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フィクション(Novel)読書感想領民0人スタートの辺境領主様

小説「領民0人スタートの辺境領主様 Ⅸ(9) 春暁の盃事」感想・ネタバレ

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領民0人スタートの辺境領主様9の表紙画像(レビュー記事導入用) フィクション(Novel)

領民0人8巻レビュー
領民0人まとめ
領民0人10巻レビュー

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  1. 物語の概要
    1. ■ 作品概要
    2. ■ 主要キャラクター
    3. ■ 物語の特徴
  2. 書籍情報
  3. あらすじ・内容
  4. 感想
  5. 考察・解説
    1. ウィンドドラゴン討伐
    2. 領地の施設拡充
    3. 戦友との再会
    4. 隣領の反乱鎮圧
    5. 獣人国との外交
    6. 洞人族の定住
    7. アースドラゴン襲来
    8. 領地の施設整備
  6. 登場キャラクター
    1. イルク村(メーアバダル領)
      1. ディアス(ディアス・メーアバダル)
      2. アルナー
      3. セナイ
      4. アイハン
      5. エイマ
      6. ヒューバート
      7. ベン(ベンディア)
      8. クラウス
      9. カニス
      10. マヤ
      11. オーミュン
      12. ナルバント
      13. サナト
      14. エリー
      15. セキ
      16. サク
      17. アオイ
      18. サーヒィ
      19. リーエス
      20. モント
      21. ジョー
      22. ロルカ
      23. リヤン
      24. ゴルディア
      25. アイサ
      26. イーライ
      27. ジョー隊
      28. ロルカ隊
      29. リヤン隊
      30. 犬人族達
      31. アイセター氏族
      32. シェップ氏族
      33. マスティ氏族
      34. 洞人族達
      35. 鷹人族達
      36. 婦人会
      37. 犬人族の子供達
      38. フランシス
      39. フランソワ
      40. エゼルバルド
      41. フラン
      42. フランカ
      43. フラメア
      44. フラニア
      45. フランク
      46. フランツ
      47. メァタック
      48. メァレイア
      49. メーアの六つ子達
      50. メーア達
      51. ベイヤース
      52. シーヤ
      53. グリ
      54. 馬達
      55. 白ギー達
      56. 母白ギー
      57. 仔白ギー
      58. ガチョウ
      59. 軍馬達
      60. ミツバチ
    2. マーハティ領
      1. エルダン(エルダン・マーハティ)
      2. ネハ
      3. ジュウハ
      4. カマロッツ
      5. グリン
      6. スーリオ
      7. リオード
      8. クレヴェ
      9. ゲラント
      10. 獅子人族達
      11. 鳩人族達
    3. 獣人国・商人
      1. ペイジン・オクタド
      2. ペイジン・ファ
      3. ペイジン・ミ
      4. ペイジン・ド
      5. ペイジン・レ
      6. キコ
      7. ヤテン・ライセイ
    4. サンセリフェ王国
      1. サンセリフェ国王
      2. リチャード
      3. イザベル
      4. ヘレナ
      5. シルド
      6. エーリング(エーリング・シグルザルソン)
      7. サーシュス(フレデリック・サーシュス)
    5. 鬼人族
      1. ゾルグ
    6. その他・モンスター
      1. ウィンドドラゴン
      2. フレイムドラゴン
      3. アースドラゴン
      4. 黒ギー
  7. 展開まとめ
    1. 村の広場で朝食をとりながら
    2. 村の西側、第二迎賓館の中で
    3. 迎賓館を片付けながらディアス
    4. 王都、王城のリチャード王子のダンスホール 老齢の騎士
    5. イルク村西側の草原でディアス
    6. 広場で六つ子達の様子を眺めながら ディアス
    7. 西側関所に移動して
    8. 自分のユルトの机で、各地の地図を眺めながらディアス
    9. 甲羅の置かれた広場で―ディアス
    10. 書き下ろし 春暁の盃事
    11. 特別書き下ろし。洞人族のパズル
  8. 同シリーズ
    1. 領民0人スタートの辺境領主様
  9. その他フィクション

物語の概要

■ 作品概要

『領民0人スタートの辺境領主様 Ⅸ(9) 春暁の盃事』は、異世界ファンタジーおよび領地経営(タウンビルド)シミュレーションに類するライトノベルである。 物語の舞台は、戦争が終結した後の広大なファンタジー世界である。20年にわたる大戦で武勲を挙げ、のちに「救国の英雄」と称されるようになった主人公の青年・ディアスが、論功行賞として与えられた何もない辺境の荒野で領主生活を始めるところから全体の物語が展開する。 本作(第9巻)では、戦いから再び日常へと帰ってきた「イルク村」が描かれる。ある日、隣接する獣人国からの客人が訪れ、国境の関所作りや友好のための会談が持ち上がる。関所作業や鉱山開発を進めるにあたり、ナルバントの提案によって「洞人(ほらびと)の一族」を村に呼び寄せることになる。洞人たちのために酒造りを始めるエピソードを中心に、セナイとアイハンによる森での養蜂の成功や、迫りくるアースドラゴンの脅威への対応など、村の文化レベルと防衛力が一段と向上していく様子が簡惜に描写される。

■ 主要キャラクター

  • ディアス: 本作の主人公であり、イルク村の辺境領主。かつて大戦で活躍した元兵士であり、人並み外れた頑強な身体と優れた戦闘能力を持つ。実直かつ素朴な性格で、私欲がなく領民の幸せを第一に願っている。過去の経験から酒を酷く嫌っていたが、本作ではその原因が伯父のベンによって明かされる。
  • アルナー: ディアスの妻であり、誇り高き「鬼人族」の乙女。ディアスが最初に出会った領民の一人であり、夫を献身的に支えつつ、領地経営や多種族が混在する村のまとめ役として高い統率力を発揮する。
  • ナルバント: イルク村に暮らす「洞人族」の青年。技術や土木、開発に関する知識に長けており、本作では獣人国との国境に設ける関所作りに自ら立候補する。作業効率向上のために、自身の同族である洞人の一族を村に招く契機を作る。
  • セナイ & アイハン: イルク村の住民。森での養蜂に挑戦し、見事に成功を収める。上質な蜂蜜を定期的に確保できるようにしたことで、村の食文化の発展に貢献する。
  • ヤテン: 獣人国からイルク村を訪れる高官(参議)。イルク村(および領国)との国境交渉や鉱山開発投資についての会談を行うため、使節としてディアスのもとにやってくる。

■ 物語の特徴

本作の最大の魅力は、血生臭い戦争を生き抜いた最強の主人公が、武力による征服ではなく「開拓と対話」によって平和な村を作り上げていく心温まるプロセスにある。他のチート系ファンタジー作品にありがちな過度なストレス展開が抑えられており、魅力的な多種族の領民たちがそれぞれの特技を活かして村を発展させていく「内政・スローライフ要素」が色濃い点が特徴である。 第9巻においては、これまでの素朴な農村から「美味しいお酒と甘い蜂蜜」という特産品が生まれ、文化水準が急速に向上していくカタルシスを味わえる。また、他国との外交交渉や新たな種族(洞人族や獅子人族)の受け入れといった政治・経済的発展が描かれる一方で、アースドラゴンの襲来を圧倒的な実力で処理する爽快感など、内政と戦闘のバランスが絶妙に保たれている点が読者の興味を惹きつけるポイントとなっている。

書籍情報

領民0人スタートの辺境領主様 Ⅸ 春暁の盃事
著者:風楼 氏
イラスト:キンタ  氏
出版社:アース・スターノベル
発売日:2023年4月14日

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あらすじ・内容

再び日常へと帰ってきたイルク村に、ある日獣人国から客人がやってくる。それは「獣人国のお偉いさん」で、かの国との友好のために会談を行うが……。獣人国との国境の関所作りにナルバントは立候補し、その作業のために洞人の一族をイルク村に呼ぶことに。洞人たちのため酒作りを進めることになるが、それを複雑そうに見るディアスに伯父のベンがディアスの酒嫌いの原因を語り始め……。セナイとアイハンは森での養蜂に成功し、上質な蜂蜜が定期的に手に入ることに。一方で酒蔵での酒造りも順調で、ついに洞人の一族を呼ぶための儀式を行うことになり……。あま~い蜂蜜においしいお酒。イルク村の文化レベル急上昇中!

領民0人スタートの辺境領主様 Ⅸ 春暁の盃事

感想

圧倒的な個の武力と、多種族が織りなす盤石な集団戦術

本作を読んで最も強く印象に残ったのは、迫りくる脅威に対する主人公・ディアスの絶対的な強さと、領民たちが一丸となって戦う組織戦の見事な対比である。 新たに襲来した二頭のアースドラゴンとの戦いでは、その描写の凄みから目が離せなくなった。ディアスが単独であっさりと一頭を撃破してしまう凄まじさは、まさに「救国の英雄」の名にふさわしい理不尽なほどの強さであり、圧倒的なカタルシスを覚えざるを得ない。一方で、もう一頭に対してモントをはじめとする領兵たちが協力し、周到な準備と道具を用いた落とし穴の罠によって首を出させて仕留めるプロセスには、高度な知略と集団戦術の面白さが詰まっていた。この単一の圧倒的な武力と、皆で力を合わせる組織的な防衛の対比こそが、本作の戦闘シーンにおける最大の魅力だと感じる。

こうした防衛力の向上は、これまでの積み重ねが綺麗に結実した結果である。先のウィンドドラゴン討伐で得た戦利品が、サーヒィの専用装備「鷹人竜装」の強化へと直結し、イルク村の空中防衛力を大きく底上げしている点が非常に熱い。この実戦経験から得たデータや素材を活かし、さらなるアースドラゴンへの対抗策を練り上げるという論理的な流れは、辺境の領地が実力で安全を勝ち取っていく説得力を物語に与えていた。

絆がもたらす内政の爆発的進化とインフラ拡充

イルク村のインフラ拡充のプロセスは、読めば読むほどその計画性の高さに感心させられる。多様な種族が持つ固有の知恵と労働力が結集していく様子は、単なる生活環境の改善という枠に留まらない。生活物資の長期保存テストや軍事的な工夫を凝らした石畳の道作り、そして将来的な交易を見据えた西側関所の拡張に至るまで、すべての施策が開拓地から強固な交易拠点へと飛躍するための確かな土台として機能していく。ただ生き延びるための村から、他国との物流や交流を支える巨大なハブへと進化を遂げていく様子は、内政ファンタジーとして極めて完成度が高い。

その開発力を爆発的に高める大きな契機となったのが、洞人族の一族を挙げた定住である。彼らの「環境悪化時には地下で冬眠する」という特異な生態や、酒を糧として常にほろ酔いで健康を保つという独自の文化描写は、読んでいて非常にユニークで興味深い。ナルバントが村に下地を整え、ついに一族を呼び寄せる儀式を行って地面から次々と同胞が現れたシーンは、村が一気に活気づく幸福感に満ちあふれていた。彼らが加わったことで、ディアスが目指す「多種族共生の理想郷」がより具現化し、豊かさを増していく過程に深く胸を打たれる。

さらに、かつての戦友達や元敵将であるモントの存在も、イルク村にとってかけがえのない財産として描かれている。彼らの定着は、単なる人口増加という数字のうえだけの話ではない。帝国で培われた高度な軍事知識や集団戦術、そして確かな労働力が領地に居着いたことで、村の自立性は格段に向上した。ディアスを深く慕う彼らの誠実な人柄と賑やかなやり取りは、過酷な辺境開拓のなかに極上の安心感と温かさを添えてくれている。

誠実さが切り拓く外交と、種族を越えた融和の歩み

人間関係や外交のドラマにおいても、本作は非常に見応えがある。獣人国との緊迫した外交交渉では、相手の参議ヤテンが外交的優位や主導権を握るために罠とも言える破格の譲歩案を提示してきた。しかし、利益よりも純粋な友好関係を重んじるディアスの無欲さと誠実さが、結果としてその謀略を完全に無効化してしまう展開が痛快であった。

この実直な人柄は、ヤテンの下で働いていたペイジン家の心を完全に捉えることになる。冷徹なヤテンよりも、自分たちを対等な商売相手として破格の通行権利を認め、信頼してくれるディアスに味方すべきだとペイジン家がレを通じて裏で完全な協力を取り付ける決断をするシーンには、思わず快哉を叫びたくなった。この絆によって、イルク村は西側関所の強化と新たな交易ルートの確保という、さらなる発展への強固な足がかりを得ており、ディアスの「人徳」こそが最大の防衛策であると深く実感させられる。

