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フィクション(Novel)読書感想領民0人スタートの辺境領主様

小説「領民0人スタートの辺境領主様 VII(7) 旅宿の香風」感想・ネタバレ

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フィクション(Novel)

領民0人6巻レビュー
領民0人まとめ
領民0人8巻レビュー

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  1. どんな本?
  2. 読んだ本のタイトル
  3. あらすじ・内容
  4. 前巻からのあらすじ
  5. 感想
  6. 考察・解説
    1. イルク村の新年
    2. 領民の役割分担
    3. 血無しの三兄弟
    4. 岩塩鉱床の発見
    5. 友好の家族旅行
    6. 隣領の隊商宿
    7. 新たな領民
    8. 森人族の秘密
  7. 登場キャラクター
    1. イルク村(メーアバダル領)
      1. ディアス(ディアス・メーアバダル)
      2. アルナー
      3. セナイ
      4. アイハン
      5. エイマ
      6. エリー
      7. ヒューバート
      8. クラウス
      9. カニス
      10. ベン
      11. マヤ
      12. ナルバント
      13. サーヒィ
      14. セキ
      15. サク
      16. アオイ
      17. コルム
      18. シェフ
      19. セドリオ
      20. マーフ
      21. 犬人族達
      22. アイセター氏族
      23. アイセター氏族の若者達
      24. マスティ氏族達
      25. シェップ氏族
      26. 婦人会の面々
      27. 犬人族の子供達
      28. 棄民の老婆達
      29. 出稼ぎ労働者(隣領の人々)
      30. フランシス
      31. フランソワ
      32. フラン
      33. フランカ
      34. フランク
      35. フランツ
      36. フラメア
      37. フラニア
      38. メーアの六つ子達
      39. メーア達
      40. ベイヤース
      41. カーベラン
      42. シーヤ
      43. グリ
      44. ブリー
      45. ラヌ
      46. アイーシア
      47. 白ギー達
      48. ガチョウ
      49. ロバ
      50. 馬達
    2. マーハティ領
      1. エルダン(エルダン・マーハティ)
      2. パティ
      3. ネハ(ネハ・マーハティ)
      4. カマロッツ
      5. ジュウハ
      6. スーリオ
      7. ケーラル
      8. カルナータ
      9. アーンドラ
      10. クラージュ
      11. ゲラント
    3. 獣王国・商人
      1. ペイジン・ド
      2. ペイジン・レ
      3. キコ
    4. サンセリフェ王国
      1. リチャード
      2. イザベル
      3. ヘレナ
      4. ディアーネ
      5. ナリウス
    5. ギルド
      1. ゴルディア
      2. イーライ
      3. アイサ
    6. 鬼人族
      1. ゾルグ
    7. その他・モンスター
      1. フレイムドラゴン
      2. アースドラゴン
  8. 展開まとめ
    1. 春風が吹く中で
    2. イルク村の西端で懐かしい声を聞きながら ―ディアス
    3. イルク村の東端で ディアス
    4. 翌朝、隊商宿のベッドで
    5. 賑やかになっていく庭園の片隅に佇みながら ジュウハ
    6. 力比べを終えて・ディアス
    7. エルダンの屋敷に戻って ディアス
    8. メーアバダル領へと戻りながら
    9. マーハティ領、西部の街メラーンガルの領主屋敷で――エルダン
    10. 書き下ろし 旅宿の香風
    11. 特別書き下ろし。アルナーと遠駆け
    12. コルムと馬達
  9. 同シリーズ
    1. 領民0人スタートの辺境領主様
  10. その他フィクション

どんな本?

戦争で、孤児から救国の英雄に成ったディアス。

それを面白く思わない王族が横槍を入れて。

拝領した広大な草原には領民がおらず、住む家も無く、食料すら無い。
領地を与えると言いながらやってる事は流刑にしたような物。

その誰一人いないはずの草原で、ディアスは少女アルナーに出会う。
彼女は額に角がある鬼人だった。

読んだ本のタイトル

領民0人スタートの辺境領主様  VII 旅宿の香風
著者:風楼 氏
イラスト:キンタ  氏

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あらすじ・内容

新たな領民、鷹人のサーヒィとの出会いや、岩塩鉱床の調査、関所の設営など、冬の間も忙しい時を過ごしたディアス達。そんなイルク村に、雪解けとともに春がやってくる――

ディアスが草原にやってきてから一年が経ち、一周年を迎えたイルク村。
無事に冬を越え、春を迎えたことを祝う宴が盛大に行われ……。

領での仕事が一段落したディアス達は、エルダンへの挨拶も兼ねて、隣領のマーハティ領へ旅行に行くことに。
初めての家族旅行にセナイとアイハンは大喜び。少しでも早く旅行に行けるよう、二人は率先して仕事の手伝いをするのだった。

皆で馬車に乗り込み、ゆったりと旅を楽しむディアス達一行。
マーハティ領に入ると、大きな隊商宿に案内される。その建物の立派さに圧倒され、感心していると、エルダンの母、ネハが突然来訪し……。

異国の香り漂う街で、楽しい家族旅行が、今始まる!!

領民0人スタートの辺境領主様7 旅宿の香風

前巻からのあらすじ

冬真っ盛り。

倒したドラゴンの素材を国王に献上するためにエルダンを経由して中央へ持って行く。

そこに新たな住民が増えた。

見た目は鷹。

でも獣人らしく話も出来る彼の名前はサーヒィ。

大空を飛ぶのだが、、、

セナイとアイハンに捕まってしまうのは、、

情けないというか、、

空を飛ぶだけ凄いか。

でも彼のおかげで広大になったディアスの領地メーアバルの警備に尽力してくれる。

でも、サーヒィだけだと範囲が広過ぎるので仲間を連れてきて欲しいと頼むと、サーヒィの嫁として3人が増援されてきた。

後は鬼人達と岩塩の領有について話をする。

感想

雪が溶けて春になって新芽が出て来た。

それに喜ぶメアー達。

そんな彼等と共に冬に溜め込んだ食糧を放出して春を祝う宴会を行う。

そして春の仕事がひと段落したらディアスは家族旅行を兼ねてエルダンの領地へ訪問をする。

馬車でエルダンの領地へ移動する。

そしてエルダンの領地に入るとエルダンの母親がディアス達を持て成す。

急に出てきたエルダンの母親、それに右往左往する家臣達。

それでも全身全霊で持て成すエルダンの母親の気持ちに安心するディアス。
外見は全く似てないが自身の母親を思い出す。

そんな彼女のもてなしの後に、野心あふれる若い獣人族がディアスに喧嘩を売るが、、

そこは歴戦の戦士のディアスは軽くいなしてしまう。

そんな事をした若い獣人に説教するエルダンの母親。
それにアタフタするエルダン達w
最後は、若い獣人はエルダンの母親の御付きになって再教育を受けるらしい。。
それに同情的に見るエルダンw

オイ!当主!ww

そんなパワフルな母親に圧倒されながらも楽しくしていたディアスだったが、、
娘のセナイとアイハンがホームシックに罹ってしまい、急いで草原に帰ることになってしまう。

最後までお読み頂きありがとうございます。

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領民0人6巻レビュー
領民0人まとめ
領民0人8巻レビュー

考察・解説

イルク村の新年

『領民0人スタートの辺境領主様』第7巻において、イルク村が迎えた初めての「新年」は、過酷な冬を乗り越えた領民たちが自然の恵みに感謝し、村の成長と絆を分かち合う感動的なエピソードとして描かれている。その内容について解説する。

草原の「新年」の定義と草食獣たちの喜び
王国では星見の学者が定めた暦に沿って一年を過ごすが、この草原では自然の移り変わりによって暦が定められている。新年の特徴と草食獣たちの様子は以下の通りである。
・雪が溶け、雪解け水で湿った枯れ草の中に青々とした草の新芽が顔を出した時が、草原における新たな一年の始まり(新年)となる。
・この春の到来を誰よりも喜んだのは、メーアや馬、白ギーといった草食獣たちであった。
・冬の間は干し草や草のチーズばかりを食べていた彼らは、柔らかくて瑞々しい新鮮な新芽に食いつき、目を細めて恍惚の表情を浮かべながらその味を堪能した。
・出産を間近に控えてお腹を大きく膨らせたメスの白ギーも、重いお腹を気にすることなく呑気に草を食んでいた。

世界に感謝を捧げる「春の宴」と「分け火」
雪解けを見るなり、冬服からいつもの服に着替えたアルナーは「新しい年の始まりだ!」と宣言し、慌ただしく宴の準備を始めた。その儀式の詳細や意味合いは以下の通りである。
・春の宴は、何かを達成した時に開くいつもの宴とは異なり、春風、太陽、若草、大地といった世界そのものに感謝し、新しい春を迎えて生まれ変わったことを祝う儀式的な意味合いを持っている。
・広場には木材が組み上げられ、柱の天辺から色とりどりの布飾りが下げられた。
・そこへゾルグが大きな松明を抱えてやってきて「分け火」を行った。
・これは昔、一族の村同士で祝いの火を分け合い、無事に冬を越せたかの確認や、冬を追い払って冬営地を浄化するといった意味を持つ伝統的な儀式である。

セナイとアイハンの「七歳」の祝い
新年の宴と合わせて、子供たちのお祝いも行われた。お祝いの衣装や年齢に関する内容は以下の通りである。
・セナイとアイハン、そして昨年生まれた犬人族の年少組の子供たちは、隙間なく派手な刺繍で埋め尽くされた上着と丸帽子を身にまとって登場した。
・アルナーによれば、これは神の世界と繋がったままで不安定だった子供たちが正式にこちらの世界の住人となったことを祝い、魔を退けるための祝いと魔除けの衣装である。
・本来は七歳になってから着るものであるが、冬の間に一度も熱を出さず健康に過ごせたセナイとアイハンにも着せることになった。
・これにより、年齢不詳だった二人はこの日を境に七歳として扱われることとなった。

領主ディアスの感慨と村の成長
広場では、子供たちの不思議な抑揚の歌を皮切りに、婦人会が作った料理やエリーが用意したワイン樽などが振る舞われ、賑やかな宴が始まった。その際の様子とディアスの決意は以下の通りである。
・冬の間、工房での作業や関所作り、荒野 of 調査などに尽力したナルバントやクラウス、ヒューバートたちへ感謝の声が上がり、村全体が一体感に包まれた。
・ディアスはこの光景を見つめながら、最近のイルク村では役割分担が進み、自分が全てを動かさなくても村が問題なく機能するようになってきたことを実感していた。
・一周年を迎えた村の成長を噛み締めながら、ディアスは「これからも領民が増え、皆の生活が楽になってくれたら嬉しい」と、領主としての理想郷を目指して二年目も今まで以上に頑張ろうと決意を新たにしている。

まとめ
このように、イルク村で初めて迎えられた新年は、自然とともに生きる草原ならではの伝統と、この一年で培われた各種族の強い絆を象徴する出来事となった。ディアスと領民たちは、世界の恵みに感謝しながら、さらなる発展を目指して次なる一歩を踏み出しているのである。

領民の役割分担

『領民0人スタートの辺境領主様』第7巻において、草原への入植から一年が経過し「新年(春)」を迎えたイルク村では、領民たちの役割分担が劇的に進展し、村が自立的に発展していく様子が描かれている。

領主の手を離れ自律的に動く村
これまでは領主であるディアスが村のあらゆることに指示を出し、自ら動いて対応していたが、村の規模が拡大し多種多様な人材が揃ったことで、それぞれの管轄が明確になった。ディアス自身が「私がいちいちあれこれと動かなくても問題無く前に進むようになってきた」と実感するほどに役割分担が進んでおり、村は次の段階へと成長している。

