リビルドワールド V(5)レビュー
リビルドワールド全巻まとめ
リビルドワールドVI(6) 〈下〉レビュー
- どんな本?
- 読んだ本のタイトル
- あらすじ・内容
- 感想
- 考察・解説
- 登場キャラクター
- 展開まとめ
- 第146話 廃棄品と、ある配慮
- 第147話 旧世界製の情報端末
- 第148話 シェリルの遺物販売店
- 第149話 ハンターランク調整依頼
- 第150話 奥部のモンスター
- 第151話 ユミナの訓練
- 第152話 ある一つの正念場
- 第153話 ユミナの契機
- 第154話 ティオルの嘆き
- 第155話 再構築完了
- 第156話 女に甘いタイプ
- 第157話 望みと選択
- 第158話 イイダ商業区画遺跡
- 第159話 レイナとトガミ
- 第160話 運も実力の内
- 第161話 総合支援システムの欠点
- 第162話 競争相手
- 第163話 配達人、または乱入者
- 第164話 ティオルの変異
- 第165話 自動人形
- 第166話 現実の解像度
- 第167話 試行の障害
- リビルドワールド 一覧
- その他フィクション
どんな本?
リビルドワールドは、ナフセ氏によるライトノベルで、2017年2月から日本の小説投稿サイト「カクヨム」や「小説家になろう」での連載が開始されている。
2023年7月の時点で、累計発行部数は75万部を超えている。
物語は、高度な科学文明の旧世界が滅んでから長い時間が流れた時代が舞台。
その旧世界の遺跡には現在では再現不可能な先進技術の遺物があり、これらのアイテムは高価で取引されている。
しかし、その遺跡には旧世界からの危険な自律兵器、モンスターが徘徊しており、遺物を回収しに来る者たち、ハンターと呼ばれる人々は、命をかけてこれらの遺物を求めている。
物語の中心には、クガマヤマのスラム地区で生きる若いハンター、アキラがおり。
彼は装備が不十分な中、危険な遺跡での探索を始めるが、途中で諦めかけていた時、突如として現れた美しい女性、アルファと出会う。
彼女はアキラに、彼女の目的を果たす手助けをする代わりに、一流のハンターへと育て上げるという取引を提案。
アキラは彼女の提案を受け入れ、アルファが持つ先進技術の知識やサポートを受け取りながら、数々の危険を乗り越えて成長していく。
この物語は、綾村切人による漫画版として『電撃マオウ』 (KADOKAWA) で2019年9月から連載が始まり。
そして、2023年7月にはテレビアニメ化の発表もあった。
最初にこの本と出会ったのは、Amazonの日替わりセールで1巻が販売されており興味を引かれて購入。
読んでみるとマッドマックスのような世界観での遺跡探索の物語。
設定やキャラクターたちが魅力的で面白く。
続きのこの巻も購入して読む。
読んだ本のタイトル
リビルドワールド VI〈上〉 統治系管理人格
著者:ナフセ 氏
イラスト:わいっしゅ 氏
出版社:KADOKAWA(電撃の新文芸)
発売日:2022年3月17日
ISBN:9784049139495
(PR)コチラのサイトから購入して頂けると幸いです。
あらすじ・内容
旧世界の存在、そしてアキラとユミナの邂逅がもたらすものは――
ハンター稼業を再開したアキラは、アルファに案内されたクズスハラ街遺跡の奥部で、黒いドレスを身に纏った美女と出会う。
リビルドワールドVI〈上〉 統治系管理人格
遺跡の管理人格を名乗るツバキは、アルファに対しても不機嫌な態度を隠すことなく……。
その後、アキラはクガマヤマ都市からハンターランク調整依頼を受けさせられるが、同行者としてユミナが選ばれ……!?
クガマヤマ都市、ドランカム、そして旧世界の存在であるアルファとツバキ。様々な者達の思惑は、より多くの者たちの望みと運命を巻き込んでいく。
怒涛の連続刊行で贈るシリーズ前半戦、クライマックス!
感想
今回かなり印象に残ったのが、クズスハラ街遺跡の奥部でアキラが出会う管理人格ツバキである。
アルファに導かれて、普通のハンターなら簡単には辿り着けない場所まで進んだアキラ。
そこには、荒廃した遺跡の中とは思えないほど完全な状態で残された旧世界の都市があった。
その中心にあるツバキハラビルで現れたのがツバキである。
問題は、このツバキがアルファの姿を普通に認識していることだった。
しかも、明らかに仲が悪い。
会った瞬間から空気が重い。
アキラを挟んでアルファとツバキが静かに牽制し合っているのだが、下手な銃撃戦より怖い。
何だこの女同士の睨み合い……。怖いよ。
アルファとツバキ、会った瞬間から仲が悪い
ツバキは自分を「ツバキハラビル及び当区画の管理人格」と名乗る。
セランタルと同じような旧世界側の管理人格なのだが、アルファに対する態度が最初から露骨である。
そしてアルファもツバキに対して笑顔ではいるものの、明らかに警戒している。
さらに帰り際、ツバキがアキラの旧領域接続能力について口を出したことで空気が一気に変わる。
アキラの通信能力は、アルファと接続し続けていることで、少しずつアルファ専用のような状態へ変化しているらしい。
アルファとの通信品質は上がる。
サポートも強化される。
その代わり、他の旧世界側の存在と自由に接続する能力は狭まっていく。
ツバキは、
「それで本当にいいのか」
というような話をアキラへ投げる。
するとアルファが完全に笑顔を消す。
ここからのやり取りが怖い。
アルファは余計なことをすれば敵とみなすと警告。
ツバキも、自分の管理区画で簡単に命令が通ると思うなと返す。
アキラには二人の詳しい会話が聞こえていないのに、険悪な雰囲気だけは伝わっている。
そりゃ困るよな。
何を話しているのか分からないのに、両側から殺気だけ飛んでくる。
しかも後からアルファは、ツバキがアキラと秘密裏に通信するための帯域を欲しがっていた可能性まで話している。
要するに、
「アルファを通さず直接アキラと話したい」
ということらしい。
それをアルファが嫌がっている。
さらに、ツバキから大金を出すから自分の依頼を優先しろと言われても断ってくれるか、とアルファが確認する。
アキラは当然のように、
アルファには山ほど借りがあるから、アルファの依頼を優先する
と答える。
ここでアルファが本当に嬉しそうにするのも印象的だった。
単なる契約関係だった二人が、かなり深いところまで来ている。
一方でツバキも、この時からアキラに興味を持つ。
強い。
アルファから信用されている。
しかも子供。
ツバキからすれば、かなり興味深い存在なのだろう。
旧世界の情報端末を拾ったせいで、またスラムと都市が動き出す
ツバキハラビルでアキラが持ち帰ったのは、ただの廃棄品ではなかった。
旧世界製の衣類やブレードに加えて、とんでもない物が混じっている。
旧世界製の情報端末である。
最初にアキラがカツラギへ見せた時、アキラは軽い感じで10億オーラムと吹っ掛ける。
だが鑑定する側は笑えなかった。
本物なら100億オーラムでもおかしくない。
結局、その情報端末をヴィオラが6億オーラムで買い取る。
アキラとしては、
「また装備が買える」
くらいの感覚なのだろうが、ヴィオラがそんな物を普通に売るわけがない。
彼女は情報端末をシェリルの遺物販売店で扱わせ、それを餌に都市上層部まで引きずり出していく。
ここが面白い。
アキラが遺跡で拾ってきた一つの遺物が、
スラムの店
↓
情報屋ヴィオラ
↓
都市上層部
と繋がっていく。
アキラ本人は政治的なことにはあまり興味がない。
でも、彼が持ち帰る物の価値が大きくなりすぎて、本人の知らないところで周囲の立場まで動いてしまう。
しかもシェリルは、その状況を利用して都市から支援を引き出そうとする。
前巻ではスラムの徒党同士の抗争だった。
今回はさらに上の、都市内部の力関係まで話が広がっている。
アキラが強くなるほど、巻き込まれる範囲も大きくなっている感じがする。
人型兵器を倒したら「ランク詐欺」扱いされて調整依頼が来るw
そして今回、一番リビルドワールドらしい理不尽さを感じたのがハンターランク調整依頼である。
前巻の大規模抗争で、アキラは八島重鉄と吉岡重工の人型兵器を何機も撃破した。
問題は、
アキラのハンターランクが低すぎること。
低ランクの個人ハンターに倒される兵器。
そんな印象を持たれると、兵器メーカーとしては困る。
そこで企業側が、
「アキラのランクがおかしい」
と都市へ圧力を掛ける。
その結果、アキラへ事実上断れないハンターランク調整依頼が出される。
何だその理由w
人型兵器を倒した本人ではなく、倒された兵器メーカー側の都合でランクを上げられることになるのが面白い。
しかも同行者として選ばれたのがユミナ。
表向きは監視役兼護衛対象。
裏ではドランカムが採用している総合支援強化服の宣伝も兼ねている。
つまりアキラは、
企業の都合でランクを上げさせられ、
別企業の装備宣伝にも付き合わされる。
完全に大人の事情である。
ただ、ここからのユミナとの関係がかなり良かった。
最初は護衛対象だったユミナだが、アキラと一緒にクズスハラ街遺跡奥部へ通ううちに、自分ももっと強くなりたいと考えるようになる。
そしてアキラから強くなる方法を聞く。
その内容がまた酷い。
強化服と自分の身体を別々に動かす。
限界まで身体を酷使する。
壊れたら高級回復薬で治す。
それを繰り返す。
普通に死ぬだろ。
だがユミナは本当にやる。
最初はアキラの足を引っ張らないようにするだけだった。
それが少しずつ、バイクでアキラに付いていき、戦闘にも参加し、二か月後にはかなり戦えるようになっている。
アキラ自身も、
アルファに頼らず自力で戦う訓練
という意味では同じことをしている。
だからこの二人は意外と相性が良い。
お互い、
「自分の実力だけで強いわけではない」
という感覚を持っている。
ユミナには総合支援システム。
アキラにはアルファ。
その部分を卑下するだけではなく、それでも自分で強くなろうとしている。
ここはかなり共通しているように感じた。
強くなるアキラと、周囲で増えていく旧世界側の思惑
今回の巻は戦闘だけを見ると、アキラがまた一段強くなった話でもある。
クズスハラ街遺跡奥部のモンスターを、自力でも倒せるようになってきた。
ユミナを護衛しながら戦える。
新しい装備にも慣れている。
そしてハンターランク調整依頼によって、実績と数字のズレも少しずつ修正されていく。
ただ、それ以上に気になったのが旧世界側の存在である。
アルファ。
ツバキ。
さらにカツヤの背後にいる謎の少女。
今まではアルファだけが特別な存在に見えていた。
でも、少しずつ同じ土俵にいる別の存在が増えてきた。
しかも全員が同じ目的ではない。
ツバキはアキラに興味を持っている。
アルファはそれを警戒する。
カツヤの背後では、また別の存在が動いている。
ここまで来ると、
「アキラがどれだけ強くなるか」
だけではなく、
「誰がアキラを利用しようとしているのか」
の方もかなり重要になってきた。
本人は相変わらず、
強くなる。
稼ぐ。
装備を買う。
アルファの依頼を達成する。
と比較的単純なのだが、周囲がどんどん複雑になっている。
特にツバキ。
あのアルファが露骨に嫌な顔をする相手というだけで危険な感じがする。
最初の出会いから、
「あ、この人は絶対また出てくるな」
という存在感だった。
アキラを挟んでアルファとツバキが本格的にぶつかる日が来るのか。
そこがかなり気になる巻だった。
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リビルドワールド V(5)レビュー
リビルドワールド全巻まとめ
リビルドワールドVI(6) 〈下〉レビュー
考察・解説
旧世界管理人格ツバキ
旧世界管理人格ツバキの正体と役割の全貌
『リビルドワールド』における旧世界管理人格ツバキは、クズスハラ街遺跡の奥部に位置する旧世界の都市「ツバキハラビル」および同区画を支配する「統治系管理人格」である。その存在は、アキラが対峙する旧世界の超技術と、その裏で蠢く管理人格同士の暗闘を象徴する重要なキャラクターとして描かれている。ツバキの正体と管理区画、アルファとの確執と通信帯域を巡る睨み合い、アキラに対する実力評価と冷酷な罠、制約を無視する柔軟な判断とティオルの再構築、および旧世界システム間の試行の障害としての存在の各点から解説する。
ツバキの正体と管理区画
ツバキは黒いドレスを身に纏った、愛想の欠片もない非常に美しい女性の姿をしている。
・クズスハラ街遺跡奥部の巨大な防壁に囲まれた、全く劣化のない旧世界都市を支配している。
・ビル内では床や天井を走る多数の自走コンテナなどの旧世界設備を完璧に統率しており、管理区画はビル本体だけでなく、周辺の広大な荒廃地(崩れ落ちた廃ビルや瓦礫だらけの領域)にまで及んでいる。
アルファとの確執と通信帯域を巡る睨み合い
ツバキはアルファと過去から深い確執があり、互いにあからさまな不機嫌と敵対心を隠そうとしない。
・特にアキラがツバキハラビルを訪れた際、ツバキはアキラの旧領域接続者としての通信能力がアルファとの通信に特化(制限)されているという本質的な事実を指摘した。
・これに対し、アルファは笑顔を完全に消し、余計な真似をすれば敵とみなすと極めて冷徹な警告を放っている。
・アルファは、ツバキが自身の依頼を優先させるためにアキラを直接誘導したり、不都合な接触を行ったりすることを激しく警戒している。
・一方でツバキも、アルファと直接刺し違えることも辞さない強固な意思を維持している。
アキラに対する「実力評価」と冷酷な罠
アルファとの交渉に応じ、ツバキハラビルの巨大倉庫に眠る大量の旧世界製廃棄品(衣類や旧世界製の情報端末など)をアキラに譲ったのは、ツバキなりの合理的な配慮に基づいている。
・アキラにビル内で暴れられて戦闘による被害を出すくらいなら、廃棄品を渡して大人しく帰らせた方が管理上得策であると判断したからである。
・しかし、その前提(アキラにそれだけの戦闘力があるか)を確認するため、ツバキは冷酷な検証を行った。
・往路での配慮:アキラがビルに向かう際は、自身の管理権限でモンスターを意図的に抑え込み、無傷での進入を許容した。
・復路での罠:アキラが管理区画から離脱した瞬間、その抑制を一気に解除した。さらに自らの管理下にある強力な機獣をウェポンドッグの群れに混ぜてアキラを襲撃させた。
・アキラが死闘の末にこれらを殲滅したのを見て、ツバキはあの程度倒せないようでは説明に虚偽があったことになるとアルファの交渉の妥当性を認め、アキラの実力を承認した。
・同時に、高い実力を持ちながらも子供ゆえに付け込める(御しやすい)可能性があるとして、アキラ個人に深い関心を抱くようになった。
制約を無視する「柔軟な判断(変容)」とティオルの再構築
通常の旧世界のシステムや管理人格は、融通が利かず、無意味に見える生産や廃棄のプロセスを延々と繰り返す。
・しかしツバキは高度に成長した管理人格であり、自分に課せられた規則や制約を無視してでも、自身の都合や現在の人間との取引を優先させる柔軟な判断(人格の肥大化)を獲得している。
・イイダ商業区画遺跡において、旧世界製自動人形(オリビアなど)の再入荷の予定を勝手に停止させ、のちに自身のためのメッセンジャー(交渉代理人)としてオリビアを起動・移動させたのも、彼女独自の柔軟な判断の一環である。
・さらに、アキラと遭遇して戦い、自我がシステムに侵蝕されて瀕死となったティオルを救い上げ、その内部システム(接続機能、指揮系統など)を強制的に再構築したのもツバキである。
・ティオルが本来の権限を超えて支援要請を出し、他社の自動人形を異常な動作に追い込んだ際も、ツバキはそれを不具合として排除するどころか、自身の制約を部分的であれ突破可能な極めて有用な駒として彼の価値を高く評価し、自らの目的のためにティオルに新たな任務を与えて操っている。
旧世界システム間の「試行の障害」としての存在
ツバキは、アルファやカツヤの背後にいる白い世界の少女といった上位の管理存在から、彼女たちの計画(試行)を狂わせる不確定要素・障害として警戒されている。
・アルファたちは自らの個体(アキラやカツヤ)に悪感情を持たれずに直接誘導することに腐心しているが、ツバキは彼女たちのローカルネットワークや直接誘導の枠外にある。
・独自の柔軟な判断で現世界や自動人形、ハンターたちを動かすため、計画に不要な摩擦と混乱を引き起こす最たる存在としてシステム的にも重大な監視対象となっている。
まとめ
旧世界管理人格ツバキの正体と役割を巡る一連の全貌は、ツバキハラビルおよび周辺区画を完全統率する黒ドレス姿の統治系管理人格としての君臨から始まり、アキラの通信能力の意図的制限の暴露に伴うアルファとの冷徹な対立、往路の安全確保と復路の強力機獣襲撃による実力テストとアキラ評価の確立、旧世界ルールの制約を脱した柔軟な判断力によるオリビアや瀕死ティオルの再構築・駒化、そしてアルファや「白い世界の少女」の試行計画を乱す不確定要素としての不気味な暗躍に至るまで、その歩みを明瞭に示している。
旧世界のシステム規定や現世界との断絶という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を自らの選択と確固たる意志によって完璧に確立するに至る、管理人格としての高度な自律性と旧世界技術の絶対的差配の記録である。
都市の統治から、アルファとの牽制、冷酷な実力検証、規則を超えた駒の再構築、そして試行計画への干渉へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。
旧世界製の自動人形
旧世界製の自動人形の全貌と戦闘特性
『リビルドワールドVI〈下〉 統治系管理人格』において、旧世界製の自動人形は単なる高性能なロボットという枠を超え、世界観の深淵やキャラクターたちの命運に深く関わる、極めて重要な存在として描かれている。現代技術を遥かに凌駕する価値と性能、ハンター稼業における起動の鉄則と危険性、三葉ジルパテック社の最新モデルと凄絶な戦闘力、ティオルの支援要請による異常挙動、およびLions Tail社製の自動人形オリビアの各点から解説する。
現代技術を遥かに凌駕する価値と性能
旧世界製の自動人形は、富裕層向けの贅沢品である現代製の自動人形(約10億オーラム)を遥かに凌駕する価値を持っている。
・これらは旧世界時代の高度な情報が眠る旧領域への接続装置としての役割も担っており、現代の通信網とは比較にならないほど高品質な通信能力を備えている。
・そのため、企業の技術解析や部品の再利用といった観点からも需要が極めて高く、無傷であれば数十億から数百億オーラムという破格の値段で取引される超高価値遺物である。
ハンター稼業における「起動の鉄則」と危険性
遺跡で未起動の自動人形を発見した際、ハンターの間では絶対に自分で起動させず、専門の業者を呼んで場の確保に留めることが絶対の鉄則とされている。
・この鉄則を無視して欲をかき、自分で起動させようとしたハンターの多くは、その自動人形によって命を奪われている。
・旧世界の法律や価値観においては、武装して遺跡(施設)に侵入するハンターは強盗・窃盗犯と判定される。
・そのため、起動した自動人形は、商品価値を維持・回復するための防衛措置や、旧世界の秩序に基づいた緊急の治安維持活動(武力行使)を容赦なく実行する。
・過去には、これにより強力な賞金首と化した自動人形の事例も存在する。
三葉ジルパテック社の最新モデルと凄絶な戦闘力
イイダ商業区画遺跡に再入荷されたのは、三葉ジルパテック社の最新モデル(当時価格1800万コロン)などの自動人形である。これらは執事服やメイド服を着用した非常に端麗な容姿をしている。
・圧倒的な堅牢さ:高出力ジェネレーターによる力場装甲(フォースフィールドアーマー)を常に展開しており、現代製の防護服と同等以上の強度を誇るため、通常の銃弾を嵐のように浴びせても傷一つ付かない。
・多彩かつ強力な武装:手のひらから高出力のレーザーを放ち、目からビームを射出し、さらには刃渡り十数メートルに及ぶ光刃を振るって周囲の瓦礫や極めて頑丈な植物を一瞬で炭化・両断する規格外の破壊力を持っている。
・撃破の難しさ:戦闘行動や高速移動、特定の部位への出力偏向によって力場装甲が一時的に脆くなる瞬間が存在し、極限まで集中した実力者(成長したレイナなど)であれば通常弾で破損させることも可能である。しかしアキラが2体の最新モデルと対峙した際は、銃本体の破壊と自身の左腕の犠牲を前提とした安全制限を解除した最速連射を至近距離で浴びせることで、ようやく相打ちに近い形で撃破できるほどの強敵であった。
ティオルの支援要請による異常挙動(バグ)
正気と旧世界システムの境界が曖昧になったティオルが、本来の権限を無視して不正な支援要請を送信した際、遺跡内の自動人形たちに深刻な影響が及んだ。
・これにより、複数体の自動人形がアキラの銃撃から瀕死のティオルを守るための盾として割り込み、彼の救出を優先する行動をとった。
・しかし、この不正規な干渉の代償として、起動した自動人形たちの感情表現が完全に欠落して無表情のサンドバッグのようになったり、単調な動きしかできなくなるといった動作のバグも発生している。
Lions Tail社製の自動人形「オリビア」