また、マーハティ領における反乱鎮圧後のアフターケアも、非常に深く考えさせられる内容であった。人間族への反感が高まる難しい状況のなかで、弾圧ではなく「思想があっても平穏に暮らす者には手を取り優しくする」という融和を重んじるエルダンの寛容な姿勢には、強いリーダーシップと優しさを感じる。この新たな課題に対し、ネハがスーリオら若い獅子人族を使者としてイルク村へ派遣し、ディアスがそれを温かく受け入れることで、両領地は種族の壁を越えた相互理解へとまた一歩前進した。お互いの文化や価値観の違いに悩みながらも、少しずつ信頼関係を構築していく歩みには、読んでいて確かな希望が感じられる。

読後に広がる、王国全土への波紋と盛大な祝宴の余韻

アースドラゴン大侵攻の結末と、その後に描かれる王国内の情勢変化は、物語のスケール感を大きく広げてくれた。王国全土で起きたこの災厄において、被害が最小限に抑えられ、大量の貴重なドラゴン素材がもたらされたことで王国経済全体が活気づくという描写は、災い転じて福となすダイナミックさがある。そのなかでも、二頭を同時に無傷で討伐し、なおかつ街道や関所の整備、他国との外交交渉まで同時並行で進めているメーアバダル公ディアスの評価が、王国内で飛躍的に高まっていく流れは非常に誇らしい気持ちにさせられた。王都の商人たちがこぞってこの地に熱い視線を送るようになるのも必然であり、今後の経済的な発展への期待が高まる。

そして、物語の締めくくりにふさわしいイルク村での祝宴シーンは、読後に最高の余韻を残してくれる。綺麗に解体されたアースドラゴンの巨大な甲羅が広場の中心にモニュメントとして飾られ、その上をメーアの六つ子たちが元気に駆け回る光景は、微笑ましくもどこか幻想的である。洞人族をはじめとする多種族の領民たちが一堂に会し、美味しいお酒と甘い蜂蜜、そして黒ギーの串焼きを片手に手を取り合って笑う姿は、これまでの苦労が報われた瞬間そのものであった。

過酷な辺境でありながら、確かな知恵と誠実な人間関係によって文化レベルを急上昇させ、豊かな理想郷を作り上げていくイルク村の未来を、これからもずっと見守り続けたいと思わせてくれる素晴らしい一冊である。

最後までお読み頂きありがとうございます。

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領民0人8巻レビュー
領民0人まとめ
領民0人10巻レビュー

考察・解説

ウィンドドラゴン討伐

『領民0人スタートの辺境領主様』第9巻では、これまでに起きた戦いと成果が振り返られている。ウィンドドラゴン討伐の概要やその後に得られた成果、他モンスターとの比較について解説する。

討伐の概要と連携
襲来した脅威に対する防衛戦のプロセスと連携の様子は以下の通りである。
・ディアスは謎の存在から得た特殊な素材を用いて、新たな装備である赤金色の全身鎧と兜を手に入れた。
・その後、再び領地に襲来したウィンドドラゴンに対し、ディアスは鷹人族の英雄であるサーヒィと共に迎撃へ向かった。
・二人は密に連携しながら激戦を繰り広げ、最終的にウィンドドラゴンを見事討伐することに成功した。

討伐の成果と新装備「鷹人竜装」の完成
激戦の末に得られた戦利品と、それによる村の戦力強化の詳細は以下の通りである。
・戦いの後には、ウィンドドラゴンの素材と魔石が無事に回収された。
・獲得した素材を用いて、サーヒィ専用の新装備「鷹人竜装」が完成した。
・サーヒィがこの新装備を身に着けることで、更なる力を得るに至った。

アースドラゴンとの比較
新しく直面した脅威への対策会議において、過去の戦いから以下のような戦略的分析がなされている。
・新たにアースドラゴンの襲来という危機が訪れた際、対策会議の中でウィンドドラゴンの名前が引き合いに出された。
・空を飛ぶウィンドドラゴンと違い、アースドラゴンには移動力がない、すなわち足が遅いという特徴がある。
・そのため、位置の確認をしてからでも対策や迎撃が十分に間に合うという分析がなされた。

まとめ
このように、過去のウィンドドラゴン討伐で得られた戦利品は、サーヒィの装備強化という形でイルク村の防衛力向上に直結している。さらにその戦闘経験は、新たに襲来したアースドラゴンへの対抗策を練る上でも重要な判断材料となり、領地を守るための強固な基盤となっているのである。

領地の施設拡充

『領民0人スタートの辺境領主様』第9巻では、領民の増加や近隣領地・獣人国との交流拡大に伴い、イルク村の施設やインフラが急速かつ大規模に拡充されている。その具体的な進展状況について、以下のポイントから解説する。

1. 氷の貯蔵庫と地下酒蔵・発酵小屋の完成
夏の暑さや食料保存に備えた高度な設備が次々と整えられている。

  • 氷の貯蔵庫:冬の間に北の山から大量の氷と雪を運び込み、水源小屋、村の北側、迎賓館、東の関所の各所に完成した。夏に向けて、薬草や野菜、チーズ、肉類などの保存が始まっている。
  • 地下酒蔵:洞人族のナルバントたちはレンガ造りの巨大な施設を建設した。これは冷気を閉じ込めるだけでなく、発酵を促す妖精が集まりやすい環境を整えたもので、ハチミツ酒や各種果実酒の醸造・貯蔵が行われる。
  • 発酵小屋:ディアスの提案により、ピクルスやチーズを作るための施設も地下に整備された。
  • 冷却水瓶:各ユルトや馬車には、釉薬を塗らない陶器の特性を活かした不思議なツボが量産・配備され、暑さへの対策が進んでいる。

2. 森の開拓と養蜂場の設置
森人族の特性を活かした生産基盤の強化も進んでいる。

  • 新たな苗木畑:森人族の双子セナイとアイハンは、関所近くの森を切り開いて農地を作った。森の豊かな土壌を活かして木々や果実をより大きく育てる狙いがある。
  • 養蜂場:双子は森の奥に古代技術を応用した巣箱を設置した。内部の六角形構造の板を動かすことで、ミツバチの巣を壊すことなくハチミツだけを流し出せる画期的な仕組みとなっており、高品質なハチミツが安定して手に入るようになった。

3. 人口増加に伴う区画整理とインフラ計画
ジョーたち元志願兵や洞人族など領民が急増したことで、村はユルトで埋め尽くされつつある。これに対するインフラ計画は以下の通りである。

  • ベンとヒューバートは、無計画な拡張を防ぐための区画整理や木造家屋の建築、廁や井戸の計画的な増設を検討し始めた。
  • 岩塩を保管するための専用ユルトも建てられており、将来的な神殿や工房、厩舎の拡大も構想されている。
  • 獣人国からの要人を迎えるため、村の西側には急遽第二迎賓館となるユルトも設置された。

4. 獣人国へ続く街道と西側関所の建設
冬眠から目覚めた洞人族たちが合流し、村から西の獣人国へ向かう街道と西側関所の建設が急ピッチで進められている。

  • 強固な石畳の街道:メーアが草を食べ尽くした跡を洞人族が掘り返して砂利を敷き、その上に特殊な形状の石材を並べて作られている。石材同士が複雑に噛み合う構造になっており、敵に石を剥がされて投石機の弾として利用されるのを防ぐ軍事的な工夫が施されている。
  • 防衛と交易の拠点となる関所:他国と接する重要な拠点となるため、敵の攻城兵器を警戒した堅牢な防衛機能と威容を備えるよう設計されている。さらに、ペイジン商会社長オクタドの助言を取り入れ、商人たちが積荷確認の合間に商売や休憩ができる広場や、隊商宿の機能も併設される予定である。

まとめ
このように、第9巻におけるイルク村のインフラ拡充は、領民の生活環境を守るだけでなく、防衛力と商業的な価値を同時に高める極めて計画的なものとなっている。多様な種族の知恵と労働力が結集したことで、村は過酷な辺境の地から、他国との物流や交流を支える強固な交易拠点へと確実な進化を遂げている。

戦友との再会

『領民0人スタートの辺境領主様』第9巻における「戦友との再会」は、これまでに起きた出来事の振り返りとして語られており、彼らがイルク村に定着し、強力な戦力や労働力として活躍していく基盤についてまとめられている。その経緯と詳細な内容は以下の通りである。

1. 戦友達の来訪と領民への加入
ジョー、ロルカ、リヤンをはじめとするディアスの過去の戦友達が次々と領地を訪れ、領民に加わった。

  • 彼らはかつて戦場を共に駆け抜けた仲間であり、領主であるディアスのことを深く慕っている
  • 教育係のエイマは、戦場帰りの彼らがどんな人たちかと少し警戒していた
  • しかし、実際にやってきたのは皆誠実で頼もしい人物であり、エイマは驚きつつも安堵している

2. かつての敵将「隻脚の鬼教官」モントの加入
戦友達に加え、かつて敵将として戦いながらも腐れ縁のような形でディアスと戦線をともにしてきたモントまでもが領民に加わることになった。

  • エイマはモントの個性的な人柄に対して、ちょっと変わっていてびっくりしたという独特な印象を抱いている
  • 同時に、決して悪い人ではないという理解を深めている

3. 戦力と労働力の大幅な増強と本編での活躍
彼ら新たな仲間達が加入したことで、領地の戦力と労働力は大きく増強され、イルク村はさらに賑わいを増していった。彼らの力は第9巻の本編でも大いに活かされている。

  • ジョー達やモントは西側の関所建設作業を熱心に手伝っている
  • 獣人国東端に現れたアースドラゴンとの戦闘において、モントの指揮のもとでジョー達が本領を発揮した
  • 投槍器や大盾、大網を用いた集団戦術を駆使し、討伐の主力として見事な活躍を見せている

まとめ
このように、ディアスを慕って集まったかつての戦友達や元敵将モントの存在は、イルク村にとってかけがえのない財産となっている。彼らの定着は、単なる人口の増加に留まらず、高度な集団戦術や確かな労働力を領地に定着させ、イルク村をより強固で自立した交易拠点へと押し上げる重要な原動力となったと言える。

隣領の反乱鎮圧

『領民0人スタートの辺境領主様』第9巻では、第8巻で描かれた隣領(マーハティ領)の反乱鎮圧の事後処理や、その後のマーハティ領内の動向について描かれている。ディアスがモントや戦友たちと共に進軍して無事に反乱を鎮圧した後、隣領で取られた対応について解説する。

エルダンの寛容な戦後処理と融和の方針
反乱鎮圧後、マーハティ領の領主屋敷では反乱再発防止のための会議が開かれた。会議の方針と結果は以下の通りである。
・イノシシ顔の獣人グリンは、反乱の火種となった人間族至上主義者に対する厳しい処罰と弾圧を提案した。
・しかし、エルダンはこの提案を断固として拒絶した。
・思想だけで処罰すれば余計な反乱を招くとの判断から、反乱を起こした者や関わった者は厳しく処罰するが、反乱に与しなかった者にはあえてこちらから手を取り、支援していくという方針を示した。
・エルダンは「獣人の方が優れていると言うのなら、強者側が一歩譲歩するべきだ」と説き、無償で反乱鎮圧と被災地支援を行ってくれた人間族であるディアスの存在を暗に示した。
・これにより、グリンをはじめとする過激派の獣人たちもエルダンの方針に納得し、従うことを受け入れた。

人間族への反感とネハのお願い
反乱の被害自体は軽微であったものの、人間族が反乱を起こしたことで、マーハティ領内では人間族への反感が強まっていた。その状況への対策は以下の通りである。
・エルダンの母ネハは、この状況を解決する鍵として、人間族でありながら反乱鎮圧に尽力してくれたディアスたちの存在に目を向けた。
・ネハは、獅子人族のスーリオや若い戦士であるリオードとクレヴェを親善使者としてイルク村に預け、イルク村での暮らしを経験させることで相互理解を深めようと考えた。
・さらには、クラウスとカニスのような種族を超えた婚姻関係を増やし、強固な絆を築いていきたいという願いをディアスに伝えた。
・ディアスはこのネハのお願いと使者たちを歓迎し、彼らをイルク村に受け入れることとなった。

