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フィクション(Novel)リビルドワールド読書感想

小説「リビルドワールド VIII(8)〈上〉 第3奥部(12)」 感想・ネタバレ

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フィクション(Novel)

リビルドワールド VII(7)レビュー
リビルドワールド全巻まとめ
リビルドワールドVIII(8)〈下〉レビュー

Table of Contents

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  1. 物語の概要
    1. ■ 作品概要
    2. ■ 主要キャラクター
    3. ■ 物語の特徴
  2. 読んだ本のタイトル
  3. あらすじ・内容
  4. 感想
  5. 考察・解説
    1. ハンターランク70到達
    2. 218億の新装備
    3. クズスハラ第3奥部
    4. 旧領域接続者シロウ
    5. ウダジマ殺害の冤罪
  6. 登場キャラクター
    1. クガマヤマ都市(幹部・広域経営部・ハンターオフィスなど)
      1. イナベ
      2. ウダジマ
      3. キバヤシ
      4. ヤナギサワ
      5. サクヤマ・ヒカル
    2. 旧世界の存在・遺跡の管理人格
      1. アルファ
      2. ツバキ
      3. オリビア
    3. 個人ハンター・その他
      1. アキラ
      2. キャロル
      3. ドーラス
      4. ゼロス
      5. ババロド
      6. エレナ
      7. サラ
      8. シオリ
      9. カナエ
    4. ハンターチーム「ドラゴンリバー」
      1. タツカワ
      2. メルシア
    5. ハンター徒党「ドランカム」
      1. トガミ
      2. レイナ(レイナ・リラルト・ローレンス)
    6. 坂下重工
      1. スガドメ
      2. ハーマーズ
      3. シロウ
      4. マツバラ
    7. リオンズテイル社
      1. クロエ
      2. パメラ
      3. ラティス
    8. 企業関係者・情報屋・その他
      1. ヴィオラ
      2. シズカ
    9. 集団
      1. 坂下重工の部隊
      2. ロットブレイク
      3. 都市防衛隊
      4. ドラゴンリバー
      5. ドランカム
      6. 融合体の群れ
      7. リオンズテイル社の部隊
  7. 展開まとめ
    1. 212話 きわどい話 
    2. 第213話 シロウの観光 
    3. 第214話 内緒話 
    4. 第215話 悪女の副業 
    5. 第216話 護衛依頼 
    6. 第217話 一晩100億オーラム 
    7. 第218話 今のアキラのもてなし方 
    8. 第219話 自宅跡の攻防 
    9. 第220話 端金脱却 
    10. 第221話 ドラゴンリバー 
    11. 第222話 裏口探し 
    12. 第223話 地下トンネル 
    13. 第224話 保留 
    14. 第225話 第3奥部 
    15. 第226話 レイナの成長 
    16. 第227話 シロウとの取引 
    17. 第228話 リオンズテイル社 
    18. 第229話 幻影都市 
    19. 第230話 怪獣 
    20. 第231話 殺した理由 
  8. リビルドワールド 一覧
  9. その他フィクション

物語の概要

■ 作品概要

『リビルドワールドVIII〈上〉 第3奥部』は、過酷な荒野が広がる世界で少年ハンターが成り上がるSFバトルアクション小説の第8巻である。
主人公のアキラは、都市間輸送車両での死闘を経てハンターランク70へと到達した。 彼は坂下重工から得た莫大な報酬をすべて注ぎ込み、総額218億オーラムに達する最新装備を調達する。
そんな中、アキラは優秀な地図屋であるキャロルから護衛依頼を引き受けることになった。 二人はミハゾノ街遺跡からクズスハラ街遺跡の奥部へと繋がる隠された地下トンネルの探索へ出発する。
道中でドランカムのトガミや、坂下重工から脱走中の旧領域接続者シロウと出会い、彼らは共同で地下を突き進む。 隔壁の迂回路を突破した一行は、床と壁の境界すら見えない真っ白な空間が広がる「第3奥部」に到達した。
そこは旧世界の立体映像と力場障壁で構築された、幻影の都市であった。
アキラたちは第3奥部で、山のような巨体を持つ最前線級のモンスター「怪獣」に遭遇する。 怪獣から逃れるための凄絶な死闘が描かれる中、シロウやレイナ、そしてリオンズテイル社の自動人形オリビアが救援へ介入した。
アキラは仲間とともに生還を果たすが、帰還直後にウダジマ殺害の冤罪を着せられた偽の寝返り映像が流出してしまう。 防衛隊に追われる立場となったアキラは、再び都市を揺るがす巨大な抗争の渦へと巻き込まれていく。

■ 主要キャラクター

  • アキラ:本作の主人公である。ハンターランク70の凄腕ハンターに成り上がった。坂下重工からの報酬で資金を得て、218億オーラムの超高性能新装備「ロスカーデン」などをシズカの店経由で調達した。キャロルの護衛を引き受け、地下トンネルから第3奥部への探索に挑む。
  • アルファ:アキラにのみ見える旧世界の人工知能である。アキラがこれまでの死地で無意識に磨き上げた「拡張感覚」を高く評価した。アキラが自力で戦う様子を見守りつつ、怪獣との極限戦闘では息の合ったサポートを行い、アキラたちを救う。
  • キャロル:美貌の女性ハンターであり、優秀な地図屋だ。自身が持つ遺跡奥部の情報の価値を下げるため、アキラを護衛に雇ってミハゾノ街遺跡の隠された地下トンネル探索を提案した。
  • トガミ:ドランカム所属の少年ハンターである。シロウから依頼を受けて地下トンネルを探索していたが、アキラたちと合流して同行することになった。アキラの新装備の圧倒的な火力と実力差に驚きつつ、自身の役割を全うしようと成長を見せる。
  • シロウ:坂下重工から脱走した非常に優秀な旧領域接続者だ。アキラたちとツバキとの交渉ルートを作るために脱出を支援した。レイナが持つ白いカードを利用してオリビアを護衛に雇い、アキラたちの救援を成功させた。
  • レイナ(レイナ・リラルト・ローレンス):ドランカム所属の少女ハンターである。カツヤの死を経て、従者の責任を背負う主としての強固な覚悟と成長を身に付けた。かつてアキラから手に入れた白いカードをシロウに託し、アキラを救うため救援に同行する。
  • オリビア:旧世界のリオンズテイル社所属の汎用人格である自動人形だ。シロウに500万コロンで雇われ、強大な怪獣のエネルギー奔流を一刀両断してアキラたちを第3奥部から救出した。
  • タツカワ:遺跡攻略の上位ハンターチーム「ドラゴンリバー」の隊長だ。ハンターランク78の実力を持つ。赤い人型兵器を駆り、第3奥部で遭難してアキラたちと合流した。怪獣襲撃の際は、前衛としてアキラとともに死闘を繰り広げる。

■ 物語の特徴

  • 総額218億オーラムに達する「端金」からの脱却新装備: 坂下重工からの報酬により、アキラの装備はこれまでの「オーラム」の常識を超える218億オーラムのHC3R強化服ロスカーデンやRL2複合銃へと一新される。オーラム払いでありながら、コロン払い専用品に匹敵する圧倒的な性能と戦闘描写が読者を魅了した。
  • 地下トンネルの探索と「第3奥部」の謎: ミハゾノ街遺跡からクズスハラ街遺跡へと繋がる旧世界時代の地下交通網の探索が描かれる。到着した「第3奥部」は、境界のない真っ白な世界から一瞬で旧世界のビル群が並ぶ立体映像都市へと変貌するなど、旧世界のロマン溢れる超技術が惜しみなく描写された。
  • 強大な「怪獣」に立ち向かうハイスピード連携バトル: 第3奥部で突如として出現する超巨大モンスター「怪獣」から逃れるためのデッドヒートが描かれている。タツカワの人型兵器とアキラの空中バイクによる戦術的な共闘や、オリビアの電撃的な介入による光線両断など、最高峰のスピード感を持つ戦闘シーンが展開された。
  • ウダジマ殺害の冤罪と、再び始まる大規模な闘争: アキラが都市に無事帰還したのも束の間、ヴィオラから最高度の緊急通知が届く。アキラが都市幹部ウダジマを殺害して建国主義者へ寝返ったとする偽のプロパガンダ映像が都市中に流出し、アキラは一瞬にして追われる身となった。新たな陰謀と復讐の渦が、読者を次の展開へと強く引き込んでいく。
KADOKAWAオフィシャルチャンネル
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読んだ本のタイトル

リビルドワールド  VIII〈上〉 第3奥部
著者:ナフセ 氏
イラスト:わいっしゅ  氏
出版社:KADOKAWA電撃の新文芸
発売日:2023年7月14日
ISBN:9784049148657

(PR)コチラのサイトから購入して頂けると幸いです。

あらすじ・内容

★☆★TVアニメ化決定!!★☆★

 都市間輸送車両の護衛依頼を終えクガマヤマ都市に帰還したアキラ。
 奥部攻略のため続々と高ランクハンター達が訪れたことで、クズスハラ街遺跡を取り巻く状況は過熱していく。
 そんな中、アキラはキャロルから意味深な誘いを受けるが……?
 新装備を手にしたアキラが、ついにクズスハラ街遺跡の奥部を目指す!
 読者を熱狂させる大人気SFバトルアクション、書籍版オリジナル展開で贈る待望の新エピソード!

リビルドワールドVIII〈上〉 第3奥部

感想

都市間輸送車両での死闘を終えたアキラは、ハンターランク55から一気に70へ。

とうとう東側でもかなり上のハンターとして扱われる領域まで来た。

……のだが。

お約束のように装備はほぼ全壊である。

また買い直しかよ。

しかも今回は、そこから218億オーラムの新装備を手に入れ、キャロルの護衛を始め、クズスハラ街遺跡の第3奥部へ入り、最後にはウダジマ殺害の濡れ衣まで着せられる。

ハンターランク70になったのに、平穏からはむしろ遠ざかっている気がする巻だった。

ハンターランク70。そして218億オーラムの新装備

都市間輸送車両の護衛と超人エルデとの戦闘が評価され、アキラのハンターランクは70まで上昇する。

ランク70となれば装備も当然それ相応になる。

そこでヒカルが各企業を競わせ、最終的に機領製の強化服《ロスカーデン》を中心とした総額218億オーラムの装備を揃える。複合銃、ブレード、回復薬、バイクまで更新され、アルファからもようやく「まともな装備」と評価されるほどだった。

218億でようやくまともなのかよ。

この世界の装備価格、もう感覚が麻痺してくる。

それでも印象に残るのは、アキラが相変わらずシズカの店を通して装備を買っているところだ。

百億単位の取引になっても、駆け出し時代から世話になっている店との関係は変えない。

装備だけ見れば別人のように成り上がったのに、その部分は昔のアキラのままである。

そして新キャラクターとして登場するのが、ハンターチーム《ドラゴンリバー》のタツカワ。

彼も昔はキバヤシから危険な仕事を斡旋され、それを生き残って成り上がった先達者だった。

赤い人型兵器を操る高ランクハンターでありながら、キバヤシ被害者の先輩でもある。

アキラを見て何となく放っておけないのも分かる気がする。

キャロルを護衛したら、せっかくの家と風呂が吹き飛んだ

新装備が届く少し前、アキラはキャロルから護衛を頼まれる。

キャロルはクズスハラ街遺跡奥部の地図や情報を大量に持っており、その情報を巡って高ランクハンター達の思惑に巻き込まれていた。

そこでアキラを護衛に雇ったのだが、ランク70のハンターを護衛に付けたことで逆に、

「キャロルが奥部攻略へ本格的に動き出したのでは?」

と周囲から警戒されてしまう。

結果、ロットブレイクを含む複数の勢力が絡む面倒事へ発展する。

その騒動の中で、アキラの家まで襲撃される。

しかも家ごと砲撃されて全壊。

そこには都市間輸送車両から帰ってきた直後、アキラが大満足していた改装済みの風呂もあった。

数回しか入ってないぞ……。

あれだけ金を掛けて作ったのに。

戦闘装備なら壊れることを覚悟して買っているが、家まで戦闘消耗品みたいに壊されるとは思わなかった。

本人もかなり落ち込んでいたが、それでも「今なら以前より良い家を手に入れられる」と考え直す。

こういうところを見ると、金だけではなく精神的にも本当に強くなったと思う。

第3奥部の真っ白な世界。ツバキまで出てきて完全に迷子

キャロルは自分が狙われる原因となった地図の価値を下げるため、新しい奥部へのルートを探すことにする。

そこでアキラと共にミハゾノ街遺跡を探索し、地下深くに旧世界の巨大なトンネルを発見。

途中では、シロウの依頼で地下経路を調査していたトガミとも合流する。

そのまま第1奥部、第2奥部を地下から突破し、ついには第3奥部へ到達するのだが……。

そこは一面真っ白。

床も壁も天井も分からない。

色無しの霧が濃すぎて、情報収集機器すらまともに働かない。

振り返れば、入ってきた通路まで消えている。

完全に迷子である。

そこで現れるのがツバキ。

ツバキはアキラを外へ出してやろうとするのだが、問題はアルファである。

キャロルやトガミの前でツバキと普通に話せば、「なぜアキラはこの謎の女を知っているのか」という話になりかねない。

アルファの存在を隠したいアキラは、助けてもらいたいのに素直に頼れない。

そんな微妙な空気をぶち壊してくれたのがモンスターの襲撃だった。

助かったのか悪化したのか分からない。

しかも第3奥部には、切っても再生する巨大な融合体まで出てくる。

218億オーラムの装備で、アルファの本格支援まで受けても簡単には倒せない。

ランク70になっても「奥部ではまだ安全圏ではない」というのがよく分かる戦闘だった。

その後はタツカワとも合流し、シロウがレイナ、シオリ、カナエ、さらにリオンズテイル社のオリビアまで動かして救援へ向かう。

え?

それ、元を辿ればアキラのカードや人脈を使ってないか?

シロウ、使えるもの全部使うな。

怪獣から生還したと思ったら、今度はウダジマ殺害の容疑者

出口へ向かうアキラ達の前には、さらに規格外の怪物が立ち塞がる。

真正面から倒すより逃げるしかない相手。

アキラ達は怪物から逃げながら、救援へ来たシロウやレイナ達との合流地点を目指す。

装備も体力も削られ、

「あと一発まともに受けたら死ぬ」

というところまで追い詰められながら、それでも何とか第3奥部から生還する。

ここまででも十分すぎる修羅場である。

ようやくキャロルの家へ帰り、

「風呂に入って休める……」

と思ったところへヴィオラから緊急連絡。

ウダジマが殺された。

そして犯人はアキラだという。

アキラ自身、いずれウダジマを殺す気ではいた。

でも今じゃない。

それなのにアキラがウダジマを殺害する映像まで存在し、完全に犯人扱いされている。

本人が「俺じゃない」と言ったところで、以前からウダジマを敵視していたことも知られている。

信用されるわけがない。

しかも素直に拘束されれば、その途中で殺される危険すらある。

結果、アキラはクガマヤマ都市から逃げるしかなくなる。

第3奥部から命懸けで帰ってきたと思ったら、その日のうちに今度は都市から逃亡。

休ませてやれよ。

ハンターランク70。

218億オーラムの新装備。

第3奥部からの生還。

ここまで来れば普通なら「成り上がった」と言っていいはずなのに、アキラの場合は強くなるほど巻き込まれる騒動の規模まで大きくなっていく。

そしてウダジマを本当に殺したのは誰なのか。

アキラを犯人に仕立てた目的は何なのか。

完全に逃亡者となったところで〈上〉は終了。

ここで下巻に続くのかよ……。

かなり意地の悪い引きである。

最後までお読み頂きありがとうございます。

(PR)コチラのサイトから購入して頂けると幸いです。

リビルドワールド VII(7)レビュー
リビルドワールド全巻まとめ
リビルドワールドVIII(8)〈下〉レビュー

考察・解説

ハンターランク70到達

アキラのハンターランク70到達と能力飛躍の全貌

『リビルドワールド』におけるアキラのハンターランク70到達は、彼が名実ともにクガマヤマ都市周辺の一流ハンターの仲間入りを果たし、大企業や都市幹部ですら無視できない強大な武力として成り上がった、物語の大きな転換点である。ランク70到達の舞台裏、ランク70の重みと高級レストランでの驚愕、および周囲の関係者に与えた衝撃と波紋の各点から解説する。

ランク70到達の舞台裏:複雑に絡み合う「対価と計略」

アキラのハンターランクが「55」から「70」へと一気に跳ね上がった背景には、坂下重工からの特別な報酬処理と、関係者たちの思惑が重なり合った結果があった。

・ウダジマ排除よりも力を選んだアキラの決断:アキラは都市間輸送車両の護衛依頼中に超人エルデを撃破し、坂下重工の要人(脱走中の旧領域接続者シロウ)を結果的に護衛した功績から、同社より莫大な報酬を得る権利を得た。都市幹部イナベは、この坂下重工の報酬(圧力)を利用して仇敵ウダジマを完全に失脚させる選択肢を提示するが、アキラはこれを拒否した。アキラにとって最大の優先事項はウダジマへの復讐ではなく、超人級の強敵に再び襲われても確実に生き残れるだけの強力な装備であり、そのためには装備の購入制限を解除できる金とハンターランクが必要不可欠であった。
・キバヤシの介入とヒカルの自己犠牲:キバヤシの介入により、坂下重工からの報酬は金銭を排除し、ハンターランクの大幅な向上へ一本化される交渉が行われた。これは坂下重工にとっても、金銭的負担を抑えつつ五大企業としての体面を保てるため非常に都合の良い提案であった。さらに、アキラの専属担当である都市職員のヒカルが、エルデの件で囮にされた迷惑料(報酬)として得られるはずだった自身の都市での昇進機会を、アキラのランク向上のために全額譲渡した。ヒカルは命の恩人であるアキラに最高の装備を調達して恩を返し、速やかに彼の担当から外れたいという強い意志からこの驚くべき譲歩を行った。
・坂下重工によるランク調整依頼の特例:ハンターランクは本来、実力ではなく統企連への貢献度を示す指標であるが、エルデを撃破したアキラの実力はすでにランク55を遥かに逸脱していた。そこで坂下重工は今回の報酬を一種のハンターランク調整依頼として処理することを決定した。その際、急成長を続けるアキラに対して短期間で3回目の調整依頼が発生する手間を省くという極めて合理的な配慮から、ランクをかなり高めの70へと一気に引き上げる措置をとった。

「ランク70」の重みと、高級レストランでの驚愕

ハンターランク70という数字は、都市間輸送車両の先頭付近を任されるエリートハンター達の下限に匹敵する、凄まじいステータスである。

・キバヤシはこのランク更新の瞬間を、アキラの新装備調達を巡って競合していた各企業の代表者たちの前で公開するパフォーマンスを仕掛けた。
・高級レストラン「シュテリアーナ」に集まった企業重役たちは、アキラのランクを高くとも60程度と予想していたが、目の前で70へと更新されたアキラの個人ページを見て一様に驚愕に包まれた。
・この驚異的な高ランク化に伴い、調達競争の優先交渉権を勝ち取ったのは機領(キリョウ)であった。
・機領はイナベとの裏取引(アキラの支払能力を超えた分の代金をイナベが全額保証・担保する約束)に基づき、ランク70に相応しい総額218億オーラムに達する超高性能装備「HC3R強化服ロスカーデン」や「RL2複合銃4挺」をアキラへ即座に提供することを約束した。
・これはオーラム払いでありながら、コロン払い専用品に匹敵する、まさに桁外れの超兵器群であった。