各分野の具体的な役割分担
村では、各種族や個インの得意分野を活かして、以下のような明確な分業体制が築かれている。
・行政・外交・商業:南の荒野の測量や王都へ提出する公的な書類作成など、高度な事務・領地管理は文官のヒューバートと書記のエイマに一任されている。また、行商人との商取引、隣領とのやり取り、資金の管理、さらには獣人国への外交交渉といった商業・外交面は、孤児ギルド幹部のエリーが全権を担って活躍している。
・防衛・インフラ整備:元王国兵のクラウスが、隣領へと続く街道作りや、関所の建設および運営(人員配置や通行料の徴収計画など)を主導し、領の安全と交通網の整備を任されている。また、空からの見張りや、いざという時の遠方への迅速な伝令役として、鷹人族のサーヒィたちが機能している。
・産業・生産:イルク村の主力交易品である「メーア布」の生産はマヤ婆さんたち棄民の老婆たちに完全に任されており、ディアスがメーア毛の収穫量や布の生産量を細かく把握しきれないほどの規模で安定稼働している。また、鍛冶や大工仕事は洞人族のナルバントたちが担い、新しい厩舎の最終的な組み立てや、購入した軍馬を用いたメーアワゴンの運用などを任されている。
・農業・畑 of 管理:村の食料や貴重な薬草(サンジーバニーなど)を育てる畑は、森人の双子であるセナイとアイハンが責任を持って管理している。彼女たちが旅行で村を空ける際には、普段から手伝ってくれている犬人族たちに世話の仕方を細かく引き継ぐ体制が出来上がっている。
・畜産・家畜管理:メーアだけでなく、白ギーや卵を産むガチョウなど、増加する家畜全般の世話は犬人族たちに一任されている。さらに、エルダン領から新しく「アイセター氏族(コルムたち)」が25人規模で移住してきたことで、扱いの難しい軍馬や気位の高い馬の専門的な世話も彼らに任せられるようになり、畜産部門が一段と強化された。

まとめ
このように役割分担が進んだことで、ディアスは村の細かな数字や全ての状況を把握することはできなくなった。しかしディアスは、領民たちが自主的に協力し合い、それぞれの生活が楽で豊かになっていくこの現状こそが領主として目指すべき「理想郷」であると考え、皆への感謝と共に二年目へ向けた決意を新たにしているのである。

血無しの三兄弟

『領民0人スタートの辺境領主様』第7巻において、獣人国からイルク村へ新たに移住してきた「血無し」の三兄弟(セキ、サク、アオイ)は、過酷な境遇を乗り越えた逞しさと、村の期待に応えようとする強い責任感を持つ若者たちとして描かれている。彼らの出自や村での活躍、心の変化について解説する。

三兄弟の出自と移住の経緯
春の訪れとともにイルク村へやってきた三兄弟の背景と、移住の経緯は以下の通りである。
・ペイジンの商隊に同行して村を訪れたのは、獣人国の参議キコの息子たちであるセキ(長男)、サク(次男)、アオイ(三男)である。
・彼らはそれぞれ、キコそっくりの耳(セキ)、手と腕(サク)、ふさふさの尻尾(アオイ)という獣人の特徴を持っている。
・本来はもっと多くの「血無し(獣人の特徴を持つが人間に近い姿のため迫害されている者たち)」が移住する予定であった。
・しかし、キコがイルク村やディアスに迷惑をかけまいと、彼らに言語や商売など多岐にわたる厳格な教育を施した。その結果、現時点で合格できたのがこの三人だけであったため、先行してやってきたのである。

ディアスの無条件の信頼と感極まる想い
領主ディアスとの対面は、三兄弟の心に大きな衝撃と感動を与えた。その詳細は以下の通りである。
・ディアスは三兄弟に村を案内し、彼らのために用意した立派な馬車を与え、将来的にエリーと共に行商を任せるつもりだと伝えた。
・まだ実績も信用もない自分たちに高価な馬車を貸与することに対し、セキは「自分達がこれらを持って逃げたりしないのかと考えないのか」と戸惑いを見せた。
・しかしディアスは「キコの息子達ならそんなことはしないと思っているし、信頼して任せるつもりだ」と事も無げに答えた。
・長年「盗人同然」と疑われ、虐げられる扱いを受けてきた彼らにとって、他者からの無条件の信頼や施しは慣れないものであり、長男のセキはその言葉に感極まって肩を震わせた。
・なお、後にアルナーがこっそり魂鑑定を行った結果、3人とも問題のない善人を示す「強い青」であることが確認されている。

イルク村への適応と強い責任感
村に加わった三兄弟は、ただ守られるだけの存在ではなく、自立した領民としての自覚を持って行動している。具体的な様子は以下の通りである。
・彼らは非常に明るく前向きな性格をしており、村人たちにもすんなりと受け入れられ、まるで以前から住んでいたかのようにイルク村の生活に馴染んでいる。
・孤児ギルド幹部のエリーを「姉貴」と呼んで慕い、彼女から商売のノウハウを熱心に学んでいる。
・同時に彼らは、家や美味しい食事を与えられた温かい生活に感謝しつつも、「理由なく怠けるのは絶対に駄目」というイルク村の厳しさもしっかりと理解している。
・もし自分たちが成果を上げられず無駄飯食らいの烙印を押されれば、今後移住してくる他の血無し達の立場も悪くなると考えている。そのため、行商人として必ず役に立たなければならないという強い責任感を抱いている。

マーハティ領への同行と獣人差別への逞しい対応
隣領への旅行において、彼らは現実の厳しい目に対しても逞しく向き合う姿勢を示した。その経緯は以下の通りである。
・隣領マーハティ領への旅行にも同行した三兄弟は、道中の馬車でもエリーから特産品や商売の講義を受け、隣領の商人との顔繋ぎという重要な任務を帯びていた。
・獣人差別がないイルク村やマーハティ領の屋敷内とは異なり、一般の他地域ではまだ差別意識が残っている。
・そのため、エリーから商売上のトラブルを避けるために耳や腕、尻尾を布や帽子で隠すよう指示される。
・彼らにとって屈辱的なことかもしれないとエリーは気遣ったが、三兄弟は「それで商売が上手くいくなら全く文句はない」と答えた。
・さらに「広い家や美味しいご飯、馬車まで用意してもらったのだからこのくらいは全然平気だ」と笑って受け入れ、逞しく前向きな姿勢を見せている。

まとめ
このように、新しく加わった血無し三兄弟は、イルク村に新たな活気と商業の可能性をもたらしている。ディアスの深い信頼に応えようとする彼らの強い責任感と逞しさは、今後イルク村が交易拠点としてさらなる発展を遂げ、より多くの行き場のない人々を受け入れていくための重要な架け橋となるのである。

岩塩鉱床の発見

『領民0人スタートの辺境領主様』における「岩塩鉱床 of 発見」とそれに伴う出来事は、イルク村の領地拡大と安全保障において重要な転換点である。資源の確保から奇妙な発見、そして村の防衛に繋がるプロセスについて解説する。

放置された資源地帯と測量の開始
草原南部に岩塩が採れる広い荒野が広がっていることを知った文官のヒューバートは、これほど貴重な資源地帯が誰にも管理されずに放置されている事実に驚愕した。測量開始の経緯は以下の通りである。
・貴重な資源を他者に奪われる前に、正式な領地として確保する必要があった。
・大義名分を得るため、ヒューバートはディアスと共に荒野の測量へと向かった。

すり鉢状の鉱床と奇妙な短剣
荒野の測量を進める中、予期せぬ発見があった。その詳細は以下の通りである。
・ディアスたち一行は、すり鉢状になった岩塩鉱床の中心部で、何やら妙な気配を感知した。
・その気配を頼りに地面を掘り返してみた結果、地中から奇妙な短剣を発見し、手に入れることとなった。

留守を預かるベン伯父さんの切り札
この岩塩鉱床で発見された不思議な短剣は、村の危機管理においても頼りにされるようになる。その運用の様子は以下の通りである。
・ディアスたちが隣領のマーハティ領へ旅行に出発し、イルク村の留守をベン伯父さんが領主代理として預かることとなった。
・その際、ベン伯父さんは懐に例の短剣を忍ばせて見送りに現れた。
・ベン伯父さんは「何かがあってもこれがあるから大丈夫だ」と言わんばかりの頼もしい笑みを浮かべていた。
・ディアス自身も「伯父さんにはあの短剣があるし」と、不在時の村を守るための強力な切り札として大きな安心感を抱いている。

まとめ
このように、岩塩鉱床の発見は単なる経済的資源の獲得にとどまらない。地中から見つかった奇妙な短剣が村の留守を預かる強力な切り札となり、領主不在時におけるイルク村の安全を担保する重要な防衛手段として機能しているのである。

友好の家族旅行

『領民0人スタートの辺境領主様』第7巻における「友好の家族旅行」は、ディアスたち家族が隣領のマーハティ領(エルダンの領地)を訪れた一大イベントである。この旅行は単なる親睦にとどまらず、両領の外交、新たな領民の獲得、そして領地経営の学びなど、非常に多くの成果をもたらした。その旅行の全容を解説する。

旅行の目的と出立の準備
旅行の発案者はエリーである。その目的と準備の詳細は以下の通りである。
・これまで様々な支援をしてくれたエルダンへ感謝を示すとともに、隣領の領民たちに両領地の友好関係をアピールすることが主な目的であった。
・新しくイルク村の領民となった血無しの三兄弟(セキ、サク、アオイ)も、隣領の商人との顔繋ぎと商売の勉強のために同行することとなった。
・春の農作業などが一段落した後、一行はカマロッツの先導により、ガラス窓がはめ込まれた豪華な箱馬車に乗って出立した。

巨大隊商宿とネハの熱烈な歓待
マーハティ領の西部の街メラーンガルに到着した一行は、エルダンが用意した要塞のように巨大な隊商宿「キャラバン・カスタ」に宿泊した。滞在時の出来事は以下の通りである。
・エルダンの母である大柄な象人族の女性・ネハが強行軍で突然来訪した。
・ネハはディアスたちをよき隣人として熱烈に歓迎し、朝晩に手間のかかった手料理を振る舞った。
・ディアスに投げて戻ってくる不思議な投げ斧をプレゼントした。

英雄としての再会劇と「軍馬」の獲得
エルダンの本邸へ到着した際、様々なイベントや交渉が行われた。具体的な内容は以下の通りである。
・ジュウハの演出により、ディアスは救国の英雄らしく派手なマントを羽織り戦斧を手にして登場し、領民たちを盛り上げた。
・歓談の席では、エルダンの妻パティの懐妊が明かされた。
・セナイとアイハンは「メーアの横顔」の刺繍布にサンジーバニーの春の若葉を添えてプレゼントし、エルダンを驚かせした。
・以前献上したフレイムドラゴンの魔石に対する王からの褒賞として、ディアスはアルナーの強い要望を受け、軍馬を希望した。
・アルナーは、軍馬を草原で繁殖させれば大きな財産と戦力になり、名産品にもなると考えていた。

獅子人族スーリオとの手合わせ
ディアスの武勇が示される出来事もあった。その経緯は以下の通りである。
・エルダンを強く敬愛する獅子人族の青年スーリオは、ディアスの名声が大きすぎることでエルダンの威光が隠れてしまっていると考え、ディアスに力比べを挑んだ。
・しかし、実戦経験に基づく圧倒的な勝負勘と、凄まじい殺気を放つディアスの前に、スーリオは完全に圧倒され敗北した。
・この勝負は結果的に、マーハティ領の幹部たちにディアスの本当の実力を知らしめることになった。

軍馬の購入とコルムら「アイセター氏族」の移住
一行は家畜市場の軍馬取引所を訪れ、アルナーの目利きで優秀な軍馬を購入した。その際の出会いと移住の経緯は以下の通りである。
・取引の際、一頭の黒い軍馬が暴れ出したが、エルダンの下で働いていた犬人族小型種のコルムが、見事な手綱さばきと優しい声かけで馬を落ち着かせした。
・ディアスがその腕前を「コルムのような名人にイルク村に居てもらえたら」と称賛した。
・これをきっかけに、コルムを含むアイセター氏族25人全員がイルク村へ移住することとなった。

マーハティ領巡行と領地経営の学び
エルダンはディアスに領地経営を学ばせるため、マーハティ領内の巡行に案内した。巡行で学んだ各施設の特徴は以下の通りである。
・迎賓館:遠方からの客人や王族を歓待し、軍事拠点である本邸に信用ならない者を通さないための施設である。
・巡警隊の砦:決まったルートを持たず、数十から数百人規模で常に移動し続けることで、犯罪抑止と敵軍への防衛を担う部隊である。
・地下水路:領主が水を管理し、いざとなれば流れを変えたり堰き止めたりして反乱を抑え込む覚悟を示す施設である。
・砂糖葦畑:領の経済の根幹であり、人々が利益を求めて歌いながら笑顔で働く活気ある場所である。