まとめ
このように、マーハティ領の反乱鎮圧後における対応は、弾圧ではなく融和を重んじるエルダンの寛容な姿勢によって進められた。人間族への反感という新たな課題に対しても、ネハによる使者の派遣とディアスの温かい受け入れを通じて、両領地は種族の壁を越えた相互理解とより強固な信頼関係の構築へと歩みを進めているのである。

獣人国との外交

『領民0人スタートの辺境領主様』第9巻において、イルク村と獣人国との間で国境確定や鉱山開発の投資を巡る本格的な外交交渉が行われる。獣人国から派遣された高官の巧妙な罠と、それに対するディアスの誠実な対応、そして商人たちの思惑が交錯する重要なエピソードとなっている。その詳細を解説する。

獣人国の高官ヤテン・ライセイの来訪
獣人国との最初の交渉における相手の素性と、合意内容は以下の通りである。
・獣王直属の臣下であり、外務担当の参議を務めるヤテン・ライセイがイルク村の迎賓館を訪れた。
・ヤテンは黄色い毛並みと細長い体躯を持つ、諜報活動などでも活躍したテン人族である。
・ディアスが獣人たちと共に暮らし、迎賓館に獣人国の美術品を飾り、側役に獣人を置いている姿勢を高く評価し、初めは非常に友好的な態度で交渉に臨んだ。
・その結果、国境の確定と関所の設置については、双方が異論なく平穏に合意へと至った。

鉱山開発の投資に関する「ヤテンの罠」
国境問題がまとまった後、鉱山開発への投資に関する話し合いに移るが、ここで巧妙な心理戦が仕掛けられる。
・ヤテンは獣人国側が丸損をするような、ディアスたちだけが一方的に得をする破格の譲歩案を提示した。
・しかし、ディアスは「自分達だけが得をするような条件は受け入れられない」「お互いの利益になり、長く続けていける条件にしたい」とこの提案をきっぱりと拒絶した。

ヤテンの真意とディアスの誠実さによる回避
ヤテンの表面上の好意の裏に隠されていた真の目的と、ディアスがそれを退けた理由は以下の通りである。
・交渉中、アルナーがこっそり行った魂鑑定により、友好的に振る舞うヤテンが強い悪意を抱いていることが判明した。
・ヤテンの本来の目的は、ディアスが欲を出してその破格の条件に飛びついたところを、友好を求めてきた相手を騙して大金を奪おうとしたと咎めることであった。
・相手に強い罪悪感を植え付け、主導権を握って生涯にわたり思いのままに操るという冷酷な外交術を仕掛けていた。
・しかし、ディアスが欲をかかず誠実な対応を貫いたため、ヤテンのこの恐るべき目論見は完全に外れることとなった。

ペイジン家の決断と裏切り
この交渉を機に、今後の両国の繋がりに影響を与える商業的な裏での動きが生まれた。
・ヤテンの真意を馬車の外に張り付いて盗み聞きしていたのが、ペイジン家の次男ペイジン・レであった。
・レは、味方の商人すら見下し、冷徹に罠を仕掛けるヤテンのやり方に強い不信感を抱いた。
・一方で、ディアスは関所が完成した後もペイジン家だけは自由に通行や商売をしてよいという特権を約束してくれていた。
・この特権がもたらす莫大な利益とディアスの人柄を天秤にかけた結果、ペイジン家は獣王側ではなくディアスの味方になることを決意した。
・レはすぐさまヤテンの思惑を記した手紙をしたため、護衛の犬人族に託してディアスへと届けさせた。

ディアスたちの事後対応
手紙による警告を受けた後のイルク村の動きは以下の通りである。
・レからの手紙を受け取ったディアスは、ヤテンの厄介な性格を知ったものの、交渉自体は無事にまとまり実害もなかったため、次回があったら気をつけると冷静に受け止めた。
・それよりも、ヤテンのような人物が国境問題などを理由に再びやってくる事態を防ぐため、ヒューバートの提案により獣人国との国境線の管理を徹底することとなった。
・冬眠から目覚めたばかりの洞人族たちの多大な協力を得て、強固な西側関所の建設と街道整備が急ピッチで進められることとなった。

まとめ
このように、獣人国との外交交渉はディアスの無欲さと誠実さが最大の防衛策となり、結果として相手の謀略を退ける形となった。さらに、この実直な人柄がペイジン家の完全な離反と協力を取り付け、イルク村は西側関所の強化と新たな交易ルートの確保という、さらなる発展への強固な足がかりを得たのである。

洞人族の定住

『領民0人スタートの辺境領主様』第9巻では、これまでナルバント一家の3人だけだと思われていた洞人族の真実が明かされ、一族全体がイルク村へ定住することになる。その経緯と彼らの特徴や文化について解説する。

洞人族の真実と「冬眠」
獣人国との国境に関所を建設する話が持ち上がった際、ナルバントが「オラ共に任せておけば関所なんてあっという間に造り上げる」「鉱山開発もやる」と豪語した。その詳細と一族の真実は以下の通りである。
・たった3人では手が足りるはずがないと驚くディアスたちに対し、ナルバントは洞人族が30人ほどの一族であることを明かした。
・洞人族は環境悪化時に地下深くの穴ぐらで岩のように丸まって冬眠のような眠りにつく種族である。
・長であるナルバントだけが周囲の魔力や環境の変化を感じ取って先行して目覚めた。
・一族が安全に生活できる下地(魔石炉や氷の貯蔵庫の建設など)を整えるため、まずは家族だけでイルク村にやってきていたのである。

定住の条件である「大量の酒」と地下酒蔵の完成
一族全員を呼び寄せるために最大の課題となったのが、ユルトや食料だけでなく酒であった。彼らの受け入れ準備と特異な体質は以下の通りである。
・洞人族にとって酒を飲む行為は食事に近いものであり、鍛冶や力仕事の水分・栄養補給として常に酒を必要とする。
・彼らは特殊な髭の力で酒の毒を無毒化できるため、理性を失ったり病気になったりすることはなく、常にほろ酔い状態の方が健康的であるという体質を持っている。
・彼らを万全の状態で受け入れるため、ナルバントたちは発酵を促す妖精が集まるレンガ造りの巨大な地下酒蔵を建設した。
・セナイとアイハンが森の養蜂場で集めたハチミツを利用したハチミツ酒が完成した。
・ゴルディアたちが隣領から大量のワイン樽を仕入れてきたことで、ついに一族を呼び寄せる準備が整った。

目覚めの儀式と32人の合流
準備が整った後、一族を呼び戻す儀式が行われた。その際の様子は以下の通りである。
・広場で火を焚き、ナルバントが出来上がったばかりのハチミツ酒を地面に注ぎながら同胞に呼びかける儀式を行った。
・広場の地面が割れ、地下から事前に掘られていた洞窟を通って、32人の洞人族の男女が次々と la 姿を現した。
・彼らは地上に出るなり用意された酒を飲み干して大宴会状態となった。
・ディアスが領主として歓迎の挨拶をすると「只人がいる!」と驚愕の声を上げつつも、正式にイルク村の領民として合流を果たした。

規格外の労働力と伝統の朝食
定住した洞人族たちは、その卓越した能力を活かして村の開発に大きく貢献し始めた。具体的な活動と文化は以下の通りである。
・西側関所の建設や、そこへ続く「敵に剥がされにくい構造に加工された石畳の道」づくりを驚異的なスピードで進めていった。
・彼らは生まれつき土木作業に適した骨格と肉体を持っており、人間族が歩く程度の感覚で重労働をこなすことができるため、休むことなく働き続けることが可能である。
・彼らが定住したことで、村の広場では毎朝彼らの伝統料理が作られるようになった。
・大鍋で大量の肉や野菜、腸詰め、チーズを煮込み、香辛料と塩をたっぷり効かせた豪快なスープを作る。
・朝から酒を飲んで体をシャキッと目覚めさせてから力強く仕事場へと向かう活気ある文化が、イルク村の新たな日常となった。

まとめ
このように、洞人族が一族を挙げてイルク村へ定住したことは、領内のインフラ整備と開発力を爆発的に高める契機となった。彼らの特異な冬眠の生態や、酒を糧とする独自の文化はイルク村に新たな活気をもたらし、ディアスが目指す多種族共生の理想郷をさらに強固で豊かなものへと進化させているのである。

アースドラゴン襲来

『領民0人スタートの辺境領主様』第9巻において、アースドラゴン(地竜)の大侵攻は王国全土を巻き込む重大な危機として描かれるが、イルク村の面々はそれぞれの特技と知恵、そして圧倒的な力を結集してこの脅脅を見事に退ける。アースドラゴン襲来の経緯と討伐の様子について解説する。

異様な地震とアースドラゴン襲来の察知
西側関所の予定地で建設作業を進めていた際、長く異様な地震が発生した。襲来の察知から迎撃までのプロセスは以下の通りである。
・同席していたペイジン商会のオクタドは、これがアースドラゴンが大侵攻してくる際の前兆であると警告した。
・エイマの提案により、空を飛べる鷹人族のサーヒィたちが広域偵察を行った。
・その結果、イルク村の北方と隣領の西部の山中に1頭ずつ、さらに獣人国東端の山中にも1頭のアースドラゴンが接近していることが判明した。
・アースドラゴンは足が遅いため到達まで数日の猶予があり、ディアスたちは万全の準備を整えて迎撃態勢を敷くこととなった。

マヤ婆さんによる「瘴気耐性魔法」の普及
アースドラゴンは強力な「瘴気魔法」を広範囲に放ち、近づくだけで頭痛や目眩を引き起こす厄介な特性を持っている。その対策に関する詳細は以下の通りである。
・ディアスや洞人族は問題なかったが、他の人々の対策が課題となった。
・ここで活躍したのがマヤ婆さんである。
・マヤ婆さんは洞人族が持つ特殊なお守り(髭の力)を研究し、瘴気に耐性を持たせる魔法を編み出すことに成功した。
・この魔法をエルダンを経由して王国各地に広めたことで、王国全体の被害を抑える大きな要因となった。

ディアスの単独討伐(草原北部)
イルク村の北方に現れた個体に対しては、ディアスがほぼ単独で立ち向かった。その圧倒的な戦闘の詳細は以下の通りである。
・ディアスは新装備である赤金色の全身鎧(オリハルコンの鎧)を身にまとった。
・アースドラゴンが吐き出す無数の火球を鎧の力で霧散させながら、一切のダメージを受けることなく接近した。
・両手で構えた戦斧の連撃で頑丈な甲羅を砕き割った。
・首を引っ込められなくなったアースドラゴンの首を見事に切り落として討伐した。
・この常軌を逸した圧倒的な戦いぶりを遠くから見学していた獅子人族のスーリオは、ただただ驚愕することしかできなかった。

モント指揮による集団討伐(西側関所予定地)
獣人国側の国境付近に現れたアースドラゴンは、領主不在の無法地帯となっている地域に住む避難民の命を脅かしていた。ディアスは彼らを救うため、ペイジン家の誘導でアースドラゴンを関所予定地におびき寄せ、モントが指揮する領兵(ジョー、ロルカ、リヤンたち)による集団討伐を決行した。モントが展開した緻密な戦術は以下の通りである。
・投槍器による弱体化:ドラゴンの素材を先端に用いた槍を投槍器で一斉に投擲し、硬い甲羅に深々と突き刺すことで針山にして動きを鈍らせた。
・火球切れを狙う盾の陣:アースドラゴンの火球は無限ではなく、体温上昇によって限界が来る。モントはその限界が来るまで、領兵たちに大盾で火球を防がせて耐えさせた。
・大網と落とし穴:火球が止まった隙を突き、軍馬を使って巨大な網をアースドラゴンに被せた。甲羅の槍に網が絡まって身動きが取れなくなったドラゴンを、全員で引っ張って巨大な落とし穴へと引きずり落とした。
・穴の底に岩や塩水を流し込み、首を出した瞬間を槍で突いて仕留めるという容赦のない手法で、見事に無傷での討伐を成し遂げた。
・この戦術を見ていた若い獅子人族のリオードとクレヴェは、人間の恐ろしさと知恵の力を深く学ぶこととなった。

