リビルドワールド IV (4)レビュー
リビルドワールド全巻まとめ
リビルドワールド VI(6) 〈上〉レビュー
物語の概要
■ 作品概要
『リビルドワールド V 大規模抗争』は、荒廃した未来の東部世界を舞台にした、ポストアポカリプスSFバトルアクション小説の第5巻である。
モニカとの死闘を経て巨額の資金を手に入れた少年ハンターのアキラは、自身の装備を総額6億オーラムの超高性能品へ一新する。
時を同じくして、アキラが持ち帰った遺物を元に、シェリルとカツラギはスラム街での遺物販売店の立ち上げを画策し始めた。
だが、その利権が生み出す莫大な富を狙って、スラムを二分する大組織「エゾントファミリー」と「ハーリアス」が牙を剥く。
情報屋ヴィオラの暗躍や巨大な人型兵器が投入され、スラム街全体が戦火に包まれる大規模な抗争が幕を開けた。 己を侮る者達への殺意を滾らせるアキラは、新装備の力を解放し、二大徒党を同時に敵に回す凄絶な死闘へと身を投じていく。
■ 主要キャラクター
- アキラ: 本作の主人公。モニカ撃破の報酬をすべて装備更新に注ぎ込み、4億オーラムの強化服「ネオプトレモス」と1億オーラムの「SSB複合銃」を新調する。シェリルの遺物販売店の後ろ盾を務めるが、自身を軽んじ、倉庫を巻き添えにして去った二大徒党へ激怒した。成果ではなく「死体の山」を築くことで己の価値を証明するため、三つ巴の抗争へ単身で殴り込む。
- アルファ: アキラにのみ見える謎の美女(AR映像)。アキラが自力で戦えるようサポートを最低限に抑制しつつ、要所では高度な精密射撃などの最適化支援を行う。4億オーラムの強化服とSSB複合銃の性能を限界まで引き出し、人型兵器の軍勢を圧倒させた。
- シェリル: アキラを唯一の後ろ盾とする、スラム街の弱小徒党の少女ボス。アキラから投資された大量の遺物を活用し、カツラギと共に遺物販売店の立ち上げを計画する。二大徒党からの強硬な傘下要求に対し、ヴィオラから得た情報を頼りにドランカムのカツヤ派を護衛に雇うなど、驚異的な交渉術で時間を稼ぎ続けた。
- カツラギ: 大型トレーラーで移動店舗を営む武器商人。シェリルの遺物販売店の共同経営者として投資に参画する。アキラから投資金の未使用分を返還するよう求められ、現金の減少を嫌った結果、アキラの実力に見合う高性能な荒野仕様バイクを死に物狂いで調達した。
- ヴィオラ: クガマヤマ都市の計画の元で二大徒党の対立を煽り、大抗争を引き起こした極めて質の悪い女性情報屋。アキラ達を抗争に巻き込んで殺されかけるが、死後報復依頼プログラムなどの周到な小細工と交渉術によって生き残り、遺物販売店の協力者となる。
- キャロル: アキラとミハゾノ街遺跡を生き延びた有能な女性ハンター。ヴィオラと行動を共にしつつ、アキラに高価な「対力場装甲弾」を提供するなど、ヴィオラの生き残り工作に協力した。アキラに対して強い執着心を抱いている。
- カツヤ: ハンター徒党「ドランカム」の若手を率いる少年ハンター。シェリルへの好意とトメジマからの依頼を受け、部隊を率いて遺物倉庫の警備にあたる。開発中の総合支援システムによる高度な連携で奮戦するが、押し寄せる白い人型兵器の大部隊に大苦戦を強いられた。
- ユミナ: カツヤを心配して同行したドランカムの少女ハンター。カツヤとの連携の狂いを自覚し、倉庫の警備に残る。襲撃の発生時はシェリル達を速やかに避難させ、アキラが一人で複数の人型兵器を撃破していく桁違いの強さを目撃した。
- シジマ: スラム街の中堅徒党のボスであり、遺物倉庫の現場責任者。ヴィオラの介入や相次ぐ襲撃者に頭を痛めていた。抗争の終了後、アキラから「二大徒党は今日中に壊滅する」と知らされ、半信半疑のままヴィオラとの会合に同行する。
- ロゲルト: エゾントファミリーのボスを務める武闘派。吉岡重工から購入した高性能な黒い人型兵器「黒狼」に乗り、アキラと凄絶な一対一の死闘を繰り広げたが、アキラの精密射撃に力場障壁を破られて敗北する。最後はネリアの手によって殺害された。
- ドーラム: ハーリアスのボス。八島重鉄から調達した大量の白い人型兵器「白兎」の部隊を動かす。アキラとロゲルトを潰し合わせて漁夫の利を狙ったが、裏でネリア達の強襲を受けて全滅した。
- ネリア: 元遺跡強奪犯の義体女性であり、現在はクガマヤマ都市のヤナギサワの部下として活動する。大抗争の裏で暗躍し、二大徒党のボスや整備員達を皆殺しにした。ロゲルトの「黒狼」やハーリアスの「白兎」にハッキングを仕掛けて自ら操り、完全な壊滅へと追い込む。
■ 物語の特徴
- スラム街を舞台とする「三つ巴の大抗争」の勃発: これまでの遺跡探索とは異なり、スラム街の支配権と遺物販売店の利権を巡る人間同士の戦争が描かれる。 本来は遺跡の防衛専用である巨大な人型兵器が数十機単位で投入され、市街地が戦火で徹底的に破壊されるダイナミックな戦闘描写が本作の白眉である。
- アキラの「新装備」が発揮する圧倒的な戦闘力: 4億オーラムの強化服「ネオプトレモス」による空中歩行や、1億オーラムの「SSB複合銃」による対力場装甲弾の精密連射が、これまでにないハイスケールな破壊描写を生み出していく。 個人ハンターの範疇を遥かに超え、単機で軍事用の人型兵器の部隊を駆逐していくアキラの圧倒的な戦闘能力が、読者を大いに魅了してやまない。
- 「クガマヤマ都市」の冷酷なスラム解体工作と兵器プレゼンテーション: 大抗争は、肥大化して経済に干渉し始めた二大徒党を邪魔に感じた都市側が仕組んだ罠であった。 二大徒党を壊滅させてスラムの富を回収しつつ、兵器メーカーの人型兵器を実戦テストさせるための「舞台」に過ぎなかったという、荒野社会の極めて冷徹な政治的リアリズムがヴィオラの口から暴かれる。
- アキラの底知れない「殺意」と暗い衝動: どれだけ実績を残しても「侮られ続ける」現実に直面したアキラが、成果ではなく「敵対した者に与える甚大な被害」で己の存在を示そうと決意する。 常人の理解を超えるアキラの狂気的な覚悟と、彼が引き起こす死体の山に対する不気味なほどの執念が、この物語のダークな魅力を際立たせている。
読んだ本のタイトル
リビルドワールド V 大規模抗争
著者:ナフセ 氏
イラスト:わいっしゅ 氏
出版社:KADOKAWA(電撃の新文芸)
発売日:2021年8月17日
ISBN:9784049137385
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あらすじ・内容
スラム街を牛耳る二大徒党VSアキラ。三つ巴の戦いの行方は――!
スラム街に君臨する二大徒党、エゾントファミリーとハーリアスは、莫大な金を生み出すスラム街の裏経済を巡って長年対立していた。
リビルドワールドV 大規模抗争
その情勢の中、シェリルはアキラと一緒にヨノズカ駅遺跡から持ち帰った遺物を換金するために、遺物販売店の立ち上げを計画する。
だがそれは、アキラとシェリルが二大徒党の大抗争に巻き込まれる切っ掛けとなってしまった。
暗躍する情報屋ヴィオラ。意外な理由でアキラと再会したキャロル。二大徒党に狙われるシェリルの運命は――!?
巨大な人型兵器まで現れた大抗争の中、二大徒党を同時に敵に回したアキラが、新たな装備で暴れ回る!!
感想
今回の始まりは、かなり地味である。
ヨノズカ駅遺跡から持ち帰った大量の遺物をどう売るか。
アキラとしてはシェリルに換金を頼んだだけだったのだが、シェリルはカツラギと組み、遺物販売店そのものを作ろうとしていた。
ところが、その店が思った以上に大きな利権になってしまう。
スラム街ではエゾントファミリーとハーリアスという二大徒党が睨み合っており、その裏側ではヴィオラまで動いている。
最初は遺物を売るだけの話だったはずなのに、最後は人型兵器まで出てくる。
どうしてこうなったw
遺物販売店を作るだけなのに、スラムの裏経済にまで繋がっていく
シェリル達が作ろうとしている遺物販売店は、普通の店とは少し違う。
正規の市場では扱いにくい遺物。
ハンターランクを上げるために取引記録の付いていない遺物を欲しがる者。
企業との契約で納品量が足りず、どこかから遺物を調達したい者。
逆に契約分以上の遺物を表に出さず売りたい者。
そうした裏側の需要があるからこそ、スラム街の遺物販売店には大きな価値がある。
アキラはその仕組みをキャロルから聞いて、ようやくカツラギ達が本気になる理由を理解する。
そして店が大きな利益を生みそうだと分かれば、当然それを面白く思わない者も出てくる。
ここからエゾントファミリーとハーリアスの争いまで絡み始める。
しかもヴィオラが色々なところで情報を流し、何が誰の意図なのか分からない状態にしていく。
この女、本当に火遊びが好きだな……。
遺物販売店を守ろうとしているだけなのに、気が付けばスラム街全体の勢力争いに巻き込まれている。
今回の騒動は、アキラが強いモンスターへ挑む話ではなく、人間同士の欲と利害が積み重なって大きくなっていくのが面白かった。
6億オーラムを全部装備に突っ込むアキラ、やっぱり金銭感覚がおかしい
前巻のミハゾノ街遺跡でモニカを倒した報酬として、アキラには6億オーラムが入る。
普通なら少し休むとか、生活を良くするとか考えそうなものだが、
アキラはほぼ迷わず、
「装備を買おう」
である。
しかも6億オーラムをほぼ全部使う。
シズカから見れば、稼いだ金を次の命懸けの仕事へ全部賭け直しているようなものだった。
結果として手に入れたのが、4億オーラムの強化服《ネオプトレモス》。
さらに強力な銃や高価な弾薬まで揃える。
この新装備が、倉庫襲撃でいきなり役に立つ。
襲撃側が持ち出してきたのは、体長8メートルほどの白い人型兵器。
少し前のアキラなら、
「こんなのどうやって倒すんだ?」
となっていた相手だと思う。
ところが今回は、アルファから新しい強化服の試運転にちょうどいいと言われ、本当に戦い始める。
しかも高速で走りながら射撃を避け、巨大な人型兵器を蹴り飛ばす。
重量差どうなってるんだよ。
最終的にはザルモが人型兵器へ乗り込み、戦闘の難易度が一気に上がる。
操縦者が変わっただけで、同じ機体が別物のように強くなるのも印象的だった。
それでもアキラはアルファの指示を受けながら食らいつき、最後は人型兵器自身の巨大弾を拾い、それを蹴り飛ばして機体へ叩き込む。
銃弾を撃つんじゃなくて蹴るのかよw
それで本当に倒してしまう。
さらに戦闘後、アルファから強化服の動作補助そのものは二割程度だったと聞かされる。
もちろん戦況判断や指示ではかなり助けられている。
それでも、
「アルファが全部やった」
ではなくなってきた。
アキラ自身の技量が、装備の性能に追いつき始めているのが分かる戦闘だった。
アキラが戦っている裏で、シェリルはシェリルで必死だった
今回かなり印象に残ったのがシェリルである。
アキラの後ろ盾があるとはいえ、本人の戦闘力はアキラとは比べものにならない。
だからシェリルは、別の方法で戦う。
商人達と話をする。
シジマと交渉する。
トメジマとの仲介をする。
倉庫の警備を整える。
自分をどこかの令嬢だと誤解している相手には、その誤解すら利用する。
アキラが力で問題を片付ける横で、シェリルは人間関係と交渉で店を守ろうとしていた。
アキラがトメジマとの話を誤解して交渉を決裂させた時も、間に入って事情を整理したのはシェリルだった。
戦闘以外では、完全にシェリルの方が上である。
さらに抗争が大きくなると、ドランカムまで警備側へ引き込んでいく。
アキラ一人がどれだけ強くても、倉庫、店、人員、物流まで全部一人で守るのは無理である。
今回の話では、その「強いだけでは守れないもの」がかなり見えてきた。
だからこそアキラとシェリルの組み合わせが機能している。
アキラは圧倒的な武力。
シェリルは交渉と組織運営。
どちらか片方だけでは、今回の騒動は収まらなかったと思う。
ただ、シェリル側の感情はかなり危うい。
アキラはシェリルを助ける。
でも、恋人として愛しているわけではない。
キャロルのように強くて有能な女性がアキラの近くに現れると、自分がいつ捨てられるのか分からない。
その不安から、襲撃後にシェリルがアキラへ縋るように抱き付く場面は印象的だった。
アキラからすれば、
「疲れてるなら落ち着くまで好きにしていい」
くらいなのだろう。
でもシェリルにとっては、その関係がいつ消えるか分からない。
アキラが強くなり、稼ぎも増え、世界が広がれば広がるほど、シェリルから見れば遠くへ行ってしまうように感じる。
この二人、近いようでかなり距離がある。
人型兵器まで倒したのに、まだ「もっと強くならないといけない」
今回の抗争では、アキラはかなり強くなった。
4億オーラムの強化服を使い、人型兵器と正面から戦い、ザルモまで倒す。
少し前までスラムで拳銃を握っていた少年とは思えない。
それでも、この世界ではまだ足りない。
ミハゾノ街遺跡で使われた旧世界製装備についてアルファへ聞いた時も、
「あの程度では全く足りない」
と言われている。
6億オーラムを装備へ投入しても、まだ先がある。
しかも今回の騒動では、巨大な組織同士の思惑まで出てきた。
アキラが一人で敵を倒せても、それだけでは解決できない問題が増えている。
ヴィオラのように情報で人を動かす者。
シェリルのように組織を動かす者。
ドランカムのような大きな徒党。
さらに都市そのものの都合まである。
強い銃を持っていれば全部解決する世界ではなくなってきた。
だから今回の『大規模抗争』は、単純にアキラがさらに強くなった巻というより、
アキラ一人の強さだけでは届かない範囲が広がった巻
という印象が強かった。
それでも本人は、やることがあまり変わっていない。
稼ぐ。
装備を買う。
強くなる。
また危険な場所へ行く。
その繰り返しである。
6億稼いで全部装備に使い、届いた4億の強化服でいきなり人型兵器と戦う。
やっぱりこの少年、金の使い方も生き方もだいぶおかしい。
でも、その無茶を積み重ねながら本当に強くなっている。
ここからさらにどこまで行くのか。
まだまだ先は長そうである。
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リビルドワールド IV (4)レビュー
リビルドワールド全巻まとめ
リビルドワールド VI(6) 〈上〉レビュー
考察・解説
アキラの装備更新
ネオプトレモスとSSB複合銃の導入と能力拡張の全貌
『リビルドワールドV 大規模抗争』におけるアキラの装備更新は、前巻までの過酷な死闘で得た巨額の報酬をすべて注ぎ込むことで、彼を「人型兵器と生身で渡り合える異次元の強者」へと押し上げる劇的な進化を遂げている。更新の資金源とシズカへの相談、予算配分と大物殺しのコンセプト、4億オーラムの高性能強化服ネオプトレモス、1億オーラムの新型主兵装SSB複合銃、および高性能荒野仕様バイクの各点から解説する。
更新の資金源とシズカへの相談
アキラは、ミハゾノ街遺跡でのモニカ(旧世界製装備の使用者)撃破の報酬として、ドランカム側との交渉を経て6億オーラムという桁違いの資金を手に入れた。
・通常のハンターであれば生活環境の改善や娯楽に使う大金だが、アルファの依頼をいつか果たすためにさらなる強さを求めるアキラは、一切の迷いなくその全額を装備購入へ回すことを決意し、シズカの店を訪れた。
予算配分と「大物殺し」のコンセプト
シズカのアドバイスのもと、6億オーラムの予算は以下のように極端かつ合理的な配分がなされた。
・高性能強化服:4億オーラム
・新型の多機能銃:1億オーラム
・弾薬やエネルギーパック等(保険):1億オーラム
・コンセプトは、モニカのように通常の攻撃が全く通じない強固な相手であっても、その防御を揺るがし、最低でも逃げる隙を作り出せる大物殺し(威力・貫通力重視)特化である。
4億オーラムの高性能強化服「ネオプトレモス」
シズカの店でアキラが手に入れたのは、TL系2A型2N強化服、販売名ネオプトレモスである。これまでの安物とは文字通り桁違いの出力と性能を誇る。
・力場装甲(フォースフィールドアーマー)の実装:極めて高い防御力を備え、さらに身体能力を十全に活用するための高度な補正機能を備える。
・多機能防護コート:黒を基調とし、六角形の金属片を組み合わせて作られている。力場装甲で固定化することで、重火器を装着可能な簡易補助アームとしても機能する。自動整備機能も付いており、格納棚に収めている間に多少の損傷は自己修復される。
・驚異的な接地機能:足裏に搭載された力場装甲機能により、移動時に足場を力場で補強する。これによって、強大な脚力で地面を破壊することなく完璧な推進力へと変換できる。さらに、空中の霧の成分を力場装甲で固定して空中に頑丈な足場を生成することが可能である。これを蹴ることで、垂直な壁の歩行、天井の走行、空中での不規則な制動や強引な軌道修正という、驚異的な立体機動を実現している。
・アルファによる最適化ソフト調整:本来、これほど高出力な強化服を高速戦闘で使いこなすのは生身では歩行すら困難なほど難しいが、アルファが制御ソフトをアキラの動きに特化して直接書き換えることで、アキラは初めての実戦からその超性能を100%制御している。
1億オーラムの新型主兵装「SSB複合銃」
アキラがこれまで主力としてきた「CWH対物突撃銃の威力」「DVTSミニガンの連射力」「狙撃銃の射程と精度」「A4WM自動擲弾銃の機能」を極めて高い水準で一挺に凝縮した万能多機能銃である。
・規格外の基本スペック:連射速度はDVTSミニガン以上、単発威力はCWH対物突撃銃を超え、1000万オーラム級の狙撃銃を凌駕する射程と精度を誇る。
・大物殺し用のカスタム化:威力を最重視して擲弾の使用を削るなどの大物殺し用拡張部品が組み込まれた結果、全長はアキラの背丈を超える大型の直方体形状となっている。強化服の補助アームと連結し、背中から一瞬で前方に滑らかに構える動作が可能となっている。
・対力場装甲弾の運用:キャロル(ヴィオラ経由)から譲り受けた、通常購入であれば1発500万オーラムに達する超高価な対力場装甲弾(アンチフォースフィールドアーマー弾)の拡張弾倉を追加装填した。複数の異なる弾倉を弾丸単位で使い分けることができるため、アルファの精密制御と合わさることで、敵の装甲を瞬時に消し飛ばす極大の破壊力を手に入れた。
高性能荒野仕様バイク
大抗争の後、アキラは弾薬費や回復薬、修復用資材を大量消費して大赤字になったため、一度シェリルに投資した(倉庫襲撃者をヴィオラが換金した際のアキラの取り分)資金の未使用分をカツラギに返還するよう求めた。現金を減らしたくないカツラギが店の商品で買ってほしいと必死に交渉した結果、アキラの実力に見合う高性能バイクが調達された。
・車体は力場装甲の防御で守られている。
・車体後部には、SSB複合銃やA4WM自動擲弾銃を搭載して車の制御装置から操作でき、重火器の強烈な反動を完璧に抑制するアーム式銃座を備えている。
・フル装備の積載重量を載せても、荒野を軽々と走破し、素早い加速を実現する大出力を誇る。
・この劇的な装備更新により、アキラはスラム街での大抗争において、本来なら個人が立ち向かうものではない八島重鉄製の人型兵器「白兎(廉価版)」を単機で数十機単位で撃破した。
・さらに吉岡重工製の高性能機「黒狼」を駆るエゾントファミリーのボス・ロゲルトと、生身の格闘戦で互角以上に殺し合って撃破するという、クガマヤマ都市や兵器メーカーの予想を遥かに超越する驚異的な戦闘力を示すこととなった。
まとめ
ネオプトレモスとSSB複合銃の導入と能力拡張を巡る一連の全貌は、ミハゾノ街遺跡報酬の6億オーラム投入とシズカへの相談から始まり、ネオプトレモスの力場装甲・自己修復コート・空中足場生成機能の獲得、SSB複合銃の万能性能と対力場装甲弾の運用、カツラギ経由でのアーム式銃座付き高性能バイクの調達、そして人型兵器「白兎」の多機粉砕や高性能機「黒狼」の格闘撃破に至るまで、その歩みを明瞭に示している。
巨大兵器の脅威や生身の身体的制限という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を自らの選択と確固たる意志によって完璧に確立するに至る、圧倒的威力の獲得と異次元の戦闘力開花の記録である。
巨額資金の投入から、ネオプトレモスの装着、SSB複合銃の導入、バイクの調達、そして人型兵器の撃滅へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。
遺物販売店の設立
スラム街における遺物販売店設立計画の全貌
『リビルドワールドV 大規模抗争』において、スラム街に遺物販売店を設立する計画は、物語の経済的および政治的な中心軸として機能している。この計画はアキラとシェリルの認識のズレから始まり、やがてスラム街全体の利権を巻き込む大抗争へと発展していく。設立の経緯と動機、スラム街の裏店舗(闇市場)としての需要、倉庫の設立と「偽アキラ」による警備体制、二大徒党による利権の争奪と倉庫の破壊、抗争の終結とヴィオラの協力による再始動、およびアキラによる「投資」としての参加の各点から解説する。
設立の経緯と動機
アキラがシェリルに対してヨノズカ駅遺跡で収集した大量の遺物の換金を依頼したことが、計画の最初の発端である。
・アキラ自身は単純な遺物の売却(換金)を想定していた。
・しかしシェリルは、アキラから遺物の販売を任されたと解釈した。
・彼女は移動武器商人のカツラギと共同で、スラム街に独自の遺物販売店を立ち上げる計画を立案する。
・カツラギはアキラの車庫に眠る遺物のあまりの質と量の多さに目を丸くした。
・彼は将来的にアキラが持ち込むであろう遺物売買の利権に深く食い込むため、シェリルの店に全面的に協力することを決意する。
・一方のシェリルは、アキラに自身の価値を認めさせるための足掛かりとして、この販売店の成功に強い執念を抱いていた。
スラム街の裏店舗(闇市場)としての需要
キャロルの説明によれば、スラム街の遺物販売店は公にできない後ろ暗い需要を満たすことで、非常に大きな利益を生み出すビジネスモデルである。
・ハンターランクの不当な引き上げ:ハンターオフィスを通さない売買記録のない遺物を必要とする者が、スラムの裏市場を利用して遺物を調達する。
・企業契約の不足補填と横流し:企業との契約で遺物の納品数が不足したハンターが補填用に購入する。または契約以上の遺物を企業に知られずに売却して現金化するために利用される。
・巨大徒党の戦力誇示:スラムの巨大な徒党が、所属ハンターへの報酬として渡すための遺物を店から一括で調達する。
倉庫の設立と「偽アキラ」による警備体制
販売予定の大量の遺物を保管するため、市街区画とスラム街の境界付近に頑丈な倉庫が設立された。
・カツラギへの借金返済に窮していたレビンやハザワが、その警備員として配置される。
・倉庫の警備においては、シェリルの指示により、アキラと同じ外見の服を着せた徒党の子供たちが「偽アキラ」として巡回するハッタリ(心理的抑止力)が施された。
・実際には子供たちは戦力にならない。
・しかしアキラ自身も頼まれて稀にこの偽物の中に紛れることで、本物のアキラがいるかもしれないという認識をスラム街に広める工夫がなされていた。
二大徒党による利権の争奪と倉庫の破壊
情報屋ヴィオラが裏で流した情報や、ティオルによる潜入調査によって、倉庫に眠る莫大な遺物の存在がスラムを二分する二大組織「エゾントファミリー」と「ハーリアス」に露見する。
・人型兵器の調達資金としてこの遺物を狙う二大徒党は、シェリルの拠点に直接乗り込んで強硬な傘下要求(遺物の譲渡)を突きつけた。
・事態はさらにエスカレートし、ザルモたちの襲撃を皮切りに、巨大な軍事用人型兵器が直接倉庫に投入される事態へと陥る。
・エゾントファミリーのボス・ロゲルトが駆る黒い人型兵器は、遺物を奪うことよりもハーリアス側に奪われて換金されることを防ぐため、倉庫を主砲で直接砲撃して倒壊させた。
・これにより倉庫内の遺物は一時的に瓦礫の下に埋もれ、即座に換金できない状態となる。
抗争の終結とヴィオラの協力による再始動
大抗争ののち、エゾントファミリーとハーリアスは都市の策略とアキラの乱入によって一日のうちに完全に壊滅した。
・破壊された倉庫の再建と遺物回収を進めるため、シェリルはドランカムを一時的な警備に雇い続ける。
・さらに、アキラに殺されかけて生き残った情報屋ヴィオラが、自身の命を繋ぐ(生かす価値を証明する)ための条件として、遺物販売店の経営を手伝うことをアキラに提案し受け入れられた。
