンターを連れていくこと自体がカツヤ達への侮辱だと捉えていた。
ミズハはヨノズカ駅遺跡のような予測不能な事態への備えだと説明したが、リリーはカツヤなら自力で乗り越えられると譲らなかった。以前、カツヤの不調を隠すためにミズハ自身が彼の意欲を誇張していたこともあり、今さら補助戦力の必要性を説くのは難しくなっていた。
カツヤとリリー
戻ってきたカツヤは事情を聞くと、自分達だけで倒せばよく、危険になった時だけ補助要員に助けてもらえばよいと答えた。しかしリリーは、その発言すら自分達への不信と受け取り、怒りを強めた。
ミズハはこれ以上の混乱を避けるため、リリーを配置場所へ連れ戻すことにした。一方でカツヤには、作戦開始前にエレナ達へ挨拶しておくよう勧めた。
ミズハの誘導
私物の車に移ったミズハは態度を変え、リリーへの理解を示した。補助要員はスポンサーへの体裁でもあり、カツヤ達だけで素早く賞金首を倒せば支払う報酬も減ると説明し、リリーの意欲を高めた。
さらにミズハは、カツヤが補助要員を受け入れたのは仲間が増えすぎて全員を守り切れないと無意識に考えているからではないかと示唆した。ユミナとアイリが側に置かれているのは長い付き合いを通じて実力を認められているからだと続け、今回の戦いでリリー自身の力を見せれば立場を変えられる可能性があると煽った。
リリーはその話を信じ、カツヤに実力を認めさせるため、装備と配置の変更をミズハに頼んだ。
多連装砲マイマイの主砲
アキラは主力部隊の装甲車に見覚えのある巨大な砲が搭載されていることに気付いた。それは多連装砲マイマイの主砲であった。
アルファも同じ物だと認め、実戦で使用可能だろうと話した。ただし元のモンスターのようにビルから大量のエネルギーを得られないため、威力は大幅に低下していると説明した。
アキラとカツヤ
カツヤはユミナとアイリを連れてエレナ達のもとを訪れ、そこでアキラの参加を知った。アキラはエレナ達に雇われたと説明したが、正式な補助要員の名簿には載っていなかった。
エレナは、アキラはあくまで自分達が独自に雇った人員であり、ドランカムとは直接契約していないと説明した。カツヤは不満を抱きながらも、アキラの実力を認めていることやエレナ達への配慮から参加を受け入れ、同行する以上は仕事をするよう告げた。アキラも反発を抑え、仕事はするとだけ返した。
回復薬の預け直し
ユミナは二人の険悪な空気を長引かせないため、カツヤに以前預かっていた回復薬をアキラへ返すよう促した。
しかしアキラは受け取った回復薬をユミナへ戻し、賞金首討伐が終わってから返してほしいと伝えた。アキラとしては必要なら戦闘中に使えるようにする気遣いだったが、カツヤは挑発とも受け取れる言動だと感じた。ユミナはすぐに話を収め、カツヤを連れてその場を離れた。
アキラとカツヤの確執
サラとエレナはアキラにカツヤとの関係を尋ねた。アキラは詳しい事情を自分から話すことを避け、機会があればユミナから聞いてほしいと答えた。
エレナはそれ以上追及せず、私情とは別に仕事はしっかり頼むと告げた。アキラも明確に了承し、エレナ達もそれで良しとした。
ユミナの忠告
指揮車に戻ったユミナは、ヨノズカ駅遺跡で二度助けられているのだから、アキラに自分から突っ掛かるのはやめるようカツヤを叱った。
カツヤは相性が悪いと認めつつ謝罪した。ユミナは回復薬を返し、仲間が危険になっても勝手に飛び出さず、隊長として全体の指揮を執るよう念を押した。カツヤもそれを受け入れた。
過合成スネーク討伐の開始
準備を終えたカツヤは部隊全体へ通信を繋ぎ、作戦開始を宣言した。
指揮車を先頭に主力部隊の車両が動き出し、多連装砲マイマイの主砲を搭載した装甲車や補助要員達の車両も続いた。様々な思惑を抱えた者達を乗せ、過合成スネーク討伐部隊は荒野へ進み始めた。
第97話 過合成スネーク
過合成スネークへの進軍
カツヤ率いるドランカムの大部隊は、20億オーラムの賞金首である過合成スネークを目指して荒野を進んだ。主力部隊は対大型モンスター用の武装に特化していたため、道中に寄ってくるモンスターはエレナ達を含む補助要員が排除した。アキラも自力で大型の肉食獣を狙撃して倒し、サラから称賛された。
アキラはシカラベのもとで経験したタンクランチュラ戦と多連装砲マイマイ戦について話し、二つの賞金首戦が大きく異なっていたと説明した。そこへ過合成スネーク発見の報告が入り、エレナ達とアキラも戦闘に備えた。
過合成スネークへの集中砲火
過合成スネークはヨノズカ駅遺跡から出た時よりさらに巨大化していた。カツヤは主力部隊を側面に展開し、大量のロケット弾による攻撃を開始した。
爆発は鱗や肉を削り続けたが、過合成スネークは圧倒的な巨体と生命力で耐え、負傷箇所まで再生していた。それでもカツヤ達は一定の距離を維持し、十分に用意した弾薬で生命力を削り切る方針を続けた。
荒野から迫るモンスターの群れ
アキラは戦況を楽観しかけたが、アルファが広域の索敵情報を示した。遠方から大量のモンスターが過合成スネークへ集まり始めていた。