周囲の関係者に与えた衝撃と波紋

アキラのランク70到達は、かつての仲間やライバルたちの関係性にも大きな地殻変動を起こした。

・トガミの驚きと決意:地下トンネルでの再会時、シロウからアキラのランクが70に達した事実を突きつけられたトガミは、どんな稼ぎ方をすれば一気に70になるんだと衝撃を受け、アキラとの圧倒的な実力差を改めて突きつけられた。しかしトガミはそこで腐ることなく、チームの通信担当などの役割を全うし、冷静にアキラをサポートするハンターとしての大きな精神的成長を見せた。
・エレナとサラの複雑な葛藤と誓い:倉庫でアキラの218億オーラムの新装備受け渡しに同席したエレナとサラは、アキラが自分たちの手の届かない遥か高みへ行ってしまった現実を目の当たりにした。エレナはもう先輩面はできないと寂しさを露わにするが、サラはアキラ自身が自分たちを疎ましく思うまでは距離を置く必要はないと彼女を励ました。そして二人はアキラから離れないため、現状に満足せずハンターとしてさらに先(高み)を目指すという強固な決意を新たに抱いた。
・シロウ(旧領域接続者)の計算:脱走中のシロウもまた、トガミからアキラのハンターランクが70であるという情報を共有された際、それほどの戦力なら同行させるリスクを十分に許容できると判断し、自身の危険な遺跡探索計画にアキラとトガミを巻き込むための取引やハッキングによる救出工作を積極的に進めることとなった。

まとめ

アキラのハンターランク70到達と能力飛躍を巡る一連の全貌は、超人エルデ撃破報酬における復讐辞退とランク更新優先の選択から始まり、キバヤシの介入とヒカルの昇進機会譲渡、坂下重工による特例措置としてのランク70設定、高級レストラン「シュテリアーナ」での各社驚愕と機領による218億オーラム装備(ロスカーデン・RL2複合銃)の提供、そしてトガミの成長・エレナとサラの再誓い・シロウの戦略的巻き込みといった周囲への地殻変動に至るまで、その歩みを明瞭に示している。
弱小ハンターの立場や企業の政治的枠組みという不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を自らの選択と確固たる意志によって完璧に確立するに至る、圧倒的ステータスの獲得と絶対的武力の完成の記録である。
特例の受諾から、ランクの跳躍、超兵器の受領、周囲の覚悟、そして危険地帯への進出へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。

218億の新装備

ロスカーデンとRL2複合銃の導入と能力飛躍の全貌

アキラがハンターランク70に到達したことで、総額218億オーラムに達する最新鋭の装備更新が実現した。この途方もない価格の装備群は、彼がこれまでの死闘で得た多大な報酬と、周囲の複雑な裏取引によってもたらされたものである。新装備ロスカーデンとRL2複合銃のスペック、実質無料とシズカの店への大還元の裏事情、および実戦における端金脱却の破壊力の各点から解説する。

新装備「ロスカーデン」と「RL2複合銃」のスペック

アキラが手に入れた新装備は、以前の装備とは次元の異なる超高性能な仕様で固められている。

・HC3R強化服「ロスカーデン」:機領(キリョウ)製の最新鋭強化服であり、その身体能力向上効果や力場装甲(フォースフィールドアーマー)の強度は、高価格帯の人型兵器に匹敵する。さらに強力な力場障壁(フォースフィールドシールド)の展開能力や、極めて高精度な情報収集機器も標準搭載されている。
・高度な迷彩防護コート&バックパック:付属のフード付きロングコートとバックパックには、高度な光学迷彩機能が備わっている。この機能は可視光だけでなく、紫外線や赤外線、反響定位による索敵すらほぼ完全に遮断するため、肉眼や通常のスキャナーでは実在を認識できない。
・2本の黒い片刃ブレード:素人が振るっても鋼を断つほどの切れ味を誇る。刀身の力場装甲出力を上げることで切断力をさらに高められるほか、指向性のエネルギー波動を放って間合いの外にいる敵を容易に両断する機能も持つ。
・TOSON製技術RL2複合銃(4挺):通常弾、C弾(チャージバレット)、小型ミサイルに加え、AFレーザー砲と同等の極太レーザーをこれ1挺で撃ち分けることができる。さらに、将来的には対滅弾頭の射出にまで対応している規格外の超兵器である。
・その他の更新:バイクのエネルギータンクがランク70向けの大容量品に換装され、ブレード用の液体金属もより高性能なものに更新された。高ランク回復薬や拡張弾倉などの消耗品も、すべてランク70向けの上等な品に一新されている。

「実質無料」と「シズカの店への大還元」の裏事情

218億オーラムという価格はアキラ個人の支払能力を完全に超越しているが、この取引にはイナベが関わる巧妙な契約スキームが存在していた。

・広告料としての値引きと立て替え:アキラの広告塔としての価値が爆発的に高まったため、機領側はプロモーション効果を期待して裏で大幅な値引きを行っている。その上で、値引き後のアキラの支払能力を超える差額分については、彼に投資を続ける都市幹部イナベが全額支払いを保証・立て替える契約となっている。
・シズカの店への莫大な恩恵:アキラは「装備は必ずシズカの店経由で買う」という強いこだわりを貫いた。そのため、シズカの個人武器店「カートリッジフリーク」が機領からの発注を仲介する形になり、商品を店舗に置くことすらなく、右から左へ書類を通すだけで桁違いの莫大な利益(マージン)を得る結果となった。
・アキラへの敬意としての厚遇:イナベや機領の重役たちは、アキラがシズカをどれほど大切にしているかを熟知していた。そのため、本来なら必要のない倉庫での装備受け渡し場所に、わざわざシズカを同席させて最大限の敬意を払って厚遇した。
・微笑ましい日常のやり取り:受け渡し後、アキラが防護コートの迷彩機能をテストした際、シズカから「覗きとかに悪用しちゃ駄目よ」とからかわれた。アキラは少し顔を赤くして子供のように頭を撫でられ、以前と変わらない穏やかな時間をシズカと共有した。

実戦における「端金(はしたがね)脱却」の破壊力

新装備を身に纏ったアキラは、かつてアルファから言われた「支払通貨がオーラムである限り、100億あっても端金(はしたがね)」という厳しい言葉を思い出していた。しかし、今回の218億オーラムのロスカーデン装備に対し、アルファも「ようやくまともな装備が手に入ったわ」と、初めて太鼓判を押したのである。

・その圧倒的な破壊力は、ミハゾノ街遺跡からクズスハラ街遺跡へと繋がる地下トンネルの戦闘で、まざまざと見せつけられた。
・トンネル内で強靭な生物系モンスターの群れが押し寄せた際、アキラは手にしたRL2複合銃の引き金を引く。
・普通に放ったたった一発の通常弾が、地下トンネルの奥まで続く敵の群れを一本の光の線のように貫いていった。
・直撃した個体が一瞬で木っ端微塵に吹き飛ぶだけでなく、擦りすらしていない周囲の個体までが、弾丸の放つ圧倒的な衝撃波(余波)だけで武装や四肢を千切り取られて吹き飛ばされたのである。
・かつて愛用していたSSB複合銃であれば大量の銃弾を注ぎ込む必要があり、LEO複合銃であればエネルギーのチャージが必要だった場面を、RL2複合銃は「ただの1発」で容易く蹂躙した。
・この明確な性能の向上に、アキラは驚きと共に、思わず笑みを零してその力を確信することとなった。

まとめ

ロスカーデンとRL2複合銃の導入と能力飛躍を巡る一連の全貌は、人型兵器並みのHC3Rロスカーデン・高度光学迷彩コート・波動片刃ブレード・RL2複合銃4挺の獲得から始まり、広告効果による大幅値引きとイナベの保証・立て替え、シズカの店経由の購入による莫大マージン還元、地下トンネルでのRL2複合銃1発による敵群一撃粉砕、そして「オーラム払いの端金」からの脱却と第3奥部攻略への通行証獲得に至るまで、その歩みを明瞭に示している。
過酷な荒野の敵や莫大な調達費用という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を自らの選択と確固たる意志によって完璧に確立するに至る、絶対的超兵器の受領と圧倒的破壊力行使の記録である。
ランク70到達から、裏契約の成立、シズカへの還元、地下での実戦、そして規格外の武力確立へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。

クズスハラ第3奥部

クズスハラ第3奥部の異常性と死闘の全貌

『リビルドワールドVIII〈上〉 第3奥部』でアキラたちが足を踏み入れることになるクズスハラ第3奥部は、これまでの過酷な遺跡の常識すら通用しない、旧世界の圧倒的な技術と危険性が同居する超技術空間である。アキラが手に入れた218億オーラムの新装備(ロスカーデン)の性能テストや、地図屋キャロルの「裏口探し」の思惑が絡み合った結果、彼らはミハゾノ街遺跡の地下からこの最深部へと到達することとなる。空間感覚が完全に歪む真っ白な空間、幻影都市立体映像と力場障壁の超技術、管理人格ツバキとの邂逅とアルファとの見えない牽制、破壊の化身「怪獣」の猛威とオリビアの十字一閃、および脱出後のアキラの口止め交渉の各点から解説する。

空間感覚が完全に歪む「真っ白な空間」

アキラたちが地下トンネルの迂回路を抜けて最初に到達した第3奥部は、床、壁、天井の境界が全く識別できない、文字通りの真っ白な空間であった。

・床に影が落ちず、まるで空中に浮いているかのような錯覚を抱かせるこの奇妙な世界では、高性能な索敵機器ですら「色無しの霧」の超高濃度によって50メートル先すら把握できなくなっている。
・さらに、空間の物理的尺度も歪んでいる。ドラゴンリバーの隊長タツカワの証言によれば、計器上は2000メートル上昇したはずが、わずか500メートル下降しただけで床に激突したという、デタラメな空間構造になっていた。
・しかも、彼らが戻ろうと振り返った瞬間、通ってきたはずの地下通路が跡形もなく消失してしまった。

「幻影都市」立体映像と力場障壁の超技術

真っ白な世界をアキラたちが彷徨っていると、突如として周囲が高層ビルの立ち並ぶ旧世界の美しい街並みへと変貌を遂げた。

・このビルの正体は、物理的な素材で建てられたものではなく、旧世界の高度な立体映像と力場障壁によって構成された幻影にすぎない。
・タツカワが乗る赤い人型兵器が拳でビルに殴りかかると、壁に大穴が開き、中の家具まで実体として存在する感触があるにもかかわらず、そこには瓦礫の残骸が一切残らなかった。
・さらに、その破壊された大穴は、数秒後には何事もなかったかのように一瞬で元通りに自動修復されてしまう。
・建築という工程を一切必要とせず、そこに力場によって実体を持ったビルを投影するという、旧世界のあまりに恐るべき技術レベルの高さが示されている。

管理人格ツバキとの邂逅と、アルファとの「見えない牽制」

この真っ白な世界で迷子になったアキラたちの前に、黒いドレスを纏った遺跡の統治系管理人格ツバキが突如として実体を持って現れた。

・ツバキはアキラに「一緒に帰りますか?」と友好的な提案を投げかけるが、アキラはアルファの存在や、ツバキとの繋がりをキャロルやトガミに知られるわけにはいかないため、非常に返事に窮することとなった。
・この時、アキラには見えないが、ツバキの目の前には冷酷な表情を浮かべたアルファが立ち塞がっており、ツバキとの間で「これ以上邪魔をすれば敵対とみなす」という極めてピリピリとした緊迫感あふれる言葉の牽制が繰り広げられた。
・アキラが自力で戦う意思を固めたことで、ツバキはアキラたちを狙う敵への対処を彼らに委ね、襲いかかる融合体を蹴り飛ばしながら霧の彼方へ去っていった。

破壊の化身「怪獣」の猛威と、オリビアの十字一閃

アキラたちがビル群の屋上に上がった直後、彼らの目の前に出現したのが、最前線領域における破壊の化身、通称「怪獣」であった。

・200メートル級のビルすら見下ろすほどの、大型の肉食恐竜(獣脚類)を思わせるその巨体は、都市間輸送車両の主砲すら超える大威力のエネルギー光線を口から広範囲に放ち、射線上のビル群を一瞬で消滅させていく。
・アキラ、キャロル、そしてタツカワの赤い人型兵器は、ビルを盾にしつつ、バイクと機体の力場装甲をフル稼働させて必死に逃走するが、防げるのは残り2回という絶体絶命の極限状況に追い詰められた。
・アキラが自らを囮にしながら、仲間のために戦い抜いた末、脱出のためにシロウが地下からハッキングして強制的に作成した出入口が目の前に開いた。
・怪獣が最後のトドメの光線を放つ瞬間、アキラは諦めずに218億のブレードに全エネルギーを込めて一閃するが、そのアキラの動きに重なるように、シロウに雇われて参戦したリオンズテイル社の自動人形オリビアが居合い切りを放った。
・二人の超絶な十字の斬撃が、怪獣の放った光の奔流を真っ二つに切り裂き、その指向性を逸らしたことで、アキラたちは間一髪で地下トンネルへと飛び込んで生還することができた。

脱出後のアキラの「機転」:ツバキの口止め交渉

命からがら第3奥部を脱出した直後、アキラはキャロルとトガミに対し、本来なら支払いきれないはずの莫大な護衛料金を大幅に減額・相殺するという取引を提案した。

・その交換条件は、第3奥部出会ったツバキ(黒いドレスの女性)については、誰にも会わなかったことにして完全に忘れるという口止めであった。
・アキラにとっては、アルファの存在や、ツバキとの裏での繋がりを誰にも、特にシロウやクガマヤマ都市に嗅ぎ回られたくないという死活問題だったからである。
・キャロルとトガミもその意図を察し、多額の債務を帳消しにできるメリットもあって、喜んで大変なモンスター1匹に襲われただけという下手な芝居で口止めを承諾した。

まとめ

クズスハラ第3奥部の異常性と死闘を巡る一連の全貌は、境界無き「真っ白な空間」への到達と消失する地下通路の不条理から始まり、力場障壁と立体映像による自己修復幻影都市の展開、管理人格ツバキの友好的勧誘とアルファによる激しい牽制、200メートル級「怪獣」のエネルギー光線猛威とアキラ・オリビアによる光線両断の一閃、そしてツバキ目撃隠蔽を条件とした護衛料減額・相殺取引に至るまで、その歩みを明瞭に示している。
旧世界の圧倒的空間構造や絶望的怪獣の猛威という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を自らの選択と確固たる意志によって完璧に確立するに至る、超技術領域の実態と強者たちの限界突破の記録である。
真っ白な空間の漂流から、幻影の理解、ツバキの対峙、怪獣の破砕、そして口止め交渉の成立へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。

旧領域接続者シロウ

旧領域接続者シロウの暗躍と計算の全貌

旧領域接続者シロウは、坂下重工からの脱出を経て、アキラや他の登場人物たちの命運を直接左右する物語の超重要人物(プロットデバイス)として、その底知れない技術と計算高いキャラクター性を遺憾なく発揮している。クズスハラ第3奥部周辺におけるシロウの暗躍、坂下重工(スガドメ)との奇妙な取引、地下トンネル探索の本当の狙い、第3奥部での救出劇、およびアキラとの「貸し借り」の冷徹な計算の各点から解説する。

坂下重工(スガドメ)との「奇妙な取引」と本来の目的

シロウは坂下重工からの脱走後、クガマヤマ都市の監視ネットワークに2812人分の偽シロウのデータを流して捜索を混乱させ、完璧に潜伏していた。

・しかし驚くべきことに、彼は自らスガドメ(坂下重工重役)の執務室の立体映像装置をハッキングし、ただ観光を楽しみたいと言い放った。
・スガドメはシロウが他企業へ亡命する意志がないことを見抜きつつ、彼を即座に連れ戻す代わりにツバキ(クズスハラ奥部管理人格)との旧領域経由での交渉ルート構築を条件として突きつけた。
・スガドメはシロウが外で死ぬ危険は考慮しないと冷酷に言い放つが、シロウにとっては、この難題をクリアしてツバキとの通信経路を坂下重工に提供できれば、脱走の罪を帳消しにして今後の自由(外出許可)を公式に認めさせることができるという、極めて大きな実利があった。

地下トンネル探索の「本当の狙い」とトガミの利用

シロウはこの目的を達成するため、ドランカムの少年ハンター・トガミを大金で雇い、ミハゾノ遺跡の地下トンネルを探索させた。

・トガミには当初「単独での遺跡マップ作成」とだけ伝えていたが、シロウの本当の狙いは都市によって封鎖された第1奥部のツバキの管理区域へ侵入する裏口を探し出すことであった。
・探索の途中でアキラやキャロルと合流した際、トガミは自分が封鎖区域(ツバキの領域)に特攻させられそうになっていたことを知って激怒した。
・しかしシロウは強制はしない、引き返す判断は現場のハンター(トガミ)の仕事だと、ハンターの自己責任論を盾に言い包めてしまった。
・スラム出身のアキラとは異なる、シロウの高度にシステム化された冷徹な思考が窺える。

第3奥部での救出劇で見せた、天才的かつ強引な手腕

アキラたちが第3奥部(真っ白な空間)に閉じ込められ、200メートル級の巨大モンスター「怪獣」に追われる絶体絶命の窮地に陥った際、シロウのハッキング能力と人脈操作がアキラたちの命を繋ぐこととなった。

・繋がったままの通信ハッキング:アキラはツバキとの関係を隠すため、トガミにシロウとの通信を切らせた。しかし、シロウがトガミに前渡ししていた旧領域対応の情報端末は、切断されたと見せかけてアキラたちの現在地や会話などの情報を常時シロウに送信し続けていた。シロウは彼らの危機をすべて把握した上で、あえて通信が繋がらないふりをして適切な交渉のタイミングを測っていた。
・レイナへの脅迫とオリビアの雇用:アキラを救うため、シロウは救援を呼ぶための鍵(リオンズテイル社の白いカード)を持っているレイナに接触した。シロウはレイナに対し、カードを不正に手に入れた詐欺の件をアキラにバラすというブラフや、カードを貸さなければアキラを見殺しにすることになるという二者択一を突きつけてカードを借り受けた。そして旧領域からリオンズテイル社へアクセスし、500万コロンという巨額を躊躇なく支払い、旧世界製の超高性能自動人形オリビアを護衛として実体化させた。
・脱出路のハッキング生成:さらにシロウは、地下トンネル側から第3奥部のシステムをハックし、アキラたちの目の前に地下へ戻るための脱出口を強制的に作成した。怪獣の光線が放たれた極限の一瞬、オリビアの一閃によって光線を切り裂かせてアキラたちを救い出したプロセスは、シロウのハッキング技術とオリビアの武力が噛み合った成果であった。

