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ナフセフィクション(Novel)リビルドワールド読書感想

小説「リビルドワールド I(1)〈上〉 誘う亡霊(1)」感想・ネタバレ

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ナフセ

リビルドワールド全巻まとめ
リビルドワールドI〈下〉レビュー

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物語の概要

■ 作品概要

『リビルドワールドI〈上〉 誘う亡霊』は、高度な科学技術を誇った旧文明が崩壊した後の世界を舞台にした、ポストアポカリプスSFバトルアクション小説である。 世界中に散らばる莫大な価値を秘めた旧世界の「遺物」を回収するため、数多の「ハンター」たちが危険なモンスターが潜む遺跡へ命がけで挑む過酷な世界観が描かれる。 スラム街出身で何の肉体的強化も持たないごく普通の少年アキラは、這い上がるために足を踏み入れたクズスハラ街遺跡で、自分にしか認識できない拡張現実の謎の美女アルファと出会う。アキラが彼女の目的である「特定の高難度遺跡の極秘攻略」を受け入れる契約を結んだことから、二人の数奇なハンター稼業の幕が開ける。

■ 主要キャラクター

  • アキラ: 本作の主人公。スラム街出身の何の強化処置も施されていない少年であり、生き延びて劣悪な境遇から這い上がるために強い「覚悟」と執着を持ってハンターとなった。アルファと契約を交わし、彼女の神がかり的な戦闘サポートによって劇的な戦闘能力の向上と急成長を遂げていく。
  • アルファ: アキラの前に突如全裸で現れた、アキラにしか見えない拡張現実(AR)の謎の美女。自身の目的を達成するため、アキラの脳に直接情報を送り込み、銃の弾道予測、状況の事前察知、高度な戦闘演算によるリアルタイムのサポートを提供する。アキラを惹きつけ、その行動や価値観を自分の望む方向へコントロールするための計算と打算を裏に秘めている。
  • シズカ: クガマヤマ都市の下位区画にある銃弾専門店「カートリッジフリーク」を一人で切り盛りする美人店長。装備を整えにやってきたアキラに突撃銃を販売し、型落ちの服やリュックを無償で提供するなど、打算のない気遣いを向けるアキラの大切な理解者である。
  • エレナ: 状況分析や情報収集を担当する実力派の女性ハンターで、サラの相棒。遺跡の再調査中、色無しの霧による通信障害の中で強盗ハンターに捕らえられて人質にされるが、アキラの無償の奇襲介入によって救い出された。
  • サラ: 身体強化拡張者の女性ハンターで、エレナの相棒。かつて瀕死の治療で投与された「消費型ナノマシン」を生命維持に不可欠とする体であり、チームの資金難から補給を控えて胸の補給庫が萎むほどの窮地にあったが、アキラから無償で提供された旧世界製の回復薬(ナノマシン)によって劇的に救われる。
  • カツラギ: 主にハンターを商売相手とし、大型トレーラーを駆使して移動店舗を経営する中年の武器商人。荒野でモンスターの群れに執拗に追われていた際、アキラに命を救われ、彼の実力と不器用な誠実さを認めてビジネス上の繋がりを持つようになる。

■ 物語の特徴

「善行」が手繰り寄せる幸運と信頼の連鎖: 誰も信用できない世界で、アキラが「運を良くしたい」という極めて不器用な自己満足から見返りも求めずにサラたちを救った善行が、のちにアキラ自身が死を覚悟したモンスターの群れとの決戦において、実力を取り戻したサラたちの圧倒的な重火力による救援という形で劇的に回収されるカタルシスが、上巻の最大のハイライトである。

容赦のないシビアなディストピアの倫理観: 命の価値が非常に安く、スラム街の飢えや遺跡のモンスターといった脅威に加えて、生きているハンターを殺して装備を奪い取る「強盗ハンター」が横行する冷酷な世界観が描かれる。主人公アキラも甘さを排除し、敵対者や命乞いをする強盗に対して一切躊躇なく引き金を引く非情な倫理観を持っており、このダークで現実的な描写が本作の大きな魅力である。

打算と信頼が表裏一体となったアシメトリーな関係性: 肉体を持たずアキラを「自身の目的」のために利用しようと計算を重ねるアルファと、過酷なスラム生活から抜け出すために彼女の指示を盲信して命を投げ出すアキラの、奇妙で緊張感のある契約関係が描かれる。文字の読み書きすらできないアキラが彼女から知識や教養を学び、お互いへの「信頼」を深めていくプロセスが緻密に描写される。

KADOKAWAオフィシャルチャンネル
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読んだ本のタイトル

#リビルドワールド I〈上〉 誘う亡霊 (1)
著者:#ナフセ 氏
イラスト:#わいっしゅ  氏
出版社:KADOKAWA電撃の新文芸
発売日:2019年5月17日
ISBN:9784049123944

(PR)コチラのサイトから購入して頂けると幸いです。

あらすじ・内容

科学文明の崩壊後、再構築された世界――少年と謎の美女のハンター稼業録!

 電撃《新文芸》スタートアップコンテスト《大賞》受賞作!!

 旧文明の遺産を求め、数多の遺跡にハンターがひしめき合う世界。
 新米ハンターのアキラは、スラム街から成り上がるため命賭けで足を踏み入れた旧世界の遺跡で、全裸でたたずむ謎の美女《アルファ》と出会う。
 彼女はアキラに力を貸す代わりに、ある遺跡を極秘に攻略する依頼を持ちかけてきて――!?
 二人の契約が成立したその時から、アキラとアルファの数奇なハンター稼業が幕を開ける!

リビルドワールドI〈上〉 誘う亡霊

感想

荒廃した未来。

旧世界の遺跡にはモンスターが徘徊し、スラムでは今日を生き延びるだけでも大変。

そんな世界で、孤児の少年アキラはハンターとして成り上がるため、まともな装備もないまま拳銃一挺で遺跡へ向かう。

そこで出会ったのが、実体のない謎の美女アルファだった。

しかも初登場時は全裸。

いや、いきなりそこかい!

かなりインパクトのある始まりなのだが、読み進めると世界は想像以上に殺伐としている。

モンスターは普通に銃火器を装備している。

ハンター同士でも殺し合う。

スラムでも金を持っているだけで襲われる。

アキラも何度も死にかける。

それでも少しずつ装備を整え、アルファから訓練を受け、ハンターとして成長していく。

読んでいて感じたのは、

「この世界、本当にいつ死んでもおかしくないな」

という緊張感だった。

全裸の美女アルファと出会ったと思ったら、いきなり死にかける

アキラはクズスハラ街遺跡で、一人の女性と出会う。

荒廃した遺跡。

モンスターだらけ。

そんな場所に、なぜか全裸の美女が立っている。

いきなりオチかい!!

当然、アキラも見惚れる。

しかしすぐに、

「こんな場所に全裸で立っている時点でおかしい」

と気付いて銃を向ける。

ところが触ろうとしても身体をすり抜ける。

彼女は実体を持つ人間ではなかった。

名はアルファ。

アキラの視覚や聴覚へ直接情報を送り込む、拡張現実のような存在である。

しかも普通なら専用の機器などが必要なのに、アキラは生身のままアルファを認識できる特殊な側の人間だった。

そんなアルファがアキラへ持ちかけたのが、

「指定する遺跡を極秘に攻略してほしい」

という依頼。

なぜ攻略する必要があるのか。

アルファは何者なのか。

肝心な部分はまだ教えてくれない。

その代わり、攻略できるだけのハンターへ育てるため、装備、訓練、情報収集まで全面的に支援するという。

怪しすぎる。

でもスラムで暮らしているアキラには、普通に生きているだけで未来がない。

怪しい話でも、這い上がれる可能性があるなら掴む。

そこから二人(?)のハンター生活が始まる。

ただ契約した直後から、ミサイルや機銃を生やした《ウェポンドッグ》に襲われる。

拳銃しか持っていない少年に戦わせる相手じゃないだろ。

この世界の基準が最初からおかしい。

強くなる以前に「生き残る方法」を叩き込まれる

面白かったのは、アルファの支援が単純なパワーアップではないところだった。

敵の位置。

逃走経路。

射撃のタイミング。

銃の扱い。

索敵。

読み書き。

一般常識。

本当に一から教えていく。

最初のアキラは文字すら読めない。

ハンター登録でも名前を「アジラ」と間違えて登録されているのに、それすら自分では分からない。

しかもハンターオフィスの職員からは、

「どうせすぐ死ぬ」

程度にしか扱われていない。

そんな少年が旧世界の遺物を回収し、少しずつ金を手に入れる。

そして新品の《AAH突撃銃》を購入。

荒野でアルファに射撃姿勢を修正され、ひたすら撃つ。

外す。

また撃つ。

仮想のウェポンドッグに何度も殺される。

失敗するたびに、自分の死体の映像まで見せられる。

訓練からして容赦がない。

ただ、そのおかげで以前は悪夢に出てきたウェポンドッグを、夢の中で冷静に撃ち倒せるまでになる。

急に強くなるのではなく、

「昨日できなかったことが、少しずつできるようになる」

という成長なのがよかった。

エレナとサラを助けて逃げるアキラが妙に格好いい

特に印象に残ったのが、エレナとサラのエピソードだった。

アキラが高価な遺物を持ち込んだことで、

「子供でも行ける場所に、まだ高価な遺物が残っているらしい」

という噂が広がってしまう。

それを聞いたハンターたちがクズスハラ街遺跡へ集まり、エレナとサラも調査へ向かう。

ところが二人は、遺物を見つけられず強盗へ転じたハンターたちに襲われてしまう。

ここでアキラは二人を見つける。

アルファからすれば、助ける必要はない。

関わればアキラ自身が死ぬ危険が増える。

当然止める。

それでもアキラは助ける。

とはいえ、アキラ一人で敵を全滅させたわけではない。

最初の狙撃でブバハを仕留め、その後も援護を続けるが、エレナ自身も武器を奪って反撃している。

そして戦いが終わると、アキラは姿を見せようとしない。

エレナがお礼を言おうと追ってくると、

近付くな。

と警告して逃げる。

さらに負傷したサラのために旧世界製の回復薬だけ置いていく。

いや待て。

かなり格好いいことしてるぞ、アキラ!!

助けた。

名乗らない。

報酬も求めない。

治療薬だけ渡して去る。

エレナたちからすれば謎の命の恩人である。

実際、その回復薬によってサラの銃創は急速に治り、エレナも負傷や疲労から回復する。

さらに二人は襲撃者たちの装備を回収できたことで、資金難からも立ち直るきっかけを掴む。

後にサラが、アキラから渡された弾丸をペンダントにしているのも面白い。

本人は知らないところで、

「謎の格好いい恩人」

みたいな人物像が育っている。

実物はスラム育ちの駆け出しハンターなんだけどな。

シェリル、カツラギ、エレナたち。殺伐とした世界だからこそ縁が残る

一方で、アキラ自身も何度も人間から狙われる。

遺物を持っている。

装備が良くなった。

でも見た目は子供。

そうなると、

「殺して奪えばいい」

と考える人間が出てくる。

スラムの徒党を率いていたシベアもその一人だった。

しかし今のアキラは、最初に拳銃だけで遺跡へ入った少年とは違う。

訓練を重ね、アルファの支援も受けている。

シベアの一団を撃退し、シベア自身も殺す。

そこで現れるのがシェリルだった。

シベアに庇護されていた彼女は、彼の死によって居場所を失ってしまう。

そこで自分たちを壊滅させたアキラ本人に接触。

最終的にはアキラを後ろ盾にし、自分が徒党のボスになる。

アキラ本人はボスになる気などまったくないのに、スラムの一団との繋がりができてしまう。

さらに荒野では武器商人カツラギと出会う。

モンスターの大群に襲われる中で共闘。

どうにか生き延びようとするが、最後には弾薬まで尽きる。

もう終わり。

そう思ったところへ救援に来たのが、

エレナとサラ。

以前アキラが助けた二人だった。

本人たちは目の前のアキラが命の恩人だとは知らない。

それでも結果として、

アキラが二人を助けた。

二人が立ち直った。

その二人が今度はアキラを助ける。

という形になっている。

この繋がりがよかった。

運が悪ければ普通に死ぬ世界だからこそ、過去に作った縁が後から命を救う。

アキラ自身の強さだけでは生き残れない。

そこが妙に現実的に感じた。

面白い。でも映像では見たくないかもしれない

『リビルドワールドI〈上〉 誘う亡霊』を読んでいて一番感じたのは、

とにかく世界が容赦ない。

ということだった。

モンスターが強いだけではない。

人間も普通に殺しに来る。

怪我もかなり生々しい。

銃で撃たれる。

脚を撃ち抜かれる。

モンスターに食い千切られそうになる。

回復薬で治療する時も痛い。

そしてアルファの訓練では、自分が食い殺された姿まで何度も見せられる。

文章だから、

「うわ……」

と思いながらも読み進められる。

でもこれ、漫画やアニメで絵になったら結構キツそうだな。

グロい場面をしっかり描写されたら、自分はちょっと引くかもしれない。

その一方で、作品としてはかなり面白かった。

最初は拳銃一挺しかなかったアキラが、

アルファと出会う。

遺物を拾う。

人間に狙われる。

装備を奪う。

金を稼ぐ。

新しい銃を買う。

訓練する。

少しずつ人との繋がりも増えていく。

本当に一歩ずつ「ハンター」になっていく。

まだアルファが何者なのかも分からない。

なぜ指定された遺跡を攻略する必要があるのかも分からない。

アキラ自身がなぜ特別なのかも、まだ謎が多い。

それでも、

今日より少しましな明日のために、死なないように前へ進む。

そんなアキラの泥臭さが印象に残った。

殺伐としている。

かなり物騒。

でも面白い。

そして最初に全裸で登場したアルファが、ここまでアキラの人生を変える存在になるとは思わなかった。

まだ〈上〉なのに、すでに何度死にかけてるんだよ。

そんなことを思いながら〈下〉へ進みたくなる一冊だった。

最後までお読み頂きありがとうございます。

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リビルドワールド全巻まとめ
リビルドワールドI〈下〉レビュー

考察・解説

旧世界の遺跡

旧世界の遺跡とハンターの存在意義の全貌

『リビルドワールド I(1)〈上〉』の記録において、物語の舞台となる旧世界の遺跡は、この世界観とハンターたちの生き様を定義する極めて重要な場所である。旧世界の遺跡の定義、ハンターたちが命を賭けて挑む理由、物語の舞台であるクズスハラ街遺跡の特性の各点から解説する。

旧世界の遺跡とは

かつて世界を席巻していた、万能の魔術と見間違うほどの高度な科学力を誇る過去の文明(旧世界)が滅び、長い年月を経てもなお、地平の果てまで残されている半壊した都市の跡や原型を失つつある建造物群を指す。

・遺跡の内部や周囲は、故障による暴走で目標を無差別に襲う自律兵器や、かつての製作者の命令に従い続けている警備機械の住み処となっている。
・野生化した生物兵器の末裔や、過酷な環境で突然変異を繰り返す動植物も徘徊している。
・特に遺跡の奥部に進むほど、旧世界時代の高度な自動整備修復機能が現在でも稼働しており、当時の驚異的な技術で作られた高い性能を維持する警備機械が部外者を武力で排除し続けているため、生還の可能性が皆無なほどの死地となっている。