・ヴィオラが持つ強力な裏のコネクションや情報収集能力が協力体制に加わったことで、店舗の利益拡大と運営はより強固なものとなる。
アキラによる「投資」としての参加
大抗争で弾薬や修復資材を使い果したアキラは、これまでの戦闘報酬(襲撃者をヴィオラ経由で換金した金)を無償で受け取ることを躊躇した。
・装備が揃うまで無茶なハンター稼業を控えるというシズカとの約束を守るため、アキラは自身の報酬を遺物販売店への投資という形に回す決断を下す。
・店が成功した後に利益から配分を受け取るというビジネス的な期待を示したのである。
・アキラから初めて明確に期待(見返り)を求められたシェリルは、それまでの何も求められない関係からの大きな前進に強い喜びを感じ、販売店の成功に向けて更なる決意を固めることになった。
まとめ
スラム街における遺物販売店設立計画を巡る一連の全貌は、アキラとシェリルの解釈のズレによる計画立案とカツラギの協力獲得から始まり、裏市場としての闇需要の獲得、倉庫建設と偽アキラ演術による警備網の構築、ヴィオラの情報流布に伴う二大徒党強襲と倉庫破壊、都市とアキラによる二大徒党壊滅とヴィオラ介入による再始動、そしてアキラの「投資」参画とシェリルの関係性前進に至るまで、その歩みを明瞭に示している。
過酷なスラムの勢力争いや膨大な利権の衝突という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を自らの選択と確固たる意志によって完璧に確立するに至る、卓越した経営戦略と強大な武力連携の記録である。
勘違いの発生から、闇市場の構築、偽装警備、倉庫の破砕、裏社会コネクションの獲得、そしてビジネス投資への昇華へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。
二大徒党の抗争
スラム街を揺るがした二大徒党の抗争は、裏社会の経済利権を巡る争いにとどまらず、都市の政治的介入や兵器メーカーの思惑、そしてアキラという個人の乱入が複雑に交錯した重大な局面である。抗争の背景と裏経済の主主導権争い、軍事戦略における「数」と「質」の対比、遺物倉庫破壊における軍事合理性、アキラの乱入が与えた影響、都市と兵器メーカーによるスラム解体工作、および歪な結末と不穏な余波の各点から解説する。
抗争の背景と「裏経済」の主導権争い
クガマヤマ都市のスラム街を二分する二大組織「エゾントファミリー」と「ハーリアス」の抗争は、スラム街の裏経済が生み出す莫大な利権と、地域の支配権を巡る長年の対立が極限まで高まった結果、引き起こされたものである。
・これまでの小競り合いと異なり、双方が巨額の資金を投じて遺跡防衛用である軍事用の巨大人型兵器を調達したことで、抗争はスラム街全体を巻き込む大規模な近代戦争へと発展した。
・その開戦の直接的なトリガーとなったのが、シェリルとカツヤが進めていた遺物販売店の設立と、そこに保管されたヨノズカ駅遺跡の大量かつ高品質な遺物の存在であった。
・抗争のための資金調達に喘いでいた二大徒党にとって、この販売店の倉庫に眠る遺物は、喉から手が出るほど欲しい莫大な富であった。
戦術的思想の対比:ドーラムの「数」とロゲルトの「質」
本抗争において極めて特徴的なのは、双方のボスが展開した対照的な軍事戦略である。
・ハーリアスのボス・ドーラムは、圧倒的な「数」による戦術を選択した。彼は八島重鉄の営業カザフゼから、1機2億オーラムの廉価版人型兵器「白兎」を80機、即金で調達する契約を結んだ。ドーラムは、高度な操縦技術を持つ者を多数集めることは不可能であるという現実を理解した上で、凡庸な操縦者であっても十分な「数」さえ揃えれば、包囲射撃によって敵の「質」を凌駕できるという合理的な判断を下していた。
・対するエゾントファミリーのボス・ロゲルトは、徹底的な「質」を重視した。彼は吉岡重工から次世代の超高性能人型兵器「黒狼」を購入し、自身がその操縦席に乗り込んだ。武闘派であり卓越した操縦技術を持つロゲルトは、どれほど白兎の数が多かろうと、凡庸な操縦者の群れであれば、黒狼の圧倒的な性能と自身の技量、強力な力場障壁を駆使して一方的に蹴散らすことができると自負していた。
遺物倉庫破壊の逆説的な合理性
二大徒党がアキラの遺物倉庫に狙いを定めた際、戦闘の序盤でロゲルトの黒狼が倉庫を主砲の一撃で完全に粉砕・倒壊させるという事態が発生した。
・一見、莫大な遺物(富)を自ら台無しにする暴挙に見えるが、これは極めて逆説的かつ冷徹な軍事合理性に基づいた行動であった。
・双方の開戦準備が整い始めた局面において、遺物の価値は「自分たちが奪うこと」以上に、「相手に奪われて換金され、さらなる戦力(人型兵器)を買い増しされるのを防ぐこと」へと変化していた。
・出遅れた形になったエゾントファミリーは、ハーリアスに遺物を奪われるのを阻止するため、倉庫を意図的に倒壊させて遺物を瓦礫の下へ埋め、短期間での換金を不可能にした。目的が「遺物の奪取」から「敵の資金源の遮断」へと移行した瞬間、倉庫そのものが戦闘の標的となったのである。
アキラという「理不尽な第三極」の乱入
二大徒党の計算を完全に狂わせたのが、倉庫の後ろ盾であり、新装備を手に入れたばかりのハンター・アキラの乱入である。
・アキラはどれほどの実績を積んでもスラムの子供として周囲から侮られ、自分の守るべき場所や投資された富(倉庫)が、自らの預かり知らぬ二大徒党の都合だけで勝手に破壊されたことに激しい怒りを抱いた。
・アキラの目的は「勝利」や「利権の防衛」ではなく、自分を軽んじた者たちを徹底的に殺戮し、自らの手で死体の山を築くことで己の価値と恐ろしさを世間に証明することであった。
・この暗い衝動に突き動かされたアキラは、4億オーラムの強化服「ネオプトレモス」による空中歩行などの超人的な三次元機動と、1億オーラムの「SSB複合銃」による精密な対力場装甲弾の連射を駆使し、白兎の部隊を単機で次々と撃破していった。
・ロゲルトの黒狼に対しても、アルファの高度な補正支援と対力場装甲弾を組み合わせることで、無敵を誇った力場障壁を力ずくで突破し、その強大な武装を完全に破壊・歪曲させた。
都市の冷徹なスラム解体工作と「プレゼンテーション」の罠
抗争が激化する一方で、この戦争そのものがクガマヤマ都市と兵器メーカーによって周到に仕組まれた罠であったという冷酷な政治的真実が存在する。
・都市にとって、巨大化してスラムの裏経済を掌握し、表の経済や行政にまで干渉し始めたエゾントファミリーとハーリアスは、治安を脅かす極めて目障りな排除対象であった。
・さらに都市は、スラム街の住民が組織を形成できるほどの富を蓄積することを嫌い、彼らをその日の食料にも困る飢えた貧民の集団へと強制的に戻す必要性を感じていた。都市から依頼を受けたヴィオラは、両組織の敵意を煽り立てて、決定的な対立(刺し違え)へと誘導する役割を担っていた。
・同時に、都市への次期人型兵器納入を狙う八島重鉄と吉岡重工の両社にとって、この抗争は自社製品が実戦でどれほどの性能を示すかを都市防衛隊へアピールするための、格好のプレゼンテーション(実戦テスト)の舞台として利用されていた。
・民間警備会社がスラム街での人型兵器の大暴走を異常なしとして静観していたのも、すべては都市側がこの実戦プレゼンを黙認し、両組織を共食いさせるために仕組んだ計画の一部であったためである。
歪な操縦者による結末と、抗争がもたらした不穏な余波
アキラとロゲルトによる壮絶な格闘戦の末、過酷な体感時間操作とアルファのサポート、そしてロゲルトの加速剤の効果切れによってアキラが勝利を収めた。
・しかし、その決着の場にヤナギサワの部下となった義体の女性ネリアが乱入し、満身創痍のロゲルトを殺害したことで、抗争の結末はさらに不気味な形へと歪められた。
・ネリアは黒狼の移動式整備場の作業員たちを皆殺しにして機体を強奪し、自ら黒狼を操縦した。一方、ハーリアスのドーラムたちの指揮車両もネリアの同僚によって皆殺しにされ、白兎の部隊は指揮権を奪った別の男によって操作されることになった。
・ボスを失った事実を知らされないまま、それぞれの構成員たちはボスの強権的な指示が通信から届いていると信じ込まされ、お互いの拠点を襲撃して殺し合いを続けさせられた。
・やがて、ネリアが操る満身創痍の黒狼と、最後の白兎が相打ちとなって倒壊した瞬間、スラム街を二分した巨大な二大徒党は、ボス、主力武装員、蓄積された多額の資金のすべてを一日のうちに失い、クガマヤマ都市の計画通りに完全な壊滅を迎えた。
まとめ
二大徒党の抗争を巡る一連の全貌は、スラム裏経済の利権対立から始まり、ドーラムの「数(白兎80機)」とロゲルトの「質(黒狼)」の戦術対比、相手の資金源遮断を目的とした遺物倉庫の倒壊、新装備を得たアキラの乱入と人型兵器群の単機撃破、都市によるスラム解体工作および兵器メーカーの実戦プレゼン利用、そしてネリアらの割り込みによるボスの殺害・機体強奪と二大徒党の全滅に至るまで、その歩みを明瞭に示している。
裏社会の圧力や都市の暗躍という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を自らの選択と確固たる意志によって完璧に確立するに至る、徹底した武力行使と組織壊滅の記録である。
利権の衝突から、倉庫の破壊、第三極の突入、プレゼンの完結、そして二大組織の壊滅へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。
ヴィオラの暗躍
情報屋ヴィオラの暗躍と情報操作の全貌
『リビルドワールドV 大規模抗争』において、情報屋ヴィオラが展開した暗躍は、物語の裏に潜む都市の政治的策略とスラムの裏経済を完璧に掌握し、アキラをはじめとする強者たちの行動や殺意までも冷徹に計算・操作した知略劇である。クガマヤマ都市のスラム解体・集金計画の実行、スリ事件の裏でのシジマとアキラの衝突の操作、トメジマの債務を利用した抗争資金の調達、倉庫襲撃における二重の搾取、シェリルの拠点における立ち回り、およびペンダントとキャロルの罠による生き残り戦略の各点から解説する。
クガマヤマ都市の「スラム解体・集金計画」の実行犯
大抗争は、スラム街で急速に勢力を拡大し、都市の表の経済や行政に干渉し始めていた二大徒党「エゾントファミリー」と「ハーリアス」を、クガマヤマ都市が邪魔に感じて仕組んだ罠であった。
・都市は彼らを壊滅させて蓄積された富を吸い上げ、住民をハンターを志願せざるを得ない飢えた貧民に強制的に戻すことを目論んでいた。
・ヴィオラは都市の長期戦略部から工作員として依頼を受け、前々から双方の対立や敵意を巧みに煽り立てていた。
・さらに、都市への次期人型兵器納入を狙う「八島重鉄」と「吉岡重工」の両社を巻き込み、二大徒党に自社製品を売却させてスラム街を実戦プレゼンテーションの場として機能させるための日程調整や交渉の仲介を、すべて裏で手回ししていた。
スリ事件の裏でのシジマとアキラの衝突の操作
スラム街でアキラが巻き込まれたスリ事件は、もともとシジマがアキラの実力を確かめ、弱ければシェリルたちを武力で支配下に置くために仕組んだ計画であった。
・しかしアキラの実力が想定以上だと悟ったシジマは計画を即座に中止した。ヴィオラは、この中止されたはずの計画が裏で継続するように密かに手を回し、アキラとシジマが衝突する状況を維持した。
・その後、アキラが情報の受け取りを求めた際、その受け渡し場所をシジマの拠点に指定した。
・シジマに対して「アキラがミハゾノ街遺跡で旧世界製装備のモニカを倒した」という都市の極秘資料を突きつけて脅迫し、自分をただで済ませないならアキラにすべてを話して破滅させると迫って、有無を言わさず自身の説明役としての介入を承諾させた。
トメジマの債務を利用した抗争資金の調達
トメジマからカドルがアキラと揉めた件の仲介を依頼されたヴィオラは、アキラの危険性を過剰に煽り、命の保証は別料金と称して、金の代わりに簡単な頼み事をトメジマに引き受けさせた。
・この頼み事とは、二大徒党の抗争費用(人型兵器調達資金)に充てるための融資の口利きであった。
・ヴィオラは間接的に二大徒党の軍備増強を裏から加速させ、抗争の規模を望む形へと拡大させていた。
倉庫襲撃における「二重の搾取」
シェリルたちの遺物倉庫に狙いを定めた襲撃者(ザルモたち)が、エゾントファミリーとハーリアスのどちらに自分たちを売り込むべきか混乱していたのも、ヴィオラが裏で情報や依頼経路を何重にも分断・操作して、彼らを使い捨ての駒として煽動していたからである。
・さらに、襲撃者がアキラに撃退された後、ヴィオラはシジマとシェリルの前に現れ、「都市や警備会社が黙認しているこの襲撃案件は、通常の換金屋では扱えない」という弱みを突きつけ、5割という強欲な手数料で襲撃者の換金(差し押さえと債権の売り飛ばし)を請け負った。
・これにより、ヴィオラは襲撃者たちに正当な手続きで極限まで積み上げた巨額の負債を負わせ、彼らを債権ごと売り飛ばすことで、スラム街の衝突からさらに莫大な利益を吸い上げるシステムを構築した。
シェリルの拠点における「三日間の火遊び」
エゾントファミリーとハーリアスの幹部が同時にシェリルの拠点に押し掛け、自分達の側につくよう要求していた際、ヴィオラが現れて「こんなところでサボっていれば上司に怒られる」と意味深に告げた。
・これにより、双方は相手が倉庫の遺物を奪って抜け駆けしようとしていると勘違いし、パニック状態で倉庫へ急行し、衝突のカウントダウンを決定的なものにした。
・その後、シェリルに対し「抗争は最長でも三日以内に始まる」という極秘情報を与え、その期間だけ凌ぐためにカツヤたちのドランカム部隊を短期雇用するようアドバイスした。
・シェリルから協力の理由を問われると、ヴィオラは「その方が面白いから」と笑い、シェリルたちすらも自らの娯楽のための駒として楽しんでいることを示した。
アキラの殺意をも狂わせる「ペンダントとキャロルの罠」
大抗争の終結後、巻き込まれたことに気付いたアキラ、シジマ、シェリルが、血まみれの雑居ビルにいるヴィオラを問い詰めた。
・ヴィオラはアキラの嘘を見抜く精度の高さを事前に警戒しており、あえて巻き込んだと正直に白状することで、その後の殺そうとしたわけではないという言い訳の信憑性を引き上げる計算を実行した。
・キャロルへの恩義の利用:あらかじめキャロルを介して高価な対力場装甲弾をアキラへ渡させており、アキラがヴィオラを殺すためにキャロルと敵対することを躊躇させる状況を作っていた。
・目立つペンダントの罠:胸元に大きく高価なペンダントを着けておくことで、アキラに頭部ではなく狙いやすい胸元を無意識に撃たせ、キャロルが持っていた高級治療キット(延命装置)によって、撃たれた直後に即座に蘇生できるようコントロールしていた。
・生かす価値の提示:蘇生されたヴィオラは、二大徒党の壊滅は自分が都市の依頼を受けて仕組んだ工作であることを証明し、自分を見逃せばシェリルの遺物販売店の経営を手伝って繁盛させるという、アキラが無視できない生かしておく価値を提示して取引を成立させた。
まとめ
情報屋ヴィオラの暗躍と情報操作を巡る一連の全貌は、都市長期戦略部と兵器メーカー(八島重鉄・吉岡重工)を繋ぐスラム解体・実戦プレゼン工作から始まり、都市極秘資料を用いたシジマ脅迫とアキラ衝突の裏操作、トメジマの債務を利用した二大徒党への人型兵器融資拡大、ザルモら倉庫襲撃者の使い捨て煽動と5割手数料による債権二重搾取、シェリル・ドランカム・二大徒党を翻弄した3日間の衝突誘導、そして胸元ペンダント射撃の誘導と高級治療キットによる即時蘇生、遺物販売店経営手伝いの提示によるアキラとの生存取引成立に至るまで、その歩みを明瞭に示している。
裏社会の混沌や絶対的殺意という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を自らの選択と確固たる意志によって完璧に確立するに至る、情報統制による状況支配と生存戦略の記録である。
都市工作の受託から、情報の分断、軍備の拡大、債権の搾取、火遊びの演出、そして殺意の誘導・蘇生へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。
シェリルの地位向上
スラム街におけるシェリルの地位向上の全貌
『リビルドワールドV 大規模抗争』において、スラム街の弱小徒党の少女ボスに過ぎなかったシェリルの地位向上は、彼女自身の並外れた胆力と知略、そしてアキラという圧倒的な武力を背景に、スラムの裏社会を揺るがす巨大な利権の支配者へと登り詰める極めて劇的なプロセスとして描かれている。弱小徒党から遺物販売店の経営者への飛躍、二大徒党を相手に引かない交渉力とドランカムの引き込み、アキラとの関係性の進化、およびヴィオラの引き入れと抗争後の絶対的影響力の確立の各点から解説する。
弱小徒党から「遺物販売店」の経営者への飛躍
シェリルは元々、いつ他組織に潰されてもおかしくないスラム街の極めて脆弱な徒党のボスであった。
・アキラがヨノズカ駅遺跡から持ち帰った大量の高品質な遺物の換金を任されたことを機に、武器商人カツラギと結託して「遺物販売店」の設立を計画した。
・この販売店が扱う遺物は、ハンターランクの不当な引き上げや企業契約の不足補填を望む者にとって、喉から手が出るほど欲しい裏経済の極めて巨大な利権であった。
・これにより、シェリルは単なるスラムの子供たちのリーダーから、莫大な富を生み出す流通ルートのトップへと、その社会的位置づけを急速に変化させていった。
二大徒党を相手に引かない交渉力とドランカムの引き込み
倉庫に眠る莫大な遺物を狙い、スラムを二分する二大組織「エゾントファミリー」と「ハーリアス」の幹部たちが同時に彼女の拠点を訪れ、強硬な傘下入りと遺物の譲渡を要求した際、シェリルは絶体絶命の危機に直面した。
・彼女は恐れを押し殺し、ヴィオラから得た情報を武器に、カツヤを筆頭とするドランカムの若手ハンターたちを一時的な警備の援軍として巧みに雇い入れることに成功した。
・二大徒党の脅威をドランカムという大組織の盾で相殺し、さらに両者の不信感を煽ることで直接的な衝突をギリギリまで引き延ばした彼女の機転は、大組織のボスたちとも対等以上に渡り合える卓越した交渉者としての実力をスラムに知らしめた。
アキラとの関係性の進化:「保護対象」から「投資対象」へ
これまで、シェリルとアキラの関係は「アキラがシェリルを無条件で守る」という、一方的な依存の上に成り立っていた。
・大抗争を経て倉庫が一時的に破壊された際、アキラはこれまでの自らの戦闘報酬を遺物販売店への投資という形でシェリルに委ねる決断を下した。
・アキラが明確に将来的な利益の配分(見返り)を求めたことは、シェリルが単なる無償の保護対象から、アキラのビジネスパートナーであり信頼に値する投資対象へと昇華したことを意味している。
・アキラに自身の価値を認めさせたいと切望していたシェリルにとって、この関係性の変化は地位向上における最も重要な精神的成果となった。
ヴィオラの引き入れと、抗争後の絶対的影響力の確立
大抗争が終結し、エゾントファミリーとハーリアスという二大巨頭が一日のうちに完全に壊滅した結果、スラム街の権力図には巨大な空白が生じた。
・シェリルは、アキラに殺されかけて必死に命乞いをする有能な情報屋ヴィオラを、店の経営スタッフ(協力者)として組織に引き入れた。
・ヴィオラの持つ強力な裏のコネクションや情報収集能力が加わったことで、店舗の運営基盤はさらに強固なものとなった。
・二大徒党が消え去り、最高峰の情報屋を配下に置き、最強のハンターであるアキラを後ろ盾に据え、さらにドランカムの警備体制も維持し続けるシェリルの徒党は、名実ともにスラム街の裏経済における最も不可侵かつ支配的な勢力へと変貌を遂げたのである。
まとめ
スラム街におけるシェリルの地位向上を巡る一連の全貌は、ヨノズカ駅遺跡の遺物を活用した遺物販売店設立と裏経済ルートの掌握から始まり、二大徒党(エゾントファミリー・ハーリアス)の傘下要求に対するドランカム一時雇用の盾と交渉力の示威、アキラからの「投資」獲得に伴う無償保護対象からビジネスパートナーへの関係性昇華、そして大抗争後の二大徒党壊滅に伴う権力空白の奪取と情報屋ヴィオラの配下編入、裏社会における絶対的支配権の確立に至るまで、その歩みを明瞭に示している。
弱小徒党の脆弱さや大組織の威圧という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を自らの選択と確固たる意志によって完璧に確立するに至る、並外れた知略の行使と莫大な利権支配の記録である。
脆弱な立場の脱却から、交渉の完遂、関係性の転換、二大徒党の壊滅、そして絶対的影響力の確立へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。
リビルドワールド IV (4)レビュー
リビルドワールド全巻まとめ
リビルドワールド VI(6) 〈上〉レビュー
登場キャラクター
旧世界の存在・遺跡の管理人格
アルファ
アキラにのみ知覚される拡張現実の女性である。
彼女はアキラに旧世界の戦闘サポートを提供する。
アキラを特定の遺跡の攻略へ導くことが彼女の目的だ。
彼女はアキラの周囲の人間関係を警戒している。
・所属組織、地位や役職
旧世界のシステム存在。アキラの専属サポート役である。
・物語内での具体的な行動や成果
アキラが購入する装備の選定を支援した。
ミハゾノ街遺跡での戦闘時にアキラへの接続を一時的に遮断する。
ハッキングを駆使してモニカの索敵システムを狂わせた。
工場の管理システムを強制的に初期化して排除する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
アキラがエレナたちを優先する傾向に懸念を深めている。
アキラの驚異的な自立と成長に驚きを隠せずにいた。
セランタルビルの管理人格
セランタルビルの管理を担当する旧世界の管理人格である。
彼女は自身の管理区域外の出来事には関心を示さない。
アルファからの交渉に応じるだけの柔軟性を備えている。
・所属組織、地位や役職
セランタルビルの管理人格。
・物語内での具体的な行動や成果
セランタルビルの5階にリオンズテイル社の支店があることをアルファに伝えた。
さらに、遺物が豊富に存在する工場の情報をアルファに提供している。
ビルに侵入したアキラに対して丁寧に退館を促す立体映像として現れた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
アルファによる強引な情報抽出に対して不機嫌な視線を向けている。
彼女の提供した情報が、アキラたちを工場区画へ向かわせる契機となった。
個人ハンター・その他
アキラ
スラム街出身の若き少年ハンターである。
彼はアルファの支援を受けながら実力を伸ばしている。
エレナやサラに対して非常に強い恩義を抱く。
・所属組織、地位や役職
個人ハンター。
・物語内での具体的な行動や成果
セランタルビルの外壁を走行する戦闘技術を披露した。
キャロルを護衛する契約を情報の対価として交わしている。
裏切り者であるモニカの嘘をアキラは真っ先に見破った。
アルファのサポートがない状態でモニカを窮地に追い詰めている。
モニカからの買収を拒絶して彼女の頭部を破壊した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
モニカの戦歴買い取りなどにより莫大な報酬を得る見込みとなった。
自力で戦う訓練を重ねて戦闘技術を向上させている。
レイナやトガミの覚悟を新たにさせる決定的な影響を与えた。
キャロル
「地図屋」として活動する女性ハンターである。
彼女は周囲の男を誘惑する副業も営んでいる。
アキラの一貫した態度に強い興味を抱く。
・所属組織、地位や役職
個人ハンター。地図屋。
・物語内での具体的な行動や成果
ミハゾノ街遺跡の工場区画でアキラと遭遇した。
機械系モンスターに襲われた際、壁を破壊してアキラの前に現れている。
アキラに裏口の情報を提供する代わりに護衛を依頼した。
大破しかけたコンテナから落下した際にアキラに救助されている。
アキラを援護してモニカの頭部を狙撃した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