アキラとの「貸し借り」の冷徹な計算と、今後の不穏な展開

生還後、シロウは命を救ったデカい借りを盾に、アキラへツバキへの友好的な紹介(交渉ルート構築)を要求した。

・しかし、アキラはツバキの紹介は無理だが、命を捨てるような自殺行為でなければ、第1奥部の封鎖領域への護衛同行は引き受けると、彼なりの一貫した契約ルールでこれを拒否した。
・シロウは、アキラを無理に脅して好感度を下げればツバキの友人であるアキラとしての価値(ツバキに友好的に会うためのカード)が台無しになると計算し、この貸しをひとまず保留にして蓄えておくことを選択した。
・シロウ自身、ツバキへの紹介はスガドメへの成果稼ぎにすぎず、将来的にアキラをより強固に信頼できる武力としてキープし、自分の真の目的のために使った方が得策であるという合理的な着地点を見出した。
・さらに、アキラがウダジマ殺害の冤罪をかけられて防衛隊に追われた際にも、シロウは防衛隊の機体をハッキングしてアキラが別方向に逃げたようにデータを改竄し、彼らの逃亡を手助けした。
・これもまた、アキラにさらに返せないほどの巨大な貸しを作るための、シロウによる打算的かつ迅速なサポートであった。

まとめ

旧領域接続者シロウの暗躍と計算を巡る一連の全貌は、偽データ散布による坂下重工捜索混乱とツバキ交渉ルート構築を条件としたスガドメとの取引成立から始まり、トガミを用いた地下トンネル経由ツバキ領域裏口探索、情報端末ハッキングによる第3奥部アキラ一行のリアルタイム監視、レイナ脅迫と500万コロン投入による自動人形オリビア召喚および脱出口ハッキング生成、そしてアキラへの貸し保留とウダジマ殺害冤罪逃亡時における防衛隊データ改竄サポートに至るまで、その歩みを明瞭に示している。
旧世界のシステム統制や企業間の利権抗争という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を自らの選択と確固たる意志によって完璧に確立するに至る、圧倒的ハッキング能力の行使と極めて合理的な損益計算の記録である。
偽データの散布から、裏口の探索、オリビアの召喚、脱出口の生成、そして貸しの保留へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。

ウダジマ殺害の冤罪

クガマヤマ都市のエリートハンターから一瞬にして「都市を脅かす最凶のテロリスト(賞金首)」へと突き落とされたウダジマ殺害の冤罪(濡れ衣)は、主人公アキラを取り巻く環境を劇的に変化させた極めて悪質で用意周到な陰謀である。この冤罪事件がどのように引き起こされ、なぜアキラを激怒させたのか、突如として始まった逃亡劇、偽のプロパガンダ映像に仕込まれた罠、およびアキラが抱いた漆黒の怒りと偽アキラへの殺意の各点から解説する。

突如として始まった逃亡劇

第3奥部での怪獣との死闘を生き延び、満身創痍でキャロルの自宅に戻って眠っていたアキラは、日没前に最悪の形で叩き起こされることとなった。

・ヴィオラとイナベからの緊急警告:情報屋ヴィオラから無視すれば確実に死ぬ最上位の緊急警告が届き、それとほぼ同時に、アキラの支援者である都市幹部イナベからすぐに都市を脱出しろという連絡が入った。
・「ウダジマ殺害」での賞金首化:イナベがもたらした事実こそが、アキラが間もなく都市幹部ウダジマ殺害の容疑で賞金首になるというものであった。イナベ自身もアキラの犯行ではないと確信していたが、相手は都市幹部であり、さらに完璧な証拠映像が出回っているため、都市の司法や防衛隊を前に無実を証明する保証はどこにもないという絶望的な状況であった。大人しく投降すれば、拘束中にウダジマ派の治安部隊に暗殺される危険が極めて高かったため、イナベはアキラに絶対に投降せず荒野へ逃げろと強く指示した。
・シロウによるハッキングと都市脱出:逃走するアキラたちを、クガマヤマ都市防衛隊の人型兵器部隊が猛スピードで追跡した。この絶体絶命の危機を救ったのが、同じく坂下重工から脱走中の旧領域接続者シロウであった。シロウは大きな貸しにすることを条件に防衛隊の機体に介入し、アキラたちが全く別の方向(荒野)へ逃げたようにナビゲーションデータを改竄することで、防衛隊の追跡を鮮やかに撒くことに成功した。

偽のプロパガンダ映像に仕込まれた「最悪の罠」

都市から十分に離れた廃墟で、アキラとキャロルはヴィオラから送られてきた事件の証拠映像を確認し、愕然とした。

・その映像には、クズスハラ街遺跡の第2奥部を背景に、出現した怪獣の頭の上に立ち、ウダジマの胸ぐらを掴んでいるアキラの姿が映し出されていた。もちろん、これはアキラ本人ではなく、完璧に作り込まれた偽アキラであった。
・「建国主義者への寝返り」を宣言:「俺はアキラだ。俺は建国主義者に寝返った。これは都市への復讐だ」と大々的に宣言した。
・前回の抗争における「都市幹部の隠蔽」を暴露:かつてアキラが「建国主義者のボス」に仕立て上げられ、ハンターたちと殺し合う羽目になった大抗争について言及した。偽物は、都市の幹部どもは、俺が本物で、建国主義者ではないと知っていながら、自分たちの醜い権力争いに利用するために真実を隠蔽し、俺を狙うハンターたちを止めなかったと、クガマヤマ都市の闇を暴露した。
・「ユミナの死」を復讐の動機として利用:偽アキラは激情に身を任せるように、「そんなくだらない幹部どもの権力争いのせいで、俺は大切な友達(ユミナ)を自分の手で殺し合わせる羽目になった! 許せるか!」と吼え、復讐の第一歩としてウダジマを対モンスター用の銃で撃ち抜き、生きたまま肉体を一瞬で木っ端微塵に吹き飛ばして殺害した。

アキラが抱いた「漆黒の怒りと、偽アキラへの殺意」

アキラは以前にも、自分の偽物が建国主義者のボスを自称したことで殺し合いに巻き込まれるという迷惑を被っていた。しかし、今回の偽物に対してアキラが抱いた怒りは、それとは比較にならないほど深く、漆黒の殺意に満ちたものであった。

・この偽物はアキラにとって今なお消えない最大の心の傷、かつシズカに抱きしめられてようやく心に蓋をしていた、自分の手でユミナを殺してしまったという激しい後悔と悲痛な想いを、自らのテロ行為を正当化するための格好の復讐の動機として完璧におもちゃにし、世間に向けてプロパガンダとして利用したからである。
・映像を見終えたアキラは完全に表情を失い(能面のような顔になり)、全身から色さえ見えそうなほどに深く、暗く、重い殺意を滲み出させていた。
・アキラがこれほどまでに激しい、絶対的な殺意を向けた対象。それは、ウダジマを殺したことでも、自分をハメた都市のシステムでもなく、死んだユミナへの想いを汚し、自分を騙ってウダジマを殺害した、画面の向こうの偽物そのものであった。

まとめ

ウダジマ殺害の冤罪と偽プロパガンダ映像を巡る一連の全貌は、イナベの緊急脱出警告と賞金首化から始まり、シロウのナビゲーションデータ改竄ハッキングによる防衛隊追跡の遮断、建国主義者への寝返りや都市幹部の暗闘を告発する偽アキラの映像流布、ユミナの死をテロ正当化の道具として利用されたことによるアキラの能面化と絶対的殺意の覚醒、そしてクガマヤマ都市全体を敵に回した逃亡者としての決意に至るまで、その歩みを明瞭に示している。
都市の権力闘争や個人の尊意を踏みにじる罠という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を自らの選択と確固たる意志によって完璧に確立するに至る、圧倒的情報工作の実態と不屈の人間的精神の記録である。
偽映像の流布から、追跡の回避、動機の捏造、殺意の覚醒、そして黒幕追究への決意へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。

リビルドワールド VII(7)レビュー
リビルドワールド全巻まとめ
リビルドワールドVIII(8)〈下〉レビュー

登場キャラクター

クガマヤマ都市(幹部・広域経営部・ハンターオフィスなど)

イナベ

ウダジマと敵対するクガマヤマ都市の幹部である。アキラの武力を高く評価している。

・所属組織、地位や役職
 クガマヤマ都市の幹部。

・物語内での具体的な行動や成果
 アキラに対して坂下重工からの特別な報酬について説明を行った。
 ヒカルの人事評価を高めるために力を尽くす。
 終盤にアキラにウダジマ殺害の冤罪がかけられた際、即座に都市からの逃亡を警告した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 都市の派閥争いの中で自身の強固な立場を維持している。

ウダジマ

イナベと対立するクガマヤマ都市の幹部である。アキラを激しく敵視していた。

・所属組織、地位や役職
 クガマヤマ都市の幹部。

・物語内での具体的な行動や成果
 アキラの動向を部下を通じて入念に探らせた。
 別名義を用いてギガンテスIIに乗車していた可能性が浮上する。
 物語の終盤においてアキラの偽物により無残に殺害された。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 自身の殺害事件がアキラの偽物による情報工作に利用されることになる。

キバヤシ

無茶な生き方をするハンターを好む都市職員である。アキラの無軌道な戦い振りを気に入っている。

・所属組織、地位や役職
 クガマヤマ都市のハンターオフィス職員。

・物語内での具体的な行動や成果
 アキラのハンターランクを操作して70に引き上げた。
 新装備の交渉のためにアキラを高級レストラン「シュテリアーナ」へ呼び出す。
 アキラが引き起こす数々の騒動を大いに楽しんだ。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 アキラの驚異的な急上昇を最も近くで見届けている。

ヤナギサワ

冷徹な判断力で遺跡の奥部攻略を推し進める都市の幹部である。

・所属組織、地位や役職
 クガマヤマ都市・奥部攻略担当幹部。

・物語内での具体的な行動や成果
 クズスハラ街遺跡の管理人格ツバキと直接取引を交わした。
 セランタルビルの周囲に都市の防衛部隊を配置して厳重に封鎖する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 自身の交渉実績によって都市防衛隊に莫大な資金をもたらした。

サクヤマ・ヒカル

アキラの専属担当者を務めるクガマヤマ都市の女性職員である。

・所属組織、地位や役職
 クガマヤマ都市広域経営部・職員。

・物語内での具体的な行動や成果
 イナベに対してアキラの護衛依頼について詳細な報告を行った。
 新装備調達のために各企業を焚き付けて有利な契約をまとめた。
 アキラの度重なる無茶に耐えかねて専属担当の辞任を願い出る。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 坂下重工からの報酬により組織内での出世が確約された。

旧世界の存在・遺跡の管理人格

アルファ

アキラにしか見えない旧世界の高度な人工知能である。アキラを導いて自身の目的を果たそうとする。

・所属組織、地位や役職
 旧世界のシステム存在。

・物語内での具体的な行動や成果
 アキラが実戦で遭遇し得る高度な罠を再現して厳しい戦闘訓練を施した。
 第3奥部での強大な怪獣との極限戦闘においてアキラの強化服を精密に制御する。
 ツバキがアキラに近づいた際、冷酷な表情でツバキを強く牽制した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 アキラの成長に伴い、自身の最奥部攻略の目的へ大きく近づく。

ツバキ

クズスハラ街遺跡の奥部領域を強固に支配する管理人格である。

・所属組織、地位や役職
 クズスハラ街遺跡奥部管理人格。

・物語内での具体的な行動や成果
 真っ白な空間で迷い込んだアキラたちに遭遇して丁寧に挨拶を行う。
 アキラに対して一緒に帰ることを友好的に提案した。
 アルファによる冷徹な牽制を受けた後、アキラを襲う融合体を蹴飛ばして去る。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 クガマヤマ都市との取引を通じて防衛隊の戦力増強に影響を与える。

オリビア

旧世界のリオンズテイル社に所属する汎用人格の自動人形である。

・所属組織、地位や役職
 旧世界のリオンズテイル社所属・汎用人格である自動人形。

・物語内での具体的な行動や成果
 シロウから500万コロンの契約金を受け取って彼の護衛契約を結んだ。
 第3奥部でアキラの攻撃と同時に居合いを放ち、怪獣の放ったエネルギー光線を一刀両断する。
 地下トンネルの崩落箇所を蹴り開けて地上への脱出路を作った。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 シロウに大金で雇われ、旧世界製としての圧倒的な戦闘能力を発揮する。

個人ハンター・その他

アキラ

本作の主人公である少年ハンターだ。ユミナを殺害した深い後悔を胸に抱いている。

・所属組織、地位や役職
 個人ハンター。ハンターランク70。

・物語内での具体的な行動や成果
 総額218億オーラムに達する最新装備「ロスカーデン」などを調達した。
 キャロルからの護衛依頼を正式に引き受ける。
 第3奥部における怪獣との凄絶な戦闘から無さに生還した。
 帰還直後にウダジマ殺害の冤罪をかけられる。
 治安部隊の厳しい追撃を振り切って荒野へ逃亡した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ハンターランク70の一流ハンターに急上昇したが、終盤に冤罪により最悪の指名手配犯(賞金首)となる。

キャロル

美貌を持つ優秀な遺跡地図屋である。アキラの実力と誠実さを強く信頼している。

・所属組織、地位や役職
 個人ハンター(地図屋)。

・物語内での具体的な行動や成果
 アキラを1日100万オーラムの基本料金で自身の護衛に雇った。
 ドーラスから自身の命が狙われているという重大な警告を受ける。
 アキラをミハゾノ遺跡の地下トンネルから第3奥部へと案内した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 アキラに莫大な護衛代を支払えなくなったため、ツバキの口止めを条件に代金を大幅に減額してもらう。

ドーラス

ハンターランク63の実力を誇る高ランクハンターである。キャロルに深くのめり込んでいる。

・所属組織、地位や役職
 個人ハンター。ハンターランク63。

・物語内での具体的な行動や成果
 キャロルからの度重なる値上げ要求に応じた。
 代金の支払いのために高価値な情報を提供する。
 キャロルの命が狙われている警告をもたらした。
 アキラの代わりに自分を護衛に雇って西へ避難するよう真剣に提案する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 キャロルの身を本気で案じるが、最終的に彼女に断られて振られる。

ゼロス

大規模なハンターチーム「ロットブレイク」の隊長である。高い実力と交渉力を備える。

・所属組織、地位や役職
 ハンターチーム「ロットブレイク」の隊長。ハンターランク77。

・物語内での具体的な行動や成果
 機密情報を盗まれたと誤認して部隊を動かす。
 キャロルの住む高級マンションを包囲した。
 誤解が解けた後に情報の扱いに関する条件を出す。
 アキラとババロドによる格闘戦 of 勝負を提案した。
 アキラの勝利後にヴィオラを仲介者とした交渉の開始に合意する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 実力差を冷静に見極めるハンターとしての優れた知性を持つ。

ババロド

ロットブレイクに所属するサイボーグのハンターである。

・所属組織、地位や役職
 ハンターチーム「ロットブレイク」所属・ハンター。ハンターランク60。

・物語内での具体的な行動や成果
 キャロルを抱いた代金の支払いのためにチームの機密情報を漏洩した。
 アキラとの格闘戦で伸縮する腕や隠し腕を用いる。
 完敗したことで完全に戦意を喪失した。
 のちに脳を乗っ取られて巨大な銃でアキラの家を全壊させる。
 返り討ちに遭って撃破された。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 アキラに完敗して戦意を失い、最後は別人としてアキラに撃破されて死亡する。

エレナ

アキラを見守るベテランの女性ハンターである。

・所属組織、地位や役職
 個人ハンター。

・物語内での具体的な行動や成果
 激戦直後のアキラの疲労を気遣う。
 アキラが間引き依頼へ再合流する行為を止めた。
 アキラが最新の超高性能装備を受け取る様子を静かに見届ける。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 アキラの圧倒的な急成長に強い刺激を受ける。
 自身もハンターとしてさらなる高みを目指す覚悟を決めた。

サラ

アキラを優しく気遣う女性ハンターである。

・所属組織、地位や役職
 個人ハンター。

・物語内での具体的な行動や成果
 アキラとの圧倒的な実力差を実感しながらも、彼から疎まれるまでは今まで通り付き合うとエレナに語った。
 アキラとの繋がりを失わないためにハンターを続ける決意を示す。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 健康な体を取り戻した後も引退せず、エレナと共にさらなる高みを目指す。

シオリ

レイナに対して絶対的な忠誠を誓う従者の女性である。

・所属組織、地位や役職
 レイナの従者。

・物語内での具体的な行動や成果
 アキラから白いカードを騙し取った件を含め、今までの計画をレイナに正直に打ち明けた。
 セランタルビルへの突入戦闘で前衛としてパメラの部下たちと交戦する。
 シロウからアキラの遭難を知らされ、アキラの救援のために地下トンネルを急行した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 レイナの主としての成長と「命を賭けるな」という命令を受け入れ、無茶な自己犠牲をしないと誓う。

カナエ

戦闘行為を心から愛する好戦的な従者の女性である。

・所属組織、地位や役職
 レイナの従者。

・物語内での具体的な行動や成果
 レイナの同行決定を支持し、危険な時はレイナを担いで逃げると宣言した。
 セランタルビルの包囲網突破時に、シオリと共に車の屋根で敵と激しい近接戦闘を繰り広げる。
 シロウが突然自分たちの前に現れた際、即座に強い警戒態勢を整えた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 お嬢の著しい精神的成長を嬉しそうに認めている。

ハンターチーム「ドラゴンリバー」

タツカワ

ドラゴンリバーを率いるハンターランク78の非常に強力なハンターである。

・所属組織、地位や役職
 ハンターチーム「ドラゴンリバー」の隊長。ハンターランク78。

・物語内での具体的な行動や成果
 遺跡攻略の先頭を進む中で、第3奥部(白い空間)に迷い込んで遭難した。
 アキラたちと合流後、赤い人型兵器を操って襲いかかる融合体を二撃で撃退する。
 怪獣からの凄絶な逃走において、アキラと共に前衛に立って戦った。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 かつてキバヤシの斡旋する死地を潜り抜けて成り上がった先達者である。

メルシア

ドラゴンリバーの副隊長であり、恋人のタツカワの無茶を止める責任者である。

・所属組織、地位や役職
 ハンターチーム「ドラゴンリバー」の副隊長・運営責任者。

・物語内での具体的な行動や成果
 タツカワの不測の事態に備えて、常に大規模な部隊の準備を迅速に行う。
 遭難から帰還したタツカワを抱きしめた後に勝手な突出行為を激しく叱責して拳で殴り飛ばした。
 アキラにドラゴンリバーへの仮加入を提案し、アキラのチームごと守る用意があると語る。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 チームの運営とタツカワの制御に実質的な全権を握っている。

ハンター徒党「ドランカム」

トガミ

ドランカムに所属する若手の有望なハンターである。

・所属組織、地位や役職
 ドランカム所属ハンター。

・物語内での具体的な行動や成果
 シロウから高額で雇われ、ミハゾノ遺跡の地下トンネルの探索を行った。
 アキラたちと合流し、旧領域対応の情報端末を用いてチームの通信担当となる。
 戦闘時にアキラからRL2複合銃を借り、その圧倒的な威力を体感して強さの理由を理解した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 アキラの実力差に愕然としながらも、自身の役割を果たそうと大きく成長する。

レイナ(レイナ・リラルト・ローレンス)