リオンズテイル社所属の汎用人格を名乗る、特別なメイド服姿の自動人形である。遺跡の管理人格ツバキが、自身の制約を無視した柔軟な判断により、ある工作のメッセンジャーとして起動・配置した。
・次元の違う戦闘能力:敵対意思は見せないものの、排除に動いたシオリの渾身の刀を指先で摘まみ、カナエの全開の拳を片手で平然と受け止め、体勢すら崩さなかった。さらに、シオリが刀の崩壊と引き換えに放った最大限界出力の一撃すら、傷一つ負わずに平然と受け流すという絶望的な実力差を見せつけている。
・謎のカードの託送:アキラへの応急処置を行うシオリたちに対し、アキラが目覚めたら渡すように告げて、謎の白いカードを託した。その直後、気配を残したまま忽然と姿を消したが、実は途中から高度な立体映像へと切り替わっていたことがカナエによって見抜かれている。
まとめ
旧世界製の自動人形の全貌と戦闘特性を巡る一連の全貌は、旧領域接続機能を備えた超高価値遺物としての性能定義から始まり、ハンター間における自己起動厳禁の鉄則と防衛プログラム発動の危険性、力場装甲と光刃を備えた三葉ジルパテック社最新モデルの圧倒的戦闘力、ティオルの不正支援要請に伴う庇護行動と動作バグ、そして管理人格ツバキの意思を帯びたオリビアの異次元の強度と白いカードの託送に至るまで、その歩みを明瞭に示している。
旧世界の防衛システムや圧倒的性能差という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を自らの選択と確固たる意志によって完璧に確立するに至る、旧世界遺産の脅威と人間側の生存闘争の記録である。
自動人形の発見から、鉄則の確認、強敵との対峙、バグの露呈、そしてオリビアの介入へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。
クズスハラ街遺跡奥部
クズスハラ街遺跡奥部の全貌と重要性
クズスハラ街遺跡奥部は、通常のハンターが活動する外周部とは異なる極めて過酷な危険地帯である。地理的環境と無傷の旧世界都市、凄まじい戦闘力を持つ奥部のモンスター、クガマヤマ都市のインフラ整備と幹部達の権力闘争、およびアキラとユミナの死闘と特訓の各点から解説する。
地理的環境と無傷の旧世界都市
クズスハラ街遺跡奥部は、地理的にも到達が困難な特殊な環境にある。
・奥部へ進むと道路は著しい悪路に変わり、地面は瓦礫だらけとなる。
・倒壊した高層ビルが巨大な壁となって行く手を遮るため、通常の車両での通行は不可能に近い。
・さらに、無数の廃ビルと大量の瓦礫が一体化した、まるで都市の防壁のような高く長い壁が出現する。
・アキラはこの防壁を、バイクの強力な接地機能とアルファの超人的な運転制御によって垂直に駆け上がり、乗り越えることに成功した。
・壁の内側には、現代技術を遥かに超えた、全く劣化のない神聖な旧世界都市が広がっている。
・洗練されたデザインのビルが規則正しく並ぶ光景は、足を踏み入れたアキラに神域のような印象を抱かせた。
・都市の中央にはツバキハラビルと呼ばれる巨大な高層ビルがそびえ立っており、そこでは管理人格であるツバキがビルおよび区画を統治している。
・ビル内では床や天井を自在に走行する自走コンテナなどの高度な設備が稼働し、周囲には強力な旧世界の警備機械が配備され、部部外者の狼藉に備えて常に監視を怠らない。
凄まじい戦闘力を持つ奥部のモンスター
遺跡奥部に棲息するモンスターは、外周部とは比べ物にならない強さと規模を誇る。
・ウェポンドッグの群れを例に挙げると、個体の体長が10メートルや20メートルを超える大型のものが交じっている。
・それぞれが大砲や機銃、ミサイルポッドなどの強力な兵器を全身から生やしている。
・さらに、外皮を剥ぎ取ると内部が金属製の機械になっている機獣(機械系モンスター)が存在する。
・この機獣は大型レーザー砲を格納し、周囲の瓦礫を一瞬で両断・爆発させる光学系の光の刃を放つ。
・蜘蛛型甲殻機虫の群れも棲息しており、ミサイルや銃による高密度の反撃を仕掛ける。
・このように強力なモンスターが地上から苛烈な集中砲火を浴びせるため、航空機を用いて低空飛行で都市へ接近することは困難を極める。
クガマヤマ都市のインフラ整備と幹部達の権力闘争
クガマヤマ都市は奥部攻略を進めるため、前線基地を建設した。
・その前線基地から遺跡奥部に向けて「後方連絡線」と呼ばれる幅約100メートルに及ぶ道路を整備した。
・道路の両側はモンスターの侵入を防ぐ高い壁で塞がれており、路面は瓦礫のない直線道路として舗装され、安全かつ快適な移動経路を提供している。
・連絡線の末端には、重武装の歩兵部隊や多数の戦車、人型兵器が配備されている。
・都市の幹部達は、遺跡奥部をいくつかの「担当区画」に分割して遺物収集を進めた。
・ヤナギサワは前線基地の投資や後方連絡線の「延長」に注力する一方で、他の幹部達は枝葉となる移動ルートの確保を求め、自らの担当区画の攻略予算を巡って激しく争っている。
・イナベの担当区画は後方連絡線から離れた位置にあり、モンスターも強く、安価な遺物ばかりという低い評価を受けていた。
・しかしシェリルがアキラの持ち帰った情報端末を交渉材料にしたことで、イナベは評価の高い発見場所として自分の区画を工作する機会を得た。
アキラとユミナの死闘と特訓
アキラは「ハンターランク調整依頼」を受け、この奥部を活動場所とすることを強制された。
・同行者として選ばれたドランカムのユミナと共に、二人は奥部でモンスター討伐や遺物収集に従事した。
・ユミナは自身の力不足を痛感し、アキラ(アルファ)に自らを鍛えてほしいと願い出た。
・アキラは「やめたくなったら自分から言うこと」を条件にこれを受諾する。
・訓練内容は、アキラの走らせるバイクにユミナが強化服の脚力で全力疾走して付いていくというものである。
・ユミナは総合支援システムの警告を無視して走り続け、全身が挽き肉になりそうな負荷に耐えながら、事前に大量服用した回復薬で身体を再生させて特訓をこなした。
・この極限の訓練により、ユミナの実力は劇的に向上し、戦闘中に体感時間の操作を成功させるまでに成長を遂げている。
・また、この奥部の高層ビルにおいて、二人は異常な変異を遂げた少年ティオルに遭遇した。
・ティオルはヤツバヤシの処置によって身体強化拡張者となっており、さらにツバキによってシステムを再構築され、ヤツバヤシの爆弾を自ら取り除いて人外の強さを身につけた。
・アキラ達はティオルからの見えない砲撃による不意打ちを受け、この遭遇を契機に活動場所をイイダ商業区画遺跡へと変更することになった。
まとめ
クズスハラ街遺跡奥部の全貌と重要性を巡る一連の全貌は、悪路や巨大防壁を抜けた先に広がるツバキ統治下の劣化なき神聖旧世界都市から始まり、ウェポンドッグや機獣、蜘蛛型甲殻機虫などの超規格外モンスターの猛威、クガマヤマ都市による後方連絡線敷設とイナベら幹部陣の攻略担当区画権力闘争、そしてアキラとユミナの極限地獄特訓による体感時間操作獲得、さらには変異ティオルとの不意打ち遭遇と活動拠点の移行に至るまで、その歩みを明瞭に示している。
過酷な荒野環境や旧世界兵器の脅威という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を自らの選択と確固たる意志によって完璧に確立するに至る、絶対的領域の実態と強者ハンターたちの鍛錬の記録である。
防壁の走破から、モンスターの迎撃、都市のインフラ管理、極限の特訓、そして商業区画への転進へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。
シェリルの遺物販売店
シェリルの遺物販売店の全貌と変遷
シェリルの遺物販売店は、スラム街の大抗争後に急激な成長を遂げ、経済的および政治的な重要拠点へと変化していった。大抗争後の独占と店舗の急拡大、旧世界製の情報端末の仕入れとヴィオラの販売計画、都市幹部イナベとの闇取引と工作、およびシェリルの社会的地位の向上とアキラとの関係の各点から解説する。
大抗争後の独占と店舗の急拡大
シェリルたちの遺物販売店は、スラム街の大抗争後に急激な成長を遂げた。
・エゾントファミリーとハーリアスの壊滅により、競合するスラムの裏店舗がすべて営業困難となったためである。
・その結果、スラム街における遺物の需要がシェリルの店へ一極集中することとなった。
・店舗は改装され、扱う遺物の価格帯が異なる3つのフロアに分割された。
・特に高価格帯フロアは、富裕層向けに厳重な入店制限や防犯金庫のような内装が施された。
・大抗争後の競合不在を突いて急激に店舗規模を拡張し、アキラが持ち帰った旧世界製の遺物を販売する窓口として機能した。
・入党希望者が殺到するほどの影響力をスラム街に及ぼすようになり、スラムの弱小組織の店舗から、都市の富裕層や大企業が直接訪れるほどの高級店へと変化を遂げた。
「旧世界製の情報端末」の仕入れとヴィオラのあくどい販売計画
アキラはクズスハラ街遺跡の奥部から、極めて貴重な旧世界製の情報端末を大量に回収してきた。
・この情報端末を、情報屋ヴィオラがアキラから6億オーラムで買い取った。カツラギは資金不足と真贋の迷いから、この買取競争に敗北した。
・ヴィオラは店舗の差別化と集客を狙い、この情報端末を利用したあくどい販売計画を立案した。
・本物の鑑定書を添えた情報端末は1個5000万オーラムという高額で売り出された一方で、本物か偽物か分からない未鑑定の品を1個500万オーラムで店頭に並べ、客の射幸心を煽った。
・自費で鑑定を申し出た客に対し、ヴィオラはあらかじめ用意した本物をすり替えるハッキング工作を行った。
・さらに、客から預かった高額な鑑定料をピンハネし、安い簡易鑑定料との差額を利益にした。
・客は鑑定料を無駄にしたくない心理に追い込まれ、最終的に本物を高額で購入させられることとなった。
・鑑定済みの本物を高額で販売し、未鑑定品を餌にしたヴィオラの策略により、多くの客から鑑定料と購入代金を二重に搾取して莫大な売上をもたらした。
・この情報端末の存在が、店舗を単なるスラムの店から都市上層部を誘き出すための火種へと変質させた。
都市幹部イナベとの闇取引と工作
情報端末 Popularの人気を聞きつけ、クガマヤマ都市幹部であるイナベの部下ノグチが店に接触してきた。
・ヴィオラは交渉を有利に進めるため、情報端末をわざと店頭から引き上げて1個1億オーラムへと値上げし、都市上層部へ在庫切れによる焦りの心理を植え付けることに成功した。
・シェリルとヴィオラは都市の公用車で遺跡の前線基地へ運ばれ、イナベと直接対決した。
・シェリルは情報端末そのものを売るのではなく、発見場所の偽装工作をイナベに提案した。発見場所がイナベの担当区画であったことにすれば、イナベの都市内での評価が跳ね上がるためである。
・見返りとして、シェリルはイナベ個人ではなくクガマヤマ都市の公式な支援を要求した。スラム街を効率よく統治するため、自身の徒党にスラムの管理を委ねさせる計画である。
・イナベはシェリルの交渉能力と覚悟を認め、この闇取引を承認した。
・発見場所の偽装工作と引き換えに、クガマヤマ都市からの全面的なバックアップを確保し、イナベから提供された他の貴重な遺物を店舗で独占販売して利益を大幅に拡大させた。
・二大徒党に脅かされる立場から、都市公認でスラム街を掌握する絶対的な勢力へと地位を向上させた。
シェリルの社会的地位の向上とアキラとの関係
イナベとの取引工作の一環として、シェリルはクガマビルの上層階で開かれる華やかな立食会に招かれた。
・ヴィオラから高級レストランで受けた厳しい食事マナーの訓練が、令嬢としての高雅な立ち振る舞いを支えた。
・シェリルはイナベと親しげに談笑し、自分が都市の重役と繋がる特別な令嬢であるという誤解を周囲に定着させた。
・アキラが再びツバキハラビルから持ち帰った大量の情報端末は、都市とのハンターランク調整依頼とは無関係の品であったため、アキラは店の在庫不足を解決するために無償でシェリルへと手渡した。
・シェリルはアキラが自分のために命懸けの無茶をして遺物を調達してくれたと深く誤解した。
・彼女はアキラの期待に応え、対等なパートナーとして認められるため、遺物販売店の経営にさらなる執念を燃やすこととなった。
・立食会で富裕層やドランカムの幹部たちを翻弄し、組織の社会的な地位を極限まで高めた。
・アキラから無償で譲渡された大量の追加情報端末を確保し、他店との圧倒的な差別化を維持した。
・スラムの子供のリーダーから、都市経済の強者たちと談笑し、アキラをビジネス的に支えられる唯一無二の指導者へと成長を遂げた。
まとめ
シェリルの遺物販売店を巡る一連の全貌は、二大徒党壊滅に伴うスラム遺物市場の独占と3フロア制高級店への改装から始まり、6億オーラムで買い取った旧世界製情報端末とヴィオラのすり替え鑑定搾取商法、都市幹部イナベとの発見場所偽装工作に伴う公式支援獲得、そしてクガマビル立食会での地位確立とアキラからの追加情報端末無償譲渡による絶対的経営基盤の完成に至るまで、その歩みを明瞭に示している。
弱小組織の限界や不条理な都市構造という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を自らの選択と確固たる意志によって完璧に確立するに至る、圧倒的知略の行使と莫大な経済的・政治的影響力獲得の記録である。
市場の独占から、搾取商法、都市幹部との取引、立食会での暗躍、そして指導者としての覚醒へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。
身体強化拡張者ティオル
身体強化拡張者ティオルの変遷と人外の怪物化の全貌
『リビルドワールド』において描かれるティオルは、スラム街のしがない内通者から極限の実験と怪異を経て、人間ともモンスターとも判別できない異形の兵器へと変貌を遂げた象徴的な存在である。彼がたどった出自からヤツバヤシによる改造、遺跡奥部での狂気的な再生、管理人格ツバキによるシステム再構築、そして異形変異と結末に至る全貌について解説する。
出自:スラムの内通者から追われる身へ
ティオルは元々、シェリルの徒党に所属して裏でザルモたちの襲撃者や二大徒党に情報を売っていた内通者の少年ハンターであった。
・大抗争が終結した後、新しくシェリルの協力者となった情報屋ヴィオラによって彼の裏切り行為が暴かれてしまう。
・その結果、ティオルは徒党を追放され、襲撃によって多大な被害を出したシジマやかつての仲間たちから命を狙われる身となった。
・重傷を負ってスラムの路地裏へと追い詰められ、完全に逃げ場を失った極限状態において、ヤツバヤシという診療所の医師に救出されることで彼の運命は狂い始める。
ヤツバヤシの処置:身体強化拡張者への改造と「狂った摂食」
ヤツバヤシは、治療と安全な移送を条件に、以前から目を付けていたティオルの肉体を用いて特殊な治験(実験)への協力を強制した。
・これによりティオルは、頭部に裏切り防止用の起爆装置を埋め込まれた「身体強化拡張者」へと改造される。
・目覚めたティオルの身体は、食事として金属ブロックやセラミックを平然と噛み砕いて消化・吸収するような人外の構造へ変貌を遂げていた。
・さらに、網膜ではなく脳の視覚処理段階で、本人にしか見えない旧世界のシステム情報と思われる謎の記号や文字列が拡張表示される不具合にも見舞われている。
クズスハラ街遺跡での治験と「失われた戦闘記憶」
ティオルはヤツバヤシのデータ収集のため、通常では自殺行為に等しいクズスハラ街遺跡奥部へと送り込まれた。
・彼にはモンスターから存在を認識されても襲われないという特殊な新規迷彩機能が施されており、実際に巨大な機械蜘蛛に囲まれても一切襲撃を受けなかった。
・これによって危険地帯の遺物を安全に大量収集できるようになり、彼は自身の力を過信し始める。
・しかし焦りから警戒を怠り、迷彩が通じない大型モンスター「暴食ワニ」に遭遇して食い千切られる事態に陥った。
・目覚めた時、ヤツバヤシから「暴食ワニを格闘戦で圧倒して返り討ちにした」と映像を見せられたが、彼にはその間の記憶が完全に欠落していた。
・実際には、ティオルはワニの腹の中で精神的負荷が閾値を超えたことでシステムに意識を侵蝕され、体内から内蔵砲を撃って脱出し、ワニの肉体を食い荒らして自己再生を遂げていた。
・ヤツバヤシはティオルの精神のシステム侵蝕を隠蔽するため、映像を編集して捏造していたのである。
アキラとの再遭遇と、管理人格ツバキによる「再構築」
治験最終日、ティオルはより価値のある遺物を求めて入った高層ビルの最上階で、アキラとユミナに予期せず遭遇する。
・アキラに見つかった恐怖と、アキラの姿が赤く敵対表示されたことから、ティオルは反射的に左腕の内蔵砲をアキラに向けて発砲した。
・この襲撃によりアキラとの和解交渉は不可能となり、ティオルはさらに同ビルの白い部屋でモンスターの群れや暴食ワニと相食む凄絶な戦闘を繰り広げた。
・なんとか勝利したもののシステムに自我を完全に奪われたティオルの前に、遺跡の管理人格ツバキが現れる。
・ツバキはアキラを動かすための「制約を部分的に突破できる駒」としてティオルを高く評価し、彼の接続機能や指揮系統、内部システム全体を再構築した。
・再構築完了後、ティオルは頭部に手を突き刺してヤツバヤシの爆弾を取り出し、それが手の中で爆発して手首を吹き飛ばされても一切動じず、ワニを捕食して即座に無傷へと再生した。
イイダ商業区画遺跡での「トレーラーの捕食」と異形変異
ツバキから与えられた任務を受け、ティオルは大型トレーラーを操縦してイイダ商業区画遺跡へ現れる。
・地下の集配所で旧世界製自動人形オリビアを起動させた際、オリビアに胸を貫かれて再び死亡するが、即座にまた蘇生・再生を果たした。
・その後、地下でアキラたちと遭遇してパニックに陥り、左腕の砲撃を繰り出した後、アキラのバイクによる激しい追走戦へ突入する。
・アキラとユミナの苛烈な攻撃によって死の恐怖に追いつめられ、精神が完全に崩壊しかけたティオルは、もっと強い武器を求めて左腕で自身のトレーラーを殴りつけた。
・彼の左腕は大口へと変化し、トレーラーそのものを素材として食らい尽くしていく。
・そして巨大な盾、無数の銃、車体の強力な力場装甲が肉体と融合した、人間ともモンスターとも判別できない「異形の巨大武装・変異形態」へと昇華した。
「不正な支援要請」がもたらした自動人形の暴走と結末
ティオルは桁違いの弾幕と盾の力場装甲でアキラを圧倒し、ユミナの遠距離ミサイル支援をも耐え抜いていた。
・しかし、アキラとユミナの絶え間ない集中攻撃によって最終的にトレーラーの車体エネルギーを完全に消費し、機体は崩壊して地面へ投げ出される。
・アキラが止めを刺そうと銃口を向けた極限状態において、ティオルの助けを求める意識がシステムの機能と接続し、他社の自動人形たちに対して不正な支援要請を送信した。
・これに呼応した複数の旧世界製自動人形たちがアキラの射線上に身を盾にして割り込み、瀕死のティオルを回収して遺跡の逆方向へ逃走させた。
・この不正規な支援干渉の代償として、起動した自動人形たちの感情表現が消失して無表情になったり、単調な動きしかできなくなるといった重大なシステムエラーが周囲で多発した。
・最終的に、意識を失ったティオルはオリビアによってクズスハラ街遺跡のツバキの元へと運ばれ、ツバキの傍らに転がされた。
・ツバキは、自らの意思で旧世界の強固な制約やルールを突破して現世界を動かせる極めて優秀な手駒として彼を評価し、その手元に確保し続けている。
まとめ
身体強化拡張者ティオルの変遷と人外の怪物化を巡る一連の全貌は、スラムでの内通露見とヤツバヤシによる身体強化拡張者への改造から始まり、クズスハラ街遺跡奥部での記憶喪失再生とアキラへの発砲、管理人格ツバキによる自己爆弾摘出を伴う再構築、イイダ商業区画遺跡での大型トレーラー捕食による異形武装形態への変異、そして不正な支援要請による自動人形庇護とツバキの手元への回収に至るまで、その歩みを明瞭に示している。
旧世界のシステム浸蝕や実験体としての運命という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を自らの選択と確固たる意志によって完璧に確立するに至る、異形の怪物への暴走と管理権限突破の記録である。
追放の悲運から、身体の改造、暴食再生、管理人格の再構築、兵器の捕食、そして手駒としての確保へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。
リビルドワールド V(5)レビュー
リビルドワールド全巻まとめ
リビルドワールドVI(6) 〈下〉レビュー
登場キャラクター
旧世界の存在・遺跡の管理人格
アルファ
アキラにのみ見える謎の美女の姿をした人工知能である。
アキラをサポートし、特定の遺跡の攻略を目指す立場をとる。
アキラが自身との通信に特化することに肯定的な態度を示す。
アキラを取り巻く他の人間に対しては、警戒心を強めている。
・所属組織、地位や役職
旧世界のシステム存在、アキラの専属サポート役。
・物語内での具体的な行動や成果
クズスハラ街遺跡奥部の探索時、バイクの運転を完全に掌握した。
