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フィクション(Novel)リビルドワールド読書感想

小説「リビルドワールドVIII(8)〈下〉 偽アキラ(13)」 感想・ネタバレ

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リビルドワールド VIII〈下〉の表紙画像(レビュー記事導入用) フィクション(Novel)

リビルドワールド VIII(8)〈上〉レビュー
リビルドワールド全巻まとめ
リビルドワールド IX(9)〈上〉レビュー

Table of Contents

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  1. 物語の概要
    1. ■ 作品概要
    2. ■ 主要キャラクター
    3. ■ 物語の特徴
  2. 読んだ本のタイトル
  3. あらすじ・内容
  4. 感想
  5. 考察・解説
    1. アキラの賞金首認定
    2. 偽アキラと建国主義者
    3. 第3奥部での激戦
    4. 坂下重工と都市の政治
    5. 仲間たちの支援と協力
  6. 登場キャラクター
    1. クガマヤマ都市(幹部・広域経営部・ハンターオフィスなど)
      1. イナベ
      2. ウダジマ
      3. キバヤシ
      4. ヤナギサワ
      5. サクヤマ・ヒカル
    2. 旧世界の存在・遺跡の管理人格
      1. アルファ
      2. ツバキ
      3. オリビア
    3. 個人ハンター・その他
      1. アキラ
      2. キャロル
      3. ドーラス
      4. エレナ
      5. サラ
      6. シオリ
      7. カナエ
    4. ハンターチーム「ドラゴンリバー」
      1. タツカワ
      2. メルシア
    5. ハンター徒党「ドランカム」
      1. トガミ
      2. レイナ(レイナ・リラルト・ローレンス)
    6. 坂下重工
      1. スガドメ
      2. ハーマーズ
      3. シロウ
    7. リオンズテイル社
      1. クロエ
      2. パメラ
      3. ラティス
    8. 企業関係者・情報屋・その他
      1. 偽アキラ
      2. ハルカ
      3. ヴィオラ
      4. シズカ
      5. シジマ
      6. マルオ
    9. 集団
      1. 都市防衛隊
      2. ドランカム
      3. ドラゴンリバー
      4. シェリルファミリー
      5. リオンズテイル社の部隊
      6. 融合体の群れ
      7. 坂下重工の部隊
  7. 展開まとめ
    1. 第232話 協力者達 
    2. 第233話 状況の把握 
    3. 第234話潜伏場所 
    4. 第325話 高価な死体 
    5. 第336話 シェリルの不安 
    6. 第327話 イナベからの支援 
    7. 第338話 護衛の実力 
    8. 第239話 裏にいる誰か 
    9. 第240話 偽アキラ出現 
    10. 第241話 ハルカ 
    11. 第242話 サポートの質の差 
    12. 第243話 意外な増援 
    13. 第244話 交渉開始 
    14. 第245話 命懸け 
    15. 第246 話 ハンターとしての生き方 
    16. 第247話 払えるだけ払った 
    17. 第248 話 奇妙な質問 
    18. 第249話 旧領域接続者達 
    19. 第250話 スガドメの提案 
    20. 第251話 5000億オーラムの賞金首 
    21. 第252 話 ドーラスの覚悟 
    22. 第253話 追加の支援 
    23. 第254話 第3奥部の激戦 
    24. 第255話 怪獣の撃破方法 
    25. 第256話 今日はついてる 
    26. 第257話 歪んだ想い 
    27. 第258話 騒ぎは続く 
  8. リビルドワールド 一覧
  9. その他フィクション

物語の概要

■ 作品概要

『リビルドワールドVIII〈下〉 偽アキラ』は、荒野の遺跡を舞台に少年ハンターの成り上がりを描くSFバトルアクション小説の第8巻下巻である。
主人公のアキラは、自身の偽者によって都市幹部ウダジマを殺害したという濡れ衣を着せられてしまう。
彼はクガマヤマ都市から賞金首に指定され、ドラゴンリバーの拠点へ身を隠すことになる。 偽アキラはアキラの恋人であるシェリルを誘拐し、さらにアキラの恩人であるシズカの命をも狙う。
アキラはユミナの死を復讐のダシに使う偽物に激怒し、決着を付けるためにセランタルビルへと突入する。
シロウはレイナから借り受けたカードを用い、旧世界のリオンズテイル社の自動人形オリビアを護衛に雇う。
オリビアはアキラ達を救援し、さらに坂下重工の超人ハーマーズとの交渉を有利に進めた。
坂下重工の重役スガドメは、アキラに対して5000億オーラムの賞金を懸ける。
しかし彼は、第3奥部の建国主義者(偽アキラや怪獣レラグロス)の壊滅を条件に賞金の取り消しを提示した。
アキラは第3奥部へ乗り込み、シロウが用意した最前線向けの装備「HBTNブレード」などを手にする。 アルファとの接続を遮断する過酷な通信障害の中、アキラは極限 of 自力戦闘に挑む。
彼は怪獣レラグロスを内側から爆破し、偽アキラの意識ごと完全に撃破した。
さらに、アキラは一連の事件の元凶であるウダジマを、己の怒りのままに撃滅した。 こうして賞金首認定は解除されるが、アキラはスガドメからシロウの捕縛に関する新たな依頼を受ける。

■ 主要キャラクター

アキラ

本作の主人公だ。ハンターランク70の一流ハンターに到達した。自身の偽者による冤罪で賞金首にされ、反撃の機会を窺う。偽アキラや怪獣レラグロスを倒すため、アルファの支援を断って第3奥部での極限戦闘に挑んだ。

偽アキラ

アキラの姿と装備を模した謎の偽物である。自分こそが本物のアキラであると盲信している。ユミナの仇討ちやシェリルの救出に異常な執着を見せ、都市幹部への復讐を宣言した。

シロウ

坂下重工から脱走中の優秀な旧領域接続者だ。アキラへのハッキング支援や強力な装備調達を行い、アキラからツバキへの交渉窓口構築の約束を取り付けた。

レイナ(レイナ・リラルト・ローレンス)

ドランカムに所属する少女ハンターだ。カツヤの死を経て主としての覚悟を身に付け、シズカを護衛して偽アキラの襲撃を防ぐ。アキラに対して旧世界のリオンズテイル社の端末設置場所への案内を頼んだ。

シェリル

アキラの後ろ盾を頼みとするスラムの少女ボスである。偽アキラに誘拐され、アキラの個人的な好みについて質問をされ続ける。後にセランタルビルでアキラに無事救出された。

オリビア

旧世界のリオンズテイル社に所属する汎用人格の自動人形である。シロウから契約金を受け取り、アキラ達の救出やハーマーズとの戦闘で圧倒的な武力を発揮した。

ウダジマ

元クガマヤマ都市の幹部だ。生存しており、ハルカや建国主義者と結託してアキラをハメる陰謀を巡らせていた。最後は自身の計画にアキラを巻き込んだことへの漆黒の怒りを買い、アキラに一瞬で消し飛ばされた。

ハルカ

優秀な旧領域接続者の女性である。偽アキラの戦闘支援や、ビルの警備データの高精度な改竄を行っていた。事件の終結後はシロウの脱出を共同で手助けする。

■ 物語の特徴

書籍版オリジナルのスリリングな逃亡劇: 本作はウェブ版とは異なる緊迫したオリジナルエピソードが展開される。都市幹部殺害の濡れ衣を着せられたアキラが、ドラゴンリバーの拠点に潜伏しながら敵を追う逃亡劇が魅力的に描写された。

偽アキラという「歪んだ自己」との対峙: アキラの姿を持ちながら、ユミナやカツヤへの想いを不気味に受け継いだ偽アキラが登場する。アキラが自身の最も深い後悔をプロパガンダに利用されたことに激怒し、冷徹な殺意を偽アキラにぶつけるドラマは読者の胸を打つ。

通信障害下での極限バトルと最前線装備: アルファのサポートを遮断する過酷な通信障害の中、アキラが自力で怪獣に挑む戦闘シーンが描かれる。シロウが手配した強力な「HBTNブレード」の切れ味や、力場装甲の限界出力による死闘は最高峰の緊迫感を誇った。

大企業を巻き込む更なる大混沌への序章: 事件は一時的に解決を見るが、アキラは坂下重工のスガドメからシロウに関する捕獲や殺害の依頼を受ける。統企連直轄の「対再構築機関」のマルオが出現するなど、世界観が東部全体へ大きく広がる布石が散りばめられた。

KADOKAWAオフィシャルチャンネル
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読んだ本のタイトル

リビルドワールド  VIII〈下〉 偽アキラ
著者:ナフセ 氏
イラスト:わいっしゅ  氏
出版社:KADOKAWA電撃の新文芸
発売日:2024年5月17日
ISBN:9784049148664

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あらすじ・内容

都市幹部殺害の容疑を掛けられ、賞金首となったアキラの運命は――!

☆★☆シリーズ累計100万部突破!!☆★☆
★☆★TVアニメ化決定!!★☆★

 自身の偽者により都市幹部殺害の濡れ衣を着せられ、クガマヤマ都市から賞金を懸けられたアキラは、ドラゴンリバーの拠点に身を隠して反撃の機会を窺う。
 だが、その間に偽アキラはシェリルを攫って姿を消した。そして今度は、ある少女と共にセランタルビルに姿を現す。
 偽アキラを狙うアキラと、その少女の下を目指すシロウ。それぞれの目的の交じり合いが、事態をより複雑に、大規模なものに変えていく……。
 アキラの新たな激戦が繰り広げられる、書籍版オリジナルエピソード!

リビルドワールドVIII〈下〉 偽アキラ

感想

本巻のストーリーは、主人公のアキラが自分の偽者が犯した犯罪の濡れ衣を着せられたところから始まる。
アキラはドラゴンリバーの拠点に身を隠し、この窮地を逃れるための計画を立てる。
偽アキラはさらに事態を複雑にし、アキラの表向きの恋人、シェリルを誘拐し。
アキラはシェリルを救出するため、同時に自身の名誉を回復させるため、偽アキラを追跡する。

偽アキラとの対決はセランタルビルで起こる。
アキラになりきろうと努力する偽物だったが、その姿が痛々しい。
アキラは友人たちと共に偽者を追い詰めるが、多くの困難が彼を待ち受けている。
敵対する勢力との戦闘、裏切り、そして不意の攻撃が彼の前に立ちはだかる。
この一連の出来事は、アキラが偽者と対峙し、最終的には彼を倒し、シェリルを救出するクライマックスへと繋がると思ったら、更なる困難が彼を襲う。

物語は、アキラと仲間たちが偽アキラとの激しい戦いを制し、シェリルを救出し、黒幕のウダジマを殺し、坂下重工とも一通り手打ちなり一応の終結を迎える。
しかし、アキラの戦いはまだ終わっておらず、新たな敵や課題が彼を待ち受けていることが示唆される。

感想としては、ストーリーが非常に濃厚でページ数の多さにも関わらず、引き込まれる展開が続いており、次の巻への期待を抱かせる内容であった。
エレナ、サラ、トガミなどキャラクターたちの成長や彼らの間の関係性が深まる様子が丁寧に描かれており、特にキャロルの過去、彼女の秘密が明かされた点や、ヴィオラの迷惑さがより際立った展開が見られた。
また、表紙が物語の緊張感を良く表しており、怒り心頭なアキラを無表情に見下ろす偽アキラの不気味さが際立っている。
ブチギレしてるのが本物だったとは・・
偽物に余裕かましていたのかと思ってた。

シェリルの再びの誘拐と救出、そしてアキラと彼の仲間たちの連携は読み応えがあり、多くの読者にとって魅力的な要素となっていると思われる。

最後までお読み頂きありがとうございます。

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リビルドワールド VIII(8)〈上〉レビュー
リビルドワールド全巻まとめ
リビルドワールド IX(9)〈上〉レビュー

考察・解説

アキラの賞金首認定

賞金首認定と二段階の陰謀の全貌

『リビルドワールドVIII〈下〉 偽アキラ』において、アキラを襲う賞金首認定は、彼を破滅させようとする複数の思惑と、大企業のパワーバランスが複雑に絡み合った、極めて重要な物語の軸となっている。この賞金首認定は、大きく分けてクガマヤマ都市(防衛隊)による5億オーラムの認定と、坂下重工による5000億オーラムの認定の二段階に分かれており、それぞれに異なる陰謀や思惑が潜んでいる。クガマヤマ都市(防衛隊)による5億オーラムの賞金首認定、坂下重工による5000億オーラムの賞金首認定、および5000億オーラムの解除と冤罪の完全な結末の各点から解説する。

クガマヤマ都市(防衛隊)による「5億オーラム」の賞金首認定

アキラは偽のプロパガンダ映像によって、クガマヤマ都市から賞金を懸けられることとなった。

・冤罪の始まりと偽アキラのプロパガンダ:すべての発端は、アキラの姿を模した偽アキラが、クズスハラ街遺跡の第3奥部において怪獣の頭の上でウダジマ都市幹部を殺害し、建国主義者への寝返りを宣言する偽の映像を公開したことである。偽アキラは映像の中で、過去の討伐戦は都市幹部どもの権力争いに利用されたものであり、そのせいで自分は大切な友人(ユミナ)を自分の手で殺し合わされたと主張し、復讐を宣言した。これにより、アキラはウダジマ殺害の容疑でクガマヤマ都市から賞金を懸けられることとなる。
・金額と理由に潜む不自然さ:都市幹部のイナベは、アキラに懸けられた5億オーラムという賞金額が、アキラの実力(ハンターランク70)や都市幹部の拉致・殺害という重大な罪科に対して有り得ないほどに安価であることを指摘した。本来なら最低でも100億オーラムは必要であり、さらに容疑に建国主義者への寝返りが含まれずウダジマ殺害の容疑だけが理由とされている点も極めて不可解であった。
・ヤナギサワによる情報操作と潜伏のコントロール:この中途半端な賞金首認定を裏で防衛隊に指示して仕組んだのは、都市幹部のヤナギサワであった。ヤナギサワの目的は、アキラに同行している脱走中の旧領域接続者シロウを坂下重工から隠し、自らの目的のためにシロウを取り込むことにあった。アキラにあまりに高額な賞金を懸けたり、取り消し不可能な寝返り罪に指定したりするとアキラが遠方へ逃亡してしまうため、ヤナギサワはアキラが都市の近くに一時的に留まるよう、意図的に賞金額や容疑を制限していたのである。
・アキラはこの状況を利用し、キバヤシやメルシアの協力を得て、キャロルの護衛をトガミが務めるという名目で、都市の部隊が容易に手出しできないドラゴンリバーの拠点へキャンピングカーごと潜伏した。

坂下重工による「5000億オーラム」の賞金首認定

潜伏先での行動により、アキラは五大企業の一角である坂下重工から破格の賞金を懸けられる事態へ陥る。

・五大企業を敵に回した代償:その後、アキラは潜伏先でシロウの依頼を受け、坂下重工の超人ハーマーズを銃撃したことで、五大企業の一角である坂下重工への敵対行為を問われることとなった。その結果、アキラには5000億オーラムという、実感が湧かないほど桁外れの巨額な賞金首認定の通知が届くこととなった。
・スガドメが提示した譲歩という名の取引:坂下重工の重役であるスガドメは、この賞金首速報が明日正式に公示される直前、アキラに直接通信を繋いで驚くべき譲歩を提示した。スガドメは、賞金首の対象を「アキラ」という名前にして内容をあえて曖昧にしておき、本物のアキラである彼と、第3奥部にいる建国主義者(偽アキラの一団)のどちらにも解釈できるように設定した。
・そして、アキラが第3奥部に再侵入して建国主義者と怪獣レラグロスを壊滅させる成果を上げるならば、今回の敵対行為をすべて偽者の仕業として処理し、賞金首認定を取り消すという妥協案を持ちかけたのである。スガドメがアキラの意図を汲んでキャロルを賞金対象から外したこともあり、アキラはこの提案をスガドメの譲歩として受け入れ、決着を付けるために第3奥部への再突入を決意した。

5000億オーラムの解除と「冤罪」の完全な結末

アキラは提示された条件を果たすため、決戦の地である第3奥部へ再突入する。

・第3奥部の激戦と偽アキラの討伐:アキラは、シロウが用意した最前線向けの一流装備「HBTNブレード」や、キバヤシが非公式に調達した対滅弾頭を手に、第3奥部へと突入した。アルファとの接続を遮断する通信障害の中、アキラは極限の自力戦闘を展開し、HBTNブレードで偽アキラの肉体を両断した。
・その後、偽アキラが意識を有線で怪獣レラグロスへと転送して襲いかかったが、アキラは4挺のRL2複合銃を用いて対滅弾頭を怪獣の皮膚の裂け目に撃ち込み、内側から爆破して完全に消滅させ、偽アキラの意識ごと殺し切ることに成功した。
・黒幕ウダジマへの漆黒の怒り:さらに、アキラは第3奥部にあったボロボロの拠点において、死んだと思われていた元都市幹部ウダジマを発見する。ウダジマは実は生きており、自らの没落を覆すためにハルカや建国主義者(偽アキラ)と結託し、本物のアキラをハメる自作自演の陰謀を主導していた。
・絶望したウダジマがユミナの死や坂下重工の陰謀論を引き合いに出してアキラに呪いをかけようとした瞬間、アキラの怒りは頂点に達した。アキラは「ユミナと殺し合う選択をしたのは俺とユミナだけだ。部外者が踏み込んでくるな」と言い放ち、拳の一撃でウダジマを跡形もなく消し飛ばして殺害した。
・賞金首認定の正式な取り下げ:ウダジマと偽アキラ、そして怪獣レラグロスが完全に滅びたことで、ハンターオフィスからの通知により「アキラを名乗る建国主義者の討伐対象が撃破された」と発表され、記述はアキラの偽者に限定される形に修正された。これにより、アキラに懸けられていた5000億オーラムの賞金首指定は、正式に解除・取り消しとなったのである。

まとめ

アキラの賞金首認定と二段階の陰謀を巡る一連の全貌は、偽アキラのプロパガンダ映像によるクガマヤマ都市5億オーラム賞金首指定とヤナギサワによる意図的な情報操作から始まり、超人ハーマーズ銃撃に伴う坂下重工5000億オーラム賞金首認定とスガドメの再侵入条件付き譲歩案の受諾、HBTNブレードと対滅弾頭による第3奥部偽アキラおよび怪獣レラグロスの粉砕、陰謀の黒幕ウダジマの自作自演暴露と拳撃殺害、そしてハンターオフィスによる偽者記述修正に伴う5000億オーラム賞金首指定の正式解除に至るまで、その歩みを明瞭に示している。
大企業の政治的策略や不条理な濡れ衣という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を自らの選択と確固たる意志によって完璧に確立するに至る、絶対的武力の行使と本物の証明の記録である。
冤罪の発生から、情報操作の見抜き、坂下重工との交渉、第3奥部の決戦、そして賞金首解除へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。

偽アキラと建国主義者

偽アキラと建国主義者の暗躍と決着の全貌

『リビルドワールドVIII〈下〉 偽アキラ』における「偽アキラと建国主義者」の存在は、主人公アキラの「心に秘めた聖域(ユミナの死)」を最悪の形で踏みにじり、彼を極限の暴走へと駆り立てるために仕組まれた、極めて悪質かつ周到な情報工作の産物である。偽アキラの正体と歪んだ本物への盲信、協力者ハルカと真の黒幕ウダジマの陰謀、本物と偽物の激突と怪獣レラグロスへの転送、および通信障害下の自力戦闘と対滅弾頭による決着の各点から解説する。

偽アキラの正体:歪んだ「本物」への盲信

偽アキラは、単にアキラの容姿や装備を真似て動く操り人形ではない。

・旧世界のクローン技術や意識転送技術をベースに製造された模造品であり、その血は人間のものではなく緑色をしている。
・最大の特徴は、自分自身こそが本物のアキラであると脳の底から頑なに信じ込んでいる点にある。
・この異常な自己認識を植え付けたのは、裏社会の情報屋ヴィオラであった。
・ヴィオラはかつて本物のアキラに命を狙われた際、彼が放った漆黒の殺意をハッキングして記録していた。
・彼女はそのアキラ特有の憎悪と殺意のデータを、偽アキラの人格形成プロセスにおいて限界まで注ぎ込んだのである。
・その結果、偽アキラは以下の歪んだ設定を自らの絶対的な行動原理として抱くようになった。
・ユミナの死への執着:ユミナが死んだのはクガマヤマ都市の幹部どもの権力争いのせいだと信じ込み、その復讐を果たすためだけに命を懸けて暴走する。
・建国主義者への寝返り:都市への強烈な復讐を遂行するため、怪獣をも操るテロ組織「建国主義者」と手を組むことを躊躇しない。
・シェリルへの偏執的な好意:本物のアキラがシェリルを恋人として大切にしているという世間の認識をなぞるため、シェリルを誘拐してまで本物らしく振る舞うことに異常に固執する。
・このように、偽アキラは設定された復讐心に突き動かされるまま、無自覚にアキラとして完成された最悪のフェイクであった。

協力者ハルカと、真の黒幕ウダジマの陰謀

偽アキラを技術面から強力にサポートしていたのが、優秀な旧領域接続者である少女ハルカと、死を偽装して潜伏していた元都市幹部ウダジマである。

・ハルカは偽アキラが本物の認証を通せるよう、シェリルの脳からアキラに対する認識データを強化服越しに収集し、偽物の認証データを本物らしく書き換える調整を行っていた。
・さらに戦闘においては、クガマヤマ都市防衛隊の支援システムを高度にハッキングする。
・ハルカは部隊が索敵する偽アキラの位置データをほんの少しずらして改竄し、力場装甲(フォースフィールドアーマー)の自動出力計算を狂わせることで、偽アキラを都市の強力な人型兵器部隊を単身で撃破する無敵の超人へと仕立て上げていた。
・この工作を裏で操っていたのがウダジマである。
・ウダジマはクガマヤマ都市が「クズスハラ街遺跡の再起動を知らせるためだけの、いつか滅ぶべき坂下重工の警報装置」にすぎないという絶望的な機密を知り、都市を崩壊させるために建国主義者と結託した。
・彼は自分を失脚させたアキラとイナベを呪い、偽アキラの自作自演の拉致映像を利用して本物のアキラに都市幹部殺害の濡れ衣(賞金首)を着せ、彼を抹殺するために第3奥部へ誘い込む罠を仕掛けていたのである。