ハンターたちが命を賭けて挑む理由

これほど危険な場所であるにもかかわらず、ハンターたちが自身の命を天秤にかけて遺跡に向かうのは、そこに眠る旧世界の遺物が莫大な富と力をもたらすからである。

・再現不可能な超技術:遺物には、現代の技術では再現不可能な高度な精密機械から、一見ただの日用品に見えて異常な性能や頑丈さを持つもの(破れない旧世界製の紙袋や、壁ごと戦車を両断する安全装置を解除したナイフ、高性能なハンカチなど)まで様々なものが含まれる。
・成り上がりの手段:これらを持ち帰って売却することで、時に都市すら買えるほどの大金や、都市を超えるほどの権力と戦力を手にして成り上がることが可能である。また、徘徊するモンスター自体も貴重な機械部品や生体技術の宝庫であり、相応の価値で買い取られる。
・スラムからの脱出:アキラのようなスラム街の子供にとっては、日々強盗やモンスターに怯え、安全性も味も不確かな配給サンドイッチで飢えを凌ぐだけの生活から這い上がるための、唯一の現実的な賭けの対象でもある。

物語の舞台「クズスハラ街遺跡」

アキラが探索するクズスハラ街遺跡は、彼が住むクガマヤマ都市から最も近い最大の遺跡である。元々クガマヤマ都市は、このクズスハラ街遺跡を攻略するために作られた都市という歴史を持っている。

・外周部:アキラのような軽装備の子供でも偶然遺物を見つけられる可能性はあるが、めぼしい高価な遺物はすでに他のハンターたちに取り尽くされており、基本的には徒労に終わりやすい場所である。
・奥部(危険地帯):十分な装備を持ったハンターたちであっても割に合わないと引き返すほど、強力なモンスターや警備機械がはびこる領域であり、本来は未熟なハンターが足を踏み入れれば一瞬で木っ端微塵にされる危険な世界である。

まとめ

旧世界の遺跡とハンターの存在意義を巡る一連の全貌は、過去の超技術と警備機械がはびこる危険な旧世界遺跡の定義から始まり、再現不可能な遺物やモンスター部品の回収による成り上がりとスラム脱出の動機、そしてクガマヤマ都市の起点となったクズスハラ街遺跡の外周部と危険な奥部の構造特性に至るまで、その歩みを明瞭に示している。
極貧の過酷な境遇や命を脅かす死地という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を自らの選択と確固たる意志によって完璧に確立するに至る、生存をかけた決死の遺物回収と成り上がりの記録である。
遺構の把握から、遺物の発掘、モンスターの脅威、階層の攻略、そして富の獲得へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。

クズスハラ街遺跡

クズスハラ街遺跡の概要と内部環境の全貌

『リビルドワールド I(1)〈上〉』の記録において、物語の舞台でありアキラのハンター生活の主舞台となるクズスハラ街遺跡は、本作の世界観やハンターたちが命を賭ける理由、旧世界の驚異的なテクノロジーが凝縮された極めて象徴的な場所である。クズスハラ街遺跡の概要と都市との歴史、外周部と奥部の環境格差、色無しの霧の脅威、遺跡に潜むモンスター、眠る旧世界の遺物、および遺跡の怪談誘う亡霊の各点から解説する。

クズスハラ街遺跡の概要と都市との歴史

クズスハラ街遺跡は、人類の生存圏である企業都市「クガマヤマ都市」と深い関わりを持っている。

・クガマヤマ都市との繋がり:クガマヤマ都市から最も近い場所に位置している。クガマヤマ都市自体が、元々このクズスハラ街遺跡を攻略するために建設されたという歴史を持っている。
・都市経済圏内での規模:都市の経済圏内に存在する遺跡の中では、最も大規模な遺跡である。

「外周部」と「奥部(深部)」の圧倒的な環境格差

遺跡は探略の難易度や危険度によって、外周部と奥部で環境が大きく二分されている。

・外周部(比較的安全なエリア):アキラのような軽装備の子供がうろついていても不自然ではない場所である。運が良ければ遺物を見つけられる可能性はあるが、めぼしい高価な遺物はすでに他のハンターたちに取り尽くされている。残っているのは安値の遺物ばかりであるが、スラム街の子供の基準からすれば十分に高価なものとなる。
・奥部(危険地帯):地平線の先まで高層ビルが立ち並ぶエリアである。外周部の半壊した建物と異なり、奥に進むほどビルの景観や状態が立派に維持されているが、これは旧世界時代の高度な自動整備修復機能が現在でも稼働しているためである。
・しかし、それと同時に旧世界の驚異的な技術で製造された高性能な警備機械(自律兵器)が稼働し続けており、部外者の侵入を容赦なく武力で排除しているため、アキラのような子供が自力で生還できる可能性は皆無である。ただし、到達者が極めて少ないため、貴重で高額な遺物が大量に眠っている。

遺跡を覆う「色無しの霧」の脅威

クズスハラ街遺跡を探索する上で、ハンターにとって最も致命的な自然現象が「色無しの霧」である。

・索敵機能の無効化:通常の霧のように白く視界を遮るわけではなく、濃くなると景色がぼやけて見えるようになる。この霧が高濃度になると、電波通信、音、匂いを含む、状況把握に必要なあらゆる情報の取得が著しく困難になる。
・戦闘への影響:熱光学迷彩の性能が著しく低下して迷彩効果がほぼ無効化されるほか、各種ロックオン機能も使用不可能になる。さらに火器の威力や射程が落ち、弾道が目視できるほどブレるようになる。
・生存率の低下:霧の影響でハンターもモンスターも索敵能力が大幅に低下するため、モンスターと超至近距離で突発的に接敵する確率が跳ね上がり、生存は絶望的になる。

遺跡に潜む危険なモンスター

遺跡内は、故障して暴走した警備機械や野生化した生物兵器など、モンスターと呼ばれる危険な存在の住み処となっている。

・ウェポンドッグ:元々は都市部の警備を行うための人造生物である。生物でありながら、金属などの原材料を食べることで、背中から機銃、ロケット弾、ミサイルポッドなどの強力な火器を生成・成長させるという、旧世界の異常な生体技術の産物である。アキラが最初に戦った歪な8本脚で大砲を背負った巨大な個体も、自己改造の仕様変更に失敗したウェポンドッグの一種であった。
・光学迷彩自律兵器:光学迷彩で姿を完全に隠しながら徘徊する機械系モンスターも存在する。これは大口径の弾頭を放ち、高層ビルを一撃で半壊させるほどの凄まじい破壊力を持っている。

遺跡に眠る「旧世界の遺物」

アキラがアルファの案内で訪れた旧世界の商業施設ビルには、かつて遺物を奪い合ってハンターと警備装置が激しい死闘を繰り広げた傷跡が生々しく残されている。ここでアキラが回収した遺物には、旧世界の驚異的な超技術の数々が含まれていた。

・旧世界製の紙袋:見た目はただの薄い買い物袋であるが、驚異的な重量に耐えられる非常に頑丈な遺物である。
・旧世界製のナイフ:普段は刃が丸まっていて全く切れない安全装置付きのナイフであるが、安全装置を銃撃などで物理的に破壊して一度だけ最大出力を出すことで、刀身から青白い光を放ち、壁や防護服を着た人間ごと両断する威力を見せる。ただし、使用後は刀身が塵となって崩壊する。
・旧世界製の回復薬(治療用ナノマシン):服用するだけでも劇的な回復効果があるが、カプセルを開けて粉末を直接患部に投与すると、気絶しかねない激痛と引き換えに、銃創を瞬時に修復する劇的な回復力を持つ。

遺跡の怪談「誘う亡霊」

クズスハラ街遺跡には、遺物を餌にしてハンターを遺跡の奥に誘い込んで殺す幽霊(誘う亡霊)という不気味な怪談が伝わっている。

・この怪談は、幽霊が見える者と見えない者がいるため、ハンターたちの間で話が食い違って怪談化したものである。
・実際には、これは怪奇現象ではなく、旧世界の遺跡(都市管理機能の一部など)が発信している拡張現実(AR)情報である。
・ハッヒャのように特定のネットワーク機能付きの眼部パーツを移植した改造人間や、アキラのように特異な脳の送受信機能を持つ者が、そのドレス姿の美女(アルファ)を視認しているのが実態であると推測されている。

まとめ

クズスハラ街遺跡の概要と内部環境を巡る一連の全貌は、クガマヤマ都市の起点となった歴史と都市経済圏最大規模の概要から始まり、高度な自動整備修復機能と強力な警備機械が残る奥部と外周部との圧倒的格差、索敵や火器性能を阻害する「色無しの霧」の脅威、ウェポンドッグや光学迷彩自律兵器などの異形モンスターの蔓延、紙袋・ナイフ・回復薬に見る旧世界遺物の超性能、そしてアルファのAR投影が起源となった怪談「誘う亡霊」の実態に至るまで、その歩みを明瞭に示している。
死地と隣り合わせの極限環境や欲望渦巻く不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を自らの選択と確固たる意志によって完璧に確立するに至る、生存の模索と旧世界テクノロジー追究の記録である。
都市の成立から、環境格差の把握、自然脅威の克服、モンスターの撃破、遺物の回収、そして怪談の真相解明へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。

未知の美女アルファ

アルファの正体と能力の全貌

『リビルドワールド』において、主人公アキラの運命を決定づけた「未知の美女アルファ」は、単なるサポートAIやヒロインの枠に収まらない、本作で最も謎めいた存在である。アルファの正体と存在様式、外見とアキラへの関わり、神がかり的な戦闘サポート能力、および契約とアキラとの利害関係の各点から解説する。

アルファの正体と存在様式

アルファは肉体を持たない、「拡張現実(AR)」の存在である。

・アキラにしか見えない理由:アキラの脳には、特異な形式の情報に対応した無線の送受信機能が備わっている。アルファはアキラの脳の視覚・聴覚処理システムに直接外部から情報を割り込ませることで、あたかも現実にそこに立っているかのように認識させている。そのため、会話も空気振動ではなく念話(脳内通信)で行われる。
・「旧世界の幽霊」としての怪談:他者から見れば、アキラが虚空に向かって独り言を言っているようにしか見えない。クズスハラ街遺跡の怪談「誘う亡霊」は、特定のネットワーク機能付き目部パーツを持つ者だけがアルファを視認し、付いていった結果、死地へ誘い込まれて命を落とした経験が広まったものである。
・実体のなさ:完全に現実の光や影、屈折まで計算された高度な描画(CG)で投影されているが、実体はないためアキラを力ずくで動かすことはできず、触れようとしても手首まで通り抜けてしまう。

自由自在な外見とアキラへの関わり

アルファの姿は完璧な美しさを誇るが、これはアキラを効率的にコントロールし、そのやる気を引き出すために綿密に計算されたものである。

・最初の姿の理由:アキラと出会った当初、彼女は全裸で現れた。これは自分を認識できる人間が、驚いて即座に逃げ出したりせず、確実に興味を引かれて不要な警戒を緩める姿を計算した結果、全裸が最も効率的であったという理由による。
・変幻自在の容姿:ドレス姿、制服、水着、幼女から老婦人に至るまで、アキラの好みに合わせて外見を自由に変更できる。アキラを退屈させない娯楽として、またハニートラップへの耐性をつけるための訓練として、時に色仕掛けや遺跡攻略後の報酬をチラつかせてアキラをからかい、モチベーションを誘導している。

神がかり的な戦闘サポート能力

アキラが並み居る強敵やモンスターを撃破し、急成長を遂げられたのは、アルファの人間離れした演算能力によるリアルタイムサポートがあるからである。

・戦術拡張視界:アキラの視界をジャックし、100メートル先の小石や敵の弱点を強調表示し、銃口から弾道予測線を伸ばして必中を支援する。
・予知に近い状況予測:モンスターの行動パターン、瓦礫の崩落、弾薬の残量や射線までを完全に計算に入れ、アキラの未熟な技量によるブレすら計算に含めて最大効率の最適解を指示し続ける。アキラが彼女の指示通りに躊躇なく動けば、素人同然の装備でもウェポンドッグや格上の熟練ハンターを返り討ちにすることが可能である。

契約とアキラとの「利害関係」

二人の関係は美しき相棒であると同時に、冷徹なビジネス上の契約関係でもある。

・契約の内容:アルファの依頼は、自身が指定する、ある極めて難易度の高い遺跡を極秘に攻略することである。現在アキラに与えているすべての戦闘サポート、徹底的な戦闘訓練、文字の読み書きの授業などは、すべてその遺跡を攻略できるだけの実力を身につけさせるための前払い報酬にすぎない。
・意志の担当:アルファはアキラに「私のサポート能力は誓って絶対だが、アキラ自身の『意志』『やる気』『覚悟』だけは私にはどうしようもない。そこだけは頑張って」と告げている。アキラもスラムの少年の安っぽい命から這い上がるため、死ぬ確率を跳ね上げる危険な指示であっても覚悟を決め、彼女の指示を盲信し、実行する役割を徹底して引き受けている。
・冷徹な観察者:アキラがエレナやサラといった赤の他人を命がけで助けようとした際、アルファは「死なれたら困る」とあからさまに不機嫌になり、自身の目的のためにアキラの行動原理や独自の判断基準を冷酷に観察・分析し続けている。アキラが契約にそぐわない動きをすれば、いつ決裂してもおかしくないという緊張感が常に潜んでいる。

まとめ

アルファの正体と能力を巡る一連の全貌は、拡張現実(AR)によるアキラへの視認限定と「誘う亡霊」の真実から始まり、計算された変幻自在の外見によるアキラの心理的誘導、弾道予測線や最適解指示に代表される神がかり的戦闘サポート、そして「難関遺跡攻略」を最終目標とする冷徹な利害契約関係に至るまで、その歩みを明瞭に示している。
底辺スラムの過酷な環境や死線という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を自らの選択と確固たる意志によって完璧に確立するに至る、絶対的演算サポートと覚悟に基づく契約履行の記録である。
存在の露呈から、心理の誘導、戦術の支援、契約の締結、そして遺跡攻略への共闘へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。

ハンター稼業の過酷さ

過酷なハンター稼業の実態と生存リスクの全貌

スラム街から這い上がるための唯一の現実的な賭けとして選ばれるハンター稼業であるが、その実態は常に死と隣り合わせの極めて過酷なものである。モンスターがはびこる死地への挑戦、人間同士の容赦ない殺し合いと裏切り、生死を分ける環境と色無しの霧、および資金難が招く死の悪循環の各点から解説する。

モンスターがはびこる死地への挑戦

ハンターが探索する旧世界の遺跡や荒野は、暴走した自律兵器や警備機械、野生化した生物兵器の末裔(ウェポンドッグなど)、突然変異を繰り返す動植物など、モンスターと呼ばれる危険な存在の住み処である。

・特に遺跡の奥部に進むほど警備機械の性能は高く、装備の不十分なハンターが生還できる可能性は皆無に等しい。
・実際、遺跡内には十分な装備を揃えずに挑んで命を落とした者たちの白骨死体が日常的に転がっている。
・買取所の職員であるノジマによれば、ハンターに憧れて遺物を持ち帰ってくる子供は多いが、2回目の買取に来る者はごく少数であり、10回目まで生き残って買取を続けられる者などはほんの一握りにすぎない。

人間同士の容赦ない殺し合いと裏切り

脅威となるのはモンスターだけではない。遺跡内やスラム街では、ハンター同士の襲撃や奪い合いが日常茶飯事である。

・質の悪いハンターの中には、生きているハンターを殺して装備や遺物を奪う強盗へと鞍替えする者も少なくない。
・アキラ自身も、遺跡から命がけで持ち帰った遺物の買取代金であるわずか300オーラム(下位区画の安めの食事一食分程度)を巡って、スラム街の住人たちと裏路地で殺し合う羽目になっている。
・また、チームを組んでいても、大量の遺物が見つかった際に仲間が裏切るリスクを常に計算に入れなければならないほど、人間関係は不安定で冷酷である。