まとめ
この大侵攻において、王国全土でもアースドラゴンが討伐されたが、被害は少なく、逆に大量の貴重な素材が得られたことで王国の経済は大きく活気づいた。中でも、2頭を同時に無傷で討伐し、街道や関所の整備まで進めているディアス(メーアバダル公)の評価は王国中で飛躍的に高まり、商人たちからの熱い注目を集めることとなる。イルク村では、綺麗に解体されたアースドラゴンの巨大な甲羅が広場に飾られ、洞人族や領民たちが一堂に会して盛大な祝宴が催されたのである。

領地の施設整備

『領民0人スタートの辺境領主様』第9巻では、領民の大幅な増加や他国との交流開始に伴い、領地(イルク村およびその周辺)の施設整備が急速に進められている。ここでは、主な施設整備の状況について詳しく解説する。

氷の貯蔵庫と冷却設備の普及
冬の間に北の山から大量の氷と雪を運び、インフラの整備が行われた。その詳細と効果は以下の通りである。
・水源小屋の側、村の北側、迎賓館の側、そして関所の側に氷の貯蔵庫が完成した。
・これにより、春の薬草や森の野菜、白ギーのチーズやバター、生肉などの食材の長期保存が始まっている。
・洞人族のナルバントたちは、釉薬を塗らない陶器の特性を活かし、中身が冷える不思議な水瓶とツボを量産した。
・これらは村のすべてのユルトやエリーたちの馬車に配備され、暑さ対策に役立っている。

発酵と醸造のための地下酒蔵と発酵小屋
生産力の向上と食料保存のため、地下を活用した施設が新たに建設された。構造や目的は以下の通りである。
・ナルバントたちは、工房の近くにレンガ造りの巨大な地下酒蔵を建設した。
・これは半円の洞窟のような空間で、レンガの隙間が呼吸することで発酵を促す妖精が集まりやすい環境になっており、酒を美味しく育てて貯蔵する理想的な施設である。
・ディアスの依頼により、ピクルスやチーズなどを作り保存するための専用の発酵小屋も地下に造られた。

豊かな森を利用した苗木畑と養蜂場
自然の恵みを最大限に活かすため、森の開拓と新たな生産拠点の設置が進められた。具体的な内容は以下の通りである。
・森人族の双子セナイとアイハンは、クラウスたちの協力で関所近くの森を開拓し、育てていた苗木を移植する苗木畑を作った。
・これには、森の豊かな土壌を活用して木や実を大きく育てる狙いがある。
・二人は、森 the 奥に古代技術を応用した養蜂場(巣箱)を設置した。
・六角形の巣を形成する二枚 of 板をずらすだけで、巣を壊さずにハチミツだけを下に流し落とせる画期的な仕組みになっており、高品質なハチミツを安定して採取できるようになった。

防衛と交易の拠点「西側関所」と「石畳の街道」
新たに合流した三十人以上の洞人族たちの驚異的な労働力により、獣人国側との国境に向けた整備が急ピッチで進んでいる。具体的なインフラ設備は以下の通りである。
・石畳の街道:ただ石板を並べるのではなく、立方体に近い複雑な形状に加工した石材同士をがっちりと噛み合わせて敷き詰めている。これは、将来敵が攻めてきた際に、石畳を剥がして投石機の弾として利用されるのを防ぐための軍事的な工夫である。
・西側関所:攻城兵器を警戒した堅牢な防衛拠点であると同時に、ペイジン商会長オクタドの助言を取り入れ、商人たちが商品の確認中に商売や休憩ができる広場や、隊商宿のような機能を併設する計画へと設計が変更・拡張されている。
・また、獣人国の要人(ヤテンなど)を迎えるための第二迎賓館(ユルト)も西側に設置された。

領内の区画整理とインフラ拡張計画
ジョーたち元志願兵や洞人族などが加わり、村がユルトで埋め尽くされつつある状況を受け、さらなる拡張計画が立ち上がっている。今後の整備方針は以下の通りである。
・ベンとヒューバートは、今後の村の発展を見据えた区画整理を計画している。
・無秩序な拡張を防ぐため、計画的な木造家屋の建築や、人数の増加に伴う廁や井戸の増設が検討されている。
・シェップ氏族が大量に集めた岩塩を保管するための専用ユルトが建てられた。
・神殿の建設、工房や厩舎、ガチョウ小屋の拡張なども今後の整備目標として挙げられている。

まとめ
このように、イルク村の施設整備は各種族の知恵と卓越した労働力が合わさることで、多角的に進められている。生活物資の長期保存から軍事的な工夫を凝らしたインフラの構築、そして交易を見据えた関所の拡張に至るまで、すべての整備が開拓地から巨大な交易拠点へと飛躍するための強固な土台として機能しているのである。

領民0人8巻レビュー
領民0人まとめ
領民0人10巻レビュー

登場キャラクター

イルク村(メーアバダル領)

ディアス(ディアス・メーアバダル)

イルク村の領主である。アルナーの夫にあたる。
・所属組織、地位や役職
 メーアバダル領の領主。公爵。
・物語内での具体的な行動や成果
 モンスターを討伐し、多様な種族を保護してイルク村を発展させた。隣領の反乱を鎮圧し、被害地域を支援する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 国王から公爵位を与えられ、「メーアバダル」の家名を名乗る。救国の英雄として名を轟かせる。

アルナー

鬼人族の少女である。ディアスの妻にあたる。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の住民。代表者の一人。
・物語内での具体的な行動や成果
 魂鑑定で他者の悪意を見極め、交渉を有利に進める。行き倒れていたヒューバートを保護した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 公爵夫人としてディアスを支え続ける。

セナイ

森人族の双子の一人である。アイハンの姉妹にあたる。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の住民。
・物語内での具体的な行動や成果
 秘密を解放された後、森や畑を豊かにする活動に励む。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 冬の間に熱を出さず、七歳として扱われるようになった。

アイハン

森人族の双子の一人である。セナイの姉妹にあたる。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の住民。
・物語内での具体的な行動や成果
 秘密を解放された後、森や畑を豊かにする活動に励む。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 冬の間に熱を出さず、七歳として扱われるようになった。

エイマ

大耳跳び鼠人族の若者である。セナイとアイハンの教育係にあたる。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の教育係。記録係。
・物語内での具体的な行動や成果
 高い知能を活かして計算や書き物を行う。戦闘時にはディアスの肩に乗り、助言役を務めた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

ヒューバート

王国から派遣された文官である。真面目な性格を持つ。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の内政官。
・物語内での具体的な行動や成果
 荒野の測量を行い、詳細な地図を作成する。区画整理やインフラ拡張計画を立案した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 行き倒れていたところを保護され、ディアスに仕えることになった。

ベン(ベンディア)

ディアスの父の兄である。元神官長にあたる。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の相談役。
・物語内での具体的な行動や成果
 ディアスに貴族の作法を教える。新たな教義と神殿の設立を計画した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

クラウス

元王国兵である。カニスの夫にあたる。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の領兵隊長。代表者の一人。
・物語内での具体的な行動や成果
 関所の建設と警備を指揮する。カニスと結婚し、村で祝宴を挙げた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

カニス

犬人族の女性である。クラウスの妻にあたる。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の住民。
・物語内での具体的な行動や成果
 クラウスと結婚した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

マヤ

棄民の老婆達のまとめ役である。占いが得意である。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の人間族代表者。
・物語内での具体的な行動や成果
 迎賓館に訪れた使者たちに手料理を振る舞った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

オーミュン

洞人族の女性である。ナルバントの妻にあたる。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の鍛冶職人。
・物語内での具体的な行動や成果
 不思議な冷却ツボを考案した。魔石炉の点火準備などを手伝う。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

ナルバント

洞人族の老人である。オーミュンの夫にあたる。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の鍛冶職人。
・物語内での具体的な行動や成果
 ディアスのためにオリハルコンの全身鎧を作成する。地機織り機や地下酒蔵を建設した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 一族を呼び寄せ、イルク村に移住した。

サナト

洞人族の若者である。ナルバントとオーミュンの息子にあたる。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の鍛冶職人。
・物語内での具体的な行動や成果
 地下に発酵小屋を建設した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

エリー

孤児ギルドの幹部である。ディアスの育て子にあたる。
・所属組織、地位や役職
 孤児ギルドの幹部。商売担当。
・物語内での具体的な行動や成果
 村の交易計画を牽引する。ディアスたちの冬服をデザインした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 イルク村の領民となった。

セキ

血無しの三兄弟の長男である。キコの息子にあたる。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の領民。行商人見習い。
・物語内での具体的な行動や成果
 エリーの下で商売のノウハウを学ぶ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 イルク村に移住した。

サク

血無しの三兄弟の次男である。キコの息子にあたる。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の領民。行商人見習い。
・物語内での具体的な行動や成果
 エリーの下で商売のノウハウを学ぶ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 イルク村に移住した。

アオイ

血無しの三兄弟の三男である。キコの息子にあたる。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の領民。行商人見習い。
・物語内での具体的な行動や成果
 エリーの下で商売のノウハウを学ぶ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 イルク村に移住した。

サーヒィ

鷹人族の英雄である。リーエスたちの夫にあたる。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の領民。空の監視役。
・物語内での具体的な行動や成果
 ディアスと共にウィンドドラゴンを討伐する。空からの偵察を担当した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ドラゴン狩りの偉業を達成し、3人の女性英雄と結婚した。

リーエス

鷹人族の女性英雄である。サーヒィの妻にあたる。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の領民。
・物語内での具体的な行動や成果
 見張りと連絡役を務める。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

モント

元帝国軍人である。隻脚の男にあたる。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の領兵指揮官。
・物語内での具体的な行動や成果
 元志願兵たちを3つの小隊に組織化する。アースドラゴンの集団討伐を指揮した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 正式にイルク村の領民となった。

ジョー

ディアスの元戦友である。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の領兵。ジョー隊の長。
・物語内での具体的な行動や成果
 関所勤務を担当する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 イルク村に移住した。

ロルカ

ディアスの元戦友である。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の領兵。ロルカ隊の長。
・物語内での具体的な行動や成果
 領内の見回りと訓練を担当する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 イルク村に移住した。

リヤン

ディアスの元戦友である。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の領兵。リヤン隊の長。
・物語内での具体的な行動や成果
 畑仕事を担当する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 イルク村に移住した。

ゴルディア

孤児ギルドの長である。ディアスの旧友にあたる。
・所属組織、地位や役職
 ギルド長。
・物語内での具体的な行動や成果
 迎賓館の建設を指揮する。ギルドの拠点をマーハティ領に移転させる計画を進めた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 イルク村の領民となった。

アイサ

イーライの妻である。孤児ギルドの幹部にあたる。
・所属組織、地位や役職
 ギルドの商人。
・物語内での具体的な行動や成果
 迎賓館の内装を準備する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 イルク村の領民となった。

イーライ

アイサの夫である。孤児ギルドの幹部にあたる。
・所属組織、地位や役職
 ギルドの商人。
・物語内での具体的な行動や成果
 迎賓館の準備を手伝う。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 イルク村の領民となった。

ジョー隊

ジョーが率いる小隊である。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の領兵。
・物語内での具体的な行動や成果
 アースドラゴン討伐に参加した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

ロルカ隊

ロルカが率いる小隊である。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の領兵。
・物語内での具体的な行動や成果
 第二迎賓館の準備を手伝う。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

リヤン隊

リヤンが率いる小隊である。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の領兵。
・物語内での具体的な行動や成果
 反乱軍討伐に出陣した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

犬人族達

イルク村に移住してきた獣人たちである。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の領民。
・物語内での具体的な行動や成果
 村のインフラ整備や家畜の世話に従事する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

アイセター氏族

犬人族の小型種の一族である。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の領民。
・物語内での具体的な行動や成果
 馬の世話を担当する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

シェップ氏族

犬人族の小型種の一族である。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の領民。
・物語内での具体的な行動や成果
 岩塩鉱床から岩塩を集め、交易を行う。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

マスティ氏族

犬人族の小型種の一族である。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の領兵。
・物語内での具体的な行動や成果
 冬の間の見回りや、反乱軍鎮圧に参加した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

洞人族達

ナルバントの一族である。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の領民。
・物語内での具体的な行動や成果
 冬眠から目覚め、関所や街道の建設を急ピッチで進めた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 一族全員でイルク村に定住する。