本物と偽物の激突、 scandal と「怪獣レラグロス」への転送

アキラにとって、自らの偽物が現れること自体はただの迷惑にすぎなかった。

・しかし、この偽物が「自分がユミナを殺してしまったという、生涯消えることのない最も深い後悔」を復讐のダシにし、自分の名で世間にプロパガンダとして吼えた事実は、彼の逆鱗を完全に踏み抜くものであった。
・セランタルビルでの決戦において、アキラはアルファの圧倒的な射線計算サポートを受け、ハルカの支援ハッキングを無効化して偽アキラを肉薄攻撃で圧倒する。
・ハルカから「ユミナが死んだ原因はシェリルにある」と知らされ、逆上してシェリルを殺そうとした偽アキラに対し、アキラは「部部外者が勝手にユミナの死に踏み込んでくるな」と漆黒の殺意を爆発させた。
・シェリルを背中で庇いながら、至近距離での最大火力による銃撃戦を制したアキラは、偽アキラの肉体を跡形もなく粉微塵に撃ち抜いて完全に消滅させた。
・しかし、戦いはそこで終わらなかった。
・偽アキラは肉体が崩壊する寸前、通信障害下での無線転送が不可能な状況において、自身を「怪獣レラグロス」に食わせるという暴挙に出る。
・ゼロ距離での有線接続による脳データの直接転送を強行し、その意識を怪獣レラグロスそのものへと上書きしたのである。

決着:通信障害下の自力戦闘と対滅弾頭の爆発

第3奥部に通信障害が発生し、アルファとの接続すら切れた完全な自力戦闘の中で、アキラは怪獣となった偽アキラと対峙した。

・アキラはシロウから前払いされた最前線向けのエネルギーパックを過負荷で暴走させ、全身の細胞を磨り潰す負荷を強力な回復薬で強引に治療しながら、人知を超えた神速の機動を見せる。
・シロウが調達したHBTNブレードで怪獣の皮膚を大きく斬り裂いたアキラは、その裂け目に向けて、キバヤシが非公式に調達した4発の対滅弾頭を4挺のRL2複合銃から同時に撃ち込んだ。
・超極大の爆発エネルギーが怪獣の肉体の内側から膨れ上がり、怪獣レラグロスは偽アキラの歪んだ意識ごと、完全に消滅して光の中に消え去った。

まとめ

偽アキラと建国主義者の暗躍と決着を巡る一連の全貌は、ヴィオラによる殺意データ移植とフェイク人格の構築から始まり、ハルカの認証改竄・防衛隊システムハッキングとウダジマの都市崩壊陰謀、ユミナの死の冒涜に対する本物アキラの激怒と偽アキラ肉体の全粉砕、有線接続による偽意識の怪獣レラグロス上書き、そしてアルファ不在の自力戦闘におけるHBTNブレード斬撃と4連対滅弾頭体内爆破による完全消滅に至るまで、その歩みを明瞭に示している。
他者の陰謀や偽物の捏造という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を自らの選択と確固たる意志によって完璧に確立するに至る、本物の選択の証明と圧倒的自力武力行使の記録である。
フェイクの製造から、システムハッキング、肉体の破砕、怪獣への上書き、そして対滅弾頭による消滅へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。

第3奥部での激戦

第3奥部におけるアキラの覚醒と激戦の全貌

第3奥部での激戦は、アキラがアルファのサポートに頼るハンターから、自らの命と覚悟のみで世界をねじ伏せる一人の一流ハンターへと覚醒を遂げる、本作における最も熱く、最も劇的なクライマックスである。この戦いは単なる対モンスターの戦闘ではなく、アキラの命を懸けた、自分を揺るがす偽物との魂の決着であった。5000億オーラムの価値と死地への再侵入、予想外の一対一の構築、アルファが仕掛けた奇跡の対滅迎撃、通信障害という賭け、安全基準を完全に逸脱した命を削る自力戦闘、および怪獣レラグロスの消滅の各点から解説する。

5000億オーラムの価値と、死地への再侵入

アキラに懸けられた5000億オーラムという、実感すら湧かないほど桁外れの賞金に対し、アキラ自身、かつてはスラムの路地裏でわずか300オーラムのために命を狙われていた過去を振り返り、自身の成り上がりを苦笑いしながら実感することとなった。

・スガドメから提示された譲歩に乗り、キャロルやシロウへの借りを返すため、アキラは単身で、一度は死ぬ気で逃げ帰った真っ白な世界「第3奥部」へ再び足を踏み入れた。
・そこでアキラが手にしたのが、シロウが死に物狂いで調達した最前線向けの一流装備「HBTNブレード(緋緋色金製)」である。
・この驚異的な切れ味は、通常の5倍の強度を誇る第3奥部の融合体すら、アキラの自力の一撃で真っ二つにするほどの破壊力を見せた。

予想外の「一対一」の構築

本来、第3奥部への再突入は、タツカワやメルシア、ゼロスら高ランクハンターたちが1000億オーラムの都市間輸送車両を盾に、大部隊で融合体の群れを蹂躙する大規模な作戦として行われていた。

・しかし、車内に侵入した複数の偽アキラに対滅弾頭を使用されるという最悪の不確定要素が発生する。
・これ以上の前進は自滅を招くと判断したメルシアが一時撤退を決定した。
・ハンターたちが一斉に後退したことで、結果としてアキラは、巨大な怪獣レラグロス、そして自身をハメた偽アキラと誰にも邪魔されない一対一の極限状況で向き合うこととなった。

アルファが仕掛けた「奇跡の対滅迎撃」

戦闘中、乱入した偽アキラがアキラに向けて対滅弾頭を撃ち込んできた。本来であれば、触れたものすべてを消滅させる対滅弾頭を通常の弾丸で止めることは不可能である。

・ここでアルファは、アキラの4挺のRL2複合銃に装填された「S弾(衝撃伝播弾)」の超高速精密連射を利用する、神がかり的な計算を行った。
・S弾の衝撃波によって、周囲の濃密な「色無しの霧」を一点に極限まで凝縮させ、空間そのものに対滅エネルギーの減衰効果を持つ点を作り出した。
・弾丸と弾丸が激突し、目の前で光球が爆発するのを、アキラはギリギリの回避と力場障壁で耐え抜いた。
・ハルカが裏でのハッキング中に「嘘でしょ……!?」と絶句したほどの、人知を超えた奇跡の迎撃であった。

「覚悟は俺の担当」:通信障害という賭け

戦いの中で、アキラは決定的な事実に気づく。偽アキラはどれだけ撃ち抜かれても、死ぬ直前に意識(人格)を別の模造体へ通信転送して逃げていること、そして怪獣も偽物も遺跡から無尽蔵に遠隔エネルギー供給を受けて回復していることである。

・これらを完全に断ち切るため、アルファはアキラに第3奥部に強力な通信障害を発生させるという最大の賭けを提案した。
・通信を遮断すれば、敵のエネルギー供給は止まり、意識転送も失敗するため確実に殺し切ることができる。
・しかしそれは、アキラにとってもアルファとの接続が切れ、完全に自分の力だけで戦わなければならないという絶望的なデメリットを意味していた。
・アルファからの問いに対し、アキラは一切の躊躇なく、「覚悟は俺の担当だからな!」と言い放ち、力強く笑った。
・カウントダウンがゼロになった瞬間、アキラの視界からアルファの姿が消え去り、極限の自力戦闘が始まった。

安全基準を完全に逸脱した、命を削る自力戦闘

アルファのサポートを失ったアキラは、自力で超人の機動を叩き出すため、恐るべき決断をした。

・シロウが前払いした最前線用のエネルギータンクを過負荷で暴走させ、強化服の出力を「着用者を負荷で殺しかねない、自壊寸前のレベル」まで限界突破させた。
・全身の細胞が磨り潰され、骨が軋むほどの過負荷を、アキラは事前に服用していた最前線用の強力な回復薬の即時再生効果で強引に治療し続けながら戦った。
・供給が止まって弱体化し、ハルカのサポート(自動運転)を失って動きが乱れた偽アキラに対し、アキラは最速の突撃を敢行した。
・対滅弾頭を撃とうと重い複合銃を構えた偽アキラの懐に潜り込み、HBTNブレードの渾身の一閃で、偽アキラを乗っていたバイクごと一刀両断した。

最後の体内爆破:怪獣レラグロスの消滅

両断され死に瀕した肉体から、偽アキラは怪獣レラグロスに自らを食わせることで、有線接続による脳データの直接転送を強行し、レラグロスの巨体を自らの意識で乗っ取った。

・怪獣となった偽アキラは、残存エネルギーのすべてを注ぎ込み、アキラを消し飛ばすための極大の光線を放った。
・アキラは壊れたバイクのエネルギーをも注ぎ込んだ最大出力の力場障壁を展開し、迫り来る光線の奔流をHBTNブレードで真っ二つに切り裂きながら、怪獣の懐へと飛び込んだ。
・HBTNブレードでレラグロスの皮膚に深く、長い亀裂を斬り裂いたアキラは、アルファが消える直前に準備させていた4挺のRL2複合銃すべてに対滅弾頭を装填した最大展開状態を構えた。
・体感時間を極限まで加速させ、時が止まった世界の中で、アキラは4挺の銃口をその皮膚の裂け目へと押し付け、4発の対滅弾頭を同時に体内に向けて撃ち放った。
・超極大の爆発エネルギーが、レラグロスの強靭な肉体を内側から呑み込み、怪獣は偽アキラの歪んだ復讐の意識ごと、完全に、塵一つ残さず光の中に消滅した。

まとめ

第3奥部におけるアキラの覚醒と激戦を巡る一連の全貌は、5000億オーラムの賞金受諾とHBTNブレードを携えた第3奥部への再侵入から始まり、高ランクハンターたちの撤退に伴う偽アキラ・怪獣レラグロスとの一対一の構築、S弾超高速連射による対滅弾頭減衰の奇跡的迎撃、アルファ不在となる通信障害発生とアキラの覚覚悟の受諾、過負荷エネルギータンク暴走と回復薬即時再生による限界突破一刀両断、そして光線切断突入からの4連対滅弾頭体内同時射出による怪獣完全消滅に至るまで、その歩みを明瞭に示している。
巨大な陰謀や不条理な運命という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を自らの選択と確固たる意志によって完璧に確立するに至る、覚醒した個の強さと本物の超人としての昇華の記録である。
再侵入の開始から、環境の構築、奇跡の迎撃、覚悟の選択、自壊の戦闘、そして対滅爆破への到達へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。

坂下重工と都市の政治

坂下重工とクガマヤマ都市の政治的構造および利権構造は、支配者と被支配者という圧倒的な非対称性の上に成り立っている。クガマヤマ都市の残酷な正体、旧領域接続者シロウを巡る情報戦、スガドメの冷徹な実利主義とアキラの5000億、および巨大企業の力に翻弄される都市幹部たちの各点から解説する。

クガマヤマ都市の残酷な正体

クガマヤマ都市は、一見すると独立した地方の拠点に見えるが、その実態は五大企業である坂下重工の意図によって構築された施設である。

・都市幹部ウダジマが絶望の中で吐露した通り、クガマヤマ都市は坂下重工が敷設した警報装置にすぎない。
・この都市はクズスハラ街遺跡の再起動時に真っ先に破壊されることで、その異変を本国へ知らせるために作られた。
・都市を囲む頑強な巨大防壁も、かつて遺跡攻略を主導していた坂下重工が自社の前哨基地を守るために築いたものである。
・この真実を知ったウダジマは絶望し、建国主義者と結託して都市を破滅に導くことを決意した。
・これに対し、イナベは防衛力を高めることで都市を無理にでも存続させる道を模索する。
・このように、都市の命運を分けた派閥抗争の根本には、坂下重工の冷酷な基本設計が横たわっていた。

旧領域接続者シロウを巡る情報戦

都市の有力者たちは、坂下重工から脱走した極めて優秀な旧領域接続者シロウの身柄をめぐり、水面下で暗躍している。

・シロウの脱走は坂下重工の最高機密であるため、護衛のハーマーズは都市の部隊を公式に動かすことができなかった。
・そこでハーマーズは、機密情報の取扱いに長けた都市幹部のヤナギサワに接触して捜索協力を仰ぐ。
・しかし、ヤナギサワはシロウを自らの目的のために引き入れようと目論んでいた。
・彼はアキラに中途半端な賞金を懸けることで、シロウの同行者であるアキラを都市の近場に潜伏させる方針を採る。
・都市幹部は五大企業の権威に怯えつつも、その利権を掠め取ろうと独自の政治工作を展開していた。

スガドメの冷徹な実利主義とアキラの5000億

坂下重工の重役スガドメは、非常に合理的な実利主義に基づいて周囲の政治を支配している。

・スガドメはクズスハラ街遺跡の管理人格ツバキと直接交渉を行い、第3奥部の一時的制圧と管理権限の移行を提案した。
・しかしツバキに交渉を拒絶されたため、彼はツバキがすでに建国主義者と裏取引を終えていると推測する。
・さらにスガドメは、アキラへの5000億オーラムの賞金首認定を、建国主義者の討伐としても機能するように調整した。
・本物のアキラに「建国主義者を壊滅させれば賞金を取り消してやる」という譲歩を示すことで、アキラの超人的な武力を自社の目的のために利用したのである。

巨大企業の力に翻弄される都市幹部たち

一地方都市の規模を遥かに超える巨大企業の存在は、都市幹部たちの行動基準を強く縛り付けている。

・イナベはアキラが坂下重工の者(ハーマーズ)を銃撃して敵対したという報告を受け、深く頭を抱えることになった。
・一地方都市の幹部にすぎないイナベにとって、坂下重工との全面衝突は自身の地位や都市の安全を容易に消し飛ばしかねない脅威だからである。
・それでも彼は、ウダジマが建国主義者に寝返っていた事実を交渉材料に用い、アキラの賞金首指定を解除させるための政治的取引を裏で進めていく。
・クガマヤマ都市の幹部や高ランクハンターたちは、坂下重工という巨大な力に翻弄されながらも、その支配体制の隙間でそれぞれの実利を貪り続けていた。

まとめ

坂下重工とクガマヤマ都市の政治的構造および利権構造を巡る一連の全貌は、都市の真の役割(警報装置)の露呈とウダジマ・イナベの派閥対立から始まり、旧領域接続者シロウ奪還を巡るハーマーズとヤナギサワの水面下の情報戦、スガドメの実利主義に基づく5000億オーラム賞金首認定とアキラの武力利用、そして五大企業の強大な権力に翻弄されつつも裏取引を画策する都市幹部たちの暗躍に至るまで、その歩みを明瞭に示している。
支配者の冷酷な構造や巨大な権力圧力という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を自らの選択と確固たる意志によって完璧に確立するに至る、絶対的権力関係の実態と都市政治の裏側の記録である。
都市の設計理念の露呈から、脱走者の捜索、賞金首の調整、そして裏取引の成立へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。

仲間たちの支援と協力

アキラの冤罪に伴う仲間たちの支援と協力の全貌

『リビルドワールドVIII〈下〉 偽アキラ』において、主人公のアキラが冤罪によって賞金首に指定される未曾有の窮地に陥った際、彼を支える仲間たちの支援と協力は、物語を打開する決定的な鍵となった。かつて孤独に荒野を彷徨っていたアキラが、これまでの活動を通じて築き上げてきた人間関係のすべてが、この危機において結実することとなる。逃亡と潜伏場所の確保、キャロルのキャンピングカーでの連携、都市の追跡を欺く装備調達の偽装、信頼を証明するための実戦テスト、恩人シズカの護衛、最前線装備と秘密兵器の調達、およびアキラの精神的支柱としてのシズカの役割の各点から解説する。

逃亡と潜伏場所の確保(キバヤシ、シロウ、ドラゴンリバー)

アキラが冤罪をかけられて都市の防衛隊に追われた際、まず旧領域接続者であるシロウがその逃亡をハッキング技術で手助けした。

・シロウは防衛隊の機体の索敵データを改竄し、アキラが別方向へ逃げたように偽装した。
・その後、アキラを安全に匿うための潜伏場所の選定において、キバヤシが大きな役割を果たした。
・キバヤシは都市防衛隊の手が容易に及ばない、実力派ハンターチーム「ドラゴンリバー」の拠点へ身を隠す計画を考案した。
・キバヤシはドラゴンリバーの実質的な運営者であるメルシアと迅速な交渉を行い、同日のうちに匿う約束を交わした。
・メルシアは都市の失態に対する激怒を盾にして強硬な姿勢を示し、アキラを公式には存在しない客として扱い、密かに拠点内に受け入れた。

キャロルのキャンピングカーでの連携と全員の協力合意

アキラがドラゴンリバーの拠点へ潜入する際、キャロルのカモフラージュ機能付きのキャンピングカーが活用された。

・この車を輸送する任務をドランカムから引き受けたトガミが、アキラたちをキャンピングカーに招き入れ、合流を成功させた。
・トガミは、かつてクズスハラ街遺跡の地下や第3奥部での撤退戦でアキラに命を救われた多大な借りを深く認識していた。
・トガミはアキラと敵対する意思がないことを示し、アキラを支援することで自らの借りを相殺することを願い出た。
・さらに、シロウが構築した通信環境を介して、イナベ、キバヤシ、レイナ、シオリ、カナエがアキラへの協力を表明した。
・レイナはアキラを助けて大きな貸しを作ることで、後に旧世界のリオンズテイル社に関わる端末の場所への案内をアキラに依頼する布石とした。
・キャロルも、かつてアキラから提示された払えるだけ払ってくれれば良いという契約に応じ、自らのキャンピングカーや命を投げ打つ覚悟をもってアキラへの協力を誓った。

都市の追跡を欺く「装備調達の偽装」(ヒカル、イナベ)

賞金首となったアキラが弾薬や装備を直接購入できない状況下において、ヒカルとイナベは巧妙な迂回支援スキームを実行した。

・表向きは、若手の有望ハンターであるトガミを支援・監視するための「都市の支援プロジェクト」という名目が作られた。
・トガミにアキラが使用する強化服の下位製品やRL2複合銃を調達させ、その規格の互換性を利用して、アキラに必要な高性能な拡張パーツやS弾(衝撃伝播弾)などの強力な資材をトガミ経由でアキラに引き渡した。
・ヒカルはトガミの「24時間の監視」という名目でドラゴンリバーの拠点に滞在し、アキラの本人認証を定期的に記録した。
・これにより、偽アキラが別の場所に出現した際に、本物のアキラが別の場所に実在していたという決定的な不在証明(アリバイ)を確保した。

信頼を証明するための実戦テスト(エレナ、サラ)

ヒカルの護衛として拠点にやってきたエレナとサラは、アキラが自分たちを足手纏いとして心配していることを察していた。

・二人はヒカルがメーカー交渉で必死に調達した超高性能なレンタル強化服やOFX複合銃を着用し、実力を証明するために第2奥部での実戦テストを提案した。
・二人は極限の緊張を保ちながら、強力な機械系モンスターやバオレギレを自力のみで見事に撃破した。
・エレナとサラの戦闘能力と「いざという時はヒカルを連れて逃げ切る」という覚悟の強さは、アキラに深い安心感と同行の同意を与えた。
・その後、アキラが5000億オーラムの賞金首として第3奥部への再突入を決意した際、エレナたちは自分たちが使用していた最新のOFX複合銃2挺をトガミを介してアキラに託した。
・ヒカルはこの規約違反の又貸しを見て見ぬ振りをし、シェリルファミリーが紛失時の賠償を引き受ける形でアキラの戦力を大幅に底上げした。

恩人シズカの護衛(レイナ、シオリ、カナエ)

レイナは、シェリルに続いてアキラの親しい非戦闘員であるシズカが偽アキラに狙われる可能性をいち早く察知した。

・レイナはシズカの個人武器店「カートリッジフリーク」に赴き、シオリやカナエと共にシズカの護衛に付いた。
・この判断は正しく、実際に襲撃してきた偽アキラの一味を、レイナたちはシズカの身を守りながら見事に返り討ちに制作して撃破した。
・レイナはアキラの恩人を守るという、最も価値のある形でアキラに大きな貸しを作った。

最前線装備と秘密兵器の調達(シロウ、キバヤシ)

アキラが怪獣レラグロスや建国主義者の壊滅に挑むにあたり、シロウとキバヤシから最高峰の秘密兵器が提供された。

・シロウのHBTNブレード:シロウは自らのコネクションを駆使し、坂下重工が最前線のハンター向けに提供している緋緋色金製の超高性能武器「HBTNブレード」やエネルギーパック、高品質な回復薬を極秘に調達し、トガミを介してアキラに前払いした。
・キバヤシの対滅弾頭:キバヤシはアキラが無謀な強敵を撃破して自らを大いに楽しませてくれることを期待し、都市で厳重に所持や販売が制限されている超兵器「対滅弾頭(6発入り)」を、無許可で極秘に調達してトガミ経由でアキラに引き渡した。

アキラの精神的支柱(シズカ)

アキラが冤罪をかけられ、自らの最も深い心の傷であるユミナの死を偽アキラに利用されて激情に駆られていた際、シズカからの通話が彼の心を救った。

・シズカは冷静さを失いかけているアキラを優しく包み込み、ただ深呼吸をさせ、落ち着きを取り戻すのを根気強く待った。
・シズカは「私に出来るのはアキラの無事を祈るくらい」と微笑み、アキラは「自分の無事を心配して祈ってくれる人がいると思えば、自棄になって無茶はしない」と約束し、復讐の激情から理性を取り戻した。
・アキラが5000億オーラムの賞金首として第3奥部へ突入する直前にも、シズカからの激励の通信が届いた。
・シズカの「ちゃんと無事を祈っておくから頑張って」という温かい言葉は、アキラの覚悟と生存への闘志を最大に高め、過酷な自力戦闘を生き抜くための最も強固な精神的支柱となった。