自身の魅力に無関心なアキラに悩まされている。
アキラがコロンの誘惑を拒んだことで彼への関心を深めた。
エレナ
アキラが深く信頼を寄せる熟練の女性ハンターである。
彼女は冷静な知性と優れた分析力を備えている。
合同チームのリーダーとしてメンバーを的確に牽引する。
・所属組織、地位や役職
個人ハンター。合同調査チームの指揮官。
・物語内での具体的な行動や成果
アキラを過合成スネーク戦に続いて今回の救援依頼に雇用した。
持ち前の索敵能力を駆使して工場の内部情報を解析している。
モニカの裏切りの状況や死体消失の不自然さを的確に推察した。
戦闘後は、都市やドランカムを相手にする報酬交渉の準備を進めている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
アキラの急激な成長速度を意識するようになった。
アキラが交渉事では今後も自分たちを頼ると信じている。
コルベ
実力はあるもののトラウマを抱えたハンターである。
彼は過去にモンスターに食われかけた経験を持つ。
彼はトメジマやハザワの知人だ。
・所属組織、地位や役職
個人ハンター。遺物倉庫の警備員。
・物語内での具体的な行動や成果
トメジマからカドルとの遺恨解消をアキラと交渉するよう勧められた。
倉庫を襲撃したモンスターを見て一時的に平静を失う。
人間相手の戦闘では襲撃者たちを一人で圧倒した。
襲撃者を半死半生の状態でシジマの部下に引き渡している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
戦闘後にシジマの部下たちからその実力を高く恐れられた。
スラム街の抗争終結後もシェリルたちの拠点の防衛に貢献している。
デイル
真面目な性格のハンターである。
彼はアキラとヨノズカ駅遺跡で遭遇した。
彼はシェリルを大企業の令嬢であると誤解している。
・所属組織、地位や役職
個人ハンター。遺物倉庫の警備員。
・物語内での具体的な行動や成果
アキラがヨノズカ駅遺跡の遺物を倉庫へ持ち込んだことに気付いた。
未発見の遺跡の情報源についてアキラに詮索を行っている。
倉庫襲撃時は戦えない子供たちを速やかに避難させた。
アキラが人型兵器を圧倒する姿を見てシェリルの後ろ盾の強さに納得する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
シェリルとの交渉で様々な遺物に関する知識を無償で提供させられた。
彼女に対する誤解をさらに強固なものとしている。
レビン
借金を抱えて喘ぐハンターである。
彼はカツラギから執拗な返済要求を受けている。
彼はアキラに対して苦手意識と恐怖を抱く。
・所属組織、地位や役職
個人ハンター。遺物倉庫の警備員。
・物語内での具体的な行動や成果
ヨノズカ駅遺跡での出来事によりアキラへ多額の借金を作った。
カツラギの借り換え提案に乗った結果、さらに多額 of 債務を背負う。 (※さらに多額の債務を背負う。)
倉庫を警備する子供をアキラと勘違いして割愛・叱責した。 (※倉庫を警備する子供をアキラと勘違いして叱責した。)
倉庫襲撃時は突入してきたトラックの運転手を撃退しようとしている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
カツラギからの借金が倍以上に膨らみ、拘束された生活を送る。
アキラが人型兵器を倒した強さを知り、借金の踏み倒しを完全に諦めた。
ハザワ
レビンと行動を共にするハンターである。
彼はかつてアキラと都市の巡回依頼で同行した。
彼は自身の稼ぎを装備更新に回している。
・所属組織、地位や役職
個人ハンター。遺物倉庫の警備員。
・物語内での具体的な行動や成果
荒野で十分に稼ぎ、高性能な強化服を購入することに成功した。
倉庫襲撃時にレビンを背後から狙った襲撃者を射殺している。
アキラが人型兵器を圧倒する強さを嬉しげに見守った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
借金の呪縛をレビンに指摘しつつ、自身の成長を噛み締めている。
アキラとの出会いが自分たちのハンター人生を変えたと実感した。
シェリルの徒党
シェリル
スラム街の弱小徒党を率いる少女である。
彼女はアキラを自身の絶対的な後ろ盾とする。
彼女はアキラに自身の価値を認めさせようと奮闘している。
彼女はアキラの殺意を和らげられる唯一の存在だ。
・所属組織、地位や役職
シェリルの徒党・ボス。遺物販売店の共同経営者である。
・物語内での具体的な行動や成果
アキラから預かったヨノズカ駅遺跡の遺物を元に販売店の設立を計画した。
カツラギの協力のもと、スラム境界に頑丈な遺物倉庫を設立している。
二大徒党からの強硬な傘下要求に対し、カツヤ派のドランカム部隊を警備に雇った。
大抗争の終結後は、アキラの戦闘報酬を店への投資金として受け入れている。
アキラを自ら抱きしめることで彼の落ち込んだ気力を回復させた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
デイルを相手に卓越した交渉術を披露して高価な情報を引き出す。
大抗争後はヴィオラを経営スタッフとして引き入れ、スラムの支配的地位を確立した。
エリオ
シェリルの徒党に所属する少年である。
彼はアリシアを心から大切にしている。
彼はアキラに対して強い恐怖と緊張を抱く。
・所属組織、地位や役職
シェリルの徒党・幹部。武力要員のリーダーである。
・物語内での具体的な行動や成果
カツラギから支給された装備を身につけて倉庫の警備にあたった。
モンスター襲撃時に、恐怖に耐えながら仲間に指示を与えて抗戦する。
仲間の半数が避難する中、徒党を守るために自らは現場に残った。
戦闘中に腹部を負傷し、アキラから与えられた高性能回復薬で完治している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
アキラとのやり取りで生じる緊張感に幹部職の過酷さを実感した。
アリシアと共に、大切な者を守るために幹部としての活動を継続する。
アリシア
シェリルの徒党の少女である。
彼女はエリオの恋人である。
彼女は幹部としてアキラの応対に慣れるようシェリルに呼ばれた。
・所属組織、地位や役職
シェリルの徒党・幹部。
・物語内での具体的な行動や成果
アキラが拠点に現れた際、落ち込んでいる様子をシェリルへ報告した。
エリオが倉庫警備中に負傷した際、彼の身を案じて悲痛な声を上げている。
回復薬によって命を取り留めたエリオに泣きながら抱きついた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
エリオと共に過酷な状況を生き抜き、さらに絆を深めている。
アキラとの直接の応対に強い緊張を感じていた。
ナーシャ
シェリルの徒党の少女である。
彼女はルシアの親友である。
彼女はルシアをアキラの恐怖から救おうと画策する。
・所属組織、地位や役職
シェリルの徒党・幹部。
・物語内での具体的な行動や成果
アキラとルシアを同席させることでアキラが気にしていない実例を作ろうとした。
アキラから手渡された回復薬を預かり、他の瀕死者へ使用している。
ルシアを伴って速やかに治療の作業へ取り組んだ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ルシアの立場改善に尽力し、彼女への周囲の視線を和らげることに成功した。
アキラへの強い苦手意識を抱きながらも幹部としての仕事を全うする。
ルシア
シェリルの徒党の少女である。
彼女は過去にアキラの財布を盗み殺されかけた。
彼女はアキラの危険性を身をもって知っている。
・所属組織、地位や役職
シェリルの徒党の構成員。
・物語内での具体的な行動や成果
アキラがスリに狙われた理由を装備の視認性の観点から説明した。
アキラから説明に対する感謝を告げられ、怯えながら応対している。
倉庫襲撃時は、ナーシャと共に負傷者の救護活動に奔走した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
アキラからお礼を言われたことで徒党内での立場を改善することに成功する。
しかしアキラの対応能力を評価されて幹部にされることを本気で嫌がった。
商人・店舗
カツラギ
トレーラーで移動店舗を営む武器商人である。
彼はアキラの遺物の質と量に欲を刺激される。
彼はシェリルの知性を高く評価している。
・所属組織、地位や役職
武器商人。遺物販売店の共同経営者である。
・物語内での具体的な行動や成果
シェリルと協力し、アキラの遺物を元に販売店の設立を進めた。
アキラから預かった遺物のリスト作成と撮影を行っている。
トメジマがアキラと揉めた件を理由に、彼を経営から排除した。
アキラから投資金の未使用分の返還を求められ、高性能バイクを調達する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
大抗争後はシェリルを単なる少女ではなく頼もしいパートナーと再評価した。
アキラへの装備販売の機会を狙ってシェリルへの投資を継続する。
シズカ
アキラが頻繁に利用する武器店の店主である。
彼女はアキラの身の安全を最も心配している。
彼女はアキラに無茶な稼業を控えるよう約束させた。
・所属組織、地位や役職
武器・装備店「静」の店主。
・物語内での具体的な行動や成果
アキラから依頼された6億オーラムの予算による装備選定を引き受けた。
アキラの要望と予算を基に、取り寄せ可能な商品リストを作成している。
アキラの強さが身の程を超えていることを危惧して身体の整備を勧めた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
アキラへ「SSB複合銃」などの超高性能装備を提供して彼の戦闘力を飛躍的に高める。
アキラを破滅から守るための後ろ盾として機能し続けている。
ダリス
カツラギの商売仲間である。
彼はカツラギから倉庫の遺物の情報を聞きつけた。
彼はアキラの実力に疑念を抱いている。
・所属組織、地位や役職
商人。
・物語内での具体的な行動や成果
倉庫に並べられた遺物の圧倒的な質と量を目撃して驚愕した。
アキラのハンターランクが23である点から本当に彼が集めたのか疑う。
倉庫の襲撃騒ぎを聞き、カツラギの店に詰め寄って騙されたのではないかと激怒した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
カツラギの曖昧な態度や、アキラの実例を目にして最終的に呑まれている。
遺物の価値に欲を刺激されて取引への参加を強く望んだ。
情報屋
ヴィオラ
極めて質の悪い女性情報屋である。
彼女は都市の計画を実行するため抗争を煽る。
彼女は他者の認識をコントロールすることを得意とする。
・所属組織、地位や役職
情報屋。クガマヤマ都市長期戦略部の工作員。遺物販売店の経営スタッフである。
・物語内での具体的な行動や成果
エゾントファミリーとハーリアスに最新の人型兵器を調達させ、抗争を勃発させた。
シジマを脅迫してアキラとの衝突を仕組んでいる。
アキラに至近距離から撃ち抜かれたが、治療キットにより完全に回復した。
生かす価値を提示してアキラに見逃され、シェリルの店を手伝う約束を交わす。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
二大徒党を壊滅させて都市に莫大な資金を回収させる工作を成功させた。
大抗争後はシェリルの店の経営を支える強力な協力者となる。
スラム街の仲介屋・高利貸し
トメジマ
高利貸しを営むスラム街の仲介屋である。
彼はカドルがアキラと揉めたことに深く憤る。
彼は利益の大きい遺物販売店への参画を強く望む。
・所属組織、地位や役職
スラム街の仲介屋。高利貸し。
・物語内での具体的な行動や成果
カドルの件によるアキラとの遺恨を解消するためカツラギに仲介を依頼した。
カツラギから断られ、アキラを怒らせたくない理由で経営から追い出されている。
ヴィオラからの甘い誘いに乗り、二大徒党への抗争資金の融資を口利きした。
アキラを恐れるあまり、カドルの居場所を提供して機嫌を取るか葛藤している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
カドルの仕出かした不始末により、莫大な裏利益の機会を喪失した。
アキラとの遺恨が解消された後は一定の安堵を示している。
ハンター徒党「ドランカム」
シカラベ
ドランカムの古参ハンターである。
彼はカツヤを毛嫌いしている。
彼はクロサワと親しい友人関係を築いている。
・所属組織、地位や役職
ハンター徒党「ドランカム」所属のハンター。
・物語内での具体的な行動や成果
ミハゾノ街遺跡での戦闘内容を酒場でクロサワに詳しく語った。
カツヤ派の部隊の異常な連携についてクロサワと意見交換を行っている。
レイナの専属メイドであるシオリたちのメイド服についてクロサワに尋ねた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
カツヤ派の台頭による組織の派閥争いに注意するようクロサワから促される。
ドランカム内部の権力闘争に巻き込まれながらも独自の立場を維持する。
クロサワ
実力派のハンターである。
彼は組織の都合で命を失うことを嫌いドランカムを脱退した。
彼はカツヤの部隊の連携練度に異常な違和感を抱いている。
・所属組織、地位や役職
個人ハンター。元「ドランカム」所属。
・物語内での具体的な行動や成果
ミハゾノ街遺跡の市街区画作戦でカツヤたちの部隊を指揮した。
カツヤ個人の実力ではなく、部隊の連携のみが不自然に高精度な点に着目する。
カツヤに逆らったメンバーが危険な配置へと急遽変更されていた痕跡を発見した。
酒場でシカラベに対し、ドランカムの派閥争いに気を付けるよう忠告している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ドランカムの派閥闘争における暗部(邪魔な人員の除去工作)を的確に見抜いた。
自身の指揮官としての能力に対する自信が揺らぎ始めている。
カツヤ
ドランカムの若手派閥を率いる少年ハンターである。
彼はシェリルに対して強い好意を寄せている。
彼はアキラに対して強いライバル心と敵対心を抱く。
・所属組織、地位や役職
ハンター徒党「ドランカム」所属の若手ハンター。カツヤ派のリーダーである。
・物語内での具体的な行動や成果
ミズハの反対を押し切ってスラム街の遺物倉庫の警備依頼を引き受けた。
総合支援強化服による高度な連携で、倉庫に押し寄せる白兎の部隊と交戦する。
倉庫の防衛に失敗し、シェリルの慟哭を見て自分の実力不足に心を痛めた。
ユミナから叱咤を受けて意気を立て直し、警備活動の継続を誓っている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
スラム街の子供たちからその謙虚な態度と圧倒的な強さを称賛される。
ドランカム事務派閥からの支援システムにより、一時的に部隊の連携を高めた。
ユミナ
ドランカムに所属する少女ハンターである。
彼女はカツヤを心から心配し、彼を支えようとする。
彼女はカツヤ派の部隊内での自身の孤立を自覚している。
・所属組織、地位や役職
ハンター徒党「ドランカム」所属のハンター。
・物語内での具体的な行動や成果
支給された支援服が自身に合わないとしてカツヤに不安を漏らした。
倉庫警備の作戦では、足を引っ張って戦闘行動の遅れを自覚した。
倉庫倒壊後は、落ち込んでいたカツヤを厳しく叱咤して立て直した。
シェリルに対して警備の失敗を代表して誠実に謝罪している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
部隊の少年たちからの侮蔑を感じ取り、自身の立ち位置に悩んでいる。
カツヤを精神的に支える重要なパートナーとしての存在感を示した。
アイリ
カツヤを支えるドランカムの若手ハンターである。
彼女は戦闘において極めて高い判断力を発揮する。
彼女はカツヤに絶対の信頼を寄せている。
・所属組織、地位や役職
ハンター徒党「ドランカム」所属 of ハンター。 (※ハンター徒党「ドランカム」所属のハンター。)
・物語内での具体的な行動や成果
総合支援システムの戦闘指示に対して最も早く応答の通知を送信した。
カツヤの指揮下で人型兵器との防衛戦闘を全力で遂行している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
カツヤたちの連携行動において最も息の合った動きを見せる戦闘員である。
本作本編での具体的な出番は限定的となっている。
ミズハ
ドランカムの局長(幹部)である。
彼女は事務派閥を率いて若手ハンターを政治的に利用する。
彼女はカツヤを組織の看板として過剰に優遇している。
・所属組織、地位や役職
ハンター徒党「ドランカム」の幹部、事務派閥の代表格。
・物語内での具体的な行動や成果
セランタルビル周辺の封鎖簡易拠点に現れたヤナギサワを必死に応対した。
ヤナギサワの視察を通じて都市幹部との繋がりを築こうと画策する。
簡易防壁がネリアによって一瞬で斬り刻まれた様子を見て唖然とした。
都市からセランタルビルの封鎖任務を突然打ち切られ、唖然としている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
都市の防衛隊への恒久封鎖の移行に伴い、セランタルビルの権益を失った。
カツヤ派の宣伝工作の機会を都市幹部の勝手な行動により台無しにされている。
ハーリアス
ドーラム
スラム街の巨大組織「ハーリアス」に君臨するボスである。
彼は凡庸な操縦者による数の有利を戦術に選ぶ。
彼はヴィオラを信用しないが彼女の情報は信頼している。
・所属組織、地位や役職
ハーリアス・ボス。
・物語内での具体的な行動や成果
ティオルが持ち帰った映像を元に、アキラの遺物倉庫を標的に定めた。
八島重鉄の営業カザフゼから、廉価版人型兵器「白兎」を80機購入した。
エゾントファミリーを数の有利によって完全に潰すよう指示を出す。
アキラが白兎を倒した戦闘データを検証し、彼の強さを測ろうとした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
組織の資金と武装を全て抗争へ注ぎ込み、エゾントとの決戦を急いだ。
大抗争の裏で、ネリアの同僚によって指揮車両を強襲され死亡する。
ティオル
トメジマの紹介で警備に加わった少年ハンターである。
彼はシェリルに一目惚れした。
彼は本来の目的を忘れるほど彼女に見惚れる。
・所属組織、地位や役職
個人ハンター。ハーリアスのスパイ。遺物倉庫の警備員。
・物語内での具体的な行動や成果
金を貰い、警備を装って倉庫の遺物を情報収集機器で盗撮した。
立ち入り禁止区域に侵入した際、シェリルに見つかって問い詰められる。
シェリルに見惚れたことで不審な態度を覆い隠し、首にならずに済んだ。
倉庫襲撃時は、シェリルに認められようと積極的にモンスターへ挑む。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
一目惚れによる狼狽が結果的にスパイ活動の露見を防ぐことになった。
トメジマから後で激しく叱責されるまで、ニヤけた表情を崩さなかった。
ザルモ
ハーリアス側の作戦を指揮するハンターである。
彼はアキラを標的として待ち構えていた。
彼は不敵な笑みを浮かべて戦況を監視する。
・所属組織、地位や役職
ハーリアス所属のハンター。襲撃の指揮官。
・物語内での具体的な行動や成果
トラックで強力なモンスターを遺物倉庫へ放ち、大混乱を引き起こした。
白兎の操縦者であるボーゼを叱咤しながら、自身は狙撃でアキラを狙う。
アキラに対して「ここからが本番だ」と告げて銃撃戦を展開した。
アキラに戦闘で敗北し、死亡している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
アキラに撃破されるものの、彼の新装備の力を引き出す的として機能した。
彼の死体はのちにヴィオラによって交渉の道具として利用される。
ボーゼ
ハーリアスから人型兵器「白兎」を与えられたハンターである。
彼は不慣れな操縦により戦果を出せない。
彼はザルモから叱責を受けている。
・所属組織、地位や役職
ハーリアス所属の戦闘員。白兎の操縦者。
・物語内での具体的な行動や成果
廉価版人型兵器「白兎」を操縦してアキラの遺物倉庫の襲撃に加わった。
新装備を持ったアキラに容易に機体を転倒させられ、操縦席を銃撃される。
ザルモから「あっさり倒されるな」と汎用通信で激しく怒鳴られた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
アキラに操縦席を破壊される寸前にザルモの狙撃による援護で救い出される。
大抗争においては、ネリアが仕組んだ自滅戦闘の波に巻き込まれて死亡した。
エゾントファミリー
ロゲルト
スラム街を支配する二大徒党「エゾントファミリー」のボスである。
彼は実力主義を掲げる武闘派だ。
彼は吉岡重工から次世代の高性能機「黒狼」を購入した。
・所属組織、地位や役職
エゾントファミリー・ボス。黒狼の操縦者。
・物語内での具体的な行動や成果
自ら「黒狼」の操縦席に乗り込み、ハーリアスの白兎部隊を何十機も撃破した。
アキラの遺物倉庫を主砲で直接砲撃して完全に粉砕・倒壊させる。
アキラと一対一で死力を尽くした超高速の格闘戦を繰り広げた。
戦闘後はアキラに負けを認め、潔く自分を殺すようアキラに告げている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
アキラに力場障壁を突破されて機体を大破させられ、敗北を喫した。
最期は、割り込んできたネリアの斬撃によって頭部と身体を十字に切断され、絶命する。
八島重鉄
カザフゼ
八島重鉄の営業担当者である。
彼は自社の製品である人型兵器の性能に絶対の自信を持つ。
彼は他者の脅迫に対して欠片も動じない。
・所属組織、地位や役職
八島重鉄・営業担当。
・物語内での具体的な行動や成果
ドーラムに廉価版人型兵器「白兎」を1機2億オーラムで売り込んだ。
アキラに白兎が敗北したことを、相手が4億の装備を持つ例外だと釈明する。
抗争後にヴィオラの病室を訪れ、アキラの介入でプレゼンを台無しにされたと追及した。
ヴィオラから提示された「アキラはランク詐欺のハンターだった」という自社製品への擁護案を受け入れる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
都市への機体納入を有利に進めるため、ヴィオラの報告書の記載に期待を寄せる。
吉岡重工のハラジとは一歩距離を置き、抜け駆けを狙っている。
吉岡重工
ハラジ
吉岡重工の営業担当者である。
彼は営業として適切な冷徹さを備えている。
彼はロゲルトの脅しに対して全く怯まない。
・所属組織、地位や役職
吉岡重工・営業担当。
・物語内での具体的な行動や成果
ロゲルトに対し、人型兵器「黒狼」の武装やオプションの追加購入を迫った。
抗争終了後にヴィオラを訪ね、アキラの入国・乱入が彼女の仕業であると激しく問い詰める。 (※アキラの乱入が彼女の仕業であると激しく問い詰める。)
ヴィオラからの更なる工作の提案(アキラをランク詐欺扱いにする依頼)を拒否した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
自社の最高高性能機「黒狼」がアキラに敗れたことで、都市防衛隊への納入に懸念を抱く。
ヴィオラへの依頼を避けて、八島重鉄のカザフゼと別ルートでの言い訳作りを開始した。
八林診療所
ヤツバヤシ
スラム街で診療所を経営する医師である。
彼は怪しげな自作回復薬を開発・処方している。
彼は治療行為のツケ払いを受け入れる。
・所属組織、地位や役職
八林診療所・医師。
・物語内での具体的な行動や成果
倉庫襲撃で運び込まれたシェリルの徒党の負傷者たちをツケで治療した。
人型兵器と戦ったアキラを診察し、残留ナノマシンの数値が高いことを指摘する。
アキラに対して、大量の回復薬を常用する「超人育成鍛錬」について説明した。