アルファは、過合成スネークが巨体を維持する餌を集めるため、敵寄せ機に似た器官で広範囲のモンスターを呼び寄せている可能性を説明した。カツヤは補助要員全員に対応可能か確認し、さらにミズハへ万一に備えた応援準備も頼んだ。補助要員達は問題なく対処できると答えたため、カツヤは安全策を整えたと考えた。
リリーの命令無視
主力部隊の2号車が突然過合成スネークへ接近し始めた。運転していたのは、本来別の配置にいたリリーであった。
カツヤとユミナは戻るよう命じたが、リリーは補助要員や応援を用意したカツヤの判断を、自分達を足手纏いと見なした証拠だと受け取って反発した。リリーは通信を切り、同乗する若手達にも自分達の実力をカツヤへ示そうと訴えた。
リリーの狙いは、多連装砲マイマイから回収した主砲を過合成スネークへ可能な限り近付けて撃ち、一撃で仕留めることであった。同乗者達も最終的にはその行動に加わった。
ユミナの指揮
ユミナはカツヤにリリーを止めるかどうか決めるよう求めた。アイリが直接2号車へ乗り込み、力尽くで止める案も出たが、カツヤは仲間に対する強硬手段を選び切れなかった。
ユミナは攻撃続行を指示し、リリー達へ誤射しないよう各車に注意させた。そして、その指示を取り消して命令違反者を援護するなら、隊長であるカツヤ自身が決めるよう告げた。カツヤは選べないまま時間だけが過ぎたが、ユミナは非情な判断を自分が代わりに担うつもりでいた。
主砲の一撃
リリーは過合成スネークへ限界まで接近し、多連装砲マイマイの主砲を発射した。強烈な光の奔流が巨体を直撃し、胴体の一部を完全に消失させ、過合成スネークを途中で切断した。
しかし頭部側は生き残っていた。過合成スネークは切断された尾へ向かうと、自らそれを食べ尽くし、その場でとぐろを巻いて動きを止めた。
崩れた戦闘方針
リリーの大戦果に若手達は沸き立った。命令違反であっても結果を出せば認められるという前例になることを、ユミナは懸念した。
さらに、とぐろを巻いた過合成スネークを死に体と見た若手達は、リリーに続いて成果を上げようと接近し始めた。本来は遠距離から安全に削り切る作戦だったが、近距離から集中攻撃する流れへ変わっていった。
リリー自身も再び主砲を撃つつもりで充填を始め、仲間達と車外へ出てロケット弾による攻撃に加わった。命令無視から始まった行動だったが、周囲には一体感が生まれ、リリーは自分が部隊を率いているような高揚を味わった。
再生した過合成スネーク
とぐろを巻いた過合成スネークの表面は一体化し、殻のように変化した。やがてその殻を突き破り、内部から無傷の過合成スネークが現れた。
過合成スネークは巨体を垂直に伸ばし、巨大な塔のように直立した。近くに集まっていたリリー達が見上げる中、その巨体は勢い良く彼らへ倒れ込んだ。
高層ビルが倒壊するような大質量が地面を直撃し、激しい衝撃で地面が波打った。岩や瓦礫、土、人、車両まで、その場にあった全てがまとめて吹き飛ばされた。
第98話 指揮系統
過合成スネークの攻撃と救援
とぐろ状の殻から現れた過合成スネークが巨体を地面へ叩き付けたことで、荒野には大規模な土煙が立ち上った。過合成スネーク自身も大きなダメージを負って動きを止めていたが、遠方からモンスターの群れが迫っていたため、エレナ達を含む補助要員は負傷した若手ハンター達の救援を急いだ。
アキラも担当区域へ向かい、横転した車両の近くで意識を失っていた少年を発見した。回復薬で応急処置を施し、車を元に戻して自力で撤退するよう促したが、少年は同行していた仲間を探そうとした。アキラが代わりに捜索すると、その仲間は既に死亡していた。少年は救援への協力を申し出たものの、アキラは負傷者を抱えたままでは役に立てないと断り、後方へ退かせた。
指揮を捨てたカツヤ
指揮車では、カツヤとユミナが救援と攻撃再開の判断に迷っていた。過合成スネークの近くには仲間が残っており、攻撃すれば巻き込む恐れがある一方、救援中に敵が動けば被害が増える可能性もあった。
カツヤは全員を救おうと考えるほど決断できなくなり、以前シェリルから指揮官には向いていないと言われたことを思い出した。そして自分が隊長として役に立てないと認め、ユミナに指揮を任せると、アイリにも補佐を頼んで一人で救援へ向かった。
リリーの最期
リリーは瀕死の状態で倒れており、自分が助からないことを悟っていた。そこへカツヤが現れると、リリーは彼がまた助けに来てくれたことを喜び、自分がカツヤの助けに甘えていたことを自覚した。
リリーは最後の力でカツヤの頬に触れ、自分は足手纏いだったが、それでも頑張ったことを認めてほしいという思いを残して息絶えた。カツヤには声にならなかったリリーの思いが伝わり、回復薬を使おうとしたものの、既に助からないと分かって手を止めた。
補助要員との衝突
リリー達の救援を担当した補助要員が現れ、死者が増えたことで報酬が減ると不満を漏らした。彼らは死体も雑に扱い、指揮を放棄して現場にいるカツヤを責めた。