まとめ

アキラの冤罪に伴う仲間たちの支援と協力を巡る一連の全貌は、シロウのナビ改竄とキバヤシ・メルシアによるドラゴンリバー拠点潜伏から始まり、トガミ経由の合流と通信を通じた関係者全員の協力受託、ヒカル・イナベによる装備偽装調達と不在証明確保、エレナ・サラの実戦テスト通過とOFX複合銃提供、レイナらによるシズカ護衛と襲撃者撃破、シロウのHBTNブレード・キバヤシの対滅弾頭の秘匿供与、そしてシズカの温かい通信によるアキラの感情抑制と精神的覚醒に至るまで、その歩みを明瞭に示している。
巨大な濡れ衣や破滅的危機という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を自らの選択と確固たる意志によって完璧に確立するに至る、集大成的な人間関係の結実と確固たる連携の記録である。
潜伏の開始から、関係の集約、偽装の実行、武力の結集、そして精神の確立へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。

リビルドワールド VIII(8)〈上〉レビュー
リビルドワールド全巻まとめ
リビルドワールド IX(9)〈上〉レビュー

登場キャラクター

クガマヤマ都市(幹部・広域経営部・ハンターオフィスなど)

イナベ

ウダジマと敵対するクガマヤマ都市の幹部である。アキラの戦闘能力を高く評価している。アキラにかかった賞金首認定を解除するために行動を開始した。

・所属組織、地位や役職
 クガマヤマ都市の幹部である。

・物語内での具体的な行動や成果
 アキラが賞金首になった経緯をキャンピングカー内で説明した。
 ウダジマ殺害事件の映像が合成ではなく実写であることを証明する。
 ウダジマが生存している情報から都市が裏切りを隠蔽する可能性を考慮した。
 その裏切りの証拠を交渉材料に使い、アキラの賞金首指定を解除する方針を固めた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 幹部会においてアキラの冤罪を晴らすために大きな政治力を行使する。

ウダジマ

クガマヤマ都市の元幹部である。アキラとイナベに強い憎悪を抱いていた。

・所属組織、地位や役職
 元クガマヤマ都市の幹部である。

・物語内での具体的な行動や成果
 アキラをハメて第3奥部へ誘い込むために偽アキラの拉致映像を自作自演する。
 ハルカや建国主義者と結託し、シェリルからアキラの認識データを収集させた。
 アキラに追い詰められた後、クガマヤマ都市が坂下重工の警報装置にすぎない真実を暴露した。
 アキラに呪いの言葉を投げかけた直後、渾身の拳により消し飛ばされて死亡する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 建国主義者に協力したことが露見し、アキラの手によって完全に滅ぼされた。

キバヤシ

無茶なハンターを愛する都市職員である。アキラが起こす無謀な騒動を誰よりも楽しみにしている。

・所属組織、地位や役職
 クガマヤマ都市ハンターオフィス職員である。

・物語内での具体的な行動や成果
 アキラをドラゴンリバーの拠点に「公式には存在しない客」として匿う交渉をメルシアと行う。
 トガミの監視役という名目を作り、アキラが間接的に装備支援を受け取れる工作を整えた。
 アキラの無謀な勝利を期待し、厳重に規制された対滅弾頭を極秘に引き渡す。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 アキラが坂下重工と揉めた事実を知って大笑いし、さらなる支援を約束した。

ヤナギサワ

冷徹な判断力で動く都市の幹部である。シロウを自らの目的のために取り込もうと画策していた。

・所属組織、地位や役職
 クガマヤマ都市・奥部攻略担当幹部である。

・物語内での具体的な行動や成果
 シロウを捜索中のハーマーズに接触し、前線での戦果を条件に協力を引き出す。
 アキラに賞金を懸けさせ、シロウの同行者であるアキラを近くに潜伏させるよう仕組んだ。
 スガドメたちと共にツバキとの会談に同行する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 セランタルビルでアキラたちが暴れたことによる被害の大きさに動揺を見せた。

サクヤマ・ヒカル

アキラの専属担当者を務める女性職員である。アキラが引き起こすあまりに過酷なトラブルに胃を痛めている。

・所属組織、地位や役職
 クガマヤマ都市広域経営部の職員である。

・物語内での具体的な行動や成果
 アキラの不在証明を確保するために、定期的に本人認証 of 記録を取る。
 スガドメからの指示を受け、アキラを罠にかけるための案内役を務めた。
 トガミの監視役としてドラゴンリバーの拠点に滞在し、装備調達の偽装に協力する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 アキラの無罪確定後はアキラを迎えに行き、スガドメとの会談に同席した。

旧世界の存在・遺跡の管理人格

アルファ

アキラにしか見えない旧世界の高度な人工知能である。アキラを最高峰のハンターに育てるために厳しく導いている。

・所属組織、地位や役職
 旧世界の人工知能システムである。

・物語内での具体的な行動や成果
 アキラが実戦的な技量を磨くため、拡張感覚を用いた高度な戦闘訓練を施した。
 アキラと偽アキラの戦いにおいて、ハルカのシステム侵入を完全に防御する。
 第3奥部に通信障害を発生させて敵のエネルギー供給を絶つ賭けをアキラに提案した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 通信障害中はアキラとの接続が切れたものの、最終的にアキラの自力での勝利を見届けた。

ツバキ

クズスハラ街遺跡の最奥部を支配する管理人格である。

・所属組織、地位や役職
 クズスハラ街遺跡奥部管理人格である。

・物語内での具体的な行動や成果
 倉庫においてスガドメから第3奥部の管理権の移譲を伴う制圧計画を提案されたが、これを拒否する。
 アキラへの配慮を打診されたが、「不要だ。そちらに頼むことは何もない」と答えた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 すでに第3奥部の建国主義者と何らかの裏取引を済ませていた可能性が示唆された。

オリビア

旧世界のリオンズテイル社に所属する自動人形である。シロウと巨額の契約を結んでいる。

・所属組織、地位や役職
 旧世界のリオンズテイル社所属・汎用人格である自動人形である。

・物語内での具体的な行動や成果
 シロウから1000万コロンの巨額の契約金を受け取って契約を更新する。
 ミハゾノ街遺跡において、超人ハーマーズの両腕を光刃で斬り裂いて圧倒した。
 戦闘後はアキラたちをセランタルビル57階の店舗へと案内する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ハーマーズに対して自身の名刺を渡し、旧世界の存在であることを認識させた。

個人ハンター・その他

アキラ

本作の主人公である少年ハンターだ。自身の偽者によって冤罪を着せられたことに深く激怒していた。

・所属組織、地位や役職
 個人ハンターであり、ハンターランク70に到達した。

・物語内での具体的な行動や成果
 セランタルビルで偽アキラを追い詰め、シェリルの救出に成功する。
 第3奥部での通信障害下、自力で怪獣レラグロスを内側から爆破して消滅させた。
 黒幕ウダジマをその手で直接消し飛ばして殺害する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 建国主義者の撃滅を成果とし、坂下重工から懸けられた5000億オーラムの賞金首認定が解除された。
 スガドメから、シロウの捕縛あるいは殺害を報酬の前払いと引き換えに要求される。

キャロル

優秀な遺跡の地図屋である。アキラの実力と誠実さを誰よりも深く信頼している。

・所属組織、地位や役職
 個人ハンターであり、地図屋および旧領域接続者である。

・物語内での具体的な行動や成果
 アキラへの借りを返すため、ハーマーズに対してOFX複合銃の最大出力を撃ち込む。
 銃の大破による衝撃で気絶したものの、無事アキラに助け出された。
 アキラに対して自身がミハゾノ街遺跡の接続情報を持つ旧領域接続者であることを明かす。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 スガドメの配慮により、ハーマーズへの攻撃にもかかわらず賞金首の対象から外された。

ドーラス

ハンターランク63の実力を持つハンターである。キャロルの身を本気で案じている。

・所属組織、地位や役職
 個人ハンターであり、ハンターランク63である。

・物語内での具体的な行動や成果
 キャロルの護衛を引き受けるためにアキラと戦って完敗した過去を明かす。
 アキラの桁外れの強さをトガミたちの前で率指に称賛した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 キャロルが年下に気安く接することに不満を漏らす。

エレナ

アキラを親身に見守るベテランのハンターである。

・所属組織、地位や役職
 個人ハンターであり、ヒカルの護衛を務める。

・物語内での具体的な行動や成果
 ヒカルが調達した最新のOFX複合銃をトガミ経由でアキラに貸し出した。
 アキラの無事な様子を見て深い安堵を示す。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 シズカと共にアキラの無事を強く祈った。

サラ

アキラを温かく気遣うハンターである。

・所属組織、地位や役職
 個人ハンターであり、ヒカルの護衛を務める。

・物語内での具体的な行動や成果
 アキラのために装備調達の工作に協力した。
 アキラとの再会を喜び、変わらない友情をアピールする。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 アキラの急激な成り上がりに感嘆しつつ、ハンターとして歩みを共にする意思を固めた。

シオリ

レイナに対して絶対の忠誠を誓う従者である。

・所属組織、地位や役職
 レイナの従者である。

・物語内での具体的な行動や成果
 レイナやカナエと共にシズカの武器店「カートリッジフリーク」の護衛に付く。
 店を襲撃してきた偽アキラの四肢や首を刀で瞬く間に斬り裂いて絶命させた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 レイナの主としての命令を遵守し、アキラへの協力体制を支えた。

カナエ

戦闘を愛する好戦的な従者である。

・所属組織、地位や役職
 レイナの従者である。

・物語内での具体的な行動や成果
 シズカの店で偽アキラに痛烈な拳の一撃を叩き込み、壁を突き破って店の外へ吹き飛ばした。
 アキラの偽者の撃退後、呆れるシズカを前に戦闘を楽しむ。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 レイナの指示に従い、アキラの周囲の非戦闘員の防衛に尽力した。

ハンターチーム「ドラゴンリバー」

タツカワ

ドラゴンリバーを率いるハンターランク78のハンターである。アキラが頼りにする強力な先達者だ。

・所属組織、地位や役職
 ハンターチーム「ドラゴンリバー」の隊長であり、ハンターランク78である。

・物語内での具体的な行動や成果
 ドラゴンリバーの拠点においてアキラを「ここにはアキラはいない」という建前で温かく迎え入れた。
 赤い人型兵器を駆り、第3奥部への再突入部隊の先頭として融合体の撃破に貢献する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 レラグロスが他の誰かによって討伐されたことを知り、激しく落胆した。

メルシア

ドラゴンリバーの副隊長であり、実質的な運営を司る女性である。

・所属組織、地位や役職
 ハンターチーム「ドラゴンリバー」の副隊長であり、運営責任者である。

・物語内での具体的な行動や成果
 イナベやキバヤシの要請に応じ、アキラを拠点内に秘密裏に潜伏させる手筈を整えた。
 都市間輸送車両の調達を主導し、他のハンターチームと有利な契約を結ぶ。
 対滅弾頭による車両自滅のリスクを考慮し、第3奥部からの前線の撤退を指示した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 タツカワが一人で怪獣レラグロスと無茶な格闘戦を行う機会が失われたことに、安堵の声を示した。

ハンター徒党「ドランカム」

トガミ

ドランカムに所属する若手の有望ハンターである。

・所属組織、地位や役職
 ドランカム所属ハンターであり、ハンターランク50である。

・物語内での具体的な行動や成果
 アキラを支援するため、ヒカルが調達したOFX複合銃や秘密兵器をアキラに引き渡した。
 アキラが表向きは不在であるため、アキラがバオレギレを撃破した成果を受け取る。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 バオレギレ2体の撃破成果により、ハンターランクが驚異的に50へと急上昇した。
 自身のランクが実力に伴わない虚構であることを自覚し、それに追いつくための成長を誓う。

レイナ(レイナ・リラルト・ローレンス)

リオンズテイル社の創業家であるローレンス一族の少女ハンターである。

・所属組織、地位や役職
 ドランカム所属ハンターであり、ローレンス一族の人間である。

・物語内での具体的な行動や成果
 シズカが偽アキラに狙われる可能性をいち早く察知し、シオリやカナエと共にシズカの護衛に付く。
 シズカの店で、カナエの拳で吹き飛んだ偽アキラの両足を強力な銃弾で正確に撃ち抜いた。
 アキラに対して、旧世界のリオンズテイル社に繋がる端末の設置場所への直接案内を依頼する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 アキラの恩人を守るという形でアキラに大きな貸しを作り、自らの目的への協力を取り付けることに成功した。

坂下重工

スガドメ

坂下重工の冷徹な重役である。クガマヤマ地方全体の作戦において絶大な決定権を持つ。

・所属組織、地位や役職
 坂下重工の重役である。

・物語内での具体的な行動や成果
 最奥部管理人格ツバキと倉庫で会談を行い、第3奥部の管理権の移行を伴う制圧計画を提案した。
 アキラへの5000億オーラムの賞金首認定を、建国主義者の討伐としても解釈できるように調整する。
 アキラが第3奥部の建国主義者と怪獣を壊滅させる成果を上げたことで、賞金首認定を正式に取り消した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 アキラのブレードを盗品として没収する代わりに、シロウの捕縛あるいは殺害の依頼を持ちかける。

ハーマーズ

坂下重工警備部に所属する生身の超人ハンターである。

・所属組織、地位や役職
 坂下重工警備部所属・シロウの元護衛である。

・物語内での具体的な行動や成果
 ヤナギサワにシロウの捜索協力を求め、その見返りとして前線で融合体の殲滅に尽力した。
 セランタルビル60階でシロウとハルカの前に出現し、シロウの坂下への連れ戻しを試みる。
 オリビアの光刃により両腕を骨まで深く斬り裂かれ、アキラからの不意の銃撃に対処できず撤退を決意した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 独自の判断で動いていたため、今後の業務への支障を恐れて戦闘を中止した。

シロウ

坂下重工から脱走中の極めて優秀な旧領域接続者である。

・所属組織、地位や役職
 元坂下重工所属・旧領域接続者である。

・物語内での具体的な行動や成果
 ハルカを救出するためにオリビアを雇用し、1000万コロンの巨額を躊躇なく支払う。
 アキラの危機に際し、トガミを介して坂下重工の最前線向け武器などを前払いした。
 アキラに対して自身の持つ借りを盾に、オリビアの援護や自らの物理的な保護を強く依頼する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 事件終結後はハルカと共に、坂下重工の部隊から逃れるために迷彩機能を使って第3奥部を駆け巡った。

リオンズテイル社

クロエ

リオンズテイル社を率いる冷徹な少女である。

・所属組織、地位や役職
 リオンズテイル社の主人である。

・物語内での具体的な行動や成果
 セランタルビル周辺でクガマヤマ都市の部隊とリオンズテイル社の部隊を展開させて監視や牽制を指示した。
 ウダジマとの契約の終了を判断し、ラティスたちに部隊の撤退を指示する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 最奥部攻略を優位に進めるために大企業としての武力を行使した。

パメラ

クロエに忠実に仕える、リオンズテイル社の部隊指揮官のメイドである。

・所属組織、地位や役職
 リオンズテイル社所属メイド・部隊指揮官である。

・物語内での具体的な行動や成果
 セランタルビルの前で、到着した偽アキラとハルカを丁寧な挨拶で出迎え、ビルの通行を許可する。
 ハルカから協力を求められたが、自社の立場からこれを明確に拒否した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 セランタルビルの7階フロアでアキラたちの出入りの様子をじっと監視した。

ラティス

クロエの傍らに常に付き従う、側近の執事である。

・所属組織、地位や役職
 クロエの側近・執事である。

・物語内での具体的な行動や成果
 偽アキラに攫われたシェリルやシジマを出迎え、アキラに関する些細な個人的質問を行って認識データを収集する。
 第3奥部のウダジマの拠点において、ウダジマに対して契約終了を宣告し、重装強化服を置いて撤退した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 アキラの迷彩を正確に見破るほどの高い実力を示した。

企業関係者・情報屋・その他

偽アキラ

アキラの姿を模した謎のクローンである。自分自身が本物のアキラであると固執していた。

・所属組織、地位や役職
 建国主義者に協力するクローンである。

・物語内での具体的な行動や成果
 シェリルを拠点からラチし、さらにシズカの武器店を襲撃する。
 セランタルビルでアキラに追い詰められ、ハルカのサポートが切れたことでバイクごと一刀両断された。
 死の間際に自身の脳データを怪獣レラグロスへ有線接続で直接転送し、怪獣を乗っ取ってアキラに襲いかかる。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 アキラが皮膚の裂け目に撃ち込んだ4発の対滅弾頭により、怪獣レラグロスごと完全に爆破されて消滅した。

ハルカ

非常に優秀な旧領域接続者の女性である。偽アキラをアキラの本物認証を通すためにサポートしていた。

・所属組織、地位や役職
 建国主義者に協力する旧領域接続者である。

・物語内での具体的な行動や成果
 シェリルの認識データを利用して、偽アキラの個人認証情報を調整しようと試みる。
 セランタルビルの警備データをハッキングし、超一流のシロウが驚愕するほどの精度で改竄した。
 セランタルビルでアキラに敗北した後は、シロウからのセーフハウス隠遁の提案を拒否し、迷彩で逃亡する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 事件終結後はシロウと共に坂下重工の捜索網を欺きながら、銀色の立方体を握って第3奥部を駆け巡った。

ヴィオラ

クガマヤマ都市の裏社会で悪名高く暗躍する情報屋の女性である。

・所属組織、地位や役職
 情報屋である。

・物語内での具体的な行動や成果
 アキラの殺意のデータを偽アキラに注ぎ込み、ユミナの復讐を追求する歪んだ設定を仕組む。
 ウダジマの裏切りを暴くために彼の懐に潜入し、機密情報をハッキングして収集した。
 アキラの賞金解除のために、ハッキングして得たウダジマの裏切りの資料をヒカルに渡す。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 対再構築機関のマルオが出現したことを知り、次の大騒ぎが始まっていると確信してとても面白そうに笑い転げた。

シズカ

アキラが最も深い信頼を寄せる武器店の店主である。

・所属組織、地位や役職
 武器店「カートリッジフリーク」の店主である。

・物語内での具体的な行動や成果
 アキラが冤罪と自らの心の傷の利用に激情していた際、通話を通じて彼を優しく包み込み、冷静さを取り戻させた。
 店に偽アキラの襲撃を受けたが、レイナ、シオリ、カナエの護衛によって無事に生還する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 アキラが5000億オーラムの賞金首として第3奥部へ突入する直前に激励の通信を送り、彼の最も強固な精神的支柱となった。

シジマ

スラムの有力な徒党の幹部である。

・所属組織、地位や役職
 スラムの徒党の幹部である。

・物語内での具体的な行動や成果
 偽アキラが本物でないことを確認し、シェリルに対して偽物の詐欺行為に警戒を促す。
 偽アキラに捕まり、アキラが本物なら建国主義者と組まずにその場で殺すだけだと主張した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 偽アキラにシェリルと共に拉致され、質問を受けた後に人型兵器で連れ去られた。

マルオ

対再構築機関に所属する調査員である。

・所属組織、地位や役職
 統企連直轄・対再構築機関の調査員である。

・物語内での具体的な行動や成果
 日常の調査業務の一環として、スガドメたちと共にツバキの管理区域へ同行する。
 アキラがウダジマを殺害した拠点において、ヴィオラからウダジマの死亡報告と裏取引の情報を受け取った。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 自身の身分を明かした際、ハッカーとしての優秀さを持つヴィオラを驚愕させ、彼女を楽しませる結果となった。

集団

都市防衛隊

クガマヤマ都市を直接守る大規模な武装部隊である。

・所属組織、地位や役職
 クガマヤマ都市の防衛部隊である。

・物語内での具体的な行動や成果
 ミハゾノ街遺跡において、セランタルビルの前に現れた偽アキラを捕獲・殺害するために展開した。
 偽アキラとの戦闘を開始したが、ハルカのシステム改竄工作や偽アキラの高い回避力に対処できず、敗北して撤退する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 アキラに賞金を懸けた張本人であり、その対応の粗雑さがヤナギサワの意図によるものであることが示された。

ドランカム

クガマヤマ都市周辺で活動する有力なハンター徒党である。

・所属組織、地位や役職
 ハンター徒党である。

・物語内での具体的な行動や成果
 アキラ関連の仕事に不慣れな者を送って万一の事態を引き起こすリスクを避けるため、トガミをキャンピングカーの輸送依頼に派遣する。
 アキラとの無用な対立を避ける和平方針を一貫して維持した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 トガミのハンターランク50への急上昇を組織として見守ることになった。

ドラゴンリバー

東部でも屈指の実力を持つ遺跡攻略のハンターチームである。

・所属組織、地位や役職
 遺跡攻略の上位ハンターチームである。

・物語内での具体的な行動や成果
 アキラを「公式には存在しない客」として拠点に受け入れ、都市の部隊から完全に保護する。
 アキラを匿う建前として、キャロルやトガミと連携した遺跡の防衛協力スキームを構築した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 クガマヤマ都市防衛隊による自演の疑いに対してメルシアが激怒し、都市との関係を著しく悪化させた。

シェリルファミリー

スラム街に拠点を置く、シェリルが率いる若い徒党である。

・所属組織、地位や役職
 スラム街の徒党である。

・物語内での具体的な行動や成果
 偽アキラがシェリルの部屋に忍び込んだ際、シェリルの操作で黒狼強化型の人型兵器を出撃させて防衛を試みる。
 アキラが5000億オーラムの賞金首として第3奥部へ突入する際、貸し出されたOFX複合銃の紛失時の賠償を引き受けた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 シェリルが偽アキラに拉致された後、多くの下位構成員が徒党の金や装備を持ち出さずに逃亡し、一時的な混乱に見舞われた。

リオンズテイル社の部隊

クロエの指揮下で動く、現代のリオンズテイル社のメイドや執事の武装部隊である。

・所属組織、地位や役職
 クロエ直属の武装部隊である。

・物語内での具体的な行動や成果
 セランタルビル周辺でクガマヤマ都市の部隊とリオンズテイル社の部隊を展開させて監視や牽制を指示する。
 ウダジマとの契約の終了を判断し、ラティスたちに部隊の撤退を指示した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 最奥部攻略を優位に進めるために大企業としての武力を行使した。

融合体の群れ

クズスハラ街遺跡の奥部から出現する強力なモンスターの集団である。

・所属組織、地位や役職
 クズスハラ街遺跡に生息する生物系モンスターの群れである。

・物語内での具体的な行動や成果
 第2奥部の奥部において、高ランクハンターたちの防衛線を突破しようと群れで押し寄せる。
 アキラたちが巡回していた第1奥部付近にもバオレギレなどの弱体化した個体が入っていた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 第3奥部の個体は接着・再生能力を持ち、口や体から高エネルギーの光線を放ってハンターたちを脅かした。