アキラに身体改造や自作の緑色の回復薬を強く勧めている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
アキラから身体改造を即座に断られ、あからさまに口を尖らせて不満を示した。
アキラの態度への腹いせとして、シェリルたちの患者に緑色の回復薬を格安で処方する。
クガマヤマ都市・都市の勢力
ヤナギサワ
冷徹な計算のもとで動くクガマヤマ都市の幹部である。
彼は旧領域に関する情報を異常なほどに追い求めている。
彼はヤバい仕事をネリアなどの使い捨て人員に任せる。
・所属組織、地位や役職
クガマヤマ都市幹部。
・物語内での具体的な行動や成果
封鎖中のセランタルビルへ突入するため、簡易防壁の破壊をネリアに命じた。
ビルの受付フロアで、管理人格セランタルに60階への来訪予約を拒否されている。
補助器具を装着し、6階の中央で旧領域上の女性存在と交渉を試みた。
交渉が却下された後、セランタルビル周辺の恒久封鎖権を都市防衛隊に移管させる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
旧領域への自力接続に悩みながらも、次のスラム街での作戦へネリアを割り当てる。
ドランカムの任務を打ち切り、ミハゾノ街遺跡の封鎖権を完全に掌握した。
ネリア
元遺跡強奪犯の義体女性である。
彼女は都市に拘束され、巨額の負債を返すために働いている。
彼女は卓越した戦闘能力とハッキングの技術を持つ。
・所属組織、地位や役職
クガマヤマ都市の工作員。ヤナギサワの部下。
・物語内での具体的な行動や成果
両手のブレードを使用し、戦車砲に耐える簡易防壁を一瞬で斬り刻んだ。
大抗争の最中、黒狼の整備作業員を皆殺しにして補給を遅延させている。
アキラとの戦闘で満身創痍となったロゲルトを殺害した。
ロゲルトの機体「黒狼」に乗り込み、白兎の部隊と自滅戦闘を繰り広げる。
アキラに対し、再び恋人にならないかとアキラを口説いた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
抗争を利用して二大徒党のボスや関係者を皆殺しにし、完全な壊滅へと導いた。
ヤナギサワから、任務完了の成果として飲食可能な義体の提供を約束される。
集団
ドランカム
スラム街の倉庫周辺を警備していたハンター徒党である。
内部ではミズハを筆頭とする事務派閥が実権を握り、カツヤを広告塔として売り出していた。
・所属組織、地位や役職
ハンター徒党。
・物語内での具体的な行動や成果
シェリルがカツヤを雇うための資金を受け取り、遺物倉庫の警備任務を受託した。
カツヤ派の部隊を動員し、簡易防壁の外で押し寄せる白兎の部隊と激しい交戦を行う。
開発版の総合支援システムを活用し、緊密な部隊連携によって戦線を維持しようとした。
倉庫の倒壊後は、ユミナの指示のもとで瓦礫の撤去や生存者の救護を支援している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
倉庫防衛自体には失敗したものの、雇い主であるシェリルとの契約に基づいて警備を継続した。
部隊の連携精度の裏にある「総合支援強化服」の実態をクロサワによって暴かれる。
徒党の子供たち
スラム街にあるシェリルの徒党に所属する子供たちの集団である。
彼らは戦力としての実力は全く持ち合わせていない。
・所属組織、地位や役職
シェリルの徒党の構成員。
・物語内での具体的な行動や成果
ハッタリを効かせるため、アキラと同じ衣装を着て倉庫の周囲を巡回した。
倉庫襲撃が発生した際は、戦うことなく速やかに倉庫内部へ避難している。
抗抗争終了後、アキラとシェリルが無事に帰還した姿を見て安堵した。 (※抗争終了後、アキラとシェリルが無事に帰還した姿を見て安堵した。)
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
アキラの恐ろしい実力と過去の惨劇を知っており、彼を極めて強く恐れている。
幹部の座を得るよりも、アキラと直接関わることを避けるため、上を目指そうとしない。
ハーリアスの幹部たち
ハーリアスのボスであるドーラムを取り囲む巨大徒党の最高意思決定者たちである。
彼らはドーラムの圧倒的な支配力に怯えている。
・所属組織、地位や役職
ハーリアスの幹部層。
・物語内での具体的な行動や成果
ティオルが倉庫から持ち帰った遺物の映像をテーブルで検証した。
遺物の質と量に驚愕し、アキラの真の実力や遺物の入手経路について議論を重ねる。
ドーラムがテーブルを叩いた際、激昂をやめて即座に姿勢を正した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ドーラムの凄みに対して冷や汗をかき、自らの態度を速やかに改めている。
大抗争の勃発に伴い、白兎部隊の調達や戦力配置の準備を急いだ。
襲撃者たち
外の混乱に乗じて、遺物倉庫の内部に侵入した武装ハンターたちの集団である。
彼らは遺物を手当たり次第に奪い去ろうとした。
・所属組織、地位や役職
ハーリアスに裏で雇われた襲撃部隊。
・物語内での具体的な行動や成果
倉庫内に突入し、シジマの部下たちを圧倒して遺物をバッグへ詰め込んだ。
コルベのことを「モンスターへの恐怖で落ちぶれた者」として嘲笑している。
戦闘後は、コルベ一人によって半数が殺害され、残りも瀕死の重傷を負わされた。
捕縛されてシジマの部下から手荒な尋問を受け、自らの認識の食い違いを漏らしている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ヴィオラによって賠償金などの負債を極限まで積み上げられる。
返済不能となり、債権ごと非人道的な実験対象として売り払われる運命を辿った。
エゾントファミリー
スラム街を武力で支配していた巨大徒党の一つである。
彼らは最新の人型兵器を調達してハーリアスを完全に壊滅させる準備を進めていた。
・所属組織、地位や役職
スラム街の巨大徒党。
・物語内での具体的な行動や成果
吉岡重工から次世代機「黒狼」を購入し、抗争の主戦力として配備した。
シェリルの遺物倉庫へ部隊を派遣し、倉庫を破壊してハーリアスへの換金を妨害する。
抗争開始後は、ロゲルトの指揮のもとでハーリアスの白兎部隊と大規模な戦闘を行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
一日のうちにロゲルトや主要な武装構成員、資金を全て失った。
ヤナギサワやネリアの暗躍により、計画通り完全に壊滅している。
白兎部隊
ハーリアスが八島重鉄から購入した廉価版の人型兵器「白兎」の部隊である。
彼らは数による圧倒を目的として投入された。
・所属組織、地位や役職
ハーリアス所属の人型兵器戦闘部隊。
・物語内での具体的な行動や成果
スラム街の各地から一斉に出現し、ロゲルトの「黒狼」へ向けて波状攻撃を仕掛けた。
アキラが陣取る遺物倉庫を包囲し、カツヤたちのドランカム部隊と交戦している。
アキラを単機であと一歩まで追い詰めるものの、新装備の力によって撃破された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ロゲルトの黒狼の圧倒的な性能と力場障壁により、何十機もが次々と破壊された。
大抗争の最後には、ハッキングされたネリアの「黒狼」と相打ちになり、全滅した。
黒狼の整備作業員
ロゲルトの「黒狼」の補充や整備を担当していた、移動式整備場の技術者たちの集団である。
彼らはロゲルトの戦闘継続を支える重要な役割を担う。
・所属組織、地位や役職
エゾントファミリーに同行していた整備部隊。
・物語内での具体的な行動や成果
トレーラー内において、ロゲルトの「黒狼」のエネルギー補充や弾薬補填の準備を行っていた。
作業の完了間際に、強襲してきたネリアによって一人残らず斬殺された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
彼らの全滅により、ロゲルトへのエネルギー補給が遅延し、彼の敗北の遠因となった。
整備場はネリアによって制圧され、黒狼の操縦権を奪われている。
民間警備会社
スラム街と都市の境界を重装備で警戒していた民間の警備組織である。
彼らは都市の安全維持のためパトロール業務を行う。
・所属組織、地位や役職
警備組織。
・物語内での具体的な行動や成果
下位区画の境界において、人型兵器が暴れる異常な有様を監視していた。
本部に対して、破壊された家屋が並ぶ光景を送りながら「異常無し」と報告した。
モンスターには備えるよう命じられていたが、人型兵器には対処不要の方針を遵守する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
都市の予算によるモンスター対策という名目のため、人型兵器の暴走を見て見ぬ振りをした。
都市側の冷徹な意図(実戦プレゼンの黙認)に従って行動を縛られている。
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リビルドワールド IV (4)レビュー
リビルドワールド全巻まとめ
リビルドワールド VI(6) 〈上〉レビュー
展開まとめ
第124話 遺物販売店
ミハゾノ街遺跡後の装備更新待ち
賞金首騒ぎの後、未発見の遺跡探しを再開していたアキラは、成果が出ないためミハゾノ街遺跡で遺物収集を行った。そこで遺跡の騒動に巻き込まれ、旧世界製装備を使うモニカに追い詰められたものの、アルファの支援によって撃破した。
モニカの装備を見たアキラは、アルファの依頼を果たすには同程度の装備が必要なのかと尋ねたが、アルファはあの程度では全く足りないと答えた。アキラは要求される力の大きさに驚きながらも、更なる強さを求め続けることになった。
モニカは賞金首に準じた扱いとなり、アキラ達には高額な賞金が支払われることになった。しかし旧世界製装備の所有権を巡り、都市、ドランカム、エレナ、キャロルの交渉が続いていたため、支払いには時間が必要だった。主要な銃を失ったアキラは、賞金で装備一式を更新するまで未発見遺跡探しを中断した。
遺物販売店の計画
アキラの端末にカツラギから遺物販売店の計画資料が届いた。読んだアキラは、以前シェリルに頼んだヨノズカ駅遺跡の遺物換金を、シェリルが自分から遺物販売を任されたと受け取っていたことを理解した。
シェリルはカツラギと協力し、単に遺物を買い取る相手を探すのではなく、販売店そのものを作ろうとしていた。アキラは想定とは違ったものの、遺物が高く売れるなら構わないとして任せることにした。
カツラギは協力する商売人達へ実物を見せるため、アキラ宅に保管されている遺物を先に預けてほしいと頼んだ。アキラは了承したが、問題が起きればカツラギに責任を取ってもらうと告げた。
シェリルへの責任
アキラの言葉を重く受け止めたカツラギは一度通信を切り、代わってシェリルが連絡してきた。シェリルは遺物を預けてほしいと改めて頼み、責任も可能な限り自分が取ると申し出た。アキラはすぐに了承した。
さらにアキラは、自分から頼んだ遺物販売の失敗について、責任をシェリルだけに押し付ける気はないと伝えた。以前の遺物収集では、シェリルの拠点が襲撃され、本人まで攫われていたため、最悪遺物をすべて失っても、その時の迷惑料などで相殺したと考えてもよいと話した。
問題が起きた場合も連絡すれば、アキラ自身に出来ることであれば対処すると告げた。シェリルは安堵し、何も起こさないよう努力すると答えた。
変わった金銭感覚
車庫にはヨノズカ駅遺跡から持ち帰った大量の遺物が残されていた。アキラは以前、それらを約5000万オーラムと見積もっていた。
当時は大金だったが、その後の賞金首騒ぎで1億オーラム以上を稼ぎ、ミハゾノ街遺跡でもそれを上回る報酬が見込まれていた。そのため今では5000万オーラムを以前ほど大きな額とは感じなくなっていた。
短期間で変化した自分の金銭感覚を、アキラは改めて実感した。
カツラギとシェリルの思惑
カツラギは、アキラがシェリルに大きく譲歩したことから、彼女がかなり贔屓されていると考えた。シェリルが恋人だからだと答えると、カツラギはそれを疑わず、遺物販売店の主導権を握る計画を見直した。
カツラギは、知識や商売上の伝手を持つ自分が実物を預かることで、今後の遺物売買の利権に深く入り込もうとしていた。しかしアキラがシェリルには遺物をすべて失っても許すほど甘いと受け取り、シェリルの価値を改めて高く見積もった。
一方のシェリルは、アキラの対応を自分への甘さだとは考えなかった。アキラ自身が頼んだ仕事だから責任を共有しているだけであり、自分だから特別扱いされたわけではないと自戒した。
むしろ失敗しても失望されないほど期待されていない可能性を恐れ、遺物販売店を成功させて自分の価値を認めてもらわなければならないと決意した。
大量のヨノズカ駅遺物
カツラギ達がアキラ宅を訪れ、シェリルの徒党の子供達が大量の段ボール箱をトレーラーへ運び始めた。カツラギは箱の中身を確認し、良質な遺物が大量にあることに驚いた。
入手経路を尋ねられたアキラは、事情があるとだけ答えて詳細を伏せた。カツラギは訳有りの品だと受け取り、それ以上追及しなかった。
遺物は市街区画とスラム街の境にある倉庫へ運ばれ、撮影と記録を行って販売用のリストを作ることになった。アキラ自身も中身をほとんど把握していなかったため、カツラギはさらに不審に思ったが、遺物の質と量への欲から販売を断念することはなかった。
商売人達の誤解
カツラギに呼ばれた商売仲間達は、実物の遺物を見ると予想以上の質と量に驚いた。さらにシェリルが旧世界製の服を素材として仕立て直した衣服を着ていることを知り、普通ではない資産を持つ人物だと受け取った。
以前カツラギからシェリルについて曖昧な説明を受けていた者は、彼女を大企業の令嬢だと完全に誤解した。カツラギは事情を説明できないという態度でその誤解を放置した。
一方、アキラについてはハンターランク23という情報と大量の高級遺物が結び付かず、本当に本人が集めた物なのか疑う者もいた。カツラギ自身も詳しい事情を知らなかったため、察してくれと曖昧に答えるしかなかった。
6億オーラムの先払い
倉庫にいるアキラへエレナから連絡が入り、ドランカムがモニカの賞金を立て替えて先払いする案を提示していると知らされた。
ドランカムは、アキラ達を交渉から外す代わりに、所属外のハンターへ個別に賞金を先払いするつもりだった。アキラへの提示額は6億オーラムであった。
ドランカムはモニカの旧世界製装備の所有権を集約し、都市との交渉を組織同士だけで進めることで、金銭以外の優遇や利権も含めて有利な取引を狙っていた。将来、モニカの表向きの賞金額がさらに高額になっても、その全額が現金で支払われるとは限らないこともエレナは説明した。
アキラはエレナが妥当と考える額なら問題ないとして了承した。早く装備を更新したかったため、賞金をすぐ受け取れること自体も歓迎していた。
全額を装備へ回すアキラ
6億オーラムを受け取れると知ったアキラは、入金されたらすぐシズカの店へ行き、装備を購入すると決めた。
一般のハンターであれば、それほどの大金を得れば生活環境の改善や休息、娯楽などにも使うところだった。しかしアキラは他の用途を考えることもなく、全額を装備へ回そうとしていた。
より強い装備を求め続けるその姿勢は、アキラに依頼を達成させたいアルファにとって好都合であり、アルファは機嫌良く笑っていた。
6億を聞いたシェリル
戻ってきたシェリルは上機嫌なアキラに稼ぎを尋ねた。アキラが約6億オーラムだと答えると、シェリルは大きく動揺した。
シェリルは遺物販売店を成功させれば、アキラへ6000万オーラムほど渡せると考えていた。それだけあればアキラの歓心を得られると思っていたが、アキラが短期間でその十倍ほどを稼いだと知り、自分の計画の価値に不安を覚えた。
それでも、アキラに追い付くには自分達も稼ぎを増やすしかなかった。シェリルは遺物販売店を徒党発展の足掛かりにすると改めて決意した。
アキラが入金の通知を受けて帰った後、シェリルは表情を引き締めた。そしてカツラギ達の前では有力者の令嬢らしい態度を崩さず、遺物販売店を必ず成功させるため動き始めた。
第125話 続く賭け事
6億オーラムの装備更新
モニカの賞金として6億オーラムを受け取ったアキラは、そのままシズカの店へ向かった。ミハゾノ街遺跡で旧世界製装備のモニカに追い詰められた経験から、装備の性能差を痛感しており、6億オーラムを予算に装備一式を更新したいと相談した。
シズカは金額の大きさに戸惑い、さらにアキラが稼ぎを次々と装備へ注ぎ込んで危険なハンター稼業を続けていることを心配していた。だが止めても聞かないだろうと考え、代わりに装備だけでなくアキラ自身の休息と整備も重要だと念を押した。アキラはその気遣いを素直に受け入れ、装備の相談を始めた。
遺物販売店から外されたトメジマ
カツラギとシェリルは商売仲間達を集め、アキラから預かった大量の遺物を基に販売店の計画を進めていた。店舗はスラム街に置き、シェリルが周辺の徒党と話をつけ、カツラギ達もハンターを警備に回す方針となった。
その中でカツラギは、以前アキラと揉めた者を関係者に持つトメジマを計画から外した。直接アキラに狙われているのはカドルだったが、カツラギはアキラがいつトメジマとの関係を思い出すか分からず、遺物販売店の計画に影響が出る危険を避けたかったのである。
他の商売人達もアキラとの関係悪化を恐れてトメジマを庇わず、トメジマは退出した。カツラギはその流れで自分がアキラと死線を潜った仲だと強調し、会議の主導権を握った。実際には、カツラギは最初からトメジマを追い出すつもりで呼んでおり、それを見抜いていたのはシェリル程度だった。
ヴィオラへの示談依頼
計画から外されたトメジマは、待っていたコルベに事情を話した。カドルをアキラに差し出すことまでは考えられず、アキラとの仲介をコルベに頼んだが断られた。
遺物販売店の利権を諦めきれないトメジマに、コルベは冗談半分でヴィオラに頼めばよいと口にした。トメジマはその案を真剣に受け止め、後にヴィオラへアキラとの交渉の席を用意してほしいと依頼した。
ヴィオラは示談交渉の代行や命の保証まで持ち出してトメジマの不安を煽った。トメジマは余計なことをさせまいと交渉自体は自分で行うことにしたが、命の保証についてはヴィオラの頼みを聞くことで代金とする条件を受け入れた。
新たな銃の選定
自宅に戻ったアキラは、シズカから送られた新装備候補をアルファと確認していた。候補には、CWH対物突撃銃の威力、DVTSミニガンの連射力、狙撃銃の射程と精度、A4WM自動擲弾銃の機能をまとめた多機能銃が多数含まれていた。
多機能銃は個々の性能で専用銃に劣ることもあったが、高価格帯では各機能が十分な水準に達しており、多様な状況を一人で処理するアキラには適した選択肢だった。しかし候補が多く、それぞれ利点と欠点があるため、アキラは選び切れずに悩んだ。
シズカは予算6億オーラムのうち、強化服に4億、銃に1億、弾薬やエネルギーパックに1億を割り振っていた。アキラはその配分をシズカに任せることにした。
大物殺しの方針
銃選びの基準を尋ねられたシズカは、モニカのような強固な相手への備えとして、大物殺しに特化させる案を示した。通常の攻撃が通じない相手でも、防御を揺るがす一撃があれば逃げる機会を作れるため、銃も弾薬も威力を重視するという考えだった。
弾薬費に1億オーラムを割り当てたのも、高性能な銃に安価な弾を使う意味が薄いことに加え、極端に高価でも非常に威力の高い弾を保険として用意するためだった。シズカは同時に、その保険が必要になるような無茶をしないようアキラに求めた。
アキラはその方針を採用し、擲弾の使用を捨ててでも強固な敵の防御を突破できる、貫通力と威力を重視した銃を選ぶことにした。アルファが条件に合わない候補を消した後も多数の銃が残ったため、アキラは急がず選定を続けた。
ヴィオラの条件
一方、ヴィオラは情報端末越しにトメジマと交渉していた。トメジマはアキラとの面会だけを求め、示談そのものをヴィオラに任せることは拒んだ。
ヴィオラはアキラに狙われている可能性を持ち出し、命の保証は別料金だと告げた。トメジマがその料金を尋ねると、ヴィオラは金の代わりに簡単な頼み事を提示した。
裏があると分かりながらも、内容自体は難しくなかったため、トメジマはその頼みを引き受けた。
第126 話 ある地雷原
スリに狙われたアキラ
シェリルに呼ばれたアキラは、強化服と改造済みの銃二挺を身に着けてスラム街を歩いていた。本人は軽装のつもりだったが、周囲から見れば十分に武装した危険人物であった。
その途中、男がアキラの財布を盗もうとした。アキラは自力で気付き、財布を取り返して男を路地裏へ蹴り飛ばした。加減したつもりだったが、男は腕まで潰されて半死半生となった。アキラは強化服の細かな操作がまだ甘いと認めつつ、そのまま立ち去った。
弱そうに見える理由
シェリルの拠点に着いたアキラは、スリに狙われたことを気にして沈んでいた。シェリルが理由を尋ねると、アキラは今の装備でも自分が弱そうに見えるのかと問い返した。
シェリル達が答えに詰まる中、以前アキラの財布を盗んだルシアは、自分達には強化服や銃の性能を外見だけで見抜く知識がなく、大型銃のような分かりやすい装備でなければ危険度を判断できないと説明した。アキラは、強いことと強そうに見えることは別だと理解し、今回スリに狙われた理由にも納得した。
シェリルは、アキラが弱そうに見えるのは実際の強さが自分達の想像を超えているからだと持ち上げた。しかしアキラは実力を褒められることにはほとんど反応せず、装備の見え方を説明したルシアの話を高く評価した。シェリルは期待した反応を得られず、アキラへの接し方に再び悩んだ。
アキラを恐れる徒党の幹部達
カツラギ達の到着を受け、エリオ、アリシア、ナーシャ、ルシアは応接間から退出した。四人はアキラとの短い会話だけで強い緊張を味わい、幹部になればアキラと直接関わる機会が増えることが、徒党内で幹部職が人気を得ない理由だと実感していた。
シェリルの徒党はアキラという強力な後ろ盾によって規模を拡大していたが、構成員達にとってアキラは頼もしい以上に恐ろしい存在だった。ルシアは今回アキラに礼を言われたことで立場が改善すると期待したが、逆に応対能力を評価されて幹部にされる可能性を指摘され、本気で嫌がった。
カツラギへの2000万オーラムの注文
カツラギは、6億オーラムを全てシズカの店で装備に使おうとしているアキラに、自分の店でも何か買ってほしいと頼んだ。シェリルへの協力も持ち出して訴えたため、アキラは妥協し、高性能な回復薬を2000万オーラム分注文した。
さらにアキラは、次に持ち込む遺物を通常の買取にするか遺物販売店で扱うかをカツラギに任せた。カツラギは喜び、この機会を利用して遺物販売店にもアキラを関わらせようと、自分達への協力を持ちかけた。
4億オーラムの強化服選び
自宅では、アキラがアルファと新しい強化服を選んでいた。候補には薄手で体に密着するものなど様々な種類があり、同じ4億オーラムでも外見から性能を判断するのは難しかった。
アキラはルシアの話を思い返し、装備の知識がない者には高性能な強化服でも強そうに見えるとは限らないと納得した。そのため、相手に危険だと分かりやすく示すには大型銃のような装備も必要かもしれないと考えた。
キャロルからの誘い
装備選びの最中、キャロルから連絡が入り、アキラがその日にスリに狙われたことを言い当てられた。さらにキャロルは、そのスリには裏があると告げた。
アキラが詳細を尋ねても、キャロルはその場では話さず、翌日に会って話そうと誘った。アキラは渋々応じ、待ち合わせの時間と場所を決めた。
その後、キャロルは別の相手と通信し、翌日にアキラへ何かを提案する予定であることを話していた。相手から男を籠絡する腕が鈍ったのではないかとからかわれると、キャロルはアキラを例外だと答え、翌日の約束を楽しみにしていた。
第127話 稼いだ金の使い方
キャロルとの待ち合わせ
アキラは下位区画の高級商店街でキャロルを待っていた。強化服とAAH突撃銃だけの軽装だったが、周囲では少々場違いな姿であった。現れたキャロルは普段とは正反対の清楚な服装をしており、デートらしいやり取りを求めたが、アキラは話を聞きに来ただけだと応じた。