鷹人族達

サーヒィの誘いでやってきた者たちである。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の労働者。
・物語内での具体的な行動や成果
 出稼ぎとして働き、空からの監視を担当する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

婦人会

アルナーやマヤを中心とする女性達の集まりである。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の領民。
・物語内での具体的な行動や成果
 食事の準備や戦利品の回収を行う。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

犬人族の子供達

犬人族の子供達である。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の住民。
・物語内での具体的な行動や成果
 村中を駆け回り、イタズラをして遊ぶ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

フランシス

メーアの群れの長であるオスである。フランソワの番にあたる。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の家畜。メーアの長。
・物語内での具体的な行動や成果
 六つ子の父親として世話を行う。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

フランソワ

メーアのメスである。フランシスの番にあたる。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の家畜。
・物語内での具体的な行動や成果
 六つ子を出産した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

エゼルバルド

大柄なメーアのオスである。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の家畜。
・物語内での具体的な行動や成果
 草のチーズ作りの作業を厳しい視線で見張る。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

フラン

メーアの六つ子の一頭である。オスにあたる。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の家畜。
・物語内での具体的な行動や成果
 村中を駆け回る。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

フランカ

メーアの六つ子の一頭である。オスにあたる。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の家畜。
・物語内での具体的な行動や成果
 村中を駆け回る。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

フラメア

メーアの六つ子の一頭である。メスにあたる。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の家畜。
・物語内での具体的な行動や成果
 村中を駆け回る。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

フラニア

メーアの六つ子の一頭である。メスにあたる。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の家畜。
・物語内での具体的な行動や成果
 愛らしい仕草を研究する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

フランク

メーアの六つ子の一頭である。オスにあたる。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の家畜。
・物語内での具体的な行動や成果
 村中を駆け回る。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

フランツ

メーアの六つ子の一頭である。オスにあたる。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の家畜。
・物語内での具体的な行動や成果
 村中を駆け回る。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

メァタック

新顔のメーアの一頭である。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の家畜。
・物語内での具体的な行動や成果
 ディアスから名前を与えられた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

メァレイア

新顔のメーアの一頭である。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の家畜。
・物語内での具体的な行動や成果
 ディアスから名前を与えられた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

メーアの六つ子達

フランシスとフランソワの子供達である。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の家畜。
・物語内での具体的な行動や成果
 村中を元気に駆け回る。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

メーア達

イルク村に住むメーア達である。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の家畜。
・物語内での具体的な行動や成果
 広場で日光浴を楽しむ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

ベイヤース

黒毛の牡馬である。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の馬。
・物語内での具体的な行動や成果
 ディアスを背に乗せて歩く。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

シーヤ

白毛の牝馬である。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の馬。
・物語内での具体的な行動や成果
 セナイを背に乗せて走る。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

グリ

灰色毛の牝馬である。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の馬。
・物語内での具体的な行動や成果
 アイハンを背に乗せて走る。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

馬達

イルク村で飼育されている馬である。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の家畜。
・物語内での具体的な行動や成果
 シェップ氏族からブラッシングを受ける。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

白ギー達

山牛と呼ばれる家畜である。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の家畜。
・物語内での具体的な行動や成果
 安産で仔を産み、大量のミルクを出す。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

母白ギー

イルク村で飼育される山牛である。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の家畜。
・物語内での具体的な行動や成果
 仔を出産した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

仔白ギー

イルク村で生まれた山牛である。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の家畜。
・物語内での具体的な行動や成果
 母白ギーから生まれた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

ガチョウ

卵や羽毛をもたらす鳥である。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の家畜。
・物語内での具体的な行動や成果
 飼育小屋と小さな池で飼育される。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

軍馬達

アルナーが購入した馬である。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の家畜。
・物語内での具体的な行動や成果
 クラウス達に関所の警備用として譲渡された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

ミツバチ

森の奥に設置された養蜂場にいる昆虫である。
・所属組織、地位や役職
 イルク村の養蜂場の昆虫。
・物語内での具体的な行動や成果
 高品質なハチミツをもたらす。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

マーハティ領

エルダン(エルダン・マーハティ)

マーハティ領の領主である。ディアスの友人にあたる。
・所属組織、地位や役職
 マーハティ領領主。公爵。
・物語内での具体的な行動や成果
 サンジーバニーを口にして持病から回復する。ディアスに公爵位や特権について説明した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 公爵位と新たな家名を与えられた。

ネハ

エルダンの母である。象人族の女性にあたる。
・所属組織、地位や役職
 マーハティ領の住人。
・物語内での具体的な行動や成果
 ディアスたちを歓待する。スーリオたちを親善使者としてイルク村に送った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

ジュウハ

自称王国一の兵学者である。ディアスの戦友にあたる。
・所属組織、地位や役職
 マーハティ領の客将。
・物語内での具体的な行動や成果
 エルダンに内政や軍事に関する授業を行う。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

カマロッツ

エルダンの従者である。
・所属組織、地位や役職
 マーハティ領の従者。
・物語内での具体的な行動や成果
 軍馬や物資をイルク村に運搬した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

グリン

イノシシ顔の獣人である。
・所属組織、地位や役職
 マーハティ領の住人。
・物語内での具体的な行動や成果
 人間族への厳しい処罰を提案したが、エルダンの方針に従う。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

スーリオ

獅子人族の青年である。
・所属組織、地位や役職
 マーハティ領の住人。
・物語内での具体的な行動や成果
 親善使者としてイルク村を訪れる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

リオード

獅子人族の若者である。スーリオの部下にあたる。
・所属組織、地位や役職
 マーハティ領の住人。
・物語内での具体的な行動や成果
 イルク村を訪れ、ディアスに鍛え直されることになった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

クレヴェ

獅子人族の若者である。スーリオの部下にあたる。
・所属組織、地位や役職
 マーハティ領の住人。
・物語内での具体的な行動や成果
 イルク村を訪れ、ディアスに鍛え直されることになった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

ゲラント

鳩人族の伝書隊長である。
・所属組織、地位や役職
 マーハティ領の伝書隊長。
・物語内での具体的な行動や成果
 イルク村とマーハティ領の間で手紙を迅速に伝達する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

獅子人族達

マーハティ領の住人たちである。
・所属組織、地位や役職
 マーハティ領の住人。諜報隊。
・物語内での具体的な行動や成果
 諜報隊としてマイザーの捜索などに参加する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

鳩人族達

マーハティ領の住人たちである。
・所属組織、地位や役職
 マーハティ領の伝書隊。
・物語内での具体的な行動や成果
 上空からの監視や情報の伝達を担う。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

獣人国・商人

ペイジン・オクタド

ペイジン家の当主である。
・所属組織、地位や役職
 ペイジン商会の長。
・物語内での具体的な行動や成果
 イルク村を訪れ、関所建設の助言を行う。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

ペイジン・ファ

ペイジン家の息子である。
・所属組織、地位や役職
 ペイジン商会の商人。
・物語内での具体的な行動や成果
 獣人国の要人を迎える準備のためイルク村に滞在した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

ペイジン・ミ

ペイジン家の息子である。
・所属組織、地位や役職
 ペイジン商会の商人。
・物語内での具体的な行動や成果
 イルク村で市場を開き、交易を行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

ペイジン・ド

行商人である。長男にあたる。
・所属組織、地位や役職
 ペイジン商会の商人。
・物語内での具体的な行動や成果
 過去に謹慎処分を受けた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

ペイジン・レ

行商人である。次男にあたる。
・所属組織、地位や役職
 ペイジン商会の商人。
・物語内での具体的な行動や成果
 兄の代理としてイルク村を訪れ、血無し達の移住を提案した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

キコ

狐人族の女性である。セキたちの母にあたる。
・所属組織、地位や役職
 獣人国参議。
・物語内での具体的な行動や成果
 息子の移住先を確認するためにイルク村を訪れた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

ヤテン・ライセイ

テン人族の男性である。
・所属組織、地位や役職
 獣王国参議。外務担当。
・物語内での具体的な行動や成果
 国境確定と鉱山開発の投資交渉のためイルク村を訪れた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

サンセリフェ王国

サンセリフェ国王

サンセリフェ王国の王である。
・所属組織、地位や役職
 サンセリフェ国王。
・物語内での具体的な行動や成果
 ディアスに公爵位と新たな家名を授けた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

リチャード

第一王子である。冷徹な性格を持つ。
・所属組織、地位や役職
 サンセリフェ王国第一王子。
・物語内での具体的な行動や成果
 王宮を掌握し、他の派閥を牽制する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 王国最大の派閥を築いた。

イザベル

第一王女である。
・所属組織、地位や役職
 サンセリフェ王国第一王女。
・物語内での具体的な行動や成果
 占領地の開発を行っている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

ヘレナ

第二王女である。
・所属組織、地位や役職
 サンセリフェ王国第二王女。
・物語内での具体的な行動や成果
 文化芸術の振興を行っている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

シルド

老齢の騎士である。リチャードの配下にあたる。
・所属組織、地位や役職
 第一王子派の騎士。
・物語内での具体的な行動や成果
 リチャードの命令に従い行動する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

エーリング(エーリング・シグルザルソン)

シグルザルソン伯爵家の者である。
・所属組織、地位や役職
 サンセリフェ王国の貴族。
・物語内での具体的な行動や成果
 迎賓館を訪れ、ディアスと面会した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

サーシュス(フレデリック・サーシュス)

第一王女派閥の筆頭である。
・所属組織、地位や役職
 サンセリフェ王国の公爵。
・物語内での具体的な行動や成果
 迎賓館を訪れ、ディアスと面会した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

鬼人族

ゾルグ

アルナーの兄である。
・所属組織、地位や役職
 鬼人族の警備班長。族長候補。
・物語内での具体的な行動や成果
 ウィンドドラゴン討伐に協力する。フレイムドラゴンの陽動を担当した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 族長候補に選ばれた。

その他・モンスター

ウィンドドラゴン

飛行型のモンスターである。
・所属組織、地位や役職
 モンスター。
・物語内での具体的な行動や成果
 イルク村周辺に出現し、ディアスたちに討伐された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 素材が鷹人竜装に利用された。

フレイムドラゴン

火炎を吐く巨大なモンスターである。
・所属組織、地位や役職
 モンスター。
・物語内での具体的な行動や成果
 イルク村を襲撃しようとしたが、村の総力戦で討伐された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 討伐され、素材や魔石が回収された。

アースドラゴン

瘴気を放つモンスターである。
・所属組織、地位や役職
 モンスター。
・物語内での具体的な行動や成果
 ディアスやモントたちによって討伐された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 素材が防具に利用された。

黒ギー

野生の獣である。
・所属組織、地位や役職
 獣。
・物語内での具体的な行動や成果
 エリーに張り倒され、食肉にされた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

雪山などに生息する獣である。
・所属組織、地位や役職
 獣。
・物語内での具体的な行動や成果
 サーヒィに奇襲され、追い払われた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記載なし。

領民0人8巻レビュー
領民0人まとめ
領民0人10巻レビュー

展開まとめ

ウィンドドラゴンとの再戦

ディアスは、謎の存在から得た特殊な素材を用いて、新たな装備である赤金色の全身鎧と兜を手に入れた。

その後、再び領地へ襲来したウィンドドラゴンに対し、ディアスはサーヒィと共に迎撃へ向かう。二人は連携しながら激戦を繰り広げ、最終的にウィンドドラゴンを討伐することに成功した。

戦いの後には、ドラゴンの素材と魔石を回収し、その素材を用いてサーヒィ専用の新装備「鷹人竜装」が完成する。サーヒィはその装備を身に着け、更なる力を得ることとなった。

迎賓館の完成と貴族達の来訪

ディアスの旧友であり商人ギルドの長でもあるゴルディアが領地を訪れたことで、迎賓館の必要性が改めて語られる。

その助言を受けたディアス達は、既存のユルトを活用する形で迎賓館を整備し、来客を迎えられる体制を整えた。

迎賓館完成後まもなく、王国貴族であるエーリングとサーシュスが来訪する。ディアス達は礼節を尽くして彼らを迎え入れ、無事に友好的な交流を築き上げた。

戦友達との再会

その後、ジョー、ロルカ、リヤンをはじめとしたディアスの旧友達が次々と領地へ訪れる。

彼らはかつて戦場を共に駆け抜けた戦友達であり、ディアスを深く慕っていた。さらに、かつて敵将として戦いながらも腐れ縁のような関係を築いていた隻脚の鬼教官モントまでもが領民へ加わることとなる。