さらに、普通に戦っていれば勝てたのに主力部隊が勝手に接近して被害を増やしたと批判されたことで、カツヤは反論できなかった。そして、隊員が指示に従わなければ作戦は崩れるというシェリルの言葉を改めて思い出した。
過合成スネークを引き付けるカツヤ
過合成スネークが再び動き出すと、カツヤは近くの敵を優先して襲うという感覚を得た。その気付きに従って退避するのではなく、逆にバイクで敵へ接近し、銃撃して自分へ注意を向けた。
まだ救援されていない仲間から過合成スネークを引き離すため、カツヤは囮となって走り続けた。隊長としての役割を果たせないなら、仲間を救う囮となり、その上で生き残れるほど強いハンターになるというシェリルの助言を実行しようとしていた。
カツヤの叱咤
ユミナはカツヤを止めようとしたが、カツヤは救援が終わるまで囮を続けるつもりだった。ユミナは指揮車へ戻らなければ部隊全体が危ないと訴えたが、カツヤはそれを仲間達が指示に従っていないためだと受け取った。
カツヤは通信を全体へ繋ぎ、責任は自分が取るから指揮に従えと怒鳴った。その意志は周囲の者達へ強く伝わり、それまで指示を渋っていた者達も一斉に従い始めた。ユミナはカツヤを戻す理由を失い、アイリと共に救援の指揮へ集中した。
アキラへの救援要請
カツヤは、主力部隊が攻撃を再開すれば過合成スネークの注意が自分から逸れると考えた。しかし仲間と共闘すると自分の調子が落ちる恐れがあり、一緒に囮を任せられる相手として、以前共闘しても問題のなかったアキラを思い出した。
救援を終えてモンスターの群れへ向かおうとしていたアキラに、エレナを介してカツヤから連絡が入り、仕事だから手伝えと短く告げられた。アルファは従う義務はないと指摘したが、アキラは強く不機嫌になりながらも進路を変え、カツヤのもとへ向かった。
空中のカツヤとアキラの車
過合成スネークを引き付けていたカツヤのバイクは酷使で限界に近付き、さらに到着したモンスターの群れによる砲撃で瓦礫ごと空中へ吹き飛ばされた。
カツヤは空中の瓦礫を足場にバイクを加速させ、さらに落下時の衝撃をバイクに肩代わりさせて跳躍した。地面へ落ちれば逃げる手段を失う状況だったが、前方から高速で接近してきた車へ辛うじて届いた。
車に乗っていたアキラがカツヤを掴んで車内へ投げ入れ、そのまま過合成スネークの頭部を避けて反転した。助かったカツヤはアキラが本当に来たことを意外に思ったが、アキラは来るとは思わなかったと言われると、非常に不機嫌な顔で、だったら呼ぶなと返した。
第99話 それぞれの判断
険悪な共闘
アキラがカツヤの援護に向かったのは、エレナ達に雇われている立場から、カツヤの指示を無視すれば彼女達にも責任が及ぶ可能性を考えた末の判断であった。しかし助けた直後にカツヤから来るとは思わなかったと言われ、アキラは機嫌を悪くした。
カツヤも敵意を返したが、過合成スネークを引き付けるという目的は一致した。アルファの運転で巨体へ極限まで接近し、アキラとカツヤは激しい攻撃を浴びせた。互いに挑発し合いながらも、二人の銃撃は驚くほど噛み合い、周囲のモンスターを蹂躙しながら過合成スネークの注意を引き付け続けた。
立て直された主力部隊
カツヤの一喝を受けた主力部隊は統率を取り戻し、救援を終えると過合成スネークへの攻撃を再開した。ユミナの指揮には細かな不足があったものの、隊員達自身が判断して位置を修正するなど、以前以上にまとまった動きを見せていた。
一方でユミナは、現在の安定がカツヤ達の囮によって支えられていることを理解していた。交代できる者もおらず、カツヤ自身も戻ることを拒むと分かっていたため、彼を救うには過合成スネークを倒すしかなかった。
主砲を求めるユミナ
ユミナは破壊された2号車の制御装置と通信できることから、多連装砲マイマイの主砲がまだ使える可能性に気付いた。アイリに指揮を任せると、カツヤの指示に従って自分を助けるよう言い残し、小型バイクで装甲車へ向かった。
補助要員の援護が届かなくなるとモンスターに襲われたが、ユミナはカツヤ用の強力な弾薬を使って突破した。命令を無視して動いた自分をリリーと重ねながらも、カツヤを助けるために進み続けた。
アキラとカツヤの妥協
カツヤの弾薬が尽きると、アキラは自分の弾薬を使わせた。カツヤは借りではないと反発し、アキラも辛辣に返したが、二人は銃撃の連携だけは崩さなかった。
アキラ自身も、なぜここまでカツヤに強く苛立つのか分からず困惑した。最終的に、借りを返すなら自分ではなくエレナ達に返せと告げたことで、二人は互いに認める相手を理由に僅かな妥協を成立させた。
生きていた主砲
ユミナが2号車へ辿り着くと、装甲車は大破していたものの、力場装甲で守られていた主砲とジェネレーターは無事であった。主砲は使用可能だったが、車体が壊れているため照準を動かせず、過合成スネーク自身を射線へ誘導する必要があった。