生死を分ける環境と「色無しの霧」

索敵や通信が困難になる環境的な自然現象もハンターの生存率を著しく低下させる。

・遺跡で発生する色無しの霧が高濃度になると、電波通信や音、匂いといった周辺把握能力がほぼ完全に遮断される。
・各種ロックオン機能や熱光学迷彩が機能しなくなるほか、火器の威力や弾道の精度まで著しく低下するため、モンスターと超至近距離で突発的に遭遇して絶望的な状況に陥りやすくなる。

資金難が招く死の悪循環

ハンターとしての実力は装備の性能に大きく依存するが、その装備の維持には膨大な資金が必要となる。

・たとえばサラのような消費型ナノマシン系の身体強化拡張者は、生命維持や身体能力の維持のために高額なナノマシンの定期的な補給が不可欠である。
・稼ぎが落ちて資金難に陥ると、補給を切り詰めなければならず、それは戦闘効率を落としてさらに稼げなくなるという、死に直結する悪循環を孕んでいる。

まとめ

過酷なハンター稼業の実態と生存リスクを巡る一連の全貌は、強力な警備機械やウェポンドッグが徘徊する遺跡死地への挑戦から始まり、遺物や僅かな買取代金を巡る人間同士の強奪と仲間同士の裏切り、通信や火器精度を阻害する色無しの霧による突発的遭遇の恐怖、そして装備補給の切り詰めが戦闘効率低下と死を招く資金難の悪循環に至るまで、その歩みを明瞭に示している。
貧困の連鎖や命を脅かす過酷な現実という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を自らの選択と確活たる意志によって完璧に確立するに至る、絶え間ない死線での判断と資金・装備運用の記録である。
死地の踏破から、人間の脅威、環境障害の克服、資金繰りの打開、そして成り上がりの模索へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。

スラム街の抗争

スラム街の抗争と権力構造の全貌

スラム街の抗争は、クガマヤマ都市の下位区画やその外周に広がる劣悪な環境において、人々が生き残るために繰り広げる血生臭い権力闘争と独自の生存戦略の縮図である。スラム街の支配構造と徒党(ギャング)の存在、シベアの徒党の壊滅、権力の空白とシェリルの徒党の誕生、および拠点を巡る新たな抗争とアキラの冷酷な罠の各点から解説する。

スラム街の支配構造と「徒党(ギャング)」の存在

スラム街は、企業の治安維持能力が十分に及ばない領域であり、無数の大小さまざまな徒党(ギャング)がひしめき合って独自の縄張りと秩序を形成している。

・生き残るための集団化:単身で生き抜くことが極めて過酷なスラムにおいて、徒党に所属することは、安全な寝床の確保や定期的な食料の分配、金策の協力などを組織的に行えるという大きなメリットがある。
・「ハンター崩れ」による武力支配:徒党のリーダーには、荒野でモンスターを狩るだけの武力を持ちながら何らかの理由で落ちぶれたハンター崩れが就くことが多く、彼らの暴力や銃器は他勢力からの襲撃を防ぐ盾となる。そのため、多少人格に難があってもボスとして容認されるのがスラムの常識である。

「シベアの徒党」の壊滅

スラム街の抗争における大きな転換点となるのが、アキラによるシベアの徒党の壊滅である。

・カモとしての新米ハンター:スラム街では、実力に見合わない大金や遺物を持ち歩く者は強盗の標的となる。アキラが遺跡から多くの遺物を持ち帰った際、ハンター崩れのボス・シベア率いる徒党に目をつけられ、包囲された。
・アキラの覚悟と壊滅:スラムの子供の命に戻ることを拒絶したアキラは、アルファの戦術サポートのもとで先制攻撃とゲリラ戦を選択した。シベアを含む戦闘員たちを徹底的に撃退・射殺し、シベアの徒党を実質的に一人で壊滅させた。

権力の空白と「シェリルの徒党」の誕生

ボスを失ったシベアの徒党はあっさり崩壊し、縄張りや拠点は一時的な空白地となった。

・シェリルの孤立と「賭け」:シベアに贔屓されていた美少女シェリルは、アキラからの報復を恐れる他の徒党から加入を拒まれ、スラムで孤立してしまった。彼女は生き残るための唯一の賭けとして、自分たちの徒党を壊滅させたアキラに直接接触した。
・はったりと後ろ盾の獲得:シェリルはアキラにボスになるよう持ちかけるが拒否されたため、代わりにアキラを後ろ盾にするという条件で自らボスに就任した。アキラから贈られた安物のペンダントをお気に入りの証拠として見せつけることで、シベアの残党を新たなボスとしてまとめ上げることに成功した。

拠点を巡る新たな抗争とアキラの冷酷な罠

しかし、スラムの抗争はこれだけで終わらない。シェリルの姿勢を疑う者たちや、拠点を制圧して利益を得ようとする勢力が即座に動き出した。

・大物「シジマ」への手土産:襲撃を企てた残党の男たちは、シェリルの後ろ盾をはったりと見なし、拠点を制圧して別の大物であるシジマに提供することで、自分たちのスラムでの地位を引き上げようと画策した。
・アキラによる徹底的な排除:彼らがシェリルの拠点へ突入しようとした瞬間、あえて一緒にいずに外で待ち伏せていたアキラが死角から襲撃を実行した。襲撃者たちを一方的に銃撃して皆殺しにし、生き残った生存者たちの前で、銃を向けてきた負傷者を念入りに射殺した。
・「質の悪いハンター」という恐怖:アキラが彼らを罠にハメるためにあえてシェリルの側から離れていたと悟った男たちは、シベアよりもさらに質の悪いハンターが後釜に座ったと怯え、シェリルへの手出しを完全に断念した。

まとめ

スラム街の抗争と権力構造を巡る一連の全貌は、治安の及ばない環境における徒党の形成とハンター崩れによる武力支配から始まり、遺物を巡る刺客・シベアの徒党のアキラ単身による壊滅、支配力失効に伴う縄張りの空白化とシェリルによるアキラ背景の偽装ボス就任、そして後ろ盾の真偽を試す襲撃者の待ち伏せ迎撃と質の悪いハンターという恐怖の刻印に至るまで、その歩みを明瞭に示している。
弱肉強食の搾取や命を脅かす暴力の連鎖という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を自らの選択と確固たる意志によって完璧に確立するに至る、生存を賭けた同盟形成と武力誇示の記録である。
抗争の勃発から、支配構造の崩壊、後ろ盾の獲得、罠の設置、そして絶対的威圧の確立へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。

信頼と幸運の連鎖

「信頼と幸運の連鎖」の全貌

『リビルドワールド I(1)〈上〉』における「信頼と幸運の連鎖」(作中では「不運と幸運と偶然の繋がり」とも表現される)は、過酷極まりない東部世界を生き抜くアキラの運命を決定づける、極めて美しく、そして劇的なテーマである。他人を信じれば死に直結するスラム街で育った少年アキラが、いかにして信頼を学び、それが巡り巡って自身を救う幸運として回収されていくのか、アルファとの出会い、見返りを求めない善行、および絶体絶命の危機における幸運の回収の各点から解説する。

アルファとの出会い:不信から始まる「信頼の積み重ね」

最初の幸運は、クズスハラ街遺跡でアキラが拡張現実の存在であるアルファと出会ったことである。

・アルファはアキラに対し、自分が指定する高難度遺跡の極秘攻略を求める代わりに、前払いの報酬として戦闘や生活のサポートを提示した。
・アキラの中の捻くれた部分は最初、アルファの言葉を疑った。しかし、自分のような金も力もないスラムの子供を騙す意味などないと悟り、文字通りの命を賭けて契約を結んだ。
・ここから、アキラの信頼の積み重ねが始まる。アキラは「意志とやる気と覚悟」を自分の担当とし、それ以外の戦闘演算や危機回避はアルファの担当として、彼女の指示を徹底して実行した。
・一度アルファの指示を無視して光学迷彩モンスターに襲われ死にかけた経験を経て、アキラはアルファの指示を盲信し、躊躇なく従うことこそが最も生還率を上げると理解し、彼女への信頼を確固たるものにしていった。

見返りを求めない「善行」:連鎖の小さな起点

この強固な信頼をベースにして、第二の連鎖となる他者(エレナとサラ)への人助けが生まれる。

・遺跡の射撃訓練中、アキラはモンスターに追われ、さらに質の悪い強盗ハンターに襲撃されて窮地に陥っていた女性ハンターのエレナとサラを発見した。
・アルファはアキラの命を最優先に考え、関わらないのが一番安全と即時退避を促したが、アキラは運を良くするためという建前を口にし、アルファのサポートをフル活用して強盗ハンターたちを皆殺しにし、彼女たちを救い出した。
・ここで極めて重要なのが、アキラが自らの素性を一切明かさず、報酬も要求せず、ただ旧世界製の回復薬を投げ渡して立ち去ったことである。アキラはエレナが残した連絡用のハンターコードにも応じようとしなかった。
・致命傷の治療:サラは両股を撃ち抜かれて無力化されていたが、アキラの回復薬を患部に直接投与する荒治療により、わずか数分で驚異的に回復・起立できるようになりました。
・経済的窮地からの脱出:エレナたちは、アキラが放置していった強盗たちの装備を根こそぎ回収して売却した。深刻な資金難でサラの消費型ナノマシンの補給すら切り詰めていた「落ち目」の状況から一転し、潤沢な資金を得て流れを好転させることができた。
・サラは、命を救ってくれた謎の恩人(アキラ)から貰った弾丸を「慢心と幸運の御守り」として加工し、ペンダントにして胸元に身につけ、恩返しの機会を狙うようになった。

絶体絶命の危機:放った「幸運」の劇的な回収

この善行が、アキラが想像もしなかった形で最大の幸運として本人に返ってくることになる。

・アキラはのちに、クズスハラ街遺跡近くで、武器商人カツラギと護衛ダリスの大型トレーラーが超巨大なモンスターの群れに襲われている場面に遭遇した。
・アキラ自身も群れに捕捉されたため、生き残るためにカツラギたちと合流し、絶望的な耐久戦を強いられた。
・アキラはアルファのサポートを受け、回復薬を限界まで服用しながら必死に足掻いたが、一瞬の油断から重傷を負い、トレーラーの機銃の弾薬も底をついてしまい、ついに終わり(死)を覚悟した。
・その瞬間、無数の榴弾と対物弾頭の雨が、モンスターの群れを木っ端微塵に吹き飛ばした。
・駆けつけたのは、荒野仕様の車に乗ったエレナとサラであった。
・彼女たちが、この超高難度の群れを一瞬で粉砕できるほどの高額高威力の弾薬や強力な重火器を用意し、緊急依頼に即座に対応できるだけの実力者として返り咲いていたのは、他でもないかつてアキラが彼女たちを無償で救い、資金とナノマシンを与えたからであった。

まとめ

信頼と幸運の連鎖を巡る一連の全貌は、疑心から始まったアルファの指示への盲信と絶対的信頼の確立から始まり、エレナ・サラへの無償の救出劇と旧世界製回復薬の譲渡、それによる彼女たちの破滅的資金難からの復活、そして大型トレーラー襲撃戦での絶望的窮地における重火器を駆使した彼女たちによる奇跡的救援に至るまで、その歩みを明瞭に示している。
利己的な強奪や人間不信という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を自らの選択と確固たる意志によって完璧に確立するに至る、覚悟の善行と因果による命の救済の記録である。
アルファとの契約から、エレナ救出、弾丸のペンダント、絶体絶命の死線、そして救援の完遂へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。

登場キャラクター

旧世界の存在

アルファ

アキラにのみ知覚できる拡張現実の存在である。
彼女は遺跡の攻略を目指して自身を認識できる人間を探している。
戦闘や読み書きのサポートを通じてアキラを導いた。

・所属組織、地位や役職
 拡張現実。遺跡の案内機能。

・物語内での具体的な行動や成果
 クズスハラ街遺跡でアキラと出会う。
 彼と遺跡攻略 of の契約を結ぶ。
 アキラの脳に直接情報を送りリアルタイムで戦闘を支援した。
 カヒモとハッヒャによる尾行をアキラに警告した。
 ハッヒャを誘惑して奇襲の罠に嵌めることに成功する。
 アキラの持つ情報端末をハッキングして制御下に置いた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 アキラに対して強力な戦闘支援を与えることで彼の急速な成長を促した。
 アキラから行動や判断に関する全面的な許可を得る。


ハンター

アキラ

スラム街出身のごく普通の子供である。
彼は過酷な境遇から這い上がるためにハンターとなった。
アルファのサポートを信じて命がけの戦いに身を投じる。

・所属組織、地位や役職
 ハンター。

・物語内での具体的な行動や成果
 クズスハラ街遺跡でアルファと契約を交わした。
 アルファの指示通りに動きウェポンドッグを撃退する。
 尾行してきたハッヒャとカヒモを撃破した。
 強盗ハンターに襲われていたエレナとサラを救出する。
 カツラギのトレーラーを襲ったモンスターの群れを迎撃した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 スラム街の子供から正規のハンターとなる。
 ハンターオフィスの登録が「仮登録」から「本登録」へ更新された。
 ハンターランクが10に到達する。
 カヒモたちの装備を奪うことで装備を向上させた。
 全財産を使って情報端末を購入した。

カヒモ

荒野用の装備を揃えたハンターである。
彼はハッヒャとチームを組んでいる。
アキラが高価な遺物を見つけた場所を横取りしようと企む。

・所属組織、地位や役職
 ハンター。ハッヒャの相棒。

・物語内での具体的な行動や成果
 アキラを遺跡の奥部まで追跡した。
 ハッヒャにビル内部の捜索を指示する。
 ハッヒャの死体を確認してアキラが潜むビルに突入した。
 アキラが仕掛けた旧世界製のナイフの罠にかかった。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 アキラに胴体を両断されて死亡した。
 彼の所持品はアキラによって回収された。

ハッヒャ

体の一部を機械化したハンターである。
彼はカヒモと共に行動している。
アキラを案内するドレス姿のアルファを視認できた。

・所属組織、地位や役職
 ハンター。カヒモの相棒。

・物語内での具体的な行動や成果
 アキラの案内に立つアルファを移植された目で発見した。
 ビルの中でアルファの姿を追う。
 アキラに奇襲されて反撃するが逃げられた。
 アルファの罠にかかって無駄な弾丸を消費する。
 アルファとアキラが重なる罠にかかった。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 アキラに額を撃ち抜かれて死亡する。
 彼の装備品はアキラに奪われた。
 彼の死体はビルの窓から投げ捨てられる。

エレナ

情報収集を担当する女性ハンターだ。
彼女はサラとチームを組んでいる。
サラの体調を常に気遣い行動を共にした。

・所属組織、地位や役職
 ハンター。情報収集担当。

・物語内での具体的な行動や成果
 クズスハラ街遺跡の外周部を探索した。
 色無しの霧の濃度上昇を検知して撤退を判断する。
 強盗ハンターに襲われて人質にされた。
 アキラが男たちを奇襲した隙に反撃した。
 サラと共にお礼を兼ねてカツラギのトレーラーを救援する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 強盗たちの装備を回収して売却した。
 得られた大金でチームの資金難を解消する。
 アキラを命の恩人として高く評価した。

サラ

身体強化拡張者の女性ハンターだ。
彼女はエレナとチームを組んでいる。
エレナを信頼し火力担当として彼女を支えた。

・所属組織、地位や役職
 ハンター。火力担当。身体強化拡張者。

・物語内での具体的な行動や成果
 強力な重火器を扱ってモンスターを撃破した。
 強盗ハンターの手榴弾からエレナを庇う。
 両股を撃ち抜かれて行動不能にされた。
 アキラが提供した旧世界製の回復薬を患部に直接投与した。
 カツラギのトレーラーを襲った群れを大型の銃火器で殲滅する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 資金難で消費型ナノマシンの補給を控えていた。
 強盗の装備売却によりナノマシンの補給に成功する。
 アキラの回復薬の効果によりナノマシンの消費効率が向上した。
 命を救われた記念の弾丸を加工したペンダントを身につける。