「懐郷病」による早期帰還
滞在も終盤に差し掛かった頃、一行は帰還の途につくこととなった。その理由は以下の通りである。
・セナイとアイハンがイルク村の匂いや音といった当たり前の日常を失った寂しさから、懐郷病を発症してしまった。
・ディアスはすぐに帰還を決断し、エルダンやネハと温かい別れの挨拶を交わした。
・一行は、新たに領民となったアイセター氏族や購入した軍馬たちと共に、懐かしきイルク村へと無事に帰還を果たした。

まとめ
このように、マーハティ領への友好の家族旅行は、単なる親睦旅行を超えた大きな成果をイルク村にもたらした。外交的な絆の強化、軍馬やアイセター氏族という新たな資源と人材の獲得、そして先進的な領地経営の知識の吸収は、イルク村が開拓の二年目に向けてさらに飛躍するための確固たる土台となっているのである。

隣領の隊商宿

『領民0人スタートの辺境領主様』第7巻に登場する隣領の隊商宿「キャラバン・カスタ」は、ディアスたちが家族旅行で最初に滞在した施設であり、一般的な宿の概念を大きく覆す規模と設備を持っている。この隊商宿の全貌について解説する。

要塞のような外観と厳重な警備
マーハティ領西部の街メラーンガルに位置するこの隊商宿は、高い城壁に囲まれた巨大な城塞のような建築物である。その特徴は以下の通りである。
・同行したエリーが「我らが草原には絶対に釣り合わないし必要ない」と呆れるほどの規模を誇る。
・壁の上部の歩廊には見張りが巡回している。
・上空には鳩人族が監視の目を光らせている。
・これらにより、客と積荷を外敵から守るための極めて厳重な警備体制が敷かれている。

豪華な内装と高度なインフラ設備
壁の内側にある中庭や客室には、優れた設備が整えられている。具体的な内容は以下の通りである。
・中庭には自然の力や魔法を利用した立派な噴水があり、セナイたちを夢中にさせた。
・貸し切りとなった客室には一面に絨毯が敷かれ、上等な家具が配置されている。
・水浴び用の部屋には、人工的に作られた地下水路へ直結する排水穴がある。
・建物の四隅には採風塔が備わっている。
・夏場には風の力を利用して地下の冷気を室内に引き込み、驚くほど部屋を涼しく保つという画期的な空調の仕組みが取り入れられている。

王国東部様式を取り入れた食堂とネハの歓待
食堂の構造や、そこで行われた歓待の様子は以下の通りである。
・食堂は客室数個分の広さを持っている。
・この地域で一般的な絨毯の上に腰を下ろす形ではなく、他所からの客に配慮して「王国東部の様式」を意識した石造りのテーブルと椅子が並べられている。
・室内は燭台や花で華やかに装飾されている。
・この食堂で、ディアスたちはエルダンの母ネハから熱烈な歓迎を受けた。
・ネハは自ら腕を振るい、調合した特製の香辛料や肉、果物をふんだんに使った非常に手間のかかる料理を振る舞った。
・さらに、ディアスには不思議な投げ斧をプレゼントした。

遊牧民であるアルナーの徹底した警戒
これほど立派で安全な施設でありながら、遊牧民出身のアルナーは決して気を緩めなかった。その警戒の様子は以下の通りである。
・アルナーは「初対面の相手の家だから、何処に何が潜んでいるか分かったものではない」と考えた。
・いざという時のための短剣を手に持ち、家具の中や絨毯の裏に至るまで徹底的な安全確認を行った。
・セナイやアイハンにも懐に短剣を忍ばせ、エイマにも頑丈な針を持たせた。
・一歩でも外に出れば決して油断しない、遊牧民特有の危機管理能力の高さが描かれている。

まとめ
このように、隊商宿「キャラバン・カスタ」は単なる宿泊施設にとどまらず、高度なインフラと厳重な警備を備えた要塞とも言える場所である。豪華な設備や温かい歓待が旅の利便性を高める一方で、アルナーの徹底した警戒心が、過酷な環境を生き抜いてきた彼らの確固たる生存戦略を浮き彫りにしているのである。

新たな領民

『領民0人スタートの辺境領主様』第7巻において、イルク村には「血無し」の三兄弟と、犬人族小型種の「アイセター氏族」という新たな領民が加わった。彼らはそれぞれ異なる背景と特技を持ち、イルク村の商業や畜産の発展に大きく貢献していくこととなる。彼らの加入の経緯や活躍について解説する。

獣王国から移住してきた「血無し」の三兄弟
春の訪れと共に、ペイジンの商隊に同行して獣王国からやってきたのが、参議キコの息子であるセキ(長男)、サク(次男)、アオイ(三男)の三兄弟である。彼らはそれぞれキコに似た耳や腕、ふさふさの尻尾という獣人の特徴を持ち、獣王国では「血無し」として迫害されてきた存在であった。本来はもっと多くの血無しが移住する予定であったが、キコがイルク村に迷惑をかけまいと多岐にわたる厳しい教育(言語、商売、芸事など)を課したため、現時点で合格できたのがこの三人だけであった。彼らの村での様子は以下の通りである。
・ディアスからの無条件の信頼:ディアスは到着したばかりの彼らに、行商用の立派な馬車を貸与し、将来的に商売を任せると伝えた。長年「盗人同然」と虐げられてきた彼らは、初対面の自分たちを「キコの息子達ならしないと信頼している」と事もなげに言うディアスの言葉に、感極まって肩を震わせした。なお、アルナーの魂鑑定でも彼らが問題のない善人(強い青)であることが確認されている。
・たくましい適応力:彼らは明るく前向きな性格で、すぐに村に馴染んだ。孤児ギルド幹部のエリーを「姉貴」と慕って商売の知識を熱心に学び、隣領マーハティ領への旅行にも同行した。道中、獣人差別が残る他地域での商売のために獣人の特徴を隠すようエリーから指示されても、「それで商売が上手くいくなら全く文句はない」と笑って受け入れる逞しさを見せている。

卓越した馬の扱い手「アイセター氏族」
マーハティ領への家族旅行の際、家畜市場で新たな軍馬を買い付けていたディアスたちの前で、一頭の黒い軍馬が暴れ出した。その暴れ馬に飛び乗り、見事な手綱さばきと優しい声かけで鎮めたのが、エルダンの下で働いていた犬人族小型種のコルムであった。その移住と活躍の詳細は以下の通りである。
・移住のきっかけ:ディアスが「コルムのような名人に居てもらえたら」と褒めたことをきっかけに、コルムは領民募集の看板を理由に自ら移住を志願した。結果として、コルムを含むアイセター氏族の総勢25人全員がイルク村へ移住することになり、エルダンも彼らの意思を尊重して快く送り出した。
・馬への深い愛情と技量:イルク村では主に馬の世話を任されている。コルムは馬を「愛息子や愛娘」と呼び、気性の荒い馬や扱いの難しい馬の世話を特に好んで行う。気位が高く他の犬人族が近づくのを嫌がるアイーシア(月毛の馬)でさえ、コルムが背に乗ってブラッシングすることを許すほどであった。コルムはアイーシアの気性の荒さも「彼女らしい可愛さ」と受け止め、人からの教えを守って美しく振る舞おうとする姿を愛おしんで世話をしている。

「正しき人」の下へ
エルダンは、なぜマーハティ領にいた頃よりもイルク村での方がアイセター氏族が生き生きと活躍しているのか不思議に思い、コルムに聞き取りを行った。その結果とディアスの反応は以下の通りである。
・コルムの答えは「何故かと言われればディアス様が正しき人だからですな」というものであった。
・ディアス自身はその意味を完全に理解できたわけではなかったが、彼らが自ら望んで村に定住し、見事な働きを見せてくれていることを心から歓迎している。

まとめ
このように、新しく加わった血無し三兄弟とアイセター氏族は、イルク村の商業と畜産業を大きく発展させる原動力となっている。ディアスの深い信頼と誠実な人柄が優秀な人材を惹きつけ、各種族がそれぞれの長所を最大限に発揮できる環境が整ったことで、イルク村はさらなる理想郷へと着実に歩みを進めているのである。

森人族の秘密

『領民0人スタートの辺境領主様』第7巻において、これまで謎に包まれていたセナイとアイハンの正体が「森人族」であることが判明し、その秘密と彼らを取り巻く出来事が描かれている。森人族の秘密と、その力がもたらす影響について解説する。

ジュウハが確信した「森人族」の伝説と危険性
隣領マーハティ領への旅行中、アイハンが「大地の力を感じる」と口走ったことなどをきっかけに、ジュウハはセナイとアイハンが伝説の「森人」であると確信した。その伝説と危険性の詳細は以下の通りである。
・ジュウハが王城の古書で得た知識によれば、森人は森を自由に作り出す力を持つ一方で、森を枯らす力も持っているとされる。
・南方に広がる砂漠も、かつては緑豊かな土地だったものの、森人の怒りを買ったことで枯れ果ててしまったという伝説が残っていた。
・ジュウハは、双子の力が悪用されれば周辺一帯が砂漠化する危険があると考え、ディアスに警告を行った。

秘密が隠されていた理由と両親の遺言
ディアスに同行していたエイマは、以前から双子が森人であることを知っており、力の使い方についても密かに助言をしていた。秘密にされていた理由は以下の通りである。
・エイマがディアスたちにもその秘密を隠していた理由は、セナイとアイハンの亡き両親の遺言にあった。
・両親から「人間族にその力を知られてはいけない」と固く禁じられていたため、双子とエイマはずっと秘密を守り続けていた。

ディアスの誓い
イルク村に帰還後、ディアスはセナイ、アイハン、エイマを広場に呼び出し、森人の秘密を知ってしまったことを打ち明けた。その際のディアスの対応と双子の反応は以下の通りである。
・秘密が知られてしまったことに怯え、不安そうな表情を浮かべる双子に対し、ディアスは真剣な誓いを立てた。
・ディアスは「その力を決して利用しないこと」「秘密を誰にも漏らさないこと」「これからも二人自身の意思で自由に力を使えばいいこと」を誓い、握手を求めた。
・セナイとアイハンは涙をこらえながらその手を握り返し、ディアスの誓いを受け入れた。

森人族の生態と両親(若木)との対話
森人族には特殊な生態があり、それが村に温かい奇跡をもたらした。その詳細は以下の通りである。
・森人族は、親が子供のために想いを込めた種を残し、死後は「木」となって子供を見守り、知識を与えて助け続けるという生態を持つ。
・セナイとアイハンが畑で大切に育てていた「若木」こそが、二人の両親の魂が宿る姿であった。
・双子が若木に触れて心の中で対話を行った結果、両親は人間族に秘密を知られてしまったことを許した。
・ディアスの誓いに対する返答として、若木の枝先に赤と青の美しい花を咲かせた。
・花の優しい香りは村中に広がり、集まってきた村人たちに囲まれている中で、セナイとアイハンは満面の笑みで喜びを爆発させた。

まとめ
このように、セナイとアイハンの正体が森人族であるという秘密は、ディアスの誠実な誓いによって村の新たな絆へと昇華された。強大な力を恐れることなく、一人の領民として、家族として包み込むディアスの姿勢が、双子とその両親の魂に届き、イルク村にさらなる温もりと祝福をもたらしているのである。

領民0人6巻レビュー
領民0人まとめ
領民0人8巻レビュー

登場キャラクター

イルク村(メーアバダル領)

ディアス(ディアス・メーアバダル)

メーアバダル領の領主である。アルナーの夫にあたる。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の領主。公爵。
・物語内での具体的な行動や成果
 フレイムドラゴンや大蜥蜴などのモンスターを討伐した。荒野の調査を行い、岩塩鉱床を自らの領地に組み込んだ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 サンセリフェ王国国王から公爵位の叙勲を受けた。家名として「メーアバダル」を正式に名乗ることになった。

アルナー

鬼人族の少女である。ディアスの妻にあたる。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の住民。代表者の一人。
・物語内での具体的な行動や成果
 行き倒れていたヒューバートを保護した。魔法を使って村の防衛や調査を支援する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ディアスと共にイルク村の運営に関わる。

セナイ

森人族の双子の一人である。アイハンの姉妹にあたる。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の住民。畑の管理者。
・物語内での具体的な行動や成果
 森でナルバントと出会った。魔法を使って畑を開墾した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 冬の間に熱を出さなかったため、七歳として扱われるようになった。

アイハン

森人族の双子の一人である。セナイの姉妹にあたる。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の住民。畑の管理者。
・物語内での具体的な行動や成果
 森でナルバントと出会った。魔法を使って畑を開墾した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 冬の間に熱を出さなかったため、七歳として扱われるようになった。