ドランカムに所属する、主としての強い覚悟を身に付けた少女ハンターである。

・所属組織、地位や役職
 ドランカム所属ハンター。

・物語内での具体的な行動や成果
 シオリのカード不正入手を聞き、アキラに謝礼を渡して解決すると決めた。
 シロウに白いカードを預けてアキラの救援を正式に依頼する。
 アキラを自車の車内で休ませ、アキラと「互いに敵対しない」という重い約束を結んだ。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 カツヤの死を経て、自身を正しく認識して責任を負う強固な覚悟を身に付けた。

坂下重工

スガドメ

坂下重工の冷徹な重役である。他企業とのパワーバランスや攻略進捗を計算して動く。

・所属組織、地位や役職
 坂下重工の重役。

・物語内での具体的な行動や成果
 シロウの脱走後、自室の立体映像装置へ接続してきた彼と密かに会話を行った。
 脱走の罪を不問にする条件として、管理人格ツバキとの交渉ルート構築をシロウに突きつける。
 マツバラの質問を遮り、クズスハラ再攻略に関する機密情報を伏せた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 クガマヤマ都市周辺の坂下重工の作戦において決定的な指揮権を握っている。

ハーマーズ

坂下重工の警備部に所属する、生身で戦う「超人」の男性である。

・所属組織、地位や役職
 坂下重工警備部・シロウの元護衛(超人)。

・物語内での具体的な行動や成果
 シロウを守るため、エルデたちを欺くためのヒカルを囮にする情報工作を指示した。
 ギガンテスIIの車内で発生したエルデの構成員たちを単身で全滅させる。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 シロウの多重ハッキングに騙されて脱走を許すものの、スガドメから過失を問われず不問とされる。

シロウ

坂下重工から脱走した非常に有能な旧領域接続者の少年である。

・所属組織、地位や役職
 元坂下重工所属・旧領域接続者。

・物語内での具体的な行動や成果
 クガマヤマ都市の監視装置に2812人分の偽データを流して自身の潜伏に成功した。
 スガドメとの取引を終え、トガミを雇って第1奥部への裏口である地下トンネルを調査させる。
 アキラが第3奥部で遭難した際、レイナの白いカードを介してオリビアを雇って救出を主導した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 終盤にアキラが冤罪で防衛隊に追われた際、人型兵器のデータを改竄してアキラの逃亡を鮮やかに手助けする。

マツバラ

スガドメの指示を受けて動く坂下重工の職員である。

・所属組織、地位や役職
 坂下重工の職員。

・物語内での具体的な行動や成果
 スガドメに対して、シロウの改竄された捜索状況の進捗を報告した。
 スガドメから「今回の襲撃は他企業の威力偵察である」という合理的な推測を聞く。
 坂下重工がクズスハラ再攻略に本格的に乗り出すのかをスガドメに尋ねた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 スガドメから情報の必要性が生じるまで回答を保留され、機密への追及を端から諦める。

リオンズテイル社

クロエ

リオンズテイル社を率いる、冷徹に大部隊を動かす少女である。

・所属組織、地位や役職
 リオンズテイル社の主人。

・物語内での具体的な行動や成果
 パメラからレイナの包囲網突破の報告を受け、レイナがセランタルビルに入っていないことを確認した。
 レイナが危険を冒して地下トンネルへ急いだ不審な行動の理由を深く思案する。
 パメラの失敗を不問とし、側近のラティスたちに重装強化服を装着させて第2奥部へ出撃させた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 クズスハラ街遺跡の最奥部攻略のために強力な部隊を自ら指揮している。

パメラ

クロエに対して忠実に仕える、リオンズテイル社の部隊指揮官のメイドである。

・所属組織、地位や役職
 リオンズテイル社所属メイド・部隊指揮官。

・物語内での具体的な行動や成果
 セランタルビルを部隊で二重に包囲して監視を行った。
 接近するレイナたちの車に停止を求め、拒否されたため車両の破壊を部下に命じる。
 レイナのセランタルビル突入を警戒して部下を集結させるが、それはレイナの囮工作であった。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 レイナたちの地下トンネルへの逃亡を許したものの、クロエから責任を問われず処分を免れた。

ラティス

クロエの傍らに常に付き従う、側近の執事である。

・所属組織、地位や役職
 クロエの側近・執事(重装強化服部隊のリーダー)。

・物語内での具体的な行動や成果
 レイナを逃したパメラの処分を進言するが、クロエが不問としたため自身の失礼を謝罪した。
 多関節アームの設備を用いて、小型人型兵器に匹敵する重装強化服を体に取り付ける。
 クロエの出撃命令を受け、他の部下5名や強力な協力者1名と共に第2奥部へと飛び出した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 クロエの最側近として絶大な信頼を寄せられている。

企業関係者・情報屋・その他

ヴィオラ

クガマヤマ都市の裏社会で悪名高く暗躍する情報屋の女性である。

・所属組織、地位や役職
 情報屋。

・物語内での具体的な行動や成果
 ロットブレイクが包囲する情報をキャロルに100万オーラムで売りつけた。
 アキラの勝利後にロットブレイク側との交渉役を引き受ける。
 アキラの自宅を破壊したババロドの体を業者に売却した事実を認めた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 終盤にアキラがウダジマ殺害の冤罪をかけられた際、証拠とされる偽アキラのプロパガンダ映像をアキラたちに送信する。

シズカ

アキラが最も深い信頼を寄せている武器店の店主である。

・所属組織、地位や役職
 武器店「カートリッジフリーク」の店主。

・物語内での具体的な行動や成果
 アキラが調達した218億オーラムもの超高性能装備の会計処理を店で仲介した。
 アキラの新装備の迷彩機能をテストした際、覗きなどに悪用しないようからかいの冗談を言う。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 取引仲介のマージンにより、商品を入荷することなく店に莫大な利益をもたらした。

集団

坂下重工の部隊

五大企業である坂下重工に所属する強力な武装部隊である。

・所属組織、地位や役職
 坂下重工の警備部隊。

・物語内での具体的な行動や成果
 シロウなどの重要要員や最前線向けの強力な機材を護衛した。
 車内の通路でエルデの部隊と激しい戦闘を展開して侵入を防ぐ。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 個々の実力が非常に高く、そこらの高ランクハンターを凌駕する強さを誇る。

ロットブレイク

クガマヤマ都市に招致された、非常に大規模なハンターチームである。

・所属組織、地位や役職
 都市に招致された遺跡攻略チーム。

・物語内での具体的な行動や成果
 キャロルのマンションを包囲して厳しく問いただした。
 アキラの格闘戦の勝利後にヴィオラを介して機密情報の扱いに関する交渉に入る。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ハンターランク77のゼロスを筆頭に、高い実力を持つ。

都市防衛隊

クガマヤマ都市を直接守る、統治企業の大規模な武装部隊である。

・所属組織、地位や役職
 クガマヤマ都市の防衛部隊。

・物語内での具体的な行動や成果
 ヤナギサワとツバキの取引に伴い、セランタルビルを部隊で厳重に包囲して警備した。
 終盤、ウダジマ殺害の容疑がかけられたアキラの確保のために大部隊で追撃を行う。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ツバキとの取引から得られる莫大な資金をもとに、急速な戦力増強を進めている。

ドラゴンリバー

タツカワが隊長を務める、東部でも指折りの実力を誇るハンターチームである。

・所属組織、地位や役職
 遺跡攻略の上位ハンターチーム。

・物語内での具体的な行動や成果
 タツカワの遭難後、副隊長メルシアの指揮で短時間で大部隊を展開した。
 地下トンネルの大穴を制圧し、そこにドラゴンリバーの簡易拠点を構築する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 隊長のタツカワが無茶をしないように大部隊として配備されている。

ドランカム

クガマヤマ都市の周辺で活動する、有力なハンター徒党である。

・所属組織、地位や役職
 ハンター徒党。

・物語内での具体的な行動や成果
 カツヤの死に伴う長期契約の破綻によって大混乱に見舞われた。
 アキラとの無駄な対立を避けるためにシカラベたちが和平交渉を進める。
 一部の事務派閥の権力が衰退して組織の体制再編が進むことになる。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 組織体制の合理化によって再建が進んでいる。

融合体の群れ

遺跡の深部に巣食う、異形の人型と獣が合体した強力なモンスターの集団である。

・所属組織、地位や役職
 第3奥部および地下トンネルのモンスター。

・物語内での具体的な行動や成果
 地下トンネルや第3奥部でアキラたちの前に出現し、群れで激しく襲撃した。
 大口から高エネルギーの強烈な光線を放ち、アキラたちの生存を脅かす。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 極めて高い再生能力や戦闘能力を誇る。

リオンズテイル社の部隊

クロエの指揮下で動く、メイド服や執事服を纏ったエリート武装部隊である。

・所属組織、地位や役職
 クロエの指揮下にある武装部隊。

・物語内での具体的な行動や成果
 セランタルビルを包囲してクガマヤマ都市の部隊と牽制し合った。
 接近するレイナたちの車を激しく銃撃して突破を防ごうとする。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 各構成員が個人で高ランクハンター並みの非常に高い武力を誇る。

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展開まとめ

212話 きわどい話 

満たされた暮らしと新たな望み

スラム街から成り上がったアキラは、安全な食事や住居というかつての望みを既に叶えていた。それでもアルファの依頼を果たすことに加え、死なせたくない者や殺したくない者を守れる力を得るため、さらなる強さを求めていた。都市間輸送車両での激戦や超人エルデとの勝利を経ても、本人が望む力にはまだ届いていなかった。

自宅で十分に休んだアキラは、改装された浴室の効果もあって快適に目覚めた。一方、都市間輸送車両で富裕層向けの料理に慣れた結果、以前は満足していた食事を物足りなく感じるようになり、生活水準まで上がっていることに複雑な思いを抱いた。

坂下重工の囮

イナベに呼び出されたアキラは病院で診察を受け、残留ナノマシンの除去処置以外は健康体と診断された。その後、イナベとヒカルから、エルデがヒカルを坂下重工所属の旧領域接続者だと誤認した理由を知らされた。

坂下重工は自社の重要な旧領域接続者を守るため、襲撃者達にヒカルを対象だと思わせる偽情報を流していた。その結果、ヒカルは知らないうちに囮にされ、エルデ達から命懸けで狙われていた。ヒカルは怒りを抱きながらも坂下重工と争う気はなく、報酬を吊り上げることで納得すると決めたため、アキラもそれ以上追及しなかった。

ウダジマ失脚の選択肢

坂下重工はエルデを倒し要人護衛に貢献したアキラへ報酬を出すことになった。イナベはヒカルを退室させると、報酬を利用して坂下重工からクガマヤマ都市へ圧力を掛けさせ、ウダジマを完全に失脚させて防壁外へ追い出す手段を提示した。そうなれば、アキラがウダジマを殺す障害もなくなるという話であった。

しかしアキラはその選択をせず、報酬を金とハンターランクにするよう求めた。ウダジマを殺すために全てを犠牲にするつもりはなく、再び超人級の敵に襲われても生き残れる装備を得ることを優先したのである。イナベもその意思を受け入れ、坂下重工との交渉を引き受けた。

ヒカルの離脱希望

ヒカルは都市間輸送車両での経験を通じ、高ランクハンターを管理することの危険を痛感していた。そのためイナベへ、アキラの担当から外してほしいと申し出た。

イナベは無理強いしなかったものの、後任選出とアキラから頼まれた装備調達が終わるまでは担当を続けるよう命じた。また、優秀である以上完全な無関係にはなれず、中立を許されるのは全てを敵に回せるほどの強者だけだと忠告した。ヒカルは成り上がる意志自体は失っていなかったが、アキラを利用して上を目指す考えは既に折れており、イナベとウダジマの争いからどう距離を取るか悩むようになった。

当面の装備

イナベはアキラが新装備を得るまで無防備になる危険を考え、機領とTOSONからCA31R強化服と2挺のLEO複合銃を貸出品として用意していた。エルデとの戦いで以前の強化服や銃の多くは修理不能となり、バイクも修理中だったためである。

さらにイナベは、装備のない期間にウダジマから襲撃される危険をアキラに指摘した。坂下重工との交渉でハンターランクが大きく上がれば、追い詰められたウダジマが極端な行動に出る恐れも高まるため、警戒を怠らないよう念を押した。

次の装備調達

イナベが帰った後、ヒカルは坂下重工から得る金を全額装備に投入するというアキラの方針を確認した。五大企業からの報酬なら、最前線向けそのものではなくとも、それに近い高性能装備を用意できる可能性があった。

ヒカルは調達を引き受け、自分はアキラの担当だから任せてほしいと笑った。しかし実際には、装備調達が終われば担当を外れることを既に希望していた。

追い詰められるウダジマ

ウダジマは都市間輸送車両の襲撃後、アキラの死亡を期待して情報を集めていた。しかしアキラが生存し、イナベの影響下にある病院にいることが判明したことで焦りを強めた。

さらにアキラのハンターランクが短期間で大きく上昇しているとの情報を得て、都市間輸送車両でどれほどの成果を上げたのかを察した。自分がそれほどのハンターを敵に回している事実が、ウダジマを一層追い詰めていた。

ヴィオラの情報商売

ヴィオラは以前、内容を明かさず200億オーラムで情報を売ろうとしてウダジマに断られていた。その情報を今度は200万オーラムで提示し、ウダジマが購入すると、アキラが護衛依頼後に装備のほぼ全てを失い、無防備な状態で自宅へ戻っていたという内容が明かされた。

それはアキラを殺す絶好の機会だったが、既にイナベが新しい装備を手配していた。ヴィオラはさらに500万オーラムでその事実も売り、ウダジマに機会を逃したことを突き付けた。ウダジマは自分の判断は間違っていなかったと言い聞かせながら、まだ逆転できると自身を鼓舞した。

ヴィオラの狙い

ヴィオラは追い詰められたウダジマが、いずれ無謀な行動に出ると見ていた。その暴発を早め、さらに大規模なものにするため、意図的に情報を与えて焦燥を煽っていた。

ヴィオラが望んでいたのは、アキラという巨大な戦力を中心に生じる大騒動であった。その欲望に従い、ウダジマへさらに燃料を注ぎ込みながら楽しげに笑っていた。

第213話 シロウの観光 

シロウ脱走の処分

坂下重工の特別貸出区域で、ハーマーズはシロウを逃がした失態をスガドメに謝罪した。シロウはクガマヤマ都市周辺の監視記録に大量の偽情報を残し続け、居場所を特定できない状態であった。

スガドメは、ハーマーズがシロウから離れる際に上の許可を得ており、その判断を認めた自分にも責任があるとして、重い処分を科さなかった。さらに治療を優先させる根拠となったハーマーズの負傷情報自体が、シロウによって改竄されていたことも明かした。ハーマーズには捜索ではなく待機を命じ、発見後の確保に備えさせた。

都市間輸送車両襲撃の真意

マツバラは、シロウを奪う作戦にしては上空領域のモンスターまで誘導した襲撃が危険過ぎたことに疑問を抱いた。スガドメは、シロウの奪取そのものは主目的ではなく、坂下重工がクズスハラ街遺跡の攻略を本格的に再開する意思を持つか探る威力偵察だった可能性を示した。

車列にはシロウだけでなく、遺跡攻略に使える人型兵器や物資も大量に積まれていた。スガドメは、襲撃が攻略用補給線への攻撃も兼ねており、その規模の作戦を威力偵察として実行できる背後勢力は、他の五大企業である可能性が高いと考えた。

五大企業と建国主義者

五大企業は表向き協力関係にあったが、貴重な遺物や遺跡を巡って裏では武力衝突や工作を繰り返していた。全面戦争を避けるため、互いの工作を建国主義者の犯行として処理することも常套手段となっていた。

そのためスガドメは、今回の実行犯自体は建国主義者であっても、その背後に別の五大企業がいる可能性を考えていた。また、建国主義者を装う工作員が思想に共感して本当に転向することもあり、そのような者を危険な作戦へ投入して処分する場合もあると見ていた。

クズスハラ街遺跡の再攻略

坂下重工が襲撃後も大規模な戦力を投入し、都市間輸送車両を予定通り出発させたことで、他企業からはクズスハラ街遺跡攻略を本格的に再開したと受け取られる可能性が高まっていた。

マツバラは実際に再攻略へ動くのか尋ねたが、スガドメは必要が生じるまで答えないと告げた。マツバラは自分が触れてよい情報ではないと察し、それ以上追及しなかった。

脱走直後のシロウ

シロウが脱走した夜、スガドメの部屋の立体映像装置へ本人が秘匿回線で接続してきた。シロウは豪勢な待遇に不満はなく、ただ自由に観光したいだけだと主張し、しばらく見逃してほしいと頼んだ。

スガドメは護衛付きなら観光を認めると答えたが、シロウはハーマーズも別の護衛も拒んだ。さらに部屋のセキュリティーを掌握していると明かし、スガドメの命を握っていると脅して外出を認めさせようとした。

しかしスガドメは、必要なら殺せばよい、その後で坂下重工を敵に回した意味を知ればよいと平然と返した。シロウは危険を悟り、脅迫を撤回して謝罪した。

ツバキとの交渉ルート

スガドメはシロウを即座に連れ戻す代わりに、外出中も仕事をさせることにした。十分な成果を出せば、今回の脱走を必要経費として認めると条件を提示した。

最優先の仕事は、ツバキと交渉可能な通信経路を旧領域経由で構築することであった。交渉自体は坂下重工が担当し、シロウには安全の保証も与えられなかったが、成果次第では継続的な外出を認められる可能性が生まれた。シロウは条件を受け入れた一方、坂下重工による捜索はそのまま続けられることになった。

観光という言葉

スガドメは通信後、シロウが他企業への亡命を考えておらず、坂下重工での生活にも不満を持っていないと判断した。それでも何の交渉もせず脱走した理由には、別の重大な目的があると考えた。

特にシロウが繰り返した観光という言葉に注目し、それが完全な嘘にならない形で本当の目的を隠す表現ではないかと推測した。その考察は、シロウ本人が知れば驚くほど本来の目的へ近付いていた。

続く自由時間

現在もシロウはツバキとの通信経路を確立できておらず、スガドメへ進展なしと報告していた。観光について尋ねられると、各所を見て回っているものの満足できる場所がないと答えた。

スガドメは、現在の自由はシロウがこれまで坂下重工で積み上げた成果を消費することで許されていると警告した。通信を終えた後、観光が順調ではないというシロウの反応を踏まえ、総力を挙げて確保するのはまだ早いと判断した。

第214話 内緒話 

アキラの新装備交渉

ヒカルはアキラの新装備調達を終えて担当を外れるため、各企業との交渉を精力的に進めていた。都市間輸送車両の護衛依頼でアキラのハンターランクが短期間に大きく上がった実績を示し、各社に自社製品を使わせる好機だと売り込んだ。

さらに坂下重工から追加報酬が出ることを明かし、アキラが最前線向けの装備を望んでいると伝えた。具体的なランク上昇幅はヒカル自身も知らなかったが、知っていて伏せているように見せることで期待を煽り、各社により好条件を検討させることに成功した。

キバヤシへの疑念

休憩中、ヒカルは同僚から、キバヤシの賭けに勝って気に入られ、アキラの担当を譲られたと思われていることを聞いた。しかしヒカル自身には、そのような賭けに乗った認識はなく、新装備の調達後には担当を外れる予定でもあった。