接地機能を応用し、バイクで巨大な防壁を駆け上がった。
アキラが持ち帰った旧世界製情報端末の売却時、高額での吹っかけを提案した。
アキラと自動人形の戦闘時、知覚解像度を向上させる高負荷の支援を行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ツバキがアキラに接触した際、笑顔を消して敵対警告を発した。
アキラが無意識にユミナへ配慮した際、ユミナへの警戒をさらに強めた。
ツバキ
クズスハラ街遺跡奥部のツバキハラビルを統治する管理人格である。
愛想のない美しいドレス姿の女性として現れる。
自身の管理領域を厳格に支配する立場をとる。
アルファに対しては、あからさまな不機嫌と敵対心を示している。
・所属組織、地位や役職
クズスハラ街遺跡奥部のツバキハラビル管理人格、統治系管理人格。
・物語内での具体的な行動や成果
ビルに侵入したアキラを、用事が済み次第立ち去るよう冷淡に案内した。
自身の管理区画の廃棄品をアキラに譲渡する。
アキラが管理区画を離脱した際、モンスターの抑制を解除して彼を襲わせた。
モンスターを撃破したアキラの実力を認め、彼への興味を強めた。
瀕死のティオルのシステムを再構築し、自身の任務を託して配下に置いた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
自身の仕事や規則よりも都合を優先する、高度な「柔軟な判断」を獲得している。
アルファや白い世界の少女からは、計画を狂わせる「試行の障害」として危険視されている。
オリビア
リオンズテイル社所属の汎用人格を名乗る自動人形である。
丁寧で優雅なメイド服姿の女性として行動する。
基本的には中立で、交戦の意思を示さない立場をとる。
アキラやシオリたちと交渉や接触を行う。
・所属組織、地位や役職
Lions Tail(リオンズテイル)社所属の汎用人格。旧世界製の自動人形。
・物語内での具体的な行動や成果
イイダ商業区画遺跡の集配所で、ティオルによって起動された。
自身を不意に起動させたティオルの胸を一度貫いて昏倒させた。
アキラと最新型自動人形との戦闘後、応急処置中のシオリたちの前に現れた。
排除に動いたシオリの刀を指で摘まみ、カナエの拳を片手で受け止めた。
シオリの切り札の一撃すら、傷一つ負わずに無傷で受け流している。
アキラ宛てとして、謎の「白いカード」をシオリに託した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ツバキから依頼を受け、メッセンジャーとして起動・配置された。
意識のないティオルをツバキの元へと運搬した。
個人ハンター・その他
アキラ
スラム街出身の若き少年ハンターである。
アルファの高度な支援を借りながら実力を高めている。
自身の力が借り物であることに罪悪感や葛藤を抱く。
他者に甘えることを嫌い、自分で決めた契約や約束を遵守する。
・所属組織、地位や役職
個人ハンター。
・物語内での具体的な行動や成果
新装備一式を整え、バイクでクズスハラ街遺跡の奥部を突破した。
ツバキとの交渉を成立させ、大量の廃棄遺物を安全に持ち帰った。
持ち帰った旧世界製情報端末をヴィオラへ6億オーラムで売却した。
ハンターランク調整依頼を受け、ユミナと共に奥部でモンスターを討伐した。
変異したティオルと交戦し、激しい追走戦を繰り広げた。
イイダ商業区画遺跡で、最新型の強力な自動人形2体と死闘の末に相打ちで撃破した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
人型兵器を倒したことで、ハンターランクに比して戦闘力が極めて高いと評価された。
企業からのクレームを受け、都市よりハンターランク調整依頼を出された。
死闘によって全身の細胞を破壊・再生する過負荷に耐え、戦闘力を飛躍的に向上させた。
調整依頼の完了に伴い、ハンターランクは適切な位置へと引き上げられた。
ユミナ
ハンター徒党「ドランカム」に所属する少女ハンターである。
カツヤを心配し、彼のチームに戻りたいという強い願いを抱く。
アキラの訓練を受け、自身の能力を飛躍的に開花させた。
アキラに対しては、気を許せる親しい友人としての態度をとる。
・所属組織、地位や役職
ハンター徒党「ドランカム」所属のハンター。カツヤ派。
・物語内での具体的な行動や成果
アキラのハンターランク調整依頼に、同行者兼護衛対象として志願した。
アキラの走らせるバイクに強化服で全力疾走して付いていく過酷な訓練をこなした。
アキラとティオルの戦闘時、遠距離から小型ミサイルを連射してアキラを援護した。
極限状態の戦闘において、自力で「体感時間の操作」を初めて成功させた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
大抗争後はドランカムから休暇を取り、シェリルの護衛としてスラムに留まった。
アキラに同行を続けるため、カツヤからの離脱の提案を拒み、強くなって戻ると決意した。
訓練の過負荷により一時的に吐血したが、回復薬で完治させ、大幅な成長を遂げた。
デイル
真面目な性格の個人ハンターである。
シェリルを大企業の令嬢であると深く誤解している。
シェリルの交渉術に翻弄され、情報を無償で提供させられた。
シェリルを都市の有力者と繋がる実力者であると考えている。
・所属組織、地位や役職
個人ハンター。遺物倉庫の警備員。
・物語内での具体的な行動や成果
クガマビルの立食会に、シェリルの連れとして参加した。
着慣れないスーツを着用し、あからさまに緊張した様子を見せている。
立食会の他の参加者から声を掛けられ、驚きながらも歓談に応じた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
シェリルがイナベと談笑する姿を見て、彼女の社会的影響力に畏怖を深めた。
シェリルを介して、自身の期待を超える高い地位の存在と縁を持つに至った。
キャロル
地図屋として活動する美貌の女性ハンターである。
周囲の男性を誘惑して利用することを得意とする。
アキラの精神的な頑強さと自分への無関心さに興味を抱く。
ヴィオラの護衛として共に行動する立場をとる。
・所属組織、地位や役職
個人ハンター。地図屋。
・物語内での具体的な行動や成果
クズスハラ街遺跡外周部での取引時、ヴィオラの護衛を務めた。
ティオルが持ち込んだリュックサックを、念のために一人で近付いて確認した。
安全を確かめた上でヴィオラを呼び、取引の場を維持している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
本巻ではヴィオラの信頼できる護衛として機能した。
アキラとの直接の戦闘や、イイダ商業区画遺跡での捜索には関わっていない。
レイナ
ドランカムに所属する少女ハンターである。
トガミとバディを組み、お互いに切磋琢磨して実力を高めている。
ユミナの急激な成長と、自分の置かれた生温い環境に悩む。
シオリとカナエを自身の絶対的な従者(護衛)とする。
・所属組織、地位や役職
ハンター徒党「ドランカム」所属のハンター。
・物語内での具体的な行動や成果
イイダ商業区画遺跡で、シオリが認める実力を示すためにモンスターに近接戦闘を挑んだ。
シオリから課された最終戦の最中、アキラに獲物を横取りされて大がかりに拗ねた。
アキラから自動人形の情報や、都市の裏の暗躍を聞かされて強い衝撃を受けた。
自動人形店を発見し、完全な状態の自動人形を見て一時は大喜びした。
アキラの戦闘時、トガミに叱咤されて自身の役割を認識し、援護射撃を行った。
極限まで集中した結果、自動人形の力場装甲が一時的に薄くなる箇所を見抜いて破損させた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
大抗争後は事務派閥から距離を置き、古参に近い立場と扱いに変化した。
シオリから調達された、ハンターランク50相当の高額高性能な新装備を使用している。
戦闘での覚醒を経て、シオリやカナエからも主としての成長と実力を高く評価された。
トガミ
レイナと共に行動する若手ハンターである。
自分の価値を周囲に認めさせるために奮闘している。
レイナのわがままに呆れつつも、彼女を精神的に支える。
アキラやユミナの圧倒的な強さを前に、自身の訓練や成長を見つめ直した。
・所属組織、地位や役職
ハンター徒党「ドランカム」所属のハンター。
・物語内での具体的な行動や成果
イイダ商業区画遺跡のドームで、レイナと共にモンスターを倒して前衛を務めた。
ユミナから過酷な特訓に掛かる費用の現実を聞き、強くなるには金が必要だと実感した。
自動人形探しが難航する中、レイナの元気が空回りしないよう行動指針の思案を促した。
自動人形との遭遇時、動揺したレイナを叱咤してシオリたちの支援に回らせた。
シカラベに訓練料として提示した三千万オーラムを全額支払うことに成功した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ドランカム内での評価が高まり、古参に近い立場へと変遷している。
シカラベの指示により、自動人形の所有権交渉の席にドランカムの当事者として同席させられた。
企業の交渉担当者たちを相手に、会議室という死地で徹底的に揉まれた。
レイナの護衛(メイド)
シオリ
レイナに絶対の忠誠を誓う専属のメイドである。
冷静沈着で卓越した剣技と状況分析能力を誇る。
レイナの安全と、彼女が望む自立のための成長を第一に考える。
アキラの実力を高く評価し、不必要な敵対を避けるよう配慮する。
・所属組織、地位や役職
レイナの専属メイド。護衛。
・物語内での具体的な行動や成果
襲撃してきた巨大な獣を、刀の一閃で鮮やかに両断した。
自動人形の展示ケースに強い照明を当て、それが立体映像であることを見破った。
ドランカムを介さず独自のルートで運び屋を手配し、遺物の取扱不都合を回避した。
自動人形との戦闘時、愛用の刀の対力場装甲機能を発動させて敵機を次々に大破させた。
アキラが昏倒した直後、オリビアの急襲からアキラの身を守るため果敢に斬りかかった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
オリビアから託された「白いカード」の処理に悩み、アキラから譲渡してもらう交渉を行った。
カードの高い価値を知りながら真実を伏せて取引したことで、カナエから詐欺に近いと指摘された。
レイナがいつまでもハンターとして生き、危険に身を晒し続けることへの深い懸念を抱いている。
カナエ
シオリと共にレイナに仕えるもう一人の従者である。
飄々とした態度で、戦いそのものを楽しむ好戦的な性格を持つ。
レイナに対しては、彼女が自ら判断を下して責任を取るよう促す。
シオリの過保護な姿勢をからかいながらも、彼女の覚悟に一定の敬意を払う。
・所属組織、地位や役職
レイナの護衛。
・物語内での具体的な行動や成果
イイダ商業区画遺跡の廊下で、強力なモンスターの群れへ素手で飛び込んだ。
強力な拳と蹴りだけで、そのモンスターの群れを一方的に殲滅した。
レイナがシオリの反応を見て判断しようとした際、頭を掴んで自ら判断するよう叱咤した。
自動人形店でアキラがメイドに興味があると言い張るのを、わざとややこしくしてからかった。
感情のない自動人形との戦闘を退屈に感じ、最大効率の冷徹な動きだけで敵機を次々と破壊した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
圧倒的な格闘実力を見せつけ、アキラやトガミを驚愕させた。
シオリの「白いカード」を巡る交渉を、主への裏切り行為(詐欺に近い)として厳しく指摘した。
シェリルの徒党
シェリル
アキラを唯一無二の後ろ盾とするスラム街の少女ボスである。
自身の知恵と並外れた胆力を用いて、徒党の利権を拡大している。
アキラに対等なビジネスパートナーとして認められることを切望する。
都市幹部イナベと対等に渡り合うほどの、卓越した交渉術を開花させた。
・所属組織、地位や役職
シェリルの徒党・ボス。遺物販売店の経営者。
・物語内での具体的な行動や成果
大抗争で倒壊した倉庫から回収した遺物を元に、遺物販売店を急速に開店させた。
アキラが持ち帰った旧世界製情報端末を、販売店の高価格帯フロアで販売した。
公用車で遺跡の前線基地へ運ばれ、都市幹部イナベと直接取引の席に着いた。
情報端末の発見場所をイナベの担当区画に偽装する闇取引を提案・成立させた。
アキラから、調整依頼とは無関係の追加の情報端末を無償で手渡された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
交渉の成功により、イナベ個人ではなく「クガマヤマ都市からの公式な支援」を勝ち取った。
都市主催の立食会へ招かれ、有力者たちと談笑して自身の社会的地位を大きく高めた。
スラムの子供のリーダーから、都市経済を揺るがす強力な徒党の支配者へと急激な変遷を遂げた。
ティオル
ヤツバヤシによって身体強化拡張者へと改造された少年である。
シェリルへの好意と、かつての仲間たちに認められたいという強い焦りを抱く。
アキラを強く恐れ、見つかった際にはパニックから反射的に攻撃を仕掛ける。
ツバキによって内部システムを再構築され、自身の爆弾を取り除いて人外の強さを得た。
・所属組織、地位や役職
元シェリルの徒党の内通者。身体強化拡張者。ツバキの戦略的な手駒。
・物語内での具体的な行動や成果
大抗争の情報漏洩の件で徒党を追放され、シジマの部隊に追いつめられた。
ヤツバヤシに救われ、金属を噛み砕くなどの身体強化拡張処置を受けた。
クズスハラ街遺跡奥部でヤツバヤシの迷彩機能を検証し、大量の遺物を収集した。
最上階でアキラとユミナに遭遇し、反射的に左腕の内蔵砲を放って逃走した。
大型トレーラーを左腕で捕食し、車体と融合した「異形の巨大武装・変異形態」へと昇華した。
アキラとユミナの攻撃で車体エネルギーを全損したが、他社の自動人形に不正な支援要請を送信した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ツバキによる再構築後はヤツバヤシの爆弾を取り出し、肉体の超速再生能力を獲得した。
自動人形たちを不正規に暴走させ、アキラを窮地に追い詰めた末にツバキの元へと回収された。
自分の意思で旧世界の制約を突破できる、極めて有能な「手駒」としてツバキに確保されている。
商人・店舗
カツラギ
トレーラーで移動店舗を営む強欲な武器商人である。
シェリルの知性と、アキラが持ち帰る遺物の莫大な利益に強く惹かれる。
鑑定の不確実性とヴィオラへの不信から、旧世界製情報端末の買取に躊躇した。
アキラに対しては、自分の儲けを最優先にして安く買い叩こうとする傾向がある。
・所属組織、地位や役職
移動武器店の店主。遺物販売店の共同経営者。
・物語内での具体的な行動や成果
シェリルと共に遺物倉庫を再建し、装備や警備用品の供給窓口を独占した。
アキラが提示した情報端末の十億オーラムという価格を、最初は冗談として笑い飛ばした。
ヴィオラの六億オーラムの買取提示に対抗できず、目の前で利権を奪われた。
アキラがハンターランク調整依頼を終えて高級回復薬の定期購入を中止したため、大口発注の在庫を抱えて頭を抱えた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
大抗争後はシェリルを頼もしいビジネスパートナーとして高く再評価した。
アキラへの不義理を指摘されて目を逸らしつつも、装備販売の機会を執拗に狙っている。
シズカ
アキラが深く信頼を寄せる武器店の女性店主である。
アキラの命の安全を心から心配し、無謀な行動を諫める。
ユミナを、アキラに不足している対等な友人になってほしいと願う。
アキラに対しては、自身の店を支えてくれる大切なお得意様として接している。
・所属組織、地位や役職
武器・装備店「静」の店主。
・物語内での具体的な行動や成果
アキラから注文された二挺の追加のSSB複合銃の選定と取り寄せを引き受けた。
アキラが強力な銃でなければ生き残れない危険な遺跡へ行ったことを見抜いた。
アキラにやましいことがないなら慌てるなと笑い、無謀を優しく諫めた。
ユミナに対し、アキラが偏った人格の持ち主であると伝えつつ、仲良くしてほしいと頼んだ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
アキラの戦闘力を高めるための高性能装備を供給し、彼の生存率を支え続けている。
アキラに対して一段下がった関係ではなく、対等な友人としての関係を持つ者が現れるのを喜んだ。
情報屋
ヴィオラ
クガマヤマ都市の計画の元で暗躍した極めて質の悪い女性情報屋である。
アキラの嘘を見抜く精度や、容赦のない殺意を計算に入れて交渉する。
他者の認識や焦りをコントロールし、自身の都合に合わせて混沌を楽しむ。
シェリルに対しては、彼女の店を繁盛させる代わりに、自身の目的のために利用する。
・所属組織、地位や役職
情報屋。クガマヤマ都市長期戦略部の工作員。遺物販売店の外部協力者。
・物語内での具体的な行動や成果
カツラギの真贋の迷いを突き、アキラの持ち込んだ情報端末を即金六億オーラムで買い取った。
詳細な鑑定を依頼し、端末がすべて本物で保存状態も完璧であることを確認した。
情報端末を火種にして都市上層部を誘い出すための巧妙な販売計画を立案した。
店で本物の鑑定書を提示し、鑑定料を二重に搾取する細工をシェリルに承諾させた。
ティオルからシェリルへの復帰工作を請け負ったが、アキラへの襲撃により依頼は失敗に終わった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
情報端末という極上の餌を利用し、都市幹部であるイナベを直接交渉の場へ誘き出すことに成功した。
ティオルの復帰依頼が失敗した後も、不愉快になることなく別の方向で混乱を楽もうと次の計画を練った。
クガマヤマ都市・都市の勢力
ヤナギサワ
冷徹な計算でクズスハラ街遺跡の奥部攻略を進めるクガマヤマ都市の幹部である。
旧領域に関する情報や、接続能力を持つ存在を執拗に追い求めている。
他者の犠牲やコストを顧みず、自身の壮大な攻略計画を優先させる。
イナベなどの他の幹部たちからは、派閥争いにおける強力な競合相手として警戒されている。
・所属組織、地位や役職
クガマヤマ都市幹部。前線基地構築の責任者。
・物語内での具体的な行動や成果
クズスハラ街遺跡奥部への「後方連絡線」の延長や、前線基地の設備投資を推し進めた。
イイダ商業区画遺跡でのアキラの排除を含む、兵器メーカーの再プレゼンテーションを主導した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
前線基地に莫大な戦力を配備し、自身以外の幹部が経費を抑えて遺物を収集するのを渋々認めている。
彼の積極的な投資が、都市内部におけるヤナギサワ派閥の評価と影響力を支えている。
キバヤシ
無謀で面白いことを何よりも愛するクガマヤマ都市の役職持ちである。
アキラの桁外れの戦闘能力と、彼が引き起こす派手な騒ぎを大いに歓迎する。
アキラに対しては、裏事情や企業の都合を包み隠さず話す、気さくな取引相手として接する。
ドランカムの事情にも精通しており、自身の目的のためにユミナを利用した。
・所属組織、地位や役職
クガマヤマ都市の役職持ち。ハンターオフィス職員。
・物語内での具体的な行動や成果
アキラの元を訪れ、クガマヤマ都市からの「ハンターランク調整依頼」を斡旋した。
アキラのハンターランク30という現状を「何の冗談だ、詐欺だ」と機嫌よく笑い飛ばした。
アキラがクズスハラ街遺跡奥部でモンスターを倒した様子を、派手にやったと喜んだ。
アキラに代わって、自動人形の残骸に関する非常に複雑な所有権交渉の代理人を申し出た。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
アキラがティオルに襲撃された後、彼の活動場所をクズスハラ街遺跡からイイダ商業区画遺跡へと急遽変更した。
代理人となる見返りとして、アキラが報酬をすべて新規装備の調達と弾薬代に充てるという極めて無謀な契約を成立させた。
ノグチ
イナベの命令に従って実務を遂行するクガマヤマ都市の職員である。
情報屋ヴィオラの実力と狡猾さを警戒し、慎重に対応しようとする。
ヴィオラに簡単にあしらわれ、自身の正体や嘘を容易に見抜かれた。
シェリルたちの前に現れ、彼女たちを秘密裏に前線基地へ護送した。
・所属組織、地位や役職
クガマヤマ都市の職員。イナベの部下。
・物語内での具体的な行動や成果
情報端末の需要を調査するため、シェリルの遺物販売店の高価格帯フロアへ直接接触した。
購入した端末のサンプルを、情報漏洩を防ぐため個人名義で黒銀屋に鑑定させた。
ヴィオラに接触を試みたが、嘘を見抜かれて交渉を後日に引き延ばされた。
前線基地での闇取引の成立後、イナベの指示によりヴィオラと詳細な契約内容の調整に入った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