エイマ

大耳跳び鼠人族の女性である。セナイとアイハンの教育係を担当する。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の教育係。
・物語内での具体的な行動や成果
 セナイとアイハンと共に畑の開墾を行った。アイーシアに乗馬する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

エリー

ディアスが育てた孤児である。商売に長けている。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の交渉役。商人。
・物語内での具体的な行動や成果
 メーア布やドラゴン素材を使ってエルダンと交渉し、大量の物資を獲得した。ディアスたちの冬服をデザインし完成させる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

ヒューバート

サンセリフェ王国から派遣された文官である。真面目で仕事熱心な性格を持つ。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の内政官。
・物語内での具体的な行動や成果
 荒野の測量を行い、地図を作成した。フレイムドラゴンの解体と素材の分配を指揮する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 行き倒れていたところを保護され、ディアスに仕えることになった。

クラウス

元王国兵である。カニスの夫にあたる。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の領兵隊長。代表者の一人。
・物語内での具体的な行動や成果
 大蜥蜴の襲撃から村を防衛した。関所の建設を指揮する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 カニスと結婚し、村で祝宴を挙げた。

カニス

犬人族の女性である。クラウスの妻にあたる。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の住民。
・物語内での具体的な行動や成果
 クラウスと結婚し、村の祝宴に参加した。隣領から出稼ぎ労働者を集める。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 クラウスと結婚した。

ベン

ディアスの叔父である。元神官である。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の相談役。
・物語内での具体的な行動や成果
 ディアスに貴族の制度や公爵としての振る舞いを教える。新しい教義を考案する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

マヤ

棄民の老婆達のまとめ役である。占いを得意とする。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の人間族代表者。
・物語内での具体的な行動や成果
 寒波とモンスターの襲来を占いで予知した。メーア布の生産を指揮する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

ナルバント

洞人族の老人である。オーミュンの夫であり、サナトの父にあたる。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の領民。鍛冶職人。
・物語内での具体的な行動や成果
 地機織り機を作成し、メーア布の生産性を向上させた。フレイムドラゴンとの戦闘でメーアワゴンを使って突撃する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 祖先と人間族が交わした約定を守るため、領民に加わった。

サーヒィ

鷹人族の英雄である。リーエス、ビーアンネ、ヘイレセの夫にあたる。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の領民。狩り鷹。
・物語内での具体的な行動や成果
 荒野の調査で上空から偵察を行った。セナイとアイハンの狩りを手伝う。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ドラゴン狩りに参加することを条件に、新たな領民として加わった。

セキ

血無しの三兄弟の長男である。キコの息子にあたる。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の領民。従者。
・物語内での具体的な行動や成果
 エリーから商売の知識を学ぶ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 イルク村に移住した。

サク

血無しの三兄弟の次男である。キコの息子にあたる。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の領民。従者。
・物語内での具体的な行動や成果
 エリーから商売の知識を学ぶ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 イルク村に移住した。

アオイ

血無しの三兄弟の三男である。キコの息子にあたる。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の領民。従者。
・物語内での具体的な行動や成果
 エリーから商売の知識を学ぶ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 イルク村に移住した。

コルム

アイセター氏族の長である。馬の世話を得意とする。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の領民。厩番。
・物語内での具体的な行動や成果
 暴れ馬を乗りこなした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ディアスの人柄に惹かれ、一族を連れてイルク村に移住した。

シェフ

シェップ氏族の族長である。好奇心旺盛な性格を持つ。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の領民。家畜の世話係。
・物語内での具体的な行動や成果
 馬や白ギーの世話を行う。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

セドリオ

センジー氏族の族長である。真面目な性格を持つ。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の領民。
・物語内での具体的な行動や成果
 溜池作りの手伝いや雑務を行う。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

マーフ

マスティ氏族の族長である。勇敢な性格を持つ。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の領民。領兵。
・物語内での具体的な行動や成果
 クラウスの指揮下で大蜥蜴の迎撃に参加した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

犬人族達

イルク村に移住してきた小型種の獣人たちである。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の領民。
・物語内での具体的な行動や成果
 村のインフラ整備や家畜の世話に従事する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 二十七人の赤ん坊を出産した。

アイセター氏族

犬人族の小型種の一族である。馬の世話を得意とする。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の領民。
・物語内での具体的な行動や成果
 馬の世話を担当する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 二十五人がイルク村に移住した。

アイセター氏族の若者達

アイセター氏族に属する若者である。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の領民。
・物語内での具体的な行動や成果
 護衛としてディアスたちの周囲を警戒した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

マスティ氏族達

犬人族の小型種の一族である。勇敢で力自慢である。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の領民。領兵。
・物語内での具体的な行動や成果
 クラウスと共に訓練を行う。大蜥蜴との戦闘に参加した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

シェップ氏族

犬人族の小型種の一族である。働くことが好きである。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の領民。
・物語内での具体的な行動や成果
 家畜の世話や草のチーズ作りを行う。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

婦人会の面々

犬人族の女性達の集まりである。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の領民。
・物語内での具体的な行動や成果
 食事の準備や戦利品の回収を行う。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

犬人族の子供達

犬人族の子供達である。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の住民。
・物語内での具体的な行動や成果
 村中を駆け回り、イタズラをして遊んだ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

棄民の老婆達

カスデクス領から追放された女性達である。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の領民。
・物語内での具体的な行動や成果
 メーア毛の処理やメーア布の生産を行う。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

出稼ぎ労働者(隣領の人々)

隣領から出稼ぎにきた人々である。老人や女性、子供が中心である。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の労働者。
・物語内での具体的な行動や成果
 関所の建設作業を手伝う。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

フランシス

メーアの群れの長であるオスである。フランソワの番にあたる。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の家畜。メーアの長。
・物語内での具体的な行動や成果
 六つ子の父親となった。エゼルバルドとの歌の勝負に勝利する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 イルク村のメーア達の長となった。

フランソワ

メーアのメスである。フランシスの番にあたる。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の家畜。
・物語内での具体的な行動や成果
 六つ子を出産した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 六つ子の母親となった。

フラン

メーアの六つ子の一頭である。オスにあたる。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の家畜。
・物語内での具体的な行動や成果
 村中を元気に駆け回る。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

フランカ

メーアの六つ子の一頭である。オスにあたる。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の家畜。
・物語内での具体的な行動や成果
 村中を元気に駆け回る。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

フランク

メーアの六つ子の一頭である。オスにあたる。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の家畜。
・物語内での具体的な行動や成果
 村中を元気に駆け回る。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

フランツ

メーアの六つ子の一頭である。オスにあたる。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の家畜。
・物語内での具体的な行動や成果
 村中を元気に駆け回る。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

フラメア

メーアの六つ子の一頭である。メスにあたる。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の家畜。
・物語内での具体的な行動や成果
 村中を元気に駆け回る。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

フラニア

メーアの六つ子の一頭である。メスにあたる。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の家畜。
・物語内での具体的な行動や成果
 村中を元気に駆け回る。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

メーアの六つ子達

フランシスとフランソワの子供達である。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の家畜。
・物語内での具体的な行動や成果
 村中を元気に駆け回る。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

メーア達

イルク村に住むメーア達である。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の家畜。
・物語内での具体的な行動や成果
 村の広場で日光浴を楽しむ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

ベイヤース

黒毛の牡馬である。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の馬。
・物語内での具体的な行動や成果
 ディアスを背に乗せて歩く。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

カーベラン

赤毛の牡馬である。アルナーの愛馬にあたる。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の馬。
・物語内での具体的な行動や成果
 アルナーを背に乗せて走る。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

シーヤ

白毛の牝馬である。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の馬。
・物語内での具体的な行動や成果
 セナイを背に乗せて走る。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

グリ

灰色毛の牝馬である。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の馬。
・物語内での具体的な行動や成果
 アイハンを背に乗せて走る。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

ブリー

茶毛の馬である。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の馬。
・物語内での具体的な行動や成果
 エリーたちの馬車を引く。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

ラヌ

茶毛の馬である。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の馬。
・物語内での具体的な行動や成果
 エリーたちの馬車を引く。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

アイーシア

月毛の牝馬である。気位が高い性格を持つ。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の馬。
・物語内での具体的な行動や成果
 エイマを背に乗せて歩いた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 元はディアーネの乗馬だった。

白ギー達

山牛と呼ばれる家畜である。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の家畜。
・物語内での具体的な行動や成果
 シェップ氏族から世話を受ける。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 メスが妊娠していることが判明した。

ガチョウ

卵や羽毛をもたらす鳥である。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の家畜。
・物語内での具体的な行動や成果
 飼育小屋と小さな池で飼育される。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

ロバ

馬より小さく頑丈な家畜である。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の家畜。
・物語内での具体的な行動や成果
 荷車を引く。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 エルダンから贈られた。

馬達

イルク村で飼育されている馬である。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の家畜。
・物語内での具体的な行動や成果
 シェップ氏族からブラッシングを受ける。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

マーハティ領

エルダン(エルダン・マーハティ)

マーハティ領の領主である。パティの夫にあたる。
・所属組織、地位や役職
 マーハティ領領主。公爵。
・物語内での具体的な行動や成果
 ディアスに公爵位や家名について説明した。サンジーバニーを口にして持病から回復する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 公爵位と新たな家名「マーハティ」を与えられた。

パティ

エルダンの妻の一人である。
・所属組織、地位や役職
 マーハティ領の住人。
・物語内での具体的な行動や成果
 エルダンと共にディアスたちと朝食を摂る。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 妊娠したことが判明した。

ネハ(ネハ・マーハティ)

象人族の女性である。エルダンの母にあたる。
・所属組織、地位や役職
 マーハティ領の住人。
・物語内での具体的な行動や成果
 ディアスたちを熱烈に歓迎した。手料理を振る舞う。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

カマロッツ

エルダンの従者である。
・所属組織、地位や役職
 マーハティ領の従者。
・物語内での具体的な行動や成果
 ディアスたちを屋敷や市場へ案内した。マイザー捕縛のための作戦に参加する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

ジュウハ

自称王国一の兵学者である。
・所属組織、地位や役職
 マーハティ領の客将。
・物語内での具体的な行動や成果
 エルダンに内政や軍事に関する授業を行う。マイザーの襲撃作戦で剣を振るう。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 エルダンに破格の値段で雇われた。

スーリオ

獅子人族の青年である。
・所属組織、地位や役職
 マーハティ領の住人。
・物語内での具体的な行動や成果
 ディアスに力比べを挑み、敗北した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

ケーラル

マーハティ領の顔となる存在である。
・所属組織、地位や役職
 マーハティ領の住人。
・物語内での具体的な行動や成果
 ネハから婚約者への態度について注意された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

カルナータ

マーハティ領の顔となる存在である。
・所属組織、地位や役職
 マーハティ領の住人。
・物語内での具体的な行動や成果
 ネハから酒の飲み過ぎについて注意された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

アーンドラ

マーハティ領の顔となる存在である。
・所属組織、地位や役職
 マーハティ領の住人。
・物語内での具体的な行動や成果
 ネハから踊り子に入れ込んでいることを注意された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

クラージュ

マーハティ領の顔となる存在である。
・所属組織、地位や役職
 マーハティ領の住人。
・物語内での具体的な行動や成果
 ネハから見張りの役目について注意された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

ゲラント

鳩人族の伝書隊の長である。
・所属組織、地位や役職
 マーハティ領の伝書隊長。
・物語内での具体的な行動や成果
 イルク村とマーハティ領の間で手紙を運搬した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

獣王国・商人

ペイジン・ド

行商人である。カエルに似た姿を持つ。
・所属組織、地位や役職
 ペイジン家の長男。商人。
・物語内での具体的な行動や成果
 春にイルク村を訪れ、商取引を行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

ペイジン・レ

行商人である。ペイジン・ドの弟にあたる。
・所属組織、地位や役職
 ペイジン家の次男。商人。
・物語内での具体的な行動や成果
 兄の代理としてイルク村を訪れ、エリーと交渉を行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

キコ

狐人族の女性である。セキ、サク、アオイの母にあたる。
・所属組織、地位や役職
 獣人国参議。
・物語内での具体的な行動や成果
 息子の移住先を確認するためにイルク村を訪れた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

サンセリフェ王国

リチャード

第一王子である。冷徹な性格を持つ。
・所属組織、地位や役職
 サンセリフェ王国第一王子。
・物語内での具体的な行動や成果
 ディアーネを捕縛し、王に引き渡した。ナリウスにマイザーの監視を命じる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 王国最大の派閥を築いた。