ユミナが主砲を起動すると、そのエネルギーを過合成スネークが感知した。アキラとカツヤが至近距離から攻撃しても無視し、過合成スネークは主砲を最優先の攻撃対象としてユミナのいる装甲車へ向かい始めた。
主砲を守るユミナ
ユミナはカツヤに主砲が使えることを伝え、過合成スネークを射線へ誘導するよう頼んだ。しかし敵が既に自分へ向かっていると知ると、カツヤには大丈夫だと言い張り、主力部隊へ戻るよう告げて通信を切った。
主砲のエネルギーには周囲のモンスターも引き寄せられていた。自力で帰還するのは困難だと見たユミナは、その場に残って主砲を撃つことを選び、照準が合うまで装甲車を守るためにロケット弾で群れを迎撃し続けた。
ユミナ救援への急行
ユミナの状況を知ったアキラは、囮役は終わったとしてカツヤに次の行動を尋ねた。カツヤは迷わずユミナを助けると答え、アキラも今度は嫌々ではなく仕事として受け入れた。
アキラはカツヤに回復薬を飲むよう忠告し、自身も大量に服用した上でアルファに全速力の移動を頼んだ。アルファは乗員への負担を無視し、斜面や瓦礫を跳躍台に使って最短距離を突き進んだ。アキラはサポートを受けながら耐えたが、カツヤは車外へ投げ出されかけ、それでも足手纏いと認めまいと必死にしがみついた。
進路上の大型モンスターも、アキラが撃破して車の跳躍台や着地用のクッションへ変えた。激走の末に二人は一息つける場所まで進んだが、その後方では過合成スネークが障害物を吹き飛ばしながら迫っていた。
第100話 選択の影響
主砲発射への準備
ユミナは押し寄せるモンスターをこれ以上抑えられないと感じ、主砲を撃つ時が近いと考えていた。カツヤが助かるなら十分だと半ば諦めていたが、標的にしていたモンスターが突然撃ち抜かれ、アキラとカツヤから通信が入った。
アキラは周囲のモンスターを引き受けるので主砲を撃てるかと確認し、カツヤはすぐに離脱するよう求めた。ユミナはアキラの案を選び、発射を遅らせて逃げる方法を取ることにした。二人のやり取りに笑ったユミナは、先ほどまでの諦めを振り払い、再び生き延びるために動き始めた。
過合成スネークへの一撃
アキラのカウントに合わせ、ユミナは発射シーケンスを開始するとバイクで装甲車から離脱した。一方、主砲の拡散範囲が不明だとアルファから聞かされたアキラは、最悪の場合に備えてレーザー砲の後方へ急いだ。
アキラ達が射線を抜けた直後、主砲はジェネレーターの大破と引き替えに全エネルギーを放出した。巨大な光の奔流が過合成スネークを直撃し、頭部を消失させ、胴体にも大穴を開けた。20億オーラムの賞金首はついに撃破され、主力部隊から歓声が上がった。
勝利後のアキラ
カツヤとユミナは抱き合って勝利を喜んだが、アキラは安堵と疲労を見せるだけで、その場を離れた。その後も一人で警戒を続けていたが、疲れ切ったアキラはエレナに先に帰りたいと申し出た。
エレナとサラは帰還を認める前にアキラのもとを訪れた。サラは突然アキラを抱き締め、自分達がカツヤの援護を止めなかったことについて、謝るべきか褒めるべきかも分からないほど考えが整理できていないと打ち明けた。それでも今後もアキラと良い関係を続けたいという気持ちだけは本心だと伝えた。
アキラはその思いを嬉しく受け取り、褒めてもらう方を選んだ。サラから活躍を称賛されたことで、アキラの強かった不機嫌さも消えていた。
報酬の再交渉
エレナは続いてアキラの報酬について話した。当初は補助要員として簡単な仕事を任せる想定だったが、アキラはカツヤの救援や過合成スネークの誘導まで行い、予定を大きく超える働きをしていた。そのため、エレナ達が受け取る報酬を全て渡しても足りない状態になっていた。
アキラは全体報酬の3分の1で構わないとしたが、エレナは自分達が雇った以上、働きに見合う報酬を払うべきだと拒んだ。そこでドランカムとの報酬増額交渉を行うことになり、アキラは以前に借りを返すと話していたカツヤとユミナにも協力を求めるよう提案した。
エレナ達の違和感
帰路についたアキラはアルファに運転を任せ、そのまま眠りについた。アルファは、あれほど強かったアキラの不快感がサラとのやり取りだけで消えたことに興味を示していた。
一方、エレナとサラはなぜカツヤの指示を受けたアキラを止めなかったのかを振り返った。二人とも、普段なら危険すぎるとして止めていたはずなのに、その時は止めるという考え自体が浮かばなかった。
サラはカツヤの気迫に呑まれた可能性を挙げた。カツヤが責任は自分が取るから指揮に従えと叫んだ後、部隊全体の統制が明らかに改善していたためである。エレナ達は、自分達の判断まで影響されていたのなら未熟だったと受け止め、次は同じ失敗をしないようにすると決めた。
カツヤとユミナの借り
アキラに礼を言おうとしたカツヤとユミナは、エレナから既に帰ったと聞かされた。カツヤが仕事の途中で帰ったことに疑問を示すと、エレナはアキラを雇っているのは自分達であり、帰還を認めたのも自分だと冷静に返した。
