小説「リビルドワールド III〈下〉 賞金首討伐の誘い 6」感想・ネタバレ

小説「リビルドワールド III〈下〉 賞金首討伐の誘い 6」感想・ネタバレ

どんな本?

リビルドワールドは、ナフセ氏によるライトノベルで、2017年2月から日本の小説投稿サイト「カクヨム」や「小説家になろう」での連載が開始されている。
2023年7月の時点で、累計発行部数は75万部を超えている。

物語は、高度な科学文明の旧世界が滅んでから長い時間が流れた時代が舞台。
その旧世界の遺跡には現在では再現不可能な先進技術の遺物があり、これらのアイテムは高価で取引されている。
しかし、その遺跡には旧世界からの危険な自律兵器、モンスターが徘徊しており、遺物を回収しに来る者たち、ハンターと呼ばれる人々は、命をかけてこれらの遺物を求めている。

物語の中心には、クガマヤマのスラム地区で生きる若いハンター、アキラがおり。
彼は装備が不十分な中、危険な遺跡での探索を始めるが、途中で諦めかけていた時、突如として現れた美しい女性、アルファと出会う。

彼女はアキラに、彼女の目的を果たす手助けをする代わりに、一流のハンターへと育て上げるという取引を提案。
アキラは彼女の提案を受け入れ、アルファが持つ先進技術の知識やサポートを受け取りながら、数々の危険を乗り越えて成長していく。

この物語は、綾村切人による漫画版として『電撃マオウ』 (KADOKAWA) で2019年9月から連載が始まり。
そして、2023年7月にはテレビアニメ化の発表もあった。

最初にこの本と出会ったのは、Amazonの日替わりセールで1巻が販売されており興味を引かれて購入。
読んでみるとマッドマックスのような世界観での遺跡探索の物語。
設定やキャラクターたちが魅力的で面白く。
続きのこの巻も購入して読む。

KADOKAWAオフィシャルチャンネル
KADOKAWAオフィシャルチャンネル

読んだ本のタイトル

リビルドワールド  III〈下〉 賞金首討伐の誘い
著者:#ナフセ 氏
イラスト:#わいっしゅ  氏

gifbanner?sid=3589474&pid=889059394 小説「リビルドワールド III〈下〉 賞金首討伐の誘い 6」感想・ネタバレBOOK☆WALKERで購入 gifbanner?sid=3589474&pid=890386137 小説「リビルドワールド III〈下〉 賞金首討伐の誘い 6」感想・ネタバレ

(PR)コチラのサイトから購入して頂けると幸いです。

あらすじ・内容

超大型モンスターの連続討伐ミッション! 加速するハイスピード・バトル!

 アキラが発見したヨノズカ駅遺跡の奥から現れた超大型のモンスター達――過合成スネーク、タンクランチュラ、多連装砲マイマイ、そしてビッグウォーカーは、その余りの強さにハンターオフィスから賞金首に認定される。
 規格外モンスターの討伐のため、集結する精鋭ハンター達。その中にはアキラ、そしてカツヤの姿もあった!
 書籍版オリジナル展開で贈る、大規模モンスター連続討伐ミッション! 書き下ろしエピソード「運の問題」も収録!!

リビルドワールドIII〈下〉 賞金首討伐の誘い

感想

ヨノズカ駅遺跡から現れた超大型モンスター群による混乱。
過合成スネーク、タンクランチュラ、多連装砲マイマイ、ビッグウォーカーといったモンスターたちは、その強さゆえにハンターオフィスから賞金首に認定される。
物語は、これらのモンスターを討伐するために集まる精鋭ハンターたちの戦いを描いている。

主人公のアキラは、これまでの冒険で培った経験と技術を駆使して、賞金首討伐に挑む。

しかし彼はカツヤの組織”ドランカム”の派閥争いに巻き込まれることになる。

その中で、アキラと同じスラム出身の若手ハンター、トガミが登場し彼と共に討伐戦に参加するが、、
イキがるトガミがマウンティングで
物語は、単純な戦闘だけでなく、内部の策略や人間関係の複雑さも描き出している。

この巻では特にカツヤの背後で暗躍する力やその影響力が物語に深みを加えている。
アキラのアルファに対する依存離れや、アルファの計画に疑問を抱く前任者の存在など、キャラクターたちの心情や背景にも焦点が当てられている。

巻末の閑話「運の問題」は、物語のメインストリームからは少し離れた内容であるが、リビルドワールドの魅力的な側面を垣間見せるエピソードであった。
アキラの成長、カツヤとの関係、そして旧域接続者を巡る謎が、今後の展開を予感させる。

この巻全体を通じて、アキラが直面する試練と彼の成長の物語は、読者に強い印象を与える。

超大型モンスターの討伐というハイスピード・バトルの中で、アキラのキャラクターが一層立ち、彼の周囲で起こる様々な出来事が絡み合いながら、リビルドワールドの世界が豊かに描かれている。

アキラの次なる挑戦と、彼を取り巻く複雑な人間関係や策略に目を離せないでいる。

gifbanner?sid=3589474&pid=889059394 小説「リビルドワールド III〈下〉 賞金首討伐の誘い 6」感想・ネタバレBOOK☆WALKERで購入 gifbanner?sid=3589474&pid=890386137 小説「リビルドワールド III〈下〉 賞金首討伐の誘い 6」感想・ネタバレ

(PR)コチラのサイトから購入して頂けると幸いです。

備忘録

第86話 変異種

アキラとアルファは、一攫千金を目指して荒野で調査を行い、ヨノズカ駅遺跡を発見した。遺跡はモンスターがおらず、大量の遺物が残る大当たりの状態であったが、その価値を軽視し、遺跡を巡る騒動に巻き込まれる。遺跡の存在が明らかになると、多数のハンターやモンスターによる混乱が生じた。アキラはシェリルを救出し、ユミナやカツヤと出会い、予期せぬ協力を得て困難を乗り越えた。センプラーへ帰還し、エレナ達と別れ、アキラは装備のおかげで難局を乗り越え、実力を飛躍的に向上させていた。

クガマヤマ都市に戻り、遺物の処理を後回しにしたものの、エレナ達との信頼関係により問題は生じなかった。翌日、アキラは装備を整えるためシズカの店を訪れ、遺物を売却しにカツラギの移動店舗へ向かった。遺跡から運んだ遺物を売却する間、アキラはカツラギと遺跡の状況について話し合い、カツラギの店の護衛がアキラの知り合いであることに気付く。遺跡の環境が変わり、新たな脅威が生じる可能性があるため、アキラは今後の対策を考えながら、カツラギとの会話を続けた。

カツラギは、アキラからレビン達との知り合った経緯を聞き、自分が高い護衛代を払って雇ったのが実力のないハンターだったことに憤慨する。アキラがヨノズカ駅遺跡で得た遺物の査定を続ける一方で、カツラギはアキラに新たな買取ルートを提案しようとするが、アキラはすでに他の売り先を見つけており、その提案を断る。カツラギは以前アキラに遺物売却の知識を教えた際に小細工をしていたが、アキラが自力で別の買取先を見つけたため、その計画は失敗に終わる。