イザベル

第一王女である。
・所属組織、地位や役職
 サンセリフェ王国第一王女。
・物語内での具体的な行動や成果
 占領地の開発を行っている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

ヘレナ

第二王女である。
・所属組織、地位や役職
 サンセリフェ王国第二王女。
・物語内での具体的な行動や成果
 文化芸術の振興を行っている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

ディアーネ

第三王女である。野心的な性格を持つ。
・所属組織、地位や役職
 サンセリフェ王国第三王女。
・物語内での具体的な行動や成果
 ディアスを討つために軍を動かした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 王の怒りに触れ、神殿で幽閉されることが決まった。

ナリウス

リチャードの配下である。
・所属組織、地位や役職
 第一王子派の工作員。
・物語内での具体的な行動や成果
 リチャードの命でマイザーを捕縛し、王都へ連行した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

ギルド

ゴルディア

ギルドの長である。
・所属組織、地位や役職
 ギルド長。
・物語内での具体的な行動や成果
 ギルドの活動拠点を王都からメラーンガルに移転させようと画策する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

イーライ

ディアスが育てた孤児である。アイサの夫にあたる。
・所属組織、地位や役職
 ギルドの商人。
・物語内での具体的な行動や成果
 イルク村を訪れ、ディアスと再会した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

アイサ

ディアスが育てた孤児である。イーライの妻にあたる。
・所属組織、地位や役職
 ギルドの商人。
・物語内での具体的な行動や成果
 イルク村を訪れ、アルナーたちにドレスを作った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

鬼人族

ゾルグ

アルナーの兄である。
・所属組織、地位や役職
 鬼人族の警備班長。族長候補。
・物語内での具体的な行動や成果
 ディアスと共にウィンドドラゴンを討伐した。フレイムドラゴンの解体を手伝う。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 警備班の長となった。

その他・モンスター

フレイムドラゴン

火炎を吐く巨大なモンスターである。
・所属組織、地位や役職
 モンスター。
・物語内での具体的な行動や成果
 イルク村を襲撃しようとしたが、ディアスたちによって討伐された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 討伐後、解体されて魔石と素材になった。

アースドラゴン

過去に討伐されたモンスターである。
・所属組織、地位や役職
 モンスター。
・物語内での具体的な行動や成果
 過去にディアスによって討伐された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 魔石がエルダンを通じて王に献上された。

領民0人6巻レビュー
領民0人まとめ
領民0人8巻レビュー

展開まとめ

エイマのレポート

領民:129人→130人

【辺境の領主】ディアスは、領民達と力を合わせることで、領へ襲来したフレイムドラゴンを無事に撃退した。

【森人族の双子】セナイとアイハンに鷹と間違えて捕らえられてしまった【鷹人族の英雄】サーヒィは、ドラゴン狩りへの参加を条件として、新たな領民に加わった。

草原南部に広がる岩塩鉱床の存在を知った【忠義に厚い文官】ヒューバートは、これ程の資源地帯が管理されず放置されていたことへ驚き、領地として正式に確保するため、ディアスと共に測量へ向かった。

測量中、一行はすり鉢状になった岩塩鉱床の中心部で妙な気配を感知し、地面を掘り返した結果、奇妙な短剣を発見した。

吹雪の日、双子達に話をせがまれたディアスは、戦時中の出来事である『黄金低地』について語った。

ディアスさんのお話、すっごく面白かったです!
戦いに勝つだけじゃなくて、戦場を麦畑にしちゃうなんて………………。
いつかボクもその『黄金低地』、見てみたいなぁ。

草原へ降り立ってから、ついに一年を迎えた領主様。
次なる物語は――

メーアバダル領イルク村の施設一覧

【ユルト】
【倉庫】
【厠】
【井戸】
【飼育小屋】
【集会所】
【広場】
【厩舎】
【畑(野菜・樹木)】
【溜池】
【草原東の森】
【魔石炉】
【岩塩鉱床】
【関所(仮設)】

春風が吹く中で

春の訪れと新年の始まり

春風が吹き始めると雪解けは急速に進み、草原には青々とした新芽が姿を現した。アルナーはその光景を見て、新しい年の始まりだと宣言し、春と新年を祝う宴の準備を始めた。

草原では暦ではなく自然の移ろいによって季節を数えており、雪解けと若草の芽吹きが新年の到来を意味していた。冬の間干し草で過ごしていたメーア達は、新芽を夢中で食み、その味を心から堪能していた。ディアスはその様子を見守りながら、草の味を楽しめるのは草食獣達だけなのだと苦笑していた。

家畜の増加と村の発展

草原では白ギーやガチョウも順調に増えていた。犬人族達は、ガチョウが二十羽近くまで増えたことを嬉しそうに報告し、将来的には肉として食べられるかもしれないと期待を膨らませていた。

ディアスは、村の各分野で役割分担が進み、自分が全てを把握しなくても村が機能するようになったことを実感していた。商売はエリー、荒野の管理はヒューバートとエイマ、家畜管理は犬人族達へと任され、イルク村は一周年を迎えて次の段階へ進みつつあった。

セナイとアイハンの七歳祝い

春の宴の準備が進む中、セナイとアイハンは刺繍で彩られた特別な衣装を身にまとい、七歳になったと嬉しそうに報告した。

アルナーは、その衣装が子供達を魔から守るための祝い着であり、冬を無事に越えたことで正式にこちら側の世界の住人となった証なのだと説明した。年齢不詳だった双子も、この日から七歳として扱われることとなった。ディアスは二人を祝福し、その成長を喜んだ。

春の宴と分け火の儀式

春の宴は、単なる祝宴ではなく、大地や春風、太陽や命へ感謝を捧げる儀式として行われた。広場には木材が組み上げられ、色とりどりの布飾りが春風になびいていた。

そこへゾルグが分け火を持参し、かつて草原の部族達が互いの無事を祝い合った伝統を語った。子供達は祝い着をまとって歌を捧げ、その後、広場では盛大な宴が始まった。

エリーはナルバント達やクラウス達の働きを労うために酒を用意し、冬の間働き続けた者達へ感謝が送られた。イルク村は春の到来と共に、大きな一体感と賑わいに包まれていた。

エルダンからの贈り物

宴の席でエリーは、フレイムドラゴン素材の最終的な代金として、新たな家畜達が送られてくることを明かした。

白ギー四頭に加え、馬六頭、さらにロバ二頭も送られる予定であり、ディアスは特にロバへ期待を寄せた。犬人族達が荷車を使いやすくなり、村の活動範囲が広がると考えたためである。

エリーは、エルダンが過剰なほど好待遇を提示してきたため交渉に苦労したと疲れた様子で語った。

マーハティ領への旅行計画

エリーは、これまで世話になったエルダンへの礼として、家族でマーハティ領を訪問するべきだと提案した。

アルナーやセナイ達は旅行という言葉に目を輝かせ、ディアスも皆の期待に押される形で了承した。その後、村では旅行へ向けて掃除や洗濯、ユルトの修繕、畑の整備など多くの春仕事が始まり、セナイとアイハンも率先して働いた。

七歳となった二人は、自分達はもうお姉さんだと胸を張り、子供達を率いて働いていた。その姿は村全体へ活気を与えていた。

エルダンの歓喜とジュウハの助言

一方マーハティ領では、ディアス達が旅行で訪れると聞いたエルダンが大喜びしていた。領を挙げて歓迎しようと張り切るエルダンに対し、ジュウハは過剰な歓迎はディアスの望むものではないと諫め、普段通りの領地を見せるべきだと助言した。

リチャードの改革構想

その頃、王太子リチャードは国内改革について語っていた。戦争で役立たなかった貴族達を表向きは軽い処分としつつ、実際には権力を削ぎ、平民出身の有能者達を官僚や軍へ取り立てようとしていた。

さらに教育機関を整備し、有能な平民や神殿、ギルドを味方につけることで、新たな国家体制を築こうとしていた。

ただし西方のディアスとエルダンについては、現時点では手を出さない方針を示した。二人は戦争で大きな功績を上げており、無闇に敵視すれば大義を損なうためであった。しかし将来的に十分な直轄軍が整えば、従わぬ者は踏み潰すと明言し、リチャードは自身の覇道へ強い自信を見せていた。

イルク村の西端で懐かしい声を聞きながら ―ディアス

ペイジン商隊の再訪と血無し三兄弟の到来

春の仕事が一段落した頃、ペイジン率いる商隊がイルク村へ再びやってきた。市場の準備が進む中、ディアスは以前から話のあった移住者について確認し、ペイジンは三人の若者を紹介した。

現れたのはキコの息子であるセキ、サク、アオイの三兄弟だった。彼らは獣王国で「血無し」と呼ばれていた存在であり、耳や腕、尻尾などに獣人の特徴を持っていた。キコはイルク村とディアスを強く気に入り、子供達へ厳格な教育を施していたため、多くの血無し達はまだ移住の許可を得られていなかった。

イルク村の案内と信頼

ディアスは三兄弟へ村を案内し、ユルトや集会場、畑や厠などを説明して回った。三兄弟は、犬人族用に大小様々な厠が用意されていることへ驚き、生活の細かな部分まで配慮されている村の在り方に感銘を受けていた。

さらにディアスは、彼らへ馬車を貸与し、将来的には行商を任せるつもりだと伝えた。セキは、まだ信用も実績もない自分達へそこまで任せることに戸惑いを見せたが、ディアスはキコの息子達なら信用出来ると自然に答えた。

血無し達は長年差別と蔑視を受けて生きてきたため、無条件の信頼を向けられること自体へ強い衝撃を受けていたのである。

アルナーによる魂鑑定

後から合流したアルナーは、三兄弟の魂が強い青であることを確認し、問題のない人物達だと判断した。

アルナーは冬の間に魔法を学び、角を光らせなくとも魔力の流れから相手の性質を感じ取れるようになっていた。まだ完全ではなかったものの、魂鑑定を秘匿したまま行える可能性が見え始めていた。

エリーとペイジンの密談

市場の裏では、エリーとヒューバートがペイジンと密談を行っていた。

エリーはディアスの書簡をペイジンへ託し、獣王国との友好関係構築を望んでいると説明した。内容には国境の確定、関所の設置、外交官派遣の提案に加え、鉄鉱山開発への投資を求める話まで含まれていた。

ペイジンは動揺を隠せなかったが、その反応からエリーは彼が単なる商人ではなく、獣王国側の密偵的役割も担っていることを確信した。エリーは友好と利益の双方を武器に、獣王国との強固な繋がりを築こうとしていた。

三兄弟の村への適応

ペイジン達が去った後も、セキ達は驚くほど自然にイルク村へ馴染んでいった。

三兄弟は明るく前向きな性格で、村人達ともすぐ打ち解けた。エリーの下で商売の知識を学びながら、行商人として成長するため努力を始めていた。

エリーを「姉貴」と呼んで慕うようになった三兄弟は、温かな暮らしと同時に、働くことを当然とするイルク村の厳しさも理解し始めていた。自分達が成果を出せなければ、後から来る血無し達にも悪影響が出ると考え、三人は強い責任感を抱くようになっていた。

隣領旅行への準備

春の仕事が片付き、ディアス達はマーハティ領への旅行準備を進めていた。

領主として他領へ赴く以上、服装や馬車にも格式が求められるため、エリーはディアス達へ礼儀作法や見栄えについて説明していた。

また、獣人差別が他地域には残っているため、セキ達は耳や尻尾を隠す工夫を施されることになった。三兄弟はその扱いを屈辱とは感じず、商売が上手くいくなら問題ないと前向きに受け止めていた。

カマロッツの到着と新たな家畜

そこへカマロッツ達が到着し、約束されていた馬、白ギー、ロバをイルク村へ届けた。

犬人族達は大喜びで家畜達の世話を始め、セキ達も自分達が使う馬達へ期待を膨らませていた。カマロッツは、マーハティ家に大きな慶事があったことを告げ、その祝いの品として様々な贈り物を運んできていた。

砂糖細工に込められた祝い事

祝いの品の中には、精巧な人物像が収められた箱が存在していた。

ディアスは工芸品かと思ったが、それは砂糖細工だった。内容から、エルダンの子供が生まれることを示唆する祝い品であると察したディアスは、見なかったことにしようと静かに蓋を閉じた。