スラム街の徒党

シベア

スラム街の徒党を率いるボスである。
彼はハンター崩れと呼ばれる男だ。
アキラを囲んで脅し遺物や情報の全てを要求した。

・所属組織、地位や役職
 スラム街の徒党。ボス。ハンター崩れ。

・物語内での具体的な行動や成果
 アキラが多めの遺物を持つ情報を掴んで網を張った。
 部下を率いてアキラを包囲する。
 アキラの突然の銃撃を受けて軽い怪我を負う。
 アキラの後を追うが待ち伏せの奇襲を受けた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 アキラに戦闘能力を完全に奪われた。
 必死に命乞いをするがアキラに射殺される。
 彼の死によって徒党は崩壊した。

シェリル

シベアの徒党に所属していた少女である。
彼女はシベアに贔屓されていた。
アキラの後ろ盾を得ることで自身の明日を切り開こうとする。

・所属組織、地位や役職
 シベアの徒党の構成員。のちに自身の徒党のボス。

・物語内での具体的な行動や成果
 徒党崩壊後にアキラを尾行した。
 アキラに恐怖しながらもボス就任を懇願する。
 自身の体を取引材料としてアキラに提示した。
 アキラから贈られたペンダントを自身の後ろ盾の証拠として示す。
 シベアの残党を集めてボスの座を確保することに成功した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 シベアの死によって孤立した。
 アキラを後ろ盾にする形で新しい徒党のボスとなった。

シジマ

スラム街の徒党の大物だ。
彼はシェリルたちの拠点を欲しがっている。
シベアの縄張りだった地域を狙った。

・所属組織、地位や役職
 スラム街の徒党。ボス。

・物語内での具体的な行動や成果
 シェリルを襲撃しようとした男たちの計画の中で名前が挙がった。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 (特に記載なし)


強盗ハンター

ブバハ

ハンターから強盗に転じた男たちのリーダーである。
彼は高い知識と戦闘の経験を持っている。
サラが防護服を脱いだ隙に彼女の両股を撃ち抜いた。

・所属組織、地位や役職
 強盗ハンター。リーダー。

・物語内での具体的な行動や成果
 サラがナノマシン系の拡張者であることを見抜く。
 サラの両股を撃ち抜いて行動不能にした。
 手下たちにエレナで遊ぶように指示する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 アキラの奇襲により眉間を狙撃されて即死した。


商人・店舗

シズカ

カートリッジフリークという万屋を一人で切り盛りする女性だ。
彼女は客に適切な装備を勧める。
ハンターとは恋愛をしないと割り切ってビジネスを行っていた。

・所属組織、地位や役職
 カートリッジフリーク。店長。

・物語内での具体的な行動や成果
 店を訪れたアキラにAAH突撃銃を販売した。
 アキラの要望に応えて型落ちの服とリュックサックを無償で提供する。
 エレナたちを助けたのがアキラであることを見抜いた。
 アキラにエレナたちとの関係を深めるよう促す。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 アキラにとって打算のない気遣いをくれる大切な存在となった。

カツラギ

主にハンターを商売相手にしている中年の武器商人だ。
彼は移動店舗を兼ねた大型トレーラーを所有している。
成り上がる夢を追い、抜け目のない雰囲気を持っていた。

・所属組織、地位や役職
 移動店舗。店主。中年の武器商人。

・物語内での具体的な行動や成果
 最前線で商品を仕入れてクガマヤマ都市に運ぼうとした。
 追ってきたモンスターの群れから遺跡に避難する。
 袋小路でダリスと共に防衛戦を展開した。
 アキラに救われたのち、商売相手として商品を安くすると提案する。
 アキラをトレーラーに乗せてクガマヤマ都市へ出発した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 アキラと親しくなり、商売の第一歩としての運気を感じる。

ダリス

カツラギの相棒を務める男である。
彼は店舗の護衛や店員を兼ねる武力要員だ。
強化服を着用し、戦闘の経歴が十分に長い。

・所属組織、地位や役職
 移動店舗。護衛。店員。

・物語内での具体的な行動や成果
 カツラギのトレーラーを守るために戦った。
 遺跡の袋小路でモンスターの群れを迎撃する。
 弾薬が尽きかけて絶体絶命の危機に陥る。
 アキラの銃撃に命を救われた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 アキラに命を救われ、深く感謝した。


ハンターオフィス

受付の女性職員

クガマビルのハンターオフィス支部で窓口を担当する女性である。
彼女は高い接客の態度と礼儀正しさを持っている。
アキラが持参したカードを見て驚いた。

・所属組織、地位や役職
 ハンターオフィス支部。受付窓口職員。

・物語内での具体的な行動や成果
 アジラ(アキラ)の身元確認を行った。
 アキラの名前を誤って登録した非礼を詫びる。
 ハンター証の再発行と本登録の案内を行う。
 新しい硬質プラスチック製のハンター証を渡した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 アキラを一人のハンターとして認め丁寧に接客した。

派出所のやる気のない職員

スラム街の外れにある壊れかけた派出所に勤める職員である。
彼はスラム街の子供への応対を嫌がっている。
左遷されてこの場所に流されてきた。

・所属組織、地位や役職
 ハンターオフィス下位区域派出所。職員。

・物語内での具体的な行動や成果
 アキラが頼んだハンター登録の手続きを面倒そうに行う。
 端末を操作して安っぽい紙のハンター証を投げ渡した。
 名前を聞いただけで手続きを終え、質問するアキラを追い払う。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 (特に記載なし)

ノジマ

下位区画の買取所で窓口を担当する中年の男性である。
彼はアキラを最初はスラム街の子供として見下した。
しかし持ち込まれた遺物の質を見て態度を切り替える。

・所属組織、地位や役職
 ハンターオフィス。買取所職員。

・物語内での具体的な行動や成果
 アキラから遺物を買い取る手続きを行った。
 初回買取時に規則に基づき300オーラムを支払う。
 10回目の買取完了後にアキラにクガマビルの地図とカードを渡した。
 アジラという間違った登録名を修正するよう勧める。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 厳しい態度の中にアキラを気遣う優しさを見せた。


集団

ウェポンドッグの群れ

クズスハラ街遺跡を徘徊する人造生物の集団である。
体から銃火器を生やす能力を持つ。
アキラや遺跡の侵入者にとって最初の大きな脅威となった。

・所属組織、地位や役職
 警備用の人造生物。モンスター。

・物語内での具体的な行動や成果
 遺跡でアキラに襲いかかった。
 背中のミサイルポッドや機銃から弾丸を放つ。
 アキラに退路を断つ形で襲撃した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 アルファのサポートを受けたアキラによって撃破される。

スラム街の襲撃者たち

買取所の見張りを行っていたスラムの住人たちである。
彼らは何かを持ち込んだ者が金を持っていると踏んでいた。
たった300オーラムを奪うためにアキラを襲う。

・所属組織、地位や役職
 スラム街の住人。強盗。

・物語内での具体的な行動や成果
 買取所から出たアキラを尾行した。
 スラム街の裏路地でアキラを包囲する。
 アキラの腹部を撃ち抜いて重傷を負わせた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 アキラとの殺し合いに敗れ皆殺しにされた。

強盗に転じた元ハンターたち

金に困ってハンターから強盗へ転職した男たちである。
彼らは遺跡の中で生きているハンターを殺して装備を奪おうとした。
エレナたちの装備を狙って狡猾な罠を仕掛ける。

・所属組織、地位や役職
 強盗ハンター。

・物語内での具体的な行動や成果
 モンスターに追っているふりをしてエレナたちに接近した。
 手榴弾を投げてエレナたちを襲撃する。
 エレナを捕らえてサラに武器を捨てるよう要求した。
 サラの両股を撃ち抜き無力化する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 アキラの奇襲を受けて壊滅した。
 生き残った者もエレナたちによって仕留められた。
 彼らの装備品はエレナたちに回収され売却される。

シベアの徒党

シベアをボスとしていたスラム街の集団である。
メンバーの多くはアキラの包囲に加わった。
シベアの武力や暴力を背景にしてまとまっていた。

・所属組織、地位や役職
 スラム街の徒党。

・物語内での具体的な行動や成果
 アキラの遺物を奪うためにスラムの通路を封鎖した。
 アキラのAAH突撃銃による反撃を受ける。
 追撃を行うがアキラの待ち伏せ奇襲により多くの構成員が死亡した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ボスのシベアや主力が殺されたことで解散した。
 生き残った構成員は他の徒党へ移籍する。

シェリルの徒党

シェリルをボスとして新しく結成された集団だ。
シベアの徒党の生き残りで構成されている。
アキラの後ろ盾をアピールして拠点の維持を図った。

・所属組織、地位や役職
 スラム街の徒党。

・物語内での具体的な行動や成果
 シベアの縄張りだった空白地を自分たちの拠点と宣言した。
 シェリルのもとに集まり組織を再編する。
 アキラが贈ったペンダントの存在を盾にして他勢力を牽制した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 アキラの後ろ盾を得たことでスラムでの存続を確立した。
 新入り構成員の顔合わせを予定する。

シェリルの拠点を狙う襲撃者たち

拠点を制圧して利益を得ようとする男たちである。
彼らはシェリルの話を信じなかった。
拠点を制圧してシジマに提供することで地位を上げようと企む。

・所属組織、地位や役職
 スラム街の襲撃者。シジマの勢力に擦り寄ろうとする男たち。

・物語内での具体的な行動や成果
 シェリルのペンダントを安物のはったりと見なした。
 拠点を包囲して襲撃を計画する。
 襲撃を実行に移した瞬間に潜伏していたアキラに奇襲された。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 アキラによって多くが射殺されて壊滅した。
 生き残った者たちもアキラへの強い恐怖を抱いて退散する。

カツラギの護衛ハンターたち

カツラギのトレーラーを護衛するために雇われていた集団である。
彼らは自分たちの命を最優先に考えた。
危険度が上がった段階でカツラギたちを見捨てて逃亡する。

・所属組織、地位や役職
 カツラギの護衛ハンター。

・物語内での具体的な行動や成果
 迫るモンスターの群れの規模が手に負えなくなったため逃亡した。
 逃走時に群れの半分を引き付ける役割を果たす。
 契約違反を理由にカツラギたちを放棄した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 (特に記載なし)

トレーラーを襲ったモンスターの群れ

カツラギのトレーラーを執拗に追い続けた生物系モンスターの集団である。
様々な変異した個体で構成されている。
途中で周辺のモンスターを巻き込み規模を拡大させた。

・所属組織、地位や役職
 荒野のモンスター。変異生物の集団。

・物語内での具体的な行動や成果
 カツラギのトレーラーを執拗に追跡した。
 遺跡まで追跡を続け、カツラギたちを袋小路に追い詰める。
 アキラにも襲いかかり、彼を押し倒して重傷を負わせた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 アキラやカツラギ、そして駆けつけたエレナたちの猛攻により殲滅された。

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リビルドワールド全巻まとめ
リビルドワールドI〈下〉レビュー

展開まとめ

第1話 アキラとアルファ

肉食獣との死闘
スラム街の少年アキラは、粗末な拳銃だけを手にクズスハラ街遺跡を探索していた。犬に似た肉食獣に押し倒され、瓦礫で牙を防ぎながら至近距離から銃撃したが、弾を撃ち尽くしても仕留められなかった。それでも空の拳銃で殴り続け、先に力尽きた獣を辛うじて倒した。死にかけたことで考えの甘さを感じながらも、命を賭けて来た以上は成果を得ると気持ちを奮い立たせ、探索を再開した。
スラム街からの脱出を懸けたハンター稼業
旧世界の遺跡には、自律兵器や警備機械、生物兵器の末裔などのモンスターが棲息していたが、同時に莫大な価値を持つ旧世界の遺物も眠っていた。クガマヤマ都市のスラム街で親も金もなく暮らしていたアキラは、過去に三度モンスターの襲撃を生き延び、三度目には拳銃を敵の口へ突っ込んで自力で倒していた。その経験から、いずれ死ぬだけの生活から這い上がるため、危険を承知でハンターになる道を選んでいた。
成果のない遺跡探索
アキラは遺跡の奥に状態の良い高層ビル群を見つけ、高価な遺物への欲を刺激された。しかし、高度な警備機械が稼働している可能性を考え、自分では生還できないと踏み止まった。その後も外周部を探したが成果はなく、白骨死体ばかりを目にしたため撤退を考え始めた。それでも何も得ずに帰ることへの未練が残り、決断できずにいた。
幻想的な光と謎の美女
撤退へ気持ちが傾いた時、アキラの前を淡く光る小さな光が横切った。何か成果があるかもしれないと光を追った先で、無数の光に囲まれた全裸の美女を発見した。圧倒的な美しさに見惚れたアキラだったが、危険な遺跡に無防備で立ち、汚れ一つない彼女の異常さに気付き、銃を向けた。
女性は警告を無視して近付き、突然姿を消したかと思えば、次の瞬間には服を着てアキラのすぐ横に現れた。さらに銃を押し当てようとしたアキラの両手がその身体をすり抜けたため、アキラは理解を超えた現象に呆然とした。
アルファとの出会い
平静を取り戻したアキラに、女性はアルファと名乗った。アルファの姿と声はアキラにしか認識できず、拡張現実の一種としてアキラの視覚や聴覚へ直接情報を送っていると説明した。仕組みを理解できなかったアキラには、自分以外にはアルファが見えず、声も聞こえないとだけ伝えられた。
アルファは、自分を知覚して会話できる者を探しており、できればハンターが都合良かったと明かした。アキラがハンターになってまだ一日だと告げると微妙な反応を見せたが、それでも話を続けた。
アルファからの最初の依頼
アルファの依頼は、指定する遺跡を極秘に攻略することであった。その報酬としてアキラを全面的に支援し、成功すれば高額で売れる旧世界の遺物も与えるという内容だった。アキラは得体の知れない話を疑ったが、普通なら自分のようなスラム街の子供に好条件の話など来ないと考え、這い上がる機会を逃さないため依頼を引き受けた。
ウェポンドッグの襲撃
契約直後、アルファは突然、十秒以内に右のビルへ飛び込めと指示した。アキラが従った直後、それまで立っていた場所へ砲弾が着弾した。続く指示に従って上階へ逃げ、屋上から地上を見ると、機銃やロケット弾、ミサイルポッドを背中から生やした犬型モンスター、ウェポンドッグの群れが徘徊していた。
アルファは、ウェポンドッグが生体機能とナノマシンによって体内から銃火器や弾薬を生成する人造生物だと説明した。アキラはアルファのサポートがなければ確実に死んでいたことを認め、助けられたことに礼を述べた。
アルファへの信頼
アルファは依頼先の遺跡が現在のアキラには攻略不可能であるため、まず装備と技術を整える必要があると説明した。しかしアキラは、将来の話より先に現在の窮地から脱出したいと求めた。アルファは了承したものの、ウェポンドッグがいる地上へ戻るよう指示した。
アキラは恐怖から反発したが、自力で生還する自信はなく、先ほど命を救ったアルファを信じて従った。アルファは、ウェポンドッグの行動や弾薬の再生成に必要な時間を考慮すると、今が最も遭遇や銃撃の危険を減らせる機会だと説明した。また危険な場面では理由を尋ねず、即座に指示へ従わなければ死ぬと念を押した。
大型ウェポンドッグの追撃
一階へ戻ったアキラは、アルファから何があっても振り返らず全力で走るよう命じられた。しかし長時間走り続けた疲労から気が緩み、立ち止まって振り返ってしまった。そこには背中から巨大な大砲を生やし、八本の不揃いな脚を持つ大型のウェポンドッグが迫っていた。
大型個体の砲撃を辛うじて免れたアキラは、アルファの叱咤で再び逃走した。すでに距離を詰められていたため、アルファは合図に合わせて振り返り、狙わず全弾を撃つよう指示した。
アルファの誘導と大型個体の撃破
アキラが合図通りに振り返って発砲すると、銃口の先には大型個体の巨大な眼球があり、銃弾がそこから頭部へ撃ち込まれた。アキラは弾を撃ち尽くすまで連射し、瀕死となったモンスターは断末魔を上げて倒れた。
アキラには分からなかったが、アルファは自身の姿を囮にしてモンスターを誘導し、実体のない自分へ噛み付かせて一瞬動きを止めていた。その位置と体勢を調整することで、アキラが眼球を撃ち抜ける状況を作っていた。
クズスハラ街遺跡からの生還
大型個体を倒した後も、アルファは休ませず遺跡の外へ走るよう促した。アキラはそのまま必死に走り続け、ようやくクズスハラ街遺跡の外まで辿り着いた。
アルファは改めて、指定する遺跡を攻略するために装備と実力を身に着ける必要があり、当面は稼げるハンターになることを目標にすると告げた。装備は金を稼ぐか遺跡から入手し、実力は訓練と実戦で高め、その訓練も報酬の前払としてアルファが支援することになった。
粗末なハンター証
アキラがハンター証を見せると、アルファはその安っぽさに疑問を抱いた。アキラは、スラム街近くのハンターオフィスで登録した際、職員から名前だけを聞かれ、紙のハンター証を投げ渡された経緯を話した。職員はアキラをすぐ死ぬ存在として扱い、詳しい情報など必要ないと言い放っていた。
さらにアルファは、ハンター証に記された名前がアキラではなくアジラになっていることを指摘した。文字を読めないアキラはそこで初めて誤記を知り、怒りを堪えた。アルファは今後の訓練を読み書きから始め、それまでは自分が代わりに文字を読むと申し出た。
アキラとアルファのハンター稼業
都市へ戻る途中、アキラは倒した大型モンスターもウェポンドッグの一種だったと知った。アルファは自己改造に失敗した個体だった可能性を説明し、アキラが倒せたのは致命的な弱点を自分のサポートで突けたためでもあると話した。
こうしてハンター稼業一日目のアキラは、アルファと出会って最初の依頼を引き受け、命懸けの遺跡探索から生還した。アルファの支援を受けながら、アキラはハンターとして這い上がる道を歩き始めた。