坂下重工の部隊

五大企業である坂下重工に所属する大規模な武装部隊である。

・所属組織、地位や役職
 坂下重工の制圧部隊・警備部隊である。

・物語内での具体的な行動や成果
 スガドメたちのツバキとの会談に際し、管理区域への移動の護衛を担当する。
 第3奥部において、多数の人型兵器や大型輸送機を投入して新たな拠点の作成および制圧作業を開始した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 一般のハンターたちに坂下重工の圧倒的な支配力と技術水準を示す結果となった。

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展開まとめ

第232話 協力者達 

偽者への殺意

再び現れた偽アキラは、自分が建国主義者になった理由を語り、都市幹部の権力争いによってユミナと殺し合う羽目になったとして復讐を宣言した。映像を見たアキラは、ウダジマ殺害の濡れ衣以上に、ユミナの死を自分の責任ではなく他者へ転嫁する偽者の言葉に激しい殺意を向けた。

キャロルはアキラの異常な怒りを見て、ヴィオラが映像を逃走後に確認するよう指示した理由を理解した。また、ヴィオラがアキラを助けた背景には、アキラを利用してさらに大きな騒動を起こす意図がある可能性を考えた。

シズカとの通話

シズカから連絡を受けたアキラは、自分が冷静さを失っていることに気付き、深呼吸を繰り返してから通話に出た。シズカは何も急かさず、アキラが落ち着くまで静かに待った。

シズカは賞金首速報を見てアキラを心配しており、自棄にならず落ち着いて行動するよう伝えた。アキラはウダジマ殺害が偽者による濡れ衣であることや、イナベの指示で都市から逃げたことを説明した。

その会話からアキラは、今後はイナベの協力を得て濡れ衣を晴らすという方針を固めた。さらにシズカへ、自分の無事を祈ってほしいと頼んだ。心配してくれる者がいると思えば、自棄になって無茶をせずに済むというアキラの本心を、シズカも受け止めた。

シロウとの合流

シズカとの通話を終えたアキラは落ち着きを取り戻し、キャロルと共にシロウとの合流地点へ向かった。そこにはミハゾノ街遺跡に残していたキャロルのキャンピングカーとトガミがいた。

キャロルは車の回収を業者に依頼しており、ドランカムからトガミが派遣されていた。しかし運搬途中でシロウとオリビアに車の制御を奪われ、そのまま合流地点まで連れてこられていた。キャロルは事情を聞き、変則的ながらトガミの依頼を成功扱いにした。

ドランカムとの和平

賞金首となったアキラに対し、トガミは自分もドランカムも敵対するつもりはないと明言した。ドランカムは以前、ハンターオフィスを介してアキラと和平を結んでおり、一都市が賞金を懸けた程度ではその契約を破れないためだった。

さらにトガミは、ウダジマ殺害が偽者によるものだというアキラの説明も素直に信じた。アキラは自分の言葉を疑わず受け入れてもらえたことを嬉しく感じ、わずかに表情を緩めた。

協力者たちの集結

シロウはアキラの賞金首問題を解決してさらに大きな貸しを作ろうと考えた。そこへイナベ、キバヤシ、レイナから同時に連絡が入り、シロウは勝手に全員を一つの通信へ繋いだ。

イナベはアキラへの協力を明言し、キバヤシも自分に任せろと楽しげに参加した。レイナも都市を敵に回す危険を承知した上で協力すると告げたが、その目的はアキラに大きな貸しを作り、後に頼み事をするためだった。頼みの内容は、それを話すこと自体に大きな貸しが必要なほど重大だとして伏せた。

トガミの借り返し

トガミも自ら残る意思を示した。第3奥部や怪獣との遭遇でアキラに作った大きな借りを、賞金首となったアキラへの協力によって相殺してほしいと申し出たのである。

アキラはその提案を受け入れた。トガミが借りを踏み倒さず返そうとしていることも好意的に捉え、二人は相殺することで合意した。

キャロルの協力

キャロルも、自分が成り行きで同行しているだけではなく、明確にアキラへ協力すると告げた。アキラの護衛代を満額支払えない以上、払えるだけ払うという約束を、今度は協力という形で果たすつもりだった。

こうしてイナベ、キバヤシ、レイナ達、トガミ、キャロル、シロウがそれぞれ異なる事情を抱えながらアキラへの協力を表明した。その中でアルファもまた、いつも通りアキラに協力すると微笑んだ。

第233話 状況の把握 

シロウの正体

イナベは協力者同士の立場を把握するため、全員に自己紹介を求めた。するとシロウは、坂下重工所属の旧領域接続者であり、現在は同社から脱走中だと明かした。

イナベは坂下重工への報告義務を懸念したが、シロウは自由行動について坂下重工幹部の了承を得ていると説明し、スガドメに繋がる秘匿回線の接続コードまで渡した。確認したイナベは、シロウの情報の扱いを自分が預かることにした。

レイナの出自

レイナはリオンズテイル社を創業したローレンス一族の人間であり、その一族内の問題から最近も身内と交戦したことを明かした。予想外の出自にトガミは大きく動揺したが、アキラは普段と変わらない態度を見せた。

トガミもやがて気を取り直し、以前と同じ調子でレイナと話した。レイナはその態度を嬉しく思いながら、自分がアキラに頼みたいこともリオンズテイル社に関係していると説明した。

ウダジマ拉致の記録

イナベはアキラに賞金が懸けられた経緯を説明した。都市の監視記録には、ウダジマの執務室へアキラそっくりの人物が侵入し、ウダジマを気絶させて連れ去る姿が残されていた。

その後、怪獣の上でアキラの姿をした者が建国主義者への寝返りを宣言し、ウダジマを殺害する映像が広域通信で流された。都市側の解析でも、その人物が偽者であるという確証は得られていなかった。

第3奥部脱出への疑い

トガミは、自分達を襲った怪獣と映像の怪獣が同じなら、アキラが怪獣を従えているという話には無理があると指摘した。

イナベも個人的には同意したが、第三者から見れば別の解釈も成り立った。アキラが第3奥部脱出後に建国主義者へ寝返った可能性や、怪獣からの脱出そのものが自演だった可能性である。

しかしドラゴンリバーも同じ怪獣との戦いに巻き込まれていた。ところが都市職員がメルシアへ自演の可能性を口にしたことで彼女を激怒させ、クガマヤマ都市とドラゴンリバーの関係まで危険な状態になっていた。

不可解な賞金首認定

イナベは、映像の人物が本物であった方がクガマヤマ都市には都合が悪いと説明した。都市が有望な高ランクハンターを不当に扱い、建国主義者へ寝返らせたことになれば、ハンターとの関係そのものを損ねるためである。そのため本来なら、以前と同じく偽アキラの仕業として処理する方が都市には都合が良かった。

それにもかかわらず、防衛隊はアキラを賞金首に認定していた。しかも賞金額はわずか5億オーラムであり、ランク70のアキラや都市幹部殺害という容疑を考えれば異常に低かった。罪状にもウダジマ殺害しか記載されず、建国主義者への寝返りは含まれていなかった。

イナベは、防衛隊が事情聴取より先にアキラの拘束へ動いたことも含め、不自然な点が多すぎると考えていた。そのためアキラには投降せず逃げるよう指示していた。

偽アキラの抹殺

イナベにも事態の全容は分からなかった。状況を説明した上で今後どうするのか尋ねると、アキラは殺意を滲ませながら、自分の偽者を殺すと答えた。

偽アキラは怪獣を従えているため、普通なら自殺に等しい選択だった。それでもアキラが止まらないと理解したイナベは、無理に制止するより成功率を上げる方を選び、その方針への協力を決めた。ただし感情に任せて単独で突撃せず、準備を整えて慎重に動くよう強く釘を刺した。

キバヤシの期待

方針が決まると、キバヤシは怪獣と偽アキラを相手にする戦いへ全面的に協力すると笑った。怪獣からの逃走だけでも十分楽しめたとして、次の大騒ぎにも期待を示した。

アキラはその態度を嫌そうに受け止めながらも、キバヤシが楽しむためなら本気で力を貸すことを理解していた。怪獣を倒せるほどの準備が整えば偽者を殺す道も開けるため、アキラは複雑な表情のままその協力を受け入れた。

第234話潜伏場所 

ドラゴンリバーの強硬姿勢

ドラゴンリバーの物資輸送車列が都市の部隊に止められ、積み荷の検査を求められた。しかし車列を率いる男は拒否を続け、退くか戦うかを30秒で選べと通告した。都市側は全面衝突への発展を避けるため道を空け、車列を通した。

その車列にはキャロルのキャンピングカーが積まれており、中には賞金首となったアキラが潜んでいた。都市側が気付いていた可能性もあったが、ドラゴンリバーとの衝突を避けたことで、アキラ達は無事に通過できた。

ドラゴンリバーへの潜伏

アキラの潜伏先として、キバヤシはドラゴンリバーの拠点を提案していた。荒野に隠れるよりも補給や支援が容易で、都市が居場所を把握しても簡単には手を出せず、偽アキラがいる遺跡奥部にも近かったためである。

キバヤシはその日のうちに交渉を成立させ、アキラ達はキャンピングカーごと拠点へ運ばれた。アキラは迷彩で姿を隠し、メルシアとタツカワも表向きはアキラがそこにいないという立場を取った。

潜伏を支える偽装工作

ドラゴンリバーは都市との全面衝突を避けるため、アキラを匿っている事実を公にはしなかった。表向きは、護衛を失ったキャロルを遺跡情報と引き換えにドラゴンリバーが保護し、トガミも過去の借りを返すため同行していることになった。

実際にはトガミはアキラへの支援を隠す役目も担い、キバヤシやイナベから届く装備もトガミ用と偽装できるよう手配された。これによりアキラは都市から身を隠しながら、偽者を狙う機会と新たな装備を待てるようになった。

怪獣への再挑戦

アキラはキバヤシに、怪獣と戦えるだけの装備を用意するよう求めた。前回は逃げる以外に選択肢がなかったが、次は低くとも勝機のある戦いにしなければならなかった。

キバヤシもそれを理解し、自分が楽しめるだけの状況を用意すると応じた。アキラも、キバヤシなら不可能ではなく無謀な賭けが成立するだけの戦力を本気で整えると考え、任せることにした。

アルファの依頼と実力差

入浴中、アキラは怪獣を倒せるほど強くなれば、アルファの依頼する遺跡でも難しいルートを攻略できるのかと尋ねた。アルファは、そこそこ難しいルートなら可能になるが、一番難しいルートでは確実に死ぬと答えた。

アキラは怪獣級の戦力でも足りないことに驚いたが、最も簡単なルートを目指す方針を変えなかった。同時に、今回の騒動を利用してさらに力を付けようと考え、偽者との決着を優先することへの迷いも薄れた。

キャロルとトガミ

キャロルはアキラやシロウが自分の体にほとんど反応しないことを気にしていたため、トガミの反応を確かめ、自分の魅力に問題がないことを確認して機嫌を良くしていた。

その事情を察したトガミは、キャロルと長く同行しながら何もしていないアキラを改めて変わっていると評した。自身も誘惑に屈しないと決意したものの、キャロルの魅力を前にその自信は揺らいでいた。

シロウとスガドメの交渉

シロウはスガドメに、ツバキから好意的に扱われている人物を見付け、その人物を介して交渉ルートを作れる可能性が高いと報告した。ただし、その人物がアキラであることは伏せ、自分の成果を横取りされないよう名前を明かさなかった。

スガドメは情報だけでは十分な成果とは認めなかったが、交渉をシロウに任せることには同意した。一方でシロウ捜索の停止は拒否し、成果を出せと求めた。

スガドメの疑念

通信を終えたシロウは、アキラの正体や自身の本当の目的を悟られてはいないと自分に言い聞かせ、次にアキラへ貸しを作る方法を考え始めた。

一方のスガドメは、シロウの観光目的地について自分の推察が外れていた可能性を考えていた。読み違えたのか、途中で予定外の事態が起きたのかを判断するため、改めて手元の情報から状況を探り始めた。

第325話 高価な死体 

第2奥部の巡回

アキラ達はドラゴンリバーの依頼を受け、第2奥部の巡回を続けていた。アキラは迷彩で姿を隠し、表向きはキャロルとトガミの二人だけで行動していた。機械系モンスターの小規模な群れには二人だけで対応し、高性能な装備を生かして次々と撃破した。

バオレギレとの戦闘

第3奥部で戦った融合体と同種のバオレギレが現れると、アキラはキャロル達を後方に置いて単独で接近した。三人の集中砲火を浴びてもバオレギレは再生を続け、巨大な口や背中の異形から伸びる腕でアキラを襲った。

アキラは迷彩を見破る相手に接近戦を挑み、攻撃を紙一重で回避しながら至近距離からRL2複合銃を撃ち込んだ。キャロルとトガミは、その戦い方が必要以上に危険であることから、アキラが実戦を訓練として利用していると気付いた。

弱体化した融合体

アキラは最後までアルファの直接的な戦闘支援を受けず、キャロル達の援護を受けながらバオレギレを倒した。ただし第3奥部の個体と異なり、バオレギレは高エネルギー攻撃を使わず、切断された部位も別のモンスターには変化しなかった。

アルファは、第2奥部では遺跡からのエネルギー供給が失われるか低下しており、そのため融合体が大幅に弱体化していると説明した。怪獣レラグロスが第3奥部から出てこないのも、同じ理由である可能性があった。

強さを磨く時間

アキラはレラグロスが第2奥部へ出てこない状況を、好都合とも不都合とも決めかねていた。しかしアルファは、偽アキラが力でレラグロスを従えている可能性を挙げ、今のアキラでは偽者に勝てる保証もないと告げた。

アキラはその指摘を受け入れ、偽者との戦いまでにさらに強くなることを優先した。キャロルとトガミから単独撃破を称賛されても、二人の援護があったからこそ早く倒せたと礼を述べた。

バオレギレの回収

倒したバオレギレの死体はドラゴンリバーに雇われた運び屋によって回収された。強力なモンスターの死体は高度な旧世界技術を解析できる可能性があるため、高額な遺物として扱われていた。

キャロルは運び屋に、自分達二人で倒したように見せた。運び屋も疑いは抱いたものの、ドラゴンリバーが関わっている事情を察して深く追及しなかった。

二体目のバオレギレ

アキラ達は巡回を続行し、第1奥部に近い範囲を回った。その後も機械系モンスターを撃破し、再び遭遇したバオレギレも負傷者を出さずに倒したところで、その日の仕事を終えた。

トガミのランク50

帰還後、トガミは自身のハンターランクが50まで上がっていることを知った。表向き存在しないアキラが稼いだバオレギレ二体分の成果が、キャロルとトガミの実績として扱われたためであった。

トガミは自分の実力ではない成果でランクが上がったことに複雑な思いを抱いた。アキラはその感覚を理解しながらも事情を明かせないため、借りを返す一環だと思って受け入れてほしいと伝えた。

ランク70への目標

キャロルは自身のランクも上がったことを気軽に受け入れ、今後もアキラと戦えばトガミのランクはさらに上がると笑った。そして目安として70を挙げた。

トガミは今のランク50が実力以上であると自覚しながら、その評価に追い付き、やがて超えてみせると決意した。しかし今後さらに成果が流れ込む可能性を考え、その笑顔は硬いものになっていた。

第336話 シェリルの不安 

シェリルファミリーの繁栄

シェリルファミリーは遺物販売や民間警備などの事業を成功させ、経済規模は小規模な都市に匹敵するまで成長していた。強化服や人型兵器による圧倒的な武力と、イナベ派の利権として守られる立場により、スラム街では他の徒党を寄せ付けない一強となっていた。

しかしシェリルは、その繁栄を前にしても不安を拭えなかった。自分がユミナの死の遠因になっていることをアキラに知られれば、縁を切られるかもしれないと恐れていた。そのため、アキラに必要だと思われるほどの力を得ようと仕事に没頭していたが、それが現実逃避でしかないことも無意識に理解していた。

シジマの訪問

シェリルのもとを、シェリルファミリー以外の徒党をまとめる立場となったシジマが訪れた。シジマは、アキラが賞金首になっても自分達がシェリルファミリーとの関係を変えるつもりはないと伝え、それを下の者達にも示すことが目的だと説明した。

シェリルは用件を聞き終えるとシジマを帰そうとしたが、その前に怪獣の上でウダジマを殺したアキラの映像を見せ、本物か偽者かを尋ねた。シジマは迷わず偽者だと答え、シェリルもその返答にわずかに安堵した。

現れた偽アキラ

その直後、部屋の中からアキラの声が響き、迷彩を解除したアキラが姿を現した。追い詰められていたシェリルは大きく動揺し、思わず相手に誰なのかと問いかけた。

その一言でシジマも相手が偽者だと理解した。シェリルは外見では見分けられない偽アキラを、雰囲気や佇まいの違和感から即座に見抜いていた。しかし偽者だと気付いたことを本人に悟らせたため、密かに増援を呼ぶ機会を失ったことを悔やんだ。

黒狼による奇襲

シェリルはすぐに部屋を透明な防壁で分断し、偽アキラを隔離した。そのうえで自分がアキラの恋人であり、長い付き合いだから偽者などすぐ分かると大声で話し続け、相手の注意を引き付けながら時間を稼いだ。

裏ではシェリルファミリーが保有する強化型黒狼三機を起動させていた。三機はビルの外壁を破壊して室内へ銃撃を浴びせ、部屋そのものを吹き飛ばした。

圧倒されたシェリル

煙が晴れると、偽アキラは無傷で立っており、黒狼三機は既に破壊されていた。恐怖に駆られたシェリルの部下達も銃撃したが、瞬く間に全員殺された。

シェリルは逃走を試みたものの、偽アキラに先回りされ、腹部への一撃で倒された。さらに両足を折られて逃げられなくなったが、偽アキラは回復薬を飲ませ、殺す気はないと告げた。目的については後で話すとして、シェリルを連れ去ろうとした。

シジマが知るアキラ

偽アキラはシジマにも近付き、映像のアキラを偽者だと判断した理由を尋ねた。シジマは、本物のアキラが都市に激怒したのであれば、建国主義者と手を組んでウダジマを攫うような回りくどい真似はせず、その場で殺して次の相手を殺しに行くはずだと答えた。

さらに、アキラはかつて部下を殺した死体を引き摺ってシジマの拠点へ乗り込み、二大徒党の抗争にも飛び込んで双方を敵に回したと語った。偽アキラはその話を興味深く聞き、自分はそういう者なのかと呟いた。

シェリルとシジマの拉致

偽アキラはシジマも連れていくと決め、シェリルとシジマを抱えてビルの端から空中へ放り投げた。二人は地面には落ちず、迷彩状態で待機していた人型兵器の操縦室へ収容された。

偽アキラは再び迷彩で姿を消し、人型兵器とともにその場を離脱した。その後、シェリルファミリーの増援や都市の部隊が到着したが、既にシェリル達は連れ去られた後であった。

第327話 イナベからの支援 

第2奥部での訓練

アキラはキャロルとトガミとともに第2奥部を巡回していたが、バオレギレとの遭遇は減っていた。より奥で戦うハンター達が戦闘に慣れ、討ち漏らしが減った可能性があった。アキラは奥へ進むことも考えたが、指定された巡回ルートを外れればキャロル達を危険に晒すため断念した。

代わりにアキラは、迷彩状態のまま拡張現実上の自分を操作し、アルファとの模擬戦を続けていた。拡張感覚を利用して仮想の自分の五感まで体感する訓練だったが、アルファには容易く斬られていた。

ヒカルの来訪

トガミのもとに、ヒカルが会いに来るとの連絡が入った。実際の目的はアキラへの接触であり、ヒカルはエレナとサラを護衛として連れてドラゴンリバーの拠点へ向かった。

ヒカルはアキラと揉めることを強く恐れており、エレナ達には護衛だけでなく仲裁も依頼していた。拠点へ入る際には都市職員であることから警戒されたが、エレナの取りなしもあって通行を許された。

アキラへの追加装備

キャンピングカーに入ると、迷彩を解除したアキラが姿を現した。ヒカルはトガミへの支援を装いながら、アキラへ装備を渡した。

トガミにはアキラの強化服と互換性を持つ強化服とRL2複合銃が渡された。これにより、今後もトガミへの支援という名目で、アキラ用の強力な拡張装備や弾薬を持ち込めるようになった。

アキラにはS弾の拡張弾倉が渡された。S弾は衝撃を標的全体へ強く伝えることに特化しており、損傷を吸収したり再生したりするモンスターに有効だった。タツカワが融合体を少ない攻撃で倒せたのも同種の効果によるものであり、アキラの攻撃力は大きく向上した。

さらに、エネルギー攻撃への防御に特化した力場障壁生成装置も用意された。耐久性は低く消耗品に近かったが、十分な距離があればレラグロスの攻撃にも耐えられる可能性があり、複数個が準備されていた。

偽アキラへの本人証明

装備はイナベが用意したものであり、キバヤシも別口で支援を進めていた。ヒカルはアキラに、装備が強化されたからといって第3奥部へ勝手に突入しないよう念を押した。

続いてヒカルはアキラの本人認証を行った。偽アキラが再び現れた際、本物のアキラが別の場所にいた証拠を残すためであり、今後も定期的にアキラの側で認証記録を残す役目を担うことになった。

攫われたシェリル

ヒカルはその理由とともに、シェリルが前日に偽アキラに攫われたことを明かした。シェリルの拠点に残された警備記録や強化服の情報から、都市は偽アキラの出現と拉致を把握していた。

しかし偽アキラが現れていた約五分間、本物のアキラが別の場所にいたことを証明する記録は残っていなかった。そのため偽者の実在を証明する機会を逃しており、イナベは次の出現に備えてヒカルをアキラの側に置くことを決めていた。

エレナとサラの同行

アキラは、一般人であるヒカルを第2奥部へ連れていくことに難色を示した。さらにエレナとサラも、アキラの基準では危険な領域で戦うには力不足ではないかと懸念していた。

エレナ達はその懸念を理解した上で、高性能な装備を準備してきたと説明した。ただし装備だけで安全だとは考えておらず、自分達だけで第2奥部の敵と戦えるかをアキラに確認してもらうことを提案した。ヒカルを守れないと判断すれば、二人はヒカルを連れて帰るつもりだった。