カマロッツは慌てて誤魔化したものの、ディアスは事情を理解した上で、正式に話を聞いた時には心から祝福すると約束した。

出立前夜の準備

その後、厩舎の増築や家畜達の受け入れが無事に終わり、イルク村では旅行の最終準備が進められた。

アルナーは公爵夫人として相応しい装いを整え、セナイとアイハンは不在中の畑管理を犬人族達へ熱心に教えていた。三兄弟もエリーから隣領の特産品や商売について学び、今回の旅を必ず成功させようと決意を新たにしていた。

そして翌朝、ディアス達は立派に飾られた馬車へ荷物を積み込み、マーハティ領へ向かう準備を整えるのだった。

イルク村の東端で ディアス

マーハティ領への出発

ディアス達はイルク村の住民達に見送られながら、マーハティ領へ向けて出発した。伯父は領主代理として留守を任され、ヒューバートがその補佐を務めることになっていた。

馬車はカマロッツ達を先頭に進み、エリー達の馬車が後方に続いた。セキ、サク、アオイはカマロッツ達の馬車へ乗り込み、隣領での風習や商売について学ぶようエリーから命じられていた。三兄弟は既に行商人としての仕事を始めていたのである。

森の関所への到着

一行は切り開かれた森の仮設道を進み、クラウス達が建設した関所へ到着した。

そこには丸太を組んだ立派な防壁や門、厩舎や井戸、小屋まで整備されており、ディアスは予想以上の完成度に感嘆した。クラウスは、将来的には石造りの砦へ発展させる構想を語り、通行料を払う旅人達が納得できる施設にしたいと説明した。

関所では馬達を休ませるため長めの休憩が取られ、セナイ達はフランシス達を連れて森を散策した。六つ子達は大量の草を頬張りながら戻ってきて、その様子に一同は笑いに包まれた。

マーハティ領の景色

関所を越えた先には、メーアバダル領とは全く異なる景色が広がっていた。

草の少ない平野、青々とした山々、水量豊富な川、小さな村や砦など、多彩な風景が続き、ディアス達は隣領の豊かな地形に驚かされる。

やがてカマロッツ達は街道から分岐した道へ入り、一行は巨大な石造りの建築物へ到着した。ディアスは当初それを城塞だと思ったが、実際は巨大な隊商宿だった。

巨大隊商宿キャラバン・カスタ

隊商宿「キャラバン・カスタ」は、城壁に囲まれた巨大施設だった。

内部には噴水や庭園、広い厩舎、宿泊施設が整備されており、職員達はディアス達を英雄として丁重に迎え入れた。セナイ達は噴水へ夢中になり、エイマはその仕組みを解説した。

客室内部には絨毯や暖炉、水浴び用の設備まで整えられており、地下水路や採風塔による高度な設備構造にディアスは感心した。

一方アルナーは警戒を怠らず、短剣を片手に部屋の隅々まで確認を始める。旅先では何が起こるか分からないという遊牧民としての感覚から、徹底した安全確認を行っていたのである。

ネハの突然の来訪

夕暮れ時、隊商宿の見張り達が突然動揺し始めた。

やって来たのは、エルダンの母であるネハだった。白塗りの豪奢な箱馬車から姿を現したネハは、大柄な象人族の女性であり、圧倒的な存在感を放っていた。

ネハはカマロッツ達へ容赦なく説教を浴びせた後、ディアス達へ挨拶を行った。アルナーやセナイ達の頬へ自分の頬を寄せ、「皆様に祝福を」と語るその姿に、周囲の者達は驚きを隠せなかった。

後にセキは、象人族が獣人国では特別視される高貴な存在であると説明し、ネハの登場へ強い衝撃を受けていたことを明かした。

ネハの料理

ネハは自ら夕食を作ると宣言し、大量の香辛料と肉を使った料理を振る舞った。

果物と香辛料を用いた煮込み料理は絶品であり、セナイ達やフランシス達も夢中になって食事を楽しんだ。ネハは自ら食べることなく、母親のように皆の世話を焼き続けた。

その姿にディアス達は、自分達の母を思い出すような不思議な安心感を抱いていた。

不思議な投げ斧

食事の後、ネハは記念品として特別な斧をディアスへ贈った。

その斧は黄金色に輝き、独特な形状をしていた。ネハは、投げて使う武器らしいと説明し、ディアスなら使いこなせるはずだと語る。

ディアスが試しに投げると、斧は円を描いて飛び、自然に手元へ戻ってきた。さらに地面へ突き刺した後で念じると、自ら回転しながら戻ってくるという驚異的な性質を見せる。

その光景に一同は騒然となり、ネハだけが満足そうに頷いていた。

旅先での夜

アルナーは投げ斧を大いに気に入り、すぐに革鞘を作り始めた。

遊牧民は財産を常に持ち歩く文化を持つため、旅先でも裁縫道具や生活用品を持参するのが当然なのだと語る。ディアスは、遊牧民としての合理性に感心していた。

その後、一行は順番に水浴びを済ませ、用意された寝間着へ着替えて就寝した。慣れないベッドに落ち着かないセナイ達へ昔話を聞かせながら、ディアス達は旅先での夜を静かに過ごすのだった。

翌朝、隊商宿のベッドで

ネハの朝食

翌朝、ディアス達は隊商宿の食堂でネハが用意した朝食を振る舞われた。

料理は香辛料と野菜、肉を長時間蒸し煮にした鍋料理であり、ネハは夜明け前から準備していたらしかった。アルナーはその手間に気付き、深い感謝を伝える。

鍋の中身やパンの焼き方は一人一人の好みに合わせて調整されており、セナイ達の好物であるクルミ入りのパンや、エイマ向けの木の実、フランシス達用の新鮮な草まで用意されていた。ネハはまるで母親のように細やかな気遣いを見せ、ディアス達はその厚意へ強い感謝を抱いていた。

出立準備と豪華な旅装

食後、ディアス達は出発の準備を進めた。

馬車は幌型から壁と屋根付きの箱馬車へ改造されており、旅装も豪華なものへ変更されていた。ディアスは刺繍入りの上着と青いマントをまとい、腰には昨夜アルナーが作った革鞘に収めた投げ斧を下げる。

これはジュウハが企画した「救国の英雄ディアスと領主エルダンの再会劇」を盛り上げるためであり、戦斧を携えた英雄として登場してほしいという意図があった。ディアスは気乗りしなかったものの、世話になったエルダンのためならと受け入れていた。

ガラス窓の馬車旅

箱馬車には大きなガラス窓が取り付けられており、ディアス達はそこから外の景色を眺めながら旅を続けた。

マーハティ領の街道には、多種多様な獣人や馬車、露店や畑が並び、セナイ達や六つ子達は夢中になって窓へ張り付いていた。通行人達もメーアの旗を掲げた馬車へ興味を示し、セナイとアイハンが手を振ると笑顔で応えてくれる。

やがてメラーンガルの街へ近づくと、御者から演出のため窓のカーテンを閉めるよう伝えられる。六つ子達は抵抗したものの、ディアス達は布で包んでバスケットへ寝かしつけ、静かに到着の準備を進めた。

メラーンガルでの歓迎

馬車が停車すると、人々のどよめきと共にディアス達は街の大通りへ姿を現した。

白石造りの立派な街並みと、多種多様な獣人達に囲まれる中、ディアスは戦斧を持ち堂々と馬車から降り立つ。アルナーやセナイ達も続き、周囲の視線を集めていた。

そこには成長したエルダンが待っており、格式張った挨拶と共にディアスを迎える。握手が交わされると周囲から歓声と拍手が巻き起こり、巨大な要塞の門がゆっくりと開かれた。ディアスは、その要塞こそがエルダンの屋敷であることを知り驚愕する。

ジュウハの頼み

屋敷へ向かう途中、ジュウハはディアスへ小声で頼み事をした。

人間族である自身は新参者ゆえに立場が弱く、英雄ディアスと親しい関係を演出することで評判を安定させたいと打ち明けたのである。

アルナーは、その程度なら協力してやれば良いと即答し、代わりに市場案内や支援を要求する。ジュウハは調子良く了承したが、アルナーは高級軍馬を欲しがるなど容赦なく要求を重ね、ジュウハを慌てさせていた。

エルダンの豪邸

門の先には、隊商宿をさらに巨大かつ豪華にしたような空間が広がっていた。

色鮮やかな庭園や巨大な噴水、精巧な石造建築、香の漂う通路など、何もかもが別世界のように整えられており、ディアス達は圧倒される。

そこへエリー達やフランシス達も合流し、一同は中庭の絨毯へ案内された。周囲には多くの獣人達が集まり、救国の英雄ディアスへ強い関心を向けていた。

エルダン夫妻への祝福

歓談の中で、エルダンは妻パティが懐妊したことを報告した。

ディアスが祝福の言葉を送ると、セナイとアイハンも飛び出して刺繍入りの布を贈る。そこにはメーアの横顔と「おめでとう」の文字が縫い込まれていた。

さらに布の中からサンジーバニーの若葉が現れ、ディアスとエルダンは同時にその価値へ気付く。セナイ達は畑で育てた若葉を祝いとして持参していたのである。

エルダンは冷静を装いながら若葉を回収し、感謝を伝えつつ場を自然に流していった。

王命と報酬の相談

その後、エルダンはフレイムドラゴンの魔石を王へ献上した件について説明した。

王はその価値を高く評価し、ディアス達への三年間の免税措置を維持していた。さらにエルダンは、王命として「ディアスが望む褒賞を代理で与える役目」を任されていた。

何を望むか相談されたディアスへ、アルナーは質の良い軍馬を求めるよう小声で提案する。馬は繁殖によって財産にも戦力にもなるため、草原地帯のメーアバダルにとって極めて有益だったのである。

そこへアイハンが、マーハティ領では意図的に草や水場を制限し、敵軍の騎馬運用を妨げているのだと見抜いた。ジュウハはその洞察へ大仰に感心し、周囲の獣人達もざわめく。

最終的にディアスは、正式な褒賞として軍馬を望むと申し出る。エルダンは笑顔で了承し、周囲の空気も歓迎ムードへ変わっていくのだった。

賑やかになっていく庭園の片隅に佇みながら ジュウハ

ジュウハの警戒

歓待の宴の準備が進む庭園の隅で、ジュウハはセナイとアイハンの発言に強い危機感を抱いていた。

双子が「大地の力を感じる」と公衆の面前で口にしたことで、伝説の森人である可能性が周囲へ知られる危険が高まったのである。

ジュウハは以前から、二人の長い耳や薬草サンジーバニーの扱い、荒野で畑を成功させた件などから、双子が森人であると確信していた。しかしその事実は、主君エルダンにすら明かさず胸の内へ秘めていた。

古書には、森人は森を生み出すだけでなく枯らす力も持ち、南方の砂漠も森人の怒りによって生まれたと記されていた。ジュウハは、双子の力が悪用されれば周辺一帯が砂漠になる可能性すらあると恐れており、後でディアスへ注意を促すべきかと思案していた。

スーリオの決意

その頃、獅子人族の青年スーリオが険しい表情でディアスの下へ向かっていた。

スーリオはエルダンを心から敬愛しており、病弱だった主君を救い、健康と威光を取り戻させたディアスへも深い感謝と尊敬を抱いていた。

しかし同時に、ディアスの存在が大きすぎることで、本来大陸中へ広まるべきエルダンの名声が陰に隠れてしまっているとも感じていた。

ディアスを傷つけたい訳ではない。ただ「無敵ではない」という評判を作り、エルダンの威光をさらに高めたい。そのためにスーリオは、ディアスへ勝負を挑む決意を固めていたのである。

手合わせの申し込み

スーリオがディアスの前へ現れると、周囲はただならぬ空気を察して警戒を強めた。

アルナーは武器へ手を伸ばし、エイマは全身の毛を逆立てる。一方ディアスだけは落ち着き払っており、余興でも始まるのかと呑気に構えていた。

スーリオは真っ直ぐディアスを見据え、「傷つけ合わない形での手合わせ」を願い出る。

ディアスは即座に了承し、こうして庭園で力比べが始まることとなった。

力比べの開始

中庭では、転倒や場外で敗北となる単純な力比べが行われた。

ディアスとスーリオは片手を掴み合い、互いの力をぶつけ合う。周囲では歓声が飛び交い、セナイ達やアルナー達も大声で応援していた。

単純な膂力だけなら若く大柄な獅子人族であるスーリオが上回っていた。しかし実戦経験を積み重ねてきたディアスは、相手の呼吸や力の流れを瞬時に読み取り、巧みに力をいなし続ける。