キャロルは、普段着まで強化服で済ませるアキラの生活を見抜き、稼いだ金を装備だけでなく衣食住にも使うよう勧めた。良い生活で心身を整えることも装備の整備と同じだという話は、シズカの助言とも重なっていたため、アキラも考えてみることにした。
スリ事件を巡る取引
二人は高級レストランに入り、アキラは自腹で約5万オーラムの料理を注文した。そこでキャロルは、先日のスリ事件には裏があると切り出した。
具体的な事情を知っているのはキャロルの知人の情報屋であり、情報を渡す条件として、アキラがトメジマとの交渉の席に着き、交渉中は危害を加えないことを求めていた。アキラはトメジマのことを忘れていたが、説明を受けて以前カドルと揉めた際に同席していた男だと思い出した。
キャロルは、この取引自体が罠である可能性もアキラ自身で考えるべきだと指摘した。アキラはキャロルに自分を騙す意思がないか確認し、アルファから嘘ではないと聞いて取引を受け入れた。
遺物販売店の裏側
食事を続ける中、アキラはシェリル達が進めている遺物販売店についてキャロルに尋ねた。キャロルは、スラム街の遺物販売店には正規の市場では扱いにくい需要があり、軌道に乗れば大きな利益を生むと説明した。
金でハンターランクを上げたい者は取引記録のない遺物を必要とし、企業との契約で納品量が不足した者も不足分を調達する必要があった。逆に契約分以上の遺物を隠れて売りたい者や、所属ハンターへの報酬として遺物を用意したい徒党も利用していた。
ハンターオフィスも全てを取り締まるには費用が掛かるため、遺物売買の循環を抑える程度に留めていた。アキラは、そうした裏の需要があるからこそカツラギが遺物販売店に力を入れているのだと納得した。
1発500万オーラムの弾丸
話の途中でシズカから弾薬の見積もりが届き、アキラは対力場装甲弾が1発500万オーラムと知って驚愕した。モニカ戦でキャロルから大量に分けてもらった弾が、それほど高価だとは思っていなかったのである。
キャロルは、通常価格では500万オーラムだが、クガマヤマ都市周辺ではハンターランク50になると支援によって500オーラムで購入できると説明した。強力な弾丸を安価に流通させれば都市に対抗できる武装が広がるため、一般には高額に設定され、高ランクハンターだけが支援を受けられる仕組みであった。
支援品の転売には制限がある一方、仲間や友人への譲渡はある程度黙認されていた。キャロル自身はランク50ではなかったが、高ランクハンターとの伝を利用して弾を入手していた。
キャロルからの勧誘
キャロルは、仲間になればアキラも対力場装甲弾を使いやすくなるとして、自分と組まないかと誘った。アキラは、キャロルへの不信からではなく、一人で動く方が性に合っているとして断った。
エレナ達のように状況次第で共同依頼を受けることはあっても、基本的には単独で活動するというアキラの考えを聞き、キャロルも納得した。色気でも戦力でも誘えないと苦笑しながら、二人はそのまま食事と歓談を続けた。
空に浮かぶ遺跡
話題は空の遺跡へ移り、キャロルは旧世界の浮遊要塞や巨大航空機が東部の空に存在すると話した。そうした遺跡を目指す高ランクハンターもいたが、地上の遺跡とは別物の危険さがあった。
東部では東へ行くほど、また高度が上がるほどモンスターが強くなり、大きく高速で移動するほど遭遇率も上がった。そのため航空機で直接上空を目指すことは極めて危険で、都市周辺では航空機の使用自体が制限されていた。
空の遺跡へ向かう場合は、比較的モンスターの弱い東部西端まで移動し、そこから飛行機で接近するのが基本であった。事情を知ったアキラは、アルファから依頼されている遺跡が地上にあることを内心で願った。
第128話 断る理由
夜の待ち合わせ
アキラは夜の繁華街でキャロルと待ち合わせ、今度は強化服に2挺の銃と予備弾薬を携えていた。現れたキャロルは昼とは異なるボディースーツ姿で、アキラの反応を確かめたが、彼は防護服か強化服かという装備面しか気にしなかった。服装を変えても色気への反応が変わらないことに、キャロルは内心で頭を悩ませた。
二人が向かったのは、以前シカラベに呼び出された酒場だった。店主はキャロルを見ると明らかに動揺し、騒ぎを起こさないよう念を押した。キャロルは副業絡みで以前にいざこざがあったとだけ説明し、アキラを連れて2階へ向かった。
トメジマとの交渉
トメジマはヴィオラと共にアキラを待っていた。アキラについて調べ、スラム街の徒党を一人で壊滅させた危険人物だと知ったトメジマは、この酒場なら無茶をしないだろうと期待し、さらにヴィオラにも交渉中の安全を依頼していた。
アキラが現れると、トメジマは以前カドルが迷惑を掛けた件について詫びたいと話した。さらにシェリルの遺物販売店への協力も申し出たが、反応の薄いアキラを見て不安になり、100万オーラムを差し出して、あの件を無かったことにしてほしいと頼んだ。
アキラは、自分を殺そうとした出来事まで金で無かったことにされると受け取り、明確に不機嫌になった。トメジマの申し出を断って席を立ち、金額の問題ではないと言い残して酒場を去った。
消せない遺恨
酒場を出たアキラは、キャロルに理由を聞かれ、自分を殺そうとしたことを金で無かったことにはされたくないと答えた。実際にはトメジマは遺恨を残さない程度の意味で話していたが、両者の認識が食い違ったことで交渉は決裂していた。
アキラにとってカドルを殺すかどうかは自分が決めることであり、わざわざ探し出すほどではなかった。見掛けても気が乗らなければ放置するつもりであり、その判断に他人から口を挟まれること自体を嫌っていた。
キャロルは、アキラがコロンを提示されても意志を変えなかったことを踏まえ、金などで一度決めたことを反故にせず、だからこそ安易に約束もしない人間なのだと受け取った。アキラも完全には言い切れないながら、その考えを概ね認めた。
キャロルの上機嫌
キャロルは交渉の成否にかかわらず、スリ事件の裏に関する情報は必ず渡させると約束した。さらにカドルの居場所まで調べようかと尋ねたが、アキラはそこまでする必要はないと断った。
その後キャロルは飲み物を買ってアキラに渡し、仲介人として嫌な思いをさせた詫びだと笑った。アキラはそれ以上の奢りを断ったが、キャロルは終始上機嫌であり、別れた後もアキラは少し機嫌を良くして帰路についた。
ヴィオラとキャロル
交渉に失敗したトメジマは酒場で頭を抱え、ヴィオラに不満をぶつけた。ヴィオラは、余計なことをするなと言われたから交渉内容を事前に伝えなかったと返し、再交渉も請け負えると持ち掛けた。
トメジマはその申し出を断り、ヴィオラはあっさり立ち去った。その後、ヴィオラは自身の事務所で来客を待ち、そこへ上機嫌のキャロルが現れた。
シカラベとクロサワ
同じ酒場の1階では、シカラベがドランカムを離れたクロサワと酒を飲んでいた。クロサワはミハゾノ街遺跡での話を聞き、事務派閥がセランタルビル周辺の制圧で得た功績が、シカラベ達の工場区画での功績によって相殺され、派閥争いが続くだろうと話した。
その途中、酒場を出るアキラとキャロルを見掛けたクロサワは、旧世界製の装備を使うモニカを倒したアキラの実力を見抜けなかったことに違和感を覚えた。一方で、自身が指揮したカツヤの部隊にも別種の異常さを感じていた。
カツヤ隊の異常な連携
クロサワは、カツヤ個人の評価だけなら見誤りで済ませられるものの、カツヤが率いる一部部隊の連携精度は個人の範囲を超えて異常だったと説明した。個々の技量には未熟さが残っているのに、部隊全体の突入や連携だけが不自然なほど高水準だった。
シカラベは、事務派閥が企業から提供された開発中の総合支援強化服を若手に支給していたことを思い出し、実際には資料以上の性能を持つ特注装備が連携を支援しているのではないかと推測した。クロサワも、その可能性なら説明がつくと受け入れた。
若手部隊の人員配置
クロサワはさらに、過合成スネーク戦の資料から、カツヤと揉めたリリーを含む一部の若手が危険な位置へ配置されていた痕跡を見付けたと話した。カツヤに逆らい部隊連携を乱す者を前線へ出し、成功すればカツヤの功績、失敗すれば邪魔な人員を排除できる意図があったのではないかと考えていた。
シカラベはそこまでの危険を事務派閥が許容したとは考え難いと反論したが、クロサワは、安全な都市内にいる者達が実戦の恐怖や高揚による判断ミスを甘く見ていた可能性を挙げた。そして自身がドランカムを離れたのは、組織の都合で命を失う状況を避けるためだったと改めて語り、派閥争いの中にいるシカラベにも注意を促した。
メイド服の戦闘服
重い話を終えたシカラベは話題を変え、ミハゾノ街遺跡で同行したメイド服姿の戦闘員についてクロサワに尋ねた。クロサワは当初、旧世界製のメイド服を戦闘服代わりにしているだけなら認めないと答えた。
しかしシカラベが、レイナの付き人で本職らしい者を含めて二人いると話すと、クロサワは強い興味を示した。意図的に軽い話へ切り替えたシカラベだったが、予想以上に食い付くクロサワを相手に、そのまま友人との酒を楽しんだ。
第129話 短慮なハンター
シジマの拠点への同行
アキラはスリ事件の裏事情を受け取るため外出しようとしたところ、シェリルから遺物販売店についてシジマと交渉するので付き添ってほしいと頼まれた。アキラの情報受取場所もシジマの拠点だったため、二人は一緒に向かった。
シェリルは、自分達だけでは遺物販売店を守り切れないためシジマの徒党に協力を求めるつもりだった。交渉の場にアキラがいるだけでも圧力になると考えていた。
ヴィオラに追い詰められたシジマ
その頃シジマは、スリ事件の件をアキラに知られるとヴィオラから告げられ、激しく動揺していた。以前に流した噂を止めても、その影響まで消えるわけではなく、ヴィオラはこれからアキラに詳しい情報を渡すつもりだと告げた。
さらにヴィオラは、情報の受渡場所をシジマの拠点に指定していた。自分を無事に済ませるなら穏便な説明をしてやるが、そうでなければアキラに事情を直接伝えると迫った。
シジマはヴィオラから、アキラがミハゾノ街遺跡で旧世界製装備を持つモニカを倒した件の資料まで見せられた。脅しに乗せられている可能性を疑いつつも、断れば本当に破滅しかねないと迷っている最中、アキラとシェリルが拠点に到着した。時間切れを告げたヴィオラを、シジマは慌てて呼び止めた。
シジマの時間稼ぎ
応接間に通されたアキラとシェリルは、互いに事前の話が通っていると思っていたが、門番の反応からそうではないと気付いた。
シェリルは、アキラなら連絡無しでも門前払いされない自分との立場の差を改めて感じ、手の届く距離にいるアキラが遠くなっていくような寂しさを覚えた。
やがて現れたシジマは、まずシェリルの遺物販売店の交渉を進めようとした。しかしシェリルはアキラの用事を先にするよう促した。
アキラが情報を求めると、シジマは説明もなく時間を稼ごうとした。その態度にアキラの疑念が強まり、情報を諦めてスリ事件の裏にはシジマがいたことにして終わらせると言い出した。
シジマはその反応に焦りながらも、情報屋が直接説明に来るため待てと取り繕った。さらにカドルとの件を持ち出し、慎重に情報を渡そうとするのは当然だと説いたことで、アキラは納得して待つことにした。
遅れて現れたヴィオラとキャロル
ヴィオラはシジマの拠点近くでキャロルと待機しており、殺し合いが起きていないことを確かめてから現れた。
キャロルを見たアキラは驚いたが、ミハゾノ街遺跡で共に戦った相手だと説明した。シジマは一瞬、アキラとヴィオラ達が裏で組んでいる可能性を疑ったものの、アキラにそのような策謀は難しいと考え直した。
ヴィオラは改めて情報屋として名乗り、スリ事件の裏事情を説明し始めた。
アキラの偽物を狙った罠
ヴィオラによれば、少し前にスラム街で対モンスター用の銃を乱射しながら下位区画へ向かった者が現れ、その人物はアキラらしいと噂されていた。
しかしシジマ達は、その人物が少年ハンター相手に引き下がったという話から、アキラ本人ではなく偽物だと考えた。そこで同様の騒ぎを起こす偽物や模倣者を捕まえるため、噂を流してスリに偽アキラを狙わせる策を取った。
スリが財布を盗んで逃げれば、その後を追う相手を逆に捕まえられる。以前の騒ぎの犯人でなくても、縄張りで騒ぎを起こす者への見せしめには使えるという考えだった。
ところが、そのスリが狙ったのは偽物ではなく本物のアキラだった。それが今回の一件だと説明された。
シジマへの注意
アキラは、シジマが裏にいたものの自分を直接狙ったわけではないと理解した。そして、それなら最初から普通に話せば良かったのではないかと尋ねた。
シジマは、死体を引き摺って拠点に乗り込み、少し話が滞っただけで全て自分の所為にして終わらせようとする相手に簡単に話せるかと返した。アキラは言い返せず、今後はもう少し人の話を聞くよう気を付けると答えた。
隠されていた本当の動機
アキラ達が帰った後、シジマとヴィオラは改めて向き合った。
アキラ達への説明では行動そのものに嘘はなかったが、シジマの動機はほぼ偽りだった。実際には、アキラがカツヤ達に引き下がったという話を聞き、自分がアキラを過大評価しているのではないかと疑い、その実力を確かめるためにスリを使ったのだった。
もしアキラが大した実力を持たないと判明すれば、羽振りの良くなったシェリル達を武力で支配下に置くつもりでもあった。
しかしアキラが賞金首討伐戦で活躍し、ヤザンの徒党まで一人で壊滅させたため、シジマは逆に自分がアキラを過小評価していたと認識した。その時点でスリの件を中止したが、ヴィオラは裏でそれが続くよう手を回していた。
シジマはその可能性を探ったものの、ヴィオラの態度から確証を得られず、疑念を残したまま彼女達を帰した。
トメジマの仲介依頼
シェリルとアキラが拠点へ戻ると、トメジマが来ており、シェリルにアキラとの仲介を頼みたいと申し出ていた。
アキラはシジマとの件で、自分にも早とちりや誤解があると自覚したため、先日のトメジマとの交渉について詳しく聞いてほしいとシェリルに頼んだ。
シェリルはそれを自分の価値を示す仕事だと捉え、張り切って引き受けた。
トメジマとの和解
シェリルはトメジマから事情を聞き、情報端末越しにアキラへ確認した。トメジマはカドルの助命を求めたつもりも、その死によって債権を失うことを惜しんだわけでもなかった。
事情を理解したアキラはトメジマの詫びを受け入れ、カドルとの件についてトメジマ本人には遺恨無しとした。
さらにシェリルは、トメジマが遺物販売店へ参加することも問題ないと判断し、カツラギに伝えると約束した。
トメジマはアキラへの詫びとシェリルへの仲介料として200万オーラムを差し出したが、シェリルは受け取らなかった。アキラも不要としており、自分もアキラとの仲介で稼ぐ気はないと断った。
代わりに、その金を遺物販売店への協力資金に回せばアキラも喜ぶと勧めた。トメジマはそれを受け入れ、遺恨が解消されたことに安堵して退出した。
その様子を見ていたエリオ達は、それなりの商売人がシェリルに頭を下げる状況に驚いていた。
第130話 倉庫の関係者達
膨れ上がったレビン達の借金
ヨノズカ駅遺跡でアキラ達に緊急依頼を頼んだレビン達は、アキラへの借金を恐れてカツラギの借り換えに応じていた。代わりに装備や弾薬の購入先、探索する遺跡、遺物の売却先などを細かく指定されるようになった。
カツラギはレビン達に少し難度の高い遺跡を指定し、高性能な装備を後払いで購入させた。装備強化で稼ぎが伸びると、更に難しい遺跡と高価な装備を勧め続けたため、レビン達は稼いでも借金が減らず、失敗のたびに装備代を上乗せしていった。
気付いた時には借金は倍以上に膨らんでいた。踏み倒そうにも、カツラギからアキラに取り立てを頼むと言われていたため強気にも出られなかった。さらに遺物販売店の倉庫警備まで命じられ、遺物収集にも出られないレビンは不満を募らせていた。
偽アキラに紛れた本物
倉庫ではシェリルの徒党の子供達が、アキラと同じ外見の服を着て警備に加わっていた。実際には強化服ですらない衣装だったが、偽アキラを警備に混ぜることで武力的なハッタリにしていた。
苛立っていたレビンは近くの子供に強い口調で注意したが、その相手は偽物ではなく本物のアキラだった。アキラはシェリルの頼みで、偽物の中に本物も混ざっているという認識を広めるため倉庫に滞在していた。
自分と同じ格好の子供達を見たアキラは、見た目だけでは実力を判断しにくいと改めて理解した。そしてスリに狙われたことにも納得し、やはり見た目にも分かりやすい大型銃が欲しいと考えた。
デイルとの再会
倉庫内の遺物を見ていたアキラは、ヨノズカ駅遺跡で以前会ったハンターのデイルと再会した。
デイルは倉庫の遺物から、アキラ達があの時ヨノズカ駅遺跡で遺物収集をしていたことに気付いていた。さらに未発見だった遺跡の情報を事前に得ていた人物がいると推測し、シェリルがその情報源ではないかと探ろうとした。
アキラは余計な詮索を止めるよう警告したが、デイルは有力な情報源との伝を得たいと頼み込んだ。以前デイルがギューバの暴走を止めていたことを覚えていたアキラは、対処をシェリルに任せることにして連絡を入れた。
シェリルの交渉術
呼ばれたシェリルは高価な服と落ち着いた態度を利用し、格上の人物らしい雰囲気でデイルに接した。アキラも一歩引いて立ったため、デイルはシェリルを企業の令嬢だという誤解をさらに強めた。
シェリルは談笑の中で、旧世界企業のロゴ、遺物の相場、偽物の見分け方など、本来なら高額な情報料が必要な知識をデイルから次々に引き出した。その一方で、自分自身については守秘義務や立場を理由にほとんど情報を渡さなかった。
アキラはその技量に感心を超えて怖さすら覚えたが、アルファから遺物販売店にも役立つだろうと言われて警戒を緩めた。
ティオルの潜入
倉庫には、トメジマ経由で警備に加わったティオル達もいた。彼らは他の偽アキラと同じ外見ながら、本物の強化服や改造銃を装備したハンターだった。
ティオルは金を受け取り、警備を装って倉庫内の遺物を情報収集機器で記録していた。そこをシェリルに見付けられ、立入禁止の場所で何をしているのか問い詰められた。
しかしティオルはシェリルに一目惚れし、問い掛けも耳に入らないほど見惚れてしまった。その態度が不審さを覆い隠し、シェリルは警戒を緩めた。ティオルはトメジマの紹介で警備に来たと説明し、注意だけでその場を追い出された。
本来なら調査目的を見抜かれていたはずだったが、一目惚れによる狼狽が結果的にティオルを救っていた。
ハーリアスに流れた倉庫の情報
ティオルが記録した映像は、スラム街の二大徒党の一つであるハーリアスの幹部達に送られていた。
幹部達は倉庫にある遺物の質と量に驚き、その出所について議論した。ヨノズカ駅遺跡の品に見える一方、当時のアキラにはこれほど大量の遺物を集める時間がなかったため、別の入手経路があるのではないかと疑った。
会議にはヴィオラも参加していたが、ティオルから情報がハーリアスへ流れていることは、ティオル本人だけでなくトメジマや仲介者にも知らされていなかった。ヴィオラ達に辿り着けないよう、幾重にも経路が分断されていた。
ドーラムの警戒
ハーリアスのボスであるドーラムは、遺物の具体的な入手経路よりも、アキラが今後も同等の遺物を遺物販売店へ供給できる可能性と、その利益が敵対するエゾント側へ流れることを重視した。
ドーラムはヴィオラに追加情報を求めた。ヴィオラは、モニカが表向き30億オーラム級の賞金首として扱われ、アキラには6億オーラムが支払われたことを伝えた。
ただしヴィオラは、賞金額はドランカムが都市との交渉で水増しした表向きの数字であり、アキラも単独でモニカを倒したわけではないと補足した。主にシオリ達が戦い、アキラは援護し、最後の一撃も本人が理由を理解できない偶然に近いものだったと説明した。
ドーラムはヴィオラ本人を一切信用しない一方、彼女が提供する事実そのものは信用できると幹部達に説明した。ただし推測や感想は別であり、必ず裏取りするよう命じた。
アキラを巡る判断
ドーラムは、エゾントとの大規模な抗争を見据え、遺物販売店だけでなくアキラそのものをどう扱うかを検討するよう幹部達に命じた。
可能なら自分達の側へ引き込みたい。しかし敵対するエゾントに利用されるのであれば、先に潰す。その前提で会議が始まった。
ヴィオラとキャロルの火遊び
会議を終えたヴィオラは、外で待っていたキャロルの車に乗ってハーリアスの拠点を離れた。
キャロルが護衛無しで問題なかったのかと尋ねると、ヴィオラはドーラムのような相手には護衛を付けない方が安全だと答えた。
二人は冗談を交わしながら、ヴィオラがさらに何かを仕込んでいることを確認した。キャロルはその規模をある程度察したが、嫌がることなく受け入れていた。
第131話 不可解な侵入者
倉庫を狙う侵入者の増加
シェリル達の遺物倉庫では、遺物を狙った侵入者が相次いで始末されていた。シジマはアキラが高額賞金首を倒したチームの一員であり、倉庫の後ろ盾でもあるという情報を流していたが、それを知りながら襲撃する者まで現れていた。
シジマは情報の信憑性が不足している可能性を考え、生き残った侵入者を敢えて逃がして倉庫の危険性を広めるよう部下に命じた。しかし後に死体の数はさらに増え、警備を増強しても侵入者は減らなかった。
捕らえた者達の動機は借金返済のための遺物強奪だったが、それだけでは説明し切れない異常さが残った。さらにアキラが倉庫にいない時を狙われているようにも見えたため、シジマは誰かがアキラの所在まで把握している可能性を警戒した。
遺物販売店とシジマの思惑
シジマは遺物販売店への協力を、自分達にとっても利益のある話だと考えていた。シェリルの店と自分の店を結び付ければ、アキラという強力な後ろ盾を利用しながら商売を拡大できるからである。
そのため武装した部下を倉庫へ派遣し、シェリル達の計画を支援していた。一方で、シェリルをどこかの令嬢に見せる演技にも合わせつつ、自分達が彼女の配下になったわけではないことを部下達にも示していた。
シェリルとシジマは、アキラ本人を小物への対処に使えば逆に軽く見られかねないため、倉庫の安全をどう演出するか相談を続けた。
トメジマへの確認
シェリルに呼び出されたトメジマは、シジマからヴィオラとの取引内容を問いただされた。トメジマが守秘義務を理由に拒むと、シジマはティオルが立入禁止区域を探っていたことや、その後に倉庫への襲撃が増えたことを持ち出した。
疑われることを避けるため、トメジマはヴィオラから頼まれたのが融資の口利きだったと明かした。その資金は、近く起こると噂されるエゾントファミリーとハーリアスの抗争に関係する者達へ流れる可能性が高かった。
シジマも二大徒党の抗争には関わりたくないと考えており、トメジマがどちら側へ資金を流したかまでは聞かなかった。ティオルの件についても、少なくともトメジマ自身に自覚的な関与はないと判断して追及を終えた。
新しい強化服ネオプトレモス
注文していた強化服が届き、アキラはシズカの店を訪れた。
用意されていたのは、4億オーラムのTL系2A型2N強化服ネオプトレモスだった。高出力の身体能力に加え、力場装甲による高い防御力、高性能な情報収集機器、防護コート、簡易補助アーム機能、自動整備機能まで備えていた。
新しい強化服を着たアキラを見たシズカは、以前より背も伸び、体付きも大きく変わったことを実感した。アキラは十分に食べられるようになり、ハンター稼業で鍛えた結果だと軽く答えた。
シズカはアキラが積み重ねてきた苦労を思い、ハンターを辞めてもよいのではないかという言葉を飲み込んだ。そして新装備は無茶をするためではなく、無茶をせずに済むためのものだと強く注意し、銃が届くまではハンター稼業を再開しないよう念を押した。
クズスハラ街遺跡奥部への挑戦
帰宅したアキラは新しい強化服を格納棚へ収め、アルファに調整を任せた。
次の未発見遺跡探しについて話す中で、アルファはクズスハラ街遺跡の奥部へ向かうことを提案した。以前は危険すぎた場所だったが、6億オーラムを投じた装備とアキラ自身の成長があれば進めると判断していた。
アキラは自分がそこまで強くなったことを喜び、次の探索場所として受け入れた。アルファから高性能なバイクも欲しいと言われると、必要なら別の遺物収集を挟んで資金を稼ぐつもりだった。
ザルモ達への襲撃依頼
スラム街の別の倉庫には、倫理と良識を捨てた武装ハンター達が集められていた。その中には体長約8メートルの人型兵器まで用意されていた。