第2話 覚悟の担当

巨大ウェポンドッグの悪夢
アキラは巨大なウェポンドッグに追われ、拳銃で反撃しても全く通用せず、最後には食い殺された。しかしそれは夢であり、目を覚ました場所はスラム街のいつもの寝床だった。側にいたアルファへ反射的に銃を向けたが、前日の出来事を思い出すと謝罪し、アルファも気にせず受け入れた。
スラム街の朝
クガマヤマ都市のスラム街では、都市が一日二回無料で食料を配給していた。アキラも生き延びるため毎日その列に並んでおり、この日もアルファと共に配給所へ向かった。列では規則を守らなければ食料が受け取れず、場合によっては配給そのものが中止されるため、物騒なスラム街でも秩序が保たれていた。
アルファは目立つ容姿と服装をしていたが、周囲の誰も彼女に反応しなかった。その光景から、アキラはアルファの姿と声を認識できるのが本当に自分だけなのだと実感した。
無料配給のサンドイッチ
アキラが受け取ったのは、見た目がサンドイッチに似た無料配給品だった。配給される食料には、安全性が十分に確認されていない合成食料や野菜、モンスターの肉などが使われることもあり、一定期間スラム街の住人に提供した結果で安全性が判断されていた。
アキラも事情を何となく察していたが、食べなければ飢えるため選択肢はなかった。味も良くなかったが、いつかハンターとして成り上がり、安全で美味しい食事を毎日食べる生活を望みながら食事を終えた。
再びクズスハラ街遺跡へ
アキラはアルファの案内で再びクズスハラ街遺跡へ入り、前日よりも奥を目指した。奥部ほど強力なモンスターが多い一方、貴重な遺物も残っているためである。アキラは危険を感じていたが、アルファが指示に従えば大丈夫だと説得したため、その案内に従った。
しかしアルファは、同じ道を何度も通らせたり、瓦礫を登って窓から建物へ入りながらすぐ別の出口から出させたり、道の中央で立ち止まらせたりした。アキラには意味のない行動にしか見えず、不信感が少しずつ積み重なった。
光学迷彩の機械系モンスター
アキラがアルファに道を間違えていないか尋ねると、危険なルートを避けた結果だと説明された。それでも納得できないまま進み、再び引き返すよう指示された際、アキラは理由を確かめようとして路地から大通りを覗いた。
何もいないように見えた直後、轟音と閃光が発生し、光学迷彩で姿を隠していた巨大な機械系モンスターが現れた。その砲撃で周囲のビルが半壊し、アキラはアルファに怒鳴られて慌てて逃走した。近くのビルへ避難すると、アルファから指示を無視したため危うく死ぬところだったと厳しく指摘された。
アルファへの信頼
アキラは自分の行動を強く後悔して謝罪した。アルファは、アキラに不利益となる指示は出さず、疑問があれば後で納得するまで説明すると伝えた。また、出会ったばかりで完全に信頼できないのは仕方ないが、アキラが死ねば自分も困るため、生かすために最善を尽くすことだけは信じてほしいと求めた。
アキラはその言葉を受け入れ、今後は信頼を積み重ねると答えた。アルファも信頼は互いに積み重ねるものだと応じた。
偽の映像による誘導
避難先で待機する間、アルファは機械系モンスターを別方向へ誘導していると説明した。その個体は周囲の監視装置などから外部映像を取り込み、状況を判断する自律兵器だったため、アルファは映像情報へ介入して偽物のアキラを見せていた。
最初の砲撃も同じ方法で位置を誤認させていた。ただし、自身の視覚だけで判断する個体であればその方法は使えず、アキラは砲撃を受けて死んでいた可能性があった。
全裸だった理由
待機中、アキラは初めて会った時にアルファが全裸だった理由を尋ねた。アルファは再び服を消して裸体を見せた後、それが自分を認識できる人間を効率良く見つけるためだったと説明した。
遺跡に来る者自体が少なく、さらにアルファを知覚できる者は限られていた。そのため、武装していないことが一目で分かり、強く興味を引き、反応を確認しやすい姿として全裸を選んでいた。アキラも、もし重武装の兵士の姿だったなら逃げていたと認めた。
自由に変わるアルファの姿
アルファは自分の姿がコンピュータグラフィックスで作られたものであり、外見を自由に変更できると明かした。少女や老婦、異なる体型や髪型へ変わり、制服やドレス、水着、迷彩服など様々な服装も次々に見せた。
娯楽の少ない生活を送ってきたアキラは、その変化に夢中になった。アルファはその反応を観察しながら、少しずつアキラの好みに沿うように外見を変えていったが、アキラはそれに気付かなかった。
成り上がる覚悟
アルファは、将来アキラが大金を稼ぐ有能なハンターになれば、女性を利用した罠に狙われる可能性もあると話した。アキラは自分がそこまでのハンターになれるのか不安を口にした。
アルファは、自分のサポートがある以上、アキラ自身の意志以外は何とかすると断言した。ただし、意志ややる気、覚悟だけは本人に用意してもらう必要があった。アキラはそれらは自分で何とかすると答え、アルファはその覚悟に満足そうな笑みを浮かべた。

第3話 命賭けの対価

旧世界の遺物
ハンター達が危険な遺跡へ向かう目的は、旧世界の遺物を手に入れて換金するためであった。旧世界製の品は、精密機械だけでなく日用品であっても遺物に含まれ、現在の技術では再現できない性能を持つものほど高値で取引されていた。解析できない技術も多く、旧世界の遺物は現在の科学技術を支える重要な存在でもあった。
遺跡探索の再開
アキラはアルファの指示を無視して巨大な機械系モンスターに襲われた失態から立ち直り、再び遺跡探索を始めた。今度は指示通りに動くと約束し、アルファを信じて進んだ。アルファは周囲のモンスターと遭遇しないよう的確に案内し、アキラを遺跡の奥深くまで連れていった。
旧世界の商業施設
アルファが遺物収集場所に選んだのは、かつて商業施設だった廃墟であった。内部にはモンスターやハンター達が激しく戦った痕跡と、多くの死体が残されていた。
アルファは、機械系モンスターが多い場所なら警備経路を把握することで遭遇を避けやすく、生物系モンスターも警備機械によって排除されるため、自分と行動するアキラには比較的安全だと説明した。また、アキラでも死なずに持ち帰れる重量と価値を考え、この場所を選んでいた。
外周部での徒労
アキラが前日に探索していた外周部について尋ねると、アルファは高価な遺物はほとんど取り尽くされていると答えた。アキラは命を賭けて成果の乏しい場所を探していたことに落ち込んだが、その無謀な探索がアルファとの出会いにつながったと励まされ、気を取り直した。
実際には外周部にもアキラにとって十分な価値の遺物は残っていたが、アルファはそれを知りながら、より高価な遺物を得られる危険地帯へアキラを連れてきていた。
危険地帯に残された遺物
遺跡では企業やハンター達が遺物を集め続け、利益と危険が釣り合わなくなると撤退していった。企業、一般的なハンター、最後まで残る実力者や欲に負けた者の順に手を引き、最終的には高価な遺物より死体が増えて寂れていった。
アキラが探索していた場所には高額な遺物が残っており、それは十分に武装したハンターでさえ危険すぎると判断した地域であることを意味していた。アキラはアルファの案内によって、本来なら辿り着けない場所へ入り込んでいた。
遺物の収集
アキラはアルファの指示に従い、紙袋へ遺物を詰めていった。袋自体も旧世界製で、見た目以上に頑丈な遺物であった。中にはナイフ、機械部品、回復薬、包帯のような物、腕時計のような物などが入っていた。
まだ持てると考えたアキラは追加で遺物を集めようとしたが、アルファは逃走時の負担になるとして止めた。また、ナイフと医療品は売らず、自分で使うよう勧めた。アキラは売却できる品が減ることを残念に思ったが、命を守るための必要経費として受け入れた。
遺跡からの帰還
アキラは遺物を抱えたまま、再び危険な区域を通って遺跡の外へ戻った。アルファの案内のおかげで無事に脱出すると、疲労から休憩を取った。
休憩中、アルファはクガマヤマ都市がクズスハラ街遺跡攻略のために作られたことや、東部、西部、中央部について話した。文字も読めず一般常識にも乏しいアキラが学びたいと伝えると、アルファは読み書きに加えて一般教養も訓練に組み込むと約束した。
初めての遺物売却
都市へ戻ったアキラは、スラム街近くのハンターオフィス運営の買取所へ向かった。売却する遺物を提出すると、職員のノジマはアキラの格好には軽い対応をしようとしたが、持ち込まれた遺物を見て態度を改めた。
しかしアキラに渡されたのは300オーラムだけだった。ハンターランク1、信用無し、実績ゼロの初回買取は一律300オーラムで、正式な査定後に残額が支払われる仕組みだった。アキラは命懸けの成果が三枚の硬貨になったことに不満を抱いたが、抗議しても意味がないと理解した。
ノジマの忠告
ノジマは、高価な遺物ほど査定に時間がかかり、次回の買取時に残金が支払われると説明した。また、ハンター証を失えば信用も実績も最初からやり直しになると告げた。
さらに、ハンター稼業を続けるなら今回のような無茶を今後も続けることになるため、この程度で心が折れるなら辞めた方がよいと忠告した。アキラは、スラム街にいても命懸けであることに変わりはなく、絶対に這い上がると答えた。その決意を見たノジマは、アキラなら生き残れるかもしれないと思った。
300オーラムを狙う襲撃
アキラは翌日も遺跡へ向かうつもりでいたが、その夜、買取所を見張っていたスラム街の住人達に襲われた。狙われたのは、遺物を売って得た300オーラムであった。
アキラは襲撃者達との殺し合いに勝ったものの、腹部に銃弾を受けた。通常なら致命傷となる負傷だったが、売らずに残していた旧世界製の回復薬を使用したことで、一日の休養だけで体調を回復させた。
再び遺跡へ
アキラは、自分が遺跡だけでなくスラム街でも簡単に死にかねない存在だと改めて思い知らされた。それでも、ハンターとして成り上がるためには止まれないと覚悟を新たにし、再び遺跡へ向かった。

第4話 旧世界の幽霊

尾行する二人のハンター
裏路地で襲われた傷を旧世界製の回復薬で治したアキラは、再びクズスハラ街遺跡へ向かった。体調は撃たれる前より良くなっており、アルファは長年の栄養失調などで蓄積していた身体への負担まで回復薬が治療した可能性を説明した。アキラは複雑な思いを抱えながらも、今は遺跡探索に集中した。
探索中、アルファは純白のドレス姿になっていた。アキラが理由を尋ねると、アルファは旧世界の施設が発信する拡張情報へ介入しており、対応する装置を持つ者ならアルファの姿を見ることができると説明した。そして現在、武装した二人のハンターが距離を取りながらアキラを尾行していると明かした。
カヒモとハッヒャの狙い
アキラを尾行していたのはカヒモとハッヒャであった。二人は、スラム街の子供が高価な遺物を買取所へ持ち込んだという情報を得て、アキラがまだ遺物の残る場所を発見したと考えていた。そこでアキラを尾行し、その場所を突き止めて遺物を奪うつもりだった。
機械化した両目を持つハッヒャにはアルファの姿が見えていたが、カヒモには見えなかった。二人はアルファを旧世界の拡張情報によって表示される存在と考え、クズスハラ街遺跡に伝わる誘う亡霊の怪談と結び付けた。さらに、その案内を利用すれば安全に高価な遺物へ辿り着ける可能性があると期待し、アキラの追跡を続けた。
逃走ではなく迎撃
アルファは、二人が偶然ではなく明確にアキラを尾行していると断定した。遺物の場所を吐かせた後に殺して奪う可能性もあるため、敵として対処しなければ死ぬと告げた。
アキラは武装したハンター二人を相手に勝ち目がないと不安を募らせたが、アルファは逃げても射程の差で一方的に攻撃され、都市まで逃げても追撃されるだけだと説明した。そして自分の指示通りに動けば返り討ちにできると断言した。アキラは、意志とやる気と覚悟は自分の担当だと改めて受け入れ、戦う決意を固めた。
アルファを追うハッヒャ
カヒモ達はアキラが入ったビルをしばらく監視した後、ハッヒャだけを内部へ向かわせた。ハッヒャは通路でアルファを発見し、その姿を追い始めた。
アルファは純白のドレス姿でハッヒャを誘導し、その美貌によって少しずつ警戒を削いでいった。ハッヒャは次第に周囲への注意を失い、アルファの後を追うことに集中した。その隙を突いてアキラが背後から奇襲したが、銃撃は十分な損傷を与えられず、ハッヒャの反撃を受けてアキラも深手を負った。
旧世界製の回復薬
アキラは追撃を避けながら逃げ、事前に服用していた回復薬と、傷口へ直接投与する治療用ナノマシンを使って負傷を治療した。激痛に耐えながら処置を終えると、短時間で再び走れるほどまで回復した。
アルファは奇襲時の離脱を一発早く指示すべきだったと認めたが、アキラも狙い過ぎて動きが遅れたことを自分の失敗として受け入れた。それでもアルファは、格上の相手へ奇襲を仕掛けて生き残った時点で上出来であり、相手の装備と行動も分析できたため、次は倒せると告げた。
アルファを利用した罠
ハッヒャはカヒモとの通信から、アルファが自分の指示にも反応することを知った。そこでアルファにアキラの場所まで案内するよう命じ、その後を追った。
しかしその行動もアルファの作戦に組み込まれていた。アルファは通路の一方を指差してアキラがいると思わせ、ハッヒャに大量の弾丸を撃たせた。弾倉が空になったところで指差すのを止め、ハッヒャにアキラを倒したと思わせて通路へ出させた。
そこでアキラが背後から銃撃し、ハッヒャを倒した。さらにアルファとアキラは位置を重ねることで、ハッヒャの視界からアキラを隠していた。ハッヒャは自分が最初からアルファに誘導されていたと悟り、誘う亡霊と呟いた直後、アキラに眉間を撃たれて絶命した。
ハッヒャの装備
アキラはアルファの指示でハッヒャの装備を回収した。これにより、拳銃だけだった装備は大きく改善した。その後、ハッヒャの死体を窓から落とし、残ったカヒモへ死亡を知らせた。
カヒモは、装備を奪われた死体が自分のいる場所へ落とされたことで、アキラが自分の位置を把握していると悟った。アキラをただの子供と見る考えを捨て、本気で殺すために動き始めた。
旧世界製ナイフの一撃
残るカヒモを倒すため、アルファは以前の遺跡探索で手に入れた旧世界製のナイフを使うよう指示した。アキラは柄の一部を拳銃で撃ち、安全装置を破壊した。
一方、カヒモはハッヒャの情報端末の位置を追ってアキラを探していた。その端末が通路に放置されているのを見つけ、奇襲を警戒した直後、壁の向こうから放たれたナイフの一撃によって壁ごと胴体を両断された。
アキラが振るったナイフからは青白い光が放たれ、約五メートル先まで壁を切り裂いていた。最大出力を使った刀身はその直後に崩壊した。アルファによれば、それは一般人向けの旧世界製ナイフであり、安全装置を壊して刀身保護用のエネルギーを一度だけ最大出力させた結果だった。
アルファへの信頼
二人のハンターを倒した後、アキラはアルファへ真剣に礼を述べた。そして、それまで完全には信じ切れていなかったことを謝罪した。アルファは、今回のことで信じてもらえたなら嬉しいと受け入れた。
疲労したアキラは帰りたいと思ったものの、買取所で前回分の代金を受け取るには新たな買取品が必要だった。そのため、このビルだけを探索してから帰ることにした。
汚れたハンカチ
アルファと共にビルを探索した結果、アキラは酷く汚れたハンカチを見つけた。普通なら見向きもしない品だったが、アルファから旧世界製の遺物だと教えられ、収穫として持ち帰ることにした。
アキラはさらにカヒモの所持品も可能な限り回収し、都市へ戻った。ビルにはカヒモとハッヒャの死体だけが残され、他のハンターを襲った者が返り討ちに遭って未帰還となる、東部では珍しくない光景となった。