スーリオは常に全力を強いられていたが、ディアスは余裕を保ったまま、隙を突いて呼吸すら整えていた。ジュウハは、その勝負勘こそがディアス最大の強みであり、単純な力だけでは到底勝てないと確信していた。

ジュウハの分析

勝負を眺めながら、ジュウハは改めてディアスの危険性を再認識していた。

マーハティ領には、ディアスを単なる人間族と侮る者もまだ多い。しかしこの勝負を通じて、その認識は改まるだろうと考えていた。

さらにジュウハは、アルナー達一家にも強い警戒と興味を抱いていた。

アルナーは肝が据わっており、森人の双子という切り札まで抱えている。力尽くで敵対するより、同じ公爵家として対立するよりも、より上位の立場から味方として取り込むべきだと考え始めていた。

本気になったスーリオ

追い詰められたスーリオは、ついに本能的な雄叫びを上げた。

組み合いを解き、獅子人族としての鋭い爪と牙を使った本気の攻撃へ移ろうとしたのである。

エルダン達が慌てて制止する中、ディアスは一瞬で真顔となり、凄まじい殺気を放つ。

その殺気は戦場を生き抜いたディアス特有のものであり、浴びた者の戦意を瞬時に奪う圧倒的な威圧だった。スーリオは完全に呑まれ、爪を振り上げたまま硬直してしまう。

決着

硬直したスーリオを見たディアスは、それを躊躇だと勘違いした。

険しかった表情を和らげ、傷つけないよう平手で軽く胸を押す。

その一押しだけでスーリオは場外へ転がり、尻もちをついて敗北した。

こうして勝負はディアスの勝利で幕を閉じ、周囲には再び歓声が響き渡るのだった。

力比べを終えて・ディアス

ネハによる叱責

ディアスとスーリオの力比べが終わると、中庭は歓声と喝采に包まれた。

そんな中、エルダンの母ネハが大声を上げながら現れ、スーリオを厳しく叱責した。長旅で疲れている客人へ手合わせを挑み、最後には本気で攻撃しようとした態度は見過ごせないと断じ、当分の間は自らの召使いとして働かせると宣言する。

その言葉を聞いたスーリオは絶望した様子を見せ、周囲の者達も深い同情を向けていた。ディアスはそこまで厳しくする必要はないと思っていたが、他家の事情に口を出すべきではないと考え、静かに見送るのだった。

歓待の宴とコルムとの出会い

エルダンは場の空気を立て直すため、歌や踊り、果物などを用意した歓待の宴を再開させた。

ディアスはアルナー達と共に余興を楽しみ、和やかな時間を過ごしていたが、その最中に小型種の犬人族であるアイセター氏族の長コルムが駆け寄ってくる。

ジュウハはその光景に強い驚きを覚えていた。

アイセター氏族は警戒心が極めて強く、客人が来れば自室に引きこもるほど偏屈な一族だった。しかしコルムは初対面のディアスへ強い親愛と敬意を示し、自然に会話を交わしていたのである。

ジュウハは、ディアスにだけ小型種達を惹きつける何かがあるのではないかと考え始めていた。

ジュウハの忠告

夜になり客室へ戻った後、ジュウハはディアスを執務室へ呼び出した。

そこでジュウハは、セナイとアイハンが伝説の森人である可能性について語る。

森人は森を生み出すだけでなく枯らす力も持つ危険な存在であり、その力を人間へ知られてはならないという遺言が双子の両親から残されていた。

エイマは以前からその事実を知っており、双子の力の使い方についても助言していた。そして今は旅行中であるため、双子へ直接その話をするのはやめてほしいとディアスへ頼む。

ディアスはその願いを受け入れ、森人の件を意識しないよう別のことを考え続けることで、平静を保とうと決意するのだった。

家畜市場の見学

翌日、ディアス達はカマロッツとコルムの案内で街の家畜市場を訪れた。

そこでは牛や羊、鳥、山羊など様々な家畜が管理されており、特に軍馬市場は厳重な警備と大規模な施設によって運営されていた。

カマロッツは、軍馬が高価な財産であり兵器でもあるため、競りや警備に多大な力を入れていると説明する。

アルナーは市場の馬達を見て、その多くが軍馬ではないと即座に見抜いていた。顎を引き、美しい弧を描く首と力強い脚を持つ馬こそ本物の軍馬だと語り、ディアスへ熱心に説明していた。

軍馬選び

軍馬の競り場へ通されたディアス達は、特別に用意された軍馬達を見定めることになる。

馬の選定はアルナーへ一任され、彼女は一頭ずつ丁寧に観察し、良い馬を即決で購入していった。

クラウスやナルバント達へ軍馬を与えれば、村の発展や馬具開発にも繋がるとアルナーは興奮気味に語る。

その様子を見ながら、ディアスはアルナーが本当に軍馬を愛しているのだと改めて実感していた。

暴れ馬とコルムの技量

最後に現れた黒い軍馬は、他の馬とは比べものにならないほど荒々しい気配を放っていた。

アルナーはその馬を高く評価しつつも、どこか悪意や危うさを感じ取り、購入を迷っていた。

すると突然、その馬が暴れ始め、手綱を引いていた男を振り払って会場内で暴走する。

誰もが動き出す中、最も早く駆け出したのはコルムだった。

コルムは暴れ馬へ飛びつき、その背に乗ると、見事な手綱さばきで馬を制御していく。さらに優しく語りかけ続けたことで、馬は次第に落ち着きを取り戻した。

その手際を見たディアスとアルナーは、コルムの技量を心から称賛する。

アイセター氏族の移住

ディアスは、コルムほどの馬の扱い手がイルク村にもいてくれたらと思わず本音を漏らした。

その言葉を聞いたコルムは大喜びし、領民募集の看板はまだ有効かと確認した上で、自分だけでなくアイセター氏族全員でイルク村へ移住すると宣言する。

突然の申し出にディアスもカマロッツも困惑したが、カマロッツは「本人達が望むならそれが一番だ」と穏やかに受け入れた。

こうしてディアスは、思いもよらない形で新たな領民達を迎えることになったのだった。

エルダンの屋敷に戻って ディアス

アイセター氏族の移住決定

アイセター氏族はコルムを含め総勢二十五人であり、その全員がイルク村へ移住することになった。

大勢の領民を引き抜く形となったが、エルダンは本人達の意思を尊重し、嫌な顔一つせず送り出すことを決める。イルク村では主に馬の世話を任される予定であり、暴れ馬を制したコルムの技量なら安心して任せられると皆が期待していた。

エルダン達は、何故イルク村では小型種達がそこまで活躍できるのかを知ろうとコルムへ聞き取りを行う。しかし返ってきた答えは、ディアスが「正しき人」だからという曖昧なものだった。

その意味を問われてもコルムは明確な説明をせず、ディアス自身も納得はできなかったものの、悪い意味ではないと判断し、それ以上追及することはやめるのだった。

軍馬購入とジュウハの見栄

アルナーが購入した軍馬は最終的に八頭となり、その中には暴れ馬となった黒馬も含まれていた。

本来なら価値が落ちるはずの馬だったが、コルムが必ず立派な軍馬として育て上げると保証したことで購入が決まったのである。

アルナーは自分よりもコルムの方が馬を見る目に優れていると認め、今後は馬の扱いについて積極的に学ぶつもりでいた。

なお、本来は高額な軍馬一頭分をジュウハが支払う約束だったが、請求額を見たジュウハは悲鳴を上げ、結局エルダンが肩代わりする形となった。

それでもジュウハは周囲へ、ディアスへ高価な軍馬を贈ったと吹聴し、自分達の親しさを誇っていた。

迎賓館と領主の責務

翌日、エルダンはディアス達を連れてマーハティ領の巡行を行った。

最初に案内されたのは迎賓館だった。そこは他領の貴族や王族を歓待するための施設であり、軍事拠点でもある本邸へ不用意に客を泊めないための重要な建物だった。

ディアス達が本邸へ泊まれたのは、エルダンが深く信頼していたからであり、普通なら親族ですら許されない待遇であった。

巡警隊と治安維持

次に案内されたのは巡警隊の砦だった。

巡警隊は決まった場所に留まらず、十人から百人規模で常に移動し続けている。どこにどれだけの兵力がいるのかを隠すことで、盗賊や反乱分子への強い抑止力となっていた。

さらに敵軍から見ても防衛戦力の把握が難しくなり、軍事面でも高い効果を発揮している。

エルダンは、領民を守るためには時に容赦を捨てる覚悟も必要なのだと静かに語り、その横顔は領主としての強い責任感に満ちていた。ディアスはその姿に素直な尊敬を抱くのだった。

地下水路と領主の支配

エルダンは地下水路も案内した。

地下水路や大河は領主であるエルダンの管理下にあり、必要とあれば流れを変えたり堰き止めたりすることも可能だった。

水は生活の根幹であり、それを掌握することもまた領主の重要な責務である。

善政を尽くしてはいるものの、反乱などが起きれば容赦なくその力を使う覚悟があると語るエルダンに、ディアスは改めて領主という立場の重さを感じ取っていた。

砂糖葦畑の歌声

最後に案内されたのは、マーハティ領の経済を支える広大な砂糖葦畑だった。

植え付け作業に励む人々は、苦労の先にある豊かさを歌にして働いていた。辛い作業であっても、砂糖葦がもたらす利益と甘い砂糖への期待が彼らを支えているのである。

笑顔で働く人々の姿を見つめながら、ディアス達はしばらく静かにその光景を眺め続けた。

セナイとアイハンの懐郷病

翌朝、ディアスはセナイとアイハンの様子がおかしいことに気付く。

二人は落ち着きを失い、時折涙を流しながら苦しそうに胸を押さえていた。

その様子を見たディアスは、二人が懐郷病にかかったのだと理解する。

故郷の匂いや音、人々との日常を失った寂しさによって心身が弱ってしまう病であり、特に幼い子供ほど重くなりやすい。

イルク村へ帰ることが最善だと判断したディアスは、帰還を決めるのだった。

エルダンとの別れ

ディアスはエルダンへ事情を説明し、帰郷の挨拶を行った。

エルダンは残念そうにしながらも引き止めることはせず、また落ち着いた頃に遊びに来てほしいと笑顔で送り出してくれる。

二人はその後、好きな料理や最近の鍛錬など、友人同士のような何気ない会話を交わしながら別れの時間を過ごした。

そこへネハが現れ、憔悴しきったスーリオを引き連れながら涙混じりに別れを惜しみ、力強すぎる抱擁を繰り出そうとして周囲を慌てさせる。

最終的にディアス達は皆と挨拶を交わし、準備を整えた馬車へ乗り込む。

こうして一行は、来た時と同じ道を辿りながら、マーハティ領を後にするのだった。

メーアバダル領へと戻りながら

イルク村への帰還

ディアス達は、アイセター氏族の面々と会話を交わしながらイルク村へ向かっていた。

新生活への不安や希望を聞き取り、イルク村の様子を説明していく中、セナイとアイハンは森の匂いや音を感じ取った途端、目に見えて表情を明るくしていく。

やがて馬車は森を抜け、関所へ到着する。

セナイ達は馬車を飛び出し、犬人族達へ駆け寄って抱きついた。懐郷病で弱っていた二人の様子を察した犬人族達も次々と集まり、大きな毛玉のような塊となって二人を包み込むのだった。