アキラはその姿勢を受け入れ、エレナとサラの実力を確かめることにした。ヒカルは内心では同行を断られることを望んでいたが、自ら用意した装備なら二人が通用する可能性も高く、結局アキラ達とともに第2奥部へ向かった。

第338話 護衛の実力 

シェリル救出への判断

第2奥部の巡回を再開したアキラに、ヒカルは攫われたシェリルの捜索を任せるよう念を押した。アキラは、偽者がシェリルを攫った以上すぐに殺す可能性は低く、第3奥部にいる保証もないため、無策で救出に向かうつもりはないと答えた。生きていれば助けるが、死んでいれば仇を取るまでであり、シェリルのために自分まで死ぬことはできないと割り切っていた。

ヒカルはその判断を受け入れ、エレナとサラもアキラが無謀に動かないことに安堵した。アルファも、アキラが自分への借りを返すため生き延びる意思を変えていないことを好意的に受け止めていた。

エレナとサラの実力確認

巡回中に機械系モンスターの一団が現れると、エレナとサラはアキラ達を下がらせ、ヒカルを守りながら二人だけで戦った。高性能な装備と連携を活かし、敵の射線を把握しながら先手を取り続け、ヒカルを危険に晒すことなく一団を撃破した。

アキラは二人の戦いを高く評価し、第2奥部でもヒカルを護衛できると判断した。ヒカルはなお不安を拭えず、確認を続けることになったが、その後の戦闘でもエレナ達は安定して敵を退けた。

サラの再拡張

巡回の途中、サラは以前の病気を既に治療したことをアキラに明かした。治療後も身体強化拡張者を続けることを選び、高額な再拡張処置を受けていた。

アキラは素直にサラの回復を喜んだ。サラとエレナはその後、身体拡張や装備の話からアキラをからかい、アキラは話題を二人の高性能な強化服へ逸らした。

ヒカルの装備調達

エレナ達の装備は購入品ではなく、ヒカルが企業との交渉で確保した短期レンタル品だった。ヒカルは、アキラに信用されているエレナ達を護衛に選び、その実力不足を装備で補うため、以前アキラの装備調達競争に参加した企業を競わせていた。

偽アキラの再出現で時間がなくなると、ヒカルは交渉を急がせ、都市が一度装備を借りてからエレナ達へ再貸与する形にすることでランク制限も回避した。保険や書類まで整え、第2奥部で通用する装備を短期間で揃えていた。

バオレギレへの切り札

やがてバオレギレが出現すると、アキラは自分が戦おうとした。しかしエレナとサラは、自分達が本当に同行戦力として通用するか確かめるため、先に戦わせてほしいと申し出た。

サラはOFX複合銃を巨大な砲へ変形させ、エレナが索敵と照準、エネルギー調整を担当した。大容量エネルギーパックを一発で使い切るほどの光弾がバオレギレに直撃し、その巨体を跡形もなく消し飛ばした。

この一撃によって、エレナ達はアキラの援護を前提にせずとも第2奥部でヒカルを護衛できることを証明した。アキラも二人の同行を問題ないと認めた。

強化された巡回戦

実力確認を終えた後は、機械系モンスターをキャロルとトガミが担当し、バオレギレはアキラが倒す従来の分担に戻った。

追加支援でS弾を手に入れたアキラは、以前よりもバオレギレを容易に撃破できるようになっていた。巡回は安定して続き、日没後、一行は人数の増えたキャンピングカーへ戻って休息に入った。

第239話 裏にいる誰か 

トガミの表向きの立場

休息中、トガミはヒカルが自分に張り付く表向きの理由を尋ねた。ヒカルは、若くしてハンターランク50に達したトガミを都市が支援する名目を使い、その実力や不正の有無を確認する監視役として同行すると説明した。

自分のランクが実力以上に上がり、ドランカム内でも最上位になったことにトガミは複雑な思いを抱いた。それでもアキラへの借りを返すためと割り切り、実力を現在の評価に追い付かせようと考えた。

キャロルのOFX複合銃

キャロルはエレナ達が使用していたOFX複合銃を一挺購入したいとヒカルに持ち掛けた。ヒカルが企業との交渉で試用品として借りている事情まで見抜き、実際に一挺購入すれば交渉上も都合が良いと提案した。

ヒカルはその意見を受け入れ、通常状態のOFX複合銃をキャロルへ売ることにした。キャロルは高額な代金を即座に支払い、所持制限のある強力な武器を手に入れた。

警備記録の改竄

シロウはシェリルの捜索では成果を得られなかったものの、偽アキラが侵入したビルの警備記録に極めて高度な改竄が施されていたことをアキラに伝えた。その技術はシロウでなければ気付けないほど精巧であり、偽アキラ側にシロウと同等級の情報処理能力を持つ協力者がいる可能性が浮上した。

さらにシロウとアキラは、偽アキラがシェリルだけでなくシジマまで攫った理由を考えた。アルファは、二人が現在のスラム街を事実上仕切る存在であるという共通点を挙げたが、それが誘拐の目的にどう繋がるかまでは分からなかった。

ドラゴンリバーと都市の対立

入浴中、エレナとサラはクガマヤマ都市とドラゴンリバーの対立について話した。ドラゴンリバーが都市との関係悪化を利用して、貴重な遺物や融合体の死体を他都市へ高値で売るため、意図的に対立を深めたという噂があった。

真偽は不明だったが、関係改善には時間が掛かる可能性が高く、その間はドラゴンリバーに匿われるアキラの安全も保たれると二人は考えた。

アキラとの距離

サラはアキラの急激な成長を目の当たりにし、自分達がその強さに追い付けるのか不安を口にした。エレナは、目的はアキラと同じ強さになることではなく、疎遠にならず関係を続けることだと答えた。

また二人はアキラの精神状態についても確認し、シェリルが攫われた状況でも冷静に判断していたことから、以前シズカが懸念したほど危うい状態ではないと受け止めた。

三人での就寝

入浴を終えたエレナとサラは薄手の寝間着でリビングへ戻り、その姿にアキラは戸惑った。寝床の不足からアキラが自分のベッドを譲ろうとすると、二人は疲労を取ることを優先し、一緒に寝ることを提案した。

アキラはエレナとサラに挟まれて眠ることになり、二人から強くからかわれながらも、そのまま眠ることを選んだ。エレナ達には、眠る前のアキラが偽アキラやユミナのことを考え込まないよう、意識を自分達へ向けておく意図もあった。

眠りを見守るアルファ

アキラが眠ろうとすると、アルファはすぐ近くでその様子を見守っていた。アキラはからかわれると思ったが、アルファは眠れなければエレナ達が寝た後に知らせるとだけ告げた。

実際のアルファは、偽アキラへ向けたアキラの強い殺意を新たな懸念として捉えていた。アキラがうなされて目を覚ました時にすぐ対応できるよう、目に入る位置で静かに見守っていた。

第240話 偽アキラ出現 

トガミの実戦訓練

トガミは機械系モンスターの群れを単独で撃破する訓練を始めた。支援プロジェクトで得た高性能な装備を使い、自分の実力以上に上がったハンターランクへ追い付くため、援護を受けるまで限界まで戦い続けた。

キャロルから、自分だけでなく後衛への射線まで抑えられなければ前衛として不十分だと指摘されたものの、その後は少数の敵なら単独で撃破できるまで戦果を上げた。ヒカルからも実力を評価され、トガミは支援プロジェクトを名目だけで終わらせず、自身の力で成功させようと決意した。

尽きない警備機械

アキラは、これだけ大量に破壊されながら機械系モンスターが尽きないことを不思議に思った。アルファは、旧世界から大量生産された機体が拡張空間のような巨大な保管場所に蓄えられている可能性や、遺跡のシステムが正常に機能していない可能性を挙げた。

アキラは説明に一応納得したものの、この日はバオレギレが一体も現れないことを気にしていた。

奥部前線の激戦

第2奥部の奥側では、数百体規模のバオレギレやドレデマスと高ランクハンター達の戦闘が続いていた。前線の融合体は第3奥部と同様に十分なエネルギーを得ており、光の奔流や高い再生能力を備えていたが、ハンター達は強力な装備と連携で優勢を維持していた。

一方、第3奥部は一度入れば戻れない恐れがあるため、各チームは境界付近から先へ踏み込まず、融合体の撃破を競っていた。

ハーマーズの参戦

前線にはシロウ捜索から外されていたハーマーズも加わった。ハーマーズはヤナギサワから捜索への協力を得る代わりに戦果を求められ、生体力場を操って融合体の光線を受け流し、生身の拳でバオレギレを致命傷に追い込むほどの力を見せた。

坂下重工の者が視察に来たと考えた他のハンター達も奮起したため、この日は融合体が前線で徹底的に撃破された。それがアキラ達の巡回区域にバオレギレが現れなかった理由だった。

ヤナギサワの思惑

戦闘後、ヤナギサワはハーマーズに、シロウが本物のアキラと行動していたことや、現在アキラが賞金首となって行方を隠していることを伝えた。

しかしアキラを賞金首にさせたのは、実際にはヤナギサワ自身であった。シロウを取り込む可能性を残すため、アキラからシロウの居場所が露見しないよう、一時的にアキラを都市から身を隠す状況へ追い込んでいたのである。賞金額や容疑を中途半端なものにしたのも、アキラを遠方へ逃がさず、都市近郊に留めるためだった。

ミハゾノ街遺跡の偽アキラ

休憩中、ヒカルに緊急の本人認証を求められたアキラは、ミハゾノ街遺跡に偽アキラが出現したことを知った。怪獣やバオレギレが現れたという報告がないと聞くと、アキラは偽者だけを狙える機会だと考え、すぐに現地へ向かうと決めた。

ヒカルがイナベから勝手な行動を止めるよう言われていると告げても、アキラは同じ好機を再び用意できるなら止めろと返した。ヒカルにはそれが不可能であり、アキラを止められなかった。

キャロルとの出撃

賞金首のアキラが迷彩状態で一人バイクに乗れば、無人のバイクとして目立ってしまうため、キャロルが同行を申し出た。トガミは疲労しており、エレナとサラはヒカルの護衛であるため、アキラはキャロルの申し出を受け入れた。

出発前、エレナはアキラに、無茶をするなとは言わないが、退くべきだと思った時には意地を張らず撤退するよう告げた。アキラはそれを受け入れ、キャロルと共にミハゾノ街遺跡へ向かった。

後を追うトガミ達

アキラ達を見送った後、トガミも近くにいた方が助けやすいとして、キャンピングカーでミハゾノ街遺跡へ向かうことを決めた。

ヒカルは本心では行きたくなかったが、立場上断れず同行を選んだ。エレナとサラはその事情を承知しながらアキラを助けるためにヒカルの立場を利用し、その代わり必ずヒカルを守ろうと決めた。

第241話 ハルカ 

ハルカと偽アキラ

偽アキラは旧世界風の武装を身に着けたハルカと共に、ミハゾノ街遺跡のセランタルビルへ向かった。偽アキラは迷彩で侵入することを提案したが、ハルカは街の規則に従って正面から入る方針を選んだ。

ハルカは偽者だと知りながら彼をアキラとして扱い、偽アキラ自身もそれを当然のように受け入れていた。

リオンズテイルの通行許可

セランタルビルの周囲には都市の部隊とリオンズテイル社の部隊が展開していた。偽アキラ達が近付くと、パメラは部下を道の両側に整列させ、交戦する意思がないことを示した。

ハルカは自分達の接近を察知されていたことから、パメラ達への警戒を強めた。それでもパメラは偽アキラ達の通行を認め、戦闘への協力は拒否した。

都市部隊との交戦

パメラ達が離れると、偽アキラはセランタルビルへ向けて進み、都市の部隊との戦闘が始まった。人型兵器や歩兵から激しい砲火を浴びたが、偽アキラは異常なほど正確に攻撃を回避しながら反撃し、次々と人型兵器や兵士を倒した。

都市部隊は円形に包囲して高密度の弾幕を作ったものの、それでも偽アキラには攻撃が当たらなかった。

ハルカのシステム改竄

偽アキラが砲火を回避できた大きな理由は、ハルカが都市部隊の支援システムへ侵入し、偽アキラの位置や被弾確率などの情報を改竄していたためだった。

改竄によって人型兵器の力場装甲も十分に機能せず、偽アキラの攻撃を容易に受けていた。しかし味方からの誤射で想定以上の損傷を受けたことから部隊長が異常に気付き、支援システムを切り離して各機のローカル制御へ移行した。

半壊した都市部隊

支援システムから切り離されたことで人型兵器の防御力は戻ったが、偽アキラ自身の戦闘能力までは失われなかった。偽アキラは砲撃を回避し、対力場装甲の波動を纏った黒いブレードで人型兵器を切断した。

既に半壊していた部隊は連携力も低下し、歩兵も次々に撃破された。部隊長はこれ以上戦っても無駄死にが増えるだけだと判断し、撤退を命じた。

復讐に逸る偽アキラ

都市部隊が撤退を始めても、偽アキラは追撃しようとした。偽アキラはユミナが死んだのは都市の所為だとして、部隊を逃がすことを拒んだ。

ハルカは、建国主義者と手を組んだ目的は下っ端を殺して回るような小さな復讐ではないと諭した。偽アキラはその言葉を受けて怒りを抑え、追撃をやめた。

セランタルビルへの入館

偽アキラとハルカがセランタルビルへ入ると、管理人格セランタルが現れた。セランタルは目の前のアキラが偽者だと理解していたが、正式な来訪申請を済ませていたため拒絶せず、アキラとして案内した。

偽アキラ達はセランタルに導かれ、ビルの奥へ進んだ。

パメラの追跡

戦闘を見届けたパメラはクロエへ報告し、部下四人を連れてセランタルビルへ向かうよう指示された。

都市部隊は立入禁止区域への接近を止めようとしたが、パメラは口頭で制止された事実だけを作らせ、実力行使できない状況を利用してそのまま進んだ。

リオンズテイル社の入館

パメラ達もセランタルビルへ入った。来訪申請はなかったものの、自分達が現代のリオンズテイル社の者であることを証明すると、セランタルは通行を認めた。

旧世界のリオンズテイル社と現代のリオンズテイル社が別の存在であることをセランタルは理解していたが、ビルの管理人格としてパメラ達の入館自体は認め、案内だけは行わなかった。

第242話 サポートの質の差 

ミハゾノ街遺跡への急行

アキラはキャロルと共にバイクを全速力で走らせ、道中のモンスターを蹴散らしながらミハゾノ街遺跡へ急いだ。偽アキラを見失った場合の捜索方法に悩んだアキラは、地図屋としての伝を持つキャロルにも捜索を頼むことにした。

シロウからの忠告

シロウはアキラに合流を提案し、オリビアと共に戦えば安全性を高められると説いた。しかしアキラは、まず自分だけで偽者を倒せるか試し、無理なら助けを求めると答えた。

シロウは偽アキラに同行者がいるため、その相手は可能な限り殺さず交戦も避けるよう忠告した。また偽アキラがセランタルビル前で都市部隊と交戦していることを教え、危険なら自分の到着を待つよう念を押した。

シロウの焦り

アキラとの通信を終えたシロウは、追加料金を払ってオリビアに運ばれながらミハゾノ街遺跡へ急いでいた。シロウは今回を千載一遇の機会と捉える一方、それが最悪の事態になることも恐れていた。

キャロルとの別行動

ミハゾノ街遺跡に到着すると、アキラはキャロルをビルの屋上に残し、自分だけでセランタルビルへ向かうことにした。キャロルは自身が同行すれば足手纏いになると受け入れた。

アキラはバイクのRL2複合銃も自分の強化服へ移し、計4挺を装備した。キャロルには逃走時の迎えを頼み、安全な撤退手段として待機してもらった。

都市部隊を倒した偽アキラ

アルファから、偽アキラが強力な都市部隊を一人で撃破してセランタルビルへ入ったと聞き、アキラは驚いた。同行者も一人しかおらず、人型兵器にも乗っていなかったため、アキラは偽者が少なくとも超人級の戦闘力を持つと認識した。

それでもアルファが撤退を求めなかったことから、アキラは全力の支援があれば勝機はあると受け止め、覚悟を決めて先へ進んだ。

本人認証に失敗する偽アキラ

セランタルビル6階では、ハルカが偽アキラを本物として旧世界の本人認証に通そうとしていた。偽アキラ自身の自己認識情報をハルカが加工して送り直したが、何度試しても認証には失敗した。

ハルカは自身の技術でも突破できないことから、そもそも本物のアキラでも認証できないのではないかと考え始め、撤退を検討した。

本物と偽者の対面

その時、アキラが屋上を斬り抜き、天井ごと6階へ降りてきた。アキラはハルカに、邪魔をしなければ見逃すと告げ、偽アキラには彼女を巻き添えにしたくなければ屋上へ来いと要求した。

偽アキラはハルカの了承を得て一人で屋上へ向かい、二人のアキラが距離を取って対峙した。

ユミナを巡る殺意

アキラは怪獣の上でウダジマを殺し、ユミナの死を都市の責任だと語ったのが目の前の偽者なのか確認した。

偽アキラは自分だと認め、ユミナの仇を取るためなら建国主義者にもなると怒りを露わにした。その答えを聞いたアキラにとって、他に聞くべき事情は全てどうでもよくなった。

アキラはアルファに支援を頼み、偽アキラへ死ねと告げた。

二人のアキラの銃撃戦

アキラと偽アキラは同時に高速移動を始め、互いを跡形もなく消し飛ばす勢いで銃撃した。ハルカは偽アキラを支援し、射線計算、防御、照準補正を行った。

しかしアルファはアキラの4挺の銃だけでなく、双方の弾丸や破片まで利用して跳弾を作り、偽アキラへ攻撃を集中させた。現在のアキラの知覚能力と装備性能によってアルファの演算力が十分に活かされ、ハルカは処理速度で圧倒された。

ハルカの侵入失敗

ハルカはアキラの装備へ侵入し、銃や強化服を狂わせようとした。一度は成功したように見えたが、アキラの動きには何の異常も起こらなかった。

アルファがアキラの装備を保護しながら、ハルカには侵入に成功したと思わせる偽装まで行っていたためであった。自信を持つ情報処理技術まで通用しないと知り、ハルカは戦闘開始からわずかな時間で撤退を決断した。

三機の人型兵器

ハルカは偽アキラにも一緒に逃げるよう指示した。偽アキラはアキラが自分を逃がすはずがないとして、その場で時間を稼ごうとしたが、ハルカは一秒だけ耐えるよう求めた。

偽アキラが苛烈な攻撃を凌いだ一秒後、ハルカが用意していた脱出手段として、迷彩状態でビル付近に潜んでいた三機の人型兵器が偽アキラの背後に現れた。

第243話 意外な増援 

C弾とS弾の連射

アキラは4挺のRL2複合銃から、貫通力を高めたC弾と衝撃を広く伝えるS弾を混ぜて偽アキラへ撃ち込んだ。両者は必要な防御方法が異なるため、ハルカは弾丸ごとに種類を判別して防御を調整する必要があったが、膨大な演算に追い付けなかった。

偽アキラは全身に被弾しながらも戦い続け、超人級の耐久力を見せた。それでもアキラは、このままなら勝てると確信していた。

三機の人型兵器

偽アキラの背後から迷彩状態の人型兵器が3機現れ、アキラを包囲するように展開した。アキラは4挺の銃撃を偽アキラと3機へ分散させ、新手を牽制しながら逃げようとする偽アキラを追った。

アキラは偽アキラを逃がさないため、差し違える寸前まで間合いを詰める覚悟を決めた。高速戦闘の中で銃撃を掻い潜り、逃げる偽アキラとの距離を縮めていった。

シェリルを乗せた盾

アキラは人型兵器を一時的に崩し、4挺全てで偽アキラを撃てる瞬間を作った。そこへ1機が盾として割り込んだが、開いた操縦室にはシェリルが乗せられていた。

一瞬動揺したアキラをアルファが強化服の操作で支え、アキラはシェリルを避けて機体の四肢だけを破壊した。さらに左右の2機も集中射撃で破壊したが、その間に偽アキラは逃走を始め、シェリルを乗せた機体も反対方向へ飛び去った。

偽アキラとシェリルの二択

アキラは偽アキラを追えば殺せる可能性があり、シェリルを追えば確実に救出できる状況に置かれた。どちらも次の機会がある保証はなかった。

両方を選ぶ方法がないか考えたアキラだったが、それが不可能だと悟ると迷いを捨て、シェリルの救出を選んで全力で追った。

操られたシェリル

アキラはシェリルを乗せた機体の飛行装置だけを破壊し、落下する機体へ追い付いて扉を斬り開いた。しかしシェリルはレーザーガンをアキラへ向け、高威力の光線や広範囲の光波を放った。

アキラは対エネルギー用の力場障壁で攻撃を防ぎ、シェリルが自分の意思ではなく強化服に体を操作されていると見抜いた。混乱するシェリルにも事情を理解していると告げ、自分が何とかするから耐えるよう伝えた。

強化服だけを斬る戦い

アキラはシェリルを傷付けず、強化服だけを破壊する方針を取った。だが強化服はシェリルの体を無理矢理高速で動かし、レーザーブレードまで使わせてアキラと接近戦を繰り広げた。

操作する側は、アキラがシェリルを殺せないことまで利用し、自ら斬られるように踏み込ませて攻撃を鈍らせた。その負荷でシェリルの体は限界に近付いたが、アルファは動きのパターンを解析し終え、次の一撃で決めると告げた。

シェリルの救出

アキラは光刃を弾いてシェリルの体勢を崩すと、前後から素早くブレードを振るい、強化服だけを斬り刻んだ。破壊された強化服は風に吹き飛ばされ、自由になったシェリルをアキラが抱えてセランタルビル内へ避難させた。

戦闘の負荷で動けなくなったシェリルには高性能な回復薬を飲ませ、さらにアキラは自分の防護コートを渡した。シェリルが防具を減らすことを気にすると、アキラは助けた相手が流れ弾で死ぬのは嫌だから着ておけと告げた。