新たな仲間達の加入によって領地の戦力と労働力は大きく増強され、イルク村はさらに賑わいを増していった。

エイマは、ディアスの戦友達が皆誠実で頼もしい人物達だったことへ驚きつつ、特にモントについては独特な人物だと感じながらも、悪人ではないと理解を深めていくのであった。

マーハティ領反乱の鎮圧

そんな中、エルダンからマーハティ領で反乱が発生したとの報せが届く。

ディアスはモントや旧友達と共に直ちに進軍し、戦場へ向かう。経験豊富な戦友達と連携したディアス達は、迅速かつ的確に戦況を制圧し、無事に反乱を鎮圧することに成功した。

こうしてディアスは、旧友達との再会を喜びながら、新たな仲間達と共にさらに領地の発展へ歩みを進めていくのであった。

イルク村の発展

この頃のイルク村には、ユルトや倉庫、厠、井戸、厩舎、畑、溜池などの基礎施設に加え、迎賓館、水源小屋、氷の貯蔵庫まで整備されていた。

領民数も百九十六人にまで増加し、メーアバダル領は着実な成長を遂げ続けていた。

村の広場で朝食をとりながら

氷の貯蔵庫完成と領地整備

隣領での戦いを終えたディアスは、宴の翌日にイルク村で不在中の報告を受けた。

セキ、サク、アオイ、エリー達はナルバント達と共に氷の貯蔵庫作りへ尽力していた。北の山から大量の氷と雪を何度も運び込み、水源小屋や迎賓館、関所などに設置された貯蔵庫を冷気で満たしていった。そこでは既に薬草や野菜、チーズ、肉類の保存実験も始まっており、ローワンの実を利用した更なる保存性向上も検討されていた。

セナイとアイハンは関所近くの森を切り開き、新たな苗木畑を整備していた。森の豊かな土壌によって木々をより大きく育てる狙いがあったが、一方で獣や虫への対策も必要となっていた。伯父とヒューバートは、急増した領民に対応するため、今後の区画整理や木造家屋建築について議論を進めていた。

またナルバント達は、不思議な冷却効果を持つ水瓶やツボの量産も進めており、各ユルトや馬車へ配備していた。シェップ氏族は変わらず岩塩採集を続け、倉庫用のユルトが必要になる程の量を集め上げていた。ディアスは、その岩塩を王都へ流通させることで、更なる施設整備へ繋げようと考えるのであった。

エリー達の危険な行商再開

そんな中、エリーとセキ達は再び隣領への行商再開を申し出る。反乱の影響で流通が滞っている今こそ最大の商機であるとエリーは語り、危険地帯へ踏み込む覚悟を示した。

さらにセキ、サク、アオイには、サナトが密かに開発していた専用武器が与えられていた。それは魔力を込めることで鉄爪が展開する特殊な手甲であり、獣人である三人の戦闘能力を大きく引き出していた。

ディアスは不安を抱えながらも、ジョー隊とマスティ氏族を護衛へ付けることで送り出す決断を下す。エリー達は岩塩や交易品を積み込み、イルク村の発展を誓いながら隣領へ向け出発していった。

メーア達の子育てと成長

エリー達を見送った後、ディアスは草原で暮らすメーア達の様子を見に向かう。そこではフランシスやフランソワ、エゼルバルド達が六つ子へ生存術を教えていた。

フランシスは逃げ穴の作り方と角を使った反撃方法を教え、フランソワは毛を利用した擬態術を伝授していた。エゼルバルドは走り方や戦い方、集団行動による頭突き戦法まで教え込んでいた。

六つ子達は急速に成長しており、特にフランは大人のメーアと変わらぬ鳴き声を上げるまでになっていた。その姿を見たセナイとアイハンは大喜びし、メーア達も祝福の鳴き声を響かせるのであった。

白ギーの繁殖と領地の豊かさ

ディアスは続けて白ギー達の放牧地を訪れる。そこでは新たに生まれた仔白ギーが元気に駆け回っており、村へ豊かなミルクをもたらしていた。

白ギーの繁殖によって、イルク村の食卓にはバターやチーズ、シチューなどが増えていた。ディアスは今後も繁殖を優先し、放牧地を広げながら長期的に発展させていこうと考えるのであった。

獣人国来訪の報せ

その後、鬼人族の村からゾルグが現れ、東の森南部に警備の薄い場所があることを報告する。さらに、ペイジンと獣人国の高官が数日以内に訪問するとの伝言を伝えた。

ディアスは急ぎ西側へ第二迎賓館となるユルトを建設し、家具や調度品を運び込んで歓迎準備を進める。そこへ反乱鎮圧後の仕事を終えたゴルディア達も戻ってきて、商人として協力を申し出た。

ゴルディアは酒やチーズを利用して見張り役達の士気を高め、商人らしいやり方で皆を動かしていく。その姿を見たディアスは、孤児時代から変わらず懸命に生き続けるゴルディアの本質を改めて感じ取るのであった。

そしてゴルディアは、イルク村に本格的な酒場を作る構想まで語り始める。ディアスはそれを聞き、大股でゴルディアへ詰め寄りながら、いつものような「話し合い」を始めようとするのであった。

村の西側、第二迎賓館の中で

ペイジン・ファの来訪と獣人国の事情

迎賓館へやってきたペイジン・ファは、獣王直属の臣下に同行している兄達の到着は翌日か明後日になると説明した。また、ペイジン・ミにはイルク村での商売を任せ、自身は獣人国の要人を迎える準備のため先行して訪れたのだと語る。

ファはキコからセキ、サク、アオイ宛の手紙を預かっており、三人の様子を確かめることも頼まれていた。しかし三人は隣領へ行商中で不在だったため、ファは帰還までイルク村へ滞在することを申し出る。ディアスは快く受け入れ、親として子供を心配するキコの気持ちへ理解を示した。

さらにファは、来訪予定の獣人国の高官について説明する。その人物は獣人国西方最奥部に住むテン人族であり、外の文化に触れる機会が少ないため、見慣れない光景へ強く動揺する可能性があるのだという。テン人族は黄色い毛並みと細長い体躯を特徴とし、諜報活動でも名高い種族であると語られた。

ヤテン・ライセイとの会談

翌日、迎賓館へ到着した獣人国の参議ヤテン・ライセイは、細長い体躯と鮮やかな黄色の毛並みを持つテン人族であった。ディアス達は迎賓館で彼を迎え、正式な交渉へ臨む。

ヤテンは、獣人達と共に暮らし、獣人国の工芸品を飾り、側役として獣人を置くディアスの姿勢を高く評価し、友好的な態度を示した。ディアスもまた、ペイジン達やキコ達との絆を語り、長く友好を築きたいという本心を率直に伝える。

その後、国境線と関所設置についての交渉が行われ、獣人国側は全面的に了承する。ディアスも侵入問題が起きないよう見張りを徹底すると約束し、双方は平穏な形で国境問題をまとめ上げた。

続いて鉱山開発への投資についての話し合いが始まり、ヤテンは獣人国側が大きく損をする程の譲歩案を提示する。しかしディアスは、自分達だけが利益を得るような条件では友好にならないとして拒否し、双方に利益のある形を望むと主張した。

ヤテンの真意と獣人国の外交術

交渉後、アルナーは魂鑑定によってヤテンが強い悪意を抱いていたことを明かす。エイマとヒューバートも書類を確認したが、契約内容自体に罠は存在しなかった。

ヤテンの本心は、友好を掲げながら相手の欲を利用し、罪悪感を植え付けて主導権を握ることであった。彼は商人であるペイジン・ドへ、自らが提示した破格条件にディアスが飛びつけば、そこから外交的優位を奪い取るつもりだったと語る。

しかしディアスは利益より友好を優先し、不公平な条件を拒絶したため、ヤテンの思惑は外れる結果となった。ヤテンはその誤算を惜しみつつも、ディアスの人柄を認めざるを得なかった。

ペイジン家の決意

一方、馬車の外で会話を盗み聞きしていたペイジン・レは、ヤテンの冷徹な本性へ強い不信感を抱いていた。ペイジン家はディアスから、関所完成後も自由通行を認められるという破格の権利を与えられており、それが将来的に莫大な利益をもたらすことを理解していた。

そのためレは、ヤテンよりもディアスへ味方するべきだと判断し、ヤテンの真意を詳細に記した手紙をディアスへ届けるよう犬人族へ託す。犬人族達は事情をよく理解できないままも、その手紙を大事そうに抱えてイルク村へ駆けていくのであった。

迎賓館を片付けながらディアス

ヤテンの情報共有と国境整備の開始

外交交渉後、犬人族がペイジン・レからの手紙を届けに来た。そこにはヤテン・ライセイの性格や思惑について詳しく書かれていたが、ディアスは交渉自体が既に無事まとまっていることから、今後気をつければ良い程度の認識に留めた。

その後ヒューバートは、急ぎで国境への杭打ちを進める必要があると提案する。鬼人族との境界と異なり、獣人国との国境では侵入を強く抑止する構造が求められるため、密度の高い杭や柵を設置し、関所完成までの代替とする方針が語られた。

洞人族による関所建設計画

そこへナルバントが現れ、関所建設を洞人族へ任せるよう申し出る。石材を用いた巨大な関所や石壁、さらには鉱山や溶鉱炉、運搬路まで整備すると豪語し、必要な酒を大量に用意するようゴルディアへ頼み込んだ。

ディアス達は三人だけでそんな大工事が可能なのかと驚くが、ナルバントは洞人族が三人だけではなく、三十人以上の一族であることを明かす。彼らは環境悪化時に地下で冬眠のような眠りにつき、長であるナルバントの判断で目覚める種族だった。

ナルバントは、イルク村へ来る前に一族全体を起こさなかった理由として、食料や仕事が不足していたためだと説明する。魔石炉や地下貯蔵庫の整備によって下地が整い、今なら一族全体を呼び寄せられると判断したのである。

ディアスの過去と酒嫌いの理由

洞人族の話題で盛り上がる中、ベン伯父さんが現れ、ディアスへ酒嫌いの理由を問いかける。そしてディアスの両親は流行り病ではなく、神殿内の派閥争いによる毒殺で死亡したのだと明かした。

両親は旧道派の中心人物として新道派に狙われ、毒入りワインを飲まされた。幼いディアスも毒を口にしたが命は助かり、その後保護されたものの、記憶が曖昧になったことで両親は病死したと思い込んでいたのである。

ベン伯父さんは、その出来事がディアスの酒嫌いの原因になったのではないかと推測した。しかしディアス自身は、過去よりも今の幸せな暮らしを大切にしたいと考えており、仇討ちを望む気持ちは抱かなかった。

洞人族の酒文化と酒蔵建設

その後、ディアスはナルバント達が造った地下酒蔵を見学する。そこはレンガ造りの巨大な空間で、酒の妖精が集まりやすい環境を整え、発酵や熟成に最適化された特別な貯蔵庫だった。

ナルバントは、洞人族にとって酒は単なる嗜好品ではなく、食事と同じくらい重要な存在だと語る。彼らは酒の毒を無毒化できる特殊な体質を持ち、常にほろ酔い状態の方が健康的なのだという。

さらにディアスは、ピクルスやチーズなどを保存するための発酵小屋もサナトへ依頼していたことが明かされる。洞人族は地下空間と発酵技術を活用し、酒造りだけでなく食品保存にも優れた知識を持っていた。

養蜂計画とセナイ達の功績

翌日、ディアス達は森へ向かい、セナイとアイハンが秘密裏に整備していた養蜂場を訪れる。そこには特殊な巣箱が並び、ミツバチと意思疎通を行う森人族の魔法を用いて、安全にハチミツを採取できる仕組みが完成していた。

その巣箱は古代技術を応用したもので、内部の六角形構造を動かすことで巣を壊さずにハチミツだけを流し出せる仕組みになっていた。ディアスは、その高品質なハチミツに大きな価値を見出す。

さらにディアスは、この養蜂施設がセナイとアイハン自身の功績であるとして、正式な報酬を与えると宣言する。二人は初めて自分達だけのお金を得ることになり、大きな驚きと喜びを見せた。