その後、カツラギはアキラが遺物の買取価格を高めるために高額な商品を購入することを提案し、アキラは高価な回復薬を大量に購入して取引を成立させる。カツラギはアキラとエレナ達の間の報酬問題に興味を示し、レビン達が支払いをすぐにできるように手伝うことを申し出る。アキラはその提案を受け入れ、カツラギは商売人の笑顔でその話を進めていく。

アキラは用事を済ませて帰ろうとするが、遺跡の出入口付近で騒がしさに気づく。望遠機能を使って見ると、ハンター達が遺跡から逃げ出しており、モンスターの群れも湧き出てきていた。しかし、モンスターはハンター達を直接襲っているわけではなく、何かから逃れようとしている様子だった。その「何か」は、巨大な蛇のようなモンスターで、他のモンスターを飲み込みながら遺跡の外に出てきた。

カツラギはアキラに護衛を頼み、報酬としてシェリルへの協力を約束する。アキラはこの提案を受け入れ、カツラギと共に車列を組んで逃走を開始する。逃走中、アキラはモンスターを迎撃し、巨大な蛇の異常な成長に気づく。クガマヤマ都市に戻った後、カツラギはアキラに感謝を表し、レビン達にアキラに借金を返済するよう警告する。カツラギはレビン達を脅して借金の借り換えを提案し、レビン達はやむを得ずこれを受け入れる。カツラギは自分の計画が上手くいったとほくそ笑む。

第87話 賞金首討伐の誘い

アキラはシェリル達の拠点を訪れ、ヨノズカ駅遺跡で共に手に入れた遺物の分配について話し合う。シェリルはアキラに全てを任せる意向を示し、アキラはシェリルに遺物の販売を依頼する。この交流を経て、アキラは荒野に出ようとするが、新たに認定された賞金首の通知を受け取り、荒野への出発を見合わせる。賞金首の存在を恐れ、アキラは遺跡探索を一時中断し、都市周辺の巡回依頼をこなしながら訓練に励む。賞金首の討伐情報を確認し続けるも、進展がないため、アキラは自身の運命を他者に委ねつつ、現状を受け入れていく。

都市周辺での巡回依頼を受けていたアキラは、賞金首の存在により遠出を控える多くのハンターたちと頻繁に出会う。ある日、以前共に仕事をしたシカラベから連絡があり、アキラはシカラベが提案するハンター稼業の話を聞くことにする。エレナとの会話から、シカラベの提案が賞金首討伐の依頼であることを推測し、シカラベの提案に興味を持つ。一方で、シカラベ達は賞金首討伐のために人員を集めており、アキラを含めた複数のハンターに目を付けていた。この集まりはドランカムの通常の窓口を通さない特殊なものであり、何らかの小細工が含まれていることが示唆される。アキラはこの依頼に対し、慎重ながらも一定の期待を持っている。

アキラはシカラベからの招待を受け、歓楽街にある酒場を目指す。この地域は治安が悪いが、ハンターたちにとっては生活の活力源であり、また堕落の原因でもある。アキラはその雰囲気を新鮮に感じながら進む。目的の酒場に到着し、店内には武装したハンターたちが多くいた。アキラはシカラベとその仲間たちと合流し、賞金首討伐の依頼について話を聞く。依頼はハンターオフィスを介さず、報酬は成功次第で大きく、失敗しても保証金があるものだった。依頼を受けるためには、ハンターオフィスを介さないリスクを承知の上で参加しなければならない。シカラベたちは、このリスクに見合う報酬を提示し、アキラの参加を求めた。依頼にはドランカム内部の勢力争いが背景にあり、これを公にはできないためハンターオフィスを介さない形で行われる。アキラは提案された条件を検討し、質問と疑問を投げかけながら依頼の詳細を理解しようとする。

第88話 殺しすぎで自滅するタイプ

ドランカムはクガマヤマ都市の大規模なハンター徒党で、民間軍事会社としても機能している。人数の増加とともに派閥が形成され、内部での勢力争いが生じていた。主な派閥には古参派閥、若手派閥、事務派閥があり、それぞれの間で協力と反目が繰り返されている。事務派閥はハンター出身者と純粋な事務職員で構成され、若手の中にも裏方への対立がある。現在、ドランカムは賞金首討伐を派閥争いに利用しようとしている。アキラはシカラベからこの情報を聞かされ、賞金首討伐の依頼を受けることになったが、ハンターオフィスを介さない理由が派閥争いの影響を避けるためであることを知る。依頼を受けたアキラは自身の条件を提示し、シカラベはそれを受け入れた。食事をしている間にトラブルが発生し、アキラは自身の実力を示すことになるが、最終的には問題を解決して場を去ることになる。

賞金首討伐のためにシカラベから雇われたアキラは、自宅待機の指示を受けている。タンクランチュラの賞金が1億オーラムから8億オーラムに上がっているが、これでも割に合わないかもしれないとの見方がある。アキラは賞金首の強さと賞金額の上昇についてアルファと会話している。

カツヤはドランカムの事務派閥幹部であるミズハから呼び出され、賞金首討伐部隊の隊長に任命される。ミズハは以前のヨノズカ駅遺跡の作戦でカツヤ達に起きた問題を挽回するため、部隊の編成に全力を尽くすと語る。カツヤは部隊の隊長としての自信が持てずにいるが、ミズハの激励を受けて任務を受け入れる。その後、ユミナに会い、一緒に食堂へ向かうことになる。ユミナはカツヤの手を引き、彼の笑顔の裏にある心配事に気づいているが、明るく振る舞う。

第89話 足枷と認識

シェリルはアキラから頼まれた遺物販売のためにクガマビルを訪れていた。カツラギの提案により、シェリルは公的に起業し、カツラギの店の子会社となることで遺物売買が正式に可能になった。シェリルの豪華な服装は周囲の注目を集め、彼女は場の雰囲気に溶け込みながらも独自の気品を放っていた。エリオは新しい環境に緊張し、シェリルから落ち着くように助言される。アキラの忙しさのためにシェリルの要望が断られ、シェリルはそのことについてエリオと話をする中で、アキラとの関係に不安を感じていた。

一方、カツヤはドランカムの事務派閥幹部ミズハとともにクガマビルを訪れ、支援者たちに紹介されることになっていた。ミズハはカツヤの精神的な状態を気にかけており、カツヤを励ますために喫茶店で話し合うことにした。カツヤの心は、過去のトラウマにより重く、立食会に向けてのプレッシャーを感じていた。

このエピソードでは、シェリルとカツヤがそれぞれの立場でクガマビルにいること、そして彼らの心情や対人関係に焦点を当てている。シェリルは遺物販売のために、カツヤはドランカムの支援者たちに自らをアピールするためにそれぞれの挑戦に直面している。