ところが後任選出の話が進んでいないと知り、ヒカルは違和感を抱いた。そこでキバヤシへ直接会いたいと連絡し、賭けに勝ったのだから我儘を聞いてほしいと告げると、キバヤシは嬉々として面会に応じた。ヒカルは、自分の知らないところで賭けを仕掛けられていたと悟った。

キバヤシとの対面

待ち合わせ場所に現れたキバヤシは、以前の深刻そうな態度が演技だったことを隠そうともせず楽しげにしていた。怒ったヒカルは殴りかかったが、拳は簡単に止められた。

ヒカルは危険な情報まで含めて事情を知る覚悟を示し、話す場所もキバヤシに任せた。キバヤシは彼女を防壁外のレストランへ連れていった。壁の外に恐怖を抱くようになっていたヒカルは一度足を止めたものの、退かずについていった。

権力争いの全貌

レストランでキバヤシは都市の秘匿回線とは別の回線を用意し、ヒカルに一連の事情を説明した。スラム街の抗争、イナベによる遺物の出所偽装、アキラとカツヤを介したイナベとウダジマの権力争い、さらにアキラとイナベによるウダジマ排除の動きまで、ヒカルは確度の高い情報として把握した。

同時に、自分がアキラのハンターランクを上げたことで、その計画に大きく加担しており、ウダジマから敵視される立場になっていることも理解した。

ギガンテスIIのウダジマ

キバヤシは、アキラに都市間輸送車両の護衛依頼を受けさせようとはしたが、ウダジマと同じ車両に乗せる意図まではなかったと説明した。ところが行きのギガンテスIIには、ウダジマが別名義で別室を取って実際に乗っていた可能性が極めて高かった。

キバヤシは、アキラが車内でウダジマを襲う程度では期待するほどの騒ぎにならないと考え、その事態を防ぐためにヒカルへ情報を与えてアキラの側に残らせていた。結果としてアキラは巨虫類や坂下重工の旧領域接続者を狙った襲撃者との激戦まで乗り越え、キバヤシはその展開を大いに喜んでいた。

担当継続の罠

ヒカルは改めてアキラの担当を降りると告げたが、キバヤシはそれは無理だと断言した。坂下重工はエルデの件について、アキラだけでなく、囮として利用されたヒカルにも報酬を出していたからである。

アキラへの報酬は個人に支払われたが、都市職員であるヒカルへの報酬はクガマヤマ都市へ支払われることになっていた。その報酬は組織内での立場改善、つまり出世として反映される見込みであった。

その状況でヒカルを高ランクハンターの担当から外せば、坂下重工が与えた報酬に反して降格させたように見える。キバヤシは、イナベがそれを口実に、坂下重工には逆らえないとしてヒカルにアキラ担当を続けさせるだろうと断言した。

キバヤシの助け舟

担当を降りられない可能性に気付いたヒカルは頭を抱え、キバヤシに代わってもらう案も即座に否定された。再びアキラに関わって危険な騒動へ巻き込まれることを恐れるヒカルに、キバヤシは何とかしてやろうかと持ち掛けた。

その条件は、アキラの新装備調達にキバヤシも参加させることであった。キバヤシはアキラに可能な限り高性能な装備を与えたいと語り、その結果としてより大きな騒ぎが起これば自分も楽しめることを隠さなかった。追い詰められていたヒカルに、その提案を断る余地はほとんどなかった。

第215話 悪女の副業 

キャロルの高額な副業

キャロルは高ランクハンターのドーラスを相手に副業を続けていた。初回は一万オーラムだった料金を会うたびに引き上げ、今回は二十億オーラムを請求した。キャロルとの関係を断ち切れないドーラスは、現金だけでなく遺跡調査への同行や装備の購入、貴重な情報の提供などで代金を支払っていた。

坂下重工の旧領域接続者捜索

ドーラスは支払いの一部として、坂下重工がクガマヤマ地方で旧領域接続者を熱心に捜しているという情報を提供した。さらに坂下重工がクズスハラ街遺跡の完全攻略を再開する可能性を挙げ、遺跡への接続情報が脳に焼き付いた特殊な旧領域接続者を探しているのではないかと推測した。

特定の遺跡で通常の旧領域接続者以上の情報を取得できる者がいれば、未踏領域の地図や地下交通網を把握できる可能性があった。ドーラスはヨノズカ駅遺跡やミハゾノ街遺跡などからクズスハラ街遺跡へ至る経路も考えられるため、坂下重工は複数の遺跡に対応した者を探しているのだろうと話した。

キャロルの焦り

キャロルは情報を高く評価し、残額の一部を現金で支払わせてドーラスとの取引を終えた。表向きは余裕を崩さず、次回の料金まで値上げして立ち去った。

しかし自宅に戻ると態度は一変した。キャロルは強い怯えと焦りを見せ、ドーラスから得た情報を踏まえて最悪の事態を想像し、その状況から逃れる方法を必死に考え続けた。

エルデ級を想定した訓練

一方、アキラは新装備が届くまで、自宅でアルファとの訓練を続けていた。都市間輸送車両での死闘を経て戦闘感覚はさらに磨かれていたが、アルファの支援なしでエルデ級の敵と戦う模擬戦では、五秒生き残るのが精一杯だった。

アルファは光学迷彩で隠した銃や複数の分身なども使い、実戦で遭遇し得る手段を次々に持ち込んだ。アキラは支援なしでも罠や偽装を見抜いて生存できるようになるため、敗北を重ねながら訓練を続けた。

間引きチームの終わり

アキラはエレナ達の間引き依頼に再合流しようとしていたが、激戦直後なのだから休むようエレナに止められていた。強引に参加すればシズカに叱ってもらうとも言われ、クロサワからも途中参加は問題になるとして断られた。

大流通の終了に伴って間引き依頼も終わりに近付き、ヒカルがアキラに成果を稼がせるために編成したチームも解散する予定となっていた。そのためアキラは、新装備を得るまで訓練と勉強に専念することにした。

第2奥部への再挑戦

訓練中、アルファは新装備を手に入れた後、クズスハラ街遺跡の第2奥部へ向かうと告げた。アキラは以前そこでモンスターの強さに押され、入口に近い場所から引き返した経験を思い出した。

しかしアルファは、今のアキラなら当時の敵に苦戦することはなく、新装備の性能次第ではさらに深く進めると見込んでいた。そして十分な地点まで到達できれば、いよいよアルファ自身の依頼に本格的に取り掛かると告げた。長く力を蓄えてきた目的が近付いたことを知り、アキラは意欲を高めた。

生還を前提とした勝利

ブレード戦ではアキラがアルファの胴体を両断したものの、その直後に首を斬られて相打ちとなった。アルファは、敵役は刺し違えても勝ちだが、アキラは死ねば負けだと指摘した。

アキラは相手が相打ちを望んでも、自分まで付き合うことはできず、生き残る必要があると再認識した。ユミナとの戦いでも生存を選んだことを思い返し、敵を倒すだけではなく生還するための力を鍛え直した。

回復薬入りの湯

訓練後、アキラは改装した浴室で回復薬を混ぜた湯に浸かっていた。以前キャロルから聞いた贅沢な入浴方法を試したもので、実用上の必要はなかったが、高ランクハンターとなった現在では負担にならない贅沢として楽しんでいた。

その最中、キャロルから連絡が入った。アキラが浴室を改装したと得意げに話すと、二人は互いの風呂の方が上だと言い合ったが、キャロルはすぐに本題へ移り、直接会って話したいことがあると頼んだ。

キャロルからの面会依頼

キャロルは詳しい内容も直接会って説明したいと求めた。湯船で気を抜いていたアキラは深く考えずに了承し、翌日にキャロルの家を訪れることになった。

キャロルはついでに自宅の風呂へ入っていくよう誘った。通話を終えたアキラは再び湯船でくつろぎ、アルファはその様子を笑って見ていた。

第216話 護衛依頼 

キャロルの護衛依頼

アキラはキャロルの自宅を訪れ、護衛を頼まれた。依頼は常時警戒するものではなく、キャロルが同行できる範囲でアキラは普段通り行動でき、報酬は一日百万円に加えて一か月ごとに一億オーラム、戦闘時には追加料金が支払われる条件だった。

キャロル自身も何に襲われるのか分かっておらず、事情を詳しく説明するには高額な情報に触れる必要があるとして詳細を伏せた。アキラは不審に思ったものの、キャロルが自分を陥れようとしているのではないと確かめた上で依頼を引き受けた。キャロルは一か月分の一億三千万オーラムを先払いした。

第2奥部への同行

アキラは近いうちにクズスハラ街遺跡の第2奥部へ向かう予定だと伝えた。キャロルは同行を受け入れ、自身も第2奥部で高ランクハンター達に交じって戦える装備を持ち、広範囲の地図も所持しているため、案内役として雇ってほしいと提案した。

アルファもキャロルの発言に嘘がないことを確認し、戦力面で大きな問題はないと見た。ただし、騒動に巻き込まれやすいアキラを、用心のための護衛として敢えて選んだ理由には疑問を残した。

キャロルへの信頼

アキラは交渉で細部を追及しても自分では真偽を見抜けないと考え、キャロルに自分を騙したり嵌めたりする意図がないかだけを直接確認した。

キャロルはアキラに不利益を与える意図はないと断言した一方、予想外の強敵と戦うことになり、結果としてアキラが騙されたと感じる可能性までは否定できないと答えた。その返答を受け、アキラは護衛依頼を正式に引き受けた。

同居先を巡る迷い

護衛が始まった以上、就寝中もすぐ対応できる距離にいる必要があった。そのためキャロルがアキラの家に住むか、アキラがキャロルの家で暮らすかを決めることになった。

キャロルは自宅の浴室を試してから決めるよう勧めた。改装した自宅の風呂に自信を持っていたアキラだったが、キャロルの浴室も非常に高性能で、優劣を決められずに迷った。

最初の護衛への信頼

入浴中、アキラは改めて自分を護衛に選んだ理由を尋ねた。キャロルは、初めて出会った際にもアキラを護衛として雇い、ミハゾノ街遺跡で危険な状況に陥っても最後まで見捨てず守ってくれたからだと答えた。

アキラは当時の成功がアルファの支援によるものだったと考えつつも、今回もキャロルを守れば結果は同じだと捉え、護衛として役目を果たす意思を示した。

キャロルの高額な副業

キャロルは護衛報酬に自分自身も含めていると冗談めかして話し、その価値は最低でも二百億オーラムほどだと主張した。アキラは全く信じなかったが、キャロルが最近も一晩の相手として現金二億オーラムを受け取り、残りを情報などで支払わせたという話に嘘がないことをアルファが確認した。

それでもアキラは、そこまで高額になること自体を危険に感じ、キャロルの誘いを拒んだ。キャロルは明確な説明を避けながら、その反応を苦笑して受け止めた。

ヴィオラからの警告

入浴後、キャロルのもとへヴィオラから緊急性を示す通信が入った。キャロルが百万円を支払うと、ヴィオラは十分後に自宅が大規模ハンターチームのロットブレイクによって包囲されると知らせた。

ロットブレイクはクズスハラ街遺跡奥部攻略のため都市に招致されたチームであり、トップのゼロスはハンターランク77だと伝えられた。包囲の理由については追加料金を要求されたため、キャロルはそこで通信を切った。

迫るロットブレイク

キャロルはアキラに心当たりがあるか尋ねた。アルファは、アキラを狙ったものなら、第2奥部攻略を進めるウダジマがロットブレイクとの繋がりを利用した可能性を挙げた。

確定した事情は分からなかったが、キャロルとアキラは念のため戦闘に備え、入浴後の服を部屋着ではなく強化服に替えた。護衛を雇ったその日に危機が迫ったことをキャロルは複雑に受け止めたが、アキラは護衛がいる時に起きたのだから幸運と考えればよいと笑った。キャロルもその言葉を受け、アキラを雇って良かったと感じていた。

第217話 一晩100億オーラム 

ロットブレイクとの対峙

ヴィオラの情報通り、ロットブレイクはキャロルのマンションを包囲し、キャロルとの面会を要求した。キャロルは室内で戦えば被害が大きくなると考え、護衛のアキラと共に外へ出た。隊長ゼロスは、キャロルがロットブレイクの内部情報を入手していたとして、その目的と背後関係を問いただした。

ババロドの情報漏洩

ゼロスは情報を漏らしたババロドを連れてきた。キャロルは、ロットブレイクを探ったのではなく、自分を抱いた代金としてババロドが勝手に情報を差し出しただけだと説明した。さらに、情報を要求したことはなく、支払いを拒む選択肢も認めていたと主張した。

ゼロスは一晩百億オーラムという請求額を疑問視したが、キャロルは自分にはそれだけの価値があると譲らなかった。その態度から、ゼロスはキャロルが意図的にハニートラップを仕掛けたのではないと判断し、敵対勢力による情報工作という疑いを解いた。

機密情報を巡る勝負

誤解は解けたものの、キャロルがロットブレイクの機密を知っている問題は残った。ゼロスは情報を黙ってもらう代償を巡る交渉の代わりとして、アキラとババロドの勝負を提案した。

ババロドが勝てば、今後キャロルを逆恨みして襲わないようロットブレイクが抑止し、その価値を情報の代金と相殺する。アキラが勝てば、機密情報の扱いは改めて交渉する条件だった。キャロルは判断をアキラに委ね、勝敗にかかわらず護衛代を支払い、勝てば上乗せすると告げたため、アキラは勝負を受けた。

ババロドの伸縮する腕

勝負は銃やブレードを使わない格闘戦となった。ババロドはサイボーグの身体を利用し、腕を八メートル以上伸ばして拳や鞭のように操った。ゼロスはババロドに有利な距離から開始させていたが、アキラはアルファの支援を受け、その猛攻を見切って防ぎ続けた。

ババロドが腕を硬化して威力を高めた瞬間、アキラは拳を合わせて体勢を崩した。しかしすぐには攻め込まず、あえて立て直す時間を与えた。

護衛としての実力差

アキラは、ババロドが後から逆恨みしてキャロルを襲わないよう、勝てない相手だと理解させる必要があると考えていた。そのため簡単に決着をつけず、アルファの支援を含めた自分の実力を明確に見せつけようとしていた。

意図を理解したババロドは、アキラが攻めあぐねていたのではなく、いつでも勝てる状態で勝負を引き延ばしていたと悟った。ゼロスも実力差を察し、残り十秒で決着がつかなければ引き分けとする条件を提示した。

十秒の決着

ババロドは残り時間を利用して防御に徹し、両腕を全力で鞭のように振り回してアキラの接近を阻んだ。だがアキラはその攻撃を拳で正確に弾き、一瞬で間合いを詰めた。

ババロドは背中に隠していた追加の両腕で不意打ちを仕掛けたが、アキラはそれにも動じず回避した。続けて足払いで接地を崩し、地面に叩き付け、最後は頭のすぐ横へ蹴りを突き刺した。

ババロドは、切り札である隠し腕にもアキラが驚かなかったことで完全に戦意を失い、敗北を認めた。再び襲っても勝てないと理解し、キャロルへの報復の意思も消えていた。

ヴィオラへの交渉委任

勝負後、ババロドはアキラの護衛料が一か月一億三千万オーラムだと知り、その安さに驚いた。キャロルが護衛中は自分を好きにしてよいという条件も付けていると明かすと、ババロドは妙に納得した。

ゼロスは約束通り、機密情報の扱いについて改めて交渉すると告げた。そこへヴィオラが現れ、キャロルは交渉をすべて彼女に任せてアキラとマンションへ戻った。

ヴィオラはロットブレイク側との交渉役を引き受け、ゼロスもマンション側への迷惑料や修繕費を交渉する意思を示した。高ランクハンター同士の殺し合いに発展する可能性もあった騒動は、マンション前の地面が多少破壊されただけで収束した。

第218話 今のアキラのもてなし方 

キャロルの家での共同生活

キャロルの護衛を引き受けたアキラは、そのまま彼女の家に泊まり、やがて一緒に暮らすことになった。食事や娯楽を共にしながら、アキラは模擬戦の代わりに勉強や体感時間操作、現実解像度操作の訓練を続けた。

キバヤシからの急な呼び出し

キバヤシから新装備に関わる急用でクガマビルへ来るよう連絡を受け、アキラはキャロルと向かった。ヒカルに案内された先は高級レストランのシュテリアーナであり、アキラは自分がそのような場所で扱われるほどの高ランクハンターになったことを改めて実感した。

キバヤシはアキラ到着から一時間待つよう告げ、その間に料理を振る舞った。アキラは高級料理に夢中になり、キバヤシから交渉場所としてこの店を指定されたら断った方がよいと笑われた。

新装備を巡る企業間競争

キバヤシは、アキラの新装備を提供する企業を決めるため、複数企業にアキラの更新後のハンターランクを予想させていた。最も近い数字を提示した企業に、新装備調達の優先交渉権を与える仕組みだった。

企業側には、アキラほどのハンターへ高性能装備を安価に提供する宣伝効果がある一方、アキラが死亡すれば大損害になる危険もあった。そのため、高いランクを予想すること自体がアキラへの評価を示していた。

ハンターランク70

一時間後、各企業の代表とイナベが揃い、キバヤシがアキラのハンターランクを公開した。更新後のランクは70であり、企業側だけでなくアキラ自身も驚愕した。ランク70は都市間輸送車両の先頭付近を任されるハンター達に近い水準だった。

この異例の上昇には、坂下重工からアキラとヒカルへ支払われる報酬が使われていた。ヒカルは自分への報酬をアキラの装備調達に役立てるために譲り、坂下重工はエルデを倒したアキラの実力がランク50の水準を大きく超えていたことも考慮し、再度のランク調整が必要にならないよう高めに設定した。その結果、アキラは一気にランク70へ到達した。

機領の交渉権獲得

最も近い予想を出して交渉権を得たのは機領だった。他企業はアキラへの接触も認められず退席し、ヒカルが機領との具体的な交渉を任された。

機領は翌日までに、最低でもハンターランク70に相応しい装備を用意すると確約した。背景にはイナベとの取引があり、過剰に高性能な装備を提供してアキラの支払能力を超えても、イナベが支払いを担保する約束があった。そのため機領は他社以上に高性能な装備を提示できる立場にあった。

不運と幸運

帰路でキャロルは、アキラが都市間輸送車両で強敵と戦った結果、ランク70と新装備を得たのだから、禍を転じて福と為したと考えてもよいのではないかと話した。アキラも、不運に見舞われただけではなく、それに勝って得たものもあったと捉えることにした。

質素なアキラの暮らし

自宅に戻ったアキラは、キャロルの家で暮らすための着替えを準備した。しかし持っていく服はわずかであり、キャロルは高価な戦闘装備には金を惜しまないのに、服や住居にはほとんど金を使わないアキラを不思議がった。

アキラはスラム街で暮らしていた頃に望んだ服、食事、屋根のある家を既に手に入れており、それ以上の生活水準を強く求めていなかった。苦労して手に入れた現在の家にも愛着があり、浴室以外は質素な生活に満足していた。