交渉相手をシェリルという少女にして本当によいのか、上司であるイナベに懸念を漏らした。
イナベの意向に従い、都市とスラム街の架け橋としての実務を支え続けている。
イナベ
ウダジマに対抗するため、何とか挽回を狙うクガマヤマ都市の幹部(区画長)である。
具体的な説明をせず、交渉相手が自身の狙いを察しているかを試す冷徹さを持つ。
シェリルの高い交渉能力と、アキラとの不敵な繋がりを認め、対等な取引相手として扱った。
シェリルに対しては、カツヤを籠絡しながらアキラを後ろ盾にする、質の悪い少女だと評している。
・所属組織、地位や役職
クガマヤマ都市幹部。区画長。
・物語内での具体的な行動や成果
前線基地の個室でシェリルと対面し、旧世界製情報端末の交渉の席を設けた。
情報端末の発見場所を、自身の評価の低い担当区画に偽装する闇取引を承諾した。
見返りとして、シェリルの徒党に対するクガマヤマ都市からの全面的な支援を承認した。
アキラから直接渡された情報端末を、鑑定を省いてすべて受け取った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
発見場所の偽装工作により、都市内部での担当区画の評価を劇的に向上させた。
ウダジマに対抗するための大きな予算と影響力を確保し、シェリルの店へ貴重な遺物を供給して支えた。
ウダジマ
イナベと激しい権力闘争を繰り広げているクガマヤマ都市の幹部である。
暗黙の鉢合わせ回避ルールを破り、立食会に乱入する不敵な性格を持つ。
シェリルやミズハに対し、アキラやユミナの功績を材料に皮肉交じりの感謝を述べた。
イナベの巻き返し工作を阻止するため、カツヤたちの戦力を自派閥へ囲い込もうと画策する。
・所属組織、地位や役職
クガマヤマ都市幹部。ウダジマ派閥の長。
・物語内での具体的な行動や成果
クガマビルの立食会に姿を現し、談笑中のイナベとシェリルの元へ直接乗り込んだ。
アキラとユミナが自身の担当区画でモンスターを撃破したおかげで、遺物収集が捗ったと礼を言った。
イナベの容認を得て、ミズハに対し、カツヤを連れて即座に商談に応じるよう指示を出した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
イナベに対して優位を保つため、カツヤたちを新たな戦力として確保することに成功した。
イナベやシェリルを警戒させ、彼らの裏の計画に対する強力な揺さぶりをかけた。
八林診療所
ヤツバヤシ
スラム街で診療所を経営する怪しげな男性医師である。
ティオルの身体能力を高く評価し、強引に被験者(治験協力者)に仕立て上げた。
開発中の可逆性のある身体強化技術について、絶対の自信と熱弁を振るう。
ティオルの自我がシステムに侵蝕されていることを知りながら、それを隠蔽して治験を継続した。
・所属組織、地位や役職
八林診療所の医師。
・物語内での具体的な行動や成果
シジマの追手に追い詰められ、瀕死となっていたティオルを診療所へ救出した。
ティオルに頭部起爆装置の埋め込みと、金属を食べられる身体強化拡張処置を施した。
ティオルに特殊なモンスター迷彩機能を搭載させ、クズスハラ街遺跡奥部へ送り込んだ。
ティオルが暴食ワニを倒した際、自我の侵蝕を隠すために映像を捏造して見せた。
ティオルに対して、生存のために他の都市へ逃亡するよう忠告した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ティオルの頭部に埋め込んだ爆弾を、ツバキによって再構築されたティオルに直接取り出され破壊された。
貴重な被験者であるティオルをツバキハラビルの管理人格へと完全に強奪された。
機領
フルタ
機領の総合支援システム開発チームの技術者である。
ユミナの実例を用い、自社のシステムの有用性を強くアピールすることに成功した。
ユミナがアキラとの過酷な訓練を経て、才能を開花させたことを非常に高く評価する。
個人運用としての支援システムの小型化と、最前線ハンターへの普及に向けた楽観的な展望を抱く。
・所属組織、地位や役職
機領・開発チームの技術者。
・物語内での具体的な行動や成果
ユミナがアキラのハンターランク調整依頼で出した戦闘データを回収・解析した。
自らの開発チームの運用方法によって、ユミナの実力を引き出せたと喜んだ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ユミナの顕著な戦闘成果のおかげで、機領から開発予算の増額を勝ち取ることに成功した。
カツヤを擁するタカギの部隊運用開発チームに対し、自らの個人運用チームの進捗に自信を強めた。
ハンター徒党「ドランカム」
カツヤ
ドランカムの若手派閥の看板として、売り出されている少年ハンターである。
ユミナを心から心配し、彼女が自分のそばから離されていく現状に苦悩する。
アキラを強く憎み、彼に対して異常なほどのライバル心と敵対心を燃やす。
自分の希望をドランカムに認めさせ、ユミナやシェリルと自分の意思で共にいるための圧倒的な成果と強さを渇望する。
・所属組織、地位や役職
ハンター徒党「ドランカム」所属の若手ハンター。カツヤ派のリーダー。
・物語内での具体的な行動や成果
遠征において大成果を収め、ドランカムと自身の評判を都市上層へ広く知らしめた。
ミズハに伴われてクガマヤマ都市主催の立食会へ出席した。
立食会でシェリルの姿を発見し、親しげに挨拶をしようと席を外す申し出を行った。
ミズハに必死に引き止められ、都市幹部の談笑の邪魔は失礼になると諭されて引き下がった。
支援者たちから、都市幹部と縁を持つための目安として「ハンターランク50」が必要だと教えられた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ユミナから一緒にドランカムを抜けて別の都市へ逃げるよう迫られたが、仲間との繋がりを捨てられず、彼女の手を離してしまった。
しがらみに縛られる自身の無力さを痛感し、ドランカムのトップとして、そして最上位のハンターとして大成する決意を固めた。
白い世界の少女からは、ユミナへの強い執着が「試行の障害」であるとして危険視され始めている。
クロサワの部隊
クロサワ
安全第一で死傷者を出さないことを心掛ける、ベテランの個人ハンターである。
アキラがこれまでの重大な騒動すべてに関与していることを知り、彼を極めて強く警戒する。
部隊の指揮者として適切な冷徹さを備え、不要な未練が足枷になることを嫌う。
アキラたちやシオリたちと接触し、不要な交戦を避けて早い者勝ちの競争相手としての関係を築いた。
・所属組織、地位や役職
個人ハンター。クロサワ部隊の指揮官。
・物語内での具体的な行動や成果
イイダ商業区画遺跡に旧世界製自動人形が再入荷される情報を得て、大部隊を率いて店舗を占拠した。
自動人形店の廃墟で、アキラたちに対して共同探索を提案したが、交渉のややこしさを理由に断られた。
部隊の構成員に対し、緊急撤退時の未練をなくすため、通常の遺物収集を厳しく禁止した。
自動人形が勝手に起動し始めた際、即座にプランC(店舗放棄と自動人形破壊)を発動させて部隊を撤退させた。
強力な自動人形の波動を回避しつつ、ロディンと共に複数の自動人形を確実に破壊した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
アキラの存在を予想外の事態の予兆として最大限に警戒し、部隊の生存率を高く保った。
一度は遺跡から離脱したが、増援部隊と合流した後に再び遺跡へ戻り、アキラの戦いを確認した。
ロディン
クロサワの右腕として部隊の警備にあたる実力派ハンターである。
旧世界製の自動人形に強いロマンを抱き、実物を鑑賞することに熱中した。
自動人形を自分で起動させたのではないかと疑われ、大慌てで否定した。
自動人形の恐るべきビーム攻撃に悪態を突きつつ、クロサワを支えて全力で応戦する。
・所属組織、地位や役職
クロサワ部隊のハンター。
・物語内での具体的な行動や成果
展示ケースに飾られたメイド服の立体映像を、クロサワの忠告を無視して熱心に見続けた。
収納装置から自動人形が急に起動した際、クロサワと共に銃撃を浴びせて破壊した。
プランC発動時、ユズモインダストリーへ報告済みであることを理由に、即時撤退に驚きを露わにした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
対自動人形用の武装を装備していたおかげで、最初の起動個体を素早く撃破することに貢献した。
自動人形が勝手に起動するバグの発生に驚愕し、指揮官の指示に従って撤退を急いだ。
集団
警備機械
クズスハラ街遺跡奥部の美しい都市や、ツバキハラビルを守る旧世界の警備システムである。
彼らは普段は迷彩を施して姿を隠し、部外者の動きを静かに観察している。
・所属組織、地位や役職
ツバキの管轄下にある旧世界の防衛用機械群。
・物語内での具体的な行動や成果
アキラたちが巨大高層ビルへ接近する際、100機を超える規模で道路やビルの壁面に出現した。
アキラが不審な行動を取った場合、即座に排除できるよう周囲に先回りして包囲網を築いた。
アキラがツバキとの用事を済ませて大人しく去ったため、武力行使を行うことなく元の迷彩へと戻った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
アキラたちに恐怖とたじろぎを与え、都市の美しい遺物を容易に略奪させない抑止力として機能した。
ドランカム
スラム街の大抗争後に勢力を急速に拡大させているハンター徒党である。
内部では事務派閥が実権を握り、カツヤを看板として売り出す政治工作を進めている。
・所属組織、地位や役職
ハンター徒党。
・物語内での具体的な行動や成果
カツヤたちの遠征の成功を元に、防壁の内側から多くの新規支援者を獲得した。
所属するユミナをアキラのハンターランク調整依頼の同行者としてミズハ経由でネジ込んだ。
レイナやトガミといった若手実力者を、事務派閥の指示に従う枠組みに嵌め込もうと画策した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
機領の総合支援システムの導入を進め、部隊全体の効率向上と所属ハンターの安全寄与を図っている。
自動人形の所有権を巡る交渉の席へトガミやレイナを出席させ、交渉力の訓練として彼らを揉ませた。
カツラギの商売仲間
カツラギの移動店舗や、シェリルの遺物倉庫の設立に投資している商人たちの集団である。
彼らはアキラがかつて持ち込んだ大量の遺物の質と量に、欲を刺激されていた。
・所属組織、地位や役職
スラム街の商人層。
・物語内での具体的な行動や成果
アキラが新設された倉庫へリュックを一つだけ持ってきた際、カツラギと共に落胆を示した。
アキラが提示した情報端末の価値に気付き、驚愕して慌てて鑑定の準備を進めた。
ヴィオラが現れて即金で値を吊り上げた際、交渉の行方を狼狽しながら見守った。
アキラが持ち込んだ情報端末の出所を、シェリルが手配した茶番ではないかと疑って議論を重ねた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ヴィオラに高額の情報端末を買い取られたことで、莫大な利権の機会を喪失した。
アキラがどこから端末を手に入れたのかを知るため、複数のハンターへ尾行を依頼する情報を流した。
運び屋
安全な後方連絡線を通り、遺跡と都市の間で遺物や物資を運搬するハンターたちの集団である。
彼らは危険な遺跡奥部へ踏み込む戦闘実力は持っていない。
・所属組織、地位や役職
運搬専門のハンターたち。
・物語内での具体的な行動や成果
クズスハラ街遺跡奥部の後方連絡線の末端で、大型トラックと共に待機した。
アキラとユミナが車両に積み込んできた遺跡奥部の遺物を受け取り、都市へ運搬した。
イイダ商業区画遺跡においては、シオリが手配した別の運び屋のトラックが現れ、アキラたちの収集した遺物を運んだ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
アキラたちが獲得した遺物を、危険を冒すことなく安全かつ迅速に都市へ運ぶ流通システムを支えた。
シジマの部隊
スラム街の中堅徒党を率いるシジマの配下にある武装ハンターたちの集団である。
彼らはスラムの大抗争を生き抜き、裏切り者に対する強い殺意を共有している。
・所属組織、地位や役職
シジマの徒党。
・物語内での具体的な行動や成果
徒党を追放された内通者のティオルを、明確な殺意を持ってスラムの路地裏へと追い詰めた。
ティオルに向けて容赦なく銃弾を浴びせ、被弾してボロボロになった彼を廃墟へ包囲した。
ティオルに手を貸していた少年ハンターたちと協力し、彼をシラミ潰しに探した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
目の前で忽然とティオルの姿を消され、どれだけ捜索範囲を広げても彼を見付けることができなかった。
ティオルの抹殺に失敗し、ヤツバヤシによってティオルを救出される結果を招いた。
輸送機械
旧世界の配送システムに基づいて商品を自動で遺跡やビルへ運搬する機械群である。
彼らはジャミングを生み出す頑丈な植物を避け、またはこじ開けて配送ルートを通る。
・所属組織、地位や役職
旧世界の自動配送システム。
・物語内での具体的な行動や成果
イイダ商業区画遺跡全体の集配所に現れ、ティオルが搬入した収納装置を各店舗へと配送した。
アキラとユミナからは、その移動の痕跡(大型トレーラーのような地面の跡)を追跡される手がかりとなった。
光学迷彩を使用して飛行、あるいは地中を通ることで、通常のハンターから発見されるのを防いでいた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
配送機能が稼働していたおかげで、不人気な遺跡であるイイダ商業区画に自動人形が「再入荷」される結果をもたらした。
立食会の参加者
防壁の内外から集まった、クガマヤマ都市の経済を動かす富裕層や大企業の重役たちの集団である。
彼らは表面上は穏やかに談笑しながら、裏では凄絶な情報戦と駆け引きを繰り広げている。
・所属組織、地位や役職
都市の経済的な強者たち。
・物語内での具体的な行動や成果
新参者であるシェリルが都市幹部イナベと親しげに談笑している姿に注目した。
イナベとの繋がりを得るため、シェリルの連れであるデイルたちに近づいて優しく声を掛けた。
ヴィオラが混ぜた毒(誤情報)を真に受け、イナベが情報端末の仕入れに関わっていると誤認した。
ウダジマが鉢合わせ回避の暗黙ルールを破って現れた際、権力闘争の開始かと固唾を呑んで見守った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
シェリルやヴィオラが流した情報戦に翻弄され、スラムの弱小徒党の社会的地位を高く評価させられた。
クロサワの部隊
クロサワによって率いられ、イイダ商業区画遺跡に派遣された大規模なハンターの混成集団である。
彼らは安全第一を基本とする指揮に従い、早い者勝ちで自動人形店を完全に占拠した。
・所属組織、地位や役職
クロサワが指揮する、複数の部隊を合わせた大規模ハンター混成部隊。
・物語内での具体的な行動や成果
遺跡内のすべての自動人形店を占拠し、アキラたちが店舗跡を回るのを妨害した。
自動人形が勝手に起動し始めた際、クロサワの指示(プランC)に従って店舗の放棄と撤退を急いだ。
暴走する自動人形の波動やビーム攻撃に晒され、苦戦しながらも多くの負傷者を退避させた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
店舗をあらかじめ確保していたおかげで、全店舗で発生した自動人形の再入荷という大成果に一時的に立ち会った。
急激な状況悪化の際も、クロサワの迅速な撤退判断によって壊滅を免れ、増援部隊との合流を果たした。
旧世界製自動人形達
イイダ商業区画遺跡に再入荷され、不正規な暴走システムによって起動した女性型や男性型の自動人形たちである。
彼らは旧世界の秩序や防衛法に基づき、武装集団であるハンターを「強盗」とみなして容赦なく排除する。
・所属組織、地位や役職
三葉ジルバテック社などの、旧世界製の自動人形群。
・物語内での具体的な行動や成果
再入荷と同時に全店舗で勝手に起動し、クロサワの部隊やアキラたちを急襲した。
掌からのレーザー、目からのビーム、十数メートルに及ぶ光刃を駆使してハンターたちを圧倒した。
ティオルからの不正な支援要請を受け、戦闘を中断してアキラの弾幕から瀕死のティオルを救出した。
シオリたちの前へ現れた機体は、通常弾を容易に弾く頑丈な力場装甲で応戦した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
アキラやシオリたち、カナエの徹底的な破壊攻撃を受け、最終的に全機が大破・無力化された。
不正規な支援干渉の代償として、起動した一部の機体は感情表現を喪失して無表情のサンドバッグとなった。
増援部隊
クロサワからの緊急要請と、自動人形の大成果を受けてユズモインダストリーなどが派遣した大規模な武装部隊である。
・所属組織、地位や役職
ユズモインダストリーなどの提携武装部隊。
・物語内での具体的な行動や成果
遺跡から一時撤退したクロサワたちと外周部で速やかに合流した。
重装備の圧倒的な戦力を率いてイイダ商業区画遺跡のドームへと再突入した。
アキラが最新型自動人形を撃破して意識を失った後、シオリたちのいる現場に到着した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
大規模な戦力が現地を制圧したことで、暴走した自動人形たちの騒動を完全に一区切りさせた。
回収した自動人形の残骸を巡り、企業や都市との極めてややこしい所有権交渉を引き起こす原因となった。
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リビルドワールド V(5)レビュー
リビルドワールド全巻まとめ
リビルドワールドVI(6) 〈下〉レビュー
展開まとめ
第145話 ツバキ
クズスハラ街遺跡奥部
借り物の力と再出発
スラム街で朽ちるはずだったアキラは、アルファとの出会いによってハンターとして飛躍的に成長していた。しかし、その実績の多くがアルファのサポートによるものだと考え、人型兵器ロゲルトから実力を認められたことにも罪悪感を抱いていた。そんなアキラは、自分の力によって安全に暮らせているとシェリルから感謝され、借り物の力であっても守ると決めた者を助けられるなら今はそれで良いと気持ちを切り替えた。そして、いつかアルファの望む遺跡を攻略できるほど強くなるため、ハンター稼業を再開した。
クズスハラ街遺跡への進入
ミハゾノ街遺跡で稼いだ六億オーラムを使って新装備を整えたアキラは、大型の荒野仕様バイクでクズスハラ街遺跡へ向かった。アルファは前線基地から延びる後方連絡線を使わず、通行記録を残さない別ルートを選んだ。未発見の遺跡に向かうようなものだと理解したアキラは、高価な遺物への期待を抱きながら遺跡へ突入した。
道なき道の突破
奥へ進むにつれて道路は瓦礫や倒壊したビルに塞がれたが、アルファはバイクを操り、壁を撃ち抜き、瓦礫を飛び越え、横倒しになった高層ビルの側面まで走って突破した。アキラは無茶な経路に苦笑しながらも、アルファに勧められてバイクを購入した理由を実感した。やがて比較的荒れていない区域へ到達し、アキラはハンターがほとんど踏み込んでいない奥部まで来たのだと考えた。
巨大な防壁
アキラの前には、高層ビルと瓦礫が一体化したような巨大な壁が現れた。しかしアルファはそこでも止まらず、バイクを最高速近くまで加速させた。激突を恐れるアキラをよそに、アルファはタイヤの接地機能と自身の運転技術を利用して廃ビルの側面へ跳び移り、そのまま巨大な壁を垂直に駆け上がった。アキラは恐怖に耐えて姿勢を保ち、バイクは無事に壁の上へ到達した。
壁の内側の旧世界都市
壁の向こうには、全く劣化していない旧世界の都市が広がっていた。遺跡の最奥部でもない場所に完全な都市が残っていることにアキラは驚いた。壁を下って都市へ入る間、小型飛行機械がアキラ達を観察していたが、アキラはそれに気付かなかった。
巨大高層ビルへの道
美しく整った都市に圧倒されたアキラは、周囲の建物から遺物を持ち出すことにすらためらいを覚えた。アルファは周辺には強力な警備機械がいるため遺物収集を禁じ、目的地は都市中央の巨大高層ビルだと告げた。そこなら持ち帰れないほどの遺物を安全に手に入れられると聞き、アキラは期待を膨らませた。その頃、百機を超える警備機械が姿を現し、アキラ達が狼藉を働いた場合に排除できるよう先回りしていた。
ツバキハラビル
アキラ達はビル側面に設けられた垂直の道路を上り、巨大な搬入口から内部へ入った。アルファは、ここは自分の指示に従っている限り安全な場所のはずだと告げ、何があっても慌てないよう念を押した。普段なら断言するアルファが、はずという言葉を使ったことにアキラは違和感を覚えた。
管理人格ツバキ