洞人族の帰還

数日後、ハチミツ酒や大量のワイン樽が揃ったことで、ナルバントは正式に洞人族を呼び寄せる儀式を開始する。彼は酒を地面へ注ぎながら仲間達へ呼びかけを行い、その直後、広場の地面が割れて洞人族達が次々と姿を現した。

洞人族達は地下から現れるなり酒を飲み始め、宴会のような騒ぎとなる。三十二人もの洞人族がイルク村へ加わり、関所建設や鉱山開発に向けた体制が一気に整うこととなった。

王都、王城のリチャード王子のダンスホール 老齢の騎士

リチャードによる王権強化と騎士団改革

リチャード王子は、戦争で得た旧帝国領を含む最新地図へ赤色のインクで直轄地を書き込み、自らの改革成果を確認していた。王都のダンスホールは既に執務室同然となっており、彼は王権強化を着実に進めていたのである。

リチャードは、急激な改革は反発を招くため、直轄地拡大はいったんここで止めるべきだと語った。しかし広大な直轄地を管理するには官僚不足が問題になると、老騎士シルドは懸念を示す。

それに対しリチャードは、遠方領地を「騎士団領」として扱い、現地へ派遣した騎士団に統治を任せる構想を明かした。さらに世襲を禁止し、実力と忠義によってのみ地位を維持できる制度にすることで、旧来の貴族制との差別化を図ろうとしていた。

加えてリチャードは、騎士にも政務知識を学ばせる必要性を説いた。戦争や魔物討伐がない時代において、騎士は軍事だけでなく領地運営を理解しなければならないと考えていたのである。

その上でリチャードは、幼少期から支えてくれたシルドへ王都近郊の騎士団領を任せる意向を伝える。シルドは感情を大きく表には出さなかったものの、静かにその任務を受け入れた。

マーハティ領における反乱後の会議

一方、マーハティ領では反乱鎮圧後の対応を協議する会議が開かれていた。そこでイノシシ顔の獣人グリンは、人間族至上主義者達への強硬な弾圧を提案する。

しかしエルダンは、その提案を断固として拒絶した。確かに人間族至上主義者は問題視しているが、思想だけで処罰すれば更なる反乱を招くだけだと考えていたのである。

エルダンは、反乱へ実際に加担した者は厳しく処罰する一方で、思想を抱えながらも平穏に暮らしている者達には支援を行い、少しずつ共存へ導く方針を示した。

さらにエルダンは、もし獣人が人間より優れていると主張するのであれば、なおさら強者側が譲歩すべきだと語る。その言葉は会議場全体の空気を支配し、過激派寄りの者達まで沈黙させた。

そしてエルダンは、今回の反乱鎮圧で真っ先に助力し、その後も支援を続けているディアスの存在を暗に示す。人間族でありながら助けてくれた隣領の領主を思い出したグリンは、最終的にエルダンの方針へ従うことを受け入れるのだった。

イルク村西側の草原でディアス

洞人族による道作りと関所建設

洞人族達はイルク村へ到着してから早速、西側関所へ向かうための街道建設を始めていた。彼らは特殊な掘棒を使いながら地面を掘り返し、踏み固め、砂利を敷き、その上へ加工した石材を並べていく。

作業はヒューバートとサーヒィが地図と空からの確認で進路を決め、メーア達が先に草を食べ尽くし、その後を洞人族達が工事していくという流れで進められていた。関所建設には百人もの洞人族が投入され、他にも石材切り出しや道具製作など役割分担が徹底されていた。

洞人族達が加工していた石材は、互いに噛み合う特殊構造となっていた。これは敵が石畳を剥がして投石機の弾へ利用することを防ぐためであり、防衛を意識した高度な土木技術だった。ディアスはその工夫に深く感心する。

さらに洞人族は、生まれつき土木作業に適した骨格と肉体を持っており、人間族の「歩く」程度の感覚で重労働をこなしていた。その圧倒的な作業能力に、ディアスは驚きを隠せなかった。

洞人族の能力と鉱山計画

鬼人族のゾルグは、洞人族による鉱山開発に懸念を示した。鉱山では毒水が湧くことがあるため、安全性を心配したのである。

しかしディアスは、洞人族の髭には毒や汚染を浄化する力があると説明した。ゾルグは最初こそ信じられなかったが、洞人族達の異常な働きぶりを目の当たりにし、その規格外の能力を受け入れるしかなかった。

黒ギー増加とドラゴンの影響

ゾルグは最近、黒ギーが異常繁殖していることをディアスへ伝えた。その原因は、ディアスが何度もドラゴンを討伐したためだった。これまでドラゴンが黒ギーを大量に捕食していたことで、生態系の均衡が保たれていたのである。

そのため現在では黒ギーが南の岩塩鉱床にまで現れるようになっており、ゾルグは柵の設置や質の低い岩塩を別場所へ置くことで誘導する案を提案した。ディアスもその案へ賛同する。

エリー達の帰還と岩塩販売の成功

その後、行商へ出ていたエリー達が無事イルク村へ帰還した。犬人族達は岩塩販売の成果を期待して大いに喜び、エリーは『取引記録』を読み上げながら、持ち込んだ岩塩が全て売れたことを報告する。

エリーは、メーアバダル公の新領地で大量の岩塩が採れることを市場で大々的に宣伝していた。その結果、塩を買い占めていた商人達は値崩れを恐れて慌てて在庫処分を始め、市場全体へ大きな影響を与える。

また、ギルドやエルダン側へ事前に情報を流していたことで、身内の商人達だけは損を回避し利益を得ることに成功していた。こうして「メーア岩塩」の名は王国中へ広まり始める。

王都へ届いた新領地の報告

ディアスから送られた新領地と岩塩鉱床に関する報告は、王都の王城にも届いていた。王はその忠義を非常に高く評価し、王子王女達へ何度もディアスの功績を語り聞かせる。

リチャードは利益機会を潰されたことへ半ば呆れつつも成果を喜び、イザベルは笑いを堪えきれず、ヘレナは純粋な憧れを瞳に浮かべていた。王はそんな子供達の反応を静かに観察していた。

さらに王は、ディアスへ余計な干渉をする者を強く牽制した。王位争いのために忠臣の足を引っ張る行為は許さないと警告し、王族達へ釘を刺したのである。

最後に王はメーアバダル産の岩塩を取り出し、「西の風の味」を晩餐で味わうよう語る。王子王女達は複雑な感情を抱えたまま謁見の間を後にするのだった。

広場で六つ子達の様子を眺めながら ディアス

平穏な日々と六つ子達の成長

エリー達が行商から戻って十日ほどが経ち、イルク村では平穏な日々が続いていた。暖かくなった草原ではメーアの六つ子達が元気に育ち、それぞれの個性を見せ始めていた。

その中でもフラニアは特別だった。自分が可愛い存在であることを理解しているらしく、毛並みや蹄を常に綺麗に保ち、皆から可愛いと言われるための仕草まで研究していた。ディアスへ様々な可愛い仕草を披露し、褒められると満足そうに甘えてくる。

東西からの来客

そんな平和な昼下がり、犬人族から東西両方の関所に来客が来たとの報告が入る。西側には商人、東の森側にはエルダンの使者が来ているとのことで、ディアスはエリーに商人対応を任せ、自身は森側へ向かうことにした。

道中、整備が進んだ街道や休憩所の周囲では犬人族達が楽しそうに駆け回っており、ディアスは草原が少しずつ変化していることを実感する。

スーリオ達の来訪とネハの依頼

森の関所へ到着すると、来客はカマロッツではなく獅子人族のスーリオだった。スーリオはエルダンとネハからの礼品や書状を届けに来ており、さらに重要な依頼を持ってきていた。

その依頼とは、スーリオと若い獅子人族二人――リオードとクレヴェをイルク村で預かって欲しいというものだった。マーハティ領での反乱以降、人間族への反感が強まる中、ネハはディアス達との交流によって相互理解を深めたいと考えていたのである。

また、クラウスとカニスのような婚姻関係を増やし、より強固な絆を築きたいという思惑もあった。ディアスはエイマとクラウスの意見も確認した上で、彼らを歓迎することを決める。

獅子人族の価値観

移動中、ディアスはリオードとクレヴェについて詳しく尋ねる。二人は戦功を上げられず、武功によって立場が決まる獅子人族社会では低い立場に置かれていた。

スーリオは、獅子人族にとって戦うことは当然の義務であり、戦わない獅子人族など存在しないと断言する。しかしディアスは、戦いに向かない者へその生き方を強制することへ違和感を抱き、複雑な思いを抱えるのだった。

ペイジン商会の大規模来訪

その後、サーヒィから急ぎ戻るよう連絡を受けたディアスは、迎賓館へ急行する。そこには八台もの馬車を率いたペイジン商会が到着していた。

ペイジン・ファは、半分は獣人国による鉱山投資用資材、残り半分は商会長ペイジン・オクタドからの贈り物だと説明する。そしてディアスは、初めてペイジン商会長オクタドと対面した。

オクタドはキコ達への厚意へ感謝を述べた上で、工具や鉄材、食料など大量の支援物資を持参していた。さらに関所建設について商人視点から助言を行い、関所周辺を交易拠点として発展させる構想まで語る。

ディアスはそんなオクタドの誠意を感じ取り、友として握手を交わした。するとオクタドは即座に関所設計についての相談を始め、護衛達に担がせた板の上に座ったまま、大型馬車へ運び込まれていくのだった。

西側関所に移動して

関所建設への助言

関所予定地を訪れたペイジン・オクタドは、獣人国側の壁構造について助言を行った。獣人国は野戦を得意とする一方で攻城戦を苦手としており、そのため攻城兵器の開発が盛んであると説明する。関所もまた攻城兵器への備えを整え、その威容によって平和と友好を示すべきだと語った。

さらに、商人達が積荷確認をしながら商売できる広場の必要性や、関所を交易拠点として活用する構想も提案する。ディアスはその助言を高く評価し、可能な限り設計へ反映させたいと答えた。

長く続く異様な地震

関所建設の話し合いが進む中、突然地面が長時間揺れ始める。犬人族達は警戒し、洞人族達は地面へ耳を当てて様子を探る一方、オクタド達は深刻な表情を浮かべていた。

やがて揺れが収まると、オクタドはこれがアースドラゴン大侵攻の前兆だと断言する。獣人国には、異常な長い地震の後に複数のアースドラゴンが出現した記録が残っているのだという。

ディアスは以前討伐した経験から冷静に受け止めていたが、エイマは王国全体への影響を考慮し、隣領や各地との情報共有の必要性を訴える。これを受け、サーヒィ達による広域偵察が始まることとなった。

オクタド達との別れ

オクタドは緊急事態を受け、積荷の引き渡しを終え次第、獣人国へ帰還すると告げる。そして今後も両国が協力し合える関係を築きたいと願い、改めて友好的な取引を約束した。

ディアス達はイルク村へ戻り、スーリオ達歓迎の宴を開く。大量の食料と酒が振る舞われ、亀討伐への戦勝祈願も兼ねた盛大な宴となった。

アースドラゴン対策会議

翌日、集会所ではディアス達による対策会議が開かれた。エイマはまず、サーヒィ達鷹人族へ広域偵察を依頼する方針を説明する。報酬として金貨と食料交換の約定を結び、広範囲の監視体制を構築しようとしていた。

さらにエイマは、獣人国側の偵察も密かに行わせる計画を明かす。獣人国との関係維持や情報収集を狙ったものであり、オクタド達へ恩を売る意図も含まれていた。

またモントは、アースドラゴン用の武器製作を提案する。帝国でドラゴン討伐教育を受けた経験を持つモントは、アースドラゴン程度なら適切な装備があれば十分対処可能だと断言し、ナルバント達による武器開発が始まった。

現れたアースドラゴン

三日後、獣人国西端でアースドラゴンが発見されたとの報告が届く。ペイジン・ファは急ぎイルク村へ駆け込み、この周辺にも二、三頭現れる可能性があると警告した。

直後、サーヒィも飛来し、イルク村北方と隣領西部の山中に一頭ずつアースドラゴンを確認したと報告する。草原へ到達するまで数日の猶予があるため、迎撃準備は可能だと説明した。

さらにサーヒィの偵察によって、獣人国東端にも別個体が存在することが判明する。その地域は王国との対立や国内事情により長年領主不在となっており、多くの事情持ちの人々が身を寄せる危険地帯だった。