吹き飛んだ自宅

その最中、アルファが突然警戒を促した。アキラが即座に臨戦態勢を取り、キャロルも警戒した直後、外から巨大な弾丸が連射された。

周囲への被害を無視した砲撃によって、アキラの家は粉微塵に吹き飛んだ。アキラが過酷な戦いを経て手に入れ、大切にしていたものが再び失われた。

第219話 自宅跡の攻防 

ババロドの身体を使う襲撃者

アキラの自宅を吹き飛ばしたのは、ババロドの身体を使う襲撃者だった。男は長く伸ばした腕で人型兵器用の巨大な銃とブレードを操り、家から脱出したアキラへ攻撃を続けた。

アキラは当初、以前の敗北を逆恨みしたババロド本人だと考えたが、アルファから身体は同じでも中身は別人だと教えられた。相手を以前と同じ実力だと考えて油断しないよう警告され、アキラは全力で迎撃した。

人型兵器用武装との激戦

襲撃者は巨大な銃で周囲の家屋ごとアキラを狙い、アキラはLEO複合銃で照準を狂わせながら接近した。巨大なブレードによる斬撃を掻い潜って懐へ飛び込んだものの、男は背中から別の腕を出して人間用の銃を撃ち、至近距離で激しい銃撃戦となった。

アキラはアルファの支援による精密な防御と迎撃で生き残った。一方の男は、人型兵器用武器のエネルギーを自身の力場装甲へ流用する高度な技術を使い、C弾を浴びても戦闘を続けた。その技量は元の身体の持ち主であるババロドには不可能な水準だった。

キャロルの援護射撃

キャロルは高性能な複合銃からレーザーを放ち、男の巨大な銃を損傷させた。アキラは援護を歓迎し、自分に当たりそうな攻撃は避けるから合図なしで撃つよう求めた。キャロルもその言葉を信じ、遠慮なく援護射撃を続けた。

アキラは男を自力で倒すことより行動を阻害することに集中し、キャロルへの攻撃を防いだ。男は二人の連携に追い詰められ、巨大な銃を破壊されて腕ごと失った。

決死の光刃

勝機を失った男は刺し違える覚悟を決め、残るエネルギーを巨大なブレードへ注ぎ込んだ。最大出力となったブレードは、使用者自身も余波で死ぬほどの威力となった。

しかしキャロルのレーザーが斬撃の軌道を乱し、その隙にアキラが防御力の落ちた男へC弾を集中させた。男は粉砕され、使い手を失ったブレードは遠方の建物を十数軒吹き飛ばして停止した。

アキラは強敵だったと疲労を滲ませたが、アルファは都市間輸送車両での戦いより楽だったと評した。アキラもキャロルの援護があった分だけ楽に勝てたと認めた。

襲撃者の正体への疑問

キャロルはババロドが襲ってきたと思ったが、アキラは身体だけが同じで中身は別人だったと伝えた。前回より明らかに強かったことを根拠として説明し、二人は誰が何のためにババロドの身体を使って襲撃したのか疑問を抱いた。

騒ぎを受けて警備会社やキバヤシ、ヒカル、イナベらが現場へ集まった。アキラは事情を説明し、家に関する処理を担当者であるヒカルへ任せた。ヒカルは惨状に顔を引きつらせながらも、翌日には担当を降りられることを支えに仕事を引き受けた。

ヴィオラへの調査依頼

ヴィオラもゼロスとババロド本人を連れて現れた。ヴィオラはババロドの身体を業者へ売ったことは認めたが、その後の流通先は知らなかった。ゼロスも、ロットブレイクの仕業に見せかける工作の可能性を考え、独自に調査するとした。

アキラもヴィオラへ正式に調査を求めた。報酬を要求されたものの、新装備に資金を使う予定だったアキラは、調査に成功すればヴィオラを生かしておいて良かったと思うこと、前金として誤解で殺す前には一声掛けることを条件として提示した。ヴィオラは楽しげに受け入れた。

アキラがそこまで真相を知りたがる理由は、苦労して手に入れ、改装したばかりの自宅を吹き飛ばされた怒りだった。ヴィオラはその感情が本物だと察し、真面目に調べると約束した。

失われた自宅

自宅を失ったアキラはキャロルの家の浴槽で落ち込んでいた。キャロルは、自分を護衛していたことで巻き込んだ可能性を考えて謝ったが、アキラは襲撃者が悪いのであり、キャロルには援護までしてもらったと答えた。

キャロルは次の家が決まるまで自宅だと思って暮らすよう勧め、浴室については自分の家の方が勝ったと得意げに笑った。アキラも次の家では浴室をよく考えると応じた。

アキラは大切な自宅を失ったものの、今の自分なら以前ほど苦労せず、それ以上の家を手に入れられるだけの力があると考え直した。翌日には新装備も手に入り、その性能次第ではアルファの依頼に関わる遺跡攻略も本格的に始まる。アキラは喪失に立ち止まらず、再び前へ進む意欲を取り戻した。

第220話 端金脱却 

新装備ロスカーデン

アキラは防壁の搬入口にある倉庫を訪れ、シズカから新装備を受け取った。機領製のHC3R強化服ロスカーデンは、高価格帯の人型兵器並みの身体能力と力場装甲を備え、力場障壁や高度な情報収集機能も搭載していた。防護コートには高性能な迷彩機能があり、ブレードは対力場装甲機能や斬性を帯びた指向性エネルギーの放出まで可能だった。

新たなRL2複合銃は通常弾、C弾、小型ミサイル、レーザーに対応し、4挺が用意された。修理されたバイクにも大容量エネルギータンクや高性能な液体金属などが追加され、回復薬や弾薬類もハンターランク70相当へ更新された。総額は218億オーラムに達し、アキラも支払いには硬い表情を見せたが、イナベはこれまでの投資と同様に支援する姿勢を示した。

変わらないシズカとの関係

シズカの店はアキラの装備購入を仲介したことで桁違いの利益を得ることになった。シズカは商品を店舗へ入荷すらせず利益を得る状況を冗談交じりに語ったが、アキラは駆け出しの頃から世話になった店なのだから儲けてほしいと笑った。

アキラが高ランクハンターとなり、装備代が百億単位になっても、二人の気安い関係は変わらなかった。イナベや機領も、アキラが大切にするシズカを軽視していないと示すため、彼女に装備受け渡しへの同席を依頼していた。

エレナとサラの決意

エレナとサラは、ハンターランク70となったアキラを見て、自分達との大きな差を改めて感じていた。二人も短期間で大きく成長し、クガマヤマ都市では一流と呼べる位置まで到達していたが、アキラはその先へ進んでいた。

エレナはもう先輩面はできないと寂しさを見せたが、サラはアキラ自身から疎まれるまでは自分達から距離を取る必要はないと答えた。そして健康な体を取り戻した後もハンターを続け、更なる高みを目指すことを決めた。エレナもその意思を受け入れ、二人はこれからも一緒に先へ進むことにした。

218億オーラムの力

新装備に着替えたアキラは、かつてアルファからオーラムで買える装備は端金だと言われたことを思い出した。218億オーラムの装備を前に、アルファもようやくまともな装備が手に入ったと評価した。

アキラは防護コートの迷彩機能を試し、肉眼では身体がほとんど認識できない性能に驚いた。シズカから悪用や覗きに使わないようからかわれ、子供扱いされながら頭を撫でられたアキラは、少し顔を赤くしながらもそのまま受け入れていた。

シズカに集まる企業

装備の受け渡しを終えたところで、キバヤシとヒカルがアキラを呼びに来た。キバヤシは前日の襲撃、ヒカルは失われた自宅について話があると告げたため、アキラはシズカに別れを告げてその場を離れた。

その後、装備調達競争に敗れた企業の営業達がシズカの周囲に集まった。ハンターランク70のアキラが贔屓にする店との関係を築き、将来の取引へ繋げるためだった。キバヤシは、彼らもシズカの機嫌を損ねればアキラとの取引に悪影響が出ると理解しているため、シズカに不利益なことはしないだろうと説明した。

新しい住居探し

ヒカルは、先日の襲撃による住宅被害について、アキラに賠償責任が及ばないよう賃貸業者との交渉を済ませていた。防壁外では自衛が前提であり、襲撃による家屋の損害も保険で処理された。

ただし賃貸業者は、再建後も同じ場所にアキラが住み続けることだけは避けたいと求めた。ヒカルもそれには理解を示し、高ランクハンター向けの別の賃貸物件への引っ越しを提案した。

アキラは高額な家賃に抵抗を見せたが、キバヤシから以前の地域はハンターランク70の者が住む場所ではないと言われ、当面はキャロルの家で暮らしながら新居を探すことにした。ヒカルは候補資料を送るので、気に入った物件があればすぐ連絡するよう念押しした。前日の襲撃によって担当を降りる予定も延期されており、ヒカルは家の件を片付けるまでアキラの担当を続けることになっていた。

第221話 ドラゴンリバー 

ドラゴンリバーの釈明

アキラはキバヤシに連れられてシュテリアーナを訪れ、ドラゴンリバーの隊長タツカワと副隊長メルシアに会った。タツカワは、前日にアキラを襲った者が使用していた人型兵器用の武器はドラゴンリバーから盗まれた物だと説明した。使用記録も改竄されていたため内部協力者の存在も疑われたが、チーム内に行方不明者はいなかった。

タツカワ達は自分達も装備を盗まれた被害者であり、襲撃には関与していないと訴えた。メルシアも、もしドラゴンリバーが本気でアキラを襲っていたなら、昨日の装備では生き残れなかったはずだと話した。都市間輸送車両でメルシアの実力を見ていたアキラは、その説明に納得して二人を信じた。

上位チーム同士の潰し合い

メルシアは、襲撃の本当の狙いがアキラ達ではなく、ドラゴンリバーとロットブレイクを争わせることだった可能性を挙げた。ドラゴンリバーの武器とババロドの体を組み合わせれば、双方に相手への疑念を抱かせられるためである。

クズスハラ街遺跡奥部攻略の上位チーム同士が潰し合えば利益を得る者は多かった。アキラは、その可能性が事実なら自分は無関係な争いのために死にかけたことになると知り、自身の不運に溜め息を吐いた。

ドラゴンリバーへの誘い

タツカワはアキラに、ドラゴンリバーへ入れば安全な部屋を用意し、再び襲撃されてもチーム全体で守れると誘った。正式加入でなく一時的な参加でもよく、護衛対象のキャロルも一緒で構わないという条件だった。

アキラが好条件を不審に思うと、タツカワは自分もかつてキバヤシの危険な依頼を受けて成り上がったため、同じ立場の後輩を助けたい気持ちもあると明かした。アキラはキャロルと相談するため、提案を検討することにした。

キバヤシの賭け

タツカワは、かつてキバヤシから当時の実力では非常に厳しい依頼を何度も斡旋され、それを乗り越えて高ランクハンターまで成り上がった人物だった。依頼自体は討伐や護衛など普通の内容だったが、達成できそうに見える限界まで難度が引き上げられており、多くの挑戦者が命を落としていた。

キバヤシはアキラについても、都市周辺の大規模なモンスター出現時に一人で救援へ向かったことや、遺物強奪犯、巨大モンスター、建国主義者との戦いなどを語った。タツカワはその常軌を逸した経歴を聞き、アキラがキバヤシに気に入られる理由を理解した。

タツカワを止めたメルシア

タツカワは既に十分成り上がったため、今ではキバヤシの危険な依頼を受ける必要はないと話した。しかしメルシアは、昔のタツカワが高額報酬に釣られて危険な依頼へ進んで参加しようとしていたと暴露した。

メルシアはタツカワを止めるため、自分が先に庇って死ぬとまで言い、実際に何度も死にかけていた。その結果、タツカワは依頼を受ける決定権やチーム運営をメルシアに任せるようになった。現在のドラゴンリバーも、タツカワが無茶をできないよう仲間を増やしたことが始まりだった。

キャロルへの護衛保証

メルシアは、アキラが一時的にドラゴンリバーへ加入するなら、キャロルも含めてチームとして守ると改めて約束した。タツカワにも責任を持って護衛させるつもりだった。

その後、メルシアはアキラのハンターランクが急上昇した仕組みを尋ねたが、キバヤシはアキラをチームに取り込もうとする相手には教えないと拒んだ。二人が笑いながら牽制し合う傍らで、ヒカルは黙って食事を続けていた。

ドーラスからの警告

一方、キャロルは高級ホテルでドーラスと会っていた。副業を終えた後、ドーラスは代金を情報で支払うと言い、その内容はキャロルの命に関わるものだと告げた。

ドーラスによれば、クズスハラ街遺跡奥部では上位ハンターチーム同士の競争が激化し、攻略情報の共有が停滞していた。その中で、多数の高ランクハンターから地図や内部情報を得ているキャロルは、各チームにとって極めて重要な存在になっていた。自分達では取り込めないなら、他チームに利用される前に殺した方がよいと考える者まで現れており、前日の襲撃もその実行例ではないかとドーラスは考えていた。

ハンターランク70の護衛

ドーラスは、キャロルがこれまで見逃されていたのは、集めた情報を大規模に利用する動きを見せていなかったからだと推測した。しかしキャロルがハンターランク70のアキラを護衛に雇ったことで、奥部の情報を売るための武力を確保した、あるいは自らチームを作って攻略へ参入するつもりだと疑われた可能性があった。

そのため、アキラとの護衛契約を解消すれば、その計画を断念したと周囲に思わせられる可能性があった。キャロルは話の辻褄が合っていることを認め、ドーラスの情報を真剣に受け止めた。

ドーラスの誘い

ドーラスは情報代を無料にする条件として、自分をアキラの代わりに2億オーラムで護衛として雇い、クガマヤマ都市を離れて西の都市へ避難するよう提案した。過去の問題まで追ってくるなら自分が対処すると言い、キャロルの身を本気で案じていた。

それはドーラス自身が高ランクハンターとしての成り上がりを捨てることにも繋がる選択だった。キャロルが本気なのかと確かめると、ドーラスは質の悪い女に嵌まって落ちぶれたことにすればよいと苦笑した。

拒んだキャロル

キャロルはドーラスの言葉が嘘ではなく、本気であることを見抜いていた。それでも誘いを受けず、口説き文句としては悪くなかったとだけ告げて部屋を去った。

ドーラスは振られたと受け止めたが、キャロルが拒んだ理由は彼を信じなかったからではなかった。今は本気でも、その思いが未来まで変わらない保証はないことを、キャロルはよく知っていたためだった。

第222話 裏口探し 

キャロルとの方針相談

新装備を受け取ったアキラはキャロルの自宅へ戻り、別行動中に得た情報を共有した。先日の襲撃は、キャロルがクズスハラ街遺跡奥部の情報を持ちながら、ハンターランク70のアキラを護衛に雇ったために起きた可能性があった。さらにドラゴンリバーとロットブレイクを争わせる工作など、複数の可能性も考えられた。

アキラは第2奥部へ向かう予定を迷ったが、アルファは新装備でどこまで戦えるか確認できれば場所や相手は問わず、キャロルの護衛を優先して依頼開始が遅れても構わないと答えた。そこでアキラはキャロルの都合を優先することにした。

奥部への裏口探し

キャロルはミハゾノ街遺跡でクズスハラ街遺跡奥部への裏口を探すことを提案した。旧世界時代の地下流通網が奥部まで繋がっていれば、既存の攻略路より有利な新ルートになる可能性があった。

新たな地図の価値が高まれば、キャロルが保有する既存の奥部地図の価値は相対的に下がる。それによって情報を狙う者から襲われる危険も減らせると考え、アキラ達はミハゾノ街遺跡へ向かうことにした。

長期探索の準備

アキラ達は大型キャンピングカーに大量の食料や弾薬、装備、バイクを積み込み、一ヶ月程度は都市に戻らず活動できる態勢を整えた。荒野では都市内より大規模な襲撃を受ける可能性があるため、前回以上の戦闘にも備えていた。

キャロルは裏口らしい場所の候補情報を持っていたものの、再建築が続くミハゾノ街遺跡では現状が変化しているため、実際に調べなければ分からないと説明した。また以前は、奥部の強力なモンスターと遭遇する危険や都市から責任を問われる恐れがあり、候補地を調査していなかった。現在は自身も強くなり、アキラを護衛に雇ったため、探索に踏み切っていた。

ミハゾノ街遺跡の変貌

ミハゾノ街遺跡に到着したアキラ達は、バイクで候補地を巡った。以前の大規模戦闘の痕跡は消え、真新しい高層ビルが並び、作業機械が活動していた。かつて苦戦した場所を今なら容易に進めることに、アキラは自身の成長を実感した。

その一方で、キャロルは迷彩された巨大な多脚機の存在に気付いていた。その機体は都市間輸送車両で戦ったモンスターに匹敵する強さを持っていたが、敵対していなかったためアルファもアキラには知らせず、キャロルも黙っていた。

外れ続ける候補地

最初の候補地は瓦礫の山で、地下への入口は見付からなかった。次の場所には高層ビルが建っており、地下まで調査したものの目的の施設ではなかった。その後も候補地を巡ったが、ことごとく外れだった。

アキラがアルファに裏口の場所を知らないか尋ねると、アルファは知っていても教えられないと答えた。アキラが知る理由をキャロルに説明できず、偶然発見した形にするならキャロル自身が見付ける必要があるためだった。その日は成果を得られないまま探索を終えた。

キャロルの思惑

一人で入浴したキャロルは、裏口をいつ発見したことにするのが自然かを真剣に考えていた。初日では早過ぎ、最終日では不自然になるため、翌日の遅い時間か、その次の日辺りを想定していた。

その思考から、キャロルは裏口について何らかの事情を知りながら、アキラにはまだ明かしていない状態で探索を進めていた。

リオンズテイル社

翌朝、駐車場付近にはメイド服や執事服姿の十数人が集まっていた。キャロルは彼らを、人材育成と派遣を主業務とする大企業リオンズテイル社の関係者だと推測した。

アキラもその名には覚えがあったが、自分達とは無関係だと考えて探索を続けた。途中で厳重に封鎖されたセランタルビルを見ながら、地下に工場区画へ続く通路が存在する可能性も話したが、都市の防衛隊が警備しているため調査対象から外した。

地下トンネルの発見

候補地を次々に調べた末、建築中の商業施設らしい建物で、地下深くへ続く幅約20メートルの階段を発見した。さらに奥へ進むと、直径約3メートルの筒状の地下トンネルに辿り着いた。

床と壁、天井の境がなく、重力を無視して車両が走ることを前提とした構造で、光源が見えないにもかかわらず内部は明るかった。アキラはクズスハラ街遺跡奥部や未発見の遺跡へ繋がる可能性に期待し、バイクを加速させて奥へ進んだ。

地下でのトガミとの再会

障害物もモンスターもいないトンネルを高速で進み、アキラ達は短時間でミハゾノ街遺跡から遠く離れた。そこでアルファが前方に人がいることを知らせた。

アキラが近付くと、そこにいたのはドランカム所属の少年ハンター、トガミだった。以前ミハゾノ街遺跡で共に活動した二人は、予想外の地下トンネルで互いに驚きながら再会した。

第223話 地下トンネル 

トガミとの共同探索

地下トンネルで再会したトガミは、依頼を受けて遺跡間の経路を含むマップを作っていると説明した。単独で未知の地下道を進み続ける危険を感じ、引き返すか迷っていたところだった。