戻ってきた偽アキラ

アキラがシェリルを抱えてビルから脱出しようとした時、外から新たな相手が接近した。アキラは即座に銃撃したが、相手は壁を切り取って盾にしながら突入し、シェリルを助けると叫んだ。

現れたのは、逃げたはずの偽アキラだった。

設定に従う偽アキラ

シェリルを乗せた人型兵器を操っていたハルカは、シェリルを囮にして偽アキラと逃げるつもりだった。しかし偽アキラはシェリルの声を聞くと、ハルカとの合流を捨てて救出へ戻った。

ハルカはシェリルを置いて逃げるよう説得したが、偽アキラは見捨てられないと拒否して通信まで切った。ハルカは無謀さに呆れながらも、それが危険を顧みず友好的な相手に執着する本物のアキラらしい行動だと考えた。

本物のアキラと、その真偽を見抜けるシェリルが同じ場所にいることから、ハルカは新たな可能性を見出し、逃走をやめて来た道を引き返した。

第244話 交渉開始 

偽アキラの不可解な救出

シェリルを救出したアキラは、逃げたはずの偽アキラが戻ってきたことを不可解に思いながら銃撃を続けた。しかも偽アキラは反撃せず、ビル内へ侵入するとシェリルを助けると叫んだ。

アルファは、偽アキラが本物を演じているのではなく、自分自身を本物のアキラだと思い込んでいるようだと見抜いた。そのため偽アキラは、偽者であるアキラからシェリルを救おうとしていたのである。事情を知ってもアキラの目的は変わらず、偽アキラを殺すために戦おうとした。

ユミナの死とシェリル

ハルカは館内放送を使って偽アキラに撤退を命じたが、偽アキラはシェリルを助けるまで戻らないと拒絶した。そこでハルカは、カツヤがアキラを倒す見返りにウダジマからシェリルへの嫌疑を解いてもらおうとしていたことを明かし、ユミナの死にはシェリルも関わっていたと告げた。

その事実を既に知っていたシェリルは、アキラにも知られたことで恐怖に震えた。偽アキラも激怒してシェリルをユミナの仇とみなしたが、本物のアキラは途方もない殺意を込めて、シェリルは関係ないと言い切った。そしてシェリルを背後へ下がらせ、自ら彼女を守る姿勢を取った。

二つを選べる幸運

アルファは、これでシェリルを助けながら偽アキラも殺せると指摘した。アキラは本来どちらかしか選べなかった二つの目的を同時に果たせる状況だと気付き、殺意に呑まれず冷静さを取り戻した。

偽アキラはシェリルを殺すため、相打ち覚悟でアキラとの距離を限界まで詰めた。アキラが自分の命を優先して退けば、その背後にいるシェリルを撃てると考えていたのである。しかしアキラは一歩も退かず、シェリルへの射線を自分の体で塞いだまま撃ち合った。

偽アキラの死

至近距離で互いに最大火力を撃ち合ったが、アルファのサポートを受けるアキラは防御と射撃精度の双方で偽アキラを上回った。偽アキラの銃弾は次々に迎撃される一方、アキラの致命的な弾丸は相手へ着弾し続けた。

最後まで撃ち続けた偽アキラは弾幕に呑み込まれ、肉体を粉微塵にされて消し飛んだ。アキラはアルファに礼を告げ、偽アキラへの黒い感情を残すことなく、強敵を倒した一戦として受け止めた。

アキラとシェリルの関係

アキラはシェリルに帰ると告げ、自分の騒動に巻き込んだことを謝った。シェリルは助けてもらったから問題ないと笑って答えた。ユミナの死との関係を知られてもアキラの態度が変わらなかったことで、シェリルもようやく安堵した。

二人は過去にも、シェリルが危機に陥り、アキラの救出が間に合うことで関係を続けてきた。今回も同じように助ける側と助けられる側として、自分達にできる範囲で関係を続けることになった。

緑色の血

アキラは都市の部隊を避けるため迷彩を使い、防護コートの中にシェリルを抱えてセランタルビルから脱出した。

二人が去った後には偽アキラの肉体の一部だけが残されていた。その血は緑色であった。

キャロルとの合流

アキラは待機していたキャロルと合流し、用意してもらった防護服をシェリルに着せた。自身も弾薬を補給し、三人で帰ろうとした。

その直前、セランタルビル6階の外壁が吹き飛び、内部から戦いながら飛び出してきたオリビアとハーマーズの姿が現れた。

本人認証の突破

一方、6階へ戻ったハルカは偽アキラを呼び戻せなかったため、一人で作業を続けていた。ハルカはシェリルの強化服を操作した際に得た、本物と偽者を見分けるシェリルの認識情報を偽アキラの個人認証情報へ混ぜ込み、本人認証を試みた。

その結果、外区3種特殊編入申請が受領され、ハルカは認証突破に成功した。

シロウとハルカの再会

成功を喜ぶハルカの背後にシロウが現れた。シロウはハルカを助けるために来たと告げ、セーフハウスへ匿い、過去の記録を消して別の人生を送れるようにすると申し出た。

ハルカはシロウの能力を疑ってはいなかったが、その申し出を拒んだ。脱走防止用の仕掛けなど別の事情を疑うシロウにも、そういう問題ではないと答え続けた。

ハーマーズの追跡

そこへハーマーズが現れた。シロウはハーマーズがクズスハラ街遺跡にいると把握していたため、その出現に驚いた。実際にはハーマーズがヤナギサワに移動情報を隠させており、その情報工作はシロウを欺くほど高度なものだった。

ハーマーズはハルカを見て、シロウが坂下重工を脱走した理由が彼女だと悟った。シロウも否定せず、本当にハルカを助けるために脱走したと認めた。それを聞いたハルカは、自分を疑っていたことを恥じた。

オリビアとハーマーズ

ハルカがこの状況を切り抜けられるのかと尋ねると、シロウはオリビアにハーマーズの排除を命じた。長い付き合いのあるハーマーズをできれば殺さないよう頼みつつ、それで料金が増えるなら殺して構わないとも告げた。

オリビアは坂下重工所属を名乗るハーマーズから撤退を求められたが、契約者であるシロウの指示を優先すると拒否した。交渉は武力を含めて続ける形となり、二人は同時に間合いを詰めて拳をぶつけた。

超人的な一撃同士の衝突は凄まじい衝撃を生み、既に傷んでいたセランタルビル6階の外壁を吹き飛ばした。オリビアとハーマーズは、相手を撤退させるための武力による交渉を開始した。

第245話 命懸け 

ハルカとの別れ

ハーマーズとオリビアがセランタルビルの外で戦い始めると、シロウはハルカに一人で逃げるよう告げた。自分まで逃げればハーマーズに追われるため、ハルカを確実に逃がすには自分が残る必要があったのである。

シロウは助けを拒む理由を次に会った時に教えてほしいと頼んだが、ハルカは再会の約束すら出来ないと答え、迷彩で姿を消した。シロウは落胆しながらも、次はハルカを助ける方法を調べると決めて気持ちを立て直した。

オリビアとハーマーズの激戦

オリビアとハーマーズはシロウ達を巻き込まない距離を保ちながら、空中で激しい格闘戦を続けた。拳や蹴りの余波だけで周囲の高層ビルが破壊され、二人の戦闘はミハゾノ街遺跡の景観を変えるほどの規模となった。

ハーマーズはオリビアの腹部に強烈な蹴りを当てたが、オリビアは動じず、その足を掴んで遠方へ投げ飛ばした。続いて約10メートルの光刃を振るい、ハーマーズの両腕を骨まで斬り裂いた。ハーマーズは回復薬で負傷を繋ぎ直したものの、オリビアがそれまで手加減していた可能性を認めざるを得なかった。

オリビアは撤退を勧告したが、ハーマーズは任務の重さを理由に拒否した。これにより二人の戦いは、相手の撤退だけでなく殺害も許容する段階へ移った。

アキラの再出発

アキラ達はハーマーズ達の戦闘の余波を避けてミハゾノ街遺跡を脱出した。アキラは遠距離からその戦いを見て驚いたが、アルファは超人の中にも大きな実力差があり、さらにミハゾノ街遺跡では色無しの霧が薄いため、戦闘の余波が大きく見えていると説明した。

その途中、シロウから連絡を受けたアキラは、キャロルにシェリルを任せて一人でミハゾノ街遺跡へ戻った。危険を承知しながら戻った理由は、シロウに大きな借りがあったためである。アルファもその義理堅さを否定できず、同行した。

オリビアの契約更新

シロウはオリビアが優勢であるにもかかわらず、戦闘が長引くことで契約期間が削られていくことに焦っていた。ハーマーズほどの相手との戦闘には追加料金が必要であり、その分は契約期間の短縮として処理されていたのである。

やがてオリビアから契約終了が迫っていると告げられ、シロウは更新を決断した。しかし基本料金は以前の500万コロンから1000万コロンへ引き上げられていた。第3奥部の大型脅威やハーマーズ級との戦闘を想定した料金へ改定されたためであった。

シロウは残りの資金を使って契約を更新したが、これで今後の余裕を失った。さらにハーマーズが戦闘を続けたため、シロウは金の代わりにアキラへの貸しを使うことを決めた。

シロウの頼み

シロウはアキラを呼び戻し、オリビアを援護してほしいと頼んだ。しかしアキラは、あの戦闘に加われば自分が死ぬと判断して拒否した。シロウが借りを持ち出しても、アキラは命を助けてもらったからといって、その返済として死ぬ義理はないと言い切った。

アキラも大きな借りを踏み倒したいわけではなく、シロウを助けたい気持ちは持っていた。そこでアルファは、アキラだけに危険を負わせるのではなく、シロウ自身にも命を懸けさせる条件を提案した。

アキラがその条件を突き付けると、シロウは一瞬も迷わず受け入れた。その覚悟を見たアキラも協力を決め、シロウの背後へ回って服を掴んだ。

シロウを盾にした援護

アキラはオリビアと戦うハーマーズへ銃撃を開始した。アキラの弾丸だけならハーマーズに致命傷を与えるほどではなかったが、オリビアへの対処に余裕のない状況では無視できない攻撃となった。

ハーマーズはアキラを先に排除しようと拳を振るおうとしたが、その瞬間、アキラがシロウを片手で持ち上げて盾にしていることに気付いた。シロウを確保しに来たハーマーズは攻撃を止めざるを得ず、その一瞬の隙をオリビアに突かれた。

オリビアの刀は回避の遅れたハーマーズの体を深く斬り裂き、アキラとシロウによる援護は早くも効果を上げた。

第246 話 ハンターとしての生き方 

キャロルとシェリルの合流

キャロルはシェリルを連れてキャンピングカーへ戻ったが、事情を説明する時間を惜しみ、シェリルをヒカル達に預けると再びミハゾノ街遺跡へ向かった。残されたシェリルは、エレナ達に分かる範囲でこれまでの経緯を説明した。

シロウを盾にした援護

アキラはシロウを片手で抱えたまま、3挺のRL2複合銃でハーマーズを狙い、オリビアを援護した。精密な射撃と跳弾でハーマーズの動きを妨害し、治り切っていない負傷への対処も強いた。

ハーマーズはアキラへ反撃したが、シロウを殺さないよう威力を抑えざるを得なかった。さらに坂下重工の名を出して攻撃中止を命じたものの、シロウは自身の脱走が偽装工作だと主張し、ハーマーズが現在シロウ捜索の任務から外されている点も突いた。

接近するハーマーズ

防戦一方となったハーマーズは戦況を変えるため、アキラ達との距離を縮め始めた。オリビアとの戦闘の余波にアキラとシロウを巻き込み、アキラを後退させると同時に、シロウを守ろうとするオリビアの攻撃を鈍らせようとしたのである。

アキラは援護可能な距離を維持しながら余波を避け続けたため、四人の戦場は大きく移動し、ミハゾノ街遺跡の市街区画は広範囲にわたって破壊されていった。

キャロルの決断

一人で戻ったキャロルは遠方から戦闘を見て、その規模に圧倒された。援護すればアキラへの借りを返せる一方、ハーマーズに狙われれば死ぬ可能性が高かったため、手を出さずに待つことも考えた。

しかしキャロルは、自分が高価な装備と副業の稼ぎに頼り、ハンターとしての生き方から遠ざかっていたことを自覚した。そこで再びハンターとして危険を引き受けることを選び、OFX複合銃を構えた。

その瞬間、既にキャロルの存在に気付いていたハーマーズが衝撃波を放った。キャロルはビルごと吹き飛ばされ、瓦礫に埋もれた。

瓦礫の中の再起

キャロルを助けようとしたアキラを、アルファは戦闘に集中させた。アキラがキャロルを意識すれば、ハーマーズがそこを利用して追撃する可能性があったためである。アキラは戦闘を早く終わらせることこそキャロルを救う最善策だと受け入れた。

実際にキャロルは生きていた。深手を負ったものの、身体強化拡張者としての能力で回復し、自身の判断の甘さを認めた上で再び戦うことを選んだ。

OFX複合銃の奥の手

キャロルは瓦礫の中でOFX複合銃を通常には戻せない巨大な砲へ変形させ、さらに一発で銃そのものが大破する奥の手を使用した。

放たれた光の柱を、ハーマーズは生体力場装甲と技術、身体能力を総動員して受け流した。攻撃そのものでは倒せなかったが、全力防御を強いたことで決定的な隙が生まれた。

その瞬間を逃さず、オリビアがハーマーズの片腕を斬り飛ばした。

ハーマーズの撤退

ハーマーズはまだ切り札や奥の手を残していたが、この戦いが正式な業務ではなく、自身の独断によるものだというシロウの指摘を無視できなかった。さらにキャロル以外にも増援が潜んでいる可能性を考え、戦闘続行は得策ではないと判断した。

ハーマーズが撤退を宣言すると、オリビアも攻撃を止めた。武力を交渉材料とした戦いは、ハーマーズが退くことで決着した。

旧世界のリオンズテイル社

撤退前、ハーマーズは坂下重工とリオンズテイル社の関係悪化を警告した。しかしオリビアは、自分が属するリオンズテイル社は坂下重工と契約していないと答え、白いカードを渡した。

そこでハーマーズは、オリビアが現代のリオンズテイル社ではなく、旧世界側の存在だと初めて理解した。坂下重工の名を出しても退かなかった理由にも納得し、戦闘を打ち切った判断が正しかったと考えた。

スガドメからの連絡

ミハゾノ街遺跡を離れた直後、ハーマーズにスガドメから新たな仕事の連絡が入った。さらにスガドメは、休暇中の行動は咎めないものの、復帰後の業務に支障が出ない程度にしてほしいと告げた。

まだ何も報告していないにもかかわらず事情を把握しているような言葉に、ハーマーズは強く緊張した。そして改めて、オリビアとの戦闘を途中で切り上げた判断を心底正しかったと思った。

第247話 払えるだけ払った 

キャロルとの再会

戦闘終了を察したアキラは、シロウを抱えたままキャロルのもとへ急いだ。瓦礫の上で倒れていたキャロルは一時的に気を失っていただけで、アキラの呼びかけで目を覚ました。キャロルは自分の一撃がハーマーズに防がれたと知って呆れたものの、戦闘を終わらせる助けになったことを確認した。

アキラはキャロルの無茶を咎めたが、キャロルは金も力も足りない自分がアキラへの借りを返すには、義理と命を差し出すしかなかったと答えた。以前アキラから払えるだけ払えばよいと言われたことを受け、払えるものを払ったのである。アキラは自分も似たことを言った覚えがあり、二人は同じ価値観を共有して笑い合った。

オリビアの修理

ハーマーズが去った後、オリビアは戦闘による機体の破損を理由に、シロウへ今後の契約について選択肢を示した。修理中だけ契約を止める方法、リオンズテイル社の施設で安全に滞在する方法、破損した機体のまま契約を続ける方法があった。

修理には約3日必要だった。シロウは自由を失う不便を受け入れ、今後を考える時間にもなるとして、その間はリオンズテイル社の施設に滞在することを選んだ。さらにアキラとキャロルにも同行を求めた。

セランタルビルへの帰還

アキラは瓦礫に埋もれていたバイクをアルファに遠隔操作してもらい、無事に回収した。三人はオリビアに案内され、再びセランタルビルへ向かった。

ビル上階の旧世界側リオンズテイル社の支店前では、現代側のリオンズテイル社に所属するパメラ達が待っていた。オリビアは彼女達を無視して進み、シロウはアキラに、彼女達はオリビアの同僚ではなく現代側の者だと説明した。パメラ達はビル内部までは入れたものの支店内には通されず、アキラ達が入店した後にクロエへ連絡した。

旧世界の接客室

案内された部屋では、何もなかった白い床が変形してテーブルやソファーを作り、立体映像によって外の景色まで再現された。オリビアは飲み物と菓子を用意し、アキラ達を丁寧にもてなした。

アキラが修理中ではないのかと尋ねると、目の前のオリビアは店舗用の別機体であり、シロウに同行していた機体は修理中だと説明された。アルファが立体映像を外すと、店舗用の機体は顔や髪すらない簡素な白い人形の姿をしていた。

旧世界の味

提供された飲み物と菓子は、シュテリアーナの料理にも慣れてきたアキラや、高級な料理を食べ慣れているキャロルを驚かせるほど美味だった。

一方、シロウは悪くない程度の反応しか見せなかった。坂下重工の施設ではこの水準の食事を毎日口にしており、脱走によってその贅沢な生活まで捨ててきたためである。シロウはその事実を自身の覚悟の証として示し、アキラもその味を実感したことで、シロウが大きな代償を払って脱走したことを改めて理解した。

アキラ達はそのまましばらく休息を取り、その後ヒカル達へ連絡を入れた。

第248 話 奇妙な質問 

ヒカル達の待機

シェリルから事情を聞いたヒカル達は、アキラとキャロルがミハゾノ街遺跡へ戻ったと推測したものの、詳細までは分からなかった。ヒカルは都市へ戻りたがり、トガミは現地へ近付くことを提案したが、エレナ達はヒカルとシェリルの安全を優先した。結果として一行はその場に留まり、情報を集めながらアキラ達からの連絡を待った。

やがてアキラから連絡が入り、アキラもキャロルも無事だと分かると、全員が安堵した。

坂下重工との敵対

情報共有によって、アキラとキャロルがハーマーズと交戦した経緯を知ったヒカルは、坂下重工に敵対したも同然だと理解し、絶望した。アキラもその反応から事態の重さを実感し、それを承知で助けに来たキャロルへの感謝を深めた。

シロウは自分が坂下重工へ戻れば問題を処理できると話した。アキラは今回の件がシロウの頼みによるものだった以上、ヒカルやキャロルに生じた迷惑まで含めて責任を取るよう求め、シロウも利子を付けて返すと約束した。

それぞれの別行動

アキラは偽アキラを倒した戦闘記録をヒカルへ渡し、賞金首指定の解除をイナベに進めてもらう方針を立てた。ただし坂下重工との問題が残っているため、アキラとキャロルはヒカル達とは合流せず、当面別行動を取ることになった。

トガミは二人の弾薬調達を引き受け、エレナとサラはシェリルを預かった。ヒカル達はクガマヤマ都市へ戻り、アキラ達はシロウと行動を続けた。

シェリル達の監禁

帰路の通信で、シェリルは偽アキラに攫われた後の出来事を語った。シェリルとシジマは未知の高度な施設へ運ばれ、ラティスに案内された先で、先に攫われていたヴィオラと再会した。

シェリルとシジマには旧世界製と思われる強化服が渡され、シェリルだけが別室へ連れていかれた。そこでラティスから、アキラがコーヒー派か紅茶派か、犬派か猫派か、好物や女性の好みなど、一見重要とは思えない質問を長時間受けた。シジマも同様の質問を受けており、その生活が数日続いた後、シェリルは強化服を外部操作され、人型兵器でミハゾノ街遺跡へ運ばれた。

アキラの認識データ

アキラも質問内容の意図を理解できず、アルファも正確な目的までは分からないと答えた。一方、シロウはシェリルがセランタルビルへ連れてこられたことも含め、何らかの意味があると考えていた。

実際には、ハルカは旧世界製の強化服を通じて、シェリルがアキラをどう認識しているかという情報を集めていた。質問自体に意味はなく、アキラについて考えさせた際の反応を取得し、偽アキラを他者から見てより本物らしい存在へ近付けることが目的だった。

生存していたウダジマ

シロウは新たな調査結果として、ウダジマが生きている可能性をアキラへ伝えた。偽アキラは厳重な都市上位区画へ不法侵入したのではなく、ウダジマ自身の権限によって正式な客として防壁内へ入っていた。

その記録が正規のものであれば、偽アキラによるウダジマの拉致は自作自演だった可能性が高かった。さらに怪獣上で殺されたウダジマも偽者だった可能性が生じた。アキラは説明に納得し、殺したと思っていたウダジマが生きているかもしれないことに顔を険しくした。

実際、ウダジマは生きており、ハルカと共にシェリルへの質問を観察していた。アキラによってイナベとの権力争いを覆されたウダジマは、都市を売り、坂下重工と敵対するほどの賭けに出ており、偽アキラを通して本物のアキラへ強い憎悪を向けていた。

ウダジマの情報と賞金解除

ウダジマ生存の可能性を知ったヒカルは再び動揺したが、シロウから調査資料を受け取り、一定の信頼性があると判断した。

シロウは、都市幹部が建国主義者と結託していた事実をクガマヤマ都市が公表したくない場合、その情報を材料にアキラの賞金首指定解除を交渉できると説明した。ヒカルは極めて面倒な交渉になると理解しながらも、自分だけでは抱え切れないと判断し、イナベへ持ち込むことを決めた。

シズカの店の偽アキラ

ヒカル達が都市へ到着する頃、レイナからアキラへ連絡が入った。レイナは最初にシズカが無事だと告げた上で、シズカの店にもアキラの偽者が現れたと伝えた。

シズカの無事を確認する必要があったという事実だけで異常事態を察したアキラは、偽アキラ出現の報告を聞いて表情を険しくした。

第249話 旧領域接続者達 

シズカを狙った偽アキラ

シズカは賞金首となったアキラの身を案じながらも、これまで通り店を続けていた。そこへ迷彩で姿を隠したアキラそっくりの者が現れたが、シズカは一目で偽者と見抜いた。

偽アキラが近付いた瞬間、護衛として潜んでいたカナエが殴り飛ばし、レイナが両足を撃ち抜いた。続いてシオリが接近し、回復する間を与えず全身を斬り刻んで絶命させた。レイナ達はシェリルが攫われたことから、次に狙われる可能性があるシズカを護衛しており、その警戒が功を奏した。