モントの提案

その地域の住民達が見捨てられる現実に、ディアスは助けへ向かおうとする。しかしエイマやヒューバートは、公爵であるディアスが国境を越えれば大問題になると制止する。

そんな中、モントが豪快に口を挟む。避難民を王国側へ逃がし、アースドラゴンもこちらへ誘導して自分達で討伐すれば良いと提案したのである。モンスター相手なら国境問題は関係なく、素材も手に入ると語った。

ファはその提案へ希望を見出し、ディアス達も避難民受け入れ準備を開始する。こうしてイルク村は、迫り来るアースドラゴンとの戦いへ向けて本格的に動き出すのだった。

自分のユルトの机で、各地の地図を眺めながらディアス

アースドラゴン迎撃準備

アースドラゴン誘導作戦では、避難民ではなくペイジン家が囮役を担うことになった。中でもペイジン・ドは誘導を得意としており、一定距離を保ちながら火球を回避しつつ誘導できるという。

モントはジョー隊、ロルカ隊、リヤン隊を率いて関所予定地で迎撃を担当し、リオードとクレヴェはその戦いを見学することとなった。ナルバント達洞人族は武器運用、ヒューバートは物資管理、ベン伯父さんは避難民対応を担当する。

一方ディアスは、ほぼ単独で草原へ現れるアースドラゴンを迎え撃つ役目を担う。同行するスーリオは、アースドラゴンの瘴気魔法の危険性から遠距離での見学に徹することになった。

さらにマヤ婆さんは、洞人族のお守りを参考に瘴気耐性魔法を編み出し、その情報をエルダン経由で王国各地へ広めていた。これにより各地の討伐戦力も瘴気への対抗手段を得ることとなった。

ディアスとアースドラゴンの激突

草原北部では、赤金色の全身鎧をまとったディアスがアースドラゴンへ突撃していた。アースドラゴンは火球を連射するが、鎧の力によって火球は霧散し、ディアスは一切意に介さず接近していく。

ディアスは戦斧による猛攻で甲羅を破壊し、飛び出してきた首へ致命の一撃を叩き込む。巨大な首は地面へ転がり、以前戦った経験を活かしたディアスは難なく勝利を収めた。

その圧倒的な戦いぶりを見たスーリオは、驚愕と尊敬が入り混じった感情を抱きながら、ただ呆然と戦いを見守ることしかできなかった。

モントの対アースドラゴン戦術

関所予定地では、モント指揮の下で別個体との戦いが始まる。ジョー達は投槍器を用いて大量の槍をアースドラゴンへ撃ち込み、甲羅を針山のような状態に変えていった。

投げ込まれた槍はドラゴン素材を先端に使っており、通常では考えられないほど深く甲羅へ突き刺さる。槍によって重量を増したアースドラゴンは徐々に動きを鈍らせていった。

続いてジョー達は大盾で火球を受け続け、アースドラゴンに火球を大量消費させる。モントは、火球は瘴気ではなく体温上昇によって制限されると説明し、火球を吐けなくなる隙を狙っていた。

火球が止まった瞬間、巨大な大網がアースドラゴンへ投げ込まれる。甲羅に刺さった槍へ網が絡まり、動きを封じられたところへジョー達が接近し、大槍で首や手足を狙う態勢を整えた。

落とし穴による討伐

モント達は、巨大な落とし穴までアースドラゴンを無理やり引きずっていく作戦を採用していた。アースドラゴンは賢く通常の落とし穴を避けるため、網と槍で拘束した状態で強制的に落下させたのである。

大穴へ落ちたアースドラゴンには岩や水が投入され、さらに必要なら塩水まで使う構えが取られる。首を出した瞬間に仕留めるという徹底した戦術であった。

リオードとクレヴェは、その容赦ない戦い方へ卑怯さすら感じていたが、モントは相手が巨大な怪物である以上、人間は道具と知恵を使って勝つべきだと断言する。

こうしてモント達は計画通りにアースドラゴンを討伐し、獣人国東部へ現れた脅威を退けることに成功したのだった。

甲羅の置かれた広場で―ディアス

アースドラゴン討伐後の祝宴

アースドラゴン討伐翌日、イルク村では巨大な甲羅を広場へ飾り、盛大な宴が開かれていた。前回と違い甲羅を壊さずに討伐できたため、洞人族達によって綺麗な形で解体され、討伐記念の象徴として扱われていた。

六つ子達は甲羅の上を駆け回り、頂点へ登っては楽しげに鳴き声を上げる。その様子に領民達もさらに盛り上がり、宴は大いに賑わっていた。

ナルバントは、関所側で討伐したアースドラゴンの回収は翌日以降になると語り、二頭分の素材利用について話し合う。ディアスは魔石を王家献上用と魔石炉用に分け、甲羅は売却より防具化を優先する方針を示した。

またゴルディア達商人組は、現在は素材が市場に溢れているため売却時期としては悪く、今は装備へ加工して価値を高める方が良いと助言する。これを受け、ディアス達はしばらく素材を活用しながら領内強化を進めることになった。

ゴルディア達の正式加入

宴の最中、西側から戻ってきたゴルディア、アイサ、イーライの三人は、避難民達の状況報告を終えた後、自分達も正式にメーアバダル領の領民になりたいと申し出る。

ギルド運営や今後の隣国交易を考えれば、既に他人事では済まない段階に入っていると判断したのである。ディアスはその申し出を快く受け入れ、固い握手を交わした。

こうしてゴルディア達も正式な領民となり、イルク村はさらに発展への基盤を強めていくこととなった。

スーリオ達の戦術理解

宴の片隅では、スーリオとリオード、クレヴェが今回の戦いについて語り合っていた。モントから聞いた話として、ジュウハは極めて優秀だが常識的過ぎるため、理解不能な相手への対応を苦手としていると説明される。

そして戦場では、そうした非常識な敵への対処をディアスが担っていた。ディアスは直感と経験を頼りに恐れなく前へ出て敵を崩し、ジュウハはその動きを軸に全軍を統率していたのである。

スーリオは、ディアスの戦いぶりを思い返しながら、その迷いの無さこそが真の強さだと実感する。自分達にはまだ二十年に及ぶ戦場経験が無く、その差は大きいのだと痛感していた。

一方リオードとクレヴェも、モントやジュウハから兵学を学べば、自分達でも出世できる可能性があるのではないかと考え始める。三人はそれぞれ新たな決意を胸に抱きながら、宴へ意識を向けていった。

王国全土への影響

アースドラゴン討伐成功の報は王国全土を沸かせていた。被害は予想より遥かに少なく、得られた素材は膨大であり、商人や鍛冶師、大工、学者達が一斉に活気づくことになる。

北部ではエーリング伯の活躍が高く評価され、第二王女ヘレナ派閥が躍進した。東部ではサーシュス公が攻城兵器増産を断行し、その影響で第一王女イザベル派閥も勢力を伸ばしていく。

対して第一王子リチャード派閥は、自領にアースドラゴンが現れなかったことで成果を得られず、相対的に立場を落としてしまう。

その中で最も名を上げたのはメーアバダル公ディアスだった。二体同時襲来にも関わらず被害を出さず、一体を単独討伐し、もう一体を短期間で鍛えた領兵達によって討伐した功績は、王国内で圧倒的な評価を受けることとなった。

さらに街道整備や関所建設、西国との交易計画、鉱山開発の噂なども重なり、商人達はこぞってメーアバダル領へ注目し始める。こうしてメーアバダル領は、政治的にも経済的にも急速な発展の兆しを見せ始めるのだった。

書き下ろし 春暁の盃事

洞人族の伝統朝食

ある日の早朝、ディアスは普段より遥かに騒がしい物音と歌声で目を覚ました。外へ出ると、広場では洞人族の女性達が巨大な鍋を囲み、歌を歌いながら料理を作っていた。

巨大な鉄鍋には大量の肉や野菜、香辛料が煮込まれており、辺りには強烈な食欲を誘う香りが漂っていた。ナルバントは、これは洞人族に伝わる伝統料理であり、大鍋の音と匂いで皆を目覚めさせるのが習わしなのだと説明する。

用意された料理は、硬いパン、香辛料入りの腸詰め、厚切り肉、豆煮込み、チーズなど、どれも香辛料と塩を大量に使った力強い味付けのものばかりだった。さらに洞人族の男性達は酒樽を抱えて現れ、辛い料理と酒を組み合わせるのが洞人族流なのだと陽気に歌い始める。

アルナーは少し羨ましそうに酒を見つめるが、ディアスに止められ、水を飲んで我慢することになる。ナルバントは、他種族向けには辛さを抑えているため問題無いと説明し、やがて完成したスープが各席へ運ばれていった。

力強い味と活気

完成したスープはミルクを主体としながらも、大量の肉、腸詰め、野菜、チーズ、香辛料が惜しみなく使われた豪快な料理だった。ディアスはその味を、アルナーの優しい料理とは正反対の、力強く荒々しい味だと感じる。

香辛料によって体はすぐに温まり、眠気も吹き飛び、洞窟で暮らしてきた洞人族にとって必要な食文化だったのだろうと理解する。洞人族達は酒を飲みながら豪快に笑い、広場全体もその笑い声につられて賑やかな空気に包まれていった。

朝食と酒を楽しみ終えた洞人族達は、酔った様子を見せるどころか、むしろ普段以上に鋭い目と力強い足取りで仕事場へ向かっていく。すぐに鍛冶や採掘の音が村中へ響き始め、ディアスは彼らがいつも以上に元気に働いていることへ驚かされる。

未来への想像

見回りをしながらディアスは、これほど元気に働いてくれるなら毎朝この料理でも良いかもしれないと呟く。しかしアルナーは、これほど豪勢な食事を毎日続ければ倉庫が空になってしまうと笑いながら否定する。

それでもアルナーは、いつかイルク村がもっと豊かになれば、毎朝こんな賑やかな朝食を楽しめる日が来るかもしれないと夢を語る。そして大人になったセナイやアイハンが酒を飲む未来へ思いを馳せながら、ディアスと共に洞人族達の仕事を手伝うため歩き出すのだった。

特別書き下ろし。洞人族のパズル

洞人族のパズル

ある日の昼下がり、村の見回りをしていたディアスは、ナルバントの工房で犬人族の子供達が木製の玩具を囲んで遊んでいる光景を目にした。子供達は木枠の中で板を滑らせ、描かれた道を繋ぎ合わせてスタートからゴールまでの道を完成させようとしていた。

板には直線や曲がり角、十字路など様々な道が描かれており、空いた一マスを利用して上下左右へ動かせるようになっていた。子供達は夢中になって遊び、成功した者を褒め合ったり、助言し合ったりしながら楽しそうに盛り上がっていた。そこへセナイとアイハンも加わり、一層賑やかな空気となっていた。

さらにナルバントは、新たな絵柄合わせのパズルを持ってきて子供達へ渡す。ディアスが玩具の名前を尋ねると、ナルバントはこれは古くからある「パズル」という遊びであり、頭を使うため教育にも良く、しかも簡単に作れるため、暇な時間に子供達のため作っているのだと説明した。

時間泥棒の鉄細工

その後ナルバントは、懐から複雑に絡み合った鉄の塊を取り出した。輪や棒が奇妙に噛み合った構造になっており、特定の角度と組み合わせでしか分解できない仕組みになっていた。洞人族の間では、夢中になって時間を奪われることから「時間泥棒」と呼ばれているという。

ディアスは挑戦してみるものの、どう工夫しても分解できず、力任せに壊してしまいそうになって諦める。すると足元へやってきたフランシスが、自分にやらせろと言わんばかりに声を上げた。

ディアスが鉄細工を置いてやると、フランシスは蹄や鼻、さらには舌まで器用に使い、驚くほど素早く鉄を動かしていく。そしてナルバント以上の速度でパズルを完全に分解してしまった。

見事に解き終えたフランシスは誇らしげに鳴き、ディアスとナルバントは呆気に取られながら拍手を送ることしかできなかった。

帰路の賑わい

そこへ犬人族達と共に、セナイ達の愛馬が軽快な蹄の音を響かせながら戻ってきた。セナイとアイハンは嬉しそうに愛馬へ駆け寄り、すぐさま跨ってフランシス達と共に村へ帰っていく。

元気いっぱいの笑い声と蹄の音が響く中、イルク村には穏やかで賑やかな時間が流れていくのだった。

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