トガミの依頼主は通信越しにアキラ達との共同探索を提案し、シロウと名乗った。キャロルが条件を交渉した結果、アキラ達とトガミ達は別チームのまま同行することになった。実力差を考慮し、トガミは戦力ではなく護衛対象として扱われた。

キャロルの情報拡散策

アキラがトガミを同行させた理由を尋ねると、キャロルは、発見した裏口の情報を自分達から直接広めるより、シロウ側から流してもらう方が都合が良いと説明した。新ルートによって損をするハンターチームから恨まれる危険を避けるためだった。

アキラはその説明を受け入れたが、キャロルはシロウを地図屋と推測した内容まで事実のように受け取らせていた。また、トガミを同行させた最大の理由も別にあったが、アキラは気付かなかった。アルファも状況を混乱させないため、それらを指摘しなかった。

シロウとトガミの契約

トガミは、依頼中の会話までシロウに監視されていたことや、単独探索という条件を依頼主自身が変更したことに不満を示した。シロウは契約上すべての情報を記録する条件だったと返し、アキラがハンターランク70になったため同行させる価値があると説明した。

アキラの現在のランクを初めて知ったトガミは驚き、その強さを改めて実感した。シロウは高ランクハンターが加わるなら情報漏洩の危険を許容できると考え、予定を変更したのだった。

第1奥部への裏口

シロウは共同探索を機に、自分の目的がクズスハラ街遺跡奥部への裏口探しだと明かした。ただし狙っているのは第2奥部ではなく、都市によって封鎖された第1奥部への裏口だった。

目的は、ツバキの管理区域へ通じる経路を探すことだった。キャロルは、その情報を扱えばクガマヤマ都市だけでなく坂下重工まで敵に回す恐れがあると警告した。シロウは、実際に侵入者へ売るのではなく、封鎖したい都市側との交渉材料として高値で売るつもりだと説明したため、キャロルは一旦追及を止めた。

トガミの同行継続

トガミは、封鎖区域へ自分を送り込むつもりだったのかとシロウを問い詰めた。シロウは、危険なら引き返す判断はトガミ自身に任せるつもりであり、奥部まで進むことを強制する気はなかったと答えた。

さらに、アキラというハンターランク70の戦力を得たため、トガミだけ先に戻っても構わないと告げた。用済みに近い扱いを受けたトガミは意地から同行を続けることを選び、自分が足を引っ張った分は護衛料として取り分から差し引かれても構わないと受け入れた。

第1奥部手前の隔壁

一行は地下トンネルを進み、クズスハラ街遺跡の外周部から第1奥部との境界付近まで到達した。しかしトンネルは分厚い隔壁で閉鎖されていた。

アキラは隔壁を開ければ奥部の強力なモンスターを外へ流出させる危険があると考え、無闇に破壊することをためらった。キャロルは第2奥部へ続く裏口を見付けるため開けたい気持ちがあったものの、トガミ達が同行しているため強引には進められなかった。

隠された迂回路

シロウの提案で、隔壁を開けずに進める作業用の迂回路がないか周囲を調べることになった。探索の末、トガミが立体映像と力場障壁で巧妙に隠された通路を発見した。

実際にはトガミの情報収集機器を遠隔操作したシロウが見付けたものだった。その隠蔽はアキラの新装備でも容易には見抜けないほど高度であり、アキラとキャロルはシロウの技術に驚いた。シロウは発見方法を地図屋の秘匿技術だとして明かさず、一行はアキラが力場障壁を蹴り砕いて迂回路へ進んだ。

第224話 保留 

迂回路の先

アキラ達は隔壁を迂回する通路を徒歩で進んだ。トガミは約200億オーラムのアキラの新装備に驚き、自分の装備との差を実感した。隔壁の向こうでは横道が増え、モンスターの死骸が現れたうえ、色無しの霧が濃くなって広域通信も不安定になっていた。

トガミはシロウから前払い報酬として受け取った旧領域対応の情報端末により通信を維持できたため、キャロルは外部通信と地図データの送信を任せた。これによりトガミも、単なる護衛対象ではなく通信担当として役割を得た。

新装備の火力

第1奥部の地下では、武装した生物系モンスターの大群が襲来した。しかしアキラとキャロルは容易く蹴散らし、特にアキラのRL2複合銃は一発で複数の敵を貫く圧倒的な威力を発揮した。

装備の差から満足に戦えないトガミに、アキラはRL2複合銃を貸し、バイクも盾として使わせた。トガミはその威力を体感し、アキラがこれを得るまでに命懸けの戦いを経験したと聞いて、彼が強くなった理由を改めて理解した。

第2奥部への突破

第1奥部と第2奥部の境界には再び隔壁があった。シロウはツバキの管理区域へ向かう道を探す案を出したが、キャロルは同行中の進路はこちらで決めるとして退けた。

今回もシロウが隠された迂回路を発見した。トガミでは破れなかった力場障壁をキャロルが蹴り砕き、一行は第2奥部の地下へ進んだ。その際、シロウはトガミの情報端末越しにアキラを見ており、アルファも同じ経路を通じてシロウを見ていた。

第2奥部の機械群

第2奥部では、浮遊砲台や機獣、多脚機などの機械系モンスターが襲来した。アキラはキャロルとトガミを後方に下げ、自ら前衛と囮を務めた。

敵は倒されるたびにアキラの攻撃を分析して力場装甲やレーザーの出力を高めたため、次第に撃破に必要な火力も増していった。それでもアキラは敵の射線を見切り、キャロル達へ攻撃が流れない位置を保ちながら戦い続けた。

自力での死闘

アキラはこの戦いでアルファの戦闘支援を受けず、拡張感覚、体感時間操作、現実解像度操作を自力で駆使していた。過負荷を避けるため敵の周囲だけ解像度を高め、数十の射線を見切りながら攻撃と護衛を両立させた。

敵は地下トンネルから膨大なエネルギー供給を受けていたが、やがて機体性能の上限に達し、それ以上強化されなくなった。増援も尽き、アキラ達は機械系モンスターの大群を殲滅した。

アルファの保留

勝利したアキラは、自分の実力ならアルファの依頼を本格的に始められるかと期待した。しかしアルファは判断を保留した。

キャロルの護衛依頼中であることに加え、現在のアキラでは指定された遺跡の最も簡単なルートなら攻略できる可能性がある一方、難しいルートでは確実に死ぬとされたためだった。アルファは急がずさらに強くなるよう促し、護衛依頼終了後に下見へ連れていくことも考えた。

第3奥部への決断

一行はさらに進み、第2奥部とその先の領域を隔てる隔壁に到着した。アキラはここから先ではキャロルとトガミを護りながら自力だけで戦うのは難しいと判断し、アルファの支援を受けることにした。

アキラは未知の敵を相手に二人を絶対に護り切れるとは約束できないと警告した。それでもキャロルは地図情報の価値を確かめるため、トガミも同行条件とハンターとしての意地から前進を選んだ。

全員の意思が揃うと、シロウが再び迂回路を発見した。アキラを先頭に慎重に進んだ一行は、第2奥部のさらに先にある第3奥部へ到達した。そこには広大な真っ白な空間が広がっていた。

第225話 第3奥部 

第3奥部の白い空間

第3奥部へ到達したアキラ達の前には、床や壁、天井の境界さえ分からない真っ白な空間が広がっていた。色無しの霧も異常な濃度に達し、高性能な情報収集機器でも約50メートル先までしか把握できなかった。

さらに振り返ると、通ってきたはずの通路そのものが消えていた。シロウは、途中の通路が立体映像や力場障壁で構成されていた可能性を挙げた。アキラ達は帰還を優先したが、記録された移動経路を逆に辿っても通路には戻れず、現在位置や方向そのものが狂っている可能性が浮上した。

ツバキとの再会

帰路を探していたアキラ達の前に、黒いドレス姿のツバキが現れた。キャロルとトガミは単独行動中の高ランクハンターだと思ったが、アキラはツバキだと気付き、シロウも激しく驚いた。

アキラはツバキとの関係を知られることを避けるため、トガミにシロウとの通信を切らせた。ツバキはアキラに帰還を勧め、一緒に帰ることも提案したが、アキラはキャロル達の前でツバキとの関係やアルファの存在に繋がる情報が出ることを恐れ、返答に窮した。

アルファとツバキの牽制

アキラには見えないところで、アルファとツバキは互いに冷徹な態度で対峙した。アルファはツバキの接触を敵対行為になり得るものとして警告し、ツバキも退かなかった。

両者の牽制が終わった直後、第3奥部の巨大な融合体モンスターが襲来した。ツバキはその攻撃を片腕で弾き返し、自分を狙った敵は自分で処理すると告げて姿を消した。その後、離れた場所で融合体を蹴り飛ばし、そのまま戦闘へ移った。

融合体との戦闘

別の融合体がアキラ達を襲い、口から強烈なエネルギーの奔流を放った。アキラは新しい双剣から斬撃を飛ばし、奔流の方向を逸らしてキャロル達を守った。

キャロルとトガミをバイクに乗せ、アルファに運転を任せたアキラは前衛として融合体に接近した。異形の上半身を切断しても獣部分は動き続け、異形も再生したため、キャロル達も後方から銃撃して戦闘に加わった。

再生する強敵

融合体は切断された部位を別の口やモンスターへ変化させ、生体力場装甲もアキラの攻撃に合わせて強化した。アキラは双剣で装甲を崩し、その隙へRL2複合銃を撃ち込み、キャロル達も絶えず攻撃を続けた。

融合体には遺跡から事実上無尽蔵のエネルギーが供給されていたが、単位時間当たりの供給量には限界があった。アキラ達は攻撃を集中させ、防御と再生に必要なエネルギーを消耗させ続けた。

融合体の自爆

追い詰められた融合体は自身の生存を捨て、巨大な高エネルギー球を生成してアキラ達を道連れにしようとした。

ここでアキラはアルファの本格的な支援を受けた。アルファの制御による斬撃で光球を一刀両断し、放出されるエネルギーをアキラ達とは逆方向へ流した。融合体は残った力を使い果たして崩壊し、砂の山となった。

ツバキの口止め

勝利後、キャロルとトガミはアキラの実力を高く評価した一方、今回の戦闘に対する護衛料が莫大になることを心配した。

アキラは護衛料を大幅に減らす代わりに、先ほど会ったツバキについて忘れ、誰にも会わなかったことにしてほしいと頼んだ。キャロルとトガミは即座に了承し、ツバキとの遭遇そのものをなかったことにした。

消えた帰路

アキラ達は記録された移動経路を逆に辿って第2奥部へ戻ろうとした。トガミはシロウへ再接続し、遭難時の救援に利用する案を出したが、アキラはツバキについて問い詰められることを避けるため保留した。

アルファはアキラだけなら脱出させられると答えたが、キャロルとトガミがいる現状では自力で出口を探すよう求めた。

徒歩で進んでも第3奥部の端には辿り着かず、アキラ達はバイクに切り替えて高速で真っ直ぐ走った。それでも本来ならクズスハラ街遺跡の外まで出ているほどの距離を進んだ後も、周囲には果ての見えない真っ白な空間だけが続いていた。

第226話 レイナの成長 

レイナの同行

レイナ、シオリ、カナエは新たな高性能装備を身に着け、荒野仕様車両で目的地へ向かっていた。シオリは危険を考えてレイナを残そうとしたが、レイナはシオリが命を賭けて得たものなら受け取らないと宣言した。

シオリはレイナの言葉を本気だと受け止め、勝ってもレイナが成果を受け取らない以上、自分だけが命を賭ける意味はないと理解した。そこで計画の全容をレイナに明かし、最終判断を委ねた。

白いカードの秘密

シオリは、以前オリビアからアキラへ渡された白いカードを手に入れていたことや、その活用のために進めていた計画をレイナへ説明した。レイナはカードの入手方法には問題を感じたものの、後でアキラへ相応の謝礼を渡して解決するとした。

全てを知ったレイナは計画の続行を決めた。ただし危険な時は全員で撤退し、シオリだけが残って時間を稼ぐことも禁じた。こうしてシオリ単独で進めるはずだった計画は、レイナの判断の下で三人が共に行うものへ変わった。

カツヤの死とレイナの変化

レイナ達がクガマヤマ地方を離れていた本当の理由には、アキラとカツヤの争いからレイナを遠ざけるというシオリの意図もあった。その間にレイナはカツヤの死を知り、深く悲しんだ。

その死を通じ、レイナは無意識にカツヤだけは死なないと思い込んでいたことに気付いた。そして自分達が生きる世界では誰も死から逃れられず、自身も幸運で生き残っているにすぎないと理解した。レイナはその現実から目を逸らさず、シオリとカナエの主として責任を負う覚悟を固めていた。

二重封鎖されたセランタルビル

ミハゾノ街遺跡へ到着した三人は、リオンズテイル社の者達が既に配置されていることを確認した。迷彩機能を使って密かに接近すると、セランタルビルはクガマヤマ都市の部隊とリオンズテイル社の部隊によって二重に封鎖されていた。

正面突破は困難であり、シオリも侵入を断念した。三人の目的は、セランタルビル内にあるリオンズテイル社の支店を通じて、旧世界側の汎用人格オリビアと穏便に接触することだった。

キャロルへの連絡

レイナが隠し通路の可能性を口にすると、シオリは以前ミハゾノ街遺跡で異常なほど詳細な情報を持っていたキャロルなら、安全な侵入方法を知っているかもしれないと考えた。

レイナは情報が多少漏れる危険より接触手段を得ることを優先し、キャロルへの連絡を指示した。しかし通信は繋がらず、アキラにも連絡が取れなかった。

カード使用の危険

連絡が取れない場合、白いカードを直接使ってオリビアへ接触する案も検討された。しかしカードはアキラとの取引によってシオリ達の物になっていても、オリビア自身はその取引に関与していなかった。

そのためオリビアから見れば所有者は依然としてアキラであり、レイナ達による使用を不正と判断される危険があった。アキラに事情を説明してもらうのが最も安全だったが、本人にも通信が繋がらず、レイナは難しい判断を迫られた。

シロウからの通信

そこへキャロル名義で通信が入った。しかし声の主は別人であり、シロウと名乗った。シロウは、アキラとキャロルがクズスハラ街遺跡奥部で遭難しており、自分なら通信を繋げられると告げた。

シロウという偽名は、名乗っている間の監視記録が消えるという噂と共に裏社会へ広まっていた。そのためシオリには相手の正体を判断できなかったが、アキラ達の命に関わるという話を無視することもできなかった。

アキラとの再接続

シロウは通信を繋ぐ代わりに貸しを作る条件を出した。レイナはそれを受け入れ、アキラとの通信を実現させた。

久しぶりにアキラの声を聞いたレイナには複雑な感情が湧いた。アキラは想い人だったカツヤを殺した相手でもあった。それでもレイナは感情に流されず、アキラが本当にクズスハラ街遺跡奥部で遭難しているのかを真っ直ぐに問いただした。

第227話 シロウとの取引 

ツバキの監視

ツバキは融合体を即死させた後もその場に残り、離れた場所からアキラ達の戦いを見ていた。アキラが支援を求める可能性を考えていたが、アキラ達が自力で融合体を倒したため、帰ろうとした。

その直前、ツバキの前に旧世界風の武装をした少女が現れた。

白い空間での遭難

アキラ達はバイクで長距離を直進しても真っ白な空間から出られず、記録上では既にクズスハラ街遺跡の外まで進んでいた。旧世界の遺跡では常識外の現象も起こるというトガミの言葉をきっかけに、アキラとキャロルは動揺を抑えた。

そこへ本来なら繋がらないはずの通信が入り、レイナから遭難しているのかと尋ねられた。

シロウとの取引

通信にはシロウが割り込み、アキラ達を真っ白な空間から脱出させる代わりに、ツバキとの友好的な交渉ルート作りへの協力を求めた。

シロウは、アキラ達がいる場所を出入口が必要な拡張空間だと推測し、地下トンネル側から再び出入口を作れば脱出できると説明した。アキラが条件を受けるか迷うと、シロウは要求を貸しへ変更し、今後の協力で十分な貸しを作れた場合に頼みを聞いてほしいと提案した。

アルファも、キャロル達を含めて穏便に脱出できる手段を捨てる必要はないとして了承したため、アキラは取引を受け入れた。

アキラのカード

シロウは救援へ向かう護衛を雇うため、アキラの仲介を利用してよいか尋ねた。アキラは交渉材料として自分の名前を使うものだと思い、許可した。

しかしシロウが意味していたのは、レイナ達が持つリオンズテイル社の白いカードだった。シロウはアキラの言葉を、カードの使用許可として利用するつもりだった。

レイナへの要求

シロウはアキラとの通信を切ると、レイナ達に白いカードを使わせるよう要求した。レイナは、カードの所有権についてアキラへ事情を説明してからにしたいと主張した。

しかしシロウは、今その話をすれば自分がアキラの救助を妨げる脅迫材料にされていると誤解される恐れがあると指摘した。レイナはカードを渡す危険性と、拒否してアキラの救助を遅らせる危険性の間で判断を迫られた。

レイナの条件

シロウが協力姿勢を見せると、レイナはカード使用の条件を提示した。シロウ本人が姿を見せて本名を名乗ることと、レイナ達もアキラの救援に同行させることだった。

シロウは両方を了承し、直後に迷彩を解除してレイナ達の前へ姿を現した。カナエとシオリは至近距離まで接近を許していたことに警戒を強めたが、シロウはフードを外し、本名もシロウだと明かした。

レイナは自分の責任で白いカードをシロウへ渡した。

オリビアとの契約

シロウはカードを介して旧領域経由でリオンズテイル社へ接続すると、すぐにカードをレイナへ返した。シロウの拡張視界にはオリビアが現れ、アキラの紹介客として正式に応対した。

シロウは自分自身の護衛を依頼し、契約期間を一か月単位、当面の行動をアキラの救援とした。オリビアは直接アキラを救援する案も提示したが、シロウは自分の護衛として契約することを選んだ。

基本料金は500万コロンだったが、シロウは躊躇せず支払った。

現れたオリビア

入金直後、オリビアは既に現地へ到着していると告げた。次の瞬間、迷彩状態だったオリビアがレイナ達の目前に姿を現し、カナエとシオリは即座にレイナを守る態勢を取った。

レイナはオリビアへ話しかけようとしたが、オリビアは既にシロウとの契約業務中であるため、問い合わせには応じられないと告げた。レイナは接触を断念した。

アキラ救援への出発

シロウはオリビアを護衛に連れ、アキラ救援へ向けて直ちに出発した。レイナ達にも同行するなら自力でついてくるよう告げた。

送られた経路はミハゾノ街遺跡から地下を通ってクズスハラ街遺跡奥部まで続いており、地上から途中合流できる道はなかった。レイナは危険な経路であることを承知した上で進むことを決め、シオリとカナエもそれに従った。

第228話 リオンズテイル社 

パメラの迎撃

セランタルビルを包囲していたリオンズテイル社の部隊は、クロエの指示でレイナ達を警戒していた。パメラは高速で接近するレイナ達の車を発見すると停止を求めたが、レイナは無視して突破を命じた。

パメラは車両の破壊を許可し、部下達が一斉に攻撃した。レイナ達も反撃し、シオリとカナエが車上で接近してくるメイドや執事を迎撃した。レイナも二人が引き離された隙に自ら銃撃し、敵の侵入を防いだ。