シェリルはカツヤに微笑みながら接し、彼の気を引くためにカツラギに目配せした。カツラギは商売人の機転を利かせてシェリルとカツヤに話しかけた。ミズハも加わり、三人は席について歓談し始めた。カツヤはシェリルとの会話の中で、自身が感じていた悩みを打ち明けた。カツヤは他人から見れば成功したハンターかもしれないが、自分ではそう思えず、仲間を守れなかったことに悩んでいた。シェリルとミズハはカツヤの話を聞き、彼の心情を理解しようとした。カツヤの悩みは、成功の裏に隠されたハンターとしての葛藤と苦悩であり、彼は自分が思う「凄いハンター」になることの意味を見失っていた。

シェリルはカツヤの苦悩を聞きつつ、内心では彼の自信過剰による苦悩を理解し、対応方法を考えていた。カツヤは仲間を助けられなかったことに深く落ち込んでおり、それが彼の自信と責任感の強さから来ているとシェリルは推察した。シェリルはカツヤに対し、自分が思ったことを話すと前置きしてから、彼と都市を守ったハンターたちへの感謝を表明し、仲間を失った悲しみがカツヤを苦しめるならば、それを忘れることも一つの選択であると伝えた。カツヤが仲間の死に対する思いを語った後、シェリルは彼の悩みを解消するために、自分で抱え込んでいる苦しみを放棄することを勧めた。カツヤは自分の認識を改め、仲間を失った悲しみを乗り越える決意を見せ、心の負担を軽減させた。シェリルのアドバイスにより、カツヤは苦悩から少し解放され、新たな認識で前に進むことを決めた。

第90話 啓示

カツヤがシェリルとの会話で元気を取り戻した後、彼らのテーブルにはユミナとアイリが加わり、ミズハは別の席に移った。立食会の開始までの間、皆での歓談が進む中、カツヤはユミナの様子が落ち着かないことに気づいた。ユミナとアイリはシェリルにカツヤの悩みを聞いてくれたことに感謝を表したが、彼らはカツヤの苦悩をどう対処してよいか悩んでいた。特にユミナは自分が死んだ後もカツヤに忘れられたくないという複雑な感情を抱えていた。シェリルはそれに対して適切に対応し、カツヤが仲間の死をどう捉えるべきかについて助言した。

その後、食事が進む中、シェリルが注文したのはコーヒーのみで、そのコーヒーに大量の砂糖とミルクを入れる様子がカツヤたちを驚かせた。シェリルのこの行動により、彼女が甘いものが好きであることが明らかになり、カツヤたちはそれにどう反応していいか戸惑った。一方で、シェリルが高級な服を着ているにもかかわらず、身分を隠すために簡素な食事を選んだ理由が内心では不満であったことも示された。

カツラギは別のテーブルからこの様子を見ており、シェリルの振る舞いに戦慄を覚えつつ、彼女がどのようにしてそのような演技をこなせるのかに驚いた。ミズハとの会話では、カツラギがシェリルの社会的地位を高めるために虚構を重ね、彼女が遺物売買に関わる裕福な人物としての立場を確立しようと努めた。このやり取りを通じて、カツラギとミズハは互いの虚構を信じ込み、シェリルの立場がより確固たるものになっていった。

シェリルたちは立食会の時間が迫る中、談笑を続けていた。ミズハはカツヤがシェリルに非常に好意的な視線を送っているのを見て、シェリルを立食会に誘ったが、シェリルは商談があるため断った。カツヤは明らかに失望したが、シェリルはカツヤに自重するよう冗談めかしてアドバイスした。ユミナとアイリは立食会には参加せず、カツヤが立食会に参加することになっていたが、ミズハは立食会に参加するためにユミナたちを別の場所へ連れて行くことを決めた。この時、シェリルはカツヤの扱いについて苦笑しながらも、カツヤに向けて何かを考えている様子だった。

カツヤはシェリルに、一人で行動した方が調子が良くなる理由について相談した。シェリルはこれに対し、カツヤが仲間を護ろうとするあまり自分の能力の大部分を使ってしまうためだと説明し、カツヤが仲間と助け合うこと、無理なら全員が自分であると考えること、または更に上を目指すことを提案した。カツヤはシェリルの提案に納得し、感謝を表した。

その後、カツヤはシェリルに再会を希望し、シェリルは冗談を言いながらも縁があればまた会いましょうと答えた。カツヤが去った後、シェリルは何が起こったのか不思議に思いながらも、立食会は大成功に終わり、カツヤの変貌ぶりを皆が称賛した。ユミナだけがその変化に不思議そうにしていた。

拠点に戻ったシェリルの元に、エリオが何かを聞きたいと言いながら現れた。エリオはシェリルがカツヤに言ったことがどこまで本心なのかを尋ねたが、シェリルはその質問に対して驚き、カツヤへのアドバイスを「軽く脚色した」と表現した。エリオは都市を守ったことへの感謝を真剣に捉えていたが、シェリルはスラム街の住民を護ったわけではないと冷静に指摘した。エリオはカツヤがスラム街も含めて護ろうとしたのではないかと心酔していたが、シェリルはカツヤを後ろ盾にすることに強く反対し、その現実性のなさを指摘した。エリオは一時的な高揚感から冷静さを取り戻し、シェリルはエリオの非現実的な提案に対して冷ややかな反応を示した。エリオは話を後にし、シェリルは一人残され、エリオの言動に違和感を覚えつつも、その背後にある意味や目的を探ることを諦めた。

第91話 反カツヤ派期待の星

深夜から早朝にかけて、アキラはシカラベ達と合流するために荒野を車で進んでいた。賞金首討伐が目的で、前日の夜にシカラベからの連絡を受けた後、睡眠時間が不足している状態で出発した。途中でアルファが運転を代わり、アキラは車内で仮眠を取る。着実な運転により、アキラは質の良い睡眠を得ることができた。

目的地に到着した後、シカラベ達と賞金首討伐に関する相談を行い、アキラは様々な物資を受け取る。その中には対大型モンスター用のロケットランチャーや回復薬、通信機器などが含まれていた。アキラは受け取った装備の重要性を再認識し、賞金首の強さを改めて理解した。

出発前にアルファの提案で柔軟体操を行うが、強化服の操作でアキラは苦痛を感じるほど体を伸ばされる。アルファの動作は芸術的であり、アキラはその魅力に見惚れる余裕がないほどだった。シカラベが現れ、アキラの柔軟体操を見てから、強化服の使用について注意を促す。特に、前の使用者の設定が残った強化服を着用する危険性について説明され、アキラは慎重になる。

さらに、シカラベは若手ハンターのトガミをアキラの車に乗せるよう頼む。アキラは最初は渋るものの、最終的にはトガミを乗せることを承諾する。トガミの不機嫌そうな態度や、シカラベとアキラの間で交わされる会話からは、彼らの間の信頼関係の強さが伺える。そして、賞金首討伐のための出発が始まった。