さらにエレナは、カツヤがなぜアキラを呼んだのかを尋ねた。カツヤはアキラが強いからだと答えた。その後、エレナはヨノズカ駅遺跡で二人がアキラとエレナ達への借りを返すと話していたことを確認し、報酬の再交渉でミズハを説得するよう協力を求めた。カツヤとユミナは頷くしかなかった。
過合成スネークの残骸
ハンターオフィスの職員達が過合成スネークを調査すると、残った胴体の内部には胃とは異なる長い空洞が見つかった。細長い何かが体内に存在し、外へ抜けたようにも見えたが、職員達は合食再構築類特有の変異した器官かもしれないとして、詳しい調査を研究所に任せた。
討伐祝賀会
翌日、ドランカムでは過合成スネーク討伐の祝賀会が開かれた。死者が出たため参加者は減っていたが、カツヤは以前のように沈み込まず、料理を食べながら仲間達と過ごしていた。
カツヤは犠牲を悲しみながらも受け入れ、死んだ仲間を安心させるためにも自分は元気に生きると話した。またリリーについて、自分と同じように仲間のために無茶をした末に死んだのだと考えていた。
ユミナは次こそ誰も死なせないよう、隊長としてしっかり指揮するよう諭した。カツヤもそれを受け入れ、シェリルから聞いた、仲間全員を自分だと考えて最善を尽くすこと、統率された行動を取ること、仲間を見捨てずに生還できるほどのハンターになることを胸に刻んでいた。
第101話嘲笑う
未発見遺跡探しの再開
過合成スネーク討伐から10日後、アキラは最後の賞金首ビッグウォーカーの討伐を待たず、未発見の遺跡探しを再開した。ビッグウォーカー討伐には多数のハンターが集まるため、その戦闘から離れた地域ではモンスターが減り、遺跡を探しやすくなると考えたのである。
調査はモンスターに遭遇せず進んだが、やがて遠方から一体のモンスターがアキラを追い始めた。アルファが運転を代わって逃走を試みても引き離せず、アキラは迎撃することになった。
再び現れた過合成スネーク
追ってきたのは、以前倒したはずの過合成スネークに酷似した巨大な蛇だった。アルファは、以前倒した巨大な個体は本体ではなく外装のような囮であり、本体は内部から操っていた可能性を示した。レーザー砲を受けた際も、本体を逃がすために外側を囮として動かし、地中から脱出していたと考えられた。
アキラは本体なら弱い可能性を考えてCWH対物突撃銃で撃ったが、攻撃は効いても倒すには威力不足だった。逃げ切ることも難しいため、アルファは至近距離まで接近して仕留める方針を選んだ。
至近距離での銃撃
アキラはCWH対物突撃銃とDVTSミニガンを構え、アルファの運転で過合成スネークへ正面から接近した。相手の攻撃を寸前でかわしながら胴体の側面を走り抜け、至近距離から大量の銃弾を浴びせた。
過合成スネークの鱗と肉は削られ、捕食して取り込んだ機械部品まで飛び散った。それでも敵は倒れず、アキラは再び同じ攻撃を繰り返した。アルファの支援があれば勝てると信じたアキラには、わずかな余裕と油断が生まれていた。
過合成スネークの体内
再びすれ違おうとした際、地面に散らばっていた過合成スネークの構成物に含まれる爆発物が車の下で爆発した。小規模な爆発だったが、アルファの精密な運転を一瞬だけ狂わせるには十分だった。
回避できなくなった車は過合成スネークの口へ突っ込み、アキラは車両ごと丸呑みにされた。口が閉じると強い目眩に襲われ、アルファとの接続も途絶えた。
消化液が車や強化服を溶かし、内壁が車体を圧迫する中、アキラはアルファの助言も操作も受けられず、一人で危機に直面した。これまでアルファの支援で不運を乗り越えてきたアキラは、その加護でも補えない時が来たのだと感じた。
自力での逆襲
死を意識したアキラは極度の集中状態に入り、体感時間を限界まで圧縮した。そして自分の覚悟が足りなかったのだと笑い、不運そのものに抗うように、自力で状況を覆すと決めた。
アキラはDVTSミニガンを内壁へ撃ち込み、車体を締め付ける圧力を弱めた。回復薬を頭部に塗り、さらに大量に服用して身体の損傷を補いながら、車を前進させた。
タイヤだけでは進めないため、CWH対物突撃銃とDVTSミニガンを後方へ撃ち、その反動まで利用して車を押し進めた。アキラは過合成スネークの体内を移動しながら四方へ銃撃を続け、内側からその肉体を破壊していった。
過合成スネークの撃破
体内から激しく撃たれ続けた過合成スネークはのたうち回ったが、やがて生命力の限界を迎えて動かなくなった。アキラはなおも撃ち続け、最後には胴体側面を車で突き破って外へ脱出した。
横転した車から投げ出されたアキラが空を見上げていると、アルファとの接続が戻った。アルファは慌ててアキラの無事を確認し、アキラは過合成スネークが死んだことを確かめると、ようやく安堵した。
アルファへの感謝
疲れ切ったアキラは詳細な説明を後回しにし、アルファに周囲の警戒を任せて休むことにした。その前に、アルファの支援が無い状況の厳しさを身をもって知ったとして、普段のサポートへの感謝を伝えた。