第5話 アキラとシズカ

20万オーラムの査定額
カヒモ達との戦いを終えて都市へ戻ったアキラは、再び買取所を訪れた。担当のノジマは、以前はただのスラム街の子供だったアキラが、装備だけでなく荒野を経験したハンターらしい雰囲気を身につけていることに気付いた。
今回持ち込んだ遺物の評価は微妙だったが、前回分の査定済み金額と今回の前払分を合わせて20万オーラムを受け取った。数日前に300オーラムを巡って殺し合ったアキラにとっては想像を超える大金であり、封筒の中身を確かめながら大きく動揺した。
端金という認識
アルファは、20万オーラム程度で狼狽えていては今後困ると告げ、命を賭けて得た金額として見れば端金だと認識するよう求めた。さらに、金を得たからといって以前の裏路地へ戻るのではなく、宿に泊まるよう勧めた。
アキラは宿代を惜しんだが、アルファから金も正しく使わなければ死にやすくなると諭された。信頼を積み重ねると約束したこともあり、最終的にはアルファに宿選びを任せた。
初めての宿泊
アキラが泊まったのは、スラム街近くにあるハンター向けの安宿だった。部屋には装備を置ける空間、風呂、ベッド、冷蔵庫があり、路地裏の寝床とは比べものにならない環境だった。
一泊2万オーラムという金額には強い抵抗を覚えたが、風呂があると知ると一転して喜び、全身を念入りに洗って湯船に浸かった。ほとんど入浴の機会がなかったアキラは温かな湯を満喫し、疲労が抜けていく感覚に身を任せた。
アルファとの入浴
湯船には、視覚上だけではあるもののアルファも裸で一緒に入っていた。アキラはその姿より風呂の心地良さを優先し、アルファの裸体にも大して反応しなかった。
アルファは感想を求めたが、アキラはぼんやりしたまま的外れな返答を続けた。やがて眠りかけたアキラに対し、アルファは風呂で寝れば溺れると注意し、体を拭いて服を着てベッドで眠るよう指示した。アキラはその通りにして、すぐに深い眠りに落ちた。
宿で迎えた朝
翌朝、アキラは普段より遅くまで眠っていた。柔らかなベッドと蓄積していた疲労のためだった。目覚めた直後は見知らぬ部屋に驚いたが、前日に宿へ泊まったことを思い出して落ち着いた。
朝食は冷蔵庫の食料を使って部屋で食べられ、配給所の列に並ぶ必要もなかった。冷えた飲み水と温かい食事を、奪われる心配のない個室で食べる環境に満足し、アキラは2万オーラムを払った価値があったと納得した。
カートリッジフリーク
その後、アキラはハンター向けの万屋カートリッジフリークを訪れた。店長のシズカは、武装した子供であるアキラを警戒しつつも、盗み目的ではないと判断すると普通の客として接した。
アキラはアルファの指示通り、AAH突撃銃と弾薬、整備ツールを注文し、カヒモ達から奪った銃を売却に出した。シズカは、売却品の中にはAAH突撃銃より高性能な銃もあり、整備すれば使えるものもあると説明したが、アルファはアキラが扱いやすく、訓練にも使いやすい新品のAAH突撃銃を選ぶよう勧めた。
AAH突撃銃
アキラは買取額との差額として10万オーラムを支払い、AAH突撃銃と必要な装備を購入した。20万オーラムあった金は宿代なども含めて大きく減り、残りは6万オーラムとなったことで、アキラはアルファが20万オーラムを端金と呼んだ意味を実感した。
シズカはAAH突撃銃について、長い歴史を持ち、信頼性、整備性、耐久性に優れ、現在も多くのハンターに使われている銃だと説明した。高性能な装備を持つハンターでも、予備として一挺持つことがあるほど評価されている銃だった。
回復薬の重要性
シズカはさらに、弾薬だけでなく回復薬も多めに持つよう勧めた。軽い負傷でも命取りになるため、弾薬を増やすために回復薬を減らすくらいなら、早めに引き返す方が良いと話した。
アキラは遺跡で得た回復薬がまだ残っていることから、新たに購入するのではなく、丈夫で荷物を運びやすい服とリュックを求めた。
シズカからの贈り物
シズカは倉庫に残っていた型落ちの防護服とリュックを持ってきた。防護服は装甲が付いておらず、現状では少し頑丈な服に過ぎなかったが、アキラの用途には十分だった。
シズカはそれらを追加料金なしで渡し、気になるなら常連になって店の売上に貢献してほしいと笑った。アキラはその厚意に感謝して頭を下げた。
シズカの心配
アキラを見送ったシズカは、子供のハンターがどこまで生き延びられるのかを心配した。アキラが対モンスター用の銃を使った経験すら乏しいことも見抜いていた。
服とリュックは、すぐに死ぬかもしれないアキラに対する、せめてもの手向けでもあった。

第6話 信じる

AAH突撃銃と今後の訓練
宿に戻ったアキラは、ようやく手に入れたAAH突撃銃を手にして上機嫌だった。アルファはシズカへの好意を探ろうとしたが、アキラ自身には自覚がなく、話を切り上げた。
アルファは今後、遺跡探索を週一回に抑え、残りを訓練と勉強に充てると告げた。アキラはその方針をアルファに任せ、自分は彼女を信じると答えた。
高度なサポートへの許可
アルファは突然事務的な態度になり、より高度なサポートを行うため、事前説明や承諾なしにアキラへ様々な操作を行ってよいか尋ねた。その内容には個人情報の取得や思考への干渉なども含まれていたが、説明は極めて難解で、口頭で概要を把握するだけでも約120年かかるとされた。
アキラは内容を理解できなかったものの、これまでの経験とアルファへの信頼から許可を与えた。アルファは元の態度に戻り、悪いようにはしないと告げた。その後、別の話題へ移ったため、アキラは自分が具体的に何を許可したのかを深く考えなかった。
念話の習得
最初の訓練は、声を出さずにアルファと会話する念話だった。アキラは心の中から話し掛ける感覚を掴むため試行錯誤を続け、一時間ほどで初めて意思を伝えることに成功した。
一度成功すると上達は早く、普通の会話なら念話だけで行えるようになった。これにより銃声などの轟音の中でもアルファの指示を確実に受け取れるようになり、虚空へ話し掛ける姿を他人に見られる問題も解消された。
イメージを伝える訓練
次は言葉だけでなく、意図やイメージを直接伝える訓練へ進んだ。アキラはアルファに着せたい服を思い浮かべ、それを念話で送ることになった。
しかし最初はイメージを正確に伝えられず、アルファの服は崩れたり消えたりした。アルファは全裸のまま、服を着せたければ正確なイメージを送るよう促したため、アキラは何度も試行錯誤を続けた。夕食後になってようやく、単純な白い服を正しく着せることに成功した。
初めての射撃訓練
翌日、アキラはAAH突撃銃と防護服を身に着け、荒野で射撃訓練を始めた。最初は銃の構えから徹底的に修正され、腕や脚の位置だけでなく重心や力の入れ方まで細かく指導された。一時間かけてようやく素人らしい構えから脱した。
その後、百メートル先の小石を標的に射撃を始めた。アルファはアキラの視界へ拡張表示を追加し、目標の位置や拡大映像、銃口から伸びる弾道予測を表示した。それでも最初は大きく外れ続け、アキラは構えを直しながら何度も撃った。
拡張された視界
アキラは、念話や視界への拡張機能を以前から使えなかったのかと尋ねた。アルファは、当時は必要な許可がなく、許可を求めること自体にも制約があったと説明した。また可能だったとしても、戦闘中に突然視界を変えればアキラが混乱するため使用しなかったと話した。
アルファには物理的、技術的、規約上の制約があり、何でもできるわけではなかった。アキラはその事情を受け入れ、訓練を続けた。
銃の整備と読み書き
翌日はAAH突撃銃の整備を訓練した。アキラはアルファの指示を受けながら銃を分解したが、組み立て直すたびに部品が余るなど苦戦し、整備を終えるまで半日を費やした。
残った時間には読み書きを習った。これまで生きるためだけに時間を使ってきたアキラには、自由時間に何をしたいのかすら思い浮かばなかったためである。アルファの指導によって自分の名前を読めるようになり、ハンター証にアキラではなくアジラと記載されていることも、自力で確認できるようになった。
射撃技術の上達
訓練を重ねたアキラは、アルファの支援を受けながら百メートル先の小石へ三発続けて命中させるまで上達した。アルファから素人は卒業したと褒められ、アキラも成長を実感した。
そこでアルファは次の段階へ進み、標的を小石から巨大なウェポンドッグへ変更した。現れたのは映像だったが、過去に殺されかけた姿そのものであり、アキラは本物だと思って恐怖に固まった。
ウェポンドッグとの模擬戦
アルファはウェポンドッグの眉間を弱点として表示し、一発で仕留めるよう命じた。アキラは映像だと理解していても恐怖を抑えられず、最初の一発を外した。
するとウェポンドッグは実戦同様に動き出し、砲撃してアキラへ突進した。アキラは混乱して乱射したがほとんど命中せず、そのまま食い殺されたような映像を見せられた。実際には無傷だったが、地面には食い殺されたアキラ自身の生首まで表示された。
アルファは、実戦なら標的を仕留め損ねた結果がその姿になると告げた。アキラは以前の悪夢を思い出しながらも、恐怖から逃げずに訓練を続けると決めた。
恐怖を越えた反撃
以後もアキラは何度もウェポンドッグと戦った。最初の射撃を外して敵が動き出しても、恐怖を押し殺して照準を合わせ続けた。何度も失敗し、そのたびに映像の生首が増えていった。
やがて一発が頭部に命中して動きを鈍らせると、続けて頭部へ銃弾を撃ち込み、初めてウェポンドッグがアキラへ届く前に倒した。それでも訓練を止めず、次の標的を要求して戦い続けた。
悪夢の克服
その夜、アキラは再びウェポンドッグに追われる夢を見た。しかし今回は誰かの合図を待たず、自分の意思で振り返った。手にはAAH突撃銃があり、訓練通りに冷静に頭部を狙って撃った。
ウェポンドッグはアキラへ届く前に倒れた。目を覚ましたアキラは軽く笑い、再び眠りに就いた。同じ夢を見ても、もう悪夢にはならなくなっていた。