日の出前の暗い時間帯に、アキラとその仲間たちは集団で荒野を進んでいた。シカラベたちが乗る装甲兵員輸送車を先頭に、追加要員を乗せた複数の車両が続いていた。トガミはアキラの態度に不機嫌さを増し、自分のハンターランクを誇り、アキラを見下していた。アキラはトガミの挑発に無反応で、その態度はトガミをさらにイライラさせた。

トガミは、パルガからの指示でモンスターの群れを一人で討伐することになり、これを自分の実力を示す機会と捉えた。アキラの運転で戦場に到着すると、トガミは大型銃を使用して獣を撃ち、その取り巻きを一掃した。戦いが終わり、トガミはアキラにその実力を認めさせると期待していたが、アキラは特に反応を示さなかった。これにトガミは失望し、アキラの無関心さに怒りを感じた。

一方で、シカラベたちはトガミの戦い振りを観察しており、パルガは及第点を、ヤマノベはチームとしての行動を問題視し、シカラベはトガミの態度を厳しく評価した。特にシカラベは、賞金首戦での活躍を見てからトガミの評価を決めると述べ、その厳しい姿勢を貫いた。

結局、トガミの単独行動は認められたが、アキラとシカラベたちの間でトガミへの期待と評価は大きく異なっていた。アキラの無関心とシカラベたちの冷静な観察は、トガミの自己評価とは大きく乖離していることを示していた。

第92話 億超えのハンター達

アキラとトガミは、賞金首の出没地域を目指して日の出前の荒野を進んでいた。互いに話し合うことなく、アキラはアルファと雑談しており、トガミは黙っていた。夜明けの光が荒野を照らし始め、アルファが朝日を指摘するが、アキラの反応は淡白だった。彼はスラム街で過ごした経験から、朝日を眺める余裕がなかったが、今の光景には感動していた。

突然、モンスターの出現をアルファが指摘し、アキラは対物突撃銃で対処する。彼はモンスターを精密射撃で撃破し、その実力を示す。パルガからの指示に対して、アキラは既にモンスターを倒したと報告し、パルガもその事実に驚く。

シカラベは、アキラの加入理由として、彼の隠された実力を確かめたいという個人的な動機があったことを明かす。アキラが遺跡で負傷退場したことに疑念を持ち、情報屋から彼に関する情報を買って調査したが、詳細は掴めなかった。賞金首討伐に彼を加えることで、再度アキラの実力を見極め、自身の勘を試すことが目的だった。シカラベはアキラの実力を仲間と共に客観的に判断しようとしていた。

助手席で顔を荒野に向けていたトガミが、アキラをチラッと見るが、反応は無かった。アキラが一人で巨大なモンスターを倒した後、二人の間に会話は無かったが、トガミの表情には変化があった。以前の不機嫌さはなく、疑念と警戒、不安と焦りが見えた。アキラの狙撃がトガミに大きな影響を与え、彼は自己の未熟さを疑い始めた。

トガミは、自身がアキラより未熟であることを考え、それを認めたくない気持ちが顔に表れた。しかし、彼は自身の実力に自信を持ち、ハンターランクがドランカムの若手の中で高いこと、反カツヤ派の纏め役として期待されていることを誇りに思っていた。トガミはアキラに、その狙撃がまぐれ当たりであると告げ、調子に乗るなと忠告した。アキラは、その狙撃がアルファのサポートによるものであり、自力ではないと認めた。アルファはアキラに、謙遜が嫌みと捉えられることがあると指摘したが、アキラはそれを受け入れ、必要に応じて嫌みとして受け取らせることにした。

アキラが倒した巨大なモンスターの近くでは、機械化された蜘蛛のようなモンスターがうろついており、アキラの狙撃をカメラで記録していた。

第93話 タンクランチュラ

アキラの車両は無言で荒野を進み、シカラベからの通信で賞金首「タンクランチュラ」との戦いが始まることが告げられる。作戦は大雑把で、各自の裁量に任されていたが、トガミはその内容に不満を示す。しかし、シカラベはそれを退け、借金返済のために参加している追加要員達には積極性が欠けており、詳細な作戦指示は現実的でないと考えていた。戦闘開始の通知があり、アキラはタンクランチュラへの攻撃を開始する。車両はアルファの巧みな運転で敵の砲撃を回避し続け、アキラは強化服の力を借りて立ち上がり、狙撃を続ける。タンクランチュラからの反撃は激しく、アキラとトガミはその圧倒的な攻撃力に立ち向かうことになる。

シカラベたちは、アキラの戦い振りを装甲兵員輸送車の機器で観察しており、ヤマノベとパルガが戦闘に参加することになる。アキラはタンクランチュラへ接近し、砲撃をかいくぐりつつ、敵にダメージを与えようとするが、効果は限定的だった。トガミはアキラの実力に驚きながらも、戦闘の激しさに翻弄される。一方、ヤマノベとパルガはそれぞれの役割を果たし、タンクランチュラへの攻撃を支援する。特にパルガは情報収集妨害煙幕を使用し、タンクランチュラの攻撃能力を大幅に低下させる。しかし、タンクランチュラが倒れたかと思われた瞬間、その腹部から大量の小型タンクランチュラが湧き出てきて、アキラたちに襲いかかる。アキラはこの新たな脅威に立ち向かうが、敵の数は多く、状況は悪化していく。

第94話 賞金首撃破

タンクランチュラから出現した子蜘蛛の群れに対処しながら、シカラベたちは指示を飛ばし、アキラを含む追加要員たちは各自戦闘を続けていた。子蜘蛛に特に狙われていたアキラは、彼の車を攻撃する敵を無視して親の撃破に集中するよう指示される。しかし、アキラは子蜘蛛の攻撃で苦戦し、孫蜘蛛までもが現れる事態になる。一方で、トガミは車外に投げ出されるが、生き延びるために戦い続ける。アキラはトガミを助け、二人は子蜘蛛の群れと孫蜘蛛に対抗しながら、タンクランチュラの撃破を目指す。

トガミが車から投げ出された後、アキラはトガミを救出し、孫蜘蛛を処理した。シカラベの車にトガミを投げ込み、トガミは運転を担当することになった。その間、アキラとネルゴは孫蜘蛛の殲滅とタンクランチュラへの最終攻撃に取り組んだ。ロケット弾を連携して発射し、タンクランチュラを撃破した。ネルゴはアキラに別れを告げ、去っていった。最終的にアキラとシカラベ達はタンクランチュラを倒し、勝利を収めた。