一方のアルファは戸惑っていた。自身の計算では、接続を失ったアキラが過合成スネークの体内から生還する可能性は現実的ではないほど低かったからである。それでもアキラは自力でその予測を覆した。
アルファは、自分の掌の上にいるはずだったアキラが変化し始めていることを認識し、その変化が自身の試行に有益なのか、有害なのかを判断するための試算を続けていた。
第102話 続く試行、変わる指向
キバヤシへの連絡
過合成スネークの本体と思われるモンスターを倒したアキラは、その扱いに困ってキバヤシへ連絡した。現地に来たキバヤシは、アキラが車ごと丸呑みにされ、体内を撃ち抜いて脱出した経緯を聞いて大笑いした。
調査の結果、体内から撃った銃創や車に付着した消化液が確認され、アキラの説明は裏付けられた。ただし倒した個体は賞金首としては扱われず、汎用討伐依頼に組み込んでも大した報酬にはならなかった。高額な弾薬を消費し、車も廃車となったアキラは、戦歴より金が必要だと不満を示した。
キバヤシは、アキラが過合成スネーク戦の報酬を巡ってドランカムと交渉中だと把握しており、戦歴を必要としないなら自分が報酬交渉を何とかすると申し出た。
シカラベとの車両取引
帰宅したアキラは疲労から風呂で眠りかけ、アルファに促されてベッドへ移った。そこへシカラベから報酬について連絡が入った。
タンクランチュラ戦は予想以上に経費が掛かり、契約通り現金で精算するとアキラの活躍に見合わない少額になっていた。そこでシカラベは、ドランカムが大量に再調達する荒野仕様車両にアキラの分も加え、現金より高い価値の車を報酬として渡す案を提示した。
車を失っていたアキラは即座に受け入れた。シカラベはカタログから好きな車を選ばせ、二週間ほどで渡すと約束した。アキラは車の問題が解決したことを喜び、残る装備費用はキバヤシが動く報酬交渉に期待した。
エレナとミズハの再交渉
一方、エレナはドランカムのミズハと過合成スネーク戦の報酬について再交渉していた。契約では補助要員の活躍による増額は想定されていなかったが、アキラはカツヤの指示で契約外の危険な囮役まで務めていた。
ミズハは主力部隊に犠牲が出た分の減額を帳消しにするなど大幅に譲歩したが、エレナはアキラの働きにはまだ見合わないとして拒んだ。双方とも決裂は不利益になるため、交渉は膠着した。
キバヤシの戦歴取引
そこへキバヤシが交渉への参加を求め、エレナを一時退出させた。キバヤシは、アキラが過合成スネークの本体と思われる個体を単独撃破した資料をミズハに見せ、その戦歴を買わないかと持ちかけた。
ミズハは当初意味を理解できなかったが、キバヤシは戦歴が売れなければ、それをアキラの個人ページや賞金首関連情報に正式に記載し、さらにヨノズカ駅遺跡や過合成スネーク戦での活躍まで広く紹介すると告げた。
それが公になれば、カツヤ達が得るはずだった賞金首討伐の箔は大きく損なわれ、アキラが再びカツヤ達を助けたという印象が広まることになる。ミズハはその影響を理解し、顔色を変えた。
キバヤシはアキラへ直接金を流す必要はなく、エレナ達への追加報酬として支払えば良いと提案した。さらに他の補助要員への配慮を理由に守秘義務を結べば表沙汰にもならないと説明した。ミズハは最終的に支払いを受け入れ、エレナとの交渉でも一転して大幅な増額に応じた。
1億オーラムの報酬
自宅で休んでいたアキラに、エレナから報酬交渉が終わったと連絡が入った。口座には1億オーラムが振り込まれており、アキラ自身も驚いた。
エレナからキバヤシが介入したことを聞いたアキラは、自分が頼んだ件だと認めた。詳しい事情は話せないものの、口止めを含む金額だと推察し、エレナ達にも黙っていてほしいと頼んだ。
十分な資金を得たアキラは、シズカの店で装備一式を再調達するため、エレナ達にも同行して話を合わせてもらうことにした。
新装備の相談
シズカは、少し前に8000万オーラムを掛けて新装備を揃えたばかりのアキラが、再び1億オーラム規模の買い物をしようとしていることを訝しんだ。
エレナとサラは問題ない収入だと示し、今回は車を買わない分だけ店の利益にもなるとシズカを促した。シズカはアキラが自ら進んで無茶をしたのではないと確認すると、それ以上は追及せず、装備選びを始めた。
ネルゴの潜入
ドランカムに加入したネルゴは、サイボーグ向け施設で自分の体を修理しながら、秘匿通信である男と話していた。
ネルゴはかつてケインと呼ばれていた建国主義者であり、名前を大義に捧げたと語っていた。相手の男も建国主義者に協力していたが、ネルゴはその信念を完全には信用していなかった。
ネルゴは、男がなぜクガマヤマ都市にいる旧領域接続者を探しているのかを尋ねた。男は不特定多数の幸福と救済のためだと答えたが、ネルゴは警戒を解かなかった。
その後、ミズハがネルゴを訪ねた。ネルゴはカツヤに助けられたので直接礼を言いたいと頼み、ミズハは快く了承した。しかし実際には、ネルゴはカツヤ派へ入り込むため意図的に危機を作り、カツヤに救助させていた。