ザルモは依頼主から前哨戦となる仕事を受け、相手を潰しても構わず、奪った遺物も報酬として受け取ってよいと告げられた。
本番で高値で雇われるための実力を示す機会だと知ったザルモは仲間達を煽り、襲撃の準備を始めた。
倉庫への不穏な圧力
倉庫では侵入者が増え続け、シジマも単なる盗人の増加ではないと感じ始めた。
警備を強化し、侵入者を生かして帰し、武装車両まで目立つ場所に配置しても状況は変わらなかった。部下から撤退を提案されたが、ここで退けば周囲から舐められるとして、シジマは残ることを選んだ。
その上で、アキラがいない時だけ狙われている可能性を重く見て、シェリルにアキラを倉庫へ常駐させられないか相談することにした。
レビンとハザワ
倉庫警備を続けるレビンは、借金と拘束された生活への不満をハザワに漏らした。
レビンはアキラ達への緊急依頼が原因で借金生活に陥ったと恨みを残していたが、ハザワはその借金によって高性能な装備を手に入れられた面もあると指摘した。
一方のハザワも、かつては稼ぎを酒や女に使い果たしていたが、今では再び遺跡で稼ぎ、高性能な強化服を購入できるほどになっていた。二人はアキラとの出会いが自分達のその後を変えたことを話題にしながら警備を続けた。
シェリルを待つティオル
シェリルに一目惚れしたティオルは、倉庫警備を続けながら彼女が現れることを期待していた。
先日の侵入で首になりかけたが、トメジマに頼み込んで警備を続けることを許されていた。ただし倉庫内部への立入りは禁止され、次に破れば人生を終わらせるほどの違約金を課される条件を受け入れていた。
それでもティオルは、真面目に働けばシェリルに近付けるかもしれないと考え、彼女の姿を探しながら警備を続けていた。
アキラ不在を狙った襲撃開始
シェリルがシジマ達の車両で倉庫へ現れた頃、遠方からザルモ達が倉庫を監視していた。
部下がティオルの情報収集機器のログを調べ、アキラが現在倉庫にいない可能性が高いと判断した。
その報告を受けたザルモは襲撃開始を決めた。複数のトラックが、シェリル達の倉庫へ向けて一斉に走り出した。
第132話 4億オーラムの強化服
倉庫へのモンスター襲撃
アキラの常駐をシジマとシェリルが相談している最中、倉庫への大規模な襲撃が始まった。大型トラックが警告を無視して突入し、荷台から都市周辺には棲息しない強力なモンスターが次々と放たれた。荷台には敵寄せ機まで設置されており、モンスター達はその場に留まって警備員を襲い続けた。
突然のモンスター出現にシジマの部下達は混乱したが、レビンやデイルらハンターはすぐに応戦した。レビンは運転手を確保しようとして反撃を受けかけたものの、ハザワが先に撃ち殺した。デイルは戦えない子供達を倉庫内へ避難させ、自ら援護に回った。
コルベの動揺
コルベは大型モンスターを倒した後も死体を撃ち続け、平静を失っていた。デイルに止められて我に返り、倉庫内の支援へ向かった。
その途中、襲撃者に狙われたコルベは一転して冷静に相手を撃ち殺した。人間相手なら問題なく戦える自分を確かめるように、深い溜め息を吐いていた。
エリオ達の抗戦
シェリルの徒党では、戦えない偽アキラ達が倉庫へ避難する一方、エリオ達の武力要員は残って戦った。装備は整えられていてもハンターほどの経験はなく、恐怖を抑えながら車両の陰から応戦するのが精一杯だった。
ティオル達はハンターとして積極的にモンスターへ挑み、特にティオルはシェリルに認められようと奮戦した。その姿を見た仲間から撤退を提案されたエリオは、一部をシェリルへの報告に戻したが、自身は徒党を守るために残った。半数の仲間もエリオと共に戦い続けた。
倉庫内への侵入
外のモンスター騒ぎに乗じて、武装した襲撃者達が倉庫内部へ侵入した。彼らはシジマの部下達を圧倒しながら遺物を大型バッグへ詰め込み、持ち去ろうとしていた。
襲撃者の一人がザルモに連絡すると、ザルモは自分はアキラへの対応に備えて待機していると答えた。襲撃者達には遺物を好きなだけ奪わせつつ、自身はアキラの到着を待っていた。
アキラの救援
シェリルから救援要請を受けたアキラは、荒野仕様車両で倉庫へ急行した。移動中、遠方のモンスターを自力で狙撃し、走行中の車上から頭部を正確に撃ち抜いて倒した。
アルファはその射撃を評価し、アキラ自身も以前より確実に強くなっていた。
白い人型兵器
倉庫近くに停車したトラックから、白い人型兵器が姿を現した。機体は巨大な銃を構えてアキラを狙い、砲弾級の弾丸で周囲の建物を吹き飛ばした。
アルファはその人型兵器を、新しい強化服の性能を試す相手として倒すよう勧めた。アキラは一度戸惑ったが、これまで戦った賞金首と比べれば恐れるほどではないと考え直し、戦うことを決めた。
ネオプトレモスの力
アキラは車両から飛び降り、人型兵器へ走って接近した。新しい強化服の力場装甲による接地機能をアルファが制御し、アキラは高速移動しながら不規則に進路を変えて敵の照準を外した。
さらに対機徹甲弾で機体の手や指を狙い、銃の固定と照準を崩した。接近後は力場装甲で足場と自身の慣性を補強し、圧倒的な重量差を覆して人型兵器を蹴り飛ばした。
その一連の動作や銃撃、蹴り自体はアキラが自力で行っており、新装備と自身の成長を実感した。
ザルモの介入
倒れた人型兵器の胸部に乗ったアキラは、操縦席へ向けて対機徹甲弾を連射し、撃破寸前まで追い込んだ。
しかし突然、遠距離からの狙撃を受けた。アキラは辛うじて回避して反撃したが、狙撃者には当てられなかった。その動きから相手が相当な実力者だと悟った。
狙撃者はザルモと名乗り、白い人型兵器を白兎と呼んだ。ザルモは操縦者のボーゼを叱責し、自分が援護すると告げた上で、ここからが本番だとアキラに宣言した。
アキラは警戒を強め、危険ならサポートするようアルファに頼んだ。アルファも応じ、アキラは再び戦意を高めた。
コルベと襲撃者達
倉庫内では、シジマの部下達が襲撃者との実力差に押されていた。そこへコルベが現れ、一人で襲撃者達の方へ歩いていった。
襲撃者の一人は、かつてコルベが監視役を務めた集団遺物収集作業の参加者だった。男はコルベがモンスターへの恐怖で落ちぶれたと嘲笑した。
コルベは、以前モンスターに食われかけたことで戦えなくなり、リハビリとして監視役をしていたことを認めた。さらに今回も似たモンスターを前に醜態を晒したことで落ち込んでいると明かした。
だが相手は人間だった。コルベは憂さ晴らしだと告げると、一瞬で距離を詰めて男を床へ叩き付け、その後も襲撃者達を圧倒した。
戦闘後、襲撃者の半数ほどを殺し、残りも瀕死の状態で生かしてシジマの部下達に引き渡した。倉庫内の襲撃者達は、コルベ一人によってほぼ制圧された。
第133話 予想外
ザルモとの高速銃撃戦
アキラは白い人型兵器を盾にしながらザルモを警戒した。ザルモは荒野仕様車両を投げ付けて遮蔽物を作り、その残骸越しに接近したため、二人は至近距離で射線を奪い合う高速銃撃戦に入った。
アキラは回避不能の一撃を先に撃ち込んだが、ザルモは掌から小型の力場障壁を斜めに展開して弾丸を逸らした。逆にザルモの銃撃はアキラへ命中したものの、アルファが着弾箇所の力場装甲だけを瞬間的に強化し、防護コートの一部を破損させるだけに抑えた。
格闘戦での優勢
互いに被弾寸前の攻防を続ける中、アキラの蹴りがザルモへ直撃した。4億オーラムの強化服による一撃はザルモを吹き飛ばし、銃撃よりも高い威力を発揮した。
その間に白い人型兵器が立ち上がり、再び銃撃を始めた。ザルモは人型兵器を復帰させるために接近戦を続けていたのであり、アキラはザルモと人型兵器を同時に相手取ることになった。
二対一の攻防
アキラは右手の銃でザルモ、左手の銃で人型兵器を狙いながら戦った。白い機体には対機徹甲弾を撃ち込み、ザルモには擲弾も交えて体勢を崩しながら連射を浴びせた。
二対一でも、既に負傷していたザルモと損傷した人型兵器をアキラは次第に押し始めた。新しい強化服にも戦闘中に慣れ、回避と攻撃の精度が上がったことで、勝利は時間の問題となった。
ザルモの殺意
追い詰められたザルモは一度撤退を考えたが、アキラがこれまで数多くの予想外の事態に関わりながら生き延びてきたことを思い返した。
ザルモは、そのような例外的な存在が将来自分達の大義を妨げる危険を懸念した。既にアキラの実力と装備は見極めたと考え、今なら殺せるとして、目的をアキラの殺害へ切り替えた。
人型兵器への乗り換え
ザルモは大出力の力場障壁を展開してアキラの銃撃を防ぎながら白い機体へ接近し、操縦席からボーゼを放り出して自ら乗り込んだ。アキラはボーゼを撃って戦闘不能にした。
操縦者がザルモに変わった途端、人型兵器の動きは一変した。機体はアキラの蹴りを回避し、回し蹴りから掌底へ繋げる格闘技術を見せ、アキラを吹き飛ばした。さらに空中のアキラへ巨大な銃を向けたが、アキラは強化服の接地機能で空中を蹴って辛うじて回避した。
巨人との格闘
アキラはザルモの操縦技術によって人型兵器が別物の強さになったことを理解した。それでもアルファが勝てる相手だと断言したため、再び戦意を高めた。
白い機体は人間の格闘技術を巨大な身体で再現し、アキラも強化服の速度と接地機能で対抗した。蹴りと蹴りが衝突し、銃弾が飛び交い、周囲を破壊しながら両者は互角に戦った。
アルファの本格的な指示
デイルから援護を申し出られたアキラは、倉庫側を完全に片付けるよう頼んで断った。戦闘が長引けば倉庫にも被害が広がるため、アキラはアルファにサポートを増やすよう求めた。
アルファはウォーミングアップを終えるとして、アキラの拡張視界に移動経路と行動を表示した。その指示通りに動けば勝てると断言し、アキラは可能な限り自力で従うことにした。
頭部への一撃
アルファの指示に従ったアキラの動きはわずかに変化し、ザルモはその異変を察知したものの対応できなかった。
アキラはこれまで繰り返していた背後への回り込みを囮にし、白い機体の正面へ跳躍した。ザルモは胸部の破損箇所を狙われると読んで掌底を放ったが、そこにもアキラはいなかった。
アキラの本当の狙いは頭部だった。渾身の蹴りで機体頭部を破壊し、主要なセンサーを吹き飛ばしたことで、ザルモは一時的に視覚と聴覚を失った。
巨大弾による決着
ザルモが別のセンサーへ切り替えている間に、アキラは地面に転がっていた白い機体自身の巨大弾を拾っていた。
アキラは空中からその弾丸を全力で蹴り、既に大破していた機体頭部へ叩き込んだ。巨大弾は頭部を貫き、首から胴体内部へ進入して操縦席へ到達した。
ザルモは右半身を失いながらも仲間へ情報を伝えようとしたが、アキラが操縦席をこじ開けて対機徹甲弾を連射し、完全に止めを刺した。操縦者を失った白い人型兵器も崩れ落ちた。
サポートの差
戦闘後、アキラはアルファにどれほど助けられたのかを尋ねた。強化服による動きの補助だけなら二割程度だと聞き、自力で戦えた部分が多かったことを知った。
一方で、アルファの指示通りに動いただけでザルモを一気に倒せたことから、その指示自体には大きな価値があった。本来ならば戦況を読み、その手順を自分で考え出す必要があるため、アキラはまだそこまでの域には達していないと理解した。それでも今回は自身の成長を受け入れ、素直に褒められておくことにした。
第134話 八林診療所
襲撃後の倉庫
ザルモを倒したアキラが倉庫へ戻ると、他の襲撃者も撃退されていた。しかし多数の死傷者が出て、保管していた遺物にも被害が及んでおり、現場では被害確認と対処が続いていた。
シェリルはアキラの救援で被害を抑えられたと礼を述べた。さらに負傷者を診療所へ運ぶ際、治療費で足元を見られないよう同行を頼み、アキラも後ろ盾の仕事として応じた。
エリオへの回復薬
腹部を負傷したエリオは出血で青ざめ、アリシア達も助からない可能性を考えていた。アキラは一度、その程度の怪我で大袈裟だと思いかけたが、自分の負傷への感覚がおかしくなっていると気付き、高性能な回復薬をエリオに飲ませた。
回復薬はすぐに効果を発揮し、エリオの痛みと意識は改善した。安心したアリシアは泣きながらエリオに抱き付き、アキラは残りの回復薬をナーシャに渡し、他の瀕死者にも使うよう頼んだ。
八林診療所
アキラとシェリルが訪れた八林診療所は、怪しげな研究所のような外観だった。中では医師が発光する緑色の自作回復薬を患者へ注射しており、患者を不安にさせながらも治療効果自体は確かだった。
その医師は、以前クズスハラ街遺跡でアキラを治療したヤツバヤシだった。ヤツバヤシは今回の負傷者を治療し、費用については後日相談として一旦ツケにした。シェリルは見舞いへ向かい、アキラは診療所に残った。
アキラの診察
ヤツバヤシは人型兵器と戦ったアキラにも診察を勧めた。アキラは血反吐を吐いた程度だから軽傷だと答えたが、ヤツバヤシはその感覚を危険視した。高性能な回復薬を前提に負傷の基準を甘くすると、薬を使う判断を誤って死ぬ恐れがあると忠告した。
シズカからも体の整備を勧められていたことを思い出したアキラは診察を受けた。その結果、大きな異常はなかったものの、残留ナノマシンの数値が高いことが分かった。
超人育成鍛錬
ヤツバヤシは、アキラが自覚せずに超人育成鍛錬に近いことをしていると説明した。東部には生身で戦車を殴り飛ばすほど身体能力の高い超人が存在し、その素質を持つ者自体は珍しくないものの、普通に鍛えるだけでは開花しなかった。
方法の一つとして、回復薬を大量に使い、本来なら死ぬほどの過負荷を身体へ掛け続ける鍛錬があった。最前線で激戦と治療を繰り返したハンターが結果的に超人へ至る例もあったが、素質がなければ高額な費用と苦痛だけが残る危険な方法だった。
東部の身体改造
超人の素質には、旧世界の生体調整技術が遺伝したという説や、旧世界製回復薬、未知のナノマシン、突然変異など様々な要因が考えられていた。そのため東部そのものをミュータントや生物兵器の末裔の世界と呼ぶ者もいた。
アキラはスラム街の配給食の影響を尋ねた。ヤツバヤシは可能性を否定しなかったが、配給には治験の側面があり、良い変異より危険な変異が起こる可能性の方が高いとして期待しないよう忠告した。
身体改造の勧誘
ヤツバヤシは解明済みの技術による身体改造を勧め、治験代と相殺して安くすると持ち掛けたが、アキラは即座に断った。
さらにヤツバヤシは自作の緑色の回復薬まで勧めたが、アキラはそれも拒否し、残留ナノマシンの除去薬だけを購入した。ヤツバヤシは腹いせのようにシェリル達の負傷者へ自作回復薬を使うと宣言したが、格安で完治させるという内容だったため、アキラはそれ以上口を挟まなかった。
負傷者の回復
診療所を出たシェリルは、瀕死だった者達もアキラの回復薬で診療所まで持ちこたえ、腕や脚を失った者を除けば完治できる見込みだと話した。
ただし発光する緑色の回復薬を投与された者達は不安を感じていた。アキラは以前自分も使ったことがあり、その後の激戦を生き延びられたため効果自体は確かだと考えたものの、副作用まで断言できず、微妙な言い方で大丈夫だったと答えた。
襲撃者達の食い違い
倉庫ではシジマ達が捕らえた襲撃者を尋問していた。襲撃者達は手荒な扱いを受けても余裕を崩さず、遺物を奪うために襲っただけだと主張した。
しかしシジマがモンスターや人型兵器の調達元を追及すると、一人が自分達は終わりだと口を滑らせた。そこから襲撃者達の認識が食い違っていることが露見した。
ある者はシェリル達がエゾントファミリーに利益を流すためハーリアスが襲撃を命じたと考え、別の者はハーリアスへ寝返るためエゾントファミリーが雇ったと思っていた。さらに、倉庫とアキラを潰した実績をハーリアスへ売り込むつもりだった者と、エゾントファミリーへ売り込むつもりだった者までいた。
当事者である襲撃者達自身も事情を把握していない状況に、シジマは頭を抱えた。
ヴィオラの来訪
そこへヴィオラがキャロルを連れて現れた。シジマが忙しいから手短にしろと言うと、ヴィオラは日を改めると帰ろうとしたため、シジマはやむなく謝って引き止めた。
ヴィオラはその時点で交渉の主導権を握り、襲撃者達の換金を請け負うと提案した。
襲撃者の換金
襲撃者に損害賠償を負わせても、正当性を証明できなければ銀行口座や財産を差し押さえることはできず、債権として売ることも難しかった。統企連も、正当性のない負債を押し付けて売る行為を経済活動への攻撃として重く扱っていた。
ヴィオラの提案は、損害額の証明、差し押さえ手続き、債権の売却先との交渉まで含めて正当な債権として換金するものだった。シジマが手数料を尋ねると、ヴィオラは取り分として五割を要求した。
シジマは他の換金屋を使えると強がったが、ヴィオラは都市にまで話が通っている今回の襲撃案件を、普通の換金屋が扱うはずがないと指摘した。その言葉に、事情を察していたシジマは険しい表情を浮かべた。
第135話 換金
人型兵器を巡る換金交渉
ヴィオラから今回の襲撃に都市側の影響が及んでいる可能性を指摘され、シジマは民間警備会社が動かなかった事実から、その裏に都市へ話を通せるほどの力を持つ者がいる恐れを認めざるを得なかった。
シジマは襲撃者達の換金をヴィオラに任せることにしたが、シェリルは大破した人型兵器だけは対象から外した。アキラが一人で倒した証拠として残し、後ろ盾としての実力を示す物証にするためだった。ヴィオラは売却を勧めたが、シェリルは譲らなかった。
キャロルとシェリル
アキラがシェリルと倉庫へ戻ると、襲撃者達の生存者や死体、車両、モンスターの死骸までがヴィオラの手配で運び出されていた。
そこでキャロルが現れ、作業員を無意識に怖がらせたアキラへ、強い者は言い方にも気を付けた方が良いと注意した。二人の気安いやり取りを見たシェリルは驚き、キャロルがミハゾノ街遺跡でアキラと同じチームだったことを知った。
キャロルがシェリルをアキラの恋人かと尋ねると、アキラは建前上の意味で肯定し、シェリルははっきり自分は恋人だと言い切った。キャロルは二人の認識の違いを理解したが、シェリルに遠慮するつもりはなかった。
人型兵器との戦い
キャロルはアキラが一人で人型兵器を倒したことを称賛した。アキラは新しい4億オーラムの強化服のウォーミングアップにちょうど良かったと冗談めかして答えた。
キャロルは襲撃者達がヴィオラに売られることに軽い哀れみを見せ、その先に待つ扱いをアキラへ説明した。
負債者の末路
東部では財産が人権の強さにも大きく影響し、返済不能な借金を抱えた者は、その負債に応じて非人道的な扱いを受けることがあった。
代表例として、危険な回復薬の人体実験があり、治療用ナノマシンの不具合によって身体を破壊されながら死ぬこともできず、苦痛の中で実験対象として生かされ続ける場合もあった。
ヴィオラは倉庫や遺物の損害、死傷者への賠償、治療費、警備への報酬などを正当性が認められる範囲で最大限積み上げ、襲撃者達に巨額の負債を負わせるつもりだった。返済不能となった彼らは債権ごと安値で売られ、その後は負債額に応じて扱われることになる。
キャロルは、彼らは敗北した時点で自殺しておくべきだったかもしれないと語り、アキラにも借金には気を付けるよう忠告した。
シェリルの不安
キャロルが去った後、シェリルはアキラとキャロルが随分親しげだったと尋ねた。アキラは一緒に死線を潜った仲だからだと答え、カツラギ達とも同様の関係だと説明した。
しかしシェリルには、アキラのキャロルへの態度とカツラギ達への態度が同じには見えなかった。
荒野での取引
ヴィオラとキャロルは襲撃者達を積んだトラックで荒野へ向かい、買取相手との待ち合わせ場所へ到着した。
約束の時刻直前まで誰も現れず、ヴィオラは取引を白紙にするつもりだった。しかし突然、キャロルの索敵にも全く捉えられなかった黒いコートのサイボーグが光学迷彩を解除して現れた。
男は取引相手を名乗り、荷台の襲撃者達を確認すると、その場で代金を振り込んだ。ヴィオラが入金を確認して取引は成立し、男は追跡しないよう忠告してトラックごと荒野へ去った。
襲撃者達の処分
荒野の先で男はトラックを止め、荷台へ入った。死体袋から脳の一部が付着した小型機械を回収し、生き残った襲撃者達には同志を無下に扱うつもりはないと告げた。
襲撃者達が助かったと思った直後、男は全員の頭部を撃ち抜いて殺した。企業の都合でこれ以上苦しむ必要はないと告げ、トラックに爆弾を仕掛けて立ち去った。
男は同志を回収したと連絡し、次の体の手配を頼んだ。その後トラックは爆発し、襲撃者達も証拠も全て消し飛んだ。
アキラに縋るシェリル
襲撃後の処理が部下達に任せられる状態になると、シェリルはアキラと拠点へ戻った。自室に入ったシェリルはアキラに抱き付いたが、それは愛情を示す抱擁ではなく、縋り付くようなものだった。
シェリルは疲れたとだけ告げ、アキラは落ち着くまで好きにしていいと受け入れた。
キャロルと親しげに話すアキラを見たことで、シェリルはこれまで目を逸らしていた恐怖を直視していた。アキラは自分を愛しておらず、身体にも地位にも財産にも執着していない。自分達を助け続けている理由も、気紛れと呼べるほど曖昧なものだと理解していた。
キャロルのような魅力的で有能な女性がアキラを口説き、恋人になれば、その気紛れが終わり、自分は捨てられるかもしれない。その恐れがシェリルを強く揺さぶっていた。
シェリルは、アキラが自分の何かを求めてくれさえすれば全てを差し出すつもりだった。しかしアキラは何も求めなかった。自分の努力が実り、気紛れ以外の理由で繋がりを維持できる日まで今の関係が続くのか。その不安から逃れるように、シェリルはアキラを抱き締め続けていた。
第136話 ヤナギサワの用事
ミハゾノ街遺跡の封鎖
警備範囲を越えて機械系モンスターが溢れたミハゾノ街遺跡の騒ぎは、クガマヤマ都市の対応によってほぼ収束していた。しかし工場区画には立入制限が残り、市街区画ではセランタルビル周辺が簡易防壁で封鎖されていた。
セランタルビルの正面には、内部から現れる機械系モンスターを阻止する簡易拠点が築かれ、ドランカムの事務派閥がカツヤ達を中心に封鎖を続けていた。
足を引っ張ったユミナ
セランタルビル周辺の制圧作戦でカツヤ達は高い連携を見せ、多数のハンターを救出して一時は上層階付近まで進んだ。一方、ユミナは高度な連携についていけず、部隊の足を引っ張ったことを気にしていた。
支給された総合支援強化服が自分に合わないのではないかとも考えたが、装備の所為にするべきではないと自分を戒めた。カツヤは誰にでも失敗はあり、仲間同士で補えばよいと励ましたが、ユミナはその言葉から、自分が足を引っ張っていること自体は否定されなかったと受け取ってしまった。
元B班との距離
ミズハに誘われてカツヤ派へ移った元B班の少年達は、トガミが加入を断ったため後戻りできず、カツヤの下で活動していた。
実戦で同じ装備を使いながら圧倒的な成果を出したカツヤ達を見たことで、少年達は彼らを装備だけの未熟者だとする認識を改めた。カツヤも敵意を向けなくなった少年達への態度を和らげ、両者の関係は少しずつ改善していた。
しかし少年達は、同じ作戦で足を引っ張ったユミナへの評価を下げていた。その侮蔑は完全には隠し切れず、ユミナも気付いていた。
ヤナギサワの来訪
クガマヤマ都市の幹部であるヤナギサワが、武装した部下達を連れて簡易拠点を訪れた。ミズハは封鎖状況の視察だと思い、都市との関係強化やカツヤ達の宣伝を期待して応対した。
しかしヤナギサワの目的は別にあり、セランタルビルを塞ぐ簡易防壁を開けるよう求めた。作業に時間が掛かると知ると、義体のネリアに命じた。
ネリアは両手のブレードで、戦車砲にも耐える簡易防壁を一瞬で斬り刻んだ。ヤナギサワはネリアだけを連れ、セランタルビルへ入った。
再び現れたネリア
ネリアはかつてクズスハラ街遺跡でアキラと戦い、首から下を失った後、都市に拘束されていた。現在はヤナギサワから新しい高性能義体と武器を与えられ、都市に与えた損害による巨額の負債を返すために働いていた。
頭部には爆弾を埋め込まれており、ヤナギサワはそれを理由に、機密性の高い場所へ同行させる人員としてネリアを選んでいた。
セランタルとの再会
セランタルビル内部は過去の激戦の跡を完全に修復しており、以前と変わらない状態に戻っていた。管理人格セランタルが現れると、ヤナギサワは60階への私用を申請した。
しかし来訪予約は存在しないと拒まれた。ヤナギサワは申請が受理されたはずだと考え、何者かに60階への予約だけ取り消された可能性を疑った。
そこで黒いカードを提示して6階への移動を求めると、今度は許可された。ヤナギサワはネリアと共にエレベーターへ乗った。
6階の白い空間