第95話 下らない小細工

賞金首討伐は標的の撃破だけで終わらず、討伐後の手続きが必要である。これには、ハンター側が成果を確実に手に入れるため、支払側が討伐された保証を得るため、そしてハンターオフィスが検証を行い公的な討伐成功を宣言するためのプロセスが含まれる。討伐された賞金首の死体や残骸は研究価値が高く、ハンターオフィスが所有権を持つことになる。シカラベは追加要員にタンクランチュラの残骸集めを指示し、ハンターオフィスとの手続きを進めていた。一方で、アキラは昼食を楽しみ、アルファは食事の様子を共に楽しんでいた。シカラベ達はハンターオフィスの職員の到着を待ちながら、タンクランチュラとの戦いを振り返り、報酬の分配について話し合っていた。トガミはアキラのハンターランクについて疑問を持ち、シカラベに問いただしたが、結局は自身の実力不足を痛感することとなった。

ハンターオフィスの人員が現場に到着し、シカラベたちはタンクランチュラの残骸や戦闘データを引き渡して手続きを終え、ドランカムの事務に処理を引き継ぎました。公式にはシカラベ、ヤマノベ、パルガ、トガミの4人が討伐者とされました。しかし、タンクランチュラ戦で予想以上の弾薬を消費したため、シカラベは連戦は難しいと判断しました。計画の変更を検討中、ヤマノベからの提案に対し、シカラベは追加要員として参加することを提案しました。アキラはシカラベに再び参戦を依頼され、やや戸惑いながらも同意しました。

その後、シカラベはクロサワと連絡を取り、追加要員としての参加と契約内容について話し合いました。クロサワはドランカムを離れた過去があり、シカラベの行動に苦言を呈しましたが、シカラベはドランカムを捨てることができず、自身の行動を正当化しました。

ミナカド遺跡では、賞金首の多連装砲マイマイが棲み着き、賞金は15億オーラムまで増額されていました。アキラたちはその場に向かい、多連装砲マイマイの強力な砲撃に直面しましたが、アルファのアドバイスで無事に避けることができました。アルファは賞金額と強さは必ずしも比例しないと説明し、アキラは戦闘に参加することに納得しました。

アキラたちはミナカド遺跡でクロサワの指揮下、多連装砲マイマイとの戦闘に参加した。アキラたちの役割は、戦闘区域の通路を保持し、賞金首と直接戦うことはなかった。クロサワは安全を最優先し、多連装砲マイマイの弱点を徹底的に攻撃し、その戦術が功を奏して賞金首を撃破した。多連装砲マイマイが倒された後、アキラは戦闘の印象について考え、賞金首戦の経費に関して不安を感じた。クロサワとシカラベは組織内の工作について話し合い、クロサワはアキラと会話し、その実力を認めた。2度の賞金首戦を経て、アキラはハンターとしての経験を深め、残る賞金首について思いを馳せた。

第96話 カツヤの部隊

都市近郊の荒野で、カツヤが率いるドランカム所属の若手ハンター達が賞金首討伐の準備を進めている。目標は20億オーラムの賞金がかけられた過合成スネークである。装甲車や荒野仕様の車両を含む高性能な装備を用い、エレナ達は補助要員として雇われ、アキラは非公式な参加者として加わる。リリーは外部のハンターを同行させることに反発し、カツヤの実力への信頼を強く主張するが、ミズハは補助要員の同行の必要性を説く。最終的に、ミズハはカツヤにエレナ達に挨拶するよう指示し、リリーを配置場所まで送り出す。この出来事は、部隊の準備と精神状態の整理、および指揮構造の確認が行われる場となっている。

ミズハはリリーと共に自分の私用車に乗り込み、リリーの不満に対して理由を説明する。彼女は、スポンサーからの融資を活用する必要があるとし、外部のハンターを雇うことによって資金の使用を正当化している。リリーを励ますため、カツヤと若手ハンター達の現状と、彼らがどう見られているかについて話し、リリーにカツヤへの信頼を再確認させる。その後、リリーの装備と配置を変更することで彼女がカツヤに対して実力を見せる機会を作る。

アキラはエレナ達と雑談している最中、異様に大型の砲を装備した装甲車を発見し、その砲について疑問を抱く。エレナ達との会話を通じて、アキラがカツヤとどのような関係にあるかが探られるが、アキラは詳細を語らない。

カツヤとアキラの間には明らかな緊張があり、カツヤはアキラに作戦への貢献を要求する。ユミナはカツヤに対して落ち着いた指揮を取るように助言し、過合成スネーク討伐作戦が始まる。主力部隊を含む各車両が動き出し、作戦が進行する中で、各参加者の思惑が交錯していく。

第97話 過合成スネーク

ハンターたちの大部隊が、ドランカムのカツヤ派によって率いられ、過合成スネークの討伐を目指して荒野を進む。荒野仕様の車両数十台で構成された部隊は、周辺のモンスターを蹴散らしながら20億オーラムの賞金首に挑む。アキラは補助要員として参加し、大型肉食獣を撃破するなど、小規模モンスターの掃討を行う。エレナとサラはアキラの活躍を称賛し、補助要員の役割は主力部隊が賞金首と戦えるよう支援することであると説明する。一方、過合成スネークは巨大な体躯と生命力を持ち、大量のロケット弾攻撃にもほとんど影響を受けない。カツヤたちは物量で敵の生命力を削ろうとするが、過合成スネークは周囲のモンスターを呼び寄せる能力を持っており、カツヤたちの状況は思わぬ方向へ進み始める。アキラは過合成スネーク討伐の難しさと戦況の複雑化に直面しつつも、勝利への意欲を失わない。

カツヤは隊長として、部隊の指揮を担当しているが、指揮能力は平凡である。しかし、その能力にもかかわらず、部隊は彼の指揮のもとで十分に機能していた。カツヤは安全策を取り、ミズハに支援の準備を依頼するなど、万全を期していた。リリーはカツヤの指示に反し、自分たちの能力を証明するために、単独で過合成スネークに近づいて攻撃を試みる決断をする。カツヤはリリーを止めるかどうかで葛藤し、最終的にはユミナが指示を出し、リリーを止めるための行動をとるが、カツヤに決断を迫ることなく、彼の負担を軽減しようとする。この状況は、カツヤのリーダーシップと部隊内の信頼関係に疑問を投げかける。

リリーは過合成スネークとの距離を詰め、レーザー砲で強力な攻撃を仕掛けた。この攻撃は過合成スネークに大ダメージを与えたが、完全には倒せなかった。過合成スネークは重傷を負いながらも生き残り、自身の切断された部分を食べて回復する様子を見せた。リリーの行動は部隊内で称賛されたが、この成功が指揮系統の破綻を招く恐れがあることにユミナは懸念を抱いた。再び攻撃が仕掛けられた際、過合成スネークは巨大な殻を破って再び現れ、その巨体が倒れ込む際にはリリーと部隊に大きな衝撃を与えた。リリーの果敢な行動は一時的な成功をもたらしたが、過合成スネークの強靭な生命力と予測不能な行動によって、最終的な勝利はまだ確実ではなかった。