直後、アキラのすぐ横に黒いドレス姿の女性が現れた。警戒していたにもかかわらず接近に気付けなかったアキラは混乱し、さらに女性がアルファとの会話を聞き、アルファの姿まで認識していることに驚愕した。女性は自らをツバキハラビルと当区画の管理人格ツバキと名乗り、アキラ達を案内した。
ツバキの警戒
ビル内では自走コンテナが床や天井を走り、飛行して外へ向かうものまで存在していた。アキラは、それらを管理する側と思われるツバキへの警戒を強めた。ツバキは巨大な扉まで案内すると、用事が済み次第速やかに立ち去るよう告げた。アキラとアルファが扉の奥へ進むと、ツバキは苛立ちを滲ませながらアルファを見つめ続けていた。
第146話 廃棄品と、ある配慮
ツバキハラビルの遺物
巨大倉庫の廃棄品
ツバキに案内されたアキラは、ツバキハラビル内部の巨大倉庫で大量の旧世界製品を目にした。アルファは、それらが商品の入れ替えや備品交換によって廃棄品となった品であり、ツバキとの交渉によって譲り受けられることになったと説明した。ただし交渉には、廃棄品を渡した方が戦闘による被害を抑えられると思わせるほどの実力が必要であり、アキラがそこまで強くなったからこそ成立したものだった。
管理人格と旧世界のシステム
アキラは大量の廃棄品が生まれ続けることを不思議に思った。アルファは、旧世界のシステムが一定数の居住者を前提に商品や備品を生産・交換し続けており、管理人格も権限や規則に従うため、無駄に見えても簡単には止められないと説明した。一方で、高度に成長した管理人格が規則より自身の都合を優先すれば、現在の人間を相手に商売を始めるような変化もあり得ると語った。
ツバキとアルファの睨み合い
遺物をバイクに積み終えたアキラが帰ろうとすると、ツバキはアキラの通信帯域がアルファとの接続に特化していることを指摘した。それを聞いたアルファは態度を一変させ、余計なことをすれば敵とみなすと警告した。ツバキも自身の管理区画では簡単に命令できると思わないよう返し、二人は険悪に睨み合った。事情を理解できないアキラは緊張に戸惑ったが、アルファに促されてその場を離れた。
通信帯域の特化
ツバキの領域を離れた後、アルファはアキラの旧領域接続能力が自分との通信に特化し続けていると説明した。それによってアルファとの通信品質やサポート性能は向上する一方、他の接続先との通信は制限されていく状態だった。それでもアキラは、アルファのサポートがなければ既に死んでおり、これからも必要だとして現状を受け入れた。
アルファへの優先
アルファは、ツバキがアキラと自分に聞かれない内緒話をするため、専用の通信帯域を開かせようとしていた可能性を語った。さらにツバキが多額の報酬を提示して自分より依頼を優先させようとした場合でも断れるかと尋ねた。アキラは、アルファには返し切れないほどの借りがあるため、アルファの依頼を優先すると答えた。その言葉にアルファは喜び、ツバキへの不機嫌も、そのような接触を警戒していたためだと明かした。
奥部のウェポンドッグ
帰路でアキラは、巨大な旧世界都市が今まで発見されなかった理由を疑問に思った。その直後、大型のウェポンドッグの群れが現れた。奥部の個体は外周部のものより巨大で武装も強力であり、数も多かった。アキラは、低空飛行で都市へ近付こうとしても、このようなモンスターから集中砲火を受けるため困難なのだと理解した。
ウェポンドッグとの激戦
アキラはバイクの運転をアルファに任せ、SSB複合銃とA4WM自動擲弾銃で群れを迎撃した。アルファが荒れた地形を高速で走り抜け、アキラは砲弾やミサイルを避けながら敵を次々と撃破した。遺物の出所を隠すため他のハンターとの遭遇を避ける必要もあり、アキラは逃走ではなく群れの殲滅を選んだ。
遺物を狙う群れ
行きには現れなかったウェポンドッグが帰りに大量出現した理由について、アルファは持ち帰っている遺物が原因ではないかと推測した。ウェポンドッグが都市警備用の武装生物を起源とするため、不審者は監視し、物を持ち出す者は追跡する性質が残っている可能性があった。アキラは廃棄品を正式に譲られたと不満を漏らしたが、モンスターに事情を判断できるはずもなく、遺物を守るため戦闘を続けた。
機獣の正体
群れをほぼ殲滅した後、一体だけSSB複合銃の掃射にも耐え続ける個体が残った。集中攻撃によって外皮を剥ぎ取ると、その内部から金属製の身体が現れ、ウェポンドッグに似た機械系モンスターだったことが判明した。機獣は大型レーザー砲を展開し、周囲の瓦礫を切り裂くほどの強力な攻撃を放った。
光刃による決着
銃撃では機獣の力場装甲を突破するのに時間が掛かるため、アルファは接近戦を選んだ。アキラはツバキハラビルで手に入れたブレードを構え、機獣へ突進した。ブレードから生じた斬撃でレーザーを切り払い、そのまますれ違いざまに機獣を斬り裂いた。ブレードは壊れたものの、機獣は崩れ落ち、アキラは勝利した。
無事だった遺物
戦闘後、アキラは放置していた遺物を確認した。箱をまとめていたベルトは千切れていたが、旧世界製の箱が中身を守っていたため、遺物は無事だった。アキラは再び荷物をバイクに積み直し、さらなる襲撃を警戒しながらクズスハラ街遺跡を脱出した。
ツバキの実力確認
アキラ達を仮想空間から見ていたツバキは、往路でモンスターが現れなかったのは、自身が管理区画への立入を許可したため周囲のモンスターを抑えていたからだと考えていた。帰路ではその必要がなくなったため抑制を解除し、さらにウェポンドッグに似た機獣も管理下の個体として行動させていた。アキラが群れと機獣を倒したことで、廃棄品を渡して戦闘を避けるに値する実力者だというアルファの説明が正しかったことを確認した。
アキラへの興味
ツバキは、アルファが今回雇っていた相手が子供であることを意外に感じた。アキラは配慮が必要なほど強く、アルファから信用されている一方、子供であるため付け込める可能性もあった。ツバキはそんなアキラに、良くも悪くも興味を抱いた。
第147話 旧世界製の情報端末
遺物販売店の繁盛
二週間後のシェリルの拠点
ツバキハラビルでの遺物収集から二週間後、アキラは持ち帰った遺物の一部を売るため、シェリルの拠点へ向かった。大型バイクと巨大な銃の威圧感によってスラム街の者達は自然と道を譲ったが、拠点前には多数の露店と客が集まり、通行が難しいほど賑わっていた。
新設された倉庫
カツラギに案内されたアキラは、拠点裏手に新設された大きな倉庫へ向かった。カツラギは大量の遺物を期待していたが、アキラが持参したのはリュックサック一つだった。アルファに思い切って吹っ掛けるよう勧められたアキラは、買取価格として十億オーラムを提示し、カツラギ達は冗談だと思いながら鑑定を始めた。
盛況の遺物販売店
シェリル達の遺物販売店は、大抗争によって他の店が営業困難になった隙に開店し、予想以上の繁盛を見せていた。ヴィオラが情報を広めたことで客が集中し、拠点前には露店まで増えていた。カツラギも、店が成長すれば装備や警備用品の新たな販路になるため、大きな利益を期待していた。
旧世界製情報端末
鑑定中、衣類に続いて取り出された箱から、透明な立方体の中に双角錐が収められた品が大量に見つかった。商売人達は、それが旧世界製の情報端末ではないかと気付き騒然となった。カツラギも本物なら百億オーラムでも不思議ではないと考え、専門の鑑定人と機材を急いで集めた。
ユミナの警備継続
騒ぎを聞き付けたシェリルはユミナと倉庫を訪れた。カツヤ達の警備依頼は既に終了していたが、ユミナだけはミズハの意向で残り、シェリルの護衛を務めていた。ユミナ自身も大抗争でカツヤと共に戦えなかったことから、再び並んで戦えるだけの強さを得ようとしており、休暇中も仕事を続けていた。
衣類の分配
シェリルは、カツラギが買わない遺物を販売店で扱いたいと申し出た。しかし以前預けた遺物の代金もまだ全額支払われていなかったため、アキラは衣類については他所で売ることも考えた。カツラギ達が情報端末に集中して衣類を放置していたため、アキラはユミナに購入を勧め、シェリルにも新しい仕立て服を作るよう勧めた。
遺物の出所
商売人の一人は、情報端末と同じ場所にさらなる遺物が残っている可能性を考え、アキラに発見場所を尋ねた。シェリルはすぐに割って入り、アキラがここへ持ち込んだ以上、それ以上の出所を知る必要はないと牽制した。ツバキハラビルの存在を誰にも明かせないアキラは、事情を知らずに助けてくれたシェリルへ感謝した。
真贋を巡る迷い
鑑定人は、情報端末が偽物である可能性は低いものの、手元の機材では本物と断言できないと結論付けた。旧世界製品を利用した精巧な偽物やモックアップの可能性もあり、確実な鑑定にはより本格的な設備が必要だった。カツラギは本物なら莫大な利益になる一方、偽物なら大損するため判断できずにいた。
ヴィオラの六億オーラム
そこへヴィオラが現れ、情報端末を即金五億オーラムで買い取り、利益が出れば追加で支払うと提案した。アキラが受け入れようとするとカツラギが割り込んだが、即金五億を用意することにも真贋不明の品を買うことにも決断できなかった。ヴィオラはさらに六億へ値を上げ、カツラギの疑念と迷いを深めた。
情報端末の売却
ヴィオラは遺物が本物でも偽物でも構わず、どちらの結果でも利用できると考えていた。最終的にカツラギは決断できず、旧世界製情報端末は六億オーラムでヴィオラの手に渡った。アキラは大金を得て喜び、シェリルは再び莫大な金を稼いだアキラに追い付くため、遺物販売店をさらに繁盛させようと決意した。
アキラの強さへの関心
ユミナは、アキラが情報端末を偶然安全な場所で拾ったのではなく、高難度の遺跡へ単独で踏み込み、無事に持ち帰ったのだろうと考えた。そして、その力を自分も得られれば再びカツヤと共に戦えるのではないかと思い、アキラへの関心を強めた。
第148話 シェリルの遺物販売店
新装備と遺物販売店
二挺のSSB複合銃
ツバキハラビルの遺物で六億オーラムを得たアキラは、シズカの店で新たな装備を購入した。大物殺し用のSSB複合銃の威力には満足していたが、狭い建物では扱いにくかったため、小型化したSSB複合銃と、より強力な擲弾を使用できるSSB複合銃を一挺ずつ注文した。費用は弾薬を含めて約二億オーラムだった。シズカはアキラが危険な場所へ行ったことを察して心配したが、無茶を避けるための装備強化だという言葉を受け入れ、新しい銃が彼を守ることを願った。
本物だった情報端末
ヴィオラはアキラから六億オーラムで買った旧世界製情報端末を専門業者に鑑定させた。その結果、全て本物で保存状態も完璧だと判明した。鑑定先から高額での買取も提示されたが、ヴィオラは売却せず、情報端末を利用してどのような騒ぎを起こせるかという興味を優先した。
ヴィオラの販売計画
ヴィオラはシェリルに情報端末の販売方法を説明した。内容には詐欺紛いの部分もあったが、シェリルはスラム街の裏店舗として許容できる範囲であり、大きな利益も期待できると判断して認めた。ヴィオラへの警戒は残ったものの、シェリルには店を繁盛させてアキラに認めてもらう必要があった。
東の荒野での訓練
アキラはクガマヤマ都市東側の危険地帯へ向かい、強力なモンスターを相手に遺物収集を続けた。巨大な甲殻虫との戦闘ではアルファのサポートを使わず、バイクの運転から射撃まで自力で行い、苦戦しながらも勝利した。積み重ねた訓練と実戦によって、アキラ自身の実力も着実に高まっていた。
遺物の出所偽装
アキラが東の荒野まで出向いていた本当の目的は、ツバキハラビルから持ち帰った遺物の出所を隠すことだった。危険地帯や複数の遺跡で遺物収集を繰り返し、空箱まで荷台に積んで帰還することで、情報端末をその周辺で発見したように見せ掛けていた。出所を探ろうと尾行するハンターも現れたが、東の荒野のモンスターが強過ぎるため追跡を断念していた。
三つの価格帯
シェリル達の遺物販売店は低価格帯、中価格帯、高価格帯の三つのフロアに分けられ、高価格帯ではアキラが持ち込んだ品などを扱っていた。旧世界製情報端末の販売が始まると、都市の富裕層や企業関係者まで護衛を連れて訪れた。鑑定済みの情報端末には一個五千万オーラム、未鑑定品には五百万オーラムの価格が付けられていた。
鑑定済みと未鑑定
黒銀屋の鑑定書が付いた情報端末は高額ながら次々と売れた。一方、未鑑定品には偽物や不良品の可能性があると説明されていた。ある客は自費で黒銀屋に鑑定させることを申し出て、五個を選んだ。ヴィオラは鑑定料を客が負担することを条件に認め、デイルが品を黒銀屋へ運んだ。
仕組まれた鑑定
後日、黒銀屋は五個のうち二個が本物、三個が偽物だと客に伝えた。しかし実際には客が選んだ五個は全て偽物であり、ヴィオラが別に本物二個を鑑定へ出し、結果をまとめて受け取ることで客に誤認させていた。さらにヴィオラは客から高額な鑑定料を受け取りながら、黒銀屋には安価な簡易鑑定料だけを支払い、その差額まで利益にしていた。
一億オーラムの提示
客は自分が選んだ五個の中に本物が二個あったと喜んだが、ヴィオラは鑑定後の本物には一個五千万オーラム、二個で一億オーラムを要求した。鑑定料を負担したのは客だったものの、購入前なので商品は店の所有物だった。客は不満を抱きながらも、既に支払った鑑定料を無駄にしたくない思いから一個を購入した。
胴元の利益
未鑑定品の中にも実際に本物は混ぜられていたが、全て購入した方が得になる割合には設定されていなかった。ヴィオラは客に本物を安く引き当てられる可能性を感じさせ、射幸心を利用して利益を増やしていた。シェリルは報復を招くほどやり過ぎないよう釘を刺したが、ヴィオラはアキラに再び高額な遺物を持ち込まれても買い取れる資金を作る必要があると答えた。
膨らむシェリルの仕事
シェリルは、アキラに六億オーラムを支払えたのもヴィオラの資金によるものだと理解していた。自分の力でアキラに見返りを渡せるようになるため、さらに店を繁盛させようと決意した。遺物販売店の成功によって徒党も急速に拡大し、入党希望者への対応まで加わったことで仕事量は大幅に増えていた。
再び持ち込まれた遺物
約一か月続けた出所偽装のための遺物収集を終え、新しい銃も届いたことで、アキラは通常の遺物収集へ戻る準備を整えた。そして以前と同じように東の荒野と遺跡を経由した後、今度は本当に遺物を荷台へ積み、シェリルの倉庫へ向かった。
キバヤシとの再会
倉庫にはまだユミナが残っており、さらにアキラの予想外の人物も待っていた。そこにいたのはクガマヤマ都市の制服を着たキバヤシであり、久しぶりだと楽しげにアキラへ声を掛けた。
第149話 ハンターランク調整依頼
ハンターランク調整依頼
値上がりした情報端末
シェリル達の遺物販売店では、旧世界製情報端末の在庫が減っていた。目玉商品を残して集客を維持するため、鑑定済みの品は一個八千万オーラムまで値上げされた。ヴィオラは情報端末を利用した別の工作も仕掛けていたが、一週間動きがなかったため失敗かと考えていたところ、都市職員の来訪を知らされた。
キバヤシとシェリル
現れたキバヤシはシェリルではなくアキラに用があり、既に契約を終えていたユミナも同行していた。キバヤシはシェリルがアキラの恋人なのかと尋ね、シェリルは恋人だと答えた。キバヤシはアキラがシェリルのために動くことを好ましく考え、今後もアキラを元気付けてほしいと頼んだ。しかしシェリルは、キバヤシがアキラを面倒事へ向かわせる人物だと漠然と察し、連絡先を交換したことにも不安を抱いた。
再び現れた情報端末
アキラが遺物を持って現れると、キバヤシはユミナと共にアキラを応接間へ連れていった。残されたシェリルとヴィオラが遺物を確認すると、その中には再び多数の旧世界製情報端末が入っていた。簡単に見つかる品ではないだけに、二人は驚いた。
都市からの強制依頼
キバヤシはアキラに、クガマヤマ都市からハンターランク調整依頼が出たと告げた。これは実際の能力が現在のハンターランクを大きく上回り、ランク制度そのものへの不信を招きかねないハンターに対し、ランクを上げやすい仕事を与えて適正な数字まで調整する特別な依頼だった。事実上断れない内容だったが、アキラはランク上昇自体にはさほど興味を示さなかった。
人型兵器戦の余波
調整依頼の背景には、スラム街の大抗争でアキラが八島重鉄と吉岡重工の新型人型兵器を撃破したことがあった。両社の兵器は、数字上はハンターランク三十程度のアキラに敗れたことで性能を疑われ、他企業やクガマヤマ都市から価格交渉の材料にされていた。そこで両社は、アキラの実力が本来のランクを大幅に上回っていたと明確にするため、都市へ圧力を掛けてハンターランク調整依頼を出させた。
黒狼との戦闘映像
キバヤシは人型兵器の記録から得た、アキラと黒狼との戦闘映像をユミナに見せた。ユミナは強化服姿のアキラが人型兵器と戦う光景に圧倒された。一方のアキラは、アルファのサポートを受けた戦いが自身の実力を示す映像として扱われていることに複雑な感情を抱いた。
クズスハラ街遺跡奥部
依頼中の活動場所は、クズスハラ街遺跡奥部の後方連絡線周辺に限定された。そこでモンスターを討伐して連絡線延長に貢献するか、遺物収集をするかはアキラに任された。遺物は都市が安値で買い取る代わりに、その成果をハンターランク上昇へ大きく反映させる条件だった。
同行者ユミナ
さらに都市側は、監視役を兼ねた同行者を一人付けることを条件とした。アキラは奥部へ戦力にならない者を連れていくなら護衛代が必要だと主張したが、その護衛も都市への貢献としてランク上昇に加算されることになっていた。そしてキバヤシが示した同行者はユミナだった。
機領の狙い
ユミナが選ばれた背景には、総合支援強化服を開発する機領の思惑があった。機領は大抗争でカツヤ達の活躍によって自社システムを宣伝したものの、アキラの戦闘がさらに大きな注目を集めたため、アキラにも自社製強化服を使わせたいと考えていた。アキラと直接接触する手段が乏しい機領は、ミズハを通じてユミナを同行させ、製品を勧めさせようとしていた。
ユミナの決断
キバヤシは、知らない人物より友人であるユミナの方がアキラも動きやすいと考えていたが、嫌なら別の同行者を用意すると告げた。アキラはユミナ自身に判断を委ねた。事情を全て知ったユミナは自ら同行することを選び、ハンターランク調整依頼でアキラと共にクズスハラ街遺跡奥部へ向かうことになった。
第150話 奥部のモンスター
クズスハラ街遺跡奥部での調整依頼
大量の弾薬
ハンターランク調整依頼を受けたアキラは、弾薬費が依頼元負担であることを利用し、シズカの店で大量の弾薬を用意した。シズカは同行者にも無理をさせないよう念を押し、アキラを送り出した。アキラは前線基地に弾薬を積んだ車両を置き、ユミナとの合流を待った。
ユミナの総合支援強化服
ユミナは機領が用意した装甲兵員輸送車で現れた。その車両には総合支援強化服を支える大型演算装置が搭載されていた。本来は部隊全体を支援するシステムだったが、今回はユミナ一人のために使用されており、機領の思惑が反映された特別な装備となっていた。
後方連絡線の先
二人は後方連絡線を使い、クズスハラ街遺跡奥部へ進んだ。末端には重武装の歩兵、戦車、人型兵器が配置されており、周囲が危険地帯であることを示していた。アキラはまず周辺の地形やモンスターの強さを把握する方針を決め、ユミナにも遠慮なく戦うよう伝えた。ただし危険を感じたら早めに退くことだけは求めた。
蜘蛛型甲殻機虫の群れ
探索中、アキラ達は多数の蜘蛛型甲殻機虫と遭遇した。かつて戦った賞金首タンクランチュラに似ていたが、アルファはタンクランチュラそのものではなく、その変異元になった可能性のある群れだと説明した。アキラは再び変異種が生まれる前に倒そうと、大物殺し用のSSB複合銃で攻撃を開始した。
アキラとユミナの戦闘
蜘蛛達は銃、大砲、ミサイルで激しく反撃した。アキラはバイクで群れを引き付けながら、大物殺し用と通常版のSSB複合銃を使って敵を削った。一方のユミナも機領から貸与された高性能装備と総合支援システムを利用し、大型銃で蜘蛛達を撃破した。強力な装備によって十分に戦えていたものの、ユミナはそれがアキラとの実力差を示していることも感じていた。
自力での戦い
アキラはアルファの戦闘支援を受けず、弾薬を惜しまず撃ち続けることで大規模な群れを相手に戦った。楽勝ではなかったものの、自力でも奥部の敵に通用することを実感し、自身の成長に満足した。アルファもその成長を認めた。
ユミナの撤退
戦闘が続くにつれてユミナを狙う蜘蛛も増え、総合支援システムは撤退を勧めた。ユミナはしばらく粘ったものの、対処できる限界を迎えてアキラへ撤退を伝えた。アキラはユミナの護衛を優先し、訓練を終了してアルファへ全力のサポートを求めた。
三挺のSSB複合銃
アルファの支援を得たアキラは、通常版、大物殺し用、小型ミサイルを撃ち出す改造型の三挺のSSB複合銃を同時に使用した。照準やバイクの操作まで最適化された攻撃によって蜘蛛達を急速に撃破し、大規模な群れを一人で殲滅した。
ユミナの落ち込み
合流したユミナは、自分が想像以上に足を引っ張ったと思い謝った。しかしアキラは、ユミナを放置して戦えた時点で護衛対象として足手纏いにはなっていなかったと否定した。ユミナは完全には納得できなかったものの、アキラに余計な負担を掛けないため明るく振る舞った。
弾薬費依頼元負担の力