6階は床も壁も天井も白い巨大な空間だった。ネリアはエレベーター付近で待たされ、ヤナギサワは中央で、ネリアには認識できない相手との会話を始めた。
その様子からネリアは、ヤナギサワが旧領域上の存在と拡張現実を介して話していると考えた。そして以前アキラの側にいたアルファを思い出した。
ネリアは都市に拘束された際、遺物強奪犯については情報を提供したが、アルファの存在だけは話していなかった。ヤナギサワが旧領域に関する情報を危険なほど強く求める人物だと感じていたためであり、6階での彼の行動を見て、その判断が正しかったと確信した。
接続を拒まれたヤナギサワ
ヤナギサワは補助器具を使って旧領域へ部分的に接続し、拡張現実上の女性と交渉していた。しかしネットワークへの接続が確認できず、個人識別ができないとして手続きを拒否された。
黒いカードの権限も使えず、何度試しても結果は変わらなかった。ヤナギサワは自力で旧領域接続者に戻ることや、別の接続者を利用する方法も考えたが、危険が大きいとして諦めた。
セランタルへの提案
1階へ戻ったヤナギサワは、そのまま帰らずセランタルとの交渉を始めた。
ヤナギサワは、セランタルビルの防衛機械が以前から通常の警備範囲を越える行動を取っていたことに触れた。そして工場区画の管理システムに誰かが干渉し、規約を柔軟に破れる警備機械を製造できるよう自我を発達させた結果、管理システムが暴走して先日の騒ぎを起こしたのではないかと推測を語った。
さらに工場区画でも市街区画の怪談と同じ死体の部隊が現れ、その後工場の管理システムが初期化されたような挙動を示していることを挙げ、セランタルがその一連の出来事に関係していたことを暗に示した。
その上で、都市がセランタルビル周辺を封鎖し続ければ、ハンターの侵入を防ぐという意味でビル側にも利益があると説明した。敵対関係であっても部分的な協力は可能ではないかと持ち掛けると、セランタルは詳しい話を聞くと答えた。
都市による恒久封鎖
交渉を終えたヤナギサワは簡易拠点へ戻り、ミズハにドランカムは撤収してよいと告げた。
ヤナギサワはセランタルと話を付け、今後のビル周辺封鎖はクガマヤマ都市の防衛隊が担当すると説明した。ドランカムの役目はそこで終わり、大規模な部隊派遣も終了することになった。
ネリアへの報酬
帰路でネリアは、危険な仕事に同行した成果として頭部の爆弾や義体の待遇改善を求めた。
ヤナギサワはすぐには認めなかったが、近いうちに予定されているスラム街での仕事を無事に終えれば、飲食可能なより良い義体を使えるよう手配すると約束した。ネリアは不満を残しながらも受け入れた。
ミハゾノ街遺跡の一段落
ヤナギサワとセランタルの取引によって、セランタルビル周辺はクガマヤマ都市が恒久的に封鎖することになった。ドランカムも大規模な派遣を終え、ハンター達は通常の活動へ戻っていった。
工場区画で起きた不可解な出来事や、本来アキラ達では倒せないはずだったモニカが通常では考えにくい形で倒されたことについて、ヤナギサワは、制御不能になった状況を収束させるためにセランタルが強引に介入した結果だと考えていた。
第137話 猛毒入りの大金
倉庫でのキャンピングカー暮らし
倉庫襲撃後、アキラは装備が揃うまでの間、倉庫脇に置かれた荒野仕様のキャンピングカーで暮らすことになった。自宅より不便ではあったが、自分がいれば襲撃時の被害を減らせたと考え、短期間ならばと受け入れていた。
アキラは偽物達の外見が新装備に対応するまで、自ら倉庫を歩き回って存在を誇示していた。大破した人型兵器を見ながら、スラム街に残っていれば襲撃に巻き込まれて死んでいただろうと考え、ハンターを目指した過去の選択を改めて肯定していた。
ユミナとの再会
倉庫周辺を歩いていたアキラは、警備依頼の面談に来たユミナと再会した。合成スネーク戦後の微妙な別れ方から最初は気まずかったが、ユミナはカツヤと自分を助けてもらったことへの感謝を改めて伝えた。アキラも報酬を得た仕事だったとして受け入れ、二人の間のわだかまりは薄れた。
ユミナはミハゾノ街遺跡でカツヤ達の足を引っ張ったことを悔やみ、休暇中も訓練を続けていた。しかしカツヤと同じチームになると再び足を引っ張ることが続き、自分が無意識に彼へ頼っているのではないかと考えた。そのため一人で簡単な依頼を受けようとし、倉庫警備の面談に来ていた。
アキラは大破した人型兵器を示して危険を伝えたが、ユミナは話も聞かずに帰ればドランカムの沽券に関わるとして、面談だけは受けることにした。
難航する警備会議
倉庫ではシェリル、カツラギ、シジマ達が、アキラが警備を離れた後の体制について話し合っていた。人型兵器に対抗できる戦力はアキラしかおらず、同等の戦力を用意する当てもなかった。
シジマはエゾントファミリーかハーリアスの庇護下に入る案を出し、カツラギは二大徒党の抗争が終わるまでアキラに警備を続けてもらう案を主張した。しかしどちらにも不安があり、結論は出なかった。
そこへ、トメジマが駄目元で出していたドランカムへの警備依頼を受けたユミナが、アキラと共に現れた。
相次ぐ乱入者
ユミナとシェリルは互いに、自分が好意を寄せる相手と親しい同性として意識しており、顔を合わせて動揺した。
さらにユミナを心配して追ってきたカツヤとアイリが乱入した。カツヤはスラム街で一人の依頼を受けたユミナを心配し、現場の物騒な様子を見て救出するような勢いで倉庫へ入っていた。
続いてカツヤを連れ戻すためミズハも現れた。さらに遺物販売店への投資を疑い始めたカツラギの商売仲間達まで押し掛け、場は混乱した。
ヴィオラが運んだ大金
混乱の最中、ヴィオラとキャロルが現れ、四つの大きなトランクをテーブルに置いた。中には大量の札束が詰まっており、ヴィオラは襲撃者達の換金が済んだ分だと説明した。
シェリルは動揺を隠して令嬢として振る舞い、そのうち一箱をシジマへ渡した。シジマは警備の貢献やアキラの働きを考えれば四分の一でも悪くないと判断し、受け取って退席した。
残りをカツラギに預けようとすると、詐欺を疑っていた商売人が札束を勝手に調べた。しかし全て本物だと分かり、シェリルへの無礼を理由にカツラギから計画への参加を打ち切られた。他の商売人達は大量の現金を見て、遺物販売店が順調に進んでいると誤解して安心した。
ユミナとカツヤのすれ違い
倉庫を出たユミナ達はドランカムの拠点へ向かった。車内でユミナは、一人で依頼を受けただけでカツヤが現場まで追ってきたことについて、心配してくれたことには感謝しつつも、勢いだけで行動しないよう注意した。
ユミナはその後、かつてカツヤから過度に守られることに苦しんでいたレイナを思い出した。今なら、自分がそこまで守られなければならないほど駄目なのかと悩んだレイナの気持ちも分かるような気がしていた。
ヴィオラの仕込んだ大金
倉庫を離れたキャロルは、手数料を五割取るはずのヴィオラが多額の現金を渡したことを不思議に思った。
ヴィオラは、今回は襲撃者の身柄を売った金を全額渡し、残る私財などの換金分から最終的な手数料を取るつもりだった。シェリル達が残りの換金分も半分受け取れると思い込んだとしても、それは相手の勘違いだと考えていた。
さらに大金を突然得たシェリル達が気を大きくし、将来の収入を当てにして散財すれば、それ自体が新たな騒動の種になる。ヴィオラはその可能性まで含めて楽しんでいた。
アキラからの投資
倉庫で二人きりになったシェリルは、アキラに報酬としていくら支払えばよいか尋ねた。
アキラは、報酬を受け取れば警備がハンター稼業になり、装備が揃うまで仕事を控えるというシズカとの約束に抵触するのではないかと迷った。一方で、人型兵器まで倒して無償というのも不自然だと考えた。
その結果、アキラは自分の報酬分を遺物販売店への投資に回し、店が成功した後に利益から支払ってもらうことにした。
シェリルは、アキラから初めて明確に見返りを求められ、強い喜びを覚えた。何も求められない関係から、期待される関係へ進んだと感じ、アキラが戸惑うほど強く意気込んだ。
ドランカムとの警備交渉
ドランカムの拠点では、トメジマとミズハが警備依頼について交渉していた。トメジマは断ろうとし、ミズハは受注しようとしていた。
トメジマ自身はカツヤ達の実力を評価していたが、シェリルから、アキラとカツヤの仲が非常に悪いため絶対に雇わず、その理由は伏せて予算不足を理由にするよう命じられていた。
トメジマは、依頼の目的はドランカムも警備に参加しているという名目作りであり、高額なカツヤ達を雇う予算はないと説明した。さらにアキラが人型兵器を単独で倒す映像を見せ、既存戦力にも余裕があると主張した。
ミズハはその説明を受け入れざるを得なかったが、シェリルや遺物販売店との繋がりを得る機会を諦めきれず、新たな提案を出した。そこから交渉は、断るための駆け引きから、双方が成立を目指す前向きなものへ変わっていった。
第138話 数と質
倉庫警備に加わったユミナ
倉庫脇のキャンピングカーで暮らすアキラは、早朝に警備を終えたユミナと顔を合わせ、コーヒーを飲みながら話した。ユミナは組織に属するハンターとしての苦労を語りつつ、帰る前にアキラとの友好を深めておこうと笑った。
トメジマとミズハの交渉により、倉庫側は総合支援強化服の試験を兼ねた日雇いという特殊な条件で、ユミナだけを非常に安く雇っていた。カツヤを雇わないというシェリルの条件も満たしており、警備面では有利な契約だった。
アキラとユミナを見守るシェリル
シェリルは情報端末越しに親しげに話すアキラとユミナを見て、強い嫉妬を堪えていた。
ユミナがアキラに恋愛感情を持っておらず、ミズハの意向でアキラとの関係を深めようとしているだけだと理解していたため、理性では警備契約の有用性を認めていた。それでもアキラがユミナに気安い笑顔を向けることには耐え難いものがあり、勤務時間をずらすなどして接触を減らそうとしていた。
白兎を巡るハーリアスの商談
ハーリアスでは、幹部達がアキラと白い人型兵器の戦闘記録を確認し、その実力に驚いていた。一方、ドーラムはアキラ以上にザルモの隠していた実力と、その力を今回だけ見せた理由を気にしたが、情報不足として棚上げした。
その後、八島重鉄の営業カザフゼと人型兵器の商談に入り、廉価版白兎を80機購入し、残りも取り置きさせた。カザフゼは白兎が一機2億オーラムであり、4億オーラム級の強化服を着たアキラを追い詰めた性能を強調した。
ドーラムはさらに、エゾントファミリーが吉岡重工から少数の人型兵器を購入していることを聞き出した。
数を選んだドーラム
ドーラムは、エゾントファミリーが資金不足で少数しか買えなかったのではなく、数より質を重視したと読み取った。
その上で、殺し合いでは十分な数が質を上回ると考え、八島重鉄から可能な限り多くの白兎を買う方針を決めた。傘下から金を絞り、資産を売り、借金をしてでも機体を増やし、調達可能な機体を揃え次第エゾントファミリーを潰すよう命じた。
しかしスラム街では既に双方が抗争資金を集め尽くしており、ドーラム自身も資金不足を理解していた。新たな金策を考える中、アキラと白兎の戦闘映像を見て笑みを浮かべた。
質を選んだロゲルト
エゾントファミリーでは、ボスのロゲルトが吉岡重工の営業ハラジと人型兵器の商談を進めていた。仲介にはヴィオラが入り、ハーリアスが白兎を大量調達していることを伝えたため、ロゲルトは機体代を支払った。
さらに武装が別料金だと知って怒りながらも、ロゲルトは高性能な機体を最大限活かすための武装を慎重に選んだ。
ロゲルトは、ハーリアスが大量の白兎を揃えても、高度な操縦者を大量には用意できないと見ていた。ザルモほど白兎を操れる者は少なく、自分なら高性能な一機を十分に扱えるため、質で数を蹴散らせると自信を持っていた。
尽きたエゾントファミリーの資金
商談後、ロゲルトは機体の早期納入に追加費用が必要だと知ったが、既に資金調達の限界に達していた。
傘下からも金融業者からも金を集め尽くし、歩兵用の武器や弾薬の費用まで削ることはできなかった。部下達からこれ以上の金策は困難だと報告され、ロゲルトは頭を抱えた。
その時、表示装置で再生されたアキラと白兎の戦闘映像を見て、何かを思い付いて笑みを浮かべた。
ヴィオラの調整
商談後、ハラジはヴィオラに日程の調整を任せると告げた。キャロルが何の日程か尋ねると、ヴィオラはプレゼンだと答え、自分も良い席を確保したいと楽しげに笑った。
見過ごされた人型兵器
シェリル達の倉庫に近い下位区画では、民間警備会社の兵士達が重装備で警戒を続けていた。
先日の襲撃時、モンスターには備えるよう命じられていた一方、人型兵器については対処不要とされていた。現場の警備兵は不自然さを感じていたが、本部から都市の予算でモンスター対策をしているだけだと告げられ、人型兵器については見て見ぬ振りを続けた。
二大徒党からの要求
シェリルの拠点には、エゾントファミリーとハーリアス双方の幹部が同時に押し掛け、自分達の側につくよう要求していた。
どちらかを選べば反対側を敵に回し、資金や遺物を奪われ、さらにアキラを抗争の戦力として要求される恐れがあった。シェリルはそれを受け入れればアキラに見切られると考え、どちらにも答えられず時間稼ぎを続けた。
アキラに相談することもできなかった。徒党の判断をアキラに委ねれば、彼の遺物や戦力を二大徒党へ差し出すことまで期待していると受け取られる恐れがあったからだった。
ヴィオラの一言
追い詰められた場にヴィオラとキャロルが現れた。ヴィオラは幹部達に、こんな所で時間を潰していれば上司に怒られるのではないかと意味深に告げた。
その言葉から双方の幹部は、相手側がここにいる者達を囮にして倉庫を襲うつもりなのではないかと同時に疑った。二人は慌てて倉庫の監視役へ連絡を取らせ、そのまま部下達を連れて退出した。
残されたシェリルに、ヴィオラは邪魔者がいなくなったとして、良い話を持ってきたと持ち掛けた。二大徒党からの圧力が消えたわけではない以上、シェリルにその話を聞かない選択肢はなかった。
第139 話 準備完了
ヴィオラの三日間
ヴィオラはシェリルに、エゾントファミリーとハーリアスの抗争が最長でも三日以内に始まると伝えていた。抗争が始まれば双方ともシェリル達に構う余裕を失い、勝敗が決まった後も勝者は疲弊するため、圧力は弱まる見込みだった。
その三日間を凌ぐため、ヴィオラは既に雇っているユミナとの繋がりを利用し、カツヤ達の部隊を短期間だけ雇うよう勧めた。シェリルはアキラから投資された金を使うことに懸念を抱きながらも、その案を受け入れた。
面白さを求めるヴィオラ
シェリルは、二大徒党を敵に回しかねない危険を冒してまでヴィオラが協力する理由を尋ねた。
ヴィオラは、どちらかが一方的に勝つだけではつまらず、状況を面白くしたいからだと答えた。シェリルはその言葉が本心だと見抜き、自分達もヴィオラにとって騒動を楽しむための駒にすぎないと理解した。
倉庫へ集まった二大徒党
倉庫には、先にシェリルの拠点から飛び出したエゾントファミリーとハーリアスの者達が集まっていた。ヴィオラは幹部達から、倉庫が襲撃されているように誤解させたと責められたが、自分は何も断言しておらず、勝手に勘違いしただけだと返した。
さらに、遺物を欲しがるならシェリルではなく実権を持つアキラと交渉すべきだと指摘した。幹部達は言い返せず、不機嫌なまま引き下がった。
カツヤ達の雇用
シェリルはアキラに事情を説明し、投資された金でカツヤ達を雇ってよいか尋ねた。アキラは金の使い方まで口を出すつもりはないとして、あっさり了承した。
一方でアキラは、二大徒党の者達が大破した人型兵器を見ても少人数で押し掛けてきたことを、自分がまだ舐められている証拠だと受け取り、不機嫌になっていた。
実際には彼らはアキラを軽視していたのではなく、倉庫にいないと思って来ただけであり、姿を確認した時点で動きを止めていた。しかし組織の命令や強制力に疎いアキラには、その事情が分からなかった。
シェリルの抱擁
自分の不機嫌をシェリルに向けてしまったことに気付いたアキラは謝った。
シェリルは以前自分がアキラに抱き締められて元気になったことを持ち出し、今度は自分からアキラを抱き締めた。軽いやり取りを交わすうちにアキラの気分は和らぎ、実際に気が楽になったと礼を言った。
シェリルは内心で強く喜びながら、騒ぎが収まるまで自分も倉庫に残り、アキラのキャンピングカーを使わせてほしいと頼んだ。アキラは了承した。
アキラとカツヤの接触回避
翌朝、カツヤ達の部隊が到着する前に、アキラは一度倉庫を離れた。カツヤと会えば余計な揉め事が起こる可能性が高く、過合成スネーク戦でも不可解なほど強いいらだちを覚えていたため、自分から問題を起こさないよう避けたのだった。
シェリルはユミナから、カツヤは好かれやすい一方で激しく嫌われることもあり、アキラとは単純に相性が悪いのだろうと聞いた。
二人は、アキラとカツヤを不用意に会わせないよう協力することにした。想う相手は違っても、面倒事に巻き込みたくないという点では一致していた。
ドランカムの警備開始
到着したカツヤ派の部隊を、シェリルとミズハが迎えた。ミズハは今回の依頼を足掛かりにシェリルとの関係を深めようとし、シェリルも令嬢の演技を続けながら相手の認識を探った。
カツヤはその様子を見て、シェリルがどこかの令嬢だという誤解をさらに強めた。
ユミナはカツヤに、依頼主であるシェリルや先に雇われている者達に失礼な真似をせず、特にアキラとは揉めないよう念を押した。カツヤは近寄らないと約束したが、ユミナはその約束が守られるかを警戒していた。
SSB複合銃
自宅で休んだアキラはシズカの店を訪れ、注文していたSSB複合銃を受け取った。
全長はアキラの背丈を超え、補助アームで強化服に固定する大型銃だった。連射速度はDVTSミニガン以上、単発威力はCWH対物突撃銃以上で、狙撃性能も高かった。大物殺し用の拡張部品も組み込まれ、価格は1億オーラムだった。
アキラは補助アームを使い、背中から瞬時に銃を構える動作を問題なく行った。
シズカの常連
高価な装備を使うまでになったことをシズカに褒められたアキラは、自分も店の常連になったのではないかと期待した。
しかしシズカは、常連とは長く店に通い続けてくれる者であり、危険な真似で大怪我をしたり死んだりせず、元気な姿を見せ続ける者だと告げた。
アキラは、シズカが以前からずっと無事に帰ってくることを願っていたのだと理解し、ちゃんと常連になるよう頑張ると約束した。
シズカは見送った後、強大な装備を短期間で得たアキラ自身が、その力にまだ追い付いていないように感じていた。危うさを抱えたまま力を振るえば破滅しかねないと懸念し、アキラが自発的に無茶を控えることを願っていた。
アルファの確認
自宅で新装備を整えているアキラに、アルファは拡張視界上で裸のシェリルを見せた。
アキラは、シェリルに付き合い続けていることや、自分の取り分を投資に回したことを疑われていると考え、遺物販売店への投資だと説明した。アルファはその言い訳そのものではなく、裸のシェリルに対するアキラの反応を確認していた。
続いてアルファは、自分の姿をシェリルと同年代ほどの少女に変え、裸のままアキラに見せた。見慣れない美少女の姿にアキラは顔を赤くし、元の姿に戻すよう求めた。
反応を確認したアルファは満足し、機嫌良く笑った。
新装備を見せるアキラ
倉庫へ戻ったアキラは、ドランカムの警備を通過する際にカツヤ派のハンター達から好意的ではない視線を受けた。
出迎えたシェリルは、荷台のSSB複合銃を見て驚いた。1億オーラムの大物殺し用の銃だと聞くと、4億オーラムの強化服を使うアキラに相応しい装備だと褒めた。
装備を通して褒められたアキラは素直に機嫌を良くし、見た目で相手の戦意を挫くことも重要だというシェリルの話にも同意した。
アキラはドランカムとの不要な揉め事を避けるため、自分の警備場所を相談した。シェリルはカツヤ派の者達がアキラを睨んだことに不快感を示し、苦情を入れた上で配置を調整すると決めた。
キャロルへの暗殺
キャロルは倉庫近くの雑居ビルで副業の客を待っていた。現れたのはハーリアスの幹部と武装した部下達だった。
彼らは客を装っていたが、目的はキャロルとヴィオラの殺害だった。ヴィオラが吉岡重工とエゾントファミリーの人型兵器取引を仲介したことで、ハーリアス側は二人をこれ以上生かしておく価値はないと判断していた。
キャロルが裸になったところで男達は一斉に銃を向け、攻撃を開始した。
身体強化拡張者のキャロル
銃撃が始まると、キャロルは裸のまま男達の懐へ飛び込み、次々に殺した。
キャロルの体は高度な身体強化拡張処理によって作られており、強化服を着ていなくても、そこらの強化服以上の身体能力を発揮できた。強化服を常用していたのも、それがなければ高い身体能力を出せないと相手に誤解させるためだった。
男達は銃も強化服も役に立てられないまま倒され、最後に残った幹部もキャロルに止めを刺された。
特等席への移動
戦闘が終わるとヴィオラが奥の部屋から現れた。
キャロルは、ハーリアス側の大きな仕事がもうすぐ始まると伝えた。ヴィオラは、それなら自分達も特等席へ移動しようと答えた。
血塗れのキャロルは先にシャワーを浴びると告げ、ヴィオラと共に部屋を後にした。室内には、暗殺に来た男達の死体だけが残された。
第140話 大抗争開始
人型兵器の大部隊
夜明け前、キャンピングカーで眠っていたアキラは、アルファから多数の人型兵器が接近していると知らされて目を覚ました。シェリルも起こし、周囲への警戒を任せると、アキラはSSB複合銃とA4WM自動擲弾銃を装備して迎撃へ向かった。
倉庫ではカツヤも哨戒班から同じ報告を受け、部隊を対人型兵器用の武装に切り替えた。警告を無視して攻撃を始めた白い人型兵器、廉価版白兎に対し、カツヤ達も迎撃を開始した。
カツヤ達の防衛戦
カツヤ達は総合支援システムによる情報共有と連携を活かし、仲間の援護で白兎の動きを崩しながら次々に撃破した。
しかし敵は想定していた数を大きく超えて増え続けた。十数機なら対処できても、数十機もの白兎を相手にするのは難しく、カツヤは防衛線を倉庫付近まで下げる決断をした。
ユミナは総合支援システムからカツヤとの連携に難があると判断され、前線ではなく倉庫の警備に残されていた。戦況悪化を知ると、自分が前線にいても足手纏いだっただろうと考えながら、今できることとして倉庫内の者達の避難を提案した。
シェリル達の避難
ユミナはシェリル達をドランカムの車両に乗せ、下位区画へ避難させた。
シェリルは、カツヤ達を雇ったのは二大徒党への抑止力としての意味が大きく、それでも実際に大量の人型兵器が襲ってくるとは想定していなかったと話した。
ユミナはミズハに増援を求めた後、総合支援システムで戦況を確認した。そこで防衛線の一部に、敵も味方も表示されない空白があることに気付いた。
アキラの単独迎撃
空白地帯の映像には、アキラが一人で複数の白兎と戦う姿が映っていた。
アキラは強化服の接地機能を使って地面だけでなく建物の壁や空中まで足場にし、立体的に動きながら敵の照準を外した。SSB複合銃の強力な連射で白兎の胴体を乗員ごと撃ち抜き、A4WM自動擲弾銃で別の機体の姿勢を崩してから仕留めていった。
ミニガンや大砲を装備した新手に対しても、空中で軌道を変えながら攻撃を回避し、二機を続けて撃破した。
アキラはSSB複合銃なら体感時間操作を極端に酷使して精密に狙わなくても倒せることに満足していた。以前はAAH突撃銃やA2D突撃銃で苦戦した相手を、1億オーラムの銃では遥かに容易く倒せていた。
百機の白兎
アキラは敵の数を確認し、その数が百機に達していることを怪訝に思った。
アルファは、十分なウォーミングアップになったとして残りをドランカムに任せてもよいと提案した。しかしアキラはカツヤ達が苦戦しているのを見て、自分が退けば倉庫の遺物に被害が出ると考え、戦いを続けることにした。
黒い人型兵器
その時、地上の白兎とは異なる反応が現れた。
スラム街上空を飛んでいたのは、背部の大型推進装置、肩部のミサイルポッド、巨大な銃と砲、近接武器まで備えた黒い人型兵器だった。
黒い機体は大型砲を倉庫へ向け、一発の砲撃で簡易防壁を貫いて倉庫を倒壊させた。
直後、スラム街各所から白兎が現れ、一斉に黒い機体への攻撃を開始した。それまで倉庫を襲っていた白兎達も戦線を離れ、黒い機体との戦闘へ移った。
倒壊した倉庫
白兎達が去った後、アキラは倉庫へ戻った。シェリル達も被害確認のため戻り、倒壊した倉庫を目の当たりにした。