第98話 指揮系統

過合成スネークの自爆による大規模な攻撃が発生し、荒野は大きな混乱に包まれる。アキラはエレナからの指示を受けて、救援活動に向かう。他の補助要員も同様に動き、効率的に救援活動を展開する。アキラは現場で意識を失った少年を発見し、回復薬を与えて応急処置を行い、その後、少年の仲間を探し出して彼らを安全な場所へ送り出す。一方、カツヤとユミナは指揮車の中で、適切な指示を出すことができずにいる。カツヤは指揮官としての自分の無力さを認識し、自ら救助に向かうことを決意する。リリーは瀕死の状態で空を見上げながら、最後の時を迎える。彼女はカツヤの助けに甘えていたことを自覚し、彼に対する感謝の気持ちを持ちながら息を引き取る。

カツヤはリリーが死亡した場に立ち尽くし、彼女に最後の別れを告げていた。その場に補助要員が現れ、リリーの死体を見て不満を漏らす。彼らは報酬の減少を嘆き、死体を雑に扱う。カツヤは彼らの態度に怒りを感じるが、過合成スネークが再び動き出すと、その場から逃れることを優先する補助要員たちに対し、彼は自身の役割について深く考え込む。自身が指揮官として不適切であることを自覚し、代わりに囮として過合成スネークの注意を引きつけることを決意する。彼はバイクに乗り、過合成スネークを引きつけながら、銃で挑発する。

一方で、アキラはカツヤの行動を目撃しながらも、彼の安全についてはあまり心配していない。ユミナはカツヤの行動に戸惑い、彼に作戦を中断するよう求めるが、カツヤは仲間を守るために自らを犠牲にする決意を固めている。カツヤの強い意志と指示に従う部隊の変化に、ユミナは驚きながらも、彼女は救援活動の指揮に集中することを決意する。カツヤは自分が生き延びるために、そして囮として役割を全うするために、一緒に戦っても調子が悪くならなかったアキラに連絡を取ることにした。

アキラ達の救援作業は主力部隊の協力により迅速に終了し、彼らは次の対処へと移る。その際、カツヤからの突然の通信があり、「仕事だ。手伝え」という簡潔な指示を受ける。アキラはこの指示に対し、嫌々ながらもカツヤの元へ向かうことを決意する。一方、カツヤは過合成スネークを引き付ける囮としての役割を続けていたが、状況は余裕がなく、囮役を続けるための新たなアイデアが思いつかない中、遠方から集まってきたモンスターの群れによりピンチに陥る。特に、八本足の虎のような半機械のモンスターからの砲撃を受け、カツヤはバイクごと吹き飛ばされるが、機転を利かせて何とか危機を脱する。

その直後、カツヤが飛び乗った車両の運転手はアキラであった。カツヤの助けを求める通信に対して、アキラは不機嫌さを隠せず、カツヤもアキラが応じるとは思わなかったと驚く。アキラの明らかな不満にも関わらず、彼はカツヤを危機から救い出す。この出来事は、互いにとって予想外の協力であったが、それでもアキラはカツヤの要請に応え、困難な状況を共に乗り越えることになる。

第99話 それぞれの判断

アキラがカツヤの援護に向かう決断は、複数の理由に基づいていた。元々エレナ達に雇われたアキラには、カツヤの直接の指示に従う義務はなかったが、エレナ経由での指示となったことで、彼の心理的にエレナ達がその指示を容認したように感じられ、彼は援護に向かうことを決めた。援護の結果、アキラは危険な状況からカツヤを救出するが、このやり取りでアキラの機嫌は悪化する。

一方で、カツヤとアキラは過合成スネークを引き付ける作戦を進め、その過程で強力な火力を駆使し、モンスターの群れに対して圧倒的な反撃を行う。この協力は、個人的な感情を超えた、効率的なチームワークとして機能していた。

同時に、ユミナは主力部隊の援護を終え、カツヤの支援を決意する。彼女は装甲車の状態を遠隔で確認し、主砲が使える可能性に賭けて単身で装甲車に向かう。この決断は、ユミナにとってカツヤへの支援だけではなく、自らの責任感からの行動であった。アイリに指揮を委ね、ユミナは装甲車への道中でモンスターに対抗しながら前進する。彼女の行動は、困難な状況でも解決策を模索し続ける彼女の強い意志を示していた。

アキラとカツヤはアルファの運転で過合成スネークを引き付けながら、その進路上のモンスターを撃退していた。やがて弾薬が尽き、アキラは自らの弾薬をカツヤに提供する。その間、二人は互いに対して辛辣な言葉を交わし、険悪なムードが漂うが、その中でも効率的な連携で戦闘を続ける。内心では、アキラは自身のカツヤへのいらだちに困惑していた。

一方、ユミナは装甲車に到着し、無事であった主砲の発射準備を始める。しかし、過合成スネークはユミナの活動を感知し、彼女がいる方向へと移動を開始する。これにより、アキラとカツヤは過合成スネークを引き付ける囮の役割を終え、ユミナの救援へと向かうことになる。

アルファは車を極限まで操り、ユミナのもとへ急ぐ。その途中で、アキラとカツヤは激しい荒野を車で駆け抜け、道中のモンスターを撃破しながら進んでいく。過酷な運転により、二人は大きな負担を受けるが、それでもユミナのもとへと進む決意を固める。途中、モンスターを即死させるアキラの射撃技術が彼らを救い、ついには過合成スネークの追撃を受けながらもユミナの位置に近づくことに成功する。

第100話 選択の影響

必死に戦っていたユミナは、過合成スネークを引き付けることができず、モンスターの群れに押されつつあった。しかし、アキラとカツヤからの通信を受け、彼らの支援のもとで主砲を撃つ準備に入る。彼女は周囲のモンスターを排除しながら、アキラのカウントダウンに合わせて主砲を発射する準備を進めた。

アキラは車上からモンスターを撃退し続け、カツヤも彼に続いた。アルファはユミナへのカウントダウンを開始し、ユミナは最後のモンスターを排除してから発射指示を出した。発射後、ユミナは急いでその場を離れた。

一方、アキラとカツヤはアルファの運転でレーザー砲の射線から逃れようとするが、レーザー砲の拡散角度が予測できず、最終的には後方に逃れることに。レーザー砲から放たれた光の奔流が過合成スネークを直撃し、周囲を爆発が覆う。その後、ユミナが戻ってきた時には、過合成スネークは撃破されていた。

勝利を喜ぶユミナとカツヤに対し、アキラは疲労し、戦いが終わったことを受け入れながらも、二人を置いて車で離れていった。

過合成スネークが倒された後、アキラは疲労と不機嫌さを感じながら周囲を見張っていた。アルファから先に帰ることを勧められ、エレナに連絡を取るも反応がなかった。しかし、エレナとサラが現れ、アキラに話があると言って近づく。サラはアキラに対し、物理的に親密な態度を取りながら、彼の行動に感謝するとともに、彼がカツヤを助けた件についてのエレナたちの複雑な感情を表現した。彼女らはアキラとの良好な関係を続けたいという気持ちを伝え、報酬の話に移った。エレナはアキラの活躍を認識しつつ、その見返りとして適切な報酬を支払う責任があることを説明した。報酬額についてはドランカムと再交渉すると述べ、アキラに報酬支払いまでの待機を求めた。最終的にアキラはその提案を受け入れ、エレナたちはアキラを見送った。アキラは疲れを感じながらも、アルファに運転を任せて休息を取った。