ヤナギサワの目的
ネルゴと通信していた男はヤナギサワだった。ヤナギサワはクガマヤマ都市の幹部でありながら建国主義者と通じ、過去にはケインの情報を都市から隠し、クズスハラ街遺跡のモンスターを減らすために建国主義者との繋がりも利用していた。
ヤナギサワはクズスハラ街遺跡の奥部で手に入れた、旧世界の国家の国章が刻まれた黒いカードを持っていた。それを鍵として再びある場所へ到達し、力を手に入れようとしていた。
彼が探していたのは旧領域接続者そのものではなく、その背後にいる可能性のある存在だった。自分の次となる者を探しているのではないかと警戒しながら、ヤナギサワは計画を進める決意を固めた。
白い世界の対話
眠っていたアキラは、以前にも見た白い世界に立っていた。そこにはアルファと彼女によく似た少女、さらに姿のぼやけた見覚えのある少年がいた。
アルファは少女に対し、相手側の試行による計算負荷の増大で自分の演算に支障が出て、アキラが死亡しかけたと非難した。少女は偶発的な結果であり、アキラは生存したと答えたが、アルファは自分の試行をこれ以上妨害すれば、相手の試行そのものを強制中断する可能性を警告した。
両者は演算リソースを固定配分に変更し、少女側は自分の個体が周囲との関係を深めているため、今後は人間関係の構築と制御を中心に誘導すると決めた。
さらに少女は、アルファが自分の個体に掛けたフィルターの部分解除を戻すよう求めた。アルファは、カツヤの実力をアキラに高く評価させる目的で一度解除したが効果が得られず、解除箇所を切り替えたと説明した。それが過合成スネーク戦でアキラがカツヤへ不自然な嫌悪と苛立ちを抱いた原因となっていた。
双方は互いの試行への干渉を抑えることで合意し、白い世界から姿を消した。
忘れられた夢
目覚めたアキラは、何か奇妙な夢を見た感覚だけを残していた。アルファをじっと見たものの内容は思い出せず、朝食を始める頃には夢のことを忘れていた。
同じ頃、カツヤも食堂で奇妙な夢を見た感覚だけを覚えていた。食事中、カツヤが何も言わないまま手を伸ばすと、アイリが調味料を渡した。本人達は些細なこととして流したが、カツヤは言葉や視線、身振りのいずれでもアイリに要求を伝えていなかった。
一段上の装備と実力
賞金首騒動が終わって二週間後、アキラは再び荒野へ出る準備を整えた。
シカラベからの報酬として、以前の車より速度と耐久性に優れる新品のテロス9式を手に入れた。強化服はERPSの基本設計を継承し性能を向上させたER2USへ替え、消化液で傷んだ銃も新品に交換して高価な拡張部品を組み込んだ。
外見こそ以前と大きく変わらなかったが、装備性能は全体的に向上していた。さらにアキラ自身も、アルファの支援を失った状態で過合成スネークの体内から生還した経験を経て成長していた。
アルファは今度こそアキラを食われるような失敗はしないと告げ、アキラも再び同じことが起きれば自力で何とかすると返した。それでもまずは同じ事態を起こさないようアルファを頼ると念を押し、二人は笑い合った。
アキラは新たな装備で再び荒野へ向かった。
閑話 運の問題
拠点への異変
新装備の到着を待っていたアキラは、賞金首騒動後の健在ぶりを示してほしいというシェリルの頼みを受け、徒歩で拠点へ向かった。壊れた強化服は戦闘に使うと危険だったため、防護服と改造済みのAAH突撃銃、A2D突撃銃を装備していた。
スラム街に入ると、アルファは普段と違う監視の気配を察知した。拠点ではシェリルの出迎えもなく、通信も繋がらなかった。さらに内部には、強化服と対モンスター用の銃を装備して待ち伏せる少年達がいた。
ゼブラの反乱
拠点ではゼブラがシェリルに、アキラだけを後ろ盾にする現在の体制では徒党を守れないと訴えていた。以前ギューバ達に襲われた際にも犠牲者が出ており、アキラが常駐しない以上、別の徒党の傘下に入るか、外部の戦力を頼るべきだと考えていた。
シェリルは、それでは縄張りや利益を奪われ、アキラの協力まで失うとして拒絶した。説得を諦めたゼブラはシェリルに銃を向け、仲間四人と共に拠点を制圧した。
ゼブラは外部の男から提供された強化服と対モンスター用銃を仲間に装備させた。男からは、アキラが賞金首との戦闘で車と強化服を失い、負傷しているという情報を与えられていた。ゼブラは、今のアキラを自分達が倒せるなら後ろ盾として価値がなく、倒せないならその強さを確認できると考えていた。
待ち伏せの突破
拠点入口の少年二人は、壁越しに自分達を把握していたアキラへ先制射撃を浴びせた。しかしアキラはアルファの支援で攻撃の兆候を察知し、事前に射線から逃れていた。
少年達が様子を確認するため外へ出ると、アキラは建物を駆け上がって頭上から接近し、至近距離から強装弾で二人の頭部を撃ち抜いた。
別の入口を守っていた二人も、仲間が勝ったと思い込んで警戒を緩めたところを奇襲され、抵抗できないまま倒された。強化服を着ていないアキラでも改造済みの銃なら強装弾を使用でき、その防御を突破できた。