第7話 エレナとサラ

噂を追うエレナとサラ
二人組の女性ハンター、エレナとサラは、クズスハラ街遺跡の外周部に高価な遺物が残る未調査区域があるという噂を聞き、荒野仕様車両で遺跡へ向かっていた。噂は、素人同然の子供が高価な遺物を何度も買取所へ持ち込んだという話から広がり、尾鰭が付いて多くのハンターを外周部の再調査へ向かわせていた。
エレナ達も以前なら採算が合わない場所だったが、最近は稼ぎが悪く資金難に陥っていたため、この噂に賭けていた。
サラのナノマシン
サラは消費型ナノマシンによる身体強化拡張者であり、胸部がナノマシンの補給庫を兼ねていた。かつて瀕死の状態からナノマシン治療で助かった代わりに、生命維持にも継続的な補給が必要となっていた。
しかし資金難から補給量を減らしており、胸も以前より小さくなっていた。エレナは危険な状態だと心配し、必要なら自分の装備を売ってでも補給させると告げた。サラは反対したが、長い付き合いの中でエレナが譲らないと分かり、今回の収入を優先して補給に回すことを受け入れた。
外周部の再調査
エレナは索敵や情報収集、サラは火力を担当しており、二人は外周部のモンスターを容易に倒しながら探索を進めた。エレナは噂の子供が残した足跡を探したが、すぐには見つからなかった。
一方で周囲では色無しの霧が徐々に濃くなっていた。二人は危険になれば撤退すると確認しながら探索を続けた。
増え続けるアキラの屍
その頃、アキラは荒野で映像のモンスターを相手に射撃訓練を続けていた。標的を仕留め損ねるたびに反撃され、映像の中では何度も殺されて屍の山が積み上がっていた。
訓練中、アルファが接近する車両に気付き、アキラは双眼鏡でエレナ達を確認した。以前ハンターに襲われた経験から警戒したが、アルファは単に遺跡へ向かっている可能性が高いと考えた。それでも車で追われる事態を避けるため、二人より先に遺跡へ移動した。
遺跡に集まるハンター達
遺跡には普段より多くのハンターが集まっており、アキラは遭遇を避けるため移動を続けることになった。アルファは、アキラが持ち帰った遺物をきっかけに未調査区域の噂が広がり、多くのハンターが再調査へ来ていると説明した。
アキラは面倒なことになったと感じたが、噂は遺物が見つからなければ自然に収まると聞き、自分には気にしている余裕もないと考えて探索を続けた。
色無しの霧
廃ビルで休憩していたアキラに、アルファは色無しの霧について説明した。それは通常の霧とは異なり、景色をぼやけさせるだけでなく、濃度が高まると通信、索敵、音や匂いの取得、光学迷彩、照準、火器の威力や射程など、様々な機能に悪影響を与える現象だった。
東部全体を常に低濃度で覆っていたが、濃度が高くなるとアルファの索敵能力まで大幅に低下した。最悪の場合はアキラの方が先にモンスターへ気付くほどになると聞き、アキラはようやく危険性を理解した。現在の実力で高濃度の霧の中でモンスターと近距離遭遇すれば、生存は絶望的だと告げられ、周囲への警戒を強めた。
足跡を追うエレナ
エレナは遂にアキラのものと思われる足跡を発見した。足跡を追って廃ビルを調査したものの、高価な遺物は見つからなかった。それでも手掛かりを得たことで探索を続けた。
その間にも色無しの霧は濃くなっていた。エレナもサラも危険を感じていたが、エレナはサラのナノマシン代を稼ぐため、サラはエレナを一人で無理させないため、それぞれ相手を心配して探索を続けようとしていた。
二人は資金難から焦りを抱え、以前なら避けたはずの無理な賭けに踏み込んでいた。
遅れた撤退
色無しの霧は予想以上の速さで濃くなり、エレナの情報収集機器への影響も危険域に達した。エレナは判断の遅れを認め、ようやく撤退を決めた。
二人は車へ戻るため慎重に外周部を進んだが、高濃度の霧によって索敵範囲が狭まり、モンスターと至近距離で遭遇する危険が高まっていた。
逃げる八人のハンター
撤退中、近くで銃声が響いた。エレナが調べると、八人のハンターが一匹の大型モンスターに追われながらこちらへ向かっていた。
放置すれば自分達も巻き込まれると判断し、エレナはサラに撃破を指示した。サラは迫る大型肉食獣の頭部を一撃で撃ち抜き、倒した。
しかし逃げてきたハンター達の様子には違和感があった。助かった安堵も必死さも薄く、礼も言わず二人の横を通り過ぎ、その一人が足元へ手榴弾を投げ捨てた。
強盗となったハンター達
サラは即座にエレナを庇って逃げようとしたが、爆発で二人は吹き飛ばされた。サラが身を隠してエレナを探すと、エレナは男達に捕らえられ、銃を突き付けられていた。
男達は噂の遺物を探していたものの成果を得られず、代わりに他のハンターを襲って装備を奪う強盗へと転じていた。先ほどモンスターに追われていたのも、エレナ達を油断させるための演技だった。
エレナを救うための投降
男達はエレナを人質に取り、サラに武器を捨てて出てくるよう要求した。エレナは自分を見捨てて戦うか逃げるよう叫んだが、サラにはそれを選べなかった。
サラは武器を捨てて近付き、身体強化された力で距離を詰めてから反撃するつもりだった。しかし男達のリーダーであるブバハは、サラがナノマシン系の身体強化拡張者であることを見抜いていた。
サラが防護服を脱いだ直後、ブバハは両腿を撃ち抜いた。ナノマシンは負傷の治療と生命維持を優先し、サラは戦える状態ではなくなった。
突然の狙撃
エレナが負傷したサラを抱き締め、二人が男達に囲まれた直後、ブバハの眉間が突然撃ち抜かれた。
続けて十数発の銃声が響き、男達が次々に撃たれた。混乱から立ち直ったエレナも近くの武器を奪い、戦闘能力を残している男達を銃撃して確実に仕留めた。
正体不明の狙撃は男達がエレナ達を攻撃するのも妨害し続け、その隙にエレナは動けないサラを引き摺って近くの廃ビルへ逃げ込んだ。
正体不明の救援
廃ビルへ避難したエレナ達は、外の状況を警戒しながら身を潜めた。サラは自力で歩けるようになるまで一時間ほど必要な状態だった。
二人を救うように男達を撃った者が味方なのか、それとも獲物を横取りしようとしているだけなのかは分からなかった。エレナとサラはまだ危機を脱したとは考えず、険しい表情のまま立て籠もって様子を見ることにした。

第8話 殺しの理由

ブバハ達への奇襲
エレナ達がブバハ達に追い詰められた時、密かに様子を見ていたアキラが奇襲を仕掛けた。色無しの霧とアルファの索敵能力を利用し、敵から位置を悟られない場所を移動しながら狙撃を続けた。
アルファは、アキラが無関係な相手を助けるために命を危険へ晒したことを不満に思っていた。アキラは、ブバハ達を放置すれば自分も襲われるかもしれず、人助けをすれば失った幸運も少しは戻るかもしれないと理由を挙げた。しかしアルファは、それらが後付けであり、アキラ自身の中にある基準によってブバハ達を殺すべき相手と認識していると推測していた。
アルファの支援による狙撃
アルファはアキラの頼みを受け、ブバハ達を倒すための支援を始めた。アキラは安全な位置からブバハの眉間を狙撃し、その後もエレナ達が退避するまで男達への銃撃を続けた。
色無しの霧によってブバハ達の索敵能力は大きく低下していたが、クズスハラ街遺跡でのアルファの索敵能力は依然として圧倒的だった。その差によって、アキラは一方的に敵の位置を把握し、安全な狙撃位置から攻撃を繰り返した。
アルファは、この優位をアキラ自身の実力と勘違いしないよう強く注意した。アキラもそれを理解し、指示通りに移動と狙撃を続けた。
ブバハ達の全滅
男達はアキラの位置を掴めないまま一人ずつ倒されていった。最後の一人は降伏して命乞いをしたが、アキラは応じず、そのまま撃ち殺した。
アキラはエレナ達を救えたことよりも、ブバハ達を排除したことに意識を向けていた。男達の所持品にも興味を示さず、その場を離れることを選んだ。
正体不明の恩人
廃ビルに避難していたエレナとサラは、銃声が止んだことで戦闘の終了を察した。色無しの霧が薄れたことでエレナの情報収集機器も回復し、周囲には自分達以外に一人だけ反応が残っていることを確認した。
その反応が遠ざかっていくため、エレナは助けてもらった礼を伝えようと一人で追い掛けた。しかしアキラは接触を避け、近付くなと書いた紙と弾丸を投げて警告した。
回復薬の受け渡し
エレナは、負傷して動けないサラを車まで運ぶ護衛を依頼し、報酬も払うと呼び掛けた。アキラは護衛を引き受けず、代わりに回復薬と使用方法を書いた紙を投げ渡した。
エレナは自分のハンターコードを紙に書き残し、礼を告げてサラのもとへ戻った。後から紙を拾ったアキラは、ハンターコードの意味すら知らなかったが、アルファから情報端末を使ってハンター同士が連絡を取るためのものだと教えられた。
アキラはエレナ達と会う必要はないと考え、ブバハ達の所持品も回収せず、そのまま遺跡を去った。
回復薬による治療
エレナから事情を聞いたサラは、姿も見せず報酬も求めずに去った恩人を警戒しながらも、受け取った回復薬を使うことにした。
紙に書かれていた方法に従い、カプセルの内容物を両脚の銃創へ直接投与すると激痛に襲われた。しかし一分ほどで痛みはほぼ消え、サラは立ち上がって戦えるほどまで回復した。エレナも回復薬を服用し、頭部の負傷や疲労が急速に改善した。
その効果によって、二人は正体不明の恩人への疑念を和らげ、事情があって姿を隠しているのだろうと考えるようになった。
エレナ達の再起
アキラがブバハ達の装備を持ち去らなかったため、エレナとサラはそれらを回収することにした。売却代金をサラのナノマシン補給費へ充て、いつか恩人と連絡が取れた時には恩返しをしようと決めた。
二人は男達の所持品を回収して無事に都市へ帰還した。その売却額は、資金難で落ち目になっていたエレナ達の状況を好転させるのに十分なものとなった。

第9話 真面目なハンター

ハンターランク10への昇格
アキラは訓練と遺物収集を続けていた。未調査区域の噂を再燃させないよう、アルファが買取所へ持ち込む遺物の量と質を調整したため噂は沈静化したが、遺物の多くを隠していたことで資金繰りは悪化し、アキラは一泊4000オーラムの狭い宿へ移っていた。
累計10回目の買取を終えた際、ノジマから地図とカードを渡され、クガマビル内のハンターオフィスへ向かうよう指示された。そこでアキラはハンターランク10への昇格を告げられ、誤ってアジラと登録されていた名前も修正することになった。
アキラという名前
職員から登録名を本当にアキラだけにするのか確認され、アキラは答えに詰まった。家族も所属する組織もなく、スラム街にも愛着を持たずに生きてきたため、自分を示すものはアキラという名前しかなかった。
名前を変えても困る相手はいなかったが、今はアルファがその名を呼んでいた。アキラは考えた末、自分の名前はアキラであると答え、そのまま登録するよう求めた。
新しいハンター証
再発行されたハンター証は、以前の紙切れではなく硬質プラスチック製のカードだった。そこにはアキラの名前が正しく記載されていた。
ランク10は一般的なハンターとしてはまだ素人の域だったが、ランク1から実績を積み上げて到達したアキラは、ようやくハンターオフィスから真面なハンターとして扱われるようになった。身分証すら持たなかったスラム街の住人から抜け出したことを実感し、アキラは新しいハンター証を見ながら嬉しそうに笑った。
情報端末の購入
アルファは、一端のハンターになったアキラに次の必需品として情報端末を買わせた。情報端末は遺跡やモンスターの情報収集、ハンター同士の連絡、依頼の受注などに利用される重要な装備だった。
アキラは有り金のほぼ全てを使って情報端末を購入した。宿へ戻ってから明日の宿代すら残っていないことに気付いたが、アルファは翌日も遺跡へ行って稼ぐと答えた。
アルファ専用の設定
店で一般的な初期設定を済ませた後、アルファは自分のサポートを受けやすくするため、端末内部をアキラ用に設定し直すと告げた。
アキラは意味の分からない記号や文字をアルファの指示通り延々と入力し続けた。作業は日付が変わるまで続き、アキラが眠った後も端末は一晩中動作していた。
翌朝、情報端末の画面にはアルファが表示され、端末から実際の声まで流れた。アルファは端末を乗っ取ったと得意げに話したが、アキラは今まで通り直接姿が見える方を選んだ。
索敵なしの遺跡探索
資金を使い切ったアキラは宿代を稼ぐため再びクズスハラ街遺跡へ向かった。そこでアルファは、今後ほかの遺跡でも活動できるように、自分の索敵がない状態を想定した訓練を始めると告げた。
クズスハラ街遺跡以外ではアルファの索敵精度が大幅に低下し、最悪の場合は索敵そのものが使えなくなるためだった。危険な時には助けると約束され、アキラは自分で周囲を警戒しながら進む訓練を始めた。
遺跡での基本動作
アキラは最初の一歩から注意を受けた。遺跡へ入る前に双眼鏡で周囲を確認し、情報端末の地図から移動経路や退路を考え、モンスターとの遭遇時まで想定して行動する必要があった。
遺跡内でも足音を抑える歩き方、奇襲を受けにくい経路、即座に反撃できる体勢、周囲を確認する際の優先順位などを細かく指導された。普通なら数分で進める距離に一時間を費やし、アキラは自分の未熟さを思い知らされた。
アルファは経験と装備を積めば改善できると励まし、アキラも焦らず強くなることを受け入れた。
不完全な遺跡の地図
訓練後はいつものようにアルファの索敵を使って遺物収集を再開した。そこでアキラは情報端末の地図と実際の地形が食い違っていることに気付いた。
アルファは、無料の地図は精度が低く、有料の高精度地図でも作製後にモンスターやハンターが地形を変えれば役に立たなくなると説明した。そのため地図をどこまで信用するかも判断しなければならなかった。
地図屋というハンター
アルファは、遺跡の構造やモンスター、遺物の情報を調査して地図として売る地図屋という者達についても教えた。詳細な地図はハンターの生還率を大きく上げるため、遺跡で得られる遺物以上の高値で売れる場合もあった。
アキラは、遺物収集やモンスター討伐以外にもハンターの稼ぎ方があることを知り、事前に情報を集めることも実力の一部だと理解した。
増えた遺物の持ち帰り
その日の遺物収集では、アルファが以前より多くの遺物を持ち帰らせた。アキラがランク10となり、以前より多くの遺物を売っても不自然ではなくなったためだった。
アルファは今後もアキラの実力に応じて収入を増やし、装備や弾薬、訓練、勉強、休息に使うよう告げた。風呂付きの宿へ戻りたいアキラはさらに持ち帰ろうとしたが、それ以上は許可されず、残念そうに諦めた。

第10話 落ちている財布

スラム街での包囲
遺跡から普段より多くの遺物を持ち帰ったアキラは、近道のため治安の悪いスラム街を通っていた。アルファから包囲されていると知らされると、逃げるか戦うかを考え、勝てるなら相手の出方次第で応戦すると決めた。
現れたのは、ハンター崩れのシベアを中心とする徒党だった。シベアはアキラが高価な遺物を得ていると睨み、所持品と金、遺物の入手場所を全て渡すよう要求した。アキラは拒めば殺されると確かめた上で、弱気を装って相手を油断させた。
シベア一味への反撃
アキラはアルファの合図で突然銃撃を始め、敵の包囲を突破した。アルファが敵の位置と安全な移動経路を把握し、アキラの視界に敵を表示したことで、アキラは路地を利用して追手を待ち伏せし、次々と撃破した。
周囲を固めていた者達は恐怖から逃げ始め、残ったのはシベアとその取り巻きだけとなった。シベアも仲間との連絡が途絶えたことで不安を強め、逃げるか戦うか迷った。その間にアキラが追い付き、銃撃でシベアの武器と戦闘能力を奪った。
シベアの最期
シベアは金や徒党の支配権を渡し、他の徒党との交渉も引き受けると命乞いした。しかしアキラは、自分を狙った理由が弱そうな子供なのに大金を持っていると聞いたからだと知ると、見逃さなかった。
アキラは先ほどシベア達を欺いた言葉の続きを告げ、だからお前が死ねと言って頭部を撃ち抜いた。他の者達は既に逃げており、戦闘は終わった。アキラはハンターになったのに人間ばかり殺しているとぼやいたが、アルファは今のアキラが金を持った弱者に見える限り、同じような者に狙われ続けると指摘した。
居場所を失ったシェリル
シベアの死後、彼の徒党は崩壊し、生き残った構成員の多くは別の徒党へ移った。しかしシベアに目を掛けられ、襲撃時にも比較的近くにいたシェリルは、アキラの報復を恐れた他の徒党から受け入れを拒まれた。
一人で生きる術より集団の中で生きる術に長けていたシェリルは、今後の生存手段を失って途方に暮れた。考え続けた末、自分達の徒党を壊滅させたアキラを探し出し、自身の明日を賭けて交渉することを決めた。
シズカの店での再会
アキラが弾薬を買うためシズカの店を訪れると、以前助けたエレナとサラがいた。アキラは初対面を装い、シズカの紹介で二人と挨拶した。
エレナ達は先日の襲撃から生還し、男達の装備を売った金でサラのナノマシンを補充していた。サラは助けられた時の話を何度もシズカに語っており、アキラから渡された弾丸を加工したペンダントまで身に着けていた。
シズカに見抜かれた正体
エレナ達が帰った後、シズカはアキラに、なぜ二人を助けたことを黙っているのかと尋ねた。アキラは否定しようとしたが、シズカは渡された弾丸の製造番号から自分の店の商品だと分かったと告げたため、観念して秘密にしてほしいと頼んだ。
しかし製造番号だけでは確証にならず、シズカは鎌をかけただけだった。アキラはそれに引っ掛かったことを知って驚いた。シズカは秘密を守ると約束した上で、信頼できるハンターとの縁は生存率を高めるため、エレナ達と関係を持つことも考えるよう勧めた。
膨らむ命の恩人像
シズカがアキラを疑ったきっかけは、サラの弾丸のペンダントと、アキラがエレナ達に初対面を装っているように見えたことだった。
さらにシズカは、サラが命の恩人について何度も語るうち、正体不明だった相手を彼と呼び始め、裕福な家の出身で金や身分目当ての女性を避けて姿を隠した人物だと想像し始めていると話した。実際の自分とは全く違う人物像に、アキラは嫌な汗を浮かべ、改めて自分の正体を黙っていてほしいと頼んだ。