クラウスへの軍馬の譲渡

帰還後、ディアスはコルム達をクラウスへ紹介した。

そこへアルナーが現れ、購入した軍馬八頭のうち四頭を関所へ預けると告げる。

突然の話にクラウスは呆然としたが、軍馬の価値を理解しているからこそ、その重大さに震えながら喜びを爆発させた。

悩みに悩んだ末、クラウスは体の大きい順に四頭を選び出し、その後は馬の名前をどうするかで再び頭を悩ませ始める。

そんな姿を見守りながら、ディアス達はイルク村へ向けて再び出発するのだった。

草原への帰還とサーヒィの出迎え

草原へ戻ったディアス達は、若草の香りと爽やかな風に懐かしさと安堵を覚える。

見回り中だった犬人族達が歓声を上げ、続いてサーヒィが空から舞い降りてきた。

ディアスが「ただいま」と返すと、セナイとアイハン、フランシス達も元気に声を上げる。

その直後に見えてきたイルク村の光景を見たセナイ達は、一気に元気を取り戻し、懐郷病など最初から存在しなかったかのように村中を駆け回り始めた。

ナルバントへの依頼

帰還後、ディアスはナルバントへ軍馬達を紹介した。

軍馬は今後イルク村全体で利用する予定であり、主にナルバント達へ活用してほしいと伝える。

資材運搬やメーアワゴン運用など用途は多く、厩舎の組み立てもナルバント達へ任せるつもりだった。

ナルバントは驚きながらも快く引き受ける。

しかしその後、ナルバントはセナイ達の懐郷病以外にも、ディアスが別の悩みを抱えていることを見抜いてしまう。

彼は、下手な小細工をせず真っ直ぐ向き合えば良いと助言し、ディアスの背を押した。

森人の秘密を打ち明ける決意

ディアスは広場に敷物と茶器を用意し、セナイとアイハンを呼び出した。

そこへエイマも同席させ、ディアスはついに、二人の力と森人の秘密について知ってしまったことを打ち明ける。

セナイとアイハンは驚き、怯え、不安そうな表情を浮かべる。

しかしディアスは、二人の力を利用するつもりはないこと、秘密を誰にも漏らさないこと、これからも二人自身の意思で力を扱えば良いことを誓った。

さらに、その誓いを守り続けると真剣に語り、二人へ握手を求める。

セナイとアイハンは涙をこらえながらその手を握り返し、ディアスの誓いを受け入れるのだった。

森人の両親との対話

ディアスは、セナイ達の畑に植えられている若木へ向かって語りかける。

森人とは、親が子へ想いを込めた種を残し、その木が死後も子供達を見守り続ける種族だった。

セナイとアイハンは若木へ触れ、心の中で両親と対話を始める。

その穏やかな様子を見守る中、ディアスは自らの両親や遺言のことを思い返し、自分もまた誇れる生き方をしてきたのだと静かに振り返っていた。

花に託された返答

しばらくしてセナイとアイハンは若木から手を離し、両親が約束違反を許してくれたと伝える。

さらに、ディアスへの返事は自分達ですると言われたとも話した。

その直後、若木の枝先に小さな蕾が生まれ、それは見る間に成長していく。

やがて片方は赤く、もう片方は青く色付いた美しい花が咲き誇った。

それが両親からの返答であり、ディアスの誓いを受け入れた証だった。

皆に囲まれたセナイ達

花の香りと笑い声に引き寄せられ、村中の者達が広場へ集まってきた。

アルナー達、犬人族、サーヒィ達、メーア達、そして新しく領民となったコルム達までが加わり、皆がセナイ達を囲んで笑い合う。

何があったかを詳しく知らなくとも、自分達は家族であり味方であるという想いを、それぞれが自然な形で示していく。

そんな光景の中、セナイとアイハンは満面の笑みで叫んだ。

皆大好き。

その声に応えるように花はさらに大きく開き、優しい香りを辺りへ広げていく。

ディアス達は、その温かな光景を静かに見守り続けるのだった。

マーハティ領、西部の街メラーンガルの領主屋敷で――エルダン

エルダン領の好況

ディアス達が帰還してから数日後、エルダンはこれまで以上の活力を漲らせながら政務へ取り組んでいた。

ディアスを歓待できた喜びに加え、妊娠中の妻への土産も得られたことで、心は大きく満たされていたのである。

さらに領内全体も、かつてない程の好況に包まれていた。

それはエルダン自身の積み重ねた努力に加え、ディアスとの友好関係を今回の来訪で強く印象付けられたことが大きな理由となっていた。

商人達は、気前の良い隣領の英雄と良好な関係を築ければ大きな利益に繋がると考え、投資や開発へ積極的に動き始めていたのである。

さらに隣領の開拓成功や領地拡大の噂も広まり、未知の商圏への期待が商人達の欲望をさらに刺激していた。

エルダンは、その熱狂を巧みに利用しながら、自領の発展へと結び付けていた。

王女達の使者来訪

そんな中、カマロッツが難しい顔で執務室へ戻ってくる。

報告によれば、第一王女イザベルと第二王女ヘレナが、ディアスの下へ使者を派遣したらしく、その一行が数日以内にメラーンガルへ到着するという話だった。

具体的な目的は不明だったが、以前のディアーネの件もあり、警戒は必要だった。

しかしエルダンは、イザベルやヘレナはディアーネほど愚かではないとの評判を踏まえ、とりあえず様子を見るべきだと判断する。

その直後、エルダンはディアス側の準備不足を危惧した。

迎賓館建設を提案したばかりであり、貴族を迎える体制はまだ整っていないはずだったのである。

そこでカマロッツへ、必要な調度品や歓迎準備の品々を揃えた上で、急ぎディアスの下へ向かうよう命じるのだった。

ゴルディア来訪の報告

続いてカマロッツは、イーライやアイサが所属するギルドの長、ゴルディアがメラーンガルへ到着したことを報告する。

ゴルディアは、ギルドの活動拠点を王都からメラーンガルへ移したいと考えているらしく、その許可を求めているようだった。

エルダンは、ディアスとの関係を考えれば歓迎すべき話だと考えながらも、なぜ王都から移転したいのか、その理由については直接確認する必要があると判断する。

不穏な報告

カマロッツは残りの報告書へ目を通していた。

その中には、以前マーハティ領で騒動を起こした厄介な男を見失ったという内容が記されていた。

エルダンに悟られないよう小さくため息を吐きながら、カマロッツは嫌な予感を覚える。

復讐者の漂流

その男は、理不尽で歪んだ怒りに突き動かされた復讐者だった。

しかし復讐は全て失敗し、頼りにしていた人物も失脚し、資金源すら失っていた。

何のために復讐していたのかさえ見失いかけながら、それでも男は彷徨い続ける。

そして偶然、とある遺跡へ辿り着いた。

そこは何千年、あるいは何万年前に築かれたのかも分からない謎の場所であり、決して開かないとされる巨大な門だけが存在していた。

男は、開くはずもないと知りながら、その門へ手を伸ばす。

すると門は静かに動き始め、まるで男を歓迎するかのように開いていった。

人生で最も目を見開いた男は、その先に潜む危険を考えることもなく、吸い寄せられるように門の奥へ足を踏み入れていくのだった。

書き下ろし 旅宿の香風

踊り子の衣装と旅先の夜

ディアスはジュウハからセナイとアイハンの秘密を聞かされ、エイマと対応を話し合った後、疲れを覚えながら部屋へ戻った。

そこではアルナーとセナイ、アイハンが、エルダンの用意した衣装の中に紛れていた豪華な布と装飾品を広げて騒いでいた。金の腕輪や腰帯、鎖、宝石、上等な絹を使ったそれは、エイマによれば踊り子の衣装であった。

香炉の準備

アルナーが衣装を着替えに向かうと、ディアスはフランシス達を撫で、ブラッシングしてやった。

その間にセナイとアイハン、エイマは香炉を用意した。マーハティ領名産の高級な香を焚くためであり、火を移すと、柔らかく甘い香りが部屋いっぱいに広がった。

その香りは砂糖とは違う花や果物を思わせるもので、セナイ達やフランシス達はうっとりとした表情を浮かべた。

アルナーの舞

やがてアルナーが踊り子の衣装をまとって現れた。

セナイとアイハン、フランシス達、エイマは口々に似合っていると褒め、ディアスも素直に綺麗だと伝えた。

アルナーはディアスの手を取り、クラウス達の結婚式で踊った時のように二人で踊り始めた。エイマはその衣装に合う踊りではないと気付きかけたが、口をつぐんだ。

家族だけの自由な踊り

セナイとアイハンが歌と手拍子を始め、エイマやフランシス達も加わった。

ディアスとアルナーは形式にこだわらず、家族だけの場として自由に踊った。アルナーの金の鎖は灯りを反射して煌めき、ショールは風を受けて柔らかく舞った。

やがてアルナーはディアスの手を離れ、衣装の美しさを引き出すように一人で舞い始めた。

皆で楽しむ旅先の時間

その姿に見惚れていたセナイとアイハンは我慢できず、歌いながらアルナーの周りを駆け回った。

エイマも跳躍して加わり、フランシス達も蹄を鳴らして踊り始めた。アルナーは皆を笑顔で受け入れ、中心で美しい舞を続けた。

ディアスはその光景を静かに見守った。

歌は喉が嗄れるまで続き、踊りは皆の体力が尽きるまで続いた。ディアス達は、旅先でしか味わえない特別な夜を存分に楽しんだ。

特別書き下ろし。アルナーと遠駆け

草原を駆ける二人

ある日の昼前、アルナーの提案で、ディアスとアルナーは馬に乗って狩りへ出かけた。

ディアスは投げ斧を持ってベイヤースに乗り、アルナーは弓矢を持ってカーベランに乗って、村の東側の草原へ向かった。他の者達は皆忙しく、同行したのは二人と馬達だけだった。

ディアスは新しい投げ斧なら馬上でも狩りができると考えていたが、その日は狐も鳥も見当たらず、獲物の姿は全く見つからなかった。

狩りから競走へ

ふと隣を見ると、アルナーは獲物探しなど忘れたように、ただ前だけを見て馬を走らせていた。

楽しげな笑みを浮かべながら速度を上げるアルナーを見て、ディアスもまたベイヤースへ意思を伝えた。負けず嫌いのベイヤースはカーベランに追いつこうと勢いよく加速し、二頭は競い合うように草原を駆け始めた。

アルナーがさらに速度を上げれば、ディアスも追随する。そんなやり取りが何度も繰り返された。

広大な草原を走り続ける中で、ディアスはこの地の果てしない広さを改めて実感していた。

川辺での休息

やがてカーベランとベイヤースが疲れを見せ始め、小さな川辺で足を止めた。

二人は馬から降り、その背や腹を撫でて労った。するとアルナーは鞍に括りつけていた袋から布や食器、ポット、パン、干し肉、果物などを取り出して並べ始めた。

それは明らかに昼食用の準備であり、さらにアルナーは夕方頃に帰れば良いと、わざとらしく口にした。

二人だけの時間

ディアスは小さくため息を吐きながらも、その意図を理解していた。

その日の仕事はアルナーが朝から張り切って片付けており、夕方まで戻らなくても問題はなかった。アルナーは最初から二人だけの時間を作るつもりだったのである。

ディアスはその気遣いを受け入れ、「それじゃあお茶でも飲みながらゆっくりするとしようか」と声をかけた。

そうして二人は川辺で焚き火の準備を始め、穏やかな休息の時間を過ごそうとしていた。

コルムと馬達

馬を愛する犬人族コルム

新たに領民となった犬人族小型種、アイセター氏族の長コルムは、隣領にいた頃から馬の世話をして生きてきた人物であり、イルク村でも引き続き馬の世話を任されていた。

特にコルムは、普通の馬よりも癖の強い馬の世話を好んでいた。市場で暴れていた馬や、エイマしか乗せない月毛の名馬アイーシアにも積極的に関わっており、その扱いは見事なものだった。

他の犬人族が近づけば激しく拒絶するアイーシアも、コルムには素直に従い、背中に乗ってのブラッシングすら許していた。首の手入れをしやすいよう、自ら首を反らせることまであり、その光景にディアス達は驚かされていた。

コルムの馬への接し方

休憩時間、広場で茶を飲みながらディアスが秘訣を尋ねると、コルムは少し考えた後、自然体で世話をしているだけだと答えた。

その上で、アイーシアの気位の高さや荒い気性も、彼女らしい可愛さだと受け止めていると語った。

さらにコルムは、アイーシアが歩き方や耳の動かし方に至るまで、美しさを意識して振る舞っていることに気付いていた。人から受けた教えを懸命に守ろうとする姿は、まるで愛娘のように愛らしいのだと穏やかに語った。

皆が抱いた驚きと感心

その考え方を聞いたディアス達は、皆揃って驚きを見せた。

アルナーやセナイ、アイハン、犬人族達だけでなく、アイーシアの相棒であるエイマまでもが、そんな見方があったのかと感心していた。

一方のコルムは変わらぬ様子で空を見上げながら、イルク村の馬達はどの子も可愛くて良い子ばかりだと語った。そして、自分はここへ来られて本当に良かったと、厩舎にいる愛息子と愛娘達の世話をこれからも頑張りたいのだと心からの想いを口にした。

その言葉を聞きながら、ディアス達はコルムの人柄と馬への深い愛情に感心し、アイセター氏族が村へ来てくれたことを改めて喜ぶのだった。

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