シェリルを巡る駆け引き
アキラがゼブラの前に現れると、ゼブラはシェリルを人質に取り、銃を捨てるよう要求した。シェリルは拒否すると思っていたが、アキラは銃を捨てた。
ゼブラがシェリルから銃口を離し、アキラへ向けて発砲した瞬間、アキラは体感時間を極端に圧縮して射線と発砲の瞬間を見切った。生身の身体能力だけで銃弾を避け、ゼブラとの距離を一気に詰めて拳銃を奪い、シェリルを引き離した上で殴り飛ばした。
アキラの身体能力は、強化服を限界まで使う訓練、激戦、回復薬による治療と強化、高速戦闘への慣れによって大きく向上していた。ゼブラは強化服無しのアキラに圧倒されたことを知り、驚きながらもその強さの理由を尋ねた。
運の差
ゼブラは、自分達も遺跡へ行き努力したのに、なぜ同じスラム街の子供だったアキラだけがそこまで強くなれたのかと尋ねた。
アキラは考えた末に、運が良かったからだと答えた。ゼブラはその答えに苦笑した。
シェリルがゼブラを殺そうとしたところで、アキラは先に事情を聞いた。ゼブラは、アキラが強くても拠点に常駐しない以上、急襲から仲間を守れないと考えていたことを明かした。以前の襲撃でバレンスが死んだことも、その決断に繋がっていた。
ゼブラは最後に自分とバレンスは運が悪かったと呟き、自らシェリルの銃を引いて頭を撃ち抜き、死亡した。
反乱の黒幕
ゼブラの話を聞いたアキラは、強化服を渡して襲撃をそそのかした者の居場所をアルファに尋ねた。アルファが把握していると答えると、アキラはその場所へ向かった。
黒幕は中規模徒党を率いるヤザンだった。ヤザンは、シェリル達の徒党内部からアキラを襲わせれば双方の信頼関係を崩し、他の徒党が介入できる隙を作れると考えていた。ゼブラには虚実を混ぜた情報を与え、強化服まで提供していた。
そこへアキラ本人が訪れた。ヤザンは自分との繋がりは隠蔽できていると考え、武装した部下を集めた上で面会に応じた。
ヤザンの壊滅
アキラはヤザンに、ゼブラと取引して自分を襲わせたのかと直接尋ねた。ヤザンは否定したが、アルファが嘘だと判断した。
アキラは即座に強装弾でヤザンの頭を撃ち抜いた。部下達も一斉に反撃したが、アキラは体感時間の操作とアルファの射線把握を利用して銃撃を回避しながら、脅威度の高い者から次々に倒した。
戦意を失った者には逃げるよう告げ、その後も襲ってきた者だけを殺した。拠点から残った者を追い出し、ヤザンの徒党を事実上壊滅させた。
奪った縄張り
アキラはシェリルに連絡し、ヤザンの拠点から金、武器、家具、衣類などを運び出させた。シェリルの徒党の者達は内部の惨状を見て、自分達の後ろ盾の危険さを改めて認識した。
シェリルは管理できないヤザンの縄張りをシジマへ売却した。ヤザン達は穏便に済ませる意思がなかったためこうなったと伝え、今後の取引でも同じことにならないよう暗に牽制した。
アキラは今回の報復について、ゼブラが反乱した原因に以前の襲撃で友人を失ったことがあったため、自分がシェリルを遺跡探索へ巻き込んだことから続く出来事だと捉えていた。そのためゼブラをそそのかしたヤザンまで殺す対象に加えていた。
アキラの強さ
シェリルは、強化服も着ずに一人で中規模徒党を壊滅させたアキラへ、才能と努力のどちらでそこまで強くなったのかと尋ねた。
アキラは再び、運が良かったからだと答えた。自分が強くなれた最大の理由はアルファと出会えたことであり、同じように遺跡へ行ったゼブラにはその出会いがなかった。そこは努力だけでは埋められない差だと考えていた。
そしてアキラは、ゼブラは運が悪かったと呟いた。
銃を捨てた理由
シェリルは、人質になった自分のために銃を捨ててくれたことへ感謝しながらも、次は同じことをしないでほしいと頼んだ。
アキラは、あの場では銃を捨てる方が安全だったからそうしただけで、いつでも同じ対応をするつもりはないと説明した。以前シェリルが誘拐された時には、人質に取らせないため相手の車へ正面から突っ込んだことを例に挙げ、その時々で安全な方法を選ぶだけだと話した。
ヴィオラの情報取引
ヴィオラの情報取引
一方、情報屋ヴィオラは巨大徒党の幹部へアキラの調査結果を渡していた。
男は、アキラが強化服無しで中規模徒党を一人で壊滅させたことを確認した。ゼブラ達へ強化服を流したのも、この程度の装備で殺される相手なら敵としても味方としても価値がないと判断するための試験だった。
男にとって提供した強化服は安物にすぎず、さらに大規模な抗争へ向けて部隊の装備を整えていた。ヴィオラもその抗争への協力を求められ、報酬次第だと笑って応じた。
リビルドワールド III(3)〈上〉レビュー
リビルドワールド全巻まとめ
リビルドワールド IV (4)レビュー
リビルドワールド 一覧














その他フィクション

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