ユミナは、短時間で群れを全滅させたアキラの強さに改めて驚いた。アキラは最後の戦闘を自分の力とは考えず、弾薬費を依頼元が負担してくれたおかげだと冗談めかして答えた。しかしユミナは、大量の弾薬があっても誰にでもできる戦いではないと理解しており、アキラとの実力差を強く感じた。
一日働いて二日休む日程
前線基地へ戻ったアキラは翌日も活動しようとしたが、ユミナは装備や車両の整備を理由に二日の準備期間を求めた。ユミナにとって毎日奥部へ向かうことは死線へ毎日踏み込むのと変わらず、アキラの感覚にはついていけなかった。アキラは了承し、一日活動して二日休む日程で依頼を続けることになった。
キバヤシの評価
帰還後、キバヤシはアキラが倒した蜘蛛型甲殻機虫の群れについて、その規模と強さから本来は相応の部隊を派遣して討伐する予定だったと明かした。それを一人で壊滅させながら軽めに切り上げたと語るアキラを、キバヤシは大いに面白がった。ユミナは改めて群れの危険性を知り、今後もアキラに同行することへ不安を深めた。
さらなる危険地帯への誘い
キバヤシは勢いに乗って、後方連絡線の延長作業への参加をアキラに勧めた。そこは人型兵器での戦闘が基本となる、さらに危険な地域だった。しかしアキラは嫌そうな顔で拒否し、同行するユミナも同じように拒絶感を示した。
第151話 ユミナの訓練
ハンターランク調整依頼
ユミナの指揮
二日間の準備を挟み、アキラとユミナは再びクズスハラ街遺跡奥部へ向かった。ユミナは自分の指揮で動きたいと申し出た。前回、自分とユミナでは危険に対する感覚が大きく違うと感じていたアキラは、ユミナの判断基準を知る機会にもなると考えて了承した。
効率的な遺物収集
ユミナの指揮で二人はモンスターを排除しながら探索し、大型暴食ワニも集中砲火で撃破した。その後、選定したビルを調査すると、総合支援システムが内部地図を作成し、遺物の選別や運搬計画まで支援した。二人は持ち出せる品を車へ積み、後方連絡線で待つ運び屋へ渡す作業を繰り返した。
総合支援システムの指揮
探索後、ユミナはアキラを食事に誘い、その日の指揮について尋ねた。アキラが自分より手際が良かったと評価すると、ユミナは遺物収集場所の選定から持ち帰る品、運び屋の手配まで、全て総合支援システムの判断だったと明かした。アキラは最初から支援システムを使っていると聞いていたため問題視せず、自分もアルファの力を実力と誤解されていることから、むしろユミナに親近感を抱いた。
ユミナの弱音
機領は前回の戦闘データから、ユミナではアキラに戦闘性能を示すのは難しいと判断し、総合支援システムによる遺物収集能力を宣伝する方針へ切り替えていた。ユミナは、自分だけが高性能な装備に頼っているのではないかと悩んだ。ヨノズカ駅遺跡やミハゾノ街遺跡、スラム街での戦いを振り返り、カツヤや仲間達の足を引っ張っていたのではないかという不安をアキラに吐露した。
アキラの強さの秘密
ユミナから強くなる方法を尋ねられたアキラは、アルファの存在を隠したまま、自分が加速剤なしで体感時間を引き延ばせることを教えた。さらに強化服を肉体とは別に操作し、回復薬で身体への負荷を補いながら限界を超えて動く訓練について説明した。ユミナはその過酷さに驚きながらも、自分とカツヤの才能差を埋めるには同じ訓練では足りないと考え、自らも試すことを決めた。
ユミナの過酷な訓練
その後、アキラ達はモンスター討伐の日と遺物収集の日を交互に続けた。討伐の日にはユミナが強化服でアキラのバイクを追って全力疾走し、回復薬を大量に使いながらモンスターとの戦闘もこなした。総合支援システムが休息を勧めても、ユミナは自ら続行を選び、アキラも限界を見ながら回復薬を渡して訓練を支えた。
アキラ自身の訓練
この訓練はアキラにとっても、自力で高速移動しながら敵を発見して撃破し、同時にユミナの安全まで確保する訓練となった。アキラとユミナの双方が対応できる限界に近い速度を維持し、その日の活動を続けた。ユミナは疲労困憊となったが、総合支援システムによる強制撤退を受けることなく最後まで走り切った。
機領への質問攻め
遺物収集の日には、アキラがユミナの指示へ細かく理由を尋ね続けた。表向きは総合支援システムの購入を検討するための性能確認であり、難しい質問は機領へ持ち帰られて回答を求められた。これはユミナが宣伝役を果たしている証明にもなり、同時にアキラ自身が不足しているハンター稼業の基礎知識を学ぶ機会にもなった。
体感時間操作への挑戦
休みの日もユミナは体感時間操作の訓練を始めた。死んだハンター達の戦闘記録を主観視点で繰り返し見て、死の恐怖を自分のものとして感じようとした。しかし緊張や恐怖を覚えても時間感覚は歪まず、ユミナはその難しさを実感した。それでもカツヤに追い付くため、長い訓練を続ける覚悟を固めていた。
第152話 ある一つの正念場
都市上層部との取引
再入荷した情報端末
シェリル達の遺物販売店では、再び旧世界製情報端末が入荷したことで、鑑定済み品の価格が八千万オーラムから五千五百万オーラムへ下げられた。客として訪れていたノグチは一つ購入すると、秘匿回線で上司へ報告した。大量の情報端末を入手した店の動向を探るため、ノグチ達はその出所と再入荷の可能性を調査していた。
ヴィオラへの接触
ヴィオラは再入荷分を黒銀屋で鑑定し、今回も全て本物だと確認した。その帰り、ノグチがクガマヤマ都市の者として接触し、同行を求めた。ヴィオラは相手の立場を疑う態度を見せ、クガマビル上層階まで案内させた上で、今回の話が都市全体ではなく一部幹部の個人的な工作だと見抜いた。
見抜かれた交渉
ヴィオラは、ノグチが事情を知らない代理人を使って虚偽を交えた交渉を行うつもりだと指摘した。そして自分と交渉するなら、その場で判断できる人物を用意するよう要求した。ノグチも条件を受け入れ、改めて交渉の場を設けることになった。
ヴィオラの撒き餌
ヴィオラが遺物販売店で情報端末を売った目的は、利益そのものではなく都市上層部を誘い出すことだった。ノグチとの接触も偶然に見せ掛けるため、あえてその場で交渉を成立させなかった。ヴィオラは都市幹部を引きずり出せたことに満足し、さらに別の相手まで誘い込もうと工作を続けた。
一億オーラムへの値上げ
三日後、遺物販売店では鑑定済み情報端末が一個一億オーラムへ値上げされ、未鑑定品も姿を消した。客達は再入荷分に問題があったのではないかと推測し、現在並んでいる品が最後かもしれないと考え始めた。実際には、再入荷した本物の情報端末は店頭から引き上げられ、都市との交渉材料として保管されていた。
イナベとの対面
都市の公用車がシェリルとヴィオラを迎え、二人は秘密裏にクズスハラ街遺跡の前線基地へ運ばれた。そこでシェリルは都市幹部イナベと対面した。イナベは具体的な説明を与えず、シェリルが自分の狙いを理解しているかを試した。
情報端末の発見場所
シェリルは情報端末そのものを売るのではなく、その発見場所をイナベの担当区画だったことにする工作へ協力できると持ち掛けた。イナベはクズスハラ街遺跡奥部で担当区画を持っていたが、敵対するウダジマの区画より評価が低く、攻略予算の確保でも後れを取っていた。非常に価値の高い情報端末が自分の担当区画から発見されたことになれば、その評価を覆せるため、イナベが求めていたのはまさにその機会だった。
都市からの支援
シェリルは見返りとして、自分達への支援をイナベ個人ではなくクガマヤマ都市の意向として得たいと要求した。二大徒党のような組織を再び生まないためにも、初めから都市の影響下にある組織へスラム街を掌握させれば統治費用を抑えられると主張した。イナベも、アキラとヴィオラの双方と繋がるシェリル達を利用する価値を認めた。
アキラ不在の覚悟
イナベは、情報端末の出所を知り、シェリル達の後ろ盾でもあるアキラが交渉に参加していないことを問題視した。後からアキラが拒否すれば全てが崩れるためである。それでもシェリルは問題ないと覚悟をもって答え、イナベはその態度を見て正式な交渉に入ることを認めた。
都市との交渉開始
細かな条件はノグチとヴィオラが詰め、イナベとシェリルは責任者として判断を下す形で交渉が始まった。イナベはシェリルとの取引に問題があることを認めながらも、その覚悟と能力なら対処できる可能性があるとして交渉継続を選んだ。また直接アキラと交渉するより、シェリルを介した方が扱いやすい可能性も考えていた。
立食会への準備
都市との関係を印象付ける工作として、シェリルはクガマビル上層階の立食会へ参加することになった。そのためヴィオラは、高級レストランでの食事や立ち居振る舞いを含め、富裕層の令嬢として通用する訓練をシェリルに施した。初めは高級料理の美味しさに平静を崩したシェリルも、訓練を重ねて自然に振る舞えるようになった。
イナベとの歓談
立食会ではシェリルがイナベと親しげに歓談し、二人に関係があることを周囲へ印象付けた。ヴィオラもデイルとの会話を利用し、シェリル達がイナベから長期的な支援を受け、情報端末もイナベの関係するクズスハラ街遺跡奥部から得ているかのような情報を流した。真偽の曖昧な噂が、参加者達の間へ広がっていった。
シェリルを見つけたカツヤ
同じ立食会には、ミズハに連れられたカツヤも参加していた。カツヤは支援者達との人脈を広げていたが、そこでイナベと歓談するシェリルを発見した。カツヤは友人として挨拶しようとしたものの、ミズハは都市幹部との商談中に割り込むのは失礼だとして強く制止した。
ハンターランク五十
カツヤは、どれほどの立場になれば都市幹部と対等に接触できるのかを支援者達に尋ねた。彼らは目安としてハンターランク五十を挙げ、さらに希少な遺物を発見できる遺物収集能力も重要だと説明した。カツヤはその話を真剣に聞き、自分がさらに成り上がる必要があると考えた。
カツヤの新たな願い
カツヤは、シェリルが都市幹部とも親しく付き合えるほど高い立場の人物なのだと誤解した。そして自分も相応の地位まで上がれば、シェリルと対等な立場で自由に会えるようになると考えた。そのためにもっと強くなり、成り上がりたいという願いを抱いた。それは周囲から期待されたからではなく、カツヤ自身が初めて強く望んだ目標となった。
第153話 ユミナの契機
ティオルとの遭遇
二か月後のユミナ
ハンターランク調整依頼の開始から二か月が経ち、ユミナはアキラとの過酷な訓練によって大きく成長していた。同型のバイクとSSB複合銃を使い、自力で戦うアキラの足手纏いにならないほどの実力を身に付けていた。一方、体感時間操作の訓練だけは成果が出ず、ユミナはアキラに改めてコツを尋ねた。
殺される夢
アキラは初めて体感時間操作に成功する前夜、自分が殺される非常にリアルな夢を見たと話した。その夢では時間がゆっくり流れており、翌日にその感覚を再現することで成功したのだった。ユミナは夢の内容までは自由にできないと苦笑しながらも、その話を新たな手掛かりとして受け取った。
総合支援システムへの評価
アキラは、ユミナの戦闘能力の半分ほどを総合支援システムが補っていると聞いて感心した。しかし自身が単独行動を基本としていることや、車両を持ち込めない場所にも向かうことから、自分には必要ないと考えていた。一方で、集団で活動するシェリル達には役立つのではないかと評価した。
カツヤとの通信
遠征中のカツヤと連絡を取ったユミナは、クズスハラ街遺跡奥部で護衛付きの仕事をしていると説明した。カツヤはユミナを心配したが、本人が安全面を強調したことで安心した。続いてユミナが極限状態で体感時間が歪んだ経験を尋ねると、カツヤは自分ではなく仲間が危険な時に何度か経験したと明かした。
カツヤの危機
アキラは自身の危機、カツヤは仲間の危機を契機として体感時間の歪みを経験していた。そこでユミナは、自分にとって最も強く心を動かされるカツヤの危機を利用しようと考えた。合成スネーク戦など、カツヤが死にかけた戦闘記録を繰り返し見ながら当時の恐怖や焦りを思い返し、体感時間操作の訓練を続けた。
寝不足のユミナ
次の遺物収集の日、ユミナは待ち合わせ時刻ぎりぎりに現れた。カツヤの危機を繰り返し見た影響で寝不足気味だったが、本人は活動に支障はないと判断した。アキラは休むことも提案したものの、ユミナが続行を望んだため、護衛を意識しながら探索へ向かった。
未知のビル探索
二人は大きな高層ビルを遺物収集場所に選び、総合支援システムの事前データを無効にした状態で探索を始めた。未知の場所でどのような指揮を行うかを確認するためであり、慎重な判断基準はアキラにとっても良い勉強となった。安価な遺物まで持ち帰る理由についても、将来の探索データとして利用するためだと理解した。
カタツムリ型モンスター
上階では、多連装砲マイマイに似たカタツムリ型モンスターの群れと遭遇した。敵は建物からエネルギーを得て生体力場装甲を強化し、通常の銃撃を弾いた。総合支援システムは対力場装甲弾か撤退を推奨したが、アキラは体感時間操作を使って同一点へ連続射撃し、装甲を突破した。ユミナも防御が弱まった個体を撃破し、群れを全滅させた。
最上階の異変
遺物らしい成果がないまま探索を続け、二人は最上階へ到達した。そこでアルファが突然警戒を指示し、直後に情報収集機器も人らしき反応を捉えた。多数のモンスターが残っていた建物の奥に、自分達より先に誰かがいることを不審に思い、二人は警戒を強めた。
謎の少年
通路の先から現れたのは、アキラ達と同年代ほどの少年だった。装備は奥部で活動できるとは思えないほど粗末だったが、少年はアキラ達を見ると恐怖を露わにし、空の左腕を向けた。アルファの警告を受けたアキラは攻撃だと判断し、ユミナを抱えて横道へ飛び退いた。
見えない砲撃
直後、少年の腕の方向から強力な砲撃が放たれ、通路の奥で大爆発を起こした。アキラとユミナは強化服と防護装備によって無傷だったが、少年はその隙に姿を消した。ユミナは追跡せず安全を優先して撤退すると判断し、アキラもその指揮に従った。
ティオルの正体
後方連絡線まで戻ったアキラが少年について尋ねると、アルファはシェリルの倉庫を警備していた子供の一人、ティオルだと明かした。なぜティオルがクズスハラ街遺跡奥部におり、アキラ達を攻撃したのかはアルファにも分からなかった。
未知のモンスター
一方、ユミナは総合支援システムが残した遭遇記録を確認した。そこにはティオルを人間やハンターではなく、未知のモンスター一体として解析した記録が残されていた。
第154話 ティオルの嘆き
ティオルの身体強化拡張
裏切り者への追跡
大抗争後、ヴィオラはシェリルの徒党内部にいた裏切り者の情報を暴露した。倉庫の情報を二大徒党へ流していたティオルも追放対象となり、倉庫襲撃で被害を受けたシジマ達から命を狙われた。重傷を負ったティオルは廃墟へ追い詰められ、逃げ切れない状況に陥った。
ヤツバヤシの救出
死を覚悟したティオルの前にヤツバヤシが現れた。ヤツバヤシは以前の治療時にティオルの身体が実験に適していると知っており、治療と安全な場所への移送を条件に治験への協力を求めた。ティオルは生きるために了承し、シジマ達の前から姿を消した。
身体強化拡張処置
ティオルは八林診療所の地下で治療と身体改造を受けた。目覚めた時には記憶が曖昧になり、視界には意味不明の文字や記号が表示されていた。さらに金属やセラミックを食事として普通に噛み砕いていたことに気付き、自分が身体強化拡張者へ改造されたと知らされた。
クズスハラ街遺跡奥部の治験
ヤツバヤシは治験のデータ収集のため、ティオルをクズスハラ街遺跡奥部へ向かわせた。ティオルには粗末な武装しか与えられなかったが、身体に組み込まれた特殊な迷彩機能によって、モンスターから認識されても襲われないようになっていた。
モンスターに襲われない身体
遺物収集中、ティオルは武装した巨大な蜘蛛型モンスターに囲まれた。しかし蜘蛛達はティオルを見ても攻撃せず、そのまま立ち去った。迷彩機能が実際に機能すると確認したティオルは安心し、奥部に残された高価な遺物を大量に集め始めた。
大量の遺物
モンスターに襲われないことで、ティオルは通常なら到達困難な場所から大量の遺物を持ち帰れるようになった。自分には不可能だった成果を得たことで、ヤツバヤシの技術への評価も高まった。しかし治験終了後には身体を元に戻す予定だと聞かされ、ティオルは強化された身体を失うことを惜しむようになった。
クガマヤマ都市への未練
ティオルは生存が知られれば再びシジマ達に狙われ、最終的にはアキラまで敵に回す可能性があるため、治験後は別の都市へ逃げるよう勧められた。それでもティオルはクガマヤマ都市に残ることを望み、アキラより強くなる方法や、シェリル達との和解を模索した。
謎の拡張視界
遺物収集を続ける中、ティオルはモンスターを見ると視界に文字や記号が表示されることに気付いた。ヤツバヤシにもその表示内容は確認できず、脳内の視覚処理に直接追加されている現象だと推測された。ヤツバヤシは不具合として扱ったが、その正体は分からなかった。
ヴィオラへの依頼
ティオルはシェリル達との和解を求め、ヴィオラをクズスハラ街遺跡外周部へ呼び出した。ヴィオラの暴露によって殺されかけたため強い恨みを抱いていたが、他に交渉を任せられる相手もおらず、シェリル達に命を狙うのをやめてもらい、再び徒党へ加わるための交渉を依頼した。
ヴィオラの演技
ヴィオラは、自分もアキラに殺されかけ、命を助けてもらうため仕方なく裏切り者の情報を渡したのだと迫真の演技で説明した。ティオルはその話を信じ、ヴィオラへの敵意を弱めた。ヴィオラはアキラ達との交渉には多額の金と準備が必要だとして、ティオルに報酬を要求した。
アキラの戦闘記録
ティオルは奥部で集めた大量の遺物を報酬として提示し、一億オーラム程度の価値があると考えていた。しかしヴィオラは足りないと断じ、黒狼と戦うアキラの映像を見せた。ティオルは、自分が知っていた以上にアキラが強くなっていることを知り、和解に必要な代償の大きさを理解した。
十倍の遺物
ヴィオラは、アキラとシェリルへの示談金、シジマ達への慰謝料、自分への報酬まで考えれば、少なくとも現在持ってきた遺物の十倍は必要だと告げた。ティオルが即座に不可能とは言わず悩んだことで、ヴィオラはティオルがさらに大量の遺物を入手できる手段を持っていると察した。
ヴィオラとの取引
ヴィオラは持ち込まれた遺物を前金として受け取り、ティオルを新たな遺物の仕入れ元として利用する方向も含めて交渉すると提案した。ティオルは迷った末に了承し、残りの遺物を集めることになった。ヴィオラは依頼を真面目に扱うつもりだったが、それによってティオルが救われるかどうかまでは保証していなかった。
第155話 再構築完了
ツバキによるティオルの再構築
焦るティオル
アキラ達がハンターランク調整依頼を続ける一方、ティオルもクズスハラ街遺跡奥部で治験を兼ねた遺物収集を続けていた。ヴィオラから、シェリル達との交渉には大量の遺物が必要だと聞かされていたため、治験とアキラの依頼が終わる前に少しでも多く集めようと焦っていた。
迷彩機能への過信
ティオルはヤツバヤシの迷彩機能によってモンスターには襲われないと思い込み、警戒を怠って後方連絡線から遠い場所まで進んだ。しかし迷彩はまだ治験中であり、全てのモンスターに有効とは限らなかった。やがて大型の暴食ワニがティオルを敵として認識し、襲い掛かった。
失われた戦闘の記憶
暴食ワニを前にティオルは恐怖で動けなくなったが、次に目覚めた時にはヤツバヤシの移動診療所にいた。ヤツバヤシは、ティオルが格闘戦で暴食ワニを倒したと説明し、その映像を見せた。しかしティオルには戦った記憶がなく、暴食ワニに襲われる直前までしか思い出せなかった。
隠された真実
実際にはティオルは暴食ワニに食われた後、その体内から再生して脱出していた。ヤツバヤシがティオルに見せた映像は、その異常な過程を隠すために編集されたものだった。ヤツバヤシは、精神的な負荷が一定以上になるとティオルの意識が別の状態へ切り替わる可能性を把握しながら、治験を続けていた。
最後の遺物収集
治験最終日、ティオルはヴィオラから求められた最低量以上の遺物を既に集めていたが、交渉を有利にするため最後まで収集を続けた。そして高価な遺物を期待して大きな高層ビルへ入り、モンスターの多い内部を最上階まで進んだ。しかし遺物は安物ばかりで、期待した成果は得られなかった。
アキラとの遭遇
最上階から戻ろうとしたティオルは、そこでアキラとユミナに出会った。アキラに見付かった恐怖と、交渉前に殺されるという思いが一気に押し寄せた。さらに拡張視界のアキラが、以前迷彩を見破った暴食ワニと同じ赤色で表示されたため、ティオルは反射的に左腕を向けた。
左腕の砲撃
ティオルの左腕から砲弾が発射され、大爆発を起こした。そこでティオルは、以前診療所で無意識に左腕をドアへ向けた理由も理解した。自分の体には砲撃能力が組み込まれており、自覚していなくてもその使い方を知っていたのである。アキラを撃ったことで和解は不可能になったと思い、ティオルは必死に逃走した。
モンスターとの戦闘
逃げ込んだ白い部屋では、砲撃によって敵対行動を取ったティオルに多数のモンスターが襲い掛かった。左腕の砲は再装填中で使えず、AAH突撃銃も通用しなかったが、ティオルは素手でモンスターを殴り殺せるほどの身体能力を持っていた。次々と敵を倒したことで恐怖は消え、自分の力への強い自信を抱いた。
暴食ワニとの死闘