過合成スネークの討伐後、エレナたちは引き続き補助要員として周辺の警戒を行っていたが、実質的には時間を持て余していた。この間、エレナはサラにアキラへの行動の理由を尋ね、二人はアキラとの関係が良好であることを喜びつつ、なぜアキラを止めなかったのかについて話し合った。サラはその時の考えが浮かばなかったと白状し、エレナも同じように考えが及ばなかったことを認めた。二人は、カツヤの強い意気に感化されていた可能性を指摘し、自分たちの未熟さを認識しつつ、次に向けて成長することを誓った。

その後、カツヤとユミナがエレナたちに合流し、アキラへの感謝の意を伝えようとしたが、アキラは既に帰宅していた。カツヤはアキラが早く帰ったことに少し不満を感じつつも、エレナは自らの判断でアキラを帰宅させたと説明した。エレナはカツヤにアキラを助けに行かせた理由を尋ね、カツヤはアキラの強さを理由に挙げた。エレナたちはカツヤとユミナに対し、アキラとの関係修復のためにドランカムとの報酬再交渉に協力を求めた。

ハンターオフィスの職員が過合成スネークの調査を行い、その特異な体質について話し合っていた。一方で、ドランカムは討伐成功の祝賀会を開催し、カツヤは死者を悼みつつも勝利を祝った。カツヤとユミナは、次は誰も死なせないように努めることを誓い、カツヤは仲間のために成長することを決意した。

第101話 嘲笑う

過合成スネークが倒されてから10日後、アキラはアルファと共に未発見の遺跡探しを再開していた。その日、巨大な機械系モンスターであるビッグウォーカーの討伐作戦が行われることを知り、敢えてそれと同時に遺跡探しをすることにした。大規模な戦闘がモンスターを引き寄せるため、遺跡を探しやすくなると考えたからである。

探索中、アキラたちは過合成スネークと遭遇し、戦闘になる。過合成スネークはアキラたちが以前に倒したものとは別の存在で、本体ではなく囮の部位だったことが判明する。アキラは戦闘を通じて過合成スネークの弱点を突き、車両と武器を駆使して攻撃する。しかし、突然の爆発によって車両が操作不能になり、過合成スネークに丸呑みにされてしまう。アキラはアルファとの接続が切れ、一人で過合成スネークの内部で戦うことになる。

アキラは自身の覚悟を確認し、過合成スネークの内部から銃撃を続け、最終的にはその体内を破壊して脱出に成功する。アルファとの再会後、アキラは自分がアルファのサポートなしで危機を乗り越えたことを認識し、改めて感謝の意を表す。一方で、アルファはアキラが予想を超えて生き残ったことに驚き、自らの計算を見直す必要があると感じていた。

第102話 続く試行、変わる指向

キバヤシはクガマヤマ都市とハンターオフィスの職員で、アキラの行動を気に入っていた。アキラからの連絡を受け、過合成スネークの死体の現地調査に向かう。キバヤシはアキラが過合成スネークの本体を倒した話を聞き、大笑いした後、彼の行動をますます気に入る。しかし、その死体は賞金首としての扱いにはならないが、ハンターの戦歴としては価値があると話す。アキラは賞金よりも即座の金銭的な補填を望んでいた。キバヤシはアキラの機嫌を取りつつ、ドランカムとの報酬交渉を手伝うことを約束する。

その後、アキラはシカラベから報酬に関する連絡を受け、ドランカムとの賞金首討伐戦での報酬について話し合う。シカラベは車両を新調することを提案し、アキラはこれを受け入れる。シカラベはアキラに車両のカタログを送ることを約束し、取引を成立させる。

アキラは自宅で回復薬の過剰摂取と疲労で疲弊していたが、シカラベからの連絡で気を取り直し、装備の再調達に向けて前向きな態度を取る。シカラベとその仲間たちは、酒場でアキラとの取引が無事終わったことを祝い、和やかな雰囲気で過ごす。

ドランカムの拠点で、ミズハはエレナと過合成スネーク討伐報酬の再交渉を行っていた。ミズハは組織間の取り決めを重視し、契約通りの報酬を主張していたが、エレナはアキラの契約外の仕事に対する追加報酬を求めていた。この再交渉は普段ならば考えられないことで、ミズハも相当譲歩していたが、エレナはそれ以上を求めていた。カツヤがアキラに指示したことは無視できず、ドランカムにも予算の制限があり、他の補助要員達の減額分を渡すのが限界だった。

その交渉中にキバヤシが登場し、エレナに一時退室を求めた後、アキラの戦歴を売る提案をミズハに持ちかける。これはアキラが過合成スネークの本体と思われるモンスターを倒した戦歴で、キバヤシはこれを買い取ることでエレナの要求を満たそうとしていた。この戦歴が売れなかった場合、キバヤシはアキラの活躍を広く紹介することで、ドランカムとカツヤの活躍の箔をアキラに移す計画を持っていた。これはミズハにとって非常に不都合な状況であった。

最終的に、ミズハは全面降伏し、エレナの要求を受け入れた。エレナは1億オーラムがアキラの口座に振り込まれたことをアキラに伝える。アキラはキバヤシに頼んだことが関係していると推測し、エレナに詳しいことは話せないが、シズカのお店で装備を再購入する際の支援を依頼した。

シズカはアキラたちの購入意欲に難色を示しつつも、彼らが新しい装備を購入することに最終的には賛成した。一方、ネルゴは自身の義体の修理を行っている最中に、過去にケインと呼ばれていたことが明かされ、ある秘匿通信を受け取った。通信相手とのやり取りから、彼がドランカムに潜入していること、またそれが何か大きな目的のためであることが示唆された。その目的は、都市内の特定の人物や、旧領域接続者を探していることに関連しているようだ。通信を終えた後、ネルゴはミズハと友好的に交流し、お互いの目的を達成するための協力関係を築いていた。

ヤナギサワは、過去に建国主義者と通じ、クズスハラ街遺跡の情報を操作したことがある人物で、大義を実現するための「力」を求めている。彼は旧領域接続者を探し、クガマヤマ都市内で特定の目的を持って活動しているが、その目的は明らかにされていない。

アキラは夢の中で、アルファとアルファに似た少女との対話を聞いている。彼らはリソースの分配や、互いの試行を妨害しないことについて話し合っており、アキラはその会話の意味を理解できないまま目を覚ました。起きた後、彼は新しい装備を身につけ、再び荒野へと向かう準備をしている。装備の性能は向上し、自身も成長していることを実感していた。アルファはアキラに協力を約束し、二人は再び冒険に出る。