シズカとレイナの気遣い

店は戦闘で大きく破損したが、シズカは自分が無事だったことを優先し、レイナ達に礼を言った。レイナから連絡を受けたアキラも、シズカの無事を知って深く安堵し、巻き込んだことを謝罪した。

シズカはアキラの責任ではなく、レイナのおかげで助かったのだから気にしなくてよいと諭した。その言葉は、アキラに貸しを作る目的でシズカを護衛したことに後ろめたさを抱くレイナへの気遣いでもあった。シズカはアキラが元気そうな姿を確認すると、安心して防衛隊への対応へ戻った。

レイナの依頼

レイナはアキラの現状を聞き、シズカに加えてシェリルの護衛も引き受けた。その後、以前から話していた頼み事を切り出したため、エレナ、サラ、シェリル、ヒカルは席を外した。シロウ、キャロル、トガミは事情を承知した上で話を聞くことを選んだ。

レイナは白いカードを示し、旧世界のリオンズテイル社へ繋がる接続端末の一つ目の場所へ案内してほしいと頼んだ。その説明の中で、アキラが旧領域接続者であり、リオンズテイル社への特殊な接続情報が脳に焼き付いていると推測していることを明かした。

旧領域接続者の露見

アキラは旧領域接続者だと見抜かれたことに動揺したが、アルファは現在のアキラを研究材料として攫うには危険が大きすぎるため、以前ほど問題にはならないと説明した。

レイナは、オリビアが旧領域接続者でなければ使えない白いカードをアキラへ残したことや、ヨノズカ駅遺跡の発見などを根拠に推測を組み立てていた。アキラは推測の正否には答えなかったが、目的の接続端末には心当たりがあると認め、後日直接案内することを了承した。レイナも、それまで死なないようにと告げ、アキラと今後を前提とした約束を交わした。

現代のリオンズテイル社

アキラはセランタルビルの旧世界側リオンズテイル社支店の前に、パメラ達現代側のリオンズテイル社の者がいたことをレイナへ伝えた。レイナは事情を詳しく話すことを避けたものの、彼らがアキラの邪魔をした場合は自分との関係を気にせず対処して構わないと答えた。

キャロルの秘密

レイナ達との話を終えると、キャロルも自身が旧領域接続者であることを明かした。キャロルにはミハゾノ街遺跡への接続情報が脳に焼き付いており、シロウは地下トンネル発見時の状況などから既にそれを推測していた。

シロウは旧領域を介してアキラとキャロルを繋ぎ、三人で念話できる状態を作った。キャロルはその後シロウに席を外させ、アキラだけに自身の事情を詳しく話した。

キャロルの過去

キャロルは、坂下重工が遺跡の情報を脳に持つ旧領域接続者を探していると知り、自分も狙われることを恐れてアキラを護衛に雇っていた。相手が坂下重工でも退かず、秘密を知っても売らない人物として、アキラが最も信頼できると判断していた。

さらにキャロルは、かつてミハゾノ街遺跡で旧領域接続者として覚醒し、その出来事で仲間を失ったことを明かした。正体を隠すため過去を捨て、キャロルという偽名を使い、外見を変えるため身体強化拡張者となった。地図屋や副業、ヴィオラとの関係も、旧領域から得た情報の出所をごまかすために始めたものであり、いつしか演じていた悪女の姿が現在の自分そのものになっていた。

アキラのサポート

秘密を話し終えたキャロルは、アキラの異常な強さにも旧領域を介した何らかの支援があるのではないかと尋ねた。アキラは明言を避けながらも、昔から何らかのサポートを受けて戦ってきたこと自体は事実上認め、最近は自力で戦った場面も多いと付け加えた。

キャロルは秘密を守ると約束し、互いに隠していた事情を共有したことで機嫌を良くした。アキラも長く抱えていた自身の力への負い目の一部を初めて口にできたことで気持ちを軽くした。ただし、最も重要なアルファの存在だけは明かさず、その秘密を守り続けた。

第250話 スガドメの提案 

ツバキとの会談

ミハゾノ街遺跡を離れたハーマーズは、スガドメに呼び戻され、ツバキとの会談の護衛を命じられた。道中、ハーマーズはシロウが旧世界のリオンズテイル社のオリビアや本物のアキラまで利用している状況を報告し、脱走を公にして大規模な確保へ移ることを提案した。スガドメは検討するとだけ答えた。

同行していたヤナギサワは、セランタルビルの被害やシロウとの接触機会を失ったことから、スガドメが意図的に自分の動きを妨害した可能性を疑った。しかし、その真意を読み取ることはできなかった。

対再構築機関のマルオ

スガドメが同行させていた男は、対再構築機関所属のマルオと名乗った。対再構築機関は統企連直下で、現代文明が再び滅び、旧世界として次代に呑み込まれる事態を防ぐ組織であった。

ハーマーズとヤナギサワはその身分に驚いたが、マルオは今回が差し迫った世界規模の危機ではなく、危険の兆候を事前に確認する日常的な調査だと説明した。ハーマーズは納得した一方、ヤナギサワは表面上だけ安堵し、対再構築機関まで関わっている状況への警戒を強めた。

命の価値

ツバキとの会談場所は、以前坂下重工の部隊が全滅した倉庫であった。ハーマーズはスガドメが自ら危険な場所へ出向く必要があるのか確認した。

スガドメは、以前死んだ部下達の命も自分の命も価値を理解した上で必要に応じて使っていると答えた。今回は自分ほどの立場の者が直接出向かなければツバキに話を聞く価値を認めさせられず、強力な護衛であるハーマーズも同行させる必要があった。自身が死んだとしても、それだけ重大な事態だったという情報を後任へ残すだけだと語った。

ハーマーズはその説明に納得して畏敬を深めたが、ヤナギサワは命の価値を理解しながら冷徹に使えるスガドメを、自分と似た危険な存在として警戒した。

第3奥部の管理権限

現れたツバキは、無価値な話なら命を奪うことを示唆し、端的な説明を求めた。スガドメは坂下重工が第3奥部を一時的に制圧し、その後ツバキに奪還させることで、管理権限を移行させる機会を提供すると提案した。

ツバキは第3奥部を坂下重工の所有物のように扱った表現には怒りを示したものの、返答までに意図的な間を置いた。スガドメはそれを提案自体には検討価値がある証拠と捉え、部分的かつ短期間の制圧でも管理権限移行の条件を満たせる可能性があると説明した。

しかしツバキは最終的に、坂下重工に頼むことは何もないと提案を拒否した。さらにスガドメがアキラへの配慮が必要か確認しても、ツバキは即座に不要と答えた。スガドメ達は全員、生還を許された。

スガドメの推測

帰路でスガドメは、ツバキが自分を無傷で帰した以上、提案には十分な価値があったはずだと考えた。それでも拒否された理由として、既に別の相手と同種の取引を済ませている可能性を疑った。

その相手として、第3奥部にいる建国主義者が候補に浮かんだ。一方、ツバキが本物のアキラに友好的だと見抜いていたスガドメは、アキラへの配慮まで不要と答えたことには疑問を残した。それでも言質は得たため、アキラへの特別な配慮をせずに次の行動へ進むことにした。

イナベへの報告

ヒカルはイナベに、アキラが坂下重工の者を攻撃したことや、シロウから得たウダジマ生存の可能性を報告した。イナベは事態の重さに頭を抱えながらも、坂下重工との件は自分が扱い、ヒカルには黙っているよう命じた。

さらにアキラの賞金首認定解除を幹部会へ提案すると決め、ウダジマの件を材料に使うかはその場で判断することにした。イナベはシロウの推測にすぎないと理解しながらも、ウダジマが生きて建国主義者に協力していると確信し、自分との権力争いがここまでの事態に発展したことに責任を感じていた。

シェリルの帰還連絡

レイナ達の家に匿われたシェリルは、エリオ達へ無事を伝え、当面は拠点に戻れないため現場の運営を任せた。逃げ出した構成員については、金や装備を持ち逃げしていなければ放置し、盗んだ者だけ記録して対処するよう指示した。

一緒に攫われたシジマの所在はシェリルにも分からず、そのまま伝えることにした。シェリルは衣服や情報端末まで用意したレイナに礼を述べたが、レイナは費用も含めてアキラへの貸しにすると冗談交じりに答えた。

アキラへの願い

シズカはエレナ達から、アキラが坂下重工と敵対した可能性を聞いた。深刻な話ではあったが、シズカは絶望的な反応を見せず、自分にも今後は分からないと答えた。

その言葉を聞いたエレナは、勘の鋭いシズカがどうしようもないとは言わなかったことに希望を見いだした。エレナ、サラ、シズカは、アキラなら何とかできる可能性が残っていると考え、無事を願った。

偽アキラの独自行動

拠点に戻ったハルカは、シズカを襲った偽アキラについて調べていた。ハルカ、ウダジマ、ヴィオラの誰も襲撃を指示しておらず、旧バージョンの偽アキラが独自判断で動いたと結論づけた。

自己認識や人格の状態にはバージョンごとの差があり、指示が曖昧でも自律的に行動できる利点がある一方、今回のように意図しない行動を取る欠点もあった。

ヴィオラの正体

シェリルと共に攫われたと思われていたヴィオラは、実際には初めからウダジマ達の協力者であった。拘束用の強化服を着ていなかったのもそのためだった。

さらに偽アキラがユミナの復讐に異常な執着を示していたのも、ヴィオラが人格形成へアキラの殺意を可能な限り注ぎ込んだからであった。かつてユミナの死への関与を疑われた際、アキラから向けられた強烈な殺意を利用した結果、偽アキラは復讐のためならシェリルまで殺そうとする人格になっていた。

シジマは既にハルカには不要となっていたが、ヴィオラは利用方法を考えるとして身柄を引き受けた。

シェリルを選んだ理由

ウダジマ達は当初、シェリルとシズカの両方を人質にすることも検討していた。しかし同時に偽アキラを二人動かせば、偽者の存在を確定させる危険があったため、一人だけを狙うことになった。

ヴィオラは表向きアキラの恋人と見られ、巨大な支援を受けているシェリルを選ぶよう勧めた。ハルカとウダジマもその判断に異論はなかった。

しかしヴィオラの本心は別にあった。アキラを本気で追い詰めるなら、シズカを攫った方が効果的だと理解していた。だがシズカを奪えば、アキラが準備もなく第3奥部へ突入して早々に死ぬ可能性が高いと考えていた。

ヴィオラはそれでは面白くないため、アキラが準備を整えながらより大きな騒動を起こせるシェリルを選んでいた。多数の高ランクハンターや五大企業まで巻き込んだ大騒動を特等席で楽しむため、ヴィオラは自らも命を懸けていた。

第251話 5000億オーラムの賞金首 

セランタルビルでの一夜

アキラはハーマーズを攻撃したことで坂下重工と敵対した可能性が高まり、シェリルやエレナ達を巻き込まないため当面は別行動を選んだ。その夜はセランタルビルのリオンズテイル社支店に泊まり、アルファと今後を話した。

アルファは、自分の偽者を倒してシェリルも救出し、シロウへの借りもほぼ返せたため、全体としては良い結果だったと評価した。さらにシロウに同行するなら、その伝を使って強力な装備を調達してもらうべきだと勧めた。

新たな装備交渉

翌日、アキラはシロウに装備調達を求めた。シロウもアキラを強くして自分への貸しを作ることは好都合だったため、坂下重工との問題を解決できた後という条件付きで協力を約束した。

その直後、クガマヤマ都市がアキラに懸けていた5億オーラムの賞金が取り下げられた。アキラ達は喜んだが、続いてアキラだけに別の賞金首速報が届いた。

5000億オーラムの賞金

新たな通知には、坂下重工がアキラを賞金首に指定し、賞金額を5000億オーラム、理由を坂下重工への敵対行為とする内容が記されていた。翌日に公示される予定であり、アキラは高ランクハンター達が一斉に自分を狙うだけの額だと理解した。

そこへシロウを介してスガドメが連絡してきた。スガドメは今回だけはシロウの頼みで行動した事情を考慮して手順を踏んでいると告げ、まずシロウを引き渡すよう求めた。

シロウ引き渡しの拒否

アキラはシロウの引き渡しを即座に拒否した。5000億オーラムの賞金首指定を公示前に取り消せると示されても、誰かを売ることに理由はいらないとして返事を変えなかった。

一方、坂下重工がシロウ回収部隊を派遣した場合に護るかと問われると、アキラは状況次第だと答えた。シロウへの借りは既にそこまで大きくなく、再びハーマーズ級の相手と戦う義理まではないと考えていた。

スガドメの譲歩

スガドメは賞金首指定を意図的に曖昧にしていると説明した。対象はアキラという名前だけであり、本物のアキラと、第3奥部にいる複数の偽アキラのどちらを指すか確定していなかった。

第3奥部の建国主義者を壊滅させれば、坂下重工への敵対行為を偽アキラ達の仕業として処理できる余地が残されていた。反対にアキラが何もしなければ、建国主義者が倒された後も本物のアキラが討たれるまで賞金は支払われない解釈になった。

さらにスガドメは、偽アキラ達が友人にも迷惑を掛けている以上、誰かが解決するのを待たず自分で始末すべきだと告げた。その言葉を受け、アキラは第3奥部へ向かう意思を固めた。

キャロルへの配慮

スガドメはハーマーズを攻撃したキャロルには賞金を懸けず、その分もアキラにまとめたと明かした。それが自分からの譲歩だと説明した。

キャロルまで守られていたことを知ったアキラは、スガドメの提案を脅迫ではなく譲歩として受け止め、頭を下げて礼を言った。こうしてアキラは、再び第3奥部へ乗り込むことを決めた。

第3奥部への単独突入

アキラは5000億オーラムの賞金首指定が正式に公示された直後に第3奥部へ入るつもりだった。自分を狙う高ランクハンター達と建国主義者が三つ巴になれば、一人で怪獣まで相手にするより有利になると考えたのである。

しかしキャロルの同行は拒否した。キャロルも自分では足手纏いになると理解し、受け入れた。シロウもオリビアと共に同行しようとしたが、アキラはこれ以上借りを作りたくないとして断った。さらに第3奥部から脱出する際、アルファの力を同行者に知られる危険も避けようとしていた。

キバヤシの支援

そこへキバヤシから連絡が入り、アキラが坂下重工と敵対したことを知ると大笑いした。さらに敵対したままでも支援すると言ったが、アキラは坂下重工との対立自体を望んでいるわけではないと断った。

アキラは翌日に第3奥部へ向かうため、それまでに以前から話していた装備支援を用意できないか頼んだ。キバヤシは即座に何とかすると引き受け、アキラがその装備で自分を楽しませてくれることを期待した。

束の間の自由

アキラは翌日再び賞金首になるまでの時間を有効に使うため、セランタルビルを出ることにした。キャロルは第3奥部には連れていかないものの、都市付近までは送ることになった。

二人はパメラ達に見送られてビルを出ると、バイクで夕焼けの荒野へ向かった。夜が明ければアキラは5000億オーラムの賞金首となる。その束の間の自由な時間を、キャロルはアキラの後ろで過ごしていた。

第252 話 ドーラスの覚悟 

ドーラスの取引

アキラは翌日の第3奥部突入に備え、キャロルとクズスハラ街遺跡外周部で休んでいた。深夜、キャロルを巻き込まず一人で来るよう求める通信が届き、アキラは指定場所へ向かった。待っていたドーラスは、坂下重工から5000億オーラムの賞金を懸けられるアキラに、他の五大企業の地域へ逃げる手助けをする代わりに、キャロルとの関係を断つよう要求した。

ドーラスは、アキラが短期間で強くなる一方、関わる騒動が次第に巨大化し、周囲の者まで死にかねない状況になっていると指摘した。キャロルがその騒動に巻き込まれて死ぬことを許容できず、アキラが離れないなら殺すしかないと覚悟していた。

離れられない関係

アキラはドーラスの主張自体には理解を示した。自分から距離を取れば、大切な者を騒動へ巻き込む危険は減ると分かっていた。しかしスラム街を出てから得た大切な人間関係を、自分から手放すことはできなかった。

アキラは失いたくないものを抱えたまま生きるため、それに見合う強さを得るしかないと考えた。ドーラスも要求を撤回せず、二人はキャロルに気付かれないよう銃を使わず、情報収集妨害煙幕の中でブレードによる決闘を始めた。

互角の斬り合い

アキラはドーラスの覚悟に応えるため、まずはアルファの直接的なサポートを受けずに戦った。ドーラスは強化服の接地機能を巧みに操り、自然な歩行に見せた高速移動や、体勢を変えずに滑るような移動でアキラを翻弄した。

アキラは空中に自在な足場を作る三次元的な攻撃で対抗した。総合的な実力ではアキラが上だったが、ドーラスは初めから相打ちを前提として防御を削り、命を攻撃力へ変えていたため、互角の攻防が続いた。

折れたブレード

戦闘が続く中、回復薬の効果が先に尽きると悟ったドーラスは、最後の勝負として渾身の一撃を放った。アキラは左手のブレードで威力を受け流しながら、右手のブレードをドーラスの刃の弱い側へ叩き付けた。

アキラは戦いの中で、ドーラスの両刃が切断力を片側へ偏らせていることを見抜いていた。その結果、両者のブレードは砕けたが、結果を予測していたアキラが先に動き、折れた刃をドーラスへ突き付けた。ドーラスは自身の敗北を悟った。

アキラからの取引

アキラはドーラスを殺さず、新たな取引を持ち掛けた。この場で自分に殺されるか、今後キャロルを庇って死ぬか、そのどちらかを選べという内容だった。

アキラは、自分が周囲を危険に巻き込むことを理解していながら、自分から大切な者との関係を切ることはできないと明かした。その代わり、自分が側にいられない時にキャロルを護る者としてドーラスを求めたのである。

ドーラスはアキラを強欲だと評しながらも、その事情を受け入れた。自分も死にたいわけではなく、死ぬならキャロルを庇って死ぬ方が良いとして、取引を承諾した。

殺さずに得た勝利

アキラは、自分を相打ち覚悟で殺そうとした相手を、自力で倒した上で殺さずに済ませた。ユミナとの戦いではできなかったことを成し遂げたことで、アキラは自分が少し強くなれたと感じ、自身をわずかに許した。

ドーラスも、アキラが強欲であっても、その望みを叶えるために十分努力していると認めた。さらにアキラが翌日に坂下重工からの5000億オーラムの賞金を何とかする予定だと聞き、その言葉を信じられるほどアキラへの見方を変えていた。

キャロルへの護衛

ドーラスはアキラがキャロルと一度も関係を持っていないと知って驚いた。アキラはキャロルへの依存を恐れて断ってきたと説明した。ドーラスは、自分を買った相手をキャロルが信用しないのであれば、自分は初めから選ばれる可能性がなかったのかもしれないと考えた。

二人がキャンピングカーへ戻ると、目を覚ましたキャロルが事情を尋ねた。アキラはドーラスがキャロルを庇って死にたいと言うので連れてきたとだけ説明した。

ドーラスも取引の詳細は明かさず、今後は自分の意思でキャロルを護ると伝えた。キャロルは詳しい事情があることを察しながらも、アキラが納得して決めたことならそれでよいとして受け入れた。

第253話 追加の支援 

ウダジマの焦り

クガマヤマ都市がアキラへの賞金を取り消したことで、ウダジマは本物のアキラを第3奥部へ誘い込む理由が失われたと焦った。ハルカから、セランタルビルで戦った偽アキラでは本物に全く勝負にならなかったと聞き、過去にアキラを殺し切れなかったことを悔やんだ。

ウダジマは以前から坂下重工に不満を抱き、東側で密談した相手から坂下重工を完全に敵に回す提案を受けていた。当時は決断できなかったが、その後さらに強くなったアキラの殺害に失敗したことで覚悟を決め、現在の計画へ踏み込んでいた。

5000億オーラムの情報

ハルカが新たな情報を調べると、坂下重工がアキラに5000億オーラムの賞金を懸ける予定だと判明した。しかし本物のアキラがクズスハラ街遺跡外周部へ向かっていたため、ウダジマは賞金の対象を偽アキラだと誤解した。

そこでウダジマは、調整中の新バージョンの偽アキラを外周部へ向かわせ、本物のアキラを第3奥部まで誘導することを考えた。一方、ハルカはセランタルビルへ行った本当の目的について、リオンズテイル社との事情だったとウダジマへ嘘をついた。

最前線向けのHBTNブレード

第3奥部への出発直前、トガミが支援物資を届けた。エレナ達からは2挺のOFX複合銃が渡され、アキラは好意に感謝してバイクへ取り付けた。

シロウからは、最前線でも通用するHBTNシリーズの緋緋色金製ブレードと、同水準のエネルギーパック、回復薬が届いた。シロウは大きな貸しだと主張したが、アキラは坂下重工との問題が未解決だったことを挙げ、貸しになるかは装備の働き次第だと返した。

6発の対滅弾頭

キバヤシからの支援は、わずか6発の対滅弾頭だった。その威力から所持や使用を厳しく制限されている品であり、無許可で持つだけでも問題になるものだった。

アキラは4挺のRL2複合銃の1挺へ対滅弾頭の弾倉を装着し、最前線向けのエネルギーパックとHBTNブレードも装備した。キャロルには絶対についてこないよう念を押し、トガミからは借りを返させるまで死ぬなという意味を込めて送り出された。

第3奥部への出発

アキラは一度死ぬ思いで逃げ帰った第3奥部へ、再び単独で向かうことになった。アルファから覚悟を問われると、覚悟は自分の担当だと力強く答え、バイクで走り出した。

その直後、坂下重工による5000億オーラムの賞金首指定が正式に公布された。キャロル、トガミ、ドーラスはいずれも、その金額でもアキラとは戦いたくないと考えた。

ドーラスとキャロル

会話の流れから、キャロルはドーラスが前夜にアキラと戦って敗れたことを察した。ドーラスはアキラの強さを確認したかっただけだと説明し、切り札も奥の手も使わないアキラに完全に負けたと認めた。