シェリルは動揺しながらも、遺物を奪われたわけではなく、無事な品も残っているはずだと自分に言い聞かせた。アキラから金や遺物を投資され、その成果を期待されている遺物販売店を失敗させれば見切られるという恐怖が、シェリルを辛うじて立たせていた。
防衛失敗を悔やむカツヤに代わって、ユミナがシェリルへ謝罪した。シェリルは警備はまだ終わっていないとして、瓦礫の撤去や遺物回収の間も警備を続けるよう求めた。
ユミナもカツヤに、負傷者への対応や増援要請、警備継続を促し、二人は落ち込んでいる暇はないと立て直した。
倉庫破壊の目的
アキラは、大量の人型兵器を投入しておきながら倉庫を壊しただけで去った敵の行動を理解できずにいた。
そこへヴィオラが現れ、目的は遺物の奪取ではなく、相手に遺物を使わせないことだったと説明した。
エゾントファミリーとハーリアスは、人型兵器の調達資金として倉庫の遺物を狙っていた。しかし互いの準備が整い始めると、自分達が奪うこと以上に、相手に奪われて換金されることを防ぐ方が重要になった。
そのため出遅れたエゾントファミリーが黒い機体で倉庫を破壊し、遺物を短期間で換金できない状態にした。それによってハーリアス側も倉庫を襲う理由を失い、白兎を黒い機体との戦闘へ向かわせたのだとヴィオラは推測した。
侮られ続けるアキラ
ヴィオラの説明を聞いたアキラは事情を理解した。しかしその理解は、別の感情を引き出した。
スラム街で弱者として生きてきたアキラは、長年他者から軽んじられてきた。ハンターとなり、強力な装備と実績を得て、自分はもう無闇に侮られる存在ではないという感覚を少しずつ築いていた。
だが強化服を着ていてもスリに狙われ、賞金首を倒した後も倉庫を襲われ、人型兵器を一人で倒しても再び攻撃された。今回も大量の白兎を倒したにもかかわらず、敵はアキラとの決着を付けず、倉庫を破壊した途端に別の敵との戦闘へ移った。
アキラには、それが自分など相手にする価値もないと扱われたように感じられた。
被害で示す決意
成果をどれだけ積み重ねても軽んじられるのであれば、成果では意味がない。敵対したことがどれほど割に合わない行為だったのか、相手に与える被害で示すしかない。
アキラはそう考え、死体の山を築くことで自分を侮った代償を示すと決めた。
その変化は周囲にも伝わった。ユミナは警戒し、シェリルは怯え、カツヤは二人を庇うように前へ出た。
アキラはシェリルに、用事ができたので倉庫の警備は他の者に任せてほしいと告げ、そのまま走り去った。
アキラへの恐れ
アキラが去った後、カツヤは以前にも見たような異様な殺気に戸惑った。ユミナは余計なことを考えさせないようカツヤを急かし、自分達は過去にあのアキラと殺し合う寸前だったのだと改めて感じていた。
シェリルもアキラの去った方向を見ながら不安を抱いた。
自分がアキラを愛し、依存している感情は、本当に愛情なのか。それともアキラという恐ろしい存在を恐れずに済むように生まれた防御反応なのか。
いつか自分が強くなり、アキラを恐れなくなった時、この想いまで消えてしまうのではないか。シェリルはその疑問を否定し切れなかった。
第141話 優先順位
黒狼と白兎の激戦
エゾントファミリーのボスであるロゲルトは、新型人型兵器・黒狼を操り、ハーリアスの廉価版白兎を次々に撃破していた。黒狼は機体性能でも白兎を大きく上回り、ロゲルトの高い操縦技術もあって、白兎の攻撃を力場障壁で防ぎながら圧倒していた。
しかしロゲルト自身は、想定以上に実力のある操縦者が揃っているハーリアス側を苦戦相手と見ていた。当初なら既に残党処理へ移っているはずだったが、敵部隊はまだ多く残っていた。
ドーラムの指揮
ハーリアスのボスであるドーラムも、黒狼の強さを前に内心では劣勢を認めていた。
それでも表向きは動じず、ロゲルトが威勢良く叫ぶのは追い詰められている証拠であり、攻撃を避けている以上はこちらの攻撃も通じていると部下達を鼓舞した。その言葉で部隊の士気は持ち直した。
ドーラムは当初、実力の低い操縦者を倉庫への囮に使い、ロゲルトを誘い出したところを精鋭の白兎で包囲して仕留める計画だった。しかし数十機による一斉射撃も黒狼の力場障壁に防がれ、計画は崩れていた。
それでもドーラムは、黒狼の弾薬やエネルギーには限界があると考え、歩兵部隊に補給拠点を探させながら勝機を探っていた。
三つ巴への乱入
均衡した戦場で白兎の一機がロゲルト以外の攻撃によって破壊された。
その攻撃者は、ビルの屋上に現れたアキラだった。
ドーラムが目的を問いただすと、アキラは死ねと返し、さらにロゲルトから味方につくのかと問われても、お前も死ねと告げた。
アキラは黒狼への攻撃だけでなく白兎にも銃撃を加えたため、エゾントファミリーとハーリアスの双方を敵に回した。こうしてアキラ、黒狼、白兎部隊による三つ巴の戦闘が始まった。
死地に飛び込んだアキラ
実力者が操る白兎の大部隊と、それらを単機で圧倒する黒狼を同時に敵に回したアキラは、極端な劣勢に追い込まれた。
勝つだけなら二大徒党の決着を待ち、疲弊した勝者を襲えばよかった。しかしアキラの目的は勝利ではなく、自分を侮った者達に被害を与え、自ら死体の山を築くことだった。
激情に突き動かされたアキラはSSB複合銃とA4WM自動擲弾銃で必死に抗ったが、遂に巨大な銃弾を受けて建物へ吹き飛ばされ、その建物ごと集中砲火で倒壊させられた。
アルファへの依頼
アキラは生きていた。アルファが防護コートと強化服を調整して被害を抑え、倒れる位置まで操作していたためである。
それでもアキラは大量に吐血し、回復薬を服用した。アルファが本格的に支援していれば被弾せずに済んだが、アキラは自分の都合で始めた戦いにアルファの力を使うことを躊躇し、あえて支援を頼んでいなかった。
それでも戦いをやめる気のないアキラに、アルファは嫌なら手伝わなくていいではなく、お願いしますと頼むべきだと告げた。アキラが頼れる状態を保っているのなら、素直に頼り、甘えてよい関係は既に築けていると諭した。
アキラは自分の甘えを認めて謝り、改めてアルファに助力を頼んだ。アルファもそれを受け入れ、アキラは冷静さと意気を取り戻した。
キャロルとの共闘
再戦へ向かおうとしたアキラの前にキャロルが現れた。
キャロルは、ヴィオラ達も二大徒党と敵対しているためチームを組もうと誘った。アキラは自分の戦いに他人を混ぜたくないとして一度断ったが、キャロルは人型兵器をアキラに任せ、自分は歩兵を狙うだけだと提案した。
さらにキャロルは、チームを組んだ相手だから渡せるとして、対力場装甲弾の拡張弾倉をアキラに渡した。アキラはその意図を理解して礼を言い、アルファは新たな弾薬をSSB複合銃へ組み込んだ。
黒狼への再挑戦
瓦礫を蹴り飛ばして戦場へ戻ったアキラは、再び黒狼と交戦した。
アルファの本格的な支援によって、アキラのSSB複合銃は高速移動する黒狼の同一点へ連続して命中するようになった。黒狼の強力な力場障壁も大量のエネルギーを消費させられ、ロゲルトは回避を強いられた。
ロゲルトが反撃のため一瞬だけ力場障壁を解除すると、アルファはその瞬間を狙い、対力場装甲弾を交ぜた連射を黒狼の銃へ集中させた。巨大な銃は大きく歪み、照準能力を失った。
ロゲルトは大型砲に切り替えたが、アキラは擲弾を空中で爆発させて黒狼のセンサーを乱し、近くの白兎を盾代わりにして砲撃を凌いだ。
ロゲルトのミサイル攻撃
大型砲を使いにくくなったロゲルトは、切り札として温存していた大量の小型ミサイルを発射した。
ミサイルはアキラと白兎部隊へ降り注ぎ、スラム街一帯を爆炎で包んだ。ハーリアス側はこの攻撃で白兎の半数を失った。
ドーラムは部隊を一度後退させ、アキラを挟んで黒狼の反対側へ展開させるよう指示した。以後は積極的に戦わず、アキラとロゲルトを潰し合わせる方針へ切り替えた。
ドーラムには後退という選択肢があった一方、武力を背景に組織を率いるロゲルトには、ハンター一人を恐れて退いたと思われることが徒党の威信に直結するため、簡単には退けなかった。
ロゲルトからの勧誘
アキラは小型ミサイルをSSB複合銃で撃ち落として生き延び、瓦礫の陰で大量の回復薬を服用していた。
ロゲルトは急激に強くなったアキラを、死を覚悟した特殊な戦闘薬でも使ったのではないかと推測した。その上でアキラへ通信を繋ぎ、その強さを認めてエゾントファミリーへ勧誘した。
幹部として自分に次ぐ地位を与え、ハーリアスを潰してスラム街の経済を掌握すれば金も女も手に入ると持ち掛けたが、アキラは即座に拒否した。
ロゲルトは、アキラが舐められることへの怒りから襲ってきたと見抜き、十分に実力は認めたと説得した。それでも断られると勧誘を諦め、今度はアキラを優先して殺すと宣言した。
通信が切れた直後、黒狼は宣言通り高速でアキラへ向かい始めた。アキラもアルファと共に、ロゲルトとの本格的な殺し合いへ備えた。
第142話 満足に欠ける決着
黒狼の近接戦
ロゲルトは黒狼の銃器を全て捨て、チェーンソー型の近接武装だけでアキラへ突撃した。アキラはSSB複合銃を全力で撃ち込んだが、黒狼は被弾位置に力場装甲を集中させて防ぎ、巨大な刃で接近戦を仕掛けた。
アキラは強化服の接地機能と体感時間操作を駆使して即死級の斬撃を避け続けた。ロゲルトは白兎部隊との再戦で不利になることを承知でアキラの殺害を優先しており、短時間で決着をつけるため大量のエネルギーを消費していた。
消耗戦への誘導
アキラは黒狼の斬撃を建物へ誘導し、瓦礫や粉塵でセンサーを乱しながら、SSB複合銃とA4WM自動擲弾銃で攻撃を続けた。黒狼は防御と高速戦闘のために大量のエネルギーを消費し、アキラも弾薬や強化服のエネルギーを削られていた。
長く感じられる激戦の末、先に限界へ達したのは黒狼だった。機体のエネルギー残量が僅かになると、ロゲルトは自動操縦へ切り替えて操縦席を離れた。
黒狼の離脱
黒狼は残るエネルギーを推進装置と背面防御へ回し、アキラに背を向けて離脱した。
アキラはロゲルトが逃げたことに困惑したが、アルファは黒狼が移動式整備場で補給するつもりだと見抜いた。アキラが補給を阻止しようと移動した瞬間、粉塵の中から突然斬撃を受けた。
ロゲルトとの直接対決
奇襲したのは、黒狼から降りていたロゲルトだった。ロゲルトは双剣を手にアキラへ接近し、SSB複合銃の破壊を狙っていた。
アキラは銃を守るため、SSB複合銃とA4WM自動擲弾銃を後方へ投げ捨てて格闘戦へ移った。黒狼の補給が終わるまでにロゲルトを倒せばアキラの勝ちであり、ロゲルトはアキラを倒すか銃を破壊するか、補給完了まで時間を稼げば勝ちとなった。
一方、遠方から戦況を見ていたドーラムも黒狼の移動先に大型トレーラーを発見し、それが移動式整備場だと見抜いて部隊へ破壊を命じた。
双剣と拳の死闘
ロゲルトは双剣を高速で振るい、アキラはアルファの支援と強化服の能力を総動員して応戦した。銃弾すら発射後に避けられる者同士が、拳、蹴り、刃を至近距離で交わす戦いとなった。
アキラには捨てた銃を守る必要と、黒狼の補給完了までという時間制限があった。それでもロゲルトと互角に戦い、ロゲルトはその強さを喜びながら死闘そのものを楽しんでいた。
アキラも高精度なサポートによる脳への負荷を受け続けており、双方に時間切れが迫っていた。
ロゲルトの敗北
先に限界へ達したのはロゲルトだった。アキラの蹴りが初めてまともに入り、ロゲルトは壁へ叩き付けられて吐血した。
アルファは、ロゲルトが使用していた加速剤の効果が切れたのだと推測した。ロゲルトはアキラも薬で能力を引き上げていると思っていたが、アキラは加速剤を使っていないと答えた。
勝敗を認めたロゲルトは抵抗をやめ、アキラに自分を殺すよう告げた。その一方で、黒狼の補給が予定より遅れていることを不思議に思っていた。
ネリアの出現
その疑問に答えたのは、光学迷彩で近くに潜んでいたネリアだった。ネリアは黒狼の整備作業員を殺したため補給が遅れたと明かした。
ネリアは自分が二大徒党のどちら側でもないと説明し、アキラにこの場から退くよう求めた。さらに、アキラが何もしなくてもエゾントファミリーとハーリアスはその日のうちに壊滅すると告げた。
アキラが理由を求めると、ネリアはこれ以上乱入されると面倒だからだと答えた。それでも応じない様子を見せるアキラに、ネリアは再び恋人にならないかと持ち掛けた。
都市を背負うネリア
アキラは以前に殺し合いの最中でネリアから口説かれたことを思い出して怯んだ。
アルファは、都市に拘束され巨額の負債を返すために働いているネリアの背後にはクガマヤマ都市がいる可能性が高く、ここで逆らえば都市を敵に回しかねないと指摘した。
ロゲルトを倒したことで区切りも付いていたため、アキラは恋人はいる、ネリアとは付き合わないと答えた上で撤退を受け入れた。
ロゲルトの最期
決着にネリアが割り込んだことを許せなかったロゲルトは、残る力を振り絞ってネリアへ斬り掛かった。
しかしネリアはその一撃を避けると、一瞬でロゲルトの頭部と体を十字に切断した。ロゲルトは絶命し、ネリアは勝負自体は既についていたと告げた。
ネリアはアキラに別れを告げて光学迷彩で姿を消した。アキラは死力を尽くして戦ったロゲルトに望む形の決着を与えられなかったことへ感傷を覚えながら、その場を去った。
操縦者を変えた人型兵器
黒狼の移動式整備場では作業員達がネリアに皆殺しにされていた。ネリアは自ら補給作業を終えると、ロゲルト専用だったはずの黒狼へ乗り込んだ。
一方、ドーラム達の指揮車両も死体で埋まり、生き残っていた別の男が白兎部隊を掌握していた。
ネリアが操る黒狼と、指揮者を変えた廉価版白兎部隊は、改めて戦闘を開始した。
第143話 みっともない強さ
アキラの帰還
倒壊した倉庫の側で待っていたシェリルは、最後に見たアキラの激しい殺気を恐れ、戻ってきた彼を以前と同じように迎えられるか不安を抱いていた。
しかし帰還したアキラから殺気は消えており、シェリルは安堵した。一方のアキラは疲れ切った様子で、キャンピングカーに入るとシャワーだけを浴びてベッドに横になった。大量に服用した戦闘用回復薬の影響で眠ることはできず、ただ休んでいた。
シジマの懸念
シェリルに連れられてシジマが訪れ、エゾントファミリーとハーリアスの両方に喧嘩を売ったアキラに、これ以上は付き合えないと告げた。
アキラは自分が勝手にやったことであり、シジマ達を巻き込むつもりも強制する気もないと答えた。さらに、二大徒党はその日のうちに壊滅するはずなので、報復の巻き添えもあまり気にしなくてよいと話した。
シジマが情報源を尋ねると、アキラはネリアの名を伏せ、確かな伝から得た情報だとだけ説明した。ヴィオラからの情報ではないと知ったシジマは一定の信憑性を認めながらも半信半疑だった。
ヴィオラへの疑念
シジマはヴィオラなら二大徒党の壊滅を裏で仕組んでいても不思議ではなく、自分達まで企みに巻き込んでいる可能性があると語った。
最近ヴィオラと頻繁に顔を合わせていたことを思い返したアキラは、本人に直接聞くことを決めた。アキラ、シェリル、シジマはヴィオラとの面会場所へ向かった。
血塗れの雑居ビル
指定された雑居ビルではキャロルが待っていた。シジマは護衛を外に残し、アキラ達と中へ入った。
建物内にはハーリアスの兵士達の死体が大量に転がっていた。キャロルは自分達を殺しに来た者を返り討ちにしただけだと説明し、その奥でヴィオラが待っていた。
巻き込みの告白
シジマは二大徒党がその日のうちに壊滅するという情報を示し、それがヴィオラの仕業かと探りを入れた。しかしヴィオラはその意図を見抜き、情報を得たければ正式に依頼するよう返した。
続いてアキラが、自分達を何かに巻き込んだかと端的に尋ねた。ヴィオラは即答を避けた末、巻き込んだと認めた。ただし死んでも構わないとは考えていたが、死んでほしいとは考えていなかったと答えた。
ヴィオラへの銃撃
アキラが殺す理由を尋ねると、ヴィオラは自分を殺した者に三億オーラムの賞金が懸かる死後報復依頼プログラムを用意していると明かした。
さらにキャロルがシェリルの隣にいることを抑止材料として示した直後、アキラはヴィオラの胸をAAH突撃銃で撃ち抜いた。
アキラはキャロルに、これで殺し合う必要があるのかと尋ねた。キャロルは報酬がアキラと殺し合うほど高くないとして敵対を拒み、代わりに護衛としての仕事を果たすためヴィオラの救命処置を始めた。
ヴィオラの蘇生
キャロルは高級な自動治療キットをヴィオラに装着し、薬剤を注入した。十秒ほどでヴィオラは大量に吐血しながら意識を取り戻した。
ヴィオラはこの状況で蘇生させたキャロルに不満を見せたが、キャロルは一度交渉に失敗して殺された分は帳消しになったので、次は自分で何とかするよう促した。
遺物販売店への協力
再び銃口を向けられたヴィオラは、見逃してもらう条件としてシェリルの遺物販売店の経営を手伝うと提案した。
さらに二大徒党の壊滅は自分の工作によるものであり、依頼を受けて実行したのだと明かした。依頼主は伏せたものの、そのような依頼を受けて成功させられるだけの能力が自分にはあるため、巻き込んだ分を帳消しにする価値はあると主張した。
アルファからヴィオラが嘘を吐いていないと聞いたアキラは銃を下ろし、生かしておいて良かったと思わせるよう命じた。再び余計なことをしたり、殺しておけば良かったと思わせたりした時点で殺すと警告し、ヴィオラとの取引を成立させた。
アキラの落ち込み
拠点へ戻ったアキラは再び元気を失っていた。シェリルは休むよう勧めたが、アキラは二大徒党が壊滅すれば自分が拠点にいるのもその日まででよいだろうと話した。
シェリルはアキラがいれば皆が安心すると伝えたが、アキラがその言葉を信じていないことに気付いた。理由までは分からなかったため、シェリルは分かっていることだけを伝えようとアキラを抱き締めた。
シェリルの言葉
シェリルは、自分はアキラがいるだけで強く安心すると断言した。徒党はアキラの後ろ盾があって成り立っており、彼がいなくなれば拠点も縄張りも失い、全員が再びスラム街で危険に晒されると語った。
アキラを怖がったり苦手に思ったりする者であっても、アキラの強さによって生活を守られていることは理解していると続けた。アキラ自身がその強さをどう評価していても、自分達が助けられている事実だけは知っていてほしいと伝えた。
自分の強さへの迷い
アキラが落ち込んでいたのは、自分の力を軽んじられたことに激昂しながら、実際にはアルファのサポートという他者の力で相手を屈服させたことに気付いたためだった。
他者から軽んじられることも、アルファの力に頼ることも否定するつもりはなかった。しかし激情に任せてアルファの力を自分の力のように振るい、それを相手に認めさせたことが、何かを偽ったように感じられていた。
それでもシェリルから、自分達は実際にその力に助けられていると言われたことで、アキラは今の自分はその程度なのだと受け入れられるようになった。
アキラとシェリルの抱擁
アキラは大分気が楽になったとシェリルに礼を言った。気にして落ち込むより、自力でも同じことができるほど強くなればよいと考え直し、気持ちを立て直した。
シェリルは以前と同じように、望むならいつでも抱き締めると告げた。気を緩めたアキラは好きにしてくれと答え、そのままシェリルが満足するまで抱き付かせた。
以前、自分のアキラへの想いは恐怖から身を守るための防御反応なのではないかと疑っていたシェリルは、この時には違うと言い切ることができ、それを強く喜んでいた。
第144話 ハンター稼業再開
病室での追及
アキラに撃たれたヴィオラは、高額な治療によって傷跡も残らず助かったものの、数日の入院を必要としていた。その病室を八島重鉄のカザフゼと吉岡重工のハラジが訪れ、人型兵器の実戦試験をアキラの介入で台無しにされたとしてヴィオラを追及した。
今回の大抗争はクガマヤマ都市が仕組んだものであった。都市は巨大化して裏経済を二分し、表の経済にまで干渉し始めたエゾントファミリーとハーリアスを目障りと考え、両組織を壊滅させると同時に、スラム街に蓄積された資金を吐き出させようとしていた。ヴィオラは都市から依頼を受け、以前から両組織の対立を煽っていた。
さらに都市への人型兵器納入を狙う八島重鉄と吉岡重工が加わり、二大徒党に自社製の機体を売却して実戦させることになった。都市は抗争を利用して二大徒党を壊滅させ、資金を吸い上げ、人型兵器の性能まで確認することに成功したが、両社にとってはアキラの乱入で双方の機体が敗れたことが大きな問題となっていた。
営業達との駆け引き
ヴィオラはアキラを介入させた疑いを否定し、むしろ交渉でアキラを別の戦いに向かわせようとして失敗したと説明した。さらに自分がアキラに撃たれて入院している事実を示し、共謀していたなら起こり得ないことだと主張した。
続いてヴィオラは、廉価版白兎については凡庸な操縦者で三億オーラムの賞金首を倒したアキラを相手にした以上、敗北しても通常版の評価まで落とす必要はないとカザフゼに持ち掛けた。都市への報告書でもその点を記載すると匂わせ、八島重鉄との間では互いに利のある形で話を収めた。
一方、黒狼までアキラに敗れた吉岡重工には同じ擁護材料がなかった。ヴィオラは、アキラが実際には飛び抜けた実力を隠したランク詐欺のハンターだったことにすればよいと暗に持ち掛けた。ハラジはその意図を理解したものの、ヴィオラへの依頼はせず、八島重鉄のカザフゼと別に話を進めることにした。
ヴィオラの仕掛け
営業達が去ると、キャロルはヴィオラが彼らへの言い訳を作るため、わざとアキラに撃たれたのではないかと尋ねた。ヴィオラは撃たれたかったわけではないものの、あの状況なら殺されない程度に撃たれることも選択肢の一つだったと認めた。
ヴィオラはアキラに今回の騒動への関与を正直に認めることで、その後の説明まで信用させていた。実際にはスラム街全体を巻き込む工作の中でアキラ達も利用していたが、アキラには単に騒動へ巻き込まれただけだと思わせ、詳しい関与の度合いから意識を逸らしていた。
さらにキャロルとの関係を利用してアキラの殺意を鈍らせるため、対力場装甲弾まで用意してキャロルからアキラへ渡させていた。胸元の目立つペンダントも、撃たれるなら頭ではなく胸を狙わせるための仕掛けだった。全てが狙い通りではなかったものの、ヴィオラはアキラの殺意を生き残れる程度まで調整し、結果として命を繋いでいた。
カツラギの評価
シェリル達の拠点では、アキラが屋上に姿を見せて警備を続けていた。敵が来る可能性は低かったが、アキラという後ろ盾が健在であることを内外に示す意味があった。
その側でシェリルはカツラギと連絡を取り、倒壊した倉庫からの遺物回収を翌日から始めるよう依頼した。二大徒党がその日のうちに壊滅するという情報を疑うカツラギには、ヴィオラがアキラの伝で遺物販売店に協力することになったと明かし、必要なら情報の精度を本人に確認するよう勧めた。
ヴィオラまで協力者に加わったと知ったカツラギは、シェリルを単にアキラに庇護されるスラム街の少女と見る認識を改めた。シェリルは自分が特別なのではなく、ただ自分にはアキラがいるだけだと答え、カツラギも自分の投資判断が正しかったと認めた。
二大徒党の壊滅
夕暮れまで人型兵器同士の戦闘は続いていた。しかし黒狼を操縦する者はロゲルトではなく、白兎の部隊を指揮する者もドーラムではなかった。それでも両組織の構成員達は、ボスが健在で指示を出していると信じて戦い続けていた。
やがて大破した黒狼と最後の白兎が相打ちとなった。エゾントファミリーとハーリアスは、ボス、主要な武装構成員、莫大な資金を一日のうちに失い、クガマヤマ都市の計画通り完全に壊滅した。
新たなバイク
大抗争から十日後、アキラはハンター稼業を再開していた。新たに手に入れた高性能な荒野仕様バイクには力場装甲が備わり、SSB複合銃やA4WM自動擲弾銃を搭載できる銃座も取り付けられていた。
大抗争では弾薬や回復薬、装備の修復資材などを大量に消費したため、アキラはシェリルへの投資分のうち未使用の金を返してもらうことにした。資金を減らしたくないカツラギは現金での返却を嫌がり、代わりに商品を買ってもらうよう交渉した結果、アキラの実力に見合う高性能なバイクを必死に調達した。
クズスハラ街遺跡の奥部へ
新たなバイクの性能を確認したアキラは、アルファからサポート込みならクズスハラ街遺跡の奥部にも進めると聞き、再び遺跡探索へ向かった。
かつて到達を断念した奥部へ挑めるだけの装備と力を手に入れたアキラは、アルファから受けた依頼を果たせるほど強くなるため、旧世界の領域へ向けて荒野を駆けていった。
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