セランタルビルへの偽装突撃

パメラは、レイナ達がセランタルビルへ強行突破しようとしていると推測した。さらに都市側の部隊と事前に取引している可能性まで考え、ビル周辺の守りを固めるために散開していた部下達を集結させた。

それこそがレイナ達の狙いだった。包囲がビル周辺へ縮まったことで、地下トンネルへの入口付近から敵が離れた。レイナは進路を急激に変え、セランタルビルとは別方向へ車を走らせた。

立体映像の壁

レイナ達はシロウから教えられた巨大な壁へ一直線に向かった。車載銃を撃ち込んでも傷一つ付かなかったため、情報が誤っていれば逃げ場を失う危険な賭けだった。

シオリとカナエは衝突直前に壁へ攻撃したが、その刃と拳は空を切った。車もそのまま壁をすり抜け、地下トンネルへ入った。壁は高度な立体映像と力場障壁によって作られた偽装だった。

レイナ達はシロウの情報が正しかったことに安堵し、そのまま地下トンネルを進んだ。

クロエの推測

パメラから報告を受けたクロエは、レイナ達がセランタルビルに入っていないことを確認した。その上で、レイナ達が危険を冒してまで車両で地下トンネルへ急いだことに注目した。

クロエは、レイナ達には地上から行けない遠方へ、時間を掛けずに向かわなければならない理由があると考えた。しかし目的までは分からず、パメラには引き続きセランタルビル周辺を守らせた。

ラティスへの出撃命令

側近のラティスは、レイナを逃したパメラへの処分について進言したが、クロエはパメラの判断を妥当として責任を問わなかった。

その後、ラティス達は人型兵器を着込むような高性能の重装強化服を装着した。クロエはラティスを含む七名を、第2奥部へ向けて出撃させた。同行する一人は、坂下重工を敵に回す危険を承知しながらも参加を選んでいた。

オリビアとの高速移動

地下トンネルでは、シロウがバイクを全速で走らせ、その横をオリビアが余裕を持って走っていた。シロウが自分ごと運んでもらえるか尋ねると、追加料金10万コロンを求められたため断った。500万コロンで契約した護衛期間を少しでも長く残したかったためである。

シロウは今後も追加料金が必要な依頼については事前確認を求め、オリビアも了承した。

レイナ達との合流

後方からレイナ達の車が追い付くと、レイナはより速く進むためシロウを車へ誘った。オリビアは走行中のシロウとバイクをまとめて持ち上げ、そのままレイナ達の車の屋根へ運んだ。

この程度は護衛に付随する雑務として追加料金の対象にはならなかった。シロウとオリビアが車内へ移ると、レイナ達はアキラ救援を目指して地下トンネルをさらに加速して進んだ。

第229話 幻影都市 

白い空間での待機

アキラ達は、シロウが地下トンネル側から出入口を作って救援に来ると考え、データ上で第3奥部へ入った地点まで戻った。しかし融合体を倒した痕跡は見付からず、本当に元の場所へ戻れたかは判断できなかった。

アキラはアルファに聞けば答えを得られたが、自分だけ確信を持てばキャロル達に不審がられると考え、敢えて尋ねなかった。限られた情報だけで行動することを選び、その場でシロウを待つことにした。

空から落ちる融合体

待ち始めて間もなく、上空から融合体の死体が次々と落下してきた。どれも銃撃や打撃で殺されており、最後には巨大な拳を血肉で汚した赤い人型兵器が降りてきた。

搭乗していたのはドラゴンリバーの隊長タツカワだった。キャロルとトガミが自己紹介すると、トガミはハンターランク78のタツカワを前に強く緊張した。

タツカワの遭難

キャロルは地下トンネルの存在を伏せたまま、通路を進んでいるうちに白い空間へ入り、帰路を失ったと説明した。するとタツカワも同じように遭難していたことを明かした。

タツカワは第2奥部の攻略を進める精鋭部隊の先頭を人型兵器で進んでいたが、突然一人だけ白い空間へ放り出されていた。上空へ約2000メートル上昇した後、約500メートル下降しただけで床へ戻るなど、距離や空間の感覚も正常ではなかった。

脱出情報の取引

アキラ達に脱出の目処があると知ったタツカワは、その情報を求めた。キャロルは詳細を交渉材料とし、タツカワも自身の戦力を条件に交渉へ応じた。

そこへ融合体が現れると、タツカワは赤い人型兵器で瞬時に接近し、わずか二撃で撃破した。その実力を示したことで、キャロルは地下トンネルの地図情報をドラゴンリバーへ全て渡し、発見者として扱っても構わないという条件を提示した。タツカワも了承し、双方の利害が一致した。

途切れたふりの通信

タツカワが仲間へ連絡するためシロウとの通信を求めたが、アキラが呼び掛けても返答はなかった。キャロル達は通信環境の悪化を疑い、待つことにした。

しかしアルファによれば、シロウとの通信は最初から切れておらず、トガミの情報端末を通して現在も繋がったままだった。シロウが切断したように見せながら、アキラ達の情報を受け取り続けていたのである。アキラは怒りを覚えたが、脱出を優先して今は黙認した。

二撃で倒したタツカワ

アキラは、タツカワが融合体を二撃で倒したため死体が砂になっていないことを不思議に思った。アルファは、融合体が体内のエネルギーを使い果たす前に、高度な技術と人型兵器の機能で即死させたためだと説明した。

タツカワは逆に、アキラも融合体を倒した実力を評価した。アキラは三人で倒したと強調し、一人でも楽勝だったとは絶対に言わないと釘を刺した。キバヤシに危険な依頼を押し付けられることを警戒していたためだった。

タツカワの言い訳

アキラから、一人で突出した結果遭難したことをメルシアに怒られるのではないかと指摘されると、タツカワは部隊全体を守るため前衛に立っただけだと弁明した。

無茶ではなく運が悪かっただけだと自分に言い聞かせるように話したが、アキラから相手が信じてくれればよいと言われ、タツカワはメルシアへの釈明を思って項垂れた。

現れた旧世界の都市

その直後、周囲の真っ白な空間が突然消え、高層ビルが立ち並ぶ旧世界の都市へ変わった。融合体の死体はそのまま残っていたため、アキラ達が別の場所へ移動したわけではなかった。

タツカワが人型兵器でビルを殴ると壁には実際の感触があり、内部には部屋や家具も存在した。しかし破壊された部分は瓦礫を残さず消え、数秒後には元通りになった。キャロルは、建物全体が立体映像と力場障壁によって構築されている可能性を挙げた。

第3奥部の正体

タツカワは、第2奥部深部だと思っていた場所も既に第3奥部であり、周囲の都市そのものが立体映像と力場障壁で作られていたのではないかと推測した。それらが解除されたことで、真っ白な空間が現れた可能性があった。

アキラは、都市の姿に戻った今なら第2奥部へ抜けられるかもしれないと考えた。一行は移動を再開し、トガミはより安全なタツカワの人型兵器へ移り、アキラとキャロルはバイクで進むことになった。

怪獣の出現

一行は高層ビルの屋上へ上がり、測位システムが示すクガマヤマ都市の方向へ進もうとした。その時、アルファが強い警戒を示したため、アキラもタツカワへ危険を知らせた。

やがて濃密な色無しの霧の向こうから、巨大で高エネルギーな反応が捉えられた。解析によって姿が明らかになると、それは山のような巨体を持つ、最前線付近で怪獣と呼ばれる生物系モンスターだった。

第230話 怪獣 

第2奥部への強行突破

シロウ達は地下トンネルの第1奥部手前で閉じた隔壁に阻まれた。迂回路では車両が通れないため、シロウは旧領域を介して隔壁のシステムへ介入し、強い負荷に耐えながら強制的に開いた。

第1奥部へ入るとモンスターの群れが襲来したが、レイナ達は車載銃とシオリ、カナエの戦闘力で突破した。さらに第2奥部の隔壁もシロウが開き、レイナは危険なら全員で撤退する方針を保ちながら、自らも戦闘に参加した。第2奥部のモンスターは格段に強かったものの、三人はオリビアの援護を受けずに撃退しながら進んだ。

怪獣に追われるアキラ達

約束通りシロウは、レイナ達にアキラ達の状況を映像で見せた。そこではアキラ、キャロル、タツカワ、トガミが巨大な怪獣から逃走していた。

アキラ達は当初、色無しの霧に紛れて怪獣から離れようとしたが、進路上に現れた融合体をタツカワが撃破したことで存在を察知された。怪獣は追跡を開始し、都市間輸送車両の主砲を超えるほどの光線を放った。アキラ達は高層ビル群を盾にし、タツカワの人型兵器とアキラのバイクの防御機能を使って辛うじて耐えた。

融合体の包囲

怪獣から逃げる途中、地上と空中から多数の融合体が現れた。後退すれば怪獣に追い付かれるため、アキラ達は前進するしかなかった。

タツカワは人型兵器で融合体を吹き飛ばし、光弾で群れを牽制した。アキラもアルファの全面的な支援を受け、バイクの巨大な銀色のブレードを使って融合体を次々と両断した。キャロルも後方から銃撃し、タツカワとアキラは互いに援護しながら群れを突破した。

尽きる防御力

怪獣の光線は融合体まで巻き込みながらアキラ達を襲い、そのたびに人型兵器とバイクのエネルギーを大きく削った。タツカワとアキラは、あと二回程度しか防げないと判断した。

やがて四度目の光線を防ぎ切ったことで、防御に使える余力は尽きた。次の攻撃を受ければアキラ達は助からない状況となったが、第3奥部から抜け出せる兆しも現れなかった。

アキラの限界

追い詰められたアキラはアルファに何とかできないかと尋ねた。アルファは本当に自分が対処してよいのかと確認した。

その問いから、アキラはアルファなら自分だけを生還させることはできても、キャロル達まで救う方法ではないと察した。アキラは自身が生き残ってアルファへの借りを返す必要と、護衛としてキャロル達を見捨てられない責任の間で葛藤し、限界まで待ってほしいと頼んだ。

シロウの救援地点

五度目の攻撃では怪獣が光線ではなく突進を選び、わずかな猶予が生まれた。その時、シロウから通信が届き、脱出地点が示された。

しかし指定された場所はアキラ達と怪獣の間にあった。アキラとタツカワは即座に反転し、怪獣へ向かう形で全速力を出した。怪獣も停止して光線を放つ準備に入り、アキラ達が出入口へ到達するのとほぼ同時に攻撃態勢を整えた。

オリビアの一閃

怪獣が光線を放つ瞬間、アキラは諦めず、巨大なブレードへ全力でエネルギーを込めて斬撃を放った。光の奔流は十字に切り開かれ、アキラ達への直撃を免れた。

アキラが一度しか斬っていないことを不思議に思うと、その横には居合いを終えたオリビアがいた。オリビアの一閃がアキラの攻撃と重なり、怪獣の光線を切り裂いていた。

アキラ達とタツカワは開かれた地下トンネルへ飛び込み、オリビアが続いた直後に出入口は消滅した。こうして全員が第3奥部から脱出した。

オリビアとの対面

生還を実感したキャロルはアキラに抱き付き、二人は緊張から解放されて笑った。アキラもアルファに自分だけを救わせず、全員で帰還できたことに安堵した。

タツカワから救援者について尋ねられたアキラは、オリビアとは面識がなかった。オリビアはリオンズテイル社所属と名乗り、シロウとの契約に基づいて救援へ介入したと説明した。

シロウとの再会

地下トンネルを進んだ先では、シロウとレイナ達が待っていた。アキラは以前会ったシロウがトガミの依頼主だったことを知って驚いた。

トガミも久しぶりにレイナと再会した。レイナはカツヤを殺したアキラにも以前と同じような態度で接し、アキラも気まずさを感じながらそれに合わせた。

帰還への隊列

タツカワは仲間との通信を回復させるため、詳しい話は移動しながらにしようと提案した。疲労していたアキラにはレイナとキャロルが休むよう勧め、キャロルは自分がアキラを護衛する側に回ると告げた。

アキラは了承し、レイナ達の車内で休むことにした。キャロルはアキラのバイクを借り、トガミも護衛料を少しでも相殺するため同行してRL2複合銃を受け取った。タツカワは人型兵器へ戻り、一行は地下トンネルを進みながら帰還を続けた。

第231話 殺した理由 

シロウへの借り

レイナの車で休息に入ったアキラに、シロウは救出によって大きな貸しを作ったとして、以前の頼みを受けるよう求めた。しかしアキラは借りの大きさを認めながらも、ツバキとの仲介を引き受けるには足りないと拒んだ。

代わりにアキラは、キャロルの護衛依頼が終わった後なら、第1奥部の封鎖領域へシロウを護衛して同行してもよいと答えた。ただし生還を前提とし、危険すぎると判断すれば連れ帰るという条件を付けた。シロウは貸しを今使うべきか迷った末、ひとまず保留した。

白いカードの経緯

レイナは、オリビアがかつてアキラに残したリオンズテイル社の白いカードについて説明した。シオリがアキラの知識不足を利用する形でカードを譲り受けたことも正直に明かした。

しかしアキラは、自分ではカードを有効利用できず、利益を生み出せる者に渡すのは悪い判断ではなかったとして怒らなかった。さらに当時アルファからカードを手放すよう勧められていたこともあり、今さら問題にする気はなかった。

敵対しない約束

それでもレイナは、従者であるシオリの行為の責任を主である自分が負うとして、何か要求があれば言ってほしいと申し出た。

アキラが求めたのは、レイナに自分と敵対しないでほしいということだった。レイナは軽い頼みだと思ったが、アキラがユミナにも出来なかったことだからと続けたことで、その意味の重さを理解した。

レイナは、ユミナとアキラが望んで殺し合ったわけではなく、それでも敵対を避けられなかったのだと受け止めた。そしてレイナ・リラルト・ローレンスの名に懸け、アキラとは敵対しないと誓った。

オリビアを巡る貸し借り

シロウは、オリビアを雇った功績までレイナのものになることを警戒し、自分がカードを借り、リオンズテイル社と契約し、代金も支払ったと改めて説明した。

一方で、レイナはシロウが自分を半ば脅してカードを使わせたことをアキラに明かした。アキラが険しい反応を見せると、レイナは救出を急いだための行動だったとしてシロウを庇った。シロウはその助けを借りとして受け入れ、最終的にはアキラへの貸しを今は蓄えておくことにした。

開閉される隔壁

帰路ではシロウが第1奥部と第2奥部の境界にある隔壁を閉じた。シロウが遺跡設備へ介入できると知ったタツカワは驚き、将来ドラゴンリバーが攻略に利用する際に開けてもらえるか尋ねた。

シロウは状況と報酬次第で応じると答え、連絡先を渡した。さらに外周部との境界も閉じ、モンスターが地下経路から流出する危険を抑えた。

地下トンネルの新たな出口

タツカワは仲間との合流を急ぎ、レイナもミハゾノ街遺跡へ戻ることを避けたかったため、別の出口を求めた。オリビアは近くの出口を知っていると答え、一行を案内した。

やがてオリビアは崩落箇所から地上まで通じる大穴を蹴り開けた。そこにはメルシア率いるドラゴンリバーの大部隊が待機しており、タツカワ達の帰還と同時に地下トンネルの制圧と簡易拠点の構築を開始した。

タツカワとメルシア

メルシアは無事に戻ったタツカワを抱き締め、心配させないでほしいと告げた。タツカワも素直に謝った。

しかし直後、メルシアは勝手に突出したことへの怒りを爆発させ、タツカワを殴り飛ばした。タツカワは言い訳しながら攻撃をかわし、二人は高度な攻防を続けた。周囲のドラゴンリバーの者達は慣れた様子で作業を続け、その間に地下トンネルへ通じる区域は占拠された。

それぞれの帰路

シロウはオリビアと共にその場を離れ、アキラへの貸しを今後も増やすつもりで去った。アキラとキャロルも疲労からミハゾノ街遺跡の車を取りに戻らず、キャロルの自宅へ向かった。

レイナ達もクロエとの接触を避けて都市へ急ぎ、アキラを今後の計画にどう関わらせるかを改めて検討することにした。トガミもドランカムへの報告内容に悩みながら帰還した。

護衛代の清算

キャロルの自宅に戻ったアキラは、入浴しながら第3奥部まで進んだ判断を反省し、護衛としてキャロルを危険に巻き込んだことを謝った。しかしキャロルは進行を望んだのは自分でもあり、アキラは最後まで護り切ったとして責めなかった。

キャロルは怪獣から救われた分まで含めると、正規の護衛代を支払う能力がないと打ち明けた。アキラはツバキの件を忘れるという約束も踏まえ、取り立てや催促はせず、払えるだけでよいとした。ただし護衛契約は先払いされた期限までで終了し、更新しないと決めた。

ヴィオラの緊急警告

睡眠を取った二人が日没前に目覚めると、キャロルへヴィオラから最高度の緊急通知が届いた。今すぐその場を離れろという内容であり、冗談では送らないと取り決めていた種類の警告だった。

アキラとキャロルは詳細を確認する前に装備を整え、玄関ではなくベランダから脱出した。アルファが操るバイクに乗り込み、即座に都市内を離れ始めた。

ウダジマ殺害の冤罪

逃走中、イナベから連絡が入り、アキラが間もなく賞金首になると告げられた。罪状は都市幹部ウダジマの殺害だった。

アキラはまだウダジマを殺していないと驚いたが、イナベも冤罪だと考えていた。それでも無実が証明される保証はないとして、投降せず荒野へ逃げるよう強く指示した。

直後にはクガマヤマ都市防衛隊の人型兵器部隊が追跡してきた。キャロルはアキラが自分を巻き込まないために迷うことを予想し、考える前に逃走へ集中させた。

シロウの偽装工作

追跡中、シロウが再び連絡を入れ、貸しにすることを条件に逃走を手伝うと申し出た。アキラはシロウが自分をツバキとの交渉に利用したがっている以上、捕らえる罠ではないと判断して協力を求めた。

シロウは防衛隊の人型兵器へ介入し、アキラが別方向へ逃げたようにデータを改竄した。追跡部隊は偽の情報を信じて離れていき、アキラ達は戦闘を避けて都市から脱出した。

怪獣の上の偽アキラ

都市から十分に離れたアキラ達は廃墟で足を止め、ヴィオラから送られていた詳細を確認した。

映像には第2奥部の怪獣と、その頭上でウダジマを捕らえているアキラの姿が映っていた。しかしそれはアキラ本人ではなかった。

偽のアキラは、自分が建国主義者へ寝返ったと宣言し、以前の戦いで都市が偽物の存在を知りながら利用したため、ユミナと殺し合うことになったと訴えた。そして都市幹部への復讐を宣言し、ウダジマを銃撃して殺害した。

ユミナを利用した偽物

映像の偽物は、ユミナを殺したのは都市幹部達の所為だと叫び、ウダジマを一人目として次の復讐を予告した。

映像を見終えたアキラは、以前にも自分の偽物が建国主義者のボスを名乗ったことを思い出した。しかし今回の偽物は、アキラ自身のユミナへの思いまで利用していた。

アキラは表情を失い、映像の中で自分を名乗る存在へ、濃く暗い殺意を向けていた。

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