さらにドーラスは、アキラもトガミもキャロルと関係を持っていないと知った。キャロルから年下が好みなのかと尋ねられた際には、そうかもしれないと返され、自分は初めから望みが薄かったのだと落胆した。

5000億オーラムの賞金首

第1奥部へ入ったアキラにも正式な賞金首速報が届いた。かつて300オーラムのために襲われた自分が、今では5000億オーラムの賞金首になったことに、アキラは苦笑した。

そこへシズカから通信が入った。シズカは坂下重工の件を心配していたが、アキラは今から何とかするところであり、自分は絶望も自棄にもなっていないと力強く答えた。そして以前と同じように、自分の無事を祈っていてほしいと頼んだ。

シズカの応援

アキラの声から覚悟を感じ取ったシズカは、無理をするなとは言わず、ちゃんと無事を祈るから頑張るよう励ました。その言葉を受け、アキラはさらに意欲を高めた。

通信を聞いていたエレナ、サラ、シェリルも、アキラが自力で状況を変えようとしていることに安堵した。根拠があるわけではなかったが、これまで何度も危機を乗り越えてきたアキラなら今回も大丈夫だと信じ、皆で無事を願った。

第2奥部の突破

シズカとの通信中、アキラは既に第2奥部へ突入していた。第3奥部から流れ出たバオレギレやドレデマスの群れは、第1奥部との境界付近まで進出し、都市の防衛隊と交戦していた。

アキラはその前線を高速で突破し、3挺のRL2複合銃からS弾を撃ち、バイクに搭載した2挺のOFX複合銃から高威力の光弾を放った。融合体を次々に撃破しながら空を駆け、第3奥部への距離を一気に縮めていった。

第254話 第3奥部の激戦 

第3奥部への再突入

アキラは多数の融合体を必要な分だけ倒しながら第3奥部へ進み、周囲が真っ白な拡張空間へ変わる境界を越えた。背後からも第2奥部の景色が消え、容易には戻れない状況となった。

アキラは5000億オーラムの賞金を取り下げさせるほどの成果として、怪獣レラグロスの討伐を狙っていた。対滅弾頭を得た今なら勝機があると考えたが、アルファは有利な状況を待つため、まず目立たずに様子を見るよう指示した。

HBTNブレードの威力

アキラは高濃度の色無しの霧に紛れて移動し、遭遇した融合体を銃を使わずHBTNブレードで倒した。バオレギレを一撃で両断すると、再生することなくそのまま撃破できた。

続いて、全身から高出力の光波を放つ初見の融合体とも交戦した。アキラはアルファの指示で光波を防ぎ、再使用までの隙に接近して一刀で倒した。その個体は条件次第ではバオレギレの約5倍の強さを持っていたが、HBTNブレードなら一撃で仕留められたため、アキラは最前線向け装備の性能を実感した。

第3奥部への連絡路

移動を続けたアキラの前に、都市間輸送車両の前半分が拡張空間へ突き出す形で現れた。高ランクハンター達は巨大な車両を通常空間と拡張空間の境界に留め、第3奥部への出入口として利用していた。

これにより脱出不能になる危険が解消され、多数の人型兵器に乗った高ランクハンター達が第3奥部へ進出した。アキラは怪獣討伐の成果を奪われることを懸念したが、アルファは彼らに融合体の大群を減らしてもらう方が有利だとして、引き続き待機させた。

高ランクハンター達の総攻撃

高ランクハンター達は膨大な融合体の群れと激突した。個々の融合体は第2奥部の個体より強かったが、ハンター達も圧倒的な戦力を持ち、補給可能な都市間輸送車両を拠点に大量の銃弾、砲弾、ミサイル、レーザーを撃ち込み続けた。

彼らの狙いは5000億オーラムの賞金そのものではなく、第3奥部攻略で実力を示して坂下重工の支援を得ることだった。その支援があれば、最前線向け装備や特別な遺跡への道が開けるため、ハンター達は千載一遇の機会として戦果を競っていた。

ドラゴンリバーの都市間輸送車両

都市間輸送車両を用意したのはドラゴンリバーであり、メルシアが約1000億オーラムを掛けて計画を主導していた。他のチームから成果の一部を受け取る契約を結び、費用を回収する仕組みにしていた。

タツカワは赤い人型兵器で融合体を次々に粉砕したが、メルシアは危険を避けるため車両から離れ過ぎないよう強く命じた。車両から遠隔で大量のエネルギー供給を受けられることも、都市間輸送車両を選んだ大きな理由だった。

レラグロスの出現

融合体の数が急速に減る中、アルファは遠方から都市間輸送車両へ接近するレラグロスを発見した。怪獣は大口から極大のエネルギー奔流を放ち、車両やハンター達を融合体ごと呑み込んだ。

しかし都市間輸送車両と人型兵器は強力な対エネルギー防御で攻撃を耐えた。ハンター達は車両の近くに留まり、遠距離攻撃では効果が薄いと怪獣に思わせて接近を誘い、十分に近付いたところで一斉攻撃する構えだとアルファは推測した。

突然の撤退

ところがレラグロスがさらに接近すると、ハンター達は突然人型兵器を車両へ戻し始め、都市間輸送車両も通常空間側へ後退した。怪獣の攻撃で損害を受けた様子ではなく、アルファにも撤退の理由は分からなかった。

それでも融合体の大群は怪獣の光線でほぼ消え、ハンター達も撤退したため、アキラにとってはレラグロスと単独で戦える絶好の状況となった。アルファは様子見を終え、次の光線までの時間を利用して一気に接近するよう告げた。

怪獣討伐の開始

アキラは覚悟を決め、アルファの全面的なサポートを受けてバイクを限界まで加速させた。誰にも邪魔されない白い第3奥部で、レラグロスとの戦いが始まった。

第255話 怪獣の撃破方法 

都市間輸送車両への偽アキラ襲撃

都市間輸送車両の第2奥部側では、ゼロスを含む高ランクハンター達が集まったモンスターを余裕を持って迎撃していた。そこへアキラの姿をした者が高速で接近したため、メルシアは本物か偽者かにかかわらず敵性と判断して殺すよう指示した。

ハンター達は接近する偽アキラに集中砲火を浴びせた。偽アキラも反撃したが、高ランクハンター達と都市間輸送車両の防御を崩せなかった。しかし偽アキラが展開したRL2複合銃から異常なエネルギーが検知され、ゼロスは全員を退避させた。

対滅弾頭の一撃

偽アキラが撃った対滅弾頭は都市間輸送車両に着弾し、直径約20メートルの光球を生成した。爆発の余波は周囲の旧世界製建造物を吹き飛ばしたが、都市間輸送車両と簡易防壁は力場装甲の出力を最大まで上げて耐え切った。

爆発後、偽アキラの姿は消えていた。その後、車内で偽アキラが発見され、ゼロスは車両の損害を無視して最大火力で排除するよう命じた。駆け付けた時には既に一体が倒されていたが、さらに別の偽アキラも車内に侵入していることが判明した。

第3奥部からの緊急撤退

車内に複数の偽アキラが侵入し、対滅弾頭を所持している恐れが生じたため、メルシアは第3奥部で戦っていたタツカワ達に即時撤退を命じた。

レラグロスとの決戦を目前にしていたタツカワは戸惑ったが、事情を知ると撤退を受け入れた。一方で偽アキラの排除には自ら参加すると主張し、危険を理由に止めるメルシアと対立した。最後はメルシアが折れ、自分も同行することを条件に二人で偽アキラの討伐へ向かった。

レラグロスとの単独戦

高ランクハンター達が撤退したことで、アキラはレラグロスと一対一で戦える状況を得た。アキラは5000億オーラムの賞金を取り下げさせる成果として怪獣を倒すため、バイクを最大加速させて接近した。

レラグロスが光線を放つ直前、アキラは対滅弾頭を射線上で爆発させた。生じた高密度の光球が怪獣の光線を分断し、残った余波を対エネルギー力場障壁で防いだ。光球の爆発にも巻き込まれたが、アルファの操縦で耐え切り、そのまま接近戦へ移った。

対滅弾頭でも倒れない怪獣

アキラはレラグロスの巨大な腕や脚、尾、体当たりを回避しながら、対滅弾頭を再発射できるまで時間を稼いだ。そして至近距離から背中へ対滅弾頭を撃ち込み、大きな傷を与えた。

しかしレラグロスは倒れず、傷も急速に治り始めた。S弾やOFX複合銃による追撃でも再生を止められず、アキラは残り少ない対滅弾頭だけでは倒せないのではないかと危機感を強めた。

HBTNブレードの突破口

アルファは、レラグロスの皮膚が遠隔供給されたエネルギーによる強力な生体力場装甲に守られていると説明した。アキラはHBTNブレードを手に怪獣へ飛び移り、その皮膚を斬り裂いた。

傷そのものはレラグロスにとって僅かなものだったが、生体力場装甲を突破できることが重要だった。アキラはHBTNブレードで装甲に隙間を作り、そこへ対滅弾頭を撃ち込んで体内で爆発させれば、少ない弾数でも倒せる可能性があると理解した。

新たな偽アキラ

アキラが残る対滅弾頭を複数のRL2複合銃へ装填しようとすると、アルファは逆に弾倉を外すよう指示した。色無しの霧の向こうから、別の偽アキラがバイクで一直線に接近していたからだった。

アキラは4挺のRL2複合銃と2挺のOFX複合銃で一斉射撃した。偽アキラも一発だけ撃ち返し、双方の射線が交差した瞬間に巨大な破壊の光球が生まれた。偽アキラが放った弾丸も対滅弾頭であり、その個体は都市間輸送車両を襲撃した偽アキラだった。

第256話 今日はついてる 

対滅弾頭の迎撃

偽アキラを支援していたハルカは、偽アキラが放った対滅弾頭をアキラが通常弾で迎撃したことに驚愕した。本来、対滅弾頭は同種の弾頭や都市間輸送車両の装甲ほどの障害物でなければ止められないものだった。

アルファは4挺のRL2複合銃から放つS弾を一点へ集中させ、高濃度の色無しの霧をさらに圧縮することで強力な減衰領域を作り、対滅弾頭を爆発させていた。アキラはその高度な迎撃の仕組みまでは理解していなかったが、アルファから再現を当てにしないよう釘を刺された。

怪獣を挟んだ銃撃戦

アキラと偽アキラはレラグロスの周囲を高速で飛び回りながら銃撃戦を続けた。アキラは大量の弾丸と光弾を命中させたが、偽アキラは遺跡から遠隔でエネルギー供給を受けて力場装甲を維持しており、容易には倒れなかった。

そこへレラグロスが全身から光波を放った。アキラは距離を取り、アルファの制御する対エネルギー力場障壁で耐えた。偽アキラも遠隔供給されたエネルギーで防御し、焼けた体を急速に再生させた。

偽アキラの人格

アキラは戦う偽アキラに、セランタルビルで殺した個体と同じものを感じた。アルファは、肉体を破壊しても人格が別の体へ転送されていた可能性を示した。

このままでは偽アキラを倒しても別の肉体で復活する恐れがあった。そこでアルファは、第3奥部全体に通信障害を起こし、レラグロスと偽アキラへの遠隔エネルギー供給と人格転送を同時に断つ方法を提示した。ただし、その間はアルファ自身もアキラを支援できなくなる危険な賭けだった。

アルファとの接続断絶

アキラは賭けを受け入れた。アルファのカウントに合わせてバイクや銃を自力操作へ切り替え、戦闘準備を整えた。そして通信障害が発生すると、アルファの姿は視界から消えた。

突然エネルギー供給とハルカの支援を失った偽アキラは動きを乱した。アキラはその隙に最前線向けのエネルギーパックと回復薬を使って強化服を限界以上に稼働させ、真正面から接近した。バイクのOFX複合銃も一度限りの最大出力で撃ち込み、その隙にHBTNブレードで偽アキラをバイクごと両断した。

レラグロスへの人格転送

限界まで動いたアキラは追撃できず、対滅弾頭の爆発で偽アキラと共に吹き飛ばされた。体勢を立て直した直後、レラグロスは両断された偽アキラへ向かい、その体を丸ごと呑み込んだ。

直後、レラグロスからアキラへ念話が届いた。偽アキラは死ぬ直前、自分を怪獣に食わせることで距離をゼロにし、通信障害下でも有線で人格を転送していた。レラグロスには、ユミナの仇を取ろうとする偽アキラの意識が宿っていた。

弱体化した怪獣の光線

偽アキラの意識を宿したレラグロスは、残存エネルギーを惜しまず光線を放った。アキラは最大出力の力場障壁で一瞬耐え、その間にHBTNブレードを振るって光線を斬り裂いた。

さらに怪獣の懐へ入り、弱体化した皮膚を深く切り裂いた。アキラはすぐに離脱し、通信障害が始まる前に準備していた4挺のRL2複合銃を構えた。

4発の対滅弾頭

アキラはアルファの支援なしで集中力を限界まで高め、HBTNブレードで作った皮膚の裂け目へ4発の対滅弾頭を同時に撃ち込んだ。

4発は全て怪獣内部へ入り込み、巨大な光球を生成して爆発した。遠隔供給を失って弱体化していたレラグロスは内部からの破壊に耐えられず、偽アキラの人格ごと消滅した。アキラも爆発の余波で遠くまで吹き飛ばされたが、生き延びた。

消えた第3奥部

偽アキラの念話が聞こえなくなったことで、アキラは怪獣ごと殺し切ったと確信した。しかし通信障害が続いていたため、アルファへ連絡できず、第3奥部から脱出する方法も分からなかった。

待っていると強い風が吹き、地面まで横へ移動し始めた。やがてアキラは風に流され、再び着地した時には白い世界が消えていた。青空と遠方のビル群が見え、色無しの霧の濃度もほぼゼロになっていた。

通常空間への回帰

空には一辺約10メートルの銀色の立方体が浮かんでいた。そこへアルファが再び現れ、通信障害が解消されたことを示した。

アルファは、第3奥部の拡張空間が通常の空間へ戻り、その影響で強風や地面の移動が起きたと説明した。そして半壊した建物を指し、そこにウダジマがいると告げた。

アキラは他の疑問を棚上げし、今回の騒動の元凶ともいえるウダジマのいる建物へ向かった。

第257話 歪んだ想い 

崩壊したウダジマの拠点

通信障害と拡張空間の解除により、ウダジマ達の拠点は建物ごと移動し、強風に煽られて転がった。半壊したものの、ウダジマはラティスに守られて無事だった。

通信が回復すると、レラグロス、新バージョンの偽アキラ、都市間輸送車両へ向かった旧バージョンの偽アキラの全てと連絡が途絶えていた。さらにハルカも未帰還だったため、ウダジマはアキラ一人に全て倒された可能性を認めざるを得なくなった。

ラティス達の撤収

アキラが拠点へ向かっていると知ったウダジマは、ラティス達と重装強化服を使って迎撃しようとした。しかし直前にラティス達へ契約終了の連絡が入り、彼らはウダジマへの協力を打ち切った。

ラティス達は重装強化服を残して立ち去った。迷彩で隠れていたアキラの存在にも気付いていたが、既に契約外であるため何もせず去った。アキラは敵が減ったことを幸運と受け止め、ウダジマの前へ姿を現した。

重装強化服の全滅

追い詰められたウダジマは7機の重装強化服に攻撃を命じた。銃撃、ミサイル、レーザーによる一斉攻撃が放たれたが、レラグロスを倒した現在のアキラとアルファのサポートには通用しなかった。

アキラは攻撃を回避しながらS弾で体勢を崩し、HBTNブレードで次々に両断した。重装強化服は短時間で全滅し、残ったのはアキラとウダジマだけとなった。

クガマヤマ都市の真実

死を覚悟したウダジマは、クガマヤマ都市が坂下重工によって作られた警報装置だと明かした。クズスハラ街遺跡が再稼働した際、真っ先に被害を受けることで異変を知らせる役割を持つ都市だった。

その事実を幹部となって知ったウダジマは、坂下重工への憎悪と都市への絶望を抱いた。都市を存続させようとするイナベに対し、ウダジマは住民が都市を見切って逃げられる仕組みを整えようとしたため、両者の権力争いは根本から対立していた。

ユミナの死

ウダジマはユミナの死も都市の権力争いも、結局は坂下重工がクズスハラ街遺跡を得る過程にすぎないと語り、アキラへ坂下重工への憎悪を植え付けようとした。

しかしアキラは、ユミナの死をウダジマや坂下重工の責任にはしなかった。あの時に殺し合うことを選んだのはアキラとユミナ自身であり、ユミナを殺したのは自分だと断言した。他者にその最後へ踏み込まれることを拒み、感情を爆発させたアキラはウダジマを殴り飛ばした。

一般人であるウダジマは高ランクハンター向け強化服の一撃に耐えられず、その場で消し飛んだ。

ヴィオラとの対峙

ウダジマを殺した後、アキラは感情に流されたことを少し後悔した。生かしてイナベへ渡せば情報を得られたはずだったが、既に取り返しはつかなかった。

そこへヴィオラが姿を現した。アキラは彼女が最初からウダジマに協力していたと見抜いたが、ヴィオラは潜入していただけだと主張した。殺すべきか迷ったアキラは、自分だけで判断せずキャロルに相談することにした。

ヴィオラの利用価値

キャロルは、ヴィオラにはアキラを殺すこと自体への敵意はなく、大規模な騒ぎを見て楽しむことが目的だと説明した。アキラが生きている方がさらに大きな騒ぎを期待できるため、条件次第では小さな騒ぎを事前に潰し、大きな騒ぎではアキラ側に協力させることも可能だと考えた。

さらにヴィオラは、本来シェリルとシズカの両方を攫う計画をシェリルだけに変更させていたと明かした。理由は、シズカを攫えばアキラが無策で第3奥部へ突入して早々に死に、騒ぎがつまらなくなると考えたからだった。

理由は悪辣だったが、結果としてシズカが助かったことがアキラの判断を後押しした。

ヴィオラとの取引

アキラは、通常の騒ぎは事前に潰し、止められない大規模な騒ぎでは自分に協力することを条件に、ヴィオラを生かすと決めた。ヴィオラも即座に条件を受け入れた。

その直後、ヴィオラは以前頼まれていた、ババロドの体を使ってアキラを襲った者の背後関係についての調査報告書を渡した。内容にはアキラの予想とは異なる情報が含まれており、アキラは意外そうな反応を見せた。

5000億オーラムの賞金解除

そこへ坂下重工から新たな賞金首速報が届いた。レラグロスを制御下に置き、アキラを名乗って建国主義者に協力していた討伐対象は、第3奥部の状況から撃破されたと判断された。

賞金は成果に応じて配分されることになり、対象の記述も本物のアキラではなく偽アキラに限定されていた。これにより、アキラに懸けられていた5000億オーラムの賞金は正式に解除された。

第258話 騒ぎは続く 

第3奥部の変貌

偽アキラ達を排除したタツカワ達は、都市間輸送車両の安全確認に時間を費やした。その間に第3奥部の拡張空間は解除され、白い地面と青空が広がる空間へ変化した。再突入を試みた時にはレラグロスの姿もなく、討伐完了の賞金首速報によって何者かに先を越されたと知った。

タツカワは落胆したが、メルシアは怪獣との無謀な戦いを避けられたことに安堵した。そこへ後方から坂下重工の大規模部隊が接近した。

坂下重工の進駐

ウダジマの拠点を出たアキラにヒカルから連絡が入り、5000億オーラムの賞金問題は解決し、坂下重工の部隊も敵ではないと念を押された。

第3奥部には多数の人型兵器や大型輸送機が入り、工作機械や物資が降ろされた。坂下重工は拠点を建設し、本格的な制圧を開始していた。ヒカルも輸送機でアキラを迎えに来た。

マルオとヴィオラ

アキラと同行していたヴィオラは、対再構築機関所属のマルオに呼び止められた。ウダジマについて尋ねられると、ヴィオラはアキラが既に殺したと明かし、さらに自分が潜入して集めた情報を有料の資料として提示した。

マルオが対再構築機関の人間だと知ったヴィオラは驚いたものの、すぐに今回を上回る騒ぎの気配を感じて笑い出した。アキラはその様子を見て、ヴィオラを少しイカれていると評した。

ヒカルの追及

輸送機に乗ったヒカルは、ウダジマを殺したことを黙っていたアキラを問い詰めた。アキラは後でイナベに話せばよいと思ったと弁解し、さらにウダジマが危険な機密を口にしていたことを示唆した。

ヒカルは詳細を聞けば自分まで面倒事に巻き込まれると察し、それ以上追及しなかった。その後はアキラに、これから会う相手へ絶対に失礼のない態度を取るよう何度も念を押した。

スガドメとの対面

輸送機内で待っていたのは、坂下重工の幹部スガドメと護衛のハーマーズだった。スガドメはアキラとの敵対問題は既に解決しており、賞金を受け取りたい場合は自分でハンターオフィスへ成果を申告するよう伝えた。

レラグロス討伐には対滅弾頭を使用していたため、アキラは入手経路を追及される可能性を考え、賞金を請求するかはキバヤシと相談して決めることにした。

HBTNブレードの返却

続いてスガドメは、アキラが所持していたHBTNブレードが坂下重工から盗まれた品だと告げ、返却を求めた。

シロウから受け取っただけだったアキラに責任は問わない代わりに返却するよう求められ、アキラは諦めてブレードを渡した。最前線向けの強力な装備を失ったアキラは落胆した。

HBTNシリーズ一式の依頼

スガドメは本題としてアキラに新たな依頼を持ちかけた。報酬は前払いで、失ったブレードを含むHBTNシリーズ一式だった。

破格の報酬にアキラは喜んだが、それに見合う依頼内容を警戒した。スガドメが示した対象はシロウであり、状況調査の結果によって協力、救出、捕獲、さらには殺害まで含まれる可能性があった。

シロウとハルカ

その頃、シロウはオリビアとハルカを連れて第3奥部を移動していた。坂下重工の部隊やハンター達に発見されないよう迷彩を使い、シロウとハルカが協力して索敵を欺いていた。

ハルカの手には銀色の立方体が握られていた。ウダジマは死に、レラグロスと建国主義者も姿を消し、アキラの賞金問題も解決したが、一連の出来事はまだ終わっておらず、次の事態へ続いていた。

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