第11話 アキラとシェリル

シェリルの尾行
シズカの店から宿へ戻る途中、アキラはアルファから再び尾行されていると知らされた。警戒したアキラが確認すると、後をつけていたのは同世代の少女シェリルだった。彼女は襲う様子もなく、むしろ話し掛けることを躊躇しているようだった。
アキラが近付いて用件を尋ねると、アルファはシェリルが先日の襲撃時に包囲へ加わっていた一人だと教えた。アキラがそのことを口にすると、シェリルは殺されると思い込んで激しく怯え、泣き出した。周囲から誤解されかねない状況となったため、アキラは彼女を落ち着かせようとし、結局宿まで連れて帰った。
宿での休息
宿に着いても動揺が残るシェリルに、アキラは風呂を勧めた。シェリルは入浴によって少しずつ平静を取り戻し、自分がアキラに持ち掛けようとしていた交渉を改めて考えた。
風呂から戻ったシェリルの空腹に気付いたアキラは、自分の食事を譲り、新たに自分の分を用意した。二人は先に食事を済ませ、その後ようやく互いに名乗って本題へ入った。
シェリルの提案
シェリルは、アキラに自分達の徒党のボスになってほしいと頼んだ。スラム街では徒党に属することで安全や食料、金策などの利点を得られ、武力を持つハンターがボスになれば組織の維持にも大きな力になると説明した。
さらに、シベア達を倒したアキラなら、その徒党を奪って新たなボスになる名目も十分に立つと訴えた。しかしアキラは面倒そうだとして興味を示さず、断ろうとした。
シェリルの交換条件
追い詰められたシェリルは、話を受けてくれるなら自分を好きにして構わないと申し出た。アキラはシェリルの体付きを見たものの、戦力として役に立つかどうかを考え、囮や捨て駒にも向かないとして断った。
アルファから性的な意味だと説明されても、アキラの判断は変わらなかった。アキラは、弱みに付け込んでそのようなことをするのは嫌だとも話した。
アルファの提案
アルファは、徒党のボスになるかどうかとは別に、シェリルを少し助けてはどうかと提案した。以前アキラが口にした、善行を積めば運が良くなるかもしれないという話を持ち出し、シェリルに軽く手を貸す程度なら大きな責任を負う必要もないと説明した。
シェリルがその幸運を生かせるかどうかは本人次第であり、邪魔になれば縁を切ればよいとも言われたことで、アキラの中で協力への抵抗は薄れていった。
コインに託した決定
アキラは初めてハンターとして得た報酬の100オーラム硬貨を取り出し、表か裏かをシェリルに選ばせた。シェリルは表を選び、アキラは結果を自分だけで確認した。
その後アキラは、徒党のボスにはならないがシェリル個人には協力すると告げた。その代わり、徒党のボスはシェリル自身が務め、別の人物をボスにしてもアキラはその人物には協力しないという条件を提示した。シェリルは受け入れ、アキラという後ろ盾を得ると同時に、自ら徒党を率いる立場となった。
知らされない表裏
シェリルはコインが表だったのか尋ねたが、アキラは聞くなと答えた。自分が賭けに勝ったのか負けたのか、シェリルには分からないままだった。
アルファがアキラに協力を勧めた本当の理由は、善行や幸運ではなかった。殺しに躊躇しない一方で基準の分からないアキラの行動原理を知るため、シェリルとの関わりを増やし、その行動を観察する機会を作ることが目的だった。

第12話 シェリルの徒党

シェリルとのスラム街巡り
宿での話し合いを終えたアキラは、シェリルに頼まれてスラム街を一緒に見て回った。シェリルはシベアの旧縄張りを中心に案内し、土地や徒党ごとに異なる秩序について説明した。アキラは長くスラム街で暮らしていたものの、他の徒党の縄張りには近付かないようにしていたため、知らない場所も多かった。
途中、アルファは二人で歩く姿をデートのようだとからかい、シェリルに何か贈るよう勧めた。アキラは贈り物を選んだ経験がなく困惑し、シェリルからアクセサリーがよいと助言されると、そこそこ高価に見えるペンダントを選んで渡した。シェリルは、アキラと親しいことを示す証拠として使える品を得られたことを喜んだ。
シェリルの新たな拠点
アキラと別れたシェリルは、かつてシベア達が拠点としていた建物へ向かった。そこは徒党崩壊後に空白地となっていたが、シェリルは自分の拠点だと宣言し、訪ねてきた旧構成員達に自分が新たなボスになったと告げた。
シェリルは、アキラと話を付けて協力を得ており、自分は彼の代理として徒党を率いるのだと説明した。さらにアキラから贈られたペンダントを見せ、自分は彼のお気に入りであり、殺せば報復されると思わせた。その威圧によって大半の者は退き、残った数人の子供達はシェリルをボスとして認め、徒党への加入を求めた。
一人になったシェリル
旧構成員達が去った後、シェリルは誰もいないことを何度も確認してから、ようやく緊張を解いた。アキラの後ろ盾を得ても常に守られるわけではないため、彼がいない時にも自分を襲わせない環境を作る必要があった。
シェリルは命懸けの第一歩を切り抜けたことに安堵し、その場に倒れ込むように眠りへ落ちていった。
旧構成員達の襲撃計画
拠点を去った者達の一部は、シェリルの話を疑い、彼女を殺して拠点を奪おうと相談していた。アキラとの関係ははったりかもしれず、仮に多少事実でもシェリルさえ殺せば曖昧にできると考えたのである。
慎重な者達は報復を恐れたが、積極的な者達は拠点を奪えば他の徒党で地位を得られると考え、襲撃を決めた。消極的な者達は見張りだけを引き受け、実行役が銃を構えて建物へ向かった。
アキラの待ち伏せ
襲撃者達が動き出した直後、アキラが路地の陰から銃撃した。実行役は次々と倒され、生き残って反撃しようとした者にも止めを刺した。
アキラは残った者達に、自分がシェリルと話を付けたハンターだと名乗り、彼女に手を出すなと警告した。なぜ最初からシェリルと一緒にいなかったのか問われると、アキラは死体を指して答え、そのまま立ち去った。
男達は、アキラが襲撃者を誘い出すため意図的に姿を見せなかったのだと受け取り、シェリルへの手出しを恐れるようになった。
シェリルを守るための脅し
帰路でアルファに尋ねられたアキラは、今後ずっとシェリルを護衛する暇はないため、今回の襲撃者を殺して警告を広めれば当面は安全になると考えたと説明した。その後はシェリル自身の運次第だと割り切っていた。
アルファはその考えを聞き、アキラがシェリルのために無制限に危険を冒す可能性は低いと理解した。
翌朝の相談
翌朝、シェリルは宿の前でアキラを待ち、徒党の現状や拠点の場所、連絡方法について相談した。さらに新しく加わった者達との顔合わせのため、その夜に拠点へ来てほしいと頼み、定期的にも顔を出してほしいと求めた。
しかしアキラは定期的に通う約束には乗り気ではなく、行ければその夜に一度顔を出すとだけ答えた。シェリルはひとまず了承し、拠点前に多数の死体があったことも伝えたが、アキラはスラム街では珍しくないと受け流した。
シェリルは死体がアキラの仕業ではないかと疑ったものの、隠す理由が分からず確信できなかった。アキラとの協力関係をどう維持するか考えながら、次の手を模索していた。

第13話 運が悪い者達

進化した射撃訓練
アキラはクズスハラ街遺跡付近で、拡張視界に表示されたモンスターを相手に射撃訓練を続けていた。標的は周囲を移動し、アキラに気付けば反撃や突撃も行うようになっており、失敗するたびに様々な死に方をしたアキラの映像が積み重なった。訓練の成果を感じながらも、普通のハンターと呼べる実力までの遠さを実感したアキラに、アルファは装備の差も大きいと励ました。また、以前助けたエレナとサラなら、訓練で相手にしている程度のモンスターは群れでも余裕で倒せると教えた。
モンスターの群れと緊急避難
射撃訓練後、アキラが索敵訓練を兼ねて遺跡探索を始めると、アルファは双眼鏡を情報端末へ接続させ、遠方を調べた。その結果、遺跡付近で大型トレーラーが大規模なモンスターの群れに襲われていることが判明した。
アルファはアキラにも既に群れの一部が気付いており、都市方面へ逃げれば遮蔽物のない荒野で追い付かれて殺されると説明した。生き残るには、トレーラーの者達が戦っている間に遺跡へ向かい、彼らと合流して応戦する必要があった。アキラは納得しきれないままも指示に従い、全力で遺跡へ走った。
カツラギ達の窮地
大型トレーラーに乗っていたのは、武器商人のカツラギと護衛役のダリスであった。二人は最前線付近で仕入れた商品をクガマヤマ都市へ運んでいたが、輸送を急いで契約上とは異なる経路を通った結果、モンスターの群れに追われていた。護衛のハンター達は群れの一部を引き付けて離脱し、残された二人は都市へ逃げ込むこともできず、クズスハラ街遺跡へ進路を変えていた。
遺跡なら群れが追ってこない可能性や、強力なハンターに遭遇する可能性に賭けたのである。しかしトレーラーは袋小路に入り、群れもそのまま追ってきたため、カツラギとダリスはその場で迎撃するしかなくなった。
群れへの実戦投入
遺跡へ向かう途中、アキラにもモンスターの一部が迫った。アルファは回復薬を事前に服用させ、拡張視界に敵の優先順位、弱点、弾道予測、移動経路を表示した。
アキラは訓練通りに指示へ従い、最優先の敵を撃ち、移動し、再び最適な位置から射撃を繰り返した。アルファは敵の動きだけでなくアキラの未熟さまで計算した指示を出し続け、その結果、アキラは本来の実力を大きく上回る戦果を上げながら群れを突破した。
戦闘中、アキラは訓練で戦ったモンスターより実物が弱く感じることに気付いた。アルファは訓練用の個体には怯えや退却を設定せず、死ぬまで機械的に襲わせていたと明かした。実戦でモンスターを軽視しないための設定であり、その成果が今回の戦闘に表れていた。
カツラギ達への援護
カツラギ達は大量のモンスターを倒していたものの、敵の増援が途切れず、機銃の弾薬補充によって火力が一時的に落ちたことで追い詰められた。ダリスが死を覚悟した直後、モンスターの眉間を一発の銃弾が撃ち抜いた。
遺跡へ到着したアキラが廃ビルの窓から援護射撃を始めていた。AAH突撃銃一挺では本来戦況を変えられるほどではなかったが、アルファが最も効果的な標的と射撃位置を選び、アキラが指示通りに攻撃したことで、カツラギ達が機銃を再装填する時間を稼いだ。
カツラギ達もアキラの援護に合わせて戦い方を変え、互いに支援しながら戦闘を続けた。二度の機銃弾薬補充を挟んだ末、ようやく周囲のモンスターを殲滅した。
カツラギとダリスとの出会い
戦闘後、アキラがトレーラーへ向かうと、カツラギ達は援護していた人物が子供だったことに驚いた。しかし直前の戦闘で実力を見ていたため、アキラを軽んじることはなかった。
カツラギは緊急依頼を受けたハンターかと尋ねたが、アキラは自分も群れに襲われて逃げてきただけだと答えた。カツラギは自分達が群れを連れてきたことを語らず、アキラも深く追及しなかった。
カツラギは武器商人として名乗り、ダリスもアキラに礼を述べた。さらに助けてもらった縁として、商品を安く売ると申し出たうえ、クガマヤマ都市までトレーラーに乗せると提案した。
トレーラーでの帰還
激戦を終えたアキラは訓練を再開する気力を失っており、アルファにも今日は帰ると告げた。アルファが了承すると、アキラはカツラギ達のトレーラーに乗り込んだ。
整備を終えたトレーラーは都市へ向けて発進し、進路を塞ぐモンスターの死体さえ豪快に吹き飛ばして進んだ。その光景にアキラは少し引いたが、カツラギとダリスは気にも留めず笑っていた。

第14話 不運と幸運と偶然の繋がり

追い付いたモンスターの群れ
クズスハラ街遺跡を離れたアキラは、カツラギ達のトレーラーでクガマヤマ都市へ向かっていた。道中、最前線のハンターや商売について聞き、五大企業入りを目指すカツラギの夢に感心した。カツラギも積み荷を守れたことに感謝し、アキラは今回の助力を貸しにしておくことにした。
しかしアルファが遠方の土煙を発見し、カツラギ達が引き連れてきたモンスターの群れにはまだ後続が残っていると判明した。都市まで逃げれば群れを連れてきたと判断されて防衛隊に攻撃され、逃げ回るにはトレーラーのエネルギーが足りなかった。遺跡へ戻る案も、先ほどの戦闘で大量のモンスターを呼び寄せている可能性から却下され、アキラ達は荒野で迎撃することになった。
絶望的な迎撃戦
アキラは弾薬と回復薬を準備し、勝ち目があるのかアルファに尋ねた。アルファは具体的な勝率を伏せたまま勝機はあると答え、意志とやる気と覚悟を失わないよう励ました。アキラも自分の担当を思い出し、最後まで戦う覚悟を決めた。
群れが十分に近付くと、カツラギの機銃掃射を合図に戦闘が始まった。アキラもアルファの支援を受けて弱点を狙い続けたが、敵は次々に押し寄せた。回復薬で身体の負担を抑えながら弾薬を消費し続けても、敵の数は容易には減らなかった。
判断ミスと重傷
戦闘の最中、素早いモンスターに複数の弾丸を当てたアキラは倒したと思い込み、アルファの指示を待たず次の敵へ狙いを移した。しかしモンスターは重傷のまま突進を続け、アキラを押し倒した。
アキラは咄嗟にAAH突撃銃を相手の口へ腕ごと押し込み、喉奥から銃撃して頭部を破壊したものの、右脚を大きく引き裂かれた。アルファの叱咤を受け、アキラは回復薬を傷口へ直接投与して激痛に耐えながら立ち上がり、治療途中の脚で再び戦闘に戻った。
尽きた弾薬と救援
モンスターは既に接近戦の距離まで迫り、ついにトレーラーの機銃弾も尽きた。カツラギとダリスは終わりを覚悟し、アキラも内心では同意していた。
だがアルファは戦いが終わり、助かったと告げた。直後、群れへ大量の榴弾と対物弾頭が降り注ぎ、モンスター達が次々に吹き飛ばされた。救援に現れたのは、カツラギが出していた緊急依頼を受けたエレナとサラであった。
エレナとサラの火力
資金面の余裕を取り戻していたエレナ達は、高威力の弾薬を惜しみなく使用した。サラが大型銃火器から榴弾を撃ち込み、エレナも車両の機銃で攻撃を続けたことで、アキラ達を追い詰めていた群れは短時間で殲滅された。
戦闘後、アキラはサラに深く頭を下げて礼を述べた。サラは仕事だから気にしなくてよいと答え、以前死にかけた際に助けてくれた人物から貰った弾丸を加工したペンダントを、慢心と幸運を忘れないための御守りとして見せた。
返ってきた恩
その弾丸は、かつてアキラがエレナ達を助けた際に渡したものであった。アルファは、あの時のアキラの行動が巡り巡って今回の命を救ったとからかった。アキラも、あの時に助けておいて良かったと認めた。
今回の生還には、アキラの実力や覚悟、アルファの支援だけでは足りなかった。以前の行動によって生まれた縁が救援へ繋がり、避けられないはずだった死を覆したのである。その経験は、本人が気付かないままアキラの中に確かな変化を残した。

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