閑 話 運の問題

アキラがシズカに新しい装備を注文していた頃、シェリルからスラム街の拠点に顔を見せるよう頼まれる。アキラは、過合成スネークの消化液でほとんど使い物にならなくなった強化服を着ずに、シェリルの要請に応えるためにスラム街へ向かう。スラム街ではアキラが何者かに監視されていることをアルファが知らせる。アキラは警戒しつつ、シェリルの拠点に到着するが、シェリルの迎えは無く、拠点は静まり返っていた。

一方、シェリルの拠点では、ゼブラが他の徒党に拠点を売ることを決断し、その証拠として強化服と武器が入った収納ケースを用意していた。ゼブラはシェリルを人質に取り、拠点の制圧を開始する。ゼブラたちは、アキラが装備を失って弱っている情報を基に、アキラを殺して拠点を守る計画を立てていた。

シェリルはゼブラの計画に反対するが、ゼブラはアキラが彼らの後ろ盾である意味がないと考え、アキラを排除する決断をする。ゼブラはシェリルを人質にしてアキラを待ち伏せし、アキラがスラム街に入ったときの映像を見せ、アキラが弱っていると判断する。

ゼブラの行動はシェリルの理解を超えており、彼女はゼブラと徒党の他のメンバーによる裏切りに直面する。ゼブラはアキラとの対決を通じて、彼らの後ろ盾が本当にアキラだけで良いのかを確認しようとする。

アキラはアルファのサポートにより、拠点の出入口で待ち伏せしている強化服を着た二人の少年を壁越しに発見する。アキラは警告を発し、少年たちは反応して攻撃を開始するが、アキラは事前に動きを読み、銃撃を避ける。少年たちはアキラを倒したと思い込み、位置を確認しようとするが、その隙にアキラは彼らを撃ち、二人を倒す。アキラは、高性能に改造された二丁の銃を使用し、強化服を着用していない自身でも強装弾を撃てるようにしていた。一方、他の出入口を警戒していた別の二人の少年も、銃声を聞いて状況を認識し、アキラとの交戦を決意するが、油断が命取りとなり、アキラに瞬時に倒される。アキラはアルファの助けを借りながら、次なる行動に移る。

スラム街の中規模徒党を率いるヤザンは、ゼブラを使ってアキラを襲わせる計画が失敗したことに不満を感じていた。ゼブラに虚実を混ぜた情報を流し、強化服を提供していたが、アキラの予想外の強さにより計画は頓挫する。ヤザンの目論見は、アキラとシェリル達の間に不信と隔意を生じさせることで、彼らの防衛を弱体化させ、他の徒党がシェリル達に付け込む隙を作ることにあった。しかし、アキラがヤザンの拠点を訪れ、直接対決の末にヤザンをはじめ徒党の多くのメンバーを倒し、徒党を壊滅させる。アキラはその後、ヤザンの縄張りをシェリルの徒党に譲渡し、シェリルはシジマに縄張りの買取を打診する。この一連の出来事は、アキラの計り知れない力と、彼が巻き起こした壮絶な戦闘によって終結する。アキラ自身は、自分の強さを運によるものと考え、それを受け入れている。

スラム街を二分する巨大徒党の片方の館で、情報屋ヴィオラが客の男に情報を提供していた。その情報は、強化服を着ずに中規模の徒党を壊滅させたハンターに関するものだった。男はこのハンターの強さに注目し、ヴィオラにその調査理由を問いただした。男は強化服を提供したのは、そのハンターが自分たちの敵に回る価値があるか、または味方にする意味があるかを確認するためだったと説明する。男はその装備を「ただの安物」と表現し、次の抗争の規模が大きくなることを示唆した。ヴィオラは男からの威圧を笑って受け流し、協力の対価として報酬を期待する姿勢を見せた。男はヴィオラの質の悪さを理解していながらも、その提案を受け入れた。

同シリーズ

リビルドワールド シリーズ

b35381f32dc80fcbc483130ff0e3f20f 小説「リビルドワールド III〈下〉 賞金首討伐の誘い 6」感想・ネタバレ
リビルドワールド I〈上〉 誘う亡霊
27196bc3db99d98cdf9a02781816efaf 小説「リビルドワールド III〈下〉 賞金首討伐の誘い 6」感想・ネタバレ
リビルドワールドI〈下〉 無理無茶無謀
33b75bbba2b387604d088173b00e559c 小説「リビルドワールド III〈下〉 賞金首討伐の誘い 6」感想・ネタバレ
リビルドワールド 2 〈上〉 旧領域接続者
6634aac00108fef3a7c0bf6268057b73 小説「リビルドワールド III〈下〉 賞金首討伐の誘い 6」感想・ネタバレ
リビルドワールド II〈下〉 死後報復依頼プログラム
4087284f2270b105963ef849852d696f 小説「リビルドワールド III〈下〉 賞金首討伐の誘い 6」感想・ネタバレ
リビルドワールドIII〈上〉 埋もれた遺跡
e6d213e2375268b2528e15bcc6459d99 小説「リビルドワールド III〈下〉 賞金首討伐の誘い 6」感想・ネタバレ
リビルドワールドIII〈下〉 賞金首討伐の誘い
a9d5a37e16ca8ae58fb50decadfee426 小説「リビルドワールド III〈下〉 賞金首討伐の誘い 6」感想・ネタバレ
リビルドワールドIV 現世界と旧世界の闘争
b52b335cd328196e717625ebe3f8eae3 小説「リビルドワールド III〈下〉 賞金首討伐の誘い 6」感想・ネタバレ
リビルドワールドV 大規模抗争
5f71f32528e1f9fafd70a9fca2f4bc21 小説「リビルドワールド III〈下〉 賞金首討伐の誘い 6」感想・ネタバレ
リビルドワールドVI〈上〉 統治系管理人格
a95abf1470ee22e6a42b6de9f62e77b6 小説「リビルドワールド III〈下〉 賞金首討伐の誘い 6」感想・ネタバレ
リビルドワールドVI〈下〉 望みの果て
045423b001e856ad4aa0ce79f81b276a 小説「リビルドワールド III〈下〉 賞金首討伐の誘い 6」感想・ネタバレ
リビルドワールド VII 超人
5e0af63874a2c656d5afbec557b60acb 小説「リビルドワールド III〈下〉 賞金首討伐の誘い 6」感想・ネタバレ
リビルドワールド Ⅷ 超人

その他フィクション

e9ca32232aa7c4eb96b8bd1ff309e79e 小説「リビルドワールド III〈下〉 賞金首討伐の誘い 6」感想・ネタバレ
フィクション(novel)あいうえお順

Share this content:

こも

いつクビになるかビクビクと怯えている会社員(営業)。 自身が無能だと自覚しおり、最近の不安定な情勢でウツ状態になりました。

コメントを残す

CAPTCHA