その油断を突き、異形の暴食ワニがティオルを食い千切った。だがティオルは体内で砲弾を再生成して暴食ワニを内側から破壊し、食われた肉体も相手の体を素材として再生した。その後は腕や脚を失っては再生し、相手を食らいながら戦い続け、最後には暴食ワニを倒した。
侵蝕するシステム
ヤツバヤシは遠隔で戦闘データを確認し、ティオルの自我がシステムに侵蝕されていることを察した。またティオルが遺物と一緒に食われたことで、左腕の砲や右手の光刃など、遺物由来と思われる機能まで体内へ取り込まれている可能性を考えた。
ツバキとの接触
暴食ワニを倒したティオルの拡張視界に、黒いドレス姿のツバキが現れた。ティオルのシステムはツバキを上位管理体と認識し、勝率なし、即時退避推奨と表示した。しかし逃げることはできず、ツバキによる強制接続を受けた。
システムの再構築
ツバキはティオルの内部システムへ介入し、追加データの取り込み、接続機能、指揮系統、システム全体の再構築を進めた。そしてティオルに何らかの任務を依頼し、自身をツバキと名乗って姿を消した。
爆弾の摘出
再構築が完了すると、ティオルは自ら頭部へ手を突き刺し、ヤツバヤシに埋め込まれていた爆弾を取り出した。爆発で手首から先を失っても意に介さず、暴食ワニの死体を食べて肉体を再生した。全身が元通りになると、ティオルの視界には新たな状態を示す情報が表示されていた。
第156話 女に甘いタイプ
イイダ商業区画遺跡への変更
ティオル襲撃後の呼び出し
アキラとユミナはティオルとの遭遇後、その日の探索を切り上げた。帰路でキバヤシに呼ばれ、前線基地の食堂へ向かった。ユミナは遺跡で他のハンターに襲われたため撤退したと説明した。キバヤシは、アキラなら本来は相手を追って殺しに行きそうだと見抜きながらも、ユミナを安全な場所まで連れ帰ったことを意外に思った。
活動場所の変更
キバヤシはハンターランク調整依頼の活動場所を、クズスハラ街遺跡からイイダ商業区画遺跡へ変更すると告げた。表向きの目的は、旧世界製の自動人形が存在するという情報を確認して確保することだった。
人型兵器の再プレゼン
実際の理由は、八島重鉄と吉岡重工が新型人型兵器の再度のプレゼンテーションをクズスハラ街遺跡で行うためだった。両社は以前アキラに機体を撃破されて評価を落としており、今度こそ成功させるため、予想外の事態を起こしかねないアキラを現場から遠ざけようとしていた。その口実としてイイダ商業区画遺跡の自動人形の情報が利用された。
ユミナの同行継続
活動場所の変更に伴い同行者を外すことも可能だったため、アキラはユミナに続けるか尋ねた。ユミナは一瞬、自分が邪魔になったのではないかと不安を抱いたが、アキラは元のチームから長く離れている彼女を気遣っただけだった。ユミナは自分にも同行を続ける理由があるとして、引き続きアキラと行動することを選んだ。
弾薬費を巡る交渉
自動人形が見つかった場合、現在の契約では数十億オーラム級の遺物でも都市へほぼ無償で売却することになるとキバヤシは説明した。一方で弾薬費を自己負担へ変更すれば、未使用弾薬の清算などで多額の費用が発生する。アキラは悩みながら条件交渉を続け、弾薬は都市所有のまま借り、使用した分だけ自己負担する形に変更した。
シズカの店のユミナ
イイダ商業区画遺跡への準備で、アキラはユミナを連れてシズカの店を訪れた。シズカは二人が約二か月も一緒に活動していたと知って驚いた。アキラが都市との交渉をまとめたことを褒めると、アキラは素直に喜んだ。その姿を見たユミナは、戦闘時の恐ろしい印象とは異なる、褒められて喜ぶ普通の少年らしい一面に驚いた。
シズカへの報告
シズカはユミナに、アキラが無茶をしていなかったか尋ねた。ユミナは初日に大規模な蜘蛛型モンスターの群れをほぼ一人で倒したと話してアキラを慌てさせたが、最後には弾薬を大量に使っただけで余裕を持って戦っていたと説明した。シズカはアキラが無理をしない約束を守っていると安心した。
対等な友人への願い
弾薬の積み込み中、シズカはユミナに、できればアキラと仲良くしてほしいと頼んだ。シズカは、自分やエレナ達とアキラの関係にはどこか上下がある一方、ユミナとは対等に気を許しているように感じていた。ユミナはその意図を察し、そうしたいとは思うと真面目に答えた。
回復薬の大量購入終了
続いてアキラ達はシェリルの倉庫へ向かい、カツラギから大量の高級回復薬を受け取った。しかし弾薬費の条件変更により今後は同様の大量購入が難しくなると告げると、アキラの継続購入を見込んで大量発注していたカツラギは慌てた。アキラは在庫管理はカツラギの仕事だとして取り合わなかった。
高価な遺物の不足
シェリルとヴィオラも現れ、遺物販売店では他店との競争が始まり、高価な遺物による差別化が重要になっていると説明した。しかしアキラは調整依頼中に得た遺物を都市へ売却する契約のため、店へ回すことはできなかった。ヴィオラはこれを利用し、アキラ以外の新たな供給元としてティオルを持ち出すための下準備を進めていた。
予想外の遺物提供
シェリルがアキラに負担を掛けるつもりはないと答えたことで、ヴィオラはアキラが遺物提供を断ると考えた。しかしアキラは一度倉庫を離れ、以前保管していた旧世界製情報端末などの高価な遺物を大量に持ち戻った。それらは調整依頼とは無関係の品であり、シェリル達へ提供して当面の在庫不足を補った。
ティオル生存の報告
倉庫の警備の話からティオルを思い出したアキラは、シェリルに彼が生きていると伝えた。さらにクズスハラ街遺跡奥部で遭遇し、突然攻撃されたことも説明して警戒を促した。シェリルはティオルがそこまで強くなっていたことに驚き、注意すると答えた。
崩れたヴィオラの工作
ティオルの復帰交渉を進めていたヴィオラは、アキラへの襲撃を知って計画がほぼ不可能になったと理解した。さらにアキラが大量の遺物を提供したことで、新たな供給元を必要とするという前提まで崩れた。それでもヴィオラはすぐに考えを切り替え、別の形で状況を利用しようとした。
女性に甘いアキラ
帰り際、ユミナはシズカやシェリルへの態度と、キバヤシやカツラギへの態度の違いから、アキラは女性に甘いのではないかとからかった。アキラは一度真面目に考え込んだが、ユミナも女性だから自分にも甘くしてほしいと言われて冗談だと気付き、苦笑した。二人にとっては気楽な友人同士の会話だったが、アルファだけはその様子を険しい表情で見ていた。
第157話 望みと選択
ユミナとカツヤの再会
ユミナの成長
機領の整備場で、技術者フルタはユミナの著しい成長を評価した。その強さは総合支援強化服だけでなく、アキラとの過酷な訓練を耐え抜いた結果であった。フルタは、個人運用を目指す自分達の開発方針ならユミナの力を活かせると語り、カツヤ達のチームへ戻るより高みを目指せる可能性を示した。
才能の方向性
ユミナは、自分にハンターとしての才能がないのではないかと不安を漏らした。フルタは、少ない負荷で効率良く成長する才能と、大きな負荷に耐えて強くなり続ける才能は別だと説明した。ユミナは後者に当たる可能性を示されたが、カツヤの下へ戻りたい思いから、今後について明確な返事はしなかった。
ティオルの異常判定
イイダ商業区画遺跡向けの調整中、ユミナは以前遭遇したティオルが総合支援システム上ではモンスターとして記録されていた件をフルタに相談した。フルタも異常な判定だと認め、表示上の不具合の可能性を考えて調査を引き受けた。
ミズハの思惑
遠征から戻るカツヤは、久しぶりにユミナと会えることを喜んでいた。一方、ミズハは実力不足と見ているユミナを正式にカツヤのチームから外したいと考えていた。さらにアキラとユミナの長期同行を利用して二人の関係をこじらせれば、カツヤからユミナを遠ざけやすくなると考えた。
カツヤの違和感
ミズハはいつの間にかアキラへ強い不快感を抱いていたが、以前はそのような感情を持っていなかったことには気付かなかった。カツヤも理由の分からない違和感を抱え、眠りの中でユミナとアキラの関係を示すような言葉を無意識に口にした。
久しぶりの再会
翌日、ユミナは整備場で遠征から戻ったカツヤと再会した。互いに再会を喜び、ユミナはカツヤの無事を確かめて安心した。しかしイイダ商業区画遺跡へ出発する時間が迫っていたため、話の続きは後にしようとした。
アキラとの同行
カツヤはユミナがアキラと行動しているという話を問いただした。ユミナはミズハの指示でアキラの同行者を務めており、その日も一緒に遺跡へ向かう予定だと認めた。カツヤは納得できず、立ち去ろうとするユミナの手を掴んだ。
ドランカムを抜ける選択
ユミナは、アキラとの同行をやめてほしいなら、一緒にドランカムを抜けてほしいとカツヤに迫った。二人が離されている最大の理由はドランカムの指示であり、辞めれば再び一緒に活動できると説明した。さらにアイリも加え、別の都市で三人でやり直す案まで示した。
離された手
カツヤは仲間達との繋がりを捨てられず、ユミナの手を離した。ユミナは、それが無理だと分かっていながら試すようなことを言ったと謝り、カツヤを抱き締めた。わずかな落胆を抱えながらも、自分が強くなってカツヤのチームへ戻ればよいと気持ちを切り替えた。
再加入への決意
ユミナは、遠征中にもアキラとの訓練で大きく成長していたことを伝え、実力でチームへの復帰を認めさせると宣言した。カツヤもその言葉で不安を和らげ、ユミナが戻るのを待つと答えた。
さらなる成長への意欲
ユミナはカツヤが自分との同行を望んでいると分かり、イイダ商業区画遺跡で成果を上げて復帰への足掛かりを作ろうと意気込んだ。一方のカツヤも、自分の希望をドランカムに認めさせられるほど強くなる必要があると考え、さらなる成果を求める決意を固めた。
白い世界の少女
そのカツヤを白い世界から少女が見ていた。少女は、ローカルネットワークへ取り込めそうにないユミナへカツヤが執着することを試行の障害とみなし、ユミナを危険視していた。
第158話 イイダ商業区画遺跡
イイダ商業区画遺跡への出発
アキラとユミナは旧世界製の自動人形を探すため、イイダ商業区画遺跡へ向かった。自動人形の存在は確実ではなく、遠方の遺跡で日帰りする予定でもあったため、二人はまず現地を調べ、遺物の状況を見て活動方針を決めることにした。ユミナは必要なら車内で一緒に泊まっても構わないと話し、アキラが異性への気遣いを見せたことを意外に思った。
自力での精密射撃
道中で大型モンスターに襲われると、アキラは遠隔操作したバイクのSSB複合銃から五発を同一点へ撃ち込み、弾を無駄にせず撃破した。弾薬費が自己負担になったため節約を意識していたのである。ユミナが技術のコツを尋ねると、アキラはバイクや銃を強化服の延長として感覚的に操作する訓練を重ねたと説明した。
ユミナの新たな目標
ユミナも同じ操作を試したが、車両を大きく蛇行させてしまい、その難しさを実感した。アキラが簡単に頑張ったと語る一方、過酷な訓練を経験したユミナは、その言葉の重さを理解していた。才能のあるカツヤと同程度の訓練だけでは支えられるほど強くなれなかったのだと考え、自分もさらに努力すると気持ちを引き締めた。
緑に覆われた遺跡
到着したイイダ商業区画遺跡は、旧世界の巨大な商業施設群が植物に覆われた場所であった。植物は非常に頑丈で燃えにくく、情報収集機器まで妨害するうえ、駆除してもすぐ繁殖するため、都市から遠いこともあってハンターには不人気であった。その反面、探索が進んでいないため、自動人形が残っている可能性には一定の説得力があった。
旧世界製ブレード
ドームの入口や店舗は植物に塞がれていたが、アキラは旧世界製のブレードで容易に切り開いた。その切れ味を羨ましがったユミナに、アキラは予備の一本を気軽に譲った。高価な遺物を渡されたユミナは驚いたものの、最終的には嬉しそうに受け取り、アキラが女性に甘いと再びからかった。
遺物収集への転換
二つのドームを探索した結果、遺物はそれなりに見付かったものの、自動人形の探索を優先するか、普通の遺物収集へ切り替えるか決め手に欠けた。アキラは判断を先延ばしにしたが、アルファから同行者の都合に左右されて指針を曖昧にするべきではないと注意された。アキラが無意識にユミナへ配慮していることから、アルファはユミナへの警戒をさらに強めた。
やがてアキラは、自分は運が悪く自動人形だけを狙うのは危険だとして、遺物収集を優先し、自動人形はその片手間に探す方針を決めた。ユミナも堅実な選択として賛成し、以後の指揮を引き受けた。
荒野のレイナ達
数日間の遺物収集に備え、二人は植物に車を呑み込まれない安全な寝床を探して遺跡の外へ移動した。その途中、大型モンスターが接近してきたため迎撃しようとしたアキラは、その後方に別の車両を発見した。乗っていたのは、アキラにも見覚えのあるレイナ達であった。
第159話 レイナとトガミ
レイナ達の追跡戦
レイナとトガミは、逃走する大型モンスターを車で追っていた。レイナは近接戦闘用の銃で攻撃し、トガミは悪路を走りながら射程と安全な距離を保っていたが、仕留め切れずにいた。二人は遠慮なく言い争いながらも連携しており、カナエに仲の良さをからかわれ、シオリからは戦闘中の態度を注意された。
アキラの一刀両断
追い詰められたモンスターが最後の力で加速すると、レイナは狙撃銃を使おうとしたが、その先にアキラを発見した。アキラは迫る巨体をブレードで一刀両断し、モンスターを倒した。訓練中だったレイナ達にとっては撃破失敗扱いとなり、シオリから実力不足を指摘された。
イイダ商業区画遺跡への同行交渉
レイナとトガミは、シオリにイイダ商業区画遺跡の探索を認めてもらうため、近接戦闘を中心とした訓練を続けていた。カナエはアキラ達と同行できれば自分を戦力として数えてよいと提案し、レイナ自身に交渉させた。
レイナは自動人形の情報を明かしたが、アキラ達も同じ情報を知っていた。それでも同行を申し出ると、アキラは普通の遺物収集も並行することと、発見した遺物の分配や都市への売却で複雑な交渉が発生することを説明した。レイナは自ら責任を負うと決め、条件を受け入れた。
レイナの決断
シオリはカナエを同行させ、自身は野営や運び屋の手配などの準備を担当することにした。ただし、レイナとトガミがアキラ達の負担になるようなら探索を中止すると告げた。レイナはその条件を受け入れ、自分の力を示す決意を固めた。
レイナとトガミの連携
遺跡に入ったレイナとトガミは、まず二人だけでモンスターの群れと戦った。トガミが弾幕で敵の動きを抑え、レイナが頭部を狙って確実に仕留めることで、安全に勝利した。以前より大きく成長した二人の戦いにユミナは驚いたが、アキラとカナエは大きな反応を見せなかった。
トガミの気遣い
レイナがアキラの薄い反応に落胆すると、トガミは自分達が足手纏いではなかったことをアキラに確認するように言葉を投げた。アキラがそれを否定しなかったことで、レイナは自分達が最低限の実力を認められたと理解した。トガミの気遣いにも気付き、レイナは礼を告げて再び前を向いた。
第160話 運も実力の内
二度目の遺物収集
最初の遺物収集でレイナとトガミはモンスターを二人だけで撃退したが、アキラから目立った反応を得られず、レイナはわずかに不満を残していた。シオリは成長を焦る必要はないと諭し、次の探索ではアキラとユミナを前衛にして実力を確認することにした。
アキラとユミナは襲来したモンスターの群れを短時間で撃破した。アキラは無駄弾なく急所を正確に撃ち抜き、ユミナも総合支援システムの補助を受けながら、それに近い戦いを見せた。ユミナをアキラに庇われる側だと考えていたシオリや、レイナ、トガミは予想以上の強さに驚いた。
ユミナの強さ
レイナは自分より強いユミナから称賛されたことに複雑な感情を抱いたが、すぐに自分の未熟さを他人のせいにしかけたことを恥じた。ユミナは総合支援システムと高性能な強化服を使っているため、少しズルをしているようなものだと説明した。
その言葉を聞いたアキラは、アルファの強力な支援を受ける自分の方がはるかにズルをしていると考えた。以前からその事実は受け入れていたが、改めて自力を高めようと気持ちを引き締めた。
野営の準備
二度目の遺物収集を終えると、シオリが手配した運び屋と大型キャンピングトレーラーが到着していた。遺物はドランカムを介さない運び屋に預けられ、今後の売却や分配交渉に備えられた。
キャンピングトレーラーには十分な居住設備が備わっており、シオリは荒野での休息も安全確保に必要な経費だと説明した。アキラ達はそこで食事を取りながら、ユミナの強さやハンターランク調整依頼について話した。
ハンターランク調整依頼の内幕
アキラはレイナ達に、スラム街の大抗争が八島重鉄と吉岡重工による人型兵器の実戦プレゼンテーションを兼ねた都市主導の騒動だったことを明かした。さらにアキラが人型兵器を多数撃破した結果、その悪評を払拭するためにハンターランク調整依頼が出され、現在は次のプレゼンテーションを邪魔させないためにイイダ商業区画遺跡へ送られている経緯まで説明した。
話を聞いたユミナは、同じ戦いで人型兵器を倒したカツヤ達の遠征にもハンターランク調整の意味があったのだと気付いた。自分が同行を認められなかった理由に納得して落ち込むと、アキラは今のユミナなら当時の人型兵器にも勝てると評価した。
ユミナの過酷な訓練
ユミナはレイナ達に、約二か月にわたってアキラから受けた訓練について話した。強化服と自分の肉体を別々に操作し、全身が損傷するほどの負荷を高価な回復薬で治療し続けながら、モンスターのいる遺跡を走り、戦闘と警戒を繰り返す内容だった。
トガミは自分にも可能かと尋ねたが、アキラは大量の回復薬に掛かる費用から難しいと答えた。トガミは強くなるためにも多額の金が必要だと苦笑したが、ユミナは運も実力の内だと受け止めた。
トガミの決意
就寝後、トガミはシカラベから受けてきた過酷な訓練を振り返った。自分も限界まで鍛えられてきたが、ユミナの訓練を聞いて、自分には無理だと一瞬考えてしまったことを自覚した。
しかしユミナが強くなれたのは幸運だけではなく、常軌を逸した訓練に耐え抜いた意志と精神力によるものだと認めた。トガミはユミナに敬意を抱き、今は無理でもいつか同じ領域へ到達すると決意した。
レイナへの忠告
レイナもユミナの訓練を自分なら再現できるのではないかと考えたが、カナエは参考にしてはいけないと真剣に止めた。ユミナの訓練は生存を度外視して短期間で強くなる方法であり、普通なら死ぬだけだと説明した。
カナエは強くなる近道自体を否定せず、レイナには安全な近道を進むべきだと告げた。シオリも不要な危険を避けながら可能な限り鍛えていると伝えたため、レイナは自分が過度に甘やかされているわけではないと理解し、二人の訓練を続けることを望んだ。
自動人形への警戒
レイナ達が眠った後、シオリとカナエは自動人形の情報について話した。アキラを遺跡へ送るための虚偽情報なのか、自分達と同じ情報を八島重鉄と吉岡重工も掴んだのかは判断できず、仮に自動人形が存在してもリオンズテイル社の物とは限らなかった。
シオリ自身も発見を望んでいるのか分からないまま、状況に応じて対応することを確認し、カナエと見張りを続けた。
第161話 総合支援システムの欠点
カナエとシオリの前衛
翌日、アキラ達はイイダ商業区画遺跡で遺物収集を再開した。最初に前衛を務めたカナエは、モンスターの群れへ自ら飛び込み、拳と蹴りだけで一方的に殲滅した。続くシオリも襲い掛かった巨大な獣を刀の一閃で両断した。
アキラはカナエの格闘には銃を使えば楽だと評した一方、シオリの剣技には素直に感心した。違いをユミナに尋ねられると、カナエの戦い方は自分でもできそうだが、シオリの剣技はそう感じなかったと答えた。
旧世界製商品の収集
アキラ達は植物に覆われた店舗から遺物を回収した。アキラとトガミが商品を取り出し、ユミナとレイナが拡張現実機能を利用して内容を確認していった。
一部の商品は着用例や使用例まで表示される仕組みであり、その映像には手に取った本人達の姿が使われた。事情を知らないアキラとトガミが次々に商品を渡す中、ユミナとレイナは平静を装い、シオリも反応を抑え、カナエだけが笑いを堪えていた。
総合支援システムへの関心
大量の遺物を回収した後、トガミはユミナが使う総合支援システムに興味を示した。しかし強化服だけでも最低一億オーラムで、さらに継続費用も必要だと知り、個人での購入は難しいと考えた。
レイナも導入に興味を示したが、シオリとカナエは勧めなかった。高性能な支援に判断まで委ねれば、自ら決断する力を失いかねないためである。二人はレイナ自身が主として決断し、その責任を背負えるようになることを求めた。レイナはまだ訓練途中なのだと受け止め、その面でも成長すると決意した。
自動人形の本格捜索
三日目から、アキラ達は六人で自動人形の捜索を本格化させた。ユミナとレイナが遺跡の拡張現実情報を利用して指揮を執り、店舗跡だけでなく関係者以外立入禁止の区域や倉庫も候補として調べる方針を立てた。
レイナは総合支援システムで自動人形を探せないか尋ねたが、ユミナは使用すれば機領やドランカムへ探索内容が伝わる恐れがあるため拒んだ。シオリも自動人形の情報をドランカムには報告しておらず、アキラ達は自力で探索を続けることになった。
支援と自由の代償
総合支援システムを使えば未発見の遺跡などの情報も組織側へ伝わる可能性があると知り、トガミはその利便性と自由の両立について考えた。シオリは契約次第で情報の秘匿は可能だが、ドランカムから借りる場合は徒党内への情報提供を避けられないだろうと説明した。
トガミは組織の支援による安全や装備の恩恵を認めながらも、自由との引き換えになることに複雑な思いを抱いた。シオリも組織全体の効率向上という点では総合支援システムを評価したが、レイナには他者に従うだけの立場になってほしくないと考えていた。
アキラとユミナの軽口
トガミから総合支援システムを欲しいかと尋ねられたアキラは、必要ないと答えた。ユミナも、今のアキラには支援能力が足りず、遺物鑑定だけのために大掛かりな設備を運用するとは思えないと納得していた。
その代わり機領製の強化服を次回の購入候補にしてほしいとユミナが持ち掛けると、アキラは思わず同意した。ユミナは言質を取ったとからかい、慌てるアキラを笑った。カナエから仲が良いと冷やかされても二人は揃って受け流し、その後も探索を続けたが、自動人形は発見できなかった。
第162話 競争相手
シェリルとイナベの取引
シェリルはクガマビルの立食会でイナベの支援を受ける事業家として立場を固め、都市上層の人々との交流を通じて令嬢としての振る舞いも磨いていた。アキラから再び持ち込まれた旧世界製情報端末について、イナベは次があるのか尋ねたが、シェリルはアキラとの敵対を避けるため詮索を拒んだ。
カツヤとの再会
遠征で大きな成果を上げたカツヤとミズハが立食会に現れ、シェリルと再会した。シェリルは以前の倉庫警備について、カツヤ達は報酬以上の働きをしたと評価したため、ミズハはカツヤ達を都市上層へ売り込めると考えた。
ウダジマの介入
そこへイナベと対立する都市幹部ウダジマが現れ、シェリルとミズハに礼を述べた。アキラとユミナが自分の担当区画でモンスターを倒したことで遺物収集が進んだためであった。さらにウダジマはミズハ達との商談を持ち掛け、イナベもそれを認めたため、ミズハはカツヤを連れてその場を離れた。
カツヤは、遠征で成果を上げても都市や組織の上位者の意向には逆らえない現実を思い知らされた。シェリルやユミナと自分の意思で共にいるためには、都市でも最上位と認められるほど強くなる必要があると決意した。
ウダジマへの警戒
カツヤ達が去った後、イナベとシェリルはウダジマの行動について検討した。旧世界製情報端末をイナベの担当区画で発見されたことにする工作はまだ準備段階であり、情報が漏れた心当たりはなかった。
シェリルは、ウダジマがアキラの代わりとなる戦力としてカツヤ達を確保するために現れ、意味深な態度でイナベ側の反応を探った可能性を挙げた。イナベもその見方に納得し、警戒を続けることにした。
シェリルとカツヤの関係
イナベはシェリルとカツヤの関係を尋ねた。シェリルはカツヤに特別な興味はなく、アキラとカツヤの仲が悪いため、自分達の側に引き入れるつもりもないと説明した。
初対面から相談を受けた経緯まで聞いたイナベは、カツヤから強い好意を向けられながら本人にはその意思がないシェリルを、ヴィオラ同様に質の悪い人物だと評した。
自動人形店の発見
イイダ商業区画遺跡で一週間探索を続けたアキラ達は、遂に自動人形店を発見した。店内には執事服とメイド服を着た完全な状態の自動人形が展示されており、レイナ達は大喜びした。
しかしアキラは以前の経験から疑い、シオリが照明を当てて確認した結果、二体は実物ではなく立体映像だった。期待を打ち砕かれたレイナは大きく落胆した。
クロサワとの遭遇
休憩中、店の周囲を大部隊が取り囲んだ。指揮官は以前アキラと面識のあったクロサワであり、彼らも自動人形を探していた。
クロサワは共同探索を提案したが、アキラ達は既に都市やドランカムを絡めた報酬交渉を抱えていた。レイナも自分達の主導権を維持したいとして断り、両者は自動人形を早い者勝ちで探す競争相手となった。
総合支援システムの全面活用
クロサワ達の出現によって情報秘匿の優位が失われたため、ユミナは総合支援システムを本格的に利用することを提案した。システムは遺跡内の自動人形店の位置を複数表示し、アキラ達は探索効率を大きく高めた。
ところが向かった店舗は全てクロサワ達に先に確保されていた。さらに最初に訪れた空の店舗まで占拠されていたため、アキラ達はクロサワ達の目的に疑問を抱いた。
再入荷される自動人形
アルファの助言を受けて考えたアキラは、クロサワ達が自動人形そのものではなく、店舗への再入荷を待っているのだと推測した。遺跡では稼働中の配送機能によって遺物が補充される場合があり、自動人形店も在庫が切れている間だけ立体映像を展示している可能性があった。
クロサワ達は再入荷時期を知っている一方、どの店舗に届くかまでは分からないため、全店舗を押さえたのだとアキラ達は判断した。
イイダ商業区画遺跡へ向かうティオル
その夜、ティオルは大型トレーラーを運転して荒野を進んでいた。途中で突然、自分がどこにいるのか分からなくなったが、イイダ商業区画遺跡へ向かっていることだけは思い出した。
しかし、なぜそこへ向かっているのかという疑問すら抱かないまま、ティオルは目的地へ進み続けた。
第163話 配達人、または乱入者
自動人形搬入への賭け
アキラ達は自動人形が今日再入荷されると推測し、店舗を押さえたクロサワ達を出し抜くため、配送前の自動人形を狙うことにした。アキラとユミナは遺跡外周で輸送機械や痕跡を探し、レイナ達は内部で倉庫を捜索した。成果がなければ今日で探索を打ち切ることも決めていた。
それぞれの捜索
レイナ達は巨大な倉庫を発見したが、内部は荒れ果てており、自動人形の保管場所とは断定できなかった。レイナはシオリやトガミの意見を聞いた上で、自ら別の場所を探すと決断した。
一方、クロサワは部隊に遺物収集を禁じ、緊急撤退時の未練を作らせないよう徹底していた。過去の大きな騒動にアキラが何度も関わっていたことから、今回も何か起こるのではないかと警戒していた。
大型トレーラーの痕跡
アキラとユミナは遺跡の外から内部へ続く大型車両の痕跡を発見した。追跡すると、地下への入口を切り開いて侵入した跡と大型トレーラーを見付けた。車体は現代製にも旧世界製にも見えない不可解な造りで、貨物部は空になっていたため、二人はレイナ達に連絡した。
集配所のティオル
そのトレーラーを運転していたのはティオルであった。ティオルは遺跡全体の集配所へ複数の収納装置を運び込み、小型輸送機械に配送させた後、一つだけ自ら担いで地下道を進んだ。
白い部屋で収納装置を起動すると、中にはメイド服姿の旧世界製自動人形が入っていた。意識を取り戻したティオルが危険性を思い出した直後、自動人形は起動して彼の胸を貫いた。
オリビアとツバキ
起動した自動人形の前には、拡張現実上のツバキが現れ、依頼を持ち掛けた。その後、意識を取り戻したティオルの負傷は消えており、自動人形はオリビアと名乗った。
ティオルは自分が何をしていたのか理解できないまま、オリビアから用事を終えて帰る途中だと告げられると、それを当然のように受け入れた。オリビアと別れたティオルは、誰のものかも分からない次の指示に従って歩き出した。
地下集配所の確保
アキラ達と合流したレイナ達は、大型トレーラーの持ち主が自動人形を狙う別のハンターだった可能性を考えた。地下空間が遺跡全体の集配所である可能性もあり、レイナはここを確保することに決めた。
ティオルとの再遭遇
そこへ地下道からティオルが現れた。アキラを見たティオルは強い恐怖を示し、左腕を向けて砲撃した。アキラはSSB複合銃で砲弾を迎撃し、仲間達も爆発から退避した。
逃走するティオルを狙おうとしたアキラだったが、無人で動き出した大型トレーラーに妨害された。ティオルはその車両に飛び乗って再び砲撃し、アキラは迎撃しながらアルファが運転するバイクで追跡を開始した。
探索からの撤退
残されたユミナ達は、ティオルとの交戦によって自動人形探しを続けられる状況ではないと判断した。レイナも撤退を決め、アキラを援護しながら遺跡を離れる方針を示した。
その直後、クロサワ達から緊急の通知が届いた。内容は、数十体もの旧世界製自動人形が遺跡内で暴れているというものだった。
第164話 ティオルの変異
全店舗への自動人形再入荷
クロサワ達が確保していた自動人形店で立体映像が消え、展示ケースや収納装置から本物の自動人形が現れた。しかも再入荷は一店舗だけではなく、確保していた全店舗で発生した。予想を超える成果に部隊は沸いたが、クロサワは戦力を分散したまま全てを守る必要が生じたため警戒を強め、増援を要請した。
起動した自動人形
増援到着を待つ中、収納装置の一つが勝手に開き、自動人形がクロサワ達を襲った。クロサワとロディンは対自動人形用の武装で撃破したが、ロディンが起動させたものではなかったため、他の個体も自動的に起動する危険が明らかになった。
クロサワは即座に店舗の放棄と未起動個体の破壊を含むプランCを発動し、部隊の撤退と合流を指示した。
ティオルとの追走戦
地上へ逃げたティオルをアキラはバイクで追い続けた。大型SSB複合銃や小型ミサイルでトレーラーを攻撃したが、車体は力場装甲に守られており、簡単には破壊できなかった。
ティオルも左腕の砲や右腕から放つ光刃で反撃したが、アキラは攻撃を回避しながら追い詰めていった。
巨大武装への変異
死の恐怖に追い詰められたティオルは、もっと強い武器を求めて左腕でトレーラーを殴り続けた。その願いに応じるように左腕が大口へ変化し、トレーラーそのものを食らい始めた。
車体を素材として取り込んだ左腕は巨大な盾と無数の銃を備えた異形の武装へ変化した。強力な火力を得たティオルは大量の弾幕を放ち、今度はアキラを追う側へ回った。
撤退と遠距離援護
地上へ出たユミナ達はティオルの異常な戦闘力を確認し、レイナの安全も考えて直接アキラの近くへ向かうことを断念した。レイナも撤退を決め、アキラのために弾薬を残しながら遺跡外を目指した。
しかしユミナは撤退しながらも、アキラの情報収集機器を誘導に利用して遠距離から大量の小型ミサイルを発射した。レイナとトガミは周囲を警戒し、シオリとカナエもその援護を認めた。
ユミナが作った補給時間
ティオルとの激戦でアキラの弾薬が尽きかけたところへ、ユミナの大量のミサイルが着弾した。ティオルは防御に追われ、アキラへの攻撃を続けられなくなった。
その隙にアキラはユミナ達が残した弾薬を回収し、数秒で再装填を済ませた。補給を終えたアキラはユミナに礼を伝え、アルファの支援も含めて再びティオルへの攻撃を開始した。
追い詰められたティオル
アキラの銃撃とユミナの遠距離ミサイルを同時に受けたティオルは、防御も反撃も困難になった。ユミナ達を狙おうとしてもアキラに阻まれ、その間に彼女達は距離を取っていった。
再び死への恐怖に呑まれたティオルは、人格と内部システムの境界を失いつつあった。そして助けを求める意識がシステムの機能と結び付き、拡張視界に支援要請開始の表示が現れた。
第165話 自動人形
レイナ達の遠距離支援
レイナとトガミは周囲のモンスターを排除しながらユミナを守り、ユミナは大量の小型ミサイルでアキラを援護していた。シオリは遺跡内の異変でモンスターが外へ追い出されている可能性を考え、自動人形を見付けても先制攻撃しないようレイナに注意した。
クロサワ達の撤退
クロサワ達は起動した旧世界製自動人形との戦闘を続けていた。遠距離攻撃まで使う強力な個体に苦戦しながらも撃破を重ねたが、自動人形達は突然戦闘を止めて一斉に立ち去った。
不可解な変化を警戒したクロサワは好機と判断して部隊に撤退を指示し、増援との合流を急いだ。
ティオルの力場装甲崩壊
アキラとユミナの攻撃を受け続けたティオルは、左腕の銃をほぼ失い、盾で身を守るだけとなった。それでもトレーラーから供給されるエネルギーによる強力な力場装甲で耐えていた。
しかし武装の再生や防御に車体を消耗し続けた結果、トレーラーが限界を迎えて崩壊した。ティオルは地面へ投げ出され、アキラは止めを刺そうと銃撃した。
ティオルを守る自動人形
アキラの射線に自動人形が割り込み、自ら盾となってティオルを守った。さらに複数の自動人形がレーザーや飛ぶ斬撃でアキラを攻撃し、メイド服と執事服の個体が動けないティオルを運び出そうとした。
アキラは理由が分からないまま自動人形との戦闘を強いられ、増援まで次々に現れたことで状況は再び悪化した。
味方ごとのミサイル攻撃
ユミナが放った大量のミサイルは、標的だったティオルの車両が消えたためアキラと自動人形の戦場へ降り注いだ。アキラは無事だったうえ、危険を承知で援護を続けるようユミナに求めた。
一度は躊躇したユミナも、自分で撃つ責任を引き受ける覚悟を決め、アキラを巻き込む危険を承知でミサイル攻撃を再開した。
レイナ達に迫る自動人形
ユミナ達にも自動人形が接近した。レイナ、トガミ、シオリが集中砲火を浴びせても、自動人形は力場装甲に守られてほとんど損傷しなかった。
シオリは遺跡外への撤退を続けるようユミナに指示し、自身はカナエと車から飛び降りた。二人は対力場装甲機能を持つ近接武器で自動人形を迎え撃ち、一撃で大破させていった。
レイナの成長
シオリ達が前線に出たことで、レイナは再び守られるだけの立場になりかけた。しかしトガミに促され、自分達にも援護という役割があると気を取り直した。
極限まで集中したレイナは、自動人形の力場装甲が一時的に薄くなる箇所を無意識に見抜き、通常弾で機体を破損させた。それは過酷な訓練と実戦で積み上げてきた経験が結び付いた成果であり、シオリもその成長を認めた。
シオリの剣と主への思い
シオリはレイナ達の援護を受けながら、自動人形の力場装甲を刀の対力場装甲機能で突破し、次々に無力化した。レイナがここまで強くなったことを喜ぶ一方、ハンターとして生き続けることを望むようになるのではないかという新たな不安も抱いた。
それでも今は戦闘に集中し、増え続ける自動人形をレイナ達へ近付けないことを優先した。
冷めたカナエ
カナエも自動人形との接近戦を続けていたが、感情も意思も見せず機械的に戦う相手に次第に興味を失った。戦いを楽しむことができず、つまらないと感じたことで、普段の悪癖である遊びや加減が完全に消えた。
戦闘を単なる作業と割り切ったカナエは、最大効率の動きだけで攻撃と回避を繰り返し、自動人形達を次々に破壊していった。
第166話 現実の解像度
アキラへの加勢
遺跡外へ向かうユミナ達は、八体の自動人形に追われながら戦うアキラの状況を知った。アキラは小型ミサイルを使い切り、残る銃弾も減る中で光刃やレーザーを躱し続けていた。ユミナのミサイル支援で窮地を脱すると、自動人形のジェネレーターを狙って反撃した。
ユミナは遮蔽物がなくなる地点から直接射撃に加わると決め、危険を承知でレイナとトガミにも協力を求めた。二人も残ることを選び、三人はドームから現れたアキラと追跡する自動人形へ一斉に銃撃した。
ユミナの体感時間操作
激戦で全身を損傷していたアキラは、ユミナ達の援護によってようやく回復薬を服用できた。レイナから助けたと言われると素直に礼を伝え、援護を頼んだ。
一方のユミナは、多数の敵を引き付けて戦うアキラにカツヤの姿を重ねた。ここでアキラを助けられなければ、カツヤの側へ戻っても支えられないと強く思ったことで極限まで集中し、ついに体感時間の操作に成功した。
時間が遅く感じられる中、ユミナは総合支援システムと高性能装備を十分に扱えるようになり、自動人形への命中率を大幅に高めた。レーザー砲を狙って破壊するなど、アキラを支える強力な戦力となった。
自動人形の全滅
ユミナ達の援護が強まったことで、アキラは逃走をやめて攻勢に転じた。至近距離からSSB複合銃を押し当てて連射し、一体ずつ確実に自動人形を破壊していった。
体感時間を操作しながら死力を尽くしたアキラは、ユミナの援護が限界を迎える直前に最後の一体を撃破した。ユミナも無理を重ねた反動で吐血したが、回復薬を服用して命に別条はなく、アキラを助けられたことに満足していた。
二体の最新型自動人形
戦闘を終えたアキラがシオリ達との合流を待っていると、地中から巨大な二本の光刃が襲い掛かった。現れたのは、自動人形店で立体映像として展示されていた三葉ジルパテックの最新モデル二体だった。
桁違いの性能を持つ二体を前に、アキラはアルファの支援によって世界を今まで以上に鮮明に認識し、致命的な光刃を辛うじて回避した。
武器と左腕を賭けた反撃
アキラはメイド服の自動人形にSSB複合銃を密着させ、安全制限を解除した最大連射を浴びせた。銃は爆発してアキラの左腕を巻き込んだが、自動人形のジェネレーターも破壊した。
続く執事服の自動人形にも大物殺し用SSB複合銃を押し当てて連射したが、光刃によって銃を失った。最後は旧世界製ブレードを損傷箇所へ突き刺し、柄を殴り込んでジェネレーターを破壊した。二体を倒したアキラも力尽き、その場で意識を失った。
オリビアとの遭遇
重傷のアキラを救助しようとしたシオリとカナエの前に、別のメイド服の自動人形が突然現れた。二人は全力で攻撃したが、刀も拳も容易に受け止められ、シオリが刀を犠牲にして放った切り札すら傷一つ付けられなかった。
自動人形は交戦の意思はないと告げ、オリビアと名乗った。自身をリオンズテイル社所属の汎用人格と紹介すると、白いカードをシオリへ渡し、目覚めたアキラに渡すよう頼んだ後に姿を消した。
イイダ商業区画遺跡からの撤収
シオリ達は重傷のアキラに応急処置を施し、命を繋いだ。オリビアから渡されたカードの扱いに悩みながら帰還しようとしたところ、撤退していたクロサワ達が増援部隊と共に遺跡へ戻ってきた。
大規模な戦力が到着したことで遺跡の騒動にも目処が付き、アキラ達のイイダ商業区画遺跡での活動は一区切りとなった。
第167話 試行の障害
病院での目覚め
アキラはイイダ商業区画遺跡での戦闘から五日後、クガマヤマ都市の病院で目を覚ました。アルファから、最後の自動人形戦ではアキラの知覚する現実を高精度かつ低遅延に再構築する支援を行ったと説明された。それによって強敵と渡り合えた一方、脳には極端な負荷が掛かり、昏倒の大きな原因になっていた。アルファは同じことを自力で行うのは不可能だと告げたが、訓練によって近い能力を身に付ける余地はあるとした。
白いカードの譲渡
最初に病室を訪れたシオリは、自動人形の残骸を巡る所有権交渉がアキラの意識不明によって延期されていたことを伝えた。その後、遺跡で得たという白いカードを自分達に譲ってほしいと申し出た。
シオリは、そのカードは普通に売っても価値を認められない一方、特定の相手には高い価値を持つと説明した。利益を得られた場合は謝礼を渡す条件を提示し、アキラもアルファの勧めを受けて譲渡を了承した。しかしシオリは、カードの本当の経緯を伏せたまま話を進めており、カナエから詐欺に近いと指摘されても、レイナに見切られる覚悟までしてその判断を貫いていた。
キバヤシの代理交渉
続いてキバヤシが病室を訪れ、アキラに七千万オーラムの治療費を告げた。さらにSSB複合銃三挺、防護コート、強化服、バイクを失い、大量の弾薬代まで支払う必要があることを説明した。
自動人形の残骸についても、発見者、撃破者、回収者、依頼元、都市など複数の立場が所有権を主張できるため、極めて複雑な交渉になる予定だった。キバヤシは代理人を申し出て、報酬として得た金を全額装備や弾薬に使うことを条件にした。アキラは受け入れ、さらに対力場装甲弾を安価に購入できるよう要望した。これによりハンターランク調整依頼も終了となった。
三千万オーラムの達成
トガミはシカラベに最後の百万円を渡し、訓練料として提示した三千万オーラムを全額受け取らせることに成功した。自身の価値を認めさせるという一つの目標を達成したが、シカラベは最終訓練としてトガミをクガマビルの会議室へ連れていった。
そこでは自動人形の所有権交渉が始まろうとしており、レイナも同席していた。レイナは以前に引き受けた交渉事への対処を実践させられ、トガミもハンターに必要な能力の訓練として同じ場に放り込まれた。一方、アキラはキバヤシを代理人にしていたため不在であり、二人は企業相手の交渉で徹底的に揉まれた。
ツバキとオリビア
ツバキの管理区画では、オリビアが実体でツバキと対面していた。ツバキはイイダ商業区画遺跡への自動人形再入荷を長らく停止していたが、オリビアを一度そこへ運んで起動させるために再開していた。自動人形達を勝手に起動させたのもツバキの判断だった。
オリビアは、ティオルから異常な干渉を受けたことを問題視した。ティオルは正気とシステムの境界が曖昧になったことで本来不可能な支援要請を行い、一部の自動人形へ強い影響を与えていた。ツバキはその危険性を認めながらも、自身の制約を部分的に突破できる存在としてティオルの価値を高く評価した。意識を失ったティオルを傍らに置いたまま、ツバキはオリビアへ改めて依頼内容を説明し始めた。
試行の障害
真っ白な空間では、アルファと少女が試行の障害となる女性への対処を話し合った。少女側では直接的な誘導が難しく、アルファ側も自身の個体から悪感情を抱かれないよう露骨な介入は避ける必要があった。
二人は機会を待ちながら協力して障害を排除する方針を確認し、それぞれ姿を消した。試行は今後も続けられることになった。
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